約 440,015 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/421.html
「あれ? なんだこれ?」 彼、かぜっぴきで有名なマルコメ味噌ことマリコルヌは、黒い布の塊を拾い上げ首をかしげた。 最近ちょっぴりお腹が出てきたかな、とメタボが気になりだして始めた早朝ランニング。 その栄えある第一日目に、それと遭遇した。 見ると、ちょうど洗濯物を持った人影が建物の影に消えるところだった。 「あの…」 声をかけようとしたが気づかれないまま影は消える。 あの後姿は確か、ルイズが呼び出した使い魔じゃなかったっけ? 記憶を紐解きながら、とりあえず黒い塊を広げることにした。 「こ、これはっっ!!」 広げられ、彼の目の前に真の姿を顕したそれは、 黒のニーソックスだった。 「はあはあはあ」 気がつけば、彼は全速力で自分の部屋に駆け込み、ドアに鍵を掛け窓も硬く閉じていた。 薄暗い密室の中、荒い息だけが聞こえる。 そして、その右手に硬く握り締められているのは、一足のニーソックス。 「まて」 頭を振る。 「まてまてまてまてまて」 さらに激しく頭を振る。 「いったい何をしているんだ、俺は!?」 これではただの変態じゃないかと、なんとか正気を取りもどす。 「そ、そうだよ、こんな物さっさとルイズに返しちゃえばいいんだ」 震える声で、ニーソックスを見る。 とたんにある映像がフラッシュバックされる。 毎度ゼロと呼んではいるが、憎からず思っている少女。 そのカモシカのような足を包んでいた物の、その片割れ。 ……嗅げ…… 「えっ」 思わず辺りを見回す。 もちろん、誰もいない。 ……嗅げ…嗅げ…… その声は、何度も何度も聞こえてくる。 まるで、彼の良心を捨てさせる悪魔のささやきのように。 甘く、甘美に。 ……嗅げ…嗅げ…嗅ぐんだっっ!!…… もう、彼は理解していた。 これは、自分の内なる声なのだ。 そう、すべては運命。 誰も運命からは逃れられない、と。 ゆっくりと、本当にゆっくりと自分の鼻と口にそれを当てると、 一気に吸い込んだ。 「ふうおおおおつつつっっっ!!!」 それは獣の叫びか魂の叫びか。 シャツを自ら破り、上半身裸になった。 太りすぎの胸が揺れ、ほほを伝うは一筋の涙。 ここハルケギニアの地に、新たなソックスハンターが誕生した瞬間だった。 ~ゼロのぽややん外伝~ソックスハンター異聞録 爆誕! ソックスレジェンド!! 完
https://w.atwiki.jp/dh_kh/
いらっしゃいまし~ぃ【ゼロの起点】へようこそ!!
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/260.html
『鏡』を抜けるとそこは……土煙に満たされていた。 「何処だ…ていうか何が起こっている?」かつての主の姿で魔界の王は呟いた。 土煙がおさまると目の前には悲哀を含んだ表情で呆然としている少女、 そしてその背後には爆発寸前といった表情の少年少女達と壮年の男が一人。 一瞬の後その場は爆笑に包まれた。 実に不快な話である。 自分という存在を必要としている『世界』からの呼びかけに応えて その世界に降り立った魔界の王に何たる仕打ちか、と。 爆笑が収まると目の前の少女が意を決して近づいてくる。 おそらくは彼女こそが我の召喚者であろうと推測できる。 故にこそ跪き「我を召喚したのは汝か。」と問う。 しかし目の前の少女はこちらの言葉を理解してないかの様に言葉を詰まらせ そして呪文らしき言葉を紡ぐ。唯一理解できたのは少女の名前と思われる 『ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』のみ。 そして少女はおもむろに近づき我に対して接吻をする。 唇に魔力の収束が見て取れたのでそれこそが儀式の要だと解っていたので 身動ぎする事無くこれを受けた。そして左手に激痛を感じ見れば何かの紋章が刻まれていた。 [牛に焼印を押すようなものか。ならば我はこの少女の所有物と言う事か]そんな事を考えていると 少女が「私の言葉が理解できる?」と聞いてきたので我は即座に「我を召喚したのは汝か」と再度問う。 「…そうよ。私の名前は」 「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、で良かったか?我が主よ。」 「!…あなたの」 「我が名はウルムナフ・ヴォルテ・ヒューガ。親しい者達からは『ウル』と呼ばれている。 我は汝の剣となり盾となり、汝の齢尽きるまで汝を守り通そう。」 少々時代錯誤な物言いとはいえ、自分的には『うむ、100点』とか考えていると、 「いーから早くこっち来なさい、恥ずかしい。それから私の事は『御主人様』と呼びなさい。」 ふと周りを見れば他の少年達は、空を飛んで何処かへと移動している。 対するに我が『御主人様』は徒歩で移動している。そこで思わず「飛ばないのか?御主!ッ」 脛を蹴られた。どうやら禁句だったようだ。その場で脛を押さえて悶絶していると 「早く来なさいッ!ウル!」と叱られた。 前途多難な幕開けであった。 next ゼロの破壊神3
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/262.html
傍らの豪奢なベッドに眠る主・ルイズを見て、 「なんという寝相だ。」そう呟いてある可能性に気付いた。 『天凱凰との戦いにおいて我自身の体から魔力があふれ出していたか!?』 となると勘の鋭い者やほぼ全ての使い魔たちにも悪影響を与えたかもしれない。 「とりあえず見なかったことにしよう、うむ」果たしてそれで済む事だろうか。 ちなみにルイズがどんな寝相をしていたかというと『クェックェッ』という台詞が似合いそうな、そんな寝相である。 「今からもう一度眠ったら二人まとめて遅刻という事態になりそうだな。」 彼は寝る前に出された洗濯物を抱えて寮付きのメイドとやらを探し始めた。 空がやっと白み始めた頃、ほとんどの『貴族』共はまだ惰眠を貪っているだろうから この時間に人の気配が多く集まっている場所に行けば話が早かろう、という事で食堂脇の調理室へ向かう。 すると別の通路から誰か近づいて来る気配がするのでとりあえず立ち止まってみると 予想通りメイドらしい衣服の少女に出会った。 「もし、一つ尋ねたいのだが。」「あら、あなたは…」 「ルイズという名の貴族に呼び出された人間だ。名前は『ウル』」 「私はシエスタです。それで尋ねたい事ってなんですか?」 「この衣類の洗濯を任せられる者を探しているのだが」 「ああ、それでしたら私がやっておきます。」 「面倒をかける様で済まない。」 「いえ、これも仕事のうちですから。」 顔を良く見ると、やはり疲労の色が微かに見える。頭を抱えたくなった。 「あの…どうかされましたか?」 「い、いや何でも無い。失礼する。」 そして朝。 ルイズを起こそうとするも「やだー、もうちょっと」とか「今日は休むー」とかごねるので 殺意を含む視線で強制的に起こし適当に選んだ衣服を渡して 「さぁさぁ、早く着替えて髪を整えて朝食を済ませて授業に出るッ!」と急かした。 髪を整え終わった段階で、何かを企んでいたらしくルイズが頭を抱えていたのだが無視。 食堂で「あんたの食事はこれよ」と床に置かれたりしたが、視線を上に向けなくてもいいので 素直に状況を受け入れる。 教室へ行くまでの間に「教室には使い魔専用の場所があるからそこに行きなさい」と言われて いざ教室へ入ると原因が解っているだけに逃げるわけにもいかず。 とりあえず使い魔専用の場所とやらに腰を落ち着ける。 next ゼロの破壊神5
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3676.html
前ページ次ページゼロの魔獣 「―それは違います 今回の事件の責任は ミセス・シュヴールズひとりに押し付けて済むものではないのです。」 宝物庫。 その巨大な風穴の開いた一室では、真理阿の独演会が行われていた。 話は三十分ほど前に遡る。 城下町からの帰り、偶然にも『破壊の杖』盗難事件の目撃者となった四人は 一夜明けた後、現場検証のために宝物庫へと呼び出された。 ところが、議論が責任問題へとすり替わり、当直のシュヴールズが槍玉に挙げられる事態に至ったため 真理阿は彼女の弁護を始めたのである。 「みなさんの中に 一度たりとも当直に手を抜いたことがないと 自信を持って言える人はいますか? 賊が進入する可能性を想定し 警鐘を鳴らしていた人はいましたか? ―事件は起こるべくして起こりました・・・ 今この時になって ミセス・シュヴールズひとりを責める それは 人として恥ずべきことです・・・」 それは、まさに名演説と呼ぶにふさわしいものだった。 難物と評判の教師・ギトーまでもが、真理阿の言葉にうなだれ、己の未熟さに深く瞑目している。 渦中のシュヴールズは、まるで聖女を崇めるかのような瞳で真理阿を仰ぎ見る。 コルベールはその日の日記に「あれを聞いて泣かぬ者は人に非ず」と、記した。 ルイズは泣かなかった。 この演説に感動できるのは、真実を知らぬ者だけである。 目の前の頼れる使い魔は、口先では人間愛を説きながら、その実、責任の所在をうやむやにしようとしていた。 「・・・とにかく 恐るべきは怪盗フーケです! 宝物庫の外壁が物理攻撃に弱い事を調べ上げ、 事前に爆薬を仕掛けるなんて・・・」 ―訂正しよう。 真理阿は責任の所在をうやむやにはせず、全てフーケに押し付けた。 主を守るためなら、悪魔に魂すら売りかねない女であった。 「マリア殿 よくぞ申して下された たしかに今回の事件の責任は わしらひとりひとりにある」 オールド・オスマンの真理阿に接する態度は、まるで古い王族を迎え入れるかのようであった。 真理阿の演説の元、皆の心が一丸となり、卑劣な盗賊・フーケの打倒に燃えていた。 「・・・あのぉ」 ロングビルは、その場のテンションの高さに取り残されていた。 「おお! ミス・ロングビル 今までどちらに」 「はい 周辺に聞き込みを行っていましたところ フーケのアジトについて 有力な情報を掴む事が出来ました」 「なんと! フーケのアジトを!! ならば 早速じゃが捜索隊を編成して・・・」 「私に!! 私に!! 私にやらせて下さい!!」 オスマンの言葉を待たず、ルイズが叫ぶ。 責任を問われなかった事がかえって罪の意識を重くし、志願せずにはいられなかった。 真理阿もこの事態は避けられないと考えていたのであろう、 ルイズの方を向いて、無言で頷いた。 ついでキュルケが、そしてタバサが名乗りを挙げる。 「まっ ヴァリエールはともかく 真理阿の顔に傷でもついたら大変だからね」 軽口を叩くキュルケだが、その瞳は、どこか熱っぽく潤んでいた。 「心配」 タバサの面構えは、仕えるべき主を見出した、もののふのそれであった。 「しかし 良いのですか学長? ミス・ロングビルに先導させるとはいえ、まだ未熟な生徒たちに・・・」 コルベールの不安そうな問いかけに、オスマンが答える。 「大丈夫! それでもマリアなら マリアなら きっと何とかしてくれる・・・!」 「おお!! そうか!」 「確かに・・・ 確かにマリア殿なら・・・!」 「ああ! マリア 我らの女神!!」 「マリア様 バンザーイ!」 こうして、根拠のない賞賛が惜しみなく送られる中、一向は旅立つ事となった・・・。 前ページ次ページゼロの魔獣
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5917.html
前ページ/ゼロの使い/次ページ 一瞬で自室に到着した彼女はまさに開いた口が塞がらなかった。 「さて、ここなら落ち着いて話も出来よう。まずはここがどういう世界で、お前が何者かを聞かせてくれ。」 唐突に出た使い魔の言葉を聞き、ようやく彼女は我に返った。 普段なら「使い魔の分際で~」となる所だが、せっかく呼び出した虎の子の超強力メイジ。 せいぜい機嫌を損ねまいと、彼女は「通常より」丁寧に返事した。 「この世界はハルケギニア。そしてここはトリステイン国の魔法学院よ。」 「ほう・・・やはりここは異世界であったか・・・」 「私はルイズ・h・・・」 「なるほど、ルイズか。」 「ちょっと!最後まで聞きなさいよ!!」 「長くなりそうなのでな。で、何の用で私を呼び出した。」 「むぅ・・・使い魔とするためよ。主人と感覚を共有したり、秘薬の材料を探したり、主人を守ったりするの存在よ。」 「そうか。で、契約の期間は?」 「使い間か主が死ぬ時まで。」 「つまり永久にお前の手足となるわけだな。」 「そういう事になるわね。他に質問は?」 「いや、今はそれ以外に聞きたい事は無い。」 「じゃあ、今度は私が質問する番ね。まずは・・・」 「私の名はメディルの使い。長ければメディルで結構。肉弾戦はともかく、知能や魔術ならばその辺の者には劣らぬ。」 「そ・・・そう・・・それはそうと、あんたさっき異世界って・・・」 「そうだ。信じられぬだろうが、私は異世界から来た。」 メディルが先ほどから妙に大人しいのには理由があった。 一つは彼らの間で取り決められている掟だった。 それは「魔法により召還された場合、いかなる場合であっても召還者の命令は絶対である」というものだった。 たとえば「どうくつまじん」という同胞が彼の者より明らかに格下の存在に従っていたのはこの掟のためである。 これが只の掟ならば、従う必要は無かったのだが、彼が崇拝してやまないかつての主君の作った物であれば話は別だ。 もう一つは今すべきことがないからだ。 本来なら、生き残った以上すぐにでも彼の主君を蘇らせたい所だが、その方法は1つしかなく、この世界はおろか、あちらの世界でも不可能な方法だった。 忠誠を忘れたわけではないが、いつまでも死人(?)に義理立てしてても仕方がない。 彼は忠義には篤かったが、不可能なことはあっさりと切り捨てるタイプだった。 「何か証拠があるの?」 「これでどうだ?」 メディルが杖を振るうと、床に魔法陣が現れ、そこに青いゼリー状の生物が出現した。 「私の世界のスライムという生き物だ。この世界にはいないであろう?」 「ええ・・・こんなの初めて。」 もう一度メディルが杖を振るうと、スライムとか言う生き物は霧のように消えていった。 「あ・・・」 「心配するな。元の場所へ戻しただけだ。」 「そう。あ・・・そうそう。」 「何だ?」 「これ・・・洗濯しといてくれる?」そう言ってルイズは自分が今しがた身に着けていた物をメディルに投げてよこした。 「・・・よかろう。」 「そう。じゃ、お休み。」 そう言い残して、メディルの新しい主は驚くべき速さで眠りについた。 メディルは大渦を起こす呪文・メイルストロムを最小限の規模で発動させ、そこへ衣類を放り込んだ。 かつては魔王配下最強の呪文の使い手として名を馳せた自分が、今では人間の小娘ごときの使い魔として洗濯までやらされるとは・・・ つくづく皮肉なものだな・・・彼は心の中でそう愚痴った。 次回へ続く 前ページ/ゼロの使い/次ページ
https://w.atwiki.jp/fullgenre/pages/145.html
ゼロの使い魔からの支給品 デルフリンガー 北岡秀一に支給 平賀才人の相棒である150cmほどの長剣。 主な能力に魔法の吸収、触れた者の力量を測るなどがある。 本来は錆びを自由に落とせるのだが、ロワに参戦した時期にはまだ思い出していない。 ルイズの杖 水銀燈に支給 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの使う杖。 破壊の杖 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールに支給 正式名称M72 LAW。 アメリカ製の携帯式対戦車ロケットランチャー。 黄金の剣 シャナに支給 150cmほどの大剣。 鉄をも一刀両断するという触れ込みだが、実はかなり脆い。 エロ凡パンチ・75年4月号 山田奈緒子に支給 どうみてもただのエロ本です。本当にありがとうございました。 実はアニメ版にしか出てないのだが、気にするほどのことではない。 惚れ薬 高良みゆきに支給 水のメイジであるモンモランシーが調合した薬。 飲んでから最初に見た異性に熱烈な好意を抱くようになる。 解除には水の精霊の秘薬が必要で、効果が続いている間の記憶は残る。 秘薬に順ずるものでも解除出来るかもしれない。 タバサの杖 カズマに支給 タバサが使用する木製の杖。 かなり大きいので鈍器としても使用可能。 眠りの鐘 銭形警部に支給 この鐘を鳴らすことで、周辺にいる人間を浅い眠りの誘う。 ただし一度使ったら、二時間は使うことができない。
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/476.html
autolink() ZM/W03-T01 ZM/W03-012 カード名:“ゼロの使い魔”サイト カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:2500 ソウル:1 特徴:《使い魔》?・《武器》? 【自】あなたが「集中」を使った時、その効果でクライマックスが控え室に置かれたなら、そのターン中、このカードのパワーを+3000。 TD:こちとら、ゼロのルイズの使い魔だっての! C:くそっ、無駄にヒラヒラしてて洗いにくいったら… レアリティ:TD C illust.ヤマグチノボル・メディアファクトリー/ゼロの使い魔製作委員会 一度の集中で5500+集中補正までパワーが上昇するので、レベル1以上と相打ちが狙えるようなら使うのも手。 ティファニア・ウエストウッドやゼロのルイズなどのパワーを上げるものと組めば、レベル3を打ち取ることも不可能ではない。 とはいえ、無理に集中を使用して終盤にストックが足りなくなる事態は避けたいところ。 D.Cのカードに多いデッキトップ確認・デッキトップコントロールと併せて集中を使用するデッキや、 ディスガイア以降増えてきたレスト不要の集中持ちと併せて使用すれば、バニラよりも活躍できる機会は多くなるだろう。 ・関連ページ 「サイト」?
https://w.atwiki.jp/dai_zero/pages/166.html
前ページ次ページゼロの剣士 #1 自分の部屋、自分のベッドを目の前にして、少女は肩を震わせていた。 薄桃色の長い髪は肩の動きと共に波打ち、 怒りとも悲しみともつかぬ感情の揺れが、涙となって瞳に溜まる。 少女の名はルイズ・フランソワ―ズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 『ゼロ』といういささか不名誉な二つ名を持つメイジだったが、彼女は今日、ある魔法を成功させた。 サモン・サーヴァント――使い魔召喚の儀である。 そのおかげで昨夜、少々不安に思いながらも用意した使い魔用の寝床も無駄にせずに済むはずだった。 今頃は大好きな姉に向けて、どんな使い魔を召喚したか、喜々として手紙を書いているはずだった。 しかし――藁で作ったその寝床には今、彼女の夢想した美しくも強力な使い魔など存在せず、 代わりにボロボロに傷ついた1人の男が彼女自身のベッドで横たわっていた。 「一体、この状況はなんなのよ……?」 ルイズは本日何十回目かの自問を再び繰り返し、また頭を抱える。 彼女がサモン・サーヴァントで呼び出したのは1人の男。 それもボロボロに傷ついて瀕死になった、ただの平民だった。 召喚される使い魔は主の力量を示唆すると言われるが、これは彼女にとってあまりに残酷な現実。 コルベールは、この男は身なりから見て傭兵かもしれないなどと言っていたが、それがなんだというのか? 傭兵と言えど、平民がメイジに勝つなどありえない。 実際キュルケなど、「このヤケドは火のメイジにやられたのかもね~」などとやけに誇らしげにのたまって……。 「どうして? どうして私だけ……」 泣き言を言っても、どこからも返事は帰ってこなかった。 治療をしたとはいえ、この男はまだ立派な重傷人。 しばらくは寝たきりのままだろう。 明日、新しい使い魔で溢れる教室に1人で入っていくのかと思うと ルイズはひどくみじめな気持になって、溜まっていた涙が遂にぽろりと落ちた。 最初の涙がこぼれると、あとはもうと止めようもない。 少女はただ声を押し殺し、まるで吐くような格好で泣きじゃくった。 結局その日、ルイズは新しい使い魔と一言も声を交わすことなく、最悪の気分のまま眠りを迎えた。 #2 ――翌朝 「ここは、どこだ……?」 目を覚ますと、そこは見知らぬ部屋だった。 魔剣戦士ヒュンケル、ハルケギニアに来て初の覚醒である。 痛みを堪えて身を起こし、辺りを見回すと、明け方の微かな光の中で、淡いピンクの色が目を引いた。 目をこらすと、床に誰かが横たわっているのだと分かる。 「マァム? ……いや、人違いか」 床に敷かれた藁の上で、見知らぬ少女が寝息を立てていた。 状況から見て、どうやらこの少女が看病をしてくれたらしい。 少女は回復呪文の使い手なのか、致命的だったはずの傷も、かなりの部分が治っていた。 いや、実際には未だ常人には耐えがたい大怪我なのだが、この男にとっては「まあ動けるかな」程度には回復していた。 おそらくヒュンケルが眠っていたベッドも、本来は少女のものに違いない。 「感謝しなくてはならないのだろうな」 目を伏せてつぶやくと、ヒュンケルは少女をそっと抱えあげ、ベッドの上に運んだ。 少女は少し身じろぎしたが、すぐにまた寝息を立て始める。 起こして事情を聞くことも考えたが、ヒュンケルは魔王軍の軍団長をしていた男である。 普通の少女が関わりを持ってためになるような人間では決してないという自覚が彼にはあった。 もしかするとヒュンケルは、少女の親や、友人の仇でさえあるかもしれないのだ。 すぐに立ち去った方が無難だろう。 ヒュンケルは壁に立てかけてあった魔剣を見つけると、それを手に取り、部屋から出て行こうとした。 しかし―― 「ここは、パプニカではない……?」 窓からふと見えた光景が、ヒュンケルをたじろがせた。 最初は民家だと思っていたこの部屋だったが、実際は草原にそびえる小城の一室。 ヒュンケルがダイと死闘を繰り広げた場所はパプニカの地底魔城だったが、 パプニカの主たる拠点はヒュンケル自身がのきなみ潰してしまっていた。 こんなに目立つ城を魔王軍の諜報部隊が見逃しているはずもないし、なによりも―― 「月が、二つ……!?」 霞みはじめた空に浮かぶは双月。 やはり自分は死んでいて、黄泉の国にいるのかと疑うほど現実味のない光景だった。 「やはり、この子を起こした方がいいか……。 ……む、あれは?」 ヒュンケルの目が窓の下、薄暗がりの中を動く影を捉える。 服装から見て、どうやらこの城のメイドのようだ。 ヒュンケルはもう一度かたわらで眠る少女を見据えると、静かに部屋から出て行った。 前ページ次ページゼロの剣士
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1484.html
前ページ次ページゼロの答え 「何ですって――――っ!!」 その日のルイズの目覚めは最悪だった。 昨日召喚した使い魔、デュフォーが夢の中に出てきて『お前頭が悪いな』と連呼してきたのだ。 ムカついてぶん殴ろうとしてもひょいひょいと避けられて『お前頭が悪いな』といい続けられ、とうとう怒りが限界に達したところでルイズは目が覚めた。 (夢だったけど、現実のあいつをぶん殴らないと気が収まらないわ。うん、昨日の分の借りもあるし、これは正当な報復よ) 幸いなことにデュフォーはまだ寝ていた。 ご主人様より後に起きるなんて使い魔のくせに生意気だ、とルイズは思った。気持ちよさそうに寝ているのが更に腹立たしい。 ルイズはゆっくりと床で寝てるデュフォーに近くと、体重を乗せて踏みつけた。 起きた気配がしたことに気づかないフリしてそのままうりうりと踏みつける。昨日の分の怒りも込めて、思いっきり。 調子に乗ってしばらくそのままでいると足を掴まれる。バランスを崩してルイズは尻餅をついた。打った尻が痛いのかルイズの目に涙が浮かんだ。 「ちょっとなにするのよ!」 「重い。邪魔だ」 「だ、誰が重いのよ!言っておくけどわたしは」 そこまで言ったところで、ルイズはあることに気がついた。乙女の直感といってもいい。 ―――ここで話を切らないとこいつはわたしの体重を言う。 「わ、わたしはー、な、何でもないわ。そんなことより起きたんなら早く着替えさせなさい」 ルイズ自身、我ながら苦しいなーと思ったが、デュフォーはそれ以上この件に追求してくる様子はなかった。 (よし、上手くごまかせた) デュフォーによる着替えはやたらと上手く、ルイズが自分で着替えるよりも遥かにスムーズだった。 だがそこでルイズは下着をしまってある場所を教えていないのに、迷いもせず下着をしまっている引き出しを開けて下着を出していたことに気がついた。 そのことについてルイズが追求すると「お前頭が悪いな。下着をどこにしまっているかの『答え』もわかるからアンサー・トーカーだ」との返事がきた。デュフォーに対して殺意が沸きあがる。 とりあえず今日は朝食抜きにしてやるとルイズは決意した。 朝食抜きとルイズに告げられたため、デュフォーは下着の洗濯を先に終わらせることにした。 部屋から出たときはルイズと一緒だったが、赤い髪の女に挨拶をされてルイズは足を止めたので、そのまま無視して水汲み場へと向かった。待つ理由もない。 横を通り過ぎる際、赤い女の使い魔であるサラマンダーを見る。だが火を吐く大蜥蜴という感じで元居た世界で見た魔物の子に比べれば大したことはなかった。 洗濯物を持って下の水汲み場までいき、洗濯を済ませるとルイズが食事を終えるまで時間が空く。 暇なので同じようにそこらにいる使い魔たちを見ていた。 (珍しいのは風韻竜くらいか……) 他の使い魔にも元居た世界では架空の生物に属するものも多く居たが、この世界では特に珍しいといえるものではなかった。 それに加え、元居た世界でも100人の魔物の子の戦いにパートナーとして参加していたこともあるデュフォーにとっては、架空の生物というだけでは特に驚くようなことではない。 暇つぶしになるような相手も他に居ないので、風韻竜(シルフィードと名付けられているようだ)にでも話かけてみるかとデュフォーが考えたとき、後ろから声がかかった。 「どうなさいました?」 振り返ると怪訝な表情でメイドの格好をした少女がデュフォーを見つめていた。 不審者だと思われたのかもしれない。学院の中に格好からして明らかに学院の関係者でもない人間が居れば不審に見えるだろう。 「朝食を抜かれて暇だから使い魔を見物していた」 「え?」 予想外の言葉が返ってきたためか少女は戸惑いの言葉をあげる。 「えーと、そのあなたは「デュフォー!」」 少女の質問はルイズの怒鳴り声によって途中でかき消された。 少女が怒声の方向を見ると、ルイズが全身から怒っていますという気配を発散しながら大股でデュフォーへと近づいていくところだった。 「あ、あんたね、使い魔がご主人様を無視して先に行くってどういうこと!あんまり自然に歩いていくから居ないのに気がつかなくて恥かいたじゃない!」 「何故俺も立ち止まる必要がある?目的地が違うんだ、俺が先に行こうが関係ないだろう」 「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!こ、この馬鹿使い魔!ごごご、ご主人様に向かってその態度はなによ!謝りなさい!今すぐ!擦り切れるまで頭を地面に擦り付けて!」 「ああああ、あの、ミス・ヴァリエール落ち着いて、どうか落ち着いてください!」 完全にキレて怒り狂うルイズ。突然修羅場に巻き込まれてどうすればいいのかわからず必死でルイズを宥めようとうろたえているメイド服の少女。そしてただ一人平然としているデュフォー。 その場を見たあるものは後日こう言った。 「いやぁ、あれは凄かったよ。温度差が高―中―低と傍から見てもはっきりしててさ」 結局、そろそろ教室に行かないと遅刻するぞ、との外野からの声で一先ずその場は収まることとなった。 ルイズが教室に入ると先に教室に入っていた生徒たちが一斉に振り向き―――そして静まり返った。 誰が見てもわかる。もう噴火寸前を通り越して噴火していると。 少し前まではルイズのことで雑談していただろう生徒も、今のルイズを見てちょっかいをかけるような度胸はなかった。 ルイズは無言で席への一つに座った。口を開けば爆発してしまうのか『使い魔は床に座れ』と顎で指す。ついでに殺気をこめて睨みつけた。 デュフォーは何も言わず、それに従い床に座った。 ルイズから放たれる一触即発の雰囲気に教室は支配されていた。 (ねぇ、なんなの、この空気?) (恐らくあの使い魔と何かあった) 小声でひそひそと話をしていた人間もいたが、ルイズにギラリと睨まれて話を止めた。 教室に居る人間が一部を除いて重い空気に押しつぶされそうになったとき、扉が開いて先生が入ってきた。 のちにその場にいた生徒は語る。『こんなに授業が始まるのが待ち遠しかったのは初めてだった』と。 授業が始まったもののルイズから放たれる殺気は一向に静まることはなかった。 先生―――ミセス・シュヴルーズが一度いらないことを言って逆鱗に触れかけたが、先生に怒りをぶつけるのは拙いと理解できるだけの理性は残っていたらしい。 そして何事もなく講義は進み、事件は起こった。シュヴルーズがルイズから放たれている殺気をやる気だと勘違いしてしまったのだ。 そのためルイズに『錬金』を実演するよう指名してしまった。 ルイズもルイズで成功して生意気な使い魔を見返してやるとばかりに周りの静止などまったく聞かず、いつも以上に気合を入れて呪文を唱え、杖を振り下ろした。 結果は爆発。気合を入れていた分だけ凄い爆発だった。爆心地の机と石は一瞬で消し飛んでいる。 爆風をもろに受け、シュヴルーズとルイズが吹き飛ぶ。二人とも黒板に叩きつけられ、倒れたまま起き上がる気配はない。時々痙攣はしているから死んではいないのだろう。 爆発で驚いた使い魔たちが暴れだし、教室は阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。 軽く溜息をつくと、デュフォーは煤だらけで気絶しているルイズのところへと歩いていった。流石に暴走した使い魔に踏み潰させるわけにはいかないと思ったからだ。 呪文を唱え。杖を振る。―――爆発。 また呪文を唱え。杖を振る。―――爆発。 何度でも呪文を唱える。何度でも杖を振る。その度に起こるのは望んだ魔法ではなく―――爆発。 爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発 爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発 爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発 爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発 爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発 何千、何万回繰り返しただろう。それでもたった一度。使い魔の召喚の儀式のときを除いて爆発しか起こらなかった。 ゼロのルイズと呼ぶ級友たちの声が聞こえる。 魔法成功率ゼロ、使える魔法ゼロ。だからゼロのルイズだと。 認めたくなくて必死で叫んだ。 ―――違う、違う、違う!わたしはゼロなんかじゃない! 声はそれに反論する。 ―――じゃあ何か魔法が使えるのかよ。 何も言えなくなった。努力はしている。自画自賛でなくそう思う。魔法を使えるようになるため必死で勉強した。 だけど未だに何も使えない。 悔しくて、悲しくて、涙が溢れて。 ……そこで目が覚めた。 寝ながら泣いていたらしい。目をこすりながら起き上がる。あんな夢を見たのは使い魔を見返してやろうと思ったのに失敗したからかもしれない。 「やっと起きたか」 デュフォーの声が聞こえた。声のした方向を見ると寝ていたところのすぐ近くにデュフォーが居た。 泣いているのを見られた!?と思い身構えたが、思いなおす。別に泣いているのを見られてもこいつが何か反応するはずないと。 そこでもう昼休み間近であることに気がついた。朝の一件から結構時間が経っている。 「ひょっとしてわたしが起きるまで傍にいたの?」 正直かなり意外だったのでそう聞いてみる。昨日からの一日足らずの付き合いだが、気絶している人間の傍についているなんて思いやりがあるなんて思わなかった。 「いやついさっきこの教室の片づけが終わっただけだ」 「……予想通りの返事をありがとう。そうよね、あんたに思いやりを期待したわたしが馬鹿だったわ」 前ページ次ページゼロの答え