約 1,746,210 件
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/2767.html
一方、ハルキゲニアだかハルケギニアだかでは、例の如くルイズが召還を失敗していた。 しかし「早くしろカス」「氏ねゼロ」「留年ケテーイ」などなど罵声が飛び交う最中、 なんと驚く事にルイズは召還に成功してしまったのである。 モクモクとした噴煙が消え、そこから現れたのは…… 「あら、ここはどこかしら。のびちゃんにご飯作ってあげなくちゃ」 野比玉子である。 「ちょ、玉子かよwwwwwwww」 「毎度毎度すげーの召還してくれるなwww」 「確かにニビジム召還したときは吹いたwwwww」 流石のコルベールも吹飯物だ、というか後ろの学生諸君と一緒に大爆笑。 「落ち着くのよ、幾ら玉子でも成功は成功……、契約しなくちゃ」 それにはルイズも切れかけたが、留年が掛かっているので耐えて契約をする。 玉子の手に浮かびあがるルーン。そして痛みにのた打ち回る玉子。嫌な予感がするルイズ。 「ちょっと……確かにルーンが浮かぶときは痛むっていうけど、まさか」 「ふむ、変わったルーンですね……ってあれ、消えてしまった、という事は……やはり死んでしまいましたか」 死を確認するコルベール。再び大爆笑する一同。そして留年するルイズであった。 【トリステイン魔法学校】 【ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール@カオスロワ】 【状態】留年 【装備】つえ 【道具】支給品一式 【思考】1:\(^o^)/ 【ジャン・コルベール@ゼロの使い魔】 【状態】爆笑 【装備】つえ 【道具】支給品一式 【思考】1:学園長にルイズの留年を伝える 【野比玉子@ドラえもん 死亡確認】死因:ルーンが浮かぶ痛みによるショック死
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7812.html
前ページ次ページゼロの使い魔×相棒 ~トリステイン魔法学院特命係~ プロローグ 神戸尊は沈鬱な気分を抱えながら廊下を歩いていた。こちらからは右京に連絡がまったく取れない。 もしかしたら右京の行き先を知っているかもしれないと思い、小料理屋『花の里』の女将で右京の元妻である宮部たまきに事情を話して尋ねてみたが、返事は芳しくなかった。 「わかりました。ありがとうございました」尊はたまきに礼を述べて、電話を切った。 「たまきさんも駄目か…。くそっ、どこにいるんだよ…」 尊は、八方ふさがりになりつつある状況に苛立った。 右京が外出しようとしたときに行き先を聞けなかったことを、尊は今さらだが悔やんでいた。 尊が右京の身を案じ、特命係の行く末に頭を悩ませているのは、彼が右京を慕っているというよりは、彼が特命係に配属された事情によるところが大きい。 尊は、表向きの階級は警部補であるが、実際は警察庁警備局に所属する警視である。 彼は警察庁上層部から、特命係と右京が警察にとって必要かどうかを判断するために、右京と身近に接して調査せよという「特命」を受けているのだ。 そのため、いわゆる「庁内エス(警察庁から警視庁に送られるスパイ)」として、二階級降格による左遷を口実に、特命係に半年の期限つきで潜入することになった (右京には当然秘密にしており、警察庁時代からの知り合いである警視庁警務部人事第一課主任監察官の大河内春樹にも適当にごまかしていた。なお、調査の目的やなぜ尊がその役目に選ばれたのかは定かではない)。 その目的に加え、右京という人間に個人的にも興味を抱くようになった尊は、ことあるごとに右京と行動を共にするようにしていた。 だが、最近は特に右京が興味をそそられるような事件もなければ、回ってくる雑用も簡単なものばかりで、尊は正直なところ退屈で、少々気が抜けていた。 そこへ、右京が突然「少々、出かけてきます」と扉を開けながら言ってきたのである。意表をつかれて慌てた尊が「どちらへ?」と問うたときには、あの謎の鏡に右京が飛びこんでしまった後だった。 不測の事態とはいえ、右京が姿をくらませてしまったことは、尊にとって非常に都合が悪い。 警察庁の上役にこのことを包み隠さず正確に報告したところで、内村同様信じてはくれないだろう。むしろ、気の緩みから調査対象に逃げられたとして、自分の責任を追及されかねない。 さらに、こちらの事情を知らない内村によって、今日中に右京が見つからなければ特命係の解散と解雇を申し渡されてしまった。かねてから特命係の廃止を狙っていた内村にとっては、渡りに船だっただろう。 もし明日まで右京が行方不明のままだった場合、警視庁と警察庁との無用の混乱を避けるために内村の人事勧告が受理され、理不尽にも切り捨てられてしまう可能性もある。 冗談じゃない。こんなわけのわからないことでクビにされてたまるか。 こうなったら、無駄だとわかっていても右京が行きそうな場所をしらみつぶしに当たるしかない。尊は、黙って最後通告を待つつもりはなかった。 廊下の十字路に出たところで、尊は出くわした人物に声をかけられた。 「おお、これはこれは神戸警部補」 「米沢さん!」 それは、ふちの太いメガネをかけた、坊ちゃん刈りが特徴の警視庁刑事部鑑識課員、米沢守だった。 第四章 トリステイン魔法学院の学院長室は、本塔の最上階にある。その中で、重厚な作りのセコイアのテーブルに肘をついて気の抜けた顔で鼻毛を抜いている、いかにも暇をもてあました白く長い口ひげと髪をたくわえた老人が、学院長のオスマン氏であった。 そして、部屋の端に置かれた机に座って、オスマン氏とは対照的に真面目に書き物をしている、緑色の長髪が綺麗な女性が、学院長秘書のミス・ロングビルである。 オスマン氏は横目でミス・ロングビルを見やると、水ギセルを魔法で取り出し、口元に運んでいく。 しかし、オスマン氏がくわえる寸前に、水ギセルはミス・ロングビルの手元に収まってしまった。彼女が羽ペンで水ギセルを操ったのだ。 ミス・ロングビルが、呆れたような声でオスマン氏に注意した。 「オールド・オスマン。水ギセルはこれで十二本目ですよ。健康のためにもご自制ください」 「ふう…まだ若い君にはわからんだろうが、この歳になると、一日々々をいかに過ごすかが何より重要な問題になってくるのじゃよ」 オスマン氏は眉間に皺を作り、重々しく目を瞑りながら、机で書き物を続けるミス・ロングビルにさりげなく近づいていく。 「だからといって、たびたび私のお尻を撫でたり、ご自分の使い魔を悪用なさるのはおやめください」 ミス・ロングビルが、小さなハツカネズミを『レビテーション』で浮かせ、遠くに落とした。 目論見を見破られたオスマン氏が、自分の肩に乗ったハツカネズミにナッツをやりながら、いかにも哀愁漂う様子で話しかけた。 「おお、この年寄りの数少ない楽しみを奪うとは…老いぼれはさっさと死ねということか。わしが心許せる友達はもはやお前だけじゃ、モートソグニル。して、今日の色は?」 モートソグニルは、ちゅうちゅうと鳴いた。 「おお、そうか今日も白か。しかし、ミス・ロングビルは黒が最も映えると思わんかね?」 「オールド・オスマン」 ミス・ロングビルの、絶対零度を思わせる声がした。 「今度やったら、王室に報告します」 「カアッ! 王室が怖くて魔法学院学院長は務まらんわッ!」 オスマン氏が目を大きく見開いて怒鳴った。その迫力は、百歳とも、三百歳を超えているとも噂される老人のものとは思えなかった。 この気力と精神力の強さがオスマン氏のメイジとしての実力を物語っているといえるだろう。 「減るもんじゃなし、下着を覗かれたくらいでカッカしなさんな! そんなお堅いことだから婚期を逃すのじゃ!」 開き直った上にコンプレックスをついてくるセクハラジジイに、ミス・ロングビルの中で何かが切れた。 思い切り尻を蹴り上げてやろうと足を振りかけたとき、学院長室の扉が勢いよく開けられた。 「オールド・オスマン! 至急お耳に入れたいことが!」 息せき切らして入ってきたのは、コルベールだった。 「どうした?」 オスマン氏は、何事もなかったかのようにコルベールを迎え入れた。一方のミス・ロングビルも、机で書き物を続けていた。魔法にも勝る早業であった。 あと少しのところで色ボケジジイに私刑を与えられなかったミス・ロングビルが、その理知的な顔をわずかに歪ませて舌打ちしたことに気づいたものはいなかった。 「昨日、ミス・ヴァリエールが召喚した使い魔の平民のことで図書館で調べものをしていたところ、大変なことがわかりまして…」 「大変なことなどあるものか。すべては小事じゃ」 「まずはこれをご覧ください」 コルベールが、一冊の古い書物を手渡した。 「んん? 『始祖ブリミルの使い魔たち』とは、まーたずいぶんと古臭い文献を引っ張り出してきたのう。これがどうしたね、ミスタ…ええと…」 「コルベールです!」 「おお、そうじゃったそうじゃった。君はどうもせっかちでいかんよ、コルベールくん。で、いったい何がわかったのかね?」 「こちらをご覧ください」 コルベールは一枚の紙を示した。それは、右京の左手に刻まれたルーンをスケッチしたものだった。 開かれた書物のページとスケッチを見比べたオスマン氏の表情が変わった。目が光り、厳しい色になった。 「ミス・ロングビル。しばらく席を外しなさい」 「はい」ミス・ロングビルが立ち上がり、部屋を出て行った。 彼女の退室を見届けたオスマン氏は、静かに口を開いた。 「さて、詳しく説明してくれ。ミスタ・コルベール」 シュヴルーズを医務室に連れていったルイズと右京――医務室に勤めるメイジの治癒魔法に目を奪われていた右京をルイズが引きずって出てきた――を待っていたのは、教室の片づけであった。 普通であれば、授業を中止にしたことと教師に怪我を負わせた罰として、謹慎なり出席停止なりの処分が下されるのだが、彼女たちに与えられたのは、魔法の使用を禁じた教室掃除だけ ――ルイズは元から魔法をほとんど使えないから意味はなかったが――で済んだ。生徒たちの警告を無視して、ルイズに魔法を使わせたシュヴルーズにも一定の落ち度があるという理由からであった。 掃除を自分でやったことがほとんどないルイズでは、教室の修復は相当時間がかかるだろうと思われたが、意外にも昼食が始まる前には終わってしまった。 右京が休みなく、無駄のない動きで手際よく窓ガラスを運んで張替えたり、机を並べなおしたり、煤だらけの壁や床を雑巾で綺麗に磨いたりと、作業のほとんどを一人でこなしてしまったからであった。 ルイズがやったのは机を拭くことだけだった。それすらも、最後のほうは右京に手伝ってもらった。 二人は昼食をとるため、食堂へと歩いていた。 道中、二人はしばし無言だった。 「ねえ」先に口を開いたのはルイズだった。暗い声であった。 「はい?」 「あんたは、もうわかってたんでしょ?」 「何をでしょう?」 「だから……わたしがなんで“ゼロのルイズ”って呼ばれてるか、よ」 ルイズは言いにくそうにしていたが、自分から話を切り出した手前、絞り出すようにしてなんとか言い切った。 右京は、少し間を置いてから、ルイズに質した。 「ミス・ヴァリエール」 「え?」 「この世界では、メイジが魔法に失敗すると爆発が起きるのですか?」 今のルイズには、右京の言い方は皮肉にしか聞こえなかった。顔を歪めて、烈火のごとく吠えた。 「わたしだけよ! 普通は失敗したら何も起きないの! 悪かったわね、才能も成功率も“ゼロ”の落ちこぼれメイジで!」 ルイズの剣幕に怯むことなく、右京は確認する。 「では、あなただけが魔法を使おうとすると爆発するというわけですね?」 「そう言ってるでしょ! なによ、あんたまで馬鹿にするわけ!? 使い魔の分際で…」 「おかしいですねえ」 目に涙を滲ませて怒りを露にするルイズであったが、突然発された右京の違和感の表明に、矛を収めた。 「普通ならば魔法に失敗したら何も起きない。しかしミス・ヴァリエールだけが魔法を使おうとするとすべて爆発。単純に同じ『失敗』でくくるには、この二つの結果はあまりにもかけ離れているとは思いませんか?」 「だからなによ? 使いたい魔法が使えないんだから『失敗』なのは同じじゃない」 右京は、左手の指を立てて反論した。 「いいえ。大きな違いです。何もないところを爆発させたということは、何らかの力がそこを爆発させるように働いたことに他なりません。あなたが事前に爆弾ないしは火薬の類を仕掛けておき、 杖を振るタイミングに合わせてそれらを起爆させているというなら話は別ですが」 「そんなわけないでしょ! なんでわたしがそんなことしなくちゃならないのよ?」 答えながらルイズは首をかしげた。右京の説明は回りくどいので、何を言いたいのかが最後の結論を聞くまでわかりにくい。 「おっしゃるとおり。『魔法を使うと爆発する』ということは、すなわち『爆発の魔法を使った』と言い換えることができます。ですから、あの爆発は紛れもなく、ミス・ヴァリエール、あなたの魔法なのですよ」 ルイズははっとさせられた。右京はさらに続ける。 「周りの方々がおっしゃるように、本当に魔法の才能がないのなら、爆発させることさえできないでしょう。そもそも、昨日僕を召喚し、使い魔の契約を交わしたことで、あなたは少なくとも『サモン・サーヴァント』と『コントラクト・サーヴァント』の 二つの魔法を成功させているのですから、『才能も成功率も“ゼロ”』というあなたへの評価は、適当なものではありません」 「……!」ルイズは、右京の意図をようやっと悟った。 言葉が、出てこなかった。 「それどころか、前例がない『人間の召喚』を実現し、さらに契約を成功させたことを考慮すると、あなたには才能がないどころか、むしろ特別な才能を秘めていると見るべきだと僕は思うのですが、これは素人考えでしょうか?」 言い終えると、右京は穏やかな微笑を浮かべた。 ルイズは、一瞬時間が止まったような錯覚に陥った。 ヴァリエール家の末娘として将来を嘱望されていたにもかかわらず、幼少のころから魔法を使おうとすると爆発させる「失敗」しか起こせなかった。 父や母は失望を隠さず、長姉には厳しく叱られ、いつしか“ゼロのルイズ”と呼ばれるようになってしまった。自分を慰め、認めてくれたのは体の弱い次姉と、今は疎遠になってしまった歳の離れた婚約者だけだった。 学校で本格的に習えば魔法を扱えるようになるからと、両親に頼み込んで入った全寮制の魔法学院でもそれは変わらなかった。劣等感と無力感、そして“ゼロのルイズ”と呼んで侮蔑する者を増やしただけだった。 挙句の果てに、家族からは「家に帰って花嫁修業をしろ」といわれる始末だ。 そんな状況であったから、『サモン・サーヴァント』で人間を召喚してしまったことも、魔法の才能がない“ゼロのルイズ”ゆえの、いつもの「失敗」の一つとしか周囲は受けとめなかった。 自分でさえそう思っていた。まともな使い魔一匹すら召喚できないのかと。 だが、考えてみれば確かに右京の言うとおりだ。 わたしは、誰もやったことがないことをやってのけたんだ。 憐憫や慰めでも、叱咤激励でもなく、実例をあげて論理的な説明でもって自分の力が認められたのは、ルイズにとって初めてのことだった。 授業の前に言っていた「他の人にはない才能を秘めている」とは、そういう意味だったのか。 そこまで考えたとき、ルイズの胸中に熱いものがこみ上げた。 ぐっと唇をかみ締める。そうしないと、マグマのように噴き上がる感情が涙となってあふれてしまいそうだったからだ。 「ミス・ヴァリエール」 と、右京が突然声をかけてきた。 「…え?」 「僕は教室の修繕が完了したことを学院長に報告にまいりますので、先に食堂へ行っていただけますか?」 「なんで? ていうか、あんた学院長室の場所知ってるの?」 「ええ。昨日学内を出歩いたときに、部屋の配置を確認しておきましたので。では、失礼いたします」 そう言うと、右京は踵を返して歩いていってしまった。 「あっ、ちょっと! …もう、主人を差し置いて勝手なことばかりするんだから…」 だが、言葉とは裏腹に、ルイズは右京を強く引き止めようとはしなかった。 小さくなっていく右京の背中を見つめ、見えなくなったところで、誰にも聞こえないほど微かな声でこう呟いた。 「……ありがと……」 聞こえてはいないはずだが、口に出してしまったら無性に気恥ずかしくなって、ルイズは早足で食堂に向かった。いつの間にか熱い感情は凪ぎ、不意に涙がこぼれることはなくなっていた。 右京は、迷うことなく最上階にある学院長室に向かっていた。 ルイズには「修繕が終わったことを学院長に報告に行く」と言ったが、実際にはそのようなことは指示されてなどいない。学院長のオスマン氏に会うための口実だった。 彼の目的は、今朝キュルケが「元の世界に帰る方法を知っている人物」として教えてくれたオスマン氏からその情報を入手すること、そして自分とルイズを取り巻く状況について問い質すことだった。 右京が先ほどルイズにかけた言葉は、最初から彼女を励ますために出てきたわけではなかった。今まで得た情報をもとに、自分の身辺について思案を巡らせる中で出てきたものだった。右京の考えは、ルイズに言ったことのもっと先にあったのである。 それは、事と次第によっては、容易に元の世界に帰ることができなくなるかもしれないという危惧を右京に抱かせるほどのものだった。だから一刻も早く確認しなければならない。 ハルケギニアに強い好奇心と魅力を感じていた右京ではあったが、長居するつもりはなかったのである。 学院長室の前までやってきた右京に、緑色の髪を持つ知的な印象の女性が挨拶した。右京も挨拶を返す。 女性は、学院長秘書のミス・ロングビルと名乗った。 右京は、さっそくミス・ロングビルに尋ねた。 「オスマン学院長にお会いしたいのですが…」 「どういったご用件でしょう?」 「私と我が主人のことで、至急学院長にご相談したいことがございまして」 ミス・ロングビルは少し考えた。自分を退出させるときは大抵重要な話をしているときだから、そんな用事はまず後にしろといわれるに違いない。 しかし今回は、コルベールの言葉から推測するに、自分の目の前にいるこの男のことについて話しているようだ。ならば、一応オスマン氏に言っておくほうがいいだろう。 ミス・ロングビルは、右京の目を見すえて答えた。 「わかりました。ですが、オスマンはただいま重要なお話をされていますので、面会できるかどうかは保証しかねます。その点はあらかじめご了承ください」 「了解いたしました。よろしくお願いいたします」 ミス・ロングビルは、学院長室の扉に体を向けて、ノックした。 学院長室では、コルベールが口角泡を飛ばして、右京の左手に浮かんだルーンについて調べた結果たどり着いた自説を、オスマン氏に説明していた。 「ふむ…始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』か…」 「そうです。彼の左手に刻まれたルーンは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』のものとまったく同じであります!」 オスマン氏は、コルベールのスケッチと書物のルーンをまじまじと見比べた。 コルベールがなおも興奮した様子でまくし立てる。 「すなわち、あの男性は『ガンダールヴ』ということです! これが大事でなくてなんなんですか! オールド・オスマン!」 「確かに、ルーンは同一のものじゃ。ルーンが同じならば、ただの平民であったその男が『ガンダールヴ』になった、という説も考えられぬ話ではないのう」 「どういたしましょうか?」 オスマン氏は、身を乗り出したコルベールを手で制した。 「まぁ、落ち着きたまえ。現時点では『可能性がある』というだけの話じゃ。それだけでそう決めつけるのは早計じゃろう」 そのとき、扉がノックされた。 「誰じゃ?」 「わたしです。オールド・オスマン」 扉の向こうから聞こえてきたのは、ミス・ロングビルの声だった。 「なんじゃ?」 「オールド・オスマンに、至急面会をしたいという方がいらしています」 「誰かね?」 「昨日、ミス・ヴァリエールが呼び出した使い魔の男性、スギシタウキョウさんです」 まさしく、今自分たちが話題にしている男の名前を聞いたコルベールが、慌てた様子でオスマン氏に伺いを立てた。 「オールド・オスマン!」 「これも、始祖ブリミルのお導きか…。わかった、入ってもらってくれ」 オスマン氏は渡りに船だと考えた。向こうのほうから面会を、しかも至急に求めているとは――いったいどのような話をするのか、興味がわいたのである。 オスマン氏の許可を受け、扉が開けられた。話題の使い魔が二人の前に姿を現した。 「ご多忙の中、お時間を割いていただき、まことにありがとうございます。私は、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールの使い魔をしております、杉下右京と申します」 右京は、かしこまって挨拶をした。 「私は、トリステイン魔法学院の学院長、オスマンじゃ」 「私は、当学院で教職を仰せつかっております、コルベールです。二つ名は、『炎蛇』のコルベールです」 簡単に自己紹介してから、オスマン氏がしみじみとした調子で言った。 「そうか、君が…ミス・ヴァリエールが召喚した、人間の使い魔か。私に話したいことがおありのようじゃが、何用かな?」 「お聞きしたいことがいくつかございますが、まずは単刀直入に申し上げます。このハルケギニアと、別の世界をつなぐことができる方法をご存知ありませんでしょうか?」 右京の突拍子もない質問に、二人は驚いたようだった。 「『別の世界』とは……いったいどういうことかね?」 「僕は、この世界の人間ではありません。ミス・ヴァリエールによって召喚された、別の世界の人間なのです」 右京の言葉を聞いたときの二人の顔は違っていた。怪訝な顔をしたコルベールに対し、オスマン氏は厳しい目で右京を品定めするかのように見据えたのだった。 前ページ次ページゼロの使い魔×相棒 ~トリステイン魔法学院特命係~
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1827.html
ヴェストリの広場に向かうルイズとワムウ。 「勝算はあるのか?」 「ないわ」 「作戦はあるのか?」 「ないわ」 「俺に助けろなどというのか?」 「言わないわ……ああ、なんであんなこと言っちゃったのかしら…あんたに似てきたのかも」 口調は嫌がっているようだが後悔の念はなかった。 「ならば、付き添いは必要ないな」 「あら、何様のつもり?主人に付き添いって私子供じゃないのよ」 「俺から見れば人間なんぞ皆子供だ」 ワムウがフッと笑う 「よく言うわ」 「遅れるなよ」 「あいつが笑ってるところなんて……初めて見たわね。雨でも降るのかしら」 * * * 「はあ?ゼロのルイズが決闘?あの恐ろしい使い魔じゃなくて?」 キュルケがタバサから噂を聞き、首を傾げる。 「変ねえ、あいつは後先考えないことがあるとは忍耐だけはあると思ってたのに。 ま、あのヴィリエじゃもし気に入らなくなったらなにするかわかんないけどね、最近は落ち着いてきたと思ってたけど。あいつ何されたのよ」 「メイドが侮辱された」 たまたま食堂にいなかったキュルケの代わりに事態を見ていたタバサは答える。 「あいつも素っ頓狂な理由で決闘なんかするわねー。確か禁則事項だったわよね?校則は守らないと」 「私たちも人のことは言えない」 「未遂でしょ。校則破りなんてバレなきゃいいのよバレなきゃ」 キュルケは立ち上がって歩き出す。 「どこ行くの?」 「あんた程じゃないけどヴィリエは確か風のラインメイジでしょ?点もないのにどれだけやれるかからかいに行くのよ」 * * * 「なに?あのルイズが決闘だって?本当かい、モンモンラシー」 決闘でのケガでまだ医務室暮らしのギーシュ。 「ええ、本当よ」 「やれやれ、あの使い魔に影響されたのかな?それで、原因と相手は?」 「風のラインメイジのヴィリエよ。原因は私は直接見てないけど、シエスタっていうメイドの平民らしいわ」 「ああ、あの脱いだら凄そうな」 「ギーシュ、そうえいばケティの件問いただしてなかったわね?あと見舞いに来た子達のことも」 モンモンラシーに殺気が宿る。 その気配を感じ取って慌てるギーシュ 「ははは、何言ってるんだモンモンラシー、君の愛のこもった看護のおかげで全治数週間のケガだってのにもう歩けるようになったし、僕もヴェストリの広場を見に行こうかな」 言うが早いか、ギーシュは立ち上がって医務室を出ていった。 「まったく、あの浮気癖の治療法はないのかしら…」 モンモンラシーはため息をついて、医務室を出て行った。 もちろん、行き先はヴェストリの広場。 * * * 「おい、また決闘だってよ」 「誰と誰がだい?またゼロの使い魔かい?」 「その主人とヴィリエだってよ」 「チハとシャーマンくらい差があるな」 「いや、クリリンと魔人ブウくらいだろ」 「いやいや、勇次郎とディーノ男爵くらいだって」 「ちょっと待てお前、地獄の魔術師バカにしやがったな?」 「あんな奴ヘタレじゃねーか、所詮鎮守直廊三人衆だろ」 「黙れ、今その思いをはらしてやる!キレまくってはらしてやる!」 「俺が最強だ!はらしてやる!」 「最高にハイ!って奴だーーッ!」 * * * ヴェストリの広場、決闘開始10分前。 「立ち見席でいい、買うぜ!50ドニエまで出す!」 「金さえ出すなら一番前の席だって引っ張ってきてやる」 「特等席だっ!……500ドニエ以上出せる奴っ……!ケチケチしてると買い損なうぞ!」 席の売買まで行われ、非常に活況を呈している。 この前のワムウとギーシュの決闘での結果が尾を引いているのか、それともルイズがどう戦うか見ものなのか。 「ヴィリエに5スウ賭けるぜ!」 「あ、あれは!1ヶ月分の小遣い全部だ!」 賭けも行われ、さながら祭りのような異様な雰囲気だ。 あまりの騒ぎに校長を含め、教師が駆けつけたが、止めるどころか声すら届かない。 「のう、ミス・ロングビル。ワシ、けっこう娯楽だけは用意しているつもりなんじゃが、近頃の子供はそんなに退屈しておるのかのう……今期の学生は色々と不安じゃ……なんとか仲裁できんかの?」 「ミスタ・オスマンがやらないなら無理でしょう」 「スクウェアクラスが5人居ても仲裁なんて無理ですな」 「やれやれ、こういうときはいつも風を自慢しておるミスター・ギトーに押し付け…任せたいんじゃが、あやつはどこにいるんかの?ミスタ・コルベール」 「えーっと、さっきチラっと見たんですが…」 コルベールがあたりを見回す。 そして、ギトーを見つける。 「最前席に座ってますな」 コルベールはため息をつく。 「なあ、ちょっとあやつを殴ってきていいかの?わしゃもう泣きたくなって来たわい…」 「やれやれ、すごい活況だね、モンモンラシー」 立ち見席で遠巻きに広場を眺めるギーシュとモンモンラシー。 そこに席を探しているキュルケとタバサがスペースを目ざとく見つける。 「……ほんと、どこも空いてないわね…あ、ギーシュの隣が空いてるわね。あそこで妥協しましょう、行くわよタバサ」 「妥協ってなんだねキュルケ、そんなに僕の隣がいやなのかい?」 「あんたの隣なんて座ってたらうるさいのが増えるもの、あんたの女だなんて思われると色々と面倒だしね」 「…僕の名誉を貶すのがそんなに好きかい?」 「あんたの名誉なんてこの前の決闘で急落も急落、整理ポスト行き同然じゃない」 「せめて、そういうことはモンモンラシーの前以外で言ってくれよ…」 決闘後の医務室で五股もバレ、使い魔に決闘で敗れて取り巻きも消え、唯一残ったモンモンラシーの中での評価もガタ落ち。 それでも彼女が残ったのは決闘の原因が彼女の香水であったこともちょっとだけ影響している。 「おいお前らも賭けないか?1口10ドニエだ」 小銭の入った箱と賭け金の額を書いている紙を持った同級生が彼らに尋ねる。 「今の倍率どうなってんのよ」 キュルケが興味を示す。タバサはギャンブルは嫌いではないが、野暮だと思って顔を上げない。 「賭けになんねーよ、今ならルイズに賭ければ140倍だ、どうだい賭けないかい」 彼は肩をすくめる。 ギーシュがポケットの財布を出し、 「そうだな、じゃあルイズに5口かけるよ」 「ほう、ギーシュ、なかなかギャンブラーだな」 「彼女が勝ってくれれば彼女の使い魔に負けた僕も少しは汚名返上できるかもしれないからね。まあお祈りみたいなもんさ」 ギーシュは苦笑する。 「そうねえ…」 キュルケが呟く。 「じゃあこれくらいかしら…5スゥだから…50口ね」 「はいはい、ヴィリエに50口ね」 「待って、わたしの『投票先の選択』の発言がまだすんでないわ」 帳簿に書き込もうとした彼の手が止まる。 「ルルルルルルルルルルル、『ルイズ』だとッ!あんたは一番バカにしてるはずじゃ…」 「140倍なら十分儲かる見込みありよ」 「驚いた、こんだけもらえれば黒字だな、サンクスキュルケ!」 彼は去っていった。 「どういう風の吹き回しだい、キュルケ?」 「言ったとおりよ、殺し合いならともかくルールのある決闘なんだから十に一つくらいはルイズでも勝てるでしょ。 1割で勝てるんだから140倍なら限界まで張らないと……それに、なんとなく『なんか』やりそうなのよね、あの子」 ギーシュはニヤっと笑った。 「君はルイズ以上に素直じゃないな」 「どういう意味よ、燃やすわよ」 キュルケはニコリともせずにギーシュを睨んだ。 「ふーっ、もうすぐ決闘開始か、まあこんなもんだろうな」 帳簿を見直し、一息つく。 「おい、そこの男」 「ヒッ!な、なんですか?」 いきなり後ろから巨漢に話し掛けられ、ビクりとする。 どうみてもメイジではないが、平民からの賭けも募っているため、その件かと思う。 「なんでしょうか?賭けならば一口10ドニエですが」 「賭けをやっているらしいな、この宝石を賭けよう、証明書もある」 大男は宝石と証明書を懐から出してくる。素人でもわかるくらい素晴らしい輝きを誇っている。 「そうですね…それはいくら分ですか?」 「100エキューだと書いてあるな」 冷や汗が彼の頬を走る。 (ひゃひゃひゃ100エキューだって!?馬が何頭帰るんだ!?えーと…2頭、3頭、5頭、7頭…) 「どうした?受けないのか」 「そ、そんな、ヴィリエにそんなに賭けられたら赤字ですよ」 「ヴィリエ?誰だそれは、俺はルイズに賭けると言ってるんだ」 彼の汗が引く (やったァーーッメルヘンだ! ファンタジーだッ!こんな体験できるやつは他にいねーッ!) 「わかりました、ルイズに100000口ですね!」 (でも…万が一…当たっちゃったら…俺破産だな!そんなわけないだろうけどね!ハハハ!) 「「ルイズ・フランソワーズの入場だァーーッ!」」 場内から歓声があがった。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1771.html
前ページ次ページゼロの使い魔~我は魔を断つ双剣なり~ ――夢 とおく、ふるく、なつかしい、セピアの絵 誰かが、うたう、陽気で、優しい、唄 綺羅綺羅輝く、胸を締め付ける、想い でも、それを己(オレ)は知らない 何も覚えていない だけど、己(オレ)は識っているのだ 走る雑音(ノイズ) 走る画像(イメージ) 走る雑音(ノイズ) 走る音声(ボイス) 交差した色々の光景と声と唄 嗚呼、哀しい 嗚呼、切ない 嗚呼、辛い 己(オレ)は、何も、思い出せない 「ん………」 翡翠の瞳が開かれた。 側の窓からは木漏れ日が落ちている。 夢を見ていた気がする。しかし、それも泡沫、今はもう思い出せない。 酷く懐かしいものだった気がするのだが、今はもう思い出せない。 鳥の鳴き声がする。どうやら、朝か昼のようだ。 ふと視線を下ろす。 「すぅ……すぅ………」 「くぅ……くぅ………」 ルイズとシエスタが二人並んで上半身を布団の上に突っ伏して眠っていた。 起こしては悪いだろう、彼女たちを起こさぬようにゆっくりと起き上がり、ベッドから出る。 「てけり・り!」 「ああ、おはようランドルフ」 「てけり・り!!」 触手が嬉しそうに蠕動する。 実に不気味で愛らしい姿である。 ぽよんぽよんと跳ねながらこちらにやってくる。 「で、我はどれくらい寝ていた?」 「てけり・り」 「そうか、1日か」 ギーシュと闘ったあと、勝利したところまでは覚えていたのだがその後の記憶が曖昧であった。 ふと、傷の痛みが全て引いていたことに気づき、身体を見渡せばまったく無傷の体、 包帯すらまかれていない。 おかしい、確か自分はかなりボロボロになっていたはずだ。なのに、かすり傷すらない? 「てけり・り」 疑問に思う九朔の目の前にシャツを持ったランドルフの触手が現れる。 「ああ、服か」 よくよく見れば自分は上半身裸だ、ランドルフからシャツを受け取り素早く羽織る。 下のズボンは流石にそのままだったようで、出歩くのには困らない出で立ちになる。 上着と外套もあったのだが、今はどうやらここにはないみたいだ。 「なあ汝。我が気絶してからのこと、分かるか?」 「てけり・り」 もちろんと触手を上下させるランドルフ。 「そうか。では、外で話すとしよう」 ベッドに突っ伏す娘二人を指差して九朔が笑う。 部屋を出る一人と一不定形。 無論、自分を看病してくれた二人に感謝し、掛け布団をかけておくことは忘れない。 外は変わらず晴天、アーカムシティでは見られぬ大きく広がった空が窓から見える。 「では、よろしく頼む」 「てけり・り」 大体のことをランドルフは手振り身振り触手振りを交えて説明した。 気絶したあとルイズの部屋に運ばれ、治療を受けた自分。 しかし、見ればほとんどの傷が塞がり、しかもあんなに蹴り飛ばされ殴られていたのに青痣も 微かに残るだけ。 というわけで、安静にさせるだけにしたのだが傷がないと知って安心した二人は気が抜けた のかそのままぐっすり眠ってしまったとかなんとか。 「やはり………あの時か?」 思い出す、あの時、ギーシュと闘ったときに感じた力。突然全身に漲り、爆発したあの力。 それはとても懐かしい感覚、自分の体に恐ろしいほど馴染んでいた。 やはり失った記憶にあの力は関係しているのだろうか。 だとすれば、果たして自分の中にはどれだけの力が眠っているというのか。 「……だが、問題はそれだけではない」 そう、ウィンフィールドのことだ。 あの時に思い出したのだが、未だに彼を全部思い出したわけでもなかった。 彼は自分の拳の師であり、育ての親の一人のようなものだった。 しかし、それ以上詳しいところは思い出せない。 もっと重要なところがあったはずなのだが、ところどころ虫に食われたように霞がかって、 そこの部分だけでてこない。実に気持ち悪い感覚だ。 あと他に思い出したことがあるとすれば、自分の世界で使われていた単語である 『字祷子(アザトース)』くらいか。確か情報の最小単位であったような気がする。 「てけり・り」 「ん?」 考え事をしたため気づかなかったが、どうやら考えている間に足が動き、いつのまにか外へ 出ていたようだ。 見れば、貴族の少年と少女達がこちらを見てひそひそと話している。何の噂話か気になる ところだが、話しかけてもどうせ教えてはくれまい。 自分は彼等からしたら平民、そんな下賎の者と話す考えなど持つはずもない。 気にせずそのままぶらぶら歩く事にする。 「……ふぅ」 が、やはりどうにも思考はまとまらない。 「ヴェストリの広場だったか……行ってみるか」 下手に何か考えているより体を動かしている方が気が紛れて良いと考え、向かう事にする。 「体を動かす手としては悪くないしな」 「てけり・り!」 一路、ヴェストリの広場へ向かう九朔とランドルフであった。 そんな九朔達を見ている者がいた。 「………」 タバサである。 昨日のギーシュと闘い勝利した九朔、それを遠目で観戦していた彼女。 杖も使わず、しかも偏在とも思える分身術を使った彼にタバサは常ならざる興味を持った。 彼女自身、風の使い手としての技術力にはそれ相応に見合った自信がある。 それは傲慢でも驕りでもない、彼女が北花壇騎士であるという事実に基づいた客観的な 理由からである。 しかし、そんな自分をもってしても彼――ルイズの使い魔は驚異だった。 彼は魔法を使うことなく、しかも杖なしで遍在に匹敵する分身を生み出したのだ。 周りの人間は彼が杖を隠し持ったメイジであり、風の使い手、しかもスクエアクラスの 一流と話し合っていた。 しかしタバサは断言できる、それは否だと。 死線を越えたことのある彼女だからこそ理解できる。 あの時の動作、そしてその動き、どう見ても杖を使った形跡はなく魔法の行使をできる 状況にもない。 外套を羽織るだけで杖も無しに魔法の行使は不可能、できるとすればそれは先住魔法のみだ。 しかし彼はエルフでも亜人でもない、それらに見られる身体的特徴は皆無。 ではそんなメイジでもない亜人でもない彼がどうやってあんな事をやってのけたというのか? その理由を心の底から知りたいとタバサは思った。 騎士(シュヴァリエ)としての自分、メイジとしての自分が揺り動かされていた。 彼女にしては珍しい純粋に個人的な興味だった。 「…………」 辺りを見回す。 キュルケはどうやら彼氏達の一人と話し込んでいるようだし、彼女以外に友人と呼べる ような人間はいない。 つまり、邪魔をされるような状況は起き得ない。 聞くならば今しかないだろう。 見れば彼はヴェストリの広場へ向かっているところ、人のほとんど寄り付かないあそこ ならものを尋ねる場所として最適だろう。 タバサの足が九朔を追いかける。 ** 「……で?」 「いや、そのだね。あー………ごめんなさい」 授業のない時間、モンモランシーの部屋にギーシュはいた。 そしてその顔に幾つも青痣を作って土下座していた。 腕とか足に包帯を巻かれ、ついでに松葉杖らしきものもあった。 「ふぅん? 薔薇は多くの女性のものを喜ばせるためにあるんでしょ? でしたら、今すぐ 出て行ってケティとか言う子のところに行って喜ばせてあげたら如何かしら?」 まるで養豚場の豚を見るような冷たい目で土下座するギーシュを見下ろすモンモランシー。 浮気なんぞして自分を裏切った男である、同情の余地などあるはずもない。 まあ、怪我が酷いしちょっと可哀想かなとは思うけど? でも、だからって許すわけない、女性を蔑ろにする男なんて最低なのだ。 謝ったとしても簡単に許さない。 「あはは……まあ、その、だ。彼女にはちゃんと謝ったんだ、うん。で、そのだ、そのだね。 ………こうなったのだよ」 バツの悪そうな顔で眼をそむけるギーシュ。 どうやら暴力言語というやつで思いっきり説教されたらしい。 なんてひ弱な男なのだろう、女子にこんな目に合わされるなんて。 「情けないのねギーシュ。あなた、女子にまで負けたの? しかも魔法なしでそんな体たらく。 貴方って本当に軍人の息子なの?」 「でも、ほら。僕のせいだしね? それ相応の罰をだ……うん」 なんだ、悪いとは理解してるんじゃないか。 それをもう少し早く気づいてくれればこんなことには…… 「そう。でも、だからと言って私、許さないわよ? あなたにあんな酷い裏切りを受けたんです もの、許すと思って?」 「ああ、分かっているさ『香水』のモンモランシー……。君のような美しい女性を騙した 僕を許してくれとは言わない。ただ、謝りたいんだ」 椅子に座る自分を見上げるギーシュ、その真摯な瞳にモンモランシーの中で何かがぐらついた。 今まで見た事の無い真面目な顔だ。 いつもおちゃらけた軟派な男なのに、こんな顔が出来るのだ。 愛の言葉を囁くときだってこんな顔をしたことはない。 嗚呼、いつもこんな真面目に自分を見てくれていたら良かったのに。 こんな風にその真っ直ぐな瞳を向けてくれれば良いのに。 そしたら、こんなに怒らないのに……。 思ってから自分の浅はかな思考に気づきモンモランシーは赤面した。 顔を真っ赤にするモンモランシー、そんな彼女の手をギーシュはとる。 「重ねて言うが許してくれとは言わないよモンモランシー。この愚かな僕は君に謝りたい。 君の心を傷つけた僕の行いを、だ」 「そ、そう」 「ああそうだ、モンモランシー、僕の愛しい人。君を怒らせてしまったこの僕の愚行はきっと 許されない。だが、それでも良いよ……君に謝れただけでそれで充分だ………悪かったね、 モンモランシー」 囁くギーシュの瞳が憂いに揺らぐ。 その瞬間、痛々しいギーシュの姿と言葉にモンモランシーの中で何かが瓦解した。 哀しげな瞳といい、その包帯といい、弱々しくなってしまった彼の姿が彼女の中にある 乙女回路を爆発させたのだ。 「わ……分かったわギーシュ。ま、まま、まあ……あなたの気持ち受け取って あげなくもないわね。良いわ、許してあげる、ギーシュ。でもね、次はなしよ? 分かる?」 真っ赤に顔を赤らめ、空いたほうの手でその恥ずかしさを隠すようにモンモランシーは 金髪のカールをかきあげる。 「それに、もともと貴方が黙って他の女の子に手を出すから悪いのよ? でもね、それはこれからしちゃ駄目。良い? 分かるわね?」 愚痴を言ってはいるがそれはまさしく愛の告白だ。 先ほどまでの怒りは反転し、愛情へと化学変化を起こしている。 そんなモンモランシーの言葉にギーシュは顔を輝かせて両手を掴む。 「本当かいモンモランシー!? ああ、そんな! こんな僕を許すのかい!?」 「え、ええ……そう。あなたが真摯な言葉を送ってくれたから……許すわ」 「嗚呼、嗚呼! なんと優しいんだモンモランシー!! 君は妖精だ、いや女神だ!! 僕の愛しい女神だよ!!」 大げさに、感極まったと言わんばかりに腕を広げ叫ぶギーシュ。 そして、自分を女神と言ったギーシュにモンモランシーは更に顔を赤らめ嬉しさと恥ずかしさ の入り混じったわけの分からない感情に胸を大きく揺さぶられた。 あうあうと呻いてみたり、もじもじと体をくねらせてみたり、えっとあっとと呟いて、 そしてようやくギーシュに口を開いた。 「ね、ねえギーシュ?」 「何だい、モンモランシー?」 「ちゃんと、私を見てくれるわよね?」 「ああ勿論さ……君をちゃんと見るよ――――――隠すことなく平等に」 「………え? 今、何て?」 「誰にも隠すことなく、平等に、僕は君達を愛すると誓うよ………」 恒星レベルに燃え上がった愛情が一瞬で引いた。 代わりに、超新星爆発サイズの怒りが愛情から転換される。 「僕は分かった。隠すなんてことをするから君たちを怒らせてしまったんだ。 だから、僕は女性を平等にだね………ん? モンモランシー?」 そうだ、そうだったのだ。何を勘違いしていたのだ私は。 モンモランシーはギーシュの手を振り解き、立ち上がった。そして、机の横に立てかけて あった長い燭台を手に取った。 長さも充分、ワインの瓶の比ではない威力申し分なし。 「な、ななな、何をしてるんだねモンモランシー?」 ああ、そうだ、こいつはギーシュなのだ。 あの、グラモン家の、人間、なのだ。 たった一人に愛を誓うということを信じること自体が間違いだったのだ。 自分の浅はかさに頭が痛くなる、一生の不覚だ。 「ねえ、ギーシュ…………?」 モンモランシーはその整った顔にこれほどない優しい笑みを浮かべた。 それは奇しくもギーシュの例えた女神のそれ。 「ななななななな、なんだいモンモランシー?」 きっと、ケティとかいう女子に同じ事を言ったのだろう。 だから『こんな姿』なのだ。 ようやく理解した。 燭台をゆっくりと振り上げる、目標は一つだ。 「ままままま、待ってくれモンモランシー!!! それは、それは駄目だ!!」 うん、それ無理。 女神の微笑が魔人の憤怒相に変化した。 「こぉぉぉぉんんの!!! 色情狂(イロボケ)があぁぁぁぁぁ!!!」 「ぐぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 振り下ろされる燭台が鈍い音を立てた。そして、部屋の扉は音を立てて閉まる。 鈍い音は止まることなく続いている。 女子寮にギーシュの断末魔が鳴り響く * ヴェストリの広場、そこは常には人のない日の余り差さぬ場所だ。 そのため、今は誰もいない。 到着した広場、立ち止まるランドルフをよそに九朔は進む。 広場の中心に立ち、大きく大気を吸い込む。 「試してみるか」 そして眼を閉じ、集中する。 あの時の力を再現してみたくなったのだ。 あの時感じたものを思い出す。 全身をくまなく流れた迸りを思い出す。 全身の血流を凌駕した漲りを思い出す。 昂ぶる魂と真逆の冴えきった精神を思い出す。 凪の平穏と表裏成す燃え上がる焔を思い出す。 広がった認識と意識を思い出す。 更に、更に、更に集中する。 更に、更に、更に研ぎ澄ます。 あらゆるものを凌駕した領域へと己を――― 永遠にも思える時間が過ぎる。 時間にしてはほんの一分かそこら、だが、彼には永遠の瞬間。 集中した思考は時間の流れをも変える。 しかし、 「やはり………無理か」 九朔は瞳を開き目の前の視界を認識した。 常と変わらぬいつもの世界だ。 あの時の感覚は完全に無であった、在った事すら怪しくなってしまうほどに。 しかしあの懐かしい感覚は嘘ではない、確かにここに在ったのだ。 溜息をつき九朔は集中を解く。 代わりに拳を握る、小指から順に握り締める。そして構え、フットワークを刻む。 心臓の脈打つ音を感じ、血流が全身を巡るのを感じる。 「覇ッ!」 フットワーク一間、拳を突き出す。 雹、と風を切る音が微かに響く。 戦い方を思い出せば身の動かし方を思い出す。 知識があれば己の体がどう動くかも理解できる。 昨日とは全く異なる己の肉体を行使する。 鍛えられていた己の体の動きを理解する。 知識を持たなければ、たとえ鍛えていようと只の木偶に過ぎなかった。 それが昨日の己だ。 「覇ッ! 羅ッ! 征ッ!」 参撃を一瞬で打ち出す。軽い己の体に気分が良くなる。 一つ一つ型を思い出すように九朔は肉体を動かす。 それはボクシングでも武術でもない、肉体が記憶する動き。 昨日の戦い方を少しでもなぞるように拳を打ち出し、脚撃を振りぬく。 じわりと流れ出す汗が心地よく、全てを忘れ、それに没頭する。 左脚撃から流れる右脚撃。 右拳撃から流れる左拳撃。 拳撃に続けて繰り出す脚撃。 脚撃に続けて打ち出す拳撃。 振りぬく脚から全身を捻り打つ拳。 叩きつける裏拳撃の勢いそのままに回転脚撃。 あらゆる拳撃と脚撃を思考する。 思考をそのまま動きに変換する。 脚撃は自在、拳撃は自由。 そして、最後の一撃を脳内に構築する。 その一撃を変換、肉体に接続、展開。 「牙ァァッ!!」 打ち出される諸手が大気を打つ。 「はぁ…………はぁ……………」 昨日のような爆音はない、ただ、拳の突き出す風を斬る音が響いたのみ。 呼気が乱れ、鼓動が激しく脈打つ。 それを治め、息を整える。 鼓動は静まり、呼吸数は平常。 数瞬の後に治まる昂ぶる肉体、そこに至りようやく九朔はこの場にいる人間の 存在を認識した。 青い髪に青い瞳の少女がランドルフの横に立っていた。 一見すれば年の程は十二かそこらか、ルイズより幼いと思える。 まるで人形のように無表情の少女、しかし、その瞳は確かに自分を見ていた。 「……いつからそこに?」 「拳を打ち始めた頃から」 その声に抑揚はない。感情の篭らない、平坦としたものだ。 「何故、ここにおるのだ?」 「質問がある」 すたすたと歩み寄り、少女は己より二つ頭違う自分を見上げてきた。 熱のない瞳が九朔を見る。 綺麗な蒼の瞳、自分の蒼銀と違う深く色濃い色合いを呈している。その色合いは感情を 押し殺しているが故か。 「何者?」 「どういうことだ?」 「昨日の戦い」 感情を殺してはいるが、その声には興味を示す色がある。 しかし一小節で会話を行なうのは止めて欲しいものだ、こういう手合いと話すのは 結構疲れる。間近まで迫られているのもあるが。 「汝、もう少し普通に話せぬか?」 やや、言葉に間が開く。 「あなたはメイジではない。だけど昨日の闘い、あれは異常」 少し小節が増えた。だが、やはり少ない。理解を求めた自分が阿呆だったようだ。 「何者?」 今度は単語のみ、こちらを見上げ少女は黙る。 答えるまでは恐らく決して離れはしないのだろう、そんな気がする。 故におとなしく質問に答えることにする。 「我は九朔。大十字九朔、騎士だ」 「騎士………シュヴァリエ?」 「シュヴァリエがここで何を意味するか知らぬが、そうではない。我は牙なき人たちの 為にあるだけだ」 「騎士はシュヴァリエ」 一度言葉を切る。 「シュヴァリエは王室から与えられる爵位。貴族に対し、業績に対して与えられる爵位」 つまり、自分は平民なので騎士ではないと言いたいのだろう。 確かに、平民が騎士といったところでこの世界ではただの与太話になるのは違いない。 はたしてどうやったら納得のいく説明ができるものか。 思案し、一つ言ってみる。 「我は異世界から来た。これで理解できるか?」 首をかしげ口に手をやり考える仕草、会話とも言えぬ会話にやや間が開く。 「あなたはラ・ヴァリエールが召喚した使い魔」 「只の雇用契約だがな」 「しかし前例のない使い魔」 「だから、違うとだな………」 「つまり、あなたは特別な何かと考えることができる」 淡々と述べるそれにもう反論する気はなくなっていた。どうとでもなれである。 「分かってくれたか?」 「一応」 「では―――」 「何者?」 九朔は肩を落とした。 「今、言っただろう?」 「昨日の闘いについては言っていない」 そういうことか。 「我は記憶を失っている。故に昨日起きたことについても我自身よく分からぬ」 「でも、遍在に類した何かを使った」 即興拳武(トッカータ)のことを言っているようだ。 あれは神速のフットワークが生み出す残像に過ぎないのだが、彼女にすれば 『遍在』とかいう、恐らく魔法の一種だろうが、それに見えたのだろう。 「あれは、ただ恐ろしく速く動いたが故に見えた残像だ。それ以上でもそれ以下でもない」 「ありえない」 「魔法でも使えばそれくらいできるのだろう?」 「無理」 さて、どうしたものか。 再び思案である。 あの力の漲りがない今、自分はトッカータを使う事は出来ない。 では、どうやって納得させる? 不可能である。 「説明はできぬ……とにかく、そういったものなのだ。我の世界にはそのような速度で 動くことのできる武人がいるとだけ言っておく」 「……………」 こんどは少女が思案する番だった。 信じられないのも仕方ないことだ、それこそまさしく出来の悪いファンタジーの世界の話 なのだから。 もっとも、九朔にとってはこの世界の方がよっぽどできの悪い三流パルプのファンタジー 世界であるのは間違いなかった。 とにかく事実は事実、真実に偽りを混ぜるわけにもいくまい。 「理解したか?」 「一応」 無表情且つ感情の篭らない声なのは変わりないがいささか不満の色を感じる。 「済まぬな。我とて記憶を失った身なのだ、全てを説明できるわけではない」 「記憶喪失?」 「ああ、ここに来る前のことを大部分忘れておってな。ある程度は覚えておるのだが 部分部分が大きく抜けておる」 「………」 そして、少女は少し口元に手をやり思案する。 そして再びこちらを見た。 「記憶喪失」 「ん?」 「もしかすると――」 その瞳は無表情、次の言葉を待つが、 「なんでもない」 「最後まで言わぬか、気になる」 「推測は言うべきではない」 淡々と述べ、瞳が九朔を見る。感情は篭らぬがそれは追求を許さない瞳だ。 「……分かった、これ以上は言わぬ」 無言で少女はうなずき、そして広場を離れる。 「タバサ」 「ん?」 「名前」 どうやら、少女の名らしい。 振向きこちらを一瞥する。 「それじゃ」 「ああ」 タバサは去り、広場には九朔とランドルフだけが取り残される。 そういえばもうあの二人が起きても良い頃だろう。 「戻るか、ランドルフ」 「てけり・り」 一人と一不定形もその場を去る。 誰も広場からいなくなった。 暗がりには何もなく、無人の広場に静寂は漂う。 前ページ次ページゼロの使い魔~我は魔を断つ双剣なり~
https://w.atwiki.jp/zerolibrary/pages/32.html
【種別】 魔法 【系統】 『風』 【解説】 風のユビキタス。空気のあるところなら何処でも現れる風を利用し分身を作り出す魔法。 風・風・水のタバサが使えないところを見ると。おそらく風が三つ必要な様子。 原作二巻において。ワルドが使用。四体の遍在を作り出していた。 分身は本体と同じ思考能力を持ち、魔法を扱うことも出来る。 【備考】 偏在ではなく遍在。原作では前者で書かれている場合が多かったが、文字の意味の関係上誤字だと思われる。
https://w.atwiki.jp/zerolibrary/pages/64.html
【種別】 地名 【解説】 ハルケギニアに存在する国の名前の一つ。 浮遊大陸として存在し、トリステインの北の海上に位置する。 前国王はジェームズ一世。 レコン・キスタの攻撃を受け、ニューカッスルでの戦いを最後に滅亡。 王子であるウェールズも死亡し。血族はティファニアを残すのみになった。
https://w.atwiki.jp/zerolibrary/pages/46.html
【解説】 魔法を扱うもののレベルを表す。 系統魔法で虚無をのぞく四つの属性に存在する。 扱える魔法で、いくつ属性を複合させることが出来るかによって定められる。 属性を足すことが出来ない者は『ドット』 二つの属性を足せる者は『ライン』 三つの属性を足せる者は『トライアングル』 四つの属性を足せる者は『スクウェア』 と呼ばれる。 クラスがそのまま術者の実力で、一般にメイジは四つまでしか足すことが出来ない。 同じ魔法でも、クラスの高い者が使うと威力が上がったり、可能になることが増えたりする。
https://w.atwiki.jp/zerolibrary/pages/3.html
更新履歴 取得中です。
https://w.atwiki.jp/rfmgm/pages/38.html
肩書 年齢 33歳 職業 借金取り 愛称 マネーピラニア CV 松山鷹志 戦績 ステージ 順位 異世界オワリ城ステージ 7位/20人(復活) 霧の都ロンドンステージ 13位/20人 これまでの戦い あくどいと評判の闇金を営む借金取り。債務者を徹底的に追い込むしつこさから「マネーピラニア」とも呼ばれている。 異世界オワリ城ステージ 逃走中グレートチャンピオンツアーが発表された中、逃走中を諦め街頭ビジョンから立ち去るペンタ・バッカーナを発見。実はペンタの借金はジャイロから借りており、相変わらず返済しないペンタを追いかける。その後、ペンタを追いかける形で逃走中にも参戦する。 南の村脱出ミッションでは後ずさりしたところでペンタを発見。早速返済の催促に加え場合によっては自分が逃げ切るのを見させつつ強制的に自首させて牢獄で返済という手段も考える中でハンターに2人揃って捕捉されるが、ここは二手に分かれて逃げた事でハンターから逃れる。一方、ミッションには参加する姿勢を見せるが、そこに再びペンタが。が、ペンタはハンターに追われている途中であり巻き込まれる形に。走りながらもペンタに逃げ切って借金返済を迫るも、お互いずっとつかず離れず逃げるがなんとか南の村へ脱出する。 森エリア脱出ミッションでは捜索を他の逃走者に任せ五郎太・伝の助・松之丞と共に小屋で待機することに。森エリアの地図を等分し、見回って何もなかったエリアに印をつけて共有することで効率的に捜索するという債務者への追い込み方を利用し指揮官として指示。また、「信用できない」と判断した西洞院ルナも合流する。捜索が進むもパンナ・ラヴ・ケビン・ガードナー・カラハリ・シュウとの通信が途絶えた事に疑問を抱く一方、終始暗い顔をする五郎太に「こんな顔のやつに国を取り戻せるのかよ」と文句を言うが、その通りに自信の無さを見せる五郎太に対し、伝の助は幼少期の頃の恩義をずっと守っていることを語り、それだけ信じてくれている家臣を持つ五郎太に「ちっとはシャキッとしろや」と喝を入れる。が、ペンタからの通信と同時に小屋の扉が開いた途端、外で見張りをしていた松之丞が化け猫に取り込まれてしまう。体当たりで扉を突破し松之丞とナツメも化け猫に捕らわれているのを発見。化け猫から逃げ続けるもルナが化け猫の標的となるが迂闊に近づくことも攻撃することもできず。が、ここは信楽たぬき男の活躍で化け猫退治に成功。救出された平賀源内に肩を貸して森エリア脱出を目指すが、今度は怪鳥にトムラ颯也が食われるも颯也も妖絵筆を使い退治し森エリアを脱出する。 復活ミッションではペンタ・松之丞と共に行動するが、早速門を破って侵入したハンターによって松之丞とはぐれてしまい小屋の中に避難。さらにペンタが蹴った桶が音を立てハンターが接近。逃げ場がない状況だが、ペンタに対し「バカで欲張りな人間のクズ」と言いつつも「けど、逃げる事への執着だけはお前は一番だ。ちっとは期待してんだぜ。」と捨て台詞を残し、ハンターに対し木材を倒して足止めする間に小屋を飛び出しハンターをおびき出すことに。息を切らしながらも小屋の間を進み撒いた…かと思いきや曲がり角を曲がった先でハンターと正面衝突。苦笑いしながら確保された。 が、復活ミッションをクリアしたペンタにより復活。思わぬ復活の指名には驚いた顔を見せる。賞金単価アップミッションは失敗すればハンターが倍増し16体。逃走者より多いハンターの数に驚くが、ここはペンタと共にミッションは他人任せで見送り。が、ハンターに見つかりその場を離れる。またしてもハンターに追われる中で今度はペンタがエレキテル砲を放ち土煙を上げることでハンターの視界を遮ることに成功。が、今度はペンタが囮になる形でハンターに捕捉され確保。「あいつ…らしくないことを」と見送った所でペンタから通信。ハンターに囲まれたペンタからは後は1人で戦う事と、ゲーム内の貸し借りはきっちり精算した一方、ついでに利息もまけて欲しいと頼むペンタに「バカ野郎!それとこれとは別だ!」と怒りながらもまた取り立てに行くことを宣言。 ゲームも最終盤となるがハンター13体と無茶苦茶なゲーム展開に「おっさんの手には負えない」と考えたところで自首用電話ボックスが。良い賞金額となり自首もしたいが、賞金単価も上がったことで逃走成功時の賞金も夢見て勘定したところで自首用電話の近くにいたハンターに見つかり逃げるも確保。ペンタからは「捕らぬ狸の皮算用だったな」と言われ「うるせぇ!さっさと金返せ!」とブチギレ。 グレートチャンピオンツアーランキングは確保順と同じ7位。ペンタよりは1つ上と何とか面目は保った。 霧の都ロンドンステージ ゲーム前には今回も自首狙いのペンタにちょっかいをかけ、またしても参戦していることに驚くペンタに「お前が借金返し切るまでだよ!」と痛烈なデコピン。 ゲームスタート時はペンタ、ピエタ・バローネと共にバッキンガム宮殿の前からスタート。豪華な宮殿に引くペンタに対し「おめえも借金を返せば今よりマシな暮らしが出来るだろうよ」と変わらず返済を催促する一方でゲームがスタート。しかも今回はゲーム時間5時間、逃走成功すれば賞金180万ムーンドルという超大型ゲームに心を躍らせる。 エリア拡大ミッションではペンタ、千石城太郎、リリィ・ボーンのCグループに。大英博物館に集合し犯行予告を考えるが、犯行予告の解読は完全にリリィと千石が主導。一方、トムラ颯也は月村サトシから受け取ったチップを使って「チャーチグリム」を覚醒し戦闘。それを知り自分も勇んで「ジャイロスペシャルパワーアップ」と宣言するも、何も発動せず気まずい雰囲気となり改めて犯行現場を突き止めることに。一方、思案に夢中でハンターの接近を呼びかける周囲の声も全く耳に入らないリリィを抱えて逃げる羽目に。ハンターを警戒しながらリリィの推測である北北東を目指すも、目指した場所はエリア境界となっており行き止まり。リリィの読みが外れ貢献ならず。とはいえ今回のゲームでの新要素となる「覚醒」に期待を見せる。 賞金単価アップミッションは同じメンバーで挑戦。てきぱきと指揮を執る千石に驚くが、千石がセールスマンではなく刑事であることに驚く。一方、仮面の男の自宅を先回りし確保に成功するも、捕まえた男はジョイスのストーカーであり、真の敵であるクラーケンを倒すことが出来ずミッション失敗となる。 第2エリア拡大ミッションも同じ4人で行動。クラーケンが下水道を使った説を提唱するジョン・ドゥーに納得し下水道に率先して入る。ミッション貢献はならなかったもののエリア拡大に成功する。 一方、下水道に降りる際に落下し腕を痛めたペンタと治すために同行したミカ・ルルーシュと共に病院に向かい、謎の病で寝込む患者たちを見るが、患者たちが全員女性ということに気づく。ミカがペンタを治す中で花瓶が割れた音に気づき病室を見ると吸血美女と化した患者たちに襲われるが間一髪で逃げ出す。 エリア移動ミッションではそのままペンタ、ミカと共に行動するが、ペンタと共に吸血美女に襲われ四苦八苦。と、いつの間にか先行していたミカに呼ばれギリギリで駅の中に入りセーフ。駅は吸血美女もハンターも入ってこれない安全地帯で一安心だが、意外に早く行動していたミカに驚きながらも新エリアへ進出。ゲームタイマーは止まるがハンターもやってこない束の間の休息を楽しむ。 ドラキュラ城の城下町に到着するなり干からびた男を発見。さらにドラキュラ伯爵が襲来。颯也の力をもってしても勝てないドラキュラの強さに加え、目の前でペンタがファントムに鉄球で影を足止めされた上斬られ消滅するのを目撃。あまりのショックでその場から動けずピエタに連れられ何とか逃げ出す。 ドラキュラ退治ミッションではジョン・西洞院ルナと共に行動。ひとまずペンタは「捜索中」扱いで生きていることに安心した様子を見せる。2人をリードしハンターを警戒しながらもドラキュラ城を目指すが、ハンターも多く思うように動けず。何とか城内に潜入しても我慢が続く中、城の地下で干からびたペンタとピエタを発見。「あれじゃあ借金返してもらえねぇ」と愚痴る中でついにドラキュラ伯爵が待ち構える玉座までたどり着くも圧倒的力に全員が吹っ飛ばされる中、ルナに吸血美女が襲い掛かろうとしたところで柱を使った回転蹴りで対抗。しかし代わりに3体もの吸血美女に一度に襲われ干からびてしまうが颯也の一撃でドラキュラ伯爵を倒すに成功。自身も元に戻り、同じく元に戻ったペンタとピエタをおどろおどろしく迎えに行く。 ロンドンに戻りウエストミンスター寺院地下迷宮での復活ミッションではピエタ・兎桜マリンと共に行動。クロノブレスのマップも無い中、毛糸に加え念を押すためにチョークで出口の方向をマークする中、ハンターに追われ3人で逃走。2人に対し出遅れた上、行く手のミノタウロス像がいきなり倒れ、何とか支えて耐えるもその間にハンターに追い付かれ確保された。 しかし、残しておいたチョークでの出口のマークは後々「別の形」で役に立つことになる… 解説 借金取りの作品と言えば「ナニワ金融道」「ミナミの帝王」「闇金ウシジマくん」が有名。 とはいえウシジマくんのような冷酷さは見られず、ゲーム中での効率的な作戦を考える頭脳もある一方で、債務者であるペンタの根性を期待して自ら囮となったり、自首に揺れる面も見せるなど意外と人情溢れ、トムラ颯也の活躍を見て自分もノリノリでチップを使うなどおちゃめさも持つことから、ナニワ金融道の主人公・灰原達之が近いかも。「甘い」と言われるかもしれないが生かさず殺さずの関係性で縁を築くのがジャイロ流なのかも。 とはいえ本物の「闇金」はこんな優しい世界ではない。皆さんも決して「闇金」のお世話にならない事を…
https://w.atwiki.jp/zerolibrary/pages/36.html
【種別】 マジックアイテム 【解説】 ドラマCDに登場したマジックアイテム。 着けたモノはとんでもない毒舌を吐くようになる。 対になるものとして幸福のネコミミが存在する。