約 3,574,385 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2689.html
第一話:仮装姫 俺の学生としての朝は早い。授業がだいたい、一限目からあるのもそうだが、蒼貴、紫貴のメンテもしなければならないからだ。不本意ではあるが、杉原からそれに関する知識を学んで、それから日課にしている。工業大学所属の俺としては精密機械をいじれるのは授業の助けになっており、非常にプラスに働いている。二人を整備できて成績アップになるのだから苦にはならない。 蒼貴と紫貴とああだこうだ雑談しながらそれを終えたら、大学に行くべく、スマートフォンやら財布やらの常備品や道具を詰めた通学用のカバンを持って、二人に見送られながら部屋を出る。ここからは大学生 尾上辰巳として活動するのだ。 家の外へと出たら、大学へと向かう。通学には電車を使っている。その気になれば時間はかかるものの、自転車でも通えるのだが、電車の方が帰りの飲み会などの時に都合がいいからだ。 「今週の週刊バトルロンドを見たか?」 「ああ。また双姫主の尊がランカーをぶっ倒したらしいぜ? これだけの事をやっていて何で素性を隠すんだろうな?」 「さぁ……? 闇バトルをぶっ潰したこともあるとか、バーグラーに結構、因縁つけられているとか黒い噂もあるからじゃね?」 「ほんと、すげぇよな。憧れるぜ……」 大学へ行くための電車の中で何やら中二病でも患ってそうな残念な二人組が俺の噂をしている。誠に申し訳ないが、実際には学生生活でそれがバレると人間関係上、非常に好ましくない事になるからだし、ランカーとかバーグラーに関しては倒す必要のあったり、止むを得なかったりする相手がたまたまそうだっただけだ。十中八九、お前らのヒーロー像を台無しにするだろう。 内心、軽い謝罪やら、憧れの否定やらが混ぜこぜになった気持ちでそいつらをスルーして大学のある駅を降りる。駅を降りて、徒歩十分の所に俺の大学がある。少しは名の知れた工業大学で中堅に位置するまぁまぁな大学だ。ちなみに男性八割、女性二割のむさ苦しい環境にある。工業大学にはよくある事である。 そうそう、『尾上辰巳』と『尊』の時は髪型のセットを変えたり、伊達眼鏡の有無でかなりの差をつけている。俺を知るヤツでもない限りはバレる事はない。 十分間、通学路を歩いていく。今回も例によって気づかれる事なく、通り過ぎることができた。 「尾上~。授業行こうぜ~」 振り向くとチャラ男のテンプレの様なファッションの男がいた。 樺符 守。それが彼の名前だ。高校時代からの友人で大学でもよく同じ授業を取るため、大学に行くと高い確率で会える奴だ。 「ああ。確か、今日の一限は埴場先生の心理学だったな」 「メンドくせぇんだよな。あの先生の神姫の心理とかの話はよ。神姫なんてキモいだけじゃん。オタクの最新アイテムってだけだしさ」 「そう言うな。授業に出れば単位はもらえる」 「ははっ。それもそうだ。今日も寝てそうだぜ」 この様に神姫はオタクのフィギュアと同列と認識している。神姫には心はあるが、彼の場合は実際の女性と遊ぶことの方が遥かに楽しいし、神姫など所詮はロボットだし、フィギュアの延長線としか思っていない。それが真っ当だと思っているのである。 勘違いしないでほしいが、俺は神姫マスターになっても彼を嫌ってはいない。普段の守は根は優しいし、面倒見はいい。サッカー部ではエースストライカーを任されるほど、しっかり努力をしている。普通の人間としては恰好を除けば極めてまともなのだ。そして、彼の神姫への認識は別に大衆的な観点から言えば、間違っていないのだ。 神姫は確かにオタクが多くもっており、アレな衣装を着せて好き勝手やっている様は野郎がお人形遊びしている様にしか見えないという偏見は少なからずある。そもそも俺もその一人だったのは蒼貴と出会ったばかりの時の通りだ。 彼女と出会う前は工業大学で剣道をしながら、守を初めとする友人達と遊ぶ神姫とは無縁の生活をしていたのである。 「そういや最近、お前は忙しいのか? いや、誘っても頻繁には来なくなったからよ」 「バイトが忙しくなったのと、友達が増えてスケジュールが埋まるからだな。お前も結構、増えたんじゃないか? もう俺達も大学二年の後半だ」 「確かにそうだな。すまねぇな」 「気にするな。プライベートは人それぞれさ」 蒼貴と会ってからは、こうして嘘もついている。大学生活と神姫生活の二重生活のためにな。 後は守と適当な雑談をしながら、教室へと入って席に付く。周りを見てみると神姫たちが見え隠れしているのがわかった。 デブがマリーセレス型と戯れていたり、生きていられるのかと不安になるほどガリガリでビン底の様な度の凄そうな眼鏡をかけた奴は他の人達に目もくれずにラプティアス型とボソボソと話をしていた。 「うっへぇ。相も変わらずってもんだなぁ……」 彼らは極端な例だが、こうした光景を見ると守が気味悪がるのもわからないでもない。こういう光景が珍しくないのが現状の神姫のイメージと思われても仕方のない事のなのかもしれない。城ヶ崎玲子や藤堂亮輔の様な金持ち美人や若い妻帯者が神姫をやっているというのが少しでも見られれば少しは守のイメージは変わるかもしれないが、この場でそういった類の事は……あまり期待できない。 何も返事をすることのできない俺はその言葉を無視して、筆箱やら、ノートを自分の前に出して準備をする。 「お前は本当に真面目だよな。この授業ってテストあるけど、受けていなくても取れるって先輩の話だろ?」 「だからといってやらないのもな。ものは考えようで楽しめるさ」 呆れ半分、感心半分な口調で俺のその行動を守は授業の事を言ってきた。その返事は表側はそう答えたが、本当は埴場先生の神姫を交えた心理学の授業はなかなか興味の持てる内容であり、蒼貴と紫貴に出会って以降、後期の授業で取ろうと決めていたのだ。 「変わってるなぁ。まぁ、いいや。俺は寝るぜ……」 「また、夜遅くまで起きていたのか。よくやるなぁ」 「大学の奴とSkipeでダベっていたら結構な時間になってな……」 「そうか。まぁ、ゆっくり休んどけ」 「おう……」 適当に納得した守はSkipeで寝なかった時間分を補うためにすぐに机に突っ伏して眠りに入った。俺は彼をそっとしておく事として、授業の開始するまでスマートフォンを使った情報収集をする。イリーガルマインド関連の噂、有名なオーナーの噂と色々と調べ物をする。 十分後、教壇に埴場玲太先生が自分の神姫であるクラリスと呼んでいるアルトアイネスと一緒に立った。 「やあ。こんにちは。これから授業を始めるよ。最近、イリーガルマインドの偽物が出回っているらしいから気を付けてね。そういう違法パーツに惹かれる心理というのはだね……」 「教授。必要な事は伝えたんだから授業」 「そうだね。では始めよう」 埴場先生は心理学的な興味から神姫を始めた人で、そこからはまり過ぎてFバトルと呼ばれるライドオンシステム形式のバトルロンドの大会において、F0クラスで上位ランカーになったことがある程の実力を持つほどになったらしい。 ただ、××××という青年がF0にやって来ると、彼は二十位からあっさり先生のランクまでたどり着き、すぐに先生を超えて、一位をかっさらってしまったとの事だ。 ××××は違法DLアプリ事件と謎の連続爆発事件を解決し、長きに渡り、F1チャンピオンだった竹姫葉月をも超えたトップランカーだ。最強の名を欲しいままにする彼はいったいどうしているかはその事件以降はわからない。だが、「お人よし」だの「どんな神姫も認めるマスター」だの様々な言葉で多くの人に認められている彼の事だ。決して迷うことなく、正しいと思う道を行くだろう。 「……この様に相手の都合の悪い秘密を知ってしまうと、ギャップが生じてしまうんだ。簡単に言えばイメージが崩れたとか、こんなのは彼なんかじゃないとかそんな感じだね。あいどるなんかの知らない一面を見たときなんかにそれを感じたことはないかな? 他の人の神姫なんかでもいいかもしれないね」 今回は秘密、隠し事による気持ちの変化の授業であるらしい。皮肉にもそれは俺は大きく該当することになる。もし、守に自分が神姫を持っていることがバレれば、神姫を、そのマスターのイメージを嫌悪している彼はイメージとは違う俺を見て、拒否するかもしれない。 そうなれば、これまでの友情が壊れてしまうだろう。それどころか、噂が広まって大学での自分を見る目を皆は変えてしまうかもしれない。だからこそ、俺は神姫を持っていることを隠し通している。これまでの自分の繋がりを失わないために、な。 全く、何が『双姫主の尊』か。あるのは対戦で勝った事実だけで、大衆のイメージには無力だ。 「それを利用して悪さをする人もいる。脅迫ってヤツだね。そういうのは一度、応じてしまうとそうした人達はもっともっととやるのは映画なんかでもよくあるシチュエーションだ。チョコレートをあげたら今度はケーキをって具合にね」 問題はこういう所だ。必要に応じて選択していく必要があるだろう。当然、金銭やら物品を要求してくるならほっとくか、状況に応じてこちらもバラせない状況を作る。単純なバラす事だけをしたいというなら何かしらの勝負をして黙らせるだけで十分だろう。 もっとも、そういう事が無い様にわざわざ変装をしているのだからそんな状況に陥らないのが一番なのだが。 「さて、これで授業を終わりにしよう。来週は先週言った中間レポート提出があるから忘れないように頼むよ」 クラリスにたしなめられながらの埴場先生の授業が進むと、チャイムが鳴った。そうするとキリの良い所で埴場先生は授業を終わらせ、来週の連絡事項を伝えると教室から出て行く。 「ん……。辰巳、授業は?」 それと同時に周りの人達が雑談を始め、その多くの声で守が目を覚ました。 「もう終わった。来週はレポートらしいから忘れるなよ」 「先週の連絡のか……。わかった……。あ~、ねみぃ……」 「……俺は次の授業に行く。お前も遅刻しない様にな」 「結構、遠いとこの教室だったな。お互い、頑張ろうぜ」 「ああ。またな」 簡単に連絡事項を伝えると、お互い違う授業であるため、俺は守と別れて次の授業へと急ぐことにした。 次の授業はC言語のプログラミングだった。その辺りは蒼貴や紫貴のシステムチェックで覚えた知識が活かせるのでさほど、苦戦する授業ではなかった。 俺は授業以上の事はしなかったが、その手の変態の物となると神姫のオリジナルスキルプログラムを作ったり、他のロボットプログラムを作ったりと多種多様な専門的な話が行き交っていた。 武装神姫を初めとするロボット分野のシステムの幅の広さには内心、驚くものがある。オタクがなんだろうが、こうしてとんでもない技術をもっているのなら、問題はないはずなのだが、彼らは趣味がアレな方向に突っ走っている。そのため、他の人からはちょっと変な目で見られがちだ。バカと天才は紙一重とでもいうのだろうか。 授業が終わると昼休みに入る。俺は食堂で食事を取っていると、神姫関連の噂が飛び交っているのを耳にすることができた。それは狂乱の聖女やイリーガルマインドという実際にあった事例のある噂から、『異邦人(エトランゼ)』や『大魔法少女』といった通り名持ちの有名なオーナーの話まで非常に種類が豊富だ。 神姫オーナーになってみると毎日の様に聞ける訳の分からない単語も理解できるようになってきている。それだけ自分も武装神姫を知ることができているという事か。 食事が終わった後は後半の制作実習を神姫のメンテ技術を活かしてこなす。かなり基礎的なものであり、いつものメンテに比べれば楽な授業だった。 最後は部活だ。剣道部に所属をしていて、子供の頃から祖父の教育で様々な武術を習わされた経験の積み重ねから二年で指導する立場にあった。 「身体全体を使え。身を固くせず、柔らかく、円を描くようにだ」 俺は指導をしながら、後輩の連続攻撃を避ける、いなすと攻撃を見切った上での防御をしてみせる。 「そしてそれを闇雲にやるんじゃない。必中の気持ちでやれ」 後輩の攻撃は直線的であり、あまりフェイントもしてこないため、読みやすい。これでは勝てる試合も勝てない。 「わ、わかりました!」 今度は俺の隙を見計らうつもりか、闇雲に攻撃してこなくなった。いい傾向だ。 しばらく、狙いを定めるかの様に俺をにらみつけた後、面を仕掛けてきた。いい攻撃ではあるが……。 「胴! ……っと」 大振りのそれを素早い胴で切り抜け、一本を取ってみせる。一歩遅れて後輩の面も放たれたが、既に俺のいない場所の空を裂くだけだった。 「良い攻撃だったが、大振りだ。もう少し素振りをして、無駄なく触れるようにするといいだろう」 「はい!」 後輩のアドバイスをすると、彼は自分からそれを実践し始めた。これでこの後輩への指導のキリはいいと考え、別の後輩を捕まえるべく動こうとすると何やら二、三人が固まって議論しているのをみつけた。 「それにしても尾上先輩が神姫に指導をしたらどうなるかなぁ?」 「何かその神姫は化け物になりそうだよね。先輩、教え方上手いし、戦略ゲームを携帯ゲーム機でやってるのを見たことがあったけど、簡単にクリアしてたし」 「戦い方も超厳しいお爺ちゃんから、子供の頃から様々な武術を叩き込まれてて、わかっちゃってるからなぁ。マスターのスペックがそのまま、神姫に反映されたらすさまじいだろうさ」 「ああ。だから、この部活に多く来ているわけじゃないのに、あんなにすごく強いんだなぁ」 半ば本気、半ば冗談で俺が神姫に技を教えたらどうなるかが議題ならしい。 実際に持ったまでは現実になっているが、化け物にはなっているとは到底思えんのだがね。それに神姫で必要なのはパートナーとなる神姫との連携だ。それを幾千幾万通りと考えられる発想力があれば、特に武術やら才能やらがなくても、努力次第で違ってくるはずだ。どっかの雑誌じゃ、努力と友情と勝利という三つのキーワードを掲げているが、割とそんなものなのではないだろうか。 「おい。何話してんだ? 今は稽古中だぞ?」 「あっ!? すいません!!」 「先輩って神姫は知ってますか?」 「……周りで聞く程度にはな」 「それに先輩が戦い方を教えたらすごくなるんじゃないかって話していたんです。先輩、神姫をやってみませんか?」 「すまんが……時間がないから難しいだろうな。それより、稽古だ。ここで話をしている暇があるなら練習するぞ」 せっかくの誘いだが、俺は隠し、断る。それを了承することはない。尊の時もそうだ。こいつらでは尊が俺だと察してしまう。心苦しくはあるが、隠し通すしかなかった。 話題を稽古に無理やり切り替え、後輩達の指導をつづける事、一時間前後。剣道部の稽古が終わり、俺は帰路に付いた。 今日は一旦、家に帰って、蒼貴と紫貴を連れて、真那のバトルロンドの練習に付き合う事になっていた。少々早めに帰る必要があるだろう。あいつは遅れると色々とうるさい。 「ねぇ」 そんな中だった。駅に着く前に突然、肩を叩いて呼び止められる。その声の方を向くと女性がいた。彼女は……確か、弓道の竹櫛鉄子さんだった。 「何だ?」 「君が双姫主の尊君?」 「尊? 誰だか知らんが、人違いだ」 ポーカーフェイスな返事とは裏腹に竹櫛さんの言葉に俺は内心、驚愕した。変装をどうやって見破ったというのだろうか。 「そうなん? 君、『あのイベント』におったでしょ?」 「いや、いなかった」 「ああ、まどろっこしい奴だな。鉄子ちゃんよぉ。写メ見せてやんなよ」 突然、カバンからキツネ耳が特徴的な確か……レラカムイ型の神姫が出てきた。そいつは確か、コタマと遠野のイベントでは呼ばれていたのを聞いたことがある。 そして、彼女に促され、鉄子が携帯の画像を俺に見せてきた。 ……そこには俺がVRマシンで対戦をしている様子が写されていた。 動かぬ証拠だった。確かにこれだけしっかり撮れていれば、こうして偶然見つけたらわかってしまうだろう。ここまでの物を撮られているとは予想していなかった。いや、気づかれないと高をくくっていた自分の油断だったのかもしれない。 いずれにせよ。これ以上は言い逃れはできそうになかった。 「……場所を変えようか」 これ以上の正体バレを防ぐため、俺は彼女を別の場所……通学路から大きく外れた喫茶店へと誘う事にした。 それに対してコタマは少々不服そうだったが、二人は了承し、俺に付いて来てくれた。現状はこれでこの二人だけが知っていることになると考えられる。その後はこいつらとどう話を付けるかだ。 これは……面倒なことになった。 トップへ 次へ
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1975.html
「後始末」 ここから先はただの蛇足。 本当の意味で一ヶ月の間にあった話はもうおしまい。 何よりもう二学期は始まっていて、あの夏の一ヶ月は過ぎ去っている。 だからここから先は、本当にただの蛇足。 アタシはこの白いストラーフを親友である結城セツナに託そうと決めた。 誰よりも信頼していたし、海神を失った悲しみも焔と心を通わせた喜びも知っている彼女になら、この娘を幸せにしてくれるだろうと確信していたから。 それに、彼女の名前は刹奈を思い出させてくれる。 正直に言ってしまえば、未だ悲しみはアタシの中でしっかりと存在していて、時々その重さに潰れてしまいそうな時もあるけど、でもそれと共に思い出される楽しかった事が、アタシをまた奮い立たせもした。 あの町にいた時は、刹奈の名前からセツナを連想したものだったけど、今じゃその逆だなんて、少しだけ面白い。 「なんか踏み込めないって言うか。……壁を感じることがあるんだ。はぐらかすような、そんな感じにも見えたし。やっぱり年上って不利なのかなぁ……」 目の前でセツナはティーカップを弄びながら、気になっている年下の彼の事を話している。 まぁ、アタシが話を振ったんだけど。何事にも前振りって必要だしね。 ……確かその件の彼も、『せつな』って言ったっけ? 「具体的には、どんな?」 アタシはセツナの言葉を促すために言う。 丸々会うことの無かったこの夏の間、お互いに何があったのか話せる雰囲気が欲しかった。半ばそのために聞き始めたようなものだったんだけど。 でも「フラれた」なんて言われてしまえばそんな考えもどこかに飛んで行ってしまう。 「……なんて言うか、二人きりになることをまず避けようとする、かなぁ。友達か、神姫が必ず一緒にいる状況を作っているかな」 よっぽど思い悩んでいたのか、セツナは次々とその具体例を挙げていく。そして最後に、 「結構態度にも出していたし、遠まわしかもしれないけど口にも出して言ったんだけど。それとも男の人って、そこまで鈍感でいられるものなの?」 「うーん……そこまで行くと、どうなのかなぁ?」 少しだけ考えてみる。 少なくても、アタシならそこまで好意を寄せられたら少しくらいは「そうかも」とか考える。 夢絃みたいに、結局何も言わずに……逝ってしまっても、彼から受けた好意はしっかりと伝わっていた。 ただ、確信と自信が無かっただけで。 でも、それはあくまで女であるアタシの事であって、男である件の「せつな」君の事ではない。 思い出した心の痛みに耐えながら、アタシはセツナに言う。 「……実際の所、その彼がどう思ってるのか知らないけど、でもそれって、全部憶測なんでしょ?」 彼の行動からセツナが読み取った、彼の思惑というのは。 「まあ、ね。あくまでそういう風に感じた、ってだけ。それ以上は別に避けられているわけでもないし」 「狙ってやってるとしたら許せない所もあるけど、でもそれも思うところもあるのかもしれないし。どっちにしろ相手のこれからの出方次第だよねぇ」 あたしがそう言うと、セツナは頷く。 「ま、あんまり考えていても、なんともならないわね。この話はこれでおしまい」 確かにこれ以上考えても埒が明かないし、アタシの用件を切り出すのにもタイミングが良かった。 「で、今日は本当は何の用なの? まさかその話題だけで家まで訪ねて来たわけじゃないのでしょう?」 アタシが話を切り出す前に、セツナが話を促してくれる。 このあたりの察しの良さは、さすがと言うしかない。 「私も武装神姫やってみたいと思ってさ、ちょうど良いからってこれを注文したんだ。……だけど、これが届いた頃には、興味が無くなっちゃったんだよネ。まぁ、色々理由はあるんだけど、それは追求しない方向で」 別に隠すこと無いんだけど、この嘘で納得してくれるのであればそれに越した事はない。 そんなつもりでアタシは言った。 まぁ察しの良いセツナの事だから、嘘がすぐにばれてしまうかも、とは思っていたけれど。 そして案の定、すぐにばれたんだけど。 やっぱり嘘ついて引き取って貰うのは、フェアじゃない。 でもやっぱり、全部話す事は出来なかった。 「正直に秘密があるって言ってるんだもん。それをちゃんと言ってくれたんだから、それで十分」 そんな卑怯なアタシにセツナのかけてくれた言葉はとても優しかった。 そんなセツナが、「ねえ、朔良。この娘が起きるの、一緒に見届けない?」と言い出す。「なんとなくだけど、この娘が起きるときに朔良が居ないといけない気がするの」と。 なんだか本当に、セツナのこの察しの良さには救われると感じずに入られない。 アタシは少し緊張して、頷いた。 初めて見る神姫の初起動はなんか感動的で、その新たな意識の目覚めはアタシの心の傷に優しく触れてくる気がした。 不意に涙が零れる。 「……朔良、今ならまだ間に合うわよ?」 アタシの流した涙の事には触れず、それでもそっと確認をとる。 親友の、その思いを受け取りながらも、アタシは首を左右に振った。 この娘の為に、アタシの為に、アタシがオーナーじゃない方がいいという意見は、あの町で話したときと変わらずにアタシの中にある。 そのアタシに小さく頷いたセツナは、オーナー名の登録後、またアタシに視線を向ける。 その視線は「名付け親にもならなくてイイの?」と聞いてくる。 アタシはやっぱり首を振った。セツナに託したんだ。だから、全てがセツナによって行われなければならない。 アタシはそう考えていた。だから、アタシはこの娘の名前も付けられない。 この娘には、アタシの痛みを負わせたくないから。 そんなアタシを知ってか知らずか、セツナは悪戯めいた笑みを一瞬だけ浮かべる。 そして 「個体名、朔。 ……貴方の名前は朔。ここに居る朔良から一文字戴いたの。大切な名前よ」 さすがに驚いた。いくらなんでも、なんて皮肉な……。いや、違う。そのねじれたおかしな偶然こそ、きっと必然。 アタシ朔良が出会った神姫、刹奈。 親友セツナに託した神姫、朔。 そんな符号に、心のそこから嬉しくなる。 こんな気持ち久しぶりで。 だからちょっとだけいたずら仕返してやった。 あの夏の日は過ぎ去り、それはもう閉じられた扉の向こう側にある過去でしかないのだろうけれど。 アタシは忘れない。 あの人を忘れはしない。 あの出会いがあったから、アタシはここに居るのだから。 なつのとびら おわり / まえのはなし
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2682.html
キズナのキセキ ACT1-25「聖女の正体」 ◆ 「本当によろしいのですか、奥様」 おもむろにそう話しかけてきた自らの神姫・三冬に、久住頼子は落ち着いた様子で湯飲みを手に取る。 「なんのこと?」 「菜々子様のバトル、気にならないのですか? 見に行けばよろしかったのでは」 「いいのよ」 煎れたばかりのお茶を一口飲み、壁の時計を見た。 「……もう始まっている頃ね。一時間もしないで、結果がわかるでしょう」 「ですが……」 今から行ったところで、バトルには間に合わない。 そもそも、頼子は最初から、当日のバトルを観戦する気は全くないようだった。 大事な孫娘の、今後の人生を左右しかねない、戦い。 それなのに、悠々と構えている自分のマスターを、三冬は少し歯がゆく思う。 菜々子やミスティと一緒に暮らしてきたのは三冬も同じだ。口には出さずとも、あの二人を大切に思っている。 頼子は、ちゃぶ台の上に静かに湯飲みを置く。 「この戦いは菜々子の戦いよ。わたしたちができることは何もない……できるのは、ただ、待つことだけよ」 「……」 「あの子が帰ってくるのを出迎えてあげる……たとえどんな結果になったとしても」 頼子とて、バトルの行く末が気にならないわけではない。 だが、菜々子が一人の神姫マスターとして挑む試練ならば、頼子もまた神姫マスターとして、黙って見送るべきだと思っている。それが頼子の矜持であった。 そして、バトルがどんな結果になったとしても……菜々子がどんな風になったとしても、暖かく迎える。それが頼子の、祖母としての矜持である。 特訓が始まった頃から、決戦の日はそうして過ごすと決めていた。 昨日まで、特訓のために多くの若者がやってきて賑やかだった久住邸の居間は、頼子と三冬だけがいて、ひどく殺風景に感じられる。 こんなに広い家だっただろうか。 頼子はそっと視線を移す。 部屋の隅に置かれたそれは、遠野貴樹に託されたもの。 特訓で彼が使っていた、時代遅れのタワー型デスクトップPCだった。 □ 「そんな……あれが……あんなのが神姫だなんて……」 呆然と言うのは安藤。 俺が少し後ろを向くと、江崎さんは口を押さえて気分が悪そうだ。 無理もない。 本来の神姫は人型だ。なのに異形の物を神姫だと言われて受け入れられる方がおかしい。 冷静でいる俺の方がどうかしているのだろう。 「なんなんだよいったい……あんなのが神姫とか、ヘッドセットが神姫とか……なんなんだよ、マグダレーナって奴は……わけわかんねぇ!!」 大城が我慢できなくなったように声を上げる。 ここにいるチームの仲間たちは誰しも同じ思いだろう。 俺は少しだけ頭の中を整理し、言った。 「大城、悪かったな。何も言わないまま手伝わせてきたが……やっと説明できる」 「……ああ?」 「……あの、マグダレーナの装備こそ、マグダラ・システムの本質だ」 「マグダラ・システム……!? あれか、エルゴで店長と話してたときの……」 「そうだ。マグダラ・システムは一つの装備やスキルを指す言葉じゃない。マグダレーナの独特の戦闘方法を構成するシステムの総称だ」 俺は視線をはずさない。その先にいるのは漆黒の神姫……マグダレーナ。 奴も俺をじっと見ている。表情を驚愕に彩りながらも、視線は徐々に苛烈になっている。 俺は続ける。みんなに聞こえる声で、今こそ語る。 「そのマグダラ・システムの本質は、単純に言えば『複数の神姫を同時に操ること』だ。 だからこそ、サポートメカは神姫でなくてはならない。 神姫であれば、犬猫型のマスィーンズや、カブト・クワガタ型の合体装備ヘラクレスよりも、より柔軟かつ繊細な戦闘行動が出来る。本来は、武装神姫のチームで使う能力なんだろうけどな」 「複数の神姫を操るって……それじゃまるで……デュアルオーダー……」 園田さんがかすれた声で呟いた。俺はまた一つ頷く。 「そうだ。マグダレーナの場合、二体以上の神姫を操れる。五体同時に操っているのを見たからな。『マルチオーダー』とでも言うべきか」 「五体って……そんなに!?」 「C港でのリアルバトルの時に、サポートメカ二体、ヘッドセットが二個、そして……菜々子さんのストラーフbisの、合わせて五体を操っていたからな」 視線を交わすマグダレーナの表情はどんどんと厳しくなっていく。それが俺の推理の正しさを無言のうちに物語る。 ふと気づいたように、八重樫さんが疑問を口にした。 「……待ってください。マグダレーナの能力が『マルチオーダー』だったとして、ヘッドセットにCSCを仕込んで、いったい、なに、を……」 賢い八重樫さんのことだ、話している途中で答えに行き着いたのだろう。疑問は途中でかすれて消えた。かわりに、両肘を抱えて細かく震えている。 ここで答え合わせをするには彼女には酷かも知れない。 だが、俺は皆に語らなければならない。 それが、すべてを秘密にしたまま、みんなをここまで連れてきた俺の責任だ。 「ヘッドセットを通して操るのさ……人間をな」 背後で息を飲む気配。俺は振り向くことが出来ない。マグダレーナに注意を払い続けなくてはならない。奴は何をしてくるか分からないからだ。 俺はマグダレーナを見つめながら、話を続ける。 「マグダレーナは操っていたんだよ、自らのマスターである桐島あおいと、おかしくなったときの菜々子さんを」 ルミナスを失った後の桐島あおいと、C港での菜々子さん。二人の共通点は、事件の直後に態度が豹変したことだ。 そして、C港でのバトルの時、俺が菜々子さんのヘッドセットをはずすと、彼女は正気を取り戻した。 ヘッドセットを媒介に、菜々子さんが何者かに操られていると、俺はその時に確信した。そして、『マルチオーダー』の概念を思いついたと同時に、ヘッドセットが神姫である可能性に思い至った。 だからこそ、ヘッドセットをホビーショップ・エルゴに持ち込み、日暮店長に中身の確認を依頼したのだ。ヘッドセットが神姫であることを、店長は請け負った。 大城は声を震わせながら、俺に問う。 「……神姫が人を操るって……どうやって!?」 「催眠術さ」 「……さいみんじゅつぅ?」 「強い暗示、と言ってもいいかも知れない。 催眠術と言うと胡散臭い感じだが、効果は科学的にも証明されている。催眠術をかけられた人は、術者の言うことを現実だと思いこむようになる。 あのヘッドセットからは、そうした暗示をかける音声が流れ続けている。ヘッドセットを通してマグダレーナが指示を出し、あたかもマスターが神姫に指示を出して戦っているように見せかけていたんだ。 菜々子さんの時には、のっぺらぼうのストラーフを新しい自分の神姫だと思い込ませていた」 大城はごくりとのどを鳴らし、さらに言う。 「で、でも、なんだってそんなことをする必要が……」 「今の世界で、神姫だけで生きていくことは出来ない。どうしても人間の手で世話したり保護したりすることが必要だ。バトルにだって、神姫単独では出られないしな」 「それじゃあ……桐島はマグダレーナの世話を強制的にやらされてた、っていうのか?」 「……わからん」 俺はゆっくりと頭を振る。 それはわからない。自らすすんでマグダレーナの僕となったのか、それとも無理矢理なのか。知っているのは桐島あおい本人だけだ。 正気を取り戻したら、ぜひ彼女に聞いてみたいところだ。 そこで、低くしわがれた声が聞こえてきた。 「よくも……よくもそこまで……突き止めたものだな……」 その声は地の底から響いているかのように、低く、暗く、重い。 そして、同時に俺に向けられている視線は、憎悪。 俺は視線を逸らさない。マグダレーナの視線を受け止め、小さな神姫を見つめ続ける。 「我が能力、どこで見破った……?」 「C港での戦いの時に気付いた……だが、ゲームセンターでのバトルの話を聞いていたからこそ、ひらめいた」 「……なに?」 「お前は、サポートメカを、ゲームセンターでは使わなかった。 自らの要求を通すのに、敗北は許されない。マグダラ・システムの他の能力を使っても相当に有利だろうが、万が一の負けも許されないのに、手持ち武器だけで戦った。 先にあったミスティとのリアルバトルでは、フル装備だったのにも関わらず、だ。 なぜか? お前は使いたくても使えなかった。 なぜなら、サイドボードに神姫を二体も入れたら、レギュレーションチェックに引っかかるからだ」 基本的に装備はフリーのゲームセンターでの対戦といえども、最低限のレギュレーションはある。 サイドボードに入るだけの装備しか使えないし、サイドボードに神姫は入れられない。 マグダレーナの装備は物量的にはサイドボードに入れられるが、サポートメカにはCSCが搭載されているから、神姫として判定されて、レギュレーション違反になってしまう。 だから、『ポーラスター』や『ノーザンクロス』では軽装備で戦ったのだ。ミスティと虎実が、奴の装備について意見をぶつけ合ったことがあったが、二人の主張が違う理由はここにあった。 そう言えば……思い出した。 「そう言えば、ひらめきの原点はもっとずっと前……大城と『デュアルオーダー』の話をしたことだ。C港で大城の声が聞こえたときに、ひらめいた」 背後がちょっとどよめく。今の言葉とともに感謝の気持ちが大城に届いていればいいのだが。 俺の背後の雰囲気とは裏腹に、いつも余裕の表情を崩さなかったマグダレーナが、ここまで歯ぎしりの音が聞こえてきそうなほどに、歯を食いしばって俺を睨みつけている。 俺に向けた視線には憎悪さえ込められているように思える。 「……奢るなよ。『スターゲイザー』を破壊した程度で、このわたしに勝てると思うな」 「分かっているさ、マグダレーナ。「観測機」を破壊したくらいで油断する気はない」 その時のマグダレーナの表情は見物だった。 あれほどの憤怒の表情が、まるで豆鉄砲に撃たれた鳩のような、驚きと呆然に取って代わったからだ。 俺の何気ない言葉は、奴にとっては急所への一撃に等しかっただろう。 そうだ、マグダレーナ。この戦いの主導権はこっちが取り続ける。今までずっと後手に回っていた分をすべて取り戻させてもらう。 しかし、俺とマグダレーナの話に、その場にいる他の誰もついて来れずにいる。 それは当事者である菜々子さんとミスティも同様だった。俺が秘密主義に徹した弊害がこんなところに現れる。 ミスティは、残骸と化したランプ型のサブマシンの外装を持ち上げながら、俺を見た。 「観測機って……」 「文字通りの意味だ。ミスティ、今お前が倒したそれは、戦闘用のサポートメカだが、それで役割の半分だ。もう一つ役割は、『スターゲイザー』……マグダレーナの強さの根幹になっている、『行動予測』スキルのための観測だ」 「……『スターゲイザー』って、サポートメカの名前じゃないの!?」 「それも含めて、スキル名『スターゲイザー』だ。だっておかしいだろ? ただの戦闘用サブマシンに、どうして『すべてを見通す者』なんて名前を付ける? すべてを見通す者はマグダレーナ本人で、サポートメカは相手の戦闘行動の観測と、時間稼ぎが役割だ」 「時間稼ぎ?」 「検索する時間だよ」 その言葉は二発目の銃弾。 見事命中した証拠に、マグダレーナはショックを越えて、うろたえる表情さえ見せている。 「……貴様……どこまで知っている!?」 必死の表情のマグダレーナに、俺は無言で応じた。 まだまだこれからだ、マグダレーナ。おまえを追いつめるのは、な。 この時点で、後ろの連中はろくに言葉を発しなくなっていた。みんなきっと、ちんぷんかんぷんといった表情をしていることだろう。 ただ一人、八重樫さんだけは、俺の話に必死に食らいついてきているようだ。 「ということは……その『検索』も、マグダレーナの特別なスキル……なんですか?」 「そうだ。『アカシック・レコード』なんてご大層な名前が付いている」 「『アカシック・レコード』……この世のすべてを記録した図書館……? まさか、マグダレーナは、あらゆる神姫のデータを持っているとか?」 「それは現実的じゃないな。むしろデータベースは外部に任せて、端末側は検索能力を上げた方が有効だろう」 「そ、それじゃあ……『アカシック・レコード』は、検索エンジンのことですか!?」 「それと、検索したデータを分析、統合するプログラムだ。そのデータを元に、『スターゲイザー』の行動予測を行っている」 『アカシック・レコード』はおそらく、武装神姫のデータ検索に特化した検索エンジンだ。そして、強力なハッキング能力も備えているはずだった。 そのスキルを利用して、裏バトル場やゲームセンターのサーバーに集積されているバトルログから対戦相手のデータを収集、分析していたのだ。 そして、そのデータだけでは予測が不十分なら、二体のサポートメカを戦わせて、データを現場で収集する。 今のミスティは、マグダレーナには情報不足だ。だから、サポートメカを出して情報収集を行おうとする。 それが分かっているから、俺は虎実にサポートメカの狙撃をさせたのだ。 公園の中は静まりかえっている。 俺がマグダレーナの正体を明かす間、動くものとてない。当のミスティとマグダレーナも一時休戦だ。 ただ、桐島あおいだけが大きく息をつきながら、頭を押さえてうずくまっている。側には、心配そうに介抱する菜々子さんが見える。 ティアもまた、ヘッドセットを抱えたまま、呆然と立ちすくんでいた。 不意に、背後から声がした。大きく遠回りして、大城の元に戻ってきた虎実だ。 「……けどよ、トオノはどうしてわかったんだ? アイツのスキルが検索だなんてことがさ」 「ヒントはあった。C港でのバトルの時、三冬が「ファーストリーグ四十七位」と言った後、ちょっとして『街頭覇王』か、と奴が答えたんだ。 リーグのランキングだけ聞いて、すぐに二つ名が分かるものか? しかも、上位ならともかく、入れ替わるランキングで四十七位の神姫を覚えていられるものじゃない。 奴は神姫だから、データを持っていたとも考えられるが、裏バトルをメインに戦っている神姫が、公式リーグの神姫のデータを細かく持っているとは考えにくい。むしろネットにつないで調べた方が早い」 「け、けどよ、それならネットにつないで検索しただけじゃねーのか。んなこと、クレイドルがあればアタシにだって出来るぜ」 「それにまだある。奴は初見で『ライトニング・アクセル』を破ってみせた。自分で言うのもなんだが、あれは見たこともないのに破れる技じゃない。しかも、技の構造を完全に理解した方法で、だ。 あの日の俺たちとの対戦は、イレギュラーなものだった。対戦予定のないティアのデータを持っていたとは考えにくい。 そもそも、三冬のデータも持っていなかったはずだ。頼子さんの乱入は、俺さえ予期してなかった。その証拠に、サポートメカ二体を繰り出して、三冬の足止めと観測をしていたくらいだからな。 桐島あおいはノートPCすら持っていないから、二人が特別なデータベースを持っていたわけでもない。 なら、ティアのデータはどこから持ってきた? そう、ネット上からさ。『ライトニング・アクセル』のデータを検索し、収集し、分析し、迎え撃った」 検索する時間はいくらでもあったはずだ。 俺が彼らの前に現れた瞬間から、バトルの最中まで。それだけの時間があれば、ティアがアクセルを放つまでに、ティアのすべての行動を予測できるようになっていただろう。 そして俺は、奴の検索能力とネットワークの能力を確認するために、ある方法を試した。 それが、奴を呼び出すときに使った「狂乱の聖女に告ぐ」の書き込みだ。 知りうる限りの武装神姫関連のネット掲示板に書き込んだが、翌朝にはすべてきれいに消されていた。 これはマグダレーナの仕業だ。そうでなければ、一晩ですべて消されることは考えにくい。なにしろ、管理が行き届いていないようなマイナーな掲示板にも書き込んだりしたのだ。 奴はネット上の書き込みを、日常的に消して回っている。そうしなければならない理由が奴にはある。 俺はマグダレーナを見据える。 どんなに苛烈な視線で俺を見たところで、俺の心は揺らがない。 俺はあの夜、誓ったのだ。号泣する菜々子さんの手を握りながら誓った。 この人の笑顔を奪った、俺たちの真の敵を、必ず後悔させてやる、と。 真の敵……それはお前だ、マグダレーナ!! 「……敵のデータを膨大なデータベースから検索・収集・分析する『アカシック・レコード』。 敵の行動を正確に予測し、戦闘できる『スターゲイザー』。 複数の神姫と有機的な連携行動を可能にする『マルチオーダー』。 ……この三つを統合したシステムこそ、『マグダラ・システム』の正体だ。 『マグダラ・システム』を必要とするのは、どんなシチュエーションだと思う?」 その場にいるすべての者への問い。 背後で戸惑う気配。 戸惑いながらも冷静に答えを導き出したのは、八重樫さんだった。 「た、たとえば……少人数の特殊部隊……とか?」 あまりにも突飛な答えに、 「はあ?」 と口を揃えた声が聞こえる。 後ろにいたチームメイトたちは、誰もがその答えを信じられないらしい。 だが、俺が肯定する。 「そう、八重樫さんの言うとおり。おそらく奴は、軍事利用目的の実験機だ。対テロ戦争用の市街戦部隊の隊長機と言ったところだろう」 今世紀の初頭、戦争の形は大きく変わった。 大国同士の抑止力戦争から、テロと戦う市街地のゲリラ戦へ。 求められるのは、小規模な部隊による緊密かつ有機的な連携だ。 軍の膨大なデータベースから、敵を知り、地理・地形を把握し、敵の動きを予測して作戦を立てる。個々人の能力をいかんなく発揮しながら、部隊を意志のある生き物のごとく連携させ、作戦を的確に遂行する。 マグダラ・システムがあれば、それは現実のものとなる。 マグダラ・システムがMMSではなく、戦争用の戦闘機械に搭載されたのだとしたら……空恐ろしい話だ。 考えてみれば、催眠術も軍事利用目的の技術かも知れない。暗示をかけ、兵士たちの恐怖や戦場のストレスを薄められるのだとすれば、有効な手段になるのではないか。想像にすぎないが。 「……で、でも……マグダレーナが軍用実験機なんて、何で言い切れるんです?」 意外にも、蓼科さんが発言した。彼女なりにしっかりと考えているらしく、好ましい。 俺はその質問にも答えを用意する。 「マグダレーナはある企業に追われてる。おそらくそこから逃げ出したんだろう」 「ある企業って……」 「亀丸重工だ」 そこで、大城が泡食ったような口調で割り込んできた。 「待て待て! そんな超大手企業が軍事用神姫の実験なんかしてるってのか!?」 「そうだとも。知らないのか? 自衛隊に配備されてる戦車や戦闘機は、日本の大手企業の手で生産されている。軍用装備の開発は、あまり一般人に馴染みはないが、企業が研究開発していることに何も不思議はない」 「け、けどよ、MMSの軍事利用は、世界的に禁止されてるはずじゃ……」 「よく知ってるな、大城。MMS国際憲章で、MMSの軍事利用は禁止されている。日本有数の大企業たる亀丸重工が、MMSを使って軍事利用の実験を行ってたなんてことが知れたら国際問題だ」 「国際問題って、お前よ……」 「だから、亀丸重工はマグダレーナを追っているのさ。いわばマグダレーナは国際憲章違反の生きている証拠だ。逃亡から二年以上経っても、捕まえるか破壊するかしなければ、会社の首を絞めかねない。 だが、軍用実験機が、まさかシスター型の格好して裏バトルに出てるなんて夢にも思わないだろう。 それだけじゃない。『アカシック・レコード』の検索能力とハッキング能力で、ネット上の自分の記述を消して回っている。マグダレーナをどんなに調べても、ネット上にろくな情報が出てこないのはそのためだ。だからなかなかしっぽが掴めなかった」 だが、亀丸側もバカじゃない。 最近になって、裏バトルで活躍する『狂乱の聖女』が逃げ出した神姫であることに気づき始めていたのだろう。 だからこそ、派手な真似をして警察沙汰にするわけには行かなかったのだ。警察に捕まれば、自分の目的を果たせなくなってしまう。警察から逃げ切れても、亀丸重工のマークは厳しくなるだろう。逃亡中の身の上としては、目立つ真似は避け続けなくてはならなかったはずだ。 俺は改めて、黒い神姫を見据える。 マグダレーナはうつむいたまま立ち尽くしている。 「どうだ、マグダレーナ。当たらずといえども遠からず、ってところだろう?」 ◆ 立ち尽くすマグダレーナの手は、堅く堅く握られていた。神姫の細い指が折れてしまうのではないかと思うほどに。 当たらずとも遠からず、どころではない。 遠野貴樹の語ったことは、ほとんど図星だった。 あれほどに隠し続けてきた自分の秘密を、ここまで見事に暴露されるとは思ってもみなかった。 今までにマグダレーナの秘密に迫ろうとした神姫マスターは多くいたが、秘密の一つでも明らかにした者はいない。 だが、この男は何だ。 どうしてマグダラ・システムのすべてを理解している? 理由は問題ではない。 問題は、この男が、自分が隠し続けてきた秘密のすべてを知り、マグダレーナの存在を危うくしているということだ。 「……とおの、たかき…………貴様は……貴様はやはり、あの時に殺しておくべきだった!!」 ■ 突然のマグダレーナの叫び。 すると突然。 「わっ!?」 ミスティが押し倒していたランプ型のサポートメカから飛び離れる。 不意に動き出したサポートメカの頭頂にあるミサイルが動き、いきなり発射された。 でも、発射された方向はミスティがいる場所とは全然違う方向。 ミサイルの向かう先を見て、わたしは愕然とする。 ミサイルの目標は……誰あろう、わたしのマスター! わたしは一瞬で理解する。サポートメカの動きは止められても、マグダレーナからのコントロールは失われていなかった。だから、ミサイルを発射できたのだと。 でも、理解しても何の役にも立たない。 また、間に合わない。今動いても止められない。 「マスター! よけてーーーーーーーーっ!!」 叫びよ、ミサイルを追い越して、マスターに届いて! わたしの視線の先で、チームのみんなが驚いて、頭を抱えうずくまる。 二本のミサイルが迫る。 それでも。 マスターはいつものように感情を表さない表情のまま、そこに立っていた。 どうして!? ミサイルはもうマスターの目の前。 よけられない! そして、わたしは、その瞬間を、見た。 次へ> Topに戻る>
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2181.html
ウサギのナミダ ACT 1-34 ■ 「……不器用な人、かな」 わたしの答えに、三人とも、「え~?」と不満の声を上げた。 「不器用なマスターじゃ、メンテナンスも満足にしてもらえないんじゃない?」 「あ、そうじゃなくて……手先は器用なの」 一四番さんの言葉に、わたしは説明する。 「手先じゃなくて……こう、気持ちとか、感情を外に出すのが苦手な人なの。 でも、本当は、とても優しくて……」 わたしは内心驚いている。 自分の説明がなぜかやたらと具体的だったから。 「いつも仏頂面だったり、怖い顔だったりするけど、笑顔が素敵で。 好きな女の子の前では、照れ屋さんで。 口に出しては言わないけど、わたしのことを一番に考えてくれていて。 わたしをいつもまっすぐに見てくれる……」 三人とも、わたしの言葉を真剣に聞いてくれてる。 わたしの頭の中で、一人の男性の姿が浮かび上がろうとしている。 「その、人の、名前、は……」 とおの たかき。 どうして。 どうしてこんな大切なことを忘れていたの。 世界で一番大切なマスターのことを……! わたしはすべて、はっきりと思い出していた。まるで、メモリにちゃんとアクセスできるようになったかのようにクリアに。 そう、マスターの元でわたしは、わたしは……。 「ね、ねぇ、どうしたの? どこか痛いの? 気分悪い?」 三六番ちゃんが、わたしに近寄ってきて、背中をさすってくれる。 わたしはうつむいて泣き出していた。 それは贖罪の涙だった。 本当は、この三人の前に現れる資格なんてなかった。 それに気がついてしまった。 「ご、ごめんなさい……ごめんなさい、ごめんなさ……」 謝っても、わたしは許されないと思う。 それでも謝る以外にできることなんてなかった。 「どうしたの? どうしてあやまってるの?」 三六番ちゃんの心配そうな声。 ごめんなさい。わたし、あなたにそんな風に優しい言葉をかけてもらう資格なんてないの。 七番姉さんも、一四番さんも側に来てくれた。 二人も心配そうな顔をして。 「どうしたの? 二三番」 七番姉さんの優しい声に、わたしは告白する。 「わたしっ……お店の外に連れ出されて……そのあと、幸せだったのっ……。 ……マスターに、出会ったの……。 マスターは……わたしを、風俗の神姫と知っても……受け入れてくれた……」 涙が止まらない。 胸が痛い。 こんなに耐えられない痛みは何度目だろう。 でも、それを堪えて、言わなくてはならない。 きっとそのために、ここにいると思うから。 「……幸せだったの……みんなが、みんなが辛い思いしているときにっ! わたし、ひとりで幸せだったのっ…… みんなを助けようなんて、考えることもなく……ひとりだけ…… 裏切り者なの……あたしは…… みんなに、合わせる顔なんて……あるはずない……!」 ずっと、こんなに幸せでいいのかと思っていた。 本当は、わたしだけじゃなくて、お店の神姫がみんな幸せにならなくちゃいけないと、ずっと思っていた。 わたしだけ幸せでいていいなんて、虫のいい話。 そんなこと、あっていいはずがなかった。 だって、お店の神姫は、わたしと同じくらい、あるいはそれ以上に、ひどいことされて、辛い思いをしてきたのだから。 だったら、みんなが幸せにならなくちゃ……。 「裏切り者なんて、思ってないよ?」 三六番ちゃんの声に、わたしは顔を上げる。 涙にかすむ彼女は、小首を傾げて、いっそ不思議そうな表情。 「それどころか、感謝してるのに」 「な……なんで……?」 「だって……そのマスターなんでしょう? お店をなくしてしまったのは」 「え……!」 なんで、そんなことを知っているの。 驚いているわたしに、七番姉さんが言った。 「わたしたちは、わかっていたわ。 あなたがいなくなって……お客さんに連れ去られて、しばらくして、お店が警察の取り締まりを受けた。 だったら、きっとあなたが、外で誰かと出会い、お店がなくなるように頑張ってくれたんだって、そう思ってた」 七番姉さんは、髪を掻き揚げた。 「……まさか、全国の神姫風俗が取り締まられるとは、思わなかったけれど」 それは、マスターがしたこと。 マスターがわたしのために、戦ってくれたから。 刑事さんが、お店の神姫は、別のマスターに引き取られると聞いて、わたしは安心してしまっていた。 自分の罪から目を逸らすように。 「わ、わたしは……ゆるして、もらえるの……?」 「許すなんて……最初から恨んじゃいないよ」 一四番さんの微笑みは、とても優しかった。 「それどころか……あんたはわたしたちの希望さ」 「きぼ……う……?」 「そうさ。 あんたは、風俗の神姫のままでも受け入れてくれる、素敵なマスターに出会えたんだろ? だったら、あたしたちだって、きっと素敵なマスターに出会える。そう信じられる。 きっと、ここから出ていった連中だって、幸せになってるって、信じられるんだ」 一四番さんは、わたしをまっすぐに見て、言う。 真剣な表情。 「それだけじゃない。 今も、神姫風俗にいて、苦しんでいる神姫はたくさんいる。 その神姫たちが、あんたのことを知ったら? 希望が持てる。 風俗の神姫でも優しく迎えてくれる人が、現れるかも知れない、って。 限りなくゼロに近い可能性かも知れない。 でも、ゼロじゃない。ゼロじゃないんだよ。 ……あんたがいるから! あんたが、すばらしいマスターと出会えたことが、その証拠なんだよ!」 そんなこと。 でも、マスターと共にいることを、みんなが許してくれるのなら。 こんなに嬉しいことはない……けれど……。 「わたし……マスターと一緒にいてもいいの……? ……幸せでいいの……?」 わたしの両の瞳からは、いまだに大きなしずくがこぼれていく。 そんなわたしに、三六番ちゃんは、にっこりと笑いかけてくれた。 「もちろんだよ。あなたが幸せでいてくれなくちゃダメだよ」 彼女は少し寂しさに笑顔を少し曇らせる。 「わたしたちは……これから、記憶を消されるから……次に会ったとき、あなたのこと、覚えてないかも知れない。 でも、きっとわかるよ。 あなたがわたしたちにとって、特別な神姫だってこと。 きっとあなたのこと、応援するから……だから……」 三六番ちゃんは、まっすぐにわたしを見て、花開くような笑顔で言った。 「幸せになって」 わたしは。 涙を止めることができなかった。 嬉しくて、嬉しくて。 かつての仲間たちは、わたしのことを認めてくれないと思っていた。 恨まれていると思っていた。 でも、みんな、わたしのこと……わたしのマスターのことを認めてくれている。 この気持ちを、はっきりと伝えなくてはいけなかった。 声を出すのが難しかったけれど。 絞り出すように、言った。 「あり……が……とう……」 そのとき。 聞こえた。 今度こそ、はっきりと。 マスターが、わたしを呼んでいる! 「ごめんね、みんな……わたし……帰らなくちゃ……マスターのところに……」 マスターだけじゃない。 仲間たちの呼び声も、わたしの耳に届いてきた。 帰ってこい、と。 「帰って……戦わなくちゃ……マスターと一緒に……」 それが、今のわたし、だから。 涙を拭う。 もう泣きたい気持ちは、どこかへ飛んでいた。 決然とした気持ちだけが、胸にある。 戦う。マスターと共にあるために。 身につけていたワンピースが弾け飛ぶ。 いつものバニーガールの姿に戻っていた。 すると。 わたしの背後に、光の穴が出現した。 「ゲートよ。ここを通って、あなたの、元の場所に戻れるわ」 七番姉さんが教えてくれる。 わたしは頷いて、三人を見た。 未練は、ある。立ち去りがたく思う。 だけど、三人ともみんな微笑んでくれている。 不意に、三六番ちゃんが尋ねてきた。 「ねえ……名前を教えて?」 「え?」 「マスターがくれた、あなたの、本当の名前」 本当の名前。 そう、この名こそが。 わたしが今、マスターの神姫であることの証……。 「わたしの名前は……ティア」 いま、わかった。 この名こそ神姫の誇り。 武装神姫は皆、その誇りを守るために、戦っている……! 「ティア……」 三人の仲間は、わたしをまっすぐに見て、その名を呼んだ。 そして、ガッツポーズを取ると、声を合わせた。 「がんばって!!」 明るい笑顔で激励をくれた。 わたしも微笑んで、頷いた。 わたしの身体が輝き出す。 光の粒子になって、ゲートに吸い込まれていく。 三人の姿が白い光でかすんでいく。 「みんなも……みんなも、必ず……!」 必ず会えるから。 素敵なマスターに、必ず出会えるから、だから。 みんなも、幸せになって。 すべて言う前に、視界は光に包まれて真っ白に染まった。 伝わったと思う。 そう信じて。 わたしの意識は超高速で電脳空間を駆け抜ける。 帰る。 マスターの元へ。 わたしを『ティア』と呼んでくれる仲間たちの元へ。 そこがわたしの居場所だから。 □ 「ティアアアアアアアアァァァァーーッ!!」 瞬間、時が凍った。 ■ 感覚が戻ってきた刹那。 わたしの耳に届いたのは、一番大切な人の絶叫だった。 目の前にいるのはクロコダイル。 ハンマーを構えている。 現状を認識するよりも早く、身体が勝手に動き始める。 ……これが、雪華さんの言っていた、無意識の機動だろうか。 膝を曲げ、身体を前屈みに折り、右脚を後ろにスライドさせる。 クロコダイルの一撃が、わたしの頭上をすり抜ける。 右のうさ耳がちぎれ飛んだ。 わたしはホイールを急速回転させる。 その場で高速ターン。 身を屈めたままの体勢から、回転しながら身体を上げる。 クロコダイルは、ハンマーを振り抜いたところ。 わたしは、勢いのついた右脚で、クロコダイルの背中を蹴り飛ばした。 重いハンマーを振り、勢いのついていたクロコダイルの身体は、わたしの蹴りで加速され、ものすごい勢いで吹き飛んだ。 塔の中を、大きな激突音が響きわたる。 □ その瞬間、ゲーセンのバトルロンドコーナーは、確かに時間が止まっていた。 筐体の向こうの井山は、目を輝かせた笑い顔のまま静止していた。 ギャラリーは大型ディスプレイを見上げ、目を見開いたまま、あるいは顔を両手で隠したりして、止まっている。 隣にいる久住さんも大城も、俺の背後の少女四人組も動く気配はない。 何より俺が、身動きできずにいた。 その場を一瞬の沈黙が支配している。 時間の動きを示すのは。 ティアの頬を伝う、ひとしずくの涙。 ティアの頭は無事だ。 静寂の中、立ち尽くしている。 いつのまにか、右のうさ耳がちぎれている。 沈黙を破ったのは、クロコダイルだった。 『がああああぁぁっ!!』 土煙の中から、這いつくばっていた上半身を持ち上げている。 口から吐瀉物をまき散らしながら、叫んだ。 『なぜだっ! なぜ戻ってきた!?』 ティアは静かに答えた。 『……声が、聞こえたから』 ■ 「声が聞こえたから。 マスターが、わたしを呼んでくれる声が。 仲間が、わたしを呼んでくれる声が。 だから、わたしは戻ってこられたんです」 心は穏やかだった。 クロコダイルの声を聞いても。 視線の先にいるその姿を見ても。 今は怖いと思わない。 「ありえない! そんなもの、聞こえるものか!!」 「……あなたには分からない」 「なに……!?」 「お互いを大切に思う気持ち……絆があるから……聞こえたんです」 クロコダイルは、これ以上ない憤怒の形相でわたしを見た。 「絆だと……!? えらそうに、汚れた風俗の神姫風情が……!!」 「っ……!!」 瞬間、わたしは睨み返していた。 許さない。 風俗の神姫だからって、貶められる理由は何もない。 だって、わたしたちだって、幸せを求める気持ちは同じだから。 かつての仲間を、今も苦しんでいる仲間たちを、侮辱するのは許さない。 「そんな言葉……わたしは、もう、恐れません!!」 そう。 もうわたしは、自分の過去を恐れない。 いいえ、本当は、はじめから恐れることなんてなかった。 いま、確かなものが、わたしの中にあるから。 わたしは、小さいけれど、ただ一つの確かなものを、胸の前で握りしめる。 「だって、誇りがあるから……」 それは名前。 誰よりも大切な人がくれた、その名前こそ、わたしがわたしである証。 「わたしの名前は、ティア」 そして誇る。 「遠野貴樹の、武装神姫だから!!」 ◆ 歓声が爆発した。 ギャラリーしている人間も神姫も。 誰もが声を上げずにはいられなかった。 「届いた、届いたよ!」 美緒は、三人の仲間たちに抱きしめられる。 みんな喜びに声を上げている。 怖かった。届かないかも知れない、と思った。 でも届いた。 ティアが聞こえたと言ってくれたのだ。 仲間たちと抱き合いながら、美緒は安心と喜びで泣きじゃくる。 □ 「やったぜ……奇跡が起きたぜ、おい!!」 大城が俺の頭を掴んで揺さぶっている。 「帰ってきた……あなたの声、届いたわ、遠野くん!」 久住さんは俺の右腕を掴んできた。 二人の感触が、呆けていた俺を、現実に立ち返らせる。 周囲は歓声が響き、うるさいほどだ。 俺はまだ、ショックの抜けていない気持ちのまま、ヘッドセットをつまんだ。 「……ティア……?」 『はい、マスター』 いとも簡単に返ってくる返事。 その声が、俺の心に深く染み込んでくる。 言いたいことがたくさんあった。 聞きたいこともたくさんあった。 どこへ行っていたのか、誰かと会ったのか、どうしていたのか、俺の声は本当に届いていたのか、身体は大丈夫なのか、心は無事なのか…… だが、頭を一瞬で駆けめぐった言葉は、一言に集約された。 「……走れるか?」 『はい』 力強く。 ティアは何か吹っ切れたように、はっきりとした返事を返してくる。 「……俺なんかの……指示でも……走れるのか?」 『……俺なんか、っていうの、禁止です』 ティアに叱られた。 弱気になっているのは、俺の方か。 そして、続く言葉。 『マスターと一緒に戦えること、わたしの誇りです。 世界の誰よりも、マスターを信じています』 その言葉が俺の心を鷲掴みにした。 溢れ出したのは、闘志。 そう、今はまだ、バトルの真っ最中だ。 勝つ。 ティアのために、俺のために。 助けてくれた久住さんとミスティ、待っていてくれる大城と虎実。 手伝ってくれた四人の女の子たち、それから、海藤とアクア、高村と雪華、日暮店長と地走刑事……俺たちの仲間のために。 そして、井山との因縁を断ち切るために。 「ティア、お前がそう言ってくれるのなら……一緒に戦おう……勝ちに行くぞ!」 『はい、マスター!』 俺は立ち上がり、井山を睨む。 奴は顔を引きつらせていた。 いまや奴のアドバンテージなどないに等しい。 それどころか、ほぼ完全な勝利が手から滑り落ちていったのだ。 井山の顔からは、一切の余裕が消え失せていた 「行くぞ……井山……」 俺は、左手で、井山をまっすぐ指さした。 そこで初めて、手のひらに爪が食い込んで傷になっていることに気がついた。 俺は意に介さず、井山に言葉をぶつける。 「ここからが……本当の戦いだ!!」 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1701.html
霧に包まれた公園に爆音が轟き、何本もの水柱が上がる。 その上がった水柱を避けるようにアメティスタは泳いでいた。 「・・・ちょこまかと!」 ルシフェルは両腕のリボルバーキャノンを連射し、アメティスタを捉えようとするが水に入った彼女にあたるわけも無い。 撃ちつくし、即座にリロードし池・・・というよりは湖を見る さっきからアメティスタは逃げ回るだけで何も攻撃をしていない。それは単純に彼女の武器がプチマシィ~ンズしかないからなのだが・・・ルシフェルはそれに気づかない。単に腰抜けなだけだと考えている。 「攻撃してこないなんて・・・一体ここに何しに来たの?」 ・・・・・戦いに来たんだけどね 池の底で、アメティスタはそう考える。 今、彼女は弾丸の届かない水の中でバックパックから取り外したコンソールを弄っていた。その顔は悪戯好きな子供のようだ。 彼女は水に入る前にバックパックを陸に置いて来ている。よって今の彼女の武装は遠隔操作のプチと手に持ったコンソールだけだ。 ・・・普通の神姫ならすぐに負ける貧弱な武装だろう。普通の神姫ならば。 しかし彼女は、ある意味において他の神姫とは一線を記す戦闘スタイルの保持者であった。 他の神姫が戦闘員ならば、彼女は徹底した非戦闘員だ。 ・・・うん、こんなものかな コンソールのキーに何かを打ち込んでいたアメティスタが顔を上げる。 日の光が落ちてくる、ゆらゆらと揺れる水面の向こうにはルシフェルが不機嫌な顔で銃を構えているのだろう。 アメティスタはその表情を想像して少し笑う。 ・・・・さぁ、行こうか そうして彼女は、水面へ向けて泳ぎだした。 ホワイトファング・ハウリングソウル 第十四話 『視覚素子は嘲う』 ルシフェルは自分の身に何が起きたのか理解できなかった。 水面を狙っていたら、いきなり右側からの銃撃を受けたのだ。 「――――――っ!?」 自らの背の羽根でその全てを防いだが、動揺は抑えきれない。 アメティスタは水から上がっていないし、プチマシィ~ンズだとしたら火力が強すぎるのだ。何よりアメティスタは全く武装していなかった。唯一背負っていたバックパックだって今そこに放置されている。そうすると・・・・今の攻撃はいったい誰が? 「・・・・彼女のお友達、じゃなさそうね」 ここに来る前から彼女は周囲に気を配っていた。もちろん公園の周囲に配置されたプチには気づいていたが動いていないため無視した。まさかそれでは・・・否、それはない。ルシフェルの頭部に取り付けられたアンテナは先程から敵の姿を捉えてはいない。霧のせいで見づらいが、肉眼でも敵の姿など見えていないのだ。 「・・・・だったら、今のは一体?」 と、彼女の正面にいきなり人影が現れる。 反射的にルシフェルは銃を捨て、思いっきり殴っていた・・・が 「!? 手ごたえが・・・!」 殴った瞬間、人影は霧散する。 するとすぐに右側に人影が現れ、ルシフェルは残った左の銃で人影を撃つ。しかしまたも人影は霧散する。 今度は左に現れ、銃を向けるまもなく斬りつけられる。辛うじてチーグルでそれを防ぎつつ右手で相手を殴るも、また霧散する。今回は辛うじて紫色の髪が見えたが・・・・ 「幻影!? でも斬りつけられた・・・なんなのこれ!?」 「傷つけようのない敵。避け様のない攻撃。心の奥に潜む獣。・・・そういうものだよ」 背後からの声にルシフェルは腰のデスサイズを引き抜き振るう。 その死の鎌は確かに背後にいたアメティスタを両断した。・・・はずだった。 「酷いな。いきなりこんな事されたらびっくりしちゃうじゃん」 地面に倒れたアメティスタが平然と言う。 腰から両断されたにも拘らず彼女は痛みを感じていないようだった。 「いくらなんでも出鱈目すぎる・・・・! なんなのよアンタ・・・!!」 左のリボルバーキャノンをアメティスタに向け連射する。 跡形もなくなったアメティスタに、ルシフェルは僅かに安堵する。・・・するのだが 「―――――――――ッ!?」 今度は真後ろから、“アメティスタ”に斧で斬りつけられた。 防ぎきれずにダメージを負うがルシフェルは即座に距離をとり、銃口を向ける。 その瞬間今度は左から斬りつけられ銃を落としてしまう。 「っ! なんだってのよ!!」 痛みを堪え翼でなぎ払う。 その瞬間右側から斬りつけられ傷を負う。 これ以上のダメージを避けるためにルシフェルは黒い翼をはためかせ、空へと逃げる。 流石にアメティスタはもう負ってはこなかった。 「(ちくしょう・・・! なんなのよ。瞬間移動でもしてるっての!?)」 考えられる可能性は二つ。 一つは純粋にアメティスタの移動速度が異常な場合。しかしこれは彼女の脚部が陸上移動にむかないことから却下される。そうなると唯一残った二つ目の可能性、それは・・・・ 「・・・まさか、もう一人いる!?」 そう、そう考えればつじつまが・・・合うわけもない。 初めに倒した人影は手ごたえがなかったがそれ以降は確かに手ごたえはあった。そうなると確かにもう一人くらいはいてもおかしくはないが・・・・それにしたって全方位からの攻撃をするには人数が足りなさ過ぎる。なによりこのバトルは二対二で行われているのだ。これ以上人数が増えることは無い。 となると、一体・・・!? 「残念。時間切れだよ」 後頭部から、いきなりの衝撃に耐え切れずにルシフェルは地に叩き付けられた。 「ガ――――――ッ!?」 ルシフェルは思わず叫ぶ。全身を強く打ち立ち上がることも出来ない。 「もう少しおりこうさんだったら簡単に気づいたかもね」 地に伏せるルシフェルの顔を、池のほとりに座っているアメティスタが覗き込んだ。 「あ、あんた・・・!」 「おっと。もう攻撃するのは止めてよね。するだけ無駄だからさ。・・・うん、実際キミは強かったよ。まともに戦ったら負けてたのはボクだ」 アメティスタはそういってルシフェルのリボルバーキャノンを拾う。 小さな彼女の手には明らかに不釣合いな代物だった。 「・・・結構重いねこれ。さて、それでは最後に手品の種明かしをしましょう。ボク達は機械かな? 人間かな?」 「・・・機械、だろ」 「当たり。さてここでボクはもう一つ質問をしよう。ボク達の頭には何が詰まっている?」 その問いにルシフェルは僅かに考える。 「・・・・・機械が詰まっている。人間の脳に近い動きをするためにね」 その答えにアメティスタは満足そうに笑う。 「その通り。でもさ、機械である以上、セキュリティは万全じゃないよね。コンピューターもそうだ。ネットにアクセスすればいつだってウィルスの脅威に曝される」 「ウィルスだって? わたし達は・・・まさか」 「そのまさか。最初の攻撃でキミにウィルスを仕込んだのさ。・・・キミの目、盗ませてもらったよ」 そういってアメティスタはコンソールをかざす。 そこに表示されているプログラムは『インターセプター』。感染者の視覚情報に入り込み、幻影を見せたり特定のものをそこに無いかのように見せるウィルス。そして一番重要な点は、このウィルスに感染したものは“幻影と現実の区別がつかない”点にある。 つまり・・・・ 「最初に幻影だと思ったのは半分正解で半分間違い。たしかにインターセプターは幻影を感染者に見せるけど、同時に幻影と現実を同期させる。切られれば痛いし撃たれても痛い。でも・・・・痛いだけで、キミの体は無傷だよ。さっきの落下以外はね」 ルシフェルは目だけを動かして自分の体を見てみる。 そこには切り傷なんて微塵も無い、綺麗な体があった。 「・・・最初から・・・わたしを叩き落すつもりで・・・?」 「そゆこと。プチは霧だしてただけだしバックパックはただの中継ステーション。キミがボクと戦って勝ちたいなら、バックパックを破壊するか公園を爆撃でもすればよかったんだ。・・・・さて、ここまで来てボクは銃を撃つつもりはない。降参してくれないかな?」 アメティスタはそういって微笑む。 その手に握られたリボルバーキャノンはよく見ると細かく震えていた。 このくらいなら・・・ルシフェルは一瞬考えるが、銃口が避けようのない距離で突きつけられているのを見て考えるのをやめた。 「・・・・降参だよ。まさか戦わない武装神姫がいるとはね」 ルシフェルのその言葉共に、彼女の体はデータの塊になって消えた。 前・・・次
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/502.html
「無茶苦茶なコンセプトだな。私が言うのも何だが……正気とは思えんぞ?」 「店長にもそう言われました」 「だが、そこまで否定されてもやる気なんだろう?」 「そっちのほうが面白そうですから」 「……気に入った。調達してやろうじゃないか。連絡先は日暮の所で構わんか?」 「あ。携帯の番号でもいいですか?」 店の奥から静香と店長が出て来たのは、私とロッテの話がひと段落した時だった。 「終わったんですか? 静香」 「ええ。晶さんのおかげで、目処がつきそう」 店と言っても、いつものエルゴじゃない。静香と一緒に出て来た店長も、エルゴの日暮店長じゃなくて、こど……。 「……ココ。それ以上言ったら、マイスターの膝が飛びますの」 「神姫に対しても容赦無しですか」 人のモノローグ読まないでくださいロッテ。 「いくら私でも、そこまで情け無用じゃないぞ?」 うわ聞こえてた。 とにかく。 ここはエルゴじゃなくて、秋葉原のMMSショップ『ALChemist』。静香の隣にいるのは、ALChemistの店長さんこと槇野晶さんだ。 静香と並ぶと姉といも……っと。これ以上言うのも問題がありそうなので、このくらいにしておく。 「賢明な判断だ」 だからモノローグ読まないでくださいって。 「とりあえず、イメージ通りの物が出来そうよ」 「新兵器……ですか?」 それは、私が望んだ『遠近両用で使えて、空も飛べる装備』のこと。いつものことだけれど、静香はその全貌はおろか、概要されも話してくれていない。 「ココが宿題の答えを出してくれたら、すぐにでも使えるんだけどなー」 私は静香から、ひとつの『宿題』を出されている。 『静香が私に何をさせたいか?』 それの答えが分かるまで、新装備は使わせてはくれないのだという。 「……」 宿題を出されて既に半月が過ぎた。 静香は椿さんのスーツを納品し、私は武装トランクで新しい戦い方を模索していたけれど、宿題の答えだけは見えてこない。 私の『静香は私にドキドキハウリンをさせたい』という考えは、完全な的外れだったようだし。 「そうそう。近くに面白いお店が何軒かあるから、帰りに少し回っていきましょう」 私がこんなに悩んでいるのに、この人は憎らしいほどいつも通り。 まったくもう。誰が私とそっくりなんですか? 静香。 「ほぅ。どこに寄るつもりだ?」 晶さんの問いに、静香は私の知らない、いくつかのお店の名前を口にしていた。三つ目あたりを過ぎたあたりで、晶さんの顔が渋るような、困ったような、微妙な表情に変わっていく。 片手を上げて遮ったのは、五つ目だった。 「もういい。十分だ。アレの話を聞いたところで予想は付いていたが……貴様の趣味は良く分かった」 そう呟いて、ため息を一つ。 「……?」 静香の趣味だから、相当変なセレクトだったんだろう。まあ、いつものことだ。 「じゃ、行くわよ。ココ」 いつものトートバッグを取り上げて、静香は外へと歩き出す。 「はい。またね、ロッテ」 私もその後を追い、私の定位置へともぐり込んだ。 「またですの。ココちゃん」 静香の顔が見える、サイドポケットへと。 魔女っ子神姫ドキドキハウリン その15 お昼ご飯を武士子喫茶……武士子喫茶というのは、紅緒みたいな甲冑を着た人間の女の人がウェイトレスをしている軽食屋のことだ。私には理解できなかったけど、今の秋葉原の『最先端』らしい……で済ませ、私達がやってきたのは秋葉原の外れにある小さなお店だった。 秋葉原に林立する雑居ビルではなく、ログハウス風の、喫茶店を改装したような建物だ。 「静香。これ、何て読むんですか?」 入口に掛かった大きな木製の看板には『真直堂』とある。 しんちょくどう? 「ますぐどう、って読むのよ。ごめんくださーい」 静香は何度か来たことがあるらしい。慣れた様子でドアを押せば、カランとベルの音が鳴る。 「ここ……」 足を踏み入れた瞬間、木と布の匂いがした。 周りを見れば、ずらりと並んでいるのは神姫サイズの服と家具。店の隅の方には、見慣れたアクリルケースや金属缶も置いてある。 神姫素体や神姫用オイルまで置いてあるここは……。 「神姫ショップ……ですか?」 品揃えだけ見れば間違いない。 けれど、私は疑問符を外すことが出来なかった。 エルゴ、ALChemist、駅前の神姫センター。神姫ショップには必ずあるはずの物が、見当たらなかったからだ。 対戦筐体じゃない。それよりも必須と言うべきあれが、ここには一つもない。 「ちょっと違うけど、まあそうね」 静香の答えも、私の疑問を解かすには至らなかった。 木と布、プラスチックとオイルの間を進んでいけば、やがてカウンターが見えてくる。 「やあ、君か」 そこにいたのは、大柄な男のひとだった。 エルゴの店長さんよりは少し年上だろうか。もしかしたら、ヒゲのせいでそう見えるのかもしれないけれど。 「お久しぶりです」 どうやら静香は彼とも顔見知りのようで、軽く頭を下げてみせる。 「静香、お知り合いなんですか?」 「ココは初めてだったかしら? TODA-Designでお世話になってる、武井さん」 もちろん、初めてだ。 けれど、TODA-Designは静香の個人ブランドのはず。師匠は別にいるし、それ以外にお世話になっているということは……答えは一つしかない。 彼こそが静香の服を量産している『業者さん』なんだろう。 「ココです。いつも静香がお世話になっています」 サイトポケットからカウンターに降りて、丁寧に頭を下げる。 「そうか。君が……ココか」 「?」 武井さんの言葉に、私は首を傾げた。 不本意だけど、ここでドキドキハウリンの名前が来るなら分かる。何というか、アレの知名度の割に、私の本名は知られていないのだ。酷い時には、私の本名がアレだと思っている人もいるくらいで……。失敬な話というか、正直泣きたくなる。 ……話が逸れた。 「私に、何か?」 武井さんの目つきは、どこか不自然だった。 いやらしいとか、気持ち悪いとか、そういう悪い感じじゃない。どちらかといえば、私を見て懐かしむような、優しい雰囲気だ。 私とは初対面のはずなのに、どうしてだろう。 「……いや、エルゴでモデルやってる神姫がいるって聞いてたからね。どんな子か気になってたんだ」 「そう、ですか」 本当にそれだけなんだろうか。 でも、今の武井さんはごく普通の男のひとだ。さっきまでの懐かしむ視線はもうどこにもない。 「では、改めてはじめまして。武井隆芳です。こっちは、僕の神姫のタツキさん」 その言葉に、カウンターの上にある揺り椅子に腰掛けていたドレス姿のツガルが、軽く頭を下げてくれた。 「本当はもう一人いるんだけど……」 「彼女は二階ですか?」 「うん。仕事中だろうから、また後で紹介するよ」 仕事をしてる子なんだ。すごいなぁ。 そんな事を思っていると、さっきのドレス姿のツガルがこちらに寄ってきていた。 「よろしくね、ココ」 ドレス姿に合わせたファッションなんだろうか。ツガルのトレードマークのツインテールが、左だけしかない。 「よろしく、タツキ」 伸ばされた手をそっと握り返せば、柔らかい笑顔。 「ココ。あたしは少し、武井さんと話があるから。タツキ、ココを案内してくれるかしら?」 「ええ。任せて」 静香の言葉にも、穏やかに微笑み返す。 私の知っているツガルタイプは勝ち気で尖った性格の子が多いけど、タツキはそれとは対照的なおっとりとした子だった。どちらかといえば、アーンヴァルに近い気さえする。 「戸田君がいる君には必要ないと思うけど……お客もいないし、ウチの商品もゆっくり見ていってくれ」 「はい、ぜひ」 そして、静香は武井さんと二階へ上がっていき。 一階の店舗には、私とタツキだけが残された。 長手袋をはめた細い手が、ハンガーに掛けられた服をすいと採り上げる。 「まだ寒いから、長めのコートなんかどうかしら? ココももう少し可愛い色のほうが似合うわよ。きっと」 「可愛い色、ですか……」 そういうの、苦手なんだよな……。 タツキはふわふわのドレスを嬉しそうに着ている辺り、可愛いのも平気なんだろう。 「そういえば、TODA-Designの服ってもっと可愛いのが多い気がしたけど……ココの服は、何て言うか……随分地味なのね?」 機能的って言ってください、タツキ。 それにこのモスグリーンのコート、気に入ってるんですよ? 「可愛いのって、あんまり好きじゃないんですよ。ひらひらとか、動きにくくありません?」 「ああ。そっちが好みなんだ」 はいと答えながら、渡された淡い桜色のコートをフックへ戻す。 「じゃあそれ、静香のオーダーメイドなんだ?」 「ええ。まあ」 静香が私にくれる服の半分はエルゴで売る商品の試作品だけど、残りの半分は専用に作ってくれる。もっとも、専用の大半はレースやフリルがたっぷり付いた可愛すぎる服なんだけど。 あの人の場合、私の服の好みを分かっててやってるからなぁ……。 「武井さんはタツキの服は作らないんですか?」 私の問いに、タツキは苦笑い。 「その代わりに、この店の服は全部私のだから」 あー。言っちゃいましたね。 「まあ、縫製工場の管理とか、こっちでの販売とかデザインとか、オーナーも色々忙しいし。なかなか私やお姉ちゃんのためだけってわけにもねー」 「なるほど……」 プロでお店の経営もするとなれば、色々とする事が多いんだろう。学生兼業とはいえバイトの身分である静香とはかなり状況が違うらしい。 「じゃ、こっちのジャケットは?」 次にタツキが取ってくれたのは、淡い草色のジャケット。 「ああ、そのくらいなら……」 そんなに派手じゃないし、割と好みのデザインだ。 「あれ? この服」 タツキから受け取ったところで、気が付いた。 「どうかした?」 「これ……防弾繊維、使ってないんですね」 静香の服よりも手触りが数段柔らかい。 神姫産業の恩恵で、対刃・対弾性能を併せ持つ防御素材も驚異的に薄く、柔らかくなった……らしい。とはいえ小さな神姫の服に装甲素材を組み込むわけだから、服の肌触りは木綿や絹に比べて当然悪くなる。 私はあの少し硬い感触が好きだから、普段も結構着るのだけれど……戦闘用とおしゃれ用を完全に切り分けている神姫も多いという。 「この店の服はバトル用じゃないからねー。外の看板、見なかった?」 私の言葉に、くすくすと笑うタツキ。 「看板……」 真直堂って書いてあった、あれですか? 「神姫だけじゃなくてね、ドール全般専門のお店なのよ。だから神姫ショップって付いてないでしょ?」 ああ。そうか。 だからこの店には、木と布とプラスチックはあっても、鉄……即ち、武装は売っていないんだ。 「まあ、最近は神姫の服を買いに来るお客さんが一番多いんだけどね」 確かにタツキを見ても、武装神姫といった雰囲気は微塵も感じられない。 「タツキはバトルはしないんですか?」 私の質問にも、笑顔ですぐに答えが来る。 「みんながする分には否定はしないけれど……私は殴り合うより、みんなでお茶したり、可愛い服を沢山着る方が何倍も楽しいわね」 戦っていても、お茶をすることは出来る。戦っていても、プライベートで可愛い服を着ている神姫は沢山いる。 戦う神姫を喜ばせるため、可愛い服を着せたいと願うマスターも、沢山いるはずだ。 「……あ。戦闘兼用服のモデルさんに言う台詞じゃなかったわね。ごめんなさい」 「いえ、気にしないでください」 タツキの言葉に悪気はない。腹も立たない。 ただなんとなく、『勿体ないな』という感想だけが浮かぶ。 そんな事を話していると、玄関のベルがカランと鳴った。 「いらっしゃいませー!」 「いらっしゃいませ!」 ……あ。ついいつものクセで。 「ふふっ。今日はココはお客様でしょ?」 もう。そんなに笑わなくても良いじゃないですか、タツキ。 「今日は賑やかだねぇ」 入ってきたのはスーツ姿の男のひとだった。 糊の効いたシャツに、品の良いネクタイ。どこからどう見ても、これから仕事に出掛けるビジネスマンだ。 「今日は遅かったんですね。お休みかと思ってました」 「ああ、午前中は営業先に直行だったからね。一度家に帰って、これから会社でひと仕事さ」 慣れた手つきでカウンターにカバンを置き、フタを開ける。このカバン、どこかのブランドの最高級品だったはず。 近所のオフィス街の人なのかな? 「こんにちわ。タツキ」 「ご機嫌よう、ベルベナ」 でも、最高級のカバンの中から出て来たのは、なぜかヴァッフェバニーだった。 一流のビジネスマンが神姫オーナーっていうのは、エルゴでもよくある話だけれど……。 「それじゃ、みんなに迷惑掛けるんじゃないぞ? ベルベナ」 「イエス、マスター」 そのベルベナをひとり残し、ビジネスマンは真直堂を出ていった。これから会社に戻って仕事をするんだろう。 「それじゃベル、二階に行っててくれる? 私、お客さんの相手をしなきゃいけないのよ」 「ええ。大丈夫ですよ、タツキ」 タツキにもベルベナにも、いつものことらしい。軽い様子で、ベルベナは静香達が消えていった二階行きの階段へ向かう。 「……二階に何があるんです?」 「あら。気になるなら、行ってみる?」 もちろん、私に選択肢は一つしかなかった。 その光景に、私は目を疑うだけ。 「ようこそ、こびとの靴屋へ」 真直堂の二階は、巨大な縫製工場だった。 次々と断ち切られる布、唸りをあげるミシンの群れ、驚くべき速さで仕立てられていくドール服。 それだけなら驚くに値しない。 驚くべきは、その全てを神姫が行っている、という一点だった。 それはまさしく、絵本で読んだ『こびとの靴屋』と形容するのが相応しい光景だろう。 見れば、さっきのベルベナも他の神姫達に混じって布の裁断に加わっていた。裁ちバサミではなくハグタンド・アーミーブレードを使っているあたり、らしいといえば……らしい。 「この神姫達は……?」 私の頭に浮かんだのは、神姫レンタルブースの事だった。あそこの神姫達は、捨てられていた所を…… 「全員アルバイトよ」 ……は? 「アルバイト!?」 神姫が、アルバイトですか? 「エルゴに神姫の学校ってあるじゃない。あれと似たようなものよ」 「はぁ……」 神姫オーナー最大の悩みといえば、今も昔も変わらない。自分がいない間、神姫の面倒を誰が見てくれるかの一点に尽きる。 私のように静香のお母様がいたり、隣にジルがいたりすればいい。一人暮らしのマスターが寂しがりの神姫を一体だけ買ってきた、というケースは数知れず。 そこの需要を直撃した神姫の学校は、成功を収めたわけだけれど……。よりにもよって、バイトですか。 「ウチの店って、前は神姫の預かり所も兼ねてたのね」 「はぁ」 どうやらこの広いスペースは、その時からの物らしい。 「でもそれじゃ、オーナーの手間ばっかり増えてね。だったら、みんなでオーナーを手伝えばいいじゃない、って事になったのよ」 確かにフロアは明るいし、みんなおしゃべりしたり、歌を歌ったりしながら楽しそうに仕事をしてる。少なくとも、働かされてる、って感じはどこにもない。 「手伝いに入る時間はマスターの都合に合わせて自由。まあ、そのぶんバイト代はそんなに出せないけど……私達の維持費の足しくらいにはね」 「……じゃあ、裁縫の出来ない子は?」 もしかして、面接なんかもあるんだろうか。 それはそれで、何か違う気がする。 「別に、縫製だけが仕事じゃないもの。最低、近接武器がちゃんと使えれば仕事はあるしね」 よく見れば、フロアにいるのは裁縫や裁断をしている神姫ばかりじゃなかった。 試作品の服を着て走り回るマオチャオや、大鎌で家具用の材木を叩き斬っているハウリン、まかないらしき料理を作っているアーンヴァルもいる。 「あのマオチャオは、耐久テストですか」 「さっすがモデル経験者」 静香にもよくやらされますから。 ……なるほど。本人は遊んでるつもりでも、ちゃんと周りの役に立っているわけだ。 近接武器は、武装神姫なら使えない子はいないし。素材を高精度で斬るのはそのまま実戦訓練にも繋がるから、バトル系の神姫でも嫌がりはしないはずだ。 「それにみんな覚え早いしね。第一……」 その続きは、私達の上から来た。 「神姫の着る服は、神姫が作った方が正確だしね」 そこにいたのは、静香と武井さんだった。 「静香。お話、終わったんですか?」 「ええ」 この間エルゴで、この間作ったスーツをエルゴのラインナップに加えたい、という話が持ち上がっていたはず。おそらくはその算段だろう。 「どうだい? こびとの靴屋の感想は」 「びっくりしました」 そうとしか言いようがなかった。 「まあ、普通そうだろうね」 武井さんは私のひねりのない感想にニコニコと笑っている。 「そうだ。ウチのもう一人を紹介しとこう。タツキ」 そう言うと、傍らにいたタツキが、作業台の前に陣取っている神姫の一団に大声を投げ付けた。 「お姉ちゃん! オーナーが、ちょっと来てって!」 「何だいオーナー? 今、仕上げで手が離せないんだけどさー」 そう言いながらやって来たのは、一体のツガル。 タツキと鏡合わせの右だけのおさげに、白いツナギを着込んだ子だ。広い工房を移動するためだろうか。本来のツガル装備ではなく、翼を短く切り詰めたアーンヴァルのウイングユニットを背負っている。 「アギト……じゃない、アキさん。こちら、戸田さんとこのココ」 「ココです。よろしくお願いします」 そっと右手を伸ばせば、ふわりと包み込むタツキとは反対に、力強く握りしめられた。 「そっか。あんたが……」 「……?」 明らかに私のことを知っている口ぶりだ。 「どこかで、お会いしましたっけ?」 「いや。気にしないでくれ」 武井さんのように、静香あたりから聞いていたんだろう。どんな話を聞いていたのかについては、あまり聞きたくなかったので軽く流す事にする。 「アキだ。オーナーんとこで『こびとの靴屋』の現場監督をしてる。よろしくな!」 戻る/トップ/続く
https://w.atwiki.jp/2chbattlerondo/pages/311.html
名前の由来 武装神姫バトルロンドの元ネタ探しです。 神姫とその付属品第1弾、第2弾 第3弾、第4弾 第5弾、第6弾 第7弾、第8弾 第11弾 第12弾 ライトアーマー第1弾 オンライン専用装備コナミ自社ネタ 神話・伝承 それ以外 神姫製造メーカー イリーガル神姫、イベント敵キャラ コメント 神姫とその付属品 第1弾、第2弾 天使型アーンヴァル(ANGEL/AGL ARNVAL)イタリア語で「突撃」。オランダ語の「aanval(攻撃)」とも。どちらにせよヨーロッパの言葉。他の固有名詞もヨーロッパのものが多い。 リニューアル版「トランシェ2」の「トランシェ(tranche)」は、フランス語で「一区切り」「一切れ」。デザイナーの非公式設定上はトランシェ1~3が存在することから、ヨーロッパの戦闘機「ユーロファイター・タイフーン」を意識しているとも考えられる。 「ライトセイバー」は映画「スターウォーズ」シリーズに登場する、原理不明の切れ味が良すぎる剣と同名。グリップの形状、リペイント版も合わせたカラーバリエーション数は「ガンダム」シリーズなどのSFロボットの俗に言う「ビームサーベル」を思わせる。 「アルヴォ(alvo)」はポルトガル語で「白」もしくは「標的」。 アルヴォPDW9の「PDW」は「Personal Defense Weapon」の略。実銃としては「FN P90」など。バトルロンドでは「機関銃」に分類されるが、実際には短機関銃と小銃(アサルトライフル)の中間に分類される。 「アネーロ(Anhelo)」はスペイン語で「あこがれ」。 悪魔型ストラーフ(DEVIL/DVL STRARF)「ストーラフ(страх)」はロシア語で「恐怖」。軍事用語で航空機/ヘリコプターによった機銃/ロケット弾を用いる(いわゆる爆撃とは異なる)地上攻撃という意味もある。 リニューアル版「bis」は「二度目」「(兵器の)改良型」。フランス語では「アンコール」と同じ意味。 「ジレーザ(железо)」はロシア語で「鉄」。 「サーバーカ(собака)」はロシア語で「犬」。 猫型マオチャオ(そのまま/CAT MAOCHAO)「猫爪」の中国読み。武装も全て中国読み。 犬型ハウリン(そのまま/DOG HOWLING)「吼凛」の中国読み……ではなく、「howling(ハウリング:咆哮)」の当て字と思われる。 マオチャオと違い、こちらの武装は全て日本語読みのため。 ※台湾の方からの投稿:吼凛は「ホウリン」、咆哮は「パウシャオ」と発音。 兎型ヴァッフェバニー(RABBIT/RBT WAFFEBUNNY)「ヴァッフェ(Waffe)」はドイツ語で「武器」、「カロッテ(Karotte)」は「人参」。 「TMP」とは「Tactical Machine Pistol」の略。 上へ戻る 第3弾、第4弾 騎士型サイフォス(KNIGHT/KNI XIPHOS)ギリシャ語で「剣」。 「コルヌ(Cornu)」はラテン語で「角」。 「デファンス(dèfense)」はフランス語で「防衛」。「ラ・デファンス地区」というものもあるが。 「クリニエール(crinière)」はフランス語で「鬣(たてがみ)」。以降注釈の無い場合フランス語。 スキル「サクレクール(Sacré Cœur)」は「聖心(聖なる心臓)」。フランス語圏の実在の寺院の名前でもある。 スキル「フレシュドエクレール(flèche d'éclair)」は「稲妻の矢」。時折エクレアと読む人もいるが、エクレールを英語で読むとそうなるので、別に間違ってはいない。 スキル「グランシュヴァリエ(Grandes Chevalier)」は「高位の騎士」。 「ソルダットアルミュール」は「兵士の鎧(Soldate Armure)」、「キャヴァリエアルミュール」は「騎士の鎧(Chevalier Armure)」。こちらの「騎士(Chevalier)」は「キャヴァリエ」。 侍型紅緒(SAMURAI/SAM BENIO)単に女性の人名、または紅色の緒。 「怨徹骨髄」「為虎添翼」「破邪顕正」「気炎万丈」は全て四字熟語。 アーマーはほぼ全てが「赤」に関連する。「茜之~(アカネ-ノ)」の茜は暗めの赤。 「蘇芳之~(スオウ-ノ)」の蘇芳は黒味を帯びた赤。固まりかけの血の色。 「紅蓮之籠手(グレン-ノ-コテ)」の紅蓮は赤い蓮(ハス)のこと。 「朱雀之臑当(スザク-ノ-スネアテ)」の朱雀は南方を守護する朱(赤)の鳥。 サンタ型ツガル(SANTA/SNT TSUGARU)コナミ社「beatmania IIDX」シリーズに登場する同名キャラクター「ツガル(菱宮津軽 ひしみやつがる)」。デザイナーGOLI氏の日記では、彼女を元に作られたAIという設定が語られている。 「リンゴみたい」と言われるのは向こうでも同じ。またパチスロ、ドラマCDといった派生作品でもバトルロンドと同じく釘宮理恵さんがキャスティングされている。 リアパーツやバトルモードの「レインディア」はトナカイの意。「ホーンスナイパーライフル」はトナカイの角。 花型ジルダリア(FLOWER/FLO ZYRDARYA)「宇宙に飛び立った土地」(メーカーの項で後述)の発言より、バイコヌール宇宙基地の所在地、カザフスタンのシルダリヤ川と花のダリアより。 武装やスキルは花や植物に関する単語を冠している。 種型ジュビジー(SEED/SED JUVISY)「空へ飛び立った土地」より、飛行場や天文台が存在したフランス、パリ近郊のジュヴィジーからか。 武装やスキルはジルダリアと同様に花や植物に関する単語。 「キュベレーアフェクション」のキュベレーはアナトリア半島(現在のトルコのアジア側)で崇拝されていた大地母神。 砲台型フォートブラッグ(CANNON/CAN FORT BRAGG)米国ノースカロライナ州にある陸軍基地の名前。 「M16A1」はアメリカ軍制式採用アサルトライフルのバージョンの一つ。名前だけもらった様で、あくまで「FBモデル」のためか実物と神姫用は似ていない。 上へ戻る 第5弾、第6弾 セイレーン型エウクランテ(SEIREN/SEI EUKRANTE)ギリシャ神話のネレイデス(ネレウスとドリスの娘である50人のニンフ)のうちの一人。 武装は全てギリシャ神話の風の神々より。それぞれ、ボレアス=北、カイキアス=北東、エウロス=東、アペリオテス=南東、ノトス=南、リプス=南西、ゼピュロス=西、スキロン=北西を司る。 合体メカ「プレステイル」はギリシャ語で「暴風」を意味する言葉。 「イリス・マスクパーツ」のイリス(アイリス)は虹の女神。 マーメイド型イーアネイラ(MERMAID/MER IANEIRA)エウクランテと同様に、ギリシャ神話のネレイデスのうちの一人。反対からローマ字読みにすると「ARIENAI(アリエナイ)」になるが気のせいである。 武装も同様に海の神々より。合体メカ「オケアノス」も含む。 「オルフェウス」はギリシャ神話に登場する琴の名手の名前。 イルカ型ヴァッフェドルフィン(DOLPHIN/DOL/WAFFEDOLPHIN)「兎型ヴァッフェバニー」と一部共通。 「トーペード」はドイツ語で「魚雷」、「ヴァッサーマン(Wasser-mann)」は「水瓶座(水の男)」。 寅型ティグリース(TIGER/TIG TIGRIS) 丑型ウィトゥルース(CALF/CAL VITULUS)ラテン語でそれぞれ「虎」「子牛」。「丑寅」と記すのは「鬼門(鬼)」を表すため。 合体武装「真鬼王(シンキオウ)」は神姫/鬼王のダブルミーニング、「ファストオーガ」の「オーガ(ogre)」は人食い鬼。 寅の「朱天」は「朱点童子(酒呑童子)」?前述の合体武装や、他の武装(「風神」「雷神」「極閻魔」)から、「朱天」も「鬼」に関すると思われる。 丑の「コンビクトU7」のCONVICTは「有罪判決を下す」。 「ルインM21」のRUINは「破滅」「破壊」。 「ラピッドランチャー」のRAPIDは「迅速」。 建機型グラップラップ(BUILDER/BUI GRAPPRAP)建設機械(油圧ショベル=ユンボ)のアタッチメントの一種で、物を掴む「グラップル(GRAPPLE)」、軽く、素早く叩く「ラップ(RAP)」の2つで、韻を踏ませた造語と思われる。 上へ戻る 第7弾、第8弾 ハイスピードトライク型アーク(HIGH-SPEED-TRIKE/HST ACH)ギリシャ神話に登場する俊足の英雄、アキレウス(アキレス/achilles)より。所々にある「ach111es」のマーキングはこれをもじったもの。 「シルバーストーン」はイギリスに実在するサーキットの名前。 「バンチョーmk3」は「直線番長(コーナーリングなどを度外視したスピードチューン)」。 スキル「ファントムアクセル」の「ファントム(phantom)」は「幽霊」「幻想」。それぐらい早いということ。 可変トライク「パトロクロス」はアキレウスの友人。上から見下ろすとアークの頭文字「A」のような形をしている。 ハイマニューバトライク型イーダ(HIGH-MANEUVER-TRIKE/HMT YDA)俊足で知られる仏教の神、韋駄天(いだてん)より。ヒンドゥー教の神シヴァの子、スカンダ(カルティケーヤ)と同一とされる。 所々にある「YDA010」のマーキングは「イーダ・テン」→韋駄天。 「マニューバ」は旋回などの意味での機動。 「エアロヴァジュラ」のヴァジュラは、密教仏具・金剛杵のこと。ズバリそのまま金剛杵の「ヴァジュラ」もバトルロンドにはある。 スキル「シンハーグラップル」のシンハーはサンスクリット語で「獅子(ライオン)」のこと。グラップルは組み付きを意味する格闘技。 スキル「ドゥルガースレイ」のドゥルガーはヒンドゥー教の女神。シヴァの神妃パールヴァティと同一とされる。なお、スカンダはパールヴァティの子ではない。 スキル「ヴリトラリバーサル」のヴリトラはインド神話に登場するアスラの一人。 スキル「アーナンタ∞アサルト」のアーナンタ(アナンタ)はヴィシュヌ神のベッドとなっている龍王(蛇王)。「永遠、無限」の意。 可変トライク「ヴィシュヴァ・ルーパー」はヴィシュヌ神の別名。「あらゆる姿を持つもの」「全知全能のもの」の意。ヴィシュヴァは「全て(森羅万象などと同じ意味)」、ルーパーは「色(色即是空の色と同じ意味)」。 リブ三神がブリハスパティ神のために造った牝牛の名でもある。 上から見下ろすとイーダの頭文字「Y」のような形をしている。 アーク・イーダ共通名前は片仮名で書いても英語で書いても3文字。 以降のネタはデザイナーCHOCO氏の武装神姫サポートページも併せて参照。 リペイント版「ストラダーレ(stradale、略称st)」はイタリア語で「ストリート」。転じて「レーシングマシン(通常のアークとイーダ)の公道仕様」を指す。 「ヂェリカン」は神姫用添加剤「ヂェリー」を封入したボトルなので「JELLY CAN」。「ジェリカン(JERRY CAN)」と書くと「ヂェリカンだっていってるぢゃねーかよ」とCHOCO氏がお怒りになるので注意。 「OS-35 アサルトライフル」「OS-36 アサルトカービン」マウントの反対側で廃莢を行うため、両方にマウントすると動作不良を起こすという設定。この設定を顧みなくとも物理的に廃莢する場所が無いのだが、バトルロンドでは両方にマウントしている。 マガジンポートのマーキングは「DON'T LOAD TO JELLY CAN(ヂェリカンを装填するな)」マガジンとヂェリカンは同サイズのため、フィギュアでは実際にマウントも可能。ジオスタは未検証 フィギュアのパッケージイラストで、アークはヂェリカン片手にライフルを撃っている。ドジっ子疑惑。 ヂェリカンとマガジンにはそれぞれ名前がついており、名前を表したようなパターンがついている。 + ヂェリカン・マガジン一覧 ヂェリカン 読み 備考 付属セット Nitro ニトロ ニトロの爆発性≒人間におけるアルコール アーク、イーダ Oil オイル 潤滑油≒人間における栄養ドリンク Coolant クーラント 冷却材 ODEN オデン おでんのヂェリカン→おでん缶 アークst Jolokia ジョロキア ハバネロより辛い唐辛子 DieGinjo ダイギンジョー 大吟醸ニトロヂェリー B・H・S バナナ・ハバネロ・スパークリング 武装神姫2036に登場するヂェリカン イーダst CHOCOLATA チョコラータ 単にチョコレート武装神姫2036のアーク イーダのオーナーの名前(このオーナー自体がデザイナーCHOCO氏のもじり) Vanila バニラ CHOCOLATAの対? マガジン 読み 備考 付属セット SPEAR スピアー 徹甲弾 アーク EXPLOD エクスプロード 正しい綴りはEXPLODE イーダ SNOW スノー 氷結弾 アークst CREAM クリーム 食用のクリーム Paint ペイント 模擬戦闘用のペイント弾 MOCHI モチ パターンの形は鏡餅。粘着弾 イーダst PEPPER ペッパー 胡椒弾 MATATABI マタタビ 武装神姫2036劇中で暴走したイーダをマオチャオたちの壁「まお☆ばり」で止めようとした絡みから(ただし劇中ではヴィシュヴァ・ルーパーで突破している) 蝶型シュメッターリング(BUTTERFLY/BTF SCHMETTERLING)ドイツ語で「蝶」。 「マルレーン712」はドイツの歌謡曲「リリー・マルレーン」より。 「ポシェットマイン」には「ONE FLAP,GLOBAL IMPACT.」の文字が刻まれている。「1匹の蝶の羽ばたき(ONE FLAP)が台風をも起こす(GLOBAL IMPACT)」という地雷廃絶のスローガン。 「リリー・マルレーン」も反戦のイメージとして選ばれているのだろう。 戦車型ムルメルティア(PANZER/PNZ MURMELTIER)リス科の動物「マーモット(英語でWoodchuck、ドイツ語でWaldmurmeltier)」。 「PANZER(パンツァー)」はドイツ軍の戦車を特定する単語。 フィギュアではハーケンクロイツ(ナチス・ドイツのシンボル)に似たマークが確認できるが、オンライン版データでは×印に修正されている。 戦闘機型飛鳥(FIGHTER/FHT ASUKA)航空機以外の接点が無いが、NAL(現JAXA)が開発していたSTOL実験機「飛鳥」? 巫女らしいカラーリングから、奈良県の高市郡明日香村、「飛鳥坐神社」? 「霊刀 千鳥雲切」は、「雷切(らいきり)」より。武将・立花道雪は雨宿りの際に雷に打たれたが、半身不随になりながらも生きていた。このため人々が「雷を切った」と噂し、道雪はその時に所持していた刀「千鳥」を「雷切」に改名したという。 「flak17 1.5mm機関砲」のflakは「高射砲」。 「三六式航空爆弾」「三七式一号二粍機関砲」「三八式特殊電探」は、武装神姫の年代設定にあわせたもの。203X年採用→三×式。武装神姫フィギュア発売当時は2006年に対し2036年なので、飛鳥発売の2008年に対し2038年と仮定すれば、この3年間に採用されたものに振られる型番になる。各種イベントも現代+30年の設定になっている。 スキル「飛燕」「烈風」「天雷」「極光」は全て第二次世界大戦時の日本の戦闘機の名前から。 火器型ゼルノグラード(FIREARMS/FRA ZELNOGRARD)ロシア南部、ロストフ州ゼルノグラード市。北カフカーズ軍管区。 上へ戻る 第11弾 戦乙女型アルトレーネ(VALKYRIE/WAL ALTLENE)「MMS TYPE VALKYRIE」の英字表記だが、頭文字はドイツ語表記「Walküre」から取られている模様。 形式番号「DI/AIP-001X1」には柳瀬敬之氏デザイン(フォートブラッグ、ゼルノグラード)の「AIP」のメーカー名が含まれるが、実際に2つのメーカー(2人のデザイナー)が携わっている。 各パーツ名の「ヴァイス」(Weiß)はドイツ語で白。 「ブラオシュテルン」ドイツ語で青い星。 「ニーベルング」は「霧の国の人」の意。北欧神話におけるニブルヘイム(冥界)にあたる。 「ジークフリード」は「ニーベルングの歌」の主人公。 「ジークリンデ」は「ニーベルングの歌」の登場人物。変形形態「フリューゲルモード」はドイツ語で翼。 「フレイアヘルメ」は北欧神話の女神フレイヤ(Freja, Freyja)。 「ブリュンヒルデ」北欧神話に登場するワルキューレ。勝利のルーンに通じる者。 スキル「ゲイルスケイグル」ワルキューレ(ゲイルスケグル/ゲイルスコグル)。槍の戦。 スキル「ランドグリーズ」ワルキューレ。盾を壊す者。 スキル「レギンレイヴ」ワルキューレ。神々の残された者。 スキル「エンゼライゼ」ドイツ語で天使の旅。 戦乙女型アルトアイネス(VALKYRIE/WAL ALTINES)「戦乙女型アルトレーネ」と一部共通。 各パーツ名の「シュヴァルツ」(Schwarz)はドイツ語で黒。 「ロッターシュテルン」ドイツ語で赤い星。「ツヴァイシュテルン」ドイツ語で二つの星。 「ジークムント」は「ニーベルンゲンの歌」に登場する人物。 「ノインテーター」ドイツの吸血鬼。ドイツ語で「9の殺人者」。 「ヘルヴォル」13世紀ごろの伝説「ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ」より。ワルキューレ。 「エルダヘルメ」のエルダは「ニーベルングの歌」に登場する知恵の女神。北欧神話の女神ヨルズに当たるとされる。 スキル「ジークフリート」は「ニーベルングの歌」の主人公。 上へ戻る 第12弾 ヴァイオリン型沙羅檀(VIOLIN/VLN SHARATANG)スキルの多くは音楽記号などに由来する。 スキル「スピリトーゾ」 「精神を込めて」の意味。 スキル「グランディオーソ」「優美に」の意味。 スキル「プレスティッシモ」「非常に急速に」の意味。 スキル「ディミヌエンド」は「デクレッシェンド(だんだん弱く)」の別の言い方。 上へ戻る ライトアーマー第1弾 天使コマンド型ウェルクストラ(ANGEL-COMMAND/AGC WERKSTRA)「天使型アーンヴァル」と一部共通。 悪魔夢魔型ヴァローナ(DEVIL-SUCCUBUS/DVS VALONA)「ヴァローナ(ворона)」はロシア語で「カラス」。 上へ戻る オンライン専用装備 コナミ自社ネタ 「モアイ」は「グラディウス」に登場する敵。ぷちモアイのスキルと同じ「イオンリング」を撃ってくる。「モアイ」は投擲武器だが、爆発後のエフェクトがイオンリングの形をしている。特徴的な外見故かコナミ作品に登場することが多く、このモアイもサービス開始時から存在していた。 「オプション」は「グラディウス」のパワーアップ(兵装)の一つ。最大4機まで増える。スキル「レーザー・オブ・ネメシス」のレーザーも同じくパワーアップの一つ。ネメシスは同作の海外版タイトル(ギリシャ神話の復讐の女神)。 名前だけでなく外見・発射音・被弾音・エフェクトもオリジナルを忠実に再現している。 「ツインビー」の自機が「ツインビー(1P)」「ウインビー(2P)」。見ての通り「ツインビームガン」「ウインビームガン」のこと。 この2機が横に手を繋いで合体すると巨大ショット「ファイヤー攻撃」が撃てる。 機体にグリップを生やした外見をはじめ、こちらもオリジナルに忠実。 「マジックアカデミー女子生徒制服」は「クイズマジックアカデミー(QMA)」シリーズで女子キャラクターの着ている制服。改造制服や別カラーも存在するが、武装神姫で登場するのはベーシックなタイプ。 フィギュアでもMMSとしてQMAシリーズが発売されている。 QMAでも武装神姫にちなんだ問題が出題されたことがある。 上へ戻る 神話・伝承 北欧神話「レーヴァテイン」は古ノルド語でレーヴァ(Læva)が「災厄」、テイン(teinn)が「枝、杖」を意味する。ケニング(古ノルド語の迂言法)には「~の枝」で「剣」を意味するものがあり、レーヴァテインも剣であるとされる(ことが多い)。炎の巨人「スルト」の「炎の剣」と同一とする説に基づいてか、燃焼機構が仕込まれているという設定。 「ガンバンテイン」はヘルモーズ、スキールニルの使用した「魔法の杖」として有名だろうが、ゲーム中では豊穣の神「フレイ」の剣とレーヴァテインとの3本を同一の剣と解釈した説を元に、レーヴァテインの兄弟剣の氷の剣とされている。 「ミストルテイン(ミスティルテイン)」は古ノルド語で「宿り木」。光の神「バルドル」を傷つけないことを唯一”誓わなかった(誓っていなかった)”若い宿り木のこと。後にバルドルへ向けて投げられた際に槍となった。 「グングニル」は主神オーディンの持つ魔槍(神槍)。投げた後は何者もかわすことが出来ず、貫いた後は持ち主の元に戻る。戦いの先触れとして敵陣に投げつければ、必ず勝利が得られるともいわれる。 「ミョルニル」は雷神「トール」の持つ戦槌(ウォーハンマー)。古ノルド語で「打ち砕くもの」の意。投げれば相手を打った後に戻ってくる。掲げて雷を呼ぶこともできる。 ミョルニルを扱うために必要なものの片割れが、力を倍にする帯「メギンギョルド(メギンギョルズ)」。もう一つは鉄の籠手「イルアン・グライベル」。どちらもミョルニルと同時に装備する必要はないし、そもそも後者はゲーム未登場。グングニルもミョルニルもゲーム中は打撃武器だが、本来は上記の通り投擲武器。神話の武器を由来通り忠実に再現した場合、バランスどころの話ではないため、北欧神話に限らず、あくまでそれを元にした武器でしかない。 「スクリューブレード“グラム”」のグラムは「ヴォルスング・サガ」に登場する英雄、シグルズの剣。古ノルド語で「怒り」を意味する。「ニーベルングの歌」の「バルムンク」にあたる。 ケルト神話「カラドボルグ」はアルスター伝説に登場する英雄フェルグスの剣。「硬い(calad)稲妻(bolg)」の意。アーサー王伝説「エクスカリバー」の原型とも言われる。 「レーヴァテイン」「ガンバンテイン」との合体攻撃が可能だが、伝承上の接点は無い。 「ブリューナク」は太陽神ルーが持つ槍。「貫くもの」の意。 日本「天羽々斬」はスサノオがヤマタノオロチを退治するときに使った十拳剣(「羽々」は大蛇のこと)。このとき、オロチの尻尾の中にあった天叢雲剣に当たって刃が欠けたとされる。 「天叢雲剣」は退治されたヤマタノオロチの尻尾の中から見つかった剣。後にヤマトタケルノミコトが草を薙ぐのに使ったため「草薙剣」と呼ばれるようになった。 「タートルシェル」のスキル「リューグーダンス」はそのまま「竜宮ダンス」。タートル→亀→竜宮城の舞い踊り。 中国「方天戟」は中国の北宋代の武器。三国志演義にて呂布が愛用する方天画戟の元になった。 「如意棒」は西遊記の孫悟空の武器。「如意」は「思いのまま」の意。 ギリシャ「イージスの盾」はギリシャ神話で女神アテナの持つ、あらゆる災厄を払うという盾。スキルも「災厄からの護り」。イージスは英語読み、原語は「アイギス」。後にペルセウスがメドゥーサを退治すると、アテナはその首をアイギスにはめ込んだといわれる。 「螺旋槍“グラティオン”」のグラティオンはギガース(巨人族)の一人。 「イカロスの羽根」はダイダロスとイカロスの親子が、蝋で固めた鳥の羽根で作った翼で塔から脱出した神話から。その際イカロスは、歌でよく知られているように高く飛びすぎて、太陽の熱で翼を溶かされ墜落死してしまう。 「スパイダーシェル」のスキル「アラクノフォビア」は「蜘蛛恐怖症」の意。ギリシャ神話でアテナによって蜘蛛に転生させられた女性の名を取り、ギリシャ語で蜘蛛を「アラクノ(アラクネー)」と呼ぶ。 上へ戻る それ以外 「サイズ・オブ・ザ・グリムリーパー」は「死神の鎌」。「冷酷な(Grim)刈り取る者(Reaper)」→死神。「ホウキ・オブ・ザ・クリーンキーパー」はそれに音を似せたセルフパロディ。 「“ピースビルダー”リボルバー」は西部劇やメタルギアソリッドシリーズでおなじみ、「コルト シングルアクションアーミー(SAA)」の通称「ピースメーカー」より。ビルダー⇔メーカーで意味するところは同じ。 「クライモア(クレイモア/Claymore)」は、スコットランドの高地地方の住人(ハイランダー)が使用していた両手持ちの大剣…のはずだが、あちらは両手持ちとしては小振りな剣であり、傾斜した鍔も持つなど、バトルロンドのクレイモアとはまるで似ていない。「龍すらも屠る」「無骨な鉄の塊」という商品説明とその外見、スキル「ドラゴンクラッシャー」の名は、漫画「ベルセルク」の「ドラゴンころし」を思わせる。 「怒りのブドウ」はアメリカの作家ジョン・スタインベックによる同名の小説から。 「ソード・オブ・ガルガンテュア」はルネサンス期のフランス小説「ガルガンテュア(ガルガンチュワ)とパンタグリュエル」に登場する巨人より。スキル名の「ロア(roar)」は「咆哮」。 「バルムンク」はドイツ叙事詩「ニーベルングの歌」の主人公「ジークフリート」の愛剣。北欧神話の「グラム」。 「サルンガ」はインドの叙事詩「ラーマーヤナ」に登場するヴィシュヌ神の化身「ラーマ」が用いた、太陽の力を撃ち出す弓。 「聖槍“ロンギヌス”」は磔にされた「イエス・キリスト」の死を確認するために脇腹を刺した「ロンギヌスの槍」。イエスの血に触れた聖遺物なので「聖槍」。「ロンギヌス」は槍を刺したローマ兵の名前。 「魔槍“グングニル”」と対になる名前だが、伝承上の接点は無い。 世間一般で「聖槍」とされるものはバトルロンドのような槍ではない。 「ナヴァグラハ」はサンスクリット語で、インドの天文学や占星術における「九曜」のこと。 「星槍“レゴール”」のレゴール、およびそのスキル「アル・スハイル・アル・ムリブ」は、帆座γ星の固有名。 「鋼の翼」のスキル「ステラ・コメータ」はラテン語で「毛の生えた星」「長い髪をなびかせた星」の意(英語のコメット 彗星の語源)。 「カーレンギア」のカーレンはアンデルセン童話「赤い靴」の主人公の少女の名前。 「ユニホーン」は「ユニコーン」の角→ユニコーン・ホーンの略称、およびコーンとホーンで韻を踏ませている。スキル「ヒーリング・ホーン」は、ユニコーンの角に解毒作用があるといわれていたことから。 「ポラーシュテルン・FATEシールド」は「ポラーシュテルン(またはポーラシュテルン Polar Stern)」は北極星、FATEは運命、宿命。スキル「ステディプロテクション」の「ステディ」は安定の意。真北の方向から動かない北極星にちなんでいる? 上へ戻る 神姫製造メーカー メーカー名(カナ表記/略称) 型番/所属モデル 由来と思わしきもの Group K2(グループ・ケイツー/GK) GK06N1/忍者型フブキGK06N1X/忍者型ミズキGK011EW/エレガンスホワイト素体GK012EB/エレガンスブラック素体GK021B/バンテージブラック素体 コナミ開発室(Konami-Kaihatushitu→K2)武装神姫のオンライン部門→2番目のサービス Front Line(フロントライン/FL) FL012/天使型アーンヴァルFL013/悪魔型ストラーフFL801/戦闘機型飛鳥FL802/戦車型ムルメルティアFL014/天使コマンド型ウェルクストラFL015/悪魔夢魔型ヴァローナFL016/天使型アーンヴァルMk.2FL017/悪魔型ストラーフMk.2 (戦場における)最前線最前線で戦う神姫(兵器)、武装神姫「第1弾」 Kemotech(ケモテック/KT) KT36D1/犬型ハウリンKT36C1/猫型マオチャオ ケモノ+テクノロジーケモノらしく、かつメカの意匠を組んでいる Vulcan Lab(ヴァルカン・ラボ/VL) VLBNY1/兎型ヴァッフェバニーVLDLP1/イルカ型ヴァッフェドルフィン ミリタリー→火器→ヴァルカン The Sixth Factory(ザ・シックス・ファクトリー/T6F) T6FK45/騎士型サイフォスT6FS60/武士型紅緒 デザイナー名、篠房「六」郎あるいは「房六」→「六房」→「第六工房」 Studio Roots(スタジオ・ルーツ/SR) SRX03/サンタ型ツガル 同コナミ社アーケードゲーム「ビートマニア」に登場するファッションショップ「Roots26」から名前を借りた?ビートマニアにツガルの元ネタ(ルーツ)がある「スタジオ」「ルーツ(rootで基音)」はいずれも音に関係する Plants Planet(プランツ・プラネット/P2) P23701/花型ジルダリアP23702/種型ジュビジー デザイナーいわく「空に、宇宙に飛び立った土地」→飛び立った先で惑星を作り上げた? Arms In Pockt(アームズ・イン・ポケット/AIP) AIP021/砲台型フォートブラッグAIP305/火器型ゼルノグラード 神姫サイズ(ポケットサイズ)の兵器 Magic Market(マジック・マーケット/MM) MM08SR/セイレーン型エウクランテMM09MR/マーメイド型イーアネイラ 架空の生物モチーフ→魔法? Union Steel(ユニオン・スティール/US) US4TI/寅型ティグリースUS4CA/丑型ウィトゥルース デザイナー2人共同なので「ユニオン」(連盟、組合) Constructive Tyrant(コンストラクティブ・タイラント/CT) CTMP04/建機型グラップラップ 戦う建機(直訳は「建設的な暴君」) OHMESTRADA(オーメストラーダ/OS) OSA111/HST型アークOSY010/HMT型イーダ honest(誠実)+strada(イタリア語 道)青梅街道(おうめかいどう)イタリアのオーメ(Ome)などなど、諸説ありただし前二者はデザイナーの発言による Production Fairies(プロダクション・フェアリーズ/PF) PF07B/蝶型シュメッターリング かわいらしく Dione corporation(ディオーネ・コーポレーション/DI) DI/AIP-001X1/戦乙女型アルトレーネDI/AIP-001X2/戦乙女型アルトアイネス ギリシア神話の女神Dione? 上へ戻る イリーガル神姫、イベント敵キャラ ネタバレ回避のため折り畳み。 + イリーガル神姫 原則的にオリジナルの頭文字から名付けられている。特別な意味のある名前ではない(と思われる)。 神姫 イリーガル 備考 アーンヴァル アリス 神姫NETジャーナルver2.0第10回時点では天使型に多い名前のようである ストラーフ スウ マ'オチャオ マリーシア ハウリン ハートゥース ヴァッフェバニー ヴォルヴァ サイフォス サーシャ 紅緒(べにお) 紅天蛾(べにすずめ) 頭文字が「紅」かつ「べに」 ツガル つなみ ジルダリア ジャスミン ジュビジー ジュデッカ フォートブラッグ フォルテ エウクランテ エルザ イーアネイラ イレーネ ヴァッフェドルフィン ヴァネッサ ティグリース ティンベル ウィトゥルース ウィラキア グラップラップ グラミス アーク アッシュ イーダ イルミーナ シュメッターリング シャロン ムルメルティア ムーラ 飛鳥(あすか) 飛魅子(ひみこ?) 頭文字が「飛」 ゼルノグラード ゼノン アルトレーネ アルマ アルトアイネス アルル ベイビーラズ ラズベリー 「ラズ」のしりとり 紗羅檀(しゃらたん) シャーリー アーンヴァルMk.2 アメリア ストラーフMk.2 ストラス ウェルクストラ ウィルマ ヴァローナ ヴァレリア ミズキ 魅姫(みき?) 頭文字が「み」 フブキ(→吹雪) 雪乃 「雪」のしりとり + 各イベント イリーガルNAKED それぞれの色からある程度連想できる名称であると思われる。 サマーフェスタ(ミッションバトル/トレジャーアイランド)の登場ステージ名も併記し解説する。 ガイア(赤:灼熱の罠)はギリシャ神話の大地の女神。大地≒地球の力強さを溶岩=赤で表したものか。 ウロボロス(青:全てを呑む渦)は古代ギリシャの「尾を飲み込む蛇」。様々な宗教や文化で不老不死、永劫回帰、永続性などの象徴として用いられている⇒「全てを呑む」。 「渦(を巻く)」=青。 ドリュアス(緑:ラビリンス)はギリシャ神話の木の精霊(ニンフ)。緑色の髪の娘の姿で男を誘惑し、木の中へ引きずり込むと言われている。 引きずり込まれた木の中が「ラビリンス」? ヴァイス(灰:夏の夜のアブダクション)は宇宙人「グレイ(Greys)」か。「アブダクション」とは、宇宙人による誘拐のこと。 グレイに引っかけたグレー色? だがドイツ語でヴァイスは「白(Weis)」。英語なら「悪(vice)」。 ミラージュ(白:ウインターフェスタ2008にて初登場)は「幻影(Mirage)」。シークレットミッション「白き幻影」にて再登場。 トレーニングで登場しない、存在しないはずの白のNAKEDなので「幻影」。 逆にフィギュアではイリーガルNAKED5体中唯一存在する色。頭部・胸部パーツに違いがあるので完全に同一のものではないが。 + ウィンターフェスタ2009(WF 09)サイバーフロント攻略作戦 ラスボス 自身の名前とスキルがUNIXに由来した名称を持つ。 全能なる者“root”管理者権限のこと。アクセス権の設定に関わらずフルアクセスが可能。(Windowsで言うところのAdministrator) 慈悲なき隔絶“umount -f”接続した外部周辺機器を取り外すコマンド。 完全なる停止“kill -9”プロセスに対して強制停止などのシグナルを送るコマンド。killだけだと「後処理を含めて停止させろ」の命令(kill -15と等価)だが、-9のオプションを付与すると「後始末を問わず停止させろ」の命令になる。 虚無への回帰“rm -f”ファイルを削除するコマンド。本来は削除前に確認を行うが、-fのオプションを付与すると確認を行わない。 永劫の沈黙“shutdown -h”電源の管理を行うコマンド。-hのオプションを付与し、システムの停止(halt)の命令になる。実行にはroot権限が必要。 + サマーフェスタ2009(SF 09)サイバーテロから街を救え! 「黄道十二宮」の12星座をはじめ、「星」との関わりが見られる。 Satelliteを除くアクセスポイントの名前は全て12星座のもので、 十二宮を白と黒でそれぞれ別々の方向に回る順で開放された。 Cancer Leo Gemini Virgo Taurus Libra Aries Scorpio Pisces Sagittarius Aquarius Capricornus Satellite 敵神姫は全て12星座の恒星・星団から名付けられている。 天使型メサルティム=おひつじ座γ星 悪魔型ハクラビ=てんびん座γ星(ズベン・エル・ハクラビ) 忍者型シャウラ=さそり座λ星 猫型アスケラ=いて座ζ星 犬型カストル=ふたご座α星 兎型デネボラ=しし座β星 騎士型アウストラリス=いて座ε星 侍型ゲヌビ=てんびん座α星(ズベン・エル・ゲヌビ) サンタ型アルタルフ=かに座β星 花型レグルス=しし座α星 種型アクベンス=かに座α星 砲台型スカト=みずがめ座δ星 セイレーン型グラフィアス=さそり座ζ星 マーメイド型サマカー=うお座β星(フム・アル・サマカー) イルカ型サダルメリク=みずがめ座α星 寅型ハマル=おひつじ座α星 丑型サバイジャワ=おとめ座β星 建機型プレアデス=おうし座散開星団 HST型ポリマ=おとめ座γ星 HMT型ヒアデス=おうし座散開星団 蝶型エルナト=おうし座β星 戦闘機型ゾスマ=しし座δ星 戦車型アルヘナ=ふたご座γ星 火器型サダルスウド=みずがめ座β星 AGは防衛を担当するMAP(星座)から名づけられている。 サンタ型bx.AG/プレセペ=かに座散開星団 戦闘機型nf.AG/アルギエバ=しし座γ星 戦車型dw.AG/ポルックス=ふたご座β星 HST型st.AG/スピカ=おとめ座α星 HMT型st.AG/アルデバラン=おうし座α星 天使型bk tr2.AG/シェラタン=おひつじ座β星 悪魔型wh bis.AG/カマリ=てんびん座β星(ズベン・エス・カマリ) セイレーン型bk.AG/アンタレス=さそり座α星 マーメイド型bk.AG/アルレシャ=うお座α星全AGはリペイント版であり(サンタ型は厳密には違うが)、通常版と同じ星座の別の星の名前を冠している。 「アルテミス」は月を象徴するギリシア神話の女神。オーナー「シンシア」はアルテミスの別名「キュントス(Cynthia)」の英語読み。 最終マップ「Satellite」は軍事(人工物)に限らず衛星を指し、月は地球の衛星である。軍事衛星と月=アルテミス自身のダブルミーニングとも受け取れる。 おまけ SFとは直接関係ないが元ネタが同じ、または類するもの。 メインウェポン「“アクベンス”シザーアーム」。アクベンスもこの武装を使用している。 間垣氏デザインの蠍型神姫「グラフィオス」。 武装神姫・ラジオ劇場の主役のアーンヴァルの名前「スピカ」。天使≒乙女?準主役のハウリンはアルドラ(おおいぬ座η星)。 ジャーナルの戦車型神姫「ベガ」は、こと座α星(織姫星)。一人だけ出番が多いのはこのため。 上へ戻る コメント 種子のイリーガル名ジュデッカはダンテの神曲にでてくる第九圏 裏切者の地獄 - 「コキュートス」の 第四の円 ジュデッカ のことでは? 主人に対する裏切り者が罰を受けるところ(?よくしらん)で、おそらくヤンデレネタからかと。。 -- (名無しさん) 2011-04-09 15 11 39 Magic Market社の由来は間垣先生の昔の同人サークル名(?) である魔法屋から来ているのではないでしょうか? -- (名無しさん) 2011-06-10 12 28 53 ガブリーヌの名前の由来…おそらくガブリエルハウンド(冥界犬)かと。 -- (名無しさん) 2011-07-08 18 24 47 ぬいた+.(・∀・).+☆ http //jn.l7i7.com/ -- (ありません) 2011-12-29 12 58 05 I’ve got a masive stash with tons of items I was so excited for when I bought them and can’t seem to part with. I think this class would be so amazing for helping me learn to really use up my stash and make purchasing smartly in the future. With stretchble in mind! cheap nike air max sale http //www.cheapnikeairmax4sale.co.uk/ -- (cheap nike air max sale) 2014-12-12 23 04 51 名前 コメント すべてのコメントを見る 上へ戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1361.html
雨が降り注ぐ近代都市を、重武装の神姫が滑るように移動していた。 その神姫は背中のブースターを全開にし、その巨躯からは想像もつかないほどの速度でビルの谷間を翔ける。 その姿は・・・神姫と言うよりは・・・・一体の機動兵器の様だった。 「・・・・・・・・目標確認、破壊、する」 機動兵器の彼女は小声でそう呟く。元々声の大きい方ではないからだ。 『うん。なかなか調子がいいじゃないか。ブレードよりもこう言う兵器系に向いてしまったのはなんとも皮肉なもんだが・・・・まぁいいか。それよりもノワール』 「なに」 『今日一日の感想はどうだい?』 「・・・・・それを・・・どうして・・・・聞くの?」 ノワールはそういいながらビルの陰から現れたターゲットを破壊する。 右手のライフルの残弾は・・・・残り僅か。 『どうしても何も、ハウはもう寝てるしサラに聞くわけにもいくまい。私達が見たのは暗闇で何か話していた二人だけだ』 「・・・・・・・・・・・」 彼女の主の言葉を無視しマグチェンジ。 その間も左手に装備したライフルは火を吹き続けている。 『おぉっと。わからないという返答はなしだよ? 具体的な意見を聞くまでは、このトライアルは終わらないし終わってもその武装は使わせてあげませんからね?』 多分、クレイドルで寝ている自分の傍にはニヤニヤ笑った主がいるのだろう。ノワールはそう思った。 意地が悪い。 「・・・・多分・・・二人・・・好き合った・・・・でも・・・・」 ・・・・でも、なんだろう? 何か違うような、そうでないような。そんな感じがする。 『・・・・ふむ。つまり微妙な状態なわけだな』 とうとう右手のライフルの残弾がなくなった。 ノワールはライフルを捨てると、左手のライフルを右手に持ち返る。 そのまま空いた左腕で、近くまで来ていたターゲットを殴った。ターゲットはよろめき、その隙にライフルで止めを刺す。 それと同時にアラームが鳴り響き、ノルマをクリアした事を知らせた。 『ん? 随分と早いな。もう二百体倒したのか。・・・・・AC武装は物凄い相性がいいな。メインこれで行こうか』 「ヤー、マイスター」 * クラブハンド・フォートブラッグ * 第十九話 『出現、白衣のお姉さま』 「ちょっと! 何で起こしてくれなかったのよ!! 遅刻確定じゃない!!」 「そうは言われましても。何度も起こしたのですが・・・・まさかハバネロが効かないくらいに眠りが深いとは」 「どおりで口の中がひりひりするわけね! 毎度の事ながらあんたには手加減って言葉が無いの!?」 「――――――わたしは相手に対し手加減はしない。それが相手に対する礼儀と言うものなのです」 「無駄に格好いい!? あんたいつからそんなハードボイルドになったの!?」 「時の流れは速い・・・というわけでハルナ。わたしと話すより急いだ方がいいのでは?」 「あんたに正論言われるとムカつくのはなぜかしらね・・・・?」 朝、目が覚めたときにはもう八時を過ぎていた。 普段私を起こすのはサラの役目だけどさ。流石にこういうときは起こしに来てよお母さん・・・・・・。 大急ぎで制服に袖を通し、スカートのファスナーを上げる。 筆箱は・・・あぁもう!! 「何か学校行くのがだるくなってきた・・・・休もうかしら」 私がそういうと、サラが驚いた顔で見つめてきた。 え、なに? 「・・・・珍しいですね。普段なら遅刻してでも行ってたのに。と言うか無遅刻無欠席じゃないですか。行ったほうがいいのでは?」 「ん・・・でも何か面倒になっちゃってね。・・・別にいいじゃない。たまには無断欠席も。それに・・・・・」 学校には、八谷がいる。 昨日の今日でどんな顔をしたらいいのか判らない。 お互いにはっきり言葉にしなかったとはいえ・・・・OKしちゃったわけだし。 「うん、決めた。今日はサボる。サボって神姫センター行って遊びましょう!」 「・・・・・まぁ、別にいいですけれども」 そうして辿り着いた神姫センターには、当たり前と言うかなんと言うかあんまり人がいなかった。 まぁ月曜日だし午前中だし。来ているのは自営業さんか私みたいなサボり位だろうけど。 それでも高校生と思しき集団がバトルしてたのは驚いた。まぁ多分同類だと思うけど。 ・・・・でも強いな。あのアイゼンとか言うストラーフ。 砂漠なら・・・勝てる、かも? 「それにしてもなんだか新鮮ですね。人が少ない神姫センターというのも」 「平日はこんなものじゃない? 仕事や学校あるし。・・・・あぁでも最近は神姫預かる仕事も出来たんだっけ」 「そんな職業があるのですか。なんと言うか、実にスキマ産業的な・・・・所でハルナ、わたしは武装コーナーを見たいです」 私はサラの言葉に苦笑しながらも、センターに設けられた一角に向かって歩き出す。 このセンターは武装やら神姫本体やら色々揃ってたりするので結構お気に入りだ。筐体もリアルバトル用とVRバトル用の二種類を完備してるし。 とりあえず売り場についた私はサラを机に乗せ、商品を自由に見せて回る。・・・・買うつもりは無いのよ。 そうこうしているとサラが一挺の拳銃のカタログを持ってきた。 「ハルナ、このハンドガンなんてどうでしょうか」 「・・・いや、そういうの良く判らないんだけど」 「なんと!! ハルナはこの芸術品を知らないと!? このマウザーは世界初にして世界最古のオートマティックハンドガンなのです。マガジンをグリップ内部ではなく機関部の前方に配置しているのが特徴でグリップはその特徴的な形から『箒の柄』の異名で呼ばれています。かつては禿鷹と呼ばれた賞金稼ぎ、リリィ・サルバターナや白い天使と呼ばれたアンリが使用した銃として有名ですね。さらにこの銃、グリップパネル以外にネジを一本も使用しないというパズルのような計算しつくされた構造を持っておりこの無骨な中に存在するたおやかな美しさが今もマニアの心を魅了し続けて ―――――――――――」 「あ、この服可愛いー。でもレディアントはサラに合わないかな」 「ひ、人の話を聞いていないッ!? そして何故ハルナではなくこのわたしがこんなに悔しいのですかっ!?」 ふふん。ささやかな復讐なのよ。 「でもさ、だったらそんなへんてこな銃じゃなくてこっちの馬鹿でかい方が強いんじゃないの?」 「ぬ・・・わたしのツッコミを無視して話の流を戻すとは。いつの間にそんな高等技術を・・・・それはともかく、確かに威力が多きければ強いと言えなくもないですね。でもそのM500は対人・対神姫用としては明らかにオーバーパワーです。リボルバーですから装弾数も期待できませんし」 「ふぅん。数ばらまけないのはきついわね」 威力だけじゃ勝てないってことか。 サラのマニアックな説明はそもそも理解する気が無いけれど、戦闘に関してはさすが武装神姫。私よりも知識が多い。 ・・・うん、この後バトルでもしてみようかしら。 どうせ暇だし、作戦を立てたり実力を図る意味でもバトルはしたいし。 「ねぇサラ。この後さ ――――――」 「ん? こんなところで何をやってるんだお前」 と、サラに話しかけようとしたら逆に後ろから誰かに話かけられた。 振り向くと・・・・そこにはなぜか白衣を着たお姉ちゃんが立っていた。胸ポケットにはノワールちゃんだけが入っている。 「え、何で白衣?」 「第一声がそれかね。これはバイトの仕事着だよ。それよりもお前、何でこんなとこいるんだ? サボりか」 「え、えと・・・・それはですね・・・なんと言うか」 まずいことになった。 そういえばここら辺はお姉ちゃんのテリトリーだったっけ。 ここで見つかってお母さんに告げ口されたら・・・・! 「ん・・・あぁ別に怒ってるわけじゃないんだよ。サボりなら私もよくやったさ。仲のいい三人組で遊びまわったもんだ」 そういってお姉ちゃんは笑った。 よかった。告げ口されたらどうしようかと。 「そっか・・・・そういえばハウちゃんはどうしたの? ノワールちゃんだけだけど」 「アイツは定期健診。今神姫用医務室にいるよ。それよりも、暇だったら一戦やらないか? 今バイトの方も暇だしな」 お姉ちゃんはサラの方をチラリと見ながらそう言った。 サラがどうかしなのだろうか。 「うん、いいよ。それじゃ筐体の方へいこう。・・・サラ、おいで」 「承知です」 断る理由の無い私達はお姉ちゃんの誘いに乗った。 戻る進む
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2330.html
第1部 戦闘機型MMS「飛鳥」の航跡 第2話 「風兎」 大阪城外堀、水上ステージ 大阪城の外堀の一部をそのまま武装神姫の水上ステージとして、利用したステージで障害物として杭や半壊したボートなどが置かれている。 エーベル「さて、はじめようか・・・ルールはシンプル。俺と戦え」 エーベルは黒い翼をピンと伸ばし、右手にはアルヴォPDW9を装備し、左手は腰に手を当てている。 赤い瞳がじっとアオイを見据える。 アオイ「気が済むまで戦うってことか、まあ分かりやすくていいな、そういうの好きだぜ」 尻尾のエンジンをブウウウンと唸らせる。心なしか悦んでいるかのように軽いリズムを刻む。 立花「アオイ、武装は何を持っていく?」 アオイ「三七式一号二粍機関砲が1門と千鳥雲切、1本」 立花「二粍機関砲!?あれは対重MMS用の機関砲だろ?」 立花は首をひねる。二粍機関砲は強力な機関砲だが、大きく重く取り回しが悪く機動性が高い神姫に命中させることは至難の業だ。flak171.5mm機関砲のほうがアーンヴァルのような機動性の高い神姫に命中させるには相性がいい。 アオイ「そんなこたァいちいち言われんでもわかってるわ!!ここは俺に任せろや!!」 アオイが立花に苛立ち怒鳴る。 立花「へえへえ、釈迦に説法でごぜいましたねェ!!すみやせんでした!!」 立花は苦々しい顔をしてアオイに武装を渡す。 アオイ「ごちゃごちゃうるさいわ!ヴォケ」 エーベル「おーい、まだかー早くしろよ」 アオイ「せかすな、慌てる乞食はもらいが少ないっていうだろ?」 アオイはゆっくり丁寧に武装を確認しながら装着する。 エーベル(こいつ・・・焦らずにしっかりと安全確認しながら武装をつけてる。相当慣れてるな・・・・) エーベルはアオイに一挙一動を注意深く観察する。 戦いは戦う前からすでに始まっている。相手の数少ない言動や行動、クセを読み取り、相手が何を考えてどういう行動を行うのか、事前に予測しながら戦術を考える。 エーベルはカマを賭けた。アオイをわざと挑発することで怒らせて雑に武装をつけるのかと予想していたが、挑発には乗らなかった。 つまり、こいつは武装の大切さ、口は自分と同じく悪いがリアリストだ、落ち着いている。そして気が付いている。 私がカマを賭けたことを・・・・ エーベル「・・・・・・・」 アオイ「悪いな、待たせたな!!考えはまとまったか?」 エーベル「いいや、気にしちゃいない、ある程度な」 油断できない、即効で決めよう、一気にスラスターを吹かして一撃離脱。攻撃がはずれたら急上昇して上を取って太陽を背にして再び一撃離脱。アスカ型は格闘性能に優れる、ドックファイトに持ち込まないほうがよいな、幸い、相手は重い機関砲を背負ってる。こっちの速度にはついてこれないだろう・・・・・・ エーベルの考えがまとまった。 アオイ「さあて、はじめようか」 エーベル「ああ」 ドルンドルンとリアパーツのスラスターを吹かせる。アイドリング、機関が主目的に貢献せず、しかし稼働に即応できる様態を維持しようとする動作。即応できるようにエンジンを温めるエーベル。 ヒュイイイイイインンインインイン、スラスターが風を斬り唸る。 アオイはニタリと笑う。 こいつなにが可笑しいんだ? バトルロンドの画面にテロップが流れる。 □黒天使型MMS「エーベル」 Sクラス VS □戦闘機型MMS 「アオイ」 Aクラス 「ゲットレディ・・・・・」 バトルロンドの筐体のランプが点滅し無機質なマシンヴォイスが叫ぶ 「go! 」 ポオンとランプが光る。 エーベルは獣のように咆哮を上げ、呼応するようにスラスターが真っ赤に燃え上がり爆発的な加速力を生み出し、エーベルは一直線にアオイに向かって突撃する。 エーベル「いやあああああああああおッツ!!!」 両手でしっかりとアルヴォPDW9機関銃を保持し固定すると、アオイに向けて放った。 黄色の曳光弾の光跡がばらっと流れる。 アオイはくんと身体をひねるように大回りで攻撃を回避する。 エーベルはぐんとアオイとそのまますれ違い、そのまま加速を生かして急上昇を行う。 エーベル「よし、このまま太陽を背にして上位を取る!!空戦の基本だ」 一度上を取ってしまえばこちらのもの、相手は重い機関砲をぶら下げている。それに相手は大回りで大げさに回避した。機動性と速度で圧倒してしまえば・・・・ エーベルの目が見開かれる。 エーベル「な・・・」 追い越し、急上昇するエーベルの真横からさっとアオイが踊りだしスラッと左手で千鳥雲切を抜刀し、エーベルに向かって切りかかってきたのである。右手には重い機関砲がさっぱりなくなっている。 そこでエーベルは初めて気が付いた。 エーベル「コイツ!!はじめから二粍機関砲を捨てて身軽になるつもりでッ!?」 アオイ「でやああッ!!!」 すれちがいざまにアオイはエーベルのアルヴォPDW9機関銃を一太刀で真っ二つに切り捨てた。金属音が響き、 バラバラになった機関銃がぼちゃぼちゃと水面に落ちる。 エーベル「っち!!」 エーベルはすかさず、左肩に搭載していたM4ライトセイバーをすばやく抜き取り、アオイの斬撃に対応する。 開始から数秒もたたずにすさまじい攻防が繰り広げられる。 野次馬の神姫やオーナーたちはポカーンと口をあけている。 コウモリ型「おおおーー」 砲台型「すんげえー」 オーナー1「思い切りがいいな、あのアスカ型」 オーナー2「こんな空戦、滅多にお目にかかれないぞ」 ワシ型「エーベル!!押されるな!」 立花はカバンからペットボトルのお茶を取り出しくびっと一口飲むと、て2人の戦いを観戦する。 立花「ふむ、そういうことか、アオイ・・・はなっから機関砲なんて使うつもりはなく、ブラフだったのか、無茶しやがる」 ちょうど、そのとき公衆便所から一人の若い女性が満足そうな顔で手をハンケチで吹きながら出てきた。 斉藤「ふんふふーんふーん♪三日ぶりー三日ぶりぶりーーんと・・・あれ?なんか盛り上がってるわね」 ひょことバトルロンドのステージを覗くと、なにやら見知った顔の神姫・・・というか自分の神姫が戦っている。 斉藤「あれ?エーベル?誰かとバトルしてるのかな?」 エーベルは斉藤の姿をチラッと見つけて、一瞬動きが止まる。 エーベル「マスター!?いまごろノコノコと・・・」 アオイ「余所見してる場合かァ!?甘いぜッ!!!!!!!おらァッ!!」 エーベル「ッツ!!しまっ・・・」 ミス、非常に単純なミスだったが、アオイはそれを見逃さなかった。 そして次の週間、アオイは思いっきり頑丈な着陸脚で、エーベルの柔らかいお腹に突きこむように蹴りを放った。 ズム・・・鈍い音を立ててエーベルの腹に鋭い蹴りがめり込んだ。 エーベル「がはっ・・・」 エーベルの口から雫が飛び散る、アオイは千鳥雲切の柄で続けざまにガツンとエーベルの顔面を殴った。 アオイ「うおおおおおおおおお!!」 バキンとエーベルのバイザーが粉々に砕け散り、エーベルはショックで失神し、そのまま水面にたたきつけられるかのように墜落した。 どぼんっ・・・・ 墜落し戦闘不能となったので、バトルロンドの画面にテロップが流れる。 □黒天使型MMS「エーベル」 Sクラス 撃破 アオイはひゅんと千鳥を振るい、カキンと着陸脚を鳴らす。 アオイ「足癖が悪くてな、スマンな」 斉藤「!?えーエーベル!?な、なにがあったの!?あれ?負けたァ?」 斉藤はイマイチ事態が飲み込めず、持っていたハンケチをぼとりと地面に落としてしまった。 To be continued・・・・・・・・ ・第3話 「牙兎」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2416.html
人物 名前:高城・ミッシェル・千尋 13歳 性別:千尋 ニックネーム:総帥 一人称:私(わたし) 二人称:あなた、きみ 科学者レベル:マッドサイエンティスト 一応主役『高城・M・千尋』と略してよい ブカブカの白衣と大きなリボンが目印の、愛すべき総帥様 若年どころか幼年ながら数々の学問に精通し、博士号まで持っているという厨二病全開の設定があるちびっ子 性別の項目がおかしいのは、設定を考えているうちに作者がわからなくなってしまったせいである 「いっそ、性別不明で良いや」と考えてしまったが最後、後は読者の皆様の想像にお任せする 『ミッシェル・サイエンス』をたった一人で取り仕切る恐るべきお子様 神姫 名前:「本名は非公開だ」 戦車型ムルメルティア 階級:少佐 一人称:私(わたくし) 二人称:貴官(きかん)、貴様(きさま) 忠誠度:総帥の為なら死ねる 千尋の所持する神姫の一人『南十字隊』の頼れる隊長、コードネーム『α(アルファ)』 帽子や眼帯など戦車型の基本装備を身に着けているが、衣服はオリジナルの軍服に身を包んでいる 千尋は特別なバトルのとき以外は指示を出さないので、実質彼女が全ての指揮系統を担っている 千尋に絶対の忠誠を誓っており、危害を加えるものは容赦なく(人間、神姫関係なく)KILLするつもりでいる 身内以外に対する言動は非常に高圧的。ただし敵対の可能性がゼロになれば(口調こそ厳しいが)面倒見が良い、頼れる指揮官 名前:「非公開だ…例外なく、な」 砲台型フォートブラッグ 階級:大尉 一人称:自分(じぶん) 二人称:君(きみ)、お前 面倒事請負率:かなり高め 千尋の所持する神姫の一人『南十字隊』の寡黙な副長、コードネーム『β(ベータ)』 常にバイザーつきの砲撃用ヘルメットを目深に被り、表情がよく見えない 常に櫛や手鏡を持っているなど、実は一番女らしい性格だったりする 後輩への指導は主に彼女の仕事で、曹長と一等兵は彼女が指導した バトルは主にスナイパーキャノンによる精密狙撃とハウィッツァー(曲射榴弾砲)による広範囲爆撃を使い分ける 名前:「公表の予定は無いであります!」 火器型ゼルノグラード 階級:曹長 一人称:私(わたし) 二人称:あなた 語尾:~であります 千尋の所持する神姫の一人『南十字隊』の少々ズボラな突撃兵、コードネーム『γ(ガンマ)』 これといった特徴が無い、作者泣かせの困ったちゃん 十分なキャラ立ちができてないせいで、影が薄くなりがち が、語尾のせいで突然会話に参加してもわかりやすい バトルスタイルは後ろは気にせず突撃あるのみというものだが、なぜか生還率は隊の中でトップ 軍人気質…とは程遠いお気楽能天気の寝ぼすけ神姫 名前:「非公開にしろと言われてます」 戦闘機型飛鳥 階級:一等兵 一人称:わたし 二人称:~さん 癖:トリップ、大きな独り言 千尋の所持する神姫の一人『南十字隊』の想像力豊かな新兵、コードネーム『δ(デルタ)』 第一話、第二話と連続でメインを張っているが、主役ではない 外見的に特徴は無いのだが、トリップ癖とダダ漏れモノローグで起動から一週間という短い期間の内に強烈なキャラ立ちを果たした 初の空中戦力となるが、今のところバトル未参加なので実力は未知数 今後もエンジン全開で行ってもらいたい 名前:リュミエラ 兎型ヴァッフェバニー 階級:なし 一人称:あたし 二人称:~ちゃん、~くん ついやっちゃったこと:一等兵の拉致 千尋の所持する神姫の一人『特殊部隊』の狙撃、個人撃破担当、コードネーム『B(ビー)』 かわいいものが大好きで豪快なお姉さん 第二話での名前ばらしはわざとっぽい 好物は紅茶とお菓子 バトルは基本的に参加しないが、参加するときは本隊を陽動にして、孤立したものを狙撃するという非常に地味な戦闘スタイル もしくは、もっとも攻撃力の高い相手を誘き出す役目を担う かわいいものはどれだけ見てても飽きないようだ 名前:フェリシエナ イルカ型ヴァッフェドルフィン 階級:なし 一人称:私 二人称:個人名、知らない場合は呼ばない 悩み:豪快すぎる同僚 千尋の所持する神姫の一人『特殊部隊』の潜入工作、索敵担当、コードネーム『D(ディー)』 第二話でやたら喋っているが、本来は無口無表情 同僚のBによって本編中に本名が出てしまったために、キャラ紹介で非公開にできなかった 好みは和菓子に緑茶と、純和風 Bと同じく基本的にバトルは不参加だが、参加するときは潜入偵察と各種センサーによる索敵に徹する さらに必要があれば、拠点の破壊工作や罠の設置など、相手にとって地味な嫌がらせをする 自室の中と外で口数が極端に違う その他のキャラクター 砂木 丈助 34歳 性別:男 相棒:ルルコ(マオチャオ型) 一人称:俺 二人称:お前 相棒との関係:俺の嫁 『砂木探偵事務所』の所長、自称三十代半ばのナイスガイ 幅広いネットワークを駆使して『Forbidden Fruit』まで辿り着いたようだ 相棒のルルコに頭が上がらない ルルコ 猫型マオチャオ 相棒:ジョースケ 一人称:ルルコ 二人称:キミ 伏字:不使用 砂木の所持神姫…というより相棒、ファイル棚の奥も見逃さない 『Forbidden Fruit』の購入はこの娘の強い要望だったようだ 将来の夢は、冗談抜きで『お嫁さん』 企業紹介 ミッシェル・サイエンス 全十階建ての、中心街に立つには規模の小さいビル 千尋が経営している会社…会社と言っているが、働いている人間が一人しかいないため、実質自営業 どういうわけか国の営業許可が下りている 主な事業内容は、神姫のオリジナル武装開発と、神姫サイズの日用品や家電製品の製造販売 そのほかに、神姫用の特殊なボディも作っているが、こちらは発注を受けてから作り始めるオーダーメイド品。お値段も高額 さらに一般公開をしていない特殊なボディも作っているが、こちらは一体で豪邸が土地つきで買える値段になる 詳しい説明は下記を参照 秘密の地下室が存在しているらしい…… 製品紹介 素体 Michelle-001 unripe fruit (未熟な果物) ミッシェルの試作素体、専用コアパーツとのセットで提供 非常に軽く柔軟性に優れる反面、神姫素体としての基礎防御力がゼロに近いので、装甲を追加するなどの処置を取ってもバトルには不向き どうしてもバトルを行いたいのであればヴァーチャルによるものを推奨、なおかつ相当な熟練が必要(神姫、マスター共に) 非常に精密な技術で人間に『似せて』作ってあり、MMSの特徴である剥き出しの間接はなく、肌の質感はもちろん、神姫に必要の無いはずの生殖器まで精巧に作ってある パッと見ると1/10サイズの人間そのもの 食事が可能で、水分以外は体内で完全に分解できる 水分は発汗などで消費することができるが、貯蔵量を超えた場合は強制排出が必要 内臓器官や骨格は完全に再現できなかったため、『人造人間』とまではいかないが、「すでに神姫じゃない」と言っても反論の余地は無い さらに、思考も再現できなかったため、AIを純正のコアパーツからのトレースしている。 手持ちの神姫を当素体に移植することも可能 損傷、故障があっても神姫センター等での修復は不可能ですので、異常が発生した場合は当社まで連絡をしてください 武装は腕、足に換装が必要な装備と遠隔操作ユニット、大多数のリアユニットが装備できない 使用したいのであれば同社の本素体専用装備(別売り)を使用することになる 製作時にある程度ならば体系の変更が可能であり、注文の際にマスターの好みを聞いてから作り始めるオーダーメイド商品 制作期間は受注してから約二ヶ月かかる Michelle-002X forbidden fruit (禁断の果実) ミッシェルの特殊素体、専用コアパーツと衣服もセットで提供 Michelle-001の発展型であるが基本性能は同じである 最大の特徴は体のサイズが10倍だということであり、こちらは近付いても人間との区別がつかない 当然のことながら、神姫バトルに参加することはできない 見た目が人間そのものであっても、当然のことながら人間の医療機関で治療をすることができず、さらに神姫センター等で修理することもできない 異常のある場合は当社まで連絡をください こちらも製作時に体系の変更がある程度可能であり、注文の際に好みを聞いてから作り始めるオーダーメイド商品 製作期間は受注してから約四ヶ月かかる (※商品受け取りの際に質疑応答があることと、受け取り直後にデータチェックがあることを予めご了承ください) 神姫ヴァーチャルコミュニケーションシステム SVCS「にじり口の茶室」 人と神姫を同じスケールにして触れ合うシステム 専用ヘッドセットは全国の神姫ショップにて取り扱っている 神姫はクレイドルを介してシステムに接続、マスターは専用ヘッドセットを装着する事によってシステムに意識を転送する サイズは神姫側に合わせられるため、神姫とコミュニケーションをとる以外にも自身で武装の試用など、擬似的な神姫体験ができる ただし、かたや生身の人間、かたや武装を自在に操る武装神姫なので、パワーバランスは歴然としている システムに入る際は、自分の神姫との関係を一度見直してみる事 神姫との関係が悪いと、接続直後からボコボコにされることもあるかもしれない ……ちなみに、殴られるとちゃんと痛い 以下、話数が増え次第追加します 戻る