約 1,746,130 件
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/12302.html
ジャイロ・ブレイン C 水 (2) 呪文: ■自分の山札の下から5枚を見る。その中から1枚を山札の一番上に置き、残りを好きな順序で山札の一番下に戻す。 作者:シザー・ガイ 心残りをシャットアウト。 フレーバーテキスト ←before《妖華皇女シエトピア》 「タイムチェンジャー!」少女がそう叫ぶと、ボロボロの機械が返事をする。「…もうイイのデス。ワタシは、エネルギーの90%を使い切りマシタ…ヤツの言うトオリ、ワタシはもうじき物言わぬ鉄クズとナル。シエトピア…おそらく、カレらの中の1人がアナタの言う『神に選ばれし者』デショウ。カレらと…ト、モ…ニ……」力尽きた機械を抱えたまま、少女はこう言った。「私の名はシエトピア…闇文明の皇女だ」---さすらいの旅人の日記(DMSGEX-01) 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/rs-userfaq/pages/391.html
RS-120 ゴーゴージャイロ 種類: カテゴリ: BP: SP: 必要パワー: 追加条件: CN: 特徴: テキスト: 対応FAQ 公式回答 Q 自軍コマンドが5つある状態で、「RS-120 ゴーゴージャイロ」の効果で自軍コマンドゾーンからETのMユニットをラッシュエリアに出す場合、その追加条件でコマンドゾーンもしくは捨札へ送るSユニットは、コマンドが1個減ったとみなしてコマンドゾーンに送ることができますか? A いいえ、その場合はSユニットは捨札にしなければなりません。「RS-120 ゴーゴージャイロ」の効果でユニットをラッシュエリアに出す場合も、ラッシュフェイズにユニットをラッシュするときと同じように、「必要パワーを確認する」→「追加条件を満たす」→「ラッシュエリアに出す」の順で処理してください。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/29.html
絶頂の使い魔-1 絶頂の使い魔-2 絶頂の使い魔-3 絶頂の使い魔-4 絶頂の使い魔-5 絶頂の使い魔-6 絶頂の使い魔-7 絶頂の使い魔-8 絶頂の使い魔-9 絶頂の使い魔-10 絶頂の使い魔-11 絶頂の使い魔-12 絶頂の使い魔-13 絶頂の使い魔-14 絶頂の使い魔-15 絶頂の使い魔-16 絶頂の使い魔-17 絶頂の使い魔-18
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/778.html
アホの使い魔-1 アホの使い魔-2 アホの使い魔-3 アホの使い魔-4 アホの使い魔-5 アホの使い魔-6 アホの使い魔-7
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/787.html
「おっ、このパソコン、こんな機能もあったのか」 セワシは画面に映る機能一覧を見て満足そうに笑った。 一番上に表示されている機能は『禁止エリア設定機能』だ。 どうやら次の放送までの間、問答無用で禁止エリアを発動し続けるらしい。 残念ながら1放送につき1回しか使えないようだが。 とはいえ放送は頻繁にやってくるので問題ないだろう。 「ふ~ん、なるほど。「まぁこんな強力なの何回も使われたら問題だしね」 と言いながらも『ハルキゲニア』を『侵入禁止エリア』にする。 今頃そこは死体の山になっているだろう。 ハルキゲニアとやらがどこにあるのかは知らないが。 【二日目・午前十時/埼玉県】 【野比セワシ@ドラえもん】 状態 正常 装備 ノートパソコン@現実 所持品 カッターナイフ@現実 思考 1 取り敢えずゲームに乗っとく ※『禁止エリア設定機能』が使えます 【ジャン・コルベール@ゼロの使い魔 死亡確認】 【マリコルヌ・ド・グランドプレ@ゼロの使い魔 死亡確認】 [死因] 禁止エリアに侵入して爆死 【693@現実 死亡確認】 [死因] タバサに召還されていたらしく爆死 【キバヤシ@MMR 死亡確認】 [死因] ジョゼフ一世に召還されていたらしく爆死<神の頭脳> 【チャモロ@DQ6 死亡確認】 [死因] 聖エイジス三十二世に召還されていたらしく爆死<神の右手> 【阿部高和@くそみそテクニック 死亡確認】 [死因] ティファニアに召還されていたらしく爆死<記す事すらはばかられる> 【ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@ゼロの使い魔 死亡確認】 [死因] 2度ある事は3度あるというので3度目の死亡
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/194.html
亜空の使い魔-1 亜空の使い魔-2 亜空の使い魔-3 亜空の使い魔-4 亜空の使い魔-5 亜空の使い魔-6 亜空の使い魔-7 亜空の使い魔-8 亜空の使い魔-9 亜空の使い魔-10 亜空の使い魔-11 亜空の使い魔-12
https://w.atwiki.jp/bito/pages/216.html
「37号スイッチ!□部隊に在籍!ジャイロ!動こう!」 分類 アストロスイッチ/アストロスイッチ軍 所属 □部隊 性別 男性 他人とのつながりを非常に大切にする青年スイッチビト。ナゲジャロイカの操縦担当。 フードロイドの整備・操縦は敏腕で、他のロイド整備を手伝うこともある。 極度の寂しがり屋で孤独を最も嫌う。一人では夜も眠れないらしく、年下のエスマに寝付くまでそばに居て貰うほど。 誰かの寂しさにも敏感で、強がっているメテオの本心や大杉が絡む理由に気づいた事もある。
https://w.atwiki.jp/wiki6_byakumu/pages/838.html
#データ製作旗川 ジャイロ軍特別機動部隊兵(ザコ) 特機隊兵, とっきたいへい,男性, 人間, AAAA, 120 特殊能力 術Lv0=非表示, 1 切り払いLv1, 1, Lv2, 10, Lv3, 20, Lv4, 30 S防御Lv1, 1, Lv2, 10, Lv3, 20, Lv4, 30 135, 135, 145, 145, 165, 155, 強気 SP, 40, ド根性, 1, 熱血, 10, 集中, 15, 気合, 20, 必中, 25, 愛, 30 FREE_H12.bmp, -.mid ジャイロ軍特別機動部隊兵 ジャイロ軍特別機動部隊兵, じゃいろとくべつきどうぶたいへい,(人間), 1, 2 陸水, 5, M, 4000, 100 特殊能力 小型シールド 4500, 150, 600, 80 BABA, FREE_H12U.bmp バトルダガー, 1100, 1, 1, +20, -, -, -, AAAA, +20, 武 エアライフル, 1300, 2, 4, +0, -, 10, -, AAAA, -0, 魔術風 バックアタック, 1400, 1, 1, +10, -, 20, 100, AAAA, +15, 突攻 コンビネーション, 1600, 1, 1, +10, -, 40, 110, AAAA, +15, 突複魔 #かなり強めの雑魚 #スペックだけだと到底雑魚じゃない 外国からはヘルメイカーズといわれるほど恐れられている ジャイロ軍特別機動部隊の隊員達 常に戦場をたらい回されているため隊員達の実力は相当に高くなっている 隊長であるタナトゥス=シルビアン以外の命令以外はガイルでもない限り 聞くことは無い。タナトゥスは問題児だらけのこの部隊を 誠心誠意で説得したり、力技でねじ伏せたりして纏め上げている
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2308.html
『撤退!ウェールズ・フリート』 陥落したソロモンを後にし、ア・バオア・クーへと脱出すべくソロモンの海を艦隊が進む。 その中心に、巨艦が護られるようにして布陣されている。 その艦のみで1個艦隊に匹敵するとまで言われている、ドロス級大型輸送空母。その2番艦である『ドロワ』である。 ただ、今だ未完成状態で、本来の速度での航行は不可能であり、他の艦艇も損傷を受けていない艦艇は皆無で、追撃を受けるのは時間の問題だった。 「大尉!後方より敵艦隊!」 「やはり追撃に来たか。302隊出るぞ!1艦たりとも沈めさせるなよ!」 「「「了解!」」」 僅か7機のMSでの殿戦。敵艦隊との戦力比からすれば微々たるものだ。 だが、先頭を征く蒼く染められたMSと新兵器の存在。そして搭乗者の技量がそれを覆させていた。 『パーソナルカラー』。連邦でも無い事は無いが 主に公国軍において使用され、味方には士気を、敵には恐怖を与える事を目的としてエースパイロットに与えられる固有の塗装である。 効果はあるが、敵の的になり易いので、エースの中でも一部にしか与えられない物だ。 「沈めぇぇぇぇ!」 叫びと共に放たれる、光の矢。 ジオン公国軍、初となる携帯型ビーム兵器の試作第一号であり、その長さは自機よりも長く、『ドロワ』にすら船外に格納されていた程だ。 「敵は…たった7機なんだぞ…!悪夢だ…!あの蒼い機体は『ソロモンの悪夢』だ!」 「お見事です大尉。残存艦艇に損害はありません」 「潮時か。戻るぞ、カリウス。ドロワに合流する」 『ソロモンの悪夢』 ソロモン海戦と呼ばれる、ジオン宇宙攻撃軍残存兵力を追撃した連邦第三艦隊から、そう呼ばれ畏怖されたジオン公国軍トップエースの一人。 自らが率いる302哨戒中隊を率い、新鋭MSゲルググを駆り、巡洋艦5隻。戦艦3隻を轟沈せしめた英雄とも言える存在。 それが、MSもミノフスキー粒子も何も無い世界に来ていた。 「む…この時になってソロモンの夢を見るとはな…」 寝るつもりはなかったが、30分程寝ていたらしい。 ソロモンの夢を見たのは、この城の外に居る五万の敵兵力の存在が大きいだろう。 三百対五万。その比率はデラーズ・フリートと連邦軍よりも多いと言ってもいい。 廊下に出て、空を、いや宇宙を見上げる。 「星の屑成就の暁には二度と大地より宇宙を見上げることは無いと思っていたが…」 視線の先には二つの月。正直ラグランジュポイント(コロニーが集まる重力安定地帯)とかどうなっているのかと思ったが、まぁ巧くやっているのだろうと思う。 後ろで纏められていた髪を解き、窓枠に腰掛ける。星の屑第二段階の出撃前にもそうしていたように。 「無事でいればよいが…」 気掛かりなのは、ラ・ロシェールで襲撃された時に足止めを買って出た三人。 キュルケ、タバサ、ギーシュだ。 なにせ、星の屑実行中に、そのようにして足止めを買って出た者の中で生き残っているのは302哨戒中隊唯一の生き残りのカリウス軍曹だけだからである。 「思えば、数多くの同胞を失ったものだな…」 トリントン基地襲撃時にゲイリー少尉、アダムスキー少尉、ボブ中尉、コムサイのパイロットを失い キンバライド鉱山基地においては、HLV打ち上げの犠牲としてビッター少将以下、全てのMSが撃破された。 観艦式襲撃から最終段階からにしても、数多くの同胞が散り、自らの艦隊を任せていたグラードルはおろか、デラーズ閣下までもが斃れた。 そして、コロニーの北米大陸落下を見送った後に、月からの追撃艦隊に向け、それこそ星屑のように散っていった者達。 自身もその内の一人だったはずだが、現にこうしてここに居る。 デラーズ・フリートの戦力は壊滅に近いだろうが、作戦が無駄だったとは思わない。 カリウスを初めとした、アクシズ艦隊への脱出者が居る限りそれは無駄ではない。 「…ビスレィ二等兵は生きているのだろうかな」 ソロモン戦の後に、補充兵として配属された若き兵。学徒動員だったはずだが ア・バオア・クーにおいて彼の機体だけ異常を起こし、母艦である『ドロワ』に留まっていた。 その後に、『ドロワ』が沈められたと聞いてからは消息不明である。 そんな事を考えながら、今までの事を回想する。 意外だろうが、ここに来てからまず最初に懐いてきたのがギーシュ・ド・グラモンである。 香水を拾い、因縁染みた事を言われたのだが… ギーシュが軍人の家系と知るや否や生っ粋の軍人であるからには、思いっきり『修正』した。 「君も将校だろう!ただの兵でないのなら、己の行動に責任を持て!」 この後、身長195cmのガトーにより軍人としてあるべき姿としての説教が一時間続いたが、腐っても軍人の家系。 軍人共鳴が発動し終わる頃には、すっかり上官扱いでギーシュから『少佐』と呼ばれる事になる。 現在の服装もノイエ・ジールに予備として積んであったジオン軍服のため、余計に新米と上官に見てしまっているのも一役買っているだろう。 なお、マントは貴族のみが付けるという事なので外してある。まぁ、儀礼用の物なので特に気にはしなかったが。 翌日、中庭でギーシュがワルキューレと呼ばれる青銅のゴーレムを出し、直立不動の姿勢で立っている。 「7体のワルキューレか…3体を1小隊とし 2個小隊に分け残りを直衛に回す事だ。各小隊内で連携が取れるようになれれば、さらに伸びるようになる」 「はい、少佐!」 ジオン公国軍MS小隊編成であるが、MS3機をして1個小隊とする基本戦術。まずこれを教え込んだ。 各個7体に動かすより、統制が取れた1個小隊の方が強い時があるのだ。 が、ギーシュ本人はいいとしても、形の上では、貴族が平民に教えを請うているという形が他の貴族には気に入らないようで 「グラモン家も終わりだな。メイジが平民風情に教えを受けるとは!ま…ドット程度なのだから仕方あるまい」 そう言い放ったのは、ド・ロレーヌ。風系統の名門の家系であるらしく、ラインである。 「僕は確かにドットだが…グラモン家と少佐への侮辱は撤回してもらおう!」 「ならどうする?決闘でもするのか?」 「受けて立つ!」 相変わらずキザったらしく薔薇を加えポージングを取ったギーシュが決闘を受けたが、後ろから重みのある声に止められた。 「気迫は十分。が、獅子は無闇矢鱈に吼えたりはせぬものだ。放っておけ」 「…分かりました」 いかに魔法が使え、平民から恐れられているとはいえ、所詮子供。 数多くの死線を潜り抜けてきたガトーから見れば、圧倒的に足りない物がある。 だが、相手は、このような小物相手にするまでもない、という風に受け取ったのか杖を取り出している。 事実そのとおりなのだが。 「ふん!腰抜けに用は無い!僕は貴様に決闘を申し込む!」 唇の端を上げ、酷薄そうな笑みを浮かべているド・ロレーヌを軽く一瞥する。 似ているどころか、無能な連邦軍高官と同じ目をしている。 「よかろう」 「少佐無茶です!」 「要らぬ心配だ。魔法というものが、どのような物かは大方把握した」 止めようとしたギーシュも、その言葉から滲み出る自信に何も言えなくなる。 MSか生身。違いはあれど、戦場の場数の多さでは少なくとも、ここに居る誰よりも多い。 二人が10メイル程間を開け対峙する。 「君のような平民に名乗るいわれはないのだが、これも作法だ。ヴィリエ・ド・ラ・ロレーヌ、相手仕る。君も名乗りたまえ」 「貴様に名乗る名など持たん。戦う意味さえ解せぬ輩に!」 平時は冷静だが、いざ戦闘になると結構熱くなるタイプである。 特に未熟や無能な敵兵を前にすると、それは一層加速する。 かといって、必要以上に深追いせず、自らの状態を正確に把握できるのが、一般兵とエースパイロットの違いだ。 「この後に及んで…!平民かと思っていたが、手心は加えん!いざ!」 ド・ロレーヌが杖を持ち呪文を唱える。『ウィンド・ブレイク』。風の塊を相手にぶつける呪文だ。 「遅い!」 即座に銃を発砲。弾薬の補給が効かない以上、無駄弾は避けたいとこだが、この場合、今が使いどころだ。 銃弾が吸い込まれるようにして杖に命中し、衝撃で杖を手放す。 「戦場で立ち止まるとは、素人か。確か、ド・ロレーヌとか言ったな…私を敵にするには、貴様はまだ…未熟!」 侮蔑を含んだ声で言い放ったが、相手は何が起こったのか分からないでいる。 だが、杖を折られた以上、魔法を使うこともできない。 踵を返すとギーシュの元に戻ったが、ガトーにしてみれば『戦闘』と呼ぶに値しないものだ。 その場で動かずに居るなど、戦場では的にすぎない。 ただ、手は狙ったが、ブレも考えて腕にも当たるように撃ったはずだが、迷いも無く狙いが付けられた事は少々疑問に思わないでもなかったが。 それからしばらくすると、事件が起こる。 フーケなる盗賊が『巨人の杖』を盗み、その追撃の任に当たる事になる。 関係無い事だったが、生粋の軍人だ。与えられた任務というか仕事は何であろうとこなす。 サボタージュという言葉は一切浮かばないというところは、さすがである。 だが、現物を見て、さすがにたじろいだ。 追撃先に遺棄されるかのように放置されていたその杖は、最も良く知るMS。名機中の名機『ザク』が使う兵器。 H L-SB25K 280mmバズーカ。通称『ザク・バズーカ』だったからだ。 それを確認するとフーケのゴーレムが現れたが ギーシュに半ば無理矢理MS大の腕を作らせ、ゴーレムを陽動し、ザク・バズーカのトリガーを引かせた。 対艦、対MS用の兵器だ。土のゴーレム如き粉砕するのはわけはない。 なお、この後都合よく現れたロングビルは、即捕縛した。 ルイズ達が人質に取られそうになった時は、撃ち殺さんばかりの勢いだったが、踏み止まる。 というか、ルイズ達が止めねば撃ち殺していた。 「少佐!もうフーケのHPはゼロです!」 「落ち着きなさいよ!捕まえなきゃいけないんだから…」 「ぬう…私とした事が感情に流されるとは…不覚…!」 「その、燃え上がるような情熱が素敵…」 なお、決闘後にそれを見ていたキュルケに言い寄られた事は割愛させて頂く。 潜伏当時、交際していたニナ・パープルトンを置き去りにしデラーズの元に馳せ参じたガトーである。 ほとんど相手にしなかったのだが、逆にそれが仇になっているのは、本人も知らない。 そして今現在に至り、アルビオン『ニューカッスル城』に来ている。 夜、アンリエッタが訪れてきて、ルイズに密命を与えに来て一悶着あった。 そこは、ガチ武人のガトー。敵ならともかく、この国の姫であるからには、自然に言葉使いが上官に対しての物のようになる。 命令自体は、情勢的に納得できるものだが、依頼のやり方に多少なりとも嫌悪感を覚えた。 ただ、もちろん、自分の立場を弁えているので何も言わなかったが。 ギーシュが雪崩れ込み、三人での任となったが、翌日には中途でキュルケとタバサ、そしてルイズの婚約者であるワルド子爵が合流する事になったが ワルドに関しては、かなり露骨な嫌悪感が先行する事になる。 理屈などではない。経験と本能で判断した。 「君がルイズの使い魔かい?人とは思わなかったな」 「は…子爵殿」 感情を押し殺しワルドを一瞥する。 メイジらしかぬ、目付きは鋭く逞しい体付きをしており、確かに隊長を名乗るだけの事はある。 もちろん、ガトーも、そこは負けてはいない。むしろ勝っている。 宇宙空間でのMSの機動戦闘には膨大なまでの負荷が掛かる。 AMBAC機動しかり、スラスターを全開にした急減加速。そのGに耐えうるだけのトレーニングは欠かすことはできはしない。 まして、観艦式襲撃からコロニー落着まで、二日近く一睡もせずに化物染みた機動力を誇るノイエ・ジールを自在に操っていたのだ。 伊達に超過酷トレーニング『デラーズ・ブートキャンプ』をやり遂げてはいない。 精神力もさることながら、隊長とはいえ、魔法などというもので戦う者に引けを取るはずは無かった。 「ぼくの婚約者がお世話になっているよ。ん?ぼくの顔に何か付いているのかな?」 ――何故、ここにいる。 「いえ…」 初対面であるが心中そう思わずにはいられない。 「どうした? アルビオンに行くのが怖いのかい? なあに! 何も心配することはないさ。 君は『土くれ』のフーケを捕まえたんだろう? その勇気があれば何だってできるさ!」 そう言い放ったワルドが、グリフォンを呼び先行したが、ガトーは既に殺意すら覚えていた。 「しょ、少佐、もう子爵達は出てしまいましたが」 その様子にビビったギーシュが恐る恐る聞いてきたが、生返事だ。 「行くか」 (少佐でも、やきもち焼くなんて事があるのか) 口に出せば修正されそうだったので言いはしないが、そんな生易しいものではない。 一度胆を嘗めた者だからこそ分かる。 ――シーマ・ガラハウ…何故貴様が、ここにいるのだ。 だからこそ、そう思わずにはいられない。 ワルドは、仇敵と同じ。腹の中に黒々とした物を持ち、栄光あるジオンに仇を成したシーマと似すぎていた。 「相棒は難儀な生き方してるね。堅っ苦しくねぇのか?」 どこからか声が聞こえ思考を中断したが人影は無い。 あるのは脇に置いた一本の剣だけだ。 「生き方に楽も難しいもあるまい。それを分からぬ貴様でもなかろうに」 視線を剣に向けながら真顔で答える。一般人が見たら、間違いなくフラナガン機関行きである。 が、聞こえてきた声は確かに剣からだ。 「それもそうだ。俺なんか、人間よりずっと生きてるんだからな」 インテリジェンスソード『デルフリンガー』 弾に限りがある以上、そうそう使えないので、護身用に買える値で買った物だが、中々興味深い。 剣技に関しては、宇宙攻撃軍に配属される前はギレン・ザビ親衛隊であったため、一通りだが訓練を受けている。 実際に使う事は無いが、儀礼用と言ったところだ。 もっとも、武器を持った時に光る、ガンダールヴの印のおかげで、ほぼ全ての武器の扱いに長けるようになったという妙な事態になっているのだが。 「このような物、如何ほどになろうものか」 左手のルーンを言ったが、基本的にあまり信頼していない。 MS戦においては信じられる物は、己の技量である事が大きかったからであるが。 「…なに見てるの?」 別の声が届くが、その声はよく知っている。 「いや…宇宙で散っていった同胞の事を思うとな」 このガッチガチの武人の主である、ルイズだ。 さすがに、ノイエ・ジールで、MS・艦隊戦を見た上 ザク・バズーカの破壊力を目にしたからには、別世界ないし、宇宙から来たと信じざるをえないでいた。 よく見ると、頬に涙が伝った跡がある。 「あんたの国でも戦争してたんでしょ…?」 「うむ」 「どうして…どうして死を選ぶの?わけ分かんない。姫様が逃げてって言ってるのに、どうしてウェールズ皇太子は死を選ぶの?」 「閣下にも、信じる大義があるのだろう。それは我々が口を出す事ではない」 「なにそれ。愛する人より大事な物があるっていうの?」 それを聞いて考える。自らも、エギーユ・デラーズの召集に応じて、ニナ・パープルトンを置き茨の園に向かった。 (カリウス…ニナを連れて無事にアクシズ艦隊にたどり着けたのだろうかな。そしてヤツは…) GP-03Dデンドロビウム。腐敗した連邦軍にの中にあって、ただ一人執拗に追いすがってきた兵士。 オーストラリアの大地で、ソロモンの海で、コロニーを護る宇宙で、蒼く輝く地球を後ろにと、幾度と無く剣を打ち合わせた宿敵とも言える若き士官。 (コウ・ウラキ…貴様は今、何をやっている) 決着を付けるため、脱出せずに残り、有線クローアームを利用し背後から組み付き、止めを刺す寸前だったのだが 連邦軍の味方艦隊をも巻き込んだ非道なソーラ・システムⅡの攻撃により水を差された。 あの時、先に稼動したのはノイエ・ジールだったが 反応炉を停止させ、残骸に紛れ漂うデンドロビウムを見た時、止めを刺す気は起こらなかった。 今現在、ニナと交際している相手という事もあるが 他から邪魔をされ、漂流している相手に止めを刺すなど、誇り高きジオン軍人。いや、一人のパイロットとしての矜持がそれを許さなかった。 「早く帰りたい…この国嫌い。誰も彼も自分の事しか考えてない。あの王子様も。残された人達の事なんてどうでもいいんだわ」 「閣下の気持ちは私にも分かんでもない。…私も同じような事をし姿を眩ました事があったのでな」 「あんたも…?なんでよ」 「宇宙市民の真の開放を掴み取るために、やらねばならぬ事があった。だからこそだ。相手に、全てを忘れて欲しかったのだ」 多くの物を捨て去ってきたが、後悔や自戒の念など微塵もない。 ただ、巻き込んでしまったという自責の念だけ巻き起こったが。 「知らないわよ…!好き勝手やって勝手に死んで!残された人はどうすればいいっていうのよ!」 「ぬ…」 こうなれば、落ち着かせるのに時間が掛かる。 ただ、この事に関してはそうしようとは思わなかったが。 「もういい!知らない!!」 踵を返し廊下を駆け出していったが、その背向け言葉を放つ。 「待て!」 「…なによ!」 何時になく真剣な声。いやまぁ、常に真剣なのだが、何時も以上なのでルイズが立ち止まり振り返る。 「一つ忠告しておこう。…ヤツを、ワルド子爵を信用するな」 「そんなの、あんたに関係無いじゃない!」 抜かった。ルイズの性格を考慮に入れていなかった。 今の状態では、言う事全てに反発する事は明白だったというのに。 止める間もなく、背を見送ると息を深く吐く。 滅び行く国に殉じようとする者達。 ア・バオア・クーで右腕を失った14Aの代わりにグワデンで09Rを無理矢理借り受けようとした時の自分と同じだ。 だからこそ、ウェールズ達の心情はよく分かる。 地球から見上げる宇宙と変わらぬ宇宙を見上げ、おもむろに立ち上がると、解いた銀色の髪が月光を受け金色に輝く。 そして、その目には迷いなど一切無い。確固たる信念を持っていた。 翌朝。 非戦闘員の脱出者が、マリー・ガーラント号とイーグル号に乗るため隠し港に殺到している中、ガトーはウェールズを探していた。 「ぬう…こうも人が多いとは」 人の流れに逆らい進むのは容易ではないが、それを掻き分け進んでいく。 「愛しているからこそ、引かねばならない事もある…か」 195cmのガトーといえど、150cmのデルフリンガーを腰に差すというのは無理があるので、09のヒート・サーベルのように背負っている。 「愛するが故に、知らぬふりをしなくてはならない時がある…ねぇ」 「無駄口を叩くな」 「分かったよ。でも、相棒はどうして「私はジオンの再興に身を託したのだ」置いて…。やっぱ難儀だね相棒は」 デルフリンガーの言おうとしている事は分かっていたので、途中で言葉を遮ったが。 「ここからトリステインに帰ったとして、娘っ子はワルドと結婚するんだろ?そうなったら、行く当てはあるのか?。元の世界に帰る方法を探すってのでもいいけど」 「当てなどあろうはずがなかろう。それに私は向こうでは戦死となっているはずだ。カリウスらならば…」 「当てが無いってんなら、傭兵でもやるかね? 今日はこっちの戦場、明日はあっちの戦場と渡り歩いて暴れまわるのさ。実入りは悪くねぇし、暴れ…」 無駄口を叩いたデルフリンガーの少しだけ出ていた刀身を完全に鞘に収める。 しばらくすると、また少しだけ刀身を出して話しかけてきた。 「傭兵は嫌かい?」 「ふん…そのような不逞の輩に成り果たとすれば、ギレン総帥、ドズル閣下、ビッター閣下、デラーズ閣下に申し訳が立たぬわ」 それだけではない。地球に、宇宙に散っていった数多くのジオンの戦士達の栄光を汚す事になる。 それ故に、三年間、海賊行為をしてきたシーマ艦隊は憤激の対象だった。 人の流れに逆らっていると、兵を見つけた。丁度良い。 「ウェールズ閣下を知らぬか?」 「では、式を始める 新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名においてこの者を敬い、愛し、そして妻とすることを誓いますか?」 ワルドは重々しく頷いて、杖を握った左手を胸の前に置いた。 「誓います」 ウェールズは頷き、今度はルイズに視線を移す。 「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……」 何をやっているかと言うと結婚式だ。 朝起きていきなり、ワルドに結婚式をやると言われ戸惑ってたが 残された者の事など気にしないようなウェールズやガトーの態度が落ち込ませ、半分眠ったような頭で、深く考えずにここまでやってきてしまっていた。 ここまで来て、ようやく結婚式をしているという実感が沸いて出てきたのだが、心の奥底に引っかかっているものがあった。 ワルドの事は嫌いでもない。むしろ、幼い頃から憧れていて、むしろ好いている方だ。 だが、迷いがある。痛痒いというか、軽い虫歯のようなものが残っている。 こうなってくると、一度気になりだしたら止まりはしない。それこそ治療するまで。 一つ忠告しておこう。…ヤツを、ワルド子爵を信用するな。 今までも、信用してない風だったし、何より、昨日は感情が高ぶっていたせいもあり、気にしないでいたが今は違う。 およそ、一切の冗談や世辞など言わないであろうはずの、ガトーが、何時もより重く、真剣な声でそう言った。 毎朝、ほぼ同じ時刻に起こされ、軍隊かと言わんばかりの規則正しすぎる生活に巻き込まれ あの、ギーシュですら『少佐』と呼ぶ程の軍人に辟易していた部分もあるが それでも、半ば無理矢理召喚されたというのに、『義』の一言で済ませて、よくやってくれているガトーを信頼するようにはなってきている。 確かめてみよう。 心中でそう決める。 ルイズが16年間生きてきた中で、小さいかもしれないが初めて持った信念かもしれない。 「新婦?」 「ルイズ?」 ウェールズの詔が続く中、ルイズが首を振り顔を上げたので 二人が怪訝な顔をして覗き込んできたのだが、何時になく真摯な表情をワルドに向ける。 「どうしたね、ルイズ。気分でも悪いのかい?」 「違う、違うの。ごめんなさい…わたし、あなたとは結婚できない」 ASSAULT WAVESが聞こえそうな急展開に、さしものウェールズも首を傾げた。 「新婦は、この結婚を望まぬのか?」 「そのとおりでございます。お二人には大変失礼を致すことになりますが…わたくしはこの結婚を望みません」 これがルイズにやれる、唯一の確かめる方法だ。 ワルドが本気で自分の事を愛してくれているなら、後で訳を話せば分かってくれる。 ガトーの言っている事が事実ならば… ワルドの顔に朱が差し、ウェールズは残念そうにワルドに告げた。 「子爵。誠にお気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続ける訳にはいかぬ」 それに構うことなく、ワルドがルイズの手を取る。 「緊張しているんだ。そうだろルイズ。君が、僕との結婚を拒む訳がない!」 「ごめんなさいワルド。確かに憧れてた、恋もしてたかもしれない。でも…」 そこまで言うと肩を掴まれ、その目がつりあがり、表情も何時もの優しげな顔ではなく、冷たいものに変わった。 「世界だルイズ。僕は世界を手に入れる! そのために君が必要なんだ!僕には君が必要なんだ!君の『能力』が! 君の『力』が!」 ガトーの言っていた事は本当だった。ワルドが欲しがっていたのは、自身ではなく在りもしない魔法の才能。 それだけに悔しかったし、後悔もした。 「わたし、世界なんていらない!」 「ルイズ!いつか話した事を忘れたか!君は始祖ブリミルに劣らぬ優秀なメイジに成長するだろう!その才能に、君がまだ自分で気付いていないだけだ!」 泣きそうになりながら、そう叫んだが続くワルドの剣幕に恐怖し本気で震えた。 その禍々しさすら覚える物言いに。 「ウェールズ殿下なら、今頃、礼拝堂でワルド子爵とヴァリエール嬢の婚姻の媒酌をしている。 ワルド子爵が勇敢な殿下に是非ともと言って頼み込んできたらしい。目出度い事じゃないか」 「く…抜かったぁ!!」 短くそう叫ぶと、すぐさま礼拝堂に向かい駆け出す。 人の波を踏み越えるが、この際仕方無い。 「どうしたんだよ相棒?」 答えない。本気で答える暇が無いのだ。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7765.html
前ページ次ページゼロの使い魔×相棒 ~トリステイン魔法学院特命係~ プロローグ 突然の右京消失事件は、目撃者である尊(と角田)の耳を疑うような証言によって、警視庁内で耳目の的になっていた。 以下の会話は、警視庁捜査一課に所属する通称「トリオ・ザ・捜一」の伊丹憲一、三浦信輔、芹沢慶二らが 今回の事件について話しているところを記録したものである。 芹沢:先輩、大変ですよ! 伊丹:なんだ? 事件か!? 芹沢:事件も事件、大事件っすよ! 杉下警部がいなくなったんです! 伊丹:はぁ? それの何が大事件なんだよ? 三浦:警部殿が勝手にいなくなるなんて、いつものことじゃないか。 伊丹:ったく、血相変えて何事かと思えば、くだらねえ…。 芹沢:それが違うんですよ! 警部が部屋から出ようとしたら、突然姿が消えちゃったんですって。 三浦:どういうことだ? 芹沢:なんか、鏡のようなものが警部の前に現れて、それに入って消えたっていう話なんですけど…。 伊丹:お前、なに言ってんだ? わけがわかんねえ。 芹沢:俺も又聞きなんでよく知らないですけど、目撃者がそう証言してるんですって。 伊丹:誰なんだ、その目撃者ってのは。 芹沢:神戸警部補と角田課長です。 伊丹:おいおい。ソン(尊のこと。括弧内筆者)はともかく、課長までなに寝ぼけたこと言ってやがるんだ…。 特命なんかと仲良くしてるからだよ。 三浦:正気か…。そんなこと、刑事部長が信じるわけないだろう。 芹沢:案の定、正直に話して大目玉くらったらしいですよ。杉下警部が今日中に見つからなかったら特命係は解散だって。 伊丹:へっ。そいつはいいや。警部殿のいねえ特命なんざ、金棒のねえ鬼みたいなもんだからな。 三浦&芹沢:……。 伊丹:な、なんだよお前ら…。 芹沢:先輩…。鬼は金棒なくても強いじゃないですか。だから婦警さんたちに「ちょっと頭の弱いイタミン、かわいい!」なんて陰で言われるんですよ。 伊丹:う、うるせえ! 一丁前に文句つけてんじゃねえよ! 三浦:そのニュアンスでいうなら、「翼をもがれた鳥」ってところだな。 芹沢:プッ! やめて下さいよ…そんな洒落た表現使ってる伊丹先輩とか、ありえないっすよ…あはははは……。 伊丹:笑ってんじゃねえ!(芹沢を叩く) 三浦:やめろ、お前ら。…まぁしかし、警部殿ならどこに行っても変わらずにやっているだろう。 なんせ「警視庁随一の変人」だからな…。 芹沢:ああ、あの人はどんな場所でもどっこい生きてそうですもんね。 伊丹:つうか、警部が寿命以外で死ぬなんざ想像できね……へっくしょい! 芹沢:ちょっ…唾飛ばさないでくださいよ! 汚いなぁ、もう…。 三浦:誰かがお前の噂してるんじゃないか? 伊丹:(鼻をすすって)噂か…。こりゃいよいよ俺の結婚も近いか。ふふふふ…。 三浦&芹沢:…………。 第三章 ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールが、使い魔として杉下右京をハルケギニアに召喚してから、最初の朝が来た。すがすがしい朝の光が部屋に差し込んでくる。 「ミス・ヴァリエール。朝です」 起床を促す声を聞いて、ルイズはまだ眠たそうに目をこすった。 そして、自分を見下ろしている男を見て驚き、寝ぼけた声で怒鳴った。 「……って! 誰よあんた!」 「昨日あなたの使い魔として召喚された、杉下右京です。おはようございます」 右京は相変わらず冷静に、紳士的に応じた。 「そっか、昨日、召喚したんだっけ…おはよう…」 ルイズは起き上がってあくびをし、体を伸ばした。 「じゃ、服出して」 そう言ってネグリジェを脱ごうとして、昨日のことを思い出した。 見たくないなら目を逸らしていればいいから、と注意した。いちいち着替えの度に部屋を出られては面倒くさくてしかたがない。 下着を右京から受け取り、身につけていく。彼はその間に制服を持ってくる。 ルイズは、制服が丁寧にたたまれていることを不思議に思った。自分はたたんだ覚えがない。いつも椅子にかけておくだけである。 となると、たたんだのは右京に違いない。そういえば、彼の服も皺や汚れがつかないように細心の注意が払われていることに気づいた。 主人のためというよりは、彼自身が几帳面なのだろう。 「失礼します。確か貴族は、下僕がいる場合は自分で服をお召しにならないはずですから」 「あら、わかってるじゃない」 本当によく知っている。やっぱり異世界から来たというのは嘘なんじゃないか、と思いたくなるくらいだ。 着替え終わり、ルイズは朝食をとるため部屋を出た。右京は部屋を確認すると施錠し、後に続く。 廊下に同じような木の扉が壁に並んでいる。そのうち、ルイズの部屋の隣の扉から出てきた赤い髪の少女を確認するや、ルイズは顔をしかめた。 右京はその人物に見覚えがあった。昨日、中庭で契約前のルイズに声をかけていた同級生だった。“ゼロのルイズ”といったのも彼女だ。 名前は確か、キュルケといったか。 「おはよう。ルイズ」 キュルケはルイズを見ると、にやりと笑みを浮かべて挨拶した。 「…おはよう。キュルケ」 ルイズも挨拶を返す。いかにも不機嫌さを抑えているといった感じだった。 「おはようございます。私、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔をしております、杉下右京と申します。よろしくお願いいたします」 「あら、どうもご丁寧に…キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーよ。よろしくね」 キュルケは、思わぬところからの丁寧な挨拶にも動じず、ルイズのときとは違うにこやかな笑顔で挨拶を返した。 「もう! そんなやつにいちいちバカ丁寧に挨拶しなくていいの!」 「と、いいますと?」 なぜ挨拶したことをルイズが怒るのか理由がわからず、右京は尋ねた。 そんな二人の様子がおかしくて、キュルケは笑い出した。 「あっはっは! ルイズぅ? そこの使い魔さんはただあたしに挨拶しただけじゃない。それを怒るなんてかわいそうよ」 「あんたは黙ってて! ツェルプストー!」 「やだ怖い。下僕より礼儀がなってないなんて、ヴァリエールの名が泣くわよ? あなた、彼にマナーを教えてもらったほうがいいんじゃなくて?」 「余計なお世話よ!」 「『余計なお世話』ってことは、自覚はあるんだぁ。ふふふ」 二人が他愛もない口論をしている横で、右京はキュルケが連れている大きな赤いトカゲのような生き物に興味を向けていた。好奇心に目を輝かせている。 「これは…かのパラケルススが『妖精の書』の中で提唱した四精霊のうちの火の精霊、サラマンダーに似ていますねえ。体はかなり大きいですが」 右京のつぶやきを耳聡く聞きつけたキュルケは、ルイズとの口げんかを打ち切って、優越感に浸りながら自慢し始めた。 「その通りよ。しかも見て、この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ。名前はフレイム」 「火竜山脈?」 「ハルケギニアの中で最高品種といわれるサラマンダーが住んでいるところよ。属性的にもこのあたしにぴったり」 「属性?」 「キュルケは『火』属性なのよ」 右京の疑問に、ルイズがぶすっとした顔で答えた。 「自分で言うのもなんだけど、これほどの幻獣を誰かさんと違って一発で召喚しちゃうなんて、 さすが“微熱”の二つ名は伊達じゃないって感じよねえ。ねぇルイズ?」 得意絶頂のキュルケは、手を顎にそえて、色っぽく首をかしげて笑った。 ルイズは答えず、そっぽを向いた。 「いや、不慮の事故とはいえ、こうして想像上の存在を目の当たりにする日がこようとは…素晴らしい!」 右京は、普段の冷静さもどこへやら、昨日『フライ』を見たときと同じように、感動と興奮がない交ぜになったような声を漏らした。 「ちょっと、なに感動してんのよ! あんたはわたしの使い魔でしょ!」 「うふふ。よくできた、いい使い魔じゃない。あなた、ただでさえ友達が少ないんだから、大切にしてあげなきゃだめよ、“ゼロのルイズ”?」 右京の反応と、悔しそうに声を荒げたルイズにますます気分をよくしたキュルケは、相手の使い魔を褒める余裕さえ見せた。 そして、扉に施錠のコモン・マジック『ロック』をかける。 「では、お先に失礼」 そう言い残して去ろうとしたキュルケは、右京に「すみません」と呼び止められた。 「なに? ええと、スゲシタ……」 『右京』で結構ですよ、と前置きし、キュルケに質問を投げかける。 「今、扉に何かなさっていたようですが、魔法ですか?」 「ええ。コモン・マジック『ロック』よ。扉に鍵をかける魔法なんだけど…」 まさか知らないのかとキュルケは問おうとして、ルイズを見て合点がいったようだった。 「ああ、しょうがないか。ルイズはいまだに鍵を持ってるんだものねえ」 意地の悪い笑顔を向けるキュルケを、ルイズは睨みつけた。 「では、この学院の生徒さんは、全員魔法で施錠するのですか?」 「『全員』ではないわね。正しくは『“ゼロのルイズ”以外』」 「そうですか」 「もういいかしら?」 キュルケはきびすを返して立ち去ろうとした。 「あ、もう一つだけ」 右京が指を立てて、彼にとって一番肝心な質問をした。 「このハルケギニアと、違う世界を繋ぐことのできる魔法、またはそれを知っていそうな方に心当たりはありませんか?」 「ち、違う世界…?」 この質問にはさすがのキュルケもたじろいだ。右京が何を言っているのか理解できなかったからだ。 あと一つだけなんて言うからなにを聞いてくるのかと思ったら、ハルケギニアと違う世界? あたし、からかわれてるの? なんの冗談? ここ、笑うところ? そんな彼女の思いとはうらはらに、右京も、後ろにいたルイズも真面目だった。 キュルケは、ルイズに耳打ちした。 「ねえルイズ…この人、ちょっとアレな人…?」 「あんたの気持ちはわかるけど、たぶんほんと。月が一つしかない画を持ってたし…」 「月が一つ!? うそでしょ…?」 右京に聞こえないように二人はひそひそ話していたが、やがてキュルケが真面目な表情で右京に提案した。 「ウキョウ…」 「はい?」 「あたしにも、証拠を見せて。月が一つしかないっていう画を」 「…わかりました」 右京は携帯電話を取り出し、例の写真を見せた。 「……!」 キュルケは写真を見た瞬間目を見開いたが、それ以外は微動だにせず、一言も発しなかった。鋭い目で写真を見ている。 話を聞いて覚悟を決めていたからなのか、昨夜のルイズのような動揺は見せなかった。 右京は、キュルケの様子を油断なく見つめていた。 ルイズは、内心当惑しながら対峙する二人を見比べていた。 少しして、キュルケはふう、と悩ましげに息を漏らした。 「ウキョウ、ごめんなさい。あたしも知らないわ。ここと違う世界を繋ぐ魔法なんて聞いたことない」 キュルケは伏し目がちに言った。 「そうですか」 「知ってる人がいるとしたら…学院長のオールド・オスマンとか、ミスタ・コルベールあたりでしょうね…。 あと、もしかしたらタバサも知ってるかもしれない」 「タバサさんというと、昨日、あなたの隣で本を読んでいた方ですね?」 「え? そうだけど…なんでわかったの?」 「昨日、あなたがミス・ヴァリエールに声をかけたときに、『ねぇ、タバサ』とその方を呼んでおられたので」 「ウキョウは頭がよくて、記憶力がすごいの。わたしが忘れてたようなことまで憶えてるんだから」 驚きを隠せなかったキュルケに、ルイズがここぞとばかりに勝ち誇った。 それを聞いたキュルケは、手を口元にそえて目を細めた。手で隠れた唇の端がつり上がった。 「なるほどね…でも、あなたじゃタバサから直接話を聞くことはできないわよ。あの子、クラスメイトともほとんどしゃべらないからね。 あたしから聞いておいてあげるわ」 「ありがとうございます。そうしていただけると、非常に助かります」 感謝を示す右京に、キュルケは「それじゃ、またね。お・じ・さ・ま」と耳元で囁き、意味深な笑みを残して去っていった。 サラマンダーが、その巨体の割にちょこちょことした可愛らしい足取りで彼女の後を追った。 キュルケが去ってから、ルイズはなんとも複雑な気分であった。 確かに、右京には使い魔の仕事に支障がない範囲で、自由に行動することを許した。 そして、彼は昨日から今朝の時点で――少々自分の心に正直なところは見られたものの――仕事においては手際のよさと微に入り細を穿つ気配りをみせ、ルイズを感心させた。 だから、彼が元の世界への帰還方法を自分で探すことを止めることはできないし、そのつもりもない。ルイズは右京が帰れる方法など知らないのだから。 しかしながら、なぜ右京はキュルケに「ハルケギニアと異世界を繋ぐ魔法」のことを聞いたりしたのか。 よりにもよって、犬猿の仲であるツェルプストーの者に聞かなくてもいいだろう。彼女だって知っているわけがない。魔法の知識に関しては、ルイズとキュルケに大した差はないのだ。 それとも、右京は道行く人全員に聞いて回るつもりなのだろうか。証拠の画があるとはいえ、全員が信じるとは限らないし、余計な混乱を招くだけではないか。 この頭の回る紳士が、そんなことに気がついていないはずがない。 ルイズは、心の中に生じたもやもやした気分を抱えたままでいられるほど器用ではなかった。それに相手は使い魔なのだ。遠慮する必要はどこにもない。右京に自分の気持ちをぶつけてやろう。 ルイズは廊下を歩きながら、首を右京のほうに向けて尋ねた。 「ねえ、ウキョウ」 「はい?」 「どうして、キュルケにあんなこと聞いたの? キュルケが信じなかったらどうするつもりだったの? みんなにああやって聞くつもり?」 右京もまた、歩みを止めることなく答えた。 「もちろん、全員に言うつもりはありません。僕が見た限り、彼女ならば話しても冷静に受け止め、信じてくれるだろうと思ったからです。実際の反応は予想以上でしたが」 「どういうこと?」 「ミス・ツェルプストーは、あなたと口論しているさなかでも、サラマンダーに興味を示している僕に目を配っていました。お二人の口論にしても、 あなたは終始感情的に怒鳴っていたのに対し、彼女はあなたをからかっているようでした。 また、異質な存在である僕からのいきなりの挨拶にも、まったく動じることなく対応していました」 ルイズは言葉に詰まる。頬にさっと朱が差した。 「これらのことから僕は、ミス・ツェルプストーは常に余裕と冷静さを保った強い精神と、 周囲の状況を複眼的な視点で把握し対応できる能力を持った、信頼のおける人物だと判断しました。 その証拠に、例の証拠写真を見せたとき、彼女には少なくとも表向きは、昨夜のあなたのような動揺は見られませんでした」 「あああんた、もしかして、わたしを馬鹿にしてる…?」 ルイズの声は怒りで震えていた。頬が引きつっている。 「しかし、それは僕が信頼をおけるというだけの話です。仮に彼女と一対一で話をしていたら、あの証拠写真を見せても信じなかったでしょうねえ」 右京の意外な言葉に、ルイズの怒りはたちまち吹き飛んだ。代わりに心を満たしたのは、大量の疑問符だった。 「で、でも、キュルケはあの画を見て信じたじゃない!」 「では、ミス・ツェルプストーが僕の話を信じた根拠は何か。その根拠こそが、僕が彼女に話をした決定的な理由でもあります」 「だから、あの画を見たからでしょ? 違うの?」 右京の言わんとするところがまるでつかめず、ルイズは狼狽した。 「違います。それは、あなたがおられたからですよ。ミス・ヴァリエール」 「え? わたしが…?」 右京の口から出てきた答えを聞いたルイズは、呆然となった。 「ええ。ミス・ツェルプストーは、あなたを信じているから、僕の話も信じることができたのです。僕にも、お二人と同じような関係の友人を持った部下がいましたから、すぐにピンときました」 右京は、穏やかな笑顔をたたえて断言した。 彼の話の中で出た「同じような関係の友人を持った部下」とは、神戸尊が特命係に入る前の部下で、右京を「相棒」と呼んだ男、亀山薫である。 右京は、薫と捜査一課の刑事・伊丹憲一のことを思い出していた。 同期でライバル関係にあった彼らは、会うたびに憎まれ口をたたいて、いがみあっていた。それでも、いざというときには長く組んできたようなチームワークを発揮して事件を解決したのだった。 心の底では、互いの刑事としての実力と良心を信頼していたからである。 ルイズとキュルケの様子に、右京は薫と伊丹がダブって見えたのだ。 だが、ルイズは何回も首を振って、彼の説を完全否定した。 「ば、馬鹿なこと言わないでよ! あいつが、キュルケがわたしを信じてるなんて、絶対、ぜったいありえないわ!」 「そうでしょうか?」 「そうなの! だってわたしとキュルケ…ううん、ヴァリエール家とツェルプストー家は、先祖代々対立してきた、不倶戴天の敵なんだから!」 「不倶戴天の敵とは、穏やかではありませんねえ。理由をお聞かせ願えませんか?」 「いいわよ。よーく聞きなさい!」 ルイズの話はこうである。 キュルケの家、フォン・ツェルプストー家は、トリステイン王国の貴族ではなく、隣国ゲルマニアの貴族なのだという。 そして、ツェルプストー家の領地はヴァリエール家とは国境を挟んで隣同士であるため、両国が戦争になれば、真っ先に両家が衝突し、激しい戦闘を繰り広げてきた永きにわたる歴史があった。 そのため、ルイズは両親から「ツェルプストー家の者とは仲良くするな」と教えられて育ってきた。だから彼女はツェルプストーもゲルマニアも大嫌いだった。キュルケもまた同様だという。 「それだけじゃないわ! ツェルプストーの一族は『恋する家系』なんていって、散々ヴァリエールの名を辱めてきたのよ!」 激しく憤るルイズによれば、二百年前にルイズのひいひいひいおじいさんがキュルケのひいひいひいおじいさんに恋人を奪われ、次の高祖父の代には、ヴァリエールはツェルプストーに婚約者を奪われた。 さらに次の代では、曽祖父のサフラン・ド・ヴァリエールが、やはりキュルケの曽祖父であるマクシミリ・フォン・ツェルプストー(あるいはその実弟のデゥーディッセ男爵)によって、妻を取られたのだという。 「なるほど。つまり、恋愛においてはヴァリエール家はツェルプストー家の後塵を拝してきたわけですね」 「あっさりまとめるな! …とにかく、そういうわけだから、キュルケがわたしを信じてるなんてことは、例え天地がひっくり返ってもありえないことなの!」 ルイズは反論の余地はないといわんばかりだった。 しかし、それでもなお右京は自説を曲げなかった。 「確かに、ミス・ツェルプストーもお認めにはならないでしょうが、彼女は心の奥底ではあなたを信頼しておられると思いますよ。そして、あなたも」 「ななな、なによそれ…! あ、あんた、わたしの話聞いてた!?」 自分の話をあっさり否定された憤りと、右京がここまで自信を持っていうことに、ルイズは不気味さを感じ、慄いた。 「なるほど、両家の長年にわたる因縁もあって、お二人ともお互いに友情を感じたこともなければ、それを育もうなどと考えもしないでしょう。 しかし、僕は先ほどのやりとりから、お二人の間には表には出なくとも、深い信頼と友情があると感じました」 ルイズは反論をあきらめた。短い時間ではあるが、こういうときの右京に何を言っても無駄だとわかったからである。 「僕がそう感じたのは、先の話の中でのミス・ツェルプストーのあなたに対する二つの発言からです。僕の記憶に間違いがなければ、確かこうおっしゃっていました。 一つめは『使い魔さんはただあたしに挨拶しただけじゃない。それを怒るなんてかわいそう』。そして二つめは『あなた、ただでさえ友達が少ないんだから』と」 「それがどうしたのよ?」 「悪口として聞き流すこともできなくはない表現になってはいますが、『不倶戴天の敵』とまでいう人物に対するものとしては、この二つの言葉はいささか違和感を覚えます」 「違和感?」 わたしはあんたの話のほうに違和感を覚えるわよ、と言いたい気持ちを抑えて、ルイズは続きを促した。 「そもそも、心の底から憎んでいる相手には、話しかけることすらしないのではないでしょうか。先祖代々戦いを繰り返してきた歴史があるのなら尚更です。 相手の態度をたしなめたり、『友達が少ない』などという言葉を去り際に付け加えたりはしないでしょう。 馬鹿にするのならば、もっとふさわしい言い方がありそうなものですからねえ」 「そうかしら…」 「ですが、ミス・ツェルプストーはあなたにそのような言葉をかけた。僕の印象では、意識してのものではなく、自然に口から出てきたように聞こえました。 発言の意図はどうあれ、彼女があなたのことを普段から気にかけているからこそ、そのような言葉が出たのだと思いませんか?」 問われたルイズは、いい反論が思いつかずに押し黙っていた。 右京は、それを「話を続けろ」という意思だと判断し、説明を再開した。 「それに、お二人の口論は互いに憎しみあっているというよりは、自分の言いたいことや感情を素直にぶつけ合っているように見えました。 そのようなことは、お互いに相手を認め、信頼している者どうしでなければ、できることではありません」 「そんなの…あんたの思い込みじゃない…」 ルイズは使い魔の考えを否定したものの、いかにも苦し紛れにひねり出したようで、その声は小さく弱々しかった。 「いいえ。お二人が僕に内緒で話をしていたことで確信しました。内容は聞こえませんでしたが、前後の文脈から察するに、ミス・ツェルプストーは僕の頭が正常かどうかを尋ねておられたのではありませんか?」 「え? そんなことまでわかるの…?」 「僕の話だけでは信用できない。だからあなたに相談した。そしてあなたが僕を信用しているとわかって、自身の目で証拠を見極め、信用し協力することを決意した。 一見反目していても、主張を遠慮なく言い合え、いざという時には肩を寄せ合って相談できる。そのような関係は、まさしく互いを深く信頼する良きライバル、あるいは親友と呼べるのではないでしょうか」 自分がこれまで思いもかけなかったキュルケとの友情を右京に理詰めで指摘され、ルイズは彼女と仲良く笑いあっている様を想像して眩暈がした。 彼の噛んで含めるような話は、聞いているうちに正しいように感じられ、本当はそうなのかもしれないとさえ思えてくる。 だが、幼いころから植えつけられ、魂に刻まれたツェルプストーとゲルマニアへの憎悪を捨てることも彼女にはできなかった。 理屈での賛同と感情での拒否。二つの相反する心が、ルイズの中で葛藤していた。 そんな過程を経てルイズが選んだ方法は、主人という優位を利用して使い魔の論理を無理やり否定して、話を打ち切ることであった。 ルイズは顔を右京から逸らすと、怒ったような調子で言い放った。 「へ、平民がわかったようなこと言わないで! 貴族にはねえ、あんたなんかにはわからない、複雑なお付き合いっていうのがたくさんあるの! 下手なことをすると家まで巻き込む問題になりかねないから、どんなに嫌なやつでも同じクラスで隣同士である以上、無視したり邪険にするわけにはいかないってだけよ」 「なるほど。そういうこともあるかもしれませんねえ」 「そんなことより、気をつけなさいよ」 「なにをでしょう?」 ルイズは呆気にとられた。今までの経験から、これだけいえば右京なら言いたいことはわかっているだろうと思っていたからだ。 「最後のキュルケの顔、見たでしょ? 新しい獲物を見つけるとああいう顔をするの。あんた、あいつに目をつけられたのよ。 あんたはわたしの使い魔。わたしのものは、小石一個だってキュルケに取られてたまるもんですか! ご先祖様に申し訳が立たないわ!」 右京は、口元に手を添えて目を細めたキュルケの顔を思い出した。そういわれれば、獲物を見定めて、狙っていたように見えなくもない。 「そうでしたか。しかし、なぜ僕が目をつけられたのか、皆目見当がつきませんねえ」 「どうせ、あんたに『一目惚れした』なんて言い寄るつもりなのよ。あいつ、惚れっぽいから。誘いに乗ったりなんかしたら、学校中の男子を敵に回すことになるわよ」 ルイズの話を受けて、右京は考え込んだ。 「ミス・ツェルプストーが、僕に一目惚れをした…? 親子ほども歳の離れた僕に惚れるなどということはいささか考えづらいですが…一応、気をつけておきましょう」 まるでピンときていないような右京の姿に、ルイズはこのとっつきにくい変わり者の新しい一面を見た気がした。 どうやら彼の頭脳は、いわゆる恋愛の方面は苦手らしい。ここまで飲み込みの悪い右京は初めてだ。 主人として一緒にいるにもかかわらず、得体の知れない男の意外な弱点を知ったことで、ルイズとしては少し右京という人間に近づくことができた…はずである。 前ページ次ページゼロの使い魔×相棒 ~トリステイン魔法学院特命係~