約 2,231,208 件
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/463.html
【クリアリ】クリフトとアリーナの想いは Part13【アリクリ】 923 名前 二 綻びゆく絲 1/3 Mail sage 投稿日 2014/09/15(月) 21 08 45.79 ID KapdKcF70 あれからはや三月が過ぎた。 うだるような暑さが続く真夏の昼下がり。 連日の公務に忙殺される青年は、気晴らしに城の最上階へと足を運んだ。 彼が向かったのは、歴代の王に代々受け継がれてきた寝室。 豪華な額に飾られた先代女王の肖像画が、涼しげな笑顔で我が子を迎える。 即位十年の節目を記念に、絵心のある青年が半年をかけて描いた大作だ。 最初は「恥ずかしいから」とモデルになるのを固辞していた女王だったが、 完成した絵を見るや否や一目で気に入り、寝室に飾るよう指示したという。 出窓から吹き付ける涼風を受け、青年は亡き養母への思いを馳せる。 だが、彼がここを休息場所に選んだのは、単に感傷に浸るだけではなかった。 青年は懐から取り出した小さな鍵で、半月ぶりに引き出しの錠を開けた。 取り出したのは、生前の女王が密かにしたためていた日記。 処女王として世を去った彼女が、唯一愛した男性との出会いから、 身を引き裂かれる思いで決意した別離、その後の変わらぬ想いが記されている。 手つかずの日記を前に、青年はほっと安堵の胸をなでおろす。 間に合ってよかった。他の誰かに見られたら大変どころの騒ぎではない。 偉大な主を失ったこの一室は、新王である青年が使うことになり、 明日から外観および内部の改装に取り掛かることになっている。 万が一日記の内容が世に漏れれば、世界を揺るがす醜聞になるのは必至。 この国の名誉…いや、彼が一番守りたかったのは、気高き女王のそれなのかもしれない。 青年は日記に挟まれた写真を取り出し、目を細めて写真を眺める。 若き日の女王と、その隣で笑みを浮かべる端正な顔の男性。 互いに想い合うも、添い遂げることなく散った二人の愛が、この中では輝き続けている。 青年は写真を見るたび、胸を締め付けられずにはいられなかった。 二人の笑顔が滲み始めたのに気づき、そっと目頭を押さえた青年。 指のすき間から零れ落ちた哀情の欠片が、開いたままの日記へと音を立てて落下した。 (いけない!養母上の大事な日記が―――) 水濡れの痕が残らないよう、青年は慌てて拭った。 幸いにも跡は残らずにすんだが、手に残るかすかな感触が気にかかる。 もう一度撫でてみると、些細な疑問は強い確証へと変換された。 表紙と接着部分の見返しに、何かの細工が施されているようだ。 大切な日記を破損させないよう、青年は慎重にそれを裂いてゆく。 取り出されたのは灰白色の封筒。はやる気持ちを抑え、青年は中身を取り出す。 そこにはまたも、一枚の色褪せた写真が。 青年の目に留まったのは、鮮やかな樺色の巻き毛を無造作に束ね、 生まれて間もない赤子を胸に抱く女王の姿だった。 威厳に満ちた名君の姿とは対照的に、まるで地母神のごとく慈愛あふれる表情。 幾度となく手に取って眺めたのだろうか。写真の状態はあまり良くなかった。 裏面に目をやると、右下に日付と場所が小さく記されていた。 (二十年前、先月の末日。南の屋敷にて、か――――) どこか見覚えのある場所もさることながら、気になるのは記された日時。 そう、彼がこの世に産声を上げた日から、わずか五日後だったのだ。 青年はふと、ある昔のうわさ話を思い出した。 彼には弟が一人いる。養子として迎えるならば、本来なら末子、 あるいは次子以降から選ばれるべきはずが、なぜ長子である自分が抜擢されたのか。 当初は城の内外で物議を醸したが、彼がよき後継者として成長するにつれ、 その資質を見出した女王の名声の一つへと、いつしかすり替わっていった。 抱かれた乳飲み児。背景に映る古ぼけた家具や装飾品。 あらゆる疑念や憶測は、激浪となって青年の心をこれでもかと揺さぶった。 たゆたう心を払拭できないまま、謁見の間へと戻った青年。 玉座には腰を掛けるものの、放たれた衝動の篝火は勢いを増すばかりだ。 「大臣!すまないが所用で出かける。悪いがあとを頼む」 「へ、陛下!急にどちらへ!?」 周囲の者が止める間もなく、青年は緊急用のキメラの翼を携えてその場を立ち去った。 またも城を飛び出されるとは、ますます先代の陛下のようになられて。 偉大な大叔父であった亡き宮廷魔術師のように、自分も主君に振り回される運命なのか。 空白の玉座の傍らで嘆く初老の紳士は、ため息とともに力なく肩を落とすのだった。 サントハイム大陸の東北部に位置するのどかな町、フレノール。 この町の南には、廃業した道具屋を改装して建てられた屋敷がある。 九歳まで青年が過ごした、赤い屋根が良く目立つ懐かしい我が家。 ここを訪れるのは実に三年ぶり。王位を継承してしてからは初めてとなる。 頑丈な門扉の前で、青年はしばらく黙ったまま立ち尽くしていた。 今の私は一体どちらなのだろう。故郷に戻りし息子か、それともこの国の新王か。 自分の立場が定まらないまま、無駄な時間だけが過ぎていく。 「兄上っ!」 二階の窓から声をかけてきたのは、青年の六つ違いの弟だった。 丸みを帯びた幼顔は、いつしか父譲りの精悍な顔立ちになっていた。 重々しい扉を勢いよく開けた弟は、無邪気に青年の腕へとしがみつく。 以前は肩にすら届かなかった彼の背丈は、今や長身の兄と頭一つほどの差だ。 「元気そうだな。お前、また背が伸びたんじゃないか?」 「はい。このままだともうすぐ兄上を追い越しますね」 「こいつ、生意気だぞ!」 大人ぶる弟の髪をくしゃくしゃとかき回し、青年は久方ぶりに大声で笑った。 国中の期待を一身に背負う為政者としての葛藤など、もはや存在しなかった。 国王という重厚な鎧をいとも簡単に脱ぎ捨てられる、大切な場所―――― あれほど自分に重くのしかかっていた重圧感が、実に他愛もなく思えた。 「一体どうしたというのです、騒々しい。……まあ!いつこちらに?」 外の騒ぎを聞きつけた壮年の女性が、何事かと駆け寄ってきた。 柔和な笑顔で迎えるその女性は青年の生母。先々代国王の弟の一人娘であり、 現在は侯爵家として、ここフレノールを統治する権限を与えられている。 彼女の夫、すなわち青年と弟の父は、戴冠式の一昨日に突然の病で急逝し、 喪に服した侯爵家は、戴冠式への出席を辞退せざるを得なかった。 それゆえ、青年は三年ぶりに家族との対面を果たしたことになる。 「ご無沙汰しております。母上」 「陛下。この度はご即位おめでとうございます。戴冠式への不参、この場を借りてお詫び申し上げます」 「私こそ、慣例とはいえ父上の葬儀に参列がかなわず、ご無礼いたしました。 ……さあ、堅苦しい挨拶は抜きにしましょう!ここでの私は母上の息子ですから」 青年は母の小さな背中に手を当て、予期せぬ再会に涙ぐむ彼女の身体を引き寄せた。 父への墓参を済ませ、三人は家族水入らずの談笑に花を咲かせる。 亡き父との思い出や幼い頃の兄弟げんか等、話題が尽きることはなかった。 しかし、青年が一枚の写真を見せた瞬間、安らぎのひと時は終焉の時を迎える。 「あなた、どこで…それを……」 白い肌に染まる薔薇色の頬が、一瞬にして血の気を失ってゆく。 いつも笑顔を絶やさない母が初めて見せた、計り知れない絶望と虚脱感。 真実を求めてこじ開けた箱のはずが、最初の宝物は底の見えない後悔。 言葉を失った青年は、ただ黙って見ていることしかできなかった。 嵐の前の静けさにも似た沈黙が、母と自分の間で滔々と流れゆく。 青年は思案した。弟は先ほど使いに出したので、しばらくは戻らないはずだ。 自分を強く慕う彼には辛い現実になるであろう、これからの話は聞かせたくない。 純朴な弟の心情をおもんばかる兄の、精一杯の計らいだった。 「これは生まれて間もないあなたと、当時王女だった…アリーナ様です」 次の一手を打ったのは、青年ではなく母の方からであった。 差し出された写真を青年から受け取り、写真の主に「ごめんなさい」と小さく呟く。 そして、震える身体を深呼吸で整え、閉ざしていた口を少しずつ開き始めた。 (三 紡がれる愛 に続く)
https://w.atwiki.jp/yugioh_dl/pages/635.html
様々なデッキと好相性の融合モンスター登場!“ワルキューレ”が戦場を駆け抜ける! 概要 BOX内容 UR3種、SR10種、R17種、N20種の全50種、100パック。 カード名 レアリティ 枚数 《氷獄龍 トリシューラ》 UR 1枚 《ワルキューレ・ヴリュンヒルデ》 UR 1枚 《カラクリ法師 九七六参》 UR 1枚 《エクスプロード・ウィング・ドラゴン》 SR 1枚 《ワルキューレ・シグルーン》 SR 1枚 《ワルキューレ・セクスト》 SR 1枚 《アルカナフォースEX‐THE DARK RULER》 SR 1枚 《トラミッド・スフィンクス》 SR 1枚 《コーリング・ノヴァ》 SR 1枚 《スクラップ・エリア》 SR 1枚 《コンビネーション・アタック》 SR 1枚 《借カラクリ旅籠蔵》 SR 1枚 《因果切断》 SR 1枚 《A・ジェネクス・トライフォース》 R 6枚 《ワルキューレ・エルダ》 R 6枚 《ワルキューレ・ツヴァイト》 R 6枚 《ワルキューレ・ドリット》 R 6枚 《ワルキューレ・フィアット》 R 6枚 《エレキジ》 R 6枚 《エレキングコブラ》 R 6枚 《トリックスター・リリーベル》 R 6枚 《ワルキューレの抱擁》 R 6枚 《終幕の光》 R 6枚 《カラクリ蝦蟇油》 R 6枚 《フライアのリンゴ》 R 6枚 《ローゲの焔》 R 6枚 《ワルキューレ・フュンフト》 N 9枚 《運命の戦車》 N 9枚 《戦乙女の戦車》 N 9枚 《エレキリン》 N 9枚 《トリックスター・ナルキッス》 N 9枚 《壺魔神》 N 9枚 《強欲な壺の精霊》 N 9枚 《首狩り魔人》 N 9枚 《グレード・ビル》 N 9枚 《転職の魔鏡》 N 9枚 《くちばしヘビ》 N 9枚 《隻眼のホワイトタイガー》 N 9枚 《天魔の翼》 N 9枚 《トリックスター・マジカローラ》 N 9枚 《トリックスター・ブーケ》 N 9枚 《カラクリ兵 弐参六》 R 6枚 《エレキトンボ》 R 6枚 《トラミッド・ハンター》 R 6枚 《トラミッド・キングゴレム》 R 6枚 《エレキタリス》 N 10枚 《トラミッド・ダンサー》 N 10枚 《風雲カラクリ城》 N 10枚 《カラクリ大暴走》 N 10枚 《トラミッド・フォートレス》 N 10枚 ※《エレキトンボ》《カラクリ兵 弐参六》《トラミッド・ハンター》《トラミッド・キングゴレム》《風雲カラクリ城》《エレキタリス》《トラミッド・ダンサー》《トラミッド・フォートレス》《カラクリ大暴走》は他BOXからの再収録カード。 有用なカード、かつて有用だったカード モンスターカード 《氷獄龍 トリシューラ》カード名が異なる3体を素材として召喚可能な融合モンスター。フィールドのモンスターなら除外することで特殊召喚も可能。ドラゴン族のみを素材とした場合、1ターンに1度、お互いのデッキの一番上と相手のEXデッキを1枚ずつ除外できる。 魔法カード 罠カード 《因果切断》手札を1枚捨て、相手の表側表示モンスターを除外する通常罠。相手の墓地に同名のカードがあればそれも除外する。 主なデッキ 関連ページ 有用カード
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/411.html
クリフトのアリーナの想いはPart12.5 149 名前 夕暮れ便り~続・我が女神~ 1 Mail sage 投稿日 2012/02/08(水) 13 01 43.62 ID c6N+56KC0 「姫…」 「ん…」 何だろう、不意に手首をつかまれる。 「こちらへ…」 問答無用、そういった体でクリフトがあたしを林道へ引っぱっていく。 「ちょっと…」 引っぱられながらあたしはクリフトに抵抗してみる。 「何だってのよ…!」 「とにかく…」 「ちょっと何だってのよ…!」 あ、あたし何かしたの、何か気に障ることしたんなら謝るからさ、それならそれなりに拉致する理由教えなさいってのよ、 クリフト…。 クリフトに引きずられるまま、あたしは足場の悪い林道を歩かされる。 何よ、木の根っこだか石だか何だかわからないけど、でこぼこして何だか足場の悪い道だなこの道…舗装されてないから そう感じるだけかな…。 「ね…」 あたしは無言で引っぱっていくクリフトに問いかける。 クリフトは無言で、とにかくあたしを引っぱっていく。 「ちょっと、あたしが何したってのよ、何か悪いことしたなら謝るからさ、その前に何が気に障ったのか教えなさいよ、 じゃないとあたしも何謝っていいかわかんないじゃないのよ…」 今日はとりあえず何も変なことはしなかったはずだけど、そんなことを思いながらあたしはその背中に声をかける… けれど、クリフトは相変わらず無視を決めこんでいる。 珍しい。いつもあたしが何か訊けばたいがいのことは答えてくれるはずなのに…。 「ちょっと…!」 「間に合った…!」 不意に開けた視界に、クリフトが安堵といっていいようなため息を漏らす。 …え…? …何これ…って…夕焼けに決まってるんだけど…。 あたしは思わず息を呑む。 一面の、あかね色。 空も、地面も、そしてその地面に生えている木も。 …そして海…。 あかね色の太陽に染まって照り返す、その輝き…。 …何て綺麗…何て…凄い……。 「あ…」 絶句するしかない。 簡単な言葉じゃ、この凄さは語れない。 この凄さは、あたしの知る言葉では語り尽くせない。 ただただ、視界が一面のあかね色で埋め尽くされて、輝いている。 何て綺麗…何て…凄い……。 あたしはただただ圧倒されて、絶句する。 「危ないですよ…」 不意に抱き寄せられる。 「あ…」 言われて思わず足元を見下ろす…あ、どうやら無意識に二、三歩踏み出していたらしい。 不意に足元から海風が吹き上げてきて、あたしはそこで初めて、ここが崖っぷちであることに気づく。 え…。 本当は彼の顔を見たい。でも、あまりの風景に目が離せない。 …あなたはこういう場所は苦手じゃなかったの…? そう問いたい…あ、でも、この景色を前にしたら、多少の恐怖感は木端微塵かも…。 「ありがとう…」 お礼なんだから、本当はクリフトの顔を見て言わなきゃいけない…けれど、どうしてもこの、あかね色に 輝く景色から目が離せない。 「…吸いこまれそうだった…」 あたしはただ呟く。 「わかります…私もそうでしたのでね…」 クリフトの声がやけに近い。声の近さからいって今まで以上にくっついている、それは確かかも。でもなぜか、 突き放す気にも拒む気にもならない。 意識してか、それともまた吸い込まれることへの恐怖からか、あたしはクリフトの背中に腕を回す。 綺麗、というより凄い、もっと言うなら…怖い、かも…とにかく、綺麗、という言葉じゃ片がつかない。 何て凄い…何て…怖い…。 クリフトがいなければ、間違いなく吸いこまれていた。吸いこまれて…この崖から落ちていたかも…。 「ね…」 あかね色に染まる海から目を離せないまま、あたしは呟く。 「どうしてあたしをここへ…?」 「どうしても、この夕焼けをあなたにお見せしたかったので…」 …え…。 初めてあたしは、抱き寄せてくるクリフトの顔を見上げる。 その顔はなぜか満足げだ。 「見せたいって…どうして…」 あたしと同じく景色から目が離せなかったらしいクリフトが、初めてあたしを見下ろして微笑む。 「私の卒業の時に王妃殿下の形見の首飾りをくださったでしょう」 「あ…そんなこともあったね…」 あたしが13歳だったかの誕生日に、水晶のはめ込まれた銀の指輪と、お揃いの首飾りをお母様の形見として譲り 受けた。指輪は中指にぴったりだったのであたしが持ち、首飾りのほうを神学校の卒業のお祝いとしてクリフトに あげたんだったっけ…。 「あの時私に何をおっしゃったか、覚えておいでですか」 「え…」 …急にそんなこと言われても思い出せない。 「あたし何か変なこと言ったっけ?」 「変ではありませんが、印象に残っておりましてね…」 この夕焼けに勝るとも劣らない、まぶしい笑顔。 「何かをふたつもらったらひとつは私に、独り占めなどとけちなことをしたら王妃殿下に叱られてしまうと…」 「あ…」 …そんなことも言ったっけね…。 「何でそんなこと覚えてるのよ…」 「何となく…」 クリフトがまた夕焼けに視線を戻して、目を細める。 「それと同じでしてね…このような素晴らしい景色をあなたにお見せせずに独り占めしたら、私も母に叱られて しまいます…」 「あ、そういえばあなたのお母様は、あたしのお母様と仲がよろしくていらしたもんね…」 あたしも夕焼けに視線を戻して、あまりのまぶしさにただ目を細める。 「ね…でも本当にそれだけ…?」 それだけが理由じゃないような気がして、あたしは夕焼けから目を離せないまま問いかける。 「もちろんこれは後付けのようなものでしてね…」 視界の端で、クリフトが微笑む。 「私が神学校にいた頃、手紙をくださったでしょう」 「手紙?」 そんなの送ったっけ…そう言いかけてやめる。 そういえば6年の間に、一通だけ送っていた、それを思い出したから。 「あの時、何をお考えだったのですか…」 不意にクリフトが、またあたしを見下ろしてくる。 「何をって?」 つられるようにあたしも夕焼けから視線を外してクリフトを見上げる。 「あまりにも…あまりにも狙いすましたかのように、私に救いの手を伸べてくださったので…ずっと気になっておりました…」 「…救いって?」 「あの手紙をいただいた時、悩んでおりましてね…」 「悩んでたって?」 「あなたもご存知の、あの火傷…」 「火傷…」 あのひどい火傷…あの痛々しい火傷…。 あたしは思わず、彼の胸の、火傷の痕があるであろうあたりに、空いた手を置く。 「あの手紙をいただいた時は、火傷を負って最悪の時期はとりあえず脱した頃でして、ちょうどその時、悩んでいたのです。 私は神に背かれているのかどうなのか、背かれているとすれば何が足りなくてどこがよくないのかと…」 「何よ、じゃああれは、あなたが火傷させられた時…!」 …あたしはどんな顔をしていたのだろう、クリフトが怪訝そうな顔を見せる。 「あれとは…何かお心当たりでも…」 「あの手紙を書いた時のことははっきり覚えてるのよ…」 あれはあまりにも鮮明すぎる思い出…昨日のことのようにはっきり思い出せる…。 あたしはあかね色に染まる海に視線を戻す。 「夜だったのよ、もうそろそろ寝る時間かなって思ってたら…急に叫び声が聞こえたの…」 「叫び声?」 「悲痛だった…悲痛過ぎて、それで覚えてるのかな…」 今思い出してみても、心が痛む。 「熱い…」 「熱い?」 おうむ返しにクリフトが問いかけてくる。 「痛い…」 「痛い?」 「苦しい…」 「苦しい…?」 「助けて…」 「助けて…?」 やっぱりおうむ返し。 「あとは…悲鳴をあげる体力も残されてない、ただ抑えることもできないうめき声…」 …あの叫び声が、クリフトが火傷させられた時のものだとしたら、今だったらそれはそれで腑に落ちる。 ただあの時は、とにかくわけがわからなかった…。 「誰の声だろう、誰がどうしてあたしに助けなんか…何が何だかわからなくて、ずっと考えてたの。で、考えて 考えて、考え疲れた頃かな…急にあなたのことが気になったのよね。どうしてるだろう、元気にしてるだろうか、 風邪とかひいてないかって…」 「私が…?」 「気になったら、いてもたってもいられなくなって…手紙を書かずにいられなくなってさ…思いついたこと、その まま書き殴ったんだよね」 また海から視線を戻して、クリフトを見上げる。 「だから、そっけなかったでしょ…」 「そっけない…?」 「シスターが、ちょうどあなたに連絡を取る機会があるっておっしゃるから、一緒にって手紙を預けたんだけど… 手紙を預けてから後悔したのよ、もっとちゃんとした手紙を書けばよかったって…夜が明けて、ちゃんとした手紙 を書こうって便せん広げて…でもいい言葉が浮かばなくって、何回書いて何回消して…何枚便せん駄目にしたかな…」 やっぱりあなたと一緒にいたい。 結局はあの言葉。 書きたくて、でも書けなくて、書いては消して書いては消して、何枚便せん駄目にしたっけ…。 「姫」 クリフトが微笑む。 「ん…」 「そっけない、と、短い、は違いますよ…」 「え?」 「むしろ、いてもたってもいられなくて、思いついたことをそのまま書き殴った文だからこそ、本心が出るのでは ありますまいか…飾り立てた長文より…」 彼がまた顔をあたしからそらして、遠くを見つめる。 「あの手紙だけで、どれだけ気遣われて、どれだけ応援されているか、よくわかりました…」 その胸に置いた手を握られる。 「その、気遣って応援してくださる方のためにも、ここで負けるわけにはいかないと…あれで、折れかけた気持ちが 戻ったような気がしました」 その口調から、強い意思が感じられる。 「あたしのため…?」 「ええ」 またこっちを見つめてくる。 「返事に、絵葉書をお送りしたでしょう」 「あの絵葉書、素敵だったね」 どれだけ絵心のある人が描いたしろものだったんだろう、とても素敵な風景画が描かれた絵葉書 だったっけ。 元気です、彼からの言葉はその一行だけだった。でもあたしは、その一行でどれだけほっとした だろうか…でも、あの時は何も知らなかったから…知ってしまった今は…。 「元気です、って…あれ書いた時も、胸が痛かったんでしょ…」 「まあ…」 「無理しちゃって……!」 「では何と書けと?」 「あ…」 火傷を負って胸が痛い、そんなことが書かれていたら、あたしはどう思っていただろう…そう思って、 あたしは口をつぐむ。 「あの絵葉書は、医者のもとに赴いた帰りに買ったものでしてね、店を出た時に初めて、ここの夕陽は何て 綺麗なのだろうと思いまして…」 「ん…」 「寄宿舎に帰って、寮長殿にそれとなくその話をしたら、素晴らしい場所があると言われてここを教わりましてね、 胸の痛みがだいぶ楽になった頃に初めて訪れた時は、あなたと同じように吸いこまれそうになりましたっけ…」 懐かしそうな表情。 「1日の講義が終わるのはだいたい夕方なのですが、その後は少し休憩をいただけましてね、天気がいい時はよく ここを訪れました。この夕陽を見ながら、いつかあなたにお見せできれば、できることなら一緒に見られればと…」 そんな時まであたしのことを…。 「あたしと見たいって…」 「おかしいですか?」 「ありがと…」 「何がです?」 「そんな時まであたしを思ってくれて…こんな凄い景色…見せてくれて…」 あたしは空を見上げた。夕陽はもう暮れかけて、少しずつ空が暗くなってきている。 「お礼を申し上げるのは私です」 …え…。 あたしは振り仰いだ顔を、もう一度彼に戻す。 「どうしてよ」 「この夕焼けを一緒に見たいという願いを叶えてくださって…」 あ、あたしはただ引っぱってこられただけじゃない…。 「感謝しております」 あ。 抱きしめられる。 な、何よちょっと…嫌だ、逆らえないよ…い、今何されても、たぶん逆らえない…。 「あなたは何もしていないとおっしゃるでしょうが…」 「実際何もしてないよ…したとしても手紙一通送っただけ…」 「それがどれだけ励みになったか…おわかりではないでしょうね…」 だ、だから何でそこで…。 こんな逆らえない空気の中で、キスなんかしてくるかな…。 ちょっと…。 逆らおうと頭を振ろうとしても、後頭部をしっかり押さえ込まれている。 こういう時だけ強引なんだから…もう…反則よ、こんな逆らえない空気の中でさ…ね、ねえ、 ちょっと、いい加減にしなさいよ、長すぎるよ、息苦しくなってきた…。 クリフトの顔がようやく離れた。彼も息苦しかったのか、少し息を弾ませている。 「馬鹿…っ…」 ゆだっているのをごまかすために、あたしは顔を伏せる。 「今の私があるのはあなたのおかげですのでね…」 「だから何だってキスなんか…」 「どんな感謝の言葉を並べても説得力を持たない気がしまして…」 「だからキスって…ほかに何か考えなさいよ…」 火照ってしまった顔を冷ますために、あたしはわざともう一度空を振り仰ぐ。 「夕焼けも綺麗だけど夜空も凄いね…何か、星が降ってきそう…」 「このような空は初めて見ますね…」 「見たことないの?」 「寄宿舎の門限が早いので、このような空になるまでここにいたことはありません…」 「そっか…」 クリフトに抱かれたまま、あたしはまた海に視線を向ける。 すっかり暗くなって…。 「名残惜しいですが…」 クリフトの手が、その胸にあたしの顔を押しつける。 「ん…」 火傷の痕があるであろう場所に、あたしは頬ずりをする。 「そろそろ行かなくては不審がられますよね…」 「そうだね、みんなに心配かける…」 「行きましょうか」 ようやくクリフトがあたしを離してくれた。 「うん…」 口ではそう言いつつも、名残惜しくてあたしはまた振り向く。 また来られるといい…。 「姫…」 「ん…」 手を取られて促されるままに、あたしは引っぱってこられた林道にまた戻る。 「足元が悪いのでお気をつけて…」 「転んで怪我したって手当てしてくれるでしょ」 「まあその程度でしたら…」 「…おいっ!」 背後から聞き慣れた声がして、あたし達は振り向く。 「どこ行ってたんだよ、探したよ」 あ、アレンだ。 「ごめんね」 「すいません…」 「まあ見つかってよかったよ。行こうぜ」 アレンが安堵のため息をつく。 「皆さんは…」 「もう食事して、マーニャはお約束の一杯」 「またですか…ここは神学校のお膝元なのに、よく酒なんか手に入りましたね…」 「アリーナ、つき合わされないように気をつけろよ、明日働いてもらうかんな」 「…またあたし?」 馬車の外で戦うのはもちろん嫌いではない。でも何かそう言われるとかえって腹が立つ。 もう、マーニャにつき合って飲んじゃおうかな…。 あたしはふくれっ面を作ってアレンとクリフトをひと睨みする。 「何か言いたげだね」 「そう言われたら腹が立ってきたから飲んじゃおうかなっ」 「あのね…」 アレンがあきれたようにため息をつき、クリフトが無言で頭を抱え込む。 「今日はどんなお酒なのかなっと」 アレンとクリフトの一歩二歩先を行きながら、あたしはふと考える。 背後から声をかけられた。 …まさかとは思うけど…キスしてるとこなんか見られてないよね…見られてたら…あ、どうしよう…。 ちょっと先を行くアリーナの背中を尻目に、俺はクリフトの制服の袖を引っぱる。 「何か?」 クリフトがこっちを向く。 「話を聞いたら、ここの真ん中にあるいかめしい建物って神学校なんだってね」 俺が耳打ちすると、クリフトも 「そうです」 と、耳打ちで返してくる。 「…てことは、いつだったか言ってた綺麗な夕焼け…あれをアリーナに見せてたの?」 俺の言葉に、クリフトがはっきりと微笑んで 「ええ…」 とうなずく。 「あなたは自分の女神、とか言った?」 「さすがにそこまでは…」 「言えないか…でも夕焼けは気に入ってもらえた?」 「また見せてほしいと…」 その言葉に、俺は思わずクリフトの肩を抱く。 「…よかったね」 「ええ…」
https://w.atwiki.jp/devilmakertokyo/pages/385.html
イベント終了まであと イベントについて 2014.1.15 メンテ ~ 2014.1.29 メンテまで開催 ランキング報酬に「★6 魔軍師マウス」、達成報酬に「★4 魔軍兵ブレット」があります。 ランキング報酬一覧 順位 報酬 1~100位 ★6 魔軍師マウス ×1 101~200位 プレミアムチケット ×3 201~499位 プレミアムチケット ×2 500位 ★6 魔軍師マウス ×1 501~2000位 プレミアムチケット ×1 1000位 ★6 魔軍師マウス ×1 5000位 ★6 魔軍師マウス ×1 10000位 ★6 魔軍師マウス ×1 20000位 ★6 魔軍師マウス ×1 達成報酬一覧 達成条件 報酬 15回 パーティーポーション ×1 30回 復活ポーション ×2 60回 パーティーポーション ×2 90回 プレミアムチケット ×1 150回 ★4 魔軍兵ブレット ×1 300回 ★4 経験値カード ×1 450回 ★4 経験値カード ×1 600回 ★4 経験値カード ×1 900回 ★5 経験値カード ×1 名前
https://w.atwiki.jp/devilmakertokyo/pages/436.html
イベント終了まであと イベントについて 2014.2.12 メンテ ~ 2014.2.26 メンテまで開催 ランキング報酬に「☆6 魔軍将パイロット」、達成報酬に「☆4 魔軍兵ガシナ」があります。 ランキング報酬一覧 順位 報酬 1~100位 ☆6 魔軍将パイロット ×1 101~200位 召喚チケット ×3 201~499位 召喚チケット ×2 500位 ☆6 魔軍将パイロット ×1 501~2000位 召喚チケット ×1 1000位 ☆6 魔軍将パイロット ×1 5000位 ☆6 魔軍将パイロット ×1 10000位 ☆6 魔軍将パイロット ×1 20000位 ☆6 魔軍将パイロット ×1 達成報酬一覧 達成条件 報酬 15回 パーティーポーション ×1 30回 復活ポーション ×2 60回 パーティーポーション ×2 90回 召喚チケット ×1 150回 ☆4 魔軍兵ガシナ ×1 300回 ☆4 経験値カード ×1 450回 ☆4 経験値カード ×1 600回 ☆4 経験値カード ×1 900回 ☆5 経験値カード ×1 このキャラバラマキされたよね・・・ - 名無しさん 2014-03-21 21 31 39 名前
https://w.atwiki.jp/devilmakertokyo/pages/225.html
イベント終了まであと イベントについて 2013.12.4 メンテ ~ 2013.12.18 メンテまで開催 ランキング報酬に「★6 魔軍師ボウ」、達成報酬に「★3 魔軍兵ミラー」があります。 ランキング報酬一覧 順位 報酬 1~100位 ★6 魔軍師ボウ ×1 101~200位 プレミアムチケット ×3 201~499位 プレミアムチケット ×2 500位 ★6 魔軍師ボウ ×1 501~2000位 プレミアムチケット ×1 1000位 ★6 魔軍師ボウ ×1 5000位 ★6 魔軍師ボウ ×1 10000位 ★6 魔軍師ボウ ×1 20000位 ★6 魔軍師ボウ ×1 達成報酬一覧 達成条件 報酬 15回 パーティーポーション ×1 30回 復活ポーション ×2 60回 パーティーポーション ×2 90回 プレミアムチケット ×1 150回 ★3 魔軍兵ミラー ×1 300回 ★4 経験値カード ×1 450回 ★4 経験値カード ×1 600回 ★4 経験値カード ×1 900回 ★5 経験値カード ×1 名前
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/58.html
クリフトとアリーナの想いは Part4.2 155 :煩悩神官が現れた!:2006/02/10(金) 11 06 32 ID oQS9E1y20 ―――夢を見た。 姫様が驚いていた。 姫様が怒っていた。 姫様が笑っていた。 姫様が・・・抱きついてきた・・・頬を伝う涙・・・そして 私が最後に見た光景は、真っ白なシーツに赤いシミ――― 「クリフト、知ってるか? イムルで見る夢は『正夢』らしいぜ?」 ソロさんの言葉を聞いた瞬間、私は己が如何に愚かな人間であるかを思い知った。 あのような夢を見てしまった、それだけでも罪深いというのに・・・ ―――私は彼の言葉を耳にした瞬間、己がうちで欲望という名の獣が 目覚めるのを確かに感じたのです。 ステンドグラス越しに注がれる月の光に、 私はかなり長い時を過ごしてしまったことに気づいた。 己の心の脆さに震撼して、教会に駆け込んだのが早朝。 月の高さからみて、そろそろ真夜中に差し掛かる時刻ではないだろうか。 祈って祈って祈り続けた。だがまだ己の内の浅ましい欲望は消えたわけではない。 どれほど懺悔しても、私の汚さが消えるわけではない。 結局は私がその欲望を理性で抑え続けていくしかないのだ。 無垢な姫様を己の欲望で汚すわけにはいかない。 私が男であるにもかかわらず、姫様の側仕えとして容認してくれた王の信頼を 裏切るわけにはいかない。それに『約束』もある。 己の立場はわきまえている。まだ、大丈夫だ。私はまだ、壊れていない。 私はサントハイム王国の神官、クリフト。まだ、大丈夫、だ。 祈りの姿勢で強張った体を無理矢理立たせ、私は宿に向かった。 宿の中はほとんどの照明が落とされていた。 私はかすかな空腹を覚え、カウンターで帳簿を付けていた 宿のご主人に許しをもらい食堂でお茶を飲むことにした。 何かお出ししましょうか、というご主人のご厚意を辞退し、 人気のない厨房でひとりお茶を入れていると、戸口が遠慮がちにゆっくりと開いた。 姫様!? その人影が誰であるかを認めた瞬間、私の心の蔵がはねた。 落ち着け、という思考と裏腹に鼓動はますます早まっていく。 音を立てないように静かに入ってきた姫様も、私の姿を見つけると、 少し驚いたような顔をした。 「クリフト、今帰ったの?」 「姫様・・・はい、ただいま戻りました」 薄い夜着に柔らかなローブ。薄暗いランプに照らし出された姫様は天使のよう。 「こんな時間までおきていらっしゃったのですか?」 「ん、ちょっと寝付けなくって。お水でももらおうかなと思って降りてきたの」 「そうですか。あ、いまお茶を入れたところです。ご一緒にいかがですか?」 「そうね、折角だからもらおうかしら」 いつもどおりの会話。いつもどおりの笑顔。大丈夫だ。 姫様を席に着かせ、カップを手渡す。 「熱いですから。気をつけてくださいね」 姫様は、ありがとう、と嬉しそうに受け取った。 が、私の顔をまじまじと見つめると、急に表情を曇らせうつむいてしまった。 「姫様?」 私は何か粗相をしてしまったのだろうか?変な顔をしていたのだろうか? 少しうろたえ口を開きかけた私を制すように、姫様が顔を上げた。 澄んだ瞳が私を捉える。 「クリフト、あなたね、何でも背負い込みすぎよ!」 いきなり強い口調で投げつけられた言葉。姫様は怒っていた。 「ソロから聞いたわ。あなた、『夢』にショックを受けて教会に こもっていたんですって? 確かにあの『夢』は衝撃的だったけど、 まだ正夢と決まったわけではないわ。運命なんて変えてしまえばいいのよ。 なにより、あなたが罪を感じる必要はないわよね。それなのに一日中、 そんなに疲れ果てるまでお祈りするのって、おかしいじゃない!」 姫様はそこで言葉を切ると、かぶりを振った。 「ううん、ごめんなさい。そんなことが言いたいんじゃないわ。 私ね、あなたが、いつでも無理しすぎるから、その、・・・」 心配だったのよ。 消え入りそうに呟かれた言葉。 それは私を気遣うもので、とても優しさに満ちていた。 「もしかして、それをおっしゃるために?」 姫様は視線をそらしながら、かすかに頷いた。 眠れなかったのではないのだ。私にそれを言うために起きていてくださったのだ。 姫様、私などのために。あぁ、姫様、姫様、姫様! こみ上げる想い。いとおしいと、心底思う。 「ありがとう・・・ございます」 万感の思いを込め、やっとの思いでつむぎだした言葉は、少し掠れて。 そんな私の動揺を知ってか、知らずか。 姫様は「わかればいいのよ」と少し頬を赤くしながらカップに口を付けた。 優しい時間が過ぎた。 「目が冴えてしまったから少し付き合ってよ」とおっしゃった姫様は、 村で見聞きしてきたことを楽しそうに話してくれた。 特に同じ年頃の女性との会話は、姫様の一番のお気に入りだったらしい。 大きな目がきらきらと輝いてとても美しく、私はつい見惚れてしまっていた。 「ねぇ、クリフト・・・クリフト?」 ぼんやりして見えたのだろうか。姫様がこちらを伺うように覗き込んできた。 「眠くなっちゃった?もう寝に行く?」 「大丈夫ですよ。もともと夜更かしは得意な方ですからね」 「そう?でも、やっぱりなんか元気ないわね・・・。そうだわ!」 そうおっしゃると、姫様は立ち上がり私の傍にやってきた。 「ね、元気の出る『おまじない』してあげる」 「『おまじない』ですか?」 私が不思議そうな顔をすると、姫様は「そう、とっておきの、よ」と、 ちょっと照れたような、はにかむような笑顔を見せた。 その瞬間、私は強い既視感におそわれた!この光景、どこかで・・・!? そっとさしのべられる腕。それはとても優しく私の頭を抱き寄せて。 「!?」 気がついた時には姫様の胸の中に納まっていた。姫様のやわらかい双丘に 包み込まれるように。 「今日教えてもらった『おまじない』、よ。大切な人にしてあげるとね、 その人が元気になるんだって」 「ひ、姫様、いけま・・・」 私が声をあげようとすると、姫様は胸を押し付けるようにして口を封じた。 胸の柔らかさ、姫様の鼓動、そして暖かなぬくもりが、私の本能を刺激する。 己のうちの獣が目覚める。このまま流されてしまえと獣が叫ぶ。 理性と本能がせめぎあい己が裂けてしまいそうだ。 私は歯を食いしばり、必死になって理性を保つ。 そんな私の鼓膜を姫様の震える声が打った。 「クリフト、あのね、私ね、私ね、あなたのことずっと・・・」 全身が総毛だった。姫様は何を言おうとしているのか! 駄目だ。言わせては、駄目だ。歯止めがきかなくなる。 私は全身に力をいれ、姫様を引き離した。 「姫様、いけません。そのようなことは一国の姫君のなさることでは ございません!」 私の剣幕に、姫様はビクッと体を強張らせた。まっすぐに私を見つめる瞳に、 驚きと戸惑いの色が見える。そして拒絶されたことに対する悲しみも・・・。 私は一つ呼吸をすると、自らの迷いを吹っ切るかのように、 ゆっくりと話し始めた。 「姫様、私はあなたの臣下です。そして一介の神官にすぎません。 身分が違いすぎます」 「そんなこと、わかってるわ!でも」 「姫様!私が申し上げることをお聞きください。 いいですか?今、わが国がどのような状況におかれているかはご存知でしょう。 このような時に、陛下のご不在の折に、私に何をお求めになるのですか」 姫様の瞳から悲しみが溢れ出した。陶磁器のようにすべらかな頬をきらめきながら 滑り落ちていく。私は激しい胸の痛みを覚えながら言葉をつむぎだす。 「姫様。あなたは、今のサントハイムを見捨てることはできますか? もしお出来になるのでしたら、このクリフト、あなたをさらって どこへなりとでも行きましょう」 姫様は、はっとしたように私を見た。 「お出来にならないでしょうね。私の姫様は、そういう方ですから」 「クリフト、私・・・」 「姫様。多分、今の私があなたの望むことをすることは、その、 難しいことではありません。でも、あなたは本心からそれをお望みですか? 違うでしょう?陛下を、お父上を裏切るような行為をあなたはお望みにならない。 ですから、私は今、あなたのお気持ちをお受けすることはできないのです」 そう、今であってはならない。 今、姫様を抱くことは、私が好きな『あなた』を永遠に失うことに繋がるから。 身分が違う、立場が違う、それ以前に祝福されない状況で情に流されることは あってはならない。 私はあなたを失いたくない。いつもまっすぐでくもりのない『あなた』を。 姫様は、ずっと黙っていた。 そして長い沈黙の後、ひどく寂しそうにポツリとつぶやいた。 「私は、旅に出る前、王女である前に一人の人間でいたかった」 えぇ、だから旅に出られたのですよね。 「でもね、今の私は自分が王女であることを捨てられないの」 そうですね、あなたは捨てられない。捨てられるわけがない。 あなたが本当に欲しかったのは王女である自分を一人の人間として 受け入れてくれる世界だったのだから。 そして姫様はそのことに気づいてしまった。 「姫様。そんなに悲しそうな顔をなさらないでください。 私はとうに覚悟しておりましたよ」 本当はもっと先に・・・姫様が十分大人なってから伝えるはずだった言葉。 目を伏せうつむいている姫様を見つめ、多分、今言うべき言葉なのだろうと私は思った。 「あなたが王女を辞められないなら、私があなたにふさわしい男になるだけですよ」 その言葉に、姫様が目を瞠る。私は姫様の髪を手で梳きながら微笑んだ。 大それたことだと思う。しかし、それしかあなたを手に入れる手段はなかった。 だから私は、寝る間も惜しんで勉学に励んだ。 王の信用を得るために、必死になって己と戦ってきた。 あなたが王女だからといって、諦められるほど私は強くない。 欲しいものは欲しい。どんな手段を使っても。 今のままのあなたを得られるのなら苦労のしがいがあるというものだ。 「姫様、私はあきらめませんから」 なんて自分勝手で、傲慢な。 受け入れることも、拒絶することも、そして約束すら出来ない。それでも。 「あきらめませんから」 ―――――私は『アリーナ』を愛してしまったのですから。 「クリフト、ありがとう」 姫様が微笑んだ。 それは今までに見たこともないほど、大人っぽく、艶やかで。 彼女が今、『花』から『華』へと変化したのだと感じた。 「よ~し、こうなったら一刻も早くお父様たちを見つけ出さなくっちゃ!」 息を呑んだその瞬間には、姫様はいつもの姫様に戻ってしまっていて。 私は少し残念に思いながらも、あの姫様で迫られていたら理性が持っただろうか、 などと暢気に考えた。 「そうと決まったら、今日はもう寝ましょう!」 姫様の元気に思わず私の顔も綻ぶ。 「おやすみなさいませ、姫様」 「おやすみのキスは?」 「だめです」 「ケチ」 勘弁してくださいよ。 わざと唇を突き出してくるその姿が妙にかわいらしくて、 またそのすねた様子が男心をくすぐって。 私は腕を伸ばし、姫様の頭をくしゃくしゃと撫でた。 子ども扱いされて、ちょっと不満そうだった姫様だったが、 どうやら納得してくれたようで、来た時同様、静かに食堂を出て行った。 昇る音を聞きとげると、私はほうっとため息をついた。 ふらりと椅子に腰掛け、机の上にうつ伏せる。 洗いたての真っ白なテーブルクロスから立ちのぼるお日様のかおりが、 姫様の姿を連想させた。 実のところを言うと、姫様が知らないことがある。 あれは旅に出る直前のこと、私は陛下と神官長様に呼び出され、 こう申し付けられていた。 アリーナの旅に同行せよ。そしてその間、全身全霊をかけて守るように。 ただし、アリーナに手を出した場合、そなたの男性機能は永遠に失われることになる。 そなたの理性に期待する。 つまり、姫様の貞操の危機は、私の『男』としての危機でもあったわけで。 私は身震いした。 あのまま流されなくて良かった・・・。 陛下は侮れない方である。私が入念に秘密裏で動いていたことすらお見通しであった。 神官職を選んだのは、少しでも長く姫様の側にいるため。 いかにも欲のなさそうな顔をして、周りを欺くための手段。 そして身分の低い私が知識を吸収することができ、かつ最短で出世できる道だったからだ。 また、姫様のお側でお仕えすることにより、宮廷の作法等を学ぶこともでき、 下働きの者たちとも親交を持つことにより、城の内情に精通することもできた。 神官職というのは特殊で、人からの信頼を得やすい立場にもある。 姫様自身の信用と信頼も勝ち取ることができた。実際、姫様の手綱をとることが できるのは、陛下とブライ様を除いて私しかいないのが現状である。 危険がともなう旅ともなれば、信用と信頼を持っているもの同士が一番良い。 となれば、ブライ様と私が候補に上がる。ただし、いくらお目付け役の ブライ様が一緒とはいえ、娘に懸想している男と何の制約もなく送り出す ことには不安を感じたのだろう。だから陛下は先手を打ってきた。 では、危険を感じつつも、なぜ陛下は私を選んだのか? 答えは簡単である。私が一番『危険』であると同時に 一番『安全』な男であるからだ。 私が望むこと、それは姫様を完全な形で永久的に手に入れることだ。 それは周囲に認められて初めて達成できることで、 一夜限りの関係など、もってのほかである。 つまり私は、将来的には危険な存在となったとしても、 現時点ではもっとも安心できる存在といえる。 しかも、姫様至上主義だからなにがあっても、姫様だけはお守りするし。 要するに私は、姫様に『べたぼれ状態』であることを逆手に取られた形だ。 それでも、私はまだ若く、姫様の方から迫られた場合に思いとどまるかどうか、 一抹の不安が残る。だから念には念を入れて男性機能云々の駄目押しをした。 『男性機能喪失』・・・これほどまでに恐ろしいものがあろうか。 たとえ姫様と恋仲になっていようとも、これを失っては、結婚は難しい。 というより、姫様が離れていくだろう。よしんば、結婚できたとして、 どうして『人生を謳歌』できようか!! まだ、『死』を言い渡された方がましである。強制された『死』であれば、 姫様の中に美しい思い出として残ることもできよう。しかし、 男性機能喪失は、全てを『台無し』にしてしまう。おそらくここまで 計算された上で、言い渡されたのだ。誠にもって陛下のご慧眼には恐れ入る。 とはいえ、私の下心にお気づきになりながら放置されているところを見ると、 『欲しければ這い上がって来い』ということなのだろう。 結婚への可能性がわずかでもあるうちは、私は姫様と一線を越えることはない。 将来的にはわからないが・・・多分。 もっとも、私自身、陛下のお考え同様、この旅で姫様と・・・なことは 考えてもいなかった。 姫様はまだ子供だったし・・・。 私はふと先ほどのことを思い出した。 まさか、この時点であの言葉を口にさせられるとは思っていなかった。 子供だと思っていた姫様は、いつの間にか成長していた。 『女』の顔をしていた。 『女』の・・・。そう、とてもとても『成長』されていた。 それはもう、『立派』に!! 私は胸が熱くなった。それは父親にも似た感慨で。 込み上げた熱いものが鼻からほとばしった。 ん?鼻? 違和感を覚えた私は、伏せていた顔を上げた。 そこには―――――真っ白な『テーブルクロス』に赤いシミ――――― もしかして、あの『夢』はこれ? 私は、泣きたいような、笑いたいような気持ちになった。 が、ついにはそれすら億劫になり、そのままテーブルに突っ伏した。 「知ってるか?イムルでみる『夢』は『正夢』らしいぜ?」 コンナ『マサユメ』ダッタラ、イラナイ。 (おまけ) 「お、俺、今すげーもん見た気がする」 「拙者、クリフト殿のあんなに壊れた表情を見るのは初めてでござる」 「クリフト君、あの程度で鼻血とは・・・若いですねぇ」 「でもさ、俺、あの出血量には少し同情するぜ」 「体が火照っているでしょうからな・・・。そういえば、ブライ殿は?」 「お歳ですからねぇ。夜がお早いようですよ、最近」 「そっか、ヒャドでもかけてもらえば熱も下がっただろうに。ついてねぇな、あいつ」 「ヒャドで済むとは到底思えないでござるが」 「ま、血抜きが終われば、熱も下がるんじゃないですか」 「おう、それもそうだな。じゃ、明日の朝クリフト回収ということで」 「ブライ殿より早起きするのは、ちと辛いですな」 「同感です。でもマヒャドで食堂が大破して朝食抜きも辛いですからね。 じゃ、寝ましょうか」 こうしてイムルの夜は更けていった・・・。
https://w.atwiki.jp/devilmakertokyo/pages/266.html
イベント終了まであと イベントについて 2013.12.18 メンテ ~ 2013.12.30 メンテまで開催 ランキング報酬に「★6 魔軍師ペーパ」、達成報酬に「★3 魔軍兵ブラシ」があります。 ランキング報酬一覧 順位 報酬 1~100位 ★6 魔軍師ペーパ ×1 101~200位 プレミアムチケット ×3 201~499位 プレミアムチケット ×2 500位 ★6 魔軍師ペーパ ×1 501~2000位 プレミアムチケット ×1 1000位 ★6 魔軍師ペーパ ×1 5000位 ★6 魔軍師ペーパ ×1 10000位 ★6 魔軍師ペーパ ×1 20000位 ★6 魔軍師ペーパ ×1 達成報酬一覧 達成条件 報酬 15回 パーティーポーション ×1 30回 復活ポーション ×2 60回 パーティーポーション ×2 90回 プレミアムチケット ×1 150回 ★3 魔軍兵ブラシ ×1 300回 ★4 経験値カード ×1 450回 ★4 経験値カード ×1 600回 ★4 経験値カード ×1 900回 ★5 経験値カード ×1 名前
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/204.html
クリフトとアリーナの想いはPart7 503 :いたスト1/6 ◆XJ3Ut0uuQQ :2007/06/27(水) 12 10 51 ID nvkLSFGq0 私は、先日やっと神学校を卒業し、正式な神官となった。 神官になると、神官用の衣服一式が支給される。 ミサ用の服、奉仕活動のときのための服、いろいろあるが、 一番嬉しかったのは旅のときに着る、明るい緑色の服と帽子だ。 神官は、神の教えを説くためにあちらこちらを旅することが多い。 旅の途中では、怪我をしたり、祈りを欲していたりなど、神官を必要とする人々と出会うこともある。 そういった人々のため、神官の旅装には、神官である証として、サントハイム十字が 目立つところに刻まれているのが通常だ。 それ以外には、特に決まった型があるわけではなく、服自体のデザインは皆さまざまだった。 私が賜った旅装の場合は、服と同じ明るい緑色の、背の高い帽子の正面に白い布地が張られ、 そこに大きくサントハイム十字が刺繍されていた。 旅用の神官服を着て、鏡の前に立つ。 額の上の十字が、お前は神官なのだ、この十字を常に掲げ、困った人々の役に立たねばならないのだ、 と語りかけてくるようで、身のうちが震えるような気分だった。 しばらくは嬉しくて、この服と帽子を身につけたくて、私は暇さえあれば外出していた。 そのうち、城の中でもこの服と帽子は、すっかり私のトレードマークになってしまったらしかった。 そんなある日。 中庭を歩いている私を呼び止める声がした。 「ちょっと、クリフトってば!」 振り向かなくても分かる、愛らしいその声。 「何でしょう。」 笑顔で答えると、果たしてそこにはふくれ面をした姫様がいらっしゃった。 「クリフト、その服着てるってことは、今日もお出かけなの?」 「はあ、その予定ですが…。」 「もう、クリフト、最近外出ばっかりじゃない!お部屋に行っても全然いないんだもの。」 そういえば、と私は気がついた。 ここ1ヶ月ほど、姫様とお茶をしていない。 「申し訳ありませんでした。今日の午後、お茶にいらっしゃいませんか?」 姫様の顔がぱっと輝く。 「え?いいの?だって、用事があるんじゃないの?」 「今日の用事はサランに届け物をするだけですので、すぐに戻ってこられますから。」 「…ホントにいいの?忙しくないの?」 「姫様にいらっしゃっていただければ、むしろ、私は嬉しいです。」 「そっか…そしたら、午後のお稽古が終わったら行くわ!」 姫様の笑顔は、本当に見る人の心を暖かくする。 私は、特別においしいお茶をお入れしようと思いながら、サランに向かった。 午後、城に帰ってきて、お茶会の用意をしていると、姫様付の女官のベラさんが、 私が厨房に頼んでおいたお茶菓子を持ってきてくれた。 「わざわざどうも…。」 ベラさんの呼びかけに振り返った私は、その場で絶句した。 ベラさんが身につけていたのは、さすがに十字の刺繍さえないけれど、 私の旅の神官服と全く同じデザインの服と帽子。 固まる私に、ベラさんは楽しそうに笑い出した。 「驚いた?クリフトさん。これ、特別に頼んで作ってもらったの。似合う?」 「え、い、いや、その、お似合いだとは、思いますが、その服…。」 「うっふっふー、お、そ、ろ、い♪」 再び楽しそうに笑うベラさんに、私はただ混乱していた。 この服をわざわざ特別に頼んで作ってもらうなんて…もしかして、この方は、 内心、神にお仕えすることを望んでいるのではないか? だったら、姫様には申し訳ないけれど、良い教会をご紹介できるかもしれない。 「ベラさん、あの…。」 私の言葉は、背後で聞こえた驚きの声に途中で止まってしまった。 そこには、驚愕の眼差しでベラさんを見つめる姫様がいらっしゃった。 「ベラ、どうしたの、その服…!」 ベラさんは、居心地悪そうにもじもじしている。 それはそうだろう、神にお仕えしたいという希望を姫様に知られることは、 姫様付き女官という立場のベラさんにとって、気まずいものだろうから。 何とか助け舟を出そうとした私の耳に、姫様の小さな声が聞こえた。 「何か、複雑な気分…。」 姫様は独り言のつもりで言われたのだろうが、私にははっきり聞こえてしまった。 おかわいそうな姫様。 ベラさんは姫様が小さい頃から、姫様に仕えていたのだ。 彼女がお側を離れるつもりがあると知って、ショックを受けられるのも当然だ。 と、姫様がベラさんに向かっていった。 「ベラ、それ、ベラには似合わないと思うの。その服のデザイン、やぼったいもの。 ベラには、もっと、可愛い服が似合うと思うな。」 ベラさんは、真っ赤な顔をすると、その場を逃げるように立ち去ってしまった。 私は私で、今の姫様の言葉に少なからず傷ついていた。 ベラさんを手放したくないからと言って、「やぼったい」とは…。 私が、一番気に入っている神官服なのに…。 結局、その日のお茶会は、良い天気、おいしいお茶にもかかわらず、私も姫様も黙りがちで、 何とも気詰まりなものに終わってしまった。 その日以降、私は例の神官服を着ることを避けるようになっていた。 ―――やぼったい…。 姫様の言葉が、胸にこだまする。 これは人々のための服なのだから見た目は関係ない、と自分に言い聞かせるのだが、 服に腕を通そうとすると、ベラさんの神官服を見ていた姫様のお顔が浮かんでしまう。 ―――でも、今日はテンペまで行かねばならないし…。 ため息をつきながら、着替えのために自分の部屋に戻ろうとすると、目の端を緑の布地がよぎった。 顔を上げると、門兵のニールが、ベラさんと同じ、十字のない神官服・帽子を身につけていた。 「ニールさん!?どうされたんですか、その服!?」 ニールは私の方を向いてにやりと笑った。 「いやー、今お城の女の子の間で、この服が密かな人気だと聞いたからさ。 俺も、服の人気にあやかろうってところで。」 人気?そんなはずはない。 「だって、先日ベラさんが着てらっしゃったときは、姫様はその服はやぼったいって…。」 私はうつむいた。 それにもかかわらず、お城の女性陣にこの服が人気ということは…。 「お城に、神を必要とされている方がそんなにも多くいらっしゃったとは、 全く気づきませんでした。私は、神官だと言うのに…。」 ここのところ、自分の見てくればかりに気をとられていた自分が恥ずかしかった。 しかし、ニールは呆れたような顔で私を見ると、ため息をついた。 「ほんっとに、相変わらず鈍いのな、お前って。」 「…は?」 「ま、そこが人気の秘訣なのかもしれないけどよ…。こればっかりはマネできねーなぁ。」 ぶつぶつ何やら訳の分からないことを呟くニールに、私が首をかしげていると、 ニールはぽんぽんと私の肩を叩いて、言った。 「俺としてはお前がこの服を着てくれないほうが助かるんだが、武士の情けだ。」 「何のことです?」 「今さっきこの服着て歩いてたら、アリーナ姫にお会いしたんだよ。」 私は、その言葉を聞いて緊張した。 ニールはそんな私を見てにやりと笑うと、 「姫様は、この格好見て『クリフトと一緒ね、なかなかお似合じゃない』ってご機嫌だったぜ。」 そして、かかかかと上を向いて笑った。 私は再び混乱した頭で考えた。 ということは、先日の姫様の発言は、やはりベラさんが離れてしまうと思っての 発言だったのだろうか………姫様ご自身は、この服を気に入ってらっしゃる…? 私は、現金にもだんだん気分が上向いてくるのを感じた。 その後、私は再びあの神官服を着るようになった。 しかし、前ほど頻繁には着なくなった。 大事なのは、服装ではなく心だと気が付いたから…。 ところで、ベラさんだが、後日、こっそりと教会の話を持ちかけてみた。 すると、ベラさんは、きょとんとした顔をして、次の瞬間、大爆笑された。 そして、笑いすぎて息を詰まらせながら、 「あー、もう、ここまで通じてないと、情けなくって笑うしかないわよね!」 と涙をぬぐってらっしゃった。 …ベラさんは、神にお仕えしたかったのではないのだろうか…? どうやら、私は、まだまだ神官として未熟者らしい…。 続き2007.07.26
https://w.atwiki.jp/devilmakertokyo/pages/175.html
イベント終了まであと イベントについて 2013.11.7 メンテ ~ 2013.11.20 メンテまで開催 ランキング報酬に「★6 魔軍将スプリンター」、達成報酬に「★3 魔軍兵モスマ」があります。 ランキング報酬一覧 順位 報酬 1~100位 ★6 魔軍将スプリンター ×1 101~200位 ★5 経験値カード ×1 201~499位 プレミアムチケット ×2 500位 ★6 魔軍将スプリンター ×1 501~2000位 ★4 経験値カード ×1 1000位 ★6 魔軍将スプリンター ×1 2001~4999位 ★3 経験値カード ×1 5000位 ★6 魔軍将スプリンター ×1 5001~9999位 復活ポーション ×5 10000位 ★6 魔軍将スプリンター ×1 10001~19999位 パーティーポーション ×2 50000位 ★6 魔軍将スプリンター ×1 達成報酬一覧 達成条件 報酬 15回 パーティーポーション ×1 30回 復活ポーション ×2 60回 パーティーポーション ×2 90回 プレミアムチケット ×1 150回 ★3 魔軍兵モスマ ×1 300回 ★4 経験値カード ×1 450回 ★4 経験値カード ×1 600回 ★4 経験値カード ×1 900回 ★4 経験値カード ×1 名前