約 2,948,900 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2108.html
ウサギのナミダ ACT 1-3 □ 乾いた風が吹き抜けて、廃墟に砂塵が舞う。 その風をけちらし、砂塵をさらに巻き上げて、一台のトライクが猛然と走り抜ける。 静寂は破られ、メインストリートに一筋、砂のシュプールが描かれる。 無人の道を走り抜けるのは、イーダ・タイプの神姫・ミスティだ。 大城の聞いた噂は正しかったらしい。 確かにミスティは武装もイーダのものだった。 ミスティがただのイーダではないのは、その脚の装備にある。 通常のイーダ・タイプなら、脚はほぼノーマルで、トライク形態の時には、後輪を挟むように折り畳まれている。 しかし、ミスティの脚はばかでかい脚部パーツに換装されていた。 誰が見ても、ストラーフ・タイプの脚部強化パーツ「サバーカ」だった。 もちろん、そんな巨大な脚部を機体後部に収めることはできず、後方に伸ばしている。 観客から失笑が聞こえてくる。 ミスティの装備はお世辞にもかっこいいとは言えなかった。 あまりにも不格好で安易なパーツの組み替え。 観客が皆、失笑する気持ちも分からないではない。 隣の大城も、ご多分に漏れず、笑いを噛み殺していた。 だが。 「ティア、そのまま路地を走りつつ様子を見ろ。決して油断するな」 『は、はい!』 「おいおい、遠野。なに臆病風に吹かれてるんだよ。あんな程度の武装なら、楽勝じゃないか」 大城は笑いながら俺に言う。 しかし、俺はどうしても、笑う気分になれなかった。 こんな安易な組み替えのイーダ・タイプが、有名プレイヤーだというのなら……何かあると考えない方がおかしいではないか。 俺は筐体の向こうにいる少女を見る。 ミスティのマスター。 彼女は今、観客たちの失笑など気にもとめずに受け流し、不敵な笑みを浮かべながらフィールドを見ている。 絶対に何かある。 だが、ミスティはひたすらにメインストリートを走り回るだけだ。 あんなに派手に自分の居所を晒して、しかも一直線に走っているだけなら、やることは一つしかない。 こちらから仕掛ける。 しかし、この当たり前の行動に、俺は抵抗を覚えた。 この状況は相手の思惑通りではないのか。いや、おそらくそうだ。 ミスティは、明らかに誘っている。 しかし、なにもしないのでは埒があかない。 ならば、セオリー通りに攻めるのみ。 「仕掛けるぞ。路地を出て、ミスティの右後方から追撃。射程範囲に入ったら、迷わず撃て」 『はい!』 高い返事とともに、ティアがメインストリートに躍り出る。 両手を大きく振り、スピードスケートの選手のように疾駆する。 みるみるとミスティとの距離は詰まってきた。 ミスティの速度は変わらない。 ティアは手持ちのサブマシンガンを準備する。 射程距離に入る。 その瞬間。 ミスティが急ブレーキをかけ、フロントが沈み込んだ。 サスペンションが限界まで沈み、その反発力でミスティの上体が跳ね上がった。 上体を起こしざま、ミスティは脚を引き込みつつ、後輪を背部モジュールに畳み込んだ。 俺に見えたのはここまでだ。 轟音とともに巨大な砂煙が立ち上り、ミスティの姿を覆い隠す。 『きゃっ』 ティアの小さな叫びが耳に届く。 小さな瓦礫の破片が飛んできたようだ。 ふと。 俺の頭に閃く。危険、という言葉。 「ティア、右に避けろ!」 俺の叫びと同時、明るい緑色の剛腕が砂煙の山の頂から突き出され、そのまま砂煙を裂いて振り降ろされた。 スピードを落としてはいたが、ティアは高速域にいた。 通常なら速度を落とさなければ回避動作が取れない。 しかし、スピードを落とせば避けきれない。 絶妙のタイミング。 だが、ティアは両脚のランドスピナーを鮮やかに操ると、スピードを制御したまま直角に右にターンした。 凶悪な爪がティアをかすめ、乾いた地面をえぐり取る。 からくも逃がれたティアに、ミスティは追撃の手をゆるめない。 ミスティの外側に逃げたティアに向け、副腕の影から手持ちのマシンガンを放つ。 ティアの轍を追跡する弾痕。 しかし、ティアは地を蹴り、通りに面する廃ビルの壁に着地、そのまま疾走した。 ミスティには予想外の機動だったらしく、銃弾は壁を穿つことなく、地面に着弾する。 ティアは壁を走りながら、ミスティを撃った。 「くっ」 左副腕の付け根付近に命中。 ミスティ本体へのダメージは軽微だが、瞬時ひるみ、攻撃が緩んだ。 その一瞬を使って、ティアは路地の陰に飛び込んだ。 ◆ 「やるわね……ミスティの『リバーサル・スクラッチ』をかわすなんて」 『攻撃もすごいわ。壁を走りながらの射撃……あの子、わたしを見てなかった』 「ほんとに? あの軽装で、ロクなレーダーも積んでいなさそうなのに」 『リバーサルをかわして、壁を走って、見ないで攻撃を当てる……そこらにいる神姫じゃないわ』 「面白いわね」 『うん、面白い』 「それじゃあ、私たちも、魅せましょうか」 『そうね、教えてあげましょう。エトランゼの異名が伊達じゃないってこと』 ■ 「あ、あぶなかった……!」 マスターの言いつけ通り、決して油断はしていなかった。 だけど、ミスティさんの攻撃に自ら当たりに行くようなタイミングだった。 マスターが避けろと言ってくれなかったら、わたしはあの大きな爪の餌食になって、勝敗は決していただろう。 薄暗い路地を疾走する。 今の攻撃を思い出すと、当たらなかったことが不思議で、恐怖に身がすくむ。 その恐怖を振り払うように走る、走る。 『落ち着け。かすり傷さえ負っていないんだ』 マスターの声が、わたしの耳に直接響く。 試合の最中、マスターはヘッドセットからわたしに指示を送る。 外からモバイルPCでモニターしてくれているマスターには、わたしの動揺が手に取るようにわかるのだろう。 でも、今の一言で、わたしの中の焦りが嘘のように引いていった。 わたしは闇雲に走るのをやめ、メインストリートを伺いながら路地を巡航する。 『ティア、何か気付いたことはなかったか?』 マスターの言葉に、なにかが頭の片隅にひっかかった。 「そ、そういえば……」 『何だ』 「あ、でも、その……」 『いいから話せ。時間がない』 「その、ミスティさんの副腕、ひとりでに動いてるみたいに見えて……」 『副腕は普通、独立で……って、本当か?』 「は、はっきりとは……きのせい、かもしれません……」 マスターが一瞬おし黙る。 いま、マスターの頭の中では思考がフル回転しているはずだった。 でもすぐに次の言葉が来た。 『だったら、相手はメインストリートにいない……警戒しろ、攻撃が来るぞ』 「は、はい」 マスターは今の会話から、なにを読みとったのだろう? わたしが感じた違和感は、ミスティさんがあの大きな攻撃を仕掛けてきたとき。 彼女は、振り降ろす副腕のレバーを握っていなかった……と思う。 わたしのうさ耳状になったセンサーが、相手の位置を察知する。 そこは……! 「上だ!」 マスターの叫びより早く、わたしはホイールにブレーキをかけ、膝をたわませる。 そして、前に進もうとする力を膝に貯めて、後方に跳ねた。 そこへ、緑と黒の巨大な影が落ちてきた! 間一髪、落ちてきた影との激突を免れ、片手を地に着くと、反動を利用してさらに跳ね、距離を取る。 はたして、緑と黒の影はミスティさんだった。 彼女はすでにマシンガンを構えている。 発砲。 わたしはホイールを逆に回し、後進する。 ミスティさんの火線は、わたしの足下から左側へと引かれていく。 わたしはまた膝を曲げると、今度は小さく前に跳ねた。 狭い路地、右側の壁に乗り、走り出す。 ミスティさんも前に出た。 緑色の副腕が振り上げられる。 今度こそ、見た。間違いない。 あの副腕は、イーダ・タイプのものにもかかわらず、独立して動いている! 巨大な副腕に装着された凶悪な爪が、壁をえぐりながら突き進んでくる。 わたしは壁を蹴って、爪をかわす。ミスティさんの射線をかいくぐり、壁から壁へと飛びうつる。 □ ティアの言葉は正しかった。 イーダの副腕「エアロ・チャクラム」は、トライクへの変形機構のため、単独では動かない。 神姫本体がレバーを握り、副腕を操る必要がある。 副腕と言うよりも、腕に追従するパワーアームと言うべきかも知れない。 しかし、ミスティのエアロ・チャクラムは独立して動く。カスタムパーツを仕込んであるのだろう。 そうなると、ミスティはある神姫のタイプと酷似する。 「ティア、いまのミスティはストラーフ・タイプだ」 そう、武装神姫初期の傑作にして、いまだに人気の高い悪魔型。いまのトライク形態でないミスティは、まさにストラーフだった。 『三次元機動が得意なのは、あなただけじゃないわ!』 ミスティはティアを追撃する。 壁から壁へ、ビルからビルへ。 廃墟の街を縦横無尽に飛び回る二体の神姫は、まるで二重螺旋のように絡み合いながら戦い続ける。 ■ マスターのアドバイスのおかげで、わたしはミスティさんへの認識を切り替えることができた。 目の前にいるこの神姫はストラーフ・タイプ。 そう思ってみれば、戦い方もストラーフにそっくりだった。 でも、ミスティさんの戦い方は、熟達したストラーフのそれだった。かつて戦ったストラーフの中でも、これほどの実力者はいない。 上下左右の壁を蹴り、走り、攻撃を仕掛けるけれど、わたしの動きにことごとくついてくる。 隙を見せれば、副腕がわたしを狙い、銃撃がかすめる。 一瞬たりとも気の抜けない近距離戦闘。 お互いの動きを読み、自分の動きを合わせ、相手の動きを見切る。 まるで、ダンスのステップを踏んでいるかのよう。 わたしとミスティさんは、砂塵舞う廃墟の中で、踊るように、舞うように、戦い続ける。 □ いつのまにか観客の笑い声は聞こえなくなっていた。 ミスティの戦いぶりを見れば、笑いを誘った装備が伊達ではないことが分かる。 そしてミスティの実力は、並の純正ストラーフを凌駕していた。 もはや黙るしかない。 俺は筐体の向こうの少女を見た。 真剣な眼差しで、神姫の戦いぶりを見ている。 唇には不敵な笑みを浮かべたまま。 観客の反応など全く意に介していない。 エトランゼと呼ばれるこの神姫プレイヤーは、知らない場所でバトルする度に、こうして実力で観客たちを黙らせてきたのだろう。 俺は椅子に座り直す。 願ってもない実力者とのバトルだ。 今のティアと俺の実力を試す絶好の機会だった。全力で勝ちに行く。 ◆ 『ねえ、今日のわたし、どこかおかしい!?』 「いつになく絶好調だけど?」 『じゃあ、なんでわたしの攻撃が当たらないの!?』 「うまいタイミングで機動をずらされたり、反撃されて攻撃を押さえられたりしてるわね……神姫の判断? マスターの指示かしら」 『平然と評価している場合? こっちの方が劣勢なんだからね!』 「それじゃあ、仕切直しましょ」 ■ 巨大な両腕を叩きつけ、追撃の銃撃がわたしの足下を削ると、ミスティさんはここで距離を取った。 いまのは牽制か。 いままではもつれ合うように、息つく暇もないバトルを繰り広げていた。 ここであえて距離をあけるのは何かの策か、それとも……。 逡巡しているうちに、ミスティさんはさらに後方へと跳び、廃墟のビルを越えて姿を消した。 どうしよう? 追うべきだろうか? わたしはビルの上に立ち、体勢を整えると、耳を澄ませた。 遙か彼方にホイール音が聞こえる。 ミスティさんは、またトライクに変形したみたいだ。 『ティア』 「マスター」 マスターから通信が来た。 私が迷うとき、必ずマスターが指示をくれる。 だからわたしは立ち止まることなく、走ることができる。 『とりあえず最初と同じ、路地を抜けてミスティを追跡だ』 「はい」 『そして、俺が合図したタイミングで飛び出して仕掛けろ』 「はい」 『決めにいくぞ』 「はいっ!」 マスターには必勝の策があるみたいだ。 あのミスティさんに勝つ策なんて、わたしには考えも及ばないけれど。 マスターの考えを、わたしが体現できれば、必ず勝つことができる。 だって、マスターは、決めにいく、と断言したのだから。 わたしは走り出す。 ミスティさんを追って、細い路地を駆け抜ける。 □ ミスティを伺う間に、ティアに細かく指示を出した。 ミスティは待ちの体勢で、メインストリートをただ走り続けている。 おそらく、自ら討って出てくることはするまい。ティアが仕掛けてくるのを待っている。 ならばお望み通り、こちらから仕掛けるとしよう。 次の攻撃が勝負だ。 ミスティがメインストリートを折り返した。 速度を落としてぐるりとU字に回り込み、再びメインストリートに向けて加速をする。 ここだ。 「ティア、いまだ!」 『はいっ』 合図とともに、俺はサイドボードを操作。 ティアの手の中に、大型のハンドガンを送り込む。 ティアはストリートに躍り出た。 『ティア!?』 ミスティが思わず声を上げている。 トライク形態での巡航の際は、背後から攻めるのがセオリーだ。 火力で劣るティアが、まさか真っ正面から来るとは思わなかったのだろう。 ティアはミスティと向かい合った。 二人とも走りながら。 ティアはミスティの速度に合わせ、後ろ向きに走っているのだ。 つかず離れずの位置をキープし、二人は疾駆する。 トライク形態のミスティの上部に据えられた、二門の「アサルトカービン・エクステンド」が火を噴いた。 真正面ならば遠慮するつもりはない、とばかりに、盛大に弾丸をまき散らす。 ティアはかわす。 後ろ向きに走りながら、ミスティを見据えたままで。 その雨霰と降り注ぐ銃弾のことごとくを、流れるようなステップでかわしてみせる。 『くっ』 ミスティが逡巡した一瞬、銃弾が途切れたその瞬間をティアは見逃さなかった。 手にした銃はブラスター。エネルギー弾を打ち出すハンドガンである。 反動があるので連射はしずらいが、一撃の破壊力が高い。 ティアは踊るように身を翻し、三連射した。 銃を水平に向け、反動を上に逃がすのではなく、横に逃がし、舞踏のような回転で反動を吸収、すぐに次の斉射を可能にする。 ティアの装備と技術だからこそ可能な射撃だった。 はたして、ティアのはなったエネルギー弾は、右副腕の肩口とミスティのヘルメットの右側面に命中した。 『こっ……のおおおおおぉぉ!!』 ミスティは止まるどころか、加速しながら突っ込んできた。 ティアも後ろ向きで加速する。 ミスティが闇雲にアサルトカービンをぶっ放すが、ティアには当たらない。 ティアは反撃とばかりにブラスターを撃つ。 ミスティをかすめる。 ティアがブラスターを投げ捨てた。 「いまよ!」 『おおおっ!』 マスターの声を合図に、ミスティが前輪をロックする。 車体の後方が前のめりに突っ込む。 サスペンションが沈み込む。 ミスティのストラーフ形態への変形パターンだ。 極限まで押し込まれたバネが反発し、ミスティの体を押し上げる。 右副腕が根本から砕ける。 『ええええぇぇっ!!?』 一瞬にして支えを失ったミスティは、勢い余って、地面につんのめるように激突した。 ミスティの体が路面に激しくこすりつけられる。右の副腕が吹き飛ぶ。焼け焦げたバイザーが破砕する。 それでもミスティは、残る副腕と脚部パーツを突っ張らせて勢いを殺し、ようやくに停止した。 しかし、これは隙。 俺はティアに向けてマシンガンを送り込む。 「撃て」 俺の指示から、間髪入れずに、ティアは引き金を絞った。 相手は至近距離で動きを止めている。 はずすはずのない攻撃。 だが、今度は俺が驚く番だった。 「なにっ!?」 ミスティは一挙動で起きあがると、すぐさまティアに背中を向けた。 必中の銃弾は、ミスティの装備に着弾する。 ウイングが吹き飛び、後輪が炸裂する。 そして、ティアの銃撃を受けながら、ミスティはバックジャンプする。ティアに向けて。 そして、背中の装備をパージした。 『わ、わわっ』 あわててティアがホイールを滑らせる。その拍子にマシンガンを落とした。 大きな動きでミスティのはなった「爆撃」をかわし、大きく回り込む。 轟音を立てて、ミスティの背部モジュールが地に落ちた。 ティアが安堵の吐息をつき、再びストリートに視線を向けた。 その視線の先。 副腕をなくしたミスティが立っていた。 ■ 背部の装備をなくしたミスティさんは、それでも気負った様子は見られなかった。 右手にオリジナル装備のマシンガン、左手にイーダ装備の太刀「エアロ・ヴァジュラ」。 両脚のサバーカはいまだに健在である。 ミスティさんは左手の刀を地面に突き刺すと、右半分が壊れたバイザーを脱ぎ捨てた。 ストリートに乾いた音が響く。 「同じね、これで」 呟くようにミスティさんが言う。 「脚部強化パーツだけの軽量装備……ここまでおいつめられたのは、ティア、あなたが初めてよ?」 穏やかな口調だが、いまだに闘志を宿した強い眼差し。 先ほどの言葉の応えとして、 「こ、光栄です……」 というのは的外れだっただろうか。 ミスティさんとは距離を置いて向かい合っている。 幅の広いメインストリートの中央、遮るものは何もない。 次の攻撃はお互いに小細工なし、必中の一撃を狙うだろう。 わたしはマシンガンを落としてしまっている。 手元の武器はない。 マスターが送り込んでくれるのを待つ。 と、ミスティさんがマシンガンを一瞥すると、なんとそれをバイザー同様投げ捨てた。 そして改めて、刀を構え直した。 なぜそんなことをするのか。 理由は一つ。 ミスティさんは……真っ向勝負、正々堂々の決着を望んでいる……。 □ ミスティの行動は不可解きわまりない。 いまのティアは何も武器を持っていない。 マシンガンを使えば、ティアの動きをある程度封じつつ、先手を取って、戦闘を有利に進めることもできたはずだ。 しかし、ミスティは銃を捨て、刀を構えた。 これは誘いか。あるいは、よほどに近接戦闘に自信があるのか。 敵の不可解な行動は、むしろこちらにはチャンスだった。 俺は当然、ティアの手に銃を送り込もうと、サイドボードに指を伸ばしたのだが……。 『マスター』 「なんだ?」 『コンバットナイフをください……お願いです……』 と、こうきた。 珍しくティアが武装を要求してきたと思ったら、近接武器で真っ向勝負とは。 こちらの有利をけっとばして、敵の誘いに乗り、わざわざ五分以下の状況を望んでいる。 俺は少し呆れながら、ふと、筐体の向こう側をみやった。 目が合う。 ミスティのマスターは肩をすくめ、苦笑した。 どうやら、ミスティも、勝手に刀で勝負を挑んでいるらしい。 ならば誘いでも何でもない。 ミスティは正々堂々の勝負を挑んできているのだ。 そして、ティアはそれに応えようとしている。 勝ち負けにこだわるなら、迷わずサイドボードから銃を選べばいい。 だが、俺はあえて、ティアの望み通り近接武器を選択した。 あのティアが、俺に武装を要求してくるなど、滅多にないことだ。いや、初めてかも知れない。 こんな希有な出来事の価値に比べれば、この試合の勝ち負けなど、どれほどのこともないのだ。 まあ、俺自身、こういう熱い展開が嫌いではないのだが。 コンバットナイフを手にしたティアは、うっすらと微笑んだ。 それを見て、ミスティが凄みをたたえて微笑んだ。 『ティア、やっぱりあなたって最高』 そして、刀を肩口から突き出すように構え直した。 『久住菜々子が武装神姫、ミスティ! 推して参る!』 俺はこのとき初めて、筐体の向こうにいる少女の名前を知った。 『遠野貴樹が神姫、ティア! いざ尋常に勝負!』 可愛い声と口上の内容が非常にアンバランスだ。 俺も肩をすくめて苦笑する。 こうなったらもう、作戦も何もない。 神姫の地力で勝負が決まる。 マスターが入り込む余地などもうないのだった。 だが、これはこれで、見逃せない展開ではある。 高まりゆく緊張感に、俺は無意識のうちに拳を握りしめていた。 二人の神姫は、構えたまま動かない。 二人の間合いはとても刃の届く距離ではない。 だが、そこは脚部を強化した神姫だけに、動き出せば一足飛びに間合いに入る。 緊張が張りつめている。 バーチャル空間の緊張が現出したかのように、観客たちも水を打ったように静かだった。 二人の緊張を破ったのも、やはり吹き続けている風だった。 砂塵が巻く。 お互いを覆い隠すほどの砂煙が二人の間を吹き抜ける。 動く。 二人の神姫は一瞬で被我の距離を埋める。 斬り裂かれる砂のカーテン。 砂の幕が霧散し、お互いの姿が立ち現れた瞬間、二人は斬り結んだ。 ミスティは突き。武器のリーチを生かして先手を取る。 ティアは構えたまま、速度をゆるめずに突進。 交差。 二つの影が飛び抜けて、静止する。 ミスティは突きの姿勢で、腕を伸ばし、刀を突き出したまま。 ティアは、ナイフを振り抜いた姿勢で、膝をついている。 はたして、ティアの振り抜いた右手にナイフはなかった。 それは、ミスティの胸元に突き立っていた。 「ティア……」 ミスティのつぶやき。 名を呼ばれた神姫はゆっくりと立ち上がる。 風が吹いた。 ミスティがポリゴンの欠片になって、砂塵に溶けてゆく。 ティアは振り向きもせずに、ただ虚空を見つめたまま立ち尽くしている。 やがて、ミスティが風に散らされて消えた頃、ジャッジAIが勝敗を決した。 『WINNER:ティア』 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/manjyu/pages/142.html
グラーフユニオン 銀河連合により壊滅した地球は、しばらくは混乱した時代が続いていた。 混乱した時代は文明を衰退させ、かつては高度な文明を人類が保有していたことを忘れるほど続いた。 そんな暗黒時代を終わらせたのは、遺跡発掘を主な仕事としていたグラーフカンパニーである。 グラーフカンパニーは衰退する以前の人類の兵器を数々と発掘し、解析し、量産し、圧倒的な技術と軍事力で敵対勢力を制圧し、史上初の「力による世界征服」を達成したのである。 世界征服の際に社名をグラーフユニオンと改名し、支配宣言を布告した。 遺跡発掘を重罪とすることで過去のテクノロジーを独占し、自分を脅かすものを排除する一方、複数の抵抗勢力に武器や情報を売ることでレジスタンス同士を争わせ、その上で一般人によるレジスタンス狩りを賞金付きで奨励も行ない、全世界が武力的な紛争や抗争の絶えない状態を保っている。 更にはレジスタンスなどに優秀なパイロットなどいれば拉致を行なう。拉致された人間が帰ってきたという例はない。 こういった行動の裏には、地球をより効率よく支配するためグラーフに力と知識を貸したアスクレピオス隊の思惑が存在していた。 関連リンク GU会長ジョージ・グラーフ 遺跡管理部 その他GU配下
https://w.atwiki.jp/mugen-wiki/
無限のストラーダ@wikiへようこそ •GREEのゲーム「無限のストラーダ」の情報を集積していくwikiです。 ~現在作成中~ mugen-wiki?cmd=upload act=open pageid=1 file=d1286-237-786097-3%5B1%5D.jpg ~現在作成中~
https://w.atwiki.jp/peetime/pages/65.html
おしっこするときにトイレに行かず、ペットボトルに排尿する人のこと。 「ビビッドレッド・オペレーション」の四宮ひまわりは考察の結果ボトラーであることが確定した。
https://w.atwiki.jp/ryo1103ryo1030/pages/70.html
1
https://w.atwiki.jp/ryo1103ryo1030/pages/43.html
1
https://w.atwiki.jp/ryo1103ryo1030/pages/33.html
海常を引っ張るキャプテン!! 海常の主将。2年生の時、自分のミスが原因でI・H初戦敗退という屈辱的な過去を持つ。そのミスを償うため、I・H制覇 という目標を掲げていた。 PROFILE 名前:かさまつ ゆきお 身長:178cm 体重:66kg 誕生日:7月29日 星座:しし座 血液型:O型 座右の銘:日進月歩 好きな食べ物:肉じゃが 趣味:音楽 特技:ギター
https://w.atwiki.jp/ryo1103ryo1030/pages/6.html
更新履歴 @wikiのwikiモードでは #recent(数字) と入力することで、wikiのページ更新履歴を表示することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_117_ja.html たとえば、#recent(20)と入力すると以下のように表示されます。 取得中です。
https://w.atwiki.jp/ryo1103ryo1030/pages/59.html
桐皇学園バスケ部監督
https://w.atwiki.jp/ryo1103ryo1030/pages/75.html
攻撃を支える司令塔