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学園都市のとある学区のとある病院。 そこに来る患者には不思議な人間が多かった。 例をあげれば、一万人を殺した『一方通行』だとか。 とある少女のクローン、『打ち止め』だとか。 ある日その病院に『常連』がやって来る。 そこに入院している一〇〇三二号という少女はその『常連』である少年に会いに行く。 「またですか、とミサカは溜息をつきます」 「な、なんだよっ」 「それで今度はどこの美少女を助けてきたのですか、とミサカは確認をとります」 「それ決定事項!?」 上条当麻というまたも怪我をして運びこまれたのである。 その少年から御坂妹と呼ばれるミサカ一〇〇三二号は無表情ながら呆れた様子。 「今回は違うっ!今日はだれかが捨てた缶コーヒーをふんで階段下まで転げ落ちただけだっ!」 そうなのだが、しかし。 「ミサカ二〇〇〇一号から『あの人に助けてもらった~ってミサカはミサカは~』 という報告が届いています、とミサカは真実を告げます」 「うっ!?」 缶コーヒーを踏んでもまだ体勢は立て直せそうだったのだ。 すぐそばで打ち止めが同じく転びそうでなければ。 それで打ち止めの手を引っ張って階段とは反対方向に倒し。 代わりに自分が落ちたと。 「まったく、あなたは雑草のようにどこでも根を張るのですね、という本音をかみ殺しつつ、ミサカは笑顔でごまかしました」 「なにもごまかせてないだろ、それっ!」 騒ぐ少年を見つめ、御坂妹は溜息をつく。 (どうして誰も彼もこの少年を好きなのでしょうか、とミサカは――) この少年は誰の心にだって根を張ってしまう。まるで雑草のように。 ミサカの敵は、多い。 病院は騒ぎ声が絶えない。 カエル顔の医者は苦笑して人を助け続ける。
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アリサ・イリーニチナ・アミエーラ 年齢:22歳 性別:女性 身長:165cm 体重:??kg 声優:アグリア 「ゴッドイーター」シリーズのキャラクター。 レイズにはレゾナントオプスとのコラボでクレアと共に参戦。 アニマは他のコラボキャラと同じ虹、魔鏡技は「零式・斬霧」。 +レイズでのパンチラ 残念なことにブラックホール…。 +アリサの変遷
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地平の向こうから、空が紅に染まる刻。 アベル=V=スカーレットは真紅の髪と風景の色合いが織り成す光景だけで一枚の絵が描けそうな立ち居振る舞いで、とある公園に佇んでいた。 彼にも一つの目的があり、その為にはストーカーまがいのことも厭わないつもりでいたのだ。その為に普段の行動範囲の遥か遠くにある第七学区にまで足を伸ばし、とある少女を待っていた。 そんな彼の前に現れたのは、 「よ、よう。アベル…だったか?」 どこかぎこちない笑みを浮かべる上条当麻と、 「……」 上条の後ろでぺこり、と頭を下げる姫神秋沙だった。 その手を、指まで絡めてしっかりと握りあって。 「こ、恋人のフリをして欲しい!?」 数分前、アベルからは見えない路地裏。 思わぬ遭遇をした上条と姫神だったが、彼女の方はそのことよりも目の前にいる謎のイケメン君を切り抜けることに大事を置いているようで、何故上条がここにいるのかという疑問は出てこなかった。 ……もっとも、それ以上に驚愕の言葉を彼女は口にしたのだが。 上ずった声で上条が繰り返したその言葉に、姫神はこくりとうなずく。 「また。昨日みたいに言い寄られるのは。ちょっと恥ずかしい」 「いや、確かにその気持ちは分かるけど何も俺で無くても―――」 そう言う姫神は上条の手を握ったままで距離を詰めているので、その柔らかい手触りが上条の思考に多大なバグを発生させていた。 (何で俺はほとんどゼロ距離で姫神に手を握られているんでせうか!?一瞬前まで気まずい沈黙が流れていたはずなのに、姫神の手って柔らかいっていうか髪からも良い匂いっていうか、っていやそうじゃ無くて!!!) 「上条君?」 「いえ何でも無いですハイ!」 けっこうな至近距離から小首を傾げて顔を覗きこまれ、かえって顔が赤くなる上条。その頭に拒否するという選択肢はすでに存在しなかった。というか拒否できる男がいるなら見てみたい。 「じゃあ。改めて。お願い。」 「お、おう」 「そうだよな、手くらい握って、当然か…」 大覇星祭の時は気にしていた手を握ったままそう言われ、もうなるようになれと半ばヤケになっていた上条は、ふと。 「なぁ、姫神」 「何?」 「あのアベルをかわして、どこまでこれを続けるんだ?」 考える間も無く、姫神は即答した。 「私の部屋。近いから。だから。そこまで」 「………え?」 呆ける上条を連れて、姫神はアベルの下へと突撃していく。 ―――彼らの後ろに付いてくる、もう一つの不安要素に気付かぬまま。 かくして、アベルの前にぎこちない笑みを浮かべて現れた上条と姫神。 上条の手は姫神の白くてキレイな指で包まれていて、おまけに彼女から宣言された言葉が脳内でぐるぐる回り、とてもマトモな演技をできるとは思えない。 (何ですか、何なんですかこのシチュエーションはぁぁぁぁ!?) 上条の前、車止めに腰を降ろしているアベルの表情は泣きそうでいるような驚いているような不思議なもので、 「ああ、成程……上条、さんと…秋沙さん、は……そういう仲でしたか……」 などと一見して“造り出された”状況を飲み込んだらしく、言葉に困っている。前日に愛を告白した相手が人気の無い路地で男と手を握って歩いていたのだから、その衝撃たるや想像を絶するものだろう。 夏休みの最後に初めて海原光貴(偽者)と会話をしたときを思い出し、なんだかアベルが可哀そうになる。 アイツは体(かお)が偽者で中身(こころ)が本物だったが、コイツは本当に本物なのだ。 それを改めて確信させられる上条。 (あれ?でも俺の名前ってコイツに言ったっけ……?) そんな隣で、姫神はくい、と手を引く。無表情な彼女も、どうしてもこのイケメン君とは離れたいらしい。 「上条君。早く。行こう」 「あ、ああ……って!?」 上条の顔の近くで喋ろうとしたのか、体を寄せる姫神。 その結果、彼女のそれなりに―――否、至近距離ではかなり存在を主張している胸が上条の二の腕に触れそうになったり触れてしまったりして、上条の表情がビキン、という音と共に硬直する。 (姫神サン!?気付いてるの!?気付いてますよね!?) 「……早く」 しかし、自分から手を握ったことで姫神の頭は一杯になっているのか、彼女は上条の顔の近くでも限界を越えて顔が赤くなったり湯気が上がったりはしない。 実は、姫神も姫神で大いに緊張しており、その上げ句に上条に抱きついていることすら自覚が無い。彼女としては上条の顔の近くで喋ろうと思ったが故の行動なのであって、その結果上条当麻の脳内でどれほどの戦争が行われているのか、知る由もないのだ。 ―――もっとも、この場において一番不幸なのは、そんな(端から見れば)甘ったるい光景を見せつけられているアベルに他ならないのだが。 ともあれ苦笑い極まれりという表情のアベルに、ここから早くいなくなってあげるのが最善の手段だと切実に確信した上条は、 「じゃ、行こうぜ。姫神」 そう言って歩き出そうとした瞬間。 「早く行こう」 姫神もまた、同じタイミングで一歩を踏み出した。 彼らは腕を密着させられるほど近くにいるわけで、体は緊張でがちがち。互いに異性をエスコートした経験なんてあるわけもなく、 Q:ここに上条当麻の不幸体質が加わるとどうなるでしょうか? がつっ、と。 彼らの足はできそこないの社交ダンスみたいに絡みあって、バランスを崩した二人は、 間抜けな音と共に上条当麻は姫神秋沙の上に、彼女を押し倒すように転んでしまった。 ひくっ、とアベルの笑みが引きつる音がやけに聞こえる。 「な………」 両手を姫神の肩に乗せ、足は丁度良い位置で彼女を押さえてしまっているこんな状況が理解できない上条。 「…………」 目を丸くし、顔を赤くして黙りこくっているだけで、噛みつく、電撃を浴びせる、ボディーブローを叩き込むなどの暴力に訴えない姫神。 「え……っと」 おまけに、普段表情の硬い姫神が顔を真っ赤に染めて驚いているというのは上条には新鮮で、それも相まって彼女と数センチの間にある柔らかな空気を薄める理由が見つからない。 ただし、見つからなくても、理由は外からやってきた。 バチィ、と。 上条がこの数か月の間に何度も聞いた心臓に悪い放電音。 「アーンーターはー……」 革靴(ローファー)を鳴らし、低い低い声で唸る女子の声。 「……っ!!」 それに反射的に飛び起きた上条が右手を突き出した瞬間。 ズガァン!!と空気を裂く轟音と共に、雷撃の槍が襲ったのだ。 そしてそれは、姫神の前に立ちはだかる上条の右手の後には微塵も通らない。 光が霧散した後、残滓のスパークの中でにへら、と力無く笑う上条の視線の先に、 「アンタはー、こんなところで女の子を押し倒すようなー、見境いの無いエロ野郎だったのかしらー?」 冷たい目の御坂美琴が、いた。 時間は、上条と姫神が恋人ごっこの打ち合わせをするさらに15分程前に遡る。 御坂美琴は、街でとある少年を見つけてしまった。 大覇星祭で罰ゲームの約束をしたままイタリア旅行に行きやがった、あのツンツン頭の少年を。 普段の様子なら何のことはなしに話しかけ、そのまま罰ゲームに連行しようかと思っていたのだが、 ………その少年の様子がおかしい。 何かの目を気にしているような挙動不審さ。 いつも無気力に『うだー……』とか言って歩いている彼を見慣れている彼女には、それが際立って違和感となっている。 彼は御坂には気付く様子を見せず、どこかへ歩いていく。 「何なの、あの変な……」 自問自答を繰り返すうちにいつのまにか彼を尾けながら、彼女は気付いてしまった。 彼の歩く先に、黒髪ロングの女子高校生がいることを。 よく覚えてはいないが、あれは確か少年と同じ高校のものだった、と思う。 (え、何アイツ!?女の子をストーカーしてるの!?) うわ、結構幻滅……などと言おうとして、また気付いた。 「あれ?私も同じことしてるんじゃ……?」 彼を見つけてからおよそ10分。御坂美琴もまた、ツンツン頭の少年をストーキングしていたことに。 (うわーーーっ!!!違う違う違う!私のは………そう、尾行よ!アイツがどこでどんな行為に至るのかをこの目で確かめる必要があるのよ。そう。だからこれは断じて―――) 自分に言い訳を課したところで、空しいだけだった。 「もういいや。アイツを捕まえるのは今日は止めよう……」 と思い、今来た道を引き返そうとして、 前方で、ツンツン頭の少年と黒髪ロングの(顔を見ると結構美人な)女子高校生が、手を握りあっている光景を目にしてしまったのだ。 「っ!?」 あまりに唐突な展開に、彼女の頭にこの道を引き返すという選択肢はとうに消え失せていた。 そして、今。 上条当麻はいきなり叩き込まれた御坂の雷撃に、驚きながらも少しほっとしていた。 (いや、手段には感謝していない。けれど、あの訳の分からない空気を打破するには誰かにぶった切ってもらうのが一番だったんだ……) そうとは知らない御坂はこちらに歩いてくると、軽く溜め息を吐く。 「アンタねぇ、いくらなんでもやって良いことと悪いことがあるでしょうが。……その、こんな……所で……」 最初は威勢も良かったのに、だんだん顔が赤くなっているのはなぜだろう?と首を傾げる上条だったが、 「………。上条君……また?」 いつの間にか上条のすぐ背後にいた姫神が、のっぺりとした表情で問うていた。 普段表情の変化が読みにくい彼女なのに、普段と変わらない表情のはずなのに、その目が怖い。 「ぃやっ?姫神サン、貴女は何か重大な勘違いをなさっていませんか!?」 嫌な汗をダラダラと流して釈明するも、前に姫神、後ろに御坂という狭みうちの状態にある上条当麻の精神的寿命はものすごい勢いですり減っていく。 だが、思わぬ救いがそこにはあった。 ズバッ!!、と。 赤い流星がよぎったような錯覚すら上条達に抱かせて、御坂と上条の間にルビーの髪のイケメン君が立ちはだかったのだ。 「ちょっと!?」 「アベル……?」 割り込まれた御坂は今にも溢れそうな電撃を一瞬でチャージし、そこらのスキルアウトも裸足で逃げ出す気迫でアベルに迫る。 「アンタ、何だか知らないけど―――」 だが、アベルはそれに動じなかった。何事も無い……、それこそ子猫を扱う爽やかなイケメンの顔で、 「上条さん」 と。 姫神秋沙では無く、上条当麻に。 凛とした声で確認を取った。 「貴方は、秋沙さんの彼氏なんですよね?」 「な……っ!?」 「はい?」 顔を赤くした御坂の帯電が目に見えて倍加するのにも構わず、アベルはもう一度問う。 「貴方は、秋沙さんを“守ってくれる”んですよね?」 そこに、昨日見せたプレイボーイじみた雰囲気は一切無かった。 あるのは、一つの恋の結末(バッドエンド)を知った男の顔だった。 (こんなのって―――) 8月の終りに会った、とある名も知らない魔術師の顔がよぎる。偽者のくせに本物だった、いじけ虫な男が。 思わず本当のことを言いそうになる上条だが、 それを姫神は無言で頑なに制する。何かに怯えるような震えすら感じさせる彼女の所作に、それを止められる上条。 だから上条はこう応えた。 「ごめん、アベル。でも……“守るのは”本当だから」 彼氏だとは一言も言わなかったが、アベルにはそれで十分だったらしい。 それは良かった、と。彼は言う。 自分の恋が終わったくせになんだこの爽やかさ、と思う上条に、アベルはさらに信じられない動作を続けた。 「では、このお邪魔虫達は退散しましょう」 そう言って、その背後。 何か帯電したままブツブツと危険な領域に突入している御坂に向き直り、 バヂンッ!!! と。 アベルの左手が彼女の肩に置かれた瞬間、彼女の体に満ちていた電撃が四方へ霧散したのだ。 まるで、―――上条当麻の右手で打ち消したかのように。 「!?」 だが当のアベルは奇妙な現象に周囲の3人が絶句している事に溜め息を吐き、 「さぁ、お早く。秋沙さんを連れて、お行きください」 この一撃をぶつけられたら多分この世の女性はすべからく彼に魅了されてしまうのではないかと思う程、爽やかすぎるアベルの微笑みがそこにはあった。 夕暮れの路地裏に、理解不能な空気が広がる。 「………っは!?」 それから一早く自我を取り戻した上条は(断じてアベルの笑みに見とれていた訳ではない………と思いたい)、姫神を連れてその場をダッシュで走り去る。 「あ、ああ。サンキューな、アベル!!」 「……え、と」 姫神のほうは未だぼんやりした目だが、何とか上条の走りには付いてくる。 どうにか角を一つ曲り、御坂の視界から彼等が消えた瞬間、 「アンタねぇ……何してくれてんのよ……ッッ!!!」 雷鳴と共に、何故怒るのかもわかっていない御坂美琴の叫びが轟いた。 それを全身で受け止めているであろうアベルの無事を結構真剣に祈りつつ、上条と姫神は走ってゆく。 その雷鳴を、遠くに聞く男がいた。 科学の街にあって、その周囲だけは江戸の世にタイムスリップしたような錯覚を覚えさせる黒塗りの二本差しの刀。日本特有の、拵えと呼ばれる刀の組合わせだ。 それでいて、髪はアラブ、服装は和、瞳の色は洋と国籍はバラバラだ。 しかし、この街では国籍など些細なこと。それを全て吹き飛ばして彼の特異性を証明することが、目の前で起こっていた。 「警備員(アンチスキル)……と言ったか?」 彼は今、学生寮と学生寮の間にある小さな公園にいた。 夕食の匂いが漂う、普通の光景だ。 ―――そこに、警備員の一個小隊が倒れ伏していなければ、の話だが。 彼らが纏っているのは、対暴走能力者用の装備。 敵を殺すことを目的としてはいないが、普通の拳銃や刃物では衝撃すら届かない防御を重視した装備だ。 そのはず、なのに。 彼らは今、為す術無く地に伏していた。 伏している理由までも様々。血溜りの中に沈む者もいれば、何かに怯えるようにがたがたと震え続ける者もいる。一見外傷は無いが石のように動かない者も、腕が変な方向に曲ってしまっている者も。 ただし、その中に一人、高校生程の少女を混ぜて。 彼らの布陣は少女を中心に円を描いている。傍目から見れば、警備員の目的は少女の保護だったであろうことが容易に推測できる。 もっとも、倒れた状態の彼らでは壁にすらならないが。 そして、既に気を失っている少女の元で“目的”を果たすと、ふと思いだしたように立ち上がる男。 「科学の街の末端兵では、この“正宗”を理解することなどできないか。……それも当然だ」 どこか自嘲を含む言葉は、独り言 では、なかった。 「お前のような者が、この街にはいるのだからな」 言葉を投げかけられた“相手”は、吐き捨てるように言う。 「どの口がほざく。魔術師」 そこに居たのは、一人の少年。 学生服は普通だが、金髪にサングラスというあまりに目立つ風貌。にも関わらず、その気配は極限まで薄い。目を合わせ、会話を交してようやく、その気配が術式によるフェイクでないことを認識できるレベルだ。 「どこの魔術師だか分からない格好だが……少なくとも陰陽術をかじっているな?」 距離は、10メートル。 一触即発の火花を散らす空間には男の言葉がやけにこだまする。 だが、少年の方はそんな物言いにどこか苛立ちを覚えたようで、 「ああ。“少し”な」 そんな言葉と共に、少年は躊躇無くベルトから鈍色の金属を引き抜いた。 標準を定め、引き金に指を掛け、力を込めて、撃つ。 手慣れした動作には一切の無駄も無く、コンマ1秒の間に鉛の弾は男に直撃する。 だが、その瞬間に。 チン、と。 響いたのは、サイレンサーを経由した気の抜けた発砲音では無い。 日本刀の鍔を戻した時特有の小さな金属音だ。 そして、少年の放ったはずの弾丸は男を貫くことはおろか、その背後にあるブロック塀に当たって跳弾することさえ無かった。 何故なら、 拳銃は斬られていた。 それも、直線ではない。拳銃の銃口と薬室の金具同士が絡むように複雑な軌道で、だ。 「ッ!?」 冷や汗が吹き出す金髪の少年が思わず距離を取るのを眺めながら和服の男は言う。 「警告はした。追って来るならば、次は少年を斬る」 「お前……!」 そう言いながら、和服の男は日本刀を構えた。 ただし、鞘から抜刀せず、帯から直接引き抜いて。 黒の棒でしか無いはずのそれを、地面を撫で切りにする軌道で軽く振る。 そして、爆発が起きた。 火薬によるものではない。純粋な何かの力によって、整備された公園の土が丸ごと抉られ、巻き上げられたのだ。 周囲を覆い尽くす土煙や石つぶての攻撃は大した程では無い。当然、目的は、 「くそっ!!」 土煙を蓑にした、逃走だ。 一陣の風が煙を吹き払った先、倒れた警備員と少女だけの光景に少年は舌打ちをする。 和服の男を追おうにも、手掛かりは何も無い。遠くからはサイレンも近付いている以上、この辺りが引き際だった。 (それでも……) ギリギリまで情報を目に焼き付けようとした少年の目に映ったのは、倒れた少女。その、首筋。 吸血鬼に噛まれたような、二つの赤い穴が穿たれているのを。 上条と姫神は、どこだかも分からない路地を走り抜け、少し大きな通りを歩いていた。 「っ……はあ」 「ごめん、姫神。大丈夫か?どこかで休むっていう選択肢も……」 ほとんど上条のペースで走らされた彼女は、どこか苦しそうだ。 そう思って肩を貸そうとした上条に、姫神はさすがにそれは、といった表情で首を横に振る。 「大丈夫。自分で。歩ける」 相変わらず手をつないだままの二人。傍目にはデートを楽しむカップルにしか見えないのだが、その空気はどこか気まずい。 原因は、言わずもがな。 「なぁ、姫神……」 「アベル君の。こと?」 その一点。 あの、アベル=V=スカーレットという少年のことだ。 ただ、上条と姫神の間には彼の事に関して微妙な差異があった。 上条が気に掛けているのは、彼の思い。 自分が告白した相手が他の誰かと付きあっていることをあそこまで爽やかに受けとめられる人間など、そうはいない。 こちらが引け目を感じるほどの、あんな態度で。 軽い男と言えばそこまでなのだが、上条にはどうにもそう思えないのだ。 「やっぱり、アイツをちゃんと、お前の意志で、振ってやるべきなんじゃないのか」 「………私は」 対して、姫神の言葉は上条の予想とは違うものだった。 「アベル君が。嫌い」 「え?」 初対面であの印象なのだから仕方ないか?と思う上条ではあったが、姫神は言い直した。 「嫌い……?違う。変……?とにかく。良く分からない。の」 「良く、分からない……」 言い直そうとして、失敗した。 それでも、上条の返事にこくり、と頷く姫神。 「何だか。昨日よりも。今日。さっきよりも。今。……段々。アベル君を嫌いになっていくの」 「どういうことだ?」 段々嫌いになるという表現は彼女も納得いかない言葉だったらしく、首を傾げて言う。 「でもそれは。私にも分からない感情なの。まるで。本能みたいなところで私が彼を避けているような」 「本能……ねぇ」 「私の本能。それは……」 「吸血鬼!!??」 「「!?」」 思いがけず彼らの耳に飛びこんだ言葉に、弾かれたように声の方向を見る上条と姫神。そこは、通りからさらに細い路地に向かう入り口だった。 そこに救急車が幾つも群がり、周囲の野次馬を警備員が抑えている。 「何……だ?」 「………っ」 ここから子細は聞き取れないが、野次馬達の断片的な言葉には必ずとあるフレーズが交じっていた。 それは――吸血鬼。 ぎゅっ、と。上条の手に加わる力が増す。それこそ、痛いほどに。 それに応じて隣を見た上条は思わずぎょっとした。 「姫神……?」 彼女は、震えていたのだ。 寒さで震えるのでもなく、心の揺らぎがそのまま体に映っていた。 「おい!姫神!?」 「上条……君」 焦点の定まらぬ彼女の目に映っているのは、きっと上条とは全く違うもの。 かろうじて上条の言葉に応じ、そして、 がくり、と。 糸の切れた人形のように、彼女の体は崩れ落ちた。 あれだけ強い力で握っていた手すら、あっさりと離して。 「姫神ッ!?」 慌てた上条が必死で呼び掛けても、肩をゆさぶっても、彼女は意識を取り戻さなかった。 悪夢にうなされる青い顔のまま、全身の力を失って。
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とある魔術の 堕落天使(コラプト)corrupt. 序章 ヒーローとは何だと思いますか? 誰にでも優しく、力強くて、どんな人間でも守る事が出来る人間。 それがヒーローだと信じた少年が居た。 そんなヒーローに憧れていた。 ドロドロの雨の中、少年は絵本を読んでいた。 体が濡れるの気にせず、熱心に絵本を読み続ける。 赤い手はページをめくる。 雨とは違う、べっとりと付いた赤 絵本には男が沢山の悪役を倒している姿の絵が。 少年はその絵で手を止めた。 強くて 強くて 強くて それでこのヒーローは何を手に入れたのだろう? ある少年はヒーローに憧れた。 誰にでも優しく、力強くて、どんな人間でも守る事が出来る人間に。 とある魔術の 堕落天使(コラプト)corrupt. イギリス清教、必要悪(ネセサリウス)の女子寮の一角。 夜遅くの寮はシン…と静まり返り、殆どの住人が寝入っていた。 そんな中、燭の灯りが照る部屋があった。 その部屋の主は洋風の部屋に似合わない着物を着た女性であった。 背中まで伸びた長い黒髪は纏められており、その女性、神裂火織はベッドに腰掛けていた。 太腿に乗せられた絵本をペラペラと捲っているが、その目は絵本を読んでいるわけではなく。 唯、懐かしそうに見つめているだけであった。 身長のある女性は端から見ればモデルの様なスタイルを持っている。 その女性に更に不釣り合いな異常なまでに長い日本刀、『七天七刀』が近くのタンスの立て掛けてある。 「元気でしょうか……」 ボソッと呟く言葉は誰に向けるわけでもなく自然に口から出ていた。 その瞬間、突然体中を妙な物が駆け巡った。 洗練され、鍛えられた体が反射的に魔術を感知したのだ。 妙に懐かしい感覚の魔術に体が知っている事には気づかない。 とっさにタンスに立て掛けていた刀を取るとベッドから飛んだ。 足が床に付くと直ぐに刀を抜く体制に入る。 部屋のドアと丁度、正反対の灰色の壁に紫色の線が走っていた。 その線は角が付かないように半径1M程の円を作っていた。 神裂はまだ構えている。 紫の線で囲まれた円の中から一つの映像が浮かび上がってきていた。 浮かび上がった物がみるみるうちに輪郭を作り、はっきりとした映像に変る。 (………これは通信用の術式?) 映像には真っ白なフードを被った人間が現れた。 すっぽりと被ったフードで目は見ることができない。 『警戒を解いてくれ、戦う気は無い』 映像に映る人間の口の動きと共に神裂の耳に声が聞こえる。 少し低い、男の声だ。 イギリス語では無く、久々に聞くなまりの無い日本語。 「!」 その声を聞いた時、神裂の顔色が変わった。 「あ……あなたは」 戸惑いと迷い、そして喜びが浮かんだ。 「今どこにいるんですか!?心配したんですよ!!」 その男は神裂にとって知り合い以上の存在であった。 自分の幸福に巻き込まれた男が目の前に居た。 「何で今まで連絡が無かったんですか!?」 神裂の声に男は何も言わない。 神裂は気にせず言葉を出す。 「それに、何故こんな所に通信術式を!?」 この寮には様々な魔術師が存在する。 そんな所に魔術で通信を行うのは、監視カメラの前にいるのと同じ意味をする。 『………それは大丈夫だ。『隠す』魔術は専門だろう?』 男は神裂の言葉に答えると少し間を空けて再び口を開く。 『そこで同じ技術を持つのは、あなた位だろう、見つけれるのはあなただけだ』 男の声に感情は無く、ただボソボソと小さくしゃべるだけであった。 変わらない仕草にほっとする。 「良かった、生きていてくれたのですね」 神裂は心から嬉しそうに言った。 「でも……どうして」 神裂の言葉を無視して男は続けた。 『時間が無い単刀直入に言う、俺はもうすぐ死ぬと思う』 ッザ テレビのノイズの様に映像が一瞬ぶれた。 『俺が死んだ…ら代わ…に』 男の言葉が途切れ途切れになる。 (これは通信術式の妨害……!?でもどうして、誰が!?) 『……を守っ…て……く…れ』 更に映像は悪くなる。 「今、何所にいるんですか!」 神裂が映像に向かって叫ぶ、この手の術式は専門外だ。 修復する事は出来ない。 『日……本』 もはや映像はテレビのノイズの様にしか映らない。 かき消える様な声が神裂に届く。 『頼………む、……ね…え…さ……ん』 ッブという音と共に映像は消え、そこは元の灰色の壁に戻っていた。 「・・・・・・」 神裂は無言で強く刀を握ると、布団には向かわずタンスへと向かった。 いつもの戦闘の為の服に着替えるために。 たった一人の弟に会いに行くために。 現在、深夜1時、時差が有るので日本は午前の10時だ。 飛ばせば夜には付く事が出来る。 ベッドから飛んだ拍子に落ちた絵本が目に映った。 少年が一番好きだった絵本を神裂は拾うと優しく机の上に置いた。 日の射す森の中で、男がはじけ飛んだ。 足元に描かれた紫の円が同時に消える。 男は無言で立ち上がった。 (通信の魔術回路に無理矢理割り込みやがったな……) 通信の途中で別の力が働き、術式の失敗により体にリバウンドで返ってきたのだ。 それは魔術の詠唱を割り込む強制詠唱(スペルインターセプト)と似た様なもので、 通信の術式を横から割り込んだのだ。 通信の術式は電話と同じ様にAからBに回線を繋ぐので、 この回線のAとBの間に割り込む事が可能だ。 だが、 それには自分の場所と繋いだ場所が解らなければ割り込む事は出来ない。 男は軽く舌打ちをする。 (クソが……何処でも見張ってやがるか) 下はダボダボの黒いズボンに上は真っ白なトレーナー。 トレーナーに付いたフードは今もすっぽりと被っている。 黒い運動靴の紐は両方共キッチリと結んである。 両手に黒の革手袋、腰に巻いた小さな鞄にはチョークの様な白い棒がビッシリに入っている。 端から見ればかなり暑そうに見えるこの格好は男の戦闘スタイルだ。 男は鬱陶しそうにまっ白いフードを取った。 フードが取れると共にサラサラとした日本人を示す黒髪が現れた。 男は青年と言うには幼く、少年と言うには老けて見えるが、まだ少年という年代ではある。 だが少年には少しおかしい物があった。 それは黒髪とは不釣り合いな赤い瞳。 その目は森を抜けた先を見ていた。 森が抜けた先に学園都市が存在する。 少年は視線を外すと近くの太い木へと移した。 腰に巻いた小さな鞄から一本の真っ白なチョークを取り出すと太い木に器用に円を描く。 続いてその円の中に三角を書き入れる。慣れた手つきで三角の中にビッシリと文字を書き入れた。 文字には様々な天使の名前が英語で書かれている。そこに魔方陣が出来上がっていた。 チョークを投げ捨てると、書いた円に革手袋をはめた右手で魔方陣に手を付いた。 ぽうっと紫色に魔方陣が光りだした。 『極力連絡は避けてもらいたいんだけどな、』 魔方陣から男の声がした、通信の術式だ。 「……ターゲットの確認だ」 少年が男に向けた声は知り合い同士とは思えない殺意が込められていた。 『確認せずともすでに書類は渡しただろう?まどろっこしいのは無しだよ罪人』 男の罪人という言葉に少年が一瞬反応を見せた。 「………」 少年は黙り込んだ。更に殺意を広げて通信の魔方陣を睨む。 『クククク正直だ、安心しろよ『今』は無事だ』 男の『今は』という言葉に少年は赤い瞳で魔方陣を睨む。 『なんなら声を聞かせてあげようか?』 男の楽しそうな声と共にジャラッと鎖の様な音がした。 『キャァッ!』 少女のか細い声が魔方陣から聞こえた。 「!」 少年が目を見開く。 先ほどまでの殺意が消え、あまり動かなかった表情に恐怖の色が浮かぶ。 『聞こえたか?聞こえたか?ククク』 男の楽しそうな言葉が少年の耳に入る。 『こんな女の何所がいいんだか……僕だったら見捨てるけどね、罪人が正義気取りか?クク」 少年が男の正義という言葉に反応した。 「正義?俺が?……俺は善人じゃ無ェ…依頼が終われば殺してやるよ、糞野郎が」 少年は殺してやる、と何度も口ずさむ。 『しっかりと殺れよ、僕は監視しているからねェ、怖くなってオネーチャンに連絡するなよ』 馬鹿にした様に言った後、楽しそうな笑い声と共に通信が切れた。 少年がギリッと歯を食い縛る。 少年は善人では無い、壊す事のみで存在意義を示す。 その赤い眼がそれを示していた。
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とある美琴の他寮生活<アウトドア>第4章-2 学舎の園まで走ってきた上条は息切れしまくりである。 (まだかなー、お、来た来た、ってあれ、なんか多くないか?) よく見ると常盤台が2人、柵川が2人いる。 (何でだ?) 自動改札のようなゲートを出ると彼女はこちらを見るなり、 「あ、いたいた、待ったー?」 「いや、着いたばっかだけど、その2人は?」 「ああ、こちらが柵川中学1年の初春さんと佐天さん。こっちはわかるよね?」 「ああ、白井さん、だっけ?」 「覚えてくださったのですねー、この黒子、幸せものですの、ってお姉さま、なんでこの人がいるのですの?」 「あー、ちょっとね」 横で、 「この人前見ましたよね、佐天さん」 「あー見た見た。御坂さんと一緒に居た人でしょう。かっこいいとは思ってたのよねー」 「へ、一一一(ひとついはじめ)はどうしたんですか?」 「そっちのほうがいいに決まってんでしょー」 「そうですよね」 あははは、と笑う2人。 美琴を見て変な顔をする白井。 それを見ている上条は、「どうすれば……」と思うことしかできなかった。 16 00 そろそろ行くか、と彼が思ったのは午後4時のことであった。 美琴が言った。 「じゃあ、黒子。わたし用事があるからここで」 と言うのを聞いた黒子は、 「お姉さまがそう言うのでありましたら、仕方ないですわね」 と。ここで上条が言う。 「そこに駅があるだろ。そこで乗るか」 この提案に美琴は、 「そうね。それじゃあ、バイバーイ」 それから、2人は第23学区へ向かった。 五和を迎えに行ってクタクタになった2人はすぐに部屋に入る。 「あー、何もする気がしねーな」 と彼が言うのに対して、 「そうね、このまま寝る?」 風呂が壊れているのは仕方が無い。 でも、このままとは…… 「じゃあ、寝るね」 そういってすぐに美琴は寝てしまった。 それから1年数ヶ月 「もう春か」 「早いわね」 2人がいるのは上条の学校。 常盤台に高校があったにもかかわらず、こっちを選んだ美琴。 そして、上条は言う。 「この学校には3年が1年と手をつないで入学式会場に入場するというしきたりがるんだけど」 という上条を見て、赤く、ならない美琴は 「そうなんだ。じゃあ」 と言って2人は入学式会場に向かった。 彼は悩んでいた。 彼の両親である上条刀夜と上条詩菜、それに美琴の母親である御坂美鈴がいるためだ。 写真撮影の時間。 するとすぐに刀夜が走ってきた。 「当麻、メキシコの土産はいるか?」 「とうさん!何でそんなものがあるんだよ!!」 とそこに2人が加わる。 「あらあら、当麻さん的にはその人と一緒にいるのがいいのね」 母さん(詩菜)かよ。 「あんたは美琴ちゃんが好きなのかい?」 美鈴かよ。 結局仲良く写真とって終わり。 それだけだった。 その日、上条当麻と御坂美琴は死んだ。 これまた仲良く手をつないで帰っているときに。 上条勢力をつぶすために出てきた猟犬部隊(ハウンドドッグ)により、暗殺された。 天草式、旧アニューゼ部隊、必要悪の教会(ネセサリウス)、神の右席などと猟犬部隊が戦争を起こした。 まさに、科学と魔術が引き起こす第3次世界大戦。 これにより、ヴェネツィアなどの主要都市が破壊され、 学園都市第1学区が丸々消滅した。 結果、上条勢力の中心人物、上条当麻と御坂美琴がアレイスター=クロウリーの手で暗殺された。 そして、 妹達(シスターズ)全体の処分、および学園都市をイギリス清教必要悪の教会(ネセサリウス)の支配下に置くことで和解、終焉を迎えた。
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある幼馴染の幻想殺し 序章 ④再会 上条が退院した翌日、上条は美琴に連れられ第四学区のレストランへと向かっていた。 レストランに入ると上条にとって非常に懐かしい男性と女性が待っていた。 「旅掛さん、美鈴さんも…」 御坂旅掛と御坂美鈴… 二人は美琴の両親で幼かった上条にとって両親を除いた唯一の大人の味方であった。 「久しぶりだな、当麻君」 「…はい、お久しぶりです」 美琴が上条の顔を見ると何処か浮かない顔をしている。 上条を両親に会わせれば喜んで貰えると思っていただけに、 美琴はどうすればいいか分からなくなっていた。 「それにしても大きくなったわね。 10年も会ってないんだから当たり前か」 「あれから10年も経つんですね」 (そうか、お兄ちゃんはまだ あの時のことを…) 美琴は上条が喜ばせると思ってしたことが上条を逆に苦しめていることに気付く。 上条にとって御坂家との思い出は楽しいものであると同時に、 当時の自分を取り巻いていた状況を思い出させる苦いものでもあるのだ。 美琴は自分の浅はかな行動に自己嫌悪を覚える。 そんな美琴の心情を察したのか、上条は美琴の肩に手を置いて言った。 「そんな顔するな。 旅掛さんや美鈴さんに会えて嬉しいって気持ちも本物なんだから」 「…ごめんね」 そんな二人の様子を見て旅掛は言った。 「すまない、当麻君。 俺達も当麻君と久しぶりに会いたくなったんだ。 それに当麻君に大事な話もしなくちゃいけないからな」 「大事な話ですか?」 「取り合えず座ってちょうだい、当麻君の話も聞きたいし」 「…分かりました」 そして上条と美琴は四人席のテーブルに腰掛けるのだった。 「まあ、そんな感じです」 上条は主に学校での生活について旅掛と美鈴に語って聞かせた。 日々の不幸はあるものの、楽しい日々を送っている。 その言葉に旅掛と美鈴も笑顔を見せるのだった。 「刀夜さんの判断は正しかったかもしれないな。 オカルトと対極に位置するこの街なら、以前のようなことには…」 旅掛はそう言って口を噤んだ。 「すまない、不用意なことを言ってしまって…」 「気にしないでください。 さっきも言った通り、俺は楽しい日々を送ってます。 それにいつまでも過去ばかり見ているわけにはいきませんし」 「当麻君がそう思えるようになって本当に良かったわ」 「まあ、こう思えるようになったのは最近なんですけどね」 「…当麻君、君に一つお願いがある」 「何ですか?」 「これから先、ずっと美琴ちゃんのことを支えてあげてくれないか?」 「…」 「俺もまだ美琴ちゃんから詳しい話を聞いたわけじゃない。 だが美琴ちゃんが何か大きなものを抱えてしまったことは分かってる。 俺達は美琴ちゃんがいつか自分から話してくれるようになるまで、 親として美琴ちゃんを支えるつもりだ。 でも美琴ちゃんのことを本当に支えてあげられるのは、当麻君しかいないんだ」 「…逆に俺が傍にいることで、美琴に不幸が降りかかるかもしれませんよ」 「当麻君が決して不幸なんかじゃないことを私達は知ってるわ。 でも当麻君が自分を不幸だって決め付けてる限りは幸せは決して訪れない。 当麻君が本当に美琴ちゃんを不幸にすると思ってるなら、 私達の勝手だけど この話は断ってちょうだい」 「…俺は先日 美琴の笑顔と言葉に救われました。 美琴の笑顔を見て、あんな風になる前の自分を思い出すことが出来たんです。 そして美琴の言葉で、美琴のためにも自分の幸せを諦めないことを決めました」 「当麻…」 「正直に言うと まだ恐い部分はあります。 美琴は俺にとってかけがえの無い大事な存在だから。 大切に思えば思うほど、何かあった時のことを考えると恐くなるんです。 でも もし何かあっても美琴のことは必ず守ってみせます。 だから 美琴との交際を許してください」 上条の言葉に美琴は思わず涙ぐむ。 そして旅掛と美鈴の顔には満面の笑顔が溢れているのだった。 「当麻君は本当に強くなった。 そして今の君になら安心して美琴ちゃんを任せられる。 良かったな、美琴ちゃん」 「うん」// 美琴は涙を袖で拭いながら旅掛の言葉に頷く。 すると美鈴がカバンの中から、一枚の紙と何かの鍵を取り出した。 「そんな美琴ちゃんにプレゼントがあります!!」 美鈴はそう言って紙と鍵をテーブルの上に置く。 「あの、これは?」 上条は何か嫌な予感がして美鈴に恐る恐る尋ねる。 「まずは中身を見てちょうだい」 上条と美琴が紙を覗き込むと、そこには常盤台学生寮退寮受理と書かれていた。 「ちょっ、これどういうこと!?」 「ふふ、当麻君と美琴ちゃんの恋人生活のお膳立てをしようと思ってね」 「もしかして、この鍵は?」 「うん、当麻君と美琴ちゃんの愛の巣の鍵よ」 それを聞いた途端、美琴の顔は一気に赤く染め上がる。 そして上条は逆に頭を抱えて溜息を吐いた。 「どうした 当麻君、嬉しくないのか?」 「嬉しいとか、それ以前の問題でしょ? 俺達は学生で、しかも美琴はまだ中学生ですよ」 「だから、ちゃんと当麻君には選択肢を残しておいたわ。 当麻君の寮の退寮手続きは流石に取ってない。 だから、美琴ちゃんと暮らすのがまだ早いと思ったら断っていいのよ」 美鈴に言われて、上条は隣に座る美琴を見る。 自分が心から守りたいと思い、支えてあげたいと思った大切な少女。 その体は華奢で何かあったら簡単に壊れてしまいそうである。 傍にいてあげたい、何より自分が傍にいたい。 なら年上の自分が傷つけないように注意を払えばいいだけだ。 「…分かりました、お心遣い感謝します」 そして上条と美琴の同棲生活が決まるのだった。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/とある幼馴染の幻想殺し
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登録日:2011/09/18(日) 07 50 26 更新日:2021/10/12 Tue 08 29 27 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 (・∀・)ニヤニヤ GE GOD_EATER один два три アリサ・イン・アンダーワールド ゴッドイーター ドン引き 地下アリ 大車は絶対許さない 小説 悲しみは海にあらず すっかり飲み干せる 曽我部修司 正史 竜崎ツカサ 竜崎ツカサ ←矯正済み バンダイナムコゲームスから発売されているPSP専用ソフトGOD EATERの公式ノベライズ。 原作の発売前にもプロデューサー・富澤佑介氏によりゲーム雑誌「ゲーマガ」にて書き下ろしショートストーリー:『GOD EATER -DAYS OF RUINS-』が掲載されていたが、本項目ではゲーム発売以降に出版された3作のうち、アリサを主人公に据えたスピンオフについて説明する。 もういいかい。 まあだだよ。 GOD EATER ~アリサ・イン・アンダーワールド~ 出版:富士見書房ドラゴンブック 著:竜崎ツカサ 口絵・本文挿絵:曽我部修司 通称「地下アリ」 単行本はBURST発売前に刊行。 カラー口絵は御褒美。曽我部先生ありがとう! 竜崎先生は変態ショタ好きの咎により矯正部屋へ連行されました。 ◇あらすじ リディア・ユーリエヴナ・バザロヴァは、まだ世界に絶望していなかった。 2065年、連合軍のアラガミ殲滅作戦が失敗し、その討ち漏らしがロシア辺境の町を襲撃した。 その最中、娘の捜索に出た夫婦がアラガミに喰い殺されてしまっていた。 彼らへの献花を頼まれたリディアは、その現場で生き残っていた少女を保護する。 そして6年後、2071年。 アリサ・イリーニチナ・アミエーラは、ロシア初の新型神機使いとなる。 ◇登場人物 アリサ・イリーニチナ・アミエーラ 主人公にしてヒロイン、15歳。 故郷の町にアラガミが襲撃した際、折悪く子ども心にかくれんぼをし、ディアウス・ピターに両親を「残さず食べ」られるところを目撃。 クローゼットに潜んでいたため、或いは意識を失った後にリンドウが駆け付けたためか難を逃れ、リディアによって無事に保護される。 病院の一室に閉じ籠り、扉や窓が開くことを頑なに拒絶していたが、リディアの献身的な介護により徐々に回復。退院後、ロシア支部内の病院でリディアと再会する。 旧型を見下し、徹底的にアラガミを殺戮する姿勢から支部内で孤立するも、リディアの妹で同じ部隊に所属するオレーシャの明るく朗らか(で過剰)なスキンシップ、「悲しみを飲み干す」強さに感化される。 だが、このことを是としないヨハネスと大車の謀りにより、意図せずしてヴァジュラと遭遇。トラウマを思い出し暴走するアリサと、彼女を悲しみに溺れさせまいと奮闘するバザロヴァ姉妹の運命は―― この頃から泡が残るほどの谷間を形成しているだけでなく、腰もヒップも非の打ち所が無い。 リディア・ユーリエヴナ・バザロヴァ 性別:女 職業:医学生→小児科医(ロシア支部所属) オレーシャの姉。天涯孤独の身となったアリサの後見人となり、本当の姉妹になろうとしていた人物。 絶望に塗れた世界の中、アリサに「希望」を見出す。金褐色のロングヘアーに美白、グラマラスボディの眼鏡美人。 2065年当時は医学生。アラガミに襲撃された町へ救護班の一員として入り、そこでリンドウに献花を頼まれる。唯一の生存者であるアリサを発見し保護、彼女が意識を取り戻した後はかつての自分と妹の経験を基に愛情を以て接し、彼女の精神的な回復に貢献した。 アリサに「悲しみは海にあらず、すっかり飲み干せる」という格言を教えたのはこの人です。 6年後にはロシア支部付属病院に小児科医として勤務。 ゴッドイーターになる覚悟を決めたアリサと再会。 彼女が未だクローゼットの中に閉じ籠っていることを痛感し、彼女の憎悪と悲しみを癒せなかったことに苦悩する。 アリサの今後に関し、大車から重大な選択を迫られる。 オレーシャ・ユーリエヴナ・バザロヴァ 性別:女 神機:バスターブレード(クレイモア 改) フェンリルロシア支部外部居住区防衛班・第三部隊所属の旧型ゴッドイーター。 太陽の微笑み。 リディアの妹で、心を閉ざそうとするアリサの親友となり、本当の姉妹になろうとしていた人物。 アリサとは同い年で、自称「アリサの姉」 幼少時より姉からアリサのことを聞かされており、親近感を抱いていた。 初対面以後、アリサに馴れ馴れしく接し続け鬱陶しがられるが、アリサは次第に彼女に姉と同じ「悲しみを飲み干す」強さを見出し、やがて打ち解ける。 その後、任務の途中ヴァジュラと予期せぬ遭遇を果たす。彼女はアリサを生かすために―― 姉と異なり、まな板寸胴男前体型。アリサやリディア、果てはダニエラらの胸の大きさを妬む一方、女性へのボディタッチを好むという矛盾。 男の尻は触りたくもないと豪語する。ごもっとも! アーサー・クリフォード 性別:男 神機:スナイパー(マックス) フェンリルロシア支部外部居住区防衛班・第三部隊所属の旧型ゴッドイーター。 赤髪の直情熱血突撃少年。リーダー気取りで仲間達を引っ張り、任務では先陣を切ってアラガミへ特攻。でも神機は遠距離射撃型。本人も気にしているほど締まらねぇ。 ヤケになっているようでもチームとしての役割を忘れず、よくフォローに回る。 高圧的な態度のアリサに突っかかるが、オレーシャとの仲良きやり取りを見、更にスマイル0fcにより、惚れた。 ダニエラ・バローニオ 性別:女 神機:ロングブレード(尾剣クロヅカ 改) フェンリルロシア支部外部居住区防衛班・第三部隊所属の旧型ゴッドイーター。 折れた十字架の刺青を頬に入れた女。皮肉っぽい口調で斜に構えた姿勢を取り、配属して間もなく旧型を貶める態度のアリサに散々厭味を言うが、オレーシャと無二の親友になった彼女の姿を見て和解。 蛇足だが、アリサ以上の巨乳である。アリサ以上の巨乳である。蛇足だが大事なことなので2回言いました。 ヘルマン・シュルツ 性別:男 神機:ショートブレード(獣剣 陽) フェンリルロシア支部外部居住区防衛班・第三部隊所属の旧型ゴッドイーター。 右目に眼帯、口数少なめ、若年ながら第三部隊の中では落ち着いた雰囲気で年長に見られる。 その正体はオープンスケベ。アリサについては彼女の巨乳以外興味が無い。あなたは間違っている! 教官 アリサらの教習を担当する男性士官。他の支部で経験を積み、教官兼現場指揮官としてロシアに帰ってきたという。 持ちネタは前時代的。 ちなみに、本家wikiに彼の記述は無い。 雨宮リンドウ 連合軍の作戦失敗後、残存するアラガミの討伐中に、行方不明の娘を捜しに危険区域へ向かった夫婦のことを聞き、彼らの後を追うも間に合わず死なせてしまう。 夫婦を喰い殺したピターに単身で果敢に挑むが、当時の彼の実力では斃すことができず、退散させるにとどまった。 処理を地元の救護班に任せたため、夫婦の子どもが生存していることを知らず、その後何年も「自分が間に合わなかったせいで一家全員救えなかった」と己の未熟さを悔やみ続けている。 6年後はヨハネスの特務を受けている一方で、彼の計画の真意について探りを入れており、左腕を負傷。 この時既に彼の思惑を察していた模様。言動が完全におっさん。 橘サクヤ 章間にて登場。通常任務の傍ら特務にも励むリンドウの身をそれとなく気遣う。 もしかするとここで妊娠フラグが立っていたのかもしれない。 大車ダイゴ ロシア支部におけるアリサの主治医。ロシア支部直属の医療チームに所属。ヨハネスの指示の下アリサの臨床データを取り、新型ゴッドイーターの研究を行っている。 過去に自分の主張を封殺された汚名を雪ぐべく従っているようだが、彼をも出し抜く算段をもしている節も見受けられる。 全幅の信頼を寄せてくるアリサを「希望」と称するが、自らの薄汚い巧妙心からの発言であるためか、リディアには彼女の望む希望との隔たりを感じさせた。 アリサを「救った」医師として、リディアとは対照的な人物。 オレーシャと仲良くなり自分とヨハネスの意思にそぐわなくなってきたアリサに、ヨハネスに指示された「新しい散歩コース」を決行、リディアから引き離し、新たな洗脳を施す。 ヨハネス・フォン・シックザール 2069年のロシア支部創設に一枚噛んでいるらしい。 自らの手駒である人間は「犬」と呼ぶ。「育てて」は「つくって」と読む。 ロシア支部にて大車と共にアリサの適合試験を見届け、ゴッドイーターとなる彼女を激励。 留守中に不審な行動をしたリンドウには、アリサの洗脳やリンドウ自身の再教育についても示唆する。 新しい「犬」も飼うとさ。 扉が再び開かれるのは、いつか 扉を外から叩くのは、誰の手か 開け放たれた扉の向こうに待つのは、誰か to be continued HEAVEN S DOOR 「つまり、項目への愛情が足りないってことなのよ」 「あ、愛情ですか……?」 「長いつきあいになるんだしさ、そこは思い切ってこう、追記・修正でもしてあげたら?」 「いいでしょう。こう見えて私、文章センスには自信があるんです」 「全部赤色や黄色にするとかどうでしょう?」 「……ドン引きだよ」 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 原作、今読み終わった…わかっていた結末だったけどキツいな。でもシエルの過去話とかノベライズされたら喜んで読んじゃう -- 名無しさん (2014-03-05 23 36 42) 大車を狩りたくなる本。 -- 名無しさん (2015-07-10 18 54 47) 名前 コメント
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「ミサカ、巫女と美琴」予告 その日学園都市のとあるビルに呼び出された5人がいた。 彼らは計器類の蛍光だけに照らされた薄暗い部屋に通された。 突然室内の照明があがると彼らは驚愕の声を上げた。 「アッ、アクセラレータ!何で、お前がこんな所にいるんだ」 「テメェはあの時の無能力者。テメェこそ何でいやがる?」 「なんでアンタ達が?アンタ達も呼びつけられたクチ?」 「一方通行にお姉様にあの方まで。この組み合わせに何か作為を感じますと ミサカは他人事のようにつぶやきます」 「…………」 「ひっ、姫神。お前もいたのか?」 「どうせ私は影の薄い女。所詮料理に添えられるパセリ程度の存在。ふふっ」 突然彼らの正面の壁が左右に開くと大きなイスに座った人物が登場した。 「諸君!私が総司令だ!とミサカはミサカは威厳たっぷりに宣言してみたりー」 あまりといえばあまりの展開に頭を押さえる上条達。 その中で唯一口を開くことができたのは一方通行であった。 「おい、クソチビ!テメェが死ぬ前に一つだけ聞いておきたいことがある」 「一つだけで良いの?とミサカはミサカはあなたのコメカミに浮き出た青筋に 少し身の危険を感じつつ口調だけは冷静に尋ねてみる」 「こいつァ何の茶番だ?」 「今、学園都市は未曾有の危機に直面している。それを救えるのは諸君だけだ! とミサカはミサカはまるで台本を棒読みするみたいに答えてみる」 「つまり、そんなくっだらねェ事のために呼び出されたのか? もう殺す(やる)気も無くなった。オレァ帰るぞ!」 一方通行が帰った後の気まずい沈黙を破ったのは御坂美琴であった。 「私達も帰っていいかしら?」 「えっ?お姉様に何の不満が?とミサカはミサカはまるでオリジナルの返事が予想外だったみたいに尋ねてみる」 「当たり前でしょ!何なのよこの服。レオタードみたいで身体の線が丸見えじゃないの。 こんなの着せられるこっちの身にもなりなさいよ」 上条達は特撮戦隊物に出てくるボディスーツを着込み手にはヘルメットを持っていた。 ちなみに美琴は赤、ミサカ10032号は青、上条は黒、一方通行は白だった。 「大丈夫!そんなこともあろうかとお姉様のスーツにはちゃんと2枚胸パットを仕込んであるもん とミサカはミサカは部下思いの上司を演じつつ、その秘密をここに暴露してみたり」 「そうでしたか。お姉様の胸がミサカより大きくなったわけではないのですね。 とミサカは自分の胸と比べつつ安堵の声を上げます」 「よっ、余計なことは言わなくていいの!アンタもなに人の胸元見てんのよ!」 「あっ……その……なんだ。お前もまだ成長期だ。心配するな!」 「だから何の話してんのよ!」 3人が騒ぐ中、姫神秋沙がポツリと呟いた。 「なぜ。巫女装束?」 「そうしないとあなたはインパクトに欠けるから とミサカはミサカは言葉をオブラートに包むことなくズバリ核心を言ってみる」 「なぜ。私だけ素顔?」 「どうせあなたの顔は誰も憶えていないから大丈夫! とミサカはミサカは慰めにもならないだめ押しをしてみたり」 「こうして古いキャラは数合わせに使われて消えていくのね。ふふっ」 「こんな茶番、私達に何のメリットがあんのよ!」 「そんなことないのにとミサカはミサカはオリジナルの浅はかさに呆れつつ説明を続けてみる」 「うっ、うるさいわね」 「貢献した人はブラック(上条)との1日デート権をゲットなのとミサカはミサカは驚きの提案をしてみたり」 「おい!なんだそりゃ。当事者の意向は無視か?」 「昼食券50枚綴り! とミサカはミサカは食料事情の切迫したあなたに魅力たっぷりの交換条件を出したりして」 「くっ、(それがあれば年末まで生き延びれる)その話。乗った!」 「お姉様達のご返事は?とミサカはミサカは分かっている答えをあえて尋ねてみる」 「素直でないお姉様は色々理由を付けてこの話には乗ってこないはず。 そうすれば自ずとあの人との1日デートはミサカのもの。 ふふっ、この勝負はミサカがいただきです。 とミサカは思わず出そうになった本音を必死に隠します」 「あのね。全て聞こえてるんだけど。私と勝負しようって言うの? それとアンタ!これはアンタとデートしたいから受ける訳じゃないの。 この子が私にケンカを売ってきたから買うだけなの。 いい!勘違いしないでよ!」 そんな訳で上条とのデートを賭けてミサカと巫女と美琴の戦いの火ぶたが切って落とされた。 姫神秋沙のつぶやきを残して 「私の返事は……要らないのね……ふふっ」
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とある暗部の者達しか来ない店では、ある話題で賑わっていた。 A「おいっ!聞いたか!?」 B「あぁ聞いたぜ!あの4人が会うって噂だろ!?」 その話を聞いていた、この世界の新米らしき若者が話をする2人に近づいて尋ねてきた。 C「あの…なんの話しすっか?」 A「あぁ?なんだ決まってんだろ!?四天王だよ!四天王!」 C「四天王?」 A「なんだ知らねぇのか?」 B「この街の頂点に立つ4つ勢力だよ」 C「4つの…だから四天王っすか?」 B「まぁ呼び方はいろいろあるらしいが…四天王ってのがベタな呼び方だな」 C「一体どんな奴等なんすか?」 A「んーそうだなぁー、まずは、この街じゃ言わずと知れた常盤台のエース『超電磁砲』の御坂美琴」 C「あっ!俺も知ってるっす!学園都市の第3位!でも勢力って?」 B「あぁ、レールガンは勢力争いなんてもんに興味はないが、その力と人柄でコイツ慕う奴等がいんだよ、 それをレールガンの勢力として扱ってんだよ…まあ本人はそんなつもりはねぇだろうけどな」 A「そしてスキルアウトの大ボスである浜面仕上だ…聞いた事ないか?ある無能力者が超能力者の第4位を倒したって」 C「あぁなんか噂で聞きましたよ」 B「それが浜面仕上だ、今じゃ数あるスキルアウトもコイツによって束ねられている」 A「束ねるつっても、それぞれのリーダー達と知り合いってだけで、本人は、もう足を洗って今じゃただの一般人らしいが なにかスキルアウト同士の小競り合いが起きたらコイツが出てきて収めるらしい、まぁ知っての通りスキルアウトは 無能力者の集団だ、4人の勢力の中じゃ一番人数が多いみたいだぜ」 B「そして、この中で一番ヤバイ奴が学園都市第1位である『一方通行』」 C「アクセラレータ!?俺でも知ってますよ」 A「4人の中で唯一、暗部にいる奴だ…コイツはかなりやべぇ、コイツは勢力なんて持っちゃいねぇがたった一人で 他の四天王とやり合えるだけの力がある」 C「どいつもこいつも恐ろしい奴等っすねぇ、でっ!?最後の一人は?」 A「あぁこいつは、正直よく分かってねぇんだ」 B「だが噂じゃ、今言った3人と差しでやって全部倒したらしい」 C「なっ!?差しってアクセラレータとも!?」 A「あぁ、その存在こそよくわかっちゃいねぇが、実力だけは確からしいぜ」 B「なんでも、他の四天王もそいつの言う事は素直に聞くらしいぜ」 C「へぇー、一体どんな奴なんすかねぇ」 とあるファミレスにて、重大会議が行われていた。 ウェイトレス「ごっ、ご注文は?」 一方通行「コーヒー、ブラック」 御坂「アイスティー」 浜面「じゃあ…コーラで」 上条「あっ俺も」 ウェイトレス「はい!少々お待ちください!」 可愛らしいウェイトレスさんだったが、注文を聞いてすぐにその場から離れた。 一方通行「さてェ、なんなんだぁ?わざわざ俺達を集めて」 浜面「まったくだ、俺なんてバイト休んで来たんだぞ」 御坂「私も急がしかったけど、あんたがどうしてもって言うから仕方なく」 3人を呼びだした当麻がゆっくりと口を開いた。 上条「あぁ…実は重大な問題が起こってな」 一方通行「重大なァ」 御坂「問題?」 浜面「なんだよ?」 上条「お前ら…いいかげんゴミの分別守れェ!!!!」 一方通行「ちっ!またその事か」 上条「ちっ、じゃねぇよ!!お前らがちゃんとゴミの分別しないもんだから、俺のところに苦情来てんだぞ!!」 浜面「そんなギャーギャー騒ぐなって」 御坂「そうよ、それに私はちゃんと守ってるわよ」 上条「はいそこ!嘘つくな!」 御坂「なっ!?嘘なんてついてないわよ!!」 上条「ついてるだろうが!俺聞いてんだぞ!お前燃えるゴミの日に雑誌出してんだろ!!」 御坂「えっ!?なんで?ダメなの?」 上条「ここにきてお嬢様属性!?ダメに決まってんだろ!!」 御坂「だって雑誌よ!紙じゃない!!」 (注意)雑誌は燃えるゴミではありません 上条「そしてアクセラレータ!!」 一方通行「あァ?」 上条「お前、前も言ったろ!?燃えるゴミと燃えないゴミ分けろって!!」 一方通行「めんどくせェーな」 上条「めんどくせーじゃねぇよ!!こっちの方がめんどくさいわっ!!」 一方通行「大体よォーなんで分けなきゃいけねェんだ?」 上条「根本的なところを否定し始めたぞ!こいつ!!」 一方通行「なんなんだよ、燃えねぇゴミって、ゴミなんてみんな火つけりゃ燃えるだろォが」 上条「ホントに身も蓋もないこと言い始めたぞ!コイツ!!」 一方通行「あいつらはよォ、ホントは燃えんだぜ、だけど、ダリィーから燃えないとか言ってるだけなんだよ」 上条「おい!何時からお前は、ゴミの気持ちを代弁するメルヘンキャラになった!?」 上条「そして浜面!!」 浜面「なんだよ?確かに少しは違反してるかもしれねぇが、こいつらほど酷くねぇぞ」 上条「いや…お前はまだいいんだよ、だけど、お前の仲間がよぉ」 浜面「他のメンバーの事言われてもよー、まぁ、一様注意ぐらいはしとくわ…」 上条「あぁ、確かにお前に言うべきことではないとは、思ってんだが、他に誰に伝えりゃいいのか分かんなくてよぉ」 御坂「そういえば、この前、あんたの寮の近くでゴミ箱にちゃんと捨ててない奴がいたわね」 浜面「なに!?俺の寮の近くか?」 御坂「えぇ、この間、あんたがマンションに入っていくの見かけたから覚えてたわ、多分間違いないと思うけど」 上条「スキルアウトか?」 御坂「多分ね」 浜面「いつだ?」 御坂「えーっと、丁度一週間前だから…7日前ね」 ドォォンと浜面が突然テーブルを叩き、かなり低い声で言った。 浜面「どんな奴らだった?」 御坂「えっ!?そうねー、一人で、金髪のチャライ感じで…あっ!右耳にピアス2つ付いてた」 浜面「K.Jの奴か」 当麻が浜面?と言う前に携帯を取り出して 浜面「半蔵か?K.Jの奴を三十九号線の木の葉道りの『オリャ・ポドリーダ』って店に連れて来い、すぐにだっ!」 おそらく半蔵が、がんばったのだろう、K.Jとやら15分ほどで来た。 K.J「どうもっす!浜面さんっ!お久しぶりです!!」 浜面「おい、コイツか?」 御坂「えぇ、そうねコイツよ」 K.J「あの~一体何の用なんです、トロイヤァァァァ!!!!」 浜面のアイアンクローが炸裂した。 浜面「てめぇぇ!この前、俺の寮の近くでゴミをポイ捨てしたらしいなぁぁぁ!!!」 K.J「ええぇぇ!!いやそれがなにか!!!!?」 浜面「てめぇぇ、滝壺が寮の掃除当番だった日に言ってたぞ!!『ゴミが散らばってて、かたずけるのに苦労した』ってなぁ!」 上条「浜面落ち着けぇぇ!!」 当麻がなんとか浜面を押えようとしたが抱きついたが、浜面は信じられない力でそれを振りほどいた。 おそらく、これと同じ力で戦われていたら、御坂の母を助けたあの日は、間違いなく負けていただろうと当麻は考えていたが、 浜面「K.Jェェェェ!!てめぇ『スキルアウトの心得3か条』言ってみろォォォ!!」 K.J「痛たたぁぁっ!えーっと、まず!!『無能力者であることに誇りを持て』と『大切なものは死んでも守れ』っと」 浜面「最後はぁぁ!!?」 K.J「たっ滝壺さんには優しくすることぉぉ!!」 上条「いやっ!何それ!?なんでそんな具体的なのが入ってんの!?」 浜面「そうだぁぁ!!K.J!貴様はその中でも一番やっちゃいけないことをしたぁぁぁ!!よってお前を処刑する!!」 上条「いや!!だから落ち着け浜面!!いろいろツッコミたいけど!一先ず落ち着け!!」 浜面「止めるな上条!!」 上条「止めるに決まってんだろ!!頼むから落ち着けぇぇ!!ほらっ!キャラが変わっちゃってる!! 思い出せ浜面ぁぁ!!お前は滝壺の為だったら命を掛けて、どんな悪事にでも手を染める…って、あっ!変わってない って言ってる場合かぁぁぁぁ!!!!」 100点のノリツッコミを決める当麻だったが、浜面を止める為後ろから抱きついた。 そのおかげで何とかK.Jは浜面の手から離れ、その場から逃げる為、ファミレスの出口に向かった。 上条「今のうちに!!逃げろK.Jぇぇ」 浜面「待てこらぁぁぁぁぁ!!」 上条「お前が待てェェ!!つーかお前らも見てないで助け…」 浜面を追いかける前に援軍を頼もうと残りの二人を見たが ウェイトレス「コーヒーのお客様は?」 一方通行「あっ、俺だ…」 御坂「私アイスティーね」 上条「無視かい!!って浜面を止めねェと」 御坂「あぁこれあんたの奢りでしょ?」 一方通行「ゴチになりやァーす」 上条「って勝手に決めんなって!あぁ待て浜面!!」 K.Jを追いかけていく浜面を追って当麻も外に出た。 上条「あぁもう!!不幸だぁぁぁ!!」 こうして学園都市の平和は守られている。
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/育児日記 イヤだ 「……いや、すまないね」 「気にしないで」 とある研究室は段ボールだらけだった。 そこにいるのは木山春生と御坂美琴。 ついに教員として働くことになった木山は、研究所の私物を新居に移動させていた。美琴たちはその手伝いである。 風紀委員の二人は後で合流。春上や絆理、佐天は新居の掃除をしているはずだ。 美琴としてはここよりも家でインデックスたちと遊びたかったのだが、半円の形をした上条の目にしぶしぶ出てきたのだった。 まあ、白井たちと遊ぶのも久しぶりだし、木山が教員になったのは本当にうれしいため、文句はまったくない。 いや文句が1つあった。 「しかし、暑いわね」 8月の夏真っ盛り。 でも埃対策で窓は全開。 電気は解約済みでエアコンは使えないのだった。 やってられないのである。 置いてあったクーラーボックスの中のコーラを1つ拝借するくらい許して欲しい。 蓋を開けて一気に口に注ぎ込む。 「っ!! まずっ!!!!!」 口の中で納豆ときな粉とブドウが大戦争している味がする。 いちごおでんのほうがまだましなのだった。 「な、なによこれ~~」 「ん?」 隣の部屋から段ボールを抱えて出てきた木山は、しかめっ面した美琴を見る。 ガシャン という音が響いた。 木山が段ボールを落とした音である。 中身は大丈夫か? なんて美琴は考えるが、 木山の動揺した表情を見て?が頭上に浮かぶ。 しかし、次の木山の発言で、顔を木山以上に真っ青にするのだった。 「ま、まさか、それを飲んだのか!!?」 「成果なし……か」 上条宅で、携帯のメールを見て上条はぼやく。 インデックスを元に戻すために世界を走り回ってるステイルからの連絡だった。 今日も成果は無かったらしい。 とはいえ、実は上条はこのままでもいいような気がして来ていたのだった。 上条にとってみれば、そんなに状況は変わっていない。 十何年かすればインデックスもどうせもとに戻るし。 死ぬわけではないようだし。 「……ま、コイツ自身が望んでないかもしれないけどな」 ひょい とインデックスを高い高いする。 自分の幸せと、彼女の幸せが一緒とは限らない。 ……ん? 自分の幸せ? 何かがひっかかったが、インデックスの声に意識がそれる。 「まぁ、まーま?」 「ん? ああ、ママはお友達と遊んでるぞ」 高い高いしていた腕を戻す。 「中学3年の夏休みは1度きりなんだ。友達と遊ぶのだってさぼっちゃいけないだろ」 上条も一緒にいたいという気持ちはわかるのだ。 しかし、今しかないこの夏を、きちんと満喫してほしい。 「15歳の夏が二度あるわけじゃないんだ。できることはやっておきなさいよー」 上条はここにはいない少女にやさしく、囁くのだった。 が、 その静寂は、ドアを思いっきり開ける音でぶち壊された。 駆け込んできたのは。 「大変!! 当麻!! わたし、このままだと赤ちゃんになっちゃう!!!」 なんか一回りちっこくなった美琴なのだった。 彼女はもう一度15の夏を経験する裏技を発見してきたらしい。 涙を浮かべる美琴と、 いびつな顔で固まる上条。 そしてそんな状況もきゃっきゃと楽しむインデックス。 上条の例の言葉がむなしく響いた。 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/育児日記