約 665,756 件
https://w.atwiki.jp/amaneo/pages/29.html
雨多ノ島水族館、地下研究室。ひんやりとした空気がカナメの背中を撫でていく。 「なんで女しか駄目なんスか? こういう危ないのは男――」 カナメは強化ガラス越しに青白い光を放つ人型生物「ツナギ」を見おろして尋ねる。 「危ないのは男に任せとけって? 意外とフェミニストなのね」 隣にいる、雨多ノ島水族館の館長は腕を組んでクスクス笑った。三十後半を迎え腹が出ているのが白衣越しにわかる。 「そんなんじゃないス。ただ、ナツが危ない目に遭うのに俺が指をくわえてるだけなんて」 「嫌だ、と。その気持ち、わかるわあ。前回着用者も私の好きな人で」 「好きとかじゃ」 カナメは眉間にシワを寄せ、実験室のツナギを見る。ドアが開き、ナツが入ってきた。全裸だったので慌てて視線を逸らす。館長はマスカラを塗りたくった目を細めて静かに笑った。 「実はね。ツナギは女性にしか使えないの。子宮や胎盤や卵子と関係した仕組みだから」 ツナギはまるで中身をくり抜かれたヒトのようだった。 ナツは縦に裂けた腹部の縁を広げる。柔らかな突起物が大量にあるその内壁を見てゲンナリするが、意を決して足からヌチャヌチャと入る。 「水棲生物の遺伝子を大量に保有した生体データベースがツナギ。それは様々な水棲生物へと変化する。着用者は、早い話、一度死んで別の生物として再生する」 ツナギはナツを取り込むように、全身に薄く膜を張る。怯えたナツは叫ぼうと口を開くが、声が出ない。身体が一体化して溶け、ゲル状になる。 「その時に自分の卵子を使い自分を生む。受精卵は要請された生物の遺伝子を使い成長する」 加速度的に細胞分裂を繰り返し、すぐに両腕が数十本の触手となった人型の怪物が生まれた。表面は両生類のように分泌液にテラテラと光っている。目の無い巨大クリオネが捕食しようと触手を開放したような――形態だった。 「ツナギは、まさにヒトと他の生物とのつなぎってわけ。もちろんただ着て動くだけなら死ぬのも再生もしなくていいけど、それじゃ能力を全く使えないから」 「でも、あれはもうナツではないんじゃないスか」 例えばあれを輪切りにしても、そこにナツの姿はない。ならナツはどこにいる? カナメの言いたいのは、つまりそういうことだった。 「カナメ君は何をもってナッちゃんをナッちゃんと判断してる? 顔? 性格? 記憶? 性別?」 「全部です」 館長は腹を抱え、イスに座って大声で笑う。カナメは怪訝そうな顔つきで見ている。 「ホントに好きなんだね」 「ナツは――いい奴なんスよ」 「私は、君がいい奴だと思うけどな」 カナメは苦々しい顔をしてそっぽを向いた。 「じゃ、君はあれがナッちゃんじゃないと思うのね?」 目を閉じて首を振る。何の迷いもなく自然と出た動作だった。 「そんなこと思えないス。あいつが気にしてるでしょう」 言っていくうちにカナメは顔が赤くなった。隠すように頭を振る。 「それで俺は何をすればいいんスか」 「君はサポート。遺伝子の要請と細胞分裂のコントロール、ナッちゃんのアシスト。そして二人には」 ツナギを着たナツが顔を上げ、カナメも館長の顔を見た。 「名呑町沿岸部から深海生物の調査をやってもらいます」 カナメは夕暮れの帰り道、制服に戻ったナツに缶コーヒーを買う。ナツは受け取りながらも不思議そうな顔つきだ。 「なん?」 「なんか、悪いと思って」 低い声でカナメはつぶやいた。その声はカモメの鳴き声にかき消されそうなほど小さい。 「うん」 ナツはいつまでもそれを撫でるばかりで、飲もうとしない。 「コーヒー嫌いだったか?」 「好かんね」 深海のような沈黙が辺りを包んだ。遙か遠くで渡船がゆっくりと駅前乗り場に向かっていく。 「なんか悪い。一番危ない役がナツになった」 「別に」 ナツの表情は変わらない。しかしショートカットで日焼けしたうなじに潮風が吹いたとたん、気持ちよさそうに両腕を上げて伸びをした。 「俺なんて水上でサポートしか」 「別にいいんやない」 それでもカナメは俯いて、謝罪を呟き続ける。 「えっと――」 ナツはしばし迷って、スカートを押さえて堤防に登る。両腕を広げてバランスをとりながら言う。 「ウチは泳ぐのが好き。で、カナメはそうやってグチグチ考えるのが好きなんやろ。したらさ、ウチらは最高にツナギ使うのに向いとると思うんよ」 カナメは夕日に照らされたナツの顔を見上げる。ニッと線のような目になって笑うナツに、カナメは嬉しそうに困った顔をした。
https://w.atwiki.jp/amaneo/pages/44.html
改札口を抜けたホームには、中央に「なのみ」と大きな字で書かれた立て札があった。傍には「←ひだりなのみ」「みぎなのみ→」とある。 その年は向かいのホームが揺らいで見えるほどの猛暑だった。電車が行き来する度にドアから爽やかな冷気が出る。マハカメリア宮はベンチに座り、風を浴びて汗が冷えるのを感じた。薄手のYシャツにはオレンジ色のストライプが入っている。 雑事で右名呑駅の先、大右名呑駅に行かなければならず、しかもそこは一日に十本もない私鉄に乗り換えなければならなかった。 適当に持ち出した文庫本を開くが、どうにもジャングルの戦争モノは読むそばから汗が落ちるほど暑苦しく臨場感が溢れすぎていた。 すぐに閉じる。 「面白いのか、それ」 低く大きな声が横から丸太のように押し出された。マハカメリア宮は気圧される。迷彩服を着た男がいた。だらだらと汗をたらし、鍛えられた筋肉は今この場で最も暑苦しかった。三十歳前後に見える。 「面白いんでしょうね、多分。ただ暑苦しくて今は読めやしませんけど」 マハカメリア宮は皮肉めいた調子で笑った。しかし男の顔は一切変わらなかった。思い詰めた表情で髪も髭も伸び放題、目の下には濃いクマがあった。マハカ メリア宮はあまり関わりたくないと思った。この暑さで汗をかいているくせに厚手の迷彩服は脱がず、一ミリも笑わないが隣の他人には話しかけるような人間。 「あのな、話をしていいか。自分は」 ほら始まったよ。何でいつも僕なんだ。マハカメリア宮は心中で独り言をたれた。お決まりの「偏見」で先読みする。 「あなた、もしかしてアレでしょう。多分あなたはPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされて眠れず、二週間くらい前に自衛隊を抜け出てきたんだ。で も親とは家出同然に別れたままで家にも帰れない。だから家から最寄の、この駅に留まってる。そして誰でもいいから話を聞いて欲しくて僕に――よりにもよっ てこの僕に――話しかけた、とか?」 男は顔を上げ、マハカメリア宮をまじまじと見つめた。 「なんでわかるんだ」 なんで? パターン入ってるからだよ。自衛隊員くずれなんて何人相談に来たことか。 「一応、教祖なんで。スピリチュアル・スキル的なものだと思って下さい」 マハカメリア宮のスピリチュアル・スキル「当たる偏見」の思考手順はこうだ。 自衛隊にしか支給されない迷彩服を着て、かなり筋肉隆々だと十中八九は自衛隊。そうじゃなきゃ知るか。加えて鞄一つ持たずにいるのは着のみきのまま逃げ出したからだ。 クマがあって時々震えがくるのは重度のPTSD症状の一つ。何かしらフラッシュバックでもして電車に飛び込まれたら厄介だよな。 それでも妙に落ち着いているのは、実家に近いこの駅に馴染みがあるからだ。だから逃げ出すのも難しい。かといってホームを出ないのも帰れないからだ。親 への反発で飛び出した奴は、自分自身の武器に頼らざるをえない。自衛隊に入ったくらいじゃ、こんな筋肉はできない。ということは彼の武器、彼のアイデン ティティはそこにあるんだろう。その辺りを褒めると、喜ぶかもね。 逆に貧弱な自分は見せたくないから、相談はなかなかできない。じゃあ僕が先取りして言わなければ相談なんかしなかったのかもしれないよなー。 ――というのは全部偏見に偏見を上塗りしただけだから、結果奇跡的に当たっても本人には言うべきじゃないよね。 「じゃあ、聞いてくれ。PTSDってのか知らんが、トラウマがあるんだ」 マハカメリア宮は近寄って彼の目を覗きこむ。彼はのけぞり、押し退けた。 「何ですか」 目の動きには、怯えと怒りがない混ぜにされた感情が出ていた。 「お前、女なのか」 マハカメリア宮はキョトンとした表情で自分の姿を確認する。どちらともとれない。笑った。 「さて、どっちだと思います」 近寄ると、お互いの汗の匂いがわかる。男は目を背けた。マハカメリア宮は、トラウマは女関係だと見当をつけた。さらに身を寄せていく。艶やかな長髪の先が彼の身体に触れた。 パンッ! マハカメリア宮の耳の横数ミリ、そこの髪が吹っ飛んだ。硝煙の臭いが立ち込める。 男は銃を撃っていた。昼下がりのホームで。 マハカメリア宮はぼんやりとした頭で「自衛隊から9mm拳銃を持って逃げ出した者がいる」というニュースを見たことを思い出した。 今、そこにある危機。人々がじろじろと自分たちを眺めた。マハカメリア宮はできるだけすまなそうな顔で謝った。 「あ、すいません。間違えて花火に火ィついちゃって。今晩やろうと思ってたんですけど、困っちゃいますよねアハハ」 まだ見ている者もいたが、とりあえず人々は黙った。 「銃とかアホか!」 マハカメリア宮は小声で怒鳴るという器用な技を見せた。 「悪い、実は」 男は静かに話し始めた。 「ある野営訓練の時だったんだ。夜、自分はアサルトライフルを持って匍匐前進してた。目の前に黒くうごめくものがあったんだ。それは手の平サイズで、よく 見ると白いのも所々にあった。そこでその姿勢のまま見張りをすることになったんだが、それは臭いが酷いんだ。この世のモノとは思えないような。自分は頭を 近づけて見てみた。そこで上官が『よそ見するな!』って頭を踏んできた。自分はそれにダイレクトに突っ込んだ。何だったかっていうと、多分かなり前に食糧 班が落としていった肉だったんだ。それが腐って蝿やらウジやら!」 彼はまた銃を構えた。マハカメリア宮は慌ててそれを取りあげた。 「まだ女が出てないけど」 「いや、自分のトラウマはそれ以来虫がダメになったってことだ」 マハカメリア宮は当たらなかった偏見に笑いが込み上げてきた。 「じゃあ女は」 「苦手なだけだ」 マハカメリア宮はいよいよ盛大に笑った。ホームの人々はいぶかしげに彼らを見ながら電車に乗っていった。 アッハハハハハ、ハァ。 「苦手なくらいで撃つなバカ!」 「だから悪いって言っただろ。ああ、そうだ頼みがあるんだが」 マハカメリア宮は何も聞かないうちに行こうと思ったが、気付けばもう乗る電車がなかった。 「教祖やってるんだろ。じゃあ泊まれるところくらいあるよな」 「リリジョン101の信者だけです」 男はマハカメリア宮の腕を掴んだ。ろくに考えもしていない。 「じゃあ入信する」 彼は金はあるんだと言い、懐から二百万ほどの札束を取り出した。逃げる前におろしてきたらしい。「名前は」 「城戸ユウキだ」 マハカメリア宮は、さて今晩はいい肉で豚しゃぶでもやるかと考え始めた。
https://w.atwiki.jp/amaneo/pages/23.html
雨多ノ島にあった怪しい工場は地域住民の反対運動により潰れてしまった。跡地に建てられた水族館は新しいが既に寂れており、海洋生物学を専攻しているタマキが勤めていた。 「女としてどうかと思うほど身嗜みは最悪なのに、脱色だけはしてるのね」 隣のデスクで熱心に仕事するタマキを、ユーミは茶化すように言った。 「そっちはオシャレに余念がないようで。おかげさんで会計まで僕の仕事だ」 「その『僕』ってやめてくれない? 三十過ぎてボクっ娘って痛いわ」 タマキは目を見開き、資料を見せる。 「――この会計、おかしいぞ。計算が合わない。巧妙に隠されてるが、知らない金が入ってる」 「赤字よりいいじゃないの」 手を広げ、マニキュアの塗られた爪を見つめて言う。タマキは息巻いてプリントを机に投げた。 「よくないだろ。税金とか!」 ユーミはイスごと近づいて、立ち上がりかけたタマキの顔を覗き込む。 「知りたい? 知ったら戻れないわよ」 一時間後、二人は水族館地下プールの端にいた。ちゃぷちゃぷと波立つ水の中央には、多数の触手と蝙蝠の羽を持つ生き物が仄青く明滅している。 「図鑑にもない生き物かっ」 タマキの頬が紅潮する。 「本土と雨多ノ島の間は小型ボートで行き来できるくらい短いけど、それと反比例するように深さは二千メートル。何故か事故が多発してた。そこで調査艇を送り込んだら『それ』がいたってわけ」 「お金は」 「政府から出てる『それ』の軍事研究費――ていうか口止め料ていうか」 タマキは玩具を見つめるこどものように、プールサイドから身を乗り出している。 「だから、口止めのためにこうするワケよ!」 ユーミはタマキの背を押し、水中に突き落とした。途端に『それ』はエサに気付き、触手を伸ばす。 ごき。ぶちり。 瞬間、タマキは自分の小指を第一関節まで噛みちぎり、『それ』に向かって投げていた。投げられた指に触手が絡みつき、補食行動に入る。別の触手はタマキを再び追い始めたが、既に彼女は泳いでプールサイドに向かっていた。 ユーミは呆気にとられた表情で動けずにいる。そこへタマキが上がって早足で向かい、肩をつかんで揺さぶった。 「ヒィッ! ごめ」 「すごいすごいすごい! なんだアイツ。軟体動物らしいが明らかに腕は数十本! そのどれもを自分の意思で動かしてる! しかもカワイイ! こんなのを隠してたなんてズルイ。僕も研究に参加させてくれよ、なあ、お願いだよ」 こうして、タマキとユーミは同じ仕事をする仲間になったのだった。 「ねえ、なんで髪を脱色してんの?」 「昔から泳ぐのが好きで、プールの塩素で色が抜けたんだよ」 「だっさい理由」 タマキは意に介さずに、『それ』の記録を嬉しそうに眺めていた。
https://w.atwiki.jp/kof13consumer/pages/104.html
レオナ・ハイデルン プロフィール 格闘スタイル マーシャルアーツ+ハイデルン流暗殺術 誕生日 1月10日 出身地 不明 身長 176cm 体重 66kg 血液型 B型 スリーサイズ B84 W60 H87 趣味 工場見学 好きな食べ物 野菜 得意スポーツ 特に無し 大切なもの 特に無し 嫌いなもの 血 勝利台詞 対エリザベート 闇の中に光が見える……?私は見出したわ。私だけの光を……! 対デュオロン 生き延びだければ最後まであきらめるな…………私はそう教えられたわ 対シェン 無駄よ……万全な状態でなかったあなたがこれ以上続けても勝てるわけがない…… 対京 あなたの使命は知っているつもりよ……けど、私にも任務があるの 対紅丸 あなた……どこまで本気なの……? 対大門 見事な動きだわ……けど、それはスポーツよ。戦いじゃない…… 対テリー 人は誰でも……過去を乗り越えていけるのね…… 対アンディ 無駄な動きが多すぎる……それでは勝てない…… 対ジョー 無駄口を叩くたびに、力は抜けていくものよ……あなたはおしゃべりがすぎるわ…… 対アテナ 死線を越えた先に何があるのか……あなたにはまだ判っていない…… 対拳崇 大きな力を背負わされた苦しみ……判る気がする……でも、同情はしないわ…… 対鎮 掴みどころがないのはあなただから?それとも、拳法の達人はみんなそうなのかしら……? 対レオナ 自分に打ち勝つ術なら知っているわもう、迷わない…… 対ラルフ 損傷軽微……引き続き、任務続行します…… 対クラーク 私のほうは支障ありません任務、続行します…… 対舞 その扇情的な衣装に……何か、意味があるの……? 対ユリ あなたが負けた理由……?戦いの怖さを知らないからじゃない……? 対キング あなたには戦い以外の生き方もあるのね…………私もそう思えるようになったわ 対庵 あなたはもう……あの炎に触れてはいけない…… 対マチュア 怒りも戸惑いも…………制御できるわ 対バイス あなたたちにも、自分にも……私はもう、負けない…… 対リョウ 確かにすさまじい拳だわ……でも、当たらなければどうということはない…… 対ロバート あなたはそれで満足なの?……なら帰って 対タクマ 家族の死を、あなたは……乗り越えてきたのね……? 対キム 正義漢ぶるのはあなたの自由だけど……それを人に押しつけては、いけない…… 対ホア つまらないプライドなら、ないほうがましょ…………私? 私にはないわ、そんなもの…… 対ライデン あなたの純粋なパワーだけは…………賞賛するわ 対K' 自分の運命に負けたくはない…………私もそう思えるようになったわ 対クーラ 笑うって……市街戦より難しいわ…… 対マキシマ あの子がいっていたわ……あなた、見かけによらずやさしいって…… 対アッシュ あなたの笑顔……嫌いよ…… 対ビリー 棒といわず、火器を使ってもよかったのに……あなた、戦力差を見誤ったわ 対斎祀(変身前) あなたが何をいおうと……私の心は揺れはしない…… 対炎を取り戻した庵 ……あなたとはもう、かかわり合いになりたくないわおたがいに何のメリットもないもの…… 対ネスツスタイル京 あなた、運命から逃げたいの……?私は逃げないわ……それは乗り越えるものだと学んだから 対Mr.カラテ ……仮面をかぶっても真実の自分をいつわることはできないわ…… 対斎祀(BOSS) 誰のものであろうと……血は、嫌い…… 対血の螺旋に狂うアッシュ 他人の力を借りて得た勝利に何の価値があるの……? ボイス ラルフ・ジョーンズ プロフィール 格闘スタイル マーシャルアーツ+ハイデルン流暗殺術 誕生日 8月25日 出身地 アメリカ 身長 188cm 体重 110kg 血液型 A型 スリーサイズ - 趣味 ナイフコレクション 好きな食べ物 ガム 得意スポーツ ベースボール 大切なもの 勲章 嫌いなもの ヘビ 勝利台詞 対エリザベート 何をそんなに思いつめてんのか知らねえが、ムチャをしやがる!この俺にホンキで勝てるとでも思ってたのかよ、お嬢さま? 対デュオロン ……真面目な話、てめェ何が楽しくて生きてんだ?そんな仏頂面してたっていいことねェだろうに 対シェン そんなに吠えたきゃ上海の路地裏で好きなだけ吠えてな!小包にしてすぐに発送してやるからよ! 対京 どうしたどうした、シケてやがんなァ、留年小僧!切り札の炎も今日は不発かよ? 対紅丸 夢をみるなら身の丈に合った夢にしとくんだな!分不相応すぎる夢ってのは、そりゃあただの妄想だぜ! 対大門 そういやウチの上官がいいこといってたぜ……死闘と格闘はぜんぜん別モノだってな! 対テリー たとえ格闘ゴッコを100回繰り返したってなあたった1回の戦場にゃァおよばねえんだよ! 判ったか? 対アンディ ここが戦場じゃなかったことを感謝するだぜ!でなきゃ今頃、てめえの命はなかっただろうぜ、コポー家さんよ! 対ジョー おうおう、負けたくせによく吠えるにいちゃんだぜ!やりすぎたかと思ったがよ、それだけ元気なら心配ねェな 対アテナ すまねェな。大丈夫だったか、お嬢ちゃん?……ったく、どうも手加減てのは苦手だぜ…… 対拳崇 はいはい、負け犬はさっさとおうちに帰んな!……こっちだって弱い者いじめはシュミじゃねえんだよ 対鎮 あんたらの、世のため人のためって考え方は素直に尊敬するぜ……だがよ、そんな理想を語るにゃ、ちょいと実力が不足してねえか? 対レオナ 別に多くを夢見過ぎてるワケじゃねえと思うんだが……負けてシクシク泣くような殊勝さが、おまえにもあればなあ…… 対ラルフ まァたてめェか! ホントにこりねェ野郎だな!人のマネすんのもいい加減にしやがれ! 対クラーク いつつつ……てめェ、クラーク!本気で投げ落としやがったな、この野郎!? 対舞 悪いな、くのいちのお嬢ちゃん!俺たちの作戦にゃ、撤退ってオプションはねえんだよ! 対ユリ さーて、素人さんの出番はここまでだ!あとはおうちに帰って、俺の活躍をテレビ観戦してな! 対キング キレ味はするどいが、1発1発が軽すぎるなそんなんじゃ俺の防衛線は突破できんえェぜ! 対庵 おら、「暴力反対!」って大声でいってみろよそうすりゃトドメを刺すのだけは勘弁してやるぜ 対マチュア 衛生兵!ここで伸びてるねーちゃんを軍病院へお連れしな!24時間体制の監視つきで、手厚く手当してさしあげるんだぜ? 対バイス 俺の骨をヘシ折るだァ?よくもまあ大風呂敷を広げたもんだぜどうだい?逆に鼻っ柱をヘシ折られた今の気分はよ? 対リョウ いいねえいいねえ、そのバカ正直な拳!面白ェ殴り合いだった!あやうく任務を忘れるトコだったぜ! 対ロバート そう落ち込むなよ、プロとアマの間にはそれだけの差があるってこった……ま、悔しかったらもっと経験を積むことだな! 対タクマ こっちも鬼の教官に毎日シゴかれてんだよ!鬼の拳に負けました、なんて報告でくるわけねえだろ? 対キム テコンドーの先生よ! 俺がいっても説得力はねェだろうがあんたはもうちょい柔軟な考え方を身につけたほうがいいと思うぜ? 対ホア ミッションコンプリート!今日は楽な任務だったな……それにしても、毎回こんなんじゃ腕がなまっちまうぜ 対ライデン ウチの新兵に混じって教官にしごいてもらえよ半月もありゃあ見違えるくらいに絞れるぜ、そのカラダもよ! 対K' こちとら地獄なんざ戦場でいくらでも見てきてんだよ!いまさらテメェのちっぽけな炎ごときにびびるワケねえだろ! 対クーラ やれやれ……若さってのは怖いぜ、まったく自分がどれだけ無謀か、まるで理解してねえんだからな! 対マキシマ 俺は素手で戦車をブッ壊す男なんて呼ばれてるんだがよテメェの頑丈なボディで体感した気分はどうだい? 対アッシュ さーて……おとなしく吐いてもらおうか、ソバカス小僧!てめェの目的から何から、洗いざらい全部な! 対ビリー おい、一度ウチのキャンプに参加してみるか?てめェのひねくれた性格も、少しはマシになるかもしれねェぜ? 対斎祀(変身前) へっ……アタマを押さえちまえばあとは簡単だぜ芋蔓式に、てめェら全員とっ捕まえてやるから覚悟しな! 対炎を取り戻した庵 職業柄、爆発物のあつかいはお手の物なんでな!てめェみてェな野郎のあしらいにも慣れてるってことなんだよ! 対ネスツスタイル京 今回のおまえの敗因?そりゃまあ、いくつもあるにはあるが……一番でけェのは、やっぱ相手が俺だったってことだろ 対Mr.カラテ 頭の真上からナパームが降ってきた時と似たような気分を味わったぜ……あんた、かなりの修羅場をくぐってきてるな? 対斎祀(BOSS) この前はテメェらに証拠を持ってかれちまったが今回はそうはいかねえ!生きた証拠としてしょっ引いてやる! 対血の螺旋に狂うアッシュ おいおい、こちとらふだんから、砲火の下を走り回ってるんだぜ?テメェの飛び道具なんざ怖くも何ともねえんだよ! ボイス クラーク・スティル プロフィール 格闘スタイル マーシャルアーツ+ハイデルン流暗殺術 誕生日 5月7日 出身地 アメリカ 身長 187cm 体重 105kg 血液型 A型 スリーサイズ - 趣味 ガンコレクション 好きな食べ物 オートミール 得意スポーツ レスリング 大切なもの グラサン 嫌いなもの ナメクジ 勝利台詞 対エリザベート 何ともいえん哀しい目をした女だ……何か事情があるらしいなだが、あいにくと任務の途中でね。 人生相談ならほかを当たりな 対デュオロン おたくもあのロンとかいう男を追っているのか?そのへんの詳しくい話、本部でじっくりと聞かせてもらおうか 対シェン やれやれ……戦術、戦略うんぬんをいう以前の問題だなおたくはすべてにおいて雑すぎるんだよ 対京 こうなると1800年の歴史も形なしだな戦術は日々進歩するといういい見本だ。勉強になったろう? 対紅丸 それなりに裏の世界に知り合いもいるようだが……ここから先は俺たちの領分だ。 素人さんにゃお引き取り願おうか 対大門 戦いに関して一家言あるようだが、しょせんは机上の空論さ実戦では何の役にも立たんよ。……可哀相だがね 対テリー 要するに、おたくはメジャーになりすぎたってことさデータは充分すぎるほどあった。対策は立てやすかったぜ 対アンディ 現実を直視したくない気持ちは判らんでもないがね前に進むためには、敗北を受け入れることも必要だぜ? 対ジョー いきおいだけは買うが、しょせんは素人さ真のプロとやり合うのは、まだまだ力不足だってことだよ 対アテナ 飛び交う砲弾の下を駆け抜けてきた俺からすればあんたらの超能力とやらも花火みたいなもんさ 対拳崇 こうもシミュレーション通りだと、まるで戦った気がしないな申し訳ないが、完全な消化試合だったぜ 対鎮 できれば手荒な真似はしたくなかったんだが……悪く思わんでくれ。これも任務の一環なんでね 対レオナ 俺たちはプロだ。 いくら善戦しても負けちまったら意味はない過程じゃなく結果が重要なんだよ。……判ってるな? 対ラルフ おやおや、もうおしまいですか、大佐?一度キャンプに戻って鍛え直したらどうです? 対クラーク あいにくだが、レプリカはどこまで行ってもレプリカさ……本物には到底およばんよ 対舞 なかなかキュートでセクシーなダンスだったなだが、ダンスじゃ俺には勝てんぜ 対ユリ 戦いを楽しむのは悪くない。 ……が、楽しむだけじゃそこまでだ戦いの恐ろしさや残酷さってものを知らなきゃ、先には進めないぜ 対キング 負けを認めた相手に追い討ちはしないさ……ジュネーブ条約くらい承知してる 対庵 悪いことはいわん、そこまでにしておくんだな……これ以上やる気なら、こっちもアラートレベルを上げなきゃならん 対マチュア いくら研ぎ澄まされた爪でも、ゾーリンゲンほどじゃあるまい?プロの傭兵がそんなものを本気で恐れると思っていたのか? 対バイス 同じ負けるにしても、うまい負け方ってものがあるだろう?何の教訓も得られないおたくみたいな負け方は最悪だな 対リョウ おたくみたいなタイプと真面目からぶつかるのは危険なんでねからめ手で行かせてもらったよ。一度掴めばこっちのもんさ 対ロバート そこまで落ち込む必要はないだろう?負けても別に死ぬわけじゃあない。ここは戦場じゃないからな 対タクマ ……さすがは教官が一目置くだけのことはあるこれまでにかなりの修羅場を経験してきているようだな! 対キム 以前から思ってたんだが……犯罪者の更生ならおたくの道場よりウチのキャンプのほうが効果的だぜ 対ホア こいつが単なるお遊びなら、勝ちをゆずってやってもよかったんだがねこっちも任務も来てる以上、そういうわけにもいかんのさ 対ライデン そのパワーは認めるがね、クレバーさがなけりゃ勝ち残れない戦場だけじゃなく、プロレスのリングだってそうだと思うがね 対K' これに懲りたら火遊びはやめるんだな黒焦げになってからじゃ遅い。……ウィップも心配してるぜ 対クーラ ……悪いがこれでも忙しい身なんでねこれ以上、おたくらの子供のケンカにゃつき合ってられんのさ 対マキシマ さて、まずは武装解除してもらおうかどこに何を隠し持ってるか判らんからな、おたくの場合 対アッシュ さんざんてこずらせてくれたが、それもここまでだ……いっておくが、おたくには弁護士を呼ぶ権利なんてないぜ? 対ビリー 呆れたもんだ。ここまで徹底的に叩きのめされても判らんとは……その学習能力の欠如が一番の敗因なんだがね 対斎祀(変身前) さて、これでひとまず任務完了ってところかな?もっとも取り調べ調書を書くことのほうが、俺にとっては苦痛なんだがね 対炎を取り戻した庵 おまえさんが背負っている宿命とやらの重さなんてものはここじゃ何の役にも立たんよ。……酷な話だがね 対ネスツスタイル京 その実力じゃ、戦場では1日だって生き延びられそうにないなおたくはもう少しタフさってものを身につけたほうがいいぜ 対Mr.カラテ ふう……本気で教官殿にご出馬願うしかないかと思ったよまさか戦場以外でここまで冷汗をかかされるとはね 対斎祀(BOSS) 自分は安全圏に身を置いて、離れた位置から砲撃する……一見するとうまい手のようだが、実際にゃ臆病者の下策さ 対血の螺旋に狂うアッシュ プロの傭兵がこんなセリフを吐くのもどうかと思うがね……「世界平和」のためには、おたくはこの地上に存在すべきじゃないな ボイス
https://w.atwiki.jp/dbrpalpha/pages/3198.html
※アマネ=セレスタイトのページの容量に余裕があることが発覚したためアマネ=セレスタイトのページに移行しました。
https://w.atwiki.jp/bc5656/pages/631.html
『EE=XX=D.S.(イーイー=ダブルクロス)』 本名:蒼菖蒲弐棋 アオショウブニシキ 通称: 種族:人間-古代魔器使い アーティファクター 年齢:28歳 性別:♂ 外見:身長182cm 銀髪ボブカット 糸目(金色の瞳。だが見えない) 補足:地毛は紺色長髪だった。アーティファクターとして目覚めたときに脱色し銀髪になった。 色合:120,120,120 787878 交友:Ev、三獄姫君、次五紅郎君、七虎君 -Educated Enemy Eliminator Electrical Equiper- 『悪を排除するために電子装備EEを扱う教育を受けた特殊部隊』 少数精鋭超法的正義組織 -蒼菖蒲家- 白薔薇家の傘下的な感じな騎士貴族。別に双子は多くない。男系。 なんだか洋風ってる。中世ヨーロッパな感じ。 先祖代々従者の家系。生まれた子は皆別の高名な家に仕える為英才教育を受ける。 正式な名前はかなり和風だが、全員が西洋風の別名を持っておりそちらを名乗る者も多いとか? 現代に適応してそこそこ現代的な格好の者も多いとか? 菖蒲の花言葉は 「良き便り」「うれしい便り」「吉報」「愛」 「あなたを大切にします」「私は燃えている」「消息」 など。 長男30歳:蒼菖蒲壱葦 <アオショウブ イチイ> 次男28歳:蒼菖蒲弐棋 <アオショウブ ニシキ> ←←←こいつです(。。 三男25歳:蒼菖蒲参華 <アオショウブ サンゲ> 四男24歳:蒼菖蒲史葉 <アオショウブ シヨウ> 五男22歳:蒼菖蒲伍箕 <アオショウブ ゴミ> 六男20歳:蒼菖蒲陸蕗 <アオショウブ リクロ> 七男17歳:蒼菖蒲漆 <アオショウブ ウルウ> 八男16歳:蒼菖蒲鉢音 <アオショウブ ハツネ> 長女14歳:蒼菖蒲玖莉栖 <アオショウブ クリス> -戦闘訓練養成人 バトルトレーナー - 蒼菖蒲家で学んだ武術を用いて数多くの人間に戦闘訓練を行ってきたバトルトレーナー。 12歳の時、蒼菖蒲家武器庫に眠っていた古代魔器の力を掘り起こし、古代魔器使い アーティファクター となる。 20歳の時に蒼菖蒲家を出て紅椿家の軍隊に異動。戦闘訓練を行い二番隊の隊長を務めた。 戦闘養成能力及び戦闘能力に長け、紅椿家一族であり当時三番隊隊長だった三獄姫とはかなり仲が悪い。 紅椿家次五紅郎、紅椿家七虎に面識がある。 22歳の時、育て上げていた紅椿家二番隊の隊員を弟-蒼菖蒲参華に惨殺される。 これをきっかけに蒼菖蒲弐棋は紅椿家軍隊を脱退。同時期に出来たEvへ入団。 戦闘訓練の他に、戦闘依頼を請け負う戦闘員としての役目をこなし、Evに仕える。 ツァラド地方で遠征任務を行っていたが、無事終了。シドリー戦線直後の本部へと帰還した。 Evトレーニングバカの一人で、トレーニングを行い続ける。 -性格- 「守るべきものの為、己の全てを投げ出すべし」の信条を持つ蒼菖蒲家。 厳しく歪んだ養育体制の結果か、蒼菖蒲家の人間には自分の能力に自信を持てない、つまり自己否定的な性質の持ち主が多い。 その例外に漏れず、蒼菖蒲弐棋も自分自身に満足していない。 自分の能力に自信が無いわけではなく、彼の求める"完璧さ"に届いていない自らの非力に不満を抱いている。 彼の追求する完璧さ=ボーダーラインは非常に高く、他人にもそれを強要する事が多い。 自らが"神"でも"選ばれた者"でも無いと悟ってからはよりその傾向が強く、自分より他人への"完璧さ"を追い求めるようになった。 Evに入り6年間でだいーぶ丸くなったが、今も彼は完璧さへの追求を失っていない。 『自らの追求する完璧さに見合う人間を育てる』 それが彼の秘める野心。 感情の読みにくい目と表情からはその真意は読み取りづらい。 -対人- 蒼菖蒲家次男として、紅椿家軍隊元二番隊隊長として、現Ev電子チーム(α)のリーダーとして、 数多くの場所で交流活躍してきたニシキにはその性格のわりに知人が多い。 特にEvに入ってからはだいーぶ丸くなり、内に秘める野心を微笑みで隠す事も多くなった。 半年ほどツァラド地方で遠征任務を行っていたが、 好みのタイプは完璧な人。正確には完璧を目指す人。 現在の自分に満足していて自分を今完璧だと思っている人には惹かれない。 向上心があり、自分を客観視出来、自分の実力を高めに評価し認めた上で、尚も上を目指す努力を続ける人。 その上でそれを一人だけで達成しようとせず、他人の力をも頼りそれでも完璧を目指す人。 無意味な特訓を繰り返す熱血努力家には惹かれない。少しドライなぐらいが良い。そんな線引き。 -電子装備EE- 『古代魔器-封鎖』<デモンズ・チェーン> 両腕裾から出でる2本の長い鎖。 電子兵器に見せかけた古代魔器<アーティファクト> 電子の力は何にも使っていない。 鎖の先端に取り付けた手のひら大のX字刃のみEv製。 古代技術を用いた魔法武器に該当する所謂アーティファクトで、鎖で縛り上げた対象は"力"を失う。 鎖に縛り上げられた者は筋力、氣、魔法、魔人能力、精霊の力、動物的暴力、機械駆動力などを全ての力を失う。 鎖が解かれると失った力は戻る。 "神"や"選ばれた者"には通用しない。 鎖自体に著しく高い対魔力があり、魔法攻撃等を霧散させる事が可能。 -技- -台詞- 「くすっ…君のバトルは完璧じゃないね…」 「凡人も天才も魔人も魔法も機械も技術も…ボクの前では等しく無だよ…」 「ボクが育ててあげるよ…君を立派な戦士にね…」 「」 「」 プレイヤーはYJ。 ついにUP 二十度目の正直。 何故こんなにも悩んでしまったのかってぐらい悩んだキャラ いろいろ詰め込んだ。「二度目」ってのが多いね。意図的に強キャラ。 うまくいくかな? 以下没案 赤薔薇万理恵 紅椿家紅椿&次椿 アストラル不二 生涯現役修行歴戦爺さん(70代) エロオヤジ(40代) 完璧を求めて機械化してしまった男の子 ウザスネオ 完璧強要騎士 超完璧強要騎士 真面目な星野 偉い馬鹿息子 全方向全甘えキャラ 全方向全妥協キャラ 全方向全厳しいキャラ わいじぇいが好きなナルシスト アストラル不二セカンド 蒼菖蒲別の子
https://w.atwiki.jp/amaneo/pages/39.html
私が通っていた大学の近くには、大きなダムがありました。大学は山の上の方にあり、最寄りの駅からでもバスで三十分はかかります。そんな場所ですから、 秋には霧も出ます。危険な山道で霧が出るとなると、車がよくダム底に転落するのです。首坂という名称からして不気味で、昔から「神隠し」伝説が残っていま す。 ところが何故か地元の業者や警察はそうした車を引き上げようとはしません。引き上げても必ず死体がなくなっていて、結局のところ事故以外には考えられないという結論になるからだそうです。 かなりの台数が沈んでいるはずだし、それを見たいからと私の友人は潜ってみることにしました。ダイビングの免許を持つ彼は、ダムができる前の地図をチェックして潜りました。 しばらくしてあがってきた彼は大興奮でまくし立てました。 どうやら死体が見つかったそうなのです。彼らは全員ダム底のお堂にかたまっていたらしく、古地図を見るとなるほど彼が言うように地蔵堂と書かれた場所がありました。 地蔵があるのかと聞いてみましたが、彼は無かったと言います。代わりにおかしな像があるらしいのです。蛸のような足と蝙蝠のような羽を持つ像が。彼は、今度はそれを取ってくると言い残したまま行方不明になりました。 彼の死体がダムにあることは間違いないのですが、誰も確認しにいきません。 それから数年が経ちますが、今だに事故は起こりますし、死体は引き上げられず、そこにどんどん貯まっているみたいです。
https://w.atwiki.jp/amaneo/pages/24.html
地元民も観光客も寄り付かない雨多ノ島水族館。その専属研究員であるタマキ(左手の小指がない)と事務担当のユーミは熱心に机に向かっている。 「つかぬことを伺うけれども」 と、突然タマキが資料を見ながら話しかけた。 「今、生理だよね?」 「断る!」 ユーミは首を振る。ソバージュのかかった長い茶髪が揺れた。 「でもなんかそういう臭いがするんだな」 タマキがクンクン嗅ぎまわりながらユーミの近くに来た。まとわりついてくるのを蹴って追いやる。 「生理は来てるけど、あの実験には協力しないわよ」 「そんなこと言わないでさあ。僕は最近生理ないんだ」 鼻で笑って見下す。 「女のくせに『僕』とか言ってるから、男性ホルモンが出過ぎてんじゃないの」 タマキは困った顔をして、伸びてきた所を切っただけの頭をボリボリと掻いた。白衣にフケが落ちた。 「でも、生体スーツの完成まであと少しなんだよ。海底で見つかった『それ』――中間遺伝子塊――人間の受精卵と――臓器や感覚器が――ポテンシャルを――誘導する細胞が――」 輝く瞳には『それ』のことしか映らない。ユーミは頬杖をついて、その横顔を眺めていた。 業務終了後、タマキは地下プールにいる『それ』から新生物を作っては失敗を繰り返していた。人型にはなるが、すぐに絹ごし豆腐のようにホロホロと崩れてしまうのだ。 「やっぱり人間の――」 ボソリと呟くその背後に、ユーミが立っていた。驚いて声が出ないタマキ。 「これ」 持っていたビニール袋を差し出す。 「これって生理の――ああ、卵子か! いいの? ありがとう」 「勘違いしないで。私も実験の結果が気になっただけ」 タマキはうんうんと頷きながら、身体は準備に取り掛かっている。 「『それ』が前に僕の指を食った時、ヒトの遺伝子を既に獲得したらしい。今回はそこから簡易的に男性精子を作る部分を切り出して取り出し、ユーミの卵子に受精させる」 「それって、あるイミ私とあんたの――」 ユーミは胸を抑えて目を細める。無意識にタマキの袖を掴んでいる。 「そう。僕と君の」 スイッチオン。タマキはユーミの手を袖から外すと、しっかり手を繋いだ。 「こども」 プールの中で『それ』の一部だったものは次第に一メートルほどの人型になった。透けて見える心臓の鼓動に合わせ、全体が膨らんだり縮んだりしている。二人は黙って祈るように見つめた。いくらか各部が崩れたが、なんとか形を保つことができた。 クラゲのように優雅な動きでたゆたい、ツナギはホノ、ホノ、と明滅する。 「完成。タマキとユーミのツナギの誕生だ!」 タマキは跳びはね、ユーミは静かにガッツポーズをとっていた。二人はその晩、研究室で祝杯をあげた。 翌朝まで飲み、気づくと『それ』が消えていた。ツナギが食べたのか、それとも脱出したのか消滅したのかわからなかったがツナギだけが残った。悔しそうな彼女に、ユーミが近づく。 「ツナギが残ったんでしょ。なら、海底だってまた探しに行けるわよ」 タマキは微かに頷いた。 二人は寝不足のまま研究室で事務をする。しばらくするとツナギの誕生を思い出す。興奮で手につかず、目が合うたびに笑いあった。夕方になると、どちらともなく机に突っ伏して眠っていた。 雨多ノ島水族館、奇愛館長はそれを見守るとそっと明かりを消した。
https://w.atwiki.jp/amaneo/pages/30.html
凪いだ海のただ中で、ボートが慌ただしく揺れている。 「ナツ、ナツッ!」 ボートの上でカナメが焦っていた。手元のディスプレイを揺らして叫ぶ。しかし無情にも、ナツの視界をトレースして表示するはずのそれは暗黒に黙して何も語らない。 「くそッ。ああ、もう。俺は何をやってる。何でこんなことに」 夕暮れの海は石油でも混じったように暗くなっていく。カナメは今にも降り出しそうな空の下で、ボートの縁を殴って天を仰いだ。 雨多ノ島水族館の地下、立入禁止区域には海に面した入江がある。ナツは岸辺で海に脚を投げだし、ツナギの頭を撫でていた。ツナギは粘液にまみれた触腕をにゅるるっと彼女の腕に絡ませる。 バリバリとガムテープを剥がすような声で、戯れに言うナツの単語を復唱した。 「ぬれねずみ」 「ヌ、ブデズム」 ナツは笑顔で、ツナギの腹部にある裂け目に指を挿しこみ、ぐちゅぐちゅと水っぽい音を立ててかき混ぜる。ツナギは嬉しいのか苦しいのか、喚くような声をあげた。 「おいあんまり変な言葉覚えさすなよ。連絡取りづらくなるんだから」 白衣を着たカナメがやってきた。連日の研究で無精髭が出ている。ナツをちらりと見るが、無表情にボートに乗って準備を始めた。ソナーやその他計器の確認をしながら言う。 「ナツ――まだツナギ着なくていいから服着れ」 触腕は全裸のナツに絡み付き、褐色の肌に汁が流れていく。二十五歳の身体は、ゴージャスな海外モデルにも引けをとらなかった。ナツは屈託なく笑った。 「誰もウチの裸とか興味ないやろ」 「お前は伊豆の踊り子か」 カナメは、興味なくなくなくなくなくなくはないが、と心中で呟いた。ナツにタオルを投げ、イヤホンをつけて無線のスイッチを入れる。 「こちら瀬戸内カナメ。こちら瀬戸内カナメ。聞こえますか」 「聞こえ――もっ――おおきな声――」 音がぶつ切りにしか聞こえない。 「もしもぉし! こちらカナメ!」 「うるっせーよ阿呆! こっちゃ二日酔いなんだ」 野太い声が離れたナツのところまで響いた。カナメは顔をしかめてイヤホンを耳から少し離す。 「すんません」 「今日の仕事は、深度千二百メートルの調査な。潜行ポイントはPCの方に送ってある」 事務員の黒川は面倒そうな声を出した。 「そこに何かあるんスか」 「よく知らねえが、ツナギの元になった生物『それ』が見つかった場所なんだそうだ。ようやく政府からの調査許可がおりたって館長が喜んでた」 「ああ、例の――」 カナメはボートを指差し、ナツに乗り込むように指示した。エンジンをかけ、櫂を使って押し出す。無線がガサガサとビニール袋を擦るような音を立てた。 「こっちに面倒が起きないように処理しろよ」 「まあ、大丈夫スよ。俺はともかくナツは天才なんで」 横で聞いていたナツはわざとらしく「うへへ」と言いながらカナメにじゃれつくが、頭を押されて戻された。ボートは水を裂くように進んでいった。 十数分後、周囲には何の目印もない潜行ポイントに着いた。ナツの身体にツナギが膜を張り、内部が溶けて幼稚園児ほどの大きさまで小さくなる。それから急に膨張して数十本の触手をうねうねと踊らせる人間大の「ヒトガタ」に変化した。 カナメはモニターを確認すると、合図を出した。ナツはずるりと紺色の海へ入っていった。ボートにはナメクジが這ったあとのような粘液が残った。 「よし、水中で生体受容器と尾ビレを出すぞ」 「あい」 カナメがタッチ操作でディスプレイを弄ると、ナツの両足がくっつき魚のように流線型になった。エラ呼吸に変化する。また、傍目にはわからないが無線が出 す音波をキャッチできる機構が脳内に作られた。ナツは勢いよく左右に水を蹴る。海面からの白い光が射し込んで、大小の魚たちの影が見えた。 ナツはあっという間に深度二百メートルを越える。そのころには、光は海面の一パーセント程度しかなくなる。ここから先は深海と呼ばれる場所。ナツの足元に青い闇が待ち構えていた。 「浮袋、大丈夫なん」 海上のカナメは、ナツの泳ぐ速度に合わせて、ツナギを変化させる命令を出している。各深度に適応した生物の浮袋を、そのつど遺伝子操作の命令で作り替えて用意しているのだ。 「今更聞くなよ。大丈夫じゃなかったら、浮袋が潰れてユーはショック! お前は既に死んでいる」 数秒の沈黙。 「ああ、そう」 「ここからはその身体でもヤバイし、ちょっと太らせるからな」 カナメはツナギを構成している成分のうち、コラーゲンを外皮に集中させた。見た目には、目も口もないプルンプルンしたピンク色の肉塊になった。深海生物シー・ピッグ(海の豚)と呼ばれるセンジュナマコに近い造形だった。 「目指すのは名呑海溝、千二百メートル地点だ」 泳ぐというよりも、静かに落ちていくように更なる深みへと向かっていく。カナメは忙しく数値の微調整を繰り返しながら、ツナギと同じ機構の生体音波器を使い無線の可聴域を高めた。やがて海溝千二百メートル地点へ到達する。完全に黒一色になり腕の先も見えない。 ナツはぼんやりとした闇の中を一人でおちていく。途中で嫌になろうがどうしようが縦横半径一キロは海水で逃げられないという圧迫感。カナメには耐えられそうもない。 「宇宙飛行士ってのは、こんな感じかもしれんね」 肉塊になったツナギから二つの目が現れた。そこから赤い光が放射される。 「なんかウチの目が光っとるんやけど」 「オオクチホシエソの遺伝子だ。その辺りに穴があるらしいんだが」 ナツは海底峡谷の横肌をなぞるように探していく。光を当てると、物体の凹凸に応じて影が踊るように動いた。恐怖を煽る光景だったが、ナツは何も言わず、 それどころか軽快に作業を進める。小さな光だけでは頼りないので、触手を長く延ばして丁寧に触っていくと穴が見つかった。 大人一人がやっと入れる穴から激しい水流が出たり入ったりしている。 「なんか――怖い」 「ナツがそんなこと言うのは珍しいな。水流が出てるってことは、この穴は地上まで繋がってるんじゃないか?」 「でも名呑町にそんなとこがあるとか聞いたことないよ」 躊躇して行こうとしない。迷っていると、カナメがリラックスさせるように気の抜けた調子で言った。 「戻ったらカツカレー奢るから、もうちょっと行こうぜ」 ナツは少し笑うと、その言葉に乗るような形で穴へ入っていく。背後に蝙蝠とタコを混ぜたような軟体動物がいたが、二人は気づかない。 穴は急激な角度で上方に向かっていた。カナメは再度細胞の調整を繰り返していく。壁面を見ながら、二人は驚いていた。 「ウソだろ」 それは壁画だった。大部分がフジツボの類で隠れていたが、明らかに人為的なものだった。 「人間がいたとして、ここが海に沈む前だろ? 一体何年前の話だよ」 壁に刻まれているのは、蝙蝠の頭からタコのような触手が大量に出ている化物だった。ひょろ長い二本脚の生物たちの上位に描かれている。 「これは人間か。海に沈む前ってことは、ここは元々山だったのかもな。今、ナツは山を登ってるってことなのか」 「カナメ、ウチがなんか怖いと思ったんはこれのせいかもしれん。壁の絵。これ、見たことある気がするんよ」 ナツの背後に軟体動物「それ」が張り付き、背中部分のコラーゲンを触手の先にある爪で破き始めている。 「ああ、それ俺も思ってた。名呑町のゑびす像に似てるんだよ」 カナメは壁画を映し出すモニターを眺め、一人頷いた。ナツの声を待つ。 「や、ウチは夢で見た気がするんよ。えらい怖い夢で」 そこで急に海上のモニターが消えた。暗い画面に、疲れた男の顔が映っていた。カナメはうんざりした表情で自分の顔から目をそらし、落ち着いて呼びかける。 「ナツ?」 呻き声だけが聞こえた。 「大丈夫か!」 「多分『それ』が来とる。あの壁画みたいな。モニターのところ壊」 音声まで途切れた。 「ナツ、ナツッ!」 海上でカナメはモニターを揺らす。二人が経験する初めての事態だった。カナメの頭には責任問題やらが駆け巡り、嫌がるナツを無理に行かせたことを思い出した。 「すぐに復旧するかもしれないしな」 水族館に連絡すると自分が怒られるに違いなかった。しかしディスプレイを見て一瞬でその考えは激しい自己嫌悪に変わった。ツナギの表皮コラーゲン量がみるみる減っていた。おそらく攻撃されているに違いなかった。 カナメの体が動いた。 「水族館、誰か応答してください、お願いします!」 数秒の判断ミス。数十秒の沈黙。取り返しのつかない事態。永遠の別れ。カナメは考えるだに脳みそが焼き切れそうだった。 「くそッ! ああ、もう。俺は何をやってる。何でこんなことに」 「何が起こったの」 館長ユーミの声がした。 「ナツの連絡が途絶えました。『それ』に襲われたみたいです」 ユーミの顔から血の気が引いた。脳裏に蘇る恐怖を必死で抑えながら声を張った。 「見たら体勢を立て直せるまで全力で逃げなさいって前に言ったでしょうが! PCは?」 「生きてます。映像と音が聞こえません」 「今すぐプラナリアの遺伝子から自己再生、同時にヌタウナギの分泌物を出して」 カナメは言われた通りにするが、指が震えてしまう。 「あとは?」 「祈るしかないわ」 深海のナツは、失敗したつみれのようにホロホロと崩れていた。「それ」は容赦なく中を喰い破ってくる。ナツは自分ではツナギを変化させられない。今の肉 塊形態では動きも遅く逃げられない。できるのは、表皮コラーゲンに潜っている「それ」を自分の身体ごとちぎって振り払うことしかなかった。 「それ」は一旦離れるが、すぐにやってくる。コラーゲンの無くなった箇所から、激しい水圧がかかる。こんなことをしていても、時間の問題だった。 「大丈夫。大丈夫。すぐにカナメは何かやってくれる。ウチは天才やないけど、カナメは天才なんやし」 ナツは自分に言い聞かせながら、神経を尖らせて待つ。 「カナメが何もせず負けを認めることは絶対無い。ありえん」 すぐにツナギの肉が沸騰するように再生し始めたが、「それ」の動きの方がまだ速い。同時に分泌されはじめたヌタウナギの粘液が、半分水に溶けたような「それ」を固めていく。今度は煮凝りのようにして「それ」を突き放した。 「ホラ、カナメはやっぱりなんとかした」 海上のカナメは時計とディスプレイを見つつ、深度数値からツナギの浮袋を操作する。ナツの状態を想像しながら、ほとんど勘が頼りだった。雨が降り出したが、既に計器類にはビニールがかけられている。カナメの白衣にはじっとりと水が染み込み、前髪から水がぽたりと落ちた。 ボートは小川を行く笹舟のように揺れた。 「完全再生まであと七分――」 完全再生は即ち通信環境の復活を意味した。また左手でボートの縁を殴った。指から血が滲む。 「『それ』があんなことで止まるわけがない。このままじゃすぐ追いつかれちまう!」 ナツは来た道を全速力で戻っていた。浮袋のことを考えるが、もたもたしていても死ぬだけだった。穴の入口に差し掛かったところで、ナツは小さく「いかんかもしれん、ね」と自嘲気味に呟いた。 外には「それ」が五、六匹いた。 後ろからも一匹、粘液を解きながらではあるが来ている。ツナギは勝手に浮袋を組み替えられ、身体が浮かんでいく。カナメの仕業だった。これ以上隠れることもできず、ナツは一か八か飛び出した。 ツナギはこれまでにない危険な速さで浮上していく。 カナメは瞬きせず、次々に浮袋を作り替えながら同時に不必要な肉を切り離し「それ」にエサをばらまいた。 「完全再生まであと五分」 ツナギは気圧の変化に耐えられなかった部分から崩れていく。現在深度千メートル。少しずつ黒から濃紺へと風景が変化していく。ナツが足元を見ると、「そ れ」らは異様な速度で上がってきていた。コラーゲンが剥げた部分から出てきた尾ヒレで叩くが、決定的なダメージを与えられない。 「あと三分」 カナメはとりつかれたように血走った目をグルグル動かして操作する。 館長ユーミは水族館で祈っていた。 「お願い、ナッちゃん達を助けてあげて。タマキ」 急激に濃紺から青へと変わっていく世界で、ナツはどこか落ち着いていた。自分は死なないだろう、何故かわからないが頭のどこかでそう確信していた。 「それ」は触手を胴に巻き付け、ツナギの腕へ噛み付いた。上皮部分が外れ、無数の触腕が姿を現す。ナツはそれを使って追い払おうとするが、とらえられず逆に噛み付かれた。 「あと一分」 「それ」は頭部触手に隠れた牙で、ツナギの腕を噛んだ。触手はスルメのように細長く水中に裂け広がり、「それ」らが群がった。ナツは覚悟した。 「クソが。腕くらいやるよ。多分死なんやろ」 しかし、噛み付いた「それ」たちは動かなくなり、暗い海底へと落ちていった。 「ナツ、ナツッ!」 ようやく通信が戻った。ナツは不思議な気持ちでカナメに言う。 「――やあ、久しぶり。さっきのは何が起きたんかね」 「ああ、無事か。良かった! その前に謝らせてくれ。ナツが怖がってたのに行かせた。俺の判断ミスだった。しかも責任とか考えて連絡が遅れたんだ」 カナメは自分を殴り倒したい気持ちで一杯だった。 「えっと。ウチもカナメがちゃんと助けてくれないかもって思っとったし、同じやないかな」 「同じじゃねえよ!」 「じゃあ、とりあえずカツカレーをおごってもらおうかい」 ナツは次第に白くなっていく海を見ながら続ける。 「で、さっきのは何」 「カツオノエボシの触手だ。触れた瞬間に毒が回って痺れる。毎年死人が出てるくらいだ。別名電気クラゲ」 「えらい危ないもん使いよったね」 ようやく水面を突き破ってツナギが姿を現した。ボートの上に乗ると、脈動するツナギの腹が裂け、ナツがどろりと出てきた。 「ナツ、悪い。いっそ俺を殴ってくれ」 ナツが立ち上がる。雨で身体から粘液が洗い流されていく。カナメは膝をついて俯く。ナツはそっとその頭を撫でた。 「顔上げて」 カナメが言われた通りにすると、ナツは思いっきり頬を叩いた。二十五歳の男は吹っ飛んで海に落ちた。 「カナメが納得いくように叩いとく。でもウチも考えて、カツカレーの取引に乗ったってことを忘れんでね」 泳いでボートの端につかまり、カナメは息も切れ切れに言った。 「了解した――ナツ、もう絶対こんなことはないからな!」 ナツはため息を吐くと、カナメに手を貸して引き上げる。雲間から赤い夕陽が差し込み、海と二人を染めていた。
https://w.atwiki.jp/amaneo/pages/57.html
花奥恵の青い闇(1994年) 花奥恵の好物(1993年) 花奥恵の大好物(1993年) ターニング・ポイント前夜(1993年夏)