約 1,995,278 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/510.html
「う~う~♪」 俺が散歩にと道端を歩いているとそんな声が聞こえた。 「ゆっ、やめてね、まりさは食べないでね!」 見ると、ゆっくりれみりゃがゆっくりまりさを食べようとしているところだった。 周りを見るとゆっくりれいむの髪飾りやそれよりも小さい飾りや帽子が落ちていた。 なるほど、ゆっくり一家を食べつくしたか、れみりゃにしては大戦果だ。 「ゆっ、ゆっ! あ、お兄さん、ゆっくり助けてね!」 まりさがこちらに気がついた。なんだかうざい声でぴーちくと助けを求めてくる。 なんでれみりゃはさっさと食べないんだ。 「う~おながいっばい~♪」 なるほどな。 もう少しお腹に余裕ができるまでまりさをキープしてるのか、 それともまりさをいたぶっているのか、ゆっくりゃのくせに生意気だ。 そこである考えが思いつく、れみりゃがいたぶっているのを見ていたら俺もしたくなった。 「やぁ、れみりゃ、そんな食べ飽きたものは捨ててぷっでぃ~ん食べたくないかい?」 「う~♪ れみりゃぷっでぃ~んも食べる、もっでぎでー♪」 最初は甘言で連れて行こうとしたが早くも面倒くさくなった。 何故俺がゆっくりゃなどにない頭を割いてまで考えねばならないのか。 と、言うわけで優しくれみりゃに近づき、羽をもぐ。 「うっっがっぎゃゃー! ざ、ざくやー!!」 とたんにすさまじく泣きだし、暴れる、うるさいので殴る。 「うぎゃー!」 「お兄さんありがとう! ゆっくりれみりゃはゆっくりしんでねっ!」 その隙にまりさが逃げようとする、それも捕まえる。 「ゆっ、なにするのお兄さん、ゆっくりれみりゃと同じ場所ではゆっくりできないよ! ゆっくりはなしてねっ!」 そう言って媚びた笑いを向けてくる、こいつは俺を味方と思っているんだろう、うざいので殴る。 「どぉじでごんなごどずるのー! だべるなられいむからだべでー!」 食べないし。それにお前が身代わりにしようとした家族はもういないよ。 俺は泣き叫ぶれみりゃとまりさを両脇に抱えて家へと帰った。 家に帰ってきた俺はさっそくれみりゃをゆっくりれみりゃ用透明ケースに詰め、まりさは適当に籠に閉じ込めた。 (まずは腹を空かせてもらわないとな) れみりゃは今、満腹なはずなので少し時間を置くことにする。 次の日、再び様子を見に来た。 「ざくやー! れみりゃおながずいだー!」 れみりゃを見る、よし、再生してるな。 しかしなんという燃費の悪さ、昨日はあんなに満腹だったのに。 「ゆ、ここじゃゆっくりできないよ、ゆっくりだしてね!」 まりさは昨日のことは覚えてないようだ、とりあえず籠から出してやる。 一瞬れみりゃに怯えるが、動けなそうなところを見ると揚々とこちらに近づいてきた。 「ゆっくりおなかへったよ! ゆっくりごはんだしてね! 出さないのならはやく出て行ってね!」 ぴょんぴょんと俺の目の前で跳ねる、うざい。 「あぁ、まりさ、ご飯だけどな」 「ゆっくりはやくだしてね!」 「まりさには餓死してもらうから、ないんだ」 軽く言う、実際どうでもいい。 「ゆっ?」 意味がわかってないんだろうか、まりさは少し考え。 「どおじでぞんなごどいうのー!」 泣き出した、うざいので殴った。 まあ、まりさいじめは今回は置いておこう、今回の主役はれみりゃなのだから。 早速れみりゃをケースから取り出してまりさを渡してあげる。 「う~♪ う~♪ れみりゃの御飯だぞー♪」 お腹がすいていたのか、今度はすぐにまりさを食べようとするれみりゃ。 まりさは痛みとショックで固まってる。 もちろん、俺もれみりゃにご飯を食べさせる気はない。 まりさがれみりゃの口に入るその直前、れみりゃをぶん殴り、まりさを救出する。 「うあっー、ざくやー! どおじでー!」 そう、俺の考えとはれみりゃのゆっくりを食べるをやめさせることだった。 もちろん、いやがらせの意味で。 とりあえず、同じことを朝昼晩三回繰り返す。 次の日、部屋に入ると 「「おながずいたのー!」」 ゆっくり二重奏だ、これは耳障りな音楽だ。 しかしこいつらには昨日のことは忘れてしまったのか、取り合えずまりさを取り出す。 「おにいざん、ばやぐごばんもっでぎでー!」 「駄目だよ、もう二度とまりさはご飯を口に入れられないんだよ」 「どぼじでぞっ!?」 話の途中で面倒なのでまりさの口をホッチキスで止める、伝統的ゆっくり口封じである。 「うっーうっー」 はは、なんだかまりさ、れみりゃみたいだぞ。 さて、つぎはれみりゃだ、っと。 「うぎゃー!」 れみりゃの髪を引っ張ってケースから出す、こいつ重くて出すのも面倒になってきた。 でも、出しとかないとまりさ奪還失敗するかもしれないしなぁ。 もうちょい広いケース買えばよかったか。 「ほーら、れみりゃ、ご飯だぞー」 「う~♪ う~♪ れみりゃのごはん~♪」 こいつ昨日と同じセリフはいてやがる、もちろん、食べる前に殴る。 「なんで~なんでれみりゃにごばんだべざぜてぐれないのー!」 「それはね、れみりゃがゆっくりを食べるからだよ」 「れみりゃのごはんー!」 「ちがうよ、れみりゃのごはんはゆっくりじゃないんだよ」 「う~?」 じゃあ、何を食べるんだろう、俺も問答の答えは用意してなかった。 ぷりんか、いやいや、そういえば雑食じゃないか、なんでも食うのか。 ならばべつにゆっくりにこだわる必要ないのか、まりさいらなかったな… まりさを踏む。うーうー唸っている。 これはこれでいいか。折角だ、続けてみよう。 一週間後、今日も同じようにれみりゃを取り出す。 髪をつかみ続けたせいで10円禿ができてしまった。 まりさのほうはもう、ほとんど動かない、死の目の前だ。 「ざくやー、ざくやー」 「はいはい、ごはんですよー」 まりさを渡す、れみりゃは少し考える、空腹で目の前のゆっくりを食べたい、でも絶対阻止される。 でも食べたい、でも絶対殴られる、食べられない上に殴られる? れみりゃは気がついた、もうこれは食べられない。 「いや゙ぁぁぁぁ! もうゆっくりだべだぐないのぉぉ!」 そう言ってまりさを投げ捨てる。 ここにきてようやくわかってくれたか、うんうん。 ピクピクしてるまりさ、気分がいいので口を破って(癒着してた)あげる。 「ゆ……ゆ…」 「まりさ、よろこべ、ご飯をやるぞー」 「ゆ…?」 そう言って一週間前のれみりゃの羽をあげる。 「ゆ…ゆ…」 はじめはゆっくりと食べていたまりさだったが、徐々にスピードを上げて羽にがっつく。 「むしゃむしゃむしゃむしゃ!」 そしてフィニッシュにゆっくり味わうまりさ。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪」 「それはよかった」 うん、どうやら体力も大体回復したみたいだな。 「おにいさんもっとごはぴぐ!?」 そしてまたホチキスで止める。 「最後の晩餐、楽しんでもらえてよかった」 そう言ってまりさをかごに押し込む、必要もないので、もう二度と出さないだろう。 「れみりゃにもご褒美上げないとなー、はい、ピーマン」 「う~ざぐやー!」 お気に召さないようだ、一週間も食べてないのにすごい根性だ。 「あ、そ、じゃあ、いらないね」 「う~だべる~」 「あげない」 目標は達成したし面倒になってきた。 れみりゃは割と好きだし、ひと思いに殺してあげよう。 「う~! ざくやー! このおじさんごろじでー!」 やっぱりれみりゃはなぶるように殴る蹴る。 「やっぱり死なないなぁ」 れみりゃは再生能力が高いのだ、面倒なので、ケースに詰めておくことにした。 「だ、だずげ…」 「れみりゃ、やっぱり君もそのまま餓死ね」 そのまま俺は部屋を出て行く。 「だずけでーざくやー! い゙や゙ぁぁぁ!!」 れみりゃは次の日に死んでいた。 まりさの方も三日と持たなかった、やはり体力が落ちていたか。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5401.html
20××年5月25日 ある山の奥ゆっくり達の群れがあった そこでは、人間でゆうところの7歳から8歳位の知能を もったゆっくりがいた。 そのゆっくりはおちびの頃から高知能だったこともあり いつしか群れの長になっていた。 長から話しがあるんだぜ 集まるんだぜー 魔理沙の声で群れのゆっくり達がぞろぞろと集まってきた。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1321.html
アリスが外出から戻ってくると、なにやら家が騒がしかった。 「ゆっくりしていってね!!」 「おねえさんはゆっくりできるひと?」 「ここはれいむたちのおうちだからゆっくりでていってね!」 そこにいたのは1体のゆっくり魔理沙と数体のゆっくり霊夢であった。 どうやらドアの隙間から入ってきてしまったらしい。 部屋を見回してみると、大きく荒らされていた。 「――上海、蓬莱。こいつらを全部捕まえなさい」 その直後、人形たちがゆっくりたちに襲い掛かった。 「なにするの! ゆっくりやめてね!」 「シャンハーイ」 「ゆっくりはなしてね!」 「ホラーイ」 「ゆっ、ゆっー!」 次々と捕まり、非難の声を上げるゆっくりたち。 程なくして全てのゆっくりたちは檻の中へと捕まった。 「さて、どうしようかしら」 アリスはまるで感情のこもっていない目で檻の中を見つめた。 すぐにでも全員潰すことさえ厭わない目だ。 そうしていたら、1体の黒い帽子をかぶったゆっくりが訴えた。 「まりさはわるくないよっ! はいろうっていったのはれいむたちだよ!」 「「「「「ゆ゛っ!?」」」」」 「だからはやくゆっくりだしてね!」 ゆっくり魔理沙は、生き残るために簡単に仲間を売る。 話には聞いていたアリスだが、あまりの変り身の早さに少々驚いた。 「そう。だったらあなたは、助けてあげようかしら」 そう言ってアリスはゆっくり魔理沙を檻から出してあげた。 嬉しさのあまり、飛び跳ねるゆっくり魔理沙。 「おねえさん、ありがとう!」 そう言うが否や、ゆっくり魔理沙は素早く開いているドアから出て行った。 ゆっくり霊夢たちに、 「ゆっくりしんでね!」 と、言い残して。 翌日、ゆっくり魔理沙は昨日の事をすっかり忘れてゆっくりしようとしていた。 遠くに見えるのはゆっくり霊夢の家族。 「ゆっくりしていってね!」 今日もたくさん遊んでゆっくりしよう。 そう考えながら近づいていくゆっくり魔理沙。 だが、ゆっくり霊夢たちはゆっくり魔理沙の姿をちょっとの間見つめると、全員で体当たりを仕掛けてきた。 「ゆっ、いたいよゆっくりやめてね?」 最初はふざけているのかと思った。 しかし、一向にみんなやめる気配が無い。 それどころか、徐々に激しくぶつかられているようだった。 「ゆっ、ゅゅっ、どうしてそんなことするの?」 そう言うとゆっくり霊夢たちは口々にこう答えた。 「なかまをみすてるまりさとはゆっくりできないよ!!」 「うらぎりものはともだちなんかじゃないよ!!」 「ゆっくりあっちいってね!!」 「ゆっくりちね!」 「まりさはそんなことしないよ! まりさはいいこだよ!!」 「うそをつくまりさはわるいこだよ!」 「ゆっくりできないよ!」 「ほうっておいてわたしたちだけでゆっくりしようね!!」 罵って去っていく家族たち。 ゆっくり魔理沙はその場に立ち尽くしていた。 追いかければ本当に酷い目にあうことが分かったからだ。 しかし、なぜそんなひどいことを言われたのかは分からなかった。 仕方なく巣にもどってみると、巣の中は荒らされていた。 そこにいたのはたくさんのゆっくり魔理沙。 「ここはまりさのおうちだよ! ゆっくりでていってね!!」 「「「ちがうよ! ここはまりさのおうちだよ! そっちこそでていってね!」」」 追い出されないように抵抗したが、多勢に無勢。 果敢に体当たりを仕掛けるが、逆に大量のゆっくり魔理沙につぶされそうになってしまう。 とうとう巣から叩き出されてしまった。 「どぉ゛じでごんなごどずるの゛ぉぉぉぉぉぉ」 「「「ゆっくりのたれじんでね!!」」」 叩き出されたゆっくり魔理沙は、どこか遠くへ行くことにした。 きっとそこならゆっくりできると信じて。 しかしどこへ行っても、 「うらぎりもののまりさがいるんだって」 「おお、こわいこわい」 「ゆっくりしね、わかるよー」 「でていけちーんぽ」 「うーうー」 追い立てられてしまった。 「ゆっぐり゛でぎな゛いよぉお゛ぉぉぉぉぉぉ」 1週間後。 ゆっくり魔理沙はもうずっとゆっくりできていない。 身も心もボロボロになりながら、今日も食料を求めてよろよろと進んでいた。 そのとき後ろから、 「ゆっくりとばされてね!!!」 完全な不意打ちで勢いよく吹っ飛ぶゆっくり魔理沙。 力なくその方向を見てみると、ゆっくり霊夢たちがいた。 その姿を見てゆっくり魔理沙は思い出した。 そして無事なのを見て、 「みんなぶじだったんだね! よかったゆっくりしようね!!」 嬉しそうに駆け寄った。 自分が見捨てた相手だということさえも忘れて。 だから、言われた言葉に本当に驚いた。 「わたしたちをうらぎったまりさなんていなくなっちゃえ!」 「ゆっくりここからでていってね!!」 「もうみんなにつたえたから、どこでもゆっくりできないよ!!」 「もうずっとゆっくりできないよ!!」 「ゆっくりでていけ!!」 何を言っているのか良く分からなかったが、分かったことが1つだけあった。 自分がゆっくりできないのは、全てこのゆっくり霊夢たちのせいなのだと。 「ゆ、ゆ…こんなひどいことをするそっちこそでていってね!」 「「「「「ゆっくりしね!!」」」」」 口だけは一人前であったが、この数とこの状態で勝てるはずも無い。 全員に囲まれて、あっさりと袋叩きにされてしまった。 「ゆっ、やめでえ゛え゛ぇぇゆっぐり゛ざぜでえ゛ええぇ」 「「「「「ゆっくりしね、ゆっくりしね、ゆっくりしね、ゆっくりしね!」」」」」 「い゛だい゛い゛だい゛よ゛ぉぉぉお゛ぉ」 ひとしきり痛めつけた後、恨み言を言って去っていくゆっくり霊夢たち。 幸か不幸か、ゆっくり魔理沙は生きていた。 もっとも、生きているのか死んでいるのか分からないくらいであったが。 ゆっくり…したい。 そして気を失いかけていたゆっくり魔理沙の前に、1つの大きな影が見えた。 「どうしたの、そんなにボロボロで」 ゆっくり魔理沙はその影を見上げた。 そこには、あの時自分たちをつかまえて自分を逃がしてくれた者の姿が見えた。 「とりあえず、うちに来てゆっくりしない?」 「ゆ゛…ゆ゛っぐりじだい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛」 「何があったのかは知らないけど、そんなに泣かないの。さ、行きましょ」 「ゆ゛っく゛り゛ぃ゛ぃぃぃぃ」 もう2度とできないと思っていたゆっくりをさせてくれる。 ゆっくり魔理沙は力いっぱいアリスに泣きついた。 (ふふ、こんなに上手くいくとは思わなかったわ) アリスは胸の中で微笑んだ。 全ては1週間前からアリスが仕組んだことだった。 わざとドアに隙間を残しておき、入ってきたゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢を捕まえる。 ゆっくり魔理沙が仲間を裏切ったらスタートだ。 「いや゛ぁ゛ぁぁぁぁだずげでぇぇぇ」 「わ゛だじだじもゆっぐりざぜでぇぇぇ」 ゆっくり魔理沙を逃がした後の檻の中は、パニック状態だった。 アリスは優しい顔をしてこう答える。 「大丈夫よ、あなたたちも逃がしてあげるわ。でも、1つお願いがあるの」 「ゆっ…? ゆっくりなんでもするよ! だからたすけて!」 「そう、じゃあ――」 アリスのお願いはこうだ。 ここから出た後に、今逃げていったゆっくり魔理沙がひどいヤツだということを他の全てのゆっくりに伝えてほしいと。 そして、追い出してほしいと。 最初は戸惑ったゆっくり霊夢たちだったが、 「あなたたちを売って逃げちゃったのよねぇ、酷いと思わない?」 「あなたたちは何も悪くないのにね」 「そんな悪い子に仕返しをしてやりたいと思わない?」 というと、反対する者はいなくなった。 アリスはゆっくり魔理沙を自分のものにしたかった。 それも無理やりでなく、相手から自分の方を向くように。 力で押さえつけても心から懐きはしない。 エサを与えたところでエサ役として認識されるだけ。 だからアリスはこの方法を取った。 他のゆっくりたちから追い出させ、自分だけを頼りにするように。 事実、ゆっくり魔理沙にはもう心のよりどころがどこにもなかった。 そんな中で現れた、ゆっくりさせてくれるアリスはまさに希望だった。 これから、外に出ようともせず自分だけを見ていてくれるだろう。 (色々揃えておいたのよ、この日の為に…) これからこのゆっくり魔理沙とどんな生活を送ろう。 アリスの心はどこまでも躍って仕方がなかった。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/449.html
シムゆっくり・ちゅーとりある編 ──さて、あなたが見下ろす箱庭の中には、一組のゆっくりれいむの家族がいます。 大きなお母さんゆっくりが一匹に、成体のお姉さんゆっくりが三匹、赤ちゃんゆっくりが五匹。 箱庭の中には今はなーんにもありません。平坦な草っぱらに、辛うじて雨宿りができそうな木が一本。お母さんゆっくりよりずっと大きい岩が一つ。 ご飯になりそうなお花も虫も果物もありません。このままではれいむの家族は飢え死にしてしまいますね? あなたの役目は、このゆっくり達が全滅しないように、限られた資金でお世話してあげることです。 ゆっくり達は、あなたが見ていることを知りません。あなたも、ゆっくり達を見ていることを知られてはいけません。 あなたが箱庭に、ご飯を置いたり、木を植えたりしてあげられるのは、ゆっくり達が寝ている夜だけです。 日が昇っている間、あなたはゆっくり達を見守ることしかできません。そういうルールです。 ゆっくり達ができるだけ長くゆっくりできるよう、頑張ってくださいね? もちろん、ゆっくりをゆっくりさせたくないと言うのなら──それもまたあなたの自由です。 それでは、一日目を始めましょう。 ○一日目・朝 「ゆゆ~ぅ……」 まず最初に、お姉さんゆっくりの片方が夢から覚めました。 しばらくぼうっとしていましたが、やがてぱっちりと目を開けると、お決まりのあの言葉で叫びました。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ、ゆっくりしていってね!」 「しちぇいってね!」 応じるように、お母さんと姉妹達が目を覚まします。 お母さんはまだ眠そうな赤ちゃん達の顔を舐めてあげると、 「今日も一緒にゆっくりしようね!」 と言いました。 しかしその後すぐ、自分達がどこにいるのか気づきました。 お姉さん達もそれに気づいた様子で、慌ててぴょんぴょん飛び跳ねます。 「ゆ! ここれいむたちのおうちじゃないよ!」 「ごはんがないよ! たからものもないよ!」 「どうしよう! おかあさん、どうしよう!?」 こないだ生まれたばかりの赤ちゃん達は、まだよく事態を把握できていないようです。 「ゆゆ……」 お母さんも突然のことに戸惑っていましたが、そこは年の功、すぱっと思考を切り替えて、これからのことを前向きに考えます。 「しかたないから、ここでゆっくりしようね!」 「「ゆっくりしようね!!」」 お姉さんたちは、お母さんの頼もしい様子に安心したようです。 ともあれ九匹のゆっくり家族達は、新しい住処と、ご飯を探しにいくことにしました。 ○一日目・昼 でもゆっくり達は、すぐに壁にぶつかってしまいました。 比喩的表現ではなくて、本当に壁にぶつかったのです。 「でられない……」 お母さんが呟きました。 箱庭は、十五メートル四方の空間で、四方は白い壁に囲まれています。 不思議なことに、壁のせいで日陰ができることはありません。まるでお日様の光が壁をすり抜けるように差し込むのです。 ……勿論、そんなお日様が本当のお日様であるはずがありません。 箱庭のお日様は、毎日決まった周期で東から西へ流れる、小さな魔法の太陽なのです。 空だって、ただそう見えるだけの偽者に過ぎません。 でも本物の空が青い理由も、本物のお日様が燃え盛る火の玉だということも知らないゆっくりには、どうでもいいことです。 ゆっくりたちにとって重要なのは、自分達がどれだけゆっくりできるか、そのためのご飯と家があるかどうかなのですから。 さてゆっくり達は、二時間くらいずっと壁づたいに歩き続けていました。どこかに出口がないか探していたのです。 しかし出口がないと分かると、ゆっくり達は仕方なく、すごすごと最初いた場所に戻ってきました。 「ゆ?」 そのときです、お姉さんゆっくりの一匹が何かを見つけました。 箱庭の中に一本だけ生えていた木に、りんごがなっているのを見つけたのです。 「ゆゆっ! たべものがあるよ! りんごだよ!」 「ゆっ? 本当だ! りんごだりんごだ!」 ゆっくり達はいっせいに湧き立ちました。だって昨日の夜からもう何も食べていないのです。おなかぺこぺこでした。 早速、お母さんゆっくりが気に体当たりを始めました。ゆっさゆっさと木が揺れるたびに、娘達はおおはしゃぎです。 やがて、りんごが落ちてきました。 りんごは地面に当たって割れてしまいましたが、それでも貴重なごはんです。 おかあさんはもっとりんごを落としてやろうと、木に体当たりを続けました。 ……けれど、いくら頑張っても、もうりんごは一つも落ちてきません。 そう、この木には、たった一つのりんごしかなっていなかったのです。 ☆CHECK POINT! ------------------------------------------------------------------------------------ 箱庭に最初からあるこの木は、一日の朝に一度だけ、果物を実らせます。この木の場合はりんごです。 あなたは資金を消費して、木になるりんごの数を増やすことができます。 ただし、数を増やせば増やしただけ、どんどん資金が必要になります。 適当な数が実るようになったら、箱庭のどこか別の場所に、別の木を植えるのもいいでしょう。 果物の木は数種類あり、初期コストと実を増やすコストがそれぞれ異なります。 また同じ種類の果物がなる木を植えることはできないので、注意してください。 その他、敷地を広く取るかわりに最初からたくさんの実がなったり、二日に一度だけ大きな実がなる木などもあります。 木の種類は多種多様ですが、中にはデメリットが存在するものもあります。 上手く資金繰りをして、ゆっくり達に充分なご飯が行き渡るようにしましょう。 ゆっくり達は、しばらく、一個のりんごを囲んで黙っていました。どう考えても家族全員で食べるには足りない量です。 身体の小さな赤ちゃん達はともかく、お姉さん達だってせめて一日にこの半分、お母さんは丸一個食べなければ、とてもやっていけないでしょう。 それが分かっていましたが、お母さんは言いました。 「お母さんはいいよ! みんなでゆっくりたべてね!」 弾かれたようにお姉さん達も言いました。 「れいむもいらないよ!」 「おなかすいてるけどがまんするよ!」 「赤ちゃんたちでゆっくりわけてね!」 なんと美しい家族愛でしょう。 みんなおなかがすいていないはずがないのに、家族で一番弱い赤ちゃん達に、貴重なりんごを分け与えました。 「ゆゆぅ! おかあさん! おねえちゃん! ありがとう!」 「「「「ゆっくりたべるね!」」」」 五匹の赤ちゃん達は、我先にとりんごにかじりつきました。 その様子を、お姉ちゃん達とお母さんは微笑ましそうに見守っていました。 ○一日目・夕 日が沈み、ゆっくりたちもそろそろ寝る時間帯です。 「ゆ~……ゆ~……」 ご飯も食べて、赤ちゃん達はみんなすっかり寝入っています。 木のふもとで赤ちゃん達が寝たあとで、お母さんとお姉ちゃんは岩の裏側に生えていた柔らかい草と苔を少しだけかじりました。 「明日は、ゆっくりできるといいね」 「ゆっくりしたいね」 家族は、皆で身を寄せ合って眠りました。 ○一日目・夜 さて。 これからは、箱庭の管理人であるあなたの時間です。 ゆっくり達は寝入っていて、起きる様子もありません。今のうちに作業を済ませてしまいましょう。 あなたの手元には資金が10000あります。単位はとりあえず、円ということにしておきましょう。 これを消費して、あなたはゆっくりの生活環境を整えなくてはなりません。 まずゆっくりに必要なものといえば、家です。 家はグレードが石・木・藁とあり、広さも大・中・小とあります。 石製は頑丈で外敵の襲来にも耐えられますが、もちろんお値段が張ります。中サイズで2000円します。 藁製は最も安価ですが、強い風が吹くと大きく破損してしまう可能性があります。中サイズで500円です。 木の家は耐久性はそこそこですが、中サイズで1000円と、初期の家としては妥当なところです。 次に家のサイズについてお話をしておきましょう。 小サイズの家は、普通のゆっくり三匹分のスペースがあります。中なら六匹分、大なら九匹分です。 そしてお母さんサイズのゆっくりだと、一人で三匹分のスペースを占領してしまいます。 赤ちゃんは三匹で、普通サイズ一匹分といったところです。 今、あなたが飼育しているゆっくりは、お母さん一匹と普通サイズが三匹、赤ちゃんが五匹います。 普通のゆっくり換算で実に八匹分。これは中々に負担です。 家が狭いと、ゆっくり達の体力が落ちたり、酷いときには家族に押しつぶされて死んでしまうこともあります。 余裕のある広い家を買ってあげましょう。 ……買う家は決まりまったようですね? あなたが選んだのは大サイズの木の家。価格は2000円になります。 ちなみに家の値段は、小→中→大と倍々に推移していきます。 また家は、アップグレード、ダウングレードさせることが可能です。 アップグレードすると、差額分の金額が必要になります。中サイズの木の家を石の家にするなら、1000円必要ということです。 ダウングレードの場合は、差額の半分の金額が手元に戻ってきます。 また不必要になったものを売るとき、これは家に限ったことではありませんが、買値の半分の金額が手元に戻ってきます。 さて、あなたは木の家を買いました。それではこれをどこに設置しましょうか。 一番良いのは箱庭の隅っこのほうに建ててあげることです。周囲を茂み(200円)で覆ってやれば、外敵から見つかりにくくなります。 しかし隅っこのほうに建てると、果物の木から遠くなります。初期配置の木や岩は動かせません。 長雨が続いて外に出られないときなど、近くに食料がないとゆっくりが飢えてしまう可能性があります。 ここは岩の陰になるように、家を建ててあげましょう。もっと環境が整ってから、家は移動させれば良いでしょう。 設置したものの移動には100円かかりますが、100円払えばその夜の間はどのオブジェクトも自由に動かすことができます。 家が建ちました。明日ゆっくり達はびっくりすることでしょう。 さて、それでは次は何をしましょうか。残金は8000円です。 ……おや、木をアップグレードさせるのですね? りんごの木のアップグレードには200円かかります。これで翌朝からりんごが二つ実るようになりました。 次のアップグレードには400円、さらにその次には800円と、これも倍々に推移していきます。 あなたは三段階アップグレードし、1400円を使いました。これで翌朝から、四つのりんごがゆっくり達に与えられます。しばらくはこれで大丈夫でしょう。 残金は6600円になりました。さて次はどうしますか? ……お花を植えるのですね? お花は1平方メートルあたり100円です。お花には、時々蝶々が寄ってきます。ゆっくりの大切な栄養源です。 飢えたときには、お花そのものも食料になるので、ゆっくりの非常食にはもってこいです。 ただし強風が吹くと荒れてしまう可能性があります。安物の宿命です。 あなたは箱庭の隅のほうに6平方メートルお花を植え、お花畑を作りました。残金は6000円です。 果物がならない木も植えられます。価格は1本300円で、主に防風林としての役割を果たします。外敵からの隠れ蓑にもなります。 それでは、木が家を隠すように3本、植えましょう。残金が5100円になりました。 余裕があるなら、ところどころに茂みを作ってあげましょう。隠れ場所になります。 あなたは5つの茂みを植えました。残金は4100円。 さてさて、これで箱庭の中はだいぶ整ってきましたが……肝心な何かを忘れていませんか? そう、水がありません。ゆっくりにも水は必要です。 小さな池から大きな川までありますが、ここは小川を選択しましょう。残金が心もとなくなってきました。 最初の夜を終えたあと、不測の事態に備え、できれば5000円、最低3000円は残しておきたいところです。 というのも、この箱庭にはランダムで色んな出来事が起きるのです。 天候の変化や外敵の襲来もそれに含まれます。中には有料で対処可能なものもあるので、そういうときのために資金が必要なのです。 あなたは1000円で箱庭に小川を引き、ゆっくりが川を渡れるように100円の橋をかけました。 これで今夜は終了です。残金は3000円ぴったり。まぁ、なんとかなるでしょう。 最後に、あなたが作った箱庭の様子を見てみましょう。 箱庭概観 +───────────────+│ 川 ││ 川 花花 ││ 川 花花 ││ 川 茂茂 花花 │ 川の流れ│ 川 │ ││ 川 茂 │ ││ 橋 │ ↓│ 川 リ ││ 川 岩岩 ││ 川 家 ││ 川 家木 ││ 川 木木 ││ 川 ││ 川 茂 ││ 川 茂 │+───────────────+ ※「リ」はりんごの木です だいぶそれっぽくなりました。 それでは、二日目の朝を始めましょう。 ○二日目・朝 天候:晴れ 残金:3000円 「ゆっくりしていってね!」 今日も元気な掛け声と共に、ゆっくり家族は目を覚ましました。 「ゆゆっ!?」 最初に気づいたのは一番上のお姉さんれいむでした。 「たべものがあるよ! たくさんあるよ!」 ぴょんぴょん飛び跳ねて喜びを表現しながら、まどろみの中にある家族達を覚醒させていきます。 目を覚ましたゆっくり達は、りんごが四つもなっていることに気づいて大喜び。 早速お母さんゆっくりがりんごを木から落としました。 「みんなおなか一杯になれるね! ゆっくりたべようね!」 「「「ゆっくりいただきます!」」」 分け前は、お母さんが一つ、お姉ちゃん達が半分ずつ、残りを五匹の赤ちゃんで分けます。 「むーしゃ♪ むーしゃ♪」 「しあわせ~」 「しやわせ~」 喜びを表現するお姉ちゃんの真似をして、赤ちゃん達もキャッキャと騒ぎます。 お腹を満たした家族は、再びこの箱庭の探索に出かけました。 するとどうでしょう、昨日はなかった川や茂みが、いつの間にかできているではありませんか。 そして何よりも目を引いたのが、木に隠されるように建てられた小屋でした。 「ゆ! おうちだ!」 「広いよ! ゆっくりできそうだよ!」 「だれもいないよ!」 お姉ちゃん達が小屋の中を確かめると、今度はお母さんがゆっくり確かめに行きました。 長く生きているだけあって普通のゆっくりより慎重なのでしょう。ゆっくりにゆっくりを重ねた動作です。 お母さんは小屋の中を見回します。ここが人間のおうちだったら大変です。ゆっくり家族はゆっくりできなくなるまでボコボコにされてしまうでしょう。 でも小屋の中には、誰かがいたような気配はありませんでした。小石一つ落ちておらず、まるで新築です。……まぁ実際その通りなんですが。 「ゆーゆー……ゆっ! ここをれいむたちのおうちにしようね!」 「「「ゆっくりしていこうね!!!」」」 お母さんの安全宣言に、家族はみんな喜びました。 小屋の中は九匹で入って、ちょうど良くゆっくりできる広さです。入り口には押して開くドアがあって、出入りもしやすく雨風もしのげます。 「ゆっくり~」 「ゆっきゅりぃ~」 ご飯も食べられてご満悦のゆっくり達は、午前中ずっと『おうち』の中でゆっくりしていました。 ○二日目・昼 天候:晴れ 残金:3000円 ゆっくりするのにも飽きてきたので、お昼から家族は探検に出かけました。 昨日は何もない、まったいらな草原だったのに、そこかしこに茂みや川ができていて、子ゆっくり達はとても楽しそうです。 お母さんゆっくりは充分に周囲の安全を確認したあと、茂みから落ちた枝葉を拾い集め、家の周りを囲い始めました。 ☆CHECKPOINT! ---- 母体サイズのゆっくりは、オブジェクトの一部に対し干渉することが可能です。 今回のように、箱庭のオブジェクトを利用して何かすることがままあります。 オブジェクトには、ゆっくりが動かせるものと、動かせないものが存在します。茂みはそれ自体は動きませんが、枝を採取することができます。 他にも、中ゆっくりと同じサイズ程度の石など、あまり大きくなく地面に埋まっていないものなら動かすことが可能です。 また動かす以外にも、オブジェクトを破壊してしまう場合があります。 例えば、現在川にかけている橋は、細くて母体ゆっくりは渡ることができません。これを無理に渡ろうとすると、橋が壊れてしまう場合があります。 運が悪いとそのまま川に落ちてご臨終、なんてことになりかねません。 特に母体ゆっくりは、子ゆっくりが危機に瀕したとき周りが見えなくなることがあります。そういった事態には充分注意しましょう。 このお母さんゆっくりは、中々営巣能力に優れているようです。 家の屋根以外をすっかり枝で覆ってしまい、木と合わせて容易に中を窺うことはできません。 「もうこれでだいじょうぶだよ! 子どもたちはれいむが守るよ!」 おかあさんゆっくりは自分の仕事ぶりに満足したように息を吐きました。 子供達はお花畑で遊んでいます。お姉さんが赤ちゃんに蝶々の獲り方を教えたりして、微笑ましい光景です。 こうして二日目のお昼も、ゆっくり達はゆっくり過ごすことができました。 ○二日目・夕 天候:曇り 残金:3000円 空が曇ってきたので、お母さんゆっくりは子供達を呼び集めて家に入らせました。 過剰な水気はゆっくり達には大敵です。雨に濡れるなんてもっての他なのでした。 お母さんゆっくりは、集めた木の枝で家の入り口を覆い、雨に備えました。 こうしてこの日一日も終わりを告げました。 「明日もゆっくりしようね!」 ○二日目・夜 天候:曇り 残金:3000円 さて、あなたの時間です。 ゆっくり達が危惧していたような天気にはなりませんでしたが……おやおや、どうやらランダムイベント発生のようです。 箱庭の様子を見てみましょう。 ?───────────────+│ 川 ││ 川 花花 ││ 川 花花 ││ 川 茂茂 花花 ││ 川 ││ 川 茂 ││ 橋 ││ 川 リ ││ 川 岩岩 ││ 川 家 ││ 川 家木 ││ 川 木木 ││ 川 ││ 川 茂 ││ 川 茂 │+───────────────+ 左上に、「?」マークが表示されているのが分かるでしょうか。これは外敵襲来を示すマークです。 ランダムイベント『外敵襲来』が発生すると、夜、箱庭の四隅の天井から凶暴なゆっくりが降りてきます。今夜は左上から来るようですね。 外敵ゆっくりに襲われてしまったら、普通のゆっくりはひとたまりもありません。 あなたは管理者として、それをどうにかしなければならないのです。 ……あえて見過ごす、というのもアリと言えばアリですけどね? さて、外敵襲来が確定した場合、あなたには二回の行動権が与えられます。 通常の夜はオブジェクトの設置や撤去しかできませんが、外敵が襲来する場合は、設置→外敵襲来→設置と、二回に分けて行動することが可能なのです。 というのも、外敵捕獲・撃退のための罠を仕掛けることができるからです。 罠は、使用されるか撤去しない限り、ずっと設置されたままになります。 放置された罠には飼っているゆっくりも引っかかってしまうので、放置しておくわけにはいきません。 なので一度目で罠を仕掛け、二度目で罠を撤去する、というようなことになります。 撤去すれば代金の半分は返ってきますが、無駄な出費が出るのは確かです。できるだけ、効果的に罠をしかけましょう。 それでは、まずはあなたのターンです。 ☆YOUR TURN ……とはいえ、お母さんゆっくりが家の出入り口を塞いだお陰で、ゆっくり達の安全は充分確保されています。 今夜は曇りで視界も悪い上、襲撃は一匹だけのようですし、例えゆっくりゃやふゆらんが襲ってきても大丈夫でしょう。 ちなみに獲物が見つけられなかった場合、大抵の外敵ゆっくりは適当な場所で休んでしまいます。 二回目の設置行動で「虫取り網」を買って使用すれば、案外簡単に捕獲することができるので、ゆっくりの住居の防備が充分ならあえて一回目は何もしないのも手です。 とりあえず念のため、川にかかる橋だけ撤去しておきましょう。50円があなたの手元に戻ってきました。 では、ターンを終了します。 ☆YUKKURI S TURN 箱庭左上の天井が開いて、丸っこいものが落ちてきました。 「ゆべし!」 それは地面に当たって悲鳴を上げました。どうやら飛行型ではないようです。 「ゆぅぅぅぅぅ……まりさぁ~……れいむぅ~……ハァッ、ハァッ」 おっと、落下の衝撃にもめげていない様子。どうやら今夜の外敵ゆっくりは、発情期のゆっくりありすのようです。 他のゆっくりを捕食するわけではないので、そういった意味では危険度は低いのですが、何しろ発情期です。 飼っているゆっくりを無計画に妊娠させられては、食糧事情がすぐに大変なことになるのは目に見えています。できるだけ退治するのが好ましいでしょう。 「ハフッ、ハフッ、まりさっ、まりさぁー、ごづくりじまじょぉよぉぉぉおおおぉぉ」 普段『とかいは』を自称するありすも、発情期にはもはやケダモノです。血走った顔は人間の子供なら普通に泣きます。 と、そのありすが何かに気づいたようです。 「ゆっ! れ゛い゛む゛っ!! れいむのにおいだっ!!」 なんということでしょう。川を挟んで十メートルは離れている家の中のれいむ一家の匂いを、このありすはかぎ当てたのです。 「ゆっぐりまっででね! いまがられいむのありずがごづぐりにイグよぉぉっほぉぉぉぉぉ」 ありすは匂いの方向に向かって一直線。 しかし、何か忘れていませんか? 「ゆっ?」 ボチャン! ──そう、ありすが落ちてきた場所と、れいむ一家の住む家の間には、川があります。 飛行型ではないありすが、当然それを越えられるわけはありません。 哀れありすは、どんどん下流へと流されていきます。 「ぶげぇ! だじゅっ、だれがだじゅっ、げべっ、まびばああああばばばばばばばばば!」 助けを呼んでも、こんな時間帯に起きているゆっくりなどいませんから、誰も来ません。 むしろそうして叫んだことにより、口に水が流れ込んで、ありすの死期を早める結果となりました。 「……! ……! ……!」 ありすはとうとう、川に流され、箱庭の外にまで出て行ってしまいました。 ☆YOUR TURN 再び、あなたのターンです。二度目のこのターンでは、罠の撤去や、破壊されたオブジェクトの再設置を行うべきでしょう。 と、その前に、あなたは何かを手に入れているようですよ? 「ゆ……ゆっぐ……」 先程川に流されたありすが、今あなたの手元にあります。 川を流されたゆっくりは、無条件に箱庭管理者であるあなたのものとなります。 罠の設置が充分でないときは、あえて外敵ゆっくりを川に落としてしまうのもいいでしょう。 ただし──川に落とされたゆっくりは大きく損傷します。売却しても安く買い叩かれてしまいます。 ゆっくりゃなど、高額な外敵ゆっくりを売却目的で捕獲するときは、多少無理をしてでも無傷で捕らえましょう。 また売らずにストックしたり、箱庭に入れて住まわせることもできます。 今回のような発情ありすは、夜が明けると通常のありすに戻るので、仲間にしてあげるのも良いかもしれません。 ただし長期間・多数のゆっくりをストックしたい場合は、冷蔵庫や冷凍庫といったアイテムが必要になってきます。 まぁ、今はあまり考えなくても良いことでしょう。 とりあえずあなたは、瀕死のありすからカスタードクリームだけを取り出し、売却しました。 カスタードクリームは50円で売れました。先程の橋の売却額と合わせて、ちょうど100円の収入です。 あなたはその100円で再び橋を設置し、箱庭を元通りにしました。 これで、今夜の作業は終わりです。 ○三日目・朝 天候:晴れ 残金:3000円 「ゆっくりしていってね!」 さあ、れいむ一家が目覚めました。 昨夜、自分達に危険が迫っていたことなど露知らず、今日もゆっくりする気満々です。 これからこの家族の運命がどうなっていくのか……それはあなたの指先一つ。 ゆっくりさせるのも良し、させないのも良し。理想のゆっくり育成ライフを、心行くまでお楽しみください。 以上でチュートリアルを終了します。 あとがき 虐待、というよりも虐待のタネになりそうな燃料として。 いえ、本当は虐待するところまで書きたかったんですが、やたら長くなりそうだったので…… 続きは自分で書くかもしれないし、書かないかもしれません。 シムゆっくりとタイトルをつけてはいますが、実際にはシムピープル+アストロノーカといった感じです。 夜パートの、外敵襲来と罠設置あたりがアストロノーカな部分ですね。 ただ違うのは、トラップフィールドと畑が同じ場所にあったり、育成対象と害獣が同じものであったりするところです。 アストロノーカ楽しいですよね……バブーンも可愛くて。 今までに書いたもの ゆっくり実験室 ゆっくり実験室・十面鬼編 ゆっくり焼き土下座(前) ゆっくり焼き土下座(中) ゆっくり焼き土下座(後) おまけ(サンプルマップ)+───────────────+│穴花滝滝岩 壁 壁穴││花花川川岩 壁壁││花花川川 柿 茂庫茂││花花川川 家家││石石川川 桃 家家││ 川川 茂茂茂││ 川川 バ ││壁 橋橋 リ 壁││ 川川 岩岩 ││花花川川 ││花花川川 ││花花川川===池 ││花花川川 ││壁壁川川 壁壁││穴壁川川 壁 壁穴│+───────────────+ 題:「全自動ゆっくり牧場」 初期費用 家(石・大・4000円)×2 8000円 倉庫(石・中・1000円) 1000円 りんごの木Lv4(アプグレ基本値200円) 3000円 柿の木Lv4(初期400円・基本値200円) 3400円 桃の木Lv4(初期600円・基本値200円) 3600円 バナナの木Lv3(初期1000円・基本値500円)4500円 花(100円)×15 1500円 茂み(200円)×5 1000円 岩(400円) 400円 川(大・2500円)+滝(1000円) 3500円 橋(細・100円)×2 200円 壁(石・2000円)×13 26000円 石(中・250円)×2 500円 恒久落とし穴(2500円)×4 10000円 合計 66600円 説明 初期費用に尋常ではない投資が必要となりますが、長期的に見ればかなり良い箱庭といえるでしょう。 この箱庭で産まれたゆっくり達は、豊富な食べ物に囲まれ、すくすく成長していきます。 ゆっくりが通常サイズになると、橋の向こう側にある石を乗り越えられるようになります。 好奇心旺盛なゆっくりはすぐそこを遊び場として、そして、その日のうちに穴に落ちていくでしょう。 穴に落ちたゆっくりを自動的に売却するようにしておけばまさに全自動。 川にかかる橋は細いので、お母さんゆっくりは渡れません。なので石を動かされる心配もありません。 これにより、お母さんゆっくりや未熟な赤ちゃんゆっくりが誤って穴に落ちることはありません。 また四方の扉も塞いでいるので、他の箱庭のゆっくりに進入されることはありません。 これは通常サイズゆっくりのみを効率的に売却するための箱庭なのです。 また四隅から進入する外敵も、全て壁に阻まれ穴に落ちていきます。これも良い副収入となるでしょう。 唯一、育てたゆっくりを落とすための穴がある隅からは、飛行系の外敵が侵入する恐れがありますので、それだけ注意すれば大丈夫です。 もっともすぐ目の前に滝があるので、びっくりしてそのまま穴に落ちてしまうかもしれませんが。 ゆっくり二家族ぐらいを住まわせてやれば、勝手に増えて育っては、落ちて資金になってくれます。 お母さんゆっくりと赤ちゃんゆっくりのみが箱庭に残り、通常ゆっくりはすぐに穴に落ちてくれるのが、食糧事情的にも最高でしょう。 もし万が一全滅してしまったら、捕獲したありすと、れいむまたはまりさを放り込んでやればすぐに繁殖してくれます。 交尾したあとのありすは、これも勝手に穴に落ちてくれるので、手を煩わせることもありません。 ゆっくりが一匹5000円で売れたとしても、14匹売れれば完全にペイできます。 この箱庭で得た資金を元手に、さらなるゆっくり育成の道を開いてください。 仕様書 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/t17650/pages/14.html
タイトル ゆっくり留守 分類 グロ 詳細 留守中に家に侵入したゆっくり。 その中、家の主に見つかってしまった! そこで家の主がとった行動とは? 5c0b9341-s.jpg e13744fd-s.jpg 33e23764-s.jpg 13af1c41-s.jpg 72c141cf-s.jpg 9583f93f-s.jpg bc1de98a-s.jpg コメント一覧 勝手に人間様の家にはいるゆっくりは制裁されて当たり前 -- 名無しさん (2012-05-21 19 57 02) 希望を打ち砕く感じがいいなwww -- 名無しさん (2012-11-18 19 23 57) え・・・やりすぎじゃね? -- 名無しさん (2012-12-27 19 35 51) やりすぎ... -- 名無しさん (2013-02-16 00 36 37) まじでやりすぎww -- 名無しさんだぜ (2013-03-17 08 08 45) 邪魔な虫とか入ってきたら殺すだろ?あれと一緒 -- 名無しさん (2013-04-01 21 13 45) ひどいね これ描いた人 反省しろ -- 名無しだぜ (2013-04-17 17 53 43) 可哀想なんだぜ -- 名無しさん (2013-04-25 17 43 21) yukkuri---------- -- 名無しさん (2013-04-26 15 09 40) や・やりすぎ -- 名無しさん (2013-05-22 20 49 54) いいね -- 名無しさん (2013-06-15 18 05 55) ヒャッハー。 -- 名無しさん (2013-06-16 17 36 15) みwなwぎwっwてwきwたw -- 名無しさん (2013-06-29 17 07 58) お前ら家に虫入ったら殺すだろ? あれと同じ・・・悲しいけどな -- 名無しさん (2013-07-10 18 56 14) ゆっくりの扱いなんてこんなもんだろ -- 名無しさん (2013-07-28 01 05 54) たしかに虫は殺すこいつらも同罪 -- 7氏 (2013-08-01 21 50 09) こうじゃないだろ・・・ 飲み込ませろよ -- 名無しさん (2013-08-06 21 41 28) ゆっくちしちぇないで、どんどん漫画増やして更新していってね!! -- 名無しさん (2013-08-13 01 19 12) きたない -- 名無しさん (2013-08-20 13 17 23) もっとひどく出来ただろうが!!ふざけんな!! -- 名無しさん (2013-08-29 07 44 54) もうちょっといたぶったほうがねぇ -- 名無しさん (2013-09-20 16 43 51) ゆっくりの絶望したあの顔がたまらん -- 名無しさん (2013-09-22 16 20 09) 本体がでかいからグロく見えるぜ 虫だと違和感ないけどな -- 名無しさん (2013-12-27 13 08 06) ハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハアハア -- 名無しさん (2013-12-30 23 12 33) ww -- 名無しさん (2013-12-31 12 22 12) 家に入ってきた虫より重罪むしろ人様の家でゆっくりがゆっくりすること自体ありえないゆっくりにはもっとじわじわ絶望を与えるように殺した方がいい瞬殺過ぎるww -- 名無しの名無しの名無っしー (2014-05-19 22 58 39) 止めるんだぜ!今なら許すぜ? -- まりさ (2014-07-14 10 25 36) 弱いくせに人間を見下す態度にイライラするもっとやれ! -- 名無し (2014-07-14 10 27 50) え、やりすぎ・・・w -- 名無しさん (2014-07-16 12 50 28) いいぞもっとやれww -- 名無しさん (2014-07-24 15 21 41) 人間なんて糞食らえ -- 名無し (2014-08-27 21 19 40) 現実と漫画(二次元)を分けろwww 漫画ならではじゃないか 俺もゆっくり好きだけど不法侵入は... 虫と一緒 -- くそったれ (2014-09-28 00 58 57) てめらが、消えろ -- 七紙神 (2014-12-01 01 15 02) 殺していいのは同じ状況になって殺されていい って奴だけ -- 名無しさん (2015-04-15 17 00 04) いいぞもっとやれ!! -- 名無し (2015-08-14 15 59 54) なんてヤツだ・・・ -- ゆっくりブ〇リー (2015-10-16 01 07 01) ゆぎゃくが理解できない人は回れ右! わざわざこんなとこ来て偽善気取ってんじゃねえ -- 名無しさん (2015-10-19 17 20 06) 可愛そうだけど、弱肉強食っていう世の中だし、 仕方ないよね…。 -- 都会派な名無しさん (2015-11-18 23 09 57) ゆっくり殺すやつしね -- ゆっくりの王 (2016-02-01 21 47 49) ゆ逆って楽しい・・・ -- あゆゆ (2016-03-17 18 21 41) もっとぐろいのみたいよー -- アリイ (2016-03-17 18 23 04) 批判するために見にくるなksども -- 名無しさん (2016-05-31 21 40 30) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2517.html
社員ゆっくり ※現在の地球とは少しだけ軸がずれたパラレルワールドだと思ってください ※ゆる虐待は多少ありますが、愚鈍で高慢なゆっくりをボコボコにしたい方には合わないと思います。箸休めにどうぞ。 ※お兄さんと劇中の飼われゆっくりは仲が良いです ※作品中に登場する会社名等は実在のものとは一切関係がありません ゆっくりが出現して20年程、元々は野山に住んでいたゆっくりは徐々に人里に下りていき、街へも進出しだした。 当初はゴミを荒らし、住居に侵入したりとやりたい放題であったが、当然ながらそういったゆっくりは人間によって即処分される。 その結果、(ゆっくりにしては)頭がよく賢い、それでいて比較的気性の穏やかなゆっくりが残り、そして繁殖を繰り返した。 頭がが良く穏やかなゆっくりであれば当然人間に迷惑をかけることも少ない。となると殺されることも少なくなる。 街ゆっくりは今では人間の(それなりに)良きパートナーとして生き残っていた。 「ただいま」 男がそう言い玄関の戸を開けるとまりさが廊下をぴょんぴょん跳ねながらやってきた。 「ゆっくりおかえり!!」 このまりさはもう1年ほど前から男が飼っているゆっくりだ。野良犬に襲われていた横を通りがかっただけなのだが なぜか犬がそのまま逃げてしまいまりさは男のおかげだと泣きながら感謝し、それから懐いてしまったのだ。 どうやら飼いゆっくりだったらしいのだが、飼い主の事情で捨てられてしまったらしい。 変に媚びることもなく淡々と語るまりさを見て最初は「まぁいいか」くらいの気持ちでペットにしたのだが、 実際は一人暮らしの寂しさを紛らわせたかったのだ。 今となってはペットというよりは居候といった感じだが。 「ゆっ!おつかれさま!おみやげは?おみやげは?」 「あ?別に出張でもないし特に何もないぞ。つうかおまえ毎日それだな!」 「ゆぐっ・・・だってまいにちひまだし・・・おにいさんおかねくれないからあそびにもいけないし・・・」 そう言ってまりさは口をとんがらせてすねていた。 人間の社会に入り込んだゆっくりは貨幣の概念を理解している。ゆっくり用のグッズを販売する店や ゆっくり用のレジャー施設も存在し、ゆっくりだけで買い物に行っても極普通に対応してもらえるので お小遣いを与えられたラッキーなゆっくりでいつもごった返していた。 「働かざるもの食うべからずという言葉を知っているか。」 「ゆぅ・・・おにーさんからなんどもきかされたからしってるよ・・・」 「ならそういうことだ。三食屋根付きなだけでもありがたいと思うように。」 この社会にも野良ゆっくりは存在する。昔に比べて賢いゆっくりが増えた分人間もそれ相応の対策はとってある。 ゴミ捨て場などもカラスはもとよりゆっくりにも破られないようにいろいろ改良がなされている。 となるとそこらの雑草や花を食べるしかない。だが賢くなったゆっくりは人間の所有する整備された花や植物を 勝手に食べるとどうなるかは知っていた。よほど危機的な状況ならば分からないが、まずそういった愚挙は犯さない。 まりさはそういった行為をしでかした野良ゆっくりが目の前で潰されたり保健所に連れて行かれた場面を何度か見ている。 そんな生活はごめんだった。 中には人通りの多い場所で物乞いをするゆっくりもいたが、同情を誘うためか酷く汚れていたり、自ら片目を潰したり するゆっくりが大半だ。まりさにはとてもそんなことはできない。 家に置いてもらい食事まで頂戴していることはありがたいとは思っていたが、ゆっくりはゆっくりなりに欲もある。 雑誌を見たりテレビをつければゆっくり用おもちゃの広告やらなんやらでその欲求を無駄に刺激するのだった。 食事を済ませ風呂から上がりパンツ一丁の男はまりさと居間でテレビを見ながらゴロゴロしている。 おやつの笛ラムネを口にしたまりさはピープー音をたてていたので「うるさい」と言われ男に足で軽く蹴られた。 「ゆっくり王国」 まりさが一番好きな番組だ。色々なゆっくりやその生活を取り上げる番組だ。 オープニングタイトルが消えた後スタジオには中に人間が入っている巨大れいむとまりさのきぐるみがドスンドスンと 飛び跳ねている。 その中のコーナーの一つ「ゆっくりお宅拝見!」が始まった。 さまざまなゆっくりが人間の家で暮らしている様子を映し出している。 「この貧乏芸人の家で飼われてるれいむは悲惨だなぁ・・・おい見ろよなんだあの尋常じゃない色の布団のしみは」 「ゆぐ・・・あんなところでねたらかゆいかゆいだね」 「このゆっくり腹話術ってれいむの下から手つっこんでないか?」 「かんぜんにいっちゃってるね!このれいむはもうはいじんだよ!おおこわいこわい」 どうでもいいような話をしながらだらだらする一人と一匹。まりさは笛ラムネを歯で縦に割りバリバリと食べていた。 ボフッ 男が寝たまま放った屁をまともにくらい、「ゆぎゃあ!」と叫び後ろにのけぞるまりさ。 バシンバシンとまりさが尻に体当たりを始める。 「ブーブーはむこうむいてしてっていったでしょ!!!」 ゆっへっへとふざけて笑った男が再びまりさが体当たりしてきたタイミングでブッともう一発おみまいした。 「ゆぎゃぎゃぎゃ!!!」 ごろんごろんと転がるまりさ。 「へこきれみりゃはしね!」 鉢植えの土に敷いていた小石を口に含み男の尻めがけて吹き付ける。さすがに尻への体当たりは危険度が大きいことに気づいたようだ 「こらー散らばすなー、って、おいそんなことよりこのまりさすごいぞ。見ろ見ろ。」 テレビでは既に違うゆっくりが紹介されている。 大金持ちに飼われているゆっくりだった。 お城のような家で飼われているまりさがそこにいた。髪の毛の艶もすばらしく、肌の張りもステキだ。 まりさはテレビを見ながらボーっとして咥えていた小石をぽとりと落としてしまう。 「すごいゆっくりだね・・・まりさのようなしょみんとはべつじげんだよ・・・」 「庶民で悪かったな」 男は貧しいわけではない。むしろ普通より多く稼いでいた。ただ、贅沢を好まない性格なので飾り立てたり 無駄遣いをしないだけだった。単にケチというだけかもしれないが。 ただそれでもまりさ専用の部屋を用意するなどしているあたり余裕がある証でもあるのだが。 テレビの中のまりさは贅沢な装飾品を身に着けたり、高そうな食事を与えられたりしていた。 特注で作らせたゆっくり用天蓋付ベッドでくつろぐ金持ちまりさは優雅に「ゆふふふ」と笑っていた。 「おにーさん!まりさもあんなべっどほしい!!ほしい!!」 まりさは屁のことなどすっかり忘れて飛び跳ねて男に懇願している。 「おまえのベッドで充分だろが、いつも気持ちよさそうに寝てるだろ」 「ゆぐぐぐ!あのくっしょんはおにーさんがすわってぶーぶーするからくさいよ!あんなべっどのほうがいいよ!」 「だめだだめだ、そんなに欲しかったら自分で稼いだ金で買え」 「ゆぎぎぎぎ!」 歯軋りするまりさを無視して男は尻をかきつつテレビを見ている。 お宅拝見のコーナーが終わり次のコーナーへと移っていた。どこかの会社のオフィスらしい。 仕事をしている社員の後ろをゆっくりが歩いていた。 『こちらの会社では社員の癒しを目的としてゆっくりを導入しているそうです。このゆっくりれいむのお仕事は 社員を和ませること。そして簡単な雑務ならこなしちゃうんですよ~すごいですね~広報としてパンフレットにも 登場しちゃったりしています』 レポーターがそう言うと穏やかな顔つきのれいむが 「れいむのおしごとはみんなをゆっくりさせることです!ゆっくりしていってね!」 そう元気よく叫んだ。 場面が変わって休息室でコーヒーを飲んでいる社員がゆっくりの頭をなでている場面が映る。 また別のゆっくりはゆっくり用の台に乗ってコピーまで取っているではないか。 更に別のゆっくりに至っては受付に鎮座し来客に「いらっしゃいませ!」と挨拶をしている。 プレゼン資料を客の数だけまとめてホチキスで留めているゆっくりまでいた。 ひらがなくらいしか読めないゆっくりだが、同じ図柄の紙をそれぞれまとめる程度は出来るようだ。 そのゆっくりはなぜか眼鏡をかけていた。 『なんと!このゆっくり達はこの会社の社員なんです!みてくださいこの社員証を』 リボンについた社員証がアップになり、そこには「れいむ025」と書かれていた。 「このゆっくりは偉いなぁ~ちゃんと働いてるんだね~」 男は少し意地悪くそう呟く。 『しかもこの社員ゆっくりにはちゃんとお給料も出るそうなんです。すごいですね~』 男の意地悪い発言に苦虫を噛み潰したような表情をしていたまりさは「お給料」という単語に反応し、 これだっ!という顔をして叫ぶ。 「ゆゆゆゆゆ!!!!まりさもはたらく!はたらいておかねもちになる!!!」 「おまえが働く?馬鹿言うんじゃないよ。おまえ働くってどういう事かわかってるのか?あ~ん?」 足の先でまりさの頭をぐりぐりしながらからかう男。 「しつれいだね!まりさははたらきたいんだよ!おかねをかせいでおにーさんをたべさせてあげるんだから!」 「ウヒャヒャヒャ!いいねぇ~ゆっくりのヒモかぁ~やれるもんならやってみな~」 相変わらずまりさをからかい続ける男はニヤニヤと笑っていた。 ぷくーっと膨れたまりさはこう続ける。 「やってみなっていったね!?まりさほんきだよ!ほんきなんだからね!!」 男はたわごとだろうと高を括りニヤニヤしたままだった。 「あとおにーさん!ぱんつのすきまからたまたまがまるみえだよ!ぷぷっ!」 まりさの顔に真正面から蹴りが入った。 翌朝 騒がしい音がして男が目を覚ます。 「なんだこんな朝早くから・・・うるせぇな・・・」 眠い目を擦り音のする方を見るとまりさが大量の新聞紙やらちらしを広げて何やらやっている。 「・・・おまえ何やってんだ?」 「ゆっ!おはようおにーさん!まりさはおしごとのれんしゅうしてるんだよ!」 見ると顔の中央に男の足型がうっすらと残ったままのまりさが回収に出そうと部屋の隅に積んでいた新聞とチラシの山を解き、 社会面、スポーツ面、経済面、そして同じような色合いのチラシごとにそれぞれまとめていた。 「きのうのてれびであのこがやってたのとおなじことできたよ!すごいでしょ!」 まりさは腹(?)を突き出すようにしながらフガフガと鼻息を荒くしている。 「ほっほー・・・おまえなかなかやるなぁ。つうか本気で働きたいのか?」 「ゆっきーーー!!ほんきだっていったでしょ!」 体を膨らませ抗議の意を表すまりさ。朝からかなりテンションが上がっている。 「ふうむ・・・よしわかった。そこまで言うなら試してみるか。ただしやるからには本気でやれよ」 まりさの熱意に男が折れた。あっさりと男が働くことを許可したせいかまりさは一瞬ぽかんと口を開けたままで 男を見つめていたが、その意味を理解し次の瞬間パァァと顔が明るくなり、体を縦に伸ばしてクネクネとねじり始める。 「ゆっきゃあああ!!これでまりさもおかねもちだね!!」 どうやら喜びの意思表示らしい。 その様子は少しキモかった。 「さて、んでどこで働くつもりなんだ?」 「ゆっ、きのうてれびでやってたところがいいよ!」 「昨日の?どこだっけ・・・ああ、日本ミラクルか。確か最近青山に自社ビル建てたんだっけかな・・・青山なら通勤途中だし まぁいいか・・・どれどれ」 PCを起動しブラウザから会社のサイトを開き「採用情報」をクリックする。 新卒採用、中途採用、障がい者採用・・・・ゆっくり採用 思わず飲んでいたお茶をブッと噴出す。 わかっていて開いたページだが改めて「ゆっくり採用」などと書かれていると滑稽で仕方が無い。 「ゆっくり採用専用ページ」をクリックすると、微笑んだまりさとれいむが「ゆっくりはたらこうね!」という台詞と 共に表示された。 「ゆっーー!!!すごくゆっくりしてそうだよ!おにーさんはやくはやく!」 いつのまにか机の上に上り一緒にモニタを見ていたまりさが興奮気味に男をせかす。 【職務内容】 社員に対する福利厚生を目的とした活動全般 広報活動へのサポート 平易な雑務(能力による) 【応募資格】 年齢:成体ゆっくり 経験:問わず(労働経験あれば尚可) その他:飼いゆっくり登録済み、穏やかな気性、協調性必須、ありす種は去勢済みであること 【語学力】 ひらがなの読解力(漢字、英語の読解力があれば尚可) 【勤務時間】 3日~5日/週 9 00-17 30 【待遇】 15,000円~/月(昇給あり) 契約社員 「うわぁ、割と本格的だな・・・ところで英語を話せるゆっくりはいるのだろうか・・・?」 「おにーさん!どうなの?まりさだいじょうぶ?」 モニタの横でぼよんぼよんと跳ねながらはしゃぐまりさ。 うるさいので頭を手でぎゅうと押し付けながら詳細を確認する。 「ふうむ・・・一応おまえは条件的にはクリアはしているな。おい、おまえ協調性あるのか?」 「ぐむむびゅ・・・ぎょーぢょーぜいでなあに」 押さえつけられたままのまりさが半分潰れたまま質問する。いつもならこんなことするとすぐに怒り出すまりさだったが 今は希望に満ちているのか気にもとめてないようだった。 「ああ、すまんすまん、ええと他のゆっくりや人間と一緒に仲良くしたり、いう事聞いたりできるのか?」 「もちろんだよ!まりさはともだちのれいむやぱちゅりーとなかよくしてるよ!それにおにーさんみたいな いじめっこのいうこともちゃんときいて・・・」 再び手で押さえつけられてむぎゅうと言って黙る。 「まぁ確かにそうだな、おまえは他のゆっくりとも喧嘩しないし大丈夫かなぁ~って、あ・・・」 【今期のゆっくり採用の募集は終了しました】 「ハイ残念でした・・・・もう募集は終わったってさ。」 「ゆがーん・・・!!!」 ショックでそのまま机の上からぼたっと床に落ちる。 「ゆっくりした結果がこれだったな。」 落胆したまりさはしばらくふてくされて横になり、ぐでっと溶けたアイスクリームみたいになっていたが のそりと起きると男に向かって口の端をゆがめてこう言った。 「・・・はたらいたらまけかなっておもってるよ・・・」 おしまい 続く(のか?) =============== あとがき 虐待らしい虐待がありませんでしたが、まぁこういうのもいいかなと思いました。 斬新な虐待方法が浮かばなかったというのもありますが。 飛び散る餡子を望んでいた方々申し訳ない。 これまでに書いたもの うんうんの報い ゆっくり罠地獄その1 by ゆっくりジェントルマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2262.html
ゆっくり世紀末 人里に程近い森の奥。 雲雀の囀りと春風にざわめく木々の音に混じって、賑やかな住民の声が聞こえてきた。 「ゆっくりついてきてね、おちびちゃんたち!」 「ゆっきゅりついていくよ!」 仲睦まじい声をかけあって巣穴から出てきたのは、ゆっくりたち。 先頭に立って進むまりさと、最後方から家族を見守るれいむ。そして、両親に守られるかのように挟まれた、二匹の赤ちゃんゆっくり。 それぞれ、まりさとれいむの組み合わせだ。 一般的なゆっくり家族に比べ、まりさたちの授かった二匹という赤ちゃんの数は少ない。 だが、だからこそゆっくり夫婦は有り余るだけの愛情を赤ちゃんに注ぐ。 夫婦の願いは、本当にゆっくりと子供たちが生きてくれること。 そのために、まりさとれいむが熱中したのは教育だった。 巣穴の中で外を歩き回れる大きさになるまで、まりさとれいむは交代で赤ちゃんたちに自分たちの知識を伝えた。 ごはんのとり方、巣の作り方を始めとする、生きていくための知識を。 特に口をすっぱくしていったのは、獣や捕食種の危険性と、それ以上に関係に気をつけなければいけない人間についてだった。 森の外、ずっと野原を進むと人の暮らしているところがあるから、その周辺には絶対近づかないこと。もし間違って迷い込んだとしたら、 例えそんなにゆっくりできそうなものがあっても、すぐに出て行くこと。 何度も繰り返す両親の顔がよっぽど真剣だったのだろう。 「わかったよ!」 赤ちゃんたちは、疑問をはさむこともなく頷く。 れいむはそんな赤ちゃんたちの素直さが嬉しかった。親の贔屓目ながらも、あかちゃんはまりさのように賢くて、れいむのように素直だと 感じていた。 「ゆゆーん♪ ゆっゆーん♪」 ついつい、ゆっくりした気持ちのままに歌がこぼれる。 その暢気な歌声に一番に反応したのは、あかちゃんれいむ。 「ゆ!? れいみゅもおうた、うたうよ~♪」 途端に、れいむの歌声に包まれる一家。 あかちゃんまりさはこの上なくしあわせな気持ちになりながら、先頭を行く親まりさの隣に歩を進めた。 「きょうはどこでゆっくりしゅるの?」 あかちゃんまりさは、好奇心が強く輝く瞳で親まりさをのぞきこむ。 親まりさは、自分に似て行動的な子供の様子に目を細めながら、今日の目的を教えてあげた。 「あかちゃんたち、今日はゆっくりするだけじゃないよ。ごはんのとり方をべんきょうするよ!」 いつもは巣穴に持ち込まれ、親ゆっくりが食べやすく噛み砕いて食べさせるごはん。 それが森ではどんな形で、どんなところにあるのか、まりさは今後のためにも子供たちに教えたかった。 自分たちに何かあったとしても生きていけるようになってほしかったのだ。 が、一家の頭上に突然影が差した。 同時に幾重にも空気を切る羽ばたきの音。 見上げれば、一斉に飛び立った野鳥の群れだった。忙しない囀りが何か危険を呼びかけあっているようだとまりさが感じたとき、 それはやってきた。 まず、地面がびりびりと震えるような炸裂音。 森の向こうから規則的に響くその地鳴りは、どんどんと近づいてくる。 まりさとれいむは視線を合わせる。 よくわからないけど、ゆっくりできそうもない嫌な音だ。 「ゆっくりしないでかえろうね!」 まりさが呼びかけるなり、一家はわき目も振らず、ひたすらに来た道を戻りだす。 巣穴まで、そう離れていない。 一目散に対比すれば間に合うはず。 そう判断してのことだったが、爆音の主はまりさたちの予想をはるかに超えてゆっくりしていない存在だった。 さっきまで遠くに聞こえていたはずの音が、めきめきという藪を踏みにじる音とともに鮮明になっていく。 弾むように草むらをはねる一家へ、確実に近づく音。 それはもはや森の静寂を切り裂く化物の咆哮に思えた。 「ゆっきゅりっ! ゆっきゅりでぎないいいっ!」 れいむの上に飛び乗って、恐怖に震える赤ちゃんたちの悲鳴。 「ゆっぐりづかまっでねええええ!」 れいむは、赤ちゃんにひきの命を預かって必死だった。 一方、まりさは最後尾に下がる。 もしものときは、自分が時間稼ぎをするために。 まりさは冷静だった。 だから、気がついてしまった。 咆哮を放つ化物が一体ではないことに。 音の主は、少なくみても三つ以上。だから、さっきからまったく咆哮が途絶えてくれない。 それどころか、空気を震わせながら、どんどん近づいてくる。 音の重みが、すでにまりさの真後ろまで迫ってきた。 今にも、まりさの無防備な背中に食いつきそうなほどに。 「ゆっ、ゆっくりしていってね!」 ひきつる声をこらえながらちらりと振り返るまりさ。 まりさは、目前に爆音の正体を見た。 それは、人間と奇妙な機械の群れだった。 機械は二つの前後する車輪が地面に接し、その車輪には覆いかぶさるように金属の管や板が張り付いて、上に座る人間の体を支えていた。 管の一部は後ろへとのびて、先端から黒みがった煙を吐き出しては、ぶるんぶるんと震えながら咆哮を繰り返す。 さらに機械の前方の部分は上へ上へとのび、二股に分かれて人間の手に握られ、一番前に突き出しているのは目を焼くような光を放つ丸い鏡。 それが、人間たちの使うバイクという乗り物であることをまりさたちは知らない。 ただ、まったくもってゆっくりしてないスピードで迫りる何台にも連なる化物と人間の群れに、まりさたちは絶望するだけだった。 「れいむいそいでえええっ! おいづがれるううううう!!!」 「ゆっつぐううう、もうむりいいいいい! ぐるじいいのおお!!」 れいむの涙と鼻水でぐずぐずの顔が、どんどん蒼白になっていく。 一方、バイクはまりさの後方5mまで一息に駆けてくる。 「ごないでぐだざいいい!!!」 まりさの懇願は爆音にかきけされて、まったくもって無駄だった。 先頭を行くバイクはあっという間に追いつき、一瞬だけゆっくりと併走し、次の瞬間には一家の目前に後輪を滑らせて立ちはだかる。 「ゆーっ!!!」 あまりの早業に、ようやくゆっくり一家が反応したとき、すでにバイクの人間たちは次の行動を起こしていた。 ゆっくり一家を中心に、円をかくように輪になって走り出す十台ほどのバイク。 追走につらべてゆっくりとした動きだが、ゆっくり一家にとってそのスピードは目が回る。 だからといって、逃げ出せばバイクの囲いにつかまってぺちゃんこだろう。 進退窮まって、ゆっくり一家は子供を守るように小さく固まるしかなかった。 全員が震えていた。 ゆっくりを見て、ニヤニヤ笑いを張り付かせる人間たちが、たまらなく怖かった。 人間たちは、ゆっくりを囲んだまま無言だった。 誰かが口を開けば崩れてしまいそうな沈黙の均衡。 あかちゃんたちも薄々察したのか、泣き出しもせずぎゅっと両親に体を押し付けて堪える。 だが、震える一家の姿を舐めるように見つめていた男が不意に沈黙を破った。 「ヒャッハー! たまんねえええ!!」 甲高い、愉悦に満ちた声。 その男の姿は人間から見ても異様だった。 筋骨隆々とした体に、直に身につけたトゲの突き出した鋲打ちの皮ベスト。そりあがった頭の中央には見事なモヒカン。 それに続く男たちの風貌も似たり寄ったり。仮面をつけたり、刺青まみれのスキンヘッドだったりとカスタマイズはされている程度の 違いしかなかった。 ゆっくりには男たちが、普通の人間からどれだけ乖離した存在かはわからない。 ただ、暴力的な雰囲気をかもし出す男のたちに、まりさは思わず立ち尽くす。 だから、れいむの動きに気がつかなかった。 「おにーざんだち! あかちゃんは、あかちゃんだけはみのがじでぐだざい!!!」 一歩前に進み出るれいむは、続いて涙にぐちゃぐちゃの顔を地面にこすりつける。 「まりざもどうなっでもいいがら、あかちゃんだけはおねがいしますううう!!!」 れいむだけを犠牲にできなかった。 慌ててれいむに並んで頭をこすりつけると、それが功を奏したのか、もっとも体格のいい男がバイクを降りた。 そのまま、無言で近づいてく男。 「どうするんだい、アニキ?」 「決まっているじゃねえか」 どうやらリーダーらしき男は、地面で頭をつけて震えるゆっくり夫婦の目前で膝をつく。 そして、にいと口の端を歪めて笑った。 「みんな、まとめて可愛がってやりなあっ!!!」 「っ!!! どうじでぞんなごどいうのおおおおおおおおっ!?」 「ヒャッハーっ!!!」 夫婦の絶望に満ちた絶叫は、男たちが次々に上げる歓声に瞬く間にかき消されていく。 「がまんできねえっ、イクぜえええええ!!!」 次々と乗り捨てるようにバイクを飛び降りて、一家の元へ殺到していく男たちの群れ。 その獣のような動きに、まりさたちの体はショックで硬直していた。なんで、ごんなことするの、まりざだちはなにもしてないのに。 その言葉も、憤りと悲しさに胸が塞がれて声にならない。 不意に、まりさをとらえた浮遊感。 自失の間に、まりさは、男たちのリーダーに持ち上げられていた。 「ゆううう! あかちゃあああああん!!」 離れていく子供たちの体温。先ほど震えながらまりさに勇気をくれた子供たちの温もりは、もうまりさの傍にはない。 まりさを包み込むのは、まるで岩を砕いて手の形にしたような男の手の感触だけ。 視界の端ではれいむが、あかちゃんれいむが、あかちゃんまりさが、相次いで男たちの手に奪われていくのが見えた。 だが、男の手首は強靭そのものでまりさは身じろぎすらできない。 「おねがいいいい、たいせつな、たいせつなまりざのあがちゃんなんでずううう!!!」 「わかっているって、念入りにやってやるぜえ!」 「ぞんなごど、だのんでないいいいいゆぐっ!!!」 まりさの絶叫は唐突に遮られた。 まりさを持ち上げていたリーダーが、いきなりまりさをぎゅうと自らの胸と腕で締め上げだしたのだ。 ふっくらさのかけらもない鉄板のような胸部の圧迫に、まりさは悲鳴すら上げられなかった。 「だが、まずはてめえら親たちからだぜ?」 リーダーの言葉は、まりさにとって死刑を意味した。 なんで、こんなことになったんだろう。まりさの頬を涙がこぼれる。人間と関わらず、境界を守ってゆっくり暮らしたかっただけなのに。 だが、まりさの運命を握る男たちは着々と準備を進めていく。 「用意はできましたぜ、アニキぃ!」 男の一人がバイクの荷台から降ろしたのは大きな金だらい。 だが、まりさの目を引いたのは、たらいからほくほくと立ち上る湯気だった。 「あ゛あ゛あ゛あっ、あづいの、あづいのいやあああああ!!!」 「ヒャッハー! はじめるぜえ!!!」 まりさの絶叫は男たちの行動を止めることとはまったく逆方向に突き動かした。 「ゆっ、ゆぐうううううう!?」 男の手で、湯気が立ちのぼるたらいに押し付けられるまりさ。 予想した痛みに、思わずこわばるまりさの体。 が、焼け付く痛みはまりさの体を襲うことはなかった。 予想外に、そこは少し肌がちりちりする程度の熱湯。ただ、お湯はゆっくりの体を水よりも早く溶かす。 きっと、そっちが目的なのだとまりさは瞬時に理解した。 が、まりさの心に芽生えた危機感は、次の男たちの行動で瞬く間に吹き飛ぶ。 「きたねえ帽子は消毒だア!!!」 頭が軽くなる感覚。 間違えようがなかった。まりさにとって、一番大切な帽子が取り上げられる、おぞましい感覚だった。 「がえっ……ごぼっ、ごぼおっ!!!」 もがこうとして、お湯を飲み込んでむせるまりさ。 もう、男たちの手にわたった帽子がどんな運命をたどるか、見届けることもできない。 だが、男たちはそれで終わらせようとはしなかった。 微動だにしないリーダーの男の腕に変わり、たくさんの手がまりさへとのびる。 「ゆびゃあああ!?」 そのうち、一つの手から感じたぬるりとした粘着質の感触に、まりさの悲鳴がほとばしっていた。 なに、なに、まりさのからだ、なにをぬられたのおお!? 不安と嫌悪に戸惑うまりさの疑問は、次の男たちの行動でパニックに変わった。 まりさに添えられた男たちの手が、まりさの肌をちぎるとるように一斉に蠢き、執拗に揉みまくられていた。 「むぎゅっ、むぎゅっ、むぎゅうう! や、やべで、むぎゅうう!!!」 激しく掴みあげられ、時には小刻みに動き、まりさの肌を存分に蹂躙していく。 「ぞっ、ぞこはらめだよおおおっ!!!」 「ん!? まちがったかなア?」 ついにはまりさの一番恥かしいところまで進入する男たちの指。すでに余すとこなく、まりさをぬるぬるとした感触が覆い尽くしていた。 「やべでぐだざいいい!!!」 「俺たちはまだまだギンギンだぜ! YOUはショック!!!」 「な゛に゛を、い゛って゛るのかっ、わ゛か゛んないいいいいっ!!!」 そのおぞましさに、まるで赤ちゃんのように泣き叫ぶまりさ。 帽子を奪われ、体の自由を奪われ、子供も妻も奪われて、まりさは親として振舞うことすらできなくなっていた。 が、その狂乱のときもようやく最後を迎える。 「てめら! そろそろこいつをシメてやりな!」 「待ってたぜええ!! ひゃっはー!!」 男たちの掛け声に合わせて、まりさに次々と叩きつけるようにお湯がかけられはじめる。 まりさはその間髪入れないしぶきに、もう悲鳴も上げられなかった。 全身のぬめぬめがとれていくことだけが、唯一の救いだった。 お湯の襲撃がようやく終わる頃、すでにまりさは全身に力が入らなくなっていた。 ひどく疲れて、眠ってしまいたい。 自分をも持ち上げる男の手から逃れる気力を失い、されるがままに草の上に運ばれる。 まりさの朦朧とした意識は、いつしかまるで初夏の陽だまりのような、ぽかぽかの空気に包まれていた。 なんだろう、このゆっくりできる暖かさは。 うっすらと目を開くまりさの前に、屹立する黒い三角錐。見間違えるはずもなかった。それは、まりさの大切な帽子。 「おぼうしさんっ!」 駆け寄るまりさ。 夢ではないかと目を凝らすが、やはり奪われたはずの帽子に間違いない。 傷やほつれだって一つもない。むしろ、奪われたときよりも綺麗になっているほどだ。 ……どうして、きれいなっているの? いぶかしみながらも、まりさはあわてて帽子を被り、思い出す。 そういえば、人間たちは? まりさの大切なあかちゃんとれいむは? 気がつけば、森は静寂に包まれている。 バイクの轟音も、人間たちの高笑いも、子供たちの悲鳴も聞こえない。 何もかも夢だったのだろうかと、まりさが困惑しきったときだった。 「まりさ!!!」 背後から、不意をつくような大声。 振り向くと、愛しのれいむがいた。 いつもと変わらぬ姿、人間たちに切り刻まれた様子もなく駆け寄る姿に、まりさの心に薄く安堵が広がっていく。 「れいむ、ぶじだったんね! ……ゆ?」 駆け寄ろうとして、まりさは違和感に固まった。 いや、違和感の正体はまりさははっきり認識している。 れいむが、びっくりするぐらいに美しくなっていたことだ。 狩りと洞窟での生活で茶色く汚れ、べたべただった髪の毛が、まるで鴉の濡れた羽のように艶やかになっていた。 りぼんも本来の鮮烈な紅色を取り戻し、髪に崩れることなく結び付けられてまるでセット仕立てのようだった。 また、その肌も土汚れ一つない美白。 いつも顔を合わせていたはずなのに、その輝くほどの美れいむぶりにまりさの心はトキメキを隠せない。 「れ、れいむ、なんでそんなにきれいなの? すごくゆっくりしているよ!?」 「ゆ、ゆふう……ありがとう、まりさ。でも、まりさもすごくゆっくりしているよ!」 れいむが照れ隠しに返した言葉の通りだった。 まりさもまた、その軽くウエーブのかかった蜂蜜の色の髪の毛は輝きを放つほどに毛先までふわふわで、汚れ一つない帽子の黒と 見事な対比となっている。 「ゆううう、恥かしいよれいむう……ゆ! そうだ、あかちゃんたちはっ!?」 ストレートな謝意にテレながら、まりさはようやく一番大切な宝物のことに気づく。 「安心して、まりさ! みんな無事だよ!」 れいむが視線を向けた先、そこにはこんもりとした何かの小山の傍らで仲良く寄り添うあかちゃん二匹。 まん丸の体はまりさたち同様、洗い立てのすっきりした佇まい。 「よがっだあああ、あかちゃんんんっ!」 だが、そんなことよりもなによりも、まりさはあかちゃんの無事が嬉しくてたまらない。 子供たちの傍へ声も上げる暇も惜しんでかけよると、あかちゃんたちは自分たちに差した大きな影に気づき、振り返る。 「おかーさんだっ!」 「おかーさんも、ゆっくりしているね!!」 口々に喜びの声をあげるあかちゃんまりさたち。 しかし、まりさは喜ぶよりも早く、二匹の周囲を取り囲む小山の正体に気づいていた。 「おちびちゃんたち、どうしたの? これは、人間さんのお菓子だよ?」 はるか昔口にしたことがある、とびっきりおいしくてその味がずっと忘れられなかった人間のお菓子。様々な種類のお菓子が、 カラフルな山肌を見せていた。 それが、親ゆっくりほどの体積ほどもうず高く積まれている。 「おかーさん、あのね、このごはん、とってもゆっくりできるんだよ」 お菓子の小山を切り崩しながら食べる子供たちの姿はしあわせそのもの。 だが、まりさは不安をかんじずにはいられなかった。 「人間さんのたべものとったら、怒られちゃうよ! 早くかえしてこようね!」 まりさの焦り気味の声色に、あかちゃんれいむたちはまるで動じなかった。 「大丈夫だよ、人間さんがれいみゅたちにくれたんだよ!」 「そうだよ、すっごくゆっくりできるにんげんさんだったよ!」 「ゆゆっ!?」 あかちゃんれいむとまりさの立て続けの言葉に、まりさは困惑のうめきをもらす。 どういうことなのか、つがいのれいむと子供たちを見わたすまりさ。 だが、すっかりきれいになったれいむたちは満面の笑顔をまりさに返すだけだった。 同時刻、森を抜けて町へと向かうバイク集団があった。 まりさたちを追い回した、ジード軍的な彼らだった。 「ヒャッハー! あいつら、さいこうにぷりちーだったぜええ!!」 疾走するバイクのうち、一台から猛々しい声が上がる。 続けて、ヒャッハー、ヒャッハーと応えるバイクの男たち。 先頭を行くリーダーの男も合わせて叫ぶ。 「ヒャッハー! たまんねえ、ゆっくりは愛でだっ!!」 その言葉に、にやりと精悍な笑いを浮かべる男たち。 男たちは、典型的な「愛でおにーさん」だった。 こうして休日ともなる仲間うちで野生のゆっくりを愛でにいくのが通例の、善良な市民たちである。 「今日は久しぶりに心が高ぶったわ!」 先頭を行くリーダーは呟く。 リーダーの心を満たしているのは、汚れたゆっくり一家を綺麗にしてあげた上に、スキンシップまでとれたことへの充足感。 なぜなら、リーダーの吉村さんは市役所社会福祉部の生活保護課という、心労の溜まる業務をこなしている。 心が疲れると、今日のように無垢なゆっくりとの触れ合いをたまらなく求めてしまうのだ。 しかし、なぜ彼はつれそって十年目の奥さんではなく、ゆっくりに癒しを求めるのか。 吉村さんは近頃、顔を会わせて話すことも少なくなった奥さんのことを思う。 そういえば、昨日うちに届いた実に覚えのない保険の掛け金の請求書はなんだったのだろう。 愛ゆえに人は苦しまねばならぬ。 愛ゆえに人は悲しまねばならぬ。 世紀末は悪魔が微笑む時代なのだ。 「きょうはむしさんのとり方、おしえるよ!」 巣穴に、元気な声がまりさの響く。 色々あったけど、気を取り直して教育を再開しようと呼びかけるまりさ。 「ゆう、それよりもゆっくりしようよ」 「むしさんなんて、いらないよ。おかしさん、たべようね!」 だが、反応は薄い。 赤ちゃんたちは魅入られたように持ち帰ったお菓子の小山に張り付き、まりさの方を振り向こうともしない。 「だめだよ、おチビちゃんたち! むしさんと、くささんを食べようね」 そうしないと、冬ごもりで確実に死んでしまう。 何とか、説得しようと懸命のまりさの笑顔。 しかし、あかちゃんたちはお菓子の甘みに心の髄まで冒されていた。 「そんなの、たべものじゃないよ」 「そんなものを食べさせようとするおかーさんは、ぜんぜんゆっくりしてないね」 「ど、どぼじでぞんなごどいうのおおお!? おがーさんは、ゆっぐりじでるよおおおお!!!」 取り付く島も無い態度と侮蔑に戸惑うまりさ。涙ながらに訴えかけるが、返事はあかちゃんまりさたちの冷笑だった。 「はいはい、ゆっくりゆっくり」 かつて無垢だったあかちゃんたち。 だが先日、人間たちの蝶よ華よとひたすらに可愛がられてから、あかちゃんたちは変わってしまった。 何より人間は親よりはるかに甘やかしてくれる上に、力持ちであまいものを沢山くれる。 この親とは大違いだと、子供たちの心に焼き付いてしまった。 「れ、れいむ。どうしよう……」 その急変振りに、まりさは溜まらずつがいの名前を呼んで助けを求めていた。 「まりさがなんとかしてね! れいむはでかけてくるよ!」 それなのに、愛しのれいむのそっけない返事を残して巣穴から出て行こうとする。 「また、でかけるのお!? れいむも、手伝ってよおおお!」 まりさの顔が悲しみに歪むが、れいむは返事もせずに巣穴から飛び出していった。 れいむもまた人間と接触して変わってしまった。 人間の手が加えられ、この森でも有数の美れいむとなったれいむは、一変してこの森の人気者となっていた。 「まりさよりもずっと素敵なゆっくりたちが、れいむのことを好きだっていってくれるんだよ!」 昨日の舞いあがったれいむの言葉が、まりさの心に突き刺さる楔となって今もじくじくとまりさを痛めつける。 どうして、こんなことになったんだろう。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 呆然とするまりさの耳朶を打つ、あかちゃんたちの至福の声。 あかちゃんたちはしあわせだという。 れいむも今が最高にたのしくてゆっくりできるという。 人間たちには驚かされたけで、すごく親切だったという。 なのに、なんでまりさはこんなに悲しいの。 まりさが、おかしいの? わからないよ。まりさも、しあわせになりたいよ…… まりさは悄然とした足取りでお菓子の小山に向かう。 「おかーさん、これはまりさの……ゆべっ!」 「ど、どぼじでごんな……ぶぎっ!!」 まとわりつく子供たちを跳ね除け、その色とりどりのお菓子を口に含む。 甘い。 心が蕩けそうに甘い。 もう、このことしか考えられないほどに。 まりさは、傍らであんこを噴出す子供たちを顧みることなく、お菓子の小山に頭をつっこんでいた。 すると、そこは甘さだけの世界。 苦しみも悲しみもない世界。 まりさは幼子のように微笑む。 ああ、しあわせってこんなにゆっくりできて、からっぽなんだね。 まりさは、ゆっくりとしあわせの世界に沈みこむ。 そうして、二度と戻ってくることはなかった。 (終わり) (あとがき) どうも、小山田です。 ふと、脳みそをあまり使わないで何か書いてみたくなりました。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3081.html
注意書き 虐待お兄さんが行方不明になります ゆっくりが普通のゆっくりとは違います 以上 日が沈みかけ、薄暗くなってきた山の中にゆっくり達の悲鳴が木霊していた。 「もうやだよおおおおおおおおおおおおおお!!!!だずげでえええええええええええええええええええええ!!!!」 「おねがいだがらもうやべでくだざいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 叫び声をあげるゆっくり達の中には一人の男が居た。 麓の村に住んでいた男だが、男は己のことを『虐待お兄さん』と名乗っていた。 趣味はゆっくりを虐待し、殺すこと。 だから男は今この上ない幸福を感じていた。 何故なら、ゆっくりを己の手で痛めつけて殺しているからだ。 無様に喚き、悲鳴を上げ、何もできずに死んでいくゆっくりが男は好きだった。 正確には、ゆっくりを殺す事が男は好きだった。 右腕で殴り、左腕で投げ、右足で踏み、左足で蹴る。 己の四肢を振るうだけでゆっくりは死んでいく。そんなにもゆっくりは脆かった。 中にはもちろん抵抗するゆっくりも居たが、人間に敵うわけがなく男に殺されていった。 「おちびちゃんたちはいそいで逃げてね!! まりさが囮になるからね!!」 「まりさごめんね…… 急いで口の中に入ってね!! ゆっくりしないで逃げるよ!!」 「みゃみゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 家族を逃すため囮になろうとしたまりさは掴まれ、逃げようとしたれいむにぶつけられた。 口の中に居た子ゆっくりは潰れ、親のまりさとれいむももう動かなかった。 「人間なんかれいむ達の敵じゃないよ!!!! ゆっくり死んでね!!!!!」 「「「「「「「ゆっくりしんでね!!!!」」」」」」」 仲間と一緒に体当たりを仕掛けてきたゆっくりは、一匹残らず殺された。 ただ潰されたゆっくりは幸せだっただろう。数匹のゆっくりは底面の皮を破くだけで男は済ました。 動けば中身がこぼれて死ぬ。動かなくても徐々に中身がこぼれていって死んでしまう。 迫り来る死という恐怖に泣き叫ぶゆっくりの姿は相変わらず滑稽で、男の顔は笑っていた。 普通の人間であるならば、これだけの悲鳴を聞いていれば発狂するだろう。 しかし、男は『虐待お兄さん』である。今この場で感じているのは愉悦だけだ。 逃げるゆっくりも立ち向かうゆっくりも、どんどん男に殺されていく。 そして、最後に残った一匹のゆっくり。成体のゆっくりれいむが震えていた。 逃げようとしても、立ち向かっても男に殺されるのはもう分かりきっているのだろう。 どんな風に虐待しようか『虐待お兄さん』の男が考えていると、ある事を思いついた。 やわらかいゆっくりの体を持ち上げて、両手でゆっくりの頭頂部を男は掴む。 「な、なにするの!! ゆっくり離してね!!」 喚くゆっくりを無視して男は手に力を込め、真っ二つに引き千切ろうとした。 「おにいざんやべでね!! 痛いからはなじでね!!」 男がゆっくりの願いなど叶えてやるわけがなく、弾力のある皮はどんどん伸びていく。 「やだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! じにだぐないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 そんな風に叫びながら、れいむは千切られた。 男の手にはちょうど半分に分かれたれいむがあり、片方は投げ捨てもう一つは持ち帰る事にした。家へ帰ってから食べるつもりである。 周囲を見渡してもゆっくりはもういないようなので、男は山を降りる事にした。 ゆっくりを追いかけてどんどん奥まできてしまい、帰るのが面倒だと男は思った。 男が去ってから少し経つと、一匹のゆっくりの残骸が震え始めた。 いや、一匹だけではない。見ればどのゆっくりの残骸も震えていた。 やがて一匹のまりさの残骸から腕が生え出して、徐々に元の丸い形に戻り始めた。 何秒も待たずにまりさは元の姿に戻り、辺りを見回してから息を吐いた。 「さて、今日もお疲れ様なんだぜ」 「お疲れ〜」 「一人だけだったね」 「でもこんなことよくやるよ」 「他の人間さんは忙しそうなのにねぇ」 まりさの声に反応して元の姿に戻ったゆっくり達は好き勝手に話を始めたが、男に残骸を撒き散らされてしまったゆっくりはまだ戻れていなかった。 「じゃ、いつもみたく先に元の姿に戻れたやつはまだ戻れてない奴の手助けをしてほしいんだぜ。戻れてない奴はどんどん助けを近くの奴に求めるんだぜ」 手を叩きながらまりさは指示を飛ばす。どのゆっくりも文句の一つも言わず指示通り動き始めた。 「あと数合わせで分裂した奴もちゃんと元に戻すんだぜ」 「しょうだよ!! もどらなかったらみんなこんな風に自我をもっちゃうよ!!」 まりさの言葉に続くように一匹の小さなれいむがまりさの隣でふよふよ浮きながら言った。 「お前さんも手伝ってくるんだぜ」 「みゅ〜… 面倒だよぉ…」 「そんな事は通用しないんだぜ」 「わかってりゅよ!!」 小さなれいむはふよふよと飛んでいく。その姿を見送ってからまりさもふよふよ浮き始める。 元の姿に戻ろうとしている仲間の残骸を集める作業に入るのだ。 残骸を集めるのは実に大変である。 ある程度の距離ならば勝手に残骸と残骸が勝手にくっ付いて元の姿に戻ろうとするのだが、撒き散らされてしまってはくっ付くことはできない。 放っておいても一番多く集まった残骸が中途半端に復元され、時間を置けば徐々に修復される。 しかし、この群れはもうあの『虐待お兄さん』に潰されてしまった群れなのだ。 それなのにこの場に留まっていてしまっては、流石に人間にだって怪しまれてしまう。 ゆっくりはあくまで『愚鈍で馬鹿で意地汚い動く饅頭』でなければならない。この秘密を人間に知られない為にも、今は一刻も早くこの山から離れなければならないのだ。 「困りました……」 まりさが仲間の残骸を集めていると、半分だけのれいむが俯いて浮いていた。 『虐待お兄さん』に最後真っ二つにされ、片方を持っていかれてしまったれいむだ。 「まあ、お前さんは仕方ないんだぜ。どうせ少ししたら元に戻れんだから人間に見られないように移動するしかないんだぜ」 食べられたりすれば適当に復活できるゆっくりではあるが、流石に中途半端に食べられてはそれも無理である。 このれいむは自然に修復されるまで待つしかないのだろう。 だが、れいむの返事は違った。 「いえ、別に元の姿に戻れないの事で困ってるんじゃないんです」 「? どういうことなんだぜ?」 「実は……」 山を順調に下っていた男は一つの違和感に気づいた。 最初は気のせいだと思っていたのだが、どうやら気のせいではないらしい。 右手に持っていたゆっくりれいむの半身がもぞもぞ動き出していたのだ。 不思議に思いながらゆっくりを顔の前まで持ってくると、断面から餡子がこぼれなくなっていた。 断面の方を見てみると餡子がこぼれない理由が分かった。餡子が消えていたのだ。 ゆっくりの中身である筈の餡子は見事に無くなり、断面には何もない空間が広がっていた。。 最初は餡子がこぼれて皮だけになったと思ったのだが、どうやら違うようである。 男が手を突っ込んでみると、男の腕はそのまま入ってしまったからだ。 いくら成体のゆっくりとは半分に切り取ったゆっくりの体はそこまで大きくない。 恐る恐る男は己の顔をゆっくりの断面に入れてみる。すると、男はゆっくりの中に吸い込まれていくのが分かった。 慌てて顔を皮から出そうにも既に手遅れで、男は顔から下も全て吸いこまれてしまった。 後には何も残らず、残ったゆっくりの皮はふよふよ浮いて男が下っていた山道を再び登り始めた。 「つまり、引き千切られた半分の方も復活してしまいどうやらあの男を飲み込んでしまったみたいなんです……」 「はぁ……」 れいむの説明を聞いていたまりさは溜息を吐いた。 今の話はおそらく本当の事で、間違いなく先ほどの『虐待お兄さん』は吸い込まれてしまったのだろう。 「全く、運の悪い人間さんだぜ……」 そう言いながらまりさは頭の裏を掻く。 人がいなくなったと分かれば人間は間違いなく山狩りをするだろう、そう考えてまりさは再び指示を出す。。 「れいむの半身がこっちに来たら出発するんだぜ。その前に各自修復するんだぜ!!」 ゆっくり達は再び作業を再開する。 今優先することは急いでこの場を離れ移動することだ。下手したら人間に見つかってまた潰されるかもしれないからだ。 流石に二日連続で潰されるのは嫌だからか、修復速度もどんどん上がってきている。 まりさも仲間の残骸を集め始めてから、再び溜息を吐いた。 「人間さんがゆっくりって名付けた癖に、ゆっくりがゆっくりできる日は来るのかだぜ……」 ま、ここじゃ無理かとまりさは思った。 終 by大貫さん ↓は後書きと感想フォームへの返事です。読みたくない方はこのまま戻ってください こんな駄文を最後まで読んで頂き本当にありがとうございます!! 本当は膿と膿以降人間を酷い目にあわす話は書くつもりはありませんでした。 ただ、あるれいむのAAを見て (これ、誰か吸い込まれたら面白そうだなぁ…)って思ったので書いてみました。 感想フォームに感想下さった方、本当にありがとうございます。 (名無しさん) 2008-11-10 15 16 03 後書きに対してのご忠告、本当にありがとうございます。 自分が作者様をおちょくるつもりはありませんでした。ただ、一言断っておいた方がいいかも…… と思っただけなのです。 本当にすいませんでした。 (名無しさん) 2008-11-19 13 43 03 読んで下さりありがとうございます。 タイトルを見れば分かるように、ゆっくりの中の膿と人間の中の膿を比較するために書いた作品です。 ですが、この作中に出てきた虐待お兄さんも他の人が書かれれば立派殺される事もなかったと思います。 (名無しさん) 2008-12-05 17 30 26 確かに原作の靈夢と魔理沙ならばふぅ〜んとかへぇ〜で済ましそうですね…… 反省です。 本当は最初は霖之助の視点で書くつもりだったんですが、霖之助というキャラは本当に扱い難いキャラだったので諦めさせてもらいました。申し訳ありません。 あと、最後に色々書いてくださいと言ってくださり本当にありがとうございます。 虐待スレという場で、ぬるいじめでも良いと言ってくださり本当に嬉しかったです。ありがとうございます。 最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。お目汚し失礼!! 書いた作品一覧 ゆっくりいじめ系352 虐められるゆっくり ゆっくりいじめ系382 ある馬鹿なゆっくりの話 ゆっくりいじめ系394 きめぇ丸 ゆっくりいじめ系421 めーりんとこうりん ゆっくりいじめ系488 ゆっくり飼ってます ゆっくりいじめ系497 携帯でチマチマ書いてみた ゆっくりいじめ系571 みんなで食べよう ゆっくりいじめ系572 きめぇ丸その後 ゆっくりいじめ系596 ゆこまち ゆっくりいじめ系611 どこで何が狂い出したのか… ゆっくりいじめ系628 鳩と餌と糞 ゆっくりいじめ系793 誰かがやらねばいけないこと ゆっくりいじめ系823 保護場 ゆっくりいじめ系843 ゆっくり飼ってます2 ゆっくりいじめ系900 膿と膿 幽香×ゆっくり系9 ある馬鹿なゆっくりの話2 森近霖之助×ゆっくり系1 代価 ゆっくりいじめ小ネタ125 虫眼鏡 ゆっくりいじめ小ネタ128 ゆっくりが大好きだ!! ゆっくりいじめ小ネタ140 ガラス ゆっくりいじめ小ネタ146 生まれ変わり ゆっくりいじめ小ネタ251 飼われているゆっくり 野良のゆっくり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5460.html
注意 初心者です 下手です 短いです 嫌だと言う人は読まないほうがいいと思います ここは幻想郷の人里。いつも通りの時間が流れていた。 そんなとき、「ゆっ ここが人間さんの里だね!!!!」 そんな声が響いた。その声にいち早く反応したのが博麗の巫女、博麗霊夢である。「ついに人里にもやって来るのねあいつら」 ドス「この里の1番…以下略」 霊夢「契約はお断りよ」 ドス「あんなけいやくじゃないよ!」 霊夢「はあ…どんな契約?」 ドス「ドスたちは人間の畑に近づかないからその代わりドスたちのくじょをしないでね! けいやくしないならドススパークを撃つよ!」 これには見ていた里の人間も野次を飛ばす 周り人「「それじゃ対して変わらないだろ!」」 霊夢「契約は駄目よ。かえって頂戴」 ドス「分かったよ…みんな出てきてね!!!」 ドスーンドスーン 大きな音が響く。山の奥から5体のドスと大量のゆっくりが出てきた。 霊夢「こんなにいるの!?」 ドス「「「「「これでもけいやくしない?」」」」」 霊夢「…少し相談させて頂戴」 ドス「「「「「いいよ!」」」」」 ある民家の中で霊夢は人と相談していた。 霊夢「契約するわ。」 人A(以下A)「巫女様、退治しないのですか!?」 霊夢「退治はしようと思うわ。タイミングを見極めるためよ。ドスとはいえ5体もいれば隙がないの。油断させてから退治するわ。」 人B(以下B)「僕も巫女様に賛成です。」 A 「そうするしかないか…」 霊夢が民家から出てきた瞬間5体のドスは怒鳴った ドス1「おそいよ!ドスが優しくてもおそすぎるよ!」 ドス2「けいやくは、どうするの?」 ドス3「待ちくたびれたよ!」 ドス4「まあ、当然けいやくすると思うけどね!」 ドス5「ゆきゃきゃきゃきゃ」 霊夢「…契約するわ」 ドス1「ゆふふふふ。やったのぜ」 霊夢「内容を決めましょう」 その後決まった内容 ゆっくりは畑に近づかない 人間はゆっくりを襲わない 約束を破ったら相手に野菜または山菜を渡す(大量) ドス1「けいやくは守ってもらうのぜ」 ゆっくりたちは去っていった その夜 人間たちはAの家で会議をしていた 霊夢「やっぱり油断する1週間後ぐらいにに巣で退治するのがいいわね」 A 「それまでは我慢するしかないですかね〜」 B 「阿求さんとか大変なんじゃないんですか?」 霊夢「阿求は私がなんとかする。とにかく我慢しましょう」 C (虐待お兄さん)「まじかよ〜」 ゆっくりたちは巣で宴会を行っていた ゆっくりたち「ドスはすごいよ!けいやくを結んじゃったよ!」 ドス1「ゆふふふふもっと褒めてもいいのぜ」 ワーワーユーユーキャーキャーユックリー ドス2345「何でセリフが以下略」 〜1週間後〜ゆっくりの巣(特に何もなかった) 霊夢「ここね…門番が寝てる…紅魔館じゃないんだから」 「霊符 夢想封印」 ズドーンユンヤー ドス1「何なの!」 れいむ「あのおねえさんがいりぐちをこわしたんだよ!」 ドス2「けいやくしたのに?許さないよ!」 ドス3「ドスが行ってくるよ!」 ドス45「「みんなを集めるよ!」」 ドス1「ドス(2)もみんなを集めてね!ドス(自分)も 行ってくるよ!」 ドス3「おねえさん!どういうことなの!!」 霊夢「契約する気は元々無かったの。退治するつもりだったのよ。」 ドス3「おねえさん……」 ドス3「ゆっくり死んでね!ドススパーク!」 だが霊夢に結界で防がれてしまう。 霊夢「やっぱり弱いわね、夢想封印 散!」 ドス3「ゆっぎゃあああああああ」 ドス3は全身に弾幕を浴び、永遠にゆっくりした。 「何てことしてくれたの!」 ドス1が怒鳴った。 霊夢「貴方もよ。さようなら」ズダダダ 「ゆぎゃああああああぁぁぁ…」 霊夢「さて、中に入りましょう」 ドス245「どうしてこんなことするのおねえさん!」 「契約したでしょ!?」 霊夢「契約に一時的にでも乗ってあげただけいいと思いなさい」 「封魔陣!」 「ゆぎゃああああああ」「もっとゆっくりしたかったよ」ドスとドスの後ろにいたゆっくりの悲鳴が響いた 霊夢「これで終わりね」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書きましたがどうでしたか? ほんとに適当に書いたので最後まで読んでくれた人には感謝です。ありがとうございます。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/381.html
あんまり熱いので川辺で涼しんでいたら、やたら甲高いカエルの声が聞こえてきた。 「ケローっ! ケローっ!」 なんだか泣いているらしい、生えた草を踏みつぶしながらこっちに向かっていく。 よく見ると、その後ろから水色のゆっくりが追いかけていた。 「アタイったらゆっくりね!」 どう見てもゆっくりだね。 どうやらゆっくりカエルはあのゆっくりに追いかけられているらしい。 ゆっくりカエルはぴょんぴょん跳ねて逃げ回るが、水色のゆっくりは上下に動かず、そのまま平行に動いて追いかけてる。どうやって移動してるんだ、こいつ? 「アタイったらゆっくりね!」 「ケローっ!」 突然、水色のゆっくりが一回り大きく膨らむと。 口から冷気を吐いて逃げてたカエルを凍らせてしまった。 ……おぉっ、そんなこと出来るのか。 「やっぱりアタイったらゆっくりね!」 「……あ、あ~う~……」 体が冷凍されてカエルの動きが止まっている。水色のゆっくりはそのままカエルに近づいていって……。 あ、食べた。 「あぁあああぁぁあぁあぁあっ!」 「ガジガジ」 「やめっ……たずっ……」 カエルシャーベットはあっという間に水色のお腹に収まっていった。水色の大きさは大体30センチぐらい、カエルも同じぐらいだったんだが……スゲェ喰うな。 「アタイゆっくりだよっ! ゆっくりしてるよ!」 食べ終わると高らかに周りに宣言し始める水色ゆっくり。周りには誰もいないのに誰に言ってるんだ。 水色の体は宙に浮き、その辺を行ったり来たりしている。 こいつ、飛べるのか。 飛べるゆっくりなんて肉まんかあんまんぐらいかと思ったが、他にもいるんだな。 ……。 暴れ回っている水色を見て思う。 こいつがいたら、部屋も涼しくなるんじゃね? ……。 取りあえず話しかけてみた。 「ゆっくりしていってねっ!」 「ゆっ? アタイゆっくりだよっ!」 ……それが挨拶なのか? 「ああ、見てたよ。見事にゆっくりしていたな」 「そうだよ! アタイったらゆっくりだからねっ!」 おまえの言ってることはよくわからん。 「なるほど。でもやっぱりゆっくりなら、よりゆっくり出来る場所に行きたいものじゃないか?」 「ゆっ? アタイゆっくりしてるよ?」 「ここもゆっくり出来るけど、俺はもっとゆっくり出来る所を知っているんだ。興味ないか?」 俺の言葉に、水色は眉間に皺を寄せて考えている。よくわかってないらしい。 ……ゆっくりは馬鹿だ馬鹿だと思っていたが。 こいつは、輪をかけて馬鹿だな。 あまりに話が通じないので、掴んで持っていくことにした。 「ゆっ! アタイに何するのっ!」 「冷てっ!」 水色に触った瞬間、手に走る冷たさ。手がくっつくかと思った。こいつ氷で出来ているのか? 急に触れて機嫌を損ねたらしい。冷気を出した時のように顔が膨らんでいた。 「おじさんはゆっくりじゃないね! どっか行ってね!」 いつ俺がゆっくりだって言ったんだよっ! ……ちょっと腹立ってきたぞ。 「お前だって、ゆっくりじゃねぇよ」 その言葉は心外だったらしい。凄い形相でこちらを睨みつけてきた。 「アタイはゆっくりだよっ! ゆっくりしているよ!」 「どこがだよ! 全身氷のゆっくりなんて聞いたことねぇよ! あんこ吐けあんこっ!」 「ムッキーっ! ゆっくりったらゆっくりだよ!」 「だったら付いてきて証明してくれよ。お前がゆっくりだって」 「いいよ! ゆっくりしにいくよ!」 売り言葉に買い言葉。 気づいたら、水色が家へ来る流れになっていた。 俺にとっては願ったり叶ったり……なのか? なんだか間違えた気が……。 家に連れてきて3時間もすれば、自分がどれだけ間違えていたかがよくわかった。 畳の上を歩いたら畳が凍りつく、冷気を吐かせて涼しくしようと思ったら「アタイやすうりはしないよっ!」と言われる始末。それじゃ西瓜でも冷やすかと水色の上に置いたら凍りつき、後々「なにするのさっ!」と怒られる始末。 そして何よりも。 「アタイったらゆっくりねっ! アタイったらゆっくりねっ!」 意味もなく騒いでいるのが最高に鬱陶しかった。 こんなに使えないなんて……。 俺は頭を抱える。正直とっとと放り出したいところだが、体が冷たすぎて触れない。それじゃ勝手に帰るのを待とうと思ったら、どうも家が気に入ったらしく、まるで帰る気配がない。 他のゆっくりなら食べれば済む話だが、正直、30センチの氷を食べるなんて考えたくもなかった。 まさか力ずくで相手に出来ないゆっくりがこんなに扱いづらいなんて……どうしたものか。 ……ん? 「アタイったらゆっくりねっ!」 相変わらず叫ぶゆっくりは放っておいて、俺は思考を走らせ始めた。 そういえば……。 立ち上がり、押し入れを漁り始める。ここに確か……お、あった。 俺は鉄のかたまりを持ち上げると、水色の目の前に置いた。 「ゆっ?」 鉄のかたまりを指さして、水色に言う。 「ここに平べったくて乗れそうな所があるだろう」 「アタイゆっくりだよっ!」 ……まぁ理解したってことだろう。 「お前ここに乗れるか? 無理かなぁ、狭いかなぁ?」 「ゆっ! アタイゆっくりだもん! のれるよっ!」 案の定、挑発に乗って移動する水色。普通のゆっくりなら苦戦しそうだが、空を飛べる水色はあっさりと上に乗ってみせた。 「ほらねっ! アタイったらゆっくりでしょっ!」 「はいはい、そうだね」 乗るのはすげぇ速かったけどな。 俺は鉄のかたまりの頭についているレバーを回していく。 ほどなくして、水色が上から押さえつけられた。 「ゆっ!」 さてと。 用意しておいた器を下に置く。 「何するのおじさん、アタイゆっくりだよっ!」 はいはい。 横のレバーを回し、かき氷を作り始めた。 「あ、ああ゛あ゛あ゛ぁあ゛あ゛ぁっ!」 水色が回転し、器に削られた氷が乗せられていく。 「あ゛がががががっ!」 シャリシャリと音が鳴りながら、あっという間にかき氷が出来上がった。 「あっ……あっ……」 おおっ、普通に食えそうだな。えーと……。 出来上がったかき氷を手に俺はふと気づく。 そういえばシロップがなかった……。 俺はかき氷を一端置くと、そのまま外へと出る。 どうせその辺に……お、いたっ! 「みんなゆっくりしてねっ!」 「ゆっ!」 「うん、ゆっくりするよっ!」 そこにいたのは、ちょうど手のひらサイズの子供達3匹を遊ばせようとしていたゆっくりれいむの家族だった。 取り合えず親れいむを蹴り飛ばす。 「ゆ゛ぐっ!?」 変な叫び声を上げて飛んでいく親れいむ。こいつらってよく歪むから、あまり遠くまで飛ばないんだよなぁ。 「お、おかあさんっ!?」 「なにするのおじ──」 有無を言わせず、その場にいた子供れいむをかっさらっていく。 「うわあ゛あ゛ぁあ゛ぁぁっ!」 「なにずるのっ! ゆっぐりざぜでっ!」 「おがあざーんっ!」 子供の声に活性化されたのか、いきなり親れいむが起き上がってくた。元気だなこいつ。 「れいむのあがじゃんがえじでぇえぇぇぇっ!」 シュートッ! 「めぎゃっ!?」 ゴーーーールッ! 綺麗な放物線を描いて、親れいむが飛んでいく。……我ながら綺麗に飛んだな、体歪んでるのにぜんぜん減速してねぇや。 あ、誰かの家に飛び込んだ。 「いやぁあ゛ぁぁあ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛あ゛っ!」 「おがあ゛ざあぁぁあぁあぁぁんっ!」 邪魔者を排除して、俺は家へと戻ってきた。 「あっ! どこ行ってたの! アタイをむしするなんておじさんゆっくり──」 煩いのでレバーを回す。 「あぎゃぎゃぎゃぎゃっ!!」 水色を黙らせて、俺はかき氷を確認する。よかった、まだ溶けてないな。 「おじさん! 早くれいむたちをかえしてね!」 「おじさんとはゆっくりできないよっ!」 「ゆっくりしねっ!」 手に抱えていた子供れいむたちを、そのまま手のひらで丸めていく。 「うぎゃぁあ゛ぁぁあ゛っ!」 「うぷぷぷぴゅっぷぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅっ!」 「やめでうぶあおじあぶげまぜうぎゃっ!!」 しっかり混ざったあんこを、そのままかき氷の上に乗せた。 氷宇治あずきの出来上がりと……。 一口食べてみる。 ……うーん。 普通の氷宇治あずきより喰いづらいが、そのまま氷を食べるよりマシか……なにより甘いしなっ! 「ここか」 「ここだよ! ここに入っていったよ!」 「これで嘘やったらタダじゃすまさへんど」 あん? 玄関の方で声がした瞬間、大きな音を立てて扉が開かれた。 「ゆっくりっ!」 なんだ、さっきの親れいむじゃないか。……あれ? 「ちょっと失礼しますよ」 親れいむの後ろには男が付いてきていた。何だ? 「なんか用ですか?」 「いや、さっきこのゆっくりが窓から飛び込んで来てな。ふざけるなと怒鳴ったら、吹き飛ばしたのは兄ちゃんやって言うんで話聞きにきたんや」 ガラ悪っ! つーかこのゆっくり、あれだけけっ飛ばしたのになんで生きてるんだよ……。 「そう言われても、俺今日ここから出てないですし……」 「なにいってるのさ、さっき──」 レバーを回す。 「あぎゃがぎゃがっ! も、もうやめでよ゛っ!」 余計なことを言うからだ。 「それにゆっくりをけっ飛ばすなんて誰だってやるでしょ、俺だっていう証拠がないじゃないですか」 「まぁそうなんやけどな……」 俺の言葉に面倒くさそうに頭を掻く男。どうも泣きつかせて儲けようという考えだったらしいが、引く様子がないので迷っている。 そもそもガラス代も、この親れいむを加工所に連れていけばちょっとは金になるし、大きな騒ぎにしたくないのが本音だろう。 「ゆっ! そんなことないよっ! れいむを蹴ったのはおじさんだよっ!」 ……煩いのがまだいたか。 「だから証拠がないだろう。何かあるのかよ」 「れいむの子供どこにやったのっ! あの子たちがいる筈だよ!」 「この部屋のどこに子ゆっくりがいるんだ?」 周りを見渡す男と親れいむ。もちろん子ゆっくりなんて影も形も見あたらない。あるのはかき氷に乗ったあんこだけだ。 「ゆっ! そ、そんなはずないよ! どこにいるのぉっ!」 呼び掛ければ返事をしてくれると、親れいむが叫び始める。 その間に、男と目があった。 「……」 手に持っていたかき氷を見せる。 「……」 男は頷くと、そのまま親れいむを片手で鷲づかみにした。どうやら伝わったらしい。 「ゆっ!? な、なにするのお兄さん!!」 「どうやら嘘だったみたいだな……」 その言葉に、親れいむは饅頭肌を青くして震えた。 ……どうやって色変えてるんだ、この不思議生物。 「ち、ちがうよ、れいむうそなんて」 「それじゃ約束通り、加工所いこか」 「いや゛ぁぁぁあ゛ぁぁあ゛あ゛ぁぁっ! かごうじょばい゛や゛だぁぁぁあ゛あ゛ぁっ!!」 暴れ回るが、ゆっくりが人の力に逆らえるわけがない。 食い込む親指の感覚に震えながら親れいむは連れて行かれる。 ……。 出て行く瞬間、俺は親れいむが見えるようにかき氷を食べ始めた。 「あ゛あ゛っ!!」 扉が閉められる。 親れいむの暴れている声が聞こえていくが、もう俺には関係ない。 ……やれやれ。 ため息をついてその場に座る。予想してなかった騒ぎに疲れがたまった。 ……。 俺は最後の光景を思い出し、思わず顔がにやけてしまう。 あの絶望で満ちた顔に、俺は溜飲が下がる思いだった。 さて。 業務用かき氷機の方を見る。 「おじさんゆっくりじゃないねっ! 早く外してねっ!」 さっきは喋らなかったので、ちょっとは学習したかと思いきや、時間が経つとまた水色は喚き始めた。 ……やっぱり、馬鹿だから数分で忘れたんだな。 それだけ忘れられたら、人だと幸せに生きられるんだろうが、水色が忘れても鬱陶しいだけだ。 しかし、どうするか。 全部削って食べるのは流石に辛い。 いっそ、削ってそのまま流しに捨てるか。 水色を処分する方法を考えながら、取りあえず腹が減ったので俺は洗い場の方へ向かう。 「ちょっとむししないでよっ! アタイはむしたべるんだからねっ!」 ……。 一瞬、無視なんて知っていたのかと思ったが、やっぱり馬鹿は馬鹿だった。 何かないかと食材を探し始める。 えーと、何か食えるものが……。 ……あ。 「だからむししないでっ! アタイたべちゃうよっ!」 ……うん、面白そうだな。 俺はその場から離れると、今度はかき氷機に近づいていった。 「ゆっ?」 「わかったわかった助けてやるよ」 頭についたレバーをゆるめ、水色を動けるようにする。 途端、水色は俊敏な動きで逃げ出していた。 「ゆっ! ようやくアタイがゆっくりだってわかったみたいね!」 だから、その速さのどこがゆっくりなのかと。 「でもおじさんはゆっくりじゃないねっ! アタイそろそろかえるよっ!」 「ああ、帰るのか?」 「ええ! ゆっくりじゃないおじさんはとっととれいとうはそんされてね!」 破損してどうする。 「残念だな。せっかくエサを用意してたんだが……」 言った瞬間、水色がこっちを見ていた。凄い食いつきだな……。 「エサっ? アタイしたにはうるさいよっ!」 「ああ、ゆっくりには美味しいって絶賛されているものがあってね。それなら満足できると思ったんだ」 ゆっくりに絶賛と聞いて興味が惹かれたらしい、さっきまでとは打って変わって瞳が輝いている。 「いいよっ! ゆっくりたべてあげるねっ!」 「そうかい、それじゃちょっと待ってな」 俺はまた洗い場へ引き返す。 水色に与える食材を手に取り、そのまま引き返してきた。 「それじゃ今から目の前に置くから、ちゃんと凍らせろよ」 「もちろんだよ! アタイに任せておいて!」 顔を張って自信満々に言う。 俺は手を開き、素早く食材を置いた。 水色の顔が膨らみ、瞬間冷凍しようと冷気を吐く。 しかし、食材が凍ることはなかった。 「ゆっ?」 「なんだ、凍らないみたいだな」 食材は水色よりも小さいながら同じゆっくりだ。しかしゆっくりカエルを食べていた水色には特に疑問はないらしい。特に気にせず、どうして凍らなかったのかを考えている。ああ、馬鹿でよかった。 「まぁいいじゃないか。そのまま食べてみたらどうだ?」 「もちろんアタイそのつもりだよっ! おじさんはだまってて!」 はいはい。 言われた通り黙っておくと、水色は躊躇せず大きく口を開けて、そのゆっくりを飲み込んだ。 「もぐもぐ」 「……」 「もぐもぐ……っ!?」 突然、口を開いたまま水色が痙攣し始めた。 「どうした? 美味しくないかっ?」 「ちがうよっ! アタイゆっくりだよっ!」 なんか慣れたな。 「お、おじさんっ!」 「なんだ?」 「あ、熱いよっ! すっごくあつじっ!?」 水色が最後までいい終わらないうちに、食べたゆっくりは水色の頭を通って中からはい出てきた。 「もこーっ!」 それは、ゆっくりもこうだった。 やっぱり、中で燃えると溶けるもんなんだな。 「あ、あああああああああっ!」 水色の痙攣は止まらない。もこうはそのまま水色の頭に乗って燃え続けている。 「もっこもこにしてやるよっ!」 「とける、アタイとけちゃうっ!」 もう頭の上部分は完全に溶けて、俺の家の床を水浸しにしていた。あとで掃除しないとな……。 「おじさんっ! 水っ! 水ちょうだいっ!」 「水ならそこの壺に入ってるぞ」 言い終わった途端、壺に向かって飛んでいく。 しばらくして、水色の大きな声が聞こえてきた。 「なかからっぽだよぉおおぉおおおぉおおぉっ!」 そりゃな。もったいないじゃないか、水が。 俺は両手でしっかり抱え、そのまま壺に向かっていく。 中を覗き込むと、もう半分近く溶けきった水色がそこにいた。 「お……おじさ……アタイ……」 「何だかさっきよりゆっくりしてるなっ!」 「……ち、ちが……」 「そんなお前にプレゼントだ。受け取ってくれっ!」 水色の上へ抱えていたものを落としていく。 抱えていたのは大量のゆっくりもこうだった。 「あ……」 「もこたんいんしたおっ!」 全員が一斉に炎を纏う。 「……あた……」 あっという間に、水色は溶けきって水に変わっていた。放っておけば蒸発し、跡形もなくなくなるだろう。 俺は安心と落胆でため息をついた。 やれやれ、もうちょっと使えると思ったんだがなぁ……。 もこうは一定時間炎を纏う。出せる時間に制限があるものの、物を燃やす時はかなり便利だ。 俺は使えるゆっくりはちゃんと使っていくが、使えないゆっくりほど邪魔なものはない。 いいゆっくりは、使えるゆっくりだけだ。 さて……。 改めて飯を食おうと、洗い場へ近づいていく。 「もこーっ」 そこに残っていたゆっくりもこうが、元気な声を上げていた。 End ゆっくりちるのをゆっくりもこたんで溶かしたかった。 すっきりー。 by 762 このSSに感想を付ける