約 1,345,129 件
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/472.html
依頼! 風のアルビオンを目指せ! その② 「今から話す事は誰にも話してはいけません」 とアンリエッタが言い、承太郎は無言で退出しようとした。だが。 「メイジにとって使い魔は一心同体。席を外さなくても結構ですよ、使い魔さん」 「…………」 さすがに友達でありお姫様であるアンリエッタの前で恥をかく事はないと、使い魔という単語をスルーする承太郎だったが、 やはりルイズは彼が何か文句を言ってきやしないかと気が気ではなかった。 だが承太郎がおとなしくソファーに戻るのを見てホッと一息。 直後、アンリエッタがゲルマニアの皇帝に嫁ぐ事になったと聞いて、心臓が口から飛び出るほど驚く事になってしまう。 理由はアルビオンの貴族が反乱を起こし、今にも王室が潰れそうな事にあった。 反乱軍が勝利すれば次はトリステインに侵攻してくるに違いない。 それに対抗するにはゲルマニアと同盟を結ぶしかなく、同盟のために結婚せねばならない。 そして王女としてはともかく、一人の女としてアンリエッタはその結婚を望んでいない。 悲しそうなさみしそうな口調を聞けばそれは誰にでも解る事であった。 承太郎もさすがに戦争に発展しかねない政治レベルの問題に言葉を失う。 アンリエッタの結婚と判断は正しい。 貴族、いや王族の義務として、国を国民を守るためゲルマニアに身を売るのは正しい事だ。 そう、絶対的に正しい。文句のつけようがない。 アンリエッタは王族であり、平民ではないのだ。 王族として生まれた瞬間、王族としての宿命を背負いまっとうしなければならないのだから。 それでも――彼女に同情する事くらいは許されるだろうと、承太郎は思った。 だからルイズの何ともいえない表情を見て、やりきれない思いにもなる。 真に幸福な結婚とは、愛し合う者同士が心から祝福されて行うべきもの。 それだけは揺ぎ無い事実だろうから――。 アンリエッタは自分の結婚話という前置きを終えると、いよいよ本題を語り出した。 アルビオンの貴族はトリステインとゲルマニアの同盟を妨害するため、婚姻を妨げる材料を血眼になって探している。 そしてその材料は存在するのだ。それは、アンリエッタが以前したためた一通の手紙。 その手紙の内容はさすがに言えないらしい。それは構わない。 だが問題は、その手紙がアルビオンにあるという事。 すでに敵の手中に陥った訳ではなく、反乱勢と争う王家のウェールズ皇太子の手にあるのだ。 遅かれ早かれウェールズ皇太子は反乱勢に囚われてしまう、そうしたら手紙も見つかる。 そうなったらトリステインは一国でアルビオンと対峙せねばならない。 だからその手紙を何としても取り戻して欲しい。 ――が、アンリエッタは本気でルイズに依頼をしに来た訳ではなかった。 どうしたらいいか解らず、混乱し、唯一心を許せるルイズに打ち明けたかっただけらしい。 「貴族と王党派が争いを繰り広げているアルビオンに赴くなんて危険な事、頼める訳がありませんわ……」 だがルイズは力強く王女の願いを聞き入れた。 「例え地獄の釜の中だろうが、竜のアギトの中だろうが、姫様の御為とあらば、何処なりと向かいますわ! 『土くれのフーケ』を捕まえた、このわたくしめに、その一件、是非ともお任せください」 「やれやれ……勝手にしやがれ」 ようやく話がついたらしいので、承太郎は内心どう行動するか決めつつも、わざとぼやいた。 するとルイズは承太郎の本心に気づかず、ついてこないものと思って眉を釣り上げる。 「あんたは私の使い魔なんだから、私と一緒に来て、私を守るの」 「フーケの時のようにか? 自分の身を守ろうとすらしねー奴を守りきる自信はねーな」 ルイズの未熟さ、無謀さを指摘し、成長という改善を望んでの言葉だったが、まだまだルイズはそんな承太郎の言葉の裏を読めるほど成長していなかった。 「守れなくても守りなさい。あなたは私の、使い魔、でしょう?」 ルイズは承太郎がなぜかアンリエッタの前ではおとなしくしている事に気づき、ニンマリと笑って言った。 (さすが姫様。高貴で気品あるたたずまいに、 さすがのジョータローも礼儀を払わずにはいられないみたいね) 承太郎の気持ちを全然解ってないルイズでした。 「だから、ついてきなさい」 「……やれやれだぜ」 こうして一応の了承を取りつけたルイズは、改めてアンリエッタの依頼を確認する。 「では姫様。アルビオンに赴き、ウェールズ皇太子を探して、手紙を取り戻してくればよいのですね? しかしこんな夜に訪ねていらっしゃるとは、急ぎの任務なのですか?」 「敗北はもはや時間の問題です……」 「早速明日の朝にでもここを出発いたします」 こうしてルイズとアンリエッタが約束を交し合った後、なぜかアンリエッタが承太郎の方を向いて左手を差し出した。 「頼もしい使い魔さん」 誰が使い魔だ、と言いたいのを我慢しながら承太郎はアンリエッタを見た。 「わたくしの大事なお友達を、これからもよろしくお願いいたしますね」 「…………」 これは、手の甲にキスしろというジェスチャーなのだろうか。 なるほど確かに王族らしい行為だ。だが承太郎はキスなんざする気は無かった。 「いけません! 姫様! そんな、使い魔にお手を許すなんて!」 「いいのですよ。忠誠には、報いるところがなければなりません」 二人は勝手に承太郎がキスをするものとして話を進めている。 抗議の意味を込めて承太郎は立ち上がり、目に拒絶の光をギラつかせてアンリエッタを見下ろした。 アンリエッタは、ニコリと微笑む。承太郎の拒絶に気づいてないらしい。 ┣¨┣¨┣¨┣¨しても、空気が読めてないのかアンリエッタはキスを待っている。 痺れを切らしたルイズが承太郎に小声で話しかけてきた。 「何してんのよ! 早くキスしなさい。それとも作法が解らないの?」 「……悪いが俺は貴族じゃねーんでな。 あんたが王女様だろうと、偉ぶった相手にキスするなんざごめんだね」 もう口に出して断るしかないと思って承太郎はそう言い、タバコを取り出して火を点けた。 煙でアンリエッタが咳き込む。 ルイズが怒鳴る前に、部屋の戸がバタンと開いた。 「ジョータロー! 姫殿下の前でタバコを吸うとは何事かァーッ!!」 部屋に飛び込んできたのは薔薇の造花を持ったギーシュだった。 「……何でここにいるッ」 「ギーシュ! あんた立ち聞きしてたの!?」 承太郎とルイズの問いを無視して、ギーシュは夢中になってまくし立てる。 「薔薇のように見目麗しい姫様の――」 「オラァッ!」 「ガボッ!?」 鬱陶しそうなので承太郎はギーシュの頬を殴り飛ばした。歯が折れないよう手加減はした。 「さて、お姫様。俺達の話を聞いてたこいつはどうする? 首でも刎ねるか?」 さすがに事が事だけに、口封じのための抹殺も仕方ないだろうと承太郎は考えていた。 アンリエッタがGOサインを出したら自分が処刑すると立候補して、適当に殺したフリをして逃がしてやるのがいいか、などと思案する。 だがギーシュは頬を押さえて立ち上がると、逆に立候補してきた。 「姫殿下! その困難な任務、是非ともこのギーシュ・ド・グラモンに仰せつけますよう」 「グラモン? あの、グラモン元帥の?」 「息子でございます。姫殿下」 ギーシュは深々と礼をし、アンリエッタの表情が明るいものに変わる。 「ありがとう。お父様も立派で勇敢な貴族ですが、あなたもその血を受け継いでいるようね。 ではお願いしますは。この不幸な姫をお助けください、ギーシュさん」 憧れの姫殿下に名前を呼ばれたギーシュは最高に「ハイ!」って感じに狂喜乱舞した。 そしてウェールズ皇太子がアルビオンのニューカッスル付近に陣を構えていると聞かされ、ルイズはアルビオンの地理に明るい事から出発の準備はほぼ整ったといえた。 そこでアンリエッタは、机に座ると羽根ペンで羊皮紙に手紙をしたためた。 そしてしばし自分の書いた文章を眺めた後、悲しそうな顔をして呟く。 「始祖ブリミルよ……この自分勝手な姫をお許しください。 でも、国を憂いても、わたくしはやはり、『この一文を書かざるえない』のです……。 自分の気持ちに、嘘をつく事はできないのです……」 密書だというのに、まるで恋文でもしたためたような表情だった。 承太郎はウェールズが持っているという手紙の内容と、アンリエッタが最後に書き加えた『一文』の内容を察した。 それは王族の義務を背負う者としてあるまじき行為だが……承太郎は何も言わなかった。 アンリエッタは手紙を巻いて杖を振り、魔法で手紙を封ろうして花押を押した。 「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください。 すぐ件の手紙を返してくれるでしょう」 それからアンリエッタは、右手の薬指から指輪を引き抜くとルイズに手渡した。 「母君から頂いた『水のルビー』です。せめてものお守りです。 お金が必要なら、売り払って旅の資金にあててください。 この任務にはトリステインの未来がかかっています。 母君の指輪が、アルビオンに吹く猛き風から、あなた方を守りますように」 ルイズとアンリエッタ。 二人は確かな友情を確かめ合い、そして困難な任務の未来を憂い――。 咳き込んだ。 「コホッ、コホッ! ジョータロー! いい加減タバコ消しなさい!」 「断る。ほれ、用が済んだならとっとと出てくんだなお姫様」 「ひひひ、姫様になんて口を利くのよ! この、馬鹿犬ーッ!!」 「…………」 馬鹿犬、という単語で承太郎はイギーを思い出した。 そういえば学帽にガムをつけられた事もあった。 今ではすべていい思い出だ……。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/823.html
第十二章 白の国アルビオン 「アルビオンが見えたぞ!」 翌朝、鐘楼の見張り台にいる船員が、声を張り上げた。 リゾットは訓練を止め、船員の指差す方向を見た。それきり絶句する。 「ん、どうした相棒?」 デルフリンガーの声に反応することもできない。 雲の切れ間から、黒々と大陸がのぞいていた。大陸ははるか視界の続く限り延びている。地表には山がそびえ、川が流れていた。川は空に落ち込み、そこで白い霧になって大陸の下半分を包んでいた。 「驚いた?」 騒ぎに起きてきたルイズが言った。 「ああ……ここまで巨大だとは思わなかった」 「浮遊大陸アルビオン。ああやって洋上を浮遊しているわ。でも、月に何度か、ハルケギニアの上にやってくる。大きさはトリステインの国土ほど。通称『白の国』」 「由来は霧か」 ルイズは頷き、説明を加える。 「あの霧が雲になってハルケギニアに雨を降らすの。私たちにとっても重要な大陸なのよ」 しばらくリゾットは大陸の威容に見入っていたが、やがて今日の予定を確認することにした。 「港に着いたらニューカッスル城まで、包囲を突破して一気に行くんだったな……」 「そう。トリステインの貴族にそう表立って手を出すとは思えないけど……捕まったら終わりね」 ルイズが緊張した顔で呟く。リゾットが声をかけようとしたその時、見張りの声が甲板に響き渡った。 「右舷上方、雲中より船が接近中! 旗、なし! 空賊です!」 一斉にそちらに視線が向く。そこには黒塗りの船体が、二十数門にも及ぶ砲門をこちらの船に向けていた。途端に船中は騒然となる。 「逃げろ! 取り舵いっぱい!」 「ダメです。既に射程内! 逃げようとすれば、撃沈されます!」 その言葉を裏付けるように砲門の一つが火を吹き、リゾットたちが乗った船の進路上の雲が吹き散らされる。 こちらの船の砲門は三門。位置も相手が上空を取っている。船長は完全に勝ち目がなくなったことを瞬時に悟った。 唯一の勝機があるとすれば隣にいる『風』のスクウェアメイジだが……。 「魔法はこの船を浮かべるために打ち止めだよ。あの船に従うんだな」 「OH MY GOD……」 ワルドの落ち着き払った声に、船長は破産を確信し、停船命令を発した。 ルイズは停船した自船と、不穏な雰囲気を振り撒く黒船に怯え、思わずリゾットの後ろに寄り添った。無意識にリゾットのコートの裾を握り締める。 やがて、警告を発すると、黒船から空賊たちは船の間にロープを張り、それを伝って乗り込んで来た。 船に乗り込もうとしている男たちはおよそ数十人。いずれも手に斧や曲刀などで武装しており、黒船側には弓やフリント・ロック銃を持った男たちがこちらに狙いを定めている。 (抵抗は不可能だな……) 規律正しい男たちの行動をみながら、リゾットは考えた。メタリカを使えば男たちの無力化は可能だろう。しかし、砲弾を防ぐことはできない。撃沈されれば、それで終わりだ。 前甲板に繋ぎ止められていたワルドのグリフォンが空賊たちを威嚇する吼え声を上げると、その頭が青白い雲で覆われ、倒れた。背後に来たワルドが呟く。 「眠りの雲か……。どうやらメイジもいるらしいな」 やがて、甲板に空賊たちが降り立った。無精ひげに左目に眼帯をした、ぼさぼさの長い髪の男…頭領だろう…が声を出す。 「船長はどこでえ?」 「私だが…」 震えつつ、精一杯の威厳を保とうと努力しながら、船長が手を上げる。頭領は船の名前『マリー・ガラント』と積荷を確認すると、船と積荷を自分の支配下におくことを宣言した。 その後、甲板のワルド、ルイズに気がつく。 「おや、貴族の客まで乗せてるのか」 ルイズに近づき、顎を手で持ち上げる。 「こりゃあ、別嬪だ。お前、俺の船で皿洗いをやらねえか?」 男たちが笑い声をあげた。ルイズはその手をぴしゃりとはねつける。元々侮辱に対しては過敏なこともあり、怒りが恐怖を吹っ飛ばした。 「下がりなさい、下郎!」 「驚いた! 下郎と来たもんだ!」 頭領はひとしきり大声で笑ったあと、ルイズとワルドを指差した。 「てめえら。こいつらも運びな。身代金がたんまり貰えるだろうぜ」 男たちが、ワルドたちから杖を、リゾットから剣とナイフを取り上げ、連行していく。リゾットは抵抗せず、その様子を無言で観察していた。 三人は、船倉に閉じ込められた。『マリー・ガラント』号の船員は自分たちが乗っていた船の曳航を手伝わされているため、ここにはいない。 周囲には酒樽や穀物の詰まった袋や、火薬樽、それに砲弾などが雑然と置かれている。 ワルドは興味深そうにそんな積荷を見て回っている。 リゾットはメタリカを使って脱出することも考えたが、ある可能性を考慮し、まずはおとなしくすることに決め、右腕の包帯を変え始めた。それを見てワルドが呟く。 「君の右腕の仕掛け弓はどうしたんだい? さっきも取り上げられなかったようだが」 「……この腕では装着できない。船室において来た」 答えながら、包帯を解いていく。現れた右腕を見て、ルイズが思わず短い悲鳴を上げた。 『ライトニング・クラウド』によって与えられた火傷は時間経過と共に右腕のいたるところに水ぶくれを作り出し、肩は引きつったように痙攣している。 「酷い火傷じゃないの! どうして昨日、言わなかったの!?」 「問題ない、と言ったはずだ。見た目ほどは酷くない。……応急手当はした。薬品が足りなかっただけだ」 リゾットはあくまで淡々と返したが、ルイズは取り乱し、ドアを叩いて叫び始める。 「誰か! 誰か来て!」 扉の向こうで看守が起き上がった。 「何だ?」 「水を! あと、『水』系統のメイジを呼んで! けが人が居るのよ! 治してちょうだい!」 「いねえよ。そんなもん」 「嘘! いるんでしょう!? さっき、『眠りの雲』を唱えたじゃない!」 ワルドは呆気を取られて、ルイズを見つめている。リゾットはルイズの肩を掴んだ。 「あまり騒ぐな。俺なら大丈夫だ」 「嫌よ、信じられない! だって、あんた、いつも平気そうじゃない! 何で痛いときも苦しいときも平然としてるのよ!」 怒鳴っているうちにルイズは何だか悲しくなってきた。涙が溢れそうになる。しかし、ルイズは唾を飲み込んで、それを耐えた。 「それは確かに俺が悪かった……。だが泣くな…」 「泣いてなんかないもん。使い魔の前で泣く主人なんかいないもん」 リゾットはもう既にルイズが泣いているところを見ているのだが、そこはこの際伏せておくことにした。 「分かった。お前は泣いていない……」 ルイズは壁際まで歩くと、そこにしゃがみこみ、顔を抑えてうずくまった。泣いているのか、体が震えている。 リゾットはそんなルイズを見ながら、女性の扱いの難しさを改めて痛感していた。 やがて、水と食事のスープが運ばれてくる。運んできた太った男はルイズにアルビオンに何の目的で行くのか尋ね、旅行と聞くと馬鹿にしたような顔で去っていった。 リゾットは毒が入っていないことを確認した後、渋るルイズとワルドにスープを譲り、水を使って包帯の交換の続きをする。だが、左手しか使えないため、やはり苦労する事になった。 すると、ルイズがやってきて、リゾットの手から包帯を奪い取る。布を水に浸して患部にあて、包帯をリゾットの右腕に巻き始めた。 「おい…」 「何よ。あんたは私の使い魔なんだから、言うこと聞きなさいよね」 ルイズは泣きはらした目のまま、それ以上、何も言わずに黙々と包帯を巻く。はっきり言って手つきは下手だ。 巻いている途中、また扉が開き、今度は痩せた空賊が入ってきた。楽しそうに三人を見回す。 「おめえらは、もしかしてアルビオンの貴族派かい?」 三人は黙ったまま、じっと空賊を見つめている。 「おいおい、だんまりじゃわからねえよ。でも、そうだったら失礼したな。俺たちは、貴族派の皆さんのおかげで、商売させてもらってるんだ。王党派に味方しようとする酔狂な連中がいてな。そいつらを捕まえる密命を帯びているのさ」 「じゃあ、この船はやっぱり、反乱軍の軍艦なのね?」 「いやいや、俺たちは雇われているわけじゃねえ。あくまで対等な関係で協力し合っているのさ。まあ、おめえらには関係ねえことだがな。で、どうなんだ? 貴族派なのか? そうだったら、きちんと港まで送ってやるよ」 ルイズの視線が険しくなる。立ち上がると、決然と空賊に言い放った。 「誰が薄汚いアルビオンの反乱軍なものですか。バカ言っちゃいけないわ。わたしは王党派の使いよ。 まだ、あんたたちが勝ったわけじゃないんだから、アルビオンは王国だし、正統なる政府は、アルビオンの王室ね。わたしはトリステインを代表してそこに向かう貴族なのだから、つまりは大使よ。だから、大使としての扱いをあんたたちに要求するわ」 「………」 ルイズはリゾットの視線に気づき、きっとにらんだ。 「何よ? 文句でもあるの?」 「いや……まさか正直に答えるとは思わなかったからな……」 「うるさいわね! こいつらに嘘ついて頭下げるくらいなら、死んだほうがマシよ!」 そのやり取りを聞いて、空賊は笑う。 「正直なのは、確かに美徳だが、お前たちはただじゃ済まないぞ。頭に報告してくる。その間によく考えるんだな」 男はそういうと、扉を閉めて立ち去った。 部屋に沈黙が訪れる。 「……ほら、腕、貸しなさいよ」 そういうと、ルイズは再び包帯を巻き始めた。やがて、不器用な巻き方ではあるが、包帯が巻かれる。稼動範囲がかなり狭い。それでもリゾットは礼を言った。 「感謝する…」 「別に……。使い魔が怪我をしたら治すくらい、ご主人様として当然よ」 リゾットの礼を聞くと、ルイズは顔を赤くしつつ、顔を背けた。 「一つ訊きたい。今のでここで死ぬことになっても……お前は後悔しないのか?」 「この任務を受けたときから死ぬかもしれないって覚悟は出来てるわ。でも、私は諦めない。だからといって、あそこで嘘を言ったら私の貴族としての『誇り』が消えるのよ! ……そりゃ、平民のあんたを巻き添えにしたのは悪かったけど、主人と使い魔は一心同体なんだから、我慢しなさいよね」 「そうか……」 今まで成り行きを見守っていたワルドが寄ってきて、ルイズの肩をたたく。 「いいぞルイズ。流石は僕の花嫁だ」 ルイズは複雑な表情を浮かべて、うつむいた。 やがて再び扉が開く。先ほどの痩せた空賊が入ってきた。 「頭がお呼びだ」 三人が連れて行かれた部屋は、船長室だった。豪華なディナーテーブルがあり、一番上座には先ほどの頭領が腰掛け、その周囲には空賊たちがニヤニヤ笑いながら、ルイズたちを見ている。 頭領は大きな水晶がついた杖をいじくっていた。メイジのようだ。 「おい、お前たち、頭の前だ。挨拶しな」 ここまでつれてきた痩せた空賊が促すが、ルイズは頭領を睨むばかりだった。頭領はにやりと笑う。 「気の強い女は好きだぜ。子供でもな。さてと、名乗りな」 「大使としての扱いを要求するわ。そうじゃなかったら、一言だってあんたたちになんか口を利く者ですか」 「王党派と言ったな?」 お互いに相手の言うことを無視しているため、まるで会話がかみ合っていない。このままだとラチが開かないと思ったのか、ルイズが答える。 「ええ、言ったわ」 「なにしに行くんだ? あいつらは、明日にでも消えちまうよ」 「あんたたちに言うことじゃないわ」 頭領は、歌うような楽しげな口調でルイズに言った。 「貴族派につく気はないかね? あいつらは、メイジを欲しがっている。たんまり礼金も弾んでくれるだろうさ」 「死んでもイヤよ」 その時、リゾットはルイズの体が震えていることに気がついた。 (まったく、フーケのときといい、今といい……) リゾットはルイズの恐怖に負けない精神力を見直すと共にその強情さに呆れた。この娘は自分の中の大事なもののためなら、決して後には引かないのだ。 誇りのために死を覚悟してボスに反逆した自分たちに、その姿が重なる。 「もう一度言う。貴族派につく気はないかね?」 頭領の言葉にルイズが答えるより早く、リゾットが口を開いた。 「もうそろそろいいだろう……。茶番は終わりにしないか…?」 頭領がリゾットを睨みつける。その眼光は人を睨みつけることに慣れ、普通の人間なら黙ってしまうような苛烈なものだった。だが、リゾットは意に介さない。 「貴様は何だ?」 「この娘の使い魔だ」 「使い魔? ふん、トリステインでは妙な使い魔がいるのだな…。茶番とは何のことだ?」 「お前たちは俺たちを殺すつもりも、身代金を取り立てる気もない。なぜなら、お前たちは王党派だからだ」 『!!』 リゾット以外の全員が驚愕の表情を浮かべた。 「ちょ、ちょっとリゾット、それ、どういうこと?」 「彼らは王党派だ。……つまり、俺たちの味方だ……。目的は空賊に化けることによる撹乱と……敵の補給の妨害および物資調達か?」 その途端、頭領を含めた空賊たちが大声で笑う。頭領は黒髪のカツラを取り、眼帯を外し、付け髭を外す。すると、凛々しい金髪の若者が現れた。 「その通りだよ。名乗りもせず、無礼を働いたこと、許してほしい。私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官……。まあ、艦隊は本艦『イーグル』号しか存在しないのだがね…。そちらの肩書きより、こう名乗った方が分かりやすいかな?」 若者は居住まいを但し、威風堂々、名乗った。 「アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ」 ルイズはあんぐりと口をあけた。ワルドは興味深そうに皇太子を見つめている。リゾットも皇太子だとは思っていなかったので、多少、驚いた。 「さて、御用の向きを伺う前に、そちらの使い魔殿に是非とも尋ねたい。いつ、どのようにして我々の正体に気づいたんだい?」 リゾットはしばらく黙っていたが、ルイズにせっつかれて口を開いた。 「……最初におかしいと思ったのは、お前たちの動きだ。規律を何より優先する、訓練された動きだった」 「だが、それだけではまだ王党派とは判別できない。内乱に乗じて軍が私的に略奪を行う、というのはありえる話だからね」 ウェールズの言葉に、リゾットは頷き、自分たちを連れて来た痩せた男を示す。 「それはこの男の話で決定した。『王党派を捕まえる密命を帯びているから、貴族派ならば逃がしてやる』。私腹を肥やしている軍ならば、自分たちとのつながりを隠したがる。 さらに、この言い方は俺たちに『貴族派だ』と言うように誘導している。お前たちが貴族派ならば、嘘をつけば助かるような言い方はしない…。俺たちを試すつもりだったんだろうが、不自然になりすぎたな…」 リゾットは続ける。 「最期に……お前たちは品が良すぎた。本物の賊はこんなに紳士的ではない…。騒ぎ立てる娘がいたら、黙らせるために一人、撃ち殺すくらいはする…」 「なるほど。ずいぶん空賊の真似も板についてきたと思っていたんだけどね……。まだまだというところか」 ウェールズは苦笑した。 「いや、大使殿には、大変な失礼をした。本当に味方か、慎重に確かめる必要があったのでね。まさか、外国に我々の味方の貴族がいるなどとは、夢にも思わなかった。許してほしい」 「え、ええ……」 まだ信じられないといったルイズに代わり、ワルドが前へ進み出る。 「アンリエッタ姫殿下より、密書を言付かって参りました」 ワルドは優雅に一礼して言う。 「ふむ、姫殿下とな? 君は?」 「トリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵。そしてこちらが姫殿下より大使の大任をおおせつかったラ・ヴァリエール嬢とその使い魔の青年にございます、殿下」 「なるほど! 君たちのような立派な者たちが私の親衛隊に十人もいたなら、このような惨めな今日を迎えることもなかっただろうに! して、その密書とやらは?」 ルイズが慌てて、胸ポケットからアンリエッタの手紙を取り出した。恭しくウェールズに近づいたが、途中で立ち止まる。それから、ちょっと躊躇うように、口を開いた。 「あ、あの……その、失礼ですが、本当に皇太子殿下でしょうか?」 ウェールズは笑った。 「まあ、さっきまでの顔を見れば、無理もない。僕はウェールズだよ。正真正銘の皇太子さ。何なら証拠をお見せしよう」 ウェールズは自らの薬指の指輪をはずすと、ルイズの指の水のルビーに近づけた。二つの指輪は虹色の光を発して共鳴する。 「この指輪は、アルビオン王家に伝わる、風のルビーだ。君が嵌めているのは、アンリエッタが嵌めていた、水のルビーだろう? 水と風は虹を作る。王家の間にかかる虹さ」 「大変失礼しました」 ルイズは一礼して、手紙をウェールズに渡した。 ウェールズは受け取った手紙の花押に接吻してから、丁重な手つきで手紙を取り出す。真剣な表情でそれを読み進め、顔を上げた。 「姫は結婚するのか? あの、愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……従妹は」 ワルドが無言で頭を下げ肯定する。再びウェールズは手紙に視線を下ろした。 最期の一行まで読むと、微笑む。だが、リゾットはその笑顔に隠された悲しみを見出した。 「……私にとってあの手紙は何より大切なもの。しかし、姫の望みとあれば、お返ししよう。だが手紙はニューカッスル城にある。多少面倒だがご足労願いたい」 ウェールズの船『イーグル』号は、貴族派たちの艦隊の目を避け、雲の中にある大陸の下部の抜け穴を通り、ニューカッスルの秘密の港に入港した。 老メイジが出迎えに現れ、戦果を確かめると、喜びの声を出す。 「これは硫黄でございますな! 火の秘薬として使えば、我らの名誉も守られるでしょう!」 硫黄と聞いて、他の兵士たちも歓声を上げる。ウェールズもまた、にっこりと笑った。 「ああ、これだけの硫黄があれば、王家の誇りと名誉を、叛徒に示しつつ、敗北することが出来るだろう」 「栄光ある敗北ですな!」 リゾットは周囲を見渡した。二人の会話によると、明日の正午には最終決戦が行われるらしい。だが、彼らの表情に恐怖はない。そこには純然たる『覚悟』のみがあった。 (彼らはもう……、決めているわけか……) リゾットは苦々しく思った。死中に活路を見出すのと、死ぬために進むのでは、似ているようで違う。彼らは『栄光』に向かって努力し、『成長』するという生の責任を放棄しているように見えた。 パリーと名乗った老メイジは今夜、最後の晩餐を開くことをルイズたちに告げ、立ち去った。 「さ、行こうか」 ウェールズの後に続きながら、リゾットは暗澹とした気持ちが自分の中に広がるのを感じていた。 粗末なベッドと椅子と机、それに壁にタペストリーが飾られただけの質素な部屋が、ウェールズの居室だった。 ウェールズは机の引き出しから、宝石が散りばめられた小箱を出す。粗末な部屋の中で輝くそれは、まるで誇りと名誉だけを残すのみとなった王党派そのものを象徴しているようだった。 鍵のかかった箱を開き、中から何度も読まれてボロボロになったのであろう、手紙を取り出す。 万感の愛おしさを込めて口付けをし、最後にもう一度だけ読み返した後、ウェールズはそれを差し出した。 「さあ、残った君たちの任務はこれを持ち帰るだけだ。明日の朝、非戦闘員を乗せた『イーグル』号がここを出港する。それに乗って、トリステインに帰りなさい」 ルイズはその手紙をじっと見詰めていたが、そのうち決心して口を開いた。 「殿下……。さきほど、栄光ある敗北とおっしゃっていましたが、王軍に勝ち目は無いのですか?」 「ないよ。わが軍は三百、敵軍は五万。歴史上、これだけの戦力差で寡兵が勝った事はなくはないが、それは地の利や天候、それに歴史上稀に見る英雄たちの味方があってこそだ。 だが、叛徒たちもこの辺りの地理や天候は熟知している。わが軍にも人はいるが、英雄といえるほどの者はそういない。 我々にできることは、はてさて、勇敢な死に様を連中に見せ、今まで死んで行った部下たちや叛徒に、勇気を示すことだけだ」 しごくあっさり、ウェールズは答える。しかし、その回答にたどり着くまでに幾度も勝利の可能性を探ったであろうことは、城内を通ったときに散見した戦略図やその他、様々な分析を記したであろう紙から見て取れた。 「殿下の、討ち死になさる様も、その中には含まれるのですか?」 ルイズは俯き、疑問を口にした。 「当然だ。私はまっさきに死ぬつもりだよ」 その言葉に、ルイズはウェールズに深々と頭を下げた。ただ一つ、アンリエッタに誓った友情と忠誠にかけて、言わねばならないことがある。 「殿下……、失礼をお許し下さい。 恐れながら、申し上げたい事がございます」 「なんなりと、申してみよ」 「この任務を仰せつけられた時の姫様のご様子は、尋常ではございませんでした。そう、まるで恋人の身を案じているような……。それに、先ほど殿下の宝箱の内側には姫様の肖像画が描かれていました。 手紙をご覧になっている際の殿下の物憂げなお顔といい、もしや、姫様とウェールズ皇太子殿下は………」 ウェールズはルイズの言いたい事を察し、微笑みを浮かべた。 「君は、従妹のアンリエッタと、この私が恋仲であったと言いたいのかね?」 「そう考えました。とんだご無礼をお許し下さい。しかし、そうするとこの手紙の内容は……」 ウェールズは、額に手をあて、言おうか言うまいか悩んだようだった。しかし、結局この正直な大使に告げることにする。 「恋文だよ。君の想像しているものさ。それはアンリエッタが始祖ブリミルの名に永遠の愛を誓ったものだ。知っているように、始祖に誓う愛は婚姻のときでなくてはならぬ。 それが貴族派の連中の手に渡り、ゲルマニアの皇帝に知られたら彼女は重婚の罪に問われる。そうなれば、ゲルマニアとトリステインの同盟は白紙となり、トリステインのみであの恐ろしい貴族派連中と戦わねばならぬだろう」 「とにかく、姫様は殿下と恋仲であらせられたのですね?」 「昔の話だ」 遠い笑みを返す。昔を懐かしむと同時に、現在、遠くにいる恋人に向けられた笑みだった。それを見て、ルイズの感情は弾けた。 「殿下、亡命なされませ! トリステインに亡命なされませ!」 ワルドが寄ってきて、ルイズの肩に手を置いた。だが、ルイズの剣幕は収まらない。 「それはできんよ」 ウェールズは笑いながら言った。 「殿下、これはわたくしの願いではございませぬ! 姫様の願いでございます! 姫様の手紙には、そう書かれておりませんでしたか? わたくしは幼き頃、恐れ多くも姫様のお遊び相手を務めさせていただきました! 姫様の気性は大変よく存じております! あの姫様がご自分の愛した人を見捨てる筈がございません! 仰ってくださいな、殿下! 姫様は、たぶん手紙の末尾であなたに亡命をお勧めになっている筈ですわ!」 首を横に振り、ウェールズは苦しそうに言葉を返す。 「姫と私の名誉に誓って言う。ただの一行たりとも私に亡命を勧めるような文句は書かれていない」 それは表情を読むまでもなく、ルイズの指摘を裏付けるものだった。 「お願いでございます! ただ一言! 我らと共にトリステインへ行く、と仰って下されば、我ら、一命を賭して殿下をトリステインへ護送いたします!」 「アンリエッタは王女だ。自分の都合を国の大事に優先させる訳が無い。そして、私も滅びかけているとはいえ、この国の皇太子なのだ」 リゾットにはウェールズの気持ちが理解できた。十八歳の時、リゾットは従兄弟の子を轢き殺した犯人に復讐した。『恩には恩を。仇には仇を』、この信条に従う彼にとって目の前で彼女の命を奪った犯人を、懲役四年程度で許すことはできなかったのだ。 だが、殺人者が家族の下に戻ることはできない。罪が明らかになれば、リゾットの家族は皆、殺人者の家族として社会的に抹殺されるだろう。だからその日以来、リゾットは名を変え、裏の世界に入って行ったのだ。 ウェールズがトリステインに逃げ込めば、トリステインはより早く貴族派に攻め込まれるかもしれない。大切だからこそ、その対象から離れなければならないこともあるのだ。 ルイズはウェールズの意思が果てしなく固いことを理解したのか、うな垂れた。そんなルイズの肩にウェールズは手をおく。 「ラ・ヴァリエール嬢、君は正直な、いい子だ。だが、忠告しよう。そのように正直では大使は務まらぬよ。しっかりなさい」 寂しそうに俯くルイズに、ウェールズは微笑んだ。他人に安心を与えるような、限りなく魅力的な笑みだった。 「しかしながら、亡国への大使としては適任かもしれぬ。明日に滅ぶ政府は、誰よりも正直だからね。なぜなら、名誉以外に守るものが他には無いのだから」 その名誉ゆえに嘘をついた皇太子は、机に備え付けられた、水の張られた盆の上の針を見つめた。それが時計だということを、リゾットは知識から引っ張り出す。 「そろそろ、パーティーの時間だ。君達は我らの王国が迎える最後の客だ。是非とも出席してほしい」 ルイズとリゾットは部屋を出て行った。一人残ったワルドはウェールズにある願いを申し出で、ウェールズはそれを快諾した。 パーティは城のホールで行われた。玉座には年老いたアルビオン王、ジェームズ一世が腰掛け、皇太子ウェールズがその脇に控える。 老王は残った家臣たちの今までの忠節を労い、逃亡を促すが、家臣たちはそれを笑い話として流した。 そしてパーティが始まる。明日滅びが待ち受けているにも関わらず、底抜けに明るく、和やかなパーティだった。 こんなときにやって来た三人はやはり珍しいらしく、貴族たちが代わる代わるやって来て、明るく料理を勧めたり、酒を勧めたり、冗談などを言ってきた。 そのうち、リゾットのところへウェールズがやってきた。 「やあ、使い魔殿。楽しんでいるかい?」 「ああ……」 「お蔭さんでね」 デルフリンガーが声を出すと、ウェールズは剣に目を移した。 「君の剣はインテリジェンスソードだったのか。客人は四人だったとは、気づかなくて申し訳ない」 「いいってことよ。俺は客扱いされても飯を食ったりするわけじゃないしな」 「ウェールズ皇太子、質問と忠告が一つずつある」 「何だい?」 「何のために死ぬ? お前を含め、この城の者たちが覚悟を決めているのは分かる。だが、『覚悟』とは犠牲の心ではない。お前たちの死は何かに繋がるのか?」 ウェールズは質問の意図を考えるように沈黙した後、やがて口を開いた。 「……我々の敵である『レコン・キスタ』はハルケギニアの統一と、はるか東方にある『聖地』を取り戻すという理想を謳っている。 理想を掲げるのはいいだろう。だが、その理想のため、流される民草の血を考えぬ。国土の荒廃を考えぬ」 ウェールズは手にしたグラスに一度視線を落とした。ワインの赤が民の血であるかのように、悲しそうな視線だった。 「だからだ。我々は勇敢に戦い、ハルケギニアの王家がまだ健在であることを見せ付けねばならない。彼らはそれで理想を捨てることはないだろう……。 だが、そうすることで、他の諸国の王家も我々の名誉と勇気を受け継ぎ、敢然と戦い、民草を守ってくれると思っている」 リゾットは目の前の皇太子が、自らの価値観の中で責務を果たそうとしていることを悟った。 「分かった……。お前がお前なりに責任を果たそうとするなら、俺から何も言うことはない……。だが、アンリエッタ王女に何か言い残すことはあるか?」 その言葉を聴くと、ウェールズは目を瞑る。しばらくそうした後、目を開いた。 「ただ、こう伝えてくれたまえ。ウェールズは勇敢に戦い、勇敢に死んでいったと。それだけで十分だ」 「分かった……。確かに伝えよう」 「で、忠告というのは?」 「その前に……皇太子の系統を訊きたい」 「『風』だが……」 「ちょうどいいな。では忠告の前に頼みがある…」 ウェールズに頼みを聞き届けてもらうと、そして、リゾットは話し始めた。 ウェールズが座に戻ると、リゾットはいつの間にかルイズがいなくなっていることに気がついた。 探しに行こうとすると、やっと解放されたのか、ワルドがやってきた。リゾットの前に立ちふさがるように立つ。 「君に言っておかねばならない事がある。明日、僕とルイズはここで結婚式を挙げる」 「……そうか。それで?」 リゾットの表情は動かない。 「君は明日の朝、すぐに船で発ちたまえ。僕とルイズはグリフォンで帰る」 「分かった」 「では、君とはここでお別れだな」 「そうだな……」 頷くと、リゾットは立ち去った。 真っ暗な廊下を、蝋燭の燭台を手に、リゾットはルイズを探していた。可能性は低いが、決戦前に暗殺者が入り込んでいることがありえるからだ。 ルイズはテラスで一人、泣いていた。 「ルイズ、一人でいるのは危険だ」 リゾットが声をかけると、ルイズはごしごしと涙をぬぐう。だが、後から後から涙が出てきた。 とりあえずルイズの無事を確認した後、リゾットが油断なく周辺を見渡していると、突然胸に軽い衝撃を感じる。見ると、ルイズが抱きついていた。 「どうした…?」 リゾットは困惑した。どうにかしなければならないのは分かるが、こんなルイズにどうしてやればいいのか分からない。 結果、しばらくそのまま周囲に対する警戒を続けることにした。ルイズはしばらく泣いていたようだが、やがて話し始めた。 「いやだわ……、あの人たち……、どうして、どうして死を選ぶの? 訳わかんない。姫様が逃げてって言っているのに……、恋人が逃げてって言っているのに、どうしてウェールズ皇太子は死を選ぶの?」 「そうすることが……彼らの責任を果たすことだと信じているからだろう」 「何よそれ……愛する人を生きて守るより、大事な責任がこの世にあるっていうの?」 「大事だと思う相手の望むままにふるまうことが、必ずしも相手のためになるとは限らない…」 「納得できないわ……」 ルイズは思いついたように顔を離し、リゾットを見た。 「あんた、死のうとして、やめたんでしょ? だったら、皇太子を説得して!」 リゾットは首を振った。 「……無理だ」 「どうしてよ!?」 「……俺は逃避するために死のうとしていた。だが、ウェールズ皇太子は違う……。彼は自分が死ぬことで、残された者たちに何かを受け継がせようとしている。 それが受け継がれるのか、俺には分からないが、彼がそう信じている以上、説得に耳を貸すことはないだろう」 自分たち暗殺チームも、死ななければ任務が果たせないなら死を選ぶだろう。最期まであきらめるわけではないが、それだけの覚悟をして任務に挑んでいた。 それが反社会的であろうと、非人道的であろうと、そうすることが正しいと信じて戦っていたのだ。ウェールズもまたそうなのだ。 「そんな……」 「もしもあの男の決意を動かせるとしたら、それは彼の心に深く根を張っているアンリエッタ王女本人の言葉だけだろうな……」 「でも、私が姫様の意思をお伝えしても、皇太子は動かなかったじゃない! 手紙だってあったのに!」 ほとんど叫ぶようにして、ルイズが言う。 「何かに託された言葉では彼に届かない。王女が直接会って、説得すればウェールズも動くかもしれない。だが、それは無理な話だ…」 「でも……」 「もうやめろ、ルイズ。これ以上、彼の覚悟を汚すな。これ以上の説得は、彼自身を苦しめるだけだ…」 淡々というリゾットに、ルイズはついに感情を爆発させた。 「もういいわ! あんたも皇太子もこの国もみんな、大嫌い! 残される人たちのことなんてどうでもいいんだわ! そんなに死にたいなら勝手に死んじゃえばいいのよ!」 走り去るルイズを、リゾットは追わなかった。ふと、地面に落ちた缶が目に止まる。 リゾットはそれを拾い上げ、中を改める。軟膏が入っていた。 「ありゃ、それぁ火傷を治す水の秘薬じゃねえか」 デルフリンガーが呟く。 「…………」 「あの貴族の娘っ子、相棒にそれを渡すつもりだったんじゃねえの?」 「…………」 リゾットはその缶を手にし、じっと見つめ続けた。 深夜、見張りを除いて皆が寝静まったはずの城内で、リゾットは目を開いた。 腰のナイフに手をやって確認した後、傍らに立てかけておいたデルフリンガーを手に取る。 「やめときな、相棒」 歩き出したリゾットに、デルフリンガーが声をかけた。 「……何をだ?」 「相棒が今考えてることをさ」 「……俺が何を考えてるのか、お前に分かるのか?」 「分かるさ。暗殺だろ?」 リゾットの足が止まる。 「驚いたかい? 俺はな、相棒。六千年も前から剣をやってる。 つまんねーことも多かったが、そんな中でもいろんな連中を見てきた。 敵の裏をつく戦法、斬撃の威力よりも相手の急所を狙う攻撃、身のこなし、その他もろもろの戦術。 相棒のそれはまっとうな戦士の戦い方じゃねえ。少なくとも騎士様の戦い方じゃねえ。暗殺者の戦い方だ」 「……暗殺には反対か?」 図星を当てられてなお、リゾットの声は淡々としていた。 「どうしても反対してるわけじゃねえさ。相棒がやると決めたことなら俺ぁ従うよ。何せ俺は剣で、相棒はその使い手だもんな。 だがね、暗殺ってのは自分の心も体も切り刻む。まともな神経で続けられる仕事じゃあない。 人間の心ってのは人を殺し続けられる様にはできてねえんだからな……。 もし暗殺なんていう仕事を平気でずっと続けられる奴がいるとしたら、そいつぁ狂ってるんだろうよ」 「…………」 リゾットは黙って耳を傾けている。デルフリンガーは覚悟を決めて言っている事が、表情が見えずとも分かったからだ。 「まして相棒、お前さんは他人が思ってるより、自分で思ってるより優しい奴だよ。その優しさに流されない冷静さも持ってるがね。 そんなお前さんに、自分の心を傷つけて欲しくねえんだよ」 「相棒がその気になりゃ、連中を暗殺できるのは分かってるさ。だがね、そんなことして、あの皇太子さんの名誉は守られるのかね?」 「暗殺ってのは薄汚ねえ手段さ。少なくとも貴族連中はそう思ってる。そんな手段で生き延びたとして、だ。彼らの誇りは守られんのかねえ? このアルビオンって国は、国体を保てるのかねえ? 名誉より命って考えも俺は分かるよ。だがね、そいつぁ俺やお前の価値観で、彼らの価値観じゃあない」 「……もういい、デルフ」 「…………」 リゾットの声に、デルフは押し黙った。 「依頼もなしに暗殺しようとするのは暗殺者のやることじゃない。気遣いは感謝する……」 「ああ、もう寝ろよ。眠っちまえ。お前さんのやろうとしてるもう一つのこと。そいつぁ、俺も反対しねえよ」 「分かってる」 「ああ、喋りすぎたな。俺もお節介な剣さ…」 翌朝、ルイズはワルドに連れられて、始祖ブリミルの像が置かれた礼拝堂に来ていた。 皇太子の礼装に身を包んだウェールズが二人を迎え入れる。他の人間は皆、決戦の準備に駆けずり回っているのだ。 ルイズは昨夜、ウェールズや死を覚悟した人々、それにリゾットの態度がルイズを激しく落ち込ませ、ろくに眠っていなかった。 そして今朝早く、ワルドに突然起こされた。リゾットの行方を尋ねたが、先に帰ったと聞き、ついに見放されたのかとさらに落ち込んだ。 自暴自棄な気持ちと寝不足のまま、ルイズをワルドに連れられ、ここに来たのだった。 「今から結婚式をするんだ」 そう言いながらワルドはルイズの頭に、アルビオン王家から借り受けた新婦の冠をのせる。 続いて、マントもいつも着用している黒いマントを外し、新婦のために用意された純白のマントに取り替える。 ワルドに着せ替えられている間も、ルイズは無反応だった。ワルドはそんなルイズの様子を、肯定の意思表示と受け取った。 始祖ブリミルの像の前に立ったウェールズの前で、ルイズと並び、ワルドは一礼をした。 「では、式を始める」 ウェールズの声が礼拝堂に朗と響いても、ルイズはまるで聞いていなかった。 「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして妻とすることを誓いますか?」 「誓います」 「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして夫とすることを誓いますか?」 自分の名が呼ばれたときでさえ、ルイズの心は深い思考の中に沈んでいた。 「新婦?」 ウェールズの声に、ようやくルイズはのろのろと顔を上げた。やっと脳が動き始める。 ルイズは戸惑った。いつの間にか式は進んでいる。どうすればいいのか、まるで検討がつかなかった。 「緊張しているのかい? 仕方が無い。初めての時は事が何であれ緊張するものだからね」 にっこりと笑って、ウェールズは続ける。 「まあ、これは儀礼に過ぎぬが、儀礼にはそれをするだけの意味が有る。では繰り返そう。汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして夫と……」 いまや自分の気持ちを汲み取り、評価し、守ってくれる使い魔はいない。どうすればいいのか、助言を求めることも出来ない。 そう思うと、急に孤独がルイズを包んだ。そして気づく。少なくとも、ワルドといても、孤独は癒されないのだと。 そこまで考えたとき、ルイズはウェールズに首を振った。 「新婦?」 「ルイズ?」 「ワルド、私、貴方とは結婚できない」 怪訝な顔をしているワルドに、ルイズは悲しそうな表情を浮かべながら、そう言った。 ウェールズは首をかしげながらもルイズに問いかける。 「新婦は、この結婚を望まないのか?」 「その通りです。お二方には大変失礼をいたすことになりますが、私はこの結婚を望みません」 ワルドの顔に、さっと朱がさした。ウェールズは困ったように首をかしげると、ワルドに残念そうに告げる。 「子爵、誠に気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続けるわけにはいかぬ」 しかし、ワルドはウェールズに見向きもせずに、ルイズの手を取った。 「……緊張しているんだ。そうだろルイズ。君が、僕との結婚を拒むわけが無い」 熱っぽいワルドの口調に、ルイズは首を振る。 「ごめんなさい、ワルド。憧れだったのよ。もしかしたら、恋だったかもしれない。でも、今は違うわ」 するとワルドは、今度はルイズの肩をつかんだ。 「世界だ、ルイズ。僕は世界を手に入れる! そのために君が必要なんだ!」 その表情もいつもの優しいものではなく、爬虫類を思わせる、冷たいものに変わっていた。 「私……世界なんかいらないもの……」 「僕には君が必要なんだ! 君の能力が! 君の力が!」 その剣幕を見かねたウェールズは、間に入ってとりなそうとする。 「子爵……、君はフラれたのだ。いさぎよく……」 「黙っておれ!」 ウェールズはワルドの暴言に驚き、立ち尽くした。ワルドはルイズの手を乱暴に握る。その手は冷たく、まるで蛇に絡みつかれているようだった。 「ルイズ! 君の才能が僕には必要なんだ!」 「私はそんな、才能あるメイジじゃないわ」 「だから言っている! 自覚がないだけなんだよ、ルイズ!」 ルイズは手を振りほどこうとしたが、物凄い力で握られている為に、振りほどくことが出来ない。ルイズは苦痛に顔をしかめた。 「そんな結婚、死んでもいやよ。今、分かったわ。貴方は私を愛してなんかいない。貴方が愛しているのは貴方の頭の中にだけある、在りもしない私の魔法の才能だけ。 こんな侮辱、他にはないわ。そんな理由で結婚しようなんて、死んでも嫌!」 ルイズが暴れる。見かねたウェールズはワルドの肩に手を置き、二人を引き離そうとした。しかし、ワルドは今度は突き飛ばした。ウェールズの顔に怒りが走る。 「なんという無礼! なんという侮辱! 今すぐにラ・ヴァリエール嬢から手を離したまえ! さもなくば、わが魔法の刃が君を切り裂くぞ!」 ウェールズに杖を向けられ、やっとワルドは手を離した。そして、どこまでも優しい笑顔を浮かべる。だが、その笑みは嘘に塗り固められていた。 その顔を見て、ルイズは初めて、『ワルドはいつも仮面を被っている』といっていたリゾットの言葉を理解した。 「こうまで僕が言ってもダメかい? ルイズ、僕のルイズ」 ルイズは怒りに震えながら返事をする。 「いやよ、誰が貴方と結婚なんかするものですか!」 ワルドは天を仰いだ。 「この旅で、君の気持ちを掴むために、ずいぶん努力した……。あの男に邪魔されがちだったがね…」 両手を広げ、首を振る。 「こうなっては仕方ない。ならば目的の一つはあきらめよう」 「目的?」 ルイズの疑問に、ワルドは唇を吊り上げ、笑った。 「そうだ。この旅における僕の目的は三つ。そのうち二つは達成できるだけでもよしとしなければ」 「達成? 二つ? どういうこと?」 「まず、一つめ。ルイズ、君を手に入れることだ。しかし、これは果たせないようだ」 「当たり前じゃないの!」 ルイズは胸のうちに広がるいやな予感を抑えながら叫んだ。 「二つめ。ルイズ、君のポケットに入っている、アンリエッタの手紙だ」 ルイズははっとしてポケットを押さえた。 「三つめ……」 『アンリエッタの手紙』という言葉で全てを理解したウェールズが杖を構えて呪文を詠唱した。 しかし、ワルドは二つ名「閃光」のように素早く杖を引き抜き、呪文の詠唱を完成させる。杖が青白く発光した。 ウェールズは呪文を唱えつつ後ろに跳ぼうとするが、それよりも早く杖はウェールズの胸へと伸びる。 そして、空中で杖が止まった。金属音が静寂に包まれた礼拝堂に響く。 「………とうとう正体を現したな、ゲス野郎め」 空中から声がした。ワルドの杖の先端から、細かい粒が一つ一つ落ちていくように、デルフリンガーの刃が明らかになる。 その粒子の落下はデルフリンガーを握る人物の姿をも描き出す。ワルドが驚愕の声を漏らした。 「貴様は……!」 「リゾット!」 ルイズは使い魔の名を呼んだ。そこにはリゾット・ネエロがその暗黒の瞳に冷たい怒りをたたえ、剣を構えていた。 リゾットはワルドから視線を離さず、ルイズに言った。 「薬は受け取った……。ありがとう」
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/35816.html
武利天王(ぶりてんおう) アルビオン・ハート KGM 光/水文明 (8) クリーチャー:メタリカ/武利天王国 12500 ■ブロッカー ■相手のシールドゾーンに表向きのシールドが5つ以上あれば、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚してもよい。 ■このクリーチャーが攻撃する時、相手のシールドゾーンにある表向きのシールドをすべてブレイクしてもよい。 ■T・ブレイカー ■<ブリテンロード>(このクリーチャーがシールドをブレイクする時、かわりにそのシールドをすべて表向きにしてもよい。このクリーチャーが表向きのシールドをブレイクする時、かわりに相手はそのシールドを墓地に置く) 作者:wha + 関連カード/0 IP-07 「アイデアパック07:謎のオリカ十大王国」 カードリスト:wha 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/22982.html
アルビオン・ホワイト・ワイバーン VR 火文明 (9) クリーチャー:アーマード・ワイバーン 6000 ■G・ゼロ-自分のマナゾーンにカードが10枚以上あり、自分の《アルビオン・ホワイト・ワイバーン》がバトルゾーンになければ、このクリーチャーをコストを支払わずに召喚してもよい。 ■スピードアタッカー ■W・ブレイカー ■自分のターンの終わりに、このクリーチャーを自分の手札に戻す。 作者:はんむらび 10マナさえあれば追加で飛んでくる2打点。ターンの終わりに手札に戻るため対処はしづらく、いくら準バニラとは言え2打点は計算を狂わせるには十二分。 だが、このクリーチャーの本質はそこではない。「0コストで出せる《聖剣炎獣バーレスク》の進化元なのだ。 フレーバーテキスト 評価 アーマード・ドラグーンじゃなくてワイバーンでは? -- 名無しさん (2018-08-04 21 22 04) ↑修正しました -- はんむらび (2018-08-04 21 33 42) 命名ルールもこれだとティラノドレイクですね・・・修正します? -- アズライト (2018-08-05 09 25 50) そう……ですね。可能であれば《アウランティウム・ドラグーン》?のほうもお願いします -- はんむらび (2018-08-05 15 31 42) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/outerzone/pages/130.html
これから君にとっての『最強』は、私だ。 【CLASS】 ランサー 【真名】 メリュジーヌ/ランスロット・アルビオン 【出典】 Fate/Grand Order 【性別】 雌型 【ステータス】 筋力:C 耐久:A+ 敏捷:B 魔力:A+ 幸運:B 宝具:A+ 【属性】 中立・悪 【クラス別能力】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。 大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 陣地作成:B+ 自らに有利な陣地を作り上げる。 【保有スキル】 ドラゴンハート:B 竜の炉心、あるいは竜の宝玉と呼ばれる、メリュジーヌの魔術回路を指す。 汎人類史においては『魔力放出』に分類される、生体エネルギーの過剰発露状態。 “竜の妖精”として自身を再構築したメリュジーヌは、竜種ではないものの竜と同じ生体機能を有している。 無窮の武練:B 汎人類史の英霊、ランスロットから転写されたスキル。 どのような精神状態であれ、身につけた戦闘技術を十全に発揮できるようになる。 過度の修練により肉体に刻み込まれた戦闘経験……といえるものだが、生まれつき強靱なメリュジーヌにはあまり必要のないスキルだった。 このスキルの存在そのものをメリュジーヌは嫌っている。生まれつき強い生き物に技は必要ないのである。 レイ・ホライゾン:A イングランドに伝わる、異界への門とされる「地平線」「境界」を守る竜(ミラージュ)の逸話より。 メリュジーヌはあくまで『妖精』としての名と器であり、本来の役割は『境界』そのものである。 ……メリュジーヌ本来の姿に変貌するための手順。 【宝具】 『今は知らず、無垢なる湖光』 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:2~10 最大捕捉:1匹 イノセンス・アロンダイト。 自らの外皮から『妖精剣アロンダイト』を精製し、対象にたたきつけるシンプルな宝具。 ランスロットのアロンダイトの槍版。 ダメージは低いが、回転率はトップランク。 まるで通常攻撃のような気軽さで展開される宝具。 なぜダメージが低いかというと、メリュジーヌにとってこの宝具はあくまでランスロットの宝具であって自分の宝具ではない借りもの(偽物)だからだ。 『誰も知らぬ、無垢なる鼓動』 ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:20~500 最大捕捉:500匹 ホロウハート・アルビオン。 第三スキルによって『本来の姿』になったメリュジーヌが放つドラゴンブレス。 『本来の姿』になったメリュジーヌはもはや妖精と呼べるものではなく、その威容の心臓からこぼれる光は広域破壊兵器となる。 その様は境界にかかる虹とも、世界に開いた異界へのゲート(異次元模様)ともとれる。 使用後、メリュジーヌは『そうありたい』と願った妖精の器に戻れず、人知れず消滅する。 異聞帯のアルビオンは『無の海』を飛び続け、やがて死に絶えたが、どの人類史であれ『星に帰り損ねた竜』は無残な最期を迎える、という事の証左でもある。 【weapon】 通常は『今は知らず、無垢なる湖光』を使用。その他にも、上空を飛行し魔力弾を打ち出す『爆撃』等、数多くの攻撃手段を有している。 【人物背景】 妖精國ブリテンにおける円卓の騎士、その一角。汎人類史における円卓の騎士・ランスロットの霊基を着名した妖精騎士。ブリテンでただ一種の“竜”の妖精。 無慈悲な戦士として振る舞うが、その所作、流麗さ、そして他の妖精たちとは一線を画した姿から、妖精國でもっとも誇り高く、美しい妖精、と言われている。 彼女が存在した妖精國ブリテンはモルガンの術式により特異点化、汎人類史へと編入されたため、彼女の存在も英霊の座に刻まれた。 その経緯故に、彼女はブリテンの終わり――あの奈落の穴を破り、空高く飛翔した最後の記憶を残しながら現界している。 【サーヴァントとしての願い】 なし。強いて言うなら、マスターが聖杯を手に入れた暁にはアルスとやらとどちらの方が強いのか試すこと。 【方針】 聖杯を狙う。 【把握媒体】 アプリゲーム。ランサーは二部六章『妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ』のメインキャラクターの一人として登場する。
https://w.atwiki.jp/mousouvs/pages/1353.html
ランスロット・アルビオン 出典:【コードギアス 反逆のルルーシュR2】 所属:ブリタニア帝国(コロ二ー地球連邦側) 連ジコスト:375(非常に高い)連ジ耐久力:600 連ザコスト:590 連ザ耐久力:750 GvsGコスト:3000 盾:ある(強化型ブレイズルミナス)変形:ない 換装:ない 抜刀:ある 特殊能力:強化型ランドスピナー、強化型ファクトスフィア、フロートシステム(初期標準搭載)、ミラージュコロイド、ミノフスキードライブ 装甲材質:フェイズシフト装甲 DP:枢木スザク 地上用の画像は募集中です。 宇宙用の画像は募集中です。 ディアクティブモードの画像は募集中です。 物語が終わる直前と第2クールOPで姿をあらわしたランスロットの究極強化形態。そのスペックは他の高コスト機と互角。エナジーウイングが6枚あって、背中と両足のスラスターにホイール2本が4本に増加や、弾数アップ、スタミナが750に増えて、だいぶ590帯らしくなってきた。 (デスティ二ー、ストライクフリーダムガンダム、∞ジャスティス、レジェンドと同じ590に匹敵するくらい。) ■射撃 ※スーパーヴァリスが2丁あるのは、第22話の一度限りだった。 メイン射撃【スーパーヴァリス(単発)】 弾数:24(1丁に12発、2丁で24発)リロード:4発につき4秒(オート)ダメージ:1発につき80(4発当たれば80+76+72+68=296) 銃口が2門あるため一度の発射に2発同時発射する。最高2連射まで可能。合計的な威力はストフリ以上。4発ヒットで強化前のランスロットの3倍のダメージが与えられる。 メインCSLv.1【スーパーハドロンヴァリス】 弾数:メインの弾8発分消費 チャージ:1.8秒 ダメージ:296×2=592(補正後は296+281=577) 銃口が開き、でかい弾を発射する。2回ヒットで他のタイプより2.4倍上回る。 メインCSLv.2【スーパーハドロンギガヴァリス】 弾数:メインの弾12発分消費 チャージ:2.9秒 ダメージ:420×2=840(補正後は420+399=819) 銃口が2段階にもっと開いて、極太照射する。2回当たればゼロカスタムのツインバスターライフルに、ストフリとレジェンドの一斉射撃に匹敵するか、遥かに上回る。 マルチCS【ローリングハドロンギガヴァリス】 弾数:メインの弾12発分消費 チャージ:2.9秒 ダメージ:420×2=840(補正後は420+399=819) 2丁スーパーヴァリスを回転しながら極太照射してくる。ランスロット・コンクエスターとは違って、ハドロンブラスターがない代わりには当てやすいのがマシだと思う。 サブ射撃【強化型スラッシュハーケン】 弾数:4 リロード:特殊(戻るまで)ダメージ:120×4=480(補正後は120+114+108+102=444) 必ず両腕2ヶ所と、両腰2ヶ所から4ヶ所一斉発射する。一撃で弾切れになるが、戻れば問題ない。 特殊射撃【エナジーフェザーウイング】 弾数:60 リロード:6発につき3秒(オート)ダメージ:1発につき90 劇中と同様に、翼のビーム羽飛ばし攻撃を仕掛ける。 ■格闘【ハイパーメーザーバイブレーションソード】※格闘体勢に入ると、背中からHMVSを取り出す。メッサーハーケンを廃止した分、メインと特殊だけに再調整した。劇中ではギャラハッドを寸断していた。 Nメイン格闘【斬りつける】 ダメージ:160×4=640(補正後は160+152+144+136=592) 前メイン格闘【突き刺し、ぶった斬る】 ダメージ:300+300=600(補正後は300+285=585) 横メイン格闘【横斬り→横回転斬り】 ダメージ:160×3=480(補正後は160+152+144=456) 後メイン格闘【ダブル居合い斬り】 ダメージ:300+300=600(補正後は300+285=585) 2回連続Xの字斬り。Sインパルスのエクスカリバーの約何倍だろうか。 N特殊格闘【強化型キック2発】 ダメージ:80+80=160(補正後は80+76=156) 強化前より威力が上がっているが低い。オラオラァ!!!! 前特殊格闘【強化型回転キック】 ダメージ:180 横特殊格闘【強化型回し蹴り2発】 ダメージ:80+80=160(補正後は80+76=156) 最後の25話で見た事がある。 後特殊格闘【強化型ダブル二ープレス→HMVS縦回転斬り】 ダメージ:70+70=300=440(補正後は70+66+270=406) BD格闘【強化型一閃】 ダメージ:160+160=320(補正後は160+152=312) ダウン格闘【強化型下突き】 ダメージ:240 HMVS抜刀中だけ使える。刺されたらめちゃ痛い。 更新情報 2009・3・6 コンボ補正をアップ。 2009・2・16 大量更新。残りは画像を載せればいい。 2009・2・14 新設。
https://w.atwiki.jp/darthvader/pages/27.html
10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/20(日) 01 10 12.18 ID TpLImniV0 先に動いたのはベイダー卿だった。その手が軽く動き、掌がワルドの方を向く 。 だが、フォースがその喉を捕らえるより一瞬早く、ワルドは大きく横に跳んだ。 まるで風に舞う羽のように軽やかな動きだった。ルイズには二人の間で何が行われたのか わからなかった。 「やるではないか」 ベイダー卿の口調はどこか楽しそうだ。 「ラ・ロシェールでフーケと戦った時の手並みは見せてもらった。僕は『風』のスクウェアメイジ だ。『ガンダールヴ』、お前がいかなる力をつかっているのかはわからないが、僕の周りに風が 存在している限り、接近してくる脅威は感知できる。その攻撃は通用しない。それに……」 もったいぶった動作で、杖を構え直すワルド。 「お前の弱点はわかっている」 その唇が紡ぐのは、ベイダー卿にも聞き覚えのある呪文だった。 「『ライトニング・クラウド』よ!」 ルイズが悲鳴に近い声を上げた。ベイダーは一度この魔法で仮面の男に後れを取っている。 腰のデルフリンガーも叫んだ。 「相棒! 俺を抜け!」 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/20(日) 01 13 03.39 ID TpLImniV0 しかし、デルフリンガーを無視し、ベイダー卿は動かない。 ライトセイバーさえ抜こうとしない。 「死ぬ気か、相棒!?」 「黙ってろ」 そうこうする内にワルドの呪文が完成した。 「死ね、『ガンダールヴ』! 『ライトニング・クラウド』!」 彼の振るう杖の先から、稲妻が飛ぶ。 その強圧的な光を直視できず、ルイズは思わず目をつむった。 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/20(日) 01 18 18.52 ID TpLImniV0 「べ、ベイダー……?」 「卿をつけろと言ったはずだ、マスター」 ルイズがおそるおそるまぶたを開くと、ベイダーを貫くかに見えた電撃が、その掌の前で くすぶっていた。 さらにベイダーが機械の体に通電しないよう少しずつ空気中に放電させると、球電状に凝集 した電光が次第に薄れ、消えていった。 「おのれ!」 その光景に目を剥いたワルドが、再度『ライトニング・クラウド』を放った。先ほどよりさらに強力 な、人間を一撃で炭に返る威力のものだ。 が、それをもベイダーは片手で受け止め、あまつさえ電撃を放った当人であるワルドに向けて 跳ね返してみせた。 「何っ!?」 意表を突かれたワルドが慌てて杖を振る。それに合わせて電撃は再度針路を変え、内陣の 天井を砕いた。 「こいつぁおどれーた! メイジの魔法を素手で跳ね返す奴なんざ、さすがの俺も見たこと ねーや!」 ベイダー卿の腰で、デルフリンガーが歓声を上げた。 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/20(日) 01 21 54.98 ID TpLImniV0 「だだだ、大丈夫なの、ベイダー?」 「平気だ」 「あんた、カミナリも跳ね返せるの?」 ベイダーは電撃を跳ね返した掌をじっと見つめた。 「確信はなかった」 そう言ってから、その手をぐっと握る。 「え? じゃあ、なんで……?」 「いいから下がっていろ」 ベイダーはルイズを後に残すと、大またにワルドの方に近づいていった。 「感謝するがいい、子爵。ここが似合いの死に場所だ。ここで死ね」 「それにしても相棒、そろそろ俺の見せ場のはずなんだが……」 デルフリンガーが切なそうにぼやいた。 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/20(日) 01 24 12.15 ID TpLImniV0 しかし意外なことに、切り札たる電撃の呪文を跳ね返されたはずのワルドは、余裕の態度を 崩さなかった。 「なるほどな。『ガンダールヴ』、君の強さは認めるが、それでも『風』のスクウェアメイジたる 僕には勝てない。その理由を今から教えよう」 近づいてくるベイダー卿から目を離さず、素早く呪文を唱える。 「ユビキタス・デル・ウィンデ……」 呪文が完成すると、ワルドの体はいきなり分身した。 一つ……、二つ……、三つ……、四つ……、本体と合わせて、五体のワルドがベイダーの 前に立ちふさがった。 ベイダーの歩みが止まる。 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/20(日) 01 27 09.23 ID TpLImniV0 「分身!?」 ルイズが叫んだ。 「ただの『分身』ではない。風のユビキタス(遍在)……。風は遍在する。風の吹くところ、何処と なくさ迷い現れ、その距離は意志の力に比例する」 ワルドの分身は、すっと懐から白い仮面を取り出すと、顔につけた。 ルイズの体が恐怖に震えた。 『桟橋』でルイズをさらおうとしたのは、他ならぬワルドだったのだ。 「ワルド……、あなたが……。じゃあ、フーケを脱獄させたのもあなたなの?」 「いかにも。しかも一つ一つが意思と力を持っている。言ったろう、『風』は遍在する!」 五体のワルドがいっせいに呪文を唱え始めた。 『ウィンド・ブレイク』。効果範囲が広くて避けにくく、跳ね返しようもない魔法だ。 五体同時に繰り出す強力な突風を避けきれず、ベイダー卿は礼拝用の長椅子をいくつも 砕いて、ルイズの所まで吹き飛ばされた。 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/20(日) 01 33 11.30 ID TpLImniV0 「きゃああぁっ!」 悲鳴を上げ、轟音に身をすくませてから、ルイズは慌ててベイダーの傍らに駆け寄った。 「ベイダー! 大丈夫!?」 「大丈夫だ」 ベイダーは助け起こそうとするルイズを片手で制し、長椅子の破片を払いながら立ち上がった。 軽く頭を振り、再び前に出る。 さしてダメージも感じさせずに進んでくるベイダーを、五体のワルドが取り囲んだ。 「相棒! 『ガンダールヴ』! いい加減俺を抜けっつーの!」 腰から響くわめき声に小さく頷き、ベイダー卿は久しぶりにデルフリンガーの刀身を抜いた。 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/20(日) 01 40 01.08 ID TpLImniV0 「やはりさすがの貴様もこの魔法は防げないようだな! 『ウィンド・ブレイク』!」 三体のワルドが三方向から突風の呪文を放つ。 さらに残りの二体がわずかに時間差を置いて前後から突っ込んできた。 その杖は青白く発光している。 『エア・ニードル』。さきほど、ウェールズの胸を貫いた呪文だ。 「俺を魔法にぶつけろ!」 叫ぶなり、デルフリンガーの刀身が光り出した。 その声に応じるように、ベイダー卿が左手にデルフリンガーを握りながらその身を回転させた。 同時に、空いた右手にフォースを集中させ、ライトセイバーを引き寄せる。 光り出したデルフリンガーの刀身に魔法の突風が全て吸い込まれ、次の瞬間には右手に握る ライトセイバーが二本の杖を見事に受け止めていた。 71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/20(日) 01 43 28.39 ID TpLImniV0 連続攻撃が失敗したとみるや、五体のワルドはいっせいに後退し、囲みを広げた。 ベイダー卿が、さすがに少々驚いた様子でその手の中の剣を見つめる。 「これがほんとの俺の姿さ、相棒! いやぁ、てんで忘れてた! 俺は今から六千年も前に お前に握られてたんだぜ、『ガンダールヴ』。生きてんのに飽き飽きしたときに、テメエの体を 変えたんだった! なにせ、面白いことはありゃあしねえし、つまらん連中ばっかりだった からな!」 「早く言いなさいよ!」 戦いの場から離れたところで、ルイズがわめいた。 73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/20(日) 01 46 44.01 ID TpLImniV0 「しかたがねえだろ、忘れてたんだから。でも安心しな、相棒。ちゃちな魔法は全部、俺が 吸い込んでやるよ! この『ガンダールヴ』の左腕、デルフリンガー様がな!」 興味深そうに、ワルドはベイダーの左手の剣を見つめた。 「なるほど……。ただの剣ではなかったというわけか」 再び囲みの輪を狭める。 今度は全員が『エア・ニードル』を唱え、杖を青白く発光させた。 まるでジェダイのライトセイバーのような色だ。 「杖自体が魔法の渦の中心だ。その剣で吸い込むことはできぬ! 以前のように簡単に切れも せぬぞ!」」 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/20(日) 01 50 19.08 ID TpLImniV0 その言葉を聞くと、ベイダー卿は左手のデルフリンガーを鞘に戻した。 「おい、俺の出番はもう終わりかよ!」 不満げなデルフリンガーを最後まで鞘に押し込むと、その手に残るのは、赤い灼熱の刃のみ となった。 「来い」 右手のライトセイバーを斜に構え、左手で手招きをして挑発する。 五体のワルドが、ベイダー卿目がけて前後左右から躍りかかった。 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 00 46 50.30 ID oRmuvw4V0 五本の杖がその体に到達する直前、ベイダーは大きく後方に跳び、囲みから逃れた。 空中で見事に回転して着地するベイダー。 標的が消えて同士討ちしそうになり、わずかにたたらを踏んだワルドたちも、すぐさまそれに 追いすがる。 剣戟が始まった。 ベイダーは一対五という圧倒的に不利な状況にもかかわらず、かすらせもせずにワルドの 猛攻を防ぎきる。 ハラハラしながら戦況を見守るルイズだったが、既に何が起こっているのかわからなくなって きていた。両者の動きが、あまりにも速すぎる。 しかし、さすがに手に余るのか、じりじりと後退するベイダー。 その背が、石造りの固い壁に突き当たる。 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 00 51 45.64 ID oRmuvw4V0 ルイズはハッとしたが、背後の守りが固められたせいか、それ以上はワルドも攻め切れない。 数の上では、一対五から一対三になっていた。 剣術に関してはずぶの素人であるルイズから見れば、今どちらが攻めていてどちらが守って いるのか、よくわからない。 ただ、一対三のこの状態で、攻勢と守勢を安易に判断できないくらいに両者が拮抗している ことだけはわかった。 単純計算で、ベイダーは魔法衛士隊隊長であるワルドの三倍の手数で剣を振るっていること になる。 だが、それでもなお、ベイダーが本領を発揮していないような気がしてならなかった。 だけど、だとすればなぜ……? 知らず知らずの内に、ルイズは両者のそばに歩み寄っていた。 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 00 56 39.11 ID oRmuvw4V0 「おい、相棒。どうした?」 息も切らせぬ攻防戦の最中だというのに、腰のデルフリンガーが話しかけてきた。 「いや、この状況でかすらせもしないのは大したもんだと思うぜ? だけど、お前の心は全然 震えちゃいねえな。『ガンダールヴ』は心を震わせて力を溜めるんだ。お前、なんでそんなに 冷静なんだ?」 ベイダー卿は応えない。一心不乱に、三体のワルドと剣を交わす。 「お前、まさかあの娘っ子に遠慮してるんじゃあるめぇな?」 一瞬気が逸れ、払い損ねたワルドの突きを、危うい所で頭を傾けてかわした。 「おいおい、図星かよ」 再び冷静にワルドの突きを払いのけるベイダーの腰で、デルフリンガーはため息のような声を 出した。 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 00 59 29.88 ID oRmuvw4V0 デルフリンガーの声は、近づいてきていたルイズにも聞こえていた。 (まさか、そんな……ね) ルイズの胸がざわめき出す。 まさか、あそこまで言い切ったベイダーが、ルイズの婚約者だったというだけでワルドに遠慮 するだなんて……。 (ありえないわ、そんなの) そんな考えを振り払おうと、ぶんぶんぶんと頭を振る。 そして、もう一度両者の戦いの場に視線を戻した瞬間、唐突にベイダーと目が合った……気が した。 50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 01 04 37.65 ID oRmuvw4V0 「ワルドを殺せ」、ベイダーはルイズがそう命ずるのを待っているのだろうか? いや、それは考えられない。彼自身が既に殺意を固めていたはずだ。 ならば……。 (許……可……?) ルイズの婚約者を、ルイズの使い魔が殺す許可を求めているのだ。 なんで今さらになって使い魔の分を守ろうとするのだろうか――ルイズは半ば呆れていた。 ……ルイズにとって、使い魔以上の存在になることを恐れているというのか。 ――あの、自称無敵の暗黒卿が? そこに思い至って、ようやくルイズはこの戦いの構図を理解した。 ルイズをめぐる――そう思うのは自意識過剰かもしれないけど――馬鹿馬鹿しいまでの男同士 の意地の張り合いなのだ、この『決闘』は。 だからルイズは、白々しい言葉ではなく、あくまで行動でベイダーに『許可』を出すことにした。 58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 01 09 56.85 ID oRmuvw4V0 ワルドの杖と切り結ぶベイダー卿の視界の隅で、ルイズが呪文を唱え出した。 それに気づいたベイダーは、彼女を制止しようと思ったが、すでに遅かった。 ルイズの失敗魔法は、ベイダーから見て右端のワルドの分身を直撃し、爆発させ、かき消した。 「え、消えた? わたしの魔法で?」 ルイズが目を見張る。 だが、逃げろ、とベイダーが言う間もなく、そんなルイズを残るワルドの内の一体が『ウィンド・ ブレイク』で吹き飛ばした。 目の前で弾け飛ぶルイズの小柄な体を見て、マスクの内側でベイダー卿の瞳が金色に 染まった。 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 01 12 52.32 ID oRmuvw4V0 「そうだ、『ガンダールヴ』! そうやって心を震わせるんだ! お前の強さは心の震えで 決まる! 怒り! 悲しみ! 愛! 喜び! なんだっていい! とにかく心を震わせな、俺の ガンダ……いや、ちょっと待て。震えすぎだぜ……」 興奮し、有頂天になりつつあったデルフリンガーだったが、ベイダーの変貌に気づいて口を つぐむ。 比喩ではなく、ベイダー卿の怒りで文字通り周囲の空気が震撼し、床石にひびが入っていた。 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 01 15 11.13 ID oRmuvw4V0 束の間気圧されつつも、ワルドは残りの四体で再び攻勢に出た。 とは言え、壁を負うベイダーに対しては一度に三体までしか切りかかれない。 このままでは先ほどまでのように攻め切れないのは目に見えていたのだが、そんな地の利を 捨てて、ベイダーはわざわざ前に出てきた。 三対一でなお相手を後退させるその技量には舌を巻くが、あまり賢い判断とは言えない。 好機とばかりに四体目のワルドが切りかかった。 そしてあっさり両断された。 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 01 20 16.53 ID oRmuvw4V0 「何っ!?」 残ったワルドが狼狽する。 無論それでもなお、攻撃の手は緩めない。 だが、そんなワルドの目の前で、ベイダーの振るう刃の速度は天井知らずに上がっていく。 もはやどちらが攻めているのかは、傍目にも明らかになっていた。 三対一だからこそしのぎ切れているが、一体一体のワルドにとって、もはやライトセイバーは 赤い光の壁にしか見えない。 次の一体が両腕を刈り取られた。 痛みのあまり床に転がって悶絶するその顔に向かい、ベイダーが空いている左手を振り下ろす。 頭蓋骨の中身を飛び散らせてから、三体目のワルドがかき消えた。 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 01 26 10.95 ID oRmuvw4V0 「うおっ!」 驚愕の声を上げ、完全に防御に回った四体目の胴を、ライトセイバーがひと薙ぎ。 『エア・ニードル』で固めたはずの杖ごと断ち切られた両半身が、それぞれバラバラの方向に 飛んでいった。 残るはワルドの本体一人。 112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 01 30 02.38 ID oRmuvw4V0 最後に残ったワルドの本体が、背を向けて逃げ出さずに向かってきたのは、貴族としては 称えられるべき勇気だったと言えよう。 しかしベイダー卿は破れかぶれの突きを易々とかわし、左脇に絡めとると、その右腕をライト セイバーで切断した。 「ぐおおおおおおぉぉぉぉぉっ!」 右腕を失ったワルドは、無様に礼拝堂の床を転がった。 ライトセイバーで斬られた傷の苦痛は、鋭利な刃物によるそれとは比べ物にならない。 肉、骨、あらゆる体組織が一瞬で炭化するのだ。その熱さと痛みはどれほど訓練された戦士 といえども耐え切れるものではない。 気絶しなかっただけ、ワルドは立派であった。 滝のような汗を垂れ流し、転がりながらかろうじて数歩の距離を取って、ベイダー卿を睨み つける。 だが、もはや暗黒卿からは逃げられない。 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 01 34 02.64 ID oRmuvw4V0 切断され先端がいまだ赤熱している右腕を見つめながら、ワルドはともすれば激痛にクラッシュ しそうになる思考を必死に働かせた。 どうすればこの場から逃れられるか、を。 もはやメイジとしての恥や外聞に頓着している場合ではない、理性がそう結論付けた時、ワルド の行動も決まっていた。 彼は左手を懐にやり、切り札を取り出した。 134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 01 37 13.89 ID oRmuvw4V0 ワルドが取り出した『武器』を見て、止めを刺そうと歩み寄ったベイダーの足取りが凍りついた。 残った左手に握られたワルドの切り札、それは紛れもなくブラスター銃だった。 ベイダー卿の脳裡に、一月前に聞いたオスマン氏の話が蘇る。 ハルケギニアに突如として現れた二人のエイリアン種。 略奪の限りを尽くした彼らを討ち果たしたのは、ワルドであった。 ワルドはその際にブラスターを奪い、私物としたに違いない。 そしてその銃口は、ベイダーではなく、床に倒れたままのルイズを狙っていた。 154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 01 41 17.85 ID oRmuvw4V0 「『ガンダールヴ』、貴様の動きをもってしても、この距離でこの銃弾を防ぐことはできまい」 左手で銃を構え、残った右ひじと両足を使ってじりじり後退していくワルド。 図星だった。自分に向かってくるのなら光速の弾でも防げるが、ルイズが標的となればそうは いかない。 「マスターを撃ってみろ。次の瞬間にお前は死ぬ」 「それでも僕はかまわないぞ。もとより僕はこの身を『レコン・キスタ』に捧げている。任務の 一つは果たしたし、その上で我らの脅威となるメイジを一人始末できれば申し分ない」 ワルドはそこでようやく立ち上がった。銃口をルイズに固定したまま、さらに後退する。 162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/22(火) 01 44 34.37 ID oRmuvw4V0 とうとうその足が、礼拝堂の入り口の敷居をまたぐ。 十分距離は取った、ワルドはそう判断した。 「また会おう、『ガンダールヴ』」 もはや用済みのルイズに向かって、ワルドはブラスターの引き金を引いた。 ベイダーはそれよりわずかに早く、ライトセイバーを投げた。 ブラスターの射線にライトセイバーの刀身が割って入り、飛来した光弾を偏向させてあさっての 方向に弾き飛ばす。 だが、ベイダーの手にライトセイバーが戻ってきたときには、すでにワルドの姿は消え失せて いた。 そしてその直後、彼と入れ代わるようにして、王軍を打ち破った貴族派の先陣が、鬨の声と 共に礼拝堂に雪崩れ込んできた。 62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 03 40 53.08 ID BH7EYA680 浮遊大陸の岬の突端に位置したニューカッスル城は、一方向からしか攻めることが出来ない。 この難攻不落の名城と、そこに籠もる王軍の頑強な抵抗により、反乱軍は当初の予想を上回る 損害を出していた。 密集して押し寄せた先陣が、魔法と大砲の一斉射を幾度も受けたのである。 しかし所詮は多勢に無勢。 一度城壁の内側へと侵入された堅城は、脆かった。 王軍はそのほとんどがメイジで、護衛の兵を持たなかった。 王軍のメイジたちは、群がるアリのような名もなき『レコン・キスタ』の兵士たちに、一人、また 一人と討ち取られ、散っていった。 66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 03 45 41.51 ID BH7EYA680 予想以上に手こずりはしたものの、戦の大勢はすでに決し、反乱軍の兵士たちにとっては どれほどの功を立て、どれほどの戦利品を獲るかが最大の関心事となっていた。 城の奥に立て籠もっているのだろう、未だジェームズ一世とウェールズ皇太子の首級を挙げた という報は伝わってきていない。 老いたジェームズ一世以上に、王軍の総大将と目されるプリンス・オブ・ウェールズの首こそ、 彼らが狙う最大の獲物であった。 そして、城門を突破してきた反乱軍の内、平民・メイジの混成小隊およそ百人が礼拝堂周辺に 殺到してきたのだった。 69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 03 49 38.07 ID BH7EYA680 真っ先に礼拝堂内部に飛び込んだ十数人の平民の兵士がまず目にしたものは、赤い光を 放つ剣を握った、亜人種と思しき黒ずくめの人影であった。 身の丈およそ2メイル。威圧感たっぷりのそのフォルムに、彼らの足がぴたりと止まる。 「コーホー」 不気味な呼吸音。 礼拝堂の内部が寒々しく感じられるのは、嵌め殺しの飾り窓のせいで日光が差し込みにくい からだけではないだろう。 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 03 55 02.25 ID BH7EYA680 しかし、所詮は亜人。知能は低く、魔法を使えるわけでもない。訓練された戦士がこれだけ いるのだから、怖れる理由は皆無だ。 兵士たちはそう判断し、互いに目配せしてから、一斉に斬りかかった。 そして、その判断が誤りであったことを思い知るために、彼らは生命という代償を支払うことに なる。 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 03 59 32.28 ID BH7EYA680 周辺で残党狩りという名目の略奪行為を繰り広げていた小隊は、突如響いた轟音に一斉に 振り向いた。 礼拝堂の入り口から、中に突入した兵士たちが吹き飛ばされ、次々に地面に叩きつけられた。 平民も貴族も、慌ててその場に駆け寄る。 吹き飛ばされた兵士たちは、その多くがすでに事切れ、辛うじて息のある者も、皆あらぬ方向に 手足を折り曲げられていた。無論、瀕死の重傷である 一瞬で十数人の屈強な兵士が蹴散らされた……。 恐怖という感情が、平民にも貴族にも分け隔てなく襲い掛かった。 ゴクッ……、固唾を呑む音が自分のものなのか、あるいは近くの他人が発したものなのか、 彼らの内の誰一人として判別することができなかった。 そして、そんな彼らが見守る中、礼拝堂の入り口をくぐって、シスの暗黒卿が姿を現した。 85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 04 03 53.42 ID BH7EYA680 ベイダー卿は右手にライトセイバー、左手にデルフリンガーを握って、数段分高い礼拝堂の 入り口から、反乱軍の兵士たちを睥睨した。 杖を持つメイジの数は、二十人程度。 残りは護衛の平民の兵士だ。 左手のデルフリンガーが口を開いた。 「よう、相棒。まさかこいつら全員相手にするつもりじゃねーだろうな?」 「彼ら次第だ」 ベイダーはうるさそうに応え、一斉に戦闘態勢を整える敵兵の中、メイジが固まっている辺りに 向かって宣告した。 「ここにあるのは物言わぬ躯と一人の少女と僕だけだ。お前達の手柄になるようなものは何も ない。命が惜しくば去るがいい」 89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 04 10 41.65 ID BH7EYA680 反乱軍がやや動揺を見せた。 てっきり亜人種と思っていた巨人が、流暢に喋ったからだ。 「平民か……」 どこからか声が上がった。 平民の戦士が主君を守ろうと武器を構えている――彼らはそう理解した。 平民に気を呑まれかけたという事実にプライドを傷つけられた貴族たちが、最も早く反応した。 「平民ごときの稚拙な恫喝に、我ら貴族が屈すると思う……げぅ!」 すっかり傲岸な態度を取り戻し、呪文を唱えようと杖を構えたメイジが一人、喉を押さえたまま 宙に浮いた。 「警告はしたぞ」 ベイダーが軽く手を捻ると、もうそのメイジは動かなくなった。 ざわめきが広がる。 97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 04 14 56.65 ID BH7EYA680 だが結局、勝ち戦の余勢を駆って退きどころがわからなくなっていた彼らは、一斉に礼拝堂 へと突撃してきた。 平民は手にした槍や剣を振り回し、メイジは口々に呪文を唱える。 ベイダーはその一つ一つに冷静にかつ迅速に対処した。 平民は、一合も打ち合うことなく得物ごとライトセイバーで斬り捨て、メイジの放つ魔法は全て デルフリンガーを振るって吸い込む。 瞬く間に平民の兵士を殲滅。 護衛を失って浮き足立ったメイジを皆殺しにするのは、それよりもさらに簡単だった。 礼拝堂付近の一個小隊が全滅するのに、五分とかからなかった。 100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 04 19 32.12 ID BH7EYA680 「一発もらっちまったな」 ベイダー卿が眼下に散らばる死体を見下ろしていると、デルフリンガーがポツリと漏らした。 その言葉どおり、ベイダー卿の胸の装甲部に、わずかな焦げ目ができていた。 至近距離で爆発四散した『フレイム・ボール』の炎の欠片が当たった跡だ。 無論、その程度でベイダー卿の体に傷をつけることはできない。 デルフリンガーはさらに続けた。 「この小隊が戻ってこないことがわかったら、すぐに増援の部隊がやって来るわな。それを 破っても、次はもっとたくさんの敵さんが来るだろうよ。お前さん、五万を一人で相手にする つもりか?」 「コーホー」 ベイダー卿は答えない。 105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 04 25 43.02 ID BH7EYA680 「いや、俺はお前の強さの程はよくわかるよ? 並外れた膂力に体力。さっきワルドの相手を した時にも息一つ切らせてなかったよな。あいつはハルケギニアでも相当上に位置づけられる メイジだ。それを手玉に取った相棒に一対一で勝てる奴はどこにもいないだろうよ」 シュウウゥゥ……。 しばらく敵兵が来ないことがわかると、ベイダーはライトセイバーの刃を収めた。 それにもかかわらず自分が鞘に突っ込まれないのを肯定の証しと取り、デルフリンガーは 続けた。 「でも、それだけじゃねえ。お前は、次に何が起こるかほとんどわかってやがるんだ。これは 経験じゃねえ。勘でもねえ。もっと別の力だ。それに加えて、あの系統魔法でも先住魔法でも ねえ妙な力……。断言してもいいぜ? このハルケギニアに、相棒、お前以上の使い手は 未来永劫現れねえだろうよ」 遠くで上がる鬨の声。気のせいか、少しずつ近づいてきているようだ。 ベイダーは踵を返すと、礼拝堂の内部に向かった。 その左手には、相変わらず口を慎まないデルフリンガー。 109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 04 30 41.53 ID BH7EYA680 「相棒。俺は引っ付いてりゃ大体の武器のことはわかるし、握られてりゃ使い手の力量は わかる。お前は無敵だ。五万の軍隊にも、うまくやりゃ勝てるかも知れねえよ? でも、それは あくまでうまくいったらの話だ。お前の体にゃ、致命的な弱点があるだろ?」 デルフリンガーの柄を握るベイダー卿の手に、少しだけ力が籠もった。 113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 04 37 22.07 ID BH7EYA680 「お前が生身の人間だったら、俺も止めやしねえ。好き勝手暴れて、五万の大軍を追い散らせ。 そして新しい伝説を作れ。でも、さっきわかったろ? どんだけ集中してても、運が悪けりゃ 攻撃がかすることもある。生身の人間なら、多少の傷を負ったって無理して戦い続けられる だろうよ。だけどお前はそうじゃねえ。当たり所が悪けりゃ、つまるところ『生命維持装置』とやら にダメージがいったら、一発で致命傷だ。違うか?」 ベイダーは応えず、ルイズのもとに歩み寄った。 「ま、それでもやっぱ運次第さね。お前と俺が組んだらハルケギニア最強は間違いねえ。 五万の軍勢なんざ朝飯前だろうよ。んむむ……、考えてみりゃ、俺としてもこれ以上の使い手 から振るわれる機会なんてないんだからな。五万人斬り捨てて、俺とお前で伝説作るのも いいかもしれん。……おっしゃ、行くか、相棒!」 話している内に、デルフリンガーは次第に興奮してきたようだ。ベイダーの左手でカチャカチャ 震えた。 120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 04 44 10.82 ID BH7EYA680 しかしベイダーはそんなデルフリンガーをうるさそうに鞘に収めると、床石に伏したままの ルイズの体を仰向けにひっくり返し、その耳元に顔を寄せた。 戦うにせよ脱出するにせよ、気絶したルイズを置き去りにするわけにも、戦場に連れて行く わけにもいかない。 「マスター……、マスター!」 がくがくと、その半身を揺さぶる。 だが、反応はない。 ベイダーはさらに続けた。 「マスタ……ルイズ。起きるんだ、ルイズ!」 123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 04 46 45.98 ID BH7EYA680 ぴくんっ、とルイズの小柄な体が反応し、両の瞼が震えながらゆっくりと上がった。 「べ、ベイダー? あんた、勝ったの?」 「子爵なら追い払ったぞ、マスター。あとはどうやってここを脱出するかだ」 ルイズがハッとして身を起こした。そして、ベイダーの手を振りほどくと、すでに事切れた ウェールズ皇太子の傍らに駆け寄った。 124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 04 51 28.90 ID BH7EYA680 そして、そっと跪く。 「殿下、申し訳ありません……。わたしが裏切り者を案内してきたばかりに」 両腕に抱きかかえるようにして、その亡骸を抱き起こす。 「マスター、時間がない」 ベイダーが促した。 近くで爆発音。 さらに近くで、反乱軍のものと思しき鬨の声。 ルイズは目尻に涙を溜めながらも小さく頷き、立ち上がろうとした。 その際、ウェールズの指にキラリと光る風のルビーが目に入った。 半ば無意識に、ルイズは指輪をウェールズの指から抜き、ポケットに入れた。そしてそれから、 ベイダーの元へと駆けつけた。 129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 04 54 05.57 ID BH7EYA680 「ベイダー、どうする気なの?」 「僕一人なら敵陣を突っ切って脱出することは可能だ。だが、マスターを守りながらでは……」 「何言ってんのよ」 ルイズが唇を尖らせた。 さっ、とその手に杖が握られる。 「このルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、腐っても使い魔の足手まとい なんかになったりしないわ」 その瞳に滲む決意の色を認め、ベイダー卿は小さく、だがどこか満足げに頷いた。 「わかった。その内騎兵もやって来るだろう。それまで攻め手は僕が全部引き受ける。敵の馬を 奪った後、その手綱をマスターに任せる」 「なんかやっぱり見くびられてるような気がするんだけど……、ま、しょうがないわね」 渋々、といった風情でルイズが同意した。固よりベイダーとの実力の差はわきまえている。 132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 04 57 39.29 ID BH7EYA680 鬨の声が近くなった。 察するに、今度は一個中隊。二、三百はいるだろう。 ベイダーが再びライトセイバーを抜く。 赤い光が、礼拝堂の中の薄明を破った。 一方のルイズも杖を構える。 その頭の中は、どんな魔法を使うかについての思案で一杯だ。 成功確率ほぼゼロのルイズの魔法だが、極々々々稀に成功することもある……かもしれない。 133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 05 01 28.31 ID BH7EYA680 「来るぞ、マスター」 ベイダーの声に、ルイズがコクリ、と頷く。 まだ見ぬ、だがこれから確実に現れる敵を見据えて。 だがそんな二人の後ろで、ぼこっと、地面が盛り上がった。 「な、なに?」 感情を張り詰めさせすぎて蒼白な顔のルイズが、地面を見つめた。 「敵? 下から?」 慌てて、どもりながら攻撃のための呪文を唱えようとするルイズ。 しかしそんな彼女を、ベイダーが片手で制した。 床石が乾いた音を立てて割れ、茶色の生き物が姿を現した。 136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 05 04 31.71 ID BH7EYA680 「えっ?」 呆気に取られるルイズ。その体を、茶色の生き物がモグモグと嬉しそうに組み伏せる。 「ちょっ、きゃっ! あんた、ギーシュの使い魔のっ……こら! どこ触ってんのよ!」 ジャイアントモールの体の下で、ルイズがじたばたと暴れた。 ちょうどその時、巨大モグラが出てきた穴から、ひょこっとギーシュが顔を出した。 「こら、ヴェルダンデ! どこまでお前は穴を掘る気なんだね! いいけど! って……」 ギーシュの視線が、ヴェルダンデからルイズへ、そしてそれからベイダー卿へと注がれる。 「こ、これはベイダー卿! こちらにおいででしたか!」 さっと片膝を突き、礼をするギーシュ。 142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 05 09 10.44 ID BH7EYA680 「な、なんであんたがここにいるのよ!」 ルイズが怒鳴る。 「いやなに。『土くれ』のフーケとの一戦に勝利した僕たちは、寝る間も惜しんできみたちの あとを追いかけたのだ。なにせこの任務には、姫殿下の名誉がかかっているからね」 「ここは雲の上なのよ? どうやって!」 そのとき、ギーシュの傍らにキュルケが顔を出した。 「タバサのシルフィードよ」 ギーシュがうんうん、と頷く。 「アルビオンに着いたはいいが、何せ勝手がわからぬ異国だからね。でも、このヴェルダンデが いきなり穴を掘り始めた。後をくっついていったら、ここに出た。 巨大モグラのヴェルダンデは、フガフガとルイズの指に光る『水のルビー』に鼻を押しつけて いる。 「なるほど。水のルビーの匂いを追いかけて、ここまで穴を掘ったのか。僕の可愛いヴェル ダンデは、なにせとびっきりの宝石好きだからね。ラ・ロシェールまで、穴を掘ってやって きたんだよ、彼は」 143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 05 13 39.90 ID BH7EYA680 『彼は』というからにはオスなんだ……ルイズはちょっと呆けた頭でそんなことを考えた。 ……いや、今はそんな場合じゃない。 「は、話は後よ! 敵がそこまで来てるの!」 「逃げるって、任務は? ワルド子爵は?」 「手紙は手に入れたわ。それから……ワルドは裏切り者だった」 「なぁんだ。よくわかんないけど、もう終わっちゃったのね」 キュルケはつまらなそうに言った。 キュルケ、ギーシュ、ルイズ、そしてベイダーという順で穴に潜り込んだ。 殿を務めるベイダーは、最後に思い切りフォースを荒れ狂わせ、礼拝堂の天井を破壊した。 突入しようとしていた『レコン・キスタ』の兵士たちの目の前で、礼拝堂は轟音と共に崩壊した。 145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 05 16 35.23 ID BH7EYA680 ヴェルダンデが掘った穴は、アルビオン大陸の真下に通じていた。 ルイズたちが穴から出ると、すでにそこは雲の中である。 落下する四人とモグラを、シルフィードが受け止める。 モグラは風竜の口にくわえられたので、抗議の鳴き声を上げた。 「我慢しておくれ、可愛いヴェルダンデ。トリステインに降りるまでの辛抱だからね」 風竜は、緩やかに降下して雲を抜けると、魔法学院を目指し、力強く羽ばたいた。 雲と空の青の中、アルビオン大陸が遠ざかる。短い滞在だったが、いろんなものをルイズの 胸に残した、白の国が遠ざかる。 ちくりと、ルイズの心が痛んだ。 もうワルドに会うことはないだろう。 優しい子爵。憧れの貴族。幼い頃、父同士が交わした、結婚の約束……。 思い出の風景が蘇った。 家族から隠れ、一人泣き伏した庭の小舟の底。 幼いルイズを抱き上げ、この秘密の場所から連れ出したワルドはもういない。 いるのは、薄汚い裏切り者。勇気溢れる皇太子を殺害し、この自分をも手にかけようとした、 薄汚い殺人者……。 146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/05/23(水) 05 19 00.37 ID BH7EYA680 だけど、憧れの婚約者を失ったにも関わらず、どうしてルイズの心はそれ程落ち込んでは いないのだろうか。 シルフィードの背で、ルイズは強い風に髪をなぶらせながら考えていた。 誰もが疲れ切り、ルイズと同じく沈黙を守っていた。 しばらくそうやって思惟を巡らせている内に、緊張の糸が切れたルイズを睡魔が襲った。 疲労の極みにある体は、この眠気に抗する術を持たなかった。 頭がかくかくと揺れ、視界がぐんぐん暗転していく中、唐突にルイズは理解した。 (そうだ……。さっき、気を失ってるわたしを起こしてくれた声は……) 148 名前:第二部完[] 投稿日:2007/05/23(水) 05 22 14.42 ID BH7EYA680 『ルイズ』 最近ようやく聞き慣れた声。だけど、未だに聞き慣れない、いやそれどころか初めて聞くはず の言葉が、ルイズの耳に蘇る。 (そう、なんだ……) 完全に意識を手放し、後ろに反り返るルイズ。 その頭を、シルフィードに跨ったベイダー卿の胸が受け止めた。 魔法学院までの道のりは、まだまだ長い。 (シルフィードの飛ぶ高空から、さらに宇宙空間までパンしてエンディング) 第二部END
https://w.atwiki.jp/lord_of_vermilion/pages/391.html
海種機甲には特に真新しいverUPでも無かったですが、炎複攻の登場で、環境は代わったかと思います。デッキ構築の参考にして頂ければ幸いです。 -- (名無しさん) 2009-01-30 04 16 01 新髭使おうと思ってたので 目安が立つのは助かります -- (名無しさん) 2009-01-30 11 54 02 【憤怒】アルビオン・みずち・オケアノス・マカラ・マーメイド・ローレライ 主人公撃 私は、結構やっていけるのですが、どうなのでしょうか? 最近、魔種もサキュバスだけですし・・・。 -- (名無しさん) 2009-01-31 14 40 39 ライオン微妙化により、蛮主がなりを潜め、オーガが戻って来るという噂がちらほら。 というか普通に雷がサキュだけのデッキには当たったこと無いけど・・ -- (名無しさん) 2009-02-02 04 55 13 私は【アルビオン】・テティス・オケアノス・マカラ・ローレライでやってます ローレライとテティスの技同時使用で異常な防御力に… -- (名無しさん) 2009-02-04 05 03 39 【】アルビオンなんて全然見ないんだが・・・ お決まりの幼女、海神とかばかりでローレライすら お目見えしない。 ・・ほんとに環境変わってる? -- (名無しさん) 2009-02-21 04 01 25 新Rの排出が微妙だからね・・・ 俺は使ってるぞ。まだ手に入れたばかりだけどな。 -- (名無しさん) 2009-02-21 07 35 19 ローレライとかデッキに入らないもんな。テティス型には不要だし、わだつみ型はアクアライダー主撃だしね。 防御上げたって弱点だったら減るしイラネ。 -- (名無しさん) 2009-02-21 08 20 55 ローレライにサーチがついてたら 話は違うんだけど、、。なんでサーチないのかなぁ -- (名無しさん) 2009-02-25 01 19 52 今度開催される、公式オンライン大会の『生贄の祭典』。 サクリが2回出来るって話だから…【憤怒】アルビオンの特殊技が生きるんじゃないかな!? -- (名無しさん) 2009-02-25 03 36 41 ↑たしかに!大会は憤怒人口増加の予感。 -- (名無しさん) 2009-02-25 22 20 25 そのためには【】の特殊がたまらない初回接触でのサクリをいかにしのぐかが鍵ですね。全滅してもいい6枚型で初回をしのぐかあえて5枚でこちらもサクリでしのぐか。 おぉ、海種がムーブの選択権を得られるのって初めてかも。 -- (名無しさん) 2009-02-27 01 27 51 深海に光明が射した! でも実際はそんな使われなさそうな悪寒 -- (名無しさん) 2009-02-27 01 34 02 憤怒をわだつみやティテスみたいな感覚の1トップで使うと速攻落ちる・・ 気をつけないと大変かも。 あと、憤怒使ってみて思った事。 憤怒だけでは超亜の対処にならない。主人公の炎枠か、アリオorナーガがいてやっと互角だなぁと。できればみずちも。 開幕サクリだけはホントどうしようもない。 それ以外は円が遠くにあるのもあって、ほぼ封殺できる。 壁役がいれば、妙に良いのが憤怒という結論が自分の中に生まれました・・・。 -- (名無しさん) 2009-02-27 06 34 58 もちろん、雷の量にもよるんだけどね。 超亜は主力になるべき使い魔がこぞって雷だから、かなりきついわ。 -- (名無しさん) 2009-02-27 06 37 07 超亜はアリオーシュだけでも大して変わらないような気がするしなぁ やっぱりサクリ使用後に特殊が腐らない+αがあればよかったのになぁ -- (名無しさん) 2009-02-27 18 20 02 せめてサーチは欲しかったですね ヨルムン型とか開幕ドワーフも、ソウルバインド→海洋の力→OKとかで対処できるときもありますけどね。 -- (名無しさん) 2009-03-02 01 38 57 開幕ドワーフに間に合うの? -- (名無しさん) 2009-03-02 13 08 47 ヨルムンなら貯まるまで振り回せばいいかもしれないが 開幕ドワーフは無理でしょうに -- (名無しさん) 2009-03-02 14 56 23 開幕ドワをソウルバインドで対処は不可能ですね。 まぁ、サクリし返して終わると思いますが。 この特殊、強制解除付きとかでも十分だと思うんだけどねえ。 -- (名無しさん) 2009-03-03 06 46 00 ↑それは強すぎるだろw 完璧にサクリ封印じゃん -- (名無しさん) 2009-03-07 09 15 52 ↑↑↑ サクリファイスの時間を短縮する…ってのはどうでしょうか?柴プロデューサー!? -- (名無しさん) 2009-03-07 12 29 31 憤怒アルビオン引かないなぁorz 憤怒、みずち、シュクラ、オケアノ、ハーピーorマカラが強そうな気がして使いたくてしょうがない。 -- (名無しさん) 2009-04-01 02 09 53 【】ポセ子きたら憤怒いなくなりそうな予感が・・・ -- (名無しさん) 2009-04-01 04 36 18 突然申し訳ありません。私、現在メインになりそうもない使い魔の名を冠したデッキについて、バランス型に統合しては如何かと説いて回っているのですが…。 消すのは余りにも勿体無い話で、また忍びない行為と思っておりますので、是非バランスの方に丸々記載して頂きたいと思っています。 と言うのも、このカードがメインにはちょっと成り得ない、と考えておりまして、そこら辺の事情も入れて考慮したいとは思っておりますが…。 何卒御一考下されば僥倖です。駄文、失礼致しました。 -- (名無しさん) 2009-05-05 22 24 33 オンリーワンの特殊もちなんだから、別に統一する必要なんかないだろ。 このカードを手に入れたからデッキ組んでみようと思う人だって、少なからずいるんだし。 むしろバランス型って方がいるか微妙だろ、定義が広すぎる。デッキ構築のおもしろさを奪うつもりか? 何でもかんでも自治すりゃいいってもんじゃないぞ。 -- (名無しさん) 2009-05-07 18 51 21 ↑に賛成です。 現在、唯一の特殊技を有す【】アルビオンですし私も使っていますから… それに、プレイングによってはとても心強い使い魔だと思います。 ですから、よかったら統一しないで頂きたいです。。。 -- (名無しさん) 2009-05-07 22 04 16 ver1.3で色々修正が必要ですな。 【】ポセ1枚で色々話が変わってきます。 -- (名無しさん) 2009-05-07 22 31 08 ちょっといじってみたけど、【優雅】の炎かぶりが非常に痛い・・・。 ケルピー絡めて戦闘とシールド戦強要するのが基本戦術になりそう。 個人的には炎特化がちょっといいかも・・・ヨルムン燃やすデッキだけど。 -- (名無しさん) 2009-05-08 02 26 27 … -- (トリトン) 2009-05-18 18 59 30 トリトン、ちゃんとデッキに入れておいたよ! しかし書けば書くほど戦闘デッキにしかならんなw シールドは勝手についてくる感じだけど、戦闘寄りはスキルがなくなるのがきつい・・・。 -- (名無しさん) 2009-05-19 04 52 40 頭のデッキ考察の文が異様にキモい…。 ありがちだけどverうpに伴って色々変えなきゃならんね。 -- (名無しさん) 2009-05-19 07 16 18 ↑お前さん↑×7だろ?他人の文章に文句言う前にあっちを何とかしてこいよ... -- (名無しさん) 2009-05-19 08 57 16 ↑↑確かにver1.3になってからは炎は不遇どころか十分揃ってるし修正した方がいいな ↑別に文章自体に文句つけてるわけじゃないんだからそんなつっかかるなよ -- (名無しさん) 2009-05-19 14 00 08 某掲示板で書かれてたけど海種使いってホント何でも喧嘩腰な奴多いよなw -- (名無しさん) 2009-05-19 14 49 16 ↑×3 むしろここのが海種バランス~とか各種コモン~とか立てたのと同じ臭いがするんだよ。 -- (名無しさん) 2009-05-19 15 27 49 当時このページを作ったものです。【優雅】のページを作ったのも自分です。 これらのページを作ったのは、別に荒らしや乱立というつもりではなく、 デッキページにテティスとわだつみしかなく寂しかったのと、オンリーワンの特殊を生かしたページを作ってみれば読み物として面白いかと思ったからです。 これらがキーカードになり得ないというなら、消したり移動するのはやぶさかではありません。 これに関しては事の発端になったことを深くお詫び申し上げます。 が、自分は海種バランス~やコモン~を作った人物とは別人です。文体に癖があるのですぐ分かると思いますが。 このページ自体もverUP時に作ったものですし、未完成で放置したつもりもありません。 全然話題のなかった海種でしたから、読み物としておもしろいものを目指したつもりだったので、きもいと言われたし消した方がいいのかな。 -- (トモ) 2009-05-19 17 49 58 多少荒らされたからといって一々消してたらWikiなんて成り立ちませんよ… それに他のページに比べても圧倒的に文体が整っており非常に読みやすいし面白いですよ。 -- (名無しさん) 2009-05-19 18 22 02 打たれ弱すぎだろ… -- (名無しさん) 2009-05-19 19 19 22 スキルバインドって何だよ -- (名無しさん) 2009-05-19 21 19 39 やはりあのページと同じに見られると堪えるらしい -- (名無しさん) 2009-05-19 22 55 41 あれは…海種の恥だから黒歴史にしてほしいな -- (名無しさん) 2009-05-22 05 44 21 ブラフマーがいる。 -- (名無しさん) 2009-06-08 10 18 20 オススメカード欄が酷過ぎる件。 ヘルだったらまだトリトンの方が良いし、狡猾も何がしたいのか分からん。本家ですら全く使われてないのに。 そもそもサーチしか無い2速なんか入れたって足引っ張るだけだぞ? 何と言うか、もうちょっと考えて編集すべきでは。結局どどめ色になっちまってて、海バラと大差無いな。 -- (名無しさん) 2009-06-22 12 52 29 そう思うならいじってあげればいいじゃない -- (名無しさん) 2009-06-22 14 58 13 2速サーチ? トリトンのこと? 客将候補の欄は確かに無駄ですね。 当時はスヨトとかも居なかったので、この辺の使い魔は便利だったのですけど。コメントアウトしておきます。 -- (トモ) 2009-06-22 15 17 24 ↑ ヘルが2速サーチ -- (名無しさん) 2009-06-22 19 53 37 編集GJ ついでに要らん使い魔…ブージャムとか米アウトして良いと思うよ。 元々テンプレに採用されてる使い魔以外の殆どはゴミみたいなもんだし。 ちなみに猿鳥と優雅入れた炎単は結構凄かった。 毎ターン弱点複数付与とか半端じゃない。問題はスキル。 -- (名無しさん) 2009-06-23 22 00 55 使い魔の部分をシェイプしました。 -- (トモ) 2009-06-25 07 52 10 お疲れです。 憤怒なんて滅多に使わないけどやる気は感じられて良いと思うぜ。 何かしらスキル持ってたらまだ使えたのに…。 -- (名無しさん) 2009-06-26 09 22 01 ふっ… その使えない使い魔【憤怒】アルビオンで 俺はランカーになったる!! (`^´) -- (名無しさん) 2009-07-05 22 04 26 ↑はランカーになったのだろうか。 -- (名無しさん) 2009-07-23 21 20 44
https://w.atwiki.jp/bokuserve/pages/2458.html
『白岸の国盾(ロード・アルビオン)』 (ブリタニア) ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人 ユニオンジャックが描かれた盾。グレートブリテン島の異名である、白き岸壁の象徴。 この盾は英国という国家そのものと看做され、ブリタニアに対する対人・対軍レベルの攻撃のダメージを大幅に削減する。 ただし、対城レベル以上の攻撃のダメージは逆に増加させてしまう。 また、この盾と対峙した英国出身の人物(サーヴァント含む)は、“重圧”を受ける。対精神干渉系スキルで回避可能。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1350.html
降臨! アルビオンの風が呼ぶ! 「こりゃ駄目だ、と思ったら……これはどう受け取るべきかね?」 承太郎は胸を貫かれた、すなわち心臓を破壊された。普通は即死する。 それでもミョズニトニルンに反撃できたのはまさに奇跡。 デルフリンガーは承太郎の身体からガンダールヴのルーンが消えるのを感じたし、承太郎は今の一撃で死んでしまったものと思っていた。 だから仗助のクレイジー・Dにも期待していなかった。 実際、アズーロの足に掴まった仗助がすんごい勢いで飛んで来て、承太郎の身体の隣に着地して即座にクレイジー・Dで傷口を治しても、心臓の鼓動は感じられないし、生気が無いし、指一本ピクリとも動かない。 だというのになぜ、使い魔を召喚するためのゲートが承太郎の上に現れたんだろう。 「どーゆー事だこりゃ~!? おいデルフ、承太郎さんはどうなったんだ~!?」 「知るかよ。心臓止まってるから、死んだんじゃねーの? でもこのゲートは何だろ」 仗助もデルフリンガーも事態を理解できない。 助かった? 助かってない? 混乱しながらも、仗助は自分ができる事はもう無いと判断し、クレイジー・Dを出してミョズニトニルンの方を向く。 「まさかミョズニトニルンがアンドバリの指輪で承太郎さんを……」 「いや、そんな感じはしねーな。普通に死んでるわ、これ。 でももしかしたら何とかなるかもしれねーから、とりあえず相棒の死体は守れ」 「死体とか言うんじゃねー! 不吉だろうがよォ~!」 叫びながら仗助は必死に作戦を考えた。 しかし結局ミョズニトニルンのスタンド能力は解らずじまい、打つ手は無い。 宴会というのは見ているだけでも楽しいものだと承太郎は思った。 みんな楽しそうに酒を飲み料理を食い、戦果を自慢し合ったりと盛り上がっている。 ニューカッスル城は王党派の名誉を守りきった事により歓喜していた。 だが、なぜだろう。その光景は酷く物悲しいものに思えるのは。 「楽しんでるかい?」 壁際で突っ立っている承太郎に、グラスをふたつを持ったウェールズが声をかける。 「……ああ」 「そうか。それはよかった、さあ君も一杯」 グラスを受け取った承太郎は、中に入っているワインを見つめた。 赤い、朱い、紅い色をしている。まるで血のような。 「……すまないな、ウェールズ」 「何がだい?」 承太郎はワインから目を離さぬまま続ける。 「結局……俺はお前の仇を討てなかった。 クロムウェルは死んだが……恐らく奴を操っていただろう男は生きている」 「君らしくないな、実に弱気だ。何かあったのかい?」 「……俺の意思は使い魔のルーンによって操られた紛い物だったのかもしれん。 ルイズを守ろうと思ったのも、お前の仇を討とうと思ったのも……。 自分で自分ってヤツが解らねー、俺の本当の意思はどこにあるのか……」 「胸に手を当ててごらん」 ウェールズはそう言うと、見る者をなごませるような微笑みを浮かべた。 右手でグラスを持っていた承太郎は、左手を自分の胸に当ててみる。 「……心臓が止まってやがる。やれやれ、俺の心はここには無いらしい」 「では左手にあるとでも?」 からかうようなウェールズの言葉を受け、胸に当てた左手を見てみれば、そこにガンダールヴのルーンは無かった。痕跡すらまったく見つからない。 「これは……いったい……」 「仮初の生命を与えられ意識を支配されていた時、解った事がひとつある」 握りしめた拳を、ウェールズは承太郎の左手にコツンと当てた。 「確かに魔法によってありもしない感情を植えつけられる事はある。 だがそれでも、本当の気持ちを消す事はできない……一時的に抑えつけられるだけだ。 今の君なら本当の自分を理解できるはずだ。 友を、仲間を、ラ・ヴァリエール嬢を守りたいという意志はあるかい?」 ルイズ。わがままで、高飛車で、やかましい女。 しかし誇り高くあろうとし、努力家で、心に優しさを秘めた少女。 「それさえ見失わなければ、例え再びルーンを刻まれようとも、君の黄金に輝く精神を冒す事は何人にもできないだろう」 「ウェールズ……」 「君がまだ戦うというなら、君が目覚めるための協力を少しだけしよう。 ジョータロー……アルビオンの風と共に君を見守っているよ。さあ、ワインを飲んで!」 ワインを飲む。 赤い、朱い、紅いワインはまるで炎のように熱く胸を焦がし、 血液のように全身を駆け巡る。 ドクン。 意志は、精神は、想いは、ここにある! 今にもあふれ出しそうな涙をこらえながら、ルイズは目の前のゲートを見つめていた。 これは証、承太郎が死んだという。 「あっ、うあぁ……ジョータロー……」 嗚咽が漏れ、身体中から力が抜けていく。 膝が砕けそうになった、その瞬間。 ゴウッと音を立てて、アルビオンの風が吹いた。 突然の突風に背中を押され、足から力が抜けていたルイズは思わず転びそうになる。 それでも無意識に足を動かして一歩、二歩と前に歩き、杖を持った手がゲートの中へ。 ――さあ、彼が待っているよ。 「えっ?」 いつかどこかで聞いた声が、風に混じった。 声の主を探そうと視線をめぐらせようとした瞬間、右腕がゲートの中に力強く引っ張り込まれる。 「えええっ!?」 前代未聞、サモン・サーヴァントのゲートに吸い込まれるメイジ。 「る、ルイズ!?」 「ミス・ヴァリエール!」 ギーシュとシエスタは慌ててルイズを掴もうと手を伸ばすが、それよりも早くルイズは全身をゲートの中に飲み込まれてしまった。 呆然とするギーシュとシエスタの前でゲートは閉じ、ルイズの姿は艦の上から完全に消失した。 十日間に及ぶ降臨祭はもう終わってしまった。 しかし虚無は降臨する。その名は『ゼロ』……ゼロのルイズといった。 「ムギュッ!」 承太郎の遺体の上に出現していたゲートから、なぜかルイズが落っこちてきた。 顔を承太郎の胸に埋めて変な声を上げたルイズは、頭を抱えながら起き上がる。 「う~ん……いったい何事?」 「何事って言われてもなぁ」 デルフリンガーの声が聞こえたので、ルイズは周囲を見回してみた。 額から血を流しながらクレイジー・Dを出している仗助。 壁に寄りかかるようにして倒れている風竜のアズーロ。 変なゴーレム、というよりスタンドっぽいものを出している知らない男。 それから、自分の下で仰向けに倒れている承太郎とデルフリンガー。 「え~っと……ここ、どこ?」 「ロンディニウムのお城。で、相棒死んじゃった。どうしよう?」 デルフリンガーが説明すると、ルイズは目を丸くして承太郎を見下ろした。 「えっ……」 そうだ、ゲートが出現したんだから承太郎は死んでいるはずだ。 だからゲートは新しい使い魔の前に現れるはずなんだけど……。 「だったら、何で承太郎の前にゲートが現れてんのよ? それに、心臓、動いてるじゃない。本当に死んでるの?」 偶然承太郎の胸の上に左手が乗っていたルイズは、 服越しに伝わる心臓の鼓動を感じ取って顔をしかめていた。 デルフリンガーも承太郎の心臓が再び動き出していると気づく。 「おでれーた! 相棒、あのスタンドとかいうやつで自分の心臓動かしてる」 かつてDIOとの戦いで心臓の鼓動を止め、直接心臓マッサージをしたように、祖父ジョセフ・ジョースターの心臓を動かしたように、 無意識の中で承太郎はスタープラチナによる心臓マッサージを行っていた。 「奴はまさか……虚無のッ! ゼロのルイズ!?」 ミョズニトニルンは主から聞いていた虚無の担い手の情報を思い出し、仕留めるべき相手として仗助よりルイズを優先し走り出した。 「や、やばい! ルイズ逃げろー!」 仗助が叫び、ルイズはハッと顔を上げ、額にルーンが刻まれた男が迫ってくるのを見た。 反射的に仗助の言葉に従い逃げようとした刹那、デルフリンガーが叫ぶ。 「逃げるな! 相棒を起こせ! 今度こそトドメを刺されちまう!」 起こせと言われても、ルイズはどうすればいいか解らなかった。 ただ、サモン・サーヴァントをやったんだから、次は、とその行為が思い当たる。 続いて、そういえばすごく痛がってたっけ。そんなに痛いなら目が覚めるかなと連想。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ!」 これでもかってくらい早口で詠唱したルイズは、思いっきり承太郎に口づけした。 すると承太郎の左手にルーンが刻まれ、唸りを上げる。 唇を離して顔を上げると、ミョズニトニルンが数メイルの距離まで来ていた。 「キング・クリムゾン!」 そいつが叫ぶと同時に、ルイズは承太郎が時を止めた時のような、世界が反転したかのような錯覚に陥る。 ミョズニトニルンはキング・クリムゾンの拳を振り上げ、ルイズに向けた。 ヤバイと反応したルイズは咄嗟に杖を突き出し魔力をほとばしらせる。 「何ィ!?」 次の瞬間、ミョズニトニルンの顔面が爆発した。 「ば……馬鹿な! 動きが……予測できない!?」 ミョズニトニルンが顔を抑えると同時に世界の反転のような奇妙な錯覚が消えた。 「え? えっ? 何?」 「くっ! 死ねィッ!」 怒りに顔を歪ませたミョズニトニルンが、キング・クリムゾンの拳をルイズに放つ。 だがその必殺の拳は、ルイズの下から放たれた異なる拳によって弾き飛ばされた。 帽子のつばの下でそれは開く。承太郎の双眸が、生きている証明のように見開かれる!