約 495,229 件
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/195.html
352 :ある少年兵の外伝 :2009/01/16(金) 23 03 04 ID pwqVFsb0 ルカです。先日の墜落事故からずっとベッドの上です 残念ながら、愛しのナナセさんは、本日はランカさんとお買い物だとか それでも、僕は病室に一人きりという訳でもありません …今日の見舞い客はオズマ隊長とキャシー中尉ですが、まぁ仮にも上司ですからぞんざいな対応する訳にいかないのが辛いです …隊長。脚のギブスに卑猥な落書きしないで下さい。…何ですかこの妙にリアルな女性器のスケッチは ………キャシー中尉。頬を染めないで下さい。了解です、別にアナタの観音様の形がこんなのと信じたわけではないですから がふっ!?きゃ、キャシー中尉……照れ隠しに相手を叩くときは、こう、握り拳を作って胸元をポカポカと… ……あと、照れ隠しする相手は僕じゃなく、オズマ隊長……って、隊長も殺られてますね ともかく……腰の入った右正拳突きは、…明らかに間違って……います(がくっ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ナナセです。ルカ君に気持ちを打ち明けられて、何だかんだでエッチをする約束をしてしまいました …でも、困ったことに、…その…ちゃんとしたやり方が、イマイチ判らなかったりします そして、その事をランカさんに相談したところ 「百聞は一見に如かず、だよナナちゃん!!」 という大変に頼もしいお言葉 …ほら、『すこしのことにも、先達はあらまほしき事なり』と、兼好法師も言っていますし、その時は最善の選択をしたと思ってました …で、今、私が何をしているかと申しますと、………出歯亀やっています いや、ランカさん。実際にやってる所を見るのに全く躊躇されないのはいかがなものでしょうか? オズマさん、ランカさんに一体どんな教育をされてきたのでしょうか? ともかく、ここは早乙女君のお宅。ランカさんもシェリルさんも、今はこのお家にお住まいだそうです そして、襖の隙間から奥にある早乙女君の部屋を覗くと、PCに向かっている早乙女君 彼が数値を入力する度に画面の飛行機が動いていますから、きっと新しい機動でも考えているのでしょうか? そんな早乙女君の背中に抱きつき、甘えているシェリルさん …あれ?…甘えてる!? 「(…えっ!?シェリ、シェリルさん!?)」 今の彼女の姿、学校での女王様然とした雰囲気は全くありません …むしろ、飼い主に構って欲しくて仕方ない子猫ちゃんといった雰囲気 早乙女君の髪で遊んだり、背中に頬を擦り付けたりしてしきりにアピールしています 「(ナナちゃんも知らなかったでしょ?…実はシェリルさん、凄く甘えん坊さんなんだ)」 そんなシェリルさんを完全にスルーする早乙女君。菩提樹の下で座禅を組むお釈迦様も真っ青な集中力です 『早乙女君の優先順位って、空 ランカさん+シェリルさんなのかな…?』 やがて満足行くシュミレーション結果が得られたのか、PCのシャットダウンを行い、シェリルさんに向き直る早乙女君 「スマン。待たせた」 「遅いわよ、アルト……。…ん」 早乙女君が一声かけると、待ちかねていたシェリルさんは真っ直ぐに彼の胸元に… 勢い余って早乙女君を押し倒していますが、二人ともそのままの姿勢でキスを重ねています ……キスしながら、あんな感じで服を脱がし合う訳ですか。要チェックですね それにしても、凄いです。あ、早乙女君のアレが出てきましたが…大きいですね。あんなのが… そしてシェリルさん、早乙女君を跨ぐように…対面騎乗位という体位でしたっけ? あぁ凄いですね…。早乙女君の上で踊るように動くシェリルさん。その動きに合わせて…その、胸も…激しく揺れています あ。ふと隣を見ると、ランカさん…。モジモジと、内股を擦り合わせる動きを… それだけでは物足りないのか、彼女の右手が、彼女の女の子の部分をなぞり始めました さて、お二人はというと… 一度ペースダウンするのか、早乙女君がシェリルさんの髪に手を伸ばすと、シェリルさんも早乙女君の胸元に顔をよせ、甘噛しているみたいです ……抱え騎乗位ですか。あんな感じでいちゃつきながらエッチというのも、素敵かも知れません ……そして隣からは殺しきれない甘い声 「んん…。アルト君……、シェリルさん………」 ……いや、私、どういうリアクションを取れば良いのでしょうかね? 大いに盛り上がっているお二人に、ソロ活動で盛り上がってきた、ランカさん ……ランカさん、怖いですよ。普段は子犬っぽい彼女なのですが、今は獲物を狙ってる猟犬の眼をしてますよ… やがて我慢できなくなったのか、スパ~ンと襖を全開にし、二人のもとに飛び込んでいきます 「アルト君!!シェリルさん!!混ぜて!!あたしも混ぜて!!!」 身に纏っていた制服を脱ぎ去り、露わになるランカさんの平坦美…… …飛び込みながら、服を脱ぎ捨てるなんて。ル○ン・ダイブって初めて見ました ……私はと言うと、近くにあったダンボール箱の中に隠れておきます あれ?何でしょうか?ビデオカメラ?とりあえず邪魔なので、電源を切ってどけておきます ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ……何と言うか、ご馳走様です。目の前で濃厚な3Pまで実演して下さいまして お腹一杯と言うか胸いっぱいというか… ともかく玄関を抜けて帰宅しようとすると、呆然と立ち尽くされている早乙女矢三郎さん なぜかちょっぴり落ち込んでいるご様子ですが、一体どうされたのでしょうか? 了
https://w.atwiki.jp/vermili/pages/1278.html
発言者:シェリル・マクレガー 対象者:アリヤ・タカジョウ(尻で感じる変態ストーカー) シェリル√、バイロンを斃したトシローとシェリルは、ギャラハッドの手引きでフォギィボトムを脱出、新天地を求め旅立った。 その道中、ふと立ち寄った古びた写真館において、新教徒の老夫婦に勧められる形で シェリルの積極的な誘導もあり二人は結婚式を挙げることになった。 いきなりのイベントに戸惑うトシローの背をいつものように押し、シェリルはすこぶる上機嫌でドレスの着付けに向かう。 しかし一人になると、複雑な感情が心を埋め尽くすらしく。 この出来事も、句読点(ピリオド)の一つに過ぎないと……弁えているせいかシェリルの微笑もどこか儚げであり。 「あたしって、何処まで行ってもお姫様にはなれない女よね。んー……似合ってるとは思うんだけどなぁ」 ――生まれて初めて袖を通した、真っ白な花嫁衣裳(ウェディングドレス)。 緊張か、それ以外の何か別の思いからか、色々な愚痴が彼女の口から零れてしまう。 ……それでも、最後に口元から漏れるのは、紛れもない多幸の笑み。 「あいつ……一体どんな顔するかな?」 一世一代の女の見目など、一片の関心も払っていないかのような朴念仁。 その鉄面皮の牙城を揺るがす、これはいわば最強の攻城兵器(・・・・)なのだ。 「ふふふふ、見てろよ。女は変わるのよ?怖いのよ?」 そうして不敵に呟いた声に―――予想できていた過去(・・)からの刺客が応じる。 「───死出の装束ですか?」 進み出て来た黒影こそは……白木の杭(ホワイトパイル)ことアリヤ・タカジョウ。 その薄い唇に浮かび上がるものは、三日月にも似た兇悪なる微笑み。 「いけませんね。彼(・)には私という者がいるんですよ?」 「他人の男を盗むなどと……流石は女吸血鬼(カーミラ)。とんだ性悪女(ヴァンプ)ですね」 ……夕闇に鳴り渡った残響は、その右腕に落ちた鋼の杭の装填音。 「二度と私の獲物(おとこ)に手を出せないよう……その心臓、きっちり穴を空けて塞いであげましょう。私の杭で」 以前よりも増した狩人の少女の殺意に、しかしシェリルは微塵も怯まない。 身に纏った花嫁衣裳の純白のスカート、その裾を大きく翻す。 露になったその下には、銃身を切り詰めた散弾銃と、長大なグルカナイフが黒光りしていた。 「やかましいわよ、このストーカー女。いい事を教えてあげるわ」 「トシローはね、胸のおっきくて脚の長~い女が好きなの。あんたみたいな発育不全のやせっぽちじゃエレクト(・・・・)しないんだって。おわかり?」 シェリルの言い放った、宣戦布告代わりのセリフに――― 「死ね───泥棒猫」 吊り上がったアリヤの唇から、地獄のような呟きが粛かに響くのだった。 これが正妻の余裕か -- 名無しさん (2020-07-15 01 20 39) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/jizouyakusi/pages/263.html
推奨:特になし 条件:闇の王から特技≪その闇の暗きこと≫を使用されること クエスト:【闇の王に従いて世界を滅ぼす】 ギフト:加護シェリルを得る※ ※サクセションによって得られる加護が全てシェリルになる。なお、クエストは提示はされるが受けなくてもよい。もしこのクエストを受けた場合はそのPCは即座にNPC化する。したがって、クエストが得られるわけではなく厳密にはこれはHOTではない。(よって他にもうひとつHOTを得てもよい、とする) ●加護シェリル まず前提として、この加護を定められた回数以上使用するとそのPCは即座に上記のクエストを強制的に受け取りシーンの終了時にNPC化する。以下が加護:シェリルの効果である。 また加護:シェリルはオーディン、フレイ、ツクヨミ、ブラギなどを初めとしたあらゆる加護の対象にならない。 1) 対象:自身 宣言:いつでも 効果:あなたが物理攻撃、もしくは魔法攻撃を行う直前に使用を宣言する。その攻撃によって1点でも実ダメージを受けた攻撃の対象は死亡する。 2) 対象:場面(選択) 宣言:クリンナップ 効果:視界内に存在する全ての対象のHP、MPを完全回復させ、死亡・戦闘不能・バッドステータスを全て打ち消す。ただしこの効果を使用するためにはあなたはこのHOTのクエストを受ける必要があり、戦闘終了時にあなたはNPCとなる。 3) 対象:後述 宣言:後述 効果:加護シェリルはその他、既存の加護一発分ならばどのような効果でも代用して発揮することが出来る。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/sheryl/pages/187.html
グレイス「…あたしはナーサリーに勤めた覚えは無いんだけど?!」 ランシェ「あら、いっぱいいた方が楽しいじゃない?可愛い☆」 ブ&ラ&シェ「なにあの子~男の子かなー女の子かなー」 ア「かあさまこわいよー」 ブ「ちょっといたずらしてみるか、かして。えいっ」 つ幼生体 ア「きゃあああああああああああああいやああああああああ」 嵐&美「?????」 シェ「あ、かわいい」 ラ「あたしのちびたんー」 グレ「(またあのくそガキども…)じゃあそろそろ向こうでお茶でも」
https://w.atwiki.jp/macross-lily/pages/70.html
ご飯も炊けた。目玉焼きもいい感じの半熟具合。味噌スープも出汁が効いててバッチリ。浅漬けの塩加減だってかなりイイ線いってます。 「にへへ」 エプロンを纏ったランカは、テーブルの上に並べた朝食のデキ具合を見て、得意げに、そして満足そうに笑みを漏らした。 今日の朝食はアルト直伝のジャパニーズメニュー。 和食というものは、これまた奥が深く、ここまで腕を上げるだけでも苦労したが、やっぱり好きな人に食べてもらいたいという愛おしい目標がある限りどこまでも頑張れるもので。 料理はお世辞にも得意とは言えないが、原動力にドデカい愛があればこそ、今は魚も三枚に卸せるし、大根の桂剥きだってなんのその。 もう少ししたらカロリー計算とか栄養管理にも手を出そうと思っているくらいですなランカちゃんは、うっかり本職を忘れそうになっている勢いだが、それはやっぱりドデカイ愛故なのでしょうがない。 「流星に~まーた~がって♪」 ご飯が冷めないうちに、早く早く。 ランカはふわっとした緑の髪を揺らし、ご機嫌に鼻歌を歌いながらスキップで寝室に向かう。 1・2・3回と軽やかにノックして、「シェリルさぁ~ん」と呼んでみる。 なんだか、声が甘い猫なで声っぽくなってしまったのはきっと気のせいじゃないけど、そこはご愛嬌。 返事を待つこと、1・2・3秒。でもうんともすんとも反応なし。 (やっぱり起きてないですよねぇ) 昨日遅かったもんなぁ。 一人呟きなが、昨夜のことを思い出してしまって、思わず頬を赤らめる。 と、同時に、幸せな苦笑も零れていく。 ランカは一人照れながら、もう一度未だ夢の中にいる彼女の名を呼びドアを開けた。 カーテンの締め切られた、少し明度の低い部屋。 朝陽の熱がこもって、部屋の中はとても暖かい。 日当たりのいい部屋を選んで正解だったな、なんてこと考えながら、そっとベッドに寄っていく。 案の定、銀河の妖精はまだ夢の中だった。 「シェリルさん……」 ベッドに腰掛けて、もう一度呼ぶ。 あぁ、起こさなきゃいけないのに、こんな甘ったるい声じゃダメだよね。 そうは思うけど、うん。 シェリルは、こちらに背を向けて、柔らかな毛布に丸くなっていた。 二人で寝る時は自分を抱き枕みたいにぎゅっとしてくるからそんな事はないけれど。 でも、一人で寝ている時はいつも小さく丸くなって寝ている。 自分の体を抱き締めるように、守るように、小さく小さく丸まる姿はまるで。 (……小さい頃のクセ……なのかな……) 最初はただ、可愛いと思って見てたけど。 一緒にいれるようになってから少しずつ色々知っていって、だから最近はなんとなくそう思う。 部屋の中はとっても暖かいのに。 ふかふかのベッドだってとっても温かいのに。 寒いんですか? 寂しいんですか? 「……私なら、ここにいますよ」 寒がりで寂しがり屋で、なのにどこまでも強がりで。 そんな、どうしようもなく愛おしい妖精の額にキス一つ。 夢の終わりが良いものでありますように、祈りながら優しくそっと。 「……ん……ぅ」 でも、シェリルは小さく身じろぎして、布団の中でもぞもぞと動いて。 それで長い足を折り畳んで、更に小さく丸まってしまった。 「ありゃりゃ……」 ランカは困ったように小さく笑って、シェリルのストロベリーブロンドを撫でる。 寝乱れてしまっている、ふわふわ綿飴みたいな髪の毛に手を入れて、手櫛で梳いた。 「……おはようのキス、気に入りませんでしたか?」 冗談めかしに聞いてみる。 そうしたらまたもぞもぞと布団の中で動いて。 それから緩慢に白い腕が伸びてきた。 「……おでこじゃ……おきてあげにゃ、い……」 首に甘く絡む腕を、ランカは甘い顔して受け入れた。 (にゃ、って……可愛いなぁ~) 寝ぼけて上手くしゃべれなくて、眩しくて目も開けられてないから、手探りで自分を探してくるシェリルの指先がくすぐったい。 そのこそばゆさとか、甘えん坊な姿が可愛くて、「くすぐったいですよ~」と笑いながら寝ぼすけ妖精さんを抱き締める。 「やっとこっち向いてくれた」 「んー」 背中しか見えなかったのは、やっぱり物足りなかったから。 顔がちゃんと見れて嬉しくて、すべすべのほっぺに思わずすりすりと頬ずりをする。 シェリルはじゃれるランカに普段の様子からは想像できないような、ふにゃっとした声で間延びした返事をした。 「シェリルさぁーん」 呼びながら瞼にキス。 どこにキスしたら起きてくれるかなんて分かってるけども、もうちょっとこのふにゃんとした姿を味わっていたい。 両方の瞼にキスをして、ほっぺたにキスをして、筋の通った鼻の頭にキスをして、それから。 「……おはようございます、シェリルさん」 ちゅっと、唇に。 「……ん」 シェリルは満足そうに吐息を漏らして、ゆっくりと目を開いた。 澄んだ蒼の瞳が覗く。 サファイアのような色の、でも、どこまでも真っ直ぐな光を放つお日さまみたいな。 ――――私の、大好きな色。 首に緩く絡んでいたシェリル腕に力が籠って、頭を撫でられながら引き寄せられた。 犬とか猫の挨拶のように、鼻と鼻とを擦り合わせられる。 「ふふ。もーいっかい」 「えー」 甘えん坊さんだなぁ。 可愛いなぁ。 ほんとに可愛いなぁ。 「ご飯覚めちゃいますよー」とか言いながらも、ランカは結局シェリルお願いを聞いた。 ちゅっと音を立ててキスをする。 シェリルが満足するまで、何度も何度も。 「……起きないんですかー?」 「んー」 「……また寝ちゃうんですか?」 啄ばむような、拙くて幼いキスが心地よかったのか、シェリルの瞼はまたうとうとと揺らぐ。 夢と現の境目の、酷く無防備な顔が愛おしくて、寝ちゃダメなんて言えない。 「仕方ないですねぇ」 キスに満足してまた夢の中へと旅立ってしまったシェリルに、ランカは苦笑を禁じ得なかった。 でも、その苦笑はやっぱり幸せそうなもので。 おやすみなさい。 可愛くてワガママな、私の妖精さん。 ランカはシェリルの体にきちんと布団を掛けてやってから、薄く開いた唇にもう一度口付けを送った。 折角の朝食は、残念ながら昼食になってしまうらしい。 ランカは取り敢えず作ったものにラップをしてこようと寝室を出る。 そうしたら、一緒に二度寝をしようと決めて。 「……二人でくっついていれば、寒くないですよね」 さむいのなら、いくらでもあっためてあげますから。ね? END
https://w.atwiki.jp/hoyoworkswiki/pages/616.html
キャラの基本情報 誕生日 8月4日 身長 146cm 体重 38kg 3サイズ 76/52/73 趣味 文学創作、旅行取材 無限の情熱と才能を持つ学者、詩人、小説家、正論作家、改革者。 先ほどの説明はシェリーと全く関係がない。彼女は鈍くて、危機感が全くないのだ。いつも原稿用紙を持ってあちこち歩き回り、そして「大丈夫、大丈夫」と言いながら、様々な危険に深く陥るスーパー楽天家なのだ! 神格覚醒ストーリー 謎の強者 いついかなる時でも危険の香りを嗅ぎ分けられる。「危険、立入禁止」の看板を見ても、その中に足を踏み入れる。かつて陥った絶体絶命の危機を振り返って一笑に付す。これがシェリーだ。怖いもの知らずで、単身で無数の危機に向かって行った彼女は、前々から不思議なほど強いのだろうと思われていた。しかし、ある通りすがりの戦力オタクが持っていた資料には、彼女と他の神格の対戦が記録されていた シェリーVSミニガン、敗北。ミニガンは彼女に気付かれる前に、頭を電柱にぶつけ、草むらに転がる。ところが、ミニガンに見つけてもらえなかった。 シェリーVSネロ、引き分け。ネロが攻撃しようとした時、靴底が裂けてしまい、地面に転んでジュースがこぼれた。シェリーは彼女を抱き起こそうとしたが、水たまりに滑って転ぶ。勝敗つかず。 シェリーVS寮の下にいる猫、敗北。完全に一方的なジェノサイド。野次馬たちは、彼女は十分頑張ったと言った。 なんだ、この戦闘力はたった5しかないんじゃないの? 救援マニュアル シェリーはいつも立ち入りを禁じている場所に入るのが好きで、傷だらけになって外へと引きずり出されている。そのため、寮の下の手押し車が役に立つのだ。以下の4ステップを覚えておこう。たった1分で、あなたも優れた救急隊員になれるだろう。 1.機械が破壊された形跡があれば前進、地面に原稿用紙があれば加速して前進。 2.目標を確認。頭が地面に挿さっていて、シェリーであるかを識別しづらい場合、膝に絆創膏が貼られているかを確認。 3.手押し車の持ち手をはなし、車の先頭を下に向ける。 4.左側の持ち手にかかっているバケツを手に取り、シェリーに水をかける。心配しなくてもいい。救援中のシェリーは専門的な訓練を受けているため、慣れた動きで手押し車の中に転がり込むだろう。その後は手押し車を持ち上げれば、救援は完了となる。 ——シェリー救援マニュアルv2.50 心のユートピア なぜシェリーがここまで文学に夢中になっているのかと言うと、それは文学者として自身への認めだというのが一般的な見解だ。 でもバビロン学園に来た当初、シェリーはすぐ文学創作を始めたわけではなく、ずっとうろうろしていた。そこから長い間、隅っこのダンボールや街のゴミ箱の中、もしくはマンホールの下で、片手が羽ペン、もう片手が紙のシェリーの姿が見かける。 数ヶ月後、シェリーがみんなをチャペルに呼び出し、彼女の新作『理想の国と』を感情豊かに読み始めた。 最高の空想家 彼女が皆の前で後半部分を朗読していた時、原稿を読み終わったにも関わらず、さらにアドリブでたくさんの話をした。例えば、ユートピアが完成した後は、皆もマシュマロの上で寝るべきだとか、水道の蛇口から出てくるのは全て炭酸飲料にするべきだといった類のことだ。 その日のシェリーは見るからに普段と様子が違っていた。普段の彼女はただの楽天家のおバカさんなのだが、朗読している時の彼女はとても情熱的で、人への影響力が強くなっているのだ。朗読した内容は明らかに彼女がここ数ヶ月で学園を観察した結果だ。もし、創作が個人的な趣味だとしたら、これほど多くの調査や分析は必要だろうか? 彼岸を望んで 文字、それはシェリーがこの世界で最も好きなものだ。 しかし、文学だけに自己満足していては、一人だけで楽しい世界を感じていることになる。彼女はそれを全く価値がないと思っているようだ。彼女の目標は文学を使って、あらゆる人の心に理想を植え付け、「ユートピア」を皆に築いてもらうことなのだ。それは旅路のゴールであり、船の目的地であり、風の終着点であった。 そのために、彼女は一回、また一回と危険な場所の奥へと入って行き、その都度転んで傷を負い、その都度起き上がり、他人の考えと望みを記録した。 そして最後に、彼女の肩書きを紹介させて欲しい。 無限の情熱と才能を持つ学者、詩人、小説家、政論作家、改革者。この世界を愛し、この世界のあらゆる人を愛し、ユートピアを心に抱く文学者、その名はシェリー。
https://w.atwiki.jp/macross-lily/pages/23.html
「シェリルさん。……ん」 そう言ってこちらを見上げ、目を閉じてくるランカちゃんに、私はすぐに反応できなかった。 少し力の入った唇。強く閉じた瞼。 キスをねだってるんだろうなぁ、というのは分かるんだけど。 「……どうしたの、ランカちゃん」 「キス、してくれないんですか、シェリルさん」 何もしないままに訊ねれば、ランカちゃんは落胆したような顔をする。 そんな顔をさせたくはないんだけど、でも、突然すぎじゃない? 歌の収録途中に偶然会って。休憩時間に手招きされて。 空いたブースに呼ばれたと思ったら、急に、こんな。 ……まぁ、据え膳はちゃーんと食べるけど? 「キスなら、いくらでもしてあげるわよ」 「シェリルさ……んん」 「……ふぅ。でも、どうしたの、ランカちゃん。急に積極的になっちゃって。 この前までは、こうしてキスすることだって恥ずかしがってたのに」 求められるまま、私は軽いキスをする。 そうしてから改めて訊くと、ランカちゃんは俯きがちに答えた。 「ナナちゃんから聞いたんです。 シェリルさんが、アルト君と楽しそうに電話してたって」 「……あの胸ばかり大きい小心者娘……余計な事を」 「シェリルさん? 何か言いましたか?」 「何でもないわ。続けて?」 「……それで、何だか不安になったんです。 私、キスするのもまだ慣れてなくて。む、胸も小さいし。 シェリルさんの心が、私から離れていったらどうしようって。そう思ったら、つい」 「なーるほど、ね」 納得して、私は何度か頷いた。 さっきの言葉は取り消さないとね。ナナセちゃん、よくやったわ! あの子が突いたおかげで、こんなに可愛く嫉妬するランカちゃんを見れたんだから。 「大丈夫よ。私が好きなのは、ランカちゃんなんだから」 「じゃあ、アルト君の電話は」 「アルトは私の下僕なんだから。からかって楽しんでただけよ。 でも、アルトと電話するだけで、ランカちゃんがこんなに積極的になってくれるなら。 今日から1日に3回は、アイツに電話するようにしようかしら?」 「そんなぁ……」 「それは嫌かしら? だったら、さっきよりもっと上手に、おねだりしてみせて、ランカちゃん?」 「あ……うぅ」 「ランカちゃん?」 もっと上手に、と言ってもどうすればいいのか、分からないんでしょうね。 ランカちゃんが、困った素振りで視線を彷徨わせる。 やがて、ランカちゃんが私から少し距離を取った。 駆け寄ってきて、私に正面からぶつかって。背中に手を回してきて。 「わ……私を食べてください! シェリルさん!」 「……」 「あ、あれ? シェリルさん?」 「……ふ、ふふ、アハハハハハハ!」 「笑わないで下さいよー……」 『私を食べて』だなんて。その意味、分かって言ってるのかしら? そんな事はどうでもいい。ただ、ランカちゃんの真摯な表情に、ついつい笑ってしまう。 いつでも一生懸命で。だから一生懸命私を好きでいてくれて。 想いの強さに引き寄せられるように、私は再び、キスをしてから言う。 「タイヘンヨクデキマシタ、ランカちゃん」 「シェリルさん……」 「今は時間が無いから。貴女を『食べる』のは、今夜にでもしましょうか?」 「え、あの、シェリルさん。『食べる』って、それはどういう……」 やっぱり分かっていなかったランカちゃんの手を取って、暗い部屋を出る。 互いの収録現場へと分かれてからも、私の心は弾んでいて。 そのおかげか、収録はスムーズに済んで、夜を楽しむ時間は十分に確保できたのだけど。 肝心のランカちゃんが、収録が長引いて、帰りの車の中で眠ってしまった。 結局、楽しみはお預けというわけ。 ……からかいすぎたせいかしらね? おわり。
https://w.atwiki.jp/macrossf-eparo/pages/163.html
467 :キミの元へ ~アルシェリ~:2008/12/24(水) 17 25 44 ID 8tSk58EG ※うん、アルシェリなんだ。アルシェリなんだよ?(大事なことなので二回言いました) ランカも出るけど、ランカスキーな人はスルーを推奨するんだ。 捧げるほどのものではないけど、私からのクリスマスプレゼントかな。エロは無いけどすまない。 はは、そんなん全然オッケーだぜって方のみどうぞ。 バジュラとの大戦は終結。人類は新たな惑星へと足を踏み入れ、調査船団としての役割は成功に終わった。 と、聞けば聞こえはいいかもしれない。 当然のごとく、死者は多数。食料の自給も危ういため他の船団から援助を受けての配給制。 星に降りたからといって、すぐにその惑星で生活できるはずも無く。しばらくはアイランド1での生活 を余儀なくされる。 その理由としては数多くあるのだが、大気中や水中、土中に含まれる細菌などに有害なものが含まれる 可能性があるというのが大きな理由の一つだろう。 よって。そんな未開拓な星に生身で降り立った元SMSやアルト達が入念な検査が行われることになる のは、当然のことだった。 「……」 それは、まぁいい。 結構な人数がいたため検査が深夜… といっても恒星の光がなくなっただけで時間はわからない…までつき合わされたのも我慢しよう。 血を抜かれ、脳まで検査されたのも、我慢できる。 ただ一つ、アルトが納得できないのはシェリルのことだった。 すぐにでも。誰に聞かれてもかまわない、そんな気持ちで大戦に出る前に告げようとしたことを伝えよう としたのと同時に、軍からの勅令で引っ張り戻されたのだ。 もちろんそれ自体はランカもシェリルも同様であるのだが、シェリルは以前からのV型感染症のこともあ り、検査に時間がかかるといわれた。 新たな惑星への到達を喜ぶ隊員や、仲間の死を悼む隊員を横目にアルトは長く細い溜息をついた。 「……これで終わり、か」 ルカはナナセに付きっ切りで、クランもいつの間にか姿を消していたから、その溜息は誰にも聞こえなかった。 背中をたたかれて、『辛気臭いわね』と。あのストロベリーブロンドが見れないかという期待も叶わない。 少なくともバジュラとの戦争はもう起きないだろう。だが、民衆はどこまで納得するのだろうか。 アルト自身、あの誰よりも軽薄そうで、本当は誰よりも一途だった親友のことを思い出さないはずが無い。 結婚を控えていたピクシーのララミアの婚約者は? あのお調子者の部下達の家族はどう思う? 全員が、バジュラや裏切り者とされてしまったランカのことを許すことができるのだろうか。 少なくとも、自分には少し時間が必要だとアルトは思った。また、血を吐きながら遠のいていった顔が脳裏を掠める。 気づけば、足はその場から離れようと動いていた。 馬鹿な奴だった。 遊びとだけわかってる女とセックスして。その場限りの愛の言葉でも囁いたのだろうか。 両手両足の指すべてでも足りないくらいそんなことを繰り返してたあいつは結局、一人で逝っちまった。 誰よりも一人を愛していたくせに。誰よりもそれから目を背けて。 そのことを、あいつは後悔してるだろうか。 それとも死に際に愛してるなんて言って彼女を泣かせたことを、後悔してるだろうか。もっと早く言えればよかったのに、と。 ……両方かも知れない。 「なぁ、どうなんだ? ミシェル」 丘の上にあるグリフィス・パークまで上ったのにちっぽけな星達。見上げて、呟く。 少なくとも俺は、そんな後悔はしたくなかった。 「お前が話してくれた誰より、あいつは複雑で…。時間空いたせいでよくわかんなくなっちまった…」 学園に通っている間、ミシェルからは色々聞かされていた。 口説き方やデートの流れも、よく覚えてないが含まれていはず。 その中のどれを選んだら、あいつは喜んでくれるんだと、誰もいない公園でまた溜息を吐く。 芸能科から転向して入ったパイロットコース。そこで出会った馬鹿なあいつと愛らしい顔した後輩。 憧れていた空に近づいたと浮かれたのはほんの一瞬で、正直に言えば退屈な日々が続いていた。 偽りの空を飛ぶことで、それさえ誤魔化した。 そんな退屈な毎日が、急に輝きだしたのはあいつが現れた、あの日から。 見飽きて、偽者だと蔑んでいた映像の空も、あいつと一緒なら、あいつの歓声があれば、ダイアモンドのように輝いた。 友人が少なくて、正直に言えば孤独だっただろう俺。別に平気だと思っていた。孤独には、慣れていたさ。 けど、今は。隣にあいつ一人が。後ろにあの馬鹿一人がいないだけで、こんなにも。俺は独りだ。 世界中で一番普通の女の子らしくないようで、実は誰よりも女の子だった彼女に。 ただ伝えればいいと思っていた。一言『好きだ』って。 けど、それだけであの強がりなあいつは納得するだろうか。もしかしたら、また同情と受け取って泣くかもしれない。 「恋人ごっこ、だったのか。あの数日に満たない俺達の時間は。少なくとも…俺は…」 恋人だったらこんな感じだろうと思っていた。 恋人だから誰よりもあいつの傍にいられる。いろんな表情を見れる。あいつの弱音だって聞いてやれる。 そんな距離を、俺はいつの間にか手に入れ、いいものだと感じていた。 「こんな気持ちにさせといて……。いまさらお前は……」 俺から離れて行っちまうってのか。また、独りで。 そんなの許せるはずがない。俺が傍にいてやらなくちゃ…。 そこまで考えて、俺は自分の頬を打った。その痛みはなんとなく、あの馬鹿に殴られたときの痛みに似てる。 「俺が、傍にいたいくせにな」 いつも笑顔で俺を引っ張りまわしてた。 風のように現れて、嵐のように俺を掻き乱して、時に追い風のように振舞ってくれた。 最後の最後まで強がって、俺にさえ弱いところは数回も見せない。 弱さまで隠して、妖精であり続けようと最後まで立ち続けた彼女に惹かれ。 隙間からほんの少し漏れた弱さを、俺だけが受け止めてやりたかった。 そんな気持ちに気づくことなく、いつまでも素直になれなかった自分。 どこかであいつの傍にいることに義務感を感じるようにして誤魔化してた自分。 情けないにも程があるだろ。いい加減、本気で、素直になれよ早乙女アルト。 素直に言えば、雨に濡れたあいつを連れて行く兄弟子に、掴みかかりたかった。 俺が、真っ先にあいつを見つけてやりたかった。 家の血筋も、体裁も何も無く素直に大声で本音を言い合える、こんな俺の弱ささえ受け入れてくれるあいつに。 俺はたまらないくらい……惚れていたのに。 「じゃあな、ミシェル。……ちょっと行ってくる」 もう、これ以上時間をおく必要は無い。臆病な影が差し込む前に、あいつに伝えたい。 まるでそれを肯定するように光ったイヤリングの宝石は、もういないはずのあいつが、いつものニヤケ顔で背を押して くれたようだった。 そんなときだ。 「アルト君!」 すぐ傍まで、小さな影が来ていた事に気づいたのは。 全て、終わってしまった。 あそこで燃え尽きて。燃え尽きるまで歌って、シェリル・ノームはシェリル・ノームのままで果てるはずだったのにね。 V型感染症のランカちゃんの主治医であったらしいカナリアさんからの検査結果を聞きながら、ふとそんなことを考えた。 「見たところ、V型ウィルスは体液中には存在しない。ランカ・リーと同じように下腹部に完全に固着してるようだ」 「……それで?」 彼女だって自分の家族が心配だろう。それなのに私についてくれてるから、気の無い返答は申し訳なく思える。 「毒素も検出されていない。それ以外は健康体だから、もう、心配要らないだろう。おめでとう」 「ありがとう。けど、あそこで歌いきって果てるのも、悪くなかったかもしれないわ」 「……それは、お前の体を心配してる人たちに対して、失礼だぞ」 返事もせずに、あたしは扉を閉じた。 心配してくれる人、か。一瞬、誰よりも不器用だけど、あたしの傍にいてくれたあいつの顔が思い浮かぶ。 いつのまにかあんなに男らしい表情ができるようになっちゃってさ。最初はただの、生意気で素直じゃない子供だったのに。 「あたしも一緒か……」 検査用の薄い服を脱ぎ捨てて、自分の服に袖を通す。 あいつをあそこまで成長させたのはこの戦争よね。 その中でも、彼女を守ろうという気持ちはあいつの中で何よりも大きかったはず。 今は少しだけ、あなたが羨ましいわねランカちゃん。 「けどあの子は、これから大変になるわ」 希望の歌姫から一転、裏切り者扱いまでされたのだから。 社会復帰にすら支障をきたすだろうし。操られていたとはいえ、生き残った人たちの恨みは少なからず彼女にも向くはず。 そんな彼女を、あいつが守らないはず無いわね。 「あたしが、鈍いあいつの背中、押してあげなきゃいけないのに……ね」 なのに。どうしてこんなに胸が痛むの。脈打つ心臓は、どうしてあたしを駆り立てようとするの。 待合室の椅子に座れば、いつの間にか暗くなって誰もいないことに気が付いた。 ランカちゃんだってとっくに検査は終わってるから、今頃二人でいるのかしら。 そうしたら、あたしの出る幕は無くて済むかもしれないわね。 「……それがどんな言葉でも、歌えなくなる…なんて」 本当は、抱きしめたかったくせに。抱きしめてほしかった、くせに。 強がって強がって。傍にいてくれるアルトに、甘えていたかったくせに。 「けど、そんなのシェリル・ノームじゃないわ。シェリル・ノームはいつだって強気でなくちゃ」 散々、甘えたでしょ。恋人『ごっこ』、楽しかったわよね。 初めてだった。家族のような時間を過ごすのも、誰かの帰りを待ってあげるのも。 一緒に料理を作るなんて、なんて暖かい時間を、あいつはあたしにくれていたの? 平気な顔で笑って、嘘をついて。嫌気がさして。そんな、楽ばかりしようとしていた。 「だから、だから。あたしはもう、いいのよ……」 なのにどうして、体は震えるの。思い出す記憶は、どうしてあいつとの時間ばかりが通り過ぎるの。 怯えたスラムの闇も、冷たい雨も。あたしを気にも留めない人たちの記憶も、こんな時ばっかり鳴りを潜めて。 いやよ。離したくない。傍にいてほしい。あたしを孤独にしないで欲しい。 シェリル・ノームのペルソナを外して唯一触れ合えるあいつと、一緒にいたい…。 なんて、我侭。 アルトはランカちゃんを守るためにパイロットになったんだから。 同情すら引くことのできない今のあたしに、勝ち目なんて無い。 ランカちゃんを守るためにあいつは宇宙を飛んで、バジュラと戦った。 ランカちゃんを救うために、宇宙でミサイルの雨に向って行った。 だから、だからねランカちゃん。あたし、あなたが羨ましいわ。 あえて辛い道を選ぼうとするあたしを応援してくれたアルト。 そんなあなたを、たった一人だけ。『友達』と呼ぶことにしてあげるわ。 軍の部屋に戻ろう。それで、こんなあたしとはさよなら。そう考えて病院の外に出た。 そんなときだった。 「シェリル!」 あたしの目から堪えていたはずのものが一つ零れ落ちるのと。 聞きたくなかったはずで、聞くだけで僅かに嬉しくなれる声が聞こえたのは。 息を切らし、頬を赤くしながら深呼吸を繰り返す少女に、俺は首をかしげた。 「ランカ…。どうして、こんなとこに」 「へ、へへ。ほんとはね、お兄ちゃん…あ、オズマお兄ちゃんに外には出るなって 言われたけど、今日だけワガママいったんだ!」 「そう、か」 座ってる俺の隣に座るでもなく、横でずっと立ってるランカに、俺は横目で視線を送った。 どこかわざとらしい喋り方だとか、いつもより触れ幅が大きい髪だとか、きっと何か伝えたいことがあるんだろうと思う。 それくらい、わかる。 「あ、あの!」 「ん?」 「あ、あの…星! すっごくキレイだったね! デカルチャーだよね!」 「そうだな、キレイだった」 デカルチャーは死語だろ。 話がそれだけだったら、俺はもう行きたいんだけどな。 病院で入れ違いとかやったら、あいつの部屋まで行くことになるし、そうなると警備が硬い。 「あ、あのさ。アルトくん…。えっとね、実は……」 「悪い。用事があるなら、できるだけ早くしてくれないか。時間がかかるなら付き合うが、用件もわからないんじゃ……」 僅かに、ランカの肩がビクリと震えた気がした。 二回の深呼吸の後、ランカは小さな声で。この夜の静寂が手伝わなければ聞こえないような声で、言った。 「……わたし、アルト君のこと大好きでしたって、言ったよね」 「―――っ」 今度は俺が僅かに身動ぎする結果になった。 肩に添えられた手。小さな手からは想像もできないが、ゼントランとのクォーターであるランカの力は強い。 眼前にある柘榴石をはめ込んだような瞳と、唇。映画のキスシーンのように、近い距離。 「わたし、今でも…ううん、前よりずっとアルト君のこと、好きだよ」 「ラ、ンカ……?」 いつに無く強引なランカの瞳と、目が合う。 揺れる瞳。だが、なにがその目を揺らしている? 少なくても情欲や、俗に言うドキドキなんて類のものでないことはすぐにわかった。 一言で言えば、それは『不安』。 「……アルト君」 少しずつ近づいているランカの顔。 鼻と鼻の頭が触れ合いそうになり、互いの息の匂いも、体臭でさえ感じ取れそうなこの距離。 ガーネットの瞳が、タンザナイトだったら。一瞬でもそう思い、一瞬だけ重ねてしまった最低な自分に、吐き気がした。 ギリギリ、今まで動けなかったのはなんだったのかわからないくらい早く、二人の唇の間に掌を滑り込ませる。 「はぁ…。はぁ…」 「……っふ」 止まってた呼吸が再開する。 見る見る内に涙で濁っていくランカの瞳から、俺は目を逸らそうとはしなかった。 『不安』に震える瞳と、拒まれたときのランカの顔を見て、俺は今までの自分の行動がどれだけ彼女の感情を 正負問わず揺るがしたのか、理解したから。 「すまない…。ランカ、俺は……」 「バカ」 ポツリと呟かれた一言と一緒に、ランカの目から涙が続けて零れ落ちる。 慰めの言葉は、相手を逆に傷つけるだろうか。少なくとも、俺はランカを、これ以上傷つけたくはなかった。 流れる涙は止まらないのに、無理やり笑おうとしたから、その笑顔はくしゃくしゃに歪んでいるけれど。 どこか、清清しさを感じるものだった。 「フられちゃったね……、わたし」 「ランカ……」 「すごく悲しくて、苦しいよ。アルト君に会わなければ、こんな気持ちにならなかったのにね……」 その涙に、ハンカチを差し伸べる資格さえ今の俺には無いように思えた。 自分の手で涙を拭い、ましてや抱きしめて胸を貸してやるのは、好きな女だけでありたいという気持ちも、正直ある。 ランカが嫌いなわけじゃない。それどころか、好きなんだろう。 だが、『愛した』わけじゃなかった。『愛しい』と思ったわけじゃ、なかっただけだ。これは、言い訳だろうか。 「けど、アルト君に会えたの、後悔なんてできない……。 今のわたしは、アルト君とシェリルさんのおかげだって、ちゃんとわかってるから」 「悪いな……。気の利いたこと、何もいえなくて」 「いいよ、アルト君だもん」 そういって寂しげに笑う彼女は、いったいいつの間にこんな表情ができるようになったのか。 もう、行っていいよというランカの言葉が、見ないでと、言っている様な気がした。 だから。 俺も振り向かないであいつのところへ走り出す。 言い訳として、彼女以外の誰かにでなく。本音として、彼女に。一番最初に伝えたかった。 そんな、言葉があるから。 ランカの頬を伝う涙には、胸が痛む。 けれど、今はもう本当に一人ぼっちのあいつだって、どこかで。 やっぱり独りで、不安に泣いているんじゃないか。そんな気がしたから。 今はただ高く広い空じゃなくて。低くせまっ苦しいコンクリートの道を、がむしゃらに走った。 街中で流される、あいつの歌だけを、追い風にして。 遠目に見えた、シェリルから落ちる光の雫は、ここだけの話、綺麗だとアルトは思った。 けどそれ以上に、まるで茨で締め付けられるように、痛かった。やっぱり、あいつは独りで、泣いてる。 「シェリル!」 もう、止められなかった。これ以上待てない。 逃がさないように、誰かに時間を奪われないように。シェリルの身体をアルトは掻き抱いた。 「ア、アルトッ!?」 狼狽した声も、構わず。まだ強く。 細い肩。腰も。いったいどこに力を入れて立ち続けていたのか、アルトにはわからない。 ただ、その抜けるように白い肌や。密着したことにより届く吐息が、暖かく。 生きている鼓動が聞こえることだけが、ただ嬉しかった。 「シェリル。話がある」 「――っ。わかったわ。聞くから、少し離れなさい。苦しいのよ、アルト」 「…悪い」 離れていく温もりは若干どころか大いに名残惜しいが、それよりも話のほうが重要だった。 シェリルに、認めさせなければいけないからだ。誰よりも強がりな名役者に、自分の気持ちが本物だって事を。 「それで話って? ランカちゃんとのデートの相談とかかしら?」 「茶化すなよ。言っとくけどな、今までに無いくらい、俺はマジだぞ」 「――っ」 さっきからの息を呑むような反応からして、きっとシェリルもわかってるんだろう。 僅かに残った涙の跡を、指の腹で拭ってやる。それだけで、シェリルは恥ずかしそうに頬を染めた。 その表情に、もっと早く気持ちに気づいていればよかったと馬鹿みたいなことを思う。 「好きだシェリル。もうどうしようもないくらいに、俺はお前が……好きだっ」 「シェリル・ノームを口説くって割には、一つの飾り立ても無い言葉、ね」 「そんな必要、ないだろ。それに、俺は一度もお前を銀河の妖精扱いなんてしたこと無かったはずだぜ」 シェリルは、そこが好きだと、前に言ってくれた。 だからアルトはいつまでもシェリルを一人の女として見る。いや、見ずにいられない。 「……それだけ?」 顔を隠すように俯いたシェリルの表情はわからない。 けれど、くぐもった様な声でそう聞こえた。 「傍にいたい、シェリルに傍にいて欲しい。お前に…シェリルだけに!」 「最近気づいたけど、あたしすごく我侭で、きっと泣き虫で、一度アルトの手をとったら、きっと離せなく……なるわ」 「そんなの、全部俺が受け止めてやる。前にお前がそうしてくれたように、背中を押して欲しかったら俺が全力で押してやる」 ――どうして人は歌ったり、飛んだり……宇宙の果てまで行こうとするんだろうな ――あんたバカなの? そうしたいからに、決まってるじゃない シェリルにとっての些細な一言が自分の背を押したように。 背中を押す力が欲しいときは俺が押してやりたい、と。アルトは言葉にしなかった。 「なんで、あたしなの?」 「お前みたいないい女、滅多にいないからな」 ちょっとからかう様に言ってみたが、シェリルは益々俯いていく。 だが、それだって正直な一言だ。 「ランカちゃん、守りたいんじゃなかったの?」 「あいつにはパワフルな兄貴達がいるだろ。俺は、お前を守ってやりたい。さっきだって……ん」 出撃前と同じように、人差し指で言葉を止められる。 でも、いつものように勝気な声は無くて、ただ震える声でシェリルは綺麗な声をこぼす。 「シェリルは! 泣かないのよ……。だって…シェリル・ノームなんだから……!」 嬉しくて、泣いているのか。苦しくて、泣いているのか? アルトにはわからない。それほどまでにシェリルが役者なのか、自分に経験が無いからなのか。 もう一度抱きしめる。 やっぱり温かい。頭に手を当て、シェリルを胸に押し付けた。 嗚咽は誤魔化せない。けれど、それを聞くのもこんな姿の彼女を見るのも、自分だけでいい。 アルトはこれが自分の特権であることに、自負すら抱きたい気分だった。 「言っただろ。俺が全部受け止めてやる。だから、誰よりも。お前の近くにいさせて欲しい。 そして、誰よりもお前に、俺の傍にいて欲しいんだシェリル!」 「アルト…。アル、ト……」 シェリルの腕がアルトの背中に回る。 僅かに上を向いたシェリルに、顔を近づけていく。 アルトからのキスは、これで二度目だ。けれど、それもまた、止められた。 「これ以上は、本当に戻れなくなるわ……」 「『楽園』になんて、帰してやらねえ。俺の、傍にいろよ」 「それ、んっ……ふ」 シェリルの歌のワンフレーズ。 その歌が流れる街は今は遠く、シェリルの音と、アルトの音以外耳には届かない。 やがて唇が離れると、普段のシェリルがそこにはいた。 我侭で女王様で、何事も楽しめる才能を持った、愛しい姿で。 シェリルの中で、強がりや欲張りが、無意味になっていく。 それはきっと、アルトに愛されたあの日々から、少しずつ始まっていた変化だったように思える。 「こんなサービス、めったにしないんだからね……。大好きよ、アルト」 そんなお前を見せられたら。 何度だって、俺はこいつに惚れるだろう。 「自由でも、余裕でも……。そこにいるのがあたしだけだったら、虚しいわ。だから、傍にいなさい……」 「あぁ……。あぁ!」 ねえ、アルト。 あたしの友達、一人減ったわ。 条件は、俺が親父と和解すること。 なんのって、シェリルが俺と暮らしてくれるための条件として突きつけられた。 まぁ、その一言が無くたって。会いに行くつもりではあった。病院で見た最後の姿も、気にはなっていたからだ。 シェリルは今日、コンサートがある。といっても、入場料がないからチャリティーコンサートだけどな。 バジュラやランカのこと、インプラント化によってグレイスの支配下にあったギャラクシーの人達のために伝えたい ことがあるからと、そういった仕事をシェリルは喜んでやってる。 もちろん、それはいいことだ。歌を続けることには俺も納得した。あいつは、歌を歌ってるときが一番『活きてる』から。 「お待ちしていましたよ、アルトさん」 親父は、入院していた。 扉の前で待っていた兄さんに続いて病室に入ると、そこには親父が。それ以外、物はほとんど無い。 以前のように気圧されることも無く、俺は親父と真っ向から視線を合わせる。 この目に見つめられるのは、昔から苦手だったのに。不思議と、平気だった。 「一つだけ、訊こう。お前をそこまで変えたのは、空か。それとも戦争か」 空は憧れだった。戦争は俺が背負う咎の一つだった。 けれど、俺を変えたのはそのどちらでもあるはずが無い。人を変えられるのは力と、金と。そして、同じ人でしかない。 「惚れた女だ」 「…そうか。もう、下がっていい」 失礼しますだなんて言葉は言わない。 振り向いて初めて気づいた。入るときには見えない場所。そこに一つだけポツリと。 俺が知る姿よりも若い、仏頂面の親父と綺麗な女性の写真だった。 「有人。良き、女に惚れたな」 「……また時間を見つけて来る」 歌舞伎のことについては何も言わない親父は、なにかを悟っているようにも見えた。 俺も、言うようになったな。あいつの前でも、これくらい真っ直ぐに伝えられれば楽だというのに。 扉が閉じる僅かな時間に、たった一言ずつで別れを告げる。 シェリルは、きっと。死ぬつもりだっただろう。それくらい、俺だって理解できた。 それでも止めなかったのは。あいつを信じていたのと、なにか確信めいたものが、俺の中にあったから。 死、という直面せざるを得ない現実が、愛し合う人々を引き裂こうとする。だから、より一層。 俺達は惹かれあったんじゃないか。 あいつのためなら。いくらでもいくらでも、頑張れる気がした。今日の事だって、その一つだ。 一回のロビーには、見慣れた一年後輩の坊ちゃんと、黒ぶちメガネのこれも見慣れた顔。 赤面しながらも一生懸命一緒に笑おうと頑張る一年に陰ながら声援を送りつつ、俺は病院を後にした。 ギタースクラッチの音が、音響も何もあったものではないコンサート会場に鳴り響く。 そこはもう、シェリルの世界だった。あるのはステージと、僅かな証明と、数多の観客だけ。 その中で舞い、音を身体で奏で、汗さえも輝きを増す要素の一つとしている彼女は、まさしく妖精だった。 そんな彼女を見ながら、俺は少し離れた場所でEX-ギアを着込む。 俺は、飛び続ける。シェリルは歌い続ける。俺はシェリルの歌を風に、シェリルの存在を家として、宇宙を飛ぶ。 もう手放さないと誓った。あいつは俺が、守ってみせる。それも全力でだ。 「さってと。行くか、サプライズゲストはサプライズゲストらしく、な」 あらかじめルカに無理を言って設置してもらった簡易のカタパルトから、相変わらず低い空に飛び立つ。 頬を切る風も。耳に鳴り響くノイズも。大気があったガリア4やバジュラの星とは比べ物にならない。だが、それもいい。 彼女と目が合う。その瞳は海なのか空なのか、少なくとも俺を惹きつける何かだって事は確かだ。 瞬く間に縮まる距離。あんなに近く、なのに遠かったあの距離感はもう存在しない。 ちょっと驚いたような顔。けど、すぐに細まるその『空』。鳴り響くドラムとギターに煽りを受けて、俺は彼女を抱き上げる。 シェリルとのファースト・コンタクトは、こんな感じだった。 ファンの真上を飛び、あいつと同じ数だけできるようになったスクリューを見せ付ける。 耳元で聞こえる、機械を通してないこいつの歌声は、俺だけのものだ。 いつか空より掴みたくて、無理矢理にでも手を伸ばそうとした、声。 人間もゼントラーディも、鳥や木々にだって。この場には境界線なんて存在しない。 シェリルの歌は全てに等しく響いて、魅了し、昂ぶらせる。耳を過ぎる風の音も、どこか勢いを増していた。 跳ねる客のドラムは、地鳴りのようで。歓声はまるで風のよう。 ありふれた日常は、急に輝きだした。心を奪われた、あの日から。 孤独でも平気だったさ。シェリルやミシェルに出会うまでは。一人は勝手に旅立っちまったけど。お前だけは。 「……傍にいてくれ、シェリル」 聞こえるはずも無いが、呟いて。 ステージに着地する瞬間に、観客からは見えない角度で、キスをされた。 リップノイズすら聞こえない浅い口付けが。人にとっては些細なことかもしれないかが、こんなにも俺の心を昂ぶらせる。 「……当たり前でしょ、バカ。もう荷物、送ってあるから……」 何事も無く離れていくようで、俺はシェリルの耳が赤くなっているのを見逃さなかった。 きっと俺は、それ以上に赤くなっていただろう。 「今日は次の曲で終わりだけど、また近いうちにコンサートやるわ! だから、全力であたしの歌を聴けえぇぇ!!!」 歓声は、鳴り止まない。 それはまるで、俺がシェリルと一緒にいるときの心臓のようだった。 ...end 長くなって申し訳ないです。 一行が長かったり、読みにくかったりすることも申し訳ない限りで。 続くかどうかは未定ですが、他の職人さんの作品もいつも楽しませてもらってます。
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/159.html
780 名前:fusianasan[sage] 投稿日:2012/01/21(土) 06 19 14.62 流れトン義理スマソ。 ダラダラと書き続けていたんだけど、途中で頭こんがらがって来たので、適当に逃げた。 後悔も反省もしている。ゴメンネorz この胸最高じゃね?!あーもうたまんねー! お前バカだろ?女は尻に決まってんじゃんか!見ろよこのむちむちのだらしない尻!! 俺は胸だな!ぜってー胸!!ちなみにC以下は認めねーよ? はぁ?!ロリ最強だろうが何言ってんだよ!!みろよこの純真さ!! お前例の彼女とどこまでいったわけ? あーアレだろ?コイツの彼女ってあのすっげぇ胸デカイ・・・ バカ!!お前声でかすぎだし!! コレだから童貞君はぁ~ あっ、てめっ!!お前もそうだろうがよっっっ!! あー女欲しー、マジ女ほしー誰か俺に紹介しろよー お前それただヤリたいだけだろ? あ、バレた?! お前の頭ん中そればっかじゃん? ソープでも行けよ!この前、××らが行ったトコ可愛い子入ったらしいぜ! おぉ?!それマジかよ!!ってか、行くなら誘えよっっ つか、現実的に考えて横に女いんのに勃たねえとかありえなくね? ぎゃはははははは!!お前どんだけ溜まってんだよ!! 女なら誰でもいいってかwお前まじ最低だなw あぁ?!ならお前相手いんのかよ? 相手いねーのお前だけじゃねーの? うっわっっっ!ムカツク!! 教室の片隅や部室の端、格納庫だけに飽きたらず、集まってしまえば女子隊員らも利用するPXや下手をすれば様々な客がいるファーストフード店でも 嬉々としてそんな話をしだす彼らのことを早乙女アルトは内心嫌悪していた。 決して猥談に興味がなかったというわけではない。 年頃の男の子として好みの自分の好みの女性像を考えたりしたこともあったし、鏡を見た時やシャワーを浴びた時には、 自分が毎日演じていたはずの性別の違う身体の線や雰囲気をひどく遠く、不思議に感じたこともあった。 スカートから除く素足や白く細い腕や胸元に思わず目を惹かれたことだってある。 けれど、本人の そういった 嗜好を積極的に話す必要性というものはまったくといっていいほど感じていなかったし、 それ以前に、一般的な男子高校生やSMSの男性隊員が好む『外聞もはばからずに繰り広げられる猥談』は、 伝統 と 礼儀 を重んじる世界の中で育ち、 恥 という独特の文化に培われたアルトの清廉潔癖な観念の前では、 ただただ下品で、品性の欠片もない行為してとしか映っていなかった。 加えて、早乙女アルトは『男女が結ばれる行為は自分が心から好きな人と結ばれ、望みあった時でなければ意味がない。』と本気でそう信じていたのだ。 ある意味幼いとも純粋とも言える幻想を抱いた潔癖な少年にとって、エロ本やAVという名のエサを与えられる度に舞い上がり、 猥談自慢を繰り返す彼らの行為は、盛りの付いた犬のような、ひどくみっともないことのように思えていた。 そしてその嫌悪感からか、本人も知らぬ間に自身は理性的でない彼らとは違うのだという自負を持ち始め、 本気になれば己の理性に御せない欲望などないのだと思い込むようになっていた。 だからこそ、経験のない男子高校生が一度は夢見る甘やかな理想と抗うことの難しい現実の欲と好奇心に翻弄され、 全力で数十時間悩めるだろう選択をも早乙女アルトは軽く一蹴してしまえたのだ。 遊び や お試し という概念すら完璧に抜け落ちてしまっているような無垢さ故に、 狙撃手の友人はからかい混じりに彼を姫と呼んだのだった。 そうやって17年程堅実に生きてきたというのにある夜を境にしてその鉄壁だったはずの理性が吹き飛んだ。 溢れる涙に胸が苦しくなり、抱きしめた肢体の柔らかさと細さに、今まで感じたことのない感情が体中を駆け抜けた。 腕の中にある身体を抱く加減が分からなくて、ひたすらしがみつくように抱きしめるしか出来なかった。 そして、おそるおそる握られた服の裾に頭の中で何かが弾けた。 絡んだ濡れた感触。 混じる吐息と熱。 くちゅくちゅという水音。 嬌声。 止めどもなく溢れてくる何かに感情が追いつかない。 優しくしたい、大切にしたいと思う側から、名も知らぬ何かにそれらが飲み込まれていく。 まるで水に溺れるようだった。 水に溺れるようなのに、身体は勝手に熱を上げ、熱に侵された部分は制御を失っていった。 熱。 声。 感触。 感情。 初めて触れたそれら全てが渦のように押し寄せる。 それが何かを理解することなど出来なかった。 それを受け止めるしかできなかった。 指に触れたもの。 それは全てが繊細で柔らかかった。 唇を滑らせるその度に。 その滑らかで温かい感触に溺れた。 肌は、汗と唾液が混じり合った液にしっとりと濡れていた。 部屋へと入り込んだ月光に照らされ、艶めかしく、淡く、光っていた。 ビリビリともゾクゾクととも取れる感覚が背筋を這い上がり、脳天を震わせる。 鼻で感じる肌の匂いや恥じらう姿、肉体に感じる気持ちよさが、思考をさらにずぐずぐに蕩かしていく。 掴んだその瞬間から溶けて消えていく感覚を夢中で追った。 繰り返し、何度もぬめる指先で嬲る。 反応を返して震える肢体の至る所に印を残す。 愛しさと下肢からの欲が交互に脳内を攻め立てた。 それから、痛みとどうしようもないほどの熱を感じて、最奥で爆ぜた。 一瞬のような、随分と時間を過ごしたような不思議な感覚。 幸せそうに潤む瞳に目を奪われ、今度はゆっくりと静かに唇を重ねた。 穏やかな、風が凪いだ空に浮かぶような、そんな随分と久しく優しい夜だった。 「アルト、貴方何難しそうな顔をしてるの?」 「いや、なんでもない。」 かけられた声にはっと我に返ったアルトは、自分の横にぽすんっと収まったシェリルに軽く笑ってみせた。 どうやらぼうっとしている間に風呂から上がり、手早く手入れやその他もろもろを済ませてきたらしい。 もうほとんど風呂上りの日課にとなったカップアイスが、すでにその手に握られていた。 「この時間胃袋に入れるのはミネラルウォーターだけじゃなかったのか?」 「今日は特別よ!ト・ク・ベ・ツ!レコーディングはエネルギー使うってアルト知ってるでしょ?!」 すでに一口目を食べようとしているシェリルはよく冷えたアイスにご満悦のようで、 その期待を表すかのように片手に握られたスプーンがくるくる回っている。 そんなシェリルの様子に一瞬どうするか揺らいだもののアルトはゆっくりと口を開いた。 「そう言ってもう3日目だぞ?カロリーコントロールはしてるから問題ないが、肌に何かできたって俺は知らないからな!」 「うんもうっ!アルトの意地悪!!せっかくのデザートなのに台無しになっちゃうじゃない!」 「俺は事実に基づいて忠告しただけだ。・・・後で泣くのはお前なんだぞ?」 「・・・ッ・・」 上機嫌だったシェリルがみるみる凹んでいく。 もうちょっと言葉を選ぶべきだったかとアルトが後悔するもすでに後の祭りだ。 どうしようかとアルトが悩む間も、シェリルの握ったアイスクリームは端からゆっくりと溶けていく。 「はっ、」 「は?」 「半分だけにするわっっっ」 そうきたか。 半ば叫ぶようにして宣言された『半分』にアルトが苦笑する。 相手は、~牛からわずかしか取れないミルクや超高級材料をふんだんに使っているというブランドアイスでも、季節限定、数量限定のアイスでもなく そこらのスーパーで売ってる家庭用アイスクリーム(お徳用)だ。 平たく言ってしまえばそんなに必死にならなくても常に冷蔵庫にある、いわば常備品だ。 それを食べる食べないと決めるのにこんなにも決意がいる人間がどれだけいるのだろう? しかもこの妖精は望めばありたいていのものを手に入る力も財力も有り余るほど持っているのだ。 「別に今食べなくてもいいんじゃないか?」 「何言ってるのよアルト!夏にクーラー付けて鍋、冬に炬燵でアイスって言うじゃない!」 「・・・誰だそんなのが庶民の贅沢とか言う都市伝説をコイツに教えたのは」 「それと同じで家でのアイスはお風呂上りに食べるのよ!!」 「どういう理屈だそれは・・・というか、どうでもいいけど早く食わないと溶けるぞ?」 「あらあら」 言うが早いか、シェリルは溶け始めたアイスクリームを掬い嬉しそうに食べ始めた。 一口食べる度に打ち震えるその心情を表してみるならば、『おーいしーい♪』『もう最ッ高!!』というところだろうか? よくもまぁこんな安物のアイスクリームでここまで幸せになれるものだと、アルトは苦笑する。 ここまで喜ばれるとまるで自分が丹精込めて作った料理が市販のアイスクリーム同じ位置に並んでいるようではないか。 「・・・・アイスクリームもいっそ自家製にするか。」 「ん?ヒャルト、はにはいっは?」 「いや、別に何も。」 小さな決意を含んだ言葉の意味を幸せそうにアイスを頬張る彼女は知らない。 そして、その言葉がシェリルにお家用アイスクリームというものを教えた狙撃手の小さな彼女へのやきもちが含まれていることも。 彼女の意識はそのほとんどが変わらずカップの中のアイスクリームにだけ注がれていた。 「あぁっ、ひゅめたくておいしーい!お風呂上りのアイスはやっぱり最高ね!」 「そろそろ半分だぞ?蓋して戻してこいよ」 「ん、分かってる!」 アルトの指摘にシェリルは素直に頷くと残ったカップから特大の一口を掬い上げ、口の中に放り込む。 そしてそのままアイスクリームに蓋をし、スプーンを持って流しに向かった。 無事にお風呂上りの儀式は終わったようだ。 やれやれというようにアルトは再び見るともなく広げていた新聞へと視線を戻した。 別段面白いような記事はない。 誰それが結婚しただの、離婚しただのというアルトからすれば興味もないものばかりだ。 もっと他の話題をを取り扱えばいいのにと芸能面に愚痴りつつ、紙面の中で微笑むシェリルを軽く弾いて、アルトは紙面を閉じた。 同時に再びソファーが弾む。 「ちゃんとスプーン水に浸けたか?」 「・・・・・」 無言の返事にアルトがシェリルを見ると、彼女は渋い顔をしていた。 口元が窄み、眉間にしわが寄っている。 今度は何だ?とアルトが思った瞬間、シェリルが両頬を温めるようにして手のひらで覆った。 『お前は何歳児だ。』思わずそう突っ込んでしまいそうそうなアルトの眉間にも同じように皺が寄る。 彼女が感じているだろう感覚が自身の頭にも同じように響くのを片手で抑えるとアルトは深く深くため息を付いた。 「ったく!」 「ーーーーーッ!!!」 手早く首に手をかけ、顔を上向かせるとアルトは噛み付くようにしてシェリルの唇を塞いだ。 いつもとは違う甘く冷たい感覚。 呼吸にバニラの香りが混ざり、肺へと流れこんでいく。 口端から無理やり押し入るとその香りがますます強くなった。 融けたアイスクリームと唾液の混ざったぬるい液体を舌先で舐めとりながらアルトは最も香りの深い部分を探る。 舌で触れた口内は温度を失われてどこも冷たくなっていた。 それなのに、シェリルはその元をなかなか渡したがらない。 この強情っぱりがっ!っとアルトは心内で毒づくと、逃げられないようにと顎を掴んだ手をしっかりと固定し、 身体と体重を使ってシェリルをソファーの背へと縫い付ける。 上向かせてしまえばこっちのものだ。 防御の薄くなった口内へと無理やり潜り込み行き場を失ったアイスの欠片を見つけた。 懸命に掬い上げようとするものの、アイスは滑るばかりで捕まらない。 何度やってもシェリルの舌の上で蕩け、逃げていくのだ。 「ッ、ンッ!」 うまくいかない苛立ちを抑えながら執拗に舌先で触れるていると、だんだんとシェリルの身体に力が篭っていく。 どうやら、融けたアイスと飲み込めない唾液のせいで限界が近いようだ。 これ以上堪えさせるわけにもいかないとアルトがゆっくり身を引くと、半ば涙目になった空色の瞳が悔しそうにアルトを睨んでいるのが見えた。 同時に、シェリルの喉元がコクリと小さな音を立て、飲み込めなかった液が一筋シェリルの口元を伝った。 「急に何するのよ!びっくりするじゃない!!」 「お前があんなことするからだろ?」 「だって、最後の一口だったのよ?なのにあんなにすぐ融かしちゃうなんて・・・・」 「シェリル、人間に頬袋はないんだぞ?」 「でもちょっとなら・・・」 「口の中に凍傷作る気がないなら止めとけ」 いいすがるシェリルに対してアルトは冷たい。 言葉では勝てないと悟ったシェリルが言い淀んで俯くと、アルトは優しく髪を撫でてやった。 怒っていたシェリルの肩から力が抜けすぐに大人しくなったとこ頃を見ると、自分に非があるのは分かっているのだろう。 いつもこんなに素直なら可愛いのにと苦笑しながらアルトはシェリルをぎゅっと抱き寄せた。 抵抗せず抱きしめられてはいるものの、こうなったシェリルは自ら抱きついてくることをはしない。 嬉しさ半分、整理のつかない気持ち半分といったかんじなのだろう。 そんなシェリルにやる気なく尻尾の先をぴよんぴよんさせる猫の姿が重なって見え、アルトは思わず吹き出した。 「・・・何よ?」 「いや?なんかお前って猫みたいだなって思ったんだよ。」 「それ褒めてるの?」 「どうだろ 「もうっ!」 アルトの言葉に拗ねたような声を上げると、シェリルはアルトの胸元へと顔を押し付けてきた。 その様子がたまらなく可愛く見えた。 「シェリル?」 「・・・・・」 「シェーリル?」 「・・・・。」 2度ほど呼んでタンクトップから顔をひっぺがす。 面白くなさそうな唇に優しいキスをしてやると、今度はタンクトップの裾をぎゅうっと掴まれた。 「アルトはずるいわ。」 「何がだよ?」 「ホント、ズルいんだから・・・・。」 悔しさが滲んだその言葉は、甘い余韻を残してふわりと消えていった。 シェリルが顔を上げるのを合図にしてもう一度唇を啄んでやる 先ほど香ったバニラがふわりと唇と鼻先へと蘇ってくる。 深追いはせず、気ままにキスを繰り返した。 軽く合わせて下唇を食めば、隙を見て逃げる。 舌先をねじ込んで優しく吸えば、唇が音を立てる。 戯れに何度も繰り返せば、その度攻守が入れ替わった。 仕掛けたのは自分からだったはずなのに、気がつけば溺れていた。 逃げる唇をいつの間に追い詰めて、服従させたくてたまらなくなった。 そんな欲を背徳心が煽る。 「んっ・・・アルッ・」 不意を突かれて荒々しく塞がれた唇から漏れた声と熱にアルトの脳天が微かにしびれた。 驚きに緩んだ僅かな間をついて潜り込み、舌を絡ませるとシェリルの身体が強張るのが分かる。 怯えともとれるそれすらをも糧として、湧き上がった情動は膨らんでいく。 先ほどとは違う温かくなった口内を思うままに蹂躙しながらアルトはゆっくりとシェリルに伸し掛かっていった。 水音を立てて、二人分呼吸と唾液が混じり合う。 息をするのさえもどかしく思えて、夢中でシェリルの唇を追った。 唇に馴染んだ柔らかな感覚。 それが引き金となって、次々に身体が覚えた記憶が蘇ってくる。 熱い身体。 荒い息遣い。 肌の匂い。 細い骨格。 柔く、丸みを帯びた肢体。 潤んだ瞳と火照った頬。 どうしようもなく可愛くてたまらないのに、もっと苛めたくなってしまう感覚。 もっと、もっとという言葉ばかりがドクドクという脈拍と共に頭の中を巡っていく。 求めるように伸びてくる腕が自分だけのものなのだと思わせる時の嬉しさは、言葉にならなかった。 「はッ・・・ぁ・・」 さすがに酸素なしではいられなくなって解放すると、シェリルが大きく息をついた。 戯れが突如として本気へと変わったのだ。 翻弄されないでいられるはずがなかった。 「あ、その・・・悪い。」 謝罪の言葉を口にしながら急いでアルトが立ち上がり、距離を取る。 ソファーの上でぐったりとなったシェリルにほんの少しの罪悪感を覚えながらもアルトの熱は治まらない。 それどころか、次はどうしてやろうかという凶悪な感情が肌の下で蠢いているのだ。 御しきれない感情を隠すようにアルトは熱い息を吐いた。 余裕がなさすぎると我ながら思う。 歯止めをかけなければいけないと思う瞬間はいくつもあったのに、己を突き動かす感情に簡単に飲まれてしまう。 このままではいつかシェリルに嫌われてしまうかもしれない。 そこまで考えが巡った瞬間、思い出したのは強張ったシェリルの身体だった。 そして、一方的に盛る男をみっともないと思う心と不快感。 一瞬にして頭が冷えた。 シェリルの気持ちも考えず、一方的に組み敷こうとしたのは誰だろう。 そんな自分に対し、シェリルが昔の自分と同じ感情を抱かないということもない。 むしろ、そんな自分への拒否感から身体を強張らせていたのかもしれない。 そんな不安に心が震えた。 『男女が結ばれる行為は自分が心から好きな人と結ばれ、望みあった時でなければ意味がない。』 過去にそう軽々と言ってしまえたのは、幼い自分の驕りだった。 道理や理性の箍を簡単にふっ飛ばしてしまえる感情を知らないが故の言葉。 恋をするということ。 愛するということ。 愛されるということ。 そして、その心地よさ。 嬉しさ。 愛しさ。 血肉を得た感情や感覚が持つエネルギーを知った今なら、信じていたことを貫くことの難しさが分かる。 適度に何かで息を抜いたり、意識的に興味を逸らさなければ、男はそれだけでいっぱいいっぱいになって、勝手に爆発してしまう。 表に出して騒がないだけで、結局中身は彼らと何一つ変わらない、色恋に溺れる普通の男なのだ。 「これを抑えるのはたしかに・・・・キツい・・な・・」 「・・・アルト?」 それくらい子供だったんだなと自嘲気味に笑ったアルトにようやく息の整ったらしいシェリルが不思議そうな視線を向ける。 その瞳に非難の色がないことに少し安堵しながら、アルトは床に膝を着きソファーに座るシェリルを見上げた。 「・・・お、俺に、キスされるのって・・・嫌、か?」 「?!」 突然の疑問に今度はシェリルの瞳が揺れる。 少し前にキスの応酬をしていたというのに、今になってそんなことを聞かれたのだから飲み込めなくても当然だろう。 分からないという疑問そのまま瞳に写してアルトを見つめるシェリルの手をアルトは優しく握り締める。 きゅっと握り返された手にその先に進む勇気をもらったのはアルトだった。 「その、・・キスする時お前ガチッて音するくらい見事に固まるだろ?だから・・・」 「~~~~~~~~~!!!」 アルトの指摘にシェリルの顔が朱に染まる。 そのことにさらにうろたえたシェリルがとっさに顔を隠そうとするけれど、両手はアルトに捕まったままだ。 2,3度手を引き抜こうした後で、アルトに離す意志がないことを悟ったシェリルは最後の抵抗とばかリに急いで俯いた。 どうやら身体を固くしていたのは無自覚ではなかったらしい。 その事実にアルトがわずかに緊張する。 そのくせどんな答えが返ってくるかはまったく想像がつかなくて真っ白で、ヤバイ、ヤバイという単語だけが頭の中を回る。 降りてきた沈黙に先に耐え切れなくなったのはシェリルだった。 「・・・・・からよ。」 「わ、悪い聞こえなかった!」 「!!!!」 今にも掻き消えそうなシェリルの声にアルトが慌てる。 慌ててもう一度と言えば、今にも溢れそうなほど涙を貯めたシェリルがアルトを睨み返してきた。 「しょうがないじゃない!頭がおかしくなるんだもの!!へ、へんになるんだもの!! あんたにキスされると勝手にお腹の辺りがきゅうってなって、背中がゾクゾクってっっっ!!」 「・・・・・・・」 「身体がおかしくなるの自分じゃ止められないんだからどうしようもないじゃない!!アルトのばかぁ!!!鈍感!!朴念仁!!変態!!何言わせるのよもうっ!!」 一気にまくし立てたシェリルの中でも何かが弾けたのであろう。 ぼろぼろと大粒の涙がこぼれ落ちてきた。 あっけに取られたのはアルトの方だ。 うまく飲み込めなかった最初の方の単語をなんとか理解しようとしている間に告白が罵詈雑言へと変り、 掴んでいた手はシェリルの瞳からあふれる涙に濡れていく。 立ち上がりかけの端末のようにノロノロとしか頭は動いていなかったけれど、身体は勝手に動いていた。 口をへの字に曲げ、うぅ~と呻るように泣くシェリルの顔を胸に押し付け、抱きしめる。 開放した腕が暴れようとする前にぎゅううっと思いきり力を込めた。 ・・・・とりあえず、嫌がっているっていうわけではない・・んだよな?・・・・間違いじゃないんだよな? シェリルに聞かれでもしたら渾身の一撃をくらっても仕方のないことを心内で思いながらアルトは片手でゆっくりとシェリルの頭を撫でてやる。 今無理やり顔を上げさせたらきっとすごい惨状になっているはずだ。 涙で髪が両頬に張り付いて、頬は真っ赤に違いない。 グシュグシュと音を立てて洟をすすり上げているから、ティッシュも必需品だ。 そんなことを考えていたら、いつの間にか口元がにやけてしまっていた。 久しぶりに聞いたシェリルの裸の言葉。 繕う余裕さえない言葉が、じんわりとアルトの心へと染み入ってくる。 そんな不思議な感覚が気持ちよくて、嬉しくてたまらない。 泣かしてしまった罪悪感を感じるよりも先に喜びが立つのだ。 ポトン、ポトンとコーヒーのドリップが下の容器に溜まっていくように心を満たすものがかさを増す。 渡したそばから丸まっていくティッシュをゴミ箱へと放り込みながら、アルトはもう片方の手で何度も何度も背中をさすった。 「シェリル?」 「・・・っ・何よ。」 返ってきた声は涙のせいで、少しおかしかった。 もう涙は湛えていなかったいなかったけれど、潤んだ空色はまっすぐ自分を見ていた。 取り乱したのが恥ずかしいのか、まだ頬はピンク色だ。 それを可愛いと思った瞬間、それが引き金になった。 急速に込み上げてきた愛しさをどうしたら良いのか分からなくて、胸のあたりの苦しさが増した。 深く息を吸い込むことさえ出来なくなった。 「ア、アル・・・・」 押し黙ったアルトをシェリルが見上げた瞬間、強い力がシェリルの腕を捕まえる。 驚きに目を見張った瞬間、腰のあたりを抱き寄せられ、あっという間に寝室へと連れ込まれた。 押し倒されたのはベットの上。 自身の上に覆いかぶさったアルトは、先ほどまでの強引さが嘘のように優しくシェリルの頬に触れた。 互いに言葉はない。 アルトのキレイな指先がシェリルの頬を滑る。 すでに涙の後はないというのに、それを消すように優しく頬を撫でられた。 「・・・身体がおかしくなるって言ったよな?」 「!!」 「それって、 そういう ことか?」 リビングからの光で微かに見えるアルトの表情にシェリルの身体が震える。 直接的な言葉を用いたわけではないけれど、艶を含んだアルトの声が何を意図しているのかは明白だった。 ここで答えを返したら、アルトに嫌われてしまわないだろうか。 そんな疑問がシェリルを怯えさせる。 それでもその瞳の前で嘘は付けなかった。 コクリとシェリルが頷いた瞬間、生温い舌がシェリルの中へと入り込んでくる。 その感触に身体を硬くする前に、アルトの足がシェリルの足の間へと差し込まれる。 両手は頭の上へと縫い付けられ、それとは別の手が顎へと添えられる。 大きい獣か何かに組み伏せられているようだった。 強引に中へと入ってきた舌は、目的の物を見つけるとねっとりと絡み付いてくる。 戸惑うように逃げる内に何度も舌先が口内をくすぐる。 その度に首のあたりがゾワリと音を立てて毛羽立つようだった。 その感覚が下肢に響くのを止めようと、堪えるけれどそう長くはもたない。 太ももを擦りあわせたいのに、間にある足が邪魔で上手くいかないのだ。 何度も何度もこらえようとしたけれど、その度に呼吸や舌先がその邪魔をする。 繰り返す小波のように広がる感覚に、いつしか身体が保てなくなった。 熱くざらつく舌に擦られるだけで、思考が蕩けていく。 キツく吸われるだけで、全身の産毛が逆立つ。 そんな感覚が気持ちよくて、気づいたら自ら舌を絡めていた。 離れることがもどかしい。 もっともっとキスをして、トロトロに溶かして欲しかった。 唇に降りていたキスは首筋へと位置を変え、ゆっくり下へ降りていく。 首筋へと頬が寄せられ、愛しそうに身体に擦り寄られたかと思うと、キャミソールの肩紐が外される。 先程からのキスによって先端は痛いほどに膨らんでいた。 裸に剥かれた胸が外気へ触れたそのすぐ後で、温かいものに優しく吸われる。 待ち望んだ感覚に一瞬背中が反るけれど、十分でない刺激にもどかしさが募る。 先端をチロチロと舐られる度に身体が疼き、もっと強い刺激が欲しいと足の指が何度もシーツを掻いた。 刺激を与えてもらえるのは片方の乳房だけ。 もう片方は触れても貰えずに、その先端を立ち上がらせている。 触ってほしくてたまらないのに、それが伝わらない。 「もっとシて・・・。もっと、激しくシて・・・・」 思わず零れた言葉。 淫乱なその言葉に発したシェリルの身体がカッと熱くなる。 その言葉に一瞬息をつまらせたあとで、カリリッと胸の先を噛まれた。 下腹の辺りがじりじりと疼く。 鋭い痛みを感じた後に優しい舌滑り、感覚を上から塗り替えていく。 イタズラに弄ばれる感覚が気持ちよくてたまらない。 それだけで羞恥心など飛んでいってしまった。 もっと触れて、もっと乱して欲しい。 そんな勝手な期待ばかりが募り、端から熱へと変わって肌の下に潜り込んでいく。 「・・・・・ぁ、ッ・・・」 大きな手が左胸に触れられただけで、思わず歓喜の声が上がる。 それだけで どう して欲しかったのかを理解したのか、囚われていた腕が解放させられた。 唇は右胸にむしゃぶりついたまま離れない。 左胸には手のひらが押し付けられる。 「あぁ、もうこんなに硬い。」 囁くように言われた一言に、耳元がゾクリとする。 濡れた胸元に当たる息の感覚がむず痒い。 そんなになるまで彼を欲していたのだと、改めていわれると恥ずかしくなる。 自由になった腕を背中に回したら、余計に欲情した。 ゴツゴツと筋肉が隆起した背中。 かつての魅せるため身体ではなく、戦い、空を駆けるために創られた身体だ。 出会った時は女のことも男の子とも分からぬ姿をしていたというのに、今はその腕に抱かれることが何よりも嬉しいと思っていることを、きっとこの朴念仁は知らないのだ。 たくましい腕。 大きな肩。 ゴツゴツとした無骨な骨格。 甘くない肌の匂いは、肩口に顔を埋めると何よりも安心できた。 優しい瞳に見つめられる度に胸は勝手に高なった。 身体は段々と男臭くなっていくのに、その流れるような所作で変わらずキレイで人の目を引く。 時間を重ねるごとに、 抱かれる度に、 この男の全てが好きなのだと自覚させられる。 それがほんの少し悔しい。 好きになっているのは、自分ばかりのように思えるのがもっと悔しい。 そしてそんなことを思われていることに、この男は気づきもしないのだ。 「・・ッとに、・・ズル・・ぃ・・・」 零れた恨み言。 それが耳に届いたのかは分からなかったけれど、今度は左胸を食まれた。 ぷっくりと立ち上がっていただろう先端は鋭敏になっており、触れられただけでも痛いくらいだ。 何度も何度も舌先で転がされ、吸われ、潰される。 右胸には指先が走り、濡れた肌の上をつーっと滑っていく。 優しく揉まれたかと思えばまさぐるように触られ、より身体が反応する場所はないかと丹念に調べられる。 ピクン、ピクンと身体が跳ねる度に、触れていた場所を執拗に攻められた。 「あ・・・っ、あぁ・・・」 息を詰まらせるようだった呼吸に嬌声が混じりだすと、アルトの下肢の間の存在感が増す。 ドクドクと脈打ち、昂ぶっていく。 もう少しだけ、もう少しだけと必死になって唱えながら、組み敷かれた白い肌に再び顔を埋めた。 唇を乳房から離し、腹部へと下る。 そのついでにキャミソールを脱がし、上半身を裸にした。 何処までも柔らかい胸とはまた違った感触に喉が鳴る。 試しにぺろりと舐めてみると、微かに塩の味がした。 良い肌の匂い。 しっとりと吸い付くような感触。 この誘惑に勝てる男など存在するのだろうかと思ってしまうくらいに心地いい。 自分が何かする度にビクビクと震える様子もまた可愛く、愛しかった。 腹部に唇を落として、何ヶ所がに印を施した後で、ゆっくり、焦らすように降りていく。 下肢を覆う短い夜用のホットパンツを取り払いショーツに触れると、そこはすでにぐっしょりと濡れていた。 一番最初に膝と膝の間に自分の太ももを押し込んでおいたから、いつもより感じたのかもしれない。 「シェリル、・・・濡れてる。もう下着もぐちゃぐちゃだ。」 わざとそう言ってやるとまた身体がぴくんっと震える。 シェリルと身体を繋ぐ前は、言葉で誰かを虐めることや性的な行為には淡白な性格をしていると自身でも思っていたのだけれど、 相手が彼女になると、そんなことを思っていたのが信じられなくなる。 虐めて、我慢させて、強請らせて、 自分を欲する姿を見せて欲しくてたまらなくなる。 そして、それに余裕がないほどに自分の感情は満たされていくのだ。 キスをしてとせがむ姿。 全てを晒され恥ずかしさに頬を染める姿。 もっと強い刺激をちょうだいと腰を揺らめかせる姿。 世間一般の連中が永久に知ることのない自分だけが見ることのできる姿だ。 「足立てて。」 そう言葉にするだけで従順に従う。 濡れていると言われたことが恥ずかしいのだろうか、緩慢な動作はアルトを焦らす。 そんな行為が箍を外す一役を買っているとは夢にも思ってないのだろう。 言葉のままにゆるゆると立ち上がった膝に手をかけ、アルトは一番染みが濃い場所へ舌伸ばした。 濡れたショーツがしっかりと秘部にくっつき、そのカタチを露わにするように舌を走らせる。 幾日ぶりかに触れたショーツを濡らす液体は、いつもより少しとろみを増しており、彼女の汗より濃い海の味がした。 「ッ・・・そこ、やぁ・・・」 ぴちゃり、ぴちゃりと音を立てて、何度も上下に扱いてやると、言葉とは裏腹に腰が揺らめく。 微かにベットが揺れたのが分かったから、いやいやと頭を振ったのかもしれない。 だが、それをされたかといってやめてやるつもりなど毛頭なかった。 次々こぼれ落ちてくる甘い蜜を舐めとるようにして舌を走らせる。 一枚の濡れた布を境にして感じる彼女の秘部は熱い。 過去の経験からその奥の熱を思い出すと、再び下肢の間の昂りが大きくなった。 ショーツを引っ張り、布の面積を小さくしていく。 端から性器が露わになるにつれてそこをチロチロとくすぐった。 重なりあった襞に舌を這わせながらその中心へと進む。 ちゅっと音を立てて吸い上げると、一段と大きく彼女が身を捩った。 重なりあった数はもう覚えていないくらいなのに、こうして戯れる度に興奮する。 仕事で離れる前の日にはお互いふらふらになるほど貪るくせに、次の日にはもう飢えている。 そればかりかじっと待つのを耐え切れなくなる日もある。 まるで獣だなと苦く笑ったあとで、アルトは重くなったショーツを剥いだ。 隠すもののなくなった秘部に指を差し入れると、すぐに温かな液体に触れる。 とろみを帯びたそれは、水で薄められた水飴のようだ。 アルトはそれを指に絡め、奥へと埋めていく。 一本目は軽く飲み込まれた。 二本目を差し込むと水の膜を割くような音がする。 中を押し広げるように、内側の肉を掻けば、シーツが引かれる音がした。 「いつからこんなにしてたんだ?」 アルトの冷静な声に応える声はなく、返ってくるのは荒い呼吸音だけだ。 指を中に押し込んだまま、アルトは体を起こしシェリルの顔を覗き込んだ。 額にはうっすらと汗が滲み、再び潤んだ瞳がアルトを見上げる。 瞳の端に優しいキスをした後で今度は口元を塞ぐ。 舌を押し込み軽く吸い上げた後で、指先を動かせば白い身体がしなった。 「最初にキスした時からか?」 アルトの問いかけにシェリルは答えない。 答えを強請るように熱い粘膜をこすり上げれば、再びビクビクと身体が震える。 耐えられなくなったシェリルが首を振るとけれど、アルトは指の動きをやや緩慢にしただけだ。 「頭と身体が、 どう おかしくなるんだ?」 感情をもたないような問い。 同時にもう2、3度中が泡立つようにかき回してやる。 「ぁ、・・っ、ぁんッ・・・・ぁぁぁ!!」 悲鳴にも似た嬌声が上がる。 ガクガクと腰が震え、逃げようと身を捩る。 唇を塞ぎ、舌で攻め立ててやれば限界近くまで彼女を追いむことができるのをアルトは経験から知っていた。 それでも絶頂を向かえることは許さない。 達してしまいそうになるその一歩手前で手を緩めるのだ。 絶えることのない快感と達せないもどかしさに、恥ずかしさも何もかもを取り払ってしまいたくなる。 全てはシェリルの口から具体的な言葉の意味を引き出したいがためのアルトの我侭だったのだが、 追いつめられたシェリルにはそれを考えるだけの余裕はなかった。 「・あぁ・・っ、・シ・たく・・なるのぉっ!!・ッ、ん・・・アルトッ・・と・・はぁっ・・もっとえっ・ち・・なコ、ト・・したぃ・・のぉっ」 アルトが執拗に許さないのは、自身のついた嘘のせいだと思い込んだようだ。 叫ぶような告白はアルトの口元を緩ませ、アルトの箍を外した。 掻き回していた指を抜き、手早くズボンと下着を取り払い、昂った己を入りだらしなく愛液を零す口へと押し当てる。 突き刺すだけでポタポタと染みを作らんばかりになった愛液に先端が浸った瞬間、思わず腰が引けそうになった。 衝動的に解放しそうになるのを堪え、奥へ奥へと己を埋めていく。 飲み込まれた先から熱い内壁がねっとりと絡みつき、さらなる刺激を求めてくる。 長い時間弄ばれたせいか内側はいつもより熱く、蕩けていた。 待ち望んだ感覚に背筋は震え、身体中の血が沸騰する。 下肢から脳天までビリビリする何かが駆け上がっていく。 気を抜いてしまえば、一瞬にして持っていかれてしまうような感覚の中で迫り来る吐精感を堪えるのは、かなりの気力を要した。 思うままに腰を進め、後は気の済むまで貪るだけだというのに、解放を許されない熱塊が疼く。 きゅうきゅうと絞めつけてくる内壁の隙間を見つけて押し開く度に、全てを搾り取られそうになる。 それだけでも大変だというのに、視覚や聴覚がそれを煽るのだ。 薄暗い視界で跳ねるのは、赤い印をいくつも残された白い裸体。 穿つ度に貫かれた背中は反り、豊かな乳房が輪を描く。 赤く熟れた先端は、摘んでもらえるのを待つ果実のようにぷっくりと立ち上がり、アルトの視界で揺れた。 メロディーを紡ぐはずの唇からこぼれるのは、甘い嬌声。 恥じらう声に溶けるのは、解放を望む女の欲。 切なげに名前を呼ばれだけで独占欲が満たされていく。 いつも素直でないくせにこんな時ばかり素直でなおさら可愛くなるのだから困ったものだ、っとアルトは小さく笑った。 「ぁ・・・あっ・・・も・っ・やぁ・・」 ビクビクと震えながらも必死に背中でしがみ付いてくるシェリルはもう長くは持たないだろう。 今までの経験からそう悟ったアルトは動きを大きくする。 太ももを抱き上げ、開き、より接合部が見えやすいように持ち上げると、あふれた愛液が足の間を伝った。 「シェリル・・・・気持ち・・いい?」 「・ッ・・・もち、ぃ・・いぃ」 「・・・・俺の、コトは?」 「・・ぁ、・・・・・。」 イタズラ心で仕掛けた問いかけは不発に終わった。 こんなギリギリでも理性を完全に手放している訳ではないらしい。 畜生、肝心なことは言わないのか!と毒づきながらアルトは恥ずかしさを押し流すように、奥を攻め立てる。 擦り上げる度に生まれる悦楽の波は、引くことを忘れたように幾重にも重なって全身を巡った。 波状に広がる波に溺れそうになりながら、その感覚に縋りつく。 限界まで溺れまいと必死に呼吸を繰り返した。 最奥を絶え間なく探り、より深い場所へと己を届ける。 細い腰が震えるのに合わせて内壁も痙攣しているようだった。 共に溶けてしまえるように、共に達することの出来るように 思うことはそれだけだ。 何度目かの波の余韻を引きずるようにして一層深く内を穿った瞬間、 シェリルの呼吸が止まり今まで以上の強い力が己を包んだ。 いくつもの熱い手が争うように絡みつき、全てを吐き出させようとする。 抗う余裕などどこにもなかった。 限界なのだと分かっていた。 一瞬の緊張の後、熱塊が弾ける。 吐き出された白濁は痙攣の度にその最奥へと注がれていく。 ようやく許された解放に息を付けば、腹がビクビクと震えた。 顫動する度に、新たな欲が吐き出される。 その全てが腹へと注ぎこまれるのを待ってから、アルトはベットへと転がった。 先にベットへと沈んだシェリルが気だるげに身体を起こし、アルトの側へと寄り添う。 柔らかな微笑が自分を見つめていることに、嬉しさを感じながらその頭を抱いてやると、 満足そうな吐息が聞こえたような気がした。 長時間使役された身体は熱を帯び、未だに引かない汗がその表面を濡らしている。 独特の倦怠感と眠気で朦朧とする中で、意地悪な言葉を囁く声の主を抱いたままアルトは意識を手放した。 目覚めた後でもう一度聞いてみようと思いながら、今はただ朧気な記憶の「あいしてる」をそっとリフレインさせる。 アイスクリーム分のカロリー消費代としてねだるのもいいかもしれない。 そう思って笑った。 END 803 名前:fusianasan[sage] 投稿日:2012/01/21(土) 06 47 00.13 長レスすみませんでした。 結局毛嫌いしてた男どもと自分の本質って一緒だったんじゃないかな~と気づく野獣あるとさんが書きたかったのです。
https://w.atwiki.jp/fairy-waterfall/pages/24.html
1スレ885 幼馴染パロ2 旅立ち 885 名前:fusianasan 投稿日:2009/01/05(月) 15 56 26 どうせエロくなかったから、他のシーンにした。 いよいよシェリルが早乙女家を巣立つ日。 稽古の休み時間を見計らってシェリルは、アルトを探した。 離れの庭の木の上でアルトは空を見上げていた。 木の根元まで来て、シェリルも同じ空を見上げる。 「歌・・・、頑張れよな。芸の道は・・・険しいぞ」 空を見上げたまま言うのが、アルトらしい。 演技をしないで言うにはそうするのが精いっぱいなのだ。 「ふふっ。アルトのくせに生意気ね。 まあ、芸事の大先輩だもの、有り難くお言葉頂戴しておくわ」 * 芸としての格は低いとみなしていたものの、シェリルに歌の才能を見出し、 嵐蔵は出来得る限りの教育を施して才能を伸ばしてくれたいた。 早乙女家の人々は温かく育ててくれてたが、それでも日蔭者であったシェリル。 早乙女家にずっといて、温かい人の囲まれて、甘えていたいとも思う。 しかし、今は亡き美与から、大空を飛ぶ心を学んでしまったのだ。 それを無にすることなど、出来るはずがない。 歌って初めて空を飛ぶ感覚が分かったのだ。 歌って初めてアルトの言う「御見物」との一体感が分かったのだ。 多くの人に埋もれても、私はここにいるんだと、魂が歌を叫ぶ。 シェリルは自分の中の虚栄心にももちろん気づいていた。 自分を嘲笑っていた者たちを認めさせたい。 アルトにふさわしくないなんて言わせない。 翼を手に入れて、きっと自由に飛べるようになって、あなたのもとへ帰ってくる。