約 1,077,050 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1264.html
早朝。朝靄が立ち込める中、馬に鞍をつけている三つの人影があった。すなわち、ルイズ、ポルナレフ、そしてギーシュである。 「…結局見つかったんだな。」 ポルナレフが嫌そうな顔でギーシュに話しかけた。 「違うな。」 ギーシュが作業をとめ、チッチッとキザっぽく人差し指を振った。 「自分から志願したんだ。女の子が危険な任務を任されたんだ。黙って見てるわけにはいかないだろう?」 ポルナレフは舌打ちした。折角の金づるが…と思っているに違いない。 「ところでお願いがあるんだが…」 「何よ。」 「僕の使い魔も連れていきたいんだ。」 「あんたの使い魔ぁ?…別にいいけどどこにいるのよ?」 「ここさ。」 ギーシュが下を指差すと地面が盛り上がり、巨大なモグラが現れた。 「ヴェルダンデ!ああ、僕の可愛いヴェルダンデ!」 ギーシュが地面から出て来たそれに抱き着いた。 「あんたの使い魔ってジャイアントモールだったの?」 ルイズが驚いて聞いた。 「ああ。このつぶらな瞳が可愛いらしいだろ?」 ベタ褒めである。親バカというか何と言うか… 「なるほど、別にいいかもしれんな…モグラならスピードは馬ぐらい出るだろう。」 ポルナレフの言葉にギーシュは頷いた。だが、 「私達、これからアルビオンに行くのよ。地面を掘って進む生き物を連れていくなんて、駄目よ。」 ルイズはギーシュの案に反対した。 「アルビオン?昨日も言っていたが本当にあそこに行くのか?」 「そうよ。そういう訳だから、残念だけどモグラなんて連れていけないわ。」 「そんな…お別れなんて辛い、辛過ぎるよ……、ヴェルダンデ…」 ギーシュは再び抱擁しようとしたが、そのヴェルダンデはギーシュの抱擁から逃れるとクンクン嗅ぎながらルイズに近寄って行き、押し倒した。そしてそのまま体を弄びだした。 「ちょ、何すんの!このモグラ!」 ルイズは必死になって抵抗したが、相手は小熊程あるジャイアントモール。このSSではあくまでただの少女の肉体であり、現実は非情である。 「いやぁ、巨大モグラと戯れる美少女っていうのもある意味官能的だね。」 「手篭めにしてるのはお前の使い魔だがな。」 ポルナレフは鞍を取り付けながらギーシュにツッコミを入れた。 「こら、離しなさい…!姫様から貰った指輪から…!!」 ヴェルダンデはルイズがしていた指輪に鼻を近付けていた。 「なるほど指輪か。ヴェルダンデは宝石が大好きだからね。ヴェルダンデは貴重な鉱石や宝石を僕のために見つけて来てくれるんだ。『土』系統の僕にはこの上ない素敵な協力者さ。」 ギーシュが自慢するように言ったその時、突如突風が吹きヴェルダンデが吹っ飛ばされた。 「誰だ!」 ギーシュが愛する使い魔を吹っ飛ばされたのに怒って杖を取り出した。 ポルナレフはギーシュと対称的にまず冷静にルイズが無傷であるのを確認した。ルイズが無傷ということは敵ではなく増援か何かだろうと考え、ゆっくりと風のした方を見た。 靄の中から羽根帽子を被った長身の男が現れた。容姿から昨日、ルイズが見とれていた貴族であることが分かった。 その貴族は一礼してから名乗った。 「僕は敵じゃない。姫殿下より、君達に同行することを命じられてね。君達だけではやはり心許ないらしい。しかし、お忍びの任務である故、一部隊を付ける訳にもいかぬ。そこで僕が指名されたって訳だ。」 帽子をとった男はルイズより外見からして10歳は年上だろうとポルナレフは推測した。もっとも、ルイズの外見も考慮すると更に5歳ほど加算出来そうだが。 「僕は女王陛下の魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵だ。すまない……婚約者がモグラに襲われているのを見てみぬ振りは出来なくてね…」 「婚約者…?」 ギーシュが信じられない様子で呟いた。 ポルナレフも自分の予想を少し越えていて驚いたものの、中世の貴族社会ならこの程度の年齢差のある婚約も有り得るか、と思い納得した。 しかしワルドがばれないように股間を押さえているのを見て、やっぱりただの変態か、と思い直した。 ワルドは信じられないといった面持ちでいるルイズに駆け寄ると抱き上げた。股間はもう大丈夫らしい。 「久しぶりだな!ルイズ!僕のルイズ!相変わらず軽いな、君は!まるで羽根のようだね!」 「お久しぶりでございます。……恥ずかしいですわ」 ワルドに笑いかけられ、ルイズは頬を赤く染めた。 「おでれーたなあ、相棒。まさかあの娘っ子にあんな婚約者がいたなんてなあ!」 鞘から少しだけ刀身を覗かせていたデルフがポルナレフに話しかけた。 「ああ。あの若さで魔法衛士隊…多分メイジだけで構成された親衛隊か何かと思うが…その隊長で子爵だとはな。確かルイズは公爵家の三女…家柄だけを考えたら婚約者として相応しいかもしれんな。」 ポルナレフがそう言って頷く。 「君、何納得してるんだい!?魔法衛士隊は僕たちメイジの憧れなのだよ!その隊長と『ゼロ』が婚約者だなんて…」 ギーシュが喚いた。 「誰も魔力や性格について相応しいとは言って」 ポルナレフがここまで言ったとき、二人がいた位置に巨大なクレーターが出来た。 「…彼等は何なんだい?」 ワルドがクレーターの底で倒れている二人を指差した。 「あの金髪がギーシュ・ド・グラモンで」 「グラモン…ひょっとしてあのグラモン元帥の御子息かい?」 「はい。であっちの眼帯をしているのが…その……私の使い魔…ですわ。」 ルイズが恥ずかしそうに言った。 「あれが君の使い魔かい?人だとは思わなかったな」 ワルドの言葉にデルフはちょっとムカッとした。 「おいおい、人の相棒を悪く言うなよ。」 いきなり咎められて驚いたワルドは辺りを見回した。 「今の声は…?」 「あ、あの……私の使い魔の…剣です」 ルイズが怖ず怖ずとポルナレフの近くに落ちている剣を指差した。 「ひょっとしてインテリジェンスソードかい!?これはまた驚いたな。君の使い魔はまた変な武器を使うんだね!ところで彼と彼の剣は何て言うんだい?」 「使い魔はポルナレフで、剣はデルフリンガーです。」 「そうか、デルフリンガー君か。いやいや、持ち主の名誉のために抗議するなんて泣かせてくれるね。」 ワルドが芝居がかった口調でそう言うと、デルフはケッと言い捨ててから喋ろうとしなくなった。 「おいおい、僕は別に君や使い魔君を馬鹿にしたつもりは」 「子爵、早く二人を起こして出発しましょう。こうしてる間にもレコン・キスタは…」 「おっとそうだったね。」 ルイズに急かされたワルドはクレーターの底で倒れていた二人をたたき起こすと、口笛をふいて使い魔のグリフォンを呼び出した。その背中にひらりと跨がるとルイズに手招きした。 「ルイズ、おいで。」 ルイズはもじもじ恥ずかしそうにしていたが、ひょいと抱き上げられ、一緒にグリフォンに跨がった。 「では諸君!出撃だ!」 ワルドがそう勇ましく言ったが、ルイズから死角となっていたその顔はだらし無くニヤついており、ポルナレフ、ギーシュ、デルフの三者は「こいつ、本当に魔法衛士隊隊長なんだろうか」と不安にならずにはいられなかった。 ともあれ、四人はラ・ロシェールを目指して学院を出発した。 「まったく…魔法衛士隊の連中は化け物か?」 とある駅で馬を交換している時、ギーシュがポルナレフに話しかけた。 「まったくだ。半日近くもノンストップで駆けさせるとは…」 学院を出発してから既に半日が経過しており、二人共息を荒げていた。 「二人に先に行っててもらうよう言おうか?」 ポルナレフはギーシュにそう提案したが、 「馬鹿もほどほどにしたまえ。今アルビオンが窮地に立たされていることぐらい知ってるだろう?だから一分たりとも時間が惜しいのだよ。」 ギーシュはポルナレフの提案に反対した。 「確かにな…だが、俺達の体力も限界だ。」 「そうなんだよなあ。勘弁してもらいたいよ。まったく。」 ポルナレフは少し考えてから再度提案した。 「なら俺達もグリフォンに乗せてもらうことにしよう。」 「そんなの出来る訳無いだろう?君は本当に頭脳がマヌケだな。」 「それが出来るんだな。もっとも、誰にも言いたくは無かったんだが…」 ごそごそとポルナレフは鞄の中を探してあるものを取り出した。ギーシュはそれを見て目を丸くした。 「それは…?」 「これが俺達もグリフォンに乗ることを可能にしてくれる。ただ、他の奴らには言うな。いいな?」 「おーい、ルイズ。グラモン元帥の御子息と使い魔君は何処に行ったのか知らないかい?馬を交換するって言ってから全然見当たらないんだが…」 「彼等なら先に行くとか言ってもう出発しましたよ。」 「ははは。なんだ、先に行ったのか。…ところでその亀はどうしたんだい?」 ワルドがルイズが持っている亀を指差した。 「この亀も私の使い魔ですわ、子爵。」 ルイズがそう言うとワルドは笑い出した。 「あっはっは!おもしろいことを言うな、ルイズは!でも冗談は休み休みにしたまえ。時期が時期だからね。」 「いえ、本当ですわ。この亀にも、ほら、この通りルーンが…」 ワルドが見ると確かに亀にもルーンが刻まれていた。なるほど、ルイズが言っているのも嘘じゃないらしい。 「…まあ、いいか。早くその亀を連れてお乗り。すぐに彼等に追い付けるだろう。」 ワルドはルイズを抱き上げてグリフォンに跨がると再び疾駆させた。 「驚いた!君はこんな所で暮らしていたのかい?ポルナレフ」 ギーシュが部屋中を見渡しながら言った。 「ああ。寝るときはそこのソファでな…」 ポルナレフは椅子に座りながらけだるそうに返答した。 二人は今亀の中にいる。馬は疲れるし、その内置いていかれるのは明白だからだ。 「この箱はなんだい?開けたらひんやりするんだが…」 「冷蔵庫。中にいろいろな物を冷やしておける物だ。」 「マジックアイテムかい?」 「違うな…。どういう仕組みか詳しくは知らんが魔法で動いてるのではない。電気で動いてる。」 「ほ、本当かい?」 異世界の文明に触れて驚きっぱなしのギーシュ。 その内、壁に掛けてある矢に気付いた。 「ポルナレフ、ここに飾ってある矢はなんだい?」 ギーシュがそれに魅せられたかのようにフラフラと近寄って行き手に取ろうとしたその時、 「それに触るな!」 ポルナレフが一喝し、ギーシュはびくっと動きを止めた。 「いかなる者もそれに触ってはならないんだ…。」 ポルナレフは椅子に座ったままギーシュを睨んだ。 「さ、触るぐらい構わないじゃないか…」 睨まれたギーシュは大人しく矢から離れた。 「それでいい…世界にそんな矢など…力など…要らないからな…」 ポルナレフはフッと溜め息をついた。 「あと、そこの棚の上の物も触れるな。矢とそれらはこの亀の持ち主の仲間の遺品だからな。」 「遺品…」 棚の上には大きなジッパー、ヘアピン、タマゴの殻みたいな帽子、ナイフ等が飾られてあった。 「…よければ聞かせてくれないか?」 「何をだ?」 「『持ち主』と『遺品』の話をさ。」 ギーシュは真剣に聞きたがった。だが、知りたがったのは『持ち主』や『遺品』ではない。 それはポルナレフが先程口走った『矢』と『力』のことであった。 ギーシュはグラモン家の末っ子として生まれたため、ルイズほどではないが、二人の兄にコンプレックスを抱き、実力で二人を越えたいと常日頃思っていた。 だが、ドットの彼に作れるのは青銅のゴーレム、ワルキューレのみ…まだ子供だからしょうがないのだがそれでもなお悔しかった。 だが、今さっき、何らかの『力』が矢にある、とポルナレフは仄めかした。ギーシュはそれが喉から手が出るほど欲しく思った。その『力』なら兄を、いやひょっとしたら父をも超えれるかもしれないと考えたからだ。 だが、ポルナレフの台詞からしてそのままじゃ明かしはしないだろうと考え、話を『持ち主』と『仲間』の話にすり替えた。 きっと『持ち主』やその『仲間』は『力』に関係している。なら、そいつらの話から推測すれば『力』の手に入れ方も明らかになるはずだ…と考えたのだが、 「だが断る」 「はい?」 「俺は最後ぐらいしか関わってなくてな。だからほとんど知らんのだ。話は聞いてはいるんだが、俺ごときが喋っていい物じゃあないしな。」 「そ、そんなあ…」 「それより先は長いぞ。少しでも寝て精力を蓄えろ。」 そう言って口惜しがるギーシュをよそにポルナレフはソファーの上で横になった。 To Be Continued...
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/483.html
『青銅』のギーシュ④ 「やったッ!彼は行動をとらなかった!つまり、彼は負けを認めたのだッ! ついに、ついに勝った!勝ったぞッ!!」 (クソ・・・もう・・・限界だ・・・!この戦いにかけた『覚悟』は・・・奴のほうが・・・上だった・・。 オレとしたことが・・・こんな結果に・・・。オレの・・・完敗・・・か・・・・!) 彼に一体なにがあったのか?彼は何を果たせなかったのか・・? 把握のため少々時を戻そう。では・・。 BITE THE DUST 『バイツァ・ダスト』!!(負けて死ね) 「「行くぞッ!!」」 互いが戦闘を再開するッ!! 「石礫だッ!!」 ギーシュのその一発がブチャラティの右手に当たるッ!! 「ぐっ!!」 「その『足』・・・・やすやすと開放させないよッ!!」 (くそっ!コイツやはり貴族のボンボンにしては強いッ!) ブチャラティは、さっきルイズに教えてもらった"系統"と"クラス"の事を思い出した。 (さっき言ってた事が正しければ・・・奴は"土"のドット。メイジとしての強さはまるでないはずだ・・。今日一日ルイズのそばで授業を見ていても、数少ないラインと比べたらそいつらは奴の出来を上回っていた・・・。) 「ワルキューレ!!」 新しく青銅のゴーレムが増えるッ!! 「『7体』・・・・・だな・・?」 「・・・・!?」 ブチャラティが囚われてない方の足で立ち上がろうとしながら言う。 「お前は・・・・オレがワルキューレを破壊してもどんどん次のを生み出していたが・・・。 さっきから見ているとお前は動ける奴の合計が『7体』以下になるように生み出している・・・。 これはお前の魔力の限界・・。『おまえの限界が7体まで』だということがわかった・・・。」 「フン・・・。見抜いたか・・・。そうさ。所詮ドットの魔力でできることなんてこれが限界・・。 だがね・・!僕はそのことを君よりもずっと前から知っているッ!なんせ僕自身のことだから ね・・・。」 バキンッ! ワルキューレに殴られるッ! 「だがだからこそ僕はその弱点をカバーするために力を強めるだけでなく、弱い力を最大まで 活用する戦い方を覚えたッ!・・・君と巡り合うまでにラインになることは出来なかったが、 それでも今ではラインはおろか・・・油断している奴ならトライアングルにも通用すると 思うよ・・!」 バキッ!ドコッ!ボカッ! 続いて2体攻撃に参加する! 「ブローノ・ブチャラティ君・・・。君のそのスタンド、それにその・・・明らかに実戦の中で磨かれた戦い方・・・。 以前何をやっていたか知らないが君は間違いなくトライアングルにも匹敵するであろう実力を持っている・・・! だがそれでも!君の『隙』!その『隙』を無駄なく確実に狙う戦い方をすれば僕にも勝機はあるッ!!」 ガスッ!バコッ!メリッ!ドカッ!ズドッ!ボコッ! これはひどい!フルボッコだッ! だがっ! バラッ! ヒュン!ヒュン! 輪切りのワルキューレ!礫返しッ!ブチャラティはリンチ紛いの攻撃を 受けながらなお攻撃をやめないッ!! (コイツの考え方は・・・・オレたちスタンド使いの戦い方にも通じるものがある・・。 スタンドのパワーの良し悪しなど・・・戦略次第でどうとでも覆せる・・・・。 時には最弱すら最強と化してしまう戦い・・・。偶然かそれを奴は魔法で再現しているのか・・・。) お互いの攻撃がさらに過激になった時ッ! 「やむをえんッ!"スティッキィ・フィンガース"!!オレの腕に"ジッパー"をッ!!」 ブチャラティのジッパーが螺旋状に貼り付くッ! 「コイツ・・・自分の腕をッ!あの形状・・・・ハッ!まさかコイツ!ワルキューレ!遠慮などするなッ! 確実に再起不能に持ち込むんだッ!!」 だがそれを止める事はかなわなかったッ! ブチャラティがもう片方の腕でジッパーを貼った腕を持ち・・・。 「行けッ!」 ブン投げたッ!そしてその腕から・・・! 「そこからなら・・・・射程距離内だッ!!!」 スティッキィ・フィンガースの腕が襲いかかった! 「何ィーーーーーッ!?そんな使い方が!?」 対応が遅れたギーシュ!石礫を放つが・・・!!? ドゴォ!! 「ぐべぇッ!!!」 一手遅かったッ!!パンチのほうが先に決まるッ!! バタッ!! ギーシュが倒れるッ!だが今の一撃で『頭部と右腕』と『左腕と下半身』に別れそうになっている! 「ヤ・・・ヤバイ・・・!早くつなぎ直さないと・・・!」 焦りながらもなんとか繋ぎなおすッ! ガバッ! 「ブチャラティは!?」 起き上がってみて、ギーシュは思った。なぜそのまま攻撃に繋げない・・? だがその時ギーシュは見た。 「これは・・・まさか・・・?」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・!!!! 動かない。ブチャラティはピクリとも動かないのだッ!! (な・・・・体が・・・・・動かない・・・・?) あのリンチ紛いの攻撃が効いていたッ!!ブチャラティの体にはとうとう限界が来ていたのだッ!! ブチャラティの中では、動きを止めた隙に足を開放し、一気にラッシュで畳み掛けるつもりだった。 すでに『足』は開放した。だが彼にはすでにその足で立つ気力がなかったのだ!! (くそッ!動けッ!あんな一撃では再起不能になってるはずがない・・!) 「まさか・・・・?いや、もしかしたら罠か・・・?」 ギーシュが造花をかまえて言うッ!! 「ブローノ・ブチャラティ!!やられたフリをして僕を罠にはめようとしているならやめたほうがいいぞッ!! だが本当に降参するなら『参りました』の一言を聞かせてもらおうかッ!!」 『ふざけるな』と言おうとしたが、もはや声が届かない。 「もはや声が出ないか・・・・・・?それならば行動で示してもらおうッ!!」 ギーシュが何かを投げるッ!! (これは・・・・・・・?) 「それは平民がメイジに対して戦うために作った牙・・・そう、『剣』さ! まだ戦う意思があるならばそれを拾ってみろ!」 その時、ワルキューレが取り囲む! 「だが拾った瞬間僕のワルキューレを容赦なく叩き込む。それでもいいのなら!」 (く・・・コイツ・・・・!) ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・! 「さあ!戦うか!降りるのか!ハッキリ行動に出してもらおうッ!ブチャラティ!!」 ギーシュは思った。 (僕の行動を見て・・・きっと見ている人はぼくが油断していると思うんだ・・・・。 だが僕は断じて油断などしてはいないッ!! 目の前には剣・・・。これを拾えば確かにブチャラティの武器は増える・・・。 だが僕との距離は5メイルも離れているんだ・・・。果たして武器を取ったところで、 ワルキューレの攻撃をかいくぐってぼくにたどり着けるか・・・? そう考えているうちにどんどんプレッシャーは増え、ましてやあのダメージ、 アイツは確実にボロボロにできるッ! これはプラフだ!ぼくが確実に勝つための精神的な攻撃ッ!!) 一方ブチャラティは・・・。 (この剣を取り・・・反撃を・・・・!) ―――――――これ以上戦って何になる・・? (このままなめられているわけにはいかない・・・・。) ―――――――そんな薄っぺらい理由で戦うのか? 今のおまえにはあの男は倒せない。そんな志の低いおまえなどに。 (なん・・・・だと?) ―――――――今のおまえとあいつとでは戦いに対する『覚悟』が違う。 そうでなくても、あの時でさえお前は自分の仲間をみすみす死なせてしまっている。 そんなお前に勝てると思うか・・? (黙れ!過去がどうあろうと、オレは立ち止まりたくない!戦い続ける!) ブチャラティは剣に手を伸ばす。 ―――――――何のために?全てが終わった今、お前に心から果たしたいと思ってないお前に 何が出来る・・? ブチャラティが剣に手を伸ばすのを見たギーシュは造花を構える! (来るか・・・!?) だが・・・・。 パタッ ブチャラティの手が地に伏せる音だった。これが意味する事はッ!! 『ブチャラティは心の中で負けを認めた。』 「ク・・ククク・・・!!!ハハハハハ!!!負けを・・・・『認めたな』! 僕の力に対し、ついに屈服したかッ!! やったぞ!僕はとうとう!自分の運命に勝った!やったんだ!!」 (オレが・・・・違う・・!負けてなどいない・・!) だが彼の手は動いてくれなかった。彼の直感は、本能は、真の覚悟をした 今のギーシュに勝てない事を意味していた・・・。 (オレは・・・負けた・・・。あいつの覚悟に・・・・。もう・・・限界か・・・!) そして時は現在に戻る。 「さあ・・・そろそろしゃべれるだろう?そろそろ君自身の口から敗北宣言を聞きたいね。 『参りました』の一言くらい言ったらどうだい?」 だがブチャラティはなにも言わない。心が負けを認めてもそれを素直に行動には取れないのだっ!! 「負けを認めたわりに、往生際が悪いな・・・。いいかげんにしないと・・!」 「もうやめてッ!!」 ルイズがギャラリーを押しのけて言ったッ!! 「どくんだ、ルイズ。」 「どかないッ!もうブチャラティは動かないじゃない!」 ブチャラティも目を見開く。 「ルイ・・・ズ・・・。やめろ・・・。なにも・・おま・・・えが・・。」 「そんな事言ったって!使い魔がここまでボロボロにされて!黙ってられないわよッ!!」 ギーシュは杖をルイズに向けて言う。 「決闘を邪魔するなルイズ。これはどちらかが負けを認めるまで続けるもの! そう言った時だった。 「・・・・でもブチャラティはもう何もできはしない・・。だから・・・。」 周りがざわめくッ!ルイズが頭を下げたッ! 「主人として・・・。このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールがこの わたしの使い魔のかわりに・・・。」 ルイズがひざまずくッ!! 「ヴァリエールの名にかけて、伏して申し上げるわ・・・・。どうか、この私の使い魔、 ブローノ・ブチャラティをお許しください・・・・。」 驚愕ッ!あの気位ばかり高かったあのルイズがッ! 王家の近くに連なるヴァリエール公爵の三女がッ! ブチャラティのためにひざまずいたッ!! 「・・・・・・そうか・・。」 ギーシュが言う。 「非常に・・・・残念だ・・・。」 ブチャラティは歯を食いしばった。 (クソ・・・!手を動かせなかったばっかりに・・・!アイツを・・・ルイズを! 裏切るようなマネをしてしまった・・!ルイズ・・・!この体が動いたら・・! オレに・・・アイツを上回るほどの覚悟を再び決められたら・・・!) 心から罪悪感が湧き上がる。心から悔しさを感じたッ! そしてギャラリーが静かに騒ぎ立てる。 ヒソヒソ・・・。 (おい、あのヴァリエールがひざまずいたぜ・・・・。) (ハッ、すごく無様だな。所詮『ゼロのルイズ』だ。) (負け犬の使い魔と並んで、すごくお似合いだぜ・・。) (アイツなんかにはどうせああやって頭をヘコヘコ下げるしかできることなんかないよ・・。) ルイズはその陰口を聞いて、歯をくいしばった。 普段から叩かれていた陰口が普段よりさらに心に突き刺さるッ! 「悲しいな。君にはそれだけしかできないのか? 僕と対等に戦ったブチャラティと違って、君は実に情けなく見えるよ。」 ギーシュが冷たく言い放つ。周りの嘲笑がさらに上がる。 ルイズは心から苦しみを感じていた。 (やっぱり私は『ゼロ』なんだ・・・。私にできることなんてコレくらいしかない・・。 私には・・・こんなことしかできない・・・!) とうとう涙を流す――――その時だった。 「何が・・・・可笑しい?」 「えっ!?」 突然の一言!喋ったのは・・・・!? ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・! 「今のルイズの行動を・・・・・・笑うのか?」 ブチャラティだったッ!!ブチャラティが立ち上がったッ!! 「うわああああああああーーーーーっ!!!へ、平民が・・・蘇ったぁーーーーーーーーーッ!!」 「ルイズは・・・・・自分のプライドより・・・・オレの無事を取った・・・。 貴族のアマチャンはこういう事すら困難なのはわかってる。だがアイツは・・・。 もともとキツイ性格だから余計難しかったであろう、しかしアイツはプライドを捨ててのけた・・!」 ギーシュはそこで!初めてブチャラティが本気で怒っていることを理解したッ!! 「お、おい・・・。」 「そう・・・ルイズは最初いい印象がなかった・・。会っていきなり使い魔とやらになれだとか・・。 服を人に着替えさせるわ・・、朝食はまともな物をよこさないなんてこともやった・・。 その上、無駄につまらないプライドが高いし、それなのに魔法がまるで使えないと来た・・・。」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・! 「だが・・、アイツはオレに再び『命』をくれた・・・!なぜそれがオレだったのかはわからない。 だが理由はどうあれ、オレに再び時間を与えてくれたんだ・・!そして今・・・。オレを助けるためにその頭を下げた・・・!お前たちにここまでできるか・・?お前たちの中にここまで出来る奴が一人でもいるのか・・?」 ブチャラティが一歩、また一歩と歩き始めるッ! 「ま、待て・・!落ち着いてくれ・・!」 「ルイズは辛かっただろうッ!だがこいつはオレを助けてくれた!その姿は・・・・お前たちの何倍も輝いている!もうルイズはオレにとっての『恩人』なんだッ!」 ルイズは―――――いつしか涙を流した。 いままで、『ゼロのルイズ』と馬鹿にされ続けた自分を、親からも上の優秀な姉たちに比較され涙をのんできた自分を、やっと理解してくれた人間と出会えた!そのため涙を流したのだッ!辛かったルイズは今、嬉しさで涙を流せたのだッ! 「ブチャ・・・・ラティ・・・・・。」 「だからこそ!オレはこんなところで倒れてはいけないッ!ギーシュ。お前からは確かに素晴らしいほどの『覚悟』を・・『黄金の精神』を感じた・・。だがそれはルイズの今の行動を嘲っていい理由にはならないッ!!」 ブチャラティは今ッ!かつてネアポリスでジョルノと出会った時のような気持ちになったッ! 折れそうになった覚悟を!『黄金の精神』を取り戻したのだッ! ルイズのプライドを捨てての行動は!ブチャラティの心をみたび蘇らせたッ!! そして――――ブチャラティは剣に手をかけたッ!! 「おいちょっと待て。さっき言ったな?それを抜いたら攻撃を叩き込むと!」 ギーシュが再び造花に手をかける。 「ブチャラティ!もういいわッ!さっきの言葉だけで十分嬉しかった! これ以上傷つく必要ないじゃない!!」 「いいや・・・・それでも・・・オレは戦う・・!お前の覚悟を見た以上、オレが倒れているワケには いかないッ!!」 剣を抜いたッ!! 「抜いたな・・!つまり君はまだ戦う意思があると『行動』で示したわけだ・・・!」 ギーシュが再び集中を始める! 「なんで!?なんで戦うの!?平民がメイジに負けたって、恥でもなんでもないのよ!?」 「恥とかそう言う問題ではない。この決断はオレが『正しい』と思ったからやったんだ。」 「え?」 ブチャラティは剣を構え、スタンドを、S・フィンガースを発現させる。 ズキンッ! 「クッ・・。後悔はない…こんな世界とはいえ、 オレは自分の『信じられる道』を歩いていたい!!」 「いけっ!"ワルキューレ"!」 ワルキューレが襲い掛かる。その時。―――――――――左手が輝いた。 ―※― 「なるほど・・・。その青年のルーンを調べに調べた結果、 それにたどり着いたということじゃな?」 オスマンがコルベールに言う。その真剣な目つきはいつもの茶目ッ気ある行動からは予測不能だっ! 「ええ・・・。彼の左手に現れたのは、この『始祖ブリミルの使い魔』にかかれたこのルーンでまちがいありません。」 そう言って指したページにかいてあったものは、ブチャラティのルーンと同じ! 「彼のルーン・・・それは『ガンダールヴ』の物と同じルーンなのです!!」 「『ガンダールヴ』か・・・・。」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・ 「だが、コルベール君・・。『ガンダールヴ』はただの使い魔ではない・・・。 これによると、『ガンダールヴ』は、始祖ブリミルの詠唱時間の長い呪文を唱えている間の 守護者と聞いている・・・。そんな使い魔がミス・ヴァリエールの使い魔になったのか?」 「私も・・・疑問に思いました。ですから実は召喚時、"ディテクト・マジック"で彼を調べさせて もらったのですが・・・。」 コルベールは言葉を詰まらせた。 「その結果は、契約前と契約後では結果が分かれましたが・・・。どちらも『異常』としか思えませんでした・・・。」 「何っ!?」 「『異常』とは・・・どのように異常だったのかね?」 「まず契約前・・・。彼は一見我々と同じ人間ですが・・・。契約前の彼は、精神エネルギーと、生命エネルギーにおいて、あきらかな『異常』がみられました。」 「精神と・・・生命エネルギー?」 「精神エネルギー・・・。これが、我々の使う魔法のそれとほとんど同じだったのですッ!!」 「む・・。つまり彼は“メイジ”だとでも言いたいのか?」 「いいえ。全くの別物です。我々の場合は、杖などの媒体を用いて、自らのエネルギーを 魔法へと変えていますが彼は違う。彼の場合は、精神エネルギーそのものが魔法とよく似た波動を放っているのですッ!!」 オスマンは水パイプを吸いながら言う。 「精神エネルギーそのものが魔法だと・・?それじゃあまるで“先住魔法”・・。」 「『エルフ』・・・ではありませんよ?彼の身体的特徴は全て我々と同じものです。 つまり、彼は『何者でもない』。平民でもメイジでも・・・エルフでもないのです。 そして生命エネルギーのほうだったんですが・・・。」 「どうだったんじゃ?」 オスマンが息を呑む。 「『ゼロ』でした。」 「何!?」 「正確には、“ディテクト・マジック”でさえ認識できないほど生命エネルギーがなかった・・。 どの道、あの時の彼は『死人』も同然だったんです・・・・。」 コルベールが汗を拭きながら言った・・。 「死人・・・だったじゃと・・?」 ドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・・・ 「ですが契約後。そのときの結果は大きく変わりました。まず生命エネルギーが戻っていたんです・・・。その代わり、妙な反応が『二つ』に増えていた・・・・・。」 「それが・・・・ガンダールヴということか?」 「ええ・・・・。」 オスマンがコルベールを見据え、しかししばらく黙りこくってから言った。 「スマン・・・。君の言い方じゃと、『彼はもう死んだ人間だったが、ミス・ヴァリエールの召喚によって 一時的に復活し、その後契約で命を取り戻したあげくガンダールヴになった』と聞こえるのじゃが・・・。」 「そういうことになります・・・。ですが学院長・・。『その結果』が意味することは・・・。」 コルベールがどこか悲しげな表情で言った。 「うむ・・・。」 オスマンは背を向ける。そして言った。 「彼とミス・ヴァリエールの間に出来た“絆”はこの世で最も美しいのか?それとも最も残酷なものなのか?生憎こんな老いぼれになるまで生きておるのに答えが出せん・・・。」 「私もです・・・・。」 「彼ほど、この言葉が似合う者も珍しい・・・『運命の奴隷』と言う言葉が・・・。 コンコン。 ふとノックの音が聞こえる。 「誰じゃ?」 「私です。オールド・オスマン。」 ミス・ロングビルだった。少々息を切らしている。 「ヴェストリの広場で決闘をしている生徒がいるようです。大騒ぎになっています。 止めに入った教師がいましたが、生徒達に邪魔されて、止められないようです。」 オスマンは、髭が揺れるほど深いため息をついて言った。 「まったく、暇をもてあました貴族ほど、性質の悪い生き物はおらんわい。で、誰が暴れておるんだね?」 「(アンタもよ!クソジジィ!)まず一人は、ギーシュ・ド・グラモン。」 「なんと・・。あのグラモンところの馬鹿息子か。思えば親父も色の道では剛の者じゃったが息子もその血を深く受け継いでいた・・。どうせ女がらみじゃろう。」 「いえ、もう一人はミス・ヴァリエールの使い魔です!教師たちは、『眠りの鐘』の使用許可を求めております。」 「アホか。たかが子供のケンカくらいを止めるのに、秘宝を使ってどうするんじゃ!放っておきなさい!」 「わ、わかりました・・・。」 ガチャン。 「オールド・オスマン・・・・。」 「うむ・・・。わかっておる。ワシらも行かなくては・・・。」 ―※― 「ワルキューレ!容赦などするなッ!再び立ち上がった以上、確実に再起不能にしてしまえッ!!」 ワルキューレが襲い掛かるッ!その時ブチャラティは!? (何か・・・おかしいぞ・・?) 彼は自分の感覚に違和感を感じた。『周りがゆっくり見える』のだ。 (これは・・・そう。かつてジョルノと戦った時に起こったあの感覚と同じ・・・。) ワルキューレが迫るッ!もう逃げ場がないッ!! 「ブチャラティ!!・・あれ?」 ルイズは自分の目をこすった。だが見えるものは変わらない。 (あれ・・?何アレ・・・?なにか・・・・ブチャラティの後ろに・・うっすらと・・誰かがいる・・?) ルイズの目には、ほとんど透明に見える。だが『それ』は確かにいる。そしてソイツの左手には、ブチャラティと同じルーンがあったッ!! 「終わりだぁぁ!!!」 「――――いや。『アレ』とは違う。」 ズバッ!バキズカッ!! 「な、何ィーーーーーーーーーー!!!」 ギーシュは何が起こっているのか理解できなかった。 ほんの一瞬!ブチャラティはほんの一瞬でワルキューレの3体は切り崩しッ!! 4体はジッパーを使うことなく砕き割ったッ!! 「やはり・・・。あの時とは違い、オレ自身がそのままゆっくり動けていた・・! 今度は間違いない・・・!本物のパワーアップが起きているッ!!」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・ 「何・・・?何なのあの『霊』のようなもの・・・。ブチャラティ・・・アンタ一体・・?」 「よくわからないが・・・。オレの“スティッキィ・フィンガース”! まだ動ける・・・。まだ戦えるみたいだッ!!」 ルイズに見えているモノとはもしや・・?そして黄金の精神を取り戻したブチャラティ! 次回、とうとう決着ッ!! to be continued・・・⇒
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/448.html
おれは今広場に倒れている。 原因は簡単だ。ダメージを受けすぎた。 甘く見たのがいけなかった。 たかが錬金でなにを大げさな、と思っていた。 まさかあれほどの威力を持っていようとは。 アレがあんなに強かったとは。 あの時引いていれば… こんなおれをみたらポルナレフは何というだろうか。 アヴドゥルはイギーには無理だったとか言うのだろうか。 ジョセフじいさんは「OH MY GOD!」とかアメリカンなコメントをするのだろうか。 花京院は……あまりアイツとは行動してなかったが一応心配はしてくれるだろうか。 承太郎は何も言わず、クールに対策を練るのだろうか。 だがおれにどうしろというのだ。 錬金して金属に変える。 それがあんなに強くなるなんてだれが想像できる? そもそも何で石ころが爆発するんだ! ルイズのヤツ、何で自分の使い魔にこんなダメージを! おれが何をしたっていうんだ! え?決闘?ああ、そんなのあったね。勝ったよ。 医務室からの帰りにふと夜風に当たりたくなって広場にいる。 寝転がると芝生が気持ちいい。 そのままのどかに時間をつぶ…せなかった。 なんかやたらとデカイゴーレムが現れたのだ。 どうしておれの平穏は長続きしないのだろう。 激しい『喜び』があって…それでいて強い『楽しみ』もある…… そんな『王様のような生活』こそ、おれの目標だったのに……… ああ、なんておれはかわいそうな犬なのだろう。 そう思っていると、おれはあるものを見つけた。 ゴーレムに乗っている人間、それも女だ。においで分かる。 ならばすることは一つだ。 「パンツ見に行こう!」 おれはゴーレムの真下に行く。 だがよく見えない。もっとよく見えないか目を凝らしていたのだが いつの間にかゴーレムが壁に穴を開けていたらしく、その穴から中に入って行った。 だがすぐに何かを持って出てくる。 そしてゴーレムに再び飛び移り、そのままどこかへ行った。 だがおれは飛び移る時にしっかりと見ていた。 「白で確定だな」 でもあの女は黒のほうが似合うだろうな。カンだけど。 さて、翌日おれはルイズにこんなことを言われた。 「ちょっと森にフーケ捕まえに行くわよ」 「フーケ?なにそれカブトムシの種類?」 「違うわよ『土くれのフーケ』っていう盗賊よ。昨晩学校の秘宝を盗んでいったのよ」 あのゴーレムの女か 「でも何でルイズが?」 「ん?それはね…」 どうやらルイズも別の場所からアレを見ていたらしい。 そして事情聴取をされ、学院で捕まえよう! という事で『フーケ討伐隊』が結成された、けど誰も志願しないのでルイズが志願したらしい。 「…というわけよ。分かった?」 「まあ、大体は」 「じゃあ行くわよ。いい?」 「イヤだ」 「答えは聞いてない」 結局おれは行く事になっちまった。 集合場所に行くとキュルケと青髪の女(タバサというらしい)もいた。 そして馬車に乗るのだが (あれ?こいつフーケじゃねえか?) おれの鼻はもうフーケを見つけていた。 なるほど、どういうことか大体分かったぞ。ならばすることは一つだ。 「御者のねーちゃんイイ尻してるねー。パンツ何色?」 To Be Continued…
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2574.html
反省する使い魔! 第八話「情報交換×スタンド・レッスン」 音石はルイズ、ミス・ロングビルの案内の元 現在、トリスティン魔法学院、学院長室にいる。 部屋の中は隅に本棚、壁には一枚の鏡と絵を並べているといった いたってシンプルなものだった。 「学院長、連れてまいりました」 「うむ、ご苦労じゃったのミス・ロングビル …さて、はじめましてオトイシ君。わしがこのトリスティン魔法学院 学院長のオールド・オスマンじゃ」 「………………………」 音石は無言だった、オールド・オスマンが挨拶をしても ただ黙っていたのだ。 当然、ルイズはそんな使い魔の反応を黙ってはいなかった。 「ちょっとオトイシッ!学院長オールド・オスマンが 直々に挨拶してるっていうのにだんまりだなんて 無礼にも程があるわよ!!」 「ふぉっふぉっふぉ、別にかまわんよ。ミス・ヴァリエール」 「ですが学院長!」 「彼の現状も察してあげなさい」 「…………わかりました…… あ、でも学院長……その…決闘の件なんですけど…」 「ふむ、その件なら先程、君らが来る前に コルベール君と話し合ったんじゃが……」 ルイズは息を呑んだ。理由はどうであれ、自分の使い魔である平民が 貴族に危害を加えたのだ。どんな罰を受けてもおかしくはなかったし そもそも魔法学院では決闘自体が禁止されている。 下手をすれば退学処分もありうるんじゃないかと不安になっているのだ。 しかし………。 「不問じゃ」 「え?」 ルイズは一瞬、オスマンがなんと言ったのか理解に遅れたが 飲み込むと同時に喜びと疑問が込み上がってきた。 「不問って……ほ、本当ですか、オールド・オスマンッ!?」 「ふむ、話は大体聞いておる。 今回の事の発端はギーシュ・ド・グラモンの二股から始まった事じゃ ましてやその罪を無関係な給仕に擦り付けつけるなど笑止千万、 君の使い魔はあくまで人助けにをしたにすぎんよ」 「で、ですが…。仮にも相手は貴族、 もしもこの事がギーシュの実家に知れたら黙ってはいないはずです。 それに元々、決闘は禁じられていますし……」 「それはあくまで貴族同士の場合じゃよ、ミス・ヴァリエール な~に、安心せい。 二股を揉み消すために無関係な給仕に罪を着せ、 あまつさえ、それを助けた平民に決闘を挑み敗北した などという情けない事実をグラモン家に知られたら一番困るのは ギーシュ本人のはずじゃ、例えグラモン家が抗議してこようと 適当に追っ払ってやるわい、ふぉっふぉっふぉっふぉ」 オスマンが笑って答えるが それでもルイズは胸を撫で下ろすものの それでもまだ不安なところがあった。 「で、ですがオールド・オスマン… 理由はどうであれ、先に手をあげたのは私の使い魔です!」 「……ミス・ヴァリエール、君は自分から罰を受けたいのかね?」 「い、いえ!?そういうわけでは………」 「確かに先に手をあげたのは君の使い魔じゃ、 じゃがのミス・ヴァリエール、彼がミスタ・グラモンに 蹴りをかましたのはミスタ・グラモンが君を侮辱したからじゃ、 主人を侮辱され使い魔が怒った、別に珍しくもなかろう? それに、女癖の悪いミスタ・グラモンにはちょうどいい薬じゃわい」 ルイズは驚いた、不問になったこともそうだが 一番驚いたのはオールド・オスマンが言った一言だった。 「え?……ギーシュが…私を侮辱したから怒った? ……オトイシ、それ…本当なの?」 意外そうに目を見開かせルイズが隣にいる音石を見上げた、 しかし音石はただ一言……、 「フッ、一体なんのことだ?」 と鼻で笑っただけだった。 「さて………前置きはこれくらいにして そろそろ本題に移ろうかの」 オールド・オスマンが改めて口を開く、 その言葉にルイズだけではなく、 学院長室にいる全員が音石を見た。 オスマンが言う『本題』………、 それはこの場にいる誰もがわかりきっていた事だった。 「オトイシくん、単刀直入に聞こう…… 先程の決闘、ミスタ・グラモンのワルキューレを粉砕した 『アレ』は……なんじゃ?」 「……………………………………」 「……ふむ、では質問を変えようかの 君は………一体何者じゃ?」 「オトイシ、正直に話しなさいッ!ご主人様からも命令するわ!!」 音石はなにかを思いふけるように目を瞑った。 扉の前で待機しているミス・ロングビル、 オスマンの隣に立っているミスタ・コルベール、 椅子に腰をかけ机に手を置くオールド・オスマン、 そして隣で音石を睨むルイズ。 彼ら全員が音石を見る中、10秒ぐらいして音石は なにかを決断したらしく、ゆっくりと目を開け口も開いた。 「話すのは……2人までだ…、 ルイズとあんたには話してもいい、だが… コルベール先生とそこにいる……、ロングビル……だったか? 悪いがあんたらはダメだ。ご退場願うぜ」 「「「なっ!?」」」 音石の発言にオスマン以外の3人は唖然とした。 しかし、オスマンは至って落ち着きながら 音石に質問した。 「ほう…、それはどうしてかの?」 「悪いがそれも言えねェ、 そこにいる二人が出て行かない限りはな…」 「…ふむ、あいわかった。コルベール君、ミス・ロングビル、 そういうわけじゃ、席をはずしておくれ」 「学院長、よろしいのですか?」 「かまわんよ、コルベール君。ワシは彼を信用する」 「…………了解しました」 コルベールは学院長室を退出し、 それに続いてロングビルも部屋を後にした。 「これでよろしいかの?」 「十分だぜ、じいさん」 「ちょっとオトイシ!?偉大なるオールド・オスマンに 向かってそんな呼び方―――」 「よいよい、そう呼んでもらったほうが 親近感が持てるというものじゃ」 「そ、そんなモノでしょうか?」 「そんなものじゃよ、ミス・ヴァリエール おっと、話が逸れてしまったの。ふぉっふぉっふぉ」 笑いながらオスマンはパイプを取り出し、火をつけた。 どうやらお互い固くならず気楽にいこうということを示しているらしい。 音石もそういうことならと部屋の中央に置かれてある 来客用の椅子に腰を下ろした。 ルイズも躊躇ったものの周りの流れに任せたほうがいいと 判断したのか、音石の向かいの椅子に腰を下ろした。 「ふむ、それじゃあひとつずつ質問するとするかの、 まずは…そうじゃな、なぜあの2人を追い出したのじゃ?」 「この『チカラ』ははっきり言ってそう何人にも教えていい シロモノじゃねェんでな…。大体あんな状況じゃあ 気が張りすぎて教える気にもなれねーよ」 「………ほう、気付いておったのか」 「え、え、なに?どういうこと?」 ルイズは音石とオスマンが何のことを言っているのか 理解できず、二人を交互に見渡した。 「わかんねーか、ルイズ?」 「わ、わからないから聞いてんでしょう!? ご、ご主人様にもわかるように質問しなさいよ!!」 「たくっ、しょうがねーなぁ、いいかルイズ? さっきのコルベールとロングビルの二人がいた位置を よーく思い返してみろ」 「え?」 ルイズはなんの事を言っているのか理解不能だったが 頭の中で先程の2人の配置を思い返す。 まずロングビルは自分たちの後ろのドアで待機していた、 続いてコルベールは自分たちと今も向かい合っている学院長の隣……、 「……………あっ!」 「わかったか?よほどオレを警戒してんだろーよ オレをついさっきまで囲んでたんだからなぁ」 「い、いくらなんでも、そうこじつけるなんて無礼じゃない!? たまたまそこに立っているだけだったかも知れないじゃない!?」 「いや…、彼の言うとおりじゃよ。ミス・ヴァリエール」 「そ、そうなんですか!?オールド・オスマン!?」 「気を悪くせんでおくれ、彼が得体が知れないというのも 当然あったんじゃが、ワシはあくまで念入りにという 前提で警戒しておったんじゃ、君の使い魔に 乱暴するなどという考えはこれっぽっちもありゃせんよ」 「そ、そうでしたか…」 「ふむ、しかし…ワシも気になるのぉ オトイシ君、一体どのあたりから気付いておったんじゃ?」 音石がギターの弦をいじりながら答えた。 「なんとなく…ってのもあるんだが、 一番ピンッと来たのはロングビルだな」 「彼女が?…はて、特に怪しい素振りはなかったはずじゃが?」 「オレが一番気になったのはソコじゃねーよ ドアの前で待機していたってところだ」 音石がそう言うとルイズの頭に?マークが浮かび上がった。 「は?どういうことよ」 「確証はないんだがよ~~、あのロングビルって女 じいさんの秘書かなんかだろ?」 続いてオスマンが眉をひそめた。 「ほう、なぜそう思う?もしかしたら教師という可能性も―――」 「ないな、少なからず今まで見た限りじゃあ さっきのコルベール、授業で見たシュヴルーズ、 そして散歩の時にチラチラ見かけた奴ら……、 言っちゃ悪いがどいつもこいつもいい歳こいた中年ばかりだ。 それに比べたら、あのロングビルはどぅおー見たって若い、 それにさっき彼女はあんたに変わってオレとルイズを呼び出した。 それはつまり日頃付きっきりでじいさんの傍にいるってこと……だろ? そんな奴がじいさんから離れた位置にいるってところが 引っ掛かったんだ。ま、さっき言ったとおり確証なんてなかったがな」 音石の話を聞いたオスマン、ルイズは 心のなかで感心した。 この男、見かけによらずかなり頭がキレると………、 「ふむ、なるほど納得した。 では次に、君は一体どこの出身なんじゃ? 君の格好、そしてその手に持つ楽器……… ワシはこの歳になるまでハルケギニア中の ありとあらゆるものを見てきたんじゃが…………、 はっきり言ってそのような楽器は見たことがないし、 君はさっきの決闘の時にも何度かそれを弾いていたが あんな音は聞いたことがない」 オスマンは咥えていたパイプを一旦口から離し、 再度パイプを口につけた。 「こう言っちゃあ何だが、その楽器は我々の文化とは えらくかけ離れておる………、もちろん君自身ものぉ」 オスマンの推理に今度は音石が心の中で感心した。 このじじい、なかなか侮れねーぜ………。 そして音石は決心した、 当初は『スタンド』の詳細を教えるだけと考えたが、 得体の知れない自分の要求にも応じてくれた心優しさ、 そして、少しの手掛かりから相手を探る抜け目のなさ、 このじいさんになら信頼し、話してもいいかもしれない。 …以前の音石なら決してこんな決心はしなかっただろう、 しかし、音石は三年間刑務所の中で あらゆる犯罪者の目というモノを見てきた。 当然犯罪者の目にも個性がある。 信用できる部類と信用できない部類だ、 しかし犯罪者なだけにその目の違いは 普通の人並み以上にはっきりしている。 先程も言ったとおり、 音石はそんな目をしている人間たちを三年間も見てきたのだ。 オスマンの目は信用できる部類だと音石の心が 無意識に決断させたのだろう。 「ルイズにも言ったがよぉ、オレはこの世界の人間じゃねェ ここハルケギニアとは異なる世界、 地球ってトコからおれはルイズに召喚されたんだ」 パイプを咥えていたオスマンが目を見開いた。 「………なんと、それは本当かの。ミス・ヴァリエール」 「えっ?あ、はい!確かに昨夜、そう言ってましたが… まさか本当だなんて…………」 「おいおいなんだよルイズ、やっぱり信じてなかったのか?」 「あんな突拍子も無い話、信じろってのが無理な話よ!!」 「はっはっはっ、違いねーぜ」 音石が笑う一方でオスマンが溜息をついた、 やれやれ、ミスタ・ヴァリエールはとんでもないのを 呼び出したモンじゃとでも言いたそう顔をしている。 しかしある意味、異世界などという突拍子もない話を 落ち着いて飲み込んでいるあたりは流石というべきだろう。 「初めに言っておくがよぉ、オレの居た世界じゃあ 魔法なんてモノは実際に存在しねぇんだよ、 あるにはあるが御伽噺とかそういった空想の中だけの話だ」 「ほう、魔法が存在しない世界か………」 オスマンが興味深げに考え込み、髭をいじっている。 しかしそれでもルイズは腑に落ちないらしい、 納得いかないのか、イライラしている感じが あからさまに顔に出ている。 「魔法が存在しないなんて、とても考えられないわ… 不便な事この上ないじゃない」 「魔法が常識のこの世界の人間なら誰だってそう言うだろうよ…」 「どういう意味よ?」 ルイズが首をかしげ、 音石はため息をついて呆れた。 「ルイズぅ、昨日言っただろうがよぉ~、 この世界は俺がいた世界とは文化が違いすぎるってなぁ、 確かにオレの世界には魔法は存在しねェ、 だが変わりに科学技術っつーもんが発達してんだよ」 「科学?」 ルイズがさらに首をかしげた。 オスマンもはじめて聞く単語に疑問を抱いている。 「科学…ふむ、一体どういうものなのじゃ?」 「あー…、科学っつーのはなー、えーっと…… あーーっ、だめだっ!!いざ説明するとなると どう説明すればいいかよくわかんねェな」 音石は頭を掻いた、科学もないこの世界の人間に どうわかりやすく説明すればいいのか迷っているのだ。 しかしオスマンはそんな音石の態度を察したのか ふむ、まあその話はまた次に機会にするとしようかの と答えてくれた。 「まあそんなわけで、俺のいた世界には確かに魔法は存在しねェ… だが変わりにってったら言い得て妙だが魔法とは似ても似つかねェ 特殊な『チカラ』は確かに存在した」 「それが『アレ』か………」 「『スタンド』、精神力・生命エネルギーが具現化した像(ヴィジョン)」 沈黙が流れた。 ルイズもオスマンも何かを考えているのか ルイズは音石を見ながら、オスマンはパイプを咥えながら ただ黙り込んだ。 不意にオスマンのパイプを見ているうちに 音石はルイズに召喚される前にタバコを買ったのを思い出し、 上着のポケットにしまってあったタバコを取り出し 一緒に買ってあったライターで火をつけた。 ルイズからそれなんかのマジックアイテム?と聞かれたが 音石はライターっていう特殊な仕掛けで火が出る道具だ と簡単に説明するとルイズは…そぅ、と小声で吐き捨てた。 「ふむ、亜人ではなく 精神が具現化した像(ヴィジョン)か……… 長生きしてみるもんじゃ、まさかこの歳になって 異世界の住人の『チカラ』に出会えるとは…、 世の中捨てたモンじゃないのぉ」 「………説明を続けるぜ、スタンドには 人間と同じように個性みたいなもんが存在するんだ」 「個性?精神力が具現化した『チカラ』なんでしょう? なのに感情や意思なんて存在するの?」 「そういうスタンドも存在するらしいぜ? まあ、オレも調べただけで実際に見たわけじゃねーがな… てゆーかオレが言いたい個性ってのはそんなんじゃねーよ。 スタンドは人によってそれぞれ異なるってことだ」 「つまり、人によってスタンドとやらの 姿かたちは様々っということかの?」 「へェ、さすがに察しがいいじゃねーか まあ、口で説明するよりも見てもらったほうが早いな」 すると音石が立ち上がり、視線を机に向けた。 「『レッド・ホット・チリ・ペッパー』」 音石が口を開いた瞬間、机の上に 話題のスタンド、『レッド・ホット・チリ・ペッパー』が発現した。 「きゃあっ!!?」 「おおっ!!?」 ルイズもオスマンもさすがに 獰猛な顔と姿をした『レッド・ホット・チリ・ペッパー』 いきなり現れたことにより驚きの声を上げたが、 机の上に立っていたチリ・ペッパーが よっこらせと言わんばかりに机の上に腰を下ろし 腕を組み、胡座をかいている姿を見て 危険性はないと判断した。 二人とも一応危険性はないのは最初からわかってはいたのだが 先程も言ったように、チリ・ペッパーの獰猛な顔や姿を いきなり見せられたら警戒………というよりも びびるのは当たり前なのかもしれない。 「こいつがおれのスタンド、 『レッド・ホット・チリ・ペッパー』だ」 「ふ、ふ~む、間近で見ると迫力あるのぉ~。 しかし、なるほどの…、間近で見て納得したわい 魔力も感じなければ実体感もあまり感じんのう」 「ねえオトイシ、あんたの居た世界じゃあ 誰もがこのスタンドってのを出せるの?」 『レッド・ホット・チリ・ペッパー』をまじまじ眺めていた ルイズの質問に音石がおっ!と声を上げ、 パチンッと指を鳴らし、ルイズを指差した。 「なかなかいい質問じゃねーかルイズ さっきも言ったが、スタンドってのは特殊な『チカラ』だ。 それを扱える奴のことをスタンド使いと呼ぶが、 誰もが扱えるわけでもないし、ましてや 世間に知れ渡ってるわけでもねーんだよ」 音石の答えにルイズは疑問に思った。 「知れ渡っていない?それは変じゃない? だって、魔法が存在しない世界でこんなのが 現れたらあっという間に広まるはずじゃあ……」 「スタンドはスタンド使いにしか見えねーんだよ」 「ええっ!?」「ほう………」 ルイズの驚きの声とオスマンの渋い声が同時に上がった。 「え…、でも私たちにははっきりと見えるわよ!?」 「ふむ、恐らく我々の世界では精神力を魔法で 扱っておるからじゃろう、そう考えれば説明がつく」 「あ……。な、なるほど…さすが学院長…」 「今日の授業で聞いたばっかだろ」 「う、うっさいわね!! ちょ、ちょっとうっかりしていただけよ!!」 「左様でございますか………、おっと、話がずれちまったな。 スタンドってのは個人によってそのデザインが違うし ちょっと特殊な能力があるんだ」 「ほほう、特殊な能力とな」 オスマンが興味深そうに呟くと、 『レッド・ホット・チリ・ペッパー』に目を移した。 もちろんルイズもである、するとルイズは 『レッド・ホット・チリ・ペッパー』を眺めていると あることに気付いた。 「特殊な能力…、 この『レッド・ホット・チリ・ペッパー』……だっけ? 決闘で見たとき、今みたいに体が光ってると思ってたけど、 よく見ると何かを身に纏ってるように見える…… これ……、もしかして雷ッ!?」 「半分は正解だな。まあ、雷なのは雷なんだが………。 正確に言えば、こいつは電気と同化してるのさ」 「………ねえ音石、電気って何?」 「あー…、そういやここの文化ほとんど魔法頼りなんだよなぁ」 ルイズたちが電気を知らないのも無理はなかった。 例えば、ここに燭台があるとしよう。 地球の文化ならわざわざ燭台に歩み寄り、 蝋燭などに火を灯さなければならない。 しかし、この世界では魔法を唱えるなり、 魔法で作られた特殊な道具を使えば一瞬で 火を灯すことができてしまう。 つまり魔法の活用性の良さが仇になっているのだ。 そのせいもあってか、ここハルケギニアは 今の地球のようなあらゆる道具の技術の発達によって 生み出された科学技術がないのはもちろん、 人工で電力を生み出すことなど魔法以外ありえないのだ。 「電気ってのは…そうだな、人工で生み出した雷。 簡単に言えばこんな感じだな もちろん、魔法はなしだぜ」 「魔法を使わず雷を生み出す!? あんたの世界じゃあ、そんなこともできるの!?」 「まあ、待てよルイズ。俺の世界の話は また今度じっくりしてやる。今はスタンドの 話に集中しよーや」 「え、…あ……、うん……」 ルイズは戸惑ったものの確かに音石の言うとおり、 いちいち音石の世界に質問をしていたら日が暮れてしまう。 ルイズはそう判断した。 「ふむ、つまり君のスタンド、 『レッド・ホット・チリ・ペッパー』は その電気という雷と同化する能力というわけじゃな。 それについてはわかったんじゃが…、 しかし、一体スタンドとはどうやって身につくのじゃ?」 「オレが知る限りじゃあ、理由は2つある。 生まれたときから身につけているやつと……、 ある特殊な『弓と矢』で貫かれたやつ……、 オレは後者に値するがな」 「特殊な『弓と矢』? それに貫かれたら誰でもスタンド使いになれるの?」 「いや、あくまで確率の問題だ 貫かれてそのままおっ死ぬ奴もいる」 音石はこの時、杜王町で『弓と矢』を使い 多くの犠牲者を出した虹村形兆と、 その形兆を殺し、『弓と矢』を使っていた 自分の過去のことを思い出していたが、 ルイズとオスマンに言ったところで意味がないと 判断し、あえて話さないことにした。 「まあ、大体こんな感じだな。 これで十分か、じいさん?」 「フォッフォッフォ、むしろ十分すぎるくらいじゃわい。 ふたりとも時間をとらせてすまんかったのう、 もう部屋に戻ってもかまわんよ」 「わかりました…オトイシ、いくわよ」 「はいよ…」 ルイズの後に続くように音石も立ち上がり、 『レッド・ホット・チリ・ペッパー』をおさめ、 扉に向かい学院長室を後にしようとしたが… 「オトイシ君、最後にひとつ聞きたいんじゃが…」 「ん?」 半開きの扉を掴み止めながら、音石は首を捻らせ 後ろを向いた。その時見せたオスマンの顔は 今まで以上に真剣さを物語っていた。 「君は……、なぜ異世界の住人でありながら ミス・ヴァリエールの使い魔を務めてくれるのじゃ? 彼女になにか恩でもあるわけでもないじゃろうに……」 このオスマンの質問に、一瞬音石のそばにいる ルイズも不満になった。たしかにいくら 召喚されたからといって、異世界の人間である 音石が自分の使い魔をする義理なんてどこにもないからだ。 しかし、音石からは意外にも素っ気無い言葉が返ってきた。 「別に理由なんて特に考えてねェよ、 まっ、強いて言うなら………、 おもしろそうだから………だな」 音石の答えにオスマンもルイズもきょとんとした 顔をしながら、目を見開いたが すぐにオスマンが顔を戻し、笑顔で笑い始めた。 「ふぉっふぉっふぉっふぉ! なんとも気さくな男じゃわい、 呼び止めてすまなんだな、もう行ってよいぞ」 そのままルイズが失礼しましたと声を上げ、 二人が階段を下りる音が遠ざかっていった。 二人が学院長室を後にすると オスマンは自分の机の引き出しをひとつ引いた。 「伝説の使い魔『ガンダールヴ』か……、 まさか異世界の住人だったとはの……。 ん?まてよ…、そういえば……」 オスマンが何かを思い出したのか、 立ち上がり、学院長室を後にした。 しかし、引き出しを閉め忘れたままである。 そこには、先程コルベールが持ってきた本、 『始祖ブリミルと使い魔たち』とその上に 音石のルーンを書き記した紙が置かれていた。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1256.html
星屑「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」 DIO「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!」 スト様「ずいぶん老けたなジョジョ、しかも隠し子もいるとは、元気そうで何よりだよ」 隠者「そ、そいつは言わない約束じゃよ!」 トニオ「ワオ、吸血鬼サンニ会ウノハ初メテデス」 仗助「トニオさんよぉー、それより俺にも料理食わせて欲しいッスよー」 康一「お城の生活ってどんな感じなの?やっぱり藁束の布団?」 康一「…う、うん…」(ごめん…ごめんよ僕…) 露伴「素晴らしいッ!平行世界で少しずつ設定が違う!この曖昧さが読者の想像力をかき立てるんだッ!」 アホ「あ…兄貴! 兄貴ィーッ!」 几帳面「泣くな億安!おまえも召喚されて使い魔になったなら背筋を正せッ!」 ミキタカ「形兆さん、泣きながらそんなことを言っても説得力がありませんよ」 猫草「…? ……??」 スミス「何だよフーゴォ~、食堂でキレないでもっと上手くやれよー」 フーゴ「…誰のせいだと思ってんだァー!」 スネイク「騒ガシイナ、ホカノ世界ハ皆コウナノカ?」 白蛇「プッチガ居レバ、ココニイル皆ヲコレクションスルンダガナ…」 育郎「あの、みなさん、シエスタさんがお菓子を届けてくれたんですが」 ジャイロ「ニョホ!一番大きいケーキを貰うぜ…ん?」 ジョニィ「大きいケーキを取ったはずなのに…ケーキが元の位置にあるッ!?」 リンゴォ「キッカリ六秒時を戻した…ケーキは元の位置に…まだ決着はついていない」 メロン「じゃあ小さいのから頂きますよ、勝負は勝手にやっていて下さい」 ンドゥール「イチゴの臭い…ショートケーキではない…タルトか」 ドイツ人「我がドイツのバームクーヘンは世界一ィィィ!このケーキは二番目にしてやろう!」 シーザー「シャボン・ソーサー!シャボン玉の上にケーキが乗り口元へと運ぶッ!」 ジョナサン「彼がツェッペリさんのお孫さんか…後で僕は彼に謝らなければならないな」 卿「謝る?逆に考えるんだ、トンペティさんの予言を深読みしたせいで死んだと考えるんだ」 DIO「ウリィィィィィィヤァァァァ!ブッ潰れよォォォォ!…何、く、口の中が苦い!」 星屑「九秒経過した時点で、てめーの口にハシバミ草をぶち込んだ…」 エンポリオは泣いた…自分のケーキが残っていないことに気づき…泣いた。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1835.html
宝探しでギーシュが買ってきた地図は五つ。 いちいち細かく言うのも面倒なのでダイジェストで行こうと思う。 まず一つ目。竜の金貨だ。 これは五つ集めると自分が一人増えるらしい。 どういうことなのかは分からない、偏在みたいなもんか? 竜の金貨があるのはダイナソー陸地と呼ばれる場所だ。 陸地ってのは土地名に使うには正しくない気もするが細かい事は気にしないでおく。 そのダイナソー陸地に着き、地元住民から情報を集めていたらとんでもない事が分かった。 竜の金貨はもう無いのだ! 地元住民のYさん(仮名)が言うには突如現れた赤い帽子のひげ男が『便利だから』と全部とって行ってしまったらしい。 もう無い物を手に入れる事ができるわけも無く、だが次に行くには時間がないのでその日はダイナソー陸地に泊まった。 一日目終了。 二日目。 二つ目は青眼の白龍。 これは龍の形の彫刻とかじゃなくて青い目の白い龍を召還できるお札らしい。 キュルケが言うにはこの秘宝は考えられるとしたらサモンサーヴァントを応用したマジックアイテムらしい。 だがサモンサーヴァントには色々と制約があるため、そんなものはまず存在しないとも言っていた。 だが実際に存在しているのだ。この場合は未知の技術か真っ赤な嘘かのどちらかだろう。 それも実際に見てみればハッキリする。 その青眼の白龍が祭られている神殿に着いた。 だが中には何も無かった。 あるのはただの破壊の跡。 鋭い爪によって抉られただろう壁。 堅い尾によって倒れたと思われる柱。 この傷跡をみればここで龍が暴れただろう事を想像するのは容易かった。 少し離れたところにある壁には何か文字が書かれていた。 近くにいたギーシュが読み上げる。 『これが青眼の白龍か!ウワハハハー!すごいぞーカッコいいぞー!』 どうやらこの龍を手に入れたヤツはどうしようもないヤツらしい。 ギーシュが続きを読む。 『龍を一度戻したらもう出て来なくなってしまったのですがどうすればいいのでしょうか? 分かる人は教えてください。もちろん報酬は出します。 レコン・キスタ総司令官 オリヴァー・クロムウェル』 おれ達は次の場所へと向かった。これはほっといても良いや。 三つ目はブリーシンガメン。 これは首飾りらしい。 これがある寺院はオーク鬼が住み着いていたのでそれを倒す必要があり、 それを終わらせ、中を調べてみたのだが見事なまでに何も無かった。 ギーシュはブリーシンガメンを使ってワルキューレを強くするつもりだったらしくちょっと落ち込んでいた。 「やっとクラスチェンジできると思ったのに…」 まあまあ、スターランサーの方が使い勝手は良いしさ、そっちにするチャンスだと思えよ。 四つ目は退魔の剣らしい。 コレを抜けるのは真の勇者だけだ! みたいなことが地図には書いてあるのだが…これは宝の地図と言うよりは観光パンフレットだ。 その証拠に剣が祭られてる神殿には金を払えば普通に入れるし台座に刺さってる剣を抜く事だってさせてくれた。 だがおれにもキュルケにもタバサにも抜けなかった。 それにしてもおれが何も言われず挑戦できたのには驚いた。 最後にギーシュがチャレンジ。 どうせ抜けないと分かっていてもこういうのはワクワクするらしく顔を輝かせている。 そんなギーシュを見ることもなく次の相談をするおれ達。 全く関係ない人たちと思われても仕方ないくらいのスルーっぷりだ。 おれ達がもう遅いし今日はここに泊まろうと決めたところでギーシュが台座から降りてきた。 だが様子が変だ。 表情がポルナレフのAAみたいになっている。 「あ…ありのまま今起こった事を話すよ!」 台詞までそのままだった。 「僕は剣を抜いたら七年後の世界に飛ばされていてその世界は大変な事になっていて僕がそれを救ったんだ!」 ハイハイワロスワロス。 二日目終了。 三日目。 五つ目にして最後は竜の羽衣。 これを身に着けたものは空を飛べるらしい。 だがはっきり言って必要ない。 だって自力で飛べるもん。紙飛行機みたいに舞うだけだけど。 それでも売れば金になる。 そしておれ達は竜の羽衣があるタルブの村までやってきた。 タルブの村はだだっぴろく綺麗な草原があり、のんびりとした所だ。 おれはこの草原の匂いを嗅いだ事があるような気がする。何故かは分からないが。 これが最後でかつ戦闘も無さそうと言う事でみんなもリラックスしている。 おれは使いそうにないデルフを外し、シルフィードに預けた。 キュルケはこうも言っていた。 「ルイズも来れば良かったのに…」 最近のキュルケはルイズの心配をしている。確かにちょっと様子が変だからな。 おれも昨日の夜キュルケに色々と聞かれたのだが、おれはそこまで気にするほどの話じゃないだろうと思っている。 で、おれが他のヤツに相談したらどうだ?と聞くと 「『自分』にも相談したんだけどやっぱり使い魔である貴方も無視できないでしょう?」 と言われた。なるほど、正論だ。 さてそんな風に気分転換に丁度良いタルブの村だが、おれ達は休暇や観光で来たのではなく冒険に来たのだ。 とりあえず話を聞くために人間を探す。 丁度道の向こうから女が来たのでそいつに話を聞こうと近づく、 おれ達貴族が近づいたのを見て、大名行列みたいに脇にそれ頭を下げる。 素朴な感じで明らかに村娘といった娘だが、かなり胸がデカイ。 そして何故だかおれはこいつがメイド服を着ている姿を思い浮かべてしまうのだ。 その理由はすぐに分かった。草原の匂いの謎と共に。 「よう、シエスタ」 その女はシエスタだった。 メイド服を着ている姿を思い浮かべるのもいつも着ているのだから当たり前。 そして草原の匂いはおそらくここがシエスタの故郷だからだ。 匂いってのはそいつが何処に住んでいるかと、何処で育ったかで違ってくる。 だからシエスタの匂いとこの草原の匂いが重なり、前にこの草原の匂いを嗅いだように感じたのだ。 で、次がこの推理をした名探偵イギーへのシエスタの反応。 「イギーちゃん!?」 『ちゃん』付けだった。 いつもはおれが使い魔だからか『さん』なのに。 きっと今までも心の中ではそう呼んでいたに違いない。 シエスタに会ってからの話は早かった。 おれ達が竜の羽衣を探していると言ったら、それはシエスタの家にあるものだがインチキで名前だけの秘宝だと言う事を教 えてくれた。 それでもここまで来たのだし、一応見ておくことになり、 寺院にある実物を見たのだが、これがビックリ! 飛行機だった! 「まったく、こんなものが飛ぶわけないじゃないの」 キュルケが言い、ギーシュも頷く。 「これはカヌーか何かだろう?それに鳥のおもちゃのように、こんな翼をくっつけたインチキさ。」 「……」 そして相変わらず本を読んでるタバサ。 誰一人としてこれが飛ぶとは思ってないらしい。この馬鹿共が、科学を舐めるな。 ちょっと説明しようとも思ったが、今はもっと情報が欲しい。 おれはシエスタに話しかける。 「シエスタ」 「何?イギーちゃん」 「これについてもっと教えてくれ」 シエスタへの質問の結果、これはシエスタのひいおじいちゃんの物で、そのひいおじいちゃんはこれで飛ぶ事ができなかっ たという事が分かった。 そしてひいおじいちゃんのお墓があると言うのでちょっと見せてもらう事にした。 タルブ村の共同墓地の一画に他の白い石でできたものとは違う、黒い石のものがあった。 それがシエスタのひいおじいちゃんの墓だった。墓石には墓碑銘が刻まれていた。 「ひいおじいちゃんが死ぬ前に自分でつくったそうよ。異国の文字で書いてあるから、 誰も銘が読めなくって。なんて書いてあるんだろうね?イギーちゃん」 さっきからちゃん付けが定着してしまっている。言葉遣いももう友達へのものだ。 「海軍少尉佐々木武雄、異界ニ眠ル」 「え?イギーちゃん読めるの?」 「まあな」 話す事や書く事はできないけど読んだり聞いたりなら六ヶ国語は軽い。 承太郎や花京院、それにアブドゥルと一緒にいたせいか日本語とアラビア語も何とかなる。 寺院に戻ると四人が待っていた。…四人? 「おお!イギー君!」 まばゆく輝くハゲ頭、コルベールだ。何でここにいるんだ? コルベールはかなり興奮している。 「竜の羽衣について君は何か知っている、いや解っているらしいね!?」 多分キュルケ達から話を聞き、そしてそう思ったのだろう。 「是非教えてくれ!」 何でおれが…と前のおれなら思っただろうが、 コルベールとはちょっとした協力関係にあるし、これだって立派な機械だ。 これを応用したものを作るとしても作るのはコルベールだ。知識はあったほうが良い。 そんな訳でキュルケとタバサとギーシュとシエスタは今日泊まる予定の、 そしてコルベールが泊まっている(持ち主の家だかららしい)シエスタの家まで案内され、コルベールとの二人きりでの飛 行機講座は開かれた。 飛行機に触れると左前足のルーンが光り、この飛行機の情報が頭に流れ込んでくる。 そして飛行機が飛ぶ原理やこの飛行機の名前はおそらく『ゼロ戦』で今は燃料がないこと等、今わかっている事や推理した ことを話す。 一通りの事を話し終え、日も暮れてきたところでとりあえず今日は終わりにしようって所でコルベールが口を開いた。 「君は確か異世界から来たといっていたね?」 「ああ、異世界から来た」 コルベールは少し考え、話し出した。 「もしかしたら、君は元いた世界に帰れるかもしれない」 コルベールがこの『竜の羽衣』の存在を知ったのはある伝承からだそうだ。 そしてその伝承によると竜は二匹いたらしい。 その竜は日食と共に現れ、一匹は日食へと消えた。 これはつまり日食が何か関係してるという事。 ゼロ戦に乗って日食に飛び込めば…帰れるかもしれない。 「まあ、証拠なんて一つもありませんがね。けれど、可能性は高いと思われます」 元の世界に帰る。 それは、つまり、あいつらにまた会えるかもしれないという事だ。 しみったれたじいさんが車を運転しながら馬鹿話をして、 そのじいさんのケチな孫がそれを聞き流して、 マヌケなフランス人がそれに笑い、 胡散臭い占い師がそれを聞きながらひょろっちい高校生の事を占ったらヤバイ結果が出て、 その横でおれはガムを食べる。 何が楽しいのかなんて今も分からないけど、楽しかった時を過ごせる。 また、あいつらに会いたい。 これは自分がずっと諦めていた事。 でも諦めきれないから無意識の内に別の目標を作った。 それをする事によって忘れられるように、 『国を作る』そんな事犬にできる訳ないよな、常識的に考えて。 最初は神になるとか言ってた事も会ったけどそれだって本気じゃない。言われた側だってただの誇張表現だと思ってるだろう。 それにおれが帰ることで一つの可能性も伝えられる。 確かアブドゥルと花京院もおれと同じく死んだはずだ。 だがおれはこうしてここに生きている。それは普通にはありえない事だ。 だから花京院とアブドゥルも同じように異世界に飛ばされてるのかもしれない、 もしかしたらハルケギニアの平行世界でルイズの使い魔をやってる可能性だってある。 SPW財団ならこの謎について解明しようとするだろう。 それがもし、上手く行ったのなら。 また、あいつらに会えるかもしれない。 これは嬉しい事だ。 だが、おれは何故だか沈んだ気分でシエスタの家に向かった。 家に入るとシエスタの弟達がやってきた。全員まだ小さい。 そしてそいつらはおれを見て 「犬だ」 一人がおれの体を撫で始めた。 「止めろ」 「喋ったよ」 もう一人なで始めた。だから止めろ。 「可愛いね」 三人目。 「でも元気ないよ」 「じゃあ元気付けよう」 残りも含めて全員でおれの体を撫で始めた。 「おい止めろ!」 だがそう言ってもガキ共はおれの言う事を無視しておれを撫で続ける。 「ああ!もっとやさしく」 一人が胸の方に手を伸ばしてくる。 「そこはダメ!ダメッ!ダメッ!ダメッ!」 何本もの手がおれを撫で回す。 「ああ!やさしくして やさしく!」 トドメとばかりに全員が同じリズムで撫でてくる。 「うああああ!ダメッ!もうダメ~ッ!」 To Be Continued…
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/498.html
部屋に帰ってきたメローネには、新たな試練が待ち受けていた。 それは・・・自らの主ルイズを起こすこと! 「たたき起こすのは・・・駄目だな。後でひどい目に遭いそうだ。 だがただでは起きそうにない・・・。こうするか。」 そう言うとメローネはタイツの中からイヤホンを取りだし、ルイズにつけた。 そしてパソコンに繋げるとiTunesを起動した。 「ん~~・・・悪霊退散~~zzz」 「駄目か・・・これならどうだ?」 「ん~~・・・がちゃがちゃきゅ~と・・・ふぃぎゅ@~~zzz」 「ばかな・・・!起きろよ・・・!これでッ!!」 「やっつぁっつぁっぱり りっぱりらんらん~zzz」 「こいつ・・・!化け物か・・・!仕方がない、最後の手段だ!」 「わひゃあ!あ・・・頭がぁあああ!」 「おはようお嬢様。どうしたんだ?」 「あ・・・メローネか。なんかものすごい音楽が頭の中に・・・」 (チーズのうた 作詞・作曲ジャイロ・ツェペリ・・・いつの間にかiTunesに入っていた。 とんでもない電波ソングだ・・・うかつには聞けん。) ゼロの変態第四話 余の仇名はゼロ 「着替えさせて。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」 「着替えさせてって言ってんの。貴族は使用人がいるときに自分で着替えたりしないのよ。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかった・・・」 メローネは着替えさせている間中自分の中の獣(発情中)を押さえるのに必死だった。 着替えをすませると、2人は食堂へ向かった。 「うほっ、いい食事!」 豪華な朝食をみてのメローネの一言である。もうすこしまともな台詞を吐け。 「そういやここ最近ろくな文句って無かったもんなァ~」 なぜかって?あなた達には理解できるはずだ。 「なにいってんのよ。あんたの食事はこっち。」 ルイズの指さした先は・・・床だった。 そこには堅そうな黒パンとお茶と見間違えそうなスープ。 「感謝しなさいよ。使い魔は普通は外だけど、私のおかげであんたは中で食べられるんだから。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 さすがの彼もこのときはプッツンしかけた。 「・・・外で待っている・・・」 怒りのこもった声でそう言うと、スープを一気飲みしてパンをもって外に出た。 「さ・・・さすがにやりすぎたかしら・・・?だ・・・ダメよルイズ! ここで弱気になったら、ますますあの変態につけこまれるわ!」 一方メローネは使い魔達の中で反省中であった。 あのような仕打ちを受けると、彼らのチームがかつて『組織』から受けていた仕打ちを思い出す。 (こんなことではダメだ・・・冷静さを欠くことは死に直結する・・・。どんな世界でも・・・ この世界ではこれが普通なんだ・・・逆に考えろ・・・ 『他の使い魔達はもっとひどい食事なんだ』そう考えろ・・・) メローネは他の使い魔が肉やらなにやら食べている中で怒りを静めようとしていた。 食堂から教室へ向かう途中、メローネ達の前に1人の少女が現れた。 萌えるような赤い髪、健康そうな褐色の肌。さらに巨乳。 「あらおはよう、ルイズ。」 「あらキュルケ。おはよう。」 「聞いたわよルイズ。変態を召喚したんですってね。さすが『ゼロ』ってとこかしら? それがその使い魔?・・・ふぅん。格好以外はまともそうだけど。」 「ちょっとキュルケ!なに人の使い魔じろじろ見てんのよ!」 言い争いをしている2人を尻目にメローネは彼女とルイズが知り合い、しかも仲が悪いこと、 キュルケという少女、みくるタイプかと思ったが気が強いことなどを理解した。 彼は長門派だし、セクシーな女性よりもかわいい女の子の方が好き(無論両方とも好きだが)なので 特に必要な情報ではなかったが。 「それよりも私、昨日使い魔を召喚したのよ。ま、誰かさんと違って1発で成功したけどね。」 「へーそう。」 「お・・・お前は・・・!」 メローネはキュルケのそばに現れた火トカゲに驚愕した。なぜならそれは先刻メローネが 使い魔達の中にいたとき、親切にも自分が食べていた肉を分けてくれた張本人だったからだ! 「この子の尻尾を見て。ここまで大きくて美しい炎は間違いなく火竜山脈のサラマンダーよぉ。」 「そうかおまえは火トカゲか~。道理で燃えてたはずだ。火トカゲだもんな~」 サラマンダーと聞くと嫌な記憶が蘇るのでやたら火トカゲを連呼するメローネ。ちなみに彼はゼニガメを選んだ。 「あら、あなたもこの子の魅力がわかるのね。そういえばあなた、名前は?」 「メローネだ。・・・それよりもうすぐ授業が始まるんじゃあないのか?」 「あ、そうね。貴方気が利くわ。じゃね、ゼロ。」 そういうと彼女は赤髪をかきあげ、火トカゲと共に去っていった。 「きー!!なによあの色情魔!火竜山脈のサラマンダー召喚したからって調子に乗っちゃって!!」 「まぁ落ち着けよ。あの火トカゲに罪はない。実際アレすごいよ?」 「うるさいっ!あんたご飯全部抜きにするわよ!」 「う・・・それは困る・・・」 あんな粗食あってもあまり変わらないのだが、ご主人様の好感度を下げないためにこういっといた。 さすがは三択恋愛の王者である。 教室にはいると生徒達の視線がいっせいにルイズとメローネに集まった。 メローネは大方ルイズを馬鹿にしているのだろうと予想した。そのうち三割はメローネに向けられていたのだが。 ルイズの言動を予想し、メローネは床に座ると他の使い魔達が集まってきた。 「なんだお前ら、そんなに俺が好きか?じゃあここは一つゲームをしよう。」 メローネはイヤホンをつけるとパソコンを起動させた。授業聞く気はゼロである。 そうこうしているうちに教師が入ってきたようである。メローネはゲームをし始めていたが。 「皆さん、春の使い魔召喚は大成功のようですね。ひとり妙な使い魔を召喚したようですが。」 教師のその一言に教室は笑いの渦に包まれる。 「おい『ゼロ』!『サモン・サーヴァント』ができなかったってそこら辺歩いてた変態つれてくるなよ!」 「違うわよ!召喚したらたまたまこの変態が出てきちゃったのよ!」 「嘘付け!」 メローネは我関せずといった態度で画面を見てにやけていた。ほかの使い魔も釘付けである。 教室が静かになった。どうやら授業が始まったようだ。 教師の名は『赤土』のシュヴルーズというらしい。 メローネはゲームをしながら、魔法には4つの属性があり、メイジにも四つのランクがあること だけは聞いていた。 だが彼も暗殺者の端くれ、教室の空気が一変したのを見逃さなかった。 「バカなっ!ヴァリエールに魔法を使わせるつもりか・・・!」 「退避ー!総員退避ー!」 「はっ!ここはどこだ・・・?次は何が起こるんだ・・・?」 ルイズが魔法を使うことになったのだろうが、生徒の脅え方が尋常ではない。ん?あのオッサンは誰だ? とりあえずメローネは生徒達に習って床に伏せることにした。その顔からは笑みが消えていた。 そのとき、大爆発が起こった。 「ちょっと失敗しちゃったわね・・・。」 そのちょっとで教室は半壊、シュヴルーズは気絶。謎のオッサンは消し飛んでいた。 「「「どこがちょっとだ!」」」 「まったく・・・今日は一段とひどいわね・・・」 そう言いつつキュルケはある疑問を感じていた。あれだけの爆発である。てっきり使い魔達が暴れて 大事になるかと思ったのだが・・・ するとキュルケの隣にいた少女が彼女の服を引っ張った。 「どうしたの、タバサ?」 「・・・あれ」 タバサと呼ばれた少女が指さした先には、使い魔達が恐怖に震えている姿があった。キュルケのフレイムは気絶している。 そして、その中心にいたのは・・・ 「は・・・はは・・・このゲーム、オレの勝ちだ・・・はは・・・」 笑いと恐怖が入り交じった顔をしている変態がいた。 ちなみに彼らがしていたゲームは「誰が『ひぐらしのなく頃に』を見て最後までリタイアしないかチキンレース」である。 「おい・・・ちょっとは手伝ってくれ。というかお前がやれよマスター。」 「ご主人様の不始末は使い魔の不始末よ。さっさと手を動かしなさい。」 ルイズ達はシュヴルーズの遺言により教室の後片付けを命じられていた。 「それにしても・・・『ゼロ』とはそういうことか」 「そうよ・・・。魔法の成功率ゼロ。だから『ゼロ』。」 メローネはルイズの態度で彼女が怒っていることを理解した。 しかもこの怒り方は戦友、ギアッチョと同じタイプだということを。 どんな言葉でも怒りを爆発させるトリガーになりかねない。彼は経験でそれを理解していた。 「・・・いけよ。」 「な、何?」 「ここは俺に任せて先に行け。昼飯を食い損ねたくはないだろう?なぁに、すぐに追いつく。」 「わ、わかったわよ・・・。」 (やっと使い魔というものがわかったのかしらこいつ・・・昼ご飯少しふやしてあげようかしら?) ルイズが去るとメローネはベイビィフェイスの手足を伸ばし掃除を始めた。 端から見るとヘンな機械がぷかぷか浮いている用にしか見えない。ルイズの前では使えないので 独りの方が作業がはかどる。 (・・・彼女は怒ると見境無いタイプだ。自分すら傷つける怒り方をするタイプだ・・・ ああゆうタイプは下手に励ますと怒り出しかねん・・・傷つけても悪いしな・・・) そしてメローネは掃除を手早く済ませると食堂へ向かった。 さらなる厄介ごとを引き起こすことも知らずに・・・
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/735.html
だっ、と、一番に飛び出したのはタバサだった。ルイズとンドゥールも外に 出るが、キュルケは無事だった。かすり傷も負っていない。しかし、安堵の 息をはけない状況だった。 小屋の外に、宝物庫を打ち抜いたゴーレムがいたのだ。ンドゥールがふむ、 と、つぶやいた。 「キュルケ、ロングビルはどうしたの?」 「わからないわ。私を庇ってあれに飛ばされちゃったの」 ルイズはゴーレムの拳を見た。そこらの岩より巨大なそれ、まともに食らっ ていれば死んでいる可能性すらある。 タバサが口に手を持っていく。口笛を吹いてシルフィードを呼ぶつもりなの だったが、それをキュルケが止めた。 彼女はロングビルとろくに会話した覚えはない。それでも庇われた。その恩が、彼女の心に火を燈す。 「ルイズ、また話があるんだけど、」 「なにかしら」 「あれ、倒さない?」 「……逃げるんじゃなかったの?」 「気が……変わったのよ!」 杖を振るい、呪文を唱える。キュルケの目前に火の玉が浮かび、それは徐々に質量を増していき、身の丈ほどのサイズになった。 「食らいなさい!」 キュルケが腕を押し出すと火球はゴーレムの頭に命中した。すかさずタバサ が細い竜巻を生み出しぶつける。しかし効果はない。身震いひとつせずその豪腕をふるってきた。 「いかんな」 ンドゥールが三人を地面に押し倒した。小屋の破壊音。風と砂、木片が舞う。 「腹立つわね。いい案ないの?」 「ある」 ンドゥールはルイズが抱えている箱を指した。 「それを使えばいい」 『破壊の杖!』 ルイズとキュルケの声が重なった。二人は急ぎふたを開いて中から目的のも のを取り出した。 「わたしがやるわ!」 キュルケがひょいっと奪い取った。ルイズは怒りかけたが、自分がやったと ころで失敗するのは目に見えている。いまは屈辱に耐えるときと、歯を食い しばった。 「覚悟しなさいよ……ファイアー、ボール!」 威勢のいい声が山間に響く。 が、なにも起こらなかった。 「ファ、ファイアーボール! ファイアーボール!」 いくら連呼したところで意味はなかった。ゴーレムの姿は消えず、キュルケ が想像する絶大な業火は現れない。ルイズもタバサも戸惑うだけだった。 ゴーレムが腕を振るう。四人はなんとかその攻撃を逃れる。 「なによこれ! どこが破壊の杖なのよ!」 キュルケが毒を吐く。と、横から、 「使い方が違う。やはりこういうものはないのだな」 ンドゥールがそれを奪った。 自分の杖はルイズに預ける。 「デルフリンガー、お前の出番だ。しっかり見ろ」 「やれやれ相棒、もうちょいましな使い方をしてくれよ。ま、要望にはこた えるぜ」 「大体の方向でかまわん」 「あいよ。ま、そんぐらいが限界だかんな」 ルイズたち四人はゴーレムから離れ、ンドゥールの挙動を見つめている。彼 は破壊の杖を肩に担いでゴーレムから距離を離しだした。杖をどうするのか、 皆目見当がつかなかった。 がさり、と彼女たちの背後で音がした。驚き振り向くと、そこにはロングビ ルがいた。 「無事だったのね!」 「ええ。なんとか。さすがに死ぬかと思いましたけど」 そうキュルケに笑い返す彼女は、体が砂まみれであること以外はなにもない ようだった。 「でも、一体どうなっているのです? なぜ破壊の杖を?」 「ンドゥール、使い方がわかるようなんです」 ロングビルは瞳をンドゥールに向けた。彼はデルフリンガーの声に従い、 少しずつ方向を修正している。そして、ある距離に到達したところで彼は立 ち止まった。ルイズの心に声が聞こえる。 (とんだ茶番だ……) それはンドゥールのもの、気づくと同時に破壊の杖が『使用』された。 閃光と爆発、耳と目が一瞬機能を殺された。 ルイズは顔に当たる砂を払い、ゆっくりと目を開いていった。彼女の視界に、 片腕を抉られたゴーレムがいた。 「……すごい」 ロングビルが感歎の声をもらした。目を大きくしばたたかせ、まじまじとそ の『破壊』を行ったンドゥールを見つめている。 ルイズはすぐに駆け寄っていった。 「やったじゃないの!」 「……いや、まだだ」 ンドゥールの言葉通りだった。ゴーレムは多大な損害を受けたが、ゆっくり と地面の土を補給して腕を復元しようとしている。しかし、もう一度胴体に でも食らわしてしまえば、終わる。 「ンドゥールもう一度!」 「―――それは、無理だ」 彼はそういい、大きく咳き込んだ。破壊の杖を持てず地面に落とし、口から は大量の液体を吐いて跪いてしまう。息も荒く、困憊しているようにしか見 えない。 「ルイズ、彼どうしちゃったの!?」 「そんなのわかんないわよ!」 「もしや、破壊の杖を使った代償では?」 焦る二人に対し、落ち着いた声でロングビルがそんなことを言った。確かに、 使用した途端にこうなってしまったのだからそう考えるのが自然だ。ルイズ は意を決し、破壊の杖を持ち上げた。 (今度はわたしがやってやる!) 「ミス・フランソワーズ! いけません!」 ロングビルの制止を聞かず、自身の使い魔がやっていた通りに構えた。代償 を払う必要があろうがなかろうがどうだっていい。ここで体を張らねば貴族 の矜持も誇りも、彼女の意地も消え去るのだ。 狙いをつける。 食らいなさい! 瞬間、彼女の腹部に強い衝撃が加わった。 「人の話は聞いていただきたいものですわ」 「……あ、あなた」 ルイズは腹を殴られた。彼女は咳き込み地面に崩れ落ちた。それを冷めた目 でロングビルが見下ろしていた。 「ミス・ロングビル……」 キュルケが愕然とした表情で見つめる。 「悪いわね。心配してくれたのはうれしかったわよ」 タバサは即座に杖を構えようとした。しかし、 「動かないで!」 破壊の杖を向けられてしまえば従うしかない。ロングビルは気丈にも射殺し そうな視線で睨みあげるルイズをンドゥールのもとに『フライ』という魔法 で運んだ。 「もうわかってるでしょうけど、わたしが『土くれ』のフーケよ」 「なんでわざわざここに案内したのよ」 怒気が含まれたキュルケの声だ。 「これが間抜けなことにね、ぜんぜん使い方がわからなかったのよ。でももういいわ。あんたたちは用済み」 「この……!」 キュルケはわなわなと震えていた。とことん利用されていたのだ。両眼はつ りあがり、拳は血が出るほど握り締めていた。なんと情けないことか。 怒りと悔しさの大火にに身を焦がせる。そんな彼女に、やけに落ち着いた声 が聞こえた。 「なるほど。思ったとおりだ」 ルイズを抱き寄せたンドゥールだった。 「あら、疑っていたのかしら」 「そうだ。なにせこの犯行は俺を知っていなければできないからな」 「その推理、聞かせてもらいたいわ」 ンドゥールはとんとんと、頭を叩き、ついで杖で地面を突いてから答えた。 「襲撃したときにわざわざ魔法を使ってまで足音を立てず、なおかつ存在が ばれないようにしていた。あの俺を狙ったファイアーボールもお前なのだろ う。真正面から乗り込ませたのは囮の意味と、混戦で俺の耳を混乱させ、土 の中に埋めてお前の存在を知らせさせないためだった。ここまでくればルイ ズ、オスマン学院長、それと唯一アリバイがないお前に絞られる」 「お見事。大正解。でもそれならどうしてここに来たのかしら」 「可能性として、ただの内通者かそれとも本当に外部のやつが犯人だという こともあったからな」 「そう。それで話はおしまいかしら」 「終わりだ。長話に付き合ってくれて礼を言おう」 ンドゥールがそう言うとロングビル=フーケは破壊の杖を構えた。キュルケ もルイズも、タバサでさえも身を縮こまらせた。数秒先の未来に存在してい ない自分が想像できた。 それでも、ンドゥールだけは落ち着いていた。彼の腕の中にいるルイズが見 上げると、どことなく笑っているように見えた。 「あともう二つ、かまわんか」 「なに? まあ、いいわよ」 「それを使うのに代償なんてものはいらない。お前の推測は間違いだ」 「え?」 それでは先ほどのことはなんだったのだ。フーケは背中の汗に気づいた。 いやな予感がする。 「あと、破壊の杖という名称は間違い。それは単発式のロケットランチャーだ」 単発式? なによそれは。彼女はそう尋ねたかったが、指に走った鋭い痛み に思わず手を離してしまった。 白魚のような指がぽとりと草の上に落ちた。 傷口からは細い滝のように血液が流れている。 「―――こ、この、くそやろうッ!」 フーケは罵声を浴びせるがンドゥールは涼しい顔をしていた。 「やれやれ、自分のスタンドとはいえ腹の中に数リットルの水をためておく ことには苦労した。おかげで一泡ふかせられたが」 「うるさい! まだ、終わっちゃいないのよ!」 痛みにこらえながら魔法を唱える。フライだ。フーケはそれでゴーレムのそ ばに浮かび、命令を下した。 「やっておしまい!」 ゴーレムは巨体を動かし、今しがた直った腕を振るった。事の推移について いけなかったキュルケとタバサもなんとかそれを避ける。ンドゥールはルイ ズから離れm水を繰り、ゴーレムに大きな穴をあけていく。時にはデルフリ ンガーを抜き、足を攻撃するときもあった。 「おい相棒、やっぱこれ無理だわ」 「だな、役立たず」 「うーん、この扱いのひどさ。なんだかだんだん心地よくなってくるね!」 「よかったな」 軽口を叩きあう。もちろんこの間にもキュルケが炎をぶつけ、タバサが風を 巻き上げるのだが効果はない。このままではジリ貧である。ンドゥールはル イズのもとに戻って尋ねた。 「ところで、自分の杖は持っているか?」 「それはまあ。メイジはこれがないとどうしようもないもの」 「よし。ならばやれ」 ルイズはンドゥールの言葉は理解した。それでも念のために尋ねた。 「なにを?」 「魔法だ」 正気かどうか疑わしい。それでも言われたとおりに杖を構えた。 「なに? なにをつかったらいいの?」 「なんでもかまわん。いつもどおりやればいい」 (いつもどおりって……) それでは失敗だ。だが、『ゼロ』のルイズといえどこれまで失敗ばかりしてきたわけじゃない。あくまでほとんどだ。たまになら、そう、成功した事だってあるのだ。たしか。 彼女は心の中で自身を鼓舞する。 (いまよ。いまできないとなんにもならないわ) 何度も自分に言い聞かせる。だが、体が震えた。失敗ばかりが目に浮かぶ。使い魔の落胆が見えてしまう。呆れる声が聞こえてしまう。お前は駄目だ、失敗ばかりだ、さすがは『ゼロ』だ。 喉が締め付けられる。声が出ないほどルイズは自身の妄想に苛まれている。 「ルイズ」 「……なに?」 「お前に不安があるのはわかる。俺は『あの方』のように安心を与えること はできない。だから頼む。自力で恐怖を乗り越えてくれ」 ンドゥールの言葉。 それを聞いて、ぞくりと体が震えた。 でもそれは心配なんかではない。 血が沸いたのだ。 肉が踊るのだ。 ルイズの心からいま、恐怖も心配も、しみ一つ残さず消え去った。 頼まれたのだ。 必要とされたのだ。 『ゼロ』のルイズを必要といってくれたのだ。 呪文をつぐむ。敵を睨む。 食らえ――! 「ファイアア、ボオル!」 爆発が起こった。 ロケットランチャーほどのものではなく、頭の一部を削る程度のものだった。 またしても失敗だったのだ。 「……ごめん、ンドゥール。わたし、また」 「ああ、まただな」 叱責がくる。 そう思ってルイズは身を固まらせた。 だが、そんなものではなかった。 「よくやった。俺は『これ』がほしかった。土は砂のように舞い上がらない のでな」 フーケ=ロングビルは自身の敗北を察した。 彼女はこれまで学院に潜伏していたのでなんどか授業を拝聴することがあった。 その中でも興味を引いたのはコルベールという変わり者の男のものだった。 ある日、彼は生徒たちにこんな話をしていた。 山彦、それは不思議な現象だった。山で大きな声を出すと、もう一度その声 が聞こえてくる。巷ではこれが山の精霊がお遊びをしているという説が広がって いた。しかし、彼は原因は反射だといった。山の斜面に音がぶつかり、それ が跳ね返ってくるのだと。とある部族ではこの音の反射で距離を測ったりす るということもいった。 つまり、そういうことだ。 いま、フーケの体にはゴーレムの砂がぶつかっている。 山彦の原理と同じだ。 砂が音、フーケが山の斜面。 ンドゥールには、山彦が聴こえている。 「距離も高さもわかった!」 フーケは見た。 蛇のごとき動きで迫る水を。 己の肩が貫かれる瞬間を。 フーケを捕らえ学院に戻ったあと、当然学院のみなが驚愕した。それでもオ スマンは即座に王女へ伝令を飛ばした。これによって王宮に報告する事件の 内容は『土くれ』のフーケを返り討ちにしたというだけとなる。破壊の杖が 盗まれたという事実は関係者以外に知られることはない。 二日後、学院では事態の終結を祝って舞踏会が催された。つい先日にも王女 の歓迎があったためそう派手ではないが心和やかになる音楽が奏でられ、教 師も生徒も一緒になって楽しんでいた。が、ンドゥールはというと、そのパ ーティーに参加することなく学院の外にいた。草むらに座り、杖を地面に突 いて柄を耳に押し当てていた。 冷たい風が吹く。草の波音が広がる。 「相棒よ、一体こんなところでなにしてんだい?」 「耳を澄ましている」 ンドゥールは背中のデルフリンガーに答えた。本来彼は部屋にそのまま置い ていくつもりであったが、あまりにうるさく騒いでいたため渋々つれてきた のだ。 「なにか聴こえるのか?」 「音楽、話し声、足音、虫の鳴き声、風、そのぐらいだ」 「お前さんが聴きたいものはないのかい」 ンドゥールは何も答えなかった。 それからずっと、微動だにせずに座ったまま過ぎていく時間を感じていた。 「あんた、なにしてんの?」 学院を抜けてやってきたルイズがいた。彼女はきらびやかなドレスに身を包 んでいる。パーティーから抜け出してきたのだ。 「……耳を澄ましている」 「あっそ。でも、耳は大丈夫だったのね。あんなうるさい音、間近で聴いた のに」 「あれぐらいなら少しすれば治る。そのために長話したんだがな」 ルイズはしばらくンドゥールを見下ろしていたが、ふいにこんなことを尋ね た。ずっと気になっていたことだ。 「ねえ、ンドゥールは『あの方』のもとに戻りたいの?」 「よくわからん」 「そうなんだ。てっきり当たり前だって答えると思ってたわ」 「複雑なのだ」 ンドゥールは杖を耳から離した。 「俺は『あの方』に敵対するものに敗北した。そして、やつらの仲間には考 えることを読み取る能力を持つものがいるため自ら死を選んだ」 彼がそっと髪を上げた。ルイズは右のこめかみにある、大きな傷穴を見つけ た。自ら、と言ったのだからあの水で貫いたのだろう。彼女は背筋が寒くな った。 「だが、お前に助けられた。あの瞬間、何が起こったのかはわからない。た だ、お前に捨てた命を拾われたのは確かなことだ。だからお前に恩を返す。 そう決めたものの、時々、お声を聴きたくなる」 「寂しいの?」 そのルイズの問いに、ンドゥールは小さく笑った。 「どうだろうな」 「でも『あの方』に会いたいんでしょ? 声を聴きたいんでしょ?」 「それはそうだがもとの場所に戻れば俺は『あの方』を再び守ろうとする。 そうなると再びあやつらと戦うことになる。望んで戦うだろう。しかしそれ は俺の礼儀に反することだ。互いに命を懸けておきながら、やり直しをする などとあってはならないことなのだ」 ふうんと、ルイズはつぶやいた。 「ま、わたしにはわからないわね。だってあんたのこと、全然知らないんだ もん。自分の使い魔だっていうのに」 「特に語ることもない」 「それはあんたが決めることじゃないわよ」 そう言って彼女はンドゥールの手を取った。 「なんだ?」 「踊るのよ。勲章の代わりに主人の相手を勤める名誉を与えてやるの」 「踊りなど知らん」 「かまわないわよ。わたしがリードするわ。足、踏まないでよね」 ンドゥールは静かにデルフリンガーと愛用の杖を地面に置いた。 ぎこちなく踊りを始める。案の定、彼はルイズの足を踏んだ。 めっぽう痛かったらしい。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/759.html
「わからないのか? おまえは「運命」に負けたんだ! 「正義の道」を歩む事こそ「運命」なんだ!!」 「やめろ このちっぽけな小僧がぁあああああああああああああ」 グシャァァ ~~~~~~~~~~~~~~ 子供の使い魔 ~~~~~~~~~~~~~~ 「うわあああああああああ」 「プ、プッチ神父!?」 急に左手に激痛が走り目を覚ますと、見たことのない風景と二つの人影が見えた それは黒服の頭のてっぺんが寂しい男の人と桃色の髪の少女が立っていた 「終わりました、ミスタ・コルベール」 「それでは私は戻りますね」 そういうと寂しい男性何か呟き、宙に浮かび建物に向かっていった 「ここはどこですか?それに今の飛んで行ったのはスタンドですか?」 少女に尋ねると、 「ここはトリスティン学園、あんたは私に召喚されたてさっきの契約で私の使い魔になったの それにスタンドって何? あれはフライ、魔法よ」 「トリスティン・・・・?それってどこですか?それに魔法って?」 「トリスティンも知らないなんて・・・・それに魔法も知らないって本気?あんた一体どこの田舎から来たの?そもそもあんた誰?」「僕の名前は・・・・僕の名前はエンポリオです!」 魔法?何を言ってるんだろうこの子 それにトリスティンってどこなんだろう・・・・? プッチ神父を倒したから魔法なんてものが現れたんだろうか? プッチ神父・・・・あいつは・・・・ 「あ、あんた何でいきなり泣いてんの!?」 エンポリオは泣いた・・・・素数ヲタ・・・あ、神父か、と戦い死んでいった 徐倫、承太郎、アスナイ、ウェザー、そしてえっと・・・男顔の・・・ うーん、誰だっけ?兄・・・兄貴・・・あ、そうだ プロ・・・じゃない エルメェス、エルメェス兄貴だ!の事を思い出して・・・
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/459.html
「宇宙空間だと!?」 眼下に地球を見下ろし虚空の暗闇に浮かぶカーズ! ! このままでは地球へ戻れぬ だがカーズは究極生命体 そのIQ400の超頭脳で 打開策を導き出す その間 0.01秒! 「フンッ!体内から空気を噴出させて!その圧力抵抗で軌道を変え!地球へ戻ってやるわ!」 バリッ!背中から6本の管が現れ空気を噴射した!がみるみる顔が引きつり凍結していく! 絶対零度の宇宙空間ではあらゆるものが凍りつく この時点で致命的なチェクメイト!! 「ぎぃゃぁぁあああ!だ…だめか!こ…!凍るッ!く…空気が凍ってしまう!外に出ると凍ってしまうッ!き…軌道を変えられん、も…戻れんッ!」。 己が完全敗北したことをカーズは瞬時に悟る 確かに究極生命体となった自分は無敵 マグマも波紋も太陽光も自分を滅ぼすことは不可能 まさに完全! だが宇宙空間への 追放とは さすがの究極生命体でも予測外の事態 ! 対応不可能! まさか 己を産みだした母なる星の力により このような終焉をむかえるとはぁぁ! ! みるみると地球から遠ざかるカーズ さしもの究極生命体もはやなんの手も打てぬ状況 不死身の肉体も超頭脳も 全てが真空のここでは なんの意味も持たない おのれ下等な人間 ! 宿敵波紋の戦士達!! なぜ この究極生命体となったカーズが敗れるのか この超頭脳をもってしても理解不可能! ! さらに仲間二人の終焉・・・ふと それがカーズの脳裏を横切る 同じ志を持ち一万年以上 自分と共に生きた我が一族の末裔達の姿 彼らの犠牲の上に この究極生命体カーズは存在するのだ 内一人は自分の前で 波紋の戦士に破れ滅び散った なぜか満足そうな表情を浮かべて ・・それもわからぬ!理解不能 この究極生命体 天才カーズの頭脳分析ですら わからぬ!! カーズは2度と地球へは戻れなかった…。鉱物と生物の中間の生命体となり永遠に宇宙をさ迷うのだ。 そして死にたいと思っても死ねないので--そのうちカーズは、考えるのを やめた ・・・・そして 永劫と思える時がカーズに流れた 希望も絶望も感じない状態のままで・・ 可能性にかけてカーズは思考停止する このまま宇宙の終焉まで彼は 永遠に漂流するのか 否っ! 地球はカーズを追放した だが別の世界は必要としていたのだ! ! ・・・・いま希望の扉は開かれる! カーズの進行方向に突如 銀のがま口が出現 それは運命という名の 必然! ! ! first kiss から始まる ある少女と奇跡の命のstory! ! これは究極ゆえ 地球から追放されたが故に 異世界にはその存在を許されることになった ある生命体の物語だ! ! ゼロの究極生命体 re start 異世界 戦闘潮流