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total - / t - / y - 学内選抜/東日本大会/セミファイナル/ファイナル/星奏学院演奏曲簡易一覧/ライバル校演奏曲 価格は難易度「ふつう」時のもの 「やさしい」時は×0.5 「むずかしい」時は×1.25 星奏学院演奏曲 ゲーム開始~学内選抜大会まで 4つのロマンティックな小品~第1曲 作曲者 ドヴォルザーク MF使用者 榊大地 編成 Vn Vn Va 曲調 清麗 難度 5 価格 220BP 校内選抜大会で演奏できる曲 (選ばなかった場合は7/19(火)以降、楽器店で購入可能) 表現 完成度上限 +10 穏やかに 歌うように 甘美に 気高く 優美に 生き生きと 愛らしく 静かに 表情豊かに 軽やかに 滑らかに 追加効果なし 切なく 快活に 正確に 決然と 華やかに 壮大に 荘重に チャルダッシュ 作曲者 モンティ MF使用者 如月響也 編成 Vn Vn Va 曲調 愁情 難度 6 価格 240BP 校内選抜大会で演奏できる曲 (選ばなかった場合は7/19(火)以降、楽器店で購入可能) 表現 完成度上限 +10 激しく 快活に 荒々しく 熱情的に 気高く 生き生きと 力強く 決然と 表情豊かに 華やかに 軽やかに 追加効果なし 切なく 正確に 歌うように 甘美に 優美に 滑らかに 重々しく 壮大に 荘重に 東日本大会まで ヴァイオリン協奏曲「冬」~第1楽章 作曲者 ヴィヴァルディ MF使用者 如月律 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 愁情 難度 7 価格 250BP 7/19(火)以降、楽器店にて購入可能 / 東日本大会課題曲 表現 完成度上限 +10 激しく 切なく 正確に 荒々しく 熱情的に 気高く 力強く 決然と 表情豊かに 華やかに 軽やかに 壮大に 荘重に 追加効果なし 快活に 歌うように 優美に 生き生きと 静かに 重々しく 弦楽セレナード~第1楽章 作曲者 ドヴォルザーク MF使用者 榊大地 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 清麗 難度 8 価格 260BP 7/19(火)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 穏やかに 歌うように 甘美に 気高く 優美に 生き生きと 静かに 表情豊かに 滑らかに 壮大に 荘重に 追加効果なし 切なく 快活に 止確に 決然と 愛らしく 楽しげに 軽やかに 重々しく アイネ・クライネ・ナハトムジーク 作曲者 モーツァルト MF使用者 水嶋悠人 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 彩華 難度 8 価格 260BP 7/19(火)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 激しく 快活に 正確に 甘美に 生き生きと 愛らしく 表情豊かに 華やかに 楽しげに 軽やかに 追加効果なし 穏やかに 荒々しく 歌うように 熱情的に 気高く 優美に 力強く 決然と 滑らかに 壮大に 荘重に 弦楽四重奏曲「わが生涯」~第1楽章 作曲者 スメタナ MF使用者 如月響也・如月律 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 愁情 難度 8 価格 260BP 7/19(火)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 激しく 切なく 正確に 荒々しく 熱情的に 力強く 決然と 表情豊かに 滑らかに 重々しく 壮大に 荘重に 追加効果なし 穏やかに 歌うように 甘美に 気高く 優美に 静かに 華やかに 軽やかに 全国大会セミファイナルまで シチリアーナ 作曲者 レスピーギ MF使用者 如月響也・如月律 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 清麗 難度 10 価格 280BP 8/5(金)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 切なく 穏やかに 歌うように 甘美に 気高く 優美に 静かに 表情豊かに 重々しく 荘重に 追加効果なし 正確に 熱情的に 生き生きと 決然と 愛らしく 華やかに 滑らかに 壮大に 5つのノヴェレッテ~オリエンタル 作曲者 グラズノフ MF使用者 榊大地 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 彩華 難度 10 価格 280BP 8/5(金)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 激しく 快活に 正確に 荒々しく 歌うように 熱情的に 生き生きと 力強く 決然と 愛らしく 表情豊かに 華やかに 楽しげに 軽やかに 追加効果なし 穏やかに 甘美に 優美に 滑らかに 荘重に スカボロー・フェア 作曲者 - MF使用者 水嶋悠人 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 愁情 難度 10 価格 280BP 8/5(金)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 切なく 穏やかに 歌うように 甘美に 気高く 優美に 決然と 静かに 表情豊かに 滑らかに 壮大に 荘重に 追加効果なし 激しく 快活に 正確に 熱情的に 生き生きと 力強く 愛らしく 軽やかに 重々しく 弦楽四重奏曲~第2楽章 作曲者 ラヴェル MF使用者 水嶋悠人 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 清麗 難度 12 価格 310BP 8/5(金)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 快活に 穏やかに 歌うように 優美に 生き生きと 静かに 表情豊かに 軽やかに 追加効果なし 切なく 正確に 熱情的に 甘美に 気高く 愛らしく 華やかに 楽しげに 滑らかに 壮大に 荘重に ディヴェルティメントK.136~第1楽章 作曲者 モーツァルト MF使用者 榊大地 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 彩華 難度 12 価格 310BP 8/5(金)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 快活に 歌うように 甘美に 気高く 優美に 生き生きと 表情豊かに 華やかに 楽しげに 軽やかに 追加効果なし 激しく 正確に 荒々しく 熱情的に 力強く 決然と 愛らしく 滑らかに 壮大に ハンガリー舞曲第1番 作曲者 ブラームス MF使用者 如月響也・如月律 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 愁情 難度 12 価格 310BP 8/5(金)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 激しく 快活に 荒々しく 熱情的に 甘美に 気高く 力強く 決然と 表情豊かに 華やかに 滑らかに 重々しく 荘重に 追加効果なし 切なく 正確に 歌うように 優美に 生き生きと 愛らしく 軽やかに 壮大に 全国大会ファイナルまで ホルベアの時代から~リゴードン 作曲者 グリーグ MF使用者 榊大地 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 清麗 難度 13 価格 320BP 8/16(火)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 快活に 正確に 生き生きと 力強く 愛らしく 表情豊かに 華やかに 楽しげに 軽やかに 追加効果なし 激しく 穏やかに 荒々しく 歌うように 熱情的に 甘美に 決然と 壮大に 荘重に イタリア協奏曲~第3楽章 作曲者 J.S.バッハ MF使用者 水嶋悠人 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 彩華 難度 13 価格 320BP 8/16(火)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 快活に 正確に 気高く 優美に 生き生きと 表情豊かに 華やかに 楽しげに 軽やかに 壮大に 荘重に 追加効果なし 激しく 穏やかに 歌うように 熱情的に 甘美に 力強く 決然と 愛らしく 静かに 滑らかに 重々しく 弦楽四重奏曲第1番~第3楽章 作曲者 ニールセン MF使用者 如月響也・如月律 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 愁情 難度 13 価格 320BP 8/16(火)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 激しく 正確に 荒々しく 熱情的に 気高く 力強く 決然と 表情豊かに 軽やかに 壮大に 荘重に 追加効果なし 切なく 快活に 歌うように 優美に 生き生きと 静かに 華やかに 滑らかに 重々しく 交響曲第1番~第4楽章 作曲者 ブラームス MF使用者 水嶋悠人 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 清麗 難度 15 価格 360BP 8/16(火)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 穏やかに 歌うように 気高く 優美に 生き生きと 力強く 決然と 表情豊かに 華やかに 滑らかに 重々しく 壮大に 荘重に 追加効果なし 激しく 快活に 正確に 荒々しく 甘美に 静かに 楽しげに 軽やかに 弦楽四重奏「ひばり」~第4楽章 作曲者 ハイドン MF使用者 榊大地 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 彩華 難度 15 価格 360BP 8/16(火)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 快活に 正確に 歌うように 生き生きと 愛らしく 表情豊かに 華やかに 楽しげに 軽やかに 追加効果なし 激しく 荒々しく 熱情的に 甘美に 気高く 優美に 力強く 決然と 滑らかに 壮大に フィレンツェの思い出~第1楽章 作曲者 チャイコフスキー MF使用者 如月響也・如月律 編成 Vn Vn Va Vc 曲調 愁情 難度 15 価格 360BP 8/16(火)以降、楽器店にて購入可能 表現 完成度上限 +10 激しく 切なく 快活に 熱情的に 甘美に 気高く 優美に 生き生きと 決然と 表情豊かに 華やかに 軽やかに 滑らかに 重々しく 壮大に 荘重に 追加効果なし 正確に 荒々しく 歌うように 力強く 愛らしく 楽しげに 威風堂々第1番 作曲者 エルガー MF使用者 如月律 編成 Vn Vn Vn Va Vc 曲調 彩華 難度 16 価格 - 如月律の恋愛5回目で入手 ※楽器店では購入不可能 表現 完成度上限 +10 気高く 優美に 生き生きと 力強く 決然と 表情豊かに 華やかに 滑らかに 重々しく 壮大に 荘重に 追加効果なし 激しく 快活に 正確に 穏やかに 歌うように 甘美に 静かに 楽しげに 軽やかに 星奏学院演奏曲簡易一覧 入手時期 作品名(作曲者名) 曲調 難度 編成 MF使用者 価格 学内選抜 4つのロマンティックな小品~第1曲(ドヴォルザーク) 清麗 5 Vn+Vn+Va 大地 220 チャルダッシュ(モンティ) 愁情 6 Vn+Vn+Va 響也 240 東日本大会 ヴァイオリン協奏曲「冬」~第1楽章(ヴィヴァルディ) 愁情 7 Vn+Vn+Va+Vc 律 250 弦楽セレナード~第1楽章(ドヴォルザーク) 清麗 8 Vn+Vn+Va+Vc 大地 260 アイネ・クライネ・ナハトムジーク(モーツァルト) 彩華 8 Vn+Vn+Va+Vc ハル 260 弦楽四重奏「わが生涯」~第1楽章(スメタナ) 愁情 8 Vn+Vn+Va+Vc 響也・律 260 セミファイナル シチリアーナ(レスピーギ) 清麗 10 Vn+Vn+Va+Vc 響也・律 280 5つのノヴェレッテ~オリエンタル(グラズノフ) 彩華 10 Vn+Vn+Va+Vc 大地 280 スカボロー・フェア 愁情 10 Vn+Vn+Va+Vc ハル 280 弦楽四重奏~第2楽章(ラヴェル) 清麗 12 Vn+Vn+Va+Vc ハル 310 ディベルティメントK.136~第1楽章(モーツァルト) 彩華 12 Vn+Vn+Va+Vc 大地 310 ハンガリー舞曲(ブラームス) 愁情 12 Vn+Vn+Va+Vc 響也・律 310 ファイナル ホルベアの時代から~リゴードン(グリーグ) 清麗 13 Vn+Vn+Va+Vc 大地 320 イタリア協奏曲~第3楽章(J.S.バッハ) 彩華 13 Vn+Vn+Va+Vc ハル 320 弦楽四重奏曲第1番~第3楽章(ニールセン) 愁情 13 Vn+Vn+Va+Vc 響也・律 320 交響曲第1番~第4楽章(ブラームス) 清麗 15 Vn+Vn+Va+Vc ハル 360 弦楽四重奏「ひばり」~第4楽章(ハイドン) 彩華 15 Vn+Vn+Va+Vc 大地 360 フィレンツェの思い出~第1楽章(チャイコフスキー) 愁情 15 Vn+Vn+Va+Vc 響也・律 360 威風堂々第1番(エルガー) 彩華 16 Vn+Vn+Vn+Va+Vc 律 - ライバル校演奏曲 大会名 楽曲名 編成 MF使用者 学内選抜 インヴェンション第8番 如月律、水嶋悠人 水嶋悠人 月の光 如月律、水嶋悠人 水嶋悠人 東日本大会 ムーアサイド組曲~マーチ 八木沢雪広、火積司郎、水嶋新、伊織浩平、狩野航 八木沢雪広 スラブ舞曲第8番 八木沢雪広、火積司郎、水嶋新、伊織浩平、狩野航 火積司郎 アイ・ガット・リズム 八木沢雪広、火積司郎、水嶋新、伊織浩平、狩野航 水嶋新 セミファイナル 交響詩「死の舞踏」 東金千秋、土岐蓬生、芹沢睦 東金千秋 ツィゴイネルワイゼン 東金千秋、土岐蓬生、芹沢睦 東金千秋 2つのヴァイオリンのための協奏曲 東金千秋、土岐蓬生、芹沢睦 土岐蓬生 ファイナル ピアノ三重奏曲「ドゥムキー」~第2楽章 冥加玲士、七海宗介、天宮静 冥加玲士 スケルツォ・タランテラ 冥加玲士、七海宗介、天宮静 冥加玲士 ピアノ三重奏曲第1番~第4楽章 冥加玲士、七海宗介、天宮静 冥加玲士、天宮静 ピアノ三重奏曲~第3楽章 冥加玲士、七海宗介、天宮静 天宮静 想いの届く日 冥加玲士、七海宗介、天宮静 七海宗介
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昨夜から続く雨は、翌朝になってもやむ気配を見せなかった。 「まだ、降ってんのか」 ベッドから身を起こしたクロコダイルは、窓の外を見て心底嫌そうな 表情を形作った。 悪魔の実の能力者は、海を始め水全般を苦手とする。体の一部でも水 に浸ればその力を著しく制限され、全身が水中に没すれば浮く事も泳ぐ 事もできずに溺れてしまう。 中でも『スナスナの実』によって砂を操るクロコダイルの場合は、雨 やシャワーといった流れる水、血液のような液体ですらも能力を封じる 大敵だ。水分を含んだ砂が凝固し、強制的に元の肉体へと戻ってしまう のである。悪魔の実の能力を使わないでの戦闘経験もあるにはあるが、 デルフリンガーの存在を上乗せしてなお、正面きっての戦いは避けたい のが本音だった。 「遅いお目覚めだね、旦那。天気は悪いが、気分はどうだい?」 「……最高に最悪だ」 デルフリンガーの茶々を聞いて、クロコダイルは余計に顔を顰めた。 Mr.0の使い魔 —エピソード・オブ・ハルケギニア— 第二十三話 デルフリンガーを携えて一階の酒場に向かうと、少年少女は既に食事 を終えかけていた。特にタバサの近くには空の皿が十数枚、高々と積み 重なっている。一皿にどんな料理がどれだけ盛られていたかは知らない が、一人で食べたのだとしたら驚きだ。おまけに、タバサは今も黙々と サラダを口に運んでいる。他の面々は、いくらか料理の残った皿を前に 満腹になってしまったようだ。 と、一人足りない事に気づいて、クロコダイルは首を傾げた。 「子爵はどうした?」 「桟橋の様子を見て来るって。この雨で出港が延期になるかもしれないから」 答えたのはルイズである。 「たかがこの程度の雨で?」 「たかがじゃないわよ。フネにとって、天気は死活問題なんだから」 「空を嘗めている」と憤慨したルイズは、クロコダイルにフネの特徴 と空の怖さを滔々と説いた。 空を飛ぶフネというのは、海に浮かぶ船以上に気象条件に左右される 代物だ。空中に浮かべるだけの浮力は『風石』という特殊な鉱石で確保 しているが、推進機関は積んでおらず、海の船と同じくマストに張った 帆に風を受けて前進する。方向転換は普通の舵ではなく、左右の舷側に 突き出た羽を用いて行うのだ。 それらの特徴を持つフネにとって、悪天候は直接死の危険につながる。 雲に視界を塞がれて航路を見失う、強風に煽られて船体が傾く、雨粒の 連打による下向きの加圧で風石を消費する、マストに落雷して炎上轟沈 する……等々、事故の要因には事欠かない。特に、風石はフネに浮力を 与える最重要物資である。海では何もなくとも海水によって浮力を得る 事ができるが、空では風石の消失と浮力の消滅、すなわち墜落が同義語 なのだ。余計な時間を飛んで風石がなくなれば、行き先が“冥府”に変更 されかねない。 故に天気の悪い時は出港を中止し、船体を桟橋や大地に固定して天候 回復を待つのである。余程の急便や軍事行動の最中でもない限り、これ は絶対の原則だった。 こうも詳しく解説されると、クロコダイルも頷かざるを得ない。 「つまり、雨が上がるまではここで足止めか」 「こればかりはどうしようもないわ。あんまりのんびりする訳にもいかないけど」 「あら、そんなに急ぐような用事なの?」 「べ、別に何でもないわ。そもそもあんたには関係ない事よ」 「いいじゃない、少しぐらい教えてくれても」 口を挟んだキュルケとルイズの口論をよそに、クロコダイルは空席に 腰を落ち着けた。ワルドの単独行動は気になるが、明確な敵意を示した 訳ではない。警戒は必要としても、今はまだ自分一人で十分だ。真偽の 不確かな情報は、その手綱を握って操る事にこそ価値がある。 未だにわいわいと騒ぐルイズ達を一瞥し、クロコダイルは遅めの朝食 に手をつけた。 時刻は正午を少し回ったくらい。 雨の降りしきる中、ワルドは桟橋からの帰路についていた。たっぷり 時間をかけて停泊中のフネを全て調べた結果、定期便の貨客船は夕方の 天気次第で出港か欠航かを決める、という見方らしい。他の商船もほぼ 同じだ。 ただ、その中に二便だけ、急ぎの積荷で是が非でも今夜出港するフネ があった。何でも貴族派が無理を言ったらしい。船員達は愚痴をこぼし ながらも、今から風石を多めに積み込むなど念入りな出港準備を行って いた。 「予定は変わらない、か」 ぽつりと呟くと、ワルドは不意に横道にそれる。ほんの一、二分して すぐ大通りに戻ったワルド。 その路地の奥に、いつの間にか現れた二つの人影が歩み去った。 『金の酒樽亭』の羽扉が開く。中にいた傭兵達は一斉にそちらを見て、 すぐに視線を手元に戻した。入って来たのは、黒いマントに白い仮面と いう組み合わせの、昨日の青年と同じくらい怪しい人物だったのだ。 その何者かは脇目もふらずに店の奥のテーブルに足を運ぶ。そこでは、 昨日依頼を持ち込んだ青年が悠々と紅茶を楽しんでいた。今はローブを 脱いで横に置いているため、派手な縦縞の上着と奇抜な髪型が目立って 仕方がない。 が、彼はそれについて一切気にしていないようである。ティーカップ をソーサーに置くと、仮面の人物に馴れ馴れしく声をかけた。 「ふむ、やっとお出ましカネ」 「雨が降るとは思わなかったんでな」 仮面の——声からして男は、不愉快そうに呟いた。それを聞いた青年 も、呆れとも諦めともつかぬため息を吐いて額にしわを寄せる。彼らに とって、天気の悪化は予想外の、歓迎できない事態だったのだ。 「お得意の魔法で何とかならんのカネ?」 「馬鹿を言うな。天候操作は並の魔法とは訳が違う」 「ちょっとしたジョークだ、そうカリカリするな。で、フネは?」 苛立ちを滲ませた仮面の男に軽く手を振り、青年は本題を口にする。 仮面の男は、自身を落ち着かせるように息を吐いてから返答した。 「貴族派の急便が二つ、今から出港準備を始めている。 『マリー・ガラント』号と『ラ・デジラード』号、それぞれ硫黄と水の魔法薬を運ぶそうだ」 「行き先は、どの港カネ?」 「『マリー・ガラント』はスカボロー、『ラ・デジラード』はロサイスへ向かう」 「ならば、君が『マリー・ガラント』号、ワタシが『ラ・デジラード』号で決まりだな」 くくっと笑うと、青年はズボンのポケットから銀貨を数枚取り出し、 テーブルに置いた。今しがたの飲食代である。再びローブで身を覆った 青年は、去り際に店の中央へ視線を向けた。その先で大きな骨付き肉を かじっているのは、昨日彼が『まとめ役』と称したあの傭兵だ。 「すまないが、現場監督はこの仮面の彼に引き継ぐ。まぁ、しっかり働いてくれたまえ」 「言われんでもやるさ。しかし、そいつは顔を見せないのか?」 「余計な詮索は無用に願おう」 胡散臭げな顔でじろじろと仮面の男を見ていた傭兵は、男がマントの 下から杖を抜き出すと慌てて首を振った。 「わ、わかったわかった。俺だってまだ死にたくはねぇ、言う通りにするさ」 「ふん……貴様らはこちらの言う通り動けばいい。余計な事をしなければ、な」 「あまり関係をこじらせないで欲しいガネ。では、こちらは任せたよ」 軽く二度、仮面の男の肩を叩いて、ローブ姿の青年は『金の酒樽亭』 を後にする。後ろ姿を見送った男は、仮面の下で怜悧な光を宿した目を 細めた。 「随分時間がかかったな」 「ああ、ミスタ」 『女神の杵亭』へ戻ったワルドに、ロビーにいたクロコダイルの声が かかった。入ってすぐの椅子に腰掛け、のんびりと葉巻を吹かしている。 この『女神の杵亭』は、客室は臭いが染み付かないよう全室禁煙であり、 風通しのいい一階ロビー以外での喫煙は禁じられているのであった。他 にも数人、タバコやパイプを楽しむ客の姿がある。 「フネは出るのか?」 「定期便は様子見だそうですが、この分だと欠航になるかもしれませんね」 クロコダイルの問いに、ワルドは扉の外に目をやりつつ答えた。雨脚 は、弱まるどころか逆に激しくなっている。夜中までに止めばいいが、 望みは薄そうだ。 「二隻、急便で出港する商船がありますが……貴族派の依頼で、向かう先はどちらも軍港です」 「あまりあてにはせん方がいいな」 王党派の壊滅が時間の問題である以上、できるだけ早く目的の品物を 回収したい所ではある。が、こちらは六人の大所帯、しかも子供四人と いう悪目立ちする編成だ。定期便ならばともかく、商船では他の客の中 に姿を紛れ込ませる事ができない。それどころか、向こうの港に着いた 途端に警備隊に通報され、捕縛される可能性もある。王党派の協力者だ と発覚すれば全てお終いだ。 この任務でそんなリスクの高い賭けをする気など、クロコダイルには 毛頭なかった。同時に、お宝を諦めるつもりもない。 「最悪ガキ共を送り返して、子爵とおれだけでその商船に乗り込むか」 「その方がいいかもしれませんね。 僕なら“貴族派の一員”として行動できますし、ミスタは傭兵と言えば通るでしょう」 安堵の表情を見せるワルド。同時に、クロコダイルの中にある疑念が ますます膨らんだ。今のワルドには、それほど焦った様子は見られない。 彼が気にしている、もしくは気にしていた事は、一体何か。 昨日は丸一日気分を乱していた。しかしその前、クロコダイルが巻き 込まれた当初は、特にどうという事はなく平常そのものだったのだ。 子供達が加わって貴族派として動けないから焦っていた、というのは 考えにくい。ギーシュの参加が決まった時の態度を見れば、それは確実 である。あの時、ワルドは特に反対意見を口にしなかった。ギーシュは ワルドのように敵の信用を得てはいないし、クロコダイルのように傭兵 と言って誤摩化す事も難しい。気圧されていた事を差し引いても、その ような人間の参加に否定的ではなかったのだ。すぐ後にルイズが「行く」 と言った時は渋い顔をしていたが、貴族派の肩書きが使えなくなる点を 考慮すればギーシュの場合も同じ筈である。 (……待てよ) クロコダイルは今の思いつきを反芻した。ルイズが参戦を告げた時、 ワルドは歓迎していなかった。おまけに、ワルドとルイズは幼馴染みだ そうだ。クロコダイルはその辺りの事情をまるで知らないが、それでも 二人の間柄とワルドの焦りには関連性がありそうだと思える。ルイズが 危険な任務に参加する事を気にして、心に焦りが生まれたのだろうか。 (辻褄は合うが、確定とはいかんな) どうにも情報が少なすぎる。任務が終わって、ロングビルの調査報告 を聞けばもう少し事実に近しい推測もできるだろうが、今はこの程度が 限界だ。 「お帰りなさい、ワルド」 ふと、上からルイズの声がかかった。二階からワルドの姿を見つけた ルイズは、階段を下りてこちらに近づいて来る。 「桟橋はどう?」 「定期便は欠航になるかもしれない。急ぎの商船が二隻、出港準備をしていただけだ」 「そうなんだ。それじゃ、その商船に乗せてもらう方がいいんじゃない?」 「残念ながら、フネは二つとも貴族派の依頼で動くそうでね。しかも、どちらも戦地に近い軍港行きだ」 「貴族派の——」 思う所があったのか、ルイズの表情が何とも言えないものに変わる。 それを見たワルドは僅かに苦笑して、ルイズの頭を優しく撫でた。 「ほらほら、そんな顔をしてるとレディが台無しだぞ」 「むぅ、また子供扱いして」 他愛ない会話。傍目には仲のいい兄妹か、あるいは親戚とでも映るの だろう。ただ一人、ワルドに疑いを持つクロコダイルを除いて。 「子爵、さっきの話だが」 葉巻を傍らの水桶に放り込み、クロコダイルが声を発した、次の瞬間。 玄関口から飛び込んだ一本の矢が、その水桶をぶち抜いた。 ...TO BE CONTINUED
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伝統的に使徒パウロがコロサイの共同体へあてて書いたものであるとされるが、近代以降異論もある。 伝統に従えばパウロが、ローマで最初に投獄されていた期間(『使徒言行録』28 16)、おそらく紀元57年に(62年という説をとなえる学者も)『エフェソの信徒への手紙』(エフェソ書)のあとに書いたと考えられる。 構成 本書簡は神学的考察と実践的なすすめの二部構成になっている。 神学的考察(1-2章) 実践的なすすめ(3-4章)
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autolink PT/W07-084 カード名:調教師サイス カテゴリ:キャラクター 色:青 レベル:1 コスト:0 トリガー:0 パワー:3500 ソウル:1 特徴:《メガネ》?・《マスター》? 【永】アラーム このカードがクロックの1番上にあるなら、あなたの《仮面》?のキャラすべてに、パワーを+1000。 【起】[このカードをクロック置き場に置く]あなたは自分の山札を見て《仮面》?のキャラを1枚まで選んで相手に見せ、手札に加える。その山札をシャッフルする。 さぁ、幕引きだ! レアリティ:U illust.- 《仮面》に特化した能力を持ち、起動効果からアラームに繋げることが出来るので《仮面》を軸にするのであれば中々便利である。 肝心の《仮面》のカードプールが狭すぎるのが難点で、ネオスタンであるならばレベル0のツァーレンシュヴェスタンかレベル3の“誰でもないファントム”アインしかいない。 このうち“誰でもないファントム”アインは回復により折角のアラーム効果が失われてしまう。 ツァーレンシュヴェスタンもアタック出来ない恐れがあるが、アラームとあわせてパワー5000とレベル1でも十分な値を誇るのでこちらの方がメインになるだろうか。 ・関連ページ 《仮面》?
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コラクサイス イラン系遊牧民のスキタイ人の神話(スキタイ神話)の登場人物。 天神からの贈り物を二人の兄リポクサイスとアルポクサイスは手に入れられなかったが、コラクサイスは手にすることができたため、最初の王となった。 パララタイ族の祖。 関連: タルギタオス (父)
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サイスヴェト アーサー王伝説に登場する人物。 「マビノギオン」に記される。 関連: ナヴ (息子) シンノッホ (息子) ベティウ (息子) ワトゥ (息子) 別名: サイスイヴェト
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前ページ次ページゼロのエルクゥ ニューカッスル城の決戦は、数時間の戦いとも言えぬ戦いの後、王党派の勝利で幕を閉じた。 まさに、始祖ブリミルのお導きとしか言えない、思いもかけずもたらされた勝利に、王党派軍の貴族達は狂喜の歌を歌いながらニューカッスルに凱旋したのだった。 「すると、ヴァリエール嬢は彼女らに連れられていったというのだね?」 「はい。同じ学院の制服を着ていましたし、正直、今以上の治療は、ここでは無理でしたもので……」 「いや、いいよ。このままここに置いておくよりは安全だろうからね。ご苦労だった。水メイジの皆には、ゆっくり休んでくれるよう伝えてくれ」 「は、はいっ。失礼しますっ」 負傷したルイズの世話係につけておいた水のラインメイジの女性の報告を聞いて、ウェールズは静かに胸を撫で下ろした。 先の吶喊に失敗した場合、非戦闘員を乗せて脱出するマリー・ガラント号に同乗させる予定だった。 これ以上ない勝利を収めた今、とりあえず脱出船を出す必要はなくなったが、まだ内乱が終わったわけではない。彼自身の心情としては、ルイズ一人だけでも乗せて送り返したいところだったが……状況がそれを許さなかった。 王党派唯一の艦船だったイーグル号を焼き討ち船にしてしまったので、マリー・ガラント号を手放すわけにはいかないのだ。 女性メイジの報告は、言い方は悪いが―――渡りに船、というところだった。 ちなみに、マリー・ガラント号とその船員は、王党派に雇われる形になっていた。首都の王城、ハヴィランド宮殿が陥落する際に持ち出した財宝は、硫黄の代金を補って余りあった。 「さて、頭を失った彼らがどう出るか……」 「人形が影武者でなければよいのですがなぁ」 「祝宴中に不吉な事を言わないでくれよ、パリー」 出陣前の最後の晩餐であったパーティの用意は、勝利を祝う宴へと看板を替え、盛大に実施されていた。 勝利の熱狂に酒精が振る舞われる中、伝令の兵士が息を急ききってその場に飛び込んでくる。 「ほ、報告致します! レコン・キスタ軍旗艦『レキシントン』号、サー・ヘンリ・ポーウッド艦長より入電! 『我ら『レキシントン』以下、レコン・キスタ艦隊全艦艇、王党派に降伏の意を示す』『レキシントン』号は砲門を閉じ、白旗を掲げています!」 「しゅ、首都ロンディニウムよりの風竜便!? 『我ら裏切りの事実無し。陛下に変わらぬ忠誠を』!?」 「シティオブサウスゴータからの報告!」 「こちらはロサイスからです!」 そして、勝利に沸くニューカッスル城に次々ともたらされる報告は……2年に渡るアルビオン内乱の終結を意味していた。 「それらの報告、間違いないのだね?」 「はっ! ロンディニウムに置かれていたレコン・キスタ首脳部は高官がすべて原因不明で気絶し機能を喪失。シティオブサウスゴータ、ヤーマス、ロサイス、スカボロー、ハリッジ、ハートルプール等、各主要都市も同じ状況のようで、次々と恭順の意を示してきています」 祝宴から一転、緊急の軍議が開かれる。舞い込む報告の山に、居並ぶ貴族達は微妙な表情をしていた。 反乱軍総司令官オリヴァー=クロムウェル討たれるの報が島中を駆け巡ると同時に、各都市、各艦に待機していた司令官達がばたばたと倒れたというのだ。 「……パリー。偽りの白旗である可能性は?」 「低いでしょうな。負けた場合に仕込んでおいた、と考えられなくもないですが……此度の戦いにすらそんな場合を想定しておくような策謀を持つ軍師がレコン・キスタにいるのならば、自分らはとっくの昔に始祖の元に召されておるか、叛徒どもを蹴散らしておる事でしょう」 「違いない」 そしてロンディニウムに使者を送れば、報告が事実であったのみならず、さらに異常な事が次々と発覚する。 その気絶した高官達全てが、内乱の蜂起時からのメンバーや、ここ一番という戦いで貴族派に寝返った将であり……そして、目覚めた時にはそれらの事を覚えておらず、ある一定の時からの記憶がないと言うのだ。 それは例外なく、彼らがクロムウェルと対面した時からであった。 蜂起時のメンバーである一人の領主などは、自らの記憶から2年が経っていると聞いて冗談を言うなと笑い飛ばし、その後に成長した娘の姿を見て驚愕の余りもう一度気を失ったという。 何らかの精神操作の術で、この反乱は『起こされた』のだ。 「……そういうカラクリか。ガリア王ジョゼフ、なんと卑劣な……!」 「アルビオン騎士の精強さ、教育してやる必要がありそうですな」 「ああ!」 クロムウェルのスキルニル、その最後の言葉を聞いていたウェールズはそう結論付け、それらの証言を全て信用し、咎めをなしにするという英断を下した。 それにより、アルビオンの内乱は速やかに収まっていったのだった。 § ガリア王国とトリステイン王国の国境にその水を湛えるラグドリアン湖の畔には、二つの家が存在する。 一つはトリステイン側、先代までラグドリアン湖に住む水の精霊と王家との交渉役を任されていたモンモランシ家がある。失態を犯した今はその役から外され、湖畔部だけは別の家の土地となってしまっているが、国替えとまでは至らなかった。 そしてガリア側は、ガリア王家の直轄領となっていた。畔から少し離れた森の中、世を忍ぶようにひっそりと、一つの屋敷が建っている。 掲げる家門は、交差した二本の杖。ガリア王家の紋章である。 しかしその紋章には、赤くバツの字が描かれていた。不名誉印と言い、王族でありながら、相続権を失った証であった。 「失礼、ここはオルレアン王弟家でよろしかったでしょうか?」 「……その通りですが。失礼ながら、どなた様でしたかな」 その屋敷の門を訪問者が叩くのは、非常に珍しい事であった。 緑色の司祭服に身を包んだ、冴えない中年の司教といった風情の男だった。この屋敷に唯一仕える従僕の老人は、怪訝な顔を隠せないままに応対する。 「オリヴァー・クロムウェルと申すしがない司教です。……サイト・ヒラガ殿の使いにより参りました」 司教が答えると、老執事が目を剥いた。 瞬時に、彼から言い含められていた言葉を思い出す。 「……『えいちえむえっくすとぅえるぶ』とは?」 「『まるち』……でよろしかったですかな」 老執事の口にした暗号のような問いに、司教―――クロムウェルが答えると、老執事は喜色を満面に浮かべた。 「おお、おお! それは確かにサイト様が残した合言葉! 大変失礼致しました。私、この家に仕える執事、ペルスランと申します。不明をお許しください」 「事情は概ね聞いております。気にしてはおりませぬ」 一礼し、門をくぐるクロムウェルの右手には、深い藍色の石を載せた指輪が静かに光を湛えていた。 § 「サイト!? あんた、アルビオンに行ってたはずじゃ……?」 「ちと野暮用でね」 ガリア王国の王城、ヴェルサルテイル宮殿は、王国首都リュティスの郊外に位置する。 今も各地から集められた職人達の手によって拡張を続けているその宮殿の中心、青いレンガで作られた巨大な王城『グラン・トロワ』が、王の居城である。 そして、そのヴェルサルテイル宮殿の端。桃色のレンガで作られた離宮『プチ・トロワ』の主、王女イザベラは、座っていた椅子の裏に突然現れた訪問者に目を丸くした後、どこか安堵したかのようにその表情を緩めた。 「はン、私に会いにくるのが野暮だってのかい? 使い魔サマは随分と偉くなったもんだねえ」 「そ、そういうわけじゃねえよ」 王女の座る謁見用の椅子の裏に出現した怪しいローブ姿の男を見ても、傍付きの侍女は驚く素振りも見せなかった。 いや、それどころか……男に向かってツンとした態度を取る王女に、どこか微笑ましいものを見るように―――例えるならそれは、初々しく手を繋いで頬を染め合う学生カップルを見かけた時のような―――顔を綻ばせてさえいる。 「それで? ホントにただ会いに来ただけって訳じゃないんだろ?」 「ああ。実はな―――」 ―――ローブ姿の彼、サイト・ヒラガ……日本人、平賀才人がこのハルケギニアに召喚されたのは、今から4年か、5年ほど前の事になる。 § その日才人は、両親と温泉旅行に出かけていた。まだ元気印の中学生だった彼はその名前まで知らなかったが、北陸地方のどこかだったとはおぼろげに覚えている。 温泉街の中心にあるとんでもなく大きなホテルにチェックインし、その豪奢さに目を輝かせながら、さて観光地巡りだと街に繰り出す。 そして、お土産選びに夢中の両親から少し離れ、自動販売機でジュースを買おうとした時だった。 手を滑らせて、お金を落としてしまう。そのまま、ころころと転がっていく100円硬貨。 中学生にとって、自由に使える100円はとても貴重である。 いつもはケチんぼな両親も旅行となればさすがに財布の紐は緩くなるのか、才人は特別にお小遣いを貰ってはいたが、だからといって目の前で100円がなくなるのを黙って見ているほど才人はセレブな感性を持ち合わせていなかった。 才人は、転がっていく100円玉を慌てて追いかける。その時だった。 「あらあら。はい、どうぞ」 と、自らの足元に転がってきた硬貨を拾い上げ、才人に差し出してくる人影。 「…………」 才人は、思わず見とれてしまった。それが、とんでもなく綺麗なお姉さんだったからだ。 才人より少し年上の、高校生ぐらいだろうか。整った顔立ちは薄く微笑みを浮かべ、まっすぐに伸ばされた鴉の濡れ羽色の髪がセーラー服の襟に掛かって、そよそよと風に揺れている。 「あれ、あなたのじゃなかったかしら?」 「あ、は、はいっ。お、俺のっす!」 慌ててその手から100円玉を受け取った。真っ白で綺麗な指が微かに触れて、才人の心臓は大きく跳ね上がった。 「ど、どうもありがとうございましたっ!」 「うふふ。元気な子ね。はい、どういたしまして」 にっこり、と笑いかけてくれる。 かーっと顔が熱くなった。才人は恥ずかしくて地面を向いてしまう。 「千鶴姉ーっ。何してんのさーっ」 「ああ、今行くわよ梓。それじゃあね」 ばいばい、とそのお姉さんは才人に向かって軽く手を振り、妹達なのだろうか、近くにいた彼女より歳下らしい女の子達の輪に戻っていく。 顔を上げ、ぎこちなく手を振り返しながらぼーっとそれを見ていた才人だったが、次の瞬間、その顔が驚きに歪んだ。 お姉さんの歩いていく先に、突然、光り輝く大きな鏡のようなものが現れたのだ。 向こうに歩いていきながらこちらに向かって手を振っているお姉さんは、それに気付かない。 「お姉さん、危ないっ!」 「えっ!?」 才人は、考える前に飛び出していた。 どんっ、とお姉さんを横に突き飛ばし、謎の物体との衝突を避けた―――まではよかった。 「うわわわわわわっ!?」 問題は、考えなしに飛び出したためにその勢いを殺しきれず、才人自らがその物体に突進してしまった事であった。 来るべき衝突の衝撃に目を閉じる才人。だがそれは訪れなかった。 あれ? と首を傾げて目を開けた時、視界に入ってきたのは、その鏡がまるでスライムか何かのようにてろりとその形を変え、才人を中に飲み込もうとするところだった。 辺りが真っ白な光に包まれ、いつの間にか気が遠くなっていき……。 「ほう。貴様が俺の運命とやらか」 「へ? へ?」 気が付いたら、まるでドラクエかFFかというような大広間の玉座に、王様が座っていた。 いや、服装こそ王様でおっさんだけど、顔はなんだか……タチの悪い近所のガキ大将みたいだ、と、混乱する頭で才人は思った。 ……そのすぐ後、そのおっさんに無理矢理ファーストキスを奪われてしまったのは、恐らく才人にとって一生のトラウマだ。 そして、その悪夢のようなマウストゥマウスから解放された直後、才人の頭に割れるような痛みが走る。 息も絶え絶えにそれが収まった時―――彼は、神の頭脳を得たのだった。 § 「―――まあそんなわけでね。その変な怪物のせいでアルビオンが負けちゃったんで、帰ってきたトコ」 「そうか。まあ、お父様の思う通りに事が運ばなくって良かったってぇところだが」 アルビオンで自らが行っていた事について話し終わった才人は、やれやれと肩を竦めた。 「一応仕込みはしといたから、すぐに元に戻ると思うけど……」 「しばらく混乱は免れないだろうな。わかった、それはこっちでなんとかしておくよ。その怪物ってのも調べとこう」 「ああ。ありがとう、イザベラ」 「フン。とってつけたような礼なんて言うんじゃないよ、気持ち悪い」 ぷいっと顔を背ける蒼い髪の少女の頬は、微かに赤くなっている。侍女達の含み笑いが少しだけ強くなった。 「……なあ、サイト」 「なんだ?」 「何とか、なりそうなのか?」 「ああ、何とかしてみせるさ。この間いいものも見つけたしな」 「そう、か……」 二人以外にはわからない、秘め事めいた会話を交わすと、イザベラは表情を曇らせて俯いてしまう。 「俺に任せなって。タバサの母さんの方は何とかなったんだ。絶対、あいつを元の優しいお父さんに戻してやるからさ。な?」 「うん……」 「ははっ。いつもそうやって神妙にしてりゃ可愛いのに」 「……っ! 馬鹿ばっか言ってないで、用が済んだらさっさと行きなッ!」 「おう。じゃあなー」 笑いながらフードを目深に被ると、サイトは風景に溶けるようにして消えてしまった。 「……ったく、あいつは……っ!」 腹立たしげに椅子に座り直したイザベラの表情がどこか嬉しそうだったのは、侍女達だけの秘密である。 § 「……貸し出せし秘宝、確かに返してもらった」 「精霊のお慈悲に感謝致します」 「よい、単なる者よ。『サイト』『クロムウェル』のお前達二個体は、我との約束を守った。我がそれに応えるのは当然の事」 ラグドリアン湖の水面からにょっきりと人の形―――それは、サイトにそっくりの、全裸の少年姿だった―――に生えていた水が、その手の中に乗せられた藍色の指輪と共に、ちゅぽん、と水の中に沈むように消え去っていった。 それは、水の精霊と呼ばれる、古き水の魔法の力を今に伝える全能の存在であった。 「やァれやれ。これで一仕事終了、だな」 「地下水君は、どうするんだい?」 湖畔に跪いていた緑色の司教服を来た男、クロムウェルが立ち上がり、膝についた砂を軽く払った。 その手に持たれた短剣から、気だるそうな声が聞こえてくる。 「あいつも言ってただろ? 適当なチンピラにでも渡してくれれば、勝手に帰るさ。ったくめんどくせぇ。なぁにが、『きちんと仕事してる人を操ったらその人の家族が心配するから、取り付く奴は選べ』だ」 「はは。でも、その通りだと思うよ。急に人が変わったり、どこかに行ったりしてしまったら、本人も周囲の人も困ってしまうからね」 空を見上げる。ラグドリアン湖は、今日も変わらず、その風光を明媚に保っていた。 「サイトくん、どうか無事に生きてくれよ」 すっかり忘れてしまっていた始祖に対する祈りの礼式を思い出し、湖に向かってそれを行うと、クロムウェルは静かにその場を立ち去っていった。 § 「それは事実なのですね? ユーヤ」 「ああ。間違いはない」 その部屋は、まるで図書室か、魔法アカデミーの研究員の部屋のようであった。 様々な本や書類の類が、机や床にまで雑然と詰まれている。一目見せられただけでは、とてもここが―――宗教皇国ロマリアの中心部、ロマリア大聖堂の教皇謁見室だとは思わないだろう。 「俺以外のエルクゥが、この世界に現れた」 部屋に立つ二人の男のうち、ユーヤと呼ばれた、ハルケギニアではあまりに奇妙な服―――それは、彼の世界では背広と呼ばれるフォーマルスーツである―――を着た黒髪の、がっしりとした体つきをした男は、静かに言い放った。 「そうですか……虚無が、胎動し始めたのですね」 「お前が言うのなら、そうなのだろうな」 もう一人、こちらはどこか線の細い印象を受ける、流れるような金の髪を長く伸ばした男だった。 彼―――ロマリア宗教庁教皇、聖エイジス三十二世、ヴィットーリオ・セレヴァレは、手に本を広げ、薄く微笑みを浮かべたまま、男の話を聞いている。 「あなたは、どうするのですか? ユーヤ」 「……どうもしない。お前が決めた事に従おう」 「良いのですか? 同じ世界の、仲間なのでしょう?」 「顔を少々見知っているだけさ。一方的にな。それに―――」 黒髪の男―――柳川裕也は、不思議な紋様の刻まれた右手を掲げ、自嘲気味に笑う。 「―――どうせ、お前に拾われなければ、エルクゥに押し潰されていた存在だ。お前の好きに使うといい」 ゆっくりと、その右手の紋様が光を放ち、明滅する。それは―――彼の体内の猛獣が、完璧に制御されている事を示していた。 「わかりました。ありがとうございます」 ヴィットーリオは、静かな―――人が浮かべるにしては静か過ぎる、どこか狂気さえ感じられる微笑みを、崩さないままだった。 「きょ、教皇猊下! ほ、報告致します!」 「それほど慌てて、どうかしたのですか。落ち着きなさい」 そこに、息せき切った様子で、純白の鎧に身を包んだ聖堂騎士が飛び込んできた。 「せ、"聖地"への密偵からの急便です! "聖地"に、巨大な山が現れた、と!」 ―――教皇の微笑みが、微かに深くなった。 前ページ次ページゼロのエルクゥ
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ダークサイス (ダークサイス) 攻撃力 624 属性 無 改心率 -10% 強化、生産価格 2150z スロット 空き無し 生産必要素材 竜骨【大】×6 大猪の牙×3 キレアジ×8 モンスターの体液×4 強化必要素材 魚竜の牙×8 キラビートル×3 なぞの頭骨×2 斬れ味
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登録日:2011/03/07(月) 19 35 06 更新日:2021/01/14 Thu 23 26 54 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 アイドル エルクレスの配下 ランズボロー 吉野裕行 唯一メリーの鉄壁スカートを覗いた 夢喰いメリー 夢魔 迷路(メイズ) 道化師 「レディーーース ジェントルメーン!!!」 「ついに!あの『迷路』ランズボローがアニヲタWikiにやって来ましたー!」 「本家Wikiでは味わえないスリルとロマンスを求めに、はたまたお届けに!」 「何が起こるのカナ?」 「さぁさご期待!乞うご期待!」 夢喰いメリーに登場する夢魔の一人。 CV 吉野裕行 二つ名は「迷路(メイズ)」 小さい身体に細い手足と特徴的な一つ目を持つコミカルな道化師のような姿をしている。 名前の由来は「ランズボロー迷路」 器は御堂ケン。 展開する幻界イメージはサーカス会場。 エルクレスの計画に賛同し彼の配下となった夢魔で、エルクレスの事を「ダンナ」と呼ぶ。 その見た目の通りアクションは非常にコミカルで表情豊か、ある意味では可愛らしくも見える。 だがその性格はエルクレスに賛同するだけあって卑劣で狡猾。 人間の夢や人生をぐちゃぐちゃに踏みにじる事に快感を覚える外道で、「現界」では器にしたケンの身体を使って傍若無人に振る舞い彼の人生を無茶苦茶にしようとしていた。 ちなみにランズボロー自身が一つ目なためかケンの身体を乗っ取っている際は片目を常に閉じている。 しかしあふれる小物臭やヘタレ度からやっぱりどこか憎めない。 「現界」での生活がよほど気に入ったのかエルクレスに「たまには意識を器に返してやれ」とアドバイスされてもそれを聞き入れなかった。 そのせいで戦闘中に器が目を覚ましかけた事もあるドジッ子。 力は夢魔の中ではかなり弱く、彼自身の戦闘力もかなり低い(それでも並の人間を殺すには十分だが)。 しかし、二つ名の通り「通りすがりの道化師(カプリスクラウン)」という迷路を展開する道具を持ち、戦闘の際は正面からの闘いは避けこれと無数のピエロ型自動人形で相手を疲弊させてからとどめを刺すという道化師らしい狡猾な戦略を好む。 メリーとエンギ達を共に「白昼夢(デイドリーム)」に巻き込み迷路で追い詰めるが、エンギによって迷路の壁を潰され、夢路には「通りすがりの道化師(カプリスクラウン)」を壊されて返り討ちに合う。 しかしとどめを刺されそうになったところで「自分達夢魔が死ぬと器になっている人間の夢も同時に死ぬ」という事実を告げ動揺を誘い逃げ延びた。 その後エルクレスと合流。 ノワールと共に何かしでかそうと公園で待機していたところをメリー達を発見し、迷路「通りすがりの道化師」を壊された事を逆恨みして夢路を狙う。 最初は圧倒していたが夢路が咄嗟に取得した「武装明晰夢(ルシッドガジェット)」によって形勢逆転、最終的に自らの役目を思い出したメリーによって元の「幻界」に送り返されたうえに「幻界」の扉に「鍵」をかけられ二度と「現界」に来れなくなりその活躍を終えた。 余談だが作者の仕事場ではアイドルらしい。 御堂ケン ランズボローに器にされた青年。 焼けた肌に金髪に染めた髪というチャラい格好をしておりその初登場時は霧島咲をナンパしようとしていた。 しかしその印象とは裏腹にヘタレで決して悪い事をするような性格ではなく根はイイヤツらしい。 就職などにピンと来ず、目的も無く大学にまで進学するという流れるままの人生を送っていたが、ある時英語をすらすらと話すバイトの先輩の姿に憧れて「夢」を見つけ海外にホームステイする決意を固める。 その夢を追いかける姿は彼の友人であるタケも心撃たれており、タケ曰く「ケンが夢を追いかける姿が俺の夢のようなもの」と言うほどの熱意を持っていた。 しかしランズボローに意識を乗っ取られてからは人格が豹変。 禁煙中なはずなのに煙草を吸いまくり、パチンコで玉が詰まっては台を蹴りあげ、花壇の花を踏み潰す、友人のタケを殴り飛ばす等の暴挙を行わされた。 「便秘ですかァ!?下剤いりますかァ!?」 その豹変ぶりに周囲も驚きの声を隠せなかったようで、特に友人のタケはまるで自分の事のように心配していた。 これらのせいでホームステイの話も棒に振りそうになり、せっかくの夢や人生をランズボローに無茶苦茶にされかけた。 だがメリー達の活躍にランズボローが送り返され意識が回復。 その夢を無茶苦茶にされずにすんだ。よかったねケンちゃん! 追記修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 普通に考えて、人間体のままあそこまで暴れたらお縄になると思うんだが…この手の作品に関しては警察が総じて無能だったりする。 -- 名無しさん (2015-02-20 18 20 35) 名前 コメント