約 3,887,119 件
https://w.atwiki.jp/puzzlederby/pages/1384.html
セントライト(オス) 属性 副属性 タイプ 副タイプ レアリティ コスト 地 地 スピード 中距離 SL☆7 46 レベル スピード スタミナ 根性 適性(重/芝/ダート) 距離/ベスト 1 994 662 166 得意/得意/苦手 2,000m~3,000m/2,400m 99 4968 1987 497 スキル 地のエフェクト(2ターンの間、敵馬の精神力が0(全体)、2ターンの間、地ブロックの出現率アップ)/- Lスキル トリプルセントライト(3属性同時アタックでスピード3倍、5属性同時アタックの場合はスピード9倍)/- ☆6進化素材 皐月賞 日本ダービー 菊花賞 レジェンド像 レジェンド像 ☆7進化素材 レジェンド像 レジェンド像 レジェンド像 超レジェンド像 超レジェンド像 入手方法 イベント限定
https://w.atwiki.jp/byakumu2/pages/2532.html
作成者:佐鷹 名前:農場経営生徒会『イノセントファクトリー』 分類:個人生徒会 『超常の力を用いた農法の開発・研究』を目的として設立された個人生徒会。在籍者のほとんどが能力者あるいはモンスターだが、別に非能力者の会員が全くいないという訳ではない。 この生徒会の手によって開発された農法・農具(マジックアイテム)は少なくなく、その内の幾つかは特許化されていたりもする。 生産した農作物は学園のアトリエやナイツオブラウンドなどに安値で提供されており、それらの生徒会とはそれなりに良好な関係を築いている。 どういう訳か生徒会内のカップル率が高く、その為に割と頻繁に恋者の襲撃を受けているとか。 普段の活動内容は至極まともで周囲の評価も高いが、どういう訳か「品種改良」という名目でたまに行われる怪しげな実験の度に植物を素体にした全く新しいモンスターを生産しており(関係者の話を聞いた感じ、どうやら意図的にやったことではないらしいが…)、それが原因で学園全体を揺るがす大パニックが起きた事も多々あるそうな。 会長 蕪崎霧香 副会長 飛田竜也 顧問 澄良ルシア
https://w.atwiki.jp/mekameka/pages/529.html
スカイ・クロラ イノセン・テイセス バンダイナムコゲームズより2008.10.16発売のWii用ソフト 映画「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」を題材にしたフライトSTG
https://w.atwiki.jp/83452/pages/17912.html
<第二部・登場人物> 秋山澪……N女子大学一年生・第二部の主人公 田井中律……N女子大学一年生 ××……N女子大学一年生・律の友人の一人 曽我部恵……N女子大学二年生・律と澪の高校時代の生徒会長 平沢唯……N女子大学一年生 <第二部> 律と出会って、十か月が経った。 私はバスに乗った。 同じように乗っていく人たちは、大抵私と同じぐらい若い。 イヤホンを耳にしている女の子もいれば、友達と楽しそうに談笑している子たちもいる。 このバスは女子大行きだから、ほとんどの乗客は女の子だった。 おそらく大抵はN女子大の学生だろう。だけど案の定私と交流がある人はいない。 いや、いる方がおかしいんだ。 私は冷えた指先を撫でた。 席は空いていなかったので、仕方なく吊革に捕まる。 片手が吊革を掴むと手を温めることができないので厄介だ。 それも手袋を忘れてしまった今日に限って席が空いていないなんて。 今日の運勢は最悪かもしれなかった。 マフラーに顎をうずめる。お気に入りの白いマフラーだ。 もう冬を感じるようになって二か月余り。 暦は二月。 大学の講義にも慣れきって、友達がたった一人しかいないという状況にも慣れた。 今年度の手帳は埋まりつつあって、それとはもう一月ほどでお別れだ。 手帳にはいろいろお世話になった。 (……寒い) だけどこれでも、もう少しで冬は終わるんだ。 でも、まだ冬は長かった。 ■ 「そういや澪ー、試験の課題終わった?」 「どうした律。まさかまだ終わってないのか?」 私たちはいつもの窓際の席で昼食を食べていた。 律はいつもここの麺類は安いんだ言ってうどんだったり蕎麦だったりを食べていたけれど、今日はハンバーガーだった。 どうやら今月はあまりお金がないらしい。さては先週買ったあれか。 律はハンバーガーを手に持ったまま、ちょっと恥ずかしそうに目を逸らす。 「だってさー、フロアタム買ったんだから練習に気合が入っちゃって」 「私だってこの前ワウ買ったけど、課題はちゃんとしたぞ」 「なんでバンドメンバーいないのにワウなんだよ!」 「だって欲しかったし。律だってバンド組んですらないのにフロアタムなんて」 「し、仕方ないだろ欲しかったんだし。それでさあ澪」 「なんだ?」 「課題、手伝ってくれないかなーなんて……」 律がハンバーガーを置いて、合掌した。 私は別に怒っているわけじゃないのだけど、とりあえず泣き喚いて懇願してくる律の姿も見てみたい。 なによりここですぐに折れてしまうと私らしくはなかった。 昔はもっと単純だったんだけどなあ。 「自分でやらないと力がつかないぞ? テストもあるんだから」 「だって課題難しいじゃん。あの教授、問題集の答え配らないなんて」 「答え配ると答え写して提出するだけの人が増えちゃうからじゃないか? お前みたいにさ」 「失敬な! 一度でも答え見たことあるかよ私が」 「……ないけど」 「ほら見ろ! 澪がいれば答えなんて必要ないのさ」 「そこに誇ってどうすんだよ」 そんなやり取りをしていたら、私たちのテーブルに誰かが近づいてきた。 「二人とも仲いいわねー」 そう言ってやってきたのは、律の友達だった。 確か、××さんと言ったかな。 私も一応、その人の名前だけは知っていた。 律は彼女のことを友達だけどさん付けしていた。どうやらうまい呼び方がないらしい。 律が大学に入って最初に仲良くなったというグループのうちの一人である。 私は彼女……それでなくとも律以外の誰かとは全然仲良くなかった。 だから彼女が話しかけてきたと同時に、さっきまで律に対して威勢を放っていたくせに委縮した。 私は口を閉じて、両手を膝の上に揃えて俯いた。 「何? どうしたの?」 律がハンバーガーを食べながら、その××さんに問うた。 「秋山さんの前じゃあれだから、ちょっと来てくれないかな?」 私の名前が出たので、上を向いた。律はよくわからないという表情で、彼女に連れて行かれてしまった。 連れて行かれたといっても遠くではなく、私に会話が聞こえないぐらいの位置だった。 食堂のほぼ真ん中だ。 私に聞かれたらあれって、どういう意味だろう。 二人は固まって何やら話している。私は食事のことなんかすっかり忘れて、その様子だけを茫然と見つめていた。 律はなぜか照れるように後頭部を手で触っていた。 その様子を見ていて、なんだかズキズキした。 律と出会ってから、こういうことばっかりだな……。 私は箸を持って、すっかり冷めてしまった味噌汁を飲んだ。 ■ 「なんだったんだ、さっきの話?」 午後の講義へ行く途中の廊下で、私は尋ねた。 律は天井を見ながら唸った。 「んー……澪は特に関係ない、けど」 「でも気になるだろ」 気になるんじゃなくて、隠されているような気がして嫌だからだ。 律は私の目をチラッと一瞬だけ見て、唸った後言った。 「いや、なんか……友達の友達に食事に誘われたというか」 律の濁らすような言葉が、少しだけ胸に刺さった。 何かを誤魔化そうとしてるのかな。 「友達の友達? お前の友達じゃないのか?」 「会ったことない人らしいよ。なんか別の学科の人なんだけど……」 「なんでそんな会ったこともない人が食事に律を誘うんだ?」 「……」 律は黙った。 私は気になって仕方なくて。 だけどこれ以上深追いすると、なんか律に踏み込んでるように思われるかもしれなかった。 律が誤魔化すように言ったり、黙ったり間があったりするのは、私にその事を話したくないからなんじゃないのかって。 そんな風に思ってしまった。 だから、これ以上話をするのはやめようかと思った。 律が嫌なら、私はそれをしたくない。 出会ってからずっと、私は律に嫌われたくない一心で動いてきた気がする。 もちろん最近は少しばかり律に突っ込んで話するようにもなったし、律と訓練して言葉遣いも強くなった。 ちょっとだけ律をあしらってみたりでもできる。課題ぐらい自分でやれだとか。 そういう風に律に言えるようになったのは進歩だろうか。 だけどいつだって私は律に嫌われたくなんかないのだ。 「言いたくないなら、いいけど……」 「言っていいの?」 「私に教えられないようなこと?」 午後の講義に向かう人の波。その中にいる私たち二人。 律は、どこか辛そうな表情をしていた。何か良くないことがあったんだろうか。 でもさっき二人で昼食を食べていた時はそんなことなかった。 表情が後ろ暗くなったのは、やっぱり××さんに連れて行かれた後からだと思う。 何か嫌なことでも言われたのか。そんな様子はなかったのに。 「……じゃあ、言うよ」 「うん」 「……私のこと、好きな奴がいるんだって」 「――」 え? 突風が私を吹き抜けるように、冷たい感覚がまず頭を殴った。 それから、じわじわと心の中から水が溢れ出す様にモヤモヤし始める。 お腹のあたりがぐるぐる痛んで、もう頭も痛くなって。どこも痛いだけになった。 だけど、いたって冷静だった。 「そ、そうなんだ……なんて子?」 「理学部の子らしいけど……さっきも言ったけど会ったことはないし、名前も教えてくれないんだ。××さんと同じ高校だったんだって」 ××さんのことはよく知らないけど、私と律とは違う県出身だと言っていたような気がする。 だとすると、やっぱり私と律は『その子』のことを知らないことになるだろう。 「へ、へえ……そうなんだ」 ズキズキ。 「それで?」 「……その理学部の子がさ、今度のバレンタインに食事に誘いたいんだって私を」 律は今度は下を向いて、告げた。長い横髪が律の横顔を隠す。 つまり、その『理学部の子』は律が好き。 バレンタインに食事に誘いたい。 でも話しかけるのは恥ずかしい。 だから高校から一緒の友達である××さんに頼んで、律への気持ちを伝えてもらった……。 そして律とバレンタインに食事をすることも言伝たと。 そういうわけ、かな。 講義室に辿り着いて、私はドアを開けた。すでに何人か人はいたけど、みんな友達と談笑していて少しばかり騒がしさがある。 まだ一応お昼休みみたいなものだったし、見慣れた光景でもあった。 私と律はいつもの一番前の席に向かって歩む。 「で、なんでそれが私に聞かれちゃまずいんだ?」 「どういうこと?」 私は鞄を机の上に置いて、律に問うた。 「だって言ってたじゃないか。私の前だとあれだからって」 「あー……それは、あれじゃない? 色恋話だし……澪は一応関係ないし」 私はその一言が微妙にショックであった。 律の色恋話に私が無関係。 確かにそうだ。私はただ単に律の友達ってだけだし、家族でも幼馴染でもない。 だから律のプライベートな会話に入り込んだり割り込む権利や理由なんてものは存在しない。 そこは律が決めることだし、私がどうこう口出しする問題じゃないだろう。 じゃあなんでショックなんだ私。 さっきからキリキリと胸が痛むのはなんでだよ。 私は席について鞄を開けた。 律も隣に座る。 鞄の奥を見つめながら、私は言った。 「それで……受けたのか」 一番重要で、聞きたいのはそこだった。 「返答はまだいいってさ……私も、考えたいし」 律はいつになく憂いた表情でそう言った。 律のことを好きな誰かがいる。 それを聞いて律が舞い上がらないのが、せめてもの救いだった。 なんで、律が喜ばないのが救いなんだ? おかしいだろ。自分のこと好きって言ってくれたり、食事に誘ってくれたら喜んじゃうのは当たり前だろ。 律はたまたまそうじゃなかったけど、律のこと好きっていう子がいたら、律は……律は、ちょっとだけ嬉しいんじゃないのか? だけど私は微塵も嬉しくなんかないんだよ。 そこに私は、私自身に対して疑問を抱かずにはいられない。 なんでこんな気持ちになるんだよ。 律が、律を好きな子の誘いにすぐに乗っからなかった。 そこに、喜んでるだなんて……。 無性に、苛立った。 怖かったのかもしれない。 「……行けばいいだろ。せっかくなんだし」 私は、勢いでそう言ってしまった。 ここで行ってほしくないとは、言えなかった。 だけど。 「……本当にそう思ってるのか?」 律の、少しだけ低い声が返ってくる。 私はそれがあまりにも予想外の反応だったので、声をあげて律を見た。 「えっ?」 「……なんでもねーよ」 律はぷいっとそっぽを向いてしまった。 ……なんなんだよ。そうしたいのはこっちなのに。 でも、律は何にも悪いことしてない。 それなのに、なんだか律を責めたい。 13
https://w.atwiki.jp/alliance2000/pages/217.html
もう誰も住んでいない、白い色調の家の一室。 ベッドの上で、白髪の少女と黒髪の少女らしき人物が、並んで座って、静かにオルゴールの音色に耳を傾けていた。 「すてきな音色だね、ジャガー」 「そうね ステタル」 眠っているかのように首を傾け、互いに寄りかかり合うようにして、穏やかな顔つきでふたりは静かに瞳を閉じていた。 お互い、後ろ手にナイフを握ったまま。
https://w.atwiki.jp/83452/pages/17915.html
■ 次の日の講義と講義の合間の休みに、××さんがまたやってきた。 私たちはいつものように講義室の一番前の席に隣同士で座っていて、また何の起承転結もない他愛もない話をしていた頃だった。 ××さんと私は目が合って、微笑まれた。 だけど、すぐに視線は律の方へ向く。私は口を閉じたまま、二人を見ていた。 「りっちゃん、約束のお返事は?」 「あー……うん」 律は一瞬渋ったような苦笑いをして、また一瞬だけ私を見た。 なんだよ、何か言ってほしいのかよ。 私は目配せの意味が結局わからないまま、下を向いてしまった。 「……じゃあ、オッケーしといて」 ――! 「そう? あの子も喜ぶわ! じゃあそういうことでね」 ××さんはまた嬉しそうに走って行ってしまった。講義室を出て行ったということは、真っ先にその『理学部の子』に教えに行くのだろうか。 意中の律と食事ができますよって伝えに行くんだろうか。 嬉しいだろうなあその子。大好きな律がバレンタインを一緒に過ごしてくれるんだから……。 未だにモヤモヤする。 律と私は、数秒間固まったままだった。 先に沈黙を裂いたのは律だった。 「……これでいいかよ、澪」 「――えっ?」 「……やっぱりなんでもない」 しっかり聞こえてた。 これでいいかよって。 どういう意味だ。 律は少しだけ顔を染めて、口を尖らせている。 どういうこと? これでいいかって……。 いいか悪いかの判断なんて、私じゃないだろ? 私は、嫌だけど。 でも、嫌だって言ったって何も変わらない。 そうだよな……。 お互い『なんでもない』で、なあなあとしてる。 「……律は、その子の名前、まだ知らないんだろ?」 「知らないよ。理学部の子だとしか聞いてないんだ」 なんだそりゃ。食事に誘うのに、どうして名乗らないのだろう。 名前ぐらい知っててもいいんじゃないのか? 逆に名乗らない方が不自然だろう。 律も相手のことを『理学部の子』としか考えれないじゃないか。どういうことなんだ。 「まあ友達に食事のお誘いを頼むような人だから恥ずかしがり屋なんじゃないか? だから名前も教えないとか」 私がもし極度の恥ずかしがり屋でも、好きな人には名前を知っていてもらいたいと思うはずだ。 いやむしろ当日になるまで相手が自分の名前を知らないという状況はどう考えても不可思議だ。 世の中には私以上の恥ずかしがり屋が存在するのだろうか。 それこそ名前を好きな人に教えたくないぐらいの恥ずかしがり屋が。 釈然としないけど、でも今は胸が痛かった。 律と、律のことが好きな女の子が食事をする。 しかもバレンタインに。 「まあ、今はまだいいよ名前なんか。当日になればわかることだし」 律は不機嫌そうに、次の講義の準備を始めた。 どうでもいいか。 その時点で律は、あんまり相手に興味がなさそうだけど……。 律が相手に興味を持ってない? それを知っただけで胸の痛みが少しだけ収まったのは、なんでだろう。 ■ その日の講義が終わった後、講義室から律と並んで出た。 しかし同時に、廊下で律はまた××さんに呼び止められて連れて行かれてしまった。 律が連れて行かれた先にいるのは、××さんを含む『律が大学で最初に友達になった数人』のグループだった。 律はその友達数人に囲まれて、何やら話している。 私と出会う前に、あの人たちは律と友達になったんだ。 ……いつからだろう。律が誰かと仲良くしてるのを見て、胸が痛むようになったのは。 律が私以外の誰かに笑顔を許したり、私が知らない思い出を律が語る時。 どうしようもなく寂しくて、悲しくなってしまったのはいつからだろう。 いつからって、初めて律の家に泊まった後ぐらいからかな。 あの時はまだ、全然こんな口調じゃなかった。 でも半年ぐらいずっと律の真似をしたりして、口調だけは自信に満ちたようになった。 それは律の前でしか出せないけれど。でもお互い音楽をやり始めて、もっと距離が近くなって……。 私は、律しか友達がいないから。 だから、余計に嫉妬してるのかな。 律に。 (……馬鹿澪) 私は爪先で床をトントンと叩いた。 少しして律が戻ってくると、申し訳なさそうに言った。 「待たせてごめん澪……なんか、みんなにカラオケ誘われた」 「えっ……いつ?」 「いや、今からだけど。それでさ、澪も行かない?」 カラオケ? 私も行かないかって、冷やかしかよ。 私が人前でそんな目立ったことできるわけないだろ。律の前ならまだしも……人の視線だって怖いし。 「行かない……」 「……そっか。わかった」 律はちょっと残念そうな顔をして、友達の元に戻った。 人前で歌うなんて、怖すぎる。下手な歌歌って目立ちたくなんかない。 それにあのメンバーで行ったって、どう考えても私は浮く。 そんな気まずい中カラオケに行ったって、皆が歌ってるのを座って聞いてるだけしかできない。 律は、どうせ行くんだろうな。 カラオケなんて私以外と何度も行ったことがあるだろうしさ。 ……まただ。 またこれだ。 やめろ、私をもう痛くしないでくれ。 頭の中に、律が私以外の人と仲良くしている姿が再生される。 楽しそうに、嬉しそうに、幸せそうに……私じゃない誰かと。 一緒にカラオケ行ったり、お祭りに皆で出かけたりしたんだろうな。 律ぐらい友達が多いとそれぐらい普通だ。 普通だって。 律なら、そんなの普通だって。 わかってるのに! 誰かと仲良くしてるのを、考えるのが怖い。 私の初めての友達。 そんな律にとって、私は初めての友達じゃないんだ。 私の知らない律の記憶があるんだ。 律はもう、私を特別だとは――……。 「澪、帰ろうぜ」 その声で、我に返った。 「えっ……?」 「何? いや、帰ろうぜって」 「……カラオケは?」 「断ってきたよ」 律はそれがどうしたの? 何か問題でもあるの? と言いたげに目を白黒させる。 驚いているのはこっちだ。さっきまで行きそうな雰囲気だったじゃないか。 「な、なんで断ったんだよ」 断ってくれて、ありがとうと素直に言えばいいだろ。 でもそれはいいことじゃないから。 私が問うと、律は少しも考えずに即答した。 「だって、澪がいないとつまんないし」 律は白い歯を見せて、笑った。 「澪を一人にしたら悲しんじゃうだろうしなー」 「そ、そんなわけ……」 ある。 「まあ仮にそうでも、澪を放って遊びに行くなんてできないよ」 「だったら……」 言うな、私。 「だったらなんで、食事会には行くんだ」 律の顔が、また表情を失くした。 私は自分をなんとか抑えようとしているのに、抑えきれなかった。 律は、額に手を当てて言った。 「……私のこと好きだって言ってくれる人がいて、その人と食事をするとかは…… そこに行くのは遊びじゃないし、カラオケとはまた違うだろ」 「でも……」 私を一人にしたら、悲しんじゃうだろって言ったのは律だろ! 今まさにそう言ったじゃないか! なんでそこまで言ってくれるのに、食事会は断らないんだよ! とは叫べなかった。 私の中の爆発しそうな感情は、廊下という公共の場であることで『目立ちたくない』という反発が働き現れなかった。 もしここが誰もいない、律と二人っきりの場所だったら、そうやって怒鳴りつけていたかもしれない。 言えない自分。 そこに、恐怖がある。 「……第一、行けばいいだろって最初に行ったのは澪じゃん」 律は目を逸らした。 あの一言は、本当に軽い気持ちで言ってしまった。 私はそれを、後悔しているのに。 律は、それを覚えていたのか。 なんてことしたんだ、私は。 本当は、言ってほしくなんかないのに。 なんで、あんなこと。 「そ、そうだけど……」 「……澪は、私に何を言いたいんだよ」 「――」 律は、悲しいような寂しいような。 でも怒っているような。 そんな複雑そうな表情をして。 私は。 「……ごめん」 「何を謝ってるかわかんねーぞ。ほら、行こうぜ」 立ち直ったように笑った律。 私は廊下を歩き出した律に、暗い顔をしてついて行くだけしかできなかった。 その日も、律の家でセッションして帰った。 『澪は私に何を言いたいんだよ』――。 私は律に、何を言いたいんだ。 もう自分が一番わからないよ。 こんな気持ちになるの初めてだから、わからないよ。 律を見てると胸が苦しいのも、律が誰かと仲良くしてるのを見てると苦しいのも。 律ともっと早く出会いたかったって後悔みたいな気持ちも。 律がカラオケを断って私といてくれた時の、ほっこりした暖かい気持ちも。 全部全部、初めてなんだよ! だからわからないよ。 何を言いたいのか。 この痛みや、暖かさが、いったい何なのか。 私が一番知りたいよ。 教えてよ。 律のことずっと考えてて。 律のこと考えると胸が一杯になる理由を。 律が他人と仲良くしてると、また胸が痛い理由も。 律と一緒にいると、どうしようもなく幸せだって感じる理由も。 わからないんだ。 私は律に、何を言いたいのだろう。 ■ 2月9日 晴れ 澪が最近よくわからない。 私は澪と一緒が良かったから、カラオケには行かなかった そしたら澪は、なんで食事会は断らなかったんだと言ったんだ。 行けばって最初に言ったのは澪なのに。 もし少しでも行ってほしくないと思ってくれてるのなら、嬉しいけど。 でも実際にそれを口に出してくれないのはどうしてなんだろう。 もしそう言ってくれれば、簡単に断ってくるのに。 私は澪が、一番大事だって思ってるのに。 16
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/33984.html
《小(ちい)さな激王伝(げきおうでん) ゲット・アラン・イノセン》 小さな激王伝 ゲット・アラン・イノセン P 闇/火/自然文明 (5) クリーチャー:ヒューマノイド/ダークロード/ビーストフォーク/チルドレン 4000 ■パワーアタッカー+1000 ■どんな種族の進化クリーチャーを、このクリーチャーの上に置いてもよい。 ■このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分の山札を見る。その中から、このクリーチャーと同じ文明を1つでも持つコスト4以下の進化でないクリーチャーを1体、バトルゾーンに出し、山札をシャッフルする。その後、相手は自分自身のクリーチャーを1体破壊する。 作者:げげろ 概要 知る人ぞ知るデュエマの外伝漫画作品「D・M激王伝 ゲット」に登場した 「ゲット(小さな勇者ゲット)」「アラン(薔薇公爵ハザリア)」「イノセン(無垢の宝剣)」の3人をまとめてクリーチャー化したカード。 ブラックボックスか20周年の時にカード化されて欲しかったよぉ.... cipの踏み倒し能力で上記3人の元になったクリーチャー以外にも、 「爆炎野郎ジョー」「緑神龍ガミラタール」「腐敗勇騎ドルマークス」「機動賢者キーン」「勇猛幻風グリタリス」といった、 作中に登場した様々なクリーチャーを呼び寄せる事も可能。(かなりマニアックなファンデッキと化す。) 関連カード 同じく外伝漫画作品を元にしたカード 【D・Mファイター焔】 《一撃の勇者たち メンテ・ビトレイヤル・ホノオ》 評価 選択肢 投票 実際に紙で使いたい (2) 使ってみると楽しいかも (0) あっても無くても良いや (0) ぶっちゃけ要らない (0) コメント欄 アカシックもいたらよかったけど文明がなぁ -- アズライト (2021-08-06 23 57 28) 4文明持ちのクリーチャーがいないのとアカシック本体に相当するクリーチャーがいないので省いちゃいました。ただサードとセカンドはcipで呼び出せますね -- げげろ (2021-08-07 12 04 19) 一応4色自体はサイキックリンクに居るんですけどね…あれは特殊だから…水入っててコスト6まで出せたら… -- アズライト (2021-08-07 12 55 54) 単純に性能壊れになっちゃう気がしてコスト抑えたんですよねぇ... 現代デュエマ知識に乏しいのでcipの破壊や自由進化と噛ませて色々悪用されそう... -- げげろ (2021-08-07 16 14 53) 6まで出せたら全盛期のアクア・マスターさんが呼べたんですよね…あと出せるのが「カード」だとファイアーブレードも出せたり -- アズライト (2021-08-07 21 35 34) つい先日にまさかのゲット・アラン(ハザリア)の友情の再会が成されたカードが出たので驚いてます。連載から15年以上経った作品の描写がいきなり実装されるのエモ過ぎて..... -- げげろ (2021-09-06 21 36 52) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nakasan1009/pages/14.html
全国各地にあるベストライフの老人ホーム。ここでは、全国各地にある施設から、各施設ごとに施設を1か所ピックアップ。内観・外観を撮影した写真を紹介しています。 はじめに 高齢になると身体状況の変化が顕著になります。 足が上がらないから階段を上ることができない。かたいものが食べられない。他にも庭の雑草むしりや掃除などの家事も、身体能力や体力の低下により難しくなってきます。 リフォームや建て替えなども可能ですが、不便な場所に住んでいると通院が不便だったり買い物難民になることも。 在宅での見守り介護や家事代行・配色サービスなどを利用も難しくなってきたとき、それらの悩みを解決するための方法が施設転居です。 老人ホームの施設の設備は、居住空間にある転倒や怪我のリスクを排除してあります。 ここではベストライフが運営している「ナーシングホーム」「介護付有料老人ホーム」「リハビリケアホーム」という3種類の施設ごとの、居室設備と共用設備を紹介します。 必要な施設・設備 ナーシングホームとは、心身に障害がある高齢者に対して、介護だけではなく必要なリハビリ・医療を提供する施設のことです。 医師もしくは看護師が常駐していることが施設の条件となっていますが、日本ではまだ明確な基準は設けられていません。欧米では明確な入居資格基準が設けられており、かつ医師の診断によって入退院や入院期間が定められます。 介護付有料老人ホームとは、入浴や排せつ・食事といった生活活動の介護、その他の世話・機能訓練を行う施設のことです。 一般形特定施設入居者生活介護事業所ともいいます。都道府県介護保険事業支援計画で定めている(1)人員基準(2)設備基準(3)運営基準を満たしていなければ、運営することはできません。 リハビリケアホームとは、リハビリや認知症介護を目的とした施設です。 生活介護ではなくリハビリを目的としているため、入所期間が設定されているのが特徴です。こちらも明確な指定基準は設定されていません。 (参考情報) 特定施設入居者生活介護事業者の指定基準(老人ホーム、ケアハウス) ベストライフ 施設写真紹介 随時更新予定です
https://w.atwiki.jp/83452/pages/17913.html
■ 「あ、曽我部さんじゃないかあれ」 その日の講義が終わって廊下を歩いていると、律が声を上げた。 視線の先には、桜ケ丘高校時代に生徒会長をやっていた曽我部さんが確かにいた。 相変わらずだと思うけど、私が高校時代に先輩を見た時より数段綺麗になっている印象だった。 大学生ってこんなにも変わるものなのかな。私はまったく変わっていないなあ。 すれ違い様に、二人は立ち止まった。 「あら、田井中さん」 「どーもっす」 律は知り合いなのか。 そう突っ込もうとするけど、人前だから言えなかった。 「澪は知ってるよな。生徒会長やってた曽我部さんだよ」 「……こんにちは」 初対面の人との会話は本当に弱い私だ。 律以外は大抵初対面になるのだけど、人見知りはほとんど直っていない。 少しぐらいそういうの直せるかもと期待して律の口調を真似る特訓を二人で半年ほどしたけど、結局似たような口調になるだけで性格は直らなかった。 しかもその口調を使えるのは律の前だけで、他の人には敬語で接してしまう。 初対面の曽我部さん。私は委縮して緊張した。 でも、一応挨拶だけはできたぞというわずかな達成感はあった。 それだけで達成感なんて本当に弱い。 「こんにちは。えっと……?」 曽我部さんは言いながら首を傾げた。 私の名前がわからない、のだと思う。曽我部さんは律を見た。 律は私を見て一瞬呆れると、私の肩に手を置いた。 「こっちは秋山澪です。私たちと同じ桜高だったんですよ」 「そうなの。じゃあ私の後輩ってわけね」 「……」 喋りたいのに喋れない背徳感。 それは律と出会った最初の頃からひしひしと感じていた。私は喋りたくないわけじゃないんだ。だけど喋りたくなんかないんだ。 私が喋ったって、どうせおどおどして途切れ途切れで……相手に迷惑を掛けちゃうだけだから。 だから極力あんまり話したくないといつも決めているのに。 曽我部さんは私に何も言わずに、律に話しかけた。 「どう? もうすぐテストみたいだけど」 「え? は、はい。まあなんとかやれてますよ」 律は取り繕うような笑いを見せた。 嘘つけ。さっきまで私に困ったように懇願してきたくせに……。 私は苛立ちを感じずにはいられなかった。 「おーい恵! サークル遅れるよ!」 先を歩いていた曽我部さんの友達が、声を上げた。 「あ、ごめーん! それじゃあ二人とも。またね」 「お疲れ様ですー」 律は駆けていく曽我部さんの後ろ姿にそう言った。 私はなんだかそわそわして落ち着かなくなって、何も言わずに胸の前で手を握りしめていた。 初対面とはつくづく相性は悪く、結局変われていない自分の情けなさを痛感するばかりだ。 「はあー、すげーな大学生って」 「……うん」 「大学入って二年であんなに変わるのかねー」 「律は、大学入る前の曽我部さんを知ってるのか?」 知っているかのような口ぶりの律に、私は聞くしかなかった。 律は両手を後頭部に回して、呑気に返す。 「私バスケ部の部長だって話はしたじゃん? だから会議とかで生徒会室とかに行く機会があったんだけど、その時に知り合いになったんだよ」 「あ、そう……」 バスケ部の部長、か。 その話は会った時からよくする。律は快活で元気な、運動神経のよい女の子だ。 バスケをする姿はよく映えるだろう。部長になっても不思議じゃない。 となると部長会議なんかに出てても普通だから、その関係で曽我部さんと知り合いになったんだな。 「私は全然変わってないよなあ、一年なのに」 「そうだな」 「澪は変わったけどな。口調なんて、四月と比べるとさ」 律は無邪気に白い歯を見せる。 もう曽我部さんの話題は終わったのに、なぜかモヤモヤは尾を引いた。 心の中の私は、なんとか振り切って律の言葉についていく。 「口調だけしか変わってないけどな……」 「それでも、強そうに見えるよ」 「見えるだけで、中身は……」 「でも少なくとも、私に対しては前よりも自信持ってくれるじゃん」 それは律に、心を許しているからだ。 律は私を、どんどん崩していく。 今まで頑なに誰かと一緒にいることを拒み続けて、逃げて逃げて逃げまくった私を簡単に捕まえて。 優しい笑顔で、ずっと話しかけてきたのだ。 それが私にとって最初は大変でも、いつからかそれだけが安らぎに変わっていて。 律にだけ、私は……――。 「それより、帰ろうぜ」 「この後は何するんだ?」 「とりあえずセッションだけしない?」 講義を終えてから、律の家で一時間ほど楽器をつつく。 それで六時くらいになって、私はやっと家に帰るのだった。 それが去年の十月ぐらいから続いていた。 「ああ」 ただ今日は、ちょっとだけ乗り気になれなかった。 律のことを好きな子が理学部にいて、その子が律を食事に誘ったこと。 それがバレンタインの日だということ。 私以外の人と、律が以前より知り合いだったこと。 律には、私よりもたくさんの友達がいること。 いろんなことが、引っかかりすぎている。 「行こっか」 「……うん」 こんなこと、なかったのに。 最近律を意識することが、顕著になってきた。 それは。 どういうことか、よくわからないけど。 ■ 私はベースを買った。 この十カ月、私はいつも律と一緒にいて、律といろんなものを共有して……好きなものまで一緒になって。 結局楽器を始めることになったのだ。 初めて律の家に遊びに行った時、律にザ・フーというバンドのDVDを見せてもらった。 その時、ちょっとだけ興味を持った。 それ以前から少しだけ音楽のことに興味を持っていたけど、結局何もしていなかった。 だから、律が音楽が好きだと知って、私も何かやろうかなって思い出したように考えたんだ。 こっそり律の音楽雑誌を読んで私も楽器をやろうと思った。 でもギターはなんか目立つから嫌だった。だから悩んだ末にベースを購入したのだ。 私もベースやろうかな、と言った時の律の喜びようと言ったら……。 私の名前を何度も呼んで、抱きついてきた。 あの時の律は、どこか変だった。 喜んでくれるかと思ったけど、律は泣いたのだ。 それがよくわからなかった。 律の部屋で、セッションをした。 あいにくバンドを組んでいない……というか元よりバンドを組むつもりはさらさらなかったので、二人だけでずっと演奏するのが普通だった。 ベースとドラムはリズム隊という一つの括りなので、一応はセッションが可能だった。 『ベースとドラムは一括り』というのは、なんとなく嬉しかった。 律はというと、あまり盛大にドラムを弾けないのが悩みだった。 「隣に迷惑なんだよなあ……音がすごいから」 「ベースも同じだよ。まあただのアパートでセッションすること自体いろいろと間違いなんだけど……」 律も私も、住んでいるアパートは防音で楽器は持ち込み大丈夫の物件だったが、しかし少しは音は漏れる。 ベースもドラムも音はすごい。だから、思いっきり楽器を弾くことはできなかった。特にドラム。 律はドラムセットのシンバルに触れた。私はベースを担いだまま立っていて、その律の様子を見ていた。 「はあ……やっぱり、軽音サークルに入ったほうがいいのかなあ」 律が溜め息混じりにそう言った。 一瞬喉が詰まった。 「サークル……」 無意識にそう呟いていた。 「澪?」 名前を呼ばれたけど、私は反応できなかった。 サークルに入れば、思いっきり演奏はできるだろう。 防音がされているとはいえアパートの一室でアンプに繋げてベースを鳴らすのも、勢いよくドラムを叩くのにも限界はある。 他の住民の方に迷惑だし、何より目立つ。 だから、サークルに入れば思う存分演奏はできる。 それはいいことだろう。 でも、私は釈然としなかった。 サークルに入るなんて……。 すでに出来上がっているサークルの輪。どのくらい人数がいるのかわからないけれど、でもすでに四月から十カ月だ。 もうメンバーは仲良くなっているだろう。 そんなすでに出来上がっている仲良しサークルに、今更入るなんてことは私にとって怖くてたまらなかった。 ただでさえ人と話すの苦手なのに、サークルだなんて。 しかもすでに出来上がった仲良しの中に入り込むなんて。 頭の中でサークルに入った私を想像してみる。 でもどうやったってオロオロして、どぎまぎして、律の傍にずっといて……話しかけられたって全然会話は繋がらなくて。 それで皆に呆れられて、嫌な思いさせて、それで一人になっちゃうんだ。 律も、私を放ってサークルの人と――。 律? 律は私と違って、明るくて、友達を簡単に作れて……。 律がサークルの人たちと仲良くやっている姿が浮かんでくる。 そして、私は、遠くからそれを眺めてて……。 それが頭で再生されると、胸が一杯になった。 (……律に嫉妬してるのかな) 私なんかと真逆で、太陽みたいに明るくて、皆を笑顔にする。 だから、律のことを好きな子がいたって不思議じゃない。 律が誰かと仲良くしたりする姿を想像したり、実際律が誰かと仲良さそうにしたり……私にはできないことを平気で律はやってのける。 私はそんな律が、羨ましいと思っているのかもしれない。 だから、こんなにも痛いんだ。 「澪、どうかしたのか?」 律が私に声を掛けた。 私の気持ちも知らないで、呑気に構えて。 なんだよ……。 「なんでもないよ……今日は終わりにしよう」 私はベースを下した。 律は私を見て怪訝な顔をするけど、そうだなと返して立ち上がった。 ■ 夜、律と電話した。 結局律が誘われたバレンタインのお食事会の話題になった。 私は布団に寝転んで、律の声に耳を傾ける。 「食事会、どうしようかな」 「なんでそれを私に言うんだ? 律が自分で決めればいいだろ」 「そうだけど、でも……澪なら、どうする?」 考えてもみない質問だった。 私が律なら、どうするのだろう。 私のことを好きだと言ってくれる子がいて、その子が一緒に食事しませんかと誘ってくる。 でも、どうなんだろう。私は律と一緒にいたいから、断ってしまうかもしれない。 だけどその子の気持ちもありがたいと思ってしまうかも。 いや、私は何を言ってるんだ。 律と一緒にいたいからってのはおかしいだろ。今私は『私が律だったら』の例えを考えているんだ。 私が律だったとしたらの話だ。それなのに律と一緒にいたいからってのはおかしい。 律が二人いることになってしまう。 だとすれば、逃げる理由がなくなる。 だって私が律なら……。 私が律なら、澪と一緒にいたいから断るなんて選択肢はないんじゃないか。 だって律は、友達がたくさんいて。 私みたいに、『律だけ』っていうのがないから。 律は私を特別な奴だと思っていないんじゃないのか。 それが怖くて仕方がない。 随分前に、私のことを特別だと言ってくれた律。 でも、それが今でも続いてるのか。 そう考えると、律じゃない私は何も言えない。 「おい澪ー、寝るなよ」 「寝てないよ」 「じゃあ答えろって。澪ならどうするの?」 私が今ここで何を言えば、律はその子の元へ行かないのだろう。 食事会を断る選択に律を導くことができるんだ? ……馬鹿澪。 そこは律が決めることだって自分で言っておいて。 結局、律のことが好きだというその子の恋路を邪魔しようとしてる。 行けばいいだろって、昼間は言ったくせに。 そう言って、律がそうするって言わなくてよかった。 私は私の発言が一番わけがわからない。 律に断ってほしい。その子との食事を。 そう言うのは、間違いなのかな。 でも、そうしたいんだ。 律に、そっちに行って欲しくないんだ。 「断る、かな」 「……そうか。じゃあ私は、どうしようかな」 律は普通の、波のない普通の声で言った。 私は自分の馬鹿さ加減に呆れる通り越して怒りが高まってきた。 自分勝手すぎるよ私。 私は居た堪れなくなって……本当はもうこれ以上この話はしたくなくて。 何より律がこの話題のことを考えているという事実から目を背けたくて。 「そんなことより、課題やりなよ」 「そうだった! じゃあ、電話切るな。また明日」 「ああ……」 私は携帯を枕に叩きつけた。 ……もう、胸が痛くなるばっかりだ。 私はどうにか時間が痛みを消してくれることを願って、さっさと寝た。 私は、どうしたんだ。 律と一緒にいたら、私は変になってるんだ。 律が誰かと仲良くなること。 律とすでに仲のいい誰かがいること。 律のことを好きな誰かがいること。 ……私は、そんな律に嫉妬しているかもしれないこと。 ああもういいや、寝ちゃおう。 そうすれば、また明日律に会えるんだから。 こんな痛みとも、お別れできるはずなんだから。 14
https://w.atwiki.jp/83452/pages/17917.html
「澪、昨日からなんかおかしい」 律の顔は見えないまま、律は静かにそう言った。 「……食事会はなんで断らなかったんだとか。昨日から言ってること、よくわかんないとこがあるし。 今日もさっきから、なんか変だしさ」 律の声は、さっきよりも明るくなくて、だんだん細くなっていった。 私たちの足音は、廊下に共鳴している。 少しの沈黙。 痛い沈黙。 私はどうすればいいんだ。 まだ胸の高鳴りが収まらないんだよ。 が。 「こっちを見ろ澪ー!」 律はあろうことか私の肩を掴み、無理やりこちらを向かせたのだ。 ドラマで見た、キスする直前みたいに。 律は私の両肩にそれぞれ手を置いて。 まじまじと私の顔を見た。 「別に変なとこないぞ……?」 律はどうやら、やっぱり私の顔に怪我か何かしたからそっぽを向いていると思ったようだった。 さっき違うって否定しただろ。信じてなかったのかよ。 それよりも。 律の顔が、目の前にある。 目の前に。 綺麗な瞳が、無邪気な顔が。 目の前に。 『りっちゃんの事、好き?』 『恋愛感情としての、好きかってことよ?』――。 頭の中で、火花が散った。 やめて。 もう、私を変にしないで。 心臓が跳ね上がったり、顔が熱くなったり。 なんでそんなことになるの? 私、どうしちゃんだんだろう。 何にもわからないくらい、体中が熱いよ。 律を見てると、胸が痛いよ。 でも、それと同じくらい胸がいっぱいになって。 一人で帰ったって、夜になっても。 ずっとずっと律の事考えてる。 おかしいんだ。 どうなっちゃったんだ。 律律律律って。 もうずっと律の事ばっかりで。 体がうずうずして、落ち着かなくなったり。 律が、私以外の人と仲良くしてるの見て、怖くなったり。 律のことばっかりで。 私は、律を弾き飛ばした。 勢いよく律を押し飛ばしたから、律は床に尻餅をついてしまう。 私は、もう沸騰してしまいそうな顔を隠すために。 そして、この高鳴りすぎて爆発しそうな心臓を止めるために。 何より私の『変』を止めるために。 駆け出した。 やめて。 もう私を変にしないで。 律は追ってこなかった。 私は初めて、講義をさぼった。 これが、 恋愛感情? ■ 2月10日 くもり どういうわけかよくわからないけど、澪に突き飛ばされた。 澪はすっごく赤い顔をしていて、泣きそうな顔もしていた。 それからどこかに走って行ってしまって、講義には来なかった。 私はよくわからないまま、ずっといつもの席で一人で講義を受けた。 入学して最初のメンバーも、澪はどうしたって聞いてきて。 私はわからないと言った。メンバーは、そっとしておいてくれた。 その日は、いつもより全然講義が頭に入らなかった。 私は澪に、何かしたんだろうか。 やっぱり食事会を断った方がいいんじゃないか。 そう思って××さんにやっぱり断ると言ったら、もう場所を予約しているらしい。 もう私は、私を好きだと言ってくれる子と食事をするしかなかった。 後悔した。その子には、申し訳ないけれど。 澪がそのことに怒っているのなら、謝らなきゃいけなかった。 メールしたけど、返事はなかった。電話も出なかった。 寂しかった。 早く気付けよな澪も。 私の気持ちぐらいさあ。 寂しいよ、澪。 ■ 私はサボったその日、すぐに家に帰って寝ていた。 家に帰ってきたのが午前九時半で、今は午後十時だった。 どうやらまるまる十二時間は寝ていたみたいだった。 お昼御飯も晩御飯も食べていない。 だけど全然食欲はなく、頭には律の顔が浮かんでいた。 (……律) 律。 私の、初めての友達。 今まで誰とも友達にならなかった、そしてなれなかった私にとって、初めての。 初めてあんなに人と話した。 初めて家族じゃない人とご飯を食べた。 一緒に授業を受けた。 一緒に買い物にも行った。 お互いの誕生日を祝った。 クリスマスも一緒にいて。 冬休みは、同じ地方だって知ってたから一緒に帰って。 それで、実家も近くだったから一緒に遊んで。 年越しも一緒で。 初詣も。 ずっと。 この一年ずっと、ずっと一緒だった。 律は友達がたくさんいるのに、いつも私と一緒にいてくれた。 私は律しか友達がいない。 律はたくさん友達がいる。 だけど律は、私といることを選んでくれた。 律は、私の寂しさを知っていたかもしれない。 知らなかったのかもしれない。 律が私じゃない誰かと一緒にいることが、私は嫌なのだと。 それを律が知ってたから、私と一緒にいてくれたのかもしれない。 そうじゃないのかもしれない。 でも、どっちでもいい。 律は私と一緒にいた。 どんな時も、一緒にいたんだよ。 だから、一緒にいられないのも怖いんだよ。 律のことを好きだと言っている、その子と食事をするって聞いて。 怖くて。 一緒にバレンタインを過ごせないのかなって、怖くて。 そしてもしかしたら。 律が私を放って、その子のところに行っちゃうんじゃないかって。 怖いんだ。 平沢さんと律が話してる場面に出くわした時、怖くなった。 律が曽我部さんと元々知り合いだったと知った時、痛くなった。 律が誰かと一緒にいたりすることを想像する時、震えた。 私は、律に嫉妬してるんじゃない。 律と一緒にいる、私以外の誰かに嫉妬してたんだ……。 だけど律と一緒にいるのは、楽しいんだ。 話してるのは、楽しい。 だけど、それだけじゃなくて。 最近は律といたら、恥ずかしくって。 律の事見てると、可愛いなって思ったり。 律の体を変に意識しちゃったり。 エッチなこと考えたり。 笑ってくれたりすると、私はドキドキしてしまう。 律の隣にいて、一緒にいて、ご飯食べて、一緒に講義受けて。 一緒に演奏して。 名前を呼んでくれるだけで、痺れるんだ。 『澪』って、律の口から出るだけで、心が躍ったりするんだ。 一つ一つが、楽しいのに。 最近は、直視できないよ。 律を見ていたら、胸が張り裂けそうになるんだよ。 『りっちゃんの事、好き?』 『私にとっても、澪は特別』 『澪』――。 『澪を一人にしたら悲しんじゃうだろうしなー』 『もっと早く出会いたかったな』 これが。 これが、好きってことなの? 律のことが、私は。 好き。 好きなんだ。 律のことが、好き。 律の顔を思い出すだけで、落ち着けなくなって高揚したり。 律が話しかけてくれるだけで、嬉しくて楽しくて。 律が他の誰かと仲良くしてて、胸が痛くなるのも。 一日中律のことを考えてるのも。 好きだから。 私は、律に恋してるんだ。 「律……」 律は、私の初めてをなんでも奪っていく。 今度も、奪われちゃったな。 初恋。 18