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ドクンドクンッ…… 朦朧と意識の中、何故か鼓動だけが嫌に大きく聞こえた。 体正面の皮膚全体に感じる懐かしいぬくもりは、眠りの神の抱擁、心音は子守唄とし て聖の五感を埋め尽くした。思わず、ぬくもりの対象をきゅっと抱きしめる。 (ぐぬおっ!?) (……んむ) 聖は朝が弱い。 元々表情が乏しく、表面上はいつもと変わらないため、その事を知っているのはみずき と父親くらいのものだが、朝起きる時はいつも四苦八苦するものだ。睡眠欲と理性の戦 いは常に理性が勝利を収めてきたが、その勝利は全て辛勝とでも言うべき代物である。 すりすり…… 彼女はいつものルーチンワークどおり、布団の中で丸まり、頬を布団にこすりつける。 (~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!) ほら、こうすれば、布団と頬の摩擦でだんだんと意識が……と、ここまで行動して。 (ん?) 聖はようやく、今の自分に違和感を覚えた。 ……今の体勢はうつぶせである。というか、起きた時からそうだった。寝相の悪くな い自分にしては珍しい事だが、まあそれは後で考えるとして。 うつ伏せならば、目の前にあるのは敷布団である。それを、何故自分は抱きしめて いるのか。ナニゆえ、布団にぬくもりがあるのか。 違和感はまだある。頬に感じる感触が、明らかに自分の布団のものではない。線香 の匂いが全くしないし、なんか生暖かくてジョリジョリする……人肌のように。 どくんっ、どくんっ…… 先程から子守唄代わりにしていた鼓動も可笑しい。何故、自分の体からではなく 敷布団から聞こえるのだ? 意識もさえてきたところで、聖はのっそりと目を開けて…… 『…………』 目が合った。 そこにいたのは男だった。そして、頭の回転が速い聖は、それだけで状況を把握 してしまった。 自分は今、男を全力で抱きしめている―― 長い。 長い沈黙の後に、聖はある結論を出した。 ……夢だこれは。 聖タン、一応首だけは風呂男から見える位置に出していたのを、カタツムリよろ しくもそもそと布団の奥に引っ込み、一言。 (おやすみ) (寝るなゴルぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!(゚Д゚)) 六道聖と波和風呂男。 二人が本日このやり取りをするのは、3度目である。 カタツムリみたいな動作に思わず萌えたのは秘密だ。 (夢じゃないからな。寝るなよ!) (……ん。わかった) 必死で言い聞かせる風呂男に、今度ははっきりと返事を返す聖。 三度目の正直という奴か、ようやく起きる→夢だと思う→寝るのサイクルを断ち切れ たことに、心底ほっとする風呂男であった。 ……正直、あのまま寝ぼけた行為を繰り返されたら、理性の糸がぷちっと切れてし まうところだったので。なにせ、起こしそこなった二回とも、同じように頬ずりした り胸押し付けてきたり抱きしめたりを繰り返していたのだ。幸い、股間の聞かん棒が 聖に接触するのだけは何とか防げたが…… (……お前、なんで布団の中で寝てたんだよ。帰ったんじゃなかったのか) (……わからない……あの二人が風呂云々言い出したところまでは……覚えているん だがな……) (は? それじゃ、俺が今のうちに帰れって言ったのは……) (……覚えてないな。多分……既に寝てたんだと思うぞ……) まだ寝ボケが脳に残留しているのか、聖の応答はいやに間延びしたものだった。 正しくは匂いと酸素不足で気絶していたのだから、分かるはずもない。そんな事は 知る由もない風呂男は、なんと肝っ玉の据わった女だと呆れた。 (はぁ……ったく……今となっちゃ出て行ってもらうわけにもいかねえしな。 悪いが、このまま朝まで一緒にいてもらうぞ) (……うん。わかっ……………………!!!!!!!!!!) (あいつら、明日の朝一番に帰ってくれるから、その時に……?) 肩越しに寝ている友人達の様子を見ていた風呂男は気付かなかったが、聖に劇的な 変化が起きた。思考回路が認識したある情報が、心臓をダイレクトに動かし顔面に血 液をかき集める。 暗闇のせいで顔は見えなかったが、明らかに体を硬くした聖に、風呂男は眉をひそめた。 いまさら恥ずかしがるような事でもないだろうに…… (な、な、な……なみわ、せん、ぱい……) 口から漏れる言葉も、小声であることを差し引いてもあまりに小さく、掠れている。 何が起きたのかわからず、風呂男は改めて問うた。 (どーしたよ。今更恥ずかしがってるわけじゃないだろ) (な、なんで……そんな格好をしてるんだ!?) (……あ) ぼそぼそとささやかれた内容に、彼はようやく、過去と現在の差異に思い至った。 そう……自分は今、ブリーフ一丁、上半身裸なのだ。服越しだった先程までと違い、 半裸の男と半裸の女の抱擁は、正真正銘恋人同士のスキンシップになってしまう。 (す、すまんっ……寝る時、いつもこの格好なもんで) (…………) 詫びて遠ざかろうにも、そうもいかない状況である。せめてもの心遣いに肩に手を置き、 少しだけ距離をとろうとした…… ぽんっぴしっ ……変な効果音になってしまった。 要するに、肩に手を置いた瞬間、二人が同時に硬直したことを示す音である。 風呂男が手のひらに感じるのは、ありえない、ありえてはいけない感触だった。 この、手のひらに吸い付くように柔らかな感触は、間違っても布越しのものではない、 直の感触。服を着ているはずの聖相手にありえていい感触ではなかった。 聖も触られた感触でそれに気付き、あわてて全身をまさぐった…… 見事にパンツ一枚すらない素っ裸だった。 全てを悟り、今の自分の状況を完全に把握した瞬間、 (…………っ!) 聖は縮こまった。風呂男の胸の上で。 怒るでもなく、怖がるでもなく、ただ、縮こまったのである。 (…………) (…………) (…………) (お、おーい?) それきり黙りこまれてしまい、状況と沈黙の板ばさみに耐え切れなくなった風呂男 の方が根を上げた。何でもいい、会話して気をそらさないと、理性の耐久度が限界を突 破しそうだった。 (六道? あのさ、そこで黙られると、俺もちょっとアレなんだけれども) (……剥いたのか?) 暗闇でもわかる明らかな疑惑の目線と形容しがたい圧力を受けて、風呂男は全力前回、 周りを誤魔化すことすら忘れて首を左右に振った。 沈黙の後にようやく口を開いた聖の口調は、これでもかというくらい張り詰めていて。 一切の思考を無視し、むき出しの感情が脳裏に浮かび上がった。 かわいい、と。 (……本当、だな?) 今度は全力前回で肯定。すがるような問いかけだった。 (し、下着だけならギコがとったのかも知れねえけど……さっぱり思い当たる節が ない(汗)) ギコは女物のパンツや下着が大好きだ。匂いその他は関係なく、単に肌触りのい い材質が好きなのだと言う事は分かっているのだが、なんと言うか変態臭い。 あまりに取られまくるので、しまいにゃ安物パンツしか履いてこなくなったとい う笑い話である。安物になったとたん見向きもしなくなって、彼女凹んだが。 二人は知る由もなかったが、聖は朦朧とした意識の中、あまりの暑苦しさに服を脱 いで下着姿になっていた。そこをギコ猫に襲撃され、素っ裸になったわけだ。布団の 中をまさぐればすぐに見つかる位置に制服が丸まっているのだが、二人がそれに気付 くはずもない。 (だとしたら、もう下着はあきらめろ。引き裂かれてあいつの寝床の下に敷かれてん だから) (…………本当に、先輩じゃないんだな?) (当たり前だ。そんな事する位なら、とっくの昔に襲ってる) 実に説得力のある言い様だった。パワーがないとはいえ、波和の腕力なら聖くらい 簡単に押さえ込めるだろう。 (そ、それじゃあ……信じる、が……) 全身に感じる皮膚の感触に、聖は平静を保つことが出来なかった。そこにあるぬく もりが、異性のものであると分かってもなお、安堵感を覚える自分を見つけたからだ。 久しぶりだった。こんな風に、男の人に接触するのは。変な意味ではない。聖の父 親は寺院の本山を取り仕切っているために、仕事に忙殺され聖との家族の時間が少な かった。 愛情は惜しみなく注いでもらったが、それでも寂しかった。母親が子供の頃に早逝 したのもあり、こんな風に抱きしめられたのは小学校の入学式以来だろうか。 手を繋いだ記憶すら、薄れている。 (……と、とりあえず、体勢変えよう。な?) 風呂男の言葉に、聖は首だけをコクンと動かして、同意した。重力に押し付けられる 聖の体は柔らかく、これ以上耐えられそうになかったのだ。 これが風呂男の上ではなく、横ならば少しは『マシ』になるだろう、安易な予測の元、 聖はゆっくりと風呂男の上から、矢部達が寝ている方向の反対側へと降りていった。 降りたのはいい。だが、降り方が拙かった。 くちゅ ((……!!!!!!!!!!!!!!!)) 二人の動きが、布団の中で止まった。 聖と風呂男、二人が全く同時に、全く同じ場所に対する刺激に耐えかねたのだ。 その場所とは……股間。 位置的にギリギリだった風呂男の何と聖の秘貝が、とうとう接触してしまったのだ。 (く、くぬうううううううううっ!) ただでさえ追い詰められている息子を刺激され、決壊しようとする精巣管を、 風呂男は執念で何とか繋ぎとめることが出来た。その頭にあるのは、こんな状況に 置かれる聖に対する罪悪感と、そんな少女を傷つけてなるものかという二つの感情のみ。 もはや、後ろにいる友人二人のことは、完全に意識の外である。 感触からして、相当な量の先走りがあふれていたようだった。そんなものを押し付 けられた少女の恐怖はいかばかりか。考えるまでもないと風呂男は思った。 現に、風呂男の竿が触れた瞬間、聖は体をこわばらせた後、放心状態になっている ではないか! (わ、悪い……大丈夫か?) (…………) 何とか暴発を押さえ込んでから問いかけるが、聖からの返答はなかった。 恐怖で動けないのか……風呂男は勝手にそうと決め付けた。決め付けて、聖の体を 抱きかかえようと手を動かす。下心はなかった。ただ、聖の体を予定通り自分の上か ら動かそうとしただけである。 それだけだったのだが……聖の反応は、風呂男の予測の斜め上を錐揉み回転していった。 聖の体を抱えるための手が、聖に触れたその瞬間、 (はぁ……はぁ……) 聞こえてきたのは、聖の口から漏れる色情を含んだ濡れた息。 聖は自分の手のひらに反応することなく、なすがままに横へと下ろされる…… その過程でようやく、風呂男は自分の認識と現実の誤差を知った。 ――放心状態になっているにしては、脱力の度合いが酷すぎた。ほぼ手のひらには 多量の汗が付着し、ブリーフの感触も可笑しい。そっとそちらに手を触れてみると、 シミは先走り以外の液体で、外側から浸透していた。酷く粘度の高い、愛液だった。 まさか。今ので…… 感じてしまったのか? ブリーフ越しにこすっただけで? 聖の名誉のために言っておくが、これは仕方のないことである。 彼女は男性に対して体制がなく、こんな異常な状態など考えたこともない。父以外 の男の裸など見たこともないし、それも子供の頃の事、抱き合うなどもってのほか。 オナニーもあまりせず、性欲は主に運動で発散させるタイプだ。 その上、汗という男性フェロモンを窒息しかねないほどにかかされ、体の芯から火 照っていた……ここまで条件がそろえば、仕方がないだろう。 (――っ!) (んぅっ……ふあぁっ) 続いてもれた鼻にかかった吐息が追い討ちになり、風呂男の意識の底にあったダムは、 轟音を立てて決壊した。せき止められていた欲望の勢いはすさまじく、その勢いは行 動にも反映された。 暗闇の中、すばやく聖のあごに手を当てると、くいと上を向かせ…… 「――!」 驚く聖の双眸を見つめながら、その唇を貪っていた。聖が何かを言っているのが舌 越しに分かるが、風呂男はそんなものは黙殺した。こわばり、動こうとする体も、力 づくで黙らせる。 歯の裏側、歯茎、頬と歯の隙間……風呂男の舌が口内のありとあらゆる場所を蹂躙 するに従い、抵抗する力が抜けていった。まるで、唇から力を吸われているかのように。 そもそも、それほど激しく抵抗しようとしていたわけでもないのだ。女性を神聖視 する馬鹿は無視する事が多いのだが、女性にも性欲はあるのだから。 窓からもれるほんの僅かな街灯の明かり、闇に慣れた視界に、蕩けた双眸で震える 彼女の姿がおぼろげに見える。 その瞳を見つめながら、風呂男はようやく唇を離した……唾液で舌と舌がつながり、 きらりと光る糸を紡ぎ、切れる。 (……悪い。もう我慢出来そうにねえ) (はぁ……はぁ……) 詫びながら、風呂男は手のひらを聖の胸に当てた。胸板の上にほんの僅かな脂肪が 蓄えられ、辛うじて括れが分かるほどのささやかな胸だが、不釣合いな程の弾力が指 を押し返してくる。 むにっむにっ…… 「んっ……んんんっ」 弾力を楽しむように、ゆっくりと揉みしだくと、聖の細いからだが細かく震え、 あえぎをかみ殺すも、うめき声が閉じられた唇を掻い潜って風呂男の耳朶を叩いた。 (鼻で息しろ) 風呂男の中に残った最後の理性が、聖に声を上げられる危険性を悟り、唇で唇を塞ぐ。 口をふさがれ、聖が言われたとおりに鼻で呼吸を開始すると、少々騒がしかった室内は、 いっそう静かになった。 布ズレの音も、矢部たちを起こすには至らない。 胸を揉んでいた指先が、乳首に触れた。痛々しいほどに硬く隆起したそれを、人差し 指と中指ではさみ、刺激を加えていく。掌で揉み、指先で乳首を嬲られて、聖の快楽の ボルテージはグングンと高まっていった。 闇で何も見えないが、聖が興奮していることは鼻息と、ディープキスに応じる舌の動 きで分かる。唾液を送り込めば喉を鳴らして飲みこみ、下を絡めれば絡め返してくる。 (……俺、何やってんだ?) 快楽と欲望に押し流され、暴走状態の風呂男の脳裏に、嫌に冷静な声が響いた。 全くだと、風呂男は思う。不本意に自分のベッドに引きずり込まれた少女を、暗闇を いい事に無理やり犯すなど、犯罪者の所業だ。 ……深遠な接吻の時間は、唐突に終わった。 風呂男が、唐突に接吻を切り上げたのである。聖が違和感を感じるまもなく、力強い 抱擁を受けた。お互いの口元がお互いの耳元に寄せられ、風呂男の唇から音が漏れる。 (……なあ、何で抵抗しない?) 何を今更、と風呂男は己を嘲笑った。自分のような目つきの悪い男にこんな行為を されたら、誰でも萎縮するに決まっている。抵抗するなど、考えもしないだろう。卑 怯者が己の醜悪さを確認するだけの愚問だと、風呂男は思う。 きっと、聖は何も答えようとしないだろう。 (…………) 短い問いに、短い間を空けて、短い答えが返された。 ささやかれた言葉の内容は、風呂男の予測とは大きく食い違った代物であった。 (……これで、許してもらえるのならいくらでも) 冷や水を浴びせかけられたというのはこの場合当てはまらないだろう。 液体窒素をぶっ掛けられたの方がしっくり来る気がする。それほど、風呂男の内心 の変化は劇的だった。色情と激情と欲情……彼をこのような行為に駆り立てた全ての 煮えたぎる感情が、一瞬で冷めた。 なんと言う事はない。彼女は自分と同じ状況に立たされながら、情欲に流されるこ となく、野球の事だけを考えていたのだ。先日の試合、それに伴う罪の意識で、恥辱 に耐え切った……それに比べて、自分はどうだ。 野球の事などすっ飛ばして、欲情しっぱなし。ささやき戦術云々以前に、どちらが より真剣に野球に取り組んでいるかは自明の理だった。 (あ、あーっと……悪い。なんか、付け入っちまったみたいで) (……え?) いきなり聞こえた謝罪の言葉に、聖は目を丸くして驚いた。彼女としては、むしろ 詫びるべきは自分のほうでだという意識があり、謝られるなどとは思っても見なかっ たのだ。 (……悪いも何も……気にしていないぞ) (そ、そうか?) (ああ……そ、それよりも……) 聖は相手の首筋に唇をしつけると、消え入るような声でささやいた……暗闇でも感 触でわかる程に体を火照らせた少女の、当然ともいえる要求だった。 (このまま放っておかれるほうが……つらいん、だ……) 燃え上がるだけ燃え上がった聖の情欲は、今更引き返せる状態ではなかった。むしろ、 いきなり謝罪などされて放置された事で、かえって燃え上がり、忍耐心の許容限界を あっさりと超えてしまったのだ。 風呂男はそのささやきを聞き、思った。 かわいい。 この女をもっと喘がせたい。 思考と行動が直結し、行為が再開される。 風呂男は唇に吸い付き、胸を嬲っていた両腕のうち、右腕だけを下腹部へ移動させ ていった。指先が、腹部をなぞり、へその周りで円を描く。そして…… くちゅぅっ (…………!!!!) 湿った感触と、唇に感じる悲鳴。 少女の秘所に達した指先に、熱く湿った感触が感じられる。風呂男は触感だけを 頼りに膣内に挿入しないよう、ゆっくりと丹念に膣の周りを嬲りまわした。 (っ! っ!!!!) 指が敏感な場所に触れるたび、聖の体は面白いほどに反応した。撫でれば震え、 つつけば戦慄き、こすれば唇が震える……状況が違ったら、もっと激しい反応をした かもしれない。 風呂男の指に呼応するかのように、聖の秘所はダラダラと涎を垂らす。ほしいほしいと、 はやく頂に逝かせてくれと、むき出しの欲望を、聖の変わりに叫んでいるようだった。 感極まった涙が、聖の涙腺からあふれて風呂男の目に映る。潤んだ双眸は冷えていた 風呂男の欲望を再燃させ、唇が、指先が、その熱を原動力に激しさを増した。 唯でさえ追い詰められていた聖に、その攻撃に耐えれる筈もなく。 (…………っ!!!!) 絶頂に達した聖は、大きく体を戦慄かせて、その場に跳ね上がった。 跳ね上がって、しまった。 どすんっ!! 鍛えられた聖の体が全力で動くとどうなるか、考える必要もなかろう。彼女の動きは 大きくベッドを打ち、静寂に包まれた室内にぶしつけな騒音を撒き散らす。 風呂男が押さえる間すらなかった。というか、聖の体を嬲るのに夢中で、音に神経を 配る必要性をすっかり失念していたのだ……両手共に愛撫に使っていたのがいい証拠だ。 ぎくりと、二人の燃え上がっていた欲望が凍りつき、己の置かれた状況を思い起 こさせていた。 (や、やばい! 今ので二人が起きたら――!) (……私に任せてくれ。考えがあるんだ) (……何する気だよ?) (大丈夫。きっとうまくいく) おおよそ、人間にとって真の暗闇というのは恐怖の対象である。 最も身近な例を挙げるなら、目を瞑る、という行為が上げられだろう。なんでもない だろうと感じる人がほとんどだろうが……そう言うのならば、各々方目をつぶったまま 家の外を散歩する姿を想像してみてほしい。 考えただけで不可能だと思うことだろう。ここで言う真の暗闇とは、視覚を完全に 奪われ、うっすらとすら見えない状況、という意味である。 元々日当たりがいいほうではない上に、夜の世界にわずかな光をもたらす月を、 分厚い雲が覆い隠しているから、外の闇は人の住まう場所とは思えないほどに深い。 辛うじてさす外灯からの灯りと闇に慣れた目、双方がそろうことで、ようやく家具 の輪郭が見える。家具の輪郭が。それが、今の風呂男の部屋の状態である。 先入観というものは、人の思考を麻痺させる最低最悪の毒である。 野球においてもそれは言えることで、相手のこういうところはこうだ! という決 め付けは、裏をかかれたときに致命的なミスを生む。 たとえばフォーム。相手のフォームは一定の間だと決め付けてバッターボックスに 入ってしまうと、相手がクイックモーションで投げてくると反応できない。打者のタ イミングをずらすという意味もあるが、先入観がなければ対応のしようもあるのだ。 さて、遠まわしに遠まわしが重なったが、ようやくここからが肝心の本題。 強固であればあるほど厄介な障害として、人の前に立ちはだかる……今矢部達の目 の前に立ちはだかっているのもそれだ。 障害っつーか、ぶっちゃけただの勘違いなわけだが、順を追って説明しよう。 寝た→騒音を聞いておきた→風呂男を見る→風呂男の布団から頭がもう一個出ている。 ここで重要なのは、二人の先入観。『この部屋には三人しか居ない』という思い込み。 ある程度の違和感すら、風呂男が日頃混乱したときに披露する奇行という先入観に誤魔 化されいたので、当然のことではあるのだが…… 三人しか居ないはずの部屋に居る四人目。二人目の思考の迷路をさまよった先に行き 着いたのは、間抜けな誤認だった。 (な、な、な、な、生首ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!?(TдT)) (季節はずれの幽霊到来でヤンス~~~~~~~~~!!!!(TдT)) ……マヌケと言うなかれ。先述したとおり風呂男の布団はかなり分厚い羽毛布団であり、 聖くらいに細身ならば大して見た目が変化しない。暗闇ならばなおさらだ。 生首が下でも横でもなく、天井を見上げていたのも、誤認に拍車をかけている。 (だ、大丈夫だっ! 多分、目の錯覚だ!) (そ、そうでヤンス! 早く電機をつけって他化しか免穴七名) (落ち着いてください矢部さん!!) 軽いパニック症状を引き起こしつつ、二人は寝袋を出ようと行動を開始した。 パワプロ男危うし! 漫画であれば、そんな見出しがつきそうな展開なのだが、 生憎と彼らは文字通り『動』を『行う』事が出来なかった。 ピクリとも動かない二人。衣擦れの音すら聞こえない状況に、二人はお互いの顔を 見合わせる。 (あの……矢部さん。なんで動かないんッスか?) (……それはこっちの台詞でヤンス) (……ひょっとして、矢部さんも?) (も……? もってまさか……猛田も?) (…………) (…………) 小声で会話し、見詰め合うこと数秒。予想の中にはあったものの、怖くて無視し 続けていた答えを直視してしまい、二人は心の中で叫びをシンクロさせた。 ((か、金縛り~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!(TдT))) んなわきゃあない。 一般に金縛りのメカニズムとされる『脳が覚醒しているのに体がそれに追いついて いない』状態にあるだけだ。帝王実業の過酷な練習と、17、16歳という金縛りの おきやすい年齢等、偶然が重なって出来た必然であり、心霊現象では断じてない。 ……追い討ちとばかりに、布団から生えていた首が矢部達の方に向いた。 (ヤンス~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!) 暗闇なので顔の造詣はわからないが、相手が女だということ位はわかるが……彼等の 今の心持をたとえるなら、風船だった。恐怖という空気が次から次へと膨らんでいく、 風船だ。風船は、空気を入れ続ければ割れるものだ。 その風船に対する、針の一突きが聖の唇から放たれた。 暗闇でも明らかにそれとわかる程に、唇が動いたのだ。そこから読み取れる言葉は…… 『シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシ ネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシ ネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ シネシネシネ』 『…………ぐふっ』 疲れもあったのだろう。元々聖が表情が分かり辛いのも幸いしたのかもしれない。 だが。 それらの原因を差し引いたとしても、あまりにもあっけなく。 矢部と猛田は、その意識を手放してお花畑の向こうへと旅立っていった。 「終わったぞ♪」 「鬼かお前は」 恐怖のあまり気絶した二人の姿に、脊椎反射で風呂男が突っ込んだ。白目むいて突っ伏 した姿を見ると、幸い、二人とも寝る前に便所に行くタイプだったので、失禁はしていな いが……冗談で済ませるにはあまりにも性質が悪かった。 しかも、なんか鼻歌でも歌いだしそうなほどに上機嫌だし。 「うれしそうだな」 「子供のころから、こういう驚かせる役所は好きなんだ」 「子供の頃?」 「家が仏閣でな。そのせいで、肝試しの時なんかはいつも驚かせる側に回されてた。野 球より暦が長いぞ」 「はぁ、さいで」 なんとコメントすればいいのかわからない。特に、野球より暦が長いというあたりが。 「お前、こいつらが動いたら、どうするつもりだったんだ? 流石にばれるぞ」 「問題ない。二人とも金縛りに会っていたからな」 「はぁ?」 「私は、金縛りにあってる人間とそうでない人間の区別がつくぞ」 無意味にない胸を張るひじりんに、風呂男思わず脱力。流石仏門の娘、とでも言わ れたいのか? ちょうどいい具合に脱力が股間にも伝わって、マキシマムな機関銃は、しおしおと 収縮していく。出来れば一発抜いておきたかったが、罪悪感で身をゆだね少女の純潔 まで奪うのは、気が引けた。 「……六道、とりあえず、トイレに行っててくれ」 「?」 「こんな真っ暗じゃあ、着替えられねえだろ。トイレなら何とか着替えられる」 ドアを開けると、ひんやりとした風が頬をなぜた。つい先程絶頂に達し、火照った 体にその風は心地よく、思わず立ち止まり、風による愛撫を堪能してしまう。 今の聖の服装は、制服のスカートに上着は男物のジャケットという、ちぐはぐなもの だった。下着はギコ猫の寝床からサルベージし、何とか無事だったのはパンツだけ。 残念ながらブラのほうは再起不能だったので、只今ノーブラだ。 「それでは先輩、世話になった」 振り返って一礼する聖に、風呂男は眉をひそめた。例を言われるようなことはして いないし、ここで聖を放り出すほど無責任な事はないという自覚もある。思わず、先 程聖にかけた言葉とその返答の数々を記憶の底からサルベージしてしまった。 『……本当に、送っていかなくていいのか? 自転車あるから駅まで送ってくぞ』 『先輩もしつこいな。必要ない。一応、最低限の護身術は学んでいるからな』 『つったってお前……最終に間に合うのかよ』 『間に合わなかったらタクシーでもひろうさ』 『……せめて、金くらいは出させろ。服代も含めて』 『金欠なんだろう? 無理しなくていい』 と、万事が万事この調子である。強姦まがいのことをしてしまった風呂男としては、 いたたまれないことこの上ないし、第一…… 今ここで別れてしまったら、風呂男と聖の接点は消滅し、もう二度とこのような 機会は訪れないだろう。それこそが、風呂男がしつこく聖に声をかける理由だった。 罪悪感をはじめとした理由などは二の次だ。 (いかん、完璧に惚れた) 女の子としても、野球に全てをつぎ込む同類としても。 たった一晩で、風呂男の中の六道聖は大きく成長し、かなりのウェイトを占め始 めている。 発覚と同時に縁の切れる恋など、冗談じゃない。 「そういえば」 どうせなら見苦しく足掻いてやる……そんな決意に相応しく、風呂男がふった話 題は素敵に不自然で唐突な代物だった。歩き出す聖に無理やり並んで、 「お前、試合の事で仕方がなかったとか言ってたな」 「……? ああ、言ったが」 いきなりの問いに反応が鈍い聖に、風呂男は同行の拒否を封じる意味も兼ねて畳み 掛けた。告白して受け入れられるはずもなし、可能な限り会話を長引かせてやるという、 かなりやるせない方針である。 「あれ、どういう意味だったんだ? こう言っちゃなんだが、お前さんがあんな方法に訴えなきゃならんほど追い詰め られる理由なんぞ、思いつかないんだが」 「……最初と違って、随分と私達を評価してくれてるな」 「さっき抵抗しない時点で見直してるよ。 ……嫌でしょうがなかったんだろ。あんな方法」 この問いに、聖は答えなかった。答えなくとも、ここに至るまでの経緯を思い出せ ば容易に想像がつく……生半可な罪悪感では、あんなシチュエーションに耐えられる はずがない。 変わりに帰ってきたのは、『理由』に関する事であった。 「……みずきの事はしってるか?」 「サイドスローの女投手。お前の相方だろ。 あのシンカーはかなり打ちずらいぞ」 「うん。ありがとう。 みずきの祖父が、聖タチバナ学園の理事長でな」 「……そいつは初耳だな」 「理事長は、みずきが野球をやるのに反対なんだ。正確には、甲子園へ行く事を条件に、 高校の間は容認しているんだが、周りの人間がそれを勘違いしたんだ」 「周りの人間が?」 「そう。正確に言えば、理事長に取り入ってゴマ擂りたい輩が、学園の上層部にいたんだ。 そいつが勝手に野球部にある通達をしてな。 『帝王に勝てなければ廃部』と」 「……はぁ、それでか」 「まあ、結局その輩は理事長に勝手な行動を知られて、学園から追い出されたわけだが。 なにせ、理事長に野球を容認させる交換条件がアレだから」 「……聞くのが怖いな。お前らをそこまで追い詰める条件」 「『甲子園にいけなければ、理事長の決めた相手と結婚する』だそうだ」 どんなとんでも条件かと身構えていた風呂男は、その内容に呆れた。規模ではなく、 その対象の小ささについてだ。なんと言うことはない、以前の試合のあの滅茶苦茶なさ さやき戦術はたかが一人のピッチャーのために、チームが一丸になったという結果だっ たのだ。結果至上主義の帝王実業では絶対にありえない事態だ。 「それが理由かよ」 「ああ。あの試合、あれほど空しい勝ち試合は初めてだった。全員がそう言っていた…… みずきも含めてな」 むしろ、一番悔しがっていたのがみずきだった。第二の早川あおいを目指す彼女から すれば、実力以外で勝ち取った勝利など屈辱でしかないのだから。 風呂男の位置からは聖の顔はうかがえない。みずきを直接知らない。いや、聖タチバ ナのメンバー自体を知らない。知らない以上、その悔しさが分かるはずもないのだ ……帝王実業ならあくまで正攻法で乗り越えようとするだろう。 「……じゃあよ」 気がつけば、風呂男の心に欲情などかけらも残っていなかった。そんなものは、 聖の言葉を鼓膜に捉えるにつれて、冷めきっていた。 今の彼は、恋愛感情にどぎまぎするヘタレではない。 帝王実業監督や友沢をして一目置かせ、打率9割を誇る名アベレージヒッター。 野球馬鹿の、波和風呂男であった。 「リターンマッチすりゃあいいじゃねえか」 この言葉に、風呂男の前を歩いていた聖の足が、止まった。 「今度は、公式試合じゃなくて、練習試合でだ。 俺等は先の雪辱を、お前達は今度こそフェアプレーを…… お互いの需要と供給が一致してる。簡単な話だ」 「……だが、そう簡単には」 「いけるさ」 風呂男は断言した。根拠のない去勢ではない、彼には確信がある。 「監督の性格から言って、あんな手段で負けたまま引き下がる筈がない。 そっちの都合さえつけば、後はとんとん拍子に話が進む」 「…………」 「何黙ってんだよ」 「本当に、試合をしてくれるのか?」 あんな無礼な真似をした自分達を? 不安げな聖の声にこめられたニュアンスを 読み取り、風呂男は鼻で笑った。 「何言ってやがる。 野球馬鹿が野球するのに理由が要るのかよ」 風呂男の胸にあったのは、色情ではなく歓喜。 この上なく軽蔑していたはずの相手が、己と同じほどに野球に打ち込むライバル へと変わった事に関する、喜びの情念。 聖は、無言だった。 無言で、駅への道程を歩き続ける。風呂男は無言でその場に立ち止まり、彼女の その背中を見送った。 いや、立った一言だけ言い放った。 「楽しみにしてるぜ」 さて、ここで流れも何もかも豚切りして、ある問題を出そう。 溜まっている上に、散々オナニーして寸止め状態を繰り返した男が、その直後に 寝るとどんな悲劇が訪れるのか、という問いだ。 答えは…… ぴよぴよぴよ…… テンプレートでもあるのか? と聞きたくなるほどに典型的な小鳥の囀りが聞こえる。 日当たりが悪いために中途半端ながらも、窓からこぼれる日差しは明るく、室内に朝 の到来を告げていた。 典型的な、波和邸における朝の情景である。矢部と猛田の二人は、代わり映えしな いバックミュージックと、変わらない光景の中で目を覚ます。 唯一常と違うところがあるとすれば、二人の顔色だろうか…… 『……眠い』 全く疲れが取れていないご様子である。そりゃそうだ、一晩中気絶してただけなん だから。 「なんか、凄く怖いものを見た気がするでヤンス……」 「あ゛あ゛ー……ホントッスねー……」 都合のいい事に、前夜の記憶は吹っ飛んでいるらしい。内側から寝袋を開け、馴れ た手つきでタオルケットと一緒に畳んだ後、所定の場所へ戻しておく。 それから、朝の弱い家主を起こすべく、ベッドへと視線をやり……そこでようやく、 気がついた。 そこに家主がいない事と、洗面場から聞こえてくる水音に。 しかも、 「もるすぁ……もるすぁ……ゆめみるあんでぃさん……おっさんですかしゃあですか…… あっははははははは……(*゚∀゚)」 ファビョッた上に、なんか混ざった変な歌が聞こえてくるし。 (あ、朝っぱらから何事でヤンスか~~~~!(´д`;)) (波和さん、又壊れたのかよ!(´д`;)) さわやかではない朝の目覚めと不気味な歌声に欝入る矢部と猛田だったが、 彼らはある意味で勇敢で、残酷で、愚かだった。 二人そろってゆっくりと、息をそろえて洗面場に向かい、開けっ放しになっている 扉から、内部を伺ったのである。 彼らは、その行為を後々まで後悔する事になる。 風呂男は、洗面台で何かを洗っていた。裸で。 匂ってくるのは、石鹸とイカのかをり。 洗っているのは、彼愛用のブリーフ。 股間の隙間に見える彼のマグナムはだらしなく垂れ下がり……ホットカルピスに 片栗粉まぜたよーな液体がこびりついている。 そして思い出す。前夜彼が言っていたこの言葉。 曰く『夢精しなかっただけマシ』 ……どう見ても夢精の後始末です。本当にありがとうございました。 彼ら二人のその後の行動は、優しかった。 無言でその場を後にし、無言で荷物をまとめ、無言で冷蔵庫の中のカロリーメイト と牛乳を服用し、 「じゃ、鍵は郵便受けに」 「行ってくるでヤンス」 とだけ言い残し、その場を後にした。 それがせめてもの、男の優しさというものであった。 彼らは漢だった。間違いなく。 「もるすぁ……もるすぁ……もるすぁ……もるすぁ……もるすぁ…………もるすぁ………… もるすぁ…………もるすぁ…………(T∀T)」 後には、『寝る前に放出しとくんだった』と後の祭り的思考を体現した馬鹿だけが 残されたという。 その日風呂男は、部活だけではなく学校そのものを休んだ。 翌日、復帰してきた彼は今まで以上に鬼気迫る勢いで練習に取り組み、とうとう レギュラー格の座を射止める事になる。巻き込まれた部員が翌日休むほどの執念に、 監督や友沢達は目を丸くしたが、真相を知る二人はその口をシャコガイの如く閉ざし、 他言しなかった。 彼らは漢だった。間違いなく。 俺には、神がついている。野球の、バッティングの神様が。 波和風呂男は、己のバッティング技術をそう評価し、奢っていた。 おごりがなくなった今そうは思わない。思わないが…… この日、風呂男は確かに自分には神がついていると思った。 それは、バッティングの神様ではなく…… きっと、可愛いくせに無表情で、とても野球が好きな、疫病神なのだろう。 そんな疫病神になら、取り付かれてもいいかもと、俺は…… ……ごめんなさいすいませんあやまりますなんどでもあやまりますからどげざもつ けますからからもう今回みたいな事態は勘弁してつかぁさい(T∀T)
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俺には、神がついている。野球の、バッティングの神様が。 波和風呂男は、己のバッティング技術をそう評価し、驕っていた。 おごりがなくなった今そうは思わない。思わないが…… この日、風呂男は確かに自分には神がついていると思った。 それは、バッティングの神様ではなく…… 汗腺から水分が分泌され、肌を伝って落ちる。皮膚の表面、 その真下にある空間が水分で満たされて、外部に押し出されるのを感覚で感じる。 本来なら一瞬で終わり、実感として感じることの無い感覚を、波和風呂男は味わっていた。 極端な酷使に悲鳴を上げる筋肉、過重労働に苦痛の声を漏らす骨格、未だに訪れない安息 の時を求め、脳細胞からこだまする抗議の声。 それら全てが心地よいと感じるような、危険な状態になるまで、風呂男は素振りを続けていた。 周りでそれに付き合っていた連中はとっくの昔にダウンして地面に倒れこんでおり、生き残っ ているのは猛田ただ一人。その猛田も意識視線共に朦朧としており、いつ倒れてもおかしくな い状態であった。 それでも、風呂男は振り続ける。 安定した打率と正確なヒッティング……自分の最大の武器はそれだけだと認識している故に。 集団で素振りを開始し、最後の一人になるまで続けるという狂った練習。 本来なら、鍛えられた猛者が倒れるようなオーバーワークは控えさせるべきなのだろう。そ う指示を下すべき立場にある監督は、ただ黙ってその光景を眺めているだけ。 仏頂面で、内心の笑みを覆い隠しながら一人ごちる。 (面白い化け方をしたな) 一ヶ月前……公式大会で聖タチバナ学園に敗北するまでとは豹変した波和の様子が、監督に とっては喜ばしかったのだ。散々だったあの試合で得た、数少ない収穫といっていいだろう。 以前の波和は、『バットが勝手に球に当たってくれるのさ』とのたまい、ろくに練習もしな い男だった。投球の自動追尾とも言える無意識のバットコントロールの上に胡坐をかいていた というわけだ。 まったく練習をしなかったわけではない、特に長所のバットコントロールについては熱心に 練習していたが、それ以外の練習……特に守備関連の練習は手を抜きまくっていた。おかげで この男、守備は小学生以下というレッテルを貼られていたほどだ。ミーティングには一回も出 ず、自分の技術を他人に教えようという意気込みがまったく無い。 なにより、執念というものが感じられない、文字通り『技術だけ』の選手だったのだ。 それが、今はどうだ。 自ら率先してミーティングに参加し、野手全員の素振りを指導し、積極的に己の技術を仲 間に伝えている。 (この覇気、あなどれんな) 闘志とでも言うべきものが、波和に加わった。守備もレベルが低いながら、何とか人並み以 下程度には(以前はそこにすら達していなかった!)成長していた。 たったそれだけなのだが、監督は笑いが止まらない思いを味わう。 もし、この先この男がこの調子でスタメン入りし、帝王を支えることになるならば……帝王 実業は確実に甲子園を制覇するだろう。 幸い、この男のポジションであるサードは確固たるレギュラーがいない。 (帝王は、もっと強くなる!) 確信。 似たものでもはない、確信そのものが、監督の胸中にひしめいていた。 とはいえ…… 「モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モ ルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっ スァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァ ッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ! モルっスァッ!」 「も、もるすぁ……もるすぁ……もるすぁ……もるすぁ……もるすぁ……」 「声が小さいぞ猛田ぁっ! 後、声に覇気が無ぁぁぁぁいっ!! もっとこう、『面白いからって頭にマッサージ器を当てられ散々遊ばれた挙句気持ち悪いか らってチョップされて真横に吹っ飛ばされた壊れたファービー』の如き怒りを込めろぉっ!!」 「も、もるっすぁっ…………もるらするぁぁっ」 あの妙な掛け声だけはちょっといただけないが。 というか、なんなんだその具体的なイメージは。貴様の言う壊れたファービーには、今の猛田 のほうが近いと思うぞ? ってか、猛田よ。お前はそろそろギブアップしとけ、目とか呂律とか 色々ヤバイ。脳裏をよぎった突っ込みを黙殺し、監督は嘆息した。 このごろ、『壊れファービーバッティング』と呼ばれている風景……はじめられてから一ヶ月 たったが、周りの人間は明らかに引いている。 「……監督」 「ん?」 呼ばれて監督が振り向くと、友沢が久遠を引きつれてそこに立っていた。 ピッチング練習を切り上げてきたのだろう、肩にアイシングをかけながら、額に流れる汗をぬ ぐっている。予定では、切り上げはもう少し先だったはずだが……友沢には込み入った事情があ るとはいえ、それでも聞かざるをえない。 「どうした友沢……バイトでもあるのか?」 「どうしたって……」 あんまりな監督の台詞に、友沢は呆れて、 「もう、終了の時間ですよ」 「何!?」 あわてて腕時計を見れば、なるほど、確かに終了の時間に時計の長針が追いついている。 どうも、物思いにふけりすぎて時間が経つのを忘れてしまったらしい。ただでさえオーバーワ ークな壊れファビ練習だ。これ以上は許容範囲を超えてしまう。 「まだやってるんですか……あいつ」 「す、凄いな~」 黙々と素振りを続ける波和を見て、眉をひそめる友沢。単純に驚愕している久遠と違って、そ の表情には苦渋がにじんでいた。 この所の波和の練習は、明らかなオーバーワークだ。 練習だけならともかく、奴は今でも居残り練習を続け、数えるのも気が遠くなるほどの数の素 振りを繰り返しているのだ。 (奴に必要なのは素振りじゃない。休養だ) だが、友沢がそう言ってもアノ男は受け入れないだろう。やりたくは無いが、監督に告げ口す るしかない。 監督があわてて終了の合図を出すと同時に、猛田が白目を向いてぶっ倒れる。それを見届けた 波和は、バットを杖のようにして寄りかかり、ずりずりと地面に座り込む。 野手総員死屍累々。これが、一ヶ月前から続く帝王実業高校野球部の練習風景であった。 「ふぅ」 嘆息しながら、波和風呂男はアイシングの終わった肩を軽くまわす。 校門からは見えないが、グラウンドでは猛田以外の野手連中が、未だにもるすぁと口ずさんで いるが筈だ。それを風呂男は一切気にかけていない。参加自由意志の練習なのだ、ついてこれ ない人間や、自己管理が出来ず壊れるまで振り続ける人間にまで気を使う必要は無い。 「……友沢はバイト、久遠はその追っかけ、猛田は追試か。 いねえじゃん」 「友達少ないでやんすねぇ。ちなみに、おいらも追試でやんす」 「やかまし」 野球部の親しい人間と一緒に帰る……高校でのクラブにおけるイベントのひとつをこなそうと して、いきなり撃沈される風呂男であった。 この波和風呂男という男、基本的にとっつきやすい性格をしているのだがいかんせん部活におけ る態度と容姿が悪かった。 ここ一ヶ月は別だが、以前は人前で一切努力をせず、素振りも放課後みなが帰ってからするも のだから、傍目からはサボって才能におごっているようにしか見えない。 結果、居残り仲間の友沢、久遠、猛田、腐れ縁の矢部以外の全員に嫌われまくることになった のだ。見た目に至っては、目つきの悪い殺人鬼のような有様。 いろいろあって誤解が解けたいまでも、部員との仲はギクシャクしたままである。 「じゃ、先に帰ってるぜ」 「……待とうか? の一言もないでやんすか?」 「……待っててほしいのか?」 「遠慮するでやんす。波和君はまっすぐ帰るでやんすよ~」 「俺は近所の餓鬼かなんかか?」 流石の矢部も、野郎と放課後待ち合わせという趣味は無かったらしい。とぼとぼと歩きさる矢 部を見送り、波和は帝王実業を出た。 先程、友達がいないと突っ込まれたが、その分数少ない友人とは一緒にいる時間は多かった。 なんだかんだでほぼ毎日友沢や久遠、猛田の誰かと一緒に帰るし、矢部にいたっては一日中つ るんでいる。一人で帰るのも久しぶりのことだ。 さて、何をするか……歩きながら考える事30秒。真っ先に考え付くのは野球の練習だが…… それが出来るくらいなら、ユニフォームを着て学校に行く。 居残りして素振りしていたのが監督にばれて、二日間休養して来いとたたき出されたのである。 しかも、その間一切の運動禁止ときたもんだ。 ばれた原因はわかっている。多分、友沢あたりが心配してくれたのだろう。今自分が行ってい るのが、明らかなオーバーワークだという自覚くらいある。 (……なーんかなぁ) 波和風呂男は野球馬鹿である。 趣味、野球。好きなもの、野球。休日でする遊び、野球……子供のころから野球尽くしの人生 を歩んできた。TVゲームもするし、ネットサーフィンもするが、一番楽しく好きなのは野球だ。 好きでその道に踏み入った足と特殊な才能、その双方があるからこそ、球のホーミングなどと いう常識はずれのバッティングが可能なのである。 それ故に…… (息抜きって何?? 何すりゃいいの?) いざ休めなどといわれると、こんな疑問にぶち当たるのである。 この生粋の野球馬鹿、ゲームやインターネットよりも野球が楽しいのだ。というか、彼にとっ てそれらは体を休めている最中の暇つぶしという認識しかない。それだけで丸一日つぶせるほど の趣味とはとてもいえなかった。 野球のビデオを見ようも、ビデオは只今故障中……修理費プラス、見返りグローブを購入した せいで只今金欠中。正直できることがあまりに少ない。 一日中2ちゃんねるというのも、なにやらすさまじく不健康だ。 「さて、どうすんべ~」 今夜は疲れを取るために寝ればいい。しかし、明日はどうするか…… 簡単そうに見えて、実はこの上なく難しい課題に、あたりを染める夕日のように赤点スレス レの風呂男の脳みそは、パンク寸前だった。 そんなこんなで十分後。 つい先程まで明日のことで悩んでいた風呂男は、一瞬でその悩みから開放されていた。 何せ、明日のことなんぞよりさらに差し迫った問題が提起されたからだ。 (……さて、状況を整理してみよう) ちゃりちゃりと指先で鍵を弄びながら、風呂男は表情を一切動かさずに目の前の状況に向き 合った。傍目から見れば冷静沈着に状況をを把握しているように見えるが、実際は脳内に大根 が走り回っている始末だった。 (えっと、ここはアパートの、俺の部屋。一人暮らしの、俺の部屋。うん、それは間違いない。 棚に並んでる野球の本もまったく同じだし) せめて落ち着こうと『それ』から必死で目線をそらし、部屋のインテリアに神経を集中させる。 (えっと、そうじゃなくてもちけつもちけつ) ごにゃぁぁぁぁっ 必死で立て直そうとした冷静さも、『それ』に抱かれている愛猫の悲鳴(?)でぶち壊され た。仕方なく、風呂男は改めて『それ』、ここにいるはずの無い侵入者を凝視する。 ……女の子であった。 それも、細身の体をライトイエローの制服に包んだ、飛び切りの美少女がすぴょすぴょと部屋 の中央で眠り込んでいたのだ。しかも、我が家の愛すべきデブ猫、ギコを抱き枕のように抱きし めつつ。 ちなみに言えば、風呂男に恋人はいない。というか、そんなもの作る暇があるなら野球につぎ 込むような、そんな男である。作れるはずが無い。 少なくとも、自分の留守中に部屋に上がりこむような中の女性といえば、とっくの昔に女を引 退した、母親くらいしか思い当たらない。女の子がここにいるはずが無いのだ。 ましてやそれが…… 憎んでも余りある相手、聖タチバナ学園の六道聖ともなれば。 波和風呂男にとって、野球とは何か。 そう聞かれると、はっきりって語りきれないほどの言葉が浮かんでくる。 楽しい、面白い、厳しい、激しい、かけがえの無いもの…… そうやって浮かんでくる言葉の一つに、神聖不可侵というものがある。 彼にとって、野球とは実力対実力の世界であり、腹の読み会い探りあいはあれど、それも実力 のうちだと割り切り、己の力だけで挑んでいくものだ。 そんな野球の場で、あのような醜態を晒させた上に、卑猥で相応しくない単語を並べ立てた… …そんな相手に好意など抱けるはずが無い。ましてや、風呂男は未だにアノ試合のときの醜態を 夢に見て、うなされ続けているのだ。 軽蔑と憎しみ、恨みと嘲り、さまざまな感情が交じり合った、負の感情のスープ。それが風呂 男の胸中に現在煮えたぎるもの。 (……ちっ!) 久しぶりの休日の前に、嫌なものを見てしまった。 動物の礫死体に対面した多くの人間がするように、汚らわしいとばかりに目線をそらす風呂男。 何ゆえこのクソ女がここにいるのかはともかく、同じ空気を吸っているだけで吐き気がした。 「……ギコ、こっち来い」 ごにゃ 体重をかけられて苦しいのか、デブ猫は苦しそうなうめき声を上げて、聖の手から逃れようと もさもさもがきだした。が、 「……んっ」 無意識なのか寝ぼけてるのか、聖はギコが抜け出ようとするのを拒み、同じように身をよじっ てぬくもりを求める。 猫逃げる、聖捕まえる。そんないたちごっこが続くことしばし。 ごにゃぁぁぁぁぁぁっ…… 「ええい、ガッツの無い猫め。ギャラクティカマグナムして逃げんかい」 この場に友沢がいれば『お前猫に何求めてる』とでも突っ込んでくれるのだろうが、この場に いる人間は眠り姫だけだ。 仕方なく、風呂男は聖に近づき(本当は近づくのも嫌なのだが)ギコを抱きしめている聖の手 を握る。 思いのほかやわらかい感触が手のひらに伝わり、三流のラブコメならここで恋の始まり~と なるのだろうが。 なにせ、先入観が先入観である。普通ならどぎまぎする柔らかさもにも、気持ち悪さしか感じ ず、乱暴に引っぺがしてギコを奪還した。 ごにゃっ 「おお、無事かギコ」 自分の手の中で暢気に呻くギコ猫に、風呂男はほっと安堵の息を吐く。 あんまり泣き声は変わってないが、声帯にまで肉がついたらしいこのデブ猫は、徹頭徹尾こんな 声である。 「んー……」 と、その時だった。 ぬくもりをなくしたと気付いた聖が、目をこすりつつ上体を起こしたのは。 「……ん?」 薄く細められた目が、風呂男の姿を捉えた。風呂男も、双眸に敵意をこめて睨み返す。 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 「…………」 そのまま見つめ合うことしばし。 「……なんでここにいる?」 「そりゃこっちの台詞だ」 寝ぼけているのか、ちんぷんかんぷんな事を言い出す聖に、風呂男は青筋浮かべて突っ込んだ。 唐突だが、六道聖は、ここ一ヶ月ずっと悩んでいた。 聖だけではない。野球馬鹿のキャプテンやみずき、秋季大会で帝王に勝利した聖タチバナの 面々は、全員が同じ悩みの中であえいでいた。 すなわち……あんな勝ち方でよかったのか? と言う事。 当たり前だが、聖は野球が好きだ。早川あおいという先駆者がいるとはいえ、女性野球選手 は球界から受け入れられたわけではなく、向かい風も強い。クロスプレーの多いキャッチャー というポジションは『パワーの無い女が』『嫁入り前の女が』と耳に入るノイズの量は段違いだ。 好きでなければやっていられない。 そんな野球の世界で、あんな卑怯な戦術で勝利した……その事が、聖の心に重くのしかかっ てくる。罪悪感を感じているのは聖やみずきだけではないが、女の癖にという雑音に対して女 にしか出来ないセクハラ気味なささやき戦術で返したという事実に対するダメージは、男たち の比ではなかった。 女の癖にという声に抗って、実力で対抗してきたのに、いざとなったら女であることに頼っ てしまった。 帝王実業という強大すぎる敵を前にして、自分の卑しい本性が露呈してしまったようで…… 次は実力で勝つ。キャプテンはそう部員達を鼓舞し、罪悪感をばねに練習に励むようチーム メイトを叱咤した。事実、その激励はチームメイトたちを活性化させ、少しずつだか確実に、 聖タチバナ学園野球部は成長していた。 それでも、聖はただ一人悩んでいた。 みずきやキャプテンと違い、自分はその卑怯な戦法の最前線で口を開いていたのだ。その罪 悪感は、他者の非ではなかった。 このままではいけない。 そう考え、聖は早速行動に出た。ささやいた内容をキャプテンに聞いてもらい、自分が誰を 一番傷つけたかを推測した。 そうして導き出された相手が、波和風呂男その人だったというわけで。 「というわけで、波和先輩に会いに来た」 「……………………………………………………………………………………」 ようやく意識がはっきりした聖から一連の説明を聞かされ、風呂男は軽くめまいを覚えた。 まさに気分はorz状態である。 馬鹿にしてんのか? という怒りが湧き上がる。勝者が敗者にそのような理由で会いに来る など、侮辱の極みもいいところだ。 当の本人はといえば、相手が何を怒っているのかわからないらしく、きょとんと首をかしげ ている。ひざの上で丸くなったギコを撫でながら、 「で、それが何で俺の部屋の中で寝てんだよ」 「部屋の前で待っていたら、入れてくれた」 「誰が!?」 「先輩のお母様だと名乗られた」 言われてみれば、今日は母親が様子を身に来る日だったはず…… (なにやってんだよ母さん……) 大方、恋人かなんかと間違えて入れてしまったのだろう。アノ母親のことだ、『それじゃあ 後は若い人に任せて』とでも言い残したに違いない。 「で? 何しにきたんだ。喧嘩売りに来たなら買うぞ」 「喧嘩を売りにきたわけじゃない。ただ、言いたいことがあっただけだ」 「言いたい事?」 「ああ。私だけじゃない、聖タチバナ野球部一同の総意だ」 「……?」 やけに真剣な表情と声色。 ひたすら聖に対する評価の低い風呂男は、この少女がそんな真面目さを持っていることに驚 き、マユを跳ね上げる。 「次は実力で勝つ。あんな卑怯な戦術は使わない」 そして……失望した。 脱力したとも言っていい。心を読む能力など持たずとも、わかりやすいくらいに失望と軽蔑 が風呂男の表情ににじみ出る。 「ほう? それじゃあ、お前らは卑怯だとわかった上で、あんな汚い戦術使ったわけか?」 「……そうだ」 「ゴミだな」 血を吐くような聖の返答を、一言で切って捨てた。 「そうまでして勝ちが欲しいのか? ……そこに至る過程無視してまで。 とんだ茶番だな」 「……っ! それは仕方が……」 仕方が無い、とつなげようとしたことは、そこまで聞けばよくわかる。 わかっていた故に……風呂男はぶち切れた。 「ふざけんなっ!!」 「っ!?」 相手が女だとか、そんな事は完全に忘れ去って、風呂男は聖の胸倉をつかんだ。そして持ち 上げようとしたのだが……元々技術だけで腕力の無い風呂男だ。持ち上がるはずも無く、仕方 なし引き寄せる。 息がかかるような近距離で顔を突き合わせながら、風呂はゆっくりと噛み締めるように弾劾 の言葉をつむぐ。 「仕方が無い? 勝負事でんな言い訳が通用すると思ってんのか?」 「…………」 「てめーらにどんな事情があるのか知らねぇが……もし、本気でそんな言い訳が通用すると思 ってんなら、お前ら野球する資格ねえよ」 心遣いのかけらも無く、断ち切るような言い草だった。 驚いたように目を見開く聖を、力の限り(といっても微々たる力だが)突き飛ばし、 「もう 『ビリッ』 言う事は…………」 かっこつけて吐き捨てようとしたら、なんか音がした。 (……ビリ??) 音源は、自分自身の手元。聖の制服を握り締めていたそのこぶし。 視線を落としてみる。 ……なにやら、ライトイエローのきれっぱしがそこにあった。 視線を上げて聖を見る。 何が起こったかはわからない、という顔をしている彼女の胸元は……ライトイエローの布は 無かった。代わりに、破れた制服の隙間から、白い無機質なスポーツブラがポロリしている… …隙間から見える健康的な肌が、目にまぶしい。 沈黙することしばし。風呂男は状況を把握しようと、まひった脳みそを必死で再起動させ、 ひとつの結論に思い至る。 男の部屋で、か弱い女の子が服を破かれている。そして、屈強な男の手のひらには服の切れ 端が…… (ど う 見 て も レ イ プ 現 場 で す 本 当 に あ り が と う ご ざ い ま し た ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ っ!!!!) あまりの状況にテンパる風呂男。 と、そんなところへ…… こんこんこんっ 『波和くーん。いるでやんすかー』 『監督からの言いつけで見張りにきたッスよー』 (イィヤァァァァァァァァァァっ!!!!) 激しくタイミング悪く、友人襲来。 背後にあるドアの方向から、矢部と猛田の声が。 「テラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステ ラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステラヤ バステラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステラヤバステラヤバス」 壊れた人形のようにつぶやく風呂男君、そんなあんたがテラヤバス。 とりあえず鍵はかけていたのならともかく……いつまでも居留守を使うわけにも行かない。 なぜなら、 『返事が無いでヤンスね』 『まさか、勝手に自主練してるんじゃあ……』 こういう誤解を受けるからだ。なんというか、普段の勤勉すぎる生活態度が裏目に出てしま っている。このまま二人を帰したら、監督に報告されて雷を落とされかねない。下手すりゃ退 部もありえる。 どうしようかと悩みながら玄関に視線を向ける波和。 と。そこで彼の動きは完全に停止してしまった。視線は、玄関の鍵に釘付けだ。 鍵が、かかっていなかった。 『ん? 鍵開いてるッスよ?』 『本当でヤンス』 しかも気付かれたし! (ど、ど、ど、どうすんの俺!?) 波和風呂男17歳。 レイプ犯になるか退部になるか……ひょんな事から、激しく人生の選択を迫られていた。 「まったく、波和君はしょうがないでやんすねぇ」 「鍵くらいかけましょうよ」 「波和くーん。いないんでやんすかー?」 玄関を開けた矢部と猛田は、とりあえずその場から室内にむかって声をかけた。いくら野球 漬けの青春を送っているとはいえ、断りもせず上がりこむほどマナー知らずではない。 「んぁ……」 二人の声にこたえたのは、あくびをかみ殺したうめき声だった。 「んだよぉ……二人とも」 「あ、いたんすか波和さん」 「め、めちゃくちゃ眠そうでヤンスねぇ」 「……当たり前だ」 心配そうに聞いてくる二人に、風呂男は怒りすらにじませて、 「ぐっすり寝てるところをたたき起こされたんだからな……はふ」 「う」 「ご、ごめんでやんす」 力の限り不機嫌丸出しの波和に、二人とも平謝り。情けないように見えるが、それも仕方が 無いだろう。波和風呂男の低血圧とそれに伴う凶暴性は、帝王実業でも有名であった。バッテ ィングとは違う意味で。 ただでさえ目つきが悪いこの男が、寝起きともなると異様な迫力が醸し出され殺人鬼のよう に見えてしまうのだ。合宿のとき、何も知らないホテルの従業員にその顔を目撃され、思わず 通報されたほどである。 「……で、何のようだよ」 「い、いや……用というか……監督に波和さんの事見張るように言われたんスよ」 「……俺はぐっすり熟睡してぇんだ。帰れ。」 言い捨てて、二人を追い出そうとする波和。表はむちゃくちゃ不機嫌ではあるものの、裏で はギチギチに緊張し、手に汗握っていた。 寝ていたことにしてごまかす……これが、風呂男の考え出した状況を切り抜けるための方針 である。こうやって二人を玄関払いし、タイミングを見計らって聖を放り出すつもりだった。 このまま二人が帰ってくれれば、万事丸く収まるのだが…… 「ちょちょ、ちょっとまった!」 (え゛!?) 聞こえてきた靴を脱ぐ音と近づいてくる足音に、風呂男の頭から血の気が引く。 「俺ら、監督からあんたを監視するように言われてるんだって!」 「ここで追い出されたらこまるでやんす!」 「――は?」 なにやら、この上なく絶望的な言葉が聞こえてきたような気がした。 気が遠くなるのを必死で耐えながら、相手の台詞を反芻する。 (えっと、見張り? これから? 部屋の中に入るの!?) 部屋の中には、服を破られた聖がいる。今は誤り倒してなんとかおとなしくしてもらって いるが、間が悪すぎだ。 いくら嫌いな相手でも、相手は華奢な女の子。いつまでも『こんなところ』にいさせるわ けにはいかないのだが。 面倒くさいとか眠いとかごねて追い出そうかと思案するも、そんなわずかな逃げ道すら、 続く矢部の一言で封殺されてしまった。 「監督から、オイラ達を泊めるように伝言でヤンス。はむかったら二軍落ちだそうでヤンス」 「……すんません波和さん。代わりと言っちゃぁなんですけど、色々差し入れ買ってきましたから」 監督の命令がある上に、ひたすら低姿勢。 しかも、泊まる準備が~云々という言い訳も使えない。 波和のアパートは帝王実業から歩いていける距離にあるため、終電を載り逃した時の合宿 場になっているのだ。 久遠、矢部、猛田の三名しか利用するものはいないが、頻繁に泊り込むため着替えや下着 まで常備してある有様である。 逃げ道が完全に塞がれてしまい、波和風呂男に選択肢は残っていなかった。 「わかった……上がれ二人とも。俺が寝るの邪魔すんなよ」 「――へぇ」 矢部に連れられて室内に入ってきた猛田は、開口一番感嘆の声を上げた。失礼でない程度 に辺りを見回し、言葉を繋ぐ。 「相変わらず、男の一人暮らしのワリには綺麗ッスね」 「掃除と洗濯だけはきちんとするでヤンスからねえ……料理にももう少し気合を入れてくれたら」 部屋の中央にあるガラステーブルに荷物を置き、矢部が風呂男のほうを見た。 機能性重視の無骨なパイプベッドの上に、羽毛布団の塊がひとつ転がっている。顔をこち らから背けてはいるが、間違いなく波和風呂男その人である。 荷物とテーブルが接触する音に、ほんの一瞬だけ視線を向け、 「なんだ、そりゃ」 「コンビニの弁当でヤンス。オイラもう黒焦げのベーコンエッグは簡便でヤンス」 「文句言うくらいなら帰レ」 「酷い!」 「波和さんのもありますよ?」 「……冷蔵庫入れといてくれ。明日食う」 「今食べないんでヤンスか?」 「帰りにラーメン食った」 それだけ言うと、風呂男はひらひらとベットから出した手のひらを振った。 寝るからもう起こすなという合図である。 「寝袋その他。いつもの所な……おやすみ」 「……まだ7時ッスよ」 「寝るの早過ぎでやんす」 呆れる二人。いくらなんでも寝るのが早すぎるだろうと思いつつ、矢部は言われたとおり 風呂男の分の弁当を、冷蔵庫に入れに行く。猛田も出来るだけ静かに自分の弁当を取り出し、 一足先に食事を開始した。 さて。 肝心の風呂男はといえば……はっきり言って、矢部たちの事を気にする余裕なんぞ無かった。 (寝れるかゴルァァァァァァァァッ!!!!(゚Д゚♯)) 心の中でハウリングムーン。月に向かってほとばしるパッション。 さて、皆さんに問題です。 先程まで室内にいたはずの聖タン、矢部達が入ってきたときには室内にいませんでした。 それでは、彼女はどこに隠れたのか? 答え…… (…………(////////////////)!) 風呂男と同じ、布 団 の 中 !! しかも、風呂男に全力前回で抱きしめられている。そうしないと、ふくらみが大きすぎて 二人に怪しまれるだろう。 全体的にもっさりした羽毛布団の存在と、細身で小柄の聖の体格の二つが会って初めて可 能な隠れ場所だ。 そして思い出してほしい。彼女は隠れる原因となったのは、『あられもない姿』にあるの だ。布団の中でもその姿は変わらない。 前後の流れをふっ飛ばし、状況だけを見るなら、風呂男は、見た目麗しい美少女と同じ布 団の中で横になり、あられもない姿の相手を力の限り抱きしめているとゆー、涎もののシュ チュエーションに立っているわけで。 たとえ相手に不快感を抱いていても、興奮しないはずが無い。先の試合のことで罪悪感で も感じているのか、まったく抵抗しようとしないし。 (もちけつもちけつ。平常心平常心……バッターボックスに立つ感じで……あー、なんかい い匂いがする、こてが女の子のって違うっ!!!! もちけつ! もちけつ!) (……………………………………………………(////////////////////////////////)) 腕に伝わってくるぬくもりと、鼻腔をくすぐる香りにテンパりながら。 波和風呂男は、17年の人生の中で最大のピンチを迎えていた。
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【登録タグ C 初音ミク 吟 曲】 作詞:吟 作曲:吟 編曲:吟 唄:初音ミク 曲紹介 吟氏の3作目。 歌詞 (ピアプロより転載) くちびる、林檎、とろける雪 ほろ苦い幸せ噛みしめて 溶かしたら、高鳴ってく胸 夜の風は伝え損ねた切なさ そばにいるのはいつも 誰かの影で、少し寂しいけど それでも幸せそうに笑う君に サヨナラと、アリガトウを送るよ 火照った顔、チョコかき混ぜて 隠したのは想い出の数 残った気持ち溶かせなくて シナモンにも呟く 「大好き」の言葉 心からのイタズラ ホントは困らせたいだけじゃない 伝えておきたかった想い ねぇ、食べてよね 僕は忘れちゃうから そばにいるのはいつも 誰かの影で、少し寂しいけど それでも幸せそうに笑う君に サヨナラと、アリガトウを送るよ コメント 名前 コメント
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いい日旅立ち(おに・裏譜面) 詳細 いい日旅立ち バージョン ジャンル 難易度 最大コンボ数 天井スコア 初項 公差 AC15.1.0 Wii4 J-POP ★×7 416 1000250点 3610点 - AC15.2.0 Wii5Wii U1 ポップス ★×8 - AC16.1.0 NS1DL br;NS2MP br;RC - 新筐体の各バージョンでは、以下の日時をもってサヨナラとなった。 サヨナラ日 時刻 バージョン 2017年3月15日(水) 午前7 00 無印・KATSU-DON・ソライロ・モモイロ・キミドリ・ムラサキ・ホワイト・レッド イエローVer.以降では今まで通り選曲可能。
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このページはこちらに移転しました 現代少女 作詞/一(にのまえ) 作曲/Noiz 灰色の空にぼんやりと浮かぶ街灯 百色の景色に紛れ込む砂のカメレオン 偽りの笑顔で雑踏へ消えていく 半透明な少女は笑っていた いつでも笑っていた 偽物の感情で消えたがっていた どこか飛びたがっていた 飛んでサヨナラ 浮かんでコンニチハ ビルの上から空が降り注ぐ この腕は私の物 この脚は私の物 この胸は私の物 この意志は私そのもの? 泣いていた 心乾いていた 浮いていた 居場所なんてなかった 凍りついた景色の果てに何を欲しがるか 凍てつく鉄街の風にさらわれて金に溺れるか ダメだった 生きていくのには この世界では 私が当てはまるピースは何処にも無いのかもしれない 諦め・・・ 飛んでサヨナラ 浮かんでコンニチハ ビルの上から空が降り注ぐ 音源 現代少女
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公式HP:「Lv.X+」 ttp //natane.s3.xrea.com/plus/ 作家名:柚木N 同人誌リスト タイトル 元ネタ 備考 N缶 一筆ニューコン!2 オリジナル 2006年夏コミ 147センチメートル番外編 オリジナル 2006年冬コミ 最終兵器貴様 仮面ライダーカブト 2006年冬コミ ぽぷら pop n music チョメ。2 pop n music 超特九 pop n music H@ppy Love!! pop n music NINE COLORS pop n music NINE COLORS 2 pop n music 赤連打健康法 pop n music TOO HEAT! 1 ToHeart TOO HEAT! 2 ToHeart TOO HEAT! 6 ToHeart DAISUKI! ToHeart 逆転サヨナラホームラン 逆転裁判 逆転サヨナラホームラン2 逆転裁判 センネンノコイ ファイナルファンタジーX センネンノコイ2 ファイナルファンタジーX SKY HIGH エア・ギア
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劇場版 マクロスF 〜サヨナラノツバサ〜/マクロストライアングルフロンティア 放課後オーバーフロウ|ランカ・リー=中島愛 劇場版マクロスF 〜サヨナラノツバサ〜 ランカ・リー「放課後オーバーフロウ」(Amazon) 発売元・販売元 発売元:株式会社フライングドッグ 販売元:ビクターエンターテインメント 発売日 2011.01.26 価格 1100円(税抜き) 内容 放課後オーバーフロウ 歌:ランカ・リー=中島愛 Get it on-flying rock 歌:ランカ・リー=中島愛 feat. シェリル・ノーム starring May n 放課後オーバーフロウ(w/o ranka lee) Get it on-flying rock(w/o sheryl nome ranka lee) 備考
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けいぞくじかん【登録タグ け 巡音ルカ 曲 箸休/hashiyasume】 作詞:箸休/hashiyasume 作曲:箸休/hashiyasume 編曲:箸休/hashiyasume 唄:巡音ルカ 曲紹介 歌詞 (動画より) 開いた扉 地下深くへと ガラスで出来た 階段続く きっと其処には 使い古した 愛の歌達 火葬された灰がある それは瞳に影を映して 知らない内に意識を包む 爪の先まで 髪の先まで まるでガラクタ 空虚な連鎖 歪(ひず)みながら流れ行く懺悔 泉見ながら 宛(さなが)ら柄(がら)よ 然(しか)し乍(なが)ら適切な長さ 破壊的な解であれ 成せ 曝されさらばえたシャンバラへ サヨナラを言うよ沙羅の園で 洒落た世界のサディストも嘸(さぞ) 喝采を浴びせる事だろう ただそれは箍(たが)が外れただけ 高が知れた前時代の声 逆さまにされた性の沙汰で 栄えど蹉跎で傷を付けた黄昏 曝されさらばえたシャンバラへ サヨナラを言うよ沙羅の園で 洒落た世界のサディストも嘸(さぞ) 喝采を浴びせる事だろう 腐り朽ち果てた鎖だって 気が付かず立ち尽くしたままで 助けを乞う嘗(かつ)ての姿で 噫(ああ) 自らを縛るなんて…… 曝されさらばえたシャンバラへ サヨナラを言うよ沙羅の園で 洒落た世界のサディストも嘸(さぞ) 喝采を浴びせる事だろう ただそれは箍(たが)が外れただけ 高が知れた前時代の声 逆さまにされた性の沙汰で 栄えど蹉跎で傷を付ける 絆で コメント 名前 コメント
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ぶれいく【登録タグ BA-7600N ふ 巡音ルカ 曲 神威がくぽ】 作詞:BA-7600N 作曲:BA-7600N 編曲:BA-7600N 唄:神威がくぽ・巡音ルカ 曲紹介 今作は、かなり大人っぽい曲です。 歌詞 (紫=がくぽ、マゼンタ=ルカ、黒=二人) ストレートな夜に翔け出す 嫌いなはずのバイクで 一瞬 止めたテールが 優しいライン 描くぜ ブルーなハートは乱れる あいつの逝ったあの夜に 涙受けてくれた 優しい腕 恋しい いつでも探してた 楽しいスリル 背中合わせのランナウェイ 二人の中のメモリースター 19歳(じゅうく)の春 ブレイク 今夜ノイズで語ろう 星になったあいつと 悩める愛にサヨナラ 雨に踊る あの日のように 誰かれ恋しくなる 静かに刻むワインディングロード 一人でブルース 二人でバラード あの頃のビート 聞こえない 今でも閉じた瞳に映る奴のイエスタディ 得られぬ夢にサヨナラ 雨に消えたあの日から 一途と言えば嘘になるけど… I near you You stare me そこから ストレートな夜に ストレートな夜に う~翔け出す このまま このまま ハンパな ハンパな 気持ちじゃ収まらないぜ ブルーなハートは ブルーなハートは あ~乱れる このまま このまま ハンパな ハンパな 気持ちじゃ愛さないで I near near you そこから You stare stare me そこから そこから始めよう その前に過去へのピリオド 誰にも見えない寄り添う 影が3つ ミステリー サヨナラ 静かに眠る夜は… ビューティフル コメント 名前 コメント
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デジタルカード巨人 縁取りが金色のカードはレアカードに記載して下さい。 名前 通常カード1 通常カード2 通常カード3 レアカード 久保 裕也 投球体力 責任感 打たれ強さ コントロール 東野 峻 コントロール 対ランナー ノビ 球速 越智 大祐 コントロール 対ランナー 投手守備範囲 リリース 内海 哲也 ピンチ 球速 コントロール ノビ 小林 雅英 ピンチ 対ランナー 威圧感 打たれ強さ 西村 健太朗 投球体力 コントロール 打たれ強さ ピンチ クルーン コントロール 対左打者 投手守備範囲 ピンチ 山口 鉄也 対左打者 ノビ 打たれ強さ 責任感 ゴンザレス コントロール 打たれ強さ 勝負運 対左打者 藤井 秀悟 コントロール 打たれ強さ 投手守備範囲 投球体力 阿部 慎之助 パワー 対右投手 捕手リード ワンバウンド捕球 小笠原 道大 捕球力 走力 送球精度 三塁守備範囲 坂本 勇人 捕球力 肩 送球精度 遊撃守備範囲 脇谷 亮太 チャンス 二塁守備範囲 対右投手 バント ラミレス 一塁守備範囲 左翼守備範囲 対右投手 選球眼 長野 久義 チャンス 対右投手 流し打ち 走力 亀井 義行 パワー 捕球力 対右投手 チャンス 鈴木 尚広 中堅守備範囲 捕球力 対右投手 内野安打 高橋 由伸 対右ミート 一塁守備範囲 パワー 連発 松本 哲也 チャンスメーカー 大舞台 捕球力 ケガ耐性 土本 恭平 ノビ 疲労回復力 コントロール 投球体力 豊田 清 打球反応 責任感 投手守備範囲 ノビ 金刃 憲人 ノビ コントロール 球速 疲労回復力 オビスポ ノビ クイック コントロール 勝負運 鶴岡 一成 捕球力 対右投手 対左投手 捕手リード 李 承燁 大舞台 対右投手 逆境 チャンス エドガー パワー 代打 捕球力 選球眼 古城 茂幸 代打 送球精度 二塁手守備範囲 盗塁 中井大介 パワー チャンス 二塁守備範囲 対右投手 谷 佳知 パワー 逆境 一塁守備範囲 対右投手 HUV追加カード 名前 通常カード1 通常カード2 通常カード3 レアカード 野間口 貴彦 打球反応 ピンチ 疲労回復力 球速 MICHEL 投手守備範囲 疲労回復力 ピンチ 対左打者 福田 聡志 球速 ピンチ ノビ コントロール 星野 真澄 球速安定 ノビ 球速 疲労回復力 寺内 崇幸 内野安打 バント 走力 二塁守備範囲 大田 泰示 対右投手 対左投手 三塁守備範囲 パワー 工藤 隆人 送球精度 対左投手 肩 中堅守備範囲 矢野 謙次 選球眼 バント チャンスメーカー 対左投手 黄 志龍 コントロール 疲労回復力 ノビ 投球体力 加藤 健 肩 捕手守備範囲 送球精度 捕手リード 小田嶋 正邦 捕手リード サヨナラ 捕手守備範囲 パワー 加治前 竜一 捕球力 満塁 対左投手 パワー FV追加カード 名前 通常カード1 通常カード2 通常カード3 レアカード 高木 康成 疲労回復力 投球体力 ピンチ 朝井 秀樹 コントロール 投手守備範囲 球速 勝負運 通常カードにデジタルカード能力を反映した場合 選手名 デジタルカード Lv9+デジカ能力 表パラ 裏パラ 守備 SS その他能力 久保 裕也 投球体力責任感打たれ強さコントロール 球16変16コ18ス16守12計78 ピ 3左 3強 4ラ 2キ 4 ノ 3ク 4疲 4安 3速 4 投D打球反応 責任感 東野 峻 ノビコントロール対ランナー球速 球16変13コ15ス17守16計77 ピ 4左 3強 4ラ 4キ 3 ノ 5ク 3疲 4安 2速 5 投B尻上がり勝負運 越智 大祐 対ランナー投手守備範囲コントロールリリース 球18変16コ14ス14守12計74 ピ 4左 4強 3ラ 4キ 4 ノ 4ク 3疲 5安 3速 4 投D+球速安定威圧感 リリース 内海 哲也 ピンチ球速ノビコントロール 球14変15コ17ス18守15計79 ピ 4左 4強 3ラ 4キ 4 ノ 4ク 4疲 4安 3速 4 投C牽制 小林 雅英 威圧感ピンチ対ランナー打たれ強さ 球15変15コ13ス13守11計64 ピ 4左 2強 4ラ 4キ 4 ノ 2ク 2疲 3安 3速 4 投?球速安定威圧感 西村 健太朗 投球体力コントロール打たれ強さピンチ 球17変16コ15ス17守12計80 ピ 4左 3強 3ラ 4キ 4 ノ 4ク 4疲 3安 3速 4 投C打球反応球速安定牽制 クルーン コントロール投手守備範囲対左打者ピンチ 球20変14コ13ス11守12計70 ピ 4左 4強 3ラ 4キ 4 ノ 4ク 3疲 4安 3速 5 投D+威圧感 山口 鉄也 対左打者ノビ打たれ強さ責任感 球16変13コ19ス13守13計74 ピ 3左 5強 4ラ 4キ 3 ノ 4ク 3疲 5安 3速 4 投D打球反応勝負運 責任感 ゴンザレス コントロール打たれ強さ勝負運対左打者 球16変13コ18ス17守15計79 ピ 4左 4強 4ラ 3キ 3 ノ 4ク 3疲 4安 3速 4 投C尻上がり打球反応勝負運 藤井 秀悟 打たれ強さコントロール投手守備範囲投球体力 球14変13コ16ス16守14計73 ピ 4左 3強 4ラ 3キ 3 ノ 2ク 4疲 3安 3速 3 投C+打球反応牽制 阿部 慎之助 対右投手パワー捕手リードワンバウンド捕球 パ19ミ17走11送16守11計74 チ 4左 3バ 3盗 3弾 4 エ 3走 3送 3安 3捕 5 捕C 一Dパワーヒッター流し打ち広角打法内野安打初球サヨナラ満塁連発 対右投手+ワンバウンド捕球 小笠原 道大 捕球力三塁手守備範囲送球精度走力 パ18ミ19走14送13守13計77 チ 4左 3バ 1盗 3弾 4 エ 3走 3送 4安 4捕 1 三C+ 一C威圧感LDチャンスメーカー流し打ちプルヒッター初球固め打ち選球眼 坂本 勇人 捕球力肩送球精度遊撃手守備範囲 パ17ミ19走16送16守16計84 チ 4左 3バ 3盗 4弾 4 エ 3走 4送 4安 3捕 1 遊B+アベレージヒッターチャンスメーカー逆境プルヒッター内野安打初球固め打ちサヨナラ 脇谷 亮太 チャンス二塁手守備範囲対右投手バント パ13ミ16走18送16守13計76 チ 5左 3バ 4盗 4弾 1 エ 3走 5送 3安 3捕 1 二C+三Cチャンスメーカー 対右投手+ ラミレス 一塁手守備範囲左翼手守備範囲対右投手選球眼 パ19ミ17走11送14守9計70 チ 4左 5バ 2盗 3弾 4 エ 2走 3送 3安 3捕 1 左一E+パワーヒッタープルヒッター満塁初球連発固め打ちサヨナラ選球眼 対右投手+ 長野 久義 チャンス流し打ち対右投手走力 パ14ミ17走18送18守14計81 チ 4左 3バ 4盗 5弾 3 エ 3走 5送 3安 3捕 1 外全Cチャンスメーカー内野安打アベレージヒッター広角打法LB流し打ち 対右投手+ 亀井 義行 捕球力パワー対右投手チャンス パ16ミ16走17送17守17計83 チ 4左 4バ 1盗 3弾 4 エ 4走 4送 4安 3捕 1 右B 左中C一C初球サヨナラ 対右投手+ 鈴木 尚広 中堅手守備範囲捕球力対右投手内野安打 パ11ミ15走19送11守15計71 チ 3左 3バ 3盗 5弾 1 エ 3走 5送 3安 3捕 1 中C+左右C代打スライディングチャンスメーカー内野安打 対右投手+ 高橋 由伸 一塁手守備範囲パワー対右投手連発 パ17ミ17走13送15守15計77 チ 4左 4バ 3盗 3弾 4 エ 4走 3送 4安 3捕 1 外全C一D+広角打法初球AT連発 対右投手+ 松本 哲也 チャンスメーカー大舞台捕球力ケガ耐性 パ11ミ19走18送15守18計81 チ 3左 4バ 5盗 5弾 1 エ 3走 5送 3安 3捕 1 外全A逆境内野安打固め打ち流し打ちスライディングチャンスメーカー大舞台 ケガ耐性 土本 恭平 ノビ疲労回復力コントロール投球体力 球16変17コ15ス12守14計74 ピ 4左 3強 3ラ 3キ 4 ノ 4ク 3疲 5安 3速 4 投C 豊田 清 打球反応責任感投手守備範囲ノビ 球15変13コ19ス10守13計70 ピ 4左 3強 3ラ 3キ 3 ノ 3ク 3疲 4安 4速 3 投D+威圧感打球反応 責任感 金刃 憲人 ノビコントロール球速疲労回復力 球15変11コ16ス14守14計70 ピ 3左 4強 3ラ 4キ 2 ノ 4ク 3疲 5安 3速 4 投? オビスポ ノビクイックコントロール勝負運 球18変11コ14ス15守12計70 ピ 3左 3強 3ラ 3キ 2 ノ 5ク 3疲 4安 3速 5 投?勝負運 鶴岡 一成 捕球力対右投手対左投手捕手リード パ13ミ15走14送14守13計69 チ 4左 4バ 4盗 3弾 2 エ 2走 3送 3安 3捕 4 捕C流し打ち 対右投手+ 李 承燁 大舞台対右投手逆境チャンス パ17ミ15走12送12守11計67 チ 4左 3バ 3盗 3弾 4 エ 2走 3送 3安 2捕 1 一Dパワーヒッター代打サヨナラプルヒッター連発威圧感大舞台逆境 対右投手+ エドガー パワー捕球力代打選球眼 パ15ミ15走12送14守16計72 チ 4左 4バ 2盗 2弾 2 エ 2走 3送 3安 3捕 1 二C 一C三遊左右E代打選球眼 古城 茂幸 代打二塁手守備範囲送球精度盗塁 パ11ミ15走14送12守14計66 チ 4左 3バ 4盗 4弾 1 エ 3走 4送 4安 3捕 1 二C+三遊C 一D流し打ち守備職人代打 中井 大介 チャンスパワー二塁手守備範囲対右投手 パ16ミ15走13送16守12計72 チ 4左 3バ 3盗 3弾 4 エ 2走 3送 3安 3捕 1 二D+三D遊左D広角打法連発 対右投手+ 谷 佳知 パワー逆境一塁手守備範囲対右投手 パ14ミ17走15送10守15計71 チ 4左 3バ 3盗 4弾 3 エ 3走 3送 3安 4捕 1 左中B右C 一E+流し打ちアベレージヒッター満塁固め打ち代打逆境 対右投手+ HUV追加カード 選手名 デジタルカード Lv9+デジカ能力 表パラ 裏パラ 守備 SS その他能力 野間口 貴彦 ピンチ疲労回復力打球反応球速 球16変11コ13ス13守13計66 ピ 4左 3強 3ラ 4キ 2 ノ 3ク 3疲 4安 3速 5 投?打球反応 MICHEAL 投手守備範囲疲労回復力ピンチ対左打者 球14変17コ13ス11守9計64 ピ 4左 4強 3ラ 3キ 3 ノ 1ク 2疲 3安 3速 3 投?+ 福田 聡志 ピンチ球速ノビコントロール 球15変13コ14ス14守13計69 ピ 4左 3強 3ラ 3キ 3 ノ 4ク 3疲 3安 3速 5 投?打球反応球速安定 星野 真澄 球速球速安定ノビ疲労回復力 球15変13コ12ス12守12計64 ピ 3左 4強 3ラ 3キ 2 ノ 4ク 3疲 5安 3速 4 投?球速安定 寺内 祟幸 内野安打走力バント二塁手守備範囲 パ11ミ11走17送17守17計73 チ 3左 3バ 4盗 4弾 1 エ 4走 4送 4安 3捕 1 二B+三遊Bチャンスメーカー守備職人内野安打 大田 泰示 対左投手対右投手三塁手守備範囲パワー パ16ミ13走16送17守12計74 チ 4左 4バ 3盗 4弾 4 エ 2走 3送 3安 3捕 1 三D+ 一遊E満塁威圧感連発 対右投手+ 工藤 隆人 対左投手送球精度肩中堅手守備範囲 パ11ミ13走18送14守16計72 チ 3左 4バ 4盗 4弾 1 エ 3走 5送 4安 3捕 1 中B+左右B守備職人スライディング内野安打チャンスメーカー 矢野 謙次 バント選球眼チャンスメーカー対左投手 パ14ミ16走14送14守13計71 チ 4左 4バ 4盗 2弾 3 エ 2走 3送 3安 3捕 1 外全C代打初球選球眼チャンスメーカー 黄 志龍 コントロールノビ疲労回復力投球体力 球16変12コ12ス12守9計61 ピ 3左 3強 3ラ 3キ 3 ノ 4ク 3疲 3安 3速 4 投? 加藤 健 肩送球精度捕手守備範囲捕手リード パ11ミ14走13送13守13計64 チ 3左 3バ 2盗 2弾 2 エ 3走 3送 4安 3捕 4 捕C+ 小田嶋 正邦 捕手リードサヨナラ捕手守備範囲パワー パ13ミ11走11送16守9計59 チ 3左 3バ 1盗 1弾 3 エ 2走 3送 3安 3捕 2 捕E+一E代打サヨナラ 加治前 竜一 対左投手捕球力満塁パワー パ14ミ14走13送13守14計68 チ 2左 4バ 3盗 2弾 3 エ 2走 3送 3安 3捕 1 外全D代打サヨナラ満塁 FV追加カード 選手名 デジタルカード Lv9+デジカ能力 表パラ 裏パラ 守備 SS その他能力 高木 康成 疲労回復力投球体力ピンチ 球14変15コ15ス14守13計71 ピ 3左 4強 3ラ 4キ 4 ノ 2ク 3疲 4安 3速 3 投? 朝井 秀樹 コントロール投手守備範囲球速勝負運 球15変16コ14ス15守14計74 ピ 3左 3強 3ラ 3キ 4 ノ 2ク 3疲 3安 2速 5 投?+勝負運 ※捕球力は守備力+1としてあります