約 1,082,711 件
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1018.html
140文字SS:フレッシュプリキュア!【24】 1.[競作2015]ラブ(&せつな)「大切だったはずなのに」/ねぎぼう 家族写真の少女をずっと見ている。 占い館で出逢って、 友達になって、 喧嘩して、 仲間になって、 家族になって……旅立っていった。 褪せぬ写真の色鮮やかさとは対照的に、 その記憶が甘く優しくなっていく。 心の叫び。 拳の痛み。 失うことの辛さ。 笑って送り出す心の軋みさえも。 大切だったはずなのに。 2.[競作2015]せつな&美希「大切な二人だけの秘密」/一六◆6/pMjwqUTk 魚屋さんの前では、必ず大回りする。 たこ焼き屋さんも、さりげなく避けて通る。 「そんなに気を使わなくていいのに」 「人を置き去りにして走り去った人が、よく言うわ」 もしかしてあの時、せつなもアタシに置いていかれると思って慌ててたの? 「もうしないわよ」 一人には、ね。 赤い瞳に、そっと誓った。 3.[競作2015]「大切な人はここにいる」/ねぎぼう ラブが沈黙を破るように口を開く。 「いまでもせつなの夢を見るんだよね……」 「せつなちゃんと会えなくて……やっぱり寂しい?」 祈里のあまりにも直球な問いにラブも苦笑する。 「ブッキー、せつなはいつでも『ここ』にいるんだよ」 ラブは自分の胸をトントンと示す。 「ラブちゃんならそう言うと思った」 4.ラブせつで『お気に召すまま』/ねぎぼう 「『世界は舞台、人は役者(お気に召すまま)』か……」 シェークスピアの戯曲を手に、サウラーはその一節を呟く。 「なら、やはりこの世界はメビウス様の戯曲たるべし、ということだね」 街に向かうせつなの背中を見送る。 ペンダントの煌めきがこの世はダレかの戯曲でもない、と言うようだった。 5.ラブせつで「桜」/ねぎぼう 再建なるまでは会わない、そう決めていた。 でも、少し遠くからなら…… ――白詰草の丘から眺める街はあの日のまま。 (今日も笑顔で溢れているのかしら) ある一面が春の風に吹かれてふわふわと揺れている。 「ラブの色……?」 嬉しさと後ろめたさを抱えて、その光景に背を向けた。 今度逢うときは…… 6.[競作2015]「大切なたからもの」/ねぎぼう 昼下がり、シフォンがせつなの膝の上で眠そうにしている。 「タルト、クローバーボックス使ってもいい?」 「……うん、ええで」 「ウチも聴きとうおすえ」 ラブはハンドルを握り、ゆっくりと回し始めた。 スイーツ王国の秘宝から奏でられるのは今はただ優しい子守歌。 安らかな寝顔は大切なたからもの。 7.ラブせつで「反省」/ねぎぼう (ラブはすぐ感情に流されるんだから) (せつなは融通がきかない石頭だよ) 背を向けてしまった二人。 (でも) 互いを思いうかべる。 (いつも人のことを思っているのだわ) (いつも真面目に物事を考えているんだよね) それなのに……言い過ぎてしまった。 そう思った二人はベランダの窓に手をかけた。 8.ラブせつで【 授業が終わったあとの教室 】/ねぎぼう 補習を終えたラブが教室に荷物を取りに戻ると、 授業が終わったあとの教室に残っていたのはせつな一人。 「待っていてくれたの?」 こくりと頷く。 教室に差し込む夕日が二人の頬を照らす。 ラブはそんなせつなをみると何だかドキリとする。 「いい……かな?」 「教室よ?」 「大丈夫だよ、誰も来ないし」 9.[競作2015]ラブ&せつな「舐めあいっこ」/こゆき 揺れるツインテ-ルの合間から白い何かが見え隠れする。 ピンクの舌がその上でチロチロと蠢く。 「ちょっとラブ、がっつきすぎ!」 「だって、せつなの……美味しいんだもの」 「やだっ、もうダメ……」 って、なんでタルトが顔を赤くしてるの? このアイスは私のだからあげないわよ。 ラブももう十分でしょ? 10.[競作2015]ラブ&せつな「大切な人と一緒に」/ねぎぼう 「幸せの素?」 イースの視線の先には四つ葉のクローバー。 「すごいよせつな。幸せを呼ぶ四つ葉のクローバーはね、 心から幸せを望んでいる人じゃないと見つけられないんだよ!」 ―― あたしもね、本当はずっとさがしてたんだ。 貴女と一緒だから見つけられたんだよ。 これからも、ね。 ありがとう、せつな! ※競作2-33に続くSSです。
https://w.atwiki.jp/unty7/pages/36.html
自作資料 http //www.cscreate.net/ukecalls/uku2/workshop.htm http //www.cscreate.net/ukecalls/uku2/workshop.htm http //www.crane.gr.jp/ http //blog.livedoor.jp/koafine/archives/cat_1345143.html how to makeで作り方 http //slackworks.net/
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/853.html
140文字SS:フレッシュプリキュア!【7】 1.「敬老の日」/一六◆6/pMjwqUTk 「何だい、敬老の日だって?年寄り扱いはよしとくれよ」 眼鏡の奥から鋭く睨まれて、幼い兄妹が俯く。 「それであんた達、何が欲しいんだい?」 「僕らのお祖母ちゃんが、ここの水飴が懐かしいって言ってたから……」 誰も気付かなかったけど、しかめ面が僅かに緩んだ。 「ふん……あと二つ持ってくかい?」 2.ラブせつで『こりないやつ』/ねぎぼう 1.「あいつに近付いて変身アイテムを奪ってくる」 2.「まあいい、何時でも近付ける」 3.(1.に戻る) それにしてもこりないやつだなイースは……まさか、あいつ自身の不幸でゲージを溜めようとでも? だが、ナケワメーケが出てるとき以外はゲージは溜まっていないぞ。 これってどういうことだ? 3.ラブせつで【 願いがかなうなら 】/ねぎぼう 大当たりって何でも願いがかなうのかなあ? もしも願いがかなうなら、もう一度あの子に会いたいな。 で、ありがとうって言うんだ。 でも……どこの子なのかなあ? 学校では見たことないし、 ひょっとして、いきなり転校生でおんなじクラスになっちゃったりするのかな!? 等と思って引く福引はまた末等。 4.ラブせつで『痛いの痛いのとんでいけ』/ねぎぼう 元気さを装うラブだったが古傷の痛みでステップもままならない。 駆けつけたせつなも見ているのが辛くなる。 ミユキと競演できる最後の舞台を目前にせつなにだけ見せた心。 「あたし、怖い」 せつなはラブの手を取る。 「痛いの痛いのとんでいけ」 祈るその肩をそっと抱き寄せる。 「ありがとう、せつな」 5.ラブせつで『何を今更、』/ねぎぼう 「せつな……怒ってる?」 本当に怒っているわ。 「本っ当にごめんなさい!」 何を今更、謝っても無駄よ。もう口をきいてあげないから。 “ちゅ” 「せつながこうして食べさせてくれたらニンジンも好きになるかも?」 「……夕ごはんにね」 「わーい!」 これじゃ怒っていられないじゃない? ずるいわ、ラブ。 6.ラブせつで『No thank you』/ねぎぼう "No thank you. We should battle by ourselves." "I got it. Good luck!" ―― 「せつな、カオルちゃんと何か話してた?」 (ごめんなさい、ラブ。貴女が大好きなこの街の人たちをこれ以上私達の戦いに、罪に、巻き込みたくないの) 7.ラブせつで【 きっとだいじょうぶ 】/ねぎぼう ラビリンスに行くことを決めた後も時々不安そうな顔をするせつな。 でもね、そんな顔をしてちゃいけないんだよ。 「きっとだいじょうぶだよ、せつなならラビリンスを笑顔でいっぱいにできるから」 そう、まずはせつなが笑顔にならなきゃ! せつなにはいつも笑っていてほしい。 あたしも……笑顔でいるから。 8.ラブせつで『1+1=1』/ねぎぼう 『1+1=1』 せつなはさっきからこの数式を前に頭を抱えている。 すると、ラブがその数式の頭に『1+1+』と書き加えた。 「あたし達って四人で一人前、だよね」 「もっと強くならないとダメなのね」 「ううん、誰がいなくなってもダメってこと」 この式に込められた思いに気付くせつなであった。 9.ラブせつで『貴方の心臓が欲しい』/ねぎぼう “貴方の心臓が欲しい”夜のテレビ映画。 余命少ない魔王がヒロインに迫る。 「心臓を渡せといわれたらそうするつもりだったの、あの頃は。 でも、寿命が終わると知ったときは……」 同じ毛布の中で震えるせつなをラブが強く抱きしめる。 「せつなの心臓、ドキドキしてる。今、こうしているからだよね」 10.ラブせつで『幸せになってよ』/ねぎぼう 「やっぱり勝手にお店は閉められません!」 「そうだね……アジの干物の煮込みとお銚子一本」 ―― 「その子は遠い国に行っちゃったんだ」 「せっかく家族になったのにですか?」 「夢を見つけたからね。幸せになってよかった……」 「うわー、きれいですね」 「笑顔で一杯でしょ。ごめん、画面濡らして」
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/862.html
140文字SS:フレッシュプリキュア!【8】 1.ラブせつで『君の傍』/ねぎぼう サウラー君の傍受したというリンクルンの通信データというのはこれね。 “せつな!今補習が終わったよ” “もう家に帰っているわよ” “ほんと?ごめん……” (ノイズ) インフィニティの話はさすがにしていないようね。 でも、サウラー君いい仕事してくれたわね。 特定できたわ。あの子たちの住家も…… 2.ラブせつで【 無理しちゃって 】/ねぎぼう 大会以来久しぶりにせつなとラブに出会った美希。 「せつなにはね、四つ葉町の楽しい思い出をたっくさん持って行って欲しいんだ」 ラブの明るすぎる笑顔。 「この街をよく見ておきたいって言ったら付き合ってくれたの。悪いことしたわ」 名残惜しさと二人でいる喜びを申し訳なさで隠す。 (無理しちゃって) 3.ラブせつで『人生で一番』/ねぎぼう 突然出逢って、探していた夢が見つかった。 再び出会えて、一番美味しいドーナツと幸せの素を知った。 本気で心配してくれた。許してくれた。やるべき事を知った。 そして、苦しんでいるのが……貴女だった。 何も出来ない?いや、そんなことない! 全てをかけるよ。 人生で一番好きになった貴女だから。 4.ラブせつで『誰にも渡さない』/ねぎぼう “誰にも渡さない……” 「ピーチはん、昨日はえろううなされとったで?大丈夫なんか?」 「……大丈夫!元気一杯だよ」 「やっぱり、パッションはんのこと……」 「わかってる。せつなの夢だもん。応援するのが家族でしょ?勿論タルトの夢も、だよ!」 (ピーチはん、家族やったらそうなんやろかなあ) 5.あゆみ&せつな「明日はコロッケよね?」/一六◆6/pMjwqUTk 「明日はコロッケよね?お母さん」 買い物に行く途中で、私の顔を見上げる紅い瞳。 明日は遅番で娘たちが夕食当番。メニューはせっちゃんの得意料理だ。 「ええ、楽しみにしてるわ」 頬を染めてはにかんだように微笑む彼女は本当に嬉しそうで――思わず心が揺らぐ。 今日はピーマン、買うのやめようかしら。 6.ラブせつで『未送信メール』/ねぎぼう 『ラブ、補習お疲れ様(^-^)』 せつなからメールが入っていた。 返信を打ち込んでいると、 「ラブ!」 「せつな!待っててくれたんだ」 ―― (そろそろスマホかなあ) 未送信メールがあることに気付く。 『ありがとう(^O^)すぐ帰るね!せつなだいすき』 あの日の思いもメールボックスに残ったまま。 *【8】-7はこの続きです。 7.ラブせつで【 もう会えないひと 】/ねぎぼう この未送信1件が気にかかったまま何日かが過ぎた。 そんなある日、けりをつけるように最後の送信ボタンを押した。 ―― 「ただいまー!あいぽん5にタダで機種変できたんだ」 「ラブ!すぐ帰るって言っていたわね?」 「あ!ごめん、そのまま送っちゃってた」 (今は、もう会えないひとじゃないんだ) 8.ラブせつで『ちょっと黙って』/ねぎぼう 「冷蔵庫の限定秋栗ドーナツ、まさか?」 「私、食べていないわよ。名前書いてたんでしょう?」 「前に読めなかったって言って食べちゃったじゃん」 「読める字書かないと」 「んも~」 「ピーチはんもパッションはんもそないに……」 「タルトはちょっと黙ってて!って、その口元に付いてるのは何?」 9.ラブせつで『迷子のお知らせ』/ねぎぼう “迷子のお知らせです” 「ママー!」 「ありがとうございます」 「よかったね」 ―― 「あたしも小さいころ迷子になっちゃってね。優しいおねえさんが一緒に探してくれたんだ。恩返し、かな?」 「あの子のお母さん、そのおねえさんじゃないのよね?」 「うん、でも、応えられるような気がするんだ」 10.ラブせつで『迷子のお知らせ』/一六◆6/pMjwqUTk 「迷子って、家族とはぐれたってことよね?」 館内放送にせつなが呟く。 「ラブ、探すわよ!」 「わ、せつな待って!」 その時子供を呼ぶ声と、ママ~!という泣き声が。 放送で言ってた服装の子が、お母さんに抱きしめられてる。 「良かった」 ホッと息をつくせつなの細い肩を、あたしもギュッと抱きしめた。
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1682.html
140文字SS:HUGっと!プリキュア【11】 1.はぐっと小咄 みんなで焼き芋/かおす 「さあ、おいもなのです!」 「サツマイモ、ジャガイモ、山芋、里芋、とろろ芋」 「たくさんあるのです!」 「秋と言えばやはり..」 「落ち葉だよねー」 「はな、落ち葉を食べるのですか?」 「焼き芋にするんだよー!」 「火事にするんやないでー」 「もうすぐ焼けるよー」 2.はぐっと小咄 武道/かおす 「実りの秋なのです! 次は…」 「ブドウでしょう」 「いろんな種類があるのです。どうしました?」 「カジキ…お魚と同じ名前…」 「それはカイジなのです」 「あちょ...」 「あ、やっぱりそれやりますか」 「…つい」 3.はぐっと小咄 気になる/かおす 「かきといえば、ナマがき、干し柿、かき揚げ、かきたまご、かきのオイスター焼きです! さあこの中で木になるカキはどれでしょう?」 「全部です」 「オチがすけて見えるのです」 「木にならないと言えばウソになります」 「そう来ましたか」 「客食うかき…」 「違うのです」 4.ハグっと小咄 閑話休題/かおす 「ギュイーンとソウルがシャウトするのです!」 「アゲアゲですね!」 「この天ぷらも..」 「アゲアゲですね!」 「いただきまーす♡」 「なんやかんやえーこんぶや」 「コンビでしょ」 「はぎゅ♡」 5.はぐっと小咄 まつたけ/かおす 「秋の味覚と言えばキノコですね」 「シイタケマイタケエリンギもろもろ…一年中見かけるのです」 「でも、秋はことさらおいしいと思います」 「そうですね」 「で、あの、あれは待つだけでしょうか」 「香りのいいアレですか?」 「はい、秋だけの..」 「見るダケなのです」 「惜しいですね」 6.はぐっと小咄 巻き添えですね/かおす 「ビューティー・ハリー....ねー、このお店って免税店?」 「はな、それはデューティーフリー」 「い、いきなりオチ攻撃なのです!」 「めちょっく」 「のっけにオチはルールー違反や」 「懐かしいですね」 「これはほまれ違反なのです!」 「そらあかん」 「あたしは滑るからねー」 「すべりました」 7.はぐっと小咄 移りゆく祝日とおまつり/かおす 「10月10日は体育の日です」 「ルールー、今はスポーツの日です」 「…データが古いですね」 「おとーさんの時代には〜...」 「ハロウィンも記載されていません」 「るーるーちゃーん?」 「アップデートをお願いします」 「まかせなさい。ついでに100年後のも..」 「それはお断りします」 8.はぐっと小咄 や/かおす 「ハグプリ49話中、滑り台を降りたのはほまれとえみる」 「あれ? はな先輩も…」 「はなは落ちました。それに、滑り台ではなかったと思います」 「やな話してるねー」 「落ちるってやよね」 「や ..だから、さあ、や!なのです!」 じと 「に、にらまれたのです!」 「あたりまえです」 9.はぐっと小咄 おっさんかぼちゃ/かおす 「坊ちゃんカボチャです」 「なんですかそれ」 「この可愛いカボチャのことです。このままレンジでチンするだけで…」 「このおっきなかぼちゃは?」 「おっさんかぼ....なんでもありません」 「誰のことか5分でわかる」 「あんたのことじゃない」 「5秒でわかっちゃったっすねー」 10.はぐっと小咄 オチなかった/かおす 「この綿菓子というのはすごいですね」 「そうですか?」 「いろんなケーキやおせんべいやおまんじゅうや駄菓子やスイーツがある中で、このサイズとボリューム感はほかに思い当たりません」 「そうですね」 「あ、お菓子を並べすぎました」 「落ちてないから大丈夫なのです」 「大丈夫じゃありません」
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/825.html
140文字SS:フレッシュプリキュア!【1】 1.ラブとせつなで『死ぬまでの君を全てください』/ねぎぼう 落ち着ける場所を得て眠りについたせつな。 枕元に座して黒い髪を撫でるラブ。 ふと前に読んだラノベに出てきた言葉が浮かぶ。 (死ぬまでの君を全てください) それを打ち消すあの時。 (あんなのはもう嫌!) でもこれから沢山の今日と明日を一緒に積み重ねられたなら。 (死ぬまでのあたしをあげるよ) 2.【美希ちゃん主役になる】/夏希◆JIBDaXNP.g 「はい、頼まれていた物よ」 「ありがとう」 祈里が美希に数冊の本を手渡す。学園祭の劇に使うらしい。 「ブッキーは白雪姫だったね。美希たんは何がいいかな?」 「シンデレラ!」 せつなが即答する。 「アタシにはドレスが似合うからかしら?」 「慌てて靴を落とすところが、美希にピッタリだからよ」 3.イース&ラブ 「馬鹿な子。」/一六◆6/pMjwqUTkg 馬鹿な子。騙されたとも知らないで。 馬鹿な子。友達と言っただけで単純に大喜びして。 馬鹿な子。こんな仮の姿に、あんな眩しいような笑顔を向けてきて。 全ての物の中で価値があるのは、メビウス様に選ばれた物だけ。 それなのに、あの子の笑顔が何度でも見たいと思ってしまうなんて、 本当に馬鹿な――。 4.せつな&ラブ 驚きの真実/一六◆6/pMjwqUTkg 「せつな、お願い!」 「しょうがないわね」 根負けした私の返事に、パッと輝く笑顔。これに弱い。 その後食べるニンジンは、いつもより甘く美味しくて。 もしラブがピーマン苦手だったら、私今より少しはピーマン好きになってたかも。 食事の味は時と場合により変わる。それもこの町で知った、驚きの真実。 5.せつな&あゆみ 「精一杯頑張るわ!」/一六◆6/pMjwqUTkg 「せつなちゃん、最近あゆみさんに似てきたねぇ」 そう言われて、夕方のスーパーが幸せ色に染まった。 どこがですか?って訊きたいのに、嬉し過ぎて言葉が出ない。 「そうやってニンジンを籠に入れてラブちゃんをたしなめる口調なんか、そっくりよ」 ラブ、覚悟してね。 これからも私、精一杯頑張るわ! 6.せつな&圭太郎 「父さん幸せだなぁ!」/一六◆6/pMjwqUTkg 「お父さんは昔から好き嫌い無かったの?」 「うーん、むしろ今の方があるかもなぁ」 え?と驚くせっちゃんにニヤリと笑いかける。 「好きなものが増えたのさ。このコロッケなんか最高だ。父さん幸せだなぁ!」 嬉しそうに微笑む娘にいつか伝えたい。 一番の幸せは、大切な家族が増えたことだよって。 7.ラブせつで『一緒に帰ろう』/ねぎぼう 補習授業を終えたラブ。 「すっかり遅くなっちゃったなあ……」 教室に戻るとそこには心配顔のせつながいた。 苦手にしていた歴史の勉強を手伝ってくれて、 そのあおりでラブが数学の試験で赤点を取ったのだと気にしていたのだ。 「(ごめんね、今度はちゃんと頑張るから)一緒に帰ろうか」 「ええ」 8.ラブせつで『なんだって知ってた』/ねぎぼう 「スーパーでカップラーメン積み放題なんだって知ってた?」 「ええ、チラシであったわね」 「やってみようよ」 「本当にやるの?」 …… 「精一杯頑張ったわ、ラブ」 「嘘っ!」 目の前にあったのはカップ麺で出来た2メートルの塔。 「この納豆餃子ラーメンも乗るかしら」 乗せると同時に突風が。 「あっ!」 9.ラブせつで『どうせ無意識なんだろ』/ねぎぼう 急場ごしらえの得物を闇雲に振り回すだけであった少女が、 変身後は一転して見事な体さばきを見せ瞬く間にナケワメーケを倒す。 (どうせ無意識なんだろう) 「貴様とは長い付き合いになりそうだ」 去り際戯れに残した言葉。 あの時水晶玉の告げた未来、その先の暗示には…… いや占いは変わるものだ。 10.ラブせつで『手だけつないで』/ねぎぼう せつな、勝手に入ってきてごめんね。 ラビリンスに帰るっていうなんて思っていなかったよ。 でもそう決めたんなら、あたしは応援するよ。 友達で……家族だもん。 でも本当は…… 「やっぱり行くの止める」なんて言うわけないってわかっていたけど。 だから今夜はずっと手だけつないでいて、いいかな?
https://w.atwiki.jp/ukulele/pages/92.html
一枚板。(対)合板。 ウクレレの表板に使用する場合、ギター等に対して面積が小さいので、完全に一枚の板を切り抜いて使う場合がある。 一枚の板を二枚におろして(?)開き、真ん中で突き合わせ接着して使用する場合もあり、ブックマッチと呼ばれる。本を開いた様な状態になり、中央部の継ぎ目と、左右対称の木目が特徴。 層状に貼り合わせていない限り、ブックマッチも単板の範疇に入る。 ブックマッチにすると、以下の様なメリットがある。 木材の組織が左右対称になるので、表板の振動バランスが良くなる。 対称の木目で見た目が良くなる。(使われる板の木目や、好みにもよるが) 使用する板材の厚みは二倍必要になるが、面積は約半分で済むので、比較的細い木(若い木)から作る事も可能になる。 単板は、使われている木材の質が顕著に表れるので、当たり外れが出る場合がある。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/902.html
140文字SS:フレッシュプリキュア!【14】 1.ラブせつで『ハッピーエンドの来ない悲恋こそ美しい』/ねぎぼう 夜更かしして観るテレビで、田園を舞台に思い合うもすれ違っていく二人が淡々と描かれていた。 ラブは途中で退屈したのか、せつなの隣で寝息を立てていた。 そのまま思いを伝えることなく、やがて別離の道を歩む二人。 『ハッピーエンドの来ない悲恋こそ美しい』 解説者の言葉に「どして……」とつぶやく。 2.せつなとラブ「自然のメッセージ」/夏希◆JIBDaXNP.g ラブ「最近、天候が不安定だと思わない? 急に雨が降ったり止んだり」 せつな「異常気象ってこと? ラビリンス育ちの私にはわからないわ」 ラブ「そっか、変化があるだけいいのかな」 せつな「そうは言わないけど、天気が自然のメッセージなら、この世界の人はまだ耳を閉ざしていないんだと思う」 3.ラブせつで『Marry me?』(1と同じ時のお話)/ねぎぼう “Marry me?” “Yes. Of course.” 彼女は遠くの町に去る。 主人公は何もなかったように再び一人で畠の片隅で煙草をふかしていた。 「いいの?それで……」 一人ぼっちにさせないと美希も言ってくれた。 そして、隣で肩を寄せて眠るラブ。 せつなには主人公の気持ちが解らなかった。 4.ラブせつで【 言えない、言わない 】/ねぎぼう あたし、もう決めたんだ。 世界でダンスするんだって。 そう、パラレルワールドで! 当然ラビリンスにも行くからそれまで待ってて、せつな! で、また一緒にダンスしよ? でもね、今はまだ言えない、言わない。 ちゃんと言える日まで精一杯頑張るよ、あたしも。 だから……ごめん、大輔。 「言わなーい!」 5.ラブせつで『入れ替わり』/ねぎぼう インフィニティはあらわれても、やっぱりイースは帰ってこないぞ。 で、入れ替わりに来たのがノーザ……さん、かよ。 「ウエスターくん!」 ああ、おっかねえ。 「いくよ、パッション!」 「OK、ピーチ」 何だ、見せつけやがって。 最近ナケワメーケ出してないけど、俺がゲージ溜めてるのかもしれんな。 6.せつなとラブ「「はやぶさ2」打ち上げ成功おめでとう!」/夏希◆JIBDaXNP.g ラブ「はやぶさ2打ち上げ成功おめでとう~」 せつな「感動したわ。6年も宇宙を旅するのに、1秒も遅れずに打ち上げるなんて」 ラブ「なんて?」 せつな「30分で終わる宿題を、1秒でも先延ばしにする誰かとは大違い」 ラブ「今からやるってばー」 せつな「私たちも負けない6年にしましょう」 7.ラブせつで『二人だけの王様ゲーム』/ねぎぼう 「王様だーれだ!」 (二人だけの王様ゲームだし、せつなの命令だもん) 「AさんがBさんにニンジン食べさせる」 「え?まさか……」 手元には『B』の籤。 「え、そんなあ~」 トランプだけではなく籤も自在に操れるとは…… 「食べて、ラブ」 ニンジンスティックの端を咥えると、 ラブの顔に突きだした。 8.ラブせつで『二人だけの王様ゲーム』2/ねぎぼう 「王様だーれだ」 王冠の描かれた割り箸はせつなの手に。 「1番は何をされても声を出さない」 王様の瞳が獲物を狙う豹のように光る。 1番は震えたようであった。 「1番だーれだ」 ラブは諦めたようにこくりと頷く。 そう、これは二人だけの王様ゲーム。 衣擦れの音がして1番のネクタイは床に落ちた。 9.せつなとラブ「神戸ルミナリエ開幕」/夏希◆JIBDaXNP.g ラブ「わっはー、人がいっぱい」 せつな「これっきりよ? アカルンを使うなんて」 ラブ「ごめ~ん」 せつな「でも、とても綺麗。まるで消えない花火みたい」 ラブ「悲しい由来もあるの」 せつな「震災で犠牲になった方々への追悼と鎮魂の祈りよね」 ラブ「そして復興への誓い、希望の灯なの」 10.ラブせつで『来世でもよろしく』/ねぎぼう 『来世でもよろしく』 主人公を庇って致命傷を負ったニヒルな敵役の最期の台詞。 「来世って何?」 せつながラブに訊く。 生死にわたる管理により失われた死生観。 「生まれ変わった後の世界のこと、かな……ごめん」 決着をつけることなく命が尽きることの無念さ。 それが解る自分もまだいる。 「平気よ」
https://w.atwiki.jp/apgirlsss/pages/1673.html
140文字SS:HUGっと!プリキュア【9】 1.はぐっと小咄 まだ暑い/かおす 「道をはずすとはどういうことでしょうか?」 「ボタンならこうなのです」 「えみる、はしたないです」 「こうしてうっかり道をはずすのです」 「プールでは、はながアゴをはずしました」 「懐かしいのです! 納涼だらけの市民プール!」 「何げにぐだぐだです」 「はずしたのです!」 2.はぐっと小咄 夏の間に/かおす 「スイカにトウモロコシにかき氷なのです!」 「えみる、一体どうしたのですか?」 「夏もあとわずか、今のうちに夏の風物を」 「では、風鈴に夕立」 「るーるー、食べるのですか?」 「……かぶとむし」 「たべるんですか?」 「...夏ばてみたいです」 「夏ボケですね」 3.はぐっと小咄 おいしい夏/かおす 「夏の話題…海の日と山の日を忘れました」 「盆踊りと海水浴と浜茶屋の前にはかすむのです!」 「海の家のラーメンとカレーとかき氷はなんてあんなにおいしいのでしょう」 「サザエやハマグリの磯焼きなんかも天に昇るおいしさなのです」 「ラムネにコーラ…夏の海はいいですね」 4.はぐっと小咄 着てみた/かおす 「えみる,蚊帳とは何でしょう』 「伝説のヤブ蚊シールドなのです」 「着てみました」 「怒られますよー」 「口の開いた豚の貯金箱が」 「蚊取り線香です」 「着てみました」 「ど,どーやって」 「コスプレです」 「私は風鈴を着てみるのです」 「てるてる坊主..」 「なにか?」 「似合うと思います♡」 5.はぐっと小咄 いらない機能/かおす 「えみる、夏と言えば怪談...」 「それはもういいのです。ルールーは怖くないのですか?」 「誰のせいなのか、センサーが反応するのです。ほら、そこにも」 「やめてください!..アレがつけたのですか」 「おそらく」 「そしてこちらにゴーストバスターキャノンが」 「マジですか?」 「ウソです」 6.はぐっと小咄 くらいあす社のおとなたち/かおす 「おじさんにとって、夏と言えば水着だったのだが..」 「いえー! そーっっす! セクシービキニにハイレグ水着ッスー」 「セクハラよ、あんたたち」 「5分で終わってしまった」 「5行じゃない..」 7.はぐっと小咄 夏のおっさん/かおす 「えみる もう夏が切れます」 「まだ間に合います,スイカ割りの話を」 「やはり浜辺ですね」 「入道雲の下なのです!」 「あったまっています」 「それはイマイチなのです」 「きんきんに冷やしたのがこちらに」 「それです!」 「いやーやはりビールもキンキンに冷やさないとねー」 「帰って下さい」 8.はぐっと小咄 今日まで夏休みなのです/かおす 「えみる、船に乗っていたらひしゃくを貸せと言われました」 「それで?」 「持ってなかったので水筒のふたを渡しました」 「それで?」 「がっかりしたようです」 「ルールー!ひしゃくは底を抜いて渡すのです!」 「それで船に打ち水をするのですね」 「ひどい夏ボケなのです」 「..ボケは余計です」 9.はぐっと小咄 夏休みボケ/かおす 「8月が終わってしまったのです! 新学期なのです」 「夏休みの宿題…」 「ぎく」 「絵日記」 「ぎくぎく」 「..しましたね」 「あ、とっくに終わらせたので忘れていました」 「楽しかったですね..夏..」 「楽しかったのです..」 「はなー、あっちも夏休みボケみたいだねー」 「楽しかったなー..」 10.はぐっと小咄 夏のおわりに/かおす 「ルールー、花火の残りがあったのです!」 「みんなを呼びましょう」 ぴー..パン 「ロケット花火一発..」 しゅーぱちぱち… 「ドラゴン一個..」 「線香花火がみんなの分…あ…」 「えみる、二人で持ちましょう」 「さ、はぐたんも一緒だよー」 「はぎゅー」 「虫の声がこんなに...」 「秋ですね」
https://w.atwiki.jp/mayyugioh/pages/275.html
DUELプリキュア! お菓子の国のリアルファイト! ※自分でも意味分かんない適当な設定 ※マドルチェの子たちが大好きな人は読まないで下さい 袋から出した瞬間のピンク無地スリーブみたいな甘ったるい風の吹く日は、無性にプリ ンが食べたくなる。 時刻は三時半を回る。 お菓子の国mayのまったりティータイムもとろりと甘く煮詰まってきたところだ。 「ご注文はいかが致しましょう」 「カスタードプリンとブルーアイズマウンテンをちょうだい。あと、予約しておいたハッ ピーフェスタケーキは持ち帰りでお願い」 「あ、あたしは、えっと……めろんそーだ…………いや! やっぱ紅茶で! 紅茶ととカ スタードプリンで」 「かしこまりました」 テラス席の日傘の下。 学校帰りで買い食いタイムな女子高生二人の注文を受け取り、ケーキ屋の御主人が愛想 よく笑ってお辞儀をしていた。 御主人は少し老けこんだ落ち着いた感じのパティシエの男性だ。二人組の客の片方がな んというか少々ガラの悪い感じに制服を着崩していようが、もう片方が制服の上に厚い緑 ローブを着込んでいようが、いささかも動じることがない。 「ごゆっくりどうぞ!」 その隣には御主人の娘である幼い少女がちょこんと立ち、にっこり笑顔でこちらもぺこ りと頭を下げてきた。幼いなりに店の手伝いをしているのだ。 「うわぁ、いい子だなぁ~~~」 まっ白なエプロンと頭巾を身につけた幼女の可愛らしさに尼曽根美琴は魅了された。 「はーブルーアイズマウンテンおいし」 一杯三千円するコーヒーを片手に、草壁逢菜、通称アウナは思いきりくつろいだ。 「あの子、この前はマジョレーヌの仮装だったのに今日は普通のエプロンなのね」 「アウナ……なんでそのときあたしにメールしてくれなかったんだ……くっ……!」 「なんでと言われても、マイシスター・エリンならともかくミコトが幼女を見たがるとは 思いもしなかったので」 「そっすよねー」 may立苺森高校の同級生である二人の放課後が独特のテンションで進んでいく。 「思えばミコトと二人だけでこういう店に来るのは初めてね」 他の仲間がいる時の美琴からはもう少し不良的なプライドが押し出されているのだが、 ある意味かっとビングしっぱなしなアウナの前では見栄を張っても意味ないなと思ってい るようで、二人だけの時は比較的くだけた付き合いだ。 「いつもは委員長と馬耶と、たまにライカやネネも一緒で、ドトール・ド・ソルシエール かカフェ・リゾネーターあたりってのが定番だもんな~。あ、でもでも、女子高生ならお 菓子屋に誘われゆったりスイーツってのも普通だよなやっぱ! なっ!」 「菓子店に来たがったのはミコトの方だった気がするけど」 「……細かいことはさておき!」 「まあ六限おもいっきりバスケやっておなかすいたし」 「へへっ、あたし&アウナのタッグによるパーミッションバスケの圧倒的ファンサービス の前じゃあ、男子どももまるきり立つ瀬が無かったね」 「キドとアラガミの目が点になってたわ」 「でも黒剛みたいのを正面から相手にするとさすがに疲れちまうな」 「次はのんびりバドミントンでもやりたいところね」 登下校エリアから少し離れたお菓子屋さんへ仲のいい友達と入るという(本人にとって は)目眩のするような女の子らしい放課後に、美琴ははしゃぎっぱなしだった。 「で……だ、アウナ。あんた教育実習の湯納さんとの仲がアヤシイって噂を耳にしたんだ けれど、そこんとこどうなんだよ」 「そんなことよりホワイトデーのときカミノギ先生に正々堂々子作りを要求して困らせた 魔轟神子ちゃんの話をしましょう」 「マジかよ! あの子が積極的になったときって冗談で済んだことねえぞ!」 「ええ、それでヒドウ先生がなだめに入ったらこれがまた逆効果で――――」 今日は二人ともそんなに長く居座る気はなかったので、生活の中でのささいなことや宿 題のことなど他愛もないことを軽く話してお暇するつもりだ。 「御主人、例のものを」 「かしこまりました」 めちゃくちゃ偉そうにパチンと指をはじいて店の御主人を動かすアウナ。 同時に何度かおかわりしているブルーアイズマウンテンの最後の一杯を啜る。 「お待たせ致しました、ハッピーフェスタケーキでございます」 「ええ」 すぐさま冷蔵してあった特注品ハッピーフェスタケーキを梱包して運んでくる。 ついでに会計を済ませてしまう。 「……(うずうず)……なあアウナ! ちょ、ちょっとソレ開けて見せてくれよ!」 「いいけど」 蓋を開けるとドライアイスの煙がテーブルの上に広がり、あざやかな二段重ねのケーキ が出現した。 「早く買ってこい絞めるぞ吊るすぞ、って母さんがぐずぐず脅してきてウザいから買いに 来ただけだったけど、これはいい出来のお菓子だわ。駄賃がわりに半分くらい腹に入れて も構いやしないか……じゅるり」 ハッピーフェスタと名が付く通り、ただのフルーツケーキではない。クッキーやチョコ ソースで彩られたケーキという舞台の上で、マドルチェの愛らしいモンスターたちが躍動 的に舞っている。その砂糖細工の精巧さはまさに御主人の匠の技であった。 (はうぅ~❤ マジョレーヌちゃんかわいいよお……❤) (なんだかミコトがやたら熱心に見ているわ……そんなにコレ食べたいのかしら) 単に食い物としてケーキを眺めるアウナとは対照的に、美琴はケーキの上に広がる愛ら しいマドルチェフィールドに心を奪われていた。 「ミコト、買った店の軒先でっていうのも何だけど、ちょっと食べてみる?」 「えっ」 「じゃあこいつ食べていいわ。さあ頭からバリバリと」 「ちょっ」 おすましで、ちょっとドヤ顔で、でも何だかんだでとってもハッピー! みんな笑顔で 楽しそう! そんなマドルチェ・マジョレーヌの砂糖細工を指さして頭からバリバリ食べ ろと言ってのけるアウナ。 疑われているのか? 試されているのか? それともただ天然なだけのか? 美琴はキ リシタンを弾圧するために昔行われたという踏み絵を連想しながら、なんとも微妙な顔で 言葉を濁した。 もちろんマジョレーヌを頭からバリバリなんて出来るはずもなく。 (…………まあ食べないならそれも別にいいけど) (頼むから気付いてくれ、涙を飲まんばかりのあたしの気持ち) 美琴なりにはしゃぎ尽くしたのでそろそろテンションが冷えてくる頃である。 人と人の想いが伝わらない不便さをなんとなく感じた午後だった。 「 キャハハハハハハハハハハハハ!! 」 お互いそれじゃバイバイで別れようというとき。 金切り声ともいえる音程の壊れた高笑いが緩やかな放課後の世界に響いた。 突如として出現した次元の裂け目から、異様ゴスロリファッションを身に纏った一人の 幼女が抜け出てくる。 「あぶねえっ!」 そのとき何かが爆発した。 異常性を感知して身構えたアウナを、同じく身構えていた美琴はタックル気味に横から さらい、その勢いのまま二人して公道のアスファルトを転げる。 それから瞬きひとつしたあたりで、先刻までアウナと美琴が談笑していたテラス席で何 かが爆発して白い煙に包まれる。 見ると、見るだけで涎が出るほどだったこの店自慢のハッピーフェスタケーキは、原因 不明の破裂で周囲に爆散してしまっている。 アウナは飛び散る際にほっぺについたクリームを指ですくい、鼻頭をピグピグさせなが らペロォリと舐めるのだった。 「ねーぇーパティシエさん、この前のお話は考えてくれたかな?」 巻き込まれた女子高生二人には目もくれず、裂け目より現れし幼女が御主人へ高圧的に 迫っていた。幼女出現と同時にここそこに広がりだした暗雲の底からは、暗い色のローブ を着た無個性な集団が現れる。それらは幼女の背後に秩序なく並んで控え、数と異様をも って客や従業員を威圧している。 (あれは……悪の女王の手先、六星群だわ!) また幼女の影として付き従うとでもいう風な、貞淑な雰囲気をもつ女(当然のように異 様なゴスロリ装着)が一人控えている。 御主人が娘を背に隠して庇うのを見ながら、幼女はニヤニヤ笑いを浮かべた。 「だからさ、我らが邪神サマ、もとい悪の女王さまのために美味しいお菓子をたくさん作 って欲しいだけなの。そのために腕のいいパティシエさんがいっぱい必要で、あなたもそ の一人になって欲しいだけ。それだけなのよ。私たち、なにも死ねだの殺せだのってヒド イ事は言わないよ?」 「お父さん……っ!」 「いい加減クビを縦に振って欲しいなぁ」 「しかし……悪の女王のためのお菓子作りというのは……」 「まあこっちとしては、ウソでもその場しのぎでもいいからとにかく「自分の意志でこち らに協力した」っていう事実があれば、あとは悪の女王様のお力でどうにでもなっちゃう んだけど。ほら、アニメ監督がツイッターでポロっと構想や設定漏らした瞬間に「言質と ったぞー!」みたいなお祭りになるじゃない、あんな感じかな? ねえカマリエ」 「はい。リリカ様のおっしゃる通りですわ」 無言で付き従っていたロングヘアの女が盲従の言葉を口にしながら一歩前へ出た。 微笑を浮かべる女は、ある種の踊り子に似たステップを披露して見せるのだが、あると ころで前触れなく地を蹴って爆発的に前進し、御主人が身動きするかしないかのうちに膝 蹴りからの踵を叩き込んだ。 「うぐあッ……!」 「体力を資本にお菓子をお作りになる職人さんは中々頑丈ですこと」 打撃により一メートルほど吹き飛ばされる御主人。 逞しさと格闘攻撃を捌けるかどうかは話が別。 御主人は立ちあがろうと試みるも、すぐさま直立することはできなかった。 「お父さん! ……あっ!?」 その隙に毒婦・カマリエは御主人の娘の背後に回って軽く抱きしめ、恐怖で硬直する少 女を子犬でも引っ張るようにやすやすと引きずり、幼女・リリカのもとへ持ち帰る。 痛みを忘れて反射的に御主人がカマリエに追いすがろうとするが、ここで初めて動きを 見せたローブの無個性集団に囲まれ阻まれる。さらに脚や拳に至るまで大人数でガッチリ 取り押さえられてしまい、それこそ首から上以外はほとんど身動きの取れない状態にされ ていた。 「あはは、いいよぉカマリエ」 「美希子ぉ!」 「ほほほほ、娘思いな御主人殿のことです。この子が痛がって泣き叫ぶのを見れば、親心 ゆえに必ず首を縦に振り、我らに下ること間違いございませんわ」 「何をするつもりだ!」 「まずこの子の真珠のように可愛らしい爪を一つ一つ剥いでしまいます。終わったら次は 指を金づちで一つ一つ潰してイチゴにしますわ。足の指も同じようにいたしましょう。は てさてそのあとは……お目めは二つありますから片方くらい無くとも構いませんわね…… わたくし、片目を外科処置によって取り出し、もう片方の目と向かい合わせるという生理 学神経学的実験にとても興味がありましてよ。被検体は「落ちる! 落ちる!」と騒ぎな がら発狂して死に至ると聞き及んでおりますので、とても楽しみですわ❤」 「ひいっ……!?」 「やっやめろおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!」 (え、カマリエそれホントにやりすぎ……口先だけだよね? ね?) 何か凄い展開になっていた。 「ああやってお菓子屋さんを脅し、惑わせ、連れ去っていき、このmayをおいしいお菓 子のない恐慌と絶望の世界に陥れるつもりか……わたしに戦いを挑むのね」 「奴らやることが汚えぜ!」 「ミコト、プリキュアに変身するわよ」 「し、しなきゃダメ? ザコはもちろんあの小娘や毒婦くらい拳で分からせればっ」 「ダメ。生き残る可能性が1%でも高まるなら何でもやるの。それに……」 「……そうだな。あの親娘を助けなきゃ」 「空中霊素固定装置:穹と霄……認証お願いします……」 「空中霊素固定装置:塔! 認証しやがれ!」 ここから―― 「「変身譜《メタモルフォーシス》!」」 アウナと美琴に淡い光が集まってゆく。 徐々に強くなる光に覆われて肉体、さらに衣服までもが輝きはじめ、一度光の渦となっ てから別のものへと再構築される! アウナの髪は大火となって燃え上がるがごとき紅に染まり、アメジストの瞳の奥には蒼 と朱の二つの炎が燈った。頭にはややくたびれた紫の三角帽子が乗っかり、大小のリボン やトランプのマークがあしらわれたフリルたっぷりのドレスが身体を包む。紫色のタイツ と鴉の濡れ羽色のヒールを装着したとき、アウナを包む光が霧散した。 美琴の髪は角度によってゴールドとヴァーミリオンの間をゆらめく輝かしいものに変わ ってゆく。その輝く髪にふんわりとフリルびっしりヘッドドレスが舞い降りた。首のアク セサリーがチョーカーと呼ぶにはいくぶん首輪じみているものの、そのアブノーマルさは 散りばめられたフリルで申し訳程度に誤魔化されている。しかし深刻なのは胴体衣服の方 である。美琴の胸に実ったふたつの果実を覆い収めるためのフリルで装飾された袋は、あ まりにも容積が危なっかしいもので、双乳それぞれのてっぺんにあるサクランボをなんと か収められるくらいの深さしかない。ただでさえ谷間が強調されているのに、みぞおちの あたりには下乳風に谷間を露出させるためのハート型の穴が開けられている始末。またス カート丈はいくら変身ヒロインとはいえ、あってはならないほど短く、静止した状態です らギリギリの状態だ。戦闘どころか日常的な動きをするだけでも中身を周囲に晒してしま いかねない。それでありながら二の腕から先、腿から先をまるきり隠してしまう黒基調の 手袋とソックスのため、鎖骨、胸周り、腿に残された肌の領域をますます強調してしまう 有様。いくらか髪に隠れているが、背中も大きく開けた扇情的なデザインのゴスロリメイ ド服である。 「ハズい!?」 ここまで1秒。 プリキュアに変身するやいなやアウナは地上ナナメ三十度の無音ホバーダッシュで六星 群の団体を飛び越え、体勢を変え、カマリエと呼ばれた女の首筋めがけて背後から完全な 不意打ちで蹴りかかった。 「つッ ぷええええええええええええええええええええええええええええッ!?」 想定外の方向から瀕死級の打撃を頂戴したカマリエは、その優雅な立ち居振る舞いをこ とごとく帳消しにしかねない、極めて醜い奇声を上げて地面を舐めさせられ、スライドし ながらのダウン状態に追い込まれた。 「だ、誰なの! もぉーいきなりとか最悪だからねっ!?」 ゴスロリ幼女が怒るので、アウナはツリ目できつくそちらを睨みつけた。 「愛と勇気の名のもとに……けがれなきハートに草花たちの祈りを集め貴様を殺す。わた しがキュアプラントだ」 捕まっていた娘を奪い返すことに成功する。 ただこれによって敵集団に囲まれてしまう形になるが、一刻を争う事態とあっては躊躇 はないのだ。今度は御主人が人質のような立ち位置になってしまうのだが、敵はまだ動揺 していて御主人を利用しようという考えに至っていない様子だ。 「キュアワルキューレ効果発動。ライトニングプラズマ……!」 美琴の技名詠唱とともに、何だか知らないがとにかく凄そうな閃光が迸る。 「しゃあっ!」 巨大怪物の鼻息にでも吹き飛ばされたかのような勢いで、ローブの集団がダース単位で まとめて空を舞わされた。 熟達した剣豪のごとき静かさで攻撃を放ち終えた美琴がアウナのそばに並び立つ。突っ 込んだアウナのフォローと掃討を兼ねて、敵の包囲に風穴を開けたのだ。やることは凄い が弩エロいコスプレのせいでやたら滑稽なのは秘密だ。 「ひぃ! 今度はこっちィ」 「あたしの名はキュアワルキューレ! つか、なんでもいいからくたばれ! オラ!」 当たり前だが、胸ポロ、パンチラ(パンモロ?)のたびにキャーキャー言って身を繕い 動きを止めていたのでは過酷なリアルファイト環境を制する事はできない。だから、自身 は岩のように動かず、風ひとつ立てることなく、スカートを乱すことすらなく一定範囲の 敵を超高速の拳で打つという必殺技、ライトニングプラズマを開眼したという。 「うう……くそぉ……アウナのは単にマジョレーヌちゃんの衣装だってのに、あたしのコ レは何なんだよ……」 「マドルチェ・マーマメイドじゃないの?」 「絶対これマーマメイドちゃん違う! ただのエロメイドコス!」 「それ、元々はノゾム曇らせ用に作られたものだと聞いたわ。そう……キュアメイドにな るのを泣いて拒んだノゾムが全部悪い……」 「ぬううう望のヤロォ~~~! ……って、望がプリキュアに(半ば強制的に)変身させ られてた時は、もっと大人しい感じのメイド服だっただろ」 「なら装置の製作者であるドクターフジヤマの意図によるものじゃないかしら」 「あんのセンセイは!」 「定めよ……」 どうでもいいことを喋っている間にも、美琴が放つ神速の暗殺拳とアウナの連続蹴り攻 撃により、群がる雑魚敵ことローブ集団・六星群は次々に狩られていった。 「こらあ! そんなオトコどうでもいいから私を守りなさいよおおおおおおっ!」 無慈悲に雑兵をボコるグラップラー×2を前にして、リリカと呼ばれていた幼女は早く も根を上げた。六星群はせっかく捕まえていた御主人を手放して慌ただしくリリカのもと へ集まろうとするが、その最中にも正義の使徒プリキュアによるモブキャラデストラクシ ョンが容赦なく実行されてゆく。 これといって人間らしい言葉を発することなく「キー!」と叫んで消えてゆく六星群の 妥当な雑魚らしさは、多少なり憐れさを催すものであった。 「今だアウナ!」 「とどめよ。我がスベリエ神拳により絶命しろ!」 お供のカマリエはぶっ飛ばされたあと復帰してコッソリ逃走してしまったので、いまリ リカに残っているのは下っ端の盾オンリー。しかも残機が少ない。ここぞとばかりにアウ ナは最速低空ダッシュでリリカに肉薄し、殺る気まんまんの拳をぶちこみにいく。 みんなの夢と希望に支えられた恐るべき気迫。 死兆の星の七つの影の経絡を断たんとする魔女の拳が空を切った。 刹那、リリカは死を覚悟したが…… 「ぬぅんッ!」 横から滑りこむように出現した頑強な何者かがその拳を掌で捕えて、さらには受け流し てしまう。 「なッ!?」 攻めの体勢が崩された。 「脆いのう、小娘。リリカ・ベーゼルン」 「月蓮!」 「何をまごついておる、そそくさと逃げ失せるがよいわ」 「くっ……」 やった! やった! やった! よかったぁ! まじ助かった!! そんな表情なのにリリカは礼のひとつも言わずにさっさと逃げていく。仲間同士であっ ても友好的な関係ではないらしい。 「滅びますぞぉー! mayは滅びますぞぉー!」 黒い僧衣に赤い袈裟の怪僧。血で染めたかのような色の数珠を手にする、超然とした不 吉な男・月蓮が町じゅうにこだまするほどの大声をあげた。 「なにごと?」 空間に生じた裂け目の中へ逃げ込むリリカをアウナは追おうとしなかった。本来ならい かなる隔離鯖へ逃げようとも食い下がって固めて崩し、スベリエ神拳・死ぬまでネックハ ンギングツリーの刑を実行するところである。 (この男、できる……) 静かな威圧感を醸し出すこの怪僧を知らんぷりして、矮小な逃亡者に構うなど二人には 出来なかったのだ。 だが、そんな二人の心を知ってか知らずか、月蓮はおもむろに眼前のプリキュア二人か ら視線を外す。 御主人が娘を抱きしめて庇う姿があった。 異常な敵を前にしながらもおもねる様子は無く、多少よろけてはいるがらきつく月蓮を 睨み返している。 「ホウ……どうしても悪の女王さまのためのお菓子は作れぬと? 小人風情がっ……おこ がましき極みよのう! ろくなお菓子も作れぬくせにッッッ!!」 怒号とともに凄まじい殺気が月蓮から放たれた。 アウナと美琴がいっそう警戒を強めるなか、ぶっ倒された六星群が折り重なった山に月 蓮がしずしずと登ってゆく。 そして天にその両手を掲げた。 「悪の女王・雨月沙希さま! われに御身のお力を貸し与え下さいませェ~ッ!」 とたんに今までとはケタ違いの濃さと禍々しさを含んだ暗雲がたちこめた。 現れるは闇色の尾をひく一筋の流れ星。 天の闇から一つところへと降り来る尊きものを、月蓮は掲げた両手で雫を掬うようにし て受け取った。 「ゆけい! リアリスト!」 暗黒の星から黒い稲妻がぞわぞわと湧き出てくる。 それらは月蓮に集まるでもプリキュアや御主人に襲いかかるでもなく、店頭に並ぶケー キへとうねりながら絡みついていった。 『リーアリィーストォー……!!』 冷蔵ガラスケースの中で座するクリームたっぷりお誕生日ケーキが蠢き…… 「うわぁっ! 今度は何なんだ!」 膨れ…… 「もう嫌ぁっ! お父さん! お父さぁんっ!」 喋り出す。 「リーアリィーストォォォォォォォー!!」 お誕生日ケーキのリアリスト・ストロベリー。明確な異形として起動したそれは、ガラ スケースを内から破砕して勢いよく外に飛び出した。 異形化してから発生したと思われる、目と口に見える明太子の飾り付けが、ピエロの顔 よろしくウネウネ動き、口笛で楽しげなスイートソングを奏ではじめた。外界に満ちる闇 の気を吸い、さらにワゴン車ほどの大きさに達する。いくつかあるケーキの段にはそれぞ れリグラス・リーパー、XENO、タイム・イーター、魂喰らいなどの砂糖細工が居座っ て不気味な笑い声をあげ、最上段には謎バニラのひとつ運命のろうそくが五つ突き立って いる。 「……もうあれはケーキじゃない。敵だわ。ボコスカ殴ってローソクの火を消すわよ」 そいつがフゥッと息を吹いたとき、衝撃波が迸る! ダイヤモンドのごとく輝くレコード状の氷のカッターが舞い飛ぶ! 体をクネクネと動かすと、何故か知らないが足元から間欠泉が噴き出す! 再び息をフゥッと吹いたなら、今度はこごえる風があたりを吹き抜ける! ジャンプして地面へ落下すると同時に地震まで起こる! 「だー! うぜえええー!」 「キュアプラント効果発動! 神速三段突きぃ!」 はじめの勢いはよかったものの、いい加減イヤになるスイートソングを歌い続けるケー キは、プリキュア二人の挟み撃ちの前に健闘むなしく崩れ去ってしまうのだった……。 急作りのバケモノと正義の変身ヒロインの間には常にこれだけの力の差があるというこ とである。 「ミコト、お願い! 今すぐあの二人を逃がして!」 「よっしゃ!」 「ぬう、逃がすではないぞ! 六星群・光、追えぇい!」 指示のもと六星群が親子めがけ人海戦術で押し寄せるが、美琴はそれを必殺技で見事に シャットアウトしながら親娘を連れてじりじりと撤退していった。数が数なのでしばらく 追われるだろうが、それらもまた美琴の力には敵うまい。 彼女の余裕に満ちた様子を見てアウナは安心し、あらためて敵対者と視線を合わせる。 「茶番は終わりよ。ゲツレン……だったかしら?」 なりゆきを冷たい視線で観察していた月蓮の体が一瞬こわばった。 アウナは直感的に、あの僧衣の下で月蓮が肉体を戦闘モードに変えたことを察した。 「どこまでも雨月沙希さまに刃向う小癪な娘ども。愛や希望などという言葉でお菓子の国 を背負った気になっている愚か者ども……!」 「黙れ。愛と希望を信じ善と勇気をたっとぶ正義の使者、それがプリキュアよ!」 「プリキュアめ! 此処で闘るかぁッ!」 「なにより、わたしに戦いを挑む者は根絶やしにしなきゃね……!」 灼熱と暗黒……相反しながらせめぎ合う天地創造の闘気がぶつかり合い、渦を巻く。 引き合い、吸い寄せられる風に、己と敵の二極は瞬間的に距離を縮めた。 月蓮の額に「滅」の文字が浮かび上がったのもその時である。 最速で放った拳同士が正面からぶつかった。 「だあああァっ! でやあっ! るアアアッ! カァッ!」 「ふん、ぬぅっ! ぬおああああああああっ! ぜりゃああああっ!」 すさまじい打撃音と咆哮が反響に反響を重ねてあたりを埋め尽くした。 頬に額に、腹に脛に、いくつも牽制攻撃を喰らいながら、アウナと月蓮はガードするこ とさえ忘れて勢いのまま殴り合い蹴り合い頭突き合う。 しかも、あまりに濃密で強力な闘気が絶え間なく身体から噴出するがために、闘争者た ちの体はさながら風の中にあるように浮かび上がったではないか。この現象により少なか らぬ身長差はあまり意味を為さなくなる。 「うおォりゃアアア!!」 持ち前の脳筋力で殴り合いを徐々に制圧しながらアウナは動作をさらに強め、露骨に急 所への一撃を狙ってゆく。雑魚相手ならともかく、達人同士の闘いの中でいきなり急所を 突くことは不可能だ。人体の中心線にある急所を狙うこれらの攻撃は、生存本能を刺激す ることで防御を意識させるためのものに過ぎない。 月蓮とて、さすがに致命的な攻撃を食らっても無視して戦い続けられるほどのバケモノ ではない。打撃を逸らすことができないと判断して、アウナの一撃を著しく硬質化させた 腕で防御し、やり過ごすことを狙う。 だがアウナは徹底的に攻めを続ける構えで、さらに激しく血の炎の闘気を漲らせ、無理 やり月蓮に迫っていった。 「ずうぇェああああああああああああああああああああああああああああァッ!」 キュアプラントの脚が大気のみならず空間をも切り裂く。 大上段から刀を振り下ろす風に、アウナは力任せの回し蹴りを月蓮の脳天めがけて打ち 下ろした。 「ぬゥん……!!」 「埋もれなさい」 迫り来た捨て身の空襲攻撃は完全に連続ヒット状態を作っていたから、悪手と知りなが らも月蓮はガードを続行せざるを得なかった。その衝撃たるや暗黒の闘気で浮き上がって いた体さえも一気に地表まで沈み、硬直を通り越してのけぞり倒れかけたほどだ。 ここでアウナは植物の蔦を使った体勢強制変更術《ロマンキャンセル》により、肉体へ かかる負担を無視して状況を最適化。 直後、急激な角度でホバーダッシュを実行する。 わざとホバーダッシュで敵の頭上行き過ぎることにより瞬時に敵の背に回り、そこで再 び自身の体勢を強制変更……敵の背後上空から一方的に攻撃できるというシチュエーショ ンを作り出した。 アウナの背に蝶の翅に似た形の、四色の翼が顕現する。 月蓮の視点からすると敵が一瞬のうちに消えたと錯覚してしまうところだ。しかし月蓮 も流石の剛の者であり、野性的な勘で即座に反応する。そして最大限の警戒をしながら後 ろを素早く振り向いた。 「羅アアアッ!!」 怪僧の頭部から頚部めがけ、プリキュアの容赦ないカカトミサイル連打が降り注ぐ。 刹那の対応が遅れたためにさらなる防戦を月蓮は強いられていた。 「コオオオオオオオ……ッ! ほろ苦さが! 足らぬわぁ!」 こままでは殺られる。 そこで月蓮はガードをぶち抜く五連打目が突きささる寸前、全身の活殺点から絶え間な く湧き出る闇の闘気を、自身が絶命しかねないほどに激しく溢れ出させることでアウナの 攻撃を遮断した。 一本のミサイルとなり迫るアウナの身体そのものを横に大きく逸らさせる。 「……脳天ブチ抜き損ねたか」 攻めの体勢がまたしても崩されたのだ。 「下らぬプリキュアめ。この曇天の雷雲を見よ。愛に正義などと……貴様が放ってきた言 葉の陳腐な甘ったるさに、悪の女王さまは大層お怒りになられておるのだ!」 「愛なき想いでお菓子を食べでも人の心は救われないわ! いい加減にして頂戴!」 「笑止!」 先刻の攻防で気力を大量消費したアウナに、今度は月蓮が迫ってゆく。 ただ月蓮とて無事ではない。五体満足でいるのが不思議なほどの猛攻を凌ぎ続け、挙げ 句に反撃のため気力の半分を消耗していた。 そんな状態でありながら、互いに正面から拳を組み合って、互いの手に爪を食い込ませ ながら絡ませ合う。 敵を圧倒しようとあらん限りの力で押し、ぶつかってゆく。 「ぐ、ぐ、ぐ、ぐぎぎぎぎぎぃぃ」 「ふん、ぬおおおおおお!」 悪魔的な力と命の激突。 魔女と魔人の殺し合いに地が割れ大気が振動していた。 腕力、闘気、根性、この場ではどれをとっても双方は互角だった。 お互いが相手を仕留めるために全力をぶつけ合い、意地でも退かない。 様相はいわゆる千日戦争へと突入する……かと思われた。 「――キュアアイス効果発動! 司法の鉄槌、グラキアレスインキュナビュラ!」 「――キュアブレード効果発動! 無限地獄の百万由旬、冥界叫恐打!」 月蓮の背後から、鋭利な薄氷を伴いながら槍のごとき巨大な氷柱が敵めがけて襲いかか っていく。同時に濃い紫の光彩を纏う巨大な刃が、突如として地よりせり出し月蓮を切り 裂こうと驀進した。 月蓮がアウナ一人にかかりきりになっているのをいいことに、声の主は死角から思いっ きり致死級の攻撃を仕掛けてきたのだ。 「何っ! ……フンッ!」 反撃の際に見せた闘気の爆発を月蓮は再びやってのけ、アウナとの力比べを切りぬけつ つ、二つの暴威を際どいところでかわしてみせた。 「レイカ! マヤ!」 「すみません。遅くなったようですね」 「アマゾネス女がブラックローズ女の窮地を伝えてきたから急いで来てやったぞ」 氷川玲華に終末ヶ岡馬耶。ともにアウナや美琴のクラスメイトであり、ショタ陣がプリ キュアをやるのを嫌がったために、押しつけられて正義の味方をやっていたりする。 玲華はマドルチェ・メッセンジェラート、馬耶はマドルチェ・シューバリエのコスプレ ……もとい戦闘衣装を身に纏い、キュアアイス、キュアブレードとして悪の手先をなぶり まくるのだ。 「――キュアアクセル効果発動! アクセルボンバー、どっっかぁーん!!」 押され気味になり思考を退却へ向け始めた月蓮に対し、またしても背後を突く攻撃を何 者かが加える。 「プリキュア……っ! グゥゥゥ!」 黒の紳士服を着こなし、両手に鎖鎌を持って虚空より突撃する少女から、月蓮はついに 手痛い一撃を貰ってしまう。 崩れかける身体に鞭打って、月蓮は無理やり飛びすさる。 「最近この鎖鎌が手になじみすぎて怖いんだけど……」 「ライカ!」 怪僧の隙を見事に突いて痛恨の一撃を与えた、マドルチェ・バトラスク姿の少女はライ カ・ラスポート。クラスは違うが愉快な仲間の一人である。 アウナという魔女と渡り合ってその攻撃力を知った月蓮にもはや驕りはない。四対一で はいくら悪の女王の加護があるといえど滅殺されかねないと判断する。実のところプリキ ュア複数が相手でも一人か二人ほど道連れにする方法はあるのだが、月蓮も確実に命を落 としてやっとという魔性の業であるため気は乗らなかった。 ただそれはアウナも同じこと。強引に追い込んでいけば最終的に数でまさるプリキュア 側が敵を滅ぼすにしても、この怪僧に奥の手などがあれば甚大な害を被るだろう。 それは少女たちの望む所ではない。 「プリキュアごときが、借り物とはいえ雨月沙希さまのお力と渡り合うというのか……」 「このわたしの命を縮めるもの、そしてmayを脅かし衰えさせるものはみな尽く滅ぶが いい。それだけがわたしの願いよ」 「貴様、名は」 「キュアプラントの草壁逢奈……アウナでいいわ」 「草壁ェ……!」 タイミングよく、月蓮の背後の空間に謎っぽい巨大な裂け目がはしる。 「おぉのれェ、草壁ぇぇぇぇぇぇぇッ――!」 捨て台詞を発するときだけ目を血走らせ、あらん限りの呪詛を込めて月蓮はアウナを睨 みつけた。直後に怪僧は次元の裂け目の向こうへと洗練されたバックステップで退却して ゆき、またいくらかもしないうちに裂け目が閉じる。 「……アウナでいいって言ってるのに……ブツブツ」 肌で知った、悪の女王とその手先という強大な敵。 いったい誰が弁償するの? と思うこの壊れかけた街並み。 問題は色々あるが、ひとまず事後処理は責任者(?)の藤山センセイにでも回すことに してプリキュアたちは変身を解き、肩を下ろす。 辺りが緩やかな空気に戻った。 「はぁ……わたしそろそろ帰るね。遅れると母さんに吊るされる……か……ら……?」 地面に転がっていた高校の鞄を拾って手に持ちつつ、何事もなかったかのように帰ろう とするアウナ。でも、そこで一つ非常に重大なことを思い出してしまう。 「あ……………………ケーキ、爆発しちゃってる。うん……吊るし確定ね」 美味しいお菓子がどこにもない。 アウナは絶望した。 つづかない