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【伊達政宗】10 018 モンキー&ドラゴン ◆CH3yUfFZ32 052 するがだてシャルトリュー ◆zg9MHZIP2Q 076 結ンデ開イテ羅刹ト骸 ◆tu4bghlMIw 119 騎士 失格 (前編)騎士 失格 (後編) ◆SDn0xX3QT2 142 ソードマスターマサムネ ◆qh.kxdFkfM 165 揺れる片の眼 悲を呼ぶ邂逅!(前編)揺れる片の眼 悲を呼ぶ邂逅!(後編) ◆6lyiPawAAI 181 贈る言葉 ◆LJ21nQDqcs 190 旋律の刃で伐り開く(前編)旋律の刃で伐り開く(後編) ◆hqt46RawAo 208 六爪流(前編)六爪流(中編)六爪流(後編) ◆LJ21nQDqcs 213 黒い聖母 ◆hqt46RawAo 【真田幸村】6 036 黒紅!偶然の邂逅 ◆SDn0xX3QT2 068 HELLO!!/幸村、妖怪を退治せんとするのこと ◆fQ6k/Rwmu. 090 こよみパーティー ◆tILxARueaU 100 三人コミュニケーション ◆40jGqg6Boc 117 おくりびと/燃える火のように ◆fQ6k/Rwmu. 134 幸村ああああああああああああああっ!!幸村ああああああああああああああっ!!(後編) ◆0hZtgB0vFY 【織田信長】27 002 征天魔王 ◆PAWA58Ribc 066 魔王、駆け行く ◆lDZfmmdTWM 080 戦争と平和 ◆10fcvoEbko 098 煉獄の炎煉獄の炎 (2)煉獄の炎 (3) ◆.ZMq6lbsjI 113 過去 から の 刺客 ◆qh.kxdFkfM 128 偽者(レプリカ)、E-2学校に死す! ◆70O/VwYdqM 145 魔王再臨 ◆1U4psLoLQg 157 いざや開かん、冥底の門 ◆L5dAG.5wZE 180 「無題」じゃあ今いち呼びにくい! このシュトロハイムが名づけ親になってやるッ! そうだな……『メキシコに吹く熱風!』という意味の「サンタナ」というのはどうかな! ◆mist32RAEs 189 戦場に生きる者達(前編)戦場に生きる者達(後編) ◆0hZtgB0vFY 194 命短し恋せよ乙女(前編)命短し恋せよ乙女(後編) ◆LJ21nQDqcs 202 魔王信長(前編)魔王信長(後編) ◆0hZtgB0vFY 226 境界式 ―― Intermisson ◆C8THitgZTg 239 会合、魔人二人 ◆lDZfmmdTWM 247 疾走スル狂喜 【壹】疾走スル狂喜 【貮】疾走スル狂喜 【參】疾走スル狂喜 【肆】疾走スル狂喜 【伍】 ◆hqt46RawAo 255 アディオス アミーゴ! ◆aCs8nMeMRg 258 夢幻の如くなり(前編)夢幻の如くなり(後編) ◆mist32RAEs 275 拡散スルハ死ノ恐怖 ◆X5.tKUFx82 287 裏切り者、二人と一匹 ◆X5.tKUFx82 289 絆キズナ語ガタリ 半端者・阿良々木暦傷キズ泣ナ語ガタリ 螺旋眼・浅上藤乃 ◆mist32RAEs 291 BRAVE SAGA『絶望』BRAVE SAGA『死踏』BRAVE SAGA『未来』BRAVE SAGA『希望』 ◆0zvBiGoI0k 299 わたしとあなたは友達じゃないけど(前編)わたしとあなたは友達じゃないけど(後編) ◆1aw4LHSuEI 302 開幕乱世・無頼 ◆hqt46RawAo 304 crosswise -black side- / ACT1 『疼(うずき)』(一)crosswise -black side- / ACT1 『疼(うずき)』(二) ◆ANI3oprwOY 306 crosswise -black side- / ACT2 『舞姫(まいひめ)』(一)crosswise -black side- / ACT2 『舞姫(まいひめ)』(二) ◆ANI3oprwOY 309 crosswise -black side- / ACT3 『勇侠青春謳(ゆうきょうせいしゅんか)』(一)crosswise -black side- / ACT3 『勇侠青春謳(ゆうきょうせいしゅんか)』(二) ◆ANI3oprwOY 310 crosswise -black side- / ACT4 『逆光(ぎゃっこう)』(一)crosswise -black side- / ACT4 『逆光(ぎゃっこう)』(二) ◆ANI3oprwOY 【明智光秀】11 024 人生美味礼賛 ◆10fcvoEbko 050 Break & Peace ◆qh.kxdFkfM 076 結ンデ開イテ羅刹ト骸 ◆tu4bghlMIw 088 届かなかった言葉 ◆Wf0eUCE.vg 115 試練2/逃げ場なんて、無いかもよ(前編)試練2/逃げ場なんて、無いかもよ(後編) ◆0hZtgB0vFY 130 試練Next Turn ◆y6kfGoF1C6 139 狂風狂風(後編) ◆40jGqg6Boc 153 切り札(前編)切り札(後編) ◆LJ21nQDqcs 169 あけちフィッシュ ◆aCs8nMeMRg 176 苦痛 ◆0hZtgB0vFY 190 旋律の刃で伐り開く(前編)旋律の刃で伐り開く(後編) ◆hqt46RawAo 【本多忠勝】7 019 最強証明―― ◆rfP3FMl5Rc 038 機動戦士ホンダム00~ツインドライヴ~ ◆.ZMq6lbsjI 080 戦争と平和 ◆10fcvoEbko 098 煉獄の炎煉獄の炎 (2)煉獄の炎 (3) ◆.ZMq6lbsjI 110 決意の火 ◆40jGqg6Boc 132 みんな! 丸太は持ったか!! ◆mist32RAEs 149 黄昏の破壊者破壊者たちの黄昏Beyond The Grave ◆L5dAG.5wZE 【片倉小十郎】5 005 血風大伽藍!小十郎vsサーシェス ◆lDZfmmdTWM 057 涙――tears―― ◆DXXMkAYDjo 074 やれることを全てやって ◆Ok1sMSayUQ 087 Only lonely girl ◆WWhm8QVzK6 092 恐怖の調理法あれこれ ◆0hZtgB0vFY
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作者・◆NlnwM6E.Fo_氏(元◆YiCze/X/.HKH氏) 俺の好きな作品でバトルロワイアル本編 俺の好きな作品でバトルロワイアル本編SS目次・時系列順 俺の好きな作品でバトルロワイアル本編SS目次・投下順 俺の好きな作品でバトルロワイアルキャラ別SS表 俺の好きな作品でバトルロワイアルの参加者名簿 俺の好きな作品でバトルロワイアルのネタバレ名簿 俺の好きな作品でバトルロワイアルの死亡者リスト 俺の好きな作品でバトルロワイアルの支給品一覧 俺の好きな作品でバトルロワイアルのルール・マップ
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死者たちのたまり場PART3 レス番号301~450 タイトル 登場人物 備考 たまり場 (風紀的に)最大の危機 御坂美琴、刹那・F・セイエイ、八九寺真宵 苦労人さんのハードスケジュール アーチャー、平沢唯、中野梓、田井中律キャスター 仮面アステカー四十九話【決戦】 海原光貴、池田華菜、遠藤勇次 仮面アステカー第五十話【決着】 海原光貴、池田華菜、遠藤勇次、竹井久玄霧皐月 仮面アステカー第五十一話【本願】 御坂美琴、刹那・F・セイエイ、玄霧皐月海原光貴、竹井久、池田華菜 空気な工作員たち 張五飛、ゼクス・マーキス、ヒイロ・ユイ 制裁 遠藤勇次、琴吹紬、明智光秀、バーサーカー 律、ダウン アーチャー、中野梓、竹井久、池田華菜海原光貴、田井中律、神原駿河、平沢唯アーニャ・アールストレイム、プリシラ加治木ゆみ、レイ・ラングレン さわりとは 刹那・F・セイエイ、ヒイロ・ユイ、張五飛ゼクス・マーキス、御坂美琴、玄霧皐月 覚悟の出陣 琴吹紬、八九寺真宵、明智光秀、本多忠勝 今週の咲 龍門渕透華、加治木ゆみ、池田華菜 律、睡眠中 レイ・ラングレン、田井中律船井譲次 これで一安心 御坂美琴、リリーナ・ドーリアン池田華菜 そにぶ?の話題 原作での悲惨な境遇 伊藤開司、龍門渕透華、池田華菜、加治木ゆみ田井中律、平沢唯、中野梓 美琴の電撃マッサージ 竹井久、海原光貴、御坂美琴、池田華菜リリーナ・ドーリアン、アーニャ・アールストレイムマリアンヌ・ヴィ・ブリタニア、伊藤開司龍門渕透華、アーチャー 正義というもの 御坂美琴、刹那・F・セイエイ、琴吹紬八九寺真宵、平沢唯、中野梓、田井中律レイ・ラングレン カイジの時間軸 利根川幸雄、伊藤開司、遠藤勇次 キャスター、捜索開始 キャスター、平沢唯、中野梓、アーチャー加治木ゆみ 眠れる控え室の律 レイ・ラングレン、田井中律船井譲次 福本漫画におけるとある法則 伊藤開司、利根川幸雄、船井譲次 宴の始まり 琴吹紬、刹那・F・セイエイ八九寺真宵、明智光秀 友達 平沢唯、中野梓、御坂美琴、アーチャー 律はまだ眠るようです 田井中律、レイ・ラングレン、キャスター 崩落 刹那・F・セイエイ、琴吹紬、本多忠勝平沢唯、中野梓、ヴァンレイ・ラングレン 咲勢の入浴シーン 竹井久、龍門渕透華、池田華菜、加治木ゆみ原村和 工作員、お仕事中 張五飛、ゼクス・マーキス、ヒイロ・ユイ 漢泣き(?) ヒイロ・ユイ、トレーズ・クシュリナーダ龍門渕透華、片倉小十郎、月詠小萌、伊藤開司 空気決定戦 張五飛、ゼクス・マーキス、遠藤勇次 救出、そして…… 琴吹紬、本多忠勝、平沢唯、中野梓刹那・F・セイエイ、八九寺真宵、龍門渕透華真田幸村、セイバー 律はまだおねむなようです 田井中律、キャスター、船井譲次、安藤守玄霧皐月 放置プレイ ヴァン、レイ・ラングレン 空気の場外ホームラン 真田幸村、セイバー、遠藤勇次、張五飛ゼクス・マーキス 船井、粉微塵 船井譲次、安藤守 目覚め 玄霧皐月、キャスター、田井中律、平沢唯刹那・F・セイエイ、中野梓、琴吹紬 みつどもえ! 明智光秀、レイ・ラングレン、ヴァン田井中律 冷やし中華始めました アーチャー、御坂美琴、海原光貴、竹井久セイバー 透華が不機嫌なようです 龍門渕透華、伊藤開司、月詠小萌、真田幸村リリーナ・ドーリアン、トレーズ・クシュリナーダ 部長が食堂へ行く理由 加治木ゆみ、竹井久 とある戦国武将の一人勝ち アーニャ・アールストレイム、ゼクス・マーキス張五飛、ヒイロ・ユイ、リリーナ・ドーリアンセイバー、片倉小十郎、真田幸村、伊藤開司龍門渕透華、月詠小萌 遠藤、また復活できず 遠藤勇次、カギ爪の男マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア 心配と「接続」と セイバー、アーチャー、竹井久、加治木ゆみ池田華菜 悪夢 -壊れた幻想-の話題 「答え」の模索 刹那・F・セイエイ、ヒイロ・ユイ はじまりのおはなしの話題 それぞれの「世界」 竹井久、遠藤勇次、兵藤和尊、利根川幸雄中野梓、ヴァン、ヒイロ・ユイ、神原駿河伊達政宗、加治木ゆみ 結局あれは何? 田井中律、キャスター、池田華菜、アーチャー ムギの目覚め 琴吹紬、平沢唯、中野梓 ドクターストップ 田井中律、アーニャ・アールストレイムキャスター、マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア その確かな悪手 竹井久、伊藤開司、加治木ゆみ、アーチャー原村和 仮面の話題 現世のアイツの「正義」 アーチャー、御坂美琴、平沢唯、中野梓琴吹紬、神原駿河、海原光貴、池田華菜伊藤開司、竹井久、加治木ゆみ ムギちゃんのパーフェクト「正義」教室~講習編~ 平沢唯、中野梓、琴吹紬 お見舞い プリシラ、中野梓、平沢唯、加治木ゆみ琴吹紬、アーニャ・アールストレイム田井中律、キャスター 海原光貴の憂鬱 竹井久、加治木ゆみ、海原光貴 ムギちゃんのパーフェクト「正義」教室~実戦編~ セイバー、平沢唯、琴吹紬、中野梓荒耶宗蓮 夏休みといえば?その1 加治木ゆみ、神原駿河、千石撫子、竹井久安藤守、伊藤開司、御坂美琴、八九寺真宵 夏の風紀委員会議 龍門渕透華、伊藤開司、月詠小萌、御坂美琴 ごめんね、りっちゃん マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア、平沢唯加治木ゆみ、田井中律、琴吹紬、中野梓アーニャ・アールストレイム、プリシラ 真宵、宣戦布告 八九寺真宵、龍門渕透華、御坂美琴、片倉小十郎 プールは大盛況 本多忠勝、伊藤開司、アーチャー、バーサーカー 夏休みといえば?その2 リリーナ・ドーリアン、遠藤勇次、忍野メメ 暗き雰囲気の食堂 海原光貴、池田華菜、セイバー、加治木ゆみ平沢唯、中野梓、琴吹紬、プリシラ真田幸村、伊達政宗、兵藤和尊、片倉小十郎 ......and nothing heartの話題 それぞれの危機 伊藤開司、龍門渕透華、玄霧皐月、船井譲次御坂美琴、アーチャー、竹井久、神原駿河中野梓、海原光貴 女 の 闘い -悪夢-の話題 トレーズとあの人の共通点 千石撫子、トレーズ・クシュリナーダ トレーズとBASARA秀吉の中の人は同じ この雰囲気を吹き飛ばすために 龍門渕透華、伊藤開司 ある朝の風景 中野梓、ヴァン 動き出す策略家 琴吹紬、平沢唯、中野梓、八九寺真宵神原駿河、セイバー セイバーの水泳大会修練 セイバー、アーチャー、竹井久、龍門渕透華御坂美琴、八九寺真宵 今日は律の誕生日 田井中律、アーニャ・アールストレイム、キャスター平沢唯、中野梓、プリシラ、加治木ゆみ琴吹紬 復活の律 田井中律、キャスター、アーニャ・アールストレイム琴吹紬、八九寺真宵 風紀委員チームの講師 バーサーカー、加治木ゆみ、プリシラ、龍門渕透華ライダー、アーチャー 第十九回死者スレラジオ:ヒイロ編 御坂美琴、アーチャー、ヒイロ・ユイ、安藤守 とある事件の予告編 特攻野郎チームの練習風景 八九寺真宵、琴吹紬、田井中律、平沢唯神原駿河、中野梓 ある一つの決意とある一人の死。それがもたらすもの カギ爪の男、玄霧皐月、海原光貴、伊達政宗池田華菜、竹井久、福路美穂子 おわりのはじまりⅠ「少女には向かない職業」の話題 澪への想い~琴吹紬~ 八九寺真宵、琴吹紬 現世のよりの衝撃 神原駿河、アーニャ・アールストレイム、ヒイロ・ユイマリアンヌ・ヴィ・ブリタニア、カギ爪の男ヴァン、アーチャー、海原光貴 疾走する超能力者のパラベラムⅠの話題 控え室。今は女の園 戦場ヶ原ひたぎ、C.C.、ファサリナユーフェミア・リ・ブリタニア、上条当麻福路美穂子 とある幻想殺しの脱衣ショー 上条当麻、戦場ヶ原ひたぎ、ファサリナC.C.、ユーフェミア・リ・ブリタニア、御坂美琴福路美穂子 決戦は週末に 龍門渕透華、伊藤開司、八九寺真宵 控え室の皆と…… 池田華菜、上条当麻、戦場ヶ原ひたぎ竹井久、御坂美琴、福路美穂子 控え室の外では アーニャ・アールストレイム、片倉小十郎マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア 澪への想い~田井中律~ 田井中律、キャスター おわりのはじまりⅠ「少女には向かない職業」の話題 澪への想い~平沢唯、中野梓~ 平沢唯、中野梓 混沌なる壷の中は 玄霧皐月、八九寺真宵 とある幻想殺しの脱衣ショーⅡ 上条当麻、セイバー、アーチャー お前ら人間じゃねえ! ヒイロ・ユイ、伊達政宗、御坂美琴、竹井久伊藤開司、張五飛 海原と美穂子 海原光貴、福路美穂子
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crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1) ◆ANI3oprwOY スクランブル交差点の中心部、こつりと叩かれた路面が爆散した。 くすんだアスファルトの大地が抉られ、砕かれ、粉末と化し、竜巻の如くに巻き上げられて四方八方に散らされる。 同時に発生した衝撃波が路面を伝い、周囲の建造物の内装を歪ませ、ガラス窓を内側から割り砕き、路上に光の雨を拡散させた。 加えて生じる膨大な風圧。 道路に放置されていた古看板、乗り捨てられていたような車、電柱、その他雑多な物々が押し流され、へし折られ、吹き飛ばされていく。 この光景を直に見た者であっても、到底信じられまい。 巻き起こされた破壊事象全ての要因とは、一人の人間が地を蹴ったという、ただそれだけのことなのだ。 白き殺意は余波を瞬時に置き去って飛翔する。 殺意、一方通行にとっての本命とは、瞳に映す前方の対敵に以外に何もない。 高層ビルに囲まれた広大な道路上、中空を滑走する彼は今、一発の弾丸である。 飛び立ったが最後、如何なる対象をも突き破り、殺害せしめて撃ち捨てる。 正義を貫いた悪は止まらないが故に、完結した正義は止められないが故に無敵である。 この身が如何なる壁に阻まれようとも必ず突破し、己が目指した場所へと辿り着く。 一方通行はそれを疑うことはなく、省みることすら最早無い。 弾丸は高速で空を行き、数秒と掛からずに到達する。 現状の対敵たる、赤き巨人へと喰らいつくだろう。 だがその前に、殺意にさらされた者達の抵抗が開始された。 立ち並ぶビルの壁に囲まれたコース。 そのむこうで、向かい合う対敵が動きを見せる。 聳え立つビル郡と同程度の巨体。仁王立ちする赤き巨人――ガンダムエピオンと呼ばれる機動兵器がその豪腕を振るう。 薙ぎ払われる黒き一閃。エピオンが持つ武装の一つ、ヒートロッド。 湾曲する鞭の如き大質量の金属線。黒き、まるで悪魔の尾のようなそれが、しなりながら空間を引き裂いていく。 僅か数秒の間隙もなく、エピオンの前方右側のビル郡が単純な破壊力によって根こそぎ倒壊させられた。 しかし、その軌跡が左側まで及ぶことはない。 何故なら攻撃の方向性は中間地点たる道路の中心にて、逆方向へと弾き返されていたからである。 それは全くの予定調和、分りきっていた結果だった。 人間規模をはるかに上回る大質量攻撃であろうと、それだけで一方通行を打ち破ることは不可能。 条理のとおり、あるいは不条理のとおりに反射される。 それはパイロットも承知の上だったのだろう。 流れるような動作で、エピオンは次の動作に移っていた。 右腕は既に、機体の腰部にマウントされた柄を握り、来たる敵を待ち構えている。 故に一方通行の到達に先んじて、二撃目を放つことが可能となった。 対敵が間合いに進入した瞬間、それは放たれる。 機械仕掛けの右腕部が、握った柄を引き抜く。 解放されし金緑色のエネルギー体の刀身、それは超大なる力の奔流であった。 空間を塗りつぶし焼き尽くせよと迸る荷電粒子ブレードの炸裂は、誕生と同時に死を繰り返す破壊力の結晶。 ガンダムエピオンの持つ、最大の武装の一つたる――ビームソード。 それが、たった一人の人間を滅するためだけに振るわれる。 エピオンの右腰元から、上方へ逆袈裟の一閃を抜き放つ。 路面を高熱で焼き裂きながら、閃光の斬り上げが対敵へと到達する。 今度は方向性が逆転することはなく、瞬時に伸び上がるエネルギーの怒涛が一方通行を飲み込んだ。 ビームの刀身の周囲ですら、超々高熱を発している。触れるまでも無く、焼き尽くすほどの威力をもっている。 刀身の中心部をぶつけられれば、人体など刹那の猶予すら与えられずに消滅するだろう。 とは言えそのような常識、やはり一方通行に適応されることなどありえない。 切先に至るほどに肥大化する刀身が一方通行を覆った瞬間、それは巻き起こった。 拡散する閃光、別たれ飛び散る幾つもの光の束。 さながら、巨大なホースから迸る水しぶきを拳一つで弾き飛ばすように。 ビル街の中空にて、金緑色の蘭華が咲いた。 ビームソードが齎すエネルギーの奔流は、一方通行の肉体に触れた瞬間に力のベクトルを崩される。 光の刀身がその方向性を乱し、幾つもの花弁となって解けていく。 散り散りになった感電粒子の帯は四方八方に湾曲しながら地面やビルの壁を貫いては逸れ。 その中央、ビームを殴り飛ばす一方通行は、なんら勢いを減衰させていない。 対MSを想定した一撃を浴びせられて、当然のように傷一つありはしない。 エピオンは更なるエネルギー供給をビームソードへ送り込み、光の斬撃がもう一段階肥大化しものの。 尚も止まらない一方通行の全身が空中にて半回転。 今度は拳ではなく足によって、文字通り蹴散らしていく。 突破する斬撃。 遂にガンダムエピオンが放つ渾身の二撃をノーダメージで切り抜け、一方通行は敵の姿を己が射程圏内に収めた。 巨体の中心部、コックピットの真上たるその部分に、一方通行の足刀が及ぶ。 ソニックブーム。壮絶な風切り音を引き連れて、けたたましい激突音を鳴り響かせて、飛来する蹴撃。 瞬間、生み出された壊滅的なインパクトが、エピオンの巨体を凄絶に揺さぶった。 □ ■ ■ ■ ■ crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』 □ □ □ □ ■ /PSI-missing(1) 対一方通行を想定する戦闘において、必要なものは二つ。 最強の超能力者を打倒するために、グラハム・エーカーは予め様々なパターンを想定していた。 これまで一方通行自身が語ったことや、彼と戦って得た情報を統合して考察していた。 その想定の内一つに、現在の状況は見事に合致している。 故に計画通りと言えた、あくまで現状は。 一方通行を最強たらしめている要因とは何か。言うまでも無く、その強力過ぎる能力であろう。 ベクトル操作、と本人は語っていた。 名称のみで力の本質など図る術は無かったが、これまでの事から強力さと凶悪性は十二分に知りえていた。 特筆するべき特徴は、大別して二つある。 まず一つ、それは鎧。 如何なる攻撃も通さない、無敵の防御が一方通行の身体には備わっている。 『反射』、とスザクは表現した。攻撃をオートリフレクトする不可視の鎧だ。 銃弾も、剣戟も、肉弾戦も、一切が通用せずに弾き返される。 これを破らない限り、勝利は訪れない。 そしてもう一つ、それは魔手。 正確には手に限定せず、一方通行が触れたものは何であろうと凶器と化す。 缶コーヒー、ガラス片、パチンコ玉、得物選ばず投げれば銃弾を超える威力になり、触れらればそれだけで砕け散る。 彼がもたらす『力の伝わり』は常識を超えていた。風すらも操り凶器に変えられる。 如何なる常識もそこには適応されない。攻撃方法も、攻撃原理も、何が起こってもおかしくない。 力の『強弱』とは別次元のなにかが作用している。 兎にも角にも、振るう投擲攻撃の直撃はもちろん、触れられるだけでも即死。 絶対的に剣呑な五体を備えていた。 この二つを有する一方通行は無敵である。 故に、必要なものは二つ有ると、グラハムは考えていた。 即ち矛と盾である。 無敵たる鎧を突き崩す矛。 無敵たる魔手から身を守る盾。 この二つが揃えば、無敵たる一方通行を撃破することも不可能ではない。 そしてここには、その二つが存在した。 「――――チッ」 一方通行は小さく舌打ちをした。 ベクトル操作にて威力を爆発的に増幅させた超高速度のドロップキック。 技の形式が『蹴り』でありながらも、それは如何なる銃弾にも勝る徹甲弾だ。 鉄板など何百枚重ねようが蹴り貫いてぶち壊す程の威力を持っている。 現にこの瞬間も、人の身でガンダムエピオンの装甲を大きく窪ませていた。 「威力不足か」 しかし、それだけである。一方通行の一撃を持ってしても、貫くには至らない。 ガンダニュウム合金装甲。 ヒイロ・ユイやゼクス・マーキスが生きてきた世界の中で、ガンダムという存在が特別なものであった大きな要因の一つである。 特殊金属の特性が構成する、従来のMSとは比較にならぬほどの装甲強度。 それがいま、通常のMSならば容易く陥落するほどの攻撃を最小限のダメージで抑えきったのだ。 「コイツを破るほどの攻撃となりゃァ、ちィと時間を喰い過ぎる……けどよォ……」 装甲の厚さからして、ベクトル操作による内部破壊はこの場からでは不可能。 しかし回路に干渉できれば撃破は容易。 迅速に判断した一方通行は装甲をもう一撃蹴り飛ばし、自ら下方に落下する。 そうして空中を落ちながら、機体の全景を近距離から眺め回した。 「どこぞの隙間にでも、軽く手ェつっこンで……とォ?」 即ち、それは『盾』が正しく機能したことを示していた。 この戦場におけるガンダムエピオンの意義とは、 絶殺の一撃を凌ぐガンダニュウム合金の巨大な盾に他ならない。 コックピットの内部にて、パイロット――グラハム・エーカーは薄く笑い、言った。 「かかったな化け物。次はこちらの攻め時だ!」 その声が聞こえなくとも、『矛』は理解していた。 今こそ出番である。 構えられた盾が敵手の一撃を防ぎきった時、内側より現れるものとは、隙をさらした敵を貫く矛だ。 それがいま、 「あァ?」 両儀式という形をして、エピオンの足元へと走りこむ。 落下する一方通行が、ピクリと眉を寄せた。 身にまとった着物を風に揺らしながら一直線に駆けてくる少女を、彼は知っている。 狂気に浸した思考であろうと、その記憶を捨てたわけではない。 「オマエ、」 一方通行の暴虐的な跳躍とは対照的に、その踏み込みは優雅の一言に尽きた。 直立の姿勢で、柔らかな回転運動と共に少女、両儀式は跳ぶ。 対峙は二度目。彼女にとっても此度の遭遇は前回とは意味が異なる。 前回は肩と肩がぶつかった程度のこと。しかし今回は、明確な殺り合い。 中空にて、少女がその手に掴んでいるものは一振りの刀である。 しゃらん、と。流れるような音と共に、白銀の刀身が早朝の外気へ解き放たれる。 鞘のみがカランと、立つ鳥の後に残された。 落ちる一方通行、飛ぶ両儀式。両者が接近する。 式はその眼を凝らして、一方通行の死を仰ぎ見た。 即ちそれは盾に続き、矛もまた正しく機能することを意味していた。 一方通行は中空にて身動きが取れない。両儀式の一撃をかわすことは不可能であろう。 「「――――!!」」 式が刀を握る手首を返した瞬間、一方通行も同時に動いていた。 ポケットの内部より取り出した小ビンを下方より迫り来る式へと射出。 回避動作が不可能となっているのは式とて同じである。 小瓶は即席の迎撃手段としても、人体には十二分に脅威となる威力を秘めている。 チャキ、と音を鳴らした刀が、その瞬間に消えた。 否、消えたと錯覚させるほどの速度で跳ね上がったのだ。 両の手で振るわれたであろう一振りは、次の瞬間には逆側へと流れており、 斬撃の動作は本人以外、誰にも視認できぬままに終わっていた。 発生する事象はさらに後からついてくる。 発射された小瓶の弾丸は、一方通行の手元から離れた瞬間に砕けていた。 ガラス片と、内包していた液体が空に四散する。 再度、返される式の手首。 在り得ない速度で、返す刀、刀身がもう一度上昇する。 宙に舞ったガラスの欠片と液体もろとも、断割せん、と。 「――?」 しかし、浅い。 刀身は肉を裂くでもなく、骨を絶つでもなく、薄皮に亀裂を入れることすら叶わず。 銀の切っ先が中空の液体とガラスを払ったのみに留まり、一方通行の身体には届かない。 式にとって、想定外の顛末だったことだろう。 確実に刃が届く間合いだったはず。だというのに何故、避けられたのか。 答えは、数瞬の後に示される。 更に解せない事象の発現によって。 ――両儀式の体が、落下を開始していた。 自然、人は空を飛べぬ。式とて一度跳躍すれば落ちることは自明。 しかし元々落下していた一方通行とそれを目掛けて跳んだ式、両者は空中で交錯する未来であった。 にも拘らず、式が先に落ちている。 つまり的が回避したのではなく、両儀式の方が場所を動かされた、押し流されていたということ。 要因は一つ、交錯の一瞬前に両者の中間に出現した空気の層、即ち風圧である。 「あぶねェなァ……」 嘲笑う声が上方から聞こえたとき、既に式は路面に着地していた。 間隔を挟まずに、一方通行の落下地点を見据えたものの。 「は、遅せェンだよォ!」 既に一方通行は遥か前方にて、超速のバックステップを開始していた。 ベクトル操作で発生させた風圧で式を落下させると同時、自らの身体も後方へと押し流す手際。 構わず駆け出そうとする式であったが、それを阻んだのはグラハムエーカーが操るエピオンの手だった。 「…………」 意味は、これ以上前に出るな、ということ。 エピオンの盾の向こう側に出てはならない、それが戦闘開始前の取り決めだった。 直後、一方通行が地を蹴った事による暴圧衝撃が、大量の瓦礫と砂利を伴って式へと殺到する。 それら全てはエピオンの手が防ぎきったものの、結果的に一方通行の退避を許すことになった。 距離を離した一方通行。 勝負は初期の位置関係に撒き戻った。 式は道路の先を見つめながら、刀の鞘を拾い上げる。 「やれやれ、まずいだろ。これは」 他人事のように呟いて、式はその実かなり深刻に状況を見ていた。 グラハムもまた同じ。 盾と矛は正常に機能し、こうして睨み合いの状況へと持ち込めた。 最悪の事態、一方的な虐殺を避けることはできた。 それは喜ばしい状況なのかもしれない。 しかし、これから先も続く保証は無い。 初撃だからこそ功を奏した作戦、この先も勝負に持ち込めるか分らない。 なによりも、二度とないかもしれない必勝の機会。 それを今、彼らが逃してしまったことだけは紛れも無い事実なのだから。 若干の焦燥を抱えつつ。 グラハム・エーカーと両儀式は前方に立つ一方通行の様子を伺いながら、 再び状況が動き出すことを待った。 □ □ □ □ 「なァるほど……」 初撃が終わる。 位置関係は元に戻り、仕切りなおしの格好となる。 再び、距離が開いた。 一方通行は壁として聳えるガンダムエピオンと、そのむこうに立つ少女を見据えていた。 ガシガシと頭を掻きながら、軽く嘆息する。 「面白れェ」 そして不意に、能力使用を完全に解いた。 同時に、口元に壊れたような笑みを浮かび上がらせる。 一方通行にしてみれば、実に愉快だった。 先ほどの初撃は紛れも無く、敵が準備していた『策』だった。 レベル5の攻撃に対応するための巨大な装甲。能力を殺す少女。 これら二つは一方通行の為に用意された布陣なのだ。 面白い、実に面白い。 このレベル5にむかって『策』ときた。 そう、これは駆け引き。 単純なる力のぶつかり合いではない。 多少待たされた後、示された答えは二段構えの防戦のようだった。 完全なるカウンター狙い。 エピオンの装甲にて一方通行攻撃を受け止め、式が刺す。 それを外した以上、敵の狙いは二段目に移るだろう。 一方通行は前提として、対敵たる二者に対して能力の制限時間の半分すら使用するつもりが無い。 敵は、己と己の守るべき者を除いた全てだ。とりわけ注意するべき敵も顕在している。 故にもう二度と能力使用不能まで追い込まれる事などあってはならない。 しかし、力を抑えたまま崩すには、敵の構えは一方通行に対して十二分に磐石と言えた。 あの驚異的な少女対して、最適とされる攻撃手段は遠距離からの圧殺。 『能力殺し』は一方通行を殺せる力を持つが、一方通行の攻撃から身を守る力を持たない。 広大な路面での戦闘ならば、ビルの一棟でも投げつけてやればいい。 一対一の戦闘に拘らず、大規模の遠距離攻撃に徹底すれば、一方通行の勝利は揺るがない。 しかし、あの機動兵器が盾として立ち塞がっている。 エピオンの装甲を単純な一撃で破るには能力の消費が大きすぎる。 制限を鑑みれば、制限時間をほぼ削りきって漸く陥落といったところか。 この場で全ての敵を屠る意志の一方通行の望む手段では無いし、そもそもそんな隙をあの少女の前で晒せるものか。 かといって、機動兵器の内部に干渉できる場所を探し出し、一撃で仕留める為にはどうしても接近する必要が有り。 それはつまり『能力殺し』の間合いに進入することを意味していた。 刀を手にしたあの敵との正面対決もまた、能力の全力使用を要するだろう。 何れも、一方通行の機能を止められる。 遠距離において絶対防御を有する盾。 近距離において殺害手段を有する矛。 この二つが成した拮抗。 しかして、この策は一方通行に選択権を委ねている。 現状、敵は一方通行に対抗する構えを持つものの、自ら攻めることは出来ない。 一方通行が攻めなければ、戦いは動かない。 伸るか反るかの誘い網。来るなら来いという挑発。戦況は膠着している。 故にこれは駆け引きだ。心理戦の側面を持っている。 「はン、舐められたもンだ」 能力使用は解いている。 今あの機動兵器が仕掛ければ、一方通行はただの一撃で打倒されるだろう。 しかしそんな状況は在り得ない。 敵は攻められまい。 一方通行にはそれが分っていた。 この時点で、彼は全てを読みきっていたのだから。 「付き合ってらンねェが、まァいいだろ」 一方通行は敵から視線を逸らし、近場にあったビルへと侵入して、屋上へと続く階段を登り始めた。 敵が望んだベストの結末とは、先ほどの交錯で一方通行を殺害すること。 次に狙う展開は一方通行がもう一撃を仕掛け、そこで殺すこと。 その次はおそらく、この状況が続くことだろう。 つまり敵は『膠着しても良い』と思っている。でなければ、こんな作戦は取らない。 一方通行はそこから、敵が抱える確かな『恐れ』を読み取った。 「ちィとばかし、遊ンでやるか」 あの布陣は一方通行に対して、確かに有効な一手である。 敵が自ら崩すことはありえないだろう。 リスクを犯し、コストを払い、力ずくで壊滅させることは、出来ないでも無い。 しかし、ある一点を突けば、最小限の労力で崩し始めることは十分に可能だ、と。 階段を登り終えて屋上に立った彼は、機械人形へと視線を向ける。 そして首輪探知機を取り出し、これ見よがしに振り示した。 「なァ、オマエら?」 敵の布陣そのものは悪くない。が、浅い。思慮が隠しきれていない。 敵にとって一方通行の打倒は避けて通れぬ道のはず、なのに積極性に欠けているのは何故か。 一方通行を殺せる力を持ちながら、受け身の構えをとる理由とは何か。 膠着すら是とする訳とは無論――『そうしなければならない事情』があるからに他ならない。 『膠着よりも恐れる事態』を隠したいが為の、挑発と挑戦だ。 つまりは、 「守ろォとしてやがるよなァ?」 戦場から消えていたもう一体の機動兵器。 探知機の示す、マップ上を急速的に離れていく幾つかの光点。 それこそが、対敵から香る『恐れ』の正体に違いない。 ならばそれを、一方通行が利用し、均衡を破る契機にしないはずが無い。 「甘ェよ甘ェ、ったく、吐くほど単純だ」 短慮など見抜いている。 拮抗だと? 膠着だと? 対等だと? そんなものは許さない。 力の上でも、駆け引きの上でも、全てにおいて届かない存在。 それこそが『最強』であると、身を持って知るがいい。 「守りてェンだろ? だったら気ィ張れよ?」 一方通行は愛すべき対敵へと微笑みかける。 事情を知りえた上での情けなど、今更彼が持ち合わせるはずがなく。 「俺とやりてェなら態度で示しやがれ。 これ以上萎えさせやがったら、なァおい、『あっち側』から食っちまうぜ?」 □ □ □ □ グラハム・エーカーはエピオンのコックピット内にて、眉間にしわを寄せながら敵の姿を見据えていた。 初撃にて打倒するという、ベストの結果は得られなかったものの。 状況はそう悪くない、筈だった。 少なくともこの布陣が効果を上げることは証明された。 一方通行を待ち受ける姿勢を続行する。 更なる攻撃を続行するならば受けて立つ、にらみ合いが続くならそれも良し。 どちらにせよ、敗死さえしなければ目的は達せられる。 グラハム・エーカーはここで時を稼ぎ、あわよくば一方通行を打倒する構えだった。 背後に守る両儀式は主催や一方通行に対抗する数少ない要素。失ってはならない。 逃がした天江衣はなにがなんでも守ると決めた。死なせてはならない。 故に彼は、一つの覚悟を決めて此処にいる。 グラハムにとって、この戦いの本質は『如何にして、戦いを両儀式と一方通行の正面対決に移行するか』である。 接近なくして勝利への道は開かれない。 そのためならば、盾ごと礎にすらなる覚悟があった。 一方通行が誘いに乗ってくれば、次の衝突でエピオンの盾は崩されるかもしれない。 しかしその時こそ、式が一方通行との勝負に持ち込める、最初で最後の機会かもしれないのだから。 「…………まだ……か?」 しかし敵は、未だに勝負を仕掛けて来ない。 スザクの語ったことや、薬局での様子から、 このような状況ならば真っ向からぶつかってくる手合だと認識していたのだが。 敵は対面のビルの屋上で注意深くこちらを観察している。 それ自体は構わない、どれだけ時間をかけようがそれでも良い。 時間をかければかけるほど、あの少女はより遠く逃げられる。 きっと、目的地へと辿り着けるだろう。それもまたグラハムの望む展開だった。 「……」 しかしどうしてか、不安が拭えなかった。 冷や汗が頬を伝うのを感じながら、グラハムは思考する。 布陣に、不備は無いはずだ。この構えに穴など無い。 そして一方通行の能力使用に時間制限があることは把握している、敵もあまり長期戦は望まないはずだ。 早期決着を望むなら、網に飛び込まざるを得ないはず。 だというのに、この剣呑とした気配はなんなのか。 「何を、考えている……?」 顔を顰めるグラハムの目の前で、一方通行が動いた。 しかしそれは望んでいた突撃ではなく。 「……まさか」 ズームしたモニター上に映る一方通行の姿に、グラハムは膨大な怖気を感じた。 狙いが、見えた気がした。それは最低最悪の予感だった。 やめろ、気づくな、と。念じる意志を嘲笑うかのように、 見透かしたような目線、余裕そうに歪んだ口元、そしてプラプラと振られる何かの機械、 示された意志は――『見えているぞ』。 一方通行はエピオンから、目前の敵から目を逸らし、見据えていた。 南東――先ほどランスロットが離脱した方角を。 少なくない動揺が、グラハム・エーカーを揺さぶっている。 何故、看破されたのか。それこそがこの布陣における唯一の弱点であると。 一方通行は知らぬはずだ。 守るべき少女、危機が迫っている一人の少女のことを。 そのためにグラハムと式という一方通行に対抗しうる二者を残して、他の者達に黒の騎士団との合流を急がせたこちらの事情など。 ランスロットの離脱も、人員の入れ替えも、一方通行の見えぬように行なった。 当然行く先も知られているはずが無い。 にも拘らず、グラハムがこの場で唯一己の死よりも恐れている展開を、彼は見ている。 だとすれば狡猾な、しかし実に有効な揺さぶりだった。 予感が的中したとすれば、完全にグラハムの思考を読んだ上での行い。 敵の視点に立って物を考えた上での思考だった。 ただの狂気に憑かれた戦奴では無いということ。 まさかとは思うがあの一方通行は、『守る者』の思考に共感できるとも言うのか。 そういう考え方を。彼が知っているとでも―― 「馬鹿な……」 余計な思考を捨て去って、グラハムは歯噛みする。 他に選択肢が無かったとは言え、後顧の憂いに足を引っ張られる形になっていた。 ならば、作戦は根本から覆る。 それを証明するように、一方通行が動いた。 ビルの屋上から南へと飛ぼうとするかのような動作を見せ―― 「――!?」 瞬間、姿勢の崩れたエピオンへと、瞬時に角度を変えて跳躍した。 エピオンの右側へと回りこみ、隣のビルを蹴倒して、式を狙い撃つ。 すんでのところで気を持ち直したグラハムは、晒してしまっていた式の前へエピオンの腕を割り込ませる。 蹴り飛ばされてきたビルの瓦礫は、少女の身体を押しつぶす直前で、エピオンの腕に阻まれた。 式が反撃に転ずるより前に、一方通行は既に後方のビルへと退避している。 それは、能力最小限使用のヒット&アウェイ戦法。 「おのれ……!」 完全に揺さぶられていた。人質を取られたかのような圧迫感。 一方通行はランスロットを追撃する構えを見せている。 それはただのポーズかもしれない、グラハムを揺さぶるための。 敵としても式の存在は捨て置けないはずだ。ここで確実に潰したいはず。 しかしランスロットを追撃することが、こちらを揺さぶると見られていること、それ自体が既に不味い。 恐れを知られたということは、主導権を握られたに等しい。 一方通行がもし本気でランスロットの追撃に向かうならば、グラハムは動くしかなくなる。 しかし動くということは、この布陣を崩すことに他ならない。 盾と矛の構えを解いたとき、潰されるのはグラハムと式の側だ。 一方通行は、再び元のポジションに立ち、こちらを嘲笑っている。 その動作だけで『オマエが来い』と告げているように。 来ないならば相手にはしない、違う獲物を狩るだけだと、言わんばかりに。 「……ぐっ」 敵がこちらの意に沿わない以上、時間稼ぎすら成せない可能性が現れた以上、状況は限りなく悪い。 対応策が無いでもないが、それは策とは最早言えぬ。 誘っていたはずが、逆に敵の誘いに乗るという、愚挙に他ならなかった。 グラハムはモニター越しに式を見る。 式も視線に気づいているかのように、エピオンを見上げていた。 「決断のとき、か」 悔しいが、駆け引きはあちらが上手だとグラハムは認めた。 泣き所を見破られた以上、こちらは不利な立場にある。 遠くない内に崩され、己の命と式を失う事態に陥るのが関の山だ。 それは即ち、遠く無い未来にあの少女が窮地に立たされることを、意味しているのだから。 「行くぞ」 グラハムはエピオンの手を、背後の式へと差し出した。 言葉の意味は、苦肉の戦術変更。 式は黙したまま、そこへと飛び乗った。 選ぶ、否、選ばされる策は防戦から攻戦へと。 距離が詰まらないなら詰めざるをえない。 手に乗せた式ごと動き、本来動かせない盾と矛の布陣を、無理やり動かして攻め込む。 立場の逆転した戦場。術中に飛び込むしかない。 何故なら他に、確実にあの少女を、仲間を救う方法(すべ)は無く。 「私は決めたのだ……なんとしても、守り抜くと」 苦く重い音と共に、始まる交戦。 凍てついた空気の中、状況はじりじりと動き始めた。 □ □ □ □ 一方通行は向ってくる来る巨人を待っていた。 視線の先では機動兵器と刀の少女が一体となって動き始めた。 戦術変更を目の当たりにして依然、彼は揺るがない。 この展開もまた読みきっている。 敵の立場にしてみれば、敵はそうする他に選択肢など無いだろう。 敵側と一方通行、どちらの頭がいいかという話ですらない。 ただの消去法。敵の選択肢を削り取り、結果的に予定通りの結末へと導いただけ。 今のところ、状況は悪くないと言えた。 能力を使用したのは初撃と二撃目の二回だけ、通算して一分にすら満たない。 まだまだ余裕がある。 このまま最低限の消費で突き崩す腹積もりだった。 『ここで全て纏めて叩き潰す』という意志に変更は無い。 当然、目の前の二つだけでなく、先ほど逃げた数匹も、『纏めて』だ。 故に、一方通行もまた、戦術を組み立てる。 己が理想の状況を現実にするために、レベル5たる頭脳を回転させた。 先ほど実現した、燃費の良いヒット&アウェイ戦術を基盤とする。 向かい来る敵の思考と、守護対象の位置から上手く戦地を誘導してやればいい。 一方通行の恐ろしさとは凶悪な超能力のみに留まらない。 それを支える頭脳もまた、彼の強さだ。 この島における、能力を制限された経験が彼の眼を加速度的に成長させていた。 能力に頼りきった戦い方ではない、頭脳、戦闘勘の真骨頂。 目覚めさせたのは紛れもなく、彼の前に立ちはだかった敵手達に他ならない。 「おォ、イイねェ、根性あるじゃねェかよ、褒めてやる」 嘲笑を響かせて、一方通行は歓迎した。 待っているがいい。じきにカタがつくだろう。 そのあとで、必ず全てを終わらせてやると、天に向かって告げながら。 「さてさて何分耐えられるか、見せてもらいまショウかねェ?」 漸く、死神を乗せて向かい来る兵器へと。 彼は三度目の跳躍を仕掛けていった。 □ □ □ □ 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Paradox Spiral(前編) ◆C8THitgZTg 靴底が床を叩く音を聞き、荒耶宗蓮は瞼を開いた。 一切の光源がない暗がりも、魔術師の視界を遮るには至らない。 荒耶は目を細め、闇の向こうに佇む黒衣の来客を見据えた。 「随分と変わり果てたものだな、荒耶宗蓮。 今になって呼び出されたときは何事かと思ったが、その様を見ては納得せざるを得ん」 暗黒と静寂に満たされた空間。 ここを言い表す言葉は幾つか存在する。 敵のアジト。 小川マンション。 奉納殿六十四層。 しかし、機能と用途を端的に表現するならこう呼ぶべきだろう。 『荒耶宗蓮の工房』と。 無論、F-5エリアの地下にある工房とは存在を異にする。 あちらは他の主催達を欺くために設けた、いわば"新しい工房"だ。 一方この工房は、殺し合いを舞台を造り出すより以前から存在している。 小川マンションを太極の具現とし、両儀式を捕えようとしたそのときから。 "新しい工房"と比較して言うなら"古い工房"とするべきか。 殺し合いの始まりより更に以前。 会場内にマンションを移設する際に、荒耶は工房ごと地下駐車場までもを移していたのだ。 尤も、当初の予定では、あくまで小川マンションを管理する場所として利用するつもりであった。 新たな工房が潰えたときの予備とする考えも僅かにあったが、実際に使うことになろうとは思ってもみなかった。 なにせ、ここは会場の管理運営には最適化されていない。 拠点として戦い抜くには不足が多すぎる。 会場に干渉する機能は乏しく、新たな工房ほど多くの場所には繋がってはいない。 そういう観点で言えば、荒耶宗蓮は追い詰められているのかもしれなかった。 「姿形など些事に過ぎぬ。目的を果たすに足る性能があれば支障はない」 「それは重畳だ。荒耶宗蓮の『救済』を見られないのでは、私も手を貸す甲斐がないからな」 低い声を暗闇に響かせながら、黒衣の男は一抱えもある大きさの物を床に落とした。 荒耶は男の言葉を無表情に聞き流し、床に転がった物に視線を向けた。 ぴくりと眦が動く。 見紛うはずなどない。 網膜に焼きついた鮮烈な光景。 脳裏に刻み込まれた生臭い状態。 荒耶をこの窮地へと追い込んだサーヴァント、セイバー。 その亡骸が無造作に転がっていた。 「ふむ、あのときに消滅したと思っていたが」 生気もなく横たわるセイバーを一瞥し、荒耶はようやく黒衣の男に意識を向ける。 男は両手を腰の後ろで組んだまま、口元だけに笑みを浮かべた。 「開始直後にセイバーのマスターが令呪を使っている」 ふむ、と荒耶は頷いた。 たった一言だが理解するには充分過ぎる。 荒耶は男の言葉を継いで、セイバーの亡骸が在る理由を語り始めた。 「ギアスが私の魔術を封じたことで、抑えていた令呪の効力が発揮されたか。 確かに、キャスターの亡骸が残り続けている以上、セイバーもまた消滅していないのが道理である」 荒耶は再びセイバーに視線を落とした。 教会で斃れたキャスターが消滅しなかったのは、政庁で肉体を喪う以前に確認している。 同じサーヴァントでありながら、亡骸の末路に違いが出るとは考えにくい。 「そういうことだな。私としては、消滅してもらったほうが回収の手間が省けてよかったのだが」 セイバーは絶命し、肉体はその場から消え失せた。 恐らく、居合わせた全ての者がそう思っていることだろう。 しかし現実にはそうではなかった。 ギアスの効力。 荒耶の機能喪失。 令呪が齎す強力な作用。 それらが絡み合った結果、セイバーは令呪の行使より十数時間遅れ、首輪を残して瞬間的に移動したのだ。 存命のうちに首輪が外れたのか、死体が移動したのか、それとも絶命と移動は同時だったのか。 細部は想像するしかないが、確実なことが一つだけある。 目の前の男は、令呪の行使地点に移動したセイバーを回収し、わざわざここまで持ち込んだということだ。 「荒耶。私は帝愛がやろうとしていることよりも、おまえの『救済』に興味を抱いている。 しかし、だ。奴らへの協力を怠るのでは何かと都合が悪くなる」 「要求があるのなら、明確に言え」 荒耶の眼差しに晒されてなお、男は萎縮する様子すら見せない。 堂々と、己のあるがままに振舞い続けている。 「何、些細な野暮用だ。アレに最低限の機能を与えるには、サーヴァントの魂が五体分は必要となる。 故に、今までに死んだ分を回収しておきたい。どこかの死神に魂ごと殺されてはかなわないのでな」 荒耶は表情を崩さない。 末世を想う哲学者の如く沈黙し、男の要求を吟味する。 「承諾した。おまえの要求を受け入れよう、言峰綺礼」 ◇ ◇ ◇ 二人分の重みを支えた自転車が、ゆっくりと林道を進んでいく。 普段なら気にならないような微かな斜面も、今は少し大変だ。 ペダルを踏み込むたびに、士郎の身体が左右に揺れる。 坂の途中での一件から、二人の間に会話はなかった。 関係に何らかの悪影響が生じたわけではない。 ただ単に話すタイミングと内容が見つからないだけである。 「もう少しだな……」 士郎は傾斜を登ることに意識を注ぎ。 「…………」 黒子は猛烈な気恥ずかしさに俯いていた。 「……不覚ですわ」 小声でぽつりと零す。 嘘偽りのない本心だったとはいえ、駄々をこねる子供のように泣きじゃくってしまったのだ。 呆れられてはいないだろうか。 幼稚だと思われてはいないだろうか。 そんな漠然とした不安が胸を疼かせている。 黒子は、士郎の制服をきゅっと握った。 これくらいなら、荷台から落ちないためだと思ってくれるだろう。 やがて自転車は林道を抜け、一段と開けた場所に出た。 林に遮られていた風が髪を靡かせる。 乱れかけた髪を押さえながら、黒子は何気なく周囲を見渡した。 まるで公園のような広場だ。 公園といっても遊具が並ぶ児童公園ではない。 充分な自然とある程度整えられた平地からなる、休養を取るための公園である。 時が時なら、人々の憩いの場所になっていたに違いない。 士郎の肩越しに、白い教会の外壁が見えた。 『神様に祈る場所』とはそういう意味だったのか。 黒子がそんなことを考えていると、唐突に自転車が停止した。 予想もしていなかった急ブレーキで、否応なしにバランスが崩れる。 華奢な肩が背中にぶつかり、片方の頬が制服と密着した。 「何ですの、急に」 黒子は努めて冷静なリアクションを返した。 ここで少女らしい声を上げて退くなんて、自分に似合う反応ではない。 あえて身体を密接させたまま、目の前の教会を見やる。 新築というほど真新しくはないが、さほど老朽もしていない外観。 大まかなシルエットは三角形で、実に教会らしい造りをしているといえる。 「言峰教会……本当に、そうだったのか」 「士郎さん、あの教会をご存知なのですか?」 士郎の声には驚きと不安の色が混ざっていた。 言峰という名称の意味は分からずとも、あの教会が彼にとって既知であることは察せられる。 「ああ、俺の街にある教会で、言峰綺礼って奴が神父をしてる」 ハンドルを握る手に力が篭るのを、黒子は見逃さなかった。 見知った建物を見つけたというだけではあるまい。 黒子は表情を引き締め、士郎に発言の続きを促した。 「その言峰教会が、どうかしたんですの?」 「言峰は……言峰綺礼は、聖杯戦争の監督者なんだ」 聖杯戦争。 たった一つの単語によって、黒子は事の重大さを理解する。 もし教会の発見が数時間早ければ、単なる不思議として軽く流していただろう。 しかし、今となっては看過できるはずもない。 『この殺し合いは聖杯戦争の模倣では』と仮説を立てた矢先に、本物の聖杯戦争と縁あるものと遭遇する―― 偶然と片付けるには余りに出来過ぎている。 二人はどちらからともなく自転車を降り、教会までの短い距離を歩き始めた。 「なっ……」 「あっ……」 風向きが変わる。 教会の方から吹き付ける風に混ざった、生臭い臭気。 そして、扉の隙間から漏れた濃赤色の痕跡。 士郎は自転車を投げるように倒し、教会へと走り出した。 だが、先に動いたはずの士郎よりも早く、黒子が扉の前に出現する。 「お姉さま……!」 濃厚な死の気配を前に、黒子の心に浮かんだ情景。 それは、扉の向こうで息絶えた、御坂美琴の姿。 理屈もなく、根拠もなく。 ただ恐怖心のみに後押しされた衝動だった。 おぼつかない手付きで取っ手を握り、重い扉をこじ開ける。 「――――っ」 酸鼻を極めるとはこのことをいうのか。 瞼を開けば鮮烈な赤色が視覚を犯し、息を吸えば甘ったるい鉄の匂いが嗅覚を溶かす。 口腔を満たす空気に血の味を感じ、黒子は唇を閉ざした。 一歩踏み出そうとして、脚が動かないことに気付く。 そこで黒子は、自分が恐れているのだと自覚する。 死体への嫌悪感ではなく、カーテンを被せられて横たわる亡骸の正体を。 竦む両脚を引きずるように、黒子は教会の中へと進もうとした。 「待て、黒子!」 士郎に肩を掴まれ、強引に外へと引き戻される。 その力が思ったよりも強くて、黒子は抵抗することも忘れてしまった。 「士郎さん……」 「俺が見てくる。黒子はここで待っていてくれ」 そう言い残し、士郎は教会の礼拝堂へと入っていく。 ぴちゃり、と血の海を靴が踏む音。 がさり、と死体に掛けられたカーテンが擦れる音。 三枚のカーテンを一枚ずつ丁寧にめくっては、亡骸の姿を確かめていく。 黒子はその間、開きっぱなしの扉に寄りかかり、士郎をじっと見続けていた。 やがて士郎は最後の亡骸を確かめ終えて、入り口の方へと戻ってきた。 「…………あの」 黒子は言い淀み、目線を伏せる。 そんな黒子の肩を、士郎は軽く叩いた。 「たぶん……『お姉さま』はいなかった」 「そうですか……」 士郎の報告を聞いたとき、黒子の胸に奇妙な感情が湧きあがった。 あえて表現するなら――安堵。 まだ現実を直視したくないという。 せめて綺麗なカラダであってほしいという。 どうしようもない願いが叶えられた安心感だ。 「俺より少し年上の男と、高校生くらいの女の子で……」 そこで士郎は言葉を切った。 続きを言うべきか悩む素振りを見せてから、意を決したように、手にしていたものを見せる。 それは、僅かに血痕の付着した、黄色のカチューシャ。 「……あの子が、田井中律って子なんだと思う」 キャスターが荷に入れなかったがために、光秀の略奪を免れた品であることは、士郎は知らない。 ただ、物陰に落ちていたそれを少女の遺品と見定め、手に取っただけだ。 「そう、ですの……」 黒子は一歩退いた。 安堵してしまった。 無残な死体が『お姉さま』ではないと知り、良しと思ってしまった。 代わりに、秋山澪の大切な人が斃れていたというのに。 それを知って尚、胸の奥の安堵が消えないのだ。 何という醜さなのだろう。 何という身勝手さなのだろう。 自分自身へのささやかな慰めに満たされて、他者への哀悼が浮かばない。 「士郎さんは……これからどうするおつもりですか……?」 「そうだな、もう少しここを調べたいかな」 黒子は俯いたまま、唇を軽く噛んだ。 そして、士郎のデイパックに手を掛ける。 「でしたら、ペリカを預けて頂けませんか? じきに消えてしまうんですから、使い切ってしまわないと」 「お、おいっ……!」 尤もらしい事を述べながら、黒子は士郎のデイパックを奪い取った。 理由なんてどうでもよかった。 今の自分を、彼に見られないようにできるなら。 黒子はデイパックを抱え、逃げるように教会の奥へと駆け込んでいった。 ◇ ◇ ◇ マンションの内部を歩き回ること十数分。 階層をひとつ登るたびに、エツァリは困惑の度合いを深めていた。 違和感を的確に表す言葉すら見つからない。 極めて高度な魔術が編み込まれていることは、おぼろげながらに理解できる。 さりげなく、それでいて確実に、人の心に干渉する。 違う、と、自身の考えを否定する。 精神に干渉する力は呪術的なものではないようだ。 マンションの構造そのものが、人を狂わせるように出来ている。 巧みな照明配置。 ぱっと見には正常としか思えない壁の色彩。 微かに傾斜し、平衡感覚を狂わせる床。 どのような発想に立てばこんな構造を考案することが可能なのか。 しかし、魔術的要素が全くないわけでもない。 幾つもの妙技が絡み合い、この異界を作り上げているのだ。 力の底が見えない。 濃霧に包まれた深淵を、手探りで進んでいるような錯覚。 蒼崎橙子は、ここに主催者への対抗手段があると言っていた。 それは半分正しく、半分誤っていたのではないか。 この建物自体が強大な魔術の体現とするなら。 対抗する術とは、この異常なマンションそのものなのでは―― エツァリはそこで思索を打ち切った。 肝心の蒼崎橙子は、肉体の調整を行うと言って地下へ降りていったきり戻ってこない。 次の行動を起こすのは、彼女の用件が済んでからだ。 せめて、対抗する術とやらについて聞き出さなければ。 あるかどうかも分からない餌に釣られて盲従するなど愚行の極みだ。 仮に、蒼崎橙子が大した力を持っていなかったとしたら。 自分は勝ち目のない反抗に付き合わされ、その結果、全てを失うことになるだろう。 確かに、このマンションを構築した物理的、魔術的な技術は凄まじい。 しかしそれが彼女の力だという保障はないのだ。 他人の成果物を自身のものと偽り、信用を得る――典型的な詐術である。 「まずは、見極める。全てはそれからだ……」 エツァリはあえて、心のうちを言葉にした。 誰かに聞かせるためではない。 己へ向けた自己確認だ。 おーーーーーーーーーーーーーーん。 不意に、そんな音が聞こえてきた。 壁を震わせ、床を揺らし、廊下の先から響いてくる振動音。 それがエレベータの駆動音であると気付くのに、そう時間は掛からなかった。 エツァリは呼吸を殺し、音のするほうへ顔を向けた。 このマンションは奇妙な構造をしている。 半月形の二つの建物が隣り合って並ぶことで、完全な円柱形を成している。 円柱の中心をエレベータが貫き、それを包むように建物があるといった感覚だ。 1階と2階はリクライゼーション用の施設として作られており、東西のロビーとエレベータが廊下で繋がっている。 住居があるのは3階以上。 エレベータから南北に廊下が伸び、外縁部で左だけに曲がることができるようになっている。 例えば、エレベータを降りて南にいけば、建物の外周を180度回り、行き止まりにぶつかる。 つまり北の廊下は西棟の外周を、南の廊下は東棟の外周をそれぞれ囲んでいるのだ。 住居としての居住性よりも、別のことを重要視した設計なのだろう。 「……」 エツァリは5階の東棟、その外周部にいる。 このなだらかな曲線の廊下を南へ辿り、角を右へ曲がれば、まっすぐな廊下の先にエレベータの乗降口がある。 逆に言えば、そこまでしなければ、エレベータを確認することができないのだ。 だからこそエツァリはエレベータに近付いていく。 廊下は完全な行き止まりだ。 隠れる場所は部屋の中しかない。 エレベータが上昇を停止する。 エツァリは曲がり角に身を隠して、南北を貫く廊下を覗き見た。 扉が、開く。 ◇ ◇ ◇ 「白井!」 黒子が礼拝堂の奥に消えてから、遅れること数秒。 士郎は黒子の後を追って走り出した。 乾きかけの血糊を踏み越え、中庭へ通じる通路を駆け抜ける。 ほんの数秒だった遅延は、しかし致命的なまでに長すぎた。 空間転移を使いこなす黒子と、そういった能力を持たない士郎とでは、運動性が天と地ほどに違うのだ。 「……くそっ」 己の判断の遅さに毒づく。 すぐにでも駆け出すべきだったのに、不要な迷いを挟んでしまった。 黒子が『お姉さま』のことで思い悩んでいるのなら、自分が割り込むべきではないのでは、と。 思い返せば、なんて見当違いな考えだったのだろうか。 関わるべきだとか、関わるべきではないとか、そんなことは関係ない。 たとえ何の役に立てなくても、黒子の隣にいなければならなかったのだ。 一緒に生きて帰ると約束したのだから。 薄暗い礼拝堂を抜け、太陽の下に躍り出る。 あまりの眩しさに目が眩み、一瞬だけ思考が空白になった。 やがて、網膜が過剰な光量に慣れていく。 真っ白だった視界に色彩が戻る。 白亜の壁と床。 古い木枠の窓。 緑の蔦。 青い鎧戸。 色付いていく風景の中、ただ一点だけ、闇が落ちていた。 「あ……」 最初は、目が眩んだときの残光だと思われた。 視線を動かせば一緒に動くような、見せ掛けの暗がりだと。 「な……に……?」 太陽の光を浴びていながら、そこだけ抜け落ちたような、黒い輪郭。 そこに在るのに、そこに在ると思えない異常。 超えられぬ壁のごとく立ちはだかる、黒い魔術師。 士郎は殆ど本能的に身構えていた。 ――気配が、ない。 それどころか、目の前にアレが存在しているということ自体を信じられない。 知らず、カリバーンの柄を掴む手に力が入る。 世界中の苦悩を刻み込んだような面持ちを上げ、魔術師は問うた。 「おまえが衛宮士郎か」 聞く者を魂から屈服させる声が、士郎の鼓膜を揺する。 士郎はカリバーンを強く握り、黒い魔術師を睨みつけた。 「……白井はどうした」 空間転移で中庭を通り過ぎていない限り、黒子もここを通ったはずだ。 返答によっては、あの魔術師と戦わなければならない。 魔術師が静かに一歩を踏み出す。 無造作な前進だというのに、士郎はそれに反応することが出来なかった。 「白井黒子に用はない。私の目的は、衛宮士郎、お前だけだ」 「そうか……それならっ!」 だんっ、と石材で舗装された地面を蹴る。 相手が自分を狙っているのなら、尚更逃げるわけにはいかない。 この場を切り抜けたところで、相手は諦めてくれないだろう。 最悪、どこかにいる黒子が人質にされる危険もある。 だからこそ、ここで倒す。 半人前の士郎でも、対峙する相手の脅威は痛いほどに理解できた。 奴は間違いなく強い。 それでも、勝機を感じていないわけではなかった。 手にした得物は"勝利すべき黄金の剣(カリバーン)" 鉄パイプや角材を強化して振るうのとは比べ物になるまい。 彼我の距離を数歩で詰め、金色の刃を振り上げる。 「―――はあっ!」 「不倶、」 突然、士郎の体が停止する。 「金剛、」 振りかざした腕までも、嘘のように動かない。 「蛇蝎、」 「な―――」 士郎は言葉を失っていた。 流動の耐えた大気に。 そして、自身を戒める三重の結界に。 「―――蛮勇。力量の差も測れぬか」 固く握られた拳が、士郎の腹を殴り上げる。 衝撃が腹筋を突き抜け、柔らかな内臓をシェイクした。 立て続けにもう一方の拳が突き刺さる。 「がはっ……!」 視界がブレた。 息をつく暇など与えられない。 内臓のどこかが破れたか。 肺から追い出される呼気に血が混じる。 魔術師の拳は、一撃一撃が必殺の威力を持っている。 耐えられるとして、あと何発――それとも、既に。 「な、んで―――おまえ―――」 何故自分を殺そうとするのか。 そう問おうとしたが、発音未満の震えが口から漏れるだけだった。 「理解せぬなら、それまでだ。お前に価値はない」 魔術師が再度拳を握る。 結界の戒めが緩み、士郎の身体がぐらりと傾く。 刹那、鉄槌じみた打突が、無防備な胴体を直撃した。 「―――――――――――――がっ」 「ぬ―――――――――――――?」 鉄の塊が衝突したかの如き轟音。 骨格が軋む。 意識が断線する。 戒めから解き放たれた肉体は、拳の衝撃をもろに受けて、砲弾のように吹き飛んでいった。 ◇ ◇ ◇ こつん、こつん。 階段を下る靴音が、地下の空間に響き渡る。 「地下聖堂……ですわね」 黒子は階段を最下段まで降りてから、ちょうどいい高さの段に腰掛けた。 膝と一緒に二人分のデイパックを抱き寄せる。 勢いのままに逃げ出して、こんなところにまで来てしまった。 結局、どうして自分は逃げてしまったのか。 それすらも、改めて考えなければ理解できない。 きっかけは教会の扉から漏れ出た血糊。 あれを見た瞬間、首筋から血の気がさぁっと引いて、冷静さを失った。 扉の向こうに『お姉さま』の変わり果てた姿がある――そんな錯覚に襲われたのだ。 後は負の連想ゲームの繰り返し。 勘違いに気付いて安堵を得たのは、士郎が教会の亡骸を調べてくれてからのこと。 ああ、そうだった。 身勝手な安堵感に喜んだことを自覚して、居た堪れなくなって逃げ出したのだ。 ―――静かだ。 耳が痛くなりそうな静寂の中、呼吸だけがやけに大きく聞こえる。 彼はどうしているのだろう。 言い残した通りに、教会を調べているのだろうか。 それとも、自分を探して歩き回っているのだろうか。 「駄目ですわ、こんなことじゃ……!」 左右の頬を軽く叩く。 こんな有様では――――に合わせる顔がない。 思えば、殺し合いの始まりから十五時間ほど経っているが、死体と間近に接したのはこれが始めてだ。 最も死が近くにあったのは、ギャンブル船で死んだカイジの件だ。 しかしそのときですら、黒子は死体を目の当たりにしていない。 カイジの死体を見つけたのはゼクスと衣で、見張りをしていたのは士郎だけ。 だから、教会で誰かが死んでいると気付いたとき、必要以上に気が動転してしまったのだろう。 黒子は地下聖堂の黴臭い空気を思いっきり吸い込んだ。 そうして、腹の底から吐き出していく。 「……よしっ」 早く彼の元へ帰ろう。 帰って、ごめんなさいと謝ろう。 黒子はそう心に決めて、階段から立ち上がった。 「おまえ一人、か」 男の声が、地下聖堂に反響する。 黒子は咄嗟に身構え、周囲を見渡した。 「どなたですの? 覗き見なんて悪趣味は止めて頂きたいですわね」 「ふむ、これは失礼した」 聖堂の奥から、革靴の音が近付いてくる。 暗闇からの一方的な攻撃すら覚悟していたのに、拍子抜けするほど正直な対応だ。 少しずつ男の輪郭が明瞭となり、黒子の目でも判別がつくようになっていく。 丈長の外套、黒い神父服、首から提げたロザリオ。 声の主は、見るからに神父然とした風貌の男であった。 黒子は警戒を絶やさずに、男をつま先から頭頂部まで観察する。 顔付きは日本人的だが、体格は非常に恵まれている。 目測だが、一九〇センチは越えているに違いない。 「こんなところに神父様がおられるなんて、場違いもいいとこですわね」 「面白いことを言う。教会に神父がいるのは当然だろう」 いいえ、と黒子は首を振る。 「地上の建物で何が起こったのか、知らないとは言わせませんわ。それに……」 抱えていたデイパックを床に落とす。 それと同時に、筆記用具のペンを三本、指に絡めて抜き取っていく。 「わたくし、だいぶ暗さに目が慣れてきましたの」 ペンの一本が手から消える。 未知なる相手と遭遇したとき、提示される選択肢は決して多くはない。 "対話" "逃亡" "無視" "降伏" そして黒子が選んだのは――"敵対" 神父の眼前にペン先が迫る。 しかし神父は最小限の動きで腕を振るい、その脅威を打ち払った。 次の瞬間、黒子の姿が階段の上から掻き消える。 一切のタイムラグもなく、黒子は黒衣の神父の死角に現れた。 黒子は神父の背中に触れながら、暗がりの向こうに視線を向けた。 接触から空間転移までの一瞬に短い思索を巡らせる。 ちょうど神父が現れた方向に、誰かの亡骸が横たえられている。 薄暗い上に距離はあるが、生きた人間でないのは間違いない。 頭と身体が切り離されれば、人は死ぬのだから。 それに、教会の死体は二つだったのに、弔った形跡は三つもあったのだ。 ここまでくれば、誰でも見当がつくというものだ。 「理由は聞きたくありませんわ」 神父を同一位置で空間転移させる。 ただし、頭を下に、脚を上にと、上下の位置をひっくり返して。 普通、人間は瞬間的な上下の反転を体感できない。 体感できないことは慣れようがなく、対処も極めて困難だ。 ジャッジメントの職務において何度もやってきた所作であり、その度に高い効果を上げてきた。 それなのに。 頭から落下するはずの神父が、空中で突然動きを止めてしまった。 「えっ?」 ――違う。 神父は頭が床にぶつかるより早く、両腕を支えに突き出したのだ。 そのまま腕をバネのように折り、曲芸じみた動きで身を翻す。 距離を取れと直感が告げる。 反射的に、黒子は自身を階段まで転移させていた。 「……っ」 反撃を想定し、油断無く構える黒子。 だが、神父は漫然と黒子の方へ向き直るだけで、決してそれ以上の行動をしようとしなかった。 警戒し続ける黒子を滑稽に感じたのか、神父の口元に薄く笑みが浮かんだ。 「どうして攻撃してこないのか……そう考えているようだな」 黒子は答えない。 どうせ図星を突かれたことは見抜かれているのだ。 余計なことは頭から追い出して、次なる攻撃に備えている。 頬を冷や汗が伝う。 神父との距離は六メートル程。 黒子にすれば、走って詰めるには広すぎるが、空間転移なら精妙な制御が望める間合いだ。 この距離を相手はどうやって埋めるのか。 ダッシュ? 飛び道具? それとも何かしらの能力を? 膠着状態が続くかと思われた矢先、神父はおもむろに襟元を緩め、黒子に己の首を見せ付けた。 そこには、本来あるはずの物――首輪が存在していなかった。 「あっ……!」 「理解して頂けたかな」 黒子の反応を見届けて、神父は襟元を正した。 「私は主催側の人間……言うならば、ギャンブル船の黒服達の同類だ。 会場運営の一部を取り仕切るが、生存者に手を出すことも、生存者同士のやり取りに介入することも認められていない。 尤も、こうして死体になった後であれば、保守管理の一環として干渉することもあり得るのだがな」 そう言って、背後の亡骸を目線で示す。 発言のうち何割が真実かは分からないが、少なくとも主催側に立つ人間だというのは信憑性がある。 事実、黒子はギャンブル船で参加者以外の存在と出会っているのだから。 「君と遭遇したのはただの事故だ。私からは一切の危害を加えないと約束しよう。 だが、君が戦闘の続行を望むというなら、こちらも必要最小限の自衛措置を取らせてもらう」 「……分かりましたわ。そういうことでしたら、こちらも矛を収めますの」 手元に残っていた二本のペンが消失する。 黒子は、神父の言葉を全て信用したわけではない。 教会で殺戮を繰り広げた者の正体は分からず、この神父が不干渉を貫く保証もない。 しかし躍起になって打ち倒そうとするほどの理由もなかった。 神父の視線を感じながら、二つのデイパックを左右の肩に掛けていく。 「ところで。貴方のお名前、お聞かせ願いません?」 立ち去る直前、黒子はさり気ない口調で問いかけた。 ふむ、と神父が口元を僅かに緩めて思案する。 その顔は、判断が難しいことを要求されて悩む後ろ向きな感情ではなく。 どちらを選択したほうが楽しいかを考えている、前向きな意思に裏打ちされているようであった。 「私の名については機密とさせてもらおう。簡単に教えてしまっては、些か面白味に欠ける」 面白味――その表現が黒子の頭の隅に引っかかった。 名前を教えられない取り決めだ、ということなら理解は早い。 黒服も個人名は分からなかったし、聞いても答えてくれなかったに違いない。 しかし、面白味に欠けるとはどういう理屈なのか。 「聖職者なのに随分と意地が悪いんですこと。高みの見物でお楽しみですか」 「否定はしない。白井黒子、おまえのこれからも楽しみにしている」 黒子は神父と向かい合ったまま、半歩だけ退いた。 ――やはり、この男は黒服達とは違う。 空間転移に対処してみせた身体能力は元より、殺し合いに携わる意思が違い過ぎる。 そもそも、遭遇が事故だと主張していることすら白々しい。 声をかけたのはあちらなのだ。 何かしらの明確な意図を持って接触してきたに決まっている。 黒子は胸に警戒心を隠したまま、改めて神父の顔を見た。 せめて顔付きだけでも覚えておこうと思ったが、どうやら要らぬ心配のようだ。 「今はまだ期待したほどではないが、奴と行動を共にしているのは喜ばしい誤算だよ」 「お褒めに預かり……光栄ですわね……」 こんな胡散臭い顔―――忘れたくても忘れられない。 「では、謝礼の代わりに情報を一つ進呈しよう。 ここの換金装置と販売機は、教会内の一室に設置されている」 そう切り出して、神父は部屋の位置を詳細に告げていく。 まるで、勝手知ったる我が家を案内するかのような流暢さで。 ここに至り、黒子の仮説は確信へと傾いていた。 「察していると思うが、参加者が換金により装備を整えることは、我々にとっても望ましいことだ。 利用するか否かは君の信念に委ねよう。……それと、忘れ物だ」 神父は床に落ちていたペンを拾い、山なりに放り投げた。 それを受け取ろうとした拍子に、黒子は神父の姿を視界から外してしまった。 再び顔を上げると、神父がいたところには、濃密な闇だけが広がっていた。 床に転がされていたはずの亡骸まで見当たらない。 「あんなに分かりやすく振舞うなんて……」 まるで、あえて正体を見抜かせようとしているかのようだ。 黒子は誰もいない暗闇を―――言峰綺礼がいた場所を睨み付けた。 呆れてものが言えない、としたいところだが、却って不気味すぎる。 生存者に干渉しないなんて嘘っぱちだ。 たった数分間のやり取りで、こんなにも自分を惑わせているのだから。 黒子は視線を切り、地上へ向けて転移した。 時系列順で読む Back 魔王信長(後編) Next Paradox Spiral(後編) 投下順で読む Back 魔王信長(後編) Next Paradox Spiral(後編) 198 好奇心は猫をも殺す 荒耶宗蓮 203 Paradox Spiral(後編) 198 好奇心は猫をも殺す 海原光貴 203 Paradox Spiral(後編) 201 セイギノミカタ 衛宮士郎 203 Paradox Spiral(後編) 201 セイギノミカタ 白井黒子 203 Paradox Spiral(後編) 言峰綺礼 203 Paradox Spiral(後編)
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158 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/02(火) 15 16 06 ID Se5MJn1E ~~グラウンド~~ 唯「うわー、見事にグラウンドが出来てるねー」 あずにゃん「本当ですね、この短期間でよく…」 ムギ「ここが今回の戦場よ。前回が惜敗だったから今回は勝つわよ!」 唯「おー!」 バサカ「疲れた…よく整備したと思う自分でも…」 ホンダム「(お疲れさまだ…)」 とーか「では皆さーん!運動会の開会式を始めますのでこちらへ集まってくださいましー!」 159 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/02(火) 22 12 40 ID GR9auhMc 小萌「皆さん、チームごとに集まりましたね?それでは、第一回たまり場運動会を開催致しますぅ。龍門渕ちゃん、たまり場代表として一言お願いします」 とーか「はい、では…皆さん、前回は少々目を瞑っていましたがいましたが…今度こそ!スポーツマンシップに則り、正々堂々と戦いましょう!」 デュオ(っといっても、このメンバーで真っ当な勝負事をしろっていうのが無理だと思うけどな……) とーか「特に特攻野郎チーム!前回は主催者の積極的介入もあったとはいえ、あなた達の妨害も目につきましたわ!今回は策を弄するより真面目に戦いなさい!」 真宵「それは無用の心配ですね。今回は人材も豊富ですし、奇策で他のチームを潰すなんてことはしませんから(まあ、味方の長所を最大限に利用した計略なら講じますが)」 とーか「まあなんであれ、特攻野郎と伊達軍団に優勝の栄光を与えるつもりはないですわ!最後に勝つのは私達、風紀委員ですわ!」 風紀委員「おおーっ!!!」 筆頭「Ha!言ってくれるじゃねぇか。でもな、勝利の美酒を味わうのは俺達だ!そうだろ、てめえら!」 伊達軍団「おおーっ!!!」 ムギ「みんな、準備はいい?今度こそ風紀委員を負かせて、伊達軍団にも勝って、私達特攻野郎の名に有終の美を飾りましょう!」 特攻野郎「おおーっ!!!」 マリアンヌ「ふふふ、みんな盛り上がってきたわね。それじゃあ開会式はここまでにして、今から運動会を始めるわよ」 玄霧「それと皆さん、運動を始める前に準備体操をしてくださいね。しっかり身体をほぐして怪我しないように」 【運動会、開始!】 160 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/03(水) 01 50 08 ID h9ZOFxuQ ◇第一競技 玄霧「最初の競技は個人100m走です」 マリアンヌ「超人枠2レース、一般人枠4レースの合計4レースの結果でポイントをつけるわ。各レース一位の人に3ポイント、二位の人に2ポイント、三位の人に1ポイント計算をあげて、4レースのポイント合計で決着をつけるわよ。」 会長「ポイント合計一位のチームには200点、二位のチームには100点じゃ。あと当然のことじゃがテレポートは使用禁止じゃからの」 第一レース(一般人人枠) 美琴「さてと…いいとこみせなきゃね」 神原「ふむ、開幕投手というやつか」 プリシラ「いっくよー」 第二レース(超人枠) 幸村「うおおおおお!」 アーチャー「さて…」 筆頭「DASHか。何であれ負ける気はないぜ」 第三レース(一般人枠) ヒイロ「任務了解だ」 ひたぎ「あら、こんなのが相手なの」 士郎「やるからには勝つ」 第四レース(超人枠) セイバー「シロウシロウシロウシロウシロウシロウシロウ…」 光秀「んふふふ、猛りますねぇ…」 ライダー「この枠は何か雰囲気がおかしくありませんか…?」 161 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/03(水) 19 11 25 ID 8oqc9Uko あらやん「……此処は実況席だ。 そして、実況の荒耶宋蓮だ」 カマやん「同じく、解説の荒耶宋蓮だ」 あらやん「荒耶よ、此度の試合をどう見る?」 カマやん「笑止。 たかがヨロイ乗りが、健脚で鳴らした神原に勝る道理は無し。 超電磁砲とてそれは同じ」 あらやん「愚かな。 超電磁砲は自らの体内電気を制御し、反射を加速せしめる術を編み出したと聞く。 更に神原は超短距離に秀でる故、100mでは陸上部には及ばぬ。 なれば、プリシラにも勝機はあろう」 マリアンヌ「……ねえ、あれ大丈夫なの?」 玄霧「いまいち盛り上がりに欠けますね。 この際、ディートハルト氏に依頼しましょうか」 162 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/03(水) 22 54 13 ID HMFvDiPU ディート「ではご指名通り、私ディートハルト・リートが実況をお伝えします。また、今回も解説に言峰氏をお呼びしました」 マーボー「解説を担当する言峰綺礼だ。以後、よろしく願いたい」 ディート「さて今回の対戦カードですが あらやん「待て、我々を差し置いて何を始めている」 カマやん「逃走と放送で忙しいはずの貴様らが何故ここにいる」 マーボー「現世の事情と此処の召喚は別物だ。荒耶宋蓮、お前も生前はそうだったであろう」 ディート「なにより、あなた方は少々扱いづらいとの御達しがあったのだよ」 マーボー「なので、この場はプロデューサーと放送慣れした我々に任せたまえ」 ディート「まあ、偶にゲストとしてコメントしてもらうかもしれないが、基本あなた方の出番は考えていないのであしからず」 やんやん「…これも抑止力の仕業か!」 マーボー「む、どうやら準備が整ったようだ。ディートハルト、こちらも実況を始めるぞ」 163 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/05(金) 13 14 58 ID JYQi6WxI <第一レース> パァン D『おーっと、大方の予想通り神原選手が素晴らしい加速で飛び出したー!』 K『この辺りはバスケットボールプレイヤーの面目躍如と言った所か。 だが、そういつまでもこのペースを維持出来る訳では……』 D『いや、ちょっとお待ち下さい! これはどうした事か!? 神原選手のペースが全く落ちない!』 K『馬鹿な! 奴の足は超短距離した保たない筈……むっ、あれは!』 ビリビリ「ちょっと、どういう事よ!! いくらなんでもスタートダッシュから全然ペースが落ちないなんて……!」 プリシラ「追いつけないよー!!」 上条「くそっ、このままじゃ……ん? なあ龍門渕、神原の頭に何かぶら下がってないか?」 とーか「言われてみれば……ハギヨシ、オペラグラスを(パチン)。 ……あ、あれは!! 上条さん、あれを見て下さいな!!」 上条「そんなにヤバい物なのか? どれどれ……」 【BL本(上条×一方通行カップリング)】 上条「ぶっ!? な、何だありゃ!?」 とーか「ちょっと、特攻野郎の皆さん! 卑怯な真似をするなと申した筈ですが!?」 ムギ「あら、あの本が他の二人を妨害しているとでも?」 真宵「あのBL本はあくまでもモンキーの実力を引き出す為の餌みたいな物です」 上条「人参ぶら下げられたロバがあいつは……てか何で上条さんと一方通行がネタにされてんだ!?」 D『特攻野郎チーム参謀八九寺真宵、見事な作戦だー! このレース、これで決まったかー!?』 164 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/05(金) 17 14 46 ID kNfCyano ディートハルト『ところでふと思ったんだが』 言峰『なんだ?』 ディートハルト『いや、ロバや馬は4足走行だから目の前に吊るされた餌が取れないのは当然だが、神原は二足走行だ』 言峰『ほう、そうか、つまり』 ディートハルト『なぜ空いている二本の腕で取らないのだ?』 168 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/05(金) 19 37 51 ID SINLrdHU 神原「ハアハアハアハア…(見える、見えるぞ!一方さんが上条さんのホルモンを弄って*ピーーーッ*や*ピーーーッ*で…ハアハアハアハアッ!」 ユフィ「…なにか神原さんの口から聞きなれない単語が発せられていますが」 ゼクス「ユフィ、あれは覚えなくていい単語だ、知らなくていい、聞かなかった事にしなさい、記憶から抹消するんだ」 ムギ「さすがに私も彼女のBLにはついていけないわ」 C.C.「私もついていけないな。でもボウヤの受けは納得だな」 上条「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!やめろぉーーーっ!!!妄想するなーーーっ!!!」 D『さあ、神原選手はもうゴール目前!御坂選手プリシラ選手も頑張っているが、追いつく気配が全くなーいっ!!』 K『電撃使いも女子中学でない走りを見せているが、この勝負、火事場の馬鹿力を発揮した悪魔の圧勝だな』 ブチッ!ドサァァァァァァァッ!!!!! 一同「!!!」 D『な、何が起きたんだーーーっっっ!!!突如、BL本が落下ーっ!!!それに猛進していた神原選手はつられて転倒したぁーーーっっっ!!!』 K(…今のは明らかに狙撃、もしくは人為的な何かで吊るしていた紐を断ち切ったようだが、さて、…) D『両手を後ろ手縛られた神原選手は立ち上がることはできないっ!その隙に御坂選手がテープを切り、続いてプリシラ選手もゴールしたぁ!!!』 【結果:一位・御坂美琴、二位・プリシラ、三位・神原駿河】 【ちなみに、このレースは十数秒間に起きた出来事である】 169 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/05(金) 20 39 26 ID .fB2O48I 律「ふぅ…」 小十郎「さすが律殿。完璧なまでの狙撃術だぜ」 律「いえいえ。でも、良かったんですかね?」 ライダー「邪魔をした訳ではなく、能力を引き出すためのアイテムをはぎ取っただけですから罪悪感を覚える必要はないでしょう」 伊達「それに相手はあのくせ者揃いの特効野郎とJudgementだ。きっと後々いろんな意味で波乱のBattleになってくるさ」 キャスター「とりあえずの牽制ってわけね」 律「まぁ普段駿河には嫌と言うほどお世話になってるんで、いい仕返しができましたよ」 伊達「さぁて、どんどん行こうぜ。Let s partyだ!」 【どうやら神原に“イタズラ”したのは律のようです】 170 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/05(金) 22 36 44 ID .TRt.PuQ <第二レース> パァン 幸村「うおおおおお!」ダダダダダダダ アーチャー「…」シュタタタタタタ 筆頭「イヤッハアアアア!」タタタタタタタタ D『もう30m地点を突破!は、速い!』 K『さすがの超人勢だな。現在順位はほぼ同じ…さて…』 171 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/06(土) 13 54 43 ID lBka4bBM 幸村「みぃなぎるぅぁあああああああああああ!!!」 政宗「YyyyyyyyaHHHHHaaaaaaaaaaaーーーーーーーーーーーー!!!」 アーチャー「暑苦しい奴らだ。 さて、特攻野郎に特に義理は無いが、衛宮士郎に勝ちを譲るのも癪に障るからな。 そろそろ切り札を切らせて貰う。 ――投影、開始(トレース・オン)」 幸村「ぬぅぅぅおおおおお……な、何とぉおおお!!?」 政宗「What s!? Last spurtから更に加速しただと!? くっ、追いつけねえ!!」 パァン D『アーチャー選手、今一着でゴールイン! 二着は伊達選手、ビリは動揺の余り棒立ちとなってしまった真田選手だぁ!』 K『ふむ、投影にあのような用法があるとは。 流石はアーチャーといったところか』 幸村「ぅぉぉおおおおおおおぉぉおおおお!!! この不甲斐無い幸村を!! どうかしかって下され、お館さまああぁあああああああああああ!!! 政宗「Goddamn!! どうなってやがる!!」 アーチャー「何、簡単な話だ。 これを投影させて貰った」 つ【ライダーのダガー】 政宗「それが解せねえってんだ。その鎖を巻き付けて俺達を足止めしようってんならともかく、てめえ自身がSpeed-upする要素が何処に……」 幸村「待たれよ、政宗殿!! 衛宮殿は生前、六爪を投影した際、六爪の記憶から政宗殿の六爪流を完璧に模倣して魔王と渡り合った御仁!! なれば、衛宮殿以上の投影の使い手たるあーちゃー殿がそれを成せぬ道理が御座らん!!」 政宗「Ha? それがどうした……チッ、そういう事か! アーチャー、てめえライダーの技量をCopyしやがったな」 アーチャー「そういう事だ。 妨害は反則でも、自らを強化する分には構わんのだろう?」 【結果 一位・アーチャー、二位・伊達政宗、三位・真田幸村】 172 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/07(日) 17 44 23 ID ziGxKKu6 <第三レース> ヒイロ(現在のポイントはどのチームも横並び…任務遂行の為には一位にならなければならないが…) ひたぎ(相手はムッツリ工作員だけだと思っていたけど、まさか正義バカにも気をつけなければならないなんて…面倒くさいわね) 士郎「…」 利根川「位置について、ヨーイ」 パァン D『銃声と共に三者一斉スタート!そしてすぐさまヒイロ選手と戦場ヶ原選手の一位争いが始まったーっ! 衛宮選手も頑張っておりますが、前を走る両者に一歩およびません!』 K『このレース、誰もが最初はこう予想しただろう。 単騎で地球に喧嘩を売る破格工作員であるヒイロ・ユイの脚力と中学時代は陸上部スターだった戦場ヶ原ひたぎの走力が勝敗を決める焦点。 ゆえに、平均的な高校生より身体能力が少々高いだけの衛宮士郎が両者に敵うわけがない、とな。 しかし、先のレースを見た以上、彼もライダーのダガ―を投影すればこの不利すらも覆せる』 D『その通り!衛宮選手が逆転の切り札を持つ以上、前を進む二人は油断する事ができません! 誰しもが予想できないレース、果たしてどのような結末になるのだろうか!…って、あれ?』 パァンパァン D『(ポカーン)……っ、け、結果は、一位戦場ヶ原選手、二位ヒイロ選手、三位衛宮選手、です』 K『終始投影をしないまま他の選手に追いつけずにゴール、これまた予想外の展開だな』 ひたぎ「なんだか釈然としないけど、まあ当然の結果よね」 ヒイロ「結果は二位…任務失敗…」 士郎「あーあ、頑張ったけどやっぱり駄目だったか」 黒子「士郎さん、お疲れ様。これをどうぞ」 つ 水 士郎「おっ、ありがとう黒子」 黒子「…ところで、どうして投影をなさらなかったのでしょうか?」 士郎「ん、それは…投影して勝ったとしても、他人の力を使ったようで嬉しくないからさ、負けると分かっていても自分の力で全力で戦った方がいい、っと思っただけさ」 黒子「ふぅーん、そうでしたの」 士郎「ごめんな、チームの勝利に貢献できなくて」 黒子「いいえ、そんな事気にする必要はありませんわ。士郎さんが負けた分、私がその埋め合わせすれば問題ないですわ。 それにこれは団体戦ですの。たった一敗など些細な事、この後の競技に勝ち続けて優勝を獲得すればいいことですよ」 士郎「あはは、そうだな。まだまだ運動会は始まったばかりだし、これから頑張るよ」 【結果:一位・戦場ヶ原ひたぎ、二位・ヒイロ・ユイ、三位・衛宮士郎】 173 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/07(日) 18 14 38 ID lxgCfpoo セイバー「シロウ~」ジー アーチャー「電柱の陰から覗き見はお前じゃないだろ。さあ次のレースが始まるぞ」 175 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/08(月) 13 04 41 ID Ocx9YAbk <第四レース> セイバー「シロウシロウシロウシロウシロウシロウ……ブツブツ」 光秀「ンフフ…クク…クックック……」 ライダー「(二人共、纏う気配が尋常ではありませんね……超人枠限定の裏ルールを知っているとは思えませんが、警戒はしておくべきでしょうね)」 パァン D『さあ、始まりました第四レース! ここまでのポイント合計は特攻野郎チームが一歩リード! 伊達軍団チームはここで一位を取りたいところ!』 K『順当に行けばライダーの勝ちは揺るがんだろう。 だが、仮にもサーヴァントと戦国武将、只で終わる筈もあるまい。 それに、あの裏ルールもある事だしな……』 光秀「ひゃっっはぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 ガキィン ライダー「!! やはり来ましたね!!」 セイバー「風王……鉄槌!!」 光秀「ひゃはっ、甘いですねェェェェェェェ!!!」 とーか「ちょっ、いきなり何ですの!?」 真宵「みっちー……やはり始めましたね。 予め裏ルールを設定しておいて正解でした」 カイジ「裏ルール!? どういう事だ八九寺!」 真宵「いえ、実は片倉さんや小萌先生と相談して、超人枠のみ如何なる行為も反則が取られない裏ルールを取り決めておいたのです」 小萌「どのチームにも血の気の多い子達が多いので、フラストレーションが溜まって暴走しないようにと思ったのですよ」 小十郎「只、明智の野郎の耳には入らないように注意しておいた筈なんだが……」 真宵「私達の方でもみっちーにだけは話していませんよ。 わざわざ無用の暴走を引き起こす必要もありませんし」 小萌「一体誰が明智さんにばらしたんでしょうかー?」 D『なるほど、そんなルールが……ですが、何故言峰氏がそのルールをご存知で?』 K『まあ、色々とな』 176 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/10(水) 23 55 06 ID j4awG66U 光秀「ひゃははははははははぁ!! ああ、楽しいですねえ!!」 セイバー「待ちなさい、この外道!」 ライダー「くっ、この猛攻を捌きながらゴールを目指さなければならないというのも、中々骨が折れますね……!」 D『流石は超人戦力、三つ巴の激戦を繰り広げながらも着実にゴールへと近づいているー!』 K『今の所、三者はほぼ横並びか。 さて、この状況がどう転ぶかな』 小十郎「あの野郎、調子に乗りやがって!」 律「駄目だ、速過ぎて狙撃出来ない! せめて、鎌だけでも弾き飛ばせればいいんだけど……」 黒子「わたくしが鎌を奪って参りましょうか?」 士郎「いや、下手に乱入したらその時点で反則を取られるかも知れないし、何より黒子にはあんな危険人物に近付いて欲しく無い」 黒子「……もう、相変わらず士郎さんは甘やかしーですのね」 キャスター「あら、セイバーが変態に加勢してるわね。 八つ当たりかしら」 177 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/11(木) 00 56 12 ID gD0J7Y6A セイバー「じゃぁぁぁまぁぁぁだぁぁぁぁぁあああああああああああっ!」 D『セイバー選手、見境無しに他の選手を襲っています!衛宮選手の所に向かう事以外は眼中にない模様です!』 光秀「ヒャハハハハハハ!いいです、いいですよぉ!久々に味わえる至福の極み!やはり死合は最高に愉しいですねぇ!」 K『明智光秀も最近の出番の無さに加えて暴れる機会がなかったからな。溜まった鬱憤を放つ事で力を割増しているようだ』 ライダー「…止むを得ませんね。できれば使いたくありませんでしたが、あなた達には大人しくなってもらいます!」 【 開 眼 】 D『おーっと!痺れを切らしたライダー選手が眼帯を外し、セイバー選手と明智選手を目視したぁーっ!!!』 K『どうやら視界に捉えたのはあの二人……と場外にいた撃墜王だけのようだ。対魔力のあるセイバー以外は石化してしまったな』 D『セイバー選手も魔眼の重圧によって動きがにぶくなった!ライダー選手、ぜっっこぉーのチャーーーンスっ!!』 K『なお、裏ルールによりあれは反則にはならない。一応要自重の行為ではあるが、あの場面の使用は適切だな』 ライダー「ふぅ、暴動も治まりましたし、さっさと競技を終わらせ「シロオォォォォォォォォォォ!!!!!」なっ!!!」 D『!!!これは一体どういうことでしょうか!?セイバー選手、あり得ない速度で爆走!!コースが抉れもの凄い量の砂が舞い上がっています!!!』 K『……ん、あんなところに看板が……《早くゴールしないと士郎と黒子がイチャイチャしだすぞ》………一体誰が…………』 D『呆気にとられたライダー選手もすぐに走りだしましたが、最速の霊英の全速力でも彼女の驀進には追いつけない!!!』 180 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/11(木) 02 18 52 ID 51P44paI セイバー「シロオオオオオオオ!」 ライダー「追いつけません!何ですかこれは!?」 利根川「ゴール!ゴールだっ!」 D『決着です!一位はセイバー選手!二位は一馬身差でライダー選手!最下位はコース途中で石化している明智選手!おっと救護班が行った!』 K『4レースでの獲得ポイント合計は風紀が9ポイント、特攻が8ポイント、伊達が7ポイントとなる。よって勝利点は一位の風紀に200ポイント、二位の特攻には100ポイント加算だ』 セイバー「シロオオオオオオオ!」 部長「うーん、止まんないわね」 とーか「大丈夫ですわ。これくらい想定の範囲内ですもの」パチン セイバー「シ」 ゴーン! セイバー「…」バタッ 黒子「これは金ダライですの?」 アーニャ「いつものことよ。セイバー、次の競技までおとなしくしててね」 ◇第二競技 マリアンヌ「次の競技は長縄跳びよ。各チーム跳ぶ役が六人、回し二人の計八人チームで行うわ。各チーム二回つづチャレンジして跳べた回数が多いほうを公式記録として採用するわ。とんだ回数が一番多いチームに300ポイント、二位に200ポイント、三位に100ポイントをそれぞれあげるからがんばってね」 とーか「チームワークの見せ所ですわ!」 小萌「がんばりましょー」 かじゅ「ここで差をつけるぞ」 コクトー「僕は皆さんに合わせますよ」 ファサリナ「こういうのは初めてです」 カイジ「しかしウチの回し役は大丈夫か?」 幸村(回し役)「うおおおおお!だいっ!回転!」 バサカ(回し役)「幸村、もう少しゆっくり回せ」 唯「がんばろうね、皆!」 撫子「おー!」 あずにゃん「唯先輩大丈夫かなあ…」 真宵「まあ何とかなりますよ」 海原「大丈夫ですか、緊張とか?」 妹F「はい、これくらいならとミサカは(ry」 アーチャー(回し役)「真面目に回すんだぞ」 光秀(回し役)「ええ、粛清は怖いですから」 美穂子「がんばりましょう」 池田「キャプテンのためならなんでもやれるし!」 黒子「長縄跳びとはまた難儀なものですわね」 C.C.「タイミングよく跳べばよいのだろう」 ユフィ「それが難しいんですよね…」 デュオ「まっ、何とかなるだろ。回し役にも気合いが入ってるし」 筆頭(回し役)「合わせな、小十郎!」 小十郎(回し役)「はっ!」 183 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/12(金) 20 30 10 ID GiH3eVYY 玄霧「では一回目を開始します。よーい、始め」 美穂子「いーち、にーい、さーん、しーい」 ユフィ「ごーお、ろーく、しーち、はーち」 C.C.「九、十、十一、十二、…」 ポヨンポヨンポヨン 部長「ふふふ、美穂子、結構頑張っているじゃない。いい動きしているわ」 神原「ユフィさんとC.C.殿も上下に動く様がしっかりしていて実に素晴らしい」 かじゅ「おい、ちょっと、うちのチーム、早すぎないか!」 ファサリナ「ああっ、ちょっと、激しすぎですぅ。もう少し、ゆっくり、でないと、ダメですぅ…」 ユサッユサッ 部長「うちのゆみも結構激しく動いているわね。やっぱり代わりに参加させて傍観に回ったのは正解だったわね」 神原「それにしてもファサリナさんのエロさは完璧すぎる!揺れ、服の乱れ、息遣い、火照り、そして言葉遣い、縄一つでここまで醸し出せるとは…」 【一部この競技で堪能しております】 184 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/12(金) 21 22 33 ID LfAEnoKM 上条「……なあ部長……楽しんでるところすまないが、このままだとうちのチームが真っ先に沈むんじゃないか?」 部長「あら、どうして? 皆順調に跳べてるし、問題なんて何も……あれ?」 美琴「ねえ、何かうちのチームの縄……だんだんと早くなってない?」 美穂子「ふぅ、ふぅ……ちょっと、辛くなってきたかな……?」 ユフィ「わ、私もです……運動なんて、滅多にしませんから……」 タユンタユン ファサリナ「はぁ、はぁ……こんなに激しく動かれちゃ、私ぃ……!」 ユッサユッサ 幸村「な、何という光景だ……は、破廉恥であるぞぉぉぉぉぉぉっ!!」 バーサーカー「いかん、落ち着け幸村!!ペースをこちらに合わせ……おわぁっ!?」 バシィッ!! カイジ「いってぇっ!?」 コクトー「カイジさん、大丈夫ですか!」 とーか「ちょっと幸村、あの縄の動きはどういうことですの?」 小萌「急にペースが乱れすぎですよ。あれじゃあ、うまく跳べないじゃないですか……」 幸村「う……め、面目ない……」 美琴「……あいつをこの競技に出したのは、明らかな人選ミスだったわね」 部長「……まさか、ここまで初心だとは思わなかったわ」 【風紀委員 幸村の暴走により自滅、第三位】 185 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/12(金) 22 28 01 ID 3laXCk/A D『あーっと、風紀委員チーム、一回目は42回で脱落ー!』 K『精神的に未熟な真田を回し手に起用したのが敗因だな。 一応、参加メンバー同士ならポジション変更は可能だが……』 D『おっと、どうやら伊藤選手が足を痛めた模様。 ポジション変更で回し手を真田選手と交代するようです』 政宗「ったく、どこまで免疫がねえんだ幸村の奴は。 小十郎、テメエはNo-problemだろうな?」 小十郎「ご安心を政宗様。 この小十郎、独眼竜の名に泥を塗るような真似は断じて致しません」 政宗「Ha、流石だな小十郎。 なら、テメエの視線が福路美穂子の胸に釘付けに見えるのも気のせいだよな?」 小十郎「目の錯覚に御座いましょう」 光秀「ふう、些か退屈ですねえ」 アーチャー「明智、妙な気を起こすなよ」 光秀「判ってますよ、あーちゃー殿。 しかし、こうして縄を回していると、つい邪な考えが浮かぶものでしてね。 今、皆さんの命運を握っているのが私の胸先三寸かと思うと……クク…ククク……」 パスッ チュイン 光秀「…………(頬から流血)」 アーチャー「真面目にやれ、との事らしいな」 光秀「やれやれ、おーなー殿は随分と地獄耳のようで」 186 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/13(土) 04 08 09 ID IJtXLQ6s 池田「はぁっ、はぁっ、そろそろ、限界だし」 黒子「あら、まだ60回を突破しただけですわ。特攻チームが先に終わるまで頑張ってくださいまし」 デュオ「っといっても、向こうはぜんぜん余裕そうだぜ」 撫子「向こうのチーム、そろそろ限界そうだね」 海原「体力作りに練習した甲斐もありますしね。まだまだいけますよ」 妹F「それに私達のチームは人選も問題ないです、っとミサカは若干の自虐を含めます」 あずにゃん「しかし、意外なのは唯先輩が何事もなく頑張っている事です」 唯「タイミングを合わせて跳ぶだけだもん、これくらいは簡単だよ」 真宵「ふっふっふっ、なにはともあれこの一回目は私達の勝利ですね」 C.C.「……私にしては頑張った方だが」 パシィッ!! C.C.「もうダメだ、ピザをくれ……」バタッ! ユフィ「はぁっ、はぁっ……C.C.さん、しっかり、してください……!」 D『そしてっ!78回目を跳んだところでC.C.選手に縄がかかり伊達チームの挑戦も終了!』 K『どうやらピザ分が不足していたようだな。ピザを食べればどうやら二回目もいけるそうだが……』 D『残すは特攻チームのみ!はたして彼らはどこまで飛び続けられるだろうか!』 189 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/13(土) 21 57 04 ID bO4CcPq. K「結局一回目は特攻野郎が87回という好成績たたき出して終わったわけだが…」 D「さぁ、短いながらも休憩をはさみ、間もなく二回目がスタートです」 安藤「C.C.さーん!大量の美味しいピザですよー!そーれ!」 ガツガツムシャムシャ C.C.「…元気百倍!C.C.!」 律「あれ?何かこの一連に似た流れ見たことある気がする」 池田「そのうちC.C.パンチとかやりそうだし」 C.C.「C.C.パンチは今回必要ないからやらないが、もしお前がまたばてた時にはおんぶしてやれる自信がある」 池田「ピザが一種のドーピングに見えてくるし…」 幸村(平常心でござる…平常心でござる) カイジ(ものすごく心配だ) D「準備が整いました!それでは二回目の挑戦に入ってください!」 190 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/13(土) 23 16 27 ID IJtXLQ6s 部長「いい、今度の並び順はこうよ」 バサカ : ファサリナ かじゅ とーか 小萌 こくとー 幸村 : カイジ 美琴「まあ、メンバーを代えられないからこうするしかないよね」 当麻「そうだな。とにかく幸村とファサリナを離して置く」 妹E「念のためファサリナさんはバーサーカーさんの前に配置する」 アーニャ「その間に段々と緩衝材を挟む。特に幹也と小萌で大幅ノイズキャンセリング」 セイバー「そして余計な物を見させないために、それぞれ最寄りの回し役の方に向かせて跳ばせる訳ですね」 トレース「特に幸村君は開司君だけを見るように。それとレディファサリナはエレガントに声を荒立てないように」 ファサリナ「うふふ、了承しました。声を出さないように我慢いたしますわ」 かじゅ「本当に大丈夫か?…まあ、一応指示通りに従おう」 こくとー「まあ、僕はなんでもいいですけど」 小萌(……わかっています、わかっていますけど、先生だって傷付きますよぉ………orz) とーか(戦略上仕方がないこととはいえ、なんだか順位を付けられたようで屈辱ですわ!………orz) 幸村(平常心でござる…周りを見ずに跳ぶだけでござる…問題ないはずだ…)ブツブツ カイジ(対策を練ってもまだ心配だよ) バサカ「カイジ、私がタイミングを合わせますので安心してください」 黒子「さて、池田さんはC.C.に任せるとして、福路さんとユーフェミアさんは私の両隣に並んでくださいまし」 ユフィ「あ、はい、わかりました」 美穂子「あの、もしかして能力を使うおつもりですか?」 黒子「まさか。むやみやたらに使うつもりはないですわ。空間移動の連続使用も結構疲れますし。まあ、万が一の時には使いますが、それ以外では自力で跳んでくださいまし」 ユフィ「いいえ、お気遣いありがとうございます」 デュオ「よーし、みんな準備はいいな?これからが本番だ、特攻野郎の記録を抜くまで頑張ろうぜ」 一同「おーっ!」 193 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/16(火) 15 54 02 ID 5uZXyFAs D「さぁ始まりました!各チーム二回目の挑戦だっ!」 K「風紀委員と伊達はまず暫定一位の特攻の記録である87回を抜かねばならないというのが最低条件だ。その上で特攻がこの二回目の挑戦でどこまで記録を延ばすか…」 D「各チーム二十回を突破!ここのあたりはまだまだ余裕かっ!」 194 :名無しさんなんだじぇ:2010/11/16(火) 20 03 38 ID 9TNXtSso D「言峰氏はこの勝負の展開、どう思われますか?」 K「特攻野郎は一回目の安定性を保てばまだまだ記録を伸ばせる…」 バシィ! D「おぉっと!特攻野郎チームまさかの30回で脱落!」 K「…は、ず…」 唯「ご、ごめんねぇ~…」ハァハァ 撫子「撫子も限界だったよ…」ハァハァ 真宵「一回目で力を出し切ってしまいましたね…」 D「まだ二チームは跳び続けています!」 K「…ふむ、真田もあれだけ隔離すれば大丈夫…」 真田「やっぱり無理でござるあああぁ!!」ブバシャッ K「…だろ、う……」 D「これは一体!?真田選手がスプラッタだ!必然的に縄も止まり、48回でストップ!」 カイジ「なんでだよ!?」 幸村「意識の内から消そうとすると、余計に脳裏に蘇るあの【揺れ】…。目を閉じることで寧ろ感じてしまうその気配…!某、非力でござった……」ガクッ かじゅ「……複雑な気分だ…」 D「何と、まさかの伊達チームが粘っています!」 K「よく見ると仲間同士でのフォローが行われているな」 池田「マジで…助けて…くれるとは…思ってなかったし…」ゼェゼェ C.C.「今の私ならお前を抱えて跳ぶのも苦ではないさ」 D「87を超えたぁ!88、89、90!あぁっと!ここで福路選手が引っ掛かった!伊達チーム、逆転勝ちです!!」 黒子「申し訳ありませんわ。フォローのタイミングが遅れてしまいました」 美穂子「いえ…私が、体力不足だっただけです…」 デュオ「でも特攻野郎の記録を抜いてやったぜ!」 筆頭「お前らGOOD JOBだ!」 マリアンヌ「それぞれの最高回数で競った結果、一位が伊達チーム、二位が特攻野郎チーム、三位が風紀委員チームになったわ」 玄霧「それぞれ300、200、100ポイントが加算ですね」 利根川「現在、風紀…300、特攻…400、伊達…300ポイントだ。良い勝負だぞ」
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作者・◆h8fJExUfEI氏 ハムスターランドバトルロワイアル本編 ハムスターランドバトルロワイアル本編SS目次・時系列順 ハムスターランドバトルロワイアル本編SS目次・投下順 ハムスターランドバトルロワイアルキャラ別追跡表 ハムスターランドバトルロワイアルの死亡者リスト ハムスターランドバトルロワイアルの支給品一覧 ハムスターランドバトルロワイアルの参加者名簿 ハムスターランドバトルロワイアルのルール&マップ
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760 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/11(土) 00 29 13 ID jimCG7n6 リボンズ「いやぁ大成功だねぇ、カイジくん」 カイジ「あんたのおかげだ。ありがとう」 リボンズ「いやいや、例には及ばないよ。…ところでカイジくん」 カイジ「あ?」 リボンズ「エキストラ1924人分のギャラ、えーっと端数は切り下げてあげるから… 2000万ペリカ、耳を揃えて払ってもらおうか」 カイジ「か、金取るのかよ?!」 リボンズ「無料とは一言も言ってないよ?」 カイジ「だって賞品って‥‥」 リボンズ「あぁ、あれ。やだなぁカイジくん、聞いてたのかい?独り言だよ」 カイジ「お、おまえ‥‥」 リボンズ「払えない?!あー、払えないんだ。それじゃぁ仕方ないよねぇ…。 連れていけ」 妹「ハイ、とミサカは伊藤開司を連行します」 カイジ「は、離せぇっ‥‥!クソーっ!龍門渕ーっ!」 リボンズ「金は命より重い、だねぇ」 とーか「あら?伊藤開司は…何処行きましたの?」 【カイジ、拉致完了】 762 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/11(土) 00 46 30 ID 9vypKkUg アーチャー「抑止力……守護者(わたし)か?」 763 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/11(土) 00 48 31 ID fGRYLX2s 黒桐「大変です!カイジさんが主催達に拉致られました!」 リリーナ「なんですって!」 幸村「それはまことでござるか!」 美琴「そういえばアイツ、主催と何か話しこんでいたわね」 小十郎「まさかカイジの奴、協力の見返りに何かを強要されたのか!!」 とーか「……あのバカ!…そこまでしなくても、ここにいる皆で祝ってくれれば、私はそれだけでいいのに…」 セイバー「…それで、助けに向かますか?」 とーか「当然ですわ!死者スレ風紀委員、活動開始ですわ!!」 764 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/11(土) 00 49 03 ID qGUYjeEw かまやん「ええいまたしても抑止力か……!」 765 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/11(土) 01 01 01 ID fGRYLX2s とーか「黒桐さんは奴らのアジトを早急に発見してください! トレーズさんは実働部隊の指揮を任せます!」 こくとー「りょ、了解しました!」 トレーズ「承知した。エレガントに指揮を取ろう」 部長「あら、私も参加してもいいかしら?」 とーか「竹井さん!ええ、構いませんわ。ですが何故?」 部長「ちょっとね。ずっと奴らを逃がし続けていたから、ここいらできちんと粛清しようかと」 筆頭「おう、なら俺もそのpartyに参加するぜ」 とーか「伊達政宗さんも!ありがとうございます」 ゴースト「何やら騒いでいますね。…私達はどうしますか?」 オーナー「私達は待機、今回は彼らに任せればいいわ」 767 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/11(土) 09 53 32 ID Wskxbp7w アーチャー「む、小僧はどうした?」 上条「ああ、衛宮なら……」 ――シロウ、私にも!! 私にもして下さい!! ――待て、落ち着けって!! あれは黒子からしてきた訳で、俺の意思じゃ…… ――言い訳無用!! こうなったら、キスの先に行くしか……!! ――ちょっ、服を破くな!! た、助けてーーー!!! アーチャー「……なるほど、理解した」 上条「どうする?」 アーチャー「放っておけ。 むしろ現場でセイバーに暴走されないだけマシというものだ」 上条「そりゃそうだけどさ……」 ビリビリ「あ、こんな所にいた! 何やってるのよ二人とも、早くカイジさんを助けに行くわよ!」 上条「……よし、行くかアーチャー!」 アーチャー「分かった。 先に行っていろ、私もすぐに向かう」 768 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/11(土) 12 43 51 ID jimCG7n6 カイジ「い、一体何をしやがるつもりだっ‥‥リボンズ‥‥!」 リボンズ「いや、丁度実験体が欲しくてね。…iPS細胞というのは知ってるかい?」 和「iPS細胞とは人のあらゆる組織、細胞から創り出すことの出来る多機能胚のことで、 これを使えば女性から精子、男性から卵子を創出することも可能な夢の新技術です」 リボンズ「僕の時代は君たちの時代より三百年進んでいる世界でね。 要するに君たちの時代で実験段階にある技術はすべて普及してるんだ。 そして…インデックス」 ペンデックス「はい…。私の知識を使用すれば、古今東西あらゆる魔術を行使することが出来ます」 カイジ「‥‥何を言いたいっ‥‥!」 リボンズ「察しが悪いね。やはり人類は新時代に相応しくない凡愚さだ。 つまり人の血液から皮膚を作り出すことが出来る、ということさ。 そしてその皮膚を使って"護符"を作り出すことも容易。 そういえば、君に近しい人間がつい最近、血液を抜かれたねぇ」 カイジ「‥‥まさかっ!」 リボンズ「科学と魔術が交差したとき、なにが起こるかな?」
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329 :名無しさんなんだじぇ:2011/07/02(土) 22 45 31 ID 4322JIo6 【伊達家 第一ターン 主従コンビと片目コンビとフォロー役コンビ】 伊達政宗はモニターを前にまんじりともせず映る画像を眺めていた。 隣に控える片倉小十郎は、頬をかきながら政宗に問う。 「これがげぇむというものですか。で、これをやろうという話で?」 「Yes! 皆も参加するというんでな。まっ、勝負事だ。やるからには勝つぜ小十郎」 というわけで、二人はゲームをやる事にしたのだが、戦国出身の二人にゲームなぞそれこそ無理げーである。 そこで、アドバイザーとして二人共に縁の深い人間にご出馬を願う。 「私もこういったものはあまりやらないので、お力になれるかどうかはわかりませんが頑張りますね」 風越の聖女、福路美穂子である。 ちゃんちゃららーんとゲームが開始されると、すぐに美穂子が声を上げる。 「あら、これは戦国時代のゲームなのですね。これならきっと政宗さんも選べますよ」 そう、二人がやろうとしていたゲーム、それは『信長の野望』であった。 美穂子が選択陣営を伊達に合わせると、政宗のグラフィックが映る。 「ほぉ、これが俺か。なかなかに渋いんじゃねえのか。まあ実物にゃ及ばねえがな」 小十郎はしみじみと語る。 「後の世でもあの時代を語り継いでいると聞いていたが、こんなすげぇ仕掛けまで作る程とは」 口元に手をやり、美穂子はくすりと笑う。 「ふふっ、では始めますね。えっと……あ、居ました。ほら、これが小十郎さんですよ」 伊達家の将として、当然小十郎の名もある。 「少々照れくせぇな」 「お二人とも他の武将と比べても、かなり良い能力値ですね。……随分と年代が進んでいます。もしかしたら、オリジナルのシナリオなのかもしれません」 それなりに学業を納めているらしい美穂子は、信長と政宗が同じ戦場に居る不思議に気付けた模様。 もっともれっつぱーりーな政宗的には細かい事はのーさんきゅーらしいので、さらっと流されたが。 説明書やら操作やらを確認した美穂子は、居住まいを正す。 「概ね理解出来ましたが……えっと、殿。方針はいかがなさいますか?」 政宗も一応これが全国を制覇するゲームであるという事は理解出来た模様。 「おう! まずは信長に挨拶でもしてくるか!」 「……えっと、領地接してないので無理です。まずは周辺国を平定しない事には……」 小十郎が美穂子の隣でうんうんと頷いている。 「政宗様、こいつは単騎で敵軍を粉砕出来るような戦じゃないみたいですし、ここは一つ、国を固めて軍を揃えるとしましょう」 見るからに不満そうな様子で腕を組む政宗。 「まあゲームだしな、実際の俺なら即座に戦なんだが……いいさ、Partyは後のお楽しみとするさ」 自らに言い聞かせるようにそう呟く政宗であったが、小十郎も美穂子もそちらを見てもいなかった。 「おっと、そこの金山は確保しなきゃならないんじゃないのか?」 「ええ、そのつもりです。……技術は伊達家の固有技術の鉄砲を狙うのが有利かもしれません。わざわざ固有というぐらいですし」 「鉄砲か、確かにありゃ強ぇ。だが、一度戦争がどんなものか見てみないと判別しずらいな」 「ですね……あっと、隣国で戦ですね。これ、ちょっと手出してみますか?」 「いいねぇ、っと、片方他国と同盟組んでるんじゃないか? 手出す相手間違えると面倒な事になりそうだな」 「はい、これ、実際やってみないと何ですが、もしかしたら米の消費がかなり厳しいかもしれませんね」 「ああ、俺も気になってた。なるほどなるほど、内政の技術もかなり抑えておかなきゃだな……そこの施設作るのは三人で出すのは止めた方がいい。僅かにだが、一人づつの方が速いっぽいぜ」 「あ、やっぱりそうだったんですね。多分ですけど……こういう細かい部分で他プレイヤーと差がつくんでしょうね」 「他の連中もほとんど初見なんだろ? なら逆に誰が一番速くコツを掴むか、有利なやり方を見つけられるかが肝だな」 二人は夢中になって内政を行なっているわけで。他人の面倒を見るのを好む二人は、国が、人が育っていく内政に向いているのだろう。 ふと思い出したように小十郎が振り返る。 「政宗様、とりあえず様子見の戦するんですが、よろしいですか?」 政宗は何処か物寂しげな風情をかもし出しつつ、ぽつりと呟く。 「……おーけいだ。よきにはからえ」 うっきうきで戦闘準備に入る二人。 まずはこの技能を確認するだの、兵糧消費の勢いだの、兵種云々だのの話題で盛り上がり続け、ちょっと拗ねてみた政宗を構う事はなかった。 330 :戦国武将に信長の野望をやらせてみた ~あの世編~:2011/07/02(土) 22 47 16 ID 4322JIo6 遂に東北の雄、最上を追い詰める事に成功した伊達家。 その頃には政宗もいい加減ゲームシステムを理解したのか、美穂子小十郎の話についていけるようになっていた。 「よしよし、きっちり数揃えて戦すりゃ楽勝じゃねえか。さーて、こいつも戦国の習いだ、きっちりトドメ刺しつつ君主一族は首をはねて……」 政宗を無視して小十郎美穂子でさっさと降伏勧告してたりする。 「おいっ!」 「何を言ってるんですか政宗様。こいつは武将の数と質がそのまま国力に繋がるんですぜ。殺すなんてそんなもったいない事出来ますか」 「後は土地ですね。維持費も馬鹿になりませんし、登用でもしないと内政の手が足りません。戦する暇なくなっちゃいますよ」 それに、と二人は口を揃える。 『計略S知略96殺すなんてとんでもない!』 最上義光を如何に活用するか、戦争前から二人はずーっとそればかり考えていたらしい。ぶっちゃけ小十郎がもう一人増えるようなものであるので、そりゃもう夢広がりんぐである。 何かもう、こいつらほっといたら光秀すら軽く登用しそうで怖いとか思った政宗であった。 ともかく、何やかやと東北方面の半ばを抑える事に成功した伊達家は、同じく勢力を伸ばしている上杉家と国境を接する事となった。 理想を言うならば東北を完全に制覇し後顧の憂いをなくしてからといきたかったのだが、国境付近に軍備を揃えてきている上杉を無視する事も出来ず、両国の間で緊張が高まる。 が、敵情を調べた結果、美穂子は片方のみ開いた瞳を伏せ、小十郎は天を仰ぐ。 「……これは、将の質がとんでもないですね……」 「うちも随分と軍容が整ったとは思うが、これは幾らなんでも……」 政宗はしかしふんと鼻で笑う。 「何言ってんだお前等。きっちり数揃えて行けばどうとでもなるって話だろ。あの上杉謙信が単騎で突っ込んで来るよりゃよっぽどマシじゃねえか」 それに、と嬉々として画面を指差す。 「見ろこの鉄砲技術を! こんだけあって指揮するのが俺なんだ! 負けようがねえじゃねえか!」 揃えられたのは美穂子と小十郎の内政のおかげであるのだが。 既に二人はこのゲームにおける内政のコツともいうべき部分を抑えており、CPU操作の上杉を大きく上回っていた。 出来れば不安要素を全て消して挑みたい美穂子であったが、ここで拡張の足止めを食ってしまうと他PLとの決戦で大きく後れを取る原因にもなりかねない。 「そうですね。正直統率が100を越えてるとはいえ、数がいれば上位の武将とも張り合えるはずですし……ただ、政宗さんでも統率差20以上とか、この方何なんでしょう……」 「しかし……政宗様はまだ面影が残ってるが、この謙信はもう見る影もねえな。女面は何処に落としたって髭だぜ」 「上杉さんってそうだったのですか?」 「ん? ああ、武将にしちゃエライ細身でな。あれで甲斐の武田と張り合ってるってんだから大したもんだよ」 「あ、そういえば先程ログに武田家が滅亡したとかありましたね」 「どうせ甲斐武田は真田幸村がやってるんだろ。確かに、奴には向かないだろうなこういうのは」 ぎょっとした顔なのは政宗だ。 「何い!? アイツもう終わっちまったのかよ。へっ、口ほどにもねえ。そういう事なら先々も恐れる事はねえ、上杉潰して関東まで一息に飲み込むぜ!」 兵数にして約二倍近い数を揃えた伊達軍は、政宗を先頭に上杉領へと兵を進める。 そして、政宗率いる部隊が上杉謙信の部隊に触れた瞬間、それは起こった。 「嘘!?」 「何!?」 「何だよ、お前等いきなりどうした?」 「政宗様! 兵がものすげぇ勢いで削られてますぜ!」 「あん? ……ってこりゃ何だ一体!? おいちょっと待て! お前等何か見落としてたんじゃねえのか!?」 「こ、このペースはまずいです! 一旦引きます!」 「ば、馬鹿野朗! まだロクにぶつかってもいねえじゃねえか!」 「数字計算して下さい政宗様! これじゃ向こう削りきる前にこっちが潰されちまいます! って言ってる側からまた戦法かよ!?」 更に美穂子が恐ろしい戦況予測を告げる。 「……多分、全軍で行っても、向こうがこちら削る……というか融かす方が速い、かも、です」 331 :戦国武将に信長の野望をやらせてみた ~あの世編~:2011/07/02(土) 22 47 50 ID 4322JIo6 小十郎はぼそりと呟く。 「これじゃ単騎で突っ込んでくれた方が、俺が抑えりゃそれで済む分よっぽど楽だ。軍神恐るべしですなぁ」 実は上杉謙信、このゲームで最強の統率を誇り、そこに軍神やら車懸りやら騎馬Sやら更に官位やら家宝やらで統率強化してくれるので、最早手がつけられないチートユニットなのである。 「っておい! 殿俺かよ! いやむしろ望む所だけどよ! そういうの普通一言あってしかるべきじゃねえのか!?」 「いや、だって政宗さん名馬欲しいって言ってたじゃないですか。だったら絶対捕まらないんですしこういう時の為の馬ですよ。備えあれば憂い無しですね」 「まあ確かに馬寄越せって言ったのは俺だが……うぉい! 小十郎真っ先に逃げてんじゃねえてめえ!」 「このげぇむじゃ武勇低いですからね。ここは一つ政宗様にふんばってもらうって事で。ああ、これなら何とか撤退出来そうです。流石政宗様、見事な殿。まるで島津の捨て奸のようですぜ」 「大将捨て駒とか無茶が過ぎんだろお前等!」 とにもかくにも最小限の被害で撤退を終えた伊達軍。 政宗は、それまでユニット政宗が圧倒的に強かっただけに、どうにも釈然としない顔である。 「何かこれヒドクねえか? いやゲームに文句言うのも何だけどよ、これじゃまるっきり俺の方が下みたいじゃねえか」 「政宗さんも小十郎さんも随分とトンデモな能力値なんですし、こういうものだと割り切った方がよろしいかと」 小十郎は武将画面を開き、各武将の能力値をざっと眺める。 「つまり、後世の評価がこの能力値って事なんでしょうね。なあ福路殿、もしかしたら俺達がこれからどうなるのかもあんた知ってるんじゃないのかい?」 ちら、と小十郎を見上げる美穂子。 「……知りたい、ですか?」 「まあな。生きてるんなら是が非でも口にさせなかったんだが、こうなっちまったらしょうがねえ。気にならないって言えば嘘になるしよ」 美穂子は自分の知る限りで、小十郎、そして政宗の歴史上での活躍を伝えた。 これを聞き、派手にキレたのは政宗だ。 「なあああああああああんで俺が秀吉だかっつーモンキー野朗に頭下げなきゃなんねええんだああああああ! つか弟とか母とか父とか、ウチの家族どんだけドメスティックしてやがんだ!?」 「まあ、実際そんなもんでしたが。流石に政宗様相手に、そんな福路殿が言うような陰惨な真似は通用しねえですぜ」 「はい、ですから少し戸惑っています。何せ数百年後の話ですから、齟齬もあるのでしょうね」 違う世界の戦国だとは思っていないらしい美穂子は、そんなフォローを入れてみたりする。 それでも政宗は納得しがたいらしい。 「腹の立つ話だぜ! 大体だな、このゲームも『信長の野望』とかどんだけあの野朗持ち上げてくれてんだよ!」 ちょっと困った顔の美穂子。 「はあ、ですが、織田信長さんや豊臣秀吉さん、そして最後の勝者徳川家康さんなんかは学校で習いますしね」 「あのちびっ子がねぇ。それに信長の最後は俺でも真田幸村でもなく、明智の野朗の裏切りとは……何とも締まらねえ話だ。その明智を殺るのも秀吉だかって奴なんだろ。俺はその間昼寝でもしてたってのかよ」 更に首を大きく傾げる美穂子。 「それなんですよ。そもそも政宗さん、織田信長さんと同時期に生まれてなかったはずなんですよねぇ。そういった私の知る歴史を元にゲーム作ってありますから、色々と齟齬があるのかもしれません」 しかし、と思い出し笑いを漏らす小十郎。 「白装束に十字架背負って頭下げに行くってな、如何にも政宗様がやりそうな気はしますな」 「くそっ、何にせよ天下は取り損ねたって話か。ええい、なら尚の事このゲーム負けらんねえぞ!」 政宗の号令により、再度戦力を拡充する伊達家。 東北を肥沃な大地に変えてしまう程のすーぱー内政のおかげか、はたまた政宗殿により被害を抑えられた故か、あっという間に先の戦力を大きく上回る兵力が集まる。 危険な上杉謙信は釣りだしつつ封殺し、危なげなく上杉家を降伏にまで追いやる。 政宗はもう慣れたのか、戦そのものより戦後処理に目を輝かせる小十郎と美穂子にその辺を任せつつ、とりあえず戦終わったーとお茶に手を伸ばしかける。 ふと隣を見ると、何故か画面を見たまま小十郎と美穂子の二人が硬直していた。 『政宗様、一大事にございます! 真田家が我が方に向かって進軍を開始しました!』 332 :戦国武将に信長の野望をやらせてみた ~あの世編~:2011/07/02(土) 22 49 28 ID 4322JIo6 【真田家 第一ターン 真田の場合】 「なあセイバー。これ、俺が手を貸すのって卑怯な気がしないでもないんだが……」 衛宮士郎はそんな事を言ってみたが、セイバーはまるで聞く耳を持たない。 「それを言うのであれば、ユキムラにゲームをやらせようというのがそもそもおかしいのです。こういうのはやはり慣れた者の手ほどきがあってしかるべきでしょう」 「言う程俺もそういうのやってる訳じゃないんだけどな……」 部屋に入ると、大きな画面を前にした真田幸村がコントローラーを握ってああでもないこうでもないと色々苦戦している最中であった。 「おおっ! 援軍を連れてきていただけたかせいばあ殿! かたじけない、それがしこのように面妖なモノ扱った事もない故」 「よろしく真田さん。とりあえず、やり方ぐらいはわかる?」 「本は読み申したが、正直何からどう手をつけたものかさっぱりでござる」 わかった、と士郎は一通りの操作を確認する。 「ん、大体わかった。けど、俺もそれほどゲームは得意じゃないからあまり期待しないでくれよ」 「機械は得意なんじゃないんですの?」 「コンピューターはまた別の話さ……って、え?」 何故かすぐ後ろから白井黒子が顔を覗かせていた。 「ならわたくしも少しはお役に立てるかもしれませんわね」 「い、何時の間に……」 驚く士郎を他所にさっさかと画面を調べる黒子。 「えっと、勢力は武田家、じゃなくて真田家っての作れますわね」 一応それなりにだがゲームシステムを理解していた幸村はいきなり大慌てである。 「い、いやしかし、某は御館様と共に天下を……」 「ゲームに言っても仕方ありませんわ。へぇ、真田十勇士揃い踏みとは、これ結構な有力勢力なんじゃありませんこと? 後はきっと近くにあるだろう武田軍の武将引っこ抜ければ序盤からかなり飛ばせそうですわね」 「た、武田に反するような真似を某がするわけにはまいりませぬ!」 そこで、セイバーが幸村の肩をぽんと叩く。 「ユキムラ。私はゲームの事はわかりませんが、君主の心得を教える事は出来ます。領民の為、自らを慕い信じる将の為、敢えて鬼にもなるのが王たる者の役目なのですよ」 士郎も画面を見ながら少し乗り気になったのか、ふむふむと頷く。 「真田の一族、これ、何か物凄いんじゃないのか? うん、これなら勝てそうな気してきたよ」 ふふんと無い胸をそらす黒子。 「当たり前ですわ。やるからには完勝を目指しますわよ」 まだぎゃーぎゃー喚いている幸村に、黒子が仕方がないと妥協案を提示する。 「いずれ真田と武田は同盟関係にあるでしょうし、共に天下をというのであれば、それほど問題ではないでしょう。同盟のままでも勝利条件を満たせるようですし」 「そ、そうでござったか。ならばこの幸村! 御館様と共に見事天へと昇ってみせましょうぞ!」 ぼそぼそっと黒子はセイバーに耳打ち。 「……武田落とす時は、幸村さん取り押さえておいていただけますか? 戦国武将の大暴れ抑えられるのセイバーさんぐらいですし」 「そこまでせねばならぬものなのですか? ユキムラの言うように共に天下をというのは無理なのでしょうか」 「武将の数と質は重要なファクターですわ。なのに人材の宝庫武田軍を放置しつつ勝利なんてありえません」 333 :戦国武将に信長の野望をやらせてみた ~あの世編~:2011/07/02(土) 22 50 41 ID 4322JIo6 そんなこんなで始まったゲーム。 案の定武田のすぐ側の土地で開始となった真田軍は、これ幸いと、同盟国武田を背後の壁とし、近隣諸国を瞬く間に平らげていく。 北條やら徳川やら織田やら有力大名のプレッシャーは全て武田軍が抑えてくれているので、すこぶる快調に話は進む。 そして、運命の時を迎える。 「北條、今川が武田へと攻め込んだだと!? おのれ待っていてくだされ御館様! この幸村が疾く馳せ参じますぞ!」 しかし士郎は幸村の反応に眉根を寄せる。 「でも、こっちの主力は戦闘中、ここから戻るのもこのまま攻め落とすのも大して時間はかわらないぜ。まいったな最悪のタイミングだよ」 ならばとセイバーが口を開く。 「次の一手を考えるのであれば、この城を一刻も早く落とし、救援に駆けつけるべきでしょう。今川、北條を相手にしつつ後ろから逆襲でもされては事です」 確かに、全てはセイバーの言う通りだ。 歯噛みしつつ祈るようにログを見守る幸村。 そして黒子は、誰にも見られぬ角度で、会心の笑みを漏らしていた。 『計算どおりですわ! 北條も今川も、織田と手を結んでいる今、狙うは武田と我々真田。ふふふっ、わざわざ全力でこちらに出向いた甲斐があったというものですわ。この位置からならば戻るまでに一戦、いや二戦は行なわれるはず。後は弱体化した武田を……くっくっくっくっく』 全ては黒子の思惑通りだったらしい。同盟の組み合わせを細かに調整し続けた成果である。 更に現在武田は上杉との戦いにより消耗激しく、領土の半ばまでを奪い取られてしまうだろう事も織り込み済み。 しかし、黒子の計算を上回る速度で話は進む。 武田の各城が落とされるログが次々流れ、敵城を落とし軍を武田へと差し向けた真田軍が国境を越えようとした時、最後のログが流れた。 『武田家が滅亡しました』 その後のこの部屋の混沌っぷりは筆舌に尽くしがたい。 喚き暴れる幸村がその主な、というか全ての要因であったが。 号泣する幸村に、セイバーがその矛先となるべく剣を抜き、士郎が必死になって慰める。 そして黒子である。 『危機? いえ、これは真田軍唯一の急所が失われたという事。この機を活かせずして勝利の道はありませんわ!』 さんざっぱら暴れ回り、無駄に広い室内でエクスカリバーまでぶっぱなすような大騒ぎ(無論壁はぶちぬかれ、偶々偶然運悪く通りかかった池田の眼前を光の軌跡が貫いていった。へたり込んだ池田がその後トイレに駆け込んだとか、何故か下ジャージに着替えたらしいとかいう話があるとかないとか)の最中、黒子の凜とした声が響く。 「合戦の準備、全て整いましたわ。いかがなさいますか?」 ぴたりと、幸村の動きが止まる。 「……かっせん、でござると?」 「無論、武田領を接収し分割した北條今川連合軍にですわ」 技術はこちらがリードしており、兵力差はこれで埋め得ると黒子は判断したのだ。 ゲームとは思えぬ程激しく感情移入している幸村の号令一下、真田軍はその総力を挙げ戦に挑む。 きらーんと光る黒子の瞳。獅子心中の虫を抱える幸村がちょっと哀れになってくるが、それに気付ける者もこの場には居ないのであった。 334 :戦国武将に信長の野望をやらせてみた ~あの世編~:2011/07/02(土) 22 51 07 ID 4322JIo6 『武田信玄を登用しますか?』 流浪の身となっていた信玄を発見。 「おやかたさまああああああああああ! おいたわしや……すぐにこの幸村が参りますぞ!」 北條今川領への逆侵攻こそ成らなかったものの、旧武田の所領をほぼ全て取り返した真田軍。 戦闘と同時に引き抜き工作も行なっていた為、かなりの数の武田武将を確保する事に成功した真田軍は、ようやくちょっと大きくなった小国を脱し、上杉やらと張り合える強国へと成長した。 家督を信玄に譲るだの駄々をこねる幸村に、システム上不可能ですとさらっと切り返す黒子。 そんな中、士郎が皆に注意を促す。 「これ伊達がかなり大きくなってないか? ……っていうかこのゲームって誰がどの大名担当してるかわかる?」 これには幸村が即答する。 「何でも公平を期すため、それは秘密のままげーむをするという事でござった」 とはいえここまでゲームが進めば予想ぐらいは立つ。 西方に勢力を伸ばす織田家、東北で覇を唱える伊達家、この二つはほぼ間違いなくPLアリであろう。 というか、多分やってるプレイヤーも何となくだが想像はつく。 戦国武将はもう一人いるが、彼がゲームをやっている姿が想像出来ないし、そもそも開始時よりゲーム間違ってんだろお前な勢いで何処とも同盟も結ばず鎖国している徳川絡みなので、これは非参戦の可能性が高い。 いずれ、戦国武将のみでのゲームは厳しいので、アドバイザーを見つけているだろうが。 そこでセイバーが更に疑問を投げかける。 「……彼に、手を貸す者は居るのでしょうか?」 彼とは言うまでもない。徳川ロボの次ぐらいにゲームやってる姿が想像しずらい、明智の光秀君である。 ロワ内での大暴れを考えるに、誰かに協力を求めるといった行為は不可能に近いであろう。 と、妙なログが流れてきた。 『織田家が滅亡しました』 全員一斉に目が点になる。 そして新たに明智家が立つとの話を聞き、誰もが心より納得したとか。 335 :戦国武将に信長の野望をやらせてみた ~あの世編~:2011/07/02(土) 22 51 39 ID 4322JIo6 【明智家 第一ターン ああ、下克上】 「…………これは、予想外、でしたね」 明智光秀は画面を呆然としたまま見つめている。 史実イベントである本能寺の変の直前、光秀が信長を安土城に置いたのは僅かな感傷がそうさせたのだが、まさかこんな結果が出てくるとは。 隣で攻略情報をプリントアウトしたものを見ていた上条当麻も、驚きを隠せずにいた。 「すっげぇ……知ってたのかこれ?」 「いえ、ただ、こうであったならもう少し楽しめたのにと思っただけだったのですが……いやはや、わからないものですね」 「いやわからないっつーか、これいきなりものすげー不利になったんですけど」 にこやかに光秀は笑う。 「そこを何とかしてください。頼りにしてますよ」 「おーけいわかった。だからその鎌引っ込めてぷりーず」 ゲームをやるとなった光秀は、さてどうしたものかとこういった未来のものに詳しそうな奴を適当に探した所、幸運の女神に飛び膝蹴りでも喰らったらしい上条当麻君がすぐそこに居たというわけだ。 「不幸だああああああああああああ!」 「はいはい、泣き言はいいですからさっさとやってください。それに何だかんだ言って貴方も結構楽しんでいるじゃありませんか」 「そりゃ……まあ、ゲームで勝負ってんなら平和だし、俺も口で言ってくれりゃ協力だってしたさ。……だから! その鎌引っ込めろって!」 「いえいえ、これは脅しているのではなく、上条君の反応が楽しいからそうしてるだけですよ」 「一緒だろうがああああああああああ!」 そこで、振り返る光秀。 「そういう事なのですが、何か御用ですかお嬢さん?」 部屋の入り口からふらりと姿を現したのは、御坂美琴であった。 いきなりいなくなった当麻が心配になったとか、口が裂けても彼女は言ってあげないだろう。 「ん、わかった。ならいいわ、私も協力してあげる」 実に快い御坂さんのお言葉に、当麻は即座に返事を返す。 「いらん帰れ」 「なっ!? 何よその言い草! 私が手伝ってあげるって言ってるのよ! 素直に感謝感激雨霰を表現しなさい!」 「いや別にいらねえし。お前居ると大抵ロクでもない事に…………」 そこで当麻ははたと気付いた。 脅し抜きでもこの戦国生命体と会話を交わすのは神経が疲れる。 ならば、会話やらはぜーんぶ美琴に押し付けてしまえば、らくらくかつ楽しいゲーム環境が約束されるのではないかと。 そう考えた当麻は態度を急変させる。 「いや! 居ろ! むしろ(光秀の)側に居てくださいお願いします! もうビリビリさんが居るだけでこの部屋に彩りが増す事間違いなし! そうでしょう明智の光秀さん!」 「ええ、協力してくれる方が増えるのはとても嬉しいですねぇ」 「つーわけだ、ビリビリ。お前も手伝って……って、おい、お前どうした?」 美琴は顔を抑えたまま俯き加減、上目遣いで当麻を睨む。 「……~~~っ!! あ、アンタッ!」 「何だよ。どうかしたのか?」 「何でもないわよ! と、ともかく! さっさと説明書寄越しなさい!」 超理不尽な逆ギレであるが、まあ何時もの事なので当麻はさらっと流す。 結構な時間この部屋に缶詰だった当麻は、コントローラーをゲームに慣れる意味でも美琴に任せ、ちょっと食事でも取ってくると部屋を出た。 336 :戦国武将に信長の野望をやらせてみた ~あの世編~:2011/07/02(土) 22 52 28 ID 4322JIo6 【インターミッション これがやりたかっただけ。後悔はしていない】 ものっそい驚いた顔をしている美琴を尻目に部屋を出た当麻は、開放感と共に大きく伸びをする。 「いっやぁ、ようやく羽を伸ばせる。こりゃビリビリ様々だな」 なんとなく興が乗ったので、お礼に食事でも作ってやるかと調理室へ。 そこには先客が待っていた。 「おっと、確か……衛宮、だったか」 キッチンで妙に似合っているエプロンをつけていたのは、衛宮士郎であった。 「ん? 上条か。そっちも食事か?」 「まあな。お前、メシ作れるのか?」 ちょっと苦笑いの士郎。 「家に欠食児童が居たもんでな」 ぷっと吹き出す当麻。 「ははっ、俺の所もそうだ。ひでぇもんだぜ、ちょっとメシ忘れると頭に食いつかれるんだ」 「あー、わかるわかる。ウチもそんな感じだった」 あっという間に意気投合した二人は、一緒にやるかと食事の準備を始める。 会場での出来事を話題に出すとどちらもドへこみするのがわかっていたので、それ以外の話題をとなり、自然と食に関する話をする事になる。 というより、やたら食うだけの同居人の話題がメインだ。 「最初の内はそれこそ残飯でも食い漁る勢いだったからなぁ、一食でも抜かすとエライ顔して怒り出すし、勘弁して欲しいよ」 「俺はせめても食事作るのが一人じゃない分楽だったかもな。……いやまあ、欠食児童途中から一人増えたんだが」 調理を進めながら和やかに談笑する男二人。 これを、調理室の入り口から覗き込む影があった。 「……アイツ、人にゲーム押し付けといて何やってるかと思えば……」 歯軋りが聞こえそうな勢いの御坂美琴であった。 いや、お前こそ何やってんだという話な気がしないでもない。 「本当ですわ。まったく、誰の為にゲーム手伝ってると思ってるんですか」 「そうよそうよ。大体ね、アイツは何時も…………へ?」 ひょこっと美琴の脇より室内を覗き込んで居るのは、黒子であった。 「ちょっ! 何で黒子まで居るのよ!」 「お、お姉様、しーっ、しーっ、バレちゃいますわよ」 突然の登場に驚く美琴であったが、黒子と士郎の話は聞いていたので黒子がここに居る訳はそれなりに察する。 美琴はやたら非生産的な嗜好に傾倒する黒子を、何とかならないものかと頭を悩ませていた事もあり、士郎との仲に関してはとても嬉しい話と受け止めていた。 「……やっぱり気になる?」 「うっ……まあ、その、正直に申しますと、ものすごーく気になります。それほど士郎さんの事を知っているわけではありませんし」 微笑ましい顔で美琴はこれを見守ってやろうと考えるのだが、ちょっとだけ気になる事を黒子に問いかける。 「そっか、応援してるわ。頑張りなさい……と思うんだけど、何でそんなに引っ付くのよ」 「役得……いえ、こうしないと良く見えないんですの」 「いやいや、顔だけ無理矢理室内に向けつつ、人に抱きついてる体勢って、そっちのが苦しくない?」 「お姉様のぬくもりを感じられる好機をわたくしが見逃すはずありませんわ」 「……衛宮さんはどーしたー」 黒子は真顔で美琴を見上げる。 「それはそれ、これはこれですわ」
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【エピローグ】 話数 タイトル 作者 登場人物 341 ep.00 -Singing!- ◆ANI3oprwOY 秋山澪 342 ep.00 -幻視光景- ◆ANI3oprwOY 両儀式 343 ep.00 -Re;quiem- ◆ANI3oprwOY 枢木スザク 344 ep.00 -アゲイン- ◆ANI3oprwOY グラハム・エーカー、インデックス 345 ep.00 -masterpiece- ◆ANI3oprwOY ????? 346 ep.00 -続物語- ◆ANI3oprwOY 阿良々木暦、押野忍、―――