約 3,520,712 件
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/268.html
ケメル・ゼーの廃墟 ロナルド・ノードセン 著 帝都協会で浴びた拍手喝采がまだ耳に残っているうちから、私はもうモロウウィンドへ戻る決心をしていた。帝都での贅沢な暮らしが名残惜しくないと言ったら嘘になるが、ラレド・マカイから持ち帰った驚きなど、モロウウィンドにあるドワーフの遺跡の上っ面をなぞっただけのものでしかない。あそこにはまだ目を見張るような宝が埋もれていて、掘り起こされるのを待っているのだ。出発しないわけにはいかなかった。それに、哀れなバナーマンの示唆に富む前例もあった。二十年前、ブラック・マーシュで一度きりの発掘を行い、今になってもそのおこぼれで食いつないでいるような男になるつもりなどない。私はそう誓ったのだ。 女王の手紙を持っていたので、今回ばかりは帝都政府も全面的に協力してくれそうだった。もう、迷信深い地元民に襲われる心配もない。が、いったい次はどこを探せばいいのだろう? ケメル・ゼーの廃墟は妥当な選択だった。ラレド・マカイのように廃墟にたどりつくまでが苦しいということもない。“崖の街”としても知られるケメル・ゼーはヴァーデンフェル断層の本土側にあって、断崖絶壁の海岸線のたもとに広がっている。ヴァーデンフェルの東海岸からなら海路で訪れるのが一般的だが、近くの村から陸をとっても、余計な苦労を背負い込むことなくたどりつける。 探検チームがセイダ・ニーンに集結すると、こうした文明の遅れた土地での作業につきものの面倒をうんざりするほど抱えたまま、私たちは廃墟にほど近いマログの村へと出発した。発掘の作業員はその村で雇えばいいだろう。私の通訳を担当するツエン・パナイはダークエルフらしからぬ陽気な男で、地元の軍司令官から推薦されてセイダ・ニーンで雇ったのだった。パナイいわく、ケメル・ゼーを熟知しているマログの村人たちは、祖先の代からあの廃墟を荒らしているらしい。ついでだが、テン・ペニー(その場でつけた彼のあだ名で、本人も気に入っていた)は雇っても後悔させない男で、モロウウィンドの原野への似たような探検を考えている同僚がいたら、ためらうことなく彼を推薦しようと思う。 マログ村で最初の困難にぶつかった。控えめで気品のある村の長は快く協力してくれそうだったが、村の僧侶(この地で信仰されている、モロウウィンドの王宮に住んでいるという法廷なる存在を崇拝するくだらない宗教の代表者)が廃墟の発掘に対して激しく抗議してきたのだ。この僧侶は、この発掘が“宗教的禁忌”にあたると訴えかけることで村人を懐柔しにかかったが、私が女王の手紙を彼の鼻先で振ってみせ、セイダ・ニーンに詰めている軍司令官の友人のことを口に出すと、たちまち静かになった。この猿芝居が、村人が画策した賃上げ交渉の基本戦術であることは疑いようがない。とにもかくにも、僧侶は何やらつぶやきながら歩き去った。外国からやってきた魔性のリーダーに呪いをかけているのだろう。ほどなくして、なんとしても作業員の職につきたいという顔をした村人が列を成した。 契約条件や支給品などの委細を煮つめるのは助手に任せておいて、私とアルム師は廃墟まで馬を駆った。陸路から廃墟へ向かうには、断崖の壁面に沿って上からうねうねと伸びている小道を通らなければならず、一歩間違えば、眼下のいかつい岩場で渦巻いている海へと転がり落ちていくことになる。街への入口はもともと北東にあったに違いない。はるか昔、赤き山の噴火によってこの度肝を抜かれる火口が生まれたときに、それは海面下に沈んでしまっていたのだが。足場のぐらつく小道を首尾よく突破すると、大部屋のような場所へやってきた。片側は吹き抜けになっていて大空が広がり、もう片側は闇の中へ消えていた。歩を進めていくと、鉄くずの山をブーツで踏みつけた。古代遺跡で見かける陶片のように、ドワーフの廃墟ではお馴染みのものだ。略奪者たちはきっとこの場所で、遺跡の奥から見つけてきたドワーフ製の機械から金になる外殻だけをはぎ取り、無駄な部品を置き去りにしたのだろう。そのほうが、機械を分解しないまま崖のてっぺんまで運ぶよりはずっと楽だろう。何人もの戦士が知らず知らずのうちにドワーフ製の機械の一部を背負いながらタムリエルを歩きまわっている姿が浮かんできて、私はほくそ笑んだ。もちろん、それがたいていの“ドワーフの鎧”の正体、つまり、古代の機械人間の強化外骨格にすぎないのだ。完全な姿の機械であったら、どのくらいの値がつくのだろうと思い、ふと我に返った。大広間の床を埋めつくす鉄くずの量から判断するに、この廃墟がドワーフ製の機械装置の宝庫であることは確実だろう、いや、確実だったろう。何世紀もかけて、略奪者はここを荒らしまくってきた。外殻だけでも、鎧として売れば、まとまった金になるのだ。たいていのドワーフの鎧は雑多な部品の寄せ集めのため、かさばって扱いにくいというのが通説だ。が、完全な一体の機械から作られる鎧一式なら、金に換えられる以上の価値があるだろう。すべての部品が滑らかに重なり合い、そのいかつさがほとんど気にならなくなるのだから。もちろん、どんなに価値があろうとも、見つけた鎧を壊すつもりなど毛頭ない。科学的研究のために協会に持ち帰るつもりだった。今度の講義で鎧をお披露目したときの同僚たちの驚嘆ぶりを思い描いて、私はまた微笑んだ。 私は足元の鉄くずの山から、捨てられた歯車を拾った。まだ新品のように輝いていた。ドワーフ製の合金は時が経っても腐食しない。目の前に横たわる空洞の迷宮にはいったいどんな秘密が眠ったままになっているのだろうか。略奪者の企みを寄せつけないまま、気の遠くなるような時間を経て再び光のもとにさらされ、輝く時を待っている。私のことを待っている。私が見つけるためだけにとどまっている。急き立てるようにアルム師を手で呼んでから、私は暗がりに歩を進めた。 アルム師、テン・ペニー、そして私は数日間かけて廃墟を探検した。助手が崖のてっぺんに野営地を設営し、村から物質や装備品を運んできてくれた。私は実りの多そうな場所が見つかればいつでも発掘に取りかかるつもりでいた。廃墟内の前人未到の場所へと続く、略奪者の触れていない封鎖された通路や廊下が見つかれば。 そういった場所はすでにふたつほど見つけていたが、すぐに、何本かの曲がりくねった通路が封鎖地点を迂回して背後にある部屋へと通じていることがわかった。こうした外縁地域にも略奪者の手は伸びており、何世紀にもわたる発掘でほとんど秘宝は奪われていたものの、目に映るものすべてに考古学者の興味はそそられた。はるか昔の地殻変動で蝶番がふっ飛んでしまった巨大な青銅の扉の背後に、壮麗な彫刻が壁に施された大部屋を発見した。疲れ果てていたテン・ペニーでさえも目を見張っていた。彼はモロウウィンドのドワーフの廃墟なら完全踏破したと豪語していたのだが。壁の彫刻はなんらかの古代の儀式を描いたものらしかった。古典的なあごひげを生やしたドワーフの長老が長い列を成して横の壁を行進していた。どのドワーフも、正面の壁に彫刻された巨大な神らしきシルエットにお辞儀をしているように見えた。そのシルエットは山の火口から一歩踏み出し、煙か水蒸気の雲に飛び込もうとしていた。アルム師の話では、これまでにドワーフの宗教儀式が描かれたことはなく、とても刺激的な発見だと述べた。私は作業班に命じて、彫刻された石版を壁からはぎ取らせようとしたが、表面を傷つけることさえできなかった。詳しく調べてみると、この大部屋は手触りも見た目も石に模した金属性物質で表面加工されているため、手持ちのツールではまったく歯が立たなかったのだ。アルム師の魔法で壁を爆破してもらおうかと考えたが、彫刻そのものを破壊してしまうリスクを負うことはできず、諦めた。これらの彫刻を帝都に持ち帰りたいのはやまやまだったが、石ずりをとるだけで我慢した。協会の同僚が興味を示せば、石版を安全に取り外せるだけの知識が備わった、名人級の錬金術師のような専門家を紹介してもらえるだろう。 私は変わった部屋をもう一つ、蛇行する長い階段のてっぺんに見つけた。天井から落っこちた瓦礫をかき分けてなんとか進んだ。階段を上がりきると丸天井の部屋になっていて、大がかりな壊れた装置が中央に据えてあった。丸天井の表面のところどころに星座が描かれているのが今もまだ見てとれた。この部屋は天文台のようなもので、中央の装置はドワーフ式天体望遠鏡の残骸だろうということで、アルム師と私の意見は一致した。装置を取り外して狭い階段で運び下ろすには、完全に分解する必要があった。(だからこそこの装置は略奪者の目に留まらずに済んだのだろう)ため、ひとまずは持ち帰るのを諦めることにした。が、この天文台の存在が、この部屋がかつて地上に出ていたことを示唆していた。構造を細かく調べてみると、この部屋は堀り穿たれたわけではなく、実際の建物であることがわかった。もう一つの出口は完全に塞がれていた。崖のてっぺんから最初の部屋まで、さらにこの天文台までの深さを慎重に測定してみたところ、私たちは現在の地表から250フィート以上も地下にいることがわかった。もはや忘れられているが、赤き山の噴火はそこまで凄まじいものであったのだ。 この発見によって、私たちの意識はさらなる地下へと向けられた。古代の地表のおおよその位置がわかった今、それよりも上にあるふさがれた通路は無視してもよくなった。私の興味をとらえたのは、模様の彫られた円柱が両端に並んだ幅広の通路だった。はなはだしい落石のせいで行き止まりになっていたが、略奪者の掘ったトンネルが瓦礫の山の途中まで続いていた。発掘チームとアルム師の魔法が揃えば、先駆者が諦めた地点から作業を引き継ぐことができそうだった。ダークエルフのチームを呼んで通路を片づけさせ、ようやくケメル・ゼーの本格的な発掘にとりかかれる。私は安堵した。じきにこのブーツで、世界が始まってから一度も踏みつけられたことのない埃を巻き上げることになるのだろう。 こうした期待感に興奮しすぎたのか、私は採掘人をいささか追い立てすぎてしまったようだ。テン・ペニーの報告によると、彼らは労働時間の長さに文句をつけはじめ、こんな仕事はやってられないと口にする者までいるらしい。ダークエルフに気合を入れ直させるには鞭で脅すのが一番だというこを経験上学んでいたので、私は彼らのリーダーを鞭打って、通路が確保されるまで残りの採掘人たちを働かせた。セイダ・ニーンから数名の帝都兵を同道させたのは正解だった。採掘人たちは最初こそ渋い顔をしていたが、トンネルが貫通したさいには一日分のボーナスを与えると約束すると、意気揚々と作業に取りかかった。文明生活に慣れてしまっている読者には野蛮なやり方に聞こえるかもしれないが、こういう人種を作業に従事させるにはこうするより他はないのだ。 落石の規模は思ったよりもひどかった。結局、通路を確保するまでにほぼ二週間を要した。採掘人のつるはしが最後の穴を開けて反対側の空洞へと抜けたときには、私も彼らに混じって大喜びし、終わりよければすべてよしという意味で地元の酒をまわし飲みした(ひどい味だったが)。採掘人が向こうの部屋に進めるよう穴を広げるのを見ながら、私ははやる気持ちを抑えられなかった。この通路は古代都市の新たな階層へ続いていて、そこには消息を絶ったドワーフの残した秘法が埋まっているのだろうか。それともただの袋小路で、どこにも続いていない横道にすぎないのだろうか。私は興奮に打ち震えながら穴をくぐり抜け、その先の暗闇でしばらくしゃがんでいた、足元で砂利が擦れる音がして、あたりに鳴り響いた。大きな部屋にいるらしかった。それもかなり大きな部屋だ。私はゆっくりと立ち上がり、ランタンの覆いを取り払った。灯りが部屋を満たし、呆気に取られながら部屋を見渡した。それは想像を遥かに超える驚愕すべき光景だった。 ランタンの漏らす光が落石地点の向こうの部屋を満たしていき、私はまたもや驚きの眼差しをぐるりと投げかけた。ドワーフ製の合金の放つほのかな輝きで満ちていた。古代都市の未知の領域に足を踏み入れたのだ! 興奮のあまり心臓が早鐘を打っていた。私はあたりを見渡した。部屋はあきれるほど巨大で、天井はランタンの光が届かない闇まで突き抜けていた。部屋の奥は暗くてよく見えないが、思わせぶりな光のまたたきが、まだ見ぬ宝物の存在をほのめかしていた。両側の壁に沿って機械人間が立ち並んでいて、荒らされた様子はなかったが、奇妙な点がひとつだけあった。儀式的な意味でもあるように、その頭部が取り外されて足元に置かれていたのだ。考えられることはただひとつ。私は偉大なドワーフの貴族の墓を発見したのだ。ひょっとすると、ドワーフの王のだ! この種の墓所は何度か発見されていて、もっとも有名なのはランサム率いるハンマーフェルの発掘で出土したものだろう。が、完ぺきな状態の墓は未発見だった。そう、今までは。 が、これが本当に王族の墓所だとしたら、その主はどこにいるのだろう? 私はそろそろと前進した。時代を超えてそうしてきたように、頭のない人形の列が静かに立ちすくんでいる。取り外された頭部の瞳で見つめられているような気になった。ドワーフの呪いに関する突拍子もない話ならさんざん聞かされていたが、私はそのたびに迷信だと笑い飛ばしていた。が、今こうして、この都市を作った謎の建築家が吸ったのと同じく空気を吸っていると、そして彼らに災いをもたらした天変地異が起きてからひっそりと眠りつづけていた都市に立っていると、恐怖心がわいてきた。何らかの力が漂っている。私の存在に立腹している邪悪な力が。私はしばらく立ち止まって耳をすませた。ひっそりと静まり返っていた。 いや…… かすれるような音が聞こえてきた。呼吸するように一定の間隔で。私はパニックに襲われそうになるのを懸命にこらえた。武器もない。塞がれた通路の向こうを探検したいと気が急くあまり、危険が待っているなどはつゆほども思わなかった。脂汗をたらしながら、気配を感じようと暗がりに視線を這わせた。部屋は暖かい。ふと気づいた。これまでのどの部屋よりもかなり暖かく感じる。興奮が舞い戻ってきた。いまだに機能している蒸気パイプ網につながっている区画を見つけたのだろうか? 廃墟のいたるところで見かけた配管が壁沿いに走っていた。私は配管に近づいて触れてみた。ほとんどさわれないほど熱かった。古代の配管のあちこちが腐食して、か細い蒸気が噴き出しているのがわかった。私が聞いた音はこれだったのだ。みずからの早計さを笑った。 さて、私はさっそうと奥まで進んだ。ついさっきまでは気圧されそうな迫力があった機械戦士たちに笑顔で敬礼をしながら。光が数世紀ぶんの闇を追い払っていき、台座にそびえるドワーフ王の巨大な彫像が露わになっていくにつれて、私は勝利の笑みを浮かべた。ドワーフ王はその鉄の手に錫杖をにぎっていた。これまでの苦労が報われたぞ! 私は台座をゆっくりとひと回りし、古代ドワーフの職人芸にため息をもらした。黄金の王は高さが20フィートほどで、ドーム型のクーポラの下に立っていた。先端が反り返った長いあごひげを威厳たっぷりにたくわえていた。ぎらつく鉄の視線にずっと追われているような気がしたが、私の迷信深さはもう消えていた。私は慈しむように古代ドワーフ王を眺めた。わが王、既にそんなふうに思いはじめていた。台座に乗っかって彫刻された鎧を間近で観察しようとした。と、彫像の眼が開き、篭手をつけた拳を振りあげて殴りかかってきた! 黄金の腕が振り下ろされ、私は身を翻してかわした。直前まで立っていた場所から火花が飛び散った。蒸気を吹き、歯車をきしませながら、彫像はぎこちない動きでクーポラの天蓋から歩み出ると、ものすごい勢いで私のほうへ迫ってきた。慌てて後ずさりをする私の姿をその眼が迫っていた。またもや拳が振り下ろされると、私は円柱の陰にさっと隠れた。うろたえるあまりランタンを落としてしまい、光の池から闇の中へとすべり込んだ。あわよくば、顔のない像の間をすり抜けて安全な通路まで逃げられるようにと。怪物はどこにいったんだ? 20フィートもある黄金の彫像を見失うなんてありえないと思うだろうが、王の姿はどこにもなかった。弱々しいランタンの火がわずかに部屋を照らしていた。暗がりのどこに王がいてもおかしくなかった。私は這うように進んだ。何の前触れもなく、目の前に並んだつやのないドワーフ戦士が飛び上がるや、怪物のような守護神が目の前にそびえ立っていた。逃げ道をふさがれた! 執念深い機械が矢継ぎ早にパンチを繰り出しながら追ってきて、私は後方へかわしながら逃げた。やがて、部屋の片隅に追いつめられた。逃げ場所も絶たれてしまった。壁を背にして立っていた。私は敵をにらみつけて覚悟を決めた。巨大な腕から最後の一撃が振り下ろされた。 そのとき、広間に閃光が殺到してきた。紫のエネルギー弾がドワーフの怪物の鋼鉄の殻を引き裂いた。怪物の動きが止まった。新たな敵の姿を認めようとして半分振り向いたところだった。アルム師が駆けつけてくれた! 私が歓喜の声をあげかけた時、巨像がこちらへ振り向いた。アルム師の放った稲妻の魔法にもびくともせず、最初の侵入者を叩きつぶそうと決心していた。私は叫んだ。「蒸気だ、蒸気を使え!」巨像は拳を振り上げて私を地面にめり込ませようとした。しゅっという音とともに冷気が吹き抜け、私は顔を上げた。怪物が氷の殻に覆われていた。今まさに私に仕留めようとする姿で。アルム師はわかってくれたのだ。私はほっとして壁にもたれた。 氷がひび割れた。巨大な黄金の王が目前にそびえていた。氷の殻がはがれ落ちると、勝ち誇ったような顔で私のほうを向いた。このドワーフの怪物を止める手立てはないのだろうか? と、彫像の眼から光が消え、腕をだらりと下げた。氷の魔法が奏功し、蒸気機関が冷やされたのだ。 アルム師と採掘人がやってきて私を取り囲み、奇跡の生還を祝福した。私はぼんやりとしていた。帝都に帰還したらどうなるだろうか。きっと最大級の賛辞を浴びることだろう。越えることのできない発見をしてしまったのだ。次の道を模索する時なのかもしれない。伝説の“アルゴニアの瞳”を探し当てたら…… またもや大騒ぎになるぞ! 私はほくそ笑んだ。この瞬間の栄光を満喫しながらも、次の冒険に思いを馳せていた。 白1 随筆・ルポルタージュ
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/131.html
シェオゴラスの祝福 我らがシェオゴラス閣下がなければ、すべての考えは端的で、すべての感情は面白くないものになるだろう。 祝福されしはマッドマン、秘密の知識の鍵を持っているから。 祝福されしは恐るる者、いつも傷つけられることを警戒している。 祝福されしは悩める者、行く末がはっきりしているから。 祝福されしは中毒者、決して引くことのない渇きを癒してくれる。 祝福されしは殺人犯、奇怪な中に美しさを見つけたから。 祝福されしは火を愛す者、その心は常に暖かいから。 祝福されしは芸術家、その手の中で不可能なことが現実となるから。 祝福されしは音楽家、その耳の中で魂の音楽が聞こえるから。 祝福されしは眠らない者、眠れぬ夢を見ているから。 祝福されしは執着する者、我々の敵に常に用心している。 祝福されしは洞察できる者、その目は未来を見ているから。 祝福されしは痛みを愛す者、苦しみの中で強くなるから。 祝福されしはマッドゴッド、我々が愚かであればだまし、間違っていれば懲らしめ、不注意であれば苦しめ、だが欠点があっても我々を愛してくれる。 SI デイドラの神像関連 神話・宗教 緑1
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/138.html
生きている森 ナールは他に類を見ない森の生物だ。ニュー・シェオスの壁から離れたところでは、「歩く木」と呼ばれている。ナールは、元素の力と親和性を持つことで知られている。炎、氷、電撃といった元素の力に襲われると、ナールはそのエネルギーを利用してより強く、大きくなるのだ。幸いなことに、その効果が続くのは短い間だけである。 ナールが不用心な魔術師を混乱させ、当惑させるのは、シェオゴラスの意志によるものである。この時、ナールは自分が襲われた元素に対する抵抗を増すが、他の二つに対しては弱くなってしまう。狡猾な魔術師はこのことをうまく利用するため、素早く元素呪文を切り替えようとする。未熟な魔導師が同じ呪文を何度も使ったりすれば、苦しむことになるだろう。 近年、ナールから抽出した琥珀の樹液を使って丈夫な鎧や武器を作ることができる鍛冶屋がいるという噂が流れている。今のところ、この噂の裏付けは取れていない。 ナールについては、分かっていることより分からないことのほうが多い。ナールの性別はまだ誰も解き明かしていないし、そもそも性別があるかどうかも分かっていない。若いあるいは幼いナールの姿が確認されたことはない。ある研究者は、雷に打たれた木からナールが成体の形で生まれるのではないかという考えを述べている。この馬鹿げた見解の裏付けは取れていない。 同様に、彼らの食餌や社会的習性についても何も分かっていない。おそらく、木と同じように、日光や土から直接栄養を取っているものと思われる。ナール同士を含めて、彼らの交信が報告されたことは一度もない。とはいえ、バリウォグやエリトラといった他の森林生物との間に、停戦協定のような物が確かにあるように思われる。 SI 生物学 白1
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/183.html
火中に舞う 第2章 ウォーヒン・ジャース 著 完全に失った。キャセイ・ラートは数分で、隊商の中にあった価値のあるものをすべて盗み、破壊して行った。デクマス・スコッティがボズマーとの貿易を見込んでいた木の積み荷には火をかけられ、絶壁から落とされた。彼の衣服や仕事の契約書は引き裂かれ、こぼれたワインや土のぬかるみの中にすり込まれていた。一行の巡礼者や商人や冒険者たちは皆、愚痴をこぼし泣きながら、夜明けの太陽が昇る中、残った持ち物を集めた。 「なんとか『ムノリアド・プレイ・バー』の翻訳に必要な覚え書きを手放さずにすんだことは、誰にも言わないほうがいいな」と、詩人グリフ・マロンはささやいた。「おそらく皆が私を狙うであろう」 スコッティはどれだけマロンの所持品に対して微少な価値しか見出せないかを伝える機会を辞退した。その代わり、彼は自分の財布のなかのゴールドを数えた。34枚。これから新しい仕事を始めようとしている起業家にとっては、いかにも少ない。 「おーい!」と、森の中から叫び声が聞こえた。武器を携え、皮の鎧を着たボズマーの小集団が茂みから現れ、「敵か? 味方か?」 「どちらでもない」と、隊商の代表者が唸りあげた。 「あんたたち、シロディールだな」背が高く、スケルトンのように痩せ、長細い顔を持った小集団の隊長が笑った。「あんたたちが旅をしていることは聞いていた。どうやら、我々の敵も聞いていたようだな」 「戦争は終わったと思っていたのに」と、すべてを失った隊商の、すべてを失った商人が低く言った。 ボズマーはまた笑い、「戦争ではない。ちょっとした境界線の小競り合いだ。ファリネスティへ向かうのか?」 「俺は行かない」隊商の代表者は首を振った。「俺の役目はもう終わった。馬がいなくなる、即ち隊商もなくなる。俺にとっては大損だ」 男も女も皆、代表者の周りに集まって抗議したり、脅したり、嘆願したが、彼はヴァレンウッドに足を踏み入れることを拒否した。もしこれが新しい平和の形ならば、彼は戦争時代が戻ってきてほしいと言った。 スコッティは違う方法を試みようと、ボズマーに話を持ちかけてみた。彼は不機嫌な大工との交渉時に使うような、有無を言わせないが、友好的な声で話した。「私をファリネスティまで護衛して貰えないでしょうか? 私はアトリウス建設会社という重要な帝都機関の代理人であり、あなたたちの地方に、カジートとの戦争がもたらした問題を修復して緩和する手伝いをしに来たのです。」 「20ゴールド、それと、荷物があったら自分で運ぶ」と、ボズマーは返答した。 不機嫌な大工との交渉も、めったに彼の思いどおりにはならなかったことを思い出していた。 支払いのためのゴールドを、6名の熱心な人々が持っていた。資金がない人々のうち、1人は詩人であり、彼はスコッティに手助けを願い出た。 「グリフ、ごめんなさい、私には14ゴールドしか残っていないのです。ファリネスティに到着しても、まともな部屋をとることすらできないのです。できるならば、本当に助けてあげたいのですが」これが本心であると自分を説得しながら、スコッティは言った。 六名とボズマーの護衛の一団は、絶壁に沿って険しい道を下り始めた。一時間も経たずに彼らはヴァレンウッドのジャングル奥深くにいた。果てしなく続く茶色と緑の天蓋が、空を見えなくしていた。何千年もの間に落ちた葉が、彼らの足の下で腐敗した厚い敷物を形成していた。この滑りの中を、数マイル歩いて通り抜けた。そしてさらに歩き続けてから、彼らは落下した枝や低く垂れ下がる大木の主枝の迷路を横断した。 何時間もの間、疲れを知らないボズマーたちがあまりにも早く歩くので、シロディールたちは取り残されないよう必死だった。足の短い赤ら顔の商人は、腐った枝に足を取られて倒れそうになった。同郷のものが立ち上がるのを助けなければならなかった。ボズマーは一瞬だけ立ち止まり、絶えず頭上の木陰に目を配り、また迅速な歩調で歩き出した。 「彼らは何に対してあれほど神経をとがらせているんだ?」イライラしながら商人があえいだ。「キャセイ・ラートがまたくるのか?」 「馬鹿なことを言うな」説得力なくボズマーは笑った。「これほどヴァレンウッドの奥深くでカジート? 平時に? あいつらには無理だろう」 一行が沼地から臭いがある程度消されるくらい高いところを通過したとき、スコッティは突然の空腹による胃の痛みを感じた。彼は1日4食のシロディールの習慣に慣れていた。食べずに何時間もの休みなき激しい活動を行うのは、十分な報酬を与えられている書記の摂生習慣の一部ではなかった。多少意識が混濁するなか、彼はどれくらいジャングルの中を駆け回っているかを考えた。12時間? 20時間? 1週間? 時間にはあまり意味がなかった。日光は、植物性の天井の所々からしか差し込まない。木や腐葉土に生えている、リン光を発するカビだけが規則的な照明を提供していた。 「休憩と食事をとることは無理ですか?」前にいる案内役に大声で言った。 「ファリネスティの近くだ」と、こだまする返事が返ってきた。「あそこには食べ物がたくさんある」 道はさらに数時間ほど上昇を続け、倒れた木々が固まっている場所を横切り、並んだ木の主枝の1段目、そして2段目へと上昇した。大きな角を曲がりきると、彼らは何十フィートもの高さから流れ落ちる滝の中途にいることが分かった。大量の岩をつかみ、少しずつ自らを引き上げ始めたボズマーに、文句を言う気力は残っていなかった。ボズマーの護衛たちは噴霧の中に消えて行ったが、スコッティは岩がなくなるまで登り続けた。彼は汗と川水を目から拭った。 ファリネスティが彼の目の前の地平線に広がった。川の両側には巨大なグラッドオークの街が不規則に広がっていて、その周りには、まるで王者に群がる嘆願者のように、より小さな木の林や果樹園などが隣接していた。より小さな規模で見ると、この移動する街を形成する木は並外れていたのであろう。曲がりくねった金と緑の王冠を載せ、つるを垂れ下がらせ、樹液で光り輝いている。数百フィート以上もの高さで、その半分の幅。スコッティが今まで目にした何よりも壮大であった。もし彼が、書記の魂を持った餓死寸前の男でなかったら歌でも歌ったであろう。 「ここに居たのか」と、護衛の長が言った。「散歩には十分だったな。冬場であったことに感謝しろ。夏場だと、街はこの地方の最南端にあるんだからな」 スコッティはどう進んだらよいのか分からなかった。人々が蟻のように動き回るこの垂直な大都市の光景が彼の感性をマヒさせた。 「ある宿屋を探しているんですが」一瞬言葉を切り、懐からジュラスの手紙を取り出した。「『マザー・パスコスの酒場』とか呼ばれているらしいですが」 「マザー・パスコストか?」ボズマーはいつもの人を馬鹿にしたような笑いを発した。「あそこには泊まりたくないと思うぞ。訪問者は必ず、主枝の最上段にあるアイシアホールに泊まりたがる。値は張るが、いいところだぞ」 「マザー・パスコストの酒場で人と会うのです」 「もし行くと決めているなら、昇降装置でハベル・スランプへ生き、そこで道順を聞くんだな。ただ、道に迷ってウエスタン・クロスで寝ちまったりするなよ」 どうやらこの一言は彼の仲間たちにとっては気の利いた洒落だったらしく、こだまする彼らの笑い声を背に、スコッティはねじれ曲がった根の階段をファリネスティの基部へと進んだ。地上は葉やゴミが散乱していて、時折、遥か頭上から硝子や骨が落下してくるので、彼は警戒のために首を曲げながら歩いた。入り組んだ可動台はしっかりと太いつるに固定され、この上ない優雅さで滑らかな幹を上下しており、そのつるは牛の腹ほどの腕を持った操作者によって動かされている。スコッティは暇そうに硝子パイプを吹かしている、一番近くの台の操作者に近寄った。 「ハベル・スランプへ連れて行ってもらえませんか?」 男はうなずき、スコッティは数分後に地上100付近にある2本の巨大な枝の屈曲部にいた。渦巻く蜘蛛の巣状の苔が枝の一面を不規則的に覆い、数十戸の小さな建物が共有する天井を形成していた。裏通りには数名しかいなかったが、先の角を曲がると音楽や人々の音がした。スコッティはファリネスティの広場のフェリーマンにゴールドを一枚渡し、マザー・パスコストの酒場の場所を聞いた。 「まっすぐ進んだところにありますが、あそこには誰もいませんよ」フェリーマンは説明しながら、音の方向を指差した。「ハベル・スランプの皆は月曜日には盛大に酒盛りをするのです」 スコッティは注意しながら細い道に沿って歩いていた。地面は帝都の大理石でできた街路のように硬かったが、滑りやすい裂け目が樹皮にはあり、致命的な川への落下の可能性をむき出しにしていた。彼は数分間座って休憩するとともに、高いところからの眺めに慣れようとした。確かに素晴らしい日ではあったが、たった数分の熟視で彼は不安とともに立ち上がった。眼下の下流につながれていた素敵な小さな筏は、彼が見ている間に、はっきりと何インチか動いていたように見えた。しかしそれは、実は全く動いていなかった。彼の周りのものすべてと一緒に、彼が動いていた。それは、たとえではなく、ファリネスティの街が歩いたのである。そして、その大きさから考えると、素早く動いていた。 スコッティは立ち上がり、曲がり角から立ち昇る、煙に向かって歩いていった。それは今までに嗅いだことがないほど美味しそうな丸焼きの匂いであった。書記は恐怖を忘れ、走っていた。 フェリーマンが言った「酒盛り」は木に縛り付けられた巨大な舞台の上で行なわれ、それはどの街の広場にも匹敵するほどの幅があった。そこにはスコッティが今までに見たこともない様々な種類の人々が肩を並べており、多くは食べ、さらに多くは呑み、一部は群衆の上の横枝に腰掛けている笛吹きや歌手の音楽に踊っていた。彼らの大部分は鮮やかな皮や骨の民族衣装を着たボズマーと、数で少々劣る少数派のオークたちであった。雑踏の中を旋回し、踊り、お互いに怒鳴りあいながら進むのは、見るもおぞましい猿人であった。群衆の上に突き出しているいくつかの頭は、最初にスコッティが思ったような背の高い人のものではなく、ケンタウロスの一家であった。 「羊肉は要らんかね?」と、真っ赤な石の上で巨大な獣を丸焼きにしている、しわくちゃな老人が聞いた。 スコッティはすぐさまゴールドを渡し、手渡された足をむさぼり食った。そして、もう1枚ゴールドを渡し、足をもう1本。彼が軟骨を喉に詰まらせたのを見て、老人はクスクス笑い、スコッティに泡立っている白い飲み物を渡した。彼はそれを飲むと、体中がくすぐられているかのように震えるのを感じた。 「これは、なんですか?」と、スコッティは聞いた。 「ジャッガ。発酵させた豚のミルクじゃ。ゴールドをもう1枚出してもらったら、これの大瓶と羊肉をもう少し持たせてやれるが」 スコッティは同意し、支払い、肉を飲み込み、大瓶を持って群衆の中に消えていった。彼の同僚リオデス・ジュラス、ヴァレンウッドにこいと言った男はどこにも見られなかった。大瓶が約四分の一なくなったころ、スコッティはジュラスを探すのをやめた。それが半分なくなったころには、壊れた厚板や裂け目を気にせず群衆と踊っていた。四分の三なくなったころには、まったく言葉が通じない生物と冗談を交わしていた。そして大瓶が完全に空になったとき、彼はいびきをかきながら眠っていたが、周りでは彼の無気力な体をよそに、酒盛りが続けられた。 あくる朝、いまだ眠っているスコッティは誰かの口づけを感じた。彼もそれに応えようと口をすぼめたが、炎のような激痛が彼の胸を襲い、目を開けさせた。牛と同じくらいの大きさの虫が彼の上に座り込み、刺々しい足が彼を押さえつけ、中央の回転刃のような渦巻く口が彼の服を破いた。彼は叫びもがいたが、獣は強すぎた。それは食事を探しあて、完食するつもりであった。 終わった、地元を離れなければよかったと、スコッティは狂乱しながら思った。街に留まり、もしかしたらヴァネック卿の下で働けたかもしれない。もう1回下級書記から始め、また上へ昇っていけたかもしれない。 突然、口がひとりでに開いた。その生物は1度身震いし、胆汁を一気に放出して、死んだ。 「仕留めたぞ!」あまり遠くないところから叫び声。 スコッティは、少々その場から動かなかった。頭は脈打ち、胸は焼けるように痛い。視界の端に動きを見た。この恐ろしい生物がもう1匹彼に向かって走ってきた。彼は自分を解放しようと慌てて動き出したが、出られる前に弓の割れるような音が響き、矢が2匹目の虫を貫通していた。 「上手い!」と、違う声が叫んだ。「1匹目をもう1度射て! 少し動くのを見たぞ!」 今回は矢が死骸に命中する衝撃をスコッティは感じた。彼は叫んだが、どれだけ彼の声が昆虫の体によって押し殺されていたか彼にもわかった。注意しながら足を出して、下から転がり出ようと試みたが、その動きはどうやら射手に、生物が生きていると思わせる効果があったらしい。矢の一斉射撃が放たれた。獣は十分穴だらけになり、その血と、おそらくは犠牲者の血が流れ始め、スコッティを覆った。 スコッティが子供のころ、そのような競技には自身が慣れすぎてしまうまで、帝都闘技場へしばしば戦闘競技を見に行っていた。戦闘の熟練者が秘訣を聞かれたとき、彼は「何をしたらいいのか分からず、盾を持っているのであれば、私はその後ろに隠れている」と言ったのを思い出した。 スコッティはその助言に従った。1時間後、矢が射られている音が聞こえなくなったとき、彼は虫の残骸をどけ、彼に可能な限りの速さで立ち上がった。間一髪であった。八人の射手の集団が、彼の方向に弓を向け射かける準備をしていた。 「ウエスタンクロスで寝るなと誰も教えてくれなかったのか? おまえら酔っ払いがやつらの餌になっていたら、どうやって俺たちはホアヴォアーを根絶したらいいんだ?」 スコッティは頭を振り、舞台に沿って歩き、角を曲がり、ハベル・スランプへ戻った。彼は血だらけで、破れ、疲れていて、発酵した豚のミルクを飲みすぎていた。彼が欲するのは横になれる場所であった。彼は湿っぽく、樹液で濡れ、カビの臭いがするマザー・パスコストの酒場に入った。 「名前はデクマス・スコッティ」と、彼は言った。「ここにジュラスという名の人は泊まっていませんか?」 「デクマス・スコッティ?」と、太った女主人、マザー・パスコストは思案した。「その名前、聞き覚えがあるねえ。ああ、彼が置いていった手紙の相手はあなたのことね。探してみるから、ちょっと待っててね」 物語(歴史小説) 赤1
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/110.html
タムリエルの各地方 タムリエル帝都は九つの帝都地方を包含する:スカイリム、ハイ・ロック、ハンマーフェル、サマーセット島、ヴァレンウッド、エルスウェーア、ブラック・マーシュ、モロウウィンド、そして古の帝都地方であるシロディール, 中でもモロウウィンドは最後に、征服ではなく条約によって統合されたため、モロウウィンドはグレートハウスの前例に沿ってその土地の秩序定義を決める特別な力を保有している。 オールド・キングダム、またはファーザーランドとしても知られるスカイリムは、タムリエルの中でも最初にアトモラ大陸からの人間達によって入植地化された地方だ: たくましく、勇敢で、好戦的なノルド。彼らの子孫は今なおその荒れた土地に住み着いている。先祖にあたる蛮族と比べれば控えめで行儀がいいが、純血のノルドは今でも戦争や大胆な探検においては男らしい美徳に秀でている。 ハンマーフェルは主に都市と臨海の地方だ。人口の多くはセンチネルとストロスメカイの巨大都市に住み、その他は島々の港や海岸沿いにて生活をしている。内陸部にはまばらに人が居る程度で、そのほとんどが貧しい小農家や牧夫だ。レッドガードの移動や冒険や船旅に対する情熱が、彼らを船乗りや傭兵や冒険家として帝都全土の港へと分散させた。 ハイ・ロックは大ブレトニー園、デレッセ島、ビョルサエ・リバー族、そして伝統的には聖域内の多くの土地とクランを包含する。荒れたハイランドの砦と隔離された渓谷の定住地は多数のブレトンクランの独立を促し、この論争好きな部族気質により、完全には地方や帝都の一部としての意識が浸透していない。いずれにせよ、彼らの言語や詩の伝統や英雄伝は彼らを一つにまとめる共通の遺産である。 サマーセット島は緑に囲まれた住み心地の良い、肥えた農地と森林公園と太古の塔や荘園の土地だ。ほとんどの定住地は隔離されており、通常、その土地の有力ウィザードが部族軍長によって支配されている。島には良い自然港が数える程しかなく、土地の人々は外来者を好まないため、古くから伝わるアルドメルの騎士道文化はインペリアルの物質主義の影響をあまり受けてはいない。 ヴァレンウッドの大部分は居住者のいない未開の森林地帯だ。海岸沿いはマングローブが生える沼地に覆われる熱帯雨林であると同時に、大雨が内陸部の温暖な雨林を育む。ボスマーは沿岸部や内陸部に点在する材木クラン住居で生活しており、これらの敷地はお互いに未開発の林道のみによってつながれている。小さな定住地が散開するこの広い密林の土地を横断するインペリアル街道は少なく、貿易の量は微小で、交通量はないに等しい。 南エルスウェーアジャングルと河川地域に定住したカジートは、古くからの商業主義の伝統とサトウキビとソルトライス農園をもとに、安定した農業貴族社会を持つ都会人である。対照的に、乾燥した北部荒野や草原地帯を遊牧するカジートは攻撃的で、定期的に部族軍長のもとで連合し、領土略奪を行う。南の定住者たちは素早くインペリアルのやり方を取り入れたが、北の遊牧族は好戦的な蛮族の伝統に執着している。 ブラック・マーシュのアルゴニアン先住民の大多数は、内陸水路上と出入りが困難な南内陸の沼地に閉じ込められている。道路は少なく、たいていの移動は舟によって行われる。沿岸部と北西高地の大部分に居住者はいない。長い間、ダンマーたちは奴隷を得るためにブラック・マーシュを侵略してきた。帝都はこの行為を違法としたが慣習は存続しており、アルゴニアンとダンマーの間には、お互いへの積年の憎しみが存在する。 ダンマー人の母国であるモロウウィンドは、タムリエル帝都内の最北東に位置する地方である。大多数の人口は、モロウウィンド中部の高地や肥沃な川谷、特に内海付近に集まっている。ヴァーデンフェル島は内海によって囲まれており、巨大な活火山赤き山とその灰による荒れ地がその土地を占めている。島の住民の大多数は相対的に快適な西と南西の海岸での生活を強いられている。 シロディールはタムリエルにおける高度な人間のインペリアル文化の発祥地である。大陸上、最大の地域であり、たいていの部分は深いジャングルで覆われている。帝都は中心地、肥沃なニベネイ渓谷にある。人口が密集している中央低地は降雨林によって囲まれ、雨林が水を注ぐ大きな川はアルゴニアの沼地やトパル湾に流れ込んでいる。地形は、西に向かって緩やかに上昇し、北へは急に険しくなる。西の海岸と中央低地の間には落葉樹林とマングローブの沼地がある。 地理・旅行 茶1
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/96.html
アレッシア・オッタスの アンヴィル案内書 美しきディベラ、愛の女神! 私たちと子供たちを祝福してください! 私の名はアレッシア・オッタス。皆様に、アンヴィルの全てをお伝えしましょう。 アンヴィルは海辺にあり、一見するととても美しく見えます。しかし、細部に目を向ければ不愉快なものが多く目につくでしょう。水辺の景色は魅力的なものですが、町の外の船着場や港の周辺では船乗りや物乞いなど、汚い身なりの人々がうろついています。アンヴィル城は清潔でよく管理されているし、城壁に囲まれた家々のうち、いくつかはきれいで立派です。しかし、それ以外の家は住む人も無く荒れ果て、あるいはみずぼらしく剥がれ落ちた壁土がそのままにされています。町中では異常者や酔っぱらいの姿がいたるところに見られます。 アンヴィル城 アンヴィルの領主は、ミローナ・アンブラノクス伯爵夫人です。彼女の夫、コルヴァス・アンブラノクスは何年も前に失踪しましたが、軽薄で不真面目な人物で、馬鹿騒ぎをしては醜聞を振りまく癖があったため、伯爵夫人は彼がいなくなってかえって平穏な生活を送れるようになったといわれています。伯爵夫人自身は、高潔で敬虔な素晴らしい領主であると人々から慕われています。もしも彼女が衛兵に命じて船乗りや物乞い、怠け者、泥棒たちをみな町の外に追い出したなら、アンヴィルは今よりずっと住みやすくなるでしょう。 アンヴィルの地区 アンヴィルは5つの地区に分かれています。アンヴィル城は街壁の外の港を見下ろす場所に建っており、チャペルゲート地区の門から道が城へと続いています。壁に囲まれた街は3つの地区、東のチャペルゲート地区、西のウェストゲート地区、そしてその間に位置するギルドゲート地区に分かれています。港は街壁の外にあり、ウェストゲート地区の門から行くことができます。 チャペルゲート地区 シロディール中を探しても、ここより美しい聖堂にはお目にかかれないでしょう。聖堂と街壁の間には美しいディベラ像のある静かな庭園があり、瞑想にもってこいです。聖堂の向かいには素敵な庭園と、礼拝する人々を風雨から守ってくれる屋根つきの回廊があります。残念なことに、住民たちはこのような素晴らしい聖堂にほとんど興味を示さず、礼拝する住民もごくまれです。頭の軽い女司教のせいなのか、伯爵夫人が自ら礼拝に来て模範を示そうとしないからなのか、どちらの理由かはわかりません。 ギルドゲート地区 アンヴィルの最も栄えている地区はギルドゲート、正門、もしくは北門を入ったところにあります。この地区には、アンヴィルで最も立派な建物と最もみすぼらしい建物が隣り合って建っています。ギルドはよく管理されたきれいな建物のほうに属します。この地の魔術師ギルドと戦士ギルドはシロディール各地のギルドの中でも特に野心的で生産的です。魔術師ギルドの代表者であるキャラヒルは魔術の研究者として名声を得ており、交霊術、召喚術、黒魔術を公に批判しています。戦士ギルドは人材に恵まれて精力的に活動しており、シロディールにある他のギルドに見られるような無責任でやる気の無い態度とは無縁です。それに対して、魔術師ギルドのすぐ隣の建物は閉鎖された廃屋で、見苦しく荒れ果てていて本当に目障りです。 ウェストゲート地区 ウェストゲート地区は、アンヴィルの住宅街です。この地区にある家はみすぼらしく、荒れるにまかせてあります。住民はだらしがなく無気力ですが、唯一の例外はアンヴィルの有名人、アルゴニアンの女流作家クイルウィーブでしょう。彼女は下層階級の人間や犯罪者の悲惨な運命や陰謀の計画を描いた低俗な本を何冊か出しています。彼女の存在は、アルゴニアンが罪深く不誠実で、役立たずの人間未満の存在だという偏見を助長しているといえます。 港 船着場は補修がされておらず、荒れ果てて不潔です。船倉や今にも崩れそうな港湾倉庫からはあらゆる種類の悪臭が立ち上っています。役立たずたちがどこからか集まってきては、ここで日向ぼっこをしたり、噂話や無駄話をしたり、ワインやエールを買うために物乞いをしようか、盗みを働こうかと考えたりするのです。そこではミラベル・モネーという優しい女性が家のない船乗りのために宿を提供していますが、残念ながらその間違った慈善は単に酔っぱらいと怠け者を甘やかすことにしかなっていません。そんな無益なことをしている暇があるならば、彼女はあの不道徳な怠け者たちに九大神の教えと生産的な仕事を教えるべきでしょう。港はそんなありさまですが、南に行くと素敵な灯台があり、その上に上って遠く眺めれば、アンヴィルの城、町、そして港もそれほど不愉快には見えないでしょう。 九大神があなたを守り導いてくださいますように! 地理・旅行 茶3 アレッシア・オッタスの コロール案内書 ステンダールを称え、九大神を称え、全ての聖人を称えよ! 私の名はアレッシア・オッタス。皆様に、コロールの全てについてお伝えしましょう。 コロール城 コロールはコロール州の州都であり、女伯爵アリアナ・ヴァルガによって統治されています。彼女は非常に正しい女性で、彼女の娘は美しく貞節な、レヤウィン伯爵夫人のアレッシア・カロです。 アリアナは敬虔なアカトシュの信奉者で、ステンダール聖堂での礼拝を欠かさず、領民の良き模範となっています。彼女の夫、故チャラス・ヴェルガ伯爵もまた信望厚い信仰のディフェンダーでステンダール信者だったので、彼がスカイリムの異教のノルド人との戦いで命を落としたという知らせは領民に大きな悲しみをもたらしました。アレッシア・カロはレヤウィン伯爵の良き妻であり、コロール伯爵の子女としての本分を尽くしています。彼女はよくコロールに戻り、素晴らしい母親のもとを訪ねています。 素晴らしいことに、城に仕える魔術師もまた(他の多くの魔術師が神の教えと信仰を軽んじているのと違って)公正で敬虔な九大神の信徒です。彼女、シャネルは、不信心ものを罰しようとする正しい人々のために魔術を教授しているので、へたな魔術師ギルドのいかがわしい魔術師たちに教わるぐらいなら彼女のところへ行くべきでしょう。 女伯爵は毎日大広間で会議を開いています。(もちろん、日曜日以外ですが)彼女には素晴らしい使者や執事がおり、城は品格と秩序が保たれています。また、城には地下牢があるのですが、残念ながら衛兵たちは怠慢で、町中にたむろする物乞いや泥棒、博徒、詐欺師を捕まえてせっかくの牢屋に放り込もうともしません。 コロールの地域 コロールは5つの区域に分かれています。門を入ったところはファウンテン・ゲート地区で、美しい泉があり、大戦で犠牲になった人々に捧げられた聖サンクレ・トールの像が立っています。泉の周りには2件の宿屋、雑貨店、鍛冶屋があります。そこから東への道は城へ、北への道はグレート・オーク広場へ、西への道は聖堂通りと西コロールへ、それぞれ通じています。西の聖堂へ行く道の途中には本屋があり、聖堂より西は西コロール地区で、井戸の周りに簡素な小屋が集まっています。グレート・オーク広場の周りには魔術師ギルドと戦士ギルド、そしてたくさんの立派な家があります。 スタンデール聖堂 スタンデール聖堂は美しい建物で、巡礼の祈りと瞑想に申し分のない場所です。毎週日曜日の朝には、この町の正しい人々とよき領主が礼拝のために聖堂に集まります。しかし嘆かわしいことに、女伯爵という素晴らしい模範がありながら、コロールの住民の多くは怠惰で信仰を軽んじています。きっと、魔術師ギルドと戦士ギルドの構成員が悪い手本になっているせいでしょう。聖堂の女司祭、オラグ・グラ=バーゴルは親切で正しい老婦人で、魔術師ギルドの邪悪な異教徒から呪文を買うくらいなら彼女から買ったほうがずっと良いでしょう。 コロールのギルド 戦士ギルドを率いているのは優秀で誉れ高いヴィレナ・ドントンですが、その構成員は粗野で汚い言葉で話し、たいてい支部で怠けているか、町中をうろつきながら耳障りな雑談をしているかのどちらかです。彼らがスタンデール聖堂での礼拝の習慣を身に付けて行いを正せば、戦士ギルドはずっと良くなるでしょうに。ただし、戦士ギルドの優秀な鍛冶屋は特別です。彼女はよく聖堂で礼拝をしています。 コロールの魔術師ギルドにいる学者は役立たずばかりで、生徒たちは本を読んだり罵りあったり、悪臭のする薬を調合して時間を潰しています。彼らは教養があって正しい言葉づかいができますが、懺悔と祈りによって魂を磨くこともしないくせに、そんな学問がいったい何になるというのでしょう? ここの魔術師ギルドで呪文や薬を買うことはできますが、そこで払うお金は彼らにくだらない娯楽や怠惰な時間を提供するだけでしょう。 商店とサービス ノーザン・グッズ商店のシード・ニーアスはアルゴニアンですが、他のアルゴニアンと違って賢く、誠実で、丁寧な応対ができます。素晴らしいことではないですか? 彼女は商才があり、その成功の技術を教授していますが、店の品物を安く売ってくれることはないでしょう。 火炎と鋼鉄鍛冶店の鍛冶師、レッドガードのラシーダは優秀な職人であり、その技術を教授しているようです。彼女は日曜の礼拝に毎回来ていますが、人間的に未熟で礼節に欠け、行儀や身なりも良くはありません。 レノア書店はきれいな店構えで品揃えも豊富ですが、信じられないことに『九大神の十戒』を一冊も置いていませんでした。しかも、女店主は一度もスタンデール聖堂へ来たことがありません。いったいどういうことでしょうか? この町に、食べ物と寝床を提供してくれる宿は2軒だけあります。一軒は上品で清潔で、立派な人々になじみにされている宿です。もう一軒は粗野で不潔で、酔っぱらい、泥棒、オークの溜まり場になっています。一方は身なりの良い上品で礼儀正しい婦人が、もう一方はだらしのない若い女性が経営しています。宿の名前はそれぞれ「オーク・アンド・クロージャー亭」と「グレイ・メア亭」です。清潔で安全な寝床を提供してくれるのはどちらの宿か、もうおわかりですね。 コロールの著名人 作家キャスタ・スクリボニアはコロールに住んでいます。彼女は教養があり、各地を旅した経験を持ちますが、彼女の著作はあまりおすすめできません。なぜなら、彼女の作品はどれもロマンスとゴシップと、他の低俗な娯楽を題材にしていて、主人公たちは九大神を信仰する者なら誰もが持っているはずの美徳、道徳、貞節、神への崇敬を見せず、読者の子供たちの悪い手本となりかねないからです。 コロールの不名誉な特徴 魔術師ギルドや戦士ギルドの近くのグレート・オークにはよく町民が無為に集っては雑談をしています。ホンディターという名の狡猾な男が、周辺の土地で起こること全てを知っています。彼はお金と引き換えにスキルを教えていますが、この男を聖堂で見かけることはなく、どうも罰当たりな行動や深酒、喧嘩に耽溺しているようです。 コロールは殺人や泥棒の多い町です。彼らはなんと家で犯罪の技術を教えて授業料を稼ぐことさえあります。衛兵はいったい何をしているのかって? 残念ながら、彼らを町中で見かけることはありません。 コロールの物乞いは身なりは汚いですが、健康で態度が良く、陽気です。いい気分になるために小銭を恵んでやってもよいでしょうがそのお金はすぐに賭け事や強い酒などのくだらないことに使われてしまうので、彼らのためにはならないでしょう。 九大神の祝福とご加護がありますように! 地理・旅行 茶2 アレッシア・オッタスの シェイディンハル案内書 健やかな心身にアーケイの祝福を! 私の名はアレッシア・オッタス。皆様にシェイディンハルの全てについてお伝えしましょう。 シェイディンハルを訪れる人はまず、緑の大草原やコーボロ川の土手に経つ優雅な柳の木、よく手入れされた庭園、花でいっぱいの垣根、そういったものに目を奪われることでしょう。手入れの行き届いた家々、その石壁にほどこされた細工や、ガラス、金属、木材を組み合わせた美しい装飾は、シェイディンハルという町の裕福さを物語っているかのようです。 しかし、その裏に何が隠されていると思いますか? 犯罪、醜聞、それに数々の不道徳です! シェイディンハルは、3つの区域に分かれています。北の丘の上にはシェイディンハル城の中庭と城壁があります。その下に、東門から西門へ、東西に道が走っています。コーボロ川はこの道からだいたい南北に流れており、町の南半分を2つの区域に分けています。聖堂は東側の区域、そして市場は西側の区域にあります。市場側の区域には全ての商店、宿屋、ギルドが集まっています。聖堂区域には聖堂と住宅街があります。コーボロ川には北と南の2箇所に橋がかかっていて、南側の橋の途中には小さな公園になっている中州があります。 シェイディンハルは東ニベンに位置していますが、その文化は、ここ半世紀の間にモロウウィンドから移民して来た、ダークエルフたちによって作られたものです。彼ら移民の多くは、モロウウィンドの窮屈な社会と腐敗した宗教支配を逃れて来た人々です。シロディールにおいては、ゼニタールの守護の下、かの地よりも自由で活発な経済活動の機会を見出すことができたのです。 シェイディンハルの伯爵もまた、そうした移民の一人です。アンデル・インダリス伯爵はモロウウィンドのフラール家の出身ですが、より多くの成功の機会を求めてこの地にやってきました。 伯爵はシロディールの貴族社会において異例の速さで上位に登りつめましたが、その理由については謎が多く、シロディールの伝統ある名家の人々は伯爵を身のほど知らずな成り上がり者と陰口を叩いています。さらに、ラザーサ・インダリス夫人がシェイディンハル城の階段で何者かに撲殺され遺体で発見された事件は人々の好奇の目を惹きつけ、伯爵の浪費癖、不倫、激情と事件の関係について黒い噂が絶えません。 シェイディンハルのアーケイ聖堂に訪れる人はほとんどいません。そもそも、模範を示すべき伯爵が一度も聖堂に足を踏み入れたことがないのです。ただし、彼の場合は九大神のもとに現れて審判を受けることを恐れているのかもしれませんが! シェイディンハルの大主教、司祭、治癒師は感じのよい人々で、神に忠実な神学者ですが、この地の聖職者で最も尊敬されているのはアーケイの生ける聖人・エランディルでしょう。彼は魔術師ギルドや帝都戦技大学で不正に行われている黒魔術に反対する運動を精力的に行っています。 シェイディンハルの2つの宿屋はどちらも一見良さそうに見えますが、一方の宿屋「ニューランド」を経営しているダークエルフは下品な異教徒の無法者で、もう一方の宿屋「シェイディンハル・ブリッジ」の経営者は高潔で敬虔な帝都民の夫人です。行き届いたサービスと安くておいしい食事、殺人鬼や泥棒の心配をせずに安心して眠れる安全で清潔な寝室、そういったものを求めるならどちらの宿屋に泊まるべきかはもうおわかりですね。 シェイディンハルの本屋を所有し経営しているのはアルゴニアンのマッハ=ナーです。私は彼より無礼で不愉快な人物にお目にかかったことがありません。しかし、本屋の品揃えは素晴らしく値段も手ごろです。 シェイディンハルの住宅は、最も貧しいものの家でさえみな清潔で見栄えがよく、庭なども手入れが行き届いています。家の中に入って家具や内装を眺めたいなら、住民に言えば喜んで迎え入れてくれるでしょう。(もちろん、早朝や夜中に訪ねたりしなければ、です!)ただし、だまされてはいけません! いくらその住民がどこから見ても立派な人物に見えたとしても、彼らの多くはあなたを招きいれたとたん豹変し、下品で粗野な態度で獣のように襲いかかってきます。彼らと人間らしい会話を交わすよりも、殺されて地下室に投げ込まれる可能性のほうがずっと高いのです。そのような粗暴で卑しい人々の多くがオークだというのは別に驚くべきことではありません。 それでも、シェイディンハルで一番の著名人、画家のライス・ライサンダスの家だけは訪ねる価値があります。彼自身はアトリエにこもって制作に没頭していることが多く、面会は難しいのですが、かわりに優しく親切な夫人があなたを招き入れ、壁にかかった彼の絵を見せてくれるでしょう。 九大神に従い、栄光へと向かいましょう! 地理・旅行 茶3 アレッシア・オッタスの スキングラード案内書 ジュリアノス、全ての正義と知恵はあなたと共に! 私の名はアレッシア・オッタス。スキングラードの全てについて皆様にお教えしましょう。 スキングラードはワイン、トマト、チーズの名産地として名高く、またシロディールでも最も清潔で、最も安全で、最も栄えている町の一つでもあります。ウェストウィルド高地の中心部に位置するスキングラードは、古き良きコロヴィアの至宝であり、コロヴィアの美徳である独立、勤勉、強い意志を象徴する存在です。 スキングラードは、城、ハイタウン、聖堂の3つの区域に分かれています。そして、ハイタウンを囲む壁に沿って、橋の下を街道が東西に貫いています。ハイタウンの西にはギルドや宿屋「ウェストウィルド」があり、北の道沿いには多くの商店や高級住宅街が並んでいます。町の南半分はというと、東の端に聖堂が、そして中央の通り沿いにスキングラードのもう一つの宿屋「トゥー・シスターズ」があり、庶民の住宅が周囲に点在しています。いくつかの門や橋が、街道を越えてハイタウンと聖堂を繋いでいます。スキングラード城は南西の高い丘に、町から完全に独立して建っています。町から城へ行くには、町の東の門からのびる道が城へ通じています。 スキングラード伯爵のジャナス・ハシルドアは長年スキングラードを治め、魔術師としての名声も高い人物です。彼は人との交わりを非常に嫌っており、全ての面談を断っています。また、彼は不信心にも九大神への礼拝を怠っています。領主が模範を示さなければ、領民はいったいどうやって徳を身に付けるというのでしょう? しかし、それでもなお彼は人々から尊敬され、スキングラードは順調で平和な領国の模範となっています。実際に、この町では犯罪、ギャンブル、路上の酔っ払いなどは全くと言って良いほど見られないし、スキングラードのワインやチーズはタムリエル全土で高値で取り引きされています。 スキングラードには宿屋が2軒あります。そのうち、宿屋「トゥー・シスターズ」はオークが経営しています。この宿屋は清潔で良く管理されており、すばらしいことに騒動や酔っ払いとは無縁です。もう一方の宿屋は感じの良い帝都民の女性が切り盛りしています。両方の宿屋の経営者ともにジュリアノス聖堂に礼拝に現れないので、食べ物や休息を求めている巡礼の皆様にどちらの宿屋をお勧めするべきかはわかりません。 しかし、おいしいロールパンをお探しならば、聖堂区域にあるパン職人サルモの店は間違いなくおすすめできます―― この店のパンは最高です! スキングラードの他の名産品―― トマトとチーズ―― については、各人の好みによって判断が異なるでしょう。また、これを読んでいる皆様はスキングラード名産のワインには興味がないでしょう、酒は人の心を乱し、心の乱れは罪につながるのですから。 この地の魔術師ギルドは他の土地のそれと変わりませんが、戦士ギルドはゴブリン狩りを専門としており、ウェストウィルドを旅する人々に質の高いサービスを提供しています。それにしても町の鍛冶屋が自身を指して“悩める者アグネッテ”と呼んではばからないことには驚かされます。いったいなぜそのような恥知らずなことができるのでしょうか? 九大神をいつも胸に! 地理・旅行 茶3 アレッシア・オッタスの 帝都案内書 アカトシュを称えよ! 帝都と全ての民に祝福を! 私の名前はアレッシア・オッタス。皆様に、帝都の全てについてお伝えしましょう。 帝都について 帝都におられるお方といえば? そうです、タムリエル皇帝ユリエル・セプティム、信仰のディフェンダーにして、聖タイバー・セプティム、主タロスの血統であり、神聖なる国家と法の主、九大神とともにあるもの。私たちはみな、皇帝の善良さと神聖さを知っています。彼はよく、最高神の神殿で九大神と聖人たちに祈りを捧げています。 では、皇帝が住んでおられるのは? 帝都の中心部にある王宮の白金の塔です。白金の塔は遠い昔、邪神デイドラを信仰するアイレイドたちによって建てられました。邪教の古代文明が積み上げた石の塔が、今では帝都の正義と信仰を象徴する記念碑として神に捧げられているのですから、本当に素晴らしいことです。帝都の王宮を訪れる人々は聖人や伯爵、魔闘士、歴代皇帝が眠る墓地を散策し、町のどこからでも見える白金の塔を畏敬の念を込めて見上げるのです。 王宮にある長老会の会議室は、一般の立ち入りは禁止されています。また、帝都衛兵の古式ゆかしい武具に驚嘆するかもしれませんが、彼らは粗野で非礼なのであまり近づかないほうが良いでしょう。 帝都の地区 帝都は10の地区に分かれています。中心地にあるのが王宮で、残りの9地区がその周りを囲んでいます。王宮の北西の地区がエルフガーデンで、住みやすい住宅街です。 そこから反時計回りに、次の地区はタロス広場地区です。ここは王宮の西にある高級住宅地です。南西にあるのが神殿地区です。神殿地区の壁の向こう側、街の外には悪臭漂う不潔な波止場地区があります。王宮の南東は庭園地区で、そこの壁の向こう側には評判の悪い魔術師ギルドのアルケイン大学が建っています。東にあるのは悪名高い闘技場地区です。そして最後に、王宮の北東はなんでも手に入る商業地区です。商業地区の壁の外側には獄舎地区があります。 神殿地区 私が住んでいるのは帝都の神殿地区ですが、ほんとうに美しいところです。最高神の神殿に礼拝に来られることがあれば、ぜひうちを訪ねてください。夫と娘もご紹介します。ここはとても素晴らしい地域で、住んでいるのは感じのよい上品な人たちばかりです。ただ、帝都の他の地域と同じく、物乞いがうろうろしているのが玉にきずです。 庭園地区 この美しい庭園では、あの有名な九大神の像を見ることができます。中央の像が主タロス、皇帝タイバー・セプティムです。しかし、この九大神の中心という名誉な位置に、最高神アカトシュを差し置いてタロスが彫られているというのはいかがなものでしょうか。実際のところ、この恥ずべき間違いの元凶は、タロスの子孫である皇帝を必要以上に賛美しようとした長老会です。 商業地区 帝都商業会議所の前には、商人による詐欺の被害を訴えにくる人々の行列が絶えません。ここは不潔な地区で、商店が捨てた木箱がそこら中に積み重なり、気味の悪い茸や菌類がびっしりと生えて、敷石はぬるぬるした汚れですっかり覆われています。ここへは自分で買い物に行くよりも、使用人を使いに出せるならそうしたほうが良いでしょう。 アルケイン大学 ここはひどく汚く、荒れた、スラムのような場所です。屋外には一人の生徒も魔術師も見当たりません。彼らは暗い地下室に座って異端の書物に没頭しているか、巻物に難解な悪文を書き付けるのに忙しいのです。 アークメイジの塔の中には、帝都の太陽系儀が置かれています。魔術師たちはそれを使って天文学の研究をするのです。なんと愚かな! そんな馬鹿げた高価な機械を覗き込んでいる暇があれば、どうして神の御業に目を向け、教えの通り九大神を崇めないのでしょう? 魔術師たちは貴重な本を集めた巨大な図書館を持っていますが、意地悪くも一般の利用者は締め出しています。しかし、これは特に非難すべきことではないし、惜しくもありません。なぜなら、彼らの集めるような本は確実に不道徳でとるに足らない内容でしょうから。 帝都波止場地区 この場所は本当に最低です。この場所を歩いていて、殺された女子供の死体につまづくことはそう珍しくありません。タムリエルで最もたちの悪い人種は商人と船乗りですが、ここにはそういったごろつきが集まってきては市民の稼いだお金を騙し取る算段をするのです。賭博、人身売買、スクゥーマ、その他のもっと恐ろしい罪が港湾倉庫や船倉で行われています。彼らを取り締まるべき衛兵は何をしているかですって? どこにも見あたりません。 帝都獄舎地区 この牢獄は陰惨で身の毛のよだつような場所で、じめじめした不潔な建物の中のいたるところに、鎖、やっとこ、手枷、足枷、その他あらゆる拷問道具が置かれています。でも、肝心の囚人はどこでしょう? いません! 衛兵があんなにも怠けているせいで、牢獄はいつもからっぽなのです! 帝都のいたるところに衛兵の姿が見られます。彼らも町中に居る盗賊や強盗がこわいので、常に数人で一緒に行動しています。どうして彼らが、鬱陶しい物乞いどもをまとめて牢屋に入れてしまわないのか不思議でなりません。犯罪者は大胆で、白昼、町中で犯罪に出くわすことも珍しくありません。ある恥知らずのならず者などは、彼の武具が帝都獄舎から盗んだものであるとおおっぴらに自慢しているほどです。いったい、どれほど看守が怠けていればそんなことが可能なのでしょう! 犯罪者を牢に閉じこめておくべきはずの看守の上司が賄賂を受け取っているため、看守たちは恥知らずにも職務を怠っているのです。 闘技場 この場所については説明する必要がないでしょう。皆様が足を運ぶような場所ではありません。怠惰で愚かな人々だけがここへ来て勝ち負けに金を賭けたり、時には自分で血を流して戦ったりするのです。そんな無益な戦ができるなら、どうして町中にたむろする強盗や物乞いを駆逐することにその力を使わないのでしょう。 九大神の祝福とご加護がありますように! 地理・旅行 茶2 アレッシア・オッタスの ブラヴィル案内書 恵みあふれる母なるマーラ、我らを病からお守りください! 私の名はアレッシア・オッタス。ブラヴィルの全てについて皆様にお伝えしましょう。 ブラヴィルは例えるなら、下水口のふたにぞっとするほど汚らしいごみがたくさん溜まっているような光景を思い起こさせる町です。この町はシロディール中で最も貧しく、最も汚く、最も古ぼけて、最もみすぼらしく、最も多くの犯罪者、酔っぱらい、スクゥーマ中毒者が住みつき、最も多くの住人が獣じみた下等人種もしくは外国人です。あとはここにデイドラを崇拝する邪神教の集会でも加われば、間違いなく極悪非道、品性下劣な最悪の町と言えるでしょう。しかし、おぞましいことに、ブラヴィルでは実際にそれよりも邪悪で堕落した邪神崇拝が秘密裏に行われているという噂です。 この町は陰気で殺伐としており、常に重苦しい空気が漂っています。また、気候はじめじめとしており、大気は汚れています。というのも、町の下水が流れ込むラーシウス川の淀みからは悪臭が立ち上り、ニベン湾の低地には同じく悪臭を放つ沼地が広がっていて、疫病と害虫の温床になっているのです。 町の建築物の見苦しさと乱雑さは度を超しています。住宅、商店、ギルドの建物の柱はひび割れ、裂け、腐って軟らかく、緑のカビで覆われています。いっそのこと崩れ去ってしまえばその後に新しくましな家を建てることもできるでしょうが、彼らは今ある家の上にまた汚らしい家を建て、そのおかげで家々は三階、四階とまるでこやしの山のように見苦しくその高さを増してゆくのです。物乞いや泥棒は通りの頭上に張り出したバルコニーで無為に時間を潰し、ごみやガラクタを不運な通行人の頭の上に投げ捨てるのです。建物の屋根の上にぐらぐら揺れながら建っている信じられないほど不潔な小屋に、一家全員が暮らしていたりします。 ブラヴィルの住民は不愉快で不誠実です。彼らの生活は洞窟に住むゴブリンより少しましな程度で、今にも崩れそうな不潔な小屋に勝手に住みついています。町の住民は2つの階級に分けることができるでしょう。一方は密輸業者、スクゥーマ中毒者、強盗、泥棒、殺人者たちで、もう一方はこうした犯罪者がカモにする物乞いや愚鈍な役立たずたちです。 ブラヴィルの支配者は犯罪者のリーダーたちです。町の衛兵は、スクゥーマ密売人の親玉に雇われています。エルスウェーアとブラック・マーシュにほど近いこの町に多くのアルゴニアンとかカジートが住んでいるのは不思議なことではありませんが、オークの多さには驚かされます。しかし、これらの下等な人種たちは他の下等な人種と問題なく共存しています―― ちょうど泥棒や獣がお仲間を見つけては群れ集うのと同じように。 ブラヴィルの町は区画整理などされていませんが、不運にもこの町を歩くことになった人々のためにいくつかの目印をご紹介しましょう。城へは、崩れそうな橋で川を渡って東へ。聖堂は西です。商店やギルドは東側の壁と川を背にして並んでいます。聖堂と商店・ギルドの間の地域はブラヴィルのスラム街です。 城は、ブラヴィルで唯一の石造りの建物です。この城は庶民の住む掘っ立て小屋と同じぐらい汚く建てつけも悪いですが、それでもアンヴィルや帝都で一番貧しい物乞いの家と比べれば少しはましかもしれません。レギュラス・タレンティウス伯爵は家柄も良く、かつてはトーナメントでチャンピオンになり名声を得たこともありますが、領民に言わせれば今では単なる役立たずの酔っぱらいです。伯爵の息子のゲリアス・タレンティウスは典型的な親の七光りで、犯罪者とスクゥーマ中毒者が好き勝手に振る舞える社会の維持に大いに貢献しています。 聖堂の建物の石でできた部分は、崩れるがままでカビに覆われています。木材を組み合わせただけのぼろぼろの柵で囲まれた墓地は乱雑に荒れ果てています。女司教はマーラの敬虔な信奉者ですが、九大神見捨てられたこの町の犯罪と不正は彼女の手には負えないでしょう。女司祭は聖堂を訪れる数少ない人々に好かれていますが、この町の大多数の住民は生涯一度も聖堂に足を踏み入れることはないのです―― 盗みや物乞いに入る場合を除いては。 また、この町の宿屋の評判も最悪です。宿屋に入るには、まず玄関に寝そべった酔っぱらいと彼らが吐いたものを乗り越えなければならないでしょう。宿の中では、暗がりのごろつきや博徒やスリが、不注意な旅行者をあっという間にカモにしてしまいます。そのような宿に泊まろうとする物好きな旅行者は、眠っている間に殺されたとしても文句は言えません。 それに比べれば、ギルドはまだ清潔で酔っ払いも見当たらず、比較的平穏が保たれている場所といえます。もし必要に迫られてブラヴィルで夜を越すことになった時は、戦士ギルドか魔術師ギルドに泊まるのが最善でしょう。ギルドにいる人々も野蛮で不道徳ですが、少なくとも安全に眠れる場所だからです。 商店もブラヴィルの他の部分と比べれば、まだましと言えるでしょう。商店は泥棒対策のために厳重に見張られており、店内では暴行や殺人の心配はありません。 もしあなたが何かの不運でブラヴィルを訪れることになってしまったとしたら、町に入ってすぐにそこから出たくなることでしょう。そのときは気をつけてください、町を出るあなたの後ろから追いはぎと殺し屋の群れが追ってこないように。 九大神を称え祈りましょう! 地理・旅行 茶3 アレッシア・オッタスの ブルーマ案内書 父なるタロスよ、我らをお守りください! 私の名はアレッシア・オッタス。皆様に、ブルーマの全てをお教えしましょう。 ブルーマはニベンの町だと思われがちですが、スカイリムとの境界に近いことと、ジェラール山脈高地の寒く厳しい気候のため、実際はニベンよりもノルドの特色が強い町です。ブルーマは常に寒く、雪に覆われており、市民を凍死から守るために町のいたるところに火鉢が置かれ、絶えず火が焚かれています。ジェラール山脈の森林では木材が豊富に採れるため、ブルーマのあらゆる建物は木で造られており、どんな金持ちもみな暗く薄汚れた木造の小屋のような住居で暮らしています。このような気候の中で暮らすノルド人が、あのように飲んだくれで異教徒の野蛮人になるのも不思議はありません。なぜなら、厳しい気候の中では人間にできることは限られており、寒さをごまかすために前後不覚になるまで酒を飲もうとするものもいれば、身を切るような寒さや容赦ない風からひと時逃れるためだけに罪を犯すものもいるのです。 ブルーマ城もまた隙間だらけで寒く、装飾はぞんざいで、火鉢の煤のために薄汚れています。場内は煙と灰のにおいが充満しています。高い天井は立派ではありますが、そのせいで火が焚かれても城内は一向に暖まりません。石造りの部分も煤と汚れで完全に覆われているので、そこに施された見事な彫刻も今では全く見ることができません。その石造りの部分と全体の大きさをのぞけば、ブルーマ城は庶民の住む貧相な木の小屋と何一つ変わりません。 女伯爵ナリナ・カーヴェインはハートランドのニベン人で、熱心に礼拝に通い、領民にも敬われていますが、交渉の場においては狡猾で無情な一面を見せ、抜け目のないやり口と裏切り行為で評判の人物です。ブルーマの施政は効率的で秩序が守られています。頑固なノルド人の隊長が率いる衛兵たちはよく訓練されており精力的で、そのため泥棒や強盗の心配はありませんが、ノルド人の特徴である酔っぱらいと暴動ばかりはどうしようもありません。 町から城に行くには、町の西にある城門が城の中庭に通じています。商店、宿屋、ギルドは町の北と西の城門の前にある高台の上や、その下の聖堂の北側に集まっています。ブルーマの町の南半分は聖堂を中心として、住宅が町の東と南の内壁に沿って並んでいます。通りは狭く、並木などは植えられていません。この寒さの中では草木を植えても枯れてしまうのです。しかし、建物が小さい町に密集しているため、散策に時間はとられないでしょう。 ブルーマのニベン人たちは聖堂での日曜礼拝を敬虔に行っていますが、下層民は罪深くもノルドの異教の神を信仰し、彼ら独自の迷信や非文明的な儀式をあらためようとしません。 ノルド人の鍛冶屋は名匠が多いので、ブルーマで品質の良い武器や防具を買うことができるのは当然ですが、一方でノルド人は無学で読書をしないため、この町で本を手に入れるのは難しいでしょう。この町の戦士ギルドおよび魔術師ギルドはお粗末で人材も不足しています。誰しも、こんな寒く薄暗い町のギルドに派遣されたいとは思わないのでしょう。ただし、少なくとも魔術師ギルドはきちんと管理され、暖かく保たれています。(それにしても、いったいどのような恐ろしい魔術でその暖かさを生み出し、保っているのでしょう? 想像したくもありません) 皆様に九大神の祝福とご加護がありますように! 地理・旅行 茶2 アレッシア・オッタスの レヤウィン案内書 全ての労働にゼニタールの祝福を! 私の名はアレッシア・オッタス。レヤウィンの全てを皆様にお教えしましょう。 エルスウェーアとブラック・マーシュという野蛮な発展途上の地方に挟まれた土地に位置していること、またトパル湾から帝都へのニブン川の水上交通を守るという重要な役割をもつことから、レヤウィンは石垣と守備隊に囲まれた強固な要塞都市です。 ブラックウッドの沼だらけの自然の中にあるにもかかわらず、レヤウィンは明るく陽気なよく栄えた町です。道路は広くきれいだし、住み心地の良さそうな広い家々は木骨作りやしっくい塗りで、多くの家の壁はまるで今塗られたばかりのような美しい色で彩られています。町のいたるところに木々や花が植えられ、静かな広場や池の周りは瞑想をするのにもってこいの場所です。住民のアルゴニアンとカジートの低俗で大衆的な性質を無視すれば、レヤウィンは巡礼者にとって感じの良い安全な町だと言えるでしょう。 レヤウィン伯爵はマリアス・カロといい、彼が最近花嫁に迎えた美しく賢いアレッシアは、あの信望厚いコロールの女伯爵アリアナ・ヴァルガの娘です。伯爵夫妻は帝政化を熱心に推進しており、ニベン人によるハートランドの帝都文明である、伝統的な勤勉さ、礼拝の習慣、遵法精神などを辺境の未開人たちに広めるために尽力しています。 町はニベン川西岸に建てられた高い幕壁に囲まれています。町の東端にある2つの門の中にはさらに城壁があり、その中にはレヤウィン城が川の深い部分をまたぐように建っています。ゼニタール聖堂は町の北西、西の門にほど近い場所にあります。商店、宿屋、ギルドは全て聖堂の南側、町の西半分に密集していますが、そこ以外にも良い本屋と貿易商の店が一軒ずつ、西の門からのびて町を東西に横切る道の北側にあります。住宅街は町を南北に走る大通り沿いにあり、住宅街の東にはニベン川の曲がりくねった部分を囲い込んで作られた深い池が2つあります。 ステンダール聖堂と伯爵夫妻は、ニベン文化の恩恵を辺境の地に住む原住民に広めるために協力し合っています。グリーン・ロードおよび最近開通したトランス・ニベン周辺での盗賊による被害があるにもかかわらず、守護神ゼニタールの祝福のおかげでレヤウィンの産業・貿易は栄えています。 レヤウィンの自慢のタネは、シロディール随一(もちろん、帝都州は別にして)の商店や商人の質の高さです。さらに、職人や戦士ギルド・魔法ギルドの講師にいたるまでが、優れた能力を持っているのです。中でも、サザン書店には注目です―― この本屋を経営しているのはなんとオーク(!!!)で、『こどもの神学』の在庫を切らしません。この本は、神の教えを本当の意味で理解していない人々にも易しく読めるのでおすすめできます。 最近、戦士ギルドのライバル組織とも言える傭兵会社「ブラックウッド団」がこの地に新しい本部を建て活動を始めました。ブラックウッド団の構成員のほとんどはアルゴニアンとカジートですが、役員たちは礼儀正しく、丁寧で上品な言葉遣いで話すことができるようです。彼らは私に、ブラックウッド団は値段とサービスの品質で積極的に戦士ギルドと競争すると話してくれました。(これは帝国民として正しい行いであり、ゼニタールもきっとお喜びになるでしょう―― 新進の事業は産業の繁栄にとって有益です) 残念なことに、レヤウィンに住む全てのアルゴニアンとカジートが、ブラックウッド団の構成員のように勤勉で模範的な人々ばかりなわけではありません。町中ではどんな時間でもアルゴニアンのトカゲどもやカジートのネコどもが道端にたむろし、無駄話をしています。彼らがほんの少しの時間でも自分自身と家をきれいにすることに費やしてくれたならよいのに。 九大神を称え、罪に背を向けましょう! 地理・旅行 茶3
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/247.html
ウルフハース王 五つの歌 ショールの舌 ウルフハース王の最初の歌は太古のもので、およそ第一紀の500年頃に書かれたものとされている。グレヌンブリアの沼地にてアレッシア派の軍勢が打ち破られ、その戦いでホアグ・マーキラー王が倒されると、アトモラのウルフハースが族長会議によって選ばれた。彼のスゥームが非常に強かったため、口頭で宣誓をするわけにいかず、誓いの儀は書記を介して実施されたとされている。書記たちは戴冠直後にウルフハース王による最初の布令、すなわち伝統的なノルドの神々の業火による復権である。旧態の信仰は違法とされ、僧侶たちは火あぶりに処せられ、その聖堂には火が放たれた。以後、ボルガス王の影響が一時的に弱まることになった。その狂信ぶりにより、ウルフハース王はショールの舌、北方の竜イスミールなどの異名で知られるようになった。 カインの息子 ウルフハース王の二番目の歌は、彼の偉業が古き神々にとっていかに好ましきものであったかを讃えたものであり、ウルフハースが東方のオークたちと戦い、その族長を声の力で地獄送りにした様子や、竜によって傷つけられたハイ・フロスガルの418番目の段を再建した話が盛り込まれている。彼が配下の軍勢が風を引かないように雷雲を飲み込んだことにより、ノルドたちはウルフハースをカインの息の異名で呼ぶようになったとされている。 戸を叩く老人 ウルフハース王の三番目の歌は彼の死に様を歌ったものである。敵側の神であるオルケイは以前からノルドたちを破滅に導こうと画策しており、アトモラでも彼らの年齢を奪ったりしていた。ウルフハース王の強大さを目の当たりにしたオルケイは、再び時喰らいしアルドゥインの亡霊を呼び寄せる。これによりノルドたちのほとんどは年齢を喰われ、六歳児の姿となってしまう。少年となったウルフハースは今は亡き神々の族長であるショールに、ノルドたちを救うように嘆願する。ショール自身の亡霊がこれに応じ、時の始まりでそうしたように霊魂の次元にてアルドゥインと対決して勝利し、オルケイの臣下であるオークたちを破滅に追い込む。天での戦いを見ていた少年ウルフハースは新たなスゥーム、「巨竜をかように揺らせばどうなるか」を体得する。彼はこの新たな力を使ってノルドたちを正常な姿に戻すが、一人でも多く救おうと焦る中で自らの年齢を戻し過ぎてしまい、グレイビアードたちよりも高齢となり、死んでしまうのであった。ウルフハースの火葬の際の炎はカインの炉にすら達したとされている。 灰の王 ウルフハース王の四番目の歌は彼の復活を歌ったものである。東方の王国のドワーフと悪魔たちが再び戦いを始め、ノルドたちはそれをきっかけにかつての領地を奪い返せないかと目論み始める。侵攻が計画されたものの、率いてくれる強大な王がいないために見送られてしまう。そこへダゴスの悪魔が登場し、敵意は無いと言い張り、ノルドたちに素晴らしき話を聞かせる。神々の族長ショールの心臓の在り処を知っているというのだ。ショールは遥か昔にエルフの巨人たちに殺され、その心臓はノルドたちに恐怖をうえつけるために旗の一部として使われたのだった。この策は当初功を奏していたが、イスグラモルが皆を正気に戻すと、ノルドたちは反撃に転じたという。自分たちがいずれ敗北することを悟ったエルフの巨人たちは、ノルドたちのもとにその守護神が戻ってしまわないよう、ショールの心臓を隠してしまったのであった。ダゴスの悪魔がもたらしたのはそれほどの朗報だったのである。彼によればショールの心臓は東方の王国のドワーフと悪魔たちが手にしており、最近の動乱はそれが原因になっているとのことだった。ノルドたちがダゴスの悪魔にかように仲間を裏切る理由を問うと、悪魔は同族の者たちは時の始まり以来お互いを裏切り続けてきており、これもその一環だと答え、ノルドたちもそれを信じた。「舌」たちがその歌でショールの亡霊をこの世に再び呼び寄せると、ショールは昔同様に軍勢を集め、撒かれて久しいウルフハース王の遺灰を集めて再生させた。これはショールが有能な武将を配下に欲したからであるが、ダゴスの悪魔もその武将の役をくれと懇願し、聖戦の担い手としての自らの役割を強調した。これによりショールは灰の王とダゴスの悪魔の両方を武将として傘下にかかえ、スカイリムの息子たち全員を引き連れて当方の王国へと進軍したのである。 赤き山 ウルフハース王の五番目の歌は実に悲劇的なものである。災厄の生き残りたちは赤い空のもとに帰ってきて、その年は太陽の死と呼ばれることになった。ノルドたちはダゴスの悪魔に騙されたのであった。ショールの心臓は東方の王国では見つからず、そこにあった事実すらなかったのである。ショールの軍勢が赤き山に辿り着くやいなや、悪魔とドワーフたちが大挙して襲いかかってきたのである。敵の妖術師たちが山を持ち上げてショールの上に落とし、ショールは時の終わりまで赤き山の下敷きになってしまう。スカイリムの息子たちは惨殺されてしまうが、その前にウルフハース王がドワーフオークのドゥマラキャス王を倒し、その一族の破滅を不可避として一矢報いた。その後、悪魔のヴェクが灰の王を地獄へと送り、戦いは終焉を迎えた。しばらくの後、カインがイスミールを地獄から救い、その遺灰を天へと持ち上げ、息子たちに裏切りによって流された血の色を見せたのである。そしてノルドたちはあれ以来、二度と悪魔を信用することはなくなったという。 *** 灰の王ウルフハースの秘密の歌 赤き山の真実 ダゴス・ウルが約束した通り、ショールの心臓はレスデインにあった。ショールの軍勢は内海の最も西方にある沿岸に近づき、その向こうにドワーフの軍が集結する赤き山を見た。斥候からの報告によると、ダークエルフの軍はナルシスを出発したばかりで、ノルドたちと戦うドワーフ軍に加勢するにはしばらくかかるだろうとのことであった。ダゴス・ウルの話では裁官たちが王の信頼を裏切り、ダゴス・ウルをロルカーン(レスデインでのショールの呼び名)のもとへと送り、荒ぶる神がドワーフたちの不遜に鉄槌を下すことを期待したそうだ。ネレヴァルとドワーフたちの和平こそが、ヴェロシの法の破滅に繋がるのだと。ダゴス・ウルいわく、それこそがダークエルフの集結が遅い理由なのだと。 増強される軍勢 そしてロルカーン(レスデインでのショールの呼び名)は言った、我がドワーフ共に復讐の鉄槌を下すのは、裁官たちが思うような理由のためではない。とはいえ、奴らが奴らに味方する輩共々、我が手で死ぬことに変わりはない。ネレヴァルとやらは、最も強大なパドメイの一人であるボエシアの息子である。彼は裁官たちが何と言おうと同族にとって英雄であり、十分な数の兵を集めて激しく抵抗してくるであろう。我々にも増援が必要だ。すると、裁官たちと同じくらいドワーフ共を死なせたいと欲していたダゴス・ウルがコゴランへと赴き、ダゴス家のチャプティル、ニクスハウンド、魔術師、弓兵、そして奪取した黄銅人たちを呼び集めた。そして灰の王ウルフハース、白髪のイスミールは、そのノルドの血を抑えてオークたちと和平し、多くの戦士を得たものの魔術師はまるでいなかった。赤き山を目前にしてもなお、ノルドたちの多くは宿敵と手を組む気にはなれず、戦意を捨てる寸前にあった。そこでウルフハースは言った。自分のいる場所がわからんのか? ショール様が誰なのか知らんのか? この戦争の意味がわからんのか? すると兵たちは王から神から悪魔たちからオークたちへと見渡して、その何人かは理解し、それも心底理解し、その何人かこそがその場にとどまったのである。 破滅の太鼓 ネレヴァルは月の影の音から作られた、キーニングなるダガーを身につけていた。彼のそばには神のものとおぼしき大槌を携えたドワーフの王デュマクと、アズラの息子であり、亡霊の鎧を着込んだ不死身のアランドロ・スルがいた。彼らは赤き山の最後の戦いでロルカーンと対決した。ロルカーンは心臓を取り戻していたが、長い間離れていたため、時間を必要としていた。ウルフハースはスルと戦ったものの、スルに打撃を与えることができず、重傷を負って倒れたが、その前に叫びによってスルを失明させた。ダゴス・ウルはデュマクと戦い、これを倒したが、その前にサンダーが主君の心臓に命中していた。ネレヴァルはロルカーンに背を向け、怒りに任せてダゴス・ウルを打ち倒したが、逆にロルカーンから致命傷を受けてしまった。だがネレヴァルはこの早すぎる死を偽装し、ロルカーンの脇腹に不意打ちを喰らわせた。調律の力をもつサンダーの一撃によりロルカーンの心臓は固化しており、ネレヴァルはキーニングでこれを切り出すことができた。心臓を切り出すとロルカーンは倒され、万事が終焉を迎えたように思われたのであった。 歴史・伝記 紫1
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/93.html
バレンジア女王伝 第1巻 スターン・ガンボーグ帝都書記官 著 第二紀の後期、バレンジアはモーンホールド王国(現在の帝都州モーンホールド)の王女として生まれた。バレンジアは5歳まで、ダークエルフの王女にふさわしい贅沢と保護の下で育った。その頃、タムリエルの初代皇帝、タイバー・セプティム1世閣下はモロウウィンドの堕落した王たちに対し、彼の帝都支配下に加わるよう要請したのだった。自らの魔力を過信したダークエルフたちはその要請を拒み続けたため、ついにタイバー・セプティムの軍は国境まで迫ってきたのであった。結果としてダークエルフは停戦に合意したが、そこに至るまでにはいくつかの戦があった。その一つは、モーンホールド王国のがれきの山と化していた、現在のアルマレクシアにて繰り広げられた。 幼い王女バレンジアと乳母は、戦のがれきの中で発見された。ダークエルフでもあった帝都将軍シムマチャスは、その幼き子を生かしておけば後に役立つかもしれないと皇帝に進言した。こうして、バレンジアは元帝都軍兵に預けられることになった。 元帝都軍兵であるその人物、スヴェン・アドヴェンセンは、引退した際に伯爵の位を授かっていた。彼の領地、ダークムーアはスカイリム中心部にある小さな町だった。セヴン伯爵とその妻は、自らの子供のように王女を養育し、なによりも帝都の一員としての美徳、すなわち遵法、分別、忠誠、信仰などを教えこんだ。その結果、彼女はすぐにモロウウィンドの新しい支配者の一人としてふさわしい資質を身に付けた。 バレンジアは美しく、気品と知性にあふれた少女に育った。彼女は優しく、また養父母の誇りでもあり、養父母の5人の息子たちもみな彼女を姉として慕った。彼女には、見た目以外にも他の少女にはない特質を持っていた。森や野原と心を通わせ、ときどき家を抜け出しては自然の中を歩き回るくせがあったのだ。 16歳までバレンジアは、とても幸せな毎日を送っていた。そんなある日、仲良くしていた厩番の孤児の不良少年から、セヴン伯爵と客のレッドガードとの間で行われた話を聞かされたのであった。どうやら妾として彼女をリハドへ売り飛ばすことを企んでいるらしいことを。ノルドやブレトンは肌が黒い彼女と結婚したがるはずもなく、ダークエルフでさえも異人種に育てられた彼女を嫌がるに違いないという考えを伯爵は持っているというのである。 「どうすればいいのかしら?」と、バレンジアはふるえながら涙声で言った。まっすぐに育った彼女は、友達である厩番の少年が嘘をついているなんて思いもしなかったのである。 そのストロウという名の不良少年は、彼女の護衛を買って出て、貞節を守るべく一緒に逃げることを勧めてきた。悲しげにバレンジアはその計画を受け入れた。 そしてその夜、目立たぬよう男装をしたバレンジアとストロウは、ホワイトランの町へ逃げたのだった。 ホワイトランに着いてから数日後、彼らはある隊商を護衛するという仕事に就いた。このいかがわしい隊商は帝都の街道を通ると通行税がかかるため、脇道を通って東へ向かおうとしていたのである。そして、隊商とともに彼らは追っ手に見つかることなくリフトンの町へ辿り着き、しばらくその地に身を置くことにしたのだった。彼らはダークエルフが珍しくないこのモロウウィンドとの境界に近い町に、束の間の安らぎを感じたのであった。 歴史・伝記 茶4 バレンジア女王伝 第2巻 スターン・ガンボーグ帝都書記官 著 第1巻では、バレンジア女王の生い立ちから、タイバー・セプティム1世閣下に背いた彼女の父がモロウウィンドを滅ぼしたところまでを紹介してた。皇帝の寛大なはからいにより、幼い彼女は死を免れ、ダークムーアの帝都貴族であるセヴン伯爵夫妻に育てられた。彼女は美しく信心深く成長し、養父母に対する深い感謝を持っていた。ところが、その信じる心をセヴン伯爵の屋敷の厩番をしていた孤児の不良少年に利用され、作り話で騙された彼女は16歳のときにその少年とともにダークムーアを飛び出したのだった。道中でたくさんの危険に襲われながら、彼らはモロウウィンドにほど近いスカイリムの町、リフトンに辿り着いた。 厩番の少年ストロウは、根っからの悪人ではなかった。彼はバレンジアのことを自分勝手にではあったが愛していて、彼女を自分のものにするには嘘をつく以外にないと思っていたのだ。もちろん、バレンジアは彼をただの友達としか見ていなかったが、ストロウ自身はいつか彼女の愛を得ることを信じ続けていた。小さな農場を買って彼女と家庭を持つことを夢見ていたが、彼の少ない稼ぎはその日の食料と宿にすべて消えてしまうのだった。 二人がリフトンに来てまもなく、セリスという名のカジートの悪党が、町の中心地にある帝都指揮官の家を押し入る計画をストロウにもちかけた。セリスが言うには、帝徒に敵対するある人物がその家のもつ情報に大金を払うというのだ。バレンジアはその計画を漏れ聞き、震えあがった。彼女はその場をそっと離れ、外へ飛び出した。帝都への忠誠と仲間への愛情の間で彼女の心は引き裂かれていたのだった。 最後には、帝都への忠誠を選び、彼女は帝都指揮官の家へ行き、彼女の素性を明かした上で友人の計画を伝えたのであった。指揮官は彼女の話に耳を傾け、その勇気を称え、彼女には決して危害が及ばないことを約束した。だが、なんとその人物こそが、あの指揮官シムマチャスであった。彼はバレンジアを探し続け、ある情報を聞きつけてやっとの思いでリフトンに辿り着いたばかりであった。彼はバレンジアを保護し、真実を告げた。売り飛ばされるどころか、18の誕生日に再びモーンホールドの女王になることを知るのであった。その日が来るまで、バレンジアは政治を学び、皇帝に拝謁を賜るために新しい帝都でセプティム家とともに過ごすこととなった。 そして、帝都に迎えられたバレンジアと治世の半ばにあったタイバー・セプティム皇帝は親交を暖めた。タイバーの子供たち、特に長男ペラギウスは彼女を姉のように慕った。吟遊詩人たちは彼女の美しさ、清純さ、知恵、そして教養を称え歌い上げた。 18歳になった日、帝都中の人々が街道に出て故郷へ戻る彼女の送別パレードを見守った。誰もが彼女との別れを惜しんだが、モーンホールド女王としての輝かしい運命がバレンジアを待ち構えていることを皆は知っていた。 歴史・伝記 茶4 バレンジア女王伝 第3巻 スターン・ガンボーグ帝都書記官 著 第2巻では、バレンジアが新たに建てられた帝都に温かく迎えられ、一年近くの間、まるでずっと行方の知れなかった娘のように、皇帝一家から愛されたところまでを紹介してきた。数ヶ月間、帝都領地の女王としての義務と責任を学んだあと、シムマチャス将軍が彼女を護衛してモーンホールドへ送り届けた。この地でバレンジアはシムマチャスの手引きを得て女王として国を治めた。そして彼らは少しずつお互いを愛するようになり、やがて結婚した。彼らの結婚と戴冠を祝う盛大な式では、皇帝自らが司祭として儀式を執り行った。 数百年の結婚生活を経て、息子ヘルセスが生まれ、祝賀と喜びの祈祷で迎えられた。後になってわかったことだが、このめでたい出来事の直前、モーンホールド鉱山の奥から混沌の杖が持ち去られていた。盗んだのは謎めいた吟遊詩人で、ナイチンゲールと呼ばれた男だった。 ヘルセスが生まれてから8年間、バレンジアは娘を生んだ。シムマチャスの母親の名をとってモルジアと名づけられた。夫婦は幸せに満ちていた。しかし、その直後、不可解な理由から帝都との関係が悪化し、モーンホールドに不穏な空気が漂い始めた。原因究明と関係修復の努力は無駄に終わり、バレンジアは子供たちとともに帝都へ行き、皇帝ユリエル・セプティム七世と直接話すことにした。シムマチャスはモーンホールドに残り、不満を訴える領民や不安がる貴族たちに対応し、反乱を食い止めることになった。 皇帝との謁見の際、バレンジアは魔力を使って皇帝の正体を見抜き、その瞬間、恐怖と困惑に襲われたのであった。なんとあの混沌の杖を盗んだナイチンゲールではないか! だが彼女はつとめて平静を装った。その夜、シムマチャスは農民の反乱に敗れ、モーンホールドは反逆者の手に落ちた。バレンジアは誰に助けを求めたらよいのか途方にくれてしまったのだった。 だが、まるで今までの不運を埋め合わせるように、天はその運命の晩、彼女に味方した。皇帝とシムマチャス両方の旧友であるハイ・ロックのイードワイヤー王が訪問してきたのであった。彼はバレンジアを慰め、友情と協力を誓い、彼女の言うとおり皇帝が偽者であると断言した。皇帝になりすましているのは帝都軍の魔闘士ジャガル・サルンであり、ナイチンゲールは彼が持つ様々な顔の一つであるという。ターンは隠居し、彼の任務は助手リア・シルメインが引き継いだと言われていたが、そのリアは後に謎の死をとげたのであった。どうやらなんらかの事件との関連が疑われ、処刑されたこになっていた。しかしリアの亡霊はイードワイヤーの夢に現れ、真の皇帝はターンに拉致され、別次元に監禁されていると告げたのだった。そのことを元老院に知らせようとした彼女は、ターンに混沌の杖で殺されたのである。 イードワイヤーとバレンジアはともに、偽皇帝の信頼を得るために画策した。そのころ、偉大な力を秘めたチャンピオンという名でしか知られていないリアのもうひとりの仲間が、帝都の地下牢に閉じ込められていた。リアは彼の夢に現れ、逃走の準備が整うまで待つように告げるのであった。こうして、彼は偽皇帝を倒す計画を練り始めたのだった。 バレンジアは引き続き偽皇帝に近づき信頼を得た。彼の日記を盗み読みし、混沌の杖を8等分にして、それぞれをタムリエル各地の遥か彼方に隠したことを知った。バレンジアはリアの仲間の牢獄の鍵を入手し、看守を買収し偶然を装って彼の手の届くところに置かせた。バレンジアとイードワイヤーにすら名前のわからないチャンピオンは、リアが衰えつつあった力で開けた辺ぴな通用門から脱獄することができた。ついにチャンピオンは自由の身になり、すぐさま偽皇帝の打倒にに立ち上がった。 数ヶ月かけて盗み聞いた会話と盗み見た日記から、バレンジアは混沌の杖8つのかけらを探し当て、リアを通じてチャンピオンにそれぞれの隠し場所を伝えた。そして、一寸たりとも時間を無駄にすることなく、計画を行動に移したのであった。まず、ハイ・ロックにあるイードワイヤーの祖先の領地ウェイレストへ向かった。そしてターンが送り込む手下たちを回避し、復しゅうを図ることに成功した。ターンは、(バレンジアからは見透かされていたかもしれないが)、決して愚か者ではなく、非常に狡猾な男であった。彼は考えうるだけの策を弄してチャンピオンを突き止めて消そうとしたことは確かであった。 今日では周知のとおりだが、あの勇敢で不屈の精神を持つ名もないチャンピオンは、混沌の杖のかけらを全て集めることに成功し、混沌の杖によってターンを倒し、真の皇帝ユリエル・セプティム七世を救い出した。そして王政復古の後に、セプティム王朝を長年統制してきたシムマチャスを称える記念式典が帝都で行われたのである。 バレンジアとイードワイヤー王はともに苦難と危険を乗り越える中で互いに惹かれあい、帝都からそれぞれの領地へと帰ったその年に結婚した。バレンジアと前夫との間に生まれた2人の子供も、彼女とともにウェイレストへゆき、彼女の留守中はモーンホールドによって摂政が代理で統治することとなったのである。 今も、バレンジア女王はヘルセス王子とモルジア姫とともにウェイレストに暮らしている。イードワイヤーが他界すれば、またモーンホールドへ戻るだろう。 結婚したとき、イードワイヤーはすでに老いていた。従って、エルフと違って残念ながら世を去る日はそう遠くないとされている。しかし、それまでは、イードワイヤーとともにウェイレストを治め、やっと手に入れた平穏で幸せな生活をバレンジアは送ることとなるだろう。 歴史・伝記 茶4
https://w.atwiki.jp/carrier/pages/4.html
ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_174_ja.html たとえば、#news(wiki)と入力すると以下のように表示されます。 ドラゴンクエストけしケシ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」 - 川崎経済新聞 【グランサガ】リセマラ当たりランキング - グランサガ攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】隠しイベントの発生条件と効果まとめ - Gamerch(ゲーマチ) 「Wiki」創設者のPC 競売に - auone.jp 篠原悠希×田中芳樹が明かす「歴史ファンタジー小説ならではの悩み」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【Apex Legends】ヴァルキリーの能力と評価【エーペックス】 - Gamerch(ゲーマチ) モンハンライズ攻略Wiki|MHRise - AppMedia(アップメディア) 【ウインドボーイズ】リセマラ当たりランキング(最新版) - ウインドボーイズ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ポケモンBDSP(ダイパリメイク)攻略wiki - AppMedia(アップメディア) 【テイルズオブルミナリア】リセマラ当たりランキング - TOルミナリア攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) SlackからWikiへ!シームレスな文章作成・共有が可能な「GROWIBot」リリース - アットプレス(プレスリリース) 【ウマ娘】チャンピオンズミーティングの攻略まとめ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】ナリタブライアンの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【シャーマンキング】リセマラ当たりランキング【ふんばりクロニクル】 - ふんクロ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) サモンズボード攻略wiki - GameWith 【まおりゅう】最強パーティー編成とおすすめキャラ【転スラアプリ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【スタオケ】カード一覧【金色のコルダスターライトオーケストラ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【スマブラSP】ソラのコンボと評価【スマブラスペシャル】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ブレフロレゾナ】リセマラ当たりランキング【ブレイブフロンティアレゾナ】 - ブレフロR攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ポケモンユナイト】サーナイトの評価と性能詳細【UNITE】 - Gamerch(ゲーマチ) 仲村トオル、共演者は事前に“Wiki調べ”(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【ENDER LILIES】攻略チャートと全体マップ【エンダーリリィズ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】あんしん笹針師の選択肢はどれを選ぶべき? - Gamerch(ゲーマチ) 【ポケモンユナイト】アップデート情報・キャラ調整まとめ - ポケモンユナイト攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【Apex】シーズン11の新要素と最新情報まとめ【エーペックス】 - Gamerch(ゲーマチ) ロストジャッジメント攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【Among us】新マップThe Airship(エアシップ)の解説【アモングアス】 - Gamerch(ゲーマチ) ハーネスについて小児科医の立場から考える(坂本昌彦) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ゼルダ無双攻略Wiki|厄災の黙示録 - AppMedia(アップメディア) ウマ娘攻略Wiki - AppMedia(アップメディア) ゲトメア(ゲートオブナイトメア)攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【白夜極光】リセマラ当たりランキング - 白夜 極光 wiki - Gamerch(ゲーマチ) ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」が「ITreview Best Software in Japan 2021」のTOP50に選出 - PR TIMES 真女神転生5攻略Wiki|メガテン5 - AppMedia(アップメディア) 【B4B】近接ビルドデッキにおすすめのカード【back4blood】 - Gamerch(ゲーマチ) ポケモンスナップ攻略wiki - AppMedia(アップメディア) 富野由悠季「ブレンパワード」作り直したい!ファンを前に意欲(シネマトゥデイ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【ウマ娘】査定効率から見た取るべきスキルとおすすめキャラ【プリティーダービー】 - Gamerch(ゲーマチ) ナレッジ共有・社内wiki「NotePM」が「ITreview Grid Award 2021 Fall」で、チームコラボレーションとマニュアル作成部門において「Leader」を5期連続でW受賞! - PR TIMES メモ・ドキュメント・wiki・プロジェクト管理などオールインワンのワークスペース「Notion」が日本語ベータ版提供開始 - TechCrunch Japan 【ギアジェネ】リセマラ当たりランキング【コードギアス】 - ギアジェネ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) モンスターファーム2(MF2)攻略wiki|アプリ・Switch移植版 - AppMedia(アップメディア) 【ブラサジ】最強キャラTierランキング【ブラックサージナイト】 - Gamerch(ゲーマチ) 【パワプロ】鬼滅の刃コラボ情報まとめ - Gamerch(ゲーマチ) 【SPAJAM2021】第3回予選大会は「クイズ!WIKIにゃんず!」を開発したチーム「かよちゃんず」が最優秀賞! | gamebiz - SocialGameInfo 検索結果における「ナレッジパネル」の役割とは・・・ウィキメディア財団とDuckDuckGoの共同調査 - Media Innovation ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」が「BOXIL SaaS AWARD 2021 Autumn」にて「コラボレーション部門」を受賞! - PR TIMES Wikipediaが「中国人編集者の身の安全を守るため」に一部の編集者アカウントをBANに - GIGAZINE 【ドッカンバトル】3.5億ダウンロードキャンペーン最新情報 - ドッカンバトル攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) BTS(防弾少年団)のV、8月のWikipedia閲覧数が韓国アーティストで1位!グループでは4ヶ月連続トップ - Kstyle 【イース6オンライン】リセマラ当たりランキング|召喚ガチャの開放条件は? - Gamerch(ゲーマチ) BacklogからNotePMへwiki情報を自動API連携する「Backlog to NotePM」をSaaStainerに掲載開始 - PR TIMES ライザのアトリエ2攻略Wiki - AppMedia(アップメディア) 真女神転生3リマスター攻略Wiki|メガテン3 - AppMedia(アップメディア) ガーディアンテイルズ(ガデテル)攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) タスクも文書もWikiもデータベースもまとめて管理できる「Notion」とは? - ASCII.jp ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」が、見るだけ専用ユーザー『無料』の新プランを発表! - PR TIMES 【かのぱず】リセマラ当たりランキング【彼女お借りします】 - Gamerch(ゲーマチ) 【乃木フラ】リセマラの必要はある?【乃木坂的フラクタル】 - Gamerch(ゲーマチ) メトロイド ドレッド攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【パワプロ】生放送まとめ|パワフェス2021 - パワプロ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ポケモンユナイト】サーナイトのおすすめビルド(わざ・持ち物) - Gamerch(ゲーマチ) ルーンファクトリー5攻略wiki|ルンファク5 - AppMedia(アップメディア) 簡単操作で自分専用Wikiを構築できるMarkdownエディタ「Obsidian」のモバイル版を使ってみた - GIGAZINE 【ウマ娘】限定ミッション「名トレーナーへの道」の攻略 - Gamerch(ゲーマチ) 情報マネジメントツール「Huddler」がwiki機能を刷新 - PR TIMES シェアエコ配送アプリ「DIAq(ダイヤク)」のアンカーアプリで、高層ビル・商業施設の入館方法などお役立ち情報をまとめた「DIAqwiki」を公開 - アットプレス(プレスリリース) 異常熱波のカナダで49.6度、いま北米で起きていること(森さやか) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【ツイステ】マスターシェフの攻略~辛味のふるさと~【料理イベント】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ラグナロクオリジン】リセマラは不要?おすすめ職業は?【ラグオリ】 - Gamerch(ゲーマチ) 白夜極光攻略wiki - AppMedia(アップメディア) 【バイオミュータント】2.02アプデ|アップデート1.4情報 - バイオミュータント攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ひな図書】リセマラ当たりランキング【日向坂図書館】 - Gamerch(ゲーマチ) ニーアレプリカントリメイク攻略wiki|ver.1.22 - AppMedia(アップメディア) アイプラ攻略Wiki|アイドリープライド - AppMedia(アップメディア) 【ウマ娘】ゴルシウィークはいつから?キャンペーン情報まとめ - Gamerch(ゲーマチ) シーズン66 - 【超速GP】ミニ四駆 超速グランプリ攻略まとめwiki - 電撃オンライン オトメイトの新作『終遠のヴィルシュ』出演声優が判明 - 電撃オンライン 乃木坂的フラクタル攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 「こんなことになるとは…」13年前のエイプリルフールについた“嘘”がネットで… ある男の告白(BuzzFeed Japan) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 整理不要の情報共有ツール(社内Wiki)「Nerve」シードラウンドで総額約3500万円の資金調達を実施 - PR TIMES Nerve - 整理不要の情報共有ツール(社内Wiki) ローンチカスタマー募集開始のお知らせ - PR TIMES Among Us攻略Wiki【アマングアス・アモングアス】 - Gamerch(ゲーマチ) パニシンググレイレイヴン(パニグレ)攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ひなこい】最強ひな写ランキング - ひなこい攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 稲作アクションRPG『天穂のサクナヒメ』における「農林水産省攻略wiki説」は本当なのか? - AUTOMATON スタスマ攻略Wiki【スタースマッシュ】 - Gamerch(ゲーマチ) 無料とは思えない多機能っぷりなWikiインフラ「Wiki.js」レビュー、自前でホスト&外部サービスと連携可能 - GIGAZINE Microsoft Teamsの基本と活用(24) TeamsのWikiを使う - マイナビニュース 『ゲーミングお嬢様』での提起が話題に “企業系wiki”に横たわる問題点とは - リアルサウンド 「エイリアンのたまご」,自動周回機能と公式wikiが登場 - 4Gamer.net 【リゼロス】Re ゼロから始める異世界生活 Lost in Memories攻略まとめwiki - 電撃オンライン Wikipediaがたった1人の管理者にめちゃくちゃな言語で編集されてしまう - GIGAZINE 【世界初!】モノの背景を全方位で執筆できるVintage Wiki「VOV」を正式リリース - PR TIMES パワプロ2021/2020攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ヌーラボ、「Backlog」の絵文字入力の補完機能やWiki編集の自動マージ機能を改善 - CodeZine(コードジン) ヌーラボ、プロジェクト管理ツール「Backlog」の絵文字入力の補完機能・Wiki編集の自動マージ機能を修正改善 - PR TIMES Backlog、Wikiにファイル添付が容易にできる機能をリリース -- グローバルバーの視認性改善なども実施 - PR TIMES GK川島、パンチング失点でWiki書き換え炎上 「セネガル代表」「プロボクサー」... - J-CASTニュース
https://w.atwiki.jp/oblivionlibrary/pages/195.html
タララ王女の謎 第4巻 メラ・リキス 著 ジーナが皇帝の密偵、ブリシエンナ夫人に会うことは二度となかったが、彼女は約束を守った。帝都に仕える処刑人、プロセッカスは、ストレイル卿の屋敷に変装してやってきた。ジーナは有能だった。数日もあれば知るべきことは学べてしまいそうだった。 「こいつは単純な魅了の呪文でして、激怒したデイドロスを恋にのぼせた子犬に変えてしまう、ということはありません」と、プロセッカスは言った。「相手を怒らせるようなことを実行するか、そういったことを口にすれば、効果が弱まるでしょう。ちょうど幻惑の流派の呪文のように、あなたに対する相手の認識を一時的にゆがめますが、敬意や憧憬の念を抱かせようとしたら、もう少しマジカ性の弱い魅了を使って対処しなければならないのです」 「わかったわ」ジーナは微笑むと、ふたつの幻惑の呪文を教授してくれて師に感謝した。身につけたばかりのスキルを実践するときがやってきた。 カムローンにある娼婦のギルド屋敷は立派な宮殿で、裕福な街の北部地区にあった。サイロン王子は目隠ししていようが、いつものように泥酔していようが、そこまでたどりつけた。が、今夜の王子はほろ酔いといったところで、これ以上は一滴も飲まないと決めていた。今夜は楽しみたい気分だった。彼らしいやり方で。 「私のお気に入りはどこだね、グリジア?」彼は入ってくるなり、ギルドの女将に申しつけた。 「あの娘は先週のご指名で負った傷がまだ癒えておりませんのよ」と、女将は穏やかに言った。「他の娘はみな出払っておりますわ。けれど、あなたのためにとっておきの娘を残しておきましたの。新人ですけど、きっとお楽しみいただけますわ」 王子が案内されたのはビロードとシルクでぜいたくに装飾された特別室だった。王子が入ってくるのをみて、ジーナはついたての陰から歩み出ると、素早く呪文をとなえた。プロセッカスに教わったように、おおらかな心で信じながら。最初は魔法が効いているのかどうかなんとも言えなかった。王子は残忍な笑みを浮かべてジーナを見ていたが、雲間から太陽がのぞくように、残虐性がさっと晴れた。王子はジーナの手中にあった。彼女に名前を訊いてきた。 「名前と名前の板ばさみになっておりますの」ジーナはからかった。「本物の王子様と愛し合ったことなんてございませんわ。王宮に入ったことすらありませんの。さぞかし…… ご立派なんでしょうね」 「まだ私のものではない」王子は肩をすくめた。「が、いつかきっと王になる」 「あんな王宮で暮らせたら素敵でしょうね」と、ジーナは甘えた声で言った。「一千年の歴史。見るものすべてが古めかしくて美しい。絵画、書物、彫像、タペストリー。皇室の方々は過去の財宝をみんな手放さずに持っておりますの?」 「ああ。くだらないがらくたと一緒に宝物庫の資料室にしまってある。そろそろ、おまえの裸を見せておくれ」 「まずはおしゃべりを楽しんでから。王子様がお脱ぎになりたいとおっしゃるなら、どうぞご自由に」ジーナは言った。「資料室があるとは聞いておりましたけど、巧みに隠されているとか」 「皇族の墓所の裏手にまやかしの壁がある」と、王子は言った。彼女の手首をつかんで引き寄せると、彼女の唇を奪った。と、その目つきが変わった。 「腕が痛みますわ」と、ジーナは叫んだ。 「おしゃべりはおしまいだ、妖艶な売春婦め」王子は怒鳴った。鋭い恐怖心を押さえつけながら、ジーナはつとめて冷静であろうとし、知覚イメージが流れるにまかせた。王子の怒れる口が彼女の唇に触れると、ジーナは幻惑の師から学んだふたつめの呪文をとなえた。 王子は肉体が石と化したのを感じた。その場に凍りついたまま、ジーナが乱れた服装を直して部屋から出ていくのを見ていた。麻痺状態はあと数分しか続かないが、ジーナにとってはそれだけで充分だった。 ジーナとストレイル卿の指示どおり、ギルドの女将はすでに娼婦たちを連れて逃げていた。事態が沈静化すれば、戻ってくるようにとの連絡が彼らから入ることになっていた。この計略の一端を担ってくれたにもかかわらず、女将は一銭も受け取ろうとしなかった。娼婦たちはあの残虐な変態王子に二度と拷問されないですむなら、それだけで充分だからと。 「とんでもない坊やね」法衣の頭巾を上げながら、ジーナは思った。ストレイル卿の屋敷に向かって通りを突っ走っていた。「あの坊やが王になることがなくてよかったわ」 翌朝、カムローンの王と王妃はいつものごとく貴族やら外交官やらと接見していた。人の集まりが悪く、謁見室はがらがらだった。一日を始めるやり方としてはあまりに気だるかった。ひとつの陳述が終わると、いかにも王らしいあくびをした。 「肝心な人たちはどうしてしまったの?」王妃がつぶやいた。「私たちの大切な坊やは?」 「北区のあたりで荒れに荒れているらしい。娼婦に騙されてあとを追ってるようだな」王は愛のある含み笑いをもらした。「なんともできのいい息子だわい」 「それなら、あなたの魔闘士は?」 「きわめて難しい任務にあたらせている」王は眉を寄せた。「が、かれこれ一週間になるし、まるで音沙汰がない。穏やかではないな」 「もちろんだわ。エリル卿をそんなに長い間遠ざけておくべきじゃないもの」王妃は顔をしかめた。「危険な妖術師が私たちを脅してきたらどうするの? あなたは笑うかもしれないけれど、ハイ・ロックの王族が魔術師の家臣をいつも傍らに待機させているのはそのためでしょう。邪悪な付呪から王宮を守るためだわ。こないだだって、哀れな皇帝が付呪に苦しめられたじゃないの」 「側近の魔闘士の手でな」王はくすくすと笑った。 「エリル卿はあんなふうにあなたを裏切ったりはしないわ。わかってるでしょう。あなたがオロインの公爵だった時代から仕えてきてるのよ。エリル卿とジャガル・サルンをそうやって比較するなんて、まったく…」王妃ははねつけるように手を振った。「タムリエル各地の王国をむしばんでいるのは、その類の信頼感の欠如なの。ストレイル卿なら──」 「そういえば彼も行方不明になっているな」王は沈思黙考した。 「大使のこと?」王妃はかぶりを振った。「いいえ、ここにいるわよ。どうしても墓所を訪れてあなたの高貴なる祖先に敬意をささげたいって言うから、場所を教えてあげたわ。おかしいくらい時間がかかってるけど、それだけ敬虔だってことかしらね」 王妃は驚いた。王が立ち上がったのだ。その顔に危機感を浮かべて。「どうして黙ってたんだ?」 王妃が答えようとするまでもなく、話題の主が開け放たれた扉から謁見室に入ってきた。一流貴族が着るような緋色と金色の壮麗なガウンをまとった金髪の女性をその腕に従えて。王妃は、あ然としている夫の視線を追っていき、同じようにあ然とした。 「大使は『花祭り』の娼婦の一人にご執心だったと思ったけど、淑女ではなくて」と、王妃はささやいた。「しかも、あなたの娘にそっくりだわ、ジリア夫人に」 「ああ、瓜二つだ」王は息をのんだ。「ジリアのいとこのタララ姫だ」 謁見室の貴族たちはこそこそと話をしていた。姫が失踪したのは20年前で、王族の他のメンバー同様に殺されたというのが大方の見方だった。その当時から王宮で働いていたものは少なかったが、何人かの古参の政治家がはっきりと覚えていた。玉座の上に限らず、「タララ」という言葉が付呪のように空気中を伝播していた。 「ストレイル卿、そちらのご淑女を紹介していただけませんか?」王妃は丁寧な笑みを浮かべて訊いた。 「しばしお待ちを、王妃様。まずは、火急の件を論じなければなりませんので」ストレイル卿は頭を下げた。「できれば内密に行いたいのですが」 王は帝都の大使をじっと見て、表情から真意を読み取ろうとした。手を振りかざして貴族たちを退出させ、扉を閉じさせた。謁見室に残されたのは王、王妃、大使、数名の近衛兵、それと謎の女性だった。 大使がポケットから一枚の黄ばんだ羊皮紙を取り出した。「王様、兄上とご家族が殺されてあなたが戴冠されたとき、当然のことですが、証文や遺言のような重要書類はすべて、書記官や大臣の管理のもとで保管されました。亡き王の副次的な重要ではない私的文書については、慣習にのっとって、資料室に送られました。この手紙はその中から見つかったものです」 「いったいどういうことなのかね?」と、王は大声で言った。「手紙には何と?」 「王様のことではありません。実際のところ、王様が戴冠なさった時点では、誰かが手紙を読んだところでその意義が理解できなかったでしょうな。手紙はあなたの兄上である亡き王が皇帝に宛てたもので、暗殺の直前に書かれました。ここカムローンのセシエテ神殿にかつて魔術師および僧侶として仕えていた、義賊についての手紙です。その義賊の名は、ジャガル・サルン」 「ジャガル・サルン?」王妃はそわそわしながら笑った。「あらあら、ちょうどサーンのことを話してたのよ」 「サーンは、強力な呪文や忘れられし呪文に関する書物を何冊も盗み出しました。それから、混沌の杖のような秘宝にまつわる伝承も。杖の隠し場所や使い方を知るために。情報はゆっくりと西方のハイ・ロックまでやってきます。皇帝の新たな魔闘士の名がジャガル・サルンだという情報が亡き王の耳に入る頃には、もう何年も過ぎていました。亡き王は手紙をしたためて、背徳の魔闘士について皇帝に警告しようとしました。が、手紙が完結することはなかったのです」ストレイル卿は手紙を高く掲げた。「手紙の日付は385年の、王が暗殺された日です。ジャガル・サルンが皇帝を裏切って『虚構帝都』による10年間の暴政を開始する4年前のことです」 「じつに興味深い話だが」王は吠えるように言った。「私と何の関係があるのだ?」 「帝都は現在、亡き王の暗殺にただならぬ関心を寄せています。そして、あなたの忠実なる魔闘士、エリル卿から自白を取らせていただきました」 王は顔色を失った。「このみすぼらしい虫けらめ、何人たりとも私を脅せるものか。おまえも、その娼婦も、その手紙も、もう二度と陽光をおがむことはあるまい。衛兵!」 近衛兵が剣を抜き放ち、つめ寄ってきた。と、いきなり光がきらめき、プロセッカス率いる帝都の処刑人たちがわらわらとわいてきた。彼らは何時間も部屋に潜んでいたのだ。誰にも気づかれないように影の中で息を殺して。 「帝都の偉大なる太陽、ユリエル・セプティム七世の名において、あなたを逮捕します」と、ストレイルは言った。 扉が開かれ、うなだれた王と王妃が連れ出された。ふたりの息子であるサイロン王子が寄りつきそうな場所を、ジーナはプロセッカスに教えた。謁見室にいた廷臣や貴族は、彼らの王と王妃が奇妙なほど厳粛に王立刑務所へと行進していくさまをながめていた。口を開くものはいなかった。 とうとう声が上がったとき、誰もが仰天した。ジリア夫人が王宮に到着したのだ。「どういうことなの? 王と王妃の権威を奪ったりして、一体どういうつもりなの?」 ストレイル卿はプロセッカスのほうを向いた。「われらとジリア夫人だけで話をしたほうがいい。なすべきことはわかっているな?」 プロセッカスはうなずくと、謁見室への扉をまたもや閉めた。廷臣たちは木の扉に体を押しつけ、ひと言たりとも聞き逃さないよう耳をそばだてた。黙ってはいたが、彼らもまた、ジリア夫人と変わらぬくらい事情を知りたがっていたのだ。 物語(歴史小説) 緑2