約 1,629,512 件
https://w.atwiki.jp/k2727324602/pages/257.html
コウ モーラ サエグサ キース カミーユ ヤザン バニング ファ ダンケル ベイト エマ ラムサス モンシア カツ クワトロ アデル フォウ ジュドー シナプス ヘンケン ルー パサロフ ハヤト ビーチャ シモン ベルトーチカ エル ニナ トーレス モンド コウ・ウラキ 愛称:コウ 機動戦士ガンダム0083 ~スターダストメモリー 声優:堀川りょう オーストラリアの連邦基地トリントンにて訓練を受けていたテストパイロット。階級は少尉。 目の前でガトーにガンダム試作2号機を奪われ、その奪回任務に志願する。モビルスーツに関する造詣に深く、ガンダム試作2号機が核を装備しているのを一目で看破し、ニナを驚かせる。 初陣では実戦に慣れていないことをガトーに見抜かれ、苦汁をなめさせられるが、徐々にその能力を開花させ、ガトーと対等に戦える程の戦士へと成長する。お坊ちゃんが多いということで有名なナイメーヘン士官学校でも奥手な方だったようで、ニナとの付き合いも彼女に始終リードされていた。ニンジンが苦手。 一言モード1:この海は…地獄だ…! 一言モード2:何を言うんだ? 連邦の仕官に対して、お姉さんぶらないでほしいな。 一言モード3:ぶつけるしかない、でやぁぁーーーーっ!! 一言モード4:ニンジン、いらないよ。 チャック・キース 愛称:キース 機動戦士ガンダム0083 ~スターダストメモリー 声優:山田善晴 コウと共にナイメーヘン士官学校を卒業後、オーストラリアのトリントン基地で訓練を受けていたテストパイロット。階級は少尉。 親友コウと共にガトーがガンダム試作2号機を奪う場面に遭遇する。容器で多少気が弱いが、持ち前のバイタリティでデラーズ・フリートとの戦いを生き抜いた。最初は美人のニナにアタックをかけていたが、メカニックのモーラと意気投合、いい仲になる。 一言モード1:コウ、戦況は絶えず変化するんだ。まごまごしてると、孤立しちまうぞ~。 一言モード2:へ~、効いてないみたい。 一言モード3:見てたのじゃないよ、全く。ハイスクールのガキだってもうちっとマシだぜ? 一言モード4:--- サウス・バニング 愛称:バニング 機動戦士ガンダム0083 ~スターダストメモリー 声優:菅原正志 一年戦争当時からモンシア達を率いて活躍した地球連邦軍のベテランパイロット。階級は大尉。 ガンダム試作2号機強奪事件に遭遇し、以後追撃部隊アルビオンでモビルスーツ隊の指揮官を務めることになる。しかし、宇宙空間での訓練中にシーマの部隊と遭遇、これを退けるも、この際に被弾した機体胴体部が帰還中に爆発して帰らぬ人となる。厳しくも情に厚い人物であり、アルビオン所属のパイロット全員に慕われていた。なお、地球に別居中の妻がいる。 一言モード1:戦いは、お前達がいつまでもピーピー喧しいヒヨッコかどうかで決まる! 一言モード2:お前達はもう1人前なんだ。後はそれが実感できるかだが、そこまでは教えられん。 …こんな話を前にもしたな。夜のオーストラリアで…。 一言モード3:いや、俺も不器用でな…。ま、お前ほどではないが。 一言モード4:実は、妻とは以前から別居中の状態でして…。 アルファ・A・ベイト 愛称:ベイト 機動戦士ガンダム0083 ~スターダストメモリー 声優:戸谷公次 アルビオンに補充されたパイロット。階級は中尉、乗機はジム・カスタム。 一年戦争当時はモンシア、アデルと同じくバニング率いる第4小隊に所属していた。 腕は確かであるが、それゆえか傲慢な部分がありモーラとつかみ合いのケンカをしたこともある。 バニングの死後は戦時昇進で大尉に昇格し、部隊の指揮官を務めた。 一言モード1:残り物には福がある、ってか? 一言モード2:まったく、メシ食うヒマもないのかい! 一言モード3:鴨料理でも自分で作るかい? 一言モード4:やるじぇねえか、でっかい姉ちゃん…! ベルナルド・モンシア 愛称:モンシア 機動戦士ガンダム0083 ~スターダストメモリー 声優:茶風林 一年戦争時からの歴戦の地球連邦軍モビルスーツパイロット。階級は中尉。 ガトーが強奪したガンダム試作2号機追撃任務を受けたアルビオンに補充パイロットとして、配属される。だが、腕の立つパイロットにありがちな傲慢さによって、アルビオンクルーとトラブルを多発する。しかし、上官であるバニング大尉を尊敬し、当初はシロウト扱いしていたコウに対しても最後は仲間意識を持つ。 一言モード1:ちぃっ、誰も小便小僧はいらねぇよ! 一言モード2:へっ、案外やるじぇねえか。青臭い新米少尉にしちゃあよ。 一言モード3:そこのお嬢さんたちぃっ!!どうだい、今夜、付き合わねえか? 一言モード4:ウゥラキィッ!! チャップ・アデル 愛称:アデル 機動戦士ガンダム0083 ~スターダストメモリー 声優:幹本雅之 アルビオンに補充されたパイロット。階級は少尉、乗機はジム・キャノンⅡ。 ベイト、モンシアと共に第4小隊の出身であり、一年戦争当時はバニングの部下であった。 実直な性格で、素行の悪いベイトやモンシアの押さえ役に回ることが多い。 なお、既婚である。 一言モード1:まさか、こんな事件に関わるとはな。 一言モード2:行け、ウラキ!フルバーニアンだ! 一言モード3:あの人に、学習機能はないんでしょうか? 一言モード4:--- エイバー・シナプス 愛称:シナプス 機動戦士ガンダム0083 ~スターダストメモリー 声優:大塚周夫 アルビオンの艦長。階級は大佐。 核弾頭受領のために立ち寄ったトリントン基地で輸送中のガンダム2号機を強奪され、以降はデラーズ・フリートの追撃任務に就く。 良識ある紳士であると同時に、軍人としても高い能力を持つ。最前線に立つゆえに現状に対する危機意識も高く、コロニー落下を阻止するために軍に背き、試作3号機を持ち出す。 デラーズ・フリートとの紛争終結後、後ろ盾であったコーウェン中将がジャミトフによって失脚し、シナプスも作戦中の命令違反の罪を問われ、極刑が下された。 一言モード1:いや、若者はいい。ひたすら勝利を目指している…。 一言モード2:メガ粒子砲、撃てぃ!! 一言モード3:ツケは高くついたな…!。 一言モード4:回避運動を取りつつ、レーザー砲で敵機を迎撃せよ! イワン・パサロフ 愛称:パサロフ 機動戦士ガンダム0083 ~スターダストメモリー 声優:岸野一彦 アルビオンの操舵手。階級は大尉。 寡黙な人物であり、余計なことはしゃべらない。 趣味は読書。なお、アルコールに強い。 デラーズ・フリートとの紛争終結後はティターンズに配属された。 一言モード1:総員、発進準備! 一言モード2:許可します…アルビオンへ、ようこそ。 一言モード3:--- 一言モード4:--- ジャクリーヌ・シモン 愛称:シモン 機動戦士ガンダム0083 ~スターダストメモリー 声優:荒木香恵 アルビオンのブリッジオペレーター。階級は軍曹。アルコールが入ると底抜けに陽気になり、同僚のピーター・スコットをからかったりする。 デラーズ・フリートとの紛争終結後は、他のアルビオンのクルーと同じくティターンズに配属になった。 一言モード1:艦長、味方機を呼び戻しますか!? 一言モード2:そのまさかです、大尉! 一言モード3:--- 一言モード4:--- ニナ・パープルトン 愛称:ニナ 機動戦士ガンダム0083 ~スターダストメモリー 声優:--- アナハイム・エレクトロニクス社に勤めるシステムエンジニアでルナリアン(月面生活者)。 ガンダム開発計画に携わり、連邦軍に出向する。オーストラリアのトリントン基地でガンダム試作2号機強奪の場面に遭遇し、以降この紛争が終わるまでアルビオンと行動を共にする。コウの才能に着目し、心惹かれるようになるが、彼の戦いの相手がかつての恋人ガトーと知り、苦悩する。 一言モード1:--- 一言モード2:--- 一言モード3:--- 一言モード4:--- モーラ・バシット 愛称:モーラ 機動戦士ガンダム0083 ~スターダストメモリー 声優:--- 地球連邦軍所属のメカニックで階級は中尉。 ガンダム試作機全てのチーフメカニックとしてアルビオンに赴任。男性より大柄な体格と豪胆な性格で、クルー全員の姉御といった存在だった。コウとの関係に悩むニナの良き相談相手となり、自身はキースといい仲になる。 一言モード1:--- 一言モード2:--- 一言モード3:--- 一言モード4:--- カミーユ・ビダン 愛称:カミーユ 機動戦士Zガンダム 声優:飛田展男 サイド7のコロニー、グリーンノア1に住んでいた民間人の少年。 趣味は空手、ホモ・アビス(1人用小型飛行機)操縦、ジュニアモビルスーツ操縦等。自分の女性的な名前に強いコンプレックスを持っており、それを笑ったジェリドを殴ったことでティターンズに連行される。そして、グリーンノアに侵入したクワトロと接触したことをきっかけにエゥーゴへ参加する。その際、初めて乗ったガンダムMk-Ⅱで戦闘をやって見せ、ブライトらに「アムロ・レイの再来」と言わしめる。エゥーゴに加わってからも多大な戦果を挙げ、ニュータイプ能力の開花を伴ってエースパイロット級の活躍を見せる。また、モビルスーツの開発面でも優れた才能を見せ、Mk-ⅡのフライングアーマーやZガンダムは彼のアイデアが盛り込まれたものである。その性格はナイーブさと狂暴さ、少年らしい素直さと計算高い部分が同居した複雑なもの。当初はティターンズへの漠然とした怒りから戦闘に参加していたが、クワトロやアムロ、フォウとの出会いを経て、戦争を終結に導くために自らの意志を持って戦うようになり、人間的にも大きく成長していく。 コロニーレーザーを舞台にしたシロッコとの決戦において勝利するものの、精神崩壊に追い込まれる。その後、ファと共に療養生活を送るが、「機動戦士ガンダムZZ」で幾度かジュドーやプルを導いたことがある。なお、同作品の最終回で復活を遂げる。 一言モード1:カミーユが男の名前で何が悪いんだ!俺は男だよ! 一言モード2:フォウ、僕だ!カミーユ・ビダンだ! 一言モード3:歯ぁ食いしばれっ!!そんな大人、修正してやるっ!! 一言モード4:自分だけが特別だと思うな!あの人が喜ぶのかよ、生き還るのかよ!! ファ・ユイリィ 愛称:ファ 機動戦士Zガンダム 声優:松岡ミユキ グリーンノア1でカミーユの家の隣に住んでいた少女。両親がティターンズに捕らえられた後、エゥーゴに参加してパイロットとなる。グリーンノア1にいた頃は、好意から何かとカミーユの世話を焼きたがっていたが、エゥーゴに参加してからは不安と恐怖からカミーユに頼るようになる。そして、カミーユに自分を認められたいために、パイロットとして何度も無理をしたこともあった。シロッコとの最終決戦で精神が崩壊したカミーユを看病するため、「機動戦士ガンダムZZ」序盤でアーガマを降りる。 一言モード1:あ…あ、足手まといにはならない! 一言モード2:カミーユ、生きてるんでしょ点?カミーユ、返事をして…カミーユ! 一言モード3:カミーユ。 一言モード4:私だって、パイロットなんだから! エマ・シーン 愛称:エマ 機動戦士Zガンダム 声優:--- ティターンズの一員であったが、己の信念でエゥーゴに参加する。階級は中尉。 理知的な性格であると同時に、負けず嫌いで気が強く、年下のカミーユやカツ、ファに対して常に姉のように振る舞おうとする。また、ヘンケンに想いを寄せられていたが、内心で悪い気はしていなかったようである。シロッコの下へ去ったレコアとの戦いで重傷を負い、カミーユに見守られて息を引き取る。 一言モード1:あらやだ…近々縁談ありだなんて… 一言モード2:うかつなっ! 一言モード3:地球で恋をしてきたんでしょう? 一言モード4:--- カツ・コバヤシ 愛称:カツ 機動戦士Zガンダム 声優:難波圭一 一年戦争時、ホワイトベースに乗っていた子供達の1人で、戦後にはハヤトとフラウの養子となった。軟禁状態にあったアムロを説得し、彼と共にエゥーゴに参加する。アムロの活躍に憧れ、同年代のカミーユをライバル視して無茶な行動を繰り返し、その度に周囲から修正を受ける。戦いの中で出会ったサラに心惹かれ、何とかシロッコの下から救い出そうとするが、シロッコをかばった彼女を誤って撃墜してしまう。ティターンズとの最終決戦直前に、岩石に激突して機体が損傷したところをヤザンに狙われ、死亡する。 一言モード1:僕だって…戦えるんだ! 一言モード2:ぼ、僕じゃ…こいつを扱いきれないのか? 一言モード3:--- 一言モード4:--- フォウ・ムラサメ 愛称:フォウ 機動戦士Zガンダム 声優:島津冴子 ムラサメ研究所4番目の強化人間。 サイコガンダムと共にアウドムラ追撃隊に合流し、ホンコンでカミーユに接触する。その出会いの中、2人は心を通わせるが、エゥーゴを倒せば失われた記憶を研究所が取り戻してくれるという言葉を信じ、サイコガンダムでカミーユと戦う。しかし、一度はサイコガンダムの呪縛から逃れ、自分の身を犠牲にカミーユを宇宙へと上がらせる。その後、キリマンジャロ基地攻防戦の中でカミーユと再会するが、再強化を受けており、再び敵として対峙してしまう。戦いの中で正気に戻るものの、ジェリドの攻撃からカミーユのZガンダムを守るため命を落とす。その出会いと死はカミーユを人間的に大きく成長させる契機となった。 一言モード1:カミーユ、宇宙へ…さよなら…。 一言モード2:カミーユは、その力を表現してくれるマシンに乗っている…! 一言モード3:みんな…嫌いだっ!! 一言モード4:ウフフフフフッ。自分の名前、嫌いなのね? ヘンケン・ベッケナー 愛称:ヘンケン 機動戦士Zガンダム 声優:--- エゥーゴの一員でアーガマの初代艦長。 ブライトの艦長就任後は戦艦・ラーディッシュの艦長としてエゥーゴの旗艦であるアーガマのフォローに徹する。一年戦争時は連邦軍のサラミス級艦の艦長を務め、ア・バオア・クーではジオングに接触こそしなかったものの赤い彗星のプレッシャーを感じていた。 ざっくばらんとした性格で人当たりがよい。エマに心惹かれて、何度か不器用なアプローチを繰り返し、最期は敵の攻撃にさらされたエマを守るために艦を盾にし、無事を確認した後に爆死する。 一言モード1:--- 一言モード2:--- 一言モード3:--- 一言モード4:--- ハヤト・コバヤシ 愛称:ハヤト 機動戦士Zガンダム 声優:--- 元ホワイトベースの一員で、カラバではアウドムラの機長として前線指揮を担当する。一年戦争ではガンダンク及びガンキャノンのパイロットとして戦い、戦後はフラウ・ボゥと結婚し、カツ、レツ、キッカを養子に迎え、さらに戦争博物館の館長を務めていた。しかし、自らの意志でカラバに参加し、その中心的人物となった。 「機動戦士ZZガンダム」ではジュドーをかばって命を落とす。 一言モード1:--- 一言モード2:--- 一言モード3:--- 一言モード4:--- ベルトーチカ・イルマ 愛称:ベルトーチカ 機動戦士Zガンダム 声優:--- エゥーゴの地上支援組織であるカラバの一員。 連絡や陽動を主な任務とするが前線に立つ事も辞さない強気な性格であり、その言動はデリカシーがないととられる場合もあった。エゥーゴに参加を決めながらも戦う決心がつかないアムロを奮い立たせ、その再起に大きな役割を果たす。また、ダカールでの議会占拠作戦では前線に立ち、クワトロの演説を中継する。その頃には性格も多少丸くなったようでカミーユと談笑する場面も見られた。レシプロの複葉機ピーチクラフト17が愛機で、初登場時はそれに乗っていた。 一言モード1:--- 一言モード2:--- 一言モード3:--- 一言モード4:--- トーレス 愛称:トーレス 機動戦士Zガンダム 声優:柴本浩行 アーガマのブリッジ担当要員。甲板指揮・通信・探索を担当する。年齢が近いせいもあり、カミーユとは親しい間柄であった。 「機動戦士ガンダムZZ」では人手不足からパイロットを務めた場面もあり、ジュドー達がネェル・アーガマに乗り換えた後も引き続き乗艦し、艦長代理となったビーチャの補佐を務めた。 一言モード1:ホンコン土産。 一言モード2:進路、クリア! 一言モード3:--- 一言モード4:--- サエグサ 愛称:サエグサ 機動戦士Zガンダム 声優:塩谷浩三 アーガマのブリッジ要員。 ナビゲーションと操舵を担当する。無口で目立たないタイプ。 「機動戦士ガンダムZZ」冒頭において、ヤザンに殺されてしまう。 一言モード1:香港なんかのホロテープのいいやつが… 一言モード2:待ってください、ミノフスキー粒子が濃くて! 一言モード3:--- 一言モード4:--- ヤザン・ゲーブル 愛称:ヤザン 機動戦士Zガンダム 声優:大塚芳忠 ティターンズの一員。 パイロットとしての腕前は一流であり、ギャプランやハンブラビといった高機動の機体を自由自在に操る。また、策略にも長け、アレキサンドリアに乗っていたジャマイカンを謀殺する。後にシロッコのスケールの大きさに興味を持ち、その野望に協力することになる。部下のラムサス、ダンゲルとチームを組み、クワトロやカミーユを苦しめるが、その非道への怒りでZガンダムのバイオセンサーを発動させたカミーユによって撃墜される。しかし、「機動戦士ガンダムZZ」第1話でサイド1のシャングリラにたどり着き、入港したアーガマのモビルスーツを奪おうとするが、ここでもその非道ぶりがジュドーの怒りを買う。その後、ジャンク屋のゲモン・バジャックと協力して、モビルスーツ・ゲゼでアーガマを襲うが最後はジュドーのZガンダムに撃墜される。 一言モード1:ラムサス、ダンケル!奴にクモの巣を仕掛ける! 一言モード2:縮んどるぞ、まだ出撃前だ。しっかりせい! 一言モード3:女が戦場にいるなんてなぁ気に入らないんだよ!消えな!! 一言モード4:--- ダンケル・クーパー 愛称:ダンケル 機動戦士Zガンダム 声優:菊池正美 ティターンズの一員で、ヤザンの部下。 ラムサスと共にハンブラビを駆り、3機の息の合ったコンビネーション攻撃でクワトロやカミーユを苦しめた。最後はカミーユのZガンダムに撃墜される。 一言モード1:了解しました、ヤザン大尉。 一言モード2:うぁっ!ヤ、ヤザン隊長…これ以上は! 一言モード3:--- 一言モード4:--- ラムサス・ハサ 愛称:ラムサス 機動戦士Zガンダム 声優:拡森信吾 ティターンズの一員で、ヤザン直属のパイロット。 ヤザン、ダンゲルと共にハンブラビを駆り、3機の息の合ったコンビネーション攻撃でクワトロやカミーユを苦しめた。最後はエマのスーパーガンダムに撃墜される。 一言モード1:フ、噂ほどではないな。 一言モード2:ヤ、ヤザン大尉!だぁぁぁぁっ!! 一言モード3:--- 一言モード4:--- クワトロ・バジーナ 愛称:クワトロ 機動戦士Zガンダム 声優:--- アーガマのモビルスーツ隊の隊長。 階級上は大尉であるが、リック・ディアスや百式でパイロットとして戦うだけでなく、戦略においても意見するエゥーゴの重要人物。 サングラスを常用し、その言動、過去の経歴等も謎が多い。 その正体はアクシズから地球圏の様子を探るために派遣されたジオンの赤い彗星シャア=アズナブルである。 カミーユのニュータイプの素養に早くから注目し様々な面で面倒を見る。 当初はスペースノイドの立場を脅かすティターンズと戦うため、パイロットに徹していたが、かつてのライバル・アムロと再会、シロッコの出現、ブレックスの死、ダカールでの演説を経てエゥーゴの中心人物となっていく。だが、コロニーレーザーを舞台にしたハマーンのキュベレイとの戦いの後、消息不明となる。以後、シャアがクワトロの名を使うことはなかった。 なお、クワトロとはイタリア語で数字の「4」のことであり、キャスバル、エドワウ、シャアに続く4番目の名前を意味している。 一言モード1:--- 一言モード2:--- 一言モード3:--- 一言モード4:--- ジュドー・アーシタ 愛称:ジュドー 機動戦士ガンダムZZ 声優:矢尾一樹 サイド1のコロニー・シャングリラに住んでいた民間人の少年。 自らと妹リィナの生活をジャンク屋稼業で支えていた。入港したアーガマからモビルスーツを盗もうとするが、成り行きと持ち前の正義感からヤザンやネオ・ジオンをZガンダムで退けたことをきっかけに、アーガマ所属のパイロットとなる。行動力とバイタリティにあふれ、常に明るく前向きな性格。当初はリィナとの暮らしのために戦っていたが、仲間やリィナが戦いに巻き込まれていく中で、戦争を終わらせるために戦う明確な意志を持つに至る。ニュータイプとしても高い資質を持ち、ハマーンやプル達と心を通わせた。 ハマーンとの決戦に勝利した後、さらなる成長のためにルーと共に木星船団に参加する。 一言モード1:大儲けしたら、お前も山の手の学校にいかしてやるから! 一言モード2:ジュドー、ダブルゼータ、行くぜっ! 一言モード3:あ、あら?調子に乗りすぎちまったか? 一言モード4:一気にいくぜ、ハイメガ・キャノン! ルー・ルカ 愛称:ルー 機動戦士ガンダムZZ 声優:松井菜桜子 エゥーゴの志願兵で、ZZガンダムのコアファイターをアーガマへ移送してきた。トレードマークは流星のマーキング入りパイロットスーツ。ジュドーがZZガンダムに乗った後はZガンダムのパイロットを務める。自分の意志を明確にもった気丈な性格であり、成り行きで戦うジュドー達とは反発しあう事もあったが、徐々に仲間として打ち解けていった。また、グレミー・トトに一方的に言い寄られ困惑していたが、アクシズでの決戦で彼を撃った際には一人、涙を流す。 全ての戦いが終わった後、ジュドーと共に木星船団に参加する。 一言モード1:このぉっ! 一言モード2:あいたぁ~…やってくれたわね! 一言モード3:あぁっ!ウソでしょ!?マジでやばいじゃないの! 一言モード4:--- ビーチャ・オレーグ 愛称:ビーチャ 機動戦士ガンダムZZ 声優:拡森信吾 シャングリラのジャンク屋仲間の1人でジュドー達のリーダー格。 しかし、その日和見でわがままな性格から仲間からの信頼はあまり高くはなく、ジュドーとは何かと対立していた。一時は状況を見て、モンドと共にネオ・ジオンに付く事も考えるが、最終的にはアーガマに戻り、主に百式のパイロットとして戦う。また、ブライトが前線から退いた後には、ネェル・アーガマの艦長として仲間をまとめあげた。 一言モード1:大人達が勝手に始めた戦争に、なんで子供の俺達が戦って、尻拭いしなきゃなんないんだよ! 一言モード2:ジュドーばかりに、いいかっこさせるかよ! 一言モード3:--- 一言モード4:--- エル・ビアンノ 愛称:エル 機動戦士ガンダムZZ 声優:原えりこ シャングリラのジャンク屋仲間の1人。 仲間内では主に情報収集を担当する。性格は活発で勝ち気であり、ジュドーとはケンカ友達であったが、内心では彼に好意を寄せていた。アーガマに乗り込んだ後は、ルーにライバル意識を燃やして、主にガンダムMk-Ⅱで戦った。戦いの中、ジュドーの前で何度か少女らしい面を見せるが、最後はビーチャの気持ちに応えることになる。 一言モード1:ほらほら、こっちこっち! 一言モード2:ルーには負けるもんかっ! 一言モード3:--- 一言モード4:--- モンド・アガケ 愛称:モンド 機動戦士ガンダムZZ 声優:塩谷浩三 シャングリラのジャンク屋仲間の1人。 特にビーチャと仲が良く、一時は一緒にアーガマを降りようとした。抜群のメカニックへのセンスを誇り、コロニー・ムーンムーンでは放置されていた作業用モビルスーツ・キャトルを修理する等の活躍を見せた。当初は日和見な性格であったが、ムーンムーンの指導者のラサラと出会ったことで、人間的にも成長する。 一言モード1:このっ、このっ、このっ! 一言モード2:俺だって、ジュドーくらいには! 一言モード3:--- 一言モード4:--- オプション情報大事典に戻る
https://w.atwiki.jp/anzegm/pages/33.html
GM:さて。ひと段落ついたかな。 エルロック:んだね エルロック:まあ、ともあれ、調査に入るとしようw GM:ロジャー! なお、情報収集判定した際の出目が「5以下」だとアクシデント発生だよ。 情報項目「秘宝」(20) 情報項目「怪盗ゆるまーる」(20) 情報項目「アズリーリア女公爵」(30) 情報項目「“F&F”ラグナグラー」(20) エルロック:ふうむ! 紋:……くっ、公爵しらべたいけど、ラグナグラー調べられるの自分だけじゃないのか!?w 秋彦:この中だとアズリーリア女公爵が一番関連はあるけど、一番高いな。 エルロック:では此方が調べよう。財産点もあるし、社会も魔術も高い カナタ:私は秘宝かな、さっき届かなかったし。 紋:ラグナグラーしかないよなぁ……w 秋彦:こちらは残りのゆるまーるかな。OK、始めよう 紋:誰からいきます? エルロック:では、私から。 エルロック:「さて、アズリーリア女公爵か。私が知りうる限り、彼女は――」 エルロック:2d6+10 目標30(ダイスを振る)ぶw 出目「1・3」‥‥ 紋:いきなりアクシデント発生。 カナタ:あくしでーんつ! 秋彦:エルロックさーんっ!w 紋:カナタの《教師》でダイス目かえる、という手もあるが‥‥w カナタ:んに、そうでした。 エルロック:まあ、俺も気にはなるし、致命的な結果にはならないと思うの、でw 紋:まぁ、任せますよw エルロック:じゃあ、このままゴー 甘んじて受けようw カナタ:はーい GM:ええと。《教師》は温存でいいのね? エルロック:財産点10投下して達成値24。フレアで+6して30だw - ... 情報項目「アズリーリア女公爵」 10 : ロンデニオン郊外在住の道楽貴族。アンティークコレクターの趣味人としても有名。 :アルビオン連合王国へと最初に帰順した「地上人」の末裔で「女公爵」も継承した。 :「お飾り将軍」だが、直属の「幻虎兵隊」が何かと派手に動くため、庶民からの人気も高い。 12 : 実はかなり強力な吸血鬼でもあり、死者を蘇生させて卷族にする力も備えている。 :だが自分の力を顕示することに興味が薄く、その事実はあまり知られていない。 15 : 彼女の先祖が祖国を「先にネフィリムに売った」ため、アルビオン連合王国はその国を :植民地化することができなかった。現在は対等な立場で共存共栄の道を歩んでいる‥‥はず? 18 : 実は破壊神の巫女だったりもするが、第1話では関係ないネタなのでスルー。 20 : 実はカオスフレアである。執行者であり、特技代償としてのみ使用できる「白紙フレア」を7枚所持。 :(すでに《アーマーパージ》で3枚消費したが)、他にも《超越者のまなざし》なども持ってるよ。 25 : 実は、ロンデニオンの裏社会に暗躍する犯罪結社「ゆるまーる」の主魁である。 :彼らはアルビオン連合王国への憎悪を胸に戦う、レジスタンスグループなのである。 :そこに付け込んだVF団との関係は、つい最近までは良好だった。 30 : 現在はプロミネンス《偽りの記憶》相当の「銀仮面」に洗脳され、ダスクフレアの手先と化している。 :その洗脳を解除するためには、いくつかの条件を同時に満たす必要がある‥‥ :非解除の場合、クライマックスで「死亡したダスクフレア」に《薔薇の抱擁》を使用して蘇生させる。 ⇒ 情報項目「銀仮面」(20)が追加されました。 カナタ:破壊神。ああ最初になんかキュレーターさんが言ってたような エルロック/ウィルソン:「陰秘学系のカルトでは、まことしやかに囁かれていた噂ですわね」 秋彦:言ってたね エルロック:「しかしカオスフレアだという事実は興味深いね」 紋:なるほど。……あれ、じゃあ、盗人の方が本物ではあるのか。 エルロック:「つまるところ、世界に完全に絶望していてはパスを結ぶなぞできないのだから」 エルロック:「手遅れではない、という事だ」 カナタ:「……ううん、とにかく頑張ればいけるってことですね!」 次へ
https://w.atwiki.jp/6war/pages/63.html
正式名称 / 統治体制 アルビス国 / 議員内閣制 エンブレム 自由を象徴した翼を数多く用いられたエンブレム。 基本情報 人口 約420万 宗派 多国籍な民族が商売目的で交わる為、特定の国教を設定していない。 特徴 アルファ、ロンドーナ大陸北部に位置する。商人の町であり、「世界の台所」と呼ばれている。 各都市は商業の発展と地域振興に躍起であり、様々な珍大会が毎週どこかで行われている。 発展からくる心の余裕からか、芸術や音楽に関しても造詣が深い。南北に面した海から様々な海路を作り出し、世界を相手に貿易をするが、その反面、行き過ぎた商業主義からあらゆる勢力と手を結ぶ為、「死の商人の巣窟」と揶揄されることもある。 小国が連合する形で452年に建国、世界各国を調べ尽くし、それぞれの国の「売りたいもの」と「買いたいもの」を徹底的に調べ上げ、売買の仲介をすることで莫大な利益を得た。このことから、国をあげて商業に力を入れていく。軍事力すら金で買えるとして、傭兵を中心に軍備を増強。本来流れ者である傭兵を「永久契約」することで土地に根付かせていった。 1700年頃からバーン国との小競り合いが増え始め、両国の仲は決裂。以後リアリッピ川を舞台として何度も戦うこととなる。 しかし、第4次リアリッピの戦いで大敗を喫し、両国の力バランスは大きく崩れる。ここから挽回する為、三国連合を組み、カオスギアの戦いにおいて、奇跡的な逆転勝利に成功し、バーン国はアルビス国の属国となる形で和平が成立する。 その後、北海連合同盟の盟主となり、この地域の事実上の支配者となる。 歴史 452年 小国が連合する形でアルビス国が建国される。 600年頃 各国の貿易の仲介を行ったことにより、莫大な利益を得る。ここよりアルビス国は、国をあげて商業方面に力を注ぐ。 1700年頃 隣国バーン国とこの頃から小競り合いが増える。 1737年時の勢力図(クリックで拡大) 1737年 バーン国との間でリアリッピの戦いが勃発。 1737年 8月、バーン国とアルビス国の間で第2次リアリッピの戦いが勃発。 1738年 4月、アルビス国とバーン国の間で第3次リアリッピの戦いが勃発。 1738年 11月、アルビス国とバーン国の間で第4次リアリッピの戦い、続いてストリアブの戦いが勃発し、大敗を喫する。 1739年 3月、三国同盟に対抗するため、アルビス国、アディス国、シーフィールド国の間で三国連合が結ばれる。 1739年 4月、アルビス国とバーン国の間で第5次リアリッピの戦いが勃発。 1739年 9月、アルビス国とバーン国の間でカオスギアの戦いが勃発。 1739年 11月、バーン国がアルビス国に降伏し、以後属国となる。 1740年 9月、リヴォル帝国とシーフィールド国が戦っている隙に、ミリアス攻略を実行する。 1741年 3月、アルビス国とリヴォル帝国の間でスカルオーネの戦いが勃発する。 1741年 8月、アルビス国とリヴォル帝国の間でリヴォルの戦いが勃発する。 1741年頃 北海連合同盟を提唱、自らその盟主となる。 1742年 2月、六界連合軍に参加、ルーイガルドへの遠征に軍勢を派遣する。 主な出身者 エリシア カルディナ リドラ ラギ レイス レクシア この国を舞台とした物語 LUNATIC DESTINY
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6044.html
前ページ次ページナイトメイジ 洞窟の中は静かに、ただひたすらに静かだった。 死者はなにも語らず、死者と語らう姫君はなにも口にせず、それを見下ろす少女もまた沈黙を守っていた。 それを破るのはベール・ゼファー。 全てを知っているような声がルイズとアンリエッタの耳に滑り込む。 「終わったみたいね」 「どこ行ってたのよ」 「ちょっと、ね」 戻ってきたベルは1人でない。 「なんで、王党派の王子が?この方は本当にトリステインの王女様なんですか?いったい何が起こってたんですか?」 と、うろたえる竜騎士の少年を連れていた。 ベルはその少年を下から──少年の背はベルより頭2つ弱ほど高い──小突いて黙らせる。 「足を調達して来たのよ。空の上からトリステインに帰るには必要でしょ」 「そうだけど……」 「それなら帰りましょう。行き先はトリスタニアでいいわよね?」 何か言いくるめられたような気がしたが、ここにいつまでもは居られない。 文句を言ってやりたいのをぐっと押さえたルイズの了承はアンリエッタの声で遮られた。 「まずラグドリアン湖に行ってください」 風竜が雲を突き破ると視界は一気に開ける。 前には少し陰った空、下には広がる雲。 このままアルビオンに残し、再びクロムウェルの手で蹂躙させたくない。 そのアンリエッタのたっての願いによりウェールズ王子の遺骸は風竜に乗せられ、別れを惜しむ彼女の手に抱かれている。 強く吹く風が周りの雲を掃き散らかし、遙か後ろの巨大なアルビオン大陸の姿を明らかにした。 だが絶えず霧に包まれる大陸がそのベールを外すのはわずかの間。 アンリエッタが見つめるうちに再び雲は折り重なり、大陸をその中に飲み込んでいった。 ルイズはそんなアンリエッタの姿を彼女が再びウェールズの遺骸に目を移すまでじっと見つめ続けていた。 どこまでも広い水面を持つラグドリアン湖は、どこまでも静かにどこまでも続く夜空を鏡のように映していた。 この静けさと空から見下ろす二つの月と同様に、この地はアンリエッタとウェールズがかつて愛を誓いあった時のままのように見えた。 ──本当に? 変わってしまったのかも知れない。 ルイズには知らないうちに世界が変わってしまったように思えた。 そう、変わらないものなどない。 太古の昔からあるはずのラグドリアン湖も姿を変えているではないか。 三年前、湖のこの畔に来たときには岸からほど近いところに大きな岩があった。 今はその岩はもう姿が無く、かわりに沖合に以前はなかった岩が小さく頭を見せている。 アンリエッタはその岩と青い月の重なる水面にウェールズを横たえた。 既にその体には温かみは欠片も残っておらず、冷たい湖水の一部になったよう。 杖とルーンにより紡がれたアンリエッタの魔法は無数の波紋を作る。 やがて波紋は波となり、その中にあるウェールズの遺骸を湖の底深くに連れ去った。 「これでもう誰もあなたを操ることはできません」 アンリエッタは濡れた片手を空に掲げる。 「誓約を聞き届けるというラグドリアン湖の水の精霊、そして水のルビーに誓います」 その指にある水のルビーが蒼月の光を受け、青く輝いた。 「ルイズ、あなたも証人になってください」 ルイズは頷き、アンリエッタの声を一つも聞き逃すまいと耳を澄ませる。 「私はいずれ再びアルビオンに戻りります」 アンリエッタは口をつぐみ、下唇を噛む。 その痛みを持って心に深く誓いを刻み込んだ。 「そして、簒奪者クロムウェルに報いを与えましょう」 「姫様」 ルイズもまたアンリエッタの誓いを心に刻む。 「私も手伝わせていただきます」 それはルイズ自身の誓いとなった。 その夜もトリステインの王宮は平穏の中にあった。 近々戦争が起こるという噂が流れ、衛士による警備は以前に比べ厳しくはなっていたものの静かであることには変わりない。 ただ残念なことに彼らは密かに城内に侵入した者達に気づいておらず、しかもその侵入者達は事もあろうに彼らが守るべき王女の寝所にいた。 もっとも、その侵入者達とは王女自身であったのだが。 「そういえばルイズ、一つ聞きたいんだけど」 「なに?」 無事、戻ってこれた。 この部屋に着いてやっとそれを実感する。 同時に体に積み重なった疲れが一気に吹き出した。 体が重くて床に座り込んでしまったしいるし、変わり身をしていたシエスタに手伝わせてメイド服から王女としての服に着替えているアンリエッタの足下もどことなくおぼつかない。 そこに話しかけてきたのが一緒に戻ってきたはずなのにまだまだ元気なベルだ。 「ルイズって魔法が使えなかったんでしょ」 「そうよ」 「いつの間に使えるようになったの?」 「いつの間にって……」 「ほら、何かきっかけがあったんじゃない?」 「きっかけ……」 最初にディスペル・マジックを使った時にルイズはアンリエッタと供にニューカッスル城にいた。 その前に何があっただろうか。 ルイズはそれを思い出そうと目をつぶった。 まぶたが瞳を覆い、闇が訪れる。 そう、あの時ルイズは闇に似たものの中にいた。 その中でルイズにルーンをもたらしたものがあった。 目を閉じたままルイズはゆっくり考える。 ──あれは確か…… 「オルゴール」 「オルゴール?」 「そう、オルゴールの音が聞こえてきたの。それと一緒にルーンが聞こえてきて、それで使えたの」 「オルゴール……ね」 今度はベルが考える番だった。 組み直した足に蹴られたスカートがばさりと音を立てた。 「そんなの聞こえなかったわよ」 「聞こえてたわよ。そうよ、歌も聞こえてたわ」 「歌?」 「そう、こんなの」 神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右につかんだ長槍で、導きし我を守りきる。 神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空。 神の頭脳はミュズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知恵をため込みて、導きし我に助言を呈す。 そして最後にもう1人……。記すことさえはばかれる……。 四人の僕を従えて、我はこの地にやってきた……。 その歌は一度しか聞いたことがないはずなのに思いの外すらすらと思い出せた。 いや、本当は何度も何度も聞いていたのかも知れない。 魔法で心を縛られている間、ルイズに目覚めろ、起きろと何度も何度も。 「それなら」 ベルが窓に駆け寄る。 大きく開けると冷たい風が吹き込んだ。 「行きましょう」 「どこへ?」 「もちろんアルビオンへ」 「ちょっと!待ちなさいよ」 ルイズは慌ててベルを止める。 冗談ではない。 本当に冗談ではないのかもしれない。 この使い魔は冗談のようなことを言う時ほど本気のことがある。 「今からアルビオンへ?無茶言わないでよ。危ないわ」 「いいじゃない。そのルイズには聞こえて、私には聞こえない音を出すオルゴールはルイズが魔法を使えるようになった鍵なのよ。持ってきてないんでしょ」 「そうだけど、前よりずっと危なくなっているわ」 「そのくらい何とかなるわよ」 「そのくらいって!」 そのくらいをどのくらいと思っているのかはルイズにはわからないが、とにかく今のアルビオンは以前とは比べものにならないくらい危険になっているはずだ。 しかし無謀にもこの使い魔はそんなものはお構いなし。 必死で止めるのも聞かず、それどころかルイズの手を掴んで窓から飛び降りようとまでする。 「お待ちください」 アンリエッタが止めなければ強引なベルは本当にルイズをアルビオンに連れ去っていたかも知れない。 「ベール・ゼファー様。今、アルビオンに行くことは私も反対です」 「でもね、ルイズの魔法に関わるのよ。使い魔の私としては……ね」 「なによ」 「べつに」 横目で見られてルイズは何となく嫌な気分がした。 「オルゴールの変わりのものがあります」 「……へえ」 目の色を少しだけ変えたベルが窓から離れ、机のそばの椅子を引っ張ってそこに座る。 手を離されたルイズは座る場所もなく、そのまま立っていた。 「音のでないオルゴールには心当たりがあります。おそらくそれは始祖のオルゴールです」 「それで?」 「実物は私も見たことがありません。ただアルビオン王家に伝わる壊れたオルゴールが始祖のオルゴールとして伝わっているという話を聞いただけです」 「で、そのオルゴールがトリステインにもあるの?」 「いいえ。ですがそれによく似たものがあります。始祖の祈祷書です」 「でも、姫様。それは……本当に本物なのですか?」 始祖の祈祷書。それはハルケギニアで最も多い始祖の秘宝とも言われているものだ。 一冊しかないはずの始祖が記したとされる祈祷書は、その実ハルケギニア各地に存在し、それを所有する貴族、寺院、王室、果ては詐欺師までもが自らの持つ祈祷書こそ本物であると主張している。 「多くの専門家はトリステイン王室に伝わる祈祷書は間違いなく偽物であると言っています」 「それじゃ意味ないわね」 「私もそう思っていました。ですが今のルイズとベール・ゼファー様の話を聞いて確信しました。我が王家に伝わる祈祷書こそ本物です」 「なぜ?」 「トリステイン王室の祈祷書が偽物と断定された理由は全てのページに何一つ書き記されていない事なのです」 「音の聞こえない壊れたオルゴール、誰も読めない白紙の祈祷書……そういうわけね。それで、その祈祷書は見せてもらえるの?」 アンリエッタは頷きながら答える。 「ですが、すぐにというわけには……。祈祷書は代々、王室の結婚式において使われたという意味において価値を持っています。ですから、それなりの理由で後日ルイズに貸し出すことになります」 「いいわ。それからもう一つ欲しいものがあるわ」 怪訝な顔をするアンリエッタを見ながらベルは言葉を続ける。 「ルイズがつけている指輪が欲しいの」 「指輪って、これ?」 ルイズの指にはニューカッスル城の教会からずっと風のルビーが嵌っていた。 「ねえ、ルイズ。クロムウェルが虚無の魔法を使った時のことを思いだしてみて。忘れてないわよね」 もちろん忘れるはずがない。 ウェールズを蘇らせた時も、心を操る魔法を使った時もクロムウェルの指にあった指輪が妖しく輝いていた。 「あの指輪も虚無の魔法の鍵ね。で、ルイズが魔法を使った時にもその指輪が手にあった。持ってた方がいいでしょ」 「でも、これってウェールズ様の形見よ。それなら姫様に渡した方が……」 「アンリエッタ、どう?」 アンリエッタの指にあるのは誓いと願いをかけた証の水のルビー。 それをきつく握りしめる。 「ルイズ、あなたが持っていてください」 「……預からせていただきます」 ルイズもまた重みを増したようにすら思える風のルビーを握りしめた。 「さてと」 ベルは笑みを浮かべながら窓から夜空を見上げる。 「次のゲームはどうなるのかしら」 人がいかなる事を思おうとも素知らぬふうに、月と星がそこにあった。 月に照らされる巨大な宮殿。 ここはガリアの王宮グラン・トロワ。 その最も奥の部屋に作られたハルケギニアを模した箱庭の前に座る男こそガリア王ジョゼフである。 「ほう、ほう。なるほど。よく教えてくれたミューズよ。そのような者がいるとはな」 ジョゼフが話しかけるのは人間ではない。 さりとて知恵のある他の生き物でもない。 黒髪の女性を模した人形に話しかけ、その言葉に耳を傾けているのだ。 「さて、ならばいかにするか」 ジョゼフは人形を箱庭に戻し、椅子に深く座り直す。 「サイを振りなさい」 そばに控えていた小姓がサイコロを二つ降る。 「ナイトメイジか。ベール・ゼファーとやら。このハルケギニアというゲーム盤は既に私が使っているのだよ。そこに割り込みたいのであれば、ふさわしい指し手であることを証明してもらわねばな。まずはこの目を持って試させてもらおう」 二つのサイコロはやがて動きを止め、その目を合計した一つの数字を出す。 「ほほう、11。そうかそうか。それなら……」 王の声を聞き、動き出す者が闇にいる。 それを称して人は暗躍という。 ラグドリアン湖。 ここにも夜の闇に躍る者がいた。 「まだ死に切れていないようね。あの魔法の力?それとも愛の力?執念と言った方がいいかしら。 でも嫌いじゃないわそういうの。だから、あなたにチャンスを与えてあげる。あなたが望むなら彼女を守らせてあげてもいいわ。ただし、ただじゃないわ。けど悪い話じゃないでしょ。クロムウェルと違って取引なんだから。それでもいい?そう、なら変わりなさい。私の力で」 叫び声を上げたワルドは悪夢にうなされた自らの声で目を覚ました自分に気づいた ベッドに寝かされ、上を向く目にはロウソクの光に照らされた天井が見える。 光をたどり巡らせた視線が扉にむくと、それは耳障りな音を立てて開いた。 「目がさめたみたいだね」 揺らめく炎を映す眼鏡をかけたその顔にワルドは見覚えがあった。 元のサウスゴータ太守の娘というマチルダという女だ。 「どうなったのだ?俺は」 「ベール・ゼファーにやられたのさ。ひどい傷だったみたいだけど手加減してもらったみたいだね。明日には動けるようになるって話だよ」 「ぐっ!」 ワルドは悪夢を思い出す。 そうだ、ベール・ゼファーだ。 俺を打ちのめし、母の肖像を消した女。 「おのれ……必ず倒してくれる」 そばに立つマチルダがコップに水をくむ コップと一緒に差し出した彼女の声はやけにさめていた。 「まだやる気なのかい?」 「無論だ。このまま終わりはしない」 「そうかい」 ワルドはその声に何か含むものがあるような気がした。 ただ何となくではあったが。 「やつを知っているのか?」 「まあね」 マチルダは部屋に置かれている花瓶から花の一輪を取り上げ、指先でもてあそぶ。 「あんたがもう一度あいつと戦って、それでも生きていたら教えてやるさ」 花弁の一つ床に落ちた。 それは何かを暗示しているのだろうか。 マントと金髪を風になびかせ、その目を遠くに向ける男が崖に立つ。 その者は赤い月を背負うラ・ロシェールの大樹を見上げ、手に持つ薔薇の一輪にキスをした口で呟いた。 「遅いな……みんな。まだかな。早く帰ってこないかな。おーい」 その者の名はギーシュ・ド・グラモンと言った。 その頃のアンリエッタ 「何か忘れているような……」 その頃のちょっとお出かけしていたベル 「忘れているってことはたいしたことじゃないわよね」 その頃のシエスタ 「何かあったんですか」 その頃のルイズ 「どうでもいいことね。きっと」 前ページ次ページナイトメイジ
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8291.html
前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略) 「それはどういういことアルか?」 出撃の直前。燕は自分の耳を疑った。 「お前たちは、もう日本やドイツには帰らないアルか?どうしてアル?」 信じられないという顔の燕。そんな彼女に、あかぎや、武内少将たちは 優しく笑ってみせる。 「……私は、ミッドウェイで沈んだはずだからね」 「ワシと加藤はニューギニアの陸軍に補給物資と少年兵を送り届けた後、 佐々木らを驚かせてやろうとラバウルに向かう途中で、じゃったな」 「そのとおり。まさか佐々木少尉がこっちにいるとは思いもしませんでしたが」 「私はベルリンに侵攻したソ連機甲部隊を攻撃し、敵戦爆連合に突撃したな」 「……オレも沖縄に向かう特攻隊を護衛した後、任務を終えた母機を 逃がすために米艦上機の群れに突っ込んだ」 「私は、『震電』の完成が間に合わなかったために散っていった搭乗員たちに 詫びたはずでした。 気がつけば回していない発動機が全開で砂漠を飛んでましたけどね」 冗談でも言うように皆笑っていた。まだ信じられない燕の頬を、彼女と 視線を合わせるようにかがみ込んだあかぎが優しく包み込む。 「私たちは、自分の意思で決めたの。でも、燕ちゃん、あなたは帰らなきゃダメよ」 燕は裴綻英と霍可可に目を向ける。二人も、笑っていた―― その日。空は澄み渡るように晴れ上がっていた。 クロステルマン伯爵領とガリア王国の間に横たわる国境線。 それはラグドリアン湖に続く一本の川だ。川を挟んで広大な草原と麦畑が 広がり、その向こうに緩やかな稜線が見える。平時であれば麦畑で作業する 農民たちと、時折鳶の声がするくらいの静かな場所は、今、かつてない 緊張に包まれていた。 「……陛下。トリステイン全艦隊の配置が完了致しました」 トリステイン王国空軍艦隊司令長官であるハイデンベルグ侯爵が告げる。 ここはトリステイン王国艦隊の旗艦『ラ・レアル』の指揮所。 トリステイン艦隊は武雄たちからの情報を検討し、主砲の射程が長い 戦列艦以外のすべての艦を下がらせた。近づく前に撃沈されるのでは 意味がないからである。だが、今回の作戦に参加する『ラ・レアル』以下 十隻の戦列艦も、有効射程四千までどれだけの艦が生き残れるかは 神のみぞ知る、だった。 「アルビオン艦隊はどうか」 「はっ。旗艦である巡洋艦『イーストウッド』を先頭に、単縦陣で我が 艦隊に追従しております。 ですが、陛下。たった三隻の巡洋艦では……ジェームズ一世陛下も、 何故戦列艦を我が国に送って下さらなかったのでしょうか?」 ハイデンベルグ侯爵は指揮所のある船尾楼甲板からずっと後方に位置する 異質な巡洋艦に目を向ける。王は、ただ「知らぬ」と答えることしか できなかった。 それは、傍目にも奇妙なフネだった。 巡洋艦らしくスマートな船体に長期航行にも耐える大型のマスト、 そこまではいい。だが艦首部が大きく取られており、そこには帆布を かけられた巨大な『何か』があるだけ。両舷に並ぶ備砲も艦後半部に 集中しており、しかもその数は平均的な巡洋艦と比較して半分以下。 そんな同じ艦形が三隻も。それぞれ竜騎士一個小隊が搭載可能という ことを差し引いても、マストが後方に下げられ上甲板の半分がフラットに された上にそこに件の『何か』があるだけというのは、用兵の常識から かけ離れたものだった。 「竜騎士を効率的に運用するため、にしても奇妙なフネですな」 「アルビオンはここ二十年以上冶金技術の向上など、貴族と平民が官民 一体となった研究を続けていると聞いておるからな。 あれもそのたぐいであろう」 「我が国を実験場に使うとは、あまり良い気分ではありませぬな」 「逆の立場であれば、余は同じことをしただろうがな」 王の言葉に、ハイデンベルグ侯爵は二の句が継げなかった。 艦隊が展開する上空に、マンティコア隊隊長であるカリンはいた。 傍らには副長のド・ゼッサールがいる。鍛え上げた体躯に威厳を持たせるための 髭面と近寄りがたい雰囲気だが、彼も家督を継いだばかりのまだようやく 大人の仲間入りをしたくらいの年頃だ。『烈風』カリンを頂点とする マンティコア隊を支える頭脳として、ド・ゼッサールはカリンとともに 空にあった。 「……来ませんな」 ド・ゼッサールのつぶやきを、カリンは聞き逃さなかった。 「物見の兵からの報告では、もうまもなく稜線から見える頃だな。 敵を確認次第お前たちは毒消しを飲め」 「隊長は?」 「あんなまずいもの飲んで戦えるか。まぁ、敵の射程を教えてくれたことには 感謝するがな」 魔法衛士隊統合参謀長のサンドリオンがこの場にいれば叱責された であろうその言葉を、ド・ゼッサールは飲み込んだ。王の後詰めとして 王宮にいる人間では、最前線まで声は届かない。そしてそれは伝説の 隊長であれば『毒』を喰らうこともないという、過信が呼び起こした ものでもあった。だが、一抹の不安がド・ゼッサールの顔に陰りを差す。 「……そんな顔をするな。ぼくの分は、もらえなかった誰かにやってくれ。 お守りにはなるだろう」 そう言って、カリンは油紙の包みをド・ゼッサールに渡した。 それは彼から割り当ての都合でもらえなかった新婚の魔法衛士に手渡される。 数の少ない秘薬を上位の将校から割り振ったため、魔法衛士隊でも下級の者には 配給されなかったのだ。もちろん、竜騎士隊や大多数の兵は言うに及ばず、 である。 そこに、前方から旗艦『ラ・レアル』に竜騎士が滑り込む。 その意味は明らかだった。 「来たか。全騎攻撃準備!パーティを始めるぞ!艦隊とともに前進し、 主砲斉射後に突撃する!」 カリンの号は、マンティコア隊だけでなくド・ワルド子爵率いる グリフォン隊にも響き渡った。同時に、彼らの上空に待機していた 第二、第三竜騎士大隊にも。第二竜騎士大隊を指揮するギンヌメール伯爵は、 麾下の竜騎士たちに命令する。 「我々は先行して上空待機。艦砲射撃に続いて上空から一気にかぶりつく! 距離一万からは敵の領域だ。炎や光が見えたらすぐ回避行動に移れ!」 「「了解!」」 大隊長の命令に士気旺盛な竜騎士たちの声が轟く。この戦いはただでは 済まない――皆そう考えていた。 「……敵影確認!まっすぐこちらに向かってきます!」 斥候の竜騎士からの報告からすぐのこと。太陽が高く昇る中、稜線の 向こうから巨大な影が現れた。馬よりも速い移動速度で、どんどんこちらに 近づいてくる。国境線である川に達するのも時間の問題だった。 「敵が国境を越えるまで手を出すな!両舷最大戦速!風石にありったけの 魔力を込めろ!後続の艦にも発光信号で伝達。急げ!」 「なんと……まがまがしい姿よ」 指示を飛ばすハイデンベルグ侯爵の後ろで、フィリップ三世は指揮所に 据え付けられた簡易の玉座から立ち上がる。『遠見』の魔法を映し出した その両目は、迫り来る『キョウリュウ』を捉えて離さなかった。 「俺も出る!ルーリー、ペラ回してくれ!」 「分かった。……重いんだよ……これは」 敵影見ゆの報に接し、武雄も発進準備をする。 本来なら始動機の転把(この場合はフライホイールに接続されている クランクハンドルのこと)を回して発動機を始動するが、ここではその機材が ない。そもそもタルブの村での機材そのものが、あかぎの頭の中にあった 設計図から部品をそれぞれ別々の鍛冶屋に頼んで作成したものを組み立てて 使っているのだ。なので、今はルーリーが『念力』の魔法で強制的に プロペラを動かして始動させることになる。 時間をかけてどんどん回してプロペラが十分空転したところで、武雄が 「点火!」の声と同時に計器板の点火スイッチを入れる。栄一二型発動機が うなりを上げてプロペラが力強く回り始め、ルーリーが髪を抑えつつ 機体から離れた。 「行ってくる!」 「アタシも最後の締めに参加する!気をつけてな!」 複座零戦がするりと動き始め、なだらかな草原を滑走し始める。尾輪を 浮き上がらせ、そのまま空に舞い上がる複座零戦。片脚ずつ主脚を格納するのを 見届けた後、ルーリーも待機していた竜騎士とともに前線の『ラ・レアル』に 合流するため飛び立った。 「敵、国境を越えます!距離八千!」 「アルビオン艦隊、戦列を離れます!」 「何だと?単縦陣のまま、敵前を横切るつもりか?だがこの距離では!」 その報告にフィリップ三世が驚きの声を上げる。その顔がさらに驚愕に変わる。 「な、何だあれは!?」 巡洋艦『イーストウッド』を旗艦とする三隻のアルビオン艦隊の艦首に あった帆布が取り払われ、隠されていたものがあらわになる。 それは――見たこともない長砲身の大砲だった。 「これより我が艦隊は丁字戦法にて敵『キョウリュウ』を撃滅する。 主砲覆いを外せ!目標、『キョウリュウ』!主砲発射後に竜騎士隊全騎発艦!」 アルビオン派遣艦隊司令官を兼任する『イーストウッド』艦長 サー・アレクシオスが命令する。 命令によって外される、主砲を覆い隠していた帆布。そこに現れたのは、 近代的なバーベットと、それに守られた三五口径二四サント単装砲。 二十年かけて工作機械の技術水準を引き上げ、さらに五年の歳月を費やして 製造された、オリジナルに劣るところこそあれ、多くの犠牲を払いながらも ハルケギニアの人間の手だけでようやく生み出した『畝傍』の主砲の コピーだった。 アルビオン王国にとって、エンタープライズ家より献上された 『場違いな工芸品』――巡洋艦『畝傍』は、まさに宝の山だった。 機関、砲熕兵器、装甲、どれをとっても今のハルケギニアの技術水準を 大きく上回り、これらをものにできればアルビオンの技術水準は大いに 向上し、ハルケギニアにおける軍事的地位も頂点に達することは確実だった。 だが、それらの複製には多くの困難が待ち受けていた。機関や砲熕兵器は 特殊鋼を鋳造したものを削り出した部品を多用しており、その製造は ゲルマニアの最新鋭の足踏み式旋盤などの工作機械でも到底不可能だった。 特に水力などを利用する大型旋盤の発展は不可欠で、このためにアルビオンでは 貴族、平民を問わず官民一体で地道な発展作業を続けることになった。 しかも、ロマリアに異端審問されないように内密に。 それは、旋盤で加工したより硬度の高い金属で新たな旋盤を作成し、 さらに硬度の高い金属を加工して……を繰り返す、地道な作業だ。 これの達成には二十年の歳月がかかり、平行して蒸気機関、砲熕兵器の 研究も進められた。特に主砲の材質については、持ち帰った主砲を試射した際に 新設した架台の強度不足と不適切な装薬の取り扱いで腔発事故を起こし、 破損した砲身を研究したことが大きかった。彼らの犠牲と献身により、 アルビオンは秘密裏にその技術水準において他国を圧倒することになる。 また最大の問題であった特殊鋼は、ハルケギニアでは未だ利用されていない 未知の金属であるニッケルに代わり、ゲルマニアで産出され、主に陶芸や ワニスの防腐剤に使われるボロンを添加することで比較的近い強度のものが 精錬できることが分かり、砲身の製造にはこれが用いられることになった。 それはメイジの魔法だけでは達成できない、平民の知識と経験、卓越した 職人技を併用した国家規模の努力の結晶だった。 『イーストウッド』級巡洋艦は、この主砲を運用する専用艦として 建造された。主砲が二四サントに決定されたのも、残された『畝傍』の 砲弾と装薬を使用できるようにするためだ。 本来は『畝傍』のようにフネを装甲で覆い、複数の主砲を搭載するべき なのだが、風石を使用するハルケギニアの帆走式軍艦では、積載重量が 過大となり、まともに飛べない有様となった。開発中の蒸気機関がものに なればその問題も解決されるのであろうが、それにはまだ時間を必要とした。 そのため、主砲を一門だけ搭載した艦を複数同時運用し、快速を生かして アウトレンジで敵を撃滅する方針がとられた。つまり、複数の軍艦を 一隻の大型艦として運用する方法をアルビオン空軍は選択したのである。 竜騎士の搭載は副次的なものだ。要するに、重量過大で積めなくなった ものを降ろして空いた部屋にとりあえず積み込んだ、ということだったが、 これは本級の意図を隠す絶好のカムフラージュとなったのだった―― 「主砲旋回急げ!トリステイン艦隊に発光信号!『我コノ一撃ヲモッテ勝利ヘノ号砲トナス』だ!」 サー・アレクシオスが命令する。『イーストウッド』級の主砲の旋回は 人力だ。時間はかかるが、現在ではそれに代わるものがない。実戦での 旋回は初めてのため、これが以後の研究課題となるだろうと彼は考えていた。 『イーストウッド』と僚艦『レーガン』、『ブッシュ』は、見事な 艦隊運動で『キョウリュウ』をその射程に捉える。 「撃てぃ!」 サー・アレクシオスの号令で、『イーストウッド』『レーガン』 『ブッシュ』が主砲を発射する。わずかな遅れはそれぞれの弾道を安定 させることになるが、彼らはそれを訓練で熟知していた。主砲が爆発 したかのような猛烈な火炎とトリステインの人間が今まで聞いたこともない 衝撃波を伴った轟雷のような音が轟き、音速を超えた砲弾が八千メイルの 距離を飛び越えて着弾した。大きく舞い上がる土埃。その光景にトリステイン艦隊は 言葉を失い……そして歓喜した。 「な、なんという……」 「ジェームズめ……こんなものを開発しておったのか」 トリステインの首脳部は、アルビオンが『たった三隻の巡洋艦』を 派遣してきたのではないことを知った。彼らは、この未曾有の事態に 『最新鋭の巨砲三門』を送ってきたのだと。 それと同時に、彼らはアルビオンが敵でないことを始祖に感謝した。 「全軍突撃!我らも早く攻撃に転じよ!」 フィリップ三世が檄を飛ばす。その声に呼応するように、旗艦 『ラ・レアル』以下、トリステイン艦隊が最大戦速で距離を詰める。 やがて……土埃が晴れた。 「バカな。直撃があったはずだ……くそっ。手を休めるな!次弾装填! 次は虎の子の徹甲弾をくれてやれ!」 『遠見』の魔法を使って状況を確認したサー・アレクシオスは手を休めない。 発光信号で命令が『レーガン』以下に伝達される。だが、そのとき、 彼の背筋に悪寒が走った。 「いかん!下げ舵六〇!総員、何かにつかまれ!」 サー・アレクシオスは『イーストウッド』を急速降下させる。 追随する『レーガン』。だが、最後尾の『ブッシュ』は遅れた。 それまで『イーストウッド』がいた場所を、赤い輝きが貫く。それは なぎ払うように横に滑った。そして……『イーストウッド』を轟音と 衝撃波が襲う。 「な……アーガス……」 サー・アレクシオスは、兵学校の同期であり、『ブッシュ』艦長だった 親友の名を呼ぶ。『ブッシュ』がいた場所は――燃え盛る炎が落ちていく だけになっていた。『キョウリュウ』の攻撃であることは、明白だった。 「『レーガン』、前に出ます!」 「何だと!?デビアス、俺の盾になるつもりか?!」 サー・アレクシオスが歯がみする。『レーガン』も、さっきの攻撃を 完全に回避できたわけではなかった。マストが折れ、速力が落ちていることは 傍目にも分かった。やがて、『我先行ス。狙イ撃テ』の発光信号が 『イーストウッド』に届けられた。 「マービィ!生きてるか!」 「カニンガムか……エメラルド小隊は俺たち残して全滅だ。発艦中に 母艦がやられた」 『イーストウッド』から発艦したガーネット小隊の隊長、カニンガム大尉が、 『ブッシュ』に搭載されていたエメラルド小隊の隊長、マービィ大尉たちと 合流する。 「ジャーバス、無事だったか。ミネルバ中尉も」 「グレッグか。何とかな」 「ああ、あたしらが発艦した直後、フネを赤い光がなぎ払ったんだよ。 それで終わりさ」 グレッグの言葉に、ジャーバス少尉とミネルバ中尉が憔悴した声で 応えた。 「けど、このままじゃ終われないねぇ……」 ミネルバ中尉が憎々しげに『キョウリュウ』をにらみつける。 アルビオン竜騎士隊でも珍しい女竜騎士は、今怒りに震えていた。 「お前の言うとおり、このままじゃ終われないさ。 カニンガム。俺たちはこのまま突撃する。ヤツに杖を突き立てないと 気が済まん」 「分かった。援護する。だが、足は俺たちの方が速いぞ。遅れるなよ」 カニンガムが言う。カニンガム大尉率いるガーネット小隊は風竜を、 マービィ大尉率いるエメラルド小隊と、『レーガン』に搭載されている トパーズ小隊は火竜を騎竜としている。その速力差をカニンガム大尉は 心配するが、マービィ大尉はふっと笑った。 「誰に向かって言っている。ミネルバ、ジャーバス、借りは倍にして返すぞ!」 「「アイ・サー!」」 「このままでは……ぼくの『カッター・トルネード』で先制する! 攻撃後、全騎突撃!」 カリンが呪文を唱え始める。それを援護する陣形を組むマンティコア隊。 そのさらに上空から、太陽の中から飛び出すように黒い影――複座零戦が 逆落としに飛び出した。 武雄は九八式射爆照準器からはみ出すくらいまでに、これまでの攻撃で いびつに擬装用皮膚がはげ落ちた『キョウリュウ』に近づき、20ミリ機関砲を 発射する。逆落としの対地攻撃のため、一航過で緩降下に移行して再上昇するが、 そのとき、通信機に怒りと困惑の声が響いた。 『海軍!我々は味方だ!』 「……………………。あいにくだが、俺たちはあんたらを沈めなきゃならねえ」 武雄が憎々しげに応える。今の一撃は頭部天井の乗降ハッチを狙った。 うまくいけば、もう彼らの姿を表に出すことはない。 『ふざけるな!海軍!何のつもりだ!』 「あんたらがあかぎの呼びかけに応えてりゃ、こんなことにはならずに 済んだかもしれないんだよ!」 『な……貴様ぁ何の』 武雄は通信を強制的に打ち切る。その代償は、複座零戦の真後ろを 通りすぎた光。さっきのもそうだが、どうやらあかぎの悪い予感が 当たったらしい。三十年ぶりの実戦に震える機体をなだめつつ、武雄は あかぎに回線を繋いだ。 「あかぎ、聞こえるか?ヤツの武器は原子力光線砲だ。真っ赤な光が 口から照射されている」 『原子力光線砲だったら、目には見えないわ。それはたぶん照準用の 探照灯ね。光とわずかにずれた場所が攻撃されているから、気をつけてね。 私たちももうすぐ到着するから。無茶はしないで』 「了解!……さて、役者が揃うまでお膳立てするか」 武雄は不敵に笑う。空は徐々に暗くなり始めている。 日食が始まったことを示していた。 「……な……あれは、いったい何ですか?空に軍楽隊でも連れてきて いるんですか?それに、あの攻撃は」 「おちつけ、ド・ゼッサール。あれはタルブの『竜の羽衣』だ。 あんなに機敏に動けたんだな……。しかも、今の攻撃は……」 見たこともない光景に慌てるド・ゼッサールを、カリンが制する。 だが、カリンも『竜の羽衣』こと複座零戦の、今まで見せたことのない 機動に言いようのない気持ちがわいてきていた。 「ぼくたちも負けるわけにはいかない!ぼくが先制する!まもなく艦隊の 砲撃があるからそっちにも気をつけろ!」 「隊長!敵がこっちに!」 「躱せ!」 カリンの命令で急遽全騎散開する。その直前まで彼らがいた場所を、 赤い光が貫いた。 赤い光が突撃するアルビオン竜騎士隊をなぎ払う。後ろを振り返る いとまもなく、グレッグは戦友の骨を拾うことすらできない戦場に 歯がみした。 「コンロッド、生きてるか」 「ああ。なんとかな。今のでグレゴリーとギブスンがやられた。 このままじゃ、エメラルド小隊の援護どころか俺たちが全滅するぞ」 コンロッドがそう言ったとたん、頭上を軍勢が通り過ぎたような轟音が 通過する。『イーストウッド』と『レーガン』が主砲を発射したのだ。 残念ながら命中せず、『キョウリュウ』の後ろに土埃の柱を高く舞い上げた だけに終わった。反撃の赤い光を『イーストウッド』は回避するが、 『レーガン』が回避しきれずに徐々に船足を落としていた。 「くそっ。まとめて焼かれたトパーズ小隊よりマシって言うのかよ? 『竜の羽衣』もすごいのは分かったが、あんまり攻撃が効いてるようには 見えないぞ」 「無駄口を叩くな!まもなくトリステイン艦隊も砲撃を開始する。 死んでいった仲間の無念は、俺たちで晴らすんだ!」 カニンガム大尉の叱咤が落ちる士気を食い止める。今の彼らにできることは、 一刻も早く『キョウリュウ』を沈めることだけだった。 「一カ所に固まるな。まとめてなぎ払われるぞ! 小隊単位で飽和攻撃を仕掛ける。第一小隊、私に続け!」 ギンヌメール伯爵が、直属の小隊を引き連れて攻撃を開始する。 その眼前で『キョウリュウ』を竜巻が包み込んだ。マンティコア隊隊長の 『烈風』カリンが、風のスクウェアスペル『カッター・トルネード』を 放ったのだ。真空の層を挟み込んだ荒れ狂う竜巻が『キョウリュウ』を 翻弄する。だが、その重量からか、表面の擬装用皮膚をはがしただけで 倒すには至らなかった。 「烈風どのの魔法でもダメか……。だが、なんとまがまがしい姿よ。 鉄の竜とはよく言ったものだ」 『キョウリュウ』の擬装用皮膚は今の魔法でずいぶんとはがされ、 その下にあった均質圧延装甲の無塗装の地肌が大きく露出している。 その頭部には、武雄の攻撃でうがたれ、破壊された跡が目立つ。武雄が 頭部に集中して攻撃していることを、ギンヌメール伯爵は奇妙に思った。 伯爵は、武雄が『キョウリュウ』の頭部に装備された無線アンテナや 聴音機、潜望鏡などの『目』や『耳』となるもの、そして搭乗ハッチのような 『中に人が乗っていることを知らせる』ものを破壊していることは知らなかった。 もし、伯爵が無線を傍受することができたなら、『キョウリュウ』に 搭乗している帝国陸軍戦車兵たちの怨嗟の声を聞くことができただろう。 だが、それは叶わぬことだった。 「陛下!全艦、敵を射程圏内に捉えました!」 「……我が方の損害は?」 「現在二隻。ですが、総員士気旺盛。いささかの問題もありませぬぞ!」 ハイデンベルグ侯爵が胸を張って王の問いに答える。彼らが乗る 『ラ・レアル』とて、無傷ではない。フィリップ三世は簡易の玉座から 立ち上がると、『キョウリュウ』をにらみつけ、杖を向ける。 「全艦攻撃態勢!敵を撃滅せよ!」 王の号令の元、残存全艦の左舷放列が火を噴いた。 「ふぅ。今の竜巻……あの隊長さんのか」 武雄は乱れた気流から脱し、一息つく。上昇中に見た、マンティコア隊が 隊長を守る布陣を取っていたことから、今の竜巻はカリンが放ったものだと 推測する。ようやく射程に捉えたトリステイン艦隊も砲撃を開始するが、 効果はないように見えた。逆に『キョウリュウ』の反撃で、爆散する 戦列艦すらある。一方で突撃した魔法衛士隊や竜騎士大隊も友軍の砲撃を 見て避けているわけで、通信技術が確立していない戦場の混乱は武雄には 手に取るように分かった。 「骨董品の大砲じゃ通じるわけないが、だからと言ってお前ら撃つな、 なんて言えるわけないしなぁ……」 武雄は再び高度を取る。あかぎから、被曝しないためには放射能が 存在する場所に長居しないこと、汚染されたものを口にしないこと、 そしてなにより汚染された空気を吸い込まないことだと聞いている。 甲状腺保護にヨウ素錠剤は服用したものの、自分たちはあまり長生き できないな、と考え、ふっと笑った。 「……何考えているんだか。俺もヤキが回ったか?」 そのとき、武雄の視界の端にきらりと光るものを見つける。 それが何であるか、武雄にはすぐに分かった。 あかぎは、落下傘降下高度で飛行する連山から落下傘降下して本陣近くの 湖に降り立った。あかぎを降ろした連山はそのまま『キョウリュウ』 目指して飛び去っていく。着水したあかぎは落下傘を投棄し、湖の周辺に 誰もいないことを確認すると、武雄たちいわゆる『竜の羽衣』の乗り手 ――タルブ義勇軍の航空管制を開始する。 あかぎは暗くなった空を見た。日食は進み、もうそれほど時間は残されて いないことは明白だった。 「燕ちゃんたち、遅れないでね」 あかぎには祈ることしかできなかった。 前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略)
https://w.atwiki.jp/femblem/pages/29.html
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6492.html
前ページ次ページ鋼の使い魔 「『正拳』!『裏拳』!」 硬く握り込まれたアニエスの拳が縦横に伸びた。取り巻く敵兵の顎を石榴に砕き、肋骨が小枝のようにへし折れる。 二つ折りになって斃れようとする敵兵を蹴り飛ばし、押し迫る兵士を前に視界を切り開くと、腕を引いて構えを作る。そして軽く息を吐いた。 「『鬼走り』!」 口述し技のイメージを明確にする。そして引いた拳を素早く突き出した。空を切った拳の拳圧が大気を貫いて、大砲で薙いだように前方にいた兵士達を打ち散らす。 「ぐっ!」 「げあっ!」 「げおるぐっ!」 拳圧を受けて兵士の身体は破裂音と共に弾かれる。斃れて吐き出す血は内蔵を潰されて黒々としていた。 斯く、アニエス率いる銀狼旅団はトリスタニアの軍人…いや、ブリミル以来の四国に根差した軍人の想像すらしなかった戦法と戦力で、押し迫るアルビオン軍を好く防いだ。しかし銀狼旅団全員がアニエスと同等の戦闘力を有しているわけではない。アニエス自身も突出しすぎないように味方の位置を把握し、徐々に後退しながら戦っていた。 「擲弾!擲弾!」 アニエスは号令を飛ばしてから首に提げた竹笛を吹く。笛の音を聞いて戦っていた銀狼旅団員は懐の金属球を敵陣に向かって投げた。 投げた金属球には火のついた紐がついており、紐の先は球の中に詰められた火薬に繋がっていた。 数拍後、敵兵集団の内部数箇所で爆発が起きる。爆発の範囲内にいたアルビオン兵は爆風と飛散する破片を受けて悲鳴を上げて斃れた。 その隙を突いて銀狼旅団が素早く後退すると、今度はアストン伯の部隊が前方に出て素早く練金【アルケミー】を使った。 「あぁっ!」 擲弾に気をとられていたアルビオン軍は、地面の揺れに前方を見直して驚いた。 それまであった開けた街道に、草の生えるように地面から石板が持ち上がったかと思うと、一瞬の内に巨石を並べたような『砦』が出来上がっていたのである。 地上のアルビオン軍はその時知らなかったが、この砦はアルビオン軍側に見えるほんの一部だけが砦として機能するようになっている。 土の工作に長けた専門のメイジではないアストン伯達が、アニエスらと図って創り出した張りぼての砦だった。 張りぼてとはいえ砦は砦。銀狼旅団の切り込みを受けて体勢の崩れていたアルビオン軍は、あとわずかで村に入れる位置まで進みながらその足を止めざるを得なかった。 「ロベルト大爺ちゃーん!」 村の方々に火の手が上がっている中、ヴィクトリア・ナイツ『シエスタ』はロベルトの宿『北の門』亭へ避難者の中にいなかったロベルト老人を探しに来ていた。 『北の門』亭は奇跡的に火災を免れていた。――村の火災の多くは避難の時の混乱でおざなりになった火始末が原因のようだった――宿は中に居た人が大急ぎで出て行ったせいか、普段より幾分か散らかっていた。 「大爺ちゃーん!!」 「そんなに大声を出さなくても、聞こえてるよヴィクトリア」 シエスタの声に応じ、のっそりと店の奥からロベルトが出てくる。その背格好から怪我をしている様子もなく、シエスタは安堵した。 「大爺ちゃん!無事だったのね。…その弓は?」 ロベルトの節くれた手には弓矢が握られていた。腰には矢筒も提げている。 「ふふ。賊が来ると聞いて血が騒いでな。一丁この『静弦の弓』で追っ払ってやろうと思ってね。物置から引っ張り出すのに苦労したよ」 ロベルト老は不敵に笑いながら弦の張り具合を見るように弓を引いては戻しを繰り返している。 「もう、駄目だよ!早く森に避難しないと…」 シエスタはロベルト老の手を引いて『北の門』亭を後にすると、西の森へを行く道へ足を戻した。 と、北の方から慌しい足音と共に、手に銃器や剣、槍を持った者達が広場の方へと駆け込んできた。皆、血と泥に濡れた格好の中、一人煌く銀のコートの者が勇ましく号令を掛けた。 「編成を変えるぞ!バッカス、シェリーは長銃【ハークィバス】、ドロシー、エリーは槍を持て。槍がなければ剣だ」 銃杖を支えに広場のあちこちで兵士達が武器を準備するのを呆然と見ていると、号令を出していた人物はシエスタたちを発見して声を上げた。 「…そこにいるのは誰だ?」 「!!」 コートの人物はシエスタたちを見止めると駆け寄って、老人と少女を見比べて聞く。 「…住人は全員避難したと聞いていたのだが」 「あ、あの…その…」 「敵軍再編成して突撃してきます!」 陣に張り付いていた部下からの報告に、コートの人物は踵を返して再び最前線に舞い戻っていった。 「お、大爺ちゃん。早く逃げるよ!」 ロベルトの手を引いてシエスタは懸命に走ろうとするが、既に背後から猛ったアルビオン兵の怒号が響いていた。 「おおおおぉ!」 「殺せー!切り倒せー!」 無形の殺意が漲る声が聞こえ、すくみ上がってしまったシエスタをロベルトは手を引いてその場から退散するのだった。 『タルブ戦役・四―誘う魔卵ー』 タルブが王軍を一日千秋で待っている最中、王都トリスタニアのノーブルタウン(貴族邸宅街)の一角に建てられたラ・ヴァリエール公爵家別邸の一室。 エレオノールとルイズの二人は父ラ・ヴァリエール公に言われた通り、荷物を纏めて別邸に移っていたが、エレオノールが使用人達に事態の始終を調べるように配り、今エレオノールの手には王宮に残していた使用人から届いた簡素な手紙が握られている。 ルイズは椅子の上で不安と猜疑に縮み上がっていた。一方エレオノールはそんな妹を思いながらも、事態を理解しようと努めて神経の糸を張らせていた。 「…読むわよ」 ルイズは首を振らなかった。それを無視してエレオノールは手紙を読み上げる。 エレオノールは静かに手紙を読んだ。それは伝聞推定の域を出ないものだったが、タルブがアルビオンの軍勢から侵攻を受けているらしいこと。それに向けて王政府が急いで王軍の準備を始めているらしいことが書かれていた。 手紙を読み終わった時、エレオノールは憤りと焦りが混ざり合った顔で手紙をテーブルに投げ捨てた。 ルイズは膝を抱える。上質の皮と綿の打たれた椅子に華奢な体が沈み、顔色がチェリーブロンドの髪に隠れた。 「…アルビオンと戦争になるのかしら」 「…多分ね」 「こんな時の為に姫殿下は輿入れするはずなのに、ね…婚儀前じゃゲルマニアも味方なんてしないわね…」 「そうね…」 エレオノールはルイズの言葉に相槌を打つのが精一杯だった。 しかし目の前の妹は、せっかくの晴れの舞台が沙汰止みになって自失状態なのは明白で、できれば傍にいてやりたかったが、かといって傍でなんて声をかけていいのか分からない。 (ここにギュスターヴ殿がいてくれたら任せられるのだけど…) そうエレオノールが思案に耽ろうとした時、静かに使用人が傍にやって来て礼をする。 「お嬢様。アカデミーの方が面会を希望しております」 「今日は休暇を貰ってるのよ。後にして頂戴」 正直今はアカデミーよりルイズが大事だった。それくらいの甲斐性はエレオノールにも、ある。 「しかし至急エレオノールお嬢様に会わせてほしいと先方が申しております。なんでも、予算の決済がどうとか…」 それを聞いて一層にエレオノールは不愉快な顔をした。世間がざわつき始めているというのに、研究員の連中は自分の研究に使える予算の取り合いの方が大事らしい。 「…姉さま」 それまで黙っていたルイズが顔を上げる。 「お仕事の用事が出来たんでしょう?私は大丈夫だから、そっちに行って」 「で、でも貴女…その…」 「いいの。私は大丈夫だから」 ルイズは笑ってエレオノールに手を振る。 「大丈夫。そりゃあ、せっかく作った祝詞も、賜った巫女役も、全部ご破算になっちゃいそうだけど。…それだけ。それ以外はいつもの私と、なにも変わらないわ」 そう、いつもの…『ゼロのルイズ』に戻るだけ。 「ほら、待たせちゃいけないわ。行ってらして、姉さま」 そう念を押されると、エレオノールも抗弁してやれなくなってくる。どこか脱力気味に使用人へ「私の部屋に案内しなさい。そこで話を聞くから」とだけ言って、ルイズの前を辞していく。 そして部屋にはルイズと、部屋つきの使用人が一人だけになった。 使用人から話しかけるはずもなく、ルイズは陽光の入り込む窓から遠い椅子に座ってあらぬ彼方を眺めていた。 「……ねぇ、貴方」 暫くの無言の後に、ルイズは使用人に声をかけた。 「一人になりたいの」 不気味なほどに無感情な声で、そう言った。 使用人が困惑しながらも部屋を出て行くのを確認して、ルイズはテーブルに突っ伏して、啼いた。 声は出ない。呻きも無い。使用人を下がらせた時と変わりない無表情、無感情のままとろとろと透明なものが溢れて毀れる。 一方で、そんな涙を流す自分を冷たく見透かす自分がいることも気付いていた。 (何を泣いているの?貴族らしい証が立てられるはずだったのに、それが立ち消えになったから?国難に何も出来ない無力な自分だから?ちゃんちゃら可笑しいわ。私は『お前は』魔法の使えないオチコボレ。泣くほどの資格も価値もないわ…) 冷ややかに自分を詰っても、涙は止め処なく流れる。どうしようもないという自覚が、神経をがさがさと引っかいて、小さな胸がギリギリと軋んだ。 「……」 ふと、ルイズは立ち上がり、部屋の隅にある机に投げ置いた自分の鞄を手に取った。 (ゲルマニアの加勢が無い以上、トリステインは勝てないわ。負けなくても、もうボロボロ。婚儀の為に作った祝詞も、もう要らないわね…) 塗りこめた黒い洞のような気分が心を覆っていく。何日もかけて作った祝詞が、熱心に心砕いていた過去の自分を思い出させて不快だった。 ルイズは祝詞を書いた原稿を破り捨てようと鞄を開け、中をまさぐった。すると、手先に不自然な温もりを感じた。日向に置かれていたわけではないのに、手の触れる箇所は犬の腹を撫でたような暖かさがある。 「……『始祖の祈祷書』」 それは鞄の中に入っていた始祖の祈祷書だった。古ぼけた装丁の古書を引き抜くと、間違いなくそれはルイズの両腕の中で小動物の体温のような暖かさをルイズに感じさせたのである。目を閉じると、本自体が脈を打っているような錯覚さえ与えた。 ぼんやりとルイズは、特に理由もなく『祈祷書を開いてみたくなった』。手は吸い付くように祈祷書の表紙を掴み、僅かな重みもなく本が開かれる。 「…ッ!」 開かれた面を視界に収めた瞬間、ルイズは背筋を蟻が這い回るような戦慄と、同時に少し前に食べたパイが身体を逆流するほどの嘔吐感に襲われた。それでもルイズの視線は開かれた祈祷書に釘付けにされたように動かない。いや…動けなかった。 「字が…浮かび上がっている…?」 それはかろうじてルイズにも『字』なのだろうと分かった。白紙とされ、現に昨日まで真更だった祈祷書のページを、インクで書いた真新しい文章が端から端まで埋め尽くしていたのだ。 だが、それはルイズにとって『字』として認識できても意味が読み取れるものではなかった。祈祷書に浮かんだ文章はルイズの知るハルケギニア文字の、いかなる文体とも異なる、まったく未知の文字で綴られていたのだ。しかもそれは、肉の如き温度を持つ祈祷書に合せるかのようにうねり、ページの上を這い回り、刻一刻と文章の構成を変え続けるのだ。 「なに…これ…?!」 ルイズの視線は揺れ動いた。ルイズの眼球は本人の意思を無視して、ページを覆う蠢く文字列を舐めるように読み続けるのだ。 しかもルイズは不思議なことに、文章の『意味』が分からないのに『理解』していた。それは文章の読解というより、見えたままが頭の中に焼きついていくような感覚だった。 (『異界に…混ざる…吾らの血…ふたたび……これを…開いて…始まりの…荒野に…赴くべし…』) 感覚が針のように研がれていく。意識が徐々に遠くなるのに、五感に感じられる全てがどんどん広がっていく。 祈祷書の文章を読む度に、ルイズの身体は意思を離れて勝手に動く。ページがめくられ、またうねる文章を見せられる。ページを捲る指にあった『水のルビー』が視界の端で眩しいほど輝いていた。 (『…命…集め…旅立つ…』) そこまで読んだ瞬間、ルイズは視界が真っ黒になった、と感じた。視界だけではなく、研いだように鋭くなっていた五感も、何もかもが覆い隠されたように感じなくなる。その何もない感覚の中で、ルイズの意識は次第に遠く、薄らいでいった……。 「お嬢様…?」 ルイズに部屋を追い出されていた使用人は暫くして、気晴らしをしてもらおうとお菓子を持って部屋に戻ってきた。 部屋に入ると、ルイズは窓を向いて立ち尽くし、その左手では大きな古書を広げていた。 「気晴らしにでもと、お菓子をお持ちしま…!?」 ルイズが使用人の声に振り向く。使用人は『それ』を見た驚きに、菓子を乗せた盆を大きく揺すらせた。ルイズの特徴的な鳶色の瞳が、妖しく透ける金色に変わっていたのだ。 ぱくぱくと驚きで声が出ない使用人を、ルイズは小首をかしげて眺めたかと思うと、ニコッと嗤って呟いた。 「『吸収【サクション】』」 「ッ!?」 ルイズの声を聞いた使用人は落雷に打たれたように身体を痙攣させた。そして口や耳、身体の穴という穴から青白い気体の様なものが漏れ出し始め、それは目の前のルイズに向かって流れていった。 「ぁ…ぁ…ぅ…」 気体が漏れ出て行くと同時に使用人は倒れた。顔面を蒼白にし、呼吸がか細くヒューヒューと鳴っている。 「『やはり一人じゃ足りないわね。もっとたくさん要るわ』」 倒れた使用人を、ルイズは変貌した金の瞳で見下ろしていた。 「『タルブが戦場になるって、姉さまが言っていたわね』」 手の上では『水のルビー』を填めた指が抱えるほどある『始祖の祈祷書』をくるくると回していた。 「『この者の記憶の中に、何故かあれがあるらしいことが残っているわね。丁度いいわ。持って行きましょう』」 名案を思いついた、と言わんばかりにぱぁっと明るい表情で、ルイズはさらにくるくると祈祷書を回す。 いや、ルイズ自身が回しているわけではなかった。祈祷書自体が高速でルイズの指先で回っているのだ。祈祷書は徐々に回転の速度を上げると、ある速度でぐにゃりと粘土のように潰れた。祈祷書はぐにぐにと内側へ曲がっていく。 祈祷書は最後、ルイズの片手に収まる大きさの、『卵』に変貌した。 『飛翔機』による初飛行を成功させたギュスターヴは、上機嫌で地下厨房にやってくると、普段よろしくマルトーの賄いを食べていた。 「おお、そうだ。ギュス、お前さんにさっき早馬で手紙が届いてたぜ」 「手紙…?」 パンにペーストを塗っていたギュスターヴの手が止まる。 「商売を始めて手紙を貰う数が増えたみたいだな」 「まぁ、そう頻繁に王都に出られないからな…」 マルトーの懐から出された封筒を見て、ギュスターヴの眉間が寄った。 「…マルトー。これは本当に俺宛なんだな」 「え?あ、ああ。そう聞いてるが」 ギュスターヴは神妙な面持ちで封筒を見た。封筒は朱色の紙で作られたものだ。封は切られていないが、蝋止めの部分に三つ葉の印が入っている。 (ジェシカからだな。緊急の知らせか…) 無造作に封を開いて中身を読む。急いで書いたらしく、誤脱字を訂正する横線が各所にあり、また文体もあまり綺麗ではない。 しかしギュスターヴの目はそんなことよりも書かれている内容に向けられた。脳裏に電撃が走る。 (アルビオンと開戦だと…!しかも、タルブが戦場になるなど…!!) 手紙を見た瞬間様子の変わったギュスターヴにマルトーが不安げな声をかける。 「お、おい。一体どうしちまったんだよ…」 「マルトー、悪い。用事が出来た…」 そう言ってギュスターヴは地下厨房を飛び出した。行き先は、コルベール研究塔…。 研究塔前で『飛翔機』の整備をしていたコルベールに、ギュスターヴはトリステインがアルビオンと戦争状態に入ったらしい事を伝えた。 コルベールは一瞬暗い顔をしたが、すぐに平静を装った。 「おそらく王軍が直ちに編成されてタルブに向かうでしょう。もしくはアルビオン側と交渉の場を用意しようと準備しているかもしれません」 「交渉?占領行動をとろうとしている連中と交渉などできんでしょう」 椅子に腰掛けてギュスターヴは頭を抱えた。抱えた影の顔で脳裏に思い描く。 (王軍が出立するまでにタルブはかなりの被害を受けるだろう。こちらの軍事は完全に把握できているわけじゃないが、おそらく空軍による地上攻撃はされる。盆地になっているタルブで、万一避難し損ねたとしたら……) 一家の世話にはなりたくない、と言っていたロベルト老の言葉がよぎる。 「…そういえば、シエスタと言いましたか。あの子の故郷がタルブでしたな…」 コルベールも彼なりに見知った少女の身を案じているらしい。 不安な面持ちでギュスターヴが顔を上げたその時、学院の連なる塔から爆発音が轟いた。 「「!!?」」 音は間近ではなく、もう少し遠くからのようであった。見上げると、何処からか上がった煙が空に細く垂れていた。 「女子生徒寮からのようですな……っ?!」 コルベールは我が目を疑った。遠くに見える女子生徒寮の窓から何かが飛び出したのである。 しかもその飛び出したものは地面に落ちるかに見えたが、落下の途中でフッ、と音もなく消えた。 「『ただいまギュスターヴ』」 「!」 コルベールとギュスターヴの背後から聞き慣れた、だがどこか雰囲気の変わった声が聞こえる。 振り向けば、そこにはルイズが居た。その手には卵のような物体と、暴き出された『灼熱に光る』ファイアブランドが、握られていた 「ルイ…ズ…?」 唐突に現れたルイズの豹変は、ギュスターヴへ無意識の内に警戒感を感じさせるほどだった。 「『ええ、私よ。ちょっと色々あって、これからタルブまで出かけなきゃいけないの』」 透けるほど綺麗で不気味な金の瞳が二人を見ていた。 「み、ミス・ヴァリエール…その姿は、一体…」 「『コルベール先生、お力をお借りしますわ』」 「は?」 コルベールの返事を待たず、ルイズは卵を握る手をコルベールに向けて呟いた。 「『吸収【サクション】』」 「っ?!」 その瞬間、コルベールの身体が磔にされたように固まり、体中を雷撃で打たれたかのような痙攣が襲う。 「がぁっ…ぁぁッ……っ?!」 痙攣するコルベールの身体から漏れ出した青白い気体が、どんどんとルイズの身体に吸い込まれていく。 「ルイズ……何を…」 目の前の出来事にギュスターヴも追従できずに唖然としていた。一方ルイズは、どこか満足げに痙攣するコルベールを眺めていた。 「『あぁ、素晴らしいわコルベール先生。貴方のアニマは鍛えられていて充実しているわ』」 「何をやっているんだと聞いているんだルイズ!コルベール師に何をしている!アニマとはどういうことだ!その手のファイアブランドは一体」 「『煩いわよ』」 ルイズの声と同時にギュスターヴの目の前に炎の壁が押し寄せた。炎の壁はルイズの手にあるファイアブランドが振られたことで発生した『炎の術』の固まりだった。 「ぐっ?!」 不意打ちを食らったギュスターヴは火達磨になって地面に叩きつけられた。そうしている間にも、コルベールの体から抜け出た青白い気体はあらかたルイズに吸い込まれてしまう。 「がふっ」 「『ご馳走様でしたコルベール先生。これでタルブまで行けそう…』」 うっとりと空を見上げるルイズ。手の卵がどくり、と脈打った。 「タルブで…何を……するつもりだ…」 「『あら、生きてたのねギュスターヴ』」 倒れていたギュスターヴは、身に着けている衣服こそぶすぶすと焼け焦げていたが、身体自体には殆ど傷を受けていなかった。どうにか立ち上がり、変貌したルイズを睨みつけた。 「『もっと沢山のアニマが要るわ。命を煌かせる場所に行きたいの。そう、例えば戦場にね』」 冷ややかな金瞳は、ギュスターヴを果たして見ているのだろうか。 「『ギュスターヴ。あんたに用はないわ。あんたって空っぽなのね。コルベール先生にはあんなに満ち足りたアニマが入っていたのに』」 「人を入れ物のように言うんじゃない」 軽薄に話すルイズに渇して叫ぶギュスターヴ。だが、ルイズは興味を無くしたのか、空を見た。 「『行くわ。さようならギュスターヴ』」 そう言うと、ルイズの身体は真っ黒な影のようになって消えてしまった。 トリスタニア北西5リーグの地点では、急遽編成された王軍総勢3000人の兵士達が整列していた。 居並ぶ兵士達を前に立つのはアンリエッタだ。拵えたきりで長らく袖を通していなかった戦装束に身を固めている。 「我がトリステイン王国の名を与えられた兵士一同。私達はこれよりタルブに入り、アルビオンの軍勢と戦います。彼の者を吾らの国土から追い落とすのです」 歓声で兵士達は応え、トリステイン王国軍は一路、タルブに向かって進軍を開始した。 前ページ次ページ鋼の使い魔
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/1158.html
悲恋! 精霊への誓い その① ギーシュの治療をモンモランシーに任せて、承太郎達は寮の廊下に出た。 「ダーリン。元通りになってよかったわ!」 「やれやれ……とんだ災難だったぜ」 「ささ、災難で悪かったわね。私だってあんたに惚れられて災難だったんだから!」 まだしこりは残るものの、みんなようやくいつもの調子が戻ってきたようだ。 「ところでダーリン。ルイズに言ってた言葉、どこまで本気だったの?」 「あんなもん『全部』無しだ。馬鹿馬鹿しい……」 「ぜ、全部……無し?」 ルイズは一瞬ショックを受けた表情をしたが、すぐに強がりの笑みを浮かべる。 「まま、まあ、いいわ。自分の実力でジョータローを使い魔だって認めさせないと、私のプライドに傷がつくものね。べべ別に残念だったとかちっとも思ってないから」 聞いてない事までベラベラ喋るルイズ。どう見ても残念がってます。 「そ、それに久し振りにラドクリアン湖に行けて、ちょっと楽しかったし。 姫様に頼まれてベッドの中で身代わりをしたのもいい思い出よ。 思えばあの時姫様はウェールズ皇太子と知り合ったのよね」 誤魔化すため余計なお喋りをペチャクチャ続けるルイズに少々うんざりする承太郎だが、キュルケは突然「あーっ!」と大声を上げて視線を集めた。 「な、何よキュルケ。いきなり叫んで」 「あー、あー、あー……思い出した。ウェールズ皇太子よ。 そういえばアルビオンの教会の中でも見た事があったのに、今まで忘れてるとは」 「ウェールズ皇太子がどうかしたの?」 「タバサの実家に行く私達とすれ違いに、ウェールズ皇太子が歩いて行ったのよ。 方向からして首都トリスタニアに向かってたみたいだけど……」 「はぁ? ウェールズ皇太子はアルビオンで戦死したじゃない。 あのアルビオンから生き延びるなんて……その……無理よ、絶対」 「あー……そうね、ごめん。私の見間違い…………じゃ、ないかも」 突然キュルケは冷や汗を垂らしてタバサを見た。うなずかれた。 それはつまりキュルケの予感が当たっているという意味で、続いて承太郎を見てみれば口元を押さえて双眸を鋭くしている。 ルイズも自分の「生き延びるなんて無理」という言葉に感じるものがあったらしい。 自分が口にした言葉を吟味し、気づかなければならない重要なものを探す。 「クロムウェルは……アンドバリの指輪を持っている」 キュルケがそう言うと同時に、承太郎とルイズが走り出した。続いてタバサも。 「えっ、ちょ、どうしたのよ!?」 「姫様が危ない!」 「何で!?」 キュルケとタバサはアンリエッタとウェールズの関係を知らないが、鬼気迫るルイズと承太郎の表情を見てただ事ではないと理解していた。 シルフィードに乗った四人が王宮に着いたのは二時間後、深夜一時すぎ頃だった。 当然魔法衛士隊に囲まれる一堂だが、ルイズはアンリエッタの許可証を見せた。 その瞬間立場が逆転する。何せルイズは女王陛下の権利を行使しているのだ。 軍人である衛士はすぐさまルイズを上官と認め、事の次第を報告した。 今から二時間程前、女王陛下が何者かにかどわかされ連れ去られてしまった。 警備を蹴散らし馬で駆け去ったその賊は、現在ヒポグリフ隊が行方を追っている。 賊はラ・ロシェール方面に向かったらしいが、先の戦で竜騎士隊がほぼ全滅しているため、ヒポグリフと馬の足で追いつけるかどうか難しいらしい。 ルイズはすぐさまシルフィードに飛び乗る。 「急いで! 姫様をさらった賊は、ラ・ロシェールからアルビオンに向かうはず! 私達は風竜で後を追います!」 シルフィードは馬にまたがった敵を追うため低く飛び、敏感な鼻先で空気の流れを読んで木々や建物を巧みに避けて後を追った。 賊の馬は十騎。馬より速いヒポグリフを駆る隊は十数騎。 故に賊さえ発見できれば追いついたも同然だった。 ヒポグリフ隊は非常時故、女王陛下に少々の怪我を負わせてもやむなしとし、土の魔法で行く手をはばんだ後、馬に狙いを定めて攻撃魔法を放った。 次々と馬が倒れ、乗っていた賊達も転げ落ちる。 歴戦のヒポグリフ隊の面々は鮮やかな追撃で、地面に落ちた賊達に致命の一撃を確実に与えていく。 そして地面に投げ出されたアンリエッタのかたわらに立つ隻腕の男ののどを、強力な風の魔法が切り裂いて倒す。これで賊は全滅、女王陛下も無事。 だが、安堵したヒポグリフ隊の一瞬の隙をついて、魔法が放たれた。 致命傷を負ったはずの、たった今倒したはずの、賊達から。 馬から落ちた拍子に目を覚ましたアンリエッタは、目の前の光景に愕然とした。 「ウェールズ様……どうして、こんな……こんな事を……」 「ラドクリアンの湖畔で君が口にした誓約の言葉、覚えているかい?」 「わ、忘れる訳がありませんわ。それを頼りに今日まで生きてきましたのに」 ウェールズは裂けた首を隠しながら、アンリエッタに優しく微笑む。 「言ってくれアンリエッタ。誓いの言葉を」 「……トリステイン王国王女アンリエッタは水の精霊の御許で誓約いたします。 ウェールズ様を、永久に愛する事を」 「君は己のその言葉だけを信じていればいい。後は僕に全部任せてくれ ウェールズの言葉が、アンリエッタをあの日の少女に戻していく。 ラドクリアンの湖畔で愛を誓約した、あの頃のアンリエッタに。 女王でも王女でもない。一人の男に恋をした少女へと。 シルフィードは無残に人の死体が転がる光景を見つけ、タバサの指示でそこに止めた。 タバサを残してルイズ達三人はシルフィードから降り、遺体の様子を調べる。 焼け焦げた死体、切り裂かれた死体、風穴の空いた死体などが散乱している。 そして何匹ものヒポグリフも、彼等が先行していたヒポグリフ隊なのだろう。 だがその中でキュルケが生きている人を発見した。腕を負傷しているが致命傷ではない。 「大丈夫?」 ルイズが声をかけると、男はうめきながらも答えた。 「大丈夫だ。……あんた達は?」 「私達も女王陛下を誘拐した一味を風竜で追ってきたの。いったい何が?」 「……致命傷を負わせたはずなのに……奴等は、立ち上がって魔法を……うっ」 そこまで喋ると、救援が来た安堵からか男は気絶してしまった。 そして今聞き出した情報、敵の不死性から確信する。 敵はアンドバリの指輪で操られた生ける死者達だ。 承太郎は怒りに燃えると同時に、氷のようにクールな精神でスタンドを出現させた。 シルフィードに乗って様子を見ていたタバサは、それよりもわずかに早く詠唱を始めて、もう完成する寸前だった。 臨戦態勢に入った承太郎とタバサを見て、ルイズとキュルケも慌てて杖を抜く。 同時に四方八方から魔法の攻撃が飛んできた。 そのすべてをタバサは魔法で生み出した空気の壁ではばむ。 すると草むらからアルビオンの貴族達が姿を現した。 身体を焼かれ、身体を切り裂かれ、身体を貫かれたアルビオンの貴族達。 もはやアンドバリの指輪の仕業である事は疑いようがなかった。 そして承太郎達の前に堂々と、彼は姿を現した。 後ろにアンリエッタを連れた、隻腕のウェールズ皇太子。 「……久し振りだな、ウェールズ」 「やあ、ジョータロー。懐かしいな」 ウェールズはまるで旧友に出会った事を喜んでいるかのような口調と笑顔だった。 それが承太郎の双眸を釣り上げさせる。 「単刀直入に言うぜ。お姫さんを返してもらおうか」 「ジョータロー。彼女は自分の意思で僕についてきてるんだよ?」 「だが……それは『てめー』の意思じゃあない……」 苦笑を浮かべるウェールズを見て、承太郎の怒りがさらに高まる。 その横でルイズが叫んだ。 「姫様! そのウェールズ皇太子は、クロムウェルの手によって、アンドバリという指輪により仮初の命を与えられたくぐつでございます!」 しかしアンリエッタは唇を噛みしめ、ウェールズから離れようとしない。 「ジョータロー、ラ・ヴァリエール嬢、これで解ったろう? だからこのまま行かせて欲しい。魔法は温存したいからね、戦いたく――」 最後まで言わせないとばかりに、タバサのウインディ・アイシクルが発動する。 何本もの氷の矢がウェールズに突き刺さったが、彼は苦笑を浮かべるのみだった。 しかしその攻撃にアンリエッタが反応し、杖を抜く。ルイズ達に向けて。 「お願いよ、ルイズ。行かせてちょうだい……。 私は誓ったのよ、ウェールズ様への変わらぬ愛を。 ……あなたは人を好きになった事がある? 好きになるとね、何もかも捨ててでもついて行きたいと思うものよ。 例え行き先が地獄だろうと世界の果てだろうと」 その言葉にルイズはハッとした。 あの時、日食に向かって飛んでいた時の自分は、どうだっただろう? 何もかも捨てて、承太郎と一緒に――そう思っていた、かもしれない。 「交渉決裂だ。ウェールズ、二度と蘇れねーようバラバラに引き裂いて殺してやるぜ」 「悲しいな、戦友と戦わなくてはならないとは。死んでもらうよジョータロー」 かつて、短い時間だが……確かに友情を交わした二人が相対する。 互いに互いを殺すと宣言して。
https://w.atwiki.jp/robotama/pages/341.html
武装一覧(その他遠距離武器) 各商品に付属する武装類を系統ごとに纏めたページ。 発売未定品はリスト対象外。 マルチプルランチャー等の他武装に装着するタイプは単独では記載しない。 他の武装は以下のリストを参照。 武装一覧刀剣/ポールウェポン/その他格闘武器/銃火器その他遠距離武器/爆発物・その他/シールド/エフェクト 分類 名称 商品 構成 備考 弓 ゴッドゴーガン ライディーン ブラックライディーン ゴッドライディーン ブラックゴッドライディーン 光の弓 フルアーマー騎士ガンダム 伝説の巨人編Ver. 矢 ゴッドアロー ライディーン ブラックライディーン 光の矢 フルアーマー騎士ガンダム 伝説の巨人編Ver. ボウガン 超電磁洋弓銃 エヴァンゲリオン2号機 鉄球 ガンダム・ハンマー ガンダム ガンダム(ハードポイント追加仕様) ∀ガンダムシリーズ用武器セット ハイパー・ハンマー ガンダム 鎖はガンダム・ハンマーと共用 ガンダム(ハードポイント追加仕様) ブーメラン マイダスメッサー ランチャーストライカー&ソードストライカーセット 基部+ビーム刃 ビームブーメラン ストライクルージュ(I.W.S.P.装備) RQM60Fフラッシュエッジ2(ブーメラン) デスティニーガンダム 柄のみ2本。基部はビームサーベルと共用 ファングスラッシャー エクスバイン エクスバイン EXバージョンカラー ビット系武器 フィン・ファンネル νガンダム 6枚 追加フィン・ファンネル νガンダム 拡張フルセット νガンダム フィン・ファンネルセット EQFU-3Xスーパードラグーン ストライクフリーダムガンダム 8枚 GNビームサーベルファング ガッデス 7枚 GNファング収納状態 アルケーガンダムヤークトアルケーガンダム 4枚 GNファング攻撃状態 2枚 大型GNフィンファング リボーンズガンダム 4枚 小型GNフィンファング GNソードビットA ダブルオークアンタダブルオークアンタ(クアンタムバーストVer.)ダブルオークアンタ(クアンタムバーストVer.)ブラック台座セット 2枚 GNソードビットB GNソードビットC ロケットアンカー ヒートロッド(アンカータイプ) グフカスタム パンツァーアイゼン ランチャーストライカー&ソードストライカーセット 飛燕爪牙(射出) 紅蓮聖天八極式紅蓮聖天八極式(エナジークリアVer.) 2本 飛燕爪牙(収納) フーチハーケン 神虎 手甲と一体成型。2本 大型スラッシュハーケン サザーランド・ジーク 5本 スラッシュハーケン ランスロット・アルビオン 4本 ランスロット・アルビオン・エナジークリアVer. ヴィンセント初期量産試作型 2本 ヴィンセント指揮官専用型 ヴィンセント(グラウサム・ヴァルキュリエ隊機) スラッシュハーケン(頭部用) パーシヴァル スラッシュハーケン(肩用) 2本 スラッシュハーケン(展開) ランスロット・クラブ スラッシュハーケン(収納) スラッシュハーケン(メッサーモード) XM18ワイヤーガン アーバレスト ラムダ・ドライバ ピラム ファフナー・マークドライ 展開時刃or収納時刃+グリップ バイパーウィップ 騎士GEAR凰牙 その他 メギドハーケン トリスタン 左右前腕に1つずつ接続済 空気砲 ドラえもん 攪拌槽(ジャオダンジィ) 撃龍神+SPパック+クライマー1 ドラゴンフレア 電童・凰牙用データウェポンセット スクエア・クレイモア アルトアイゼン 両肩に内蔵 アルトアイゼン・ナハト チャクラムシューター エクスバイン シューター本体+チャクラム(射出前、射出後) エクスバイン EXバージョンカラー
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/407.html
「今の魔法は何だ?答えろ」 そう質問した瞬間ルイズが凄まじい目でプロシュートを睨み付ける だが生憎プロシュートにとっては相手が貴族だろうと平民だろうと、例え王女であろうと対応は変わらない。 「ディティクト(探知)マジック…どこに耳が、目が光っているかわかりませんからね。驚かせてしまったようで申し訳ありませんでした」 「姫殿下、いけません。姫殿下に乱暴を働いた者に頭を下げるなどと…」 アンリエッタがプロシュートに頭を下げるがそれを見たルイズは必死だ。 もっとも当のプロシュートは涼しい顔でそれを受け流す。 「ああ!ルイズ!ルイズ・フランソワーズ!そんな堅苦しい行儀はやめてちょうだい!あなたとわたくしはお友達!お友達じゃないの!」 「もったいないお言葉でございます。姫殿下」 ルイズが珍しく緊張した声で言ったが、プロシュートはスデに興味なさそーに椅子に座っている。 「やめて!ここには枢機卿も、母上も、あの友達面をしてよってくる欲の皮の突っ張った宮廷貴族たちもいないのですよ!ああ、もう、わたくしには心を許せる おともだちはいないのかしら。昔馴染みの懐かしいルイズ・フランソワーズ、あなたにまで、そんなよそよそしい態度を取られたら、わたくし死んでしまうわ!」 「姫殿下…」 ルイズが顔を上げ心底嬉しそうな笑顔でアンリエッタを見付めた。 以下、延々と昔話に華が咲く 「クリーム菓子を取り合ってケンカしてルイズが常に勝っていた」だの「ドレスの奪い合いでアンリエッタのボディブローがルイズに決まって気絶した」だの プロシュートにとってはどうでもいい事なので適当に聞き流していた。 「…知り合いか?」 「姫様がご幼少のみぎり、恐れ多くも遊び相手を務めさせていただいたのよ」 また話がアンリエッタの言葉尻に影が含まれている事に気付いた。 「どうかされたのですか姫様…?」 「…結婚するのよ。わたくし」 「……おめでとうございます」 普通なら祝うであろう王女の結婚報告だがその沈んだ声を察っするに政略結婚という事がルイズにも理解できた。 そこにアンリエッタが宇宙最強の台詞である「それがどうした」が頭に浮かんで暇そーに椅子に座ってるプロシュートに気付く。 「あら、ごめんなさい。もしかして、お邪魔だったかしら」 「お邪魔?どうして?」 「だって、そこの彼、あなたの恋人なのでしょう?身を挺してあなたを守ってくれたんですもの」 「はい?恋人?あの生き物が?」 その言葉にプロシュートが一瞬反応する。 もしルイズがプロシュート精神の色を知ることができたなら黒に少しだけ赤が混じった事に気付いたであろうが当然それに気付くよしもない。 「姫さま!あれはただの使い魔です!恋人だなんて冗談じゃありません!」 ルイズが首が捩れんばかりにそれを否定する。 「使い魔…?人にしか見えませんが…」 「人です。姫様」 「そうよね。はぁ、ルイズ・フランソワーズ、あなたって昔からどこか変わっていたけれど、相変わらずね」 「好きであれを使い魔にしたわけじゃありません」 憮然としてルイズが返すが、アンリエッタが何回目かのため息を吐いた。 ルイズがその原因を問いただそうとするが思い直したかのようにアンリエッタが話を打ち切ろうとした。 だが、ルイズはそれを振り切るようにしてさらに迫る。 「いけません!昔はなんでも話し合ったじゃございませんか!わたしをお友達と呼んでくださったのは姫様です。そのお友達に、悩みを話せないのですか…?」 その言葉にアンリエッタが決心したかのように頷いき口を開いた。 「今から話すことは、誰にも話してはなりません」 アンリエッタがプロシュートの方をちらっと見てきた。 「オレの任務は護衛だからな…どんな事であれ話は聞かせてもらう」 「メイジにとって使い魔は一心同体。席を外す理由などありません」 そのまま沈んだ調子で語りだす。 「わたくしは、ゲルマニアの皇帝に嫁ぐことになったのですが……」 「あんな野蛮な成り上がりどもの国に!?」 ハルケギニアの地理に全く詳しくないプロシュートがルイズに問う。 「ゲルマニアってのは何だ?」 「トリステインの北東にある国でお金さえ積めば平民でも貴族になる事ができる野蛮な国よ!」 「そうよ。でも仕方がないの。成り上がりの国とはいえ同盟を結ぶためなのですから…」 アンリエッタがルイズにハルケギニアの政治情勢を説明する。 アルビオンで反乱が起き王室が倒れそうであり、このまま行けば侵攻されるのはトリステインであり それに対抗するための同盟をアルビオンの貴族派が望んでおらずそれを妨げる材料を探している事を だがその説明を聞いているプロシュートの精神はさらに朱に染まっていっている。 大体の事情が飲み込めたのかルイズが顔を蒼白にして問う。 「で、もしかして、姫さまの婚姻をさまたげるような材料が…?」 「おお、始祖ブリミルよ……、この不幸な姫をお許しください……」 アンリエッタが顔を両手で覆い床に崩れ落ちた。ルイズは半分混乱しているようだがプロシュートは冷めた目でそれを見ている。 ルイズもそれにつられたのか興奮したようすでそれを問いただす。 「……わたくしが以前したためた一通の手紙なのです」 要は、アンリエッタが王家のウェールズ皇太子とやらいに宛てた手紙をその皇太子が持っており 皇太子が捕らえられ、その手紙が『ヤバイゲルマニアにIN!』すれば同盟の話が消し飛びトリステイン一国でアルビオンとドンパチやらねばならないという事だ。 「では、姫さま、わたしに頼みたいことというのは……」 「つまり奪還任務ってわけか…?」 心の奥底に沸き立つ赤い物を隠しながらプロシュートがアンリエッタにそう問いかける。 「無理よ!無理よルイズ!わたくしったら、なんてことでしょう!混乱しているんだわ! 考えてみれば、貴族と王党派が争いを繰り広げているアルビオンに赴くなんて 危険なこと、頼めるわけがありませんわ!」 「何をおっしゃいます!たとえ地獄の釜の中だろうが、竜のアギトの中だろうが、姫さまの御為とあらば、 何処なりと向かいますわ!姫さまとトリステインの危機を、このラ・ヴァリエール公爵家の三女、ルイズ・フランソワーズ、見過ごすわけには参りません!」 ルイズは膝を突き恭しく頭を下げる。 「このわたくしの力になってくれるというの?ルイズ・フランソワーズ!懐かしいお友達!」 熱血少年漫画の如く友情を確認しあう二人だが、プロシュートの方は冷静だ。 「アルビオンに赴きウェールズ皇太子を捜し、手紙を取り戻してくればよいのですね?姫様」 「ええ、そのとおりです。ですが礼儀知らずのあの人たちはかわいそうな王様を捕まえて縛り首にしようとしています! わたくしは思います。この世の全ての人々が、あの愚かな反乱行為を赦してもわたくしと始祖ブリミルは赦しませんわ。ええ、赦しませんとも!」 プロシュート達自身が組織を裏切った。いわば組織に対しての『反乱』である。 国と組織の違いとは言え、やっている事は同じだ。 その事をこの世間知らずもいいとこな姫様に『愚かな行為』と言われ『赦さない』と言われた。 それが致命だった。アンリエッタがそういい終えた瞬間プロシュートの精神が全て真紅に染まった。 だが、いい具合に二人の世界に突入しているルイズとアンリエッタは気付いていない。 「一命にかけても。急ぎなのですか?」 「アルビオンの貴族たちは王党派を国の端にまで追いつめています。敗戦も時間の問題でしょう」 「早速明朝にでも出立いたします!」 そうルイズが返し明朝アルビオンに向かう事になったがアンリエッタがプロシュートの方を見つめた。 「頼もしい使い魔さん。私の大事なお友達をこれからもよろしくお願いしますね」 そう言いながら左手を差し出してきた。 だがプロシュートは射抜くような視線をそれに向けただけだ。 「いけません!姫様!そんな、使い魔にお手をを許すなんて!」 「いいのですよ。この方はわたくしのために働いてくださるのです。忠誠には、報いるところがなければなりません」 プロシュートが無言で近付く。 だが二人は気付いていない。プロシュートがそのような事をする為に近付いたのではないという事にッ!! そのままアンリエッタが差し出した左手の前に立ち… 思いっきりッ!その左手をッ!!『踏みつけたッ!!!』 ルイズはその瞬間何が起きたのか理解できなかった。 いや、理解したくなかった。 大切なお友達と言ったばかりのアンリエッタの手を己の使い魔が踏みつけているのだからッ! 「な、なななな何をするだぁーーーーーーーッ!!」 どこぞの英国紳士が憑依したかのようにルイズが叫んだ。 「…ッあ…!」 左手を思いっきり踏まれているアンリエッタだが叫んでは誰かに気付かれるという事もあり声を出さずなんとか耐えていた。 「あんた…!姫様になんて事を…!こここ、この、この生ハ…」 それを言い終える前にプロシュートと目が合ったがそれを見たルイズの声が出なくなる。 目があった瞬間プロシュートの冷徹かつ明確な殺意を持った視線がルイズを刺し貫いていた。 ほぼ同時刻キュルケの部屋 「……なななな何をするだぁーーーーーーッ!!」 「五月蝿いわね…なに騒いでるのかしら…まさかルイズがダーリンを無理矢理…!?」 勘違いもいいとこだが恋は盲目らしく即座に着替えを済ませ隣のルイズの部屋に飛び込んだキュルケが見たものは―― 床にへたり込んだまま動けないでいるルイズと冷徹な目で立ち尽くすプロシュート、そして…手を思いっきり踏まれているアンリエッタがいた。 「ちょっと…これは一体どういう事…?」 一瞬(SMプレイッ!?)と思ったらしいがプロシュートの目を見たキュルケが後日こう語った。 「あ…あの時のダーリンの目…看守が処刑囚でも見るかのように冷たい残酷な目だったわ…『かわいそうだが明日の朝には首だけになってる運命なんだな』って感じの!」 ルイズがそれに押され黙ったのを見るとアンリエッタに向き直り静かに絶対零度まで冷え切った口調で話し始めた。 「テメーに何が分かる…?分かるのか?ええ?おい… 平民が金を積んで貴族に成り上がるのがそんなに野蛮か…?」 「テメーらみてーに生まれ付いての貴族ってのはいいだろうが… その貴族に雑草みてーに踏み付けられてる平民がなりふり構わず成り上がろうとして何が悪い? 成り上がるためにはそれ相応の事をしている…テメーらみたいに生まれた時から平民を支配して当然と思っている貴族共より余程マシってもんだ…」 「ここに召喚されてから感じた事だがテメーら貴族の中に平民と対等に付き合ったヤツがいんのか…? いねーだろうな…オレ自身、あのマンモーニを殺すまで平民の使い魔と呼ばれ貴族共から人間以下の扱いしか受けてなかったからな…オメーもそうだぜ?ルイズよォ~~」 「言うに事欠いて『反乱』が『愚かな行為』で『赦せない』だと? 分かるのか?テメーに…今まで組織に冷遇され『反乱』せざるをえなかったオレ達チームの心がッ! 命がけで任務を成しても何一つ信頼されず『シマ』すら与えられなかったオレ達の『栄光』を求めた『反乱』の何が赦せないだと?」 「アルビオンの貴族連中がどんな理由で反乱を起こしたのかは知らねぇ… だがテメーが言ってる事は踏みつけられた平民が貴族に対して反乱を起こしてもそれを『愚かな行為』だと言ってるのと同じなんだぜ…?」 自分達が命を賭けて起こした組織への反乱。それをこんな何も知らないようなヤツに否定されたと受け取った。 「テメー自身が撒いた種が原因で『不幸な姫』って言ってるのも気に入らねぇ…奪還任務を依頼するってのはいい… 上に立つものが直接やるわけにもいかねーしな…だがオメーはその任務で人が死ぬかもしれないって事を『覚悟』してんのか?」 「その責任を理解せずルイズやオレが死ぬって事を覚悟してねーんならテメー1人で行くんだな… 少なくともオレ達チームのリーダーはその『覚悟』を持って組織を離反したんだぜ…」 そう言い放ちアンリエッタの左手から足を離し部屋の外に出る前にルイズに言う。 「オメー自身が納得できたんならこの任務を受けろ。オレの任務はオメーの護衛だからな… だがそいつがその『覚悟』と『責任』をまだ理解できてねーなら受けるな」 プロシュートが部屋を出てからしばらくすると放心状態だったルイズとキュルケが手を押さえながら蹲っているアンリエッタに気付いた。 「……はッ!姫様!今すぐ治癒魔法!!」 「…構いません」 「ですが…!」 さっきまでとは違い、毅然とした態度でルイズの目をアンリエッタが見据え改めて奪還を依頼した。 「使い魔…いえ、彼の言うとおりです。わたくしはあなたの同情を買うかのようにこの事を頼んでしまいました。 ですが、今は違います。『覚悟』と『責任』を持ってルイズ…貴方に手紙の奪還を依頼します。」 「もちろんですわ…!姫様!」 「この傷は…あなたが無事に戻ってくるまで治さずにおきます」 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール&プロシュート兄貴―ザ・ニュー任務! ←To be continued 戻る< 目次 続く