約 1,746,080 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1842.html
削除いたしました。 長期に渡ってご掲載くださった管理人様、また拙作を読んでくださった方々へ御礼申し上げます。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/581.html
浮かぶ雲によって太陽が遮られた草原の真ん中で、少女は呆然と目の前の地面を見つめていた。 周りからは先程までの喧騒が消え、異様な静寂で満ちている。 何回も失敗を重ね、他の生徒に嘲笑されながらもやっと「サモン・サーヴァント」に成功した その少女、ルイズ・フランボワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの前には、彼女が今召喚したばかりの使い魔がいた。 しかしその使い魔は、彼女が望んでいたドラゴンやサラマンダーなどの幻獣の類ではない。 また、烏や梟、猫や大蛇などの普通の動物でもなかった。 彼女が使い魔として呼び出したもの、そう、それは―――― 植木鉢に植えられた、一本の『草』だったのだ。 「…………何なのよ、これ」 彼女の呟きは、静寂の中を悠々と横切る風に流されていった。 使い魔はゼロのメイジが好き 第一話 何故使い魔を呼ぶ神聖なる儀式「サモン・サーヴァント」で単なる『草』が召喚されたのか、 そしてこれは、一体何なのかというルイズの疑問は、 「…………ぶあっははははははははは!!」 彼女の召喚を見ていた生徒の一人が発した笑い声によってかき消された。 ガラガラ声で笑い続ける彼はその手でルイズを指さし、可笑しくてたまらないというような声で喋り出す。 「流石は『ゼロ』のルイズだぜ!召喚の儀式でただの草を呼び出すなんてよ!」 その声で我に返ったほかの生徒は、彼に同調するように笑い出す。中には、ルイズに罵声を浴びせる者までいた。 「そうよ、珍しく成功したと思ったらこれだもの」 「使い魔ぐらいきちんと呼べよ、ゼロのルイズ!」 「どういう事だよッ!クソッ!草って、どういう事だッ!魔法ナメやがってクソッ!クソッ!」 「……ちょっと間違っただけよ!失敗なんかしてないわ!」 彼らの嘲笑混じりの罵声に、彼女は耳まで真っ赤にして反論する。 そして後ろを振り返り、儀式の監督を行っていた教師に叫んだ。 「ミスタ・コルベール!召喚のやり直しをさせて下さい!」 すると、生徒達の間からローブを纏った頭髪が寂しい男が姿を現した。その表情は困惑しきっている。 彼こそが儀式を監督していた教師、コルベールだった。 「うむ……これは……」 滅多に見ない彼の困った表情を見て、ルイズはもう一度チャンスが貰えるかもしれないという淡い期待を抱いた。 だが、その期待は次の言葉により砕かれることになる。 「いや、それは駄目だ。どんなものを呼び出そうと、召喚だけはやり直す事は出来ない」 その返答に、ルイズは少し苛立つ。やり直せないならどうすればいいのだ。こんな草が使い魔になっても、一体何を してくれるというのだろうか。 いつのまにか出てきた太陽に照らされて、強く輝く彼の頭。それを見るも無残な事にしてやろうか、そんな事を考えている間も コルベールの話は続いていた。 「君も分かっているだろうが、今回呼び出した使い魔で今後の……」 そこまで話したところで、唐突に彼の言葉が止まる。 想像の中で彼の頭の焼畑農業を行っていたルイズも、それに気付いて顔を上げた。 「どうかしましたか?ミスタ・コルベー…」 「み、ミス・ヴァリエール!君、あの『草』に何かしたか?」 その視線はルイズの方には向いていない。ルイズの後ろ、さっき召喚した草の方に向けられていた。 コルベールの顔からはさっきまでの困惑が吹っ飛び、ただ驚きと狼狽の色だけが浮かんでいる。 「『草』ですか?別に私は何もしてませんけど」 急に変わった彼の表情を、彼女は訝しみながら質問に答える。あんな草の何に驚いているんだろう、この人は。 「ならッ!ならあれは何なんだミス・ヴァリエール!答えなさい!」 彼の表情が「驚き」から「焦り」に変わった。まるで、信じられないものでも見たかのように。 その表情に圧倒され、ルイズも後ろを振り返る。半分はこの男に対する呆れの気持ちで、そしてもう半分は恐れの気持ちで。 そして彼女は、本当に信じられないものを見る。魔法を自由に扱うメイジでさえ、思わずうろたえるものを。 後ろを振り返って草を見たルイズ、その鳶色の瞳が瞬時に驚きと困惑、そして恐怖に塗り替えられた。 彼女が呼んだ『草』――――さっきまで確かに萎れて土の上に倒れていたはずの『草』が、起き上がっていた。 言葉さえも出ないルイズとコルベール、そして事の異常さに気付いた生徒達が見守る中、その草はゆっくりと起き上がる。 乾いた地面に水が染み込むように、ゆっくりと、だが力強く。 そして完全に起き上がった『草』は、一度大きく震えると、人間でいう『頭』のような部分を持ちあげる。そこには、猫のような 目と口が存在していた。 不意に、生徒達の一群がどっと崩れた。未知の植物に恐怖した生徒が、この場から逃げ出そうとしたらしい。 逃げようとした生徒と留まろうとした生徒が入り乱れ、たちまち辺りは混乱した。 そんな混乱を愛らしい二つの瞳で見つめながら、この世界に召喚された『猫草』は、そんなの関係ないねとでも言うように 小さな欠伸をして、ウニャンと鳴いた。 To Be Continued...?
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/177.html
トリスティン魔法学園、春の使い魔召還。 それはこの学園に通う生徒にとってもっとも重要な行事。 皆が思い思いの使い魔を召還し、あるものは歓喜し、あるものはがっくりとうなだれた。 それはもちろん彼女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールも同じであった。 彼女が使い魔召還のための呪文を詠唱を終えると まばゆい光が辺りを包んだ。 そして ドオン! 「うわ! ゼロのルイズがまたやったぞ!」 「建物が崩れるぞ、逃げろー!」 地震のような地鳴りと巨大な爆音。 いつもの彼女の失敗にしては少々大きすぎる爆発。 辺りを覆う煙が晴れると、そこには 「・・・・・・・・・なによ、コレ」 巨大な『鉄塔』がそこにはそびえ立っていた。 それは高さ20mくらいはあろうか。 塔とは言うものの床がなく、側面に鉄の棒が繋がっていてかろうじて塔と分かるだけだ。 そう、ちょうど塔に骨があるとするのなら、こんな感じなのだろう。 「ぶ・・ふふ・・・あーっはははは、さすがね、ルイズ・・・まさか生き物以外を召還しちゃうなんて」 キュルケの笑い声が引き金となりほかの生徒もどっと笑い出す。 「ぶははははは、塔ってなんだよ! どういう使い魔だよ!」 「これなら失敗のほうがよかったんじゃねーの?」 「違いねえ」 わはははははは、と生徒は笑う。 本来誇り高き貴族たるルイズは侮辱に怒りを露にするはずだが、 「あ・・・あはははは」 もはや笑うしかなかった。いくら自分に才能がないとしてもコレはあんまりだ。 みなの言うとおり失敗して爆発のほうがまだ救いがあっただろう。 「あー、コホン、ミス・ヴァリエール」 「・・・ミスタ・コルベール、もう一度召還の機会を与えていただけますか?」 「それはダメだ、ミス・ヴァリエール。使い魔召還は今後の属性を固定しそれにより・・・」 「お言葉ですが、ミスタ・コルベール」 「これと『どう』契約しろというのですか?」 契約は使い魔との口付けでなるのは周知の通りだ。 だが『こいつ』には口はない。 あまつさえ顔もない。 それ以前に生き物ですらない。 「ううむ・・・確かに。春の使い魔召還の儀式はあらゆるルールに優先する・・・と言っても限度があるな。 さすがに契約できないものを使い魔とすることはできない。やむ終えません。今回の件は特例として オールドオスマンと協議の上再度仕切りなおしと致しましょう」 「ありがとうごさいます! ミスタ・コルベール」 「やめといたほうがいいんじゃない? 今度召還したら風車が出てくるとかいやよ」 「うるさい、キュルケ!」 いつもの通りの嫌味に腹を立て鉄塔の外に出ようとしたとき、ルイズの体に異変が起きる。 バキバキバキ 「! ルイズ、あんたそれ!」 「へ?」 見ると鉄塔の外に出ている右手と左足が『鉄』に変わっていた。 「きゃああああああああ」 あわてて手と引っ込めると拍子に転んで鉄塔の中に戻る。 手と足は元に戻っていた。 「なによこれ・・・」 「ややや、コレは・・・!」 コルベールが鉄塔に腕を出し入れする。しかし今度は何も起きなかった。 「・・・・・・」 バキバキバキ ルイズが手を出そうとする再び鉄に変わった。 あわてて手を引っ込める。 「・・・信じられないが、どうやらこの鉄塔から出ようとした人間は『錬金』されてしまうようですね」 「そんな! 人間が錬金されるなんて聞いたことありません」 「そうですね、ミス・ヴァリエール。私も聞いたことがありません。建物を使い魔として召還すると言うことも含めてね」 うぐ、とルイズは痛いところを突かれる。 「とにかく、すぐオールドオスマンと相談してまいりますので、本日は皆さんこれで解散。 ミス・ヴァリエールはそのまま残っておくように」 言われなくてもどこかにいけるわけがない。 いったいなんだと言うのだこの使い魔は。 使い魔は主人に有益なものをもたらすのが普通なのに、有益どころかもたらすのは不利益ばかり。 いや、そもそも契約もしてないし使い魔かどうかすら怪しいのだが。 「一体・・・なんだってのよ・・・」 どっと吹き出てきた疲れに身を任せ、ルイズは鉄塔の中で倒れこんだ。 コレが彼女と鉄塔、「スーパーフライ」の出会いであった。
https://w.atwiki.jp/shachozero/
社長がゼロの使い魔の世界に召喚されたようです。 みんなのアイドル海馬瀬人社長が嫁達(および一部の科学の結晶)と共にルイズの世界に呼び出され、好き勝手やりまくる爽快バトルファンタジー。 今まで - 人がKCに入社しました 今日は - 人がKCに入社しました。 昨日は - 人がKCに入社しました。 未掲載作品などは有志の方々が掲載してくれると助かります。 誰でも編集OKですが、荒らしは勘弁。 AA付きでHTMLにすると重いので分割します、ご了承を。 AA崩れは直りましたが、解像度が低いモニタの場合ずれる場合があります。そのときは保管庫よりhtmlをDLしてください。 本編以外のスレは必要以上の分割の阻止のため省いてあります。どうしても欲しい方はスレでDATをねだってください リンク張り忘れに注意。 社長と嫁はすばらしい 検索 Q A Q:スレが抜けてますよ? A:抜けているのを発見した場合は、各自で補完してくれると助かります。 Q:話自体が抜けてるよ? A:コレも気づいた方から補完お願いします。 過去スレ(本編) part01:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1196591594/ part02:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1196608519/ part03:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1196614577/ part04:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1196688458/ part05:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1197103636/ part06:http //afox.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1198231043/ part07:http //afox.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1198320809/ part08:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1200738440/ part09:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1201341555/ part10:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1201947349/ part11:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1202468440/ part12:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1202554900/ part13:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1202641833/ part14:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1203159635/ part15:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1204369314/ part16:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1204455650/ part17:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1204973975/ part18:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1205067671/ 再放送スレ part01:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1199278947/ part02:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1199358291/ part03:http //yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1200653891/ ※保管庫更新済(2008/02/10) 最後に このwikiはまだ更新途中です。 要望などがありましたらBBSでお願いします。 更新情報 取得中です。 小さく表示するCSSに変更 右メニューの部分を確保するために試しにデザイン変えたら元のデザインが分からなくなった、作った人ごめんなさい (2007-12-03 23 06 36) いえ、やり方がわからなかったので助かりましたw (2007-12-03 23 58 30) 本編の各ページに「本編」タグをつけました、メニューの本編の下に折りたたんだ状態でタグ一覧表示。本編ページ追加する際、タグの項目に本編と記載すると更新されると思います。 (2007-12-04 01 00 12) タイトルはあれでいいのか? 原稿だと召喚されたになってるが (2007-12-04 01 33 51) 更新まだー? (2007-12-13 13 26 20) まだー (2008-01-02 19 53 22) 本編マダー (2008-01-12 10 36 29) ↑BBS見れ (2008-01-12 21 23 47) part09に作者降臨してないんじゃない? (2008-01-28 22 45 30) はやく最新のやつ更新してくれよ (2008-01-30 13 01 43) datあるんだからそっちでみとけ (2008-01-31 14 49 18) 第九話保存失敗しました、お詫びします。 (2008-02-08 00 13 33) まとめの中の人へ、 (2008-02-10 18 39 20) まとめの中の人へ、 もし見よかっいたら、メニューページ以外のファイルの編集、名前の変更ができるようにしていただけませんか? (2008-02-10 18 40 25) 更新求むー (2008-04-22 21 15 04) なんかフリーズしてたから過去ログからサルベージしといた (2008-06-06 00 39 56) まとめ乙 すごく面白かったよ (2008-06-07 02 22 00) 暫定だった十話更新 もうやることないよな (2008-06-08 03 37 50) 番外編も補充 シルフィかわいいよ (2008-06-08 05 43 28) おつー (2008-06-17 01 05 56) 続きが見たいといっつぃまうおれはクレクレ厨なのか (2008-08-02 15 26 50) ケタケタ笑いながら見てました 社長自由過ぎwww (2008-08-23 04 39 36) みれねえ (2008-09-01 22 36 48) メニューバーの本編とか番外編からどうぞ (2008-09-19 01 04 36) リリカルなのは (2009-11-29 01 44 06) メニュー (2010-12-02 18 19 26) 久しぶり (2012-02-12 21 08 24) メニュー (2012-05-11 23 08 24) メニュー (2012-09-04 07 17 28) コメント
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/877.html
さっさと食事を終えて食堂に戻ってみてもルイズの食事は未だに終わってなかった。 仕方がないので億泰はボケ~っと出口で待つ事にしたが、 食事を終えた生徒が通りがかりに億泰を見てクスクス笑っていくのが腹立たしい。 『見世物じゃねーぞコラァー!』とでも叫びたい気分だったが、 どうせろくな事にはならないのが目に見えていたので無視する事にした。 十分後に出てきたルイズまで無視してしまい、思いっきり蹴られるハメになった。 ルイズと合流し、連れてこられた所は大学の講義室のような石造りの大部屋だった。 見渡しても談笑している生徒が殆どで、この辺りはぶどうヶ丘高校と大して違いがない。 高校生の億泰にはどちらかというと視聴覚室だな~と思ったりしている。 二人が入っていくと、談笑していた生徒達が一斉に振り向き、 そして億泰を連れたルイズを見るとクスクスと笑い出す。 ルイズがそれを無視して席につこうとすると、 男子に囲まれていた一人の女子生徒がグループから離れて近づいてきた。 「あらルイズ、本当に平民が使い魔なの! すごいじゃない!あははあはは!」 燃えるような赤い髪に、ルイズよりも高い身長、ルイズよりも色気の漂う肉体、 とりわけルイズよりも突き出た胸元を、ブラウスのボタンを二つ程外して覗かせている。 ルイズと比べると、『負けた……スタイルのレベルで……』と若い頃のジョセフさんが言いそうな程だ。 勿論億泰はビミョーにヨダレを出しながらその胸元に視線を向けている。 「キュルケ……なに?なんの用なの? 嫌味言いに来たならアッチ行きなさいよ」 そう言ってシッシッと手で払うような素振りを見せるが、 当然キュルケはそんなのを無視してもの珍しそうに億泰を眺めだす。 「別に良いじゃない、見て減る訳じゃないでしょ? ふ~ん………… なんだかポカンとした瞳の奥に『何かを隠してる』ような気がするわね。 ねえ、お名前は?」 途中口をつぐんだのは、 直接『何だか締まりの無い顔ね』と言うのは流石に酷だと思ったからだろう。 だが、億泰はそんな事にも気づかない。 いや、二つの胸の谷間に生じる歯車的砂嵐の小宇宙に魅入って気づく余裕さえないのだ。 「あ、アッー!億泰ッス!虹村億泰!」 「オクヤス?変な名前。ま、覚えておいてあげるわ。 ねぇ、それよりルイズぅ。やっぱり使い魔ってのはこういうのよねぇ? フレイムー?」 キュルケが勝ち誇った声で使い魔を呼ぶと、 教室の後ろからゆっくりと巨大なトカゲが現れる。 「!! これってサラマンダーじゃない……!」 「そうよー、火トカゲ。 ほら見て!この鮮やかで大きい炎の尻尾! きっと火竜山脈のサラマンダーよ!」 と、そう言って自慢を始めるキュルケとそれを悔しげな瞳で睨むルイズの横で、 ポカンと億泰はフレイムを見つめていた。 (なっなんか規格外が出てきてるぜ~~~~ 燃えてるじゃねーかァ~~!?) 平気なのかよォ~という目で見ていると、 フレイムがきゅるきゅる、と他の皆もそんなモンだから気にするな。 という意味で鳴いたように聞こえた。 (ほぉ~、やっぱ使い魔ってスゲーんだな) きゅるきゅるきゅる 微妙に意思疎通ができているらしい。 そうしてフレイムと対話?をしながら椅子に腰掛けようとして、 ルイズに思いっきり突き落とされた。 「ドピ!?」 「何座ろうとしてるのよ。 ここはメイジの席なの、使い魔なんだからアンタは床。 す、座りたいならお願いくらいしなさいよ」 「あんだと~~!? ……フンッ、分かったぜ、床に座ってりゃーいーんだろ? ケッ邪魔しねーよーにしといてやンよ!」 と、そう言って壁際に移動してドッカと腰掛けた所で 紫色のローブに身を包んだ中年女性が入ってきた。 「はいはい、お喋りはそこまで。 授業を始めますよ」 どうやら教師のようだ。 「皆さん、春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。 このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ。 ……あら?ミス・ヴァリエールは変わった使い魔を召喚したと聞いていたのですが、本当のようですね」 シュヴルーズが億泰を見てとぼけた声で言ったのを引き金に、教室中がどっと笑いに包まれる。 「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、その辺歩いてた平民を連れてくるなよ!」 「それに、同じ平民でもせめてもう少し賢そうなのにしな!」 キュルケの自慢を聞かされて相当苛立っていたルイズは、 机をバンッ叩いて大きな声で怒鳴りつける。 「違うわ!きちんと召喚したの! でもこいつが来ちゃっただけよ! だいたいマリコルヌ、なによその格好!脂汗と包帯でまるで光ったメロンね!」 「なんだと!? 何度も『サモン・サーヴァント』をミスっていた分際で! このクサr……モグッ!?」 二人が口汚く口論しだすと、 突然ルイズをバカにしていた包帯メロンの口に赤土の粘土が叩き込まれる。 口を塞ぐだけではなく、口の中一杯に頬張らされているようだ。 「ミスタ・マリコルヌ。 貴方はその格好で授業を受けなさい。 少々口調が乱暴すぎますよ?」 窒息しそうな程にウーウー呻くマリコルヌの不気味さに教室の笑いが収まった。 それを見てこほん、と咳払いをするとシュヴルーズは杖を振る。 「私の二つ名は『赤土』。赤土のシュヴルーズです。 『土』系統の魔法を、これから一年、皆さんに講義します」 授業が始まると、億泰はボーっと眺めていた。 億泰にとってはいくら興味深いものでも教師の言葉は眠りの魔法なのだ! きゅるきゅる、きゅーきゅー、キョォォーン、ぎゅーぎゅー、ゲロゲロ アギ…… と、暫くすると何匹かの使い魔が億泰の所へと集まりだした。 億泰はそれらの相手を適当にしながら、意識を半分眠りに委ねる。 まあ、それでも化け物状態から治る前兆すらなかった頃の父親の世話をしていたため、 猫草をすぐに手なづけるような事ができたりするのだ。 一方でルイズはその光景をチラチラと見て、ムカッ腹を立てていた。 (何よ!他の使い魔とかなんかと仲良くしてるんだか! そいつらの主人はみんなアンタに陰口叩いてんのよ!?) 「聞いていますか?ミス・ヴァリエール」 「ふえ!?」 「全く、授業中には集中してください。 そうですね……あなたにやってもらいましょうか、ミス・ヴァリエール。」 「え、わ、わたしが?」 「そうです、この石ころを望む金属に変えて貰いましょう」 それを聞いて意気揚々とルイズは立ち上がった。 ここで成功させてマイナスイメージを払拭してやる! 億泰にも!ここの皆にも! 大丈夫、私ならやれる筈よと誰にも聞こえない位の小声で呟いた。 そのやる気の満ちた様子にクラス中が恐怖に覆われる。 蛇に睨まれたカエルのようにガタガタ震える者も居れば、 カタカタと涙を流しながら意識を手放す者もいた。 「先生、やめさせてください」 「それだけはやめといたほうが……」 「危険です」 「お慈悲を」 「ダメダメダメダメダメダメダメダメダメ……」 しかし、その声が耳に入らないかのようにルイズは教壇へと歩いていく。 その様子にシュヴルーズはにっこりと笑顔を浮かべ、 周囲は余計に引きつっていく。 「周りの声など気にしてはいけません。 さあ、錬金したい金属を心に強く思い浮かべるのです」 促されてルイズは可愛らしく頷き、手にした杖を振り上げる。 ざわっという声が教室に広がり、慌しく生徒達が思い思いの対策を取り出した。 「Hail 2 me……願いを三つ。 ルイズが錬金を成功させる。 それが無理なら錬金が失敗しても何も起きない。 それも無理なら爆発が避けていく。 Hail 2 me……」 「こ、此処は僕達が隠れるんだ! 君が入ったらスペースが埋まる!他に回ってくれマリコルヌ!」 「いやよ!こっちこないで!」 「こんな教室にいられるか!俺は部屋に帰るぞ!」 そんな様子すらも無視し、絶好調誰にも止められない状態のルイズは 唇をギュッと結び、真剣な顔で短くルーンを唱えて杖を振り下ろした。 瞬間!石ころは大爆発! 爆発の煙と臭いが充満し、平和な教室が一瞬で戦争最前線へと姿を変える! 至近距離の直撃を受け、シュヴルーズは吹っ飛ばされて叩きつけられた。 ルイズは真っ黒な煙の中に居て様子が分からない。 机に隠れた集団は無事だった。 願いを言っていた奴は地獄を!自分に!になった。 ギーシュに蹴りだされたマリコルヌはどこにも隠れられず、 吹っ飛ばされて使い魔の集団に叩きつけられた。 そのあまりの光景に驚いた使い魔は恐怖の対象のマリコルヌをボコボコにしだす。 フレイムが火炎を吐き、犬猫が噛み付き、鳥が引っかき、 マンティコアが飛び上がって鳩尾に体当たりだ。 「ゲェッ! なっ何だッ! イヒィイイイイイイ~~~~っ なんだこいつわぁあああ!」 アギ…… そして、衝撃で目覚めた億泰が不気味な形相のマリコルヌに驚いて蹴飛ばすと、 最後に衝撃で倒れてきた人面岩がマリコルヌを押し潰したのだ。 ほんの数秒で前線から阿鼻叫喚の地獄へとシフトして混乱が起きる。 状況を把握した先から被害者の姿を見てしまい、彼方此方で悲鳴と怒号が上がった。 「メイジは許可なく死ぬことを許されない! 死ぬな!死ぬなマリコルヌ~~~!」 「だから嫌だったのよ!もう二度とやらせないで!」 「ええい!学園は何をやってるんだ! 早くヴァリエールを退学にしろぉおお!」 「ピッツァー!マリコールヌ!気を確かに持てぇぇ!」 億泰はただ呆然としていた。 一言で表すのなら、 『あ…ありのまま今起こった事を話すぜ! 『おれ居眠りの階段を登っていたと 思ったらいつのまにか爆発が起きていた』 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが おれも何をされたのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった… 二股だとか死亡フラグだとか そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…』 という感じだ。 暫くして頭の再起動が終わり、教室を見渡す。 前の方でシュヴルーズ先生が倒れて痙攣していた。 歯が全部折れているような気がした。 マリコルヌが岩の下から引っ張り出されてた。 誰の使い魔だかわからないが何処かで見覚えのある人面岩だ。 ルイズはそんな阿鼻叫喚を意に介さずにハンカチを取り出すと、 煤で真っ黒になってはいたが涼しい顔でこう言った。 「あら、おかしいわね?」 当然、その一言に他の生徒達がプッツンする。 「おかしいのはお前の魔法だ!」 「おかしくないって言うなら、 このマルコメルくっつけて治してよ!」 「マ・ルコ・メル!マ・ルコ・メル!」 状況が殆ど分からないが、億泰にもこれだけは分かった。 ルイズがなぜ『ゼロ』なんて呼ばれているのかが。 マリコルヌ&ミセス・シュヴル-ズ →治療を受けて全治数日。 他の生徒 →軽傷or無傷 ルイズ&億泰 →掃除を命令される 授業 →中止
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/580.html
使い魔はゼロのメイジが好き 第一話
https://w.atwiki.jp/emp3037/pages/1019.html
PR-016 ジャイロ&ジョニィ PR-016 [[キャラ]] [[スティール・ボール・ラン]] 奇 P1 S(2) T2 ☆☆ 奇○ ジャイロ、ジョニィ 人間 出典: 奇デッキで2ターン目から出せる軽量キャラ。 同コストのJ-547 矢安宮重清に攻撃力で1劣っているが、こちらはJ-362 空条承太郎を パンプできる他、J-337 ジョージ・ジョースターⅡ世にも対応しているので、波奇デッキには 優先的に採用できるカードである。 ※2009年5~6月の公認大会の参加賞
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1575.html
頭に血が上っていたルイズは、疲弊と共に冷静さを取り戻していた。 が、拷問が質問にまで軽減されているもののそれはいまだ続いている。 「じゃあ、本当に襲ったり口説いたりしてたわけじゃないのね?」 「ずっとそう言ってるだろうがよおー。」 セッコが疲れ切った返事をした。まあ多分本当なんだろう。 「わかったわかった、もうそれはいいわ、でもね。」 「うん」 「そんな重要な能力を何で隠してたのよ!」 「かかか隠してねえ、フーケと戦闘中に思い出したんだって!」 「それにしたって半日以上たってるわよね。」 「昨日のどのタイミングで言えってんだよ!踊ってる途中にでも囁けってか!」 「じゃあ何でタバサとオールド・オスマンには教えてんのよ!」 「それは事情がああ」 「やっぱ隠してんじゃないの。」 「違う、向こうから聞かれたんだって!」 「違わない!」 朝。 「なあ、デルフリンガーよお」 繋ぐ鎖を丸めては伸ばす遊びを繰り返しつつ、現在唯一の話し相手に顔を向ける。 「なんでい、相棒。」 「今回オレって悪くねえよな?」 「いーや、まあ9割は相棒のせいだろ。俺様の経験からするとな。」 結局セッコは一晩中小言に付き合わされた挙句、丸一日の謹慎と非常時以外の“能力”使用禁止を命令され、ベッドに首輪で留められて部屋に置いていかれたのだった。 「勘違いだってのに」 「それが良くねえ。」 「そうかあ」 ちょっと、大人気なかったかしらね・・・ よく考えたら、セッコはあんまり悪くないような気もしてきた。いまさら後には引けないけど。 目の前では、「大人気ない教師No.1」のミスタ・ギトーが風魔法最強論を延々とリピートしている。 伝説の「虚無」はともかく、土水火風全てまともに使えないルイズにしてみれば、 それらはどれも均等にウラヤマシイ存在であり、そこに優劣などない。 キュルケが伸されているのはちょっと爽快なのだが、 ギトーはキュルケに輪をかけて不愉快なのであまり喜べない。 と、いきなり教室の扉が開き、誰かが現れた。 「ねえ、ギーシュ。あれ、何だと思う?」 「ミスタ・コルベールだよ。僕の愛しいモンモランシー」 「よく見ると、そうね」 彼はあまりにも珍妙な格好をしていた。 頭に馬鹿でかいロールのついた金髪のかつらをのっけ、 全身フリルや刺繍だらけのローブを纏っている。 「…ミスタ?」 同僚であるギトーすら眉をひそめた。 「あややや、ミスタ・ギトー!失礼しますぞ!」 「授業中です」 コルベール?をにらんで、ギトーが短く言った。 「おほん。そのことなんですがね、今日の授業は全て中止であります!」 「は?」 驚くギトーとわきあがる歓声を全く無視し、コルベールは言葉を続けた。 「えー、皆さんにお知らせですぞ。」 しかし、もったいぶってのけぞった拍子に、馬鹿でかいかつらが取れて、床に落っこちてしまった。 首から上の大きさが一気に1/4ほどになり、その下から光り輝く禿頭が現れる。 それをボーっと見ていたタバサがぽつんと呟いた。 「滑りやすい」 教室が爆笑に包まれる。 コルベールは当然というべきか、顔を真っ赤にして怒鳴った。 「黙りなさい!ええい!黙りなさいこわっぱどもが! 大口を開けて下品に笑うとは全く貴族にあるまじき行い! 貴族はおかしいときは下を向いてこっそり笑うものですぞ! これでは王室に教育の成果が疑われる!」 笑ったこと自体に対して怒っているわけではないあたり、自分の姿かたちは理解しているようだ。 教室が静かになったところでコルベールは再び喋り始めた。 「えーおほん、恐れ多くも先の陛下の忘れ形見、 我がトリステインがハルケギニアに誇る可憐な一輪の花、 アンリエッタ姫殿下が、本日ゲルマニアご訪問からのお帰りに、この魔法学院に行幸なされます」 再び皆がざわめいた。 「したがって、粗相があってはいけません。 急なことですが、今から全力を上げて、歓迎式典の準備を行います。 そのため本日の授業は中止。生徒諸君は門に整列すること」 丸一日外出禁止とか暇過ぎるぜ。 つか飯も食えてねえ。 「鎖で遊ぶのも飽きたあ、面白い話でもしろデルフリンガー。」 「剣に面白さを求めるんじゃねえ」 「使えねーなあ。それにしても鎖につながれるってのは嫌な気分だぜ」 「相棒のパワーならそんなもん一瞬で引きちぎれるんじゃねえの?」 「なんとなくやったらダメな気がするんだよお。」 「使い魔って因果なもんだな」 サビ剣との無駄話で時間を潰すのもそろそろ限界だ。 あれ?ルイズの呼び声がする。 その直後、慌てて部屋に入ってきた。何があったんだあ? 「もう授業終わったのか、随分早くねえ?」 「そんなこと今はどうでもいいのよ、セッコ」 「うあ?」 「反省している?」 「してる。」 「本当に?」 「うん、うん。」 「怪しいわね、まあいいわ。ちょっと鎖外してついてきなさい。」 前から思ってたが随分適当な奴だなあ。外に出れるならいいけどよ。 「なんかあんの?」 「いいからついてきなさい。後、大声出したらダメよ。」 「わかった。」 「なんだこりゃ」 正門前に全員が綺麗に並んでいやがる。校長先生もといヒゲまでいる。 「いいから大人しくしてなさい、もうじき王女様が来られるのよ。」 「王女ってなんかのついでに学校に寄るような奴なのかあ?」 「うるさいわね、黙って見てなさい」 もしかしてここはすげー名門なのか? そういやあどいつもこいつも貴族とか何とか言ってたなあ。 「トリステイン王国王女、アンリエッタ姫殿下のおなーリーッ!」 謎の動物に乗った騎兵を四方に従えた2台の馬車のうちの一つから、 杖を持ち冠を被った少女が現れた。 王女がにっこりと微笑み、手を振る。 「あれがトリステインの王女?ふん、あたしの方が美人じゃないの。」 いつの間にか隣にいたキュルケが、つまらなそうに呟いた。 ちょっと2人を見比べてみる。 それは微妙じゃねえか? あれが王女ねえ。 「なールイズ」 反応がねえ。 「なー」 反応がねえ。 「キュルケー」 反応がねえ。こいつら何を見てるんだ?まさか王女じゃねえよなあ。 キュルケとルイズの視線の先を確かめる。 そこには、ライオンの胴体に鳥の頭がついた珍獣に乗って、でっかい羽帽子を被った貴族がいた。 貴族基準のかっこよさは理解できねえ。 しかしルイズも一目惚れなんてすんのか、ちょっと意外だ。 つーか俺の疑問に誰か答えてくれえ。誰か。 ちらりと斜め前にいるギーシュを見る。 王女を見ながら涙を流してやがる。これもだめだあ。 ん? よく見ると、タバサがキュルケの足元に座って本を読んでいた。 「なー」 反応がねえ。本に夢中だ。 「タバサよお」 「何」 やっと気づいた。 「ちょっと素朴な疑問があるんだが答えてくれねーか。」 「いいけど」 「王女様ってさあ、杖持ってたけど自ら戦ったりすんの?」 タバサの表情が微妙に歪んだ。 「知らない」 おあ、オレなんか悪いこと聞いたかあ? その夜。 「ルイズー」 「…」 あれから何を話しかけても反応がないルイズに絶望したセッコは、 諦めて部屋の隅に寝転がっていた。 「なあ、これもオレが悪いのか?」 返事がねえ、剣すらオレを無視・・・うう・・・ あ、鞘にしまえって言われて片付けたの、オレじゃねえか。 今日はもうダメだ、諦めて寝ちまおう。あれ、微妙な足音がする。 コツ・・・コツ・・・コ・・・ まだ、そおっと歩くような時間じゃねえよな? 足音は、なんとルイズの部屋の前で止まった。 「なールイズ」 「…」 「お客さんみたいだぜ」 「…」 くそ、もう耐えれねえ、後で怒られようがこの沈黙から逃げ出してやる。 デルフリンガーを掴んで窓から身を乗り出したところで、ノックの音が聞こえてきた。 コン、コン、 コココン ルイズがいきなり正気に戻り、そして。 「セッコ、窓閉めて隅っこでじっとしてなさい。」 「うー」 畜生、さっきまで何しても反応なかったくせによお。 そういいつつルイズがドアを開けると、黒ずくめの女が部屋に滑り込んできた。 「…あなたは?」 女がそれには答えず、何かを唱えると光の粉が部屋に舞った。 「どこに耳が、目が光っているかわかりませんからね」 なんだこいつ?敵、じゃあねえよな。 女が頭巾を取った。 ああ?この顔は確か・・・ 「姫殿下!」 言うが早いか、ルイズが膝をつく。 「お久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ」 王女様がこっそり来るなんて、絶対にいい知らせのわけがねえ。 朝から晩まで最悪続きだ。もうなるようになりやがれ。 セッコは、頭を抱えてうずくまった。 To be continued…… 戻る< 目次 続く
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/176.html
『鉄塔』の使い魔@第一塔 『鉄塔』の使い魔@第ニ塔 『鉄塔』の使い魔@第三塔 『鉄塔』の使い魔@最終塔
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1925.html
女盗賊が投獄された地下の監獄。 杖もない、金属もない、身動きもとれないで脱出は不可能だと早々に決め付け、観念した女盗賊。 眠りにつこうと思っていた刹那、階段の上からコツコツと靴の音が聞こえてくる。 「『土くれ』だな」 男は低い声を出した。 「あんた、何者?」 フーケは男に問い掛ける。男は質問には答えずに 「再びアルビオンに仕える気はないか?」 「ふざけたことを言わないで、それ以上そんな話をするようなら助けに来てもらったところ悪いけど死んでもらうよ」 半透明で薄緑色のゴーレムのような物体が現れる。 「物騒だな、勘違いをするな。アルビオンの王家に仕えろと言っているのではない。あそこの王家はもうすぐ倒れる」 「バカどもがドンパチやってるらしいからね」 「その片方のバカの誘いだ。トリステイン貴族などという枠を越え、この世界を憂う貴族たちの連盟だ。目的はハルケギニアの 統一、そして最終的には『聖地』を奪還する。手始めにあそこの風石と造船技術を頂く。造船所のお上は掌握済みだ、 最後の詰めに、そしてこの先の夢をキャンバスに描くためにお前のような優秀なメイジが一人でも多く欲しい」 フーケは肩をすくめて笑う。 「バカ言わないで、夢は寝ながら描くものよ。私は貴族が嫌いだし、ハルケギニアの統一なんかには興味が無いわ」 男は更に低い声を出す。 「断っても構わん。牢獄に転がっている死体にまで頼むほど人材は足りていないわけではないからな」 フーケはため息をつく。 「なら最初からそう言いなさいよ」 「そうか、なら話は早い」 男はフーケに杖を投げつけ、衛兵から奪ったであろう鍵で扉を開け、拘束具を外す。 「好きに脱出するんだな、三日後にラ・ロシェールの『サンジェルマン』で待っている」 フーケは男に杖を向ける。 「あんた、私をバカにしてるんじゃないの?殺すなんて脅した後に杖を渡されてそのまま従うほど従順じゃないね。 『ジャッジメント』!」 フーケのスタンドが檻を破壊し、杖からは男に向かって石礫が飛ぶ。 しかし、そこに立っていた男はもう影も形もなく、今度は数人『その男』が階段から降りてくる。 「『土くれ』、なかなか頭の回転が速いが、相手の属性もクラスもわからないまま攻めるのは感心しないな」 数人の『男』が同時に同じ声を出し、エコーのように響く。男は重なり合い、一人になる。 「『偏在』かい、一瞬で消えたのは魔力温存のため当たる前に引っ込めたのかい?」 「『偏在』の部分はその通り」 「ずいぶんと余裕だね、偏在は偏在に重なれない、あんたが本体だってのはわかりきってるのにね!」 もう一度フーケは石礫を飛ばす。 今度こそ男の体を捉らえる。 そして、男の体は消える。 「なッ!これも『偏在』!?」 今度は一人増えた『男』が階段から降りてくる。 「どうだい、力の差というものがわかったかな?これで断るようでも、ここの裏に墓標くらいは立ててやる」 フーケは再度ため息をつく。 「わかったわよ、完全敗北ね。当面の間は大人しく従ってあげるわよ」 「そうか、ではラ・ロシェールでな」 男は重なり、今度こそ一人になり、そして、今度は一人も居なくなり、消えた。 * * * 「で、ワムウ、わかってるの?ふざけたことしないで大人しくしてなさいよ?」 「ああ、大体わかった。この国の姫が学校の視察に来るのか、また騒がしくなりそうだ。俺は適当なところにいる」 「そうはいかないわよ、使い魔と主人は一心同体、あんたも出ないと失礼に当たるのよ」 「面倒だな」 「だから大人しくしてなさいって言ってるのよ」 ルイズはワムウに言い聞かす。 先ほどコルベールが珍妙な格好で授業に割り込み、姫殿下が行幸されると伝えて今日の授業は中止となった。 姫殿下が通過するというだけでその街道はさながらパレードで、近隣の一般人が多く集まっていた。 王室の紋章の入ったレリーフが街道に並べられ、ユニコーンの引く馬車の中からアンリエッタ姫が手を振る。 「トリステインバンザイ!」 「アンリエッタ姫殿下バンザイ!」 「マザリーニ枢機卿バンザーイ!」 「君に会えてよかった!」 脇の民衆から歓声が沸きあがる。 馬車は魔法学院の正門をくぐり、整列した生徒が一斉に杖を掲げる。 アンリエッタ姫が馬車を降りると、歓声があがる。姫は優雅に手を振る。 ワムウが呟く。 「あれがそのアンリエッタ、か」 いつもならば姫を呼び捨てにするなんてといってすごい剣幕でまくしたてるルイズだが、ルイズはその呟きには答えなかった。 視線の先には姫の近衛兵であろう羽帽子をかぶり、グリフォンにまたがっている貴族がいた。 ワムウは鼻を鳴らし、ルイズが見とれている隙に人ごみから抜け出していった。 * * * 日も沈み、二つの月が部屋を照らす。 鍵をかけないことが暗黙の了解となっている窓が外から開き、ワムウがルイズの部屋に入ってくる。 てっきり、途中でいなくなったことについてなにか言われるとでも思っていたが、 ルイズは放心状態で入ってきたことにも気づかないようであった。 が、ワムウは気にも留めず、部屋に来る目的であった先日買った剣を拾い再度窓から出て行こうとした。 その時、ドアが規則正しくノックされる。 ルイズはハッとしたように立ち上がり、ドアを開ける。 そこには頭巾を被った少女が立っていた。 「静かに」 少女は呟き、杖を出す。 それを一振りすると光の粉が部屋に舞う。 「ディテクトマジック?」 魔法の正体にルイズが気づき、怪訝な顔をする。 「どこに耳が、目が光っているかわかりませんからね」 と頭巾の少女は返事をし、頭巾を外す。 その少女は、昼間歓迎式典を行った相手である 「お久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ」 アンリエッタ姫であった。 彼女は感極まったようにルイズを抱きしめる。 「ああ、ルイズ、ルイズ、懐かしいルイズ!私の友達のルイズ!」 「姫殿下、こんな下賎なところにお越しになられるなんて…」 「ルイズ、そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい!あなたにまでよそよそしい態度をとられたら、私死んでしまうわ!」 「ああ、そんな姫さま…」 二人は昔話に花を咲かせる。ワムウはそれをつまらなそうに眺める。 「……忘れるわけ無いじゃない、あの頃は毎日が楽しかったわ。なんにも悩みなんてなくって」 アンリエッタはため息をつく。 「姫さま?」 「あなたが羨ましいわ、王国に生まれた姫なんて、籠の鳥も同然…飼い主の機嫌次第であっちにいったりこっちにいったり…」 憂鬱げに外の月を眺め、呟く。 「ルイズ、私結婚するのよ」 「…おめでとうございます」 アンリエッタの陰のある言葉にルイズは手放しでは喜べなかった。 「…あら、そこに立っているのはどなた?」 アンリエッタはワムウに気づき、尋ねる。 「私の使い魔です、姫さま」 アンリエッタは感嘆の声を上げる。 「すごいじゃないルイズ、こんなすごい亜人を召還したなんて!あなたって昔から変わってると思ったけれど… こんな使い魔みたことないわ!」 「そ、そんな…確かにすごいことはすごいですが私の命令に従うことなんて滅多に無くて…」 「そんな謙遜することないわよ」 「まだ数日しか立ってないのに決闘騒ぎに色々と言えない事まで…もし使い魔にするならイモリかこいつを選べと言われたら 迷わずイモリを選びますわ」 ルイズは憮然とする。それに合わせるようにアンリエッタはため息をつく。 「どうしたんですか姫さま」 先ほどからの過剰ともいえるおかしな様子にルイズが尋ねる。 「…いえ、なんでもないわ・・・ごめんなさい、あなたに相談できるようなことではないのに…」 「なんでもおっしゃってください、姫さま。そんな様子ではとんでもないお悩みを抱えているんでしょう?」 「いえ、話せません…悩みがあるなんてことは忘れてちょうだい、ルイズ」 「そんな、私を友達なんて呼んでいただいたのに、悩みを話せないのですか?」 ルイズは語勢を強める。 アンリエッタは嬉しそうに微笑む。 「嬉しいわ、ルイズ。今日初めて私を友達と呼んでくれて。わかりました、そこまで言うのなら話しましょう」 「外しても構わないか?」 ワムウは面倒ごとに巻き込まれるのは勘弁だと思い、なおかつこの姫には大してよい印象を持っていなかった上での発言だったのだが 「あら、人語も介するのね!お気遣いは嬉しいけれども使い魔と主人は一心同体、外さなくて構いませんよ」 やんわりと一蹴される。 そして、静かに話し始める。 「これから、話すことは、他言無用ですよ…私はゲルマニアの皇帝に嫁ぐことになったのですが…」 「ゲルマニアですって!あんな野蛮な成り上がりどもごときのうすっぺらな藁の家が深遠なる姫様の砦に踏み込んで来るのッ!」 ルイズが甲高い声をあげ、語を荒げる。 「ええ、でも仕方ないの…反乱を起こしたアルビオンの貴族がこのまま順当に王家を倒せば、トリステインに攻め込んで くるでしょう……地理上は隣接しているようなものですし、ゲルマニアの軍事力は驚異的、ガリアとは政治的主張が 似通っています…あの反乱軍は腐敗した王家を倒すのが目的だといっていますが、その建前で同じような政治形態の トリステインに攻めてくることはリンゴを幹から切ったら地面に落ちるくらい確実なの… それで、軍事的庇護を受けるためにゲルマニアと同盟を結ぶのに私が嫁ぐことは致し方ないのです……」 アンリエッタは手で顔を抑え、下に向ける。 「そうだったんですか…」 ルイズは沈んだ声で言う。 「それで、礼儀知らずのアルビオンの貴族派どもは私の婚姻を妨げるための材料を血眼になって探しているのです」 「…では、もしかして姫様の婚姻を妨げる材料があるのですね?」 ルイズはその意味を察し、尋ねる。 アンリエッタは悲しげに頷き、ひざまずき、顔を両手で覆う。 「おお、始祖ブリミルよ、この不幸な姫をお救いください…」 ルイズの顔は紅潮し、興奮した様子でまくしたてる。 「では姫さま!その婚姻を妨げる材料とはなんなのですか!」 アンリエッタは呻き声を出すように呟く。 「…私が以前したためた一通の手紙なのです…それがアルビオンの貴族派に渡れば、それをゲルマニアの皇帝に届けるでしょう」 「どんな内容なのですか?」 「それはいえません…ですが、それをゲルマニアの皇帝が読めば、この私を許さないでしょう。そうすれば婚姻は潰れ、 あのアルビオンの貴族派にトリステイン一国で立ち向かうことになります…それだけは避けなければなりません…」 ルイズはアンリエッタの手を取る。 「して、その手紙はどこにあるのですか?私、姫さまの御為とあれば鬼が島でもヒンタボ島でも夢見が島でも向かいますわ!」 「それが…現在火中にあるアルビオン王家のウェールズ皇太子が…」 「プリンス・オブ・ウェールズ?あの凛々しい皇太子様が…では、姫さま!この『土くれ』のフーケを捕らえた ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールとその使い魔にその任務、お任せください!」 「ああ、そんな無理よルイズ!現在火中であるアルビオンに赴けなんて危険なこと、頼めるわけがありませんわ!」 「何をおっしゃいます! 姫さまとトリステインの危機とあらば、私見過ごすわけにはいけません!」 ルイズは強い意思を伝える。 「この私のためにそこまで言って下さるの!これが誠の忠誠と友情というものなのですね!ありがとうルイズ!」 アンリエッタは感涙したように眼を手で拭う。 ワムウが自分たちの言葉に酔っている2人の話に割り込む。 「俺も行くのか?」 「当たり前でしょ、連れて貰えないとでも思ったの?」 「断る。受身の対応者である悲劇の姫気取りの尻拭いなど俺がやるようなことではない」 ルイズは顔を紅潮させる。 「なななな、なに言ってんのよあんたは!すみません姫さま、私の教育が悪くて…」 「言った通りだ、若いとは言え姫なのだろう?心酔している者も多くいるようだしな。一国で事を構えられるだけの国力と軍事力を 整えるなり、アルビオンに介入して反乱の目を摘んでおくなり、開戦を察知して安全なうちに手紙を回収することもできた。 だが、それを怠ったのはお前の責任だ。結婚による同盟も一つの選択肢であることを割り切っているならともかく 敗戦が確実になるまで行動をおこさず、悲劇の姫を気取っているような奴にただで手を貸すほど暇でないんでな」 「ワムウッ!姫様になんたる失礼を!謝りなさい!」 「いえ、ルイズいいのです。彼の言うとおりです、これは私の責任です…ただで、とおっしゃいましたね? ならば…母君からいただいたこの『水のルビー』を差し上げましょう。どうか、ルイズをお守りください」 アンリエッタは右手の薬指から指輪を引き抜き、ワムウに差し出した。 「そんな姫さま、畏れ多い…」 「ワムウッ!姫殿下になにをしたァーーッ!」 ギーシュが扉を開けて現れ、ワムウを怒鳴る。 すかさずワムウが殴り飛ばし、片方の手で指輪を受け取る。 「いいだろう、この依頼引き受けた。他言無用だったな?こいつは終了まで軟禁でもしておけ、なんなら証拠も残さず食うが」 ワムウの物騒な発言と拳を意に介さず、ギーシュはアンリエッタの前にひざまずく。 「姫殿下!その任務、どうかこのギーシュ・ド・グラモンにもお申し付けください!」 「あら、グラモンといえば…ワイルドキャット……じゃなくて…西部の投手でもなくて…」 「グラモン元帥の息子です、姫殿下!」 「知ってますわよぉおお!あなたも、私の力になってくれるとおっしゃるのですか!」 「ええ、もちろんです!加えて貰えるとしたらこれはもう望外の喜びに違いありません!」 「ではお願いしますわ、ギーシュさん」 ギーシュはひざまずいたまま深く礼をする。 「では、明日の朝に出発してください。貴方たちに始祖ブリミルのご加護かありますように」 * * * ラ・ロシェールの『サンジェルマン』。 一人の男と一人の女。 「…それで、お前には『女神の杵』亭を襲ってもらう。狙いはワルドとルイズ以外…たぶんあの使い魔だけだろう、その殺害だ」 「使い魔一人殺すのに私を使うのかい?自分を過信してるわけじゃないが、随分無駄な使い方だね」 「あの使い魔を舐めるな、『ゼロの使い魔』だ、なにが起こるかわからん。それにお前一人だけではない」 「やれやれ、あんたは敵の実力を過信しすぎじゃないか?まあ、軍人なんてのはそれがお似合いなのかもしれないけどね せいぜい丘の向こうの見えない敵に怯えてな。それで、私以外に襲うのはどんな連中なんだい?」 「お前と同じ貴族くずれのメイジだ、『同じ』、な。報酬の先払い分だ」 女は報酬の袋を開け、中身の量をみて驚く。 「使い魔一人殺すのにこんなに金を積むなんて、軍人の貴族さんは違うわね」 「相方も同額だ、文句は無いだろう。それに、戦争と暗殺と人脈に金を惜しむほど馬鹿なことはない。 コストパフォーマンスを考えればお前たちの力量ではむしろ割安だ」 フーケは袋をしまい、話を再開する。 「で、その相方とはいつ落ち合えるんだい?」 「二日後の同じ時間で先ほど言った『女神の杵』亭で下見も兼ねてもらう」 「わかったわ、任務はワルドとルイズ以外の殺害ね、あんたの言うように好きなように暴れさせてもらうさ」 「暴れるだけなら相方の方が上だ、対象以外の尊き犠牲がどれくらいでるか…ああ、心が痛むな」 「心にもないことを、じゃあ私は行かせて貰うよ、ここの勘定も報酬に含めときな」 女は店を出、扉の鈴が鳴る。 残された男は呟く。 「ふむ、勘定か。やれやれ、自腹など払うのもな、俺への報酬とさせていただこうか」 男は、一瞬のうちに姿を消していた。