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「……それで?」 「それでと言いましても、これで終わりですわ」 不機嫌そうにこちらを見つめるマザリーニ枢機卿の視線を受け、 アンリエッタは居心地悪そうに身体を揺らした。 魔法学院にある客室の一つである。 「殿下、殿下。私は尋ねましたな、 アルビオンの貴族たちにつけいられる隙はございませんかと。 その時の殿下のお答え、まさか忘れたなどとは申されませんな?」 「え、ええ。勿論です」 「では、ワルド子爵に命じられたと言う任務は何ですかな」 なぜこうなったのだろう。 アンリエッタは自問した。 ルイズの部屋を出た後、魔法衛士隊のワルド子爵を召し出してルイズたちへの同行を要請した。 それは間違っていない筈だ。 ルイズたちだけでは心配だったし、ワルドはルイズとも浅からぬ縁である。 助っ人としては上出来だと自画自賛していたのだ。 なのに、なぜ自分はマザリーニに問い質されているのだろう。 「殿下。 最初からこの鳥の骨めにそのことを打ち明けられておられれば、 ワルド子爵のみにアルビオンに向かっていただければそれですんだのです。 殿下のなさったことは、徒にミス・ヴァリエールとそのご友人を危険に晒しただけと心得られよ」 言葉もなく身を縮ませる主君を見やり、 マザリーニはこの度の任務に従事すると言う面々に関する記憶を頭の隅から掘り出した。 魔法学院に行幸するに当たり、教師と生徒の大まかな情報は調べ上げてある。 トライアングルメイジであるキュルケとタバサは戦力として申し分ないし、 ギーシュもドットではあるがその魔法は戦闘向きだと聞いている。 魔法が使えないルイズは不安材料であるが、彼女を欠いてはキュルケやタバサが参加する名分が立たない。 二人のトライアングルメイジの助力が得られるならば多少の不安は甘受すべきだった。 してみると後は各人の政治的背景だけか。 ルイズ及びギーシュの両名ならばまぁよかろう。 トリステインの貴族でもあるし、王女の命を受けても問題はない。 キュルケもよしとしよう。ゲルマニアの貴族であるが、ツェルプストーとヴァリエールの仲の悪さは有名だ。 ルイズへの対抗心から志願したと言えば大問題にはなるまい。 問題はもう一人、タバサと呼ばれる少女である。 雪風のタバサ、その本名をシャルロット・エレーヌ・オルレアンと言うガリアの王族であり、 世が世なればアンリエッタ同様、一国の姫として君臨すべき存在でもあった。 「で、では、改めてワルド子爵だけに……」 「それこそまさかです。 一度口に出した言葉はもはや口には戻りません。 まして王族の言葉なればそれは絶対。万難を排してでも実現させねばならぬものです。 殿下、ご自身の言葉の重さ、まさか理解されておらぬとは仰りませぬな?」 アンリエッタの言葉を軽くいなしながら思考を進める。 現王ジョゼフ派にして見れば彼女は目の上のたんこぶであり、 出来ればこの世から消えて欲しいと願っている存在でもある。 だからこの任務で死亡したとしても問題はあるまい。 では今も尚ガリアに残るオルレアン派とでも言うべき貴族たちにして見ればどうか。 もしこの任務でタバサが死ねば、その一事を持ってトリステインへの宣戦布告の大義名分となすかも知れぬ。 「そもそもですな、殿下。 ワルド子爵は魔法衛士隊グリフォン隊の隊長であり殿下の近衛であります。 その隊長が何も言わずに居なくなれば、どれだけの混乱が起こると思うのです。 それを殿下は誰にも秘密にせよとワルド子爵に仰られた。 子爵が混乱しつつも私に相談しなかったら、 彼には職場放棄あるいは間者の疑惑がかかっていたかもしれぬのですぞ」 言いながらも、その手は一時も止まらずに幾つかの書類を作っている。 ワルドへの特別任務を命じる書状、ルイズへの書状。 そしてガリア現王ジョゼフ派への密書。 王女の任務には一言も触れず、ただ学院に居たタバサと言うガリアからの留学生がアルビオンに向かったと言うことだけを記す。 もし何か不具合があっても、ジョゼフ派がそれを知っていて見過ごしたとなれば、 オルレアン派の怒りはトリステインではなくジョゼフ派に向かう筈だからである。 あるいはそれを契機に対アルビオン貴族軍の同盟をガリアと結ぶことが出来るかも知れぬ。 打てる手を打ちながら、マザリーニは胸中で密かに悪態をついた。 先帝に拾われる前、街中で無頼を気取って過ごしていた時の様な口ぶりで。 ――――これも政治か。くそったれ。 子供の犠牲を前提においた政治なんぞ、くそったれだ。 もっとも、それしか出来ぬ自分が一番くそったれだがな。 /*/ その頃、シャルロット・エレーヌ・オルレアンこと雪風のタバサは自分の得物の手入れに余念がなかった。 荷作りは既に済んでいる ガリア北花壇警護騎士団として秘密任務に従事していた彼女には、 常日頃から荷物を纏めておく習慣があったからである。 「なぁ、さっきの姫さんの言ったこと、まだ気にしてんのかい?」 「気にしてない」 少女以外誰も居ない筈の部屋に声が生じた。 タバサは一瞬驚いたものの、その声に聞き覚えがあると思い出すと、 机の上に投げ出されたナイフに視線を向けてそっけなく言い返した。 “地下水”と呼ばれたそれは、紆余曲折を経てタバサの所有物となったインテリジェンスナイフである。 「あー、なんか顔に見覚えがあると言われて、動揺してたな」 「お、解るのかい、デルフの兄貴」 「おお、俺の力の源泉は使い手の心の震えだからな。使い手の心の機微に詳しくなけりゃあやってられねぇよ」 「さすがだねぇ、戦闘から恋の相談までなんでもござれってかい」 武器たちの話は止まらない。 そもそも食事も睡眠も必要なく、疲労すら憶えない彼らにとっての暇潰しはお喋りだけなのである。 実は地下水がタバサの元へやってきて一番喜んだのがこれであった。 自分の退屈を理解し、お喋りにも嫌な顔一つせずに付き合ってくれる存在に出会えるとは思わなかったのだそうだ。 操る人間を変えながらガリアからトリステインまでやってきた甲斐があったとしきりに喜んでいた。 なにしろ相手も自分と同じ喋る武器で、記憶を一部失っているとはいえ自分よりも永い間存在して来た先輩である。 デルフを兄と呼ぶようになるのに時間はかからなかった。 「ま、それはそれとして。姫さんのアレな、多分、オルレアン公のことだぜ」 「……父さま?」 首を傾げる。てっきりガリア王ジョゼフの娘であるイザベラの事だと思っていたのに。 そう言うと、地下水はけけけとおかしそうに笑った。 「イザベラは、ガリアから外に出たことねぇ筈だからよ、あの姫さんだって会ったことねぇと思うぜ。 オルレアン公はその逆で、先王の名代でいろんな国の式典に出てたからよ、 姫さんもその時に見たんじゃねぇのか?」 そう、とタバサは呟いて鏡を見た。 「似ている……そう、わたしと父さまは似ているのね……?」 幸せそうに呟いて、少女はそっと頬を緩めた。 /*/ 出発は明日と決まったが、だからと言って無断で出発して良いわけもない。 他の所はどうか知らないが、ルイズの家には規則を破るのが大嫌いなお方が居るのである。 任務とはいえ無断で学校を休んで戦地に向かったなどということが知れれば、 生きて帰ってこれても半殺しの目に遭うかもしれない。 それに、もう一つ懸念事項もあることだし。 そんな訳で、ルイズはオールド・オスマンにその旨の許可を取りに行くことにした。 夜半にも拘らずオスマン氏は未だ仕事中であり、ルイズの申請に快く許可をくれた。 ミス・ロングビルの後任の秘書は未だ決まっていない。 彼女がいつ帰ってきてもいいようにだとオスマンは言うが、 その実、後任として入った秘書が彼の痴漢行為に三日と耐えれないというのが真実らしい。 大猫に跨って自分の部屋に帰ってくると、扉の前に佇む人影が目に入った。 僧侶のような丸い帽子を被り、灰色の長衣に身を包んだ痩せぎすの男である。 「……マザリーニ枢機卿?」 「初めましてかな、ミス・ヴァリエール」 立ち話もなんだしと部屋に招きいれ、椅子を勧めた。 卑しくもトリステインの枢機卿がわざわざ出向いたのだ。 それ相応の理由というものがあるのだろう。廊下で話していい話題でないことは確かだった。 「さて、夜も遅いし、単刀直入に言わせて貰おうミス・ヴァリエール。 君が……ああ、いや、君たちが、だな。姫殿下より拝命した任務についてだ」 「失礼ですが、マザリーニ枢機卿。閣下はそれをどこからお聞きになりましたか?」 うってかわって醒めた声で尋ねたルイズに、マザリーニは逆に愉快そうに頬を緩めた。 彼はルイズのこの反応は当然だと思うし、それすら出来ぬ者に任務を任そうとも思わない。 問題は、それを当然と思う者が彼の部下の中にすら少ないということだ。 「無論、姫殿下からだ。 殿下は君たちだけにこの任務を与えるのが心配になったようでね。 魔法衛士隊の中から一人、君たちに同行するよう命じられたのだよ」 「聞いておりませんが」 「そうだろうな」 軽く流すと、マザリーニは一通の書状を取り出した。 封はされていない。ルイズに渡して中を確認するように言う。 それは枢機卿であるマザリーニの名において秘密任務を命じる旨が書かれており、 同時に任務遂行に必要な資材の徴発権を与える旨が記されていた。 「解ってくれると思うが、この件については姫殿下は何も知らない。 君を選んだのも、命令を下したのも、すべて私のしたことだ」 「……何か問題が起こった時、姫さまの楯になるおつもりですか」 書状を確認して懐にしまうとルイズは尋ねたが、マザリーニは軽く眉を上げることでそれに答えた。 「なんのことかな、ミス・ヴァリエール。この歳になると耳が遠くてね」 「失礼しました、マザリーニ枢機卿。 もしよろしければ、有能な水の使い手を紹介いたしますが」 「それはありがたい。私の知り合いに水の使い手は少なくてね。 その代わりといっては何だが、火の使い手には少々心当たりがあるのだが」 言いながら、袋に包まれた品物を取り出して机の上に置く。 その時に沈痛な表情がその顔を過ぎるのをルイズは気づかなかったが、 大猫はそれに気がついてニャァと鳴いた。 あれは、シオネに毒薬を渡した男と同じ表情だ 「その火の使い手が作った秘薬でね。 最近ゲルマニアで開発されたばかりの物だ。 人間など簡単に粉々に出来る爆発を生み出せる。 使い方はこの紙に書いてあるよ」 ルイズが息を呑み、微かに顔を蒼褪めさせながらそれを見た。 この任務の危険性は承知していた。 承知していたつもりだった。 怪我をすることも、死ぬかもしれないことも知っていた。 だがこんな風に、簡単に人を殺せるモノを渡されるとは思っていなかった。 「戦で出る損害についてだが、 私は死亡よりは行方不明の方が望みがあると考える。 行方不明だった者が数年経って帰還した例など有り触れているからね」 言いながら、マザリーニは胸中で自らを罵り続けた。 姫殿下の御為にと言えば聞こえはいいが、その実、自分が彼女に勧めているのは自殺だ。 もし殺されそうになったら、その前に自分で死ねと言っているのだ。 まだ若い、自分の三分の一も生きているか解らない少女に、 生の意味もまだ知らぬ少女にその命を自ら散らせと言っているのだ。 王女に仮初の希望をもたらすために死を選べと言っているのだ。 そして何より許せないのは、 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールに関する調査が真実ならば、 彼女はそれを拒まないだろうことを確信している自分の性根の卑しさについてだった。 「それは……確かに。 最新式の秘薬ですか。随分と頼もしいことですね」 「許しは乞わんよ、ミス・ヴァリエール」 恐怖を抑えてルイズは笑い、マザリーニの苦悩はまた深くなった。 泣いてくれれば、罵ってくれれば、憎んでくれれば、 彼は自分を誤魔化す事も出来ただろう。 だがルイズはそれをせず、ただ笑って受け入れただけだった。 それを僥倖とは思わなかった。 自らに罪がないなどと思うことなど出来なかった 先帝の死後、自らの手を汚してでもこの国を支え続けた男の誇りがそれを許さなかった。 彼に出来たのはただいつもの様に告げることだけだった。 「だが、後悔はさせんつもりだ」 「それで充分ですわ」 ルイズはそっと目を伏せた。 ああ、ここにも貴族が一人居た。 自らを悪に任じても、それでも誰かの為に力を尽くす者が居た。 ならば自分はそれでいい。 それだけで、自分は死地へと行けるだろう。 だが、仲間たちまでそれにつき合わせることもあるまい。 「もう一つだけ約束していただけますか、マザリーニ枢機卿。 もしもタバサとキュルケとギーシュとわたしが死ぬことも許されず捕虜になった場合ですが」 みなまで聞かずに、いいだろうとマザリーニは言った。 捕虜の引渡しとなればどのような要求がくるか解ったものではない。 だがそれがなんだと彼は思った。 目の前の小さな貴族のためならどんなことでもしてやるつもりだった。 「順番は言った通りでいいのかね?」 「はい。タバサはトリステイン人でもゲルマニア人でもありませんし。 キュルケはトリステイン人ではありません。 ギーシュはトリステイン人ですがわたしに巻き込まれたようなものですから」 その言葉に、マザリーニは微かに胸を押さえた。 ガリアとの関係を考慮すればタバサを一番にしているのは好ましいと、 少しでも思った自分が許せなかった。 「いいだろう。必ず助けてやる。 ミス・ヴァリエール。君と、君の仲間たちが生き残ったならば、 どんな手を使ってでも助け出してやる。 これは約束だ。始祖ブリミルに誓って果たされるべき約束だ」 ルイズは嬉しそうに頭を下げた。 彼女は今までマザリーニのことをよくは知らなかった。 平民の血も混じっていると言う噂のある彼の風評はお世辞にもいいものとは言えず、 マリアンヌ大后の後ろ盾を良いことに国政を操る奸雄だというモノが殆どだった。 だが、そんな噂など全て嘘だった。 ルイズはずっとずっと昔にあの人から聞いた言葉を思い出した。 世界は嘘に満ちている。最後に残るものこそが真実だ。 「マザリーニ枢機卿。魔法が使えないわたしは貴族として半人前ですが」 そして、ルイズは華やかに顔をほころばせて笑った。 「あなたは、本当に貴族らしいと思いますわ」 面と向かって言われたマザリーニは我知らず赤面する自分を自覚した。 今まで、そんなことを言われたことなど一度として無かったのだから。 退去する旨を伝えて席を立ち、扉の前で足元に視線を移す。 門番のようにそこに座っている大猫を見やると口を開いた。 「ミス・ヴァリエール。確か、あなたの姉のカトレア殿は動物がお好きだと聞いていたが」 「ええ、その通りですわ」 「この大猫、あなたの使い魔をお見せすれば、カトレア殿はたいそうお喜びになると思うのだが、どうだろう」 最後にそう言い残し、未だ耳の赤みが抜けぬ枢機卿は部屋を辞した。 それを見送ったルイズはブータと顔を見合わせて苦笑する。 「なんとも不器用な男だな」 髯を震わせて大猫が言った。 最後の言葉に隠されたマザリーニの真意を読み取れぬほど彼らは鈍感ではなかった。 すなわち――――“必ず生きて帰れ” 前に戻る 次に進む 目次
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各国ストライカーユニット一覧 オラーシャ連邦 ミール・ガスゥダールストヴァ設計局 Mig-31 Mig-27 スホーイ(知らん) カールスラント連邦 メッサーシャルフ ガリア共和国 ダッソー RafaleM ジャズィーラ連合王国 バルトランド公国 サーブ(知らん) 扶桑国 長島重工業(多分富士重工業) ブリタニア連邦 リベリオン合衆国 ロマーニャ公国
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『お菓子1年分』 ――出す……!出すが… 今回 まだ その時と場所の指定まではしていない つまり……私がその気になればお菓子の受け渡しは10年後、20年後も 可能だろう……ということ……!―― 『オレのストライカーユニット』 形状はほぼバイク、操縦方法もそれと同様である。 タイヤに相当する部分には大気中のエーテルと反応する呪文がびっしりと刻まれており、これを高速回転させることで 推進力を得る。船で言えば外輪船の要領である。 宮藤理論確立前のユニットが原型であるため、現行のストライカーユニットと比べると絶対性能は低い。 また、推力を得るためには発動機を大型化する必要があった為、必然的に機体そのものも大型化しており、取り回しも悪い。 利点があるとすれば、性能が低い分少ない魔力量でも起動が可能な事や、操作が空を「走る」感覚に近いため、 訓練次第で陸戦ウィッチでも機種転換が可能な事である。 機首にはブレンガンを改装した機銃が取り付けられている。 ちなみに、オレの機種転換の際には右足ギア、左足ブレーキの『ブリタニア仕様』に戸惑ってよく墜落したらしい。 『オレの槍』 長さ2m程の、使い込まれた鉄槍。穂は剣状、刃渡りは25cm程。 飾りが付いていたとおぼしき跡が見られるが、現在では飾りの類は取り付けられていない。 『オレの耳飾り』 剣を模した形状の耳飾り。左耳のみに着けている。 オレの髪が長いせいもあり、普段はよく見えない。 『手甲』 薄汚れた、銀色の手甲。 手の甲から肘関節付近までを覆うものだが、手首や指の動きを妨げない造りとなっている。 装甲の材質は不明だが、装甲の裏面には呪術陣が余す所なく彫られている。 また、表面には小さくガリア語が彫られており、掠れてはいるが『その身、唯護らんが為に』と読み取ることが出来る。 『技術班謹製の槍』 「投げ槍とか試したいが慣れ親しんだ槍をぶん投げるのは抵抗があるし、かといって2mの棒を何本も持っていくのは面倒」 という要望から作成された槍。 特徴としては伸縮機構を備えていることが挙げられ、これにより最短で1m弱程までに長さを詰めることが出来る。 また、穂の部分は着脱式になっており、用途に応じて付け替えることが可能。 ただし、伸縮機構が手動の為、収縮状態からの連射は難しい。 『出所不明の磁気テープ』 文字通りの磁気テープ。ラベルには『9月14日』と記されているが、その真贋や誰が録音したのかは不明。 →再生する 『守護騎士(シュヴァリエ)』 ガリア各地に発生する怪異を討伐し、国の守護を司っていた騎士達の総称。 任命の際には剣や槍といった栄誉の武器や防具、アミュレット等が与えられ、 ガリア各地に合わせた二つ名を名乗ることが許される。 また、当時の資料によると、これらの装備にはウィッチ由来の特別な加護が与えられており、怪異に対しても ある程度有効であったという。 当時は政治などに影響する程の高い地位を誇っていたが、ナポレオン統治時代の怪異との戦いにおいてその殆どが空位となる。 僅かに残った騎士達も後世の市民革命などにより没落。 現在では特に勇敢な軍人に贈られる名誉称号的なものとなっている。 軍人のみに与えられる勲章であるという点で、レジオンドヌール勲章とは異なる。 現在、レジオンドヌール勲章が最高勲章として定着しているとはいえ、守護騎士任命の栄誉はそれに匹敵するという。 . なお余談ではあるが、最年少授与記録は14歳の少年。 希少な男性のウィッチであったことに加え、ヒスパニアの怪異発生における義勇兵としての実績を買われての事であったという。 .
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『お菓子1年分』 ――出す……!出すが… 今回 まだ その時と場所の指定まではしていない つまり……私がその気になればお菓子の受け渡しは10年後、20年後も 可能だろう……ということ……!―― 『オレのストライカーユニット』 形状はほぼバイク、操縦方法もそれと同様である。 タイヤに相当する部分には大気中のエーテルと反応する呪文がびっしりと刻まれており、これを高速回転させることで 推進力を得る。船で言えば外輪船の要領である。 宮藤理論確立前のユニットが原型であるため、現行のストライカーユニットと比べると絶対性能は低い。 また、推力を得るためには発動機を大型化する必要があった為、必然的に機体そのものも大型化しており、取り回しも悪い。 利点があるとすれば、性能が低い分少ない魔力量でも起動が可能な事や、操作が空を「走る」感覚に近いため、 訓練次第で陸戦ウィッチでも機種転換が可能な事である。 機首にはブレンガンを改装した機銃が取り付けられている。 ちなみに、オレの機種転換の際には右足ギア、左足ブレーキの『ブリタニア仕様』に戸惑ってよく墜落したらしい。 『オレの槍』 長さ2m程の、使い込まれた鉄槍。穂は剣状、刃渡りは25cm程。 飾りが付いていたとおぼしき跡が見られるが、現在では飾りの類は取り付けられていない。 『オレの耳飾り』 剣を模した形状の耳飾り。左耳のみに着けている。 オレの髪が長いせいもあり、普段はよく見えない。 『手甲』 薄汚れた、銀色の手甲。 手の甲から肘関節付近までを覆うものだが、手首や指の動きを妨げない造りとなっている。 装甲の材質は不明だが、装甲の裏面には呪術陣が余す所なく彫られている。 また、表面には小さくガリア語が彫られており、掠れてはいるが『その身、唯護らんが為に』と読み取ることが出来る。 『技術班謹製の槍』 「投げ槍とか試したいが慣れ親しんだ槍をぶん投げるのは抵抗があるし、かといって2mの棒を何本も持っていくのは面倒」 という要望から作成された槍。 特徴としては伸縮機構を備えていることが挙げられ、これにより最短で1m弱程までに長さを詰めることが出来る。 また、穂の部分は着脱式になっており、用途に応じて付け替えることが可能。 ただし、伸縮機構が手動の為、収縮状態からの連射は難しい。 『出所不明の磁気テープ』 文字通りの磁気テープ。ラベルには『9月14日』と記されているが、その真贋や誰が録音したのかは不明。 →再生する 『守護騎士(シュヴァリエ)』 ガリア各地に発生する怪異を討伐し、国の守護を司っていた騎士達の総称。 任命の際には剣や槍といった栄誉の武器や防具、アミュレット等が与えられ、 ガリア各地に合わせた二つ名を名乗ることが許される。 また、当時の資料によると、これらの装備にはウィッチ由来の特別な加護が与えられており、怪異に対しても ある程度有効であったという。 当時は政治などに影響する程の高い地位を誇っていたが、ナポレオン統治時代の怪異との戦いにおいてその殆どが空位となる。 僅かに残った騎士達も後世の市民革命などにより没落。 現在では特に勇敢な軍人に贈られる名誉称号的なものとなっている。 軍人のみに与えられる勲章であるという点で、レジオンドヌール勲章とは異なる。 現在、レジオンドヌール勲章が最高勲章として定着しているとはいえ、守護騎士任命の栄誉はそれに匹敵するという。 . なお余談ではあるが、最年少授与記録は14歳の少年。 希少な男性のウィッチであったことに加え、ヒスパニアの怪異発生における義勇兵としての実績を買われての事であったという。 .
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難易度 ★★★★★★★★★ いつでも洞窟の外と中に移動でき、洞窟内のモンスターは外より強力。 回復ポイント 四回戦と五回戦の間 洞窟内 敵グループ1 敵グループ2 備考 第1回戦 バイオスライム×4、壺 バイオスライム×3、ジェットもぐら×2 第2回戦 マッドアーム、ミドランキ、ドランキ×3 マッドアーム、ドランキ×4 第3回戦 パペットドール×2 パペットドール、爆弾こぞう、壺 第4回戦 バイオスライム、エレキスライム、パペットドール、旅の商人 パペットドール、グレムリン、シルバースライム、旅の商人 次で回復 第5回戦 爆弾こぞう、マッドアーム×4 爆弾こぞう、マッドアーム×3、グレムリン 右から1、2匹マッドアームをHP偶数で残すことにより金を稼げる 第6回戦 グスモ グスモ、マッドアーム×4 同上 第7回戦 スナイパッド、カメレオンジャック スナイパッド、リザードマン 第8回戦 巨大めだま、マネマネ×3、旅の商人 増援グスモ×2、偽商人の可能性あり 第9回戦 ビックマウス、サンドウォーム×2、リザードマン、壺 第10回戦 ニトロベビー、サンドウォーム、パペットドール×2、マタンゴ ニトロベビー、サンドウォーム、スライムオート、マタンゴ×2 以降、洞窟外と合流 第11回戦 石像ビースト、リザードマン、ニトロベビー、石像ビースト、旅の商人 偽商人の可能性 第12回戦 スケルトンナイト、ヘルハニー×2、ニトロベビー、マタンゴ 第13回戦 石像ビースト、スケルトンナイト、人斬りサーベル×2 石像ビースト×2、スケルトンナイト、人斬りサーベル 第14回戦 石像ビースト、エレキスライム、鋼のさそり、石像ビースト、闇の商人 石像ビースト、エレキスライム、鋼のさそり×2、闇の商人 増援、呪いの仮面、戦闘回避可能 第15回戦 石像ビースト、スケルトンナイト、人斬りサーベル×2、鋼のさそり 石像ビースト、スケルトンナイト×2、人斬りサーベル、鋼のさそり 第16回戦 石像ビースト、ヘルガーディアン、石像ビースト、宝箱 石像ビースト、ヘルガーディアン、石像ビースト 洞窟外 敵グループ1 敵グループ2 備考 第1回戦 スライムメス×3 ジェットもぐら、スライムメス 第2回戦 スチールアント、スライムメス×2、木箱×2 巨大こづち、スライムメス、スライム 第3回戦 まほうつかい、ジェットもぐら 第4回戦 くちびるおばけ、巨大こづち、旅の商人 くちびるおばけ、爆弾こぞう、旅の商人 第5回戦 ボーガン頭巾×2、スライムメス×2、スライム ボーガン頭巾、スチールアント×2、スライムメス、スライム 第6回戦 マネマネ、ビートル×2 ビートル×3 第7回戦 ボーガン頭巾、巨大こづち×2、マネマネ、旅の商人 偽商人の可能性あり 第8回戦 スライムオート、プチサタン×2、爆弾こぞう、旅の商人 増援パペットドール×2 第9回戦 キラードリル、ビートル、巨大こづち×2、強化木箱 リザードマン、巨大こづち×3、強化木箱 第10回戦 スナイパッド、カメレオンジャック ここから洞窟外がなくなり内部へ クリアボーナス 総資産+8000円 攻略動画 http //www.nicovideo.jp/watch/sm15117349 洞窟内の1グループ目より圧倒的に2グループ目が出る気がします -- 塩弟 (2011-07-17 21 36 55) 1戦目についてです。 -- 塩弟 (2011-07-17 21 37 18) 第15回戦 石像ビースト、スケルトンナイトx2、人斬りサーベル、鋼のさそり -- (敵グループ2) 2012-04-16 17 11 48 洞窟外一戦目 ジェットもぐら スライムメス -- (敵2) 2013-02-14 01 52 13 魔道書で魔法のごり押しで勝利 -- (名無しさん) 2013-12-27 07 35 43 名前 コメント すべてのコメントを見る
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2-1 設定国民の名前まとめ(全国版)[羅幻藩国] 設定国民の名前 よみ 備考 モモ=フェニア カシワ=セキュラ セセリ=ガリア ササミ=オルガナ テバ=コーラー ヘルツ=フォチュナ ズリ=フェット スナ=タイフォ キンカン=ラーズ ツクネ=トレバー ネギマ=キューン マツバ=オリン ヤゲン=ターキン トサ=ビンクス サガリ=シボース ハラミ=カルリシアン シラ=ウィンドゥ フエ=モスマ イカダ=ガンレイ ウズラ=ディアス 計20名 報酬入金先 羅幻藩国口座 20名分
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前ページ次ページゼロな提督 《教皇よ!》 シャン・ド・マルス錬兵場に、一際大音量でラインハルトの声が響き渡った。 《銀河帝国がハルケギニアへ侵略を企てていたなら、とうの昔にハルケギニアは予の 艦隊に蹂躙されていた。予にその意思がなかったから、卿等は繁栄を享受できていた のだ。 この事実こそが、予が和平を望む証である!》 その言葉に、教皇は何も答える事が出来ない。愕然としたまま立ち尽くしている。ジュ リオも剣を握る手から力が抜けていく。 《卿等のいかなる魔法も、どんな大砲も、予の艦に傷一つすら付ける事は出来ぬ。そ もそも、とどきすらせぬし、魔法や大砲を放つ間も与えぬ。予が腕を振り下ろす間に 全て消し飛ばしてくれよう》 ラインハルトはジョゼフへ向けて手を差し伸べる。 ガリア王とミョズニトニルンは軽やかに悪魔像を模した巨大魔法人形から地上へ降り立 つ。魔法人形は地響きを上げながら会場の人々を離れ、周囲に誰もいない練兵場の隅に座 り込んだ。 光が爆ぜた。 次の瞬間、魔法人形は消えていた。魔法人形が座っていた地面も消えていた。半径十メ イル程の大穴が出来ていた。 それがミサイル攻撃だというのは、会場の人々には分からなかった。だが、頭上の艦か ら棒状の物が撃ち込まれた瞬間に巨大魔法人形が地面ごと吹き飛んだのは分かった。 ブリュンヒルトの側面には多数のミサイル発射口が口を開けていた。 それらが会場へ向けられる砲口なのは、アンリエッタ亡命後すぐに山ごもりをして魔法 の修行を続けていたため真相に関して何の知識も得られず、滑稽な道化と成り果てたギー シュ・マリコルヌ・ヴィリエにすらも分かる事だった。 壊れたアルヴィーを握りしめ、虚しく地面にへたり込むギーシュ達の肩を叩く老人の手 があった。それはオスマンだ。その後ろにはコルベールもいる。 「おぬしらを責めはせんよ。ただ、今はあの者達の言葉を黙って聞くがいい」 三人は、呆然としたまま微動だに出来なかった。 《更に言うなら、あれらの艦は全て無人だ。卿等に分かる言葉で言うなら、ガーゴイ ルなのだ。 教皇よ。お前の『虚無』の魔法が、どれほどの奇跡を起こそうとも、万一あれら全 てを消し去る事が出来ようとも、予には蚊が刺した程の事もない。新たに無人の艦隊 を送るだけだ。次は万の単位で、な。 なお言っておくが、卿等の頭上の艦を破壊したら、当然ながら残骸が降り注ぐぞ。 お前達の頭に》 それは、全くもって余計な台詞だ。 ラインハルトは、わざわざ言われなくても分かっている事を口にした。この点、まだラ インハルトも若く、激情に身を委ねる事もある気性の激しい皇帝ゆえ、少々自らの権力に 酔っていたと言えるだろう。ジョゼフが言うように、見た事もない大艦隊を見て怯えうろ たえる人々を目にして、「ついつい面白くなって」しまっても、非難出来る人は少ないだろ う。 事実、教皇にとって確かにラインハルトの言葉は、言われなくても分かっている余計な ことだった。 ヴィットーリオは聖杖を取り落としていた。怯え震える火竜の背で、膝をついていたの だ。もはや教皇としての威厳はなかった。俯き、噛み締められた唇からは何の言葉も出な かった。頭から落ちた円筒状の帽子のことなど、本人含めて誰も気にする事は出来なかっ た。 その姿はハルケギニアの敗北を、教会権威の失墜を象徴していた。竜に並ぶ恐怖の対象 であるエルフ達をも遙かに上回る軍団が聖地奪還に立ち塞がっている事実を、彼等の気ま ぐれ一つで教会は消滅する事を、エルフ達との和平を受け入れなければ本当に消されかね ない事を示していた。 「はーっはっはっはっはっは!」 ジョゼフの高らかな笑い声が響き渡った。 立ち上がる気力もない教皇へ向けて、満面の笑みで語りかけてくる。 「ま、そういう訳なのだよ! これまでの詳しい話は後々教えてやるが、ともかく、今日の調印式典は全て狂言だった のだ」 そう言いながら、ジョゼフはツカツカと教皇が乗る火竜へ歩み寄っていく。 顔を上げられない教皇へ、実に楽しげに朗々と語り続けた。 「いやあ!全くお前の絶望の程には同情するぞ。 自分の全人生を捧げてきたものが、全くの嘘。 力で真実を否定しようにも、圧倒的な戦力差に手も足も出ない。 しかも、それら全てをハルケギニアの全貴族を前に公にされてしまったのだ。 全くお前は立場がない、運もない、たった今から権威も権力も何もない!」 教皇は、何も答えない。答えられない。 ジョゼフは火竜の傍、教皇の近くまで歩み寄る。 そして腕を組み、うんうんと頷きながら話を続ける。 「あ、そうそう、一つ教えてやろう。 実は銀河帝国の人間は、そこで幻影の姿を現しているラインハルトも含めて、全てが魔 法を使えない人間なのだ。俺も驚いたのだが、その若者の国にはメイジも魔法も存在しな いそうだ。 実際、俺も銀河帝国から迷い込んだ連中の遺留品をかき集めて、部下に調べさせたのだ が、一切の魔法反応が無かった。エルフ達も調べたそうだが、精霊の残渣すらなかったそ うだ」 その言葉に、ラインハルトもヤンも小さく頷く。 だが教皇は頷けない。 「つまり、俺たちの上を飛んでいる、あの神の軍勢がごとき大艦隊も、全て魔法無しで平 民達が作ったガーゴイルだ。ブリミルが俺たちに授けた系統魔法も先住魔法も無しに動か しているのだよ。 つまり平民達の力は、系統魔法を遙かに上回るのだ。始祖がハルケギニアに授けた祝福 なぞ不要、と言うほどにな。始祖の系統である『虚無』の使い魔の一つ、俺の使い魔ミョ ズニトニルンの力で生み出した巨大ガーゴイルですら、ほれ、あの通り。奴等の爆弾一つ で粉々だ!」 ジョゼフはあごをしゃくって会場の隅を示す。 そこには、ミサイルで跡形もなく地面ごと消し飛んだ魔法人形の座っていた場所。 もちろん使用されたのは対艦ミサイルではない。核弾頭を外し、適当に火薬を詰めただ けだ。 王は、わざとらしく肩をすくめる 「いやはや、俺だけでなく、マリアンヌ女王やアルブレヒトにも、エルフ達にすらどうし ようもなかったのだ。 何しろ彼等、エルフと銀河帝国の連中が言う事に一つも嘘偽りは無かった。始祖が奪還 を求めた聖地は、草一本生えない荒野。ど真ん中にある召喚の門は、主たる始祖がいない のに開きっぱなし。そして門から飛び出してくるのは、あの『ドラート』をはじめとした 銀河帝国の軍艦ばかり! おまけに圧倒的軍事力。笑顔で『和平に応じろ』と言われれば否応もない。選択肢が他 になかったのだ」 その言葉には、ハルケギニアの女王や皇帝も頷いた。 そして王は、益々わざとらしく教皇へ微笑んだ。 「だが教皇よ、安心せよ!事の責任は、お前には全くないぞ!うむ、お前は全く悪くない のだ! 教会の教えが誤っていたのは、お前が間違えたからではない。お前の先人達の誤りであ り、そやつらの責任だ。 系統魔法が我等を六千年に渡って守り導いたのは真実だ。我等は系統魔法による恩恵を 受け続けていたのだ。ブリミルが我等を蔑ろにしたなんてことも、全く無い!多少の誤り はあっても、ブリミル教自体は間違っていないのだ!」 その言葉に、教皇はようやくジョゼフの方を見る。 全てを失った若者の目に映るのは、満面の笑みと共に自分を慰める男。 「おお!これはつまり、教会はこれからもハルケギニアを導くべき地位にあるという事な のか!?そうだ、お前が教皇である事に、全ブリミル教徒を率いる地位にある事に変わり はないという事だ! 彼等、銀河帝国も俺たちに和平を申し出た。つまりお前の教皇としての地位も教会の存 在も不問とする、という事でもある。 良かったではないか、教皇聖下よ!お前が聖地奪還を諦めさえすれば、お前は自分の地 位を、権威を守る事が出来るのだ!今まで通りにハルケギニアの貴族と平民達へ始祖の教 えを」 バキィッ! 打撃音が鳴り響いた。 ジョゼフの言葉は、頬にめり込む拳で遮られた。 ガリア王を殴り飛ばした者がいたのだ。 だが、それはジュリオではない。ジュリオの前にはミョズニトニルンが立ちはだかって いたから。落としそうになっていた剣を握り直してジョゼフに斬りかかったのを、無能王 の使い魔が遮っていた。 だが、王の頬には拳がめり込んでいた。翼人女性のアイーシャ、ビダーシャルをはじめ としたエルフ達がいるのに、精霊はガリア王を守らなかった。火竜のブレスからは守った のに、男の拳からは守らなかった。亜人達も、何も言わず驚きも怒りも何もせず、ジョゼ フが殴られるのを黙って見逃した。教皇お付きの神官達が動かないよう見張っているのに も関わらず。 上空にいるヤンやフレデリカも、銀河帝国艦隊も、全く動きを見せない。まるでそれが 当たり前のように。 そう、彼等は見ていた。この茶番劇の役者達は、わざと見過ごしたのだ。 ロマリアの教皇聖エイジス三十二世が、火竜を飛び降りてガリア王を殴るのを。 それが茶番劇の一つであるかのように。 だが、そんな事実にすら、教皇は思い至らなかった。 彼はただ、激情に身を任せた。 身の奥底からわき上がる憎悪と憤怒に身を任せるしかなかった。 「全部…全部、仕組んでいたのか…?」 端正な顔が怒りに歪む。 殴り飛ばされた王は、口の端から一筋の血を流し、それでも笑った。 笑顔で答えたのだ。 「そうだ、全て俺が仕組んだ」 「お前が…!?」 その言葉を、教皇は信じる事が出来なかった。エルフはおろか、銀河帝国という超大国 までがガリア王の筋書きに従ったという事実を信じるのは難しかった。 《ガリア王の言葉は真実だ》 ラインハルトがジョゼフの言葉を真実と保証した。 《それが、ガリア王が協力する条件だったのだ。 エルフ達との和解に応じ、ガリア王としても『虚無』の系統としても銀河帝国との 和平を結ぶ。そのかわり、今日の式典は全てガリア王の仕切りにさせよ、と》 ヴィットーリオの視線は、高速でジョゼフとラインハルトの間を往復する。 ラインハルトの説明に、ビダーシャルをはじめ老エルフ達も同意した。 「我等もガリア王の要求には首を捻った。何のために、こんな寸劇をするのかは全く分か らなかったのだ。 だが、ともかくガリア王は全面協力を約束した。我等やヤンが求めた『不殺』の条件を も受け入れた。実際、ジョゼフの筋書き通りに事は進み、誰も死なずに済んだ。なので、 我等としてもジョゼフの案に異論は唱えなかった」 ドゴォッ! 再び殴打の音が響いた。 もはや殺意すら顔に浮かべた教皇が、今度はジョゼフの腹に拳をめり込ませたのだ。 「それじゃ、それじゃあ、お前はこう言うのか? 全ては、私に恥をかかせるのが目的だったというのか!?」 「く・・・くく、く…。やっと、気が付いたか…」 「なんだ、と?・・・どういうことだ。簒奪者よ、一体どういう事だ!?弟を殺し王位を 奪って、次は教皇にでもなりたい…と、そういうのか!?」 ジョゼフは腹を押さえて膝をついている。だが、苦悶に顔を僅かに歪めつつも、それで も笑顔が消えない。 いや、むしろ、心からの喜びに満ちている。満面の笑みを浮かべている。 「くく、くくく…違う。教皇の地位など興味はない。全ては、この一瞬のために仕組んだ のだ」 「この、一瞬…?私が恥をかく、この一瞬に・・・。な、何故、何故だ。私が、お前に何 をしたと言うのだ?」 「お前は、何もしていない。本当に、お前は何も悪くないのだよ。だが、俺は仕組んだの だ。今日の茶番を、な」 よろめきながら、ジョゼフは立ち上がる。 そして、トリスタニアはおろか、ハルケギニア全てに響きわたらさんとするかのような 声を張り上げた。 「お前に、お前に俺を、殴らせるためさっ!」 確かにジョゼフは告白した。教皇にガリア王を殴らせるために、今回の陰謀を仕組んだ のだ、と。 だが、告白をされたからと言ってジョゼフの意図を理解出来るわけではない。殴りつけ た本人である教皇も、あえてジョゼフ本人を守らないように精霊へお願いしたアイーシャ やビダーシャルなどエルフの人々も、モニターで事の推移を黙ってみているラインハルト 達すらも、彼の意図が分からない。 『ドラート』二機はようやく降下艇の隣に着陸して、中からルイズ達が地上へ降り立っ た。彼等もジョゼフの言葉を黙って聞いている。 ジョゼフは大きく息を吐き、呼吸を整え、静かに尋ねた。 「教皇よ、お前は『虚無』の力が何を源とするか知っているな」 その問に、教皇は目を見開いた。 だが口は開かない。何も答えない。 「知らないのか?それとも言えないのか?なら俺が代わりに言ってやる。教えてやる。 それは、闇だ」 闇。その言葉を口にしたジョゼフの顔は、確かに闇が浮かんでいるように見えた。 たとえ闇が浮かんでいるように見えるのが気のせいでも、その口調には明らかに憎悪が 含まれている。 「怒り、憎しみ、嫉妬、絶望…あらゆる負の感情が源となる。『虚無』の系統たる俺と、そ このルイズが保証する。闇が心を満たす時、『虚無』の力は増す。精神力が溜まり、威力を 上げるのだ。 はっ!慈愛に満ち祝福を授けるのブリミルの系統が闇を糧にするとはな。大笑いだ!」 その言葉にルイズも黙って頷く。 彼女の顔には憎悪は浮かんでいない。ただ静かに話を聞いている。だが隣のヤンは知っ ている。彼女の心が闇に浸食されていた事実を。 「大きな力には、暴走を防ぐために封印がかけられる。 そのため『虚無』の系統にも封印がかけられていた。それが始祖の秘宝だ。地水火風を 象徴する4つの指輪と、「虚無」の魔法を伝える4つの秘宝に触れる時、封印は解除される。 『虚無』が蘇る。 だが、この封印にはもう一つの意味があった…『虚無』の使い手に、その心に、闇を満 たすという効果が、な!」 ジョゼフは吐き捨てる。 その心に満たされた闇を吐き出すかのように。己を焼く憎悪が炎となって吹き出すかの ように。心から忌々しげに。 「昔、俺は何一つ出来なかった。封印のせいで魔法が使えなかった。もちろん俺が本当は 『虚無』の系統だなんて、誰にも分からない。宮中の誰もが、母すらも、俺を暗愚と呼ん ださ。 それに比べて弟のシャルルは何でも出来た。皆、弟が王になる事を望んだ。あいつは、 誰よりも魔法の才に優れていた。五歳で空を飛び、七歳で火を完全に操り、十歳で銀を錬 金した。十二歳の時には水の根本を理解した。俺には何一つ出来ない事を、シャルルは容 易くやってのけた」 弟の事を語り出すジョゼフ。その時の彼には、憎悪ではなく懐古と寂寥と、嫉妬と後悔 がみてとれた。天を仰ぎながら、懐かしげに、羨ましげに、そして悔しそうに弟の事を語 る。 「いや、魔法だけじゃない。あいつは本当に賢かった。俺と互角にチェスを指せたのはあ いつだけだった。あいつがいなくなって、俺のチェスの相手は、俺だけになってしまった。 自分で自分を相手にチェスを指す…なんて退屈な行為だ! 賢いだけじゃない、あいつは優しかった。家臣や父にバカにされる俺を見て、あいつは 言ってくれた。『兄さんは、まだ目覚めていないだけなんだ』『兄さんは、いつかもっと凄 い事が出来るよ』と。俺を気遣って、わざと失敗してくれたことすらあった。本当に、あ いつは優しかった…」 突如、ジョゼフの顔が変わった。再び闇が浮かんだのだ。今度は気のせいでも何でもな い、間違いなくガリア王は顔を憎悪・後悔・絶望で醜く歪ませたのだ。 「そんなあいつが、俺は羨ましくてたまらなかった!俺が持たぬ美徳、才能を全て兼ね備 えていた! だが…それでも憎くはなかったんだ。本当だ。あんなことをしてしまうほど、憎くは無 かった。あのときまでは…」 ジョゼフは俯く。 わなわなと手が震える。 衆人環視の中、ジョゼフの独白は続く。 「病床の父は、臨終の間際に俺とシャルルだけを枕元に呼んだ。他には誰もいない、三人 だけの部屋で、次の王が定められた。 父は、俺の名を口にした。 信じられるか?なぁ、信じられるか!?俺は、本当に王に指名されたのだよ。父にバカ にされ、母に暗愚と呼ばれ、宮中の誰もがシャルルを王に相応しいと思っていた。なのに 父は俺を王としたんだよ!」 彼はヴィットーリオへにじり寄る。いまだ唖然、呆然とする教皇の顔を、上目づかいに 見上げながら、腹の底から叫んだ。 「そうさ、俺は簒奪なんかしていない。本当に、俺は父から王に指名されたんだ。本当に 俺が正当なガリア王なのさ!」 彼は腕を振る。横へなぎ払う、会場の人々へ右腕を振り回す。 この中の誰一人としてジョゼフが正当な王だったと信じていなかったであろう、会場の 貴族達へ、真実を投げかけたのだ。 だが、すぐに彼の腕から力が抜けていく。肩が落ちる。 「俺は喜んださ…父は病気で呆けてたんだろうけど、王の言葉は絶対だ。自分は王になっ たんだ、と。 そして、俺の心は、弟への、シャルルへの優越感で満たされた。シャルルの絶望がどれ ほどのものか。自分のものになるはずだった権力が、一瞬で指の間からすり抜けた絶望は どれ程のものか、とな。弟の悔しがる顔を想像した。それが見たくてたまらなくなり…、 横目で盗み見たんだ。弟の顔を。 そしたら、あいつ、どんな顔をしていたと思う?なあ、教皇様よ。どんな顔をしていた と思うよ」 突然、ジョゼフは教皇の胸ぐらを掴む。 力の限りに、自分の間近にまで顔を引き寄せ、あらん限りに己の怒りと絶望を叩き付け る。 「喜んでやがったっ! 俺の下衆な想像は、まったく外れだったんだよ!あいつはにっこり笑って、なんと、こ う言いやがったんだ。『おめでとう、兄さんが王になってくれて、ほんとうによかった。ぼ くは兄さんが大好きだからね。僕も一生懸命協力する。いっしょにこの国を素晴らしい国 にしよう』とな。 ああ、今でも一字一句覚えてる。あいつには何の嫉妬もなかった。邪気も皮肉も無かっ たんだ。本気で俺の戴冠を喜んでた・・・」 教皇の胸ぐらを掴む手の力が衰えていく。 苦しそうな顔で、ジョゼフは言葉を絞り出した。 「シャルル…どうして、どうしてお前は、悔しがってくれなかったんだ…。どうして、お 前はそこまで優しかったんだ…どうしてお前は、俺が持たない全てを…手に入れていたの だ? 俺は、本当に嫉妬した。あいつは素晴らしい奴だ、優しい弟だった。それに比べて、俺 は、なんて下衆なんだ。なんてクズなんだ。なんて愚かで、無様で、無能で、冷酷で、嘘 つきで、残忍で、阿呆で、間抜けで、嫉妬深くて、弱虫で、ちっぽけなんだ…。 なんで、俺は、こんな・・・惨めなんだ」 ジョゼフの目に、光が宿る。 全てを焼き尽くさんばかりに熱く、鋭く、狂気を帯びた光が。 「俺は、弟が憎くなった。 分かるか?教皇様のお優しくて寛大すぎる御心じゃ、俺の様な下衆の狭い心なんか、わ からんだろう?嫉妬が憎悪に変わったんだよ…殺意になったんだよ! そうだ、俺がシャルルを殺したんだ。簒奪なんかしていない!ただ、憎かったから殺し たんだ!何が悪い?俺は王だ。そうだ、後の禍根を断つためだ。弟を担ぎ上げる連中が国 を割るのを防ぐためさ! いやいや、そんな大義名分もいらんな。俺は王だからな。殺したいから殺した、それで 十分だ!何しろ王権は神から、始祖ブリミルから授かった神聖なものだ。王の行いは神の 行いだ! もちろん誰も信じなかったさ!俺が王に指名されただなんて。証人もいない。だから誰 も彼もが俺を簒奪者と呼んだ。弟を殺して王位を奪ったと、な!」 ジョゼフの自白がトリスタニアを覆う。 次元の壁を越え、自動翻訳されて銀河帝国公用語となりステーションの司令室に響く。 狂った笑い声が、宇宙に満ちる。 「あはははっははははっ!ははっはははは・・・・・ そうだ。俺がシャルルを殺したんだ!シャルル、恨むなら己の才と優しさを恨め。お前 のあの晴れ晴れとした顔が、お前を殺したのだぞ。ほんの少しでも良いから、俺を羨んで くれれば、殺さずにすんだというのに! あの日、狩猟会の最中、俺は弟を殺した。何しろ魔法を使えない無能王だからな。しょ うがないので毒矢で射殺した。ガリアの誰よりも高潔で魔法の才に優れた王子が、ガリア の誰よりも下劣で無能な王子の下賎な矢で死んだんだ! いやいや、それだけじゃないぞ!俺はシャルルの娘も狙った。エルフが調合した、心を 狂わす水魔法の薬だ。俺はあの姪に、シャルロットに飲ませようとした。だが、代わりに 母が飲んだ。おかげで、あの美しい女が、見事に狂ってしまった!人形を自分の娘と思い こんでシャルロットと呼び、自分の娘を俺からの刺客と恐れ、怯えてグラスを投げつける のだ! 教皇よ、知ってるか?なぜシャルロットがタバサと名乗るのか…。タバサってのは、そ の人形の名前なんだよ!人形がシャルロットと呼ばれてしまうから、しょうがないので姪 はタバサと名乗った!以来、シャルロットは人形の様に表情を無くし、人形の名を名乗っ てるんだ!」 再び哄笑が響き渡る。 狂気に満ちた笑いが二つの世界を包む。 狂った王は、ただ笑い続ける。 「・・・俺は、俺は、後悔してるんだ。 あいつの愛した女性を、娘を痛めつけても、あの日の痛みには適わん。祖国を、人々を 苦しめても、あの日の後悔には適わん。なのに、なのに、何故なんだ。後悔してるのに、 心が痛まない…。 そうだ、俺は人間だ。どこまでも人間だ。なのに、何をしても心が痛まないんだ。神は 何故俺に力を、『虚無』を与えたんだ?ああ、『虚無』だ!それはまるで、俺の心のようじ ゃないか! 俺の心は空虚だ。腐った魚の浮き袋だ。からっぽだ。喜びも、怒りも、憎しみすらもな い。シャルルを手にかけたときより、俺の心は振るえんのだよ。まるで油が切れ、さび付 いた時計のようだよ。時を刻めず、ただ流れ行く時間を見つめる事しかできぬガラクタだ よ」 ジョゼフは、教皇の胸ぐらから手を離した。 力なく、地に膝をつく。 ただ、懺悔するかのような自白ばかりが続く。宙の一点をみつめ、うわごとのように呟 き続ける。 「だから、俺は決めたんだ。神を倒すと。兄弟を斃すと。民を殺すと。街を滅ぼすと。世 界を潰すと。 あらゆる美徳と栄光に唾を吐きかけるために。全ての人々の営みを終わらせるために。 取り返しのつかない出来事に、後悔するために。シャルルを手にかけた時より心が痛む日 まで…。世界を慰み者にして、蔑んでやる、と。 人として、涙を流したいから」 ジョゼフは、顔を上げる。 ぼんやりと会場を見回す。彼を見つめる人々を見つめ返す。 全てを失った教皇を、信仰を否定された神官を、貴族の地位が砂上の楼閣と気付かされ たメイジ達を、神権を無くした女王を、聖地奪還を諦めた飾りの皇帝を、哀しげな瞳を向 けるアイーシャを、理性的な中にも同情の視線を向けるエルフ達を・・・。 何より、自分の全てを理解してくれるルイズの涙する瞳を。自分と同じく『虚無』に心 を狂わされつつあった娘を。 ガリア王は、天を仰ぎ見た。 その頬には、止めどなく涙が流れ落ちていた。 両の手を掲げた。 拳を握りしめた。 そして、魂の全てを込めて咆哮した。 「やった・・・俺はやったんだ・・・勝ったんだ! 神を倒したんだ! 俺の全てを奪い取ったブリミルを、ぶちのめしてやったんだ! は、はははは!これで、ハルケギニアは終わりだ!教会はゴミ箱行きだ!貴族なんぞ、 系統魔法なんぞ時代遅れの役立たずだ! どうだ、見るがいい!ブリミルよ、お前の作った世界は崩れ去ったんだ!お前が授けた 系統魔法なんぞ、お前の『虚無』ですら、銀河帝国の艦一隻の砲弾一発にも勝てやしない のさ! 神が授けた、あらゆる美徳と栄光は、貴様が守り続けてきた人間共に唾を吐きかけられ るんだ!神を崇め奉るハルケギニアの営みは終わったんだ!信仰が消滅したんだ!!見 ろ!お前の忠実な飼い犬であるはずの教皇すら、お前の教えを忘れ、怒りにまかせて俺を ぶん殴るほどだ!! あははははっははあはははっ!!見たか、ブリミルのクソ野郎!お前が俺に授けた『虚 無』は凄いぞ!お前が俺にかけた封印は素晴らしいぞ!お前が俺に溜め込ませた闇は強大 だぞ!なにしろ、お前自身を打ち砕く程なのだからなぁっっ!!」 ジョゼフは、高々と両の拳を天に突き上げた。 「勝ったんだ!俺は、ブリミルに勝ったんだあーーーーっっ!!」 笑い声が響く。 世界に響き渡る。 狂った男の、悲劇の王の、人々が無能王と呼んだが故に本当に無能王にされてしまった 犠牲者の、神の生贄の、心からの笑い声が響き渡る。 人が神を倒した。 教会の権威と教典の教えは、暴力と陰謀の前に膝を屈した。 真実が信仰を打ち破った。 六千年にわたる、愚神を讃える狂宴が終わった。 第30話 狂宴は終わる END 前ページ次ページゼロな提督
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前ページCall of duty Undiscovered Country Torisutein 「枢機卿、敵の進行状況は。」 「現在、敵は隣接している地域を低速で侵攻しております。各村の避難状況は進んでおります、が。」 枢機卿は、立ち上がり、近くにある窓に杖を向けた、方向を指しているらしい。 「あの方面から火の手が見えるのも、時間の問題です。」 「過去の小競り合いの時出来た砦で何とかなってる状態でしょうか。」 枢機卿は小さく溜息を吐いた。 「姫、あんな小砦は防壁にすらなりません、固定化すら薄れ、守る力が無いのですから。」 「では皆、何をして……。」 「――、決死の覚悟で後退戦をしてる、と言ったとこでしょうか。ヴァリエール家領土は今だ一つの領土も占領されておらず、流石烈風カリン殿と言った所でしょうか。そこを取れない為に他ゲルマニア侵攻軍の足も停滞気味になっております。」 「烈風カリンの復活ですか、それがヴァリエール家に?…………ですが。」 「それも時間の問題――ゲルマニアも、酷な事をしますな。」 枢機卿と言われた男は、それから言を止めた。 言っては更に酷と思ったのであろう。そう、この王国は先代から当代に移ったばかりで政治体制が整っていない。その状況下を見越して、攻めてきたのだ。 「何故、攻めてきたのでしょう……。」 「ゲルマニアは金があれば平民も領土を手に入れ貴族になれます。 私の推測ですが、多分ゲルマニアは今過剰領土が無く、地位を持っている者共が反発、 それを見て体制を崩されかねないと見た帝が攻めて来たのでしょう、 目的はこの領土、なれば休戦や講和など無意味、奴等が狙っているものは我が国の滅亡、でしょうな。」 しかし、ここで疑問が一つゲルマニアにおいて、金を持つ者のその数は少ない。 なら、簡単に領土不足になる事は無い。原因は、他国の金持ちがゲルマニアの領土を買い占めたという事なのだろう。 「多分、ガリアが裏にいるのでしょうな。」 「何故ガリアが?」 おおよそ、娯楽か。 それ位にしか考えていないのであろう、あのガリア国王は 話し合いをしていると、伝令が姫と枢機卿のいる方向に走ってきた。 「伝令!ガリアから食料と銃。大砲、葡萄弾の援助が来ました!」 枢機卿の顔色が変わった。 「なるほど、我が国を実験場にしたいのか。」 兵器の性能は実戦を行い始めて分かる、ガリアは魔法先進国、全体技術力も。 トリステインとは比べ物にならない。 しかし、ガリア国内も落ち着いてはいない、ガリアが今戦争状態になったら、反体制派が何時反乱を起こすかが分からない、だからトリステインを利用したと考えた。 「物資は何処に送られているのだ。」 「既に城下町からここに届いて来ております。」 「砲までもこのような短期間で飛ばしてくるとはな……。」 計画的犯行と言うのはこのことかというかのように、苦笑を浮かべた。 「それともう一つ伝令があります、王国民皆兵令により現在後方の領民から城下町の16歳から28歳までの男を強制徴兵、現在数は1万となりましたが、何分鎧と剣の数が足りなくて……。」 「分かった、武器庫から全部出す、周りの武器屋からも徴収、職人に石斧でも作らせろ、総力戦だ、急ぎたまえ」 「了解しました!」 「これが戦争ですか。」 「戦争の恐ろしさはその間、国力を消耗するしかないという事です、この戦乱が終わった後、事後処理で地獄を見ますよ。」 姫は溜息を深くついた。 「これ以上の地獄が何処にあるというんです。」 ゲルマニア陸軍のある一連隊、ラ・ヴァリエール領内 ヴァリエール領中心にむけて行軍を続けていた。 「隊長!何でこんな小鳥みたいな相手に手間取ってるんです?」 隊長は青ざめていた、何故ならここにくるまでに何連隊もが敗走して自国領内に逃げ帰っていたからであった、撤退して二度目の行軍の輩もいる、そいつらもあまりよい表情をしてはいない。 「知らないって事は、とてもとても素敵な事だ、従軍を続けたまえ」 他の連隊からは良い戦果報告が届くのに、この領内からは潰走やら撤退やらしか報告されてないのだ。 全滅という報告が無いのがマシだが、もう宣戦布告から三日、後三時間で四日となる、他の戦線を押し上げる事が出来ないのもここが落ちないからだ。 ここを落として戦線を全面に押し上げなければ輜重隊が安全に物資を輸送出来ない そして包囲しようと各軍がこちらに向かえば、一隊一隊が領土まで逃げ帰る始末。 各個撃破されないよう、士官の数を増やせば士官が全員KIA 「もうかえりてーよ、長男になりたかった、パン屋継ぎたかったよ。」 「なんかいいました隊長?」 がくり肩を落としている時、前方に馬の群、騎兵が見えた、数は少数。 「偵察か?攻撃してくるようなら応戦をかけろ!」 気にせず行軍を続ける、すると前方の馬はこちらに向けて駆けてきた。 「応戦!槍兵を前に、槍兵は膝を突き構え!突進を防いだら横っ腹を叩け!」 言われたとおり、隊列の前に槍兵が並び、槍を構えた、馬はとがったもの、障害物には突進できない。 しかし、馬はそのまま突進をしてこず、減速、左右に広がる。 隊長は左に右に、視点を移した、すると突然隊長は後ろから殺気を感じた。 振り向こうとした瞬間、――隊長の頭は吹き飛んでいた。 「またメイジのいない隊……まったく、ゲルマニアにはメイジがいないのかしらね。」 マンティコアに乗った、高飛車な壮年から中年の女性が、杖を振り下げる。 ちなみに言うと、メイジが士官だった隊もこの女性が撃破した部隊の中にいたのだが、即効で殺してしまっていた為、メイジがいなかったようにみえたのだ。 「30年前より体が動かない、まったく。でも、ジャガイモの好色達を屠る程度、造作も無いわね。」 左右に広がった騎兵がもう一度合流をし、向きを反転してまた敵の隊列に駆けていった。 指揮系統の失った敵隊列は、馬に有効な槍兵を有効に扱う事が出来ない。 騎兵は敵の隊列と接触、既に指揮系統を崩された恐怖と、騎兵による蹂躙、敵の領域による未知、これらの要因が全て足され、士気など既になかった。 よって……。 「ば、ばけもんだぁっ!うわぁあぁ」 一人、また一人隊列から抜け出して撤退していく。 気づけば、もうその草原には騎兵と一騎のマンティコア、しかいなかった。 敵の阿鼻叫喚を背景に壮年から中年の女性が騎兵隊に命令を下した。 「追い討ちはよろしい、拠点に戻ります。縦列!」 その命令一つで、騎兵隊は即座に列を成し、拠点へと向かっていった。 「私は良くても数が少ない騎兵と馬の疲労度がピーク、私の魔法力も全盛期に比べて半分に落ちている、もって三日か……。」 その頃、ヴァリエール家屋敷 「カトレア、もう休みなさい。もう限界だろう。」 「まだ負傷者がいるなら、傷の手当がっぅ――ごほっ、ごほっ」 カトレアと言われた、病弱な女性は杖を負傷者の傷当たりに近づけると。 またスペルを唱える、傷は修復していくのだが、見て分かるように既に疲労はピークに達しており、限界が分かる。 「私の優しいカトレア、お前が死んでしまったら私はどうすればいい、お前に先立たれてしまったら父はどうすればいい。」 「ですが……、怪我してる人は、こんなにも――。」 突然体から力が抜け、床に倒れこみそうになるところを父と言われた男性が支えた。 「カトレアを部屋に。」 隣にいた執事にそれだけ言うと、執事は即座に動く。 カトレアが運ばれるのを見送ると、書斎に入っていった。 「さて、我が娘にこれだけの事をしたのだ、ゲルマニアの色痴呆共に教育してやらねばならんな。」 巨大な羊皮紙を取り出す、トリステインとゲルマニアの詳しく言うならトリステイン領土とゲルマニア領土付近の地図が書かれていた。 「現状の整理から始めよう、我が軍は訓練すら終えていない民兵が主、相手は傭兵と国軍の精兵、今は妻の恐ろしい活躍により退けてはいるが、妻も人間だ。疲労がある。国力も兵力も人口も10倍、戦略での勝利方法は耐えに耐え相手の国力が削がれ現体制が危うく継戦が出来なくなるのを待つ、それまで一切の侵攻を許さない、その侵攻を妨げる最後の砦がここ。さて、王国が馬鹿でなければ。兵の増援が来る、どれ位の規模か……敵国に侵攻して、相手から休戦を申し込んでもらうには二万以上の兵はいる。」 さて、そんな兵が急遽集まるかな。そう思いながら窓を見やる 「本国がもし、反撃作戦を練らず城下町での防衛作戦を取るのであれば、話は別だな。」 確かに、草原で接触した場合は地の利を受けれない、ただでさえ兵が少ない今。 それをする事が王国に出来るかどうか、そこが問題であった。 来なければ、最低後三日でこの地は落ちる、落ちれば士気の溜まった敵軍はきっと本国まで容赦ない進撃を続けるだろう。 「せめて後5000の兵があれば……、簡易防壁を作っている事に女子供を動員している現状は不味い。」 その窓から、土等で汚れた女子供が小さな松明を当てにただ土を積み上げていくのが見えた。 「伝統や欲に溺れてまともな政策も出さん結果がこれだ、貴族に対する年金に吸い取られて対ゲルマニア用防衛ライン予算も10年前から降りて来ない、何が空海軍だ、他に何処の国にも攻めれん軍事力の癖に無駄な数がありすぎるのだ」 実際、ここ数年トリステインの国予算はない状態に近かった。 それもそうだ、他国より人口が10分の1も少ない癖に、貴族の数だけは多く。 貿易という概念がまだ無かったとしても言って平原ばかり、伐採技術も進んでるわけでもなく、周辺に鉱山は無く、風石も無い。 農民や町人からそのまま貴族に流れているような状態、そんな状況で更に空海軍維持費に取られ、新艦建造に力を入れていた。 この小国が幾ら血を流しながら働いたとしても、他国空海軍に勝てる程の艦隊を作れる訳が無い、それなら。小型艦主体に建造し、陸軍費に回し、防衛体制を整えた方が合理的だ、というのに。 「あの王国の周りにいる馬鹿どもには理解できんのだろうな、マザリーニもマザリーニだ、周りの反発を恐れて、太った豚共の権力を崩せずにいる。」 その人にはその人の言い分があり、国からの言い分、農民からの意見、貴族の言い分がある。だから枢機卿にも、枢機卿なりの言い分がある。 それは分かってはいるが、このヴァリエール家当主の男は、憤慨せずには入られないのだ、同じ王族の血を引く者として。 前ページCall of duty Undiscovered Country Torisutein
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jinbexeと学ぶロシア史 生徒のじんべぇと一緒にルイ14世について学びます。 全20回のこの講座は、最初の6回で17世紀までのフランス史を概観し、残りの14回でルイ14世について本格的に勉強していきます。 前史 第1回 ガリア 第2回 フランク王国 第3回 カペー朝 第4回 ヴァロワ朝 第5回 ブルボン朝の成立 第6回 ルイ13世 本編
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種族:人間族 性別:女 クラス:狩人 所属:無し ガリア共和国からさらに西部に位置するヤントブ村出身の狩人。 村人達を魔族や竜から守る為、修業の日々を送っている。 アカネ(★★★) [蛮勇の狩人]アカネ(★★★★) [駆動の追跡者]アカネ(★★★★★)