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しばらくして、朝食を終えた生徒達が教室へ移動を始めた。 キレた目をしているルイズもディアボロを連れて教室へ向かった。無言なのが怖い。 教室には、生徒達が召喚した様々な使い魔が居た。 しかし、教室の椅子は貴族の席であり、ディアボロが座る席など存在しない。 仕方なしに、ディアボロは教室の一番後ろに行き、壁を背に立ち続ける。 その後シュルヴルーズという土系統のメイジの教師がやって来て、 生徒達が一年生の時、学んだ魔法の基礎をおさらいさせる。 魔法には四大系統というものがある。 『火』『水』『土』『風』 そして失われた伝説の『虚無』 等の話はディアボロの興味を心地よく刺激しており。 それに、教師が石ころを真鍮に変えた時はさすがに目を剥いた。 (そう言えば…使い魔が選ばれる理由は…) 召喚された直後にU字禿教師が言っていた事を思い出す。 『…現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、専門課程へ進む・・・』 キュルケのサラマンダーはどう見ても『火』以外ありえない……ならばキュルケは『火』の系統なのだろう。 (どおりで嫌な感じがしたわけだ) とすると、あの教師の言う通りならば。 ここに召喚されている生物は、ほぼ全てが四系統の属性に分類されるはず。 (では……私は何系統なのだ?) 火・水・土・風・虚無。ディアボロの持ち物はほぼ全ての系統に当て嵌まっていて。どれか一つに分類する事が出来ない。 「ふむ」 ディアボロが考え込んでいる最中、教室が突然騒がしくなった。 その原因は、ルイズが前に出て錬金をやる事になったからである。 (……あれが何系統なのか判断できれば、私の系統も逆説的に分かるはずだ) ディアボロのちょっとした興味。 何系統として呼ばれたのか。ほんのちょっとした好奇心 だが、ルイズの一挙一動を見守るディアボロは、生徒達や使い魔達が机の下に入ったり、教室から飛び出たのを見えていなかった。 ルイズは石に向かって杖を振り―――― ドッゴオォン! 爆発が起きた。 反応が遅れたディアボロは、その爆発をまともに……くらわなかった。 起きた爆風は、ディアボロの体に到達する前に和らぎ。 散弾銃のような小石は体に接触する寸前、燃え尽きた。 ほんの掠り傷程度ですんだディアボロだが。 彼は呆然としていた。 「な、んだと?」 爆心地はルイズ。 それを見た彼は、記憶の中のトラウマの一つが浮かんできた 『何かのアイテムが爆弾になったかも…う~むどうだったかな……?自信がない…』 この後、ディアボロはルイズの二つ名を脳裏に刻み込む事となった。 ドット!ライン!トライアングル!スクウェア!そのランクの中で、 一番下のドットにすら及ばない、魔法は使えるが何時も爆発を起こすメイジ。 成功率ゼロ!だから『ゼロ』のルイズと呼ばれている事。 そして――メイジの実力は召喚される使い魔にも反映されるらしい事。 それを聞いたディアボロは、何故ルイズに召喚されたのか納得した (私も最初は無能だったからな) ディアボロは、奇妙なダンジョンに初めて潜った時の事を思い出した。 無装備状態で手探りしながら迷宮を進み、罠や敵の手、それに自分のちょっとしたミスで何回も何回も死んだ記憶。 …………それでも、遅々とした足取りの中で実力を着け、ダンジョンを制覇した誇らしい記憶。 (これからの成長に期待と言う事か) 授業終了後、ディアボロがキュルケからそのルイズの話を聞いていると、 噂をすれば影とばかりに、その本人が不機嫌ですと顔に書いてやってきた。 「ちょっと!私はキュルケに近付いちゃ駄目って言ったわよね!?」 「硬い事言わないでよルイズ、私はアンタの二つ名を懇切丁寧に説明して上げてただけだから」 「よ、余計な事しないで!こいつは私の使い魔!あんたは関係無いでしょ!」 自分の不名誉な二つ名が知られた事を知って、顔が赤くなるルイズ。 面白そうな顔でそれを見つめていたキュルケだが。 さすがに、飽きたのか颯爽とその場を離れて行った 「じゃあね、食事に遅れるから私はそろそろ行くわ」 そして残されたルイズは、いきなりディアボロの足に蹴りを入れた しかし、その一瞬、ディアボロの周囲に砂が集まって、ルイズの蹴りを明後日の方向に受け流した。 ズダン。 滑ったルイズは華麗に転倒した。 「…何をする?」 「うるさいッ!」 不思議そうに尋ねるディアボロに罵声を返すだけのルイズ。 頭に血が昇ったルイズは、さっきの砂が集まった異常な事には気付いていない。 何も無いところで滑って転んだと言う無様な記憶だけである。 そのまま、体の埃を払うと教室を出るルイズとディアボロ。 食堂への途中、ルイズはディアボロの表情の変化に気付いた。 含み笑いをしている。それがルイズの勘に更に障った。 「なに笑ってんのよ!」 「何も笑ってはいないが?」 「笑ってた!」 「ふん?……まあ、いい。話は変わるが… お前は昨日メイジの誇りを熱心に語ってくれていたな…… それでだが、自分が魔法を使えないのはどう思っているんだ?」 言葉に詰まるルイズ。 「魔法が使えない無能の癖に、お前が言う平民で変態の私から貴族として尊敬されると思っているのか?」 「私だって…私だって努力はしてるわよ!ディアボロ!あんた、ご飯抜きだからね!覚悟しときなさいよ!」 涙が滲む目を向けながらも、捨てゼリフを残すとそのまま目の前の食堂のドアに飛び込んで行った。 「さっきの言葉は流石に厳しかったか?」 ディアボロなりに発破をかけたつもりだが、ルイズは想像以上に痩せ我慢をしていたようだ。 そしてディアボロは、食堂に入らなくては昼食を食べられないという事に溜め息をついた。 このままだと餓死する。さりとて、DISCの無駄な消費は避けたいとディアボロが悩んでいる時。 「あの……どうかなさいました?」 声がかけられた。 振り向くと、そこには夜空に輝く無数の星と同じ数ある男のロマンの一つメイドさんの姿をした少女。 「何でもないが……」 「もしかして、貴方はミス・ヴァリエールの使い魔になったって噂の平民の変態の……」 平民の変態発言を軽くスルーするディアボロ。指摘してもどうにもならないって事もあるが。 「お前もメイジなのか?」 「いえいえ、私は違います。普通の平民です。 貴族の方々をお世話するために、ここでご奉仕させていただいてるんです」 普通のと言う所を強調して発言するメイド。 そこまでして、ディアボロと同じだと思われたくないのだろうか。 「…………」 「私はシエスタっていいます。貴方は?」 「ディアボロだ」 「そうですか…それで、ディアボロさん。 こんな所でどうしたんです? 本当に何もお困りでないんですか?」 シエスタの目を見るディアボロ 腹に一物を隠し持ってはいないようだ。純粋な親切心から彼に声をかけたのだろう。 (これは、昼食の代わりを用意してもらえるか?) 「昼食を抜かれてしまってな」 「まあ!それはお辛いでしょう、こちらにいらしてください」 ディアボロがこっちに来て初めて出会った貴族以外の人間。 シエスタの対応を見て、何となく利用できそうだと外道チックな事を考え始めていた。 <<前話 目次 次話>>
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登録日:2011/05/15(日) 22 32 54 更新日:2024/04/22 Mon 20 43 58NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 OVA化 ゲボラ ダメな大人の万国博覧会 ビジネスジャンプ フラッシュアニメ ブラックユーモア モエ山ナエル ラーメンザーメン 七割位オチが一緒 世にも奇妙な漫★画太郎 中井和哉 名塚佳織 地獄絵図 大どんでん返し 時事ネタ多し 漫☆画太郎 漫画 社会風刺 緒方賢一 豪華声優陣 郷里大輔 集英社 世にも奇妙な漫★画太郎は、かつてビジネスジャンプにて連載されていた漫☆画太郎作のエログロ漫画。 【内容】 とにかくエログロシーンのオンパレード。基本的にはバッドエンドが多いが、グッドエンドも僅かに有る。 【主なストーリー】 ■ケータイムマシーン 内容:通学途中、女の子は未来人を自転車でひき殺してしまった。その未来人は携帯電話型のタイムマシーンを持っていた。 試しに「1192」と押すと、鎌倉時代にタイムスリップしてしまった…! ■浮気 内容:釣りに行くと言っては、別の女と浮気をしていたダンナさん。浮気相手はわざと、日本海では捕れない魚を買っていた。怒ったダンナさんは…。 ダンナの子供「わ〜人魚だ〜!!」 ■ピース 内容:脱線事故現場でピースした若者は、脱線事故で亡くなった人達の霊にとりつかれ、ピースピース!しかもヤクザの葬式会場に来てしまった。 ■柿の木の恩返し 内容:ジジイとババアの家の柿の木はわざとお隣さんを怒らせて…。 ■ストーカー 内容:ストーカーは一人のOLの部屋を覗き見していた。すると、OLの部屋に強盗が…。 ■孫思いのおっちょこちょいババア 内容:オレオレ詐欺団は孫を装い、ババアに現金を振り込む様に電話をかけた。そしてババアは…。 ■正夢 内容:土木工事で働く男は、宝くじで大当たりする夢を見て…。 ■引きこもり 内容:10年以上引きこもりを続けた青年は、「アウトドア派なんて無くなれ〜!!」と叫ぶ。すると、世界が逆さまになっちゃった!? ■ゲームNO 内容:ゲームのやり過ぎで、勇者なりきり病にかかってしまった少年。ふとした事で昏睡状態に陥り、数年ぶりに目覚めると、世界がドット絵になっていた。 ■ゲボラ 内容:ラーメンザーメンのラーメンを食って帰って来た、三人の息子を持つオヤジ。しかし、ラーメンザーメンの鍋底から、ゲボウイルスに感染したラットが発見されたとのニュースが…。 ■週刊漫画 内容:僕の彼女は肉便器の絵柄が一週毎に違う。萌え→萎え→萌え→萎え…。 実はモエ山とナエルが交代で書いていたのだった。 実は萌え絵と萎え絵をそれぞれ書いていたのは…。 ■ハッピーバースデー 内容:画太郎は料理がクソマズイレストランの、良心的なエロサービスを目撃する。しかも誕生日限定。早速画太郎は、息子の子太郎の誕生日の日に、子太郎を連れてその店を訪れるが…。 因みにダンサー達のダンスシーンにおけるパフォーマンスは、首から下迄何まで、ストリップババアの使い回しで有る。 ■花咲かミュージシャン 内容:売れないストリートミュージシャンの女の子は、ある日一匹の子犬に出会う。翌日、子犬を使ったパフォーマンスはかなり受けていた。 しかし、それを一人のライバルが妬んでいた…。 また、幾つかの話(「ランドセル」等、主に可愛い女の子が活躍する回)がなかなか単行本に収録されなかったが、とうとう収録されないまま最終巻を迎えた。 全裸待機していたファンを唖然とさせたが、後に秋田書店の「画太郎先生だぁ〜い好き」にまとめて収録された。 ♪ハピバースデートゥーユー、ハピバースデートゥーユー ハピバースデーディア子太郎くん ハピバースデートゥーユー さあ、追記・修正して▼(ガバァ) △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] グロはいいけどスカはきつい -- 名無しさん (2013-12-26 01 01 29) 名前 コメント
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ジョジョの奇妙な東方 ~FF・of・fate~ 第四話:地獄の閻魔とその助手 「まず先に無縁塚に行きましょう。どうせ、白玉楼への通り道ですし。」 と言う文の言葉に従い、FF・にとり・文の三人は早速無縁塚へ向かうことにした(椛は本来の番人の役割に戻っていった)。 本来なら飛んで向かう所だが、にとりとFFは飛べない上に致命的な弱点があった。 「二人共、面倒くさい弱点持ってるわねぇ…」 「やかましいッ!」 「私達も好きでこんなもん引きずってる訳じゃないっ!」 文の一言に噛みつく二人。彼女達の後ろには樽が入った台車。それぞれ片手にコップを持ち、飲みながらもう一方の手で台車を引きずる姿はどこかの神主を連想させる。 しかし樽の中身は酒ではなく、河の水である。 FFに水が必要なのは前述の通りであり、にとりもエンジニア云々以前に所詮河童である。定期的に水分を補給しないと下手をすればFF以上の速度で干からびるのだ。 上空では文が此方の様子を見ながら禿鷹よろしくぐるぐると回りながら飛んでいる。 「にしてもにとり。エンジニアなのに空飛ぶ機械とか作れないの?」 「無茶言わないでよ。そんな技術、今の幻想郷にあるわけないでしょ?」 文の言葉に、にとりはストローで水をすすりながら応える。実はこの数年後に某紫モヤシがスペースシャトルを造り上げてしまうのだが、それは余談である。 「おい、にしてもまだ着かないのか?もう半日も歩き詰めなんだが…」 樽の中を心配しながらFFが聞く。水は一応、樽二つ分持って来てはいるが、既に一つめがなくなりかけている。 「もうそろそろですよ…ほら、あそこです!」 文が地上に下りて植物(彼岸花という毒草だと後で知った)で覆われた道を指さす。その先には開けた丘があり、丘の上には四人の男女が何やら騒いでいた。 「あれ?てっきり映姫様と小町しかいないと思ってたんだけど…」 文が首を捻る。本来会う予定だったのはその二人だけの筈なのだ。よく見ると、四人のうち、二人は正座をしていて、二人は仁王立ちである。 「全く!妙にやってくる幽霊が少ねェと思って来てみればッ!」 「またサボってたのですか小町!ペッシに任せきりにするなと何度言ったらわかるのです!」 「あーえぇッと…」 「い、いや、怒らねェでくれ兄貴!映姫様!俺がちぃッと仕事に慣れてきたから一人でやらせてくれッて小町に頼んだだけで…」 「ペッシペッシペッシよぉー。別に俺達ゃあお前が一人でやろうとしたことを責めてるわけじゃあねぇ。」 「一人でやろうと言う意思は立派なものです。しかし、だからと言って小町がサボっていい口実にはならないッ!そして、それを貴方が容認した事を怒っているのですよペッシ!」 物凄いコンビが交互に説教しているようだ。説教されている鎌を持った赤髪の女とパイナップルのような頭の男は涙目で互いの顔を見合わせている。 「閻魔様が増えてる…これは判断間違えたかしら…」 文が顔を青くして呟く。彼女は過去に、「己の記事に盲信的すぎる」と、三時間程説教を受けたことがあるのだ。 「…ん?新聞記者の烏天狗ではありませんか。また私の話を聞きに来たのですか?」 「いっいえ!それはまた今度に!」 立っている二人の内、緑を基調とした幼さが残る女性がこちらに気付いて声をかけてくる。 「ん?妖怪の山の河童と…どなたですか?幻想郷の者ではありませんね?」 「あぁ。私はフー・ファイターズ。FFと呼んでくれればいい。ここに死人に詳しいヤツがいると聞いて来たんだが…アンタがそうかい?」 「はい、その通りです。私は四季映姫・ヤマザナドゥ。あちらのスーツを着たのが助手をやってもらっているプロシュート、鎌を持ったのと髪を立たせたのが部下の小野塚小町とペッシです。」 「足がッ!足が痛ェッ!」 「プロシュート兄貴!アタイら反省した!反省したから正座だけ直させて!」 「やかましい!まだ説教は終わってねぇんだよ!俺と映姫が戻って来るまで正座してやがれッ!」 何やら悶えている二人に一喝して、スーツ姿の男―プロシュートがこちらにやって来る。 「プロシュートだ。一応元外の人間でな。ある程度なら、相談にのれると思う。」 言いながら右手を差し出す。FFも手を出し、握手に応じる。握手した瞬間に違和感を感じ、プロシュートは顔をしかめる。 「お前の手…まさか、【人間じゃあない】のか?」 握手しただけで正体を見抜かれ、驚くFF。見ると、プロシュートの後ろから人型の「何か」が煙を上げている。 「プロシュートっ!貴方は…」 「黙ってろ映姫!コイツはスタンド使いだ。危険性は説明しただろうッ!」 声を上げる映姫を黙らせるプロシュート。幻想郷に住む人間にとっては考えられない光景だ。逆に言えば、このプロシュートという男はそれほど映姫に信頼されている、ということか。 「そうか。お前もスタンド使いか。しかしさっきもいったが、私は聞きたい事があるだけだ。敵意はない。だから、スタンドをしまってくれないか?」 FFは、身体中からから水分が抜けていくのを感じながらも、表情を崩さずに言う。目線は外さない。プロシュートはそんな彼女を暫く見つめると、スタンドをしまい、頭を下げた。 「いや、すまなかった。さっきお前の事を【危険だ】なんて言ったが、撤回するよ…無礼な事を言ったな。」 言いながらプロシュートが手を離す。すると、自分の身体に水分が戻るような感覚が起こった。 「いや。危険だと言ったそっちの判断は正しい。問題はないさ。改めて紹介させて貰おう。私はフー・ファイターズ。FFと呼んで欲しい。」 身体の調子を確かめたFFはプロシュートに改めて握手を求める。スタンド使いを警戒するのは当然の行動だ。 「そう言ってくれると助かる。改めてよろしく、だな。」 先ほどとは違った、柔らかい笑顔を浮かべて握手に応じる。 その瞬間、回りの空気が一気に緩むのが感じられた。にとりと文など、樽の中で大きく息をついている。いつの間に入ったのだろうか?というか助けようという意思はないのか? 「それで、私に聞きたい事があるようですが…」 映姫の言葉にFFはここに来た目的を思い出す。 「と、言っても大体の想像はつくがな。ここは死後の世界じゃないか、自分以外にスタンド使いはいるか、だな?」 プロシュートの言葉に頷く。ちなみに、にとりと文は話について来られないのを自覚しているのか、離れた所にいる小町とペッシをつっついている。何をしに来たのだろうか? 「前者に関してはノー、です。貴方がたの世界の【死後の世界】はちゃんと別に存在しています。」 映姫の言葉は大方FFが予想していた答えだった。しかし、その後のプロシュートの言葉は彼女にとって以外なものだった。 「後者だが…スタンド使いである俺が言うのも何だが…スタンド使いはいるにはいる。だが、どうやら本来のルールは存在しない、と考えていいだろう。 現に俺も幻想郷に来て数ヶ月たつが、お前が、俺とペッシ―あの正座してるヤツだが―以外にここで初めて見たスタンド使いだしな。」 「そんな、馬鹿なッ!【スタンド使いは引かれ合う】。それは絶対のルールな筈だろう!」 「驚くのは無理はねぇ。俺だって最初はいつ、どんなスタンドが襲ってくるのかってー思いながら暮らしてたんだからな。」 「貴方がたの【世界だけ】のルールであるようなのです。この【幻想郷】ではそれは役に立ちません。」 声を上げるFFにも驚く事もなく平然と答える二人。恐らく、プロシュートも同じ感想を持ったのだろう。あるいはペッシか。 「まぁ信じられないのはわかるが、来ないものを考えて肩肘張っても仕方ねーッてこった。」 「恐らく、スタンド使いに襲われるよりも妖怪とか巫女や魔女に襲われる方が多いでしょうね。」 二人の言葉に嘘はないだろう。つく理由が思いつかない。しかし、そうなると【自分が何故ここにいるか】の答えがなくなる。 「外の世界」ではプッチがDISCを入れた、という「理由」があった。なら今回は何故存在できているのだろうか? 「どうしても気になるなら白玉楼の西行寺幽々子を訪ねてみたらいかがですか?私よりここの死人には詳しいでしょう。」 白玉楼。文が言っていたもう一つの場所か。確か通り道だと言っていたか。 「すまない、助かったよ。ありがとう。映姫、プロシュート。」 「いえいえ。お礼を言われるのも久しぶりですね。」 「そりゃ、説教ばかりしてっからだろう?」 「貴方がそれを言いますか?」 「ま、人の事は言えねェか。俺も。」 FFの礼の言葉に、茶化しあう二人。お互いにあまりそういうのに慣れていないのだろうか。 「ふふ、大変だな。閻魔というのも。」 「それでも中々やりがいがあるんですよ?」 FFにウインクで返す映姫。こうしてみると、とても地獄の閻魔とはとても思えないくらい可愛らしい。 「あぁ、済まないが一つ頼まれてくれないか?【もし】でいい。 おかっぱ頭のブチャラティって男をもし見つけたら、プロシュートが会いたがってると伝えてくれ。酒を一緒に飲みたいと。」 プロシュートが思い出したように言う。友人だろうか。FFには断る理由もなかったので、引き受ける事にした。 「わかった。見つけたら確かに伝えよう。見つけられる事を祈るよ。」 「すまない。頼む。」 プロシュートが頭を下げる。よほど大切な友人なのだろう。 「それじゃあ、私は行くとするか。にとりー!そろそろ行くぞー!文!道案内を頼む!」 「あ、終わりましたか?」 「もー、待ちくたびれたよ!で、次は?」 「白玉楼だ。文、すまないが…」 「道案内ですよね?任せて下さい!ただ、もー少し記事にしやすい内容にしていただけると助かります。前回にしろ今回にしろ。」 「努力はするが…」 喋りながら無縁塚を去る三人を、プロシュートは感慨深げに眺めていた。仲間の事を思い出しているのだろう。 「やれやれ。今日は忙しい日ですね。」 「八雲藍、だったか?あの狐。面白くねぇが、アイツの言う通りになりやがったな。」 「彼女の主は頭が切れますからね。…怠け者ですが。」 「ふん。…そういや、ウチの怠け者とマンモーニは…」 振り向くと、正座の姿勢で悶えているのはペッシだけで、小町の姿が見えない。 「あンのアマぁ!また逃げ出しやがったか!」 「ペッシ!小町はどこに行ったのですかッ!言いなさい!早くッ!」 「わからねぇよ!わからねぇから、ゆらさないでくれ映姫様!足が、足がー!」 幻想郷は、今日も平和です。 前へ 目次へ 続き
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ジョジョの奇妙な冒険 661 名前:水先案名無い人 :05/02/17 18 54 43 ID Yeobb6ssO 携帯だからまとめサイトが見れない苛立ちのため、ガイシュツだろうが全スタンド使い入場を投下する! 662 名前:水先案名無い人 :05/02/17 18 55 43 ID Yeobb6ssO 全スタンド使い入場!! 吸血鬼は生きていた!! 百年の時を越え初代JOJOの肉体が甦った!!! 世界 時よ止まれ!! DIOだァ――――!!! イタリア料理はすでに私が完成している!! パールジャムトニオ・トラサルディーだァ――――!!! 館に入り次第執拗に追跡して抹殺してやる!! 殺戮追跡マシン ペットショップだァッ!!! 接近しての斬り合いならこのスピードがものを言う!! 甲冑外しの七体分身 銀の戦車 J.P.ポルナレフ!!! 真の人生哲学を知らしめたい!! 一位より二位の皇帝 ホル・ホースだァ!!! 能力欄は四つがCだが強請りに使うならこいつが一位だ!! 元汚職警官 レオーネ・アバッキオだ!!! アバ茶対策は完璧だ!! 金髪のコロネ ジョルノ・ジョバァーナ!!!! 全スタンドのベスト・ディフェンスは私の中にある!! なめやがってクソックソッが来たッ ギアッチョ!!! 腕相撲なら絶対に敗けん!!空間ごと削り取ったる バカ高校生 虹村億泰だ!!! バーリ・トゥード(なんでもあり)ならこいつが怖い!! 下水道のピュア・スナイパー ドブネズミだ!!! エジプトから炎の支配者が上陸だ!! 魔術師の赤 モハメド・アヴドゥル!!! ルールのある取り立てがしたいからスタンド使いになったのだ!! プロの取り立てを見せてやる!!マリリンマンソン ミラション!!! めい土の土産にジョースター一行とはよく言ったもの!! その暗黒空間が今 実戦でバクハツする!! 亜空の瘴気 ヴァニラ・アイスだ―――!!! グリーンドルフィン刑務所懲罰房チャンプこそが地上最強の代名詞だ!! まさかこの男がきてくれるとはッッ ヴィヴィアーノ・ウエストウッド!!! 闘わせたいからここまできたッ キャリア一切不明!!!! 刑務所のサバイバー グッチョだ!!! オレたちは小銭収集役ではない大金持ちになるためのスタンドなのだ!! 御存知収穫 矢安宮重清!!! ギャンブルの本場は今やエジプトのバーにある!! オレをビビらせる奴はいないのか!! ダービー兄だ!!! ハヤァァァァァいッ説明不要!! 宇宙一巡!!! 無限の加速!!! エンリコ・プッチだ!!! スタンドは暗殺で使えてナンボのモン!!! 正統派暗殺スタンド!! イタリアパッショーネからグイード・ミスタの登場だ!!! 康一君は私のもの 邪魔するやつは思いきり縛り思いきり髪を埋め込むだけ!! 思い込み統一女王 山岸由花子 自分の運を試しにきたッ!! ボーイⅡマンじゃんけん小僧 大柳 賢!!! 覚悟に更なる磨きをかけ "マンモーニ"ペッシが帰ってきたァ!!! 半径20メートルエメラルドスプラッシュに死角はないッッ!! 法皇の緑花京院 典明!!! エジプトの歴史創世の書が今ベールを脱ぐ!! Jブックス三部小説版から 書記アニだ!!! ペッシのためならオレはいつでも老人だ!! 名前は生ハム プロシュート兄貴 本来の姿で登場だ!!! 医療ミスの罪状はどーしたッ 殺人カビ 未だ消えずッ!! 分離も合体も思いのまま!! チョコラータだ!!! 特に理由はないッ 髪を貶されるとキレるのは当たりまえ!! お母さんにはないしょだ!!! そびえ立つリーゼント! 東方 仗助がきてくれた―――!!! 暗黒街で磨いた眼力!! 第三部のデンジャラス・ワンコロ イギーだ!!! 変質者だったらこの人を外せない!! 超A級殺人犯 吉良吉影だ!!! 超一流大学中退の超一流のド低脳がッだ!! 生で拝んでオドロキやがれッ 百科辞典で滅多打ち!! パンナコッタ・フーゴ!!! オラオララッシュはこの男が完成させた!! ジョースター家の切り札!! 空条承太郎だ!!! ヘタレ王者が帰ってきたッ 何回死んでいたンだッ パッショーネ創始者ッッ 俺達は君を待っていたッッッディアボロの登場だ――――――――ッ 関連レス 665 名前:水先案名無い人 :05/02/17 21 18 19 ID 96xE6IhK0 ムチャシヤガッテ…GJ 666 名前:水先案名無い人 :05/02/17 22 28 28 ID 9KcdlEhG0 スタンド使える主人公の中でジョセフだけいない(´・ω・`) でもシメがよりによってのボスなのにハゲワラタ。 667 名前:水先案名無い人 :05/02/17 22 48 42 ID wcAaTqNj0 ジョーリンも居ないぞ。 668 名前:水先案名無い人 :05/02/18 00 04 47 ID HXoOQSxq0 おいおい・・・兄貴がいないじゃないか。 って、多すぎて選ぶのも大変だよな。GJっす。 669 名前:水先案名無い人 :05/02/18 02 00 54 ID gHnYYYQW0 当然、夜叉猿ポジションはオランウータンだよな! 670 名前:水先案名無い人 :05/02/18 08 18 29 ID hCasSqY+0 ジャンケンは運ではないッ! 勝ちたいという『意志』の力だッ! 671 名前:水先案名無い人 :05/02/18 11 39 54 ID iaousbUa0 サバイバー… コメント 名前
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空条承太郎 18 014 クレイジー翼 - 098 空条承太郎の見解 ◆OM4GtB6KG. 156 最強の厚着 ◆lEaRyM8GWs 173 乱【みだれ】 ◆ZGVhibhzPQ 267 乱→狂【みだれのちくるい】 ◆jcasZ9x.B2 288 魁!!キャプテン翼の奇妙な冒険 ◆saLB77XmnM 292 魁!!キャプテン翼の奇妙な冒険~炎の瞳~ ◆kOZX7S8gY. 295 混沌体験//~序章~ ◆Oz/IrSKs9w 313 混沌体験//~空条承太郎はクールな仲間が欲しい~ ◆2XEqsKa.CM 318 集う男達 ◆kOZX7S8gY. 330 受け継がれる魂 ◆bV1oL9nkXc 340 大型殲滅兵器“ジーニアス”による被害報告 ◆saLB77XmnM 359 ヒーローになろう ◆bV1oL9nkXc 373 死神なんかじゃない ◆kOZX7S8gY. 399 『偽りの友情』に反逆せよ ◆kOZX7S8gY. 417 「放送前のちょっとした出来事(前編)」 ◆6xc12amlNk 424 見えない未来へ ◆PN..QihBhI 439 風 ◆SD0DoPVSTQ DIO 21 005 闇の帝王vs最強の馬鹿 ◆lEaRyM8GWs 064 宇宙最強の男VS悪の帝王 ◆QXU.Tc2.M2 076 機人夜襲 ◆QXU.Tc2.M2 129 帝王雌伏 ◆Wv7hRKzBHM 159 悪のカリスマ ◆HDPVxzPQog 197 氷の精神 ◆HDPVxzPQog 263 悪魔始動 ◆kOZX7S8gY. 290 DIOの世界~予兆~ ◆PN..QihBhI 315 弱肉強食/DIOが私を呼んでいる ◆kOZX7S8gY. 334 吸血鬼と吸血姫、そして怯える少年 ◆B042tUwMgE 344 恋する少女は盲目で友達の声も耳に入らないの ◆kOZX7S8gY. 357 ニアミスの朝 ◆14iGaWqIZs 377 暗雲に包まれし世界 ◆saLB77XmnM 381 Wheel of Fortune ◆HDPVxzPQog 396 The Rain Heals A Scar ◆7euNFXayzo 401 暗い森 ◆pKH1mSw/N6 403 愛をとりもどせ!! ◆kOZX7S8gY. 418 ヨルヨルユカイ ◆BfiYd9.rFo 433 その星は誰を照らす ◆YR7i2glCpA 435 命の炎 前編 ◆YR7i2glCpA 437 命の炎 後編 ◆YR7i2glCpA リサリサ 9 057 闇と光の中で ◆4LQa/CzMzU 091 夜明け前 ◆1SRHufSimc 157 機人流浪 ◆Oz/IrSKs9w 159 悪のカリスマ ◆HDPVxzPQog 233 宿命と血統 ◆HDPVxzPQog 284 女の戦い ◆HDPVxzPQog 296 白夜特急青森行き ◆Oz/IrSKs9w 312 ヴァンパイアハンターはかく語りき ◆UJ2a0/5YGE 321 少女の選択 ◆7euNFXayzo ブローノ・ブチャラティ 15 030 赤木晴子について ◆eOk8ASmJiQ 125 プリンと宝石 ◆Wv7hRKzBHM 145 甘い果実 ◆SD0DoPVSTQ 158 ブチャラティvsガラ前編 ◆PN..QihBhI 172 ブチャラティvsガラ 後編 ◆PN..QihBhI 265 日伊ゴロツキ対決!!ギャングvsヤンキー ◆HDPVxzPQog 269 眠れる奴隷達 ◆HDPVxzPQog 295 混沌体験//~序章~ ◆Oz/IrSKs9w 313 混沌体験//~空条承太郎はクールな仲間が欲しい~ ◆2XEqsKa.CM 318 集う男達 ◆kOZX7S8gY. 330 受け継がれる魂 ◆bV1oL9nkXc 340 大型殲滅兵器“ジーニアス”による被害報告 ◆saLB77XmnM 361 共同戦線~武道家VS能力者~ ◆kOZX7S8gY. 372 狂わぬ指針が生む出会い ◆7euNFXayzo 383 インフェルノ ◆Oz/IrSKs9w
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クエスト/奇妙な金属の脚を調査する 開始 無線塔で金属の足を入手する。 クエストの流れ レンジャー・シタデルでヴァーガス将軍に渡す。 本部に入れるようになった後、エシル・メルキャプテン隊長に話すと完了。 報酬 支給品シュ・モデルのコンバットナイフ、ボトルシップ、ホワイト・デス、日傘、独特な弓の中から一つ。
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ジョジョの奇妙な東方 ~FF・of・fate~ 第16話:人間が好きな妖怪 その④ 手紙を橙と一緒に見てしまったのは失敗だったッ・・・!! 藍は飛び出してしまった橙を追いかけつつ唇を噛んだ。 あの後、手紙を読んだ藍は橙に当分のマヨヒガからの外出を禁じた。【手紙の内容】が正しいとしたら橙に危害が及ぶと考えたのだ。だが、藍は失念していた。 橙は他人を放っぽって自分だけ安全な所にいるような子ではない事を。藍が気付いた時にはすでに屋敷を飛び出してしまった後だった。 スピードこそ藍の方が上だが、橙は小回りが利く。橙より先に寺子屋へ行く事は難しいだろう。だが、行かなければ・・・【あの手紙】の内容がもし全て真実なら・・・ 「私やあの半妖ならともかく・・・橙は死んでしまう・・・ッ!」 走りながら手紙の内容を思い出す。 『慧音の所のガキが特殊な能力を持っているらしい。まぁ、それ事態は別にどうでもいい。実際そんなもん珍しくも何ともねェからな。だが、【問題】は【その事実を隠している】という事がバレちまったてェこった。 【隠す】ってェ事は【隠されたほう】から見りゃあ気分のいい事じゃあねェ。ソイツは【不安】を生んで【疑惑】を生むってーのはわかるな?元々あの寺子屋によくない感情を持ってるヤツがいたってーのが悪かったンだ。 ソイツが周りの連中そそのかして寺子屋へ焼き討ちにいくらしい。』 「急がなければ・・・橙・・・」 藍自身も妖怪・・・と言うより妖怪と仲良くしようとしている人間を嫌う人間がいることは知っていた。だが、まさかここまで過激な連中とは思っていなかった。 連中はスペルカードルールなど知った事ではない。スペルカードルールに則った戦い方しか知らない橙では・・・ 「もし・・・もし橙に何かあったら・・・ッ!」 最悪の展開が頭をよぎり、それを振り払うようにスピードを上げる。 「その場にいる全員を殺してやるッ・・・!」 「あの大人を守るだッ!ハーヴェストォッ!」 重ちーには理解が出来なかった。 自分の知っている大人達が睨み合っている事が。妹紅と知らない人が村の人間に攻撃を仕掛けようとしている事が。 だが、理解できることもある。唯一見たことのない女が指を村の人間に向けている。アレは【攻撃】だッ!守らなければッ! そう考えた時、既に体が動いていた。己のスタンドを数体、盾にしたのだ。ハーヴェストは群体型のスタンドだ。数体潰れた位では何ともない。 「何を考えてるだッ!アンタが何なのかは知らないけれど、ココで村の人を攻撃するのは【ルール】違反だどッ!」 村の人間達を守るように女――重ちー自身は知らない事だが、教師のFFである――の前に立ちはだかる。妖怪なのか【能力】を持った人間なのかはたまたスタンド使いなのかは知らないが、【幻想卿】に住んでいる以上は【ルール】 に従わなければならない事ぐらいは知っているはずだ。それでも村の人間を攻撃する、と言うのであれば自分が相手になってやるッ! そう目で訴えながら油断なく三人を睨みつける。 「重ちー・・・?」 「【重ちー】?じゃあアイツが矢安宮重清か!」 慧音の声に気付いたFFが正面のスタンド使いの名前を知る。名前からして外の人間だろうとは思っていたが、まさかスタンド使いだったとは・・・ しかも先程のFF弾をスタンドで防いで無傷だったところを見ると【群体型】、しかもかなりの数のはずだ。だが、この寺子屋の従業員ではなかったのか・・・? そこまで考えたところでFFは奇妙な事に気付いた。もしスタンドを発現させているならば自分の目に見えるはずだ。だが、【見えてない】・・・? 「重ちー!何を勘違いしてるか知らないが・・・」 「止まれ妹紅ッ!アイツ、もうスタンドを【ばら撒いてる】ッ!」 重ちーを連れ戻す為に歩み寄ろうとした妹紅を慌てて止める。 妹紅には見えないが、彼女の足に無数の【小さな何か】が張り付いているのがFFには確認できる。【ハーヴェスト】の射程はわからないが恐らく自分のいる場所も【射程内】であるだろう・・・ 群体型で長い射程・・・そして複数がかりではあるがFF弾を止めるだけのパワー・・・なんつースタンドだ・・・ だが、FFですら【忘れてしまっていた】。本来、注意すべき【敵】が一体【誰であるか】を。 手を広げ、村の人間達を守ろうとした【重ちー】に振り下ろされようとしている【何か】に気が付いたときは既に遅かった。 ドボォオオ! という鈍い音がしたかと思うと、まるでスローモーションでも見ているかのようなゆっくりとしたスピードで重ちーが崩れ落ちるのをそこにいる全員が眺めていた・・・ 「重ちぃイイイ!?」 真っ先に反応したのは、やはり慧音だった。慧音の持つ能力は【歴史を食べる程度の能力】。重ちーが生きているうちに『重ちーが殴られた』という【歴史】を喰えば、その【歴史】はなかったことにできる! そう思い飛び出そうとした慧音を止めるものがいた。重ちーを角材で殴った村人である。初めて人に重症を与えたのだろうか、完全に錯乱してしまっている。 「うっ・・・動くんじゃねェエエ!」 「何を言っているッ!?すぐに治療しないと重ちーは助からないんだぞッ!!」 「う・・・うるせェッ!こっこのガキが、み、妙な力持ってンのは知ってるンだッ!そ、それで何を企んでやがるッ!?」 「何も企んでなどいない!頼む!重ちーを助けさせてくれッ!」 「うっうっ動くなつってんだろォがぁ!」 涙を浮かべた慧音の言葉にも耳を貸そうとしない。というより、聞こえていないように見える。 こうしている間にも重ちーがどんどんと衰弱していっている。死んでしまってはいくら慧音やFFであっても生き返らせる事などできない。だが、今無理にでも動けば目の前の男は倒せてもきっと他の村人が重ちーに何らかの危害を加えるだろう・・・ そこまで考えていたFFは不意に隣にいた妹紅の辺りの温度が異常なまでに上がっているのに気が付いた。見ると、妹紅の背中からまるで鳳凰のような炎の翼が広がっている。 FFよりも先に堪忍袋の緒を切らしていた妹紅の怒りが最高潮に達していたのだった。 「勝手な思い込みで・・・手前の勝手な不安で・・・自分を護ろうとしてくれた重ちーに危害を加えておいて・・・言うに事欠いて『何を企んでいる』だァ・・・?ふざけるのも大概にしろよ貴様等・・・」 妹紅の炎はどんどん強くなっていく。炎が爆ぜ、己の体すらも焦がしていく。それでも、妹紅の怒りは収まらない。 「手前等、どうやって読み書きを覚えたんだ?どうやって計算を学んだ!?大妖怪が【ルール】を作るまで誰に護ってもらったッ!?貴様等の親もッ!!その親もッ!!」 炎に怯えたのか、村人達は少しずつ離れていく。その隙にFFと慧音は重ちーを連れ戻す事が出来た。 重症ではあるが、まだ生きてはいる。歴史を喰うには時間がかかるらしいので応急処置として、フー・ファイターズを詰めて治癒を早めておく。だが、万全ではない。 妹紅は重ちーが助け出されたのを確認すると、ゆっくりと村人達に向かって歩んでいく。妹紅が歩いた分だけ村人達は下がっていく。振り出しに戻った形ではあるが、今度は脅すだけで済ますつもりはない。 「そりゃあな。手前等は何の能力もない一般市民だろうよ。妖怪やら妖精やらを恐れる気持ちはわかるし、信じたくねェって気持ちも理解できるさ・・・だがな。人里で暮らしている妖精や妖怪が手前等に何かしたか!?物を盗んだか!?何かを傷つけたか!?人を殺したかッ!?」 妹紅は、人として生きる上で最も大切な事は【信頼】であり、最も忌むべき事は【侮辱】であると思っている。今でこそ不死者となってはいるが、それでも考え方は変わっていない。それは人として大切なことだと思っているから。 だが、目の前の人間達は慧音の彼等に対する【信頼】を【侮辱】した。彼女自身にとって、最も許せない事をしたのだ。 「ここに来た目的もどうでもいい。さっきも聞いた事をもう一度聞く。私達にソイツを向けるって事は【攻撃されるかも知れない】っつー【覚悟】をしてここに来たんだよな?」 背中の炎が膨れ上がる。もうそろそろ限界だ。後は目の前の愚か者共に向けるだけ・・・死ぬ事こそないだろうが、無事ではすまない。恐らく重ちーと同程度の重症を負う事になるだろう。 「やめろ妹紅!重ちーは助かったッ!後は話し合うだけだ!」 FFの言葉にも耳を貸さない。それほどまでに怒り狂っているのか、それとも能力が暴走しているのかこの位置からでは判断できない。 そして、妹紅の炎が膨れ上がった・・・ 『彼』が妖怪を憎むようになったのは、ある意味では自業自得の事であった。 『彼』は昔から妖怪の山へしょっちゅう山菜狩りをしに行って生計を立てていた。その事をしてはいけないとは知っていたが、【楽にたくさんの金が取れる】という目先の欲に囚われていた『彼』は気にすら留めていなかった。 結果として妖怪の山の天狗達に見つかってしまい、喰われることこそ逃れたものの足を撃たれ、二度と山に登る事が出来なくなってしまったのだ。 そんな『彼』を、村の人々は同情こそしたが助ける事はしなかった。ある意味では当然とも言える結末に『彼』は納得しなかった。 何故、自分がこんな状態にならなければならないのか・・・決して自分のせいじゃない・・・【たくさんある中から】少しだけ山菜を【貰った】だけだ。別に危害を加えたわけじゃない・・・なのに何故、村の連中は自分と同じ気持ちになってくれないんだ・・・ そうか、誰もが妖怪の事を【恐れている】から【何も言えない】のだ!本当は自分達だって山に行きたいに違いないッ! 当然ながらこの理論は身勝手な【エゴ】であり、【思い込み】に過ぎない。だが、【思い込み】も思い続ければ本人の中では【真実】に成り代わる。 そして、『彼』は待ったのだ。【人間の味方をする妖怪】が【何らかの己を危険に晒すモノ】を持つのを、ただひたすらに。 その結果として、【上白沢慧音】は【矢安宮重清(ハーヴェスト)】という【モノ】を持ってしまった。 『彼』は天狗達に襲われた教訓を生かし、慎重に動いた。【慧音】のそばには【藤原妹紅】がいる。アレは自分達に対して容赦はしないだろう。ならば正面から行くのは得策ではない。 幸い『彼』以外にも妖怪にいい感情を持っていない者は何人もいる。その連中をそそのかし、学校を襲わせたのだ。 当然ながら、襲った連中は無傷では済まないだろう。だが、【寺子屋】は【子供たちだけになる】。 「オレは・・・オレは、【英雄】になるんだッ!この【寺子屋】を壊して・・・妖怪を追い出して・・・ガキ共はッ!尊い【犠牲】になって貰うッ!」 巨大な爆発が起きた!だが、妹紅ではない。もっと【後ろ】だ。FFや慧音よりも。 まさかッ!? 「なんだとォオオオッ!?」 叫んだのは一体誰だったのか。それすらもわからなかった。 【寺子屋】が!【燃えている】ッ! 決して大きいとは言えない校舎から火の手が上がっていた!何故今まで誰も気が付かなかったのかッ!? 「まさか!?お前等かッ!?【お前等のうちの誰か】が寺子屋に火をつけたのかッ!!【子供達もいるというのに】!?」 FFの叫びに村人達は反応する。 だが、FFの予感していたモノとは【全く違った反応】だった。まるで、【騙されていた】とでも言うような。 「何だってッ!?【子供がいる】ってーのはどういうことだッ!?」 「ってーことはウチのガキも中なのか!?」 「【子供達は今日は寺子屋にいない】んじゃあなかったのかよぉ!?」 【子供たちは今日は寺子屋にいない】・・・?妙な言葉が聞こえたが、どうやら【こいつ等の中】で【今この場にいないヤツ】が犯人という事か・・・ FFはそう思ったが、今はそんな事を考えている場合じゃない!今は中にいる早苗や子供達を助け出すのが先だッ! 「妹紅ッ!」 「わかってる!慧音ェ!近くの井戸から水を持ってきてくれッ!手前等も自分のガキが大切なら慧音を手伝えッ!」 呼んだときにはすでに妹紅は走り出していた。矢継ぎ早に叫ぶと、木製の扉を蹴り開け中へと入っていった。FFもそれに続く。 残された慧音は重ちーの様子を見、大丈夫である事を確認すると少し離れた茂みへ重ちーを寝かせる。そして、村人達の正面へ歩いていくと正座の姿勢を取り、頭を下げた。 「重ちーが【ハーヴェスト】を隠していたのは私の指示だ。だから私を殴るなり、追い出すなり好きにしてくれていい。だが今は。今だけは、子供達を助けるのを手伝ってくれ!頼む・・・」 村人達の答えは当然ながら、イエスであった。 自分自身すっかり忘れていたが、水がないと単なる微生物の集まりなんだよな私・・・と、今更ながらにFFは己の存在を再確認していた。 子供たちが怪我をしていた時のために水分を温存しておかなければならないFFは臍を噛みながら妹紅に付いていっていた。妹紅は行く手を塞ぐ障害物を殴り抜け、蹴り壊し、弾幕で破壊しながらロードローラーのように進んでいく。 「FF!さっきまで授業やってたのはどの教室だッ!?」 「一〇八だ!一番奥ッ!」 「面倒臭ェな!」 「慧音に言ってくれ!割り振りしたのはアイツだッ!」 「慧音なら仕方ねェな!」 「何でだ!?」 役に立ててない悔しさを感じ取っているのだろうか、破壊しながら妹紅が話しかけてくる。 彼女自身にとっては当たり前の事だろうが、FFにはそれがたまらなく心地よく感じた。それが彼女の魅力なのだろうか? 「アレか!?一〇八!」 「ブチ割れッ!妹紅ッ!」 「おぉよ!」 FFの言葉に景気良く叫んだ妹紅が思いっきり扉を蹴り飛ばす。そして、怪我人を見つけたらすぐに治せるようにFFが素早く入り込む。 入り込んだFFが見たもの。それは、 「あーうー?やっと来たみたいだね!遅かったじゃないの!」 何だかよくわからない帽子を被った子供が、室内で雨を降らせていた・・・ おかしい。何時まで待ってもガキ共のいる教室まで火が回ってねぇ・・・ 隣の窓からは既に火が出ているのに対し、子供たちがいるであろう教室には火どころか煙すら見当たらない。だが、所詮は人間である『彼』に中を確かめる術はない。 寺子屋が燃えて子供達が死ねば、村の連中は【上白沢慧音】を追い出すだろう。真相を知っている連中はきっと【藤原妹紅】によくて半殺し、最悪殺される。死んでいればそれでよし、死んでいなくても始末するのは難しい事じゃあないだろう。 そう考えていたのに、作戦が肝心なところで止まってしまっている。 「どういう・・・事だ・・・?まさか小屋の中にまだ力のある妖怪が隠れてやがったのか・・・?」 「おい!そこのお前ッ!何してるんだ!?」 悩んでいた『彼』の後ろから叫び声がした。 慌てて振り向くと、小柄な猫耳少女が睨みつけていた。橙だ。本来なら小屋の中にいるはずだが・・・ 「お前か・・・私の友達を傷つけようとしているヤツは!」 「確か、貴様は化け猫の・・・」 全身の毛を逆立てて今にも飛びかかろうとしている橙。 だが、コイツならば対処法は知っている。水をかけてやれば逃げ出すはずだ。冷静に対処すればいいッ! そう考え、『彼』は懐の水筒に手を伸ばした。だが、探しても水筒が見当たらない。おかしい。この猫と対峙する事を想定して水は持ってきていたはずなのに! 橙は今にも飛びかかろうとしている。焦ろうとする心を素数を数えて落ち着かせながら、注意深く懐を漁る。だが、出てこない!? 「くそッ!確かに持ってきた筈なんだ!水筒はッ!」 「『水筒』って言うのはコレのことかい?」 不意に上から声がしたと思うと、『彼』の頭に水がかかる。驚いて上を向くと、自分が持っていたはずの水筒を持った変な男が木の枝の上で胡坐を掻いていた。 アイツは確か、ウィル・A・ツェペリ・・・センドーとか言うよくわからない健康法を教えてる男・・・ 「健康法とは失礼な。仙道は呼吸法だよ。」 「まぁまぁ。波紋なんて最近の人間が知ってるわけないじゃあないの。」 憮然とした顔で言うツェペリに【『彼』自身の真後ろ】から声をかける者がいる。 慌てて振り向くと、真紅の服に身を包み、円状のしめ縄を背中に担いだ女性が妖艶な笑みを浮かべていた。 「さて、人間よ。面食らっているようだから名乗ろうか。我が名は八坂神奈子。妖怪の山の神兼博霊神社のピンチヒッターを勤めている。ま、お前達の一部は私を邪神と呼んでいるようだが・・・」 八坂神奈子!?妖怪の山の神!?何故そんなものがこんな所にいるッ!?理解不能!理解不能! 「私が呼んだのだよ。全く、早苗ちゃんには感謝しないとな。まさか【携帯電話】がこんな所で役に立つとは・・・」 完全に我を忘れている『彼』に親切に説明してやるツェペリ。その言葉も聞こえているのか聞こえていないのか・・・ 「さて、橙ちゃんの親も来たようだな。慧音にいらぬ疑いをかけられぬ様に私は橙ちゃんと説明しに彼女のところへ行くかな。橙ちゃん?」 「あ!ハイ!ツェペリさん!」 『彼』と同じように突然の出来事にポカンとしていた橙はツェペリの言葉に我に帰る。確かに耳を澄ますと遠くから「ちぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!」と言う敬愛すべき主の叫び声(鳴き声?)が聞こえてくる。 あの様子だと、放っておけばそこら辺の生き物全てを殺しかねない勢いだ。自分が行かないといけないようだ。橙とツェペリは掻き消えるように茂みへと姿を消した。 「あの妖狐にも困ったものだ。あの子もそろそろ自立して己の式を見つけてもいい頃だろうに・・・なぁ?」 二人が去っていった方を眺め、苦笑しながら『彼』に語りかける神奈子。その言葉に『彼』はようやく我を取り戻した。 逃げなければ・・・!逃げなければ、殺されるッ!この邪神に、殺されてしまう! そう考えて逃げ出そうとするが、足がもつれてうまく逃げる事ができない。しかも【殺される】という恐怖のせいか、昔天狗に撃たれた傷から激痛が走ってくる! 「さて、小便は済ませたか?神様にお祈りは?部屋のスミでガタガタふるえて命ごいをする心の準備はOK?」 凄絶な笑みを浮かべた神奈子の顔を最後に『彼』の意識はプッツリと途絶えた・・・ 三日後。 何でも、FFと妹紅、慧音が出て行った後に妙に嫌な予感がしたのだそうだ。だからよく連絡がつかないからと携帯電話を持たせたツェペリに電話し、自分の山の神二人を呼んで貰った、と言うのがこの馬鹿馬鹿しい結末の理由なんだそうだ。 「なんつーか・・・私怪我し損って感じがするんだが・・・」 「あぁ・・・何か下らない三文芝居を見せられたみてぇだよ・・・」 自慢げに豊満な胸を張って「私、すごいでしょ?」と全身で語っている早苗を見て、げんなりと妹紅とFFが言う。言葉と裏腹に怪我などどこにもない。本来の再生力に加え、結局使うことのなかった治療用のフー・ファイターズで治癒力を強化しておいたためだ。 後で知った事だが、早苗の能力が【奇跡を起こす程度の能力】であり、今回はその能力がフル活用された結果がコレなのだそうだ。 またこの事件の真相は、村人達がある一人の男に「重ちーの能力を使って慧音が村を妖怪で溢れさせようとしている」と、言われ不安になっていたところに「今日は生徒がいないから今の内に寺子屋を焼いてしまえば慧音は何も出来なくなる」とそそのかされ、こんな事をしたのだそうだ。 FF個人としてはたった一人の男の言葉に踊らされるなど許せない事であったが、慧音が前に言った【人間が信仰すべき神様が存在しない】という言葉と慧音自身の希望もあって彼等全員は【壊れた校舎を建て直す】という償いのみで許すこととなった。 余談であるが、その首謀者は妖怪の山の近くで首を吊って発見されたらしい。彼自身に妻子はなく、遺体は村の共同墓地に運ばれる事となった。 「これも人間ってーヤツなのかねぇ・・・」 「残念ながら、な。」 FFの呟きに答えたのは他でもない慧音だった。 慧音の後ろでは、毎度の如くツェペリが子供達に仙道を教えている。その中に、無事【怪我をした歴史】を喰われ、元気を取り戻した重ちーも混ざっていた。 「人って言うのは皆、【不安】を抱いてる。だから【信じられる何か】を探すんだ。」 「それが、【信仰】ってヤツだ、と?」 「あぁ。だから自分の事を正そうとする。【確かな言葉】を求めるんだ。人っていうのはそんな儚い存在であるからこそ【信仰】を求めるんだろうな。」 慧音が眺めた先では、男達が神奈子の指示でオンバシラを運んでいる。 どうもついでとばかりに人里に分社を立てる気であるらしい。まぁ信仰ができるのはいい事であるし、慧音自身もそれを望んでいるので問題はないのだが。 「なぁ、慧音。」 ふと、思いついてFFは聞いた。我ながら意地悪な問いだなとは思ったが、是非聞いておきたい事でもあった。 「もし、だ。もし、今回の事のような事が起こったらどうするつもりだ?信仰すら信じられず、確かな言葉も得られないヤツが今回のような事を再び起こしたら・・・」 「私自身が身を引いてどうにかなる問題なら、私は躊躇いなく身を引くだろう。だが、それによって今回のように怪我人をだすようなら・・・」 慧音の目が、一瞬深い紅に染まった・・・ような気がした・・・ 「私は戦うだろう。私自身が正しいと思える道を進むために。私のせいで傷つく人を増やさないために、私は人を傷つける。」 そう宣言する慧音の目は凛々しくも、とても悲しそうに見えていた。 前へ 目次へ 次へ
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ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド 【じょじょのきみょうなぼうけん ふぁんとむぶらっど】 ジャンル 波紋疾走アクション 対応機種 プレイステーション2 発売元 バンダイナムコゲームス 開発元 アンカーエンタテイメント 発売日 2006年10月26日 定価 6,800円(税抜) プレイ人数 1人 レーティング CERO B(12歳以上対象) 判定 クソゲー ポイント 再現しすぎてテンポ悪化溢れる原作愛以外の全てが足りない ジョジョの奇妙な冒険シリーズ 概要 評価点 問題点 総評 余談 概要 1987年から現在まで今なお連載が続いており、ファンも非常に多い漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の第一部『ファントムブラッド』をゲーム化した作品。 ジョジョのゲーム化と言えば第三部を題材としたカプコン製の対戦格闘ゲームが知名度・評価共に高いが、その後PS2でリリースされた同じくカプコン製の第五部を題材としたゲームは、評価点もあるものの人気の高いストーリーやバトルが省略されていたりすることもあり、ファンからの評判は芳しくなかった。 そんな中、再現度が妙に高い第一部冒頭のムービーをひっさげて本作は現れた。ファンは当然期待していたのだが……。 評価点 前述の冒頭ムービー(「族長(オサ)! 族長! 族長!」のシーン)もそうだが、全体的にムービーやキャラクターモデルなどの再現度は高い。 声優も有名どころを使っており、かなり頑張っている。 ディオ役の緑川光氏、ツェペリ役の小山力也氏、スピードワゴン役の小野坂昌也氏などはハマリ役とされている。 原作に登場するほとんどのキャラクターを網羅している。 名脇役スピードワゴンを操作できるステージもある。 スピードワゴン以外にもジョジョの師匠であるツェペリ、ツェペリと同じ波紋使いであり有名なネタで知られるストレイツォが操作できるステージもある。 隠しモードではラスボス・ディオを操作できる。 使用可能なキャラクターの中には、警察官やアダムスさんなど、「コイツが使えて誰が喜ぶんだよ」というキャラまでいるマニアックぶり。しかも挑発や攻撃を受けた時の音声が笑いを誘う。 条件を満たせば、最後の船のシーンが「ジョナサンと完全復活を果たしたディオの最終決戦」になる、という本作オリジナル展開が見られる。 よくファンにネタにされる誤植「何をするだぁーッ!」が正しく「何をするんだぁーッ!」に修正されているのだが、2周目に入ると修正前の台詞になる(ちゃんと声優の台詞も変わる)。この部分を「解っているファンサービス」として評価する向きもある。 原作愛は満点。 かつてジョジョゲーでは高評価だったPS版のスーパーストーリーモードのごとく、とにかく第一部のエピソードは完全再現している。 ジョジョの特異なポージングもゲームとして取り入れられている。 豪快な打撃は波紋ならではの爽快感。 問題点 あまりにも原作そのまんまであるため、テンポが非常に悪い。 「原作漫画をそのまま台本にしているのではないか」と思うぐらいにきっちりやっている。 漫画原作の作品であるのでその姿勢自体は別によいのだが、それがかえって仇になってゲームとしては残念な出来に。 演出はショボい。漫画から紙芝居(良く言えばスライドショー)にクラスチェンジしたと言ったほうが正確かもしれない。 そしてその紙芝居の観賞時間がプレイ時間の7割を占める。 原作に忠実過ぎて、演出ではなく台詞の尺を稼ぐためにスローモーションになったり、一時停止したりするのは日常茶飯事。 ジョナサンとディオのボクシングのシーンでもスローモーションが使われているが、その後ろには通常の速度で応援を続ける観戦者が見える。せめて動きを止めろ。 CEROの配慮のためか、ツェペリが真っ二つにされるところやディオが両断されるシーンなどは、紙芝居のコマが切られるだけであり、原作を見ていないと何が起こったのか判断しにくい。 他にもジョジョの師匠となるツェペリが、なぜ石仮面を追っているのかといった重要なエピソードが削られており(「私は何十年も石仮面を追っている」という台詞だけ)、中途半端な部分も見られる。 ゲーム自体の内容はどうかというと、ハッキリ言って悪い。 操作性が極悪(下記にもあるようにロックオンなどがないため攻撃が空振ることが多い) カメラワークも悪い(死角からいきなり敵が出てきてフルボッコにされることも) ゲームバランスも極端(後述) と三拍子揃っている。難易度設定も存在しない。 とにかく序盤の難易度が高い。 最初の敵として出てくるいじめっ子2人は負け前提のステージなだけまだマシだが、その後も妙に高い敵の攻撃力に怯えつつ、常時ガードしながらカウンター攻撃を繰り返す作業感の強いステージが続く。 ディオとゾンビ化した警官二人を相手に戦うステージでは、ディオは倒す事が出来ず(体力をゼロにするとダウンしたままの状態になって攻撃が通らなくなり、その間に体力が自動回復しまた立ち上がって攻撃してくる)、警官二人のみを特定のコンボ攻撃(浮かせてからの連打攻撃で特殊なヒットエフェクトが表示される)で倒す事がクリア条件になっているが、それら全ての情報、ヒントがどこにも提示されない。 しかし、ストーリーがある程度進み波紋を習得すると、今度は一気に難易度が低下する。 コマンド入力によって、ジョジョ立ちとして知られるあの独特なポーズを取ることができ、それにより攻撃力増加や回復速度上昇等様々な恩恵を得ることが可能となる。 ポージングを使わずとも、R1溜めで繰り出せるズームパンチがかなり強いので、溜めながら逃げてズームパンチの繰り返しで残りのほとんどのステージはクリアできる。 どっちにしてもほとんど繰り返しだけの作業ゲーであることは変わらない。ひたすら地味。 覚醒技(超必殺技)があるのだが、技を最高の威力で出すためには、発動技を当てた後に「スティックをひたすら回転 → ボタンをひたすら連打」という、何度も出すと非常に疲れる仕様になっている。 覚醒技のムービーがかかる際は背景が七色の変な模様に変化。目に悪い配色である。 ストレイツォの覚醒技にいたっては、連続蹴りを入れている間中「容赦せんせんせん…」と連呼するネタみたいな技に…。 ゾンビをパンチで殴り倒す作業に慣れた頃に、初見殺しの水中ステージ+黒騎士ブラフォードがやってくる。 後半ではここだけ異常に難しく、敵の攻撃パターンをしっかり読んで反撃を入れていく必要がある。無双をやっていたと思ったら、覚えゲーだった。何を言っているのか(ry またこの戦い、原作では「剣は使わん! これは勇者としての決闘だ!」と水中では一切剣を使わなかったブラフォードが平然と剣を振り回してくる。 スピードワゴンは波紋は使えないので当然厳しい……と思いきや、R1で繰り出せるハンマーの溜め攻撃がかなり強いので問題ない。ちなみにゾンビの倒れる演出が波紋を食らって消滅する時と同じである(要するに使いまわし)。 ズームパンチもそうだが、下手にR2で覚醒技を出すよりもR1溜めで攻撃した方が効率がいい。またR2技は空振りでも一々ムービーがかかるため、時間的にも苦痛になる。 ちなみに本作最強の敵は、黒騎士ブラフォードでもタルカスでもディオでもなく、前述の最初に出てくるいじめっ子2人である。 ジョナサンの場合は最初の負けイベントでしか登場しないので問題無いが、隠しモードのディオモードではこいつらを子分にするために敵として戦い、勝利しなければならない。 原作での強敵は、出てくるころにはプレイヤーもそれなりにパワーアップしているのでまあ対抗できるのだが、いじめっ子2人のステージのプレイヤーは無力。しかもシステムの不全もあり、この時点の能力で2人を相手にするのは本当にディオと戦うよりはるかに厳しい難易度。片方を殴ってるともう片方が見えない位置から見えない角度で殴ってくる。両方を同時に倒す方法は皆無で、運まかせ。やってみればわかる難易度。 ファンの間では、「俺たち(開発者)がクリアできない難易度に調整されている」と言われている。 俺たちができないことを平然とやってのけないとディオとは認めてくれないらしい。 隠し要素はステージクリアによって得られるポイントの蓄積によって解禁できる。 そのため、必然的にクリアしやすいステージを何度も繰り返すことになる上、ゲーム内容自体も作業なので非常にダルい。 また、得られるポイントはステージ評価によって増減するが、ステージ評価の記録は保存されないので新記録を狙うといった楽しみ方もできない。 総評 原作ファンにはオススメできる要素も多く、ファンアイテムとしては高い価値があるものの、ゲーム性の劣悪さから、単体のゲームしてはクソゲー呼ばわりも仕方ない出来となってしまった。 結局こうなってしまったのは、原作愛だけはあったが他のすべてが追いついていなかった……というのが真相なのかもしれない。 上にも書いているが、誰得キャラが使える一方でメジャーなキャラもしっかり押さえてあり、特にジョナサンとディオに関しては、攻撃手段が違う差分がかなり多い。差分まで含めた場合、今作で操作可能なキャラの数は40を超える。全5巻で比較的登場キャラが少ない第一部でこれだけのキャラが使えるのはかなりのもの。しかし惜しむべき事に、今作には『対戦モード』と言えるものが無く、自由にキャラクターを使うことはできないし、友達と遊ぶこともできない。もし導入していれば少しは評価も上がっていただろう。ネタゲーとしては。 + PV 先に述べている通り原作再現部分及び声優の演技は評価が高い為、ゲーム性に目を瞑って遊んだ原作ファンからは概ね高い評価を受けている。 余談 今作は発売して2ヶ月ほどでAmazonでは価格が暴落、新品が6割引という値段にまで落ち込んでいた。 パッケージ絵は荒木先生が新たに書き下ろしたジョナサンとディオのイラストが使われているが、当時とかなり画風が変わっているためにほぼ別人に見える(このゲームに限った話ではないが)。また、本作を予約して買うと、「荒木飛呂彦インタビュー」を収録した特典DVDがもらえた。 ちなみにTVCM(15秒と30秒)も収録されている。内容は多くのエキストラが「だるまさんが転んだ」でジョジョ立ちを行うというもの。 サイバーコネクトツーの松山洋氏は『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』の製作をするキッカケとして「2007年に『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』というクソゲーがありまして」という事で本作をプレイして企画を持ち込んだとのこと(参考リンク)。その結果出来上がったオールスターバトルはというと…。詳しくは上記記事を。
https://w.atwiki.jp/broadcast/pages/91.html
♀ ジョジョの奇妙な冒険喋りながらプレイ(下手ってレベルじゃない) ♀ ♀ ジョジョの奇妙な冒険喋りながらプレイ(下手ってレベルじゃない) ♀ http //www.nicovideo.jp/watch/sm3054017
https://w.atwiki.jp/fujiway/pages/31.html
「胡散臭い」が読めず「こしょうくさい」と書くいしなべ。 「当たらぬ神」って。 「杜の都」を「そうのみやこ」と書くいしなべ。