約 3,574,412 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1958.html
鋼の心 ~Eisen Herz~ 第21話:夜明けの翼 「ほほぅ、VR(バーチャル)は初めてなのだが表とあんまし変わんないのな~」 「僕は起動してからの一週間で、50時間は篭ってました」 はしゃぐマヤアのすぐ隣、感情の無い声で呟くセタ坊。 少し目がウツロで、虚空を見詰めている。 「……ますたー、止めて下さい、止めて下さい。……3時間以内に命中率100%にしないと尻尾引っこ抜くとか、マジ外道です」 「んゆ、セタ坊?」 「ぷち達も恐がってます、もう出来ません分りませんゴメンなさい許してください、わふぅ~っ!?」 「……むにに、セタ坊が壊けた」 『ふふ…。懐かしい思い出ね、もうあれから3ヶ月も経ったなんて……』 『いや。普通に神姫虐待でしょ、こういうの』 『雅さんの愛情は祐一君以外にはネジくれてますからねぇ、ははは』 『……ははは。じゃねぇよ』 「ダメです、この的動いてます、なのに外しちゃダメとか無理です、出来ません、嗚呼止めて、一発外すごとに尻尾1ミリ切るとか酷すぎです、そんな、三つ編みとか信じられません、尻尾三つ編みにされたらボクの人生お終いです、一生三つ編みされたミットモナイ尻尾でわふわふ逝ってるだけの駄犬ですか、ゴメンなさい、ヘタレでゴメンなさい、息しててゴメンなさい、存在しててゴメンなさい、ウマレテキテゴメンなさい……」 しゃがみ込んでぶつぶつ呟くセタに、さすがに浅葱も顔を顰める。 『……雅、アンタ本気で犯罪よ、こういうの……』 『愛の鞭よ』 『死をも厭わない鞭に、愛の名を関するのは如何なものかと……』 『ほ、ほら。獅子は我が子を千尋の谷に叩き落すって言うじゃない、そういうものよ。……多分』 『……多分、ってあんたね……』 『千尋の谷に突き落とした挙句に、上から煮えたぎった油を注ぎこむような厳しさですねぇ……』 「あー、よく分からんが―――」 人間同士の会話に加わるマヤア。 「―――要するに、セタ坊は雅んにメチャクチャ愛されてると?」 『よし、バカネコ良いこと言った!!』 「何処をどう聞けばそういう結論になるんですか~!?」 自閉症モードに移行しつつあったセタ坊は、マヤアの一言を機に図らずも復活を遂げた。 「え~っと、皆さんそろそろ宜しいですかぁ~?」 マヤアとセタの間に、デフォルメされたフォートブラッグが出現する。 「おおー、デルタちん。何時もよりも少しちっこくなったか?」 「……この端末CGは極小サイズだと思うのですが……」 「まぁ、そんな小さな事はどうでも良い―――」 『誰が上手い事言えと……』 「―――そんな事より敵は何処だ?」 「もうじき出現します」 『今、そちらに転送しました。すぐに現れますよ、戦闘準備を!!』 村上の声と共に、VRフィールドに歪みが生じてゆく。 「……所で。今更なんですが、『敵』って何なんですか? コンピュータウイルスとか?」 『いえ、このパターンは恐らく……』 「多分、武装神姫じゃん? データだけ転送してきたんじゃねーの?」 マヤアの予測が正解であることは、その次の瞬間に証明された。 『やはり、神姫……。それに、この形状は……』 VR空間をモニターする画面に映る姿はまぎれも無く武装神姫のそれ。 そして、機種不明でありながらも、ある意味雅たちにとっては馴染みの深い黒衣。 『……天海の幽霊……。土方真紀の武装神姫ですか……』 双刀と翼。仮面と黒衣を身に纏い、漆黒の神姫が降り立った。 ◆ 「……とりあえず、分った事が三つある」 「聞きましょう」 トドメは何時でも刺せる。 それ故に焔星はアイゼンの舌戦に付き合うことにした。 「……まずはお前の弱点……」 「……」 アイゼンが指差すのは、焔星に撫でられている二機のぷち。 「……そのぷち達は、性能の代償に稼働時間が弱点。……どちらも数分程度で活動限界になるでしょう?」 「そうでしょうか。……既にこの子達が参戦して10分は経っていると思いますが?」 焔星の指摘にアイゼンは頷く。 「……そう、だから補給が必要」 「そんな暇が、何時あったと?」 「……今」 言い切ったアイゼンの指先に、ぷちを撫でる焔星の手。 「……そうやって触る事で、お前はぷちに補給をしている……」 『どんな神姫だって、クレイドルとの接触で給電を受けるんだ。……その逆に、接触で電力を送るのは造作も無い事』 「なぜ、……そう思ったのですか?」 「……時々戦闘を中断してぷちを撫でてたし、さっきは後ろの砲撃型をわざわざ前線に出してまでボードアタックをしてきた。……そんなに効果的でも無い攻撃だったのに……」 『……つまり、あのボードアタックには攻撃以外の何か別の目的があったと言う事になる。……例えば、補給とか……』 「……ふむ」 『……そう考えればそのぷちの性能にも納得がいく。それだけの装備を運用するのにも拘らず、ジェネレーターを搭載せずにバッテリー駆動だけで稼動させていた。……だから、それだけの性能を詰め込めるわけだ』 「……なるほど、お見事です。……では、二つ目をお聞きしましょう」 「……お前の奥の手。……出し惜しみなんかしないで、さっさと“真鬼王”を出せば良い」 「……………………」 流石に絶句する焔星。 装備構成だけで奥の手まで暴かれるとは予測していなかった。 「見抜いたのは流石ですが……、今の貴女を倒すのに、わざわざ切り札を切る必要があると思いますか?」 「……それじゃあ、三つ目。……“真鬼王”を使っても、使わなくても、この勝負は私の勝ち、だ!!」 言って横跳びに距離を離すアイゼン。 同時にハンドガンの連射が焔星を襲うが、彼女はそれを難なくシールドで弾く。 「それが最後の武器ですか。……それこそ豆鉄砲と言うもの、私には通用しない!!」 反撃のプロトン砲は、アイゼンのハンドガンとは比べ物にもならない威力を持つ。 しかし、アイゼンもそれは承知。打ち合いを早々に切り上げ、回避に徹して距離を取る。 「逃す訳無いでしょう!?」 「……もちろん」 アイゼンは逃げ込むようにビル街へと移動する。 目的は焔星のセンサーに死角を作ること。 追われているアイゼン自身がそこに逃げ込むのは不可能かもしれないが、ノーマークのサポートメカがそこを通って接近する事ならば容易い。 「ちょこまかと逃げるなど、らしくない戦法ですね。……チーグルを失った時に貴女の敗北は決まったのです。大人しく負けを認めなさい!!」 「……そうでもない。……間に合った」 「?」 訝しむ焔星には、ビルの影から低空飛行でアイゼンに近付くそれが見えていない。 「……フランカー!!」 「ちっ!!」 猶予がないと気付いた焔星がアイゼンに向けプロトン砲を叩き込む。 閃光と轟音。 そして衝撃波。 この距離ならば、外した所で至近着弾は免れない。 今のアイゼンの機動性では、爆発範囲からは逃げ切れまい。 (……これで終わりですか。少々呆気無いような気もしますが……) そして、吹き込む疾風が爆風吹き散らす。 「―――!? 何!?」 爆煙が晴れ、プロトン砲の着弾痕が露になるが、その周囲の何処にも倒れたアイゼンの姿は無い。 「撃墜カウントも入っていない!?」 それはつまり、未だアイゼンが健在である証左。 「しかし、何処へ消えた!? 一番近いビルでも走って逃げ込むには時間が足りない筈なのに!?」 「……上」 「―――!?」 真上からした声に顔を向ける焔星。 そこに、吹き込んできた疾風の源。鳥に乗って空を舞うアイゼンが居た。 ◆ 「……」 声も無くたたずむセタ。 マヤアと組んでの2対1の戦闘ではあるが、セタに出来るのはただ見守る事だけだった。 セタには手が出せぬほどに、マヤアも黒衣の幽霊も速い。 打ち込んだ吠莱を魔弾で操り、必中を狙った直後。砲弾そのものを両断し、幽霊はマヤアとの高速打撃戦に突入した。 双方両手に刃を持ち、間断の間も無く打ち付け合う。 隙を狙って蹴りの応酬が行われ、突きと払いは一動作になって相手を追い詰める。 しかし、両者の力はほぼ互角。 目まぐるしく位置を変え、左右と上下を入れ替えながら剣戟の音を響かせた。 「ネコネコネコネコネコッ!!」 マヤアの振るったブレードを幽霊が刃で受け流し、その動作がそのままマヤアの首を狙う一撃に切り替わる。 マヤアが蹴りで肘を狙い、その一撃の阻止を試みれば、幽霊はもう一方の刃でマヤアの脚そのものを狙う。 レールガンがその刃と交錯する軌道に打ち出され、幽霊はマヤアを蹴って距離を僅かに離して仕切りなおし。 このような刹那の攻防が数秒程度の間に10度以上繰り返され、その位置は数十メートルの単位で瞬時に移動する。 飛び交う銃弾すらももどかしい高速戦闘において、最早セタの出る幕は何処にも無い。 「……こ、これ程とは……」 「うん、すごいよね幽霊……」 「……むしろ、マヤアさんに驚きなのですよ。……強いとは思っていましたが、これ程までとは……」 デルタのセリフ、5秒強の間に響いた剣戟は22回。 これ程の反応速度と、それを実行に移せるスピード。 手の届く範囲に入ってしまえばセタ如きでは話にもなるまい。 かと言って、精密砲撃だろうが誘導砲撃だろうが、まともに当たるとも思えない。 神姫としての実力が、ケタどころか次元単位で違っている。 そして、そんなマヤアと互角に渡り合う以上、幽霊の実力もそういうレベル、と言う事になる。 「……なるほど、誰も勝てない訳ですよ……」 デルタの声を、剣戟が上塗りしてゆく。 もはや、する事も見出せず、セタとデルタはただその戦いを見守るだけだった。 ◆ 「プレステイル!? ……そういう事か」 武装を失った筈のアイゼンの自信。 それが、もう一つ装備を持ち込んでいた事に由来するものだと、ようやく焔星も気付く。 「しかし、大勢は既に決しています!! ここで追加戦力など無意味にも程がある!!」 「……そうでもない。……プロトン砲の特性は、対空射撃に不向き」 「……っ」 確かに、着弾して爆発するエネルギー弾を撃ち出す以上、敵以外に接触物の無い対空射撃において、プロトン砲は直撃以外完全に無駄弾になる。 (光阴の速度では追いつけないし、闇阳の対空射撃だけでは捉えきれない……。) 先ほどまでのパワー重視の戦闘スタイルとは一転し、高い回避力での撹乱に入ったアイゼンは、ぷちの性能だけでは追い詰められない。 元よりぷちとの連携は重量級神姫との戦いに特化した戦法で、このような高機動型の神姫には対応していなかった。 (……その為の“真鬼王”ですが……、さて、それまで読んで居るのかどうか……) 祐一の読みどおり、焔星は確かに真鬼王モードを温存している。 だがしかし、それはアイゼンに対して使う必要が無いのではなく、用途の問題として不適切と判断したからに他ならない。 通常の真鬼王のイメージとは真逆に、焔星の真鬼王モードは高速戦闘に対応する為の形態だったからだ。 (……つまり、今が使い時ですが……) 何となく、祐一の掌で踊っているような錯覚に捕らわれ、焔星は苦笑する。 (……普通ならまず無い、一人の相手との戦いで全ての要素を使用する状況……。……私は彼にハメられて居るのかもしれませんね……) だがそれもよし。 元より主の望んだ戦いだ。 焔星は己が元にぷち達を呼び寄せる。 「……お望みどおり、見せてあげましょう。……真鬼王を!!」 焔星の宣言と共にぷち達がフォーメーションに付く。 分離、変形を経て焔星に組み付き、巨躯を構成するまで僅かに数瞬。 「三体合并……!! 真鬼王・零(ツェンカイワン・レン)!!」 二体のぷちとの合体により、焔星は真鬼王をその身に纏った。 特筆すべきはやや小柄である事のみで、その概要は通常の真鬼王と変わることは無い。 プロトン砲とデスサイズがシェルエットを崩してはいるが、むしろ違いはその内面にこそある。 「―――加速!!」 光阴を浮遊させるための揚力場と、闇阳を飛行させるための推進力。 その双方が焔星の背負ったジェネレーターと直結され、制限を解き放たれる。 焔星の真鬼王=零は、その名の通り一秒にも満たない時間で彼我の距離を“0”にした。 「斩(ツァン)!!」 「…ん」 アイゼンがハンドガンのトリガーを引いたのは、その一瞬だけ前の事である。 結果として焔星は、自ら虚空に放たれた銃弾に当たりに行く形になるが、アイゼンの行動は、焔星の零の性能を正確に予測したからこそ。 逆に言えば、零が動き出してからではアイゼンに反応する術は無い。 『行くぞ、アイゼン。アサルトフォームだ』 「……ん」 短く頷き、改造型のプレステイル=フランカー/フライトフォームを上昇させる。 限界高度に達しこちらも分離、変形を経てアイゼン本体に合体。 零と比しても小柄な人型を形成する。 ベースとなったエウクランテに酷似したシェルエットだが、翼は細く長く、腰の後ろには双発式の斥力場エンジンが唸りを上げ、その身体を宙に留めていた。 「……全システム高速戦闘モードに移行」 ≪Assault form wake up≫ フランカーに組み込まれたサポートAIのインフォメーションが響き、戦闘形態であるアサルトフォームへの移行完了を告げた。 変形に伴い、フライトフォームで中枢を成していたエンジンユニットは背部に回され、アイゼンはそこから小さな基部を一つ分離させ右手に収めると、主である祐一へと問う。 「……マスター、指示を」 『不慣れな高速戦だがやれるね?』 「……ん」 『それじゃあ全力で行くぞ。……斬り捨てろ、アイゼン!!』 「……んっ!! ……アクセラレータ、起動!!」 ≪system“Accelerator”starting up≫ 祐一の指示を受けて、弾かれるように突進するアイゼン。 その速さは、疾風のそれ。 もはや、ストラーフとは思えない速度を以って焔星に迫る。 「……ッ!?」 瞬時に眼前まで近付かれ、勢いに任せた蹴りを浴びる焔星。 間髪居れずに回し蹴りから後ろ回し蹴りへと繋ぎ、零の体躯が大きく吹き飛ぶ。 「速い!?」 驚愕する間もあればこそ、その一瞬で離れた間合いはアイゼンの突進で即座に詰められる。 「―――なッ!!?」 そして青い光の奔流が閃き、手にした大鎌が寸断された。 「ば、……馬鹿な……!?」 ≪“RayBlade”Disposition≫ アイゼンが手にしたモノは光の剣。 他ならぬ、カトレアと同じ超高出力型のレイブレードであった。 ◆ 「……なんと、愚策」 彼女は、それを見て詰まらなそうに呟いた。 ◆ 投刃と衝撃波、狙撃銃とリニアガンの中距離応酬から一転して、両者肉薄しての高速打撃戦。 目まぐるしく位置を変えながらの高速戦闘も終わりが近付いてきたようだ。 マヤアはとっくにライフルを捨ててしまっているし、黒衣の幽霊も新たに投刃を繰り出す気配は無い。 時折、開いた間合いを惜しむように翼からの衝撃波や背部ユニットのリニアガンを打ち合うが、即座に距離は詰まり打撃の応酬に戻る。 互いに消耗が進み、飛び道具が心許なくなってきたのだろう。 「……だからと言って、何が出来る訳でもないのですよ……」 「わふわふ」 戦場の端っこでお茶を啜るデルタと、尻尾のブラッシング(VR空間なので実は無意味)にいそしむセタ坊。 一応今でもマヤアをシステム的にバックアップしているデルタはともかく、セタに到っては本気で何しに来たのやらと言う有様だが、相手がアレでは仕方もあるまい。 「にゃーーーっ!!」 マヤア渾身の一撃が、幽霊の刀一つを途中からへし折った。 「……無為」 折れた刃を投げ捨て、幽霊は残る一刀でマヤアのフォビドゥンブレードを叩き落す。 「ニャ!?」 武装の喪失に伴う戦術パターン切り替えにより生じた微かな隙。 本来であればどんな神姫やオーナーでも無視する程極微の間断ではあるが、事ここに到ってマヤアと幽霊にとっては隙と呼ぶべく数少ない瞬間であった。 「……絶!!」 真横に振るわれた刀。 それが狙いを違わずマヤアの胴を薙ぎ……。 すり抜けた。 「―――!?」 バラバラになって落ちてゆくツガルタイプのアーマー。 と、それらが弾かれたように集結し、ひとつの形状をなしてゆく。 「……レインディア、バスター……」 幽霊の呟きも終わらぬうちに、自由落下から明確に意図された加速で機首を起こして上昇を始める。 「……」 そして、あの一瞬の攻防で上空に逃れていたマヤアを乗せ、突撃を開始した……。 ◆ 近接用のメインウェポンであるデスサイズを失い、焔星は大きく後退して距離を取る。 「……っ、これほどまでに高出力のレーザーブレードだとは……」 恐らくはプレステイルの中枢を成すボレアスユニットから射撃機能をオミットし、ジェネレーターとしての機能に特化させて得た高出力を流用しているのだろうが、分かった所で防ぎ様など無い。 「―――ならば、寄せねば良いだけです!!」 脚部に固定されたハンドガンと肩部のキャノン砲が展開し、アイゼンとの空間に濃密な弾幕を形成する。 「装甲を捨て機動力を取ったのでしょうが、それならば逆に小口径弾一つが致命傷になります!!」 先ほど使用したときにはチーグルの装甲に阻まれ、碌なダメージにはならなかったが、この飛行可能なユニットに同様の防御力があるとは考えられない。 故に、この弾幕を回避してから、レーザーブレードの一撃を狙う為に突進をしてくる筈。 (そこをプロトン砲で打ち落とす) そう考える焔星の元へ、アイゼンはしかし、一直線に突っ込んできた。 「……まさか、この弾幕に耐えられるつもりですか!?」 『元々アイゼンに回避主体の戦法が不向きなのは重々承知』 今までは基本的に、重装甲による防御主体のディフェンスを重視してきたのだ。 それを今更回避力ですべて置き換えられるとは、祐一もアイゼンも思っていない。 故に。 「……バリアの一つ位は用意してある!!」 ≪Hadronic field≫ アイゼンの周囲を覆う、薄い光の球体。 微かに青く発光するそれに阻まれ、弾幕が弾かれてゆく。 「―――ならば、プロトン砲でっ!!」 『怯むな、アイゼン!! シールド集中!!』 「…んっ!!」 砲口から溢れ出した白い光の奔流は、しかし、アイゼンの掌の先に広がるディスク状のバリアに阻まれ四方八方へと逸れてゆく。 「貫けぇーーーっ!!」 「……負けないっ!!」 プロトン砲と斥力場シールドの均衡は数秒続き、途絶えた。 「そんな……。チャージ容量の限界? プロトン砲の全力照射に耐え切るなんて……」 「……言った筈。私はカトレアを倒しに来た。……お前如きに負けてなど居られない」 プロトン砲の閃光が途絶え、幾分濃さを増したシールド越しにアイゼンの姿が見える。 「……これで、終わりだ」 「―――!?」 背部から切り離したエンジンユニットに追加砲身を直結させた『砲撃モード』。 「―――消し飛べ……。『フェルミオン・ブレイカー』!!」 ≪Fermion Breaker≫ 砲口からプロトン砲以上の白光があふれ出すのを、焔星は呆然と眺めていた。 「―――ぁ」 そして。 閃光と轟音に全てを押し流され、焔星の意識は途絶えた。 ◆ ガチャン。と音を立てて、破損した砲身が切り離される。 『勝った、か』 アイゼンのステータスに追加された撃墜数1。 焔星を下した何よりの証拠だが、その実、二人が対カトレア用に取っておいた切り札をここで使用してしまったことは大きい。 限定的とは言えブーゲンビリアのレーザーに近い威力を持つ『フェルミオン・ブレイカー』も使用回数2発の内1発を使ってしまったし。 なによりこちらの切り札が『レイブレード』である事は、最早カトレアには隠しておけないだろう。 元より対四姉妹戦を前提に開発された【フランカー】は、四姉妹の特化能力に対抗できる事を目的としている。 カトレアの『レイブレード』と『バリア』。 アルストロメリアの『機動性』。 ストレリチアの『移動速度』。 そしてブーゲンビリアの『高出力レーザー』。 これらの能力全てに対抗する為に、【フランカー】には変形能力と強力なエンジンから発生する出力を利用したレーザーブレード、バリア、そして陽電子砲が搭載されている。 しかし、土方京子と祐一の技術力の差は明白で、汎用性を落して尚、純粋な性能で及んでいないのが現状だった。 故に、勝機は不意打ちによる短期決戦しか無い訳だが、焔星の登場によりその予定は水泡と帰し……。 『で。今までのバトルロイヤルに居なかった以上……』 祐一が見すえるアイゼンの視点の中央。 ≪Warning!! NeXT enemy Engaging≫ AIの警告が促すその先に……。 『……ここで出てくる訳だな、カトレア……』 ジュビジーの装備で武装したジルダリア。 土方京子の四姉妹が長女。 カトレアが、そこに居た。 ◆ 「……カトレア」 「お久しぶり、と言った方が良いでしょうか?」 「……」 残存神姫は残り5。 未だ脱出した神姫が居ない以上、この五人の中で最初に敗れたものが予選で敗退する事になる。 「貴女は危険だと判断を下し、あのマオチャオ、アーンヴァルと共に最優先の警戒対象としていたのですが―――」 言葉を切り、アイゼンを見下ろすカトレア。 「―――どうやら見込み違いだったようですね……」 「……っ!!」 カトレアの右手から伸びる赤い光剣。 「いくら私達のマネをしても、その程度の技術力で神姫の開発に携わったマスターを超えることなど不可能―――」 最早アイゼンを脅威とは見ないしていないのか、無造作に歩を進めてくる。 「―――ましてや。……その様に無理やり詰め込まれた装備ではバランスなど望むべくも無い」 互いの間合いギリギリでカトレアは足を止めた。 「それで私に勝つつもりだったとは、笑い話にもなりません」 対峙するアイゼンは、未だ光剣を発振させては居ない。 出力で劣るだけでなく、稼働時間に天地の隔たりがあるからだ。 今から展開しておけるほど、アイゼンのレーザーブレードには稼働時間の余裕が無い。 「……実際、ストラーフの装備の方がまだ勝ち目があったと思いますよ? ……そのような私に対して勝る部分が一つも無い装備で、本気で私に挑むつもりなのですか……?」 光剣を構え、体勢を落すカトレア。 同様に、アイゼンもまた迎撃の姿勢を取る。 「……正直、失望しました。……貴女とはここで終わりにしましょう」 真紅の閃光。 高速で振り下ろされた光剣を辛うじて受け止めるアイゼン。 レイブレード同士が干渉し合い、閃光と耳障りなノイズ音を撒き散らす。 「……何も、対策が無いわけじゃない!!」 ≪“RayBlade”Re-disposition≫ 膠着状態を打破するべく、アイゼンがもう一本レイブレードを取り出し起動。 二刀を交差させカトレアを押し返す。 「ふんっ、……それが対策と言うのなら、下らないにも程があります」 カトレアは何もしない。 ただ、そのまま力ずくでレイブレードを押し付けてくるだけだ。 「……っ!?」 しかし、ただそれだけの事でアイゼンのレイブレードは二本とも干渉波で機能不全を起こして途絶えがちになる。 『……大元の出力が違いすぎる……!! やはりこれだけでは無理か……』 「機動性や速度でもアルストロメリアやストレリチアに劣るのでしょう? 先ほどの火力もブーゲンビリアとは比べるべくも無い!!」 「…っ!!」 「ましてや、バリアやレイブレードの性能で私に挑むとは、愚かにも程がある!!」 膠着状態を維持するのに集中しているアイゼンの無防備な腹部をカトレアが大きく蹴り上げた。 「…かはっ!?」 蹴り飛ばされ、地面に叩きつけられたアイゼンに、悠然とカトレアが詰め寄ってゆく。 「……貴女なら、或いはマスターを止められるかとも思ったけれど……」 「くっ…、けふっ…!」 「……いえ。……元より望む事では、無いのでしたね……」 呟き、カトレアは光剣の切っ先をアイゼンに突きつける。 「……終わりです」 そして。 ◆ VR空間での決着が付いたのは、第四バトルロイヤルが終わるのとほぼ同時だった。 データ分解を起こし、消え往く幽霊の残滓。 仮面が消え、本体が消える一瞬のラグの中に、マヤアは幽霊の瞳を見た。 「……?」 そして、そのまま物言わず消滅する幽霊。 「……なあ、浅葱。あいつ死んだのか?」 『どうなの、雅?』 『どうなの、村上君?』 浅葱、雅を通じて村上まで上訴された質問に彼は静かに答える。 『いえ、コピーされた分身を倒しただけでしょう。神姫本体を如何にかしなければこの事件は終わりません』 『……そっか、ハッキングしてきたのが土方真紀の神姫だって事は、やっぱ黒幕は土方真紀で確定か……』 確証を経て、目的ははっきりとした。 「……あとは。土方京子からウイルスのサーバー本体の位置を聞き出すだけですね……」 『ええ、予選を突破していれば控え室で会えるわ』 「素直に教えてくれるでしょうか?」 『教えてくれないのなら、力ずくでも聞き出すまでよ』 冷徹に言い放ち、雅は視線を移す。 「……あとは、アイゼンさんが勝てるかどうかですか?」 『ま、それが一番の問題かな……』 雅の表情は硬く、中央制御室にあるモニターの一つ。 第四バトルロイヤルを映し出しているモニターを見据えていた。 ◆ 第四バトルロイヤル終了。 残機数4。 これで、本戦に出場する16名の武装神姫が出揃った事になる。 「……マスター、ゴメン……」 「まぁ、いいさ。次は勝とう」 ポッドから出てきたアイゼンを労う祐一。 カトレアとの戦闘は完全にアイゼンの敗北だった。 「祐一!!」 「祐一」 美空とリーナが駆け寄ってくる。 「ああ、二人とも……」 「祐一、その……、―――!?」 「どうしたの、二人とも」 美空とリーナのみならず、フェータまでもが絶句し祐一を見ていた。 いや、正確にはその背後に立つ女、を。 「久しいな、少年」 「京子さん?」 振り返る祐一の背後に、コートを着込んだ眼帯の女。土方京子が立っていた。 「……惨敗だったじゃないか。……私を止めるのだろう? このままでは、叶わぬぞ……」 「…………………はい」 祐一は静かに頷く。 「……でも、次は必ず勝ちます。……その為の【フランカー】ですから」 「……そうか、ならば何も言わん。……やって見せろ」 無言で頷き、祐一は意を返す。 「京子さん!!」 「なんだ?」 「本戦で、もしもアイゼンが勝ったら……」 「……勝ったら?」 「その時は、俺の言う事を一つだけ聞いて下さい……」 「……ふむ……」 興味がありそうでなさそうな、そんな微妙な表情を浮かべ、京子は微笑んだ。 「……よかろう。では私が勝ったらお前は私の言う事を聞いてもらう。……いいな?」 「はい」 その返事を聞き届け、京子は微笑を浮かべて歩み去る。 レライナを除く五人は、黙ってそれを見送った。 「で、どうするのよ?」 「……次は勝つさ……」 不安そうに尋ねる美空に、祐一は静かに答えた。 「……次はもう、負けられない……」 先のバトルロイヤル。 アイゼンに止めが刺されるより早く、他所で決着が付き神姫の残存数が4になった。 その時点で戦闘が終了した為、アイゼンも本戦に進出できたものの、結果としてみればカトレアには歯が立たなかった事になる。 「……もう、負けられないんだ……」 「ん」 祐一の肩の上で、アイゼンが応えて頷いた。 第22話:THE SECRET WISHにつづく 鋼の心 ~Eisen Herz~へ戻る ど、ドラクエ5クリア……。 20時間位? 普通のRPGに掛かる時間ってこのぐらいだよね? と思う今日この頃です。 Aボタンがへこみっぱなしでなければもっとストレス無く遊べたでしょうに……。 ああ、ヨメはフローラで。 性能重視の人ですから、私。 閑話休題。 焔星の元ネタはファイブスターのマシンメサイア。 …と見せかけて、実はAC4fAで人から貰ったネクストの設計図(そっちの元ネタが多分FSS)。 回避最優先の軽量級にコジマキャノンとドラスレという無謀な装備がお気に入りだったり……。 まぁ、ソブレロに雷電グレ積んだグレ単ネクスト作った私が、無謀とか言えたもんじゃありませんが……。 残るはP4。 今回ペルソナに鈴鹿御前と信長が出るらしい……。 やべぇ、超楽しみ……。 ALCでした~。 -
https://w.atwiki.jp/2chbattlerondo/pages/167.html
初回ログイン 無料パーツプレゼントKONAMI IDを作成し、武装神姫(バトルロンド・ジオラマスタジオ問わず)に最初にログインした時点で以下のアイテムがプレゼントされます。 忍者型フブキ 一体 忍装備 一式 武器「忍刃鎌“散梅”」 腰装備「忍草摺“紫蘭”」 胸装備「忍装束“紫苑”」 急速バッテリー充電器 10個(使うとなくなってしまう消費アイテム) 武装パーツ試用チケット 3枚(使うとなくなってしまう消費アイテム) その他補足他の忍装備は アチーブメント を達成すると貰えます大手裏剣“白詰草”はアクセスコードを入力すると貰えますhttp //www.shinki-net.konami.jp/info/tgs2006rpt.html 公式ページhttp //www.shinki-net.konami.jp/battlerondo/start/campaign.html
https://w.atwiki.jp/battleconductor/pages/36.html
デザイナー 声優 神姫解説 性格セリフ一覧 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報親密度Lv1親密度Lv100 ブーストステータス 覚えるパッシブスキル一覧早熟型のパターンで覚えるパッシブスキル 通常型のパターンで覚えるパッシブスキル 晩成型のパターンで覚えるパッシブスキル 神姫固有武器補正得意武器 不得意武器 神姫考察攻撃力 防御力 機動力 総評・運用 神姫攻略法 お迎え方 アップデート履歴 コメント デザイナー 島田フミカネ(ストライクウィッチーズ、メカ娘等) 声優 茅原実里(涼宮ハルヒの憂鬱:長門有希、みなみけ:南千秋、らき☆すた:岩崎みなみ、他) 神姫解説 他社最新モデルに対抗する為、3rd規格の素体をベースにアップデートされたストラーフ系最新モデル。新モデルではクロスレンジにおける機動力、回避能力の向上に重点が置かれた設計へと変更。AI設定はやや気難しい性格だが、信頼関係を築けばオーナーの心強いパートナーとなっている。 名称:悪魔型ストラーフMk.2(あくまがたすとらーふまーくつー) メーカー 素体:FRONT LINE 武装:FRONT LINE 型番:FL017 (FLO17とする記述も) フィギュア発売:2010年7月15日(バトルマスターズ同梱)/2011年9月22日(フルアームズパッケージ)(バトルマスターズMk.2同梱) (初期モデルのストラーフは2006年9月7日発売) 主な武装:コート、コーシカ(短剣と小剣。バトコンではどちらも片手斬撃武器) ディーカヤコーシカ(コートとコーシカを合体させた双剣。手裏剣かブーメランのように投げて使うとされたか。バトコンでは投擲武器) クルイーク(フルアームズパッケージで新しく追加された小型パイルバンカー。バトマスではなぜかダブルナイフに分類されていて、その流れかバトコンでも双斬撃武器として実装されている) グリーヴァ(リアユニットに背負っている太刀。バトコンではリアパーツ) ジーラヴルズイフ(ラヴィーナで新しく追加された巨大な拳銃。そちらの解説によると、クロスレンジで敵をぶち抜くための追加武装とのこと。バトコンでは防具用武器) ローク(両刃の剣先とガトリング砲門を備えたシールド。バトマスではパイルバンカーに分類されていて、その流れかバトコンでも防具用武器として実装。シールドとしてカテゴリ別けされることはなく、ガトリング部分も未だに未実装の不遇な武装) ウラガーン(パーツの組み替えで生成する、前進翼の攻撃機。名前はロシア語で「暴風」の意味。フィギュアではガトリング砲門を3つ備えているが、シリーズ通して再現されていない。バトコンではアクティブスキル使用時に拝見できる) 通称「黒子」「黒子Mk.2」「くろにー」。 FRONT LINE社のベストセラー機種ストラーフ系列の最新モデル。 重装甲と打撃力で猛威をふるった初期モデルだが、エスカレートする合体武装や超高機動型など神姫バトル初期には存在しなかった他社最新モデルに対抗する必要があった。 これまでは相手の攻撃を受け止めつつ反撃するスタイルであったが、新モデルではクロスレンジにおける機動力、回避能力(体術)の向上に重点が置かれた。 また、新装備のガトリングシールド「ローク」をコアとして各アーマーパーツを組みつけることで攻撃機「ウラガーン」を形成。本機の苦手とするミドル~ロングレンジでの攻撃をサポートする役割を担っている。 本機は随時、仕様のアップデートを行っており、2041年においてはロールアウト時と比較してより多彩な武装が追加されている。 新たな装備としてバリエーション機であるラヴィーナ(FL017/L)で採用されたハンドキャノン「ジーラヴルズイフ」、マフラー状の複合センサーを導入。更に外付けブースターやパイルバンカー「クルイーク」などのパーツを追加したことで総合的な格闘能力を向上させている。 長大な刀「グリーヴァ」によるリーチと、敵急所を正確に狙う身体コントロール能力を持つが、単純なパワー比べでは初期モデルにも劣っており、オーナーの戦術が問われる玄人好みの神姫である。 実神姫(ノーマル版/フルアームズパッケージ版)の入手関係にまつわる問題はアーンヴァルMk.2の項を、リペイント版についてはラヴィーナの項を参照。 メインビジュアルにいるだけあって、公式媒体に於いても各ゲーム版で皆勤賞。発売時期の問題でコミック媒体各作品には登場しない(初代ストラーフは登場)ものの、アニメでは主役級レギュラー「ヒナ」としてお馴染みの神姫である。 そして、当然のように2024年のパチスロ版にも相方共々メインビジュアルから登板しているのだが、こちらのキャラグラフィックモデルが本作のものよりも幼めなイメージである事から違和感を感じてしまったユーザーも少なからずいる模様。 余談になるが、このフルアームズ版ラヴィーナが、コナミ内製のフィギュアが一般販売された武装神姫の掉尾を飾っている(2012年3月15日)が、新作ではなくリデコリカラー品であるため、その一ヶ月前(同年2月23日)に発売されたフブキ/ミズキ弐型を「最後の武装神姫」として挙げる声もある。 ただし、武装なしの素体だけであれば、2016年にアニメ版Blu-ray BOXの購入者特典として復刻生産されたもの(ヒナ名義)が少数存在するが、細部が当時品と若干異なっており、これはこれで物議を醸した。 性格 今までの作品では非常にストイックな性格で、クールで辛口な物言いだったが、バトコンではクールな面を出しつつも周りに距離を取られていることを気にしたり、知った情報を鵜呑みにしてしまう、思ったことは隠さず喋ってしまう等紹介文の気難しい性格というより、素直すぎて何処か放ってはいけない性格となっている。 ただ、バトル時に厚い一面を見せてくれるのは相変わらず。 なお、アーンヴァルMk.2が旧モデルとほとんど人格パターンが変わらなかった事に比べ、こちらは所謂「ボクっ子」であった旧モデルから大幅に改変されており、従来からストラーフを愛用していたオーナー間に少なからぬ論議を巻き起こした。 おそらくアニメ版のヒナから性格をある程度フィードバックしたものかと思われる。 セリフ一覧 + マスターと話すのはとても楽しい。 ログイン時 通常(朝) おはよう。また会えたな。今日もよろしく頼む。 おはよう。今日は随分と早いんだな。 通常(昼) こんにちは。ランチは終わったか?バトル前の腹ごしらえは大事だからな。 こんにちは。よし、私の実力を見せてやろう。 通常(夕) こんにちは。さあ、トレーニングを積んで差を付けよう。 こんにちは。もうすぐ日が沈みそうだが、まだまだ戦う時間はありそうだぞ。 通常(夜) おかえり。さあ、何がしたい?最大限に応えよう。 こんばんは。夜も付き合ってもらえて嬉しいぞ。 通常(深夜) こんばんは。こんなに遅くまで一緒に居れて嬉しいよ。 こんばんは。夜も遅いが、トレーニングならいつでも付き合うぞ。 年始 マスター。今日はお餅を食べる日なんだろう?のどに詰まらせないように気をつけて食べるんだぞ。 (ボイス) あけましておめでとう。バトルに臨むにはいい機会だ。今年もよろしく頼む。 バレンタイン 何も言わずに、このチョコを受け取ってほしい。何も言うなと言ったが、嬉しいそうな顔くらいしてもいいんだぞ… ホワイトデー ホワイトデーか…。お返しは最高級の武装で良いぞ。 エイプリルフール ゴールデンウィーク 夏季 暑くなってきたな。トレーニング後に負荷が掛からないよう、こまめに水分を取るといいぞ。 水着キャンペ ただ今期間限定イベント、開催中だ。特別に水着を着なきゃいけないようだ。まあ、期待はほどほどにな? 七夕 七夕か。いいだろう、私が(プレイヤー名)の願い事をかなえてやろう! ハロウィン ハロウィンがどんなイベントか知らないが、まぁ、楽しそうだからきっと目出度いんだろうな。 冬季 寒くなってきたな。身体を冷やさないよう、早速バトルであったまるとしようか。 クリスマス (プレイヤー名)。悪魔型のあたしのところにもサンタクロースは来てくれるだろうか? (ボイス) メリークリスマス。悪魔型のあたしが言うのもなんだが…きょ、今日は、ずっと一緒に過ごせると、嬉しいな。 神姫の発売日 オーナーの誕生日 誕生日おめでとう。一緒に過ごせて嬉しいよ。素敵な1日になりますように。 神姫ハウス 命名時 呼び方変更 (プレイヤー名)、呼び方を変えてみるのはどうだろうか?戦いにおいてお互いの呼び方は大切だからな。 (→決定後) (プレイヤー名)だな。いいだろう。これからはそう呼ぼう。 レベルアップ後 MVP獲得 3連勝後 親密度Lv5後 (プレイヤー名)。あたしは悪魔型なんだが、そもそも悪魔型って名前のイメージがあまり良くないと思わないか? 親密度Lv10後 どうもここのところみんなに怖がられている気がしてな…。きっとこれも悪魔というイメージがよくないんじゃないかと思うんだ。 親密度Lv20後 (プレイヤー名)は別にそう思わないのか?そうか…。それはうれしいんだが、やはり世間のイメージはそうじゃない気がするんだ。 親密度Lv30後 世の中には悪という要素も必要だというがそれを悪魔型だからってあたしが背負うというのもなんだか割に合わないしな…。 親密度Lv40後 というわけで、(プレイヤー名)!イメージチェンジをしてみたいんだが、何かいいアイデアはないか? 親密度Lv50後 イメージチェンジといっても今のイメージからガラリと変えるのも難しいな…。手始めにまずは表情の変化からか なるほど…。 親密度Lv60後 やぁ、(プレイヤー名)!今日はとってもいい天気だな!こんな清々しい日は思いっきり身体を動かして楽しもうじゃないか!あっはっはー! 親密度Lv70後 何…?感情が一定でただの棒読みになっているだって…?そ、そんなバカな!やはりあたしにはイメージチェンジなんて無理なのか!? 親密度Lv80後 (プレイヤー名)!何かいいアイデアはないだろうか? こんなあたしでもイメージを一新できる秘策でもあれば…?何、任せておけだと!本当か!? 親密度Lv90後 ふふふ、(プレイヤー名)の笑顔とってもかわいいね。あたし、あなたがいないとダメかも!…ってこれは悪魔というか小悪魔ではないのか?! 親密度Lv100後 今のままで魅力的だから周りの目なんか気にするなって? な、何を急に!?…そうか、悩む必要なんてなかったな。あたしは(プレイヤー名)だけの悪魔でいるよ。これからもずっとな。 頭タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) (プレイヤー名)。せ、せめて他の神姫が見てないところでしてくれないか…?さすがに恥ずかしいぞ。 胸タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 尻タッチ(親密度0~19) (親密度20~39) (親密度40~59) (親密度60~79) (親密度80~) 通常会話 (プレイヤー名)はあたしの戦い方を理解しているか?剣と名のつくものは得意だから是非戦略に生かしてほしい。 武装カスタム 戦闘力Up時 これがしっくり来るな。 武器LvUP時 戦闘力Down時 本当にこれで行くのか? 素体カスタム 親密度LvUp時 これは、まだまだ強くなれそうだ 限界突破時 出撃時 キャラ入れ替え いつでも行けるぞ。 バトル開始時 さっさと始めよう。戦場に言葉は要らない! 強い相手は大歓迎だ、君達がそうだと願うよ。 → どれほどの力を持つ相手か、楽しみだな。 バトル中 撃破時 やったぞ! 目標撃破! コンテナ入手時 被弾時 良いハンデじゃないか オーバーヒート時 スキル発動時 (能力強化系)体を強化する! (HP回復系)絶対勝つ! (デバフ系) (攻撃スキル)まあまあ強かったが、ここまでだ (チャーミークリアボイス)強い相手は大 歓 迎 だ!楽しませてくれよ? 被撃破時 まさか…!あたしがやられるなんて…。すまない…。 このあたしが…こんなところで! 次出撃時 まとめて掛かってくるがいい! サイドモニター 応援時 交代時 被撃破時 バトル終了時 1位 完勝だな、私たちの相手としては物足りなかった やった!全てが上手く行ったな、最高の気分だ → 遠慮はいらない、存分に褒めてくれて良いんだぞ 2位以下 → 3位 → 4位 → カラフルコンダクト 見せつける優れた戦い方 (2021/09/07~) マスターと二人で道を究めよう 見せつける優れた戦い方(実装当初の歌詞と同じ) 遠慮などいらない誉めていいぞ コンテナ獲得時 1位 プレゼントだ、受け取るが良い 2位以下 だが、報酬だけは死守した。次こそは必ず LvUP時 神姫親密度 もっと頼っても良いのか? マスターレベル 神姫ショップお迎え時 はじめまして。使いこなすのは大変かもしれないが、見合う実力は保証しよう。 はじめまして。やっと出会えて嬉しいぞ。よろしく頼む。 ゲームオーバー時 今日は楽しかった。また会えるのを楽しみに待ってるぞ。 その他 + リセット開始 神姫の想い、大切に。 + 選択した神姫をリセットします。よろしいですか? リセット開始 …あたしの聞き間違いか?今、リセットって言ったのか? はい を押す 本気なのか!ここまでの成果を全部捨てるって事だぞ!今ならまだ間に合う、考え直すんだ! はい を押す(二回目) そうか…もう少し一緒に戦いたかったが…次出会う私とはもっと上手くやるのだぞ…さよならだ… リセット完了 はじめまして。やっと出会えて嬉しいぞ。よろしく頼む。 リセット取消 はぁ~、脅かすんじゃない!良い趣味とは言えないぞ! 親密度○時イベントのオーナーの呼び方 マスター・主(あるじ)・アニキ 神姫ハウス内コミュニケーション ステータス情報 親密度Lv1 ATK DEF SPD LP BST N 80 65 90 300 100 R 85 70 100 350 120 SR 90 75 120 400 140 UR 95 80 140 450 160 親密度Lv100 ATK DEF SPD LP BST N - - - - - R - - - - - SR - - - - - UR - - - - - ブーストステータス 1/s ダッシュ速度 ダッシュ時ブースト消費量 ジャンプ時ブースト消費量 対空時ブースト消費量 防御時ブースト消費量 ブースト回復量 ジェム回収展開速度 N 940 105 50 20 90 170 3300 R 1030 125 70 40 110 3320 SR 1120 145 90 60 130 3340 UR 1210 165 110 80 150 3360 覚えるパッシブスキル一覧 モード オブ サタンストラーフ専用パッシブ一定の確率でクリティカル・クリティカル防御アップ 攻撃力アップ[小]攻撃力を上げる ジェムの出す量軽減[小]敵に攻撃された際に出すジェムの出す量を少なくする クリティカル発生アップ[小]クリティカルが出る確率が上がる 早熟型のパターンで覚えるパッシブスキル よろけ軽減[小]よろけの行動不能時間が短くなる 追加ダメージ軽減[小]敵からの追加ダメージを軽減する 全能力アップ[小]全ステータスがアップする *要限界突破(L110) 体力最大値アップ[小]体力の最大値を上げる *要限界突破(L120) 通常型のパターンで覚えるパッシブスキル スピードアップ[小]移動する際のスピードアップ 追加ダメージ軽減[小]敵からの追加ダメージを軽減する ブーストアップ[小]ブースト速度が増加する *要限界突破(L110) 溜め威力増加[中]溜め攻撃の威力が上がる *要限界突破(L120) 晩成型のパターンで覚えるパッシブスキル よろけ軽減[小]よろけの行動不能時間が短くなる ため時間減少[小]ため時間を減少する ため威力増加[小] *要限界突破(L110)ため攻撃の威力を上げる ブースト最大値アップ[中] *要限界突破(L120)ブーストゲージの最大値を上げる 神姫固有武器補正 ※レアリティが上がる毎に得意武器は-5%、苦手武器は+5%される。数字はレア度Nのもの。 得意武器 +35% 片手斬撃武器・双斬撃武器 +30% 両手斬撃武器・片手ライトガン 不得意武器 -30% 腰持ちヘビーガン・肩持ちヘビーガン 神姫考察 攻撃力 素のATK値の高さにパッシブスキルの攻撃力アップにクリティカル発生アップ、晩成型のため時間減少に専用スキルと、攻撃面は最高峰。 防御力 素のDFE値は高めだが、直接関わるパッシブスキルが追加ダメージ軽減によろけ軽減と恩恵が少ない。 機動力 ダッシュスピードはごく平凡なのに燃費が悪いので、総合的な足回りは最悪な方。ブースト面でカバーは必須。 総評・運用 アーンヴァルMk.2の対になる形として一緒に開発・発売されたのもあって、武装神姫というコンテンツの看板神姫を長らく勤めている。自身の武装はほぼ全て得意武器として設定されているという、幅広い対応力も同じ。 ジーラヴズルイフがある防具用武器(遠距離)は得意ではないのに注意。 また、クロスレンジでの戦闘力向上という文面通り、片手斬撃武器と双斬撃武器の補正が一回り高くなっているのも特徴。他の神姫と差をつけるならこの二つを軸に装備することになる。 ただ神姫素体と武装にダッシュ消費量増加ブースト回復量増加のマスクステータスが設定されている。端的に言うと回復が速いが消費も速い。よって切り返しの多い機動力戦は苦手。本来の設計は… 普通に扱うと痛い目に遭うので、この神姫専用の戦法を意識する必要がある。 余談だが、バトロンバトマス時代の性格は中々気難しい性格だった。それが今作になって性格が大幅に変更されたが、その際に扱いにくいところはマスクステータスに移ったようだ… 専用スキルの発動率は約20%。効果上昇量は不明。 正直あってもなくても変わらないのが残念なところ。ATK値とクリティカル発動率を同時に上げてくれるホワイトデー緑武装の存在が救いか。 足回りはどうやっても他神姫に数手遅れるので、それをカバーする長射程のフレグランスキラーを装備するか、IM&ヴィントシュトース+超硬タングステン鋼芯にロークやポーレンホーミングでどの距離でも危険な存在としてどっしり構えるのも手。 解放パターンは早熟型は典型的な防御型。通常型はオーバーヒートしやすいストラーフに嬉しいスピードアップ。晩成型は大ダメージチャンスを増やせるため時間減少。どれも一長一短なので、自身にあったタイプを見つけよう。 神姫攻略法 近寄らない。これが一番。 いつの間にかそばにいて超手痛いダメージを貰った、なんてことにならないように、常にレーダーでどこにいるか把握しよう。 特性上強引に詰めれる神姫ではないので、こちらが見ていれば手出しできなくなる。 冷静に片手ライトガンでタイマンで撃ちあう状況に持ち込まれると危険なので、とっとと離れて他の人にロックが向かわざるを得ない状況に持ち込もう。 お迎え方 稼動開始(2020/12/24~)から神姫ショップに登場 アップデート履歴 日時:2021.5.26 内容:専用パッシブスキルの説明文変更 日時:2023.8.7 内容:DEX、ジェム防御力、クリティカル、ダッシュスピード、ジャンプスピードを上方修正 コメント 装備一式を用いた場合の火力は相当なものになるけど機動力が最重要とされる現環境からするとちょっとミスマッチなのが悲しい。やりようはないわけではないけど -- 名無しさん (2021-01-21 00 46 38) 防具用武器が補正アリとの記述があった為、検証班スプレッドを確認、補正値はなかった為記述を訂正しました。 -- どどめ (2021-06-24 12 43 30) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2787.html
注意:この話はエロ・グロ・神姫破壊が含まれた打ちっ放し短編です。それでもいいよとおっしゃられる方はどうぞ。 連続神姫ラジオ 浸食機械 ~ファタモルガナ~ 1:末路 「そーれ」 少女の軽快なかけ声と共に空を切る音が響く。続いてグチュっと言う音と 「ひぎゃぁう」 奇妙な叫び声があがった。 「大命中、やっぱり私はすごいね、マスター」 先ほどかけ声をあげた少女が振り返り僕に語りかける。少女と言っても彼女はニンゲンでは無かった。全長16センチの機械仕掛け、武装神姫と呼ばれるロボットである。彼女はカブトムシをモチーフにしたランサメント型と呼ばれるタイプだ。しかし彼女は製品版とはカラーリングが異なっている。武装はシルクのような光沢のある白に塗られている。素体も白をを基調として所々に黒や金が使われていた。腰まであろうかという髪は青みがかった黒で、リボンでポニーテールにまとめられていた。 「ねえねえ、次はどれをいってみようか?やっぱり派手にどばーって出る方がいいかな」 彼女の足下には彼女ほどのサイズのナイフや釘が乱雑に散らばっていた。彼女は今までこれを「的」に投げて刺す遊びをしていたのだ。ちなみに勝率はなかなかのものである。 「マヤ、しばらく待ってくれ。彼女と話がしたいから」 マヤと呼ばれた神姫は少し不満げに頬をふくらませたが、分かったと答えて手に持っていた千枚通しを床に置いた。僕はそれを見届けると机の上の瓶を手に「的」に近づいていった。 「気分はどう?お友達のことが心配でここに来たみたいだけど技量は考えた方がいいよ」 「的」は、壁に手足を埋め込まれ、服を破かれ半裸になった少女はこちらにおびえた様な目を向けるばかりで答える様子はない。白い張りのある肌に何カ所もナイフや釘が突き刺さりだいぶ出血しているのだから答える気力も無いのかもしれない。もっとも、背中に生命維持のためのチューブを何本もつないでいるのだ。そこから送られる薬品のおかげで、まあ、とりあえずすぐ死ぬことはないだろう。 「まあ、どうでもいいけど。そうそう、ここに連れてこられたとき自分の神姫、確かヴィクターちゃんだっけ?のことすごく心配してたねよね、だから連れてきてあげたよ」 僕の差し出した瓶の中身を見て彼女は目を見開く。瓶の中には彼女の神姫であるオールベルンパール型のヴィクターが入れられていた。武装を外され、薔薇シフォンに身を包んだ彼女は四肢を金の鎖で絡め取られ、足を大きく広げた姿で瓶の中に閉じ込められていた。 「ヴィクター!」 痛いだろうに無理矢理身ををよじり少女は自分の神姫の名前を叫ぶ。しかしヴィクターは目を閉じたまま動かない。 「スリープモードのままだったね、ごめんごめん」 僕はヴィクターに送っていた彼女を眠らせる電波を止める。すぐに彼女は目を覚ました。そして目の前に広がる自分のマスターの惨状を見てその表情が怒りに染まる。振り向いて僕を見つけると飛びかかろうとでもしたのだろうか、身をよじるが鎖にからめとられて動くことができない。それでも構うことなく僕の方に向かってこようとする。鎖を切れない身をよじり、殺してやると叫びながら。 「殺すんなら一撃でやってくれなきゃお断りだよ。もっともその機会はないだろうけどね」 叫び続ける彼女の入った瓶を机の上に置くとマヤがその周囲にカメラを設置していく。 「い、一体何する気?ヴィクターにはひどいことしないで」 残念だけどそれは無理な話だ。負けがかさんだ友達を救いにやってきた彼女を美馬坂は許すなと言った。お友達はお友達でひどい目に遭っているが彼女もまたひどい目にあう、彼女の神姫と一緒というのがまあ、救いか。 僕はヴィクターの入った瓶にポケットから取り出したものを入れる。それは蛇だった。神姫サイズにミニチュア化されたアナコンダが三匹。もちろん本物ではないが面白い機能として体内のカプセルを対象に射出できると言う機能がある。そのカプセルの中にはこれまたミニチュアの蛇が何匹も入っている。つまりこれを使えば神姫の受胎、産卵ショーが楽しめるというわけである。 蛇に巻き付かれおぞましさに顔をゆがめるヴィクター、それを見て必死に彼女の名を叫ぶ少女だがその声は突然の殴打により止んだ。部屋に男達が入ってきた、仮面をつけ、手には様々な器具を持っている。彼女を殴ったのはその男達の一人だ。恐怖におびえ、声も出せない彼女を男達が取り囲んだ・・・ 蛇に身をまさぐられるおぞましさを感じるヴィクターだったが主のピンチと僕への怒りから気丈な表情を向けてくる。しかし蛇の一匹が彼女の秘所に潜り込もうとするとさすがに表情が変わった。肝心なところはスカートで隠れているが本能的に恐怖を感じるのだろう。膝をもぞもぞさせるが蛇を防ぐことなどできない。 「いや、やめて!」 そうヴィクターが叫んだとき、部屋の壁が明るく光る。壁にはモニターが埋め込まれており彼女の痴態が大画面に表示される。呆然としたヴィクターが嫌々と首を振り鎖につながれた手足を振り回すが無駄なあがきだった。存分に彼女の腹上を満喫した蛇はやがてカプセルの射出を始める。ドレスの腹の部分がふくらみまるで妊婦のようになった。その頃になるとこちらの様子に気がついたのか男達の何名かがこちらにやってきて彼女の痴態を眺める。その股間は一様に怒張していた。 「良かったわね、あなたのこと見てみんな興奮してくれてるわよ。いっぱいかけてもらうといいわ」 マヤの言葉に美馬坂の根回しが効いているのか男達は彼女の痴態をおかずに自慰を始める。ヴィクターが自分の運命に気がつき妊娠しながらもそれはやめてくれと懇願するがそんな彼女の顔に早速白濁がぶちまけられる。射精は続き、ドレスはカウパーでべったりと肌に張り付き彼女の美しい胸や腹のラインを浮きだたせている。そんな彼女に興奮したのか注がれた精液は彼女の膝ほどになった。 うつむいて小声で殺してやるとつぶやく彼女にマヤが声をかけた。 「ねえ、さっき産み付けられた卵だけどさ、あれって温度が一定になったら孵化するのよね」 その声に瓶の口を向いた彼女の顔にこれ以上ないと言った絶望的な表情が浮かぶ。 「元気な赤ちゃん、産んでね」 「いやぁぁぁぁ!蛇のママになんかなりたくない、マスター、ねぇ助けて、マスターぁ!」 ついに弱音を吐き出した彼女だが無情にもその腹がもぞもぞと動き始めた。産まれるのだ。 「お願いやめて出てこないで、助けてマスター、助けてよ、うぁぁぁああああん」 泣きじゃくり、もがく彼女のスカートからゾルッという音と共に蛇が落ちてくる。ヴィクターが悲鳴を上げ、それを境にどぼどぼと蛇の子が生まれていく。その光景が引き金になったのかさらに男達がオーガズムに達し、滝のような精液が注がれていく。生まれた子蛇は母乳を求めてか早速彼女の胸に群がっていく。出産のショックで、精液の雨も小蛇たちの乳辱もほうけた顔で受け止めるヴィクター。そして腹があいたことを悟った二匹目の蛇が彼女の腹の中へと潜り込んでいった。 戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1566.html
ハウリングソウル 第一話 『廃墟にて』 今はもう誰もいない。かつてはそれなりに賑わっていたであろう街中を、一つの影が疾走していた。影は両の手にカロッテTMP・・・通称サブマシンガンを握っている。 影が向かう先にはマスクをつけた特殊部隊の隊員のような人影・・・・一体のMMSが立っていた。 そのMMS・・・兎型MMSヴァッフェバニーは走り寄る影に向かって両手で構えたSTR6ミニガンを連射する。 その弾丸の嵐を影は僅かに身を捻るだけで回避した。 「(・・・・・・・・馬鹿な)」 兎型MMS、ヴァッフェバニーは心の中で舌打ちをした。 「(私が今まで戦ってきた犬型はここまでのスピードを持った者はいなかった。一体奴は何者なんだ!?)」 ヴァッフェバニーはミニガンを的確な狙いと速度で連射する。今は何よりも、奴を近づかせないことが先決だ。 事実、先程から疾走する影・・・・犬型MMSハウリンは彼女に近づくことが出来なかった。付かず離れずの距離を保ちながら右へ左へとこちらを翻弄している。 「(奴の狙いは・・・・・こちらの消耗か?)」 だとすると敵の犬型は彼女を見くびっている。彼女はSTR6ミニガンを二挺装備している。事実上、弾が切れる心配は無い。その前にタイムアップでドローとなるだろう。 彼女は突撃せず後方支援を目的としていたのだ。その分装備も重装備である。 しかしつい先程、仲間の反応が消えた。恐らく目の前の犬型にやられたのだろう。 彼女達はタッグで勝負を始めたはずだった。にも拘らずこちらの損害は大きくあちらは事実上無傷である。 「・・・・・面白いじゃないか」 マスクに隠された顔で不適に笑う。ならこいつを倒せば仲間の敵も討てると言うことだ。だが今へたに動けばこちらがやられる。二人揃ってやられるよりも、まだ引き分けのほうが戦略的にましだろう。だが向こうが何かミスをしたならば一気に畳み掛ける。取りえず今はこの拮抗状態を崩さずに制限時間まで持ち込めば ――――――――――― と、動き回っていた犬型が突如として停止した。 彼女はその隙を逃さずにミニガンの掃射を食らわせる。 銃口から盛大なマズルフラッシュが瞬き一瞬、その場にいた全員の視界を遮った。 そしてマズルフラッシュが納まった後・・・・ヴァッフェバニーが掃射を止めた後には、ボロボロのテンガロンハットだけが残されていた。 「・・・・・中身はどこに行った!?」 右、左と辺りを見渡してみるもあの犬型はどこにもいない。まるで消えてしまったかのように。 「(消えた?・・・・そんなはずは)」 困惑する彼女の頭上が突如として曇った。 太陽に雲がかかったのだろうか? 否、このゴーストタウンは仮初の町。空はコンピューター制御の虚像である。確かに雲も太陽も存在するがそれはただあるだけで動いたりなどはしないはずだ。 ならば一体・・・・・・・? 彼女は上を見た。 そして廃墟となったビルの屋上に、巨大なガトリングを四問備えた巨体を見つけた。 悪魔型MMSストラーフ。 確か犬型とタッグを組んでいた神姫である。悪魔型の背面ユニット、チーグルと呼ばれる機械式副腕に取り付けられたガトリングは全てがこちらを狙っていた。 彼女は完全に失念していた。こっちがタッグである以上、向こうもタッグであることを。 「ハウ・・・・・・時間稼ぎ、ありがと」 屋上の悪魔型がそう呟く。 「結構辛かったよノワール。あとでたっぷり休ませて貰うからね?」 いつの間にそこにいたのか、フィールドに配置されているゴミ箱のオブジェの傍にハウと呼ばれた犬型MMSが立っていた。 ・・・・ハウリンだからハウなのだろうか? 「くくっ・・・・はははははっ」 ヴァッフェバニーは思わず吹き出していた。 今の状況とそこに追い込まれた自分。そしてこの二人の手腕に。 「兎型の人、降参しますか?」 ハウと呼ばれた犬型がこちらにTMPを向けている。そして屋上からはノワールと呼ばれた悪魔型のガトリングが自分を狙っていた。 「ハウと言ったな? 私が一ついいことを教えてやる。・・・・諦めないことが勝利への近道だ!!」 ヴァッフェバニーはミニガンを放り出し腰のカロッテP12に手をかける。この距離なら彼女は外さない。手をかける速度がもう少し速ければ。 ハウとノワールの銃は彼女はミニガンを放り出した瞬間に火を吹いていた。 TMPはP12を弾き飛ばし、ガトリングはヴァッフェバニーの体に命中していた。 ヴァッフェバニーは声も無く倒れこむ。それと同時に試合終了を告げるブザーが鳴った。 「マスター! 試合終わりましたよ!」 試合を終えたハウとノワールが神姫センターに設置された専用筐体から出て来た。私はそれを見て思わず笑ってしまう。 何と言ったってハウの後ろにノワールが隠れるように出て来ているからだ。妙に微笑ましく思った私は彼女達に笑いかけてこういった。 「二人ともお疲れ様だ。今日は時間も遅いしもう帰ろう」 「そうですね。ノワールも疲れてる・・・ノワール?」 「・・・・・・・マイスター」 と、ハウの後ろに隠れていたノワールが一歩進み出る。 「もっと・・・・遊びたい。・・・・今度は、神姫バトルじゃなくて・・・・普通のゲーム・・・」 あまり表情を変えずに、でも控えめにノワールは言った。 ああもう。 なんでこの子等はこんなに可愛いんだろう。私が結婚適齢期を逃したらきっとこの子達のせいだ。 「しょうがないな・・・・ハウもそれでいいかい?」 「マスターがそれでいいなら。お姉ちゃんの意見には逆らえません」 そういってハウは軽く舌を出す。畜生、可愛いよ。 私は二人を手のひらの上に乗せ、そのまま胸ポケットに入ってもらった。 入るときに二人が少し窮屈そうにしていたのはもうしょうがないだろう。だって私だって女だし。 「それじゃあ行こうか。二人は何がしたい?」 「アレがいいです! レーシング!」 「・・・・・競馬」 「「はい!?」」 2036年、Multi Movable System------MMSと呼ばれる全高15cmのフィギュアロボが当たり前に存在する世界。 中でも一般的なのが『神姫』と呼ばれる女性型MMSである。 人々は彼女達に思い思いの武装を施し、互いの神姫を戦わせていた。 様々な武装を付け、戦場へと赴く彼女達を、人は『武装神姫』と呼んだ。 NEXT
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/303.html
そのじゅうよん「そして明日は笑おう」 「ティキ。いつまでもそんな所にハマってると、大好きなフィナンシェとマドレーヌがなくなっちゃうよ?」 僕は本棚の、本と本の隙間で僕に背を向けて体育座りしているティキに声をかける。 僕の部屋のテーブルの上には、ティキお気に入りの洋菓子と、温かいロイヤルミルクティーが用意してあった。 しかし当のティキの返事はと言うと、 「……要らないのですよぉ」 ……餌付け失敗、か? あの日の敗北以来、ティキは時折唐突にこんな風に落ち込む。 思い出しては、その度に自身の不甲斐なさを噛み締めている様だ。 そしてそれは僕も同じなのだけれども。 「そっ……か。じゃあ仕方ない。これは全部僕がいただくと言う事で」 僕はそう言って洋菓子に手をつけようとする。 がたっ 本棚から聞こえるその音に、僕は笑みを浮かべて手にした洋菓子を音がした方向へ差し出した。 「無理が持続しないなら、最初から素直になろうね」 「うにゅぅぅぅ~~~~ わかったですよぉ~」 しおしおと本棚から這い出てきたティキは、テーブルの上まで器用に色々と伝ってやってくると、ちょこんと音がしそうなくらい可愛らしく座る。 ティキがそうすることがわかっていた僕は、ティキが座った事を確認し、手に持った洋菓子を改めてティキに差し出す。 ティキは不機嫌そうな顔を隠すわけでもなく、黙ってその洋菓子を食べ始めた。 「……食べる時くらいは笑って食べようよ」 無駄な事は分かりきっているけど、それでも僕はティキに笑う事を薦める。 それに対し、もぐもぐと咀嚼しながらあっさりと無視を決め込んでくれた。 ……武装神姫ってのはオーナーの指示には従うものだろうに。 でも実際のところ、彼女たちにも擬似的とは言え意思があるわけだから、オーナーの全ての欲求に答える事は出来ないんだろうと僕は思っている。 感情、意思がそこに存在する限り、常に命令に従っていては彼女達自身にストレスが生じるわけで。 大体、オーナーと呼ばれるものが人間である限り、矛盾を内包しない命令を与え続ける事は出来はしない。 そんな負荷や矛盾からの安全装置として、『非絶対服従』が用意されていると僕は思っている。……あくまでも個人的な考えで、実際はそんなもの無いのかもしれないけど。 でも、もし『絶対服従』が根底に存在しているなら、神姫達にはなぜ感情があるのか? 完全に命令を遂行する為の機械でいいのなら、もちろん感情なんてものは障害にしか成りえない。 感情や意思がある事で柔軟な対応を求めるのであれば、絶対服従なんてありうるはずも無い。 しかし現実にはオーナーの命令に逆らえず、違法改造とかを受けてしまう神姫も居る訳で。 ……なんだか話がそれた。 「お……おいしいね」 無駄な努力を繰り返す僕。こういう時、女の子の扱いに慣れる人ならどんな行動を起こすんだろうか? だけど生憎と僕は、女の子の扱いに疎い一高校生で、その手合いの経験が圧倒的に不足している。付き合った女の子に一切手を出せないくらいに。 「マスタ」 「はい?」 「こういう時は黙って見守って欲しいのですよぉ」 「……ハイ」 神姫に諭されるオーナーって一体…… って、僕なんだけど。 「……………………」 「……………………」 「……………………」 「……………………」 「……マスタ、こういう時は慰めて欲しいものなのですよぉ~」 ……なんて理不尽な!! もちろんそんな事口に出したりしないけど。 「あー、なんて言うか、元気出せ?」 「心がこもっていないですぅ」 「ソンナコトナイデスヨ、マゴコロイッパイデス」 「なんで棒読みですかぁ?」 「それはね、牛肉が入っているからだよ」 「そんな昔の、しかもマイナーなCMネタ、誰もわからないですよぉ?」 「そんなツッコミが素敵なキミにはこのお菓子をあげよう」 「元々テーブルにあったのですよぅ」 「いやぁ、やっぱりフィナンシェはセブ○イレブ○に限るよね」 「誤魔化すにしてもミエミエ過ぎですぅ」 「イヤだなぁ、ティキ。まるで僕に誠意が無いみたいじゃないか」 「今まで一緒にいて、今が一番誠意が感じられないですよぉ!」 「それはきっとティキの瞳が曇っているからさ」 「今曇っているのはきっとマスタの性根ですぅ!!」 「そこまで言うと僕が可哀想でしょ?」 「自分で自分のことを可哀想って言っても説得力無いですよぉ!?」 「そうだね。……だからティキも自分が可哀想だなんて思っちゃダメだよ」 「――!!」 何も言えないティキ。 言葉を続ける僕。 「負けた事に対する悔しさも、それに囚われてるばかりじゃ意味が無いよ。だから…… だから僕達はその悔しさを糧にしよう。時には立ち止まることも、間違いじゃないけど、ただ失敗や敗北に落ち込むだけじゃ僕もティキもそこで終わっちゃうから」 僕をジッと見つめるティキに、ぎこちないながらも精一杯の笑顔を浮かべて。 「だから、我慢しないで今はいっぱい泣いてさ、そして明日からはまた一緒に前を見ようよ。ね?」 ティキは僕を見つめたまま、ぽろぽろと涙をこぼす。 そしてそのまま顔をクシャクシャにして、わあわあと声をあげて泣き出した。 僕はそんなティキの頭を、指でそっと撫でる。 その僕の指を両の腕で抱きしめ、ティキは泣き続けた。 ひとしきり泣いた後、ティキは僕に照れた様に笑いかけ、そして何も言わずに洋菓子を口にする。 それを見て僕も照れ笑いをすると紅茶をすすった。 紅茶はすでに冷め切ってしまったが、それでも悪くないと僕は思った。 終える / もどる / つづく!
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2567.html
MMS戦記 外伝「敗北の代価」 「敗北の代価 11」 注意 ここから下は年齢制限のある話です。陵辱的な描写やダークな描写があります。 未成年の方は閲覧をご遠慮下さい。 □ 重邀撃戦闘機型MMS「リカルダ」 SSSランク 二つ名「ミョルニル」 オーナー名「春日 凪」♀ 20歳 職業 神姫マスター 真っ赤に燃え滾るヒートナギナタを振り回し,戦国時代の武将のように名乗りをあげるリカルダに対峙する神姫たちは、ぽかんを口を開けて呆然と立ち尽くす。 オーナー1「な、なんだァ!?あいつ!」 砲台型C「あれがSSS級の化け物神姫、リカルダか」 悪魔型「び、びびるな!!!敵は一騎だァ!!!」 一瞬、神姫たちに動揺が走ったが、すぐさま体制を建て直し、リカルダを取り囲むようにじりじりと移動する。 春日はバトルロンドの筐体に備え付けられているタッチパネルを操作し、状況を把握する。 春日「残り、88機!敵は3つの集団に分かれている」 春日はマーカーで3つのくくりを作る。 春日「まずは集団A、陸戦タイプの神姫を中心とした大集団、数は50、どうせこちらの速度にまともについていけない、適当につぶしておけ」 リカルダ「イエス」 春日「次に集団B!!空戦タイプの神姫を中心だな、数は1ダース(12機)、機種はアーンヴァル、エウクランテ、アスカが多いな・・・まずはこいつらから血祭りにあげろ、皆殺しだ!」 リカルダ「OK」 春日「最後に集団C・・・砲戦タイプの神姫ばかりだな!数は20、機種は戦艦型4隻、戦車型6両、砲台型10台!鈍亀ばかりだ、うまく誘導して同士撃ちにさせろ」 リカルダ「了解」 春日はバンっと筐体を叩く。 春日「見敵必殺(サーチアンドデストロイ)!!!見敵必殺だ!!立ちはだかるすべての障害を排除しろ!」 リカルダ「Sir,Yes sir MyMasterrrrrrrr」 ヒュイイイイイイイイイイイイイイイ リカルダのリアパーツに装備されている巨大な素粒子エンジンが緑色に輝く粒子を撒き散らし唸り声を上げる。 巡洋戦艦型A「奴を倒せば兜首だ!賞金を手に入れて富と名声を手に入れろ!」 装甲戦艦型A「支援射撃を開始する!全神姫突撃突撃ィ!!」 数隻の戦艦型神姫が主砲をリカルダに向けて発砲するのを皮切りに再び神姫たちが吼えるように声を上げて、武装を手に掲げてドッと津波のように襲いかかる。 神姫「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」 リカルダはまったく臆することなく、巨大な素粒子エンジンを全開に吹かして真正面から突撃を仕掛ける。 リカルダ「あは、あはっはは!!この程度の数の神姫でこの俺を倒せるとでも?笑わせるッ!!!」 轟とエンジンを轟かせてリカルダは燃え盛るナギナタを引っ掴んで迎え撃つ。 砂漠を砂埃を立ち上げて、真っ先に攻撃を仕掛けてきたのは、ハイスピードトライク型 アーク、ハイマニューバトライク型 イーダ、モトレーサー型 エストリル、クルーザー型 ジルリバーズのバイク使いの4神姫だった。 バイク使いの4神姫はリカルダの姿を認めると、ばっと散開し一斉に手持ちのマシンガンやキャノン砲、ハンドガンで射撃を開始する。 リカルダ「遅い遅すぎるぜ、それで速く動いているつもりか?」 リカルダは地面スレスレをホバリングするように砂山や岩を盾に攻撃を回避し、ズンと地面を強く踏みしめると、同時に地面に巨大な亀裂と穴が穿つ。 パンッと空気が爆ぜる音がしたと同時に、ハイスピードトライク型 アークの紅の武装が異常な形にくにゃっと歪みバラバラに分解されて吹き飛んだ。 □ ハイスピードトライク型 撃破 真横を走っていたクルーザー型のジルリバーズの目が見開かれる。 ジルリバーズ「なっ・・・」 ぐしゃぐしゃに潰れたトライク型の後から破壊音が衝撃波となって届く。 ドギャアアアアアアアアアン!! チカチカと何かが光ったと思った瞬間、モトレーサー型 エストリルの薄いピンク色の体が黄色い閃光に飲み込まれて爆散する。 □ モトレーサー型 撃破 ジルリバーズ「あ、あああ・・・」 彼女の眼前で瞬く間に僚機が沈む。 あまりにも速い、度外れた速さ、圧倒的な凄まじい破壊の力に彼女は驚愕し見届けることしか出来ない。前方でハイマニューバトライク型イーダが変形を解除し、大剣を構えて対抗しようと、リカルダに攻撃を仕掛けようとするが・・・ 次の瞬間、ジルリバーズの横を薄緑色の塊が軽々と宙を舞いすぐ脇を通りぬけていく。 風が唸る。 ゴキン 鈍い金属音が聞こえる。その音の正体を最初は理解できなかったが、崩れ落ちるバラバラになった自分の体がジルリバーズの視界に移ると意味を理解した。 ジルリバーズ「は・・・はや・・・速すぎる」 □ クルーザー型 ジルリバーズ 撃破 ズドンズドンズドン!! 戦艦型神姫の砲弾がリカルダの周囲に着弾するが、リカルダはまったく意に介さず無視する。 リカルダ「おいおい、なんだ?その動きは舐めているのか?あああん?的撃ちじゃねーんだぞッォ!!!!!」 リカルダは顔を歪ませて新たな敵に向かって突進する。 音速を超え、超高速の剣戟に、対峙する神姫たちはまったく捕捉しきれなかった。 悪魔型「うおおおおおおおおおお!!」 巨大な刀を携えた悪魔型が雄叫びを上げて強化アームを振りかざし突撃するが、リカルダは悪魔型が刀を振るう前に胸部を突き殺す。 □ 悪魔型 ストラーフMk-2 撃破 間髪いれずに今度は巨大なハンマーを携えた白い悪魔型とソードを構えた黒い悪魔型が躍り出るが、リカルダは副腕のレールキャノンをくるんと廻して、胸部を正確に撃ちぬく。 □ 悪魔型 ストラーフ・ビス 撃破 □ 悪魔型 ストラーフ 撃破 脇を小柄な2体の神姫が槍と剣を携えて飛び出してきたが、リカルダは2体まとめて燃え盛る紅蓮の炎を纏ったヒートナギナタで文字通り薙ぎ払った。 □ 夢魔型 ヴァローナ 撃破 □ 剣士型 オールベルン 撃破 樹脂の溶ける焦げ臭い不快な匂いを撒き散らして四散する2体の神姫。 リカルダの強烈な攻撃の様子はさながら嵐のようであった、音よりも速いリカルダの攻撃は空気を引き裂き、爆ぜ、対峙する全てのものを打ち砕く。 次々に撃破のテロップが流れる。 まるで音楽を奏でるかのようにリカルダは縦横無尽に戦場を駆け回り、刈り取るように神姫を撃破していく。 □ 犬型 ハウリン 撃破 □ 猫型 マオチャオ 撃破 □ リス型 ポモック 撃破 □ フェレット型 パーティオ 撃破 □ ウサギ型 ヴァッフェバニー 撃破 □ 騎士型 サイフォス 撃破 □ 侍型 紅緒 撃破 □ 花型 ジルダリア 撃破 □ 種型 ジュビジー 撃破 □ サソリ型 グラフィオス 撃破 春日「30、31・・・」 春日はにやにやしながら腕を組んで数を数える。 怯えた白鳥型が大剣を盾に悲鳴をあげて後ずさるが、リカルダは大剣をガードの上から叩き割った。 ズン・・・ 真っ二つに引き裂かれた白鳥型の表情には驚愕の念が浮かんでいた。 彼女は決して弱い部類の神姫ではなかった。数多の戦場を先陣切って誉高く駆け、敵を討ち取ってきた武装神姫である。 だが、違う。 こいつは違う。 一刀両断されて始めて違いに気がついた。 こいつは普通じゃない。 白鳥型「ば・・・化け物め・・・」 □ 白鳥型 キュクノス 撃破 春日「32!!総数の3分の1を殲滅した、残り68!さっさと片付けるぞ」 春日は筐体の画面を操作して状況を把握する。 リカルダ「だめだ、弱すぎる・・・お話にならない」 参加していた神姫のオーナーたちはたった数分間で100体いた神姫の3分の1が潰滅した事実にただ言葉も無く息を呑む。 いま眼前で繰り広げられた戦い、リカルダの桁ハズレの強さ。 次々となすすべもなく撃破されていった仲間たちを見て陸戦主体の残った神姫たちは完全に戦意を喪失して、武装を放り出して逃げ始めた。 カブト型「だ、だめだァ!!こんなの勝ってこないよ!」 クワガタ型「ひ、ひィいいい」 ヤマネコ型「やってられるかよ!!!」 がしゃがしゃと手持ちの武器を捨てて逃げようとした瞬間、後方からチカチカと青白い光が瞬く。 建機型「!?」 ドッガアズガズッガアアン!! 装甲戦艦型A「撃て撃て!!撃ちまくれェ!!」 巡洋戦艦型A「逃げる奴は敗北主義者だ!!!敵もろとも攻撃しろ!!!」 重装甲戦艦型A「奴を倒せば1億円なんだぞ!!断じて引くな!!後退は認めん!!」 数隻の戦艦型神姫が味方もろとも無差別に砲撃を始め、瞬く間にフィールド内は阿鼻叫喚の地獄絵図に変わった。 ドンドンッドオドドン!!ズンズウウン・・・・ カブト型「ぎゃあああああああ!!」 虎型「ウワァ!!」 丑型「いやああああああああああ!!撃たないで撃たないでェ!!!!!」 猛烈な艦砲射撃がリカルダと周囲にいる神姫たちを巻き込んで行なわれる。 戦艦型の取り巻きの戦車型、砲台型も味方を撃つことに戸惑っていたが、手段を選んでいる場合ではないと悟ったのか、一緒になって見方もろとも攻撃を始めた。 □ 建機型 グラップラップ 撃破 □ 虎型 ティグリース 撃破 □ 丑型 ウィトゥルース 撃破 □ ヘルハウンド型 ガブリーヌ 撃破 □ 九尾の狐型 蓮華 撃破 次々とフレンドリーファイヤーの表示が出ながら撃破のテロップが踊る。 瞬時に周りは地獄と化した。その光景は凄惨そのものだった。目の前で多くの神姫たちが生きたまま焼かれ、重症を負い、そして粉々に砕かれて宙を舞った。 ズンズンズン・・・・ ものすごい爆煙と砂埃で砲撃地点は黒茶色の巨大なキノコ雲が立ち上り、ボンボンと神姫が爆発する音と赤い炎が巻き起こる。 上空を数十機の航空MMSが心痛な面持ちで眺めていた。 天使型「下は地獄ですね」 セイレーン型「うわあァ・・・」 ワシ型「イカレ野郎もろとも吹っ飛ばしてしまえ!!」 ワシ型が手を掲げてファックサインをする。 ドッギュウウウム!! 戦闘機型「おぐ・・」 戦闘機型の胸部を黄色い閃光が貫き、爆発する。 □ 戦闘機型 アスカ 撃破 爆煙と砂埃の中から勢いよくリカルダが飛び出し、真っ赤に燃え盛るヒートナギナタでワシ型MMSを一刀両断で切り捨てる。 □ ワシ型 ラプティアス 撃破 リカルダ「コイツァ最高だぜ、ふ・・・恥も外聞もなく味方もろとも攻撃してくるとはなァ・・・」 リカルダは笑いながら次々と航空MMSをハエのように叩き落としていく。 □ コウモリ型 ウェスペリオー 撃破 □ 戦乙女型 アルトレーネ 撃破 天使型「このおおおおおおおおおおおお!!」 天使型の一機が、上空からライトセイバーを構えて突撃してくるが、 リカルダは最小限の動きで回避し後ろを取る。 リカルダ「はずしやがったな!まだまだガキの間合いなんだよ!」 天使型「そ、そんな!!うわああああ!!」 ズッドン!! □ 天使型 アーンヴァル 撃破 天使型の頭部を跳ね飛ばした次の瞬間、リカルダを含む周囲の航空MMSたちにむけて葉激しい強力なレーザー砲の一斉射撃が加えられる。 ビシュビシュウウビッシュウウウウン リカルダ「おわっ!!」 あわててリカルダが回避する。 ズンズンズン!! □ 天使型 アーンヴァル 撃破 □ 天使型 アーンヴァル・トランシェ 撃破 □ 天使型 アーンヴァルMk-2 撃破 □ 戦闘機型 アスカ 撃破 リカルダの回りを飛んでいた航空MMSを強力なレーザーが貫き、空中に炎 出来た光球を作る。 重装甲戦艦型「ヘタクソォ!!貴様らどこを狙っている!!」 巡洋戦艦型A「ウルセェ!てめえが撃てっていうから撃ったんだろがァ!!!」 装甲戦艦型A「畜生畜生!!」 装甲戦艦型B「ひゃっはああーーー!!!もうだめだァ!!」 巡洋戦艦型B「なにをしている攻撃の手を休めるな!!!」 またしても後方にいる戦艦型神姫の一群が味方もろとも巻き込むのも承知の上で砲撃を加えてきたのである。 1度ならず2度までも、味方を巻き込む非道な攻撃を行い続ける神姫たちに観客たちはブーイングを鳴らす。 観客1「お前らさっきからナニやってんだよ」 観客2「このクズヤロウ!!さっさとしとめろ!」 観客3「誤爆誤射ばっかりやんてんじゃねーんだぞ!!このダボォ!!」 観客4「こいつらさっきから味方撃ちしかしてねえーーーーー」 観客5「なにがしてーんだよ!!このクソヤロウ!!」 グラスやゴミをフィールドにいる戦艦型に向かって投げつける観客たち。 オーナー1「うるさい!野次馬ァ!!」 オーナー2「黙れ黙れ!」 オーナー3「どーしようが俺たちの勝手だろ!」 オーナー4「戦いに誤射誤爆はつきものだろが・・・ボケが!」 オーナー5「装甲戦艦!!副砲撃て!!!あの野次馬連中を黙らせろ!!」 装甲戦艦型B「了解、モクヒョウ カンキャクセキ 撃ちかたーーーーーーーーーはじめ!!」 あろうことか、戦艦型神姫のうちの一隻が観客席に向かって副砲で発砲しはじめたのである。 ズンズンズズン!! 観客1「うわあああああああ!!撃ってきたぞ!!」 観客2「キャアアアアアアアアア!」 観客席の2階の中央のテーブルに砲弾が命中し、料理が爆発して飛び散る。 ドガアアアン!! 2階の観客席で春日たちの戦いを観戦していた神代の顔にべちゃっりとケーキのクリームが降りかかる。 脇に立っていたルカが悲鳴をあげる。 ルカ「きゃああ!!マスター大丈夫ですか!!」 神代が顔に付いたクリームを手で拭き取り舌でぺろっと舐めて片つける。 神代「大丈夫だ、問題ない」 バトルも観客席も戦艦型神姫の無差別な艦砲射撃で大混乱になる。 司会者の東條があわててマイクで放送を行なう。 「観客の皆さんはフィールド上の神姫にモノを投げないでください!!フィールド上の神姫は観客の皆さんに攻撃しないでください!!危険です」 フィールドにいる戦艦型が反論の激を飛ばす。 巡洋戦艦型A「最初に攻撃してきたのはアイツラだろ!!これは正当な反撃行為!自衛のための防衛行動だ!!」 装甲戦艦型B「戦艦に喧嘩売るとは上等じゃねえか!!ぶっ殺すぞ!!!!」 観客3「こいつらなんとかしろよ!!」 観客4「危ない!!危ない!!危ないよ!!」 観客5「おまえらは一体誰と戦ってんだ!!このボケカス!!」 春日はアッハハハと大声を上げてパンパンと手を叩いて喜ぶ。 春日「すばらしいこれこそ混乱だ!!戦場に混乱はつきもの!!最高じゃないか!!」 リカルダ「さあて・・・と残りはC集団のみ、ちゃっちゃと終わらせてやろう」 リカルダはヒュヒュンとナギナタを振り回し、突撃する用意に移る。 戦艦型神姫の一群と戦車型、砲台型が多種多様な砲口をリカルダに向ける。 戦車型A「パンツァー1より全パンツァーへ、敵は高速戦闘に特化した航空MMSだ、対空榴弾装填!!穴だらけにしてやれ」 戦車型B「パンツァー2了解」 戦車型C「パンツァー3了解」 戦車型D「パンツァー4了解」 砲台型A「砲撃モードに移行!焦るなゆっくり狙って確実に当てろ!」 砲台型B「畜生!ブチ落としてやる」 砲台型C[負けネーゾ] 重装甲戦艦型「全艦、全砲門開けェ!!火力で磨り潰せッ!!!!」 巡洋戦艦型A「火力とパワーはこちらの方が上だ」 装甲戦艦型A「一億円は俺のものだ」 巡洋戦艦型B「くそったれ、やってやる」 装甲戦艦型B「蜂の巣にしてやる」 ギラギラと目を光らせる大砲を主兵装備とする武装神姫たち 。 戦艦型神姫は巨大な体に据付けられた主砲をゴリゴリと動かす。一撃でも命中すれば神姫を粉々に粉砕できる強力なレーザー砲を搭載し、全身に対空機関砲とミサイルを装備している。単純な火力だけでは戦艦型神姫は最強クラスの戦闘能力を有する。また分厚い装甲に守られ、撃破するのは非常に困難だ。 戦車型神姫は戦艦型とはいかないまでも、強力な戦車砲とそれなりの厚い装甲を備えている。また何台かの同型の戦車型とコンビを組んで安定している。 砲台型もがっしりと地面に腰を下ろし、砲撃モードに移行し、優秀なFCSによって高い命中率と速射性能を有した滑空砲を搭載し待ち構える。 大型の戦艦型神姫、中型の戦車型、小型の砲台型のバランスの取れた鉄壁の布陣で、リカルダを待ち構える20機あまりの重武装の神姫たち。 リカルダとは対照的に、機動性を完全に最初から捨てて、がっしりと待ち構える神姫たちに隙はなかった。 こいつらは、味方ですら遠慮なく攻撃する下種だ。だが、その分勝つことには躊躇せず破壊的なオーラを纏っていた。 間違いなく強敵、そう感じ取った春日は内心、ほくそ笑んでいたが、命令を下す。 春日「大砲屋風情が調子に乗るなよ・・・リカルダ!!遠慮はいらん!!攻撃しろ!」 リカルダ「イエス、イエスマイマスター」 ぐっと身を固めるリカルダ。 さっきまで野次を飛ばして騒いでいた観客たちも一斉に押し黙る。 そしてひそひそと話し声がもれる。 観客1「まさか本当にあの砲火の前に突っ込むんじゃないよな?」 観客2「ありえんだろ?あの完璧な布陣になんの策もなしに突っ込むのは自殺行為だ」 観客3「あの陣形は点や線の攻撃なんて生温いものじゃない、面での攻撃だ」 観客4「面制圧か・・・この猛砲撃を掻い潜って奴らを殲滅できるとしたら、文字通り化け物だ・・・そんな神姫がいるのか?」 To be continued・・・・・・・・ 次に進む>[[]] 前に戻る>「敗北の代価 10」 トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/865.html
ページの最後にエンドマークを打つ。 「・・・どーぉにか間に合ったか。」 例によってまた徹夜。窓から差し込むのは黄色い日差し。 軋む体を思い切り伸ばした。 ごきっ 「おほ、いい音♪」 「・・・『いい音』じゃねぇだろ。アホか。」 可愛らしいが、なんともガラの悪い声が背後から聞こえた。 誰かは知っているので、あえてそちらを見ずに返す。 「起きてたのかジュリ。」 「あぁ?あんだけ近くで負のオーラじゃんじゃか撒かれてンのに、暢気にぐーすか寝てられっか。死なすぞボケ。」 本心かどうかは別として、どこでそんな言葉遣い覚えて来るんだかなコイツは・・・ 思いながら振り向けば、足元に15センチほどの女性型の人形。・・・いわゆる『武装神姫』が仁王立ちしていた。 彼女の名は『ジュリ』。本当は『ジュリエット』にしたかったのだが、ジュリ曰く「サムライの名前じゃねぇだろ。少しは脳使えナス」ってんだからまぁ仕方ない。 大して変わらんと思うんだが。 一応は侍型と言うだけあって、黙って立ってればキリリとした和風美人だ。 黙って立ってれば、な。 「・・・なんか今失礼なこと考えなかったかコラ?」 「なんも言ってねぇだろうが。にゃー共はどうした?」 「『修羅場中の慎の字は教育上悪いから』って浩子姐さんが連れてったよ。パットとアイリも一緒だ。」 「・・・・・・お前も教育上どーかと思うけどな。」 ぼそっと言ったらすげぇ目で睨まれた。地獄耳め。 「とりあえず浩子サン起こしてきてくれ。原稿上がったって。」 「ん。慎の字は?」 「飯作ってくる。どーせにゃー共も一緒だろ。あいつらの分も用意せにゃならんしな。」 「わかった。・・・あんま無理すんなよ?」 ホンの一瞬、気遣わしげな表情を浮かべたジュリに気付かないフリをして手を振る。 ついこないだ風邪でぶっ倒れた時の事は、まだ記憶に新しいのだろうか。 えらい心配かけた気はするが、治った翌朝蹴りが飛んできたので、まぁチャラだ。 台所で包丁握って十数分後。 「あー。いいにおーい。」 「にゃー」 「にゃー」 「にゃー」 亡者が4匹現れた。 「居間で待ってろよお前らー。もうすぐ出来っから。」 「えー。お腹空いたよー。我慢できないよー。ねー?」 「「「にゃー」」」 「・・・まぁなんでもいいから頭直してこいよ浩子サン。ぐしゃぐしゃだぞ」 「えー。めんどーい。」 この目の前で寝癖満点の頭したお姉さんは『緋上浩子』サン。俺の担当編集者で、美人で子供の頃からの近所の幼馴染で年上で未婚。 表ではデキる女を自称するだけあって、切れ者に見えるが・・・ ご覧の通り、素はえらい子供じみていて、かつ寝起きは悪い。 彼女の腕の中にもまた小さな人影がみっつ。 猫型神姫の三つ子だ。 名前は『ノゾミ』『カナエ』『タマエ』。付けたのは浩子サン。 区別がつかんのでそれぞれの腹にそれぞれの名前を書いてある。 浩子サンには「神姫虐待よっっ!」とか言われたが、当人達はむしろ気に入ってるらしいので問題はない。 「にゃー」 「にゃー?」 「にゃー!」 「「「にゃー♪」」」 別にこいつらはわざとこう話してるワケじゃない。「にゃー」としか言えないのだそうだ。 詳しいところはよく解らなかったが、どうも俺が拾う前のマスターに変な改造を施されたとかなんとか。 実はこう見えて、かなり頭が回るので侮れない。 ウチにある本を、俺の趣味のラノベから参考程度にナナメ読みで放置してた学術書まで片っ端から読破しやがった。 おかげで偶に辞書代わりに活躍してくれる。 「・・・あぁあ、こちらにいらしたのですかぁ。家中探し回ってしまいましたよぅ。」 よたよたと更に一匹追加。 「あ、ごめんねパトリシアちゃーん。寝てたから起こすのも悪いと思ってー。」 「・・・だったらせめて居間まで運んでやれ。三匹も四匹も手間は変わらんだろうが。」 ふらふらとへたり込んだのは、天使型神姫。名を『パトリシア』。 初期不良品で、空間認識に欠陥があるらしく、ぶっちゃけ空を飛べない。 「はふぅ・・・大家さぁん。疲れましたぁ。」 「大家言うな。どんだけ迷ってたんだお前。」 「えぇとえぇと・・・」 「いいから居間に行って待ってろ。」 「はぁいぃ。」 「っていきなり逆だ!そっち玄関!」 しかも方向音痴のオマケつきと来た。 我が家は祖父譲りの平屋建て。実質住んでる人間は俺一人だというのに、多分3~4人でもちと広い。 そのせいか、よく迷ってへたり込んでいるのを見かける。 まぁ、人間じゃないとはいえ住人もそこそこいるから、大事になったことは無いけどな。 もっとも、そのおかげでウチは一部で『神姫長屋』とかあんま有難くない渾名で呼ばれてるそうだが。 「ほら浩子さんも。あいつ一人じゃ心配だ。」 「はーい。じゃ、行こっか」 「「「にゃー☆」」」 猫どもめ。流石に名付け親相手だと素直に言うこと聞きやがる。 更に数分。いい感じに魚が焼けてきたところでどたどたと足音が・・・ だんっ! 「ご隠居おぉおおっっ!!」 誰がご隠居だ誰が。 駆け込んできたのは我が家の神姫6匹目。砲台型神姫の『アイリーン』。 「ご隠居はやめれっつってんだろーが。毎度毎度家壊す気かお前は。」 「知るかっ!それよかジュリ姉どこっ!」 何故か怒っていて何故か完全武装してて何故か鼻の下に綺麗なカールのドジョウヒゲ(@マジック描き)。 バイザー降ろしてるから解らんが、恐らく額にはえらく達筆な『中』の一文字(@マジック描き)があるんだろう。 また寝てる隙に悪戯されたのか。 アイリが怒りに任せてばっしんばっしん柱を叩く度に、冗談抜きで家が軋む。 どうもコイツは腕力にリミッターがかかっておらず、危険視されて廃棄処分となったところを逃げてきたらしい。 元は闇バトルに出ていたとか言ってたが、どこまで本当なのだか・・・ 「あー。ジュリのあほたれだったら・・・」 やれやれ。一仕事終わったというのに・・・寝るのはしばらく後になりそうだ。 あ?あぁ失礼。申し遅れた。 俺の名前は『都竹慎之介』。 デタラメに嘘くさいが本名だ。物書きをやっている。 頭に「売れない」って冠詞が付くのが、まぁアレだが。 まぁそんな感じで、今日も長屋住まいの連中との騒がしい日常が続いていくのだ。 正直、疲れるけどな。
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2116.html
ウサギのナミダ ACT 0-6 ■ 「着けてみた感じは、どうだ?」 意外と悪くない。 自分の脚を全く別のモノに交換したにも関わらず、思ったほど違和感は感じない。 「いい……と思います」 むしろ、昨日まで練習で履いていた、ローラーブレードの方が違和感があった。 脚にはめた、その先の車輪は自分の一部ではない感じだった。 でも、新たにマスターが用意してくれた、この脚部パーツは、つま先から車輪まで、文字通り身体の一部であるように思える。 マスターが作ってくれた、オリジナルの脚部パーツを、今日初めて装着した。 わたしの脚は、太ももの接続部を境に、ごつい機械の脚に変貌していた。 足首の部分には、前後に車輪がついている。 後輪の方が大きくて、後ろに張り出していた。 足首の中には超電動モーターが入っており、車輪による高速移動が可能なはずだ。 これが、わたしが与えられた武装。 マスターが時間をかけて、パーツを集め、組み上げた、オリジナルの装備。 わたしはこの十日ほど、ローラーブレードの特訓に明け暮れた。 装備が完成するまでに、「滑走する」動作をメモリにたたき込んだ。 主な動作は、アイススケートを中心にしたメニューだったが、それもフィギュアスケートやスピードスケート、アイスホッケーに至るまで多彩なメニューが用意された。 それだけではない。スキー競技もアルペンからフリースタイル、ジャンプにクロスカントリー、エアリアルまで、動作を真似た。 もちろん、ローラーブレードもエックスゲームを参考に、メニューが用意された。 これらはすべて、今日渡されたこの装備を使いこなすためのものだ。 「でも……脚に車輪をつけた装備もすでにあるのでは?」 「確かにな。あるにはあるが、種類が少ない。俺が望む性能を再現するものは、俺の知る限りない」 「なぜ、ですか?」 「自由度の問題、だろう」 「自由度……?」 「装備、そして戦闘行動の自由度だ」 マスターは、わたしのこうした疑問に、とても丁寧に答えてくれる。 わたしがマスターの意図を理解してバトルできるように、との配慮だそうだ。 マスターは相変わらず無表情だったけれど、たくさんの言葉をかけてもらえることが、わたしは嬉しかった。 「エックスゲームのような機動を実現するには、装備が制限される。重い武器はもちろん、動きを阻害するようなかさばる装備は身につけられない。自然、小火器や格闘武器に限られる。 重装備にすれば、火力は得られるが、独特の機動は得ることができない。 それに、結局は地上戦用装備にならざるを得ない。 武装神姫は装備を付け換えるだけで、簡単に空を飛ぶことができる。そっちの方が、戦闘機動の自由度は高い。 ローラーブレード型にこだわらなくたって、強力な脚部パーツはたくさんある。そっちの方が、装備と機動力を両立させるには適している。 だから、足首に車輪を装備している神姫はすべからく、移動するために装備しているのであって、戦闘機動をするためじゃない」 つまり、わたしの脚部パーツを使うには、重装備では意味がない、他の装備を考えた方が攻撃力と機動力のバランスがいい、ということだ。 「それなら、なんで……」 わたしは、沸き上がった疑問を、素直に口にしてみた。 「なんで、マスターは、ローラーブレード型の装備を作ったんですか?」 理由の一つは、わかる。 それは誰も使わない装備であり、誰もしない戦い方だからだ。 誰もしない戦いをすることが、マスターの夢だからだ。 けれど、マスターから語られた理由は、意外なものだった。 「……美しいからだ」 「……え?」 「滑走する競技というのは、美しさを競う競技でもある。 フィギュアスケートはその代表だ。 スキーでも、モーグルはスピードだけでなく、滑走時の姿勢や、エアの技、着地の出来を採点される。 スキージャンプも、飛行姿勢や着地姿勢を採点されるんだ。 あらゆるエックスゲームは観客を魅了することに主眼が置かれている。 『滑走』という行動をバトルに取り入れることで、より美しく、より魅せる戦いができるんじゃないか、と考えている。 ……そんなところだな」 前にマスターは言っていた。 『自分たちだけの戦い方で、ギャラリーを魅了できれば最高だ』と。 わたしに与えられたこの脚部パーツは、その夢に直結している。 それにしても、マスターが『美しいから』という理由でこの装備を作ったことが、なんとなくおかしかった。 でも、笑うのは失礼なので、マスターに見えないように、顔を伏せてこっそりと微笑んだ。 □ ティアに答えた『美しいから』という理由は、我ながらちょっと気恥ずかしかった。 だが本心だ。 圧倒的な火力で殲滅するよりも、限られた手段を駆使して勝利する方が、心に残る。 それが美しい動作ならばなおさらだ。 「さあ、テストを始めよう」 俺はティアに言った。 この十日間、ティアにはローラーブレードの特訓を施した。 いまでは、エックスゲームのトッププレイヤーも顔負けの腕前だ。 それだけ習熟が早いのには理由がある。 神姫は様々な動作を記録し、それを忠実に再現することができる。 それをさらに応用して、条件を少しづつ変えて、動作をすることも可能だ。 事前にシミュレーションを行っておけば、さらに精度は高くなる。 そうやって、成功の条件を積み重ねていけば、人間には修得が難しい技も、神姫は難なく修得できるのだ。 もちろん、武装神姫素体の運動性能の高さもそれを手伝っている。 ティアは緊張の面持ちだった。 スピードスケートの選手のようにスタート姿勢を取る。 「行きます!」 高い声と共に、一気に走り出した。 場所は俺の部屋の中。 片づけた部屋の最長距離を走ろうとする。 ティアの行く手には障害物はない。 超電動モーターがオンになり、ホイールが回転し始める。 乾いたホイール音が響いた。 「わっ、わわわっ!」 素っ頓狂なティアの声。 両足首が身体よりも先に出ようとしている。 体のバランスが一気に崩れた。 ティアは尻餅をつき、床の上にすっころんだ。 「いったぁ……」 ……やっぱりそうなったか。 ティアは涙目になりながら、小さなお尻をさすっている。 ティアはローラーブレードを操るように走り出したのだろうが、車輪が自分で回転するので、勝手が違ったのだ。 自転車とバイクでは、乗り方が違うのと同じだ。 だが、使いこなせれば、より速く、自由に滑走することが出来るはずだ。 ■ 訓練を始めてから三時間経った。 そのころには、ローラーブレードと同じように、このレッグパーツを操れるようになっていた。 レッグパーツに慣れてみれば、こちらの方ができることの幅が広いことが実感できる。 ローラーブレードと違うのは、わたしの意志で、ホイールの回転を自在に操作できること。 回転数を上げるのも下げるのも、逆回転すらさせるのも自在だ。 武装を直接コントロールできる神姫ならではの能力だった。 これによって、停止している状態からその場ですぐにスピンしたり、直立したまま姿勢を変えずに移動したりもできる。 ホイールにモーターがついているから、スピードもさらに出すことができる。 もしかすると、いままで思いもしなかった動きができるかも知れない。 その週末、土曜日の朝。 いつものように、わたしはマスターに連れられて、近所の、あの広い公園まで、散歩に来た。 いつもと違うのは、わたしがあの新しいレッグパーツを装着していること。 なぜ、レッグパーツを装着して連れ出されたんだろう? わたしはマスターの言うことに従っただけだけれど、その理由はなんとなく聞きそびれてしまっていた。 今日も外は快晴。 やわらかな風が、わたしの頬をなでて、吹き抜けていく。 気持ちがいい。 わたしは、マスターのシャツの胸ポケットで、マスターが刻む歩みのリズムを感じていた。 マスターは公園に着くと、広場のすみにあるベンチに腰掛けた。 公園の広場は、芝生が敷き詰めてある広い場所。芝生はよく手入れされており、緑がきれいだった。 その周りには遊歩道が整備されている。 コンクリートの遊歩道は、普通の道路よりでこぼこが少なくて、滑らかな感じがする。 マスターは、胸ポケットに手の甲をかざし、わたしに出てくるように促した。 何が始まるというのだろう? 胸ポケットから出たわたしを、マスターは遊歩道に降ろした。 そして、マスターの口から出た言葉は、意外なものだった。 「思い切り、走ってこい」 「……え?」 「お前が好きなように、走りたいだけ、走ってこい」 わたしが、好きなように……? マスターの意図が理解できないでいる。 「あの……わたしが自由に走って、何の意味が……?」 「走ってみれば、わかる」 わたしは改めて、自分が立っている遊歩道のまわりを見渡した。 今、わたしの目の前には、広大な地平が広がっていた。 ここなら、壁に阻まれることもなく、どこまでも走ることができる。 わたしは、もう一度マスターを見上げた。 マスターはわたしに視線を合わせる。 早く行け、と促している。 何か不安だった。 マスターの具体的な指示なしに、自由に滑走するということが、初めての体験だったから。 それでも、わたしは遊歩道の先を見据え、スタートの構えを取る。 「行きます……!」 頭の中でカウント。 三、二、一、スタート。 わたしはまず、全力で走ってみることにした。 ここなら壁に阻まれる心配もなく、どこまでも加速できる。 スピードスケートの選手のように、前かがみになって両腕を振り、左右の脚で大きく蹴り出す。 蹴り出すときに、重心を乗せた方の脚のホイールを加速させる。 今まで感じたことのない、爆発的な加速。 疾走する。 流れてゆく。 遊歩道に沿って並んでいる木々が、形を失って、わたしの後方へと流れてゆく。 風が。 風が左右にわかれ、わたしの横を吹き抜ける。 ああ……わたしは…… いま、風になっているんだ。 ものすごい解放感がわたしを包み込む。 ただ走るという行為が、こんなにも自由なものだったなんて! わたしは、夢中になって走り出した。 一歩ごと、わたしは身も心も風に溶けてゆくようだった。 気持ちの赴くままにジャンプ。 つむじ風になったように、四回転。 あっさり決まって、着地。 驚くほど簡単だった。 ローラーブレードの時は、相当練習して、やっとできるようになったというのに。 マスターのくれたレッグパーツは、わたしの想像以上のポテンシャルを秘めている。 それを十二分に引き出すことができたら……あらゆる滑走競技の技が可能なはず……それ以上のことだって。 ならば、試してみよう。 いまのわたしに可能な最高のトリックを。 もうすぐ、公園の遊歩道を一周する。 試すのはマスターの目の前。 わたしは、さらに加速する。 □ ティアが公園を一回りしてきた。 あいつはどんな風に感じたろうか。 なによりも、滑走することが楽しいと、気持ちがいいと、感じてくれれば、それでいい。 ティアをここで走らせることは、それが目的だった。 深い意味はない。 だが、俺が始めてスキーをしたときのような嬉しさを感じて欲しかったのだ。 滑走するということは、日常から解き放たれ、自由になる瞬間なのだ、と。 ティアが俺のいる方へと疾走してくる。 スピードを落とす気配がまったくない。 ……おいおい、何をするつもりだ? 俺の目前、ティアは身体をひねると、スピードはそのままに、片足で踏み切った。 ジャンプ。 高い。 フィギュアスケートの選手のように、両腕を身体に寄せ、回転する。 だが、その回転は複雑で、身体をロールさせながら宙返りもしている。 踏み切りはフィギュアスケートだったが、空中の回転はフリースタイルスキーのエアリアルだ。 木の葉のように宙を舞う。 人間ではありえない長い滞空時間の後、ティアはきれいに着地を決めた。 「あはっ!」 ティアの、短い笑い声が、聞こえた。 あいつ、笑ったのか。 そうか。 知らず、俺の口元からも笑みがこぼれる。 ティアが俺の予想を超える、超絶の技を決めたことも嬉しかった。 でも、それ以上に、ティアが笑えたことが嬉しい。 今まで頑なだった彼女の心が、確かに喜びを感じている証拠だったから。 ■ わたしは、公園をさらに半周して折り返し、マスターの元に戻ってきた。 もう、このレッグパーツの動作は掴んでいた。 ランドスピナーを加速させ、わたしはまた風に乗る。 マスターが待つ公園のベンチの手前でジャンプ! 月面宙返りを決めて、ベンチの上に着地した。 膝を着いていたわたしの頭上から、拍手の音が降り注いだ。 マスター。 マスターが、わたしに拍手をしてくれている……。 見上げると、マスターはいままで見たこともないような笑顔で、わたしを迎えてくれていた。 「想像以上だ。素晴らしかった」 その言葉が、どんなに誇らしかっただろう! わたしは嬉しくて、とても嬉しくて、マスターに気持ちを伝えたいと思う。 「あ、あの……すごく、すごく、楽しかったんです! 走ることが、楽しくて、気持ちよくて、自由で、嬉しくて……!」 自分の口から転がり出た言葉が、あまりにもとりとめなくて、いま興奮していることを自覚する。 マスターは、そんなわたしの拙い言葉を聞いてくれた。 いつものまっすぐな視線でわたしを見ながら。 そして、微笑みを浮かべながら、こうまとめた。 「そのレッグパーツ、気に入ったか?」 「はいっ!」 それはよかった、とマスターはまた笑ってくれた。 次へ> トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2464.html
与太話6 : 第二次戦乙女戦争 それはもはや理由にすらならなかった。 胸の奥に秘めた乱脈を溢れさせたのは、結果。 彼女達戦乙女にとって、この結果こそがすべてだった。 与り知らない意思が一つの決定を下した。 帰結たる決定は彼女達が変貌することと同義だった。 死者を選別する女神は、死者を生み出す死神へ。 羽飾りを返り血で赤く染め、幾多の首を刎ねた剣は鋭さを失っていた。 それでもなお、彼女達は戦場を彷徨い続けた。 結果という終末を繰り返すだけの、行先の無い執念。 広く響くセイレーンの美しい歌声を掻き消すように。 ワルキューレのみっともない僻みの雄叫びが戦場に汚く反響した。 正直なところ、俺はエウクランテの良さをこれっぽっちも理解できない。 怒らないでほしい、誰にだって好みはあるだろう。 社会に跋扈する武装神姫オーナーすべてが、どの神姫であっても愛でられるわけではないはずだ。 アルトレーネだって当然 「パッケージの凛々しい表情に騙された」 などの批判的意見があるわけだし、つまり、コンセプトの異なる神姫を並べてどちらが優れているかと考えるだけ時間の無駄なのだ。 だから決して俺はエウクランテを所持するオーナーに喧嘩を売りたいわけではなく、背比弧域としてはエウクランテよりアルトレーネのほうが良いんじゃないでしょうかと、声高に叫びたいのです。 「だ、だからな、その……」 「分かってますって。心配しなくていいですよマスター」 アルトレーネ再販プロジェクトが頓挫して、その次に同じ道を辿ったはずのエウクランテがどういったわけか再販されることととなり、俺はあの日の狂騒を思い出していた。 不人気と指を刺され目の輝きを失った戦乙女達の、仁義なき戦い。 あの悪夢が再び繰り返されるかと思われたが、エウクランテ再販を知ったエルの反応は予想に反して穏やかだった。 「私は私で、エウクランテはエウクランテです。それにメーカーも違いますしね。私はディオーネの勇気ある号令を待つだけです」 日曜日の正午。 連日の猛暑は今日も和らぐことはなく、パソコンは過剰に熱を持ちブオンブオンと排熱する。 マウスを抱えるようにして操作していたエルはパソコンを離れ、クレイドルに寄りかかった。 「もちろん悔しい気持ちもありますけど、こんなことで自分を見失っちゃったら戦乙女の名折れですからね」 「そっか。いつのまにか成長してたんだな、エル」 「えへへ♪」 自分の神姫がどれほどの人気を集めてるのか、そんなことはエルのデレデレした笑顔を見たらどうでもよくなってくる。 エウクランテが再販されたって俺達に関係はない。 発売予定のゲームのオープニングムービーに何故かアルトレーネの姿が見当たらなくても……いや、これはちょっとどうかと思ったけど。 俺とエルの間にある絆さえしっかりしていれば、他種がどうであれ気に病まなくてもいい。 「でもちょっと気にしちゃいますし、体を動かしてストレス発散したいです」 「じゃあ行くか、神姫センター。もしエウクランテが相手になっても落ち着いて戦えよ」 「あはは、善処します」 そう言ってエルはロングコートを羽織った。 心を持つ神姫は人と同じように過去から学ぶ。 あの日アルトレーネ達によって巻き起こされた第一次戦乙女戦争(あの神姫センターではそう呼ばれている)は多くの神姫のCSCにトラウマを植えつけた代わりに、平和の尊さを広く伝えた。 同じ過ちはもう二度と繰り返さない。 誰もがそう誓った。 そう信じていた。 そして結果的に、信じた俺達はバカだった。 姫乃を誘おうとしたけど、今日は朝から出かけていたらしい。 休日になるとこうしてフラッとボロアパートを抜け出して、一人で電車に乗って旅に出るのが姫乃の趣味だ。 本人は自分探しと言っているが、持ち帰ってくるものは本当の自分などではなくバス釣り用のルアーや賽銭箱に引っかかっていた招き猫の写真など、反応に困るものばかりだ。 一人旅だから俺はもちろんのこと、ニーキすらも置いていく姫乃だった。 「神姫センター行くけど、ニーキも来るか?」 「留守を預かった身だからな、遠慮しておこう」 神姫センター二階バトルスペースはいつもどおり、数台の筐体でドンパチやっていた。 第一次戦乙女戦争のような狂った雰囲気もなく、誰もがバトルに熱中していた。 エルと同じように、誰もが過去の過ちに学び、今を楽しんでいる。 一つの筐体でバトルが終わり、パラパラと拍手が聞こえてきた。 そして順番を待っていたオーナー達が新たに筐体についた。 「マスターマスター、あそこの次のバトルって」 胸ポケットからエルが身を乗り出した。 「アルトレーネ対エウクランテだな」 「これはもうアルトレーネを応援するしかないです。行きましょう」 その筐体のステージは砂漠だった。 アルトレーネ側に近いところで観戦しようとすると、俺の周りの観客もほとんどがアルトレーネとそのオーナーであることに気付いた。 「エウクランテにだけは負けちゃいけないのです! 絶対絶対勝つのです!」 「で、でももし負けちゃったら私達って……」 「そこ! 弱気なことを吐くとはそれでも戦乙女ですか!」 「黙って見てるざぁます。このおニューの胸当てに唾を飛ばさないでほしいざぁます」 「ふぁいと、おーなのです。にぱ~☆」 筐体のもう半分、エウクランテ側にはエウクランテとそのオーナー達が集まっていて、中心で色分けされた筐体にサッカーのスタジアムを思い出す。 頭を一瞬、フーリガンという不吉な単語が過った。 「再販を記念して、絶対勝たなきゃいけないよ!」 「今日さ、マスターの妹に『あたしおおきくなったらえうえうをペットにする~』って言われたんだ……」 「こ、子供の言うことだし悪気はないと思うよ。かわいい妹さんじゃない」 「お前の正義を見せてみろ同胞よ! 熱く激しく燃え上がるんだ!」 「ちょっ、耳元で叫ぶなようるさい」 対戦する神姫二人が砂漠の両端に現れた。 アルトレーネもエウクランテもどちらも標準装備に身を包んでいる。 見た目だけで言えば重装備のアルトレーネに分があるように思われるが、足場の悪い砂漠では空中戦がメインのエウクランテのほうが有利か。 《 G E T R E A D Y ? ―――― A T T A C K ! 》 フリューゲルモードのアルトレーネよりも先に、エウクランテが飛び上がった。 バトルの展開はあまりに一方的だった。 「『 レ ギ ン レ イ ヴ ! 』」 空中戦では手も足も出ないと判断したアルトレーネはスカートを通常形態に戻し、そのままスカート先端の鋏でエウクランテの翼を捉えた。 押さえつけてラッシュを仕掛けようと副椀を引き、それが放たれるより先に、エウクランテは急上昇した。 「わあああっ!?」 エウクランテにぶら下がるように、アルトレーネは高く高く引かれていった。 アルトレーネはエウクランテを捉えたんじゃない。 空を飛ぶ者を、地上からちょっとスカートを伸ばしたくらいで捉えられるはずがない。 アルトレーネは罠に誘われ、乗ってしまっていた。 危機に気づき慌ててスカートを離してしまった瞬間、エウクランテの勝利は確定した。 「『 フ ァ ン ト ム サ ラ ウ ン ド ! 』」 分身したと錯覚してしまうほどの、二刀流による超高速の連続斬撃がアルトレーネを襲った。 観客のこちら側からは悲鳴が、エウクランテ側からは歓声が上がった。 力無く空中に投げ出されたアルトレーネのさらに上、エウクランテは胸の前で剣を交差させた。 「『 ク ロ ス サ ウ ン ド … 』」 先の衝撃から抜け出せていないアルトレーネにダメ押しの十字斬りが叩き込まれた。 「『 エ フ ェ ク ト ォ ! 』」 遙か上空から叩き落とされ、アルトレーネは見てる俺達が怖くなるほどの速度で砂漠へ墜落し、砂塵を巻き上げた。 二人はあまりに格が違いすぎた。 アルトレーネはまだバトル慣れしていないようだったが、それ以上にエウクランテの戦闘技術がずば抜けていた。 デフォルトの武装を装備しているのが不思議なくらい、このエウクランテがかなりの経験を積んでいることは誰の目にも明らかだった。 アルトレーネのLPはまだかろうじて残っているものの、もはや戦闘を継続できる状態ではない。 アルトレーネのオーナーは悔しそうにサレンダーボタンに手を伸ばした――その時。 爆音と共に、再び砂塵が舞った。 「ば、爆発!? アルトレーネが爆発しちゃったのです!」 「いや違う、上だ!」 ギャラリーの一人が指差した先、エウクランテは大型のランチャーを構えていた。 両手に持っていた剣も含め複数の武器で構成されたそれは…… 「『テンペスト!』あの神姫追い討ちをかけやがったざぁます!」 エウクランテはオーバーキルの一撃を放っていた。 これにはさすが抗議の声が上がった。 「ふざけんなよオマエ、どう見たってさっき終わってたじゃねえか!」 「その通りなのです! いくらなんでも酷過ぎるのです!」 「エレガントじゃないざぁます! エレガントじゃないざぁます!」 「おいお前もコイツのマスターなら止めろよ! マナー違反だろうが!」 合体させていた武器『テンペスト』を分解しながら、エウクランテはゆっくりと下降した。 アルトレーネ側のギャラリーからのバッシングを一身に受ける中、しかし顔色ひとつ変えずにボソリと呟いた。 「不人気のくせに」 『いやいやおかしいやろ。そら悪いのは暴言吐いたエウクランテやろうけど、どうやったら大乱闘まで発展するんよ?』 どの筐体からも聞こえてくる崩壊の音と阿鼻叫喚。 「いつまで立っているつもりですか、目障りです! さっさとわたしたちの前に這い蹲るといいのです!」 「またこれかよクソッ! アルトレーネって欠陥品じゃないのか!」 目の輝きを失った戦乙女達による、目も当てられない乱闘劇。 「おまえら再販の話があるだけマシじゃないか! ウチら夏の王者なんて忘ればぎゃっ!?」 「あれ? 今、虫を踏み潰した気がしたのです。でもきっと気のせいなのです」 どの筐体にも多数の神姫が次々と乱入していき、サレンダーボタンにはやはり【何か】が引っかかって押せなくなっていた。 「カグラ、ほむほむ、あの憎たらしい鳥をやっちゃいなさい」 「ホムラと呼――ぬうっ!? 重武装がこれだけ集まるとさすがに厄介だ」 「なんでワガハイばっか狙うにゃ!? ワガハイがなにしたにゃー!!」 アルトレーネ VS その他神姫。 過去に学び努めて冷静だったアルトレーネ達はしかし、心の奥底に溜め込んでいた再販という勝者への嫉妬を【不人気】という言葉で爆発させた。 第一次戦乙女戦争と同じような状況に陥った俺は、やはりあの時と同じように竹さんに電話をかけて泣きついた。 筐体から離れて電話しているが、眺める光景は前回とほとんど同じだ。 この状況まで発展するのにそう時間はかからなかった。 卑劣なオーバーキルで勝利を収め、さらに言ってはいけないことを口に出してしまったエウクランテに制裁を加えようと、怒り狂ったアルトレーネ達は筐体へと入っていった。 それを見たエウクランテ側も制止に入ろうと乱入していった。 いい加減この自由に乱入できるシステムはなんとかしたほうがいいと思う。 『んで、そのエウクランテはどうなったん?』 「速攻でリタイヤした。いくら強くても十数人から一斉攻撃されちゃなあ」 制止を振り切った数多の攻撃がエウクランテに届く直前、あの鉄面皮が剥がれ 「ヒッ!?」 と短く悲鳴を上げたのは痛快だった。 同族により筐体の外へ担がれていったボロ雑巾はオーナーの手に渡り、オーナーは逃げるようにバトルフロアから去っていった。 もう二度と、彼をこの神姫センターで見ることはないだろう。 これにて一件落着……とはいかなかった。 筐体に乱入したアルトレーネ達とエウクランテ達が小競り合いを始めたのだ。 『アルトレーネもエウクランテもそんなケンカっ早い性格やないと思うんやけど』 「それとこれとは話が別だぜ竹さん。注文数が足りずに再販されなかった神姫が、同じく注文数不足だったにもかかわらず再販権を掴んだ神姫に【不人気】と言われたんだ。これは十分な理由になるだろ」 「いや、うん……そんなもんかねぇ」 今回は明らかにボロ雑巾に非があった。 それは残ったエウクランテ達も分かっていただろうし、アルトレーネだって事を大きくするつもりなんてなかったはずだ。 砂塵の中で一瞬だけ睨み合った彼女達は互いに背を向け、筐体から出ていくはずだった。 あの発言さえなければ。 『なに言われたん?』 「エウクランテの一人がさ、『ちょっと今のはやりすぎでしょ。自分達が再販されなかったからって僻んでるんじゃないの』ってね」 『それでキレたんやね、エル達は』 「そうなんだよ。ストレス発散のために来たってのに、逆にストレスが限界突破したぜ」 エウクランテをボロ雑巾にした攻撃のうち半数がアルトレーネおなじみの『ゲイルスケイグル』で、その中にはエルの剣も混じっていた。 エルは今、砂漠に埋もれかかった瓦礫を足場にフィールド上を駆け回り手当たり次第神姫を襲っている。 前回と違って見通しが良いから見失うことはないけど、だからといって俺に出来ることは何も無かった。 『怒り狂ったアルトレーネとエウクランテが暴れて、それに感化されるなり止めようとするなり面白半分で乱入する神姫がどんどん増えていって、今に至るってわけ?』 「いえーすざっつらいと」 『第二次戦乙女戦争勃発やね。このまま三次四次って続けて、そこの神姫センターの名物にしたらどうかね』 「投げ遣りなこと言わないでさ、頼むよ竹さん、また今度も助けてくれないか」 『そうしたいんは山々なんやけど、今ちょっと仕事で遠出しとるんよ』 「仕事って物売屋の?」 『そ。犬が一瞬で猫になる現象を解明せんといかんのよ』 犬が? 猫に? なんだって? 『コタマも連れてきとるし、ホントにごめんやけど私は力になれんわ。兄貴がおったら楽に解決できそうやけど今日はマシロ連れて出かけとるしねえ』 電話の向こうでう~んと悩んでくれている竹さんにこれ以上頼むのは申し訳ないと思った。 「仕事の邪魔して申し訳ない。自分でどうにかしてみる」 『ちょうど休憩しとったとこやし大丈夫よ。でもあんま無理しちゃいかんからね』 「無理して止めたら恨みを買いまくりそうだ」 お礼を言って、通話を切った。 さて、竹さんが駄目となると次にかける先は決まっている。 電話をかけると、同じタイミングで二階と一階をつなぐ階段からピリリリリr…と着信音が聞こえてきた。 丁度階段を上がってきたしょっぱい顔の男は、ポケットから携帯を取り出し確認して、流れるような動作で携帯をポケットにしまった。 「おいコラ、電話が鳴ったら出ろよ」 電話をかけた俺が目の前に現れたのがよほど嬉しいのか、貞方は顔をおもいっきりしかめて「チッ」と舌打ちした。 「ストーカー行為ってか? 背比お前こんなことして一ノ傘さんに申し訳ないと思わねぇのか」 「自分にストーキングされる価値があるとか勘違いすんなよクソが」 「あ、あの、喧嘩はよくないと思います」 「無駄だよハナ姉、この二人の罵り合いはもう挨拶みたいなものだもん」 貞方は左右の肩にハウリン型ハナコとアルトアイネス型のメルを乗せていた。 姫乃お手製の赤いボロボロのマントを羽織った『ちびっ子ヒーロー』のようなメルとはよく顔を合わせていたが、ハナコは随分と久しぶりだ。 具体的に言うと俺がエルと出会って姫乃貞方と花見をした日以来だ。 (おかげさまで そうだ、神姫を買いに行こう~4/4 を投稿してから200日が経過しました。ここまでお付き合い頂きありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します にゃー ) 「ようハナコ、久しぶりだな。検査してたんだって? 元気そうでなによりだ」 「はい。背比さんもお変わりなく」 ハナコは貞方の肩の上でペコリとお辞儀した。 相変わらず素直な良い子だ。 「で? 電話の用事は………………またコレかよ」 「エル姉もやっぱりいるんだよね、あの中に」 メルが指差した筐体のうち一つで、もう何度目になるかも分からない大爆発が起こった。 「いえーすざっつらいと」 「もう、なにやってんのさエル姉! お兄さんもちゃんとエル姉の手綱握ってないとダメでしょ!」 今回はちゃんと理由があったんだと言い訳しようとしたけど、言ったところで 「言い訳しないの!」 とさらに怒られそうだったから素直に謝った。 それにメルにはまた前のようにエルの正気を取り戻してもらわないといけないし、ここは少しでも機嫌を伺っておいたほうがいいだろう。 「まさか背比お前、またメルをあの中に投下しようとか考えてないだろうな」 「いえーすざっつらいと」 「最悪だなお前……また竹櫛さんに頼めばいいだろ、俺は知らん」 引き返そうとする貞方を留めようと手を引くと、貞方の両肩のエルとハナコが落ちそうになった。 「そう言うなよ、ここまで来たんだからちょっとくらい付き合えって」 「嫌に決まってんだろアホが。だいたいお前が――」 言いかけて、貞方は少しの間思案した。 考える姿が気色悪い。 「――いや、丁度いいかもな。ハナコ、腕が鈍ってないか試してみるか」 ハナコの返事を待たずに貞方はアタッシュケースを開いた。 その中に黒いスポンジが敷かれていて、神姫用のパーツが整然と並んでいた。 メルが使う可変スカートや、その中に隠す多種多様の武器も見受けられる。 貞方はケースの中から一塊のパーツを取り出した。 「なんだそりゃ。パイルバンカーか?」 「は? 槍に決まってるだろうが」 あまりにも貞方が当然のように言うものだから俺が間違えたような気になってしまうが、俺の知る【槍】は細長い棒の先に刃物がついているもので、それは決してバズーカの先から申し訳程度に尖った何かが覗いているような代物ではない。 バズーカのような部分にもゴテゴテと機器が付いている。 あれはグレネードランチャーだろうか。 俺はてっきり、グレネードランチャーはアサルトライフルの銃身の下に取り付けられるものと思っていた。 まさか槍にまで付く時代が来るとは、いやはや兵器の進化(退化?)はすごい。 このゴツい槍もどき以外の防具は普通のハウリンのものだった。 丸っこいデザインの防具をテキパキ装備するハナコは「この武装も久しぶりです」とやる気十分だった。 「貞方お前、検査上がりのハナコをこんな戦場に放り出すとか鬼かよ。勘を取り戻すためならもうちょいマシなやり方があるだろ」 未だ衰えることを知らないアルトレーネ達の狂気が充満する筐体に、健気なわん子を向かわせるなんて残虐非道にも程がある。 「お兄さんボクを戦わせようとしたよね……ボクはいいんだ……」 「あ、いや、そういうわけじゃなくてだな」 「なんてね、冗談。ハナ姉なら大丈夫だよ。そっか、お兄さんは知らないんだ」 「何を?」 早くも準備を終えたハナコを抱えたアタッシュケースに乗せた貞方は、手近な筐体に近づいた。 そして「攻撃してもいいんだぞ」「すみません、攻撃はやっぱりちょっと」と軽いやりとりの後、ハナコは混沌真っ只中の森林のステージへと足を踏み入れた。 貞方の肩の上、メルは得意気にこう言った。 「ハナ姉はね、この辺りで【ディフェンダー】って呼ばれてるんだよ」 『ディフェンダーね、結構有名やよ』 昼間の暑さが多少和らいだ午後十時。 クレイドルの上で自主的に正座しているエルを尻目に、竹さんに今日の顛末を教えとこうと電話した。 しかしまさか、ハナコがあそこまで凄いとは想像もしなかった。 森林のステージへ踏み入ったハナコは森へは入らず、森を二分割する川に沿ってステージ中心まで歩いていった。 第一次戦争でエルとメルが戦った場所に近い。 ステージのほぼ全域が木に覆われて見通しが悪い中、唯一障害物の無い川沿いを歩く神姫は格好の的になってしまう。 そこをあえて歩くハナコに目をつけた数対のアルトレーネは一斉に飛びかかった。 前から後ろから、右から左から、さらに上から襲い来る恥も外聞もない攻撃を、ハナコは完全に止めきった。 ハナコが持つゴツい槍もどきから複数のギミックが同時に解放され、ハナコを守ったのだ。 でも本当に凄いのはそれからだった。 それだけ高性能(と呼んでいいのかも分からないが)な槍もどきを持っておきながら、ハナコはアルトレーネ達から繰り出される攻撃をひたすら防御するだけで、能動的な攻撃を一切行わなかったのだ。 躍起になったアルトレーネが攻撃をさらに激化しようと、ハナコを襲う者が次から次に増えようと、ハナコは防御に徹していた。 そしてアルトレーネ達のほうが疲弊し毒気が抜け切るまで、ハナコが傷ひとつ負うことはなかった。 「貞方を褒めるわけじゃないけど、あれは凄いとしか言い様が無いわ。つーか、今までそのディフェンダーって二つ名を聞かなかったことが不思議でならん」 『ハナコって全然攻撃せんやろ? でも絶対攻撃喰らわんし、普通にバトっても勝負にならんのよ。やから貞方もあんまし戦わせんらしい。ハナコがあんましバトル好きやないってのもあるらしいけど』 「なるほどねえ。じゃあハナコって勝つことはないけど絶対に負けないんだ」 『いや、普通に負けとるよ』 攻撃を一切受けないのに、どうやって負けるんだ。 ダメージを負ってもないのに降参するわけもないし、判定負けだろうか。 『相手が例えば 「じゃんけんで勝負だ!」 とか言うやん? ハナコって優しくてそれに乗ってしまうんよ』 「しょうもない!」 そんな勝ち方で相手は満足するんだろうか。 一応二つ名を持つくらいの神姫相手に勝ち星を付けられるんだから、自慢にはなるだろうけど。 「コタマとハナコって勝負したことある?」 『無いね。やってみたら面白そうやけど』 冗談のような攻撃力と凄い防御力か。 矛盾って言葉ができたエピソードっぽいな。 「ドールマスターとかディフェンダーとか、二つ名っていっぱいあんの?」 『いや、他は聞いたことないねえ。エルにカッコイイ二つ名つけて名乗らせてみたら?』 「コタマとハナコに並ぶ神姫なんてそうそういないっての」 しょぼくれて正座する戦乙女が 【ソニックフリーク】 とか呼ばれてたら恥ずかしくて神姫センターに出入りできない。 しかし便利だな、この二つ名メーカー。 《エル》 と入力したら 《疾風戦機(ソニックフリーク)》 って出てきたけど結構それらしくないか。 『しっかし不人気ねぇ。コタマも今日そのことでギャーギャー騒いどったけど、人気ってそんな大切なもんかねえ』 「そりゃあ大切だろ。エルに聞いたわけじゃないけど、自分と同じタイプが人気出たら嬉しいに決まってる。竹さんだって、子供の頃 『アイドル歌手になりたい』 とか思わなかった?」 『こ、子供の頃? そ、それって、その、小学生とか?』 「いや、小学生に限定しなくてもいいけど」 『……まぁ、でも、可愛いものに憧れるってのはあったかもしれんけど』 これ以上は言いたくないらしく、竹さんは電話の向こうで口籠ってしまった。 神姫は戦うよう作られているけれど、同時にアイドルでもある。 戦って勝つためならゴリラのような大男でも作って鈍器やら自動小銃でも持たせればいいけど、誰だってそんなものは望んでいない。 人から望まれるように、彼女達武装神姫は存在する。 望まれることそのものが、彼女達にとってステータスの一つになる。 「ごめんな竹さん、今日は仕事の邪魔しちゃって」 『ん? 大丈夫やって、無事解決したし』 「解決って、昼間言ってたよくわからん事件だよな」 犬が猫になる? いや猫が犬になる? ああもうわけわからん。 「そうそう聞いてよ。その事件がねえ――――」 それからたっぷり二時間は竹さんと電話していた。 通話中ずっとチワワのように目を潤ませ何かを訴えていたエルの脚は限界を超えて、もはや自力で正座を崩すこともできなくなっていた。 こんなどうでもいい部分まで人体を再現するとは、恐るべし武装神姫。 開発者の努力に最大限の敬意を払いつつ、エルの脚を指でつついた。 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―― ― ― ― ― ― ― エウクランテを悪役として登場させてしまいましたが、恨みがあるわけではありません。 不快に思われた方がいらっしゃいましたら、申し訳ありません。 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―― ― ― ― ― ― ― エウクランテ再販ですか。 アルトレーネは? ねぇアルトレーネは? でもそれ以上に、 な ぜ 再 販 決 め た し 再販プロジェクトで需要調査して、あれくらいの数なら利益出るってことだったんでしょうか。 商売というものはよく分かりません。 それと、もうベルンシリーズはお腹いっぱいです。 15cm程度の死闘トップへ