約 3,621,464 件
https://w.atwiki.jp/minnasaba/pages/318.html
被虐の誉れ:B スパルタクス(APOCRYPHA) サーヴァントとしてのスパルタクスの肉体を魔術的な手法で治療する場合、 それに要する魔力の消費量は通常の1/4で済む。 また、魔術の行使がなくとも一定時間経過するごとに傷は自動的に治癒されていく。
https://w.atwiki.jp/minnasaba/pages/1059.html
―――その年の冬木市は、いつもより冬の訪れが早かった。 「セイバー!こっちこっち!」 森の中を雪の妖精の様な少女が駆けて行く。 「ああわかったわかった。だがマスターよ、そんなにはしゃいで転ぶでないぞ」 その後に続くのは立派な口髭を蓄えた精悍な騎士。 「むー、失礼だわ。レディに対して子供扱いだなんて」 少女がむくれる。 「むう、すまぬな、だが御身にもしもの事があればどうするのだ?」 謝罪しながらも騎士のお小言は続く。 騎士は生前、三十路になるまで身体を動かせなかった男だった。 故に、身体の問題に関しては人一倍に敏感である。 その相手が自分の主ともなれば尚更だ。 「聖杯の器であるならば、もう少し自重というものを…」 「もう、セイバーってばお堅いんだから!ちょっとくらいなら大丈夫って言ってるじゃない!」 説教はもううんざりだといわんばかりに、少女が怒り出す。 「いやしかし…」 「それに、もし敵が来ても、貴方が護ってくれるのでしょう?セイバー」 不敵な笑みを浮かべるマスターに、従者たる騎士は居住まいを正し、堂々たる騎士の礼を取る。 「無論の事。この身体の動く限り、この命の続く限り、御身を護る盾となり、御身の道を切り拓く剣となりましょう。このイリヤー・ムーロミェツの名にかけて。我が主、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンよ」 セイバー、イリヤー・ムーロミェツ。 ロシア叙事詩ブィリーナに登場する英雄の中で特に人気が高く、現代においても偉人として語り継がれる程の豪傑である。 その最期は祖国を護るため必死に戦ったものの、味方の慢心が元で天に裁かれ、石像になるというものだった。 味方の慢心、だが、あの時自分にも慢心、油断は無かったか。 全く無かったのならば、イヴァンの兄弟もあんな言葉を吐かなかったに違いない。 ならば、もう二度と油断はすまい。 この小さき主を守り抜き、聖杯へと至る。 そして石像と化した勇士達をも救うのだ。 セイバーの胸の裡を知ってか知らずか、聖杯の少女は無邪気に声をかける。 「ありがとう、わたしのセイバー。じゃあ、肩車をしてちょうだい!これなら、転ばないでしょう?」 悪戯っぽく笑う主に従者は微笑み、その肩に乗せるべく膝を折った。 (全く、無邪気なものだな…子供というものは) その後ひとしきり共に遊び、同じ名を持つ主従は居城へと戻って行った。 ―――薄暗い地下室にも、外の寒気は入ってくる。しかし、その中に渦巻いている熱気は、そんなものなど撥ね返してしまうような異様なものだった。 「―――であるからして、今のお前は間違っている!手段と目的が逆転してしまっている!!そもそもお前は苦しむ弱者を救いたかったのだろう?ならば何故その弱者を喰らって生き永らえている!本末転倒ではないか!!」 拳を振り上げ、男が演説している。 「…そ、そうじゃ!儂は、儂は、何という事をしてきたのだ!!儂は…死ぬべきなのか?」 演説の聴衆は老人一人。 男の熱気に引き摺られ、その演説に引き込まれてしまっている。 「それも違う!今ここでお前が死ねば全てが無駄だ!!だから聖杯を手にするのだ!!そしてこの世に救済を!!!」 男の演説に更に熱がこもる。 「そうじゃ!散っていった者達のためにも、聖杯を!!」 「そうだ!!そして勝利と栄光を、この手に!!!」 「この手に!!!」 熱気を作り出している男は、古めかしい軍服に身を包んでいる。 その熱気に引き込まれ、熱狂しているのは、不気味な外見の老人。 そしてその老人に賛同するかのように蠢く無数の蟲達。 前者が従者、後者が主人である。 しかし、明らかに従者が主人を扇動している。 もっと端的に言おう、それは洗脳に近いと。 今や完全に同調した両者は、堅い握手を交わす。 「感謝するぞ、ランサー、アドルフ・ヒトラーよ!儂に道を示してくれて!!」 「こちらこそ感謝するぞ、マスター、マキリ・ゾウゲンよ!私の正義を、ドイツの正義を、再び世に知らしめる機会を与えてくれて!!」 アドルフ・ヒトラー、ナチの総統、二十世紀最悪の独裁者、第二次世界大戦の引き金を引いた男。 だが同時に彼は至極真っ当な手段で権力の頂点へと登りつめた男でもあるのだ。 演説によって民衆を導き、その民意によって選ばれた総統。 その時民衆は確かに彼を選んだのだ。 だが、彼は戦に敗れた。 そして、民衆は彼を散々に罵り、自分達は悪くない、扇動されていただけだ、悪いのはあいつだけだと叫んだ。 彼は怒った、その道を選んだのは誰だ、自分は確かにお前達を導こうとしたのに、この仕打ちはなんだ。 私の道が全て誤りである筈が無い、今度こそ、その事を思い知らせてやる。 天と地の狭間にある、私の哲学を世界に思い出させてやる。 熱狂を続ける槍の主従。だがその目が見据える先は果たして同じものなのだろうか。 ―――暖房が効いた館の応接間。だが窓は白く曇っていた。外との温度差は相当なもののようだ。 「あら、私じゃない!そうなの、また切手になったのねえ、いやん、恥ずかしいわぁ」 旧ソ連軍服の白人女性はそう言いつつも、キャッキャと喜んでいる。 「…なんでこんなのが来ちゃったのかしら…」 館の、そして女性の主たる少女、遠坂凛はそう言って肩を落とした。 「なーにしょげてんのよ、リン。私これでも祖国を護った英雄よ?ハズレみたいに言われちゃ心外ねえ」 軍服の女性は主の肩を叩きつつ、言葉をかける。 「そうは言うけどね、神秘は古いほど蓄積されるの!近代の貴女じゃ中世程度の英霊でも敵いっこないの!わかってるの?アーチャー!」 声を荒げる主人に対し、アーチャーと呼ばれた従者は肩をすくめて頷いた。 「はいはい、わかってますわかってます。だから、言ったでしょう?そのためにマスターを狙うって」 「ダメよ、そんなアサシンみたいな戦法。遠坂の理念に反するわ」 頑なに自分の提案を拒む主に、アーチャーは内心嘆息した。 アーチャー、その真名はリュドミラ・パヴリチェンコ。 第二次世界大戦において傑出した成績を残した史上最高の女性狙撃手。 退却する友軍を救うべく狙撃を敢行し、任務を達成した彼女にとって、マスターを狙うのは至極当然の発想だった。 マスターという指揮官さえ潰せば、兵士たるサーヴァントは消滅する。 兵士同士で正面からぶつかる必要は無い。 そう説明しても優雅たれなどといって聞きやしない。 どうしたものかしらね、と考えていた彼女は、不意に周囲の違和感に気付いた。 誰か居る…いや、見ている?どこから?……窓…! 「リン、伏せて!」 「えっ!?」 咄嗟にマスターを庇い、床に伏せさせる。 ほぼ同時にガラスが割れ、床に小さな穴が空いた。 「…狙撃ね。やるじゃない、寸前までこの私にすら気付かせないなんて」 主は何が起こったのかまだ分からない様だ。 周囲を探ると、気配は既に消えていた。 「これが戦争よ、『マスター』。さ、立って。私のスキルで、貴女にも気配察知を習得してもらうわ。私が不在でも今の奴を感知出来る様に」 そう言って主を立たせる彼女は先程までとは別人であった。 即ち兵士、数多の戦場を生き抜いた「古強者」の顔である。 ―――早朝の道場、しんとした冷気が室内に満ちている。…いや、満ちていた。 「よし、朝の体操終わり!シロウよ、牛乳はないか?」 ランニング姿の白人男性は、爽やかに傍らの少年に問いかけた。 問いかけられた少年はそれどころではなかった。 「ゼェ…ハァ…あ、あ…ら、ライダー、ま…まだ飲むのか…?」 大の字になってぶっ倒れ、荒い呼吸を繰り返している。 サーヴァントの体操に付き合った結果であった。 「当たり前だろう、体操の後は牛乳だ!というか、あの程度でへばったのか?いかんなぁ、もっと鍛えねば」 じゃあ冷蔵庫見てくるか、と呑気に母屋へ向かう男性を見送りながら衛宮士郎はふと思い出した。 「朝起きて出撃して朝飯食って牛乳飲んで…って、満更ネタでもなかったんだな…」 白人男性の正体、それはライダーのサーヴァント。 真名は、ハンス・ウルリッヒ・ルーデル。 スツーカの悪魔、戦車撃破王、空の魔王。 様々な二つ名を奉られ、大戦中にスターリンに名指しで「ソ連人民最大の敵」とまで言われたという、ドイツ空軍屈指のエースパイロット。 だが実際に相対してみるとそんな二つ名からは程遠い、「普通の人」、というのが、初対面の士郎の感想だった。 『ほんとにライダーはそんな渾名で呼ばれてたのか…?』 そんな疑問を口にしてしまった程だ。 『ん。じゃあ、一度乗ってみるか?』 『へ?』 そして顕現した爆撃機の後部座席に乗せられ、そのまま夜空へと舞い上がった。 『ひゃあああああああああああ!?!?!?』 『ははははは!いいぞ、最盛期というのはいいものだな!ようし、急降下だ!!』 『え、ちょ、ま』 『いくぞ!ジェリコのラッパの準備はいいか!』 …ほんの数分程度であったが、士郎は彼が本物の英霊である事を理解した。 ライダーたるもの、騎乗物に乗ってこそその真価が発揮される。 愛機に乗ったライダーは正に水を得た魚であった。 …正直水を得すぎていた。 「…あんなムチャクチャ2500回以上も繰り返して、30回以上も撃墜されて、それでも生きてたんだから、そりゃ英霊くらいにはなるよなあ…」 「そうかな?私は別に特別な事は何もしていなかったと思うのだが…」 士郎のぼやきは従者に聞こえていたらしい。 いつの間にか軍服に着替えたライダーが、道場の入り口に立っている。 その手には、何本もの牛乳パックがあった。 「まあ牛乳でも飲んで一息つこう。その後で朝食、そして出撃だ!私のマスターなんだ、ガーデルマンまでとはいわんがせめてニールマンくらいにはなってもらわんとな!」 …取り敢えずもう少し三半規管を鍛えよう。 それから、牛乳の買い出しに行こう、確か今日が特売日だった筈だ。 どこまでもマイペースな従者にちょっぴり今後が心配な士郎であった。 ―――木枯らしが吹く森の中。曇り空の下を一組の男女が疾走している。 二人組は森の奥、目立たない場所にこれまた目立たないよう設営されたテントへと素早く入った。 そのまま、作戦の結果確認を行う。 「…では、狙撃には失敗したということですか?アサシン」 女性の方は男物のスーツに身を包んだ男装の麗人。 「ああ、俺の気配遮断が見破られた。恐らく気配察知持ちがあちらのサーヴァントなのだろう」 男性の方は純白のギリースーツに身を包んだ小柄な男性。 「…厄介ですね、攻撃時にも気配遮断が解けないのが貴方の最大の武器だというのに」 責めている様にも聞こえるがその実は単なる事実確認でしかない。 出来た事、分かった事を淡々と確認していく。 それに合わせ、男性も報告を行う。 「だが、収穫もあった。俺に気を取られて奴さん方、お前さんには気が付いていなかった様だしな」 そう、この二人組こそ先程遠坂邸を襲撃した犯人であったのだ。 「盗聴器…でしたか?確かに指示通りの場所に取り付けては来ましたが…」 「よし、それでいい。では受信の具合を確かめよう」 「わ、私はあまりこういう物の使い方が…」 女性の名はバゼット・フラガ・マクレミッツ。 魔術協会より派遣された凄腕の封印指定執行者。 だが、魔術師の例に漏れず彼女もまた現代文明の利器を苦手としていた。 …要するに、機械オンチなのである。 「使い魔だったか?それでは相手に感知されてしまうのだろう?ならば魔力など発しないこちらを使うしかあるまい」 困惑するバゼットに淡々と正論を伝え、説明書を手渡す男性はアサシンのサーヴァント。 真名を、シモ・ヘイヘ。 冬戦争において、赤軍兵士から「白い死神」、「災いなす者」と怖れられた、コッラーの奇跡の立役者。 祖国フィンランドにおいて今なお「偉人」と讃えられる伝説的狙撃手。 「使えるものがあるならば、それを利用すべきだ。慣れていないのならば、慣れればいいだけだ。情報は、得られるものは得た方がいい」 鹵獲した銃を愛用し、狙撃兵として史上最多の確認戦果を残した者の言葉には、確かな重みがあった。 「それに、慣れていないのは俺も同じだ。聖杯からの知識があっても、生前こんな物は使った事が無いんだからな」 私にはその知識も無いのですが…とは言えないバゼットであった。 だが、死神はさらに追い討ちをかける。 「確認が済んだら、携帯電話の使い方の復習だ。俺のやつと警察、消防、それに魔術協会と聖堂教会の番号登録は済んだか?」 「本当に使うのですか!?こんな物が無くとも貴方とは心話で話せばよいでしょう!」 流石に反論するバゼット。 だが、アサシンは首を振る。 「その心話で警察が呼べたらこれもいらん。神秘の秘匿が前提条件ならば、これで第三者を介入させれば、相手は撤退せざるを得なくなる。追い詰められてもその隙にこちらも撤退すればいい」 「……」 理屈ではその通りなのだが規格外の神秘たるサーヴァントにそんなことを言われるとは。 「納得したか?ではまず盗聴器の方からだ」 英霊とはこんなものだったのだろうか… 少し夢の破れたバゼットであった。 ―――その日の朝はまさしく快晴そのものだった。だが海から吹く寒風は少し強く、肌寒い。 「おはようマスター!いい天気だな!だから左耳を削いでもいいかな?どうかな?」 「……」 「皇帝たる余に返事をせぬとは何たる不敬!では両耳にしよう!」 意気揚々と拷問の支度に取り掛かる自らのサーヴァントに対し、マスターたる魔術師は何も言わなかった。 いや、言えなかった。 手足の半数と指の大半はこの数日の内に少しずつ潰され、もはや使い物にならない。 なにより舌がとうの昔に抜かれてしまっている。呻き声を上げるのが精々だった。 「しかしこの現代というのは素晴らしいな!特に電気だったか?これはすごい!余の時代にはなかったものだ!」 現代の技術に子供の様に目を輝かせる男の真名はイヴァン四世。 恐怖の雷帝、史上初のツァーリ、ロシア史上最大の暴君。 バーサーカーのクラスを得て召喚された彼だがその狂気は評価規格外の域に達している。 一見理性を残しているように見えるがその実は「苛立ちの発散のために加虐したい」という思考で固定されている。 故に、現代の技術への関心も「どのような拷問に使えそうか」といった興味しかない。 「ある程度こちらで身体を操作できる所が非常に面白い!拷問の幅が広がるな!余はなんだかワクワクしてきたぞ!」 「…ウウッ…ウッ…」 「そうかそうか、じゃあ早速試してみるか!えーと、こいつをここに繋いで…」 そうしてマスターの心身を破壊しにかかるバーサーカー。 自らの消滅など気にもせず、己が主を破滅させる従者。 魔術師は最後の手段とばかりに令呪に念じた。 (令呪を以て命ずる!バーサーカー、『愛しの牝牛』を装備せよ!頼む!) 意思疎通の成立しないバーサーカーへの、しかも心話による令呪。 果たして成功するのか、魔術師は必死に祈った。 すると祈りが通じたのか、バーサーカーの動きが止まった。 妻の肖像画が填め込まれたロケットを見つめ、動かなくなる。 (よ、よし!重ねて令呪を以て命ずる!バーサーカーよ、自らのマスターを拷問することを禁ずる!!拷問するなら他の奴にしろ!!!) するとバーサーカーは一瞬ニヤリと笑うと霊体化して部屋を出て行った。 残されたマスターは安心すると共に猛烈な後悔に襲われた。 (ああ、何故最初にこうしておかなかった!何故あのロケットを取り上げてしまった!!) 召喚直後、バーサーカーはロケットを握りしめたまま、その場を動こうとしなかった。 業を煮やしたマスターはそのロケットを手から叩き落としたのだ。 途端にバーサーカーが豹変した。 『貴様が余のマスターだな!はじめまして、死ね!』 そうして、あっという間に拘束され、拷問が始まった。 拷問による気絶と覚醒の繰り返しで、令呪の存在すら忘れていた。 気が付けば、再起不能の身体にまでされてしまった。 (畜生、畜生…。だが、とにもかくにも助かった…) だが、魔術師は知らない。 バーサーカーの規格外の狂気はもはや理性に近い。 それは即ち、理性そのものでもあるということだ。 理性ある獣を野に解き放ったという事実を、マスターはまだ知らない。 ―――気の早い北風小僧が駆け抜けるマウント深山商店街。吹く風は冷たく、通行人は皆寒そうに歩いている。 「フェーッフェッフェッ!久々の娑婆はいいもんだねえ!」 「お、おいキャスター!もう少しスピードを落とせよ!」 「なに言ってんだい!チンタラ飛んでちゃ情報が集めらんないだろうが!」 …どうも駆け抜けているのは彼だけではなかったようだ。 臼だ。 臼が、老婆と少年を乗せて地面すれすれを飛んでいる。 しかし、通りを歩く人々は誰一人としてそれに気付かない。 臼の後ろに追随する箒が、その痕跡を抹消し、老婆自身もまた、隠匿の魔術を自分達にかけていたからだ。 無論、通行人にぶつかるなどという愚は犯さない。 「そもそも僕がついてくる必要あったのか?なあ…」 「全くピイピイ五月蝿いねえ!男ならもっとシャキッとおし!」 キャスターと呼ばれた老婆は少年を叱り飛ばし、同時に臼の速度を上げる。 少年は観念したかのように下を向き、手に持つ本を握りしめた。 キャスターのサーヴァント、老婆の真名はバーバ・ヤガー。 スラヴ民話に登場する妖婆であり、その前身は大地母神であったとも言われる魔女。 その主人たる少年の名は、間桐慎二。 御三家の一角の末裔だが、彼に魔術回路は無い。 そんな彼がマスターになれたのは、その手にある書物のおかげである。 偽臣の書、マスターとしての権利を他者に委譲する赤い本。 桜に令呪が浮かび、サーヴァントの召喚に成功したまではよかったのだが、長年の魔力搾取の影響か彼女は倒れてしまった。 ランサーの洗脳で再び正義に目覚めた臓硯は、こんな状態の、何より可愛い孫を戦いになど向かわせられない、自分が二人分のマスターになると言い出したのだ。 焦ったのはランサーとキャスターである。 きれいになったのはいいが桜からの魔力搾取、蟲の調達のための人喰いもやめてしまった今の臓硯では、負担が大き過ぎる。 最悪、マスターごと三人とも消滅してしまう。 慌てた二人は大急ぎで術を開発して慎二を説得し、彼に妹の代わりに戦場に立つと言わせることに成功した。 「全く、僕は魔術師じゃないってのに、こんな戦争に引っ張り出してさ…」 「そうかい、そいつはすまなかったねえ。でもお前さんもあの娘…サクラを救いたかったんだろう?」 「!?そ、そんな訳…」 吹き出す少年を老婆はニヤニヤと見つめる。 「素直じゃないのは頂けないが、兄貴としては上出来さ。安心おし、アタシはそのために召喚に応じたんだからね」 バーバ・ヤガーは伝承によっては他者に助言や恩恵を与え、主人公達を善導する賢者としての側面も持つ。 それらの恩恵は通常難題を達成した者にしか与えられないが、長年の蟲による魔力搾取に耐えた桜は、資格有とみなされたのだろう。 慎二はまだ信じられないといった面持で自分を見つめている。 「ま、信じられないんならそれでもいいさ、アタシはアタシのしたいようにするだけさ」 召喚された時に、彼女はマスターである桜の心に触れた。 搾取の苦しみ、兄の横暴、それらへの複雑な負の感情。 一方で、部活の先輩への想い、憧れ、恋心。 この世の闇を見てきた桜にとって、彼はまさに白馬の王子様のような存在であった。 「…王子様と結ばれないお姫様なんかいるもんかい。サクラ、アンタを幸せにしてあげるからね」 そう呟くキャスターは、魔女は魔女でもまさしくお伽噺の善き魔女そのものであった。 ―――その年の冬木市は、いつもより冬の訪れが早かった。 そう、冬木市「だけ」が、いつもより冬の訪れが早かったのだ。 街全体を、大規模な寒気団が包み込んでいた。 その季節外れの冷気が上空で収束していく。 冷気は下がり、暖気が上空へと昇るはずなのに。 それは通常有り得ない出来事。 まるで意思を持つかの様に冷気が凝り固まり、形を成していく。 収束が終わるとそこには人の形をした「何か」が佇んでいた。 「……………」 十年前の生き残り、アサシンのサーヴァント、冬将軍。 大自然の権化たる「それ」に性別などは本来、無い。 だが冬木の聖杯には「それ」とよく似た二つ名の者達が溶け込んでいた。 その中でも「それ」が呼び出された時期に溶け込んだ者。 冬将軍はその者に影響を受け、その者の姿を写し取っていた。 …同時に、その者の想いも、写し取っていた。 「………切嗣、イリヤ………」 「それ」はアイリスフィール・フォン・アインツベルンの姿をしていた。
https://w.atwiki.jp/wiki48_seiraijun/pages/23.html
【真名】ソロモン 【出展】旧約聖書 【マスター】 【性別】男 【身長】 【体重】 【ステータス】筋力D 耐久C 敏捷C 魔力A++ 幸運A 宝具EX 【能力】 陣地作成:A+ 「神殿」を上回る「大神殿」を作成可能。 道具作成:A+ 半宝具的なものまで作成可能。 【保有S】 即時召還:A 72柱の精霊を1体、瞬時に召還できる。 魔術:EX こと魔術行使においてソロモンに適う英霊はいない。 ゆえに「魔導王」。 メディアの高速神言や、アルトリアの魔力放出なども所持。 カリスマ:A+ 非常に強力な統率力を誇る。 神の名のもとに発せられる彼の宣託は人々に歓喜と熱狂を持って支持される。 対魔力:A++ 通常の魔力行使によって彼に害なすことは不可能である。 【宝具】 「開け放たれし万魔殿(ゲーティア)」 ランク:E-EX 種別:召還宝具 レンジ:1-50 最大補足:72体 英雄王の宝具に対抗できる数少ない宝具。 72柱の精霊全てを即時召還することが可能。 ソロモンは召還した精霊から様々な支援を受けることができる。 72柱の精霊は、それぞれ単体でサーヴァント級の霊格を備えている。 特に最上級の5体は神霊と同格でありかなり高位のサーヴァントでないと太刀打ち出来ないほどである。 その5体の詳細は以下の通り。 アスモデウス 剣王。 サーヴァントのクラスとしては「セイバー」に該当する。 アスタロト 飛竜に乗った女王。 クラス的には「キャスター」に該当する。 ベリアル 地獄の火車の乗り手。 クラス的には「ライダー」に該当する。 バエル 三面八臂の槍の王。 クラス的には「ランサー」に該当する。 アモン 剛力無双の破壊者。 クラス的には「バーサーカー」に該当する。 【詳細】 古代イスラエル王国最盛期を築き、ソロモン大神殿を建設した偉大なる王。 神により全知を与えられた「魔導王」にして魔法使い。 72柱の異教の神々や精霊たちを使役し、「レメゲトン」や「グリモアール」などの「ソロモンの鍵」とも呼ばれる魔導書「レメゲトン」を残した。 彼がイスラエル王に即位する時、偉大なる主に「望むものを与えよう」と言われた。 その時彼が望んだものは「知恵」と「知識」。 その答えは神を喜ばせ、「全知」を与えられ「富」と「名誉」を神に約束された。 全知を与えられたソロモンは神のためによく働いた。 領土を広げ、大神殿を建設した。 だが、晩年の彼は神への献身を怠り、多くの異教の女性を妻とし、彼女らと共に異教の 神への祈りを捧げた。 そのため彼は神に見放され、彼の死後、王国は崩壊を迎える。 【特記事項】 キャスターなんだけど、実は魔術師じゃありません。 「魔法使い」です。 スペック的にも他のキャスターとは一線を画してます。 つまり、反則級。 まぁ、物語中ではあくまで魔術師としてしか振舞わないので何とか勝てるんですが。 本気になったらバーサーカー宝具使用時の日本武尊ですら勝てるかどうか。 かの英雄王にすら迫る、最高のサーヴァントの1人ですよ。 【CLASS】キャスター 【マスター】 【真名】ソロモン 【性別】男 【身長】 【 体重】 【ステータス】筋力D 耐久C 敏捷C 魔力EX 幸運A 宝具EX 【能力】陣地作成A+ 道具作成A+ 対魔力A++ 単独行動A+ 【保有S】即時召還A: 72柱の精霊を1体、瞬時に召還できる。 魔術EX: こと魔術行使においてソロモンに適う英霊はいない。 ゆえに魔術王。 メディアの高速神言や、アルトリアの魔力放出なども所持。 カリスマA: 王様はやっぱカリスマないとね。 【宝具】「開け放たれし万魔殿」(キー・オブ・ソロモン) ランク:EX 種別:召還宝具 レンジ:1-50 最大補足:72体 72柱の精霊を最大72体全部まで即時召還することが可能。 なおソロモンは召還した精霊から様々な支援を受けることができる。 英雄王の宝具に対抗しうる数少ない宝具。 【史上最強】ぼくのかんがえたサーヴァント【天下無敵】 レス番号329
https://w.atwiki.jp/minasava/pages/979.html
「―――そう、穂群原学園だ。被害は甚大……そうだ。不発弾の爆発でそうなったということにしよう。では、そのプランに沿って頼む」 事後処理を行う教会のスタッフに電話で連絡をした後、神父である男は受話器を置いた。 そして、教会の入口に目を向ける。そこにはスーツ姿の女性が立っていた。 「良く来てくれた。バゼット・フラガ・マクレミッツ」 「お気になさらずに、言峰綺礼」 聖堂教会の人間と、魔術協会の人間、決して歩み寄らない両組織の人間が邂逅した。 「―――前回の聖杯戦争は陰惨を極めた。殺人鬼がマスターとなり、本来の監督役であった私の父は死亡、そしてあの大火災、 秘密裏に行われるはずの戦争が世間にこうまで被害を与え、神秘の隠匿という大前提を崩壊させる寸前まで行われたことは、実に憂うべきことだ」 言峰は首を振り、悲観した風に締めくくった。 「君にはこの聖杯戦争で前回のように狼藉を働くマスターとサーヴァントを狩る事に協力してもらいたい」 「ええ、私もそのつもりで来ました」 言峰の言葉に、バゼットは快く応じた。 ―――バゼットは気づかない。言峰綺礼が彼女の令呪が刻まれている左手を見ていることを。 「私はアサシンを召喚しました。彼ならマスターの情報を集める事にも、危険な存在の排除にもうってつけでしょう」 「アサシンか、それは好都合なサーヴァントを召喚したものだ」 満足げに頷く言峰は―――決定的な一言を口にした。 「ああ、ところで『それ』のことだが」 「?」 バゼットの視線が、言峰が指差した先、祭壇の上の十字架に向けられる。 何の変哲も無いホーリーシンボルに、バゼットは首をかしげた。 その隙を、言峰綺礼が見逃すはずも無い。 一瞬で黒鍵の刃を顕現させると、女の左腕を穿ちにかかる。殺気に気がついた女が振り向いたときにはもう遅い。 バゼットの表情、驚愕と哀哭がない交ぜになったそれを見て、言峰綺礼は嗤った。 「ああ、そうだ。その表情が見たかった」 言峰の奇襲は完璧に近い。もし、この場にバゼットの味方である第三者がいたとしても、普通の人間では対応すらできないだろう。 ―――あくまで、普通の人間ならば。 ドアを金槌で叩くような音がした瞬間、鉛弾は直線の弾道を描き飛んでいく。 教会の扉を撃ち抜いた一発の火線は、即座に刃物を持つ腕に命中した。 防弾機能と防護の術式が編まれた僧衣は大した威力でも無い銃弾を通さなかったが、衝撃まで殺しきることはできず、黒鍵は甲高い音を立てて床に転がり、言峰はバゼットに体勢を立て直させる暇を与えた。 バゼットは、奇襲を仕掛けてきた本人を見やりながら、距離を取る。 「念のため、鍵穴から中を覗いておいて正解だったな」 銃撃した当人は素早く扉を開けて入り、ポツリと呟いて銃口を神父に向けた。 「―――ク。暗殺者の英霊相手に騙し討ちは分が悪かったか」 獣のような笑みを浮かべる神父にアサシンは無言で銃を撃つ。銃創が神父の額に穿たれ、仰臥して斃れた。 「……」 無言で立つバゼットの額には冷や汗が浮かんでいた。 それはアサシンを奪われそうになる程、自分が弱いことに気がついたからだ。 言峰がかつてと比べて更に研鑽したのか、そうでないのかは、バゼットに知るよしもない。しかし、これだけは言える。 言峰にはバゼットと戦う意思があり、自分には言峰と戦う意思が無かった。 だから、簡単に騙され、殺されかけた。アサシンがいなければ、自分は早々に脱落していた。 その事実に、屈辱と恐怖が涌き上がってくる。 「バゼット、退くぞ」 アサシンの言葉にようやくバゼットは我に返った。 正当防衛だったとはいえ、自分達は監督役を殺害したのだ。早々に立ち退かなければ厄介なことになる。 「まだ調べたいことはあるが、諦めろ。下手をすれば敵が増えかねない」 「……ええ、確かに」 アサシンの先導でバゼットも教会を出る。一度だけ振り向いて言峰の遺体を見やった。そしてすぐに踵を返すと、教会を出ていった。 誰もいなくなった教会で、しかし動くモノはあった。 言峰綺礼の遺体、その額の穴から湧き出るように吹き出す物体―――黒い汚泥は、ゆっくりと言峰綺礼の傷口を埋めていった。やがて完全に傷口が塞がった時、今まで死体だった『何か』が立ち上がった。 「突然の危機を想定し、常に警戒を怠らず、引き際も素晴らしい。良いサーヴァントを引き当てたな。バゼット・フラガ・マクレミッツ」 笑う。それは嘲笑か、それとも祝福の笑みか。立ち上がった死人は、澱んだ眼で背後の空間を見た。 「それだけに手に入れられなかったことは惜しい。が、『お前』から見ればどうだ。手こずる相手か」 返ってきた言葉を聞き、言峰は笑いを深めた。 それはおぞましい、全てを冒涜するような笑みだった。 衛宮邸の茶の間。普段は明るい声が響く茶の間で、しかし現在は緊張が支配していた。 黒衣のキャスターは掌を由紀香の頭にかざし、精神を集中させて何かを詠唱している。 それが終わり、琥珀色の双眸を開いたキャスターに、マスターである士郎が期待を込めて口を開いた。 「キャスター、何とかできそうか?」 「……残念だけど、無理ね。これをやったのは現代の魔術師じゃ無い。これは宝具によるものよ」 その言葉に沈黙が陰鬱な物に変わる。キャスターの眼前には犬の耳が生えた由紀香の頭があった。 学校での戦闘後、一行はこれからをどうするべきかで話をした。 ともかくも遠坂凛が説明をする事になり、その場所として衛宮士郎が自分の家である衛宮邸を提供した顛末だ。 遠坂凛の口から出てくる説明に、それを聞く者達は驚く以前に呆然としていた。 魔術。 サーヴァント。 聖杯戦争。 いずれもライトノベルやアニメのような話であり、そしてそれが現実である事は先程の光景で証明されている。おまけに、自分達はそれに無理矢理な形で関わらせられようとしていることを聞かされた。 「大体は分かったが……とにかくもこれをどうにかして貰えないだろうか」 鐘は自分の背中から生えている翼を手に取って引っ張った。 由紀香の耳は帽子を被れば何とかなるだろうが、鐘の翼や楓の手足は誤魔化しようが無い。これでは日常生活を送る事すら出来ないだろう。 遠坂凛と衛宮士郎は、キャスターに解呪を依頼した。 ―――だが、芳しくは無かった。 「分かっていることは、これをしているのは魔術では無く宝具。それも相当に霊格の高い宝具によるもの。本来の担い手ならともかく、私に手が出せるものじゃないわ」 「それなら、遠坂がやったみたいにこの令呪でキャスターをパワーアップしたらどうだ?それなら……」 士郎の縋るような言葉に、キャスターは首を横に振った。 「出力が足りないとかそういう話じゃないの……わかりやすく説明するわ。ねえ、貴女」 話を黙って聞いていた少女にキャスターは話しかける。 「は、はい。何ですか?」 由紀香の視線を真っ直ぐ覗き込むキャスターは、口を開いた。 「何か、おかしな気分はしないかしら。例えば、できるはずの無い事をできたとか、それとも、あるはずの無い記憶を持っているとか」 「あの、そう言えば、何か変なことが。私の名前は三枝由紀香って言うんですけど、他にも名前がある気がするんです。それから、そのもう一つの名前の持ち主のやったことも覚えているような気が……」 「そういえば、アタシも操られてた時に何か夢みたいなもの見てた気がするな」 思い出したように言う楓に、鐘も反応した。 「……お前もか?蒔の字。私も何か戦うような夢を見ていた気もするが」 「ああ、それそれ。伽和羅(かわら)身につけて、剣持って戦うんだよ。自分の事じゃない筈なのに、妙にリアルな夢でさ」 その言葉に、キャスターはふうと溜息をついた。 「……本人の精神と、外部からの精神、つまりはその宝具によるものが、融着している。下手に引き離したら本来の精神にも悪影響が出るかも知れない」 キャスターの分析に、士郎は歯を食いしばって呻いた。 「……そんなことを、三人はされたのかよ」 「今は冷静に解決策を考える時よ。士郎」 怒りを募らせる士郎を宥めるキャスターだが、その表情は固い。楓が慌ててキャスターに詰め寄る。 「ちょ、ちょいまち。じゃ、このままこの姿で生きていけってのか?」 キャスターは無言でおもむろに楓の腹部に手をかざし、口を開いた。 「少なくとも姿はどうにかなると思うけど。貴女達が持っている以上、ある程度は自分で運用できる筈だから」 「ほ、本当?う~ん。戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ……」 由紀香が手を合わせ、拝むように念じた。すると、犬耳が髪の中に吸い込まれるように引っ込み、見えなくなる。 「おお、戻ったぞ。由紀香!」 「えっ……本当!戻ってる!」 鐘の言葉に手鏡を覗き込んだ由紀香は、自分の頭上から犬耳が綺麗に消えていることに歓声を上げた。 「強く念じれば、元に戻るのか」 「よし!メ鐘、アタシらもやってみよーぜ!」 そのまま、二人して手を合わせて念じる。 「「戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ、戻れ」」 二人で目を固くつぶって、一心不乱に唱えている姿は危ない新興宗教のようでなかなか不気味だったが、効果はあったらしい。 楓の手足は人間のそれに戻り、鐘の背にあった翼もうっすらと消えていった。 「「戻ったー!!」」 「これで少なくとも、外見はどうにかなるという事が分かったわね」 冷静に呟くキャスターの隣に座る士郎は、暫くつぐんでいた口を開いた。 「キャスター、聖杯なら三人の身体を完全に戻すことができるのか?」 士郎の言葉に、今しがた喜び合っていた三人が視線を向けた。 「聖杯が言葉通りの物なら、ね」 事も無げに言うキャスターの言葉で、衛宮士郎は表情を決意に固めた。 「……なら俺が聖杯を手に入れて、三人の身体を元に戻す」 その言葉に、三人は驚愕し、由紀香が真っ先に口を開く。 「待って、衛宮君!聖杯戦争って危険なんでしょ?」 「承知の上だ」 「承知の上だって、お前……分かってんのかよ。バカスパナ!」 「いくらなんでも、無茶だ。考え直せ」 楓に続き、鐘も士郎を止めるが、士郎は首を横に振る。 「もう、俺は巻き込まれているんだ。キャスターのマスターとして。今更引き返す道なんて無い」 士郎は淡々と話を続ける。 「俺は聖杯なんていらない。キャスターが使う分と、三人が元に戻るために使う分さえあればそれでいい。」 「だが!校舎をあんな風にしてしまう連中が相手なんだぞ?」 「なら、尚更だ。サーヴァントに敵うのがサーヴァントだけなら、俺が聖杯を手に入れるしか無い。それしか氷室達の身体を元に戻す方法が無いのなら、それを選ぶのが当然だ」 士郎の言葉に、その場の全員が言葉を失った。 この少年は、知り合いとは言え他人のために戦うと、剣の一振りで鉄筋造りの校舎を焼くような怪物達の闘いに身を投じると言ったのだ。 三人のいずれもがなにか言おうとしてやめた。この少年が戦って、聖杯を手に入れてくれれば自分達は元の日常に帰れるという考えを誰もが抱き、 すぐにそれが少年を死地に追いやることである事に気がつき、そんな考えを抱いた自分が醜くて仕方が無かった。 悲壮な雰囲気が漂った空間は、一人の少女が立ち上がったことで、沈黙が終わる。 「じゃあ、私は帰るけど、衛宮君。話したいことがあるからちょっと来てくれない?」 優等生の皮を脱いだらしい遠坂凛は、こちらの方が素であろう態度で士郎を呼んだ。 「正直なところ、私も聖杯で叶えたい願いは無いのよ」 凛の言葉に、士郎は驚愕した。 「じゃあ、何だってこんな闘いに参加したんだよ。俺みたいに偶然召喚したわけじゃ無いんだろ?」 「まあ、それは置いといて。聖杯を三枝さん達のために使うって本当?」 真剣な顔で聞く凛に、士郎は少したじろぐも、はっきりと答えた。 「ああ、そうしようと思う」 「キャスターはそれでいいの?」 凛の言葉にもキャスターはいつもの感情の起伏に乏しい表情を変えなかった。 「士郎に従うわ」 「そう。それなら約束して。どちらが最後まで残って、聖杯を手にしても、三枝さん達のために使うと」 「本当か!?」 万能の願望機を、自分と同じく他者のために使う人間がいたことに、今度は士郎が驚いた。 「別に深い意味は無いわ。ただ冬木の管理者として、こんな風に一般人を好き勝手されて気に入らないだけ」 「えっ、遠坂ってそんなに偉い人だったのか?」 「衛宮君、どれだけこっち側のものを知らないのよ……」 士郎の無知に、凛は額に指を立てて首を振った。 「とにかく、三枝さん達のことはできるだけ他のマスターにもばれないようにしましょう。宝具を取り出せない以上、先手を打って彼女達を攻撃しようなんて連中がいないとも限らないわ」 「とりあえず、当面は犯人のサーヴァントとマスターの捜索だな。分かった。遠坂ありがとう」 「お礼はいいわ。いずれ戦う相手だもの……ああ、そうそう」 「なんだ?」 「……やっぱりやめといた方がいいわね。それじゃあ、衛宮君、キャスター。また戦う日までね」 そう言うと、遠坂凛は怪訝な顔をした士郎とキャスターを残して去って行った。 家路についた凛は、既に自宅である遠坂邸の正門前に立っていた。 「そりゃそうだ。万が一のことを考えれば、綺礼には連絡しない方がいいわね」 遠坂凛は独り言を呟きながら、先程自分の頭に浮かんだ考えを反芻する。 ―――教会による三人の保護。 一瞬浮かんだ考えは、すぐに否定された。教会は正義の味方では無い。巻き込まれた人間の記憶を消して日常に返すぐらいのことはするだろうが、それは神秘を秘匿するという仕事をしているにすぎない。 おまけに現在の監督役は魔術協会とも繋がっているあの兄弟子だ。 もし協会にでも知られたら、三人の身柄がどうなるかわかったものではない。 宝具を身に宿した一般人だ。最悪、保護という名の実験材料化なんてこともありうる。 衛宮士郎は、家に人を招くことを躊躇しないような殆ど一般人、注意を払っておけば問題は無いだろう。 キャスターにしても、その衛宮士郎に忠実らしい。多分、大丈夫だ。 「問題は、明確なルール違反を犯したサーヴァントとマスターか」 一般人を操って他の陣営を襲わせる。神秘の漏洩にも繋がりかねないそれは、冬木の管理者としても遠坂凛としても許せそうにない。 「これでますます負けられなくなったわね。バーサーカー」 「◆◆―――◆」 凛は霊体化している従者に話しかけた。聞こえてきたのは相変わらずの唸り声だが、同意しているらしい。 「じゃあ、帰りますか。明日からが大変よ」 決意を新たに凛は玄関から自室へと向かった。 それは一見したところでは何の変哲も無いワンボックスカーだった。 誰が知るだろうか。それを根城にしている二人の内の一人が、人間では無いことを。 『……宝石は、まだあるわね。でもバーサーカーの維持にも使うから、今度は少し多めに……』 車内に積み込まれた機材から聞こえるのは、現在遠坂邸にいる少女の声だった。 敵マスターの声はかなり鮮明に聞こえる。技術の進歩を感慨深げに実感していたサーヴァントは、車に近づく気配を察知し、銃を手に取る。 召喚当初に所持していた狙撃銃ではなく、現代で用意したサブマシンガンである。 一定のリズムで叩かれる車のドアに、アサシンは銃口をそのままに、ただ口を開いた。 「バゼットか」 「ええ、戻りましたアサシン」 そのまま車内に入ってきた自分のマスターに、アサシンはようやく銃を下ろした。 「現在、遠坂凛は家の中だ。狙撃地点は幾らか確保しているが、学校があの状態になったのは痛いな」 「行動のパターンが読みにくくなりますからね。それでも、聖杯戦争である以上彼女が外に出ないことはあり得ない。仕留めるにはその時です」 ああ、とアサシンが首肯する。 「バーサーカーは燃料を食い荒らすアメリカ車のようなものだ。ガソリンタンクが空になれば自ずと停車する」 アサシンの中でバーサーカー陣営の攻略法は既に出来上がっているらしい。 敵の工房がある筈の遠坂邸の情報を得るために盗聴器という科学の産物を使う提案をしたのはアサシンだ。 魔術師らしく、科学との縁が薄いバゼットにとっては不安が残る提案だったが、それの有効性は目を見張る物がある。 魔術的な要塞は、英霊の気配遮断と魔力を欠片も有しない機械装置には無力だった。 遠坂を初めとする陣営の情報を断片的にでも手に入れることができるアドバンテージは大きい。 車内に設置した機械を操作しているアサシンを見ながらバゼットは召喚直後の彼の台詞を思い出していた。 『俺は弱い英霊だ。多分殴り合いならマスターの方に分がある。だが、負ける気は無い。協力してくれ』 アサシンは確かに弱い英雄だ。パラメーターの殆どがEランクという脆弱さは、この戦争に参加したサーヴァント中最弱だろう。 それでもバゼットはアサシンを恐ろしい英霊だと思う。彼は弱いが、それは決して弱点になり得ない。文明の利器を惜しげも無く使い、その力を利用し、更に発揮する。 自分の弱さを知っているという事は、自分の持つ機能と性能を理解しているということだ。 執行者として数多の魔術師を狩ってきたバゼットにとって、もし相手取るならアサシンのような輩がもっともやりにくい。反面、味方にできればこれほど頼もしい相手もいなかった。 バゼットはアサシンについて不満は何も無かった。ただ問題があるとすれば。 「ほら、各種機器のマニュアルだ。読んで覚えろ」 アサシンが手渡した分厚い紙の束に、バゼットは僅かに身じろぎした。 「こ、これら全てを覚えるのですか……」 はっきり言って、バゼットは細かい操作が苦手だ。当然機械に関しても同じ事が言える。 「アサシン。魔術師という物は機械の扱いが不慣れでして……」 「じゃあ、練習して苦手を克服すべきだろう。俺にしても機械の扱いは専門家というわけでは無いんだ。バゼットにもできるようになって貰わなければ困る」 一分の隙も無い正論に、バゼットはなすすべも無くマニュアルを受け取った。 「戦いは情報の有無で幾らでもひっくり返る。そのあともまだ勉強して貰うことはあるからな」 聖杯戦争が終わるまでにどれだけの学習をさせられるのか、想像したバゼットは溜息をついた。 夜の繁華街は、会社帰りのサラリーマンや水商売に関わる人間で賑わっていた。 その中で、変わった装丁の本を持つ少年が虚空に話しかける。 「ライダー、これで冬木の大体の場所は回った。何か質問はあるかよ?」 『ない。しいて言えば、儂の最終宝具が使える場所が少ないな。こうも建物が密集していては』 返ってきた言葉に、慎二は再び問いを口にした。 「そんなに強力な宝具なのか?」 『うむ。もっとも、それを一度使えばしばらくは大幅に弱体化するという欠点もある』 「そうか、対策を考えておかないとな」 間桐慎二に魔術回路は無く、よってサーヴァントに供給できる魔力も無い。 しかし、本人が保有する魔力炉心と宝具によって魔力は普通に戦う分には全く困ることは無い。 最終宝具も多少無理をすれば放つことができるというのが本人の弁だ。 「勝てる。勝てるぞ。ライダー、そして僕とお前の願いを叶えるんだ」 『勝てるのでは無い、勝つのだ。儂は負けぬ』 一種傲岸とも言える強気な答えに、慎二は召喚時の光景を思い出していた。 『関羽雲長、騎乗兵の位を得て顕現したり―――喜べ。貴様らの勝利よ』 蟲倉の蟲を全て吹き飛ばしそうな豪風と共に出現したサーヴァントは、不遜な態度で周囲を見回した。 その眼光が、肩で息をしている召喚した本人に向かう。 「お前が儂を呼んだのか?」 「待て!よ、呼んだのはそいつだけど、マスターは僕だ」 多少震え声で話す慎二に、ライダーは一瞥すると、口を開いた。 「よろしい。この戦いに参加するには、かりそめとは言えマスターは必要。お前をマスターと認めてやる」 思いっきり下に見られながらも、こうして間桐慎二の聖杯戦争はスタートした。 「そこでだ、お前の宝具は……」 その時、肩同士が触れ合う衝撃を感じる。 「何だ。テメエ?」 話に集中する内に、人にぶつかってしまったらしい。振り返ると、明らかにチンピラ然とした男が立っていた。 「何独り言ブツブツ言ってんだ。電波かアァ?」 慎二の態度が気にくわなかったのか、チンピラはますます突っかかってきた。 チッと舌打ちして、小声で背後のサーヴァントに声をかける。 「ライダー、お前の戦闘力を見るぞ。こいつを半殺しにしろ」 虚空からの声は、慎二にのみ小声で伝えた。 『嫌じゃ』 「ハ?」 サーヴァントの声色は先程までと少しも変わらず、ハッキリと拒絶した。 「何言ってるんだよ。ご主人様のピンチだぞ!?」 『鶏を捌くに牛刀は用いぬ。この程度の輩に力を奮うなどしたくない』 なおも言い募ろうとした慎二だったが、側頭部への火花が出るような衝撃に受身を取る暇も無く昏倒した。 「バーカ!気持ち悪いんだよ。間抜け!」 大笑するチンピラは、倒れた慎二を何度も踏みつけた。周囲の人間も巻き込まれることを恐れてか、手を出そうとはしない。チンピラはそのまま慎二の懐に手を入れ、財布を抜き取る。手際からして慣れているのだろう。財布から一万円札を全て抜き取ると、そのまま去って行った。 「何で助けないんだ!この大馬鹿野郎!!」 ようやく立ち上がった慎二はビルの間にある路地裏に入り込むと、思い切りライダーを怒鳴りつけた。 実体化したライダーは、涼しい顔で慎二の怒鳴り声を聞いている。慎二が怒鳴り疲れて肩で息をすると、口を開いた。 「馬鹿たれ、あの程度の輩を退けられぬようでは仮とは言え、儂のマスターたる資格など無い」 「な、なんだとお……」 顔を紅潮させる慎二は、その時手に持っている物に気がついた。 サーヴァントを隷従させる偽臣の書、これは無理な命令で無い限り、サーヴァントを御することができる物。 歪んだ笑みを浮かべて、慎二がそれを手に取ろうとしたとき、ライダーの低い声が響いた。 「それで使える命令はせいぜい一回。こんなくだらん事に使う気か?」 その言葉に、一気に頭が冷える。確かにそうだ。こんなことに使うべきでは無い。 だが、殴られた痛みと受けた屈辱は自身を苛む一方だ。 「畜生……」 その時、壁に立て掛けてある『ある物』に気がついた。 その男は、街の鼻つまみ者だった。 自分より弱い人間をいたぶって、自分が強いと錯覚する感覚を愛していた。 必然的に中学生の時から恐喝で金を稼ぎ、一時の遊興の代価に当てた。 文字通りの街のダニのような人間だが、かと言ってヤクザになろうとも思わず、このまま一生を人から金銭を脅して手に入れて中途半端に生活できると本気で思っていた。 先程の少年からくすねた戦利品を数えているとき、後頭部に痛撃が走るまでは。 余りの痛みに意識を手放しそうになるが、後ろを振り返ったときに顔面を靴のような物で蹴られて、意識は無理矢理繋ぎ止められた。 「よくもまあ、やってくれたね。まずはさっき僕からくすねた金を返して貰おうか」 首筋に突き出された鉄パイプを前に、その男は今まで自分が傷つけた人々がしてきたように、地面に這いつくばって、こくこくと頷いた。 「ようやった。やられればやりかえせばよいのだ」 相変わらず尊大な態度でライダーは慎二を(一応は)褒めた。 「やかましい!大体僕に何かあったらどうするつもりだってんだよ!」 「その時はその時よ。どのみちあの程度できなければ、お前は死ぬだけだ」 あっさりと自分が死ぬと断じたサーヴァントは、もう一度霊体化する。 『さて、屋敷に帰って鋭気を養うとするか。なあ、マスター』 「帰るのかよ」 『儂を呼んだ場所で休めば、儂の魔力も戻りやすい』 「……わかったよ。その代わり今後は僕の指示に従えよ」 『だが断る。悪手を打とうとすれば、当然儂は拒否するぞ』 「そこは、承諾するところだろうが!!」 傍目から見れば、慎二一人でギャーギャーと騒いでいるようにしか見えない主従は、そのまま夜の街を家路についた。 第三話まで書くと、やっぱり自分が長編書いてるんだと実感が湧いてきます。 何とか書き上げましたが、本音を言えばひむてんで出てくるようなネタギャグの数々を書きたいです。 以下、没小ネタ ~凛が三人娘に聖杯戦争の概要を説明したあと~ 「―――以上が聖杯戦争の概要よ」 誰もが黙っている中で、一人が口を開いた。 「あのさ、ちょっといいか?」 蒔寺楓がしきりにキャスターの方を向きながら、凛に尋ねた。 「何かしら。蒔寺さん」 「遠坂がさっき言ってた英霊だけどさ。いや、分かってるぞ。霊なんて全部プラズマで説明できる嘘っぱちだし、アタシは平気だし、大丈夫だし、だけど、本当に、本当に、本当にキャスターさんって……ゆ・う・れ・い??」 楓の縋るような問いかけに、キャスターはきょとんとしながら答えた。 「?ええ、そうよ。私は一度死んだことがあるもの」 ―――時が止まった。 「勝利への脱出!」 「蒔の字、人の家の障子を突き破るんじゃない!」 蒔寺楓、心霊耐性E(超ニガテ) 実際に書いてみたかったのですが、話の雰囲気上どうしても割愛せざるを得ませんでした。 今後はギャグも入れてみたいなあと思います。それでは皆様ご機嫌よう。
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/1461.html
【元ネタ】史実 【CLASS】アーチャー 【マスター】 【真名】田文(孟嘗君) 【性別】男性 【身長・体重】153cm・42kg 【属性】混沌・中庸 【ステータス】筋力D 耐久E 敏捷A 魔力B 幸運A 宝具B 【クラス別スキル】 対魔力:E 魔術に対する守り。 無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。 単独行動:A マスター不在でも行動できる。 ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。 【固有スキル】 エンチャント:A+ 他者や他者の持つ大切な物品に、強力な機能を付与する。 基本的にはマスターを戦わせるための強化能力。 アーチャーのそれは、“才能強化”に特化している。 カリスマ:D 軍団を指揮する天性の才能。団体戦闘において、自軍の能力を向上させる。 カリスマは稀有な才能で、一軍のリーダーとしては破格の人望である。 【宝具】 『馮驩』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:30人 宰相の地位を罷免され、三千人の食客が去ろうともアーチャーのもとに残った食客。 他の食客にはない、確固たる絆で繋がっている馮驩を召喚し、行使する。 軍勢宝具のサーヴァントと違い、召喚できるのは馮驩一騎であるのだが、燃費は異様に悪く、かなりの高燃費。 その分馮驩自体の能力は非常に高くなっており、もう一騎行使できる独立したサーヴァントと言って過言ではない。 そして馮驩は、孟嘗君の役に立った食客の一芸を馮驩自身、そして主君の孟嘗君、 さらには孟嘗君のマスターなどにも寸分違わぬランクで、一時的に習得させる能力を“宝具として”保有しており、 モノマネや盗用、交渉術など、多種多様のスキルを相手に習得させられる。 それらのスキルは、補足人数分ならば一切問題なく何人でも習得させられる(また、全員同じスキルなどでもよい)。 【Weapon】 『無銘・剣』 春秋戦国時代の普通の剣。 【解説】 戦国四君が一人。斉国の孟嘗君・田文。 不吉な日とされる五月五日に生まれたために父親から殺すように命じられるも母が密かに匿い、 青年期まで育った時に父と対面し、その聡明さから認められる。 その後も実質的な地位は低いままで、田文は食客を抱え込むようになる。 食客は総勢三千人にも及び、何の役に立つんだと言うような盗人や芸人なども食客の中に含まれていた。 司馬遷の史記などにも記されているが、本人自体は聡明ながらも短気で浅慮な一面があった。 まあ、史記については司馬遷の私怨(彼は、田文所縁の地・薛で酷い目にあったため)という面も多いが、 低身長を馬鹿にされたが為に趙の一村(一県とも)を滅ぼし尽くしたという逸話も存在するほどである。 だが、食客の有用性を示し、後の戦国四君達につなげた功績は大きい。 【追記】 飛ばす物=食客の才能。 恐らくそれで通らない事が無いのが聖杯戦争の恐ろしい所である。
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/1102.html
【元ネタ】シャーロック・ホームズの冒険 【クラス】セイバー 【マスター】衛宮士郎 【真名】シャーロック・ホームズ 【性別】男性 【身長】184cm 【体重】69kg 【属性】中立・中庸 【ステータス】筋力B 耐久C 敏捷B 魔力C 幸運B 宝具A 【クラス別スキル】 対魔力:C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 騎乗:D 騎乗の才能。大抵の乗り物を人並みに乗りこなせる。 【固有スキル】 変装:C 変装の技術。 Cランクなら親しい者でも騙し通せるレベルで変装できる。 指向碩学:C ある目的の為に蓄えられたジャンルの違う複数の学識。 植物学、地質学、化学、解剖学、犯罪学、法学 その他多岐に渡る学術スキルについて、Cクラス以上の習熟度を発揮できる。 ただし内容の偏りは激しい。 高速思考:A 物事の筋道を順序立てて追う思考の速度。 特に論理的思考や犯罪捜査などにおいて大きな効果を発揮する。 千里眼(偽):D 推理と予測により遠隔地の出来事を「まるで見ているかのように」語ることがある。 精神汚染(偽):E たまに麻薬に手を出してまともな意思疎通が成立しなくなる。 セイバーのこれは「退屈」が発動条件なので聖杯戦争中はさほど問題にならない。 星の開拓者:E 人類史においてターニングポイントになった英雄に与えられる特殊スキル。 あらゆる難航、難行が“不可能なまま”“実現可能な出来事”になる。 娯楽作品としては世界で最も読まれている小説の主人公であることから得たスキル。 さすがに効果はごくごく微量。 【宝具】 『靴の飛沫の名残でさえも(ディテクティブ・オン・ディテクティブズ)』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:6人 私立探偵と、それを扱った探偵小説のまさにエポックメイキング的存在だったセイバーを象徴する宝具。 他のマスター・サーヴァントの生活跡や戦闘跡などありとあらゆる「痕跡」を目にすることで 非常に高い確率での素性・性格・行動方針・本拠地・真名等に看破の判定が発生する。 対象を直接目視した場合は更に高い確率でセイバーに“全て”知られてしまう。 『神秘なるかな東方武術(バリツ)』 ランク:C++ 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大捕捉:1人 セイバーが会得していたという東方武術の秘奥。 ステータスが同レベルのサーヴァントと「高所」で戦闘時に使用可能となる宝具で 対象のみを一方的に落下させ、高度相応の与ダメージを発生させることが出来る。 高度はあくまで与ダメージの判定条件であり サーヴァントが受けるダメージは落下の位置エネルギーによるものではない。 また、対象のダメージの多寡に関わらずこの宝具を使用したセイバーはその瞬間 戦闘からほぼ100%の確率での離脱が可能(必須ではない)。 【Weapon】 『無銘・剣』 フェンシング用の剣サーブル。 【解説】 知名度補正の高パラメータと 調査→高所に誘い出す→フェンシング&バリツで与ダメージ→離脱※以降繰り返し のハメ技でアグレッシヴに戦うホームズ氏。 士郎もわりとノリノリでそれに付き合う。 バリツの見た目はすごく大仰な巴投げ。対象は流星の如くド派手に輝きながら大地に叩きつけられる。 ビジュアルイメージはそれでもやっぱりジェレミー・ブレット。
https://w.atwiki.jp/minasava/pages/808.html
―――凛が自分のサーヴァントを失った後、 士郎とペレロフォンは彼女と同盟を結び、夜の街を歩いていた。 だが、そんな彼らに不審な影が姿を表す。 そのサーヴァントはまるで西部開拓時代のカウボーイのような姿をしていた。 「アンタ……。サーヴァント!?」 その凛の言葉に、その謎のサーヴァントは深々と頭を下げる。 「お初にお目にかかります……。 俺の真名は、ペコス・ビル クラスはライダー。宝具は『駆け抜けた漢の勲章(スルーフット・スー)』 炎や水、光などの形のない物に形を与え乗りこなす能力だ。 そう把握していただきたい。」 「「「な―――っ!!?」」」 その言葉に三人は絶句する。 自ら己の真名のみならず、宝具の能力まで親切に教えるサーヴァントなどいるはずがない。 「士郎!騙されないで! そいつのいう事は嘘よ!自分の能力を親切に話すサーヴァントがいるはずがない! それにライダーのクラスが二人もいるはずないわ!」 「宝具にも真名にも俺には嘘はない。 ライダーが二人いるのは、聖杯の手違いなのだろう。 ……公正なる『一騎討ち』は己の内にある 『開拓精神(フロンティア・スピリット)』を向上させる。 困難に打ち勝ってこそ、開拓精神は目覚めるのだ。」 「己の弱さを乗り越え、困難を乗り越え、開拓者精神は光り輝く。 その「黄金の精神」こそ俺はもっと素晴らしいと考えている……。 それゆえ、君たちに全てを隠さずに話している。 これが『開拓精神(フロンティア・スピリット)』……。 今の時代、価値観が「甘ったるい方向」へと進んでいるようだがな……。 決めるのは君たちだ……。」 「本気で言っているの?こいつ……どうかしてるわ。」 そのあきれ果てたような凛の言葉に対し、ペレロフォンは爆笑する。 「は、はははは!! いいじゃないか。ここまで骨太で堂々とした奴が近代の英霊にもいたとはな! 我が名前はペレロフォン。その一騎討ち、受けて立とう!!」 「……感謝いたします。」 ペレロフォンが所有しているのは、第四次聖杯戦争の際、 セイバーが操っていたV-MAXだ。 士郎と同盟を結んだ凛が、ペレロフォンを強化するために、コネを使って入手したものである。 ペレロフォンと士郎は、そのV-MAXにまたがってエンジンを吹かす。 一方、ペコスは、何かを待つようにじっとその場に立ちすくしていた。 しばらくのにらみ合いのあと、一陣の逆風がペコスの背中からペレロフォンへと向かってひゅうと吹き抜ける。 その瞬間、ペコスは叫んだ。 「《駆け抜けた漢の勲章(スルーフット・スー)》!!」 その瞬間、ペコスは己の宝具を開放し、吹き抜けた風へと跨った。 「待ってろ……!今、お前に魂を吹き込んでやる……!! 《黄金の手綱(ポリュエイドス)》!」 ペレロフォンの黄金の手綱によって、彼が乗っているV-MAXに魂が吹き込まれ、 擬似的な幻想種へと変貌する。 瞬間、凄まじい轟音を立てながら、弾丸のようにV-MAXは地面を疾走する。 人間では扱う事が難しいそのモンスターマシンは、ペレロフォンの力によって文字通りの怪物へと変化したのだ。 弾丸のように疾走するペレロフォンのV-MAXと真正面から向かい合って進むペコスの疾風。 それはまさしく古代の騎馬戦を連想させた。 恐らく、ペコスはすれ違い様に、こちらの急所に弾丸を打ち込んでくるつもりなのだろう。 「確かの通常の機械では風といった概念までは破壊できない……。 だが、魔獣化したこのV-MAXならば別だ!!」 魔獣としての属性を与えられたV-MAXは、まるで貪り食らうように、 ペコスの乗った疾風を打ち砕く。 運良く、すれ違いざまの士郎の振るった双剣はペコスはかすり傷ですんだが、 乗り物である疾風を失ったペコスは、そのまま空中へと放り出される―――。 「《駆け抜けた漢の勲章(スルーフット・スー)》!!」 だが、ペコスは己の宝具を使用すると、 V-MAXが発生させた衝撃波へと乗り、ペレロフォンに向かって銃弾で攻撃を仕掛ける。 「ハッ!なかなか面白いマネしやがって!!」 だが、ペレロフォンは、見事なハンドル裁きで、銃弾を全て回避する。 そして、ペコスは再装填を行うと、銃弾を明後日の方へと撃つ。 「《駆け抜けた漢の勲章(スルーフット・スー)》!!」 ペコスは、その『弾丸が発生させた疾風』に乗ったのだ。 さらに、明後日の方に弾丸を放つとそれを踏み台にして空中の三次元起動を行いながら、 空中から地上のこちらへと弾丸を降り注ぐ。 それを回避しながら、ペレロフォンは不敵に微笑む。 「なかなか楽しめたぜ……。だが、それもここまでだ!! 《屠獣熔鉛(カウンター・キマイラ)》!!」 その瞬間、意思を持つ流体金属である屠獣熔鉛(カウンター・キマイラ)が展開し、 三次元移動を行なっていたペコスを包み込んで動きを封じる。 「今だ!やれ士郎!!」 その瞬間、士郎は干将を投げると、その剣は、流体に封じられたペコスの胸へと突き刺さる。 「グ……ふっ……!!」 口と傷口から大量の血液を吐き出すペコス。 だが、それでも彼は震える手で、こちらに向かって銃を構える。 それが無駄だとわかっていても、だ。 「やめるんだ、ペコス!もう十分だろう!?」 「だから価値観が甘ったれているというんだ! 精神(ココロ)を見ろ……。光り輝く黄金の精神を!! 『社会的な価値観』がある。そして『開拓精神』がある。 昔は一致していたがその『2つ』は現代では必ずしも一致していない。 『開拓』と『社会』はかなりずれた価値観になっている。」 「だが『真の勝利への道』には『黄金の精神』が必要だ。 聖杯戦争を勝ち進み、それを確認しろ……。」 その瞬間、引き金を引こうとしたペコスの胸に、士郎の莫耶が突き刺さる。 血を吹き出しながら、満足げにペコスは微笑む。 「ようこそ……。『フロンティア』へ……。」
https://w.atwiki.jp/minnasaba/pages/2454.html
山田丸:B (山田朝右衛門吉利) 人間の脳髄、肝臓、胆嚢などといった臓器から精製される秘薬。 服用することでサーヴァントであれば高純度の魔力リソースとなり、マスターであれば魔術回路を賦活化させる。 倫理的な問題から明治政府によって禁止されたものであり、セイバーは処刑した罪人からこの秘薬を精製する。
https://w.atwiki.jp/minasava/pages/699.html
あ行 アーチャー(人名/サーヴァント) 209cm・111kg 涜神の王、ニムロド。 『旧約聖書』におけるノアの子孫であり、クシュの息子。 クシュの父はハム、その父はノアである。 万能の狩人。バベルの塔建設の監督者であり 勇敢な狩人、地上で最初の勇士であると同時に、アッシリア全土を支配した暴君、人類最初の君主とされる。 アラビア語ではナムルード。 アラブの伝説では、アブラハムが生まれた頃世界を支配した王とされ、 悪魔イブリースにそそのかされて魔術や偶像崇拝を行っていたとも。 また、父クシュからアダムとイヴがエデンから追放されていた時に身に着けていた魔法の皮を受け取る。 これを身に着けると動物はその姿を認めただけで倒れてしまい、彼と格闘して人間もいなくなったという。 強大な力を手に入れたニムロドはやがて邪心に取り憑かれ 世界を支配したニムロドは今度は神になろうと手下を使ってバビロニアに巨大な塔を建設し始めた。 これが所謂バベルの塔である。 人間を天国に侵入させ、略奪を行い、天を乗っ取ろうとし、順調に塔は高くなり、昇るのに一年もかかるが頂上は天に届いた。 人間は頂上から雲の中へ矢を射て、射られた天使は血を滴らせながら血に落ちる。 これに怒った神は、塔の建設を終わらせる為に当時の唯一の言語であったヘブライ語を多くの言語に分け 意思の疎通の出来なくなった人々はやがて仲たがいを始めた。 これにより、それ以上塔が高くなる事はなかったという。 性格は傲慢で凶暴、そして残酷。 人間としての能力は穴だらけだが、自己の強さは何者をも凌駕している。 苦悩が刻まれた貌と長き時を闘いに費やした強靭な執念と妄執が、対峙した者に嘔吐感に似た重圧を与える。 かつては自らを神にもなぞらえるほどに欲深く、天に侵攻しようとまで考えたが 当時は神への信仰深い人物でもあった(はなはだ身勝手で独善的な思想ではあったが) だが前述の神罰によって、彼は地位も名誉も、全てを失い辱められ絶望する。 当時の記述に詳細な記録は残されていないが、死後は世界との契約により 神という存在を憎み己の手による復讐の道を辿っていく。 宝具はリヴァイアサンの思念が宿った『天に逆巻く海淵の裘(レ・ディヴィヌス・ペラガス)』 と バベルの塔『惑乱の塔は天高く栄える(タワー・オブ・バベル)』 の2つを有する。 アヴェンジャー(人名/サーヴァント) 168cm(偽)・60kg(偽) 真名はアンチキリスト 〈キリストの敵〉の意で、ギリシア語ではAntichristos。 世界終末のキリストの再臨前に出現して教会を迫害したり世を惑わす偽預言者 見目麗しい容姿を持ってキリストの再臨前に世に現れ、 世に出て最初のうちは善行をなし正に英雄として振舞い、 偶像崇拝者を倒し、さまざまな奇跡を行い人々より多くの信頼を得る。 そして、彼が聖人として認知された後、「666」と呼ばれる計画を行使 世界を退廃と堕落の荒野へと変え、そして彼は人々にこう宣言する。 「我は我が与えし印を持たぬものを救わぬ」と。 そうして世界は闇に覆われ全ては彼の手中へと収まったかと思われた時、キリストは再臨し 世界は救済される。 性格・容姿・素性。 全ての詳細が不明の謎に包まれた人物。 その正体は、黙示録で予言された終末の前に現れる反英雄。 実在の人物ではなく、現象のような存在であり、時代・場所など条件によって 形が変わる朧(おぼろ)な架空の事象。 共通しているのは、予言に記された人物像と行動原理、そして敗北主義者であることである。 戦闘能力は英霊にあるまじき低さであるが、人心掌握と処世術は宝具によらぬものとしては最高クラス。 特筆すべきは不完全ではあるが、奇跡の一端を行使できる点だろう。 望むがままに他者の望みを叶える、文字通りの奇跡、仮初めの幻影であり、使用条件も厳しいが それを鑑みても、破格の異能であることは揺るがない。 なお、本物の奇跡を行使できた人物は歴史上10指に満たず、古来から魔法に最も近い異能の一つだといわれている。 第五次聖杯戦争において、ライダーの手引きによって三枝由紀香に召喚される。 彼女の影響を大きく受け、此度は年若い少女の姿で現界し、日常と非日常の狭間で揺れ動く。 ライダー同様に、終末の到来を実現させるため、冬木市市民の煽動、情報操作、武器調達など 短期間で市民の過半数を指揮下において、混沌と絶望の坩堝へと誘う。 だが、キャスターとの水面下でも協約や、由紀香への思慮など前述の行動原理に反する行いもしている。 イレギュラー 聖杯によって実現されようとされる終末において、ニムロデが語っていた 三つの障害となりうる存在。 一つはランサー・アキレスの存在である。 此度の聖杯戦争に呼ばれたサーヴァントは、いずれも聖杯によって意図的に呼ばれた 英霊たちであり、それぞれが意味と役割を持っている。 だが、アキレスは凛が用意した強力な触媒と、彼女自身の優れた手腕による完璧な召喚によって 聖杯の介在を跳ね除けて呼び出したためである。 2つめは、衛宮士郎。 彼がいずれ守護者と成る存在であるため、ニムロドは強く警戒していた。 なお、なぜ彼が士郎の守護者としての適正を見取ることができたのかは不明である。 最後は、間桐桜。 歪められた聖杯戦争の特異点。 全ての始まりにして、全ての終わり。 間桐の翁によって、原罪と死極の矢を取り込んだ聖杯の欠片を埋め込まれ マザーハーロットとの結節点を得る。 大聖杯、龍脈、および間桐桜を通じて冬木市は徐々に汚染を拡大させていった。 原作同様に、聖杯としての機能を有するが、バベルではより不安定で禍々しい仕様となっている。 もし、英霊の魂を取り込んでいった場合、どのような変貌を遂げるのかまったくの未知数だ。 衛宮士郎(人名/魔術師) えみや しろう。 身長167cm。体重58kg。 穂群原学園2年C組。 第五回聖杯戦争におけるキーパーソン。 本作では、資格はあったもののマスターではない。 家事に並々ならぬ才能を持つ。家庭料理(中でも和食)が得意で、おいしい食事を作るには材料をケチらない。 英語が苦手。工作に没頭する性格。 剣製に特化した魔術回路を所持する一点特化の魔術使いであるが、今現在はまだ回路の起動もできない。 ほかに物の構造・設計を把握することに特化している(構造把握の魔術)。 体内に27の魔術回路を持つが、それは作ったものを使わなかったために放棄され、通常の神経が魔術回路になっている。 本人はそれを知らず、鍛錬のときは死の危険を犯して魔術回路を作ることから始めていた。 8年間続けている魔術の鍛錬は自分が楽しいからしているのではなく、 魔術を身に付ければいずれは誰かの為になると思ってのこと。 10年前の大火災から唯一人生還したことで死んでいった人たちへの償いをこめ、 衛宮切嗣の遺志を継いで正義の味方に憧れて人助けに奔走するが、 それは反英雄としての切嗣とは違って自分を犠牲にして他のみんなが幸せになるというひどく歪んだもの。 彼の価値観には『自分を優先する』ということがない、 というよりも大火災から唯一生き残ってしまったために自分を優先する資格がないと思っている。 人助けはその見返りを求めるのではなく『人助け』そのものを報酬としている歪んだ価値観の持ち主。 大切な目標以外には興味を持たない、持てないという頑固というか遊びのない性格。 目に見える範囲の不幸や不平等を正そうと努力するが、かといって無条件で助けるわけではなく、 本人がそれを打破することに意義があると判断した場合は陰ながら見守る。 本当の両親は一般人で、前回の聖杯戦争の折に聖杯戦争の参加者たちが引き起こした大火災によって死亡。 本人もそのときに瀕死の重傷を負うが座礁した前アーチャーの手によって蘇生し、その後、衛宮切嗣に引き渡される。 バベルの塔の一部が崩御した後、言語の乱れ、秩序と理性の混濁化が進む冬木市内で 街の異常事態を察知し、単身で新たに聳え立つバベルの塔へと事態収束のために乗り込む。 その際、言峰神父との邂逅を果たし、聖杯戦争の基本知識を知り、サーヴァント、セイバーと供に 敵地侵入をし、その折に、襲撃してきたライダーとの戦闘を経て、彼女に囚われていた凛との合流を果たす。 か行 神の座(用語) 根源の渦。 あらゆる出来事の発端となる座標。 万物の始まりにして終焉、この世の全てを記録し、この世の全てを作れるという神の座。 世界の外側にあるとされる、次元論の頂点に在るという“力”。 根源の渦に至るという願いは魔術師に特有のものであり、これは世界の外側への逸脱である。 かつて、ニムロドが挑んだ宙の外へと逸脱せんと天を貫く塔を築いて挑んだ。 キャスター(人名/サーヴァント) さ行 終末(用語) 終末論(しゅうまつろん)は、歴史には終わりがあり、それが歴史そのものの目的でもあるという考え方。 目的論という概念の下位概念。 様々な宗教に共通して存在する世界の終わりであるが バベル内で発生した現象はクリスチャンである言峰神父の願いが発端であることから キリスト教の終末論、イエス・キリストの復活と最後の審判への待望という事柄に関わるものであると 推察されるが、詳細は不明である。 このキリスト教における終末論とは 現在の天地万物にみられる事物の体制が終わりを告げ、 新しい体制の中に生まれ変わる時のことを、意味していると考えられている。 神霊(用語) 神と崇められる自然霊。信仰を失うと精霊の位に落ちる。 発生に人間の想念が関わっていながら、人の意思に影響されずに生まれたもの。 なお、ニムロドが恨む神とは別であり、彼が憎んでいるという存在は世界の中枢。 天上の神の座を守護する番人――――すなわち抑止の力そのものである。 聖杯(用語) 冬木市に伝わるものは、神の血を受けたものではなく古来より伝わる願いを叶える『万能の釜』が原型で、 その力は伝説のものに匹敵する第726聖杯。根源へ至る門。 願望機である大聖杯に繋がる孔にして炉心。大聖杯起動の鍵。 万能の釜そのものではなく、始まりの御三家によって造られた願望器のレプリカである。 その中身の本質は“無色の力”だが、第三回聖杯戦争以降はアンリ・マユに汚染されて 悪性の“力の渦”(呪い、第三要素)になっている。 よって精密な計算・相互作用による矛盾の修正などは絶対に不可能であり、 持ち主の願いをあらゆる解釈による破壊のみによって叶える。 また、ひとたび開けてしまえば際限なく溢れ出し、災厄を巻き起こす。 さらに第四次聖杯戦争において、『聖者の嘆き(ロンギヌス)』 の原罪を混入され 言峰の終末到来の祝詞を受諾し、世界根絶のために力を費やす災厄の器と成り果ててしまう。 その際、この世全ての悪(アンリマユ)とは別にマザーハーロットを孕むことになる。 セイバー(人名/サーヴァント) 167cm・56kg 真名はエルキドゥ バビロニア神話。「ギルガメシュ叙事詩」の英雄。もともとは、シュメールの神話、伝説を起源とする。 もとは神に生み出された泥人形であり、人智を超えた力を持ちながらも知性も性別も無く、 ただ森の獣たちと戯れる生活をしていた。 だが聖娼と名高い女と六日七晩過ごすことで人間の姿と知性を手に入れ、黄金の王との死闘の末にその無二の友となる。 その後は、ギルガメシュと怪物フワワ(フンババ)や天の牡牛グアンナを倒すなど行動を共にした。 しかし、天の牡牛を倒した時、女神イシュタルによる嫉妬が彼の運命を決めてしまった。 後日、神々は天牛を殺した償いとして、二人の英雄のうち、より罪深い方の死を望み、 大気神エンリルの意向により、エンキドゥは呪いで衰弱して死んでしまった。 質素な貫頭衣を身に着けた、きわめて中性的な姿をしている。 その容貌は端麗ながら、雰囲気は人間的なものではなくむしろ魔術師が作る『人形』に近い。 武器は己の身体と『創生槍・ティアマト』 。 獣の言葉も使うことができ、気配探知スキルは最高クラス。 本来は英雄というより神が使用した宝具そのもの。 バベル歴代において最強のサーヴァントであり、個人の単純な性能に絞れば英霊最高位。 かの英雄王のこの世全ての財による万有の力に対して、単一で万能の力を有する。 これは、女神アルルが泥から創造し戦争の神ニヌルタが、神々すら畏怖する王に対抗するために 万能の神の力、あらゆる生命の原典の因子を与えられたことによる。 もっとも、彼自身はその出自を快く思っておらず、今を生きる生物に対して強い敬意と羨望を抱いている。 これは彼がこれまでに歩んできた生の中で、厳しい環境下で弱く儚くも精一杯に生きる 強く気高い彼らの心に深い感銘を受けたためであろう。 そう、彼の願いは、模倣によって得た仮初めの心と身体ではなく、一つの生命として地に根を張ることである。 また容姿に対して人形と揶揄されることがとても嫌いでもある。 前アーチャー(人名/サーヴァント) 166cm・64kg 真名はアシュヴァッターマン 『マハーバーラタ』の戦争でシヴァと戦った兵士。 パーンダヴァ五王子とカウラヴァ百王子に武芸を教えた師、ドローナの息子。 2人の王子間による大戦の際、百王子軍に参戦する。 五王子軍の軍師クリシュナの姦計により、 父ドローナはドゥリシュタドゥユムナに殺され、百王子軍もほぼ壊滅。 復讐に燃えるアシュヴァッターマンは、 クリパ,クリタヴァルマンと共にパーンダヴァ陣営に夜襲をかける。 まず自分の父を殺したドゥリシュタドゥユムナのテントに入り首を刎ね、 陣内にいる者を皆殺しにした。 その時、英雄アシュヴァッターマンは自らのヴィマナに断固とどまり、 水面に降り立って神々すら抵抗しがたいアグネアの武器を発射した。 神殿修道騎士団長の息子は全ての敵に狙いを付け、 煙を伴わぬ火を放つ、きらきら輝く光の武器を四方に浴びせ 五王子、クリシュナ、サーティヤキらを除く五王子軍を全滅させる。 それはまさにユガの終わりに一切を焼き尽くすサンヴァルタカの火のようであった。 まるで広島・長崎の原爆を思わせるこのアグネアの内容はまぎれもなく遥か昔、 紀元前に記された内容なのである。 その後、アシュヴァッターマンは遂に敗北を認め、 頭についていた不思議な宝石をビーマに渡して森へ去っていった。 誇り高き戦士。 善悪に囚われず、自らの魂の赴くままに生き、復讐にその身を焦がした炎のように熱い男。 戦場では粗暴で暴力的な性格だが、根は正義の人で人懐こい悪戯好きの好青年。 回りくどい方針と裏切りが嫌い。好き嫌いと敵味方はまったく別物と考えている。 武勇にも優れた戦士ではあるが、彼の真骨頂は頼みとする宝具と、予測不可能なトリッキーな頭脳である。 古代インドの空中機動兵器。 アグニ(サンスクリット語で「火」を意味する。)の名を冠する 『陽光宿す天の双翼(ヴィマーナ)』、額に、生まれた時より付いていた宝石『瑞験の星月(カウラヴァ)』 そして、神々が最も嫌悪したといわれる禁忌とされる一つの矢『獄炎秘めし災厄の矢(アグネア)』 の破格の3つの宝具を所有し、マントラ(真言)の力と相まって、大英雄クラスのサーヴァントとも 互角以上に渡り合えるポテンシャルを有する。 特に、彼が自分好みに魔改造したヴィマーナは、破格の機動性能を有する上に 魂魄フィードバックシステム、――常住永遠なるもの「空」とのアクセスを可能とするシステムによって 統覚機能と認識野を一段階昇華、つまり世界と己を一体化させ、可視領域内に補足できる万物の 魂の様々な構造や仕組みを把握することが可能になる。要約すると、究極の探知レーダー。 前回の聖杯戦争で、聖杯の呪いを浴び受肉(前述の魂魄フィードバックシステムによって、昇華寸前の魂を捕捉させ この世に無理やり呼び戻した) 以後は、言峰と袂を分かち、日がな俗世で2度目の生を謳歌していたが、イリヤスフィールによって 箱庭へと強制拉致され、ぶつぶつ言いながら彼女の束の間のままごとに付き合っている。 た行 天の杯(魔法) ヘブンズフィール。第三法。 現存する魔法のうちの三番目に位置する黄金の杯。 アインツベルンから失われたとされる真の不老不死を構造できる御技、魂の物質化のこと。 過去にあった魂から複製体を作成するのではなく、精神体でありながら単体で物質界に干渉できる高次元の存在を作る業。 魂そのものを生き物にして生命体として次の段階に向かうもの。 遠坂凛(人名/魔術師) 2月3日生まれ。身長159㎝。体重47㎏。B77 W57 H80。血液型O。 遠坂家六代目当主。私立穂群原学園2年A組。朝が弱い。第五次聖杯戦争におけるランサーのマスター。 父である遠坂時臣を師とし、言峰綺礼は兄弟子。属性は『五大元素』。 得意な魔術は魔力の流動・変換だが、戦闘には適していないために戦闘には魔力を込めた宝石を使用する。 優秀だが、ここ一番というところで大ポカをやらかすことがあるのはもはや遺伝的なものであり なにか説明するときにかける黒縁眼鏡は伊達。 桜が間桐にもらわれていくときに髪留めを贈ったが、そのときも対価を要求した。 というのも、凛は大切な人にこそ貸しを多く作って繋がりを持っていたいがため。 ただし借りに関してはきちんとした借用書でもない限り認めようとしない。 幼少の頃から、冬木市の異常事態を察知し、独自の調査活動をする。 だが、龍脈の異常汚染は判明できたが、大聖杯と桜の存在に至ることは叶わなかった。 言峰綺礼から、ある程度の情報は聞き及んでおり、聖杯戦争への参加目的は 原作よりも、遠坂家の悲願だけでなく、管理人としての事態収束のために強い勝利への渇望がある。 その執念の賜物か、触媒と完璧な召喚の儀式によって、自身の望む最速のサーヴァントを呼び込むことができた。 だが、経験不足と事態の予想以上の深刻さに焦りを生み出し、バベルの塔内部にて初戦を敗北。 その後、間桐桜との邂逅の際に違和感を抱いた彼女は、後を追い間桐邸に乗り込み ライダーと遭遇。人身お供として拉致され、再びバベルの塔内部に連れ去られる。 後に、塔内部へと侵入していた衛宮士郎とセイバーに救出され、行動を共にする。 は行 バーサーカー(人名/サーヴァント) 182cm・80kg 真名はカルキ。 ヒンドゥー教に伝わるヴィシュヌの第十番目の化身にして最後のアヴァターラ。 その名は「永遠」、「時間」、あるいは「汚物を破壊するもの」を意味し 白い駿馬に跨った英雄、または白い馬頭の巨人の姿で描かれる。 西暦428899年の末世(カリ・ユガ)にシャンバラ村のヴィシュヌヤシャスという バラモンの子として生まれるとされており カリ・ユガ(Kali Yuga)と呼ばれる世界が崩れ行く時代に現れ、 そして世の全ての悪を滅ぼし、新たな世界、黄金期(クリタ・ユガ)を築くとされる。 バベル歴代において最優のサーヴァント。 維持神の化身であり、霊長の存続、すなわち抑止力そのものの分体である。 御神体であるカルキが人間界で存在を確立するために構成された人型の器であり 自我・精神を持たず、彼の乗騎たる機動白馬『System K.A.L.K.I(ハヤグリーヴァ)』 によって 世界から発信される危機信号を受信し、目的を完遂させる。 その力は絶大であり、かつてセイバーのクラスとして参加した第四次聖杯戦争では 前アーチャーを除く、単独で五騎を相手にして勝利を収めた。 完全である神の力、世界からのバックアップを有するカルキはあらゆる障害に対して 有効な手段と方法で対処が可能であり、彼を排するのは世界そのものを破壊するに匹敵するほどの 力か、世界との繋がりを遮断させるしか手段はない。 なお前回では、原罪を取り込んだ聖杯の孔を破壊するために放った前アーチャーの『獄炎秘めし災厄の矢(アグネア)』 の余波から人々を守るために自身を盾にしたためである。 そのため、被害は街の一区画という極小へかなり抑えられ、役目を終えたカルキは次の戦場へと還っていた。 奇しくも、その戦場は10年後の冬木市であり、前回同様アインツベルンの参加者として闘いに身を投じるのであった。 バベル外伝 バベル本編の外伝。 息抜きのために書かれたギャグss。 本編とはうって変わって、セリフ主体のテイストで下ネタが多い。 主人公はアシュヴァッターマン。 ヒロインはイリヤとアンチキリスト。 なお、途中から本編とリンクした裏側の物語、The Tower, La Maison de Dieu backnight が始まる。 副題は花言葉で、それぞれ Taraxacum officinale 「真心の愛」、「思わせぶり」 Helleborus、「私を忘れないで」 である。 バベルZERO 本編の10年前、第四次聖杯戦争の話。 作者の悪い癖で、行き詰ったときに妄想して構想された物語。 コンセプトは昼ドラ。 始まりと終わりは原作と同じで、マスターに割り振られた鯖のクラスも同じ。 登場サーヴァントは以下の通り セイバー カルキ ランサー ベイリン アーチャー アシュヴァッターマン ライダー チンギス・ハーン バーサーカー ピサール キャスター エリザベート・バートリー アサシン キルロイ なお、本編、間章5において、最終決戦カルキVSチンギス・ハーンVSアシュの三つ巴 が描かれている。 また、当初はシグルドとブリュンヒルデが参加予定であった。 バベルの塔の狸 本作、皆鯖WIKIで連載されているss。 前作、FateMINASABA 23th 00ver連載時、登場予定のネブカドネザル2世が製作中であったため それまでの読みきりとして、中篇ssの予定で書かれた。 当初はソロモンVSニムロドVSマザー・ハーロットであった。 だが、書いてるうちに作者が本気で書き始めたため、長編ssとして連載が続くことになる。 コンセプトは鬱サスペンス。バッドエンド症候群に悩まされた作者によって気色の悪いテイストになっている。 主人公はニムロドと士郎。 ヒロインは桜と由紀香、マザーハーロット。・・・・・のつもり。 登場サーヴァントは以下の通り セイバー エルキドゥ ランサー アキレス アーチャー ニムロド ライダー マザーハーロット バーサーカー カルキ キャスター ソロモン アベンジャー アンチキリスト 前アーチャー アシュヴァッターマン ま行 埋葬機関(組織) 聖堂教会の切り札ともいえる吸血鬼専門の異端審問機関。 神への信仰は二の次で、ただ異端を抹殺する力さえあればよいという強面の部署。 メンバーは形式だけでもアデプトで扱いは司祭級、さらに特別権限を持つ異端審問員。 ただし彼らが形式的な異端審問をすることなどないので、単に代行者、または殺し屋とも呼ばれる。 メンバーの証として普段は見えない羽の生えた十字架(剣)の刺青を施す。そこに刻まれている数字が機関でのナンバー。 たとえ大司教でも悪魔憑き、異端ならば処刑する権限と実力を持っているために、教会でも厄介者扱いされている。 この機関こそ教会における異端と囁かれるのも当然だろう。 全吸血鬼の排除と因となる二十七祖の封印を目的とするが、もとは聖遺物の収集をしていた。 完全な実力主義制で、能力があり教会にとって都合の悪いモノを始末するのなら誰でも一員になれる。 ただし年功序列が根強い。 1位から7位の構成員と1名の補欠で構成される。 1位は代々ナルバレックで5位がメレム・ソロモン、6位がミスター・ダウンとその相棒(ミスター・ダウン単独では暫定6位) 7位がシエル。補欠は教会から優れた者をスカウトするが、審問のたびに死亡する為にめまぐるしく交代する。 メンバーには表立っては禁忌とされる魔術を好む者、捕らえてきた異端者を奴隷として扱う者、 近代兵器マニアや殺人快楽性となかなか飽きさせない人材が集まっている。 また、埋葬機関のメンバーはサーヴァントと渡り合うことができる(シエルは防戦レベル)。 今回の聖杯戦争は、聖堂教会において、最も忌むべきものであり、待望となる悲願であった 教義における終末が発生するとの情報を受け、渡航可能な総戦力を冬木市内に送り込む。 埋葬機関も例に漏れず、5位のメレム・ソロモン、6位のミスター・ダウン、7位のシエルが派遣される。 奇しくも同時期に、白翼公トラフィム・オーテンロッゼが何十年とかけて用意してきたアルズベリの儀式が 開始されたため、他の構成員はそちらに行っている。 彼らの冬木への派遣選抜の理由は、単にナルバレックの嫌がらせ。 間桐桜(人名/魔術師) まとう さくら。 3月2日生まれ。身長156㎝。体重46㎏。B85 W56 H87。血液型O。Eカップ。 第五回聖杯戦争におけるライダーのマスター。 穂群原学園1年生。弓道部員で、弓道は衛宮士郎の影響で始めた。 間桐慎二の義妹。今代(最後)の間桐の魔術師(候補)。マキリの聖杯の実験作。 遠坂凛の妹だが、十一年前に後継者がいない間桐に養子に出された。 髪を結んでいるリボンは凛が最初に作ったもの。 本来の属性(起源)は架空元素(虚数)で遠坂の魔術師としてならば大成しただろうが、 間桐の属性である水に変えられたために魔術師としては衛宮士郎なみ。 原作では刻印蟲に魔力を喰われるため、魔術の起動は出来なかったが バベルでは、感情が昂ぶった際に架空元素を起源とした『黒い影』の具現化ができる。 臓硯もその事実を把握していたが、冬木市の治安悪化による万が一の危険に備え、止むを得ず黙認をしている。 目も髪も遠坂の色ではなくなるほど初期(五歳くらい)に身体をいじられており、 その心臓には間桐臓硯の魂の器である本体が寄生している。 10年前に監視用および聖杯の器にするために、第四回聖杯戦争の最後で破壊された聖杯の欠片を触媒として 生み出された刻印虫を体内に植え付けられた。 その際にマザーハーロットとの結節点を取得し、自身の意思とは無関係に 周りの人間の理性を簒奪し、『黒い影』の侵食を続けていく。 また、魔道の伝承のために十一年前から性的虐待を受け、魔道とは関係なしにたびたび間桐慎二に暴行を受け、犯されている。 だが何をされようと隠そうとする。 間桐の魔術師にされたために魔術師の精がないと体が火照っておかしくなってしまう。 原罪など、より純度の高い呪詛を孕んだ聖杯の欠片とマザーハーロットの影響で 原作よりも感情的で不安定であり攻撃的。 彼女自身が、邪悪の呪詛を取り込んでいるため、負の感情に対する高い耐性を得ていたためと考えられる。 だが、絶えず微弱な呪詛を撒き散らすため、彼女の周りには悪辣なトラブルが耐えない。 仲の良い友人で、三枝由紀香、美綴綾子、衛宮士郎がいる。 聖杯戦争直前に、不良グループによる強姦事件の被害にあい、半日もの間輪姦され その後、座礁して海岸で体を休めていたところを間桐臓硯によって、半ば強制的に召喚の儀式を執り行い ライダーを召喚する。 彼女を呼んだことによって、体内の聖杯の欠片が活性化し、ライダー自身の禍々しい魔力と相まって 精神を病む。 そのため、苦肉の策として『溢れる邪淫(ルクスリア・チャリス)』 の力によって意識を混濁化させることによって 汚染侵食の緩和措置を取られた。 間桐慎二(人名) 身長167㎝。体重57㎏。 弓道部副主将。間桐鶴野の息子で間桐桜の義兄。穂群原学園2年C組。 ナルシストで天才肌。極めて自己中心的で自意識過剰な性格で他人を見下す。 弓の腕前はなかなか上手なのだが、本人は暇つぶしと言ってはばからない。 第四次聖杯戦争中は遊学の名目で国外に出されていた。 桜が養子に来たときは多少は苛めながらもかわいがっていた。 しかし間桐の後継者が自分ではなく桜だと知った時、 『生まれを憐れんでいたのは自分ではなく桜の方だった』と思い手酷い暴行を働くようになった。 だが、内心では桜を酷く恐れている。 魔術師としての才能はないが、一般の人間としての才能は多分にある。 それだけに魔術師としての才能がないことを気に病み、鬱屈していき、周囲の人間を見下すようになった。 間桐桜から流布される呪詛によって、徐々に精神を病んでいく。 精神の安定のためか、原作より女遊びなど派手な享楽を繰り返しており、精神科に通院している。 最後は、意識が混濁化した桜の妄言に、ストレスが臨界点を超え暴行する。 その折に、衛宮士郎に彼女の真実を話すと挑発したため、逆上した彼女に殺害された。 ら行 ライダー(人名/サーヴァント) 167cm・53kg 真名は不明。 マザー・ハーロット、「地上の忌むべき者や売春婦達の母たる、大いなる、謎めいたバビロン」。 「グレート・ハーロット(The Great Harlot="大淫婦"の意)」とも呼ばれる。 キリスト教における黙示録に出現し、もろもろの民族、群衆、国民、国語の上に立つ 人々を惑わす悪徳の象徴とされる美女。 『黙示録』によれば“悪魔の住むところ”であり“汚れた霊の巣窟”である。 女性の姿で表されておりきらびやかな装身具を身につけ、手に金杯を持つが、 その杯は姦淫による汚れに穢されているという。 大淫婦は殉教者の血を流すが、神のさばきによって滅ぼされるともいわれる。 新約聖書『ヨハネの黙示録』によると、終末の時、地上に邪悪な獣に跨って姿を現れる。 これ等には明確な名前が付けられておらず、その多くは謎に包まれており その為か多くの文献では黙示録の獣、あるいは666等として紹介されている。 バベル歴代において最悪のサーヴァント。 第四次聖杯戦争において、この世全ての悪(アンリマユ)・聖槍の原罪 そして、言峰による 「見よ。まことにわたし(神)は、新しい天と新しい地とを創造する。 先のことは思い出されず、心に上ることもない。だから、わたしの創造するものを、いついつまでも楽しめ」 という世界の終わりを聖杯に願ったことによる触媒によって、現世に召喚された反英雄である。 もっとも当初は、冬木の街に土着した現象的な形のないものであり 着々と人々の悪意を煽るなどの終末到来のための暗躍を行い、第五次において間桐桜によって召喚され肉体を得る。 正真正銘の邪悪な英霊。 本来は英霊に収まる霊格ではなく、神霊といった方が相応しい。 老若男女問わず誘惑し、堕落させ破滅に追い込む悪徳の華。 笑うと途端に邪気のない聖女のように清らかな表情になる。 宝具は『溢れる邪淫(ルクスリア・チャリス)』 と『黙示録の獣(アポカリプティック・ビースト)』 を有し 特にこの黙示録の獣は、赤き竜より同等の力と権威を戴き、次元違いの力を有する。 呪力の純度は、世界から供給される大源(マナ)と悪意によって大きく上限するが 龍種と同等の力も有しているため、単一でも生半可な英霊では太刀打ちはできず、 審判の日には、天を貫き、大地を腐敗させ、あらゆる生命を死滅させるほどの権威と力を得られるという。 また、彼女自身も「原初」の力を有しているとか。詳細は不明。 ランサー(人名/サーヴァント) 167cm・58kg 真名はアキレス。 イリアス叙事詩の主人公。プティアの王ペレウスと海の女神テティスの息子。 数多くの英雄が激戦を繰り広げたトロイア戦争において、最強の英雄としてその名を讃えられている大英雄。 生まれてから間もなく、母によって冥界を流れるステュクス河の水に全身を浸され不死身となる。 その際に、踵を掴まれていたために唯一の弱点となってしまったアキレス腱の逸話はあまりにも有名だろう。 トロイア戦争の時、アガメムノーン王がアキレウスの妻プリセイスを連れ去ろうとしたことで戦場から去ってしまう。 その後苦戦したアテネ軍からアキレウスに謝罪と参戦を請う使者が来て、 最終的には戦線に復帰し敵側の最強の英雄ヘクトールを倒す。 そして女神エオスの息子メムノンを殺し、トロイア軍を城市まで押し戻しスカイアイ門から入ったところで アポロン神により狙いを定められたパリスのはなった矢に弱点の踵を射られ、さらに次の矢を胸に受けて戦死した。 これにより両軍共に大黒柱を失った形になり、その後の戦局は混迷を極め 死後、アキレスの魂は英雄たちの楽園であるエリュシオンに迎えられたとも、 冥府でオデュッセウスと会見したとも言われる。 容姿は、金髪、碧眼、薄い唇の美男子で、剣、槍、弓矢の腕にも優れ、 さらに素手であっても、どんな敵にも勝てたという。 また、「足の速い」アキレウスとも呼ばれ、父から譲り受けた馬、バリオスとクサントスを除いて、 どんな馬よりも速く走れたといわれる。 バベル歴代で最速のサーヴァント。 名立たる英雄と、神々・幻想種があたりまえのように存在した神代において 無双を誇るまでに到達した無窮の駿足は、地に足を下ろしている限り、慣性の法則に縛られぬあらゆる制動を可能とし その速度は最高で、地球の自転速度に並ぶほど。 彼の願いは、自身の人生に後悔はないが、生前の若さゆえの浅慮な行動を恥じており、次の生を得たときは よく深く思慮し、強く正しい道を進むことを望んでいた。 時に厳しく、時には優しく接する、戦士としてもサーヴァントとしても非常に高潔で優れた人物であり 凛という最高のパートナーを得たことにより、此度の戦場においても輝かしい栄光が得られるはずであった。 だが、この歪んだ聖杯戦争において、彼の力は十二分に発揮することは叶わず 盾にされた凛を庇った隙をつかれ、アーチャーに腱を射られて敗北してしまう。 六道(用語) 六道(りくどう)とは、仏教において迷いあるものが輪廻するという、6種類の迷いある世界のこと。 すべての衆生が生死を繰り返す六つの世界。 迷いのない浄土に対して、まだ迷いのある世界。 地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道。前の三つを三悪道、あとの三つを三善道という。 仏教では、輪廻を空間的事象、あるいは死後に趣(おもむ)く世界ではなく、心の状態として捉える。 たとえば、天道界に趣けば、心の状態が天道のような状態にあり、地獄界に趣けば、 心の状態が地獄のような状態である、と解釈される。 なお一部には、天狗など、この輪廻の道から外れたものを俗に外道(魔縁)という場合もある (ただし、これは仏教全体の共通概念ではない)。 地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天。などのカルマに支配された六種の衆生が、 生命の輪廻の輪の中に表されている。 アシュヴァッターマンによって放たれた『獄炎秘めし災厄の矢(アグネア)』 ベイリンによって混入された『聖者の嘆き(ロンギヌス)』 の原罪 聖杯に眠るこの世全ての悪(アンリマユ) 第五次聖杯戦争に召喚されたアキレスとカルキを除くサーヴァント、守護者 聖杯降誕の地、冬木市と生命。 神と崇められる自然霊。 位階を別にする六道を揃え、然るべき手順と儀式を行った人間は この輪廻の輪を断ち切ることで解脱が得られるという。 これほどの純度の触媒と、聖杯を持ってすれば、確実に天上の神の座へと届くだろう。 ニムロドと臓硯は、最大の障害となる抑止力(閻魔)の目を逸らすだろう終末の日の中で 儀式を行う腹積もりである。
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/2491.html
【元ネタ】史実 【CLASS】アサシン 【マスター】 【真名】スピタメネス 【性別】男性 【身長・体重】180cm・78kg 【属性】混沌・悪 【ステータス】筋力C 耐久B 敏捷A 魔力C 幸運C 宝具A 【クラス別スキル】 気配遮断:A サーヴァントとしての気配を絶つ。 完全に気配を絶てば、探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。 【固有スキル】 反骨の相:A 一つの場所に留まらず、また、一つの主君を抱かぬ気性。 自らは王の器ではなく、また、自らの王を見つける事のできない放浪の星である。 同ランクの「カリスマ」を無効化する。 仕切り直し:A 戦闘から離脱する能力。 不利になった戦闘を初期状態へと戻す。 戦闘続行:A 往生際が悪い。 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。 軍略:C+ 一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。 自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。 友誼の証明:C 敵対サーヴァントが精神汚染スキルを保有していない場合、相手の戦意をある程度抑制し、話し合いに持ち込むことができる。 聖杯戦争においては、一時的な同盟を組む際に有利な判定を得る。 【宝具】 『聖火の狼煙(ソグディアン・リベル)』 ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人 ソグディアナの地で行った大規模反乱が昇華された軍勢召喚宝具。 霊脈上に岩山の城塞を設置し、それを基点として魔力を生成、軍勢を召喚する。 岩山は複数設置することが可能で、設置した数が増えるほどに軍勢の数も増していく。 ただし、岩山の設置それ自体に多くの魔力を必要とする上、岩山は聖杯戦争に関係ない一般人の目にも留まってしまう。 『悪行明かし記す万象(ラシュヌ・アヴェスター)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:1人 対象者が過去に重ねた悪逆非道を、対象者を襲う呪詛へと変換する宝具。 呪いの程度に応じて、パラメータや霊格を低下させる。 正純の神霊に由来する加護や能力を無力化する効果もある。 スピタメネスがアヴェスターに由来する宝具を所持しているのは、ゾロアスター教の開祖の子孫とする説がある為だろう。 【Weapon】 『アキナケス』 スキタイを起源とする刀剣。ペルシア人が良く用いたという。 【解説】 アケメネス朝ペルシアにおけるソグディアナの豪族。 征服王イスカンダルを2年間に渡って苦しめ、最も危険な敵だったともされる。 タジキスタンでは国民的英雄に比定されているという。 ペルシア王ダレイオス三世がベッソスに暗殺されると、彼の配下となる。 しかしイスカンダルとの戦いが劣勢になるとベッソスを見限り、彼の身柄をイスカンダルに明け渡して降伏した。 イスカンダルがシルダリヤ川方面へと向かうと、各地で燻っていた反マケドニア感情を扇動してソグディアナで反乱。 これに対しイスカンダルは配下のパルヌケスを鎮圧に向かわせるが、スピタメネスは敵を誘引して全滅させるという大勝利を収めた。 イスカンダルはこの敗戦を知って情報統制を行いつつ、スピタメネスを討伐せんと自ら軍を返す。 直接対決では勝ち目は薄いと知っていたスピタメネスは、スキタイ人やマッサゲタイ人と同盟を結びつつ、 ソグディアナ各地の都市住民を組織し、ゲリラ戦を展開する。 これに手を焼いたイスカンダルは、多くの軍勢を反乱の鎮圧に割り当てることを決断。 さらにスピタメネスに協力した各都市を徹底的に破壊し、住民を強制移住させることで反乱軍の力を削いだ。 各都市はイスカンダルの行いに反感を強め徹底的に抵抗したが、衆寡敵せず敗れ、マケドニアの暴虐に晒された。 スピタメネスは逆境の中でも奮戦したが、マケドニアの将クラテロスとの戦いで敗北を喫した事を切っ掛けに凋落していく。 そして、起死回生を期したコイノスとの戦いで激戦の末に敗れたスピタメネスは、味方に見限られ暗殺された。 暗殺の仕手は逃亡生活に疲れた妻だったともされる。 反乱はスピタメネスの死後も収まらなかったが、 有能なリーダーを失ったことで統制を欠いており、やがて鎮圧された。 【蛇足】 アヴェスターのオリジナルはイスカンダルがペルセポリスを焼き払った際に失われ、 以後ササン朝が編纂するまで教典は口承で伝えられた。 さらにイスカンダルはゾロアスター教を弾圧し、彼らから『マゴス殺し』と呼ばれアンリ・マユとも同一視された。