約 1,995,279 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/631.html
※これは東方求聞史紀を基にしたパロディです。東方求聞史紀とは稗田阿求が編纂した幻想郷についての書物です。 つまり書いているのは阿求という設定です。 ※虐待成分は皆無に等しいです。 ゆっくり ~動くなまもの~ 主な危険度 極低 遭遇頻度 激高 多様性 高 主な遭遇場所 どこでも 主な遭遇時間 いつでも 能力 人を苛立たせる程度の能力 人間友好度 最悪 主な活動場所 どこでも ◆特徴◆ 一見すると人間の生首。 それもかの博麗霊夢や霧雨魔理沙らなど幻想郷における有名人の顔に似ているのである。 しかしそれは外見的特徴だけであり、よく見れば全然似てないし性格も口調も行動理念もまるで似ていない別物である。 しかしてその正体は饅頭。皮の開いたその体の中には餡子がびっしり詰まっている。それ以外の内臓器官は無い。どうやって動いているのか甚だ疑問だ。 他にも中身がクリームであったり納豆であったりする種類もいる。もちろん食べられる。 表皮は弾力性があり跳びはねて移動をする。底部、つまり本来の生首なら首があるべき場所を焼くなどして弾力性を奪ってやれば動けなくなる。また水によく溶ける。 体長は様々でプチトマトサイズのものもあれば二米(メートル)を超える巨体も存在する。 また基本生首だが希に胴体付きの個体も居る。 その場合の大きさは妖精程ではあるが、明らかに頭が大きすぎるので不恰好だ。 妖精を超えるのではないかと思われる数の多さ故かどこにでも現れるが主な生息場所は小さな虫や背の低い草花がよく育つ自然豊かな場所であることが多い。 人里でゆっくりの姿を見かける場合、それは人間の食物を目当てとした野生のゆっくりか、人間に飼われているゆっくりである。 活動時間は朝早く起き昼間に活動し夜になれば眠るという人間とほぼ同じ時間帯。 寒さに弱いらしく冬は餌を溜め込んだ巣に篭って越冬するようだ。 寿命についてはまだ明らかにされていない。 子猫よりも弱い存在でありながら危機察知能力が皆無な上に妖精よりも死を恐れないように見える無鉄砲な行動をとるため、ほとんどの個体が寿命を迎える前に死ぬからだ。 だが繁殖能力は方法は数種類ある上に極めて高く、早いものなら一日二日で平均五匹以上もの子供を残すことができるという。 その繁殖能力の高さが未だにゆっくりが絶滅しない要因ではないかとされている。 一部の個体は人間の成人男性を超える力を持っていたり、大規模なコミュニティを形成しているものもいる。 ゆっくりの中身はそれぞれ異なることが多いが、全てに共通して食物であるためよく人間や妖怪、妖精に食べられる。 ストレスを与えると餡子が美味しくなるという特性とその数の多さからゆっくり加工所なるものが出来るぐらいだ。 主な食事は蝶やダンゴムシ、百足といった虫類や小さな草花である。 人間が食べるものはほぼ全部食べる。そのため人里へ人間の食べ物を目当てにやってくるゆっくりもいるが、人間の食べ物はゆっくりにとって贅沢すぎる物である。 そしてこの種の最大の特徴が、その名にもなった「ゆっくりしていってね」という言葉である この言葉はこの種の間で挨拶のように日常的に使われており、また常に自分達が「ゆっくりする」ことを目指しているようだ 彼女(彼)らの間での「ゆっくりする」ということがどのよう意味なのかかは厳密には分かっていないが、「自分たちの欲求、要望がまかりとおる」ことであると認識しておいて間違いは無いだろう ◆目撃報告例◆ 道端でケガをして動けなかったゆっくりがいたから手当てをして野生に返してあげた(匿名) 何故殺さなかったんですか 畑の野菜を収穫しようと畑にいったらゆっくり達に野菜が食い荒らされていた(野菜一筋) もちろん殺しましたよね? 家を少し留守にしていただけなのに帰ったら家でゆっくりが交尾していた(魔法の森の人形遣い) もちろん殺しましたよね? 紅魔館の主の名を騙っていたので屠殺しておいた(レミリアファンクラブNo1) よくやりました ◆被害内容◆ ※食料を目当てとした窃盗※ ゆっくりによる被害の最たるものの一つが畑荒らしだ。 どこから知りえたのかゆっくりは人里には食料、主に野菜が多くあることを知っている。 そのため頻繁に人里にやってきては畑に侵入し無断で野菜を貪り散らす。 そのような事をしたゆっくりを生かして逃がしてしまった場合味を占めて再来するか、他の仲間を引き連れてくる恐れがあるので注意して殺さねばならない。 ※住居無断侵入及び無断占拠宣言※ 畑荒らしに並んで多いとされるのが住居の無断侵入だ。 ゆっくり達は総じて本人達曰く『ゆっくりプレイス』なる自分達が安全にすごすことの出来る巣を求めている。 その結果が住居無断侵入及び無断占拠宣言だ。 これは主に家主が留守にしている間に侵入できる場所から、無かった場合自分で作って侵入する。まれに住居内に家主がいる場合にも侵入することがある。 侵入した後はその住居を自分たちの巣だと思い込み、実際そのように振る舞い、宣言をする。この時餌を目当てとした場合も多く、住居内食料を食い荒らされる場合もある。 例え本来の家主が帰ってきてもここは自分たちの巣だと頑なに言い張る。あまつさえ本来の家主をまるで奴隷のように扱う始末である。 ◆対処法◆ 畑や住居の被害は主に留守中に起こる。ずっとその場所に居ることは出来ないので、ゆっくりが侵入できないようにするのが最も一般的だ。 主には畑の周りに柵を設けたり、住居の出入り口全てをゆっくりでは開けることが出来ないようにしたり、窓ガラスを強いものに代えたりだ。 他にも畑ゆっくりにとっては毒物となる疑似餌をおいておくのも効果的である。ゆっくりはそれに満足して巣に持ち帰り、そのまま巣で死ぬからだ。 直接的な戦闘能力など無きに等しい。人間や妖精はおろか猫にだって殺せるぐらいだ。 捕獲は方法を選ぶことなく容易にできるだろう。素手で捕まえても籠に入れても透明の箱に入れてもいい。 もし捕まえることができたのならば日ごろの、及びゆっくりによって与えられた鬱憤を晴らすといい。 物心ついた人間ならば楽に勝てるであろう。 一部の賢しい個体は仲間を売って自分だけ助かろうとしたり、家族を躊躇なく殺したりするが、平等に全員殺してやるのが一番だ。 ────── あとがきみたいなもの 求聞史紀にゆっくりが載ったら~、という妄想で書き連ねました。 求聞史紀を参考に書きましたが阿求らしさが出ていないかもしれません。 作者が他に書いたもの:ゆっくり合戦?、ゆッカー? このSSに感想を付ける0
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2613.html
注意 ※「ゆっくりしんぶん <1面>」の続きです。 ※確実に罪の無いゆっくりが・・・。 「ゆっくりしんぶん <2面>」 今朝も巣穴の出口に日の光が差込み始め、普段なら元気な長女まりさの声が巣穴に響き始める頃だった。 その日ゆっくり一家のほとんどが悪夢に悩まされ、十分に睡眠をとる事ができなかった。 「ゆうぇぇぇぇぇん!! おきゃーしゃんこわきゃったよぉぉぉおお!!!」 「大丈夫だよ、おちびちゃん。今日もおかあさんとゆっくりしようね。ゆっくり・・・ゆっくり・・・」 「おきゃーしゃぁぁぁん!! いぎでいだんだねぇぇ!!!」 「もうブチュゥゥゥいやあぁぁぁぁあ!!!」 「ゆっくりだいじょうぶだよ・・・。ゆっくり・・・ゆっくり・・・」 子ゆっくり達は親ゆっくり2匹に飛びつき、わんわんと泣きじゃくっていた。 親ゆっくりは子ゆっくりの流す涙をペロペロと舐めとってやった。 「ゆ!! みんな悪い夢の事は忘れて、ごはんを食べて元気になるよ!!」 「ゆぅぅぅ!♪ まりさおなかいっぱいすいたよ!!」 「れいむもいっぱい食べるよ!!」 「ゆっくりわかったよ。きょうはおかあさん、いっぱいごはん採って来るね!!」 「やったー!! おきゃーしゃん、いってらっしゃい!!」 そうして親まりさは巣の出口へと向かった。 そして昨日と同じ、きれいに畳まれた紙束を発見するのだった。 「ゆぅぅぅ・・・」 昨日の衝撃を完全には忘れる事が出来ず、その紙束に不安を覚える親まりさであったが、 「ゆっくりよんでね!!ゆっくりしんぶん!! きょうも ゆっくりできるニュースが いっぱい!!」 というコピーと昨日とは違う可愛いイラストを目にすると、そんな気持ちもすっかり吹き飛んでしまった。 親まりさはその紙束を咥えると、巣の奥へと引き返した。 「ゆ? おきゃえりなしゃい、おきゃーしぁん! おいちいごはんいっぱいとれた?」 葉っぱを咥えて朝食の準備を始めたばかりの末っ子れいむが、期待に満ちた笑顔で迎える。 実際には親まりさは巣の外にすら出ていない。 「ゆっくりこんな物を見つけたよ!みんなで見ようね!」 親まりさの声に一家が集まってくる。 「「「「「「ゆぅぅぅ・・・」」」」」」 はじめは親まりさと同様に不安を隠せない一家であったが、紙テープに書かれたコピーと イラストを目にすると「ゆっくりみんなで読もうね」と嬉々として新聞の周りに輪になった。 『ゆっくりしまい ビーだまと たわむれる』 「「「「「「「ゆぅーー!♪」」」」」」」 見出しの横には、水槽に敷き詰められたビー玉の中にまじり、3匹のゆっくり達がはしゃぐ写真が掲載されていた。 『さくじつ ×□さんのおうちで ゆっくりビーだまであそぶかい がひらかれました。』 「ゆわぁーー!!! きれーーーーぃ!!!」 「ビーだまさんキラキラしてるぅ!!」 「まりさもビーだまさんとあそびたい!!」 「れいみゅもキラキラコロコロしちゃいよ!!」 「とってもキレイキレイだね。それじゃあ次のページをめくるよ。」 そう言って親まりさは紙面をめくった。 「「「「「「「ゆぎゃあぁぁぁぁああああっぁぁぁぁ!!!!」」」」」」」 さもありなん。そこに広がった光景は昨日のものにも匹敵する惨状だった。 昨日と同じように”一盛り上がり”した一家は、ゆっくり急いで紙面をめくった。 『きょうの ゆっくり いっく』 『きょうもまた かえってみたら だいさんじ』 (□□県 26歳 男性 会社員) 「ゆぃ?」 『こまりさの ちいさなあなるが きもちいい』 (××村 3ヶ月 女性 とはいは) 「ゆごぇ??」 『ブチブチと れいむのかみを ぬきとるぜ』 (○○都 20歳 女性 フリーター) 「ゆげぇ!??」これにはさすがに反応したようだ。 『やめてよね そんなしぐさが にくらしい』 (○×県 24歳 男性 HPデザイナー) 「ゆうぇうぇ・・・」 「やっぱりゆっくりできないよ・・・」 相も変わらずゆっくり一家は、その胸中にモヤモヤとした不快感を覚え、記事を読み進めた。 『ありすの とかいは てくにっく』 「ゆぅ?」 そんな見出しと共に、可愛いゆっくりありすのイラストが描かれている。 昨日ならここで『きょうの あかゆっくり』が掲載されていたのだが、今日は違うコーナーが掲載されていた。 赤ゆっくりを見るのが楽しみだった一家であったが、とりあえず読んでみる事にした。 『とかいはありすは れんあいじょうず。きょうはそんなありすの 「とかいはれんあいテクニック」をおしえてあげる。 まず、はじめてのであいは 「うしろから」。あたりまえのように まえからであっても トキメかないわ。 おもいのダーリンをみつけたら きづかれないように うしろからアタック!! 「であいはとつぜんに」がコツよ。 こんかいはここまでね。じかいのつづきを ゆっくりまってね。』 その横には、ありすが他のゆっくりに後ろから飛び掛るまでを再現した4コマ風のイラストが添えられていた。 「ゆぅ、とかいはなありすはこんなテクニックで恋愛してるんだね。」 「まりさは何も考えず、前かられいむにアタックしちゃったよ。アハハ」 「もうっ! まりさったら!」 赤くなる親ゆっくり二人。 「ゆぅ・・・。れんあいってむずかしそうだよ・・・。」 「大丈夫だよ。おちびちゃん達も大きくなったら恋愛できるようになるよ。」 「ゆ!! まりさもがんばって、いっぱいダーリンつくるよ!!」 そんな会話を交わしながら、親まりさはゆっくり紙面をめくった。 『きのうの あかゆっくり』 最後の紙面の見出しにはこう書かれていた。 昨日のコーナーと少し名前は違うが、赤ゆっくりを楽しみにしていた一家にとっては些細な事だった。 「ゆわった~~!! あかちゃんにまたあえるよ!!」 「きのうのあかちゃん、げんきにしてるかな?」 「れいみゅも、あかしゃんといっしょにコロコロしゅるよ!!」 待ち望んでいたコーナーに、一家は笑顔で記事の周りに集まる。 間近で赤ゆっくりの写真を見ようと思っていたのだが・・・。 「「「「「「「ゆぐうぇええええええぇぇぇぇぇぇ????!!!!」」」」」」」 「な゛ぁぁに゛こべぇえええええええぇぇぇぇぇ!!!!!」 そこには”昨日号に掲載された『きょうの あかゆっくり』5匹”の変わり果てた姿の写真が並んでいた。 ある1匹は何本もの釘で貫かれ、ある1匹はぐちゃぐちゃに潰され、ある1匹の顔面は溶けてただれ落ちていた。 どうみても5匹とも無事では済まない状態だった。 「あがぢゃんがぁぁぁっ!!! あがぢゃんがぁぁぁぁぁ!!!」 「どぼぉぉぉぉじでぇごんなごどずるぼぉぉぉぉぉっ!!」 「ゆぼげぇぇぇぇ!! ゆぼげぇぇぇぇ!!!」 再び一家の心は奈落の底に突き落とされ、親まりさはゆっくり急いでその新聞を巣の外に投げ捨てた。 「ゆうぇん・・・、ゆうぇん・・・」 子ゆっくり達が泣き止んだ頃だった。親れいむが一つの提案をする。 「ゆゆっ・・・。きょうはみんなでピクニックに行こうね。」 「ゆぅー!! まりさも賛成だよ。みんなお外で元気になろうね!!」 「「「「「ゆぅっ・・・!!」」」」」 久々の「ピクニック」という単語に反応する子ゆっくり達。 徐々に元気を取り戻した一家は、親まりさを先頭に、親れいむを最後尾にして1列に並んで巣を後にした。 「「「「「「「ゆぅ~♪ ゆゆ~♪ ピ~クニ~~~ク~~♪」」」」」」」」 一家揃って歌いながら森の中を進む。目的地の大きなどんぐりの木の下に着く頃には、皆いつもの元気を取り戻していた。 どんぐりの実をおなか一杯にたいらげ、子ゆっくり達は仲良く「だるまさんがゆっくり」をやって遊んでいる。 そんな子ゆっくり達の様子を、親ゆっくり2匹は寄り添って眺めていた。 子ゆっくり達が「だるまさんがゆっくり」にも飽きて、次の遊びを考えていた、その時だった。 すぐそばの茂みがガサガサと音を立てたかと思うと、キラキラと光るいくつかの球体が、 子ゆっくり達の輪の中へと飛び込んだ。 「ゆゆゆ!??」 親ゆっくり達は、はじめ危険な捕食動物かと身構えたが、よく見るとそれは5つのビー玉だった。 「ゆゆぅーー!! ビーだまさんだよ!!」 「ゆわぁーーー!! きれーーーぃ!!!」 子ゆっくり達は初めて見るビー玉に歓声を上げた。 しかし喜びもつかの間だった。 今朝見た新聞の記事が、ゆっくり一家の脳裏に蘇る。 「おぢびぢゃんだぢぃぃぃぃ!!!! にげでえええええぇぇぇぇ!!!」 「ゆぎゃあぁぁぁぁん!!!! ビーだまざんごないでぇぇぇぇ!!!」 「ゆぎいいいいい!!! ビーだまざんに裂かれぶぅぅぅぅぅぅ!!!!」 「ゆわぁぁぁん!! ゴロゴロはいやぁぁあぁぁっ!!!」 今朝の記事が相当ショックだったのだろう、ゆっくり一家は散り散りばらばらに逃げていった。 長女まりさはカタツムリより早く、ウサギよりも遅い速さで茂みの中を跳ね抜けていた。 跳ねつかれて、立ち止まった長女まりさは、家族の姿がどこにも見当たらなくなっている事に気がついた。 「おかーーーさーーーん!! れいむーーーー!! どこーーーー???!!」 返事は返って来ない。 突如一人ぼっちになってしまい、泣き出したい気持ちに駆られる。 しかし長女まりさはそれを我慢して、来た道を引き返す事にした。 「おね゛ぇぇえ゛しゃぁぁぁん!!! おぎゃぁぁぁじゃぁぁぁん!!! ゆわ゛ぁぁぁぁぁん!!」 しばらく進んでゆくと、茂みの向こうから末っ子れいむの泣き叫ぶ声が聞こえてきた。 「も゛ういや゛ぁぁぁぁぁ!!! おうぢがえるぅぅぅぅぅぅ!!!!」 「れいむぅぅぅぅっ!!! まっててね!! いまいくよーーー!!!」 「ゆわぁぁ?? ばりざおねぇぇじゃあぁぁぁん??!! だずげでぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 茂みの中を跳び抜けた長女まりさは、わんわんと泣き叫ぶ末っ子れいむの姿を見つけた。 「れいむぅ!!もうだいじょうぶだよ!!おねぇさんが・・・、ゆわっ???」 末っ子れいむの横には2本の長い足がそびえ立っていた。 長女まりさが初めて見るその足を見上げると、そこには一人の青年がこちらを見下ろして微笑んでいる。 青年の握る指の隙間からはキラキラと光る球体が覗いていた。 思い思いに逃げ回っていたゆっくり一家だったが、 親ゆっくり達の呼びかけで、なんとかどんぐりの木の下に集まる事ができていた。 しかし長女まりさと末っ子れいむの姿が見当たらない。 「ばりざぁぁぁぁ!!! れいぶうぅぅぅぅ!! どごおおおおぉぉぉ???!!」 「おぎゃぁぁぁさんはごごだよお゛おおおおぉぉぉぉ!!!!」 「「「おねえええじゃぁぁぁん!!! れいぶぅぅぅぅ!!! ぼうでできでねぇぇぇぇ!!!」」」 必至に呼びかける一家であったが、2匹の声はどこからも聞こえてこない。 やがて日も傾き始め、一家は已む無く巣へと帰っていった。 日が沈んでからも、一家は巣の中でわんわんと泣き続けた。 その夜、2匹の姉妹が巣に戻る事は無かった・・・。 翌朝。 ゆっくり一家は絶望の空気に包まれていた。 元気に姉妹を起こしてまわる、長女まりさの声も聞こえない。 最後まで起きない、寝ぼすけ末っ子れいむの姿もそこには無い。 「ゆぅ・・・。まりさぁ・・・、れいむぅ・・・。」 「・・・・。まりさはごはんを採って来るよ・・・。みんなげんきだし・・・て・・・」 「・・・・・。」 親まりさはそれ以上何も言わず。巣の出口へと向かった。 そこには昨日までと同じ様に、新しい新聞が置かれていた。 「ゆぅ・・・」 新聞を止める紙テープには、 『ゆっくりよんでね!!ゆっくりしんぶん!! きょうも げんきがでるニュースで いっぱい!!』 と書かれていた。 もしかしたら、本当に元気がでるニュースがあるかも知れない。 そう考えた親まりさは、その新聞を咥えて巣の奥へと引き返した。 「・・・・・。」 無言で紙テープを解く親まりさ。 他の家族も少し離れたところでその様子を見守る。 『○△さんちの ゆっくりありす 1さいのたんじょうびパーティー』 その記事は○△さんの飼うゆっくりありすが1歳の誕生日を向かえ、近所の飼いゆっくり達を集めて 誕生日パーティーを開いたという愛で記事だった。 最後まで、幸せそうなゆっくりありすと、招待された飼いゆっくり達の楽しげな様子が伝えられていた。 「ゆぅ・・・。ありす、ゆっくりできて良かったね。」 「みんなとてもゆっくりしてるよ・・・。」 「おっきなケーキさん、おいしそうだよ・・・。」 「おちびちゃん達も、もうすぐ誕生日だね。」 実際には生まれて3ヶ月も経ってない。 「おちびちゃん達も、お母さん達がお誕生日パーティーを開いてあげるよ。」 「その時はきっと、お姉ちゃんもれいむも一緒にね。」 「「「ゆっ!!ほんとうに!?ありがとうおかーさん!!!」」」 親ゆっくり達の言葉に、少しだけ元気を取り戻した子ゆっくり3匹。 今日の記事は愛でニュースで占められ、ゆっくり一家はゆっくりと記事を読み進めた。 『きょうの ゆっくり いっく』 「・・・・。」 『ぱちゅりーの ことわざ じてん』 「ぱちゅりーは物知りだね。」 『きょうの あかゆっくり』 「「「「「ゆわわぁぁぁ~!!」」」」」 そこには、先日の赤ゆっくりとは別の赤ゆっくり5匹が、幸せそうな顔で写っていた。 知る人が見れば、それは「死の宣告」以外の何物でもなかった。 「ゆぅ~!! みんな可愛いね。」 「みんな”てんしさん”みたいだね。」 「おちびちゃん達もおかあさん達の”てんしさん”だよ。」 可愛い赤ゆっくり達の写真を見ていると、ふと、いなくなった2匹の姉妹の事が思い出される。 「まりさぁぁ・・・・、れいぶぅぅぅぅぅああああああぁぁぁん・・・」 「おかーさんなかないでぇ、まりさたちもかなしぐ・・ぅぅううぁぁぁぁぁぁぁん!!」 滝のように涙を流し、泣き出す一家。 ひとしきり泣き続けると気も落ち着いたのか、一家は再び新聞を読み始めた。 親まりさが最後の紙面を開くと、そこには目を疑う写真が掲載されていた。 「ばりざっ?!!!!れいぶ??!!!」 「「「「ゆわわっ?!!!」」」」 一家は最後の記事に釘付けになった。 『さがしています』という見出しの下に、何故か黒いビニールテープで目隠しをされた、 長女まりさと末っ子れいむが『ゆっくりしんぶん』デビューを果たしていた。 普通、捜索願いの写真を掲載する場合は、その人が無事な時の写真を掲載するのが常識である。 写真中の姉妹は明らかに強制的に目隠しをされており、これではまるでテロリストの脅迫状だった。 しかしそんな深い事は餡子脳では考える由も無く、写真からは2匹が生きている事が確認できた。 それだけでも一家にとっては朗報だった。 「ゆわぁぁん!! ばりざもでいぶも生きでるんだねっ!!!」 「「「おねえぇぇぇぢゃぁぁぁん!!! れいぶぅぅぅぅぅ!!!!」 「みんなゆっくり落ちついてね!! ゆっくり読むよ!!!」 そう言って親まりさが記事を読み進める。 『さがしています』 (写真) 『そーさくねがい まりさとれいむの かわいい しまいが いなくなったよ みつけたひとは ゆっくり おしえてね!!』 もちろんこのゆっくり一家には捜索願いを出した覚えなどなかった。 しかしどこかの誰かがこの事に気づいて、代わりに「そーさくねがい」を出してくれたのだろう。 そのどこかの誰かに一家は感謝した。 「ありがどうございまずっ!! ありがどうございばずぅぅ!!!!」 「ゆわぁぁぁん!! おねえちゃんたち、いきてるんだね!!!」 「これならすぐに二人も見つかるよっ!!!」 「みんなでゆっくりして待ってようね!!」 思いがけない報せに、一家に活気が戻ってきた。 その日の午後、近所に住む別のゆっくり一家がやって来て、自分達も協力する旨を伝えてきた。 「ゆっくりありがとうね!! ゆっくりありがとうねっ!!」 「『ゆっくりしんぶん』のおかげだね!!」 その一家はこの後「ゆっくりポスタルパークに行く」と言い残して巣を去った。 協力すると言っておいて、さっそく遊びに行くとは何事か。 しかしながら親まりさ達は着実に「そーさくねがい」の効果がでていると確信した。 翌朝。 親まりさはゆっくり急いで『ゆっくりしんぶん』を取りに行った。 しかしこの一家、朝飯喰わなくていいんだろうか・・・。 『ゆっくりしんぶん』を咥えて巣の奥へと戻る親まりさ。 「みんなぁ!! ゆっくり読むよ!!」 新聞の周りに集まる一家。親まりさが紙テープを破り、新聞を開く。 『ゆっくりしんぶん ○月△日号』 『まいごの ゆっくりしまい みつかる!!』 と1面の見出しを読んだ家族は、歓喜の声を上げて、はしゃぎ回った。 親ゆっくり2匹は、わんわんと泣いて喜び、 次女の子まりさに至っては、巣の外まで跳ねていってしまう喜びようだった。 「ゆわったぁー!! やったね、おかーさん!!!」 「ゆっくりよかったよ!! ゆっくりよかったよ!!! ゆぐっゆぐっ・・・」 「おねーちゃんたち、みつかってよかったねっ!!」 しかしである。しかしである。 当の一家の前に、いなくなった姉妹の姿は無かった。 「ゆぅ?・・・おねーちゃんたちどこ??」 シーン・・・と静まり返る巣の中。 「ゆ? ゆっくり待ってね。ゆっくり続きを読むよ。」 再び新聞の周りに集まる一家。 『おととい まいごになった にひきのゆっくりしまい(写真1)が さくじつ みつかりました。』 (写真1)には、妹をかばって頬を膨らます長女まりさの姿と、 その影から覗く末っ子れいむの姿が写されていた。 「「「「ゆー!!やったぁぁぁぁー!!」」」」 再び一家から歓声が上がる。 『にひきは それぞれ とうめいなはこに いれられていました。(写真2)(2面につづく)』 (写真2)の中では、2匹はそれぞれ別の透明な箱に入れられて並べられている。 箱のサイズは子ゆっくりにとっては大きく、いくらかの余裕があった。 写真右の箱には長女まりさ、左の箱には末っ子れいむが入れられていた。 しかし安い印刷のため、ゆっくり一家には透明な箱がよく見えない。 泣き叫ぶ末っ子れいむと、怒りを爆発させた長女まりさの顔がこちらを向いていた。 「ゆゆゆ??」 「ゆぅ? おねーちゃん「ドッカーン」してるよ!!」 「れいむもすっごく、こわがってるよ。やめてあげてね・・・」 「れいむのかわいいおちびちゃん、どうしたの?? ゆっくり喜んでねっ!?」 せっかく見つかったというのに、2匹がこんなにも怯えている理由が ゆっくり一家達にはわからなかった。 親まりさは、早く娘達に会いたいと紙面をめくった。 2面には5枚の写真が掲載されていた。 (写真3) 写真のアングルは(写真2)と同じだったが、長女まりさの両目には 1本ずつ赤い筒のような物が刺さっていた。 さらにその口には同じく赤い筒がありったけに詰め込まれ、 そこから伸びたひもに火がついているのが確認できた。 となりの箱では末っ子れいむが、長女まりさの入った箱の方に顔面を押し付けて、 凄まじい形相で泣いている。 「「「「「ゆぎゃああぁぁぁあぁぁわぁぁぁあっ!!!!!!!!!!」」」」」 「なにごれべえええぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 「おげええぢゃんがぁぁぁ!!! おげええぢゃんがっぁぁぁぁ!!!」 「やべであげでべっ!!! やめであげでげっ!!!」 (写真4) 右の箱の中では閃光に包まれた餡子の塊が炸裂していた。 左の箱では、驚いて反対側の壁まで吹っ飛んだ末っ子れいむが転がっていた。 「ばりざのがわいいおぢびぢゃんがぁぁぁっぁ!!!」 「でいぶのがわいいおちびぢゃんがぁぁぁっぁ!!!」 親ゆっくりは必至に叫びながら、記事の上で跳びはねる。 子ゆっくり達は目の前の光景に反応が追いつかず、泣いた表情のまま固まっていた。 15秒ほどすると、ふたたび声を上げ始める。 (写真5) 右の箱は餡子が飛び散り、中の様子が分からなくなっている。 代わりに今度は左の箱の上の方から、黒く長い物体が進入してきているのわかった。 それは末っ子れいむの5倍もの大きさのムカデであった。 写真手前の壁に背中を寄せて怯える、末っ子れいむの後姿が確認できた。 「でいぶぅぅぅ!! にげでえ゛え゛え゛えぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」 「でいぶにはぶりだよぼおおおおおああああああ!!!!」 「「「ゆぎゃあああああああ!!」」」 (写真6) 左の箱の真ん中では、末っ子れいむがムカデに雁字搦めにされて食べられていた。 すでに左半分を失っている。 「でいぶうぅぅぅx!!! でうぶぅぅっぅぅ!!!」 「ブカデざあぁぁん!!! じねえええぇぇぇぇぇぇ!!!」 「やべであげでねぇ!! いだがっでるよぉっ!!!」 「がわいいいぼうどがぁぁぁぁぁ!!!」 「どうじでにげないのおぉぉぉぉぉっ!!!!」 (写真7) 左の箱に末っ子れいむの姿は無く、ムカデが箱から出たそうに壁をよじ登っていた。 箱の角には小さな赤い髪飾りが転がっていた。 『ゆっくりしてたら たすけるのが まにあいませんでした。 (写真3)(写真4)(写真5)(写真6)(写真7)』 「「「「「ゆがあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」」」 親まりさは記事の上で跳びはね、『ゆっくりしんぶん』を押し潰そうとした。 それが叶わないとわかると、今度は『ゆっくりしんぶん』の端に齧りつき、ブンブンと振り回す。 ビリビリと破れる『ゆっくりしんぶん』。 「ごれでもがぁぁぁ!!! ごれでもがぁぁぁぁ!!!!!」 やり場の無い怒りを『ゆっくりしんぶん』にぶつける親まりさ。 『ゆっくりしんぶん』はズタボロに引き裂かれていった。 子ゆっくり3匹は、仲良く並んで力一杯に巣の壁にその身を打ちつけていた。 「「「ゆばげぇぇぇっ!!! ゆばげぇっ!!!! ゆぼがぁぁっ!!!・・・」」」 親れいむはと言うと、子ゆっくり3匹の隣で、同じくその身を巣の壁に打ちつけていた。 「お゛ぢびっ!! ゆがっ!! ぢゃん!!! ゆぐぅっ!!! がぁっ!!! ゆべっ!!・・・」 親まりさはビリビリに破れた『ゆっくりしんぶん』の破片を集めると、巣の出口へと向かった。 「も゛ぉぉぐるなあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」 巣の外に『ゆっくりしんぶん』の破片をぶちまけた親まりさは、 散乱する破片に向かって怒りの限りに叫んだ。 そして「ゆぜぇ・・ゆぜぇ・・・」と息を荒げたまま、巣の奥へと戻っていった。 巣の外に散乱する『ゆっくりしんぶん』の破片に、一粒の灰色の染みができる。 空は雲に覆われ、ゆっくりと雨が降り始めていた。 翌朝。 外はゆっくり一家の心境を映したかのような激しい大雨だった。 ゆっくり一家は丸1日何も食べていなかった。 壁にその身を打ちつけていた子ゆっくり3匹は、皮肉にも同じく壁に頭をぶつける事で正気を取り戻した 親れいむによって、なんとかその一命をとりとめていた。 しかしながらその内の1匹はもはや虫の息だった。 「・・・・・ゅぅ・・・・・。」 「・・・・・。」 「・・・・・。」 「「・・・・・・。」」 巣の中には、ザァァァ・・ザァァァ・・ザァァ・・・・と雨の音だけが虚しく響き渡る。 親まりさは無言で巣の出口に向かった。 「・・・・・。」 巣の外の紙片は無くなっており、 出口にはビニール袋に入れられた紙束が置かれていた。 「・・・・・。・・・・・ゅぅ?」 ふと親まりさはそのビニール袋の横に、二つの物体が置かれているのに気がついた。 近づいて見ると、それは破れた小さな黒い帽子と、さらに小さな赤い髪飾りだった。 見間違えようが無い。それは長女まりさと末っ子れいむの物だった。 出口でワナワナと震える親まりさを不安に思ったのか、親れいむと2匹の子ゆっくりが巣の奥から出てきた。 そしてそこに置かれた、2つの見覚えのある物体に気がついた。 一家4匹は揃って、暗雲に覆われた天を仰いだ。 そして大きく口を開いて・・・・。 別にのどが渇いて雨を飲もうとした訳ではない。 一家の叫び声を激しい雨の音が打ち消していった・・・。 おわり ※おまけ※ 『ゆっくりしんぶん』○月△日号1面下部 お詫び より (昨日号の『さがしています』記事内にて、誤って別の画像が掲載されておりました。) (編集者の餡子脳をゆっくり反省すると共に、ここにゆっくりお詫び申し上げます。) (修正したけどまだまだありそう・・・。) 今まで書いたもの 「おでんとからし ~おでん~」 「おでんとからし ~からし~」 「トカゲのたまご ~たまご~」 「トカゲのたまご ~とかげ~」 「ゆっくりしんぶん <1面>」 「ゆっくりしんぶん <2面>」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/740.html
俺とゆっくりの話 2の続きです 善良なゆっくりがいます 注意 「ふふふ…れいむ、いままりさがすっきりさせてあげるからね…」 「Zzz…Zzz…」 ゆっくりとれいむに忍び寄るまりさ しかしもう少しというところで後ろの戸が開いた 「ゆゆっ!?」 「なんだおまえ、まだ起きてたのか?」 あのおじさんだった、なんで寝てないんだよこの腐れほもさぴえんすが 「すこしねむれなかっただけだよ!!おじさんはまりさとれいむをあんみんさせてね!!」 「眠れないんだろ?俺も仕事がひと段落したんだが眠れなかったんだ、少し話でもしようぜ」 「…いいよ、でもたのしくなかったらすぐねるからね」 その人間は何個か飲み物とお菓子のようなものを持って来てまりさに進めた まりさはもしかしたら毒が入っているかも…と考えたが自分はこの家で一番偉いれいむと夫婦の関係だ、その自分を殺すことはないだろう… その時のお話の殆どはこの人間の仕事の愚痴とかだった 正直そんな話をまりさが聞いても面白くない、だが出されたお菓子は美味しかったので黙って聞いた 「そんなにいやならしごとなんてやめればいいんだよ…」 すこし眠くなってきたまりさが言う 「そうもいかん、仕事をしないと俺もれいむもお前もゆっくりできなくなるからな」 ゆっくりするためにゆっくりできない「仕事」をする?まりさにはますます理解できない だがさいごに人間の言った言葉だけは理解できた気がした 「お前は俺が嫌いだと思う、俺もお前は嫌いだ、でも俺はお前に死んでほしくない、だから早く人間のルールを覚えてほしい、俺のためでもお前のためでもない、れいむのためにな」 結局人間より先に寝てしまいれいむとすっきりできなかった 次の日、人間は仕事に行った 今がれいむとすっきりするチャンスだ だがれいむにさそわれて散歩に出かけている今、すっきりすることはできない、さすがに草すらない路上ですっきりするのはためらわれた 「れいむぅ!たすけて!!たすけてね!!」 その時一匹のちぇんが飛び出してきた、しかも帽子がない まりさはとっさにれいむをかばい、ちぇんを攻撃した 「だめだよ!!かざりのないゆっくりできないちぇんはゆっくりどっかいっt「だめだよ!!まりさ!!」」 なぜだれいむは止める?自分は飾りのないゆっくりできない奴を追い出そうとしただけなのに? 「どうしたのちぇん!!これじゃあどのちぇんかわからないよ!!」 「わからないちぇんはゆっくりでていっt…「うるさいよ!!!!」」 しかも怒鳴られた、こんなに怒鳴られたのは初めてだ 「やせいのちぇんのかぞくにぼうしをとられたんだよ、よくわからないよ…」 このちぇんはシルバーバッチを持つちぇんだ、飾りをなくしたら人間かゴールドバッチを持つゆっくりの所に行けばいいことは知っている 「ごめんねちぇん、ちょっとおしりみせてね!!」 ちぇんのおしりにはバーコードのような模様が焼き付けられていた、れいむはこの模様が本物だと理解した 「じゃあちぇんはゆっくりついてきてね!!いっしょにかこうじょにいこうね!!」 「かかかかこうじょーはだめだよ!!ゆっくりできないよぉ!!」 「だいじょーぶだよ!ゆっくりできないのはわるいゆっくりだけだよ!!」 まりさはいきたくなかったがれいむはみょんを連れて加工場まで向かってしまった 仕方なくまりさもついて行くことになった 加工場まで来たれいむはゆっくり専用入り口で係員を大声で呼ぶ、係員は一瞬怪訝そうな顔をしたがれいむがゴールドバッチをつけているのを見るとすぐに笑顔になった 「どうしたんだい?」 「このちぇんが帽子を取られちゃったみたいなの!!」 「おにいさん!ちぇんのぼうしをつくってほしいよ!わかってねー!」 「はいはい、わかったよ、10分程まっててね!」 そう言って係員はちぇんを抱えて奥の部屋へと消えていった このときまりさは理解した、れいむは帽子のないゆっくりを助けてあげると言って加工所に引き渡したのだ 加工所に子供を売る(もしくは自らを売る)ことでお菓子をもらって飢えをしのいだという話もある、さすがれいむだ、自分の妻になるだけあって頭もいい 「さすがだね!れいむ!!ちぇんをうっておかしにするなんてれいむはあたまがいいね!!」 「なにいってるの!?まりさ!!だいじななかまをうったりはしないよ!!」 「ゆ?」 しばらくたってさっきのちぇんが帽子をつけて出てきた 「ゆっくびっくりぃ!??!?!?!???!ぱぴぷぺぽろろっか!?!?!?!?」 このとき、まりさの餡子脳は完全に破壊された 加工場がゆっくりを助けた、れいむは帽子のないゆっくりを攻撃しようとしなかった 何もかも理解できない ちぇんがれいむと加工所の職員にお礼を言っている、そんなのはどうでもいい ここは加工所だ、それは間違いない、なのになぜあの人間はれいむに優しく微笑み、ちぇんの帽子を作ったのか? ありえない アリエナイ ソウカ、ヤットワカッタ、アイツラハユックリジャナインダ… 「ゆゆゆゆゆうふふふのうかりんにかっちゃったぁ!」 まりさが体内のぺにぺにを戦闘準備させ、れいむにおそいかかる 「やめてね!!まりさ!!どうしたの!?」 だがまりさは止まらない、あわててれいむは加工所の職員の後ろに隠れた 「うふふふふふぎゃあ!!」 職員の足にぺにぺにを突き刺さん勢いで突撃するまりさ まりさのぺにぺには真っ二つになった 「ふんじゃらhf8うえghvsばvsじゃヴぁjhvばhscぺにぺにますたーすぱーくっC言語!!!」 そんな言葉を残し、ぺにぺにから精餡子を噴き出しながらまりさは絶命した 俺が仕事から帰ってすぐ、加工所の職員がれいむを連れてやってきた れいむはふさぎこんで一言もしゃべらなかったが加工所の職員から大体話は聞いた、そしてその理由も 最近分かったことでまだ市販の飼育書にもほとんど乗っていないことだが野生のゆっくり(特に一番生意気な亜成体)がゴールドメダルをもつ飼いゆっくりと一緒にいると壊れることがあるらしい 詳しい話だと野生ゆっくりの常識では考えられない行動を飼いゆっくりがとり続けるため餡子が一時的に麻痺し、気絶してしまう そのご何らかの結論を出すことができれば復活するが多くは精神的に壊れてしまうらしい しかし壊れてもれいむとすっきりしようとするとは…やつは真剣にれいむを愛していたんだろうな… そのご、れいむは三日間、何も食べようとはしなかった。まりさは自分が殺したという罪悪感が募っていたのだろう 日に日に痩せて行くれいむが心配になった俺は今日も食べようとしないなら無理やりにでも口に入れてやろうとした だがその日れいむに助けてもらったというちぇんがお礼を言いにやってきた、帽子に金色のバッチを付けて ちぇんに励まされ、何とかれいむは持ち直すことができた いまではれいむとちぇんは夫婦として仲良く暮らしている、とはいってもお互い飼い主がいるから毎日一緒に遊んだりお泊りしたりする程度だが… ちなみに野生ゆっくりまりさの間に「かこうじょにいくとむりやりぺにぺにからすっきりさせられてころされてしまう」といううわさが流れ加工所をより一層怖がるようになったのはただの余談である あとがき なんか最後、いろいろ狂ってる内容になった やっぱ自分は戦争もの書いている方がいいのだろうか? 8月19日 2209 セイン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/482.html
ゆっくりデッドライジング3 ※これで最後。あんま長引かせてもだれるし。 こんにちわ、皆。 これで会うのは三回目だけどもうとっくにレベル50のフランクだよ。 突然だがくせぇ。 ゲロ以下ではないけど究極的にくせぇ。 原因はこれ。 「ズギマ! ズギバッ!」 鼻からどろっとした液体を流してるこいつ。 ああ、前回こいつに会ったんだけど俺の飯をタックルで奪いやがったのでぶん殴ったらこんなことになりました。 そしたら手がくさい。 おそろしいくらいにくさい。 「てりゃっ」 しかたないのでバールのような物で叩き潰すと、声も上げずに死んだ。 代わりに、とてつもなく臭いものがでろりと出てきた。 「うぐぇええええええっ、な、納豆だ!」 正直来れ食ってる奴の舌を疑う納豆。 日本人が主に食っているが、よく食えるなと小一時間。 だが、このドアノブみたいなゆっくりの匂いは他のゆっくりたちにも強烈らしく、みんな顔をしかめる。 「くそっ、汚いなぁ」 その時、ぐぅとおなかが鳴った。 そういえばこの納豆に叩き落されてから飯食ってなかったんだっけ。 手を洗い匂いをふき取ってから俺は食料を探した。 すると、ある一匹のみなれぬ金髪ゆっくりがゆっくりまりさを襲っていた。 「まりさぁあああああああああっ!!!」 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ふほぉおおおおおおおっ!!」 なんか気持ちの悪い液体にまみれて二匹が体をこすり合わせていた。 様子から見て交尾だろうか。 まぁ写真とろう(ファーンタスティック!)。 交尾を終えると、金髪ゆっくりはちがうゆっくりに飛びつき再び体をこすり合わせる。 性欲が有り余っているのだろうか。 気持ちが悪いのでとりあえず金髪を射殺。 「ぐべっ!」 醜い声を上げて頭から白い液体を流した。 俺はそれを指ですくって食べてみる。 「oh...クリームか」 どうやらこの金髪ゆっくりの体内にはクリームが詰まっているらしい。 その時、襲われていたゆっくりれいむが俺に近寄ってきた。 「おじさん! ありすからたすけてくれてありがとう!」 ありす。なるほど、あの金髪ゆっくりはありすというのか。 翻訳本のおかげでか、いくらかこいつらの言葉を理解できるようになった。 「ああ、そう」 俺は軽く受け流すと、さっき襲われていたゆっくりまりさの方へ行く。 見れば、まりさの体はさっきの2倍くらいに膨れていて、口の下の皮が盛り上がっていた。 なんでこうなったかは知らないが、とりあえず餡は詰まってそうなので食うことにした。 その時である。 「ゆ、ふぅっ、ゆ゛っ」 そのゆっくりが苦しそうにうめく。 すると、口の下の広がった皮の中心に穴があいた。 驚いて様子を見ると、穴の中からもう一匹のゆっくりまりさがいたのだ。 「ゆっくりー!」 勢いよく子まりさが出てくる。 俺はちょっとがっかりした。 せっかく大量の餡をゲットできると思ったのに……。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしちぇいってね!」 まだ小さいからかうまく発音できていない。 ふと、俺はその小さなゆっくりまりさを見てある考えが浮かんだ。 こいつにも餡があるのだろうか。 ちょっとイライラもしていたので遊んでやろう。 「ヘイ! 君達」 片言だが日本語で喋ってみる。 ゆっくり達は俺を不思議そうに見ていた。 「ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね!」 俺が言うと脊髄反射で返してくる。 さすがだな。 「ちょっとそのかわいいちっちゃなゆっくりを見せてくれないかな」 俺は優しく語り掛ける。 だが、まりさは俺のことを知っていたらしく首、つーか体をぶるぶる振った。 「だめだよ! おじさんさっきまりさのなかまをころしたもん! おんじんでもさわらせないよ!」 なるほど、親クラスになるとまともな知能になるのか。 でも単純思考だから意外と利用できるかも。 俺は問答無用で子まりさを摘み上げる。 「ゆー♪ おそらとんでるー♪」 なんか楽しげにぷらぷらと動いている。 俺は玩具屋に入ってMEGAMANと書かれたテニスボールを打つ玩具の中にゆっくりを入れた。 「ゆー? くらいよ? おじさん、ままーどこー?」 まだ新しい世界に興味心身なのか、暗闇でもあまり怖がっていない。 だが、逆に親まりさは恐怖と怒りに燃えていた。 「なにするの! おじさん子ゆっくりを離してね!」 ほほう、離せと申すか。 もうテニスボールを入れる所に入ってるんだけどねぇ。 「よし、おじさんが悪かった。 出してあげるよ」 「ゆ! さっさと出してあげてね!」 助かるとわかったまりさは怒りながらも安堵していた。 俺は玩具をまりさの前に置く。 「ほら、ここ押すんだ」 「ゆっ、わかったよ!」 何も知らないゆっくりはボタンを押す。 するとカチンとばねの音がしたかと思えば、子まりさが勢いよく飛んだ。 「ゆうううううううううううううううううっ、ゆ゛ばっ!」 悲鳴を上げながら飛んでいき、最後は壁にぶつかる。 餡子は綺麗に壁に後をつけていた。 「どお゛じでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!?!?!?」 何が起きたわからず混乱するまりさ。 だが、自分の子供が死んだ事を理解し、滝のように涙を流す。 「あーあ、殺しちゃった。おまえ自分の子供を殺すなよ」 俺が言うと泣きながら俺に反論する。 「ぢがう゛よ゛! ごれ゛に゛いれ゛だの゛ばおじざん゛だよ゛!」 「でもスイッチを押したのはお前だろ?」 「だっで! ごごおぜっでいっだも゛ん゛!」 「馬鹿だなぁ」 俺は魔理沙が押したスイッチの反対側にあるOPENと書かれたボタンを押す。 すると、パカっと玩具は二つに割れた。 「ここ押せば助かったのに」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 結局、自分が殺した事を理解して大号泣する母まりさ。 レイプされて生まれたとはいえ、子供には愛着があるのだろう。 しかし犯されて数分で生まれるとはこの生き物はすごいな。 そう思いながら俺は子ゆっくりの餡子を舐めた。 餡子に牛乳を混ぜたようなさっぱりした甘さが広がる。 これはこれでうまい。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 喚いて顔がぐちゃぐちゃになっているまりさ。 うるさいので蹴り飛ばす。 「ゆ゛っ、ぐっ」 転がった先にはれいむたちがいた。 「れ゛い゛む゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 救いを求めて霊夢に擦り寄るが。 「きもちわるい! ぐしゃぐしゃなゆっくりはゆっくりじゃないよ!」 「きもちわるいまりさみたいなのはゆっくりしんでね!」 「どお゛じでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!!? い゛だい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」 そして皆から突き飛ばされ、タックルされ、ふやけた皮からは簡単に餡子が漏れた。 「ゆぶっ、ぐちゅ、ぎゅう゛う゛……」 悲鳴を上げていた魔理沙も、途中で声が小さくなる。 俺はそれを見届けると、店を出た。 それから。 スパニッシュでボインなおねーさんと戦った後、実はプレスリーみたいな奴の妹だと知った俺はプレスリーみたいな奴の名前がカリート(CV.大塚芳忠)だと知った。 んでそいつがアメリカの食料問題がうんぬんかんぬんでゆっくりを作ったとかも言っていた。 んで、そのカリートがミンチにされそうな所で俺参上。 あ、ちなみに爆弾は解除しました。 「やめろっ!」 ちょっとかっこつけて俺は肉屋の店主に叫ぶ。 「ああ、ちょっと待っててね、今ミンチ作ってるところだから」 話かみ合わない。 しょうがないので頭を使う。 「そいつ腐ってて売り物にならないよ!」 「なにっ!?」 店主がミンチ機を止める。 「ハエたかってるだろ!」 「ほんとだ」 「じゃあこれつかえよ!」 差し出したのはゆっくりれみりゃ。 「こいつの頭豚肉と同じだからうめーぞ!」 「まじで!?」 カリート解放。 代わりにゆっくりれみりゃがミンチにされそうになる。 機械ががりがりと動き始めた。 「ばだじでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!! だべじゃうぞお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 するとミンチ機がれみりゃの足を削り始めた。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! い゛だい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!」 どんどん体がミンチにされてゆくれみりゃ。 暴れるが固定されているので動けるはずも無く、無残なもとい、おいしそうな姿になってゆく。 「い゛だびぃべあいいぇいぼじょじょぶおあぶいぶあふぉぶあ!!」 ははっ、英語でおk。 顔辺りまで削れると何言ってるかわからんよ。 結局俺はサイコパスの肉屋はほっといてカリートを助けた。 すぐ死んだけど。 結局俺は脱出することにした。 屋上でヘリを待つ。 「おーい、助けにきたぞー」 ヘリのパイロットが相変わらずの笑顔で手を振る。 俺も手を振り返す。 すると(ここから先は面倒だからゲームやってね)。 しばらく俺は放心状態だった。 他に脱出する方法はあるだろうか。 その時、警備室のカメラにある物が映った。 ■■■ 「行くぞ! 今日こそあの饅頭共をくびり殺してやる!」 「sir yes sir!」 ついに軍隊が動き出したのだ。 M16を両手に抱えた男達が一斉にモールに入って行く。 「GO!!GO!!GO!!GO!!」 「ゆ?」 「ぽ?」 ゆっくり達が男達を見た瞬間。 全員蜂の巣にされた。 「わ゛がら゛だい゛びょお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!」 「ゆっぐり゛ぃっ!!」 各々悲鳴を上げながら死んで行く饅頭たち。 だが、怒った奴等は以外にも立ち向かう。 「ゆっくりしんでね! ゆっくりしんでね!」 「うおっ! 群れで来るぞ! ロックンロール(戦闘準備)!!」 男達は隊列を組んでしゃがむ。 向かってくるゆっくりに対して一斉放射した。 「ゆびょお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!!」 兵隊は班に分かれて行進する。 この兵隊達は知らなかったが、このゆっくり達はもはや子供でも殺せるレベルだった。 まさにこんなゆっくりにマジになっちゃってである。 「むきゅ!? むきゅう!?」 本屋にいたゆっくりぱちゅりーは異変を感じて店を出る。 すると、そこはゆっくりたちの死骸で埋め尽くされた地獄(ゆっくりたちにとっては)だった。 「むぎゅううううううううう!!」 悲鳴を上げてぱちゅりーは本屋に戻る。 だが、それを兵士は見逃さなかった。 「Hey! 逃がさないぜ饅頭ちゃんよぉ!」 まわりのゆっくり達を踏み潰しながら本屋へ向かう。 本屋の中に隠れたぱちゅりーは、落ちた本の中に隠れ震えていた。 「かくれんぼかい? こりゃいい、俺たちゃお前等にとっては鬼だもんなぁ」 ふと、兵士が一冊の本を見つける。 その本は不自然に震えていた。 「ハッハー! みーつけた! タッチだ饅頭!」 銃口をぱちゅりーに向けた瞬間。 兵士は吹っ飛び本棚にぶつかった。 「ぐっ!? なんだぁ!」 誰かが兵士に蹴りを入れたのだ。 そして蹴りを入れた男が仁王立ちになり、叫んだ。 ■■■ 「賢いゆっくりを守るため! 生まれてきたのがこの男! フランク様とは俺のことよぉ!」 漫画の台詞をそのまま使い、ちょっと恥ずかしい。 「あぁ?! ふざけてんのかてめぇこっちはぐんた……うおっ!」 銃を構えて脅しをかけてきた兵士を殴りつける。 さらに追い討ちをかけて得意のスタンピングをした。 これはもうゆっくりを踏み潰しなれたので大ダメージだろう。 「うぐっ、おっ……! 」 兵士は悶絶しながらも立ち上がる。 怒りに青筋がぴくぴくと動いていた。 「てめぇはよぉっ!」 拳を繰り出してくるが、それを俺は片手で受け流し、裏拳を食らわせる。 さらにひるんだ後、ジャンプして蹴りを食らわせ兵士を倒した。 気絶したのだ。 「大丈夫か」 俺はぱちゅりーを抱きかかえる。 やはりゆっくりの中でもこいつだけはいい。 その時、生き残りのゆっくりが本屋に入ってきた。 ゆっくりまりさだ。 「おじさん! わるいひとやっつけたらさっさとまりさもたすけてね!」 何を図図しい。 こいつは本気で好きになれん。 「ぱちゅりーで手一杯だからダメだ」 「ゆ! ぱちゅりーはうごけないやくたたずだからいらないよ! まりさをたすけてね!」 俺は翻訳本を取り出してまりさに見せた。 「やくたたずのぱちゅりーが読めるんだ、お前も読めるだろう」 「ゆ! あったりまえじゃない! ……ゆゆ?」 意気揚揚と本に向かうまりさだが、どう考えても読めるはずがない。 すると、いきなり怒って俺に八つ当たりしてきた。 「よめないよ! だってこれまりさがよめるじじゃないもん!」 読める字はなんだと聞きたいが、こいつには何を言っても無駄だろう。 俺はまりさの頭を掴む。 助けられると思ってまりさは歓喜していた。 俺はぱちゅりーを置いて、まりさを消火器に縛り付ける。 「おじさん! これじゃゆっくりできないよ!」 さらに俺は食料品店から油を持ってきて、周りにまく。 そしてもっていたライター。 それでまりさは理解したらしい。 「や゛べでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!! ゆ゛っぐりでぎな゛い゛よ゛!」 俺はライターに火をつけて油のうえに落とす。 火は勢いよく燃え上がり、まりさの体を焼く。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!! あ゛づい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 俺はぱちゅりーを抱きかかえて急いでその場を離れる。 「う゛ぼえ゛ぁ゛っ゛!!!」 爆発音とともに、まりさの悲鳴が聞こえた。 いい気味だ。 ■■■ あれから。 俺はうんぬんかんぬんで脱出した。 ネタバレだけは避けたいのでオリジナルの脱出方法だ。 正直ゲームとストーリーがぜんぜん違う。 まぁそれはいいとして。 結局、モールにいたゆっくり達は全滅した。 兵士達の働きあってか、一日で仕事は終了。 ちなみに俺は、軍人を殴ったと言う罪に問われたが、しらをきり続けた。 結局、兵士が緊張状態に見た幻だったという事で可決した。 「おはよう、ぱちゅりー」 「むきゅっ、おはよう」 俺が言うと、ぱちゅりーは返してくれる。 こいつはあのゆっくり達みたいにわがままは言わないし、知能もあるので部屋のものは勝手に弄らない。 ペットとしては最高だった。 まぁ病弱なため、あまり無理はさせられないが。 「さて、今日一日の仕事を始めますか」 俺はある部屋の扉を開ける。 そこにはゆっくりれいむやまりさ、その他もろもろが大勢いた。 俺の登場にみな怯えている。 ゆっくりは全滅したんじゃないかって? それは『モールにいた』ゆっくりだろう? 俺はゆっくり達の生産性に目をつけ、加工所を開いて活動している。 誰かが野良ゆっくり達を捕まえて俺が金を渡す。 俺はゆっくり達を加工して食品として売り出したり装飾品を売ったりする。 「おら、今日はれいむだ。来い」 「い゛や゛だよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!ぢに゛だぐだい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 悲鳴など知らず、俺は禍々しい機械のある部屋にれいむを放り込み、扉を閉めた あとがき 槍投げ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/654.html
※これはfuku1783 ゆっくり腹話術(前)の続きになります 子れいむと親れいむを失い、残り四匹となったゆっくり一家の後を追う。 親れいむが人間に連れ去られたショックはあるものの、ゆっくり一家にあるのは悲壮感ばかりではなかった。 残ったものが死んでいったものたちの分までゆっくりしよう、という思いなのだろう。 「ゆぅ、おにゃかちゅいたね…………」 ポツリ、と子れいむが呟いた。 「「ゆぅ……」」 その言葉に賛同するように声を漏らす二匹の子まりさ達。 このゆっくり一家は食べ物を求めて人里にやってきたが、狙った食べ物にはことごとくありつけなかった上に死ぬかもしれない思いまでしている。 空腹は既にかなりのものになっていることだろう。 腹を空かせる我が子の姿を直視できないのか、なんでもいいから食べ物を探そうとしたのか、親まりさは視線をキョロキョロと辺りに飛ばす。 すると、 「お~い、ノブナガ~。メシだぞ~」 近くの民家から一人の老人が皿を持って外へ出てきた。 どうやら飼っている犬にエサを与えに来たようだ。 老人が犬小屋の前にエサを盛った皿を置くと、バネ仕掛けのおもちゃのように勢いよく一匹の柴犬が犬小屋から飛び出してきた。 ガツガツと勢いよく食べる飼い犬の姿を満足そうに眺めた後、老人は家の中へと戻っていった。 「「「……………」」」 視線をゆっくり達へ戻すと、案の定というか子ゆっくり達は羨ましそうに犬のエサを見つめ、口の端からはだら~、とよだれまで出ていた。 親まりさも私と同じくその姿を見たのか、 「ゆっ、まりさにまかせてね。いぬさんからごはんをもらってくるよ!」 そう子ゆっくり達に言い残してすぐさまその場を駆け(跳ね)だした。 本来は人里の美味しい食べ物を狙いにきたのだろうが、犬のエサまで狙うとは。 余程腹を空かせていたのだろう。 「ゆっ、おとうしゃんがんばっちぇね!」 「むのうなおかあしゃんとはちがうもんね!」 「いぬしゃんなんかぶったおちちゃえ!」 親まりさの背後からは子れいむや子まりさの声援。 その声援を受け親まりさは犬のもとへ向かう速度を更に加速させると、そのままの勢いで食事中の犬のどてっぱらに体当たりを仕掛けた。 「ゆぉぉぉぉぉぉ!!」 「キャウンッ!?」 突然のことに思わずよろめき、その場から退く犬。 それを自分の勝利と思ったのか、親まりさは子ゆっくり達に「みんな~、おいで~。ごはんだよ~」と呼びかけていた。 「やっちゃー、さすがおとうしゃん!」 「おなかちゅいたよ~」 すぐさま親まりさの元へ結集する子ゆっくり達。 そしてゆっくり一家は犬のエサが盛られた皿に一斉に殺到した。 「「「む~しゃむ~しゃ、ちあわせ~」」」 犬のエサといえど野生のゆっくりの常の食事に比べれば豪勢だ。 子ゆっくり達の幸せそうな顔を、子の幸せは我が子の幸せだという顔で見つめる親まりさだったが、自分も腹を満たさねばと皿のエサを食べようとするが 「バウッ!!」 犬の鳴き声に驚き飛び上がった。 「ゆっ、ゆっ!? び、びっくりさせないでね! これはまりさたちのごはんなんだからいぬさんはさっさと────い゛だい゛いいい!!!!」 親まりさは抗議の声をあげたが、犬に言葉が通じるわけもなく、頭の一部を噛み千切られていた。 噛み千切られ失った左半分の頭部からは餡子が漏れ出ている。 「ゆっ、おとうしゃん!?」 「おとうしゃんににゃにするのぉぉ!!」 「だめぇぇぇぇ!! にげてぇぇぇぇ!!」 親の仇だ、と犬に突進しようする子まりさ達を諌める親まりさの声に、この犬も人間同様敵わぬ相手と悟ったのか、すぐさま逃亡を図る子ゆっくり達。 親まりさも噛み付かれたが頭部は千切られていたため、すぐにその場を離れることができた。 だが、子れいむが一匹、逃げ遅れていた。 犬から一番遠い位置に居て、犬に突っかかろうともせずに逃走の体勢に入っていた子れいむ。 本来ならば真っ先に逃げられていたであろうが、子まりさが子れいむを踏みつけていったため逃げ遅れていたのだ。 「ゆっ~、まっちぇぇ!」 背後からは犬が外敵を排除せんと追ってきている。逃げ遅れている自分。 恐らく子れいむは最初に死んだ自分の姉妹のことを思い出していたことだろう。 しかし、ここで子れいむを殺してしまっては私の計画が狂ってしまう。 私は子れいむを踏みつけていった子まりさに狙いを定めると、『腹話術』を使用した。 「ゆっ!? 〝ガメラが飛ぶ時の回転数すごすぎぃぃぃぃぃ!!!〟」 『腹話術』をかけられた相手はその間気を失う。 つまり、気を失った子まりさの足は止まるということだ。 足の止まった子まりさを追い抜いていく子れいむ。 理由は分からないだろうが助かったので特に気にすることはないだろう。 「…………ゆっ!? なんでれいむがまえにいりゅ────ゆ゛ーーーーー!!!!!」 子まりさが気が付いた次の瞬間には、子まりさは犬に咥えられていた。 「いだいよ゛ぉぉぉぉ!!! おどうじゃんだずげでよ゛ぉぉぉ!!」 噛まれ、宙に浮く子まりさは泣き叫び親に助けを乞う。 しかし親まりさは無力である。ゆっくりが自分より体の大きいものに敵うはずもない。 「ゆっ、ゆっ……!」 犬は鎖に繋がれているため鎖の長さ以上の距離を逃げている親まりさ達は襲われることはない。 だが犬の行動範囲内に飛び込もうものなら今度こそ問答無用に殺されてしまうだろう。 子まりさを助けることは最早不可能だった。 「ゆ゛っ、ごべんね、ごべんねぇぇぇぇ!!」 親まりさは涙を流しながら子まりさを見捨てた。 残った子まりさと子れいむを連れて全速力でその場を逃げ出したのだ。 「ゆっ、おとうしゃん、まりさのいもうちょがぁぁぁぁ!!!」 「だめだよぉぉぉ!! みんなしんじゃうよぉぉぉ!!」 親まりさに咥えられた子まりさは犬に咥えられた子まりさを助けるよう求めるが、それは叶わぬ願い。 子れいむも子まりさを助けようとしたのかいくらか逡巡していたが、やがてどうやっても助けられぬと分かったのか去り行く父親達の後を追っていった。 「どぼぢでぇぇぇぇ!!! なんでまりしゃを……ゆがべぺ……ゆ゛っ!!」 助けられなかった子まりさは、身の程を弁えぬ所業と身内を蹴落とすという外道な行いの報いを受ける。 子まりさは少しずつ咀嚼されるという苦しみの中息絶えていった。 その死に顔は私の胸がすっ、とするほどの絶望と苦しみに彩られていた。 「…………くふっ」 思わず笑いが漏れる。 遂に半分にまで数の減ったゆっくりの一家はその歩を人里の中心に向けていた。 だが当人達は気づいてないだろう。ただ襲い来る脅威から逃げていただけにすぎない。 やつらは気づいていない。自分達から危険に近づいていることに。 「……ゆっ? おとうしゃん、いいにおいがするよっ!」 それまで俯いてしょこしょこと小さく跳ねていた子まりさがその場で嬉しさを表現するように跳びはねた。 言われ親まりさと子れいむもその場で立ち止まり鼻(?)をひくひくさせて臭いを嗅ぎ取ろうとする。 「ゆっ、ほんちょだ! おいちしょうなにおいがしゅるよ、おとうしゃん!」 「ゆゆっ、ほんとうだね! こっちからするよ! ゆっくりできるよ!」 それまで沈んでいた家族の間に笑顔が戻ってきた。 ゆっくり一家はその笑顔のまま臭いのする方へとぴょこぴょこと進んでいった。 だがゆっくり一家がその先で「しあわせ~」になることはないだろう。 ゆっくり達の向かった先、「いいにおい」の出所は、焼き鳥屋だった。 私もよく行く馴染みの店だ。 夜になると人間や妖怪達が一緒に酒を飲み騒いでいる。 今日も店の中からは様々な笑い声や上手そうな焼き鳥の匂いが漏れ出ている。 中の者だけではなく近くを通りかかった外の者まで陽気にさせる、私の好きないつもの雰囲気だった。 「ゆっ、ここからおいしそうなにおいがするよ」 「ゆっ♪ ゆっ♪ これでゆっくりできるね~♪」 パンドラの箱に残った希望を見つけた人間のような表情をしながら焼き鳥屋の方へと跳ねていくゆっくり一家。 焼き鳥屋の入り口は引き戸なのでゆっくりには開けられないかと思ったが、誰かが閉め忘れたのか若干開いており、そこに親まりさが自分の頬を突っ込んでむりやり戸をこじ開け入っていった。 私は店に入るか入るまいか若干迷ったが結局入ることにした。 「ゆ~♪ おいちちょ~♪」 中に入ると子ゆっくりが歓喜の声をあげていた。 店の者達は入ってきたゆっくりを気にもとめず(というか気づいていない)皆好き勝手に飲み騒いでいた。 まだ日が沈んでから一刻も経っていないというのに気の早い連中だ。 ぴょこぴょこと跳ねながらゆっくり一家はカウンター席の方へと向かっている。 私もゆっくりの後に続いてカウンター席へと向かう。 普通に歩いてはゆっくりを追い抜いてしまうから牛歩戦術だ。 ゆっくり一家はカウンター席の下まで辿り着くと、親まりさが空いている席の椅子へとジャンプした。 そして椅子からカウンターへと再びジャンプ。カウンターの上に乗った親まりさはカウンターの向こう側で焼き鳥を焼いている店主(私達は敬意と親しみを込めて〝マスター〟と呼んでいる)に向かってこう要求した。 「ゆ~、おじさん! まりさたちにもごはんちょうだいね!」 どうやらマスターが客に注文された酒や焼き鳥を渡すのを見て、マスターが食べ物をくれる人だと勘違いしたようだ。 「おぉう? なんだ、ゆっくりじゃねぇか」 親まりさにマスターよりも先にすぐ隣の席で酒を飲んでいた客が気づいた。 って、誰かと思えば飲み癖と悪食とロリコン趣味で有名なタケさんじゃないか。 流石に稗田家の当主はやめておいた方がいい、と今日こそ言うべきか? 「なんだ? 誰がゆっくり入れたのは」 タケさんが親戚のわんぱく坊主でも見るかのような反応を示したのに対し、マスターは明らかに不機嫌そうだった。無理もないか。 「いや、店の戸が半開きだったんですよ」 タケさんの隣の席に座り、誰かに濡れ衣が着せられる前に私がフォローに入った。 「おぉう、なんだ、お前がゆっくりを連れてきたのか? ……ゥィック」 「違いますよ」 やんわりと否定しておく。どっちかっていうとゆっくりが私を連れてきたようなものだ。 というかタケさんもう酔ってるんかい。 「ゆっ! ゆっくりむししないでね! さっさとまりさとまりさのこどもたちのためにごはんをよういしてね!」 見ると親まりさがその体を膨らませて怒っていることをアピールしていた。 それを見てタケさんがゲラゲラと笑い、マスターが更に不機嫌そうな顔になり、私の虐待エナジーが高まる。 「ちょうだちょうだ! さっさとまりしゃたちにごはんをよういしてね!」 カウンター席の下、タケさんの足元で子まりさも親に続き抗議の声をあげる。 タケさんがその声で子ゆっくりが居ることに気づき視線を下に向け 「おぉう、ちみっこもいるのか~」 と陽気に笑った。 …………決めた。 親まりさ、貴様を潰すのは後だ。 ここでは子まりさを潰す。 私は『腹話術』を、今度はゆっくりではなく、タケさんに向けて発動させた。 「〝おぉう、マスター! ちょいとこの子ゆっくり焼いてくれや!〟」 「「ゆっ!?」」 親まりさと子まりさが跳ね上がる。 私は『腹話術』をかけられ自分が注文したことを知らないタケさんに代わり、床にいる子ゆっくりを拾い上げた。 「ゆっ!? まりしゃをどうちゅるの! ゆっくりはなちてね!」 「はなちぇ~!!」 掴まれた子まりさがジタジタと身をよじり、側にいた子れいむがピタンと体当たりをしかけるが効果は無し。 なんの障害もなく子まりさは私からマスターへと手渡された。 「まったく、タケさんの悪食っぷりは相変わらずだねぇ」 マスターはそうぼやくだけで特に疑問ももたず子まりさの調理にかかった。マスターも馴れたものだ。 「まりさのごどもがえせぇぇぇぇぇ!!!」と私が子まりさを掴んだあたりから親まりさが騒いでいたが、タケさんが面白がって押さえつけていたので何もできていない。 マスターは子まりさを軽く水あらいして「ゆぐがぼべっ!!」、さっと振って水気を飛ばすと「ゆゆゆっ!?」、焼き鳥を焼く金網の上に子まりさを乗せた。 「あ゛ぁぁぁつ゛つづっっいいいぃいぃよおおぉぉ!!!」 ボロボロと涙を流す金網の上の子まりさ。零れ落ちた涙はすぐにジュッと蒸発する。 なんとか金網の上から逃れようとするもマスターが上から菜箸で押さえつけているため動けない。 「ゆぎゃ"ぁ"ぁぁ"!!!ま゛り゛ざのごどもがぁぁぁ!!いぎゃ"ぁ"ぁ"!! タケさんに押さえつけられている親まりさがカウンターで泣き叫ぶ。 ガハハハハハと笑いながらタケさんに押さえつけられている無力な親まりさは素晴らしい程に滑稽だった。 「ぶわっはっはっはっは」 とついつい私も笑ってしまう。 私のことを知らない他人が見ればどこの大根役者だと思うことだろうが。 「おどうじゃん、だずげでよぉぉぉ!!! いぎゃ"ぁ"ぁ"!! まりじゃのあぢがぁぁぁぁ!!」 金網の上で泣き喚く子まりさを、マスターは無慈悲に菜箸で転がす。 今度は顔面が金網のつく形になった。 「ゆ゙ーーっ゙!!! も゛う゛や゛め゛でえ゛えええ!!」 ハッキリ言って煩いが顔面を焼かれているためすぐに大人しくなるだろう。 もう一つのうるさい親まりさはと言うと 「グワッハッハッハ、なんだお前、頭ないじゃんぶわっはっはっは」 と欠けた頭部からタケさんに箸を突っ込まれ頭の中の餡子をグチャグチャにされていた。 「ゆ゛! ゆ゛! ゆ゛! ゆ゛…!」 なんだか白目を向いて痙攣していた。はっきり言って気持ち悪い。キモイじゃなくて気持ち悪い。 「へい、焼きゆっくり一丁!」 やがて子まりさが焼き上がり小皿に乗せられタケさんの前に置かれた。 「ま"り"ざのごどもがぢんじゃっだぁ"ぁ"ぁ"!!どぼじでごんなごとずるのぉ"ぉ"!!」 「あれ? 俺焼きゆっくりなんて頼んだっけ?」 「なんだい酔っ払いすぎだよタケさん」 「そうだよタケさん、酔いすぎだよ」 焼きゆっくりの注文は私が『腹話術』で頼んだためタケさんは覚えているはずがないのだが、マスターの言葉尻に乗って酔ったせいにしておく。 「んあ~、そう言われれば頼んだ気も…………でもいらねぇや」 タケさんはそう言って子まりさを掴むと床に叩きつけて草履の踵部分でグリグリとすり潰した。 その光景を子れいむは間近で見ることになったことに、私は気づいていた。 「あぁ、もう。やめてくれやタケさん、掃除するの俺なんだから」 「おっと、わりぃなマスター。代わりにもう一杯くれや」 「何が代わりなんだか」 「ゆぐ……ぐずっ……なんでごんなごどするのぉ……まりざのごどもがぁ……」 「なんだ、まだいたのかこのゆっくり」 「あ、私が外に出しておきますよ」 マスターの不機嫌が本気でヤバい段階にいきそうだったのでマスターに潰される前に私は親まりさを抱えて外に向かっていく。 もちろん子れいむも忘れずに足で外へと蹴飛ばしながらだ。 「飲みにきたんじゃないのか?」 「焼き鳥を家で食おうかな、と思っただけです。後でまたとりにきますから焼いといてください」 「あいよ」 成り行きで今晩の飯が決まった。 だが飯の前に、最後の仕上げだ。 ふっふっふっ、最後は私自ら手を下そうぞ。 どこのラスボスだよ。 私は親まりさを抱え子れいむを蹴りながら焼き鳥屋と隣の酒屋の間の狭い路地に入った。 その間親まりさを子れいむも子供のようにボロボロと涙を流し続けていた。 「さて、と」 子れいむを蹴飛ばすのをやめ、子れいむの脇に親まりさを置いた。 ゆっくりと視線を合わせようと、その場にしゃがみこむ。それでも私の方が視線が上だが。 「おいゆっくり。なんでこんなことになっているかわかるか?」 「ゆっ、ゆぐっ……まりざのごどもがぁぁぁ……」 「質問に答えろよクズ饅頭」 親まりさの口に拳を突っ込む。喉までだ。 そして体の奥底の餡子を一握り掴むと勢いよく引っ張り出した。 「ゆべぇぇぇぇぇ!!!」 叫び、咽る親まりさ。 その顔に親まりさの体から抜き出した餡子を叩き付け、もう一度問う。 「なんで、こんな、ことに、なって、いるか、わかるか?」 脳の足りないゆっくりにも分かりやすいように一語一語区切りながら。 それで流石に理解したのか親まりさは泣きながら答えた。 「ゆぶっ、にんげんだぢがまりざだぢのじゃまずるがらだよぉぉぉ!!」 「残念、不正解だ」 罰として今度は親まりさの歯を引っこ抜いてやる。 もちろん道具など使わない。素手だ。 左手で上顎を掴み、右手で前歯の一本(歯は飴だった)を情け容赦なく引っこ抜いてやった。 「ゆぼぉぉぉ!?」 「ゆゆっ、おとうしゃん!!」 それまで親まりさの後ろでガタガタ震えていただけの子れいむも恐怖を忘れて親まりさを心配する。 だが子れいむ。貴様は今は後回しだ。 「正解を教えてやるよ」 私はそう囁きかけながら引っこ抜いた歯を親まりさの右目にぐりぐりとおしつけてやる。 「ゆがっ、べぽ……ぜいがいっでな゛に゛ぃぃぃぃぃ!!!」 「お前らが身の程も弁えず人間の里に来たこと。それと家族を見捨てたことだ」 親まりさはその言葉でカッと目を見開く。何故知っているのかという顔だ。 だが今はそこを言及する場合ではないと分かっているのか、口にしたのは弁解だった。 「ゆっ、だっで、だっで、ごはんがもうないんだよっ! にんげんのごはんをもらわないといぎでいげないんだよっ!」 「それはお前等の怠慢だ」 罰として頬をちぎってやる。 「ゆ゙ーーっ゙!!! …………ぞ、ぞれに、みずでだわげじゃないんだよっ! あぁじないど、みんなゆっぐりでぎないがら、じがだがなかったんだよっ!」 「ほぉ、つまりお前は多数を助けるために少数を尊い犠牲としたと?」 「ゆ゛っ! そうだよ! まりさはかぞくをたすけるためにしかたなく────!」 私は親まりさの行動を思い返す。 確かに、親れいむほど悲しみに打ち震えていなかったが、子まりさほど死んだ者を罵倒してもいなかった。 子れいむの足を引っ張って死なせたのも子まりさだ。親まりさじゃない。 親のほうのまりさは、割といい親だったのかもしれない。 こいつの言い分を鵜呑みにするならば、必要以上に悲しみに暮れなかったのも、一家の大黒柱の責任故だったのかもしれない。 でもそんなの関係ねえ。 「でもな、まりさ?」 「ゆっ?」 「そのまりさが助けたようとした家族、子れいむ以外みーんな死んじゃってるけど?」 「ゆっ!? ゆゆゆゆっ……!」 私の言葉にガタガタを震える親まりさ。 気づいたのだ。多数を助けるために少数を犠牲と成すやり方で、助かったのは少数なのだと。 「で、でもっ! れいむはいぎで────」 「こんなクズな親のもとにいたられいむゆっくりできないから、この子は私がもらっていくね?」 「「ゆっ!?」」 それまで黙っていた子れいむまで驚愕する。 そんなゆっくりには構わず私は子れいむを掴むと着ていた服の懐に入れた。 くぐもった「ゆ゛っーーー!!」とした声がわずかに聞こえてくるが無視しておく。 「ゆ゛ぅぅぅぅ!! ゆっぐりやめてね!!! まりざのごどもがえじでね!!」 子供を取り返そうと飛び掛ってくる親まりさの顔面を掴んでやると私は立ち上がり、そのまま表まで歩いていった。 手の中で「ゆがぁぁぁぁ!! はなぜぇぇぇぇ!!」と親まりさが喚いている。 吐息が気持ち悪かった。 私は人里の中を親まりさを掴んだまましばらく歩く。 道行く人、妖怪が親まりさの叫びに気づいてこちらを見やるが、私がゆっくりを掴んで歩いているのを見ると「なんだ、ただの虐待お兄さんか」と視線を外した。 そして私は人里の中で、二つの通りが交差する場所まで来ると、親まりさを地面へと落とした。 「ゆべっ!?」 ずでん、と転がる親まりさを一回蹴った後、私は懐からさっきの子れいむを取り出した。 「ゆっ! れいみゅをかえちてくれりゅの?」 無視。 「さてまりさ。選ばせてやる」 「ゆっ、ゆっ、まりざのごどもをがえ────」 「黙れクズ饅頭。喋っているのは私だ」 まともに会話できそうにないので口元を踏みつけて黙らせた。 しばらく「ゆ゛ーーー!! ゆ゛ーーー!!」と身を捩じらせていたが私が足をどけないと分かると少し静かになった。 「さて、お前に選ばせてやる」 そういいながら手の中の子れいむを眼前に突き出してやる。 子れいむも煩いので指を口に突っ込ませて黙らせている。 「お前があくまでこいつを返して欲しい、と私に戦いを挑むのであれば、こいつは死ぬ」 「「────っ!?」」 ゆっくりの目が見開かれる。 「だが、お前がこいつの命を助けて欲しいと願うのであれば、私はこいつをゆっくりさせてやるし、お前も逃がしてやろう」 私はそこで足をどけてやる。 「ゆっ! おじさんほんと!?」 「おにいさんだクズ饅頭」 口に蹴りをぶち込み歯を二、三本折ってやる。 「あぎゃぁッああ!! …………ゆ゛っ、おにいさん、ほんどう? そのごゆっぐりざぜでぐれる?」 「ああ、もちろんだとも」 「このまままりざががえれば、そのごゆっぐりでぎるの?」 「その通りだ」 このやり取りの間、子れいむはずっと声も出せず泣いていた。 目の前で親が見るも無惨にやられている。 悔しいのか、悲しいのか。 私にとってはどちらでもどうでもいい。 ただ指にたれてきた涙の生暖かさが、こいつは〝私流〟にゆっくりさせてやろうと決意させただけだ。 私は親まりさの頭をつかむと後ろを向かせてやった。 「道が二つある。どちらでも好きな方へ行って帰れ」 そう言ってやると、親まりさはしばらくその場で悩んだ。 だが、答えはもう決まっているだろう。 「ゆ゛っ、わがっだよ。まりざはおうぢがえるよ。だから、まりざのごどもゆっぐりざぜてね?」 「ああ、約束だ」 「じゃあね…………バイバイ……」 そう呟く親まりさの語尾は尻すぼみに消えていった。 やがてとぼとぼと左右のうちの右の道から里の外へと向かっていく親まりさ。 私は子れいむの口を塞いでいる指を抜いてやった。 「ゆぐっ……! おとうしゃぁぁぁぁぁん!!」 親を呼ぶ子の声。 今生の分かれとなる親子の、最後の会話。 親まりさは子れいむの声に振り返ると、くしゃり、とその顔を涙で崩すと、精一杯の声で叫んだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 それで最後。 親まりさは子れいむの反応も見ずに全力で駆け出した。我が家へと。 親まりさの選択は正しかった。 命あってのものだねだ。 最後は二匹になってしまったが、全滅はしていない。 あの親まりさも私が見逃してやったことによって、やがてまた新しい所帯を持つことだろう。 この悲劇を教訓に、次こそゆっくりとした生涯を送るであろう。 次こそ、そう次こそ────。 「見逃してあげても、よかったんだけどねぇ」 君が悪いんだよ、まりさ。 私は選ばせてやった。〝どちらの道で帰るか〟を。 なのに君はそっちを選んだ。 あぁあ、なんてこったいまりさ。 君が逆の道を選んでいれば、幸せになれたかもしれないのに。 君が、いけないんだよ。 君がそっちの道を選ぶから 「君は、彼女へのプレゼントだ」 親まりさが選んだ道。 そこにはある伝統の家系の家がある。 幻想郷を見続けてきた、幻想郷縁起を編纂してきた名家。 稗田家が、ある。 全力で駆けるまりさが、稗田家の前に来た瞬間、私はまりさに『腹話術』をかけた。 「〝あっきゅうちゃ~~~ん。あっそびましょ~~~う〟」 おわり 子ゆっくりの運命は…… ───────── あとがきのようなもの コミックス版「魔王」最新刊五巻を読み終わった勢いで書いてしまいました。 そのため文体が安定していないかもしれません、申し訳ありません。 他に書いたもの:ゆっくり合戦、ゆッカー、ゆっくり求聞史紀、ゆっくり腹話術(前) このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3676.html
『真冬のゆっくり対策 3』 「へえ…そんなものがあるんですか」 「外の世界から流れてきたものです。透明なビニールの中で野菜を栽培するようです」 「でもビニールハウスだと風通しが悪くなるのでは?温度とか湿気とか」 「そこなんですよ。ですから我々は屋根を取っ払って実際に育ててみました。大丈夫なようです。外の世界ではどう使ってるのかは不明ですが」 「いくつかの畑に使ってみましょう。他に何かありませんか」 「そうですね、商品ではなくアイデアなのですが畑の周りに毒草を生やしておくというのはどうでしょうか?」 「春の毒草といえばトリカブトやスイセンとか有名ですね。ドクウツギなんて昔は農村でよく被害が出たものです。今から生えてきますかね?」 「そこなんですよねえ…あとは青唐辛子を用意して仕込んでおくとか」 「周りの村から苗木を調達するとか検討してみましょう」 「さて私も何か少し手伝わせてくれませんか?」 「ありがとうございます。今から壁を作るのですがお手伝いお願いできますか?」 「任せてください」 「「「「「「むーしゃむーしゃ…しあわせぇ♪」」」」」」 洞窟の中は宴会だった。冬篭りというゆっくりにとって厳しい時期にドスが来てくれたのだから。 数分前 「ドスとみんなの約束だよ。ゆっくり理解してね!」 ドスまりさの帽子を被った女性が言った。 「おきてなんだね。わかるよー!!」 「「「「「「ゆっくりりかいするよ!!!」」」」」」 「1つ、無闇にすっきりしないこと」 「ゆ!どす、まりさたちはすっきりしてもだいじょうぶなんだぜ!」 「まりさ!さっき食糧を見せてもらったけどこの数じゃもうギリギリよ。それともまりさが食糧になってくれるの?」 「ご…ごめんなさい!!!!まりさがわるかったですううう!!!!」 「はるになったらすっきりしほうだいよ!それまでがまんしようね」 「1つ、………」 「1つ、…」 「みんな分かった?」 「「「「「「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」」」」」」 「約束を破ったら死刑かこの群から出て行ってもらうわ。わかったわね?」 「「「「「「「はーい!!!!」」」」」」」 「じゃあみんなご飯にしようね!」 「「「「「「「やったね!えんかいだね!!!!」」」」」」」 こうしてゆっくり達の宴会が始まったのだ。 「ご飯だよ」 れいむのリボンを付けた虐待お兄ちゃんは親ゆっくりに食事を与えた。 「おきゃあしゃん!いっちょにたべよ!」 「赤ちゃんはドスから貰ってね。これは赤ちゃんには美味しくないんだ」 「ゆっふっふ、これはおとなのあじなんだよ。あかちゃんにはまだはやいよ。ごめんね」 「ゆっくちりかいちたよ!あとでゆっくちちようね!」 「赤ちゃんはこれを食べようね」 彼女は赤ゆっくり達に親ゆっくりとは別の食事を出していた。 「「「「むーちゃむーちゃ…ちあわせぇ♪」」」」 「「「「ちちちちちあわせええええ♪」」」」 赤ゆっくり達が完食した直後異変が起こった。 「ゆ!にゃんだきゃむずむずしてきちゃよ!」 「ゆ?にゃんだかぽかぽかしてきちゃよ!!」 「ありちゅもー」 「りぇいみゅもー」 「ゆゆゆゆゆ?あちゅくなっちぇきちゃよ」 「にゃんだきゃへんだよ!」 赤ゆっくりは頬を赤らめ体からぬとぬととした粘液を出していた。発情したのだ。 「ま…ま…まりしゃああ~しゅ~りしゅ~りぃ」 「しゅ~りしゅ~り…な…なんだかへんだよ。しゅ~りしゅ~り」 「しゅりしゅりしてたらきもちよくなってきちゃよぉ」 「な…なにしてるの!あかちゃん!すりすりしたらしんじゃよおお!!!!」 親ゆっくり達が気付いた時は遅かった。 「ゆっぎりやめぢぇええ!!まりしゃじんじゃうよおおお!!!!」 「にゃんだぎゃへんだよおおおお!!!!」 「まりじゃああああ!!!!!ちょっちぇもきもちいいわああああ!!!!!!」 「ぎぼぢわるいよおおお!!!!やべじぇえええ!!!!」 「ありじゅうう!!!!やべでよおおお!!!!」 「わぎゃらないよおおお!!!!!!らんじゃまああああ!!!!!!」 「やべでええええええ!!!!あがじゃんじんじゃうよおおおお!!!!!!」 「どぼじでええええ!!!!!!!」 「貴方達!!!なにしてるの!!!!早くとめなさい!!!」 何とか半分ほどは親ゆっくりが赤ゆっくりを咥えて離すことができた。それでもかなりの赤ゆっくりはまだ交尾をしたままだ。 「「ゆぎゅっ!ゆぎぃ!やめちぇ!やべじぇええええ!!!ゆげぁぁぁ!!!!」」 「「「「「んほおおおおぉぉおおおおぉおおお!!!!!」」」」」 「「「「だ…だめだよおおお!!!!それいじょうはああああぁぁ!!!」」」」 「「「「「「しゅっきりぃー!!!!」」」」」」 「「「「「「じゅっぎりぃ……」」」」」」 発情した半分の赤ゆっくりは頭から茎を生やしみるみるうちに真っ黒な塊へと化していった。 「でいぶのあがじゃんがあああああ!!!!」 「ばりざああああ!!!!!どぼじでうぢのばりざがああああ!!!!!」 黒い塊と化した赤ん坊に必死に呼びかけるが何も答えてくれない。 「何てことをしてくれたのよ!!!!!」 彼女は未だに発情している赤ゆっくりを集めた。 「この子たちの親は誰?前に出てきなさい!!!」 「ゆうううう…」 「他のゆっくりはれいむに従ってね。今からこの子達の裁判をするわ」 「じゃあみんな、こっちにおいで。後はドスに任せよう」 彼は残りのゆっくりを連れその場から離れた。レイプをした赤ゆっくりとその親を一列に並ばせて彼女は言った。 「まったく、貴方達は子供にどういう教育をしているの?」 「ご…ごべんなざいい…」 「なんであがじゃんがすりすりなんてじってるのお…おじえでないよぉ…」 「おきゃあしゃん、しゅりしゅりぃ」 事態を分かっていない赤ゆっくりは側にいる親にすりすりしている。 「どす!おねがいじまず!!ゆるじでくだざい!!!ぢゃんどおじおきじますがらああ!!!」 「ごべんなざい!ごべんなざいい!!!」 「そこのれいむ!」 「ゆ!!」 「私との約束を忘れてはないよね?」 「ゆ!ゆ!ゆ!ゆ!」 「言って御覧なさい」 「むやみにすっきりー!したらだめ…だよ…」 「そうね。さっき言ったもんね」 「あかちゃんたちを…どうするんだぜぇ…」 「そこのぱちゅりぃ!!!!」 「むきゅ!!」 「掟を守れない場合はどうなるんだっけ?」 「しけいかこのむれから…でていく…」 「そうね。死刑か追放よ」 「「ぞ…ぞんなあああ!!!!!」」 「「おでがいじまずううう!!!!!ゆるじでぐだざいいい!!!!」」 「「おでがいじまずう!!!!ありずはいながものでいいでずがらごのごだけはゆるじでええ!!」」 「「まだごのごは……おでがいじまずうううう!!!ゆっぐりざぜであげでぐだざいいいい!!!!」」 「黙りなさい!!」 「「「「「ゆぴいいいい!!!!」」」」」 「ドスとの約束を初日から破っちゃうの?そんな悪いゆっくりは潰すよ!!!」 「ゆぅ…ぐずっ…」 「ぁかちゃ…ん…なんでぇ…」 「今すぐこの子達を殺すかもしくはこの子を連れてここから出て行くか決めなさい!!」 「ぞんなのえらべないよおお!!!」 「ゆええ"ぇえ"えん!!!!」 「仕方ないわね…」 「ゆ!どす…もしかして…」 「死刑だけは許してあげるわ」 「「あじがどうございまずうう!!!!!」」 「「よがっだねえ…あがじゃん!!!!!ごれでゆっぐりでぎるよお!!!!」」 「ハア?」 彼女は壁を強く蹴った。 「「「ゆううう!!!!!」」」 「誰が許すなんて言ったのかしら?」 「じゃ…じゃあどうずるの…」 「これを口に咥えなさい」 彼女は木の枝を数本親ゆっくりの前に投げた。 「それで赤ちゃんの目をくり抜きなさい」 「ゆ!!!!」 「どす…いまなんていったの…」 「聞こえなかった?その枝で!!!赤ちゃんの目を潰しなさい!!!!」 一瞬場が静まった。 「そ…ぞんあああ!!!!!」 「いやだああああ!!!!!!あがじゃんがゆっぐりでぎないよおおお!!!!」 「ぞんなのどがいはじゃないわあああ!!!!!!」 「ゆえ"えぇえぇえん!!!!!!そんなのいやだよおおお!!!!」 「どっぢもいやだよおおお!!!!」 「この子達にレイプされて死んでいった赤ちゃんたちはどんな思いだったのかな?死んじゃった赤ちゃんのお母さんは今どんな気持ちなのかな?」 「ぞ…それは…」 「ゆぅ…ぐずん…だげどぉ…」 「早く決めなさい!早く決めないと貴方達全員潰すからね!!」 「ゆう"う"う"う…」 「あがじゃん…どうじよぅ…」 「時間よ。れいむから聞くわ。どうするの?」 「ゆううう…どぅじよぅ…」 「おきゃあしゃんとしゅりしゅりい~」 泣きながら悩むれいむと対照的に赤れいむは嬉しそうに頬擦りをする。 「殺すの?ここから出て行くの?それとも目を潰す?」 「ゆうううう…ぐ…ずっ…あがじゃあん…ごべんねえ…」 「ゆ?」 れいむは赤れいむに思いっきり圧し掛かった。 「ゆびぇえええ!!!!おがあじゃんにゃんでえええ!!!!」 「ごべんねえ!!!ごべんねええ!!!!おぞらでゆっぐりじでねええ!!!!!」 「ぎゅえええええ!!!!……もっちょ…ゆっきゅりちたきゃったよ……」 赤れいむは死んでしまった。 「ゆあ"あ"あ"あん!!!!ばがなおがあざんでごべんねええ!!!!ごべんねええ!!!」 「「ゆひいぃぃぃ…」」 「「どうじだらいいのぉ…」」 事態を飲み込めていなかった赤ゆっくり達もようやく自分達が置かれている状況を理解した。 「お…おきゃあしゃん…まりしゃ…いいこだ…よ…だきゃら…」 「うるさいよ!!」 「ゆぎゃあああ!!!!」 「れいぷするゆっくりはわるいゆっくりだよ!!!!ゆっくりしないでしね!!」 「ゆびぇええええ!!!!!!まりじゃじにだぐないよおおお!!!!」 吹っ切れて赤ん坊を潰す親ゆっくり。 「みゃみゃぁ…ありちゅ…ちにたくにゃいよお…」 「ごめんなしゃぃ…ごめんなしゃぃ…」 「ごべんねえええ!!!!!!ごべんねええ!!!!」 「あがじゃんのぶんまでゆっくりずるがらああ!!!!!ままをゆるじでええええ!!!!!」 「いじゃいよおおお!!!!!やびぇでえええ!!!!!!」 「ぢにだくにゃいよおおおお!!!!たじゅげでえええ!!!!!」 泣きながら我が子を潰す親ゆっくり。 「おぢびじゃああん…ごべんねえ…すぐずまずがらがばんじでねえ…」 「ゆぴゃああ!!!!」 「いじゃいよおおおお!!!!!」 「りぇいみゅのおべべが!!!!おべべぎゃあああ!!!!」 「ぐらいよおおお!!!!!!なにもみえないよおおおお!!!!」 「ごべんねええ!!!!!」 「おぎゃあじゃんが…ゆっぐりざぜてあげるがらあ…ごべんねええ!!!!」 泣きながら目を潰していく親ゆっくり。赤ゆっくりとともにここから出て行くゆっくりはいなかった。 「そう。それでいいのよ。辛いけど掟を守らないとみんなゆっくりできないのよ。貴方達は反省してゆっくりしなさい」 「わがっだよお…」 「なにもみえにゃいよお…おぎゃあじゃん…どごにいるのお…」 「ぐらいよお…まりしゃあ…ありちゅううう…ちぇえええん…どごにいるのお…」 「あがじゃあん…ゆっくりじでねえ…」 親ゆっくり達は潰れた赤ゆっくりを食べていた。これがゆっくりの中での供養だという。目を潰された赤ゆっくりは親ゆっくりとともに巣へ帰っていった。 一方彼女は先ほどの虐待お兄ちゃんとの会話を思い出していた。 『俺が持ってきているモノだとこれですかね』 『それは?』 『これは精子餡ですよ。通常の何百倍も濃縮してます。こっちは妊娠促進剤と媚薬です』 『ええ』 『精子餡をゆっくりに注入したり肌にすり込むと妊娠しますよね。この濃縮した精子餡と妊娠促進剤と媚薬を混ぜるととんでもない薬ができるんですよ』 『霧吹きを取り出してどうするんですか?』 『精子餡と促進剤と媚薬を混ぜたものをお湯で溶かして…よっと、よく振って……これで完成です』 『これをゆっくりに噴きかけるんですね』 『ええ。噴きかけるだけでゆっくりは妊娠するんですよ。大抵は植物型ですね』 『それは確かにとんでもない薬ですね。発想は私と同じですよ』 『貴方は?』 『私も媚薬を持ってきてます。かなりのやつを。あとは睡眠薬ですね。火攻めする気だったんで用意はこれくらいなんです』 『妊娠で体力を奪わせて黒い塊にするか食糧を一気に減らす作戦…ですね』 『媚薬の方は私がやるわ。そうね、赤ゆっくりを発情させましょう』 『じゃあ霧吹きは俺がやります。あ、睡眠薬くれませんかね』 (彼はうまくやってるかしら…) 「ゆふう…ゆふう…」 「ゆゆ~ん…ゆゆうう…」 「ゆぴーゆぴー」 ゆっくり達は眠っていた。満腹して眠くなったのではなく虐待お兄ちゃんが盛った睡眠薬で眠っているのだ。 「もう!たべたらすぐねるなんてとかいはじゃないわ!!」 「あかちゃんがたいへんなことになってるときにねないでよぉ」 「あがじゃんがあ…ゆええぇえん…」 全てのゆっくりに盛ったはずなのだが先ほどの騒ぎで眠気が吹っ飛んでしまったようだ。といっても半分は寝ている。 「いいよ。寝かせてあげな。さっきの事はドスに任せなさい。この子達もショックだったんだ。落ち着かせてあげよう。君達もゆっくりしなさい」 「うん…じゃあれいむにまかせるわね」 起きているゆっくりは巣の中に帰っていった。彼の周りは眠っているゆっくりだけになった。 「(じゃあ始めますか)」 彼は霧吹きを眠っているゆっくり達に噴きかけた。さらに辺り一面にも霧吹きを噴きかけた。 「(これくらいかな。あとは少し待てばいい)」 彼は一旦彼女がいる所へ向かった。この後戻ってきた時に偶然ゆっくりが妊娠しているのを見つけたふりをして皆を集めるつもりだ。 つづく by 虐待おにいちゃん
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1960.html
むかしむかしでもないごく最近。 あるところに、ゆっくりを虐めることを至上の喜びとしているお兄さんがいました。 ある時、お兄さんが、ゆっくりを捕まえるために罠を作っていました。 そんな所に、桃色の髪をしたゆっくりがじっとお兄さんを冷ややかに見つめていました。 視線に気付いたお兄さんは、(桃色の髪?ゆゆこか?)と考えていると、桃髪ゆっくりがしゃべりだしました。 「私はゆゆこではありません。私はゆっくりさとり。あなたは…ゆっくり虐待を生きがいとしているゲダモノですね」 お兄さんはカチンときました。いきなり見たことも無いゆっくりに『ケダモノ』扱いされたのですから。 捕獲道具をとり、ゆっくりさとりを捕まえようとしました。 「おや、私を捕まえて、虐待しようとしていますね。…ふむふむ、まずは足を焼いて、そのあと穴を開けて私の中身の味見ですか。…ほうほう、もし美味しければ発情ありすを捕まえて繁殖させようと言うのですか」 お兄さんは驚きました。まるで自分の考えをゆっくりさとりに朗読されているようです。 「驚きましたか?えぇ、私は心を読むことができます。あなたが私をどう捕まえようかともどう虐めてやろうかともみーんな読めますよ」と、不敵な笑みを浮かべるゆっくりさとり。 お兄さんは完全にキレてゆっくりさとりに襲い掛かりました。 ですが、どう襲い掛かっても、ゆっくりさとりを捕まえるどころか、逆に翻弄されてしまいます。 「まっすぐストレートにぶっ飛ばす」ひょいっ「今度は左から」ぴょん「上から来るぞと見せかけて左から」すかっ お兄さんに焦りが生じると、ますます攻撃があたりません。そして ガサッ! お兄さんは自分の仕掛けた罠に気づかず頭から網をかぶって身動きが取れなくなってしまいました。 「あらあら、自分の罠に自分がかかるなんて、わかりますよ、その悔しさ、私を一思いに潰してやろうと言う憎しみ。でも残念でしたね」と、揚々と奥へ行こうとした瞬間。 ズボッ 「え!?」 サクッ 「ギャッ」 突如、ゆっくりさとりは穴に落ち、短い断末魔の叫びを上げました。 網から脱出したお兄さんはその穴を覗き込みました。 穴のそこには、付近から生え出た木の根に刺さって絶命していたゆっくりさとりの残骸がありました。 お兄さんはその穴を知りませんでした。それ故、ゆっくりさとりもその穴に気づかなかったのでしょう。 味見しようにも、お兄さんにはその穴の幅は狭く残骸に届かなかったので、そのまま穴を埋めました。 お兄さんは、なんだか興が冷めてしまい、その日は帰ってすぐに寝てしまいましたとさ。 その後、各地で新たなゆっくりの存在が確認されることとなるのは別の話。 以下俺設定 ゆっくりさとり 心を読める希少種ゆっくり。 そのため、他者による襲撃からの生存率はきわめて高い。 反面、心の無い自然災害にはきわめて弱い。 悪いゆっくりさとりは、読んだ心をわざわざ朗読し、心を読まれたものの狼狽振りをニヨニヨしながらあざ笑う。 良いゆっくりさとりは、そもそも心を読むことを嫌悪しているため、めったに現れることは無い。 あとがき ぶっちゃけ、「サトリ」の物語をゆっくり風にしてみただけです。 そろそろ地霊のゆっくりも現れるかなと思い書いてみました。 駄文、失礼しました。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/20.html
ゆっくり井戸 2KB アマギンさんのイラスト「そして憎しみだけが残った」をリスペクトして書きました。 「みんなのかたきだよ……!」 村の外れの井戸の前、ゆっくりまりさがいた。 その口にくわえているのはスズラン。人間にもゆっくりにも毒となる花だ。そのまりさ は、親ゆっくりから教えられてその毒性を知っていた。 スズランを教えてくれた親ゆっくりはもういない。 先日、大規模なゆっくり狩りがあった。留守の家に侵入して荒らし、畑の作物を食い散 らかしゆっくりは、人間にとって紛れもなく害だ。その結果は必然であり、自業自得に他 ならない。。 だが、当のゆっくりたちにはその理屈がわからない。 自分たちは素敵なおうちを見つけてゆっくりぷれいすにしただけなのに。 自分たちは勝手に生えてくるお野菜を食べただけなのに。 自分たちは、ただ、ゆっくりしたかっただけなのに。 人間達は、無惨に無慈悲にゆっくりたちを殲滅した。 このまりさは幸運にもゆっくり狩りから生き残っていた。その命を繋いだのは囮になっ てくれた親ゆっくりのおかげだ。 とても優しい親だった。おうたが上手だった。やさしくすーりすりしてくれた。いつも 食べ物を取ってきてくれたし、いっしょにむーしゃむしゃすれば最高に幸せだった。 いつもゆっくりしていて、いつもいつもまりさをゆっくりさせてくれる最高のゆっくり だった。 それが、もう、いない。 おとなりのれいむも、ものしりぱちゅりーも、みんなみんな人間に潰されてしまった。 仲間はみんないなくなってしまった。 だからまりさは決意した。 みんなをゆっくりさせなかった人間を、ゆっくりできなくさせてやる、と。 親から「ゆっくりできなくなるからぜったいむーしゃむしゃしちゃだめだよ!」と聞い ていたスズランを用意した。人間に見つからないように井戸の前まで来ることができた。 だが、ここでまりさに躊躇いが生まれた。 自分がしようとしていることは、正しいのか、と。 親ゆっくりはいつもみんなをゆっくりさせてくれた。自分もそうなりたいと思っていた。 だが、自分は今、人間をゆっくりさせなくしようとしている。 それでも、 「まりさはゆるせないよ……!」 まりさはスズランをくわえたまま井戸に飛び込んだ。 まりさは人間がゆるせなかった。しかし、人間をゆっくりさせなくしようとしている自 分もまた許せなかった。 だから死ぬつもりだった。生き残ったのはいいが、もう他のゆっくりはいない。いっぴ きじゃゆっくりできない。 人間を道連れにして、死ぬ。 それがこの親ゆっくりの教えを正しく受け継いだ善良なまりさの導き出した結論だった。 井戸の底へと落ちていくまりさの顔は、どこか安堵したような、どこか皮肉げな笑み― ―本来のゆっくりの笑みを浮かべていた。 そしてまりさは水の中に落ち、スズランと共にゆっくりと溶けていった。 まりさは満足だった。 なぜならまりさは知らなかった。 村には既に水道が通っており、この井戸など使われていないことを。 たまに子供が井戸で遊んでいるのを見て、ゆっくり達が人間の飲み水はこの井戸だと誤 解していたことを。 だからまりさは満足し、最後にはとてもゆっくりし、無意味に死んだ。 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る まりさに死ぬ間際に教えてあげたい -- 2016-01-31 13 11 43 ざまあww -- 2014-05-26 18 37 04 俺もこのゆっくりの誤りは無知から来てると思う。 元ネタがある以上仕方ないかもだが、もっとこう、ゆっくりの独り善がりな描写が足りなかったと思うことは思うかな -- 2013-01-13 06 27 38 ↓×4 そもそもゆっくりの習性の元ネタになった民族が“同じ知識レベル”で、かつ日本(人間)に対して同じ状況を作ってるじゃないか もっとも、現実世界の人間(日本人)にもゆっくりんピースと同じメンタリティの人間がいたり、ゆっくりには反映させ辛かった買収やシンパの醸成行為という厄介な方法も駆使しては来るが -- 2012-08-22 18 28 58 知らずに幸福に死ねたんだしいいんじゃねww -- 2012-08-16 23 30 30 このページ消えろよ -- 2012-04-03 08 04 49 ゆっくりくるしみをあじわってしんでね!(金バッジ付飼いゆっくりの言葉) -- 2012-03-22 18 09 31 ここで出てくる復讐って価値観の違いよりも無知から来てるよね。 自分は勝手に生えてこないのに野菜はそうだと思ってる。自分は家を空けることがあるのに留守にしているだけの他人の家って発想は出てこない。 もし人間が同じ知識レベルで同じ状況になったら、このまりさみたいな気持ちになってこんな独り善がりなことするんだろうか。 -- 2012-01-29 14 55 40 ↓なんだって?習ってなかったぞ!?中学か?高校か?それとも大学か? いつ出るんd(ry -- 2012-01-28 19 12 52 「ゆっくりと人間はエゴの塊」 ここ、テストに出ますよー -- 2011-09-18 21 17 33 なんで投げ込ま無かったの -- 2011-03-04 08 24 56 ゆっくりが死ぬと心が躍る!!(某大隊長の少佐の証言) -- 2010-12-03 23 00 43 犬死に!無様!!hahahahahahahah!!! -- 2010-11-27 12 17 13 アマギンさんは美鈴書いてる時が好きです -- 2010-10-16 23 08 06 ↓差別が嫌いと言うわりには猛烈に差別的発言をしてるじゃないか。 -- 2010-10-07 07 51 34 >こういうのを見ると人間とゆっくりって本質的にはほんと大差ないよなあと思う 自分に非があるか考えないで全部正当化する人間なんて中国人と朝鮮人もどきくらいだよ 私は差別とゆっくりと朝鮮人が嫌いです -- 2010-10-03 15 39 35 ゆっくりと人間の戦いは続く… -- 2010-08-07 00 16 46 このまりさに聞いてみたい「お前らのゆっくりの為に人間のゆっくりを踏みにじっていいのか?」と -- 2010-08-06 22 38 17 こういうのを見ると人間とゆっくりって本質的にはほんと大差ないよなあと思う 無意味だったけど最後の最後に穏やかに死ねたのは意味のある死に方だと思うわ ただ、このまりさは親に救ってもらった命を無駄にしたのは馬鹿だと思う -- 2010-07-23 14 23 05 でも、子供が遊んでるときに井戸の水をのでくれたら・・・ -- 2010-07-23 14 11 03
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1311.html
ゆっくりいじめ系110 髪飾りの続きです。 前の騒動の際に拾ったゆっくり霊夢。 こいつは仲間の死を見たせいか、仲間を殺してしまったせいか、ずっと固まったまま動かない。 口に物を入れれば食うし、生きてもいるようだが心が死んでしまっている。 俺自身も痛みを与えたり、髪飾りを死んだゆっくりの物交換してみたりと色々な方法を試みたが、何一つ反応を見せない。 「こうなったら代案ならぬ代餡として、中身でも入れ替えてみるか……? でもなぁ……」 それではつまらない。このゆっくり霊夢だからこそ期待できるものがあるのだ。 悩んでいても大して良い案は浮かばずに数日が過ぎた。 今日も今日とて歩きながら考えていると、道脇の草むらで何かが動いた。 「ゆぅ……くりぃ……」 ゆっくり魔理沙だった。どうやら傷ついて餡子が減っているらしく、かなり皮のたるみが目立つ。 別にどうでもいいか、と無視しようとした時、ふと妙案が思い浮かび、足をゆっくり魔理沙の前で止める。 「おい、大丈夫か? しっかりしろ!」 「ゆっ……りぃ……」 うーむ、我ながらうそ臭い演技だ。しかし、ゆっくり魔理沙の方は本当に重体らしく、返事をする元気すらない。 おそらく何らかの理由餡子を吐き出してしまったため、生きていくぶんの餡子が足りていないのだろう。 「よいしょっ、と……!」 ゆっくり魔理沙を抱え上げて、家に走り帰る。早くしなければ死んでしまうかもしれないのだ。 「待ってろ……! すぐに助けてやるからな!」 家に帰り、ゆっくり霊夢用の餡子とオレンジジュースを与えると、ようやく危機は脱したように見えた。 さっきよりも少しふくらみ、顔ツヤも良くなっている気がする。 「ありがとぅ……おにいさん……」 「無理に喋るな。とりあえず、ここでゆっくりしていけよ」 「うん、ゆっくりしていくね……」 ゆっくりぱちゅりーぐらいのか細さである。これは休ませておいた方がいい、と判断し、その日は俺も就寝した。 寝る前にゆっくり魔理沙をあえて、ゆっくり霊夢の近くに置いておいた。 次の日、ゆっくり魔理沙の様子を確認すると、本調子ではなさそうだったが、昨日よりかは随分良くなっていた。 「どうだ? 身体はもう大丈夫か?」 「ゆっくりやすめたから、すこしだいじょうぶになったよ」 やはり、答える声にはゆっくり種特有の無駄な元気さはない。もう少し置いてやるべきかな。 「ゆっ、おにいさん、あのこどうしたの?」 「ん、ああ、ゆっくり霊夢か……」 ゆっくり魔理沙は置物のように鎮座したゆっくり霊夢を気にしていた。ゆっくり同士の連帯感故だろうか。 思惑通りに事が進んでいる。俺はいくらか考えたふりをして話してやった。 「あのゆっくり霊夢は家族がみんな死んでしまって、酷い目にあったんだ。それで動かなくなっちゃったんだ……」 簡潔すぎるほど簡潔だが、ゆっくりに小難しい話をしても分からないだろう、と判断して適当にまとめた。 「……ゆっ!」 傷が癒えきっていない身体で飛び跳ね、ゆっくり霊夢の隣に行くゆっくり魔理沙。そして、いつもの言葉。 「ゆっくりしていってね!」 「………………」 相変わらず、反応しないゆっくり霊夢。……よし、実験開始。 「なあ、ちょっといいか?」 「ゆ?」 「このゆっくり霊夢を見ててやってくれないか? 食べ物はちゃんと渡すし、見てるだけでもいいんだが」 「いいよ! ゆっくりみてる!」 心なしか元気が戻ってきているように見える。やけに聞き分けがいいところにが何かありそうだ、と感じさせる。 『ゆっくり同士の交流で心は戻るか』という目論見であるが、どちらに転んでもどうでもよかった。 その日から、俺は朝食と昼食二匹分の食べ物を渡し、仕事をして、夜にまた食べ物を渡しながら一日の経過を聞くという生活になった。 ゆっくり霊夢は自分から食べようとはしないため、誰かが与えてやらなければならなかったが、それはゆっくり魔理沙がやってくれた。 ゆっくり魔理沙もゆっくり霊夢のことが気になるらしく、傍から見ていても姉のように甲斐甲斐しく世話をしている。 それが理由なのか、近頃ではゆっくり霊夢が微妙に反応を示し始めている。 小さくだが「ゅ……ゅ……」という声が聞こえるのだ。それを聞いて、ゆっくり魔理沙は嬉しそうに語りかけたりしている。 ゆっくり魔理沙は出来ないことも弁えているらしく、「れいむをあらって、すっきりさせてあげて」などと頼まれた。 ゆっくり霊夢は動かないので、ゴミや埃が積もって汚れてしまうのだ。 ついでにゆっくり魔理沙も洗ってやろうとすると、「まりさはいいよ」と拒否したので無理やり洗ってやった。 くすぐったそうにしながらも、暴れずに大人しくしているゆっくり魔理沙。 ゆっくり種としてはその聞き分けの良さ、おとなしさは奇妙というか異常であった。 俺は今までの経緯や行動から、ゆっくり魔理沙の事情をだいたい予測していた。確証を得るために語りかける。 「なあ、魔理沙。お前、仲間からいじめられたりしてたんだろ。だから、あんなに傷ついてたんじゃないか?」 「…………」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢が乗り移ったかのように黙り込む。やがて、ゆっくりと口を開いた。 「まりさはね、ぼうし、なくしちゃったんだ……」 「そうか……」 それだけ聞けば何があったのかは予想できる。そして、現在のゆっくり魔理沙は帽子をつけている。 「他のゆっくりから取ったのか?」 ゆっくり魔理沙は一瞬迷ってから、言った。 「しらないゆっくりの、しんじゃったゆっくりのぼうし、ひろったんだ」 「知らなくて、しかも死んでるなら別にいいんじゃないか? 誰も使わないわけだし」 俺はてっきり、生きているゆっくりから帽子を奪ったから、いじめやリンチにあったんだと思っていたのだが。 むしろ、帽子やらリボンやらがないと、元いた群れであっても仲間扱いされなくなるのは前回の実験で判明したことだ。 「しんじゃったゆっくりのぼうしだとね、みんなからきらわれちゃうんだ……」 嫌われる……? どういうことだ。帽子をかぶってるのにいじめられただと? まさか、ゆっくりは分かるのか。そいつに合っていない髪飾りや、死んだゆっくりの髪飾りを使っているのが。 これは、非常に興味深い。俺はゆっくり魔理沙から当時の状況を詳しく聞くことにした。 ゆっくり魔理沙の言ったことをまとめてみると、 1、「帽子を失くす」といじめられた。群れから無視される立場となる。 2、「生きている他のゆっくりの帽子」を奪ったら、仲間として認められた。しかし、帽子を奪い返されると、以前の立場に逆戻り。 3、「死んでいるゆっくりの帽子」をかぶったら、群れの仲間どころか、行く先々のゆっくりに攻撃された。で、倒れて拾われる。 という経過らしい。 ……成る程。ゆっくり種の髪飾りにはここまで意味があるとは。驚愕の思いを隠しきれない。 そして、ゆっくり魔理沙がゆっくり霊夢を世話するのも、群れから追い出されて寂しかったからだろう。 しかし、もしもゆっくり霊夢が目を覚ましたら、どんな行動を取るのだろう。 それはそれで楽しみである。 「ゆっくりしていってね!」「ゆぅ!」 ある朝、二匹分の声で目が覚めた。まさか、と思い居間へ確認しに行くと、そこにはゆっくり魔理沙とゆっくり霊夢が仲良く並んでいた。 「おにいさん、ゆっくりおはよう!」「ゆっ!」 「……帽子、気がついてないのか?」 ゆっくり魔理沙の言うことが真実なら、ゆっくりには死んだゆっくりの帽子を判別する能力があるみたいなんだが。 「だいじょうぶだよ! ゆっくりしてるよ!」「ゆゅ!」 と、そこで気づく、家にいたゆっくり霊夢は大きさであれば、それなりに成長してる個体のはず。 しかし、先ほどからまるでほとんど喋ってしない。精々、「ゆ」の一文字文ぐらいだ。 思い浮かんだのは幼児退行という言葉。しかし、そんなのゆっくりにも起きるのか? 疑問を持ちながらも、さらなる観察を続けることにした。 「ゆっくりしていってね!」「ゆっ!」 最初に気づいたのは、このゆっくり霊夢は「ゆっくりしていってね!」と一切言わないことだった。 ゆっくり子霊夢ですら「ゆっくりちていってね!」と返事するのに、何度も呼びかけても何も返さない。キョトン、としたままだった。 ゆっくり種としての常識でもぶっ壊れてしまったのだろうか。 個の識別は出来ているようである。ゆっくり魔理沙は当然としても、俺ですら家族の一人のように反応する。 しかも、言葉の識別も出来ているらしく、「お~い」と呼ぶと普通に寄って来て、「ご飯だ」と言うとやたらと速く寄って来る。 何故だか身体能力もあがっているらしく、己の背丈を越えるほどの跳躍力を見せることもあった。 それに引っ張られるように、ゆっくり魔理沙の能力も上がってきている。単純に傷が癒えた、というだけでは説明がつかない。 傷の治りが妙に早かったり、語彙が増えたり、知能が上がっているような気配すらある。 ゆっくりとしての禁忌を破ったからなのだろうか。よく分からない。 こうなってくると、最早ゆっくりとは違う種とすべきか! と一人盛り上がってみたが、即断するにはまだ早い。 近頃では二匹が仕事を手伝ってくれるようになった。仕事といっても農作業だが。 「おんがえしだよっ!」「ゆ~!」 と言っては泥だらけになるのも構わず、文句も言わずにせっせと働いている。いや、楽だね。 今日もまたゆっくりたちが俺の手伝いをしていると、草むらから音がした。ぴょん、と飛び出る塊。 「ゆっくりしていってね!」 野生のゆっくり魔理沙であった。それだけなら別にどうということはないのだが、今はまずい。 「ゆ……!? ゆっくりしねぇ!」 「ゆぐぅ!?」 野生ゆっくりが、俺のところのゆっくり魔理沙を見た途端、人格が変わったように体当たりをしてくる。 相手が大きかったこともあり、吹っ飛ばされるゆっくり魔理沙。野生ゆっくりは攻撃の手を緩めない。 「ゆっくり! しね! しねっ! しねぇぇっ!!」 「ゆぶっ! ぎゅぶ!」 鬼のような形相で攻撃し続ける野生ゆっくりと、口から餡子が出始めているゆっくり魔理沙。 放置するのも面白いのだが、まだやってもらわねばならないことがあるので助けようとする。 と、そこへ駆けつけるゆっくり霊夢。ゆっくりとは思えない速度で野生ゆっくりにぶつかる。 「ゆーーーー!!!」 「ぐべぇ!?」 二倍近く体格差があったように見えるのだが、それを物ともせず、今度は野生ゆっくりが弾き飛ばされる。 どれほどの力が込められていたのか、野生ゆっくりは木にぶつかると、餡子を撒き散らして潰れた。 普通のゆっくりとは比べ物にならない力の強さである。普通のゆっくりだと、集団で攻撃してようやく一匹を潰せる程度の力だ。 ゆっくり霊夢は野生ゆっくりのことなど眼中になく、すぐさまゆっくり魔理沙のところに駆けつけた。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!?」 ゆっくり霊夢が悲痛な叫び声を上げる。何事か、と見てみれば、ゆっくり魔理沙の皮が破れて餡子が飛び出していた。 どうやら、吹っ飛ばされた時に木の枝にひっかけてしまったらしい。 「ちっ……まずいな。大丈夫か?」 「ゆぅぅ……」 だらり、と返事も出来ずにへたりこんでいるゆっくり魔理沙。そこまで、餡子の流出が大きいのかとも思ったが、何か違う。 身体がぶるぶると震るわせ、悪夢にうなされているように「ゆっ、ゆっ、ゆっ」と呻いている。 とりあえず、症状を観察するのは後回しにしてゆっくり魔理沙を家の中に運び込むことにした。 一応の手当ては終了した。傷口にテープを貼り、オレンジシュースを飲ませておく程度のものであったが、応急処置にはなる。 状態が良くなったわけではないが、傷よりも精神的に弱っているようだった。 「みつかった……みつかっちゃたよぅ……」 涙を流すわけでもなく、生気の抜け落ちた顔でぶつぶつと呟き続けている。 ゆっくり種の禁忌を犯しているゆっくり魔理沙は、制裁を恐れているのだろう。 「大丈夫だって。襲ってきたやつは潰しただろ? もう来ないんじゃないか?」 「そうかな……?」 怯え切った顔つきだ。俺としてもゆっくり種にそこまでの探知能力はないと思う。第一発見者がいなければ犯罪は露呈しない。 「もう、ゆっくりできないできないよぅ……」 なおも呟き続けるゆっくり魔理沙。どうしたものかな、と思った時、 「ゆぅ、ゆっ、ゆ、ゆっくり、しない、でね!」 なんとゆっくり霊夢が喋り始めた。ぴょんぴょん、と跳ねながら、頑張って話そうとしている。 「ゆっくり、しなくても、だいじょうぶ、だよ? おかー、さんは、れいむが、まもるよ!」 たどたどしく、けれど、はっきりと宣言した。 母親と認識していたことにも驚きだが、「ゆっくりしなくていい」とはゆっくり種としての存在意義に関わるのではないだろうか。 「さっきのは、ちがう、ひと。れーむたち、とは、なんかちがうの」 どうやらゆっくり霊夢は明確な境目を他のゆっくりに感じているらしい。 これは……面白い。その背中を押してみるべきだろう。 「そうだ、違うぞ。。あいつらはお前たちみたいなのが嫌いなんだよ」 「? どーして?」 「お前たちの髪飾り、リボンや帽子は死んだゆっくりのものでな。普通のゆっくりはそういうのを許さないらしい」 「だから、おかーさんを、いじめたの?」 「そうだ」 簡潔に伝えてみると、ゆっくり霊夢は身体をぶるぶると震わせ始めた。 怒りの感情かもしれないが、そこには何かしらの決意みたいなものが感じられた。 「じゃ、れーむは、ゆっくりじゃなくていい! そんなこというひと、みんなおいはらうよ!」 「へぇ……」 そっちの方向へ行くのか、と俺は感心していた。種であることよりも親を守る。 もしかすると、自分が既にゆっくり種から受け入れられないと分かっているのかもしれない。 「お前はもうゆっくりしないのか?」 「しないよっ!」 「じゃあ、お前は今度から『ゆっくりまんじゅう』っていう名前にしてみたらどうだ? ゆっくりとは違うってことで」 「ゆっ!? ゆっくりまんじゅう! れーむはゆっくりまんじゅうだよ!」 思いのほかあっさり承諾した。むしろ、喜んでいる。俺としては、人づてに聞いた小噺から思いついたものなんだが。 これで、本当にゆっくりとは違うものになったんだろうか、明日はどうしてみようか。 そんなことをワクワク考えながら、俺たちは眠りについた。 夜中。声と気配で目を覚ます。ゆっくりまんじゅうたちのいる部屋からしているようだ。 「なんだ……まさか!?」 急いで、居間に繋がっている扉を開けようとする。が、何かにつっかえているらしく、僅かの隙間しかできない。 その隙間から声が聞こえてきた。 「おかーさん! おかーさん! やめぐっ!?」 「ゆ、ゆゆ……」 「ゆっくりしないでね!」「ゆっくりできないよ!」「すっきりさせてね!」 まんじゅうゆっくりたちとは別の無数の声。俺は事態を察して、扉からではなく、窓から外に出て、玄関へと向かった。 「うわっ……」 表から見ると、玄関は開け放たれており、何匹ものゆっくりが部屋に入ろうとしていた。 しかし、既に入っているやつが多すぎて入れていない。それでも、まだ部屋の中に入ろうとしている。 「邪魔だ! どけっ!」 玄関周辺のゆっくりを潰して道を作る。ようやく、部屋の中を見るとそこには床一面にゆっくりが蔓延っていた。 「ゆっくり!」「ゆっくりできないやつはしね!」「じゃまなひとはどっかいってね!」 どうやら、俺には全く感心を抱いていないようだ。ゆっくりまんじゅうたちを目で探してみると、 「ゆぅ! ゆっ!? ゆぅぅぅぅぅ!!」 多くのゆっくりに圧し掛かられているまんじゅう霊夢がいた。 力で押し返そうとしているが多勢に無勢。潰されてはいないが、完全に身動きを封じられていた 「おかーさん! おかぁ、さん!」 その声で今度はまんじゅう魔理沙を探すと、テーブルの上で何匹かゆっくりがまとまっていた。 まさか、とテーブルに手を伸ばすが、玄関からでは遠く、突っ込むにはゆっくり達で動けない。 「ゆ、ゆ……ゆ。ごめんね、ごめんね……」 テーブルでは魔理沙が頭から食べられていた。何度も謝罪の言葉を呟きながら。誰に向かって謝っているのだろう。 「ゆっ、ゆっ! あのひとたち、へんなゆっきゅだよ! しんじゃえばいいのに!」 「みたよ、おひるにここのおうちでゆっくりしてたよ! ゆっくりじゃないのになまいきだよ!」 他のゆっくりよりも嬉々として、ゆっくりまんじゅうたちに攻撃を加えている二匹のゆっくり魔理沙。 あれは、もしかして昼間の野生ゆっくりの家族だろうか。現場を見られていて、仲間に場所を伝えたというわけか。 第一発見者がいなくても、第二発見者がいれば犯罪は露呈するか。くそ、あの後、周辺を警戒しとくんだったな。 「れーむもおかーさんも、だれにもめーわくかけてない! やめて、やぶぎゅ!?」」 動き回ってゆっくりたちを引き剥がそうとするが、さらに多くのゆっくりに圧し掛かられて、餡子が出そうになる。 「ゆっ、くりぃぃぃぃ!!」 その光景を見た魔理沙は最後の力を振り絞って、もう半分以上、無くなっている身体で飛んだ。我が子を守るため。 霊夢の近くに落ちる魔理沙。その衝撃と気迫に驚いて、群がっていたゆっくりたちはわらわらと散っていく。 「おかー、さん? おかーさん!? おがーざぁん!?」 「ごめんね……ごめんね……」 「 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?」 最後まで謝りながら息絶えていく魔理沙。泣きすがる霊夢。 「ようやくしんだの? ばかなの?」「あとひとつ、つぶせばゆっくりできるね!」「すっきりしようね!」 口々に汚く罵るゆっくりたち。流石に見ていて腹が立った。俺がやってみたかったのに。 先ほどの、場所を教えたゆっくり魔理沙がまんじゅうへと寄ってくる。 「ゆっくりたべるよ! どいてね!」 餡子を食う気だろう。完全に余裕の笑みを浮かべている。 「おいしそう~♪ あ~ぐぎゃ!?」 ゆっくり魔理沙は食べようとして突如、吹き飛ばされた。壁にぶち当たって、中身が飛び散る 「ゆっくり!? ど、どうしたのぉ!?」「ゆっくりしんじゃったよ!」 「ゆっくり……」 ゆっくりたちが声した方を見る。ゆっくりたちの認識において、そこには潰され、食べられる予定の獲物しかいないはずだった。 「ゆ、ゆ!?」「ゆゆゆ!?」「ゆぅ!?」 「ゆっくり、するなぁぁぁぁっ!!!」 そこにいたのは狩人だった。否、狩人という言葉すら生ぬるい。それは戦士だった。 周囲のゆっくりを比較にならない力と素早さによる体当たりで叩き潰すまんじゅう。その凄まじい勢いにゆっくりたちは恐慌を来たす。 「い゛や゛ぁ゛ぁぁ!?」「おうぢがえる! おうぢにがえりだいよぉ!」「だじでぇぇっ!!!」 先を争って俺の方、すなわち玄関へとへ向かおうとするが、数が多いのが災いして思うように動けない。 その様子を見てから、俺はまんじゅうに声をかけた。 「おい、まんじゅう。一人で出来るか?」 「ひとりで……ひとりでできる! まかせて! みんな、ゆっくりできなくさせるよ!」 「だ、そうだ。お前ら、全員そこの『まんじゅう』にやられちまえよ」 指でまんじゅうを指し示してやってから、ゆっくりと玄関の扉を閉める。外にいたゆっくりもついでに放り込んでおく。 俺自身もイラついていたのだ。気分的には収穫しようとした果実を目の前で掻っ攫われた気分に似ている。 中の様子を窓から見てみる。 多数のゆっくりが外に出ようと扉に張り付いているが、結局開かず、後ろから来た他のゆっくりに潰されている。 「だぢでぇぇ!! ごごがらだじでぇ!」「 ゆ゛っぐり、じだいよおおおお!」「まんじゅういやぁぁ!!」 皆が逃げようとすればするほど、潰されていくゆっくりたち。しかし、後ろから今だ危機が迫っているのだ。 「ゆっ、くりぃ!」 まんじゅうは上空から勢いをつけて、一匹のゆっくりを叩き潰す。広がる餡子。見せつけるようにまんじゅうはそれを食べた。 「むしゃり! むしゃり! ぺっ!」 リボンを吐き出す。さらに震え上がるゆっくりたち。 髪飾りを盗った許せないゆっくりがいると知って群れで潰しに来たはずなのに。しかし、現実は過酷だった。 「どうじでぇ!? どうじでこうなるのぉ!?」「ゆっぐりざぜでね!?」「「まんじゅうはこないでぇぇぇぇ!」 「どうして? ゆっくりたちがれーむの、ゆっくりまんじゅうのおかーさんをころしたからだ!!」 今更、たわ言を抜かしていたゆっくり魔理沙を潰す。それは母に似ていても、決定的に母ではなかった。 「まんじゅう!?」「まんじゅうごわ゛い゛!」「ま゛んじゅう゛、やべでぇ!」 「ぼうしやリボンをなくしたゆっくりは、まんじゅうになってイジメられるんだ! おぼえとけ!」 「お゛ぼえ゛る゛! お゛ぼえ゛る゛がら゛だずげでぇぇ!」「ゆっぐいじだがっだよ゛う゛!」 「じにたくないよ゛おお゛お゛お゛お゛お゛!」「ぎゅっぐりぃ!!」「おがあざぁん!」 まんじゅうは飛び上がって、扉に群がっているゆっくりに思い切り体当たりをぶちかます。その勢いで扉が開け放たれた。 既に大半のゆっくりはやられていたが、それでも残ったゆっくりが我先にと逃げ出していく。当然、仲間に潰されたゆっくりもいた。 「まんじゅう゛ごわい! ま゛ん゛じゅうごわいよぉ!」「ま゛んじゅうなりだぐな゛いぃぃぃ!!」 「ずっぎりじだがっだだげなのにー!!」「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!???」 それぞれがまんじゅうに対して恐怖を口にしながら、どこかへ行った。 「いいのか、そこそこの数を逃がしたけど」 まんじゅうの狙いは分かっていたが、あえて聞いてみる。 「いいよ。あれで、まんじゅうがこわいっておもってくれれば、いいんだよ」 やはり計算してやっていたか、と少し感心していると、まんじゅうが俺の方を向いて小さくお辞儀をした。 「なんだ、どうした?」 「おとーさん、いままでそだててくれて、ありがとう。ここにいると、ゆっくりがいっぱいきて、めーわくがかかるからどこかにいくね」 「何……?」 俺ってお父さん扱いだったのか、と思いながら、なんとなくある推論が思い浮かんだ。 このゆっくり霊夢、もといゆっくりまんじゅう霊夢は、本当にゆっくり種とは違うものに変質しまったのではないだろうか。 きっかけは先日の惨劇であり、髪飾りを変えたことかもしれない。 しかし、俺や元ゆっくり魔理沙と暮らすことでゆっくりとしての常識を失っていったのかもしれない。 あの身体能力はそんな中でも生き残るために発揮されている、所謂「火事場の馬鹿力」だろうか。 そうだとすると、その寿命は長くは保てないだろう。 これはこれで興味深い事例であった。 俺はまんじゅうに、餞別として潰れたばかりの餡子を包んでくれてやった。 面白いものを見せてくれた礼でもある。 「元気で、とは言えないが、まあなるべく死ぬなよ?」 「うん。おとーさん、おかーさんのぶんまでしなないよ。ばいばい」 どこか穏やかな顔つきでまんじゅうは、消えていった。 その後、やけに強いゆっくりとして、まんじゅうの存在はたまに人々の噂にされることもあったが、死んだかどうかは分からない。 普通に考えて、いくらまんじゅうでも敵の数が多いと生き残れないのではないか、と思う。 それでも、時折だが山からある叫び声が聞こえるそうだ。そう、 「ま゛ん゛じゅ゛う゛ごわ゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛っ!!??」 と。 ここらで一つ、後書きっぽいものをどうぞ。 ゆっくりに「まんじゅうこわい」と言わせたかった結果がこの長文だよ! 「髪飾りの失くしたゆっくり」だと長いので適当に名前をつけてみたら、「まんじゅう」になった。反省している。 「ゆっくりまんじゅう」を正式名称にしたのは、流石に「ゆっくり」って言葉がついていないとマズイだろ、という判断から。 地の文で書く時、または他のゆっくりが呼ぶ時には「まんじゅう」になります。「饅頭」に非ず。 「まんじゅう」の脳内設定も一応書いておきます。使っても使わなくても、どっちでも構いません。 名称だけ使うとかも大丈夫です。設定改変もご自由に。 ……そもそも、こんな設定を使ってくれる人がいないだろうけど。 「ゆっくりまんじゅう」 髪飾りを失くしたゆっくりのこと。 髪飾りが無くなったゆっくりは種として迫害される運命にある。特に仲間の死体から髪飾りを盗んだ者は絶対に許されない。 「ゆっくりまんじゅう」は、それでも生き残るために変化した突然変異型ゆっくり。 髪飾りを失くしただけでは変異しないが、他のゆっくりったいによって迫害されることで変異することがある。 身体能力や知能は通常のゆっくりを遥かに凌駕するが、それは体内餡子の糖分を使っているため。 故に、通常のゆっくりよりも寿命は短く、中の餡子も甘みがなくて不味い。 「ゆっくりするな!」などの「ゆっくり」という言葉に対して否定的な言葉をぶつける。 自分から他のゆっくりを襲うことはしないが、襲われたら相手がれみりゃであろうと、群れであろうと死ぬまで戦う。 子ゆっくりであろうと容赦せず、相手の餡子を食らうことも平気でする。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4548.html
※最初で最後のゆっくり虐待に挑戦中です。 ※どくそ長いです。 ※うんうん、まむまむ描写あり。 ※標的は全員ゲスです。 ※虐待レベルはベリーハードを目指します。 ※以上をご了承頂ける方のみどうぞ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『永遠のゆっくり』18 荒涼たる岩場とゆっくりプレイスを隔てるマジックミラーは、 一日のうち一度、三十分程度のわずかな時間だけ透明なガラスになった。 ゆっくりプレイスの中では、Y飾りのゆっくり達が、 山ほどのあまあまと遊具で、存分にゆっくりを堪能していた。 楽しげな話し声や室内の音楽も聞こえてくる。 「れいむもいれてねええ!!ゆっくりしたああいい!!」 「おなかすいたあああぁぁ!!あまあま!!あまあまわけてぇぇ!!」 「おでがいじばず!!おでがいじばずうう!!めぐんでぐだざいいいぃ!!」 ガラス越しに群れのゆっくり達は懇願したが、 聞き入れられないどころか、嘲笑と罵倒をもって応えられた。 懇願のうちに三十分は過ぎ去り、壁は再び鏡に戻る。 例え侮蔑と悪意を向けられていてさえ、 極上の美ゆっくりであるY飾りのゆっくり達の姿そのものが、 群れのゆっくり達にとってはゆっくりできるものだった。 壁が鏡に戻る瞬間、 ゆっくりプレイスは内部の音も含めてすべてこちら側と遮断される。 群れのゆっくり達はその時、眼前の鏡に移る自分たちの、 痩せて汚れた、涙に濡れるみすぼらしい姿を見せつけられた。 ゆっくり達はそんな自分を嫌悪し、みじめな気分になり、 なるべく鏡と離れ、岩場の真ん中で日がな一日泣きじゃくった。 どこを向いても、目に映るのはぶざまで醜い自分たちだった。 互いの姿が醜く思え、口を開けば愚痴や喧嘩ばかりだった。 家族と一緒にいても、何をしても、 脳裏にあのゆっくりプレイスが常にちらつく状態では全くゆっくりできなかった。 今となっては、あの三十分だけが唯一の楽しみだった。 あの美しいY飾りのゆっくり達を見てゆっくりしたい。 ゆっくり達は毎日それだけを楽しみに待っていた。 一週間近く何も口にせず、ゆっくり達はほぼ餓死寸前だったが、 食欲よりもむしろ、その渇望のほうが強かった。 一週間が過ぎたその日に、変化が起こった。 群れのゆっくり達が透明なガラスに張り付いてゆっくりプレイスを眺めているとき、 突然Y飾りのゆっくり達が騒ぎはじめた。 「ゆっ!!にんげんさんがきてくれたよ!!」 「ゆゆゆっ!!いそいでおむかえするよ!!」 ゆっくりプレイスの中に人間が入ってきていた。 大人のメスだ。 たちまちのうちにゆっくり達がプレイスの床で整列し、 人間を前にしてはきはきと挨拶をした。 「にんげんさん!きょうもきてくれてありがとうございます!!」 「「「「ありがとうございます!!」」」 「にんげんさんのおかげでゆっくりできます!!」 「「「「ゆっくりできます!!」」」」 お姉さんがそれに答えた。 「はいはい、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりおめぐみありがとうございます!! ゆっくりさせていただきます!!」 異常な光景だった。 あんなにゆっくりできるY飾り達が、ゴミクズの人間に挨拶をしている。 群れは戸惑う。特に親れいむ達には理解不能だった。 とはいえ、群れのゆっくり達はそれを千載一遇のチャンスと捉えた。 人間に命令すれば、中に入れてもらえるのではないか。 なにしろ、可愛いゆっくりをゆっくりさせることは他種の幸せなのだ。 断られることは考えられない。 「ゆっくりしていってね!!」 親れいむは大サービスで挨拶をしてやった。 まずは可愛い姿を見せてやり、メロメロにしておくのだ。 人間とY飾り達の視線が一斉にこちらに集まった。 そして、Y飾り達が叫び始めた。 「ゆっくりできるわけないでしょおおお!?」 「なにがゆっくりしていってなのおおお!? おまえらがいるとゆっくりできないんだよ!!」 「おまえらににんげんさんをゆっくりさせられるとおもってるのおおお!? うすぎたないごみくずがおもいあがらないでねえええ!!!」 「ゆゆゆゆ………!?」 れいむ達は狼狽した。 たとえY飾りに比べれば醜かろうと、まがりなりにもゆっくり。 人間が自分たちを見てゆっくりするのは確実だろうと思っていた。 当のお姉さんも、苦笑まじりにこちらを見ているだけで挨拶には答えない。 しかし、ゆっくり達はこのチャンスにしがみつき、 お姉さんに向かって食事を要求し始めた。 「おねえさん!!かわいいれいむのためにあまあまをもってきてね!!」 「まりささまはおなかがぺこぺこなんだぜ!!はやくするんだぜええ!!」 「れいむはしんぐるまざーなんだよ!!かわいそうだとおもわないの!?」 「ゆがあああああああああぁぁぁ!!!」 吼えたのはY飾り達だった。 ぎょっとして硬直しているうちに、Y飾り達は猛烈な勢いで扉に殺到し、 扉を開いてこちらになだれ込んできた。 「いいかげんにしろごみくずどもおおおぉぉぉ!!!」 Y飾りのまりさが、群れのゆっくりに体当たりを見舞った。 通常のゆっくりよりもはるかに強烈な衝撃に、 喰らったまりさが歯をまき散らしながら大きく吹き飛ぶ。 「にんげんさんにそんなくちをきいていいとおもってるのかああぁぁ!!」 「このごみくずどもが!!にんげんさんにっ!!あんなことを!!あんなことを!!」 「なにがしんぐるまざーなの!?ごみくず!!もういちどいってみろおぉぉ!!」 「ゆびぇええええええええーーーーーーっ!!?」 Y飾り達のリンチが群れのゆっくり達を蹂躙した。 吹き飛ばされ、踏みしだかれ、噛みつかれる。 巧みに致命傷を与えることだけは回避しているようだが、群れのゆっくり達はも激痛に泣き喚いた。 「やべで!!やべで!!ぼうやべでぐだざいいいいい!!!」 「ゆっぐりでぎないいいいい!!ゆっぐりざぜでええええ!!!」 「ごべんなざい!!ごべんなざい!!あやばりばずがらゆるじでぐだざいいい!!!」 親まりさが叫ぶと、Y飾り達は暴力の手を止めて問い詰めた。 「なにがごめんなさいなの!?はっきりいってね!!」 「ゆっぐ、ゆっぐ………うずぎだないごみぐずでごべんなざい………」 「ちがうでしょおおおぉぉぉ!!!」 「ゆびぇえええぇぇぇ!!」 再び体当たりを受け、親まりさが転がされる。 「おまえらごみくずなんかが!!にんげんさんにためぐちをきいたからだよ!!」 「ゆ、ゆ……?」 「あまあまをもってきてねだって!? なんでおまえらなんかににんげんさんがあまあまをもってきてあげなきゃいけないの!?」 「ゆ、ゆ、ゆっくり……れいむはゆっくりできるから……にんげんさんが……」 「だまれええええぇぇぇ!!」 「ゆぎゅっ!!?」 今度は口を挟んだ親れいむが舞わされた。 「もういちどいってみろおおぉぉ!! にんげんさんが!!おまえみたいな!!うすぎたないごみくずをみて!! ゆっくりするわけないでしょおおおぉぉ!!? ぶじょくしたな!!にんげんさんをぶじょくしたな!!あやまれ!!あやまれえぇ!!」 ばしばしと踏みつけられ、親れいむが泣き叫ぶ。 「ごべんなざい!!ごべんなざい!!ぼういいばぜん!!ごべんなざいい!!」 「なにがごめんなさいなの!?」 「にんげんさんをぶじょくしましたああぁぁ!!」 「もういちどきくよ!! だれがおまえをみてゆっくりするの!?そんないきものがどこにいるの!!?」 「いばぜん!!いばぜえええん!! でいぶをみでゆっぐりずるいぎぼのはいばぜえええええぇん!!」 「やっとわかったね!!ごみくず!! ごみくずなりにゆっくりはんせいしてね!!」 ぺっ、と唾を吐きかけてYまりさはようやく身を引いた。 ぼろきれのように横たわり、親れいむは泣きじゃくる。 Yまりさは群れのゆっくり達に向きなおって叫んだ。 「おまえらもゆっくりりかいしてね!! おまえらはだれもゆっくりなんかさせられない、きたないやくたたずのごみくずなんだよ!! とくに、とくに、にんげんさんをゆっくりさせられるなんておもわないでねえぇぇ!!! ゆっくりわかったの!?へんじしろおおぉ!!!」 「ばいいいいいぃぃ!!わがりばじだあああああ!!!」 涙を流し震えおののきながら、ゆっくり達が答える。 「ごみくずはそこでのたれじんでいってね!!」 「まりさ、もういいわ」 「ゆっ!!ゆっくりわかりました!!」 Yまりさを制止したのはお姉さんだった。 ガラス壁の向こうからお姉さんは言った。 「その子たちにも食べ物をあげましょう」 「ゆゆっ!?でも、こんなごみくずたちにごはんさんはもったいないとおもいます!!」 「いいのよ」 「ゆっくりわかりました!!」 プレイス内の大皿から菓子を集め、大皿に盛っていくY飾りのゆっくり達。 充分な量の菓子が盛られたところで、お姉さんが皿を手に取った。 「ゆゆっ!?まりさたちがはこびます!!」 「ごみくずどもににんげんさんからあげるなんておそれおおいです!!」 「いいの。さ、どいて」 「ゆっくりごめんなさい!!」 そうして、皿を運んでくるお姉さん。 その様子を見て、群れのゆっくり達は飛び跳ねた。 「ゆっ!!ありがとうにんげんさん!! はやくあまあまおいていってね!!」 「おれいにおうたをうたってあげるよ!! あまあまちょうだい!!あまあま!!」 一刻も早く菓子を受け取ろうと、扉のほうに集まっていく。 親れいむも、痛む体と空腹を引きずりながらそちらへ向かっていった。 やがて、扉を開いてお姉さんが現れた。 「はいはい、がっつかないの」 その瞬間、親れいむの中枢餡を衝撃が貫いた。 恐ろしく空腹だったが、もはや菓子などは眼中になかった。 わけがわからない。 わからないが、とにかく、このお姉さんにすりすりしたくて仕方がなかった。 このおねえさんはゆっくりできる。 親れいむの本能が、それを告げていた。それもこれまでにないほど強烈に。 菓子皿が地面に置かれたが、 親れいむは脇目もふらずにお姉さんに向かっていった。 「お、おねえさん!!すーりすーり!!れいむとすーりすーりしてね!! ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 先ほどYまりさにされた制裁も忘れ、人間にすり寄っていく。 見ると、群れの他のゆっくり達も同じようにお姉さんの方に向かっていた。 遅れてはならじと、親れいむは必死に這いずっていく。 しかしお姉さんは首を振り、立ち上がった。 「だめだめ。ゆっくりできないわね」 「どぼぢでぞんなごどいうのおおおぉぉぉ!!?」 群れの中から絶叫が響く。 「だーめ。みんな汚いもの。じゃあねー」 「ま!まって!!おねえざん!!すーりすーりしでえぇ!!」 「ずーりずーりじだああいいいい!!おねえざん!!もどっでぎでええええ!!」 「おねえざああああん!!おねえざああああんん!!おでがいいいいいぃ!!!」 「ゆっぐじじで!!ゆっぐじじでよおおおおぉぉぉ!!!」 飛び跳ね、追いすがり、懇願する群れに背を向け、 お姉さんは足早に扉の内側に引っこんで扉を閉めてしまった。 ゆっくりプレイス内では、 Y飾りのゆっくり達が、存分にお姉さんの腕や足にすりすりをしている。 どれもが恍惚の表情を浮かべ、このうえなくゆっくりしていた。 これまでで一番強い、身を焦がす羨望に親れいむは身悶えする。 ゆっくりしたい。 食欲とも性欲とも違う、そのどれよりも遥かに強い衝動。 気も狂わんばかりのその衝動に突き動かされ、 置かれた菓子の皿には目もくれず、Y飾り達の怒鳴り声にもひるまず、 親れいむ達はガラス壁に体当たりし、壁の向こうのお姉さんに懇願し続けた。 壁が再び鏡に戻ってしまうまでそれは続いた。 「………なんだこれ」 「ね、すごいでしょ」 「信じられない。あれだけ腹をすかしたゆっくりが、食事も忘れて人間にすり寄るなんて。 食欲がほぼ最優先で、人間を見下している生き物が……どういうわけなんだ?」 「問題。ゆっくりが一番ゆっくりできる状態って、なんだと思う?」 「………俺に聞かれてもわからないが、甘いものを食べてるときか?」 「ブー。解答。お母さんの中にいるとき」 「口の中に入って……いや、母胎か!」 「そういうこと。生まれる前、母親の子宮の中にいるときが一番ゆっくりしてるの。 人間と同じで、生まれた後はほとんど忘れちゃうようだけど、 胎内にいる間のゆっくり波は、生まれた後にどんな事をしてもまず到達できない数値なんだな」 「ゆっくり波?」 「脳波のゆっくりバージョンで、ゆっくり具合を数値化してみたのね。 で、研究してみた結果、にんっしんっしているゆっくりの子宮内の液体が鍵だとわかったの。 胎ゆっくりが浮かぶ海、人間でいう羊水ね。便宜上、「ゆー水」と名付けました」 「ゆーすい……」 「そのゆー水を大量に摂取し凝縮して、香水にしてみたわけ。 それを肌にふりかければ、人間だろうとブタだろうとれみりゃだろうと、あらゆるゆっくりがすり寄るようになるよ」 「そりゃまた。つくづく単純な生き物だな」 「コレが開発できた時点で、 ゆっくりに関するほとんどの問題は解決できたようなもんね。 あとはじっくり手間をかけていくだけってわけ」 鏡を前にしてゆっくりプレイスと遮断された群れは、 意気消沈の体で、それでも菓子を盛った皿に這いずっていった。 「むーしゃむーしゃ……しあわせー……」 「うっめ……これめっちゃうっめ……」 一週間ぶりの、それも初めて食べるほどの美味だったが、 その量は群れに対してとても充分とはいえなかったし、 何より、先ほどの人間にすげなくあしらわれたのが、なぜか無性に辛かった。 あの人間に褒めてほしい。可愛がってほしい。 餡子の底から湧き起こる、説明しようのない本能が思考を苛む。 その日の夜、岩場に身を横たえて眠りながら、 親れいむは夢を見た。 遠い遠い記憶。 すでに忘れかけていた、魂のゆっくり。 自分たちゆっくりが毎日本能的に追い求めている、 すべてが全く満たされた夢のような時が、 かつてたしかにあったのだ。 夢の中で、親れいむは、 大きく温かく優しい母親の頬にすーりすーりをしていた。 起きると、親れいむは泣いていた。 周囲には、同じように泣いているゆっくり達が多くいた。 同じ夢を見たのだろう。 互いに言葉を交わすでもなく、再び一方の鏡を凝視する。 あの三十分がその日も訪れ、群れのゆっくり達はガラス壁にしがみついた。 一同はY飾り達の暴力を恐れ、声をあげずに張り付いているだけだったが、 やがて人間の姿が現れると、無意識に鳴き声を上げた。 「ゆうぅ~~……ゆぅぅう……」 「ゆっくり……ゆっくりしたいぃ……」 しかし、その日やってきた人間は別のお姉さんだった。 親れいむ達は落胆したが、 扉が開かれ、菓子皿を手にそのお姉さんが現れると、 再び電流のような渇望に打たれ、お姉さんにすり寄ろうとした。 そしてまた拒絶される。 「ゆっくり!!ゆっくりしたああいいいい!!!」 「おでがい!!おでがい!!でいぶをゆっぐりざぜで!!ずーりずーりじでぇぇ!!」 「なんでぼじばず!!ずごじだげでいいんでず!!なーでなーでじでぐだざいいいい!!」 「ああやだやだ、汚い汚い」 泣きながら這いずってにじり寄るゆっくり達を振り切って、 お姉さんはさっさとゆっくりプレイスに戻って扉を閉めてしまう。 「ゆっぐじざぜでえええええええぇぇぇ!!!」 再び一週間が過ぎた。 わずかなあまあまで日々を食いつなぎ、 今日こそは、今日こそはと、毎日違うお姉さんに懇願する。 ゆっくり達はやつれ果て、疲れきっていた。 毎日泣きはらし、目の下には深い隈ができている。 最初は群れで固まっていたが、今ではそれぞれが勝手に動き、 会話をしようともしない。 薄汚れた互いの姿を見てもみじめになるばかりだった。 「今、あのゆっくり達は、 ゆー水の効果で人間に母親を見てるわけ」 「まさかそんな事ができるとは思わなかったな」 「母親に捨てられた子供ほどみじめなものはないよ。 アメリカのほうじゃたまに見かけたけど、ひどいもん。 お母さんに拒絶されるというのは、トラウマになるぐらい辛いことみたいだね」 「君も、もう少しお母さんを大事にしてやればいいだろう」 「そうだねー。週末には帰ろうかな。 じゃ、そろそろ次いこっか。ここからが面白いよー♪」 「おねえさんとすーりすーりしたいの?」 その日、外に出てきたY飾りのまりさが聞いてきた。 ゆっくり達が沸き返り、絶叫する。 「ゆ!!したいい!!ずーりずーりじだいいいぃぃ!!!」 「ばりざをおでがいじばず!!ずーりずーりじだいいいいい」 「ゆっぐりいいいい!!ゆっぐりいいいいいいい!!!」 「いまはだめだよ!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおぉぉぉ!!?」 泣きわめくゆっくり達に、Yまりさが毅然として答えた。 「うすよごれたやくたたずのごみくずが、 にんげんさんにさわるなんておそれおおいんだよ!!ゆっくりりかいしてね!!」 「ううううう!!ゆううううううう!!!」 「でも、やくたたずだけど、がんばればあっちにいれてあげてもいいよ!! おねえさんともすーりすーりできるよ!!」 「ゆ!!がんばる!!がんばりばずうううううぅぅぅ!!!」 初めて目の前にぶら下がる希望に、ゆっくり達は眼を輝かせた。 「そのためには、「しんっこうっ」のみちにはいるんだよ!」 「ゆ?」 「しんっこうってなに?」 「「ゆっくりきょう」にはいって、 にんげんさんのやくにたつゆっくりになれるようにしゅぎょうすることだよ! そのためにはたくさんおぼえなきゃいけないよ!!しゅぎょうはつらいよ!! つらいけど、がんばればおねえさんとすーりすーりできるよ!!」 「ゆゆゆゆ!!よくわからないけど、ありすはしんっこうっするわ!!」 「まりさもしんっこうっするんだぜ!!すーりすーりするのぜ!!」 群れのゆっくり達から次々と声があがる。 「しんっこうっのみちにはいるには、きまりごとをいっぱいおぼえなきゃいけないよ!! それをおぼえたら、このばっじをあげるよ!!」 Yまりさが取り出したのは、 自分が頭につけているのと同じY字型の飾りだった。 「このばっじをつければ、ゆっくりきょうのいちいんだよ! ゆっくりぷれいすにいれてあげるからね!!」 歓声をあげる群れに、Yまりさは一冊の本を取り出して言った。 「それじゃ、これからゆっくりきょうのおきてをおしえるからゆっくりおぼえてね!!」 「ゆゆぅ!!ゆっくりおぼえるよぉ!!」 「すーりすーり♪すーりすーり♪」 「ゆっくりはゆっくりできません!!」 「ゆっ?」 不思議そうに小首をかしげるゆっくり達に、Yまりさは怒鳴った。 「ゆっくりふくしょうしてね!! ゆっくりはゆっくりできません!!」 「どぼじでぞんなごどいうのおおぉぉ!!?ゆっくりできるよぉ!?」 「ゆっくりだまってね!! さからうならゆっくりきょうにははいれないよ!! おねえさんにすーりすーりしてもらえないよ!!」 「ゆゆうぅぅ!?」 「ふくしょうしてね!! ゆっくりはゆっくりできません!!」 「「「ゆ……ゆっくりはゆっくりできません!!」」」 お姉さんに触りたい一心で群れは復唱する。 「このよのすべてのいきものは、 どんないきものでもゆっくりできます!!」 「「「ゆっくりできます!!」」」 「けれど、ゆっくりだけはゆっくりできません!!」 「ゆゆゆぅぅぅ!?」 「ふくしょうしてね!!」 「「「ゆっくりだけはゆっくりできませんん!!」」」 「ゆっくりは、なんのやくにもたたないごみくずです!!」 「「「……ごみくずですぅ!!」」」 「このよでいちばんゆっくりできるのはにんげんさんです!!」 「「「にんげんさんです!!」」」 ちがうでしょおおおおぉぉぉ!!? 親れいむはそう叫びたくて仕方がなかった。 しかし、以前にY飾り達にリンチを受けた体験を思い出し、 逆らうのは思いとどまった。 何より、あのお姉さんたちがゆっくりできるのは確かだった。 掟は続く。 「やさしいにんげんさんは、 ゆっくりがゆっくりできるいきものになれるようにみちびいてくれます!!」 「「「みちびいてくれます!!」」」 「ごみくずのゆっくりにてをさしのべてくれるにんげんさんにかんしゃして、 にんげんさんがゆっくりできるように、にんげんさんのいうことをきくこと!!」 「「「いうことをきくこと!!」」」 「そうすれば、にんげんさんがゆっくりをゆっくりさせてくれます!! それが、ゆっくりがゆっくりするゆいいつのほうほうです!!」 「「「ゆいいつのほうほうです!!」」」 最後に、Yまりさは一際声を張り上げて締めた。 「にんげんさんのどれいになることがゆっくりのゆっくりです!!!」 「「「ゆっくりのゆっくりです!!!」」」 「きょうおしえるのはこれだけだよ!!ゆっくりおぼえていってね!!」 「ゆ、ゆ、おかしいわ!」 不平を鳴らしたのは参謀役のぱちゅりーだった。 「なにがおかしいの?」 Yまりさがじりじりと詰め寄りながら聞き返す。 ぶるぶると震えながら、ぱちゅりーはそれでも答えた。 「ゆ、ゆ、でも、でも、にんげんさんはひどいことをするわ! おやさいさんをひとりじめしたり……」 「おやさいさんはにんげんさんがそだててるんだよぉ!!!」 凄い剣幕でYまりさが怒鳴った。 「にんげんさんのおやさいをたべたの!?」 「ぱ、ぱちゅりーはたべてないわ……」 「ほんとう!?たべてたらこのばでつぶしてるよ!!」 その剣幕におののき、 群れの中の、畑に侵入した前科のあるゆっくりも黙り込んでしまう。 「にんげんさんがそだてたおやさいをぬすむゆっくりはゆっくりできないよ!!」 「お、おやさいはかってにはえて……」 「ぱちゅりぃぃぃ!!そんなこともしらないでもりのけんじゃなのおおぉ!?」 涙を一筋こぼし、ぱちゅりーは口をつぐむ。 子めーりんに負けて以来、ぱちゅりーは自分の知識に全く自信が持てなくなっていた。 「ゆゆぅ……でも……」 群れの中から、れいむ種の反論がさらに出てくる。 これほど自信を失い、これほど強い相手を前にしても、 人間が一番ゆっくりでき、ゆっくりはその奴隷になるべきだという理屈は、 ゆっくり達にとって到底すんなり受け入れられるものではなかった。 「おうたをうたってあげても、 にんげんさんはおれいをしてくれなかったよ……」 「おうたぁ!?」 Yまりさが向きなおって怒鳴る。 「おうたって、まさかあれのこと!? ゆーゆーうめいてるだけの、あのひどいざつおんのこと!?」 「…………!!」 群れのれいむの脳裏に、テストの時の屈辱が甦る。 「そんなものをにんげんさんにきかせたのおおぉぉ!!? そのせいでにんげんさんはゆっくりできなかったんだよ!! おれいってなんなのおぉ!?ごみくず!!おまえがおわびするんだよ!!」 「……ゆ、ゆ………ごべんなざいぃ……」 反論したれいむは泣きながらうなだれた。 その後も弱々しい反論が群れから発せられたが、 そのどれもが、Yまりさの激しい叱責で切って捨てられた。 「にんげんさんがよこどりするうぅぅ!!? ぜんぶにんげんさんのものなんだよ!! このせかいのなかで、ごみくずのものなんかどこにもないんだよおぉ!! にんげんさんがおめぐみしてくれるものだけがゆっくりのものだよ!!」 「ゆぐぐぐぐぅぅ………」 「わかったらおきてをおぼえてね!! ゆっくりはゆっくりできません!!」 「「「ゆっくりはゆっくりできませええん!!」」」 その日は、その掟を何度も何度も復唱させられた。 それでも最後まで暗記できた者はいなかった。 暗記できるまで練習するよう命じると、 本を投げてよこし、Yまりさはゆっくりプレイスに帰っていった。 その大きくて薄い本には、先ほどの掟が簡単なひらがなで書いてあった。 字の読めるゆっくりがそれを手に取り、 群れといっしょに音読しはじめた。 ゆっくりの本能に抗うその掟は到底受け入れ難いものだったが、 お姉さんとすりすりしたい、ただその事のために、 他にやることもない無聊も手伝い、ゆっくり達は掟を繰り返し続けた。 無心でそれを繰り返していれば、少なくとも現状のみじめさを忘れることはできた。 ゆっくりはゆっくりできません このよのすべてのいきものは どんないきものでもゆっくりできます けれど、ゆっくりだけはゆっくりできません ゆっくりは、なんのやくにもたたないごみくずです このよでいちばんゆっくりできるのはにんげんさんです やさしいにんげんさんは ゆっくりがゆっくりできるいきものになれるようにみちびいてくれます ごみくずのゆっくりにてをさしのべてくれるにんげんさんにかんしゃして にんげんさんがゆっくりできるように、にんげんさんのいうことをきくこと そうすれば、にんげんさんがゆっくりをゆっくりさせてくれます それが、ゆっくりがゆっくりするゆいいつのほうほうです にんげんさんのどれいになることがゆっくりのゆっくりです 一番覚えのよかった一匹のまりさ種が、丸一日かかって暗記した。 翌日、Yまりさの前で、そのまりさは掟を暗唱した。 「ゆ!!ごみくずなりによくおぼえたね!!」 「まりさはがんばったんだぜ!!すーりすーりするんだぜ!!」 「このぐらいでみとめられるとおもわないでねえぇぇ!!」 怒鳴られ、委縮するまりさ。 しかしその時、人間の声がかかってきた。 扉を開けてやってきたのはお姉さんだった。 お姉さんはまりさを見下ろして笑った。 「よく覚えたわね。偉いわよ、まりさ」 「ゆゆゆゆううぅぅ!!!」 感極まってぶるぶると震え、目をきらきら輝かせるまりさ。 「ご褒美をあげるわ。ほら、撫でてあげる」 「ゆ!!おねえさん!!すーりすーり!!すーりすーりしてええぇぇ!!!」 まりさの薄汚れた頬にお姉さんの手が触れ、優しく撫ぜた。 「ゆっ……………くりいいぃぃぃぃぃぃぃ~~~~~~~~~~~………!!!」 あひる口で涙と涎を垂らし、頬を紅潮させて震えながらうれちーちーを漏らすまりさ。 恐らくは生涯最高にゆっくりできているだろうその表情が、群れの羨望をかきたてる。 「はい、おしまい」 「ゆゆうううぅぅぅ!!?もっと!!もっとすーりすーりいぃぃ!!」 「だーめ。もっと頑張ったらまたやってあげるわね」 そのまま立ち上がり、お姉さんは扉の向こうへ消えていってしまった。 群れは泣きながら追いすがり、すーりすーりを懇願したが、 Yまりさの怒鳴り声に追い返された。 あのまりさだけが、いまだに余韻にひたってうれちーちーを漏らし続けていた。 何日もかかって群れのゆっくり達は最初の掟を覚え、 お姉さんからご褒美のすーりすーりを受けて、その快感に魅せられた。 掟はそれだけではなく、 それから数多くの掟を教えられた。 にんげんさんにさからってはいけません ゆっくりはみにくいいきものです てとあしがないのはみっともないことです ゆっくりはよわいいきものです にんげんさんがまもってくれるおかげでいきていけます ゆっくりはよくぶかい、あさましいいきものです にんげんさんにしどうしてもらいましょう 反発したいもの、意味がよく掴めないものが多かったが、 お姉さんのご褒美をもらいたいというそのためだけに、 群れのゆっくり達は必死に覚え続けた。 通常のゆっくりでは、それらのすべてを暗記することは不可能だったが、 それでも掟は少しずつゆっくり達の無意識に浸透していった。 たとえ心で反発していても、口に出して音読しているうちに抵抗が薄れていく。 なにより、あのすーりすーりへの燃えるような渇望が、 ゆっくり達から思考能力を奪っていた。 「このせかいは、かみさまがつくったんだよ。 いぬさんもおはなさんももりさんもうみさんも、ぜんぶかみさまがつくったんだよ。 かみさまはさいごに、じぶんににせたいきものをつくって、 このせかいをかんりするやくめをあたえたんだよ。 それがにんげんさんだよ」 Yまりさは群れに講義していた。 「かみさまはいろんないきものさんをつくったけど、 つくったものには、わるいところがすこしずつあったよ。 そのわるいところを、かみさまはていねいにとりのぞいたよ。 いろんないきものさんのわるいところを、ちぎってまとめてすてたんだけど、 そのわるいくずがあつまって、ひとつのいきものになっちゃったよ。 それがゆっくりだよ」 群れの中から、かすかに嗚咽が漏れてくる。 その頃になると、群れのゆっくり達は素直にYまりさの教えに耳を傾けていた。 「にんげんさんは、ぜんちぜんのうのそんざいなんだよ。 にんげんさんにはなにもかもわかってるし、 ゆっくりたちがなにをしてるか、ぜんぶおみとおしなんだよ」 ゆうぅぅ、という嘆息が群れから上がった。 「ゆっくりがゆっくりできているかどうかは、 にんげんさんがぜんぶおしえてくれるよ。 まよったときは、にんげんさんにおしえてもらってね。 ゆっくりできることをしていたら、にんげんさんはゆるしてくれるし、 ゆっくりできないことをしていたら、にんげんさんがばつをあたえてくれるよ」 Yまりさは一旦言葉を切り、群れを見回した。 そして頷きながら続ける。 「それはとてもありがたいことなんだよ。 ばつをあたえてもらえば、ゆっくりははんせいできるよ。 そうすればもっとゆっくりできるようになれるよ。 でも、にんげんさんのばつで、ゆっくりがころされることもあるよ」 再び言葉を切り、間を置いてからYまりさは強い口調で続けた。 「それも、すごくありがたいことだよ!! ゆっくりできないゆっくりは、 ころしてもらうことで、もうだれにもめいわくをかけずにすむよ。 そして、にんげんさんのばつをあたえてもらってしぬことで、 じごくへいかずにすむんだよ!」 「ゆゆっ?」 「じごくってなに?」 群れの中から質問が上がり、Yまりさはそれに答えた。 「じごくっていうのは、とってもとってもゆっくりできないところだよ。 にんげんさんのためにはたらいたゆっくりは、 えいえんにゆっくりしたあと、おそらへいくよ。 だけど、わるいことをしたゆっくりは、 おそらへいけないで、じごくへいくんだよ。 じごくでは、ずっとずっと、いたくてくるしくてゆっくりできないことをされるよ。 じごくにおちたゆっくりは、にどとしねないよ。 えいえんに、ずっと、ずっと、ずっとずっとくるしみつづけるんだよ。 えいえんにくるしくて、えいえんにゆっくりできないんだよ」 「ゆゆゆうううううぅぅぅぅ!!!」 群れのゆっくり達が恐怖の叫びを上げる。 Yまりさは満足げに見回して続けた。 「みんな、じごくへいきたい?」 「いぎだぐないでずううぅぅ!!」 「いやあぁぁ!!じごくいやああぁぁ!!」 「そうだよね。だから、ゆっくりできるゆっくりにならなきゃいけないよ。 にんげんさんのいうことをよくきいて、にんげんさんのためにはたらこうね。 そうすれば、おそらでゆっくりできるようになるよ。 それに、わるいことをしたとしても、 にんげんさんにばつをあたえてもらってしねば、 わるいことはゆるしてもらえて、やっぱりおそらでゆっくりできるよ。 みんな、よくおぼえてね!!にんげんさんにかんしゃしようね!!」 「はいいぃぃ!!」 「…………そんなに面白いか?自分でやっといて」 「あははははは、あははは、ははは、あっははははははは!」 「まさか宗教なんてものを持ち出すとはな」 「あははは、あのね、人間だってそうだけど、群れをまとめるには宗教が一番なの。 神様に天使、自分たちより上の存在が決めたルールならみんな素直に従うでしょ。 でも人間の場合、問題は、神様も天使もいないこと。 だから信仰心に頼るしかなくて、結局ルールとしては不安定になるよね。 でも、ゆっくりには、本物がいるんだからね。 人間がなってやればいいんだからさ、その、天使に、ぷはっ! あは、あはははは、天使だって、あっはははは、ひい」 「君が笑っているのはゆっくりか?」 「ははははははは、あは、あは、うひっひっひ、あはははは」 「それとも人間のほうか?」 毎日、群れのゆっくり達はY飾り達の講義を受けた。 他にやることもない状況下、 皆が「ゆっくり教」の教えを理解し、覚えることに全霊をかたむけた。 定期的に、お姉さんの立ち会いのもとにテストが行われた。 暗記を要求されたのは一番最初の掟だけで、 それだけは毎回テストの最初に暗唱させられたが、 それ以外の教えについては、一問一答の形で試された。 ゆっくりできないこと、人間に対してやってはいけないこと、 様々な設問を受け、群れのゆっくり達が答える。 素早く答えられたものには、お姉さんがすーりすーりをしてくれた。 ゆっくりプレイス内のガラス近くに、外側に向けて大画面のテレビジョンが設置され、 ガラス越しにビデオを見せられた。 そのビデオを通して、ゆっくり達は毎日ゆっくりの悪行を見せつけられた。 人家に侵入し、中のものをひっくり返して汚すゆっくり達。 街中で人々にあまあまを要求するゆっくり達。 歌を歌い、おひねりを要求するゆっくり達。 ゴミ箱をあさり、通路にゴミをまき散らすゆっくり達。 そうしたゆっくり達の騒音や通行妨害に迷惑をこうむる者たちの声が、 市民、公務員、飼いゆっくり、さまざまな立場から語られる。 農家で野菜の栽培を生業とする人々が映され、 農業にかかる膨大な手間が詳細にわたって解説される。 その営みの苦労、それを乗り越えてもたらされる収穫の喜びに、 群れのゆっくり達が感動を覚え始めた頃、 「おやさいはかってにはえてくるんだよ!」を合言葉に畑に侵入するゆっくりが映される。 ゆっくりによって荒らされる畑、その害に苦しむ農家の声がたっぷりと流れる。 「とかいはなあい」と称して、飼いれいむを強姦する野良ありす。 犯し殺されたれいむの家族、そして飼い主の悲しむ姿が延々と映される。 レイパーありすの強姦から、人間の手当によって運よく生き延びた大勢のゆっくりが、 レイパーに対する恨みつらみと憎悪を激しい口調で並べ立てる。 ドスまりさが人間の村を訪れ、「きょうてい」を要求する映像。 ドススパークを盾に一方的な不平等条約を結ばされ、 村の糧を奪われて汲々とする村人たちの苦しみが、 特別貧乏な一家の子供たちを中心に描かれる。 自分たちがそれまで思ってもみなかった視点から描かれるゆっくり像に、 多くのゆっくり達が悔悟に苦しみ、自省の涙にくれた。 自分たちのことを憎々しげに語る大勢の人々の声は、自尊心を錐のように貫いた。 特に、ありす種の打ちひしがれようは激しかった。 レイパー被害のビデオを見せられたありす達は、 静かな、しかし激しい涙にくれ、その日は一睡もしなかった。 それ以後どこか卑屈になり、こそこそと群れの後ろのほうに隠れるようになった。 「ずいぶんと素直なんだな。ゆっくりに罪悪感があったのか」 「ゆー水で人間に依存させてるのが大きいんだけどね。 あのね、はっきり言うけどさ、ゆっくりって平和主義なんだよ。 人間から見れば唯我独尊の極致に見えるけど、 自分たちの可愛さで他の生き物をゆっくりさせてあげてるって本気で思ってるの。 レイパーにしたって、「とかいはなあい」で相手が幸せになるって本気で信じてる。 つまり、無償の愛で周囲に奉仕しているつもりでいるんだよ、ゆっくり達は。 実情はどうあれ、平和を愛するという点では人間以上みたいだよ」 「俺の子供を殺したのも平和を愛するからだっていうのか?」 「それ飛躍。あの十三匹はゲス素材を限界までつけ上がらせた個体で、 例としては極端すぎるね、根っこは同じだけど。 でもまあ、ゆっくりが一番偉いっていう自尊心の強さ、ふてぶてしさは、 自分たちが世界に奉仕しているという誇りに支えられてるわけね。 多いよね、人間にも。そういう人」 「まあ……そうだな」 「というわけで、そこを崩してやる。 理屈で言い聞かせたって、普通ゆっくりの頭じゃすんなりとは理解できないから、 物量作戦で、とにかく大勢の声を浴びせてやります。 ゆっくりを嫌っている、迷惑を被っている人たちを、映像として突きつけてやる。 その事実を突きつけられれば、ゆっくりのアイデンティティはガタガタってわけね。 自尊心を壊されたゆっくりは悲惨だよ~」 群れのゆっくり達は、いよいよ口数が少なくなり、 ゆっくり教の教えを復習する以外は、 うなだれ、うつろな暗い目でただただ地面を見つめて暮らすようになった。 自分たちが他の生き物たちをゆっくりさせている。 そう思えばこそ、ゆっくり達は堂々と生き、ゆっくりしてこれていた。 しかし、害獣として疎まれ憎まれている現状を知らされた今、 世界のどこに行っても憎まれ追い返され、迫害されるという不安感に苛まれた。 これまで、愛されているという確信のもとにゆっくりしてきたゆっくり達にとって、 世界中に憎悪されるというストレスはきりきりと精神を苛んだ。 そんなゆっくり達がしがみついたのは、ゆっくり教の教義だった。 最初の頃は、暴力を振るわれるのが怖さに、 そしてお姉さんにすーりすーりしてもらうために機械的に従っていたが、 いまでは心底からゆっくり教の教えを求め、理解しようとしていた。 打ち崩されたゆっくりの誇りと存在意義を、教義は新たに与えてくれた。 このよでいちばんゆっくりできるのはにんげんさんです やさしいにんげんさんは ゆっくりがゆっくりできるいきものになれるようにみちびいてくれます ごみくずのゆっくりにてをさしのべてくれるにんげんさんにかんしゃして にんげんさんがゆっくりできるように、にんげんさんのいうことをきくこと そうすれば、にんげんさんがゆっくりをゆっくりさせてくれます それが、ゆっくりがゆっくりするゆいいつのほうほうです にんげんさんのどれいになることがゆっくりのゆっくりです 「しかし、ずいぶんと手間をかけるんだな」 「ん。た~っぷりとね。最低一年はかけたいね」 「俺が当初予定した計画より、だいぶ回りくどくなったようだ」 「これはね、圭一さん。もう圭一さん個人の復讐じゃないよ。 このゆっくり達への制裁でもない。 あたしたちが今やってるのは、 現在から未来にいたるまでの、全てのゆっくりの洗脳なんだからね。 じっくり丁寧にやらなくっちゃなのよ」 続く