約 2,512,797 件
https://w.atwiki.jp/nanadorakari/pages/73.html
注意点が幾つか。 ・ほのぼのです。帝竜と仲良しこよしルート。 ・帝竜擬人化してます。 ・ルシェローグが果てしなく紳士です。キャライメージ崩壊注意。 ・けしからん場面はあんまりありません。あってもほんの少しだけ。 もし帝竜達が改心し友好的になったら、という前提でお話が進みます。 登場人物 メルケネンス…ルシェローグ。紳士。 センテラ…赤ヒーラー。殴りと毒のスペシャリスト。突っ込み役。 ポワワ…黄ヒーラー。殴りと毒に染まってきた元支援ヒーラー。100%ボケ成分。 スズリ…ルシェサムライ。無手大好き。「やんす」「ござんす」。 【1.罪状=セクハラ】 ミロスにて。 「来ない」 「そぉだねぇ~」 入り口付近に二人のヒーラーの姿があった。 一人は日向ぼっこを満喫し気持ちよさそうな笑みを浮かべているのに対し。 もう一人は不機嫌そうな表情で、気の強そうな印象を与えるつり目をあちらこちらへ忙しなく動かしている。 彼女達は、人を待っていた。 「ケネくんはともかくスズちゃんまで遅刻なんて珍しいね~」 「集合時間を決めた張本人が日常茶飯事に遅刻してるっていうのがおかしいのに気づいてよポワワ」 「えー? だってケネくんだからねぇ~。のんびり待とうよテラちゃん~」 呑気に笑って見せたヒーラー、ポワワ。 対してこれ見よがしに深くため息をつくヒーラー、センテラ。 「あはは~。ため息付くと幸せ逃げちゃうんだよ~」 「もう幸せなんてとうの昔に逃げ出してるわよ……。ったく、スズリさん探してくるからポワワ、あなたここでリーダー待ってて」 「その必要は無いぜセンテラッ!」 「っ!? リーダー!? どこよ!?」 「ケネくんどこ~?」 町の中へ向けて駆け出そうとしたセンテラに掛かる男の声。 辺りを見回すが、見当たらない。 しかし声だけはしっかりと、青空に響き渡る。 「俺は既に集合時刻10分前にはそこに居たっ!!!」 「居た……って嘘吐くんじゃないわよ!? 居ないじゃない!?」 「いやぁ話せば長くなるんですがねお嬢さん、お前達を待ってる間に、宿の中に入っていくそれはもーかーいらしーお姉さま方の一団を見つけたではあーりませんか。 これはもうギルド『レーハムナザドゥ』マスターのメルケネンスさんとしちゃ自分で自分にリプレイスファースト炸裂★ させなきゃ嘘でありましょうや? 願わくば彼女達には俺のスコルピオで淫らに乱れて頂きそして俺はヴァンパイアでキミ達のハートをゲッチュ! というわけで俺は早速猛烈なアピールをかけた末に――」 二人の騎士に両の腕をがっちり掴まれ、宿屋から連れ出されるルシェ族のローグが一人、二人の目の前に現れた。 「ミロスの風紀を乱す不届きな奴だ」 「つかまっちゃった☆ メンゴー☆」 「何してんのよアホォォォッー!!!???」 全く反省している様子も無く、可愛らしく謝っているルシェ族のローグ、メルケネンスを見てセンテラは思わず叫んでいたのだった。 【2.釈放されました】 「やれやれ、この国は相変らず過保護すぎるんだぜ」 「あんたねぇ……」 センテラが騎士達に頭を下げまくりルシェ族のローグ、メルケネンスは何とか無罪放免となり、無事に合流完了する。 先ほどの事などすっかり忘れたように服についた埃を払いマフラーを直しつつ、メルケネンスは宿屋を恨めしそうに見上げ、そしてポワワとセンテラのほうに視線を戻し言った。 「もっとこの国の美しい花々も温室から旅立ち世界の厳しくもときに優しく暖かい風に当たるべきだと思うんだがどーよ諸君」 「そぉだね~。ちょっとみんな、平等にこだわりすぎだとあたし思っちゃうな~」 「そう! 全てが平等に拘っているんだよ! まるで彼らは平等という名の氷で凍ってしまった可憐な花々……色々勿体無いと思わないかセンテラ!」 「え? ……ま、まぁ。ちょっと他から見ると変かもね」 「これは急務! フロワロ除去やドラゴン退治より大切な事……。外からの人間と彼らが触れ合いそしていずれは芽生えるであろう愛という炎で彼らの氷を溶かすのだよ! ……ってことでちょっと――」 「待て」 【3.遅れた理由】 「やーやー皆の衆、遅れてしまったでやんす~」 再び宿屋に向かおうとしたメルケネンスをセンテラがフレイルでどつきまわして暫くの後、三人のもとにルシェ族のサムライが手を振りながら駆け寄ってきた。 この女性こそ、先ほどセンテラが探しに向かおうとしていた人物、スズリであった。 心なしか顔が少し火照っているように見える。 「スズちゃんおかえり~」 「スズリさん! 何かあったの?」 「いやぁ話せば長くなるんでやんすよ。準備を終えてさぁ集合場所へ、とあたいが急いでいたときでござんす」 「うん」 話せば長くなるという言葉に、少し火照っているようにも見えるスズリの姿、急いでいたのに遅れてしまったという事実。 スズリは笑ってはいるものの、何か良くない事に巻き込まれたのではないかという思いがセンテラの脳裏を過ぎる。 次の言葉を、センテラは呼吸をするのも忘れて待っていた。 「古びた酒屋を見つけたんでやんす」 センテラは先ほどまで自分が抱いていた考えが杞憂だった事に気づく。 酒屋という単語が出た時点で大体何が起こったのか、センテラにも予想できたからだ。 万が一にもその予想が外れているかもしれないので、とりあえず深刻な表情は維持したまま聞いてみる。 「……それで?」 「試飲していいって言ってくれたもんだからちょっと呑んできたんでござんすよ~♪」 やはり万が一は在り得ず予想は外れていなかった。 センテラは大きくため息をつく。 「……スズリさん……」 「美味しかったぁ~?」 「えぇ~えぇ~そりゃーもう絶品でござんしたよ~♪」 一見まともに見えるものの、どこかずれている。 ポワワに味を聞かれ事細かに答えている――酒を飲めないポワワにわかるはずは無いのだが――スズリの声を聞きながら そういえば彼女はそんな人物だったとセンテラは思い出したのだった。 【4.出発】 さらにその後、ミロスからそう離れていない、フロワロが咲き乱れる平原にて。 「というわけでアイゼン目指して出発進行と相成りました、まる」 「ぱちぱちぱち~」 「まぁ諸事情重なり紆余曲折で出発時刻がちと遅れましたので、少々駆け足で進軍し山の麓あたりで本日は野宿! そう言うことで名残惜しいがミロスとはさっぱりとお別れを告げるわけで。……あぁさようなら俺のマイスイートハニー達……」 町の中に向けて投げキッスを行うメルケネンス。 それを呆れ顔で眺めるセンテラは言う。 「よくもまぁ飽きずにやるわね……」 「ふ、俺は愛の伝道士。異性は皆友達、その分別れも辛いものさ……」 「はぁ」 「しかし安心したまえよ諸君。俺が一番好きなのはお前達だ!」 「わぁい、ありがとケネくん~」 メルケネンスはポワワを抱き寄せ、その小さな薄桃色の唇に人差し指をあててにやりと笑う。 ポワワはきょとんとした様子で、彼のやっている事を眺めている。 「うむうむ。そうだな、今日はポワワに夜のマスクドペインを伝授して最後に魅惑のトリプルキスで華麗で淫らなエクス――」 鈍い音が響く。 「さ、馬鹿言ってないで行くわよー」 「出発でやんすねー」 しっかりとポワワの手を繋ぎ歩いていくセンテラ。 スズリも二人の後についていく。 後に残されたのは、一体どうやってそうなったのかわからないが首だけ地面に出した状態ですっかり埋まってしまったメルケネンス。 「はっはー、先に私じゃなきゃ嫌って意思表示と見た! ならお望みどおりセンテラ今日はお前に手取り足取りねっとりと教え込んで……あれ、ちょっと待って。抜けないんだぜ。おぉーい。抜いてー。抜いてー。やーだー、置いてっちゃやーだー」 5.トドワ山岳着きました】 日が暮れあたりも暗闇に包まれだした中、トドワ山岳の麓にて野宿する一行。 「よーやっとトドワ山岳到着ですよ諸君! いやぁ実に辛い道のりだった……!!!」 「フロワロ刈り、楽しかったねぇ~」 「誰かさんの所為で何度も全滅しかけたけどね。……だから今は山岳の到着を優先しようっていったのに」 「でもリーダーが身を盾にしてあたい達を守ってくれたおかげで、全滅自体は一回もなかったでござんすよ」 メルケネンスに鋭い視線を向けたセンテラだが、横からのスズリの言葉に少し戸惑ったような様子を見せて言葉を返した。 「そりゃ、そうだけど……」 「あったりまえだろ。死んでもお前たちは守る」 何時に無く真面目な顔で、メルケネンスは三人の顔をじっと見つめた。 「ふふ、頼もしいでやんす。やっぱり背中任せられるのはリーダーしかいないでやんすよ」 「ケネくんかっこい~」 ポワワとスズリは笑みを返し、センテラは暫く困惑した表情で彼を見ていたものの、やがて小さくため息をついて、薄く笑みを浮かべた。 「もう……。あんただって不死身じゃないんだから、あんまり無茶はしないでよ? ……リーダー」 「あぁ。心配かけて悪いな。……俺はお前達のリーダーだ。 なるべくお前達の経験になるような事もしてやりたい。だからたまには、無茶もする。でも安心して俺に任せてくれ。無茶はしても、危険なことはしないさ」 いつの間にかメルケネンスはスズリの傍に腰を降ろしていた。 そのままスズリの体を抱き寄せている。 「……そうさスズリ、背中といわずお前の身も心も全て俺に任せて……ふふふ今夜は熱い夜になりそ――」 鈍い音が響いた。 「さ、スズリさん、ポワワ。ご飯の準備しよっか」 「は~い」 「リーダーはどうするんでやんす?」 「ご飯できたら勝手に起きるでしょうから、その辺に放っておいて」 【6.トドワ山岳越えましょう】 十分な休息もとり、いよいよトドワ山岳超えを目指す一行。 やがて山頂にたどり着くとそこには、翼を持つ巨大な竜が佇んでいた。 「こいつはっ……!?」 「うーむ、でかいな。この辺のボスだと俺は思うんだぜ」 「あたいも同感でやんす」 「おっきぃ~」 「……じゃ、後は降りるだけだな。あともう一息だ、頑張れよ~」 「はぁ~い」 「まだまだ、竜が来たって平気でやんすよ」 「……え、いいの!? 無視していいの!?」 一行は巨大なその竜を眺めながら横を素通りし、難なくトドワ山岳を再び降っていくのだった。 【7.あるのかないのか】 トドワ山岳を無事に突破し、一行はアイゼンの地、農村サイモンへと辿り着いていた。 「諸君お疲れ! ついに我々はアイゼンの地に足をつける事ができたわけですよ!」 「も~へとへと~」 「あれ無視してよかったのかな本当に……」 「長閑な場所でやんすね~」 宿へ向かって歩く一行。 家畜の囲われた柵、畑と幾つかの家しかないこの村の様子に、一行は先ほどまでの戦いの興奮を忘れる。 「あ、ワンちゃんだ~」 前から走ってくる一匹の犬。 「あはは、こんにちはぁ~」 しゃがみこんで両手を広げ犬を迎え入れたポワワは、純真そのものの笑みを浮かべてみせる。 犬もポワワにじゃれ付き、その様子はセンテラとスズリの疲れを僅かながら吹き飛ばし、温かな気持ちにさせてくれた。 しかしメルケネンスはその様子をじっと眺めて、呟く。 「なぁスズリ」 「なんでござんす?」 「……俺昔から抱いていた疑問があるんだが」 「ふむ?」 「……ルシェの女ってさ……あるのかあれ」 「あれ?」 「おいおいみなまで言わせるなよ、こう、動物が年に1、2回やけに騒ぎ出したりする時期があるじゃないか。……で、どうよ」 「あー、はいはいあれでやんすか! よくわかんないでござんす。あるって人も居るし無いって人も居るしで」 「ほほうそれは興味深いどうかねスズリ戦いの興奮がそのまま身体の疼きに変わったりして苦しいことはないか。 いやきっとあるだろう全て俺に任せてくれその疼きを俺のトリプルキスで解放して――」 数分後。 「おぉー!? 待てっ俺はお前達とちょっと違う! お盛んなのは一緒だNE!? まっまてっあーっ!!!」 家畜の飼われている柵の中に放り込まれ、先ほど言っていた「あれ」の羊に絡まれるメルケネンス。 それを暫く眺めた後、彼を除く三人は宿屋に向かって再び歩き出した。 「さ、行きましょっか」 「いいんでやんす?」 「夜には戻ってくるでしょ」 「ケネくん先に宿屋さんに行ってるからね~」 【8.ゴウガ竹林抜けましょう】 農村サイモンで一泊し、破竹の勢いでアイゼン目指し進む一行。 ゴウガ竹林をもう少しで抜けるという所で彼らの前に現れる巨大な竜。 「くっ……! もう少しで出口だっていうのに!」 「いかにもボスですって風格だな」 「同感でやんす。強そうでやんすね」 「へとへとだよぉ~……」 「……大丈夫だポワワ、さっき手前に泉があったろ? そこでちょっと休憩して……」 数十分後。 「さ~道はもう少し続く、アイゼンまで頑張ろうぜ~」 「お~」 「ポワワどの、疲れたら無理せず言ってほしいでやんす」 「はぁ~い」 「ねぇちょっと!? いいの!? これも無視!?」 巨大な竜の横を素通りし一行は無事にゴウガ竹林を突破したのだった。 【9.愛染服を着てみよう】 ついにアイゼンへとたどり着いた一行。 この国の道行く人々は、あまり他の国では見られない服装で居る。 「ミロスとはまた違った美しさがあるねぇアイゼンってとこは」 「服がなんだか変わってるねぇ~」 「愛染式ってらしいな。……うーむ、道行くお姉さま方も十分セクシーでプリティーだがやはりここはあれだ、お前達が着てるのを俺は見てみたいね」 「買っちゃうのー?」 「はっはー何が欲しいかパパに言ってごらん、お前達のためならなーんだって」 「わぁ~い」 「何かリーダーの趣味も兼ねてることになってアレだけど……興味はあるし」 愛染式の服の購入も兼ねて、一行は武具販売店へ向かい装備を整えた。 「わぁ~」 「へぇ……」 何時も身につけているヒーラーとしての、ハントマン活動をするに最適な服装から開放された二人は、暫し自分やお互いの服を見て笑みを浮かべる。 「テラちゃんかわい~」 「ポワワだって、すっごく似合ってるわよ」 「えへへ~」 「二人ともよく似合ってるでやんすよ」 「感無量。幸せ。泣いていい? ってか胸貸してスズリ」 「何言ってんだアンタは。……スズリさんはいいの?」 ぴくりと耳を動かし、きょとんとした表情を見せたスズリは笑って答える。 「あたいはいいでやんすよ。これぐらい身軽な格好じゃないとうまいこと戦えないでござんしょ?」 「そっか……」 メルケネンスのお眼鏡にかなう三人である、スズリもかなりの美人であった。 そんな彼女のお洒落した姿も見てみたいという思いをセンテラが抱くのも無理は無い。 少し表情を暗ませたセンテラに、メルケネンスは言う。 「安心しろセンテラ。既にスズリの分は購入済みだぜ。サイズバッチリ、その魅力的なナイスバディをしっとりと包み込む事を約束するんだぜ」 「何時の間に!?」 「え、あたいの分まで買ってるんでやんすか!?」 驚くセンテラにスズリ。 メルケネンスは親指を立ててにやりと笑い言葉を続ける。 「またカザン帰ったときにでも着てみてくれよ。そしてそのまま俺に乱暴に服を剥がされ淫らな一夜を過ごせ」 「剥がすな」 センテラに小突かれるメルケネンスを暫し眺めてから、スズリはにっこりと笑った。 「……うん、わかったでやんす。ありがとうござんす、リーダー」 【10.冷たい視線】 「しかしなんだ、どうしてこう俺に対してのお姉さま方の視線が刺すように鋭く冷たいんだぜ? 嬉しいけど」 「変態……。……さっき道行く人にちょっかい出したからでしょ」 「いやいやセンテラ、それは違うんだぜ。あれは単なるご挨拶。 言うなればおはようこんにちはこんばんはに当たる類の軽い奴だ。それに俺が挨拶する前から視線は同じなんだぜ」 「あ、そ……」 「スズちゃん、どぉしたの~?」 「うーん……」 見ればスズリも何故か複雑な表情で居る。 彼女もメルケネンスの言う冷たい視線を感じているようだった。 「なんていうか……居心地が悪いでやんす」 「そーかスズリお前もか。 ここは一つ視線に耐え切れない風を装いあの竹林に二人で身を隠しそのまま見えない事をいいことにちょっとイケナイことでもしでかしてみないか」 「やめい。……スズリさんまでそんな目で見られる理由が思い浮かばないんだけど……」 「ま、とりあえずこの国の王様とやらに謁見しますかね。仕事こなさないとメガネに嫌味言われるし」 周りの視線は相変らずだが、一行はアイゼンの王が住まう城へと向かっていった。 【11.ルシェはここでは肩身がセマイ】 「なんかあのおーさま怖かったよ~」 「なんていうかこっちを見下してる感じだったわよね……」 謁見が済み、一行は何気なしにアイゼンの貧民街へと訪れていた。 ここはみすぼらしく汚らしい風景しか目に入ってこない。 しかし貴族街と違って冷たい視線はまるで無かった。 「うーむ、冷たい視線を向けるのが友好の証だとかいうツンデレな国民性なのだろうか」 「なによそれ」 「しかしそれだとここだと全く冷たい視線が無いのが気になるぜ……おっと」 「むむ」 洗濯物を干す棒を固定するのに手間取っているルシェの女性を見て、メルケネンスとスズリはそれが当然だとでもいう風に作業を手伝ってやる。 「ありがとう、助かるわ」 「どこに行ってもルシェは仲間なんだぜ」 「お気になさらずでやんす」 「……ところでつかぬ事を伺うんだが、この国は余所者には冷たいのかい? 貴族街だと随分と白い目で見られたもんだが。嬉しいけど」 ルシェの女性はメルケネンスの問いに表情を暗ませ答えた。 嬉しいけど、のところで一瞬首を傾げたのはきっと気のせいだろう。 「……そうじゃないわ。ルシェだけに冷たいのよ、この国は」 「そりゃまたどうして?」 「この国は階級に酷く拘っていてね。貴族街とここを比べても判るでしょう? ……階級の最下層は亜人……つまりルシェと定められているの。それに、この国はルシェを奴隷として扱っていた過去もあるから」 「奴隷でやんすか!?」 「今は法で禁止されているけど……今でもやっている貴族も多いと聞くわ。だからこの国の人は今でもルシェを下に見て、馬鹿にするの」 「ふむ、なるほどなぁ……」 メルケネンスは辺りを見回した。 まるでこの貧民街の光景を目に焼き付けるように。 「冷たい視線はながーいながい歴史が関係してるってことか。……とてもよくわかったんだぜ」 「ありがとうござんす」 「いえいえ」 話を終え、礼を言うと二人はポワワとセンテラのもとへ戻ってくる。 話は彼女達の耳にも届いており、両者とも複雑な表情で居た。 「ルシェを奴隷として使ってた、か……最低ね」 「みんな同じなんだよぉ~。どれーなんてだめぇ~」 「まぁそういうな。ながーいながい時間を掛けて根付いちまった風習だ。……ま、いずれは無くなって欲しいとこだが」 自らの種族の事だからか、流石のメルケネンスも彼女達と似たような表情で居る。 スズリもやはり、悲しげな表情を浮かべていた。 ポワワがスズリの羽織る法被の裾を引っ張り、声をかけた。 「スズちゃん、元気だして~」 スズリははっとしたような表情を見せ、慌てて笑顔をポワワに向けて言う。 「大丈夫でやんすよ、ポワワどの。ちょっとショックだけどあたいはこれぐらいじゃびくともしない心の持ち主でござんす」 「しかし奴隷か……奴隷……」 【12.妄想です】 メイド服を着たスズリが、食事を終えたメルケネンスの前で不安げに佇んでいる。 「だ、だんなさま、お味は如何でござんしたか……?」 まるでメルケネンスを恐れているかのような態度で、スズリは彼に問うた。 メルケネンスはそんなスズリを見て、にやりと笑う。 「勿論美味かったとも。……さぁそれじゃあ、そろそろデザートといこうか」 「………………」 「さぁどうした、デザートを持ってくるんだ」 「は、はいでやんす……。きょ、今日もあたいを……たべてくだ、さい……」 スズリは顔を真っ赤にして、ゆっくりと自分の服の裾をたくし上げた。 素肌の上に着用している黒タイツに包まれた、無駄な肉のついていない美しい足が露になる。 更に彼女が裾を上に上げていくと、丁度秘所だけを露出させるような形で、タイツに穴が開けられているのが見えた。 メルケネンスはゆっくりと席を立ち、一歩、また一歩とスズリのもとへ歩みを進め――。 「――そしてそのまま俺が優しく抱きしめて甘く危険な、奴隷と主人という禁断の恋の幕が開くわけだねはははー素敵だロマンスだねというわけでスズリ一週間ほど俺の奴隷になって――」 数秒後、そこにはスズリから奪い取った抜き身の刀を今にもメルケネンスに振り下ろさんとするセンテラの姿があった。 「たまには真面目に〆るとかできないのかあんたはぁ……!?」 「ま、まて。調子に乗りすぎた。落ち着けセンテラ。俺は斬られるよりお前のその使い慣れた血染めのフレイルでぶん殴られるほうがす――」 無言でセンテラは刀を地面に投げ捨て、目にも留まらぬ速さで愛用のフレイルを取り出し。 鈍い音が、数え切れないほど響いた。 【13.強さ的にも微妙な奴】 二匹目の帝竜デッドブラックが潜むヒョロン神水洞に訪れた一行。 彼らを迎えてくれたのは見張りの戦士と、この国の重鎮でもあるリッケン公爵だった。 「そうか、君達がかの英雄、レーハムナザドゥか。カザン奪還の報、君達の勇ましき戦いの話はここアイゼンにもしっかりと届いている。お会いできて光栄だ。 この国は見ての通り、まだ経験も浅い戦士ですら体裁を気にする有様だ。 ……王はここに居つく帝竜を侮っておられる。この滝の流れが止まってしまうことは、国にとってよくないことを招くというのに……」 「別に倒さなくていい、って言われたけどね。そういうわけにも行かないわ」 「貧民街じゃここの水が来なくなって大弱りだったでやんす。あそこの人達のためにも帝竜は見逃せないでござんすよ」 「ありがとう。国民に代わってお礼を申し上げる。……帝竜は最深部に潜んでいる。 奴は闇を好む竜のようだ。外の光を奴の場所まで届けることができれば戦いも楽になると思うのだが……」 「つまり今度の帝竜は引きこもりか。……お、この台座なんか使えそうだ。……ほらどうだ」 メルケネンスはリッケン達の奥にあった台座に赤いガラス玉を置く。 それは天井から差し込む光を集め、最深部に向けて――弱弱しいものだが――光を届け始めた。 「きれ~」 「高いお金出して買っちゃったガラス玉がここで役立つなんて……。……引きこもり、ねぇ。なーんか一気にしょぼいイメージになるわね……」 「ひきこもり、ってな~に?」 「うむ。自らの殻の中に篭り、閉鎖的空間の中に閉じ篭ってしまう存在の事をそういうのだ。……王が奴を侮っているのももしかして……?」 「そりゃ侮りたくもなるよなぁ。引きこもりだし」 「あたいはそう言ううじうじしたやつは嫌いでやんす」 「うじうじ~。今度のてーりゅーはうじうじりゅーなんだね~」 「油断はしちゃいけないけどなんか気が楽だわ。カザン奪還の時よりかは」 「よーっし、じゃあちょっくら引きこもりをお日様の下に引っ張り出しに行くとしようか諸君!」 「お~」 「人間共メ……好キ勝手言イオッテ……!!!」 上で自分の事を散々馬鹿にしている言葉を聞き、黒帝竜デッドブラックはさらにその闇の濃さを深めたのだった。 【14.至福の時(メルケネンス曰く)】1/4 フロワロが咲き乱れ薄闇に包まれたヒョロン神水洞最深部。 本来ならば滝があるその場所には、水がどうどうと流れ落ちる音など響いては居なかった。 「奴、だな」 ガラス玉が届ける弱弱しい光が、何かを照らしていた。 「それ」は一行に対して殺気を放っていた。 一行の表情が引き締まる。 「引きこもりでも力はあるみたいでやんすね。……センテラどの、ポワワどの、あたい達の前には出ちゃだめでやんすよ」 「わかったわ。支援だけに専念する」 「ケネくん、スズちゃん、テラちゃん、気をつけてね……」 メルケネンスはスティレットを抜き放ち、スズリは拳を構え「それ」を睨みつける。 「それ」は照らし出す光を飲み込みながら言った。 「コノ程度ノ光デ闇ヲ払エルトデモ思ッタカ、愚カナ!!!」 光を飲み込む「それ」はまるで黒い炎のようで、決まった形を持っていないように見える。 しかし、徐々にそれが、確かな一匹の巨大な竜の姿を取るのを一行は目にした。 黒帝竜デッドブラック。 闇そのものである悪しき存在が、ゆっくりと牙を剥きにたりと笑う。 「凍リツケ!!!」 きらきらと輝く氷の欠片が吐き出され、周りのフロワロも巻き込みつつ一行に襲い掛かる。 「リーダー! あたいが先に仕掛けるでやんす!」 「おー行って来い!」 スズリは両足に力を込め、一気に最大速度まで加速し吹雪の中を突っ切っていく。 氷の欠片が衣服や自分の皮膚を浅く切り裂いていくが、痛みは興奮によって抑えられているためその速度は落ちない。 拳に真っ赤な火炎が纏わりつき、恐らく胴体部分であろう箇所に、スズリは全力で火炎の拳をぶつけた。 確かな手応えと共にデッドブラックの耳障りな叫び声が響く。 「氷を使うだけあってやっぱり火が弱点でやんすね!」 「小癪ナ!!!」 「おっと!」 すぐさまスズリは後ろに飛び退く。 先ほどまで自分が居た場所に、何か鋭いものが通り過ぎていった証拠の細長い傷跡が残された。 さらに追撃として放たれた氷の槍がスズリの身体を捉えようと迫るが、スズリはくるりとバック宙を披露し氷の槍を踏みつけて地面に落とすという曲芸までやってのけてから、にやりと笑って見せた。 吹雪を止めるという目的を達成した嬉しさから来る笑み。 「狐ェ……!!!」 その笑みが気に入らないのか、デッドブラックはすっかりスズリに注意を向けてしまっていた。 その時デッドブラックの前に突如一つの影が躍り出る。 【14.至福の時(メルケネンス曰く)】2/4 「よお」 メルケネンスだった。 短剣には何かが塗りつけられているのが、弱弱しい光に照らされ判る。 叩き落そうとデッドブラックが動く前に、短剣は深々とその身体を抉った。 すぐさまその場を退くメルケネンスに、彼の後を追うように響く叫び声。 「手応えいまいち。効いてないな」 「ベノム!」 「ベノム~!」 間髪いれずセンテラとポワワが毒の花を咲かせ、毒の花粉をデッドブラックに浴びせかける。 しかしそれでも毒を入れることは不可能だったらしい。 メルケネンスやスズリが入れた一撃もまだ致命傷ではないらしく、デッドブラックは怒りに瞳を輝かせている。 「貴様ラァ……!!!」 闇が更に深まっていく。 「光が!?」 「暗くなっちゃうよぉ~!?」 第一層からガラス玉を通して送られる光は、ついにデッドブラックに完全に吸収されてしまった。 「まずいな、引きこもりは真っ暗な場所だと強いんだぜ」 「急いで決着をつけないと危ないでやんす!」 「誰ガ引キコモリダ! 寧ロマダ言ウカ人間!!!」 「あれ、聞こえてたのか。でもこんな暗いじめじめした場所の最深部でじっとして地上に出てこないなんて引きこもり以外の何者でもないんだぜ?」 「グ……!!! ソノ減ラズ口今閉ザシテヤル……!!!」 一寸先も見えない漆黒の帳が一行を包み込む。 「何も見えない……!!! ポワワ!? どこ!?」 「あたしはここだよぉ~!」 センテラは手探りでポワワを探し出し、しっかりと手を握り締めた。 「センテラどの、ポワワどの! 大丈夫でやんすか!?」 「私たちは平気!」 「こう真っ暗だとどこに攻撃していいかわかんねーな。どうすっか」 「何とかしないと! このままじゃあの引きこもりにいいようにやられるだけよ!?」 「だよなぁ」 「マダ言ウカァ!!! 愚カナ人間ヨ……我ノ闇デ身モ……心モ……凍リツカセルガイイ!!!」 「っ!?」 デッドブラックの声が闇の中に響いた。 【14.至福の時(メルケネンス曰く)】3/4 ――何も聞こえない……!? そして唐突に訪れた、無音。 ――……やだ……怖い……!!! 自らの心音すら聞こえない。 今自分が立っているのか、座っているのか。 目を開いているのか、閉じているのか。 生きているのか、死んでいるのか。 何も判らないただ只管に続く暗闇と無音にセンテラは恐怖する。 まるで何十分も、何時間も、何日もその状態が続いているかのような錯覚を覚えた。 ――だめ……耐え、なきゃ……。 意識が朦朧とし、体の力が徐々に抜けていく。 その時。 ――っ!? 誰かが抱きついてくる感触が、センテラの意識と体の力を呼び戻した。 黄色いお下げ髪の頭が、胸元に埋められているのが闇の中に見える。 ――ポワワ……! 彼女も自分と同じような目に遭っているなら、自分が今ここで耐えなくてどうするのか。 そんな思いがセンテラの力を取り戻させる。力を込めて、センテラはポワワを抱きしめた。 その時、センテラの両耳にのしかかっていた重圧は一瞬にして取り払われた。 「……フン、耐エオッタカ」 自分でも信じられないほどの汗を掻いている事にセンテラは気づく。それはポワワも例外ではないようだった。 「テラちゃん……!」 「センテラどの! ポワワどの! リーダー! 平気でやんすか!?」 「へっ……平気!!!」 「大丈夫だよぉ~!」 「リーダー!? ……リーダー! 返事するでやんす!!!」 「ケネくん……!?」 「まさかっ……!!!」 センテラの背筋に寒気が走る。 「ちょっと……返事しなさいよ!? ねぇ!? リーダー!?」 メルケネンスの返事は無かった。 「ケネくんってばぁ!!!」 「リーダー!!!」 ポワワやスズリも必死に大声を出して彼のことを呼ぶ。 しかし、返事は返ってこない。 「ッ……!!! リーダァァァーッ!!!」 センテラは叫んだ。 音程や音量など気にしない絶叫が洞窟に響き渡る。 【14.至福の時(メルケネンス曰く)】4/4 「……ひゃあっ!?」 すると何故かスズリの素っ頓狂な声が返ってきた。 予想もしなかった反応にセンテラは我に返る。 「へ……?」 「ス、スズちゃ~ん……?」 スズリの身に何が起こったのか、闇に遮られわからないセンテラとポワワは、ただ待つしかない。 「両手に収まりきらない大きさ、タイツとさらし越しからでも判るキメ細やかな肌に凄まじい弾力……!!! こ、これはスズリのナイスバディなんだぜ!?」 そして数秒後闇の中から発せられた声は、他でもないメルケネンスのものだった。 「ちょっリーダーッ!?」 「いやぁ悪い悪い、手探りで敵を探していたらうっかり」 「うっかりってレベルじゃないでござんしょ!? そんなにしっかり揉ん……あっ……」 「これはちょっとしたアクシデント? 否! 好機と言うべきだろう! さぁスズリ今こそ俺達の行住坐臥を見せ付けるときだ!!!」 「何言ってるでやん……っす……かぁ!!!」 ぷち、とセンテラは、自分の頭の中で何かが切れた音を、確かに聞いた。 「……ポワワ、悪いけどここで待ってて」 「え?」 「大丈夫、すぐ戻るから」 センテラはにっこりとポワワに笑いかけ、そして――。 「リ・イ・ダ・ア♪」 「っ!!!」 一瞬にしてメルケネンスの居場所を探り当て、その肩にぽんと手を置いたのだった。 びくりと過剰なまでにメルケネンスの体が跳ね、そして彼は錆び付いた機械のようなぎこちない動作でセンテラに顔を向ける。 「よ、よぅセンテラ、こんな暗いのによくわかったな。それだけ夜目が利くならローグにだってなれるぜ、うん」 「……ベノムッ!!!」 「うおぁっ!? おまっ毒は反則だろ!? 死ぬ死ぬ!!! お前の毒はやばい!!!」 「やかましいっ!!!」 「毒はやめて好きなだけ殴ってほしいなぁぁぁぁーっ!!!???」 「ベノムベノムベノムベノムベノムーッ!!!」 精神力が続く限りありったけのベノムを唱えるセンテラ。 辺りには毒の花が、フロワロに負けないぐらいの数咲き乱れていく。 「オ、オイ貴様ラ!!! 黙ッテ見テイレバ好キ勝手……グハッ!? ド、毒ガッ……!!!」 「謝るから! 土下座でも靴舐めでも何でもするぜ!? 寧ろそれご褒美だけど!!!」 「ふっざけんじゃないわよ女の敵めぇぇぇっ!!!」 「グオォッ!?」 闇の中に響く悲鳴と殴打音。 暫しそれは止む事がなかった。 【15.あだ名はラックちゃんに決定(ポワワ命名)】1/2 「ハァッ……ハァッ……!!!」 いつの間にか闇は晴れていた。 すっかりバテて肩で息をするセンテラの目の前には、嬉々とした表情で血まみれになって横たわるメルケネンス。 「セ、センテラどの?」 「スズリ……さんっ……ハァッ……! ごめん、ね……このバカ、が……っ!!!」 「いや、いいでやんすよ。減るもんでもないし」 「あーもうっ……できることならあの滝の中に沈めて……しずめ……て?」 センテラは気づく。 闇が晴れ、滝がどうどうと流れ落ちているのに。 「……帝竜は?」 「センテラどのがやっつけたんじゃないでやんすか? リーダー追い掛け回すついでに」 「へ……? 私が……?」 「そ~だよ~。テラちゃんがやっつけたんだよ~」 「………………」 見れば地面にはデッドブラックの残したと思われる、決まった形を持たない、最初にデッドブラックが見せたような真っ黒な炎のように蠢く物質が落ちている。 そして、その傍にぺたりと座り込んでいる一人の少女の姿。 光を吸い込みそうなほど黒く、赤い瞳を覆い隠し、腰まで届く長い髪の毛、黒いボロボロのローブを着込んだ少女は、明るくなった洞窟内ですっかり怯えてしまっている。 「……あんた」 「くくくくるなっ!!! か、噛むぞ! わ、われは黒帝竜デッドブラック! 強いんだぞ! 人間なんて一ひねりだ!」 「わーこわいでやんすー」 「きゃ~」 「……こわーい」 「あっ!? 馬鹿にしてるな人間共!?」 センテラはとりあえずスズリやポワワに続いて怖がって見せるものの、丁度ポワワぐらいの年恰好の少女に対して何を怖がれるのだろうと思った。 帝竜が人へと変化する、一行にとってこれを見るのは二度目だった。 ギルドハウスで今も読書とお子様ランチを堪能している女性の姿がセンテラの脳裏を過ぎる。 「……で、どうするの」 「連れ帰るに決まってるぜ」 「あ、リーダー。起きたでやんすか」 いつの間にかメルケネンスは復活していた。 あの暗闇の中で起こった騒ぎの最中、デッドブラックにヴァンパイアでも決めて多少なりとも生命力を回復していたのだろうとセンテラは予想する。 メルケネンスは早足でデッドブラックに向けて歩き出した。 「くっくるなっていってるだろー!!! 噛むぞー!!!」 「なんと。それは是非。幼い少女が施す甘噛みとかこれどんな神様のご褒美? ……今日は色々頑張ったし、いいよね……」 「っ……!?」 「さぁさぁ噛んでもらおうかいや噛んで頂戴、是非、是非とも私めにできればこのお耳に一つ! さぁさぁさぁ……!!!」 「ひっ……!?」 鈍い音が響き渡る。 続いて大きなものが水の中に落ちたような音が響いた。 【15.あだ名はラックちゃんに決定(ポワワ命名)】2/2 「……別にもう、あんたを攻撃するつもりなんてないわよ」 「嘘だぁっ!? あっあの男を一度ならず二度までもその凶器で撲殺っ……!!! それでわれも!!!」 「撲殺だなんて人聞きの悪い事言わないでよ!? アレで死ぬんなら苦労しないわよ!」 「その通り! あれは愛の鞭です」 「浮かんでくるなっ!!!」 再び水面に浮かび上がってきたメルケネンスにセンテラが構っている隙に、ポワワとスズリがデッドブラックのもとへ近づいた。 そして、笑みを浮かべて話しかける。 「センテラどのはあぁ見えて凄く優しいでござんすよ。それに、先ほどセンテラどのが言ったように、もうあたいたちは戦うつもりはないでやんす」 「一緒にカザンにいこ~? 一人ぼっちは寂しいでしょ~?」 「ばっバカを言うなっ! 帝竜たるこのわれが人間どもと行動を共にするなんてっ……!!!」 「こんなじめじめした場所で一人ぼっちより、絶対にカザンのほうがいいでやんすよ?」 「そうだよ~」 「ふんっ! われはここを気に入っているのだ! それに一人で居るほうが――」 「ほほう一人でこの人が寄り付かない場所に滞在すると言ったか! それ俺に対しての誘惑、そうに違いないんだぜ。よーし俺さっそく明日からここに通いまくっちゃうぞ~」 「行くなっ!!!」 「くるなっ!!!」 ずぶ濡れの格好のままではしゃいでいるメルケネンスを横目に、センテラは疲れきった表情でデッドブラックに詰め寄る。 「一応敵とはいえあれに襲われるのは可哀想だから言っておくわよ……。頼むから一緒に来て」 「………………!」 デッドブラックはセンテラとメルケネンスの両者に視線を何度も持っていく。 ここに残るか、彼らに付いて行くか、そのどちらを選ぶか悩んでいる様子だった。 しかし結局彼女は――。 「……えぇーいわかった! じゃあわれを連れて行け! どこへでも行ってやる!」 彼らと行動を共にすることを選んだのだった。 【16.お弁当屋さんでバイトもしてます】 デッドブラックの討伐も済み、カザンのギルドハウスへと帰りついた一行。 扉を開けた先には、エプロンをつけてなにやら料理をして居る女性の姿があった。 軽く後ろを振り向いた女性は、入ってきたのが良く知った人物達であることを確認して、僅かに微笑む。 「よお。今日もエプロン姿が決まってるんだぜ」 「お前達か。無事に戻って来れたようで何よりだな」 燃える様に赤いショートヘア、同じ色の瞳を持った細身の女性。 この女性がかつてカザンを征服し、レーハムナザドゥ一行に討伐された赤帝竜キングだと誰が思うだろうか。 センテラはこの家庭的な女性を見て、そんなことを思った。 信じがたいが、事実なのだ。 「グーちゃんただいまぁ~。いい匂い~」 「この匂いはカレーでござんすね?」 「その通りだ。レシピを教わってな、材料もあったし作ってみた。『でぼかれー』というらしい。食べてみるか?」 「うん!」 「グーどのが作る料理はどれも絶品でござんすからねぇ。勿論頂くでござんす」 ポータルを使ってあっという間にカザンに帰り着いたものの、皆空腹を覚えている。 彼女の申し出を一行は喜んで受け入れる事にした。 「そしてその後はデザートとしてお前さんの裸エプロン姿を拝んで」 「はだかえぷろん? 何だそれは?」 「しなくていいし詳細を聞かなくてもいいから。……ほら、何してるの? 早く入って」 「わわ、わかっている……!」 女性相手だとたとえ竜であろうとちょっかいを出し始めるメルケネンスにセンテラはしっかり釘を刺して、先ほどから入り口でもじもじとしているデッドブラックの手を引き、家の中に招き入れる。 「デッドブラック!」 「あ、あねうえ!?」 デッドブラックの姿を見て、キングは嬉しそうな声を上げた。 逆にデッドブラックは、そんなキングの姿を見て目を丸くする。 「ど、どうしてこんな所に……! い、いや、そもそもこの国の制圧にあねうえは当たられていたはず! この現状は一体!?」 「いや……話せば長くなるんだが……」 キングは困ったように頬を掻き、視線を逸らす。 そして少し慌てたような素振りで、言葉を続けた。 「とりあえずお前もどうだ? お腹が空いているだろう? 話はそれからでもできる」 キングはカレーがたっぷり作られた鍋を示す。 匂いだけで美味だと判るそれに、デッドブラックの腹の虫は小さく鳴いたのだった。 【17.竜だって生き物だ】1/2 「……そもそもこの侵略にしても我々帝竜、そして真竜の食糧確保、ただそれだけだ。 だが、この星を見てみろ。結晶化させた人間より遥かに美味な食料が山のようにあるではないか? わざわざフロワロを繁殖させ人間達を根絶やしにし、この星を喰らいつくし滅することなどせずとも我等は飢えずに生きていける。……この侵略に意味があるのだろうか?」 「でも! あの方がその考えに対してなんとおっしゃるか!」 「勿論その通りだ。あの方が私の考えをどう思うかは判らん。……だが私は、人との共存を夢見たくなった。それに、私はもうあの方に進言する権利などないのだよ」 「何故です!?」 食事も終え、空腹も収まった一行。 帝竜同士の討論は既に始まっており、それに対して口出しする理由もなく、センテラ達四人は静かに見守っている。 「最初は私も人間達の敵として……彼らの敵として――」 キングは一度言葉を切り、四人をゆっくりと眺めた。 「――戦った。……だが、負けた。この国を制圧しようとしたときに『あの男』によって付けられた傷が癒えていなかった……いや、それは言い訳だな。 とにかく、私は負けたのだ。その時に私は『死んだ』のだよ。もう赤帝竜キングはこの星に存在しない」 「………………」 「彼らは私を殺さなかった。どころか、友好を結ぼうとまでしてきた。 復讐の対象となっていておかしくない筈なのだが、どうも彼らは、私達に理解できない感情を持っているようだ。 ……敗者は勝者に従うもの。彼らの言う通りに私は人の姿を偽り、人と同じようにここで生活するようになった。 そのおかげで私は飢えずに済むことに気づいたし、人間達が持つ、私の理解できなかった感情、『優しさ』を知ることができた。……だから私は、彼らとの共存を望むようになったんだ」 「ねえさま……」 「気の遠くなるような年月貫いてきた我々竜の思考を、いきなり覆せというのが土台無理な話だというのはわかっている。……だが、すまない。他の姉妹になんと言われようが、私はこの考えを貫き、信じるつもりだ」 きっぱりと言い切るキングに、デッドブラックは暫く悲しげな表情を見せていた。 【17.竜だって生き物だ】2/2 だがやがて、何かを決意したかのように頷き、力強い視線を向ける。 「……敗者は勝者に従うもの。そうねえさまはおっしゃいました。ならばわれも、一匹の敗者です。勝者である彼らの言う事を、享受しようと思います」 「デッドブラック……!」 「ねえさま……!」 キングとデッドブラックの二人は瞳を輝かせ見つめあっている。 感動的な雰囲気を醸し出しているが、デッドブラックの口元にカレーが付着しているため思い切りぶち壊しになっていることは気にしないことにして、センテラは口を開いた。 「話は纏まった?」 「あぁ」 「さぁ、えーっと……レーハムナザドゥとかいったな! われに命じろ!」 相変らずカレーが口元に付着したままなのに気づかず、デッドブラックは偉そうに言い始める。 暫くセンテラたち四人は顔を見合わせ、言った。 「命じろっていわれてもなぁ。俺にご奉仕しろとしか」 「そんなの命じたら外の鉢植えと首を並べて一夜を過ごすことになるわよ」 「いやん、今日のセンテラは激しいんだぜ」 「ん~。それじゃあ~。ラックちゃんはグーちゃんのお手伝いをしっかりすること!」 「ぐ、ぐーちゃん?」 「私のことだ。……そうだな、いい機会だ、末っ子のお前を相手する事も少なかったし」 「あとはそうでやんすね。口の周りにカレーついてるから綺麗にしておくといいでやんすよ」 「っ!? はははやくいわんかそういうことはっ!!!」 「待て、私が拭いてやるから……」 慌てて口元を拭い始めるデッドブラックに、どこからかちり紙を取り出してくるキング。 ギルドハウスがまた一段と、賑やかになった。 → レハナザ珍道中 2
https://w.atwiki.jp/nanadorakari/pages/45.html
注記 ・ギャグです ・やや百合です ・チビキャラを含みます ・チビキャラTALKの名前と、職業名による俗称が混在します ・規制が解けたのは3日間でした 参考用語 ・グドン(怪獣):ツインテールを食べるという設定の怪獣。劇中では殺害はしたが補食はしていない。 ・ツインテール(怪獣):エビの味がする怪獣。 ・ツインテール(髪型):ギザミシックルともいう。エビの味がする髪型。 ・グドン(髪型):ありません。 登場人物 ・ジェリコさん:とあるギルドのルシェヒーラー。とても胡散臭い。 人物 ・ナムナ:ござるござる。 世界一ハントマンの人口密度が高いと謳われるカザンの酒場、六花亭。 そこでは昼も夜もなくハントマン達が飲み、騒ぎ、キザなマスターが作る絶品料理に舌鼓を打っている。 なんとも騒がしい酒場に、一人の鬱病のプリンセスがいた。 「むなしい鬱…」 などといつも通り呟き、飲み干した杯をちるちると舐める。 ぴったりと静電気で額に張り付いた前髪が今日の鬱の原因だろう。 この季節になると静電気まみれになり、鬱姫的には不快の極みだ。 ぴょこーん、と突然鬱姫が垂直に全力跳躍した。 このままでは天井にぶつかり細い首がへし折れるだろう。 「。」 ようやく鬱から解放されると思った鬱姫の脳天は、何かとても柔らかいものに弾かれた。 自殺行動を見越して天井にへばりついていた赤平さんの豊かなお胸だ。 鬱姫は苦笑すると、跳躍の速度のまま床に射出された。 床を突き破り、ズボッとうまいこと首までハマった。 「晒し首鬱…」 ほろほろと涙していると、天井から舞い降りた赤平さんが鬱姫の席に座り、鬱姫の舐めた杯を大事に大事に舐めた。 鬱姫がにゃーにゃー鳴いて抗議すると、赤平さんの変態アイがそちらに向いた。 赤平さんは動けない鬱姫にいたく興奮し、手指を舐めさせたり足指を舐めさせたり、 酒を口移ししたり、採取した唾液を顕微鏡でじっくり観察したりと凌辱の限りを尽くした。 鬱姫はやや躁になってに゙ゃーに゙ゃー鳴いた。 暴れる客が立てる埃を除去するのがイクラクンのバイトだ。 店の壁にかかった巾着袋の中でむにゃむにゃと眠り、出番が来るとかりゆが取り出す。 眠そうなイクラクンをカリユが宙に放ると、一瞬で目覚めてショックヴェイルをまとう。 そしてムササビのようにマントで滑空し、店内をふかふかと横切るのだ。 すると静電気で埃を吸着し、進路上の空気を見事に浄化する。 そして反対の壁際にあるイクラクンバケツに着水して体を洗い、フレイムヴェイルで乾かす。 そして壁をトコトコ歩き、そちら側にもかかっている巾着袋の中に入ってふにゅっと眠るのだ。 一回あたり油揚げを一枚支給される破格のバイトである。 「ニク…」 奥のテーブルではハルカラにゃんがルシェ耳をピコピコしながらマンガ肉を貪っていた。 大皿の上にレジャーシートを敷いて座っている小さな小さなモルモルさんが野菜を奨めると、 肉の中に生の人参やキュウリをねじ込んでバリボリと貪っている。 モルモルさんはレジャーシートごとずりずりと皿の上を移動し、自分と同じぐらいにカットされたトマトを頂いた。 ぷしっとトマト汁が飛んで目を直撃し、「狙撃です! 目をやられました!」とギルドに危険を知らせる。 が、その声は体に比例して小さく、一部始終を見てケタケタと笑うハルカラにゃんにしか聞こえなかった。 視界が真っ赤です! 誰か! 誰か医者をー! ケタケタ。 モルモルさんがお冷やのコップに飛び込んで顔を洗った頃、ハルカラにゃんとカリユはジェリコさんのお話を聞いていた。 ジェリコさんは思慮深そうに目を閉じ、エビの姿焼きを愛用のメスで丁寧にカットしている。 「ですので、ツインテールというドラゴンはそれはそれは美味しいエビの味がするそうですよ」 「うんうん」 「ニク…」 カリユとハルカラにゃんは涎を垂らしてふかふか頷く。 ジェリコさんはより細かく、ミリ単位以下でエビを切り裂いていく。 「生きてないツインテールも美味ですが、生キタママノハ格別だそウですヨ」 すっ、すっ、と縦に横に偏執的かつ異様な精密さでエビを切り裂く。 紙より細く裁断される頃にはジェリコさんの息遣いは荒く、口調も地が出ていた。 「う、うん…」 「ニクぅ…」 さすがのカリユとハルカラにゃんも引いて、耳をビビビと震わせる。 「イーッ!」 ジェリコさんがおもむろにテーブルをばしーんと叩くと、ハルカリユにゃんはぴょんと跳ねた。 微塵にされたエビの身がホロリと崩れ、切られなかった部分だけが残る。 そこには青い帽子を被った雪だるまの像がヒーホー!と立っていた。 さすがジェリコさん、メーカーのマスコットを仕立てるとは営業活動に余念がない。 「オ、ナイスデザイン」 ジェリコさんは穏やかに笑い、エビの破片をドレーンで吸って食べた。 美味だったそうだ。 ツインテールの神話を聞いてから、カリユは髪型をツインテールに変えて仕事を再開した。可愛い。 だが皿を運んだりイクラクンをぶん投げたりするうちにその表情は曇っていく。 「お腹空きました」 カリユはハルカラにゃんにしょんぼりと弱音を吐く。 「ちゃんとご飯が食べたいです」 「ニク…」 こっそり漫画肉にかぶりつこうとしていたカリユの柔らかほっぺをぐいぐいと押しのける。 そして、自分がエビ味ツインテールになっても自分を食べられるわけじゃないという旨を伝える。 うっかりゆはピコーンと耳を立てて驚く。 「そうでした! お腹空きました」 ハルカラにゃんは犬歯を見せて嘲笑う。 「でもそう言うハルカラにゃんだってツインテールになってます」 「ニク…」 ハルカラにゃんは苛立たしげに漫画骨を噛み砕いた。 鬱姫が口の中を隅々まで触診され、イクラクンが油揚げの夢を見、モルモルさんがドレッシングの上に転んだ頃。 入口が開き、また一人ハントマンが入店した。 「いらっしゃい! ゆっくりしていっ…!?」 元気な挨拶が身上のかりゆが絶句した。 そこにいたのは鉄壁の鎧に身を包んだ金髪のツインテール。 その名もビリッチだった。 あまりのツインテールっぷりにカリユが絶句した時にはもう、 ハルカラにゃんが視線も向けないまま斧を降り下ろしていた。 明らかに天井よりでかい斧が店の奥から入り口までを両断する。 が、ビリッチはかっこよく盾を構えてそれを受け止めていた。 自信満々な表情が可愛い。 ハルカラにゃんはチッと舌打ちをして斧を捨てると、そこで初めてビリッチを見て、 にゃんにゃん喜んでテーブルに誘った。二人はギルド内でも仲良しなのだ。 アホの子なのか日常茶飯事なのか、ビリッチは緩い笑顔でぽてぽてとハルカラにゃんの席に向かう。 ガリッ。 その背中に可愛いカリユが飛び付いてかじった。 ビリッチは手をじたばたして慌てるが、幸いカリユの歯は鎧を貫くことはできなかった。 「一匹様ですか? ゆっくりしていってね!」 歯の通る部分がないか撫で回しながらカリユが笑顔を向ける。 もうお客として扱っていいのかエビとして扱っていいのか錯乱している模様だ。 ビリッチは疑問符をいっぱい浮かべながらもハルカラにゃんの隣に座った。 ガリッ。 ハルカラにゃんも肩に噛みついた。 じたばた。 ふんふんと鼻を鳴らしてエビの香りを楽しみながらカリユ達はビリッチの弱点を模索する。 ツインテールな頭部が剥き出しかと思いきや、ドット絵的に露出して見えるだけで 実際には兜でがっちりガードしている。 ハルカラにゃんは今日の戦果について談笑しながら、かりゆはお奨めメニューについて語りながらくんくんかみかみする。 ビリッチがおずおずとエビフライを注文すると、カリユは何やら思案げに頷き、 「エビ濃度が高まるかも…」 と呟いてオーダーを禿に伝えに行った。 「ニク…」 ハルカラにゃんもさすがの鉄壁ビリッチに顎が疲れたのか、堅パンをかじって休息をとった。 ビリッチはようやく餓鬼地獄から解放され、つきだしのキュウリをパリポリかじる。 美味しかった。 その頃、唇と舌と口腔粘膜を弄くられることに耐えかねた鬱姫が落葉金切りで自傷を始めた。 こいつはいかんと赤平さんは鬱姫を引っこ抜きその矮躯をカウンターに横たえて緊縛、 「緊急オペを開始するわ!」 とかっこよくポーズを取った。 ほっぺが切れただけの鬱姫は涙目で首を振るが、赤平さんは自傷癖がキラル反応の増大によるものと患者に説明。 手術開始。 超執刀による高速機動で鬱姫の周りを旋回して翻弄しながらべたべた触りに触る。 切開を行わない呪術的処置だというが、実際手術後の鬱姫は血色良く恍惚としていたので適切だったのだろう。 カリユ的にはこの公開手術プレイは日常茶飯事なのでスルーし、赤平さんの気持ち悪い加速による埃だけ気にした。 巾着で眠るイクラクンをもふっと取り出し、手の上で転がして起こす。 「イクラちゃん、お願いね」 「ボク、イクラちゃんじゃなくてイクラクンらしいよ…?」 寝起きで前後不覚のイクラクンは、自信なさげにそう言ってる間に放り投げられた。 マントが広がりふかっと滑空。眠たくてもショックヴェイルに曇りなし。 赤平さんの立てた埃を吸着し、イクラクンはハルカラにゃんの側のバケツにとぷんと着水した。 ぴょいと飛び上がった先はビリッチの肩アーマー。 微笑ましそうに見守るビリッチの上でイクラクンは発熱して水分を飛ばした。 鎧がじゅーっと熱くなる。 すかさずハルカラにゃんが懐から出した卵を反対側の肩に割ると、すぐに目玉焼きになった。 ビリッチは「ふぅ、暑い暑い」とのんびりっち鎧を脱いだ。 鎧を、脱いだ。 かりゆがぴょこーんと跳躍してビリッチの前のテーブルに着地。 衝撃でモルモルさんが「ちゅーっ!」と飛んで赤平さんの襟首にすぽっと収まった。 首の後ろにハムスターが入ってヒゲでこちょこちょされたかのような絶望的なくすぐったさに襲われ、赤平さんは死んだ。 それはともかく、キャミソールに裸足という涼しい姿になったビリッチは、 舞い降りたカリユと、目玉焼きを食べ終えたハルカラにゃんにじーっと見つめられた。 恥ずかしくなって空き皿を盾のように構えてみたが、それがまずかった。 もはや二人のエビイーターには皿の上のエビとしか映らない。 テーブルの上で四つん這いになったカリユはすぐさまビリッチの唇を奪い、中のエキスをじゅるりと吸った。 「~~!」 赤くなるビリッチに対し、カリユは「新鮮ないいお味です」と好意的な評価をくだした。 「ニク…」 すかさずハルカラにゃんがビリッチの耳たぶを甘噛みし、その稜線を舌先でなぞる。 喉奥に甘い声をくぐもらせ、ビクンと跳ねたビリッチの姿に、ハルカリユにゃん達は同じ感想を抱いた、 エビ反り、と。 早くも呼吸を乱すビリッチを、二人はテーブルの上に寝かせた。 手術の気配に赤平さんが蘇り、「医者は必要かしら?」と気取って言ったが、 突っ込みどころか一瞥すら頂けず、泣きながら超失踪した。うだつの上がらない神医だ。 鎧でたっぷりと汗ばんだビリッチの滑らかな柔肌を、二人のルシェは隅々までくんかくんかと調査する。 二人の嗅覚では、ツインテール娘の匂いは上質なエビの香りと認識されている。 ビリッチは真っ赤になってじたばたするが、盾と鎧を外したナイトなどウェイトレスにも勝てない。 それどころか朱に染まった肌が茹で上がったエビを彷彿とさせ、二人を興奮させる。 カリユは足の指、ハルカラにゃんは腋のくぼみが他より濃厚で特に気に入ったらしく、それぞれ舌で味わっている。 「ニク…」 「エビ…」 「あぅぅ」 ビリッチは息も絶え絶えに、敏感かつ羞恥を煽る箇所への責めに断続的に体を震わせる。 時に醤油を垂らされ、時に胡麻油を塗りたくられ、そこをまた丁寧に舌で拭われる。 甘噛みを交えながらのツインテール味見会は尚も進み、上は胸部を守る脂肪、下は太ももの付け根へと侵攻していった。 最早まな板の上のエビであるビリッチは、味わわれる恐怖と羞恥の奥に微かな悦楽を感じ始めていた。 どうやら補食されることはないようだ。 それならば普段は友好的な二人に身を委ねるのもいいのではないか、と。 その時、甲冑に身を包んだ母の言葉を思い出す。 『ビリッチ。あなたが体を委ねてもいいと思える人に会えたなら、鎧を脱いでやや俯き気味にツインテールを解きなさい』 パパもそれでイチコロでした―― ビリッチはそっと斜め下、キャミソールに酢醤油が染みたあたりを見つめ、自由な右手で自慢のツインテールを解いた。 効果はてきめんだった。 夢中でビリッチ汁を味わっていた二人がぽかんと呆けた表情でビリッチの顔を見ている。 「ビリッチさん! ビリッチさん! こんな卑猥な格好、誰にさせられたんです!?」 「ヤサイ!」 カリユがとても心配そうに詰め寄り、ハルカラにゃんも珍しい怒りの言葉を吐いている。 「えぅ?」 ストレートビリッチは上がった息を整えながら首を傾げる。 ツインテールなき者に荒くれルシェの欲望は向けられない。 戸惑うビリッチをよそに二人はまだ見ぬ強姦魔に憤る。 「こんな人気の多い場所で許されない蛮行だわ! そんな人、エビフライ禁止でも生ぬるいよ!」 「スベスベマンジュウガニ!」 ハルカラにゃんも同意する。 マスターは客たちと共に深く頷くと、一枚の張り紙をしたためた。 『カリユとハルカラにゃん。以上の者達に一切のエビフライを禁ず』 「ひ、ひどいですマスター! 私達が何をしたって言うんですか!」 「何ってまぁ、概ね全部」 ビリッチにお詫びのサービスエビフライを差し出し、マスターが頭を掻く。 かりゆとハルカラにゃんは抱き合ってわんわんにゃんにゃん泣き、 唾液まみれのビリッチはエビフライの美味しさに幸せそうにふにっと笑う。 イクラクンは巾着袋から頭だけ出して、くわえた油揚げをもはもは食べている。 泣くカリユ達にエビフライをお裾分けしようとしたが、マスターが「そいつはいけませんぜ」と制止する。 ビリッチはそうなの?と首を傾げ、思い出したように髪をツインテールに結い直す。 やはりこれでないと落ち着かない。 「エビ…」 「エビ…」 ビリッチの頭に二条の尻尾が生えた瞬間、抱き合っていた二人がぐるりとそちらを見た。 かりゆぅぅぅぅぅぅぅぅぅ
https://w.atwiki.jp/nanadorakari/pages/46.html
(シリーズのスレ別整理によって空白になりました。次スレでの追記があればこちらをご使用ください。)
https://w.atwiki.jp/nanadorakari/pages/2.html
投下いきます。固有名詞は特にありません。 カップリングはルシェローグ♂×黒髪サムライ♀ 触手属性あり。中盤の帝竜の名前などのネタバレあり。 今回、黒咲練導『放課後プレイ』と、いうネタの着想元があり、 ネタ元となった原作の雰囲気を損ねている可能性があります。 事前に示し合わせた通りのノックがあったんで、 ドアを開けると黒髪ぱっつんの女サムライが居て いきなりキスされた。 ったく、このキス魔が。 玄関先でいきなり口付けされたら爪先立ちキッスになるからヤなんだよ この体勢でいっぺん足つって大変なことになったのをもう忘れやがったのか? ……オレの方が、な。 そう、屈辱的なことに背伸びさせられてるのはオレなのである。 理想的なモデル体系のこの女と、発育不良のこのオレとでは頭一個分くらいの身長差があって、 並んで歩いたりすると釣り合わないのなんのって。 ――もっとも、そういう機会はこれまでに無く、これからも無いのだろうが。 しばらく唇と唇を合わせていると、物足りなくなったのか舌を捻じ込んできやがったので、 軽く身体を押し返してやんわりと拒否する。人に見られちゃ困るからこんなトコで逢引きしてんのに、 ドア開けっ放しでディープキスとかなに考えてんだ。 「もー! こーんな可愛い子が遊びに来てやったってのに、何よそのリアクション!」 コイツは柳眉を逆立てて、げしげし蹴りを入れてくる。痛ぇな、馬鹿。 「自分で可愛いとかいってんじゃねえ。だいたいお前、挨拶より先にキスとか馬鹿じゃねえの?」 まー、実際かわいい……っつーか、かなりレベル高い部類には入ると思うがそれでも自分で言うな。 「馬鹿とは何よ馬鹿。アイゼンじゃ普通の挨拶よ、こんなの」 「ねーよ。初めてのキスのとき恥ずかしさが限界突破して半泣きになってたのはどこの小娘だ?」 「アンタの方こそあの時は固まって何も出来なかったくせに、このガキ」 くっ、墓穴を掘ったか。俺だってキスはあん時が初めてだったんだよ、悪かったな! 「うっせーよ! つーか、とっとと部屋入れ!」 照れ隠しに軽く怒鳴ると、コイツは後ろ手にドアを閉めながら、 「そっちこそうるさいっての。だいたいアンタ生意気なのよ奴隷種族のくせに」 平気でそんなことを言う。もう言われ慣れたから、いちいちどうとも思わんし それこそ挨拶みたいなもんだ。だがこの女、初めて会った頃は本気で心の底から ルシェを奴隷だと蔑んでいるような、バリバリのアイゼン中華主義者だったのだ。 (今でもその傾向は多分に残っちゃ居るが、マシといえばマシになってる) 「お前だって男に対する口のきき方がなってねーっての。アイゼン皇族の躾ってのはその程度のもんか?」 とは言え、アイゼン中華主義者なのはそれもそのはず、 コイツは(低位ではあるが)皇位継承権を持つマジモンのお姫さんなのだから。 「ルシェに礼儀を払えって? 馬鹿言わないで。奴隷に対する頭の下げ方なんて教わっちゃ居ないわ」 「……ふん、頭だったらさっきは下げてた癖によ」 自虐かつ自爆だが一矢むくいてやった。 身長差があるから、立ってキスするときはコイツの方も頭を下げ腰をかがめる必要がある。 「うっさい、チビ」 「チビ言うな、貧乳」 「貧乳っていうなぁぁっ! この童貞野郎っ!」 「女が童貞野郎とか言ってんじゃねーよ……つーか、こないだお前とヤったからもう違うし……」 何を言わすんだ、何を。 「それはっ……そのっ…うぅ、うぁ、うぅぅぅ……思い出しちゃったじゃんよ、ばかぁ……」 顔赤らめんな、頭を手で抱えてイヤイヤをするな、こっちまで思い出しちまうじゃねーか。 あーもー、処女と童貞はじめて同士とか、痛いわ恥ずいわで大変なだけだったっつーの。 んで、まあ、ともかく。 色々あってオレとコイツは付き合ってたりする。 所属は別ギルド。 オレの所はネパン軍からカザンへ出向してきたルシェのチームで(実はいまも軍属)、一応オレがリーダー。 この女のチームはアイゼン皇家から『新興国の教育と視察』の名目で派遣された皇女と不愉快な家来たち。 当然のように互いのギルドの中は悪い……と、いうか最初の頃は敵対に近かった。 そんなオレとコイツが何故こんな間柄かって、戦いを通じて敵愾心がライバル意識となり、 そのライバル心が友情に変化した頃、一つ二つ厄介な出来事を共同で解消しなきゃならん事情があって、 それが終わった後にゃお互い友情が愛情へと昇華されていた。ベタと言いたきゃ言うがいい。 ……とは言え、そんな関係を築くことが出来たのは、オレとコイツの二人だけで、 ウチの面子はこの女とその家来達にさんざん侮辱されたことを忘れてないし、 向こうの面子はアイゼン中華思想に凝り固まったお貴族様ばかりだ。仲良くやれるわけが無い。 そんなこんなでおおっぴらに会ったりする訳にもいかず、こーやってこそこそ逢引きしてるというわけだ。 ここはオレの仲間にも秘密のセーフハウス。知ってるのはそれこそコイツとオレだけ。 「ったく……女の子呼びつけといて、殺風景な部屋よね」 うるさい。隠れ家なんだから最低限のモノ意外置いてないだけだっつの。 「呼んでねーよ。お前が勝手に来てんだろ……だいたい今日は何の用だよ?」 「面白い物買ったから見せびらかしに来たの」 「お前なぁ……」 急に来るから何かと思えば、コレだ。 根っからのお嬢様気質というか、スゲーしょーもない事情で 他人の時間を浪費させることをなんとも思ってない。 そしてコイツが取り出したのが、 「じゃじゃーん! ろぉぱぁうどんでーす! 一緒に使お?」 思ってたよりはマトモだ。ろぉぱぁうどんは見た目は悪いが味はまぁまぁイケる。 ゲテモノほど美味いという言葉を残した食通が居たがあながち嘘でもないらしい。 「嫌いじゃないけどよ……夏場のクソ暑いときならともかく、春先にそんな冷たいもん食うって辛くねえ?」 ただ、基本的にキンキンに冷やして涼を取る為の食いもんなんで季節的にはどうなんだって話である。 「はぁ? ルシェの分際で耳腐ってんの? あたしは食べるなんて言ってないわ『使う』って言ったの」 「『使う』って……お前まさか……」 イヤな予感しかしねえ。 「アンタさ、触手プレイとか好きでしょ?」 ……ほら来た、やっぱりな。 「アホか。オレはそんな属性ねーよ」 「えー? 強がんなくてもいいのよ?」 「意外そうな顔をすんな!」ったく、つくづく失礼な女だ。 「だけど、ほら……アンタ今はそんなだけど、プレロマの学士あがりだって言ってたじゃない」 「お前なァ……プレロマの学士が皆そんなん好きだと思うなよ……」 「ホントに?!」 タチ悪りぃ。嫌味じゃなくてマジでそう思っていたらしい。 ただ……実際、プレロマの野郎どもの間でその手のポルノが流行ってるのは事実といえば事実だし、 ついでに言うならプレロマ女子はたいてい腐ったベーコンレタスが大好きだ(あのエメル学士長でさえも!) ところで、この女のいう通りオレはプレロマ留学組だったりする。 留学組でメイジや研究職以外を目指すってのも珍しい話なんだが、各種のハントマンのスキルを 研究するうちにローグというクラスに興味を持ち、実践の場を求めてネバンプレス本国軍に志願したわけだ。 ただ、親の方針で物心ついたときには既にプレロマ学府に居たおかげで、 オレには良くも悪くもネバンっつーかルシェへの帰属意識があんまし無い。 「もー! 好きって事にしときなさいよ、せっかく買ってきてやったんだからっ!」 「イヤなもんはイヤに決まってんだろっ!」 「あるじの言うことは黙って聞くものよ、この奴隷種族っ!」 「お前がいつからオレのご主人様になったんだよっ! 大体ここはアイゼンじゃねえ!」 幸か不幸か、この根性腐った女と会話が成立するのはそのためだろう。 『ルシェの誇り』なんてものをオレが持ってたら即行で殺し合いになること間違い無しだ。 「つーかさ、お前の方こそ触手に興味あったりすんのかよ?」 「え、そ、そのっ……そのぉ…ちょっとだけ……」 あんのかよ。頬染めんな。目ぇそらすな。うつむくな。 「……エロ女」 まー、皇女様なんて商売は色々溜まるモンもあるんだろうけどさぁ……。 「うっさい! ルシェの癖に生意気よ……こーなったらねえっ!」 「ちょ……お前っ…なに考えてっ……」 逃げる間もなく、がっちり首根っこをホールドされた。 無手を極めつつあるコイツには流石に素手じゃぁ太刀打ちできん。 「アンタを触手に目覚めさせてやるわ!」 椀からうどん玉のごとく触手がこぼれ落ち、開かれた襟からオレの服内へと注ぎ込まれた。 「ぐぉおぉぉおぉっ?! つっ冷た……っぁぁあ…動いてるっ!? なんかぬるぬるしてるっ!」 そして始まるろぉぱぁうどんによる陵辱。もぞもぞぐねりとオレの肌を撫で回し、這い蠢く。 エロ本だったら『くやしいっ……でも感じちゃうっ』ってシチュだが、コレは無いわ。 実際やられるとただひたすらにキモいだけ、悪い意味でたまらねえ。オマケに冷えるのなんのって。 「くっそ……コレ洒落になんねー……ひゃぁんっ!!」 不覚。乳首の辺りを撫で動かれて思わず変な声がでる。 「あははははは、おっかしーの! 男のクセにそーんな可愛い声出しちゃってさぁ!」 「テメェっ……後で覚え……っ…ひゃっ…あぁぁぁっ!!」 「あははははは」 ムカつく女だ。涙まで流して大爆笑してやがる。マジ後で覚えてろ。 とにかくオレは二昔前の芸人みたいなリアクションを晒しつつ、 あばれ、もがきながら、服を脱ぎ捨て触手を身体から振り払っていく。 食べ物を粗末にしやがって。視聴者の皆さんから抗議の電話が来るレベルだぞ、これ。 パンツの中にまでもぐりこんでいた最後の触手をつかんで床にたたきつけたあと、 オレは下着姿でベッドに突っ伏した。シーツも当然うどんの出汁で濡れるが、とにかく今は横になりたい。 ……ううっ、汚されてしまった。 汁まみれになった床では未だにびったんびったん触手が暴れ、エロ女はひぃひぃ言いながら笑い続けてる。 「あはははは、サイコーだったわよ。触手のお味はどうだった?」 知るか、このエロ女。 「どーしたのよ、ほら、感想は?」 うるせぇバカ。 「……なに黙ってんのよ」 今は口もききたくねえよ。 「ねー、なんか言いなさいよ……」 ほっといてくれ。 「……怒っちゃった?」 ムカついてるに決まってんだろ。 「スネないでよ……ほんとガキなんだから……」 ガキで悪かったな。 そのまましばらくベッドに伏せたまま、シカトを決め込んでいたのだが、 「……ぐすっ」 なにやらすすり泣く声が聞こえてきた……って、おいおいおい……。 「ううっ……ひぐっ……」 枕から軽く顔をあげて様子を盗み見れば、あいつがガン泣きしていた。 あーもー、女ってめんどくせー。お前が悪いのに何でお前が泣くんだよ……。 「なぁ……どしたんだよ?」 流石にオレも空気に耐えかねてシカト中断、一言声をかけたのだが、 「どうしたって……うぅ……なんで無視するのよぉ……」 「なんでって……」 「ひくっ……アンタいっつもムスっとしてるからさぁ…… ぐすっ…ちょっと笑顔が見たかっただけなのにっ…… 喜んでもらえると思ったのにっ……」 確かに仮にもコイツは恋人なんだから、もうちょっと愛想を売ってやっても良かったかもしれない。 「き、嫌われたかと思って……こわかったんだからぁ……」 「……あ、その……ごめんな」 だからって、なんでオレが謝る流れになってんだよ……。 「こっちこそ…………ゴメン……あんな、いきなり、変なことして…… うっ、ひっく…ごめんね、キライになっちゃったよね、こんな馬鹿な女はキライだよね……」 「落ち着けって、嫌いじゃねーよ」 なんというかその……コイツはメンタル弱いところあるんだよなあ。 結局オレはそこを支えてやりたくなっちゃったというか。 「……ホントに?」 「……まぁな」 「じゃあ、私のこと好き?」 言えというのか。答えろというのか。応じろというのか。 「……まぁな」 「そんなんじゃ駄目。好きって言って」 ったく、コイツはホント……。 言いよどむとかえって恥ずかしくなるから 「好きだよ」 がっつり短く言い切ったが、ぐあー、それでもこっぱずかしー。 「えへへへへ」 さっきまで泣いてたカラスがもう笑いやがったよ。女ってのはコレだから。 「そーゆーお前はどうなんだよ。その、オレのこと……」 「……はぁ? ルシェごときにこのあたしが告白しろって? あつかましいにも程があるわ」 調子が戻ったといえばそーなんだろうが、ホンっとムカつく女だよな、コイツは! ……と、憤りかけていたのだが、 「――でもね、今日は特別。一個だけ言うこと聞いてくれたら答えたげる」 しおらしい顔をしてそんな風に続けてきた。……くそ、こーゆー顔はかわいいんだよな、コイツ。 お前が条件出せる立場かよとは思ったが、断ってもめんどい事になりそうだし一応うなずいたら、 「たまにはアンタからキスして。そしたら……ね?」 「ぐっ……」 なかなか恥ずかしい条件を突きつけてきた。 しかし確かに、オレらの場合キスは大抵コイツからだ。そーゆー意味ではコイツの方が色々と積極的だし、 オレも好意に甘えてまかせっきりにしてるところがある。……ま、たまには男をみせとけって事ですかね。 「じゃ、その……目ぇつぶれよ」 「……うん」 言うままにコイツは目を閉じ、軽く唇を突き出す。長いまつげが浮いた目じりが実に艶っぽい。 いつも気ィ張ってる一流のサムライとしちゃ信じられないぐらい無防備な姿がそこにあった。 ――くっくっく、マヌケめ。キスはしてやる。ただしその前にオレが体験した地獄をお前も味わえ! 「きゃぁっ!! な、なにっ、なによっ…コレっ……、ひ、あぁっ!!」 オレは♀サムライ特有のユニフォームであるコイツの黒い全身タイツの首元を引っ張り伸ばし、 空いた隙間へ床で蠢いていた触手を3,4本拾って一気にねじ込んでいた。 「なにって、ろぉぱぁうどんだよ。ろぉぱぁうどん」 やり返すならさっきコイツが目ぇ閉じたときが千載一遇のチャンスだったわけで。 この女がここまでスキだらけになることってまず無いからな。 「うそつきっ、うそつきぃぃ! キスしてくれるんじゃぁっ……あ、あ、あぁぁあっ!?」 「嘘なんてついてねー。キスだったら触手でお前がへばった後たっぷりしてやるからよ」 身体にぴったり密着した黒タイツと地肌の隙間を、数匹のウナギのように触手が這いまわっている様子が タイツを押し上げてくっきりはっきり浮き上がって見える。 見ようによっては皮膚の一枚下を蠢くタイプの寄生虫みたいでちょっとキモいが。 「や、やぁぁっ! とって、とってぇ……コレとってよぉぉっ!」 ほうほう、今は右胸のあたりをうねうねぐねぐねしてますね? うはははは、確かに鑑賞する立場になればコリャおもしれぇ。 「オレみたいに脱げばぁ?」 「いじわるぅ……コレすぐに脱げないの知ってる…くせ、にぃっ!!」 そうなのだ。この黒タイツ、あまりにタイトに全身を包んでいるので脱ぐのも着るのも一苦労。 こないだいろいろ手伝ったからよーく知ってる。 そして放置すること五分。 「……なー、お前、ガチで感じてきてねぇ?」 顔は赤らみ、乳首が勃ってきている。 「んぅ……感じてなんか……やぁああ……いないもん」 だったら何でそんな艶っぽい声出してんだ。 コイツと身体を重ねたことは数えるほどしかないが、 それでもただの悲鳴と、蕩けたオンナの嬌声の区別くらいはつく。 「つーかさ……お前、濡れてきてんじゃん」 元々密着度の高い衣装だが、その下腹部は内側からあふれる蜜によってさらにぴったりと張り付いて、 いやらしく割れ目を浮き上がらせていた。 「……ふぇっ?! やぁだぁ…ばかぁ……見るなぁ……」 明らかな官能の証拠を突きつければ、流石に言い逃れることも出来ないらしく、 股間を手で覆い隠してしまったの、だが―― 「――ひぁっ?!」 ――あまりに急に隠した為、指が敏感な部分に触れてしまったのだろう、 腰がびくんと跳ねて激しく反応していた。 「めちゃくちゃ感じてんじゃん……」 「……う、ううっ……うー」 ……やべ、オレまで勃ってきた。 ちょっとした悪戯で済ませるつもりだったのに、どーすんだよ、こんなの。 「そうか、皇女様は触手で気持ちよくなっちゃう変態だったか」 流石に『ちょっとだけ興味が』と言うだけの事はある。オレには無理。 「こんなときだけ何が皇女……ふえぇっ?! や、やだっ、こっちきちゃダメっ!」 メスの匂いに反応したのだろうか。それまで体の各所で勝手に蠢いていた触手たちが、 一斉に股座を目指して黒布の一枚下を這い進み始めたのだ。 「おいおいおい……」 「黙って見てないでどうにか……やぁぁっ! 入っちゃダメっ! 入っちゃだめぇっ!」 ついに蜜の源泉にたどり着いた一本の触手が入り口をこじ開けて胎内に侵入しようとしているらしい。 触手の分際で生意気な! そこはオレもまだ片手で数えるほどしか挿れたことが無いってのに! 「こ、ここはあなたの以外は入れたくないの……お願い……お願いだからぁ……抜いてぇ……」 涙目になり、顔を上気させながら、そんなことをお願いされてしまった。 うわ、コイツから『あなた』とか初めて言われちまったよ。 ちゅーか、理性が飛びかけてるんだろう、かなりすごいことを口走っている。 「わかったよ……けど、どうやって……」 こうなってくると、こんな着脱に時間のかかるものイチイチ脱がしてられん。 「切っていいっ! 破って良いからっ、はっ、早くぅぅ……」 なんとも素晴らしい許可が出た。 オレは愛用のダガーを取り出し、こいつの地肌を傷つけないように注意しながら 黒タイツの局部部分を一気に切り裂く。今まさに秘所を犯そうとしている触手の一本を 引っこ抜き、そのまま雌の花弁へと集結しつつあった他の触手もタイツから引きずり出して 戻ってこないように遠くへ投げ捨てた。やれやれ……。 「は……はぁ……はぁー」 さっきのオレと同じく、性も根も尽き果てたのだろう。 コイツは息を荒げたまま、タイツが破れて露出した秘所を隠そうともせず床に転がっている。 しかし、いやらしくも最高な光景だった。 この女は今、雌として隠すべき一番大事な部分『だけ』が剥き出しになっているのだ。 なんて無防備。なんて官能的。なんて愛らしい。 タイツの破損箇所からは、きめの細かい白い地肌が露出して、布地の黒と対照して実に良く映える。 さらにその白い皮膚の中心には、紅い粘膜が息づいてる。恥毛は申し訳程度にしか生えてない。 普段はぴっちり閉じている粘膜の花弁は、触手の官能にさらされたせいか左右に軽く花開き、 そこから見えるメスの肉はしっとりと愛液に濡れていて、 包皮の下では小粒なクリトリスが膨らんでお外に顔を出したがってる。 発情状態の雌器官がそこにあった。 舐めたい。 気付けばオレは本能の命ずるままに秘裂に口付け舌を這わせていた。 「んっ、んぅう…な、何してんのょぉ……あ、ぁやぁあっ!」 一度は開放されたはずの性的刺激を再開されて放心していたこいつの意識がかえってくる。 「何って……キスしてんだよ。だから言え、俺のことを好きか嫌いか」 「そ、そんなトコのは、違っ……あ、あ、うぅうんっ!」 「違う? じゃあ止めるか」 「え……?」 口唇愛撫を中断し、こいつの顔をじっと見つめ返す。だめだめ、そんな物欲しそうな顔して強がったって。 「いじわる……」 「何がいじわるだよ。して欲しいんならちゃんと言え」 「こ、このあたしがルシェに懇願しろってのっ……?」 すげーよ、コイツの貴族根性。ここまで来るとむしろ尊敬に値する。 「別にお貴族様らしく命令でも良いんだぜ」 命令だろうと懇願だろうと、どの道いやらしい欲求を口にしないといけないのは同じだがな。 「……キスを…つづけなさい」 まあお前の性格だったらそういうよな。じゃあオレのターン。トラップカードオープン。 「じゃあ認めるんだな、コレがキスだって」 「うー、み、認めてあげる…わ」 「じゃあ言え、好きか嫌いか」 「……そ、そのぉ……………だいすき」 だいすき、ってそりゃ反則だ。俺のハートにクリティカルヒットしちまったじゃねーか。 「ちくしょうオレだって大好きだ」 こっちも大好きといった途端に、コイツの顔がますます紅潮する。 ああもう可愛いな! いくらだって感じさせてやるよ! 肉の花弁を指で大きく割り開く。 酒とチーズそしてどこか植物に似た青臭さが入り混じったメスの匂いが香りたち、 針でつついたような尿道口とモノを求めてひくつく膣口があらわになった。 色といい形といい匂いといい何かに似てると思ったらフロワロだ。 紅く妖しく咲き誇って人の魂を吸い尽くす。まるでコイツそのものみてーだ。 「そ、そんな……開いちゃやだよぉ……」 肉色の杯にはたっぷりと愛液がたたえられ、羞恥で腰が動くと、蜜もまた揺れ、そして零れ落ちた。 そのまま犬が皿のミルクを飲むようにあさましく舐めしゃぶる。 今のオレならルシェの家畜野郎といわれても文句は言えない。 「ダメっ……そんな激しくしちゃダメぇっ……!」 ダメとか言いながら俺の顔を押し付けてきてんじゃねーよ、このエロ女。 肉孔からは舐めとっても舐めとっても、いやらしい蜜がいくらでもあふれ出てくる。 なんと言うか実にメスの味だ。旨いモノじゃないが実に旨い。 舐めるだけじゃ我慢できなくなって、舌先を尖らせ膣内へとゆっくり、ゆっくり挿入して こいつの一番大事な部分を文字通り舌全体で『味わう』。 「ひゃぁん…な、なにしてる……のよぉ……」 この状態で答えられるわけが無い。 まあでも旨いもん飲ませてもらってるお礼はしてやろう。 クリの包皮を指先で剥き、一番敏感な部分を外気にさらして一気にこね回せば、 「――ひっ!」 一声甲高く鳴いた後に、膣肉がきゅうんとオレの舌を締め付けてきた。 イッたな、コレは。 舌を肉孔から引っこ抜くと、唾液と愛液の混合液がエロい糸を引く。 「イッた?」 「……うっさい、ばか」 見られるのが恥ずかしいのだろう。顔を両手で覆い隠してるが、 隠した指の隙間からオレの勃ったイチモツをちらちら盗み見てるのはバレてるぞ。 「顔見せろよ」 「や……だめ……」 たいした抵抗もなく隠した掌を引き剥がせば、いつもの傲慢でツンケンした尖りが すっかり抜け落ちた、蕩けたメスの顔がそこにあった。いつもこうなら可愛いのにな。 間近で眺めたくなってオレも顔を近づけると、もうたまらなくなってたんだろう、 コイツの方からキスしてきた。 不意をつかれて割とされるがままになってしまい、さっきのお返しだといわんばかりに コイツの舌がオレの口内を犯し尽くしていく。ちくしょうやっぱこの女キス上手ぇな。 こちらも多少の反撃は試みた物のたいした戦果も得られない。 あー、やべぇ、脳みそ溶けそう、くらくらする。 しばらくいじめられてようやく開放されたがこりゃ絶対に顔赤いな。 赤面を見られたくなくて、視線をそらし顔をそらす。くそ、さっきと逆じゃねーか。 「ふふん、あなたって普通のキスはまだまだお子様よね」 「キスとか……良かったのかよ…その、舐めたばっかだったってのに……」 「……こうなってもいい様にお風呂入ってきたから綺麗だもん」 用意周到じゃねーか。まあ触手プレイとか言い出す時点でそのつもりだったんだろうが。 「じゃあ、最後までするつもりもあるんだよな?」 「……あなたがしたいんだったらしても良いけど?」 「……お前がヤりたいんだったらヤってやるけど?」 そのまましばらく見つめ合っていたのだが、 残念ながらお互いそれ以上意地が張れるほど余裕は無かったらしく 「……するか?」「……しよっか?」 ほとんど同時に誘いを交わした。 なんだかおかしくなってくすくす笑いあった後、キスをして、ベッドへ連れ立った。 オレは既に下着姿だし、パンツさえ脱いじまえば準備は整う。 痛いほどに勃起した一物の先端には先走りの汁がにじみ出てあふれんばかりになっている。 「……ねー、はやく」 こいつはと言えば羽織りは外していたものの、例の全身タイツは身に付けたままだった。 「はやく……ってお前、それ脱がなくて良いのかよ」 「……その、破いちゃったし、このままできるでしょ。どうせもうこれ着れないし」 「そりゃそうなんだろうけどよ……」 裸よりエロ過ぎるだろ、そのカッコ。 「局部露出の黒タイツプレイなんてコレを逃せば機会はないわよ……興味ない?」 ある。 触手プレイに比べりゃよっぽど。 黒い布地が破れて露出した陰部だけが強調されて、まるでセックス専用衣装って感じだ。 口答で返事する代わりにベッドへと押し倒し、こいつのタイツに包まれたままの脚を割り開いてのしかかった。 長くて黒くてきれいな髪が乱れてベッドに広がる。 「お前って……ほんとエロに貪欲だよな」 まあ、あの三バカが側近では溜まる物も多かろう。せっかくだからスッキリさせてやりたい。 「あなたこそ、もう我慢できないって顔してる……」 んで、オレの方だってもちろんスッキリしたい。 「まあな……もう準備とか要らないよな……?」 「うん……今すぐ、して……」 性器と性器の距離が近づき、そして触れ合う。 愛液で濡れそぼった秘裂と先走りのあふれた陰茎をなであわせて、 いやらしい液体同士をじっくりと混ぜ合わせる。 「焦らさないでよぉ……」 「……そう急くなって」 焦らしてるわけじゃなく、まだまだセックスそのものに不慣れで 勝手がつかめてないだけなのだが、そこは伏せとく。 しばし四苦八苦してようやく亀頭が膣口をとらえ、体重をかけてゆっくり突き入れていく。 すげー気持ちいい。 あったかくてぬるりとした膣肉が四方八方から陰茎をきゅうんと締め上げてくる。 この、挿れた瞬間はいつも、男の子に生まれてよかった……とか思う。 「あは、おちんちん入ってきたよぉ……」 「おち……って、お前なぁ……」 そーゆー直接的な単語は勘弁してくれ。言われたオレが恥ずいので。 そりゃオレもヤりたい盛りの青少年だけどさ、まだまだ純情なお年頃でもあるんだよ。 「なによ、おちんちんって言ったぐらいで照れちゃって……かわいいんだから」 「……うっせ」 「それより、どう、私のおま…………ナカは?」 そっちの単語は言えねーのかよ。まあ、気持ちはわかる。要するに、 「ああ、すげー気持ち良いよ……お前のおまんこ」 自分についてない方なら、口に出すのもそんな抵抗はないのだ。 「……ばか、仕返しのつもり?」 「いや、そんなんじゃなくて、なんつーか……いつもとぜんぜん違う。 マジすげー良いおまんこになってる、今日は」 「もー、ばか……」 単純に若く、そして経験が少ないせいだろうが、普段のこいつの膣は生硬なところがあって 挿れるとどこかゴリゴリした感触がある。それが今日は、 触手やらなんやらでじっくりたっぷり熟させたせいだろう、 ねっとりしっとりと熱い媚肉がからみついてくる。 この肉を、もっと味わいたい。 「……動いていいか?」 「……うん」 情けない話だが、経験不足なもんで最初のうちは結合部を目視しながらじゃないと動けない。 エンジンかかってきたら本能のままに腰振ってもわりとどうにかなるのだが。 「つながってるトコじろじろ見ちゃやだ……」 「……そういうお前がガン見のくせに」 膣口は一杯に口を広げていじらしく俺のモノをくわえ込んでいる。 繋がっている粘膜感触もさることながら、こうして結合部を目にすると セックスしてるんだ、と否応無しに実感する。心臓が跳ね回り、鼓動がオレを鼓舞する。 「いくぞ」 「うん」 陰茎を半ばまで引き抜けば、それはもちろん愛液にまみれていた。 亀頭が見えるほどにまで抜いて、また突き入れる。 痺れるような快感がペニスを核にして腰の方まで広がってくる。 出し入れを、繰り返す。単純な動き。それしか出来ない。 多分、オレはまだまだ下手の部類に入るんだろう。 「あ、あぁあ……ナカ、かきまぜられてるよぉ……」 でも、そんな未熟な抽送でもコイツは感じてくれていて、 ねっとりぬめった膣壁でオレのペニスをマッサージしてお返ししてくれる。 「んぅ……きもち良いよぉ、つながってる…所っ、 ぐちゃぐちゃって、えっちな、音してる…よぉぉっ!」 だから、聞いてる方が恥ずいのでイチイチそーゆー実況はしなくてよろしい。 ……あーもー、こういうのって男女逆だろ普通は。キスで唇をふさいで黙らせようとも思ったが 身長差のせいでどうにも上手くいかない。くそ、マジ格好悪りぃ。 だが、キスしたいという意思は伝わったらしく、 「つながった、まま……キス、だね……しよ」 下から抱すくめられる様にして、それはそれは情熱的に口付けされた。 身長差と動きが激しすぎるせいで唇を合わせ続けることが難しいが、 それでもお互い舌を伸ばし、唇を突き出して精一杯に求め合った。 たまらない。かわいいなこいつ。かわいくて、そしていとおしい。 「好きだ」 口付けが途切れた一瞬、好意の言葉が自然に口からあふれ出た。 「あたしもぉ……すきぃ……」 そして互いに好きだ、好きだ、と言い合いながら身体を求め合う。 愛し合う、ってたぶんこういう事なんだろうな。 こんなに気持ちよくて、こんなに興奮して、こんなに幸せなセックス。 ……だからこそ、身体は一気に高められてしまって 残念ながら未熟なオレたち二人では長く味わうにはまだまだ経験不足。 「あ、あぁっ、やぁぁっ……いっ、いぃっ、イッちゃぁ……っ!!」 っていうかお前もうイッてるだろ。 逃がさない、搾り取ってやる、とばかりに膣肉がオレの剛直をめちゃくちゃに締め付けてきている。 そしてオレだってもう限界。 ナカで果てたいという気持ちはもちろんあったが、そこは本能を全力でねじ伏せて 寸前でペニスを膣から引き抜いた。たちまちのうちに鈴口からは快感と精液がほとばしって こいつの黒いタイツに覆われたままの腹を、胸を、白く汚していく。 黒い物を白く汚すのは異様なまでに背徳的な悦びがあって、射精前より出した後の方がむしろ興奮している。 その実に官能的な風体をしばし眺めていると、不機嫌ながらも蕩けた声で苦情を言われた。 「うぅん……もー、あなたってばそーろー野郎なんだからぁ…もっとがんばりなさいよぉ……」 「……まあ、早いっちゃ早かったけどよ、お前もちゃんとイッてたじゃん」 「イッてたけどぉ……イキながら奥をぐりぐりされるのが好きなのにぃ……」 「お前の欲求はいちいちエグいんだよ……」 こいつ、二ヶ月前までは確かに処女だったのになあ……などとため息をつく暇も無く、 「……って、お前何してんだよっ!」 吐精を終えてもまだ硬いままだったオレの陰茎がしゃぶりつかれていた。 「何って……きれいに、してあげてるの……せーえき付いたままだと、だめ、だから……」 剛直にこびり付いたままだった精液が舌で舐めとられ、尿道に残っていたのも吸い取られる。 こんな丁寧にお掃除してくれるってことは、だ。 「……ね、もっかい、しよ?」 やはり二回戦のお誘いか。 オレも再び出さないことにはおさまる物もおさまりそうに無かったんで、エキストラターンの開始である。 出した後だし多少は射精のコントロールも利くから今度はお望みどおり こいつがイッてる最中にガンガンに奥をつついてやったのだが、 「感じすぎちゃうからいやぁ……!」 などと泣き出した挙句、事後にはものすごい怒られた。 あんまりきーきーうるさかったんで、キスして唇をふさぐとようやく静かになって、疲れ果てたのか眠り始めた。 まったく、この皇女様はわがままにも程があるぞ。オレにどーしろと言うのだ。 ――いつの間にかオレの方もうとうとしてたようだ。 気付けばあいつは先に目を覚ましていたらしく、真新しいサムライ衣装に着替えてた。 「……そんな新品、どこにあったんだよ」 「んー? いつかこーゆーこともあるかなーって、こないだ来た時ここのクローゼットにぶち込んどいたの」 「どういう事態を想定してたんだよ……」 ぬう、こっちだけ裸だと妙に気恥ずかしい。オレも適当に服を取り出しいそいそと着込んでいく。 「ところでさ、アンタん所にメナスのアホから呼び出しあった?」 「あー、来た来た来た。お前んトコも呼び出し?」 明日の11時に大統領府に顔出せと、そういう話だった。 「そーそー。あの馬鹿、またあたし達に競合させる気よ」 「だろーな」 現在の対竜ギルドの最先鋒はオレのところとコイツのところが双璧なのだが、 メナスの野郎はあえて仲の悪いオレたちをカチ合わせることで より良い戦果を拾おうとすることがたびたびあり、時にはオレ等があい争ってる間に カザン子飼いのギルドである『王者の剣』が漁夫の利でおいしい所を持っていくことすらあった。 そこで対抗策として時々こうやって、談合じみた真似もしていると言うわけだ。 メナスの野郎だってアイゼン貴族とルシェのリーダーがデキているとは想像すらしていまい。 「たぶん、こないだ逃がしちまったフレイムイーターの後始末をしろっつー話だと思うんだが……」 「あ、アレは結果オーライだから。っていうか、絶対討伐しちゃダメよ」 「……なんでだよ?」 「帝竜が逃げ込んだドーマ火山周辺ってのはさ、ジェン爺って地方豪族の支配地域なんだけどね、 アイツ中央の言うこと聞かないし守銭奴だしあたし大っ嫌いなのよ。放置してせいぜい苦しめてやればいいわ」 「おいおい……帝竜を放置する理由が私怨かよ」 「まあ、政治の話をするとさ、あのへんの領土をソウゲン叔父様が欲しがってんのよね。 ほっときゃそのうち中央に泣きついてくるだろうから、帝竜退治を名目に金色の騎士団を 派兵して何もかもぶん捕ってやろうってワケ」 「お前ホンっと、悪巧みしてるときは輝いてるよなぁ……」 「ふふん、それほどでもないわ。密約、談合、権謀術数、アイゼン貴族のたしなみだもの」 褒めてねえよ。 まあオレ達も、本来はカザン領であるノザン=ペスタの遺跡から『旧世界』の技術を たっぷりいただいてネバン本国へと送りつけてるんだから人のことは言えない。 「んじゃ、明日の呼び出しはのらくらかわして先延ばしにする方向で良いんだな?」 「うん、それでお願い」 「代わりと言っちゃなんだけどよ、ドレッドノートはオレ等にやらしてくれねえ? ネバンとしてもマレアイアには恩を売っときたいから」 「……えー? あそこに恩売りたいのはあたしも同じなんだけどなー」 ――などと、いかにも軽いノリで話しちゃいるが、世界の命運は今まさに決まりつつあった。 人類がドラゴンと言う共通の敵を得て一時的とはいえ結束してるのと似たようなもんで、 オレとコイツがくっつくきっかけとなったのも、メナスという共通の敵がいたからである。 「こら。人が話してんのになーにボサっとしてんのよ」 「してねえよ……」 「ところでさ、ろぉぱぁうどん以外にも買って来たのがあるんだけどね……」 「ハァ?! まだやる気かよ?! お前馬鹿じゃねえの?!」 「馬鹿って何よ! アンタほんとルシェの分際で生意気なんだから!!」 ――ま、こんな面白い女と引き合わせてくれたって所だけは、あのメガネ野郎に感謝してやっても良い。 <了>
https://w.atwiki.jp/nanadorakari/pages/50.html
登場人物 ソウマ 若サムライ。主人公。一応貴族。最近睡眠不足。エリスと二人旅中。 エリス ルシェメイジ。ソウマに恩以上の感情。辛い過去を持つ。 『主』 エリスのかつての主人。ルシェを見下し奴隷として扱う。酒大好き。 ロパギリア ローパー。触手は七本。 青髪の少女 ルシェプリンセス。エリスの代わりに新たな奴隷として『主』に買われた。 エリスと旅を始めて早二週間、私達はようやくアイゼンに到着した。 いや、正確には帰ってきた、と言ったほうが正しいか。 しかし行きはよいよい帰りは怖いとはよく言ったものだ…… (故)父上がミロスからアイゼンまでの道中の地図も全て破り捨てたために道に迷い、 開いておいた抜け道には何故かゴミがつまっていて使用できず、 挙げ句ドラゴンが大繁殖しており、苦難の連続だった。 殊更、トンボ竜の厄介さは尋常ではなかった。 素早く飛び回って拳も魔法も回避するし、混乱したエリスに殴られもした。(後で土下座された) しかし混乱したのが私じゃなくてよかった。今の私が混乱したら何をしでかすやら…… ……話がそれた。とにかく、様々な苦労の末にアイゼンに帰ってきたのだ。 主にここに帰ってきた目的は二つ。 ひとつは、自宅に刀を取りに行くこと。 そもそも何故刀を持ってカザンにいかなかったのかというと、 ハントマンには『新たにハントマンとなるには初期装備でカザンに』のルールがあったからだ。 ……なんでこんなルールがあるんだ? そして、もうひとつの目的…… それは、エリスの解放だ。 使用人として働かされるルシェは、その主が持つ『所得証明書』により、自由を奪われる。 どんな事情があっても、その『証明書』を出されたら、 そのルシェは逆らえないし、別の人間に雇われたり、仕事につけなくなるのだ。 まったくもって忌々しい。ルシェをまさに自分の『持ち物』として扱う、腐った制度だ。 エリスは、あの森に『主』と酒の材料を取りに行ったところを魔物に奇襲され、 『主』は一目散に逃げだし、自分は一人魔物と奮闘したが疲労と足の怪我で倒れ、 意識を失ったところを私に助けられたという。 まったくもって信じられない話だ。 自分の命惜しさにエリスを囮に一人に逃げ出した『主』。 くだらない紙切れ一枚で自由を奪う『主』。 今私は、その『主』の家の前にいる。 「エリス、この家かい?」 「は…はい……」 「よし、ここで待っていてくれ。私一人で『主』と話してくる」 エリスをこの家に入れるわけにはいかない。既に恐怖の記憶で体が震えてしまっている。 もし入れたらまた辛い記憶が戻ってしまうだろうし、なにより…… 「あなたがエリスの『主』か?」 「ん…?エリス……確かに俺の使用人だが、何故知っている?」 エリスの『主』は酒を飲みつつ、私を見ていぶかしむ。 「……エリスは私が森で発見し保護した。そして彼女本人から話を聞いた」 「あん?なんだあいつ生きてたのか!?」 その言い方はなんだ…………? 「なんだ!だったら早く酒の材料を持って帰ってきやがれてんだ! 竜ヒレ酒は俺の健康の源なんだからな!」 ………昼から酒に溺れておきながら何が健康だ?他に言うことはないのか……? 「……エリスは足に怪我を負い、とても材料の回収なんてできる状態ではなかった」 「ったく本当に役にたたねぇ奴だ!両足の骨が折れたって、這って動けばいいじゃねえか!」 口の中に鉄の味が広がった。……落ち着け私。表情を崩すな、あくまで冷静でいろ。 「で、兄ちゃんはわざわざそれを言いにきたのか?」 「それもだが、私はあの少女を気に入った。其故彼女の『所得証明書』を譲って頂きたい」 「断る。無理な話だな」 「なっ!?」 何故だ?使えないなどと罵っておきながらその矛盾は……! 「……譲れない理由は?」 「あいつは仕事は全然ダメな屑だが、なぶるとイィ~声で鳴くんだよ。たまんねぇぞ? 悪いな兄ちゃん。ま、忘れ物届けの礼金で1万やるから、それで諦めてくれ」 私の頭の中で何かが切れた。ああ、そうか。そんな下衆な理由か。屑はどっちだ? 忘れ物だと……?貴様が彼女を森に置き去りにしたんだ……! エリス、やはり約束は守れそうにない。 『話し合い』で証明書を譲ってもらうなんて無理だ。 この男もその気はないし、元々私だってそんな気持ち、毛頭ないのだから…… 「ほら、1万ごあっ!?」 『主』の腹に一発、拳を打ち込む。 人間とは弱い生き物だ。一回理性が崩れると建て直しがきかない。 それは無論私にも当てはまる。一発殴ったら、心の奥底から憎悪の感情が湧き出て止まらない。 「がっ……!なにを……!」 「貴様は人を何だと思っている……?」 「人……だと?ルシェなんてぐきゅっ!?」 少しでも彼女の痛みと苦しみを知れ。わからなければ、わからせる。 貴族と聞いただけで反射的に土下座をしてしまう程に恐怖を植え付けられたエリス。 ならば貴様にも、それと同じ程の恐怖を植え付けてやろう。 二度と、ルシェを奴隷として扱えない、見下せない程に。 「……今一度言う。『証明書』を渡せ。そして二度とルシェを見下すな、エリスに関わるな」 「ゲホッ……たかが使用人一人に何ムキになっている……ルシェなんてがっ…!」 驚いた。怠惰な生活を送る貴族だが、ここまでしてもまだルシェを認めようとしない。 ん?あれは……そうか。『こんなもの』をわざわざ用意するような人間だ。 この程度では、その腐った根を断ち切れないか。ならば再び、彼女が味わった苦痛を知れ。 「……『これ』はなんだ?」 「ぐぅぅ……見て…わからないのか?ローパーだよ……」 「それはわかる。こんな魔物が、何故水槽に飼われている……?」 「決まってるだろ…?ルシェを襲わせる…ためだ…いいぞぉ…?絶望の表情が堪らなうぐっ!」 そうか、絶望の表情が好きなのか。ならば自分がその表情をすればよかろう……!? エリス……魔物にまでその体を好きにされ、さぞ辛かっただろうに…… 「ロパギリア!この俺に仇なすこの若僧を殺せ!」 突如『主』が叫ぶと、水槽を漂っていたローパーが私に飛びかかってくる。 成程、ルシェを認めて助かるよりも、私を殺して助かる道を選ぶか。 つくづく、愚かな。 「……!!」 襲いかかって来たローパーの動きが止まる。触手を白黒させ、命の危機を感じとったらしい。 私がとったのは『鬼の形相』。私より弱い魔物は、これにより近付くことさえできない。 「命ず。あの男に、今までお前が命じられていた事を寸分違わず同量そのまま行え。 終わったらお前は自由だ。元の海に帰るなりすればいい」 私が命じると、ローパーはすぐさま行動を起こす。 基本魔物は、強者の命令には絶対に従い、また自分の命を優先するのだから当然だ。 「な…!おい…ロパギリア……やめろ!俺が主人だぞ!?あいつを殺すんだ!俺じゃない!」 【ジュルルル……(悪いね元ご主人。長い物には巻かれろってやつだ……)】 絶叫が屋敷に響き渡った。 とりあえず『主』をローパーに任せ、屋敷を物色する。 やれやれ……すっかり犯罪者だ。だが構わない。 証明書はおそらく引き出しかどこかに入っているだろう。こうなった以上強奪だ。 調べる→居間の引き出し ソウマは『荒縄』を見つけた! 「……貴様ぁ!!」 調べる→台所の引き出し ソウマは『媚薬・竹早』を見つけた! 「……おのれぇ!!」 調べる→冷蔵庫 ソウマは『凄いうなぎパイ』を見つけた! 「……外道が!!」 調べる→茶室の引き出し ソウマは『大人の玩具一式』を見つけた! 「……どこまで下衆なんだ!!」 調べる→洗面台の引き出し ソウマは『何かのお酒』を見つけた! 「……叩き割ってやる!!」 まいった。証明書がみつからない。 それどころかソッチ系の道具ばかりがあらゆるところから出てきて腹立たしい。 とりあえず全部『主』に使っておいたが…… 一体どこにある?あと残っているのは二部屋か…… 調べる→寝室 ソウマは『鞭』を見つけた!『首輪』を見つけた!『エリスの写 「ぐああぁぁ!?……『主』いぃぃぃ……!!!」 しばらくお待ちください 再び『主』に制裁を下し、最後の部屋を開けることにする。 調べる→奥の部屋 ソウマは『青髪の少女』を見つけた! 「…………!?」 思わず固まってしまった。 最後の部屋で見つけたのは腹立たしい道具でもなんでもなく、鎖で柱に繋がれた少女だった。 「お、おい!大丈夫か!?」 「……?………!!!……………!!!!」 声をかけるが、少女は体を震わせて脅えるばかりだ。 おそらくこの子もエリスと同じように、ここの『主』に捕まってしまったのだろう。 垂れてしまっていてわかりにくいが、この子にもルシェの象徴たる獣耳があった。 なんとか逃がしてあげたいが、かなり警戒されている。 どうしたものか…… A 『主』にこの少女を解放するように命令 B エリス+この少女の分の苦しみを『主』にもう一度 C 不本意だがエリスを連れてきて、彼女に説得してもらう D 友好の証に踊りを披露してみる E 垂れた耳がかわいい。ちょっとだけ…… F とりあえずエリスと同じように撫でてみる G 上記以外の行動を突発的に思い付く →C 不本意だがエリスを連れてきて、彼女に説得してもらう おそらくこの少女は、私が貴族で、アイゼンの人間故にここまで警戒しているのだろう。 同じルシェであるエリスになら、多少は警戒を解いてくれるかもしれないが…… それはつまり、エリスをこの屋敷に入れることに繋がる。 屋敷の入り口に立つだけで体が震えている彼女を、内部まで入れていいものだろうか? しかし、このままではこの少女を逃がすこともできない…… 逃がさなければ、少女を待っているのは苦痛だけだ…… それがわかっている以上、私には見捨てることなどできない……! エリス…許してくれ……! 私にとってまさに苦渋の決断だが、やむをえない。 私は一度屋敷を出ることにする。 「エリス……状況が変わった。すまないが屋敷の中に来てくれないか?」 「……わ…わかり…ま…した……」 それにエリスは了承の意をしめすが、既にその体は恐怖で震えている。 長居は無用だ。 迅速に少女を助け、さっさとこんな屋敷とはおさらばしよう。 エリスが少しでも落ち着けるよう、その肩を抱きつつ、私は再び屋敷の扉を開いた。 「ウゥゥォボォゥアァァァアァァァァ!!!」 開いた瞬間、この世のものとは思えない叫び声が。 『主』の声である。 「!!!!!!」 そして、その声を聞いた瞬間、エリスの体がビクリとはねる。 それが『主』の声だからか、それともこの絶叫のあまりの禍々しさのせいかはわからないが、 どちらにせよ、並大抵の恐怖ではなかったのだろう。 肩に手をおいている私を巻き込む程に震えているのだから。 「エエエエリス、だだだだ大丈夫かかか?」 「だだだだ大丈夫ですすす……!」 絶対大丈夫ではない。 いきなりこの様子では、エリスの身が持つか心配だな…… 「ほら、落ち着いて…大丈夫。私が側にいるから……」 「は…はい……ふぅ……もう大丈夫です……」 エリスを撫で始めてから約5分後、ようやくエリスの震えが治まった。 「しかし本当に大丈夫か……?やはり…」 「だ大丈夫です!行きましょう!」 エリスは笑って誤魔化すが、まだ少し震えている。 むぅ……やはり私がひとりで少女をどうにかすべきだったな…… ってこらエリス!ひとりで屋敷に入らない!そのまま入ったら……!! 「こんの屑があぁぁぁぁぁぁ!!!」 怒声 「ひっ…!!?」 そして悲鳴 エリスの目の前に、ボロボロの『主』が立っていた。 そしてその足元には引き千切られた七本の触手が。 馬鹿な!あの状態から自力でローパーを打ち倒したのか!? 「エリス…よくも俺をこんな目にあわせてくれたな…?……覚悟はできてんだろうなぁ!?」 「あ……あぁ……ぁぅ…………!う…もうしわけ……あり…ま……! わ…私は……!……っ!!」 まずい! 「エリス!!」 「っ…ソウ…マ…様……」 「落ち着け。もう…苦しまなくていい、不安にならなくていい、謝らなくていいんだ! 君はもう、この男の道具ではない!」 急いでエリスを抱き寄せる。 これ以上、エリスを好きにはさせない。 これ以上、エリスを自分の道具として扱うのは許さない! これ以上、エリスを泣かせはしない! 「黙れ若僧が!そいつは死ぬまで俺の道具!奴隷だ!エリス!てめぇもわかってるな? お前のような役に立たない汚れきったルシェなんて、俺が捨てたら誰も拾わない! 捨てられなごふぁ!?」 「ソウマ様!?」 気付いたら再び拳がとんでいた。もう限界だ。 エリスの前だが、もう抑えきれない…! 「エリスは私のギルドの大切な仲間だ。愚弄することは許さん! 汚れきっているだと?それは貴様のほうだ!!」 「ぐっ…この若僧が…!なに勝手に俺の持ち物をギルドの一員にしてやがる……!」 「エリスは人間だ!貴様の物ではない!」 「うるせぇ!ちゃんと証明書に書いてある!こいつは俺の所有物だってな!」 「元々その証明書は気にくわないが、もし本当ならば百歩譲って従おう。 だが貴様、本当にエリスの証明書を持っているのか?いくら探しても出てこないぞ? 本来自由の身である筈のエリスを、架空の証明書の呪縛で捕えているのではないか? もしそうなら私のギルドに誘ってもなんら問題なかろう!」 「馬鹿が!あるに決まってるだろうが!」 「しかし実際見付かっていない。もしかしたら、奥の部屋の少女も同じか? ならば彼女も解放しなくてはならないぞ!」 「あいつもこいつも俺の持ち物だ!」 「なら証拠を見せてみろっ!」 屋敷に私と『主』、二人ぶんの怒鳴り声が休むことなく響き渡る。 腕の中でエリスが震えている。多分私の怒鳴り声も恐怖を与えているだろうな…… すまない…だが、もう少しだけ辛抱してくれ…… 「…証拠を見せたら引き下がるんだな!?」 きた……! 「ああ。どうせ見せれるわけがないがな!」 「馬鹿めっ……!」 『主』はにやりと笑うと、己の股間をまさぐり、そして 「頭が高あぁい!この証明書が目に入らぬかぁ!」 取り出した二枚の証明書を派手に見せ付けてきた。 そんなところにあったか……見つからないわけだ。だが……! 「馬鹿はそっちだ!」 自信満々に突き出された証明書は隙だらけ。そこに、全身全霊の明王を叩き込む! 「なっ!?」 エリスと少女の自由を奪う憎々しい証明書も、所詮はただの紙切れ。 私の拳が触れた瞬間、あっというまに燃え、炭と化した。 「これで証拠も何もない。エリスとあの少女は完全に自由の身だ」 「てめえぇ!謀りやがったなあぁ!!」 自分の切札を失い、『主』が脇差で斬りかかってきた。最後は実力行使か…… 斬撃雲身で受けながし……っ!? しまった!今私は右腕でエリスを抱いている!左腕だけでは雲身が完全に使えない! もし右腕を離して、エリスの方が狙われたら……! ……選択の余地など無い!左腕はくれてやる! 「マナバレット!!」 「!?」 私が左腕を失う覚悟を決めた瞬間、圧縮マナの弾丸が脇差を砕いた。 「エリス!?」 「ぐぁ!?てめぇ…!主に刃向かって……」 「っ……私の仕える主は、ソウマ様です!その主に危害を加える人は、許しません……!」 エリスは『主』の目を真っ直ぐに見て、そう言い放った。 それは、彼女の過去への決別。そして覚悟のあらわれだ。 「主は俺だ!俺の『物』がなにぬかしてる!」 「私は……私はあなたの『物』じゃない!もうあなたの命令なんかに従わない!…! 私はエリス……『人間』です!」 「ぐっ!?」 いままで見下してきた存在の思わぬ反撃に、『主』は言葉を失う。 「エリス、よく言えたな」 「ソウマ様……」 エリスがこれだけ勇気を出したんだ。私も呆けているわけにはいかない。 「さて、元『主』よ。証明書も無くなり、エリスは自分の意思を示した。 それでもなお、まだ自分の所有物だと言うか?」 「ぐっ……!」 「エリスにも、奥の部屋の少女にも金輪際近寄らず、ルシェを奴隷として扱わない…… そう誓うなら命までは奪わない。ただ、そう誓えないというのなら、 今、私がこの場で……!」 「ひいっ!?わわかった!そいつらは自由だ!た…助けてくれぇ!」 私が脇差を額に軽く突き刺すと、『主』は転びながらどこかに逃げさっていった。 あの様子なら流石にもう懲りただろう。懲りてなかったら本気で両断する。 脇差をしまい、エリスの方に向き直ると、 「ふえぇぇぇ!!」 いきなり抱きつかれた。むぅ…いい匂い……じゃなくて! 「な!?エリス!?」 「ソウマさまぁぁ!怖かったよぅぅぅ!」 本当は泣きたいほど怖かったのに…私を助けるために『主』に逆らったのか…… まったく……いつも私は助けられてばかりだな…… 私にできるのは、こうやって頭を撫でることぐらいか…… 「よしよし、もう大丈夫だから……さっきまでの勢いはどこにいった?」 「うぅ……ソウマ様に危険が迫って、気付いたら魔法行使してて、そのままの勢いで、 思ってたこと全部言っちゃったんです……」 「本当に自分が情けないよ。君には助けられてばっかりだ」 「そ、そんなことありません! ソウマ様は私の命を救ってくれましたし、今だって私を庇ってくれました!そして、 本当に自由の身にしてくれました!助けられてばかりなのは、私の方です…… ところでソウマ様、奥の部屋の少女というのは…?」 そうだ。彼女の救出も急がなくては。あの様子では体力もあまり残っていないだろう。 エリスに軽く説明をして、私達は奥の部屋に向かう。 「……!!!………!!!!」 やっぱり警戒されている。それも、最初に顔をあわせた時以上に。 ルシェの女性はほとんどが耳がいい。 おそらく先程の私と『主』の怒鳴り合いが聞こえていたのだろう。 この少女からしたら、私も『主』も、野蛮で恐ろしいアイゼン人というわけだ。 「……見ての通り、私は非常に警戒されている。エリス、頼めるか?」 「は、はい!やってみます!」 エリスも、過去の自分と同じ境遇にある少女を救いたいのだろう。 私の言葉に力強く頷き、少女の前に屈んだ。 「………!!!」 「大丈夫。私達はあなたの味方。怖がらないで…?」 「………!!」 「私もね、ここの主に捕まっていたの。でも、ソウマ様…後ろのお兄さんが助けてくれたの」 「!……本当……に?」 エリスがゆっくりと穏やかな口調で話しかけると、少女が初めて口を開いた。 エリスも自分と同じ立場にいて、それを私が助けたというのが気になったのか、 警戒心も少し薄れている。 「本当よ。ソウマ様は貴族だけど、とても優しい方。あなたを逃がそうと考えてるの」 「私を……ここから……?」 そう呟き、少女はエリスと私を交互にみやり、そして再び口を開いた。 「私…ここから出たい……お兄ちゃん、本当に出してくれるの…?」 「勿論だ。あの『主』ももういない。君は自由になる権利がある。 この鎖を外す鍵がどこにあるかわかるかい?」 エリスの隣に腰をおろし、私も少女と目線をあわせ、できる限り穏やかに話す。 ここでまた警戒されると大変だ。 「……鍵、そこの引き出しの中……」 「えっと……あ、ありましたソウマ様!」 エリスが慌てて無事に見つけた鍵で少女の鎖を外す。 しかし引き出しの中で本当によかった。 もし証明書同様だったら、手におえないところだった…… そもそもあの『主』は何故あんなところに証明書を…… いや、これで二人とも助かったんだ。あまり考えないことにしよう…… 「どこかに怪我はないか?」 「……うん、大丈夫……」 鎖が外れ、少女は立ったり座ったり、腕を動かしたり、足を動かしたり…… 自由になったことの実感がわかないのか、しばらくその動きを繰り返していた。 が、やがてその動きを止め、私とエリスの方に向き直った。 「お兄ちゃん、お姉ちゃん、ありがとう……!」 「いや、礼には及ばないよ。これで君はもう自由だ」 「私…自由なんだよね?好きなことしていいんだよね……!?」 「ああ」 「じゃあ、お兄ちゃんたちについてく……!」 「「え!?」」 私とエリスの声が見事に重なった。 待て待て待て待て、エリスに続いてこの少女も連れていくとなると色々問題が……! 「お兄ちゃんたち、ハントマンだよね…?私もハントマンになりたかったんだ!」 (ソ、ソウマ様!駄目ですよ!こんな小さな子を連れていくのは……) (いや、私に言わせたら君も似たようなものなのだが…… それに『自由』だと言った手前、むげに断るわけにもいかないし……) 【システム】サムライに二言はないはずです。それでも断りますか? 誰だ!? いやしかし、確かにサムライに二言はないが……! エリスも言うとおり、一般の少女を危険な旅に連れていくのはあまりにも……! 【システム】目の前の少女は答えようによっては泣いてしまうかもよ? だから誰だ!?うぐぐぐ……どうすればいいんだ……! 【システム】連れていきますか? A はい B イエス C もちろん D とうぜん! E あたりまえさ! F 踊り狂いながら喜んで 回避不可の強制イベント!? →A はい 「うぐっ…わかった…君の自由にするがいい……」 「ソウマ様!?」 うぅ……なんでこんなことに!【システム】……何者だ? しかし実際どうしたものか……竜との戦いに巻き込むわけにも…… かと言って宿屋に独り寂しく置いてきぼりもかわいそうだし…… 私は若干この選択を後悔することになった……いや、選択…か? 「やったぁ…!お兄ちゃん大好き!」 【チュッ!】 「「!!?」」 ナナナナナニガオキタ? 「私リア!最近歌ってなかったからちょっと弱くなっちゃったけど…… 私の歌は聞いた人に加護の力を与えられるから、戦いも任せてね……!」 ナルホド、コノコハプリンセスダッタノカ…… よしすこしおちついたぞじょうきょうをすばやくせいりしよう。 えー、つまり、この子はハントマンになりたいプリンセスであると。 プリンセスはその歌声で様々な支援ができる。 つまり私達の旅も楽になるだろうし、旅に連れていっても問題はないかもしれない。 しかしそれはそれとして、さっきのキスはどう説明したらいいのだろう? えー…キス、口付け、接吻……ぐはっ! 駄目だ落ち着け!こんな時はあれを数えるんだ! アフロバードが1匹、アフロバードが2匹、アフロバードが3匹、ワンダフルバードが…… あぁ邪魔をしないでくれ! 駄目だ駄目だ!まるで落ち着けない!もう真意を本人に聞くしかない! 「えーっと……リア?さっきの「ソソソウマ様に何をしてるんですかっ?!」 私より先にエリスがリアに詰めよった。 ……最近よくエリスに発言を潰されている気がするなぁ…… 「何ってキスだよ……?好きな人にするんだよ?お姉ちゃん知らないの…?」 待て待て待て待て待て!凄まじく待ってくれ! 私は俗に言うロリコンではない! 「知っています!…けどリアちゃん?子供にはちょっと早いんじゃないかなぁ…?」 と、私が頭を抱えている間に、エリスが優しい口調でリアを説得し始めた。 まったくもって彼女の冷静さには助けられてばかりだ。 そろそろ私も一から精神修行をやり直すべきかな…… ん?なんだかエリスの体が全身プルプルしているような……? 「リアはもう16歳だもん…!マレアイアではもう一人前の大人だもん……!」 「なんですってー!?」 「なんだってー!?」 今度は若干ずれてエリスと私の声が屋敷に響き渡った。 いやしかし!16歳だと!?下手をすればエリスと同じくらいかそれ以上だと!? そういえばエリスの年齢はいくつなのだろう……? いやいや、女性の年齢を聞くなんてそんなことサムライのすることじゃないな…… いや気にするところは年齢とかじゃなくてだな…! 「スニチトチミ?」 「シラナトニカチミラ…?」 ……急に二人が妙な言葉で会話を始めた。 これが噂にきくルシェ独自の言語か。さっぱりわからない。 しかし何故急にルシェ言語に……? 【システム】ルシェ語実際にうつと疲れるのし、読むのも更に大変になると思うので、 『ソウマが二人の会話を理解できていない』とだけ認識してください。 「……あなた、ソウマ様をどうするつもりですか!?」 「どうって…仲良くなって、ゆくゆくは結婚するつもりだけど…?」 「そ…そんなことさせません!!私にはソウマ様につく悪い虫を駆除する義務があります!」 「……お姉ちゃん、もしかしてお兄ちゃんのこと好きなの?」 「なっ……わ…私は使用人です…そんなこと……」 「へぇ……じゃあ貰ってもいいよね…!?」 「駄目です!なんでそうなるんですか!?」 「私…マレアイアに嫌気がさして家出したの。 ハントマンになって、世界中旅して、色々なものを見るのが夢でね…? でね、意気揚々とアイゼンにきたんだけど……」 「そこを闇商人に捕まっちゃったんですね……」 「うん…それで一週間前にあの人に買われたの。……一気に男不信になっちゃった……」 「……」 「でもお兄ちゃんは違ったの…!私を見ても『鬱女』とか『メガシンデル』とか 変なあだ名つけなかったし、カッコイイし、『人間』の扱いをしてくれた、初めての人…! だからいつか私がお兄ちゃんを幸せにしてあげるの…!そして私も幸せになるの…!」 「…私とほぼ同じというわけですか…… でも私は、ただソウマ様のお側に仕えられるだけで……幸せです。 ひたすら仕える事で、ソウマ様に受けた恩をかえします…!」 「じゃあ遠慮なく……」 「っ駄目です!」 「ほら、やっぱりお姉ちゃんもお兄ちゃんの事気にしてるじゃない…… お姉ちゃんも私を助けてくれた大切な人。だから冒険の時は歌で全力サポートするけど、 これだけは譲れないよ……!」 「ソウマ様は……渡しません!!」 二人がルシェ語で会話を始めてから、さっぱり状況がわからない。 時々二人の顔が寂しげになったかと思ったら、笑ったり、焦ったり…… 一体何を話しているのだろうか……? 特に、会話の最後あたり、二人から圧倒的な『気』を感じた。 『主』への怒りを話し合っていたのか、それとも年齢の話か…… なんにせよ、なんか空気が変だ。寒気さえ感じる。 この場合おこすべき行動は…… A 風邪をひいたか?今日は自宅に帰って寝よう…… B この屋敷を物色 C 二人に会話の内容をきいてみる D とりあえず二人に自由になった記念に何か買ってあげる E このまま次の目的地に向かう F 侍魔姫……ギルド強化のためにヒーラーを探す G 上記以外の行動を突発的に思い付く →D とりあえず二人に自由になった記念に何か買ってあげる まあ季節が季節だ。肌寒い日もあるだろう。この寒気もきっとそのせいだ、うん 。 それよりも、二人ともやっと自由になれたのだ。ここは何かお祝いをすべきかな ? いやいや、その前に聞くべきことがあった。 「エリス、リア、君たちを縛るものは、もう何もない。完全に自由の身だ。 それでも私の旅に同行するのか?」 「私はお兄ちゃんについていくよ…?」 「私もです。自由になったからこそ、どこまでもソウマ様に従います」 二人とも即答だった。 本当は……こんな危険な旅に連れていくのは、今でも反対だ。 しかし二人の決意も固い。 ……私ごときに、どこまで守ることができるやら。 いや、弱気になってはいかんな。守れるか、ではなく守らなくてはならないのだ 。 「…よし、わかった。でも、無理はしないように」 「大丈夫…!前衛に出て、竜なんて鞭でしばくから…!」 「私も、今度はちゃんと重い杖で相手をなぎ払います!」 ……旅先の不安が増えた。 「まぁ…とにかく、だ。折角自由になれたんだ。私から何か祝いの品を贈ろう。 とは言っても、私は女性の好みには疎くてね……君たちが選んだものを買う…… という形になるが、いいかな?」 「えっ!?ソウマ様……そんな…よろしいのですか?」 エリスがリアと顔をあわせ、わたわたと慌てる。 二人ともかなり困った表情の中に、極僅かに期待の色もある。 が、やはり遠慮している。今までの境遇が悲惨極まりないだけに、 彼女達には物欲やら、貴族に何かを貰った経験が殆んどないのだろう。 むぅ……これは無理矢理でも連れていかないといけないかもしれん。 「特に欲しいものがないにせよ、とりあえずこの屋敷を出よう。まずはそれから だ」 「そ…そうですね」 「この部屋嫌な思い出しかないしね……」 私の提案に、今度はすぐに首を縦に振った。あとは店に連れていくだけだ。 ……念のため言っておくが、決して如何わしい店ではないぞ? 「この店なら大抵のものは揃っている筈だ。好きなものを選びなさい」 「「うわあぁぁ……」」 広々とした店内に入った瞬間、二人は感嘆の声をあげた。 無理もない。私が二人を連れてきたこの店は、アイゼンでも最大規模の店だ。 それもただの大型店ではない。……いわゆる『裏』の店だ。 外見は貴族の物置小屋だが、その地下にあるのが、この大型万屋『ふわふわ』な のだ。 ここの店主の素性は一般には知られていないが、とにかくルシェが大好きで、 ルシェ、あるいはルシェを差別しない人物に限り、良質の品を破格で販売してい る。 「これはこれはソウマ様、お久しぶりですね」 顔をマスクで覆い、マフラーを巻いた店主が奥から現れた。 「む…そのふわふわ耳の子たちはどうしたんですか!?」 「あぁ、心ない貴族に捕われていてな。少々強引な力業だったが、なんとか解放 には成功した」 「なんですって!?ちょっとその貴族八つ裂きにしてきます!」 私の言葉を聞くや否や、店主は短剣を両手に持って外に飛び出し…… 「待て待て落ち着け。私がそれなりの制裁をしているから」 私の言葉を聞き、少し唸ってから彼は短剣をしまった。危ない危ない…… 「あの…ソウマ様、この方は……」 「悪い人間ではないよ。ただのルシェ大好き青年だ。それより、こういう店は初 めてだろう? 幸い懐具合もいいからね、好きなだけ買うといい」 「……」 「……」 エリスとリアが再び顔をあわせ、悩んだ表情を見せる。 が、彼女たちにとって初めての経験であろうお買い物は、やはり甘美な誘惑だっ たのか、 しばらく考えこんだあと、二人揃ってこう言った。 「お言葉に甘えて……」 さて、ただ待っているのも暇である。 二人が何を欲しがっているか、今後のためにも見ておこう。 「エリス、何か見付かったかい?」 「は、はい。……えと…色々あって…困ってます」 申し訳なさそうな顔をして、エリスの耳が垂れてしまった。 私の財布を心配しての遠慮なのだろうが、問題ない。 「気にせず全部買っていいよ。これはお祝いなんだから。何が欲しいか言ってご らん」 「すみません……あのですね…」 エリスに連れられて、彼女の欲しい物を見てまわってみる。 薬学のススメ・上級…1400G、無属性魔法決定版!…2000G、極・狙撃術…1800G… … 実に勤勉なエリスらしい。全部学問書とは…… ん?この本は違うな。どこでも作れる!おかずレシピ100選…700G…… 「エリス、この本は?」 「そ…その……私、今まで料理とかやったことがなくて…… 料理を覚えて、少しでもソウマ様の負担を減らせたらいいな…と」 成程、確かに宿で夕食と朝食を頼むとかなり割高になる。 これからの長旅、宿の利用頻度も増えるだろう。そう考えると、食事代も馬鹿に ならない。 さらに、きちんと調理できれば道具袋を埋め尽す数々の肉も食べることができて 一石二鳥だ。 うーん…考えたこともなかった。エリスの気配りに感謝である。 「すまない。私も料理はあまり得意ではないからな…助かるよ。ありがとうエリ ス」 「い、いえ…この本を買うお金はソウマ様のものですし……本当にありがとうご ざいます」 エリスがふかぶかと頭を下げる。世話になっているのは私の方だというのに… とりあえずはこの本を買い物かごに入れよう。 支出合計 5900G さて、リアの方はどうだろうか? 「リア、何か欲しいものはあったかい?」 「ごめんねお兄ちゃん……ちょっと高くて……」 エリスと同じくリアもどこか遠慮がちだ。 二人とも、もっと欲望を持ってもいいと思うんだがなあ…… 「大丈夫だよ。どれが欲しいんだ?」 「あのね……」 今度はリアに連れられて、彼女の欲しい物を見てまわってみる。 うさぎのぬいぐるみ…1000G……成程、可愛いもの好きなのか。おや…?これは… … 泣けるアフロバードの絵本…5000G ……黒リャマは聞いたことがあるがアフロバードは初めてだな。 しかもかなり割引かれているのに、ぬいぐるみの5倍の値段とは…… 「やっぱり駄目かな……?」 「いやいや、大丈夫だよ」 しょんぼりするリアをなだめて、これも買い物かごに入れる。 支出合計 11900G 一応二人の欲しがった物を全て買ってみたが、思ったよりもかなり支出が少ない 。 まだまだ買っても問題ないだろう。 「これだけでいいのか?服とかはどうだい?」 「服…ですか?」 「ちょっと欲しい……かも」 「よし、確か奥の方にあった筈だ。行ってみよう」 この時私は、ただ二人に少しでも楽しい思いをしてほしかっただけなんだ。 まさか自分のなにげない一言が、後に悪夢を引き起こすことになるなんて…… 私は予想だにしていなかった…… 「ソウマ様……似合いますでしょうか……?」 「あぁ、よく似合っているよ」 「あ…ありがとうございます!」 お世辞でもなんでもなく本当に似合っていて、黒の布に白銀の髪がよく映える。 エリスが選んだ服は、アイゼン式の着物だった。なんでも昔から着てみたかった らしい。 アイゼンでは殆んどの者が着物を着ているからその影響もあるのだろう。 値段は…2000Gか。よし、問題ないな。防御面でも優れているし、いい買い物だ。 「むぅぅ…お姉ちゃん、なかなかやるね……でも負けないよ…?」 リアが何やら複数の服を持って試着室に入った。 ん?確かにエリスの着物はよく似合っているが、負けないというのは…… 自分も着物を着こなす、ということか?そもそも勝ち負け?張り合っている?何 に?? あ、出てきた。 「お兄ちゃん……似合うかな…?」 「なぁ!?っと……に似合っているよ」 対応が遅れてしまった。いや、確かに似合ってはいるのだが…… 「何故にメイド服なんだ?」 「男の人はみんなこういうのに弱いって聞いたんだけど……」 むぅ……一般の男はそういうものなのか。私は短すぎるスカート丈でそれどころ ではない。 まぁ…人の趣味はそれぞれだ。リアはこういう服が好きなのだろう。 ゴロランの館直輸入限定一品メイド服…6000Gか。限定品は流石に少々値が張るな … 「くっ……リアさん、卑怯ですよ!わ…私だって!」今度はエリスが再び試着室 に突撃をかけた。そして…… しばらくして出てきたエリスは…… 「ソウマ様……どうでしょうか?」 「ぬぁっ!?エリス!なんだその格好は!?」 出てきたエリスは……大きめのワイシャツだけを着ていた。それだけだ。 待て待て、涼しいかもしれないがその格好で街中を歩くのはだな…… ゴロランの館直輸入限定一品ワイシャツ…8000Gだと!?値段も… 「お姉ちゃん…手強いね……でもまだだよ……!」 ああ待ちなさいリア!何か嫌な予感がするから戻ってきてくれ! 「どうお兄ちゃん……?」「ぬぉ!?なななにを着ている!?」 戻ってきたリアが着ていたのは……うまく表現できない…… 商品名をみてみよう。 ゴロランの館直輸入限定一品スクール水着(紺)…… スクール水着という代物らしい。何がどうスクールなのかはわからないが、 とにかくやはり水着の類である。……って街中水着で歩くのはあれだろう!? 「お兄ちゃん……気に入ってくれた…?」 待ちなさい、君たちが気に入ったものを買っているんじゃないのか!?何故私基 準!? しかも値段がイチ、ジュウ…25000G!?桁が違うぞ! 「うぅぅ……こ…こうなったら…あの服しかありませんね……」 「エリス、ちょっと待ってくれ。何がどうなったら…っこら!待ちなさい!」 私の制止をふりきり、再度エリスが試着室に飛込んだ。 なにやら顔も紅かったし……超絶嫌な予感がする……っ! 「あの……ソウマ…様……ど…どうで…しょうか?」 しばらくしてから私の後ろからエリスの声がかけられる。 振り向いたらおそらく何かに着替えたエリスが立っているだろう。 しかし振り向くのが怖い!しかし振り向かねばどうしようもない!意を決して… … 振り向く! 「なグボハッ!!」 「ソウマ様!?」 ふ……やはりな。私の嫌な予感はよく当たるんだ。 鼻から鮮血を巻き散らし、薄れ行く意識の最中にみたエリスの服。 いや、服と呼ぶのもおこがましい。それはまさにただの『紐』だった。 商品名…ゴロランの館直輸入限定一品あぶないみずぎ…65000G…… なんて値段だ……というよりこれは本当に水着とよべるのか?ほぼ全裸じゃない か…… そもそも水着は服ではないような……? あぁ、リアも口をパクパクさせて呆然とエリスの格好を見ている。 なんでだ?なんでいつのまに君たちの服選びから水着選びになったんだ? 今はまだ肌寒い季節だ。二人とも、はやくちゃんとした服をきなさい…… 風邪を…ひくぞ…… ……… …… … 「うっ……ここは…」 「よかった、お兄ちゃん気が付いた…!」 「お店でソウマ様が倒れられて……店主さんがソウマ様をここまで運んでくださ ったんです」 エリスとリアが心配そうに私の顔を覗きこむ。……私はまた倒れたのか。そして ここは…… 「私の…家か…」 「えっ!?すすすみません!そうとは知らずに……」 「構わぬよ……二階の来客用寝室が空いている筈だから、二人とも今日はそこで 早く寝なさい。 私は……まだちょっとやることが残っていてね……」 「本当に色々すみません…ソウマ様……失礼します」 「お休み、お兄ちゃん……」 そう言い残して、二人が私の部屋を出ていった。 さて……やることを早急にやろう。まずは…あった。領収書だ。 救出代含む合計金額…118400G……やはりあの服も全部買わされたか…… えーっと……明朝までに客間の壺の中に入れておいてください…と。 ……毎度毎度、何故この店主は普通の受け渡し方法をとらないで、 客の家に侵入して代金を受けとるのだろう?……盗まないだけましだが。 よし、壺に代金を入れてと……あぁ…財布が一気に寂しくなった。 次に、家の鍵を取り替えてっと…… いくら何も盗まれていなくても、あの店主がいつでも我が家に出入りできると思 うと、 ゾッとする。私をここまで運んできたということは、今のこの鍵も破られている のだ。 ……これでよし。多分、明日にはまた取り替えるはめになるだろうがな…… 次は仏壇に父上の遺影をかかげて、それからそれから…… 「やっと終わったか……」 道具の仕分け、鼻に貼られたブラドテープ剥がしなどの仕事を終える頃には、 すっかり深夜になっていた。 エリスとリアは……もう眠っただろうか? 私もそろそろ…………布団に入るとしようか……明日も早いだろうし…… 「ふぇっくしゅ……!」 やっぱり……あたたまってからにしよう。 「ふぅ……」 浴槽に肩までつかって体を温める。やはり入浴が一番だ。 エリスとリアにも、明日にはしっかり入浴させてあげないとな…… いくら私一人になるためとはいえ、悪いことをした…… だが本当に、一人でこうやって落ち着くのはいつ以来だろうか? 父上と旅を始めてから、今にいたるまで、落ち着いて物事をゆっくり考えられた ことは…… ないな。 だからこそ、今この時にゆっくり考えよう。今後のことを。 旅に出て、エリスと出会って、父上の本性を知って、貴族の醜さを知って、リア を助けて… 短い間に色々な出来事があった。そして、私にも…… ……サムライとして、やはり私は精神修行がなっていない。 こんな事ではとても旅を続けることは不可能だ。なんとか…… 【ガラリ】 その時突然、浴室の扉が開かれた。誰だ…!? A まさかエリスか…? B まさかリアか…? C まさか店主か…? D ま…まさか……父上なんてことはもうないよな…? E 来た!ドラゴンだ! F まさかエリスとリア二人ともか…!? →A まさかエリスか…? 扉を開けて現れたのは…… 「ソウマ様……」 やはりエリスだった。しかも一糸纏わぬ姿の…… 「エエエリス!?何故ここに……!いや、それより早く服を着なさい!」 中空に視線を移しつつ、制止の為に声を張り上げるが、 エリスは止まらずにそのまま私の方に歩んでくる。 「ソウマ様……ここまでしても……やはり……襲ってはくれないのですね……」 「なっ!?」 エリスの口から我が耳を疑うような言葉が発せられる。 襲ってくれない?……私に、君を、『主』のように襲えと……? ……合点がいった。 先程の買い物時、途中から妙な服を着始めたのは、つまり。 エリスもリアも、私の理性を崩すことが狙いだったからか……しかし…… 「ソウマ様……私は、汚れていて、淫乱な女なんです。 ソウマ様はいつ襲ってくれるのだろう、どうやったら興奮してくれるのだろう… … 毎晩毎晩今にいたるまで、そんなことばかり考えていました……」 「っ!!」 「ふふっ……元奴隷風情が…恩人の貴族の方になんてことを考えているんでしょ うね? でも……それでも……!私は貴方が好きなんです…!愛しているんです……! 最初は…!お側にいられるだけで、『人間』の扱いをされるだけで幸せでした! でもっ!段々…もっと頭を撫でられたい、抱き締めてもらいたいと思うようにな って……! そこにリアさんが現れて!彼女もソウマ様が好きで!!旅にもついてくるって聞 いた時…… 私、思わずマナバレットで頭を撃ち抜いてしまおうかとさえ考えたんです! 私は奴隷…彼女は捕まったとはいえ、マレアイアの女王候補!貴族にふさわしい のはどちらか、 聞くまでもありませんよね……?それが苦しくて、辛くて……! 最初から…叶わぬ願いと、わかっていた筈なのに…もう、抑えられないんです… …!」 エリスはボロボロと涙を零し、その心の内を全てを吐露しながら、尚も私に歩を 進める。 そして、とうとう私のいる湯船までの侵入を許してしまった。 「ソウマ様……どうか……」 エリスはさらに私に詰め寄り、 「私を、今宵、一夜限りでいいから……抱いてください」 ついにその言葉を口にしてしまう。 「ソウマ様……」 さらにエリスが抱きついてくる。 湯の熱とは異なる、人の温もりが、私の理性を容赦なく抉りとっていく。 このままではいけない……! 「っ……エリス……止めなさい…!」 「ソウマ様……一夜…今日だけで構いません。それで……この感情も、何もかも 、 全て忘れて、以後は貴方の忠実な使用人として仕えますから……」 潤んだ蒼い瞳が、私を見上げる。 柔らかい白い耳が、私の目の前で垂れる。 小さい口が、言葉を紡ぐ。 彼女の嘘偽りのない本心。 おそらく私が今この場で抱けば、エリスは……宣言通り、身を退くだろう。 しかし…… それは…… 駄目だ駄目だ! 本人がそう望んでいるからいいじゃないか。むしろ断る方が酷じゃないか? それでも駄目なんだ。絶対に! 何故?どうしてだ?望みを叶えてあげればこの子も少しは楽になるんじゃないか ? 楽になどならない! 本人が一夜で忘れるのなら…… そうじゃない!そうじゃないんだ……! ナニユエソコマデコバム? ワカッテイルダロウ……? エリスノノゾミナンダ。ソレダケデジュウブンダロウ? チガウチガウチガウ……! チガワナイ。 チガウ! チガワナイ! チガウ!! チガウンダ……!ワタシ……ワタシハ……!! 己の心で繰り返される自問自答。 その最中、私の中の何が崩れ散った…… 「エ…リ…ス…」 「ソウマ様……?」 私の中で崩れ散ったもの……それは脆い脆い自制心。 しかし崩れてもまだ欠片は残っている。 どうか、この欠片さえ無くなる、その前に……! 「エリス……はやく…離れなさい……」 「!!!」 ああ……どうか泣かないでくれ。もう……私も…… 「エリス……私は、ね…君が思って…いるような……立派な人間じゃ…ないんだ 」 「え……?」 「私はね…口で綺麗事を言っているだけで……根の部分は……他の貴族と変わら ない…… 浅ましい、下卑た、醜い感情に……染まっている」 エリス……どうか、どうか……どうか早く、私から離れてくれ。 私の本性を言えば……この腕を離してくれるのか……? 「……森で君を初めて見掛けた時から。最初から。 その時から私は、心のどこかで、『選択』の中に、君を襲いたいという感情があ った……」 「!!!」 「軽蔑したかい?それでいい……私は他の貴族と同じ、最低な人間なのだから。 あの時から私は……君のそのかわいい耳を思う存分触りたかった。 あの時から私は……君のその細い体に触れたかった。 父上の襲来があって、妙な勝負を持ち掛けられた時も…… 多分心のどこかで君を抱いてしまいたいと思っていた。 旅に出て、君と床を共にするようになってからは、毎日が地獄のような試練だっ たよ……」 「……」 エリスが黙りこむ。 無理もない。私の醜い本性を知ったのだから。 所詮私は、薄汚い人間なのだ。 エリス…君が見ていたのは幻に過ぎないんだ。だから…早く…… 「ソウマ様は……同じなんかじゃありません……!!」 え……? 「本当に…本当にソウマ様が他の貴族と同じなら…森で会った瞬間考えるより先 に、 本当に襲っているか、無視するか、売りに出した筈です。それなのに貴方は命の 危険も省みず、 私を助けてくださいましたよね?」 「うっ……」 「治療院で貴方は言いました。『ほうっておけない』…と。そして優しく撫でて くれました。 私の元『主』に、本気で怒って……私を庇って『人間』として扱ってくれました 。 そして楽しいお買い物まで…… 私はもう十年も、色々な貴族に仕えてきましたが、そんな経験は一度もありませ ん。 みんな……私を鎖で繋いで、鞭を振るい、過酷な労働を強要し、嬲り者にして… … 飽きたら道端に捨てられ、商人に拾われ、売られ、また同じことの繰り返しです 。 でも……ソウマ様はそんな事をしなかった。 それとも、今から同じことを…私に課しますか……?」 「そんなこと……!!」 無意識のうちに声を荒げていた。 エリスの境遇は聞いてはいたが……それほどの年月を……! その者達への怒りが留処なく沸き上がると同時に、自分にも嫌気がさす。 そうだ、いくら憤りを感じても、私がエリスに抱いた感情は……同じものだ。 変わらない。なにも違わない。他の者と結局は同じだ。 これは、持ってはいけない感情だというのに…… エリスを守ると約束した筈なのに……その私が傷付ける側になってどうする…… ? 「ほら…貴方は……こんなにも優しい。だから……大好きなんです。 ソウマ様…貴方はその優しさで…私とのたった一夜を躊躇なさるのですか?」 …………言わなければならない、か…… 「エリス……私の本音を言おう…… 私は……君を抱きたい。しかしな……君と私は違うんだ……」 「…やはり、身分ですか……?」 「違う!同じ『人間』に身分も何もあるものか。 ……エリス、思い出せ。私は……カザンでお尋ね者、賞金首なのだぞ?」 加えて、ここアイゼンでもいくつかの犯罪に手を染めている。 暴行罪…いや殺人未遂か。それに窃盗罪、器物損壊罪……立派な犯罪者だ。 「それは全部、私のせいで…ソウマ様のせいではありません!」 「ぐっ……私は君と約束した!君を守り、災厄を振り払うと! 私がその災厄の原因になって……どうすると言うのだ……!」 「何故災厄なのですか…?ソウマ様が私を抱きたいと言ってくれて、凄く…嬉し いんですよ? こんなにも汚れた私を……!…ソウマ様に抱かれるなら…幸せです……」 みしりっ…と僅かに残った自制心に圧力が加わり、ヒビが入るのがわかる。 何故だエリス。君は汚れてなどいない。汚れているのは私だ。 本音を言って、私がお尋ね者である事を分からせても、何故…… 何故まだ……私をその瞳に映す? 何故、私を軽蔑しない? 何故、私を罵らない? 何故、私を見下さない? 私は精神修行が全くできていない。 約束し、決心しても、君が私をそうやって見上げ、優しい言葉を寄越すだけで、 いとも容易くぐらつき、崩れてしまう。 私が幾度拒絶の壁を作ろうとも、君は意に介せず平然とそれらをも壊す。 「エリス…」 私の中に残っているのはヒビ入りの一欠片の自制心のみ。 あと少しの圧力を加えられたら、儚く砕け散る。 だから、砕け散るその前に。とびかかるその前に。君の優しさに甘えてしまう前 に。 最後の壁を作る。 「エリス……後悔することなるぞ?」 「後悔しません」 軋む… 「世界は広い……私よりもいい出会いがもっとある筈だぞ?」 「ありません」 ヒビが増える… 「っ……君を……獣のように求めるやもしれないぞ……?」 「構いません」 ヒビがさらに広まる… 「…………一夜に限らず、常しえに私と共にあっても……か?」 「えっ……!?そ…それって……」 ここで即答を続けてきたエリスが止まる。 当然だろう。私の言葉の意味、言わんとしていることは……易々と二つ返事でき るものではない。 「ソ…ソウマ様……それは……つまり………………」 「……そういう事だ。軽い気持ちで抱くことなど、出来るわけないだろう……? エリス……私は…… 辺りに水音が響き、最後まで言う前に私の言葉が途切れる。 突然エリスがその体重全てを私に委ね、それを支えきれずに二人とも湯の中に沈 んだのだ。 これは、否定の反応か、肯定の反応か…… 「げほげほっ……大丈夫かエリス?」 「けほっ……ソウマ様…!本当に……本当によろしいのですか!? 一夜に限らず……その……とこしえに…………」 あぁ……この反応は…… こんな私を受け入れてくれるというのか……? 私の中の、最後の一欠片が塵と化す。 「エリス……本当に私などでいいのか……?」 「はい。……いえ、ソウマ様でないと…駄目なんです!ソウマ様こそ……私なん かで……」 「同じ台詞を返そう。エリスだからこそ、だ……」 互いと互いの瞳を見つめあう。 羞恥心なぞはどこかにとんだ。 「エリス……今度こそ、誓おう。君を、我が生涯をかけて愛し、守り抜くことを …!」 「ソウマ様!」 どちらからともなく、二人の唇があわさった 「んっ……はぁ……ソウマ様……私……」 唇を離し、顔を朱に染めたエリスが私を見上げる。 おそらくエリスも私も考えていることは同じだ。 そもそもエリスは、一夜限りと私の元に来て。 私は心のどこかにそういう感情を持っていて。 もはや自制心は塵と化した。 もう……止まることは不可能だ。 目の前のエリスの顔を見るだけで…… 限界の訪れ。そして私は、頭のどこかで、ある選択を考える…… A 制御不可。このまま浴室で…… B 自制心再構築。こういうことは、しっかり自室の布団の中で…… C 危険な欲望が渦巻く。屋敷の外で…… D 理性最大稼動。日を改めるか…… →A 制御不可。このまま浴室で……? っ……!!落ち着け私!そういうことは、しかるべき場所でするのが筋でなない のか? 浴槽はそれなりに深いし、床は石造りで固い。こ…こんなところでするわけには ……! しかし頭がロクに働かない。何か…何か違うことを考えるんだ! と、ここでエリスの髪に目がいく。 先程エリスの抱きつきにより、私達は二人とも湯に沈み、髪がびしょ濡れになっ ていた。 ……これだ! 「エリス…その、なんだ…まず髪を乾かさないと風邪をひいてしまうぞ…?」 乾かす為には必然的に浴室から出なくてはならない。さらにエリスを先に出すこ とで、 私は僅かながら落ち着きを取り戻すこともできる。…完璧な作戦だ! 「あ…そ、そうですね!私ったら……あ!折角だから髪洗って落ち着きます!」 「え?あ、あぁ…そうだな!それがいい」 完璧な作戦は僅か数秒で御破算になった。 エリスもどうやら私と同じことを考えていたらしく、非常に顔が赤い。 そして落ち着くためにうちだされたエリスなりの作戦が洗髪のようだが…… 如何せんそれでは浴室にとどまることになる。それ即ち、私が落ち着けない。 私一人で先に浴室から出れれば全て解決なのだが、愚息がアレな状態なわけで、 そんな状態で屋敷を移動して、もし代金を回収にきた店主やリアと鉢合わせたら 非常にまずい。 かといって、エリスに洗髪をさせないのもかわいそうだ。 落ち着きたいのもあるだろうし、身嗜みにも気をつかいたいだろう。 ……このまま浴槽内でなんとか落ち着くしかないのか…… いや、大丈夫だ……エリスとの体の密着問題は一応解決した。 離れてさえいれば、なんとか部屋までは我慢できる筈だ。否、我慢しろ私。 ほら、エリスももう髪を洗いはじめて…… ん?あれは……まさか!? 「エリス、待ちなさい!」 浴室に私の声が響きわたった。 「え?」 「それは父上の白髪染め剤だ!!」 慌てて浴槽から飛び出してエリスの髪に湯をかける。 幸いにもつけた量が少なかったのと、すぐに流したとので、髪は染まらずに済ん だが…… 「危うく髪が茶混じりになってしまうところだったぞ……」 「す、すみません……どれがどれだかよくわからなかったので……」 「まだ薬剤が残っているかもしれないな……エリス、しばらく目を閉じていなさ い」 もう一度湯を汲み、エリスの髪に浴びせる。…なんとか大丈夫そうだ。 まったくもって父上の遺した物はたちが悪い。呪いだろうか? エリスの綺麗な髪がまだらに染まったらどうするのだ。 綺麗な髪が…… 綺麗な…… ゴクリ…と思わず唾を飲み込んでしまった。音が妙に生々しい。 湯に濡れた白銀の長髪の隙間から覗く、エリスの白い肌…… そして眼前で僅かに揺れる耳…… いかん……自ら危険地帯に足を踏み入れたか……! サ…サムライは……アイゼンの民は……いつでも心を乱さない…… 耐えろ、忍耐、我慢だ……せめて、せめて自室に戻るまではははは……! 『ごめんもう無理』 頭の片隅で、無慈悲な声が聞こえた気がした。 「ソウマ様…?」 「エリス……ふがいない私を…許してくれ…!」 私だって人間なのだ。 それも、弱い弱い人間なのだ。 今宵一晩。今日限り。 明日からは、精神修行もする。だから……今この時だけは……! 「ソウマ様…?んぅ!?」 エリスの背後から抱きつき、唇を奪う。 私はサムライ失格だ。真のサムライが知ったら私を激しく非難するだろう。 だがどうか今だけは、誇りも何もかも投げ捨てて、この愛しい少女を抱くことを 許して欲しい…… 「んっ……はぁ…ソウマ…様…不意打ちなんて……ずるいですよ……」 「すまない……もう抑えきれない……!」 謝罪を口にするが、私はそのままエリスの柔らかい唇を貪り続ける。 甘い。甘い。惚ける程に甘い。 私の理性を、道徳心を、誇りを、規律を、何もかも全てを、 段階を飛ばして一気に昇華させ、跡形もなく消し飛ばしてしまう甘さ。 そしてそれは、私の欲望を抑えていた壁も例外なく無に還す。 一気に私の中に広がる欲望。 もう抑えられない、止まれない、やめられない! 「あっ…ん……ふ…ぅ…!」 「エリス……もっと、君を……」 くぐもった声を上げ、顔をさらに赤らめるエリスが堪らなく愛しい。 角度を変え、舌を割り入れ、何度も何度も何度も何度も口付ける。 そしてエリスもそれに応え、舌を絡ませてくる。 「んぁ…ソウマ様ぁ……んっ……」 熱の籠ったエリスの声に、思わず震える。 ……認めたくはないが、『主』が言っていた通り、エリスの声は人を虜にする力 がある。 ……その声を、もっと聞きたい、出させたい……そんな欲望が私の中で渦巻く。 エリス……どうか私を許してくれ。 「あ……?」 しばらくして唇と唇とが離れ、唾液の橋がそれを結ぶ。 エリスはその様子を恨めしげに、かつ切なげに眺める。 それが切れると、今度は上目遣いで私を見た。 ……エリス、そんな目で私を見ないでくれ。気が狂ってしまいそうだから。 このまま押し倒し、エリスを滅茶苦茶にしてしまいたい衝動を最後の理性で必死 に抑える。 それだけは、絶対にしてはいけない。どんなに理性を失っても、だ。 ……だが逆に言えば、それ以外の行為を私は無意識に認めてしまっている。 エリスの声をもっと聞きたい、知りたい、その体に触れたい…… 私も所詮、人間なのだから。 「やぁ…ソウマ様ぁ……もっと……」 訂正。 私も所詮、欲望に忠実な男なのだから。 「エリス…あまり私を惑わさないでくれ。押し倒してしまいそうだ……」 「……構いません、ソウマ様なら……ソウマ様で、私を染めてください……」 グボァ。 その発言は吐血ものである。今確実に私の最後の理性が致命傷を負った。 だが砕けるわけにはいかない。持ち堪えろ我が最終防衛理性……! 私はエリスを愛してしまった。持ってはいけない感情だとわかっていたのに。 しかしエリスは私の全てを受け入れ、今現在の状況になっている。 ……だからと言って、エリスが許可しているからといって、 このまま押し倒し、滅茶苦茶にしてしまうのは卑怯極まりない。 私がエリスを愛し、誓ったのは…… 「言っただろう?君を守ると。傷付けたり、乱暴な真似は極力したくないんだ… … だが……声はもっと聞きたいな」 「?…ソウマ様っああああぁぁぁっ!!?」 突如深夜の浴室にエリスの嬌声が響く。……原因は私なのだが。 「あっ…!駄…目です……!耳は…!…ぁ!」 私が口付けしたのは、エリスの耳だ。 初めてエリスと出会った時、私は彼女の耳をおにぎりと間違え、頬張ってしまっ た。 その時に喘ぎ声が出ていたのでもしやと思い、耳を選んでみたが…… どうやら私の予想以上に弱点だったらしい。 「ソウマ、様…!私耳は…!弱いんです……!」 「エリスの耳……とてもおいしいな……」 「あぅ!?っふにゃぁぁ……!そん…な…私の…耳は……食べ……られませんよ ぉ……!!」 エリスが体を震わせつつ、抗議してくる。 本来ならこんな涙目で訴えられたら、すぐにでも止めるのだが…… (可愛い……) 元々ガタガタの理性では正常な判断ができずに、ただエリスの反応を楽しむだけ になっていた。 しかも本当に耳がおいしいから困る。 唇で軽く噛み、舌先でさらに味わえば、ふわふわと柔らかで、とても甘い香りが 脳を溶かす。 その色、食感、匂いは、全てにおいて、最高級のコルリアロールをも凌駕してい た。 「すまない、エリス…………本当に食べてしまいたい……」 「あっ…はぁ…!ソウマ様ぁ……!もう…食べてますよぉ……! 耳っ……ばっかり…食べないで……こっち……も……」 そう言うとエリスは、私の手を掴んで自身の胸に持っていく。 私の両手に、耳とはまた違った柔らかさが広がった。私は再び唾を飲み込み…… そして、ゆっくりと手を動かす。 「ふぁっ…あっ……ひぁ…あっ…うっ…!ソウマ様ぁぁ……」 「すまない……エリス、大丈夫か?」 胸をやわやわと触り始めたあたりで途端にエリスが涙を流し始めた。 いかん、やりすぎたか…… 「あっ……違うんです……ソウマ様に触れられているかと思うと…嬉しくて…… 本当に……夢じゃありませんよね……?幻じゃ……」 「夢じゃないよ。大丈夫だ……」 「では……夢じゃない、現実だという『証』を……」 そう言うとエリスは座っていた椅子ごと体をこちらにまわした。 「私のここに……ソウマ様を……ください」 エリスの指が、彼女の秘裂を割り開く。 そこは既にとろとろに濡れそぼっていた。 「エッチな体でごめんなさい……でも、もう我慢できないんです……」 そんな体にしたのは貴族達であって君のせいではない。あぁ、また怒りがこみあ げてきた。 確かに……今私がやっていることは、他の連中とあまり変わらない。 私はそれ故にエリスを抱くことを拒んだ。しかし、今は違う。 エリスが私を受け入れ、私自身も自分を偽れなくなった今…… 私は連中の様に『物』としてではなく、『大切な人』として、エリスを抱く。 行為自体は同じだが、そこにある思いは全然別物だ。 「エリス……痛かったら言ってくれ」 「はい……」 最初からガチガチに斬馬構えをとっていた愚息をあてがう。 「行くぞ……?」 「はい…ぁ……」 最後の確認をとって、そしてゆっくりと突き入れ、動かす。 「ぐぅ……!」 「っあぁ!……あぁ…ソウマ様の…大きいのが……なかに……!」 ぬちゃりとねばっこい音が浴室に響く。あぁ、とうとう一線を越えたのだな。 と、ゆっくりその余韻を味わいたいが、生憎私にはそんな余裕が全くない……! 私とエリスの体格差のせいか、はたまたエリスが無理矢理覚えさせられた『技』 のせいか…… どちらにせよ、エリスの膣内が私を容赦なく攻めたててくる。 搾りとる……という表現よりもむしろ、圧殺の方が近いかもしれない…… 情けない話だが、あまり長くは持たないだろう。 「あっ!?きゅっ……はぁぁ…!ソウマ…様っ…そんな…いきなり激し……あ! 」 「ぐっ……本当にすまない…!あまり持ちそうにないんだ……!」 私に残された道はひとつ。時間がないなら早くやるしかない……! 「ふぁっ…あぁっ!ソウマ様…ソウマ様あぁ!!」 「エリス……エリス!!」 互いの名を呼びながら、更動きがに加速する。 速さ故にエリスに苦痛を伴わないか不安だったが、表情を見る限り大丈夫らしい 。 赤く、蕩けた表情を浮かべるエリスが愛しい。どうしようもない程に。 「エリス……好きだ、愛している……!誰よりも……!」 理性が飛ぶとこうも恥ずかしい言葉が飛び出るのか、私は…… だが、嘘ではない。本心だ。 「んっ…!ソウマ様…私も、大好きです!愛しています……っ!」 そして再び、どちらからともなく口付けを交わす。 互いに繋がり、互いに舌を絡め、互いに腕をまわして、互いに全身で今この時を 感じる。 なんとも言えない温かさ、心地好さ。離したくない、けれど至福の時こそ時の流 れは早い。 「あっ…あぁ、あぁぁ!!ソウマ様!私、私……!」 「ぐっ……エリス…私も……!」 「「―――――――――っっ!!!」」 ほぼ二人同時に限界を向かえたが、私は直前に居合の応用で神速で引き抜いたた め、 私の白い欲望はエリスの顔やお腹、その全身を盛大に汚した。 「ソ…ソウマ様、自分でできますよ!」 「いや、私の責任だからな…私が洗わなくては…… そもそも婚姻前に、それもこんな場所で致してしまうこと自体がサムライとして だな……」 事が終わり、暫し余韻に浸ったあと、私はエリスの体を洗っていた。 精液は時間が経つと乾いてこびりつく。髪についてしまったものは特に早く落と さねばならない。 しかしここが浴室なのが幸いだった。すぐに洗い流せる。 待て……私はなに自分のしでかした行動を正当化しようとしているんだ!? 本来なら、婚姻後、まともな場所ですべき行為だというのに!もし中にまで出し ていたら… 「んっ……はぁ…ソウマ様ぁ……」 ……待ちなさいエリス。なんでそんな甘い声をあげる? ……あぁ、いつの間にか体を洗っていたタオルがエリスの胸の位置にあるじゃな いか。 ……あぁ、それに擦られてエリスのかわいい胸の先端がぷっくりとしているじゃ ないか。 ……あぁ、なんか居合したばっかりなのにもう斬馬構えに戻っているじゃないか 。 ……あぁ、あぁ…あぁ……あああぁぁぁ………!!! 「もう私、駄目かもしれないな……」 「だ、大丈夫ですよ!その…凄く気持ちよかったし……ソウマ様に求められて… 嬉しかったです」 「そういう問題ではなくだな……」 二度目の行為が終わった後、私とエリスは浴槽に肩まで入りあたたまっていた。 ……あえて何も語るまい。 精神修行出来てる出来てない以前の問題だ。再び外に出したのが唯一の救いか。 本来ならば即自害したいところだが…… 「……エリスを守るためにも、精神を鍛えて、立派なサムライにならぬとな…… 」 そう。私はエリスを守り、愛することを約束した。 その約束、誓いだけは、絶対に破ってはいけないし、破る気もない。 だから私は生きる。あえて生き恥じを晒す道を選ぶ……! 「私も、ソウマ様をお助けできるように、精一杯努力します!」 「ありがとう…… いつか……いや、まずは目の前の問題からだな」 目の前の問題。竜。ドラゴン。 この者達がこの星に存在する限り、人類に平和は訪れない。 今もきっとどこかで、犠牲者は出ている。 一刻も早く、竜を排除しなくてはならない。人類の、エデンの平和のために。 そして、いつかエリスと共に暮らすためにも…… そしてそれは、決して実現不可能なことではない。 各地のハントマンにより竜の個体数は減少し、さらにカザン英雄ギルド【ユグド ラシル】 の活躍により、竜の長、帝竜は残り四体。 空帝竜インビジブル、炎帝竜フレイムイーター、地帝竜ジ・アース、艦帝竜ドレ ッドノート… ……そうえば、私と父上が旅立ったあの日、黒帝竜が討伐されたのだったな…… 『あれがカザンの英雄か!ソウマ!私達も帝竜を早く退治するぞ!』 『父上、帝竜よりも配下の竜の方が厄介では?町を襲うのは配下の方です。 帝竜は強大ですが、自ら動くことはあまりないと聞きます』 『確かに、お前の願いである町や村の人々の救済のためには配下を潰した方がい いかもしれない。 だが、数が多い。倒してもきりが無い。帝竜によって新たな配下を送られるかも しれん。 だが長である帝竜を潰せば、配下共は取り乱すし、フロワロも一瞬で消え去る。 早く平和な世に戻したいなら、帝竜を潰した方が早いと思うがな。名声も手には いるし!』 『父上……それが本音ですか?』 そうだ、あの日確かに父上は言っていた。 ……早く平和にしたいなら帝竜を倒せ、か…… 「エリス……私は、帝竜に勝てると思うか?」 「え?」 「【ユグドラシル】に任せておけば……多分大丈夫なのだろう。 だが、一刻も早く平和を取り戻すために……エリスと安心して暮らせるように… … 私も帝竜を討とうと思う。……私は人任せも嫌いなものでね」 トンボ竜に苦戦している私に、本当に倒せるかは甚だ怪しいが…… 「……ソウマ様、貴方一人にそんな危険な事はさせません。私も思いは同じです 。 ソウマ様に守られてばかりというわけにもいきません。私もソウマ様をお守りし ます!」 「……本当にすまないな、エリス。ありがと ガラリッ! 謝罪と感謝の言葉を言おうとした瞬間、浴室の扉が再び開いた。 ま……まさか…… 「お兄ちゃん、お姉ちゃん!私だっているよ……!」 「なぁっ!?」 「リリリリアさんっ!?どうして……!?」 あぁ、やっぱりか!リア、何故寝ていないんだい…… 「ルシェは耳がいいの。……お風呂場からお兄ちゃん達の声が聞こえたから…… きてみたら…その…二人とも………………」 リアがそこで黙ってしまうが、何を言いたいかはわかる! つまり最初から私達の会話が聞かれていた!? 「あ、あの、リアさん?これは抜け駆けとかじゃなくて、その……」 「慌てなくても大丈夫だよ。お姉ちゃんの片想いならまだ望みはあったけど…… 両思いなら…私なんかが邪魔するわけにはいかないもん……」 リアの垂れた耳が、更に垂れてしまった。 そうか……リアも私の事を…… 「でも、お兄ちゃんもお姉ちゃんも幸せそうだから私も嬉しい……! 二人とも私の大切な人。竜が二人の幸せの邪魔をするなら、私も帝竜倒すね…… !」 リア……君まで……本当にすまない…… 『黙って聞いてるわけにはいかない!僕だって、お二方を援護しちゃいます!』 ん? 「リアさん……?」 「違うよ……?男の人の声…?でもお兄ちゃんじゃないし……」 「この声……まさか……」 ガシャーン! 浴室の窓を粉砕し、黒衣の者が飛込んできた。こ…この男は……! 「ソウマ様!羨ましいですよ!こんな可愛いふわふわ耳の子としっぽりするなん て! お二方の幸せを祈って、私も援護させていただきます!」 ななななんと 「待て待て待て!待たぬか店主!」 「あっ……このおじちゃんさっきのお店の……!」 現れたさらなる乱入者、それは夕方私達が買い物を楽しんだ万屋の店主だった。 ……待てよ。リアはともかく、何故店主がここに?まさか…… 「店主、何故ここにいる?経緯を細かく教えて貰いたい」 「いや、代金の回収に来たらですね、玄関扉の鍵がちょっと面倒だったんで、 別ルートを探してたら、ここの窓が侵入しやすそーだなーと思いましてね? そうしたらなんという幸運!お二方が 深夜の浴室にて、近所迷惑極まりない爆音が轟いた。 「いや…ホントすみませんでした三人とも……わざとじゃないんです…… 服の代金も結構です……例のブツは近場の海にありますんで…それじゃ失礼しま す……」 拳と魔弾と鞭を喰らい、ボロ雑巾と化した店主をとりあえず釈放する。 「うぅ……ずっと見られていたなんて……」 「贈り物がなかったら、もっと鞭で叩いてたよ……」 店主の援護、贈り物。それは船と帝竜の情報だった。…なかなか豪華な贈り物だ 。 店主の情報、それから船の入手……これらより、最初に狙う帝竜は…… 「艦帝竜ドレッドノート……私の国の遺跡近辺を縄張りにしてるみたいだね…… 」 「確かマレアイアには貴重な忘却の海玉があるらしいな。 それがあれば、私もやっと刀を手にとれるわけか……よし、二日後、マレアイア に向かおう。 二人とも、今日はもう夜遅いし、早く寝るとしよう」 色々な事があった、長い長い一日が、ようやく終わりを告げる。 だが二日後…時間的には明日からはキツイ旅の幕開けとなる。 不安はある。だが、守るべきもののために、私は歩みを止めない。 いつか、いつの日か……その夢のために…… 「ねぇお兄ちゃん……愛人関係って駄目かな?」 「リアさん!?」 「いや流石にそれは……」 問題山積みだが、今は考えるよりも眠るとしよう…… …… こんばんは。折角なので便乗させていただきます。 【ソウマ】 サムライ→最強装備はなんだろう?→星眼→青眼の構えから?→青を蒼にしてみよう→ 蒼眼→読み方を一部変えてみよう→蒼ソウ眼マ(ナコ)→ソウマ 【エリス】 蒼眼…蒼っていったら水のイメージだな→みずがめ座→アクエリアス→長い→ 一部の文字を使おう→(アク)エリ(ア)ス→エリス 【リア】 実は最初、メンバーはソウマとエリスだけにするつもりだったのですが、 実際に二人旅をやって、裏ダンの『アイツ』らの圧倒的攻撃力の前に挫折 ( ヘイズ戦でも若干挫折しかかった。全滅42回もしたので)→ ナイトかプリンセスを追加した三人旅決意→プリンセス追加→折角だし作中でもだそう→ エリスと同じ感じにしたいな→再びアクエリアスから一部を使う→(アクエ)リア(ス)→リア キャラ名はこんな感じです。基本主人公の名前から他のキャラの名前が派生します。 なかなか思い付かない場合は人名辞典からそのまま使います。いつでもその時の気分で決定。 ギルド名は作中では『無名』(そもそも正式登録していないので、実はギルドですらない) ですが、いずれギルド名はつけると思います。 では
https://w.atwiki.jp/seventhdark/pages/86.html
セブンスチェックについて 一日一回診断できます。 日付変更時間は24:00です。 診断した日の23:59までにゲームにログインしないとアイテムは貰えません。 獲得したアイテムはモール内の購入済み欄に入っています。 セブンスチェック賞品アイテム一覧 期間 2017.03.30~2017.04.27 12:00 オサキの書の切れ端(1個) オサキを契約をすることができる書の切れ端。書の切れ端10個でオサキの書になる。トレード不可。 御子の祝福(1日)★(1個) 使用するとモンスターを倒して得られる経験値を10%、ドロップ率が5%、移動速度が5%増加する。トレード不可。 女神の祝福(1日)★(1個) 使用するとモンスターを倒して得られる経験値が20%増加します。トレード不可。 5枠拡張バッグ★(1個) バッグまたは倉庫内の拡張枠に入れるとスペースが5枠増えます。 R6基礎強化クリスタル★(1個) RANK6以下のすべての部位に対して使用できる強化クリスタル。 覚醒変更石Ⅱ★(1個) 2段階覚醒能力を変更できる不思議な石。 バージニアのマジックツール(1個) 防具に魔法石用の穴を確実に開けることができる。トレード不可。。 チビチュンチュンといっしょ(1個) あなたの後ろをついて回るかわいいペット。移動速度とHPの上限が1%上昇する。トレード不可。 祝福石変更リキッド★(1個) 守護者の祝福石を変化させることのできる不思議な薬。 ダンジョン回数リセットスクロール★(1個) ダンジョンの残り入場回数をリセットできます。 中級ミラクルダイス(1個) ボスモンスター討伐時、獲得できるアイテムが2つ増える。 初級ミラクルダイス(1個) ボスモンスター討伐時、獲得できるアイテムが1つ増える。 R3潜在覚醒グリーンオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル46~55の未覚醒武器に対して使用できる。 R2潜在覚醒グリーンオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル46~55の未覚醒武器に対して使用できる。 R1潜在覚醒グリーンオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル46~55の未覚醒武器に対して使用できる。 R3潜在覚醒ホワイトオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル31~45の未覚醒武器に対して使用できる。 R2潜在覚醒ホワイトオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル31~45の未覚醒武器に対して使用できる。 R1潜在覚醒ホワイトオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル31~45の未覚醒武器に対して使用できる。 R4洗練クリスタル(武器)(1個) Lv59以下の武器に少量の洗練経験値を獲得できるクリスタル。 R4洗練クリスタル(防具)(1個) Lv59以下の防具に少量の洗練経験値を獲得できるクリスタル。 R3スティグマ強化クレスト(1個) 少量の洗練経験値を獲得できる強化クレスト。洗練度が120%~129%のスティグマに対して使用できる。 HPエリクシル★(1個) 使用すると1秒毎にHPを5%回復する特殊なポーション。 聖なる羽毛★(1個) 不思議なエネルギーを持つ神秘の羽毛。その場でただちに復活できる。 マルチパスセット(1個) 使用すると各種パスを一つづつ獲得できるセット。 Sチケット50★ (1個) 使用するとSチケットを50枚獲得できる。 Sチケット20★ (1個) 使用するとSチケットを20枚獲得できる。 EXP辞典★(1個) キャラクター経験値を獲得できる。 ワールドメガホン★(1個) 世界チャットでの発言が可能なメガホン。同じワールドの全Chに発言が発信される。 ラクームコイン★(1個) 神都メルバーレンのアイテムトレーダー「アウルム」を通じて別のアイテムと交換できるコイン。 ルーレットマネー1回利用券★(1個) セブンスルーレットを利用するために必要なマネー。 使用するとルーレットマネーの残高が1増えます。 期間 2017.02.23~2017.03.30 12:00 ブリュンヒルデの書の切れ端(1個) ブリュンヒルデを契約をすることができる書の切れ端。書の切れ端10個でブリュンヒルデの書になる。トレード不可。 御子の祝福(1日)★(1個) 使用するとモンスターを倒して得られる経験値を10%、ドロップ率が5%、移動速度が5%増加する。トレード不可。 女神の祝福(1日)★(1個) 使用するとモンスターを倒して得られる経験値が20%増加します。トレード不可。 5枠拡張バッグ★(1個) バッグまたは倉庫内の拡張枠に入れるとスペースが5枠増えます。 R6基礎強化クリスタル★(1個) RANK6以下のすべての部位に対して使用できる強化クリスタル。 覚醒変更石Ⅱ★(1個) 2段階覚醒能力を変更できる不思議な石。 バージニアのマジックツール(1個) 防具に魔法石用の穴を確実に開けることができる。トレード不可。。 チビチュンチュンといっしょ(1個) あなたの後ろをついて回るかわいいペット。移動速度とHPの上限が1%上昇する。トレード不可。 祝福石変更リキッド★(1個) 守護者の祝福石を変化させることのできる不思議な薬。 ダンジョン回数リセットスクロール★(1個) ダンジョンの残り入場回数をリセットできます。 中級ミラクルダイス(1個) ボスモンスター討伐時、獲得できるアイテムが2つ増える。 初級ミラクルダイス(1個) ボスモンスター討伐時、獲得できるアイテムが1つ増える。 R3潜在覚醒グリーンオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル46~55の未覚醒武器に対して使用できる。 R2潜在覚醒グリーンオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル46~55の未覚醒武器に対して使用できる。 R1潜在覚醒グリーンオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル46~55の未覚醒武器に対して使用できる。 R3潜在覚醒ホワイトオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル31~45の未覚醒武器に対して使用できる。 R2潜在覚醒ホワイトオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル31~45の未覚醒武器に対して使用できる。 R1潜在覚醒ホワイトオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル31~45の未覚醒武器に対して使用できる。 R4洗練クリスタル(武器)(1個) Lv59以下の武器に少量の洗練経験値を獲得できるクリスタル。 R4洗練クリスタル(防具)(1個) Lv59以下の防具に少量の洗練経験値を獲得できるクリスタル。 R3スティグマ強化クレスト(1個) 少量の洗練経験値を獲得できる強化クレスト。洗練度が120%~129%のスティグマに対して使用できる。 HPエリクシル★(1個) 使用すると1秒毎にHPを5%回復する特殊なポーション。 聖なる羽毛★(1個) 不思議なエネルギーを持つ神秘の羽毛。その場でただちに復活できる。 マルチパスセット(1個) 使用すると各種パスを一つづつ獲得できるセット。 Sチケット50★ (1個) 使用するとSチケットを50枚獲得できる。 Sチケット20★ (1個) 使用するとSチケットを20枚獲得できる。 EXP辞典★(1個) キャラクター経験値を獲得できる。 ワールドメガホン★(1個) 世界チャットでの発言が可能なメガホン。同じワールドの全Chに発言が発信される。 ラクームコイン★(1個) 神都メルバーレンのアイテムトレーダー「アウルム」を通じて別のアイテムと交換できるコイン。 ルーレットマネー1回利用券★(1個) セブンスルーレットを利用するために必要なマネー。 使用するとルーレットマネーの残高が1増えます。 期間 2017.01.25~2017.02.23 12:00 ディズワットの書の切れ端(1個) ディズワットを契約をすることができる書の切れ端。書の切れ端10個でディズワットの書になる。トレード不可。 ブリュンヒルデの書の切れ端(1個) ブリュンヒルデを契約をすることができる書の切れ端。書の切れ端10個でブリュンヒルデの書になる。トレード不可。 御子の祝福(1日)★(1個) 使用するとモンスターを倒して得られる経験値を10%、ドロップ率が5%、移動速度が5%増加する。トレード不可。 女神の祝福(1日)★(1個) 使用するとモンスターを倒して得られる経験値が20%増加します。トレード不可。 5枠拡張バッグ★(1個) バッグまたは倉庫内の拡張枠に入れるとスペースが5枠増えます。 R6基礎強化クリスタル★(1個) RANK6以下のすべての部位に対して使用できる強化クリスタル。 覚醒変更石Ⅱ★(1個) 2段階覚醒能力を変更できる不思議な石。 バージニアのマジックツール(1個) 防具に魔法石用の穴を確実に開けることができる。トレード不可。。 チビチュンチュンといっしょ(1個) あなたの後ろをついて回るかわいいペット。移動速度とHPの上限が1%上昇する。トレード不可。 祝福石変更リキッド★(1個) 守護者の祝福石を変化させることのできる不思議な薬。 ダンジョン回数リセットスクロール★(1個) ダンジョンの残り入場回数をリセットできます。 中級ミラクルダイス(1個) ボスモンスター討伐時、獲得できるアイテムが2つ増える。 初級ミラクルダイス(1個) ボスモンスター討伐時、獲得できるアイテムが1つ増える。 R3潜在覚醒グリーンオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル46~55の未覚醒武器に対して使用できる。 R2潜在覚醒グリーンオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル46~55の未覚醒武器に対して使用できる。 R1潜在覚醒グリーンオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル46~55の未覚醒武器に対して使用できる。 R3潜在覚醒ホワイトオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル31~45の未覚醒武器に対して使用できる。 R2潜在覚醒ホワイトオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル31~45の未覚醒武器に対して使用できる。 R1潜在覚醒ホワイトオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル31~45の未覚醒武器に対して使用できる。 R4洗練クリスタル(武器)(1個) Lv59以下の武器に少量の洗練経験値を獲得できるクリスタル。 R4洗練クリスタル(防具)(1個) Lv59以下の防具に少量の洗練経験値を獲得できるクリスタル。 R3スティグマ強化クレスト(1個) 少量の洗練経験値を獲得できる強化クレスト。洗練度が120%~129%のスティグマに対して使用できる。 HPエリクシル★(1個) 使用すると1秒毎にHPを5%回復する特殊なポーション。 聖なる羽毛★(1個) 不思議なエネルギーを持つ神秘の羽毛。その場でただちに復活できる。 マルチパスセット(1個) 使用すると各種パスを一つづつ獲得できるセット。 Sチケット50★ (1個) 使用するとSチケットを50枚獲得できる。 EXP辞典★(1個) キャラクター経験値を獲得できる。 ワールドメガホン★(1個) 世界チャットでの発言が可能なメガホン。同じワールドの全Chに発言が発信される。 ラクームコイン★(1個) 神都メルバーレンのアイテムトレーダー「アウルム」を通じて別のアイテムと交換できるコイン。 ルーレットマネー1回利用券★(1個) セブンスルーレットを利用するために必要なマネー。 使用するとルーレットマネーの残高が1増えます。 期間 2016.12.15~2017.01.25 12:00 ブリュンヒルデの書の切れ端(1個) ブリュンヒルデを契約をすることができる書の切れ端。書の切れ端10個でブリュンヒルデの書になる。トレード不可。 御子の祝福(1日)★(1個) 使用するとモンスターを倒して得られる経験値を10%、ドロップ率が5%、移動速度が5%増加する。トレード不可。 女神の祝福(1日)★(1個) 使用するとモンスターを倒して得られる経験値が20%増加します。トレード不可。 5枠拡張バッグ★(1個) バッグまたは倉庫内の拡張枠に入れるとスペースが5枠増えます。 R6基礎強化クリスタル★(1個) RANK6以下のすべての部位に対して使用できる強化クリスタル。 覚醒変更石Ⅱ★(1個) 2段階覚醒能力を変更できる不思議な石。 バージニアのマジックツール(1個) 防具に魔法石用の穴を確実に開けることができる。トレード不可。。 チビチュンチュンといっしょ(1個) あなたの後ろをついて回るかわいいペット。移動速度とHPの上限が1%上昇する。トレード不可。 祝福石変更リキッド★(1個) 守護者の祝福石を変化させることのできる不思議な薬。 ダンジョン回数リセットスクロール★(1個) ダンジョンの残り入場回数をリセットできます。 中級ミラクルダイス(1個) ボスモンスター討伐時、獲得できるアイテムが2つ増える。 初級ミラクルダイス(1個) ボスモンスター討伐時、獲得できるアイテムが1つ増える。 R3潜在覚醒グリーンオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル46~55の未覚醒武器に対して使用できる。 R2潜在覚醒グリーンオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル46~55の未覚醒武器に対して使用できる。 R1潜在覚醒グリーンオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル46~55の未覚醒武器に対して使用できる。 R3潜在覚醒ホワイトオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル31~45の未覚醒武器に対して使用できる。 R2潜在覚醒ホワイトオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル31~45の未覚醒武器に対して使用できる。 R1潜在覚醒ホワイトオーブ(1個) 少量の覚醒経験値を獲得できるオーブ。レベル31~45の未覚醒武器に対して使用できる。 R4洗練クリスタル(武器)(1個) Lv59以下の武器に少量の洗練経験値を獲得できるクリスタル。 R4洗練クリスタル(防具)(1個) Lv59以下の防具に少量の洗練経験値を獲得できるクリスタル。 R3スティグマ強化クレスト(1個) 少量の洗練経験値を獲得できる強化クレスト。洗練度が120%~129%のスティグマに対して使用できる。 HPエリクシル★(1個) 使用すると1秒毎にHPを5%回復する特殊なポーション。 聖なる羽毛★(1個) 不思議なエネルギーを持つ神秘の羽毛。その場でただちに復活できる。 マルチパスセット(1個) 使用すると各種パスを一つづつ獲得できるセット。 Sチケット50★ (1個) 使用するとSチケットを50枚獲得できる。 Sチケット20★ (1個) 使用するとSチケットを20枚獲得できる。 EXP辞典★(1個) キャラクター経験値を獲得できる。 ワールドメガホン★(1個) 世界チャットでの発言が可能なメガホン。同じワールドの全Chに発言が発信される。 ラクームコイン★(1個) 神都メルバーレンのアイテムトレーダー「アウルム」を通じて別のアイテムと交換できるコイン。 ルーレットマネー1回利用券★(1個) セブンスルーレットを利用するために必要なマネー。 使用するとルーレットマネーの残高が1増えます。
https://w.atwiki.jp/n4908bv/pages/2610.html
補足説明 蛾の形状の大きな翼を持つ、オレンジ色のドラゴン。 魔力の大きさはあの金紅竜や蒼玉竜に匹敵するかもしれない。 誘導弾の様に曲線を描くように光の束を撃ちしたり、酸のブレスを広範囲に霧吹きのように放っってくる。 関連種 スカラブドラゴン 初出 452話 識別結果(452,505,626,663,773話) 琥珀竜 モスドラゴン ??? ??? ??? ??? ??? ??? 琥珀竜 モスドラゴン Lv.35 イベントモンスター 魔物 睡眠中 戦闘位置:地上、空中、水中 ??? 琥珀竜 モスドラゴン ??? ??? ??? ??? ??? ??? 琥珀竜 モスドラゴン ??? ??? ??? ??? ??? ??? 琥珀竜 モスドラゴン ??? ??? ??? ??? ??? ???
https://w.atwiki.jp/nanadorakari/pages/26.html
ちゅういがき ・全力でネタです。 ・エロ? 何ですそれ? ・麻雀わかんないと多分わかんないです。 その日、学都プレロマには各国の首脳が集っていた。 カザンからは、ドリス大統領。 ミロスからは、エメラダ女王。 アイゼンからは、ソウゲン王。 ネバンプレスからは、ジェッケ代行。 マレアイアからは、セティス女王。 プレロマからは、ノワリー学長。 円卓のはずれには、オブザーバーとしてインビジブル子。 世界を動かす、そうそうたる面々であった。 拡大するグローバリズムのなか、もはや一国だけで国家は成り立たない。 ゆえに彼らはこの場に集い、自国の威信と権益を賭けて戦うのだ。 「次の議題は、マレアイアの入国条件緩和に関する提案です。 発案者のソウゲン王、詳細をお願いしますです」 司会進行を勤めるファロがソウゲン王を促す。 「マレアイアの政策は、時代錯誤的な逆差別であり、不平等だ。 マレアイアに男性が入島できないことによる機会損失は、日に日に拡大している。 マレアイアは因習を捨て、近代化すべきである。以上」 「セティス女王、反論をお願いするのです」 「マレアイアは、行く場を失ったすべての女性に対して開かれています。 あなた方の社会が、そういった哀れな女性を今後一切生み出さないというのであれば、 私たちは入島規制を見直しましょう」 セティス女王は毅然として言い放った。 「では、決を採るのです。ケツと言ってもお尻とは関係ありません、ドリス大統領」 「そこで俺か!?」 「ソウゲン王の提案に賛成の方は挙手を願います」 ソウゲンとノワリー、エメラダが手を挙げた。 プレロマはマレアイア遺跡の学術調査に男性職員を送り込めないことに、強い不満を持っている。 エメラダは、話はよくわかっていないが、とりあえず「不平等」に反応したらしい。 「ソウゲン王の提案に反対の方は挙手を願います」 セティスと――インビジブル子が手を挙げる。 「オブザーバー投票権を行使させてもらいます。あの温泉を無駄に混雑させたくはありませんので」 「そのほかの方は、棄権ということになるのです。 ではソウゲン様とエメラダ様、それからノワリーは卓につくのです。 セティス様とインビジブル子さんもお願いするですます。 数が合いませんので、規定によりセティス様とインビジブル子さんはおのおの1名、打ち手を召喚できます。 またソウゲン・エメラダ・ノワリーチームは、相談の上、1名を召喚してください」 「では、シャンドラを」 「ドリス大統領に入っていただきます。雪辱戦も兼ねたいものですから」 「雪辱って、インビジブル子、今回は仲間――いやすまん。俺が悪かった」 「我々はエメル様をお呼びしている」 「……いいのか、それ」 「ルール上、違反ではありませんです。ノワリーらしい陰険で陰湿で重箱の隅を突いた作戦です。 とっとと、A卓とB卓にご着席するです。ノワリーは特にさっさとするです」 かくして、A卓にはソウゲンとエメラダ、セティスとシャンドラが座った。 B卓はエメル・ノワリー、ドリス・インビジブル子が着座する。 「では、決議を開始するのです」 ファロの合図とともに、洗牌が始まった。 A卓では、開始早々に壮絶な激突が始まる。 口では何のかんの言いながら、中身は徹底した男尊女卑のソウゲン王。 その手合いの男を生理的に受け入れないシャンドラ。 この二人は、文字通り、水と油だった。 6順目、ソウゲンからリーチが入る。セティスとシャンドラに緊張が走った。 (セティス様――!) (動揺してはなりません、シャンドラ。打ちあわせ通りに) (は、はい) シャンドラが白を切り、それをセティスが鳴く。一発が消えた。 「ほう、ほう、ほう、ほう、一発消しか! 目先の点棒が大事なのですな。 だが、目の前に見える1飜を追ったところで、悠久の大河の流れは変えられん」 言いながら、ソウゲンがツモ牌を卓上に滑らせる。 「ツモだ、お嬢さん方。8000」 「ツモったというなら、牌を倒してから言うんだな。 そもそも、まだツモ牌が何かを見ていないうちからツモ宣言とは。チョンボは12000だぞ」 シャンドラが食ってかかる。 「ほう、ほう、ほう、ほう。ならばご覧に入れよう」 ソウゲンが手牌をパタパタと倒していく。高め3色ドラ1の聴牌。 「そして――ツモだ」 ソウゲンがツモ牌を表に返すと、確かにそこには3色を成立させるツモがあった。 「うわあ、凄いですねぇ、ソウゲン王! これ、盲牌ってやつですよね!」 「似たようなものです、エメラダ女王」 無邪気にはしゃぐエメラダ。シャンドラは苦虫を噛み潰したような渋面をしている。 だが、セティスの心はその程度では折れない。 初手の①をツモ切ると、それ以降、手出しで河に②、③と並べていく。 ⑨まで並んだところで、ソウゲンがたまりかねて声を荒げた。 「セティス女王陛下、あなたは――舐めていらっしゃるのかな」 セティスの目が正面からソウゲンの双眸を捕らえる。 「何を怯えておられます?」 ソウゲンは押し黙った。そして不機嫌なまま、Ⅸをツモる。ドラ。だが、使いようのないドラだ。 (頭になるのを待つ――それはない。既にメンツオーバー気味なんだ) (単騎。ありえん。タンヤオしか知らんエメラダは放銃するかもしれんが、エメラダから上がっても意味がない) (切る。それもない。シャンドラがチャンタ気味に見える。鳴かれてはかなわん) (セティスは……無視していいだろう。あんな麻雀があるか) (ならば、抱え死に。それでいい。どうせたいした手ではない。オリだ、オリ) 考えがまとまろうとしたそのとき、するりとセティスの声が心に忍び込んだ。 「悩むなら切ってしまえばいいのに」 促されるように、ソウゲンはⅨをツモ切る。 「――ロン。チャンタ、ドラ3、8000」 セティスが牌を倒し、ソウゲンは何気なく8000点を支払って―― そのとたん、ソウゲンの顔が真っ赤に染まった。 (この魔女め、仕掛けおった!) 一通を河に並べることで生まれた、疑いと、わずかな、わずかな恐怖。 そこに、魔力を持った声が、「リクエスト」したのだ。 ソウゲンは歯軋りしながらも、洗牌をはじめる。 たとえイカサマだろうと、現行犯で挙げられなかった以上、手遅れだ。 それに、これがイカサマであると、どうやったら証明できるというのか? 一方B卓は、別の意味で荒れていた。 「ツモ。タンヤオ、1000」 「ロン。タンヤオ、1000」 「ロン。中のみ、1000」 インビジブル子の速攻である。 3~4順あれば役満イーシャンテンが当たり前なメンツのなか(除くノワリー)、 インビジブル子は5順目にはほぼ確実に上がりきっている。 一度はドリスがダブリーをかけるも、ツモを鳴き崩して3順でタンヤオを上がりきった。 もちろん、ドリスは今回に限っては味方であるのだから、ドリスのダブリーを蹴る意味などない。 だがインビジブル子は、自分が勝つこと以外、眼中になかった。 エメルは苦笑いしながら直撃を避けて慎重に打ち、 ドリスは愉快そうな笑みを浮かべて大役を狙い続ける。 インビジブル子は無表情のままタンヤオを上がり続ける。 彼らは、ファロ曰く「雀力カウンターが振り切っちゃう人たちなのです」なのだ。 ノワリーおいてけぼり。 だが、ついにエメルが動いた。 A卓は配牌も全自動で行われるが、B卓は卓が旧式のため、配牌は手動で行っている。 ドリスの鷹のような目は、エメルがインビジブル子の4トンに何かを積んだのを見逃さなかった。 だが、手を掴むには遅い。それに、仮に手を掴んだところで、あまり意味がない。 インビジブル子の手牌を開けて、それが5シャンテンだったとして、「だからイカサマだった」と言えるだろうか? 何かが積まれるたびに、エメルの手が常軌を逸して良くなっているなら、まだいい。 それすら2シャンテンだったりしたら、言いがかりをつけたほうが不利だ。 エメルは3回に渡ってインビジブル子の4トンに細工をしたが、ドリスはそれを見逃すしかなかった。 ドリスは手牌をもう一度確認する。チートイのイーシャンテン。格別良くはないが、悪くもない。 ならばスーアンを狙いつつ、最低でもチートイドラ2か、ホンイツチートイを狙う。そう決めて、五を切った。 ノワリーがツモり、河に①を落とす。 インビジブル子は、黙って⑨を手出し。 エメルは軽く微笑むと、南をツモ切り。 (エメル――何を考えている? 何を仕掛けた?) ドリスは必死で思考をまとめようとする。 だが、まるで想像がつかない。山をいじったのだから、テンホーか、それに近い何かがあっても不思議ではない。 いや、山をいじるというリスクを犯したからには、それくらいの何かがないというのは、むしろ異常だ。 ただ単にインビジブル子の速攻を封じるために山に触ったのなら、 インビジブル子の配牌を乱すより、自分の配牌を良くしたほうがいい。 (おかしい。何かが――何かがおかしい。何だ? 何が起こっている?) エメルの仕掛けは、すぐに判明した。 「ツモ。タンヤオ」 インビジブル子が手を倒す。 ③③ ④⑤⑥ ⑤⑥⑦ 三三三 ⅢⅢⅢ ドリスはぎょっとしてインビジブル子の河を確認する。 ⑨が3枚ある。河だけみれば、彼女が不調なときに出現する河。だが⑨はいずれも手出しだった。 ――おそらく、インビジブル子の配牌+第1ツモは ③③ ⑤⑤⑥ ⑨⑨⑨ 三三三 ⅢⅢⅢ こういう状態だったのではないだろか? 彼女はここで⑤を切ってダブリー三暗刻を狙ってよいし、 常識的に言えば⑥を切ってツモスーを狙ってもよかった。 ツモスー聴牌にとって③で出上がりでも、勝負は決まる。 だが、これが罠であることを、彼女は瞬時に見抜いた。 おそらくエメルは、⑤⑥待ちで手牌を調整していたのだろう。 (かといって! ほぼ間違いなくアタリだと分かっていても、四暗刻聴牌を1000点に崩せるか!? ③に手をかけて三暗刻に浮気しながら回るのでもなく、純粋に速度だけを求めてタンヤオに、だぞ!? いかんな、ドリス! もう少し、真剣にやらねば。インビジブル子に申し訳がたたんぞ) A卓は、少しずつソウゲン王が卓を支配しつつあった。 セティスとシャンドラにとって、ソウゲン王は、実はあまり問題ではない。 本当に問題なのは、エメラダだった。 エメラダは、タンヤオとホンイツしか知らない。 だが意味不明なまでに大量に絡みまくるドラのせいで、その打点は恐ろしく高い。 エメラダへの振り込みを恐れて手を縮めると、ソウゲンが走って上がる。 この繰り返しは、マレアイア組の気力と体力を着実に奪っていた。 (セティス様、このままでは――) (耐えなさい、シャンドラ。麻雀は忍耐のゲームです) (で、でも、どうにかして反撃しないと) (シャンドラ!) セティスの叱咤を感じつつ暗澹とした気分で手牌を開いたシャンドラだが、 そこに広がっている風景を見て一気にその表情が明るくなる。 (いける! ホンイツチートイのイーシャンテン!) と、そこでソウゲンが笑いながら声をかけた。 「ほう、ほう、ほう、ほう、随分良い手が入ったようですな、警備兵どの。 あなたは実に女性らしい分かりやすさがあって、助かりますぞ」 「隠し事をしないのはとても素晴らしい美徳ですわ、シャンドラさん」 エメラダの屈託ない声がシャンドラの神経を逆なでする。 ソウゲンの挑発だけだったら、彼女は耐えただろう。 だがエメラダの一言が、彼女の忍耐の鍵を吹き飛ばした。 (ふざけるな! ふざけるなよ!) (貴様ら――貴様らのような――貴様らのようなやつらが、 その笑顔の下で知らず知らずに踏みつけにした人々を―― 何の力もなく、最後に残った勇気をかき集めて逃げてきた彼女たちを―― 守っているのは、私たちだ!) (貴様らは、いつだってそうだ! はじめは、「女の子なんだから、そんなに頑張らなくていいんだよ」 それでも努力すれば、「女の子なのに、よく頑張るね、すごいね」 けれど血の滲むような訓練の先に、対等以上に渡り合える力を手に入れてみれば、「女のくせに」だ!) (弱ければよかったのか!? 適当に自分の優位を見せ付けられる程度に弱ければ、それが良かったのか!? 女は、貴様らの価値を引き立たせるための、飾りだとでも言うのか!?) 怒りのままに、シャンドラは第1ツモを取る。 そこには、まるで天命のように聴牌した牌姿があった。 流れるような動作で牌をとり、横にして卓に叩きつける。 「ダブル・リーチ!」 ――だが、ソウゲンは不敵な笑みを浮かべていた。 「ほう、ほう、ほう、ほう。怖い、怖いな。実に怖い。何が安全牌かも分からんなあ」 そういいながら、シャンドラが切ったⅦを河に放る。 「はん、回ったところで、私は確実にツモる」 「ほう、ほう、ほう、ほう、勇ましいな。だが、その自信はどこからくるのかな?」 「ええと、お話中すみませんけど、それカンです」 エメラダの声がかかった。ドラ4。 さっと、シャンドラの顔から血の気が引く。セティスは天を仰いだ。 「えい、と。ああ、残念。じゃあこれいらなーい、でーす」 エメラダが白を河に置く。 「ポン。ではもう一度回らせていただくかな」 ソウゲンがⅦを放った。 セティスがようやく初ツモを取り、白を捨てる。 エメラダがツモって、嬉しそうに「カン!」と叫ぶ。ドラは8になった。 顔面蒼白になったシャンドラが、震える手でⅢをツモり、ぽろりと河に落とす。 「ロン!」 エメラダから元気の良い声がかかった。 シャンドラの両目からどっと涙がこぼれ、卓をぬらした。 B卓は、終盤にさしかかっていた。 点差は、無いに等しい。けれどインビジブル子の速度は、点数的な僅差などものともしなかった。 ドリスはついに決断する。このままでは麻雀にならない。なんとかして、彼女を止めねばならない。 ドリスはエメルと目配せし、そこに同意が成立した。 ここは、人間の首脳会議だ。竜がトップを取るなど、許すわけにはいかない。 ドリスとエメルが、インビジブル子の4トンに次々に「仕掛け」をしていく。 老練の技を持つ二人である。わずかな怪しさを感じさせはしても、手を掴ませるような失態は犯さない。 そうするうち、配牌が終わった。 インビジブル子の手には、ヤオチュウ牌とオタ風がランダムに集まっているはずだ。 そしてそれは、国士にはあまりに遠く、かといってチャンタにもまた遠い、そんな手のはずだ。 ――はずだった。 牌を開く、その一瞬、風が動いた。 卓の全員(除くノワリー)が、何が起こったかは理解した。 だがそれでもなお、彼女はあまりにも速かった。 「こざかしいですね、人間というのは。これが瞬動(ゴッドスピード)というものです」。 インビジブル子が、そっと呟く。 グダグダになっていた彼女の手牌は、目にもとまらぬ早業で、山とそっくり入れ替えられていたのだ。 人間界では「ツバメ返し」として知られるイカサマである。 「さすがに……ここでテンホーにはならないですね。ニャア姉さんみたいにはいかない……」 そう呟きながら、インビジブル子がダブリーをかける。 当然のような顔をして、ノワリーが一発で振り込んだ。 「ダブリー、一発、ドラ1裏1で8000。小細工をしたわりに、つまらないエンディングになりましたね」 「……どうかな? まだ勝負は終わっちゃいない」 「終わったも同然です。もちろん、あなたにはたっぷりと警戒させていただきますけどね、ドリス大統領」 南4が始まった。親はドリス。 だがドリスは配牌を閉じたまま、動かない。 両目を閉じ、物思いにふけっている。 「……どうしました、ドリス大統領。親が打ち始めないことには、ゲームは始まらない」 ふっと、ドリスが目を開けた。 「失礼。はじめよう」 ドリスが手牌を開ける。インビジブル子は、食い入るようにドリスの手元を見ている。 すり替えでテンホーはさせまいという意気がありありと分かる。 が――ドリスの手牌は、テンホーからは程遠かった。それどころか、聴牌にも遠い。 (やはり、か。くだらん小細工をした直後、こんな流れになっていても不思議ではない) (だがこれを受け入れねば。まずは現実を見るのだ、ドリス。 受けるべき罰は受けよ。そして――そこからが戦いだ。 インビジブル子より、速く。速さそのものを体現する彼女より、速く、だ!) このとき、ドリスの手牌は実に ① ③ ④ ⑦ ⑨ 四 八 八 Ⅸ Ⅸ 東 南 北 白 地平線の彼方に辛うじてチャンタが見える、そんな手だったと、記録は伝えている。 だが、ドリスはⅨを切った。 ノワリーがツモって、ツモ切り。インビジブル子は北を落とし、エメルは八を切った。 「ポン」 ドリスの声がかかる。 ドリスの額には、うっすらと汗が滲んでいた。わずかに震える手で①を落とす。 (速度。より速く。だが、絶対的な速度でインビジブル子に勝てるはずがない) (ならば、次元の違う速度こそが勝負の要諦。速度という概念よりも、速く!) 再び手順が巡り、ドリスは白をツモってくる。 (信じろ。自分の技を、速度を、信じるんだ) 6順が回って、インビジブル子が一瞬、牌を切る手に躊躇いを見せた。 が、すぐに手から白を落とす。 (聴牌か。常識ならば、あれをポン。だが、それではインビジブル子には勝てん。 その速度は、インビジブル子の速度。そのレベルで張り合う限り、勝ちはない) そしてドリスのツモは――図らずして、手の中には白があった。ドリスは静かに四を河に放つ。 ノワリーはツモ切り。 インビジブル子も――ツモ切った。 エメルがⅨを切る。 そしてドリスがツモを取り、 牌を倒した。 ③④⑤ ⑦⑧⑨ 白白白 (八八八) Ⅸ Ⅸツモ 場が凍りつく。 「……そ、そんな、安い、マグレみたいな、手なんかで―― しかもフリテン――な、なんでⅨ――普通に考えて四……」 「だがお前より速かったぞ、インビジブル子」 「ふーむ。ドリス、これはまさか、伝説の」 「知っているのか、エメル。そうだ。これが亜空間殺法。 単純な速度で勝てないなら、亜空間で勝負すれば、と思った」 「……たかが、たかが、わけのわからない鳴き麻雀で、 ちょっとくらい点棒を取り返した程度で――」 「そうだな、その通りだ。では続きをやろうじゃないか」 ドリスはにやりと笑った。その笑みに、卓は再び凍りついた。 そして―― 「御無礼、天和だ。俺の勝ちだな」 そのころ、A卓もまたゲームは終わりかけていた。 シャンドラの心は完全に折れてしまっていて、 「魔女」セティスといえども一人ではエメラダの圧倒的リードを崩すことなどできなかった。 だが、セティスは、負けられなかった。 ここで負ければ、マレアイアの平和は終わる。 何としても、勝たねばならなかった。 どんな手段を用いてでも。 彼女は、覚悟を決めた。 初手、手からドラの⑦を落とす。 2順目、またしても⑦を切る。 エメラダはきょとんとしている。彼女にとってドラは自然発生するものなので、その価値がイマイチわかっていない。 シャンドラは、女王のすることを呆然と見守るのみだ。 そしてソウゲンは一人、わずかなおびえを感じ始めていた。 (これは、国士。それ以外あり得ん) ソウゲンは、自分の能力の限界を知っている。 そんじょそこらの平民どもや、ろくな血筋を引かぬ貴族どもに、負けるソウゲンではない。 だが、このレベルの戦いとなったとき、彼は何度もその傲慢を現実のハンマーで打ち壊されてきた。 特にドリス=アゴートとかいう成り上がりには、徹底的に痛めつけられた。 だから――だから、彼はもう、自分がスーパーヒーローではないことを知っている。 リッケンがソウゲンを支持するようになったのも、 ソウゲンがそのことを心の奥底でちゃんと理解したからだ。 (落ち着け、ソウゲン。これは魔女の姦計。怯えを抱けば、また振り込みを要求される) (恐れるな、ソウゲン。つけこまれてはいかん。お前は偉大なアイゼン皇国の王なのだから!) (だが、それでもワシのこの心は、恐れを感じずにはおれん! 所詮、そういう男よ、己は) (否。よいのだ。それでよい。そう理解していれば、それでいいのだ。だから、ワシは負けぬ) ソウゲンはひとつ深呼吸をすると、南を切った。 (リクエストは、されるだろう。ワシは魔女に屈する。だがそのとき、振り込むべき牌がなければどうだ) (姦計には、王道を持って戦う。降りてやろうではないか、この勝負から。堂々と、王者のオリを見せてくれる) 三枚の⑦がセティスの手から放たれ、ようやくシャンドラの目にも生気がもどってきた。 (間違いない――セティス様は、国士を張っていらっしゃる。 そしてソウゲンはそれを恐れてる。この勝負、もらった!) だが、彼女の顔は自分のツモを見て蒼白になる。 彼女の手の中には、4枚目の白があった。 (なんで……なんで、こんな……ひどい。ひどすぎる。 私がセティス様に差し込んでも、チームトータルの点数は変わらない。 でもこれでは、セティス様の国士は成立しない) 場は淡々と進み、そしてついに運命の刻は訪れた。 「リーチ」 セティスの美しい声が響き、点棒がおかれる。 シャンドラの顔は、もはや死人のそれだった エメラダは難しい顔をして自分の牌とにらめっこをしている。 ソウゲンは、自分の手牌を見て、そこに1枚もアタリがないことを確認する。 ソウゲンの口から、長い安堵の溜息が漏れた。 (ふははは、情けないが予想通りワシの心は隙だらけじゃ。 来い、魔女。好きなことを言うがいい。 だが、ワシがお前に振り込むことは、物理的に不可能だ!) セティスが、そっとソウゲンに囁いた。 「ソウゲン様は、女性がお嫌いですか?」 「もちろん嫌いではないですよ、女王。あなたのように若くて美しい方であれば、なお。 ただまぁ、所詮、婢(はしため)の類ではありますな」 ソウゲンが自分を取り戻すのに、数秒の時間が必要だった。 (魔女め! いったい何を――) そして、ソウゲンは自分がとてつもない窮地に立ったことを知る。 「……ソウゲン様。今のお言葉、見逃すわけにはまいりませんわね」 エメラダの周囲に蒼い怒りのオーラが立ち上っている。 「い、いや、そ、その、い、いまの、は、ですな……」 「言い訳無用。セティス様があなたにその言葉そのものを無理強いしたわけではないのは、私にもわかります」 (クソ、クソ、クソ、クソ、クソ、このクソアマどもめがああああ! 落ち着けソウゲン、お前のやることはひとつ、降りろ。 堂々と、降りろ。王者にふさわしい、華麗で荘厳なオリを) (セティスは国士、エメラダは――タンヤオかホンイツしか知らん。 そうだ、⑧のアンコを崩すのはどうだ。 ⑦の壁がある以上、タンヤオの危険はほぼない。いや、ありえん。 エメラダの河はピンズで一杯だ。ホンイツも、ありえん。 当然、国士のセティスにもあたらん。そうだ、それで3順稼げる。⑧だ。⑧しかない) ソウゲンの手から⑧が零れ落ちた。 「ロン」 セティスが澄んだ声を発する。 「メンホン、中、ドラ1。12000」 「セティス様! 国士じゃ……」 「ご覧の通り、ただのホンイツです」 「っく、この魔女め。だが残念だったな、12000ではワシのトップは動かん」 「本当にそう思われます?」 そのとき、エメラダが牌を倒した。 「ロンでーす」 ソウゲンがびくりと身体を震わせる。 「えへん。ヴォルグに新しい役を習ってきました。トイトイ、でーす。トイトイのみー。 あ、ドリス大統領、そっち終わったんですかー。すみません、これ、何点ですか? ドラが全然なくって、マンガンにとどかなかったんですよー」 ドリスは首を振りながら苦笑いする。 「おお、わが麗しき女王陛下。最初に、ヴォルグ殿を罰しないとお約束ください」 「え? ええ、そりゃあ、まあ、いいですけど」 「その手は、四暗刻単騎といいます。役満です。ここのルールではダブル役満」 「ええええー。だって、ヴォルグは、『安くて簡単な手です』って」 「ですから、その、まあ、ヴォルグ殿のことは」 「はーい。なんか難しいんですね、トイトイって! 今度から気をつけます。とりあえずダブル役満でーす」 ソウゲンには、ぽかんと口をあけることしかできなかった。 「ソウゲン様のトビで終了ですます。トンだチームは自動的に主張権を失うのです。 B卓もマレアイア組の勝ちでしたので、この議題につきましてはソウゲン王の提案は却下されましたです」 ファロが議事終了を告げた。
https://w.atwiki.jp/7d2020-2/pages/26.html
アイドル イッキによる職業解説 ア イ ド ル ! ! ! これぞ新職業!仲間を自在に動かすワガママ☆ボーイ&ガール! アイドルは、ステータスこそ並みだが他の職業にはない離れ業をやってのける。 第一の特徴は…『オーダー』と『フォーメーション』だ。 オーダーは、仲間に行動を促す[[スキル]]だ。 攻撃させたり、スキルを使わせたり…まぁ、どのスキルを使うかは運次第だがな。 それからフォーメーションは、使用ターンのみ有効な[[状態変化]]だ。戦況に応じた体勢を整えることができる。 第二の特徴は…『フィーバー』だ。 アイドルは『フィーバーゲージ』を持っている。 このゲージは、スキルの使用や敵の攻撃を回避することで上昇する。 フィーバーゲージは、1~3まであってゲージによって、使用できるスキルが変わるんだ。 そういや、こんな都市伝説があったな… フィーバー3状態でスキルを使うとゲージを振り切って、スーパースターになれるとか… スーパースターってヤツは、神様に愛された超幸運野郎のことだ。『(♪)』のスキル効果が最高のものになる! アイドルの大きな特徴は以上だが、 他にも、攻撃スキル、補助スキルも合わせ持つスキルの宝石箱みたいな職業だ。 結 論 ! アイドルは『カリスマ司令官』! オーダーとフォーメーションで敵を翻弄せよ! 使用感 今作から追加された新職業。味方を意のままに操るアジテイター。本人の能力は平均的だが味方同士のシナジーを高めるスキルを多く取得する。 上手く運用すれば味方の行動を2倍並に出来ると言っても過言ではない。が、運は絡む。味方に特定のスキルのみを覚えさせる事である程度コントロールが可能。 HP・MDFはサムライと同等、MP・DEFはサイキックと同等、ATK・MATはトリックスターと同等・SPDはハッカーと同等。 攻撃を受けるよりも避けるタイプで、耐久力はハッカーに毛が生えた程度。運ゲーに持っていける面もあるが、ドラゴン戦だと2、3発で落ちることもあるので早め早めの回復を心がけたい。 防御面は運頼りだが、攻防に万能なスキルを持ち便利。 武器のメガホンはATKが高いものとMATが高いものがある。突撃グルーヴ系や絶叫金切りVはATK型が有効、その他の○○V系攻撃、癒しのバラードなどはMAT型が有効。 フィーバーについて アイドルは特定のスキルを行うとフィーバーゲージが出現し、蓄積したゲージ数により使用できるスキルが増加する。死亡で解除される。 4ゲージ貯めると、スーパースター状態に遷移し、全ステアップ+リジェネ(毎ターン50)+技威力上昇の効果ただしこのバフについては既にバフがかかっている状態だと効果がないので注意。 更に(♪)付きのスキルの効果が増し、スキル「XXXアクシデント」の効果がポジティブなもののみになる スーパースター状態は4ターン。経過するとフィーバーゲージは0に戻ります。 3ゲージ→4ゲージはランダム判定なので全然遷移しないことも。運が良ければ3ゲージになった直後にSS発動することもある。 ATK☆フォーム→SPD☆フォーム→CURE☆フォームで3ゲージまでは確定で遷移できる。 3ゲージ→4ゲージ(SS)はフィーバー付きならなんでもいいみたい?モスキートV・スルーリアクト・アンゼリカVの使用でも遷移する。 フィーバーゲージが出現している状態で敵の攻撃を回避してもフィーバーが貯まります。ゲージが出現していない状態で避けてもゲージ上昇効果は無い。また複数回攻撃を複数回避けてもゲージ増加量は1のみ。 混乱・錯乱した自分の攻撃を避けてもゲージ増加判定が発生する。 その他の備考 フォーメーション系のスキルの発動はエグゾースト状態の味方の行動より早い。奥義・秘奥義よりも早く発動するため、ダメージを2倍以上にする不動居をかけてからの奥義・乱れ散々桜にATK☆フォームのダメージ割合上昇を重ねるといった連携が可能。 またSPDフォームはシールドドラグなどが行ってくるカウンタースキルよりも発生が早い為、一方的に殴ることが出来る。 そのターン中(Exターン含む)の味方の全ての行動にフォームの補正がかかるのがメリットでもありデメリットでもあり。 オーダー系スキルはアイドル1人の1行動を消費する代わりに仲間2人の1行動を増やすというもの。味方の行動は本人の行動とは別に行われ、スキル使用時のMANA消費等も無い。ただし行動内容や対象は選べない。サムライの不動居、サイキックのコンセントレートは該当する行動を行った際には消費してしまう。 オーダー系スキルによる行動順は並び順に従う。睡眠追加武器持ちは最後尾に置くなどしないと行動阻害が狙い通りにいかないことも。 オーダーによる行動にもエグゾースト使用による火力等の増強は乗る。運に左右される部分はあるが、うまく行けばエグゾーストなしに比べて3倍強の効果を発揮できる。 スキル一覧 スキル名 効果/最大LV 解禁条件 備考 最大効果 消費MN LIFEボーナス 最大LIFEにボーナスを得る 5 初期 最大LIFE*1.3 MANAボーナス 最大MANAにボーナスを得る 5 Lv1 最大MANA*1.3 モスキートV 敵全体に音波ダメージ+空中の敵に有効 5 初期 Lv2から回避率減少効果 2倍(命中率高) 4 絶叫金切りV 敵単体に強い物理攻撃+呪い効果(♪)→稀にフィーバー1 5 Lv2 5倍 6 ベルセルクV 敵単体に空属性攻撃+狙われ率↑+盲目(♪)→稀にフィーバー1 5 Lv1 盲目は4ターン? 3倍 6 シャッフルV 敵単体を音波ダメージで数回攻撃(♪)+空中の敵に有効 5 Lv2 1.5倍→3-6回攻撃 4 アンゼリカV 敵全体に音波で大ダメージ+空中の敵に有効 5 Lv4 6倍 8 フォロー・ミー 最速で発動、味方単体を最速で行動させる。→フィーバー1 1 Lv2 8 ドライアイス 5ターンの間、ドライアイスの煙で回避率アップ 5 初期習得 Lv3から稀にフィーバー1 ? 4 ATK☆フォーム 1ターン全員で攻撃重視、防御軽視の隊列を組む→フィーバー1 5 Lv1 最速行動。魔法にも有効 与ダメ1.5倍、被ダメ1.2倍 14 DEF☆フォーム 1ターン全員で防御重視、攻撃軽視の隊列を組む→フィーバー1 5 Lv1 最速行動。MATは下がらない 与物理0.7倍、被ダメ0.5倍 10 SPD☆フォーム 【フィーバー1】1ターン全員で速攻隊列を組む→フィーバー2 1 Lv2 行動は並び順 6 CURE☆フォーム 【フィーバー2】回復の効果量を上げる隊列を組む→フィーバー3 5 Lv2 最速行動 回復効果2.5倍 8 突撃グルーヴ 味方全員に通常攻撃を命令(仲間は手番を消費しない) 5 初期習得 ? 2 もっと突撃グルーヴ 味方全員に通常攻撃を命令+クリティカル率アップ→フィーバー1 5 Lv2 ? 5 進めロックンロール 【フィーバー1】味方に第一段階スキルを命令→稀にフィーバー2 5 Lv1 スキル開発案1以下を使用 ? 8 進め!ロックンロール 【フィーバー2】味方に第二段階スキルを命令→稀にフィーバー3 5 Lv2 スキル開発案2以下を使用 ? 10 伝説のロックンロール 【フィーバー3】味方に第三段階スキルを命令→稀にSS発動 5 Lv4 奥義、秘奥義以外を使用? ? 12 気ままにオンロード 【フィーバー3】味方に好きに行動するように命令→稀にSS発動 5 Lv4 ? 12 セイブ・ザ・ソウル 【フィーバー2】味方2人に命を大事にする行動をさせる 1 Lv2 ? 10 癒しのバラード 戦闘中の味方LFと状態異常(♪)を低確率で回復→フィーバー1 5 Lv1 50+MAT/10回復 3 ギフト・フォー・ユー 自分の状態異常を敵にうつし治癒する 1 Lv1 0 プロのド根性 【自動発動】死亡時一回だけLIFEを回復 5 Lv2 戦闘開始時に発動 復活LF40 0 スルーリアクト 5ターンの間、攻撃を回避すると再度行動できるようになる 1 Lv2 3 オーバー・ミニッツ 【自動発動】状態変化・リアクト効果を1ターン伸ばす 1 Lv2 ターン終了時に発動 0 ロケットスターター↑ 【自動発動】バトル開始時に稀にLF回復→フィーバー1 5 Lv2 0 XXXアクシデント 何が起きるかわからない補助スキル(♪) 1 Lv1 SS中は100%良性効果 状態異常、バフ、デバフの何かを誰かに付与 1 ハイ・ギャランティ 制限ターン以内にバトル終了でAzが増加(♪)(重ねがけ無効) 3 初期 2.5倍、ターン無制限 1 カラフル・ステージ 【自動発動】発動したバトルで入手できるSPが増加 1 Lv1 戦闘開始時に発動 入手SP1.5倍 0 Sメロウタイム 【フィーバー3】味方2人にリアクトスキルを命令→稀にSS発動 1 Lv4 8 スターの殿堂 スキル欄に表示されない(4ターン、スーパースター状態+♪スキル効果) 1? 初期習得? 0 TOKYOアリーナ 【EX専用奥義】4ターン、スーパースター状態+♪スキル効果↑ 1 Lv3 35 TOKYOアリーナ極 【EX専用奥義】仲間に潜在的に眠る強力スキルを発動させる 1 秘奥義 特定のスキルを確実に発動 40 スキル詳細 LIFEボーナス 最大LIFEにボーナスを得る (※) 効果は小数点以下切上げ LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 150 - LIFE*1.10 2 550 - LIFE*1.15 3 1500 - LIFE*1.20 4 3000 - LIFE*1.25 5 5500 - LIFE*1.30 DEF・MDFが低いので回避できなかったときのためにも重要。回避率+が付いている防具はだいたいDEF・MDF低めなのでリアクト狙いならなおさら。 MANAボーナス 最大MANAにボーナスを得る (※) 効果は小数点以下切上げ LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 300 - MANA*1.10 2 750 - MANA*1.15 3 2000 - MANA*1.20 4 4000 - MANA*1.25 5 6000 - MANA*1.30 消費が激しいので高めておくと気が楽になる。 モスキートV 敵全体に音波ダメージ+空中の敵に有効 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 150 4 攻撃力x1.5 2 300 攻撃力x1.6 攻撃力↑ 回避率ダウン効果 3 1000 攻撃力x1.7 攻撃力↑ 回避率ダウン↑ 4 2000 攻撃力x1.8 攻撃力↑ 回避率ダウン↑ 5 4000 攻撃力x2.0 攻撃力↑ 回避率ダウン↑ そこそこの消費で使い勝手のいい敵全体攻撃。 序盤の雑魚はこれ1本で戦える。飛んでいる敵が多いのも○。 回避率の高いトンボ等に打っておけば後続が攻撃しやすくなる。 回避率ダウン効果はLv2からなので注意。 表記にはないが高命中。トンボや鳥相手にも外れない。 絶叫金切りV 敵単体に強い物理攻撃+呪い効果(♪)→稀にフィーバー1 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 2000 6 攻撃力x3.0 2 3500 攻撃力x3.5 攻↑ 呪い↑ フィーバー率↑ 3 5000 攻撃力x4.0 攻↑ 呪い↑ フィーバー率↑ 4 7000 攻撃力x4.5 攻↑ 呪い↑ フィーバー率↑ 5 9500 攻撃力x5.0 攻↑ 呪い↑ フィーバー率↑ 倍率が高いため呪いは無視して強打として使っていける。 アイドル単身での攻撃スキルで唯一の物理攻撃。魔法防御が高い一部の敵にはこちらで攻めよう。 ベルセルクV同様、SS中ならほぼ確実に呪いを付与できる。パワー自慢の敵にはSSが切れる前に撃ちこんでおくと効果的。 ベルセルクV 敵単体に空属性攻撃+狙われ率↑+盲目(♪)→稀にフィーバー1 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 300 6 攻撃力x2.1 2 1000 攻撃力x2.3 攻↑ 狙われ↑ フィーバー率↑ 3 2000 攻撃力x2.5 攻↑ 狙われ↑ フィーバー率↑ 4 4000 攻撃力x2.7 攻↑ 狙われ↑ フィーバー率↑ 5 6000 攻撃力x3.0 攻↑ 狙われ↑ フィーバー率↑ SS状態だと高確率で盲目を付与できる。盲目の効果時間は4ターンほど?SS中のためにLv1だけ習得しておくと便利。 狙われ率↑が付いているので、盲目が付加できないとアイドルがあっさり死ぬ事も。通常時に使用する際は、ドライアイス等で補助した状態から使いたい。 今作では盲目の命中率低下効果が下方修正されているらしく、盲目だけでは回避できないことも多い。 進めロックンロールの対象外で、進め!ロックンロールの対象。 シャッフルV 敵単体を音波ダメージで1-3回攻撃(♪)+空中の敵に有効 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 400 4 攻撃力x1.1 回数1-3 攻撃回数1-3 2 1400 攻撃力x1.2 回数1-4 攻↑ 攻撃回数1-4 3 2500 攻撃力x1.3 回数2-4 攻↑ 攻撃回数2-4 4 4000 攻撃力x1.4 回数2-5 攻↑ 攻撃回数2-5 5 6000 攻撃力x1.5 回数3-6 攻↑ 攻撃回数3-6 スーパースター状態だと回数率アップ。 フロワロ狩りに有効。 LvMAXだと期待値でアンゼリカVLvMAXを上回る威力を持つ。多段攻撃なので高回避力の相手にも有効。飛んでいても魔法防御力の高い敵には効き目が薄いので頼り切りは危険。 多段攻撃なのでマインドブースターと相性が良く、エグゾーストの使い道として奥義が優秀過ぎる。 若干ボス攻略に関するバレ(裏ボスに効果抜群。SS時には安定して合計2000オーバーを叩き出してくれる。) アンゼリカV 敵全体に音波で大ダメージ+空中の敵に有効 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 3000 8 攻撃力x4.0 2 4000 攻撃力x4.5 攻撃力↑ 3 5000 攻撃力x5.0 攻撃力↑ 4 6500 攻撃力x5.5 攻撃力↑ 5 8000 攻撃力x6.0 攻撃力↑ アイドルのスキルの中で一撃では一番の威力を誇る。 終盤の雑魚戦はこれを連打でいい。鶏系を始めとして魔法防御力の高い雑魚はコレ一発で倒せないことも多い。ちゃんと使い分けよう。 フォロー・ミー 最速で発動、味方単体を最速で行動させる。→フィーバー1 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 700 8 ほぼ上位互換のSPD☆フォームがあるが、そちらと違ってフィーバーに関係なく使えるので持っておくと便利。 ドラゴンの最速行動の緊急手段に念のため持っていてもいいかもしれない。 ドライアイス 5ターンの間、ドライアイスの煙で回避率アップ LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 初期習得 4 2 250 回避率↑ 3 800 回避率↑ フィーバー1発動率効果 4 2500 回避率↑ フィーバー率↑ 5 7000 回避率↑ フィーバー率↑ MAXでフィーバー1が確定。 回避に成功した時のリターンは大きいもののMAXまで上げても回避率はそれなり。ドラゴン級の攻撃ともなると殆ど避けられない。相手に盲目をつけたり最終盤で入手出来る高回避防具やアクセサリと組み合わせてようやく輝く性能。 取得するかどうかはパーティーの戦術を考えて判断したほうが良いだろう。 効果は自分のみ。ハッカーのラッキーゲインとは同時に使用できないので注意。 ATK☆フォーム 1ターン全員が攻撃↑防御↓の効果 フィーバー→1(確定) (※) 効果は小数点以下切上げ 記載されていないが、最速行動 記載されていないが、MAT系にも効果あり LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 100 6 2 500 8 攻撃力↑ 防御力↓ 3 1000 10 攻撃力↑ 防御力↓ 4 2500 12 攻撃力↑ 防御力↓ 5 5000 14 攻撃力↑ 防御力↓ 防御が下がる為使いどころを選ぶ。ターン確定行動を見切った相手に。レベル5で大体与えるダメージは1.5倍、食らうダメージは1.2倍程。 奥義や不動居、コンセントレート等を覚えてから本領を発揮する。 味方と同ターンにリアクトした際のEXターンに使えばノーリスク。 DEF☆フォーム 1ターン全員が攻撃↓防御↑の効果 フィーバー→1(確定) (※) 効果は小数点以下切上げ 記載されていないが、最速行動 記載されていないが、ATKフォームと違いMAT系には影響なし LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 100 4 2 500 5 防御力↑ 物理攻↓ 3 1000 6 防御力↑ 物理攻↓ 4 2500 8 防御力↑ 物理攻↓ 5 5000 10 防御力↑ 物理攻↓ 戦闘開始直後の味方の補助技が揃う間などに便利。自分のフィーバーゲージも上げられる。 HPに余裕があるならGUARDではなくDEF☆フォームで大技をしのぎつつ反撃準備を整えるという手も。レベル5で大体与えるダメージは3割減、被ダメージは半分ほど。 与ダメージ減少は物理のみ。サイキックや他のアイドルならデメリットなしで運用可能。 デストロイヤーのパリングシールドと異なり魔法ダメージも半減する。 SPD☆フォーム 【フィーバー1】1ターン全員が速度↑の効果 フィーバー→2(確定) (※) 効果は小数点以下切上げ 記載されていないが、最速行動 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 800 6 回復が間に合わない時や残り一撃を敵の行動前に入れたい時にどうぞ。 確実にフィーバー2へ移行できるのが長所。バフをかけ終わってもゲージが1しか無いときに便利。 上記のようにエグゾーストやその他スキルのあらゆる最速行動よりも早く発動する。味方の行動順は並び順に従う。 CURE☆フォーム 【フィーバー2】1ターン全員が回復効果↑の効果 フィーバー→3(確定) (※) 効果は小数点以下切上げ 記載されていないが、最速行動 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 1000 8 回復効果*1.5倍 2 2000 回復効果↑ 3 3500 回復効果↑ 4 5000 回復効果↑ 5 7000 ×2.5 回復効果↑ 取得可能になる時期は主要スキルが揃わない、燃費と効果が微妙なので後回しにされがち。 スキルが揃い、フィーバーもしやすくなった終盤に一番効果を実感できる。確実にフィーバー3になるため、エグゾーストが溜まっておらず手が空いているときのSS準備に。 立て直しが楽になるので回復が追いつかない時に。更にリアクトが噛み合えば次のターン無傷なんて事も。 ほとんどの回復に効果が掛かるがヴァンプ系だけはスキルに設定されている回復上限を超えないので注意。 突撃グルーヴ 味方全員に通常攻撃を命令(仲間は手番を消費しない) LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 初期習得 2 2 150 攻撃者の攻撃力↑ 3 500 攻撃者の攻撃力↑ 4 1000 攻撃者の攻撃力↑ 5 3000 攻撃者の攻撃力↑ アイドル本人を含め全員で通常攻撃するスキル。対象はランダムだが、Lv2以上なら通常攻撃よりも高いダメージを出すようになる。 PTメンバーによりその価値が大きく上下する、前衛職二人+アイドルのPTなら序盤は最強の火力スキルとなる。 このスキルでの通常攻撃でもデストロイチャージのD付着率100%やアサシンアイズのCRT率上昇等は効果を発揮する。 全員状態異常武器持ちにして異常のバラまきや、ハッカーで属性寄与&属性トラップで一斉に弱点を狙う事も。 序盤の主力スキルだが↓を覚えると全く使わなくなるので無理してまで上げる必要はない。 だが、もっと~を覚える頃には突撃グルーヴ系は火力不足な上、フィーバーが溜まり次第進めロックンロールを使う事になるので、序盤の火力としてはこちらを育てる方が理に適っており賢い選択だろう。 もっと突撃グルーヴ 味方全員に通常攻撃を命令+クリティカル率アップ(仲間は手番を消費しない) フィーバー→1(確定) LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 1000 5 2 2000 攻撃者の攻撃力↑CRI率↑ 3 3000 攻撃者の攻撃力↑CRI率↑ 4 4000 攻撃者の攻撃力↑CRI率↑ 5 6000 攻撃者の攻撃力↑CRI率↑ 多少強化された突撃グルーヴ。消費は2.5倍。バフも回復も必要ないがロックンロールするには条件がよくないときなど、単純な火力として優秀。注意点も准ずる。 攻撃しながらフィーバーゲージを作成できるので一気に攻めて行きたいあなたに。 トリスタのリアクト発動させたりハッキング弱体の付与などに便利。 フィーバーが1溜まったら進めロックンロールの方が優秀なので、高いSPを消費して高レベルにする必要性は薄い。 進めロックンロール 【フィーバー1】味方に第一段階スキルを命令→稀にフィーバー2 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 300 8 2 750 スキル発動率↑ フィーバー率↑ 3 1500 スキル発動率↑ フィーバー率↑ 4 3000 スキル発動率↑ フィーバー率↑ 5 5000 スキル発動率↑ フィーバー率↑ 突撃グルーヴなどとは違い自分は攻撃しない。 ロックンロール系の解説文にある第n段階スキルというのはスキル開発案Lvnで開放されるスキルのこと。進めだと初期習得と開発案Lv1で追加されたスキルから選択。 説明書に書かれている注釈と実際の仕様が違っていたりする…… 敵を対象にする第n段階までのスキルからランダム(ただし完全ランダムではない。後述)で選択されるようになっている様子。デストロイヤーのコンボスキルは対象のD深度によって選出される? ハッカーはよくアタックゲイン、ディフェンスゲインを使う。また、ハッキングが通っていれば段階に応じた「ハッキング状態の敵に~」のスキルも使う。 トリックスター(銃)はエイミングショット、エア・アサルト、マインスロアーの使用を確認。 トリックスター(短)はタランテラ、スコルピオの使用を確認。 アイドルはモスキートV、XXXアクシデントの使用を確認。 各行動の発動率の計算式は不明だが、「○○%で通常攻撃、それ以外は発動候補スキルを等分の確率で使用」といった単純なものではない様子。例えば敵が複数体の場合、アイドルはモスキートVやアンゼリカVの使用が目に見えて増える。また、多くのスキルを覚えているほど通常攻撃の確率は下がる。 このため、ロックンロール系と気ままにオンロードに限っては「特定のスキルだけを覚えさせ、そのスキルを高確率で使用させる」といった戦略はとり辛い(確かにそのスキルの使用率は上がるが、それ以上に通常攻撃の確率が上がるため平均ダメージが下がる)。 進め!ロックンロール 【フィーバー2】味方に第二段階スキルを命令→稀にフィーバー3 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 1000 10 2 2000 スキル発動率↑ フィーバー率↑ 3 3000 スキル発動率↑ フィーバー率↑ 4 4000 スキル発動率↑ フィーバー率↑ 5 6000 スキル発動率↑ フィーバー率↑ 初期習得~開発案Lv2までのスキルが選択候補。ハッカーはよくカースオールや属性TROYを使う。 トリックスター(銃)はニーブレイクの使用を確認。 トリックスター(短)はクラーケン、ヴァンパイアの使用を確認。 アイドルはモスキートV、ベルセルクV、XXXアクシデントの使用を確認。 伝説のロックンロール 【フィーバー3】味方に第三段階スキルを命令→稀にSS発動 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 4000 12 2 5000 スキル発動率↑ SS発動率↑ 3 6000 スキル発動率↑ SS発動率↑ 4 7000 スキル発動率↑ SS発動率↑ 5 8000 スキル発動率↑ SS発動率↑ 初期習得~開発案Lv4までの全てのスキルが選択候補。さすがに奥義・秘奥義は除外される?(要確認) 特大ダメージスキルが出れば大儲けだが、初期習得スキルが出ることもしばしば。ハッカーでハッキングゼムの使用を確認 アイドルはモスキートV、ベルセルクV、シャッフルV、アンゼリカV、XXXアクシデントの使用を確認。 気ままにオンロード 【フィーバー3】味方に好きに行動するように命令→稀にSS発動 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 5000 12 2 6000 スキル発動率↑ SS発動率↑ 3 7000 スキル発動率↑ SS発動率↑ 4 8000 スキル発動率↑ SS発動率↑ 5 9500 スキル発動率↑ SS発動率↑ 習得している全てのスキルが使用候補になる。 十六手詰め、不動居、八双大蛇突き、ラッシュショット、クインテッタ、ドリルクロウラー、ヴォルテックス、フロストバーン、コンセントレート、ハッキングワンアイドルはモスキートV、ベルセルクV、絶叫金切りV、シャッフルV、アンゼリカV、ドライアイス、癒しのバラード、XXXアクシデント、ハイ・ギャランティの使用を確認。 セイブ・ザ・ソウル 【フィーバー2】味方二人に命を大事にする行動をさせる LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 1500 10 自分以外の味方に回復・防御スキルをランダムで使用させる。 回復用スキルにみえて、実は、ダメージの底上げにも使える。デスロトイヤーだと、迎撃スタンスを使う。迎撃スタンス+~也系→釣瓶マッハ→スピネイジブロウ→クインテッタという鬼のようなコンボが1ターンで可能に。デストロイヤーはパリングシールド、瀕死のド根性も使用対象なので狙って出すにはシールドを習得しない等工夫が必要。 残念ながらオーダーとデストロイヤー本人とで迎撃が被ってしまうと二重発動はしない。パリングシールドもおそらく同様。 トリックスターにヴァンパイア、トリックハンドを取得させず、フルムーンヴァンプを覚えさせれば、ダメージを与えながら全体回復する攻防一体の技にも。 ハッカーはディフェンスゲイン、リジェネレーター、キュア:TROY、スリープオール、Bデータイレイザーの使用を確認。 アイドルは癒しのバラード(何故か回復対象が1~3人にぶれる)、ドライアイス、XXXアクシデントの使用を確認。 トリックスター(銃)はトリックハンド、ハイディングの使用を確認。両方掛かっていると通常攻撃? サイキックはデコイミラー、キュア、プレリザレクションの使用を確認。プレリザレクションは施術済みの味方に対する無駄撃ちも確認。 癒しのバラード 戦闘中の味方LFと状態異常(♪)を低確率で回復→フィーバー1 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 300 3 2 550 回復量↑ 状態異常回復率↑ 3 1500 回復量↑ 状態異常回復率↑ 4 2000 回復量↑ 状態異常回復率↑ 5 3000 回復量↑ 状態異常回復率↑ 体力回復量は少なく状態異常も確実に治る訳ではない為低Lvだと使い勝手はそれほどよくない。微妙に速度補正有り。 回復量はスキルLv*10+MAT*0.1(小数点以下切捨て) 魔力による補正は入るものの本当に微々たるものでほぼ固定量回復と思った方がいい。3MANA消費で使えるヒールエアロのような感じになる。LV5だとエアロIV並。 Lv5だと状態異常は結構な確率で治る、体力回復手段というよりも状態異常回復+αと考えた方がいい。 アイテム使用ではゲージ増加/SS判定が発生しないが、このスキルなら判定が発生するというのが利点。 ギフト・フォー・ユー 自分の状態異常を敵にうつし治癒する LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 1500 0 発動さえすれば確実に治癒可能だがうつせない事もしばしば。 プロのド根性 【自動発動】死亡時一回だけLIFEを1~40回復 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 2000 0 2 2500 復活LIFE↑ 3 3000 復活LIFE↑ 4 4000 復活LIFE↑ 5 5500 復活LIFE↑ 戦闘開始時に発動する。 カラフル・ステージでSPを稼ぐ必要がなくなったらCLASSでこれ1本に絞るのが良い。 スルーリアクト 5ターンの間、攻撃を回避すると再度行動できるようになる LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 2000 3 回避さえすれば確実に発動できる。 防御用と見せかけて、オーダースキルのおかげでやたら攻撃的だったりする。EXターンにリアクトが発動していない味方を無理やり動かすことが可能。トリックスター/デストロイヤーは突撃グルーヴでリアクトが引き出しやすい。 カウンター態勢の相手にならサムライもリアクト出来る可能性はあるが、アイドル/サムライ/サムライのPTでもないと被害のほうが大きいか。 ハッカー/サイキック/アイドルの3者はオーダーによるスキル発動が確実視できる状況なら動かす価値が高い。 オーバー・ミニッツ 【自動発動】状態変化・リアクト効果を1ターン伸ばす LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 2500 0 発動タイミングが一番最後なので、残り1ターンの効果は伸ばせない。 SSそのもののターンは伸びないが、SS移行時の大量のバフには効果アリ。SSが切れた後も発動ターン分自己強化が残る状態になる。(♪強化効果はおそらく切れる) ロケットスターター↑ 【自動発動】バトル開始時に稀にLF回復→フィーバー1 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 2000 0 2 2500 発動率↑ 3 3000 発動率↑ 4 3500 発動率↑ 5 4000 発動率↑ 戦闘開始時に発動する。 アイドルには戦闘開始時に発動するスキルが他にもあり、フィーバー1にするスキルも多いため習得優先度は低い。 XXXアクシデント 何が起きるかわからない補助スキル(♪) LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 300 1 状態異常か攻撃力・防御力・魔法攻撃力・魔法防御力・回避率・各属性耐性のいずれかのバフかデバフかを敵か味方の一人にランダムで付与する。 味方にバフ効果を付与する確率が高いが相手と効果を選べず大して嬉しくない事の方が多い。 普通にスキルとして微妙でネタスキルとしてもなんとも微妙、パルプンテなんてなかった。 スーパースター中は全ての効果が良性に。回避上昇はその辺のドラゴンの多段攻撃なら8割以上を避けるとかなんとか。 あえて自分に状態異常を掛けつつギフトフォーユーで擦り付けるという荒業が可能。実用性はほぼ無いが 帝竜相手に行動不能が掛かる事もある。 ハイ・ギャランティ 3ターン以内にバトル終了でAzが増加(♪)(重ねがけ無効) LEVEL 必要SP MANA 増加量 ターン制限 1 100 1 *1.5 3ターン 2 500 *2.0 5ターン 3 1000 *2.5 制限なし 勝利が目前で手が空いてる時あたりに使っておくと資金繰りが楽になる。 雑魚戦でこまめに使ってるだけでも意外と効果的。 カラフル・ステージ 【自動発動】発動したバトルで入手できるSPが増加 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 2000 - 入手SP1.5倍 戦闘開始時に発動する。 効果は魅力的だが発動率が低く、効果の大きいボス戦で狙って出せないなど扱い難さが目立つ。 覚えられる様になった段階では取得に必要なSPが大きく、発動しても効果は微々たるもの。 序盤は他のスキルにSPを割き、中盤辺りになってSP2000を無理なく覚えられる様になってから覚えると効率的。 発動タイミングが「プロのド根性」と被るので、振り直しを考えないなら取得しないのもアリ。 サポートスキルのSPボーナスとは重複し、乗算されるため両方発動すると入手SPがほぼ倍になる(1.95倍)。そのため莫大なSPが入手できる帝竜戦などで発動するまで粘る価値はある(スキルアッパーを装備していればそこから更に乗算)。 Sメロウタイム 【フィーバー3】味方2人にリアクトスキルを命令→稀にSS発動 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 6000 8 リアクトを持っていないキャラは通常攻撃を仕掛ける。 スターの殿堂 スキル一覧に表示されず、フィーバー3のアイドルが特定の行動を行った時のみ一定確率で発動する隠しスキル。スーパースター状態になる。 以下は推測だが、アイドルの特定のスキルには「フィーバー3の時のみ、一定確率で自分自身に対してオーダーを行い、スターの殿堂を使用させる」という効果が付与されていると思われる。オーダースキルをきっかけにしてSS化が発生するケースで、状況ごとにSS化のタイミングが違うのはこの仕様のため。 火傷や凍傷によるダメージはきっちり受ける。 TOKYOアリーナ 【EX専用奥義】4ターン、スーパースター状態+♪スキル効果↑ LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 9000 35 狙った時にSS状態を作り出せる。 PT編成にもよるが、フィーバーゲージが溜まっておらずバフの重複にも悩まされない開幕で使うと扱いやすい。 マインドブースターとシャッフルVが揃っているならEXはすべてこの奥義につぎ込むぐらいでもいい。スルーリアクトが切れなければ無双できる。 TOKYOアリーナ極 【EX専用奥義】仲間に潜在的に眠る強力スキルを発動させる。 LEVEL 必要SP MANA 効果 備考 1 9900 40 味方二人に強化版スキルを使用させる。強化版…のはずなのだが普通に使用するスキルLvMAXと威力が大差無い。要検証 通常のオーダーと違い、確実に特定のスキルを発動させられる点が長所。ただしアイドルのエグゾースト分は発動させるスキルに一切影響しない。実用に足ると言えなくもないのは抜刀サムライ、銃トリスタ、ハッカーを除く5パターンとなるか。 元のスキルを習得していなくても発動可能 発動するスキルサムライ 八双大蛇突き(抜刀)・十六手詰め(納刀) トリックスター フルムーンヴァンプ(短剣)・ゼロレンジショット(銃)フルムーンヴァンプの回復量は本人使用よりも控えめになる。 デストロイヤー クインテッタ サイキック フロストバーン ハッカー スケイプゴート(相手がハッキング状態でないとミスする) アイドル アンゼリカV コメント 最新の15件を表示しています。 コメントページを参照 DEF☆フォームに攻撃力↓とありますが下がるのは物理だけですよ 編集わからないので書き込みだけ - 名無しさん 2013-05-08 22 08 13 音波ダメージはMAT依存でいいのかな?武器によってATKとMATの差が激しくて迷うんだ - 名無しさん 2013-05-16 20 00 55 絶叫のみATK依存で他はMAT依存。敵のDEF参照・MDF参照も同様。 - 名無しさん 2013-05-16 21 00 37 伝説のロックンロールの選択候補って初期習得~開発案Lv3ってなってるけど、Lv4の間違いじゃないか? Lv3で追加されるのって奥義だけだろ。 - 名無しさん 2013-05-18 22 58 58 ロックンロール系で発動するスキルはまとめてあると便利かも - 名無しさん 2013-05-27 02 07 09 EX状態で10回ほど試してみたところ奥義は、発動しないみたいです - 名無しさん 2013-05-28 18 10 52 SSはスキル使用後に遷移、回避では遷移しないもよう。 1~3はスキル使用時と回避のときに遷移 - 名無しさん 2013-05-28 18 14 59 ロックンロール系では、侍のスタイルチェンジ、ブッシュトラップは発動せず。デストロはD深度が必須です - 名無しさん 2013-05-28 18 18 39 D深度がなかったら普通に殴るのさ。 - うにゅほ 2016-08-21 21 26 53 進め!ロックンロールでフィーバーが2→3に、その後の命令で違うアイドルがベルセルクを撃ったところ、号令を撃ったアイドルがSSになるのを確認しました。バグなのかわからないけど。 - 名無しさん 2013-06-18 12 41 58 スキル一覧補完しました - 名無しさん 2014-03-22 11 00 26 セイブ・ザ・ソウルにてサムライの練気手当、黒鋼の吸気の使用を確認。体力に余裕がある時は通常攻撃? - 名無しさん 2015-11-25 07 20 48 気ままにオンロードのいいところって何かあるの? - 名無しさん 2016-02-21 15 44 09 SPD☆フォームはシールドドラグのシルドパリングよりも早く行動できるの初めて知った… - 名無しさん 2017-01-31 04 51 48 今更ながら気ままにオンロードでしか出せない有用スキルを調べてみた。十六手詰め、不動居、八双大蛇突き、ラッシュショット、クインテッタ、ドリルクロウラー、ヴォルテックス、フロストバーン、コンセントレート、ハッキングワン - 名無しさん (2019-03-07 00 53 44) アイドルは伝説のロックンロールでいいし、剣トリスタはフルムーンヴァンプをセイブ・ザ・ソウルで出せるから毒主体なら伝説のロックンロールでいい - 名無しさん (2019-03-07 00 54 14) 突撃グルーヴはLV1で1.0、LV5で1.5。もっと突撃グルーヴLV5は1.4だがCTR率が高い - 名無しさん (2019-03-07 00 54 52) もっと突撃グルーヴLv5のCRT率、3割くらい?正直SPコストに見合わない - 名無しさん (2019-09-07 11 20 00) トリスタがいるならリアクト狙いであってもいいかな。銃トリスタでなら結構な確率でリアクト発動するので。 - 名無しさん (2019-09-07 11 30 56) 名前
https://w.atwiki.jp/nanadorakari/pages/18.html
『フロワロの媚毒』の続きとなります。 前・後編の分割投下になります。続きは後日に。 固有名詞一覧 ・ジェリコ 本作の語り手。ルシェヒーラー。スケコマシ。 ・ナムナ ルシェサムライ。そのスケコマシにかどわかされる可哀想な子。 (名前は公式ちびキャラトークより) 「このロリコンどもめ!」とバックベアード様に怒られても仕方がないロリ物なので、 苦手な方はタイトル『彼女が鈴を付けてるワケ』でNG設定などをお願いします。 ギルドオフィスで所用を済ませ常宿の六剣亭へ帰ってきたら、入り口のところでナムナを発見した。 手には紙袋を下げており、なにやらこそこそ周囲をうかがっている……またアレか。 「ナムナ」 「わ、わわっ?! ジェッ、ジェリコッ?!」 一声かければ獣耳の先までびくんと震わせ、気まずそうな顔をしてこちらを振り返った。 やはり私が留守の隙をついて繁華街へと出かけていたようだ。 「まったく、また買ってきたんですか」 「……てへへへ」 ぺろりと小さく舌を出しバツが悪そうに照れ笑いをする……う、かわいいじゃないか。 だが、笑顔が愛らしいからって追撃を許すわけには行かない。 「てへへ、じゃないです。今週はもう無駄遣いはやめるという約束だったでしょう?」 甘いお菓子に、可愛い小物に、綺麗な服。カザンのような都会は女の子にとって誘惑で一杯だ。 ナムナはかなりの田舎から出てきたらしいので、そういったものに免疫が無いのはわかるのだが、 見事なまでにそれらの毒気に当てられてしまったようで、ここのところ浪費が実に酷い。 あったらあるだけ使ってしまうので、先日、とうとう見るに見かねてお小言を入れてしまった。 結果、彼女は計画的に手持ちを使うことを約束したのだが……ごらんのありさまである。 「……ごめんなさぁい」 「とにかく中へ。表でするような話じゃないですし」 獣耳ごとしゅんとうなだれるナムナの手を引いて、彼女の部屋にお邪魔した。 「やれやれ。まーたモノが増えてますね」 週払いで借りてるその部屋をぐるり見渡せば、いかにも少女らしいアクセだのぬいぐるみだのが散乱してるし、 作り付けのクローゼットからは真新しい服がはみ出すほどに詰め込まれてる。うーん、ちょっと重症だ。 そもそも彼女自身、ここのところ身に着けてる物が日に日に違う。 今日着ているのもサムライのユニフォームではなく、アイゼン風のゆったりとしたドレスに身を包んでいる。 ナムナはたたっと駆けて部屋を横切ると、ぽすんとベッドに腰掛けた。そういう仕草がいちいちかわいい。 私もとなりに座りナムナの顔をのぞきこめば、彼女は言いづらそうに口を開いた。 「ジェリコ……怒った?」 「怒っちゃいませんが、約束を反故にされて少し悲しいです」 「あうぅ……ごめんなさい」 怒ってないことを示す為に、この年少の恋人の肩に手をまわして軽く抱き寄せる。 「べつに謝る必要はないんです。ナムナが自分で気付いて反省してくだされば」 「……うん」 「ハントマンなんて商売は先々何があるかわかりませんし、やっぱり少しは貯金するべきなんですよ。 そりゃナムナは強いからすっごく稼いでますけど、全部使っちゃうのは良くないです」 「うん、わかってるんだけど……」 ……けど、我慢できない、か。 贅沢な悩みなのだろうが、カネ回りが良いと言うのが逆にあだになったのだ。 大物のドラゴンだってなんなく狩ってしまうナムナ(と、オマケで私)は かなり『稼ぐ』部類のハントマンに属する。必然的に彼女のふところには、 この年代の少女が持つには不似合いなほどの大金が転がり込んできて―― 金銭感覚が麻痺するまで、さほど時間はかからなかった。 「ごめんなさい、ナムナ。もっと早く気付いてあげれば良かったんですけど」 「……なんでジェリコが謝るんだよ。悪いのはあたいなのに」 「ううん。メンタル面も含めて仲間の様子に気を配るのがヒーラーの務めです。 お金というのはね、分不相応な額を持つと、麻薬のように人の心をむしばみはじめるんです。 いくら剣の達人だからってナムナもそういうところはやはり子供なんだし、 身近な大人が――私が、気を配っておくべきだったんですよ」 「…………」 いつもだったら『子供あつかいしないで!』ぐらいは言い返してくるナムナが今日はおとなしい。 獣耳もずっと垂れっぱなしだし、コレは相当ヘコんでいるようだ。 お小言はそろそろ切り上げて、私の恥でもさらして場を和ますべきだろう。 「ま、私も多少の浪費癖はあるからあんまり偉そうなことはいえないんですけどね」 それはもう、あぶく銭が入るようになっちゃったもんだから、夜の街での遊興費がガッツリ増えた。 もっとも私の場合、形として残らない物に使っちゃうからナムナと違って部屋はスッキリしてるのだが。 「なーんだ、ジェリコもかー。あははっ、あたいたちって似た物どうしだなっ!」 「ナムナ、同類を見て安心するのは人生の死亡フラグです」 「……うー」 「とにかく良くないクセであるのは間違いないですし、せっかくだからふたりで一緒に治しましょう」 「そだね」 まあ、こういう悪習はちょっとづつ治していくしかないだろう。一朝一夕にはどうにもならない。 「前にもいいましたけど、お小遣い帳つけてます? アレを習慣付けるだけでもだいぶ違いますんで」 「うん、つけてるよっ! ほら、これこれみてみて!」 子供らしい丸っこい字で浪費の経緯がずらずらずらと書き連ねられていた。 ちなみに私も同様のものをつけているが、それはもう人様にはとても見せられない項目で埋まっている。 「感心感心、じゃ、さっそく今買ってきたそれもつけときましょう」 差し出されたメモ帳に一通り目を通した後、ナムナが未だ手にしていた小さな紙袋を指差した。 そしてナムナが紙袋から取り出したのは―― 「――髪留め、ですか。なかなかかわいいデザインですね」 「でしょっ?! ユーズドだったんだけど、あたい一目で気に入っちゃってさ!」 確かに悪くない。 装飾部はルシェの細工師の手によるものだろう、嫌味にならない程度に華美な象嵌が施されているのだが、 「ナムナ、それちょっと貸してもらえます?」 「んん? いーよー?」 「ああ……やはり蝶番がイカれかけてる」 止め具の部分は『こっち』の製品だ。精度がルシェとはぜんぜん違う。恐らくルシェの細工に 適当な金具をつけて無理やり装身具に仕立て上げたのだろう。まったく、いいかげんな仕事をしてくれる。 「え、えええっ?! そんなぁ、せっかく買ってきたのに……」 「ああ、そんな落ち込まないで。とりあえず応急処置したげます」 「ホントにっ?! ありがとジェリコ、だいすきっ!!」 しかし流石はナムナ、実に良いリアクションである。 獣耳の先っちょまでピーンと尖らせて驚きと喜びの入り混じった顔をしたかと思うと、 全身で飛びこむようにして私に抱きついてきた。 やれやれ、愛情表現がどこまでもストレートな子だ。まるで子犬だな。 ――だけど正直、コレにやられてしまったのだと思う。 なんというかその……女たらしのこの私が、世間一般で言う 『純愛』とか言うものに目覚めてしまったのかもしれない。 ナムナのような未成熟な女の子にここまで惹かれる日が来るだなんて思っても見なかった。 だが、決してロリコンと言う無かれ。 たまたま心惹かれた女性が未成熟な女の子だっただけであって、 決して未成熟な女の子すべてが好きなわけじゃあないんだからねっ! そして数分。自室から2,3部品を持ってきて修理完了。 「できました。ほら、これでガタつきがおさまったでしょう?」 「ホントだぁ……」 「ただ、あくまでも応急処置ですから。だから今度使わないとき三日四日貸してください。 そしたら根本から止め具を作り直して付け替えたげますんで」 「そんなの作るの大変じゃないの?」 「そうでもありませんよ。ルシェの男は手先が器用ですしね」 門前の小僧の習わぬなんとやらで、子供の時分から爺様の工房に出入しているうちに、 いつの間にやら私にもこの手の雑貨を作る技術が身についていた。 「はー、ジェリコは何でも出来るんだねえ」 そこまで感心された顔を向けられると少々気恥ずかしく、そして申し訳ない。 ハントマンとして肝心かなめの戦闘を私はナムナに頼りっきりなのだから。 「何でもじゃありませんよ、出来ることしか出来ません」 「ううん、ジェリコはホントにすごいと思うよ。やさしいし、かしこいし、 器用だし、怪我はすぐ治してくれるし……それに、カッコいいし」 いくらなんでも高評価すぎる。 私はそこまで出来た男じゃない。職業相応、年齢相応のことがやれるだけの話だ。 あばたもえくぼとは言うけれど、ナムナは『年上の彼氏』と言う物が出来て のぼせて舞い上がってしまってるのだろう。 私は本当はかなりダメな部類の大人に属するのに、 そこまで信頼されてしまうとなんだかものすごく申し訳ない気持ちになる。 一人で勝手に打ちひしがれていると、ナムナが私の袖をくいくい引っ張ってきた。 「ね、ジェリコ、いっこお願いがあるんだけど……」 「なんでしょうか?」 「せっかく治ったんだし、その髪留め、あたいに付けてくれる?」 「はは、了解しました、お客様」 椅子に座らせポニーテイルに結わえていたナムナの髪をいったんほどく。 ナムナの髪は結構長くて、おろした姿もそれはそれで大変に愛らしい。 コレを見れるのは恋人ならではの特権だろう。 「どんな感じにいたしますか、お客様」 クローゼットの戸に付属してる大きな鏡を見せながら、ご注文をうけつける。 「高めがいいなっ」 「かしこまりました……このくらいで?」 「もっと高く」 「……こんなですか?」 「もっとがいい……」 「もっとって、これ以上あげたら……」 耳にひっかかる、と、言いかけて気付いた。 頭のてっぺんの獣耳がぴくぴくしてる。コレは……ナムナが『触って欲しい』時の動きだ。 「……このような感じですか、お客様?」 推論を確かめるため、柔毛に包まれたナムナの耳を軽く撫でれば、 「……ぁ、んんっ……うん、そんな感じ……」 甘い吐息をからめて可愛く返事してくる。 ……ああ、なるほど。 ハナっからそのつもりで頭飾りなんて買って来てたのか。 いつぞやの一件以来、処女こそ奪ってはいないものの、 いろいろ可愛がってあげてるのでナムナの身体は男の味を覚え始めてる。 悪い子だ。イケない子だ。 発情期もちゃんと来てないお子様なのに、処女なのに、こんな男を誘うようなマネをして。 そう言えば最近ちゃんとかまってあげてられなかった。溜まっちゃってたんだね。 ……だけどね、ナムナ、悪い子にはおしおきが待ってるって教えただろう? 「ではお客様、これなどいかがでございましょう?」 耳のふちを指先でなぞりながら、時々くにくにつまんであげる。 ビロードのように滑らかな手触りだ。あたたかく、そしてやわらかく、独特の触感が指に心地いい。 「みぅ……ぅうん…うん、うん、それ大好きぃ……」 最初の頃はくすぐったがるか、でなければ感じすぎて泣き出してしまっていたナムナの耳は、 数ヶ月間じっくり開発したげた結果、いまや立派な性感帯の一つに進化している。 「お次はどういたしましょうか?」 「なめて……みみ、なめて……」 よろこんで。 返事代わりに耳先をぱくりとくわえ込み、ぷるぷるとした食感を唇と舌で味わう。 「ふぁあぁっ……あ、あぁ、ジェリコ…いいよぉ……」 獣の親が子を毛づくろいしてやる要領で、唾液を軽く絡めつつ舌先で毛を撫で付けていく。 もっともその舌先には愛情だけでなく、幾分かの劣情も込められてる訳だが。 さらには口唇だけでなく、手櫛でナムナの綺麗な髪をすきながら頭皮全体を刺激していった。 「いかがでございましょうか、お客様?」 「それやめて、なまえで呼んでよぉ……」 ぷうとほっぺたを膨らませて不満げに言う。 「ああ、ごめんなさい、ナムナ……で、どうです?」 「きもちいぃ……」 「気持ちいい? 何の話ですか、ナムナ?」 「何の話……って」 「髪型に決まってるじゃありませんか。できましたよ」 口唇愛撫する合間も手は休めず、ご注文どおり高めに髪を結い上げておいたのだ。 仕上げにぱっちんと髪留めを付けて出来上がり。うむ、我ながら上出来。 さて、仕込みはこれまで。おしおき開始だ。 ナムナは鏡の中の自分をのぞきこみながら、 「え、ええぇ……えええっ?! か、髪型って…えっと、うん、素敵だと思う……けど」 「『けど』? 何がご不満なんです?」 「ジェリコのばか……いじわる。わかってるクセにぃ……」 愛撫を中断されて体がうずくのだろう、もじもじと身をよじらせている。 「ええ、わかってますよ。ナムナが髪をいじって欲しいと言いつつ、 本当は身体をいじって欲しがってるすけべぇな女の子だって事をね」 「あ、あ、あうぅぅ……あたいはすけべぇなんかじゃ……」 「違うんですか。じゃあ続きもやめますか」 「や、やめちゃだめっ!!」 「なら、正直に白状してください、自分がどんな女の子なのかって」 「あうぅ……あ、あたいは、あたいはぁ……」 「続けて」 「じぶんのっ、か、身体をいじって欲しいと思ってる……す、す…す………す……」 「『す』? 『す』がどうしたんです?」 「すけべぇなおんなのこ、ですっ!!」 頬を羞恥に染め、精一杯の勇気を振り絞り、ついにナムナは言い切った。 「ん、よく言えました。ごほうび欲しいですか?」 「うん、ごほうびほしい……」 「じゃあ、どんなご褒美が欲しいんです? おねだりしてみて」 ナムナの顔に絶望が広がる。次のハードルがあるとは思ってなかったようだ。 「ど、どんなって、どんなって……」 そこでもう、いろいろと限界にきたのだろう。 いきなりぽいぽいと服を脱ぎ捨て始め――キャミソールとぱんつだけの姿になったところで手が止まり、 「……して」 顔をうつむけ、目の端に涙を溜めながら、それだけを口にした。 ま、いじめるのはここまでか。 「まったく、こんなことの為に無駄遣いまでして。ナムナは悪い子です。 えっちな事なら普通に頼んでくればいくらでもしてあげますのに」 「だって……だって、恥ずかしかった……んだもん」 「次にこんなことしたらもっと恥ずかしいこと言わせますからね」 「あ、あうぅぅ、ごめんさ――」 奇襲攻撃、キスをする。その唇はいちご味。 んん……味つきリップグロスか。お子様向けの背伸びアイテムだが、自分の分をわきまえてるとも言える。 よく見ればナムナの顔にはグロス以外にも薄く化粧が施されていた。 子供だと思ってたらどんどん大人になってくる。こういう部分、女の子はやっぱり成長早い。 「お化粧、してるんですね。似合ってますよ」 「えへへへ、ありがと。頑張ったんだよー」 はにかむナムナをお姫様抱っこして、椅子からベッドへ。 「……ねぇ、ジェリコ」 「なんです、ナムナ?」 「きょ、今日は……最後まで、して、くれるの?」 出会った頃には何も知らないガキんちょだったナムナは、いつの間にやら一通りの性知識を身に付けていた。 ああ、畜生。そういう知識も含めてじっくり育てていきたかったのに、なんて事をしてくれる。 やっぱり都会はダメだな。特にスイーツ系の雑誌。アレがいけない。悪いことばっかり教えるんだから。 ……もっとも私もこの年齢の頃にはこういう方面への好奇心で一杯だったから、人のことは言えないわけだが。 「うーん、ナムナの身体が大人になるまで我慢できませんか?」 「あたいはもう大人だよ……赤ちゃんだって作れるもん」 妹さんの一件があるから、子作りも無理な話ではないのだろうが、普通はもう2,3年待つべきだ。 どの道、サイズ比的に今のナムナでは私のモノを受け入れられないだろうから(裂けたら怖い)、 いましばし彼女の身体の成長を待つ必要があるんだが。 「だけどまだまだ成長の余地はあるでしょう?」 主に、胸とか、乳とか、おっぱいとか。 「だって……」 むう、今日はやけに食い下がるね。だったら大人トークでちょっと引いてもらおうか。 「まあそう言わずに。じーっくり時間をかけてナムナの身体を処女なのに感じちゃう、 やらしい女の子に開発してあげますから」 さすがにナムナはこういう直球の艶話にはまだまだ耐性がないらしく、 「しょ、処…って、や、やらし……って……ばかばかばか!! ジェリコのへんたいっ!!」 ほっぺたを真っ赤に染めると、ぽかぽか胸を殴ってきた。 痛い痛い痛い。前衛職なんだから後衛には優しくして。骨折れそう。 だけど男は我慢だ。痛みをこらえて笑顔を作り、優しげにナムナに語り掛ける。 「でも、ナムナだって、はじめての時から気持ちいいほうが良いでしょう?」 「えぇぇっ?! はっ、はじめて……って、えっと、その……そのぉ…………」 「いま挿れても私もナムナも痛いばっかりでちっとも気持ちよくなれないと思うんですよ。 それとも痛いほうがお好みで?」 「い、痛いのはやだよぉ……」 「じゃあ、私に任せてもらえます? ナムナをちゃんとオトナの身体にしたげますから」 最終的には精液を子宮で受け止めてイケるレベルにまで仕込んであげるからね。 「……うん、お願いジェリコ」 キャミソールをまくりあげてナムナの小さなおっぱい(ちっぱい)を露出させる。 そこはまだ刺激をくわえていないのに、官能に期待して桜色の突起がつんつんともう尖っていた。 「ナムナ、もってて」 そしてまくった裾をナムナ自身に持たせて固定させる。プレイ時には常になにかやらせて 参加意識をもたせるべきだ。でないと、受身のマグロさんになっちゃうからね。 「あぅぅ、恥ずかしいよぉ……あたい、ちっちゃいし」 「コレはコレで可愛くてアリだと思いますけどね」 「だけど……ジェリコはおっきい方が好きなんだろ……だって、その、 おっきい女の人がいたらいっつもねっとり眺めてるし」 うわ、観察されてる。お子様とは言えやはりこういうところはオンナだ。 「いやまあその。否定はしません」 「……ばか、えっち、すけべぇ、へんたい」 ぷくぅとほっぺを膨らませてすねる。こりゃ早急にご機嫌をとらねば。 「では、すけべぇなのでナムナの身体をいじっちゃいます……力を抜いて」 「……うん」 おおきくなあれと念じながら、食肉を下ごしらえするようにじっくりと 脂肪分控えめなナムナの胸を揉みしだく。ボリューム不足ではあるのだが、 若いだけあって(若すぎるが)流石に肌のハリときめ細かさは最高だ。 「ん……んふぁ……」 最近では、声はずいぶんオンナになってきた。 ただただ官能に翻弄されて悲鳴をあげる少女だった時期を終え、 オスを興奮させ、狂わせ、誘う、メスとしての艶を帯び始めている。 ……が、本人はまだまだ羞恥が先に立つのか、声を聞かれないよう抑えているようだ。 「ナムナ。もっとすけべぇな声聞かせて?」 「やだ、やぁだぁ……恥ずか………あぁっ! んっ…ふあぁっ! いきなり吸っちゃやぁだぁっ!」 ちっぱいのてっぺんに口付けて舌先で転がしてあげた。興奮が進むほどに突起は薄い桜色から紅色へ。 慣用句的な意味ではなく、本当に乳臭い。年齢的にアウトの少女に手をつけていることを今更ながら実感する。 うすい乳房やちいさな乳首を充分濡らした所で唇を離すと、 「……うー」 なんだか不満げにうなり、潤んだ瞳でじっと見つめてきた。 もっとして欲しいけど恥ずかしくて自分からは言い出せない、そんな所だろう。 「自分でさわってごらん?」 ナムナの手を取り唾液にまみれた乳房へと導く。 「え、え、ええっ? え、えと、その……うん、やってみる」 戸惑いはあったようだが、やがてこっくりとうなずき、指先で敏感な突起をつまんでいじり始めた。 うむうむ、チャレンジ精神旺盛でたいへんよろしい。 「上手ですよ」 「こ、こんなの上手って言われてもぉ……ううぅんっ…ぜ、全然嬉しくないよぉぉ」 そんな事を言いつつも若い身体は実に向学心に燃えているようで、 どんどん気持ちの良いいじり方を発見していっているようだった。 さて、そろそろ良い感じにほぐれて来たかな、 ……と、思ってナムナのぱんつの中に手を差し入れてみたのだが、さっぱり濡れてない。 うーむ。やはり発情期じゃないルシェはやりづらい。もちろん個人差はあるが、 男は勃たず、女は濡れず、気分が盛り上がってもヤれない事が多いのだ。(その意味では私は例外の部類だ) おまけにナムナは子供だし、まだまだ心に身体が追いついてこないのだろう。 まあ、今日は挿入までは行かないし、時間をかけて可愛がってあげればいい。 「ナムナ、指なめて」 「んぅ……」 一旦ぱんつから引き抜いた指をナムナのちいさな唇にそえると、 そのままちゅぱちゅぱとしゃぶり始めた。 「んん、もう良いですよ」 指を唾液で適度に濡らし、再びぱんつへ潜り込ませる。 「ん、あぁ……ジェリコぉ……」 探り当てた幼い割れ目を指で上下にじっくりとなぞってあげる。唾液のぬめりでスムーズだ。 とは言え、この程度のお湿りでは、すぐに乾いて使い物にならなくなってくる。 「もう一度、指なめて」 「……ばか、へんたい、さわってた奴でしょ、それ……うぅ、ヘンな味がするぅ……」 文句をいいつつも、ぱんつから再び引っこ抜いた指を差し出せば、 ねっとりと吸い付いて指に唾液を絡めさせてくれる。まったく、素直で手のかからない子だ。 ――と、同じ工程を2,3度くりかえして、ようやく秘唇はほぐれて花開き、蜜を分泌し始めた。 「やっと下のおくちが指をおしゃぶりしてくれるようになりましたよ」 「んやっ、ああぁぁ……そんなのイチイチ言わなくていいよぉ……」 だめだめ。君は恥ずかしいのが気持ちいい子だから、いっぱい辱めてあげないと。 そのまま蜜口をいじり続け、愛液でじゅうぶん指が潤ったあと、軽くナムナの中に進入させる。 「あ、あ、あ、入ってきたよぉ……」 「ナムナもそんなのイチイチ言わなくていいんですよ?」 「ばか、ばかぁ……やぁあぁ、そこ……そこおっ!!」 「『そこ』が良いんですか、イヤなんですか?」 「良いの、いいよぉ……つづけてぇっ!」 よし、じゃあ一番気持ち良いとこ行こうか。 指を膣口からずらして少し上――ぷくり膨れたクリトリスに愛液をまぶしていく。 「あ、ひゃぁあぁぁっ?!」 うん、いい声いい声。 少し前まで、指でのクリトリスへの刺激は強すぎて嫌がっていたのだが、 最近ようやくこの官能を享受できるカラダになってきたようだ。 だけど、身体そのものはまだまだ未成熟。肉芽の包皮は硬くてほとんど剥けない。 と、言うか剥いたりしたら痛くて泣き出してしまうだろう。 あくまでも優しく、包皮の上からこりこりするのが精一杯だ。 「大丈夫ですか? 痛くない?」 「あああっ、うんっ、だいじょぶっ! いい、いいよぉっ!」 脱がして置いてあげたらよかった。もうぱんつごとぐっちゃぐちゃだ。 まあ、コレはコレでおもむきがあって、わたくし大好きなんですけれども。 「んっ、んんっ……うぅううぅんっ!!」 おやおやおや。 一度は手ぇ止まってたのに、ナムナさんってば自分で乳首をまたくにくにいじってる。 無意識にやってるっぽい。そこを指摘したら恥じ入りまくった最高にいい顔を見せてくれると思うのだが、 今日のところはそのまま感じさせてあげたいので、あえて放置しとく。ああ、私ってなんて親切。 さて、乳首はセルフサービスで頑張っておられるので、私は下のおくちに集中しよう。 はじめてのときのアレを除けば、ナムナは今まで一番良い感じにとろけてきてる。 これまで入り口以外はいじったことがなかったが、今なら、指一本ぐらいなら入るかもしんない。 肉芽をいじる右手はそのままに、遊んでいた左手もぱんつの中に突っ込み、蜜のあふれる膣口をいじくる。 「ナムナ。指、挿れちゃっていいですか?」 「……え、うん……その、指って、ナカに?」 「ええ」 「お、お願いします」 ヘンな所で礼儀正しい。きっと親御さんの教育がよかったのだろう。 ごめんなさい、親御さん。出来たお子さんなのにこんな台無しにしてしまって。 「ん、あぁぁああっ?!」 膣口に中指を沿えじっくりと押し込んでいけば、ナムナは白い喉をさらすようにびくんとのけぞった。 「ふあぁぁっ?! ゆ、ゆびっ!! はいって、はいってきてるのぉっ?!」 「ええ、入れてます。ナムナのナカに入れてます」 そのまま行きつ戻りつじっくりとほぐしながらナムナの膣を犯していく。 快感に慣れた入り口の部分を通り過ぎ、まだまだみっしりと肉の詰まった中ほどに指が届く。 「痛くない? イヤなら抜きますよ?」 「だ、だいじょぶっ……ちょっとだけ、痛い、けど、イヤじゃ……ないから」 オーケー。ならば続行だ。 そしてついには中指は根元までナムナの中に飲み込まれ、指先は彼女の最奥に届く。 「あ、あうぅぅ……そ、そこは本当にイヤ、い、痛い、へ、ヘンないたさ、だよぉ……」 流石に子宮口の仕込みはまだ早いか。 「わかりますか? 今さわってるところが、赤ちゃん作る部屋です」 「……ぁ、ここが、そうなんだ」 女性の本質とも言うべき部分をいじくられ、なにやら感慨深げにぽつりつぶやく。 「頑張りましたね。いちばん奥まではいりましたよ」 「うん……」 「頑張ったごほうび、あげましょうか?」 「うん、ほしい、ごほうび、ほしい」 膣に異物を受け入れたと言う事実がナムナをひどく興奮させているのだろう。 涙で濡れた目はどこか遠くを見て、上ずった声で甘え、おねだりしてくる。 じゃあ、イカせてあげよう。 いつの間にか自身の乳首をいじっていたナムナの指がお留守になってる。 私の両手は下のおくちでふさがっているので、唇でくわえてねっとりなめてあげることにする。 「あ、あん、やぁ……それ、すき、すごく、すきぃっ」 挿入した中指はあまりにも膣肉がぎちぎちと硬すぎるので本格的な抽送を断念し、 代わりにクリトリスをつまんだ指の力を強め、右へ左へゆすらせる。 「ジェリコ……っ、あたい、もうっ……もうっ……あぁぁ、だめぇっ!」 「ナムナ、こんな時はどういうか教えたでしょう?」 「あ、あ、あ、あ…イクっ! イッちゃぁうっ!」 はい、よく言えました。正解のご褒美にトドメをくれてあげましょう。 歯とのあいだに唇をかまして乳首を甘噛みし、同時につまんだ肉芽をぎゅうっと押しつぶす。 「あ、ああぁぁっ?! ああああぁぁっ!!」 たまらずナムナは登りつめた。 達した余波で私の中指をくわえ込んだままだった膣肉が、きゅ、きゅきゅっと伸縮する。 膣内ばかりかナムナの身体全部がが子供の身で味わうにはまだまだ 強烈過ぎる性感に翻弄されて不随意運動でがくがく震え―― 「ふにゃぁ……」 ――やがては全身から力が抜けてくってりと弛緩し、私に体を預けてきたので ぱんつから手を引っこ抜き、なるべく優しく抱きしめてあげた。 「どうでした?」 「大事なところ同士じゃないけど、カラダがジェリコとつながって 嬉しかった……すっごくうれしかった、よぉ……」 まずい、なんて可愛すぎることを言うんだ。 あえて萎えた状態をキープさせておいた私の愚息にどんどん血液が流れ込んできてしまう。 ええい、ご奉仕させる直前まで萎えさせておいて、大人の余裕って奴を見せ付けてやろうと思ったのに、 お子様相手になんてザマだ。 まあ、勃っちゃったものはしょうがない。攻守を交代して一本抜いていただこう。 「じゃあ、ナムナ。今度は私を気持ち良くしてくれます?」 「うん、ジェリコ……って、あああああっ?!」 ……いや、私はまだなんもしてないよ? 素っ頓狂な悲鳴をあげたナムナの視線を追っかければ、そこには時計、午後3時。 「ごっ、ごめんっ、ジェリコッ!!」 たれてたナムナの獣耳がびくんと元気よく立ち上がり、 さっきまで性感にとろけていた表情に、みるみるうちに理性が戻ってる。 「……どうかしたんですか、ナムナ?」 「あたい、メナスさんから大統領府の兵士さんたちに稽古をつけてやるよう頼まれてたんだ!」 「な、なんですってー?!」 「ホントごめんっ! 埋め合わせは後でするから、行かなきゃっ!!」 そのまま飛び出していこうとするナムナを、 「ナムナっ!! 服っ!! 服っ!!」 慌てて呼び止めれば、 「……え?」 彼女は自分が情事の後のとんでもないカッコをしてることにようやく気づいたらしく、 「き、着替えるから、でてってーっ!!」 顔を真っ赤にして私を部屋から追い出した。 …………えーと、何この置いてきぼり感。 うん、これはもう仕方がないよね。 夜の町(まだお天道様は余裕で登ってるけど)に遊びに行きたくなっても仕方がない。 無駄遣いをやめることを互いに約束したばかりだけど、こればっかりは不可抗力だよね。 食・寝・色の動物の三大欲求って、あんまり我慢すると身体に悪いし。 昼間だったら割引も利くから、今すぐ行ったほうがむしろお徳だし。 それにほら、風俗って浮気じゃないからね。ぜんぜん大丈夫。ぜんっぜん。 ♂♀