約 3,152,008 件
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/
このサイトについて 「The Elder Scrolls IV Oblivion」に登場する書物をまとめたサイトです。 このWikiは管理人のみが編集できます。 収蔵書物について 書物の本文はXbox360 日本語版からの引用です。 誤植らしきものもそのまま変更せずに記載しています。 (もちろん単純に自分の入力ミスの可能性もありますが) 本文の内容がわかりづらくなっているような誤訳、表記ゆれは、ふきだしに注意を表示する形で記載しています。 (英語版を持っていないため、原文はUESPの記載内容を参考にしています) 点線下線の部分が対象箇所です。(マウスポインタを乗せるとふきだし表示) 例: …人類最初の入植は神話紀8001,000年であることが… 現在の蔵書数は 241冊です。 (リンク名に ? がついているものは未収録ですので、あしからず…) 最近の新刊 取得中です。
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/97.html
栄光と嘆き アイレイドの遺跡にて アレクサンドル・ヘトラルド 著 スキングラードと帝都を結ぶ黄金道の半ば近くにあるゴトルズフォント修道院に到着した私は、古代アイレイド語で「父なる森の影」を意味するセヤタタールの素晴らしい遺跡を見るために寄り道をしようと決めた。絡みつくサンザシや雑草をかき分けつつ進むのに何時間も費やした後、私の視界に突然飛び込んできたのは、五本の純白の柱が深緑の蔦の山から伸び、生い茂った森の緑の頭上でV字型のアーチや柱頭へと繋がっている光景だった。これを目にした私は失われた過去の栄光や、時間という名の生い茂った古墳から骨の欠片のごとく顔をのぞかせている、高度な文明の嘆かわしきなれの果てについて瞑想させられたのであった。 私は繁茂せし森の中で、視覚と光と洞察の神であるマグナスに捧げられた巨大な地下殿堂の本堂へと繋がる入口をみつけた。力が枯渇しかけている魔法の泉から発せられる淡い光に照らされ、その一角の割れた壁は青く、冷たく輝いていた。 中央広場の大理石の長椅子は外周を取り囲む池に面しており、池の外側には頭上の丸天井を支える長い柱や鋭角的なアーチが見えた。中央にある島上の部分からは立派な橋が淀んだ池を渡り、柱の後ろ側の狭い渡り廊下に繋がっていた。その先には天井の高い幅広の街道や、流れの止まった水路が闇の中へと続いていた。倒壊した柱や崩れた壁、魔法の泉の中で無秩序に生い茂った植物の根や蔦などが池に映り込んでいた。 古代アイレイドたちは四元素を現代の自然哲学で定義されるもの、すなわち土、水、気、そして火ではなく、ハイエルフの宗教での四元素、すなわち土、水、気、そして光と認識していた。アイレイドたちは火を、弱く劣化した状態の光と考えており、アイレイドの哲学者たちは光を主要な魔法原理と同一視していた。そのため彼らの手による太古の地下神殿や聖域は魔法のランプや光球、そして限りなく純粋な魔力の池や泉によって照らされていたのである。 私は弱まりつつもいまだに力を残しているこれら太古の魔力の光のもとで、遥か昔に亡くなってしまったアイレイドの建築家たちのかつての映画を目の当たりにした。周囲を取り囲む池の、まるで硝子に映りこんだかのような鏡像を通し、水の底深くでゆっくりと明滅を繰り返すウェルキンド石の光が見えたのであった。 探検家にとってこれらの遺跡で最も大きな脅威となるのは、アイレイドたちが地下聖域への侵入者を煩わせ、惑わせるために設けた、精巧にして非常に危険な仕掛けの数々である。長い年月の後、それらの仕掛けがアイレイドの残したものに憧れる者たちの脅威となろうとは、実に皮肉なことである。何故ならば、それらが無駄骨であったのが明白だからである。あれだけの仕掛けを施しても、エイレイドたちの真の敵に対しては奏功しなかったのである。その敵とは反乱を起こして残忍な主人たちを倒した奴隷たちでもなく、エイレイドの主人たちから戦いや魔法の術を学んだ野蛮な獣人たちでもなかった。エイレイドたちを破滅そして忘却へと追い込むことになったのは他でもない、彼ら自身が自らの偉業に対して感じたおごりと誇りであり、帝都が永遠に続くであろうという過ぎた自信だったのである。 ダンジョン 民族・風習・言語 紫1
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/230.html
キマルヴァミディウム ドゥーマー太古の物語 第4部 マロバー・サル 著 いくつもの戦いをへて、戦争の勝利が見えてきた。チャイマーはマジカや剣術においては秀でていたが、ジナッゴの手による洗練された防具を装備したドゥーマーの装甲兵が相手では、勝てる見込みはきわめて薄かった。“ランド”の平和維持を第一に考えた武将スソヴィンは、「野獣」カレンイシル・バリフと休戦協定を結んだ。スソヴィンは「紛争地域」を獲得し、その代償としてバリフに強力なゴーレムを授けた。北方の蛮族の襲撃からチャイマーの土地を守ってくれるだろう、と。 この贈り物にバリフは満足し、野営地に持ち帰った。ゴーレムを目にすると、仲間の戦士たちはあ然とした。金色に輝くその姿は、誇りに満ちたドゥーマーの騎士そのものだった。その強さを試そうと、彼らはゴーレムを闘技場の真ん中に立たせて稲妻の魔法で打ち抜いた。ゴーレムは目にもとまらぬ早業でほとんどの雷撃をよけてみせた。腰をくねらせることで、バランスを崩さずに攻撃の矛先をかわすことができた。さらに火の玉が弧を描いて飛んでくると、膝を折ってコマのように回転しながら巧みに攻撃をかわした。何度かよけられないこともあったが、もっとも頑丈にできている胸や腹部で攻撃を受け止めていた。 俊敏さと力強さを併せ持ったその創造物に、戦士たちは歓声をあげた。ゴーレムを守備の要に据えておけば、スカイリムの蛮族が村を襲ってきても返り討ちにしてやれそうだった。彼らはゴーレムを、「チャイマーの希望」を意味する「キマルヴァミディウム」と名づけた。 バリフは一族の全家長を連れて、ゴーレムを私室へと持ち込んだ。そこで彼らはキマルヴァミディウムの力、スピード、回復力を徹底的に試した。その設計に穴は見つからなかった。 「丸裸の蛮族め、襲撃にきてこいつを目にしたらどんな顔をするかのう」家長のひとりが高らかに笑った。 「われらではなく、ドゥーマーに似ているのが口惜しいがな」カレンイシル・バリフはゴーレムをとっくりとながめた。 「そもそも、休戦協定など受け入れるべきではなかったのだ」と、強硬派の家長が言った。「武将スソヴィンに冷や汗をかかせるにはもう遅すぎるかのう?」 「遅すぎるということはない」と、バリフは言った。「が、やつの装甲兵たちは手ごわいぞ」 「私の情報では──」と、バリフの諜報参謀が言った。「スソヴィンの兵は夜明けとともに目覚める。その一時間前に襲撃すれば、やつらは赤子も同然だ。まだ水浴びも終えてないだろうから、鎧を装備しているはずがない」 「鎧職人のジナッゴをひっ捕らえて、鍛工術の秘訣を吐かせることもできよう」と、バリフは言った。「善は急げだ。明朝、夜明けの一時間前に襲撃するぞ」 段取りは整った。チャイマーの兵は夜のうちに進軍し、ドゥーマーの野営地になだれ込んだ。キマルヴァミディウムを中心とする第一陣を攻撃に送り込んだが、肝心のゴーレムは調子がおかしくなってチャイマーの兵を襲いだした。それに加えて、ドゥーマーは防具一式を装備し、睡眠も充分にとっており、万全の戦闘態勢にあった。奇襲は失敗し、「野獣」カレンイシル・バリフをはじめとするチャイマーの上官はほとんど捕虜となった。 チャイマーたちは何も訊かないことで誇りを守ろうとした。と、スソヴィンはある仲間から“天啓”を与えられて、奇襲攻撃のことを知ったのだと説明した。 「わが陣にスパイがいたというのか」バリフは皮肉っぽく笑った。 捕虜のそばで立ちすくんでいたキマルヴァミディウムが、頭を取り外した。鋼鉄の体からジネッゴの顔がのぞいた。そう、鎧職人の。 「八歳のドゥーマーはゴーレムを作れる」と、ジネッゴは言った。「だが、ゴーレムになりきれるのは真に偉大なる戦士と鎧職人だけだ」 出版社注: この話は本作品集の中でも、ドゥーマーの伝承を本源とする数少ない物語のひとつである。エルフ語による旧版とは表現法がかなり異なるが、大筋は変わらない。「キマルヴァミディウム」とはおそらく、ドゥーマー語の“ヌチャマサンダムズ”のことではなかろうか。この言葉はドワーフの鎧や「アニムンクリ」の設計図にも散見されるが、その意味は不明である。もっとも、「チャイマーの希望」でないことだけは確かだ。 重装鎧を使ったのは、おそらくドゥーマーが最初である。この話で特筆すべきは、重装鎧を身につけた男が大勢のチャイマーを欺くことができたという事実と、チャイマーの戦士の反応である。この話がはじめて語られた時代には全身を覆う鎧はまだ珍しく新しかったが、その一方で、ゴーレムや大隊長のようなドワーフ製の創造物は広く知られていた。 学術的にはたいへん貴重なことに、マロバー・サルはオリジナル版の数箇所を手を加えずに残している。その一例が、エルフ語版に見られる原文の一節、「八歳のドゥーマーはゴーレムを作れるが、八人のドゥーマーはひとつになれる」である。 この伝承に関して、私のような研究者が興味深いと感じることのひとつが、「召命」という言葉である。この伝承にかぎらず、ドゥーマーの種族には言葉を介さないマジカ的な交信能力が備わっていたと伝えられている。ある記録によると、サイジック教団もそうした神秘の知識があったという。いずれにしても、「召命」なる魔力について具体的に述べた文書は残されていない。 シロディールの歴史家であるボーグシルス・マリエーは、この「召命」こそがドゥーマーの失踪の謎を解く決め手になるとはじめて提唱した人物である。彼の仮説によると、第一紀668年、各所に暮らしていたドゥーマーが、有力な哲学者兼妖術師(ある資料では「カガーナク」と呼ばれている)のひとりに呼び集められ、大いなる旅へと出発したのだという。それは崇高なる叡智を求める旅であるため、ドゥーマーたちはあらゆる都市や土地を投げうってまで、ひとつの民族として、未知なる山嶺を究めようとしたのだと。 小説・物語 茶3
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/201.html
狼の女王 第5巻 ウォーヒン・ジャース 著 筆:第三紀2世紀の賢者インゾリカス 第三紀119年 21年間に渡って皇帝アンティオカス・セプティムはタムリエルを治め、道徳面でのだらしなさにもかかわらず有能な指導者であることを証明した。最大の勝利と言えるのが110年に行われたアイルの戦いであり、帝都艦隊とサマーセット・アイル海軍は、サイジック教団の魔力と力を合わせ、侵略してくるピアンドニアの大艦隊を壊滅させることに成功した。皇帝の兄弟であるリルモスのマグナス王、ギレインのセフォラス王、そしてソリチュードの狼の女王ことポテマも、それぞれ良く治め、帝都とタムリエルの諸王国との関係は非常に良好なものとなった。それでも、帝都と、ハイ・ロックおよびスカイリムの王たちと間に横たわる傷跡は、何世紀にも渡って放置されたとしてもすべて消えるわけではなかった。 妹とその息子ユリエルが珍しく訪ねてきていた間に、即位してから様々な病気を患っていたアンティオカスは昏睡状態に陥った。何ヶ月にも渡って彼は生と死の境目をさまよい、その間に元老院は15歳になる彼の娘キンタイラを後継者として即位させる準備を進めた。 第三紀120年 「お母さん、キンタイラと結婚はできないよ」と、提案に機嫌を損ねたというよりはおもしろがっている様子でユリエルが言った。「彼女はいとこじゃないか。それに確か、元老院の貴族モデラスと婚約しているはずだよ」 「潔癖性ねえ。物事には外せない時機と場所があるのに」と、ポテマは言った。「でもモデラスについては言うとおりね。それにこの重要な時期に元老院を怒らせるのも良くないわ。ラクマ王妃についてはどう思う? ファーランではずいぶん長く一緒にいたわよね」 「彼女はいいと思うよ」と、ユリエルは言った。「まさか、淫らな話まで聞きたいというわけではないよね?」 「それは遠慮しておきます」と、顔をしかめながらポテマが言った。「でも結婚はするの?」 「たぶんね」 「いいわ。じゃあ私がお膳立てするから」と、忘れないように書き留めてからポテマが続けて話した。「レロモ王を同盟者としてつなぎ止めておくのはたいへんだったけど、政略結婚でファーランを味方につけておけるはずだわ。必要な存在だものね。葬式はいつ?」 「誰の?」と、ユリエルは言った。「アンティオカス伯父さん?」 「当たり前でしょう」ポテマがため息をついた。「最近、他に誰か注目すべき人が死んだとでも?」 「レッドガードの子どもたちがたくさん廊下を走り回ってるから、たぶんセフォラスが到着したんだと思う。マグナスも昨日宮廷に来たから、もうすぐなんじゃないかな」 「じゃあそろそろ元老院に演説を聞かせなきゃ」と、笑いながらポテマが言った。 いつもの色彩豊かな婦人服ではなく、黒い服を彼女は身にまとった。嘆き悲しんでいる妹らしく見えることが大切だった。鏡に映し出してみると、53年間の自分の人生そのものがそこにあると思った。とび色の髪には白髪が目立っていた。スカイリム北部の長く寒い冬が、蜘蛛の巣のように薄く、シワの地図を彼女の顔に刻んでいた。それでも、微笑んでみせれば相手の心をつかむことはできるし、顔をしかめてみせれば恐怖を引き起こすことができるのを彼女は知っていた。目的のためにはそれで十分だった。 ポテマが元老院に対して行った演説は、弁論術を学ぶ学生たちにとっては大いに参考になるに違いない。 彼女はまず、追従と卑下から話を始めた。「我が友人であり、この上ない威厳と見識を兼ね備えておられる元老院議員の皆さま、一地方の女王に過ぎない私ではございますが、皆さまがすでに思案されているであろう問題をあえてここに持ち出さずにいられません」 さらに彼女は、欠点をものともせず愛される支配者であった亡き皇帝を褒め称えてみせた。「真のセプティム家の男として、また偉大なる戦士として、兄は――皆さま方のご助言を得て―― 無敵とされた隣国ピアンドニアの大軍も掃討しました」 しかしほとんど時間を無駄にすることなく彼女は肝心な点へと話を進めた。「残念ながらマグナ女帝は、我が兄の好色な気質を満たす手立てを何も取りませんでした。実の話、帝都のスラム街にいる娼婦の誰よりも数多くのベッドに横たわった経験を女帝はお持ちなのですが。もしも宮廷内の寝室でのお勤めをもっと誠実にやっておられれば、皇帝には本当の後継者ができていたはずです。我こそは皇帝の子だと言い張る、あの頭の弱い、腰抜けの畜生みたいな連中ではなく、本当の後継者がです。キンタイラとかいう娘はマグナと衛兵隊長との間にできた子だと広く信じられております。あるいは溜め池の掃除係の青年とマグナの子かもしれませんわね。確かなことは分かりません。我が息子ユリエルほど血統が明確な子は他にいないのです。ユリエルこそがセプティム王朝の末えいです。皆さま方、帝都の皇帝というのは、玉座に座った庶子という意味ではありません。それだけは間違いありません」 穏やかに、しかし実行動を要請する言葉で彼女は演説を締めくくった。「皆さま方が後世に恥じることのないよう、何をすべきかご存じのはずです」 その夜、宮廷の食堂室のうち彼女が最も気に入っている地図の部屋で、ポテマは兄弟とその妻たちをもてなした。壁全体に、帝都と、その外側にあって存在を知られているすべての大地、すなわちアトモラ、ヨクンダ、アカヴィリ、ピアンドニア、スラスが、色あせてきているとはいえまだ鮮やかに描かれていた。頭上には巨大なドーム型のガラス天井があり、雨に濡れ、天の星々の光をゆがめて映し出していた。一分おきに稲妻が光り、そのたびに亡霊のような奇妙な影が壁に映った。 「いつ元老院に話をするの?」と、料理が用意されてからポテマが聞いた。 「するかどうか分からないよ」と、マグナスは言った。「言うことなんて何もないし」 「キンタイラの即位が宣言されたら僕は話をするよ」と、セフォラスは言った。「僕とハンマーフェルは即位を支持するということを、形式的に示すためだけにね」 「ハンマーフェル全域を代表して?」と、からかうような笑みを浮かべてポテマが聞いた。「レッドガードはさぞかしあなたのことがお気に入りなんでしょうね」 「ハンマーフェルと帝都との関係は独特なのよ」と、セフォラスの妻ビアンキが言った。「ストロス・ムカイ条約以降、私たちは帝都の一部ということになったけど、支配下にあるわけじゃないわ」 「あなたはもう元老院にお話ししたようね」と、マグナスの妻ヘレナがきびきびした口調で言った。彼女は生まれつきの外交家だったが、アルゴニアン王国を統治するシロディールの支配者として、逆境を認めた上で立ち向かうやり方を知っていた。 「ええ、したわ」と、蒸し焼きのジャルフバードを味わうためにちょっと間をおいてからポテマが言った。「今日の午後、即位のことで短い演説をしたのよ」 「姉さんは、一流の演説家だからね」と、セフォラスは言った。 「言い過ぎよ」と、笑いながらポテマが言った。「演説より得意なことはたくさんあるわ」 「たとえば?」と、微笑みながらビアンキが聞いた。 「演説で何を話したのか訊ねてもいいかな?」と、疑わしげな顔でマグナスが聞いた。 食堂室のドアを誰かがノックした。給仕長が何ごとかをポテマにささやくと、彼女は微笑み返し、椅子から立ち上がった。 「賢明にことを進めてくれるのであれば、即位を全面的に支持すると伝えたのよ。それのどこに悪意があるというの?」そう言ってポテマはワインの入ったグラスを手にドアへと向かった。「ごめんあそばせ。姪のキンタイラが何かお話しがあるらしいの」 キンタイラは衛兵とともに廊下に立っていた。ほんの子どもではあったが、考えてみれば自分が彼女と同じ年の頃にはマンティアルコと結婚してすでに2年が経っていたのだ。似ている感じは確かにあった。黒い瞳と、大理石のようにきめが細かく滑らかで青白い肌をしたキンタイラは、ポテマの目にも若い女王らしく見えた。叔母の姿を目にして一瞬、キンタイラの瞳に怒りが浮かんだが、感情の乱れはすぐに去って、皇族らしい落ち着いた物腰になった。 「ポテマ女王……」と、キンタイラが穏やかに言った。「二日後に私の即位式が行われると聞きました。あなたの参列は歓迎されないでしょう。お荷物はあなたの召使いに命じてまとめさせてあります。今晩あなたが王国に帰るにあたり、護衛の者をおつけします。以上です。さようなら、叔母さま」 ポテマは言葉を返そうとしたが、キンタイラと衛兵は背を向け、廊下の先にある大広間へと戻っていった。狼の女王はその後ろ姿を見つめてから、地図の部屋に再び入った。 「義理の妹さん……」と、深い悪意を示してポテマがビアンキに呼びかけた。「演説よりも得意なのは何かって聞いたわよね? 答えは『戦』よ」 物語(歴史小説) 茶2
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/222.html
タペストリー職人へのインタビュー 第18巻 アネクイナの心 帝都大学教授 リヴィラス・ペラス 著 マクァマット・ルサイン(第17巻でインタビューをされた人物)と同時代に生きたカジートのチェリムが織り成すタペストリーは、この30年間で帝都一の傑作と称えられている。彼の4つの工房はエルスウェーアに点在し、彼の作品を複製している。彼のオリジナルの作品は目から星が飛び出そうな値段で売られている。皇帝もチェリムのタペストリーを10点所有しており、皇帝の代理人が今も追加5点の販売について交渉にあたっている。 チェリムの作品は、輝く質感と押さえた色使いとを対比させているところがこれまでのタペストリーとは違うところだ。近年の彼の作品のテーマは古代の伝説である。たとえば「世界の配置を決める会議」や「預言者ヴェロスについてモロウウィンドへと旅するシマー」、「白金の塔における野生のエルフとモーリアウス軍の戦い」などがある。彼の初期の作品は同年代のテーマを扱っていた。この度、私は彼の最初の傑作、「アネクイナの心」について、オークレストにある彼の邸宅で話を聞く機会を得た。 「アネクイナの心」はエルスウェーアとヴァレンウッドとの間で巻き起こった第三紀394年(または開戦時期に関する別の説によると第三紀395年)から第三紀399年までの五年戦争を描写している。もっとも公正な報告によれば、この戦争は4年と9ヶ月続いたのだが、叙事詩人の創作上の特権により、厳しい苦難の3ヶ月が後づけされた。 この戦争の詳細は、チェリムの手によって細かく描写されている。120人ものウッドエルフの射手はそれぞれの顔を区別することができ、カジートの軍隊が忍び寄る恐怖の表情まで見て取れる。彼らの鎖帷子は太陽の薄暗い日光をとらえている。エルスウェーアの戦猫の恐ろしい影が丘の上におぼろげに見え、筋肉が盛り上がっており、命令を受ければすぐに飛びかかれるような体勢のようであった。これほどまでに詳細に描写できるのも、チェリム自身がカジートの歩兵としてこの戦争にいたからである。 カジートの伝統的な鎧の細部が前方の兵士の様子から見てとれる。刺繍が施され、縞模様の入ったチュニック。ゆるい皮製の鎧の上に着けられているエルスウェーアスタイルの漆のプレート。布と縦溝堀の入った銀で作られたヘルメット。 「僕には胸当ての良さなんかまったくわからないよ」とチェリムは言った。「暑いし、火をつけられて埋葬される気分だ。ゼリニンの戦いの間、ノルドの相談役が強く薦めるものだから着たけれど、仲間のカジートの動きを見ようと顔をそっちに向けても見られないんだよ。この戦いの間、タペストリーの図案のためにスケッチをしていたおかげで、とてもリアルに表現することに成功した。人々は鉄のゴーレムやドゥーマーの大隊長みたいにまるで機械仕掛けのような姿となったよ。カジートの指令官をよく知っていたから、彼がこの重い胸当てを脱ぎ捨てたのが、実戦のため、というより自分の美学のためだったことを知っても別に驚かなかった」 「エルスウェーアはゼリニンの戦いに敗れたのですよね?」 「ああ、でも次の『アネクイナの心』の戦いでは勝ったよ」とチェリムは笑顔で答えた。「カジートがノルドの相談役をソリチュードに追い返すと流れが変わったんだ。彼らの勧めで今まで着ていた重いよろいを脱ぎ去ったら、伝統的な鎧の着心地の良さが十分にわかったよ。明らかに、伝統的鎧の一番良いところは動きやすいところ、タペストリーの中の兵士たちを見ても自然な感じだとわかるだろう」 「後方の下のほうで戦い続けてる、かわいそうにも穴を開けられたキャセイ・ラートが見えるだろ。他の優勢な箇所もわかるかな? 表現としておかしいかもしれないが、伝統的な鎧の最も優れた特徴の1つは、矢を完全に跳ね返すか、完全に突き抜けてしまうかだということだ。矢の先端は鉤針のようになっている。矢は貫通しなくても、刺さった部位からしつこく抜けなくなる造りになっている。伝統的な鎧を着ていれば、体に穴が開いて、矢が反対側に抜けてしまうだろう。この場合、その傷が致命的なものでなければ治癒師の力でなんとか直せる。しかし、もし重いほうの鎧に矢がまだ突き刺さったままであれば、矢尻は動くたびに傷口を広げていく。鎧を脱ぎ去り、矢を引き抜かない限りね。カジートはゼリニンの戦いでそうするべきだったんだろうが、そんなことを戦いが熱く繰り広げられる中でやるのは難しいし、時間もかかる」 次に、「この作品の中には自画像が描かれていますか?」という質問をした。 「ああ、あるよ」とチェリムはにこやかな笑顔で答えた。「ウッドエルフの死体から指輪を盗んでる小さな男がいるだろ? 背中を向けているが、茶色と橙色の尻尾はまさしく私だ。カジートに関する固定観念が常に正しいとは言わないけれど、たまにはそれも認めなきゃね」 自画像で自分を卑下するやり方は、第19巻でインタビューに答えるタペストリーの芸術家、ラヌルフ・フックにも顕著に見られる。 茶2 随筆・ルポルタージュ
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/99.html
ペリナルの歌 第1巻:その名について [編者注:1巻から6巻に収められた文章は、帝都図書館所蔵のいわゆるレマン文書から採られたものである。この文書は、第二紀初期に無名の研究者によって集められたもので、古代文書の断章の写しからなる。古代文書のそもそもの出所は不明であり、いくつかの断章は同時期に書かれた(同じ文書からの断章という可能性もある)ものと考えられている。しかし、6つの断章の成立時期に関する学術的な合意は得られておらず、ここでもその断定は避ける。] 彼の名前「ペリナル」はまことに驚くべきであり、奇妙である。多くの異名は後についたものにすぎない。それはエルフの名であるが、ペリナルはエルフに災いをもたらすものであり、その名はエルフにとって皮肉というよりも残酷であった。若い時分から、ペリナルは白髪をたなびかせ暴れまわった。敵であるエルフたちが彼らの言葉で彼をペリナルと呼んだのだろうか、しかし、その名がエルフの言葉で「栄光の騎士」を表していて、もちろん彼がそのような存在ではなかったことを考えると、そうとは考えにくい。彼がタムリエルにいた頃、他のものたちは多くの異名をペリナルの名に加えて呼んだ。彼は、光り輝く左手で敵を討つペリナル・ホワイトストレークであり、血(を飲ん)で勝利を祝うペリナル・ブラッディであり、聖戦士たちを立ち上がらせたペリナル・インサージェントであり、兵士がその旗印を見て八大神に感謝を捧げる、勝利の化身ペリナル・トライアンフであり、彼の剣一本に頼る戦略について来られない味方を叱責するペリナル・ブレイマーであった。また彼はペリナル・サードとも呼ばれたが、これについては彼が三度よみがえった神の化身であるからとも、彼が反乱に加わる以前、聖アレッシアとも呼ばれるペリフが自由への祈りの中で見た3番目の幻影が彼の姿だったためともいわれている。 歴史・伝記 赤1
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/64.html
アレッシア・オッタスの コロール案内書 ステンダールを称え、九大神を称え、全ての聖人を称えよ! 私の名はアレッシア・オッタス。皆様に、コロールの全てについてお伝えしましょう。 コロール城 コロールはコロール州の州都であり、女伯爵アリアナ・ヴァルガによって統治されています。彼女は非常に正しい女性で、彼女の娘は美しく貞節な、レヤウィン伯爵夫人のアレッシア・カロです。 アリアナは敬虔なアカトシュの信奉者で、ステンダール聖堂での礼拝を欠かさず、領民の良き模範となっています。彼女の夫、故チャラス・ヴェルガ伯爵もまた信望厚い信仰のディフェンダーでステンダール信者だったので、彼がスカイリムの異教のノルド人との戦いで命を落としたという知らせは領民に大きな悲しみをもたらしました。アレッシア・カロはレヤウィン伯爵の良き妻であり、コロール伯爵の子女としての本分を尽くしています。彼女はよくコロールに戻り、素晴らしい母親のもとを訪ねています。 素晴らしいことに、城に仕える魔術師もまた(他の多くの魔術師が神の教えと信仰を軽んじているのと違って)公正で敬虔な九大神の信徒です。彼女、シャネルは、不信心ものを罰しようとする正しい人々のために魔術を教授しているので、へたな魔術師ギルドのいかがわしい魔術師たちに教わるぐらいなら彼女のところへ行くべきでしょう。 女伯爵は毎日大広間で会議を開いています。(もちろん、日曜日以外ですが)彼女には素晴らしい使者や執事がおり、城は品格と秩序が保たれています。また、城には地下牢があるのですが、残念ながら衛兵たちは怠慢で、町中にたむろする物乞いや泥棒、博徒、詐欺師を捕まえてせっかくの牢屋に放り込もうともしません。 コロールの地域 コロールは5つの区域に分かれています。門を入ったところはファウンテン・ゲート地区で、美しい泉があり、大戦で犠牲になった人々に捧げられた聖サンクレ・トールの像が立っています。泉の周りには2件の宿屋、雑貨店、鍛冶屋があります。そこから東への道は城へ、北への道はグレート・オーク広場へ、西への道は聖堂通りと西コロールへ、それぞれ通じています。西の聖堂へ行く道の途中には本屋があり、聖堂より西は西コロール地区で、井戸の周りに簡素な小屋が集まっています。グレート・オーク広場の周りには魔術師ギルドと戦士ギルド、そしてたくさんの立派な家があります。 スタンデール聖堂 スタンデール聖堂は美しい建物で、巡礼の祈りと瞑想に申し分のない場所です。毎週日曜日の朝には、この町の正しい人々とよき領主が礼拝のために聖堂に集まります。しかし嘆かわしいことに、女伯爵という素晴らしい模範がありながら、コロールの住民の多くは怠惰で信仰を軽んじています。きっと、魔術師ギルドと戦士ギルドの構成員が悪い手本になっているせいでしょう。聖堂の女司祭、オラグ・グラ=バーゴルは親切で正しい老婦人で、魔術師ギルドの邪悪な異教徒から呪文を買うくらいなら彼女から買ったほうがずっと良いでしょう。 コロールのギルド 戦士ギルドを率いているのは優秀で誉れ高いヴィレナ・ドントンですが、その構成員は粗野で汚い言葉で話し、たいてい支部で怠けているか、町中をうろつきながら耳障りな雑談をしているかのどちらかです。彼らがスタンデール聖堂での礼拝の習慣を身に付けて行いを正せば、戦士ギルドはずっと良くなるでしょうに。ただし、戦士ギルドの優秀な鍛冶屋は特別です。彼女はよく聖堂で礼拝をしています。 コロールの魔術師ギルドにいる学者は役立たずばかりで、生徒たちは本を読んだり罵りあったり、悪臭のする薬を調合して時間を潰しています。彼らは教養があって正しい言葉づかいができますが、懺悔と祈りによって魂を磨くこともしないくせに、そんな学問がいったい何になるというのでしょう? ここの魔術師ギルドで呪文や薬を買うことはできますが、そこで払うお金は彼らにくだらない娯楽や怠惰な時間を提供するだけでしょう。 商店とサービス ノーザン・グッズ商店のシード・ニーアスはアルゴニアンですが、他のアルゴニアンと違って賢く、誠実で、丁寧な応対ができます。素晴らしいことではないですか? 彼女は商才があり、その成功の技術を教授していますが、店の品物を安く売ってくれることはないでしょう。 火炎と鋼鉄鍛冶店の鍛冶師、レッドガードのラシーダは優秀な職人であり、その技術を教授しているようです。彼女は日曜の礼拝に毎回来ていますが、人間的に未熟で礼節に欠け、行儀や身なりも良くはありません。 レノア書店はきれいな店構えで品揃えも豊富ですが、信じられないことに『九大神の十戒』を一冊も置いていませんでした。しかも、女店主は一度もスタンデール聖堂へ来たことがありません。いったいどういうことでしょうか? この町に、食べ物と寝床を提供してくれる宿は2軒だけあります。一軒は上品で清潔で、立派な人々になじみにされている宿です。もう一軒は粗野で不潔で、酔っぱらい、泥棒、オークの溜まり場になっています。一方は身なりの良い上品で礼儀正しい婦人が、もう一方はだらしのない若い女性が経営しています。宿の名前はそれぞれ「オーク・アンド・クロージャー亭」と「グレイ・メア亭」です。清潔で安全な寝床を提供してくれるのはどちらの宿か、もうおわかりですね。 コロールの著名人 作家キャスタ・スクリボニアはコロールに住んでいます。彼女は教養があり、各地を旅した経験を持ちますが、彼女の著作はあまりおすすめできません。なぜなら、彼女の作品はどれもロマンスとゴシップと、他の低俗な娯楽を題材にしていて、主人公たちは九大神を信仰する者なら誰もが持っているはずの美徳、道徳、貞節、神への崇敬を見せず、読者の子供たちの悪い手本となりかねないからです。 コロールの不名誉な特徴 魔術師ギルドや戦士ギルドの近くのグレート・オークにはよく町民が無為に集っては雑談をしています。ホンディターという名の狡猾な男が、周辺の土地で起こること全てを知っています。彼はお金と引き換えにスキルを教えていますが、この男を聖堂で見かけることはなく、どうも罰当たりな行動や深酒、喧嘩に耽溺しているようです。 コロールは殺人や泥棒の多い町です。彼らはなんと家で犯罪の技術を教えて授業料を稼ぐことさえあります。衛兵はいったい何をしているのかって? 残念ながら、彼らを町中で見かけることはありません。 コロールの物乞いは身なりは汚いですが、健康で態度が良く、陽気です。いい気分になるために小銭を恵んでやってもよいでしょうがそのお金はすぐに賭け事や強い酒などのくだらないことに使われてしまうので、彼らのためにはならないでしょう。 九大神の祝福とご加護がありますように! 地理・旅行 茶2
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/86.html
盗賊以上に、自分自身を頼りにする仕事はまずないだろう。 盗賊は本来一匹狼だ。 誰も信用しないし、ほとんど誰からも信用されない。 師匠の下について弟子になるというわけにもいかない。 いかにして技能を活かすかを体系的にまとめてくれるギルドもない。 犯罪は夜の闇に紛れて一人で行われる。当局に捕まるのを避けるため、日中は隠れていなければならない。 盗賊に認められている唯一の神はノクターナルだ。 真の女神というわけではないが、それでもなお、このデイドラの主は強力な影響力を持つ存在だ。 彼女は影の女主人で、秘密や隠密行動に関することに支配力を振るっている。 崇拝者を求めたりはしないし、彼女のことを心から認めている者たちであっても、必ずしも祝福してくれるわけではない。 実際、忘れ去られたほこらがあるという噂はあるものの、シロディールに彼女を奉る神殿として知られているものはない。 言い換えるなら、彼女は盗賊の犯罪的な気性に完ぺきに合っている。 概して、盗賊というものは神を否定しがちな輩だ。信じるのは己の腕とずる賢さだけだからだ。 とはいえ、神々およびデイドラの主の存在と影響力は否定できないものだから、盗賊たちはノクターナルに対するぎこちない関係を保っている。 中には本当に彼女を崇めている者もいるが、大部分は忠義心なしに敬意と畏怖の念を抱いているのだ。 もし万が一、影の女主人の怒りに触れるようなことをしたら、不都合な事態がもたらされるかもしれないことを犯罪者たちは認識している。 しかし、仮に真の崇拝と忠義心を捧げたとしても、それで何か確かな恩恵が得られるわけではない。 盗賊にとっての天恵とした昔からの言葉に、「影が隠してくれる」というものがある。 これはノクターナルへの遠回しな言及だ。 だが同時に、実際の影が盗賊を隠してくれるということを、有神論とは無関係に述べた言葉だとも解釈し得る。 盗賊は黒あるいは黒っぽい服を着る傾向がある。 それは彼らが犯罪的な試みを行う際の実用性を考えてのものではあるが、日中であればその必要はない。 それでも多くの盗賊たちは、ノクターナルを認めていることを無言のうちに示すため、そういった暗い色を身にまとっている。 とらえどころのない盗賊の文化とノクターナルとの最も衝撃的な結びつきを示しているのが、グレイ・フォックスの物語である。 彼は神話的な盗賊の王様だ。 伝説によればグレイ・フォックスはノクターナルの隠蔽の衣からフードを盗んだことになっている。 どうやらその話自体は、盗賊たちの自尊心を鼓舞するために何世紀も前に作られたものらしい。 それでも、今も続いているデイドラの主と帝都の犯罪者たちとの結びつきが、そこに暗示されているといえよう。 デイドラの神像関連 盗賊ギルド関連 神話・宗教 茶3
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/48.html
アレッシア・オッタスの アンヴィル案内書 美しきディベラ、愛の女神! 私たちと子供たちを祝福してください! 私の名はアレッシア・オッタス。皆様に、アンヴィルの全てをお伝えしましょう。 アンヴィルは海辺にあり、一見するととても美しく見えます。しかし、細部に目を向ければ不愉快なものが多く目につくでしょう。水辺の景色は魅力的なものですが、町の外の船着場や港の周辺では船乗りや物乞いなど、汚い身なりの人々がうろついています。アンヴィル城は清潔でよく管理されているし、城壁に囲まれた家々のうち、いくつかはきれいで立派です。しかし、それ以外の家は住む人も無く荒れ果て、あるいはみずぼらしく剥がれ落ちた壁土がそのままにされています。町中では異常者や酔っぱらいの姿がいたるところに見られます。 アンヴィル城 アンヴィルの領主は、ミローナ・アンブラノクス伯爵夫人です。彼女の夫、コルヴァス・アンブラノクスは何年も前に失踪しましたが、軽薄で不真面目な人物で、馬鹿騒ぎをしては醜聞を振りまく癖があったため、伯爵夫人は彼がいなくなってかえって平穏な生活を送れるようになったといわれています。伯爵夫人自身は、高潔で敬虔な素晴らしい領主であると人々から慕われています。もしも彼女が衛兵に命じて船乗りや物乞い、怠け者、泥棒たちをみな町の外に追い出したなら、アンヴィルは今よりずっと住みやすくなるでしょう。 アンヴィルの地区 アンヴィルは5つの地区に分かれています。アンヴィル城は街壁の外の港を見下ろす場所に建っており、チャペルゲート地区の門から道が城へと続いています。壁に囲まれた街は3つの地区、東のチャペルゲート地区、西のウェストゲート地区、そしてその間に位置するギルドゲート地区に分かれています。港は街壁の外にあり、ウェストゲート地区の門から行くことができます。 チャペルゲート地区 シロディール中を探しても、ここより美しい聖堂にはお目にかかれないでしょう。聖堂と街壁の間には美しいディベラ像のある静かな庭園があり、瞑想にもってこいです。聖堂の向かいには素敵な庭園と、礼拝する人々を風雨から守ってくれる屋根つきの回廊があります。残念なことに、住民たちはこのような素晴らしい聖堂にほとんど興味を示さず、礼拝する住民もごくまれです。頭の軽い女司教のせいなのか、伯爵夫人が自ら礼拝に来て模範を示そうとしないからなのか、どちらの理由かはわかりません。 ギルドゲート地区 アンヴィルの最も栄えている地区はギルドゲート、正門、もしくは北門を入ったところにあります。この地区には、アンヴィルで最も立派な建物と最もみすぼらしい建物が隣り合って建っています。ギルドはよく管理されたきれいな建物のほうに属します。この地の魔術師ギルドと戦士ギルドはシロディール各地のギルドの中でも特に野心的で生産的です。魔術師ギルドの代表者であるキャラヒルは魔術の研究者として名声を得ており、交霊術、召喚術、黒魔術を公に批判しています。戦士ギルドは人材に恵まれて精力的に活動しており、シロディールにある他のギルドに見られるような無責任でやる気の無い態度とは無縁です。それに対して、魔術師ギルドのすぐ隣の建物は閉鎖された廃屋で、見苦しく荒れ果てていて本当に目障りです。 ウェストゲート地区 ウェストゲート地区は、アンヴィルの住宅街です。この地区にある家はみすぼらしく、荒れるにまかせてあります。住民はだらしがなく無気力ですが、唯一の例外はアンヴィルの有名人、アルゴニアンの女流作家クイルウィーブでしょう。彼女は下層階級の人間や犯罪者の悲惨な運命や陰謀の計画を描いた低俗な本を何冊か出しています。彼女の存在は、アルゴニアンが罪深く不誠実で、役立たずの人間未満の存在だという偏見を助長しているといえます。 港 船着場は補修がされておらず、荒れ果てて不潔です。船倉や今にも崩れそうな港湾倉庫からはあらゆる種類の悪臭が立ち上っています。役立たずたちがどこからか集まってきては、ここで日向ぼっこをしたり、噂話や無駄話をしたり、ワインやエールを買うために物乞いをしようか、盗みを働こうかと考えたりするのです。そこではミラベル・モネーという優しい女性が家のない船乗りのために宿を提供していますが、残念ながらその間違った慈善は単に酔っぱらいと怠け者を甘やかすことにしかなっていません。そんな無益なことをしている暇があるならば、彼女はあの不道徳な怠け者たちに九大神の教えと生産的な仕事を教えるべきでしょう。港はそんなありさまですが、南に行くと素敵な灯台があり、その上に上って遠く眺めれば、アンヴィルの城、町、そして港もそれほど不愉快には見えないでしょう。 九大神があなたを守り導いてくださいますように! 地理・旅行 茶3
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/52.html
アレッシア・オッタスの レヤウィン案内書 全ての労働にゼニタールの祝福を! 私の名はアレッシア・オッタス。レヤウィンの全てを皆様にお教えしましょう。 エルスウェーアとブラック・マーシュという野蛮な発展途上の地方に挟まれた土地に位置していること、またトパル湾から帝都へのニブン川の水上交通を守るという重要な役割をもつことから、レヤウィンは石垣と守備隊に囲まれた強固な要塞都市です。 ブラックウッドの沼だらけの自然の中にあるにもかかわらず、レヤウィンは明るく陽気なよく栄えた町です。道路は広くきれいだし、住み心地の良さそうな広い家々は木骨作りやしっくい塗りで、多くの家の壁はまるで今塗られたばかりのような美しい色で彩られています。町のいたるところに木々や花が植えられ、静かな広場や池の周りは瞑想をするのにもってこいの場所です。住民のアルゴニアンとカジートの低俗で大衆的な性質を無視すれば、レヤウィンは巡礼者にとって感じの良い安全な町だと言えるでしょう。 レヤウィン伯爵はマリアス・カロといい、彼が最近花嫁に迎えた美しく賢いアレッシアは、あの信望厚いコロールの女伯爵アリアナ・ヴァルガの娘です。伯爵夫妻は帝政化を熱心に推進しており、ニベン人によるハートランドの帝都文明である、伝統的な勤勉さ、礼拝の習慣、遵法精神などを辺境の未開人たちに広めるために尽力しています。 町はニベン川西岸に建てられた高い幕壁に囲まれています。町の東端にある2つの門の中にはさらに城壁があり、その中にはレヤウィン城が川の深い部分をまたぐように建っています。ゼニタール聖堂は町の北西、西の門にほど近い場所にあります。商店、宿屋、ギルドは全て聖堂の南側、町の西半分に密集していますが、そこ以外にも良い本屋と貿易商の店が一軒ずつ、西の門からのびて町を東西に横切る道の北側にあります。住宅街は町を南北に走る大通り沿いにあり、住宅街の東にはニベン川の曲がりくねった部分を囲い込んで作られた深い池が2つあります。 ステンダール聖堂と伯爵夫妻は、ニベン文化の恩恵を辺境の地に住む原住民に広めるために協力し合っています。グリーン・ロードおよび最近開通したトランス・ニベン周辺での盗賊による被害があるにもかかわらず、守護神ゼニタールの祝福のおかげでレヤウィンの産業・貿易は栄えています。 レヤウィンの自慢のタネは、シロディール随一(もちろん、帝都州は別にして)の商店や商人の質の高さです。さらに、職人や戦士ギルド・魔法ギルドの講師にいたるまでが、優れた能力を持っているのです。中でも、サザン書店には注目です―― この本屋を経営しているのはなんとオーク(!!!)で、『こどもの神学』の在庫を切らしません。この本は、神の教えを本当の意味で理解していない人々にも易しく読めるのでおすすめできます。 最近、戦士ギルドのライバル組織とも言える傭兵会社「ブラックウッド団」がこの地に新しい本部を建て活動を始めました。ブラックウッド団の構成員のほとんどはアルゴニアンとカジートですが、役員たちは礼儀正しく、丁寧で上品な言葉遣いで話すことができるようです。彼らは私に、ブラックウッド団は値段とサービスの品質で積極的に戦士ギルドと競争すると話してくれました。(これは帝国民として正しい行いであり、ゼニタールもきっとお喜びになるでしょう―― 新進の事業は産業の繁栄にとって有益です) 残念なことに、レヤウィンに住む全てのアルゴニアンとカジートが、ブラックウッド団の構成員のように勤勉で模範的な人々ばかりなわけではありません。町中ではどんな時間でもアルゴニアンのトカゲどもやカジートのネコどもが道端にたむろし、無駄話をしています。彼らがほんの少しの時間でも自分自身と家をきれいにすることに費やしてくれたならよいのに。 九大神を称え、罪に背を向けましょう! 地理・旅行 茶3