約 4,199,987 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/472.html
前ページ次ページご立派な使い魔 決闘の場所、ヴェストリの広場は、時ならぬ騒然とした雰囲気に包まれていた。 あのギーシュが、よりにもよって、かのご立派なルイズの使い魔に決闘を挑んだというのだ。 それはイコールギーシュの公開処刑とも思える。 あのご立派さからギーシュがどれだけ凄惨な最期を遂げるのか、そのような思いから人々は集まっている。 突き殺されるか、はたまた…… そんな残酷な期待を背に受けつつも、広場の中心にただ鎮座するマーラの姿があった。 気負いの様子も見えず、ただ悠然と構え、動かないまま前方を見続けている。 そして、 「まったく、見れば見るほどご立派だな……嫌になってくるね」 そこにギーシュが姿を現す。 これが見納めかと思うと、生徒達は複雑な顔になった。 鼻持ちならないギーシュだが、しかしそれにしても。 「ほほう、よう逃げなかったものじゃな、小僧」 「と、当然だ。決闘を挑んだのは僕なのだからね」 (あれ? なんで僕が挑戦者みたいになってるんだ? ここは僕の方が待ち受ける場面じゃなかったか?) どうも状況が逆転している気がして、ギーシュは頭を振った。 この際、攻守の順序などどうでもいい。 いやこの場合はどうでもよくないかもしれない。守に回ってしまうと後ろの方が危ない気もする。 「と……とにかく。 僕はメイジだ。メイジらしく魔法を使わせてもらうが文句はないだろうね?」 「ならば、ワシは魔王ゆえに、あらゆる手段を使わせてもらおう」 「りょ、了解した」 あらゆる手段。 想像するだにそれは……ギーシュの背筋を氷のような悪寒が伝う。 「は、初めから全力を尽くさせてもらおう! いくぞ、ワルキューレ!」 悪寒を振り払うように、愛用する造花の杖をギーシュは全力を込めて振るう。 花びらは七枚舞い散り、見る間にその姿を変えていく。 青銅の女戦士像。ギーシュの生み出したものの姿である。 「オールド・オスマン、よろしいですか?」 学院長室に入ったコルベールは、見ていけないものを目撃した。 今にも秘書のロングビルに襲いかかろうとしている、学院長オスマンの姿である。 「いい加減に……やめてください、オールド・オスマン! それは度を越えて……います!」 「よいではないかよいではないか」 これはセクハラという域を超えている。 この爺を焼き殺してやろうかとコルベールが決意したあたりで、オスマンは我に帰った。 「お、おお。す、すまんのうミス・ロングビル」 「冗談ではすみません、本当に……!」 頭をかいて誤魔化そうとする。 セクハラという時点でも犯罪だったが、実力行使に出ようとしたらそれはもう重罪だ。 「い、いや、何故だかここ数日嫌に性欲が……すまん! 本当に申し訳ない! 決してこれは私の意志ではなくて……そ、そうじゃ! これのせいなんじゃ!」 オスマンが慌てながら杖を振るう。 壁にかかった鏡の中に、映像が現れる。 緑色をして、てかてかと光る物体である。つまりマーラだ。 「最近学院内に現れたこやつを見ているとじゃな、ついつい気持ちが若くなってしもうて…… それで……」 「今日のような蛮行に及んだ、というのですか」 「……すまん。いや本当にすまん」 オスマンを見るロングビルの目は冷たい。 この光景にはコルベールも引いていたが、マーラの姿を見てああ、と声をあげた。 「オールド・オスマン。そのモノについて話があるのですが」 「お、おお。コルベール君ではないか。どうしたのかね?」 「それはあのヴァリエールが召喚した使い魔なのですが、やはり教師としましてはあれは卑猥に過ぎますので、 どうにかして処理できないものかと相談に」 「うーむ。処理といっても……」 まさか使い魔を殺す訳にもいくまい。殺せるかどうかはさておいて。 しかしあのビジュアルは、野放しにしておけば学院の風紀を壊滅させるであろうことは確定的に明らかだ。 実際、オスマンからして暴走しかけたくらいなのだ。 「確かに十八禁な姿をしている訳じゃし、そりゃあ子供には悪影響じゃが…… さりとてモザイクをかける訳にもいかんじゃろう」 「モザイクは、かえって劣情を煽る可能性もありますね」 ロングビルの補足に、オスマンはうんうんと頷いた。 なまじモロにさらけ出すより、隠していた方がそそるというのはオスマンの人生経験がはじき出した法則である。 「この私をも駆り立てる姿というのは問題じゃからの。 どうにかしたいのは山々じゃが、しかし……」 「オールド・オスマン、それについては貴方が勝手に暴走しただけなのでは」 不毛な議論を続けるオスマンとコルベールを無視して、ロングビルは鏡の映像を見つめていた。 映し出されているのはマーラだが、どうもおかしな状況に見える。 やけに生徒が集まっているし、マーラの前にはギーシュがゴーレムを作り出しているではないか。 「オールド・オスマン。この状況は妙ではありませんか?」 「だからいっそ、コルベール君の顔を模したマーク、名づけて禿げ男であの頭を隠すように…… なんじゃね、ミス・ロングビル?」 「この映像なのですが、どうも妙な……」 「うむ? これは、グラモンのせがれではないか。ご立派とグラモンのせがれがにらみ合ってナニを」 マーラの様子は普段通りでまったく落ち着いたものだが、ギーシュは表情からも決死である。 決闘でもあるまいし。そう言おうと思ったコルベールは、決闘という単語に自分でも驚いた。 「まさか決闘!?」 「……ミス・ロングビル。ただちに眠りの鐘の使用を教師どもに伝えるんじゃ」 「は、はい!」 オスマンの顔が一気に険しくなる。 その迫力に押されて、ロングビルは弾き飛ばされたように部屋から出て行った。 残ったオスマンとコルベールは、苦々しい表情で鏡を見つめる。 「まったく暇と性欲をもてあました貴族ってやつは…… 相手を見極められんのか。まったく」 「オールド・オスマン、このままでは恐らく」 「だから眠りの鐘を使わせるんじゃ。もっとも……あのご立派に通用するかどうかは怪しいが」 オスマンの目はますます厳しくなっていく。 「一刻も早くせんと……このままではとんでもないことになるぞ」 「やはり、殺……」 「殺されるだけですめばよいがな。……グラモンのせがれめ。菊を散らせるような場面は見せてくれるなよ」 「ギーシュ・ド・グラモンは薔薇を使っていますが……菊?」 「比喩的表現じゃよミスタ・コルベール……」 大人の表現であった。 さりげなく、ギーシュは杖を持たない手で尻を押さえた。 相手は前方にいるのだが、なんだか、そこを守らないといけないと、本能が伝えてくる。 「い、いけ! ワルキューレ!」 そして号令をかけて、女戦士像を突撃させる。 日頃磨いた錬金によって作り出した、自慢のゴーレム達であるのだが…… しかし今回に限っては、この美しい姿が仇になると、ギーシュはここで気づいた。 「は……8Pだ! ギーシュが8Pをしかけたぞ!」 「複数で挑むのか!」 野次馬達のその声によってである。 Pってなんだそりゃ。 薄々意味に気づいていながらも、ギーシュは問わずにいられなかった。 「良いセンスをしておるわな。これだけ美しい戦士を作り出すとはの。 お陰でワシも滾るというものよ」 「た……滾る……」 マーラがぐっと身をかがめた。 近づいてくるワルキューレに対応してのものだろう。 「か、かかれェ!」 語尾が裏声になりつつ、ギーシュの号令が飛ぶ。 一気に飛び掛るワルキューレだが、マーラは口元をニヤリと歪め、 身をかがめたことで蓄えたパワーを頭に集めて、 一気に解放する。 「グワッハッハッハ! まとめて相手をしてくれるわ!」 マーラの頭部が、凄まじい勢いで振り回された。 技で言うところの、大暴れ……それがついに発動したのである。 「ワ、ワルキューレェェェェ!」 ギーシュの絶叫も、聞くものがあればこそ。 マーラの大暴れを受けたワルキューレ達は、それぞれモノ凄い勢いで天に打ち上げられたのだ。 「おお……見ろ!」 「ギーシュのワルキューレが……!」 そして天頂近く、まさに頂点とも呼べるところまで吹き飛ぶと、ワルキューレは…… 一斉に爆裂四散し、その欠片を撒き散らした。 「り……立派すぎるよ……」 ギーシュが涙声でそう呟く。 そして周囲からは、 「ギーシュのワルキューレが!」 「たった、一突きで逝かされて!」 「悶絶昇天しちまったぞ!」 「なんて……なんてご立派なんだ!」 予想されたこととはいえ、この結果の凄まじさは筆舌に尽くしがたい。 そして余韻が収まると、今度は誰もが視線をギーシュに向ける。 この後に待ち受けているのは果たして何であろうか。 凄惨な死か……あるいは…… 「もう手はないのかね?」 「あ……あ、ひ、ああ……」 ゆっくりと。 それまで待ち受けるだけだったマーラが、動き始めた。 ゆっくりと。そう、ゆっくりと、頭を突き出したポーズでギーシュに近づいてくる。 そのおかげで、頭の先っぽが近づいてくる様が、ギーシュにはよく見えた。 「ひ、ひぃぃ……!」 「もう手はないのか。ならば……いよいよ終わりじゃのう……」 ギーシュも、彼の作り出したワルキューレ達と同じく…… あのご立派なモノを叩き込まれて、五臓六腑を撒き散らして昇天する羽目になるのであろうか。 人々は恐怖しながら、ただ、見守る。 「むう……?」 しかしギーシュの目前で、マーラは動きを止めた。 あと少しで射程内だというのに一体どうしたのか。 一瞬の命拾いをしたギーシュは、訳もわからず目前のモノを見る。 「ふん。決闘に水を刺すとはつまらぬ者どもだわな。 ……ぬうん、シバブー!」 「ひっ!」 何事かをマーラが叫んだので、慌ててギーシュは身を隠す。 が、彼には何も起こらない。周囲を見ても、変わった様子はなかった。 「い、今のは……?」 「なに、無粋を咎めたまでよ。まあよいわ。 小僧……決闘を挑んだからには覚悟はできておろう」 「あ……い、あ、それは……」 助けを求めるようにギーシュは周囲を見渡した。 しかし、これだけ沢山の生徒が集まっているのに誰も割り込もうとはしない。 決闘なのだから、という建前はあるが、しかしなんと薄情な…… 「ここで改めて問うぞ、小僧よ。 お主は複数の子女を弄びたいか……?」 「それは……ああ、それは……」 決闘の切欠となった問いだ。 これを否定したためにこんな有様になっている、と考えると、ここは肯定するべきなのだろうか。 肯定するだけで生き延びられるなら、肯定したことによる悪評など恐れる必要はないはずだ。 だとするなら、今度は自分の意志で頷いてもよいのではないか。 そこまで考えたギーシュはもう一度だけ周りを見る。 そして観衆の中に、ケティとモンモランシー、二人のガールフレンドの姿を見つけた。 (ああ、今日も美しいねモンモランシー。そして不安そうな姿の君も可愛いよ、ケティ。 まったく二人ともが僕の好みだからね、薔薇は沢山の人に愛でられ……) そこまで考えた刹那、ギーシュの目に光が宿った。 「……そうだ、薔薇は愛でられ、そして愛でてこそ……」 「どうなのだね、小僧……」 「……ああ! 僕は沢山の女の子と付き合いたいさ!」 こいつ命惜しさに認めやがった。 誰もがそう思ったであろう。モンモランシーとケティも、思いっきりため息をつく。 しかし。 「だがこれは僕の煩悩、欲望で思っていることではない! 僕は心から! 沢山の女性に愛を与えたいと願っているのだ!」 「むう? 小僧、それは……」 「僕の愛は一人に注ぐだけでは到底満たされぬのだ! 薔薇は気高く咲いて散る魂! 散る前に、一人でも多くの心を愛するのが定め! 僕は! 僕の運命として複数の女の子を幸せにする義務がある!」 なんか格好いいように聞こえるが、結局開き直っているだけなのでは。 やっぱりみんなそう思う。 「小僧。欲望によらずということは、いかなる相手をも愛さねばならぬのだぞ。 それでもなお……その道を選ぶのかね。選べるのかね、その茨道を」 「え、選ぶとも! どんな女性も僕は愛するさ! 手始めにだね、ケティとモンモランシー! この二人を同時に、そして最大限に愛するさ! ああ愛するとも! 愛して愛して愛しつくすさ!」 モンモランシーとケティが嫌そうに顔を歪める。 ところが、それを聞いていたマーラは、 にこりと笑って、 「見事! 見事な領解である!」 「……へ?」 「よくぞ認めたぞ小僧。いや、ギーシュ・ド・グラモン! 煩悩を拒むのではなく、自然として乗りこなす道を選んだか! 悟りの道はそこからよ! これからも進んでいけい、ギーシュ!」 「は……はい?」 「グワッハッハッハ!」 そして機嫌よさそうに、マーラは後ろを向いて歩き始める。 「お主の勝ちじゃ! よくぞワシを負かしおった! グワッハッハッハ!」 敗北を認めつつ、堂々と去っていったのであった。 「か……勝てた?」 首を傾げるギーシュ。そこに。 「ギ、ギーシュが……勝った……」 「ギーシュの奴……やりやがった……」 「ご立派様に勝ったんだ、ギーシュが……」 見守っていた生徒達が一斉に駆け寄ってきたではないか。 「ギーシュ! 畜生、ついにやりやがったな!」 「震えが止まらねえぜ! へへ、お前って奴は!」 「俺は前からやる奴だと思ってたんだ、ギーシュ!」 「き、君たち……」 生徒達はギーシュを取り囲み、一気に持ち上げる。 「ギーシュ! ギーシュ! ギーシュ! ギーシュ!」 「ありがとう……ありがとう、みんな……!」 ギーシュは泣いていた。 ただただ、泣いていた。 そして感謝の気持ちがこみ上げてくる。 (そうか、マーラ様は僕に、煩悩による愛ではなくまことの愛に目覚めよとおっしゃられたのだ…… そのためにこんな決闘騒ぎを……感謝いたします、マーラ様……) そして胴上げが終わり、地面に降ろされるギーシュ。 その花道を迎えるように、ケティとモンモランシーが近づいてきた。 二人とも満面の笑顔である。 「さあ、君たちも聞いていただろう! 僕はついに真の愛の道を歩み始めた! 手始めに君たちを愛するとしようじゃないか! 早速寝室へ!」 それを聞いて、ケティとモンモランシーは、笑顔のままギーシュに近づき、その右肩と左肩を支える。 そしてもう一度、ギーシュに笑いかけると、 左右の両方から痛烈な膝を叩き込んだ。 「ぐはっ!」 「最低です、ギーシュさま!」 「いい加減にしなさいよギーシュ!」 そしてギーシュを地面に叩き落すと、二人とも足早に去っていく。 「まあ、当たり前だよな」 「人間として最低だもんな」 「恥を知れギーシュ」 「ところで食堂に行かないか? デザートまだ食ってないよ」 「いいね!」 持ち上げていた観衆も去っていった。 しかし倒れているギーシュは…… 「ふふふふ……僕の戦いはまだ始まったばかりさ……」 笑い続けていたという。 ちなみにその後、眠りの鐘を使おうとしていた教師数名が金縛りとなり、倒れているのをロングビルが発見している。 突然金縛りにあい、どうすることも出来なかったのだと彼らは言ったそうな。 前ページ次ページご立派な使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/3175.html
前ページ次ページゼロ・HiME 準備を整えたルイズ達はロングビルを案内役に早速出発した。 馬車は道中での襲撃があった場合に備えて運搬用の荷馬車を使い、自ら御者を買って出 たロングビルに手綱を任せて現場に向かった。 ちなみに出発前にどこからか静留もフーケ探索に行くことを聞きつけたギーシュが自分 も同行させろと騒いだが、額に青筋を立てたモンモランシーによって阻止された。その後、 彼がどうなったかは神のみぞ知る……。 「そう言えば、なんでミス・ロングビルが御者してはるん? 貴族さんらはこういことせ えへんような気がするんやけど」 静留が御者席で黙々と手綱を握るロングビルに向かって話しかける。学院の下働きや衛 兵達以外=貴族と認識していた静留は、てっきり彼女も貴族だろうと思ってそう尋ねたの だが―― 「いえ、わたくしは貴族の名を無くした者ですから……」 ロングビルは静留の問いに、どこか諦めの入った表情で微笑んだ。 「え? だけど貴女は、オスマン氏の秘書でしょう?」 横で二人の話を聞いていたルイズが不可解だという表情でロングビルに尋ねる。 「ええ、でもオスマン氏は貴族や平民だということにあまり拘らないお方ですから」 「へえ、貴族いうても色々なんやねえ」 「まあ、いささかセクハラが過ぎるのが欠点ですが」 感心するような静留の言葉に続いてロングビルの口から放たれた忌憚ないオスマンの人 物評に皆が苦笑した。 そうこうしている間にも馬車は薄暗い森の中へと入り、やがて、馬車道が途切れたあた りで停止した。 「ここから先は、徒歩で行きましょう」 ロングビルの言葉に促されて馬車を降ると、ルイズ達は馬車道から続く小道を辿って更 に森の奥へと向かう。 程なく一行は開けた場所に出た。それなりの広さのある草原で、真ん中ぐらいに元は木 こりの炭焼き小屋だったと思われる朽ちた廃屋があった。 「わたくしの聞いた情報だと、あの廃屋に潜んでいるようです」 ロングビルが廃屋を指差して言う。一行は廃屋近くの茂みに移動して身を潜めると、タ バサを中心に作戦会議を行う。 「ほな、うちが合図したら打ち合わせ通りに……デルフはん、いきますえ」 「おうよ、姐さん」 作戦会議の結果、偵察にいくことになった静留は背中のデルフリンガーを鞘から抜くと、 廃屋へと近づく。 窓に近づいて中を覗くと、そこには家具や空の酒ビンが雑然と転がっているだけで人の 姿はない。 さらにドアを薄く開けて覗き込んで確認するが、やはり誰も居なかった。 (妙やね……使われとる様子も、だれぞいた形跡もあらへん……) 静留は小首を傾げるが、誰もいない場合の合図を送って皆を呼び寄せる。 「では、私はこの辺りを偵察してきますので」 ロングビルはそう言うと森の中に消えた。 ルイズに外の見張りを任せ、廃屋に入った静留、キュルケ、タバサの三人はフーケの残 した手がかりがを求めて家捜しを始めた。 そして、タバサが壊れかけたベッドの下にあった1メイルほどの細長いチェストの中か ら『破壊の杖』を見つけ出した。 「破壊の杖……」 タバサは確認するように呟き、チェストの中に鎮座する『破壊の杖』を無表情で指差す。 「なんだか随分とあっけなく見つかったわね」 「……これが破壊の杖なん?」 「ええ、間違いないわ。以前、宝物庫を見学した時に見たもの」 静留の問いにタバサがコクリと頷き、キュルケが肯定する。静留は『破壊の杖』をまじ まじと見つめると、眉根を寄せて考え込んだ。 (……なんでこないなもんがこの世界にあるんやろ?) 「きゃあああああ」 「……!」 ふいに外から見張りをしていたルイズの悲鳴が聞こえ、全員が廃屋の外へと飛び出すと、 そこには地面からむっくりと起き上がってくる土ゴーレムの姿があった。 「ゴーレム!」 キュルケが叫ぶと同時に、タバサが呪文を放つがゴーレムはびくともしない。ついでキ ュルケが呪文を唱えたが結果はやはり同じだった。 「無理よ、こんなの」 「退却」 状況が不利と判断したタバサは冷静にそう呟き、口笛を吹いてシルフィードを呼び寄せ ると、その背に乗るように皆をうながす。 「ルイズ様、逃げますえ」 静留はルイズを抱きかかえてシルフィードに向かおうとするが、ルイズは腕の中でバタ バタと暴れて抵抗した。 「シズル、放して! あのゴーレムは私が倒すんだから!」 「ルイズ様、無茶言うたらあきまへん! 破壊の杖はもう回収したんやし、戦う必要は ありませんえ」 「もう逃げるのは嫌! 私は貴族よ、魔法を使える者が貴族じゃない! 敵に後ろを見 せない者を貴族って呼ぶのよ!」 「――ルイズ様!」 ルイズは静留の腕を振り払うと、ゴーレムに向かって走り出した。それを感知したゴー レムが足を振り上げ、ルイズを踏み潰そうとする。 ルイズは呪文を放つがやはりゴーレムには通用せず、その足がルイズの眼前に迫る。ル イズは目をつぶってしゃがみ込んだ。 「……っ!」 次の瞬間、静留がゴーレムとルイズの間に飛び込んで、ゴーレムの足をデルフリンガー で弾き返すように切り裂くと、ルイズを片手に抱えて後方に飛びのいた。バランスを崩し たゴーレムは後方にひっくり返り、周囲に土煙が舞い上がる。 「……シズル?」 「さあ、ルイズ様! 今のうちにはようタバサさんの竜の所へ! 」 静留は抱えていたルイズを地面に下ろすと、ゆっくりと再生しはじめたゴーレムに向け てデルフを構えた警戒態勢のままで移動を促す。 「で、でも、わたしは……」 「ルイズ様、勇敢さと無謀さを履き違えたらあきまへんえ。ここにきた目的は『破壊の 杖』の回収ですやろ? だったらルイズ様は余計な心配せんと杖を持って帰ることだけ考 えればええんどす。露払いはうちがしたりますさかいに」 「姐さんの言うとおりだぜ、娘っ子。分かったなら、さっさといきな!」 静留とデルフの言葉を受けてルイズが立ち上がると、そこにキュルケとタバサを乗せた シルフィードが舞い降りた。 「ルイズ、乗って!」 「あなたも早く」 キュルケがルイズの手を掴んでシルフィードの上に引き上げ、タバサが静留に声をかけ る。 しかし、静留はシルフィードには乗らずに、動き出だしたゴーレムの方に向かっていく。 「――シズル!」 「心配せんでもあの木偶の坊を倒したら、すぐに追いかけますさかいに。タバサさん、 ルイズ様を頼みましたえ」 静留は振り返ってシルフィードの上から怒鳴るルイズに答えると、タバサに先に行くよ うに合図を送る。 「分かった……」 タバサは一瞬、躊躇するような表情を浮かべたが、すぐにこくりと頷き、シルフィード を飛び上がらせた。 「姐さん、危ねえ!」 デルフが叫ぶと同時に静留の足元の地面が波打つようにうねり、そこにゴーレムの右の 拳が振り下ろされる。 「……くっ!」 間一髪、静留は横に跳躍してゴーレムの拳をかわす。一瞬、拳が地面にめり込んだ衝撃 でバランスを崩しかけたものの、なんとか無事に着地する。 「やれやれ、このあたしが仕留め損なうとは、随分とヤキが回ったもんだ」 ふいに森の方から女の声がしたかと思うと、黒いフードとローブを身に纏った人物が草 原に姿を表した。 「ようやっと姿を表しはりましたな、『土くれのフーケ』はん」 静留に声をかけられたその人物――土くれのフーケは、それに答えずに無言で杖を振る う。するとゴーレムは表面を土から鈍い光沢を放つ鋼鉄へと変化させ、先ほどの鈍重さが 嘘の様なスピードで静留に襲い掛かった。 前ページ次ページゼロ・HiME
https://w.atwiki.jp/suka-dqgaesi/pages/5790.html
48 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 00 44 21.69 0 セクハラってなんで自分の妻がされても平気なんだろうね 元旦那も私がウトにセクハラ(乳揉み尻揉み風呂に入る脱衣所をのぞく等) をされた時「いちいち構うからちょっかい出されるんだろ」っておんなじこと言った 実家でそのことを話したら家族が怒って、 私たちが実家に行った時弟や兄が尻や股間を揉んだり 一緒にお風呂に入って熱い視線で見つめたりしてた 元旦那が私にそれを言ってきたので、「いちいち構うからちょっかい出されるんじゃない?」 って言ったらグーで殴られたよ 49 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 00 47 14.25 0 S(ご主人様)は同好の士にM(奴隷)を捧げるのが習慣らしいから。 50 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 00 53 05.08 0 48 その後の流れkwsk 51 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 00 53 14.93 0 48 NTR(寝取られ)ジャンルが好きなんじゃないのか? 52 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 00 55 36.02 0 50 元がついてるから、緑の神を召喚したんじゃないの? 53 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 01 26 52.36 i 48 えっ、あなたの実家にいるときに殴ってきたの? いや、暴力自体がもう鬼畜の所業なのはもちろんなんだけど、それを嫁の実家でやったとなると下衆の極み通り越して、キチガイだわ。 54 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 01 55 59.56 P 48 妻がセクハラされて平気なんじゃなくて 親の悪口を(本当の事でも)言われるのが嫌なんじゃないかな 最低ウト最低旦那と別れられてよかったね 55 名前: 48 [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 03 49 25.55 0 メンタリスト見てたw 実家にいる時殴られたよ 腹が立つより、びっくりした 自分が何を言ってたのか気づいてくれるんじゃないかと思ってたから 私に同じ事言ったくせにどうして?と聞いたら、 ホモは気持ち悪いと じゃあ、うちの母親がしたんなら仕方ないと思う訳?って言ったら、 年寄りが色気出して気持ち悪いってw ウトのすることはじゃれてるだけ、 家に若い女がいるのが珍しいだけ(旦那は男兄弟のみ) そのうち飽きるって言い張って それよりホモの兄弟がいるなんて聞いてない 結婚に差しさわるから隠してたのかって責められて、 確かに兄はゲイなんだけど、前科や統合失調や遺伝病を隠してた訳でもないし 責められる筋合いはないと言い争いになって 腹立たしく休んで、まあ義実家に帰ってからも ぎくしゃくしてたら、ウトのセクハラで後ろから抱きついてきたとき 勃起してるのがありありと分かって、もう我慢できなくて 翌々日くらいに 自分の服や本だけ黒猫の単身者パックで実家に送って義実家を出た 調停でもそのくらいで離婚なんて我慢が足りないとか言われて 調停員の股間や胸を揉んだのがDQN成分と言えば言えるかも 56 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 03 51 43.43 0 55 うわぁ…マジキチだったんだね 調停員までもそんな事言うんだ… 別れられてよかったなぁ 57 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 04 01 16.96 0 55 読んでてムカムカしてきた… 嫁にチョッカイ出す=パワハラだよね。 私は元旦那に「息子の嫁にセクハラするって事は息子を馬鹿にしてるって事だよ」 って言ったら張り手されて離婚した。 58 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 04 05 51.41 0 女房に対して独占欲無いのか、そのクソ元夫どもは? 59 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 04 08 25.10 0 ボクチンの大切なオトータマだから、悪気は無いんだ、プンプン!! 60 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 04 30 56.65 i 息子の嫁にセクハラかます糞野郎の息子だからな。 糞野郎の教育を受けた、立派な糞旦那だったわけだ。 離婚できて良かったよ。 元旦那、将来的には息子嫁にやってただろうね… 61 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 07 05 37.63 0 55 糞爺の勃起チンコを包丁で刺したいくらい気持ち悪いし腹が立つ その調停員もなに?平成の話?シンジラレナイ 62 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 07 12 46.87 0 揉まれた調停員の反応kwsk 65 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 10 11 39.55 0 61 それを平成の話と思えないようじゃいつまでも先送りだよ そういう悪習は昭和って事にして切り捨ててふたをして見なかったことにする そうやって目を背けるから平成の今でも変わってないだけだと思う 66 名前: 名無さん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 10 35 19.92 0 揉まれた調停員の反応kwsk 激しく同意! そこからどうなって離婚できたかw 67 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 12 45 35.22 0 おなじく気になる 調停員はどうなったの? 68 名前: 名無しさん@HOME 投稿日: 2012/04/28(土) 15 21 04.26 O オレの隣で寝てるよ 76 名前: 名無しさん@HOME 投稿日: 2012/04/28(土) 18 11 59.07 0 親戚に調停員が三人いるんだけど、全員 高学歴高収入の夫(田舎な地元の名士w)の妻。プライドが高く保守的 狭い世界でなに不自由なく生きてきたババア なんだよね。若い女に説教すんの大好きだったよ 77 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 18 34 47.72 0 ばばあだけど若い女に説教したくないから調停員出来ないなw 78 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 18 49 04.31 0 揉まれた調停員気になるなw 84 名前: 48、55 [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 21 45 28.24 0 年寄りのすることで若い人みたいにいやらしい気持ちじゃないんだから 娘だと思えばこそスキンシップ取りたいんじゃないの? あまりそう言う方向に考えるのは良くないんじゃない? そんな感じだったので 調停員のおばさんの胸揉んで、 それを止めようとした調停員のおじさんの股間揉んで 「いつもこんな風に突然体を触られるんです これはスキンシップですか?スキンシップだと思いますか? 私がスキンシップだって言ったらなるほどそうだと思うんですか?」 そう言ったら黙った おばさんの調停員はそれでもまだ、他人が触ればセクハラだけど親なんだからって 言ってたけど おじさんがそれはちょっと違うって言ってくれて流れが変わって、 次のときはおばさんが他の人に変わってた かなり時間はかかったけどなんとか離婚できた 元旦那は最後まで 直接何かされた訳じゃない考え過ぎ オヤジはもう枯れててそんな気は全然ないはずって主張してた セクハラしてきた時勃起してたことも言ったのに 86 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 21 55 09.07 0 やっぱり婆の調停員は使えないんだな。 離婚できて良かった。 87 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 21 58 03.81 0 DQNが見当たらない。 普通に権利を行使して離婚してる。 調停員にはDQNだけど、義実家ではないね。 88 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 22 04 59.56 0 84 素晴らしい ワロタ ウトなんか親じゃねえ!よそのエロじじいだ 89 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 22 06 24.58 0 何て役立たずの調停員… そんなもん実の親でも嫌だっつーの 90 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 22 13 39.17 0 おじさんはちょっと嬉しかったかも知れんw 91 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 22 14 06.93 0 90 それは言っちゃダメ 92 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 22 14 27.75 0 親なんだからって、親にセクハラされてたらそれこそ問題だと思うんだ 93 名前: 名無しさん@HOME [sage] 投稿日: 2012/04/28(土) 22 35 19.62 0 嫁は我慢するもの、させるもの ってのがおばさん世代(調停員含む)の基本なんだな。 思わぬDQN返しが読めて勉強になった。ありがとう 84 次のお話→110
https://w.atwiki.jp/jiisan/pages/22.html
《ここからは、多分、完全に私のオリジナルだと思いますが、そのことを考えているうちにこの痛風記を書くきっかけにもなったのです。》 つまり、自分の中の細胞が何かの具合で不都合が生じたときに、この自己抗原を変化させ(MHCであるかもしれませんし、糖鎖であるかもしれません)、免疫細胞に敵と認識させ、攻撃を加えるためのシステムではないかと考えました。 この好例が免疫細胞によるガン細胞攻撃のカラクリだと思うのです。 「免疫力を高めればガンは恐くない」等をうたった本はたくさんあります。 しかし、それらはほとんど「ガンになってから免疫力を高め、ガンを治し、進行を遅らせる」といったものがほとんどす。 なぜ、免疫細胞はガン細胞が小さいうちに攻撃しないのでしょうか? ——この謎を解くカギがここにあったのです。 細胞に不都合が生じガン化しました。おそらく分裂・増殖等の遺伝子に変異が起きて、無限に分裂できる能力を身につけるようになったのでしょう。 しかし、その時点で免疫細胞はガン細胞を攻撃できません。もともと自分の細胞なのでMHCが同じだからです。 ところがある程度の大きさになるとおそらく密度の異状がおきるのでしょう。細胞は本来、一定の距離を保ち、それ以上近づかない性質を持っています。これもレセプター(受容体)の能力です。 これが壊れたことを認識してMHCが変わるのだと思います。つまり細胞が自ら自分自身が敵になったことを教えているのだと思います。 ガンの場合、変化が生じた遺伝子は分裂・増殖に関わる遺伝子でしょう。おそらくその時点では、MHCやレセプターは正常のはずです。 しかしガン化した細胞が異常に分裂・増殖をつづけていくと、まずレセプターが異変を感知します。 「えらく隣の細胞との距離が短いやないかい」——正常なレセプターは自分や周囲の細胞にサイトカイン(誘導物質)を出すよう命じます。 「ええかげんに分裂するのやめなはれや」——たいていの場合はその命令でわれにかえり、 「そやな、このへんでやめとこうかい」——と異常な分裂にストップがかかるのですが、 「そんなん知らん、ワシは好きなようにやらせてもらいまっせ」——と、さらに分裂・増殖を続ける細胞もあります。 つまり、遺伝子の分裂系とレセプター系の二重の異常です。 このような時にMHCを変えるような機構が存在するのではないでしょうか。免疫系の遺伝子は数多くの抗原に特異的に対抗するため、ほんのわずかな変化で数多くのバリエーションを作り出す能力を持っています。 これは外来抗原に対する能力ですが、この能力が自分の細胞に対してもあるのではないかと思います。(安保徹先生著の『免疫革命』には、この自分に対する能力が先で、それが進化して数多くの外来抗原に対する免疫系が進化したと書かれています。) こうして自分の細胞でありながら、敵としての情報を提示している細胞に対して免疫細胞は攻撃を開始します。これがガンに対する免疫力の関係ではないでしょうか。 結構いろいろな現象を説明できる考え方だと思うのですが……。 さて、痛風も同じような原理で考えたらどうでしょう。 尿酸値がある一定の数値を超えると、細胞に修復不可能な傷が生じると仮定します。 するとその細胞は、MHCを変化させ自ら敵になったことを免疫細胞に提示します。当然、免疫細胞はその細胞を攻撃します。これが痛風の痛みの原因であると考えたら……。 そして遺伝子に変異が起きる細胞は骨を造る幹細胞だと思います。分化が終了した細胞に変異がおきても、その症状としては一時的なものとなるはずです。 しかし痛風は慢性病で、決して一時的な病気ではありません。食事療法などで症状を緩和させることはできますが、完治はなかなか難しそうです。 それは幹細胞に異常がおきると、新たにできるすべての娘細胞に異常が生じるからだと思います。その新たな娘細胞にMHCが変化した抗原が提示されています。そして免疫細胞の攻撃の対象となり、痛みが生じるのです。 幹細胞には新たな細胞を生み出すための十分な栄養とエネルギーが補給されるシステムが確立しているので、なかなか免疫細胞も攻撃することが難しいのでしょう。これが痛みが長く続き、ほとんど一生治らない原因だと思います。 食事療法などで尿酸値を下げると、新たな幹細胞の変異は生じないので症状は落ち着きます。骨の細胞は比較的ゆっくり新陳代謝すると思われるので、日常生活に支障のないレベルくらいにまでは回復するでしょう。 ところが油断してビールを多量に飲むと尿酸値が上がり、新たな幹細胞に異常がおき、その結果また、激烈な痛みを引きおこすのだと思います。 そして全体としては良くなることはなく、だんだん悪くなっていく。つまり、老化していくということだと思います。 (2005年10月8日) 「その6」へ>
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/2617.html
前ページ次ページAI使い魔タチコマンズ+α Hello! The different world! 「はじめまして! 僕タチコマ!」 激しい爆音と共に現れた青い蜘蛛のような形をした物体は姿を見せるなりそういった。 「あれ? ここどこ? えーと君は誰?」 周囲に立ち込める煙が晴れるなりキョロキョロと辺りを見回すようなしぐさをする。 ルイズはタチコマの一方的な自己紹介に少し驚き硬直してしまったがすぐに立ち直り口を開く。 「あんたこそ何なのよ!」 タチコマと名乗った青い物体に怒鳴るものの無視されてしまった。 「あーっ!」 ルイズを無視した青いタチコマはキュルケがいる方に向かって叫んだ。するとキュルケの方からも青いタチコマと同じ声がした。 「あれ? 何で僕はここにいるのかしら? それに何処も壊れていないし…」 キュルケのそばにいたのは黄色いタチコマだった。青いタチコマは黄色いタチコマに走って近づく。ルイズもそれを追いかける。 「僕たちどうしちゃったんの?」 青いタチコマは黄色いタチコマに話しかけた。 「わからないよ。 けど僕たちはバトーさんを助けて死んじゃった……いや壊れたはずだよね」 黄色いタチコマはそう答えた。 「あんたたち! わたしを無視するんじゃないわよ!」 だけど二体のタチコマはルイズを無視する。 「ヴァリエール…あなたもあたしと同じ使い魔召喚したのね」 興奮して顔を真っ赤にしているルイズにキュルケが話しかけた。 「何よキュルケ」 文句あるのとでも言いそうな目でキュルケを睨む。 「ルイズ、あなた契約したの?」 睨みつけるルイズに少し呆れながらもキュルケは話を続ける。 「まだよ…。だって話を聞いてくれないもん」 口を尖らせるルイズ。 「そうなの…。実はあたしもまだ契約していないのよ」 そいったキュルケに少し驚きながらもルイズは言葉を返す。 「何で?」 キュルケは溜息を吐きながら端的に答えた。 「口が…どこかわからない」 その言葉にルイズは二体のタチコマを見る。 「もしかしてここがタチコマの楽園?」 「う~ん…。それは違うと思うな。だって僕たち以外にタチコマがいないし、第一ここにいる人たちは誰何だい?」 「まさか天使とか…」 「そんな非科学的なことあるわけないじゃないか」 「そうだよね」 何やら話が弾んでいる二体のタチコマ。どこから声を発しているのだろうか。 「どうしよう?」 まさか呼び出したものの契約できないのだろうか。ルイズはちょっぴり涙ぐむ。 「君達、早く契約をすませなさい」 そこにコルベールが口を挟む。 「残りは君達を含めて三人だけだ」 三人? わたしとキュルケとあと一人は誰? ルイズはキョロキョロと辺りを見回す。 「ゼロのルイズと同じ使い魔!?」 そこには灰色のタチコマ…蜘蛛に例えるならばちょうど腹にあたる部分のないタチコマを従えたモンモランシーが悲鳴のような声をあげる。 そしてタチコマは… 「「「アーッ!」」」 盛大に驚いていた。 「ふむ、三人ともしゃべるゴーレムかね? 実に興味深い…。おっと君達、早く契約をすませなさい」 契約を急かせるコルベールにルイズは反論する。 「ミスタ・コルベール! こいつらの口がわかりません」 それを聞いたコルベールは少し考え込む。 「とりあえず口と思われるところにそれぞれしなさい」 そう言われた三人は彼女達が召喚したタチコマたちの前にそれぞれ立った。 「あれ? 何かよう?」 「ここってどこなの?」 「ねえ君誰?」 彼女達は思い思いの場所に口付けをした。 「君、何してるの?」 「僕知ってるよ。これってキスって奴だよね」 「ということはこの人たちは機械フェチ?」 三体のタチコマは一歩後ずさる。するとそのうち青いタチコマに異変が訪れた。 「ああー見て見て! 僕の左のマニピュレーターに模様がある!」 「あ、本当だ」 「いいなぁ~かっこいいなぁ」 それを見届けたコルベールは満足気に頷いた。 「無事に契約できたようだな。さて皆学院に戻るぞ」 その言葉に促され生徒たちは宙に浮いていく。その光景を嘆息しながら見詰めるタチコマたち。 「CG?」 「いやワイヤーアクションだろ?」 「無駄にすごいよね」 何やら間違った感想を持つタチコマたちだった。 ルイズたちも学院に戻らなくてはならない。キュルケが先立って口を開く。 「ちょっとあなた、少しいいかしら? そこの黄色いの」 黄色いタチコマはキュルケに向き直る。 「なになに?」 「あたしの名前はキュルケよ。あなたは今日からあたしの使い魔。よろしくね」 そういってウインクをするキュルケだったが黄色いタチコマは無視した。 「ねえ君。スタイルいいよね。少佐とどっちがすごいかな?」 やたらセクハラ地味た言葉にキュルケの顔は引き攣った。 ルイズも負けじと青いタチコマを呼ぶ。 「青いの! あんたよあんた! いい?今日からわたしの使い魔になるんだから光栄に思いなさいよね!」 小さな胸を張って威勢よく告げるルイズ。ここでもタチコマは冷静に告げる。 「使い魔? 君何言ってるの?」 「知ってるよ。さんそけつぼーしょーとかいうやつだよね?」 「それは違うと思うよ? まあともかく冗談はその胸だけにして…」 それを聞いたルイズはわなわなと震える。 「ムッキー!」 怒りに身を任せルイズは杖を振る。そして訪れる激しい爆発に青いタチコマは吹き飛ばされる。 「うわ! ロボット虐待!」 「機械にも愛を!」 生き残った二体のタチコマは騒ぎ立てるがルイズに睨まれ黙り込む。 「えーと…灰色の君? 今日からわたしの使い魔になるんだけど…」 「うん!よく分からないけどいいよ!」 モンモランシーに話しかけられ、吹き飛ばされては堪らないと即答した灰色のタチコマだった。 一方吹き飛ばされた青いタチコマはギーシュを下敷きにしていた。 「んもう~全く酷いんだから…」 青いタチコマはギーシュの上から飛びのく。するとギーシュを心配するかのようにソバに寄り添う四角い物体がある。 「ジェームスン社長!」 驚いて思わず声を上げた。そしてそれを聞きつけた二体のタチコマが飛ぶようにやって来た。 「わー社長だ~」 「久しぶり~」 ここに三体のタチコマと少女達の物語が幕を開けた。ついでにギーシュとジェームスン社長の物語も……。 前ページ次ページAI使い魔タチコマンズ+α
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/16.html
>>back >>next 「オールド・オスマン?」 「なんじゃね、ミス・ロングビル」 「お尻を触るのは(以下略)」 さて、本筋ではこの頃に才人に刻まれたルーンが伝説の使い魔“ガンダールヴ”のものらしいと 判明するわけだが、カズマに刻まれたそれは“s・CRY・ed”すなわち【進化の言葉】である。 しかもアルファベットに近い文字こそ有るものの、この言葉を知るものは元の世界にすらほとんどいない。 当然コルベールの努力は今のところ全くの徒労に終わっている。 ということは、オールド・オスマンがこの後セクハラ三昧の末にミス・ロングビルに折檻されまくったところで、 誰も割り込んではくれないというわけだ。 合掌。 ところ変わって、こちらは先ほどルイズが教卓を吹き飛ばした教室。 気絶したミセス・シュヴルーズに代わって解散を命じた教師は、 爆発のせいでとっ散らかった教室の片づけを魔法を使わずに行うようルイズに命じた。 もっとも、魔法を使えば爆発するのだから使ってよいと言われても同じである。 「カズマ、アンタもっとしっかりやりなさいよ」 「断る。自分の始末は自分でつけろ」 「アンタ私の使い魔でしょ。ご主人様がやれと言ったらやるの」 「【反逆】を背負ってやるとは言ったが、使い魔をしてやるとは言ってねぇ」 とまぁ、こんな調子で二人はずっと言い争いをしており、片づけはロクにはかどっていなかった。 まぁ、ありがたいことに基本的には【錬金】による石造りの教室である。さすがにそこまでの被害ではなかった。 もちろん、カズマにしても全く手伝っていないわけではない。明らかにルイズには重そうな木片などは カズマが拾ってやっている。なんだかんだ言っても基本的に女子供には優しいのだ。 子供扱いしているとも言うが。 「アンタがここで生活するのにかかる費用は全部私の家から出ることになるのよ。 だからその分は従いな…って、そういえば朝ごはんどうしたのよ?」 「洗濯頼みに行ったらもらえたぜ? いつでも来ていいとかなんとか」 完全にルイズの手が止まる、と思うと真っ赤になって怒り出した。 「やめなさい。『ヴァリエールはロクに使い魔に食事もさせられない』なんて笑われるのは私なんだからね。 由緒ある公爵家の名前に傷がつくわ。今後一切禁止」 『知ったこっちゃねぇ』 そう言う代わりにでかいゴミをまとめて肩に担ぎ教室を出て行くことにする。 「ちょっと、こら! カズマ! 聞いてるの!?」 「こいつを捨ててくる」 それだけ言って話を打ち切る。教室からはギャーギャー聞こえる気がするが無視を決め込んだ。 「しっかし、ルイズのヤツ褒めてやったのになんで怒ったんだ?」 実は、解散を命じられて最初にルイズの着替えに戻ったのだが、 その際爆発の威力を褒めていたりする。そりゃ怒るのも当たり前なのだがカズマはいまだにわかってない。 残されたルイズはといえば、なんだかんだ言って片付けのかなりの部分を自分でやったわけだが、 反逆がどうのこうの言ってちっとも言うことを聞きやしない使い魔に、 『自分は魔法はおろか使い魔を御すことすらできないダメメイジなのか』 とちょっとへこみかかっていた。 幸いなことに、逃げ出そうとする様子はとりあえず無い。そうなっては笑いものどころではないだろう。 家名を取り上げられて放逐、などという最悪の予想をしてしまい、わずかにゾッとする。 「代わりの教卓持ってきてやったぜ」 空気を読まずに戻ってきたカズマに救われたような気がした。 のだが、当然素直に礼を言えるような性格をルイズがしているわけもないのである。 なんとか昼食の時間までに教室を片づけたルイズは、カズマを伴って食堂に向かいながら悩んでいた。 大見得切ったからにはカズマの食事をなんとかしなければならない。 しかし貴族と同じテーブルにつけるわけにはましてや貴族と同じものを食べさせるわけにはいかない。 手っ取り早いのはカズマ用のものを自分の部屋に運ばせることだが今から頼む時間もなければ そんな特別扱いをしてもらえるかどうかもわからない。 悩むを通り越して途方に暮れそうになって軽く頭を振った。 しかも、ルイズがこんなに悩んでいるというのにカズマはすれ違う給仕係と「今朝はありがとな」とか にこやかに挨拶してたりするのだから当然面白くない。 まったくこの使い魔ったらご主人様をなんだと思ってるのかしら。 周りに愛想振りまくくらいならちゃんまずちゃんとご主人様の言うこと聞かなきゃだわ。 いえいえそうじゃないわ私。使い魔をしつけるのもご主人様の仕事ですものねきっと、うん。 とかなんとか頭の中をぐるぐるさせている内に食堂に着いてしまったではないか。 『結局どうすればいいか思いつかなかった!』 本気で頭を抱えることになり、で思わず口をついたのは、 「ご主人様の言うことを聞かないアンタは今日のお昼抜き! 外で待ってなさい!」 であった。 実は自分でも苦し紛れのその場しのぎなのはわかっていたりするのだが言ってしまったものはしょうがない。 カズマが従うとはまったく思えなかったりするのだがそれでもやっぱりもう言っちゃった後である。 果たして、おそるおそるカズマの方を見てみると、つまらなそうな顔をして中庭の方へ歩いて行くではないか。 はてどういう風の吹き回しなのかしら。それともダメって言ったのに厨房へでも行って何か食べさせてもらうつもりかも。 従うとは言わなかったし、アイツ。でもちゃんと用意してない私も悪いのかもしれないから今回くらいはしょうがないのかな。 それならいっそ床にでも座らせて私が食べるものから何切れかあげた方がありがたみがあったのかもしれないわ。 あぁなんでそれをさっき思いつかなかったんだろう。 また頭がぐるぐるしてきたルイズですが、でもとりあえず肉体労働後の食欲にはかなわなかったのです、まる。 一方カズマの方は『所詮ガキの癇癪』位にしか思っていないので、 とりあえず従うところを見せてやればおとなしくなる、とか考えていたりする。 『そう言えばかなみはむくれることはあってもこういう癇癪起こすことはなかったな』 食堂にほど近い場所に座り込んで、ルイズより年下なのにずっと大人な同居人のことをぼんやり思い出す。 『まぁ寒いからってオレの寝床に潜り込んできたりはしてたか』 「あら、どうかなさいました?」 そのカズマに声をかけるまごう事なきメイド服。言うまでもなく黒髪とそばかすがチャームポイントの “脱いだらすごい”シエスタであるが、もちろんカズマは知りゃぁしない。ついでに言うと、 「そう言えば朝厨房にいらした方でしたっけ。なにやってるんですか?」 とシエスタが覚えているのに、カズマはさっぱり覚えてなかったりする。 「ルイズが癇癪起こしたんでな。アイツの飯が終わるのを待ってる」 「だめですよ、自分が仕えるご主人様のことをそんな風に言っちゃ」 「オレにゃぁ関係ねぇ」 「まぁ」 と言ってコロコロと笑うシエスタ。 「でも、…えぇと、そういえばお名前聞いてませんでしたよね? 私シエスタと言います」 「カズマ」 「カズマさんお昼ご飯は?」 「抜きだとさ。あんたらのところでもらうのも禁止だと」 「そんな…。でも大丈夫ですか?」 「放っときゃ収まるさ。子供の相手は慣れてる」 「だから貴族様にそう言う言い方は…」 「いいんだ。それより仕事中じゃねぇのか?」 「あぁ、いけない。じゃ、私行きますね。そうだ、カズマさんおなか空いちゃうでしょうから 後で何か差し入れします」 気にすんな、と言った風情でシエスタを見送ってまたぼんやりするカズマの耳に飛び込んできたのは、 しばしの喧噪に平手打ちの音、そして何かをひっくり返したような音であった。 >>back >>next
https://w.atwiki.jp/jiisan/pages/67.html
赤坂じいさんがYahoo!掲示板に“ブログ風”に綴った、奥さんと娘さんの記述を取り上げて、残してみました。 性格上、相手方の質問や投稿は省いてありますので、わかりにくいところもありますが、ご判断ください。 ↑ と、思いましたが、 自分のサイトにまとめておくといいのではないかな?w という方がおりましたので、すべて丸ごと掲載します。 1 ~ 100 111? 222?
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5901.html
前ページ次ページゼロと波動 翌朝、学院は上を下への大騒ぎだった。 メイジの巣窟という一見難攻不落の魔法学院の宝物庫があっさり荒らされたのである。 学院長室は異様な緊張感に包まれていた。 昨晩の当直だったシュヴルーズがギトーを筆頭とする他の教師たちから吊るし上げられていたのだ。 「ミス・シュヴルーズが昨日の当直だったはずですな。どう責任をとるつもりなんですかね?」 「いや・・・まさか・・・学院が盗賊に狙われるなんて・・・」 「その怠慢がこの結果なんですぞ!?」 「そ・・・それはその通りなんですけど・・・」 シュヴルーズがしどろもどろになりながら必死で弁解しようとする。 そこにオスマンが現れた。 「ミス・シュヴルーズを虐めるのもそのぐらいにしておきなさい」 決して大きくはないが、威厳ある声にその場が静まる。 「皆してミス・シュヴルーズを責めているようじゃが、この中で夜の当直をキチンとこなしておる者がおるのかね?」 オスマンが一同を見回す中、誰もオスマンと視線を合わせようとしない。 皆が皆、魔法学院が襲われるなど夢にも思っていなかったのだ。 大半が少年少女からなるメイジの卵とは言え、魔法学院にいる者はそのほとんどがメイジである。 複数人のスクウェアクラスメイジによる、『固定化』をはじめとした魔法技術を駆使したその堅牢さは生半可なものではない。 守りの厳重さだけで言えば王宮に匹敵すると言っても過言ではない鉄壁の砦。 それがトリステイン魔法学院だった。 そんな魔法学院に賊が入るなど思ってもいなかったので、まともに当直をこなしている者など誰もいなかった。 「今回の件、もし責任があるとしたら儂を含めた全員じゃろうな。そもそも儂からして、まさか学院が襲われるなど露ほども思わなかったからの。儂ら全員の怠慢じゃ」 そう言いながらこっそりシュヴルーズの尻を撫でる。 が、当のシュヴルーズはオスマンが自分を庇ってくれたことに感動してしまい、自分の尻を撫でられていることに気づいていない。 ひとしきり尻を撫で回したオスマンは満足すると、再び口を開いた。 「問題は誰の責任なんぞとくだらんことを言い合うことではなく、これからどうするかと言う事じゃ」 オスマンが言い終わったのと同時に扉が開く。 「昨夜、現場に居合わせた者達を連れてまいりました」 頭を光らせながら現れたのはコルベール。 その後ろからルイズ、キュルケ、タバサ、リュウ、そしてシエスタが続けて部屋に入る。 「彼女らが昨晩の犯行を目撃したそうです」 言うと、コルベール自身は教師陣の中に混じってオスマンの言葉を待つ。 「ほう、君らか。で、どんな状況じゃった?」 オスマンの問いかけにルイズが答えようとしたが、キュルケがそれを制する。 ルイズが喋ると余計なこと、リュウの暴走まで喋る気がしたからだった。 今、ここで学院にリュウが危険人物だと判断されるのはよろしくない。 当然ルイズは文句を言おうとしたが、キュルケのいつにない真剣な顔におとなしく従った。 キュルケはルイズがおとなしく下がったのを確認すると、自分の見たことを正直に、ただしリュウのただならぬ様子だけは伏せて答える。 が、それに異を唱えたのはミスタ・ギトーだった。 「平民が30メイルのゴーレムを倒した?そんな馬鹿げた話があるかね」 周りの、コルベール以外の教師たちも一様に頷く。 「でも!本当なんです!本当にリュウが倒したんです!」 リュウはとんでもなく強い。きっと、ここにいる誰よりも。 圧倒的な強さでもって巨大なゴーレムを粉砕したリュウが今でも鮮明にルイズの瞼には残っている。 それなのにリュウは誰よりも優しい。 魔法の使えない自分を馬鹿にするでもなく、いつも優しい目を向けてくれる。 何々をしろなどとは言わないが、やるべきことをそれとなく教えてくれる。 最初こそ平民を召喚してしまったことに不満しか感じなかったが、今ではリュウは最高の使い魔だった。 自分にだって分かっている。平民がゴーレムを倒したなどと、にわかには信じられるはずがない。 かくいうルイズ自身も最初、まさかリュウがギーシュに勝てるなど思いもしなかった。 だから、先生たちがリュウの強さを信じられないのは当然だ。 それでも、リュウを否定された気がしたルイズは我慢できずに反論した。そして、それを援護したのがオスマンだった。 「儂は信じるよ。生徒の言葉を信じられんようでは教師も終わりじゃて。のう?ミスタ・コルベール?」 そっけなく言うオスマン。 「そうですな。まずは生徒を信じる。そこから教育の道は進むんだと私は思いますな。 それに、ミスタ・リュウは遥か東方の”ブドー”なる術を使うと聞いています。彼ならそれぐらいはやってのけても不思議はないと思いますぞ」 コルベールも相槌を打つ。 オスマンとコルベールは先日リュウと話し合った末、リュウが違う世界から来たなどと本当のことを言うわけにもいかないので リュウの使う技を東方の術ということで皆に納得させることにしていた。 「が・・・学院長がそう仰るなら・・・」 役に立つとも思えない研究ばかりしている冴えない偏屈教師であるコルベールの発言はともかく、 学院の長たるオスマンの発言では無碍に否定するわけにもいかず、教師陣は仕方なく押し黙る。 「さて、では話を戻そうかの。改めて諸君に問おう。今後、儂らはどうすれば良いと思うかね?」 オスマンはこっそりシュヴルーズの隣に移動すると、再び尻を撫でながら皆の意見を求める。 「そ・・・早急に王宮に連絡して騎士を派遣してもらわなければ・・・」 今度はセクハラに気づいたシュヴルーズが飛び跳ねて逃げながら答えた。 「カーーッ!!」 オスマンは意外なほどの迫力で目をむくとシュヴルーズを一喝した。 「わざわざ自分らの無能っぷりを晒すというのか!嘆かわしい!儂らはメイジじゃぞ! 自分の尻ぐらい自分で拭えんでどうする!儂ら自身で犯人を捕まえるんじゃ!」 教師陣がざわつく中、コルベールが口を開いた。 「我々自身で犯人を捕まえると言う意見には賛成ですが・・・」 「何か言いたいことでもあるのかね?」 オスマンが鋭い目でコルベールを睨む。 「今、明らかにセクハラを誤魔化そうとしましたね・・・?」 オスマンにジト目を向けるコルベール。 「オ・・・オホン!前々から思っとったんじゃが、君はホント、空気が読めんヤツじゃのう・・・」 オスマンはばつが悪そうに小声で言うと、気を取り直したようにしっかりした声で告げる。 「それでじゃ。この中に、自分が”土くれのフーケ”を捕まえようという勇気あるものはおるかね?」 オスマンが一同を見渡す。 「・・・私が行きます」 静かにコルベールが杖を掲げた。 「学院の秘宝を盗んだことも許せませんが、生徒を危険な目に合わせたことが何よりも許せません」 志願するコルベール。 生徒想いのコルベールは、生徒を殺しかけたフーケに静かな、しかし激しい怒りを燃え滾らせる。 だが、非情にもコルベールの想いが届くことはなかった。 オスマンが首を横に振ったのだ。 「いや、ミスタ・コルベールにはここに残って、宝物庫の警備をして欲しいのじゃ。なんせ、今は壁に穴が開いて行け行けじゃからのう。『炎蛇』を学院から離すワケにはいかん」 オスマンの言葉にコルベールは渋々納得すると、杖を下げた。 「で、他におらんのかの?」 見渡すが他の教師たちからは誰も杖が揚がらない。 「わ・・・わたしが行きます!!」 しばらくの沈黙の後、ルイズが震えながら杖を揚げた。 「わたしもー」 ルイズを見たキュルケものほほんと杖を揚げる。 「ちょっと!なんであんたまで杖を揚げるのよ!」 ルイズがキュルケにくってかかる。 「ヴァリエール家にばっかりカッコイイことさせるワケにもいかないでしょ。それにわたしだってその場にいたんだから」 キュルケがウィンクしながら答えた。 その横でタバサも無言で杖を揚げる。 「あなたはいいのよ」 キュルケが言うと、タバサは「心配」とだけ言った。 「ありがと」 小さな親友の言葉に胸を熱くして答えるキュルケ。 「俺も行く」 リュウも短く、しかし力強く宣言する。 「わ・・・わたしも行きます!」 大勢の貴族の中に混じってガチガチに緊張しているシエスタもオドオドしながら手を揚げる。 「君たちは生徒ではないかね!やめたまえ!危険過ぎる!」 教師の一人が声をあげる。シエスタは生徒ではないが、平民なので教師にとってはどうなろうと知ったことではない。 「だって、先生方、誰も杖を揚げないじゃないですか!わたしだって貴族です!逃げたくないんです!」 ルイズが反論する。 自分たちが杖を揚げない以上、言い返すこともできずに黙る教師たち。 「そうじゃな、武勇の誉れ高いツェルプストー家にヴァリエール家、それにシュヴァリエのミス・タバサまでおるんじゃ。任せるとするかの」 オスマンも太鼓判を押す。 「それに、遥か東方の”ブドー”の使い手までおるんじゃ。心配いらんじゃろ」 フォッフォッフォと笑いながらオスマンは顎鬚をしごいた。 「で、この肝心なときにミス・ロングビルはどこ行ったんじゃろうのう?」 皆が首をかしげる中、タイミングよく扉が開く。 「失礼します!明け方から”土くれのフーケ”の情報を集めていましたので遅くなりました」 入室したロングビルはルイズを見て一瞬驚いた表情をしたが、すぐに平静を装って言葉を続ける。 「近隣の農民が”土くれのフーケ”と思われるフードを被った人物を見たと申しています。馬車で4時間ほどの距離だそうです」 「流石です!お手柄ですぞ!ミス・ロングビル!」 コルベールが頭まで真っ赤にして必要以上にロングビルを褒め称える。 この男、本当に美女に弱かった。 こやつ、本当に”炎蛇”なんかいな・・・ オスマンは疲れた顔で、だらしなく緩んだ顔のコルベールを一瞥するとロングビルに告げた。 「でかした、ミス・ロングビル。では諸君には早速行ってもらうとするかの。スマンがミス・ロングビルも同行してやってくれんかの」 ロングビルはメガネを人差し指で持ち上げると、整った唇の端を僅かに上げて答えた。 「元よりそのつもりですわ。案内も必要でしょうから」 かくして、”土くれのフーケ討伐隊”が結成された。 「では、これで解散じゃ。あ、そうそう、ミスタ・リュウはちと残ってくれんかの」 オスマンの言葉と共に、教師陣は各々教室に リュウ以外のフーケ討伐対は準備の為に部屋を出て行った。 皆が退出したのを確認してから、オスマンが口を開く。 「さて、昨晩はどうやら大変だったようじゃの。何か相談があればのるぞい」 そう言うと引き出しから水キセルを取り出し、ふかしだした。 「昨晩、俺の意思に関わらず”殺意の波動”が暴れだしました」 リュウが静かに告白した。 「やっぱりのう。相当離れとったのにあまりに強烈な殺気だったもんで儂、ビビってしもうたわい」 笑いながら言うオスマンに「すみません」と素直に頭を下げるリュウ。 「なに、謝るようなことじゃない、儂が不甲斐ないだけじゃ。それより、原因に心当たりはないんかの?」 「”殺意の波動”を克服して以来、こんなことはありませんでした。ルイズが死んだと思った瞬間、左手の紋章が光って、勝手に”殺意の波動”が暴れだしました」 「なるほどの・・・”ガンダールヴ”とその”サツイノハドウ”が何かしら関与しとるのかも知れんの」 「ああ、思い出した」 それまでリュウに握られたまま黙っていたデルフリンガーが鞘から飛び出し、突然口(?)を開いた。 「ガンダールヴってのはなー、心の震えでその力を発揮するんだあよ」 「なんじゃ、それ、インテリジェンスソードか、ボロっちいのう」 突然喋りだした剣を見てオスマンが漏らした感想にデルフリンガーが噛み付く。 「おめえだって大概ボロっちいじゃねーか!人のこと言えるかってーの!」 「フォッフォッフォ、そりゃそうじゃの。こりゃすまんかった」 オスマンが笑いながらデルフリンガーに謝る。 「で、だ」 デルフリンガーが気を取り直して続ける。 「さっきも言ったよーに、ガンダールヴってのは武器を持つと心の震えに応じてその力を発揮するんだけども、 相棒ってばなかなか心が震えねえから、基本的にガンダールヴの力も発現しねーんじゃねーかな」 オスマンが興味深そうにデルフリンガーの話に耳を傾ける。 「相棒、試しに俺っちを構えてみ?」 言われた通り抜き身のデルフリンガーを構えてみる。 「どーだ?別段、身体が軽く感じたりしねーんじゃねーか?」 デルフリンガーの言うとおり、いたって普段どおりである。 「そうだな、特に変わった感じはしないが・・・」 「普通のヤツなら普段から多少は心が震えてんだよ。『怖ぇー』と思うのも心の震えだし、『このヤロー』って思うのも心の震えだ。 だから武器を持つだけでガンダールヴが反応して身体能力が跳ね上がる。 そもそも武器を持つような場合ってのは平静でいられる状況じゃねーから能力の上がり幅もでけーんだ。 ところが相棒ときたら普段から、特に戦闘体制に入ったりしたら極端に冷静沈着ときたもんだ。 だもんだから、基本的にガンダールヴがほとんど反応しねーんだ。 それが貴族の娘っ子が死んだと勘違いした相棒は珍しく心が震えちまったんだな。『よくも殺したな!』ってよ。 その結果、何が”武器”と判断されたのかは解かんねーけど、とにかく、ガンダールヴがその震えに反応したんだと思うぜー。 で、それにその”サツイノハドウ”ってのが反応したんじゃねーかなー? ん?いや、待てよ・・・逆かもなー。 ”サツイノハドウ”がガンダールヴにとって”武器”なのかもしんねー。 まあ、どっちにしろ、”サツイノハドウ”ってのとガンダールヴがややこしく絡んでんじゃねーかな・・・ 相棒、昨日のなんかエネルギーみたいなのを飛ばすヤツ撃つとき、いつもより強かったんじゃね?」 確かにデルフリンガーの言う通り”殺意の波動”を使っているという前提でも、昨晩の波動拳はかつて見たことのない威力だった。 「ああ、今まで、あんな強力な波動拳は撃ったことがない」 リュウが頷く。 「やっぱなー。だとしたら、確実にガンダールヴの力だわな。ガンダールヴと”サツイノハドウ”ってのが反応して相棒を支配するとしたら、 武器持ってねーのにガンダールヴが発動した挙句、それで相棒が正気を失っちまうってのは問題だあね。しかも相棒、やたら強ぇーし」 「そうかも知れんな・・・」 確かにルイズに大木が直撃したと思った瞬間、冷静ではいられなくなった。 もちろん、リュウとて人の子である以上、人の死には冷静ではいられない。 ただ、ルイズが死んだと思ったときはそれを差し引いても普通ではなかった。 自分の師匠である剛拳が”拳を極めし者”豪鬼と闘って死んだとき。 現場を目の当たりにしたリュウは当然冷静ではいられなかったが、それでも今回とは違っていた。 今回の心の高ぶりは異常だった。 そして、その心の高ぶりを喰らうかの如く”殺意の波動”が暴走を始めた。 「不思議なんだ。確かにルイズが死んだと思ったとき、俺の心は冷静ではなくなったと思う。 だが、あの心の変動は異常だった。俺が親しくしてきた人たちの死に立ち会ったときの、どれとも違う。無理やり魂が揺さぶられたような感覚だった・・・」 蒼い顔で思い返すリュウ。 「そうじゃのう・・・」 オスマンがゆっくり口を開く。 「思うに、”使い魔”である以上、主であるミス・ヴァリエールに対しては通常とは違う思考回路が組み込まれとるのかもしれんの。 滅多に人に懐かん幻獣でも使い魔になれば家族同然なんじゃからの。 つまり、ガンダールヴのルーンがお前さんの心をある程度コントロールしとると考えるのが自然だし、納得がいく」 「いつ・・・また暴走してもおかしくないってことか・・・」 オスマンの言葉に俯き、考え込むリュウ。 「ふむ・・・」 オスマンが再び口を開く。 「今までの話を聞いたところ、お前さん、多少のことでは動じんのじゃろ?それこそ、主であるミス・ヴァリエールが死ぬぐらいのことにならんとな」 だったら簡単と言わんばかりに言葉を続ける 「主が死ぬと使い魔の契約は解除されるんじゃ。つまり、お前さんが勘違いさえせんかったらそうそう簡単に暴走はせんということじゃないかの。 もし本当にミス・ヴァリエールが死んでしもうたらそれと同時にガンダールヴじゃなくなるんじゃからのう。 まあ、そんなことになってもらっては困るがの。 とりあえず、そう思っておけば多少は気が楽じゃろ?」 ことはそんなに簡単なことではないが、オスマンはリュウを気遣って軽いことであるかのように言う。 「お心遣い、痛み入ります。これも俺の修行不足がいたすところ。精進します」 リュウはオスマンの意図を汲み取って頭を下げる。 「お前さん、ちょっと真面目過ぎるところがあるのう。多少は肩の力を抜くのも大事じゃと思うよ」 オスマンが手をひらひらさせながら諭す。 リュウはもう一度頭を下げると、学院長室を後にした。 前ページ次ページゼロと波動
https://w.atwiki.jp/jiisan/pages/25.html
ここまで書いてきて、ふと思いついたことがあります。それは“肉より魚のほうが健康に良い”と一般的にいわれますよネ。その原因がわかったような気がします。ちょっと長くなりますけど、お付き合いください。 生物にとって酸素は必要不可欠な物質です。と同時に生物にとって酸素は猛毒でもあるのです。それを説明するには酸素の化学的性質を考えなければなりません。 酸素は原子番号8の物質です。原子核のまわりを電子が8個まわっていて、そのまわり方は内側に2個、外側に6個の電子がまわっているのだそうです。実はこの電子“キドラ”が物質の性質を決めているといってもいいのです。 私には詳しいことはよく分かりませんが、内側のキドラは電子2個が定員です。原子核のまわりを2個の電子がまわっている物質は、原子番号2のヘリウムで、これは単体で非常に安定した物質です。 それより原子番号の大きい物質では電子は二重の軌道をとります。 たとえば酸素は原子番号8なので2個の電子は内側(K殻)を、6個の電子は外側(L殻)ををまわっています。ちなみに外側は電子8個でいっぱいになります。 つまり内側と合わせて10個の電子を持つ原子はネオン(原子番号10)で、これもヘリウム同様、単体で非常に安定した物質です。このヘリウムやネオンを希ガス原子とよび、他の原子と化学結合をしない安定した原子になります。 このように考えていくと酸素はあと2個、電子がほしいのです。つまり酸素は単体では安定して存在できないので、自然界では酸素分子O2という、お互い足りない電子2個を共有する形で結合しているのです。 ところが、とりあえず安定している酸素分子の前に、もっと魅力的な物質が現れたら酸素は仲間の分子よりそちらの相手の方に惹かれます。 たとえば、マグネシウム(原子番号12)ですが、これの電子軌道は2番目まではいっぱいになったので3番目の軌道(M殻)に2個の電子を持っています。実はこの2個の電子をあげたがっているのがマグネシウムなんです。 このような酸素とマグネシウムが出会うとお互い求め合っているものが一致するため、非常に激しく結合し酸素マグネシウムという、より安定した物質になりエネルギーを発生します。これが大まかな化学反応の原理のようです。 生物の身体を構成している原子は主に酸素、炭素、水素です。この炭素、水素もマグネシウムほどではないが、自分の持っている電子をあげてもいいやという性質を持っています。 そこで酸素は炭素や水素からも電子を奪い、最終的にはCO2やH2Oのような安定した物質になることを望んでいるのです。これが生物にとって酸素は猛毒であるという理由です。 このような性格を持つ酸素と唯一うまく付き合っていけるのが“ミトコンドリア”という細胞内の小器管です。このミトコンドリアのおかげで酸素という猛毒を水と二酸化炭素という無害な物質に変え、ブドウ糖などを上手に酸化させることにより大量のエネルギーをとりだしているのです。 生物は酸素のある環境ではミトコンドリアなしには生きていけないのです。ですからすべての細胞(真核細胞)にミトコンドリアは必ず含まれています。核のないような赤血球にもミトコンドリアはあります。 このように頼もしいミトコンドリアをもってしても、太刀打ちできないような酸素があります。これが“活性酸素”です。 活性酸素とは、2個電子が欲しい酸素が電子を1個だけ手に入れた中途半端な酸素のことです。 2個足りない状態ならそれなりに我慢していた酸素も、あと1個で安定した状態になれると思うとどうにも我慢できなくなり、何が何でも他の物質から電子を1個奪い取ってしまうのです。酸素が猛毒なら活性酸素は劇毒です。 ちなみに全原子中もっとも活性度の高いフッ素(原子番号9)は、どうしてもあと1個電子が欲しくて我慢できない状態の原子といえます。 ですからいくら歯が白くなるからといってもフッ素入りの歯磨き粉なんて使用しないほうがいいですよ。歯が白くなったとしても身体に良いわけがありません(数年前まで宣伝されてましたが、多分もう販売はしていないと思います)。 しかしこの劇毒である活性酸素でも生物は利用しているのです。それは身体に害をおよぼすような細菌類を活性酸素がやっつけてくれるのです。 つまり、殺菌作用があるわけです。もちろんフッ素にも殺菌作用がありますし、同じく電子を1個だけほしがる塩素(原子番号17)にも強い殺菌作用があるので水道水などに入れているわけです。 この活性酸素を放出するのが白血球の中でも顆粒球です。ストレス過剰の状態になると交感神経が刺激され顆粒球が増え、その結果、活性酸素が増えて自分の身体を傷つける。つまり、身体が酸化して、老化が早くなるという状況が説明できます。 やっと“肉と魚”の話に戻りますが、このような活性酸素から生体材料であるCやHの酸化を防ぐには、より電子をあげたがっている物質、ナトリウムやマグネシウム、カリウム、カルシウムなどアルカリ金属と呼ばれている、いわゆるミネラルを豊富に摂取することが必要であると考えました。 これらのミネラルは海水中にも含まれています。というか、海水がそのまま身体を構成している成分になっているといえます。 海に中に住んでいる魚貝類は、陸上に住む牛や豚などより当然ミネラルを豊富に含んでいるのではないでしょうか。 陸上の動物がミネラルをとろうとすれば、食物連鎖に頼るしかありません。 まわりまわって人間の身体にも海水中のミネラルが入ってくるのです。 ところが人間の食事の大半が加熱処理した食品を口にします。もちろんこうすることで細菌類や真菌類による直接的なダメージを防いではいるのですが、タンパク質は約70℃で酵素としての能力を失いますので、同時にミネラル不足にも悩まされていると思います。ちなみに生肉ばかり食べるエスキモーが野菜を食べなくても大丈夫な理由もそこにあるそうです。 これが魚のほうが肉よりも身体に良い、という説を私なりに考えたことです。はたしてどうでしょうか? (2005年10月8日) 「その9」へ>
https://w.atwiki.jp/jiisan/pages/62.html
もう少しスッキリとした説明ができるよう…考えてみました… 私がこれを思い付いたのは、免疫と食事の関係からなのですが… 例えば…進化した多細胞生物である人間の白血球(マクロファージ)を、単細胞生物と考えてみます… 彼等は細菌などの異物を取り込みます… これは彼等にとってみれば食事です… しかし人間という多細胞生物体にとってみると、免疫という現象になります… もっと大胆に人間を単細胞生物の集合体と考えてみます… もしマクロファージが同じ人間の、脳細胞や心臓の細胞まで食べてしまうと(見た目は違います)人間という多細胞生物体は、成り立たなくなってしまいます… その意味で自己と非自己の区別をつける能力というのは、多細胞生物にとっての必要条件だと思うんです… そして自己と非自己とは…同じ遺伝子を持った細胞…つまり一つの細胞(人間でいえば受精卵)から発生した仲間と、考えられるのではないでしょうか… この件についても、かなり非常識な考え方をしています… 確かに千年という時間は、地球の歴史からみるとアッという間の時間で、進化とは何万年、何十万年という単位でおきるというのが常識的な考え方だと思います… 確かに象の鼻が長くなっていったような進化は、何万年単位で説明できると思います… 鼻の長い象と短い象でもSEXはできるでしょうから… しかし例えば魚からカエルに進化する大進化はどうでしょう? 大進化だから何百万年、何千万年の単位でおきたと思われますか? 私はほんの数世代、十年そこらの時間でおこったのではないかと、想像してるんです… それは魚とカエルの中間にある生物の事を、知らないし想像も出来ないからです… 単に私が知らないだけだとは思うんですが… 魚からカエル… この大進化の原動力は、地球上の生物にとっての、最大の環境の変化…海から陸への生活の場の変化… その環境の激変に対応するためにも、見掛け上は素早く変化していったのではないかと、想像してるんです… まずウイルスが細胞内で増殖代謝できたとして… 一般に細胞には寿命があります… ですからウイルスには、細胞から細胞へ感染する能力が、必要なことになります… これはもしかしたら、ある程度検証可能かもしれません… 真核単細胞生物…例えばゾウリムシを、クローンの群と接合した群とにわけて、各々の相互関係を比較してみます… もし接合した群にだけ、共食いの現象がおこれば面白いのですが… (もっともなんの相違がなくても、だからこそゾウリムシは多細胞生物になれなかったのだという、言い訳が成り立つのですが… ウイルスが細胞の外にいるときは、大事な遺伝子を守る機構が必要だと思います… また細胞に侵入するための、能力も必要でしょう… それらの仕事を遂行するのはタンパク質がメインだと思います… そのタンパク質の情報をウイルスは持っているはずです… 細胞内に侵入したウイルスは、どのようにして増殖代謝をするのでしょうか? ありとあらゆる可能性を考える必要があります。 真核細胞の細胞膜を突破すると細胞室があります。 細胞室には間違いなくRNAとリボソームがあります。 ウイルスは細胞室で増殖代謝できるでしょうか? 多細胞生物、特に脊椎動物の発生について、考えてみたいと思います… 脊椎動物はまずたった一つの細胞…受精卵から始まります… 受精卵が分裂、そして分化することにより、多細胞生物は形作られていきます… 受精卵は分裂能力が最大で、分化全能性を持っているといえます… 実際多細胞生物の発生については、かなり詳しい研究がなされているようで、それについて分かりやすく書かれている本も多数出版されているようです… しかしここでは、実際の事はあまり気にせず、どうすれば多細胞生物が出来上がるかという事を、考えてみたいと思います…まず細胞の種類ですが…多細胞生物の身体を形成し、また生きていく上で必要な機能をつかさどる、つまり実際に働いている細胞が、数多く必要です… 人間では約60兆個もの細胞があるそうです… 一般にこの働く細胞は、分裂周期をはずれ、完全分化しています(もちろん例外もあるでしょうが、そういう事にします) そしてこの細胞には寿命があり、寿命がきた細胞は新しい細胞と代わる必要があります。 つまり新陳代謝ということですが、この時新しい働く細胞を供給するために、分裂能力を有している細胞がいるということになります… そして多細胞生物は元々たった一つの細胞から生まれたことから、原理的には分裂能力を持った細胞は、たった一つあればいい事になります! …但しその細胞は分裂能力が最大で、分化全能性があるということです… そして細胞には三つの種類があると思います… 分裂周期をはずれ、完全に分化した細胞と、分裂能力を有して新陳代謝に関与している細胞… そして生殖細胞です… これからそのそれぞれについて、考えてみたいと思います… せっかく生殖細胞の話題がでたので、少し脱線して、生物はなぜ成長し、なぜ老化するかについて、私が素人流に考えた事を書いてみたいと思います… 我ながら少し面白いと思うので、よろしかったら読んでみてくださいね…(^-^) 人間の成長と老化を例にして、エネルギーの収支という観点から考えてみました… 人間はたった一つの受精卵から始まります… そして十月十日後に、赤ちゃんとしてこの世に誕生します… まずこの間のエネルギーの収支について考えてみました… 収入の部、吸収エネルギーは、受精卵にたくわえられている栄養素と、母親から送られてくる栄養素です… そして支出の部、消費エネルギーは、なんといってもまず成長エネルギーです… 受精卵一個の重さがどのくらいか知りませんが、十月十日後には3000gにもなるのですから、大変なエネルギーだと思います… それを全て母親がまかなうのですから、さぞ大変な労力でしょう… やはり女性には優しくしなければなりませんね… そして個々の細胞と個体全体として生きるための、基礎代謝のエネルギーも必要です… このエネルギーの収支のバランスがとれて、元気な赤ちゃんが誕生するのだと思います(^-^) そして母親の胎内からでた赤ちゃんは、それ以降は自力で栄養を補給しなければなりません… 母乳から離乳食、そしてだんだんに成人が食べる食事と同じようになり、摂取量も増えていきます… つまり吸収エネルギーはだんだんに増えていきます… 基礎代謝エネルギー、成長エネルギーはもちろん必要ですね… そしてハイハイからつたえ歩き、ヨチヨチ歩きと進歩していきます… つまり運動するためのエネルギーがだんだんに増えていくということだと思います… 余談ですが、この時期の子供はほんとに可愛くて、一生分の親孝行をこの時期にしてくれるのだと、何かの本に書いてありました… そういえば人間以外の動物…子犬や子猫も本当に可愛いですよね… この時期の子供は、親ならの愛情を一身に受けられるよう、一生のうちで一番可愛く生きているのだと思います… ですから…どうか間違っても虐待などしないでくださいね… 小学校に上がる頃になると、食事は質、量ともに大人とほとんど変わらなくなります… それでいて身体の大きさはまだだいぶ小さいにですから、この時期は消費エネルギーに比べ、供給エネルギーの方がかなり優勢だと思うんです… だからその余剰エネルギーが運動エネルギーとして、使われるのではないかと思います… この時期の子供は移動するのにも、たいてい走って移動します… 一生のうちで一番元気な時期だと思います… 私はこれに気がついてから、ファミレスなどで傍若無人に大声をあげて走り回っている子供をみても………やっぱり腹が立ちますね(*へ*) この時期の子供は、塾やTVゲームより、外で身体を使って仲間と遊ぶ事の方が、大切だと思うんですが… 小学校の高学年から18歳くらいにかけて、人間の身体は大きく変化します… これを素人流で考えると、新しいタイブの消費エネルギーが発生するから、という事になります… それは生殖細胞を作るためのエネルギーです… これは自分のためではなく、子孫のために使うエネルギーです… 私は生殖細胞を作るエネルギーが発生するので、成長がとまるのではないかと、考えています… その端境期にあたるこの時期は、一生のうちで最も栄養が必要な時期です… ですから異性の気を魅きたいという気持ちはわかりますが、無理なダイエットはしない方がいいと思います… その後人間は比較的安定した時期が長く続きます… 大きさもほとんど変わらないし、機能的にも急激な変化はおこりません… 消費エネルギー(基礎代謝エネルギーと生殖細胞を作るエネルギー)供給エネルギーのバランスがとれている状態と考えられます… 身体のバランスがとれると、精神的にも安定するようで、自分のことばかりでなく、まわりのこと…人間でいえば、社会的なことにも目を向ける余裕がうまれるようです… この時期は最も仕事ができる時期です… 私もまだギリギリ現役のつもりです… 頑張りましょう! そして更年期をすぎると、人間は衰えがめだってきます… 更年期をすぎるということは、生殖細胞を作るエネルギーが必要で無くなるということです… すると消費エネルギーが減るという事ですね… 食事の量はそれほど変わりないですよね… なんか矛盾しているように思えますね… 生物は栄養を酸素で燃焼させて、それにより発生したエネルギーを使って、生きていきます… ですから成長と老化の問題を考える上で、呼吸という要素も非常に大切になってきます… 身体全体でいえば、肺活量や循環器系の能力も重要でしょうが、… 私はそれよりも、細胞個々の呼吸能力の衰え、つまりミトコンドリアの機能低下が、老化の最大の原因であると思っています! ミトコンドリアは受精卵から成長するにつれて、数えきれないほどの回数分裂します… それは細胞自体の分裂より、はるかに多い回数だと思います… その都度ミトコンドリアDNAも複製されるわけですが、それにはどうしてもミスがおこり、そのミスの積み重ねが、ミトコンドリアの機能低下、呼吸の能力の衰え…そして身体全体の老化へとつながると思うんです… という事は厳密にいうと、受精卵から最初の分裂以降、老化は始まっているという事になりますが、多細胞生物体全体でみれば、はじめのうちは間違いなく成長しています… これはミトコンドリアDNAが1細胞あたり数千コピーも存在している事に、原因があると思います… つまり予備をやたらたくさん持っているので、はじめのうちは少々ミスがでても、事実上エネルギー発生量に全く影響しないのだと思います… そして多細胞生物体は、そのエネルギーを使い、細胞を分裂増殖させます… それにつれて当然ミトコンドリアの数も増えるわけですから、多細胞生物体全体としての、発生エネルギー量は増えていきます… それで多細胞生物体は誕生してしばらくは、成長し続けられるのです! 「恐竜絶滅の謎 その4」へ >