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ええと・・・志望動機、志望動機は、と。 俺はもう一度、手元のメモに目を落とす。 『世界的な大恐慌と言われるこの経済危機の状況において、業種を問わず各企業が業績を落とし、喘いでいる 中、業容を拡大しようという御社の意欲、並びにその伸びゆく業績に対して、大きな将来性を感じ、私自身の 経験を御社のために役立てると共に未来に以下略 ヤバい。 覚えきれない。 っていうか、昨夜一度は完全に覚えたはずなのに、メモリクリア。 どうしよう? もう、そろそろ本番だぞ。 てか、落ち着け俺。こんなの初めてじゃないだろ。 「では、次の方、どうぞ」 え? 次って、俺じゃん? まずい、とにかく返事しないと・・・ 「はぃいいぃ」 ど、どうした、俺の声?裏返るんじゃねえ! 「それでは、まずは当社を志望した理由を聞かせてください」 「あ、は、はい!動機は・・・ですね・・・」 なんだっけ? ダメだ。思い出せる気がしない。 でも、何か、何か言わないと! 「あ、あの・・・あ・・・」 「あ?」 いやいやいやいや、『あ』に大した意味なんてないですから、聞き返さないで下さいよ、そこのお姉さん。 「あの・・・あ・・・」 「落ち着いて下さいね。あ?なんですか?」 いやだから、『あ』じゃなくて、いや、『あ』と言えば、そうそう。いや違う。 「あ・・・あ・・・あああああああ!」 「お、落ち着いて下さい!」 これが落ち着いてなどいられるか!『あ』と言えば、決まってるだろ! 「天海春香さんのいる事務所で、働きたかったんです!」 あれ・・・? やっちまった?俺? 俺的にはNGワード指定してたつもりの台詞を、叫んだ気がする。 ヤバい。 緑の服のお姉さん、固まっちゃったよ。 そりゃそうだよな。明らかに所属のアイドル目当ての応募なんて。 普通なら、真っ先に落とされる。 うん。そうだよな。 終わったな。 俺の人生最大の賭けが、終わった・・・。 やっぱり、受かるまで前の会社辞めるべきじゃなかった・・・。 いくら春香さんの事務所がスタッフ募集してるからって、受かるとは限らないじゃん。 いやでも、会社も辞めて絶対765プロのスタッフになるという、背水の陣で臨む作戦だったし。 「なんといい答えだ!ピーンと来た!君のような人材を求めていたんだ!」 あれ? なんか声が聞こえる。 「しゃ、社長?!」 あ、真っ暗だと思ってたところに、人がいたのか。 社長・・・とか言ってるな。 「音無君、そうは思わないかね。彼は我が社のアイドルを、心から愛してくれている。彼の様な人間こそ、 新規スタッフにふさわしいのではないかね。」 「あ、あの・・・社長、普通は芸能プロダクションでは、所属タレント目当ての応募は、敬遠するんです が・・・」 「うむ。しかし、彼は、おそらくそれを知っての上で、あえて春香君と同じ事務所で働きたい、と堂々と 宣言したのだよ。なかなか出来る事ではない。私は、その心意気を買いたいと思うのだよ!」 「心意気・・・ですか。」 「そうだ。そこのキミ、明日から早速、よろしく頼むよ。」 「えっと、ということで、採用決定です。詳しくは後で説明しますので、先ほどの待合室の方でお待ち 下さいね。」 なんだかよくわからないことになった。 「は、はい。では、失礼します。」 こうして俺は、社長の直感により765プロの社員となった。 俺が765プロのスタッフ募集を知ったのは偶然だった。 たまたまチェックしていた、某巨大掲示板のアイドル板「765プロダクション総合スレッド」で、募集がある との書き込みを見かけたのだ。 「おまいら、これでも応募してみたらどうだw」との書き込みの下に、募集ページへのリンクがあった。 内容は「事務所移転による規模拡大のためスタッフ募集」 募集は、プロデューサー若干名、その他スタッフ若干名(ともに経験不問)だった。 プロデューサーは以前も募集しているのを見たが、我が憧れの天海春香さんには、もう専任プロデューサーが 付いているのを知っていたので、これまで応募はしなかった。 しかし、今回は事務員その他スタッフも募集しているではないか! 俺は、すぐさま履歴書を買いに行って、応募した。 そして、あまりにも見事に採用となったのである。 その出勤初日。 時を同じくして採用された数名と共に、出勤を要請されたのは午後だった。 強いwktkを胸に事務所に行ってみると、そこは引っ越しの準備でごった返していた。 「あ、おはようございます。早速ですみませんけど、とりあえず棚に残ってる書類を全部段ボール箱に詰めて もらえますか?」 昨日も会った、事務の音無さんの指示で、とにかくわけもわからずに力仕事になった。 ざっと見渡すと、作業をしている人数はそんなに多くない。 昨日も見かけた新規採用者数人、他にはやはり若い男性が数人程度。あと音無さんの他に、なんか学生の 年代の女の子が数人。中には男の子か女の子か微妙な子も混じっているが、デビュー前のアイドルという 感じの可愛い子もいる。 とりあえず、春香さんはいないということは確かだ。 「お・・・終わった・・・。」 まさか、椅子や机の類いのトラックへの積み込みまで、全てスタッフでやるとは思わなかった。 時刻は夜の10時半。 初日なので、できればいろいろ情報を得たり他のスタッフや可愛い女の子たちと互いに自己紹介したりした かったところなのだが、それどころじゃない状態のうちに、みな疲れ果てて言葉すら発しなくなっていた。 ただ、謎の「うっうー」という声だけは最後まで途切れる事なく響いていた気がする。 「みなさん、申し訳ありませんけど、明日は準備のために新しい事務所に朝6時集合でお願いしますね。」 音無さん、あんた、可愛い顔して鬼や。 「おはようございます!わあ、新しい事務所って、やっぱりいいですね!一段と広いし、奇麗だし、窓からの 景色も最高ですね!レベルアーップ!って感じです!」 あれ? なんか天使の声がする。 そうか、昨日に続いて今度は早朝からの搬入と整理作業で疲れ果てた俺に、天使が舞い降りてきてくれたんだな。 わずかにこの世に残った意識の中で、俺はそんなことを考えていた。 ガバッ! 飛びかかった音じゃない。机に突っ伏していた状態から跳ね起きた音だ。 「春香さん、おはようございます!」 夢にまで見たマイエンジェル春香さんが、今すぐそこにいるじゃないか。死にかけてる場合じゃないだろ俺。 「はい、おはようございます。あの・・・新しいスタッフの方ですよね?」 「春香ちゃん、こちらの方々が、新しいスタッフのみなさんですよ。」 音無さんが解説を入れる。 「じゃあ、はじめまして、ですね。なんかみなさん、すっごくお疲れみたいですけど・・・」 「ふふっ。今日は朝から、事務所の引っ越しをみなさんにやってもらいましたから。」 そう。引っ越しをやった。手伝った、ではない。トラックでの輸送以外は全て我々がやった。 「そうだったんですか・・・。おつかれさまです。」 ぺこりと頭を下げる春香さん。 ああ・・・我々のような新参のスタッフにまで気を使ってくれるなんて、本当に天使のようだ。 「あの、春香さん。俺 「あ、プロデューサーさん!おはようございます!今日から新しい事務所ですよ!」 行ってしまった・・・。 「おっと、春香ちゃんここで新スタッフをスルー!」 「なんの実況ですか・・・」 春香さんが去って行った方向を見る。 プロデューサーさん、と言っていたな。 あの男がそうか。 「やあ、おはよう春香」 「あれ、プロデューサーさん、今日は優しい感じですね?」 先ほどより推定300Hzほど高くなった声のトーン 表情、仕草その他もろもろ 証拠は揃った。 そうか。 認めたくないが、春香さん、どうやらあの男に惚れてるな。 「なるほど。あいつが敵か。俺はそう心に刻んだ。春香への愛を貫き通すには、ヤツを倒さなければならない。」 「音無さん。」 「はい?」 「勝手に人の心の中を脚色してナレーションしないでください。」 ようやく本格的に本来の仕事になった。 まずは各種業務についての説明を受けた。そして聞いた限りだと、どうやらこの765プロダクションには、 はっきりとした業務分掌そのものが存在しない。 各アイドルについては、プロデューサーという名のなんでも屋が付いて、それ以外の事は、事務と言う名の なんでも屋がやっている、という状況だ。 いかにも零細の事務所の業務形態のまま、ただ事務所だけが大きくなって、今やこの高層ビルの上層階に 来てしまった、ということ。で、忙しくなったので新規スタッフを募集したのはいいが、業務については とりあえずそのまま、の形になっている。つまり、新規スタッフはとりあえずなんでも屋である。 そう言えば、職種が営業なのか企画なのか経理なのか総務なのか庶務なのか人事なのかイベントスタッフ なのかマネージャーなのかそれとも他の何かなのか、募集要項の全然どこにも記載はなかったし、面接や その後の説明でもそんな話は出てこなかった。 「こりゃ、まずは体制を整えないと仕事にならないかもな。」 これまでのスタッフはもちろん、新規採用組も大きめの会社での事務経験者はほとんどいない感じだ。 ある意味、俺の存在価値の見せ所かもしれない。 その日、俺は頼まれた雑務をこなした後、残業して各種社内書類のテンプレートを作成した。 ついでに、音無さんが簡単に作ってあった事務所の出入りや冷暖房、照明などの各種注意事項を清書する。 初日に出来るのはそんなもんだ。 作業を終えて、もう誰もいなくなった事務所を出ようとした時、春香さんのプロデューサーが戻ってきた。 「あ、おつかれさまです。」 とりあえず声をかけてみる。同僚なわけだし、他意はない。 「おつかれさま。初日から遅くまでご苦労さまです。」 「いや、大した事はしてませんから。ところで、今から、また仕事ですか?」 「ええ。春香のテレビ出演依頼があるんで、その番組内容の企画書とスケジュールの確認をしておきたくて。」 「大変ですね。でも、この事務所では春香さんが一番の売れっ子ですからね、頑張って下さい。」 「冗談抜きに大変なんですけど・・・まあ、春香が売れてるおかげですから、頑張りますよ。でも、せっかく 新しく人が増えたんだから、少しはこっちも手伝ってもらいたいところですけどね。」 確かに、まだあまり売れてないアイドルやその担当プロデューサーは、もうとっくに帰宅している。 担当アイドルによって、仕事量に差がありすぎるのは、問題だよな。 「だったら、俺が手伝えないか、明日にでも俺から社長に言ってみます。」 会社としても、俺としても、春香さん担当の仕事を分業できればその方がいい。 「あ、それはありがたい。お願いしますよ。」 どうやらこのP、ノリは軽いが素直ないいヤツっぽい、というのが俺の第一印象。 翌朝 さっそく、社長に昨夜の件を直訴してみた。 「うむ。それはいいな!早速だが、キミには春香君の担当専任スタッフとなってもらう。これからもよろしく 頼むよ!」 あっさり。 面接の時も思ったけど、これでこの会社大丈夫なのだろうか。 いや、俺が、俺たちが頑張れば大丈夫。きっと、多分。 「ということで、よろしくお願いします。」 何はともあれ、春香Pに挨拶した。 「こちらこそ、よろしく。いや、助かります。」 「しかし、今日の今日でいきなりとは思いませんでした。」 「社長、決断が妙に速いところがありますからね。考えているのか、考えてないのか・・・」 さっそく、仕事の話に入る。 まずは、次回のライブについて。 春香Pと俺、同性の同年輩同士、熱く話していると、互いに自然に敬語ではなくなった。 「じゃあ、とりあえず衣装、大道具、セッティングとステージ関連の発注だな。見積書はあるか?」 「いや、特にもらってない。忙しかったんで。」 「わかった。じゃあ会場と設営の方は条件がそんなに変わらないから、今の条件で俺が見積依頼しておく。 予算の管理も俺がやった方がいいか?」 「そうだな、頼む。俺はステージのコンセプトを作って、デザイン依頼の方をやる。」 「うん、これまでの春香さんの評判のステージを作ってきたセンスで、今回も頼むぜ。」 まったく、こいつは大したヤツだ。これまでほとんど一人で、あのステージを企画し実現してきた。 春香さんが売れたのには、間違いなくこいつの手腕が大きい。 こいつには、そう言った企画方面に専念してもらった方がいい。必要な事務作業は俺が引き受ける。 「評判のステージか・・・。嬉しいね、そう言われると。」 「衣装もステージのセットも、大評判だぜ。この前のチャイルドスモックは特に素晴らしかった。アンコール のパジャマに至っては、もう天使かと見間違えるほどで・・・」 「・・・もしかして、お前一人の評判か?」 「いや違う違う。俺個人の意見も含めて言ったけど、少なくとも多くのファンに好評なのは間違いない。あの 衣装は、みんなお前が選んだんだろ?」 「ああ。」 「大したセンスだ。見事にファンのニーズを掴んでるよ。リサーチとかしてるのか?」 「別にリサーチなんかはしてない。と言うか、衣装についてはファンのニーズとかあまり気にしてないんだ。」 「気にしてない?」 さすがに、それは驚きだ。 「ああ。俺はただ、自分が着せたい、着たところを見たい、と思う衣装を、春香に着せてるだけだ。」 噂は本当だった。 765プロは変態事務所だ。 しかし、俺はその変態の言葉に、強い感銘を受けた。 目頭が熱くなってくるのを感じる。 この事務所に入って、本当によかった・・・。 さて、こうして無事にというかあまりにも予定通りに、春香さん専属スタッフAの地位を射止めた俺である。 しかし、ちょっとばかり計算が違った部分がある。 春香さんとの直接の接触が、下手すると他のスタッフよりも少ないということだ。 実際、春香Pは事務所の外での仕事が多い。その多くは春香さんと一緒だ。その分、専属スタッフとしては、 どうしてもそのフォローをするべく事務所内での仕事が多くなる。と言うよりも、春香Pを安心して外の仕事に 専念させるために、俺が事務所内での仕事を引き受けていると言う方が正しい。 しかし、仕事の進め方としては、これが絶対に正しいと思える。 春香さんとあまり接触ができない、ということを差し引いても、仕事そのもののやりがい、そして充実感は、 俺がこれまでの人生で味わったことがないほどに満ちあふれていた。 「はい、次アンコール行きます!春香さんは衣装替え、控え室1番、バックダンサーのみなさんは2番の部屋 に準備出来てますんで、お願いします!」 「時間、3分でお願いします!すでに20分押してます!」 「小道具、次の曲はアイマスのぼり、スタンバイは?」 「スタンバイOKです!」 「次は特効ありです!特効2と3、準備いいですか?」 ライブの舞台裏は、まさに戦場だ。 その戦場に身を置く立場になった以上、ゆっくりとライブを楽しむことなど出来はしない。 それは覚悟していたし、確かに残念だ。が、もっと充実した気分を俺は味わっていた。 自分が、春香さんのライブを作り上げている、その中の一人だという実感。 しかし、それ以上に勝利者感覚に酔えることがある。 例えば そこに、出演者がステージ裏に戻ってきた時に使ったタオルがある。 春香さんが使ったのは、一番右端。チェックしていたから間違いない。 つまり、この春香さん使用済タオルを、手に取る事が可能だ。 手に取れるなら、当然、スーハークンカクンカとか何だって出来る。これひとつくらい、くすねてお持ち帰り だって不可能じゃない。持ち帰ったらもうこっちのもんだ。 なんなら遠心分離機にかけて中の水分を抜き出す事だって・・・ いや、やらないけどね。 ただ、今の俺は、それをやろうと思えば出来る立場にいる。 それが満足なのだ。 実際にやっちゃったらただの変態だし。 「あ、スタッフさん。出演者の使用済タオルは、これで全部ですよね?」 音無さんがやってきた。 「はい、そうだと思います。」 「まさか、抜き取って隠したりはしてませんよね?」 「な、なに言ってるんですか?!そ、そんなことするわけないじゃないですか!」 「ごめんなさいね。ウチの事務所、スタッフやプロデューサーが、出演者の使用済タオルや着用済の衣装を 勝手に持ち帰ったりすることが、たまにありますから、気をつけてないといけないんですよ。」 「ぐはっ・・・」 あきれたわけじゃない。 負けた。そう思った。 勝ちたくないけど。 「あ、ほら。春香ちゃんがスタッフ全員ステージに出てくるように、って、呼んでますよ!」 「え?」 すでにアンコールラストの曲も終了していた。 ステージ裏のスタッフが、呼ばれるままに舞台へとぞろぞろ出て行く。俺もそれに続いた。 『今日は、この素晴らしいスタッフのみなさんとステージをお届けしました!スタッフのみなさん、そして 会場のみんな!本当にありがとう!!』 春香さんのこの一声で、ステージは幕を下ろした。 「よぉし!もう一軒行くか!」 「行こう行こう!」 「じゃあ私たちは、ここで失礼しまーす」 「はあい、おつかれさまー!」 ライブの打ち上げは大いに盛り上がった。 盛り上がり過ぎた俺たちは、何軒もはしごしてしまった。その内にいつの間にか、メンバーは俺と春香Pの二人 だけとなっていた。 「じゃあ、次はここでいいか?」 「もうどこでもいいぞ」 「この店、前はよく来たんだよ。このビルの上に事務所があった頃にさあ。」 そう言いながら、俺たちは『たるき屋』と書かれた暖簾をくぐった。 「じゃあ、あらためて、ライブ成功おめでとう!そしておつかれさま!乾杯!」 「おつかれ!」 その夜4度目の乾杯。 「いやあ、しかし、今日のライブは良かったな。凄い盛り上がりだった。」 「お前が手伝ってくれた事も大きいよ。おかげでこっちは、本来の演出の指示に専念出来たし。」 「お、嬉しいこと言ってくれるねえ。まあ飲め飲め。」 「当然だ。今日くらいは徹底的に飲むぞ!つきあえよ。」 「望むところ」 「こうやって苦楽を共にした同僚と飲めるってのも、ありがたいものだしな。」 「あ、そうか。もしかしてこれまでは、打ち上げと言っても事務所の人間はほとんど参加しなかったのか?」 「音無さんくらいだな。いつも最後は二人で愚痴っぽくなって・・・」 「そ、そうだったのか・・・ってあれ?そう言えば、音無さん、打ち上げに来てたか?」 「ああ、確かに見てないな。いつもは最後まで参加するはずなのに。」 「彼女、酒、好きなのか?」 「酒が好きと言うより、酒を飲むこと、飲む雰囲気が好き、って感じかな。」 「なるほど。」 「ただ、飲み出すと止まらない。」 「そうか・・・」 そんな話をしながら、また一杯。 と、春香Pが、なにやら神妙な顔でつぶやくように言い出した。 「なあ。」 「ん?」 「もしかして、の話なんだが。」 「なんだ?」 そして、視線を宙に漂わせながら、こう続けた。 「もしかして、春香って俺の事が好きだったりするのかな・・・」 俺は、Pに軽い殺意を覚えた。 こいつには、悪気は欠片もない。それはわかっている。 逆にそれが癪にさわる。無神経だ。 何より、春香さんがプロデューサーの事を好きだなんて事は、もう周知の事実以上の確定事項で、気付いて いないのは事務所の内外を問わず当の本人だけと言って良い。その時点で既に無神経の唐変木なのだが。 俺は自分の言葉に毒を含ませた。 「おい、それって・・・ヤバい意味じゃないだろうな?」 「え?」 Pが驚いてこちらを見る。 「考えてもみろ。もし本当にそうだったとしたら、お前はどうするつもりなんだ?16歳のアイドルを相手に、 世間には自由恋愛の結果だとでも言う気か?」 「あ、い、いやそういうつもりじゃ・・・」 こいつは変態だが基本的に真面目なヤツだ。俺はあえて真面目な男にとって耳の痛い言葉を選んだ。 「かたや日本でも有名になったアイドル、しかし世間もよく知らない16歳の高校生。かたやこの業界でもまだ 駆け出しの若いプロデューサー。一般の人の目にどう映るか、言うまでもないだろ。」 先ほどのうろたえぶりからしても、こいつはそこまで深く考えて言い出したとは思えない。 ならば、こちらの思う結論に誘導するだけだ。 案の定、Pの顔はみるみる深刻に曇り出す。 「そんな事実が発覚したら、事務所そのものも問題視される。特に大事な娘さんを預けている親御さんはどう 思うか。他のアイドルや候補生の子だって、親御さんに元々反対されている子もいるみたいだし・・・」 「ちょ、ちょっと待ってくれ。」 堪らずにPが言葉を遮る。 しばらく会話が途絶えた。その間、Pはじっと考えていた。 「・・・お前の言う通りだ。こんなこと、軽々しく口にするべきことじゃない。」 言うなり、グラスに残っていた冷酒を一気にあおった。 「俺が間違っていた。あいつが、春香が、何となく思わせぶりなこと言うのを、まんざらでもない気分で聞き 流して、いい気になっていた。これからは、もっとしっかりと、意図を持ってスルーすることにする。」 そういうPの顔には、悲壮感すら漂っていた。 「そうか・・・」 望んでいた結論に至った。 が、逆にどうにも罪悪感が芽生えたのも事実だった。 「それが、俺に出来る唯一の正しい選択だ。さもないと、みんなに申し訳が立たない。春香にも、春香のご両親 にも、スタッフのみんな、お前にも、社長にも、音無さんにも・・・」 「わたひがどうかしましたか?」 「ぶはっっっ!!音無さん?!」 「ど、どうしてここに?!だいぶ飲んでるみたいですけど・・・?」 「どうひてもこうひてもないですよ。プロデューサーさん、わたひは後片付けが終わったら打ち上げに合流する から、後で会場の場所をメールで教えて下さい、ってお願いひたじゃないですか?」 「あ・・・すみません、すっかり忘れてました。」 「それはあんまりじゃないですか?・・・だから、仕方なくこの通い慣れたお店で、一人寂しく杯を傾けること 数時間、その間も、プロデューサーさんにもスタッフさんにも何度もメールを送ったのに、誰からも何の返事も なく・・・ううっ・・・わたひも、今日は結構頑張ったんですよ・・・」 「本当だ・・・俺の携帯にも音無さんからのメールが来てました・・・気付きませんでした・・・」 「すみません!ごめんなさい!誠に申し訳ありません!」 「ううっ・・・罰として、今日のここのお勘定はプロデューサーさんにお願いしますからね。」 音無さんがそう言って差し出した伝票は、すでに20品目に到達していた。 それは、唐突にやって来た。 『天海春香、活動停止』 衝撃的なニュースが芸能界を駆け抜ける。ファンは騒然となり、お別れコンサートのチケットは、ドームという 考えうる最大限のキャパシティを持つ会場をもってしても、なお入手困難なプラチナチケットと化した。 俺も最初に聞いた時は耳を疑った。 どうやら聞くところによると、最初から活動期限が決められていたらしい。これは765プロの恒例だと言う。 おそらくは、これほどのメジャーアイドルになることを想定してなかったのだろう。 アイドルがそこそこに売れて、プロデューサーがそれなりの経験を積んだ時点で、その組み合わせを解消する。 人材育成という意味では、間違っているとも言えない方針だ。 過去にも例はあったのだろうが、それが話題になるレベルにまで達していなかった、それだけの話。 ただ、今回はトップアイドル天海春香ということで、話が大きくならざるを得ない。 そんな風に世間が騒ぎ立てる中、765プロでは、粛々とお別れコンサートに向けての準備が進んでいた。 いつものライブと同じ様に。 そして、ライブ当日――――― ――と言っても、俺はいつもの様に、裏方なのだが。 さて、そのライブ。 リハーサルでは不安な感じがあった春香さんだが、本番は、いつもの様に、いや、いつも以上に見事な ステージングを披露していた。 お別れコンサートは、最高の形で幕を下ろした。 大成功だった、と言っていいだろう。 その後、いつもとは違い、スタッフ有志での打ち上げがあった。 主役である、春香さんとプロデューサーの姿は、そこにはなかった。 ライブ終演後、二人でどこかへ消えてしまったのである。 とは言え、今後の話もあるだろうし、それも自然な流れに思えた。 二人が、どこでどんな会話を交わしたかは、我々には知る由もない――― ――かに思われた。 その夜、帰宅した後で、携帯に一通のメールが届いた。 春香Pからだった。 『今から出てこれるか?』 俺は、不審に思いながらも返信した。 『大丈夫だけど、どうした?どこに行けばいい?』 『たるき屋にいる』 時計を見た。 間もなく深夜0時。 俺はとりあえず外に出て、タクシーを拾った。 「よく来たな。まあ飲め。」 たるき屋の暖簾をくぐると、春香Pから声がかかった。 「おう。とりあえずレモンサワーね。」 「俺は日本酒、ひやでもう一杯!コップで!」 すでにだいぶ飲んでいる様だ。 「大丈夫か?」 言いながら、カウンター席のPの隣に座る。 「ああ。飲んでるんだが、酔わないんだよ。なぜか。」 口調は軽いが、表情は暗い。 「酔いたいのに、な・・・」 そう言ったきり、空になったグラスを見つめて黙り込む。 そこに注文した酒が届いた。 ライブの成功を祝って乾杯、とも言える空気ではない。 俺は黙って一口飲んで、意味もなくグラスを振ってみた。 グラスを見つめたまま、春香Pが口を開く。 「春香に、告白された。」 「そうか。」 多少の動揺はあったが、予想の範囲内だ。俺は平然と応えたつもりだ。 「どうしたか、訊かないのか?」 「これから話すつもりなんだろ?」 「ああ・・・」 酒を手に取り、グッと一口飲み込む。はあ、とため息。 「振った。春香のことを。思いっきり、な。」 言い終えると、残った酒を一気に飲み干した。 俺は黙って、自分の酒をもう一口。 「それも、まるでデリカシーのない言葉で、だ。お前が前に、ここで言ったことが、ふと頭に浮かんでな。」 「俺の?」 「そうだ。『ヤバい意味じゃないだろうな?』って言ったんだよ。それをそのまま春香に返したんだ。」 思い返してみる。そんなことを言った様な気もする。 「はっきりと、そういう事はまずい、そんなつもりはない、って意味だったんだが、それにしても、ひどい 言い草だったと、自分でもそう思う。でもな・・・」 またしばらくの沈黙。 「でも、そうでもしないと、俺自身が、春香の事を拒絶しきれなくなりそうだったんだよ。」 言うなりグラスを持ち上げて、カウンター越しに、身振りで酒をもう一杯頼む。 「俺、はっきりわかった。俺は春香が、世界中の誰よりも、何よりも、大事だったんだ、って。」 やってきた酒をまたあおる。 「でも、やっぱり、春香を、親御さんを、周りのみんなを、裏切っちゃいけないんだよな。」 「ああ。お前はえらいよ。大したヤツだよ。」 心の底からそう思った。 「そうか!そう言ってくれるか!ありがとう・・・ありがとう・・・」 Pは安堵したのか、一気に酔いが来たらしく、いきなり泣き出した。 「春香ぁ・・・ゴメンよ、悲しませてゴメンよ、春香ぁ、春香ぁあああ・・・ううっ・・・」 互いに思い合う二人が、別れを迎えた夜だった。 それからしばらく・・・ 春香さんが休養していることもあって、専属スタッフとしての仕事を失った俺は、どこかの神殿やギルドよろしく 社長室に出向き、ジョブチェンジを願い出た。 希望のジョブは、プロデューサー。 「うむ。いいねえ、どんどんやってくれたまえ!」 例によって、あっけなく受け入れられた。 「では、プロデュースする女の子を選んでくれたまえ。」 「社長、実はその件でちょっと。」 「なにかね?」 「春香さんが、そろそろ新たにまたアイドル活動を再開するそうですが、彼女をプロデュースさせて頂くことは できないでしょうか?」 「ううむ・・・天海君か・・・。」 社長が珍しく即断を避ける。 「もしかして、すでに次のプロデューサーが決まっているんですか?」 「いや、こちらとしては、問題はないのだが・・・実は彼女は、今度の活動ではプロデューサーは必要ない、 とこう言ってきているのだよ。」 「え?そうだったんですか?!」 「うむ。天海君も、今や押しも押されぬトップアイドルだ。こちらとしては、プロデューサーがいた方が、 なにかと都合がいいのだが、彼女の意向を無視するわけにもいかない。そこで、だ。」 「はい?」 「君が彼女をプロデュースしたいと言うのなら、彼女自身に、君から了解を取ってもらえないだろうか?」 「僕自身から、ですか?」 「そうだ。事務所としては、彼女の意向を聞いている以上、強制するわけにもいかない。あくまでも、彼女が 納得した上でプロデューサーを付けたいと思う。」 「そういうことですか。・・・わかりました。」 「そうか!天海君は、明日久しぶりに事務所に来るそうだから、くれぐれもよろしく頼むよ!」 翌日。 俺は、多少緊張しながら、春香さんが来るのを待った。 やがて・・・ 「おはようございます!」 聞き覚えのある、天使の様な声が事務所に響いた。まごうことなき春香さんの声だ。 「春香さん、おはようございます。」 「あ、スタッフさん。おはようございます。」 ぺこり、と頭を下げる。 「ところで、春香さん、ちょっと話があるんですけど、あちらの会議室の方に来てもらえませんか?」 「え?はい。」 「・・・ということなんだが。」 「じゃあ、あなたが私の新しいプロデューサーさんですか?」 「春香さんさえよければ、だけどね。一応、春香さんが今後プロデューサー抜きで活動したいとは聞いて いるんで、春香さんが了解してくれることが条件になってるんだ。」 「私が、了解すれば・・・ですか・・・」 春香さんは、ちょっと悩んだ風を見せた。 しかし、それも一瞬で、すぐにニコッと春の花の様な笑顔を咲かせる。 世界を光で満たす、天使の笑顔だ。 そして、世界に彩りを与える天使の声で答えた。 「絶対イヤです♪」 /Fin.
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レインボーエンジェルモン(光) レインボーエンジェルモン(光) ランク ★1 ★2 ★3 ★4 ★5 ★6 スキル1 生まれつきレベル 最大Lv 15 スキル2 なし 体力 30 スキル3 なし 攻撃力 2 Lスキル なし 防御力 2 タイプ 【タイプ】 編集 攻撃速度 0 覚醒後 あり 入手方法 進化・他属性 進化: 他属性 スキル・パッシブスキル・リーダースキル スキル1: スキル2: スキル3: パッシブスキル リーダースキル 備考 コメント 光の下級エレメンタルは存在しない(覚醒後のヴァリスのみ) -- 2014-08-05 15 28 31 コメント すべてのコメントを見る
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キュアエンジェルパイン(Cure Angel Pine) 商品画像 情報 登場作品:フレッシュプリキュア! 定価:未定 発売日:未定 再販日:未定 商品全高:約140mm 付属品 手首: 武器:無し 表情: その他:台座 キャラクター概要 山吹祈里が変身するキュアパインがパワーアップした姿。柔らかな羽と一部コスチュームが変わっているのが特徴。 必殺技『プリキュア・ラビング・トゥルー・ハート』を他のメンバーとあわせて使う。 バリアが張れるようになるなどの特殊能力も身につけている。 商品解説 魂ネイションズ2010で登場。エンジェルピーチに続く発表である。 一部変更されてはいるものの、展示では完全に元のパインの流用であった。 元のパインの顔が試作から劣化し、評価が分かれるので、今後顔が新規造形され差し替えできるかがポイントになるかと言われているが、現状発売する様子は皆無。 良い点 悪い点 不具合情報 関連商品 キュアパイン キュアエンジェルピーチ キュアエンジェルベリー キュアエンジェルパッション 写真
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ReDropにみちきんぐそしてばん!。今回のイベはやけにえろい漫画家な人選ですね - 名無しさん (2021-09-15 21 38 53)
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シンクロ・効果モンスター/レベル8/光属性/天使族/攻撃力2500/守備力2000 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上 このモンスターの種族は「魔法使い族」としても扱う。 このモンスターの攻撃力は、シンクロ素材とした 天使族モンスター1体につき400ポイントアップする。 このモンスターが闇属性モンスターと戦闘を行う時、 ダメージ計算を行わずにそのモンスターをゲームから除外し、 そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与えることができる。 シンクロ召喚の台詞は「光輝く天使よ、その輝きを解き放て!シンクロ召喚!現れよ、ライトニング・エンジェル!」
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《エンジェル・ストリングス》 通常罠 自分フィールド上の「ギミック・パペット」と名のついた モンスターエクシーズ1体を選択して発動できる。 自分の墓地からモンスターエクシーズ1体を特殊召喚する。 その後、選択したモンスターエクシーズとそのエクシーズ素材を、 このカードの効果で特殊召喚したモンスターエクシーズの下に重ねてエクシーズ素材とする。 使用キャラクター Ⅳ タグ一覧 ギミック・パペット 罠カード 通常罠
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名称:【TAB】ホワイトエンジェル レアリティ:☆10 属性 木 一覧番号 1924 入手先 入手先1:入手先2:入手先3: レベル 1(99) HP 11108(21578) 攻撃力 1956(3345) 治癒力 117(228) コスト 10 売却価格 ??? 進化必要素材 進化先 必殺技:エンジェルボム(TAB Ver) 必要ターン数 23(13) 効果(Lv1) 2ターンの間、攻撃力を2.5倍して、4thリール全てを木回復図柄に変換する。 効果(Max) 3ターンの間、攻撃力を4倍して、4thリール全てを木回復図柄に変換する。 リーダースキル:ホワイトエンジェル(TAB Ver) 味方木属性の攻撃力8.25倍、HPと治癒力2.5倍。回復図柄停止時、味方攻撃力+250% 被ダメージ33%減。
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《PS(ペンデュラムスタチュー)レッド・エンジェル》 ペンデュラム・効果モンスター 星6/炎属性/岩石族/攻 600/守 600 【Pスケール:青7/赤7】 ①:1ターンに1度、自分フィールドの天使族モンスターの攻撃力を200アップできる。 【モンスター効果】 ①:このカードがエクストラデッキからP召喚に成功した場合に発動できる。 デッキから「PS」モンスター1体を手札に加える。 使用キャラクター 榊遊矢 タグ一覧 ペンデュラムモンスター PS
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『まじですか!?』 「うるさい。大体なんで貴様、起きていられる!?」 『あれのおかげってやつ・・・?』 衝撃がビルの谷間を駆け抜けるたびに、ガラスの破片が降り注ぐ。上体を屈めて、エンジン全開の風圧を軽減する。網の目に張り巡らされた大動脈が完全に機能を停止していた。煙を上げるエアカーで埋まったエアウェイを飛び越して、高層を目指す。赤い空を飛び交う天使達が我が物顔で翼を広げている。 「まあいい。今は何が起こっているのか確かめるのが先決だっ」 空が赤いなど。レセプション会場の夜空にあった外輪は赤くはなかったはずだ。影響を受けるのも悪魔に限定されていた。それがどうだ、都市の機能は麻痺し、一般市民にまで影響が出ている。辛うじて動いている人々も少しいるが、猥雑なまでの都会の熱気が全く無い。 「天使どもが。今度はなんだ」 アスランめ。 貴様が姿を見せる時は決まって、大事件が起こる時だ。 1ブロック先のビルの上で天使の攻撃を受ける姿を見つけて、右に大きく回りこんだ。相手にしている天使の数は3。 「あの天使・・・!?」 雨の夜にレセプション会場内で攻防を繰り広げた三天使。間違いない。あの天使にしてはガサツで品の無い3体の凶暴天使が剣を振りかざして、黒いコート姿の男に迫る。対するアスランは片手に黒い槍のようなものでそれを受け止めていた。 あれが奴の武器・・・騎馬槍。どいつもこいつも時代がかりやがって。 突き出された剣をランスで受け、間髪いれずに後から迫る剣戟を横に飛んで交わせば、黒いコートの切れ端が宙に舞う。そこへ上空から急降下する影。 イザークは躊躇なく銃を構えて引き金を引いた。その間、手放しドライブ。 空気を切り裂く弾丸。 赤い空の光を反射して、はじかれた剣が弧を描いた。勢い余って一直線に突き進むエアバイクのブレーキを急いで引けば、目を見開くアスランの顔をそぐそこで見ることができた。 「ぼさっとするなっ、貴様!」 激突を避けて、黒コートごと引っ掴んでビルの屋上をスライディングする。アスランの手の槍が足元を穿ってコンクリートの剣山を作る。瞬きする間もなく背後で激突音がして、後を確認すれば、屋上が陥没してできた穴から三体目の天使が飛び立った。 「なぜこんな所にいる! この街はもうすぐ空間閉鎖されるぞ。早く逃げるんだ」 「貴様こそ、何をしている」 立ち上がるアスランは宙に浮く天使の向こうの、赤い外輪を見上げた。 「6月都市のようにはさせない」 この街の隣に位置する緑豊かな美しい街。いや、だった。 6月都市は13年前に忽然と滅び――――――滅び!? 「どういう意味だっ!」 「来るぞっ」 気が付けば、アスランはもう一方の手に赤い槍をもって、予備動作無しに赤い空に投げつけた。外輪を突き抜けて上空に消え、紅い稲妻が雨のように天から降り注ぐ。爆発音と共に上空の外輪もろとも天使の軍勢を寸断する。落ちる天使達のエンジェルコアを潜り抜けて、三天使が三方向から迫る。エンジンが咆哮を上げ、その場を離れようとイザークが半分ターンをきり。 がくんと両手をつくアスランが目に入った。 黒いコートの襟元から覗く、黒い刺青のような模様が頬にかけて伸びている。 苦悶で顔を歪め、両の手で自身を抱えて肩で息をする姿は、間違いなく動けない事を現していて。反射的にターンする。その間数秒。空気の震える様をその青い目で捕らえる事ができた。 くそっ。 ひび割れたコンクリートに突き刺さる青い光線。 巻き上がる瓦礫が四方八方に散り、音は耳が麻痺してしまったのか、ただの振動だけを頭に伝えた。飛び込んできたのはトリコロールカラーのエアバイク。 「ストライクッ!!」 両手でハンドルを掴む姿は着地の衝撃に耐えていたようで、前方を見据えているようにも見えた。 上空から一直線に降下する天使を見つけて、キラはストライクを向ける。軸線上の最後に天使と攻防を繰り広げる人間を見つけて、アクセル全開にした。最高速に乗ったところで飛来物が目に入る。避けようもなく突っ込んで来る。 「痛てっ!」 いきなりおでこに激突した塊に手をやれば、金属のこてこてしたペットロボ。キュイキュイとばたつく金属の鳥を引っ掴む。今はただ、一秒でも早く駆けつけたい。見覚えのあるそれをベストの内側に仕舞えば、もうビルの屋上が見えた。 黒い姿と白い姿が何者なのか瞬時にひらめく。この情況で考えられる人物などそういない。 アスランとイザーク。 頬を風が切り、雨霰と突き刺さる雷撃の隙間を疾走するストライクの前方で、黒い姿が膝をつく。庇うようにイザークがエアバイクを盾にするように見え、三天使が迫る。 二人ともやられるっ! 突如スピードを上げるストライク。キラとストライクの背後に渦巻き、広がる大気はまるで一葉の翼のよう。直ぐ脇をエンジェルコアが上っていくのも気にとめず、キラはビルの屋上、一点だけを狙う。助けるとかそんなことは一切考えていなくて、自然と体が動いていた。引き金を引いた記憶さえ定かではなく、赤い大気にアグニの青い閃光が伸びる。 間髪いれずにストライクを割り込ませた。 かなりのスピードで突っ込んだおかげで全身に激突の衝撃が跳ね返る。それでも、一時たりとも気は抜けない。三天使を凝視し、黙って痛みに耐える。 背後でスレイヤーが自分のあだ名を呼ぶ声が聞こえた。 「これで貸し借りはなしだよ」 「貸しだと?」 思った通り、彼はさっぱりそんな気はなかったらしい。まあ、自分でもそんなつもりじゃなかったから。でも、無意識に助けたなんて口が裂けても言えない。 「この間のローエングリン」 納得したようで覗き込む視線を周囲に向けた。 「それはこの窮地を脱したらの話だろ」 キラは取り囲んだ天使達の位置を確認する。彼の言う通りだった。非常に面白くない情況で、金髪の天使が顎を上げて唇の端を吊り上げる。 「なんだよお前」 「邪魔する気か、テメェ」 きっと、第8軍の本部にもこの光景が映されていることだろう。マリューさんやムウさんが駆けつけてくれると、捕らえると言う選択肢ができるのに。キラは衝動のままに戦闘に割り込んだいいが、事態を収束する術を全く用意していなかったことを後悔した。 「彼らは僕達がずっと追っていたんだ。横取りしないで欲しいな。取り調べたい事もいっぱいあるんだ」 「はっ? ばかじゃねーの。どうせこの街は再生されるんだから関係ないじゃん」 「そうそう、思考しない真っ当な人間としてさあ。テロも堕落もなくなって一石二鳥ってね」 あざ笑うという行為が天使にこれほど似つかわしくないとは。それ以前に放たれた言葉の方が問題だった。本部で聞いたヒト再生レベルの意味するところだと直感する。考えない、感情を持たない生物として人間を再生させる。 そんなことが。違う、そんなことをどうして。 キラは動揺を表に出さずに睨みつける。 「何が真っ当だ」 アスランがゆらりと立ち上がる。再び空気が渦を巻いて、赤い槍が出現した。きれいだった顔には黒い焔の模様の筋がいくつも走り、今ではもうあの時マリューさんが言おうとしていたことが感覚的に分かる。 彼はヤバイ。 「おい、アスラン。それ以上、悪魔の力を使うな。乗っ取られるぞ」 スレイヤー仲間の彼が言うのだから本当なのだ。 「分かっているのか? 悪魔と近しい者であればある程、融合が進む」 淡々と彼は言うけれど、息を呑むほどキラには衝撃的だった。だとすればあの黒い筋は浸食の徴で、アスランは契約した悪魔と融合しかけているのだ。 槍に刻まれた稲妻模様が発光して、紅い槍からバチバチと電撃が迸る。 「だが、叩き落とすしかない」 一歩引いて、投げ放つ。ビルを中心に雨のように降り注ぐ赤い稲妻が上空の天使の軍勢を一瞬で消し去ってもアスランの厳しい顔つきは変わらない。 「もう遅いですよ」 突如、頭上に湧く第4の声。上空を見れば背後に天使達を従えたアズラエルの姿があった。羽根の向こうに消えゆく赤い外輪。 「もう悪い事を考えなくても済むようにね、人間は生まれ変わるんです」 「空間閉鎖準備整いました。ヒト再生プロジェクト開始します」 ナタルがアズラエルの後に控えて報告している。キラは咄嗟に軍勢のなかにマリューとフラガ、セブンスフォースの天使達を探した。天に登って行く天使達。勝ち誇った顔で見下ろす天使に負けたくなくて睨み続ける。見知った仲間がいないことだけが救いだった。 消えた赤い外輪の向こうにあるのは青空ではなく、日が落ちる寸前の黄昏だった。 ほとんどのモノが動きを止めた死に行く都市。 地平線の彼方に沈む太陽。茜色が色を失って雲が薄くかかった空は桃色とも取れる色をして、宵の明星が浮かぶ西の空から一筋の光が流れる。 反射的に顔を上げたのはアスラン。 「ちょっと見ない間に随分とお変わりになられましたわね、アスラン」 ふわりとビルの屋上に降り立つ姿は可憐な少女。しかし雰囲気は成熟した女性を感じさせるもので、その背には空に溶け込むように透き通った白い翼があった。膝裏まで伸びた長い髪はピンク色、なのに物悲しく感じるのはなぜだろうとキラは思う。彼女は微笑んでいるのに。 「ラクス・・・」 「はい。13年ぶりですわ。6月都市でお会いして以来ですわね」 キラは驚くアスランと、微笑を絶やさない女性、ラクスと呼ばれた天使を見る。一歩踏み出すと、驚いた事に彼は一歩後退した。手にした赤い槍が霧散する。 「あら、私が恐ろしいですか?」 「どうしてここに・・・」 微妙に丁寧語のアスランを怪訝に見ながら、チラリとスレイヤーのイザークを見た。探る視線から彼も事態を静観するつもりのようだ。本当は時間がないのに、何をどうしたらいいのか分からずに目の前の出来事を追う。 「あなたに会いに、と言ったら?」 その一歩は小さなものなのに、顔をしかめるアスランがまた一歩下がる。その度に、薄いガラスがはじけるような、それでいてリーンと鈴がなるような微かな音が耳に届く。一歩の攻防を数回続けて、天使はキラとイザークのいるところまで来た。夜風のベールがあたりを被いだす。 「お父様にもお会いしたいですわ」 ビルの端に追い詰められたアスランになおも近づくたおやかな天使。手を差し出して一層にこりと笑ったが早いか、アスランがぐらりと揺れる。 足を広げて支える、その体の輪郭がぶれる。映りの悪い鏡のように。 えっ。 キラはアスランとその背後に見え隠れするもう一つの姿を見た。 振られた頭と一緒に揺れる紺色の髪と、違う動きをする背後の闇。背丈を越えて広がる空間の歪みは目を凝らせば左右にあって、手を伸ばしている天使の背と重なってキラの視界に入った。 それは羽根? でも色が。 碧の瞳を閉じて、アスランが何かを断ち切るように腕を振り下ろした。空気中を波紋が走って、二重写しの像は消えていたが、はっとしてキラは隣の天使を振り向いた。が、既に姿はそこになく。 今、くすって笑った? 天使の背中の羽根がざわめいて一気に距離を詰められ、アスランが焦りともあきらめともつかぬ色を浮かべて後方に飛んだ。暗くて本当はどんな顔をしてたのかは分からなかったけれど、飛んだそこはもう既にビルの谷間。 キラとイザークが慌てて駆け寄けて、二対の視線が上を向いて釘付けになる光景。ラクスと呼ばれた天使が舞い上がり追いすがる。捕まえたように見えた瞬間、アスランと天使の姿が消えた。文字通り暮れ落ちた空に掻き消えたのだ。 それだけではない。朱色の筋を残す地平線から立ち上る蜃気楼が、ゼリー状の薄い膜のように漆黒の東へと覆っていく。 「ぐわっ」 頭上まで来て、体が引き伸ばされる感覚を覚えた。キラはたまらずに肩を吊り上げて、ストライクにしがみ付く。シフトする感覚を人はめまいと言うが、キラは知らなかった。 途切れた意識が回復した時、目に入ったものは灰色の巨大な壁で空気がやけに埃っぽい。強い風が息をするたびに喉の奥を引くつかせるが、それよりもまず夜空に浮かぶ星の多さに驚いた。 思わず眺め回す。知識として知っている星座を探し、記憶のままに瞬く様々な明るさの星を繋ぎ合わせていく。そしてはたと気が付いた。 これは全部天使の・・・。 『キラ君』 聞き覚えのある声、イントネーション。これはセブンスフォース所属の天使、マリューが自分を呼ぶ声。夜空を見上げていた顔を戻して、マリューを探した。目に映るのは銀髪のスレイヤーで。彼がエアバイクに跨っていてるのを見て、直前まで一緒にビルの屋上にいたことを思い出した。 「マリューさん。ここは・・・」 『街の外よ。私の力では、あなた達をここまで飛ばすのが精一杯だったの』 さっきは気が付かなかったが、自分がいる所は地面で、コンクリートやアスファルトではない所に立っている。見たことはないがこれが砂だとか岩とか言うものだろうか。真っ暗なので確認はできないが、イザーク以外にも人の気配がする。 「飛ばすって」 『街が空間閉鎖されるの。閉じ込められてしまうといくら天使でも出てくることはできない。だから、閉じ込められる前にセブンスフォースで生きていいる人たちを街の外に運んでいたのよ。もう限界だけど』 測ったようにフラガが降り立つ。背にはやはり羽。 「キラか。そうか無事だったんだな、よかった」 「・・・ムウさん。一体何が起こったのですか」 視線を逸らすフラガは背後の巨大な壁を見つめ、黙って足元に視線を落とす。 「それは俺も聞きたい」 イザークが沈黙を破って催促する。ため息を付いたのはフラガで、のろのろと口を開く。 あの後、第8軍は都市ごと空間を閉鎖して、中に住まう人々の再生を行うのだという。再生とは言うものの、事実上、それは人の思考を奪う処置。もう二度と余計なことを考えないように、悪事を思いつかないようにと。 しかし、思考能力を無くした人間が社会生活を営めるはずもなく。よって再生処置後の都市では天使による再教育が行われる。それは教育とは名ばかりのただの詰め込みだった。あるべき姿に向かって、毎日決められたことだけを実行する人間の形をした生物。 故に、都市は滅ぶ。 「6月都市の再来か。何様のつもりだ、天使ども。神にでもなったつもりか?」 「それについては弁解するつもりはない」 沈黙と砂埃を含んだ風の渦巻く音だけが3人の間を通り過ぎる。 本当に、その通りだとしたら。セブンスフォースのして来たことは、街で天使がしてきた事は? 天使を守るために、人間の生活を守るために自分自身が都市でしてきたことは。キラは考えるのを放棄する寸前で現実に呼び戻された。 「イザークっ!?」 駆け寄る少年の姿には見覚えがある。イザークのチーム仲間、ニコル・アマルフィー。リュックを背負った姿はまるでどこかに出かけるようで。イザークを見て一息ついた後、キラとフラガを見た。 「俺達の力不足だ」 吐き捨てるようにフラガが言う。ばさりと広げられた翼が力なく彼を空中へと浮かび上がらせる。 『すまない。俺にしてやれる事がない』 「ムウさん!」 苦渋に満ちた顔はおよそフラガらしくなかったが、動揺しているのはキラだけなのか残る二人は更に険しい顔で飛び去る天使を見上げている。 「彼に助けてもらったんですよ」 ニコルが言うには、オロールの店で異変を感じて外に出たら、急に頭がぼんやりして、気が付いたらここにいた。隣にはあの天使がいたが直ぐに消えてしまって、どうしようかと思っていたところだったらしい。辺りはすっかり暮れていて、風音を頼りに声がする方に来て見れば、偶然にもここで出会うことができた。 「ムウさんが・・・」 飛び去った西の方角もすっかり夜の色に染まっていて、頭上を埋め尽くす星が降って来るように迫る。 街にはもう戻れないのだろうか? 足を向けたところで、視界の端に入る明かり。 「まずは暖を取りましょう。まだ夜は寒いです」 ニコルが火をおこして早速お湯を沸かしている。イザークって人も座り込んで、二人はここで野宿をする事に決めたようだった。 「あなたも座ってください」 人懐っこい笑顔で言われても、キラはどうする事もできない。自分はセブンスフォースで、彼らはエンジェルスレイヤー。ついさっきまで敵対していたのだ。何事もなかったように一緒に火を囲めるわけがない。 「僕は・・・」 「今、動き回るのは得策じゃないですね。どちらにしても、街には戻れませんよ」 ああ、やっぱり。閉鎖空間とか言っていた。 どっと疲れが押し寄せてきて、立っているのが急につらくなる。 「さっさと座れ、ストライク」 スレイヤー達に恐れられた、セブンスフォースのエース。落としたスレイヤーは数え知れず。戦利品のフルチューンされたエアバイク・ストライクを駆り、街では彼らにそう呼ばれていた。 「キラ。キラ・ヤマト。僕の名前です」 キラはうまく笑えただろうかと、涙をこらえて膝を折る。 「イザーク・ジュールだ」 「僕はニコル・アマルフィーと言います。あっ、知ってますよね」 差し出されたアルミのカップを両手で抱えて、夜空を見上げた。瞳に映る無数の星。 この世では、もうずっと昔から天使と悪魔が戦いを繰り広げている。 だけど、何のために? 僕がこの街を守ると、あの時、宣言したのに。 どうしてこんな事になってしまったのだろう。 苦しい。息苦しさにベストを緩めた途端、顎や頬を掠めて何かが飛び立った。トリィと鳴くそのペットロボットを彼の傍で見かけたのはいつの事だったっけ。 アスラン―――君はこの結末を予想していたの? 閉ざされた都市の上空で、アスランは六枚の羽根を広げる天使と対峙する。6枚の羽根は最上天に住まう熾天使の証。万華鏡のように頭上に煌く天蓋は、しかし、人の思考を奪う天宮の兵器。降り注ぐオーロラ光を受けてなお、闇色の翼が異空間のごとく彼の背後にあった。 「いつまで争いを繰り返すのでしょう」 ラクスの瞳の澄んだ空色はこの都市にとっては遠すぎた。穏やかに言葉を紡ぐが、人が聞けは憤慨するに違いない。 「父は申しておりました。あるべき姿に回帰すべきと」 「ふざけるな」 震える漆黒の空間。アスランが搾り出した言葉はきっと目の前の天使には届かない。落とされた視線の下には無残にも熱を失った都市が佇んで、まるで墓所のようにひっそりと静まり返っている。自動制御されたライトが点き、辛うじて被害のなかったビルが見る者のいない摩天楼を演出する。点滅する非常灯。 「そしてあなたも。始まるのです。終末の時を呼ぶジェネシスが」 アスランは目一杯見開いてそのセリフを放った天使を見た。見開かれた碧の瞳が揺れる。 いつかそんな時が来るだろうとは思っていた。 唯一、エンジェルコアを運ぶ第7機動隊の協力者。茶色の髪に紫色の瞳が印象的な彼。 「彼が・・・そうなのか」 「それはあなたが一番ご存知ではないのですか?」 風もないのにさざめく長い髪を揺らして近づくラクスが手を取る。そっと手袋を外して両手で包み込む。 「私では癒せませんか?」 アスランの手は顔と同じように手の甲や指にまで黒い模様が広がっていた。この冷え切った手を見ないで欲しいと思う。それなのにこの天使を振り払えないのは、彼女の力なのだろうか。やりきれなさで自然と目を閉じてしまう。 そんなことをしても無駄なのに。 「まだこの街を救う気でいますの?」 「できることなら」 アスランは最上級天使の前で少し笑った。 「させませんわ」 閉鎖空間内の都市で大気が震撼する。 街の外で初めて一夜を明かした。 ストライクにもたれて、エンジンに残った熱を頼りに眠りについた。熟睡はできなかったけれど、疲れの少しは取れたかもしれない。目覚めた時には、どこかへ飛び立ったはずの鳥型のペットロボが肩でうずくまっていた。 すきっ腹にコーヒーはつらかったけれど、貴重な水分だと言うことが分かるからキラはありがたく頂いた。 「じゃ、出発しましょうか」 「どこへだ」 片づけを手伝うイザークが問う。荷物をリュックに詰め終わったニコルが歩き出した。 「近くに僕のいた集落があります。まずはそこへ向かいましょう」 フンッと鼻で軽く返事を返して、イザークがニコルにエアバイクの後に乗れと言っている。銀色の髪が朝日に反射して眩しい。 「貴様もだ。早く来い、キラッ!」 地平線から顔を出す太陽が、荒野を照らす。驚くほど何もない大地。キラは最後に背後の蜃気楼のように揺らぐ街を振り返った。 これから僕はどこへ行くのだろう。 スロットにかけた手に力をこめ、前を向いて紫の瞳に浮かび上がる朝日を映した。眩しさに少し目を細めて瞳を閉じ、エンジンキーを回した。肩から機械の鳥が羽ばたく。 目を開けた世界の、明けの空を走る朝日の矢。 「今、行くよ」 真実を探しに。 今回はつらかった。特にアスランとラクスが。この二人会話が噛みあわない。アスランが敬語になるからかなあ・・・。一応、前半のクライマックスのはずなのに、妙に淡々と進んでしまう! こう、もっと疾風怒濤、驚きの急展開の感じになる予定だったのに、あくまで予定だなあ。と言うわけで次回からギャグ月間、もとい、荒野編です(笑)
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攻撃力、防御力はレベル1親愛度1の状態のものを記載してください。スキルもレベル1のときの効果を記載してください。 ※アルバムの『全エンジェル』タブのレアリティ別にソートしたときの順で記載しています。 ぬけていたり間違っているところは適宜加筆・修正してください カード名 属性 コスト 攻撃力 防御力 スキル 効果 備考 おっとり姫騎士 リュッカ ソード 29 7540 5020 純真無垢 ソード属性のクリティカル率 特大アップ - 星の光の収穫祭 エイミー ソード 27 6990 4710 エルンテ・ダンクフェスト ワンダー属性の防 特大ダウン - 憤怒の長 サタン ソード 35 3440 6820 破滅の怒り ソード属性の防 特大アップ 軍団長 暴食の長 ベルゼブブ ソード 35 4850 3490 偉大なる暴食 ソード属性のクリティカル率 特大アップ 軍団長 [[]] ソード - - - 真の力の覚醒? モルガン マジック 28 7210 4020 トゥルーボンバー 自分の攻 極大アップ - うたかたの午睡 リリム マジック 32 8000 5790 すりーぴんぐびゅーてぃー ソード属性の防 特大ダウン - 月下の遊泳 シェリル マジック 29 6580 6600 ムーンライトドリーム 全属性の攻/防 中アップ - ルーンマスター スカアハ マジック 27 6190 6090 運命のルーン マジック属性の攻/防 大アップ - 癒し手を癒す天使 ガブリエル マジック 29 6540 6640 知恵の実のパイ ソード属性の攻/防 大ダウン - 冥府魔道の辻守人 ヘカテー マジック 28 4930 7200 ソウルジャンクション マジック属性の防 特大アップ - 漆黒の慈君 アナスタシア マジック 27 6860 4840 黒天導地 全属性の攻 大アップ - 回転する悪魔 オリアス マジック 31 7890 5490 被虐のラリー マジック属性の攻 特大アップ - 強欲の長 マンモン マジック 35 3440 4950 強欲の掌 マジック属性の防 特大アップ 軍団長 羞恥の肢体 オロバス マジック 32 8120 5670 愛のムチどすえ! 全属性の攻 大アップ - 天使の晩餐 ナギサ マジック 32 8130 5660 愛妻ストマッククロー 全属性の防 大ダウン - [[]] マジック - - - 蛇矛の洗礼 エキドナ ワンダー 32 8090 5700 ハートブレイクショット ワンダー属性の攻 特大アップ - 料理修行開始 ウリエル ワンダー 28 7110 5020 デンジャラスクッキング マジック属性の防 特大ダウン - しんけん花嫁修業 アフロディーテ ワンダー 31 5480 7900 乙女の暴走 マジック属性の攻 特大ダウン - 蛇姫の秩序 サマエル ワンダー 32 5680 8160 ビッグ・オーダー ワンダー属性の防 特大アップ - 色欲の長 アスモデウス ワンダー 35 4870 3470 艶めく色欲 ワンダー属性の攻 特大アップ 軍団長 [[]] ワンダー - - - [[]] ソード - - - [[]] マジック - - - [[]] ワンダー - - - 勝手に追加しました。 - にゃあ 2014-05-30 06 35 35 えええええ - うんこまん 2014-07-14 17 58 06 名前