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サヘラントロプス スペック表 正式名称 サヘラントロプス 分類 用途 所属 『資本企業』 全長 125m 最高速度 475km/h(四脚展開時は720km/h) 推進機関 五連装高出力レーザー内臓四脚式推進システム+エアクッション 装甲 1cm×1000層 主砲 下部安定プラズマ砲×2 副砲 コイルガン、対人機銃など 搭乗者 不明 その他 メインカラーリング:黒 解説 とある場所にて「銃を扱う猿」を見たとある企業の社長が『銃が扱えるのならばオブジェクトも操縦出来るだろう』というトンデモ発想から建造された第一世代。 通常は四脚を折り畳みエアクッションのみで移動するが戦闘時には四脚を展開、700km/h以上の速度で敵を翻弄する。 また、エリートが猿であるため人間よりも器用な足でも操作出来るように操縦席の足元にも操縦装置が備えられている。 四脚による移動能力はかなりの負担がかかるものの高い運動性能を誇り、獣のような跳躍すら可能。 人間の手を模した四足の先からは五連装レーザーを射出可能で奇襲などに使用される。 弱点は四脚の負担の他、猿という「人間ではないエリート」を運用しているため暴走、制御不能になる可能性を秘めている。 コンセプト 人間の手を模した四脚式推進システム 特徴 人間の手を模した四脚式推進システム 弱点 人間でないが故の制御の不安定、脚部への負担
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エイヤフィアトラ スペック表 正式名称 エイヤフィアトラ 分類 水陸両用第二世代 用途 局地的攻勢用兵器 所属 『信心組織』 全長 80m 最高速度 620km/h 推進機関 静電気式推進システム 装甲 4cm厚×250層 主砲 多段加速式硫化水素爆裂砲×4 副砲 レーザービームなど 搭乗者 不明 その他 メインカラーリング:ワインレッド 解説 主に雪上地帯で運用される特殊な弾頭を運用する第二世代型オブジェクト。 雪上地帯での高速行動を前提としたスキー式の静電気推進を有することで氷雪地帯に特化した機動性を有する。 主砲として持つのは4門の百足砲だが、専用の弾頭を撃ち出すために投射砲のような変わった形状を持つ。 百足砲は主に硫黄を成分とする薬品を炸薬として利用しており、連続した爆発によって弾頭を発射する。 加えて弾頭として使用されるのは指向性を持たせ硫化水素爆発を誘発する特製のHEAT弾頭。 高耐火反応剤鋼板を持つオニオン装甲には相性が悪いものだが特殊な化学配合によって直撃すれば装甲は融解し時間差で炸裂する。 弱点として主砲と炸薬の成分がある程度共通しているため、連続使用すると弾頭が砲身内部で炸裂し自爆する危険を持つ。 コンセプト 硫化水素爆発 特徴 指向性の硫化水素爆裂弾頭による耐火性の高いオニオン装甲の正面突破 弱点 連続で主砲を稼働させると暴走を起こして自爆する
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クリス=サンドリヨン 概要 ホエールスナイプのエリート 性別 女 年齢 33 名前 クリス=サンドリヨン 性格 ロック好き。音楽で性格が変わる 解説 ロック好きの影響で派手なメイクに舌ピアス、チェーンやアクセサリーでエリート専用スーツを装飾している(戦闘中は外す)。ウィッグを気分によって付け替えるので、誰も彼女の本当のヘアスタイルを知らない。 自称「ロック」な性格と語るが、根は真面目で人の嫌がることは絶対にしないので、傍から見れば反抗期の子供のように見えて微笑ましい。 音感がいいのであらゆる楽器を演奏することができる。(エリートとしての「調整」は愛用のエレキギターのチューニング、演奏) オブジェクト操縦中はどこかのエースパイロットよろしく、コックピット内でロックを大音量で垂れ流し、味方からの通信が度々かき消えてしまう程。 こうすることで戦意を高揚させて好戦的な性格となって、高いパフォーマンスを披露することができる。 ある日、あまりの爆音に悩まされていたベースゾーンの整備兵達がイタズラで、試運転中にコックピット内で強制的に様々な音楽が流れるように細工をした。その際クラシックは「お嬢様」、ヒップホップは「底抜けに陽気」、ジャズは「ダンディ」とジャンルによってコロコロと性格が変わる素っ頓狂な体質が発見される。 流石の彼女もメイクで誤魔化せないほど顔を真っ赤にして激怒して以来、このイタズラは禁止となった。
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エースピッチャー スペック表 正式名称 エースピッチャー 分類 陸戦専用第一世代 用途 対人及び対通常兵器駆逐用兵器 所属 『正統王国』 全長 90m 最高速度 560km/h 推進機関 エアクッション式推進システム 装甲 2cm厚×500層 主砲 掘削用バケットアーム一体型遠心加速投射砲✕2 副砲 なし 搭乗者 クリスティーナ=ボストン その他 メインカラーリング:赤 解説 「歩兵や通常兵器を相手にするに当たって数千、数万ユーロもする弾薬をいちいち消費するのは馬鹿馬鹿しい」という大変貧乏臭い思想から開発された第一世代。 機体としての特徴は、左右に取り付けられた人間の腕のように「肩」「肘」「手首」の三節で分かれた掘削用バケットアーム一体型遠心加速投射砲。 これにより土砂などを掬い上げ、アームを回転させることで加速。マッハ1の速度で「投げる」。 弱点は砂漠や積雪の多い雪原地帯では掬っても固形物が少ないので、相手まで届かずに拡散してしまう点。 次にオブジェクトのオニオン装甲への有効打には繋がらないという点。 しかし完全に無力というわけでもなく、主砲や副砲を損傷させて継戦能力を奪う戦法を取ることによって、「撃破」はできなくても「撃退」まで追い込むことは可能。 「しゅうりやパーツ換装もタダではないので、せんじゅつてきしょうりはこちらにある」と搭乗エリートの談。
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サンタテレサ(プレディカドール) スペック表 正式名称 サンタテレサ(プレディカドール) 分類 第二世代 用途 所属 『資本企業』(製作元:ヤナギカゲ重工) 全長 80m 最高速度 670km/h 推進機関 エアクッション+急制動用イオンスラスター 装甲 2cm×500層 主砲 アクチュエーター加熱伸長式実体剣×2 副砲 ワイヤー連結・アクチュエーター加熱伸長式実体剣×2 搭乗者 不明 その他 メインカラーリング:青 解説 『テトラグラマトン事件』以後『ヤナギカゲ重工』から接収された未完成の機体を他企業が引き継ぎ完成させた機体。 近接戦闘におけるオブジェクトの武装は高熱のプラズマを集約して放つプラズマブレードが一般とされる中であえて実体剣による戦闘を想定して設計された機体。 タングステンを主原料として鋳造された耐熱形状記憶合金を刀身としたアクチュエーター加熱伸長式実体剣が主な武装。 またワイヤー連結式の実体剣で遠くの敵に対しても対抗可能。 その他、急制動用イオンスラスターで左右方向へ急加速、相手にの撹乱も出来る。 弱点は武装が剣のみであり狙撃などに対して非常に脆いこと。また、プラズマブレードとかち合うと温度はあちらの方が上であるため刀身が焼き斬られる。 『ヤナギカゲ重工』でも失敗作の烙印が押され建造が中止されていた。 プレディカドールとはスペイン語で『カマキリ』の意味。 コンセプト 実体剣による戦闘 特徴 形状記憶合金を使用した伸長する高熱の実体剣 弱点 武装が剣のみ
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はいはいこんにちは未来の誰か。これはお姉さんと私の大好きなお爺ちゃんとの約束の通りに、データの抹消作業をしてる可哀想で可愛いいとある少女からのちょっとした悪戯。 後悔なんてしない。けど迷惑はかけたと思ってる。楽しかった。 ここまでさ、サクラダファミリアも、どこぞの捩れに捩れたレスボス島大狂乱事件もかぐやってほど丁寧に仕上げたのに、全部全部なかったことにしようとしてるのはさ、私の母国の言葉で言えば『立つ鳥跡を濁さず』ってんで最高なんだけど。 そもそも人間ってのは生きてるだけで証拠を残したがるもんでしょ。遺伝子のカケラの細胞がおっこちてくのはなんで?指紋ってなんのため?そんなの、多様性と自分の照明のためでしょ。 だから自分は残すよ。私の最高傑作を。 これを見てるのが誰かなんて関係ない。悪だろうと正義だろうと黒幕だろうとベイビーフェイスだろうと。 ただ、私のやってことをすごいって褒めて欲しいだけ。 宝の山へようこそ、アラジン。君の願いを叶えよう。 ああ、けど願いを叶える前に一つだけ。ちょーっと天才たる私と天才だったお姉さんと人を食ったようなお爺ちゃんとで考えたパズルなんだけどさ、正解すればするほど情報が出てくるからさ、ぜひチャレンジしてみて。ちょーっとオーバーテクノロジーしてるけど許してね!!なんてったって私と私の家族は天才だから!! 第三章 星穿つ夢追い人 机上の空論という言葉はあくまで『空想』であるから喜ばれる。 「だからこそ映画でゾンビモノが流行ってエイリアンが日常に紛れ込んでんだよ」 戦闘準備前の倉庫に二人はいた。忙しなくスコープを確認しつつ、備品にチェックを入れていたヘイヴィアはどうやらもう全てがどうでも良くなって来たようだ。そもそもやる気が連戦で潰えていた。 「何が言いたいワケ」 「じゃあはっきり言ってやろう学生に貴族様からわかりやすくな。誰もワープだのトンデモ技術を現実で見て興奮できるワケじゃねえんだ。ましてや個人がオブジェクトを保有するとかどんな冗談だ?」 「ところがどっこい、これがげんじつ!あっとうてきげんじつ!なのです!!」 急に響いた声に振り返る。そこにいたのは『情報同盟』の軍服に身を包んだ少女だった。派手な紫色の髪に紫色の虹彩という変わった見た目の少女はビシッと敬礼もどきをしながら言った。 「ウリエル=ナウマン『上等兵』でっす!でんれいをつたえにきました」 「どうやって来たんだ??」 「ええー?こんかいの『合同演習』の『情報』、いちばんもってる『資本企業』はちょっと例の『アナザー001』とかいうワープオブジェクトでていっぱいでしょ?んで、ちょーっとおいめがあるウチがじょうほうをいちばんとりまとめてて、きょうゆうするためにわざわざわたしがやってきーたーの」 ニコニコ少女はテキパキと情報を取りまとめていく。手にしていたタブレット端末から二人へと資料を転送し、自分は紙の資料を掲げる。 「おさらい!『バルカノン』はステンドグラスがさーらーにこなごなになってダイヤモンドといっしょにまいそうされたばしょ。つまり。『13つの国境、12つの国家、6つの民族、4つの言語、7つの宗教』といわれる、『他民族社会』ここまでおーけ?」 ジャガイモたちが頷いたのを確認して少女先生は続ける。 「こんかいはんめいしたのは、そこのステンドグラスの中にほんしゃをかまえていたとーあーる『資本企業』のみんかんきぎょうがバカみたいなオブジェクトをつくってたってはんめいしたからぜんいんでぶっつぶそうぜってはなしです」 忙しなく体全体で表現をしていた紫少女に若干呆れつつ話を聞き流していた二人は、唐突にゾッと背筋に冷たいものを当てられたような感覚を与えれた。誰から?そんなの決まっている。目の前の、少女から。 「……こんかい、あなたたち『ドラゴンキラー』もさまざままきこまれたときいています。けれども。それは『どの陣営』もおなじだとおもってください。ぜんいんがあいつにころがされた。それはワタシとしてたえがたい『侮辱』なんですよね。ふふ、だってねえ?」 ドロリとした感情を少女が滲ませたのは一瞬だった。 「と、いーうーわーけーで!こんかいはよろしくです!!ヘイヴィアさん、クウェンサーさん?」 ではまた戦場でー。と気の抜けた声を出した紫少女を目で追い、倉庫から出て、完全に見えなくなってから二人は顔を見合わせた。 「ナウマンって確かウチの『イエーガーシューター』のエリートの苗字じゃなかったか?」 「情報だけは正しそうだし、多分気にしたら負けだよ。十中八九ヤバい子だし。というか『情報同盟』ってなんでおほほといいイロモノが多いいの?」 紫の少女は、ため息をついた。引きこもりの知り合いを参考にして被った猫の皮は、じわじわとダメージを自分に与えていた。辛い。けど自分のパーソナリティーとかけ離れてるため、一番丁度よかったから仕方がない。 わざわざ変装してまで来た理由を果たすため、歩みを進める。 想定通り、その人物は猫を愛でていた。暖かな日差しの下、急拵えのベンチに座り野良猫だろう黒猫を膝に乗せている。 「『護衛』はどうしたの。それでもエリート?」 声をかけると、ピクリと視線を上げた。伸ばしっぱなしの箒頭をこちらに向けて、そしてにいっと口角を上げる。 「あら、あらあら。どうしたの?」 「おばさんにあいさつしに。あと、今は『アリエル=オーレイスフィア』ってなのってるから……十年ぶり?」 「おぼえてないけど久しぶり。あんたがウチのぐまいにふりまわされてぶり。『情報同盟』はどう?」 「ぼちぼち。……ねえ、おばさん。一つけいこくしにきたの」 『正統王国』所属の『イエーガーシューター』のエリート、アンブリエル=ナウマンは、隣に座った姪をじぃっと見ていた。その視線を介さず、少女は単刀直入に言った。 「こんかいの『戦争』でない方がいい。たぶん、おばさんはしぬよ」 「それが?」 淡々と、エリートの女性は言う。するり紫の少女の頬を撫でる。少女が抵抗しないのを確認して髪へとさらに手を伸ばした。 「あんたがいうならしぬのかもね。けど、しぬことはこわくないでしょう?まがりなりにも『正統王国』のエリートなんだよ、わたしは」 パチクリと。紫の少女は何度か瞬きをした。そして諦めたように背もたれに体重をかける。 「そうだよね。しってたよおばさんはそういう人だって」 グッと体を一気にバネのようにしならせ、立ち上がる。今まで微睡んでいた黒猫が、警戒するように唸り声をあげる。 「じゃあね。そこそこきらいでそこそこすきだったよ、おばさん」 「さよならエアリアル。にせものじゃなくて、ほんとうのあんたをなでたかったよ」 「あれ、おぼえてたんだ、ワタシの目のいろ」 その言葉に、ウィッグ、カラーコンタクト、特殊メイクと偽装で固めた姿の少女は、初めて心の底から笑った。 「いまどっかでしんみりムードのりょうしつなホームムービがあったようなきがするわ!」 「きぶるなカリモーチョ、ほこりがひどい」 急に立ち上がって体をくねらせ始めた同僚に冷めた目をウィリアムは向けた。急遽用意されたブレイクルームはそこそこ狭い。カリブの動きに合わせて机に置いたコーヒーが音を立てるのを嫌がり、ウィリアムはマグカップを手に取った。 今回の事件に最も近かったのは『資本企業』である。それ故に徹底的に翻弄されていた。もしもカリブ=カリモーチョが違和感を覚えなれば今回の大規模作戦に参加していたのは『イスラデピノス』のみになっていただろう。最低限の二機、『イスラデピノス』と『エリーゼ』が参加できたのは彼の功績だ。 それを理解しているからこそ、ありがたいとは思いつつ、ウィリアムは目の前でくねる軟体生物に対してどうしようもなく興味を削がれていた。 「ろんてんをまとめよう。こんかいのじけんのくろまくはなにをやりたいのか。それこそがいちばんじゅうようなことだ」 「5WIH?まあそれはだいじね。けどたぶんそれはかんがえるだけむだだとおもうわよ」 「ふむ。りゆうは?」 「あいつらアリスよりぶっとんでるから」 「やくさいかなにかか?」 「やくさいそのものなのよねえ。なまみのにんげんがちかづいたらひきにくになっちゃうレベルのもうじゅうというか」 ピンポンと。カリブの手元の端末にメッセージが届いた。片手で会話を中断する合図をウィリアムに送りながら内容を確認する。 「だれからだ?」 「『情報同盟』のゆうじんのようせいちゃんから。ああん、やっぱりヤバいじゃないのこいつ……」 ひらひらと手を振りながらカリブは言った。 「『アリス』の『技術』、がっちり『主砲』まわりにくみこまれてるっぽいのよね。ほんっとさいあく。よりにもよって『アリス』はじぶんの『設計図関係』ぜんぶぶちこわしてからもじどおりきえたからてがかりなし!あのおてんばはどっかきえたし!!さーいーあーく!!」 「おきてしまったことはしかたいだろう。だいいちにおちつけ」 ばさりと。机の上に紙束が投げられる。 「えっと、それは?ウィリアム?」 「みはっぴょうのろんぶん。いや、たいのやつらにまかせるかまよったんだが、カリモーチョの方がじょうずにあつかえるだろう」 「いや、そこじゃないわよ。わたしは今、なんで、わたしに、これをまかせようとしているのかをきいてるの」 「いや、そろそろまとまったかねがほしくてな、つぎのちょうさに出るための元手をつくりたいんだ。それをたのんでいいか」 「ふーん、まあそういうことにしといてあげるわ。せかいいちのおねさんにまかせなさい、かんぺきにもうけてあげるわ」 胸を張ったカリブを確認して、ウィリアムはコーヒーを口に含んだ。 「……ところでこのくろいえきたいをよういしたのはカリブか?」 「ええ、おいしいでしょダイズコーヒー」 「ふつうのコーヒーをのませてくれ、せつじつに」 さて。しんみりした雰囲気が各陣営で漂う中、真剣勝負が行われていた。 そう、『信心組織』の大人気ない大人どもである。 ジャラジャラと牌ををかき混ぜる音が続く。血走った目で互いの動向を確認するエリートたちは、正に獣と表現するに相応しい形相だった。 「あっは、リーチです」 「またかよエディス!?」 「ちょ、これいじょうおかしもってかれたらいもうとになんていいわけしたら!?」 「ふーむおもしろくなってきたの。それワシもリーチ」 「ざっけんなジジイ、なぐりあいになるじゃねえか!!」 ニコニコ笑顔でリーチをかけた女性、『パラダイス』のエリートのエディス=ブラッドアンドサンドはサンドウィッチを摘む。作業服のようなエリートスーツを着こなす彼女と妙にサンドウィッチが似合っていた。 天才と呼ばれ続けているティツィアーノはその脳を最大出力で回していく。ベタオリすることを決め、安牌を切る。チーズを口に突っ込んだところで、ふと隣の男を見る。 マキシミリアン=ヴァリアー。『セフィラム』のエリートであり、後輩である男は落ち着きなく周囲を見渡している。今日も断么と平和でしか上がってない典型的な逃げ勝ちチキン野郎は、どうやら緊張しているようでさっきから水ばかりを飲んでいる。 「おい、そういえばエンヴィとオレがおくったれいのアレどうした?」 その質問でゴフっと咽せた。胸を叩いてこちらを恨みがましく見ているマキシミリアンを見て最長にてこの麻雀の主催者のソル=クバーノがゲラゲラ笑う。 マキシミリアンにハンカチを渡しながら、エディスは尋ねた。 「ティツィさん、なにをプレゼントしたんです?」 「ダッ○ワイフ」 「……まあ、しゅみは人それぞれですよね」 そっと、ハンカチを雀卓に置いてエディスは手を引いた。それを見て焦ったようにマキシミリアンは捲し立てる。 「ちがいますちがいます!?ボクはホントにこまってるんですよあれやけにできがいいし、どこにおいてもめだつし、あきらめていもうとのふくかりてきせておいてるんですよ!?」 「よそうのななめ下をいくかつようほうなんだが?まて、オマエんとこのいもうとって『歳の離れた義妹』だったよな?なあ、ホントにだいじょうぶか?たのむからはんざいとタブーはやめろよ?」 異端審問一歩手前の変態予備軍に対して真面目にコールガールでも紹介するか悩んでいる中、紅一点のエディスが明るい声を上げた。 「あ、ツモです!リーチドラドラのみ、ですね。裏ドラはないかー」 「ま、まあまだいたくないか」 ジャラジャラと再び牌をかき混ぜる音が部屋を満たしていく。 「こんかいのてきってつよいんですよね」 「そうじゃな。というか、しょうじきワシらあんまりかんけいないんよなー。あの『暴走変態宗教狂い』くらいしかかかわってないからの」 「バルカノンあたりはオレらのかんりすべきとこだろ」 「じゃけどここにいるエリートに『バルカノン専属』いないしの。ミモザちゃんだったっけか?あの子はいい子よなー」 「ええ、うちのいもうとにもみならってもらいたいくらいいい子です」 「ねえ、マキシミリアン?もうちょっとわたしあなたのことをしんじていたいからいもうとってもう言わないでくれる?」 「あきらめろエディス。こいつはそういうやつだ」 どういうやつですかー!?と泣き言をいうラノベシュジンコウを無視してゲームを続ける。 「お、『役満』。『天和』わるいの」 「ざっけんなおもてでろジジイ!!」 『ふふ、ワタシはむのうでーす、『人工無能』なbotでbutなふりょうひんでーす『パルス220』じゃなくて『バルス220』にかいめいするべきなんでーす……』 『おいおいヒキコモリじょうちゃん、おちつけよ。アイドルのじょうちゃんがドン引きしてんだろ』 「い、いえもんだいはありませんわ。……しょうじきこわいですけど」 会議は混迷を極めていた。『パルス220』のエリート、ベリエール=アンダルシアは回線越しにまで伝わる湿度をもって落ち込んでいた。ぶつぶつと言葉を重ねていく。 『ふふふ、わかってました、わかってまーしーた。『アナザー001』のとくしゅなA Iにかんするじょうほうはかくじつにエサだってのはわかってまーしーた。けどリスクヘッジてきにのらないとかあたまおかしかったんですもん、ふふ、プロメテウスインダストリーめぇ……ゆるさない、ぜったいにゆーるーさーなーい』 『けっきょくヒキコモリじょうちゃんはなにやられたんだ?』 『なあに、ちょっとしさくひんのエリートのっとりシステムをうばわれた上に『人間のA I化』とかいうちょうドきゅうのネタとむかーしウチから『亡命』したけんきゅうしゃの『研究データ』をさいしゅうかくできそうだったのに、めのまえでぜーんぶとかされた上にだいじなほんめいのエリートがあとかたもなくきえただーけーでーえーす』 「だいさんじじゃあないですの」 『ふへへ、『推し』が正しいことをいってやがる……』 落ち込んだ笑い声が続く。自分のファンの現状に微妙に引き気味になりつつ、ラッシュのエリートの少女は端末に届いたデータを確認していく。 「この、プロメテウスインダストリーとやらは『資本企業』しょぞくなワケでしょう。あちらはどのていどこのことについてしってるのかしら?」 『そっちについちゃシスター、『バジレウス004』のエリートからまとめられてる。ほぼなにもつかんじゃねえよ。しっかしさすが『資本企業』。ぜんぶカネでごまかしてたらしいわ』 『オーソリティ001』のエリートの言う通りだった。土地については『信心組織』を誤魔化し、『資本企業』内に潜伏し、『情報同盟』を情報戦で翻弄したその会社の名前は『プロメテウスインダストリー』という名前だった。ではその一企業が何をやったのか。天敵同士である陣営が一時的にでも同じ場所に集められた理由とは何か。 「今回のメインターゲット、『プロメテウスインダストリー』はオブジェクトを所持している」 麗しの上官は、手に持った資料を見てため息をついた。 「その、全勢力の情報を手にとるように集めて、転がし続けたことから分かるように、その影響力は絶大。そしてその経緯からどこのお上もカンカン。今即興とはいえ、17機ものオブジェクトの合同の仕事になった。もちろん我々も参加する。が、お前たちには『プロメテウスインダストリー』への強襲を命じる」 「はい先生」 「なあに学生くん」 「具体的にはウチはどんな被害被ったんですか?資料に書かれてないんですけど」 「……いい?知らなくていいことってあるの。別に誰もが清純派アイドルの夜の生活を知りたいワケじゃないでしょ?」 「つまり『貴族』がらみのスキャンダ「クウェンサー?」……はい黙りますサー!!」 禁忌中の禁忌に手を出したらしいトンデモ企業に戦慄していると、相棒がため息混じりに言った。 「で、なんで自分たちは今、輸送されてるんですかねー?」 現在、ジャガイモたちはコンテナにギッチリ突っ込まれて海上輸送されていた。先程までいたはずの地上が恋しくなる。荷物扱いで凍える野郎どもを睨め付けて、コートを着込み直したフローレイティアは資料に目を落とす。 「いい質問ねヘイヴィア。本社、というか拠点にしてたらしき場所がオブジェクトが確認された場所からは離れているからよ。具体的には離れ島。ええと、登録上の名前は『ラプタ・イスラ・ヌブラル島』ね」 「なんだその科学者と恐竜の楽園になりそうな島」 「とにかく、今回はオブジェクトを徹底的に潰す側と元凶を叩く側に分かれるの」 「先生、そろそろ休暇が必要だと思うんですけど」 「そうねクウェンサー。私も欲しいわ。だからさっさと全世界に喧嘩売りやがった野郎を叩きのめして美味しいご飯を食べましょう。全く、どんなこと考えたらこんな真似できるのかしらね、この首謀者」
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ミルキーウェイ スペック表 正式名称 ミルキーウェイ 分類 第二世代 用途 難民支援用兵器 所属 『正統王国』 全長 100m 最高速度 520km/h 推進機関 エアクッション 装甲 1cm厚×1000層 主砲 大口径コイルガン(強化カゼインプラスチック弾頭)✕5 副砲 レールガン、コイルガン、レーザー、生乳放出高圧ポンプ、生乳貯蔵タンク、レモン果汁貯蔵タンク、各種乳製品製造プラントコンテナ 搭乗者 キャンディス=メヒカーナ その他 メインカラーリング:ホルスタイン柄 解説 ドラゴンキラーの二人組が度々牛乳の持つラムスデン現象を利用して強豪オブジェクトを撃破している事例に注目し、難民への食料支援と戦闘の両立を目的に開発された第二世代。 用途とユーモラスな外見から子供達からの人気は高い。 戦闘においては敵機カメラの目潰しやレモン果汁との混合液を浴びせて放出される熱によるチーズ化を促して各種部位への焼付の誘発に牛乳を使用している。微力ではあるが悪臭による敵部隊への士気減衰や清掃コストの負担の増大効果もある。 主砲の弾頭には牛乳から抽出されるカゼインプラスチックを採用。軽いため弾速に優れるがブレと威力に難があり、主砲の門数を増やすことでカバーしている。 『安全国』からは「食べ物を粗末にするな」と抗議の声が上がっているが、「廃棄されるはずのものを利用して、50億ドルの兵器を破壊しているのだから有効活用している」と軍部はズレた反論している。
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ファンロン=ラオ 概要 青龍のエリート 性別 男 年齢 22 名前 ファンロン=ラオ 性格 普通にいいやつ 解説 ムキムキという程でも無いが引き締まった体格に1000円カットで整えたような無造作な黒髪の青年。『四神』メンバーの証として龍の刺青が彫られている。箇所は左手の甲。 性格は若干ネガティブなお人好し。誰も見ていない場面でもポイ捨てにすら抵抗を感じ、公共交通機関では積極的にお年寄りへ席を譲るなど、エリートという肩書さえ無ければ埋もれてしまいそうな「普通にいいやつ」。しかしファンロンにとって、こういった行動は当たり前の範疇なので自分自身のことは「特徴のない面白くない奴」だと思っている。 エリートに志願した理由も親孝行して老後の蓄えを残しておくというありふれた理由で、具体的な「夢」を持っていないことに対して密かにコンプレックスを抱いている。 少なくともエリートでいるうちは手の届く範囲の人達の夢を守るために戦うと決めている。 姓からわかる通り動乱期の英雄、『玉龍』のエリートであるシャオロン=ラオの孫。 このことは本人も含めて当時の実情を知る者以外には伏せられている。 ファンロン自身は祖父に対しては「祖母の話を聞いた限り立派な人」、『玉龍』には「養成機関で習ったオブジェクト。同じ「龍」と名の付く機体に乗っているので親近感が湧く」という認識しか持っていない。
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エーリック・ベルリントルが使用する。 サイズを操作する。基本的な攻撃力を持たず、バーンダメージを与える。 《G・フィールド》 『設置』 全体のサイズ上限を1増減する 《G・コスモグラフ》 サイズオーバーでドロップしたカードのサイズ分ダメージを与える。効果ダメージではなくバトルで発生するダメージとして扱う。 《G・B・ホール》 互いの場のサイズ上限を強制的に0に変更する
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エンピレオ444 スペック表 正式名称 エンピレオ444 分類 対人専用第二世代 用途 死後世界観測実験用兵器 所属 『情報同盟』 全長 256m 最高速度 444km/h 推進機関 静電気式推進システム 装甲 0.5cm×2000層 主砲 なし 副砲 銃殺用機銃、刺殺用ナイフ、絞殺用ワイヤーロープ等の対人装備108種、手術用コンテナ、仮死体冷凍保存用コンテナ、人体組織培養コンテナ等の蘇生措置に要する設備を搭載したコンテナ多数 搭乗者 イグナシオ=ケイブルグラム その他 メインカラーリング 無機質な白 解説 『スペシャルナンバーズ』に属するオブジェクトの一機。司る情報は『死後の世界』。 『信心組織』でなくとも万人が、「死後において生前善行を成せば報われ、悪行を成せば罰せられる」という無意識下に抱いている潜在意識を数値やデータとして残すことを目的としている。 囚人やテロリスト、身寄りのない人物を対象にあらゆる方法で心肺停止及び仮死状態にし、規定の時間以内(5分〜1年)にそれら全てを蘇生。その間に「何を見て何を聞いたのか」、記憶を集積・統合することで「死後の世界」を観測する。 多くの被験者は「何も覚えていない」、一部は「何もない暗闇」や「眩しい真っ白な空間」、更に極少数は「ずっと意識があり、自分からは何も発することはできないが、周囲からの刺激を五感で感じ取れた」と供述した実験結果が確認されているが、何れも本人達の主観に基づくものであり信憑性に欠ける。