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シャドウミラージュ・プロローグ「戦神」 その者は強さを渇望していた。 その者は戦いを愛していた。 その者は勝利に飢えていた。 ゆえに己の命の炎が寿命により燃え尽きると知った時、 自身の命を寿命ではなく戦いの中で散らすことは決して譲れぬ思いであった。 だが彼の強さは既に伝説であり誰も彼に挑んでくる勇者はいなかった。 それゆえに彼は凶行を行う事を決心する。 全ての人間と妖魔を対象とした無差別の虐殺を その中で自分を倒しうるものが現れる事を信じて…。 プロローグ「戦神」 「お母さん、お母さん…。」 「助けて…死にたくないよ…。」 「ああ、太陽と月の神よ、我々をお救いください…。」 それは突然の事だった。 王国の一つの都市が妖魔の強襲を受けた。 妖魔の数は1。 都市を守る騎士団なら容易に対処できる数だった。 だがその都市を襲った通常の妖魔とは格が違った。 妖魔の中でも最高位に存在する十魔獄に位置する上位妖魔「戦神 オロチ」。 人の手には負えないとされる最強種の一体。 その絶大な力の前にその都市はもはや壊滅は免れなかった。 「いいか、俺達の任務は住民を出来る限り生かして逃がすこと、奴と前からぶつかっても俺達に勝機は無い、てめえらの命は住民を逃がす為にあると思え。」 「「了解。」」 「いいか、俺はお前達に死ねと言っている、住民を守る為に死ねと言っている、国の為に死ねと言っている、お前らは死ぬのも仕事の内だ!ならば後世に言い伝えられるような死に様を晒せ!!」 「「了解。」」 都市に駐在していた騎士隊の隊長が自身の部下達に発破をかける。 「H型部隊は奴の足止めをしろ、通常弾では意味が無い、奴の目に閃光弾をぶちかませ、暗闇で生きてきた泥種の奴にはそれなりの足止めになる筈だ!!」 「「了解。」」 眼前には一本の長く巨大な頭が存在する、形容するなら巨大な蛇といったところか…。 それがこの世界においても最大の巨体を誇る妖魔オロチの一部である。 オロチは泥種と呼ばれる妖魔であり通常は地下に潜んでいる。 よって強烈な光は泥種には泥種の目を暗まし非常に高い効果が得られるのだ。 「F型部隊は逃げ遅れた人々を回収して、街の外へ逃がせ、その飛行能力と機動性を活かせ!!」 「「了解、必ず戻ってきます、隊長!」」 5機編成のF型部隊が街の人々の救助活動に入る。 「S型部隊は俺に続け、俺達は囮だ、出来るだけ注意を俺達に引き付けろ!!」 「「了解。」」 隊長と呼ばれたものは深呼吸をした…自身の手にこの街の人々の命の全てが載っているのだ。 出来るだけ、生かして返さなければならない。 「さあ、俺達の最後の華だ、行くぞ!!」 オロチは歓喜していた。 決して勝てない戦いだと知りつつ、同族を守る為に自身の命を捨てて戦いを挑んでくる人間達の姿に そう、命をかけて戦う生物の姿はなんとも美しいのだ。 この生への執着と自己犠牲の交じり合った混沌の光景が そして、その光景を自身の力でねじ伏せるのはなんとも言えない快感を得られる。 さあ、もっとそのもがく姿を見せてくれ… オロチは自身の長い胴体で自分の周りに居る鋼機を住居ごとなぎ払った。 たった、一薙ぎ、たった、一薙ぎだった…さっきまでいた総勢50もの鋼機達は一瞬で残機数20まで破壊されたのだ…。 「ば、化け物だ・・・あ、あんなのとどう戦えっていうんですか、隊長!」 あまりの圧倒的な力の差に恐怖した部下が叫ぶ。 死の覚悟をしていた騎士達もその恐怖に麻痺させていた自身の死の恐怖を引き出されてしまった。 「落ち着け、てめえら!!副隊長、生きてるか!!!」 俺は大声で副隊長に呼びかけた。 オロチの哭き声が聞こえる。 奴がなぎ払いをかける瞬間にH型による閃光弾頭の一斉放射をしかけることに成功した。 すかしっぺだが、奴の視力を奪う事に成功した、当分奴に視力が戻る事はないだろう…。 「な、なんとか…」 副隊長は答える…息が切れ切れだ…。 「生存者の確認、センサーでわかるだけでいい、生きている奴はいるのか」 副隊長機には広域の索敵用センサーが装備されている。 それを使えば部隊の仲間の生死を確認できるのだ。 「…かくにん…しました、行動可能な残機数は20、内戦闘行…動可能…なのは…17、一般の生存者は・・・生体反・・応がありません・・かはっ…」 血を吐く音を聞こえた…。 「すみません、隊長、間違った報告をしました、残機数は19です…すみません」 「そうか、ご苦労だった…そろそろ休んでいいぞ。」 「・・・・ありがとうございます。」 そして通信は切れた…。 もはや、守るべき国民達はこの街にはいなくなってしまった…ならば俺がすることは一つしかない。 無線を開く…そう、俺がすることは一つだ…。 「俺だ、聞こえるか、これから隊長から全部隊に最後の命令を伝える…逃げろ、全力でだ!時間稼ぎは俺がする…逃げろ!!!」 部隊から動揺の声があがる。 それはそうだ、さっき俺は奴らに死ねと言ったのだから…。 部隊の一人が答える。 「隊長、自分も残ります、この機体はまだ動きます、死んでいった仲間達の為にもここで戦わせてください。」 その声は真剣そのものであった。 だが、それを認めるわけにはいかない。 「馬鹿野郎、確かに俺達は国とその礎たる国民を守る為の人間であり、死ぬのも仕事の内だ…だがな、守るべきものもないところで無駄死にする為にその命を使うんじゃねえ!無駄死にと国の為に死ぬのはまったく違う、俺の言ってる事がわかるか!」 「はい…でも…」 「わかったらさっさと行け、てめえらは生きろ!…最後なんだ、ちょっとぐらいカッコつけさせろよ…。」 静かな静寂が訪れる… 「隊長、では…また…。」 「おう、また会おうぜ、糞野朗共。」 部下達が退却を始める…全力でブーストを駆ければこの場から逃げ切ることも可能だろう。 『終ったのか?』 その声と同時にさっきまで聞こえていた哭き声がいつの間にか消えている事に気づいた…。 さっきまでそこで喚いていた怪物が人語を話したことに少々驚いたが、なるほどと俺は納得した。 相手は妖魔の中でも最上の十魔獄、そのくらいの芸当が出来てもおかしくはない…。 「なんだ、優しいんだな…待っててくれたのかい?」 『お前を久方に見る勇者と認定した、それゆえの敬意だよ…。』 なんとおとなしい声なのだろうか…さっきまで破壊の限りを尽くした悪魔とは思えない語り方だ… しかし、勇者呼ばわりとはなんとも昔気質な妖魔なのだろうか… 「光栄だねぇ、光栄の限りだ、その勇者様がお前さんに一言、言いたい事があるんだとよ…。」 酒瓶を開けて、そのまま一気に飲む、蒸せたがこんな感覚も悪くない。 『ほう、なんだ…聞いてやるぞ…。』 そうかい、と呟きつつ、酒瓶の中身を飲み干す。 正直、まずかった…だが今は、なんとも酒の力を借りたい気分だ…。 深呼吸をする。 酒は回ってきたが思考は衰えるどころかむしろ冴えてきたように感じる、それでいて冷静沈着、ようし、今の俺は最高にクールだ。 そうしてもう一度深呼吸をして、俺は大声で叫んだ。 「言っとくがな、俺はとっくにキれてんだよ!!防衛隊長がな、まったく防衛できずに死人を大量に出したってだけで十分すぎるぐらい、大恥なんだ!!俺の面子に泥を塗りやがって!!!貴様みたいなのが来なければ俺の人生は安泰だったんだ!!よくも人の部下を俺の目の前でゴミのように殺しやがったな!!理不尽な無力感を感じさせやがって!!てめえなんぞこの俺様がとっちめてボロ雑巾の肥溜めにしてやる!!!!!!」 ようし、確認しよう。 頭に血を昇らせて斬りにかかったせいで俺の機体の右腕は大破してしまっていてもう使い物にならない。 いや、むしろこの程度で済んだ俺はついているといっても過言では無いだろう。 ならばこの幸運を活かし今、俺の有利に立てる点はなんだ…。 力勝負、もとより勝ち目は無い。 速度、奴の巨体は小細工を無意味と化す。 俺の乗るD―33 セルウイングは他のD型と違って特殊な性能は無い。 だがそれゆえに余計なものを付けることなど無く総合的な面での高能力を目指した機体だ、それ故に俺は最強を自負してもいる。 だが突出した部分がないゆえに奴に勝てる面は見当たらない。 ならば、俺の優位性は奴が今、視力を失っているというこの一点。 連撃では勝てない、遠距離からの攻撃でも勝てない、優位性を活かした上での一撃必殺、これしかこの絶望的な状況を乗り越える術はない。 「へ…」 少し笑いがこみ上げる。 0.00001%でも勝つ方法はあるじゃねえか…。 ならばやるしかない、俺なら出来るはずだ。 奴が鼻と耳で俺を追ってきている。 『どこにいる!さあ、我にその剣を突き立ててみよ!』 無音移動により、仕掛けを作り上げる。 奴は嗅覚で探してはいるものの土の中にずっといた妖魔である為に嗅覚はあまりよいとはいえない筈だ…。 そんな奴が今、俺の探し出す為に使う最大の道具は聴覚だ。 ならばこの聴覚さえ潰せば奴に近づくことは容易となる。 そしてこの切り札を使えば…。 『そうか…出て来ぬのか…さっきの無謀とはうってかわって慎重な行動をするな…ならば…。』 その掛け声と共に大地が揺れ始めた。 「な、なんだ…。」 『どのような小細工をしているのかは知らぬが無意味と知れ!』 大地の揺れがさらに大きくなる。 あの野朗、自分の意思で地震をおこせるのか! 地下にどれだけ体を隠してやがるのかはしらねえがこいつは…。 どんどんゆれ幅が大きくなる…それと同時にバランスを取れなくなり鋼機を立たせておくことすらが出来なくなる。 まずい、このままだと移動すら出来なくなる…。 せめてあと、一つ、あと一つなんだ、これだけでも…。 悲鳴を上げる機体に鞭を打つ、いけぇぇぇぇぇぇぇぇ! 『くくく、見つけたぞ・・・今ので地震で貴様の機体はもはや立つ事すら出来ぬだろう・・・さあ、これで最後だ、楽しかったよ。』 機体の脚部が壊れている、さっき無理な機動をしたせいか…。 そこから発せられる電気回路のショート音を奴に聞きつけられたようだ。 逃げようにもこの機体は立つ事すら出来ない。 絶体絶命、その言葉はこういう時に使うのだろう…。 しいて言うならオロチが周りの建築物を破壊していたので建物が地震により倒壊してくるという危険性がなかったのは幸運だった。 奴が俺の正面に来る、トドメを刺す気なのだろう。 だが、既にこの糞野朗は俺の術中に嵌っている。 「俺の勝ちだ!!この蛇野朗!!!」 俺はスイッチを押した。 暴音爆弾SB 連鎖式起爆 各所で気が狂わんぐらいの暴音が鳴り響く。 奴への一つ目の切り札、暴音爆弾SB。 元々は耳が良い、獣種への武器なのだが、今、仕掛けた数は俺が12個 これだけの暴音をくらってまともな聴覚を持つできる生物はこの世に存在しないだろう。 そう、奴はついに視覚に続き聴覚すら失ったのだ。 また、その音により一瞬の隙が出来る。 この一瞬、0.1秒に全てをかける。 「さあ、気合入れろよ!セルウイング!!!これが俺達の意地だ!!!!!」 背部のブーストを全開にする。 一気に奴の頭部へと飛翔する。 そして喚いている奴の口の中へ最後の切り札、圧縮爆弾ヘルゲイザーを投げ込んだ。 圧縮爆弾ヘルゲイザー 爆発を圧縮することによって、更なる高温の爆発を起こす兵器。 鋼機の武装では最強の威力を誇る武装の一つ。 たとえ、どのような強固な外殻をもっていようともこんなものを内部から爆発させられたならば生きて帰れるモノはいない。 そして爆破させたのはオロチの口内、それは頭ごと爆破するということである。 つまり一撃必殺。 これが隊長と呼ばれた男の切り札であった。 爆発、セルウイングはその爆風と共に吹っ飛ばされた。 「ん…。」 俺は目を覚ました。 どうやら今の爆発で機体ごと爆風で吹き飛ばされ少しの間、気絶していたらしい。 奴は、奴はどうなった…。 即、自分の機体のカメラを奴の頭に合わせる…。 「くくく、ははは……。」 奴を見て笑いを止められなくなった。 見上げた所にあったのは木っ端微塵になった肉塊。 そう奴の頭は原型を止めていないほどに破壊されていたのだ。 絶対的な戦力さによる絶体絶命、それすらも乗り越えることに成功した。 「何が、十魔獄だ…ちょろいじゃねえかよ…。」 気分がいい、先ほどまでの酷い命のやりとりしていたことから来る解放感だろうか…。 今の俺は空だって飛んでいけそうだ。 帰ったら部下共に散々おごらせてやる。 そしてお祭り騒ぎだ、とことん楽しまないと。 『素晴らしいな…。』 その時、ありえぬ声を聞いた。 「え…。」 ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、 ありえない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえない。 『まさか人間が我が頭の一つを持っていくとは…二鋼神すら用いずにただの機械人形で…我は今、貴様という人間と戦えたことに感動している。』 頭をぶっ飛ばしたんだぞ、なんでだ、なんでだよ! なんで奴の声が聞こえるんだ!!! 『さっきまでの威勢のいい返答がないな…絶望に浸っているのか?…良いだろう答えを見せてやろう。』 地面の中から謎の触手のようなものが出てくる。 一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ。 遅れてその触手が全て頭なのだと俺は認識した。 『我が名はオロチ、九つの頭と八つの尾を持つもの、大地の征服者、我を殺したくばこの全ての頭を潰さなければ倒せぬ。』 な、なんだよ…そんなのありかよ…。 『初手から全力でいかなかった非礼を詫びよう、お主ほどの勇者の戦意を失わせるのもどうかと思ってな、そして我が完全なる姿をお見せしよう。』 大地が割れる。 その中から恐ろしいぐらいの巨体が現れる。 全長1000mは超えているだろうか…。 その姿は歴史の重みともいうべきものを持つ威圧感を持っていた。 圧倒的とでも言うのだろうか、その時、俺は唐突に理解したもとより俺が適うような相手では無かったのだと…。 勝率0.00001%だって…ははは、とんだ勘違いだ…これじゃあ0%じゃねえかよ…。 『声も出ぬか…貴様は自分の無力差を味わっているのだろうが恥じる事はない、貴様この我の頭の一つを破壊したのだ、5000年生きてきた我の人生においてもたったこんなことをしでかした人間は貴様が初めてだよ。』 褒めているのだろうか…だが勝てなきゃ意味がないんだ、勝たないと意味が…。 『さて、殺す前に貴様の名前を聞いておきたい…。』 こんな、こんな理不尽を認められるのか? 俺はこんな理不尽を認められるのか? こんな理不尽を認めることが出来るのか? 「そんな…そんなこと…」 嫌だ、認めたくない、死にたくない、生き延びたい。 「そんなこと出来るかぁぁぁぁ!!!!」 そうだ認めることなど出来ない 簡単な話だ、今やったことをあと八回繰り返せばいい。 ただ、それだけの事、ただそれだけの事だ!! 「俺の名はトーマ!トーマ・フレイスター!!覚える必要は無いぜ・・・覚える必要が無くなるからな!!」 これが俺の決意、例え可能性が0だろうとそれを打ち破ってみせる。 『そうか、忘れぬよ…。』 この世界が生まれた時から、 人間は妖魔に捕食されるという宿命を与えられていた。 だが妖魔は絶対者であったが為にしつように人間を襲おうとはせず、人を喰らおうと思った時のみに喰われていた。 そう、妖魔にとって人間は生物というよりただの餌としか見られていなかったのだ。 そんな中で人間はその妖魔に抗う術を手に入れる、それが鋼機であり鋼獣であった。 とはいっても妖魔の圧倒的な優位性には変わることは無く、人間は負け続ける日々を送った。 だがそんな中で妖魔たちは人間の捕食への考えを改めなおさなければならない事件が起こる。 リヴァイアサン事件。 スーサウ共和国に乗り込んだ十魔獄の内の一体、リヴァイアサンが人間の扱う鋼獣という兵器の前に敗北したのだ。 十魔獄とは妖魔の中でも最上の能力を持つ者であり、畏怖と尊敬の念を持たれる最強の妖魔達のことである。 それゆえにその十魔獄が敗れたという報は全妖魔に戦慄を走らせ、 それと同時に人間を強力な敵であると再認識されることになる。 そして強大な人間達からの反撃を恐れ中枢都市への攻撃をしないようになっていった。 だがそんな中で人間達に戦いを仕掛けようとしたものがいた。 十魔獄の一である「戦神 オロチ」である。 戦いをなによりも渇望していたオロチは自身の強大な敵と出会えた事に歓喜し、さらに人間達への攻撃を過激化させた。 だがその戦いもある日唐突に終末を迎える事になる。 一瞬だった。 これから人間の都市へ戦いを仕掛けようとしていた時にそれは起こった。 気配も無く近づいてきた「それ」はオロチの強固な外皮を持つオロチの背中に大きな斬撃放ち、その外皮を切り裂いた。 その傷は内部の奥まで浸透し、オロチに命を落としかける程の重傷を負わせた。 妖魔の中でも最大といわれる巨体が無ければ間違いなく死んでいただろう…。 それからオロチは地下に潜り10数年かけてその傷の治癒をすることになる。 その屈辱はナニモノにも変えられぬモノであった。 そうして傷の治癒が終った時、自身の体が以前ほど生気に満ち溢れてはいないことに気づく。 オロチは唐突に理解した、自身の寿命が尽きようとしているのだと。 妖魔は長寿の生物ではあるが不死の生物ではない老い、そして死んでいくのは全ての生物に共通することだ。 その事実は、オロチにとって耐え難いものであった。 自身は戦いによってその存在の証を立ててきたものである。 戦い以外の理由で自身が死ぬ事など許すことは出来なかった。 そしてオロチは決意をする。 全てを敵に回してでも自身は戦いの中で生き、戦いの中で死ぬのだと…。 それからオロチは同族、人間共に手当たりしだいに戦いを仕掛けることになる。 だが、衰えたとはいえ十魔獄、その強大な力に適うモノはいなかった。 同じ十魔獄達はオロチが寿命で死ぬ事を知り、自分に被害を受けまいとオロチとの無理な戦いを避けてもいたため。 オロチが満足するような戦いをすることは出来なかった。 だが、だが先の人間はどうだ…。 圧倒的な力の前に屈することは無く執念と確固たる意思で自身に立ち向かい。 ついには自身の頭の一つを爆砕した。 その後も執念と意地で戦い我に多大な悦楽を与えてくれた。 そこで一つの可能性が思いつく。 そう、人間ならば…人間ならば我を殺しうるのではないだろうか.…。 その答えを得た時、我はついに欲しかったものを手に入れる事が出来るのかもしれないとまた歓喜する。 次はこの王国の首都に攻撃をしかけるか…。 オロチはその時に得られる結果が楽しみで、楽しみで仕方がなかった。 「でもね、オロチ…君のしようとしている事を叶える事は出来ない。」 急にオロチの後ろから声がした。 気配すらもなく自身の後ろにたったのだ。 デジャブ、過去にこのような経験をしていることをオロチは瞬く間に思い出した。 現れたのだ…己を十数年をも動けなくした重症を負わせた敵が…。 『待っていたよ、貴様が前に我に攻撃した時も人間に攻撃を仕掛けようとしていた時だったな…人間に攻撃を仕掛ければ貴様が現れるのではないかと思っていた。』 後ろの敵は前回とは違いすぐには攻撃を仕掛けては来ない。 ならばと一瞬で、地中に潜り、自身の頭の一つを地面からだし、敵を視認した。 それは人間大の大きさであり、全身に黒いマントのような者を着ている。 フードに隠れて顔を確認する事すら出来ない。 その姿はさながら死神を彷彿とさせた、その異種的な威圧感は人間ではないことを教えてくれる。 『貴様さえ、貴様さえいなければ我はもっと闘争の愉悦に踊ることが出来たのだ!この十数年貴様の事を忘れたことなど一度もなかったよ!!』 その言葉には嫌でも怒りの感情が入る。 あの時、なまじ生かされたせいで戦いとは無縁な治癒などという時間に自身は身をおかなければならなかったのだとオロチは思う。 戦いに生き、戦いの為に生きてきたオロチにとってその時間は最たる苦痛と呼ぶべき時間であった。 「そうだね、あの時、僕がきちんとトドメを刺したか確認しておくべきだった…あの一撃を受けて生きていられるとは思わなかった、正直な話後悔している。」 黒い死神はなんとも平然に呟く。 『つまり、我を殺すと?不意打ちでしか我に傷を負わせられぬ貴様がか?我を誰だと思っている!戦神にして大地の征服者、臆病者などに負けるわけがなかろう。』 「だから、今回は待ったんです…僕の名前はトール、君達には道化傀儡という名の方が通りがいいかな…さあ、始めよう。」 その瞬間トールは腕を振った。 それと同時に強烈な光を放たれオロチに向かってくる。 トールが放ったのは一度オロチに重傷を負わせた斬撃、だが同じ技を二度も受けるようなオロチではない。 その巨体に似合わぬ速度で地中に身を隠すことに成功した。 「へぇ、その巨体でこの雷閃をかわすのか…流石は十魔獄と呼ばれる妖魔だけのことはあるね。」 『いきなり攻撃を仕掛けてくるとはやはり貴様は卑怯者だな…それにしても道化傀儡だと…人間に味方する十魔獄か!!』 道化傀儡 トール…その名は勿論知っていた。 十魔獄の一体と認識される、妖魔の一体。 だがその実体を知るものはほとんどいない。 十魔獄と呼ばれるほどの強力な力を持つ妖魔であるが何故か、人間に味方する道化であり、大量の同族を殺めているとされている。 つまり人間を虐殺する我を殺しにきているのだ、この妖魔は…。 「本当は道化傀儡ってネーミングはあんまり好きじゃないんだよね、言い得て妙だとは思うけど。」 またどうでもいいように呟く。 「しかし、君が地中に全身埋めてたら僕を攻撃できないよ、さっきの戦いみたいに地震程度で僕を倒せると思っていないよね。」 地中に潜るという絶対防御。 そして地震による攻撃という。 防御と攻撃を同時に行うことが出来ることこそオロチの強さの最大の秘訣であった。 だが相手はトール、道化傀儡の名を持ち十魔獄に名を連ねる者、地震程度でその力をねじ伏せる事など無理だろう。 だが、オロチは十魔獄である、上位妖魔であり、戦神と伝えられし単体。 そう、だからオロチは笑った。 『ハハハ、笑止千万、我を誰だと思っている、オロチぞ、妖魔の誇りを捨てた妖魔なぞ我に勝てぬことを知るがいい!!』 大地が揺れる、先の戦いの比較ではない。 だがただの地震ではないことをトールは感じ取っていた。 これは地震ではなくその先のことを見据えた攻撃なのではないだろうか…。 「これは…まさか…。」 『気づいたか、だが気づいたところで貴様は何でも出来まい!我が体は地中にあるのだからな!!!』 最地下層にあるマグマを絞り上げ、高熱の土を精製し、その土を操作し攻撃する。 自身は地下にその身をおき誰もが到達できぬ領域におき絶対防御とする。 この攻撃と防御を同時に行う型が戦神オロチの必勝の型である。 『ハハハハ、貴様如き下賤、この土で死ぬがいいわ!!』 その時、死神はなにかを呟いていた。 リミッター解除・・・申請。 SUN認可。 LUNA認可。 リミッター解除。 プログラム……起動。 徐々に土が熱を帯びて来ている。 このまま時間が経てばトールに勝機はない。 だが、トールは特に慌てた表情も見せなかった。 「リミッター解除、完了、五億回転、左腕形態変化。」 ポツポツと呟き始めたトールの声を聞きオロチは笑う。 『あまりの絶対的な力と絶望についに気が狂ったか!さあ、ついに完成するぞ!死ね、さっさと死ね、土に圧殺されて死ねええええ!!!』 ついに熱土が完成した。 「いや、“俺”の勝ちだ。」 トールは腕を地面に突き刺す、トグロを巻いた腕は地下の奥深くまで伸びる その腕は螺旋を描いており高速で回転をしていた… そして、その鋭利な腕は超高速で地下にいたオロチの元に辿りつきその巨体の強固な外皮を貫いた。 『グガア…。』 自身を貫かれた痛みでオロチは大声をあげる。 「その巨体が仇になったな…特に的を絞らなくても命中させる事が出来たよ。」 『ググ…だがこれがなんだというのだ…この程度で我を殺せると思っているのかぁぁぁぁぁぁぁ!!!』 所詮は貫かれただけ。 回転によるねじ切られるような痛みこそあったものの、その巨体にはたいしたダメージにはなっていない。 つまり、この程度の攻撃でオロチを倒すことなど出来はしないのだ。 だが死神は笑う。 「い~や、これでいい、さっき言わなかったか?これで“俺”の勝ちだと…。」 『グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア。』 突如、オロチの体に強力な電撃が流される。 オロチの体を貫いた腕を起点にして700mもの巨体に強力な電撃を流しているのだ。 いくら外皮が強固だろうとも内部は脆い、内部からの電撃による攻撃。 この攻撃に耐えられるものはいない、いかなる生物であっても絶対死を与える技。 「雷神十六式が一、雷突。」 トールは地下にいるオロチを掴み。 その700mの巨体を片腕で地下から引っ張りだした。 『ガ…ァ…。』 「ほう、まだ意識があるのか…だがもう駄目だな…その体ではもう助からん…。」 そう言ってトールは真横にその巨体を投げつけた。 妖魔でも最大といわれるその巨体はまるでお手玉のように吹っ飛んでいき、絶壁にぶつかった。 リミッター再設定。 ロック。 先ほどまで死神を覆っていた空気が変わった。 「ふう、オロチさん…最後に聞いておきたい事があります、今、あなたの悲願が叶いました、気分はどうですか?」 悲願、そう悲願だった、戦いの中で死ぬことが。 手を抜いて敗北するのではない、全力で戦い、全力で敗北する。 その時、得られる感情が知りたかった…。 その悲願が今、叶ったのだ…。 『…最悪だ…。』 「そうですか…それはよかった…。」 そういって死神は闇の中に去っていった…。 オロチの命はもう尽きようとしている。 そんな中でオロチは16の瞳で空を見た…。 ずっと大地の中にいる泥種であったオロチにはその風景は余りにも新鮮だった。 何千もの年数を生きてきながらこんなに真正面から空を見た経験は初めてだった。 なんと広いのだろう、なんと美しいのだろう、なんと清らかなのだろう。 解放感じみたものを感じる、この世の楔からわが身が解き放たれるのだろうか。 『…最悪だ…だが悪くない…。』 そうして戦神はその一生を終えた。 グラナダ襲撃事件。 十魔獄の襲撃によってイングラ王国の都市グラナダが破壊された。 当然、国に与えた影響は多大なモノで即、厳戒態勢とスーサウ共和国への助勢を申し込む。 かつてあった大事件、リヴァイアサン事件の再来と人々は恐れ、恐怖した。 だが事件は意外な形で結末を迎える事になる。 イングラ王国のとある村落の近くでそのグラナダを崩壊させた妖魔オロチの遺体が発見されたのだ。 あまりに謎が多いこの事件は未だに民の語り草になっている…。 また、これを受けた王国はさらなる脅威から自身を守る為、軍備の強化 手に入れたオロチの遺体の鋼獣化。 そして対妖魔を意識したD型のみで編成された特殊部隊「シャドウミラージュ」を編成する。 これがこの物語のプロローグである。 シャドウミラージュ・SSに戻る next
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(ノーマル)必殺技 アッパーデュエル →↓↘︎ P ミサイルマイトバッシュ →↘︎↓↙︎← ジェットカウンター① ←↙︎↓↘︎→ ┗スティル ①〜↓↘︎→ スレッジハンマー ↓↙︎←+K 超必殺技 ミリオンバッシュストリーム ↓↙︎←↙︎↓↘︎→+P連打 ファイナルインパクト (↓↘︎→)×2+P(H) (オロチ社)必殺技 踊る大地 ←↙︎↓↘︎→+K 挫く大地 ↓↙︎← P 韮ぐ大地 接 ←↙︎↓↘︎→ 咽ぶ大地 →↘︎↓↙︎←→ 超必殺技 暗黒地獄極楽落とし 接 (→↘︎↓↙︎←) ×2+P 荒ぶる大地 (←↙︎↓↘︎→) 吠える大地 (↓↘︎→)×2+P(H可) 投げ技 ノーマル オロチ 接←•→+C レバーブロー 瀑 接←•→+D ハチェットスルー 冪 特殊技 ノーマル オロチ →+B ステップサイドキック 伏 キャラ別索引 KOF98(&98UM)
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友達リスト ~スレ主から幹部~ № 名前 HP・ブログ 階級 ① 秋 無し 偉大なるスレ主 ② 七菜 雑草日記 幹部(副スレ主) ③ 瓜彪 aNtHoLoGy 幹部 現在後3人ほど募集しております。 ~守妖精~ № 名前 HP・ブログなど 4 ゼロ・バスター 無し 11 ふりぃ~ず 無し 16 シグマコンビ 無し 17 シャナ 無し 24 シャウパー 無し 後一人ほど募集しております。 ~守英軍~ № 名前 HP・ブログなど 6 玲汰 レイタの暇な日常 7 ぉろちくん オロチ君のトレカ日記 コメント欄作成完了!! -- オロチ (2008-09-08 22 40 55) って勝手に編集していいのかな^^; -- オロチ (2008-09-08 22 44 15) 名前 コメント コメント欄の作成テスト。
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(ノーマル)必殺技 アッパーデュエル →↓↘︎ P ミサイルマイトバッシュ →↘︎↓↙︎← スレッジハンマー ↓↙︎← ジェットカウンター ←↙︎↓↘︎→ 超必殺技 ミリオンバッシュストリーム ↓↙︎←↙︎↓↘︎→+P連打 ファイナルインパクト (↓↘︎→)×2+P(H) (オロチ社)必殺技 踊る大地 ←↙︎↓↘︎→+K 挫く大地 ↓↙︎← P 韮ぐ大地 接←↙︎↓↘︎→ 咽ぶ大地 接→↘︎↓↙︎←→ 超必殺技 暗黒地獄極楽落とし 接(→↘︎↓↙︎←) ×2+P 荒ぶる大地 接(←↙︎↓↘︎→) 吠える大地 (↓↘︎→)×2+P(H可) 投げ技 ノーマル オロチ 接←•→+C レバーブロー 瀑 接←•→+D ハチェットスルー 冪 特殊技 ノーマル オロチ →+B ステップサイドキック 伏 キャラ別索引 KOF97
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φカロチン アイヤッ!40秒切っちゃったアルね。ほれ、ごほうびくれヨ
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オロファト オロファットの別名。
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κカロチン 好物は黄桜。
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オロボン アンブロワーズ・パレの『怪物と驚異』に紹介される怪物。 爬虫類の体にネコに似た顔をもつ残忍な肉食獣。 中世ヨーロッパの旅行家に報告されている。
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パオロ とは、どうぶつの森シリーズのキャラクター。 プロフィール 作品別 元ネタ推測 コメント プロフィール パオロ 他言語 Paolo(英語) 種族 【ゾウ】 性別 男 誕生日 05/05 性格 ぼんやり系 口癖 どうぶつの森 パオあつまれ パオロ 初登場 【どうぶつの森】 茶色い太い眉毛をしたピンク色の【ゾウ】の男性。 一人称は「ボク」でのんびりした性格。 作品別 【どうぶつの森】/【どうぶつの森+】 一般の住民として登場。 本作のデフォルトの口癖は「パオ」 【あつまれ どうぶつの森】? デフォルトの口癖は「パオロ」に変更された。 【どうぶつの森 amiiboカード】? キャンピングカーを運転しているイラストが使われている。 元ネタ推測 Paolo(イタリアの男性名)+パオ(ゾウの鳴き声) コメント 名前 全てのコメントを見る?
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アエオロス アイオロス(2)の別名。