約 5,392,007 件
https://w.atwiki.jp/arcadegames/pages/71.html
== 概要 == タイトー(TAITO)は東京都渋谷区に本社を置く老舗のゲームメーカー。スクウェア・エニックス・ホールディングスの完全子会社. == タイトーのアーケードゲーム一覧 == ゲーム名称 製品形番 搭載システム、その他 ダライアス ちゃっくんぽっぷ チェイスH.Q. ナイトストライカー 奇々怪界 キャメルトライ アンダーファイヤー(UNDER FIRE) == タイトーのアーケードゲーム基板一覧(サブ基板含む) == システム基板名 基板形番 部品型番(ラベル表示) (ゲーム名) F1 SYSTEM F2 SYSTEM F3 SYSTEM 不明 K91X0462A アンダーファイヤー用 MICOM PCB 不明 J9100202A K9100259A (WGP) LAN INTERFACE BOARD 不明 J9100243A K9100317A (W.G.P.2) SUB BOARD == タイトーのLSI一覧 == LSI名称 形番 搭載ゲーム名など
https://w.atwiki.jp/switchsoft/pages/2426.html
アーケード2000 1990 1985 1980 1970
https://w.atwiki.jp/makkun/pages/15.html
準備中
https://w.atwiki.jp/gogdan/pages/25.html
エックストリイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッム!!! 富士山5合目~山頂での撮影
https://w.atwiki.jp/moshimorpg73new/pages/449.html
#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (fメモリストリーム男.png)#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (fメモリストリーム女.png)メモリストリーム【めもりすとりーむ】 (メモスト) #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (メモリストリーム男矛.png)#ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (メモリストリーム女矛.png) 「メモリストリーム」の事象の擬人化。男と女の2種が存在する。 「メモリストリーム」とはツクールのバグの一種で、「BGMの演奏」でMIDIを読み込んだ際にメモリの解放に一部失敗してゴミデータが蓄積した結果、 BGMが演奏されなくなる予兆の後、セーブ時に上書きしようとしたデータを消し飛ばしつつ強制終了する現象。 エディターで発生した場合はゲームファイルの破損に繋がる危険性も秘めているため非常に危険。(VIPRPG@総合制作技術Wikiより引用) 折角作り上げてきたデータを無に還す危険性があるという共通点から、キャンセルと同じくツクラーからは恐れられている事象である。 また上記の繋がりからか、キャンセルとは親子関係であることが多い。 女性版の方はやる気が無いネガティブ思考なことが多く、性格面ではドラゴなすーんに近い。 関連キャラ キャンセル:母 カテゴリ:無所属・その他
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/618.html
ストリートファイターIV 概要 特徴 キャラクター 格闘ゲームとしての特徴 バランス総評 評価点 賛否両論点 問題点 CS機版 スーパーストリートファイターIV 概要(スパIV) 特徴(スパIV) スーパーストリートファイターIV アーケードエディション 概要(AE) 特徴(AE) 問題点(AE) ウルトラストリートファイターIV 概要(ウルIV) 特徴(ウルIV) 問題点(ウルIV) 総評 余談 ストリートファイターIV 【すとりーとふぁいたーふぉー】 ジャンル 格闘ゲーム 対応機種 アーケードプレイステーション3Xbox 360Windows Vista 使用基板 【AC】Taito Type X2 販売元 カプコン 開発元 カプコンディンプス 稼働開始日 【AC】2008年7月18日 発売日 【PS3/360】2009年2月12日【Win】2009年7月2日 価格 【PS3/360】8,390円【Win】7,340円 レーティング CERO B(12才以上対象) 判定 なし ポイント 久々のシリーズ新作どちらかと言えば保守的な作り格闘ゲーム界隈の活性化に貢献 ストリートファイターシリーズ 概要 『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』より約10年を経てリリースされた、シリーズナンバリング第4作。 グラフィックは3Dとなったが、ゲーム性は2Dのまま。言わば『ストリートファイターEX』と同様の形式である。 本作は、ブロッキングを中心としたシステムで格ゲー熟練者向けに尖鋭化した『3rd』への反省から、初心者や往年のプレイヤーを再び集められる対戦ツールを目指して制作された。対戦格ゲーの火付け役となった『ストリートファイターII』への原点回帰を掲げており、扱いはさほど難しくなく、それでいて強いキャラを用意するなど、シリーズを重ねるうちに上がってしまった敷居を下げる工夫がされている。 一方で、習熟すれば更にハイレベルな対戦を楽しめるテクニックや、当時の格ゲー界における先端的なシステムも組み込むことで、格ゲー初心者には取っ付き易く、熟練者にも遊び甲斐を感じさせる、非常に間口の広い仕上がりとなった。 CS機版の発売を機に対戦熱が一気に上昇した。 わかり易い駆け引きと奥深さによって対戦人気・プレイ人口は圧倒的で、2010年代の格闘ゲームシーンを牽引した。 その後バージョンアップ版『スーパーストリートファイターIV』が稼働。 この作品からさらに「ARCADE EDITION」⇒「AC ver.2012」とバージョンアップされている。 2014年から最終作『ウルトラストリートファイターIV』に移行し、キャラクターや新要素が追加された。 特徴 「原点回帰」を謳っただけあって、基本的には『ストリートファイターII』がベース。しかし、投げのシステムやEX必殺技などは『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』のものを輸入している。 パワーゲージであるスーパーコンボゲージは4分割されており、1ブロック(25%)消費することで必殺技の強化版であるEX必殺技を、4ブロック(100%)消費することで超必殺技のスーパーコンボを出すことができる。 目玉となる新システムは「ウルトラコンボ」「セービングアタック」の2つ。 ウルトラコンボ ダメージを受けることで溜まっていくリベンジゲージが一定以上溜まることで、派手な演出を伴う超必殺技が使える。使用すると溜まったリベンジゲージを全て消費し、消費量に比例して威力が上がる。下記のスーパーコンボと違い、通常技や必殺技からキャンセルは出来ない。 スーパーコンボゲージを全て消費して使う「スーパーコンボ」も併存しており、こちらは通常技や必殺技からキャンセルで出せる。 当初ウルトラコンボは、リュウの場合、スーパーコンボは「真空波動拳」でウルトラコンボは「滅・波動拳」とどちらも飛び道具と、スーパーコンボの上位版という位置づけだった。『スーパー』からウルトラコンボは2種類になり、キャラクター選択後にどちらかを選択することとなる。 セービングアタック 『ストIII』における「ブロッキング」に相当する、『ストIV』独自の防御システム。 入力すると「セービング状態」に移行し、ボタンを押し続けている間はアーマー状態になり、一発だけ攻撃を受け止めることが出来る。この時のダメージはリカバリアブルダメージとなり、一定時間相手の攻撃に触れない事で回復していく。さらにスパコン・リベンジゲージも普通にガードするより多く溜まる。 ボタンを離すことで「セービングアタック」を繰り出し、溜めた時間によっては相手にヒットすると無防備な膝崩れ状態にすることができ、追撃で大技を決めるチャンスになる。 セービング状態、もしくはセービングアタックが相手に触れると前後のダッシュでキャンセルする事が出来る。これによって読みが外れた場合は解放せずにバックステップでフォローしたり、ヒットした場合より強力な追撃を仕掛けるために前方ダッシュしたり、飛び道具を受け止めてゲージを溜めつつ接近するなど、幅広い使い道がある。 シビアなタイミング合わせがなくハードルが低い反面、成功すればほぼ反撃可能だったブロッキングと違いそこまで強力なシステムではない。 攻撃の出がそこまで早くなく、受け止めた技によっては確定ヒットしない、一発しか受け止められないため弱攻撃連打やEX必殺技などに弱い、無消費の必殺技にもセービングで防ぐことの出来ない「アーマーブレイク属性」になっている技がある(多くの場合は突進技あたりがこれ)というように、対抗策も多い。このためカウンターに使うのであれば「相手の技」まで読んで繰り出せなければならない。 スーパーコンボへのキャンセルが可能な通常技・必殺技はセービングアタックでのキャンセルにも対応しており、この際スーパーコンボゲージを2ブロック(50%)消費する(EXセービングアタック)。 EXセービングアタックの性能はアーマーがない以外普通のセービングと同じ。 キャラクター 使用キャラクターは最新作の時点で総勢44人のシリーズ一の大世帯となった。『II』シリーズのキャラクターと『IV』オリジナルの新キャラクター以外にも『ZERO』シリーズや『ストIII』シリーズのキャラクターも多数登場している。 最初は『ストII』シリーズの12人と『ストIV』からの新キャラクターが4人、隠しキャラクターの豪鬼を含めた計17人。家庭用でCPU専用キャラクターをプレイアブル化した2人+新規追加キャラクター6人、『スーパー』で10人、AEで4人、『ウルトラ』で5人が追加。 本作以前では登場キャラクターの担当声優は作品によってまちまちであったが、本作以降はゲスト出演でもほぼ固定となっている。 + 登場キャラクター一覧 本作からの新登場キャラは太字表記。 初代から参戦 リュウ ケン 春麗 ガイル エドモンド本田 ブランカ ザンギエフ ダルシム マイク・バイソン バルログ サガット ベガクリムゾン・ヴァイパー アベル エル・フォルテ ルーファス ボスキャラ セス 剛拳 豪鬼(隠し) 家庭用追加キャラ フェイロン ダン さくら キャミィ ローズ 元 『スーパー』追加キャラ ジュリ ハカン サンダー・ホーク ディージェイ コーディー ガイ まこと ダッドリー いぶき アドン 『AE』追加キャラ ユン ヤン 殺意の波動に目覚めたリュウ 狂オシキ鬼 『ウルトラ』追加キャラ ディカープリ ヒューゴー ポイズン ロレント エレナ + 本シリーズからの新登場キャラクター 『ストリートファイターIV』から登場 クリムゾン・ヴァイパー 蛇のような赤い髮にパンツスーツで決めているCIAの女性エージェント。電撃や火炎を発する暗器を仕込んで戦う。CIAの任務でシャドルーの下部組織に潜入している。一児の母で娘のことを溺愛している。 ハイジャンプキャンセルやフェイント、低空必殺技といった各種テクニックを駆使することで真価を発揮するテクニカルキャラ。 アベル 『ストIII』シリーズのアレックスを彷彿とさせる、ストーリーに深い接点を持つ青年。真面目な性格だが「体がーっ!!」という謎の悲鳴(*1)やアレンジコスチュームで何故か必ず乳首を丸出しにしている点から妙なネタ感を感じるプレイヤーもいる。 性能面でもアレックスと同じく、重い打撃と投げ、前進力を併せ持ったパワーキャラ。 エル・フォルテ メキシコのルチャドール。暑苦しすぎるボケ担当キャラクター。シェフ志望で技にも料理の名前を付けているが、料理は非常に下手。 「アバネロダッシュ」という必殺技で画面を走り回り、そこからの派生技でガード崩しを狙っていくスピードキャラ。波に乗ると畳み掛けられる反面、防御力・体力が脆く気絶値も低い。運と事故で勝敗が決まる荒らしキャラとよく評される。 ルーファス ウエストサイズ250の動けるデブ。弁髪にトラックスーツとカンフーっぽい見た目なのに格闘スタイルは(自称)空手と勘違いキャラクター。何故かケンを異常にライバル視している他、勝利メッセージが異常に長い。 その勝利メッセージでも金髪や道着を着用しているキャラクターをケンと勘違いするという勘違いぶりを発揮している反面、ベガやガイには割とまともなツッコミを入れている。 牽制力と気絶値が低いが、急降下技「ファルコーンキック」を駆使した接近力や攻めは強力。立派すぎる体格のためか体力・攻撃力も高い。 セス 本作のボスキャラクター。シャドルーによって開発された人造人間で、シャドルーの下部組織S.I.N(*2)のボス。青白い肌に『ストIII』シリーズのギルやユリアンのような彫刻のような肉体を持つ。 ソニックブーム、昇龍拳、スクリューパイルドライバーといった『ストII』シリーズのレギュラーキャラクターの必殺技をコピーした技を使って戦うが、プレイヤー使用時は体力・気絶値とも最低クラスのためワンミスで瞬殺されかねない。 『V』にもシーズン4追加キャラとして登場した。(ユリアン・ギルと見た目が被るためか)身体が女性型に換装されており、通常使える必殺技がデモンクレイドルやムダムダなどカプコン製のストリートファイター以外の作品をモチーフにしたものに一新している、VスキルIで相手の必殺技を吸収して使用できる(全キャラ分用意されている)など、他キャラクターの必殺技を用いるという特徴は保ちつつ動きや性能は一新されている。 剛拳 リュウとケン及びダンの師匠で豪鬼の実の兄。本作では同門でもあった豪鬼との死闘の末、周囲には死んだと思われていたが実は長い間仮死状態のままだったという後付け設定になった(後述)。 道着キャラクターと比べて癖の強い技がかなり多いが、総合的に見ると高水準な性能。3方向に撃ち分けられる波動拳や、相手の攻撃を受け止めて発動する当て身必殺技が特徴的。 『スーパーストリートファイターIV』からの登場キャラクター ハン・ジュリ 韓国出身の女性テコンドー使い。この手のキャラクターには珍しく、シャドルーの下部組織所属で悪役要素が強い。だが、こうなったのはベガが彼女の片目を潰した上に父親を殺害した事が原因であり、その生い立ちを鑑みると生まれながらの根っからの悪党というわけではない。 打撃技を出した後にボタンを押しっぱなしにしボタンを放すことで飛び道具を発射するという打撃と飛び道具の二段構えの必殺技「風破刃」や一定時間チェーンコンボが可能になるウルトラコンボ「風水エンジン」などが特徴的な、小回りの利く機敏なキャラクター。 本作からの登場キャラとして人気が高く、『V』『6』にも登場している。風破刃は攻撃しつつ別の必殺技を強化する風破ストックを溜められるという使いやすい技内容に変更されている。 ハカン トルコの実在する格闘技ヤール・ギュレシュのオイルレスラー。ヘルメットにしか見えない髪型、赤い肌に白目と言った外見のインパクトも相まって話題騒然となった。技も油のヌルヌルによって派手。 オイルをかぶることで技を出す時に「滑る」ようになり、重量級キャラとしては高い機動力を発揮できるようになる。反面オイルをかぶってない時の性能は貧弱で、よくも悪くもオイル頼みのキャラクター。 ちなみに彼を演じた大畑伸太郎氏はかつて『サムライスピリッツ零』で同じく赤みのかかった(あちらはどちらかといえばオレンジに近いが)肌に白目キャラの炎邪を演じており、彼を知っているプレイヤーの一部からは驚きの声も上げられた。 『スーパーストリートファイターIV アーケードエディション』からの登場キャラクター 殺意の波動に目覚めたリュウ 従来の作品にもいたリュウの性能違いキャラクターだが、本作ではこれまでのように『殺意の波動に自我と精神を侵食された姿』とは異なり、『リュウが狂オシキ鬼のウルコン「冥恫豪波動」を喰らい、その際に潜在していた殺意の波動が活性化して取り込んだ』という設定がある。そのためか姿がこれまでよりも禍々しく、言動も非常に荒々しい。 本作で追加された「竜爪脚」という必殺技による高火力の目押しコンボが特徴的。そのため、従来よりもリュウと豪鬼の両者との差別化が図られ、攻めに関する能力は高いが防御面と体力の低さが顕著になっている。 狂オシキ鬼 豪鬼が「殺意の波動」に曝され続けた結果、完全に人外の存在となったもの。従来作でいう所の真・豪鬼にあたるキャラクターだが、さらに怪物的な見た目になっている。 豪鬼とは似て非なる性能。基本的には胴着キャラの基本に沿った性能だが、二段ジャンプ・空中ダッシュのような挙動が可能な必殺技「斬空波動掌」が特徴的。 『ウルトラストリートファイターIV』からの登場キャラクター ポイズン 他の『ウルIV』追加キャラと同様に『ストリートファイター クロス 鉄拳』から登場したキャラクターだが、シリーズに使用キャラとして正式登場したのは本作が初。 『V』で登場した際には『スト鉄』『ウルIV』から性能が変わっており、より長い鞭を用いて遠距離戦を重視した性能に変わっている。Vトリガーでは火炎瓶を投げるなどファイナルファイトの原作要素もある。 ディカープリ 『ZERO3』の頃から設定のみ存在していたベガ親衛隊の一人。仮面を付けているが正体はキャミィのクローン。キャミィと同じ戦闘スタイルだが、腕に仕込んだダガーでも攻撃する。 格闘ゲームとしての特徴 当て投げが初見殺し 通常投げ、特に『ストII』で禁忌とされてきた「当て投げ」(弱攻撃を当ててから歩いて投げる)が非常に強力な調整。 そもそも『ストII』では脱出不可能なハメだった(*3)。その後システムが整備され、現在では殆どの格闘ゲームにおいて常識的な戦法の一つとなっている。 本作ではガードや起き上がり時の投げ無敵時間が短いため、慣れない相手にはかなり決まりやすい。更にいうと弱攻撃をガードさせてもノックバックが弱く距離が離れないこともあり、非常に狙いやすい。 「3rd STRIKE」から見つかっていたテクニックである「スライド投げ(移動投げ)(*4)」も使えるため、投げ間合い外だと思っていても油断できない。特にケンの移動投げは、とても届きそうにない距離からいきなり飛んで来る。 このため、初心者はまず投げ抜け(グラップ)を覚える事になる。「しゃがみグラップ」「複合グラップ」など様々な入力方法が存在する。 起き上がりの途中やガードノックバック中などの行動不可能な状態でも入力を受け付けており、グラップ可能な時間も従来作より長い。相手が投げに来たらグラップ、打撃で来たらそのままガードができる。これを熟知している上級者には投げがほぼ決まらない。 こうした地味な力関係を覚えるのが本作で駆け引きするにあたっての最優先事項であり、乗り越えるまでの時間は長い。しかしここを超えれば「乗り越えていない層」を一気に引き離す事ができ、上達を実感する最初のハードルであると言える。 この当て投げ関係の駆け引きについては慣れていないプレイヤーや、あまりプレイしていない人から批判も多い。稼動初期などは特に「投げゲー」「柔道ゲー」などと揶揄されていた。 通常投げに対しては受け身を取ることが出来ず(*5)、常に起き上がるタイミングが一定。このため、安定してセットプレイをかけることができ、結果、初心者同士の対戦ではお互いが当て投げループでラウンドを取り合っている事も多い。 しかし、仕込み入力もあるため基本的には待ち有利なのは『ストII』と同じ。ガード崩しのために当て投げは必須であり、リターンがこの程度でなければ割に合わない、という意見も。 こういったイメージが先行しているが遅らせしゃがみ技仕込み、リバーサルバックステップ、リバーサル投げ暴れと言ったローリスクな仕切り直しが複数存在するため 過去のシリーズより投げは弱い。 投げの対択となる打撃による暴れ潰しが相手のタイミングに依存するため下段をスカせる選択肢が無いキャラは非常に崩しづらい。 もしタイミングが合わなかった場合、逆に最速発生のしゃがみ弱技からコンボに移行され、ダウンを奪われることもザラ。 特に後述の『ウルトラ』ではディレイスタンディングが導入され、起き攻めに移行しにくくなったため威力の高い一部キャラ以外は大したリターンもない。 起き攻め、めくりが強力 「見た目と違って逆方向にガードしなければならないジャンプ攻撃」というストIIからある仕様だが、このめくりが本作では非常に強力。 ジャンプ攻撃は性質上「ヒットガード問わず相手に触れさせれば非常に有利」であり、ガード崩しと両立するめくりはゲーム的にも非常に強力な行動である。 大半のめくりはヒットすればコンボやダウンを奪え、ガードされてもさらに択一攻撃を迫る事が出来る。このため対処できなければめくりだけで倒されてしまう事すらある。 相手がタメキャラの場合、位置が入れ替わる事で横タメを解除することもできる。 先述のとおり通常投げで必ずダウンを奪えるため、めくりを絡めたセットプレイに持って行きやすい。これもめくりの強さに拍車を掛けている。 豪鬼の「ときど式」と呼ばれる表裏の択を連続で迫る行動は、上級者も舌を巻く強力なセットプレイとして有名である。 目押しコンボ タイミング良く通常技を入力する「目押し」による連続技が本作のコンボのメインとなる。ポピュラーな目押しコンボは3~5Fほどの猶予があり少し練習すれば出来るようになるものが多い。 難しいものになると猶予は0~1Fとシビアになる。上級者でも安定しない難易度だが、キャラクターによっては出来れば常に狙っていきたい有用な連続技に0F目押しを要求される場合がある。 いわゆるコンボゲーよりもコンボの難易度が高いともされている。 特定のボタンを連続して押す事で自動的に連続技が出る「ターゲットコンボ」とは違い、目押しコンボは先行入力が効かないため連続押しでは出ない。 当てやすくガードされても有利な弱攻撃から、必殺技や足払いまで繋がるような連続技は実用的であり、習得によるアドバンテージは大きい。そういったコンボが0~1Fしか猶予の無いキャラクターは難しいと言えるが、出来ると出来ないとで大きく強さが変わってくるため、「がんばって習得するか、妥協するか」の選択を迫られる事になる。 なお、本作では弱攻撃を連打キャンセルすると必殺技キャンセルが出来なくなるという仕様となっている(*6)。 連打せずにきちんと目押しすれば弱攻撃コンボからでもキャンセル必殺技は出る。同じボタンを連続で押さず、弱パンチから弱キックにつなげてキャンセルといったことも可能。 現在では「つじ式」と呼ばれる、ボタン優先順位などの仕様を使い、同じボタンを2f連続入力させ、目押し猶予を1f増やすテクニックが発見されている。何故か「攻撃ボタン ⇒ Back(360)/Select(PS3)」でもこのテクニックが利用可能で、一部のアーケードスティックにボタン入れ替え機能が存在していたのは、このテクニックを使うために、本来の位置以外にBackかSelectを配置したかったためである。最初にこの機能を導入したHORIのファイティングエッジ刃開発時、ソニー側がなぜその機能が必要なのかと理解してくれなかったので、製造ライセンス取得に手間取ったというエピソードがある。 「無敵技」の強化 従来、無敵技(昇龍拳系など、出がかりに無敵時間のある技)は、出ると強い代わりにコマンドが難しかったりタメが必要でガードされると隙が大きくリスキーな技という印象が強かった。しかし近年の格闘ゲームでは『ロマンキャンセル』に代表される『任意の技をキャンセル』するシステムが搭載され、不利な側の救済システムという側面も生まれて来た。その流れは今作でも踏襲されている。 システム項に記載した「EXセービングアタック」は昇龍拳などの無敵技からもキャンセル可能な様に設定されており、「昇龍拳→EXセービングアタック→セービング構えをステップでキャンセル」(この流れは「セビキャン」と呼ばれる)とすると、ゲージこそ消費するが昇龍拳をガードされても大幅にフォロー出来てしまう(確定反撃を行うことは可能だが少々難しい)。もし昇龍拳がヒットしていれば、滅・波動拳のようなウルトラコンボなどの大ダメージな追撃ができてしまう(通称「セビ滅」)。 こういった使い道の出来る技のあるキャラとの対戦は、たとえ試合を有利に進めていても気が抜けないものとなった。「連携を昇龍で割り込まれてセビキャン」→ウルトラコンボで追撃 ⇒ 逆転、という流れで辛酸を舐めたプレイヤーも多い。このように非常に強力な行動だが、本作はかなりゲージが溜まり易く試合展開によっては何度も繰り出す事が出来る。かなりゲームに慣れているか、読みきっていなければこの昇龍拳セービングに対処する事は難しいためこういった行動の出来ないキャラクターの使い手や昔ながらのプレイヤーは「理不尽な要素」「読み合いを放棄した行動」として嫌っている事もある。 簡易コマンド 初心者救済として一部のコマンドは判定が緩和されており、例えば昇龍拳コマンドは232でしゃがんだまま出せる。 そのほかにも一回転コマンドが412367で出せ、二回転コマンドは二回目が半回転で出る(*7)など、コマンド投げキャラがお手軽に扱える一因となっている。 バランス総評 総合的に見ると、ゲームバランスは特に穴が無くまとまっている。そのため、対戦ゲームとしての出来は悪くない。 極めようとすると高難度・取っ付き辛い習得必須科目も多く、初心者が知ってしまうと及び腰になってしまいがちでもある。 キャラクターバランスを見ると、全体的に高性能な上に笑えるぐらい簡単で減る「ワロスコンボ」を持つサガットや、起き攻めゲーとも呼ばれる本作の中でも特に強力な起き攻め連携を持つ豪鬼、ここまで書いてきた本作のゲーム性に合った性能を持つザンギエフやリュウ、ヴァイパーやルーファスなど強キャラもいる。一方でバルログやガイルはかなり弱い。全くもって勝てない、というほどではないが、格差は確かに存在している。 ガイルに関しては、お手軽に勝てるキャラにしたくなかったという理由から、意図的に弱くしたと開発スタッフが語っている。 また、バルログもロケテスト時には最強キャラで、「ロケテスト時の最強キャラは弱体化される」のカプコンのジンクスによってか、キャラクター性と戦法が噛み合ってない悲惨な性能になってしまった。 評価点 格闘ゲームとしては比較的シンプルなシステムで、敷居を低めに構成している。複雑なシステムを覚えなければ対戦にならないということがなく、すぐに対戦の楽しさを味わう事が出来る。 かつてのプレイヤーにとって懐かしいキャラクターばかりで、キャラクターの性能や基本戦法も当時を踏襲している。そのため10年以上前の初代『ストII』プレイヤーでも「昔取った杵柄」を発揮できる。 ウルトラコンボの存在によって逆転性を高めたり、タイミングをしっかり合わせないと機能しないブロッキングの代わりに、長押しで攻撃を防げるセービングアタックを搭載するなど、新システムはいずれも初心者に対して間口を広くする目的で搭載されている。 もちろん初心者が経験者に勝つためには様々なルールや細かい仕様を突くテクニックを覚えねばならず、中でも当て投げやセビキャン・目押しなど重要テクニックの難易度から初心者に厳しいイメージが先行しているが、初心者同士が遊ぶ段階では特に気にならないのもまた確かである。 3Dによるグラフィックは概ね好意的に受け止められている。 ハード性能の向上による表現力の上昇もあり、懸念されていたほど2Dならではの味を損なわなかった。 初心者に配慮したビギナーモードは評価されている。 賛否両論点 上記の「格闘ゲームとしての特徴」に挙げた特徴の多くが賛否両論になっている。 問題点 CPUが弱すぎる。キャラクターごとに特色ある動きもほとんど無く、基本的に連続技練習用の木偶の坊。終盤に出てくる昇龍拳持ちがやや手強い程度。 特に延々と中距離からフライングパワーボムばかり狙うザンギエフは冷静に対処すれば簡単に完封出来てしまう。 その一方でラスボスであるセスは例外でとんでもなく強い…が、一定条件でセスを倒すと出てくる隠しボス・豪鬼は打って変わって非常に弱い。おそらく格ゲー最弱の隠しボス。 同カプコン製作の『ガンダムVS.』シリーズと同様、基板を数台繋げて稼動する仕様となっている。 4台稼動して1ライン設定にしている場合、CPU戦で練習したくても強制的に対戦させられたり、隣に座っている人同士で1対1の対戦となるなど、気まずい場面があった。 従来のように1台で対戦台とする設定は不可能らしい。基板自体の値段も高く、オペレーターに厳しい(*8)。 0~1Fの入力精度を争うシビアな目押しコンボは、若干のラグが発生するオンライン対戦との相性が悪い。 ボタンを押すリズムさえ一定なら多少の遅延があっても理論上安定可能だが、それでも入力のタイミングと画面や音のタイミングとのズレがある分、リズムを乱されやすくなる。 CS機版 2009年2月12日にPS3版/360版が発売された。 新キャラクターとして過去のシリーズ作品『ストII』シリーズからキャミィとフェイロン、『ZERO』シリーズからさくら・ローズ・元・ダンが追加。アーケード版のボスキャラクター2人も使える。 光回線の浸透により環境が整備されたこともあり、家庭用でのオンライン対戦は好評。 複数プレイヤーと動画を見られる、充実したリプレイダウンロード機能など、昨今の家庭用格闘ゲームのオンライン機能としては最高峰。 2009年7月に発売されたPC版では、キャラクターに奇抜なコスチュームをさせるなどのMODがユーザー間で製作され話題に。 スーパーストリートファイターIV 【すーぱーすとりーとふぁいたーふぉー】 ジャンル 格闘ゲーム 対応機種 プレイステーション3Xbox 360 発売元 カプコン 開発元 カプコンディンプス 発売日 2010年4月28日 価格 4,990円 レーティング CERO B(12才以上対象) 判定 なし 概要(スパIV) 当初は家庭用としてのみ発売されたバージョンアップ版。 特徴(スパIV) 2種類から選択できるウルトラコンボや、オンライン対戦のバラエティの充実などが追加要素。 目玉は10人ものキャラクターの追加。 『ファイナルファイト』のコーディー(『ZERO3』から引き続き囚人服姿)とガイ、『II』シリーズからはサンダー・ホークとディージェイ、『ZERO』シリーズからはアドン、『ストIII』シリーズのダッドリー、いぶき、まことが追加されている。 ロレントもアドンと最終選考を争ったが、落選となったと電撃オンラインのプロデューサーインタビューで語られている。新ステージのメトロシティ超高層ビル工事現場ステージには『ファイナルファイト』のキャラクターが多数おり、“ロレントっぽいステージ”になっているのはこの影響。 中でも新キャラクターのハカンはその特徴的な戦闘スタイル、オイルを全身に塗りたくって行う「ヤール・ギュレシュ」から一時話題騒然となった。ヘルメットにしか見えない髪型、赤い肌に白目と言った外見のインパクトに加えて、技も油のヌルヌルによって派手。出身国トルコ国内での評判は非常に良く、ヤール・ギュレシュの公式サイトで紹介されるほど。 一方、同じく新キャラクターのジュリは韓国人の女性テコンドー使いであるのだが、当の韓国では悪役要素や衣装、レズビアンという設定(*9)などがかなり不評となっている。とは言え、誰がどう見ても酷いと言う訳ではなく世界的に見れば彼女を好む声も少なくない。 実際、ジュリは本作から登場した新キャラクターにも拘らず、『ストV』『スト6』とナンバリングタイトルに連続で登場しているため、シリーズのキャラクターとして人気があるのは間違いないだろう。 なお、上記の基本的なゲームバランスや操作性は一切変わっていない。あくまでキャラクター個々の技性能のみを調整している。 前作で非常に強かったサガットなどが丸く調整され、弱かったバルログが強化(*10)されるなど前作を遥かに越えるキャラクターバランスの均等化に成功している。 CPUのAIは改善され、デフォルトだと簡単でも無ければすごく難しいわけでもない無難な難易度になっている。 3DSのロンチタイトルとして『スーパーストリートファイターIV 3D EDITION』が発売された。詳細は作品ページを参照。 スーパーストリートファイターIV アーケードエディション 【すーぱーすとりーとふぁいたーふぉー あーけーどえでぃしょん】 ジャンル 格闘ゲーム 対応機種 アーケード(Taito Type X2)プレイステーション3Xbox 360 発売元 カプコン 開発元 カプコンディンプス 稼動開始日 2010年12月16日 発売日 2011年6月30日 価格 3,990円 廉価版 2012年2月9日/2,990円 レーティング CERO B(12才以上対象) 備考 海外のみWin版あり 判定 なし 概要(AE) ファンの期待に応えるようにして出された「スーパー」のアーケード版。 特徴(AE) さらなる新キャラクターとして『III』シリーズに登場したユンとヤン、さらにタイムリリースとして狂オシキ鬼と殺意の波動に目覚めたリュウが追加され、またキャラクターの性能の調整も行われている。 DLCとして発売された他、パッケージ版でもPS3/360で移植版が発売された。 海外でのみだがWin版も発売されている。 マルチリンガル対応でインストールの段階から日本語にも標準で対応し、日本語OSにも問題無くインストール出来るので、輸入ソフトを取り扱っているお店等で入手出来ればWindowsPC上でも楽しむことも出来る。 パッケージにこだわりがないのなら、Steamからのダウンロード販売で国内でも普通に入手可能。 日本語でインストールするとちゃんと海外版で名前が入れ替えられているサガット以外の四天王、豪鬼なども日本版の名前になる(*11)。 Win版でも最新バージョンである「Ver.2012」へのアップデートが行われた。アップデートを行うとラウンドコールなどの画面下部に出て来るタイトルロゴに「ver.2012」が追記される。 問題点(AE) 稼動前のインタビューで言っていた「対戦を盛り上げるヒールとなる強キャラ」として追加されたユンとヤンだが、はっきり言って強すぎる。 ユンは途切れない攻めが強く、ヤンは多彩な攻めが強いと、対処法も違うものを要求されるのがまた厄介。「対策はユン ヤンと対戦しないこと」などと冗談めかして言われるほどに強い。 元々強キャラながら目立った弱体化のなかったフェイロンも強く、全員が中国人だからスーパーストリートファイター(SSF)ならぬスーパーチャイニーズファイター(SCF)と揶揄されることも(*12)。 無印時代から強く、使用人口の多かったリュウやサガットは大幅な弱体化。中足払いが短くなりキャンセル飛び道具を撃ちにくく、威力まで下がってしまい戦い方を変更せざるを得なくなった。後の再調整まで待てず、ここで他のキャラに乗り換える人も多くいたと思われる。 ちなみに同じく追加キャラクターである殺意リュウと狂オシキ鬼は、一長一短ある普通の性能だった。 強キャラに乗り換えろと言わんばかりの対戦バランスの悪化は多くのプレイヤーから批判されたが、それに応えてゲームバランスを大幅に再調整した「Ver.2012」へのバージョンアップが行われた。リュウやサガットも完全復活とまではいかないが、スパ4以前のような戦い方はできるようになった。 新規追加キャラクターのライバルバトル前の会話シーンがないのでストーリーの背景がわかりにくい。 またエクストラキャラクターである殺意リュウと狂オシキ鬼はライバルバトルの相手に剛拳が出てきてしまうためか、隠しボスとして性能の良い剛拳と戦う事ができない。出現条件を満たしても豪鬼が出てきてしまう。 CPUが再調整され、アーケード版ではアーケードモードのCPUが超反応で非常に強くなった(*13)。3人目あたりから容赦なく殺しにかかってくるため、初心者には辛い。 BP1万の相手より3人目のCPUが強いと言われている。 特に、ガード面が強く、適当なぶっ放しや緩いコンボなら完璧にガードしてくる上、対空を持っているキャラクターは対空も完璧…と防御面が強い事が特に問題。アーケードモードはほぼほぼ全てのプレイヤーがまずは手始めに遊ぶモードであり、それの難易度ミディアム(ノーマル)がこの強さなのは、確実に初心者の心を折る。 防御面が強いと人によっては「全く敵の体力を削れずに負ける」事もある。あと少しで勝てたのならやる気も出るが、完封されたならモチベーションが下がる人もいるだろう。むしろ初心者が「この強さで難易度ノーマルならもう自分には無理だ」と感じるのは当然のことである。 難易度は調整できるにもかかわらず、なぜミディアムでこの強さなのだろうか…せめて攻撃面を強くするべきではなかっただろうか。初心者を遠ざけるだけの無意味な調整である。 ついでに、「新規追加キャラクターで難易度ミディアムのアーケードモードをノーコンティニューでクリアする」という条件のトロフィーも取るのが非常に難しくなっている。練習中のキャラクターですら倒すのが難しいCPU相手に、初めて使うようなキャラクターでノーコンティニューで勝てというのは無理な注文。トロフィーをまったく気にしない人なら良いが、トロフィーを取る事はゲームを進める指針のひとつだけに、この基本的な条件のトロフィーさえも取れないような難易度設定であるのは、プレイヤーのモチベーションに関わる。果たして「ノーコンティニュー」という条件は必要だったのか…? 高額基板を複数売りつけるという売り方は前作から変わっておらず、相変わらずのオペレーター殺し。それゆえ利益を見出せず導入を見送るゲーセンもある。 ウルトラストリートファイターIV 【うるとらすとりーとふぁいたーふぉー】 ジャンル 格闘ゲーム 対応機種 アーケード(単体基板,NESiCAxLive,NESiCAxLive2)プレイステーション3Xbox 360Windows Vista/7/8プレイステーション4 使用基板 【AC】Taito Type X3(単体基板版,NESiCAxLive2版)Taito Type X2(無印NESiCAxLive版) 発売元 カプコン 開発元 カプコンQLOC 稼働開始日 2014年4月17日 発売日 【PS3/360】2014年8月7日【Win】2014年8月8日【PS4】2015年9月4日 価格 【PS3/360】パッケージ 4,309円【PS3】DL 3,989円【Win】2,990円【PS4】DL 2,990円 廉価版 PlayStation3 the Best 2015年4月2日パッケージ 3,229円 / DL 2,990円 レーティング CERO B(12才以上対象) 判定 なし 概要(ウルIV) 『ストIV』シリーズの最終完全版。 特徴(ウルIV) 『ストリートファイター X 鉄拳』に客演登場したロレント・エレナ・ヒューゴー・ポイズンなどの新キャラクターも参戦し、「ウルトラコンボダブル」「レッドセービングアタック」「ディレイスタンディング」という新システムも追加。過去作品に比べると短期間でキャラクター性能を変更したバージョンアップが何度も行われている(現在はVer1.05)。 本作の開発はディンプスではなく、『スパIV AE』や『ストリートファイター X 鉄拳』のPC版を開発したポーランドのデベロッパーQLOCが担当している。 ネットワークにNESiCAを使用しており、データを記録するカードにNESiCAのカードを利用できるようになった。 家庭用版は『スーパーストリートファイターIV』を持っていればグレードアップして遊ぶことができる。こちらは発売後のアップデートにより、キャラクター性能を過去のバージョンのものにできる「エディションセレクト」などの追加要素が加わっている。 エディションセレクト内に追加されている「オメガエディション」は、キャラクター性能を大胆に変化させた実験的要素だが、元で立弱Kを連打しているだけで永久コンボになるなどの稚拙な調整がされており問題になった。 なお、上記を含む永久コンボは後のアップデート修正で除去されている。 CPUの強さはまたも調整された。攻めよりも守り重視になりガードが固くなったが、ガード不可のLV3セービングやコマンド投げに弱くなり、その繰り返しで簡単に勝ててしまう。とはいえ超反応がなくなったわけではないので、目の前で隙を晒すとやられる。 ラスボスのセスは超反応が厄介だが、無駄に隙の多いセービングや百烈を使ってくるので、しっかりガードを固めて要所で反撃を入れていくスタイルに徹すれば楽勝。 ウルトラコンボダブル ウルトラコンボ選択画面で選べる、第三のウルトラコンボ選択肢。 これを選ぶと文字通りにウルトラコンボが二つとも使用可能になるが、威力や効果には相当な下方補正がかかる。 大抵のキャラクターは威力75%補正だが、高威力の「アルティメットアトミックバスター」と対空の「シベリアンブリザード」など用途が分かれるウルトラコンボを持つザンギエフの様なキャラクターだと威力60%補正と更にダウンする。 選択した場合、相手に与えるプレッシャーは更に上昇するが、単純にこれを選択するとウルトラコンボの威力での逆転が難しくなったり、補正の上にコンボ補正がかかって更に弱体化し易いという、より玄人向けの要素になる。 なお、この前後のカプコンは長らく、複数の超必殺技を同時に使用可能にすることに消極的な傾向があった。 レッドセービングアタック 弱P中P中K同時押しでパワーゲージを50%消費し発動する、身体が赤く光る強化版セービングアタック。 「アーマーブレイク属性がない限り連続技も受け止める」「リベンジゲージの充填率が2倍」「ダメージが通常セービングアタックの1.5倍」。 他技をキャンセルして使うと、パワーゲージを75%消費するEXレッドセービングになる。これはさらに「LV1から膝崩れダウンが発生する」強力な補助効果がつく。 消耗は激しいが、当てさえすればほとんどのウルトラコンボに繋げられる。 ディレイスタンディング クイックスタンディングの逆で、こちらは遅く起き上れる方法。強制ダウンする技に対してのみ使える。 これの登場により起き攻めが弱体化した。 問題点(ウルIV) 新鮮味に欠ける。 追加キャラクターのロレント・エレナ・ヒューゴー・ポイズンは『ストリートファイター X 鉄拳』からのモデリング流用なのは明らかであり、目新しいとは言い難い。 エレナの参戦で『ストIV』シリーズにも『ストIII』シリーズのプレイヤブル女性キャラクターが勢ぞろいし、ロレントとヒューゴーはコアな人気を持つキャラクターだし、ポイズンも本作で初めて『ストリートファイター』シリーズでプレイヤブルキャラクターとして登場する。だが全員既に『ストリートファイター X 鉄拳』で顔を見せている以上、目新しさという意味では微妙と言うほかない。 相変わらず新規追加キャラクターのライバルバトル前の会話がないのでストーリーの背景がわかりにくい。さらに本作の新規追加キャラクターは隠しボスの前口上が他キャラクターの流用であるなど物足りない。 加えて、6つの追加ステージまでも『ストリートファイター X 鉄拳』からのモデリング流用。『鉄拳』シリーズのキャラクターや関連看板が削除されるなどの調整は加えられているが、その程度しか手を入れられていない。 特に背景に恐竜が登場するジュラ紀の研究施設ステージやメカザンギエフ(*14)が登場する宇宙エレベーターステージなどはお祭り的な他社クロスオーバー作品特有の要素が強いステージである。『ストリートファイター』の世界観を大事にしていないと捉えられても仕方ない(*15)。 余談だが、溶鉱炉ステージはラウンド2以降から右側のフェンスや高台の一部が不自然に壊れている。これは『ストリートファイター X 鉄拳』では画面右側の奥の足場に「巌竜」(『鉄拳』シリーズの力士)がいて、彼がラウンド2で背景の高台の鉄骨を使って橋を渡すシーンがある名残である。 せめてユンとヤンが背景に登場するハーフパイプステージとマッドギアの面々とハガーが登場するマッドギアの隠れ家ステージの2つだけにして、代わりに『スパIV AE』以降に追加されたキャラクターのライバル戦の前の会話を追加してくれたほうが良かっただろう。 これらの追加キャラクターとステージはともに流用であり、『ストリートファイター X 鉄拳』を購入したプレイヤーにとっては全く新鮮味がない。 ただしPS4以外の家庭用ハードでは追加キャラクターのエクストラコスチュームの一部を使うために『ストリートファイター X 鉄拳』のデータを必要とする。印象としては余計にマイナスである。 新システムの「ウルトラコンボダブル」「レッドセービングアタック」「ディレイスタンディング」のいずれも既存システムの発展形に留まり新モーションでも無いため、こちらもビジュアル的に目新しくはない。 『ストリートファイター X 鉄拳』に客演登場していない追加キャラクターとしてはベガ親衛隊のディカープリが追加されたが、キャミイのクローン設定であるため仮面を被っている以外は瓜二つである(*16)。担当声優もキャミィと同じ沢城みゆき氏。加えて両手のサイコダガーを使う要素があるとはいうものの、技もキャミイと同じものがある。またしても新鮮味が薄い。 公式が「誰もが予想できないキャラクター」「『ストリートファイター』の世界に完璧に馴染む」など期待を煽っていた割に新鮮味が薄いディカープリであり、参戦PVにおいてもレインボー・ミカ(*17)や烈(*18)(+期待していたプレイヤー)を嘲笑するような表現があったため批判の声が多く出た。 『ウルIV』で使用キャラクターになるまで公式に「素性が不明」だったディカープリは本作で参戦した事で素性が明かされたことは喜ばしいことだが、プレイヤー的には盛り上がりに欠ける結果に終わってしまった。 家庭用にPS4対応版が増えたが、クロスプレイに対応していない。他機種版ユーザーとの対戦は不可能である。 PS3からPS4へのセーブデータ・取得トロフィーの引き継ぎもできない。 『ウルIV』から始めるプレイヤーやPS4しか所持していないユーザーにとってはこれらの問題は気にならないとはいうものの、以前からプレイしていた者にとってはタイトルが変わったにもかかわらず既存作と比べて新鮮味に欠けるゲームになってしまった。 総評 『III』で一度完成したストリートファイターシリーズに「原点回帰」を掲げ、『I』を手掛けたディンプスにより復活した新作。 3Dグラフィック、新キャラクターなどは多大なインパクト・話題性があったが、システムは『III』よりも古い『II』の発展系といった作風に逆戻りし、悪く言えば焼き直し感も感じられる。 ブロッキングが無いなどシステムが大きく違う事から、本作ではなく『3rd』を遊び続けることを選択したプレイヤーも多かった。 本作は『II』のキャラが勢揃いしているほか、『ZERO』シリーズからの参戦キャラも多く、それらのキャラの操作経験者であれば特に違和感なくプレイすることができる。 新しくなった投げシステムや変則的な新キャラクターへは対策が必要であり、いきなり上級者と戦っても「わからん殺し」の洗礼を受けるのが通例。だが、プレイヤーと同等の強さの相手だけを待ち受けしての対戦も可能であり、対戦ゲームとしては十分機能する。 ある程度上達してもセビ滅や目押しを必要とするコンボなどは難易度が高く、初心者向きとされるキャラクターであっても完璧に使いこなすにはかなりの熟練を必要とする。しかしエンドレスバトルで繰り広げられている上級者同士の対戦を見学したり、アップロードされた動画を見て上級者のテクニックを覚えて自分のものにするなど、更なる上達を目指す方法もまた多彩である。 負けてめげていても始まらない。勝ち負けにこだわらず、勝つ事はもちろん負ける事からも上達の糸口を見つけ出し、ストイックにそれを身に付け自分の力にできる努力家こそ、リュウの追い求める「真の格闘家」であると言えよう。 マーケティング、プロモーションの成功、とっかかり部分の複雑さの排除が功を成して多くのプレイヤーに支えられ、格闘ゲーム市場の歴史になくてはならない一本となった。 それは、本作の登場によってもたらされた、昨今の格ゲー界隈の盛り上がりが証明していると言える。 余談 かつて様々な名勝負を生んだ伝説のプレイヤー「ウメハラ」こと梅原大吾氏は本作で再始動し、BP全国一位として君臨するなど復活を遂げた。後に同氏をはじめ、本作を専門とした「プロゲーマー」が多数誕生することになった。 家庭用版の発売以降は、動画共有サイト・配信サイトの普及もあって、彼ら有名プレイヤーを後押しするような形でプレイヤー側から「GODSGARDEN」などの試合イベントが催された。 『スパIV』の時には、試合が配信された際に1万人を越えるほどの視聴者を呼び込んでおり、ゲームだけでなく上級者による対戦動画が一つのコンテンツとして成り立っている。 本作の製作はディンプスによる外注。 ディンプスは、かつて格闘ゲームでカプコンと双璧を成していたSNKに所属していたスタッフが集まって結成された会社である。そしてディンプスの社長である西山隆志氏は、カプコンで『ストリートファイター』を製作した後にSNKに移籍したという経歴を持つ。 逆にカプコン側のスタッフにおいて、過去にストリートファイターに携わっていたメンバーがほとんどいない。あきまんこと安田朗氏や船水紀孝氏も関わっていない。 本作の開発にはカプコン内部からも「時代遅れ」「『ストリートファイター』でできることは『ストIII 3rd』で全てやった」などの反発の声が非常に大きかったらしく、開発決定までには多くのハードルがあったという。 カプコンにはドット絵から3Dポリゴンへの変換期に一部の人間が格闘ゲームスタッフを冷遇していた過去がある(*19) 『ストIV』のキャラクター設定は、過去の初代・『ストII』『ストIII』『ZERO』シリーズの設定や、過去の没設定などをうまく混ぜ合わせた上で、さらに本作独自の新設定を加えたものとなっている。 結果としてシリーズの全作品の過去の設定とそれぞれに矛盾が起こっているが、これは過去の作品でも発生していたことであり、これまでのシリーズからすると最新作の設定が正式なものと捉えることもできる。 例えばそれまでは既に死亡していたと扱われていた剛拳が実は長期間気絶していて生きていたことになったり(*20)、過去作の設定からすれば既に学校を卒業しているはずのさくらが未だセーラー服で戦っていたり(*21)などがあるが、これらの詳しい理由についてはボカされている。 リュウの貧乏ネタはカプコン側が設定したものではなかったが、本作で金にうるさいバイソンから「貧乏人」呼ばわりされたり、ヴァイパーに「税金払ってるの?」と言われたりと半ば公式ネタになった。後のスト6にて「貧乏人ぽく暮らしている(いわゆるミニマリストな)だけで、実際には格闘大会の賞金が貯金されていて使い切れないレベルの資産持ち」とさらに設定が変更されている。 後に開発スタッフが、本作はお祭り的性格もあるため、物語の整合性は無視しているという旨の発言をしている。 公式サイトには開発者によるブログが掲載されており、記事に承認制でコメントを付けることが出来るのだが、対戦でのシステム面について意見すると全く承認されなかった。 カプコンのACリズムゲーム『crossbeats REV.』に本作アレンジ版のリュウのテーマが収録された。 さらにコラボイベントにて『ウルIV』のメインテーマ曲や、春麗のテーマも登場。 インディーズゲームとして国内でも配信されている対戦ゲーム『DIVEKICK』は、当初はスパIVAEにおけるユン・ヤンの(特に雷撃蹴の)性能の高さと対戦環境の支配を揶揄する目的で作られた作品である。 本作発売から2年後の2016年に家庭用機で『ストリートファイターV』が発売される。 既に戦いの場のメインはオンラインの時代となっており、アーケード版の稼働は3年遅れの2019年となった。 後の『ストV』が手放しで受け入れられなかったこともあり、稼働から6年後の2020年になっても『ストV』と並ぶ規模の『ウルIV』公式大会が開かれるなど、長く人気を保った。 アーケード版はNESiCAxLive及びNESiCAxLive2でも配信されているが、オンライン対戦及びアミューズメントICカードに関しては非対応となっている。 2011年にカプコン系のパチスロ販社エンターライズから『ストリートファイターIV』が発売され全国のホールに導入された。 2016年に同じくエンターライズから『スーパーストリートファイターⅣパチスロエディション』が発売され全国のホールに導入された。 パチンコは2014年に『CRスーパーストリートファイターⅣ CREDITION』がホール導入された。
https://w.atwiki.jp/virtualrowa/pages/108.html
5◆◆◆◆◆ 「ハァア――ッ!」 キリトの突進と共に、火剣がライトエフェクトに包まれる。 放たれるソードスキルは単発系突進技〈レイジスパイク〉。 基本技であるため威力は低いが、同時に硬直時間も短く、小手調べには丁度いい。 「フン………」 対するフォルテは、魔剣をやはり無造作に振り上げ、力任せに振り下ろしてくる。 スキルでなければ技ですらない一撃。それを、キリトの一撃を迎撃する為に火剣へと打ち合わせる。 響き渡る金属音と、剣の柄から伝わる衝撃。 フォルテの一撃の強さにキリトのソードスキルは中断させられ、 キリトの一撃の鋭さにフォルテの剣閃は乱されて追撃が遅れる。 結果、次撃は同時に放たれた。 「シィ――ッ!」 「ハァ……ッ!」 硬直が解けると同時に放たれた火剣の一閃と、力任せに軌道修正された魔剣の一撃が、再び激突する。 「ツッ………!」 打ち負けたのは……キリト。 彼は弾かれた勢いを利用し、フォルテから距離を取る。 「ハ――STR(筋力)には自信があったんだけどな……!」 剣を握る右手に残る衝撃に、キリトはそう愚痴る。 SAOでは威力のある重い剣を振るために、STRへとステータスを注ぎ込んでいた。 このデスゲームでもSAOのアバターが使われている以上、そのステータスは反映されているはずだ。 だというのに、スキルですらないフォルテの一撃にほとんど完全に打ち負けた。 「けどアンタのソレは、ただの馬鹿力ってわけじゃなさそうだ」 打ち合った時の感触で言うなら、重くて丈夫な鉄骨か何か。 単純な攻撃力ではなく、むしろ攻撃を支える為のVIT(支柱)で殴りつけてきた様な、そんな感じがした。 ……つまりフォルテは、まだ何かしらの“力”を隠し持っているという事だ。 「………御託は終りか? なら、次はこちらの番だな」 そう告げると同時に、先程とは逆に、フォルテからキリトへと突進する。 そしてキリトの前に立つと同時に、魔剣が大振りに振り下ろされた。 勢いよく放たれる、大気を震わす一撃。 だがキリトはそれに先んじてフォルテの脇を抜け、その攻撃を回避する。 そして反撃とばかりに、振り返り様に火剣を一閃する。 しかしそれは、追撃として放たれたフォルテの横薙ぎに弾かれた。 だがさらなる一撃が放たれるより速く、キリトはフォルテから再び距離を取る。 「AGI(速さ)なら俺の方が上か。なら―――!」 言うや否や、キリトが再び突進する。だが今度はソードスキルの発動はない。 純粋な肉体(ステータス)の速さのみで、フォルテへと肉薄する。 「ッォ―――!」 小さな気合とともに、火剣を一閃する。 当然その一撃はフォルテの魔剣に防がれるが、反撃されるよりも早く次撃を繰り出す。 それを三撃、四撃、五撃とテンポを上げて繰り返し、六撃目にソードスキルを織り込み放つ。 「ハァ―――ッ!」 片手剣ソードスキル〈ホリゾンタル・スクエア〉。 剣閃の軌跡が正方形を描き、水色の光に輝き拡がりながら消散する。 高速で放たれる四連続の水平斬りは、しかし。 「クッ、ヅ……ッ!」 その全てが、フォルテの魔剣によって防がれていた。 「やるな………!」 フォルテの見せた底力に、キリトはこれが命を掛けた殺し合いという事も忘れて高揚する。 さすがに反撃する余裕はなかったようだが、ソードスキルを見切り、完全に防ぎ切ったという時点で感嘆に値する。 ここまで見事に対処されたのは、ヒースクリフを相手にした時以来だ。 「まだまだ行くぞ!」 「舐めるな……人間!」 今度は同時に突進し、剣を振り被る。 火剣と魔剣は激しく打ち合い、火花を散らす。 このままであれば火剣は押し負け、またも弾き飛ばされるだろう。 故にキリトは、敢えて剣を振るう力を抜き、魔剣の威力を受け流す。 フォルテの魔剣は、より火花を散らしながら火剣の刀身を滑り抜ける。 攻撃を受け流されたフォルテは、己自身の力の勢いに引っ張られて体勢を崩す。 「そこ!」 「チィ……ッ!」 キリトは即座に剣閃を返し、フォルテへと一閃する。 フォルテは舌打ちと共に後退するが、崩れた体勢では躱しきれず、右腕を切り裂かれる。 だが、浅い。躊躇わずさらに踏み込み、再度フォルテへと火剣を振り抜く。 「クッ……!」 疾風怒濤と振るわれる火剣にフォルテも魔剣で応戦するが、キリトの剣速に徐々に対応が遅れ始め、遂には一撃、更に一撃と攻撃が掠り始める。 その一つ一つは傷にもならないような小さなダメージにしかならない。だがそれも積み重なれば致命傷に繋がる。 「いい加減に……しろ!」 思うままに攻撃できない事に苛立ちを覚えたフォルテは、その苛立ちをぶつける様に魔剣を薙ぎ払った。 キリトは大きく飛び退く事でその一撃を回避し、フォルテから十分な距離を取る。 当然フォルテの追撃が間に合うはずもなく、フォルテは発散できなかった苛立ちを抱えたまま、魔剣をだらりと下げてキリトを睨みつける。 対して後退したキリトの火剣の切っ先はピタリとフォルテを捉え、僅かにもぶれはない。 その佇まいだけでも、キリトの剣とフォルテの剣の間には明確な開きがある事が理解出来る。 「………………」 フォルテの一撃は、まともに受ければそれだけで追い込まれそうなほどに強烈だ。 だがそれほどの威力を、フォルテは全く発揮できていなかった。 ………それ故に惜しいと、キリトは思った。 「フォルテ………お前、剣を使った事ほとんどないだろ」 キリトはフォルテへと向けて、その事実を口にする。 フォルテの攻撃は、その威力に反してあまりにも雑に過ぎた。 構えだけの話ではない。剣の振り方、力の乗せ方、その他の全てが、全く噛み合っていないのだ。 これでは素人もいいところ。子供が力任せにこん棒を振っているのと変わりがない。 「――――――」 否定する気もないのか、フォルテからの応えはない。 同時に、フォルテには攻撃が当たらない事を悔しがる様子が全くなく、苛立ちだけが見て取れた。 その様子に、キリトは確信した。元よりフォルテが何かを隠している感はあったが、それが勘違いでない事を。 「………………」 キリトは地面を強く踏み込み、フォルテへと狙いを定める。 本気を出せ、とは言わない。これは決闘ではないし、リトライのないデスゲームなのだ。 相手の全力と戦ってみたいという気持ちはある。だが命を賭けた殺し合いにおいて、その感情は余分でしかない。 故に、むしろその逆。本気を出される前に――――全力で仕留める! 「ハア――――ッ!」 気合とともに、一足でフォルテへと肉薄する。 「舐めるなッ……!」 対するフォルテは、魔剣を叩き付けるように振りかぶる。 これまでと同じ、雑で大振りな攻撃。それに合わせる様に、キリトは火剣を振り抜く。 ライトエフェクトを纏って放たれた〈ホリゾンタル〉は、狙い違う事なく魔剣の側面を打ち据えた。 フォルテの筋力に後押しされた魔剣は弾かれる事はないが、その軌道は僅かに逸らされる。 キリトは火剣を振り抜いた体勢から更に右半身を後ろへ反らし、軌道の逸れたフォルテの一撃を擦れ擦れで躱す。 「ッ―――!?」 「そこだッ!」 同時に体勢をソードスキルの発動モーションへと持ち込み、そのまま〈バーチカル・アーク〉を発動させる。 残光を残しながら放たれる振り下ろしの一撃。それをフォルテは、咄嗟に魔剣を振り上げる事で防ぐ。 だが〈バーチカル・アーク〉はV字を描く二連撃。続く振り上げの二撃目が魔剣を跳ね上げる。 「捉えた!」 そして三度発動するソードスキル〈シャープネイル〉。 高速で繰り出される三連撃が、体勢を崩したフォルテへと放たれる。 ………しかしフォルテは、またもその連撃を防いで見せた。 一撃目は体を大きく反らす事で躱し、 二撃目は魔剣を振り下ろして弾き返し、 三撃目は上空へと跳躍する事で回避した。 恐るべきは、崩れた体勢からそれを成し遂げるフォルテの反射神経と身体能力か。 ―――されど彼は知らなかった。真に完成された技術が、如何なるものかという事を。 頭上を跳び越えるフォルテを、キリトの視線が追う。 引き戻されるその手の火剣が、新たなライトエフェクトを放ち始める。 シャープネイルの特徴は硬直時間の短さ。つまり、ソードスキルの連続使用が可能な事にある。 そして次に発動するソードスキルの名は〈ソニックリープ〉。レイジスパイクより射程は短いが、空中に対して使用可能な突進技だ。 「ォオオ―――ッ!」 それが強く刀身を輝かせ、キリトの声に導かれるようにフォルテへと狙いを定める。 「なに………ッ!?」 フォルテが声を上げるが、足場のない空中へと飛び上がった彼に避ける手段はない。 「これで―――!」 閃く一撃。輝く火剣が、フォルテへと突き出される。 対するフォルテは、魔剣を盾にキリトの一撃を防ぐ――いや、防ぐしかない。 そして魔剣へと激突した火剣は、フォルテの体を強く突き上げ、その体制を完全に崩す。 そして硬直時間が終わると同時に、再び火剣が引き戻され、更なるライトエフェクトに包まれる。 ――ソードスキル〈ヴォーパルストライク〉。 威力が高くリーチも長いが、技後の隙が多く対人などでは見切られやすいスキルだ。 がしかし、完全な初見であればその心配はなく、加えてフォルテは現在、体勢を崩している。 もはやフォルテには、この一撃を防ぎ切る術はない。 「止めだァ―――ッ!!」 キリトが声を上げ、フォルテが地に足を付けると同時に発動する単発重攻撃。 赤い光芒を纏った強烈な一撃が、ジェットエンジンの様な効果音を立てながらフォルテへと繰り出された。 ガギィン……と、激しい金属音を立てて両者が激突する。 その威力、衝撃に、フォルテの体が弾き飛ばされ、地面を転がる。 スキルを放ったキリトは、剣を突き出した姿勢のまま、硬直時間に身を預ける。 キリトの顔には、苦渋が浮かんでいる。理由は単純。フォルテを仕留めそこなったからだ。 あの瞬間フォルテは、キリトの一撃をまたも魔剣を盾にして受け止め、そしてわざと力を抜いて激突の勢いに身を任せたのだ。 戦いの初期で、フォルテの一撃に対してキリト自身がそうしたように。 無論、技術錬度の差は、その体と、加えて魔剣が弾き飛ばされるという形で現れた。 だが仕留め損ねたという事実に変わりはなく、それはつまり、フォルテに反撃のチャンスを与えたという事に他ならないのだ。 そして一秒か、あるいは二秒か。空から落ちてきた魔剣が地面に突き刺さる音で、二人はようやく動き出す。 「ッ――――!」 「ッ…………!」 二人の行動は迅速に。 キリトは体を反転させて剣を構え、全速力でフォルテとの距離を詰める。 フォルテは跳ね起きると同時に飛び退き、素早くキリトから距離を取る。 前進と後退。その差は速度で勝るキリトへと傾き、両者の距離は縮まっていく。 「逃がすか!」 キリトはより強く地面を蹴り、フォルテへと迫る。 フォルテが隠し持つ何かしらの“力”。ただ使わないのか、それとも使えないのか、それは判らない。 だがこれまでの攻防で感じ取れた力が発揮されてしまえば、高確率でこちらが不利になる。 しかし魔剣を弾き飛ばされた今ならば、フォルテにこちらの攻撃を防ぐ武器はない。 故に今の内に致命打を与え、戦況を自身に傾けなければならない。 「オオ―――ッ」 キリトとフォルテの距離は、数秒と経たず一メートル程度まで詰められる。 同時に、フォルテを攻撃圏内へと捉えた火剣がライトエフェクトに包まれる。 戦いを決める一撃が発動する予兆に、キリトの精神が加速していく。 ――この一撃を外す事は出来ない。 ――敵は平気で不意打ちを行うレッドプレイヤー。 ここで逃せば、その殺意は他のプレイヤーへと牙を剥く。 ――しかしレンという枷を抱えた今の自分に、敵を追いかける事は出来ない。 一人と大勢、その二つを天秤に掛ける事は間違っていると、頭では理解している。 だがここで彼女を見捨てれば、きっと自分は、二度と自分を認める事が出来なくなる。 ――だからこそ、たとえその命を奪う事になろうとも、今ここで決着を付けなければならない。 ……だというのに。 「ッ―――!?」 極限まで引き延ばされた意識が、フォルテの顔を、その変化を捉える。 キリトの一撃を防ぐ術はなく、追い詰められたはずのフォルテの表情は、 まるで獲物を捉えたかのように凶悪に歪んでいた。 キリトの背筋に、雷撃の如く悪寒が奔る。 フォルテの左腕が形を変え、バスターとなってキリトを捉える。 遠距離攻撃――そう理解するより速く、ソードスキルを中断して回避行動に移る。 直後、フォルテの左腕のバスターから無数の光弾が放たれ、直前までキリトが居た空間を貫いていく。 「ク、ソ……ッ!!」 敵の奥の手。隠されていた力の発現に、キリトは堪らず悪態を付く。 バスターから放たれた光弾はコートの裾を掠めただけで、一発も直撃はしていない。 だが変形したのは左腕だけではない。逆の右腕も同様にバスターとなり、キリトへと狙いを定めていた。 ―――前進と後退。 速度で勝るキリトが距離を詰めたとしても、到達までに生じた時間が、天秤をフォルテへと傾けたのだ。 「ハッ、逃がすか!」 先程のキリトと同じ言葉を、今度はフォルテが口にする。 キリトへと突き付けた右腕のバスターから、その体を貫かんと無数の光弾が放たれる。 「ッ、ッ………!」 そのマシンガンの如き銃撃を、キリトは地面を転がるように駆け回り回避する。 その最中、ふと視界の端に、呆然と佇む一人の少女を捉えた。そう、浅井レンだ。 彼女はこの状況でなお、逃げるでも隠れるでもなく、戦いが始まった場所で立ち竦んでいた。 「チ、ックソ………ッ!!」 キリトは即座に方向転換をし、光弾の中をレンへと向けて駆け抜ける。 突き付けられたバスターの銃口から弾道を予測し、急所に当たる物は火剣で弾くが、完全には防げない。 弾き損ねた無数の光弾が、キリトの体を掠めHPを削り取る。 それでも一発も直撃しなかったのは、彼自身の卓越した剣技があっての事だった。 「レンさん!」 レンへと駆け寄り声をかけ、一歩も立ち止まらずにその体を抱え上げる。 「え? あれ?」 急に抱き抱えられたレンは、現状をまるで分かってないのか当惑の声を上げる。 その事にさすがに思うところが生じるが、今は気にしている余裕はない。 ネットスラムを全速力で駆け抜け、廃ビルの影へと身を隠す。 ――耳元の壁面を光弾が穿ち、破片を撒き散らした。 † 「、ッハ……ハ……ハァ――」 抱き抱えていた少女を地面に下ろし、全力疾走に乱れた息を整える。 同時に光弾が掠めて出来た傷が、現実世界と同レベルの、確かな痛みを訴え始めた。 ……その痛みと熱に、このデスゲームがSAO以上に死に近しい事を実感する。 痛覚のカットされたSAOでは、その現実感の無さから「デスゲーム」を嘘だと考え、結果PKに奔る物も少なからずいた。 だが「この世界」ではこうして、確かな痛みが存在している。即ち、よりリアルな「死」の感触が、そこにはあるのだ。 「――は。そういえば……」 前にもゲームで痛みを覚えた事があったな、と、いつかの対戦を思い出した。 あのゲームにも、これよりはマシだが、十分違法な痛覚フィードバックがあった。 とはいっても、あれは後腐れのない気持ちのいいデュエルだった。だから、こんなデスゲームではないだろう。 と、そこまで考え、つい先程――ネットスラムに踏み入った時もあの対戦を思い出した事に思い至る。 こうして二度も連続で思い出すのは、何かの予感なのだろうかと考え、苦笑しつつも思考から追い出す。 ――今考えるべきは昔の対戦ではなく、今まさに行っている殺し合いだ。 「………当然、居るよな」 廃ビルの角から、慎重に顔を覗かせる。 するとやはり、フォルテがこちらへと近づいてくる様子が窺える。 一息に距離を詰めてこないのは、何かの時間稼ぎか、それとも余裕からか。 視線を逆に向ければ、それなりに入り組んでいると予測できる、路地裏の入口が見て取れる。 「……………………」 ――――どうする。 フォルテの遠距離攻撃は、最大射程はまだ不明だが、その連射性は十分に脅威だ。 レンを庇いながらでは、まず戦いにはならないだろう。 一応レンは銃を装備しているが、あれではフォルテの攻撃には対抗し得ない。一、二発撃ったところで、逆にいい的にされるだけだ。 結果として自分は彼女を守るために壁にならざるを得なくなり、そうなれば二人揃ってフォルテの光弾にハチの巣にされるだけだ。 ……ならば逃げる? フォルテという危険人物を放置する事に思うところはあるが、今考えるべきは、そもそも逃げられるのかという事だ。 選択肢は二つ。フォルテと真正面から相対するか、路地裏へと逃げ込むか。 今外に出れば、即座に遠距離攻撃が跳んで来るだろう。かと言って路地裏はどこに繋がっているか判らない。 真正面から挑んでも、マシンガンの様な攻撃を防げなければハチの巣にされ、路地裏へ逃げても、袋小路に追い込まれればやはりハチの巣にされる。 「………………やるしか、ないか」 深呼吸を一つする。フォルテと真正面から戦う覚悟を決める。 そうだ。生き残りをかける以上、結局いつかは戦うしかないのだ。たまたまそれが、今だったというだけの話。 加えて言えば、ここで逃げるのはキリトの性に合わない。 ……それに勝算もある。決して無謀な戦いではない。 フォルテは基本、遠距離攻撃型とみて間違いはないだろう。これまでの闘いからもそれは明らかだ。 つまり、接近戦に弱い。あのマシンガンの如き光弾をくぐり抜け、懐にまで潜り込めれば勝てる。 「………レンさんはここでじっとして、身を隠していてくれ。 すぐにあいつを倒して、戻ってくるから。そしたら、ジローさんを探しに行こう」 「ジローさん…………ジローさんは、どこ…………?」 ジローの名前を口にする彼女からは、まともな返事はない。だがそれを気にしている余裕も、またない。 最後にもう一度顔を覗かせ、フォルテとの距離を計る。ヤツの顔からは、余裕の笑みは消えていない。 このままではどの道追い詰められる。だからそうなる前に、逆に奴を追い込まなければ。 そうして戦場を確認した後、メニューを呼び出して操作し、設定を変更して決定する。 ―――これは賭けだ。はっきり言って、そうする事に意味があるかは判らない。 だが設定として存在している以上、何かしらの意味はあるはずなのだ。 無論、意味があったとしても、フォルテがそれだけで勝てる相手ではないのは承知している。 あれがヤツの“全力”とは到底思えないし、最初から手札を晒す様なプレイヤーはいない。 だが少なくとも、あの遠距離攻撃に対しては、有利に進められるはずだ。 「よし……行くぞ!」 そう口にすると同時に設定の変更が反映され、アバターをエフェクトが包み込む。 その瞬間、キリトは火剣を構え、廃ビルの角から飛び出した。 「ジローさん……どこに居るんですか、ジローさん? ……早く会いたいです、ジローさん……。ジローさん………ジローさん――――」 今にも限界を超えようとする、一人の少女を置き去りにして――――。 6◆◆◆◆◆◆ ―――そうして数十分後、その場所は見つかった。 見覚えのある通路。あちこち罅割れ、穴のあいたパネル。 そこは間違いなく、バルムンクと共にあの死神と戦った場所だ。 だが周囲のどこにも、バルムンクも、死神の姿も見当たらなかった。 ただ置き去りにされた様に、たった一枚のメモだけが、残されていた。 「そんな……まさか、あいつに………?」 メニューの時計を見れば、闘いが始まってから既に一時間以上は経っている。 ブレインバーストで考えれば、通常対戦が優に二回以上行われ、終了している計算になる。 つまりもし、バルムンクがあいつと戦っているのであれば、その生存は絶望的ということだ。 「……いや、対戦でも引き分けはあった。バルムンクさんが無事な可能性だって、まだある」 もしかしたら、自分と同じように吹き飛ばされている可能性だってある。 それに、仮にあいつに倒されていたとしても、リアルでも本当に死んでしまうかは判らないのだ。 だからまだ、諦めるには早い。だから立ち上がれ。立ち上がって、飛び上がれ。と。 ………そうやって必死に、自分に言い聞かせる。 そうでもしなければ、このまま膝をついてしまって、二度と立ち上がれそうになかった。 だって、本当はちゃんと、理解していた。この場所に辿り着いて、メモを見つけた時点で、とっくに。 なぜならそのメモは、バルムンクのストレージにあった物だ。そして戦闘中に、メモを取り出す理由はない。 戦いが終わり、安全を確認してから取り出した、なんて言い訳も効かない。 なぜならこの場所は、戦いがあった場所だ。フォルテが倒されたのでもない限り、安全なんてありえない。 そして、もしバルムンクがフォルテを倒したのだとしても、わざわざメモを置いていく理由は、どこにもない。 つまり、このメモは……バルムンクからドロップし、不要と捨てられた以外に、あり得ないのだ。 このデスゲームで出会ったばかりの彼との冒険は、こんなにも短時間で、あっさりと終わってしまったのだ。 まるで………ゲームやマンガ、ラノベでよくある、冒険の始まり/プロローグの様に。 「諦める、もんか………最期まで、絶対に諦めるもんか―――」 否定する。否定する。バルムンクの死を、否定する。 バルムンクは生きている。そのアバターは四散しても、リアルでは生きている。 だって、だってたかがVRで……たかがゲームで人を本当に殺す方法なんて―――― ……あり得ないと、信じたかったのに。思い出したくなんか、なかったのに。 かつて一度、実際に起きていた事を、多くのゲームをプレイしてきた自分の記憶は、思い出してしまった。 ソードアート・オンライン―――二十年以上前に実在した、もはや忘れられた、世界初のフルダイブ対応VRMMORPGの事を。 「ぅ―――ぁ、…………ッ!」 湧き上がる感情に、堪え切れず嗚咽が零れた。 どんなに言い聞かせても、自分を騙しきれず涙が滲んだ。 自分は知っている。 今身に付けているはずのニューロリンカーには、SAOのナーヴギアのような、人を死に至らしめる程の強電磁パルスは発生させられない。 つまり、どうプログラムを弄っても、物理的には死に至らしめられないのだ。 けど……自分は知っている。 ニューロリンカーには、人の記憶を削除する機能がある事を。 その機能で、脳の生命維持に関わる記憶を消してしまえば、結果として――――人を、殺せてしまう。 「……ックショウ………チクショウ、チクショウ! どうして………こんな………」 こんなデスゲームが、始まったのか。あの榊という男は、一体何が目的なのか。 そんな今さらな疑問が、口を突いて出てきた。 ……そんな事、解る筈がない。 ログアウト? 普通のゲームでは当たり前の機能だ。 元の場所への帰還? ログアウトすれば、自然と現実へと帰れる。 あらゆるネットワークを掌握する権利? それは、人を殺してまで得る価値のある物なのか? 確かに今の世の中、ネットを掌握すれば望みのままだろう。 だがそれは、どう足掻いたところで、ネットで出来る事に限られる。 そう。たとえ世界を支配したところで、死んだ人間は、生き返らないのだ。 これならまだ、あらゆる望みが叶うという方が、希望が持てる。 希望があるのなら、それに縋る人間だっていただろう。 逆に希望がなければ、立ち上がる事さえ難しい。 だからわからない。 こんな希望の無い、個人の欲望しか叶えない報酬を用意した、榊の思惑が。 「…………ちがう。そんなこと、どうだっていい」 そうだ。今大事なのは、そんなことではない。 大事なのは、バルムンクが死んだという、その点だけだ。 その死に対し、自分は……シルバー・クロウは、どう報いればいい。 ……そんなこと、それこそ解るわけがない。 バルムンクと一緒に居た時間は、あまりにも短い。 たったそれだけの時間で、彼を理解出来たなどと言える訳がない。 自分に解るのはただ一つ。彼がデスゲームを否定していたという事だけ。 「―――ああ、そうだ」 それだけわかっていれば、十分だった。 ならば、その意思を引き継げばいい。彼と同じように、脱出を目指せばいい。 そしてもう二度と、バルムンクの様な人を、出さなければいい。 そのためにも。 「アイツを……倒す!」 その決意を、口にする。 あの死神は、とてつもなく強い。 たったの一撃で、それも直撃した訳でもないのに、HPを三割も吹き飛ばす破壊力。 更にはこちらの攻撃をほとんど無効化する、全方位対応のバリア。 そして――誰かを殺すことを厭わない、あの殺意。 こと殺し合いにおいて、シルバー・クロウが勝っている点はほとんどないだろう。 だがそれでも、負けられないモノが一つだけある。 ――――そう、『心』だ。 ブラック・ロータスと出逢ってから、様々なバーストリンカーと戦い、繋がり、時には傷つき、それでも立ち上がり、共に育んできた『心』。 その『心』を力に変える、バーストリンカーの隠された力。即ち《心意技》ならば、あの死神にも対抗しうるだろう。 あの時は使う前に吹き飛ばされたのもあるが、それ以前に《心意技》を使う覚悟がなかった。 なぜなら《心意技》には、ブレインバーストを――“加速世界”のバランスを壊しかねない力があるからだ。 故に《心意技》には、相手が《心意技》を使用してきた時にしか使ってはならないという決まりがある。 だがあの死神は、それ以前の、人間として最低限のルールを破った。 もはや《心意技》を使う事に、躊躇う理由はない。 「アイツは絶対に、オレが倒す!」 その言葉送り返し口にする。 もう二度と、アイツに誰も殺させない。 もう二度と、目の前で誰も死なせない。 だから。 「見ていてください、バルムンクさん。 必ず、このデスゲームを終わらせて見せます」 そう決意を口にして、背中から十枚の金属フィンを展開する。 殺し合いに乗ったプレイヤーは、きっとフォルテだけではないだろう。 かといってこの殺し合いを完全に止める方法など、見当がつかない。 それでも、この体が動く限り、この翼で飛べる限り、この手で届くところまで、足掻き続けてやる。 そうしてシルバー・クロウは銀翼を羽ばたかせ、再び空へと飛び上がった。 7◆◆◆◆◆◆◆ ――フォルテは、キリトの隠れた廃ビルへと向かいながら、先程の戦いを反芻していた。 その戦いにおいて、速さではキリトに後れを取ったが、力では自分の方が確実に上だった。 少なくとも一撃を直撃させれば、それが決着となり得る程度には差があったはずだ。 しかしその一撃がキリトに当たる事は、一度もなかった。 その理由が“技”にあると、フォルテは理解していた。 プログラムに設定されたモーションに依らない、己の肉体を使った純粋な剣技。 ただ規定された通りにスキルを使うのではなく、スキルを巧みに使用する技術。 単純なプログラムにはない、プレイヤースキルとも呼ばれる、いわゆるシステム外スキル。 こればかりは経験によってのみ獲得できるものであり、ゲットアビリティプログラムでも奪えない。 そう。こと剣において、己よりもキリトが上であることを、フォルテは認めたのだ。 「ク…………」 しかしフォルテは、愉快気に口元を歪め、そう声を漏らした。 確かに技においてはキリトが上だ。だがそんな事は“強さ”の前では些細だ。 なぜならば、その差を無意味にする程の『絶対的な力』。それを手に入れればいいだけの事なのだから。 ………だが、してやられたまま終わるというのも、面白くはない。 そう思い、フォルテはメニューを開いて操作する。何も武器は、騎士を破壊して奪った剣だけではないのだ。 たとえ剣では及ばなくとも、接近戦で一泡吹かせよう。全力を出すのは、それからでも遅くない。 そして操作を終えメニューを閉じた時、タイミング良く廃ビルの角から、光に包まれた人影が跳び出した。 ほぼ反射的にエアバーストを発動する。だが放たれた無数の光弾は、人影へと到達する前に全て弾かれた。 「む…………」 先程とは段違いの迎撃精度。 フォルテは改めて、自分の攻撃を防いだ人影を見据える。 風になびく長い黒髪。F型にも思える細い身体付き。その姿は、一見では全くの別人と思えるほどに変容している。 だが、その手に握られた剣だけは見間違えようがない。そいつは間違いなく、先程まで自分と戦っていた人間、キリトだ。 「ほう……スタイルチェンジか」 キリトの外見の変化を、フォルテはそう推測する。 ロックマンと同じ、自己能力の限定特化。それならば先ほどの迎撃精度も説明が付く。 おそらくあれは、動体視力か反射神経、反応速度といった物を強化した姿なのだろう。 つまり、こちらのシューティングバスターに対抗してきたという訳か。 「ハッ―――おもしろい!」 それでこそ、“力”を見せつける価値があるというものだ。 それに何より相手は戦う力を持った“人間”。実に力の振るいがいがある。 ここは一つ、ただ力を見せつけて破壊する前に、決定的な敗北という物を刻みつけてやろうではないか。 † エフェクトに包まれたまま廃ビルの角から飛び出すと同時に、体のいたる所が赤いラインにポイントされた。 その瞬間、ラインの一本目と二本目の軌道を、火剣の刀身で寸分の狂いもなく遮る。 直後、フォルテの放った光弾が、火剣の刀身に弾き飛ばされる。 ―――行ける! そう確信するより速く右腕を閃かせ、三本目、四本目のラインに火剣を重ね合わせ、再び光弾を弾き飛ばす。 再度右腕に伝わる、光弾を弾く衝撃。その痺れはむしろ、火剣を握る手に確かな感触を与える。 そのまま次々と体に当たるラインと火剣を重ね合わせ、光弾を弾き、そうして命中弾の全てを火剣で叩き落す。 ピタリと、剣の切っ先が止まる。 いきなりの無茶が功を奏したのか、変化した体に、自分の意識が馴染んだのがよくわかる。 そう。現在の自分は、先程までとは“体”が違う。それがどのような姿かは、鏡を見て確認するまでもないだろう。 身長およそ160センチ、体重おそらく40キロそこそこ。 艶やかな黒髪は肩のラインで鋭く切りそろえられ、肌は透き通るような白。 唇が血の如く赤い――どう見ても少女としか言えない姿。 ――GGOアバターM-B19型。 それが現在の自分の“アバター(肉体)”だ。 「ほう……スタイルチェンジか」 何か心当たりがあったのか、フォルテがそう口にする。 だが正しくは、メニューの中に設定された【使用アバターの変更】だ。 その機能により自分は、《SAOアバター》から《GGOアバター》へと姿を変えたのだ。 「ハッ―――おもしろい!」 フォルテが愉快気に貌を歪め、再び両腕のバスターから光弾を乱射してくる。 いくつもの赤いラインが体をポイントするが、恐れる事なく自分から突進する。 放たれる無数の光弾、その内自身に当たる物だけを選出し、先んじて弾道に重ねた火剣で弾き飛ばす。 そして「当たらないはず」の光弾が、唸りを上げて耳元を通り過ぎていく。 《弾道予測線(バレット・ライン)》――それが、キリトの視界に映る赤いラインの正体だ。 バスターと化したフォルテの両腕から延びるそれは、光弾の弾道を寸分もずれる事なくキリトへと教えている。 ならばあとは、そのラインに合わせて回避なり防御なりをすればいい。それこそが、GGOの最大の特徴なのだから。 とは言っても、このような剣での迎撃を可能とするのは、キリトの驚異的な反射神経があっての物なのだが。 キリトが使用アバターをGGOアバターへと変更したのは、このアビリティを得るためだった。 一、二発程度の単発攻撃ならともかく、マシンガンの如き掃射を相手にしては、さすがのキリトといえど接近は難しかった。 だが《弾道予測線》を視認できるGGOアバターならば、その限りではない。フォルテの遠距離攻撃に、一種の印が出来るのだから。 もっとも、当初はキリトとて、《弾道予測線》を視認できるかは半信半疑だった。 なぜなら【使用アバターの変更】とはつまるところ、ゲームのプレイ中に違うゲームのデータを持ち込むという事だからだ。 通常のゲームでそんな事をすれば、使用システムの不一致に当然バグる。最悪の場合、ソードスキルさえ使用できなくなる可能性さえあった。 しかし、結果はこの通り。 《弾道予測線》は正常に適応され、フォルテの攻撃の弾道は、キリトの目に見える物となった。 やはりと言うべきか、当然と言うべきか。HP残量こそ変わらないが、それでも十分な結果だ。 つまりキリトは、賭けに勝ったのだ。あと確かめる事は、もう一つ。 そう考えると同時に、キリトはまたも、光弾を全て叩き落とした。 「クハッ………!」 その絶技を目の当たりにしてか、フォルテの貌がさらなる喜悦に歪む。 「――――――!」 特に気に留める事なく、間合いに入った瞬間に体を小さく右に捻り、直突きの型に火剣を構える。 即ち片手剣ソードスキル、〈ヴォーパルストライク〉の構えだ。 しかし、火剣はライトエフェクトに包まれず、システムアシストも発生しない。 ―――GGOアバターでは、ソードスキルは発動しない。 その予測通りの結果に立ち止まる事なく、偽りの大地を強く踏み込み、全力の直突きを叩き込む。 しかし、システムアシストのない一撃では速度が足りず、フォルテは容易にその一撃を回避する。 「遅い……!」 言うや否や、フォルテは右手にエネルギーを集め、強烈な一撃を放とうとする。 ……しかし、システムアシストがないという事は同時に、スキル使用による硬直時間がないという事でもある。 「ハァ――ッ!」 直突きが回避されると同時に体を制動させ、即座に背面へと転進する。 そして硬直を狙ったフォルテへと、カウンターの一撃を叩き込む。 「ッ………!」 対するフォルテは、咄嗟に大きく仰け反りその一撃を回避する。 しかし完全には回避できず、火剣の切っ先が胸部を浅く切り裂いた。 ―――瞬間。 フォルテの脳裏に、始まり/終わりの光景が再生された。 「図に、乗るなァ――ッ!」 激しく燃え上がった激情のまま、フォルテは収束させたエネルギーを地面へと叩き付ける。 咄嗟に大きく飛び退くも、強烈な一撃によって発生した爆風に、更に大きく吹き飛ばされた。 ……しかしこれで、二つ目の目的も達成された。 「殺ス……ッ!」 何が逆鱗に触れたのか、フォルテの表情は先程までの愉快気な表情とはうって変わって、激しい怒りに満ちている。 見てみれば、先程の一撃を受けたネットスラムの地面は、そのあまりの威力にテクスチャが崩壊していた。 これがフォルテの“全力”。その身に秘めていた力の正体………。 これをまともに受ければ、自分のアバターなど跡形も残るまい。 「ッ、ハ―――やってみろよ……!」 それを承知で、ツバを飲みながらも挑発する。 条件は整った。確かに今の一撃は脅威だが、当たらなければどうという事はない。 それを可能とする武器は、既にこの手にあるのだから。 「…………キサマ」 左手に握られたその武器を見て、フォルテが多少の冷静さを取り戻す。 出来ればそのまま冷静さを欠いていて欲しかったが、さすがにそれは高望だったか。 なにしろ俺の左手には現在、先程までフォルテが使っていた魔剣が握られているのだから。 右手の火剣と、左手の魔剣――この《二刀流》こそが、剣士キリトの真骨頂だ。 「行くぜッ!」 眼前のフォルテを見据え、気合の声とともに地面を蹴って突進する。 対するフォルテは、先程と同じように両腕から光弾を乱射してくる。 当然立ち止まらず、むしろさらに加速して二本の剣を交互に振るう。 そして光弾全てを叩き落とし、フォルテを剣の間合いへと捉える。 「チィ……ッ!」 フォルテは舌打ちとともに後退するが、間合いから逃げるにはもう遅い。 火剣と魔剣を交互に、十字を描く様に一閃する。 「ッ……!?」 だが二本の剣は、フォルテの左手が変化した光剣によって防がれた。 やはりフォルテは、まだ手札を残していた。 この分ではどんな能力を隠し持っているか、分かったものではない。 故に、その能力を発揮する前に、ここで決める―――! 「オオオ――ッ!」 火剣と魔剣を間断なく振り抜く。 フォルテは光剣で防御に徹するが、その守りを崩さんと怒涛の連続攻撃を叩き込む。 一撃、二撃、三撃、四撃と、剣を受ける度にフォルテの防御は削られ、少しずつ体勢を崩していく。 そうして放たれる、ソードスキル〈ダブルサーキュラー〉もどき。 一際大きくフォルテへと踏み込み、渾身の力で右の火剣を振り上げ、コンマ一秒遅れて、今度は左の魔剣で袈裟に振り下ろす。 右の一撃が阻まれても、その隙に左の追撃が敵内部へ襲いかかる高速の二刀連撃は、しかし。 「ッ………!」 ――――軽いッ! 先んじた一撃の手応えに、思わず目を見開く。 フォルテの光剣は火剣の一撃を受け、体の外側へ大きく弾き飛ばされている。 一見すれば、追撃の防ぎようがない文句なしの状況。しかしその手応えが、あまりにも軽過ぎた。 そこに襲いかかる、コンマ一秒遅れの追撃。だがその一撃は、空しく宙を切り裂いて終わった。 なぜなら防御を崩されたはずのフォルテが、地面に接する程に伏せる事で回避したからだ。 そう。フォルテは初撃の防御を囮にする事で、続く追撃を回避し、その隙を突く猶予を作り出したのだ。 マズイ……ッ! そんな、確信に満ちた悪寒が背筋を奔り抜ける。 フォルテの光剣は大きく弾かれたままで、引き戻して反撃に使うには遅すぎる。 硬直時間もない。回避には十分な余裕がある。むしろ攻め入る隙さえある。 だというのに、どうしてこんな悪寒が奔るのか。 その答えは、フォルテの右腕の動作が示していた。 光弾による攻撃ではない。それならば、多少のダメージを覚悟すれば、逆に大ダメージを与えられる。 そうではなく、フォルテの右腕は、刀を居合い抜くような位置で左腰に添えられていた。 「まだ武器が!?」 そう理解すると同時に、渾身の力で飛び退く。 振り抜いた姿勢からの迎撃と、既に構えられた一閃。そのどちらが速いかなど比べるまでもない。 フォルテの右腕が武器の具現化エフェクトに包まれて輝き、大振りに振り抜かれる。 具現化と同時に迫る凶刃は、こちらの後退に合わせる様にその間合いを伸ばしていく。 「ぐっ……!」 その間合いの広さに回避し切れず、今度はこちらが胸部を浅く切り裂かれる。 鋭い痛みを堪えつつさらに距離を取り、フォルテが新たに取り出した武器を確認する。 それは、よくある死神の凶器を連想させる、黒い月魄の大鎌だった。 「クク………」 一矢報いた事で気を良くしたのか、フォルテが愉快気に笑う。 その左手は何かを確かめる様に、胸部の傷をゆっくり撫でている。 ……いや、それは古い傷痕だった。 こちらの付けた傷は、その傷痕の上に小さく残っているのみだ。 その傷の浅さと、先程の手応えの差異に、フォルテの持つ大鎌の効果を察する。 ――HP吸収(ドレイン)。 相手にダメージを与える度に自らのダメージを回復する、攻撃と回復が一体となったアビリティ。 その吸収倍率がどれほどかは知らないが、厄介なことこの上ない追加効果だ。 だが同時に、フォルテがあそこまで激高した理由も察しがついた。 おそらくあの傷痕は、フォルテのトラウマなのだろう。そこを傷付けた事で、ヤツのトラウマを刺激してしまったのだ。 ………だが、それが分かったところで、今は何の意味もない。 なぜなら今は話し合いの時ではなく、またフォルテの事情も、何一つ知らないからだ。 故に何を言ったところで、戦いを終わらせる事は出来ない。 もし気付いた事に意味があるとすれば、それは戦いが終わった後の事だろう。 「………………」 メニューを操作し、使用アバターをSAOアバターへと戻す。 フォルテが武器を、それも大振りな大鎌を装備したのなら、《弾道予測線》に頼る必要はない。 ヤツは武器得を手放さない限り片腕からしか光弾を発射できないし、こちらは逆に二刀流となり迎撃の手数が増えているからだ。 「ほう……いいのか、そのスタイルで?」 「いいんだよ。むしろこの姿が、俺の本来のスタイルだからな」 「そうか。ならばその力―――オレに見せてみろ!」 フォルテが大鎌を振り上げ、声を上げて突進してくる。 それに応じる様に、こちらも剣を構えて突進する。 渾身の力で振り抜かれるお互いの武器。 死を刻む凶刃と、火と幻の双刃が激突し火花を散らす。 黒き色を持つ二人の戦いは、未だに終わりの兆しを見せなかった。 Next バースト、エンド
https://w.atwiki.jp/tanosiiorika/pages/1139.html
呪詛の精霊エクスアームズ R 光文明 (6) クリーチャー:エンジェル・コマンド 3500 ■スリリング・スリー-呪文 TT-このターン中、自分が次に唱える呪文のコストは2減る。ただし、コストは1以下にはならない。 ■このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、マナゾーンの呪文をすべてアンタップする。 作者:紅鬼 …絶対何か悪用方法があると思う。 企画 【新春企画】新春とオリカと宇宙人っ!!:異世界人 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/gundamvsex/pages/83.html
フルクロスは、かっこいいから、超合格点 - 富田歩翔 2011-11-25 17 43 59 耐久力が640になってますよ正しくは620です - たくみまる 2012-08-30 06 45 31 プロヴィネンス - 名無しさん 2012-09-08 07 09 55
https://w.atwiki.jp/granadoespada/pages/72.html
名前 コメント