約 349,552 件
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/265.html
エピローグ~one year later…9~ 蒼ギルドから出発した次の日。 甚目寺禅次郎と小此木剛毅は、危険区域のとある民家へと来ていた。 この辺りの魔物が凶暴化し、危険区域に指定されたのが先月。 周辺の住人の退去率は1割弱。 危険区域に指定されたので、すぐに退去してくださいと言われても、転居手続き等様々な問題が積み重なる。 国から支援金は出るが、余程現在の暮らしに満足していない者でなければ退去しない者が殆どだ。 そのため国からの支援金を村で持ち寄り、ハンターに周辺の魔物掃討や警備をお願いする場合が多くなっている。 「しかしまァ、蒼も物騒になったもんだな」 「蒼全土の8割が危険区域、もしくは特別危険区域ですからね…魔物掃討の依頼もここ3ヶ月で7割以上ですし、実績を積むなら蒼ギルドに所属するという人が増えていると聞きますが…」 禅次郎は斜め前先を歩く小此木を見る。 Aクラスハンターであり、雷神の異名を持つ小此木剛毅。 影では戦闘狂と言われるほどのバトルマニアでもある彼が、近年増えてきているとは言え蒼特区ギルドより魔物の質が落ちる蒼ギルドに移籍したのはなぜか。 一時期そういう疑問が浮かんではいたが、何回か依頼を共にすることにより、禅次郎には彼の人となりが見えてきた気がしていた。 「ふぅん…ま、お前みたいな奴も中にはいるみたいだな」 「はは…」 禅次郎は苦笑を浮かべた。 紅ギルドから移籍し、蒼ギルドに来た彼もまた、今自分が言ったように実績を積むために蒼に移籍したわけではない。 今日の依頼も魔物退治ではあるが、彼の目的はそうではなかった。 とある民家の扉をノックすると、「どうぞ」と返事が帰ってくる。 「お邪魔します」と断り、扉を開け足を踏み入れると、そこには二人のハンターの姿があった。 「よく来たね。歓迎するよ」 「これでも忙しいんだ。とっとと依頼内容を言えよ」 「相変わらずだな小此木剛毅…。それに依頼を受けてくるのは、甚目寺だけだと聞いてたんだが…」 「いいじゃないか兄貴。説明をするから、とりあえず椅子にでも座ってくれ」 小此木と禅次郎を迎え入れたハンターの二人。 それは砂川亮太・瑛太の兄弟のハンターだった。 ☆ 「変な魔物がいるだと?」 訝しそうな眼で、ハンター兄弟を見る小此木。 対して禅次郎は真剣に話を聞いている。 「だからお前は来なくてもよかったのに…」 「兄貴、前に小此木に魔物と一緒に攻撃された事、まだ根にもってるのは分かるけど抑えて…」 「そんな事してたんですか?」 「しらねェな」 話を戻す、と亮太が言い、説明を再開した。 「そうだ。一応仮に魔物と説明してはいるけど、おそらくは幽霊の類だな」 「俺も兄貴も霊感があるから、結構そういうものと遭遇することがあるんだよ」 「だから小此木、お前は必要ないぞ。どうせ役に立たん。怪異に遭ったことがあると聞いた甚目寺だけでいい」 「あ?」 「兄貴…魔物退治もあるから、小此木はいた方が…」 「いや、こいつは外す。また魔物と一緒に攻撃されてもたまらんからな」 「本当、執念深いぞ兄貴…」 やれやれと言わんばかりに、鼻で笑い大げさに両手を開く小此木。 その様子に頭にきたのか、亮太が更に言葉を捲し立てる。 「何がおかしい?お前のそういう態度が、他の奴から嫌われているんだよ!どうせ砂金も、事故じゃなくお前が殺したんじゃ――」 ガン!とテーブルが思い切りひっくり返った。 小此木が蹴り倒したのだ。 彼は無言で、亮太を睨みつけるように見る。 「…悪い小此木、兄貴の失言だった。兄貴も少し落ち着け、こいつのせいで病院送りになったのは腹立つかもしれないけどさ」 「あの、とりあえず話の続きを」 「おっとそうだったな。悪い甚目寺、説明は今度は俺からするよ」 一部は険悪な空気のまま、話が再開された。 纏めると、退治すべき魔物の中に一体、後方から見ているだけの魔物がいるらしい。 そしてその魔物は、魔術を当てても特に動じる事はなく、いつの間にか消えているとの事だ。 砂川兄弟が怪異も絡んでいると判断し、ギルドに魔物退治の応援がてら、依頼をしたという事らしい。 「とりあえず、チーム分けは俺達兄弟、小此木と甚目寺でいいか?俺達は魔物掃討、甚目寺と小此木はその不思議な魔物だけを狙ってくれ」 「わかりました」 「おい、怪異に遭ったことがあるっていう甚目寺はわかるが、俺達がその魔物を狙った方がいいんじゃないか?」 「それはそうなんだけど…察しろよ兄貴…」 「と、とにかく現地にいきましょう。ここから近いんですよね?」 4人は移動を開始する。 山道を走る車の中、悪い空気を打破しようと瑛太が禅次郎が持つブレスレットに気付いた。 「あれ、甚目寺そのブレスレットってお前の魔導具か?」 「いや、魔導具じゃないだろ。そこまでの力は感じないぞ」 「でもなぁ…武器とかとも違う感じが…」 さすが霊感兄弟、と思いながら、禅次郎はまず首を横に振り否定する。 そしてブレスレットを見て。 「ちょっととある知り合いから貰いまして」 「エストレアか」 「エスト…なんだって?」 「また小此木がワケわかんないことを…」 ブレスレットの話は、小此木にもしたことが無かったためよく気づいたな、と驚きの視線を送りつつ、どう説明したものかと砂川兄弟を見やる。 この二人は、エストレアという竜を知らない。 そのためそれ以上は語らず、また今はエストレアとの最期を語る時間も無かったため「それについては今度」と小此木を納得させた。 車から降りた後も他愛もない会話をしつつ、山道を更に進んでいく。 「お二人さん、ここが目的のポイントだぜ」 「8…いや9か。獣にしては手際がいいじゃねぇか」 先導している瑛太が、すぐ後ろを歩く禅次郎と小此木に声をかけた。 すると待っていたと言わんばかりに、突如四人を取り囲む亜人タイプの魔物。 それらも見た事の無い種であったが、それとは別に後方に一体。 小此木が言い直した数の9体目。 「…あれですね」 「ああ。おそらく幽霊の類だと思うんだが…」 亮太が言い終わる前に、急に辺りに雷光が迸る。 そしたら一瞬で辺りの魔物は消滅し、その一体だけが残った。 亮太は驚きから怒りの表情へ、その顔は小此木に向けられた。 「小此木ィ!またお前は勝手に…!」 「あれは…!」 怒号を遮るように、瑛太が9体目の亜人を見た。 その亜人の体はバチバチと雷を奔らせ、一瞬狼狽した様子を見せる。 禅次郎は「成程」と言うと、手帳を取り出して確認をする。 「機械を使いこなすなんざ、人間みたいな亜人もいたもんだ」 その亜人は消えた。 他の亜人がやられたからではないのだろう。 おそらく、正体を見破られたから。 「お、おい!わかるように説明してくれ!」 他の亜人の殲滅という仕事を取られた亮太が、二人に問いかける。 説明は禅次郎の口からされた。 「以前、葵方面で出回っていた機械ですね。その時も幽霊騒ぎになりましたが、実際は機械によるホログラフだったようです」 「ホログラフだァ?」 「はい。それを小此木さんがスキャンしてみて把握したというのが、今の形です」 改めて説明をしつつ、禅次郎は小此木の規格外っぷりを理解する。 要は雷光でダメージを与えつつ、サーチアイをかけているようなものだ。 サーチアイは魔術だから、あまり機械の幻影等の把握は難しいが、彼にとってはそんなものはお構いなしらしい。 なぜ禅次郎とよく同行してくれるのかは謎だが、一緒の時はその能力に助けられている。 「は、はあ。まあつまりその機械を見つけて壊せば、一件落着ってことか。幽霊ではない…ってことか」 「そうなりますね。小此木さん、場所は分かりますか?」 「あっちだ」 小此木が指し示す方角へ、全員は歩き出した。 あくまで小此木が感じた電磁波の把握のため、魔力とは違い機械を放って逃げられてしまっては、機械を動かしていた本体の撃破はできない。 「まあ、その時は破壊すればいいんだろ?」 「い、いいのかな…」 簡単に破壊という瑛太に苦笑を浮かべる禅次郎。 おそらく安い機械ではないはずだ。 そんなものを簡単に壊してもいいのだろうか、とも思ったが、ここは依頼主である彼らに判断を任せる事にした。 だが、そんな事よりも禅次郎には気にかかる事があった。 「…」 「どうした?」 「いえ、杞憂だったらいいんですけど…」 禅次郎も霊感自体は有る方ではないが、亮太と瑛太のいう事が事実なら、霊感で幽霊と判断したような印象を受ける発言だった。 それなのに、今はそういった感じは全くなかったし、亮太と瑛太もこちらの機械発言に納得してしまっている。 少々妙だ。 その引っかかりがまさか大事件になるとは、今の四人には思いもしなかった。 ◆砂金美作 異次元帰還後、とある依頼で嵐の日に、子供を助け庇った時に崖から落ちて急流へと放り込まれる。 捜索もされたものの、以後彼の姿を見た者はいない。 ◆小此木剛毅 異次元帰還後、砂金と共に受けていたとある依頼を機に蒼ギルドへと移籍した。 禅次郎だけでなく、桐石登也の稽古にも付き合ったりと、面倒見がよくなったという噂があるが、真偽は不明。 ☆ 「…で、その後はどうなったのだ?」 「続きは今書いてるよ。今回の話の小説を持ち込んだら、とりあえず後編を読んで面白ければ掲載するって言ってくれたしね」 それから数か月後。 禅次郎は恋人である藤八沙耶と電話で近況報告をしていた。 あの時の幽霊騒ぎを参考にした小説を執筆し、とても小さな出版社ではあるが、面白い、後編も読んで判断したいと言ってくれた事だけを報告。 本当なら先の事も話たくはあったのだが、彼女も本という媒体で見たいと言ったため、これ以上の話は語らない事にした。 昨年の事件と比べると、ほんの小さく不思議な怪異。 だが、確かにそこにあった怪異。 禅次郎は、これからもそういった類の依頼を受けて、体験し、それを元に小説を書いていくのだろう。 ◆甚目寺禅次郎 異次元帰還後、蒼ギルドへと移籍する。 そこで依頼の傍ら、ホラー系の小説作家としても活躍する事になっていくのだが、それはまだ先の話。 そしてそうなるにつれ、ハンターとしての活動も少なくなるが、こういった調査にはハンターの肩書は便利なため、小説家として生活出来るくらい売れるまでは続けていくのだろう。
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/197.html
12月中旬、午前5時(1日目) 天瀬麻衣は暗い海の上にいた。 飛鳥の軍艦が何者かに襲われた、という救助信号をもとに、大和海軍が船をだしたのだが、たまたま居合わせた葵ギルド長、司城の要請でハンター数名も同行することとなったのだ。 海軍の協力の下、通信電波機器を搭載した船を用意したため、遠き海域でも通話は可能になった。 寒さのせいか、不安のせいか……僅かに青白い顔で伏し目がちに底の見えない黒い海を眺めていた。 襲われた軍艦の乗員には麻衣のよく知る友人、牧本シュウの名もあったのだ。 以前アドラメレクに言われた言葉が頭を過り、胸騒ぎがおさまらない。 「なんも、死ぬような目に二度もあわんくてもええのに……」 ポツリ、白い息交じりに言葉が漏れた…。 「おいっ、そこの女!集合だ!!」 軍人らしい制服の男が荒々しく声をあげると、麻衣は小さく息を吐きながら甲板の中央に向かった。 そこには軍人が十数名とハンターが数名整列している。 ハンターの中には、見知った者顔もいるようだ。 「これより飛鳥軍の船内の調査と人命の救助を行う! 救助信号を受けたが『何者かが船内で殺戮を繰り返している』という情報しか入ってきていない。 救助信号を送ってきたのは二ノ宮。こちらは途中で信号が途絶えたことから、生存不明。 美澄少尉、牧本も船内を調査中で無線が通じていたらしいが現在は生存不明。 まずはこの三名を最優先で保護、原因である何者かを捕える!! 飛鳥軍が、安易に襲われるというのは考えにくい。 相手がそれ以上の力を持っていると思ってかかれ!!」 「「「「はいっ!!」」」」 軍人たちは一斉に敬礼をし、声をそろえた。 間もなくして、葵の海上100キロ、あたりは霧ががかり月明かりに照らされ飛鳥軍の船がぼんやりと映し出された。 大和の軍艦はそれにできる限り近づいて停泊し、ボートを出して数名ずつ移動することになった。 麻衣は、突然背筋が凍るような寒気に襲われる。 「!?」 すぐに警戒するようにあたりを見回すが、誰もいない…。 しかし確実に何か強い気配だけは感じる。 縄梯子を上り、船内に入ると、その気持ち悪さは一層強くなった。 感じたことのない、不安、悲しみ、そして激しい憤り、それが空気となって麻衣の中に入ってくるようで吐き気さえ覚える。 「この声は…下か…、我々は下に行く。お前たちは操舵室へ。 …ハンターは好きにしろ、余計なことはするんじゃないぞ。」 形ばかりにハンターを同行しただけのようで、全く頼りにされていないようだ。 軍人と揉めるのも面倒だし、自由に動いていいということだろうと悠長に考えていた矢先…… 「うわっ!なんだ貴様っ!?」 「ヤメろ、女っ!くっくるなぁぁぁぁぁああ!!」 「ギャァァァァァァァァァアア!!!」 「…女…?」 先ほどの軍人の悲鳴に、麻衣は眉を寄せ零すと、駆けつける他の軍人たちと一緒に下の階へ向かった。 船内は電気がついておらず真っ暗な為、軍人が懐中電灯で照らした。 「うっ……」 「なんやの…コレ…」 赤黒い血が床と壁、天井にまで飛散し、頭からつま先まで皮膚の残らない人型の死体が転がっている。 廊下の先まで見えるわけではないが、一面が赤一色に染まっているように見えた。 先の床に点々と見える赤い塊はおそらく飛鳥軍の軍人、なのだろう…。 「オェェ…」 思わず吐き出す者もいる、麻衣もそれくらい血の気が引いたが、それは目の前の惨劇よりも知人の安否を思う不安からだ……。 「無線、ないんやろか…?」 「……お前、女のくせに根性あるな……無線なら、どの部屋にも置いてあるんじゃないか?」 考えているだけでは始まらない、まずはシュウと連絡を取って状況を把握しよう、そう決意した麻衣は一番近くの船室に向かおうとする。 「ま、待ってくれよっ!置いていかないでくれ!」 先ほどまでの扱いは何だったのか、と目を細めるが口にすることもなく足を進めた。 ―ズル…ズル…… ふと、背後から迫る何かの気配と、引きずるような音… 麻衣はハッとして振り向くと、先ほどまで転がっていたはずの死体がぞろぞろとこちらに向かってきていた! 「くっ、くるなぁぁあ!!!」 思わず軍人が、銃で死体を打ち抜くと、あっさりと死体はその場に崩れ落ちる。 …が、少しすると立ち上がり再びこちらに向かって歩いてくる。 「う、うわぁぁ!」 死体は武器を持っているようには見えないが、明らかに殺意を感じる。 このまま立ち往生していれば、無事では済まないだろう…。 まだ何者かわからない殺戮者と、迫りくる死体軍人、…そして安否の分からないシュウを含めた軍人達…。 果たして麻衣はこの状況を奪回できるのだろうか…。
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/186.html
8月18日午後20時。 「……全然繋がらねえな」 志島武生は、ギルドに連絡をかけていた。 が、どのギルドも通話中で全滅。 右腕は白波やフォートランを試みたが、結局、骨折自体は治ることはなかった。 もし治せるとしたら、ブレスとかそっちの方になるのだろう。 痛む右腕を抑えつつ、外に出る。 すると、待ち構えていたように男の死体が立っていた。 「さっそくかよ……」 イークレットLv2を発動し、動きを止める。 そして近くにあった自転車を拝借(後できちんと返します)し、片腕でふらふら運転ではあったが、急いで消防署へ向かった。 消防署は分かりやすく、消防署のマークが今いる位置からでも見ることができる。 しかし、すぐ後ろから自転車よりも速いスピードで、麻痺が解けた男の死体が迫ってくる! 「しつこい!」 界力地希Lv3を唱え、死体の動きを遅くする。 そうなると自転車の方が速いようで、何とか逃げ切れそうだ。 姿が見えなくなったのを確認すると、少し安堵をした。 消防署につき、自転車を降りて中へと入る。 人気は無かったものの、消防車もなかったためおそらく出動していると思うのが一番自然だろう。 「それにしたって、誰もいないのはどうなんだ」 ぶつくさ言いながら、後で説明に戻ろうとは思っていたが、勝手に救護室に入り、シップなどを使ったことに後ろめたさを感じながら、非常時だと言い聞かせ消防署を出る。 地図自体は見当たらなかったが、区内マップが電光掲示板に載っていたため、それを把握し最初の事件があったマンションへと向かう。 もちろん、マンションにすぐには行かない。 その近くの民家からまずは調査だ。 消防署といい、おそらく人自体はいると考えていいのだろう。 車も来ないため、道路の真ん中を歩いていく武生。 が、その時目の前から猛スピードで車が突っ込んでくる! 「嘘だろ……」 武生は見てしまった。 その車を運転していたのは死体だったのだ。 脳が損傷しているくせに、車の運転できるのかと突っ込みたいのを抑え、サウザンドフラクタル改を車に突き刺し、動きを止める。 いくらかタイヤにあたったため、車は民家の壁へと制御を失い突っ込んだ。 「いくらなんでも、少し休ませろよ……!」 構えて、魔術を放つ体勢を取る。 シャドウウイングか、それともサウザンドフラクタルか。 死体の体を破壊するのは躊躇われるが、それでも足を破壊して動けなくできたら、今の武生には万々歳だ。 できれば、今の事故で怪我をして、それが足だったらいう事は無いが。 しかし、彼の想いは通じず。 車から無傷の死体が現れる。 しかも、今度は拳銃を持っているではないか。 「いきなりバージョンアップしすぎだろ……」 心底嫌になりつつ、再度イークレットLv2をかけて脱兎の如く逃げる。 途中光魔編成で魔力を回復しつつ、何とか次の目的地である民家Aへと辿り着いた。 チャイムを鳴らし、扉を2~3回叩く。 「すいません、ちょっといいですか」 「……なんでしょう?」 と、期待していなかったため、中から声が聞こえた事に驚く武生。 そのまま中へと入れてもらうため、交渉に入った。 「ちょっと骨折してしまったので、少し手当をさせてもらえませんか?」 「……ちょっとお待ちを」 さすがに死体と言って、いれてくれる人はいないだろう。 それに、あの死体は武生のみにしか見えてなかったら、頭がおかしい人物とされてしまう。 なので、当たり障りのない内容で、扉を開けてもらうように頼んだ。 やがて扉が開き、中からパーマをかけた中年のおばさんが姿を見せた。 「えーっと、ハンターの志島です。ちょっとこの辺りで窃盗犯を追っていた所、怪我をしてしまって。手当をさせてもらえるとうれしいのですが」 「アーッハッハッハハッハ!」 できるだけ丁寧に、ハンターカードを見せながら説明している最中。 突如目の前の中年のおばさんが笑い出した。 「……おい」 「ハーーハッハッハ!ヒーヒー!」 爆笑。 突然、なんで。 理由がわからず、不快感を感じながら理由を尋ねようとしたが、その一瞬の隙を狙われたのか扉が閉まり、鍵がかかる。 「お引き取りください」 「はあ?理由は?」 突如元に戻る相手の口調に、意味不明さと気持ち悪さから口調も乱暴になってしまった。 だが中年のおばさんは「お引き取り下さい」ともう一度だけ言うと、それ以降返事はなかった。 それどころか、背後から再び気配を感じる。殺気だ。 「またかよ……」 振り返ると、そこにはバットを振りかぶり、武生を殴ろうしているスーツ姿の男がいた。 先ほどの死体ではなく、見た所人間のようだ。 「!?」 「な……!?」 気づかれた事にだろうか、武生が死体とは比べ物にならないくらい遅く威力もないバットを左手で止めると、男は驚愕の表情を浮かべる。 しかしその顔も、すぐに笑みに変わった。 「ひ、ヒヒ……。ハハハハ!ヒーハハハハ!」 「一体なんなんだよ……」 睨みを利かせながら、声のトーンを落として男に言う。 男は笑ったまま、バットを放り捨て一目散に逃げだした。 「おい!」 逃げる男を追おうとした時、彼の携帯に電話が鳴った。 意外と逃げ足は速く、と言ってもハンターの武生に追いつけない速度ではなかったが、携帯の相手が六角屋灼という事に気が付くと追跡を諦め、電話に出た。 『何してんのお前……』 「逃げたり追ったり」 いきなりの電話口からの言葉に、武生もついひねくれた答えを返す。 ふーん、と納得したのか、灼は話を続けた。 『今神社だけど、特に何も判んねえ……。ギルドから得た情報は流しとく』 川区では、大した事件は最近は起きていないらしい。 人が死ぬようなことから、窃盗なども少なく、唯一の窃盗がここ数ヶ月で1~2件くらいの平和な場所らしかった。 「俺が見た死体はどうなるんだ?」 『それ、お前しか見てないからカウントされてないんじゃねえ……?』 確かに、と武生は思った。 マンション前の民家まで来たが、別のハンターが来ている様子はないし、通報されてはいないようだ。 しかも、血がべったりとあったが当の死体は動いているわけで、発見されようにもなかなか難しい。 『一応、川区に詳しい奴が動物園の近くにいるらしいが……』 「……」 武生は迷った、今の所武生のサポートに来てくれるのは灼しかいない。 灼にこの裏川区に来てもらえれば、戦力的にかなり死体に対抗しやすくなる。 だが、情報が全くない状態で(ちなみにKOTANの店長に電話したが出なかった)解決に至る道が見えない。 あの死体もどうにかしないと、一生付きまとわれて他の人間に被害が出ても厄介だ。 灼にどう動いてもらうか、そして武生がどう動くかが、重要になってくるだろう。 ☆☆☆ 武生…HP340/MP280/OP42/状態:骨折(痛みで特殊技・魔術発動時に威力や命中率などのペナルティ)
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/113.html
依頼一覧 学園内に困っている人が見つけたら助けてあげたまえ!それがハンターというものだろう? ただし、七不思議の情報の聞き込みを忘れずにね! 暴れ出した部長を止めて(高等部:部室棟)【達成!!】 吉川『ありがとうございました!あれから部長は目を覚ましたんですが、頭突きのショックで冷静になってくれたみたいです。 これから話し合うとか言ってましたけど、、はぁ・・・・』 依頼達成ステータス:技能1000 依頼達成:150ポイント 暴れ出した部長を止めてⅡ~三角関係の大修羅場~(高等部:実習棟)【達成!!】 吉川『先生が来ないように実習棟の入り口で引き止めてたんですけど、どうやら上手く収まったみたいですね?ありがとうございました!…まさか、部長の勘違いだったなんて…ちょっと可哀相ですが、お陰で練習に打ち込んでくれそうです。』 依頼達成ステータス:技能1000/知識500 依頼達成:200ポイント 野良猫の捕獲(高等部:駐車場)【達成!!】 郷田『助かったよ、ありがとう。猫たちはちゃんと神社に帰して来たから安心してくれ。 また戻ってきたら、、その時は頼むよ。』 依頼達成ステータス:感覚700/精神400 依頼達成:100ポイント 庭園の手入れ(大学部:洋風庭園)【達成!!】 市倉『いやいや、助かったわ!ありがとうよ。』 依頼達成ステータス:技能700/知識500/精神500 依頼達成:200ポイント 本の整理作業(大学部:図書館)【達成!!】 斉木『助かったわ、ありがとう。またそのうちお願いするかもしれないから、宜しくね。』 依頼達成ステータス:知識1200 依頼達成:200ポイント 大事な落し物(大学部:屋上)【達成!!】 水島『本当にありがとうございました!』 依頼達成ステータス:感覚700/精神500 依頼達成:100ポイント 紫の霧【達成!!】 池田『霧も無事晴れて魔術も使えるようになったようです、ありがとうございました。』 依頼達成ステータス:なし 依頼達成条件:??? 依頼達成:250ポイント 急がし用務員(時計棟)【達成!!】 兼田『おう、いい音が出るようになったな。ありがとよ。』 依頼達成ステータス:技能500/感覚500/精神500 依頼達成:150ポイント 急がし用務員Ⅱ【達成!!】 兼田『無事に届けられたみたいだな。ありがとよ。ん、中身?ういろうだよ、ういろう。』 依頼達成ステータス:なし 依頼達成条件:大学部用務員の市倉に会う 依頼達成:100ポイント 急がし用務員Ⅲ(和風庭園)【達成!!】 兼田『いっぺんに色々頼んで悪かったな、本当に助かったよ。また頼むわ。』 依頼達成ステータス:技能500/精神500 依頼達成:50ポイント×依頼参加人数 痴漢騒動?(高等部:室内プール)【達成!!】 水泳部員『お騒がせしてすみませんでした!今度からは気をつけます…。』 依頼達成ステータス:感覚700/知識500 依頼達成:100ポイント
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/147.html
イベントコンテンツ ギルド職員「各地で救援要請が出ています。手の空いているハンターは、直ちに現地に向かってください」 【前半怪異】 チャクシン(メイン:柳茜) うねうね(メイン:深海将己) ひとりかくれんぼ(メイン:鬼ヶ原空/成功) ベルタワー(メイン:行成ハナ/解決) コガラシ(メイン:東雲直) 裏川区(メイン:志島武生/成功) 牛夢(メイン:幸村カヤ) 【後半怪異】 蟲毒(メイン:桐石登也) 呪いの家(メイン:甚目寺禅次郎) 深き海の底から(メイン:天瀬麻衣) メリークリスマス(メイン:向坂維胡琉) 夕闇症候群(メイン:入生田宵丞)
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/47.html
喜屋武「そういえば、村のみんながいろいろと困ってて、よかったら手伝いお願いします!」 依頼一覧 失踪した恋人の手がかり(進行不可能) 不幸そうな男『失踪した恋人を探しています。 3年前、二人で真夜中に海岸沿いで逢引をしていたんです。 ちょっと口論をしてしまって、彼女を置いて先に家に戻ったんですが、それ以後彼女は家にも帰っていなくて…。 せめて彼女の手がかりだけでも欲しいんです、どうかお願いします』 『結局ハンターってこの程度なんですね。失望しました、もう頼みません』 依頼達成:依頼失敗 毒クラゲに復讐(達成!) 無茶する漁師『毒クラゲにやられた!海岸沿いで詩を作ってたら、刺されちまったんだ! ハンターなら、簡単にやっつけれるよな!?海岸に平和を再びもたらしてくれ!』 『さっすがだな!これで俺の怒りも晴れるぜ!』 依頼達成:100ポイント 漁の手伝い(達成!) 気風のいい漁師『なんでもアンタらが滞在中の魚が無いみてぇでな。 まあ自給自足っつーわけだ!手が空いてたら、港まで来てくれよな!』 『俺っちも大満足さ!』 依頼達成:150ポイント 魔物の生態調査(達成!) 双三『よかったら栄命島の周辺に棲息する魔物の生態の調査をお願いしたい。遭遇して倒せば、大体のパターンとか弱点はわかると思うよ』 生態調査完了: コーラルジェリー コーラルジェリー(大) ジャッキ 海木樹 骨クジラ 盲アンコウ グレートマム ジンベエ 5種類の魔物討伐達成:100ポイント(達成!) 8種類の魔物討伐達成:200ポイント(達成!) 揺らぎの炎(達成!) 大城『そういえば、わしのひい婆さんは栄命島出身らしいのだが、水の中でも消えない“揺らぎの炎”という物がその島にはあるらしい。ひい婆さんもその更に爺さんから聞いたわけで、真偽はわからん。もし見つけたら、一度見てみたいから回収しておいてくれんかの』 大城の奥さん『これが揺らぎの炎かい。よくわからんもんだねぇ…』 依頼達成:200ポイント 頑丈な木の皮(進行不可能) 村長の奥さん『あんたたち!雨風で壊れた屋根の修復に使いたいから、よかったら頑丈な木をとってきてくれないかね?ここら辺で取れる木は、流木やあまり強度がないから、魔物になるね。栄命島の海中には、海木樹という魔物が住んでいるらしくてね。倒せば、表面の木の皮はだけは消滅しないで残す珍しい魔物だって双三が言ってたよ! そうさね、10個くらいあれば十分だが、あればあるほどいいかな』 『まあ最低限は集めてくれたし礼を言うよ』 海木樹を10体倒す:50ポイント(達成!) 海木樹を20体倒す:依頼失敗 海木樹を30体倒す:依頼失敗 最奥の地へ(達成!) 双三『骨クジラを倒せた君達に、もう一回骨クジラの討伐をお願いしたい。できればサーチアイを駆使してくれるとうれしいんだけど…。 できれば、遺跡の中にいる骨クジラで頼むよ。前回の住処だと、骨クジラの調査にならないしね』 骨クジラをサーチアイを使って討伐:200ポイント 隣国の脅威(強制中断) 漁師の男『な、なんかアンタらの船以外にも、変な船が入ってきたぞ…ヒエッ飛鳥の軍船だ!戦争でも仕掛けにきたんか!?恐ろしいからちょっと調べてくれ!』 飛鳥の軍人と会話(どういう経路で行くかはシークレット):100ポイント 神崎信の依頼(強制中断) 神崎『お前達に調査の依頼をする。前回発見できなかった番場佑を探し出し、私の所に連れてこい』 番場佑を宿酒場「民羽」に連れていく:500ポイント 火の手の謎(達成!) ギルド『集落全体から、雑貨屋タイショー全焼の謎の調査を依頼されています。放火なのかただの火の不始末なのか、確認してください』 喜屋武『今でも田中まゆみさんの実の父親がそんなことをしていたなんて…ちょっと整理できませんね色々と』 ※指定箇所を全て巡った 漣港、村長の家、村はずれの家、宿酒場「民羽」、番場佑の家の五箇所を巡った後、イベントチャット中に洞窟へ向かい、一定時間までに貸しボートを借りる:200ポイント ☆全ての依頼は、依頼達成時、依頼達成者以外は半分のポイントが振られます。 他のポイント獲得方法 戦闘勝利 30ポイント 魔物に弱点攻撃 3つの魔術・特殊技使用の選択の中に、敵が弱点とする魔術があれば戦闘勝利ポイントが45ポイントに 回復 体力・魔力・技力を回復した場合、1回毎に+5ポイント 主に戦闘方面に行かないと活躍できないと思われます。 救助 回復が間に合わず、救助に向かった場合、無事に拠点まで戻ることができれば+10ポイント 調査完了 以下の調査個所の探索を完了する。 完了の仕方は、 1・魔物を全部倒す 2・トラップ等があれば解除する 上記二点を達成していれば完了となる。 海上…達成!…15ポイント 海中…達成!/後編…40ポイント 遺跡A郡…未達成…150ポイント 遺跡B郡…未達成…250ポイント 遺跡最奥…未達成…500ポイント ???(シークレット) 1つ目(雑貨屋タイショーの全焼前に店主から話を聞く)…15ポイント 2つ目(水鏡の早期救助に成功)…50ポイント 3つ目(呼び戻される前に海上・海中の調査を完了している/後編)…100ポイント 4つ目(気が動転した民羽六三郎の自殺を阻止/後編)…175ポイント 5つ目(美澄との賭けに勝った)…350ポイント 6つ目…(民羽と港を回った後、神殿最奥でランマー撃破…失敗 7つ目…(邪神ランマー戦で、双三のターンになる前に双三を倒す…失敗 ☆調査完了・及びシークレットは達成時、全員に同ポイントが振られます。 戻る
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/261.html
エピローグ〜one year later…5〜 出雲、第四層居住区画。 一番広いエリアである第四層は、庶民のアパートやマンションが立ち並ぶエリアになっている。 以前、神風学園の留学で来た時には、第三層の商業区画までの立ち入りが許されていたが、近年のギュンター達が引き起こした革命軍によるテロのせいで第三層ですら厳しいチェックが今でも行われている。 そんな中、一人のハンターが大和・葵〜出雲第四層間を繋ぐ、国際定期船から出雲の地へと降り立つ。 彼を出迎えるように、空港には一人の青年が待っていた。 「おーっすイリューダ、大和ぶり〜」 「おーっすシズモ、大和ぶり」 入生田宵丞は、ハンターを辞めて世界中で旅をしているという噂の鎮守由衛と久しぶりの再会を果たす。 と言っても、携帯電話でちょこちょこ連絡をとっていたため、直接でなければ久しぶりとまではいかないのだが。 「こうして顔を合わすのは半年ぶりくらい?」 「前に僕が大和に帰国した時以来だし、そのはずだけど」 「なんで説明口調なのシズモ」 ふ、と可笑しそうに笑いながら、二人で空港内を歩きつつ早めのランチを済ます。 ランチを済ませた後は、適当に空港内の店でショッピングを行う。 その後、半年ほど前に新設されたハンターギルド・出雲支部へと向かう事になった。 「そういやシズモ、ちゃんと野菜食べてんの?さっきもハンバーグだったけど」 「え?とってるとってる。毎日野菜ジュース飲んでるし。そんな事よりも、最近イリューダはどうなの?1ヶ月くらい連絡とってなかったけど」 「相変わらずかな」 怪しそうな鎮守から目を自分の買い物袋へと移す。 そこには何と、Iris+の新譜が購入されていた。 発売されたばかりのCDに、鎮守も顎に指をあてて感嘆のため息をつく。 「へぇ〜、おーきちゃんもそうだけど、ろっかくや君も頑張ってんじゃん」 「そのろっかくや、今度ライブやるってさ。おーきちゃんとは別の、元からやってるバンドだけど」 「へー」 鎮守の真似をした呼称で、ライブ情報を伝える宵丞だったが、途端に興味を無くしたような相槌の鎮守に笑う。 Iris+とは、最近売り出し中のモデル、王貴桃李と大和のインディーズでも人気が出てきたバンドに所属する六角屋灼。 その異色な二人のユニットという事で人気もそれなりに出てきており、今度テレビでの出演もあるらしい。 「でもそのIris+じゃないんでしょ?ろっかくや君は別にどーでもいいしなぁ」 「それが意外といい曲なのよ」 「うーん、イリューダがそこまで言うなら、今度聞いてみてあげてもいいけど」 「そーして」 タクシーに揺られながら、出雲支部へと向かう二人。 その道中、雑貨屋ジョースターが目に入った。 「あ」 「お気づきになられましたか」 「なったなった。まだあるんだね」 ドヤ顔をしつつ、ウザったい言い方の鎮守に気にせず頷く宵丞。 鎮守の説明によれば、栄生ジョースターが亡くなり一度は閉店になったものの、その後息子である栄生ホルノが店ごと買い取り経営を続けているらしい。 オーナーであるホルノも、月に一度は寄るとか。 「へー、ギルドに寄った後にでも行くかな」 「僕はもう行ったけど、イリューダが行くなら付き合うぜ」 「じゃあ行こうか。後で」 笑い合うと、ちょうど出雲支部へとタクシーが到着する。 ハンターギルド・出雲支部。 3層ではないので、雑居ビルというほど雑居していない雑居ビルの1階に入っているチェーン店のような場所に、出雲支部は存在する。 「いつ来ても、墨本堂とそんな変わらない広さに笑う」 「それってイリューダの今住んでる場所だっけ。茜の」 「紅だよ、茜寄りだけどね」 元々ハンターギルドはどこもそこまで広くは無い。 訓練所がかなりの広さなだけで、受付も講義室もむしろ狭いのがハンターギルドだ。 だが、この出雲支部は明らかに狭すぎる。 というか周りのテナントと被りすぎているのだ。 笑いながら、二人はギルドの中に入ろうとしたとき、鎮守が大声を出して驚く。 「ってええ!?イリューダ、いつきてもってギルドに来たことあるの!?」 「…今更すぎじゃねシズモ。今日で3回目だけど」 「ええー…じゃあ雑貨屋ジョースターも」 「知ってた知ってた。2〜3ヶ月前かな、前来たのは」 「そっちのまだあるんだね、か。イリューダも人が悪いぜ」 「メールに書いたはずだけど」 僕携帯止まっててわからなかった、と可愛い顔で言う鎮守に「またかい」と突っ込みを入れつつギルド内部へと入る二人。 これで宵丞が知るだけでも2回目だ。 「やっと来たか。お前さん達、言ってた時刻より2時間オーバーだぜ」 「鎮守君、昨日の依頼は終わったの?」 二人を受付で出迎えたのは、出雲ギルド支部長である風見次郎と、出雲支部に在籍するハンター兼彼の補佐でもある真田斎だった。 出雲支部はハンターが6人と人手が足りないため、ギルド員も彼らが兼任している。 彼らが、と言っても風見と真田が専らその仕事をしており、他のハンターは受付くらいしかしていないが。 「終わった終わった。後は3日くらいあれば解決するんじゃない?」 「まだ終わってないなら、そうと言ってよ。依頼主には俺から伝えておくから、後1日で解決してきてね。期日今日までなんだよ?」 鎮守の発言に苦笑しつつ、しょうがないなぁ、と依頼主へと電話を掛ける真田。 それを見て、今度は宵丞が少々驚いた顔を見せた。 「シズモ、旅してんじゃなかったの?」 「僕はいつでも旅人だぜ。心の中はね☆」 「出雲支部所属とか、聞いてなかったんだけど。シズモも人が悪いぜ」 今知った衝撃の真実に、先ほどの鎮守のセリフを借りて返す宵丞に、「ごめーん☆」と軽い口調で返す鎮守。 おそらく宵丞じゃなかったら、怒っている態度だろう。 現に風見も最近でこそ無意味だと悟り怒らなくはなったが(真田は高等部時代に悟った)、彼が移籍した当時は結構小言や注意も言ったという。 一度は本気でキレたらしいが、それでも改善が見られなかったため諦めの境地に達したようだ。 「はぁ…鎮守も、せめて受付くらいはしてくれよ…。俺も5件依頼入ってるんだぜ?」 「えー!僕が受付とか、依頼も来なくなるぜ?それより真田パイセンに任せればいいじゃない。今日依頼無いでしょ確か」 「あのー、俺も依頼一件、入ってるんですけど…」 「お前さんが入生田を迎えに行っている間に、一件入ったんだよ」 「それを言ったら、僕だって一件依頼入ってるぜ?」 「それはお前さんが解決してないからだろ!」 思わず風見も真田も苦笑い。 相変わらず、どころか前より酷くなった気もしないでもない鎮守だ。 「そんなわけで入生田、お前さんには悪いが、これも何かの縁ってことでこいつを助けてやってくれ」 「ごめん入生田君。鎮守君には後できちんと言っておくから」 「別にいいですけど。依頼内容あります?」 鎮守の滞納している依頼のため、即答でOKだった宵丞に風見は感動しつつ、これだ。と詳細がメモされた紙を渡した。 内容は離婚調停中の二人の仲を取り持つという内容。 依頼主はその娘さんのようだ。 「…」 「いや、言わなくても言いたいことはわかるぞ入生田。鎮守に合った依頼じゃないんじゃ、と言いたいんだろう?」 「他のハンターも、既に依頼数件持ってるし、俺が受け持っても良かったんだけど…」 「そうなると鎮守は携帯代も払えないくらいピンチになるってわけだ。今だってこいつの携帯代を払うために、俺がポケットマネーから払ってやってるんだぜ?」 「そんな事になってんの、シズモ」 「だって依頼がないならお金が入らない世知辛いシステムなんだぜ?イリューダ」 「そりゃあ世知辛いねぇ」 『当たり前だ!!』 乗った宵丞と反省しない鎮守に、真田と風見は苦笑しながらツッコミをいれる。 「とにかくだ、入生田にもきちんと依頼として回しておくから、鎮守のお守り、任せたぜ。3日は滞在するんだろ?真田、茜ギルド長への連絡は任せる」 「ちょっと風見さん!俺だって嫌ですよ!」 「新城ギルド長も随分な言われようだね」 「まー普段の行いってやつじゃない?」 「お前さんが言うなっての!」 「おっと、これ以上ウインドや真田パイセンの機嫌を損ねる前に、依頼に行こうぜイリューダ」 「はいよー、じゃあ行ってきますウインドギルド長に真田パイセンさん」 軽いコントをしつつ(風見達はそうではないのだろうが)、二人は依頼の解決の旅に出ていった。 二人が出ていった後、風見と真田は大きなため息をついた。 「本当参るよなぁ…真田、鎮守の奴はどうにかならないのか?」 「いやぁ俺に言われても…。王貴君か入生田君くらいしかわからないですね」 「他の3人はシビアだし…はぁ」 「お、お疲れ様です風見支部長」 「お前もな、真田」 ギルドの狭い室内を眺めつつ、二人はもう一度大きなため息をついた。 ◆風見次郎 異次元帰還後、葵を中心にハンターとして活動を行う。 またAクラスに昇格し、それと同時期に出雲ギルド支部長への打診もあったため、承諾した。 出雲支部長に就任したものの、真田以外癖のある4人のハンターの適正を考慮しつつ、上手い事捌いているため、ギルド長としての資質もそれなりにあるようだ。 特殊技研究は、今の所多忙なため活動停止中。 ◆真田斎 異次元帰還後、半年間は茜ギルドでハンターとして所属した。 その後、風見に誘われたのもあり、出雲支部に移籍した。 早良結愛、木の下コモ、白神凪、桐石登也、音無輪とは未だに連絡をとってはいるが、最近仕事の愚痴が増えてきているため、ここ数ヵ月は誰とも連絡を取っていない。
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/89.html
1 東雲直、志島武生、六角屋灼、鬼ヶ原空の4人は、島につくとハンター代表として村長の家に挨拶に行った。 村長の大城太平は過去の事件で捕まっていたので、彼の奥さんへ挨拶をする。 ちょうど彼らと同じように、飛鳥の軍人である海江田もハンターと共に挨拶に来ていた。 海江田は遺跡調査に向かうと言って、貴方達と別れる。 貴方達もとりあえず、動く事にした。 2 村外れの家につき、双三思永を訪ねたが留守のため宿酒場「民羽」へと赴く4人。 そこには飛鳥の軍人だけではなく、佐治宗一郎もお目付け役として来ていたが、夕方から飲んだくれていたので彼は役にたたなかった。 次の目的地を港にし、灼と一旦別れ、水鏡流星と共に港に向かう直、武生、空。 港で聞き込みをしている途中、桐石登也や向坂維胡琉とも合流し、直の希望で洞窟へ向かう一行。 ボートで洞窟にたどり着くと、練も加えて洞窟の最奥へ。 そこには、スーツ姿の男が邪神ランマーを模した像の前にいた。 直と水鏡が仕掛け、スーツ姿の男を無力化したが、彼は田中まゆみの父親だったのだ。 3 新たに柳茜・幸村カヤと合流した一行は、気絶させた田中父が目を覚ましたので、彼から話を聞くことに。 彼は錯乱しており、話を聞く事も難しかったものの、自らの娘を邪神の生贄に捧げ、父親であるタイショーの店主をも裏切り者として放火した犯人であることを認めるような発言をした。 更には、誘拐されている民羽柑奈も生贄になるということを繰り返していたため、邪神ランマーの事件がまだ終わってない事を悟る一行。 水鏡と直と別れた貴方達は、復帰した灼と日野守桜を連れて港へ向かうことにした。 次の目的地は、栄命島にある海底遺跡だ。 4 海底遺跡に向かうため、チャーターしてある船に乗り込もうとした貴方達だったが、港に行くと乗るはずの船が燃えていた。 どうやら定期船でやってきた男が、錯乱して船に火をつけたらしい。 4月1日まで後数時間。時間が無い中、必死に周りの漁師に船に乗せてくれるよう頼むハンターだったが、それは聞き入れてもらえなかった。 夜の魔物、特に栄命島周辺の魔物は強力な魔物が多いため、一般人の漁師達には命の危険性が高すぎるのだ。 失意にくれていた時、武生が村長の奥さんのもとへと走った。 彼女から以前漁の依頼を手伝った漁師の情報を教えてもらうと、武生は彼の家へと再度走る。 ちょうど彼が出てくると、武生は船を出してもらえないか頼み込む。 少し迷った素振りを見せた漁師だったが、それも僅かなことで、貴方達に協力することを誓い、急ぎ港へと向かったのだった。 5 駆けつけた烏月揚羽、白神凪を加え、船にのって遺跡海上へ向かうと、先に来ていた飛鳥軍の船と遭遇する。 海江田と美澄という軍人が乗っており、彼らの調査の邪魔をするなと警告されるハンター達。 一触即発状態だった所に、美澄がある提案をする。 美澄の一撃を耐えれれば、暫く調査中の軍人を引かせ待ってやるというのだ。 その誘いを受けた揚羽は、風精召喚・藍を発動し、強力な美澄の一撃を凌ぐのだった。 6 約束通り調査中の軍人を引かせ、暫く待ってくれることになった飛鳥軍 貴方達ハンターは急ぎ、遺跡内部へとはいり調査を始めたハンター達。 神殿最奥までついたが、最後の大門が道をふさいでいた。 空がストレイキャットの特殊技で気配を断ち、泳ぐ骨クジラに見つからないように、真っ暗闇の中何とかスイッチと思われる部分を押すと、紋様が浮かび上がり門が開いたのだった。 その先にいたのは双三と衰弱した柑奈。 追い詰めた貴方達だったが、双三はあっさりと柑奈を開放する。 武生が彼女の安全を確保しようとした時、床のトラップで武生は倒れた。 更に双三は、既に殺害していた番場佑の遺体を最後の生贄として邪神ランマーの復活を行うのだった。 7 月宮香蓮も遅れながら合流し、苦労なくランマーを倒したハンターだったが、双三はあることに気づく。 それは、田中まゆみだけこの栄命島の神殿にあるランマーの像の下ではなく、漣島の洞窟にあったレプリカの前で殺害し生贄としたこと。 彼は自害し自らを生贄の6人目にすることにより、真の化物グレートマムを復活させた。 手をこまねいているうちに、飛鳥の軍人達がやってきて一斉攻撃でグレートマムを倒し、さらわれた柑奈を救い出して全てが終わったのだった。 戻る
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/60.html
プロローグ 紅、某居酒屋。 佐治宗一郎(ハンターギルド神風学園支部長):「かー!うめえ!仕事終わりの一杯は格別だな!」 城ヶ崎憲明(神風学園大学部教授) 「でも残念ですねぇ~。他の方も来られればよかったのてすが~」 佐治 「ケッ、どいつもこいつも、緋杭祭の残務処理で忙しいんだと。俺様だって忙しいわ!せっかく誘ってやったっつーのによ!」 城ヶ崎 「まあまあ~。しかしそうですね、もっと皆さんと交流できる場があれば、面白そうですよねぇ。」 佐治 「交流か…なんかいいもんねーか?戦うだけじゃ芸がないしな…」 城ヶ崎 「それなら、神風学園みたいに体育祭を開くのはどうですか?なーんて」 佐治 「…それ、面白そうな。どうせ退屈してたし、交流がてらとか言ったらちょろい奴らばっかだし、どのギルドも協力すんだろ!ガハハハハ!」 城ヶ崎 「ふふふ、及ばずながら、ハンターとして神風学園も協力させていただきますよ~。」 佐治 「おーおー出ろ出ろ!ついでに報酬も任せていいか?金はこっちが工面すっからよ!」 城ヶ崎 「いいですよ。伍代君や知り合いの魔術師に声かけておきますね~。」 ギルド交流大運動会、開催! 概要 ハンター同士の交流および能力向上を目的とし、三人一組のチーム戦を開催する。 ◆◇ 種目内容 ◇◆ 【 衝突注意!大玉転がし 】 用意されたのは1tの鉄球!力自慢のハンターたちよ集え! 【 撃破!障害物競争 】 さまざまな障害物を撃破し、ゴール目指して駆け抜けろ! 【 おみくじ?綱引き 】 吉と出るか凶とでるか。引き合う相手は運しだい! ◆◇ 賞 金 ◇◆ 総合優勝 一人10000円、専用特殊技 準優勝 一人5000円、汎用特殊技習得チケット 各競技最高得点賞 3000円 各競技ブービー賞 2000円 参加賞 煌石(1) 競技結果 総合順位発表 第1位(総合ポイント最高得点チーム) チーム :【鉄は熱いうちに打て!】 メンバー:桜木 有布 / 寒河江 由加 / 志島 武生 総合ポイント:1074ポイント 第2位 チーム :【なりゆきプランツ】 メンバー:夢崎 麻也 / 浅海 邑咲 / 幸村 カヤ 総合ポイント:844ポイント 第3位 チーム :【三人姉妹・はねりひめ】 メンバー:行成 ハナ / 福良 練 / 蛇姫神 紗咲良 総合ポイント:737ポイント 第4位 チーム :【団子三姉弟】 メンバー:烏月 揚羽 / 天瀬 麻衣 / 板垣 勝猛 総合ポイント:713ポイント 第5位 チーム :【狼と甘味料】 メンバー:柳 茜 / 桐石 登也 / 白神 凪 総合ポイント:683ポイント 第6位 チーム :【俺達は象じゃない】 メンバー:六角屋 灼 / 東雲 直 / 甚目寺 禅次郎 総合ポイント:486ポイント 第7位 チーム :【過激家族(エクストリーモ・ファミリア)】 メンバー:日浦 博喜 / 鬼ヶ原 空 / 月宮 香蓮 総合ポイント:446ポイント 各競技ポイント最高得点者 競技名:【衝突注意!大玉転がし】 PC名 :烏月 揚羽 ポイント:314ポイント 競技名:【撃破!障害物競争】 PC名 :寒河江 由加 ポイント:819ポイント 競技名:【おみくじ?綱引き】 PC名 :浅海 邑咲 ポイント:453ポイント ブービー賞 競技名:【衝突注意!大玉転がし】 PC名 :夢崎 麻也 ポイント:122ポイント 競技名:【撃破!障害物競争】 PC名 :六角屋 灼 ポイント:191ポイント 競技名:【おみくじ?綱引き】 PC名 :東雲 直 ポイント:136ポイント エピローグ 神風ギルド。 そこには、大学部教授である城ヶ崎憲明が、六角形の球体を持ち3人へと指導を進めていた。 城ヶ崎:「まずは有布君からですが~、君の特殊技は基本の応用系。つまり、魔術を独自に進化させた形となります~。それを覚えるために、まずはフロイントの素振り1000回から始めましょうかぁ。」 城ヶ崎:「次に武生君。君の特殊技は、技力を魔力へと変換する特殊技ですねぇ~。まあ習うより慣れろって言いますし、そんな感じをイメージしてやってみてください~。」 城ヶ崎:「最後に由加さん、君の特殊技は、闇属性の攻撃魔術となります~。強い闇を思い浮かべ、重力球を作るイメージで魔術を打ってみてくださいね~。」 3人へとそれぞれ曖昧な課題を出し、自らは休憩と称してトイレへと向かう。 その途中、神風学園ギルドの長でもある佐治宗一郎が彼を呼び止めた。 佐治:「おい城ヶ崎、もっと具体的に教えてやったらどうなんだ?最近のガキは、具体的に色々説明してやらねぇとだなぁ…。」 城ヶ崎:「いえいえ、これくらいでいいんですよ~。彼らの潜在能力は、それこそ私達の想像以上ですからねぇ。あとは、自分でコツを掴むまでは放任したほうがやりやすいと思いまして~。」 佐治:「まあてめぇがいいならいいけどよ。で、称号は?てめぇの事だ、なんか考えてあるんだろ?」 城ヶ崎:「ええ、とりあえず有布君はピカピカピカリン、武生君は輝きの君、由加さんは闇の女辺りでどうでしょうか~。」 佐治:「いい加減わざと適当に言う癖やめろ、桜木は一光流、寒河江は魔楼の士、志島の奴は…魔巧技師。その程度にしとけ。」 城ヶ崎:「ほほ~、これはまた興味深い…。一光流も魔楼の士も、殉職したベテランハンターの渾名でしたっけ。」 佐治:「ああ、蒼の特区で殉職した奴らのな。あいつらが将来、ハンターを続けて特区に行ったときは、その殉職した奴らみたいに他の奴を引っ張っていけるようなハンターになってくれって意味も込めてんだぜ?いいだろ?」 城ヶ崎:「ここ数年で、本当に生徒想いになったんですねぇ~佐治先生は。私も尊敬しちゃいます~」 佐治:「茶化すなタコ!」 城ヶ崎:「しかし…魔巧技師、ですか。」 佐治:「…いいだろ?もう何年も名乗ってねぇし、名乗る気もないみたいだしよ。あいつの特殊技なんか、モロそうじゃねぇか。」 城ヶ崎:「そうですねぇ、彼らがこれから更に立派になることを祈りましょうか。」 【ギルド交流大運動会】END
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/74.html
地域概要 大神山道(チェックポイントA) ○先行隊調査メンバー:烏月揚羽・向坂維胡琉・寒河江由加・福良練・藤八沙耶・行成ハナ・(織ヒカル) 大神村から南西へと伸びる山道。ラウム山脈への入口になり、紅では上位クラスの魔物がそれなりにいる。 ここから出発した先行隊の7名は、大神山道を上っていくことになる。 車で行ってもよかったが、最近は魔物も多いため車で行くのは困難だからだ。 登山中、地狼の群れに囲まれそれを一度は撃退した7名だったが、リーダーの天狼率いる地狼の群れに逃走。 そのまま先へと向かった。 小瀬の細道(チェックポイントA) ○先行隊調査メンバー:烏月揚羽・向坂維胡琉・寒河江由加・福良練・藤八沙耶・行成ハナ・(織ヒカル) 大神山道を登っていくと、最後に大きなトンネルに出る。小瀬の細道と呼ばれ、車で来られるのはここまでだが、魔物が多いため徒歩でここまでやってきた(半分狼に追われてだが)。 ここからはラウム山脈の冷気にさらされ、天井につらら、その水滴により地面にもつららが生えている。 一本道で来たため難なく先へ進めたが、トンネルの途中で石化している狼の群れに合う。 そしてその先に、巨大な壁が行く手を阻んでいた。 それは蒼でも特区クラスの魔物、バジリスウォールだった。 カードの力でバジリスウォールを圧倒する7人だったが、石化をしてくる相手に僅かに苦戦しつつ、なんとか討伐。 先へと進む事に成功したのだった。 ※チャレンジ:バジリスウォール2ターン撃破成功(煌石+1) 具志音山道(チェックポイントB) ○先行隊調査メンバー:志島武生・祠堂統・白神凪・月宮香蓮・日野守桜・柳茜 ラウム山脈の入口の山で、途中に具志音の森と呼ばれる、一年中雪が積もっているにも関わらず緑葉の木々が並ぶ不思議な森がある。 今まではここまでの調査しかできず、この具志音の森を超えると目の前すら見えぬ猛吹雪の逢夢氷壁へと差し掛かるということだけしかわからなかった。 そのため、ここだけは絶対に突破しておきたい。そう思い全員が具志音山道を進む。 具志音の森に差し掛かる時、数名が何かの殺気を感じた。 そして森に入るとむいむいの気配が、誘うように彼らを誘った。 結局、それは具志音の森を利用して作られた魔力のトラップで、特定のエリアにいくと極寒の風が吹いた。 なんとか切り抜け、一同は森を抜ける。 そこには殺意に満ちたむいむいが、先を通すまいと立ちふさがるのだった。 殺戮むいむい二体も退け、後続隊と合流するために待機していると、祠堂がある気配に気が付く。 全員が最初に感じた気配は殺戮むいむいだと思ったが、祠堂が感じたのは最初の殺気の気配と立ち去る者の気配が一緒だということだった――。 ※チャレンジ:殺戮むいむい戦時、戦闘不能者ゼロ(煌石+1) 逢夢氷壁(チェックポイントC) ○先行隊調査メンバーA:祠堂統・東雲直・月宮香蓮・日野守桜・(織ヒカル) ○先行隊調査メンバーB:向坂維胡琉・志島武生・福良練・六角屋灼・柳茜・行成ハナ 調査メンバーAの4名は、ヒカルと共に暴風雪吹き荒ぶ氷の崖へと挑む。 何度も氷の壁に阻まれ、滑って落下しつつもなんとか登りきり、後続のために魔術で作られたハシゴをかけた5名。 しかし、氷壁の崖上にあった鉄の扉をくぐり、待ち受けていたのは氷の巨大なゴーレムだった。 ヒカルは扉から崖下へと投げ飛ばされ、残った4名は逃げ道も閉ざされ、何とか善戦したが攻撃力と体力回復には勝てず、全滅。 そのすぐ後に駆けつけた水鏡率いる後続隊によって、4名とヒカルは辛くも救出されるのであった。 調査メンバーBの6名は、巨大なゴーレムを何とか倒す。 そしてその先へ進むと、待っていたのは一人の老人だった。 その老人は氷の大精霊だと名乗り、色々な事を貴方達に教えてくれた。 逢夢氷壁は要塞として過去に使われており、現在は人間をこれ以上先のラウム山脈へ近づかせないため、またラウム山脈から強力な魔物を外へ出さないため。その他にもかつてこの地を訪れたカーネリアが幻惑のラウムを封じたこと、そして魔槍ベレト、地植伯フェルゼのこと、この先にいる雪竜と神狼には気をつけたほうがいいということ。 言いたいことだけ言った老人は、やがて存在がなかったように貴方達の前から姿を消す。 もう姿は見えないが、おそらく、貴方達がいつも行使している魔術を陰ながら手伝ってくれているのだろう――。 ※チャレンジ:クレインクラインに一発で2500ダメージ(未達成) ブレイズバレー(チェックポイントD) ○先行隊調査メンバー:桐石登也・白神凪・日野守桜・幸村カヤ 氷壁の先へと進むと、まず二つの道に出た。 片方は真っ暗闇で、誰もライトを持っていないため、もう一つの道へ。 その道を抜けると、先ほどまでの寒さが嘘のように溶岩蠢くブレイズバレーへと続いていた。 喋る狼にこの先へ進むなと脅されたが、何も調査してないのにやめるわけにもいかないため、そのまま進む4人。 なんとか溶岩を回避しながら、4人は先へと進むのだった。 ラウム山脈麓(チェックポイントD) ○先行隊調査メンバー:桐石登也・白神凪・日野守桜・幸村カヤ ブレイズバレーを抜けると、今度は山岳地帯へと地形も変化していく。 既に暴風雪は吹いておらず、岩肌が姿を見せていた。 そこへ、ブレイズバレーに現れた喋る狼が立ちふさがる。 部下である狼を沢山引き連れて、最初は高みの見物をしていた喋る狼だったが、4人の協力により徐々に近づくことを許し、ついに自身の下へたどり着かれてしまう。 今まで消耗してきたが、連携により何とか勝つことができ、喋る狼は去っていったのだった。 吹雪の竜グレイシアという言葉を残して…。 ※チャレンジ:5ターン以内に神狼の下へ到達(煌石+1・OPポーション+1) ラウム神殿前半(チェックポイントE) ○先行隊調査メンバーA:向坂維胡琉・寒河江由加・白神凪・瀬名波那智・福良練・藤八沙耶・柳茜・(織ヒカル) ○先行隊調査メンバーB:向坂維胡琉・志島武生・白神凪・瀬名波那智・月宮香蓮・藤八沙耶・六角屋灼・柳茜・(水鏡流星) 氷壁の大怪我から回復したヒカルと共に、一行はラウム神殿へと足を踏み入れる。 そこには太陽・雨・風をモチーフとした宝玉があり、それを使うことで先に進む道を作るパズル的なトラップがあったが、それをクリアしつつ先へ進む。 先に待っていたのは吹雪の竜、名をグレイシアと言った。 彼の竜は古き歴史をも知っていそうだったが、それを知るには先へ進め、そして先に進むには彼を倒さなくてはいけなかった。 全員死力を尽くしたが、氷のレーザーや暴風による凍結や裂傷、更には吹雪を起こして体力や魔力を奪い、全滅してしまったのだった。 その後、回復した調査メンバーAは、後続の部隊と大怪我をしているメンバーを入れ替え、雪竜に再戦を挑む。 先程の傷があったためか、思ったより早く雪竜を下すことに成功。 そして雪竜に力を受け、ラウム神殿の奥地へと踏み込むのだった。 ※チャレンジ:5ターン生き残る(未達成) ラウム神殿後半(チェックポイントF) ○先行隊調査メンバー:向坂維胡琉・志島武生・白神凪・瀬名波那智・月宮香蓮・藤八沙耶・六角屋灼・柳茜・(水鏡流星) 神殿の最奥はカタコンベみたいな墓所だった。 辺りがどんどん暗闇に包まれていく中、突如明るい部屋へと出た。 そこには大きな柩があり、中には五大悪魔の一人、幻惑のラウムがいた。 ラウムは雪竜を倒してくれた礼に、質問に答えてやるといって、全員の質問を聞き出し答える。 実はその受け答えが、悪魔の契約であり願いを叶えた対価として、命をもらうというものだった。 しかし、そこにちょうど遅れて駆けつけた水鏡の機転によりラウムは消滅した。 だがラウムが封じ込められている玉は白神凪へと渡り、まるで呪いのように付き纏うのだった――。 デモンズロード(チェックポイントG) ○先行隊調査メンバー:板垣勝猛・桐石登也・向坂維胡琉・祠堂統・月宮香蓮・日浦博喜・行成ハナ・幸村カヤ(織ヒカル) 戻っている途中、貴方達は真っ暗闇のエリアを見つける。 おそらくブレイズバレーとは逆方向に伸びていた、真っ暗闇の道だろう。 今度はヒカルの魔術で明かりを照らすことができたので、そこを調査しつつ帰還することにした貴方達。 後続のために明かりをつけながら進んでいくため、先行して明かりをつけていくヒカルを守るために8人は漆黒の扉とたくさんの蟻の影と対峙した。 連携により漆黒の扉を撃破、および蟻の影の撃破をすることはできたが、いくらでも増えてくる蟻の影の魔物にキリがなく、最終的に増えきった影に全員倒されてしまうのだった…。 目を覚ますと、氷壁の中だった。 先に到着したヒカルが言うには、狼が皆を運んだという。 それは登也やカヤがあった神狼だったのかどうかは、確かめる術はもう無い…。 ※チャレンジ:シャドー10体撃破(煌石+3・OPポーション+1) 具志音山道・帰り道(チェックポイントH) ○先行隊調査メンバー:烏月揚羽・向坂維胡琉・寒河江由加・東雲直・白神凪・六角屋灼・福良練・柳茜・(織ヒカル) 帰還中、先行して魔物を退治している貴方達は、具志音山道にて気配を感じた。 男達は一人はひょうひょうとしたつかみどころのない男で、もう一人は包帯で全身をぐるぐる巻きにした男だった。 彼らの目的は、凪が持つ黒耀玉。 戦闘となり、圧倒的な能力で苦戦を強いられたが、なんとかヨミというひょうひょうとした男は捉えることができた。 しかし、もう一人の包帯男は別格の強さで、すぐに全滅させられてしまうこととなる。 凪は黒耀玉を回収されてしまうのだった…。 ※チャレンジ:ヨミ、もしくは包帯男のHPを半分まで減らす(煌石+1・OPポーション+1) 葵ギルド(チェックポイントI) ○調査メンバー:向坂維胡琉・寒河江由加・志島武生・祠堂統・白神凪・月宮香蓮・日浦博喜 ラウム山脈の調査終了から一夜明け、衝撃の一報が入る。 織ヒカルが水鏡流星によって殺害された、ということだ。 貴方達はギルドに向かうと、葵ギルド長の司城に連れられ、東十常剣(つるぎ)と神崎信がいるギルド長室に通される。 そこで事件の概要をきいた貴方達は、いくつもの選択の中から水鏡との面会、そして第一発見者のピザ屋の店員と会うことにした。 水鏡はすっかりやつれており、第一発見者のピザ屋の店員も同様だった。 結局犯人はわからず、水鏡は飛鳥の譲歩により保釈されはしたが、素直に喜べない結末となってしまった…。 また、ここからは余談ではあるが、後日彼のクラスメイトが、織ヒカルの持ち物の一つ、黒い玉がなくなっている事に気がついたとの報告があった。 戻る