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シェリ・ムーン・ゾンビをお気に入りに追加 シェリ・ムーン・ゾンビのリンク #blogsearch2 シェリ・ムーン・ゾンビとは シェリ・ムーン・ゾンビの77%はお菓子で出来ています。シェリ・ムーン・ゾンビの19%は鍛錬で出来ています。シェリ・ムーン・ゾンビの3%は毒物で出来ています。シェリ・ムーン・ゾンビの1%は微妙さで出来ています。 シェリ・ムーン・ゾンビ@ウィキペディア シェリ・ムーン・ゾンビ シェリ・ムーン・ゾンビの報道 『トップガン』キャスト、吹替声優まとめ ─ トム・クルーズ主演、ヴァル・キルマー&メグ・ライアンら熱き共演者たち勢揃い - THE RIVER ロブ・ゾンビ、映画『マンスターズ』のロゴ公開(BARKS) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ロブ・ゾンビ、『マンスターズ』のキャストを初披露 - BARKS ロブ・ゾンビ「スリー・フロム・ヘル」高橋ヨシキが手がけた日本版ポスター公開 - ナタリー あの殺人一家が復活! 地獄に終わりなし!!『スリー・フロム・ヘル』 ロブ・ゾンビ監督の人気シリーズ最新作 | BANGER!!! - BANGER!!!(バンガー!!!)映画評論・情報サイト 映画『スリー・フロム・ヘル』 - 映画ログプラス ロブ・ゾンビ「31」グッズ発売決定、初日来場者にはステッカーをプレゼント - ナタリー ロブ・ゾンビ監督作品『31』、公開初日の来場者に全員プレゼントが決定 - http //nme.com ロブ・ゾンビのホラー「31」予告解禁、ピエロが襲いかかる12時間の殺人ゲーム開始 - ナタリー 襲い来る殺人集団から12時間生き延びろ!ロブ・ゾンビ最新作「31」が公開 - ナタリー ロブ・ゾンビ3年ぶり新作「ロード・オブ・セイラム」9月末公開決定! - エイガドットコム 冬のソナタ またでるよ 冬のソナタ 韓国KBSノーカット完全版 DVD BOX(初回限定 豪華フォトブックレット&スペシャル特典ディスク付) 本当に長い間、待たせてごめんなさい。「冬のソナタ」韓国KBSノーカット完全版をいよいよお届けします。 映像は韓国KBSのオリジナルそのままに、音楽に関してもユン・ソクホ監督が想いを込めて監修し、一部楽曲を変更しました。初回限定特典にはぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/ユン・ソクホ監督&田中美里の対談スペシャルDVDの他、DVDオリジナルポストカード、シリアルNo付 豪華フォトブックレット(20P)を封入しております。 今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!)に加えて、映像特典の【スペシャル短編集】には、ペ・ヨンジュンのスノーボードシーンの撮影風景も収録しています。 【ここが違う!8つのポイント】 ◆今までの日本用編集版よりも約166分長いノーカット映像(本編後のエンドロールも収録!) ◆ファン待望の「ダンシング・クィーン」「白い恋人たち」をついに収録。 ◆日本語吹替を再収録。萩原聖人さん、田中美里さんが担当、その他主要人物もなつかしいあの声で。 ◆本編は日本語字幕に加えて韓国語字幕も収録 ◆一部変更した楽曲をユン・ソクホ監督が想いを込めて監修!(一部BGMはオリジナル版より変更されています) ◆<初回限定特典1>スペシャルDVD:★ぺ・ヨンジュン 独占インタビュー/★ユン・ソクホ監督&田中美里の対談 ◆<初回限定特典2>豪華フォトブックレット:シリアルNo付(20p) ◆<初回限定特典3>DVDオリジナルポストカード3枚 シェリ・ムーン・ゾンビのキャッシュ 使い方 サイト名 URL シェリ・ムーン・ゾンビの掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ シェリ・ムーン・ゾンビ このページについて このページはシェリ・ムーン・ゾンビのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるシェリ・ムーン・ゾンビに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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スコア オープン戦 福岡-熊本 福岡PayPayドーム 熊本 000 030 010-4 福岡 000 000 000-0 (熊)曙川、○若林、小村-エヴァ、法条 (福)●龍造寺、佐藤、最上、宇佐美、宮苑-皇后崎 戦評 福岡先発は龍造寺、熊本先発は曙川。 試合は龍造寺、曙川と互いに三者凡退と上々の立ち上がりを見せると、その後はピンチにも動じずゼロ行進。4回まで一進一退の状態が続く。 そんな状況が崩れたのは5回の熊本の攻撃。ヒットとデッドボールで一・二塁とチャンスを作り、打席には氏家。スライダーに上手くバットを合わせると打球は速い勢いで右中間を真っ二つ。この当たりでランナー二人が還って2点を先制。さらに氏家も三塁まで進んでチャンスを継続させると、続くシェリーも変化球をセンター前へ弾き返し追加点。この回3点を挙げることに成功する。 リードした熊本はその裏、曙川から若林にスイッチすると、その若林もピンチを背負いながらも福岡打線にホーム生還を許さない。その間に熊本は8回、ツーアウト二塁から水海道がセンターオーバーのタイムリーツーベースヒットでさらに1点を加えて福岡を突き放す。 熊本は最後を小村が三人で締めて試合終了。熊本は完封リレーの他、ルーキー・シェリーがタイムリーヒットでアピールに成功。福岡は熊本を上回るヒットを放ちながら完封を喫するが、それでもHARUMIがマルチヒットを放つなど元気を見せた。 責任投手・本塁打 [勝] 若 林 1勝 [S] [敗] 龍造寺 1敗 [本] 試合詳細 +... 打撃成績 +... 投手成績 +...
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ナチェリー(なちぇりー) 作品名:マジレス 〜リリスのマジカルレッスン〜 作者名:二代目まとめあき 投稿日:2009年1月25日 画像情報:640×480px サイズ:132,504 byte ジャンル:帽子 キャラ情報 このぐぬコラについて コメント 名前 コメント 登録タグ 2009年1月25日 マジレス 〜リリスのマジカルレッスン〜 二代目まとめあき 個別な 帽子
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マルセイユとモンペリエの近郊交易。通称マルモン。 主力としてはサテン、蜂蜜、青銅像。往復利益300k-600k ワインやアヒル肉は安定相場なので、序盤はこれのみ運んでも十分な利益が見込める。 紙も安定しているものの、利益が低く運ぶ必要はほとんどない。工芸があれば洋書にすることが可能。(要 職人の教練書 工芸5) 交易のついでに、洋上でワインをワインビネガーに加工するのも良い。多くの場合、利益の上積みが見込める。(要 調味料大全 工芸7) モンペリエ便としては縫製があれば、アヒル→羽毛(北欧名産品)が作成可能。 同じくモンペリエにて工芸があれば干しブドウからワインを作る事ができ(酒造秘伝)、 マルセイユのブランデーと干しブドウを合わせてシェリー(酒造秘伝・第2巻)が造れる シェリーはイベリア特産品だが近場で認定してくれるところはない。 社交や会計が育ってくればマルセイユで限界値切り→モンペリエ2回吹っ掛けで300k~500k(相場による)の黒字が出る。 モンペリエの交易品はそれほど利益が見込めないので、マルセの交易品の吹っ掛けに交渉をまわすのがベター。回転数を上げる為、モンペリエでの買い付けは省いてもOK。 蜂蜜のモンペ売り相場がよければ、C1を使用して蜂蜜を追加買いするのが好ましい。 また、往復で嗜好品取引の修行にもなる。 重要なのは暴落調整。織物はすぐ暴落し、また調味料の暴落も多く、稀に酒類の暴落も起きる。そのため火器などの調整が必要。
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フェリーペ フランス王の系譜に登場する人物。 関連: アントワーヌドルレアン (アントワーヌ・ドルレアン、父) ルイサフェルナンダデボルボーン (ルイサ・フェルナンダ・デ・ボルボーン、母) 別名: フィリップレーモン (フィリップ・レーモン)
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タイムマシン。デザインは、フロンティア船団お掃除ロボから。
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_1_ _2_ _3_ _4_ _5_ _6_ _7_ A B __壁 C 美の化身 音無廉也 3P セバスチャン サンナン インコ D シェリー __壁 銃々ゐくよ E 愚羅 愚李 グラスホッパー チェ子 「2000万PUFFY」チーム<DP0/ボーナス 7pt> 名前 性別 攻 防 体 精 FS 特殊能力 発 成 備考 美の化身 男 14 6 8 1 0 キャサリンのキッス 91% 100% 音無廉也 男 20 0 3 1 5 漢の一撃 84% 100% メトロ 女 0 0 0 5 20 対照転移 80% 100% 死亡 シェリー 女 9 0 8 2 10 強化ワイン 100% 100% 3P 男 0 0 3 1 20 ミラクル~ 81% 100% 愚李 男 20 15 10 5 20 感覚共有など 100% 100% 愚羅 男 20 15 10 5 20 感覚共有など 100% 100% 「さつじんたんぽぽ(ダンゲライオン)」チーム<DP1/ボーナス0pt> 名前 性別 攻 防 体 精 FS 特殊能力 発 成 備考 セバスチャン=ポポルニート 男 12 0 5 3 10 二十匹蝙蝠 80% 100% レディグラスホッパー 女 0 19 7 4 0 裁きの鉄拳~ 60% 100% 外腹 チェ子 女 0 0 11 4 15 豚でも~ 75% 100% 銃々 ゐくよ 女 13 6 8 3 0 680mmカノン砲 70% 100% 1回休み ぽぽ=GR=サンナン 男 7 6 5 2 0 楽園の扉 80% 100% 夢見崎インコ 女 15 1 38.5 5 20 M&Msなど % %
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_1_ _2_ _3_ _4_ _5_ _6_ _7_ A B __壁 C 美の化身 音無廉也 3P D シェリー __壁 銃々ゐくよ E 愚羅 愚李 グラスホッパー チェ子 セバスチャン サンナン インコ 「2000万PUFFY」チーム<DP0/ボーナス 7pt> 名前 性別 攻 防 体 精 FS 特殊能力 発 成 備考 美の化身 男 14 6 8 1 0 キャサリンのキッス 91% 100% 音無廉也 男 20 0 3 1 5 漢の一撃 84% 100% メトロ 女 0 0 0 5 20 対照転移 80% 100% 死亡 シェリー 女 9 0 8 2 10 強化ワイン 100% 100% 3P 男 0 0 3 1 20 ミラクル~ 81% 100% 愚李 男 20 15 10 5 20 感覚共有など 100% 100% 愚羅 男 20 15 10 5 20 感覚共有など 100% 100% 「さつじんたんぽぽ(ダンゲライオン)」チーム<DP1/ボーナス3pt> 名前 性別 攻 防 体 精 FS 特殊能力 発 成 備考 セバスチャン=ポポルニート 男 12 0 5 3 10 二十匹蝙蝠 80% 100% レディグラスホッパー 女 0 19 7 4 0 裁きの鉄拳~ 60% 100% 外腹 チェ子 女 0 0 11 4 15 豚でも~ 75% 100% 銃々 ゐくよ 女 13 6 8 3 0 680mmカノン砲 70% 100% 1回休み ぽぽ=GR=サンナン 男 7 6 5 2 0 楽園の扉 80% 100% 夢見崎インコ 女 15 1 38.5 5 20 M&Msなど % %
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身売りされた貴族のお話 01 目を覚ますと、天幕の張られた荷馬車の中だった。 俺の視界には、雑多な積み荷に紛れて座っている、二人の少女が映っていた。左のほうにいるのは、ブルネットの長髪に、そばかすの少しある、八か九歳くらいの娘。右のほうにいるのは、肩口で切り揃えられた金髪で、気の強そうな印象を受ける、十歳くらいの娘。どちらも服装からして、農村の娘――平民であると思われた。 だが、もっとも注目すべきなのは、二人の少女の腕に存在しているものだろう。 ……どちらも、片腕に拘束具がつけられている。 俺は己の左腕を見た。ご多分に漏れず、手首に革製の手錠がかけられている。それが馬車の一部分に固定されているので、これでは移動することができない。また、手錠のバックルには錠がかけられているので、手錠を外すということもむずかしい。 なんとなく、現状を理解しつつも、俺は懐を探った。だが、いつもそこにあるはずの杖はない。当然と言えば、当然と言えよう。魔法が使えれば、こんな手錠の鍵なんて一発で“アンロック”されるのだから。 心中で舌打ちしていると、ブルネットの少女が話しかけてきた。 「あ……起きたの?」 俺は返答しなかった。考えることが多すぎて、口を開く気力が湧かなかったのだ。 しかし、少女はそんな俺を見て、不安そうに口をつぐんでしまった。……このままでは、情報は得られまい。仕方なく、俺は小さく言葉を発した。 「ここは、どこ?」 俺が話したことに安堵した様子を、少女は見せた。だが、すぐに暗い顔になって答える。 「……わからない。外、自由に見れないから」 「では、私たちは、なぜ、ここに?」 急に相手は押し黙る。俺は小さく鼻を鳴らした。この様子では、俺の予想は悪いほうに当たっているのだろう。 それを裏付けるように、もう一人の、金髪の少女が重い口を開いた。 「売られたのよ」 俺は小さく笑った。二人の少女が、驚きのような表情を浮かべたのち、不審な目を向ける。気でも狂ったのか、と思っているのだろうか。あるいは、「売られた」という意味が理解できていないのではないか、と思っているのかもしれない。 だが、どれも違う。俺は嗤ったのだ。このような状況に至った、これまでの人生を。そして、自嘲だけではない。“やつら”の存在も嘲笑していた。俺というイレギュラーを産み、一度はその魔法の才に歓喜しておきながら、やがて「悪魔の子」と恐れ疎んでいた、我が両親を。 いずれ、この借りは返してやる。そう思ったのは、怒りと憎しみによる復讐心なのだろうか。だが、今はこの感情を抑えなければならない。なすべきことは、現状をいかにして打破するかということのみ。 「私の名前は、アシュリー。あなたたちの、名前は?」 この二人の娘からは情報を得る必要性があったが、まずはそれを円滑にするために、自己紹介をしておかなければならない。俺の問いに、二人は名前と簡単な事情を述べてくれた。 ブルネットの少女は、シェリー。農家の娘だったが、体が弱くて農作業の手伝いもあまりできなかったらしい。売られたのは、そのためだろう。 金髪の少女は、ベル。こちらも農家の娘だったようだが、とくに家族との折り合いが悪かったらしい。何かしらのいざこざがあったのだろうが、この場でいちいち聞き出す意味はないだろう。 「私が、ここに連れてこられたのは、どれくらい前?」 「……六時間前、ってところかしら」 ベルが答えた。 六時間前か。馬車に備え付けられた小窓から外を見るかぎり、今は正午あたり。この時間帯になるまで目を覚まさなかったということは、おそらく魔法か薬のようなもので、ずっと眠らされていたのだろう。 さて、となると、馬車はどこへ向かっているのだろうか。この移動速度からすると、まだそれほど離れたところまで来てはいまい。俺の家の領地から出るか出ないか、といった地点だろうか。 どこへ連れていかれるのは知らないが、脱出を狙うなら急いだほうがよいだろう。だが、杖もない状況で、どうすればよいのだろうか。 あれこれ考えていると、シェリーが聞いてくる。 「アシュリーは……貴族の子?」 「…………そう、だけど」 頭の中で計画を立てながら、俺は頷いた。おそらく、身なりや服飾から判断したのだろう。 「じゃあ、もしかして――ポートランド伯爵の?」 その名に、反吐が出そうになった。俺を売った張本人だ。気分がいいはずがない。 だが、この娘に八つ当たりするべきではない。彼女も、親から見捨てられた哀れな子供なのだから。 「そう。でも、どうして、わかったの?」 「えっと、わたしの村の近くに棲みついていたオーク鬼を退治したのが、伯爵家のアシュリーっていう子だと聞いたから……。それで、あなたのことかなって」 「オーク鬼?」 ベルが胡乱な顔つきをした。 「この子、五歳か六歳くらいでしょ? オーク鬼なんて倒せるわけないじゃない!」 それは正しい考えだ。普通ならば、いくらメイジの血を持っていても、この程度の歳のガキが凶暴な亜人を倒せるはずがない。――普通ならば。 だが、異常な存在の俺は、それができた。ある農村近くで、平民がオーク鬼に襲われたと聞いて、それを解決しに向かったのだ。 むろん、それには危険性も伴っていた。身体は小さな子供なのである。一歩間違えれば、オーク鬼の棍棒によって脳漿を撒き散らしていたかもしれない。 だが、そうせざるを得なかった。領主である伯爵が動かなかったからだ。伯爵――俺の父は、平民のことなど何も考えておらず、ただ面倒事は御免だと無視をしていた。だから、俺はあの碌でなしに代わって、オーク鬼を殺しつくしたのだ。 そして、家に帰って父が俺に向けたのは――罵声と気味悪がる顔色だった。母は「悪魔の子よ」と言って、絶望したような表情を浮かべた。貴様の産んだ人間だ、と言ってやりたかったが、すべてを諦めていた俺は何も言わなかった。 結局のところ、こういう状況になったのも、あれが一番の契機だったのかもしれない。だとしたら、俺はあの両親に媚を売っておくべきだったのか? ……ふざけるな。そんなことをしたら、俺もクズの仲間入りだった。俺は、あの選択を間違ったものだとは思っていない。 湧きあがるどす黒い感情を抑えながら、俺は二人に問いかけた。 「ねえ、この中に、細い棒か何か、ない?」 「棒? ……ううん、ないと思う」 ベルも首を振っていた。いちおう、俺もざっと積み荷を見渡すが、それらしいものは見つからない。 では、どうしようか。次の策を考えていると、馬車の揺れが止まった。しばらくすると、馬車後方の垂れ幕が開いて、男が姿を現した。 「起きたようだな。体調はどうだ?」 男の目はモノを見るような色だった。間違いではない。俺たちは商品なのだ。 少し考えて、俺は排泄を訴えた。馬車で漏らすわけにもいかないだろう。男も了承し、拘束を解いて、俺を外に連れ出した。 草原の広がる街道だ。場所がどこら辺かはわからない。 俺は後ろを振り向いた。さっきまで乗っていた馬車と、そしてその前方にもう一つ別の馬車がある。この男のほかにも、仲間が複数人いるのだろう。余裕があれば、人数と特徴を掌握しておきたいところだが……。 「おい、ついてこい」 男は強い語調で言った。これ以上は、仕方ないか。 俺は男に従い、街道から少し外れて、大きな木の陰に向かった。到着すると、さっさと用を足せと言われる。 「…………」 「どうした。早くしろ」 「後ろ、向いていて」 男は舌打ちして、背後を向けた。所詮、六歳児である。杖も持っていないので、警戒していないのだろう。だが、その愚かさに感謝しつつ、俺は所用を済ませた。 その日の夜、左手を繋がれた馬車の中、俺は小窓から夜空を眺めていた。シェリーとベルの寝息が、かすかに聞こえる。こんな不自由な身で寝起きして、何もせず過ごさなければならないとは、不憫なものだ。 なんとかできれば、よいものだが。そんなことを思いながら、俺は“右手にある物”を擦りつづけた。 ◇ それから二日経って、俺はある程度の状況を把握することができた。 この馬車は、どうやらサウスゴータの街へ向けて動いているようだ。あの古都は、俺も一度だけ訪れたことがある。美しい街だった。だが、その中にも汚れた部分はあるのだろう。その汚れへと、俺たちは送られるのだ。 まあ、素直にそうなる気は毛頭ない。右手の物を弄くりつつ、今日もシェリーとベルの会話を暇潰しに聞く。 「わたしたち、これからどうなるのかな? 毎日、ごはんは食べられるのかな?」 「ふん。食べられることは、食べられるんじゃないの? ……何をされるか、知らないけどね」 これまでの言動を見てみると、シェリーはあまり自分の状況を理解していないように思える。逆に、ベルは我が身がどんなことになるかを予想できているようだ。それだけに、ベルのほうが悲観的だ。 「ねえ、アシュリーはどう思う?」 シェリーが俺に言葉を求めた。俺はみずから言葉を発することはないが、聞かれたときだけは答えることにしていた。 「貴族か、お金持ちの平民に、買われる、のかもね」 相変わらず、たどたどしいガリア語だ。ここ数年、屋敷の人間とはごく一部を除いて、ほとんどまともに会話をしていなかった。それだけに、この世界――ハルケギニアの言語にはいまだ慣れきっておらず、俺は言葉を口に出すのが苦手なままだった。 「それから、ご奉仕することに、なるのかも」 「ご奉仕?」 シェリーが首を傾げるが、俺は口を閉ざした。そもそも、俺の言語力では表現する言葉が見つからない。 まあ、内容は言うまでもなかろう。特殊な技能もなく、労働力にならない女子供を買う意味は、ほとんどその肉体を性欲の捌け口にするために決まっている。それ以外の目的があるとすれば……人体実験か? 俺のような異常なメイジならば、魔法研究を目的として手に入れる意義は大きいのかもしれない。 まあ、有用なことなど何一つ解明されないだろうが。そもそも、俺自身が自分のことをほとんど理解していないのだ。なぜ、この世界に転生したのか。わかるやつがいたら、ぜひとも教えてほしいものだ。 「ねえ、アシュリー」 ふと、ベルが俺に話しかけてきた。 「あなた、貴族――メイジなんでしょう? 魔法は……使えないの?」 「……杖が、ない」 「でも……」 ベルが目線を移動させた。その先には、俺の右手がある。もっと正確に言えば、俺の弄くりつづけている物へ向けているのだろう。 頭のよい子だ。俺は称賛の笑みを送った。だが、今は下手に話に出さないほうがいいだろう。 「気に、しないで」 俺は右手の人差し指を口元に当てて、目線を馬車の御者台があるほうへ向けた。それで理解したのだろう。ベルは口を閉ざして押し黙った。シェリーは、相変わらずわけがわからないといった様子で、首を傾げていたが。 その日の夜。シェリーとベルが眠ったのを確認すると、俺は右手の物を愛撫しながら、彼女らの寝息に紛れて小さく小さく呟く。今まで覚えてきた魔法のスペルを、それぞれ何度も何度も繰り返しつづける。最初の頃と比べたら、魔力の流れも感じられるようになってきた。この調子でいけば、近いうちに……。 気づいたら、朝になっていた。焦って、右手を確認する。大丈夫だ、なくなっていない。男に見つからぬように、俺はすぐにそれをポケットに隠した。 しばらくして、男から食事が出された。今日も、パンと水だけだった。ケチな野郎どもだ、と声に出さず愚痴りながら、それらを消化した。 馬車が走りだしてからは、また昨日と同じように、右手で例の物を触りつづける。この触覚を頭に刻みつけて、体に馴染ませなければならない。 「……お外で遊びたいなぁ」 ぼんやりとシェリーが呟いた。その様子からは疲労感がはっきりと伝わってくる。こんな狭い箱に閉じ込められたままでは、それも当然だろう。 ベルは昨日よりもさらに無口になっていた。だが、その目は希望を失っていない。たびたび、俺のほうを見つめている。それは期待の視線だった。 わかっているさ。失敗するつもりはない。俺だって、さっさとここから逃げ出したいのだから。 その意志を代弁させるように、俺は右手に意識を集中させつづけた。 夜。 研ぎ澄ませた意識とイメージを、「開け」という小さな声に乗せる。一瞬間して、かちゃりと錠から音が鳴った。俺は口を笑みに歪ませた。 だが、まだだ。この程度の契約では、高等な魔法の行使に堪えられるかどうか、まだ自信がない。サウスゴータに着くまで、あと一日間ある。明日中に、できるだけ契約を強めなくては。 開錠したものを、ふたたびロックで施錠してから、俺は眠りに就いた。 「アシュリー……!」 緊迫したベルの声に、俺は意識を覚醒させた。 「なに?」 想定外の事態か。俺は目を擦りながら問うた。 「予定より早くなって、今日中に街に着くって、あいつらが……」 くそったれ! 俺は顔をしかめた。 だとしたら、今日の深夜に脱出するということはむずかしくなる。昨夜のうちに逃げ出しておくべきだったか? いや、それもそれで危険も大きかっただろう。……いまさら考えても詮なきことか。 俺は小窓から外の様子を見た。この明るさからすると、もう少ししたら男が朝食を持ってくるだろう。狙うなら、そのタイミングか。 これまでの道中で、敵の詳細はある程度知ることができていた。数は三人だ。この馬車に乗っている平民の男。先頭の馬車に乗っているメイジの男。もう一人の男は、メイジか平民かは不明。だが、メイジだと考えて動いたほうが危険は少ないだろう。 食事を持ってくるのは、平民の男。これを処理することはたやすい。騒がせずに始末できれば、先頭にいるメイジ二人にも奇襲を加えることができる。勝機は十分にあるだろう。 「シェリー。これから、私たちは逃げる。だから、落ち着いて、目を閉じながら、待っていて」 「え……ほんと? わ、わかった」 俺はポケットから、杖を取り出した。数日前まで使っていた、正規の杖ではない。馬車に乗せられた初日、排泄の隙に拾った、十サント程度の木の小枝だ。あまりにも頼りないが、これを信じて乗りきるしかない。 アンロックでそれぞれの鍵を外して、手錠を外す。そして、硬化の魔法で杖自体を補強したのち、“ブレイド”で杖に魔力を纏わせる。その状態で、俺は荷台の後方で立って待機した。 これで、男が外から垂れ幕を開けた時、ちょうど目の前に男の顔が来る位置関係になる。つまり、必殺が可能というわけである。 息を飲む音。誰のものだったのだろうか? わからないし、どうでもいい。重要なのは、男が垂れ幕を開けて顔を出したという事実だけだった。 俺は男の頭を掴んで、その首に杖を突き刺した。ブレイド――水の魔力の刃が、ケーキにナイフを入れたような滑らかさで、男の頚部の肉を貫く。それから、喉を千切るようにして、杖を引き抜いた。 鮮血が降り注ぐ。初めての殺人だったが、それほど動じはしなかった。オーク鬼を殺した時の、油のような血と劣悪な臭いに比べたら、はるかにマシである。 これならば、いける。そう確信した時だった。 「い、いやああああぁぁぁっ!」 ……あまりにも、迂闊だった。おそらく、好奇心か何かで目を開けてしまったのだろう。どうして、この可能性を考慮しなかったのだろうか。これまでのシェリーの人間性を観察していれば、こうした事態も予測できたではないか。事前に魔法で眠らせるなどしておけば、無問題であっただろうに。……アシュリー、貴様は愚か者だ。 なれど、後悔して状況が好転するわけではない。動かなければならないのだ、俺は。 シェリーの叫び声に反応して、すぐに先頭にいるメイジがやってくるだろう。あまり時間はなさそうだ。 俺はルーンを唱えながら、荷台から飛び降りた。馬車の前方を見ると、男が御者台から降りるところだった。そこへ狙いをつけて、俺は氷の矢を放った。 だが、男はこちらの攻撃にいち早く気づいたようだ。飛来する三本の矢を前にして――迷わず体を伏せた。男の肩を、一本だけ矢がかする。……それだけ、だった。 素晴らしい判断力だ。俺は敵を恨んだ。これで俺は、先手のアドバンテージを失ったわけだ。あとは……実力勝負のみだ。 いいだろう。殺してやる。 身体能力差が絶望的とはいえ、腐っても俺はトライアングルのメイジだ。やれないことは、ない。 ルーンを唱えて、杖を振る。俺の目前に、水が集まっていく。それらは剣となり、そして盾となるのだ。 メイジの男は杖を振った。風の刃がこちらへと向かう。俺は水を前方に広げて、風を受け止めた。その衝撃にいくらか水が吹き飛ばされたが、貫通には遠く及ばない。 やれる。にい、と笑みを浮かべた俺は、溜まった水を鞭に変えて、男へと振り払った。だが――敵に到達する前に、水の鞭は消失した。いや、消失させられたのだ。横から放たれた、灼熱の炎によって。 やはり、もう片方もメイジだったか。形勢逆転。不利なのは、明らかに俺のほうになった。 だからって、命乞いでもするのか? それもバカな話だ。すでに俺は一人殺しているんだ。やつらだって、許しちゃあくれないだろう。 いまさら、恐怖が込みあげてきた。少しでもミスをすれば、一瞬で殺されることだろう。一度死んだ身ではあるが、それでも命を失うことは怖い。いや、経験したからこそ、死が怖いとわかるのだ。 死にたくねぇ。 だから……やるしかないんだ。やつらの息の根を止めろ。躊躇をするな。――悪魔になってみせろ、アシュリー。 「ガキだと思ったら……なんてやつだ」 「用心しろ。あれでもトライアングルらしいからな」 杖を振り、水を集める。 持久戦になったら、不利なのはこちらだ。だとしたら、早期決着を狙うしかない。 片方のメイジが、火球を放ってくる。俺はそれを、最小限の水を操作して払い除けた。 真正面からの撃ち合いでは、水の壁を突破できないと判断したのだろう。メイジたちは、俺を挟み込むように回りはじめた。 俺は舌打ちした。前後反対に回られたら、それぞれに水の壁を割り当てなければならない。単純計算で、防御力が半分になるのだ。かといって、俺の身体能力では動き回りながらの戦闘は不可能だ。ほぼ固定砲台になるしかないのが、俺の明確な弱点だった。 後手に回っては負ける。俺は火メイジへ向けて、水弾を放った。その弾速は緩やかなもので、男は難なく横に移動して避けた――つもりだったのだろう。だが、俺の目的は別にあった。男が避けた水弾は、その場で破裂した。周囲に水が飛び散り、当然ながら男にも水がかかる。 まずは、一手完了。濡れた服は重みになり、ある程度の動きを封じることができる。 背後で、風がうなった。俺を護っていた水が、弾け飛ぶ。と同時に、俺はルーンを唱えて、即座に水を呼び戻した。 水を蒸発させる炎と違って、たんなる風の射撃魔法では有効打がない。それに気づいたのか、風メイジの男は俺に接近してきた。 そうだ。その調子だ。かかってこいよ。 俺は水の壁を鞭に変えて、近づく男へと振るった。男はそれを、ブレイドをまとわせた軍杖で斬り払う。壁を失った俺は、隙を見せる形となった。それを見逃さず、男は杖を振りかぶる。 俺はそれを、横に跳んで避けた。 杖をからぶった男の顔には、動揺が浮かんでいた。それもそのはず。俺は、今まで一歩も足を動かしていなかったからだ。だが実際のところは、わざとそうしていただけである。子供の身体とはいっても、ちょっとくらいの運動は可能だ。今まで微動だにしていなかったのは、“動かないもの”と認識させて意表を突くためだった。 たたらを踏んだ男へ、俺は杖を振った。水の塊が敵にぶつかり、遠くへ吹き飛ばす。本来ならば、これに追撃を加えて勝利を得られるのだが……。 俺は水を操り、横から飛来してきた火球を防いだ。だが、火球の爆発を相殺しきれずに、衝撃で地面を数メイル転がる。くそ、体がいてぇ。 それでも、弱音を吐いている暇はない。たった数秒でも命取りになるのだから。 ルーンを唱えながら立ち上がり、火メイジの男を見据える。相手は次の攻撃魔法を唱えているところだった。 やらせるかよ。俺は杖を振って、水を操作した。 操ったのは――男の服に染みこんでいた水だ。それらの水を、男の口元に集めて息をできなくさせる。突然のことに男は混乱した様子で、慌てて“念力”の魔法を使って水を払った。しかし……その隙は致命的だった。 すでに別の魔法を唱えていた俺は、杖を振った。その動きに合わせて、鞭となった水が唸り声を上げる。 火メイジの男の顔が凍った。だが、それも一瞬。鞭の一撃を受けた男の首が遠くへ跳んでいった。――あっけないものだ。 残りは一人。 俺は風メイジの男のほうを向いた。やつは悪夢を見ているかのような表情を、顔に貼りつかせていた。それを見て、俺はぞくりと嗜虐的な快感を抱いた。この時の自分は、血の臭いに浮かされて気を狂わせていたのかもしれない。 男は大量の氷の矢を作り出し、撃ち放ってきた。恐怖心と焦燥感からか、何本かは的外れな方向へ飛んでいる。我が身へ迫る矢を、俺は水の壁で難なく防ぎ―― 小さな悲鳴が後方から鳴った。 「あ?」 今の声はなんだと間抜けな顔をして、ふと可能性に思い当たる。途端に全身に沸いた震えを抑えて、後ろを振り向く。そこにはベルがいた。彼女は倒れていた。胸元に、氷の矢を突き立てて。 なんてことはない。おそらく、ベルはそこから俺の様子を覗いていたのだろう。だが、そこへ……たまたまさっきの矢が飛んでいき、彼女の息の根を止めたのだ。 不幸な少女だ。そう、あまりにも。 皮肉としか言いようのない現実に、俺は乾いた笑みを漏らした。と、その時、背後から殺気を感じた。反射的に、俺は横に跳んだ。 ひゅんと音が間近で鳴る。 危なかった。一歩遅ければ、俺も今の氷の矢の餌食に―― 「ぐああああぁぁぁぁッ!」 俺は激痛に叫んだ。避けられてなどいなかったのだ。この阿呆が、と己を罵りたくなった。 目前に、ブロンドの髪の毛と肉片が散っていた。俺の左耳は完全に削がれていた。吐き気を堪えつつ、癒しの魔法でなんとか処置をする。 すぐに、三度目の氷の矢が飛んできた。そう何度もやられてたまるかってんだよ! 俺は怒りと痛みを魔力に変えて、水の鞭で矢を払った。そして、そのまま水を氷へと変えて、鋭利な氷の槍を投擲する。男は風でそれを吹き飛ばそうとするが、あまりに微力すぎた。男は絶望の表情を浮かべ、そして腹を巨大な穂先に貫かれて、即死した。 ……終わった。 「ああ、くそ、痛い」 呟き、ふたたび癒しの魔法を左耳があった部分にかけるが、じんじんと熱く痛みつづける。応急処置でなんとかなる傷ではなさそうだ。あとで、しっかり水魔法の治療を試みなければなるまい。 苦痛と疲労に耐えながら、俺はふらふらと荷馬車へ向かった。そして、垂れ幕を開けると、隅っこで積み荷に紛れて、シェリーがぶるぶると震えていた。 「シェリー」 レビテーションで荷台に上がりながら、俺は彼女に呼びかけた。そこで初めて気づいたかのように、びくりと、シェリーは俺に顔を向ける。そして――表情が恐怖の色に染まった。 「シェリー」 もう一度呼びかけて、そばに近寄って―― 「いや、来ないで!」 俺は突き飛ばされた。荷台の壁に頭を打ち付ける。その衝撃で、左耳部分の傷から血が流れ出す。ちくしょう、いてぇなぁ。早く治さないとやばそうだ。 そんなことをぼんやりと思いながら、シェリーのほうを見やる。馬車を出た彼女は、ベルの死体に気づいたようで、また悲鳴を上げた。そして、全てから逃げ出すように、街道を走って去っていく。 どうしようか。俺は迷った。連れ戻して、俺に同行させるべきなのだろうか。でも、きっと、こんな血塗れの殺人鬼と一緒に居たくないのだろう。 結局、俺はシェリーを追わなかった。というか、追う気力と体力が残っていなかった。魔法で精神力を消費したうえ、傷もひどい。休息と治療をしなければ、自分の命が危なかった。 その後、二台の馬車の積み荷を漁って、俺は柔らかい布を手に入れた。それを傷口に巻き、慎重に癒しの魔法を使い、なんとか止血する。そこで眠りに落ちそうになったが、なんとか睡魔に耐えて、馬車の外に出る。 「……ベル」 死んだベルを見下ろして、俺は彼女の名前を呟いた。馬車の外に出てきてしまったのは、俺が心配だったからなのだろうか。……俺が注意していれば、彼女の危機に気づけたかもしれないのに。 ベルの胸元には、大きな穴が開いていた。氷の矢は、すでに融けて水になっている。俺は彼女についた水を払うと、その遺体をレビテーションで持ち上げた。そのまま、街道から少し外れて、大きな木の下へ持っていく。 「よし、やるか」 休息を訴える体に鞭を打ち、念力の魔法で地面の土を掘る。それほど土質は硬くないが、今の状態ではひどくつらい作業だ。だが、せめてこれだけは、済ませなくてはならない。 ひたすら土を掘り起こし、そしてやっと満足のいく穴の大きさになったのは、小一時間経ってからだった。 「……ベル、ごめん」 謝って、何になるのだろうか。自嘲しながら、彼女をレビテーションで動かして、穴の中へ置く。それから、ふたたび土を穴へ戻す。その作業は十分くらいで終わった。これで埋葬はできた。本当に、簡易なもので申し訳ないけれども。 『きみの来世が幸福でありますように』 俺の本当の母国語である、日本語で呟く。 だが、来世なんて本当に存在するのだろうか。そう疑問を抱かざるを得ない。自分には前世の記憶があるが、誰も彼もがそういうわけではないはずだ。あるいは、もしかしたら、神様が偶然か気まぐれで俺を選んだのだろうか。だとしたら、その神とやらをぶっ殺してやりたいものだ。 そんなことを考えながら、俺は馬車に戻った。 だが、体が限界だった。頭痛と目眩が激しい。足もふらつきやがる。もう、ダメだ。 かろうじて近くの毛布に倒れ込んだ俺は――そこで意識を失った。 NEXT 名前
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その頃、教会に木山が呼び出された者達の中で一番早く到着した。 「やあ、花飾の少女はどこだい?」 「飾利なら中……はっ!!もしやあなたは飾利を奪いに!?」 さすが上条の義妹と言うべきか、妹フラグを立て続ける初春を狙いに来るという可能性は捨てられない。と考えている神裂 「それは違う、私はただ単に花飾りの少女に呼ばれて来た招かれた客だが?」 「……ほんの冗談です。」 かなりマジだったのに(恋)敵ではないと知ると手のひらを返す。 「さあ、こちらにどうぞ。」 木山が教会に入ると、初春とシェリー、それにステイルが言い合っている最中だった。 「頼む飾利! あんたから最大主教に私を日本に配属してくれるように取り成してくれ! 明日イギリスに帰るなんて冗談じゃないよ!」 「……それ、私じゃ無理ですよシェリーさん。そもそも学園都市にはネセサリウスの魔術師が充分過ぎるほど配属されてますし」 「初春の言う通りだシェリー。それに君までこっちに配属されたらイギリスの方の守りが心許無くなるよ」 「あっちは大丈夫だろ。アニューゼ達に天草式の男連中、あれだけいりゃイギリスは問題無いさ。そんなに言うならステイル、お前一人でイギリスに戻ったらどうだ?」 シェリーに『帰れ』と言われたも同然の言葉にカッとなったステイルは、ついつい自分の本心をインデックスの前で曝け出すというポカをしてしまう。 「君は何を言ってるんだ! 僕は最大主教の命でここに配属されてるんだぞ! はいそうですかってインデックスを置いてイギリスに帰ることなんて出来るわけが無い! 僕にはインデックスが必要……ハッ!」 言い終わってステイルは穴があったら入りたい気分になっていたが、それを救ったのはインデックスだった。 「ステイルに必要とされてるなんて偶然かも。私もね、ステイルはとっても必要なんだよ。だってご飯のこともそうだし、仕事もとてもやりやすくて助かってるんだよ。ありがとう、ステイル」 「……こちらこそありがとう、インデックス(ご飯と仕事、か。いいさ、今はそれでも)」 ステイルはインデックスの言葉が嬉しくて気付けなかった、周り(インデックスと木山は除く)から可哀想だと思われていることに。 いつの間にか自分の問題からステイルの問題に摩り替わっていたことに気付いたシェリーは、気持ちを切り替えて話を再開させる。 「まあ、ステイルと禁書目録のことはどうでもいい。それよりも飾利! 私を日本に配属するように最大主教を脅してくれ!」 「シェリーさん、最初より物騒ですよ……。でもやっぱりローラさんに直談判するしか無いですよ。たとえばモトハル2ndのような血液を媒介にしたゴーレムの研究……とか?」 「……それだっ! モトハル2ndとエリハル弐号機の成果を最大主教に報告して、血液を媒介に使用するゴーレムの研究としてならイケる! ありがとな飾利! さすが私の最高の親友だよ♪」 「お役に立てて何よりです♪ でも一度イギリスに帰らないとダメですからね。そうしないと示しが付かないですから」 初春のアイディアに突破口を見出したシェリーは嬉しさのあまり、初春を思いっきりハグした。 最初の頃は驚きまくっていた初春だったが、今ではすっかり慣れてしまい、シェリーの腕の中でニコニコしている。 そこへ割って入ってきた神裂とシェリーが小競り合いを始めたことで、初春はようやく木山に挨拶をした。 「おはようございます木山先生。挨拶が遅れてしまってすみませんでした」 「いいさ、私は気にしていない。それに色々と珍しいものも見れたしな。だが、あの二人の喧嘩は止めなくてもいいのか?」 「気にするだけ無駄なのよね。あの二人の喧嘩は日常の他愛無い一コマのようなもの。いちいち気にしてたら身が持たんのよ」 「かおりとシェリーのアレは一種のコミュニケーションのようなものなんだよ。だから邪魔をする方が野暮ってものかも」 木山は建宮とインデックスの説明を受けて、神裂とシェリーの小競り合いについての考えを放棄して、集合時間を待つことにした。 その頃、五和は対馬と浦上にウィリアムとヴィリアンの関係、ついでに一打の関係についての講義を受けている最中だった。 「なっ………私がいない間にそんなことになってたんですか!?」 「そう、わかった?」 「十分わかりました。この二人がロリコンだって言うことも。」 二人が黙って剣を抜いたり、黒い翼と黒い悪魔の右腕をだすと直ぐ様対馬の後ろに隠れた。 「……突っ込むのも野暮かもしれないけどあなたいつの間に黒いのシリーズを自由自在に出せる様になったの?ってミサカはミサカはあなたに問いかけてみる」 「…………自分でも分からねェ」 「ついでに聞くと昨日のミサカへの熱い唇のキスは何だったの?ってミサカはミサカはさりげなくあなたのロリコンを確信されそうな発言をしてみる」 その瞬間全員吹き出した。まあ無理もないだろう。 これは絶対的なロリコン宣言なのだから。 「……イギリスでもその年では犯罪ですよ」 「ちょっと待てェ!!俺はキスしただけだぞォ!?」 「へぇ、キス自体は否定しないの……」 「しまったァ!?」 「ロリコン……」 「何だよ何ですか何なんですかァその視線はァ!?」 「え?た、確かに恋愛に年は関係ないって言われてますけど……ちょっとキスは……ねえ……」 「仕掛けて失敗してるテメェには言われたかネェ!!」 「ロリコン……まさか唇まで奪うとは……」 「そこの王女サマサマとズッコンバッコンしてるテメェだけは引かれたかねェ!!」 「失礼な、まだしてないのである」 「『まだ』って事はこれからスルンですカァ!?」 「…………………………………………………………………………………………………………………」 「黙秘権使ってンじゃねェ!!」 だがこの言い争いも“最後の絶望”(ラストオーダー)で終わる。 「やれやれ、低レベルな争いは醜いよ?ってミサカはミサカは呆れてみる」 その時、一方通行の体がガクンと落ちた。それが某ドラマのスローモーションシーン見たいに見える彼らはこう思った。 ――――ああ、コイツは本当にロリコンなんだな と、 だが“最後の天使”(ラストオーダー)は見放さなかった。 「冗談冗談!!ミサカだけはあなたを見放さないよ?ってミサカはミサカはあなたに囁いてみる」 しばらく固まってた一方通行だったが何か思い付くと、不意に打ち止めを持ち上げ肩車をした。 「ンな事言ってンならさっさと行くぞォ?」 「ラジャー!!ってミサカはミサカは敬礼してみる!!」 そんな彼らを見ている者達は微笑ましく笑った。 「ゼェ、ゼェ、ゼェ、や、やっと着いたぜェ……」 「おつとめご苦労ってミサカはミサカはあなたの頑張りを高く評価すると共にプレゼントをあげてみたり!」 結局そのまま打ち止めを肩車して教会まで歩いた一方通行は体力が人並み以下なのでバテバテ状態だ。 そんな一方通行を気遣って、打ち止めは彼の肩から降りるとご褒美として一方通行にキスをした、唇に。 「な、なななななな何してやがンだァ!」 「えーいいじゃない別にってミサカはミサカはあなたのそのうろたえっぷりにちょっと物足りなさを感じてみたり」 「そうですよ一方通行さん。お二人は立派な恋人なんですから唇にキスなんて珍しくも何とも有りません♪ アホ毛ちゃんみたいに堂々としてて下さい」 一打の会話に割り込んできたのは初春だが、一方通行は彼女がデジタルカメラを持っていることに驚愕する。 すぐさま一方通行は初春からデジタルカメラを強奪しようとするが、初春には最強とも呼べる守護者がいるのでそれは叶わなかった。 「飾利に手を上げるなと口で言うだけでは分からないようですね。本当に私の『七閃』を味わわせなければいけないのですか?」 「てめぇ飾利に何しようとしやがった? 事と場合によっちゃ集中治療室逝きにするぞコラ」 「白いの、お前さんはいい奴よな。だが飾利姫に危害を加えるなら容赦はせん。お前さんの黒翼と黒き悪魔の右腕が出る前に斬って捨てることは可能だ。言ってる意味は分かるよな?」 「くっ、分かったよ……(ちょっと待て、どうしてこいつらが右腕のこと知ってンだァ? ……初春の仕業か、チッ)」 神裂、シェリー、建宮という初春の守護者達の前に一方通行はデジタルカメラ回収を諦めるが、黒き悪魔の右腕の情報が漏れてることに驚く。 しかし今の初春なら学園都市中の防犯カメラを手中に収めることに躊躇いはないと考えると、情報漏洩していたことに納得した。 「はーい五和さん。スマイルスマイル♪ そのメイドさんの格好、可愛いですよ♪」 「えっ、そうですか? ……って違います! 携帯に私の動画撮ってどうするつもりですか! 今すぐうわっ!」 初春の今度のターゲットは五和で自分の携帯に彼女の動画を収め始めたことに気付き、五和はすぐさま初春の携帯を奪おうとする。 だがそれも神裂の『七閃』による体に触れるギリギリの牽制で失敗に終る。 「あ、危ないじゃないですかプリエステス! 今ひょっとしなくても当てるつもりでしたよね!」 「失礼なこと言わないで下さい。貴女の力量なら避けられるギリギリの力で『七閃』を放ったんですよ。現に上手く避けたじゃないですか。成長しましたね、五和」 自身の成長を女教皇の神裂に褒められた五和だが、動機とかを考えると喜んでいいものかどうか本気で悩んだ。 そこに初春がタイミング良くデジタルカメラで撮影を始めたことを疑問に持った浦上が初春に尋ねた。 「ところで初春ちゃん。やけにタイミング良く撮影してたよね? どうやって私達が来ることを知ったの?」 「簡単なことである。教会の入り口に姿を隠していた魔術師がいたのを我は気配で確認している。おそらくその者が少女に報告したのだろう。出てきたらどうだ? 魔術師」 初春の代わりに答えたのはウィリアムで、彼に呼ばれた人物が姿を現した。 出てきたのは闇咲で、実は『透魔の弦』で姿を隠しながら、怪しい人物もしくは面白そうなことがあったら初春に逐一報告していたのだ。 「気配は上手く消したつもりだったのだがな。それでも気付くとはさすがは噂に名高い聖人にして『神の右席』のことはある」 「貴様こそ見事な隠遁魔術だった。日本にこのような使い手がいることに驚いているのである」 「申し遅れた。私はネセサリウスの魔術師、闇咲逢魔だ。以後宜しく、後方のアックア」 「その呼び方はここでは止めて欲しいのである。今の私はウィリアムだ。この名で呼んでくれると助かる」 ウィリアムと闇咲、武骨者を絵に描いたような二人の挨拶は特に何の問題も無く終了した。 その様子をかやの外状態で見ていたのはインデックス、ステイル、木山である。 「本当に魔術師というのは面白い連中ばかりだな。見ていて飽きないよ」 「……面白いという表現はあの人達にしか当てはまらないんだよ。私は違うから。私は立派なシスターだからはるみには勘違いしてもらっちゃ困るかも」 (いや、君も立派にあの面白連中の仲間だからね、インデックス) 「まあ、そうゆうことにしておこうか。ところで英国の第三王女はさっきから何をしてるんだ?」 木山が指差す方向を見ると、そこには頭を抱えて悩んでるヴィリアンとそれに付き添ってる対馬の姿があった。 「ど、どうしましょう対馬。私、緊張してきました……。初春は本当に私の『妹』になってくれるでしょうか?」 「だ、大丈夫ですよヴィリアン様。初春はいい子ですから、ヴィリアン様のお望みも聞き入れてくれますよ」 「え、ええ、初春がいい子というのは私も分かります。ですが神裂達があのようにしていては切り出すものも切り出せなくて……」 ヴィリアンは初春が自分の『妹』になって欲しいというワガママを聞いてくれるか不安になっていた、初春の性格を分かっていても。 しかしヴィリアンを躊躇わせるのは先ほどから初春にベッタリしてる神裂、シェリー、建宮の存在である。 「飾利、先程の五和の動画を見せてくれますか? あの子のノリノリのメイド姿というものは実に楽しそうですから」 「じゃあ私は白ガキとチビっ子の方だ。特にキスのシーンなんて最高じゃないか♪」 「二人とも、そんなにくっついては飾利姫が困ってしまうのよ! 飾利姫のことを思うなら少し距離を取るのがゲフッ!」 「た、建宮さーーーん! もう! 火織お姉ちゃんもシェリーさんも教会で暴力はいけません!」 「「ゴメンなさい……」」 対馬は思った、ヴィリアン様にあの混沌に満ちた集まりの中に割って入ることは無理だと。 しかしヴィリアンをこのままにはしておけないので対馬はヴィリアンの初春に対する事情を知ってる一打、ウィリアム、五和、浦上を集めて作戦会議を開くのだった。 補足だが、打ち止めも五和もここに着く前にヴィリアンから初春に『妹』になってもらう件を本人から聞いていたりする。 一方こちらは上琴一行、レッサーと初対面の月夜との自己紹介が始まっていた。 「はじめましてレッサーちゃん。私は白雪月夜。この元春の恋人よ。よろしくね」 「い、いえっ! こ、こちらこそ! 白雪さんって美人ですね! さすがはあの土御門元春の恋人なだけあります!」 「ありがとう。でも美人は大袈裟だよ。それに元春は確かに素敵だけどそんなに騒ぐようなやつじゃないよ」 意外と忘れてる人が多いと思うけど、月夜は当麻のクラス一の美少女である。 しかも落ち着きある態度で接してくるのでレッサーは緊張していた、柄にも無く。 だがレッサーは『新たなる光』の魔術師、こんな時でも相手の分析は怠らない。 (色白で流れるような黒髪、しかもバランスの取れたボディライン。とどめはあの奥ゆかしい態度。……間違いない、彼女が今回の本命です!) (いや……でもまだ決め付けるのは早いです。白雪さんをひとまず第一候補として最終決定は教会に着いてからにしましょう) 見た目、そして初対面ということで色々と猫被ってる月夜を、レッサーはオルソラの乱の裏で暗躍(?)してた人物の第一候補に認定した。 しかし彼女は知らない、月夜は普段こそ落ち着いてはいるが土御門に対してはかなり焼きもち焼きでもの凄く過激な女性だということを。 「それにしても白雪さんが土御門さんの恋人で良かったですよ。白雪さんが上条さんの恋人なら勝ちムガッ!」 「ほほぅ、つまりあんたは私が当麻の恋人で良かったと。私ならまだ勝ち目があって当麻を奪うのもチョろいと。ホントにいい度胸してるわね……」 「ムガガっ! ムガッ!(そ、そこまで言ってませーーーーんっ!)」 ついつい口から出てしまった言葉によって美琴の怒りを買ったレッサーだが、後悔した所でもう手遅れ。 美琴は黒子に度々食らわせていた電撃よりも出力を上げたものを直接レッサーの体に叩き込んだ。 「あばばばばばばばばばばばばばばばばばっ!!! ……ゲフッ」 「み、美琴サン……。今のはちょーっとやり過ぎだと上条さんは思うのですが?」 「心配しないで当麻♪ 手加減しといたから生きてるわよ、あの子」 「そっか、なら安心だ。えらいぞ美琴ー♪」 電撃食らわせたことを咎めずにレッサーを生かしたことを褒める当麻と、当麻に褒められながら頭を撫でられて『えへへっ♪』と喜ぶ美琴。 それを見ていた土白、浜滝、絹旗、かろうじて意識があるレッサーは思った、『この二人、怖い』と。 「ほらレッサーさん。気を超しっかり持つんですよ。目的地の教会は目の前ですから」 「き、絹旗さんには度々ご、ご迷惑をかけてしまって申し訳ありません……」 「そんな気遣いは超無用です。レッサーさんとは超知らない仲じゃありませんから」 絹旗とレッサーの仲良し具合を見て微笑ましく思っているのは浜滝だ。 「きぬはたとれっさー、すっかり仲良しさんだね」 「それはいいんだけどよ、レッサーちゃんも懲りないよな……。こうゆう時に使うんだよな? 『雉も鳴かずば撃たれまい』っての」 「はまづらがそんな言葉を知ってることにちょっとビックリ」 一方、レッサーの態度を見て頭を痛めてるのは土御門、それを労るように月夜が励ます。 「あのカップルを邪魔するのは海原のアホと五和だけかと思ってたが……。また面倒なのが出てきたもんですにゃー」 「でもさ、レッサーちゃんはあの二人と比べたら可愛いもんだよ。それに私、レッサーちゃんはあの二人を祝福してくれそうな気がするし」 「だといいんだけどにゃー……」 懸念する土御門だが月夜の考え通り、レッサーが上琴を祝福する側に回ることになるのだがそれはほんのちょっと先のことである。 上琴一行が教会の扉を開けるまであと1分30秒。 「ハイハーイ!!土御門元春様のご登場ぜよ!!」 「土御門ですか……ってシェリー!!飾利のほおをいじっていいのは私だけです!!」 この同性愛者二人はまたやっているのか…… 情けないことにここにいる人間は慣れてしまった人間だけで助かる……いや、1人違うのか? 「おお……!!ここに百合の花が咲いているだと……!?ここは悪魔でも教会なのにそう言うところも教えてくれるんでしょうか……?」 前言撤回、少しは自重をしてくれ。 「レッサー、お前の頭はもう一回叩き直さないといけないみたいだな……」 「冗談!!冗談ですから!!本当にその右手怖いからやめてー!!」 「安心して当麻、今すぐ私が黒子にやっているお仕置きを叩き込んでやるから、当麻の手は汚さなくていいわ」 「な、何をってうぎゃああああああああああああああああああ!!」 そんなコントをしているのを見ているインデックスはあることを思い出す。 「ねえステイル」 「ん?なんだい?」 「ここにいる人間って魔術の事を知ってる人たちが集まっているんだよね?」 「そうだよ?」 「じゃああいさも来るんだね?あいさとは久しぶりなんだよ!!」 だがインデックスがはしゃいでいるのとはうらはらにステイルは頭の中が?だらけだ。 (あいさ……あいさ………………………………姫神の事か?) つまり 「しまったーーーーー!!」 「どうしたんだよステイル?」 「今から彼女を迎えに言ってくる。クソッ!!彼女のほうが深く魔術いや、それどころか錬金術にまで関わってるじゃないか!!と言うわけで行ってくる!!」 「何であいさの事を忘れるんだろう………?」 それは永遠の謎である。 「じゃあ初春ちゃんとヴィリアン様が話しやすいように私達でプリエステス、建宮さん、シェリーさんを力づくで引き離すってことでいいの?」 「それしか無いでしょ。……あの三人を力づくとなると難しいけどこっちには学園都市最強と聖人の一人がいるんだから何とかなるわよ」 「任せるのである。ヴィリアンの為にも我は命を賭けて使命を果たしてみせる!」 初春にヴィリアンの『妹』になってもらう為にやる気満々なのは対馬、浦上、ウィリアム。 ただ、その方法に関してはかなりの力技というのが微妙ではあるが。 「あなたも協力してあげるんだよってミサカはミサカは初春おねーちゃんとヴィリアンおねーちゃんの仲を応援してみたり」 「……仲とか言うな。王女サマはあくまで初春を『妹』にしたいだけだからなァ。変な感情はねェんだぞ。まァ、俺も出来るかぎりのことはするけどよォ」 ちょっと乗り気ではない一方通行だが、打ち止めのお願いでもあるのでヴィリアンに協力することに。 「まったく……。どうして私が初春さんの為なんかに動かないと……」 「ごめんなさい五和。私のワガママのせいであなたに不快な思いをさせてしまって」 「い、いえ! とんでもありません! ヴィリアン様にご不満などとそのような……ただ私は初春さんがチヤホヤされてるのが、その」 「寂しいのですね。大丈夫です、皆があなたを思う気持ちが変わることは無いのですから」 五和が初春を嫌ってる理由、それはいじられポジションを掻っ攫われ、おまけに自分以上に可愛がられているという子供の焼きもちだった。 しかし冷静に考えれば五和がそんな扱いを今まで受けていたのかどうかと言われれば100%の肯定が得られるのかどうかは微妙な気もするが。 乗り気ではない五和もヴィリアンの人徳によって動くことを決意する、あくまでヴィリアンの為に。 「じゃあ早速行きましょう! ウィリアムがプリエステス、一方通行はシェリーさん、私、五和、浦上で建宮さんを引き離すということで」 「引き離すってどうゆうことぜよ?」 「どうゆうことって……つ、土御門! それに上条当麻達もいつの間に! くっ、これは今すぐは無理か……」 すぐさま行動に移ろうとした対馬をリーダーとした『ヴィリアンの初春『妹』作戦』は当麻一行が到着したことで後回しにすることに。 一方、木山はインデックスに姫神のことについて尋ねていた。 「なあシスター。もしかしてあいさとは姫神秋沙のことか?」 「うん。あいさはとうまと同じで事件に巻き込まれたというか自分が当事者になってるの。だからかざりやはるみ達よりもわたし達と縁は深いんだよ、多分」 「そうか(しかし多分とか今まで忘れ去られていたことを考えると本当に縁が深いのかどうか疑ってしまうな)」 インデックスの説明、それと今の今まで忘れられていた少女に木山は内心で失礼なことを考えていた。 ちょうどその時、美琴の電撃で気絶していたレッサーが目を覚まして辺りを見渡すと固まってしまう。 (……えっ? こ、この教会って、ま、魔術師だらけじゃないですかーーーっ! 聞いてません、こんなの聞いてませんよ!) レッサーは自分達が掴んだ情報では魔術師は土御門とアステカの魔術師数名しか学園都市には潜り込んでいないとされていた。 ところが周りには天草式十字凄教、ネセサリウス、神の右席、日本の魔術師と予想以上の数の魔術師が揃っているのだ。 混乱するレッサーに更なる追い討ちがかけられる。 「あの、あなた初めて見る顔ね。もしかしてあなたも魔術師かしら?」 「ヴぃ、ヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィヴィリアン様ーーーーーーーっ! ……きゅう」 「えっ! ちょ、ちょっとあなたしっかりして! ウィリアム! 今すぐこの子を介抱してーっ!」 混乱状態のレッサーにここにいるはずのない英国の王女様のヴィリアンから声をかけられたことで、彼女の思考はストップしてしまった。 ヴィリアンの突然の叫びにウィリアムだけでなく、教会にいた人間全員がそちらの方へと駆けつける騒ぎとなってしまうのだった。 一方、慌てて姫神を探しに行ったステイルは幸運なことにすぐに彼女を見つけることが出来た。 「あ、ちょっと、そこのお嬢さん」 「えーと・・・だれ?」 姫神に忘れられたと思い、しょんぼりしていると 一緒にいた小萌先生が 「あーステイルちゃんじゃないですかー えーと、姫神ちゃん、この人が姫神ちゃんの命の恩人ですよー」 「あぁ、その節は、どうも、ありがとう」 単に意識が薄くて覚えて無かっただけだった 「いやいや。それよりちょっと来てほしいんだが」 「別に、いいけど、どこへ?」 「すぐ近くの教会だ」 「わかった。先生、また、あとで」 「わかりましたですよー。それじゃあ後でですー」 ふたりで協会にむかった。