約 4,776,663 件
https://w.atwiki.jp/punsuka/pages/32.html
<おもちゃ> アイテムコレクション>おもちゃにて確認 http //www.shinjoy.com/neopets/ <ウスキ> アイテムコレクション>ウスキにて確認 http //www.shinjoy.com/neopets/
https://w.atwiki.jp/kisa/
@wikiへようこそ ウィキはみんなで気軽にホームページ編集できるツールです。 このページは自由に編集することができます。 メールで送られてきたパスワードを用いてログインすることで、各種変更(サイト名、トップページ、メンバー管理、サイドページ、デザイン、ページ管理、等)することができます 新しいページを作りたい!! ページの下や上に「新規作成」というリンクがあるので、クリックして作成してください。 表示しているページを編集したい! ページ上の「このページを編集」というリンクや、ページ下の「編集」というリンクを押してください。 ブログサイトの更新情報を自動的に載せたい!! お気に入りのブログのRSSを使っていつでも新しい情報を表示できます。詳しくはこちらをどうぞ。 ニュースサイトの更新情報を自動的に載せたい!! RSSを使うと簡単に情報通になれます、詳しくはこちらをどうぞ。 その他にもいろいろな機能満載!! @wiki 便利ツール ヘルプ・マニュアル・FAQで間違いを見つけたら? お手数ですが、メールにてお知らせください。support@atfreaks.com バグ・不具合を見つけたら? お手数ですが、こちらからご連絡宜しくお願いいたします。 ⇒http //bugs.atwiki.jp/ ⇒http //bugs.atwiki.jp/node/4 分からないことは? @wiki FAQ @wiki 初心者講座 @wiki マニュアル メールで問い合わせ @wiki 便利ツール 等をご活用ください
https://w.atwiki.jp/wiki1_test/pages/5834.html
名前 コメント ログイン
https://w.atwiki.jp/gutiseiji/
もし、wikiで議論する場や掲示板が欲しい場合は? @wikiの姉妹サービスである@chsをご利用ください。 登録はこちらから ← ここをクリックしてください。 分からないことは? @wiki ご利用ガイド よくある質問 無料で会員登録できるSNS内の@wiki助け合いコミュニティ @wiki更新情報 @wikiへのお問合せフォーム 等をご活用ください その他お勧めサービスについて 大容量1G、PHP/CGI、MySQL、FTPが使える無料ホームページは@PAGES 無料ブログ作成は@WORDをご利用ください 2ch型の無料掲示板は@chsをご利用ください フォーラム型の無料掲示板は@bbをご利用ください お絵かき掲示板は@paintをご利用ください その他の無料掲示板は@bbsをご利用ください 無料ソーシャルプロフィールサービス @flabo(アットフラボ) バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、お問い合わせフォームからご連絡ください。
https://w.atwiki.jp/sentai-soubi/pages/1150.html
【名前】 ゴーカイバックル 【読み方】 ごーかいばっくる 【登場作品】 海賊戦隊ゴーカイジャー 【初登場話】 第1話「宇宙海賊現る」 【分類】 共通装備 【所有者】 ゴーカイジャー 【詳細】 ゴーカイジャー6人が腰に装着しているバックル。 上部のボタンを推すことでパネルが回転する仕組みで、物体の転送機能を持ち、ゴーカイガレオン内部の宝箱型ボックスに保管されたレンジャーキーを自在に転送できる。 それぞれ使いたいレンジャーキーを思い浮かべながら、バックル上のボタンを押すと対応したキーが転送される仕組みのため、正確な情報でない場合、必要と異なるキーと違うものが転送されてしまう場合がある。 キー以外の物体も転送可能で、中盤からは5人が同時に使うことでゴーカイガレオンバスターを取り出すようになった。 なおゴーカイシルバーのゴーカイバックルは当初はキーを取り出せなかった。 だが、正式にゴーカイジャーの一員となった後にナビィの手でボックスと接続されて使用可能となった。 ボックスとゴーカイバックルの接続はカーギーロードと呼ばれ、魔空空間や時空を隔てた世界からでもレンジャーキーを問題なく取り出せる。 レンジャーキーで別戦隊に豪快チェンジしている間はベルトも変化しているが、その状態でもどこからかレンジャーキーを取り出せる。 更に変身前の状態でレンジャーキーを取り出すが、これらの仕組みは謎。
https://w.atwiki.jp/saki95/pages/11.html
サッキーのホームページ つまらないHPですが…どうぞご覧になってください。 あなたは - 番目のお客様です。 日記 毎日書いていませんが・・・。 YUI いま、ハマってます☆
https://w.atwiki.jp/tapu/
三津井旅客鉄道ホームページ 三津井旅客鉄道の公式ホームページです。 最新情報や、車両の情報、路線の情報などを掲載しています(架空です)。
https://w.atwiki.jp/kitakoutarou/pages/168.html
―――side ハカセ(ドン・ドッゴイヤー) 「ふんっ!でやぁっ、はっ!――おらぁぁっ!」 『魔法』で強化したラッシュで、また一束、魔女を守る鎖をへし折った。 「GUUUUGYAAAAAAAAAAA!!!??!?」 本体との繋がりを断たれた鎖の束がじゃらじゃらと床にばら撒かれ、彼女(?)自身の悲鳴と合わせて素晴らしい不協和音のハーモニーを形成する。 要するに、めっちゃうるさいって事。 「……うわたっ!?」 そう考えを巡らす内に、ふと蹴り上げた足先に妙な感覚が走る。 さっきみたいに容易く蹴り飛ばせるはずの鎖を破壊した感覚じゃなくて、もっと別の。 あ、そうか、脚を掴まれて……っ!? 世界が、ひっくり返った。 逆さまのまま叫ぶ赤い少女が目に入って、僕はやっと自分にこの戦法が向いていなかった事を悟った。 どがんっ 気がついた時には目の前に魔女の鎖が何本も迫っていた。 さっき折った物より更に太い。 エッジが、この筋肉の鎧さえも切り裂けるように鋭く研ぎ澄まされているのがよくわかる。 観察する余裕はあっても、僕の身体は大の字に寝転んだまま言う事を聞かない。 正直……首がめちゃくちゃ痛くて、動けない。体重が増えた分ダメージが増えたのかな? 「セキツイ」を折ってたらちょっとヤバいかも。 「……ひゃあぁぁ!」 禍々しい銀色の光が目に入って、僕は反射的に目を閉じ…… 「?……??」 おかしい、何も来ない。 ぺしっ 「あいたっ」 すると、額を軽くはたかれた。恐る恐る目を開ける。 「一人で突っ込むなって言ったばっかりだろうが、馬鹿じゃない?」 「……手ぇ貸すよ。こいつ相手じゃ一人は厳しい」 逆さになった視界に、赤い髪の毛とふりふり揺れる紺のリボンが見える。 鎖を切り落としてくれたんだ……助かったぁ。 「わかった、さっさと終わらせるよ!」 「ノロいノロい!物足りないんだよっ!」 杏子ちゃんの槍が幾重にも迫る鎖の攻勢を切り払い――― 「マジスティックアックス!おりゃぁぁ!」 防御が手薄になった所に僕の斧が打ち込まれる。 全力の込められた一撃は魔女を周囲のベンチごと吹き飛ばし、勢い良く壁に衝突させた。 衝撃で破損したステンドグラスが、頭上から眩しい光と共にこぼれ落ちてとても綺麗。 結界の中で無かったら、さぞかし絵になっただろう。 しかし、さっきまであんなに苦戦した相手にここまで優勢に立てるなんて。 二人で戦ったから、と言う事もあるけど、改めて「佐倉杏子」の強さを実感させられる。 軽やかなステップと無駄の無い攻撃は、初めて会った時とは違い生身の人間だとは信じられないほどだ。 一度食らえば終わり、と言う条件がある以上、今の方が動きに隙が無いようにすら思える。 魔法少女として幾度も死線をくぐり抜けた経験がそれを創り上げたんだろう。 ……常に一人だけで、自分の為だけに戦い抜いた経験が。 台風のように激しく槍を振り回して魔女を責めるせいでうかつに近づけず――― かと言って魔法で援護射撃するにも密着状態が続くせいで打ち込むに打ち込めない。 「杏子ちゃん、ダメだ!もっと周りを見て!」 ―――side 佐倉杏子 「心配無いっつーの!」 上下左右から迫る鎖の雨に対し、手の中で槍が踊る。 抑え切れない怒りが火に油を注ぐのか、生身の肉体は魔法を使えた頃より鋭く反応出来た。 気合と共に槍を一振りすると、多節状にばらけた。 普段からやりなれた戦法は、ゆまの魔力が込められた槍でも問題なく使えるようだ。 (これなら―――いけるかな) 風を引き裂き、鎖がうなる。 「間に合えぇぇぇっ!」 投げた槍は空を斬った。渾身の力が篭った穂先が、壁面に深く突き刺さる。 ……狙い通りだ。 「はぁっ!」 もう一度気合を込めると、それに応えるように槍がうねり――― ぐんっ あたしの身体を壁まで勢い良く引っ張った。 一気に槍を引き抜き、壁を蹴り反動を付けて――― 「であァァァァッ!」 脳天から床板までブチ抜き、一撃で終わらせた。 傷口から染みでたドス黒く濁った体液……なのかはわかんないけど……が、ボロ靴に染み、靴下までも濡らす。 洗濯が大変だな、こりゃ。 その内に魔女の死体が薄くなって、グリーフシードを残して完全に消え去った。 辺りも元の古ぼけた礼拝堂に戻り、変身を解除したハカセが駆け寄ってくる。 「杏子ちゃん、お疲れ様。……でもさ、もっと僕を頼ってくれて良かったのに」 「僕ら、仲間だろ?」 「生憎だけど一度染み付いた戦い方は簡単に変えられないさ。……付きあわせて悪いけど、一人が向いてるんだよ」 言い終えて、さすがに心が痛む。 こいつは会って間もないあたしの我儘で戦ってくれた。……礼くらい言わないとな。 「……そっか。でも凄いじゃない、あんなに手こずったのに一人で倒しちゃうなんて」 「ねぇ、どんな裏技使ったの?」 「あたしの実力と経験の賜物……と言いたいけど、やっぱりこの槍のおかげだろうね」 「この槍はあたしのお手製じゃなくて、ゆまに作って貰ったもんだ」 「そしてあの子の得意は回復魔法……つまり」 地面に突き立った槍を強引に倒す。 ぱきり。 刃が欠けた。今度は先端部分に意識を集中する。すると、折れて晒された断面から銀色の液体が染み出し、ものの10秒かからず元の形に戻る。 「……この槍にも回復の性質があるって訳さ。あの戦法もそのおかげで使える」 「拾った時には厄介なもんが押しかけたと思ったけどさ、こうなると中々役立ってくれるよ」 「……おい、どうした?」 「君は……やっぱりそう言う人間なんだね」 「ハカセ?……どうした、お前……」 「仲間の事なんてどうだって良い、一つの道具としてしか見ていない……そうなんでしょ?」 「あの子だって今は利用してるけど、邪魔になったら捨てちゃうんだろ?」 つぶやきつつ、こちらに歩み寄って来る。 パーマのかかった髪に隠されて、瞳が見えない。 「……お前!何が言いたいんだよ!」 「とぼけるなよ人でなし。お前が何をしてるか、教えてやろうか?」 「【自分の為に魔法を使う】……そんな言葉で真実から逃げるな。お前は人を殺して、それを食らって生きている化物だ!」 「何言ってんだおい……他人の為に魔法を使ったって、良い事なんか無い!」 「あたしは、その事を身をもって……」 「違うね」 「佐倉杏子、お前は人殺しだ。それもただの人殺しじゃない、親兄弟をも巻き込む最低に下劣な部類のな」 「神の創りたもうたこの宇宙で、お前こそが一番醜く歪んでるんだよ」 「なんでそれを……糞ッ!宇宙人が、わかったような口を聞くなぁっ!」 家族の事を引き合いに出されたその時、身体の芯で何か"熱く”なった気がする。 気がついた時には槍を前に突き出していた。目の前の男の腹部に深々と突き立っている。 男の目線は微動だにせず、ただ自分の腹筋から生え、あたしの手元まで伸びる木の棒を見つめていた。 「―――はーっ、はーっ、はーっ」 【正義の味方】魔法少女として槍を取ったその日以来だ。こんなにも激しく心臓が動くのは。 仲間殺し……仲間殺しか……。ついにこのあたしも堕ちる所まで堕ちたって所か。 もう誰にも顔向け出来ないな、こりゃ。見滝原の連中にも、あのゆまにも軽蔑されるだろう。 元からソリの合わなかった連中だし、殺されたっておかしくない。マミの奴なんて真っ先に撃ちそうだ。 「はーっ、はーっ……」 いっそ自殺しちまうか?向こうに行っても地獄に堕ちるのが目に見えてるけど。 親父達に会おうだなんて虫の良い話は、何度生まれ変わったって不可能だろう。なんせ殺しすぎた。こいつの言う通りだ。 これからザンギャックに入って、海賊達に仇を討たれるまで悪の限りを尽くすってのも悪くないかもな。 ああそうだ、その前にこいつの血を拭わなきゃ……神聖な礼拝堂が……。 墓も掘ってやらないと、せめてゆまに見られないように……。 じゃらっ ざらついた音が鳴った、と認識した時には、あたしは首根っこを掴まれて壁際に抑えつけられていた。 形相は怒りに満ちてコカ・コーラなんて目じゃないほど赤くなっている。 牙のような白い歯がギラギラと光った。 「ついに仲間殺し、か……不意討ち、騙し討ちはお得意ってわけだね」 「そろそろ自分の罪が理解出来たよね?今まで君のせいで傷ついた人間達は、皆こういう風に騙されて、裏切られて、死んでいったのさ」 ……その通りだ。 「佐倉神父夫妻とその娘、モモ……君の妹さん。彼らが自殺したのは元はと言えば君の無責任な願いのせいだ」 「君が不当な願いと手段で集めた信者達が、生真面目な神父様の御心をどれだけ苦しめた事か」 「それだけじゃない。バレたらバレたで君はどうした?叱られて、不貞腐れて、家から逃げ出しただけじゃないか」 「君の能力なら3人を洗脳して操るのは容易かったはずだ。それもせず、中途半端に逃げ回った」 「自分の力が正しいと思うのなら、それを父親に訴えてみるべきだったはずだ。でも君は、ただ父親から逃げただけだ。」 「……違う、あたし、はッ……!」 反論の声を上げた瞬間に、首に回した両手が万力のように締まる。 「いいや違わない!君は家族を騙して希望を持たせ、種を明かし絶望させて殺した!」 「多くの人間を殺し、それを糧としてのうのうと生きてきた!」 「そして今、あのゆまって娘まで犠牲にしようとしてる……」 「気づいてるか?お前のしてる事は魔女と、そしてあのインキュベーターと同じなんだよ」 「魔女を倒すのは正義の味方って相場が決まってる……だから……僕が殺す」 「……死んじゃえよ」 ごきり、と無骨な音がした。 ん……?何か、聞こえる……? ――コ……! ……ョ……コ……! ……うるさい。人が気持ちよく寝てる所を邪魔すんな。 ――ョーコ!キョーコ! 人を気安く呼び捨てにするんじゃねぇ、ウザい奴だ。……こらしめてやるか。 突き出した両手の指先が、むにむにとした物体を捉えた。 勢いに驚いたのか、全く抵抗しない。しばらく縦横に引っ張り、もちもちとした弾力を楽しむ。 数瞬遅れて、やっと小さな手のひらがあたしの手に触れる。 が、引き離そうとするわけでもなく、掴んで離さず動こうともしない。 小刻みな振動と嗚咽、そして顔を伝って手首を濡らす涙。 ――そう、こいつは…… 「お前、ゆまか……?……あたしは、一体……?」 「キョーコ……キョー…コぉっ!うぐ、うぇぇぇん!……ひぐ、よ、良か、良かった……生きてた……」 「すごく、すごく……びっくりしたんだよ?キョーコ、こんなに……ボロボロになって……」 「キョーコ、すごくこわかったよ……キョーコが、キョーコがね」 「傷だらけで、あの時の……ママみたいになってた。ゴーカイジャーのお兄ちゃんが呼んでくるのがあとすこし遅かったら、もう……」 「ゴーカイジャー」の一言を聞いた瞬間、濁ってぼやけた意識がはっきりと目覚める。 そうか、あたしはあの時……。 「ハカセは……その、ゴーカイジャーは?」 「キョーコちゃんをお願い、って言って行っちゃったよ」 「……キョーコ、あぶない!」 痛む身体を無理に動かして、礼拝堂の扉を破って飛んで来た“それ”を辛うじて躱した。 勢い良く叩きつけられた後二度、三度と床を跳ね、緑色の光と共に“それ”は一人の男に変わった。 濃緑色のジャケットが大きく裂けて、癖の強い金髪は赤黒い血で固まっている。 「――やぁ、杏子ちゃん」 「ハカセ。……お前、その傷は」 「いてて……やっぱり魔女は強いね、あの身体でも簡単に吹っ飛ばされちゃうなんてさ」 「でも、まぁ……」 傷だらけの痛々しい顔の筋肉を無理に動かして、ハカセが笑う。 なんでだ? 「無事で良かった」 なんでお前ら、あたしが生きてる事を喜んでるんだ? 「ふぅ、やっぱり一人じゃあいつの相手はキツいよ。でもさ、何とか二人を守り切る事くらいは出来たみたいだね」 お前達は、誰のせいで傷つく事になったのか―――わかってるのか? いや、たぶんわかってないんだろう。結局あいつに言われたとおりだ。 「――もう、良い」 「……杏子ちゃん?」 「ハカセ、もう良いよ。そんなボロボロになってまで、魔女と戦う必要なんて無い」 「……杏子ちゃん?何言ってんの、だってここは君の」 「そうさ、ここはあたしの……あたし達家族の一番大事な思い出の場所だった」 「それを守るのは当然あたしのする事で、お前らを戦わせた事自体が間違いだったんだよ」 「ちょ、ちょっと待ってよ!キョーコ、どうして一人でやろうとするの?……今までだって、二人でやってきたのに」 再び結界に向かって歩き出したあたしに、ゆまが追いすがる。 こいつは何時だって健気なんだよな……。自分が頼ってる物の正体もわからずに尽くしてくれる。 だからこそ、もう巻き込んじゃいけない。 「ごめんなぁ、ゆま。――でももう良いんだ。お前が思ってるほどあたしはまともな人間じゃない」 「お前はこんな奴についてかないで、スーパー戦隊みたいにまっすぐ生きて行った方が良いんだ」 「……君が自分の事をそこまで言うなんて。……杏子ちゃん、一体君に、この場所に……何があったって言うのさ?」 ハカセの問いかけに、あたしは過去の全てを答えた。 親父の信仰の事、契約の事、妹の事、家族と別れたあの日の事……。 そしてその後の生活、闇の世界で生きていく為に何でもこなした事。 どれもゆまには聞かせたく無かった話だが、今はもう仕方無い。 昔良く見た信者達の懺悔みたいなもんだ。もう諦めて洗いざらい吐き出すしか無い。 ……あの頃は他人の悩みを真摯に聞いてやって晴れやかな表情で帰らせる親父を本当に尊敬してたっけ。 そういえばその親父が入っていた小さな懺悔室は、結界の中で当時の威厳のまま佇んでいた。 アホくさい、あれは親父が生きてた頃からボロボロになってたんだ。 何時だかいよいよ金が無いって時に焚き木に化けちまったのに。 あの頃の夢見る魔法少女杏子ちゃんは、今じゃ立派な人食い魔女ってか。 「そうさ、あたしはもう人間じゃ居られない。そうだと名乗るには、もう罪が重すぎるから」 そんな事を今更になって口にする時点で歪んでる、ってな。 「今までさ、好きに使っちまって悪かったよ。それじゃな、もう会う事は無いと思う」 「ハカセ、見滝原の奴らによろしくな。……なんだかんださ、あたしと違ってあいつらは甘ちゃんの良い子だから。キュゥべえの件で悩んでるはずだから助けてやってくれ」 「それで?杏子ちゃん、君はどうするの」 「あたしは……この魔女を倒す。刺し違えても、必ずな」 「それがあたしが見殺しにした家族に出来る償いさ。親不孝な娘だったけどさ、それくらいはしてやりたいんだ」 「そっか……。なら、僕は止めないよ」 「……じゃあ、ゆまをお願い」 それだけ言い残し、再び礼拝堂の入り口に向かって一歩踏み出す。 その時、裾を掴む腕が一つ。 「もっともその子は僕に付いて来る気、ないみたいだけどね」 「嫌だよ……行っちゃ嫌だよ、キョーコ……!一人で行くなんて、死にに行くようなことでしょ?」 「ゆまは、あの日までママにいじめられてたけど……それでも、おわかれして嬉しいって思ったことなんてないよ」 「今だって思ってるの、もっとわたしを見て、話を聞いて欲しかったって。……キョーコだってそうだよ」 「キョーコ、わたしを見て。自分一人で背負わないで、もっとわたしを信じて」 服を掴む力が強まった。 「ゆまはここに居る!キョーコの隣にいるの!」 「だから行かないでよ、もう一人は……イヤなんだから……」 「……ごめん」 これ以上は聞いて居られなかった。あれほど硬く決意した筈なのに、一歩進むごとに脚が鈍って行くからだ。 無理にでも振りほどかなきゃ、比喩じゃなくて脚に根が生えるような気さえする。 が、ゆまの手は緩まない。 両手で力いっぱいに服の裾を掴んだままだ。 「ゆま、もう良い。もうやめてくれよ。あたしは、もう汚れすぎた」 「これ以上お前と一緒だとお前まで汚れる……お前を見てるとさ、今の自分が惨めで仕方ないんだ」 「だからもうついて来るんじゃない!お前は魔法少女、あたしは魔女!……もうそれで良いんだよ」 「杏子ちゃん……そうやってゆまちゃんからも逃げるつもり?」 後ろからハカセの声が淡々と響く。 「違う、あたしはもうお前達を巻き込みたくなんて無いから……」 「違わないよ。自分を貶めて、ゆまちゃんから遠ざける事で逃げようとしてるだけじゃない」 「この子は君と向き合って、ちゃんと見てもらいたいだけなんだ」 「それでも……あたしは人殺しだ。自分の家族さえ手にかけた人間が、のうのうと生き延びるなんて……」 「……違うよ!」 「ゆま?……うわぁっ!?」 更に強く引っ張られ、倒れ込んだ所を抱き留められた。 ゆまの顔がより近くなり、大きな緑の目が視界の中で一際輝く。 「キョーコは……おとうさんやおかあさんにいじめられてきたわけじゃないでしょ?」 「ちがうよね。好きだったから魔女とも戦えたし、魔法だって使えたんだと思う」 さきほどとは打って変わった静かな口調。そのせいか、ゆまの話はあたしを引き込む何かがあった。 こうなった時、この子は年齢離れした知性を感じさせるようになる。 「だれかを好きになるのはまちがいじゃないよ。むくわれなくても、うらぎられても、好きなひとの為になら誰でもつよくなれる」 「キョーコはそのすきだーって言う気持ちを、キュゥべえにつけこまれちゃったんだよ」 「……それで、キョーコはだれかを好きになる事をやめた。好きになってもその分傷つくだけだって」 「でも、キョーコは優しさを捨てることなんてできなかった。だからゆまはここにいるの」 「キョーコの中の誰かを守れる、好きになれる優しい心がゆまに力をくれたんだよ」 「―――それでもまだ、キョーコが自分を魔女だって言うなら」 清々しい笑顔でゆまが笑う。あたしが目指した理想の魔法少女は、こうやって人を救う正義の味方だったっけな。 「その時は、わたしが優しい心を半分分けてあげる。……キョーコが、してくれたみたいに」 「行こうよ、キョーコ!二人なら出来るよ、絶対!」 ゆまが立ち上がり、右手を力強く差し出す。 ……いつの間にこう成長したのかな?もう一人前の魔法少女みたいじゃないか。 「……おう、魔女退治のイロハから叩きこんでやるからな」 差し出された手に自分の右手を重ねると、横からもう一本の腕が伸びる。 一見華奢なようで、それでもあたし達二人のそれより大きくがっしりとした手が、二人の手を包む。 「杏子ちゃん、良い仲間が出来たね。……これで、自分の過去も振り切れそうかい?」 「あぁ、もうくよくよしてる暇なんて無い。ゆまが……仲間が、あたしと一緒に居れば、そんな事する必要ないからな」 「杏子ちゃん、それで良いんだよ。自分の為だけじゃなく仲間の為に、高みを目指して強くなる」 「僕が最初に学んだ大いなる力さ。悲しい過去も、仲間と一緒になら乗り越えられる筈。……出来るよね?」 「当然!」 ハカセの問いかけに、簡潔に答えた。 長ったらしい言葉はもう要らない。後は……あたしが、あたし自身を超えてみせるだけだ。 ―――side 佐倉杏子 今しがた運び出された扉の前に再び立つ。 一度目の挑戦との違いは相棒がゆまである事、もうブチ切れてはいない事、そして…… 「ねぇキョーコ……ほんとにだいじょぶなの?やっぱり槍つくる?」 「ああ、自分で魔法が使えない以上武器持ってようが丸腰だろうが変わらないからな」 「心配してんのか?大丈夫、勝てるよ。あたし達ならさ」 やっぱり自分だけの力で魔女との戦闘をこなす自信が無いのか、ゆまの声には震えが混ざっていた。 大丈夫だから、ともう一度念を押してわしゃわしゃと頭を撫でてやる。 「それじゃ行くよ、ゆま。……手はず通りにな」 「オッケー、キョーコ……ぇぇえいっ!」 力いっぱいに振るわれたハンマーが扉を砕くと、異様に美化された礼拝堂が姿を現した。 そろそろと、慎重に一歩ずつ歩を進めて、林立するベンチの中心部にたどり着いた。 魔女の姿は、ない。かと言って逃げ去った様子もない。姿を隠したのか。 結界の中にはさっきと変わらず、『殺気』のような物が満ちている。 「……ゆま、良く周りを見てな。こっからが正念場だ、注意を逸らすなよ」 「うん、わかった……」 ゆまがハンマーを逆手に構えて、床に向けて軽く突いた。 同時に周囲の風景がブレた。魔法を使う者にだけ見える、魔力を込めた結界の効果だろう。 今更ながらに自分が無力だ、と大声で責められているような気がする。 「んな事わかってるっつの……」 「キョーコ?」 独り言を聞きつけたゆまが見上げる。 無駄にしゃべくってゆまに心配かける訳にいかないってのにな。 「いいよ、気にすんなって……うわっ!?」 「きゃぁぁっ!?……くぅっ」 バリアが軋み、ギリギリと音を立てて大気が揺れる。 あたしからしたらそれだけの現象だけど、実際にバリアの操作をするゆまからしたらぶっ壊される様が目に見えてわかる訳で。 哀れな緑のちびっ子は、傍目でもそうとわかるくらい怯えきっていた。 ゆまの視界には何が写っているんだろうか。 バリアを取り巻き風穴を開けようと迫る無数の鎖か、今にも破片になって飛び散りそうな痛々しいバリアか。 それともその両方かも。 とにかく恐ろしい現実から必死に逃れようと、両目を固くつぶってる。 ……でもなゆま、それはお前が自分で乗り越えなきゃいけないんだ。 お前はあたしを助けてくれるって言った、だからあたしは昔の自分を越える決意が出来たんだ。 その為には皆のがどうしても必要だ、魔法少女と海賊とあたしの、三人の力が。 「ゆま、前を見るんだ!……逃げたって何にもならないって、教えてくれたのはお前だろ!」 「きょ……キョー……コ……。うん……わかった……」 あたしの声が耳に入って、恐る恐る顔を上げる。首にくくった鈴が、チリンと鳴った。 その肩を抱いて、姿勢を直させる。 「良いか、ゆま。魔女を相手にする時は逃げちゃ駄目だ。お前はまだ新米だからな、相手も見ないで勝てる訳がねぇ」 「……でもな、ここにあたしが居る事だけは忘れんな。この佐倉杏子がお前を支えてやってるって事を」 「それだけじゃない、あたし達には……スーパー戦隊だってついてるんだからな。これで勝てなきゃ嘘ってもんだろ?」 大船に乗った気でいなよ、と最後には軽くおどけて見せた。 しかしなんて言い草だ、さっきまでうじうじしてたのはあたしの方だってのにさ。 誰に説教してるのかわかったもんじゃない。 それでも、ゆまは笑ってくれた。 「うん……キョーコ、わかったよ!みんなの為に……ゆまは、どうすれば良い?」 「よし、まずは態勢を立てなおすか!」 「オッケー!」ゆまの目に光が戻る。 その勢いのままハンマーを振り下ろすと、バリア全体が白く輝いた。 同時にギシギシと軋む音も止む。どうやら完全に修復されたようだ。 「キョーコ、次はっ?」 「よし、これからあいつはたぶん一気に攻撃をかけてくる。……あたしが良いって言うまで、魔力を限界まで振り絞っても耐え切るんだ」 「……え?」 「ちょっ、無理だよキョーコぉ!無理無理無理っ!」 「無理じゃない!良いか、守る範囲全体に気を配るんだ。バリアと心を1つにするつもりになれば出来る!」 「簡単に言うけど……キョーコのそんな戦い方、見たこと無いよ?」 「……う、うるせぇ。相手の攻め方がわかれば対策もわかるんだよ!」 とにかく集中しろ!」 「うーん……まぁ良いや、やるよ、キョーコ!」 ゆまが返事したかしないか……と言う内に、攻撃が始まった。 バリア全体がたちまち白く染まり、そして――――。 Side 千歳 ゆま えっと……これで何回しのいだんだっけ……? 息もつかせない、って良く言うみたいだけど、これはそれよりもっとずっとすごいとおもう。 前から来たらつぎは右、上ばっかり攻めてたはずが床からのびてきたり……。 いくら初めてたたかうからって、こんなにつよいなんてないよ……。 ほんとに、キョーコが居なかったら絶対無理だと思う。 「ゆま、次は右だ」ほら、今みたいに。 まほうの使えないキョーコには魔女は見えないはず……なのに、ときどきくれるアドバイスはよくあたる。 だからって、魔女の攻撃が無くなる訳でもないけど。 防がれてムキになったのか、更に激しくクサリをぶつけてくる。 「わぁっ!?……ねぇ、キョーコ、まだ持たせるのぉっ!?」 「もうグリーフシードもないよ、やぶられちゃうよっ!」 それでも、キョーコは動かない。 目をつむってうでぐみしたまま、じっと何かを待ってる……ような? 「キョ……キョーコ?」 「ゆま、バリアを弱めてくれ」 「何言ってるのキョーコ、そんな事したら二人ともやられ……!」 「良いんだ、今こいつは調子に乗ってきてる。ここで弱みを見せてやればすぐにでも食いつくさ」 「あたしにはわかる、信じてみな」 キョーコがにっと笑って、八重歯の光が目に入った。 「わかったけど……知らないよ!」 魔力を弱めてバリアをうすくした瞬間、クサリの海が視界いっぱいにうつる。 「……!」あわててハンマーを構えたわたしを…… 「今だハカセ!―――ダイレンジャーで行け!!」 ……結界いっぱいに響くキョーコの声が貫いたと思ったら 「天 幻 星 ・ 幻 山 手 線 ッ !」 見なれた緑の列車が目の前を通りすぎて……なにもかもがふきとんだ。 ……もう、わけわかんないよ……。 Side 佐倉杏子 ……これがスーパー戦隊の力って奴かよ。 目の前を緑と銀の“塊”が走り抜けた、と思った瞬間に、結界の最奥で猛烈な土煙が上がった。 弾き飛ばされた魔女が壁に激突したせいだ。ステンドグラスからの光に包まれていた結界全体が歪み、張り詰めていた荘厳な気配が一瞬で消滅する。 化けの皮が剥がれやがったって訳だ。 視界が晴れた頃には、結界は一面礼拝堂とリンゴ林、そして見滝原の街並みの悪趣味なコラージュに書き換えられていた。 「幻覚には、幻覚か。上手く行ったね、杏子ちゃん。……ところでこれは?」 ダイレンジャーの天幻星・シシレンジャーに変身したハカセが辺りをキョロキョロ見回している。 「……ここの魔女自身の『想い出』って奴だろ。傷めつけられたせいで、あたしを惑わす為に作った結界とごっちゃになっちまったのさ」 リンゴ林の中にチラチラと写ってはまた消える影から目を逸らしつつ答える。 「ちょ、ちょっと待ってよ杏子ちゃん。想い出だなんて、まるで魔女が元はヒトだったみたいな……」 ハカセの声が上づる。あのおぞましいバケモンが元は人間だなんて考えたら……そりゃな。 「理屈はわかんない。けどさ、この結界のヌシがあたしには、もう一人の自分みたいに思えてならないんだ」 「あいつのやることなす事一つ一つが予測出来るし、結界の中も見たようなもんばっかなんだ」 「キュゥべえの野郎とは付き合い長いし、ザンギャックの技術力なら出来なくも無いだろうしな」 こいつはまさに『佐倉杏子』にとってうってつけの罠だと、キュゥべえの奴も思ってたに違いない。実際、一度はコロリと引っかかっちまった。 それでも―――。 「ハカセ、ゆま、今度こそ終わりにするよ。あたしは自分の過去を越えて見せる」 「いつまでもキュゥべえの思い通りじゃねぇって事を思い知らせてやるんだ!」 「うん!」「オッケー!」 二人の声が重なり、なりふり構わず突進する魔女を迎え討つ。 「いつまでもしつこいよっ!キョーコをいつまでも縛りつけないで!」 「そうさ!杏子ちゃんはもう一人じゃない、仲間と一緒に戦っていけるんだ!……だから!」 「「邪魔、すんなぁぁぁーっ!」」 『ダイレンロッド』とハンマーの先端が同時に突き刺さり、魔女の突進が止まる。 魔女を覆う鎖の残骸がボロボロと崩れ落ち、より惨めな姿になる。 「qqweurrrryyyyyyahhhhhhhhhッッッッ!!」 違う、動きが止まったのは一瞬だけだった。甲高い叫びが上がると、ダメージなど何も無かったかのようにまた突進が始まった。 二人は受け止めきれずに吹き飛ぶ。 「―――ゆま!ハカセ!」 「だいじょぶだよ、キョーコ!」 「そういう事っ。じゃ、いくよゆまちゃん!……いっせーの、」 思わず叫び声をあげたあたしの耳に、存外冷静な声が返ってきた。 「「せっ!」」 二人が着地した瞬間に一人は前に、もう一人は後ろに跳ね飛んだ。 ゆまがハンマーでハカセを弾いたのだ。 「ゆまちゃん、ナイスバッティング!……ゴーカイチェンジ!」 くるりとトンボを切り、空中でハカセが紫に光る。 34戦隊でもただ一人の紫色、たしかあれは……。 「アイアンウィル・ゲキバイオレット!」 「激獣ウルフ拳ゲキワザ・狼狼蹴(ろうろうしゅう)!!えやぁぁぁっ!」 オーラを纏った右足が蹴り下ろされ、頭頂部の鎖を砕いて全身を床にめり込ませる。 露わになった鎖の下は、まだ燃えるような赤い髪の毛に覆われて何も見えない。 残り少ない鎖を振るって頭上のハカセに攻撃しようとする所を、「ki,kwiyyyyyyyyerrrrrrrhhhh……!?」 ゆまの放った衝撃波に抑え込まれる。 「よし、杏子ちゃん止めを!……ゆまちゃん!」 「うん!―――魔力!」 「―――激気!」 「「同時注入!合体ゲキワザ・創創槍ッ!」」 二人の拳から撃ちだされた紫と緑の光がぶつかり合い、一瞬眩い光が目を焼く。 ……目を開けてみると、床に狼にを思わせるような槍が突き立っていた。 「サンキュ!それじゃあ今度こそこれで終わりにしてやるよっ!」 一息に引き抜いて身動きの取れない魔女に迫る。鎖の雨が迫るが、今のあたしにはかすりもしない。 不思議と身体が軽いのは、槍がゆまの回復性の魔法で作られたから、という理由だけじゃなくて―――。 すぐ後ろには信頼出来る仲間が居る、ってのもあるのかも知れない。 それだけに、今は絶対に負けられない。 「うらぁぁぁァッ!」 狼の顔面に似た刃が魔女の横っ腹を抉って半ばにまで達する。 ……いや、そこで止められる。今まで鎖の奥に隠されていた両腕が解き放たれたのか。 片腕が槍をがっしりと掴み、もう片腕が今まで捧げ持っていたであろうロザリオを振りかぶってあたしを狙う。 凄まじい速度で振り下ろされたその手は……あたしを捉える事は無かった。 深く突き刺さった刃が開き、顎で咥えて魔女の身体を持ち上げていた。 思わず振り返ると、ゲキバイオレットがサムズアップで応える。 狼の形にはこういう意味があった、って事か。 力強い牙で持ち上げられた魔女はもはや身動き一つ取れずにただ咥えられている。 だが、最後まであたしに傷を付けようと新たな鎖を伸ばし続けていた。 ……それもそうだろう。あの時見たあたしを責める幻影は、自分自身を責めるこの魔女の『良心』そのものだっただろうから。 こいつからしてみれば、悪事を積み重ねる『魔女』佐倉杏子は絶対に許せない極悪人だ。 それでも、あたしには仲間が居る。もうたった一人で悩む事も、間違いを犯す事だって無いって信じられる。 「だからさ……ずっと一人ぼっちのあんたが、勝てる訳なかったんだよ」 魔女を天井に向かって投げ上げ、それに向かって槍投げの要領で槍を投げつける。 ぴったり中心部を抉った槍は、結界と一緒に消滅した。 後に残ったのは元のみすぼらしい礼拝堂と床に突き刺さったグリーフシードだけ。 唯一の報酬を拾おう、と身体を屈めた瞬間…… 『てれってれれれん』『てれってれれれん』 間の抜けたコール音が二度連続で響いた。 「はい、もしもし……あぁ、ルカ?どうしたの、良く聴こえないけど」 「……何?マミちゃんがどうしたの?……ちょっと、ねぇ、ルカっ!?」 ハカセが携帯電話(モバイレーツだっけ)を取り落とし、頭を抱える。 海賊の仲間が緊急事態にでも遭ったのか? 「……ごめん、杏子ちゃん、ゆまちゃん。せっかく教会も取り戻せた所だけど僕はもう行かなくちゃ」 「ルカが……ゴーカイジャーの仲間が危ないんだ。……僕が絶対何とかする、二人はここで休んでて!」 ハカセはそれだけを言い捨てると時間も惜しい、と慌てて走り出し…… 横から突き出たハンマーの柄に引っ掛かり、顔面から扉に派手に突っ込んだ。 「ゆ……ゆまちゃん。何してるんだよ、これは遊びなんかじゃ……」 ハカセが呻く。 「だからって、置いて行くなんてひどいよ!さっきはなかまだって、言ってくれたのに!」 「だからさ!……今君達が戦ったってなんにもならないよ。そんなに疲れきってるのに……なんで戦いたがるのさ」 ハカセの剣幕に、食ってかかったゆまの方がひるまされる。 確かに戦ったって、今のあたし達に何か出来るとは正直思えない。 襲撃を提案した張本人のマミの所に向かった、ってのも心配だし、ここみたいに魔女が送られた可能性もある。 何より、手練揃いの海賊一人を現に窮地に陥らせているってのが一番の証拠だ。 「それでも……理由ならあるよ」 「杏子ちゃん?……君まで何をっ」 「あたし達は仲間だって。あんた、そう言ってくれたよね」 「なら、そのルカって海賊も仲間だろ」 「……ルカさんの相手は十中八九巴マミだ。あいつが襲撃を提案したんだからな」 「あたしらのリーダーだった巴マミと、海賊の仲間……仲間同士の殺し合いなんて見てられない、それだけさ」 「頼むよハカセ、マミを説得できるとしたら一緒に戦ったあたしら以外居ないんだ」 「あたしのせいで誰かを失うってのはさ……もう、うんざりなんだよ」 「……」 あたしが話終えても、ハカセは扉の方を向いたままだった。 物音一つ立てない重苦しい沈黙が続く。 「……行こう」 扉を開けて、そう切り出したハカセの声は、妙に低かった。 「絶対、約束して。……危なくなったら、すぐ、逃げるって」 そして、ブツ切れだった。 「うん、約束する!絶対約束するから!」 ハカセに飛びついて二つ返事で答えるゆまは、猫よりもむしろ犬に見える。 ぶんぶんと尻尾を振る様子が目に見えるみたいだ。 両腕で抱きとめるハカセを顔は、扉の隙間から差し込む光で隠されていたけど。 あたしには、本心から笑っているであろう事が確信できた。 「――ところでキョーコ、見滝原の人とはわたし会ったことないけど……『巴マミ』ってどんなひと?」 「そうだね……一言で言えば『正義の味方』さ。お前みたいな子には優しいよ」 「そんなひとがどうして?わるものになっちゃったの?」 「違うだろうね。あいつは死ぬまで正義の味方さ。……だからこそ、って事もある」 ―――side 巴マミ 空の高い日だった。 車窓から見えた、抜けるような青空を、私は飽きる事なく眺めていた。 だから、車の中の事はよくわからなかった。 長いドライブにも飽きて、私はただパパとママの言葉にも生返事を返すだけだった……と思う。 だから、二人に関する最後の記憶は、後頭部だけ。 どんな表情をしたのかさえ、今はわからない。 次に見たのは、空を埋め尽くす黒雲。そしてそれを照らす血よりも赤い炎。 ひしゃげて原型を失った車内から、私はこの世の地獄を垣間見た。 あつい……いたい……くるしい……。 身動きの取れない状態で、それだけが頭の中をぐるぐると廻っていた。 火の手はなお強まり、意識がだんだんと薄れてゆく。 ぼやける視界の中で、私は、急に差し込んだ強く白い光に手を伸ばしたような気がした。 そこから後の記憶は断片的な物になる。 事故の原因となった巨体を撃ち砕く鉄巨人とそのガトリング砲の真っ赤な嵐。 車から私を引きずりだしてくれた、力強く優しい黄色の腕。 そして、病室の白くて清潔なリンネの上で出会った、雪のように真っ白なあいつ。 『やぁ、お目覚めかい?災難だったね、マミ』 『誰……あなた……何なの……?』 『僕かい?僕の名前は―――』 「インキュベーターッ!……っ、痛……」 机を力強く叩いた衝撃で、完全に目が覚めた。 分解整備中だった名前も知らない拳銃が、ゴトンと音を立てて床に落ちる。 「夢……なの?」 あの日の事を夢に見るなんて、私もつくづく弱気になった物だ。 変身出来ないからって、弱気になったのかしら。指輪の跡が薄く残った左手を見つめる。 やはりそこには見慣れた宝石は無い。 私達がソウルジェムを奪われた後、いち早く目覚めた私は暁美ほむらの銃器を持ち、一度自宅に帰った。 美樹さんは連れ去られ、鹿目さんはあの気性だ。自宅で震えているだろう。 佐倉杏子は元から一匹狼だ。恐らく今頃この危険な街を離れただろうか。 元より関係の良くなかった暁美ほむらには今更話を持ちかける気すら起きなかった。 ……よしんば協力出来たとして、病弱だったと言う彼女が何の役に立つだろうか。 大部分の銃器を手に入れた以上、私に取って利用価値は無いと言って良い。 「……良し、流石に抜かりない子ね。これだけの武器を整備したのが中学生とは思えないわ」 「使い魔相手なら小銃で充分だけど……やっぱり決定打が足りないかしら」 整備を完了し、身支度を整えた私は、幼い日に通った「秘密基地」へと歩き出した。 まだ春だと言うのに、見滝原の空気は暑かった。 下はタンクトップに男の子の履くような短パンと通気性充分。 しかし、その上がパパの遺品のトレンチコートなのだから始末に負えない。 仕方がないとは言え、この格好は知人に見せたくはない―――思わず苦笑してしまう。 陽射しが強い。 照りつける太陽とアスファルトからの反射でハムエッグにされた身体から絶え間なく汗が吹き出る。 蒸し風呂と化した道路を、私はひたすら歩き続けた。 工場地域を通過した後程無くして、高速道路の高架下、幼い私の「秘密基地」に辿り着いた。 持参のゴルフバッグを開き、折りたたみ式スコップを出して掘り返す事、およそ10分。 地下への階段が姿を現す。 階段を下り、薄暗い地下へと足を踏み入れる。 懐中電灯を点けると、多少黴くさいものの、昔の面影そのままに懐かしい一部屋が現れた。 壁にかかった絵、無造作に積まれたアルバム類、大小ばらばらな字で「ま法少女作戦ノート」と大書された数冊の自由帳。 想い出の品々が輝きを帯びて私の目に飛び込んで来るが、今はじっくりと感傷に浸っては居られない。 私は更に奥、地下貯蔵庫へと歩を進める。 「コホ、コホ……凄い臭いね、ここ……」 お目当ての物を発見し、そそくさと地上に昇る。 ほんの数分だけ潜った筈なのに、差し込む光に目が耐えられない。 目をしょぼつかせながら階段を昇る途中、 「――ッ!?」 いきなり何者かに手首を掴まれた。 息つく暇も無く、ただひたすらに走る。走る。走る。 私は足を前に出し続けるのが精一杯だった。ただ、転ばない為に。 足を踏ん張ってどうにか止まろうとした瞬間、大きく振り回されて地面に倒れこむ。 ちゅんちゅんと、軽い音と共に地面が弾ける。 私達が居た所に銃弾が撃ち込まれる音だ。同時に、廃車にでも当たったのか、爆発が起こる。 燃え盛る熱風に眼球を燻されつつも、私はその時初めて黄色い上着の颯爽とした後ろ姿を正面から見据えた。 「……ルカ・ミルフィ……さん。何をやってるんですか、こんな所で」 「海賊の、あなたが……?」 彼女は振り返らず、「ゴーカイガン」をやたらに撃ちまくる。 「決まってるでしょ?迎えに来たの。あんた達がザンギャックに狙われてるのが見過ごせない……ってのが居てさ」 「チッ、ここもすっかり包囲されたみたい。……あたしが先に出る、すぐ走りな」 有無を言わせぬ口調に気圧された訳では無いが、私はおとなしく頷いた。 完全に包囲されていると言うのは嘘では無いらしく、ざっと見ただけでも10人は下らないであろう「ゴーミン」が目についた。 意外と統制が取れた行動をしている。ゴーカイジャーが味方に居るとは言え、脱出は難しいかもしれない。 雑兵と言えども、いざ眼の前にすればそれなりに強そうだ。 今までTVでしか見たことが無かったのだから、当然かも知れないが。 「……1」 が……、だからと言って私がここで死ぬ訳にはいかない。 「2ぃの……」 何故なら私は…… 「3ッ!」 もっと強い、正義の味方になるのだから。 背後で猛烈な銃声と、それが弾き落とされる甲高い金属音が鳴り響く。 それを合図に走り出した私を、前方から銃口の群れが出迎えた。 その数、およそ10。魔法少女では無い今の私を殺すには、充分すぎる威力を持っているだろう。 だからどうした。そんな物を怖がるヒーローなんて居やしない。 私は、自分を奮い立たせるように一歩前に踏み出すと、勢い良く走り出した。 身体が前に進む度に胸が高鳴り、勇気が湧き出す。懐に抱いた宝物をどう使えば良いか、様々な考えが浮かんでは消えていく。 私が突き進みながらも冷静なのと反対に、物陰から狙う敵―――ゴーミン達は、浮き足立っているようだった。 明らかな戦力差にも関わらず向かってくるのは想定外だろうけど、適当に撃って外しまくるのは逆効果も良い所だ。 味方からは信頼を損ね、敵から……つまり私からすれば自信に繋がる……いや、当然か。 正義の味方ならこんな弾に当たりはしない。そんな事はいまさら再確認する間でも無い。 残りおよそ5メートルまで近づいた私に一人の兵が殴りかかり……あろう事か仲間の弾幕で倒れる。 良いタイミングじゃない、使わせてもらおう―――と思ったのが先だったか、動くのが先だったか。 とにかく、気づいた時には私は彼の亡骸の肩から更にジャンプする。 銃口より先に視線が私を追い……そして私自身から手に持った物に移り……。 その「何か」が投げられた、と思った時にはもう遅かった。 自家製爆弾は、それなりの年月を置いても充分にその任を果たした。 ゴーミンの集団の頭上で炸裂したそれは、一時的にでも彼らの戦闘能力を奪ったのは間違いない。 チャンスを逃さないように、私は右腿のホルスターから拳銃を引き抜き、安全装置を外した。 倒れ込んでもがく彼……なのだろうか? 目の前の一人を踏みつけて自由を奪い、無造作に一発撃った。 足の下でもがいていた『それ』は、ぴくっ……と最後に小さく蠢いて、それから微動だにしなくなった。 靴から伝わる熱が抜けていく生ぬるさと、力の抜けた感触が余りにリアルで、私は死体を蹴って更に跳んだ。 そのままの勢いで前方に飛び込んで行く。行く手を遮る兵士達は、改めて見れば私よりだいぶ大きい。 軍人と一般市民の差は大きいようだ。 それでもやはり負ける気は微塵も起こらなかった。 一番手に棍棒で大上段に殴りかかった所を左手一本でいなし、顔面に拳銃を突きつける。 引き金を弾こうとした瞬間、目の前が爆ぜた。 目の前を銀の閃光が飛び回る度に、一人、また一人と人影が倒れる。 私の後ろから援護をかけているのは間違いなくルカ・ミルフィその人だった。 止めとばかりに彼女が左手のゴーカイガンを乱射する。 間をおかずに数発の小爆発が起こり、そして全てが終わった。 棒立ちで見ていただけの私が行き場を無くしたようにでも見えたのか、彼女は私ににっと笑いかけた。 「あたしに囮を任せて、すぐ逃げれば良かったのに。地球人ってみんなこんなに無茶が好きなの?」 余裕を見せれば私が安心する、と思っているのだろうか。 自分は肩で息をして、無理したのが丸わかりな癖に。 3 「……ありがとう、と言っておきます。流石に海賊戦隊を名乗るだけの事はありますね」 それでも、私は頭を下げた。 戦う力を持たない現状、今は信頼を築いておかなければいけない。 「そーそ、素直が一番だって。ザンギャック相手の戦いは遊びじゃないからね」 「魔法少女だった時はいざ知らず、今はもう戦えないんだからあたしらに任せなさいって」 「何の為にこんな所で穴掘りしてたのかは知らないけどさ……もう良いのよ?」 あなたに説教される筋合いも無いけど。口には出さず、私は地面を掘る時に脱ぎ捨てたコートを羽織りなおした。 「そう……ですね。私どうかしてました」 「街を守る正義の味方って言うのをやってみたかっただけなんです」 「でも帰る前に、一つお願いがあるんですけど……」 「私、スーパー戦隊に憧れてて……ルカさんの変身アイテム、見せてもらえませんか?」 努めてしおらしくしたつもりだったが、彼女の目付きは鋭かった。 二人の顔から笑みが消える。 「それ、どっかでも聞いた台詞なんだよね……やめときな、あんたじゃゴーカイジャーは務まんないよ」 「そんな、ひどい……。私、ただ憧れのヒーローの力が見たかっただけなんです!」 「お願いです……レンジャーキーだけで良いですから、見せてください!」 最後の方になると、腰がほぼ90°に曲がっていたような気がする。 さすがにやりすぎだったか、と思いながら恐る恐る顔を上げる途中、困惑した顔の彼女と目が合った。 自然と、上目遣いの形になる。 その体勢のまま10秒(体感では一分以上だが)が経過した頃だろうか。 いつの間にか黄色い人型がこちらに突き出されていた。 本人は下を向いて私と目を合わせるのを避け、一本のレンジャーキーだけをこちらに差し出していた。 「ルカさん……」 厚いコートに覆われた私の右手がゆっくりと近づく。 人間なら『目』に相当する部分が特徴的な、199戦士の中でも異端的なデザインのキーだ。 キーを受け取った指が離れるか離れないかの微妙な隙を逃さず、私は袖の中に隠したもう一つの銃で手のひらを『刺した』。 「……!?」 彼女が苦悶の表情を浮かべたのはほんの一瞬で、次の瞬間倒れこむように飛びすさるとすぐに無事な左腕でゴーカイガンを突きつけていた。 同時に私も右腿の拳銃を再度抜き、2つの銃口が交差する。 流石に海千山千の女盗賊、油断は出来ない。 「あ……ンた…っ、ナんで……!」 「マヒした身体で無茶しない方が良いと思うわ。射撃には自信があるの」 「この距離ならまず間違いなく私の方が早い……いくら宇宙人でも、ヘッドショットには耐えられないでしょ?」 しおらしい『反省した自分』の仮面を外して言い捨てると、驚愕の色がより濃くなる。 海賊が人を信じるだなんて……馬鹿らしいわ。 「暁美さんが便利な物を持っていて助かったわ……テーザーガンって言うんですって、これ」 「身体は人間とそう変わらないんでしょ?効くはずよね」 「手荒な事をして申し訳なかったけど、これも、他のレンジャーキーも元々地球の物、私達の物なの」 「だから、モバイレーツも私にちょうだい?」 ―――side ルカ・ミルフィ ほんの一瞬だった。何も見えず、何も感じず、終わった後ですら気づかない―――たった一瞬。 レンジャーキーを選び、掴み、そして渡す。 その一瞬の間に、あたしは手の甲に電撃の短針を撃ち込まれてしまっていた。 そう気づいた時には、あたしは自分の脚で立つ事が出来なくなっていた。 無防備な姿を向けるまいと必死に跳んでも、1メートルと下がる事が出来ない。 だから、「敵」の憎々しいまでの妖艶な微笑から遠ざかる事は出来なかった。 あんた、なんでこんな事したのか知らないけど……ただと済むと思ってないわよね! せめて気合を入れる為に、そうすごんで見せた。……つもりだったのに、実際に口をついたのはその半分ほどだった。 舌が震える。無様な片手落ちの言葉は、今の自分そのものだ。 こんな所で、止まってる場合じゃないのに……。 「無力な一般人だと思って油断したんですかぁ?私が襲撃の指導者だって知ってるんでしょ?」 レンジャーキーを大事そうに握りしめながら、犯人―――巴マミは、あたしを見下ろした。 「もう一度お願いします。モバイレーツとレンジャーキーを渡してもらえますよね?」 友好的な仮面を脱ぎ捨てた、戦士の瞳で。 「なん……でよ?」 「――――?」 身体は動かない、相手は予想外の手練、そして目の前には拳銃……。 絶対絶命の状況でも、あたしは聞かずに居られない。 「なんで……力が……欲しいの!?」 「たった一人で……あいつらに勝てる訳……ない!なんで……戦い……たがるのさ?」 力を求めるその訳を。もつれる舌を懸命に動かす。 「決まってるじゃないですか……。正義を成す力を取り戻す為、そして――」 「この街からザンギャックを、あのインキュベーター達を叩き出す為ですよ」 行動隊長の名前を口にした時、瞬間的に眉間に数本の皺が入る。 5人のリーダー格としてあの白いのの言いなりで動いていた、と言うのがショックなのか……。 「ところで、そうやって質問ではぐらかすのが海賊流なんですか?」 恨み骨髄、と言う表情のまま、銃口と一緒に最後通牒が突きつけられる。 ……ヤバ、地雷踏んだかも。 仕方なしにゴーカイガンをしまい、代わりにジャケットの内側から『モバイレーツ』を取り出してみせた。 「……それで良いんですよ。聞き分けが良くて助かりました」 「……ッ」 「誰だって、自分の命の方が夢よりも大事ですからね……早く渡して下さい?」 後退ったあたしに合わせて、一歩、二歩とマミが近づいて来る。 更に一歩、もう一歩、ベストな位置に辿り着いた所で―――、 「……そうでも、無い、かもよっ!」 渾身の力で顔面にモバイレーツを投げつけた。咄嗟に掴もうと差し出した手に、『ゴーカイサーベル』で斬りかかる。 更にそのアクションに合わせて、マミがハンドガンを向ける。一瞬の交錯。 生死を懸けた緊張が作る天然のスローモーション。それには不釣り合いな速度で、サーベルのワイヤーが伸びた。 鋭い刀身を備えたそれはモバイレーツを上空に投げ上げ、そのままの勢いでハンドガンをも真っ二つに切り裂いた。 不自然な姿勢から受け身を取る事は出来ず、お互いが地面に倒れ込む。 短い戦いは終わった。 倒れこんだあたしを、今度は同じく地べたからマミが睨みつける。 「もうここまでの動き!?なんて回復力、それに……」 「自分の変身アイテムにあんな扱い……!あなた、スーパー戦隊の力を何だと思って……!?」 「自分の掴みとったお宝の事くらい、わかってないとでも思ってんの?」 「やりたい事をやる前に壊れるようなヤワな出来じゃ、海賊は務まらない!」 「あんたも!本当に欲しいなら、力づくででも自分で奪い取ってみせな!」 「それが海賊の流儀ってもんよ!」 「くっ……、上等よ、宇宙海賊っ!」 宣戦布告と共に、短針銃を数発連射し、放り出されたゴルフバッグの所まで一旦退却していく。 好機を逃さず、あたしはレンジャーキーを変形させた。 聞きなれた叫びが辺りに響いて、見慣れた光があたしを包む。 「ゴーカイチェンジ!」 <ゴォォォッカイジャァァァッッッ!!> 「ゴーカイイエローッ!……っとっとっと、よっと!」 不可視の高速で飛来し、電撃を放つ厄介な短針もこの姿になれば呆気無く叩き落す事が出来た。 流石に全部とはいかないけど、逃した弾もスーツを貫通はしない筈。 それでも……あまりに上手く行きすぎた展開に、あたしはこの時一抹の不安を憶えていた。 ―――side ルカ・ミルフィ 「……形成逆転、って感じ?」 難なく弾幕を凌ぎ切り、スーツを纏った手足に力を込める。 足は動く。走れるかはわからなくても、今この場でとりあえず追いかける事は出来る。 問題は腕だ。指先に感覚が戻らない以上、キーを変形させて再変身は出来ない。 引き金が引けないから威嚇射撃の一つも出来ない、って訳か。 それでも、諦める気はさらさら無かった。 「巴マミ」の意思はあたしの想像よりはるかに強固だった。ここで逃したら、それこそ他の誰かからキーを奪うかもしれないし、最悪生身でザンギャックに挑みかねない。 それだけは止めないと。 「正義の味方だか……なんだか知らないけど」 「こんな小細工に失敗したらすぐ逃げ出すのが、あんたのやり方なの?」 マミ本人は荷物にたどり着くとすぐに物陰に隠れてしまい、姿が見えない。 あたしの挑発の言葉は、届いたのかすらわからないまま、不自然なまでの静けさに飲み込まれていった。 先程まで響いていた筈の車の音も、まだ大した時間でもない筈なのに、足音一つ無い。 聞こえるのは、あたし自身の心音と……盛大にぶっ壊れた廃車が時折立てる小爆発の音くらいだ。 何かがおかしい、と思うより早く、あたしは次の挑発をしていた。 「正義の味方さんにしては、ずいぶん臆病じゃん……?」 「あんた、あたしと戦うよりおうちでママの料理でも手伝ってたら?」 「……その髪、一人でセットするのは大変でしょ」 手伝ってもらってるんなら親孝行でもしてあげな、と声をかける前に、円筒形の何かが飛んでくる。 とっさに弾き落とそうとしたあたしのサーベルは、右手に衝撃が走ると共にはたき落とされた。 宙を舞うサーベルと入れ違いに、円筒型の手投げ弾がこちらに向かってくる。 急所を守る余裕すら無いまま、あたしは轟音と超新星のような光を受け止めた。 閃光弾に視覚をやられた事に気づいたのは、機関銃の凶暴な弾丸が頭の横に殺到した時だった。 真っ暗な視界の中で、すぐ横の地面がえぐられる感触だけを身近に感じる。 唯一の武器すらも落とし、感覚さえ奪われて、あたしはただ這いつくばってうごめくしかなくなっていた。 もはやどこから響くのかすらもわからないが、マミの怒声が頭の中で乱反射する。 「正義の味方にしては……って言ってたわね……」 「ふざけるんじゃないわよ、私の正義を……」 「私の力を……あなた達が奪ったくせに!」 「良くも私を……絶対に許さない!」 カチッ と言うロックを外すような音の後に、何かが空を切った。 それを感じ取った次の一瞬……。 あたしの身体は大きくはじけ飛び、更に次の一瞬には強く叩きつけられた。 ――Side ルカ・ミルフィ 絶え間ないエンジンの鼓動、やかましいクラクションの音。時に、甲高いブレーキの悲鳴。 騒音は、さっきより明らかにクリアにあたしの耳を打った。 まだ目をつむったまま、今度は両手に少し力を込めてみる。ずっしりと硬い手応えは無く、掴めたのはサラサラとした砂のひとつまみだけ。 それでも明らかに力を取り戻した両腕を顔に伸ばし、土埃を拭う。 薄目を開けた視界に、巴マミの作り笑いがいっぱいに映り込んだ。 「『これ』に問題があるって事は無いと思うのよね……」 「暁美ほむらの所持品は見た所、来歴のはっきりした物と無い物に分かれてる。でもこれは信頼出来る、恐らく軍の物でしょうけど」 「それに比べてこっちの拳銃はダメね? どこの製品か知らないけど、さっきの戦いくらいでもう弾詰まりなんて、危なっかしいなんて物じゃない……」 「ねぇ……聞いてるの?」 あたしを廃車にもたれかけさせると、巴マミは持ち物の整理を始めた。 一方的なおしゃべりに、今のあたしは一瞥をくれてやる事しか出来ない。 武器も奪い取られた今は、相手の一挙手一投足を観察するのが先決だ。 「ま、良いわよ。これだけ撃ちこんでまたヒョイヒョイ動き回られたらその時は」 「もっと素直な方法で相手するだけだから。いくらあなたでも、鉛の弾丸なら堪えるでしょ?」 わざとらしくガチャガチャと腕の中の鉄塊を鳴らす。スーツ越しにでも相当な衝撃はあるだろうそれを、あたしより圧倒的に幼い生身の少女が撃てるものだろうか。 「その目は何? まだ私をどうにか出来るって思ってるのかしら?」 睨みつける視線がふっと逸れていき、両手が不自然に垂れ下がる。 「そうね。確かに貴女達は強いわよ」 「たった5人で帝国に反抗する度胸がある、数々の星を巡って場数も踏んでる」 「腕前も信念も全てを備えて、だからこそ自信を持てるし強くあれるのでしょうね?」 淡々とした口調が徐々に震え出す。明らかにおかしい、と思った時には既に遅かった。 「だからこそ気に入らない!」 憎しみさえ篭った絶叫に、あたしは手をかざして身を守る事しか出来なかった。 鋭い痛みが手首から伝わり、異常な速さで薄れていく。また麻痺させられてしまったようだ。 震える脚で立ち上がり、逃げ出そうとする間にも連射が見舞われる。 視界が歪み、膝を着いたあたしには、彼女の喋る言葉だけが妙にクリアに聞こえた。 他の音は全てノイズがかって聞こえているのに。 「自由に、自分達の夢の為に……そんな事で戦ってるなんて甘いのよ」 「力を持つには、貴女達には覚悟も背負う物も足りなさすぎる……!」 BACK 海賊戦隊ゴーカイジャー「見滝原市……?」 3
https://w.atwiki.jp/ke-tai7/pages/66.html
おもちゃ板現行スレ ■発売中■ バンダイ DXフォンブレイバー7(セブン) ¥5,250 DXフォンブレイバー3(サード) ¥5,250 DXフォンブレイバー01(ゼロワン)¥5,250 ブーストフォン シーカー ¥2,940 ブーストフォン スピーカー ¥2,940 ブーストフォン デモリッション ¥2,940 ブーストフォン グラインダー ¥2,940 ブーストフォンメディック ¥2,940 ブーストフォンアナライザー ¥2,940 DXソリッドドライバー ¥8,190 食玩 ミニプラ ケータイ捜査官7 4種 各¥367 ミニプラ ケータイ捜査官7~ゼロワン登場編~ 4種 各¥367 ミニプラ ケータイ捜査官7~ケータイメカ大集合編~ 10種 各¥367 サウンドミニプラ しゃべるケータイ捜査官7 3種 各¥630 ケータイ捜査官7 ミニフィギュアコレクション 20種 各¥210 SoftBank 815T PB 約¥60,000(一括)約¥2,000(24回分割)+利用料 X07シルバー(セブン) X01ブラック(ゼロワン) ■ゲーム■ ケータイ捜査官DS バディシークエンス
https://w.atwiki.jp/tukimiudon/pages/12.html
このホームページについて このホームページは管理人がいらなくなった物などを 欲しい人が自己申告してもらいやり取りをすることや 情報交換のためのサイトです。