約 349,531 件
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/201.html
12月中旬、午後14時(1日目)。 桐石登也は茜、緋杭湖にある緋杭寺に遺骨の配送を済ませると、住職の好意によりお茶を飲みながら会話をしていた。 どうやら住職の猿渡もちょうど時間があり暇を持て余してたようだ。 他愛も無い世間話が主だったが、話は夏頃にあった怪異の話しになり、更に龍志狼の話題にもなった。 「…それは大変じゃったのぅ。ワシの所にも、色々と情報は入っとる。 現にこの寺を訪ねてきた者もおったようだが、ちょうどワシはおらんでな。 龍の奴も、先代はもっとまともな人間だったんじゃが」 と、そこまで話した所で猿渡の携帯が鳴る。 ちょっとすまん、と登也に断ると、電話に出た。 「おう、なんじゃ?…はァ!?何だって!? 今すぐ行く、お前は一緒にいる奴と共に、それから目を離すなよ!」 「一体何があったんですか…?」 ただならぬ剣幕の猿渡に、登也は恐る恐る尋ねてみた。 しかし、彼は首を横にだけ振り。 「なんでもない!すまんが急用ができた、茶菓子も用意できんですまんが、報酬は後で振り込むから帰っとくれ」 「はあ…?」 要領を得ない様子だったが、相手が拒絶するように言い放つため、それ以上突っ込んだ質問はできず走り去る猿渡の後ろ姿を見送った。 寺内の事情だろうし、登也が踏み込むべき内容ではない。 そう思い登也は立ち上がり、寺から去ろうとした時だった。 「おや?お久しぶりですね」 「え…!?あんた…龍志狼!?」 ちょうど入れ替わりにか、龍が寺の外から歩いてきた。 登也は背後を確認し、近くに誰もいないことを確認すると彼を睨みつけるように見る。 龍は肩を竦めて笑うと。 「そう敵意を向けないでくださいよ。今日は猿渡住職に用事があって来たのですから。住職はどこです?」 「さあて…ね。いないんじゃないかな?それにもし知ってたとしても素直に教えるとでも?」 その言葉にか態度にかは分からないが、可笑しそうに笑う龍に登也は少し苛立ちを見せた。 「まあいいです、自分で探しま――」 登也を軽くあしらうような龍だったが、ニコニコした表情が一変、緊迫した顔へと変わる。 「…君、何かしましたか?うねうね、或いはコガラシでも持ち込んだとか」 「…え?一体何の話しだ…?そもそも、怪異はあんたの十八番だろ…?」 夏に起きた怪異に関係した土地に半分以上、各地で龍の姿を目撃したという情報が入っている。 さらに言えば、今の発言でうねうねやコガラシに関しては、龍が絡んでいる可能性がかなり高くなった。 だが、そんな彼が表情を変えてまで登也に聞いた内容とは…? 「やれやれ…どうやら知らないみたいですね」 使えない、と言わんばかりにいつものように龍は笑うと、そのまま登也を素通りして本堂の方へと向かっていった。 「どこへ行く!?」 「住職を探しに。いるんでしょう?この雰囲気、早くしないと手遅れになりますよ」 そう言って後の登也の言葉を無視し、奥へと向かう彼の後をついていく登也。 なんともシュールな光景だが、登也に怪異の気配を感じられない以上、悔しいが龍に頼る他はない。 地下から地上へ、鉄格子の鍵の場所を壊して進み、更に地下道へ。それを何回か繰り返した奥に、その場所はあった。 一本のとても長い通路に、1番~少なくとも100番以上まで書かれた番号部屋。 どの部屋も1つ1つは畳6つ分くらいの小さな部屋だが、それが番号と同じだけある。 中には人形や野球ボールが1個あるだけの場所から、人のうめき声まで聞こえる部屋もある。 「な、なんだよこれ…!?誰か監禁でもしてるんじゃ…」 「説明も面倒くさいので一度しか言いませんよ? これ全て怪異です。どれも除霊、浄霊後の経過観察や、コガラシみたいな年数が必要な物を閉じ込める隔離施設と言いますか」 「か、隔離施設!?こんな茜の外れにある湖の地下に!?」 「厳密には湖とは反対方向に地下道は伸びてますけどね」 簡易的な石造りの部屋とはいえ、どれだけ金がかかっているのか。 そもそもここまでしなくてはならない程の怪異があるのか、登也の頭は混乱してついていけてなかった。 だが足は龍の後を追うようにぴったりとついていく。 「ここですね」 部屋番号173番。怪異名は「だるま」とだけ書かれている。 冷静な龍の口調ではあったが、ほかの部屋と違い、部屋の前に貼ってあった御札がなく、扉が空いていた。 そして、中には頭が潰されて絶命している猿渡と、同じように頭が潰されている、この寺の者と思われる二名の僧衣を来た者の死体がある。 「猿渡さん!!」 「静かに!」 頭こそないが、服装は先ほどまでと同じなのでほぼ間違いなく猿渡だろう。 さっきまで普通に話していた彼の変わり果てた姿に、震えが来る。 怪異に関しては登也よりも遥かにプロ。 ハンターでいえば、AクラスとEクラスくらいの経験の違いがあるはずだ。 そんな彼がこの短時間で殺されてしまった。 訳が分からない状況の中、前方にいる龍だけが冷静にまっすぐ前を見つめている。 「君、悲しむのは後にしてもらえません?」 「なん…だって?」 「今はそれどころではない、と言っているんです」 龍が先程からこちらを向かない。 ずっと奥を見るような視線。 その先を目を凝らして見る登也。 そこには、2メートルくらいの手足がある粘土細工の棒人形のような物が立っていた。 「なあっ!?」 瞬きした瞬間。 遠くにいたその人形が一瞬で登也と龍の目の前に迫ってきている。 気配を感じさせないほどのスピードで。 「…確か、桐石君でしたか。取り決めをしましょう。瞬きする時は絶対に申告すること。それから瞬きすること」 なんとなく、登也にもわかってきた。 怪異名、だるま。 目の前の人形はどう見てもだるまには見えない形状ではあるが、見た目ではないのだ。 だるまさんが転んだ。 しかも命懸けの。 「話しは通じないですし、間違ってもあの”だるま”壊さないでくださいよ? 壊せば物理的な『ガワ』が無くなり、手出しもできなくなるので手に負えなくなりますから」 「そ、そんな事急に言われても…!あ、瞬きします!」 とりあえず、生理現象である瞬きはどうしてもしてしまう。 龍と自分、同時に瞬きをした瞬間、猿渡のようになってしまうのだろう。 「さて。伝えるべきことは伝えました。桐石君、後はお任せしますね?ああ、ギルドには連絡を入れておくので」 「え…?りゅ、流星!」 と、その時空間が割れ、水鏡流星が一瞬だけ現れた。 一瞬というのは、すぐさま龍を連れて悪魔ベレトの力で消えたからだ。 「は…?え…?」 冷や汗が流れ、後ずさりをする。 目の前には、だるま。 そして、他には誰もいない。 瞬きもできない、だるまを壊すこともできない、そんな状況下。 『目を逸らさぬまま、この怪異がいた近くの部屋に逃げこめ!』 突然頭に響くような声。 悪魔ウバルの咄嗟の機転により、だるまをずっと見たまま、このだるまが元いた近くの部屋へと逃げ込み扉を閉める。 扉からできるだけ離れる登也。 そして、瞬きを一つした。 目の前に、だるまはいない。 「ふぅ~…どうやら入ってこれないみたいだな。助かった…のか?」 『油断するな、扉の前だ!』 と、再度瞬きをした瞬間だった。 その一瞬の瞬間。 だるまが部屋の中にこそ入ってはこなかったが、扉を開くだけの時間があったのか。 半開きの扉から、この部屋の外から。 だるまが姿をチラつかせていた――。
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/67.html
1 番場佑の家。 そこに来たのは、瀬名波那智と藤八沙耶の二名だった。 家をノックしても、返事がない。 鍵もかかっており、誰もいないようだ。 「…おい、こんな所で何してやがる」 二人に声をかけたのは、管野暢弘だった。 遅れて、気怠そうに欠伸をしながら小此木剛毅も後から来た。 貴方達は管野へと、番場がどこに行ったか分かるか、彼以外の栄命島の子孫はいるか、美馬を知らないかを聞いた。 すると、管野は可笑しそうに笑う。 管野「ハハハハハ!こりゃあいい、剛毅さん、こいつらなーんにも知らないんですねえ」 誰が教えるかよ、と管野がもう一度笑い飛ばそうとすると、小此木は管野を睨みつける。 すると管野が黙り、小此木は欠伸をもう一つついた。 小此木「いいぜ、教えてやる。貸し1にしてやるよ後輩」 管野「ご、剛毅さん!?一体何を考えてんですか!?」 もう一度小此木が管野を睨みつける。 彼にとっては、これが黙れという合図のようで、再度管野は不満そうな顔で黙った。 小此木「面白れぇもんが見れると思ったんだが…どうやら今回はそうなりそうもねぇしな。つまんねぇ依頼だったぜ。埠に水鏡とかいう奴から電話がかかってきてな」 まず最初にそういうと、小此木は管野に合図をする。 管野はいまだに不満そうな顔をしているが、携帯を取り出して再生を押した。 そこには、村長の大城太平とハンターの水鏡流星が話している内容、そして水鏡が大城に気絶させられ、消息を絶ったことまでが聞き取れる。 そのままその携帯を貴方達へ投げると、小此木は頭を掻いた。 小此木「まさか黒幕がこんなクソ弱そうな奴らだったとは思わねぇだろ?お前らにくれてやるよ、今回の手柄はな。俺は帰って寝る」 もう一度欠伸をし、貴方達に背を向ける小此木。 それに続くように、管野も背を向けた。 そのまま、小此木が言葉を呟く。 小此木「あぁ、そういえば番場だったか。暢弘、埠が大城につけた発信機の場所、教えてやれや」 管野「えっ、あ、待ってください剛毅さん!…おら!」 管野が慌てて島の適当な地図を作り、そのすぐ北西辺りに印をつけ、貴方達に渡した。 そして小此木達は去って行った――。 (※失踪した恋人の手がかりの進行度が+1された) (※洞窟に行けるようになりました) (※【0】邪神ランマーの内容を那智と沙耶は知り、相談BBSで説明できるようになりました) 瀬名波那智:HP560/MP140/OP10/状態:普通/依頼P:105 藤八沙耶:HP500/MP150/OP10/状態:普通/依頼P:105 依頼P内わけ: シークレット達成(15) 別チームが海上調査完了(15) 別チームが依頼・海木樹を10体倒す達成(50÷2=25) 合計:55p 戻る
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/174.html
1 4月1日。宿酒場民羽。 ハンター達がそれぞれの場所へ向かい、飛鳥の軍人達も広場へと向かった後、月宮香蓮は一人宿に残っていた。 目的はそう、香蓮は直接あってはいないが、田中父の様子を見るためにだ。 香蓮がノックし部屋に入ると、田中父を取り押さえるようにして、宿酒場の店主民羽六三郎が奮闘していた。 やがて、田中父は暴れ疲れて寝てしまう。 民羽「…今眠った。お前たちが事件を解決したつもりでも、狂った人間は元には戻らんのだ。 …立ち去ってくれないか。田中さんの事は我々島の者でなんとかする」 香蓮は仕方なく部屋へと戻ると、声をかけられる。 六三郎の娘、柑奈に声をかけられた。 柑奈「気を悪くしないでくださいね。ああ見えて、お父さんもハンターの方達に感謝してるんです。 ただ、今は眠っている別の部屋の方もそうですが、今はそっとしておいてほしいんです。 これでも、昨日来た時よりは、どちらも安定しているんですよっ」 無理に元気にふるまう彼女を見て、香蓮はこれ以上は関われないと思い、後の事を仲間に託して部屋へと戻った。 2 港に来た甚目寺禅次郎と桐石登也。 二人は昨日の夜、栄命島に行く時に船に乗せてもらった漁師と出会った。 漁師「おっ、昨日はよく眠れたかい?俺っちは寝不足でよぉ~ハハハ」 二人は漁師にこの港で暴れた男について聞くと、意外な答えが返ってきた。 漁師「あの男かい?あいつのことは誰も知らないさ。なんせ、所持品調べたら茜から観光に来た男だったんだもんよ。 でもなんか、組合長…ああ、昨日あんたらと口論になってた漁師の人なんだが、そいつが言うには港に来た時に、双三にその観光客が道を聞いてたみたいなんだな。 その時はまさか双三が黒幕だなんて思わなかったから、別に気にもならなかったみたいだぜ。 昨日の男かい?漁師仲間が宿酒場に運んどいたよ」 どうやら、ここでこれ以上の情報を得ることは難しそうだ。 貴方達は漁師に礼を言うと、立ち去った。 3 東雲直は一人、村はずれの家にいた。 双海思永が住んでいたこの家は、家主を亡くし鍵はかかっていなかった。 中に入ると、散らかっていないどころか、きちんと整理整頓されているようだった。 おそらく、双海は自分がもうどんな結末だろうと帰ってこないことを悟っていたのだろう。 貴方は何もめぼしい物は無い、主人を亡くした家の中で目を閉じ黙祷を捧げ、後にした。 戻る
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/258.html
エピローグ~one year later…2~ 大和・神風学園高等部。 アドラメレクが作り出した異世界から帰還し1年。 3月。卒業の季節がやってきた。 「ねりちゃん、くれはちゃん、一緒にかえろー!」 行成ハナ、福良練、日野守桜…いや、この改編後の世界では彼女の名は『姫神紅葉』という名前で統一されていた。 その理由は後述するとして、3人は卒業式を終え、共に校門へと向かって歩いていく。 最上級生である3年生だったため、これで3人共高等部を卒業。新たな道へと進むことになるのだ。 「それにしても実感が沸きませんね」 「うんっ。あ、でもこうして見ると、やっぱり成長したって実感するよねー…」 練は、紅葉とハナを交互に見ると、ほわぁ、といった雰囲気で和む。 二人は顔を見合わせると、首を傾げた。 「もう18だし成長もするよっ」 「ハナちゃん…そうですね、成長してるかな…」 「紅葉ちゃん!?憐れむような眼でみないでよー!」 冗談を言い合いながら、一歩一歩、高等部への校門を目指しゆっくりと歩く。 少し名残惜しいような、寂しいような表情をしながら、少しずつ。 「ん?3人共まだいたの?」 「あ、しどーくんも今帰り?」 練の声と共に、紅葉とハナも振り返る。 そこには同じく、卒業生である祠堂統がいた。 「祠堂くん、今日も伍代さんの所ですか?」 「伍代さん…には、最近はほとんど教えてもらってないけどね。自宅学習期間は、学校来ない日は大体行ってたなぁ」 「なんか1年前よりも、体がしっかりした感じだもんね!」 異次元から帰ってきた日から、統は土御門流の門下生となり、訓練を重ねていた。 異次元での、いやそれ以前からの地影忍者としての力は、殆どが弱体化していたため、鍛え直すべくだ。 「いやぁ…体のしっかりさ具合でいったら…」 「あー」 「紅葉、筋肉ついたもんねぇ」 「ちょっと、セクハラですよ?」 姫神紅葉。 彼女のベルゼルガーこそ残ったものの、魔改造されたベルゼルガーではなく一番初期のものに劣化していた。 そして、ハンターカードの効果がなくなったためか、彼女自身それを持てなくなっていたため、この1年間ずっとトレーニングをしてきた。 そのため、クラスも戦術クラスに移って本格的に筋力を付け始めたのだ。 「そもそも筋肉を使っている場所が、違うじゃないですか。私は腕、祠堂くんは足や手先ですし、比較するのが間違っていると思うんですけど」 「う、うわぁん…紅葉、怒らないでよ―…!」 「そういえば、皆進路って決まったの!?」 つーんとした態度の紅葉に焦り、強引に話を変えるハナ。 時期も時期なためか、話の切り替えは強引ではあったが、全員が食いついた。 「わたしは紅ギルドなんだー!」 「え?ハナちゃんも?」 「えっ…?わたしも!」 就職や進学という選択肢もあっただろうが、ハナ、紅葉、練の3人は全員紅ギルドに所属を希望していた。 この流れはもしかして?と期待の眼差しで、3人は統を見たが、彼はすごくバツが悪そうな顔で苦笑をする。 「なんかごめんな?俺は大学部に進学なのよー。ギルドは蒼ギルド」 「祠堂くんにはがっかりですね」 「ざんねん…ってくれはちゃん、そんな事言っちゃダメーっ!」 「…ねえ、俺姫神さんになんかした?」 わざとらしく涙目になりながら言う統に、普通の態度ですけど、と言い張る紅葉。 彼女を宥めていると、ふと練が気づいたように呟いた。 「あれ…?そういえばしどーくんはハンター一本じゃないんだね」 「私はハンター一本ですね、そういえば。進学しても良かったのですが、将来家督を継ぐのはアイツになりそうなので…」 「もーっ、そんなひどい事言っちゃだめよぅ」 「あいつ?」 統が尋ねると、ちょうど『アイツ』の声が聞こえてくる。 校門の方から、リムジンでのお迎えだ。 「良いタイミングだったな」 「あ、桜ちゃんだーっ!」 「うわ…」 風がそれなりに強い今日。 二つに結った金髪を靡かせ、腰に手を当てた女性が4人の前に居た。 彼女の名は『姫神桜』。 紅葉が日野守桜と名乗れなくなった理由であり、元悪魔のフェルゼその人である。 ☆ 4人はリムジンで送られながら、フェルゼの言葉に耳を傾けていた。 姫神桜と名乗ってはいるが、このメンバーの間ではフェルゼと呼ばれていた。 紅葉の機嫌もあるが、フェルゼが混乱を招かぬように、との事である。 「だったら最初からフェルゼのままでいればいいのに」 「何か言ったか?紅葉」 「別に」 「そうか。統、伍代殿にこれを渡しておいてくれぬか?」 事あるごとに小言を呟く彼女を、手馴れた様子でスルーするフェルゼに。練やハナは苦笑をしていた。 姫神桜は、この改変された世界では姫神紅葉の『姉』であり、姫神家の次期当主である。 つまり、次期宮廷魔術師候補なのだ。 フェルゼは、統にある手紙を渡すともう一つ付け加える。 「くれぐれも見ぬように。まあ、見られた所でどうということはない内容ではあるが」 「見ないよ…」 多少気になった統ではあったが、そう言われて見たい気持ちを完全に失った。 今まで2回ほど、フェルゼに言伝がてら手紙を伍代に渡すように頼まれたが、大体は厄介事なのだ。 その2回とも巻き込まれた身としては、聞かない方がまだ気持ち的に楽だ。 「ねぇ、フェルゼちゃん。迎えに来てくれたのは嬉しいんだけどね…?」 「『また』、何かあったのですか?」 練とハナが尋ねると、彼女は深く頷いた。 そして一人の人相の悪そうな男の写真を見せる。 4人は顔を見合わせるが、誰も知っていそうな者はいない。 それを確認すると、フェルゼは話を続けた。 「佐後下幹夫(さごしたみきお)。葵の板金工に務める男だ。勤務態度は良くはなく、よく無断欠勤もしていたらしい。そして、『呪い憑き』である」 ☆ 『呪い憑き』。 改変される前にはなかった言葉だ。 というのも、悪魔憑きを指すのがこの言葉だからでもある。 フェルゼが伍代に伝えようとしていた内容であり、これで紅葉、ハナ、練は2度目。 統に限っては3度目となる。 改変された世界では、稀に現れる悪魔のような化物がついた状態を、呪い憑きと呼んだ。 元悪魔だった現象は、形を変え呪いとして残った。 ちなみにラウムやベレトは呪いというよりは、呪い(まじない)の類に分類されるのだが、結局のところ大元は同じノロイとして分類されるのだろう(それを指摘したら、ラウムは烈火の如く違うと怒ると言うのがウバル談だが)。 「話を戻そう。その手紙の内容でもあるのだが、見てしまった以上お主達にも手伝ってもらいたい」 「いや見てませんし!元々巻き込むつもりなのは、誰が見ても明白でしょうが!」 「俺はどのみち、伍代さんに付き合わされるんだろうけど」 怒る紅葉と、もう3度目で慣れてきたせいか、呆れと諦めが混ざったような態度の統。 そして、そんな二人とは違って、練とハナは少しワクワクしていた。 この呪い憑きに関する事象は、フェルゼ達元悪魔の汚点でもあり、悪魔という概念がこの大和に無くなった今、ギルド等におおやけに処理してもらうのもフェルゼのプライドが許さない。 そこで各地に呪い憑きを発見した場合、速やかに『協力者』を率いて処理に当たる事に決めたのだ。 紅はフェルゼ、葵は伍代、茜はクレイ=マッドマン、粥満はウバル。そして最後の蒼はなんと小此木剛毅だ。 協力者とは、つまり悪魔を知る、異次元に行ったことがある者達である。 そのため、あの時のメンバーとの再会のチャンスでもあるのだ。 「葵勤務の男だが、現在は紅に逃亡中との情報が入っている。なので、担当地区が2つにまたがった事により、伍代殿との協力ミッションとなっているのだ」 「えっ…?逃亡中って、その佐後下さん何かしたの…?」 「うむ。強盗殺人を行い、紅に逃亡中に更に2人の者を病院送りにしておる」 「ちょっと!!今までで一番危険じゃないですかフェルゼ!」 「一番も何も、まだ二回目だろう?」 少しワクワクしていた練とハナだったが、その気持ちが一気に萎えた。 参考までに言うと、前回は呪い憑きの少年の保護、そして呪いと呼ばれる元悪魔の解放を平和的に行っていたせいだ。 統は練ハナ紅葉とは別の1件が似たようなケースだったため、驚きはなかった。 「協力者はお主らの他に1名。白神だ。こ奴も案外暇だな…」 ラウムと関わりが強い彼のことだし、この件に関しては積極的に関わってくれている事がわからない筈がないフェルゼを、四人は白い目で見ていた。 リムジンは、こうして望まない現地へと向かうべく、無情に走り続けていたのだった…。 ◆日野守桜→姫神紅葉 異次元帰還後、フェルゼが姫神家の長女へとなっていたせいで、色々と複雑な気持ちが爆発。 1年後の今日でもその気持ちは衰えず、反発している。彼女とフェルゼの和解はいつの日か。 また、そのせいもあり将来は姫神家の跡継ぎをしなくてもよくなったため、ハンター業に専念することになった。 ◆フェルゼ→姫神桜 異次元帰還後、人間になることを望んだ彼女は、その通り人間へと変化。 姫神家の長女となり、次期宮廷魔術師候補として姫神家の代表となりつつあった。 東十常一、姫神百合、土御門正宗の大貴族御三家の一角として、同じく次期宮廷魔術師の伍代やまだまだ未熟な司と共に連携をしつつ大和の世界に馴染んでいく。
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/226.html
サブ依頼 サブ依頼達成履歴: 2/11【達成!】魔物調査その2 2/3【達成!】暇つぶし2 2/2【達成!】最高の食材(魚編) 2/1【達成!】暇つぶし・最高の食材(野菜編)・討伐作戦(忍耐編) 2/1 失敗依頼を削除しました。また、既存の達成していない依頼に期日をつけました(一部除く)。 1/24【達成!】花嫁修業(料理編) 依頼名 依頼主 達成条件 報酬 【達成!】暇つぶし 上条森羅 翡翠の回廊のグラムバニーをサーチアイする 家電製品が格安で使えるようになる・全員のOP+5 【達成!】暇つぶし2 上条森羅・久遠新 拠点(通常チャット)で彼らに遭遇し、頼みごとを聞く 5000円 【達成!】魔物調査その1 城ヶ崎憲明 魔物を15体サーチアイで詳細を調べる 能力鍛錬コースの上昇量が2倍になる(永続) 【達成!】魔物調査その2 城ヶ崎憲明 魔物を30体サーチアイで詳細を調べる 全員の知識+100/2月14日まで 魔物調査その3 城ヶ崎憲明 魔物を60体サーチアイで詳細を調べる 全員のMP+100/2月29日まで 魔物調査その4 城ヶ崎憲明 魔物を100体サーチアイで詳細を調べる 能力鍛錬コースの上昇量が5倍になる(永続/魔物調査その1の報酬とは重複しない)/2月29日まで 【達成!】最高の食材(魚編) 紫堂陽人 第一階層・紺碧の回廊にいるリバッションを捕獲する(※2) 全員の最大HP+500/2月14日まで 【達成!】最高の食材(野菜編) 紫堂陽人 第五階層・名も無き花の遺跡にあるサラダ草をゲットする(※3) 全員の最大HP+300・最大MP+50・最大OP+5 討伐作戦(力技編) 佐治宗一郎 レア指定されている魔物の撃破(違う種類の魔物のみカウント:残り9体) 訓練所が1週間に2回利用可能になる 【達成!】討伐作戦(忍耐編) 佐治宗一郎 エリア『魔女の学園』を攻略後、再度最初から始祖の悪魔クラリスがいた所まで向かう 全員の精神+100 【達成!】花嫁修業(料理編) 尸黄泉 おかずをとってくる 全員の技能+100 【達成!】替えの服が欲しい! 上条森羅 ガーニアー、マンジグモ(3層後半エリア)、✩スパイダークイーン(3層クリア後エリア)のどれか1種を倒す 全員のOP+5・上条が服を作ってくれるようになる 【達成】チョコが作りたい!前編 英カリン チョコナッツを採ってくる 全員の+OP5 【達成】チョコが作りたい!後編 英カリン 第三階層・霧の大地アヴァンクにいるソイソールを捕獲する(※3) タダで牛乳が飲めるようになる。捕獲メンバーのステータスアップ 【達成!】調味料を探して!(※4) 英カリン 調味料の材料を入手する。 全員のハンターポイント+50 タバコがほしくて… 風見次郎 どこかにあるタバコを入手する 全員の得意ステータス+100 きらきらな石 双星ポルックス どこかにある、魔力の原石を7つ集める 全員の煌石+5 ラウムとの修行 ラウム 二層ラウム神殿・水没にいく 凪のみ魔人化強化、それ以外の参加者は好きなステータス増加(凪必須) 【達成!】ウバルとの修行 ウバル 三層極光の城塞にいく 登也のみ白帝王暁強化、武生のみトリリオンバースト強化、それ以外の参加者は好きなステータス増加(登也、武生必須) ベレトとの修行 ベレト 四層虚空の次元にいく 参加者は好きなステータス増加(水鏡、ヒカル必須) フェルゼとの修行 フェルゼ 五層名も無き花の遺跡にいく 練のみ白き花のマドリガル強化、それ以外の参加者は好きなステータス増加(練必須) 金鯨を求めて なし 六層裏ユグドラシルBにいく 将己のみ特殊強化(将己必須) ???? なし あるイベント後、どこかでブラッディエリーの話を聞く 麻衣のみ奥義習得(麻衣必須) ※レア魔物討伐履歴 シャドーダンサー ・レッドビホルダー ・ビックダディむいむい ※花嫁修業(対姑編)の遭遇リスト 土御門伍代:揚羽・維胡琉 神崎信:揚羽・登也 契:揚羽・凪・登也・維胡琉・練 臥龍ヒアデス:揚羽・凪・直・武生 ※石発見 深闇石(水属性)・砂塵石(地属性)・月光石(無属性)
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/62.html
報酬 チェックポイントを通過すればゲット可能なものはこちら ※チェックポイントに関してですが、大神山道突破+小瀬の細道突破+魔物バジリスウォール撃破でチェックポイント1つ達成ではなく、それぞれが1つとなるためこの場合は3つのチェックポイント通過になります。 前半のほうがチェックポイント通過が多い!後半は少ない!と思うかもしれませんが、後半のチェックポイント通過報酬が前半よりもいいため、ご了承ください。 チェックポイント 貰えるもの 大神山道突破(A) 1000円 小瀬の細道突破(A) 1000円 魔物バジリスウォール撃破(A) 煌石+1個 具志音山道突破(B) 1000円 魔物殺戮むいむい撃破(B) 煌石+1個・ハンターポイント+3 逢夢氷壁突破(C) ハンターポイント+4 魔物クレインクライン撃破(C) 2000円・ハンターポイント+5 ラウム山脈麓突破(D) ハンターポイント+5 魔獣神狼撃退(D) 3000円・ハンターポイント+8 ラウム神殿攻略(E) 無し ????撃破(E) A~Gまでのをcp2つ以上通過したもの全員に専用特殊技追加 ラウム神殿最奥到達(F) 無し ????遭遇(限定)(F) A~Fまでのcpの通過が一番多い男性PCに限定特殊技????追加 ????遭遇(汎用)(F) 10000円・煌石+5個・ハンターポイント+30 ????遭遇(その他) 5000円・ハンターポイント+5(このイベント未参加者で、A~Eに一度でも参加したPC) デモンズロード攻略(G) 2000円 魔物シャドーゲイト撃破(G) 3000円・ハンターポイント+5 ????撃退(H) 5000円 ????撃退(H) ハンターポイント+5 専用特殊技一覧 特殊技習得者名 習得技名 効果 消費 烏月揚羽 風精召喚・瑠璃 自分と同じステータスを持つ分身を作り出す(貫糸の効果で消滅しない) OP20 行成ハナ 天目一箇 カウンターで精神4倍ダメージ・自分が対象になった時に発動可能 OP12 白神凪 天中殺 対象に技能4倍ダメージ後、回避状態になる(自分の感覚・対象の感覚で回避率設定) OP10 六角屋灼 獄楽焦土 全体に知識4倍ダメージ+状態異常『炎上』付与判定 OP15 桐石登也 ブリッツチェイサー 最初の対象に知識3倍ダメージ、その次から2倍ずつダメージが増えていく(全体判定/最大15倍ダメージまで) OP25 瀬名波那智 セイリングコール 水の上の状態の時、感覚が2倍+超感覚+魔覚効果 パッシブ 藤八沙耶 キツネツキ 発動中全魔術のMP消費0・知識が1000以上上昇している間、自動発動(アイテムの上昇効果は除外) パッシブ 東雲直 爆雷符 対象に技能7倍ダメージ+即倒効果付与・非戦闘時に仕掛けると、術者の任意で発動可能 OP12 柳茜 GNR 発動後、6回攻撃するまで与えるダメージ3倍(全てのダメージ攻撃に適用) OP13 天瀬麻衣 スノーホワイト 状態異常を受けた時にカウンターで精神7倍ダメージ(状態異常は回復しない) OP10 桜木有布 光煌陣 1ターンのみ自分の技能を+2000、即座に行動可能 OP25 日野守桜 ホライゾン 対象の行動中断(対象の行動中に発動宣言で成立) OP15 向坂維胡琉 トゥルーマジック 自分が対象になった時、知識が100増加(戦闘中のみ/重複可能/最大知識+1000まで) パッシブ 夢崎麻也 コロニー 対象の最大HPを2000・及び精神を800下げる(半分以下にはならない/重複不可能) OP14 菫明華 ドリームトリップ 1ターンのみ自分の最大HPを1000引き上げ全回復、そのターン中ならばダメージを受けても即座にHPを全回復する OP20 祠堂統 死線 技能5倍(確実にクリティカルヒット)+即倒効果付与・空蝉発動後のみ発動可能 OP10 福良練 夜宴の桃花 何も見えない状態の時、暗視+超感覚効果 パッシブ 蛇姫神紗咲良 ラミア 知識5倍ダメージ+HP吸収 OP10 綾野涼雨 トリプルスペル 発動時、魔術を3種発動可能 OP10 浅海邑咲 アイアンメイデン 知識7倍ダメージ+状態異常『裂傷』付与判定 OP12 鬼ヶ原空 ストレイキャット 発動時、攻撃するまで敵からの行動対象にならない+次の攻撃が必ずクリティカル OP15 加賀見皐月 月影の太刀 技能2倍ダメージ+光・闇属性の対象に更に5倍ダメージ OP10 志島武生 魔力設置 自分と同じ魔力を持った魔力の玉を設置し、魔力探知のかく乱を行う(非戦闘時のみ発動可能) MP100+OP1 甚目寺禅次郎 クラップグラップ 技能7倍ダメージ+2ターン戦闘除外 OP12 板垣勝猛 剛破 防御効果・魔術効果・全てを無視+魔術効果を消滅して技能7倍ダメージ OP11 寒河江由加 ジュエリィダスト 全体に知識4倍ダメージ+状態異常『裂傷』付与判定 OP15 幸村カヤ アウズンブラ 3ターンOP消費無しで全ての特殊技が発動可能・この特殊技は行動に含めない OP15 水上鎮 アクアリィフォール 知識7倍ダメージ+状態異常『気絶』付与判定 OP12 日浦博樹 秘剣五段斬り 5回連続通常攻撃 OP8 月宮香蓮 ローズアロマ 発動中、毎ターン全員のMPが50、OPが1アップ(効果は5ターン) OP9 ※1/12更新 色々と追記、及び調整 菫明華の特殊技を変更(幾ら何でも限定的すぎたため) 限定特殊技について 特殊技名 特殊技内容 ???? ステータス超アップ、全ての魔術の効果が大幅アップ、全ての特殊技が変化+イベント専用、発動後操作不能(GM操作) 戻る
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/31.html
ここでは、神風4thstageUNLIMITED(以下神風4U)にご登録頂く際の規約について説明しています。 キャラクター(以下PC)が利用する施設、BBS・チャットの使用法に関しては【ルール】をご覧下さい。 ■ 禁止事項 登録は1PLにつき1PCまでです。 複数のPC(NPC)を使えるのはGM、SM又はイベント内に限りEMだけです。守りましょう。 顔文字や「w」・(笑)等は禁止。 これについてはPC用の【ルール】で別途説明してあるので、そちらを参照して下さい。 荒らし行為やPLへのセクハラ・誹謗中傷行為の禁止。 PL交流は禁止していませんが、執拗なセクハラ行為や嫌がらせは処罰の対象になります。 運営側はPL同士のトラブルには関与出来ませんので、相手の事をよく考えて発言しましょう。 PL交流はあくまで自己責任でお願いします。 著作権に違反する事はしてはいけません。 名簿絵を他所から無断で転載する事、チャット・BBSでの歌詞の書き込みなどは禁止しています。 盗作は犯罪です。お気をつけ下さい 個人情報は極力伏せましょう。 チャット、BBSでの個人情報公開(メッセンジャー等も含み)は禁止しています。 その場合は、お相手のPLと別所で、或いはメールを通してやり取りを行なって下さい。 情報が漏れてもGMは一切の責任を取れません。PLの自己責任でお願いします。 また、PL交流非推奨ではありませんが、中には苦手とする人もいるという事を忘れないで下さい。 ■ 注意 更新履歴は、常に御確認下さい。 ルールの追加やイベント情報、更には注意等を書く事もあります。必ずご確認をお願いします。 長期間何らかの事情で神風に来られない人はGMに連絡をして下さい。 余りに長い間音信不通の場合、継続確認の際に幽霊Cと判断し、削除致します。注意して下さい。 PLとPCは混合しないで下さい。 PL=PCではありません。 PLがPC施設のログ等で知り得た情報を、その場にいないPCの情報として利用しないで下さい。 また登録PCと似た性格なら構いませんが、PCになりきってPL対応するのも止めましょう。 引かれる可能性大です… 神風4Uとは? 正確には、神風4thstageUNLIMITEDとなり、私立神風学園高等部4thstageの世界観を引き継いでいるものの、 舞台の主役はハンターという職業の者達になります。学園ストーリーとは異なるのでご注意ください。 他サイトの比較、現実との比較、は止めて下さい。 あくまでも神風4Uは『日本によく似た世界』であり、日本ではありません。 法律等、ある程度は日本と同じではありますが、違う部分もあるのでその部分は詳しく触れない方が火傷しません。 また他サイトの規約とは異なる部分があるかもしれませんが、神風4Uでは神風4Uの規約を守っ て下さい。他サイトでの常識が通じるとは限らないかもしれません。 何かわからない事があれば、PL掲示板で尋ねましょう。 知るは一時の恥、聞かぬは一生の恥、ということわざがあるように「聞いてませんでした」では許され 無い事があるかもしれません。分からない事は素直に聞きましょう。 堅苦しく書きましたが、重要なのは“思いやり”です。 それさえあれば経験者・初心者問いません。 チャット、BBSを通じて楽しいハンター生活を送りましょう!
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/83.html
ストーリー概要 サブストーリー 弥生祭の警備を賭けて 神風学園生徒会高等部は、3月1日から3日間開かれている粥満の弥生祭に警備として依頼を請け負うようだった。 しかし、それに異を唱える男が。鎮守由衞だ。 普通の民間人ならともかく、そんな重大な依頼を受けて損をするのは学園側だからだ。 生徒会長である東十常司と対決姿勢をとり、司もまたこれに乗ったため、弥生祭の警備を賭けて勝負を行うことになった。 結局、勝負はハンターと学園生徒混成のハンターチームの勝利となり、弥生祭の警備の要請をキャンセルした形となり幕を閉じたのだった。 西方の兵 単独で西大陸の傭兵ギルドに所属している傭兵達の動向を追っていた真田斎の救出が目的となった依頼だった。 傭兵は真田を監禁すると、蒼の郊外にある使われていない屋敷へ篭もっていたところ、ハンターにより解放されることとなる。 チャカやブラドと言った傭兵ギルドのナンバー1・2を下し、真田斎の救出と大和の束の間の平穏を手に入れた。 しかし、未だにカッツェやほかの傭兵の姿の足取りは掴めていないので、まだ油断ならない状況である。 疑惑のAクラスハンター 蒼特区に移籍した水鏡流星は、先輩ハンターから神風学園の調査を個人的に頼まれる。 なんでも、カードの複製の事実があるらしいとのこと。 その確認のため、彼は知り合い且つ生徒会所属の鎮守由衞へと調査を要請した。 由衞は蒼ギルドにハンターを集合させると、それとなく怪しいと睨んだ二名をハンター達の前に紹介する。 彼らのうちのひとりは、以前ラウム山脈の調査を行った際に会った、独特の口調の男だった。 彼らと手合わせをしつつ、それを見届けた蒼特区長の天城宗次郎は、カードを持つハンター同士の組み合いを行い、カードの潜在能力を図るために今回の案件を設けたとのことだった。 それに納得したハンター達は、カードの複製などなかったことを確信し帰路へとついたのだった。 (※上記は蒼特区元ギルド長、天城宗次郎により書かれたレポートです) 本編 特区砂漠A(チェックポイントA~B) ○先行隊調査メンバー:天瀬麻衣・板垣勝猛・鬼ヶ原空・志島武生・白神凪・月宮香蓮・柳茜・幸村カヤ 小此木剛毅の依頼を受けた貴方達は、遅れている彼の言葉通り先に竜の住処へと向かう。 特区ギルドから南東に進んだ先、砂漠だらけの場所の中、オアシスを見つけそこの確保を行おうとしたが、巨大ミミズ「ゴルドワーム」6体に全滅を喫することになる。 しかし、その後周辺の掃討を行っていた特区ギルド所属のハンター達により、なんとか救出される彼らであった。 ※チャレンジ:ゴルドワームを同ターン内に全部倒す(未達成) 特区砂漠B(チェックポイントC~D) ○先行隊調査メンバー:天瀬麻衣・板垣勝猛・鬼ヶ原空・志島武生・白神凪・月宮香蓮・柳茜・幸村カヤ なんとか回復した貴方達は、そのまま調査を進める。 同じように砂漠を進む貴方達の前に、またもやオアシスが見つかった。 後続の水の確保のために、拠点として確保しようとした貴方達だったが、魔物の先約がそこには既にいた。 カニ型魔物「クラブグラブ」二体をなんとか撃破した貴方達は、後続を待つためこの日の調査を終了したのだった。 ※チャレンジ:クラブグラブに1度に2000ダメージ(MPポーション+1・OPポーション+1) 特区砂漠C(チェックポイントE~F) ○先行隊調査メンバー:桐石登也・祠堂統・東雲直・月宮香蓮・日野守桜 新たに先行隊を決め、貴方達は砂漠を進んだ。 途中、安土優という直の先輩ハンターにサポートもされつつ、とうとう目的地であるエクスハティオ大聖堂跡までたどり着いた。 しかし、その遺跡前に待ち構えていたのは一体の巨大なサボテンと、6体の子サボテン。 全員苦戦を強いられながらも、なんとか満身創痍で「バーニングサボテン」の撃破に成功。 子サボテンは逃げて行き、無事…とは言いづらいが遺跡までの道を確保したのだった。 ※チャレンジ:バーニングサボテン戦で、戦闘不能者0(未達成) エクスハティオ大聖堂跡・上層(チェックポイントG~H) ○先行隊調査メンバー:鬼ヶ原空・桐石登也・志島武生・白神凪・月宮香蓮・福良練・六角屋灼・柳茜 貴方達は大聖堂跡へと歩を進めた。 中は朽ちた外見とはうってかわり、古城のようにしっかりした造りだった。 魔物もおらず、不思議な気配を感じつつ半分に分かれた鍵を手に入れた貴方達だったが、鍵をひとつにして中層へと向かおうとすると、仮面が空・灼・香蓮へと取り憑いて、彼らと戦闘を行うことになった。 今までの魔物と比べると、手札がわかる分そこまでの脅威ではなかったが、やりづらさを感じつつ勝利を収める。 すると仮面「シャドートリニティ」は消滅し、辺りの空気が変わった。 外にいる後続を中へと招き入れ、ここを新たな拠点として次は中層へと向かう決意をするのだった…。 ※チャレンジ:シャドートリニティ3体を1時間30分以内に全て倒す(未達成) エクスハティオ大聖堂跡・中層(チェックポイントI~J) ○先行隊調査メンバー:天瀬麻衣・桐石登也・祠堂統・東雲直・日野守桜・六角屋灼 貴方達は大聖堂跡中層へと歩を進めた。 中層は先ほどの場所と打って変わり、巨大な広間となっていた。 中心に一匹、血まみれの顔をした天使「オメーン」がおり、オメーンは貴方達に気が付くと指を鳴らして魔物を召喚する。 かなり苦戦したが、オメーンが逃げる前になんとか撃破に成功。 するとオメーンが召喚した魔物は次々に消滅した。 無機物や霊体のようなタイプの魔物だったせいか、オメーンが本当に召喚していたらしい。 オメーンが落とした鍵を拾い、下層へと続く大扉を開くと、貴方達は一旦、消耗しきった体を癒すために引き返すのだった。 ※チャレンジ:戦闘開始から2ターン以内に中層を突破する(未達成) エクスハティオ大聖堂跡・下層(チェックポイントK~L) ○先行隊調査メンバー:鬼ヶ原空・志島武生・日野守桜・福良練・蛇姫神紗咲良・柳茜 貴方達は大聖堂跡下層へと歩を進めた。 下層は小さな部屋しかなく、どうやら部屋の中に入り、敵と接触しないというゲームのようなリモートタイプのトラップだった。 なんとかそのトラップをくぐり抜け、貴方達は奥に潜むマダラマンダラの討伐に成功する。 しかしその直後に現れた小此木剛毅により、先へと進めなくなってしまった。 貴方達は一旦諦め、上層へと引き返すのだった。 ※チャレンジ:マダラマンダラ1ターンキル(煌石+2) グレンパレス(チェックポイントM~O) ○先行隊調査メンバーA:鬼ヶ原空・桐石登也・志島武生・祠堂統・白神凪・月宮香蓮・蛇姫神紗咲良・柳茜 ○先行隊調査メンバーB:板垣勝猛・鬼ヶ原空・志島武生・白神凪・月宮香蓮・日野守桜・柳茜 ○先行隊調査メンバーC:烏月揚羽・桐石登也・祠堂統・白神凪・福良練・六角屋灼・柳茜・行成ハナ 貴方達は大聖堂跡下層から更に先へと足を踏み入れる。 そこは周囲が溶岩に囲まれた、巨大な城が眼前に広がっていた。 城門をくぐると、突如悪魔のような騎士に襲われたが、小此木剛毅により助けられる。 その後、彼の言う言葉では1Fにある巨大な溶岩の門をくぐるには、門についている8つの炎の楔を解除しないといけないみたいで、既に小此木がグレンパレスの3階より上を攻略しているようで3つの楔が解除されていた。 残るは5つ、2つはおそらく小此木のいる3階にあるようなので、そちらは彼に任せて貴方達は2階の左右の道、そして地下の道の3箇所の攻略を開始した。 2階右の道にいくと、タイミングよく動く足場を飛ぶという試練を突破し試練である剣をもった騎士を倒すと、第一の楔がとけたのだった。 そのすぐ後、メンバーを一部入れ替えた貴方達はグレンパレスの攻略を再開する。 と、貴方達がホールに戻ると、男が一人、立っていた。 男は全てを知っているかのように語りつつ、貴方達を「試させてもらう」といって勝負を仕掛けてくる。 鉤爪をつけた男の一撃によりパーティは茜を除き全滅、そして茜も一撃いれるのがやっとで、圧倒的な強さを見せた。 しかしそこに小此木が現れ、鉤爪の男を引き受けてくれたため、貴方達は回復した後、残りの楔を解きにいくのだった。 2階左の道には、骸骨の杖が地面に刺さっており、部屋全体が赤いオーラで覆われている部屋になっていた。 骸骨の杖を止めようにも、騎士が邪魔をして中々当てづらい。 だが凪の風雪の玉により、骸骨の杖に当てると杖は効果を停止。赤いオーラが消え、遠射の試練をクリアし斧をもった騎士が出現すると、全員で逃亡をするのだった。 最後に地下へとやってきた貴方達は、簡単に第三の楔を解いた。 と同時に一つしかない入口が封鎖され、現れた槍をもった騎士と戦闘になるが、難なく倒し(小此木の5箇所を合わせて)全ての試練を突破したのだった。 その時、ホールから悲鳴が…いや、悲鳴というよりは呻くような声が響く。 入口に戻ると、鉤爪の男とやりあっていた小此木剛毅が血まみれで倒れていたのだ。 既に鉤爪の男の姿はなく、直後にやってきた水鏡流星に小此木を頼むと、貴方達は竜の座する先へと向かうため、最後の門を開いたのだった。 門をくぐった貴方達は、不思議な空間に出る。 そこは遺跡のような場所で、地面には無数の骨が転がっていたのだった。 その時竜の声が聞こえ、最終的に黒炎竜エクスハティオに力を示すこととなった貴方達。 まずは地面の骨が集まり、骨の竜の形を形成するエクスハティオ。 足に踏み潰され、全体アンデット+毒化する瘴気を使うという強敵であったが、何とか撃破に成功。 すると倒れた骨に瘴気が集まり、漆黒の竜へと姿を変え、戦闘は仕切り直しとなった。 全員の猛攻によりかなりダメージを与えたものの、全体を火の海にする黒炎の炎のブレスを吐き、尻尾で広範囲を攻撃、噛み付きで防御力無視の攻撃などを受け、結局最後は茜、勝猛、空、桜、武生、香蓮、凪の7名は倒されてしまうのだった…。 新たなメンバーで挑んだ黒炎竜エクスハティオ戦。 その前の先行隊Bでかなりのダメージを与えていたことにより、何とか撃破に成功。 しかしエクスハティオが溶岩に沈むと、溶岩が吹き出し地中から上がってくる。 貴方達は足場をつたい、上へ上へと逃げていると、溶岩の中から溶岩竜エクスハティオが姿を現す。 咆哮で能力を解除した後、溶岩のブレスを吐き辺りに溶岩を飛び散らせたり、ダメージを受ける事に体表の溶岩をはねさせて攻撃した者にダメージを与えるなどで苦戦を強いられたが、全員の協力で辛くも撃破に成功。 その後元いたエリアへと戻り、エクスハティオから新たな力を登也、灼、統、練は呼び起こされ、大和に起こる災厄という意味深な言葉を残し、また深い眠りへとついたのだった。 ※チャレンジ(鉤爪の男):鉤爪の男のHPを半分まで減らす(未達成) ※チャレンジ(エクスハティオ):黒炎竜エクスハティオ戦(第二形態)で5ターン全滅しない(未達成) エクスハティオ大聖堂跡中層~特区砂漠C(チェックポイントP~Q) ○先行隊調査メンバー:天瀬麻衣・烏月揚羽・鬼ヶ原空・向坂維胡琉・白神凪・月宮香蓮・藤八沙耶・行成ハナ 貴方達は後続のメンバーとグレンパレスで合流し、先行するメンバーを変えて帰路へとついた。 水鏡流星も連れ進んでいると、途中のエクスハティオ大聖堂跡中層でグレンパレスで出会った鉤爪の男が再び貴方達の前に姿を現した。 圧倒的な強さを誇る相手ではあったが、全員の協力で何とか鉤爪の男に納得させると、鉤爪の男は素直に引いていった。 どうやら腕試しをしているような感じはあったが、結局鉤爪の男の目的は謎のまま。 そこに、突如地震が起こる。 鉤爪の男が立ち去る前に残した、眠っていた魔物が目を覚ましたとの一言。 水鏡は後続の者に伝えるため、そして未だ気絶している小此木をおぶって連れて行くため、皆とここで一旦別れることになる。 そのまま貴方達は警戒を続けながら大聖堂跡を出ると、再度地震が起こり砂の中から20メートルはある超巨大な炎を纏った化物と出くわした! その化物「大炎獣イグニス」は貴方達を視認するや、即座に襲いかかってきた。 一撃必殺。まさにこの化物の攻撃はそれで、全てが致命的な一撃となった。 何とか貴方達は攻撃をかわしつつ、一旦特区砂漠Cのオアシスまで退避し、後続がいる大聖堂跡からイグニスを引き離しつつ、あの魔物をどうやって倒すかを考えるのだった…。 ※チャレンジ(鉤爪の男):鉤爪の男のHPを半分まで減らす(HP+10、MP・技能・知識・感覚・精神+5) ※チャレンジ(大炎獣イグニス):大炎獣イグニスのHPを5万減らす(未達成) 特区砂漠C(チェックポイントS) ○先行隊調査メンバー:桐石登也・向坂維胡琉・志島武生・白神凪・日野守桜・六角屋灼・柳茜 貴方達はなんとか合流した後続のメンバーと大炎獣イグニスに挑んだ。 最初こそ、まだ大聖堂跡から脱出できていない後続のメンバーを逃がすために引き離そうとしたのだが、火と水属性のスイッチで何とか倒せそうなことに気がついた点、そして知識を下げて状態異常を通すという点の二つで、何とか勝利することに成功した。 最後に爆発に巻き込まれそうではあったが、その時糸の結界により守られる。 そこにいたのは宮廷員の一人、土御門伍代で、彼らに助けられた貴方達は事情はギルドで話すという彼の言葉を聞き、そのまま後続がついてきているのを確認しつつ、特区ギルドへ帰還するのだった。 ※チャレンジ:大炎獣イグニスのHPを5万減らす(HP+30・MP+10・OP+2) ハンターズギルド特区支部(チェックポイントR) ○先行隊調査メンバー:天瀬麻衣・鬼ヶ原空・桐石登也・向坂維胡琉・志島武生・祠堂統・白神凪・日野守桜・藤八沙耶・月宮香蓮・柳茜 貴方達は土御門伍代に連れられ、特区のギルド内へと赴いた。 やっと起きた小此木と、彼を連れてきた水鏡も加え、そこで手当もいらないメンバーで話を聞くことになるのだが…。 伍代から五竜のうち風雪竜、黒炎竜、東海竜、幻昌竜の噂を聞いたり、五体の悪魔の話など様々な事を聞いていたが、伍代が一番知りたがっていたのは「竜の涙」と呼ばれる竜の秘宝だった。 それは小此木がみんなの目を盗んで入手しており、持ち帰っていた。 その竜の涙を賭けて、小此木と土御門伍代の父であり宮廷魔術師の土御門正宗が対決。 そして小此木に加勢を頼まれたハンター達の前には、土御門伍代が立ち塞がる。 何とか伍代に勝利した貴方達だったが、結局竜の涙は、小此木をボコボコにした正宗の手に渡ったのだった…。 小此木はしばらく治療が必要な体になり、依頼も終わったので貴方達は長い調査を終えた。 ※チャレンジ:土御門伍代に合計1万ダメージ与える(5000円) 戻る
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/259.html
エピローグ~one year later…3~ 大和・茜スラム街(第二エリア)。 そこを2人の男女が歩いていた。 そして、彼らの行く手を阻むように男達が囲む。 「鬼ヶ原空…だな?」 「悪いが死んでもらう」 言うが早いが、男達は連携して空へと剣の刃を向ける。 後方にいる男は、銃を構えた。 その数8人。 「シドさん」 「任せてもらおう」 空と同行していたにシドと呼ばれた巨体の男、槐志度は右手を向け力を込める。 するとぱっくりとアイスクリームを切り取ったかのように、前方にいた5人の男達が、地面ごと抉り取られ消えた。 「チイッ!化け物が!」 「一旦撤退だ!ここ第二エリアは俺達の方が把握してる。地の利がある!一旦引いて、一人の所を…」 「そうはいきませんよ!ここで大人しくタカシ君達を返してもらいます!」 後方から聞こえた声に、男の一人が振り返る。 幸村カヤは魔術でダイスを生み出した瞬間だった。 その数字は1。 竜の力は無くなったものの、その後も自身の技の改良を続け、「敵にかける」ハードラックコレクターの強化に成功していた。 「は…!?なんだこれ…!?」 「さて、ファンブルのお時間です」 声が辺りに響くと共に、二人の男の体が粉々に分解される。 「う、うわァッーーー!俺の、俺の体がァッーーー!」 「い、痛くねえ!でもこれじゃあ何もできはしねえっ!!」 「いつ見ても慣れない技ですね…」 「これで命に別状はないって言うから怖いよな」 カヤの近くに移動した空が呟きながら頭上を見上げた。 そこにはスーツ姿の悪魔、クレイ・マッドマンの姿が。 分解された男達の散らばっているパーツの口から悲鳴をあげてはいるが、特に痛くもなんともないようで、徐々に4人への罵倒へと言葉が変化していく。 その言葉を無視しつつ、少し男達に同情を覚える空。 「さすがに悪魔と第三エリアの人間相手じゃなあ…」 「能力的には私達と同じくらいみたいですけど、その二人のお陰で反則ですよね」 「…それよりもいいのか空。残った一人が逃げていくぞ」 「おっと忘れてた」 カヤのサーチアイで、能力的には同じとは言ったものの、加速装置作成を発動し瞬時に追いつき、続けて魔界扉作成で体力を奪い無力化する空。 能力こそ同じ程度とはいえ、ただのチンピラ程度では彼女達の相手にはならない。 「下っ端の中でもかなり下っ端の連中か。幸村、ガキ共見つけたぞ」 「本当ですか!?クレイさんすみません、助かりますっ」 カヤは男達をシドと空に任せると、真っ先にクレイの指定する方向へと駆けて行った。 ◆クレイ・マッドマン 異世界から帰還後、兄であるファニーに空の保護を頼まれたため、茜のスラムに潜むように生活をしている。 情報屋として空の助けをしてはいるものの、何かと茜ギルド長である新城抉の使いパシリにされているカヤと絡む事の方が多い。 ☆ スラム第一エリアは、多々抗争などはあったものの現在は落ち着きを取り戻している。 第一エリアのボスである灰原は、茜ギルドとも協力する体制をとりつつ、空等の茜所属のハンター達の助力を受けつつスラムの平穏を保っていた。 賛否両論はあったもの、主にスラム出身の空や、スラムの少年達と時折り遊んでいるカヤ達を歓迎する者達も多く、スラム第一エリアと茜ギルドは友好的な関係を築けていた。 それも全て、彼女ら二人を中心としたハンターやそれに関わる者達の努力の賜物だろう。 「B-ライザス?」 「うむ。それが今回、少年達を誘拐した組織だろう」 スラム第二エリア、北東部。 空達が指定した酒場のような施設へ入ると、沢山のスラム住人達に囲まれ、その中心に髪を二つに結った幼女がいた。 彼女はこのスラム第二エリアを統治する4人の支配者の一人で、新城抉とも知っている仲のようだ。 数年前、新城が茜ギルド長に就任した頃に、一度ハンター達に助けてもらった経緯があるのだが…それは今回は置いておき、話を戻そう。 彼女…マリーアは幼女の姿ではあるが、成長不足なだけでこれでも40代のオバサンらしい。 よく見れば、目尻に皺があるのだが、それを指摘して周りのスラム住人に銃撃されたクレイのようにならないべく、空やカヤは沈黙を保っていた。 「この私、マリーアとB-ライザス、enigma、それから死魔火(しゃまか)という四名がこのスラム第二エリアをそれぞれ統治しており、お互い抗争も激しい。 どこからか、私が茜ギルド長の新城と交流がある事を知ったため、その手下であるスラム第一エリアのスラム住人を人質に取ろうとしたのじゃろう」 「手下とは灰原の事か?」 「この場合、そうなのだろう」 本人に聞けば、絶対に違う!と言い張りそうではあるが、この場に彼はいないため空は何も言わない事にした。 ちなみに、灰原は子供達を守ろうとして銃撃を受け、命に別状はないが負傷中である。 第一エリアのボスも、本人はノリノリではあったが、他にやりたがる者もおらず、消去法で祭り上げられているという事は皆黙っていた。 「では、私はタカシ君達を第一エリアに送るので、これで…」 「ん、助かったよカヤさん」 そのまま皆がカヤを見送る視線だったが、そこに彼女にタイミングよく電話が入る。 電話相手は新城抉。茜ギルド長であるその人だった。 「…はい、もしもし」 『ああ、幸村さん。今どこにいらっしゃいますか?少し、お願いしたい事がございまして』 携帯電話から漏れた声に、この場にいる全員が顔を歪めた。 直接新城から電話が入る=嫌な頼み事に決まっているからだ。 ちなみに断った者は、向こう1ヶ月は依頼を一切回してもらえない。 茜中心に動く者にとって、恐怖の電話でしかなかった。 「いや~…今ちょっと依頼中でして」 『ええ、スラム第二エリアですよねぇ?ちょうどよかった。今人手が足りなくて、少しお手伝いをしてほしいのですがねぇ…』 「ですから依頼中で!」 その新たな依頼内容はこうだ。 B-ライザスの拠点を潰す。 手段は問わず、生死も問わないらしいが、もちろんカヤは忙しいと理由を付けて断った。 新城への対抗策ではないが、依頼完了報告前に、新たな依頼を頼んできた時は、その旨を伝えれば新城も渋々引き下がり、ペナルティは無いからだ。 だがしかし。 『そうですかぁ…ならばその件は、塚田マキさん一人の担当になってしまいますねぇ…。いや、貴方は彼女と親交もあるので、ペアで行わせたかった依頼だったのですが…それなら仕方がない』 「えっ!?マキさんに向かわせてるんですか!?」 マキとは奇妙な縁で、色々と絡んだ事が多いカヤ。 その彼女が一人で、さすがに先程のような下っ端の強さではない者達と戦う事を想像したら…いかにマキがカヤや空よりも強いハンターと言っても、無謀というものだろう。 『それに、報酬は今現在、貴方に請け負わせている報酬の10倍は用意しているというのに…いやあ残念ですねぇ。他の方…黒野何とかさんというハンターにでも、お願いしましょうかねえ』 「~~~っわかりました!行きます!その依頼受けますよ!」 涙目になりながら、魅力的な報酬と世話になっている者の窮地を脅しにかけられ、カヤは返事をした。 同情するような視線を向けられながら、カヤは務めて明るく、行きましょうかと皆へ声をかける。 「場所は南東部。スラム第一エリアと繋がるエリアだな。そこがB-ライザスの統治するエリアらしい」 「私もいくぞ。元々それが目的だしな」 「異論はない」 「皆さん…助かりますっ」 一致団結した4名。 しかし、彼女らを見る周りの視線は暖かくはなかった。 タカシ少年達をマリーア達に任せ、カヤ達出て行った後マリーアは小さく呟く。 「新城にいいように使われておるな…」 と。 ◆幸村カヤ 異次元帰還後、茜ギルド所属を中心とし、ハンター活動を続けている。 ここ数年でお世話になった人達の依頼は、格安か無料同然で受けていた所を茜ギルド長である新城に目をつけられ、利用されるようになる。 そのせいでスラムでの活動も多く、クレイ・マッドマンとはその度に助けたり助けられたり。 また特殊技に関しての研究も行っており、特殊技の改良が得意な風見やその道のエキスパート達に教えを請けにいくように。 スラムのタカシ達とは、月に2,3回、食事をつくったり遊んだりしてあげるくらい、スラムに根強く関わっている。 ☆ 第二エリア、南東部。 B-ライザス統治エリア。 そこにカヤ、シド、クレイの三名はいた。 粗大ゴミの山の上に、シルバーアクセやピアスだらけのチャラそうな男―B-ライザスが3人を見下ろしており、彼女らの周りには先ほどのゴロツキより遥かに強そうな者達に取り囲まれていた。 先程のカヤとクレイのコンボも、彼の特殊な力によって阻まれている。 そして、同じように彼の特殊な力によって捕まったマキは、人質に取られていた。 「ハァ。第三エリアの人間が来るっつーから、少しは期待してたが…俺の『クラック』の前には手も足も出ねェ、ションベン共じゃねェか」 「カヤ…!すまない、あたしがヘマをしたばっかりに…」 「マキさん!うぅっ…この力は一体…」 体が鉛のように重く、そして魔術・特殊技を一切使えない。 そんな状況にクレイは焦りを見せた。 「クラック…また異能の一種か」 「おそらく奴も俺と同じ第三エリア出身の人間だろう。…そうと分かっていれば、もう少し警戒をしてかかったのだが」 「今更気づいても遅いんだよションベン!」 無数のナイフを取り出し、三人の頭上へと投げる。 B-ライザスはそれを見て不敵に笑みを浮かべ、叫んだ。 その一言により、ナイフは強大な加重の力を得て、カヤ達を貫く凶器へと変わる。 「クラッ…!「そうはいかんよ」」 勝利を確信したB-ライザスの喉元に、これ以上言わせまいとスティレットが当てられる。 ルシィラ、空専用の武器であるそれを見下ろし、B-ライザスは息を呑んだ。 「ガキ…どうやって?」 「野良猫にゃおーん♪」 無表情のままそういう彼女だったが、すぐにその言葉は歌へと変わる。 「グアアアアアやめろおおおおおおおおお!」 既に耳を塞いでいたカヤ達。 彼女達以外のゴロツキは全員、空の地獄歌に耐え切れず倒れていた。 「クラック、キャンセルっと」 「そういう事ができるなら、もっと早くやってほしかったですクレイさん」 小型のタブレットを取り出し、鼻歌を歌いながら弄っているクレイ。 クレイの真の能力であるパソコン操作は、タブレット操作へとこの1年、時代と共に変わっていた。 原理は不明だが、彼がタブレットを弄ると、色々な事が変化するらしい。 もっとも兄と同じく弱体化しており、異次元でやったような能力操作等はできないというのは本人談だが…。 話を戻し、解除された隙をついてカヤが、空の地獄歌に合わせてグッドラックを発動していたのだ。 いわばグッドラックと言うよりは、セブンズラッキーとも言うべきその力。 空の地獄歌も、その威力を遥かに増しており、異次元の時には及ばないまでも強力な一撃と化していた(名誉なことではないが)。 「ふむ…俺はただ立っていただけ、か」 3人の活躍に、寂しそうに眉を落とすシド。 そんなことない、と言わんばかりに背中を叩く空。 このやり取りが、この1年間の二人の絆を表しているのだろう。 「せっかくだし登也達にも聞かせてやりたかったな」 「やるなら兄者だけにしておけ、音痴姫。で、この男どうする?」 注目は地獄歌を間近で聞き、瀕死状態のB-ライザスに向けられる。 彼は最後の力を振り絞り、こう告げた。 「このションベン共が…俺が死んでも、他の二人…特にenigmaが、テメェらを狙ってんだよ…!」 「そうか」 カヤとシドは、負傷したマキを運び出していた。 話を振ったクレイも、兄者であるファニー・マッドマンへと悪魔の力というべき特殊な能力で、連絡をとっていた。 話を聞いていたのは、淡白な反応しかしない空だけだった。 虚しさと切なさに押しつぶされ、B-ライザスが気絶するのを見届ける空だった――。 ◆鬼ヶ原空 異次元帰還後、茜ギルド所属のまま、スラムを中心に活動を始める。 腐れ縁の灰原がひょんな切っ掛けから第一エリアのボスになったため、彼もまた新城ギルド長にいいように使われており、その繋がりで空にスラム関係の依頼が回る事も多くなった。 槐シドとは帰還後2ヶ月くらいしてから、彼の相方の尸ヨミがお笑い芸人を目指してスラムから消えたため、彼が戻るまで知った仲の空に協力することにしたらしい。 ☆ 場所は変わり、茜ギルド。 報告に来ていた空とカヤは、新城に笑顔で迎えられる。 「いやぁ、さすがでした。失敗したら、出雲支部から柳さんを呼び戻す所でしたが、これならこのまま依頼を続行しても問題なさそうですね」 「え?報酬は!?」 「嫌ですねぇ、幸村さん。私は『B-ライザスの拠点を潰したら』と言ったのですよ?本人は倒しても、まだ拠点は潰れていません。 それどころか、北西を統治しているenigmaチームに占拠されてしまったようで」 「…じゃあ、次はそのえにぐまを倒せって事か…」 「その通りです鬼ヶ原さん。ああ、塚田さんは負傷して休養中で、他のハンターも手が回らないそうなので、この件は引き続きお二人に請けて戴くことになりますので」 にっこり笑みを向けて、enigmaの知りうる情報を話し始める新城。 あーあ、と呆れ気味の空に対し、カヤは自分の財布を出して、見る。 「あのー、ギルド長。前金とかは…?」 「あると思います?」 「理不尽だぁぁぁ」 今月もピンチ確定。 スラム関係だから空は問題無かったが、こうしてカヤは新城ギルド長にいいように使われていくのだった…。
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/204.html
12月中旬、午後12時(1日目)。 甚目寺禅次郎は依頼で蒼の郊外の村へと来ていた。 依頼内容は村周辺の魔物退治。 と言っても、あまり危険な魔物もいなかったため、禅次郎一人で18体いた魔物を全て討伐する事ができた。 「いやあ、さすがじゃなハンターというものは」 「いえ、そんな事ありませんよ。まだまだです」 謙遜するように、依頼主である村の村長に一息ついて答える禅次郎。 本音を言えば、そこまで強くないとはいえ一般人がピッタリとくっついて見ていると、例え安全区域の魔物とはいえ危ないからやめてほしかったのだが。 そんな彼の心情を露と知らず、村長――橋加賀孝蔵(はしかがこうぞう)はついてこい、と禅次郎を誘う。 「茶でも出そう。疲れたじゃろう」 「あ、お構いなく。この程度なら、いつもの魔物よりは楽だったので」 相手の気遣いを一度は断ったが、是非にと言うため、この後予定も無かったためついていく禅次郎。 村の中へと戻ると、かなり小さく古臭い家へと案内された。 「ほっほっほ、驚いたか?村長と言っても、雇われ村長みたいなもんじゃ。 大した収入が無いから、ボロ屋で悪いが」 これでも住めば都じゃよ、と笑いながら中へと入る。 反応に困っていたが、禅次郎も続けて中へとはいった。 中は外の古臭さに違わぬ、屋根は剥がれかけ壁には所々壊れた跡がある。 凄いな…とある種の関心をしながら、家主の橋加賀に案内され席についた。 「本当はこの村も、もっと賑わっていたはずなんじゃ。 それが、数十年前にあんなものができてしまってからは、な」 「…来る時に見た、あの家ですか」 この村に来る途中、村外れに一軒の家があった。 その家は入る扉はなく、二階に窓が一つあるだけの不思議な一軒家。 気になってはいたものの、依頼優先のためその時は聞くことはなかった。 「うむ。パンドラ、と村の人間は呼んでおる。 ワシがまだ小さい頃で、気づいたらあんなのがあったから、薄気味悪くての。 別に観光地だから、元から人は少なかったが、その頃からは急激に村の人口も減って、今は3戸しかない。 ここに住んでるワシ、斜め向かいの瞬芽(まばため)親子、村の反対側の唐草(からくさ)というわざわざ外から移り住んだ変人じゃな。 唐草は結婚しておらず、ワシも瞬芽の奥さんも配偶者と死別しておって、この村には4人しかおらぬ」 「そ、それはまた少ないですね…」 予想以上に少ない村を心配するが、その心配に気づいたのか「数年後に隣町と合併が決まっておるがな」というフォローを橋加賀は混ぜた。 「のう、あのパンドラ何とかならんか」 「…何とか、とは?」 「わかっているくせに焦らすの~、あのパンドラがなんなのか調べ、解決してほしいってことじゃ」 「解決、と言われても…そもそも何か事件とかが過去にあったんですか?」 「わからん、と言いたい所じゃが――あった。それも、ホラーバリバリじゃ」 「ホラーバリバリですか」 事件性がありそう、つまり依頼になりそうだったため禅次郎は本腰を入れて橋加賀に向き合う。 橋加賀はかなり茂っている眉毛を揺らしながら、呟き始めた。 「あれは、まだワシが少年だった頃じゃった。お前さんよりまだまだ若い頃じゃな。 その頃から過疎化は進んでおったが、まだ村には結構子供がいて、ガキ大将みたいな奴がおったんじゃよ。 そいつの言うことは絶対で、逆らうと殴られる、という昔によくある乱暴者じゃな。 ワシはまだ小さかったから目をつけられなかったが、ワシの姉さんやその友人ら5人で、いつの間にか存在したあの家を調べようとしたのじゃ。 俗にいう肝試しじゃな」 「でもどうやって中へと入ったんです?ハシゴとか?」 その通り、と言わんばかりに橋加賀は頷く。 「詳しいことは知らんが、それで窓を割って入ったらしい」 「なるほど。それで、どうなったんですか?」 「うむ、ワシの姉さんが廃人同然になって帰ってきた」 「…はい?」 「ブツブツと聞こえないくらいの呟きを常にしとってな、自分の横に伸びた髪をずっともしゃもしゃと食っておった」 「…あの、えっと…」 「母親と父親は離婚、ワシは父親と共に残り、母親は姉さんを連れて外へと出て行ったわ。姉さんを治すつもりらしいが、それからはあってないしわからんの」 「ちょっと待ってください、一体中で何があったんですか?」 肝心の家の中であった部分が分からないことに、禅次郎は混乱しながら尋ねる。 知らん、と橋加賀は言うと。 「ガキ大将を含めた他の4人も、それから引っ越してしまっての。 それからじゃ、どんどんこの村を気味悪がっていなくなっていったのは。 一部では呪いという噂もある」 「…そうなんですか」 呪い、夏頃にそういった事が関わる事件があった。 後輩が巻き込まれた事件もそうだった。 その事を思い返していると、橋加賀が改めて問う。 「無事解決できれば、ここら辺は畑も余っているしいい場所じゃ。人口も増えるかもしれん。どうか一肌脱いでくれんかの?」 「そうですね、分かりました。できる限り、調査してみます」 「うむ、頼んだぞ。先程も言った唐草なら、色々知っているはずじゃ。パンドラを調べるために外部から来た変人じゃからの。 畑仕事もしないで、一日中引き篭って仕事をしていないのに関わらず、色々と宅配便が奴の家にくる。 食料品も通販で頼んでおるようで、働かないのに金を持っている不思議な奴じゃ」 「分かりました、それじゃあまずはその唐草さんを尋ねて――」 「村長!」 そこに、一人の女性が入ってくる。 40過ぎの人で、瞬芽の奥さんだろうか。 「どうした、血相を変えて」 「うちの、うちの真奈みませんでしたか!?」 禅次郎には戸惑いながらもどうも、と挨拶する彼女だったが、すぐに橋加賀へと問い詰めるように尋ねる。 橋加賀と禅次郎は顔を見合わせ、知らないと答えた。 「そもそも、さっきまでこのハンターの青年と外にいた所じゃ。 なんじゃ、行方不明か?なら安心せい、このハンターが何とかしてくれるわい」 「調査はいいんですか?」 「うむ、そんなもん後回しで全然構わんぞ」 なら、と瞬芽に詳細を尋ねようとすると、ぼさぼさの髪の青年もこのボロ屋に入ってきた。 「村長!うちの子みませんでした!?」 「なに!?唐草、お前結婚してたのか!?いや、一人でこの村に越してきたんじゃないのか!?」 「ああもう、説明が面倒くさいな…!離婚した嫁との間の子ですよ!偶々今日、来てたんです!」 「村長、うちの子から先に探してくれますよね?」 「瞬芽さんも?いや、うちの子が先でしょ!」 「う~~!どうしたらいいんじゃ!」 と、橋加賀の視線は禅次郎に向いた。 次いで瞬芽、唐草の視線も。 「…えっ」 なんとかしろ、と言わんばかりの視線にたじろぎつつ、一先ず失踪事件という事でギルドへと連絡を取る禅次郎だった――。