約 3,210,621 件
https://w.atwiki.jp/frontmission3/pages/1248.html
STAGE00 アリサ編 STAGE01 STAGE02 STAGE03 STAGE04 STAGE05 STAGE06 STAGE07 STAGE08 STAGE09 STAGE10A STAGE11 STAGE12 STAGE13 STAGE14 STAGE15 STAGE10B STAGE16 STAGE17 STAGE18 STAGE19 STAGE20 STAGE21 STAGE22 STAGE23 STAGE24 STAGE25 STAGE26 STAGE27 STAGE28 STAGE29 STAGE30 STAGE31 STAGE32 STAGE33 STAGE34 STAGE35 STAGE36 STAGE37 STAGE38 STAGE39 STAGE40 STAGE41 STAGE42A STAGE43 STAGE44 STAGE45 STAGE42B STAGE46 STAGE47 STAGE48 STAGE49 STAGE50 STAGE51 STAGE52 STAGE53 STAGE54 STAGE55 STAGE56 STAGE57 STAGE58 Ending ストーリーイベントインターミッション 日本 広島 STAGE40ランキング マップ 入手アイテム 味方 NPC 敵 ストーリーイベント インターミッション セットアップ ネットワーク フォーラム メール ネットワークショップ デスクトップ シミュレーター セーブ ロード 終了 ネットワーク ネットワーク 入手 備考 フォーラム アドレス 『華蓮団』 『オーストラリア/政府/CIU/CIUファイルアクセスシステム/SECRET GATE[UFSDFT]/USN[OTV]/USN AND NOBLE LOTUS』を参照 パスワード [UFSDFT] 『オーストラリア/その他/ロースパイト/情報広場/情報 3』を参照 [AIE] 『オーストラリア/政府/CIU/CIUファイルアクセスシステム/SECRET GATE[UFSDFT]/USN[OTV]/USN AND DA HAN ZHONG』を参照 [DTHTZT] 『オーストラリア/政府/CIU/CIUファイルアクセスシステム/SECRET GATE[UFSDFT]/DA HAN ZHONG[AIE]/NEW POLITICAL POWER IN DA HAN ZHONG』を参照 メール 共用メール 送信 WU@3499「プレゼント」(添付:こちらを参照) 受信 ウー「こちらを参照」 和輝 受信 アドレス 『霧島重工 特車事業部 社外秘』 小池英一「わかった。」 パスワード [JDFSMAP] [SYUNYOU] 小池英一「わかった。」(ヒント) 亮五 受信 長谷川希里子「沖縄に来ています」 ファム 受信 グラフィックデータ WU PHOTO《ウーのお見合い写真》 ピトエフ「さすがお嬢様。」 送信 PITOEF@1600「こんなイヤらしい」 メイヤー 受信 アドレス 『ロースパイト』 N・D・クック「期待している。」 デスクトップ ツール コードセキュリティ21 『オーストラリア/その他/ロースパイト/ダウンロード/ダウンロード:コードセキュリティ21』でダウンロード テキストデータ CIU OrderFile《CIUの指令書》 『オーストラリア/その他/ロースパイト/ダウンロード/ダウンロード:情報データ』でダウンロード(価格:200) グラフィックデータ JDF Tree《日防軍組織図》 『日本/政府/日防軍/日防軍の組織[JDFSMAP]』でダウンロード Simulator《シミュレーター画像》 『オーストラリア/その他/ロースパイト/ダウンロード/ダウンロード:画像データ』でダウンロード 背景グラフィック ZenithRev《ゼニスレヴの3DCG》 『オーストラリア/その他/ロースパイト/ダウンロード/ダウンロード:ゼニスレヴの3DCGイラスト』でダウンロード アドレス 『日防軍情報部』 グラフィックデータ「JDF Tree《日防軍組織図》」に千里眼を使用 パスワード [D07] テキストデータ「CIU OrderFile《CIUの指令書》」にノーウェイトリフティングを使用後、参照 [MM] [SINTJ] グラフィックデータ「Simulator《シミュレーター画像》」にピカレスクを使用後、参照 メールアドレス WU@3499(直接入力) グラフィックデータ「WU PHOTO《ウーのお見合い写真》」にピカレスクを使用後、参照 シミュレーター マップ 福島建設現場 『日本/政府/国土交通省/本年度重点事業紹介/郡山/DOWNLOAD[SINTJ]』でダウンロード 日本 〔幕僚本部作戦室〕 会話イベント 広島 〔海田基地作戦室〕 会話イベント 会話-喜多島 会話-盛 〔海田基地作戦室〕 会話イベント 会話-喜多島STAGE40 上へ STAGE40 広島海田埠頭 勝利条件 敵パイロットの全滅もしくは投降 敗北条件 プレイヤーパイロットの全滅 出撃パイロット選択 和輝 / 亮五 / アリサ / リュウ / 美穂 / ファム / ラン / メイヤー ランキング 基準値 敵排除数 7 総戦闘回数 30 平均ダメージ 60 平均武器レベル 13 ターン数 5 NPC残数 1 マップ 地形 進入不可 段差 スロープ ▼ 障害物 平地 緑地 浅瀬 深水 X 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 Y 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 気絶不可 - 混乱不可 - 戦意喪失、投降不可 - 強制排出不可 - 盛機(NPC5)はターン始めに移動しないため、味方3(移動力6)を「X,Y:8,4」へ移動しないと、味方機が東側へ移動できなくなる敵ユニットが「X,Y:8,4」へ移動してくると、撃破するまで移動できない 敵ユニット(敵4 / 5)はNPCを攻撃することが多い 上へ 入手アイテム 入手先 名称 備考 敵1 / 2 / 3投降 ボディ 瞬王1型 Lアーム 瞬王1型 Rアーム 瞬王1型 レッグ 瞬王1型 敵4 / 5投降 バックパック BX056 上へ 味方 No. 名前 移動力 バーツ 武器 人物 アイテム APNow / Max Body HP状況Now / Max 格闘力 減少率 AP設定/改造LV 防御 L.Grip 属性 種類 AP 熟練 攻撃 弾数Now / Max 射程 命中率 距離低下率 段差低下率 HPNow / Max エースランク ポイント バトルスキル L.Arm 命中 命中 L.Shld 武器熟練度 回避(回避率) R.Arm 命中 R.Grip 格闘武器 ショットガン グレネード Leg バーニア ダッシュ 回避 R.Shld マシンガン 火炎放射 キャノン 属性防御 B.Pack 追加出力 ライフル ミサイル ビーム 1 × 2 × 3 × 4 × 上へ NPC No. 名前 移動力 バーツ 武器 人物 アイテム PRIZEMONEY APNow / Max Body HP状況Now / Max 格闘力 減少率 AP設定/改造LV 防御 L.Grip 属性 種類 AP 熟練 攻撃 弾数Now / Max 射程 命中率 距離低下率 段差低下率 HPNow / Max エースランク ポイント バトルスキル L.Arm 命中 命中 L.Shld 武器熟練度 回避(回避率) R.Arm 命中 R.Grip 格闘武器 ショットガン グレネード Leg バーニア ダッシュ 回避 R.Shld マシンガン 火炎放射 キャノン 属性防御 B.Pack 追加出力 ライフル ミサイル ビーム 5 盛忠之 4 PAW2プロウブ 546 / 546 115% 45% ■ ■ ■ 日西90MF 貫通 マシンガン 5 D★ 18×10 ∞ 1~4 80% 10% 5% 20 / 20 ★★★★★ ×0 弾数UPⅡ 150 15 / 15 PAW2プロウブ 373 / 373 ×9%UP ■ ■ ■■ ■ ■ ------ 32% PAW2プロウブ 373 / 373 ×9%UP ハードブロウ 衝撃 格闘武器 1 D★ 25×1 ∞ 1 100% 0% 0% D★ 耐炎熱 PAW2プロウブ 450 / 450 0段 0倍 ■ ■ ■ ------ D★ ------ 6 日防軍ヴァンツァー兵 4 PAW2プロウブ 546 / 546 115% 45% ■ ■ ■ 日西90MF 貫通 マシンガン 5 D★ 18×10 ∞ 1~4 80% 10% 5% 20 / 20 ★★★★★ ×0 150 15 / 15 PAW2プロウブ 373 / 373 ×9%UP ■ ■ ■■ ■ ■ ------ 32% PAW2プロウブ 373 / 373 ×9%UP ハードブロウ 衝撃 格闘武器 1 D★ 25×1 ∞ 1 100% 0% 0% D★ 耐貫通 PAW2プロウブ 450 / 450 0段 0倍 ■ ■ ■ ------ D★ ------ 7 日防軍ヴァンツァー兵 4 PAW2プロウブ 546 / 546 115% 45% ■ ■ ■ 日西90MF 貫通 マシンガン 5 D★ 18×10 ∞ 1~4 80% 10% 5% 20 / 20 ★★★★★ ×0 150 15 / 15 PAW2プロウブ 373 / 373 ×9%UP ■ ■ ■■ ■ ■ ------ 32% PAW2プロウブ 373 / 373 ×9%UP ハードブロウ 衝撃 格闘武器 1 D★ 25×1 ∞ 1 100% 0% 0% D★ 耐貫通 PAW2プロウブ 450 / 450 0段 0倍 ■ ■ ■ ------ D★ ------ 上へ 敵 No. 名前 移動力 バーツ 武器 人物 アイテム PRIZEMONEY APNow / Max Body HP状況Now / Max 格闘力 減少率 AP設定/改造LV 防御 L.Grip 属性 種類 AP 熟練 攻撃 弾数Now / Max 射程 命中率 距離低下率 段差低下率 HPNow / Max エースランク ポイント バトルスキル L.Arm 命中 命中 L.Shld 武器熟練度 回避(回避率) R.Arm 命中 R.Grip 格闘武器 ショットガン グレネード Leg バーニア ダッシュ 回避 R.Shld マシンガン 火炎放射 キャノン 属性防御 B.Pack 追加出力 ライフル ミサイル ビーム 1 イマジナリーナンバー 3 瞬王1型 714 / 714 116% 15% ■ ■ ■ 恵達3型 貫通 マシンガン 5 E 18×10 ∞ 1~4 80% 10% 5% 20 / 20 ★★★★★ ×0 リベンジⅡ 150 15 / 15 瞬王1型 445 / 445 ×10%UP ■ ■ ■■ ■ ■ ------ 32% 瞬王1型 445 / 445 ×10%UP ハードブロウ 衝撃 格闘武器 1 E 25×1 ∞ 1 100% 0% 0% E 耐貫通 瞬王1型 481 / 481 3段 4倍 ■ ■ ■ ------ E ------ 2 イマジナリーナンバー 3 瞬王1型 714 / 714 116% 15% ■ ■ ■ 恵達3型 貫通 マシンガン 5 E 18×10 ∞ 1~4 80% 10% 5% 20 / 20 ★★★★★ ×0 リベンジⅡ 150 15 / 15 瞬王1型 445 / 445 ×10%UP ■ ■ ■■ ■ ■ ------ 32% 瞬王1型 445 / 445 ×10%UP ハードブロウ 衝撃 格闘武器 1 E 25×1 ∞ 1 100% 0% 0% E 耐貫通 瞬王1型 481 / 481 3段 4倍 ■ ■ ■ ------ E ------ 3 イマジナリーナンバー 3 瞬王1型 714 / 714 116% 15% ■ ■ ■ 恵達3型 貫通 マシンガン 5 E 18×10 ∞ 1~4 80% 10% 5% 20 / 20 ★★★★★ ×0 リベンジⅡ 150 15 / 15 瞬王1型 445 / 445 ×10%UP ■ ■ ■■ ■ ■ ------ 32% 瞬王1型 445 / 445 ×10%UP ハードブロウ 衝撃 格闘武器 1 E 25×1 ∞ 1 100% 0% 0% E 耐貫通 瞬王1型 481 / 481 3段 4倍 ■ ■ ■ ------ E ------ 4 日防軍特殊部隊ヴァンツァー兵 2 109式 炎陽 502 / 502 115% 15% ■ ■ ■ ハードブロウ 衝撃 格闘武器 1 D★ 25×1 ∞ 1 100% 0% 0% 20 / 20 ★★★★★ ×0 アンチブレイク ミサイル弾リペアMax 150 15 / 15 109式 炎陽 316 / 316 ×12%UP ■ ■ ■■ ■ ■ ナイチンゲール 炎熱 ミサイル 10 D★ 124×1 6 / 6 3~9 80% 0% 0% 32% 109式 炎陽 316 / 316 ×12%UP ハードブロウ 衝撃 格闘武器 1 D★ 25×1 ∞ 1 100% 0% 0% D★ 耐貫通 109式 炎陽 463 / 463 7段 4倍 ■ ■ ■ ------ BX056 D★ 5 日防軍特殊部隊ヴァンツァー兵 2 109式 炎陽 502 / 502 115% 15% ■ ■ ■ ハードブロウ 衝撃 格闘武器 1 D★ 25×1 ∞ 1 100% 0% 0% 20 / 20 ★★★★★ ×0 アンチブレイク ミサイル弾リバースMax 150 15 / 15 109式 炎陽 316 / 316 ×12%UP ■ ■ ■■ ■ ■ ナイチンゲール 炎熱 ミサイル 10 D★ 124×1 6 / 6 3~9 80% 0% 0% 32% 109式 炎陽 316 / 316 ×12%UP ハードブロウ 衝撃 格闘武器 1 D★ 25×1 ∞ 1 100% 0% 0% D★ 耐貫通 109式 炎陽 463 / 463 7段 4倍 ■ ■ ■ ------ BX056 D★ No. 名前 移動力 バーツ 武器 人物 アイテム PRIZEMONEY APNow / Max Body HP状況Now / Max 格闘力 減少率 AP設定/改造LV 防御 Body 属性 種類 AP 熟練 攻撃 弾数Now / Max 射程 命中率 距離低下率 段差低下率 HPNow / Max エースランク ポイント バトルスキル 命中 命中 Body 武器熟練度 回避(回避率) 命中 格闘武器 ショットガン グレネード バーニア ダッシュ 回避 マシンガン 火炎放射 キャノン 属性防御 B.Pack 追加出力 ライフル ミサイル ビーム 6 イマジナリーナンバー 3 39式雷号艇 656 / 656 -- 30% ■ ■ ■ 80mm砲 貫通 キャノン 6 D★ 86×1 ∞ 2~6 75% 4% 5% 20 / 20 ★★★★★ ×0 60 18 / 18 ■ ■ ■ ------ 不能 耐炎熱 D★ ------ 7 イマジナリーナンバー 3 39式雷号艇 656 / 656 -- 30% ■ ■ ■ 80mm砲 貫通 キャノン 6 D★ 86×1 ∞ 2~6 75% 4% 5% 20 / 20 ★★★★★ ×0 60 18 / 18 ■ ■ ■ ------ 不能 耐炎熱 D★ ------ 上へ
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/839.html
とある三月の雛あそび 「あ、あのっ」 人影が少ないランベス区のある通りに、声が響く。 声をかけられた人物、赤く染めた長髪の神父が振り向くと、わりと小柄な女性がそこに立っていた。 二重まぶたが印象的な、なかなか可愛らしい少女である。 「何か?」 神父が咥え煙草を揺らしながら答えると、 「とっ、突然すいません! あのっ、ステイル=マグヌスさんですよねっ!」 緊張した面持ちで少女が言う。 その、名前。 少女の語る言葉に対し、目を細めながら口を開く。 「失礼だが、人違いでは?」 無論、瞬時に発動できるよう術式は待機させたまま、さり気なく袖口のルーンのカードに手をやって答える。 「あっ、すっ、すいません! わたし、天草式にいる者ですっ!」 ステイルと呼ばれた男の様子に気づいた少女が慌てて自分の身を明かす。 それを聞いたステイルは緊張をやや緩めながらそれでも訝しげに問う。 「何か御用が?」 己が属する『必要悪の教会(ネセサリウス)』の傘下にあるとはいえ、微妙な関係にある天草式のメンバーとは、 それほど交流がある訳では無い。 それでも、英国紳士の一員としてレディに対する最低限の礼儀は弁えるようにする。 「こっ、これをっ」 そんな彼に対して、少女はポケットから小さな包みを取り出すとおずおずと差し出した。 「………」 差し出されたそれを前に、ステイルの動きがしばし固まる。 ややあって、 「いや、その、ぼくは、こういうことは……」 しどろもどろな答えをするステイルに対して、少女が慌てて語る。 「あ、いえっ、これ、あなたにじゃなくてですね……」 言われたステイル、内心では安心したのかがっかりしたのか複雑な気分だが、そこはそれ、英国紳士の一 員として接する。 「学園都市に行かれるって聞いたので、これを届けて欲しいんです」 「………」 自分の受けた任務が協力関係にあるとはいえ、外部に漏れていることに対して色々と言いたい事はあるが、 「まあ、いいだろう、どのみちついでだからね」 「ありがとうございます!」 「で、誰に渡せばいいんだい? あと、一応中身の確認をさせて貰ってもいいかな?」 その問いに、少女は顔を赤らめてもじもじしながら答える。 「あ、中身はお守りみたいなものです。届け先は、上条当麻という方に……」 少女の反応と相手の名前を聞いたステイルの胸中に様々な感情が浮かんでくるが、英国紳士の(以下略) 「分かった中身の確認はもう結構だこれは確実に彼に届けようああ中身が何であろうと構いはしないさむしろ 僕としては奴が日頃の振舞いを思い返すようなものだといい位だがね」 言うと素早く少女から包みを受け取ると返答も待たずに立ち去っていく。 ………いや、英国紳士として振舞えてませんよステイルさん? 預かった包みを懐にしまいながら歩いていると、後ろのほうで『どうでしたか五和?』『彼はちゃんと届けてく れるんでしょうか?』『まあ後は無事に受け取ってもらえればいいだけですし』『チョコのときは芳しくなかったで すがこれはあくまで保険ですしね』『いやいやこんなまどろっこしいことをしていないでもっと直接的にいくべき では?』などという声が聞こえてくるような気もしたがまあ気のせいだろう。 そう、自分はあくまで英国紳士として振舞うだけである。 預かった荷物は確かに学園都市にいる少年に届けよう。 まあ、その後で炎剣の一本や二本くらいは叩き込まないとこの気分は収まらないだろうが。 「ふ、ふふふ、待っていろよ上条当麻。学園都市に行く楽しみが一つ増えた気分だよ」 昏い笑みを浮かべながらステイルは空港への道を歩いていく。 まあ、その後学園都市に降り立ったステイルが上条に対して渾身の力で炎剣を叩き込もうとするも、持たさ れていた包みの中にあった人形(デフォルトにデザインされた上条に似たもの)が突如上条への攻撃を全て防 ぎ、しかし驚くステイルの前でその人形に右手で触れたために人形に掛けられていた厄災除けの効果が消え 去り、ステイルからの攻撃は自分には届かないとたかをくくっていた上条が『魔女狩りの王(イノケンテイウス)』に追 いかけ回される羽目に合ったりするのは別の話しであるとか無いとか。
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/482.html
(3−1) 季節外れの暑さに見舞われた秋晴れのある日、とある建物のとある一室に2人の美少女と 平凡そうな1人の男子高校生がテーブルを囲んで座っていた。扇風機がウィンウィンと音 を立てながら回っているものの少しも涼しくならないせいか彼らはイライラしている様子 だった。 そしてついに一人の美少女が大声をあげた。 「なんなのよーっ。この扱いの違いは!」 「仕方ありません、とミサカは諦め口調で呟きます」 「全くなんで私達が扇風機しかない相部屋なのよ。納得できないわ」 「何ブツブツ文句言ってやがる。俺の部屋なんてただの倉庫だぞ。窓一つねぇぞ! ここが気に入らねぇなら替わってやるよ」 「遠慮する。あーあ、今頃秋沙はクーラー付きの個室でくつろいでいるのよね。きっと」 「「「 はあぁぁっ 」」」 大きなため息をつく上条、御坂美琴、御坂妹であったがその姿は滑稽でしかない。 上条達は今学園都市にある巨大遊園地クラウンパレスに来ている。 とはいえ上条達は客として来ている訳ではなかった。 上条、御坂美琴、御坂妹はそれぞれライオンの王様、キツネの王妃様、ウサギのお姫様の 着ぐるみを着て特設ステージ裏の控え室にいる。 頭部を外しているとはいえ通気性の悪い着ぐるみを着た3人の額には珠の汗が光っている。 とはいえ上条達はアルバイトとして来ている訳でもなかった。 秘密結社キシサクマアがこの遊園地で行うと予告した犯行を阻止するためである。 「総司令(ラストオーダー)も何考えてんのよ。犯行予告があったんならここを休園にす りゃ良いだけの話じゃない。何でわざわざ相手に合わせるのかしら?」 「上位個体は『面白ければ良い』としか思っていないのでしょう、とミサカは上位個体に は何を言っても無駄でしょうと思いつつお姉様に相槌を打ってみます」 一週間前、画面に大写しされた男は例のごとく高笑いしたあと次の犯行を予告してきた。 「貴様達!ヒヨコ爆弾を処理したからといっていい気になるんじゃない。あんなものは 小手調べにすぎないのよな。次の標的は学園都市最大の遊園地クラウンパレスなのよ。 週末そこで行われるキャラクターショーに乱入してショーを見に来た子供達の夢を破壊 してやるから覚悟しておくが良い。 貴様達に我々の行動を止めることなぞ出来んぞ!うわっはっはっは─────っ!」 「「「「 はあぁぁぁぁっ 」」」」 例によってあまりのくだらなさにため息しか出ない上条、御坂美琴、姫神秋沙、御坂妹で あったが総司令(ラストオーダー)だけはなぜかやる気満々だった。 「秘密戦隊『Railar(レイラ)』の諸君! 我々は秘密結社シキサクマアの野望を打ち砕かなければならない。 諸君の健闘を祈る、ってミサカはミサカは張り切って皆を激励してみる」 「総司令(ラストオーダー)!そんなことしなくても犯行予告があったんなら、その日は そこを休園にすれば良いだけでしょ。何でわざわざ相手に合わせるのよ!?」 「休園なんてしたらショーを観たいっていう子供達の夢を奪うことになるの。そうなった らその日を楽しみにしている子供達がどれほどショックを受けるかお姉様は想像できな いの?ってミサカはミサカは真剣な目でお姉様に反論してみる」 「うっ、そう言われればそうだけど………判ったわよ。やりゃぁ良いんでしょ!」 「ありがとう。それじゃお姉様達だけ働かせる訳にはいかないから今回のミッションには 私も参加するのって、ミサカはミサカは総司令自ら現場に出動することで部下思いの一 面を見せてみたりして」 「ラストオーダー!ホントは自分がショーを観たいだけじゃないの!?」 「えへっ!そうなの。ホントは遊園地のキャラクターショーって一度見てみたかったの ってミサカはミサカはキラキラ目を輝かせてつい本音を打ち明けてみる」 「それなら私達を巻き込まないで自分でお金を払って見に行けばいいでしょ!」 「だって、あの人は全然家には帰ってこないし、黄泉川も芳川も忙しいの一点張りで連れ て行ってくれないんだもの、ってミサカはミサカは日頃の不満をぶちまけてみる」 「あんたが普段何しているかは知らないけど、それって公私混同って言うのよ」 「それじゃあ、お姉様も納得してくれたということで本ミッションの説明を始めるのって ミサカはミサカは強引に話を進めてみる」 「こら!私は納得してないわよ!」 文句を言う御坂美琴を無視して総司令(ラストオーダー)の説明は続き、犯行が予告され たこの日上条達はつつがなく遊園地クラウンパレスに送り込まれたのだった。 (3−2) 「いくら任務とはいえこんな着ぐるみ着せられたんじゃテンション下がっちゃうわね」 「学園都市とはいえ着ぐるみにまで先端技術が活用される段階には至っていないのですね とミサカは遠回しに暑いと愚痴ってみます」 「秘密結社キシサクマアの犯行を防ぐためだからって何で私達が着ぐるみの中に入らない といけないのかしら?」 「不測の事態に備えて出演者の安全を確保するためだそうです、とミサカは上位個体が口 にした取って付けた理由を反芻してみます」 「じゃあ、観客の安全はどうすんのよ?」 「それは総司令が身体を張って警戒するから大丈夫だそうです、とミサカは上位個体を全 く信用していない口調で報告します」 「それでラストオーダーは観客席の最前列に座っていたのね」 「違うな!あれはただ単にショーを楽しみたいだけだ。左手にジュースを持って膝の上の ポップコーンを右手でバクバク食ってちゃ周囲の警戒なんてできる訳ないだろ!」 「「「 はあぁぁぁぁぁぁっ 」」」 またまた3人からは長いため息が漏れた。 「本当になんで秋沙だけがクーラー付きの個室なのよ。もう!」 「仕方ありません。なんと言っても本日のショーは『超機動少女カナミン=ダイバージェ ンス=』ショーなのですから、とミサカは同じ文句を繰り返すお姉様にウンザリしなが ら同じ返事を返してみます」 「それは分かってるけど……だからってなんで私達には扇風機一台なのよ!」 「それも仕方がないことです。私達着ぐるみ隊は所詮カナミンショーが始まるまでの前座 に過ぎませんから、とミサカはお姉様にもういい加減にして下さいって感じで呟きます」 ドンヨリとした空気が満たす上条達の控え室に遊園地のスタッフの声が響いた。 「着ぐるみ隊の皆さん。そろそろ出番で〜す!」 「「「はあぁ──い」」」 やる気の無さを醸し出す気の抜けた返事をした3人は渋々重い腰を上げた。 20分後。 「うだあぁあぁぁーっ!」 ステージ裏に戻ってきた上条は着ぐるみの頭部を外すなり絶叫した。 クラウンパレスのイメージキャラクター達によるショーが終わったステージは次のカナミ ンショーに備えて舞台転換中であり今はスピーカーから流れる軽快な音楽が特設ステージ を満たしている。 「なに騒いでんのよ!あんたは。鬱陶しい!」 「暑いんですよ。見て下さい。滝のように流れ落ちるこの汗!季節は秋だって言うのに何 で今日はこんなに暑いんですか?上条さんへの嫌がらせですか?」 「先日の台風がもたらしたフェーン現象のために本日関東地方では最高気温が30℃を突 破することが予告されています、とミサカは淡々と報告します」 「言っとくけど、私達だって暑いのよ」 「何言ってんだ!お前達なんかイスに座って手を振っていただけだろ!俺なんて会場中を 走り回されたんだぞ。なんで王様がバク転までしなきゃなんねぇんだよ!」 「しょうがないでしょ!そう言うキャラ設定なんだから」 「もう上条さんはボロボロです。これがあと2ステージもあるだぞ。 やってられるかあぁあぁぁぁぁっ!」 「男でしょ!諦めなさい」 廊下で上条達が騒いでいると『姫神秋沙様控え室』と書かれたドアが開き姫神秋沙が顔を 覗かせた。 「お疲れ様。上条君」 「どうして私達には労いの言葉が無いのかしら?」 「そこはかとなく感じる悪意は気のせいでしょうか?とミサカも遠回しにお姉様と同意見 ですと呟いてみます」 御坂美琴と御坂妹の会話は無視して姫神秋沙は話を続けた。 「暑かったでしょ。上条君。 どう?次の出番まで私の控え室で涼んでいく?クーラー効いているわよ」 「クッ、クーラー!?俺もそっちに入って良いのか?姫神」 「もちろん。それに冷たい麦茶もある」 「麦茶まであるのか?ごくっ……。姫神様!!この上条はあなた様の下僕です。 是非とも姫神様のお部屋にぐあげはぁひゃあぁぁぁー!」 「あっ、ゴメン!手が滑ったわ」 「ゴォラーッ!御坂。どう手が滑ったら缶ジュースの中身が着ぐるみの背中に流れ込んで くるんだよ!?」 「不幸な偶然が重なっただけよ。アンタにはよくあることでしょ」 「あのなぁ!」 「だから謝ってるでしょ。お詫びに身体を拭いてあげるから私達の控え室にいらっしゃい」 「でも、俺はこれから姫神の……」 「いいから来なさい!!」 「ちょっと待て。イテッ!耳を引っ張るな。わっ!御坂妹まで、きゃあ──────」 あっけにとられた姫神秋沙が我に返ったのは上条の悲鳴を断ち切るように御坂達の控え室 のドアがバタン!と豪快に音を立てて閉じられた後だった。
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/722.html
とある魔術の禁書目録0 第一章 突然の訪来者 change one s school. 230万人の学生を抱える超能力開発機関『学園都市』。開発の遅れてる東京の西地区を丸ごと買い取り、 そこに超能力開発機関の『街』をつくった。 その街に集められるのはほとんどが学生のため、『学園都市』はいろいろな学校が集まった『学校の街』である。 学園都市に通う学生達は、みんな血管に直接クスリを注入して耳の穴から脳に直接電極を刺せば、超能力者のなる。 かといって、誰もが超能力者になれるとは限らない。超能力に目覚めた者は、それぞれレベル1〜5までに判別される。 そして超能力に目覚めなかった者は、全員が無能力者《レベル0》という烙印が捺されてしまう。 そして今、学園都市に通う、一人の無能力者《レベル0》が、 「不幸だあああああァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」 走っていた。 「チクショーーーーッ!!久しぶりに目覚ましセットしたってのに、どこも問題ないハズなのになんで目覚まし作動しないんですかーーーーッ!! しかも追い討ちかのようにインデックスがなんか寝ぼけて俺をなんか食い物だと思って頭に噛み付いてきたし上条さんはもう頭も心もボロボロになってしまいますよーーーーーーーーーッ!!!!!!! もう一度言うぞ、ふーーーーーーーこーーーーーーーーうーーーーーーーーーだーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」 走りながら叫んでいる少年、上条当麻はいくつかの不幸が重なって学校を遅刻している。 上条当麻は無能力者《レベル0》、しかし、彼の右手には、それが異能の力ならば、神様の奇跡さえ問答無用で打ち消す力、幻想殺し《イマジンブレイカー》が宿ってる。 彼は、その力をもってして、ありとあらゆる脅威をその右手を使って『殺し』てきた。 しかし、それは、同時に神のご加護や運命の赤い糸などという幸の力さえも『殺し』てしまう。そのため彼は、いつも不幸に見舞われる。 ハァハァ、と息をきらしながら走っている上条は、やっとのことで上条の通う高校に着いた。 上条は階段を上り、急いで自分のクラスに入った。 「ハァ、ハァ、フーーー、間に合ったーーーー」 すると、青髪ピアスと土御門元春が上条の下にやってきた。 「カミやん、遅刻ギリギリやったなーーーーー、もっとゆっくりきてもよかったんやでーーーー(怒)」 「は?お前、何怒ってるわけ?土御門、コイツどうした、の・・・・・・?」 「カミやーん、いつもなら完全遅刻してくるカミやんが、なーんで今日に限ってギリギリセーフなんだにゃーーー。 そのあたりのとこ、このやさしー土御門元春さんに教えてほしいんだにゃーーーー(怒)」 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!二人からドス黒いオーラがゾワゾワと発している。 上条は理不尽な不幸を感じたのか、とっさに右手でドス黒いオーラを消そうと思い、青髪ピアス、土御門元春の順にオーラを打ち消した。 「な、なんや、急にどうでもよくなったんや」 「くっ、カミやん、やるにゃーーーーー、次は負けないぜよ」 「一体全体何なんだよ?俺が何したってんだよ!誰かこの上条さんに説明プリーズ!」 とんとん、と誰かに肩をたたかれた。振り返ってみると、そこには姫神秋沙が上条の後ろに立っていた。 「上条くん、君、間に合ったんだね」 「?、あ、あぁ」 「そう、じゃあ、私の勝ちだね」 そういうと、姫神は教卓のとこで談話している青髪ピアス、土御門元春のとこへいった。 「賭けは、私の、勝ちだね」 「賭け?」 上条は首を斜めにたおし、わけのわからない顔をした。 「あちゃー、負けやねん、負け。この出費はイタイワー」 「にゃー、次は負けないぜよー」 二人はそれぞれ、2000円を、合計4000円を姫神に渡した。 「上条当麻、貴様遅いわよ!!」 「今ごろっ!?」 そこに、いつ見ても不機嫌な表情をした、吹寄制理があらわれた。 「あぁ、姫神さんが勝ったのね」 「吹寄さん、何か知っていらっしゃるのですか?」 「・・・・なんでここで敬語になるわけ?」 吹寄はやや引き気味の表情をした。 「姫神さんとあのバカ二人、貴様が今日遅刻する遅刻しないって賭けをしてたのよ」 「・・・・・・・、は?」 上条はそのまま3人(バカ二人)の方を見た。次は5000円で勝負だにゃー、とか、男に二言はないやな?とか聞こえた。 その言葉で、上条の怒りはピークに達した。 「お・ま・え・ら〜〜〜〜〜、何人を使って賭けなんて真似事してるんだーーーー!!!」 上条の右手が、バカ二人に炸裂した。 「イタァーーーーーーーッ!!!×2」 二人の叫びが重なった。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/3452.html
29スレ目ログ ____ ________________ 29-006 ・・・(22-517) 小ネタ 恋人はサンタクロース 29-011 くまのこ(17-598) やらかし都市伝説 29-018 ・・・(22-517) 小ネタ 2016年 29-022 ・・・(22-517) 羽根つき 29-029 くまのこ(17-598) ディスティニー♥オン♥ジ♥柵川 スタンプラリー・デート 29-036 くまのこ(17-598) ※ これは、いやらしい行為ではありません 29-042 くまのこ(17-598) ただのデートじゃ終われない 29-060 ・・・(22-517) 来年も隣で 29-068 ・・・(22-517) 小ネタ 6048523秒 29-070 ・・・(22-517) 小ネタ 苦くて甘い 29-075 くまのこ(17-598) ミコっちゃんのツンデ歴史 29-083 くまのこ(17-598) ネックレスロスのネック 29-090 くまのこ(17-598) とある王様の未来日記 29-097 くまのこ(17-598) ふにゃいた赤鬼 29-102 ・・・(22-517) 気付いた? 29-107 ・・・(22-517) 小ネタ 豆合戦 29-110 ・・・(22-517) 小ネタ しりとり 29-114 くまのこ(17-598) 小ネタ 上条当麻の恋 29-115 くまのこ(17-598) 小ネタ 御坂美琴の夢 29-116 くまのこ(17-598) 小ネタ 上条麻琴の夜 29-119 くまのこ(17-598) ほろ苦いチョコでほろ甘く 29-127 ・・・(22-517) 小ネタ 29-130 ・・・(22-517) 猫の行動の意味 29-137 ・・・(22-517) 小ネタ 雛人形 29-139 ・・・(22-517) 小ネタ 苦 29-144 ・・・(22-517) 3月25日 29-151 ・・・(22-517) 小ネタ いわんでよろしい 29-162 ・・・(22-517) 小ネタ 抱きしめる 29-166 29-165氏 さよなら常盤台 1 29-170 29-165氏 さよなら常盤台 2 29-173 ・・・(22-517) かみ 29-179 29-165氏 さよなら常盤台 3 29-182 29-165氏 さよなら常盤台 4 29-184 29-165氏 さよなら常盤台 5 29-186 29-165氏 さよなら常盤台 6 29-188 29-165氏 さよなら常盤台 7 29-192 29-165氏 さよなら常盤台 8 29-195 29-165氏 さよなら常盤台 9 29-197 29-165氏 さよなら常盤台 10 29-205 29-165氏 さよなら常盤台 11 2章-01 29-207 29-165氏 さよなら常盤台 12 2章-02 29-213 29-165氏 さよなら常盤台 13 2章-03 29-215 29-165氏 さよなら常盤台 14 2章-04 29-218 ・・・(22-517) 日常2 29-225 29-165氏 さよなら常盤台 15 2章-05 29-227 29-165氏 さよなら常盤台 16 2章-06 29-228 29-165氏 さよなら常盤台 17 2章-07 29-229 29-165氏 さよなら常盤台 18 2章-08 29-233 ・・・(22-517) プレゼント希望 29-243 ・・・(22-517) 小ネタ the first mother s day 29-245 29-165氏 さよなら常盤台 19 2章-09 29-250 29-165氏 さよなら常盤台 20 2章-10 29-255 29-165氏 さよなら常盤台 21 3章-01 29-257 29-165氏 さよなら常盤台 22 3章-02 29-260 ・・・(22-517) 今日こそは 29-268 29-165氏 さよなら常盤台 23 3章-03 29-270 29-165氏 さよなら常盤台 24 3章-04 29-274 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 1 第01話 上条当麻(1) 29-277 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 2 第02話 上条当麻(2) 29-279 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 3 第03話 上条当麻(3) 29-281 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 4 第04話 上条当麻(4) 29-283 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 5 第05話 上条当麻(5) 29-287 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 6 第06話 上条当麻(6) 29-288 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 7 第07話 上条当麻(7) 29-291 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 8 第08話 上条当麻(8) 29-293 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 9 第09話 一方通行(1) 29-296 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 10 第10話 一方通行(2) 29-299 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 11 第11話 一方通行(3) 29-304 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 12 第12話 一方通行(4) 29-306 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 13 第13話 幻想殺し(1) 29-309 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 14 第14話 幻想殺し(2) 29-314 29-165氏 さよなら常盤台 25 3章-05 29-321 29-165氏 さよなら常盤台 26 3章-06 29-326 ・・・(22-517) 雨と傘と猫 29-329 ・・・(22-517) 小ネタ 決め台詞 29-332 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 15 第15話 幻想殺し(3) 29-335 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 16 第16話 幻想殺し(4) 29-340 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 17 第17話 幻想殺し(5) 29-343 29-165氏 さよなら常盤台 27 3章-07 29-348 29-165氏 さよなら常盤台 28 3章-08 29-356 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 18 第18話 幻想殺し(6) 29-359 29-165氏 さよなら常盤台 29 3章-09 29-368 29-368氏 学園都市統括理事会 01 第01話 上条美琴(1) 29-372 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 19 第19話 幻想殺し(7) 29-381 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 20 第20話 幻想殺し(8) 29-393 29-368氏 学園都市統括理事会 02 第02話 上条美琴(2) 29-400 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 21 第2部 第01話 第一章開戦前(1) 29-406 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 22 第2部 第02話 第一章開戦前(2) 29-413 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 23 第2部 第03話 第一章開戦前(3) 29-423 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 24 第2部 第04話 第一章開戦前(4) 29-432 ・・・(22-517) 小ネタ the first father s day 29-434 ・・・(22-517) 小ネタ 8月25日 29-437 ・・・(22-517) 海外出張 29-443 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 25 第2部 第05話 第一章開戦前(5) 29-453 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 26 第2部 第06話 第一章開戦前(6) 29-460 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 27 第2部 第07話 第二章(1) 29-468 29-368氏 学園都市統括理事会 03 第03話 上条美琴(3) 29-473 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 28 第2部 第08話 第二章(2) 29-478 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 29 第2部 第09話 第二章(3) 29-486 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 30 第2部 第10話 第二章(4) 29-494 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 31 第2部 第11話 第二章(5) 29-502 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 32 第2部 第12話 第二章(6) 29-510 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 33 第2部 第13話 第三章(1) 29-521 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 34 第2部 第14話 第三章(2) 29-526 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 35 第2部 第15話 第三章(3) 29-531 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 36 第2部 第16話 第三章(4) 29-537 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 37 第2部 第17話 第三章(5) 29-544 我道&くまのこ(25-499) こぼれ話 29 御坂シスターズinロシアこぼれ話(前編) 29-553 29-368氏 学園都市統括理事会 04 第04話 御坂美琴(1) 29-559 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 38 第2部 第18話 第三章(6) 29-566 ・・・(22-517) 今日も佐天は臨機応変 29-572 ・・・(22-517) 本当にあった怖い上琴 29-579 ・・・(22-517) やり直し 29-581 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 39 第2部 第19話 第三章(7) 29-588 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 40 第2部 第20話 第三章(8) 29-595 29-595氏 常盤台防衛作戦 第01話 29-601 ROM専(29-600)氏 佐天さんの能力 29-618 ・・・(22-517) 本気 29-626 29-595氏 常盤台防衛作戦 第02話 29-633 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 41 第3部 第01話 第一章(1) 29-639 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 42 第3部 第02話 第一章(2) 29-646 ・・・(22-517) 育児日記 62 まま 1 29-652 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 43 第3部 第03話 第一章(3) 29-659 ・・・(22-517) 育児日記 63 まま 2 29-666 ・・・(22-517) 育児日記 64 まま 3 29-676 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 44 第3部 第04話 第一章(4) 29-683 ・・・(22-517) 育児日記 65 ただいま 前編 1 29-692 ・・・(22-517) 育児日記 66 ただいま 前編 2 29-701 ・・・(22-517) 育児日記 67 ただいま 前編 3 29-714 ・・・(22-517) 育児日記 68 ただいま 後編 1 29-720 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 45 第3部 第05話 第一章(5) 29-729 ・・・(22-517) 育児日記 69 ただいま 後編 2 29-736 ・・・(22-517) 育児日記 70 ただいま 後編 3 29-749 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 46 第3部 第06話 第二章(1) 29-758 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 47 第3部 第07話 第二章(2) 29-766 ・・・(22-517) 小ネタ ミジカミコト2 29-771 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 48 第3部 第08話 第二章(3) 29-778 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 49 第3部 第09話 第二章(4) 29-785 ・・・(22-517) 罰ゲーム 29-789 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 50 第3部 第10話 第二章(5) 29-799 ・・・(22-517) 日常3 29-807 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 51 第3部 第11話 第三章(1) 29-815 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 52 第3部 第12話 第三章(2) 29-822 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 53 第3部 第13話 第三章(3) 29-829 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 54 第3部 第14話 第三章(4) 29-836 29-836氏 クリスマスの奇跡 01 第01話 29-841 29-836氏 クリスマスの奇跡 02 第02話 29-850 29-836氏 クリスマスの奇跡 03 第03話 29-858 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 55 第3部 第15話 第三章(5) 29-867 29-836氏 クリスマスの奇跡 04 第04話 29-874 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 56 第3部 第16話 第四章(1) 29-883 29-883氏 とある乙女のバレンタインデイ・キス 01 第01話 29-891 29-883氏 とある乙女のバレンタインデイ・キス 02 第02話 29-898 29-883氏 とある乙女のバレンタインデイ・キス 03 第03話 29-906 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 57 第3部 第17話 第四章(2) 29-916 29-274氏 とある科学の超荷電粒子砲(プラズマ・キャノン) 58 第3部 第18話 第四章(3) ▲
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/965.html
3 土御門元春は黙考していた。 最近、義妹の舞夏の様子がおかしい。 思えば先月のいつだったか、隣の上条宅に突っ込んで行ってからおかしくなっている。 いや、厳密に言えば突っ込んで行った時点でおかしかったが。 とにかく、以前のように「兄貴ー」と笑いながらとてとて寄ってくる事がなくなってしまった。 なんだこれは。反抗期なのか。自分は舞夏に反抗されるような事をしたのか。 否。そんなはずはない。 毎日記入している門外不出の『舞夏育成ノート』にはそのような記述は一切ない。 万一あったとしても自分がそのような愚行を犯しておいて、忘れるはずがない。 ではなぜ…? 「にゃー…」 べちゃり、と音がしそうなくらいの脱力ぶりでテーブルに突っ伏すシスコン軍曹。 そのテーブルには舞夏が早起きして作ったのであろう、味噌汁が入った鍋が置いてある。 その鍋を見つめながらシスコン軍曹は再び思考の渦に身を投じる。 事の発端は天草式の少女が上条の部屋を訪れた日だ。 舞夏と楽しくホワイトシチューをつつくはずだったのに、当の舞夏が突然血相を変えてベランダの壁をぶち抜き上条宅へと突入していった。 ほどなくして戻ってきたと思えば味噌汁がどうのこうので舞夏クッキングタイムに入ってしまった。 こうなると兄でも手がつけられない。 話だけでも、と一度だけ邪魔をした時があったが、その時は凄まじいボディブローを食らい一撃KOされている。 それからというものの、舞夏の味噌汁奮闘記に付き合わされ続けている。というか味噌汁しか出てこない。 愛する義妹の手料理と言えど、一ヶ月以上も毎日味噌汁しか出てこないとなると流石のシスコン軍曹も飽きてくる。 (にゃー…。味は文句なしなんだが、以前のような愛がないにゃー。これでは俺の腹は満たせないんだぜい) しかし、こんな事を意見すれば待っているのは悶絶ボディブローだ。味噌汁をぶちまけたくなかったら黙って食べるしかない。 「食べ物に不自由するのは結構つらいぜい。カミやんも毎日こんな生活なのかにゃー」 思わずそんな独り言を放った直後、土御門はあるとんでもない可能性に気付いてしまう。 舞夏がおかしくなったのは上条当麻の部屋に行ってからだ。 (まさか…) そしてその上条当麻は関わった女性に対して高確率かつ平等にフラグを立てる旗男だ。 (そんな事が…) その上条当麻は日々食糧難に苦しんでいる。 (あるはずが…) そして舞夏は上条宅から帰還後に究極の味噌汁開発に明け暮れている。 これらの事実から推測される事は…。 「ふざけるなああああああああ!!!!!!!おのれ!!!上条当麻ああああああああ!!!!!!!!!」 ガタッ!!と凄まじい勢いでシスコン軍曹は立ち上がり野太い声で叫ぶ。 「外国人巫女様お嬢様妹巨乳でこ女子高生豊乳シスター爆乳エロスお姉さん堕天使エロメイド隠れ巨乳と散々フラグを立てておいてまだ足りぬか!!!!」 いつもの軽い口調は完全に吹っ飛んでいる。この男、マジである。 「今までは大目に見てきたが舞夏だけは許せん!!もう見過ごす事はできんっっ!!!!!!!」 そう宣言すると土御門はベランダではなく部屋の壁をぶち抜いて上条宅へと侵攻していくのであった。 4 一端覧祭を控えいつも以上の喧騒が広がる学園都市の中でこの空間は静かだ。 ちょっとアルコールの匂いが鼻につくが、それでもどこか心地良さを感じる事ができる。 辺りは一面真っ白で清潔感そのものだった。 すれ違う人も落ち着いていて平穏な時間を過ごしているように見える。 海原光貴はそんな廊下を歩いていた。 つい今しがたショチトルという少女の見舞いを終えたところだった。 あれから毎日の日課になっているが、未だに口を利いてもらえない。 それでも最初の頃は転院した事も教えてもらえず、病室にすら入れてくれなかったのだから見舞いができているだけでも彼女との距離は確実に縮まっている。 「ようやく、向き合えてきたのでしょうかね」 海原は思わず頬を緩めてしまう。 自分は『組織』を抜け学園都市の暗部へと潜りこんだ。多くの命を奪い、自らの目的の為とあれば大切な人を傷つける事すら考えた程だ。 そんな闇に染まった自分にこんな穏やかな感情がまだ残っていたとは。 まだ少し痛む頭で海原はぼんやりとそんな事を考えていた。 「おや?」 病院を出て携帯電話の電源を入れるとディスプレイに見慣れた番号が表示される。 その番号をプッシュしようとした瞬間、 ヒュン!と空気を切り裂くような音と共に一人の少女が現れた。 「結標さん、トラウマは完全に克服されたのですか?」 「茶化さないで。これでも精神集中して慎重に演算してようやくできたんだから」 そう返答した結標の背中には低周波振動治療器はなかった。常に携帯してあった懐中電灯もない。 これはあの日、結標が『仲間』に誓った覚悟の証。 自身のトラウマがどうこうという問題ではない。自分の力で『仲間』を助ける。ただその一点。その一点が結標淡希を突き動かしている。 「それにしても、よくここにいるとわかりましたね」 「あなたの行動パターンくらいわかってるわよ」 結標はぶっきらぼうに答える。 「それはそれは」 海原は少し笑みを浮かべて、 「ところで用件は何でしょう?もしかして一端覧祭のデートのお誘いですか?」 「まだ平和ボケしてるんだったら、そのニヤけた顔にコルク抜きでもぶち込んであげようかしら?」 結標は不適な笑みを浮かべながら海原へ冷たい視線を送る。 懐中電灯を持たない今、結標の攻撃は予備動作なしで繰り出される事になる。その事を瞬時に理解した海原は降参とばかりに両手を上げる。 「仕事…ってほどじゃないんだけど、ちょっと協力して欲しい事があるのよ」 海原は表情を少し引き締め答える。 「先日の『残骸』の件ですか?」 結標は頷くと付いてこい、と言わんばかりに歩き出す。 「あなたは察しが良くて助かるわ。世界中に散らばっていた『残骸』が急に回収されたのは知っているわよね。それでちょっとばかり引っかかる事があるのよ」 「引っかかる事…ですか?」 海原は正面からテントの骨組みを持った男子高校生を避けながら結標に先を促す。 「私は以前、地上に落ちた『残骸』を回収してるけど、その時は一方通行に破壊されてるの。でもここにきて学園都市が急に『残骸』を回収し始めてるの」 「『残骸』は『外』の連中が血眼になって回収に飛んでいるはずですが…そもそも、それが『残骸』だと言う確証は?」 「ないわ。ただ、この件で人員不足の『アイテム』がわざわざ『外』まで出向いてる事を考えるとあながち嘘でもなさそうじゃない?」 「さっき世界中と仰りましたが、それが本当だとしたらそれなりの数の『残骸』が既に地上にあるという事になりますが…」 「いくつか地上に落下していたんでしょう。『外』の連中に回収されても問題ないとは思うのだけれど…データを失うのが嫌なのかしらね」 「しかし何で今なんでしょうね?貴女が『残骸』を回収したのは九月半ば。二ヶ月も経った今頃になって回収し始めるというのは…」 「それが引っかかってるのよ。『外』は今戦争直前で混乱しつつある。レベル5を二人も失った今の学園都市に寄り道をしている余裕があるとは思えないわ」 「しかし、それが寄り道ではなく近道だとしたら」 海原が質問するように返す。 結標は足を止め、天を仰ぎ、答える。 「もしかしたら私達にとっても近道になるかもしれないわね」 5 垣根帝督はとある高校の校門前に立っていた。 ミディアムヘアの金髪を靡かせ、校門前で佇む彼の姿は他校から殴り込みを仕掛けに行く不良のようにも見える。 当然、とある高校の生徒からの視線が集まるが、垣根はそんな事は気にしない。彼の目的は一つしかないからだ。 そんな彼に横合いから話しかけてくる人物が一人。 「こんな所で立って何をしているのですかー?」 垣根は声のした方向に視線を移すが何もない。 いや、いた。 自分の肘あたりに、訝しげな視線を向ける一人の幼女が。 「見ての通りここは高校ですよー?服装を見る限りあなたはここの生徒には見えませんが…?」 幼女にしては話し方が妙に大人びている。だが問題はそこではない。なぜ高校の敷地内に堂々と小学生と思しき幼女がいるのか。 しかしそこは紳士な垣根。警戒されないように優しい口調で言葉を返す。 「俺はここの生徒に用事があるんだよ。もし迷子ならここの職員を訪ねるといいよ」 「私は迷子なんかじゃありませんよー?と言うかここの先生です」 この小学生、中々面白い事を言うじゃねえか、と垣根は頭の中で感心する。しかし、こんな子供に構っていられるほど暇ではない。 「とりあえず職員室にでも行こうか」 垣根は幼女と共に学校敷地内に入ろうとするが幼女は断固阻止する。 「殴り込みはいけないのです!何か理由があるのなら先生が聞くのです!」 幼女は垣根の左足をガッチリとホールドしている。 まだ続けるのかこのガキ、と紳士な垣根が眉間に皺を寄せかけると、 「月詠先生。何をなさっているんです?」 今度は落ち着いた、大人の女性の声が聞こえた。声の主は教師を絵に描いたような黒縁眼鏡に整った髪、これと言って特徴のない顔といい教師の鑑みたいな女だった。 垣根はこの女がこの高校の教師であると確信すると、 「ここの高校の雲川芹亜という方に会いに来たんですが」 いきなり尋ねられた女教師は不審に思いながらも、雲川という生徒について考える。が、そんな生徒がいたという記憶はない。生憎だけど知らないわね、と答えようとした時、 「雲川ちゃんですか?だったらこの時間だと食堂にいるんじゃないですかー?」 また幼女が口を挟んできた。うんざりしながら幼女に視線を戻すと幼女は続ける。 「彼女はいつも食堂の椅子を繋げて寝ているのです。今ちょうど昼休みも終わったところですし、早く行かないと雲川ちゃん寝ちゃいますよ」 なんでそんな事まで知っているんだ、このガキ。という疑問を飲み込み垣根は少し考える。 様子を見るとあの女教師は雲川自体を知らないだろう。このガキの言ってる事も信用できないが、ここまで具体的に言い切るのなら知っている可能性もある。 もし違かったのなら職員室で尋ねればいいだけだ。何よりさっさとこの面倒臭い状況から抜け出したかった。 そう判断すると「ありがとう、お嬢さん」と幼女に微笑みかけ校舎に向かって歩いていく。 そんな少年の後ろ姿を呆然と眺める特徴のない女教師――親船素甘は隣にいる幼女教師――月詠小萌に視線を向け、 「あんなどこの馬の骨ともわからない少年を校舎に入れてしまってもいいんですか?それに今は黄泉川先生は休み、災誤先生は未だに療養中なのに…。何かあったら対処できませんよ?」 しかし幼女教師は平らな胸を力いっぱい張ってきっぱりと返答する。 「大丈夫なのです。あの子はそんなに悪い子には見えません」 一体何を根拠に?と親船はさっぱり理解ができずに首を傾げるが、きちんとした理由があった。 初対面なのに「え?こいつ教師なの?」と聞かれなかったという立派な理由が。
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/658.html
神裂火織は長身な方だ。 世界的に見て小柄な日本人の女性としては特別に高く、まず同性相手では相手を見下ろす事になる。 相手が男性ならば見下ろすか、それとも対等の目線か、だ。 だから、彼と対峙した時に見上げる事になるのは 彼が特別と感じられて少し恥ずかしかったり嬉しかったりする。 とある教会の廊下を歩く彼女の視線の先にはとがった金髪と お世辞にも趣味のいいとは言えない柄のシャツがあった。 どちらも教会には相応しくなく、まず間違いでない事を確信させる。 と、その件の人物の方から声をかけてきた 「お、ねーちん。どうかしたのかにゃー?」 「土御門、こんなところにいましたか。最大主教が探していましたよ」 その言葉に土御門は笑うが、サングラスで隠された瞳の奥の意志は解らない。 「そんな理由ならばっくれさせてもらうんだぜぃ。どーせ言葉の事だろうし」 「……あの言葉遣いは貴方の仕業だったのですか。 悪戯も度が過ぎると身を滅ぼしますよ?」 「毎度毎度滅茶苦茶な事おしつけてくれる無茶な上司にひとさじの復讐を… 自由無き労働者のささやかな権利だにゃー」 「ひとさじどころではないでしょう」 軽口の応酬。ヒトと話す時は真面目一辺倒な神裂だが土御門といる時は別だ。 付き合いが長いのでそれなりの対応も出来る。 とはいえ、根が真面目な事には変わりは無い。 彼女が彼を探していたのはこのようなやりとりをする為ではない。 神裂はおもむろに頭を下げた。 「……何の真似かにゃー?」 「いえ、礼を、と思いまして」 土御門は首をひねる。本当に何の事か解らないようだ。 「刺突杭剣…いえ使徒十字の件です。 アレが持ち出された時にかなり頑張ってくれたそうじゃないですか」 「結局俺はほとんど役に立たなかったんだが……何でそれでねーちんが礼を言うのかにゃー?」 「いえ。ただ嬉しかったものですから」 そう、嬉しかったのだ。 結果的には違ったとはいえ、最初は刺突杭剣だと考えられていた。 聖人を殺す剣が使用された時にまず狙われるのは聖人である神裂火織である。 神裂は彼が一番大事なものを決めている事を知っている。それが自分で無い事も。 そして彼が助ける人を選ぶ事を決めた人間だという事も解っている。 人を選ばず全てを救う事を決めた自分とは決して相容れない人間だ。 そんな彼が、しかし間接的にとはいえ自分を助けようと動いてくれた事、 それがただ嬉しかった。 彼の守りたいものの中に入ってると錯覚出来たから。 「そうニコニコされると何か気味が悪いぜぃ…」 頬に一筋の汗をかく土御門とニコニコ微笑み続ける神裂火織。 普段とは逆の立場に神裂の笑みは一層深くなる。 (ホントに……………嬉しかったのですよ?) 英国に来たばかりで右も左も解らなかった時に色々教えてくれた事も。 仕事を始めたばかりの頃に色々面倒をかけてしまい謝ったら いつもの軽薄な笑いを浮かべて 「気にする事はないにゃー。むしろ礼なら体では———へぶぁっ!?」 と言って有耶無耶にしてくれた事も。 自分がまずい対応をしてしまったらさりげなくフォローをいれてくれる事も。 思いつめて相談したら冗談まじりに一応の解決策を示してくれる事も。 嘘にまみれて解りにくい優しさを感じられる全ての事が嬉しい。 「そうですね。食事でも奢りましょうか。美味しいお店を見つけたのですよ」 「イギリス料理だけは勘弁にゃー?」 そう言って教会の扉を開く。 ロンドンは今日も霧につつまれて、何もかもぼやけてしまっている。 そんな中を珍妙な恰好をした日本人ふたりがとても楽しそうに歩いていく。
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/654.html
とある喫茶店の一日 〜Mad_Tea_Party〜 君はこんな噂を耳にしたことはないかな? その喫茶店には、普通にはありえない出会いが待っている。 現在過去未来の全てにおいて接点のないはずの人とも、“偶然”巡り会えてしまう不思議なカフェ。 アーネンエルベ。 もしも街を歩いている時、そんな名前の看板を見かけたなら。急ぎの用事がないなら、足を踏み入れてみるといい。 とても貴重な経験が出来るはずだ。 まあ身の安全の保証は出来かねるが……いやいや、何事も自己責任ということだよ。 店自体の質もとてもいい。マスターオリジナルのブレンドコーヒーに、軽めのツナのサンドウィッチ。あとはモンブランでもあれば言うことなしだ。 そうそう、座るならテーブル席を選ぶべきだ。向かいに座る人がいたなら、その人はきっと、君が絶対に出会えない相手だろうからね。 キィッ、と擦れる音を立てて木製の扉が開く。カランコロンという鈴の音が、少し遅れて続いた。 視界に入ってきたのは、電灯を極力排した薄暗いカフェテリア。まあ雰囲気づくりは悪くない。さびれていると言い換えることも出来そうだが、どうせ“この街”では平日の昼間に繁盛している店はないから気にすることもないだろう。 案の定、並べられたテーブルはどれも空席だった。たった一つ、奥まった場所に置かれたテーブルに赤っぽい制服の少女と白っぽい修道服の少女が陣取っている。白昼堂々サボリとはたいした度胸だ。修道服ということは、第十二学区の学生かもしれない。わざわざこんな所まで足を運んだのは、教員の見回りを回避するためだろうか。 (…………ン?) 不意に、自分の思考に疑問が浮かぶ。 “こんな所”って、一体どこだ? この店に入る前に、街のどのあたりを歩いていたのか思い出せない。 しかし、疑問が違和感に変わる前に、カウンターから声がかかった。 「——いらっしゃいませ。お一人ですか?」 男にも女にも、大人にも子供にも、聖人にも囚人にも見える人物。ついでに言えば店長とも店員ともとれる態度だった。長すぎる髪を大きな三つ編みに束ね、花柄のエプロンをつけてコーヒーカップを持ち上げている姿に、彼はなぜだか対軍兵器級のツッコミを入れたくなったが、ギリギリで自制する。 「……あァ」 「テーブル席とカウンター席がございますが、どちらに?」 「テーブル」 「かしこまりました。左手奥のCテーブルをお使いください。注文がお決まりになりましたら、卓上のベルを鳴らすか、カウンターに直接声をかけてくだされば承ります」 手振りで了解したことを伝えると、彼は支持されたCテーブルとやらに向かう。静電気で髪の毛を持ち上げられているような奇妙な感覚があったが、不思議と店を出ようという気にはならなかった。 ——その喫茶店には、普通にはありえない出会いが待っている。 いつ聞いたのかも思い出せない、うさんくさい噂話を真に受けた訳でもないのだが。 こうして学園都市最強の超能力者、一方通行(アクセラレータ)は、今日という取り戻せない日をアーネンエルベで過ごすことになった。 時刻は午後一時。少し遅めのランチタイム。 ◇ ◇ 一方通行が座ったテーブルの二つ隣り、Aテーブルには、赤と白の対照的な少女達が座っている。 クリームソーダのアイスに刺さってしまったストローと格闘している修道服の少女がインデックス。注文した紅茶に自前のブランデーをボタボタ足らしている冬用制服の少女がサーシャ=クロイツェフ。 彼女達は、一方通行が想像したように学校をサボってこの店に来ていた訳ではなかった。二人はもともと学園都市のどの学校にも所属していない、いわゆるモグリの住人なのである。 しかし、それも実は今日までの話。 「明日から、かぁ。いいなぁサーシャは。ロシア成教公認で転入出来るなんてー」 「そうは言うけど、あくまで諜報活動の一環としてであるし。むしろ周りの人たちを騙しているようで気が引けるというか」 インデックスのぼやきに、サーシャが控えめに答える。 ここ最近の彼女たちの話題は、「サーシャの学園都市への転入」に集中していた。 一端覧祭と『灰姫症候(シンデレラシンドローム)』の事件が無事終わり、さあ別れを惜しもうとした所へやって来た国際郵便。開けてみれば近所の中学校への転入手続き書類とサーシャに当分の間学園都市への駐留を命じる指令書だったのだから驚いた。 えらいこっちゃえらいこっちゃと騒ぎながらも準備しているうちに、いよいよ明日が初登校の日。 今は学生向けのデパートで注文しておいた冬服教科書その他の必要雑貨をまとめて引き取ってきた帰りなのである。テーブルの下にはパンパンに膨れた紙袋がいくつも置かれていた。大分冷え込んできたこともあって、冬服だけは受け取ってすぐに着替えたが。 ちなみに、サーシャは転入先である夕凪中学校の女子学生寮に既に部屋を与えられていたが、そちらではほとんど寝泊りしていない。これまで通りとある少年の部屋に押しかけ居候のような形で暮らしている。 「でも、さあ」 インデックスの愚痴は止まらない。ここ数日ずっとだ。 上条さん家の白シスターは、決して赤シスターを妬んでいる訳でも、ましてや恨んでる訳ではない。それだけは絶対だ。 けれども、 『サーシャが学校に行くようになると、また私は昼間一人ぼっちになっちゃうもん』 口に出した訳ではないが、サーシャは友人のそんな隠された本音を察してしまっていた。 自分が属している魔術サイドとは敵対していると言って差し支えない科学サイドの街で、朝から放課後までという長い時間をたった一人で過ごす寂しさはどれだけのものだろう。サーシャはようやく出会えた、さの寂しさを分かち合える友達なのだ。 その彼女までが、学校に通うようになれば。 (……問一。どうすればいいのでしょう?) 落ち込み続ける友にかける言葉も浮かばず、天にまします我らの父とかに祈ってみる赤シスター。だがそう簡単にありがたいお告げを下さるほどこの作品(せかい)の神様は親切じゃない。 その代わりと言ってはなんだが、感覚的には右斜め後方から幻聴じみてか細い女の子の声が聞こえてきた。 (えっと。……とりあえず、何でもいいから褒めて、褒めて、褒めまくってみるのはどうですか……?) なるほど。ありがとう私の天使(スタンド)。 (え、そんな、私オラオラとかアリアリとかだが断るとか出来な——あれ、もしかして今後私ってそういう扱いなんですか?) それこそ神のみぞ知る、だ。 サーシャ=クロイツェフは意を決し、怒涛の褒め殺し作戦を敢行する。 「そう、だ。インデックス、注文した時と今日と、デパートまでの道案内をしてくれてありがとう。やはりこの辺りの地理には、まだ慣れていないから」 「大した事じゃないよ。私が案内できたのは、昼間暇な時にぶらぶらするコースだったからだもん。——うん、昼間、暇だから」 一層暗くなる声に、サーシャは第一撃が裏目に出てしまった事を悟る。 「うう……ん、荷物も、半分持ってくれて、感謝している。これはとても一人で持てる量ではない」 「……でもさりげなく教科書とかの重い袋を自分で持って、服とか靴なんかの軽い方を私に回してるよね」 続く第二撃が(両者の)ボディをえぐるように打つ。 「ああああああ。そ、そのクリームソーダ、おいしい?」 「うん。サーシャのおごりだけどね。とうまは私にお金持たせてくれないから」 第三撃が急所に当たった! 効果は抜群だ! 「…………大丈夫?」 「うん。うん。大丈夫だから……今は貴女のために祈らせてください……」 挙句の果てに慰められてしまう。十行足らずで精神的にフルボッコされたサーシャの明日はどっちだ。学校か。 その頃、彼女達の二つ隣のテーブルで白く、白く、白い超能力者が四肢を震わせてツッコミ衝動に耐えていたことを知る者はいない。 誰にだって出会いを選ぶ権利はある。
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/1319.html
十一月二九日、午後四時 「今日は久々に肉料理でも作ってやっかな」 ゴミ一つ無い第七学区の歩道を、とある不幸な少年が学生鞄を持って歩を進めていた。 少年が持つ鞄には携帯から付け替えたカエルのストラップがぶら下がっている。 「昨日は野菜炒め、一昨日はもやし炒め……野菜ばっかだ。よし、今日肉決定」 インデックスには第三次世界大戦で大変な思いをさせてしまったので、たまには奮発しなければ、 と早歩きでスーパーに踵を向ける。 (牛肉……は高い。豚肉で我慢してもらうか) 居候の少女は、食料を出せば何も言わずに口を動かすタイプなので、多少安い肉でも問題はないだろう。 「残金千五百円……ギリギリ二人分(+猫一匹分)ぐらい買えるな」 氷河期に突入しそうな財布を確認しながら、前方不注意で歩いていると、 ぼんッという音と共に、背を低くして歩いていた上条当麻の顔に何かに激突した。 なんだ?、と顔を上げると、 目の前に白くて柔らかいものがあった。一瞬の間を空けてそれがTシャツの白だと理解し、 ついでに女性の胸だという事も分かってしまった。 「なっ!!?」 慌てて顔を上げて、被害者女性に対して速攻土下座モードに切り替えようとする。 なんか、最近土下座してばっかだな、と思春期男子が若干泣き目で凹んでいると、 「……久しぶりに会った相手に、まず最初にする行為が土下座ですか? その性格は相変わらずのようですね」 聞き覚えのある清楚で落ち着いた口調に顔を上げると、そこに居たのは、 「……神裂?」 「お久しぶりです、上条当麻。学園都市というのは無駄に広いので今日中には会えないかと 思っていましたが、幸運です。唐突ですが、ちょっとお話したいことがあるのですがよろしいですか?」 第3次世界大戦後、上条当麻の不幸な日々が再び幕を揚げる。 同時刻、第一〇学区廃ビル内 「あァ?仕事?今、終わらせたとこだよ」 『いえ、それではなく新しい『仕事』です』 元オフィスビルの三階の一室。学園都市七人のレベル5の一人、一方通行(アクセラレータ)は、 いかにも面倒くさそうに携帯を握っている。 そして、その周りには二〇人強の屈強な男達が散らばっている。 「学園都市にクーデターを起そうとした少数派のクズ共の殲滅……『仕事』は終わらせた。 まだ、何かあンのか?」 『ええ。土御門も別途で行動します。まあ、『仕事場』までは、少々、遠出ですが』 電話の相手は一方通行の所属する『グループ』のメンバーの一人、海原光貴。一方通行と共に 裏の世界に生きる人物の一人である。 「めンどくせェ。また、あの『電話の男』か」 『いえ、伝えてきたのは『その男』ですが、なんでも今回の仕事は学園都市統括理事長からの 直々の指令だとか』 (統括理事長から直々に……どォゆう事だ?) 一方通行は統括理事長と聞くと、あまり記憶を掘り返したくないことが有るのだが、 それから言われた『仕事』というのは少し興味がある。 「……で、その『仕事』ってのは一体どォゆう物なンだ?遠出ってのも気になるしな」 『はい。今回の『仕事』は『原石』への接触、及び調査です。』 (『原石』……という事は、「外」での仕事か。) 「『原石』への接触か……別に構わねェが、どォして『回収』じゃなく『接触』なンて 回りくどい事オーダーしやがるンだ?上層部のクソ共は」 学園都市なら『接触』などと面倒な手は使わずに、迷わず『回収』に走るはずだ。 それを態々『接触及び調査』など控えめな注文を出すのだろうか。 『それに関しては僕も『電話の男』に尋ねたのですが、「お答えできません」と一蹴されて 電話を切られてしまいました。黙って仕事しろ、という事なのでしょう。』 「ち、めンどくせぇ。で、その『仕事場』ってのはどこにある?」 『先ほども言ったように少々遠出ですが』 『イギリスです』 上条とは違う場所で白き最強が動き出す。
https://w.atwiki.jp/kinsho_second/pages/2768.html
前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある幼馴染の幻想殺し 序章 ④再会 上条が退院した翌日、上条は美琴に連れられ第四学区のレストランへと向かっていた。 レストランに入ると上条にとって非常に懐かしい男性と女性が待っていた。 「旅掛さん、美鈴さんも…」 御坂旅掛と御坂美鈴… 二人は美琴の両親で幼かった上条にとって両親を除いた唯一の大人の味方であった。 「久しぶりだな、当麻君」 「…はい、お久しぶりです」 美琴が上条の顔を見ると何処か浮かない顔をしている。 上条を両親に会わせれば喜んで貰えると思っていただけに、 美琴はどうすればいいか分からなくなっていた。 「それにしても大きくなったわね。 10年も会ってないんだから当たり前か」 「あれから10年も経つんですね」 (そうか、お兄ちゃんはまだ あの時のことを…) 美琴は上条が喜ばせると思ってしたことが上条を逆に苦しめていることに気付く。 上条にとって御坂家との思い出は楽しいものであると同時に、 当時の自分を取り巻いていた状況を思い出させる苦いものでもあるのだ。 美琴は自分の浅はかな行動に自己嫌悪を覚える。 そんな美琴の心情を察したのか、上条は美琴の肩に手を置いて言った。 「そんな顔するな。 旅掛さんや美鈴さんに会えて嬉しいって気持ちも本物なんだから」 「…ごめんね」 そんな二人の様子を見て旅掛は言った。 「すまない、当麻君。 俺達も当麻君と久しぶりに会いたくなったんだ。 それに当麻君に大事な話もしなくちゃいけないからな」 「大事な話ですか?」 「取り合えず座ってちょうだい、当麻君の話も聞きたいし」 「…分かりました」 そして上条と美琴は四人席のテーブルに腰掛けるのだった。 「まあ、そんな感じです」 上条は主に学校での生活について旅掛と美鈴に語って聞かせた。 日々の不幸はあるものの、楽しい日々を送っている。 その言葉に旅掛と美鈴も笑顔を見せるのだった。 「刀夜さんの判断は正しかったかもしれないな。 オカルトと対極に位置するこの街なら、以前のようなことには…」 旅掛はそう言って口を噤んだ。 「すまない、不用意なことを言ってしまって…」 「気にしないでください。 さっきも言った通り、俺は楽しい日々を送ってます。 それにいつまでも過去ばかり見ているわけにはいきませんし」 「当麻君がそう思えるようになって本当に良かったわ」 「まあ、こう思えるようになったのは最近なんですけどね」 「…当麻君、君に一つお願いがある」 「何ですか?」 「これから先、ずっと美琴ちゃんのことを支えてあげてくれないか?」 「…」 「俺もまだ美琴ちゃんから詳しい話を聞いたわけじゃない。 だが美琴ちゃんが何か大きなものを抱えてしまったことは分かってる。 俺達は美琴ちゃんがいつか自分から話してくれるようになるまで、 親として美琴ちゃんを支えるつもりだ。 でも美琴ちゃんのことを本当に支えてあげられるのは、当麻君しかいないんだ」 「…逆に俺が傍にいることで、美琴に不幸が降りかかるかもしれませんよ」 「当麻君が決して不幸なんかじゃないことを私達は知ってるわ。 でも当麻君が自分を不幸だって決め付けてる限りは幸せは決して訪れない。 当麻君が本当に美琴ちゃんを不幸にすると思ってるなら、 私達の勝手だけど この話は断ってちょうだい」 「…俺は先日 美琴の笑顔と言葉に救われました。 美琴の笑顔を見て、あんな風になる前の自分を思い出すことが出来たんです。 そして美琴の言葉で、美琴のためにも自分の幸せを諦めないことを決めました」 「当麻…」 「正直に言うと まだ恐い部分はあります。 美琴は俺にとってかけがえの無い大事な存在だから。 大切に思えば思うほど、何かあった時のことを考えると恐くなるんです。 でも もし何かあっても美琴のことは必ず守ってみせます。 だから 美琴との交際を許してください」 上条の言葉に美琴は思わず涙ぐむ。 そして旅掛と美鈴の顔には満面の笑顔が溢れているのだった。 「当麻君は本当に強くなった。 そして今の君になら安心して美琴ちゃんを任せられる。 良かったな、美琴ちゃん」 「うん」// 美琴は涙を袖で拭いながら旅掛の言葉に頷く。 すると美鈴がカバンの中から、一枚の紙と何かの鍵を取り出した。 「そんな美琴ちゃんにプレゼントがあります!!」 美鈴はそう言って紙と鍵をテーブルの上に置く。 「あの、これは?」 上条は何か嫌な予感がして美鈴に恐る恐る尋ねる。 「まずは中身を見てちょうだい」 上条と美琴が紙を覗き込むと、そこには常盤台学生寮退寮受理と書かれていた。 「ちょっ、これどういうこと!?」 「ふふ、当麻君と美琴ちゃんの恋人生活のお膳立てをしようと思ってね」 「もしかして、この鍵は?」 「うん、当麻君と美琴ちゃんの愛の巣の鍵よ」 それを聞いた途端、美琴の顔は一気に赤く染め上がる。 そして上条は逆に頭を抱えて溜息を吐いた。 「どうした 当麻君、嬉しくないのか?」 「嬉しいとか、それ以前の問題でしょ? 俺達は学生で、しかも美琴はまだ中学生ですよ」 「だから、ちゃんと当麻君には選択肢を残しておいたわ。 当麻君の寮の退寮手続きは流石に取ってない。 だから、美琴ちゃんと暮らすのがまだ早いと思ったら断っていいのよ」 美鈴に言われて、上条は隣に座る美琴を見る。 自分が心から守りたいと思い、支えてあげたいと思った大切な少女。 その体は華奢で何かあったら簡単に壊れてしまいそうである。 傍にいてあげたい、何より自分が傍にいたい。 なら年上の自分が傷つけないように注意を払えばいいだけだ。 「…分かりました、お心遣い感謝します」 そして上条と美琴の同棲生活が決まるのだった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある幼馴染の幻想殺し