約 2,223,751 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1606.html
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ 四六〇 振り返った君は、思わず感嘆の息を漏らす。 君が目にしたものは、白いドレスをまとい、長く薄赤い髪を金色の装身具を使って後頭部でまとめ、静々と歩み寄ってくるルイズの姿だ。 以前から眼が大きく可愛らしい顔立ちだとは思っていたが、こうして着飾った姿からは、大貴族の令嬢にふさわしい洗練された気品、優雅な美しさが伝わってくる。 いつもの我儘で高慢なじゃじゃ馬とは、似ても似つかない。 女とは衣装や化粧でこうも化けるものかと、君は感じ入る。 君が舞踏会はどうしたのだとルイズに尋ねると、彼女は 「なんだか、つまんなくなって」と言う。 「今までさんざん、ゼロだ、劣等生だ、とからかってきた連中が、掌を返したように馴れ馴れしく近寄ってきて 『お嬢さん、僕と踊ってもらえませんか?』とか言ってくるのよ? そりゃあ、最初は鼻が高かったけど、なんだかばかばかしく思えてきて。わたしがちょっと爵位を貰いそうだからって、下心丸出しで擦り寄ってくる、つまらない連中よ」 男子生徒たちが近づいてきたのは、名誉や称号よりも、彼女自身の美しさに魅かれてのことではないかと考えるが、それを面と向かって告げるのも恥ずかしいため、黙っておく。 「舞踏会の華として、ダンスのパートナーをとっかえひっかえなんてのは、キュルケに任せておけばいいわ。それで、ホールを脱け出してちょっと夜風に当たろうと思っていたら、 偶然あんたがいたわけよ」 そう言ってルイズは、君の隣に腰をおろす。 互いに無言で二つの月を見上げている君たちだが、やがてルイズが沈黙を破る。 「あの闘いで、わたしは何もできなかった。あの化け物を倒したのは、あんた。わたしは蛇に巻きつかれて、あんたの足手まといになっただけ」と、 自嘲するような調子でルイズは言う。 「でも、見てなさいよ。あんたがもとの世界に帰っちゃうまでに、このルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールのほうが、あんたなんかよりずっと強くて、 高貴で、美しいメイジだってことを証明してあげるからね」 彼女は真剣な表情でそう言うが、あまり思いつめるのも体に悪いだろうと考えた君は、それを茶化してやることにする。 それでは当分のあいだ帰ることができないなと笑い、それまで寿命がもてばいいのだが、とつけ加える。 「あ、あんたねぇ! 使い魔の分際で、ま、またご主人様をばかにしてー!」 いつもの調子に戻ったルイズが、顔を紅潮させて怒りの声を張り上げる。 月明かりに照らし出された彼女は、美しく、生意気で、愛らしい。 もうしばらくは、この世界に居るのもいいだろう。 さまざまな驚異と、愛すべき人々に囲まれて。 しかし、君は自らの内側に起こっている異変に気づいてはいない。 任務を完遂し祖国を救おうという義務感が、望郷の念が、いや、極めたはずの魔法の知識さえもが、波に洗われる石のように、徐々に磨り減っていることを…… 一四 君は武器を構え、六体の青銅ゴーレムに立ち向かうが、同時に繰り出される六本の槍をかわすことなど不可能だ。 一本が腕を貫き、もう一本が脚に突き刺さる。 しかし君は、悲鳴も苦悶の唸り声も上げない。 三本目の槍が、喉を貫通したからだ。 目の前が暗くなり、全身の力が抜け、その場にひざまずく。 君が最後に聞いたのは、自身の喉がごぼごぼと鳴る音と、 「か……彼が! 君が悪いんだ! ぼくは殺すつもりは……」と叫ぶ、 狼狽したギーシュの声だ。 もはや君が、アナランドに戻ることはない。 一八五 逃走のために背を向けるが、土ゴーレムはもう、すぐそこまで迫っている。 相手は君をつかもうと、大木ほどもある腕を伸ばす。 よけきれず、わしづかみにされた君を耐え難い激痛が襲うが、どうすることもできない。 ≪土塊のフーケ≫は、盗みを邪魔しようとする相手に慈悲をかけることはないのだ。 土ゴーレムは君を握りつぶす…… 四〇七 体力点一を失う。 石粉は持っているか? なければこの術は効かない。 持っていれば、標的を選び、その標的を石に変えてよい。 だが、土ゴーレムを石に変えたところでなんの意味がある? フーケがたちまちのうちに、石を土に変えるだけの話だ。 君が術を使っているあいだに、残りの二体が近づき巨大な腕を振り下ろす。 術に集中していた君は、その一撃に気づくのが遅すぎた。 ≪土塊のフーケ≫は、盗みのためなら殺人もいとわぬのだ。 痛みを感じる暇もなかったのが、不幸中の幸いだ…… 六七 武器を構えて月大蛇に打ちかかろうとするが、怪物のほうが先に動く。 月大蛇がルイズを全力で絞めあげると、彼女の全身から骨の砕ける鈍い音が響く! 目の前の光景に半狂乱になり、絶叫して大蛇に斬りかかる君だが、突然、左手の甲に刻まれた紋様の輝きが強まったことに驚き、 足を止める。 紋様の光はすぐに薄れ、それに合わせるかのように、君の意識も暗闇に飲み込まれていく。 その場に倒れ伏したときには、心臓の鼓動が止まっている。 君に刻まれた≪ルーン≫は非常に特殊なものであり、主人を守りきれぬ無能な≪使い魔≫には、しかるべき報いを与えるのだ…… 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1442.html
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ 一〇三 闘いを終えた君は、一息つく前に少女たちに怪我の具合を尋ねる。 キュルケは火傷と打ち身を、タバサは擦り傷をこさえているが、いずれもたいした負傷ではないようだ。 「私の≪ファイヤーボール≫もタバサの≪エア・カッター≫も、足止めにしかならないんだもの。危なかったわ」とキュルケは言うが、 七大蛇の一匹を相手に短時間とはいえ互角に闘うなど、普通の人間ではまずなしとげられぬ壮挙だ。 君はキュルケのことを、ただの放埓な快楽主義者かと思っていたのだが、大いに認識を改める。 タバサは高揚も恐怖も示さぬあいかわらずの態度で、黙々と血のにじんだ手の甲を手巾で拭いている。 この少女はまだ幼いといってもいい容姿なのに、最初から最後まで冷静な態度を保ち続けた。 単に感情に乏しいというだけではなく、過去にも怪物相手に闘った経験があるのでは、と君は考える。 キュルケにくらべて怪我が少ないのも、体が小さいからというわけではなさそうだ。 ルイズは、月大蛇に絞めつけられた手足にどす黒い痣ができ、何ヶ所か筋を違えてしまっているが、裂傷や骨折はないようだ。 あの怪物に襲われてこの程度の怪我ですんだのだから、奇跡的な幸運といってもよい。 フーケ――学院長秘書のミス・ロングビル――はそれほど幸運ではない。 左腕は肘が後ろ向きにねじ曲がり、口から流れる血には泡が混ざっている。 折れた胸骨が肺を傷つけてしまったのだろう。 意識を失い、その美しい顔は青ざめ、石像のように生気がない。 フーケが腰から提げている雑嚢を調べてみるか(一五三へ)、それとも手段があるなら彼女を治療してやるか(一八七へ)? 一五三 フーケは口から血を流して咳き込み、ときおり 「テファ……」と何者かの名前らしき言葉を呟くが、 君はかまわず雑嚢をさぐり、すぐに古びた書物を見つけだす。 この世界の何者にも読めぬ文字――君の故郷アナランドの文字だ――で表題が記されたその本を手にとり、内容を確認する。 本の記述は予想したとおりのものであり、かつて暗誦できるほどに何度も読んだ、非常に馴染み深いものだ。 この本が≪エルフの魔法書≫などではないことを、君は知っている。 この本は、アナランド以外の場所にあってはならぬものなのだ。 本を背嚢にしまい、さらに雑嚢を調べると、宝石細工のメダルと、油の小瓶がみつかる。 望むならば君のものにしてもよい。 「ちょっと、なにやってんのよ! 早くミス・ロングビルの手当てをしないと」と言うルイズだが、 君が手にした≪エルフの魔法書≫を見て言葉が途切れる。 「じゃあ、まさか、ミス・ロングビルが……≪土塊のフーケ≫?」 ルイズは信じられぬといった表情で、地に伏したフーケを見つめる。 「まさか学院長の秘書が、噂の大怪盗だったなんてね」 キュルケも驚きを隠せない。 「治療が必要。このままだと死ぬ」 タバサはそう言うとフーケに≪治癒≫の呪文をかけるが、これはあくまで応急処置であり、死なせぬようにするためには学院に連れ戻り、 ≪水≫系統の高位の魔法使いの手を借りる必要があるらしい。 キュルケとタバサは意識のないフーケを青い竜――シルフィードという名のタバサの≪使い魔≫――の背に乗せると、自分たちもそれに跨り、先に学院に戻ると言い残して竜を飛び立たせる。 残された君とルイズは、すっかり暗くなった森の道を歩いて、学院まで引き返さねばならない。二一二へ。 二一二 ルイズに速度を合わせてゆっくり歩くが、月大蛇との闘いで傷つけられた彼女は、見るからに辛そうな様子で脚を引きずっている。 見かねた君はルイズに手を貸してやることにする。 君はルイズを抱きかかえるか(二三五へ)? それとも背嚢を体の前に回し、彼女を背負ってやるか(二四三へ)? 二四三 初めは自分で歩けると言い、君の申し出をつっぱねるルイズだが、何度も説得するうちにやがて 「そ、そこまで言うのなら……あんたの顔を立ててあげるわよ」と言って、 君の背中にしがみついてくる。 「ねえ」 君に背負われてからしばらくして、ルイズは君に話しかける。 「あんた、メイジだったのね。あれだけの≪ファイヤーボール≫は、キュルケでもそう簡単には作り出せないわ。 どうして今まで黙っていたの? 魔法を使えないわたしを気遣ったつもり?」 彼女の静かだが怒りを秘めた真剣な口調に、その場しのぎのごまかしは通用しないと悟った君は、正直にすべてを話すことに決める。 それから数十分のあいだ、君はいつになく饒舌かつ熱心に、君自身のこと、故郷のことを語り続ける。 シエスタやマルトーたちを相手に披露する、いつもの笑い話や冒険談とは口調がまるで違う。 この見知らぬ異郷の地で、誰かに本当の自分を知ってほしかったという思いもあるのかもしれない。 君は語る。 邪悪な大魔法使いに≪諸王の冠≫を奪われ、法も秩序も国民の士気も崩壊の一途をたどる、祖国アナランドのこと。 祖国を危機から救うため、≪諸王の冠≫の奪回という危険な任務を、剣士にして魔法使いでもある君が自ら買って出たこと。 シャムタンティ丘陵、魔の都カレー、バク地方、ザメン低地などの危険に満ちた土地を横断し、大魔法使いの居城であるマンパン砦まであと少しというところで、 このトリステインに召喚されてしまったこと。 任務は極秘のものであるため、ルイズたちに対しても身の上を偽らざるを得なかったこと。 この世界における魔法使いの特殊な立場を知り、自身も魔法の使い手だとは言い出しにくくなってしまったこと。 この手で全滅させたはずの邪悪な七大蛇が、なぜかは解らぬが生き返り、この世界に居ること。 ルイズはときどき質問を挟みながらも、君の話に熱心に聞き入っている。 月がひとつしかなく星々の並びもハルケギニアとは違う、異世界から君が来たということを最初は信じなかったが、君の真剣な態度と言葉は説得力に満ちている。 それに加えて、つい先刻闘ったばかりのハルケギニアの幻獣とは異質な怪物どもの存在も、話の信憑性を高めている。 「それじゃあ、その冠は今でも、悪い奴が持っているの?」 君はそうだと答える。 大魔法使いは≪諸王の冠≫の神秘的な力をものにし、『さいはての毒虫の巣』と呼ばれる混沌としたカーカバードを統一したうえで、 怪物と悪漢どもによる最強の軍団を作り出すつもりなのだ。 そうなれば、アナランドだけではなく≪旧世界≫と呼ばれる大陸のすべての国家にとって、大いなる脅威となるだろう。 「わたしが、わたしがあんたを召喚したせいで……?」 ルイズが君の耳元で力なく呟く。 彼女は君を召喚してしまったことに対して、少なからぬ自責の念を抱いているようだ。 ルイズを慰めるか(四八へ)? 無言で先を急ぐか(一四六へ)? 四八 確かに、このまま君がこちらの世界に留まり続ければ≪諸王の冠≫はアナランドに戻らず、大魔法使いはカーカバードを統一し、 ≪旧世界≫の自由の民のあいだに恐怖を振り撒くことだろう。 極端な言い方をすれば、彼女の召喚魔法のせいで、いくつもの国が滅びるかもしれぬのだ。 しかし、君はこの小さな少女を責める気にはなれない。 故意に自分をを≪使い魔≫として召喚したわけではないのだから、ルイズが責任を負うような問題ではない。 それに、自分がこの世界に来てからまだ一週間ほどしか経っておらぬのだから、もと居た世界にたいした影響はないはずだ、と慰めの言葉をかける。 君の言葉を聞いたルイズは、 「ごめんね。でも、あんたが早く帰れるように、わたしも協力するから……」と、君の耳元でささやく。 いつもは高慢な『ご主人様』が謝罪の言葉を口にしたことに、君は耳を疑う。 その後も歩き続け、学院の門にたどり着いたところでルイズをそっと降ろす。七七へ。 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1143.html
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ 九六 君は『躍る子羊亭』という、店名どおり後ろ足で立つ羊の看板が掛かった酒場を見つける。 さっそく店に入ろうとする君を、ルイズは袖を引っぱって引き止め、 「ちょっと、あんた昼間からお酒なんて飲むつもり?」と疑いの眼差しで聞いてくる。 酒場は多くの人々が集まる場所であるから、情報収集のために入るだけだと君は言うが、 「なんで情報収集が必要なのよ。だいたい、学院の外の世界の話が聞きたいのなら、出入りの業者にでも聞けばいいじゃないの」と、 納得しない。 君は、あのスナタ猫の他にもカーカバードの怪物が、このトリステインの地で目撃されたかどうかが気になってここに来たのだが、久しぶりに麦酒にありつきたいという思いも、 まあ皆無ではない。 亭主に少し話を聞いてすぐ戻ると言うが、ルイズは 「若く高貴な乙女であるご主人様を、こんな薄汚い通りで、ひとりぼっちにするつもり?」と言って、 あくまで君の袖を離さない。 ならば一緒に入るかという君の提案は、ふざけるなと一蹴される。 どうやら酒場に入るのは、あきらめるほかないようだ。 あらためて秘薬店『≪水牛のスーシェ≫の店』へ行くか(六二へ)、それとも 武器と防具の店『サンソン&ギヨタン商会』へ行くか(一九二へ)? 六二 君たちは薄暗い路地裏を歩いている。 先に立って歩くルイズは、 「このへんは汚いし、治安は悪いし、あんまり来たくないのよ」と言うが、 靴紐一本を奪うのに平気で人を殺すような輩に溢れた、あの罠の都カレーに比べればここは我が家のように安全だ。 『≪水牛のスーシェ≫の店』は、傾いた家屋が密集した地域の一角にあり、扉の上には立派な角をそなえた牛の頭の剥製が飾られている。 扉を開けて薄暗い店内に踏み込むと、憂鬱そうな表情の痩せた男が顔をあげ、もごもごと挨拶らしき言葉をつぶやく。 没落した貴族でも暴力の不得手な者は、こういった商売で日々の糧を得ているらしい。 「あんたはメイジじゃないんだから、別に秘薬なんて使わないでしょ」というルイズの言葉を背に受けながら、君は店内を物色する。 商品の大半は、得体の知れない護符や毒々しい色の液体が詰まった瓶など役に立つとも思えぬがらくたばかりだが、なかには君が魔法を使うときに必要となる品々も見受けられる。 真珠の指環・金貨七枚 蜜蝋・金貨二枚 太陽石・金貨四枚 火の水・金貨二枚 金縁の鏡・金貨三枚 水晶玉・金貨五枚 予算のゆるすかぎり、自由に買い物をしてよい。 君の金貨は店主に奇異の目で見られはするが、支払いに使っても問題はないようだ。 買い物が終わった、またはなにも買う物がなかったのなら、店を出ること。二一一へ。 二一一 君は次は武器屋を見てみたいと言うが、ルイズは暗くなる前に学院に戻ろうと主張する。 「あんな山猫、怖くなんかないけど、あんただって無用の危険は避けたいでしょ?」と言うが、 強気な言葉とはうらはらに、その眼には不安の影が見える。 この街に来る途中で、あのような血まみれの惨事に巻き込まれたのだから、彼女が怯えるのも無理はない。 名残惜しいが彼女に同意すると、君たち二人は門へと向かい、厩舎に預けていた馬を引っ張り出す。 君は先に鞍に跨るとルイズの手をとり、自分の前へと座らせる。 どちらが手綱をとるのかという君の問いに、 「こういうときは男だったら、生まれが卑しくても騎士を気取るものでしょ。しっかり走らせなさいよ」とルイズは答える。 君たちの乗る馬が学院へと通じる街道をしばらく進むと、向こうから兵士を乗せた数騎の軍馬が近づいてくる。 猛獣出没の真否と、その犠牲になった馬の死体を確かめるべく出動した兵士たちが、戻ってきたのだろう。 君は馬を彼らのそばに寄せ、捜索の首尾を尋ねる。一六一へ。 一六一 「たしかに林のところで、馬の死体を見つけた」 隊長格の男は言う。 「肉のいちばんいいところだけを喰われていたよ。その獣は単独行動のようだな。群れだったらもっと喰い散らかされていたはずだ」 君は、常に群れで行動するというスナタ猫の習性を思い出し、首をかしげる。 ルイズはなにも言わず、うつむいている。 あのときの恐怖を思い出してしまったのだろう。 「それで馬を埋めたあと、そこから少しはなれた草原で妙な死体を見つけた」 男の話の思わぬ展開に君は聞き入る。 その死体とは、黒焦げになった大型犬ほどの体格の獣のものであり、鋭い牙と爪をもっているが、狼でも熊でもないのは明らかだというのだ。 どうやら、強大な魔法使いの≪火≫の呪文を受けたようだが、魔法学院の教師や生徒の仕業なのだろうか? 男は最後に、 「その死体が、あんたたちの馬を襲った奴のなれの果てだと考えて、まず間違いないだろう。つまり、問題は早々と解決だ。どこかの貴族様が、無償でそいつを退治してくださったというわけだ!」と笑って、 君たちと別れようとする。 君は男を呼び止めて、ほかに質問をしてもよいし(四五へ)、学園への帰路を急いでもよい(六三へ)。 四五 男はうるさそうに振り返る。 「なんだ?まだなにか、心配事でもあるのか?」 この男は一刻も早く街に戻って、一杯やりたいのだろう。 君はあとひとつだけ聞かせてくれ、と男に頼みこむ。 何について質問する? 他にも奇妙な動物や幻獣を見なかったか・一二五へ 一週間ほど前に見つかった謎の亜人の死体について・二二六へ 二二六 「ああ、妙ちきりんなエルフの死体が見つかったって話だろ?俺もこの眼で見たわけじゃないが、きっと本物のエルフだろうな。 そもそも、エルフに会ったことのある奴なんてどこにも居ないんだ。痩せっぽちの醜い連中ってことも、あり得るよな」 同意を求める男に、君は軽くうなずき先をうながす。 男によると今では街じゅうが、死体が持っていた未知の言語で著された本の正体が≪エルフの魔法書≫だと判明した、 という噂で持ちきりだという。 君もルイズも、学院の人間が本の解読に成功したなどという話は、聞いていない。 解読にあたった魔法使いたちのなかに、よほど口の軽い者がいたのだろう。 コルベールが冗談半分につけた仮称が、いつのまにか正式名称として噂になってしまっているとは! 君は男に礼を言うと、学院に戻るべく馬を進める。一一九へ。 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7568.html
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ ソーサリー・ゼロ これまでのあらすじ 第一部「魔法使いの国」 君は、若く勇敢な魔法使いだ。 祖国アナランドを危機から救うべく、カーカバードの無法地帯を横断する旅を続けていた君だったが、ふと気がつくと周囲の光景は 一変していた。 そこは、ハルケギニア大陸のトリステイン王国と呼ばれる未知の土地であり、魔法を使える特別な血筋の者たちが王侯貴族として君臨し、 大多数の平民たちを支配しているという、奇妙な世界だったのだ。 君がこのハルケギニアにやって来たのは、ルイズという少女が執り行った、『≪使い魔≫召喚の儀式』が原因だった。 ルイズは大いに戸惑いながらも、とにかく君を≪使い魔≫にすることに決め、自分に対する忠誠を求めた。 今すぐカーカバードに戻る方法がないと知らされた君は、当面の庇護を得るために彼女に従うことに決めるが、自分が重大な任務を帯びた 魔法使いであることは、黙っておいた。 ルイズは、貴族の子弟のための学び舎『トリステイン魔法学院』の生徒であり、君も彼女の学業につきあわされることになる。 君の『ご主人様』であるルイズは、名門貴族の令嬢でありながら、どういうわけか魔法がまったく使えぬ劣等生であり、 心ない者たちから≪ゼロのルイズ≫という屈辱的な名で呼ばれていた。 ハルケギニアに召喚されてから七日目に、事件が起きた。 学院の教師コルベールが、解読の助けを求めて君に手渡した≪エルフの魔法書≫と呼ばれる書物が、≪土≫系統の魔法を操る正体不明の盗賊、 ≪土塊(つちくれ)のフーケ≫によって奪われたのだ。 森の中でフーケに追いついた君は、盗賊の正体が美しい女だと知るが、そこに思いもよらぬ乱入者が現れる。 かつて、君によって全滅させられたはずの『七大蛇』のうちの二匹、月大蛇と土大蛇が、君とフーケに向かって襲いかかってきたのだ。 さらには、ルイズと、彼女の同級生であるキュルケとタバサまでもが駆けつけ、激しい闘いの末、月大蛇は打ち滅ぼされ、土大蛇は逃走した。 学院に戻った君は、ルイズと学院長のオスマンに、自らの正体と≪諸王の冠≫奪回の任務について打ち明ける。 ふたりは大いに驚きながらも、君の話を信じ、君がカーカバードに帰還する方法を調べると、約束してくれた。 翌日の夜、学院で催された舞踏会から抜け出したルイズは、君のところへやって来て、必ず≪ゼロ≫から抜け出し、君より偉大な魔法使いに なってみせる、と宣言する。 君は、『ご主人様』のルイズや学院の人々、そして、この美しい世界に対して愛着を覚えるようになっていたが、自身の内側で起きている 恐るべき異変には気づいていなかった。 第二部「天空大陸アルビオン」 トリステインの王女アンリエッタが学院を訪れた日の夜、君とルイズはオスマン学院長の呼び出しを受ける。 オスマンが話すところによれば、彼の旧友であるリビングストン男爵という貴族が、遠く離れた二つの場所をつなげる≪門≫を作り出す魔法を 研究しているのだが、その≪門≫は、このハルケギニアと、君が居たカーカバードを結んでいるかもしれぬというのだ。 カーカバードへ戻れる望みが出てきたことを知った君は、男爵が住まうアルビオンに向かうが、その旅には『ご主人様』のルイズと、 かつて君を相手に決闘騒ぎを起こしたギーシュが、強引に同行してきた。 港町ラ・ロシェールで≪土塊のフーケ≫と再会した君は、彼女と力を合わせて水大蛇を倒すが、七大蛇がアルビオンに拠点を置いて、 何かを企んでいることを知る。 『白の国』の異名をもつアルビオンは、雲と霧に包まれて天空を漂う、驚異の地だった。 空飛ぶ船でアルビオンに降り立った君、ルイズ、ギーシュの三人は、リビングストン男爵の領地へ向かうが、アルビオンは国を二分しての 内乱に揺れており、男爵は行方知れずになっていた。 男爵を探してとある村に立ち寄った君たちは、そこで酸鼻きわまる虐殺を行っていた傭兵たちと出くわし、捕らえられてしまう。 君は、以前にオスマンから貰った、意思を持つ魔剣であるデルフリンガーの謎めいた力の助けを借りて、彼らの首領格であるメンヌヴィルを 討ち取り、残った傭兵たちは、突如現れた、アルビオン王国の皇太子ウェールズ率いる一隊によって、殲滅された。 君たちがアルビオンに来るにいたった事情を知らされたウェールズは、リビングストン男爵は貴族派と呼ばれる反乱軍によって捕らえられ、 むごたらしく殺されたと告げる。 ウェールズは、帰還の望みが絶たれたことを知らされて意気消沈する君を、ニューカッスルの城へと招いた。 追い詰められた王党派にとって最大の拠点であるその城には、男爵の遺品や書き置きが残されているかもしれぬのだ。 秘密の地下通路をたどってニューカッスルの城に入った君たちは、倉庫で男爵の日記を見いだすが、君の役に立つような記述は何もなかった。 ≪門≫の探索をあきらめてトリステインに戻ることに決めた君たちは、トリステインから派遣された大使、ワルド子爵と出会う。 婚約者であるルイズとの偶然の再会に喜ぶワルドだったが、その正体は、アルビオンの貴族派を背後から操る結社≪レコン・キスタ≫の 一員だった。 巨大なゴーレムがニューカッスルに襲来した混乱に乗じて、国王の命を奪い、ウェールズをも手にかけようとしたワルドだったが、その場に 君が立ちふさがる。 ルイズとデルフリンガーの助けもあって、どうにかワルドに打ち勝った君だったが、そこに火炎大蛇が現れ、ワルドは逃走する。 火炎大蛇が倒されたのち、ウェールズは君たちに、裏切り者のワルドにかわって、トリステイン大使の務めを果たしてほしいと頼む。 務めとは、かつてアンリエッタ王女がウェールズに宛てた恋文を、王女のもとへ持ち帰ることだった。 この恋文の存在が明らかになれば、締結直前にあるトリステインと帝政ゲルマニアの同盟は破棄され、トリステインは単独で、 ≪レコン・キスタ≫が主導する新生アルビオンの脅威に、立ち向かうことになってしまうのだという。 君たちに手紙を託したウェールズは、数日のうちに全軍による突撃を敢行し、名誉ある戦死を遂げるつもりだと言うが、ルイズはそれに反対し、 トリステインへの亡命を勧める。 ウェールズはルイズの意見に頑として耳を傾けなかったが、ついで説得に立った君の言葉に心を動かされ、たとえ卑怯者と呼ばれようとも 生き延びて、≪レコン・キスタ≫を苦しめてみせると告げた。 ウェールズと意気投合した君は、彼が語った噂話から、七大蛇が≪レコン・キスタ≫の頭目クロムウェルの忠実なしもべだと知る。 君たちはニューカッスルの城から脱出する難民船に便乗し、トリステインへの帰路につくが、その頃アルビオンでは大陸全土に、 奇妙な甲高い音が鳴り響いていた。 それは、二つの世界を隔てる壁が引き裂かれた音だった。 第三部「さまよえる冒険者」 トリステインに帰り着いた君たちは、アルビオンでの顛末とウェールズの決意をアンリエッタ王女に報告した。 アンリエッタは感謝の証として、ルイズに王家伝来の秘宝≪水のルビー≫を譲り、また、同じく国宝ではあるが、何も書かれていない頁が 連なるだけの書物≪始祖の祈祷書≫を預け、その調査を頼む。 アンリエッタは、大国ガリアを中心とした≪レコン・キスタ≫討伐のための諸国連合軍が結成され、トリステインもこれに参加することを、 君たちに伝える。 これによって、アルビオンの脅威は遠からず消滅することは確実なため、トリステインとゲルマニアの同盟締結は中止され、アンリエッタは、 ゲルマニア皇帝との望まぬ政略結婚をまぬがれることとなった。 学院に戻った君はタバサと言葉を交わし、彼女の家族が重い病に臥せっていると知り、近いうちにその者の治療に行くと約束した。 数日後、君は荷物持ちとして、ギーシュとその恋人モンモランシーとともに『北の山』へ行くことになったが、そこで土大蛇の襲撃を受ける。 土大蛇を倒した君だったが、深手を負ったギーシュを救うために、ブリム苺のしぼり汁を使い果たしてしまった。 この薬は、タバサの家族に試すはずの癒しの術を使うために、必要不可欠な物なのだ。 タルブの村の出身で、今は学院に奉公している少女シエスタの実家に、同じ薬があることが明らかになり、君、ルイズ、タバサ、キュルケ、 シエスタの五人は、タルブへと向かった。 シエスタの実家でブリム苺のしぼり汁を手に入れた君は、シエスタの曾祖父が、君と同じように≪タイタン≫の世界からハルケギニアに 迷い込んだ人物であることを知る。 君たちは、シエスタの曾祖父がくぐり抜けた≪門≫が存在するという洞窟を調べ、最深部にそれらしき場所を見出したが、そこに≪門≫はなかった。 洞窟の調査を終えた君たちがタルブに戻ると、そこに、生きた泥沼のような姿をした≪混沌≫の怪物が来襲する。 草木や家畜をむさぼり喰い、土や空気を汚染して、どんどん大きくなる≪混沌≫の怪物を前に、進退窮まる君たちだったが、ルイズが偶然開いた ≪始祖の祈祷書≫に現れた呪文を唱えると、まばゆい光が炸裂し、怪物は跡形もなく消滅した。 デルフリンガーによれば、ルイズが唱えた呪文は、伝説の失われた系統≪虚無≫のものであり、彼女は≪虚無≫の担い手なのだという。 ルイズが普通の≪四大系統≫の魔法を使えなかったのは、≪虚無≫を受け継いだ代償だったのだ。 タバサに連れられて、彼女の実家にやってきた君が見たものは、恐るべき毒に心を狂わされ、我が子を目にしておびえた声を上げる、 タバサの母親の姿だった。 タバサの母親に癒しの術をかけた結果は、完治には程遠いものだったが、それでも彼女は、恐怖や苦痛からは解放されたようだった。 タバサと、彼女の実家を管理する老執事は涙ながらに喜び、君は、タバサがガリア王家の出身であり、彼女とその両親は王位継承争いの 犠牲者だということを知らされた。 タルブから持ち帰ったブリム苺のしぼり汁は数に余裕があったため、君は次にルイズの姉を治療するべく、ルイズの実家である ラ・ヴァリエール公爵の屋敷へ行くが、そこで執事殺しの疑いをかけられ、屋敷の中を逃げ回ることになってしまった。 ルイズの姉カトレアは君の無実を信じ、部屋にかくまってくれるが、そこに今回の事件の黒幕である風大蛇が現れ、君たちに襲いかかる。 七大蛇の主人クロムウェルは、正体不明の兵器を用意していたが、それを妨げる手段を知るかもしれぬ君を危険な存在とみなし、 抹殺するべく土大蛇と風大蛇をさしむけてきたのだ。 風大蛇はルイズの母親によって倒され、怪物の放つ毒を吸って重態に陥ったカトレアも、君のかけた術によって救われたが、 癒しの術も、彼女の生まれつきの体質を改善するまでにはいたらなかった。 学院に戻った君は、≪虚無≫の絶大な力を恐れたルイズが、アンリエッタと相談した末、自分が≪虚無≫の担い手であることを絶対の 秘密とし、二度と≪虚無≫の術を使わぬと決めたことを知った。 ルイズやキュルケ、ギーシュたちと一緒になって、アルビオンに向かって出征するトリステインの軍勢を見物する君の内心は、 穏やかではなかった。 クロムウェルが用意しているという、この世界の常識を超えた恐るべき秘密の兵器とは、いったいなんなのだろうか? 一 夏の訪れを感じさせる陽射しを受け、額に汗をにじませながら、西の空を見上げる。 視界の遥か先を漂っているであろうアルビオン大陸の姿は、見えるはずもないが、雲と霧をまとって空に浮かぶ『白の国』の壮大な眺めは、 君の頭に刻み込まれている。 かの地では今、敵味方合わせて十万をゆうに越す大軍がぶつかり合い、火花を散らしているはずだ。 ハルケギニア諸国連合軍によるアルビオン遠征が始まって、二十日近くが経つが、トリステイン王国と魔法学院は平和そのものだ。 アルビオンにおける戦況について、宮廷からの発表はなく、人々の情報源はもっぱら、徴用された貨物船の水夫や荷役夫たちが持ち帰る土産話と、 貴族の将校たちが家族や恋人に宛てた手紙による。 君は学院とトリスタニアの町でこの大戦(おおいくさ)に関する噂を拾い集めたが、その多くは、万事が順調に進んでいることを示していた。 ──アルビオンへの進撃において、驚くべきことに、精強を謳われたアルビオン空軍の迎撃はなく、艦隊はまったくの無傷で上陸した。 ──連合軍は各地で快進撃を重ね、トリステイン軍は交通の要衝である古都シティ・オブ・サウスゴータを占領した。 ──主力をつとめるガリア軍は首都ロンディニウム攻略の準備にかかっており、もうすぐ≪レコン・キスタ≫は崩壊し、戦は終わるだろう。 噂を聞くかぎり、連合軍の勝利は揺るぎなきものと思えたが、君が本当に知りたいこと──ウェールズ皇太子の安否とクロムウェルの秘密兵器── に関する情報は、なにひとつ得られなかった。 『白の国』に上陸した連合軍はすぐさま、アルビオン王家の最後の生き残りであるウェールズの生死を確認すべく動いたが、 彼の足跡は、王党派最後の拠点ニューカッスルの城──今は瓦礫の山に変わっているそうだ──を最後にふっつりと途絶えており、 その行方は杳として知れぬという。 君は、アルビオンを発つ前夜にウェールズと交わした言葉を思い起こす。 「たとえ卑怯者のそしりを受けようとも、私は生きる」 「この命が続く限り、奴らの悪だくみを邪魔し続けてやるさ」 力強くそう言った皇太子が『名誉の戦死』を遂げたとは思えぬが、ならばなぜ、彼とその部下たちは連合軍と合流しておらぬのだろうか? また、ルイズの実家で風大蛇が語った、クロムウェルが準備しているという『百万の軍勢でも千フィートの城壁でも防げぬ、 まったく新しい武器』の存在も噂にあがらず、その実態は推測することもままならない。 追い詰められたクロムウェルにとって、起死回生の策となるであろう兵器は、結局のところ間に合わなかったのだろうか? それとも、連合軍を懐に引き寄せてから使って、一網打尽にするつもりなのだろうか? 君の不安はつのるばかりだが、アルビオンへ出向いて直接調べるわけにもいかない。 君の身分は、トリステイン魔法学院の生徒ルイズの≪使い魔≫にすぎぬのだから。 今日の授業は終わり、生徒たちは夕食までのあいだ、めいめいのやりかたで時間を潰している。 時間を潰さなければならぬのは、君も同じだ。 とくにルイズから言いつけられた用事があるわけでもなく、今の君は手持ち無沙汰なのだ。 これからどこに向かうべきかを考える。 マルトーやシエスタの居る調理場へ行けば、食糧や日用品を扱う出入りの商人から仕入れた、新しい噂を聞けるかもしれない。 噂といえば、ギーシュと話してみるのはどうだろう? 彼は武門の生まれであり、三人いる兄はいずれも、アルビオン遠征に参加しているらしい。 かの地の様子を記した手紙も、何通か受け取っているだろう。 授業が終わった直後に、東の広場へ向かっているところを見かけたので、そちらへ向かえば会えるはずだ。 そこまで考えたところで、君は唐突に、アルビオンから戻った直後にコルベールとかわした会話を思い出す。 コルベールは、君の左手に刻まれた≪ルーン≫の効果に興味を示し、人間のような知性をもつ生き物に≪ルーン≫が刻まれた例を 探してくれると言ったはずだが、あれから何の音沙汰もないままだ。 君は今の今までその事を忘れていた──考えてみれば、なんとも奇妙なことだ。 調べ物には何の進展もなかったのかもしれぬが、それでも彼の『研究室』を訪れるのは有意義だ。 彼のような学識豊かで誠実な人物と言葉をかわすというのは、悪くない時間の使いみちだろう。 どこへ行く? 調理場・二二二へ 『研究室』・一三六へ 東の広場・五三四へ ルイズの部屋・一二三へ 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1076.html
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ 二八五 君はルイズの小さく華奢な手を握ると、そのまま一息に引き上げるが、勢いをつけすぎたため二人そろって落馬しそうになる! 運だめしをせよ。 吉とでたら一四四へ。 凶とでたら一五へ。 一四四 なんとか体勢を立て直した君は、ルイズを前に跨らせると、獣から逃げるべく馬に拍車をあてる。 怯える馬はすぐさま全力の襲歩(ギャロップ)に移り、唸る獣ともがき苦しむ馬の姿は、はるか背後へと消える。 城下町の壁が見えてきたところで、ようやく安心した君は馬の歩調を緩めるが、ルイズの肩は小さく震えている。 「あの獣が襲ってくるところ……ぜんぜん見えなかった。気がついたら馬が倒れて、振り落とされて……」 ぶつぶつとつぶやくルイズに君は、怪我はなかったかと尋ねる。 「う、うん。わたしは大丈夫。でも、あの子が……あの子、死んじゃったの?」 あの子というのは、学院の厩舎から借りた馬の一頭のことのようだ。 今頃は、獣にとどめを刺され、喰われてしまっているだろう。 「あれ、いったい何だと思う?この辺は人が多いから狼どころか猪さえ出ないのに、あんな見たこともない猛獣が出るなんて」 君は、いくらか元気を取り戻した彼女の問いに答えず馬を進めるが、あの獣の正体は知っている。 スナタ猫。 カーカバードのスナタの森に棲息する恐るべき猛獣であり、目を閉じて精神を集中させるだけで自在に姿を消してしまえるという、魔法じみた能力をもつ。 君が闘って勝てぬ相手ではないが、ルイズを護りぬくことは難しかっただろう。 逃走は賢明な判断だ。 あのスナタ猫も誰かに召喚されたのち、逃げ出したのだろうか? やがて君たちは城下町の門に到着すると馬を預け、街道に謎めいた猛獣が出没したことを執行官に通報する。 学院と街を結ぶ街道はきわめて安全であり、ここ数ヶ月は追い剥ぎひとり現れていない、と半信半疑の執行官にルイズは、 「学院の馬が一頭、死んじゃったわ。早く行って丁重に葬ってあげて!あと、今日じゅうにあの怪物を退治しなさい!」とまくしたてる。 弓と矢を背負った数人の騎馬兵が街を出て行くのを見送ると、ルイズは本来の目的である買い物をはじめると言う。二一七へ。 二一七 ルイズに導かれて歩きつつ、周囲を見回す。 トリステイン魔法学院は、君のもと居た世界の常識からかけ離れた驚異の場所だったが、この城下町は君の故郷のそれと大差ない。 行き交う人々、声を張り上げる露天商、荷物を満載した荷車など、どこの町でも見られる馴染み深い光景が広がる。 それでも異国の町並みとは興味深いものだが、君が注意しているのは建物や商店ではなく、やはりどこの町でも見られる存在 ――ごろつきどもだ。 この街の治安は悪くはなさそうだが、余所者と貴族の少女という取り合わせは、すりや強盗にとって格好の獲物だろう。 君の心配も知らず、ルイズはどんどん先に進んでいく。 どこへ行くのかと君が問うと、 「まずはそのボロ服を買い替えなきゃね。学院の中じゃ、犬だってもっと綺麗にしてるわよ」と言う。 長旅で擦り切れ、色落ちしているとはいえ、シャムタンティ丘陵のある村では身なりのよさで注目を浴びたことさえあるのだが。 君は、古着屋で丈夫で地味な衣装を買ってもらうか(二○二へ)? それとも、貴族の従者にふさわしい仕着せを一式、そろえてもらうか(一五五へ)? 二○二 君が、服を買うなら古着屋でそろえたいと言うと、ルイズは 「ずいぶん遠慮するわね。まあ、あんたには執事や従僕の格好は似合わないか」と笑う。 いくつかの角を曲がって古着屋に着いた君たちは、そこで少々擦り切れたマントや丈夫な毛織物のシャツ、馬革の長靴などを買いそろえる。 ルイズは気前よく全額を払ってくれるが、店を出たあとで 「あっ」と小さく声を出す。 「あの子のこと……学院に弁償しなきゃ……」 猛獣の襲撃という事故だったとはいえ、学院から借りた馬を一頭、死なせてしまったのだ。 ルイズが弁償するのは当然のなりゆきだろう。 いかに彼女が大貴族の令嬢とはいえ、乗用馬を気楽に買えるような小遣いを貰っているわけではないようだ。 恩を売り、貴族の威厳を見せつけるために君を買い物に連れてきたルイズだが、その懐の余裕は完全に失われてしまった。 「まだ服しか……もっと剣とか……だいたい、あのけだものが、いえ、野放しにしている役人が悪いのよ……」 ルイズは顔を赤くし、怒ると同時に恥ずかしがっている。 この状態をどう取り繕おうか、悩んでいるようだ。 君は、服が買えただけで充分だと言い、街を出ることにするか(二八へ)? せっかく街に来たのだから、自腹を切ってでも買い物を続けるか(二六六へ)? 二六六 君にいくらか金貨の手持ちがあることを知ると、ルイズの表情は明るくなり、 「使い魔のものはご主人様のもの。つまりあんたのお金は、わたしのお金よね。さあ、そのお金で好きなだけお買い物なさい!」と 、 無茶苦茶なことを言い出す。 君は溜息をつき、馬の弁償代として全額を奪われる前に、いっそここで使い切ってしまおうかとも考える。 君が財布を取り出して金貨を数えていると、ルイズが興味深げに覗き込む。 「変わった金貨ね。『エキュー金貨』でも『新金貨』でもない。それにしても、縁はよれよれ、表面は傷だらけじゃない。ちゃんと使えるの?」 君はどこの世界だろうと黄金の輝きの価値はかわらぬだろうと答え、彼女に道案内を頼む。 どの店へ行く? 秘薬店『≪水牛のスーシェ≫の店』・六二へ 武器と防具の店『サンソン&ギヨタン商会』・一九二へ 酒場『躍る子羊亭』・九六へ 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1520.html
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ 七七 学院の正門にたどり着いた君たちふたりに、門番が声をかける。 「ミス・ヴァリエールとその使い魔殿、学院長室まで出頭せよとの指示が出ています」 おおまかな事情説明は先に戻ったキュルケが済ませているだろうが(無口なタバサには期待できない)、事件の関係者で≪土塊のフーケ≫相手に 直接渡り合ったのは君ひとりだけなのだから、 詳しい説明を求められるはずだ。 ルイズはまっすぐ学院長室のある本塔へ向かおうするが、君はあわてて引き止める。 月大蛇にかけられた失敗魔法の爆発は、ルイズ自身を傷つけることこそなかったものの、服のあちらこちらを引き裂き、煤と泥、大蛇の緑色の血で彼女を汚してしまっている。 とてもではないが、学院長のオスマン――伝説的な魔法使いの前に出られる姿ではない。 大急ぎで寄宿舎に戻りルイズを着替えさせ、そのあいだに君は、汚れを拭取るための手拭と水を張ったたらいを用意する。 いちおうの身づくろいを終えた君たちが本塔最上階にある学院長室まで来てみると、中では四人の男女が待っている。 丸椅子に腰掛けたキュルケは、君たちのほうを見ると片手を挙げ、片目をつぶって微笑む。 おなじく丸椅子に座ったタバサは君たちを一瞥するが、すぐに手にした小さな本に視線を戻す。 壁際に置かれた大きな鏡の前に立っているコルベールは、無言で会釈する。 部屋の奥、年代ものの書き物机に向かっている老人は、君が初めて見る人物だ。 老人がゆっくりと顔をあげる。 白く長い髭と髪、黒い長衣に、机に立てかけられた長い木の杖。 まさに、絵に描いたような老賢者だ。 この老人が齢百とも三百とも噂される偉大な魔法使い、トリステイン魔法学院学院長、オスマンその人に違いない。 「ようこそ、ミス・ヴァリエール、それにその使い魔殿。たいそうな骨折りのあと、休む暇もなしに呼びつけてしまい申し訳ないのじゃが、 私の秘書と生徒たちが関わった事件について、 詳しいことを聞かせてはもらえんかね?」 やや緊張していた君とルイズは、オスマンの温和な口調にほっと力を抜く。 この老人はかなり穏やかな人物のようだ。 オスマンに促され、君はフーケを追跡するくだりから話し始める。 フーケに追いつくために君が『特殊な道具』を使ったことを聞くと、老人は目を爛と輝かせるが、なにも言わずに先を促す。 話が月大蛇と土大蛇の出現にさしかかったところで、君は考える。 君と七大蛇が因縁浅からぬ関係だということを、この老人に――ルイズを除く他の三人にも――説明してもよいものだろうか? 君は言葉をはぐらかすか(二六七へ)? それとも正直に、怪物どもと過去に闘ったことがあると話すか(二八二へ)? 二八二 フーケと君を襲った怪物どもとは過去に闘い、倒したことがあるという君の言葉を聞いて、ルイズを除いた一同全員が驚く。 タバサでさえ、本から顔をあげて君をじっと見据えるほどだ。 君は、任務と自身が魔法使いであることについては隠しながらも、七大蛇について語ることにする。 その内容はほとんど、バドゥ・バク平原に住む隠者シャドラクからの受け売りなのだが。 かつて、邪悪な大魔法使いが高地の岩屋に住む大ヒドラと闘い、死闘のすえにこれを倒した。 勝ったとはいえ、その恐るべき敵に感服した大魔法使いは、大ヒドラの七つの頭を居城に持ち帰り、黒魔術を用いて翼のある七匹の大蛇として よみがえらせた。 大魔法使いは信仰する神々のそれぞれに大蛇を一匹ずつ献じ、その見返りとして、神々は自らの力をおぞましい怪物どもに与えることで、大魔法使いに報いた。 日輪、月、土、水、火炎、風、そして時。 大魔法使い直属の伝令であり刺客でもある七大蛇は、善悪を問わずあらゆる者たちから恐れられたが、大魔法使いの敵である君の手によって、 六匹が打ち滅ぼされ、残る一匹も幽閉された。 「しかし、その全滅した怪物どもがなぜかは知らぬが生き返り、故郷より遠く離れたこのトリステインで跳梁しておったというのじゃな?」 オスマンの言葉に君はうなずく。 「一匹は倒され、一匹は逃亡、一匹はおそらく幽閉されたまま。残りの四匹もトリステインに来ていると考えたほうがよさそうですな、オールド・オスマン」 コルベールがやや青ざめた顔をして呟く。 「知恵が回り未知の魔法を使う、危険な韻獣が五匹も野放しとはのう。ミスタ・コルベール、王宮に報告に行き、警戒を強めるように要請してはくれんか。 そうでなくとも最近は、猛獣や幻獣、亜人の出没が急増しておる。平和ぼけの王宮の連中、目を覚ましておればよいのじゃが」 コルベールは、オスマンの机の上に置かれた≪エルフの魔法書≫と君の顔を順番に見つめ、名残惜しそうにしていたが 「はい! かしこまりました!」と言うと部屋を出ていく。 その後オスマンは、君とルイズ、キュルケとタバサの四人が、経過はどうあれフーケを捕縛し≪エルフの魔法書≫を奪還したことを褒め称え、三人の少女には 近々 ≪シュヴァリエ≫の爵位が与えられるであろうことを伝える。 「もっとも、ミス・タバサはすでに≪シュヴァリエ≫の称号を保持しているそうじゃから、今回は≪精霊勲章≫を……」 ルイズとキュルケは驚いてタバサを見るが、当の本人は無言でぼうっと立ったままだ。 どうやら≪シュヴァリエ≫というのは、家柄とは関係なしに純粋な功績で得られる称号らしい。 この若さでその称号を得ているとは、この寡黙な少女は、過去にいったいどのような働きを見せたのだろうか? 降って沸いたような名誉に小躍りしそうになるルイズだが、ふと、君のほうを見て 「オールド・オスマン、彼にはなにも出ないのですか?」と問う。 「すまんが、彼は平民じゃからな。爵位は与えられん」 老人は残念そうに答える。 「さて、今宵はこれまでじゃ。早く休んで傷と疲れを癒せ。≪ユルの曜日≫の≪フリッグの舞踏会≫では、君たちが主役となるじゃろうからな!」 オスマンの言葉に、ルイズたち三人は深々と礼をして退室しようとするが、君が居残っていることに気づいて足を止める。 君は≪エルフの魔法書≫のことで少し学院長と話をしたいと言い、ルイズに先に部屋に戻るよう言う。 しばらく躊躇していたルイズだが、小さく頷き部屋を出ると、扉を閉める。七一へ。 七一 君とオスマンは学院長室にふたりきりになる。 「さて、この≪エルフの魔法書≫について話をしたいというのは、私も一緒じゃ。ミスタ・コルベールから、君がこの本を読めるらしいということは聞いておる。 よければ、読んで聞かせてはもらえんかね?」と老人は言う。 君は、確かにその本の文章は自分の故郷の文字で記されているが、内容を教えるわけにはいかぬと言う。 「なぜかね? それほどに重要な知識が書き込まれているのか? 頼む、少しだけでも……」 君の言葉は、老人の探求心にかえって火をつけてしまったようだ。 オスマンは信頼に値しそうな人物だが、まだ出会ってから一時間あまりしかたっていない。 この老魔法使いを信用して、君が異世界の魔法使いであることと、魔法書の扱いに関する掟を話してしまってもよいものだろうか? 君は、ルイズにしたように真実を打ち明けてもよいし(一〇九へ)、とにかく本の内容は教えられないと言い張ってもよい(一四〇へ)。 一〇九 君はオスマンに、自分は異世界の魔法使いだと告げ、ルイズにしたのと同じように、祖国の危機を救うための任務について語り、その目の前でいくつかの簡単な術を使って見せる(体力点の減点はしなくてよい)。 「ミス・ヴァリエールが召喚した相手が、まさかメイジじゃったとは……」 オスマンは驚きを隠せない。 「では、あの七大蛇とかいう韻獣も、≪エルフの魔法書≫を持っていたエルフめいた亜人も、何者かが召喚したということかね?」 君は少し考えて、それはありえぬだろうと答える。 それらが君と同じように≪使い魔≫として召喚されたのなら、あのように野放しになるとは思えない。 「ふむ、二つの世界を繋ぐ≪門≫が、あちらこちらに生まれては消えておるのかもしれんな……人為的なものか、自然現象かはわからぬが」 老人が考え込む。 君は≪エルフの魔法書≫に話を戻す。 この本はたしかに魔法書ではあるがエルフとは無関係であり、その正体は、祖国アナランドの魔法書だとオスマンに言う。 広大な学院を設けて、多数の生徒に魔法を教授するこのハルケギニアとは違い、≪旧世界≫ではどの国も自国の魔法の知識は極秘にしており、その漏洩を避けるため、 魔法書の国外への持ち出しは固く禁じられている。 この魔法書は、どうしたわけか渡してはならぬ連中の手に落ち、流れ流れてバク地方あたりの黒エルフのものになったのだろう。 そして、その黒エルフは偶然にもこの世界に来てしまい、そこで命を落としたのだ。 君はオスマンに、アナランドの魔法使いの義務として、この魔法書は破棄せねばならぬと訴える。 もし彼がそれを拒むなら、力づくでもやり遂げねばばならぬ、と。 しばらく机を挟んで睨み合っていた君たちだが、やがてオスマンが 「では、燃やしてしまおう! 少々もったいないが、そもそもただで手に入れた物じゃ。新しくできた友と喧嘩をしてまで、後生大事に守るようなものではない。 ミスタ・コルベールは残念がるじゃろうが」と笑いつつ、 本を君に渡す。 君はオスマンに礼を言うと、学院長室の暖炉に魔法書を放り込み、火を点ける。 これでアナランドの魔法の秘密は守られたのだ。 一礼して部屋を出ようとした君に、オスマンが声をかける。 「表向きは魔法使いではない君に爵位は授けられんが、かわりに私からの贈り物を受け取ってはもらえんかね? 宝物庫にしまうほどの貴重品ではない、私の個人的なコレクションじゃが」 そう言うと、机の上に三つの品を並べる。 君はどれかひとつだけを受け取ることにする。 どれを選ぶ? 栓のはまったガラスの小瓶・二二二へ 銀の護符・二一五へ 古ぼけた長剣・一〇〇へ 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1407.html
前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ 一〇二 キュルケとタバサに、魔法で土大蛇を牽制するよう頼み、君自身はフーケを絞めあげる月大蛇に近づく。 君は大蛇に向かって、その女を放せと言おうとするが、ルイズに先を越される。 「ミス・ロングビルから離れなさい、醜い化け物!」と言うと、 君を追い越して前に進み出る。 無茶をするなと君が後ろから肩をつかむと、ルイズは振り返り、きっと睨む。 「わたしは貴族よ。目の前で人が殺されそうなときに、何もしないで見ているなんて、貴族の名折れよ! それに、ここであいつを退治すれば、わたしはゼロのルイズなんかじゃなくなるわ!」 ルイズはそう言うが、彼女の肩に置いた君の手には震えが伝わってくる。 大魔法使いの最強の部下である七大蛇の一匹、月大蛇のおぞましい姿を前にしては無理もない。 非力な少女はもちろん、熟練の戦士でさえ、およそかなう相手ではないのだ――その弱点を知らぬ限りは。 大蛇がシューッと音を立てて嘲笑う。 「震えておるぞ、小娘! そんなに殺されたくば、いっそ順番を繰り上げてくれようぞ!」 そしてフーケに対する絞めつけを緩めたと思うと、輝く翼を広げ、地面すれすれの高さを君たちめがけて突進してくる! 前に立つルイズが邪魔で、君の行動はわずかに遅れてしまい、長い尾による強烈な一撃を浴びせられる。 運だめしをせよ。 吉と出たら二〇四へ。 凶と出たら九二へ。 二〇四 君は素早く地面に伏せ、なんとか唸りを上げる尾の一撃をかわす。 しかし、事態は好転するどころか、最悪の状況をむかえている。 絹を裂くような悲鳴を耳にした君が顔を上げると、今度はルイズが月大蛇の巨体に絡みつかれ、 全身の自由を奪われているのだ! 怪物の弱点を知る君は、彼女を放さぬと以前と同じやりかたで殺してやるぞ、と月大蛇を脅すが、 「やってみるがいい、この小娘も死ぬぞ。アナランドの腰抜けは口先ばかりよ!」と嘲られる。 大蛇はしゅうしゅうと息を漏らしながら、じわじわとルイズを絞めつける力を強めていく。 気が遠くなるような苦痛を味わっているはずだが、ルイズはあくまで杖を手放さない。 魔法使いの証たる杖を握りつづけているのは、貴族としての誇りがなせる業か、それとも諦めを知らぬ強さのあらわれか。 だが、いかに強い意志をもっていようが、ルイズになすすべはない。 たとえ彼女に魔法が使えたところで、あの状態で攻撃用の術を使えば、自分自身を傷つけてしまうことだろう。 君はどうする? 迅速に動かねばならない。 武器をもって月大蛇に攻撃をかける・六七へ 術を使う・五五へ ルイズに脱出のための指示を出す・二一へ 二一 死の恐怖と苦痛のなか、ルイズは杖を手放さない。 魔法が使えぬ彼女が杖を持っていたところで、なんの役にも立たぬのに。 そこで君はふと、ルイズが魔法を使おうとすると、なにが起きたのかを思い出す。 君はルイズに向かって、≪錬金≫でも≪開錠≫でもなんでもいいから術を使え、と怒鳴る。 「はぁ……!? ここは……自爆覚悟で≪ファイヤーボール≫とか……」 かすれた声で反論するルイズだが、すぐに君の意図に気づく。 「自爆……!そう……か!」 短く呪文を唱えると、手首だけをどうにか動かし、杖の先で月大蛇の輝く胴体を軽く叩く。 轟音が響きわたる。 唱えた呪文がなんであれ、結果は以前の≪錬金≫の授業のときと同じく、爆発だ。 しかし、爆発したものはまったく違う。 あのときに爆発したのは石ころだったが、いま爆発したものは、輝く鱗に覆われた怪物の胴体なのだ。 その長い胴体が半ばちぎれかけた状態の月大蛇は、腐汁のような緑色の血を周囲にまき散らしながらのたうち回る。 爆発を起こしたルイズ自身は、授業のときと同じように服のあちらこちらが破れ、黒い煤に汚れ(今回は緑色の返り血も浴びている)、 ひどい有様でしゃがみこんではいるが、 めだった外傷はないようだ。 君はルイズにそいつから離れろと叫ぶと、術を使うべく精神を集中し始める。 ルイズはなんとか立ち上がり、よろめきながらも大蛇から遠ざかる。 術を選んで、呪われた怪物ににとどめを刺せ。 MAG・四三五へ POP・三四一へ HOT・四一九へ GOB・三二一へ FOG・三九四へ 四一九 体力点四を失う。 術を使うと、君の手の中に大きな火の玉が現れる。 「そ、それは!」 「≪ファイヤーボール≫!?」 月大蛇とルイズが同時に驚きの声を上げる。 君は手を大きく振り、火の玉を怪物めがけて投げつける。 大蛇はかわそうとするが、爆発によって深手を負った巨体の動きは鈍い。 火の玉は目標に直撃し、またたくまにその全身に燃え広がる。 月大蛇は燃え盛る炎に包まれ、血も凍るような苦悶の悲鳴を上げるが、それもすぐに止み、やがて動かなくなる。五一へ。 五一 大蛇が死ぬと同時に闇が晴れる。 もともと薄暗い森の中だったとはいえ、時刻は夕陽が沈む前であり空は意外なほど明るい。 直後に、地鳴りと揺れも嘘のようにおさまっていく。 きょろきょろと周囲を見回すキュルケとタバサの姿を目にするが、土大蛇のあの巨体はいつの間にか消えてしまっている。 君がキュルケたちに闘いはどうなったのかを尋ねようとすると、 「おのれ、よくも我が同胞(はらから)を!」と毒づく声が地の底から響く。 仲間が倒されるのを目の当たりにした土大蛇は、地割れのひとつに潜り込み、撤退するつもりのようだ。 「今宵は退こう。しかしアナランドびとよ、心せよ! 我らは必ずやきさまに復讐を果たし、そして、この世界のすべてを大魔法使い様に捧げるのだ! そして小娘どもよ、もはやこの世界に希望はなきものと知れ……」 その言葉を最後に、あたりは静まり返る。一〇三へ。 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
https://w.atwiki.jp/wiiware/pages/73.html
ソーサリーブレイド ソーサリーブレイドデータ ソフト紹介(メーカーより) 紹介映像 人気ソフトランキング ソフト紹介・感想 データ メーカー:ケムコ ジャンル:SF・ファンタジーRPG 配信日:2008/12/16 ポイント:1000 プレイ人数:1~2 使用ブロック数:266 対応コントローラー:Wiiリモコン,Wiiリモコン+ヌンチャク Wi-Fi対応:なし ソフト紹介(メーカーより) ソーサリーブレイドは西暦3000年の火星を舞台にしたSFファンタジーRPGです。 巨大隕石の落下により地球の文明が崩壊してしまった世界で、火星に移住した子孫(カーネリアン)は、ほぼ原始の時代からの出発であった開拓時代を乗り越え、やがて文明レベルは、地球を目指す宇宙船を作り上げようとするまでに至ります。主人公ティアは、地球に向かう宇宙船を建造する計画に参加する中、テロ組織によって婚約者を失い、その仇をうつため、戦いの中へ身を投じていきます。 戦闘で使用する武器には、固有のスキルが備わっており、戦況によって武器を持ち替えて戦うと有利になります。更に、武器のスキルを発動させるときに指定された方向へWiiリモコンを振ると、より強力な効果を得ることができます。また、主人公が武器を振るタイミングに合わせて2PのWiiリモコンを振ると、サポートキャラが追加攻撃をするなど、RPGでありながら、2人で楽しむことができます。 Wiiリモコンを使った武器作成は、プレイヤー次第でできあがり能力が変化します。 その他にも、Miiが住人として登場する「Miiの町」など、Wiiならではの楽しさを味わうことができます。 紹介映像 人気ソフトランキング 08年12月 日 月 火 水 木 金 土 09年1月 日 月 火 水 木 金 土 12 12 13 13 16 16 17 17 17 17 16 14 17 17 17 17 17 17 18 12 11 10 9 9 8 8 18 19 19 ※ ※ ※ 19 8 8 ※ 8 19 19 20 ※ ※カレンダー内の数字は順位。過去の2chスレに書き込まれたランキングに基づく。 ※表内の「※」はランクが不明な日 ※背景色が■の日は配信開始日 ソフト紹介・感想 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kotechan/pages/596.html
ソーサリーシューター (SORCERY SHOOTER):魔弾の射手 <説明> ソーサリーシューターは、魔法の矢を放つことのできる魔法戦士で、マジックナイトの亜種である。 マジックナイト同様、魔法学院の強力な守護者であるが、その能力は騎士として表に立つマジックナイトとは異なっており、 比較的、軽装備で斥候、策敵、遠距離支援など地味な役割をこなすことが多い。 しかし、その能力は戦場などで役立つ実戦的なものであり、軍ではソーサリーシューターは精鋭部隊として運用されている。 <必要条件> 【体力】11、【知恵】14、【信仰心】8、【生命力】9、【敏捷度】14 <成長修正> 【知恵】+1、【敏捷度】+2 <最大HP> 1d8+4(+1d8) <成長ランク> Hランク 2レベルになるのに必要な経験値1200点 <戦闘能力> 白兵戦HL:(Lv÷2) 白兵戦MA:(Lv) 射撃戦HL:(Lv÷2)+2 射撃戦MA:(Lv)+1 体術<C> <初期スキル> 戦闘系2p、敏捷系1p、巧手系3p、魔法系2p、制御系2p、技術系1p、盗賊系1p、冒険系1p、学術系1p、 《サポートショット(支援射撃)》1Lv、生活系《共通語/読み書き》2Lv <Lv上昇時に得られる専門スキルポイント> 戦闘系+1、敏捷系+0.5、巧手系+1.5、魔法系+1.0、制御系+1、技術系+0.5、盗賊系+0.5、冒険系+0.5、学術系+0.5 <転職時初期スキル> ・・・のちほど。 <転職後、過去の最大レベルを超えるまでにLv上昇時に得られる専門スキルポイント> ・・・のちほど。 <装備制限> 武器はほぼ制限無し。防具はヘルム、ブレストプレート、ガントレット、グリーブ、レザーマント、ラージシールドまで。 <特殊能力> (1)魔術師呪文能力<B>クラス。LC計算式は1d8+4(+1d8)、CL職業修正は+2。 (2)盗賊能力使用可。「隠密行動」+1Lv、「偵察、感知」+1Lv、「壁登り、軽業」+1Lvのボーナス。 (3)《マジックソード》(魔法剣)スキルをコスト-1で修得することができる。 この際に前提条件を満たしている必要はない。このスキルにより、自分の武器に魔力を帯びさせることができる。 (4)《マジックソード》を近接武器ではなく、ボルトやアロー等の矢に使用して射撃を行うことが可能である。 この特性は《ソーサリーシュート》(魔弾)と呼ばれ、ソーサリーシューターだけが保持する能力である。 なお、複数回射撃の場合も、矢1本だけではなく、イニング中の一連の攻撃に使用する矢弾の全てに効果が発揮される。 レベル 必要経験値 備考 1 0 攻撃回数1回 魔術師呪文1Lv 2 1200 3 2400 魔術師呪文2Lv 4 4800 5 9600 攻撃回数2回 6 19200 魔術師呪文3Lv 7 38400 8 78000 魔術師呪文4Lv 9 156000 10 280000 攻撃回数3回 11 560000 魔術師呪文5Lv 12 860000 13 1180000 魔術師呪文6Lv 14 1520000 15 1880000 攻撃回数4回 魔術師呪文7Lv 16 2240000 17 2600000 18 2960000 19 3320000 20 3680000 攻撃回数5回
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/5779.html
ソーサリーブレイド Sorcery Blade 機種:Wii 作曲・編曲者:毛塚孝 開発元:ワールドワイドソフトウェア 発売元:コトブキソリューション 発売年:2008年 概要 3000年の火星を舞台としたSFロールプレイングゲーム。 ティアは死亡したジークの仇を討つため、ハンターに所属する。 収録曲 曲名 補足 順位 オープニング プロローグ 研究所 危機1 悲しみ 町1 マップ 町2 ミニゲーム ダンジョン1 ダンジョン2 通常戦闘 戦闘勝利 ボス戦 危機2 ラストダンジョン ラスボス戦 脱出ポッド エピローグ クレジット