約 440,010 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/259.html
その瞬間『彼』の体は石の槍に貫かれ、『彼』の魂は聖女の導きにより『彼』の魂が真に望むべき場所へと旅立った。 しかし………… 『彼』の精神に居を構える二十体の幻獣・魔獣の類はこのまま消滅するを良しとしなかった。 特に、その神性ばかりが取り沙汰されて、その本質を軽んじられている智慧と力に優れている 魔界の王は『彼』の体を速やかに掌握し、まず石槍から『彼』の体躯を引き抜く事に取り掛かった。 引き抜く事に成功した後は魔界の僧侶に傷を癒してもらい そして『彼』の体から消えつつある精神空間・グレイヴヤードの再構築を開始、 それと同時に今まさに消えんとするこの世界からの脱出方法を考え…… この時になって初めて魔界の王は自分の中に芽生えた感情に当惑するのであった。 その感情とは『迷い』である。 このまま魔界へ帰るのは簡単である。だが『彼』と過ごした時間に味わった緊張の連続、 それは魔界の王である彼にとっては久しく味わう事の無かった感覚である。 だが『彼』の生まれた世界に帰ろうとも魔界の王が望む状況を与えてくれる存在は いないであろう事も容易に想像できる。故にこそ『迷っている』のだ。 誰に感謝されるでもなく『正義の味方』の名の元に後顧の憂い無く殺戮の限りを尽くせる 機会を望んでいる自分がそこにあった。 そして魔界の王は一人溜息をつく。「『魔界の王』が『正義の味方』か…」と。 無論、第三の選択肢である『異世界への道を探る』という手も有ったが 果たしてそこに『敵』となりうるものはいるのか。それこそが『魔界の王』を悩ませている元凶でもあった。 だからこそ自分の前に突如として現れた、鏡の姿をした『異世界への門』を見た『魔界の王』は狂喜した。 自分という存在を必要としている『世界』からの呼びかけに狂喜した。 だからこそ一も二も無く『門』に手をかけたのは無理からぬ事だったともいえる。 『門』の先に有る『世界』が彼に何を与えるかはこれから明かされる話である。 next ゼロの破壊神2
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3435.html
ゼロの魔人――1話 少女は、爆風に乱れ、焦げてしまった、 桃色の艶やかなブロンドを気に留めるでもなく。 振り下ろした杖が消し炭と化し、 爆裂四散した事に気を病むでもなく。 爆発の衝撃で煤に塗れ、割れてしまった綺麗な爪の痛み、 ボロボロの衣服に気が立つでもなく。 まして、幾人かの親しくも無い学友が、 先の爆発に巻き込まれ昏倒している事に気が差すでもなく。 唯、目前に広がる結果に嬉嬉と、不安をない交ぜした様な、 何とも形容しがたい感情に囚われ、戦慄いていた。 今日は、トリステイン魔法学院に於ける春の使い魔召喚の儀式その日であり、 今後の魔法使いとしての属性を固定。専門課程への移行。 更には、二年への進級試験も兼ねる重要な役割を担うものである。 例年通り執り行われたそれは、稀に見る優秀な成果を呈し。 一抹の心配事を内包するも、つつがなく儀式は進行していった。 そして、此度の担当教員、額の後退も著しい中年の男コルベールは、 召喚儀式最後となる生徒の名を呼び上げる。 「ではミス・ヴァリエール、前へ」 「はいッ!」 呼ばれて少女は、桃色のブロンドを揺らし、その鳶色の瞳を決意の炎に燃やして、 意気揚々と広場の中央に踊り出た。 そして、同時に蔑みと嘲笑が巻き起こる。 しかし少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは、 外野の物言いを燃料に殊更燃え上がり、朗々と召喚の呪文を詠唱した。 “ゼロのルイズ” つまりは、魔法成功率ゼロの蔑称。 コルベールは喧騒を諌めながら、それを見守っている。 (見てなさいッ! アンタ達なんかとは次元の違うッ! 神聖でッ! 気高くッ! 美しいッ! ハルケギニア史上最強にしてッ! 至高の使い魔を喚んでやるんだからッ!) 唱え上げる呪文に、あらんかぎりの願望と欲望を練り込め、 掛け声と共に力の限り杖を振り下ろす。 ――ルイズは正気を取り戻した。 失敗かと思われた禍禍しく、青黒い放電を纏った大爆発は漸く静まり、 突き出していた、脈打ち疼く指先を意識せず庇いながら、面前に佇むそれを値踏みする。 (成功……した? なにこいつ? 平民? あの身体中の斑紋様はなに? なんで上半身裸なわけ? 何処の辺境から来た部族よ? えっ? 首の後ろ……ツノ? えっ? オーク? 亞人なの? こんな幻獣や魔獣、見た事も聞いた事も……あぁーもぉーッ!!) 「アンタなんなのッ?!」 言葉尻もぶっきらぼうに、沸き立つ怒りを、己が目睫の先に立ち尽くすそれへぶつけた。 一見すれば青年の様であるそれは、その肢体を覆い尽くす呪咀的なラインの刺青。 首の後ろから飛び出る黒く不気味な、鋭い突起物。 そして全体から滲み出る妖婉な雰囲気が、正体の判別を更に難航させる。 ルイズは、何も応えないそれにやきもきしながら、次いで言葉を投げつけようとして阻まれた。 「僕の名は人修羅……魔人、人修羅」 「ッア……なんだ、ちゃんと喋れるんじゃない。“ヒトシュラ?”って、変な名前。 アンタ魔人なの? 通りで見た事も聞いた事も無いはずだ……わ?」 油断していたのだろう。 地を丸出しに、自然と受け答えながらルイズ。 月まで吹き飛びそうな意識の手綱を引き絞り、 今し方聞いた言葉の意味を、自慢の頭脳総動員で以て咀嚼する。 (良かったぁ、平民じゃ無いのね。 ヒトシュラって、なんかダサいけど、この際まぁ良いわ。平民じゃ無いんだし。 ところで平民じゃ無かったらなんなの? ……そう魔人よ。コイツが自分で、そう云ったじゃないッ! じゃあ魔人ってなに? そのくらい知ってるわ。神話や伝承に登場する神にも近しき存在よッ! じゃあ、この目の前に居るコイツはなに? そんなの決まってるわッ! 私が呼び出した神にも近しき使い魔よッ! 嘘……でしょ?……) 「ミスタ・コルベ――」 ルイズは、己の許容量を容易く崩壊させる事態に助力を求めるべく、 教員の名を呼びかけて、周囲の異変に気付いた。 突如として現れた伝説的存在に、羨望と疑惑入り乱れる喧騒の最中、 魔人を中心として、一触即発の空気が立ちこめているのだ。 実力上位の生徒は然る事ながら、コルベールに至っては、日頃の温厚な表情を忘れる程に、 険しい表情で顔をしかめ、今にも飛び掛からんばかりである。 ルイズは唐突に理解した。 己の喚びだした魔人を御せなかった後、訪れるであろう惨劇を。 魔人と云う強大で未知な存在に、気後れてる場合では無い事を。 (チョチョチョ……チョット皆、私の使い魔をどうする気よッ! だッ……大丈夫よルイズ。自分で喚びだしたんじゃないッ! きっと上手くいく。神にも近しき存在がなによッ! カカカ軽く、傅かせてみせるんだからッ!) 「ちょっとアンタッ!」 一際大きな声を上げ、魔人との距離を一気に詰め寄ると、 視界の隅で狼狽する、頭髪寒々しい教員の事は歯牙にもかけず、言葉を続ける。 「アンタは私が喚びだした使い魔なんだからッ! 早く私の前に跪きなさいッ!」 一部の生徒とコルベールは凍り付いていた。 触れてはならぬ逆鱗に、剰えド級の破壊魔法を打ち込んだのだ。 天に御座す神も許してはくれまい。魔人ならば尚更の事だろう。 しかし、皆々の不安は良い意味で裏切られ、一同は愕然とした。 魔人が跪いたのだ。 その赤く揺らめく漆黒の瞳からは、憤り、憂い、共に無い事が窺い知れる。 ルイズは気を落ち着かせると、徐に予備の杖を抜き出し、召喚時と同様の調子で、契約の呪文を詠じた。 (マッ……魔人に初めてのキスを捧げるなんて、 なんだか凄い悪い事してるみたい) 胸中の検討違いな考えとは裏腹に、主従を契る口付けも滞り無く終り、 魔人の左手には、契約の証し足るルーンが刻まれる。 「終りました」 水を打った様に静まり返った広場に、儀式終了の言葉が響く。 唖然としつつも顛末を認め、いち早く我に返ったコルベールは、 しどろもどろにルーンを確認した。 「ふむ……こッ……これは珍しいルーンですね。その刺青も……あぁーいゃ失礼ッ! さッ……さぁ皆さん、儀式は終了です。速やかに教室へ――」 責任者である職務を全うするコルベールの声を受け流し、 ルイズは再び、使い魔に目を向けようとする。 しかし、己が全身から、赤い光の粒を噴き出している事に気付き、 手足を見やり、それを観察した。 「なに……これ?……」 徐々に収束されたそれは、魔人の佇む其処へ光の川となり流れ、 少女の視界は突如、暗転する。 朦朧とする意識の中で凛とした声を聞きながら。 「僕の名は魔人、人修羅……今後とも宜敷く……ルイズ」
https://w.atwiki.jp/itmsanime/pages/852.html
【作品名】ゼロの使い魔 〜双月の騎士〜 OP 【曲名】I SAY YES 【歌手】Ichiko 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□ 【作品名】ゼロの使い魔 〜双月の騎士〜 ED 【曲名】スキ?キライ!?スキ!!! 【歌手】ルイズ(CV 釘宮理恵) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200 □■iTMS■□ 【アルバム名】ゼロの使い魔 〜双月の騎士〜 キャラクターCD1 ルイズ 【歌手】ルイズ(CV 釘宮理恵) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【アルバム名】ゼロの使い魔 〜双月の騎士〜 キャラクターCD2 アンリエッタ 【歌手】アンリエッタ(CV 川澄綾子) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【アルバム名】ゼロの使い魔 〜双月の騎士〜 キャラクターCD3 シエスタ 【歌手】シエスタ(CV 堀江由衣) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【作品名】ゼロの使い魔 〜双月の騎士〜 キャラクターCD4 エレオノール カトレア 【歌手】エレオノール(CV 井上喜久子) カトレア(CV 山川琴美) 【ジャンル】アニメ 【価格】¥200(*パーシャルアルバム) □■iTMS■□ 【詳細】各キャラクターCDは1曲のみ収録
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4675.html
通称「ゼロ」ことルイズ・フランソワ-ズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエ-ルはひきつっていた。 昇級試験を兼ねた「春の使い魔召喚儀式」において自分が呼び出したのは平民だった。 妙に引き締まった服装をして黒い髪を肩のあたりで切りそろえた女性。 無言で担任教師コルベールを見やる。 せんせい、お願いですからやり直させてください 無言で出来の悪い、しかしそれ故可愛がってる生徒に目をやるコルベール。 駄目 召喚は神聖な儀式なのだから これまで何回もやり直しを認めただけでも感謝しなさい うるせぇハゲチャビン とっとともう一回認めろ 昔から言うだろが『泣きの一回』って 馬鹿言ってんじゃねーのですこのウスラトンカチ 『泣きの一回』何度認めたと思ってんださっさと契約しろ 視線だけで交わされた会話(というか口喧嘩)を諦めると、ルイズは平民に『コントラクト・サーヴァント』を行う。 彼女の胸に浮かび上がった謎の紋章。 「・・・・・・・・・・・・というワケだから帰還とか戸棚のオヤツとかはあきらめなさい。 で、アンタ何よ」 「それはこちらが聞きたいのだけど、まあそれは置いておいてまずは自己紹介ね。 私の名はベアトリーチェ。 ベアトリーチェ・パスコリよ、ご主人様」 数日後 「決闘だぁ! ギーシュと『ゼロのルイズ』の使い魔が決闘だぞぉ!」 「レディ、正直女性を傷つけるのは薔薇としては望むとこじゃないのだよ。 ここはおとなしく降参し、過ちを認めて貰えれば皆が幸せになれるんだ。 ついでに君も幸せにしてあげよう」 「ふふっ」 薄く微笑んだベアトリーチェは、開始の合図の前にギーシュに近寄り、耳元に何かをぼそりと囁きかける。 見る間に真っ青になっていくギーシュ。 すると突然ペタリと地面に座り込み、ベアトリーチェに土下座をはじめる。 「僕が、僕が僕が悪かった、悪かったです! どうか勘弁してください!」 周囲が呆然と見守る中、ベアトリーチェは薄く微笑むのでした。 「ワルド! あなた、レコンキスタだったのね! 最初から・・・・・・・・最初から」 血を吐くかのごとき絶叫を眉すら動かす事無く聞き流す一人の男。 剣の腕、魔力、権力に顔立ち、もうそれだけで人生勝ち組な彼の名はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。 にもかかわらず更なるものを求めてレコン・キスタへと身を投じた。 王子暗殺の最初の一撃を、しかしかわされて今現在、許婚の使い魔と対峙していた。 「悪い事は言わないわ、ワルド君。 おとなしく降伏なさい。 さもないと後悔するわよ、心底」 「おやおや、わが婚約者の使い魔は随分大言壮語がお得意のようだ。 魔法も使えない分際でこのジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドに 後悔させる事が出来る物ならやってみるがいい」 その言葉に、懐から一枚の髪を取り出すベアトリーチェ。 にやりと笑うと、紙にかいてある文章の朗読をはじめる。 「『しょうらいのゆめ 三年ワイバーン組、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド ぼくは、おおきくなったら「わー!わーわーわーわー!わー!何なんだそれは一体!」 「貴方が子供の頃書いた作文よ。 (しばらく読んで)あらまぁ、随分と素敵な夢ねぇ」 「うるさいうるさいうるさい!卑怯じゃないか!」 「貴方達貴族が魔法を使って戦うように、私はこの(人差し指で自分の側頭部をつつく)頭脳を使うのよ まさか卑怯なんて言わないわよね?」 「ぐぅ・・・・・・」 「さてそれじゃあ第二段! ワルドさんが七歳のとき『烈風カリン』さんに送ったラブレターを朗読しましょうか」 「やめんか!」 「あらそお?残念ね じゃあ十二歳のときエレオノールさんに「判った!悪かった!謝るから勘弁してくれぇ!」 あら残念」 そして数年後 どたどたとジョゼフ王の私室に踏み込むイザベラ王女。 「お父様!なぜあのガーゴイル娘を処刑してはいけないのですか! あいつ最近あたしの言う事聞かないのよ! つまりガリア王家に反逆してるって事じゃない!」 「落ち着けイザベラ。 いまシャルロットに手は出せん」 「何故ですの!」 「シャルロットが知り合いと立ち上げた『RKTG株式会社』。 株式という経済運営システムも素晴らしいものだが、いまその会社は このハルケギニアの経済、物資運営、情報流通をほぼ完璧に制御している。 それはガリアであってもそれは変わらぬ。 もはやハルケギニアで五人以上人間が集まって何かをしようとするならRKTGの 意向を無視することは出来んのだ。 あやつらの触手はもはやエルフどもの評議会にまで食い込んでおるようだ」 怒りを隠す事無く自室へと引き上げる娘の後姿を見ようともせず、ハルケギニア全域から送られた情報の束を見やるジョゼフ。 「そう・・・・・・・もはや戦争は、いや国の運営は権力ではなく魔法でもない、情報によって行われる。 それを理解しているようだな、ヴァリエール家の娘の使い魔とやらよ。 お前は・・・・・・・・・・・・・私を楽しませてくれるのだな。 こんなに心が躍るのはシャルルとのチェス以来、ひさしぶりだ ふっふっふっふ・・・・・・・・・・・・」 「王様の仕立て屋」ジラソーレ社創立メンバーのひとり「ベアトリーチェ・パスコリ」 通称「オカッパ」です
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/3345.html
テラカオスバトルが行われている世界とは別の世界……ここはハルキゲニアだかハルケギニアだかの魔法学院。 ここでは例の如く召還を失敗して留年しまくりなルイズがまたまた使い魔召喚の儀式の真っ最中だった。 そんなルイズに「てめーのブームはもう終わったんだよボケ」「なにがレモンちゃんだクズ」「氏ね」などと四方八方から罵声が浴びせかけられる。 いままではルイズが失敗するたびに爆笑していたコルベール先生も、いい加減うんざりといった表情で「留年するならとっととしてください」と言う始末。 そんな囂々たる非難を浴びて涙目になりながらも、ルイズは諦めずに召喚の呪文を唱える。 「宇宙の果てのどこかにいる私の僕よ!神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!! 私は心より求め、訴えるわ!我が導きに答えなさい!!」 そして、なんと彼女は召喚に成功してしまった。もうもうとした煙の中から現れたのは…… 全高105m、重量5,650tの巨大ロボット。大地割りそそり立つ姿、正義の証か。 それはテラカオスバトルロワイアルがおこなわれている世界からスキマ経由でやってきた伝説巨神イデオン(コクピットには小泉ジュンイチローの死体入り)だった。 そして その時 イ デ が 発 動 し た 【ハルケギニア全土@ゼロの使い魔 イデ発動により消滅】 ※これはテラカオスバトルロワイアルの世界とはまったく別の世界で起きた出来事であり、この事によるロワへの影響はありません。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4486.html
前ページ次ページゼロの天使 「――― つまり、ここはトリスティン王国にある魔法学園で僕は君の使い魔として呼び出された、でいいのかな?」 目を覚ましたエルフの少年・・・と私はコルベール先生に言われた通りはなしあった。 私は、サモンサーヴァントの事、ハルケギニアの事、魔法学園の事、そして元居た場所に返す魔法が無い事を告げた。 初めは勝手に召還して承諾も無しに使い魔のルーンを刻んだ事に怒るかと思ったけど今の所エルフの少年に敵意や怒りの様な物は感じられず、自分の故郷の事(シルバラント)や(テセアラ)などの事を聞きさらに自分はヘイムダールと言うエルフの森で生まれたのだと言う。 私がその何れも知らないと答えると少年は 「そう――か・・」 と呟いて窓から見える月をぼんやりと眺めている。 (怒ってるかな・・怒るよね、私だったら絶対怒るもん・・・) エルフは窓の外を見ながら物思いに耽っていたが少し目を閉じて溜息を漏らすと私の方を向いた・ 「それで、使い魔は具体的に何をすればいいのかな?」 私は心臓の鼓動が飛び出る位高まるのをかんじた 「え えーとそれは私の使い魔をやってもいいって事かしら?」 「いいも何も、もう契約してる訳だし」 左手のルーンを擦りながら「別にいいよ」みたいな表情をする。 「えーと、いろいろ在るけどまずは主人の目となり耳となる事よ」 「感覚の共有だね、でも出来てないみたいだけど」 「う・・・まあ、エルフだからかもね・・次はご主人様の望むものを見つけて来るのよ、苔とか薬草とか」 「うーん、この辺りの地理が分からないから難しいけど――うん、なんとかするよ」 「そ、そう、期待してるわ」 (早く取りに行ってもらえる様にならないと) 「それからこれが一番重要!使い魔は主を持てる力の全てを使って守り抜くのよ!」 そう言ってからルイズは改めて己が呼び出したエルフを見る、エルフと聞いて真っ先に思い浮かぶのがメイジの使う「四系統」を遥かに上回る「先住魔法」なのだが・・・ (小さい・・・) 目の前のエルフはどう見ても14~15歳位の少年で今まで伝え聞いてきたエルフ達に比べるとあまりに頼り無いように見える。 「了解・・それで今日はこれからどうすればいいかな」 「今日は、特に何も無いわ私もこれから寝るもの」 ふぁー と欠伸をした所でルイズは大変な事に気が付いた 「あ!そうだ、貴方の寝るところ」 「ああ、僕は外で寝るから良いよ」 「え!いいの?」 過去の旅で野宿にはなれていたし、この辺りの地理も把握したかったので戸惑い無く外へ向かう 「あっ待って、私まだ貴方の名前聞いてない」 外へ行こうとするエルフを見てルイズは自分達が最も優先されるべき自己紹介を行っていない事に気が付いた。 「私はルイズ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」 ルイズが腰に手を当てて小さな体で威厳を示そうとする 「僕はミトス・・、ミトス・ユグドラシル」 エルフの少年、ミトスは軽く会釈すると部屋から出て行った。 一人になったルイズは勢い良くベッドに飛び込むと足をばたばたさせ始めた (エルフよ!エルフ!ゼロの私がエルフを従えるなんて!) 今日、自分起きた出来事の素晴らしさにようやく実感がもてたルイズは枕を抱えてゴロゴロ転がる。 「神聖で、美しく、強力な使い魔!私が望んだ通りじゃない!」 あまりの嬉しさにポンポン飛び跳ねるルイズは―― 「――褒めてくれて有難う」 何故か戻ってきていた使い魔に気が付かなかった・・・ ポカーン・・・・ 恥ずかしい・・・この上なくハズカシイです・・・ 「ルイズ、さっき言い忘れたけどエルフの見た目年齢は当てにしない方が良いよ」 そう言うとミトスは「おやすみ」と言い残し今度こそ出てった 一人残されたルイズは恥ずかしさでしばらく放心していたが 「ご、ご主人様の部屋に入る時はノックくらいしろぉおぉぉぉおぉ!!」 やり場の無い怒りを枕に乗せて投げつけた。 外に出たミトスは回りに誰も居ない事を確認すると天使の翼を広げ飛び立った。 遥か彼方の町が見える位置まで飛翔すると自分の頭上に巨大な青い月と小さな赤い月が見える。 「二つの月もそうだけど、ここのマナは今まで感じたことの無い不思議な感じだ。 ここは、本当に異世界なのか・・・」 かつて時の魔剣「エターナルソード」の主でもあったミトスは自分の住む世界以外にも数多の世界が有る事は知っていたが実際に訪れるのは始めてだった。 ( 世界も・・・姉さまも救えず、行き着いた場所が異世界か・・・) 『あはははははははははは!!』 体の底から湧き上がってくる笑いをミトスは抑える事ができなかった デリス・カーラーンでロイド達に倒された自分がなぜ生きて、しかも異なる世界に存在しているのかは分からない、ただ一つだけ分かる事があった。 自分は世界から弾き出されたのだ 異端の種と言われるハーフエルフである自分達の居場所を探す、それが4000年前に始めた旅の目的だった。 その旅の終焉が皮肉にも異世界だった、そう考えると今までの事が馬鹿らしく思える 泥水をすすりながらも仲間と共に歩んだ日々 世界のために世界を二つに切り裂いた事 無機生命体の千年王国を目指しクルシスを立ち上げた事 全てが色あせて見えた。 双月の夜空で、ミトスは涙が枯れるまで笑い続けた・・・・ 前ページ次ページゼロの天使
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3644.html
前ページ次ページゼロの魔獣 「決闘だ!決闘を申し込む!!」「望むところよ!あたしの魔法でギッタギタにしてやるわ!!」 突然振って沸いた決闘騒ぎに、食堂は熱狂に包まれる。 騒ぎの敬意は実に些細な事だった。 その日給仕を務めていたシエスタは、香水のビンを拾い、落とし主であるギーシュに届けた。 ところが、それが原因でギーシュの二股が発覚、結果ギーシュは二人から袖にされてしまう。 面目を失ったギーシュは怒りのハケ口をシェスタに向けた。 まあ、よくある話である。 そこに、同じくストレスのハケ口を求めるルイズがたまたま通りがかった。 ルイズは真理阿直伝の正攻法でもってギーシュを責める。(というか、当り散らした) その後、壮絶な舌戦が繰り広げられ、ついには決闘、である。 「お待ちなさい」 凛とした声が響き、場が静まる。声の主は真理阿だった。 ルイズはここぞとばかりに、真理阿に喰ってかかる。 「何よ!使い魔の分際で口を出そうっていうの? 侮辱を受けているのは、あなたの大切なお友達なのよ!」 その言葉を聞き、シエスタの体がピクン、と震える。 真理阿は一瞬彼女に目をやり、穏やかにルイズの方に語りかける。 「もちろん彼女の名誉は守られねばなりません けれども メイジ同士の決闘は禁止されているのでしょう ですから・・・」 そこで言葉を一度きり、今度はギーシュの方に向き直る。 「この決闘 私がお受けします! 主を守るのは使い魔の務め それに 平民の名誉は平民の手で守られるべきです」 オオオオと、再び食堂が沸く 「ギーシュとルイズの使い魔の決闘だ!!」「平民が貴族の喧嘩を買ったぞ!!」 あまりに意表をついた発言に、ルイズは声も出ない。 一方、ギーシュの方は、平民に決闘を挑まれる屈辱で、かえって冷静さを取り戻していた。 「殊勝な心がけだね、マリア。平民、それも女性に手を挙げるのは本意ではないが、 僕にも守らねばならぬプライドはある。 ヴェストリの広場で待っているよ」 言い放ち、ギーシュは食堂を後にする。ギャラリー達も我先にと広場に走り出す。 後に残ったのは、ルイズと真理阿、シエスタの3人だけだ。 「な!な、な、な何勝手な事言ってんのよアンタ!?」「そうですよ真理阿さん!!」 ルイズとシエスタが同時に食って掛かる。 「いい!魔法の使えない平民じゃ、メイジ相手に勝ち目なんてないんだから、 いますぐギーシュに謝ってくるのよ!!」 ルイズが叫ぶ。 「真理阿さん!私なんかの為に無茶はしないで下さい」 シエスタが泣く。 2人の言葉を遮りながら、真理阿はバツが悪そうに、しかし、あくまで穏やかに言った。 「ごめんなさい こんなの本当は良くないって、私も分っているの けれど こういう場面ではどうしても 血が騒ぐのを抑えられなくって」 血が騒ぐ・・・? そんなのはいつもの真理阿からは間違っても出てこない言葉だ。 ルイズはまじまじと真理阿を見つめる・・・。 背はルイズより低い。あくまで華奢な平民にしか見えない真理阿だが、 ピンチの時はナイスバディの剣士に変身して大活躍・・・とでもいうのだろうか? 「大丈夫ですよ だって・・・私」 怪訝そうな表情のルイズに対し、真理阿は笑う。 「こう見えて とってもカンが鋭いですから」 前ページ次ページゼロの魔獣
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5267.html
前ページ次ページゼロの女帝 そういえば聖地でエルフってどう暮らしてるんだろう なにやら珍妙な方向にワルドの思考が流れ始めた 集落作ってるっていうからやっぱ狩りとかだけじゃなくて田んぼとか作ってるんだろうなぁ 一人のエルフが、田んぼを鍬で耕している、 「おんやぁ、ビダーシャルどん。 ご精が出ますのぉ」 見ると、ナナカマドの木の下に住む老婆が孫の手を引いてあぜ道に立っていた。 「こんりゃおマチばっちゃ。 散歩かいの」 「まあのぉ。 それにしても今年はお日さんの照りもええで豊作っぽいのぉ。 ん?どうした?」 「ばっちゃぁ おらぁ まんーじゅーがぁ 食いてぇ」 「はっ」 なにやら、市原悦子と常田富士男の声が脳裏に響いていたような気がするがきっと気のせいに違いない。 「とにかく!わたしは『聖地』にいくんだ! 行くんだ行くんだ行くんだったら行くんだい!」 「ダダこねはじめちゃったな」 「くどいようだけどツェルプストー アレが『ヴァリエールにはもったいない』ですって?」 「だからあたしが悪かったってば」 「まあそれはともかく、どうやら数で行っても一撃の威力で行っても貴女には勝てないようだ」 「いまさら格好つけてますよ」 「この期に及んでまだ何とかなると思ってるのだろうか」 「かえって無残」 「黙れそこ! まあそれはともかく、貴女は使い魔である以上主が倒されれば貴女の負けだ!」 もはや目的をきれいさっぱり忘れてしまった発言だが、その内容と光景にルイズ達は 真っ青になった。 『エア・カッター』を放っては空中に留め、また放っては空中に留め、というのを三十回以上繰り返しているのだから。 「これくらいでよかろう しかも狙いは貴女でなくルイズや王子だ。 先ほどの光の膜で彼女達まで守れるか!」 その言葉とともに全ての『エア・カッター』が解き放たれる。 しかし 「ほへ?」 光の膜はルイズ達を包み込み(瀬戸は守らなかったがそんな事をしなくとも彼女は自力で避けた) 全ての『エア・カッター』を吸い込んでいった。 「ば・・・・・・・・・ばかな・・・・・・」 がっくりと膝をつくワルド。 「ルイズ、あんた全然動じてなかったわね。どうして?」 「アレであたし達が害されるようならそもそもセトが、術を唱えては留め、留めては唱えてるワルドさm・・・ワルドを 後ろから蹴飛ばしてるわ」 「なるほどごもっとも」 「うううぅ」 「あ、泣きながら立ち上がったわ」 「まあ他の人相手なら圧倒的、チート呼ばわりされるくらいスゴかったんだろうが」 「相手が悪かったとしかいえないわね」 「気の毒」 「お」 「「「「「「お?」」」」」」 「おぼえてろぉ!」 ガラスを突き破って脱出するワルドくんなのでした。 そのまま一同が空を見ると、『レコン・キスタ』軍は通告した開戦時刻にいまだ至らぬ時刻でありながら 総攻撃を開始しようとしていた。 非戦闘員の乗るイーグル号すら追われている。 「ふむ・・・・・・まあ戦争なんざその場のノリと勢いで突き進むモンなんだけど それでもこりゃあいただけないわねぇ」 ルイズには、後姿でありながらセトが舌なめずりする様が見えるようでした 前ページ次ページゼロの女帝
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7773.html
前ページ次ページゼロの視線 はい参ります 六話 「ふむ」 水キセルをぷかぁとふかしながら一同を見回すオールド・オスマン。 こういった老人は苦手だ、と弦之介は思う。 どこか祖父を思い出してしまう。 ・・・・・・・ただ忍法帖の名が朱腺で消されてた、ただそれだけの祖父の死を 「それにしてもスッゴいですね!」 「40メイルものゴーレムがイッパツで消し飛ぶんですもの」 「ウチに一個欲しいなぁ」 「この杖があれば全ての戦が変わる。 船はもちろん城すらも存在意義を失う」 なにやら興奮している生徒たちに向かって弦之介は声をかける。 「それは無理よ。その『破壊の杖』とやらは使い捨てじゃ」 「「「「「ほへ?」」」」」 珍妙な声を上げる一同。特にミス・ロングビルのほへ具合は尋常なものではない。 「この筒はさほど異様なものではない。 材質は見た事がない物であるがな。 いわば持ち歩く大筒なのだがこれが強力なのは、込める弾が全てじゃ。 そして使ってしまった以上もはやただの管でしかない」 「何でそんな事わかるのよ」 「何故か、と問われても何故かわかる 「するとこの杖をもう一度使うためには・・・・・・」 「どこかで弾を探してくるしかないの」 「「「「そんなぁ」」」」 ヘナヘナと床に座り込む生徒一同+1 「さて、今宵はフリッグの舞踏会じゃ。皆は準備をするがよい」 「「「はーい」」」 「あ、ちとゲンノスケどのはまたれよ。聞きたい事があるでな」 「で、聞きたいこととはなにかの」 「何ゆえ、フーケを見逃した?」 さりげなく「気」をロングビルに向けていることから、ほぼ全てを見抜いているようだ。 「些少ではあるが話をした。そして信用できる、と。 もし今一度『ふーけ』とやらが盗みを働けばわしが殺す」 「ほっほっほ、信用したものよな。 まあよい、ではミス・マチルダ」 「は、はいっ」 自分の正体が全てオスマンに見抜かれていることを知る。 「多少ではあるが今月からおヌシの給金にイロつけてやろう。 二度と盗みなどするでないぞ」 「・・・・・・・・・承知しました しかし」 さりげなく自分の尻をなでようとするオスマンの手を掴み、そのまま流れるようにチキンウィングフェイスロックへと移行するロングビル。 その見事なまでに流麗な動きは、弦之介をもってして感嘆させる。 「それとこれとは別ですからね。この学園に腰を据える以上、学長にはその地位に相応しい品格を!持って!頂きます!」 「ギブギブ!ギブってばキブじゃ!」 泡吹いて倒れたオスマンを放置して外に出た弦之介を追ってロングビルもまた部屋を出る。 周囲に誰もいないのを確認して問うてみる。 「自分で言うのもナンだけどさ、なんでアンタあたしを見逃してくれたんだい?」 「あえていうなら・・・・・・目よな」 「目ェ?」 「うむ・・・・・・お主と似た目をした娘を知っておるのじゃ。 己が力量もわきまえず己が愛するもの全てを守りたい、と願った娘の目に」 華やかな音楽が流れる。 ふりっぐの舞踏会とやらが行われているようだ。 面倒な事は御免蒙る、というわけで月を肴に屋根の上でマルトーに貰った徳利を傾ける眩之介 で、これよりいかがなさるおつもりか 「ふむ、とりあえず甲賀に変えることも適わぬでな。暫しの間『はるけぎにあ』とやらに腰を落ち着けてみようと思うておる」 眩之介さまのこの先、如何なる事になるのか星が読めませぬ わしとしてはあのきゅるけなる娘子とお近づきになりたいものですなぁ どのみち我等甲賀者に平穏なぞありえぬ 放っておいても戦いが向こうからやってくるわい だれもおらぬ暗がりで、一人杯を干す眩之介でした 前ページ次ページゼロの視線
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3914.html
前ページ次ページゼロの騎士 ラムザが召喚された次の朝 彼はルイズの部屋の前に立っていた ルイズを起こした後、彼女が朝の支度を整えるまで外で待つことになったのだ すると向かいの部屋の扉が開き見覚えのある赤髪が姿を現した 「あら、ルイズのとこの」 ラムザはキュルケの姿をみて警戒した 「おはよう…ミスツェルプストー」 「やあね、そんなに怖い目しないでよ、あとキュルケでいいわ」 「わかった、でもキュルケさすがに第一印象が悪すぎる。そんないきなり火球を飛ばしてくるような相手は警戒して当然だよ」 「あれは悪かったわごめんなさいね、さすがに私も先住魔法を使われたら危険だと思って」 「あぁ、そうかこっちではテレポは使われないんだってね。改めて、僕はラムザ、ラムザ・ベオルブ。ラムザでかまわないよ」 キュルケの言葉で普段からところかまわず魔法を使う危険な人間ではないと判断してラムザは警戒を解いた 「えぇラムザ、じゃああなたの故郷では人間が先住魔法を使えるの?」 「いや、あれは先住魔法というか…」 「支度終わったわ…ってツェルプストー!なにやってんのよ!」 扉を開け出てきた頭からラムザの言葉をかき消すルイズ 「あら、朝からご挨拶ね。戸を開けたらラムザがいたから話してただけよ」 「ラムザ!ツェルプストーの女となんて話したらぁああわわわわっ!」 ふいに現れた巨体に顔を舐められ慌てるルイズ 「あら、失礼なやつね、フレイムやめなさい。」 「な、なに!?このサラマンダーあんたのなの!?」 「そうよ、火竜山脈のサラマンダー。好事家に見せたら値がつけられないようなレア物よ!」 仲がよいと思っていた二人の突然の諍いにラムザはあっけにとられていた 「もうっ!ラムザ朝食に行きましょ!」 「え?あ、あぁ」 そのまま歩いていってしまったルイズを追いかけるラムザ ふりむくとキュルケが軽く手を振っていたので返答しておいた …………………… 「………食堂?」 今連れられてきた場所と自分の考える食堂とのギャップに驚くラムザ 「この学院のメイジは全員が貴族。だからトリステイン魔法学院では貴族たるべき教育を存分に受けるのよ。だから食堂も貴族の食卓にふさわしいものでなければならないのよ」 「うん、僕もアカデミーにいた時があったけど、こんなんじゃなかったなぁ」 「アカデミー?ラムザはアカデミーにいたの?」 「あぁアカデミーっていうのは、研究所とかのことじゃなくて士官生の養成アカデミーの事だよ。僕も若い頃に騎士団に入るためにそこで学んでたんだ」 「へぇ、でも若い頃って今も十分若いじゃない。いつの話よ」 「まだ18、9の時だから6年程前になるかな?」 「…え?ラ、ラムザって25なの!?」 そうである。ラムザは顔が幼いため若く見られるが立派な成人男性だ 「同い年くらいかと思ってた…」 「さすがにそこまでは若くないよ…」 そんなやりとりをするうちに料理が出される オスマンのはからいでラムザにも貴族と同じ料理が出されているのだが、それに対しラムザは少し遠慮の念があったが好意を無碍にするわけにもいかないし、他に食事を得る方法もなくこの食堂で食べることとなった 少しして二人は食事を終えた 周りも食事を終えたらしく食後の歓談でざわついていた そんな中ひときわ目立つ集団がいた 金髪をロールにしている男を中心になにか騒いでいるようだ 「なあ、ギーシュ!お前今誰と付き合ってるんだ」 「誰が恋人なんだ?ギーシュ」 「つきあう? 僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」 ギーシュと呼ばれた少年の答えにさらに周りは騒ぎ立てる その時ギーシュのポケットからなにか落ちたようだ、それをメイドが拾った 「ミスタグラモン、落とされましたよ」 しかしそれを見た金髪はこう言った 「いや、それは僕のではないよ」 しかし周りはそれを見てさらに騒ぎ立てる 「おい! それはモンモランシーの香水じゃないか!?」 「確かにこの紫の小瓶はモンモランシーが特別に調合している香水だ!」 「待ってくれみんな、これはなにかの…」 ギーシュが言い終わる前に1人の少女がかけよってきた 「ギーシュ様!ミスモンモランシとつきあっていたのですね!」 「違うんだケティ!」 「その香水がなによりの証拠です………さよなら」 ギーシュの言い訳も虚しく、ケティと呼ばれた少女はギーシュの頬に平手打ちを綺麗に決め、走り去っていった 「あうあう…」 「ギーシュ…」 そこに近寄ってきたのは先ほどの少女よりも幾分派手な金髪の娘 「やっぱり一年の娘にちょっかいかけてたのね」 「いや、違うんだモンモランシー、彼女とは一度遠乗りしただけの仲で…」 「嘘吐きっ!」 モンモランシーと呼ばれた金髪は、ギーシュの言葉の終わらないうちに近くにあったワインをギーシュにかけて同じくどこかにいってしまった それをおそるおそる先程のメイドは見ていた 顔に紅葉を残しワインに濡れたギーシュは思い出したようにそのメイドを睨みつけると罵声をあびせ始めた 「君のおかげで2人のレディの名誉が傷ついた、どうしてくれるんだね?」 それに対し震えるメイドは必死に謝意の言葉を吐き出す 「あ、あの、も、申し訳ありません!」 それでも罵声をあびせ続けるギーシュ 「いや、君のような無能な平民は一度罰を与えないといけないな」 「ひ…、ど、どうかお許しください!」 「いいや、君のせいで傷つけられた二人の名誉に値するとは思えないが君には罰を…」 「やめないか!」 ギーシュの言葉を遮り現れたのはラムザだった 「君はルイズのとこの…君には関係ない話だ、下がっていたまえ」 「いや、僕はこんな理不尽な事を目の前にして見てみぬフリができる程堕ちてはいないよ。見ていた限り君の不義によって起きた事だ。それを彼女のせいにしていたぶるなんて貴族として、いや人間としておかしいだろう」 「そうだギーシュ!お前が悪い!」 「そのメイドに謝れ!」 周りからもラムザに同意する言葉が上がる 中には面白半分に騒ぎ立てる輩も見られるが その中でギーシュは焦っていた。ギーシュ自身言われた事に正当性を認めていたからだ しかし、彼にも貴族としての意地とプライドがある。 ここで非を認めてしまうことは出来なかった。 「ゼロのルイズごときの使い魔がいってくれるね、いいだろう。それは僕への侮辱とうけとった、君! 決闘だ!」 勢いに任せて出た言葉だった、言ってからギーシュは後悔した。 だが決闘に勝てば自分が正当化される、それに相手はルイズの…そう、ゼロのルイズの召喚した人間だ。そうだきっとなにもできない平民だ もしかしたら決闘と聞いて震えながら謝ってくるかもしれない ギーシュはそんな都合のいい妄想を考えていたが、ギーシュに対するラムザの返答はそう甘くなかった 「…いいだろう、暴力に訴えるのは不本意だけど、傲る若者への教えは年長者の役目だ。それで君の気がすむなら受けて立とう」 正義感の強いラムザにとって平民が貴族の都合で虐げられるのは看過できなかったのだ ラムザの言葉に一瞬間をおいて顔を真っ赤にしたギーシュが叫ぶ 「諸君、決闘だ! ここを荒らす訳にはいんだろう、場所はヴェストリの広場だ! 君! 逃げるなよ!」 ギーシュはそういうと外へ歩いていく その後に続こうとするラムザに先程のメイドがすがりつく 「も、申し訳ありません! 私のせいで! 決闘なんてやめてください! 私がミスタグラモンから罰をうけます!」 それに対しラムザは優しく話しかける 「君、名前は?」 「シ、シエスタです」 「シエスタ、君はなにも悪くない。だから罰を受けることなんてないんだよ、それにこれは僕が勝手にしたことだ、気にしなくていい」 「でも!」 「気にしなくていい…ところでヴェストリの広場っていうのはどこだい?」 「言えません、私はあなたにその場にいってほしくない!」 泣きながら言うシエスタにラムザは少したじろいでいた そこにルイズもきた 「そのメイドの言う通りよ、ラムザ。決闘なんかやめて! 仮にもギーシュはメイジなのよ!」 引き止めるルイズとシエスタ、しかしラムザもひかない 「人には譲れないものや、護らなきゃならないことがある。僕も今ひくわけにはいかないんだよ。心配してくれてありがとう、でも僕だって負けるつもりはないよ」 「べ、別にラムザの心配してるわけじゃないんだから! 召喚した者としてあなたの行動は私にも関係してくるから言うだけで…」 「ふふ、わかったよ。大丈夫、君の名誉に泥のつくような事がないよう頑張るよ」 そう言うとラムザは近くにいたギーシュの取り巻きに場所を聞きヴェストリの広場へと向かった へたりこんだままのシエスタを置いて、食堂にいた大半の生徒がその後に続いていった。 第三話end 前ページ次ページゼロの騎士