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【元ネタ】史実 【CLASS】キャスター 【マスター】 【真名】ロナルド・ノックス 【性別】男 【身長・体重】189cm・88kg 【属性】秩序・善 【ステータス】筋力D 耐久B 敏捷C 魔力A 幸運B 宝具B 【クラス別スキル】 陣地作成:D 魔術師としての技量こそ持たないが、自らに有利な陣地を作り上げることが可能。 ”結界”の形成が可能。 【固有スキル】 洗礼詠唱:B キリスト教における“神の教え”を基盤とする魔術。 その特性上、霊的・魔的なモノに対しては絶大な威力を持つ。 生前、英国カトリック教会二位の大司教であった彼は高位の詠唱を会得している。 高速詠唱:E- 魔術詠唱を早める技術。 彼の場合、筆が早くなる以外の恩恵は無い。 ミステリ思考:B 話をミステリのように受け止め、曲解する。 会話がやや難航するが、その代わり自身の思考に自信を持つ様になり、その思考を覆さなくなる。 【宝具】 『ミステリ大原則(ノックス・ロウ)』 ランク:A~C 種別:対人・対軍・対神秘宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:20 ノックスの産み出したミステリの大原則たる十の決まり。 それら全てが彼の周りを回る本に記されている。これらの本は同時には使うことができない。 第一の本は『登場人物は物語最初に現れた者のみ』の本。発動することで、現在戦っている敵サーヴァント以外の闖入者を禁ずる。但し、自分以外のサーヴァントがいないと発動できない制約が課せられている。 第二の本は『探偵の超自然能力の使用禁止』の本。誰か一人の神秘を打ち消す。 第三の本は『二つ以上の秘密通路の存在を禁ずる』本。自分以外の逃走を禁止する。 第四の本は『未知の薬物及び難解な科学装置の使用禁止』の本。超科学や現代科学に於いて解明出来ない薬物の使用を制限する。 第五の本は『中国人を登場させてはいけない』本。ここで言う中国人とは超能力者の事。自分含めた範囲内全員の神秘を打ち消す自爆系効果。 また、中国人に対してこれをブロークン・ファンタズムしてやると、霊核を消滅させることが出来る。対中華最終兵器。 第六の本は『探偵は偶然・第六感に頼ってはならない』本。範囲内全員の直感系スキルを消す。 第七の本は『探偵は犯人であってはならない』本。この本を貸し与えることで、直接危害を加えることを禁止するギアスの役割を果たす。 第八の本は『探偵が推理する手がかりは既に提示されているものでなければならない』本。啓示や真名看破などのスキルによる真名バレを防ぐ。 第九の本は『物語の語り部はその主観を読者に公開しなければならない』本。接触したサーヴァントの心中を読み取る。 第十の本は『双子・一人二役は読者に知られていなければならない』本。スキルによる隠蔽を無効にする。 また、これらの本はそれぞれブロークン・ファンタズムできる。彼はこの宝具に対して何の感慨も持っていない為、頼んだらやってくれる。 【Weapon】黒鍵 【解説】 ロナルド・ノックスはミステリの大原則たるノックス十戒を作った英国の聖職者かつ神学者でありミステリ作家。 しかし、ロナルド・ノックスはミステリ作家が本職ではない。かれは英国人カトリック教会の大司教にまで上り詰めたことのある、英国二位の司教である。 実際、彼が書いていた小説は周囲には良い顔をされず、1942年にその筆を絶っている。しかしそれでも、彼の作った原則は消えることは無かったのだ。 洗礼詠唱のスキルから分かる通り、彼は型月世界では聖堂教会に勤めていた。その為、武装も黒鍵であり、彼の黒鍵投擲は中々のもの。 聖杯に賭ける願いは特に無い。触媒召喚されないと基本的に現界しない。
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【元ネタ】ケルト神話 【CLASS】ランサー 【マスター】 【真名】ルー・マク・エスリン 【性別】男性 【身長・体重】205cm・89kg 【属性】中立・善 【ステータス】筋力A 耐久B 敏捷A+ 魔力EX 幸運B 宝具B+ 【クラス別スキル】 対魔力:A A以下の魔術は全てキャンセル。 事実上、現代の魔術師ではランサーに傷をつけられない。 【固有スキル】 善神の智慧:A+ 「百芸に通じた(サウィルダーナハ)」その叡智を示すスキル。 肉体面での負荷(神性など)や英雄が独自に所有するものを除く多くのスキルを、Aランクの習熟度で発揮可能。 他サーヴァントへ付与することも可能。充分な魔力を有していれば、サーヴァントではない存在にも付与できる。 本来は権能の一種だが、分霊として現界しているためスキルへ劣化している。 伝承どおり虫への変化や千里眼による予言も可能。 魔力放出(炎):A 武器・自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出する事によって能力を向上させるスキル。 ルーの場合、燃え盛る炎が魔力となって使用武器に宿る。 黄金律:A 身体の黄金比ではなく、人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。 様々な財宝を賜り、あるいは賠償として受け取ったと言われる財運も現す。 神性:EX 神霊適性を持つかどうか。 太陽神の分霊ではあるが人間に憑依しているわけではないためEXランクとなる。 【宝具】 『陽光の車輪(エオフ・バルヘ)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:30人 クー・フーリンをも阻んだ影の国の底なし沼をたちどころに干上がらせ、炎の轍道を作り上げた車輪。 転がす事で担い手以外を浄化し闇を払う炎の輝きを纏う。 毒や呪いと言われるものに対して絶大な効果を発揮する上に、その光輝と熱量はそれ自体武器としても機能しうるだろう。 『轟く双星(フォガ・フォガブラギ)』 ランク:B+ 種別:対軍宝具 レンジ:5~40 最大捕捉:50人 本来の宝具『轟く五星』の劣化版。クー・フーリンに代わって戦った時に振るった刺股の投槍。 投擲する事で二条の光芒となり、敵陣を吹き飛ばす。その威力と命中精度は共に『突き穿つ死翔の槍』とほぼ同等。 ただし、命中性を裏付けるのは因果逆転の呪いではなく、千里眼による未来測定と自然現象の操作。 必中の投擲軌道をあらかじめ選定し、軌道を逸しうる外的要因(強風など)を操作して、結果として相手に命中させる、というものになる。 その為、魔力消費量は『突き穿つ死翔の槍』より莫大である。 【Weapon】 『五尖槍』 五つの矛先を持つ槍。本来の宝具『轟く五星』とは別物。 【解説】 ダーナ神族の光の神。二つ名は長腕のルー。 工芸・武術・詩吟・古史・医術・魔術など全技能に秀で「サウィルダーナハ(百芸に通じた)」の異名を取る。 ケルトの大英雄クー・フーリンの父でもあり、 サーヴァントとして呼ばれる場合は、彼を手助けした時の分霊としての姿を取る。 医術の神ディアン・ケヒトの孫にして、フォモール神族の邪神バロールの孫。 父親のキアンは、トゥレンの子らに殺され、ルーはその賠償として魔法の槍や犬などの数々の財宝を求めた。 ダーナ神族とフォモール神族が相争った際には、かつて賠償として得た財宝を携えてダーナ神族に味方し、 フォモール神族に属する祖父バロールを討ち取った。 また、アルスターの王コンホヴォルの妹デヒテラとの間に一子を設け、セタンタと名付けさせた。 後にセタンタはクー・フーリンと名乗り、アルスター第一の英雄として名を馳せることとなるが、ルーは陰日向にこの息子をサポートした。 影の国への旅路では炎の車輪を授け、クーリーの牛争いでは疲労困憊したクー・フーリンが休んでいる間、 姿を変えて代わりに戦った事もある。 その最期はケルマットの三人の息子に殺されるというものだったという。 自身の妻と不倫を働いたケルマットをルーは誅殺したが、その復讐としてケルマットの息子らに殺された、と。 本来神霊である彼がサーヴァントの枠組みに何とか留まれているのは、 クー・フーリンが休んでいる間、代理として戦った時の姿・分霊であるため。それ故、能力は相当劣化している。
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起きて最初に確認したのは、全身のけだるさと魔術回路の痛みだった。 目覚まし時計を見てみると、既に昼過ぎになっている。 「まあ、今日は学校休むように連絡したからいいけど」 やはり、身体の調子が悪い。原因は分かっていた。 「あんた、魔力食い過ぎなのよ。バカスカ、バカスカ、フードファイターじゃないんだから」 「◆◆―――◆◆◆◆―――◆◆◆―――」 光の粒子が集まり、昨日召喚した狂戦士が顕現した。 何に苛立っているのか、唸り声を上げて部屋の中を歩き回っている。 召喚した当初は大変だった。いきなり暴れ回り、工房を半壊させた後、敵を求めて彷徨い、危うく家の外に出るところだったこのサーヴァントを制御できたのは、やはり凛の素質によるたまものだった。 意思疎通は簡単な命令以外無理にしても、魔力供給の量を調節することによって、ある程度動きを抑制させることはできる。 「吸い取ってる分だけは働いて貰うわよ。霊体化しなさい」 命令した上で魔力供給を少なくすると、自然とバーサーカーの身体が薄れてくる。完全に姿が消えたのを見計らい、凛はコートを羽織った。 庭に出る。昼の日射しは消耗した身体に、僅かなりとも活力を与えてくれているような気がした。 外出の目的は、セカンドオーナーとして冬木市内の見回りと、参加者として各陣営の威力偵察。 「……柳洞寺に異常は無し。てっきりキャスター辺りが陣地にしているかと思ったけど」 冬木は表向き平穏を守っている。前回の戦争では酷い被害が出たことから、今回も同じようなことが起きるかと危惧していたが、杞憂に終わったらしい……今のところは、だが。 一日中街中を見回ったが、どのサーヴァントの姿も見られない。使い魔も放ったが、結果は変わらない。 「穴蔵決め込んでるのかしら?」 凛は西日を見た。もうじきに日が暮れる。聖杯戦争は人目につかないために、戦闘はあくまで夜に行われる。と、いうことになっている。 いつ戦闘が始まっても、闘う覚悟はできているが、正直に言えばバーサーカーの制御にもう少し時間が欲しいところだ。 最後の見回り場所に立ち寄って、結界のある遠坂の屋敷に戻った方がいいだろう。 凛は、当初から決めていた最後の見回り場所を見上げた。 穂群原学園。 校舎の屋上から、街を見渡す。家々の明かりが灯り、夜の世界にも人がいることを感じさせてくれる。 「だけど、ここからは魔術師の時間よ」 決意と共に夜景を見渡すが、校舎にも異常は無かった。そろそろ帰ってもいいだろうと思ったとき、夜の校庭から不審な音が聞こえることに気がつく。 はっとした凛は、遠見の魔術で状況を観察する。 明らかに異常な量の神秘を内包した男と女、その後ろに居る子供は銀髪と紅眼を持っている。 「……アインツベルンのホムンクルスと、サーヴァント」 向かい合った正面にもサーヴァントらしい女がいる。そして、その場にいる人物が判明した瞬間、驚愕で呼吸が止まった。 「衛宮君……?」 『あの娘』が一緒に笑いあっている相手。 「三枝さん、氷室さん、蒔寺さん」 知り合い。魔術師では無く、一人の人間としての遠坂凛の知り合い。 なぜ、彼等がいるのか。考える間もなく、剣を持った男が彼等の方に近づく。 反射的に凛はバーサーカーを顕現させ、叫ぶ。 「バーサーカー、ぶっ倒しなさい!」 「◆◆◆◆―――◆◆◆◆◆◆―――◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 咆吼して飛び降りたバーサーカーに数秒遅れて、凛もまた飛び降りる。 「こんばんは、かしら。衛宮君、三枝さん」 呆けた表情をしている知り合いに、努めていつもと変わらない『遠坂凛』としての顔を見せた。 「はじめまして、それともお久しぶりと言った方がいいかしら、アインツベルンさん?」 冬木のセカンドオーナーとしての貫禄を見せ、魔術師の少女は眼前の敵に僅かに微笑んだ。 「ええ、そしてさようならを始めましょう」 アインツベルンのマスター、二騎との契約という法外な技を見せる少女は、天真爛漫な笑顔を崩さない。 互いの従卒が前に出る。口火を切ったのはセイバーだった。 「宝具を使われる前に倒させて貰うぞ。狂戦士(ベルセルク)!!」 閃光のような斬撃が、バーサーカーの心臓を狙う。その速さにバーサーカーは反応できずに、魔剣がバーサーカーの心臓に吸い込まれていく。 「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!!!!!!」 だが、バーサーカーへの攻撃をしかけたセイバーは、即座に飛び退いた。今まで居た場所の地面を、バーサーカーの持つ槍が突き刺し、校庭に地割れを作る。 剣を構えたセイバーは、バーサーカーの前に立つ。その表情に軽い驚きが生まれた。 「……それがタネか」 バーサーカーの胸部が、変色している。今まで人肌の色をしていた皮膚は、土器のような質感と配色に変貌していた。 その変化は、ビキビキという不快な音と共に、瞬く間に全身を覆う、数秒も経たずにバーサーカーは両眼と口以外の全身が土色の皮膚に包まれた姿となった。口の部分が裂けたように大きく開く。 「◆◆◆◆◆◆―――◆◆◆―――◆◆◆―――!!!!!!!!!!」 両眼を狂気にギラつかせ、大口を開けて叫ぶバーサーカーは、その姿と相まって正に怪獣の外見となっていた。 「吠えるな、やかましい!」 セイバーの斬撃が連続してバーサーカーを襲う。 頭部、眼球、腹部、両腕、踵、胸部、首、背中……ありとあらゆる部位にかけられた総攻撃は、しかしバーサーカーにダメージを与えられていない。 勢いを全く落とさずにバーサーカーの攻撃がセイバーを襲う。 マシンガンのような斬撃を放つセイバーは間違いなく超越した存在だ。 だが、それならばそのセイバーの攻撃を正面から受け止めて平気でいるバーサーカーは何者なのか。 埒があかないと悟ったか、セイバーは片脚でバーサーカーの頭を蹴りつけて後退する。 「◆◆◆◆◆◆◆……◆◆◆◆◆……◆◆」 「イリヤ」 バーサーカーの視線から隠すようにイリヤの前に立つ剣士は、自分のマスターに話しかけた。 「まだ、戦争は始まったばかりだが、あのバーサーカーは手強い」 そこで、セイバーは言葉を句切った。 「宝具を使っていいか」 うーん、とイリヤは腕組みして、少しの間考える素振りをした。 「まあ、いいでしょう。弱点がばれたところで、ランサーがいるから心配は無いわ」 マスターの言葉に、セイバーは満足げな表情を見せる。そして、剣を構え直した。 「いくぞ。狂犬。身体の硬さが自慢らしいが、竜以上かどうか見てやる」 瞬間、セイバーが持つ剣の刀身が陽炎のように揺らめき、黄金の光を爆発するように放った。 宝具とは人間の幻想を骨子に作られた幻想。英霊が持つ物質化した奇跡であり、いずれも強力な兵装だと、士郎は最初にキャスターから聞いていた。 だが、聞くのと実際に見るのとでは迫力が違う。思わず後ずさりをする程その光景は凄まじい。 「あれが、セイバーの宝具」 呆然とするキャスターの視線の先には、恒星の輝きがあった。全てを焼き尽くす太陽。それが剣の形状をしている。離れているこっちにまで熱が伝わってくる。 セイバーは絶対の自信を表情に見せ、剣を振りかぶった。その圧力だけで突風が巻き起こる。 「運命られし―――」 必殺の一撃を前にしても、バーサーカーは退こうとしない。退く、という回路自体が無いのかも知れない。 「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!!!!!!!!!」 その姿にセイバーは敬意を覚えたか、それとも覚えたのは哀れみか、一切の躊躇無く、振り抜いた。 「―――破滅の剣(グラム)!」 太陽が、爆発した。 太陽剣グラム。 かつて神々の王オーディンが英雄シグムントに与え、その後その英雄の息子の手に渡った魔剣。 神によって与えられ、小人によって鍛え直され、そして邪竜を討ち果たした剣。 その担い手はシグルド。鳥の言葉を理解し、不死身の身体を持ち、無双の力を誇る大英雄である。 太陽剣の爆裂は、空を切り、周囲を爆炎に包み込んだ。 「……大丈夫か!」 「う、うん」 「生きているのが不思議だわ」 由紀香とキャスターの無事な声に、安堵する士郎は、視線を戦場に向ける。 かつて、体育祭や部活で賑わった校庭の面影は何処にも無かった。 地割れがあちこちで亀裂を造り、地殻変動を思わせる程の変化をもたらしている。 無事な地面は殆どが炎上し、あるいは高熱に晒され溶解していた。 振り返って校舎を見ると、全ての窓ガラスが割れ、外壁は黒く変色している。昔テレビで見た、火山の噴火で全焼した建物を彷彿とさせた。 文字通りの、超攻撃。戦略兵器に匹敵する攻撃は、しかし士郎達に軽傷すら与えていなかった。 攻撃を放ったセイバー自身も、驚愕の表情を形作っている。その視線は眼前のサーヴァントを捉えていた。 あれほどの攻撃を受けていながら、バーサーカーは立っていた。陶器にヒビが入るような音が響き、その異形の皮膚が剥がれ落ちていく。僅かな時間で狂気に囚われてはいるものの元の人間らしい姿に戻ったバーサーカーは、そのまま眼光をセイバーに向けた。 士郎は理解した。自分達も飲み込むはずだった攻撃は、全てバーサーカーが耐え抜いたのだ。 自分達の生命を死守したサーヴァントの隣に、マスターの少女が立つ。 「……『耐えろ』って命令、聞いてくれたみたいね」 魔力を相当量持って行かれたらしい、遠坂凛の額には汗が浮かんでいた。片手に刻まれた令呪の一画がかき消されたように消えている。セイバーは合点がいった。というように頷いた。 「令呪で、サーヴァントの力をブーストさせたか」 「涼しい顔しているけどいいの?私はあんたの真名が分かったのよ」 「分かったからどうした?名前が知れただけで死ぬわけじゃ無い」 セイバー―――北欧の大英雄、シグルドは、慌てること無く、魔剣を一閃した。 パリン。 硝子が割れたような軽い音と共に、刀身が砕け散る。柄だけになったそれを鞘に戻すと、セイバーは拳を握りしめた。 「刀身が元に戻るまで、素手で持ちこたえる自信はある」 「いや、今度は私が闘おう」 前に進み出たのは、長槍を手にした女戦士だ。ランサーは槍をバーサーカーに向ける。 「兜に装着してある白鳥の羽と、槍、シグルドってことは……懲りないわね。また自分の男を殺す気?」 茶化すような凛の言葉に対し、怒気が膨れ上がった。セイバーとランサーのものであることは言うまでも無い。 「俺の女を、侮辱しないで貰おうか」 「その舌を串刺しにしてやろうか?魔術師」 「バーサーカー、セイバーの背後をとって倒しなさい」 英霊二人の怒気に対し、凛は何処吹く風とバーサーカーに指示を出した。ランサーの怒気がますます膨れ上がる。 「私がさせると思うか?」 「ええ、思うわよ。だからキャスター、衛宮君」 話を振られた士郎は木刀を持ち、キャスターは自らの宝具である書物を取り出す。 「これで二対二。加えてそちらのセイバーは剣が使えない。それほど分の悪い勝負じゃ無いわ」 堂々と言い放つ凛に対し、ランサーは冷たい眼差しで槍を構えた。 「いいだろう。その誤った認識から焼き尽くしてくれる」 第二回戦が始まろうとしていた。 『運命られし破滅の剣(グラム)』の余波によって、校舎の屋上も鉄柵が折れ曲がり、床が剥がれるなどの被害に見舞われていたが、そのようなことを気にもせず、そこにいた存在は眼下の戦いを監視していた。 「何て威力、これがシグルドの宝具とは」 「ああ、恐ろしい力だ。俺なら余波だけで消滅するだろう」 スーツ姿の麗人と、白い防寒着を着込んだ男がそこに立っていた。 「でも、おかげでセイバーの真名が知れたわ。いや、マスターを仕留めれば全て終わる」 あれほどの大英雄ならば、維持にかかる魔力も膨大なものだ。ランサーも従えているとなれば、マスターが落命すれば、次のマスターを見つける暇も契約を結ぶ暇も無く消滅するだろう。 「今、攻撃するのか。バゼット」 これまで戦闘の推移を監視していた自分のサーヴァントに、バゼットと呼ばれた女性は指示を与える。 「ええ、アサシン。標的はアインツベルンのホムンクルスです。銀髪の少女を狙いなさい」 「了解」 アサシンと呼ばれたサーヴァントは肯定の意を返し、短めの小銃を構えた。 銃口はピクリとも動かず、正確に標的に狙いを付けている。 このサーヴァントが狙いをつける姿に、バゼット・フラガ・マクレミッツは常に緊張を覚える。 彼は戦いなどしない。ただ死を与えるだけだ。まさに死神。 ギリースーツを死神のマントに錯覚する程、彼は濃密な死の気配を漂わせていた。 命を刈り取る弾丸が放たれるまで、後数秒―――。 「凄い……」 剣士の青年。 槍を持った女性。 怪獣のような戦士。 魔法を使う女性。 人形のように可愛い少女。 いつも見る顔で、そしていつもとは決定的に違う姿を見せる二人。 全てが由紀香には理解できず、それがとにかく凄かった。 三枝由紀香はただの一般人だ。戦いなどテレビアニメの中でしか見たことが無かったし、そもそもこんな世界が現実にあるなどと少しも考えていなかった。 思わず、自分の頬をつねってみるが、頬が痛いだけで壊れた学校も目の前の戦いも依然としてそこにある。 つまり、これは夢でも何でも無くまぎれもない現実なのだ。 「いってぇ……あれ、あたし学校から家に帰って……」 「む、蒔の字か……由紀香までどうした?」 「蒔ちゃん、鐘ちゃん!気がついたんだね!」 地面に寝かせておいた二人の覚醒に、由紀香は喜びの声を上げる。同時に、頭の犬耳がピコピコと動いた。 「あれ、その耳どうしたの由紀っち。何かのパーティーグッズ……ん?」 「それにしてはリアルだな。まるで頭から直接生えているような……む?」 楓は鐘の背にある翼を、鐘は黄金色の獣毛が生えた楓の手足をそれぞれ凝視する。 「「……コスプレか」」 少しの間沈黙が流れ、お互いが自分の身体に起こっている異変に気づき、翼を引っ張ったり毛を抜こうとしたりする。そしてそれが紛れもない生身だと判り――― 「「なんじゃあ。こりゃあああああああああああああ!!!!!!??????」」 「そりゃあたしは黒豹だけどさ、だからって身体が動物になるか、オイ!改造人間か?サイボーグか?はっ、まさかこれは悪の組織の仕業か?許せん!!」 「親の因果が子に報い……何かのたたりか?それとも蒔の字の言うとおり、悪の秘密結社に改造された……だとすれば、これから孤独な戦いを強いられて……!」 黒豹少女蒔寺楓は思いっきり混乱し、普段は冷静な氷室鐘も、間違いなく混乱している。 「まっ、蒔ちゃん、鐘ちゃん、落ち着いて。とにかく今は……」 鐘と楓の混乱を宥めているとき、由紀香は、戦闘の続きを見る。 「いいわ。ランサー、セイバー。剣一つ無くなったぐらいで最優の称号は砕けないことを教えてやりなさい」 自身の危険など、考えもしていないのだろう。イリヤスフィールと自己紹介した少女は、余裕で武器を持った男女に命令した。 その姿をじっと見ていた由紀香は―――『何か』がやってくると気がついた。 それは、きっと良くないモノで、ここにいる誰かを傷つけようとするモノで、そして、今この場では自分以外誰もその良くないモノに気づいていない。 何故か視線が校舎の屋上に向いた。何故だか知らないが、あそこに誰かいると思ったのだ。 『誰か』がいる。そしてその『誰か』は、目の前で戦っている人達と同じ存在だと、感覚で理解した。 ……何かが起ころうとしている。 真っ白な人影は、細長い筒のようなものを構えている。夜で、しかもあそこまで遠い場所のことが正確に判ることに驚いたが、それよりも筒の正体を理解したとき、心臓が止まりそうになった。 ライフル。 アクション映画でしか見たことのない、人を殺せる凶器。 それを持つ誰かが、それを構えて誰かを狙っていることに気がついた。 反射的に、銃の先端を見て、誰を狙っているかを探る。普段の自分からは想像もできない程、機敏に身体と精神が動いた。 筒先にいるのは―――イリヤと呼ばれた少女。 反射的に駆けだした。運動音痴で走るのも得意じゃない筈なのに、まるで風のように走り抜けることができる。 たん。 小さな音に少し遅れて、殺意の塊が飛来した。 その場の全員が、銃声には気づいていた。 だが、音が発せられる前に動いたのはただ一人、茶色い髪の少女だけだった。 完全に不意を突かれた形になったセイバーとランサーは主の危機にすぐさま迅速な行動を取ろうとしたが、相対していた敵サーヴァントへの警戒に気を取られ、由紀香の疾走に比べてコンマ2秒ほど遅れた。 サーヴァントに匹敵する速度で走り抜けた少女は、イリヤスフィールに抱きつくようにして、それまで立っていた場所から移動させる。勢いのままに、二人で地面をゴロゴロと転がった。 瞬間、イリヤがそれまで立っていた地面に小さく砂埃が生まれた。 地面を叩いた物体は小さく、しかし人一人を殺めるには十分過ぎる威力を持っていることは明らかだった。 由紀香はイリヤを抱きしめたままで起き上がる。そしてイリヤが無事なことに安堵の表情を見せ、一言喋った。 「大丈夫?」 「…………」 イリヤは何も答えない。心なしか驚いているようにも見える。 そこに、彼女のサーヴァントである二騎がやってくる。 「イリヤ、怪我は無いか!」 「……え、ええ、大丈夫。彼女のおかげで怪我は無いわ」 セイバーの緊迫した声に、戸惑いながらも返事を返すイリヤ。ランサーはイリヤの無事を確認した後、周囲に注意を向けた。遠見のルーンを使って闇夜を索敵する。 「……何処から撃った?いや、何処にいる?」 それでも、闇に潜む別の敵を見つけることはできない。 「三枝ー!!」 士郎が我に返ったのは、何者かが狙っていることに誰もが気がついた少し後だった。 近くに敵サーヴァントがいるにも関わらず、地面に座り込んでいる三枝由紀香に向かって走る。 あんな女の子が頑張っているのに、それなのに、俺は!何もできていないじゃないか!! 自己嫌悪と心配がゴチャゴチャになったまま、必死に辿り着く。 「大丈夫か!」 「う、うん。私なら大丈夫」 無事な姿に安堵するが、その時敵のサーヴァントがいる事に漸く気づく。 「……」 息を呑む。剣士と槍兵の視線は鋭く士郎を射貫いている。 「もういいわ。セイバー、ランサー」 イリヤが二騎の従者に声をかける。そして士郎達に背を向けた。 「今日はもうおしまい。つまんないから」 「……そうだな。これをやったサーヴァントに警戒せねば」 「そう言うのなら、仕方が無いか」 イリヤはそのまま振り返ってにこりと笑う。その表情は無邪気な子供のものだった。 「じゃあね、お兄ちゃん。また遊びましょう」 破壊を振りまいた主従は校庭の闇に消えていく。完全に見えなくなった時、呆然としていた鐘が口を開いた。 「遠坂嬢、衛宮、説明して貰えないだろうか」 「……失敗しましたね」 「ああ」 アサシンは二発目を撃たなかった。撃てば今度こそ居場所を特定されかねないからだ。 もし接近戦に入ればアサシンは終わりだ。キャスターにさえ勝てるかどうか疑わしい。 幸運なことに、アインツベルンの主従も、遠坂の魔術師達もその場から去るだけでアサシンを探索しようとはしないらしい。このチャンスを逃す手は無い。すぐさま逃げの一手を打つことに決めた。 「スコアはゼロだが、判ったことも多かったな」 「ええ、セイバーの真名と宝具が判ったのは大きいですね」 「そしてもう一つ」 アサシンは霊体化して消える。後には声だけが残された。 『俺の攻撃を察知することができる人間がいる。それが分かった。今度は失敗しない』 決意と殺意を滲ませたその声は、夜の闇の中に消えた。 炎に見舞われた穂群原学園に駆けつけたのは、消防でも警察でも、聖杯戦争の隠蔽を行うスタッフでも無かった。 「うわっ、なんだよこれ。まるで空襲の跡みたいじゃないか」 文句を言いながら、特徴的な髪型をした少年は焼け跡を歩く。 『これが戦よ。なかなかの宝具と見える』 声が響いた瞬間、光の粒子が集まる。数秒後にはそこに美しい黒髭を持つ中華風の鎧を着た武人が立っていた。 「とにかく行くぞライダー。これだけの宝具を使ったのなら、使った奴の魔力はスッカラカンの筈だ。そこを狙う」 「うむ。よかろう。慎二は打ち合わせ通り隠れておれ」 ライダーと呼ばれたサーヴァントの言葉に、少年―――間桐慎二は不服そうに口を尖らせる。 「隠れるだけかよ……何かマスターを狙うとかは」 「儂がまとめて薙ぎ払えば何の問題もあるまい。楽に勝てることが悪いか?」 「……それもそうか」 「うむ」 ライダーは尊大に頷く。納得した様子の慎二も、自分が戦場に近づくにつれて緊張の表情を見せる。 建物の角を曲がれば校庭だ。ライダーは角のところで息を潜め、一気に躍り出た。 「我が名は関羽、字は雲長!此度の聖杯戦争においてライダーのクラスで現界した英霊よ。命のやり取りをしに参った!!この首取って名を上げんとする者はいるか!!」 三国志の大英雄の大音響に対し、返す声は無い。隠れていた慎二がおそるおそる校庭を見ると、そこには破壊の跡があちこちに残る無人の校庭が広がっていた。 「なっ……いないって……僕たち出遅れたのか?」 慎二の呆然とする声に対し、ライダー―――関羽雲長は、ふむ。と頷いた。 「天はこの儂がまだ戦うときでは無いと言っているようだのう」 「納得してんじゃねえよ!僕の緊張返せー!!」 慎二のツッコミも何処吹く風と、遠くからは消防車とパトカーの警報音が響いていた。 ―――かくして、静かな夜は終わり、これよりこの街の夜は恐怖を覆い隠す暗闇となる。
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被虐体質:A (ヘリオガバルス) 集団戦闘において、敵の標的になる確率が増すスキル。若干の防御値プラスも含まれる。 Aランクともなると更なる特殊効果が付き、攻撃側は攻めれば攻めるほど冷静さを欠き、 ついにはこのスキルを持つ者の事しか考えられなくなるという。 被虐体質:A (パッションリップ) 集団戦闘において、敵の標的になる確率が増すスキル。 マイナススキルのように思われがちだが、強固な守りを持つサーヴァントが このスキルを持っていると優れた護衛役として機能する。 若干の防御値プラスも含まれる。 Aランクともなると更なる特殊効果が付き、攻撃側は攻めれば攻めるほど冷静さを欠き、 ついにはこのスキルを持つ者の事しか考えられなくなるという。 被虐体質:A (蚊) お前、部屋で蚊の羽音聞いたら絶対見つけてブッ殺すだろ。 冷静に考えたら血なんて吸わせときゃいいって思うだろ。 それでも痒いのが嫌だから全力でブッ殺すだろ。
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ノイエスフィール 水佐波市における偽の聖杯戦争のシステムの設計者。 冬木の聖杯戦争のシステムを再現する事に己の全てを捧げた、アインツベルンの血を引く魔術師にして ナチスドイツの将校。水佐波市の大聖杯の中心に収まるのは他でもない彼女である。 ホムンクルスでもない人間の彼女が大聖杯としての機能を果たせるのは、 彼女自身に流れるアインツベルンの血と人間を中心にすえても何とか機能するよう大聖杯の回路に 創意工夫を凝らした、彼女の執念のなせる業である。 霊地の格の関係もあり根源への『孔』をあけるには至らないものの、中心にすえられた彼女の魔術回路が 現世から消滅したサーヴァントの魂を解析し続ける事で、この聖杯の目的である「英霊と宝具の能力の解析と再現」 に向けて少しずつではあるが情報が蓄えられている。 なお、ノイエスフィールとは彼女が自ら名乗った名であり、記録から抹消されているが本名は別にある。
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【元ネタ】史実 【CLASS】フール(愚者) 【マスター】 【真名】バネ足ジャック(ヘンリー・デ・ラ・ボア・ベレスフォード) 【性別】男 【身長・体重】193cm・90kg 【属性】混沌・悪 【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷B+ 魔力D 幸運B 宝具B 【クラス別スキル】 衆人環視:C 自分が他人に与える影響力。自己の行いに他人が注目するかいなか。 ラングが高いほど人の視線を集め、関心を得やすい。 【固有スキル】 気配遮断:C サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 完全に気配を断てば発見する事は難しい。 仕切り直し:C 戦闘から離脱する能力。 また、不利になった戦闘を戦闘開始ターン(1ターン目)に戻し、技の条件を初期値に戻す。 【宝具】 『バネ足は跳ぶ(スプリング・ヒール)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人 その脅威的な脚力と跳躍力が宝具化したもの。 常時展開型でいかなる劣悪な足場だろうがお構い無しに駆け、あらゆる障害物を飛び越える。 『煙の街の怪人(ジャンピング・ジャック)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:100 最大捕捉:ー 警察に追いかけ回されても一度も捕まらなかった逸話の宝具。 任意の場所に霧を発生させる宝具。霧の中では気配遮断、仕切り直し、敏捷にプラスの補正が付く。 ちなみに、ロンドンが霧の街と呼ばれたのは、曇天の多い聞こうと産業革命によって工場から立ち上る煙を掛けた、英国人らしいウィットの効いた皮肉。 【weapon】 右手に大振りのナイフ(こけおどし) 左手に鉤爪(こけおどし) 口から吐く青白い炎(こけおどし) 【解説】 18世紀ヴィクトリア朝末期(切り裂きジャックの現れた約100前)に現れた最初のロンドンの怪人。 夜に一人歩く女性の服を切り裂き羞恥に染まるその様を見て甲高い声を上げた事を切っ掛けに各地に出没し、警察に追われ、懸賞金を懸けられ、最終的に大通りを数々の人の目に晒されながらも逃げ切り、その消息をたった伝説の怪人。 なお、この怪人が殺人や傷害を犯した記録はない。 その怪人当人であり、アイルランド貴族にして若い頃は奇行と暴力沙汰で名を馳せた男、ヘンリー・デ・ラ・ボア・ベレスフォード。大きな体をした濃い顔の男、ピッチリとした銀色のスーツに黒のマントをした英国紳士。 聖杯にかける願いは『自身の逸話と混同視され、【怪人ジャック】を塗り替えてしまったおぞましき後輩にして血に狂った殺人鬼(ジャック・ザ・リッパー)から離脱し、確固とした【バネ足ジャック】の名を世に残すこと』。 逃走に特化したサーヴァントであり、戦闘力はほぼない。勝ち残るには他のサーヴァントを誘導し潰し合わせるしかない。 【余談】 正確にはバネ足ジャックも正体不明だけど、あえてヘンリーを本人としてみた。 【クラス解説】 フール。愚者のクラス。 道化師や愉快犯、先導者や扇動者のクラス。 生前、その時代に置いて『愚か』と呼ばれる様な言動・行動によって名を馳せた者に与えられるクラス。 戦力は乏しいが、他者に与える影響力に特化したクラスである。 このクラス選ばれる特徴として、芸術家のように作品を世に残さず、かつ自身は(公的に)誰も傷つけた事や戦った事がないなどがある。 該当する人物としては、『非暴力不服従』ガンジーや『維新志士』勝海舟や『思想家にして宮廷道化師』スタンチクなどが挙げられる。
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戦争の原因は常に些細なものである。 この戦争とて、始まりは一個の林檎だった。 その林檎が国を動かし、戦を巻き起こした。 戦士達はその理不尽を―――歓喜した。 槍と槍がぶつかり合い、剣戟が火花を散らす。矢は雨となり、騎馬がことごとく蹂躙する。 神々は戦場で人間に加護を与え、更に、更に、戦えと急き立てる。 ―――言われるまでも無い。 兵を斃し、城を陥とし、町々に攻め込み、物は奪い、家は焼き、女は犯す。子供は殺す。 民草の涙も怨嗟の声も、全てが心地良い。敵が流す涙は即ち味方の賞賛。打ち立てる武功を飾り立てるだろう。 ―――嗚呼、素晴らしい。 全てを壊し、燃やし、殺しながら、その地獄こそ“彼”は美しいと思った。 ……………………………………………………………………………………… ……………………………………………………………………………………… ……………………………………………………………………………………… ……………………………………………………………………………………… ……………………………………………………………………………………… ……………………………………………………………………………………… ……………………………………………………………………………………… ……………………………………………………………………………………… ……………………………………………………………………………………… ……………………………………………………………………………………… 最悪な夢で目が覚めた。あんな記憶は凛の中には無い。映画などの影響にしても、あれはリアルに過ぎる。と、すれば考えられるのは。 「あー……そうか」 凛は、聖杯戦争におけるマスターはサーヴァントの過去の記憶を夢という形で追体験することがあるという話を思い出した。 椅子に座ったままで、部屋の中央に視線を移す。うたた寝から目が覚めて間もない状態だが、魔力の供給をカットすることによって容易に霊体化させることを凛は可能としていた。 「もういいわよ。出てきなさいバーサーカー」 「……◆◆◆◆◆―――◆◆◆―――」 狂声を上げながら、バーサーカーが出現する。魔力が吸い出され、力が抜けかけるが、ぐっと我慢した。 「……つまり、あんたは戦争が好きだってことでいいのかしら」 凛はバーサーカーのそれを趣味が悪いとは思うが、非難しようとは思わない。 古代人の価値観を現代人の価値観で裁くなど不可能だ。大体バーサーカーに何を言ったところで理解できるとは思えない。聞くのは今のところ簡単な命令だけだ。 疲れが残る身体を動かし、机の上にあるメモ帳を見る。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― セイバー……シグルド ランサー……おそらくはシグルド由来の戦乙女。(二騎ともマスターはアインツベルン) アーチャー……不明 ライダー……不明 アサシン……不明 バーサーカー……自分のサーヴァント キャスター……不明(マスターは衛宮士郎) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 思わず溜息が出る。 敵サーヴァントの半数以上が詳細不明だ。遭遇してすらいない。 しかもその内の最低一騎は無関係の一般人を鉄砲玉として使う外道ときた。 そして、アインツベルン。まさか一人のマスターが二騎のサーヴァントを使役するとは思わなかった。 弱点である背中やマスターを狙おうにも、最速の英霊であるランサーがいる以上それも難しい。 「ああ、もう。何て反則―――!?」 「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆―――◆◆◆◆◆◆―――◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!!!!!!!!」 結界の反応に凛が行動するより早く、バーサーカーは壁を破壊して外に飛び出していた。 「ったく。壁の修理代は聖杯で支払いなさいよね!」 足に魔力強化を施し、廊下を駆け抜け玄関の扉を開ける。既に庭にいたバーサーカーは唸り声を上げながら槍を振り回している。 「◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆!!!!!!!!」 飛来した何かがバーサーカーの胸と頭に直撃するが、ダメージは皆無らしく、咆吼に衰えは無い。腕にも何かが当たる。バーサーカーが既に展開していた装甲に弾かれたそれは回転しながら凛の足下に落ちた。 「これって、矢?」 人間世界で最も古い武器。銃の発達と共に消えたそれを使う敵とくれば、答は明らかだ。 「アーチャー!」 凛の言葉に対する返礼は、矢の連撃だった。身体を蜂の巣にもできるその攻撃は、移動したバーサーカーが盾となることで防がれる。十の矢が力を失い、地面に落ち―――ない。 轟、と言う風鳴りが聞こえた瞬間、十の矢は勢いを取り戻し、凛に殺到した。 「バーサーカー!」 瞬間的にバーサーカーが盾になる事で攻撃は防いだ。しかし、矢を操っていた突風は今度は不可視の手となって主従を絡め取りにかかる。 「っ、Anfang(セット)!ぶっ飛ばせえ!!」 すかさず凛が宙に放り投げた宝石が一瞬の輝きを発すると、一陣の強風となって周囲を蹂躙する。強風をぶつけられた突風が一瞬弱まった隙を生かし、バーサーカーは跳躍した。 「―――――◆◆◆◆◆◆―――――!!!!!」 重力の鎖を引き千切り、矢の攻撃を全て身体で弾いたバーサーカーが着地した場所は遠坂邸の屋根だった。狂気に濁った目で眼前の矢を放つ獲物を見据える。 「……妖怪変化に見えるその異形。しかし」 瞬間、バーサーカーが突進した。アーチャーは冷静に攻撃を放つ。 矢はバーサーカーにかすり傷すら負わせることなく弾かれる。 バーサーカーは手に持つ槍を渾身の力で振り抜いた。 「◆◆◆◆◆◆―――――!!!」 咆吼の一閃は爆発のような勢いで遠坂邸の屋根を破壊していく。しかし、バーサーカーの槍が振り抜かれた時にはアーチャーは既にその身を別の場所へ移していた。続けざまに放った矢が次は眼を狙う。 がき。 鉄骨に小石を投げたような音が響き、それを意にも介さずバーサーカーは猛襲する。その時初めてアーチャーのサーヴァントである若武者が口を開いた。 「急所も鋼作りか。頭も心臓も覆っている以上、拙者には殺せぬか」 いっそ潔すぎる程に弱音を吐くアーチャーだが、冷静な表情は絶望とは無縁だ。ぽつ、と言葉を紡いだ。 「ならば、宝具を使うまで」 轟音が響く度に壁にヒビが入り、震動と共に家が大きく軋む。そんな屋敷の中を遠坂凛は魔術で脚力を強化して走り続けていた。 「あいつどんな戦いしてるのよ?もし家が壊れたら絶対修理代請求してやるんだから!」 敵のクラスをアーチャーだと断定した凛は、ひとまず家の中に戻ることに決めた。飛び道具主体のサーヴァントならば、ひらけた外よりも屋内の方が相手にしやすいだろうとの判断だ。 地震のような衝撃を家屋に与えながら戦いは推移しているらしい。階段を駆け上り、屋根の上に続く窓に手をかけて一気に屋根の上へと降り立った。 屋根には二騎の英霊が対峙していた。 全身に花弁状の鎧を装着し、唸り声を上げる自分のサーヴァント、バーサーカー。 古代日本の物らしい様式の鎧を身につけ、弓を構える敵のサーヴァント、おそらくはアーチャー。 「―――!!」 アーチャーの姿を視認した瞬間、凛の魔術師としての視覚が理解した。 濃密な魔力が荒れ狂うような流動。サーヴァントがこれ程の魔力を使う時など、凛には一つしか心当たりが無かった。 「真名、開放」 若武者は番えた弓を真っ直ぐにバーサーカーへと向けた。そして謡うように力ある言葉を口にする。 「『住吉双箭(すみよしそうせん)』」 矢が、放たれた。 ―――『彼女』に責任があったとすれば、それは周囲に流され過ぎたことだろう。 『彼女』は魔法使いと呼ばれた。 『彼女』は知恵者と呼ばれた。 『彼女』は、魔女と呼ばれた。 『彼女』を神と呼ぶ者さえいた。 『彼女』自身にも意向はあっただろう。 『彼女』は平凡な女でいたかったのかもしれない。妻でありたかったのかもしれない。母でありたかったのかもしれない。だが、『彼女』自身が選んだ道はそう呼ばれたように在り続けることだった。 幸いか、それとも不幸だったのか、『彼女』には知恵があり、力があった。 ある時は病を治して命を救い、ある時は復讐に手を貸して命を奪った。 いずれも顔色一つ変えずに淡々と行う『彼女』を誰もが恐れた。 ―――それはひょっとしたら、心の動揺を見せないように彼女の被った仮面だったかも知れないが、少なくとも周囲の人々がそれを見抜くことは無かった。 「森へ放逐せよ」 世界に遍く文明を広げることが人類の本能だとするならば、人間が手を出すことができない神代の森に追いやられるということは死と同意である。 「いずれ死ぬのであれば、恐れることは無い」 獣か虫か、病か孤独か―――いずれかでごく自然に『彼女』は落命するだろう。 それは自分達で手を下すことを恐れた人々の振り絞った―――浅知恵だった。 …………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………… …………………………………………………………………………………………… 「……?」 寝ぼけた頭を横に振って眠気を覚ました。目の前にはいつもの庭がある。 色々あって疲れた身体は縁側で自然にうたた寝をしてしまったらしい。 意識が覚醒する寸前まで見ていたあの夢はなんだったのだろうか? その時表が大分薄暗くなっている事に気がついた。 「やばっ……」 眠っている間に夜の時間が早まっている。夜は聖杯戦争の時間だというのに。 「キャスター!」 「何か?」 「三人は?」 顕現したキャスターに三人のことについて尋ねる。 「今テレビとかいう道具がある部屋に居るわよ」 「シグルドとブリュンヒルドってのはともかく、関羽は伝説通りじゃ無いんだな」 楓は携帯電話をいじりながら、今まで見たサーヴァントに対して考察していた。 「ほう。何か気がついたことでもあるのか」 「青龍偃月刀みたいな大刀使ってただろ。それがおかしいんだよ」 そこで楓は腕を組んだ。その表情はどうやら本気で悩んでいるらしい。 「あの電撃放ってた薙刀みたいなのがどうしたの?」 「関羽は後漢時代の人物だ。だけど青龍偃月刀は宋代の武器だ。700年以上も開きがあるじゃねーか。どうなってんだよ。ほんとに……」 「別にそれで良いのよ。実在の有無にかかわらず、そういう武器を使っていたというイメージがあれば」 襖を開けて入ってきたキャスターは、特に面倒くさがる様子も無く、すらすらと説明した。 「英霊は人々の信仰で成り立つ存在、伝説の後付けで神の血を引いていたり、使ったことの無い武器を使っていたとしても何もおかしいことはないわ。人々の思い込みは姿や能力すらもねじ曲げる」 「むう、つまりそれは私達を襲った関羽は、本来の関羽とは違うということか?」 「別に違うというわけでも無いわ。本人のコピーには違いないもの。もっとも顕現する時代や場所によってやはり能力程度ならブレはあるでしょうね」 はーっ、と士郎を含む四人はキャスターの知識に感心した。 「色々知ってるんだなキャスター」 「キャスターの英霊ですもの」 そう言うと、キャスターは士郎に向き直った。 「それより士郎、彼女たちを家まで送っていくのであれば、バーサーカーのマスターと一緒に行った方がいいわ」 「遠坂とか?」 キャスターは頷いた。 「あのライダーは本物の英雄、襲われれば私では太刀打ちできないわ。バーサーカーが居れば、少なくとも牽制にはなる」 淡々と事実を言うだけあって、キャスターの言葉には重みがあった。 「……そうだな。遠坂に頼んでみよう」 「あ、遠坂の電話番号なら知ってるぞ?」 「そうか。ありがとう蒔寺、さっそく遠坂に電話するか」 「ん?おかしいな」 受話器を耳に当てた士郎は閉口一番、疑問を口にした。そのまま別のダイヤルを回す。 『……地方、今夜は晴天です』 「どうかしたの?」 士郎の呟きが聞こえたらしく、キャスターと三人も電話の周りに集まる形となった。 「ああ、遠坂の家と連絡が付かないんだ。話し中や留守ならそう分かるんだけどな。ウンともスンとも言わない」 瞬間、キャスターの眼差しが心なしか鋭くなった。 「―――その受話器を貸して」 急に重くなった雰囲気に、戸惑いながらも士郎は受話器をキャスターに渡す。キャスターはそれを右手で受け取ると、左手にいつの間にか持っていた手鏡を近づけた。 「―――***―――***―――」 古代の言葉らしい呪文を唱えたキャスターの持つ手鏡に、突如波紋のような模様が浮かび上がる。 『っ、Anfang(セット)!ぶっ飛ばせえ!!』 『―――――◆◆◆◆◆◆―――――!!!!!』 遠坂凛と、暴れ回っているバーサーカー。鏡に映し出されている二人の周囲には幾つもの矢が突き刺さっている。 その緊迫した様子から予想されることはただの一つしかない。 ―――襲撃。 「お、おい。遠坂がヤバイのか?」 楓の狼狽した風な声に反応する暇もなく、士郎は玄関へと向かった。 「待ちなさい」 キャスターの一言で体が止まる。比喩で無く、身体が凍り付いたように動かなくなった。何らかの魔術だろうか。 「キャスター、いそがないと!」 「相手はサーヴァントよ。あなた一人で行ってどうするの。大体走っていたら間に合わないわ」 「そ、そうか!令呪なら瞬間移動もできたな!」 鐘が宙にかざした掌を、キャスターはやんわりと押しとどめた。 「……それよりも、今見た場所の近くに林か森のようなものはあるかしら」 「あ、うん。あるよ。この間遠坂さんの家に行ったときに、家から少し離れたところに林があった」 由紀香の言葉に、キャスターは琥珀色の瞳を閉じた。 「……そう。これくらいなら、十分に転移はできるわね」 「転移って、空間転移か?魔術じゃできないって親父から聞いたぞ」 士郎の驚きに、キャスターは事も無げに返した。 「私は森に縁があるから、木が密集している場所にならなんとかいけるわ」 「じゃあ、早くいこうぜ!バーッとテレポートみたいにいけるんだろ?」 さあ早く、と楓がキャスターの手を取った。 「行くのは私だけ」 屋根に落ちる血痕は多量では無いが、それでも少ないとは決して言い切れない。 「◆◆◆◆◆―――!!」 流れる血を意に介さずにバーサーカーは突撃する。槍が空を裂き、風圧が渦巻く。 「……」 アーチャーは再び矢を放つ。バーサーカーはそれを迎撃―――できなかった。 アーチャーが弦を弾いた瞬間にその矢はバーサーカーの右膝に突き刺さっていた。大きく機動力を削がれた形になった自らのサーヴァントに凛はすぐに回復の魔術をかけようとするが、足下に突き刺さった一本の矢がその動きを止める。 「死にたければ来るが良い。死にたくなければ何もしないことだ」 事も無げに言葉を紡ぐ弓兵に、しかし暖かみというものは皆無だった。 凛は歯噛みしながら先程の宝具から推察される英霊の正体を考える。 ―――彼の英雄は住吉大明神のお告げ通りに二本の矢を鬼に放ち、一つは鬼の投げた巨石を、もう一つは鬼の片眼を射貫いたという。 「吉備津彦命……日本神話、鬼退治の大英雄」 「真名を知ったか」 弓矢の照準が蹲るバーサーカーでは無く、その後方、自分に向けられていることを凛は知った。 「許しは請わぬ。全ては我が願いのために……ここで終わるがいい」 弦が限界まで引き絞られる。宝石魔術もガンドもこのタイミングでは間に合わない。弓の英霊の矢をただの魔術師である凛が避けられる道理は無く、その落命は必定だろう。 「さらば」 無情にも矢が放たれた。 ―――明後日の方向へ。 「―――、――――――、―――」 おそらく古代のものであろう力ある言葉が周囲に響き、矢は中空で真っ二つになって地面に墜落した。 凛はアーチャーが矢を放った方角を遠視の魔術で目をこらして見つめた。 「トオサカ、リンだったわね。無事なら早くそこから離れてくれないかしら」 キャスターのサーヴァントは濃密な魔力を纏いながらそこに立っていた。 ―――夜はまだ終わらない。
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【元ネタ】マハーバーラタ 【CLASS】ライダー 【マスター】 【真名】アシュヴァッターマン 【性別】男性 【身長・体重】166cm・64kg 【属性】混沌・中庸 【ステータス】筋力C 耐久C 敏捷B 魔力B 幸運D 宝具A++ 【クラス別スキル】 対魔力:C 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。 大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。 騎乗:B 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、 魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。 【固有スキル】 先制攻撃:B 戦闘で先手を取る能力。 戦闘開始ターン(1ターン目)のみイニシアチブを取る事を可能にする。 マントラ:B 主にインドで独自発展を遂げた魔術体系。 サンスクリット語の聖言を用いて魔術を行使する。 アシュヴァッターマンはドローナの下での修行時に習得した。 【宝具】 『陽光宿す天の双翼(ヴィマーナ)』 ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:- 最大捕捉:- アシュヴァッターマンの駆る古代インドの空中機動兵器。 水銀を燃料とする太陽水晶により太陽エネルギーを発生させ駆動する。 思考と同じ速度で移動し、急激な連続方向転換を可能とし、 太陽エネルギーを連続した弾丸として放出する機構を両翼に備える。 『獄炎秘めし災厄の矢(アグネア)』 ランク:A++ 種別:対城宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人 アシュヴァッターマンの持つ、戦争において禁忌とされる一つの矢。 “万の太陽”とも称されるほどの膨大な炎と熱と光、命を蝕む悪性の呪力を内に秘めている。 射出され天空へと到達すると同時に、呪力が黒雲となってレンジ内に広がり、 毒、麻痺、石化などの肉体的バッドステータスを引き起こす黒い雨を降らす。 それと同時に炎と光の柱も降り注ぎ、無差別にあらゆる物を破壊してゆく。 この炎は岩石をも蒸発させるほどの熱量を持ち、 光はあらゆる生物を灰へと変えてしまう毒性を持つ。 戦場において地獄を顕現させる、神々ですら嫌悪する矢である。 『瑞験の星月(カウラヴァ)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人 アシュヴァッターマンの額に、生まれた時より付いていた宝石。 大気中のマナを吸収し、身に着けている者に魔力を供給する。 また、戦闘時には供給された魔力を幸運に変換することが可能。 より窮地に追い込まれるほど変換効率はそのままに、 より優先的に幸運を呼び寄せることができる。 この宝具は、アシュヴァッターマンの意思で他者に譲渡することができる。 生前は、敗北を認めたときにこれを譲り渡した。 【Weapon】 『無銘・剣』 アシュヴァッターマンの愛用する剣。 パーンドゥ陣営に夜討ちを仕掛けた際には数多の命を散らした。 『無銘・弓矢』 アシュヴァッターマンの愛用する弓矢。 この弓からあの悪夢のような『獄炎秘めし災厄の矢』が放たれた。 【解説】 マハーバーラタの戦争で生き残ったクル家の王子の1人でシヴァ神が宿った屈強の戦士。 パーンダヴァ五王子とカウラヴァ百王子に武芸を教えた師、ドローナの息子。 2人の王子間による大戦の際、百王子軍に参戦する。 五王子軍の軍師クリシュナの姦計により、 父ドローナはドゥリシュタドゥユムナに殺され、百王子軍もほぼ壊滅。 復讐に燃えるアシュヴァッターマンは、 クリパ,クリタヴァルマンと共にパーンダヴァ陣営に夜襲をかける。 まず自分の父を殺したドゥリシュタドゥユムナのテントに入り首を刎ね、 陣内にいる者を皆殺しにした。 そして戦争のあらゆる掟を破り、ヴィマーナからアグネアの矢をマントラと共に放ち、 五王子、クリシュナ、サーティヤキらを除く五王子軍を全滅させる。 【出演SS】 影の薄いサーヴァント達の愚痴 バベルの塔の狸 Fate/MINASABA 20th
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この作品は、『黙示録の救済』の続きの作品となります。 先にそちらの方をご覧になっていただく事をお薦めします。 この作品はフィクションであり、現実とは一切関係ありません。 ―――ドンキホーテが消滅した後。 ハーロットと士郎は、ハーロットのマスターである桜を救うべく、間桐邸へと乗り込んだ。 だが、それはどこからどう見ても無謀極まりない行為だ。 普通の強大な力を誇るハーロットならばそれも可能だっただろう。 だが、今のハーロットはドンキホーテの精神汚染の影響に属性が変化し、 サーヴァントとして機能不全を起こし宝具の使用が不可能になっている。 (膨大な魔力を注ぎ込めば強制的に再起動できるかもしれないが、全く実戦的ではない。) 通常のサーヴァントならば、属性が変化した程度でそこまでの影響はない。 だが、『悪であれ』と望まれて誕生したハーロットにとって『悪でない』ハーロットなど存在できるはずなどないのだ。 そんな状態のハーロットがサーヴァントして機能不全を起こすのも当然と言えるだろう。 そして、そんな状態のサーヴァントを連れて敵の本拠地である間桐邸に乗り込むなど 到底正気の沙汰ではない。 ……だが、ドンキホーテの志を受け継ぐ彼らがその志に反する事などできはしない。 さらにここは間桐の本拠地である間桐邸。 そんな彼らが見つからないはずもない。 「ははは!いいざまじゃないか!衛宮! そんな使えないクズサーヴァントを連れて僕の家に乗り込むなんてね……。」 「……ッ!!慎二……!!」 地下に乗り込んだ彼らを待ち受けるは、偽臣の書を持ち、 最強のサーヴァント、カルキを従える間桐慎二。 最早摩耗してしまったが、「この世全ての悪の根絶」を願う臓硯の理想によって召喚されたカルキ。 だが、今の悪と化した臓硯では、カルキを制御する事など到底できない。 それゆえ、彼は(性格には問題はあるが)比較的悪を行なっていない慎二にカルキを与えたのである。 「さあやれ!カルキ!あのサーヴァントは悪だ!そいつを連れている衛宮も悪だ! やっちまえ!悪をぶっ倒せ!!」 だが、その慎二の言葉を一切無視し、カルキは唐突に無機質な声を発する。 《System K.A.L.K.Iによる戦略判断。 K.A.L.K.I1、苦しむ弱者を救おうとする彼らは正義と判断する。 K.A.L.K.I2、ハーロットの存在が悪とは言え、彼らのその行動は正義と判断する。 K.A.L.K.I3、存在が悪であるならば即時に粛清すべし。 だが、現在は彼らより優先順位の高い悪が存在する。そちらを優先すべし。 条件付きで1,2の意見を指示する。 ―――System K.A.L.K.Iの多数決により、エミヤ シロウらの行動を正義と判断する。》 92 :黙示録の終末 :12/05/10 22 44 36 ID YDrAeRUR その瞬間、ぼっと慎二の手にあった偽臣の書が燃え上がる。 元々神霊に近い反則ともいえる存在であるカルキを偽臣の書ごときで制御できると思うほうが間違いなのだ。 「なっ……!ど……どういうことだ!カルキ! 僕をマスターと認めない気なのか!悪に手を貸すのかよこのクズが!!」 「カルキ……。もしかして俺達に手を貸してくれるのか?」 《肯定する。System K.A.L.K.Iによる戦略判断により、 エミヤ シロウらの行動を正義と判断する。 仮マスターであるマキリ シンジとの契約を破棄。 正義の名の元に固定名エミヤ シロウをマスターとして承認する。》 「ひっ……!!こ、こんな馬鹿な話があるかよ!!」 ギン、とカルキの瞳が光が放つと同時に、最早マスターでなくなった慎二は脱兎のごとく逃亡する。 気にはなるが、今は桜を救う事が最優先だ。慎二に構う余裕はない。 それにしても皮肉極まりない話だ。 悪を全て粛清のが目的のカルキと、 悪そのものの具現体と言えるハーロットが肩を並べて共闘するのだから。 これほど皮肉な話もそうそうあるまい。 カルキを従え、地下を進む士郎にハーロットが話しかける。 「……正直、サクラをどう救えばいいか考えあぐねていたのだけれど、 カルキがいるとなれば話は別だわ。 いい。サンチョ。サクラは『まだ誰も傷つけていない。』 これをよく覚えておいて。 それが多分、サクラを救う唯一の手段になるだろうから。」 ―――そして、間桐邸最深部。 そこでは、無数の蟲の中に存在する桜と、間桐臓硯の姿が存在した。 「カカカカカ!よく来たな小僧! まさかハーロットとカルキを同時に従えるとは……。 対極のこの二体を従えるとは、貴様はよほどの奇縁に恵まれていると見える。 だが、それもそこまで。貴様らはここで執着じゃ。」 「―――!!サンチョ!周囲を警戒しなさい! あの老人が堂々と真正面に現れるなど、何らかの罠があってしかるべきよ!」 その彼女の声に答えるように、どこからか声が響き渡る。 「『当たり』だ。ハーロット。だが少し遅かったようだな。」 次の瞬間、士郎の真横からいきなり『何者か』が表れ、士郎を地面に抑えつけ短剣を突きつける。 ―――アサシン、ギュゲース。 いきなり現れたのは彼の宝具である『見えざる悪徳(リング・オブ・ギュゲース)』 の力である。 今回、間桐は本気で聖杯を手にするつもりだった。 そのために用意した策は、桜にサーヴァントを召喚させ、 さらに臓硯自身もサーヴァントを召喚する策だった。 だが、桜は予定通り強力なハーロットを召喚したが、 臓硯は偶然にも強力無比ではあるが、非常に使いにくいカルキを召喚してしまったのである。 真っ先に粛清されかけた彼は、罪の総量はほとんど一般人と同様である慎二にカルキを与え、 自らは再びサーヴァントを召喚した。、 そして、呼び出されたのは、アサシンであるギュゲースである。 「おっと、動くなよ。カルキ いかに貴様と言えどマスターを倒されれば現界し続ける事はできまい? ああ、後いきなり宝具使用も無しだぜ? 貴様が宝具を使用しようとも、こいつと相打ちする事はできるんだぜ? なんの罪もないマスターを犠牲にするのが、貴様の正義なのか?」 《―――。》 そのギュゲースの声にカルキは停止する。 カルキの宝具、『掃星の夜明け(クリタ・ユガ)』の前では人質など事実上無意味である。 普通の人間と同じような罪しかない士郎と、悪徳の限りを尽くしたギュケースでは罪の量が違いすぎる。 以前のドンキホーテと同様に、士郎は多少傷つき、ギュケースは完全に消滅するだろう。 だが、消滅する前に士郎の急所を刺し貫く事は可能だろう。 つまりは、事実上の相打ちである。 それはつまり、士郎を見捨てるということに他ならない。 正義の存在であるカルキにとっては自分自身の存在意義を否定することだ。 それは奴は決して行わない、とギュゲースは冷静に分析しているのである。 《System K.A.L.K.Iによる戦略判断。 K.A.L.K.I1、無辜のマスターを犠牲にするのは正義ではない。宝具使用不可。 K.A.L.K.I2、K.A.L.K.I1に同意する。宝具使用不可。 K.A.L.K.I3、敵目標は明らかに邪悪。邪悪を滅ぼすのに容赦は不要。宝具使用許可。 多数決により宝具の使用は不可とする。》 そして、ギュゲースの予想通りカルキは宝具は使わない事を選択する。 にやり、とギュゲースと臓硯が邪悪に微笑むが、次の瞬間士郎は叫ぶ。 「……やめろ!!」 「何だぁ?ついに狂ったか?小僧?」 そんなギュゲースの呟きを無視して、士郎はなおも叫ぶ。 ・・・・・ 「やめろ!やめるんだ!ドゥルシネーア!!いや、『ハーロット』!」 次の瞬間、皆の視線がドゥルネシーア……いや、ハーロットに集中する。 彼女はドンキホーテから与えられたドレスに身を包み、静かに瞳を閉じる。 「いいえ、サンチョ。私は彼によって救われた。 救われた私が誰かを救わないなんて間違っている。 ……悪である私でも誰かを救えるのならば、それはきっと奇跡にも等しい事だから―――。」 そう、かつてこの身が。 あの狂気に囚われたあの騎士気取りの老人に救われた時から。 きっと、私もあの姿に憧れていた―――。 「こんな私でも誰かを救えるというのなら、私は……再び悪夢を見ましょう。」 その呟きと共に彼女から吹き出す膨大な魔力。 それに危機感を覚えて、ギュゲースは叫ぶ。 「……ッ!御託が多いんだよ!このクソどもが!いい加減に……。」 《黙示録の獣(アポカリプティック・ビースト―――!!》 だが、彼女の方が一瞬だけ早い。 彼女は使用不可能となったはずの宝具を、膨大な魔力を注ぎ込む事によって一時的に無理矢理起動させたのだ。 黙示録の獣の巨大な尻尾のみを具現化させた彼女は、その尻尾の一撃でギュゲースを弾き飛ばす。 「なっ……!ライダーじゃとぅ!? バカな!ライダーの宝具は使用不可のはず……!それがなぜ!?」 マスターからの魔力供給を遮断し、自らに残っている魔力を全てつぎ込む事により、無理矢理、 彼女は使用不可となっていた自らの宝具を再起動させる。 桜にこれ以上負担をかけないため、彼女からの魔力供給を遮断している彼女にとっては、 それは無謀極まりない行為だ。 「やりなさい!サンチョ!!」 「分かってる……!!カルキ!宝具を使用してくれ!! ドゥルシネーア……ハーロットは巻き込まないようにしてくれ!!」 《了解した。宝具の使用許可承認。 『掃星の夜明け(クリタ・ユガ)』照射開始。》 その言葉と共に、吹き飛ばされたギュゲースは叫ぶ。 「チィ―――ッ!!こんな奴らと戦っていられるかよ!」 ギュケースはマスターである臓硯に見切りをつけて、この場から逃走しようとする。 だが、それも無意味だ。 いくら姿が感知できなくとも、光の範囲攻撃であるカルキの宝具に回避できようはずもない。 もし、ギュゲースが本当に透明になれるのなら、光を受け流す事も可能だったかもしれないが、それも無駄な事。 天空から巨大な光の柱が照射され、ハーロットと士郎以外の全てを包み込む。 「「が……があああああっ!!」」 次の瞬間、裁きの光を浴びて、ギュゲースと臓硯は内側から切り刻まれ、はじけ飛ぶ。 一方、まだ罪を冒していない桜は最小限のダメージを受けたが、 それ以上に重要なのは、裁きの光を受けて、桜の心臓に存在していた臓硯の本体も消滅したという事である。 裁きの光は、桜の肉体を通過し、臓硯の本体を確実に滅ぼしたのである。 「あ……ああ……。」 本体が消滅し、裁きの光を食らってなお、まだ息のある臓硯は無数の蟲によって肉体を再構成させようとする。 だが、それも無駄なこと。 ズン、ズン、とカルキはそんな彼に対して歩んでいく。 だが、滅びを間近にして、臓硯はふと高笑いを上げる。 「は……はははは!!そうじゃ!思い出したぞ! ワシの望み!そう!この世全ての悪の根絶を!! 何たる無様!何たる皮肉! この世全ての悪の根絶を願っていたこのワシが悪に堕ちていたとは! 何故じゃ!?何故ワシは忘れていたのだ―――!?」 泣き笑いのような声でそう叫ぶ臓硯は、迫り来るカルキに小声で問いかける・ 「カルキ……。聞かせてくれ……。ワシは……悪なのか?」 《問うまでもなく、邪悪であると判断する。》 「は……はは……ははははは! そうか!ワシは悪か!ははは!はははははは!!」 哄笑を上げる中、カルキの無慈悲な一撃によって彼は粉微塵に粉砕された。 ―――1方、そんな中、限界まで魔力を消費したハーロットはその肉体を消滅させつつあった。 それも当然だ。マスターからの魔力供給も無しに、膨大な魔力を注ぎ込んで無理矢理宝具を再起動させたのだ。 こうなるのは極めて当然の結果と言えるだろう。 「ハー……ロット……。」 呆然を呟く士郎と、その腕に抱きかかえられる桜を見て、肉体を消滅させながら彼女は穏やかに微笑む。 「サンチョ……いいえ、衛宮士郎。 その子を大切にしてあげなさい。 私たちのように悪に染まった人間にとっては、 差し伸べられる救いの手は奇跡以外の何物でもないのだから。」 空を飛ぶ魚がいてもいい。 自らの運命や存在意義に逆らう人間がいてもいい。 悪でありながら善になりたいと願う存在がいてもいい。 雨の中、傘をささずに踊る人間がいてもいい。 自由とは―――そういう事なのだろうから。 彼女は消えかかりながらも、ドンキホーテから与えられたドレスのスカートの裾を軽く摘み、 まるで貴族の令嬢のように優雅に一礼する。 「……どうぞサーヴァントという喜劇を演じきったこの私に拍手を。 それでは、皆様、良い終末を―――。」
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このリストはアドバンスモードの中に召喚できるサーヴァントです。ですが、数が多すぎで一々翻訳する時間が無い。故に、使いたいサーヴァントがあれば、私を連絡してください、そのページを翻訳してここに置きます。或いはこのリンクをアクセスして、英語版のページを使ってください:https //drive.google.com/drive/folders/1aZe4622ttTHkDOrIJYRfImo1CGvWuPr0?usp=sharing セイバー:51名 ランサー:48名 アーチャー:46名 ライダー:48名 キャスター:53名 アサシン:43名 バーサーカー:41名 重要:クラススキルの追加情報