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crosswise -white side- / ACT4 『JUST COMMUNICATION』(1) ◆ANI3oprwOY 太陽に焼かれる空が、赤黒く染まっている。 陽の当たる部位の空間がずれて光の屈折が集約し、図面を焦がしている。 清浄な朝空には不釣り合いな色彩は、風景とは全く融け込めていない。 この場でも異物でしかない徒花は、なんら恥じることなく開いている。 まるで、そこだけが数時間先の夕暮れに落ちたかのよう。 花弁は色彩を狂わせる毒々しさを帯び、撒かれる鱗粉は種ではなく死を運ぶ。 咲き誇る花の美麗さはなく、ただ異常さと不気味さを醸し出すのみだ。 蒼く広がる空の上を侵略する燐光。 その中心。 光を散布する発生源に、ソレは居た。 ソレは、どうやら人の姿をしていた。 頭があり、胴があり、歴とした五体を備えている。 しかしそのうちの両腕と両脚は全身と比しても異様に長く、正常ならざる存在であることを誇示している。 右手に銃とも剣とも取れる物体を腕と一体化したように抱え、左手には小型の盾が取り付けられている。 全長と比べれば遥かに小さな頭には、四つの瞳がぎらついている。 正しく、異形の者であった。 ソレは、全身が紅く染め上げられていた。 背部から噴出する、推進剤らしき赤光よりもなお濃い色で纏われている。 その光を燃え盛る火と称するならば。 その色は、浴びた返り血で塗り固められた戦衣装といえるだろう。 おそらくは、ソレの中に乗る者が今まで啜ってきた命の数だけ。 狂喜と、享楽と、野心のためだけに造り出された破壊の化身。 人を蠱惑し、魅了し、悦らせ、死なす罪科の権化。 これを悪魔と呼ばずして何と呼ぼう。 機械の悪魔が造り主から授けられたのは、皮肉にも天使を司る御名。 あるいは、天使を造り出す我こそが神たらんとす創造主の意志か。 地上を統治し、悪霊の攻撃から守るという役割も持つ権天使。 偽りの堕天使。その役割は戦争。 渦巻く混沌に、更なる嵐が巻き起ろうとしていた。 ■ □ □ □ □ crosswise -white side- / ACT4 『JUST COMMUNICATION』 ■ ■ ■ ■ □ 「……機体制御完了。GNドライブ安定供給。武装セーフティ解除……」 鉄の悪魔の中枢、操縦コクピット室。 隙間の多いシートに座る少女がひとり。 細い十の指はせわしなく動き、モニターに映る項目を逐次チェックしている。 何十年もの経験からなる熟練の手捌き。 ゛前身゛と比べても変わりなく、瞬く間に全工程を終える。 「全機能オールグリーン……っと。さぁて、これでよぉーやく準備は完了だ」 少女の器に貼られたアリー・アル・サーシェスという魂のラベル。 蓄積されていた記憶は零落なく保存されており、調整は滞りなく済んだ。 退屈な作業から解放され、縮こまっていた体を伸ばす。 「しっかし大将も太っ腹だねえ。あのぐらいの仕事でこんな上玉をくれるなんてな」 上機嫌で口を三日月に象る。 喜びに満ち、お気に入りの玩具を与えられた子供のよう。 その原因は言うまでもなく、今自分が乗り込んでいるこの機体にある。 GNW-20000、アルケーガンダム。 イノベイターに雇われたサーシェスのために造られた専用機。 以前彼が鹵獲しそのまま愛機としていた『スローネ』シリーズの流れを汲む、最新鋭の技術を投入されたガンダムである。 莫大なエネルギーを生み出す疑似太陽炉、GNドライブ搭載型モビルスーツ。 特殊素粒子、GN粒子を生み出し万能ともいえる機能を発揮する旧型太陽炉を胸部と脚部に三基搭載。 実体剣とビームサーベル両方の効果があり、銃の機構も併せ持つ大型剣、GNバスターソード。 奇襲用として両脚の先端に仕込まれてるビームサーベル。 オールレンジでの射撃と刺突に用いる遠隔誘導兵器、GNファングを合計十基。 左腕にはビームシールドも装備し、緊急時の脱出装置も備えパイロットの生存力を確保する。 事実上死角なしの攻撃性能を持つ万能機。 それが特にデチューンがかけられた様子もなく、今のサーシェスの手に渡っていた。 本拠地より脱走した裏切り者を始末せよという、リボンズからのボーナスミッション。 苦もなくそれを達成し、その報酬として強奪したモビルスーツの使用を認可された。 正確に述べれば、指令は裏切り者とそれが手にしている兵器のことを教えられたまで。 それ以上の情報は与えられてはいない。 ただ、同時に使用を咎める声があったわけでもない。 言い含みと備えられた場の状況からすれば、言外に受領されたも同然だ。 確実な戦力だったリーオーを失って丸裸同然のサーシェスにはまさに福音。 それもおあつらえむきに自身の愛機。気が大きくなるのも当然といえる。 今の己を圧倒的優位に立たせる武装。 このまま即刻全員皆殺しにすることも可能なだけの攻撃力。 性能については実証済み。支給されている量産向けの機体など比較にすらならない。 この時点で、サーシェスは他のどの参加者よりも一歩抜きんでたポジションを手に入れられたのだ。 「もっとも、大将のこった。何か仕込んでるかもしれねえが」 だからこそ、そんな力を平然と与えたことに引っかかりを感じてはいた。 ガンダムの力は強大だ。最高だ。超一級品だ。 ここで見てきた数々の化物を見てもそれは同じと知っている。 出力、武装、今まで使い潰してきた簡易型とは格が違うのだ。 音速で動き回ろうがこちらは空中を自在に飛び回り、鉄をも破砕する剣だろうとそれごと叩き潰せる大剣がある。 小蝿と巨像、毒蜂と人間の関係。 いかな大敵であろうとこれに対して通用する術があるとは思えない。 それが痛快であるのもまた事実。 何よりも、サーシェスは戦争を愛している。 金さえあれば何処の誰とでも勇んで戦って見せるぐらいには。 それとは別に大量虐殺というのは特別趣向には合わないでいた。 無論、仕事であれば不平不満もなく実行する。良心などという冷や水はタンクごと破棄している。 単にそれ以上の意味であえてするほど酔狂でもないというだけのことだ。 戦争とは殺し合いだ。殺し“合って”こその戦争だ。 命をチップに、撃鉄が起こされた銃口を己のこめかみに添えながらルーレットを回すスリル。 ハンマーが落ちる音で生きていることを確信し、冷えた肝を勝利の美酒で潤す。 それこそがサーシェスが望むところの戦争、生命を駆け引きする禁断のゲームだ。 どれだけ禁忌の果実と知っていても、林檎の味を覚えた人類は決して忘れられない、逃げられない。 より多く、上質の実を求め手を伸ばしにくる。 無力な奴を蹂躙するのもそれはそれで楽しいが、さすがにそればかりだと些か飽きがきてしまう。 快楽のために戦争をやってる身として、モチベーションの低下は由々しき問題である。 とはいえ、あの食えない雇い主のことだ。この介入も予測に入れたプランを構築しているのだろう。 全ては盤上の範疇。何が起ころうと駒の持ち手に疎意を向けることはできない。 そもそもこの指令も余興、遊びだと言っていた。 成否に関わらず、練っているだろう計画には大して支障もないには違いない。 つまりこれは決して、イージーゲームなどではない。 なにかある、この規格外の兵器をもってしても一筋縄ではいかない何かが、この先に在る。 「―――ま、いいけどね。なんでも」 そして、その思惑がどうあろうとサーシェスは全く意に介さない。 大層な計画も高尚な主義思想にも興味はない。 重要なのは契約を守るか、戦争がやれるか。 肉体が変わってもなくならない、胸に残る根源の欲求に身を任せるだけで、彼の人生はバラ色だ。 駒は駒らしく忠実に仕事をこなせばいい。幾らでも便利に使えばいい。 自分はその過程の騒乱を楽しみたいだけなのだから。 またとない戦場を与えられた。この上ない武器も手に入れた。 なら後は、派手な戦争を起こすしかない。 ミッション成功以降は、デバイスからの指令なし。 これから何をしろだのといった具体的なメッセージは届いていない。 つまりは『好きにやれ』という事だ。 お望み通り、好きにやらしてもらうとしよう。 「さてさて、どっから仕掛けましょうかねぇ」 索敵機能をかけ、上空から下界の戦場を観察する。 モニターのそこかしこに映るのは黒煙。 戦闘の跡、破壊の嵐が過ぎ去った証の疵。 暴風は止み些か鎮火したきらいがあるが、傭兵の嗅覚は見逃さない。 まだ、燻ぶる火種がある。 新しい火蓋は開かれず、切り落とされる時を待ち望んでいると。 「にしてもけっこう時間経っちまったなあ。 なかなかどうして粘ってたみてえだが、結局旦那はどうなったんだか」 数時間前まで戦っていた場所に視線を向けるも、既に戦火は乏しい。 戦いは終わったのか、そうでなければ掻き回してやるのもいいか。 そうして捕らえる標的を探りかけたところで。 「――――――――――――お?」 そこで、見た。 「へえ………………」 現在位置よりやや遠く南方。 地図上では『ショッピングセンター』と呼ばれる施設がある地点。 そこに面する駐車場に、見えた。 周囲の建造物がドミノ倒しになっている中で、仰向けに倒れ動かないその姿。 深紅の鎧、悪魔の翼を持った高貴なる騎士。 今まで見たことのないフォルム、だが知識として知っている。 途中で入手し読破したデータマニュアルにその姿は記されていた。 何よりも、その威容が語る存在は違えようもない。 「そおいう事かい。どおりで大将も気前がいいもんだ」 餓える獣が、渇きを満たし得るだけの最高の獲物を見つけた。 □ □ □ □ ―――交差したのは目。 血走る殺意を孕んだ赤い瞳。 本来なら顔も見えない遠い距離で、確かにそれは体を突き抜けた。 眼球の動きに合わせて、空想は破壊の爪痕として具現される。 隠しもせず発露された暴威の気色は物理的な破壊を伴って周囲を焦がす。 手に握った最後の刀剣は、振るわれた魔手によって抜刀を果たせず砕け散り、破片がぱらぱらと舞い散り落ちる。 けたたましく弾けるコンクリートの音は嗤い声のように。 睨むだけで世界が砕けていく様はどこかで聞いた話を思い出して。 最後の抵抗に、迫る衝撃で自ら全身を大きく後ろに押し出した。 そのまま足場のない場所まで追いやられ、真下に口を開ける孔に吸い込まれていく。 意識もろとも、深い穴蔵に呑み込まれていく。 落ちる一瞬。 脳裏に残るのは己が魔眼で捉えた流れ。 白い影を中心に集まっていく線は、宙(そら)に浮かぶ星の巡りに似ていると思った。 「………………」 夢想から起きたのは、鼻をつく錆びた鉄の臭いが切欠だった。 金属を腐食させるのとは違う、文明を朽ち果てさせる残り香。 舞い散る塵、乾いて煤けた空。 やがて人類に訪れる最後の大地。 五感はどれも密接に結びついており、ひとつの感覚で複数の感覚を刺激させる。 嗅覚だけでそこまで思い描けるのは、その光景にしか零せない臭いだからか。 「………………」 どちらにせよ、目を醒ませばいいだけの感触に迷いなどありはせず。 その感覚を縁にして、両儀式は目を醒ました。 空は、やはり乾いた絵画のように色褪せている。 意識を取り戻してから即座に取るのは状態の確認。 肺に渡る酸素と胸の内から打つ心音。生きている事を認識として理解する。 四肢の感覚も残っており、過大な痛みも感じない。 目に映る変化は右手の軽さ。 握っていた日本刀は抜くよりも前に柄から先が消えたぐらい。 すべては、瞬きの出来事であった。 最大の隙に撃ち放たれた弩弓。 一方通行(アクセラレータ)という名称の破壊兵器。 流星の速さで飛び込んで来たソレは、無防備な鋼の巨人の装甲を破り、陥落させた。 余波だけで手に携えられていた名刀は粉々になり、柵を越えて滑り落とされる。 今まで気を失っていたのは、不完全な着地により衝撃を殺し切れず軽い脳震盪に陥っていたからだと予測を立てる。 経った時間は、おそらくそう長くはない。 起き上がろうとして、慣れない感触に足元を見る。 ブーツが踏むのは金属質な掌の相。 巨大な手首の続く先には、積もり積もったコンクリートの山。 その中から紅い腕が伸びていた。 作戦の盾として式を守り運んできたモビルスーツ、ガンダムエピオン。 グラハム・エーカーが駆る機動兵器。天江衣の死により瓦解し、突き破られた牙城。 柵から転げ落ちた式を手で掬い上げたのは苔の一年か。 それでも今は重なり合う故障品と同意義の存在でしかない。 一方通行から受けた致命の一撃によりくず折れて、沈黙を通している。 今は最早役目を果たせず仰臥し、倒れた上から押し寄せた瓦礫の雨が、全身の腰から上に山を築いている。 折れた武器を放り捨てて、掌から塵屑だらけの地に足をつける。 動かないエピオンを放ったまま、白煙の立ち込める戦場を歩く。 既にパイロットのグラハムからの反応は望めないものと決めている。 積もった瓦礫は、機能を停止させてからかなりの時間が経っている証拠だ。 崩れた駐車場が起こした砂埃は風に巻かれ、景観をある程度には鮮明に映している。 単なる気絶か、それとも絶命したのか、塵山に埋もれた現状ではそれを確かめる術もない。 そうして複数の情報を混ぜて、式はここに留まる意味を見い出せないでいる。 生きていればまた動くだろう、程度の感想しか持っていない。 糸の切れた凧のように、風の向くまま塞がった道の穴を縫って先へ進む。 駐車場は既に原型を留めていなかった。 上の階層を支える柱を砕かれ、土台となる足場を爆され、建築物としての骨子を奪われての崩落だ。 それは偶発的に起きたものではなく、計画性をもって立てられた破壊活動。 昏倒時に聞こえた大音、今も小規模に崩れる建造物。 エピオンが陥落した後にも戦いが続いていた証でもある。 巨人が倒れただけではここまで容赦のない破壊は起こせない。 かつての姿が見る影もない元駐車場からは、闘争の空気は失せている。 取り囲んだ領域を張り詰めさせる殺気も、本能を沸き立たせる戦意もない。 灼熱の源泉たる敵、一方通行もこの場にはもういない。 森を焼く業火は鎮火し、僅かな余熱が名残りとして燻っているのみだ。 一度起きた事象は巻戻りはしない。 風が吹いて熱が冷めても、残るのは無惨なものばかり 焼かれた木々は炭に染まり、枯れた大樹は若葉を芽吹かせない。 過去は不可避であり、零れた命は手に還らない。 戦場跡にあるのは決まって同じ。破壊という一点に世界の隔てはない。 粉微塵に変わり果てた建築物に肉身を裂かれ物言わぬ死体。 そして、僅かばかりの僥倖で永らえた生存者。 「……げほっ!ごほっ!は――――――!」 びくりと、全身が痙攣する。 落ちていたブレーカーを立ち上げられたみたいに、沈んでいた意識が飛び起きる。 土埃に汚れている場所のなか、大口を空けては酸素を求める。 取り入れた空気にむせこんでも生命活動を維持しようとする体は止まらない。 躍起になって肺を動かして、ようやっと十分な安定をみせる。 死んでいるかと思える程に引き裂かれている全身。 黒を基調とした学校の制服は至る部位に血が滲んでいる。 土に汚れた場所で大口を空けて酸素を求める。 敗残者でしかない姿で、無様に地べたを這いつくばっている。 「ぐぁ……がっ……ぁ……」 「しぶといな、お前も」 「ぎ……ぞ、の声……式……か……?」 それでもなお、生きた姿で息を続ける。 体は朽ちず。心もいまだ死なず。 心身を切り刻まれていても、阿良々木暦は死者の列に加わってはいなかった。 「いぎ……てる……か?」 「お前よりはな」 息も絶え絶えといった様相。死体と見間違えても仕方がない。 吸血鬼というよりは民間で伝わるゾンビめいた姿だが、会話が叶う程度には身体機能は動いている。 東横桃子の徹底して容赦なき砲撃。立体駐車場全体を解体する一斉掃射。 逃げる為の地盤を砕いての垂直落下に晒されてなお、暦は生き延びていた。 それは、本来なら不可解な事態だ。 吸血鬼もどきの肉体では耐久力にも限度がある。 十数メートル下のコンクリートに叩きつけられて無事でいられはしない。 耐えられたしても、代償に手足の一本や二本はひしゃげてしまっているだろう。 その不可思議について考えている余裕は今の彼にはない。 それよりも先に、記憶にある僧衣の少女の安否の方こそを気にした。 「インデックス……は?」 「お前の隣で寝てる」 「えっ?」 式の言葉の通りに目を配れば、確かにインデックスはそこに眠っていた。 この薄汚れた地獄の巣窟に似つかわしくない、晴れやかな色合い。 自然物とは考えにくい純白の布地が目の前に広がっている。 それも目につかなった事にこそ疑問なくらいに近い距離で、視界の黒く塗り潰されていた箇所に寝転がっていた。 遅まきながら、暦は目の半分が機能していないのにそこで気づいた。 ナイトメアフレームの機動中の風圧、駐車場を襲った砲撃、東横桃子のビームサイス。 いずれに対しても一切の影響を遮断させてきた文字通りの『歩く教会』。 礼装の効力を度々目にしつつもその能力に確信が持てていない暦だが、顛末を窺い知るには十分だった。 崩落の最中、インデックスは落ちる暦を包み込むように抱き寄せ、落下の衝撃を受け止めてくれていたのだ。 つまり助かったのは奇跡や偶然の気まぐれでなどではなく、インデックスという紛れもない他者の手による庇護。 身に余るほどの献身は、操り主の意に従う人形では有り得ない筈の行動だ。 戦闘の波及を広げるという主催としての役割と、身を挺して参加者を庇い立て命を救う行為は完全に矛盾している。 そうする事が、彼女にとっては当たり前だとでもいうように。 身じろぎひとつせず眠っている修道女。 顔にかかった髪の一房が時折揺れ動くのが生存を示している。 終始見せていた、機械を思わせる人形の表情はそこにはない。 殺し合いを管理し、扇動した片棒を間違いなく担いできた冷酷無残な人形とは違う。 あどけない、夜枕を抱えて床についた子供のような顔つき。 明日も変わりない一日を遅れると信じて疑わず、希望に溢れた夢を見る幼子のようにしか見えなかった。 戦闘の波及を広げる理由はあっても、わざわざ身を挺して参加者を救う理由はない。 それは悪い予想の通り主催からの指示なのもあるのだろうけど。 そうであっても、助けようとしたのは彼女の意思ではないだろうか。 気休めではないかもしれないけど、そう信じていたかった。 「他の、やつらは……枢木は……?」 血が足りていないのか、頭が揺れ動きながらも口を開く。 「ここにはもういない。生きてるやつは全員どっかに消えてるよ。 ほかに残っているのは死体ぐらいだ」 暦の問いかけに対して、生きてる人間はいないという言葉を式は返す。 死体ならばこの何処かにあるかもしれない。そういったニュアンスを含めている。 「そう……か」 否定は、し切れない。 スザクがあの後どうなったのか最後の瞬間を目にした者がいない以上、既に死んでいる可能性も確かに存在している。 そこらの瓦礫をひっくり返してみれば亡骸が見つかってもおかしくはない。 最低でもひとりは―――何処かに死体が隠れているのだから。 また命を拾った。ひとまずは助かった。 しかしそれがいったい何になるのか。 彼一人の生存が知れたところで、何か劇的な変化が起きるでもない。 戦いは続く。己の意思と肉体を無視して、ステージを移し変えながら地獄は進展していく。 戦地だった場所は崩れ落ち、途中で離脱した暦はそこにいた者達の安否は杳として知れない。 爆炎と粉塵に包まれた駐車場では、誰を見つける事も叶わない。 「なにか……まだ――――――」 折れている肘を持ち上げ、関節に力を込めて立とうとする。 動かすたびに痛みが走るが構わず続ける。 沈黙は結果を生み出さない。動かなければ事態は一向に解決には向かわない。 この絶望的な状況において何をしたらいいか。何をすればいいか。 己に出来る最善を尽くそうと周囲を見渡す。 なにもしないでいるのに耐えられず、せわしなく首を動かす様はどこか夢遊病者じみている。 何度くじかれても折れぬ意志。 しかし、度を超えれば蛇のように体を縛り付ける呪いと変化する。 雁字搦めになるのに足を突き動かされるという矛盾。 矛盾ではあるが破綻はせず、無様になりながらも動きは止めはしない。 何故なら阿良々木暦にはそれしかないから。 力なく知恵も足りない男ではそれが限界だから。 届く限界の範囲で、為すべき事を為していた。 自分が動く行為が何かの切欠になればいいと信じて。願って。 「ぁ――――――まず―――――――――」 だが、それは世界に彩られた主権ある者にしか使えぬ聖剣である。 既に座を降ろされ脇役でしかない阿良々木暦は、その資格は有してはいなかった。 頭が抜けていく、そんな感覚。 頭部を引っ張られて自分の意識だけが引き摺り出されていく浮遊感。 抵抗の間もなく、動かす力がなくなっていく。 いわばガス欠。燃料切れ。生命力の備蓄の枯渇。補給の為の休息期間。 つまりは、気絶だ。 『歩く教会』の加護を受けていたのはあくまでインデックスひとりだ。 小さな体に庇われたおこぼれ程度の防御では、五階分からの落下を殺し切るには不足だった。 骨は至る箇所が折れ、失った血の量も多い。 人間であればとうに死んでいなければおかしい重傷。 体に負っていた損傷はすぐにでも休息を必要とする。 回復しつつあるとしても、とても動かせる状態にあってはいなかった。 目が覚めたのも、朦朧とした意識の中で偶然式が目に入ったからでしかない。 寝てる余裕はないと無理に起き上がったところで、結局血が足りずすぐに堕ちるのが必定だった。 「―――――――――く、そ」 失意だけが、取り残されていく。 沈殿する意識で出た言葉は誰に向けたのか。 傍にいる式に図れる筈もなく、本人も当然喋る事も出来ずに。 再び、暗闇の中へと消失していった。 「……なんでそんなに必死なんだろうな、お前は」 どこに向けたとも知れない言葉を、式は呆れたように吐き出す。 呟いたのは愚痴なのか、彼女自身その理由を図れていない。 理解出来ないというよりは、納得がいかない、といった心境だ。 それだけ傷だらけになり、精神的な苦痛も少なくはないだろうに。 どうしてこの男は、そこまでして他人を助けようとするのか。 底抜けのお人好しである事は分かる。 なにせあの浅上藤乃を庇い立てするくらいだ。相当のものだろう。 きっとこの男は誰に対してもそうだ。 頼まれてもいないのに首を突っ込み、どうにかしようとあちこちを動き回り、時には体を張る真似だってする。 そんな風に断定してしまうのが、今はもういない男の像を参考にしていた事に気付き、何故だかとても腹が立った。 自分を吸血鬼と名乗る少年。 確かに傷は、倒れる体を眺めている最中にも徐々に塞がってきている。 ヒトでないモノ。バケモノ。その呼称はおそらく間違いではあるまい。 無防備を晒し眠るソレを、けれど式は微塵もナイフを刺す気にならなかった。 最後にしこりを残しておきながらひとりで勝手に気絶している男にさらに苛立ちが募った。 首を向けた先には、退廃した空が眼の届く限り広がっている。 灰に色づいた光景は、今にも破れてしまいそうなほど頼りない。 まるでハリボテ。触れただけで裂けてしまう紙の天井だ。 ……もしこの空にまで線が見えてしまうようになったらと、いつか思った事がある。 見るも聞くも嗅ぐも触れるも味わうも、どれもがおぞましい、死の世界。 自分があの場所を垣間見るならともかく、場所の方から意志を持つモノとして表れるなどそれこそ気が狂う。 覆う雲の切れ目からは僅かに差す赤い光は、血雨が降りしきる前の雲海を思わせた。 時系列順で読む Back crosswise -black side- / ACT4 『逆光(ぎゃっこう)』(二) Next crosswise -white side- / ACT4 『JUST COMMUNICATION』(2) 投下順で読む Back crosswise -black side- / ACT4 『逆光(ぎゃっこう)』(二) Next crosswise -white side- / ACT4 『JUST COMMUNICATION』(2)
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111 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/27(水) 22 34 20 ID in0442CU はっはっはー、ただの自己満足の為に整理するのだー 【各勢力一覧】 《風紀委員》龍門渕透華 トレーズ・クシュリナーダ 月詠小萌 リリーナ・ドーリアン 伊藤開司 黒桐幹也 加治木ゆみ 竹井久 セイバー 真田幸村 御坂美琴 バーサーカー アーニャ・アールストレイム ヒイロ・ユイ ファサリナ 妹E 上条当麻 《特攻野郎》琴吹紬 刹那・F・セイエイ 八九寺真宵 明智光秀 本田忠勝 戦場ヶ原ひたぎ 神原駿河 船井譲治 アーチャー ゼクス・マーキス レイ・ラングレン 海原光貴 妹F R妹 平沢唯 中野梓 千石撫子 《伊達軍団》伊達正宗 片倉小十郎 ヴァン プリシラ 衛宮士郎 福路美穂子 池田華菜 田井中律 キャスター 玄霧皐月 ライダー 浅上藤乃 デュオ・マックスウェル 張五飛 C.C. ユーフェミア・リ・ブリタニア 安藤守 《運営係?》マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア カギ爪の男 兵頭和尊 利根川幸雄 ハロ達 黒服達 【種目一覧】 《個人競技》100m走/大玉転がし/障害物競争/二人三脚/パン食い競争/借りモノ競争/寒中オイルレスリング/電撃イライラ迷路/タマ取り? 《団体競技》長縄跳び/綱引き/棒倒し/玉入れ/風雲!安土城/ムカデ競走/チーム対抗リレー/チーム対抗騎馬戦 《その他》運動会ライブ/フォークダンス/組体操 種目を選定した先人には申し訳ないが、「借り物+借り人=借りモノ」のように統合します。あと、「タマ取り」ってなんですか? 116 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/27(水) 23 14 38 ID 1Fx2Q.hg 小十郎「精一杯タマァ殺らせて戴きやす。」 撫子「ひいっ!」 池田「そーいうんじゃないし!」
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71 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/20(水) 01 01 48 ID WHGPyjU6 海原(御坂さんに見つかったら事だ…。仕方ない、次の機会を待つとしよう…。なに時間はいくらでも…) ビリビリ「そこっ!」 カッ 海原「!か、身体が…?!」 ビリビリ「鼠が引っ掛かったようね。私の電磁ネットワイヤーの結界からは誰も逃げられないわよ…って、海原君?!」 海原「こ、こんにちは…」 海原「…と、いうわけで僕はなにもやましいことはしてません!」 ビリビリ「ふーん、へぇー。そーぉう…で、言い訳はそれだけ?」 海原「…妹Fさんに会わせてください。お願いします!」 ビリビリ「ちょ、ちょっと、いきなり土下座することないじゃない!もう、わかったわよ!会えばいいじゃない、さっさと!」 海原「ありがとうございます!(あー、これでもう御坂さんとは終わりだなぁ…)」 ダッ! ビリビリ「な、なによ、もう…。いきなりカッコよくならないでよ…ドキドキするじゃない…」 73 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/20(水) 12 32 09 ID k9HovsX2 C.C.「おや、早速浮気か?」 ビリビリ「ち、違うわよ!! ただ、あの鈍感馬鹿にもあれだけの甲斐性が欲しいなーって……」 C.C.「まあ気長にやるといいさ。 ところで、先程上条と食堂に向かっていたように見えたが、見間違いか?」 ビリビリ「へ? 食堂になんか行って……ってまたミサカE!? ごめん、ちょっと用が出来たから!!」ピュー C.C.「やれやれ、身内に恋敵が居るというのも大変なものだな」 74 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/20(水) 16 31 23 ID 8u.2U2pg 唯「凄い~ 自分の妹も入れてハーレムを作るなんて」 ビリビリ「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! それ浮気よりもっとタチ悪いわよっ!」 唯「でもここに来る前から上条さんと黒子さんと海原くんの4人で付き合っていたんだから妹さんが加わっても大したことないよ」 ビリビリ「黒子まで数に入るとか私ってどんだけ色好きに見られてるのよっ! 大体私はレズじゃないっ!」 C.C.「レズ、いや両刀なら両刀でカミングアウトしても別にかまわんと思うが」 ビリビリ「あんたも突っこまないでよね…」
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101 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/26(火) 15 00 41 ID DBXDpitM カイジ「大分競技も決まってきたな。 どれどれ……」 100m走 大玉転がし 綱引き 棒倒し 玉入れ タマ取り 障害物競争 風雲! 安土城 二人三脚 パン食い競争 フォークダンス 借り物競争 借り人競争 寒中オイルレスリング ムカデ競争 組体操 電撃イライラ迷路 チーム対抗リレー チーム対抗騎馬戦 カイジ「……なんか、あちこちツッコミ所が混ざってるような気がするんだが」 とーか「目立てば何でもアリですわ!」 102 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/26(火) 15 39 39 ID /DB6sJfY そうですか、長縄跳びはなしですか… 細かいが追加要求 スプーンレース バットまわり 運動会ライブ(鼓笛の代用) 上二つは障害物競争あたりに組み込むのもありだ 103 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/26(火) 16 23 42 ID KzxHeDzw 部長「ふむふむ」 寒中オイルレスリング 部長「?!これは…!」 17《伊達軍団》◆筆頭 ◆片倉 ◆ライダー ◆キャス ●デュオ ●五飛 ●ヴァン ●プリシラ ▲律 ▲藤乃 ▲士郎 美穂子 池田 C.C. ユフィ 玄霧 安藤 ライダー 美穂子 部長「ハァ…」ガッカリ 106 :名無しさんなんだじぇ:2010/10/26(火) 18 33 51 ID oCrZzYtg 小十郎「すると競技は…」 100m走 大玉転がし 長縄跳び 綱引き 棒倒し 玉入れ タマ取り 障害物競争(スプーンレース、バットまわりetc) 風雲! 安土城 二人三脚 パン食い競争 運動会ライブ(鼓笛の代用) フォークダンス 借り物競争 借り人競争 寒中オイルレスリング ムカデ競争 組体操 電撃イライラ迷路 チーム対抗リレー チーム対抗騎馬戦 小十郎「という具合か」 小萌「そーですねー」 真宵「で、開催はいつにしましょうか」 小萌「次の月曜から本編は放送前準備ですし、その間をどどーんと使いましょう!」 小十郎「なるほど、今は凍結中だから月曜までが練習なんかの事前準備。放送案募集が始まったくらいに開始というわけか」 真宵「その間は暇ですしねー。それにその日程を早めるとハロウィンとかち合いますし、いいんじゃないでしょうか」 小萌「よーし、それでは各陣準備開始ですよー」 【死者スレ住民対抗大運動会 11月1日開始へ】
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792 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/17(土) 02 04 43 ID vfgkRQXo 【作戦本部】 コクトー「あれ?」 小萌「どうしました?」 コクトー「結界、まだ消えてなくないですか?」 真宵「…ちょっと確認してみます。 紬さん、まだ結界が解けてないようですがなにか異常があったんですか?」 ガガッガガガガガガ 真宵「わっ!」 ビリビリ「ジャミング?!ちょっと貸して!」 バンッ 小萌「停電ですー!」 ミサカ「非常電源に切り替えます、とミサカは的確に通達します」 バンッ かじゅ「点いたようだな」 唯「停電ってなんだか興奮するね、あずにゃん」 梓「そうですか?」 【機関室】 デュオ「あちゃー。どうやら太陽炉が落ちたみたいだぜ」 ヒイロ「仕様限界を超える前にブレーカーを落としただけだ」 ごひ「暴走状態になると限界が来るまで止める事が出来ないとは、なんとも脆弱なシステムだな」 デュオ「暴走ってのはそういうもんだろ… ま、永久機関の上メンテが殆ど不要なんだから文句言いっこなしだって。 さて、ヒューズヒューズっと」 ヒイロ「ヒューズなのか…」 【VIPルーム】 マリアンヌ「ちょっと!いきなり電源落とさないでよ!二時間前のセーブまで戻らなくちゃならないじゃない!」 リリーナ「この非常時にピコポコをやるのがいけないと思いますが」 ゼクス「リリーナ、その言い方はどうかと思うぞ。ファミコンだ」 トレーズ「正確に言えばセガサターンだな」 マリアンヌ「なんで王族以外立ち入り禁止のVIPルームにあんたが居るのよ」 ユフィ「ゼクス様のご友人という事で私が入れたのですし、おばさまも矛を収めて…」 マリアンヌ「誰がBBAよ!まだピッチピッチよ!?」 793 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/17(土) 02 05 05 ID vfgkRQXo 【本部】 小萌「あ、キャスターさんたちが結界から出てきましたよ」 ビリビリ「トランシーバー持ってないわね。さっきのは単に落として壊しただけなのかしら」 真宵(嫌な予感がしたのは気のせいでしたか…) ひたぎ「本当に詰まらないわね。さ、さっさと慰労会でも始めましょう」 セイバー「同感です」 上条「お前ら、なにもやってないじゃねぇか」 アーチャー(…なにか違和感があるな) 士郎「?どうした、アーチャー。トイレか?」 アーチャー「…あぁそうだな。ちょっと席を外すぞ」 【特攻野郎隠れ家】 船井「はぁ~あ、全く暇やでぇ。なんでワシらが爆破スイッチの番人なんてやってなきゃあかんのや」 光秀「実にそうですよねぇ。…どうです、ふなちゃん。スイッチを押してみては?」 船井「いや、もう一件落着したみたいやし、遠隔操作の爆破は無用やろ」 光秀「一件落着したのならば問題ないではないですか。良き趣向になりますよ」 船井「あぁあのガキの歓迎会かいな。そりゃええなぁ」 光秀「どうやら城の中に残っていた人間もみな出てきたようですし、 爆破による被害も結界で最小限に抑えられますし」 船井「ハハッいい事づくめやな!でも龍門渕の嬢ちゃんにまだ許可貰ってないで?」 光秀「主催する人間自身が趣向を知らないというのはいい不意打ちになるではありませんか それに…風紀の人間の仰天した顔を見られますよ?」 船井「なるほど…ええな!よっしゃ押したろ!」 ポチッ <第二安土城爆破まで あと 10 分> 船井「フヒヒ…これであの嬢ちゃんの間抜けな顔が見られるってわけやな!」 光秀「では私は一足先に出掛けるとしますね」 船井「おう、行ってきいや~」 794 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/17(土) 02 05 49 ID vfgkRQXo 【第二安土城内】 オーナー「ん?緊急呼び出し?」 ゴースト『紬さん、まだ結界が解けてないようですがなにか異常があったんですか?』 ガンダムバカ「なんだと?!」 オーナー「真宵さん、それは一体…?!」 ガガガガガガガガ オーナー「電波障害?!」 ガンダムバカ「これは…GN粒子による通信妨害…!」 オーナー「これはそのGN粒子を使った非常用の通信機よ?」 ガンダムバカ「だが、この現象は確かに…」 部長「え、何。どうしたの?」 ガンダムバカ「分からない」 オーナー「とにかく遠隔通信手段が使用できないのであれば早急に外部と連絡をとるべきね」 部長「?」 ガンダムバカ「そうだな。…竹井はそこで待機しててくれ」 部長「分かった。刹那クンが言うならそうするわ」 ガンダムバカ「やけに素直だな」 部長「素直が一番だっていうシーンを見たばかりじゃない。わたし、そこまでへそ曲がりじゃないわ」 【第二安土城出入口】 キャスター「…」 律「キャスターさん…」 キャスター「どういうことなの…?」 ガンダムバカ「なにがあった?!」 律「結界が消えないんだ!」 オーナー「キャスターさんが作った結界じゃないの?!」 キャスター「術式が上書きされてるのよ…」 オーナー「貴女が解除できないほどなの?!」 キャスター「時間をかければなんとか出来るわ。まぁ切羽詰まった問題ではないけど…一体どうして…」 オーナー「あなた、ここの魔力を使ったとか言ってたわよね?」 キャスター「平たく言えばそうね。ここは霊場として充分なほどの魔力が蓄えられていたわ」 オーナー「それ、本当に魔力…だったの?」 キャスター「でなければ大魔術の行使なんて出来ないわ。膨大な魔力がなければ使えないものだもの」 オーナー「もしかしたらそれ、瘴気だったんじゃないかしら?」 キャスター「どういうこと…?」 795 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/17(土) 02 06 36 ID vfgkRQXo 【第二安土城】 キャスター「なるほどね…。怒りのあまり大して精査もしないで使っていたけれど 確かに私の知っている魔力とは性質がやや異なるわ…」 律「ごめんなさい…」 キャスター「うぅん、私が悪いの。このお詫びは今日の夜たっぷり…」 オーナー「という事はつまりこの結果も瘴気によって形成されたもの、というわけね」 ガンダムバカ「それをトランザムバーストによる膨大なGN粒子を浴びせた事で変質…」 キャスター「そして術式の基礎からすべて書きかえられた… 世界の向こう側はやっぱり神秘の山ってことかしら」 オーナー「結界が変質した事によって通信機も通じなくなったってことね。 それで、どのくらいかかる?」 キャスター「今夜りっちゃんとしっぽりするって言ったでしょ。 日が沈むまでには終わるわ。原因が分かったんだもの」 律「あと2時間ってところですね。…ムギー、キャッチボールしようぜー」 オーナー「いいわよ、りっちゃん」 ガンダムバカ「…竹井も下ろすか」 カツカツカツ 部長「ねー刹那クン」 ガンダムバカ「竹井…大人しく待ってると言ってなかったか」 部長「なんかそこらじゅうでピコピコ赤く点滅してるんだけど~」 オーナー&ガンダムバカ「?!」 796 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/17(土) 02 08 11 ID vfgkRQXo 【第二安土城前】 アーチャー「やぁキャスター。元気かい?」 キャスター「…えぇ」 アーチャー「そうかい」 ズバッ! 部長「?!」 オーナー「しまった!」 律「『バレ』た?!」 ガンダムバカ「逃げるぞ!」 アーチャー「瘴気で出来た泥人形の癖に機転が効くじゃないか」 ズバッ×4! アーチャー「コピーにしては劣悪な出来だったな。 …まぁ私も『そう』かもしれないが」 光秀「大変だぁぁぁぁぁぁぁ~~!!!!! アーチャーが乱心してキャスター殿たちを斬り伏せたぁぁぁ~~!!!」 アーチャー「?!明智…光秀?!」 光秀「クックックッ…一大事ですねぇ~これは私が直々に手を下すしかありませんねぇ~」 アーチャー「…何が目的だ」 光秀「おやおや~そこまでお察しが悪かったのですかね~?クックックッ あなたが居たら『本物』が外に出てしまうでしょう?固有結界でしたっけ?あれを使って」 アーチャー「琴吹紬を一時的に行動不能にする事で特攻チームの実権を握るつもりか?」 光秀「いえいえ…なに、詰まらないのですよねぇ…あの方は。 今回にしたって混沌をわざわざ正そうと行動する。 いらないのですよ、そういうのは。ここはもっと混沌と死と恐怖に彩られてなければ…」 アーチャー「俺にとってはそういうものこそ不要だ」 光秀「いいですねぇ~その気迫。そそります、実にそそりますよ~。 信長公にあと一歩の所で及ばなかったあなたと 今憎しみを抱いて手合わせ出来るだなんてなんという幸運!」 アーチャー「どけ」 797 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/17(土) 02 09 44 ID vfgkRQXo 【本部】 真宵「あれ?アーチャーさん?」 小萌「どうしました?」 真宵「いえ、キャスターさんたちの所にアーチャーさんが…えぇ?!」 ひたぎ「なになに?!」 真宵「アーチャーさんがキャスターさんを切り倒しました!真っ二つです!」 小萌「えええぇぇぇえええ?!」 光秀『大変だぁぁぁぁぁぁぁ~~!!!!! アーチャーが乱心してキャスター殿たちを斬り伏せたぁぁぁ~~!!!』 士郎「~~!クソッ!アーチャーの野郎…!!」ダッ セイバー「士郎!」ダッ ふじのん「ライダーさん?!」 ライダー「アーチャーはたやすく精神に変調をきたす人間ではなかったはずです… 一体何故…」 幸村「どうしてもこうしても実際にアーチャー殿は乱心してござる!」 筆頭「それは少々早合点じゃないのかい」 幸村「なにを悠長な事を…!それがし止めに行くでござる!」 ホンダム「~~~!」 幸村「忠勝殿…何故止めるのでござるか?!」 ヘラクレス「本多殿はこういいたいのであろう。軽挙妄動は慎め、と。 真田殿の師匠とて、この場では同じことを申されるのではないかな?」 幸村「お館様が…。しかし実際に…!」 筆頭「幸村ぁ。おめぇもよぉ、一軍を任される大将だったらもっとCoolに行こうぜ」 ヘラクレス「もしアーチャー殿に非があった場合には光秀殿やエミヤがなんとかします。 だから貴方はここで腰を据えていたらいいのです」 幸村「…承知した」 筆頭「あんた、気付いてたんだろ?キャスター達が偽物だって」 ヘラクレス「貴方もでしょう?でなければ飛び出していたはず」 筆頭「まぁな。だが、幸村の奴も気がつけてたはずだぜ。ただあいつは頭に血が上り易いからよ」 ヘラクレス「まぁ会場での私はもっと酷かったですけどね」 筆頭「HaHaHa!あのheadbuttは効いたぜ!」 798 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/17(土) 09 17 43 ID Q7u5.fmI 一方その頃… ---第二安土城付近ーーー インデックス「…また騒がしくなってるんだよ」 C.C.「確かに…あと少しで到着なんだが…近づくのはまずそうだな…」 衣「行けないのか?」 C.C.「分からん…ちょっと電話するから待ってろ」ピポパ トゥルルルル ピッ C.C.「あ、ひーちゃん?今度は何が…」 ひたぎ『今いいところだから後で!』ピッ ツーツーツー C.C.「………」 衣「どうしたのだ?」 C.C.「どうやら更に面白いことになってるようだ…さて、どうしたものか…」 インデックス「今から行けば活躍できるかも!」 C.C.「出来れば傍観者でいたいんだが…」 衣「衣は早くみんなに会いたい!」 799 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/17(土) 10 07 30 ID crYoLZcw 【第二安土城内】 部長「はぁはぁはぁ…もうダメ…」 ガンダムバカ「まだだ竹井。まだ足らない」 部長「刹那クン、タフすぎよ…わたしついていけないわ…」 律「久、余裕だなぁ…」 オーナー「りっちゃんもずいぶん汚れちゃったのね…」 キャスター「ごめんなさいね、りっちゃん」 律「え?!い、いえぇ!?キャスターさんのはすごく気持ちいいです!」 キャスター「? 爆弾外すの手伝えなくてってことよ?」 律「あ、そっち…キャスターさんには結界の解除をしてもらってるんですからいいですよ、こんなの」 ガンダムバカ「設置した爆弾はいま竹井が取りに行ったもので最後だ。 ある程度はこちらで解体するが、全てを時間までに解体することは当然不可能」 オーナー「だから入り口付近に未処理の爆弾を集めて、私たちは出来るだけ上に避難」 キャスター「爆発が起きたら私がみんなを魔術で防御。…言っておくけど無傷って訳にはいかないわよ?」 オーナー「しかしそれが、現状できる被害を最小限に食い止める手段ね」 ガンダムバカ「爆発自体での被害は、これで全員が重傷を受ける程度で済む。 問題はこの城の倒壊による被害だ」 キャスター「全員を浮かせ続け、防御結界を張り続ける。ちょっときついわね。 ここの瘴気を利用すれば簡単なことなんだけど、のちの影響を考えたらそれは使えないのよねぇ」 オーナー「結局どのくらい死ぬの?」 ガンダムバカ「確率論的に言えば俺たちの半分は死ぬ。 生き残っても結界をどうにか出来なければ残り半数も死ぬ」 律「…キャスターさんの生存が第一、ってことですね」 部長「よいしょっと。大丈夫、キャスターさんは私が命をかけても守るわ」 律「久、それは私の役目だよ」 部長「言ったじゃない。ここの可愛い子ちゃんはみんな私の恋人候補だって。 りっちゃんもキャスターさんも守ってみせるわ。 特別な力なんて何も無いけど、身体で庇えばなんとかなるんじゃない?」 ガンダムバカ「言っておくがそんなことをしても二人の生存確率は僅かしか上がらない。 無駄なことは辞めるんだ」 部長「心配してくれてるなら大丈夫。どうせまた死ぬだけだから。死ぬほど痛いけど」 オーナー「…」 律「どうした、ムギ」 オーナー「うぅん、なんでもないわ。 (私はカワイコちゃんじゃないのかしら…?)」 800 :名無しさんなんだじぇ:2011/12/17(土) 10 53 56 ID crYoLZcw 【特別厨房】 とーか「出来ましたわぁ!」 美穂子「お見事ね!」 とーか「まさかエビの下ごしらえがあんなにも大変とは思いませんでしたわ~」 美穂子「100匹以上だもの。でもよく頑張ったわ」 とーか「モチのロンですわ!衣の為ですもの! …それにしてもそちらはものすごい量の料理を軽く作り終えてますわね…」 美穂子「慣れているから。さ、たるたるエビフライを会場に持って行きましょう」 黒服「龍門渕さま、福路さま。会場変更がありまして、現在の会場はこちらでございます」 とーか「え?まだ第二安土城が完成してませんの?」 美穂子「確か完成直前までいってたはずよね?」 黒服「それなのですが…」 とーか「…それならば倒壊処分は致し方ありませんわね」 美穂子「瘴気…」 黒服「では爆破してよろしいので?」 とーか「…ちょっと待ってもらってもいいかしら?みなさまが衣のために苦労して作った城ですもの。 せめて衣に一目見せたいですわ」 黒服「確かに今すぐどうこうというわけではありませんが…」 とーか「なら決まりですわね」 美穂子「龍門渕さん、わたし先に行ってていいかしら?」 ダッ とーか「…答えを聞く前にエプロン外して走りだすってどういう了見ですの?!」
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このゲームの本質について、僕はそろそろ考える必要があると思う。 殺し合い。生き残り。奇跡の報酬。その意味するところ。 なぜ、殺し合いなのか。なぜ、生き残った一人なのか。なぜ、報酬が与えられるのか。 人生は有限だ。誰にだって死ぬときは訪れるし、赤ん坊でもなければその事実を知っている。 長寿を全うして逝く人。道が途切れるように、不慮の事故や病気によっていなくなってしまう人。 時に劇的に、時に呆気なく。 理由や形は様々だけど、とにかく人は死ぬし、それが当たり前だ。 人じゃなくても変わらない。 どんな動物だってそう、生きているものはみな死ぬ。 獣だって、昆虫だって、空想の生き物だって、怪奇だって、例えば不死身の吸血鬼だって、死んでしまうのだから。 不死身すら、死んでしまうのだから。 だから誰もが強く意識し、そして知っている死生。 それを賭けるゲームとはすなわち、生きる理由を賭けるゲーム。 この場所で生きる誰もの、『願い』を賭けたゲームだったのでは、ないだろうか。 『―――――』 神を名乗る者、リボンズ・アルマークは語る。 未だ地上で生きるもの全て、崇高な願いの糧になれと。 自らの正当性を疑わない、絶対的な自信と力を感じさせる声で、彼は僕ら全員に死ねと命じた。 殺し合い。これほどの理不尽と残酷を押し付けて、それでも自らが正しいと信じられる願いとは何だろう。 なんて、今更のように僕は考える。 ここに集められた全ての命よりも尊いと信じられる願いとは、どれだけ膨大で強大な物なのか。 願望(りゆう)には、裏と表がある。 神原の一件で、身に染みて学んだ教訓だ。 帝愛の、どこまでも身勝手で残虐な趣味的願いがもしも、殺し合いにおける表の願望だとするならば。 リボンズ・アルマークの崇高に語るそれは、あるいは裏の願望だと言うのだろうか。 裏の願いが、表よりも悪辣になるとは限らない。 真実が清廉ってこともあるだろうし、だからこそ残酷な事実もあると僕は思う。 僕らを地獄に突き落としたゲームの実態が、実は綺麗な目的なんだよと言われても、 だから死ねと言われても、どうして納得できるというのだろう。 少なくとも僕は納得ができなくて。 それでも事実は揺るがず。 納得できないと言うならば。 死にたくないとゴネるなら。 方法は、一つ。 女神の役を担うもの、イリヤスフィールは語る。 誰かの願いによってのみ、己は奪われ使われるのだと。 それによってのみ、天より降り注ぐ死に抗せよと。 ならば納得できない僕たちは、等しく、定めなければならないのだろう。 最後の戦いに挑む、その理由。 誰にも太刀打ちできない主催者の誇る、強大な願い。 それに対する回答を。 決して敵わない彼を打ち破るべき個々の、ちっぽけな身勝手を。 僕も、阿良々木暦も、また、決めなければならないのだろう。 僕の、僕だけの、定める、願い。 彼女(せいはい)に懸けるべき、祈りの形を。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ COLORS / TURN 4 『終物語』 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 波の音が聞こえる。 暗い洞窟を進みながら、僕は目的の場所が近づいていることを予感していた。 エリア【F-2】、孤島に浮かぶ遺跡へと繋がる地下道。 経路は出立前にインデックスから教わった通り、デバイスの表記にしたがって、迷うこともなく進むことが出来ている。 放送が終わり、そして直後に起こった『アレ』を見た後、僕は一人、駆け足気味にここまで来た。 その間ずっと、僕に残された役割を考えながら。 「……さむっ」 雨が降っても常春のような気温だった地上に比べ、洞窟内は空気が冷えている。 もう少し厚着してくれば良かっただろうか。 まあ後悔したところで遅い、服なんて取りに戻ってる時間はない。さっさと洞窟を抜けてしまうしかないだろう。 体も温まるし、と駆け出そうとしたところで、何かが足に当たり、僕は思わず動きを止めていた。 僕に蹴られ、こんっ、こんっ、と間の抜けた音を出しながら暗がりに消えていったそれは、見間違いでなければ空き缶だった……のだろうか。 確証はすぐに得られた。 見下ろせば、僕の足元には散乱した缶コーヒー(それもすべて同じメーカーで同じ種類の物だった)。 そして同じように残されていた、缶詰など、少しの食糧。 ついさっきまで誰かがここに居た事を意味している。 「多分、運が良かった、のか」 いったい誰がここに居たのかは、ハッキリしない。 だけど現在生き残っている人物を考えると、わずか数人に絞り込むことは容易だった。 きっと、僕がこのタイミングで出会うべきじゃない人物だったと思う。 同時に出会わなかったことも必然めいているように感じられた。 ここで体を休めていた人物が何故居なくなったのか。 その理由が天から降り注ぐ死、そして地から這いだした何かに、起因しないはずが無いのだから。 とにかく今は誰もない洞窟の中を進んでいく。 人の名残を感じたならば、いよいよ近い。 僕の予感を裏付けるように、洞窟の終わりが目前に迫っていた。 ◆ ◆ ◆ 神を名乗る者の宣誓は、僕の耳の中でリピートされる。 『せめてその魂の価値を磨き、疾く女神の糧となれ』 女神の役たる少女の放送は、僕の頭の中で反響している。 『――私はここで、誰かの願いを、ただ待っている』 僕は思う。少し見え始めた自分の役割。 その先にあるもの。 生き残った、天に抗う者達のことを。 そして、平沢憂。 憂いの名を持つ少女のことを。 彼女は今、どうしているのだろう。 最後の戦いを目前にして、彼女が行かなきゃいけない場所。 それが何かは分からない。だけど僕が触れていい事じゃないと、それだけは明らかで。 だから僕は、彼女の手を離し、違う場所で歩んでいる。 もう一度、出会う、と。 『もう一度君の手を引く』と、そんな約束だけを置き去りにして。 果たせるだろうか。 後戻りできない戦いを間近に控え、簡単な口約束にすら自信を持つことが出来ない。 だけど、果たしたいと、僕は強く思う。 彼女との約束。 それが、それだけが、失うばかりだった殺し合いの中で、最後に唯一得られた物かもしれないから。 平沢だけじゃない。 枢木スザク、両儀式。 そして座り込んだグラハムさんと、雨の中一人で佇むインデックス。 全員と、僕は約束をした。もう一度、生きて出会う、と。 一人一人の顔を思い浮かべる。 そして彼ら彼女らとの、長いようで短い交流を通して、少しずつ分かり始めた僕自身のこと。 果たしてこの物語は、短いようで、長く続いたこの物語は、『何』物語なのだろう。 一体どういうお話として、完結するのだろう。 誰かが、誰もが、生きる意味を、願い、賭け、戦い、そして失われ続けた物語の向かう果て。 主催者、リボンズ・アルマークはきっと、高尚な神話として終わらせようとしている。 奴自身がそう言った。 全てを救う。僕らにその為の贄となれと。 ならば僕たちは、どういう終わりを望むのだろう。 長く続いたこの物語を、いったい何物語として、終わらせたいのだろう。 僕たちの、僕の、望む、終わりとは―――― 「さて、と」 思考は、目的の場所に到着したことで途切れてしまう。 来る途中、壁越しに聴いていた波音はもう直に聞こえるし、発生源も見渡せる。 四方海に囲まれた孤島、遺跡エリア。その中心に僕はいる。 小高い丘の上、設置された自販機と首輪換金装置、そして施設サービス。 日暮れ間際。 落ち行く太陽に照らされる本島を、ここからならじっくりと眺めることも出来た。 だから分かる。 もうすぐ、物語は終わるのだと、その光景が目の前に広がっているのだから。 太陽から現れた巨大な城と、守護するように降臨する天使。 まるで地上に残された僅かな命を断罪する剣のように、強烈な光を発しながら下降するそれは結構真面目に、本当に神々しくて。 他らなぬ自分自身がアレに抗おうとしている事実を顧みれば、変な苦笑いが表情に出てくるのを抑えられない。 そして更に、その真下に在るモノ。 黒き塔。天の白と対極にある、黒。神を名乗る者と互するほどの異様が、最後の放送終了と同時に湧き上がっていた。 確か地図上では展示場が建てられていた辺りの場所から、禍々しく空へと伸びたそれは挑戦するように、天の神威が降りてくる座標にある。 浮かぶ女神の城を掴まんというように、泥の手を伸ばした黒は、胎動を続けながら少しずつ大きくなっているように見えた。 放送が終われば粛清が行われる旨は聞いていたけど、これは流石に聴いてない。 もしも空の主催にとってすらコレが異常事態とするならば、僕ら地に残る参加者の誰にとっても不明の事態が発生した事になる。 降りてくる白。 昇っていく黒。 ゆっくりと、近づいていく、黒白。 遠目に見える光景はただただ異様で、一体何が起きていて、そして起きようとしているのか、僕には全く分からない。 白き城や天使と違って、黒の塔については完全に正体不明。 だけど、分かることはある。 いや正確にはただの直感で、理屈も何もあったもんじゃないけど、だけど感じたのは僕だけじゃないはずだ。 湧きだした黒色を見た瞬間にきっと、ここで生き残っていた誰もが思ったはずだ。 『アレは、アレだけは、存在を許してはならない』 天の白は抗わなければならないもので、僕らにとってどれだけ最悪の存在であっても、本質は聖なるモノだと感じさせる。 だけどアレは、あの黒は、駄目だ、絶対に駄目だと、理屈じゃない感覚で、人間の本能的な部分で確信する。 見た瞬間、全身を支配する寒気、嫌悪、絶対的な死のイメージ。 決して近づいてはならないという危機感。 たとえ主催者にとって害となる存在であったとしても、僕らにとって良いものであるはずが無い。 主催の目論見より尚単純でたちの悪い最悪の代物。 それどころか、もはや主催者を置いてでも、何よりも最優先で対処しなければならない災厄にしか見えなかった。 猿の手の一件で僕が学んだ教訓をもう一つ。 裏の願いは、表の願いを肯定する。 つまり、主催の裏の願いがもしも崇高で清廉なものだと言うならば。 表の、かつて帝愛が語った身勝手で趣味的で至極単純な悪意の願いもまた、このゲームの真実なのだと、あの黒は語っている。 胎動する泥塔はまるで何かを孕んでいるようで、その内側で育つ者の存在を匂わせる。 つまり、まだ『アレは生まれていない』。 これから誕生する厄であると。 おそらく、僕だけじゃない、最後まで抗うと決めた全員が感じている筈だから。 「行くっきゃ、ないよな」 施設サービスの転移を利用し、僕はどこに行くのか。 もうとっくに結論は出ていた。 ペリカというコストを支払い、起動する転移。 体の周囲を魔法陣が覆う。 こういう魔法的なものに詳しくはないけど、雰囲気からしてインデックスの世界の魔法と同じ感覚がした。 「展示場へ」 視界いっぱいに広がる大理石と、その向こうに見渡せる海、そして本島、白と、黒。 あふれかえる黒。 決して近づいてはならないと全神経が危険信号を発する場所。 僕は今からそこに行く。 だって、結局、なんだかんだで、他に、僕に出来ることなんて無かったから。 考えても考えても、他に役割なんて存在しなかったから。 消去法だ。 遠く、空から降りる天使へと、向かい行く彗星の如き光が見えた。 枢木の乗るランスロットだろう、宣言通りリボンズ・アルマークの対処を買って出るべく出撃したのだ。 翼もなくて、機械の鎧もなくて、空を飛べない僕は、そこに駆けつけることは出来ない。 駆けつけられたところで、何も出来ない事実は揺るがない。 なら信じることしかできない。 枢木のことを、そしてもう一人の、翼を持つ人を。 そして行くことしかできない。 翼が無くても行ける場所へ。 空から降りてくる聖なる死は、きっと、ともにまた会うという約束を交わした誰かが留めてくれるから。 いま、阿良々木暦に出来ることは、地から這いだしてくる災厄の権化を止めに行くこと。 覚悟を、決めよう。 この景色が変わったらきっと、僕の、最後の戦いが始まるのだから。 「…………始まっ……うぐぇ……ぉぉっ…!」 転移の開始と同時、ぐにゃりと曲がる視界と五感。 急激に歪む景色、体の内部がかき混ぜられるような錯覚に、一気にこみ上げる嘔吐感。 全身の血管がぶくぶくと泡立つ気持ち悪さに悲鳴を上げかけた。 跳ぶんじゃなくて、繋がるという奇妙な感触の中で、一歩踏み出す。 視界はどんどん歪んでいく。 今まで体感したどんな『酔い』よりも凄まじいそれに堪らず、胃をひっくり返すようにして吐いた。 地面……かどうかすらもう瞭然としないどこかの空間にさっき食べた色々をぶちまけながら。 勿体ないなって、思いながら。 曲がり曲がって気色の悪い景色の向こう側に頭の中を投射して。 今迄出会った色んな奴の顔を思い浮かべて。 この場所で失った多くのもの、そしてほんの僅かに得たものが、フルオートで再生されて。 まともな思考なんて出来ないレベルの不愉快の、その真っただ中で。 僕は理解する。 なんとなく、分かった気になる。 阿良々木暦は理解する。 望み。 願い。 賭けるべき、願望。 阿良々木暦が信じる、かくあるべきこと。 それは、とても、とても、とても―――――――― 僕は多分、今までで一番の苦笑いを浮かべながら、歪み切ったゲートを抜けた。 ◆ ◆ ◆ 瞬転。 「うおえええぇぇぇえぇえええぇええええぇええぇぇぇ…………」 目の前には、ついさっきまでは何キロもの距離を隔てて眺めていたはずの、黒き塔。 いや……違う。 周囲の街路樹や民家を飲み込みながら聳え立つそれが、展示場という施設の変わり果てた姿だと、僕はこの距離まで近づいて初めて理解した。 これはもう建造物なんかじゃない、蠢く巨体は、展示場を喰らって成長した泥の怪物、その足元に、今、僕はいる。 近づいてみると、全身を包む嫌悪感はもはや暴走状態と言って良いまで高められ、その証拠に先ほどから嘔吐が止まらない。 「ええぇっぇぇええうぇっ……」 吐き出すものが胃液だけになっても、僕は吐き続けていた。 一瞬にして長い距離を詰め、エリア【F-2】からエリア【F-6】へと僕は来た。 実感は吐き気が保証してくれてる。 というか、この不快感は転移酔いによるものじゃない。 来てみればわかる。 唐突な体調不良の正体はほぼ、この場所に来るという行為そのものに対する嫌悪だったのだろう。 この体は中途半端に怪奇だから、黒い泥の瘴気に当てられて。 この体は中途半端に人間だから、その不快に耐えられない。 せめて完全な怪奇だったなら。 せめて普通の人間だったなら。 ここまでじゃ、なかったんだろうけど。 「おげっ……えっ……がぁ……」 這いつくばった地面には、黒い染みが幾つもある。 周囲に舞い散る黒き灰。 その降り積もったもの、だろうか。 不快感に耐えながらなんとか立ち上がろうと全身に力を込める。 あまり、この場に長くとどまらない方がいいだろう。 この灰に埋もれてしまえば、半吸血鬼の体ですらどんな悪影響が……。 「いやー、嘔吐しながら空間を飛び越えて来るなんて、エキセントリックな登場だね。阿良々木くん」 だけど僕は、すぐに全身の不快感を忘れるくらい、思考を空白にしてしまっていた。 「……ぁ……?」 なぜならそこに、顔を上げたそこに、瘴気立ち込める悪環境の路上で、傘を差しながら立っていた男は……。 「何かいいことでもあったのかい?」 この殺し合いの場所に連れてこられてから、幾度となく思い浮かべていた奴、頼りたいと、心のどこかで思い続けていた。 だけどやっと、僕が僕の理由を見つけられたかもしれないタイミングでやってきたそいつは、 「お……し……の?」 僕の見知った、そして今更過ぎる、アロハシャツだったから。 「久しぶりだね」 数十分前まで一緒にいたインデックスを背負って、目の前に立っていた、忍野メメ。 そしてもう一人、彼の背後に佇む、少女。 「彼が阿良々木暦くんだ……って、君は知ってるよね、ほら自己子紹介だよ、原村ちゃん」 体の一部分が中々に存在感を放つ、とあるアウトサイダーな少女との。 「はじめまして……原村和……です」 会ったことのない、だけど聞き覚えのある名前との。 その狙いすましたような遭遇に。 僕は、地面に這いつくばった体制のまま、硬直することしか出来ず。 「あ、阿良々木暦……です」 黒い塔の目前。 そんな、何ともしまらないやり取りが僕の、最後の戦いの、幕開けとなっていた。 【 TURN 4 『終物語』-END- 】 時系列順で読む Back COLORS / TURN 3 『泪のムコウ』 Next [[]] 投下順で読む Back COLORS / TURN 3 『泪のムコウ』 Next [[]] 329 See visionS / Fragments 12 『黄昏』-Index-Librorum-Prohibitorum- 阿良々木暦 [[]] 321 See visionS / Intermission 1 『LINE』 - Other - 忍野メメ 338 COLORS / TURN 7 『Chase the Light!』 原村和
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641 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/03(金) 18 11 04 ID nvGC8W62 ロリブルマ「ふふーんだ!そっちがルール無用ならこっちだって考えがあるんだから!」 カマやん「頼むぞ、聖杯よ」 ロリブルマ「任せといて!行くわよ! やっちゃえ!バーサーカー!」 ムギ「…そんな!」 バーサーカー「■■■■■■■■■■■!」 ロリブルマ「どう?主催者権限で死者スレ内に限り令呪復活よ!」 D「きょ、狂戦士復活ーっ!琴吹選手防戦一方だーっ!」 K「令呪による強制召喚ならびに命令強制か…この畳み掛け方は流石だな」 カマやん「さて…来たか」 ライダー「魔術師!勝負です!」 アーニャ「狙いは飽くまでイリヤ」 D「あーっと!アーニャ騎、上空からイリヤ騎を強襲ーっ!」 K「サーフィンボードアタックか、ふむ」 642 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/03(金) 18 43 58 ID b8I0wJ.c 上条「だぁぁっ、いい加減目を覚ませ御坂!」 ビリビリ「何よ! あのちびっ子とはあんなに楽しそうにじゃれてた癖に、私とは話すのも嫌だっての!? そりゃ、私には胸も無いし、可愛いげも色気も無いけど……私だってアンタの事……!」 上条「駄目だ、幻想殺しが効いてねえ! 畜生、どうにか出来ないのかよ! 何で俺はこんなに無力なんだよ……!」 アーチャー「……止むを得ん、最後の手段だ」 上条「何か手があるのか!?」 アーチャー「見た所、この術式はイリヤの服装が核になっている。 つまり、イリヤを「タイガー道場の一番弟子・ロリブルマ」というキャラクターに置き換える事で術式を固定しているという訳だ」 上条「いや、さっぱり意味不明なんですが」 アーチャー「つまり……こういう事だ!」 上条「え、な、何だこれ!? 何で上条さんいきなり張り付けの刑に!?」 アーチャー「動くなよ、的が外れる。 ……上条ミサイルアロー、発射!!」 上条「ふ、不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァーッ!!!」 D「ああっとおぉぉぉぉ!! プールサイドから上条当麻を括り付けた巨大な矢が発射されたぁー!」 K「む、流石に幻想殺し相手では荒耶の結界も通用しないか。 矢自体は外れたが、上条当麻がイリヤにしがみついたようだ」 D「な、なんとぉぉぉぉぉ!! イリヤスフィール選手の体操着が消え、水着があらわにーーー!! このままブルマも消えてしまうのでしょうかーーー!!」 K「さて、バーサーカーが助けに入ったからな。 そう簡単には行くまい」 643 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/03(金) 19 13 08 ID hF5V4Iig バシャバシャバシャバシャ!!!! 妹A「貴方は計画の邪魔になるので排除します、とミサカは主催サイドの目的を建前に持ち出します」 妹B「貴方は私達ミサカシリーズのモノです、とミサカは心中を暴露します」 上条「ちょ、お前達引っ張るな、ってどこ触っているんだ///」 妹C「とりあえずロリブルマから離れて下さい、とミサカは上条当麻の右足を引っ張ります」 妹E「ハーレムは最高ですよ、とミサカ達はちょっと顔を赤らめながら左足を引っ張ります」 上条「ふ、不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァーッ!!!」 ザッパーン! D「おおっと!ミサカシリーズが上条当麻を捕縛!!イリヤスフィール選手のブルマは守られたぁーー!」 イリヤ「あ、危なかったわ…」 妹D「ミサカABCEはどうしてしまったのか、とミサカは困惑気味に見つめています」 妹G「今はそれよりアーニャから逃げましょう、とミサカは提案します」 イリヤ「よし、妹D妹Gのブースト承認!アーニャを水中に落として優勝を貰うわよ!!」 ???「そうはいきません」バシャ! 妹D「なに!!これでは動けない!!、とミサカは驚愕の表情を出します」 イリヤ「しまった!貴方の存在を忘れていたわ!!」 妹G「何故あなたは正常なのですか、とミサカは驚きつつ質問をします」 ファサリナ「フフフ、どうやら気絶して平気だったようです」 D「なんとぉー!!ファサリナ選手が妹D選手と妹G選手を抑えたぁー!さらに上空からはアーニャ選手が迫ってきている!!」 644 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/03(金) 20 05 38 ID hF5V4Iig ヒイロ「ファサリナ、よくやった」 ムギ「ザ・自爆!ガンダムバカにゴーストも!」 真宵「オーナー、大丈夫ですか?」 ムギ「ええ、ちょっときついけどまだ大丈夫よ」 ライダー「しかし、バーサーカーの裏切りは予想外です。魔術師も相手にしなければならないのに、骨が折れるわ」 アチャ「なら私がバーサーカーの相手をしよう。お前達は荒耶宗蓮を任せる」 海原「……また一人で倒すと言うのですか?無謀ですよ!貴方の攻撃は耐性で効きませんよ!」 アチャ「ふん、時間稼ぎぐらいにはなるさ」 ムギ「なら、アーチャーさんとライダーさんはバーサーカーさんを食い止めて下さい。私は海原君と共にあの魔術師を討ちます」 アチャ「……いいだろう。ライダー、足を引っ張るなよ」 ライダー「それはこっちのセリフですよ」 刹那「では、俺達は事態収拾のためにイリヤスフィールの捕縛しに向かう」 ムギ「ええ、任せるわガンダムバカ。ゴースト、彼らの補佐を宜しくね」 真宵「任せて下さい!」 カマやん「ふむ、戦力増強と共に各個撃破しに来たか。サーシェス、イリヤスフィールを狙う輩を排除しろ」 首輪ちゃん「オーケー!あのガキ共は俺に任せな!くぅーっ!この緊張感、ワクワクするぜぇ!!」 カマやん「アーチャーとライダーでバーサーカーを食い止めるか。それに琴吹紬と魔術師エツァリ……もう一人ぐらい戦力が欲しいところだが」 ことみー「なら私が手を貸そう」 カマやん「言峰綺礼か。実況中継の解説はどうした」 ことみー「今の私は審判だ。ただ暴徒を抑えに来ただけさ」 カマやん「そうか、ならその手を借りるぞ」 ヒイロ「まずい、ファサリナが妹達の電撃攻撃を受けている。急ごう」 リリーナ「ヒィィィイィィィロォォォォオオオオ!私を放っておいて何で他の女を殺そうとしているのかしらぁぁぁぁぁぁああああああっ!!!」 ヒイロ「なんだリリーナ!邪魔をするな!!」 リリーナ「うるさい!!!早く私を殺しにいらっしゃああああああああああああああい!!!」 ヒイロ(ぐっ、なんだこのプレッシャーは!殺される!!) 刹那「ヒイロ、彼女の事はお前に任せた。俺達はブルマを取りに行くぞ!」 ヒイロ「ちょ、刹那!俺をおいていくな!」 首輪ちゃん「ところがぎっちょん!!そう簡単に行かせる訳がねぇぇぇだろう!!!」 刹那「サーシェス!邪魔をするな!」 首輪ちゃん「おう、クルジスのガキかぁ!それに軍師気取りのクソガキ!さあ、一緒に戦争を楽しもうぜぇぇぇえええ!!!」 真宵「これは厄介ですね」(サーニャさん、もうしばらく一人で頑張ってください!) 646 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/03(金) 20 26 38 ID eF7/jpbY レイ「水をくれ」 黒桐「まいどー」 レイ「…………」 黒桐「レイさん」 レイ「何だ」 黒桐「彼女達は一体何をしているんでしょうか」 レイ「騎馬戦だ」 黒桐「僕には世界びっくり人間ショーに見えるんですけど」 レイ「……騎馬戦だ」 黒桐「さっきから人が空飛んだり水着からピザが出たり騎馬組んだまま波乗りしたり気合いで銃弾撃ち落としたりしてるんですけど」 レイ「気にしたら負けだ」 黒桐「しかし!」 レイ「ここでの騎馬戦は人が空飛んだり水着からピザが出たり騎馬組んだまま波乗りしたり気合いで銃弾撃ち落としたりするのが普通なんだ」 黒桐「…………はぁ。なんか達観してますね」 レイ「狂ったもの勝ちだからな、ここは」 黒桐「そんなものですかね」 レイ「そんなものだ」 647 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/03(金) 21 36 57 ID sw5.tDdU ロリブルマ「全くレディを裸にひん剥くなんてなに考えてるの?!シスターズ!念入りに殺しておきなさい!」 妹A「願ってもない事です、とミサカはロリブルマに感謝します」 妹B「やはり究極の愛はカニバズムですね、とミサカは口をぬぐいます」 妹C「その前に拘束した挙句●●●でしょう、とミサカは官能的な提案をします」 妹E「エンジョイ&エキサイティング!とミサカはルパンダイブします」 上条「不幸だあああああああああああああああああああ!」 ビリビリ! 妹ABCE「「「「ウワァーッ!とミサカは車田演出的に後方に吹っ飛んで気絶します」」」」 上条「く、くそ!この殺る気満々の電撃は…?!」 ビリビリ「あんた達ねぇ…わたしと同じ顔して犯る事が汚いのよ…」 上条「お前はアーチャーが抑えていたはず?!あ…(バーサーカーと戦うアーチャーを見る)なにやってんだよ、あいつは!?」 ビリビリ「ねぇ…あんたさぁ…まだあたしの全力、食らった事ないわよねぇ?」 上条「ま、待て!話せばわかる!」 ビリビリ「うっせー!タラシは黙ってろーっ!全力!超電磁砲ンンンンンン!!」 カッ! 上条「ひっ?!あ、あれ…?」 ビリビリ「あたしとあんたの戦いを邪魔されたくないのよ…引っこんでろ、化け物ども!」 D「おーっとぉ!御坂御琴の全力レールガンがアーチャー、ライダー、バーサーカーに炸裂! バーサーカーはワンキルですぐに立ち上がったが、アーチャーもライダーもグロッキーだぁぁぁぁ! アーニャ選手、ライダー選手が放り投げたおかげでかろうじて空中に難をのがれたが、もはや落下するのみ! これは決まったかぁ?!」 D「あ、解説いなかったか…張り合いが無い…。ともかく、フリーになったバーサーカーがなおも琴吹紬を狙う狙う狙う! さらにエツァリうずくまったぁー!さらに逃走ーっ!いや、向かった先には御坂御琴ぉーっ! どうやらラブアタックをかける模様です!」 海原「御坂さん!今まで言えなかった事を言います!すk…」 ビリビリ「引っこんでろっつってんだろ!ドサンピン!」 バシュゥゥゥゥゥゥ… D「逝ったぁぁぁぁぁぁ!エツァリ消滅!消滅です!上条当麻、一歩も動けずぅぅぅぅ!」 ビリビリ「あんたが正々堂々とあたしと戦わないからどんどん人が死ぬじゃないの! さぁ来なさいよ!全力でぶっ潰してあげるから!」 上条「そうか…分かったよ…なら全力でお前を止めてやる!」 D「御坂御琴と上条当麻のガチンコ開始ぃぃぃ!」 648 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/03(金) 21 43 53 ID sw5.tDdU D「さらにバーサーカー&言峰氏が琴吹紬を蹂躙んんん!耐え忍ぶのがせいぜいかぁーっ!」 ロリブルマ「ふふーんだ。あとはあの無口が落ちてきたら試合終了ね。 そしたら死者スレに用はないから状況を放っておいて現世に戻ろうっと」 ひゅーん、どさっ! アーニャ「そうはいかない」 ロリブルマ「ちょ、ちょっと!上から降ってきてひっつかないでよ!レディの胸を直に触るなぁ!」 D「おーっとぉ、アーニャ選手、どう落下地点をずらしたのか!イリヤ騎の頭上に降ってきたぁーっ! 完全に組み伏せてます、アーニャ選手!それでも鉢巻きを取らないのはロリブルマに帰るタイミングをやらないためかぁーっ!」 アーニャ「ブルマー寄越せ」 ロリブルマ「そ、そんなこと出来るわけないでしょ?!それにこのブルマ、脱げなくなってるのよ!」 アーニャ「やっぱり。下調べの通り。結界の核もそこ」 ロリブルマ「!何故それを?!」 アーニャ「ブリタニア騎士の工作員としての実力を舐めないで」 刹那「実際に調べたのは俺だ」 真宵「情報を総確認して結論出したのはなにを隠そう私です!」 カマやん「ほう…貴様らの工作能力を舐めていたか…誰の差し金だ?」 ロリブルマ「どうでもいいでしょ!さっさと頭上のこの痴女を始末してよ!」 カマやん「興味はないな。そやつにブルマをどうこう出来る力はない。自力で排除してみろ」 ロリブルマ「げ、現世で殺してやるんだから!」 カマやん「どうとでも言え」 649 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/03(金) 22 24 50 ID b8I0wJ.c ムギ「くっ……ここまでなの……?」 K「ふむ、他愛無い。 この分ならばわざわざ出番る事も無かったか。 さて、後は任せたぞバーサーカー。 私はアールストレイムから反則を取り試合を終了させるとしよう」 ?????「そうは行くか」 バシュン!! K「む……これは偽・螺旋剣。 アーチャーよ、何故まだ立っている」 アーチャー「私の投影した天覆う七つの円環(ロー・アイアス)が、たかが女子中学生のコイントス風情に撃ち抜かれるとでも思うか?」 ライダー「かなりシビアでしたけれどね。 さて、私はアーニャ援護に向かいます。 貴方は言峰とバーサーカーの足止めを」 アーチャー「ああ。足を止めるのはいいが―――」 「別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」 ライダー「ふ……大きく出ましたね。 では、任せましたよ」 K「……逃がしたか。 さて、暴徒の鎮圧を始めよう」 アーチャー「さて、鎮圧されるのはどちらかな?」 ムギ「私も……まだ終わっていません!」 バーサーカー「■■■■■■■■■■■■!!!」 650 :名無しさんなんだじぇ:2010/09/03(金) 23 03 39 ID FRKTbn0M みっちー「ああ、皆さん楽しそうですねぇ」 ヴァン「………」 みっちー「本当に楽しそうだ」 ヴァン「………」 みっちー「なのでこの拘束具を外してくれませんかねぇ?」 ヴァン(なんで俺がこいつの見張りしなきゃならねえんだ)
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戦争と平和 ◆10fcvoEbko Stance.1 忠義 やはり、そう都合よくはいかないものか。 既に何度繰り返したかも分からない徒労だけを収穫に、刹那は倉庫の検分を終えた。 海沿いに立ち並ぶ倉庫群の一つである。刹那は忠勝の軌道力を武器に、工業地帯の調査を進めていた。 地図に描かれた倉庫の巨大さからあるいはモビルスーツも、と言う期待も多少はあったが今のところ成果は芳しくない。 倉庫はどうやら機械の組み立て用部品の保管場所に充てられていたらしい。それぞれ規格の違うボルトやナットが袋詰めにされ、うず高く積み上げられたまま放置されている。 使われなくなってから大分経っているようだ。潮風に浸食された鉄錆の臭いが、割れた窓硝子を通して内部にまで届いていた。 黴を呼吸しているような気分になりながら、刹那は倉庫を後にする。さっきまで暗かった空は大分明るみを増し、夜明けが近いことを教えていた。 刹那は不要になった旧型の懐中電灯を消すと、鞄へと戻す。 固く閉じられていた入り口は忠勝にこじ開けてもらった。それこそモビルスーツに匹敵する程のパワーだが、当の本人はそれを誇るでも振りかざすでもなく、埠頭に泰然とその巨体を湛えている。 自身がひしゃげさせた鉄のシャッターの前でじっと佇む姿は、まるで門番だ。 このあたりの工場やビルはいくつか見て回ったが、刹那の調査中に忠勝がついて回るというようなことは一度もなかった。代わりと言うように、調査中は常に門前に待機し刹那の背中を守ってくれている。 自分の仕事はこっちだと無言で示しているように刹那は感じたのだが、それは半分だけ正解だった。それくらいしかできることがなかった、というのが実際のところだったらしい。 言葉に拠らぬ意志を通じ合わせてみたところ、忠勝はこのような機械や金属に囲まれた場所を見たのは今回が初めてだったらしい。 本人が機械の塊のようなものなのに、おかしいものだと刹那は思う。 その身、その力。どこでどのように手に入れたのかと気にならないではなかったが、くどくどと問い詰める気はなかった。 いずれ尋常でない道を歩んできたのだろう。歴戦の風格に、真に己の正義を貫こうとする鋼にも似た頑健な意志を感じ取った刹那は、この男の過去がどういうものであろうと気にするつもりはなかった。 「待たせたな、ホンダム」 声をかけると同時に、刹那の倍以上の高さからが視線をくれられた。 不思議とどこかガンダムに通じるものを思わせる両の瞳は、睨むだけで薄い鉄板程度なら貫いてしまいそうな圧力を持っていた。 同時にそれは、刹那が肩を預けるのに足る男だと改めて教えてくれる光でもある。 「そうだな。そろそろ次の場所へ行った方がいい」 手当たり次第に行った調査はどれも空振りだった。 地図では工業地帯と示されたこの一帯は、稼働していた形跡はあるが全くの無人だった。不気味な話だが、それを除けば他に不審な点はない。 モビルスーツについては影も形も見えなかった。部品すら存在していないようだ。 判ったことと言えば、この近辺では車や家電と言った、何の変哲もない工業製品の生産に力を注いでいたらしいということだけである。 専門家でない刹那の本格的ではない調査による判断だが、少なくとも軍事関係の産業とは何の接点も持っていなかったことは間違いない。 「・・・・・・急ぐのか。ホンダム」 忠勝の挙動に何か変化があったのではない。言語はおろか行動さえ最小限に止める男は、たとえ一挙手一投足を具に見たところで感情というものを表に出さない。 だと言うのに、刹那は何という理由もなく、先を行こうとバーニアを展開する忠勝の姿に僅かに焦りのようなものを感じていた。 「それ程までに危険な相手なのか。ホンダム、お前を動かす程に」 鋼の巨体に身を預けると、忠勝の思考がより一層深く伝わってくる。 主君の仇である織田信長。その家臣光秀。忠勝に匹敵する力を持ち悪逆と暴虐の限りを尽くすというその男たちは、先も聞いた世界の歪みだ。 駆逐されるべき存在なのは刹那にも分かる。体が満足なら今すぐに空へと飛び出したいのだろう。 だが刹那は、心身ともに「最強」の名に相応しい男がそこまで感じるからこそ、逆に信長という存在に具体的なイメージを持てないでいた。 「魔王。圧倒的な暴力で世界を歪める魔王軍・・・・・・か」 刹那に答えるように、忠勝の心象が伝わる。 乱世を我がものにせんと覇軍を続け、敵であれば降伏も許さず皆殺しにする。信長という男の凶状はまさに悪鬼そのものであったらしい。 虐げられた人々は信長を魔王と恐れ、また信長自身もそれを自称したという。 魔王とは人にあらざるものの名だ。刹那は自らの記憶を掘り起こす。 何も知らずゲリラとして幼少を過ごしたクルジスで。ソレスタルビーイングとして介入したあらゆる紛争地帯で。世界を影から操ろうとするイノベイター達の中で。 虐殺されることしかできない一般人も、金を、権力を持ちながら無惨に使い捨てられた人間も刹那は見てきた。 戦争に負け、迫害を受けながら行き続けることしか出来なくなった民族の姿も知っている。 だがそこに人間以外の影があっただろうか。悪魔のような所行を繰り返しものの正体が、本物の悪魔だったことはただの一度もなかった。 「違うな・・・・・・ホンダム。そいつらは人間だ。 どれだけ血が流されても、人を殺し、世界に歪みをもたらすのはいつだって人間なんだ」 バーニアの風切り音が高くなった。刹那の言葉が忠勝にどのように届いたのかは分からない。 刹那もまた、それ以上言葉を重ねようとはしなかった。 バーニアが点火し、風圧が刹那を襲う。 トラック用に広くとられた道路が、朝靄に疾駆する二人の戦士を包み込むように見送っていた。 Stance.2 復讐 厄介なものと出会った。 レイ・ラングレンがそのとき抱いた感情は、その一言に収斂することができた。 「雑兵が。朽ち果てよ」 野太い声をした居丈高な男である。 白磁をくすませた灰褐色の甲冑で全身を包み、ハンドルのような持ち手が付いた筋肉質の馬にまたがっている。 壮年の終わりに差し掛かったあたりと見えるが、黄金色の剣と自動小銃で武装したその姿からは年の衰えを感じさせない覇気が立ち上っていた。 小銃の銃口は、レイの眉間にぴたりと狙いを据えている。距離にして2メートル程か。 両腕をピンと伸ばせばそれだけで届く距離だ。必殺の間合いというにも近すぎる。 それでも、レイが揺らぐことはない。常人なら抱いてしかるべき怒りや恐怖と言った生々しさは、そこには一片も見られなかった。 レイに感情がないわけではない。一切の不純物を混ぜず限界まで凝縮し精錬された怒りが、磨き上げた剣の鋭さを保って存在している。 だが、それを見せるべき相手はこの男ではない。 レイに満ちた憎しみの海は、一所では魔王とまで呼ばれた男の殺意を真正面に浴びながら、そよ風一つ起ない凪を保っていた。 (不用意に草原に出たのは失敗だったか) 死を目の前に冷静すぎる自省の念がよぎる。アクシデントに対するネガティブな感情も、どこか機械のような冷徹さを伴っていた。 男は、轟く蹄の音も高らかに山頂の方角から現れた。警戒を怠ったつもりはないが、さすがに馬賊まがいの真似をする者がいるとは予想外である。 あと少し時間があれば、工場の中に飛び込めたものを。出会い頭の応戦に消費した分のツケとしては少々痛い。ヴォルケインを召還できないことを少し煩わしく思った。 男の厳めしい眉が怪訝そうに顰められる。声からすると、絶体絶命の状況にありながら微塵も恐怖した様子を見せないレイが不満なのだろう。 生憎、加虐趣味に付き合う気はない。苦しみにあえぐ叫びも、憤怒の果てに流す涙も、とうに使い果たしてしまった。 レイは何も感じない世界にいる。何もない世界で、ただ一つの復讐のために生き続けている。 男の指に力が掛かった。 「消えよ」 「俺の邪魔をするというなら・・・・・・死ね」 引き金が絞りきられる直前、レイは横飛びに柔らかな草むらの中に転がり込んだ。 狙うべき対象を失った空間に5.6ミリの弾丸が降り注ぐ。肥えた土が弾ける警戒な音は、無反動を誇る小銃がレイに傷一つ与えられなかった証拠だ。 流麗なその動きは戦国に生きる男から見ても鋭敏を極めている。常人なら目で追うことさえ不可能な俊敏さは、男が照準を定め直すより早く行動を終えていた。 レイの手が地を付いた瞬間に一発。身を起こし立ち上がる直前に一発。手の中の拳銃が二度火を吹いた。放たれた9mmショート弾は、さっき奪った道具に含まれていたものだ。 不安定な姿勢から発射されたことなどまるで無視するかのように、ベレッタの弾丸は一直線に男の眉間に迫る。 命中の寸前、初弾は間髪入れずにかざされた黄金の剣によって弾かれた。その事実にもレイは眉一つ動さない。 本命の二発目の弾丸は、防がれることなく既にその役目を終えている。大型バイクのように猛々しい軍馬の、剥き出しの胴体に傷を付けたのである。 「ぬぅぅ、小癪な……!」 馬を潰す程の傷ではないが、時間を稼ぐには殺してしまうよりいい。火がついたように暴れ出した馬に手を取られ、男の注意が反れる。 その隙をついて、レイは身を翻した。男が体勢を整えるまでの短い時間で工場地帯へと進入する。 障害物を挟んでの射撃戦ならこちらに分がある。背後から遠雷のように深い怒声が響き、5.9ミリ弾が飛来した。 その内の一つが頬を掠め血が伝い落ちたが、軽やかなレイの動きを何ら阻むものではない。 手近な小屋へ飛び込んだレイの背中を、揺るがしがたい意志が支えていた。 Stance.3 完全平和主義 「知らないの」 「ええ」 「本当に」 「私は嘘などつきません」 「ふうん」 微塵の後ろめたさないと言わんばかりの、リリーナの言葉は実にきっぱりとしている。 それに対しアーニャ・アールストレイムが返したのは、実に淡泊な相槌だった。無関心を全身で表明するかのような、幼い四肢に不釣り合いな乾燥したリアクションだ。 会話中だというのに、相手の顔も見ずに愛用の携帯電話をカタカタと揺らしつづける姿が、その印象により拍車をかけている。 アーニャは別にリリーナとの対話がつまらなかったわけでも、苦痛に感じていたわけでもない。 その証拠に、闇夜に微かな光明をもたらしているアーニャの手元では、二人がこれまでに話合った内容が簡潔かつ丁寧にまとめられていた。 これまでに分かったことは、おおまかに言って一つ。アーニャとリリーナの持つ、世界についての知識が真っ向からくい違っているということだ。 アーニャにとって世界規模で統治を行っているのは神聖ブリタニア帝国であって地球圏統一連合ではないし、リリーナにとって軍の主力兵器はモビルスーツであってナイトメアフレームではない。 ましてや、アーニャの常識には宇宙での生活を可能にするコロニーなどという巨大建造物は存在しない。 最初に感じた違和感がより鮮烈に現れた形だ。聞けば聞くほど、互いが本気で言ってることが分かるから余計にたちが悪い。 「私の話を狂人の戯言とお笑いになりますか」 「条件はこちらも同じ。私も、嘘つきだと思われたくはない」 「では、どういうことなのでしょう」 「分からない」 フラッシュをたく必要のない昼間なら、アーニャはそのときの表情をカメラに納めていただろう。困惑の色を浮かべていても、リリーナの振る舞いは高貴な貴族のそれだった。 歴史が根本から違っているとしか思えないそれぞれの世界観のズレについては、ひとまず保留とした。 ここまで相違が大きいとどうにも解釈のしようがないし、上辺だけ取り繕って相手に合わせるのはアーニャの好みではなかった。 そもそも、分からないことだらけなのだ。言葉は通じるし、人となりにも嫌悪は感じない。直接の危険がないだけでも十分とアーニャは判断し、携帯電話をカタカタ鳴らした。 どうせこれと言った指針もない。深夜の、廃墟と見紛う程に寂れた工場地帯である。 少女二人が、別れ別れになったところでメリットなどない。 「とりあえず、スザクを探す」 「あら、私も探したい人はいましてよ」 会話を通じていくらか距離が縮まったのか、リリーナの声に年相応の気安さが混じる。 いたずらっ気のあるその声音は純粋にこちらをからかっているのか、あるいは年上として場を和ませようとでも考えているのかも知れない。 「探すと言ってもとりあえずは歩き回るだけだから。リリーナ様も一緒に探せばそれで済む」 「そのスザクさんという方が、さっき私に会わせたいと仰っていた人なのかしら」 「違う」 スザクと会わせたところで、それ程面白いものは期待できない。 会わせたいと言った相手は別の人間だ。アーニャにとっては夢物語にしか聞こえないリリーナの理想も、彼女は本気で実現することを願っていたのだろう。 「ナナリー様。前に私が仕えていた方」 「その方もこちらに・・・・・・?」 「名簿にはいない。でも、それは私も同じ」 「そう・・・・・・優しいのね、アーニャは。その方も、きっとお優しいのでしょうね」 彼女にとってみれば信憑性など皆無の世界の話であるにも関わらず、リリーナは真剣にこちらの意思を汲み取っている。 悲しげに伏せられた眉根が、形式上の気遣いによるものではないことはアーニャにも分かった。 珍しい人。行動力のある理想主義者。だから悲劇にも遭いやすい。アーニャそうは結論付ける。 「優しい方。だから利用されて、悲しんだりする。リリーナ様と同じ」 「私と?」 「国を丸ごと明け渡すような無茶は、ナナリー様はしないけど」 そのような行動力が彼女にもあれば、とは考えても詮無い話だ。 国が、環境が違いすぎる。アーニャはそれ以上考えることを止め、辺りに気を配りながら続くリリーナの言葉に耳を傾けた。 「平和を望む方と、自由にお話ができればよいのですが・・・・・・。その方が苦しまれているならなおさらです。 本来、サンクキングダムはそういう場として機能するべきでした」 「リリーナ様は理想的過ぎ。囚われるのも当然」 「私は自分のしたことが間違いだったとは思っていません。いくら困難だからと言って、行動しなくては何も変えることなどできません」 「そういうことを・・・・・・」 普段でもまずないくらい口数が多くなってしまったのは、彼女の語る理想がさすがに綺麗過ぎたからだろうか。あるいは、女王の持つカリスマという奴がそうさせたのかも知れない。 いずれにせよ、アーニャが口にしかけた言葉は突如頭上から叩きつけられた破砕音によって阻まれ、リリーナに届くことはなかった。 Stance.4 天下布武 背の高い金髪の男が空から降ってきた。 それだけ聞くと何か壮大な物語の出だしのような印象を受けるが、眼前でそれを見せつけられたアーニャには、まるで飛び降り自殺のようにしか見えなかった。 ガラス片をまき散らしながら着地した男がそのまま動くことを止めていたら、本当にただの自殺と判断したかも知れない。実際は、ビル2階分の高さをものともせず鮮やかな着地と、同時に反転まで決めてみせたのだが。 「あなたは・・・・・・」 「待って」 派手な演出で突然登場した青年への誰何の声をアーニャは遮った。不用意な接触が許される状況ではない。 青年の民族衣装風の緩やかな衣装はまるで激戦地を潜り抜けてきた後のように汚れている。それを着る本人にもいくつか生傷が確認できた。 その上、青年はこちらに構いもせずアーニャ達の右手上方、彼が飛び出してきたビルの窓を注視し続けている。明らかに、何かを警戒した仕種だ。 中空に向けて構えられた銃には皇帝直属の騎士であるアーニャから見ても一分の乱れもなく、その完璧さが、余計に彼の待ち構えるものの危うさを増幅していた。 危険。即刻逃げるべき。 判断に要したのは、飛び降りた男が構え直すまでの時間とほぼ同じ、数秒にも満たない僅かな時間だった。猛禽類の鋭さと氷の冷たさを掛け合わせたような青年の静止しきった瞳が、否応なくアーニャの足を急がせる。 一刻も早くこの危険地帯から離脱する。アーニャはそう決断し、決断した端から、振動するうねりのような重低音に動きを止められた。 「え・・・・・・?」 「チ・・・・・・」 とっくの昔に逃げ出せない場所にまで踏み込んでいたのだと、青年が苦々しく漏らした舌打ちが教えてくれた。 窓だ。高さにして8メートル程、アーニャ達が立っている場所から直線距離にして10メートル程の場所に、青年が破壊した窓がある。 人間の通行を許し吹き抜け状態になったそこには、申し訳程度の破片が残っているだけの、見るも無惨な様相を晒している。 地響きは、その四角い区切りの中から聞こえていた。天から轟く地響きという奇妙な現象は、暗雲を食む消化器のようなぽっかりとした暗がりの奥から、間断なく届けられていた。 振動が近づく。次第に大きくなる。窓は廊下の突き当たりに面していたようで、階段の踊り場などに備え付けられたタイプではないらしい。 それならば勢いに任せて飛び出してくることも身体能力が許せば可能だろう。銃があれば尚更だ。もっとも、あの窓はそんなに大きくはないようだから、力を殺さないためには相当な技量が必要だろうけど。 轟音はすぐ近くまできている。そもそも、あのサイズでは大きすぎる人間は通ることができない。 そんな理屈を吹き飛ばすように、そいつは『壁』をぶち抜いて現れた。 「ぶぅわははははははっ!!小賢しい雑魚よ、この我から逃げきれると思うてか!」 壁。壁である。鉄筋の通った壁は、当然ながら窓が埋められなかった壁面部分を補うために存在している。優れた耐震、耐圧を目指して行き着いたその形は、それこそKMFでも持ち出さない限り、生半可な力で破れるものではない。 それをダンボールの空箱を突き崩すように軽々と破砕した男は、馬に跨っていた。白兜を被っていた。さっきの青年よりは、かなり年輩のようだった。 吹き飛んだ外壁がサイコロステーキのようにくるくると宙を舞う中、アーニャには全身鎧甲の男が持つ銃が、こちらを狙っていないことを確認することしかできなかった。 「貴方がた、あぁ!」 アーニャが反射でさえない本能的な思考でリリーナの手を引いていなければ、彼女の上半身は今頃肉塊となって消えていただろう。 アーニャ達を挟撃する形で向かいあった男達は、間の少女のことなどまるで見えていないかのように、コンマのためらいも持たず引き金を引いたのだ。 「アーニャ、離しなさい!彼らを止めるのです!」 「どっちも無理。絶対」 抵抗するリリーナを引きずりながら、排水処理用の側溝に転がり込む。落ちる寸前足下を鋭い音が抉ったのには、さすがに冷えるものがあった。 登場するや否や銃撃戦を始めた二人の闖入者に対し、命を失わずに済んだのは訓練の成果でもアーニャの素質でもなく、ひとえに幸運が勝っていたからだと思う。 隠れる場所のない住宅地で遭遇していたら、流れ弾になす術もなくやられていただろう。 『ふはははははっ!!踊れ、踊れぃ!!』 「守られてばかりですね、私は・・・・・・」 多少排水の湿り気が残る側溝の下で、アーニャに組伏せられる形となったリリーナが呟いた。 さすがに耳をつんざく弾雨の中に飛び込む蛮勇は持ち合わせていないのか、態度も幾分しおらしいものに変わっている。 彼女も武器は持っていたはずだが、それを使う姿は想像もできなかった。 口調には悔恨の念が強く含まれていた。勝手に想像すると、彼女が国を明け渡したときも似たような状況だったのだろう。 繰り返される歴史、無力が暴力に勝てる道理はない。頭一つ上では、音速を越えた凶器が飛び交っている。 戦いは軍馬の男が理不尽な力に物を言わせているようだ。青年は負傷こそしないものの、決定打を撃てず防戦に徹している。 『無様な姿よォ!百鬼眷属、悉く我が背にありぃ!』 「それが、王女様の仕事」 「私はそんなものを望んでなどいません」 「現実はリリーナ様も分かってるはず」 「だからこそです。私に志を曲げろと仰るの?」 「そこまでは言わない」 「でしたら、何と?」 「分からない」 「では・・・・・・」 「でも、今大事なのは一つだけ」 「え?」 「とりあえず、生きる。それが先決」 そのときのリリーナの表情を、アーニャはカシャリという音と共に写真に収めた。フラッシュを気にする必要はもうなかった。 アーニャの横で、リリーナがクスリと笑みをこぼす。 アーニャとしては「何でもいいからさっさと逃げよう」以上の意味で言ったつもりはなかったのだが、彼女はまた別の受け止め方をしたらしい。 すぐ側では、奇妙な男二人が近づいたり離れたりしながら、相も変わらず戦い続けていた。 「確かに、喧嘩している場合ではありませんでしたわね。助けてもらったことには感謝しています。 ありがとう、アーニャ」 「大したことはしてない」 側溝でうつ伏せの姿勢を取る二人からは見えていないが、このとき、二人の頭上を見下ろすようにそびえ立つコンクリート塀は、襲いくる戦闘の余波に着実にダメージを積み重ねていた。 凶乱に用いられている道具は方や拳銃、方や技術の粋を集めた最先端のアサルトライフルである。流れ弾の一つ一つが致命傷となり、セメントの塊に過ぎない土塀に次々と綻びが生まれ、やがて耐久の限界を超える。 そうして朽ち果てた一抱え分程の大きさの残骸が、野晒しにされた少女の後頭部めがけて、音も泣く落下を始めた。 「アーニャッ!」 声を聞いたときには手遅れだった。リリーナが覆い被さる衝撃の後、耳を割った特大の粉砕音にアーニャの意識は失せて消えた。 Stance.5 武力による戦争の根絶 リリーナはそのとき自分が間違いなく死んだと思った。とっさの出来事過ぎてこれまでのことを振り返る余裕もない。 最後に思い浮かべたのが誰の顔だったか理解する間もなく意識は闇に落ちたリリーナが、次に感じたのは頬に降り注ぐパラパラとした細かい砂の感触だった。 「・・・・・・探知機を使っておいて正解だったな」 落ち着いた男性の声にはっと顔を起こす。飛び込んできたのは、モビルスーツを思わせる巨大なシルエットと、それを従えるように立つ少年の姿だった。 見下ろす少年の顔が月明かりにはっきりと曝されたそのとき、リリーナはよく知る少年の名前を呟いたかも知れない。 巨体が持っている特大の槍が自分達を寸前で救ってくれたのだと、何となく理解していた。 少年と意志疎通しているらしい巨体は、よく見るとモビルスーツ程大きくはなかった。 「お前達はそこで隠れていろ。こいつらは俺達が叩く」 アーニャも意識を取り戻したのか、支えていた体に力が戻る。 気づけば、痛いくらい鳴り続けていた銃声はぴたりと止んでいた。 「何・・・・・・?分かった、そいつはホンダムに任せる。俺は奴を倒す」 軍場に跨った禍々しい雰囲気の男も、ひどく冷たい印象を受ける青年も、今は戦いの手を止めて、てきぱきと指示を出す少年を注視している。 逃げるしか手を知らなかったリリーナと違い、この二人は実際に戦いを止めてみせた。 アーニャの言った通りだ。いや、アーニャに言われる前から知っていた。これまで何人にも言われた通り、戦場で力を持たない者はただ駆逐されるだけだ。 理屈は分かっている。サンクキングダムも完全な武装放棄はついに成し得なかった。 戦いを止めるのはいつだって別の力だ。 そして、その力が新たな戦いの幕開けになる。 「刹那・F・セイエイ、ホンダム・・・・・・目標を駆逐するッ!」 得も言われぬ悲しみが、リリーナの体を引き裂くように襲った。 【E-3/工業地帯/1日目/早朝】 【刹那・F・セイエイ@機動戦士ガンダム00】 [状態]:健康、イノベイターとして半覚醒 [服装]:私服 [装備]:ワルサーP5(装弾数9、予備弾丸45発)@機動戦士ガンダム00 [道具]:基本支給品一式×2、GN首輪探知機@オリジナル、ランダム支給品0~1(確認済) [思考] 基本:世界の歪みを断ち切る。ダブルオーガンダムを奪還し島から脱出。 0:目の前の男(レイ)を無力化する 1:工業地帯→宇宙開発局→都市部 の順に移動し、ガンダムを捜索。 2:専守防衛。知り合い、無力な民間人がいれば保護する。 3:サーシェス、グラハム、トレーズ、信長、光秀を警戒。政宗は保留。 [備考] ※参戦時期はセカンドシーズン第23話「命の華」から。 ※帝愛グループをイノベイターと関わりのある組織、あるいはイオリア計画の遂行者ではないかと疑っています。 ※脳量子波により本多忠勝の意思を理解できます。ただし刹那から送信はできません。 脳量子波の受信範囲は広くても声の届く範囲ほどです。 脳量子波は忠勝が「考えたこと」だけが受信されます。本人が望まないことは伝わりません(忠勝の意識レベルが低下している時を除く)。 【本多忠勝@戦国BASARA】 [状態]:疲労(小)、胸部装甲破損(鋼板などにより応急修理済み) [服装]:全身武者鎧 [装備]:対ナイトメア戦闘用大型ランス(コーネリア専用グロースター用)@コードギアス 反逆のルルーシュR2 [道具]:デイパック [思考] 基本:徳川家康(参加者にはいない)の遺志を継ぎ戦国最強の名に恥じぬ戦いをする。 0:信長を討つ。 1:戦いに乗った者、主催者グループを打倒する。 2:刹那に伴い行動する。真田幸村と合流したい。 3:バーサーカーとはいずれ決着をつけたい? [備考] ※参戦時期は第12話で安土城へと向かっている途中。 尚、後述の飛行機能以外は主催者の力で修復された模様。 ※バックパック内の装備は没収されているため、原作ゲームにおける攻撃形態、防御形態、援護形態使用不可。 他、ゲーム版での固有技、バサラ技が使えるかはお任せ。 ※主催者側から飛行機能に制限が課せられています。短時間低空飛行には問題ありません。 【レイ・ラングレン@ガン×ソード】 [状態]:疲労(少) [服装]:武士のような民族衣装(所々破損) [装備]:ベレッタM1934(2/8)、平バール@現実 [道具]:基本支給品一式×2、デイパック、ドラグノフ@現実(9/10)、ドラグノフの弾丸(20発)、9mmショート弾(84発)ブラッドチップ・3ヶ@空の境界 、その他不明0~2個(玄霧皐月に支給されたもの)。 [思考] 基本:カギ爪の男を八つ裂きにする。 0:状況に対処 1:基本は動くもの全て排除。 2:だが、利用できるものは利用する。 3:ヴァンは出会えば殺す。だが利用できるなら利用も……。 4:時間があれば日が沈む前に円形闘技場に寄る。 [備考] ※参戦時期は第8話~第12話のどこかです。 【織田信長@戦国BASARA】 [状態]:疲労(小) [服装]:鎧 [装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、おもちゃの兵隊(15/30)@とある禁書の魔術目録、伊達軍の馬(負傷)@戦国BASARA [道具]:基本支給品一式、予備マガジン96本(合計100本×各30発) [思考] 基本:皆殺し 1:参加者が集まるだろう町へ向かう 2:目につく人間を殺す 3:信長に弓を引いた光秀も殺す。 [備考] ※光秀が本能寺で謀反を起こしたor起こそうとしていることを知っている時期からの参戦。 【リリーナ・ドーリアン@新機動戦記ガンダムW】 [状態]:健康 [服装]:私服 (排水の汚れ) [装備]:なし [道具]:基本支給品一式、ボールペン型の銃(1/1)、9㎜ピストル弾×5、AK-47(30/30)AK-47の予備マガジン×5(7.62mm弾) [思考] 基本:完全平和主義の理念を貫き通す。 0:この人達は…… 1:ヒイロとミリアルド(ゼクス)を探したい。 備考] ※参戦時期は36話、王国(サンクキングダム)崩壊から38話、女王リリーナ誕生誕生までの間。 【アーニャ・アールストレイム@コードギアス 反逆のルルーシュR2】 [状態]:健康、記憶が途切れることへの不安 [服装]:ラウンズの正装 (排水の汚れ) [装備]:ベレッタM92(15/15)、アーニャの携帯@コードギアス 反逆のルルーシュR2 [道具]:基本支給品一式、ベレッタの予備マガジン(4/4) [思考] 基本:主催者に反抗する 0:状況に対処 1:まずはスザクを捜す 2:リリーナの言葉に少しの興味と少しの警戒 ※マリアンヌの思考 基本:C.C.と合流したい [備考] ※少なくとも21話より以前からの参戦です ※マリアンヌはCの世界を通じての交信はできません またマリアンヌの意識が表層に出ている間中、軽い頭痛が発生しているようです 時系列順で読む Back 大逆転物語 -THE MIRACLE OF THE ZONE- (2) Next じゃんけん! 投下順で読む Back 大逆転物語 -THE MIRACLE OF THE ZONE- (2) Next じゃんけん! 038 機動戦士ホンダム00~ツインドライヴ~ 刹那・F・セイエイ 098 煉獄の炎 038 機動戦士ホンダム00~ツインドライヴ~ 本多忠勝 098 煉獄の炎 044 言葉は要らない、誓いを胸に刻めばいい レイ・ラングレン 098 煉獄の炎 066 魔王、駆け行く 織田信長 098 煉獄の炎 054 今は亡き王国の姫君 リリーナ・ドーリアン 098 煉獄の炎 054 今は亡き王国の姫君 アーニャ・アールストレイム 098 煉獄の炎 066 魔王、駆け行く 伊達軍の馬 098 煉獄の炎
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兄妹 ~或いは、爆弾とボンバーマン~ ◆MQZCGutBfo ―――不安に苛まれている少女を余所に、機械的な女性の声で駅構内にアナウンスが流れる。 『長らくお待たせ致しました。 本日16:00より一部の区間を除き、電車の運行を再開致します。 詳しくは構内設置の情報端末を御覧下さい。』 「ほう……」 付近に偵察に出していたラジコンを戻し、ユーフェミアの元へ戻るゼクス。 □ ゼクスが戻ってきた気配を感じ、顔を上げて無理に笑顔を作る。 「……ゼクスさん」 「聞いての通りだ。内容を確認しに行こうか。」 「え、ええ……」 安心させるように宥める口調でユフィを促す。 ―――情報端末は構内の待合室内に設置されており、 パネルを操作すると、詳細情報が表示された。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 現在、【D-6】駅付近の復旧作業中です。 【E-2】付近の修復を完了しました。 【C-6】に「死者の眠る場所前駅」の仮設を完了しました。 【B-4】駅~【C-6】駅間 【F-5】駅~【D-2】駅間 16 00より、上記2区間での往復運行を実施します。 【C-6】~【F-5】の区間は、他の交通機関をご利用下さい。 全路線の復旧に時間がかかっておりますことを、お詫びいたします。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「……【F-3】駅までは行けぬか。 直線距離では却って遠くなってしまうが、【死者の眠る場所】に近いのなら、 そこで移動手段を調達すれば良いかと考えるが……ユフィはどう思うかね?」 出会ってから常に優しく問いかけるゼクスに、優しい兄達を重ねる。 常に兄弟のことを思い、慈しんでくれるシュナイゼル兄様。 ルルーシュが眠っている国は静かにしてやりたいと、 自ら治安の悪いエリア11 ―『日本』― の統治を志願し、帰ってこなかった優しいクロヴィス兄様。 ……そして、そのルルーシュ。 ゼクスからは、その兄達と共通するモノを感じる。ので、聞いてみる。 「はい、それで良いと思います。 …………えっと、つかぬことを聞いちゃいますけど……もしかしてゼクスさん、妹さんがいらっしゃいますか?」 上目づかいでそんなコトを言う。 「……何故、そんなことを聞くんだね?」 「だって、妹に語りかけるような口調なんですもの。兄さま達と同じように。」 「………………」 絶句する。 ユーフェミアに妹の姿を重ね見ていたことを、あっさりと看破されたのか、と。 (やれやれ……別に隠すつもりでは無かったが……) いくら仮面を付けていても、ノインやトレーズにはあっさり看破されていた自身の演技力の無さに、少々嘆く。 「…………ああ、私にも妹がいる。」 「ふふ、やっぱり。当たっていましたね。 ――――――その方は、日本人の血縁ではありませんか?」 紅い瞳で問いかけられるが、段々その突如の変化にも慣れてきていた。 「いや、違う。……それに、もう生きては、いない。」 「そうでしたか……残念です。 ――――――えっと、私、また」 「会話の最中に呆けるとは、レディとしてエレガントではないな。」 かつての友のフレーズを微笑と共に流用し、その場を煙に巻く。 「あっ!その、ごめんなさい……」 顔を赤くしたユフィに微笑みつつ 「さて、それでは電車に乗ろうか、レディ」 「もぅ、ゼクスさんたら!」 空元気ではあろうが、それでも沈んでいるよりはマシと、ユフィを促し待合室を出る。 先程まで居た『丸い球体が乗った機械達』は撤収しており、車両は既にドアを開いて待機状態となっていた。 機敏さと気品さとを兼ね備えた少女が、早速車両に乗り込んでは、きょろきょろと辺りを見回している。 ドア上部にあるパネルによる経路図や、吊り広告に書かれているピザの宣伝文句やらを物珍しそうに見ていく。 「……どうかしたかな?」 「はぁ、あの……私、実は電車って初めてで。こんな時に不謹慎だとは思うんですけど。」 「……そうか。」 自身も、サンク・キングダムの王子であった身。 復讐の為に身を隠して士官学校へ入ったが、そんなことが無ければ電車に乗る機会も無かったであろう。 ―――ユーフェミアに関して、初めの印象は楚々としていて、高貴さを持ったお淑やかな女性かと思ったが、 これは意外と、内面は好奇心旺盛で行動的な娘なのかも知れない。 さぞ周りの人間は好意を持ちながらも振り回されてもいたことだろう。 そうこうしているうちに、二両編成の小さな電車の発車ベルが鳴る。 自動的にドアが閉まり、電車がゆっくりと動き出す。 ―――車内を一通り見て回ったユフィが、ちょこんとロングシートに座る。 「ね、ゼクスさん。ちょっとお腹が空きません?」 「……ああ、そうだな。」 食事を取れるときに取っておくのは鉄則である。こんな安全な状況を確保できない場合は特に。 先程持ち物を確認した際に出てきたお寿司を、両者の間に置く。 余程お腹が空いていたのか、上品にではあるが、パクパクと口に入れていく。 「……もぅ、ゼクスさん。『レディ』の食事中をジロジロ見るなんて、マナー違反ですよ。」 さっきのお返しとばかりに、くすっとゼクスに笑いかける。 「……ああ、すまない。」 「ふふふ、まあ気にしませんけど。」 なんとなく穏やかな空気の中、一つの特上寿司を二人で平らげる。 「この料理は美味しかったですね。―――でも、これは日本」 「……そろそろ、トンネルを抜けるぞ。」 ユフィの発作を遮り、外に注意を向けさせ、寿司桶を片付ける。 ―――トンネルを抜け、左手には海が、右手には夕日が見える。 (グラハム・エーカー達は無事であろうか。) 自身が囮となることで別れた、深く語り合えば戦友となれそうだった軍人を思い描く。 そして、互いを支え合っているように見えた少年と少女にも。 だが、この位置からではギャンブル船を確認することは出来そうにない。 「ほら、見て下さいゼクスさん。夕日があんなに綺麗。」 「……ああ、そうだな。」 西の山へ落ちて行く夕日へ視線を転じ、相槌を打つ。 この地に来て16時間。 『異世界』であってもこうして食事を取り、夕日に心を動かされる、『ヒト』の順応性にはやはり驚かされる。 「……戦わなければ、戦いの愚かさはわからぬ……か、良く言ったものだ。」 自嘲する。 リリーナやこのユーフェミアのような、平和を目指す少女をも、戦火に巻き込もうとしたのだ。 強制的に殺し合いをさせる帝愛と、一体何が変わらないのか。 崇高な理念、後世の為の犠牲。 『殺される』方の立場は堪ったものではないだろう。 そんなゼクスの肩に、こつん、とあたるものがある。 「眠った……か。」 こんな極限状態で、心を休ませる時など無かったのであろう。 悔いることはいつでもできる。 今はその信頼に、火消しの風として応えねばなるまい。 □ 仮設【C-6】駅が近づいてきたとの車内アナウンスが流れた為、ユーフェミアを揺り起す。 「ユフィ、もうすぐ到着だ。」 「……もう朝なんですか?」 むにゃむにゃとグズる子供のようにひとしきり嫌がってから、ハッと覚醒する。 「あ!すみません、私ったら……!」 「いや、気にしなくていい。疲れている時に休息は必要だ。……それよりも、そろそろ到着するぞ。」 立ち上がり、念のため奇襲に備えて「H K MARK23」を懐に忍ばせる。 周囲を十分に確認した出発時と違い、出口では張られている可能性もある。 「私が外を確認する。ユフィは良いと言うまで伏せていてくれ。」 「はい、お任せします。」 電車が停止し、ゼクスが辺りを用心しながら外に出る。 前方、左右、上空、後方。 ―――どうやら、人の気配はないようだ。 「出てきていいぞ、ユフィ。」 「はい……ありがとうございます。」 折り返し運転のアナウンスが流れる中、周辺を確認する。 簡素なホームと改札口があるだけの駅で、『丸い球体が乗った機械達』が必死に何かを作業している。 「あ、あの機械は譲って頂けないんでしょうか?」 ユフィが指差したのは、無骨なブルドーザー。 冗談なのか本気なのか判断しかねたゼクスは、真面目に答える。 「いや……あれでは速度的にせいぜい時速10Kmが限界だろう。歩くよりはマシだが…… それに座席がオープンで、簡単に狙撃されてしまう。 そもそも、恐らく私達が奪っても動かせないようになっているだろう。」 「そうですか……ちょっとかっこいいかなって思ったんですが。」 ―――本気の方で正解だった。 ブルドーザーを乗りこなすこの可憐な少女を想像し、貧相なユーモアセンスを刺激する。 が、外面上は仮面の如く真面目な顔を維持する。 「あ!ゼクスさん今笑いましたね、笑ったでしょう。 こう見えても、マリアンヌさまやコーネリア姉さまに憧れて、KMFの操縦は練習しているんですからね。 普通の人よりは操縦、上手いんですから。」 「ああ……すまなかった。」 やはり演技が下手なのかと、なんとなく自己嫌悪に陥りつつも、仮設駅を後にする。 □ ―――【死者の眠る場所】。 墓石や卒塔婆が並んでおり、奥の方には小さな供養寺がある。 「意味のありそうな名前の場所だったが……特別な土地、という訳では無さそうだな。」 どちらも魔力等を感知できるわけもなく、見た目だけではただの墓地に見える。 「自動販売機というのは、どこにあるんでしょう?」 「おそらく、あの正面の寺だろう。」 他に建物は見当たらず、二人で寺に近づいていく。 「あ!あれですね!」 「……ああ、どうやらそのようだ。」 本堂内に入る階段の両脇に、首輪回収機と自動販売機がそれぞれ置かれている。 ―――既にペリカが十分にある以上、首輪を回収させてやる義理はない。 「何が売っているんでしょうね?」 ユフィがコンソールを操作し、売り物一覧を確認する。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ピザ(ピザハット) :1000ペリカ 拳銃 (コルト・パイソン) : 700万ペリカ 日本刀(打刀) : 800万ペリカ サブマシンガン(グリースガン):1600万ペリカ マシンガン(MG3):2000万ペリカ 対戦車擲弾発射器(パンツァーファウスト):2500万ペリカ 自転車: 500万ペリカ バイク:2000万ペリカ 乗用車:3000万ペリカ トレーラー:5500万ペリカ 花束 : 500ペリカ 柄杓 : 500ペリカ 手桶 :1000ペリカ 箒 :1000ペリカ 線香(マッチ付き) : 1000ペリカ ※時間経過で商品は増えていきます。 ※各地の販売機によって、商品は多少変更されます。 ※当施設には特別サービスがございます。 詳しくは、下のボタンを押してください。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― (エアリーズとは言わないが、せめてヘリでもあれば、と思ったが…… まあ、車が買えるだけ僥倖と言うべきか。) 些か失望しながらも、商品を物色する。 (ここでパンツァーファウストなども手に入れておけば、リーオー辺りが出て来ても対抗手段となるが…… 私がもし途上で死んだ場合、そのままこの少女の脅威度が上がってしまう。……武器の類は諦めるべきか。) 「花束にひしゃく、ておけ……これって、日」 「ふむ……移動手段のものが4つもあるな」 被せるように注意をそちらに向けさせる。 「ええ、どれがいいでしょう?」 「トレーラーがあれば、そのナイトメアフレーム、と言ったか。 小型サイズの人型兵器を修繕できる可能性があるか……」 「移動だけでしたら、乗用車でも大丈夫そうですね。お値段もお手頃ですし。」 「……そうだな、ペリカにも限りがある。ここは乗用車にしようか。」 「ええ、異存ありませんよ。」 ペリカを1500万ずつ入れ、中からキーが放出される。 「あら?キーだけ?」 小首を傾げるユーフェミア。 「……どうやら、ここの入口に現れたらしい。」 振り返ると、何か物体が墓地入口に出現している。 「どういう原理なんでしょう?」 「さて……私達をここに飛ばした方法と一緒なのであろうが……」 やはり魔法、という力のなせる技なのか。 考えても答えは出そうになく、買い物を続けることにする。 他に食糧はいくら合っても良いとのことで、ピザを10個ずつ購入。 「後は……この特別サービスって言うのはなんでしょう?」 ポチっとボタンを押すと画面が切り替わる。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【死者の眠る場所】での特別サービスは、『断末魔サービス』です。 亡くなった方の最期の言葉を聴くことができます。 ショートバージョン:10万ペリカ ミドルバージョン:30万ペリカ ロングバージョン:50万ペリカ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ぴくん、とユーフェミアの動きが停止する。 「あ、あの……!」 「……ああ、構わないよ。」 知らない内に死んでしまったという、【アーニャ・アールストレイム】の最期を知りたいのだろう。 指を震わせながら『ロングバージョン』を選択し、 選択リストから【アーニャ・アールストレイム】を選択する。 50万ペリカを入れると、備え付けのスピーカーから声が聴こえてくる。 ========================================= 「ふふ、やっと着いたわ」 「これは…!?ギアスの力…なの!?」 「―――え!?」 ========================================= 「ギアスの……力……?」 「……聴いた覚えはあるかね?」 「いえ……ありません。いえ、無い…と思います。」 (ギアス……ユフィと同じ世界の住人がその単語を使ったということは……その世界における『魔法』のようなものか?) 一方通行から聞いた『超能力』 衛宮士郎から聞いた『魔術』 それらと同じように『ギアス』という物もまた、異能の力なのだろうか。 (判断するには情報が少なすぎるか……だが、何らかの鍵となるワードではあろう。) 「アーニャ……」 自らを守ってくれた女性騎士に対し、背筋を正し、黙祷を捧げる。 そして、それに倣う仮初めの騎士。 「さて……そろそろ出発しようか。」 「ゼクスさんは、良いのですか?」 一瞬目を閉じ考える。 ―――リリーナならば、聞かずとも分かる。 最期まで強情に、争いを止めようとしたのだろうということが――― 「ああ……構わない。」 墓地の入口まで歩きながら、今後の方針について話す。 「西の方まで行きたいのだが、その前に寄りたいところなどはあるかね。」 (象の像には行きたいところだが……このままの状態では、発症してしまうだけだろう……) ゼクスの方針としては、象の像を目指しつつ、ユーフェミア洗脳の解決策を探すことである。 「あ……あの!【政庁】に寄ってもらえませんか?」 「【政庁】に?……何か、存念でもあるのかな?」 「はい、もしかしたら、私の知っている場所かも知れません。 もしそうなら、通信施設もあるはずですから、ゼロが偽物だってことを、みなさんに伝えられるかも知れません!!」 (彼女の知っている場所なら、彼女の騎士である枢木スザクや、ルルーシュなる人物に会える可能性もあるか……) 現状を打破する方策が無い以上、それに賭けてみるのが良いと判断を下す。 「分かった、まず【政庁】に向かおう。」 「はい、ありがとうございます!」 元気そうに言うユフィと、微笑むゼクス。 ……………… ………… …… 「………………………………………………………」 「まあ!これは!!」 ―――ゴージャスなボディ、ラヴリーなエンジン。 緑色と桃色で描かれたボディと、前面のライトを唇に模したオシャレなフォルム。 前に4輪、後に2輪、一流の腕利きによって支えられたエンジンに追われれば、どんな奴でも逃げられる奴はいない。 今日から貴方は愛の囚われ人。 「…………トレーラーに、するべきだったか…………」 「ええ!?可愛くていいと思います。あ、でも」 ユフィは小悪魔っぽく微笑んで 『座席がオープンで、簡単に狙撃されてしまいますね。』 ―――なんだか楽しそうに、仕返しをしていた。 【C-6/死者の眠る場所付近/一日目/夕方】 【ゼクス・マーキス@新機動戦記ガンダムW】 [状態]:健康、真・新たな決意 [服装]:軍服 [装備]:H K MARK23 ソーコムピストル(自動拳銃/弾数12/12発/予備12x1発)@現実、ラブ・デラックス@ガン×ソード [道具]:基本支給品一式 、ペリカの札束 、3499万ペリカ、おもちゃの双眼鏡@現地調達 真田幸村の槍×2、H K MP5K(SMG/40/40発/予備40x3発)@現実 その他デパートで得た使えそうな物@現地調達、ピザ×10@現実 Draganflyer X6(残りバッテリー・10分ほど)@現実、Draganflyer X6の予備バッテリー×4@現実、利根川幸雄の首輪 [思考] 0:ユーフェミアと共に【政庁】に行く。しかしこの車は……。 1:ユーフェミアの洗脳を解く方法を探す。 2:国の皇女、か…… 3:『枢木スザク』と会うまでユーフェミアを守る。スザクならユーフェミアの洗脳を解けられる? 4:衛宮士郎が解析した首輪の情報を技術者、またはガンダム・パイロットへ伝える。 5:新たな協力者を探す。どんな相手でも(襲ってこないのなら)あえてこちらの情報開示を行う。 6:第三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、一度信頼出来る人間同士で集まる 7:集団の上に立つのに相応しい人物を探す。 8:【敵のアジト】へ向かった2人組が気になる。 9:『ギアス』とは……? [備考] ※学園都市、および能力者について情報を得ました。 ※MSが支給されている可能性を考えています。 ※主催者が飛行船を飛ばしていることを知りました。 ※知り合いに関する情報を政宗、神原、プリシラと交換済み。 ※悪人が集まる可能性も承知の上で情報開示を続けるようです。 ※サーシェスには特に深い関心をしめしていません(リリーナの死で平静を保とうと集中していたため)。 ※ライダーと黒服の少女(藤乃)をゲーム乗った特殊な能力者で、なおかつ手を組んでいると推測しています。 ※ギャンブル船で会議が開かれ、参加者を探索していることを知りました。 ※グラハムから以下の考察を聞きました。 ・帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいる。そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があった。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 ※ユーフェミアと情報交換をしましたが、船組のことは伝えていません。 ※ユーフェミアは魔術・超能力その他の手段で思考を歪められてる可能性に思い当たりました。 ※海原光貴(加治木ゆみ)、荒耶宗蓮(蒼崎橙子)の容姿は確認できていません。 ※アーニャの最期の言葉を聴き、『ギアス』の単語を知りました。 【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュR2】 [状態]:健康 精神的不安 [服装]:さわ子のスーツ@けいおん! [装備]: [道具]:基本支給品×4、豪華なドレス、アゾット剣@Fate/stay night、神原のブルマ@化物語、 ティーセット@けいおん!、特上寿司×20@現実 、空のワインボトル×4@現実、ピザ×10@現実 ルイスの薬剤@機動戦士ガンダムOO、 シャトー・シュヴァル・ブラン 1947 (1500ml)×26@現実 紬のキーボード@けいおん! ペリカード(3000万ペリカ)@その他、3449万ペリカ@その他、シグザウアーP226(16/15+1/予備弾倉×3)@現実 レイのレシーバー@ガン×ソード、脇差@現実、即席の槍(モップの柄にガムテープで包丁を取りつけた物) [思考] 基本:他の参加者と力を合わせ、この悪夢から脱出する。自分にできる事をする 特殊:日本人らしき人間を発見し、日本人である確証が取れた場合、その相手を殺害する 0:ゼクスと共に【政庁】に行く。 1:スザク……私は…… 2:偽ゼロの存在を全参加者に知らせる 3:政庁で放送施設や通信施設を探し、全参加者に呼びかける 4:殺し合いには絶対に乗らない 5:ゼクスさんは兄様っぽい [備考] ※一期22話「血染めのユフィ」の虐殺開始前から参戦。 ※ギアス『日本人を殺せ』継続中。特殊条件を満たした場合、ユフィ自身の価値観・記憶をねじ曲げ発動する。 現在は弱体化しているため、ある程度の意識レベルで抵抗すれば解除可能。 今後も発動中に他の発動しているギアスと接近すれば弱体化、あるいは相殺されます。時間経過により回復。 会場において外部で掛けられたギアスの厳密な効果・持続期間に影響が出ているかは不明。 ※ギアスの作用により、ヒイロのことは忘れています。 ※ゼクスと情報交換をしましたが、船組のことは伝えられていません。 ※ギアス発動時の記憶の欠落を認識しました。発動時の記憶、ギアスそのものには気付いていません。 ※アーニャの最期の言葉を聴き、『ギアス』の単語を知りました。 【ラブ・デラックス@ガン×ソード】 港街ハーバー・パレードに住むバカップル、クラットとバニー愛用のヨロイ(自称) ゴージャスなボディ、ラヴリーなエンジン。はっきりいって逃げられた奴はいない。 ヨロイといいつつ、タダの自動車である。 尚、後部に付属されている飛行機能はオミットされている。 電車の運行について 【D-6】駅付近の損壊が酷い為、【C-6】に仮設駅を設置し、 【B-4】駅~【C-6】駅間、【F-5】駅~【D-2】駅間 の上記2区間での往復運行が16 00より再開されました。 全路線復旧終了時刻については未定です。 【死者の眠る場所】での『断末魔サービス』について 死亡した人間の最期の言葉を聴くことができます。 対象の人間は放送時に更新されます。 ショートバージョン:10万ペリカ(最期の一言) ミドルバージョン:30万ペリカ(最期の二言) ロングバージョン:50万ペリカ(最期の三言) 時系列順で読む Back Paradox Spiral(後編) Next 六爪流(前編) 投下順で読む Back Paradox Spiral(後編) Next GEASS;HEAD(前章) 200 亡国覚醒カタルシス ユーフェミア・リ・ブリタニア 214 Oblivion Recorder 200 亡国覚醒カタルシス ゼクス・マーキス 214 Oblivion Recorder
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船旅 ◆aCs8nMeMRg 東横桃子、平沢憂、そしてルルーシュの三人は揚陸艇に乗り込んだ後、それぞれ別々の行動を取った。 桃子はルルーシュの用意していた湯やシャンプー、ボディソープを使って身体を流し、 憂はルルーシュが作った朝食を食べ、 そしてルルーシュはおもし蟹から力を奪った後、そのまま格納庫に残り、もう一度船内を調べ直していた。 ルルーシュはここまで、身体を流すための湯を用意したり、爆弾や盗聴器作り、さらには朝食作りに情報交換など、 色々な事に追われていて、この格納庫を含めればかなり広い揚陸艇の船内を隅々まで確認したわけではなかった。 桃子と憂が動けない今、迂闊に船を動かすのは得策ではないし、船内を探索するにはいいタイミングだった。 「やはり、あったか」 そうして格納庫の中を確認していくと、黒の騎士団で使っていた耳に引っ掛けるタイプの通信機をいくつか見つけることが出来た。 試しにスイッチをオンオフしたり、マイクを叩いたりしてみる。 どうやら問題無く使えそうだ。 薬局に向かった後に憂とはぐれてしまったことから、次は通信機でも作ろうかと考えていたルルーシュだったが、自分で作る必要は無くなった。 (……さて、そろそろだろう) そんな収穫もあり、時間もある程度経過したところでブリッジに戻ろうとしたルルーシュは、 その途中、ブリッジの少し手前で立ちつくしている桃子の姿を見つけた。 「桃子」 「わっ!……ル、ルルさん?」 ルルーシュは普通に、アッシュフォード学園の学生であった頃の口調で呼びかけただけだったが、桃子は声をあげて驚いた。 ぼんやりしていたところに声をかけられたからか、あるいはこうして呼びかけられること自体に慣れていないせいかもしれない。 「もう体は流し終えたようだな」 「はい」 「それで、どうした?入らないのか?」 「いや、中にはゴスロリさんがいるっすから……」 「憂か?…同世代の女の子同士、仲良くすればいいだろう」 「むっ、無理っす!」 事も無げに言ったルルーシュの言葉を、桃子は全力で否定した。 「さっきのゴスロリさんとルルさんの会話、マトモじゃなかったっすよ!!一体何なんっすか、あの子!? それにルルさんも、なんであんなに平然とゴスロリさんの相手が出来たんっすか!?」 確かに憂の言動は、平和に暮らしてきた者にとって刺激が強すぎたかもしれない。 まして、ルルーシュが止めなければ桃子は出会った瞬間、憂に殺されていたところだったのだ。 「まあ待て…そうだな、まず憂の状態についてだが」 信じられないといった様子で矢継ぎ早に訊いてくる桃子を制しながら、ルルーシュは順番に質問に答えることにした。 「憂は、自分自身の変化に少々興奮しているんだろう」 「変化?興奮?」 どういうことっすか?と言うように首をかしげる桃子に、ルルーシュは説明を続ける。 「俺の口からお前に語っていい事じゃないと思うから詳細は省くが、憂は今までずっと思い悩んでいた。 おそらく、この島に来てからずっと、だ。 その思いを、あの蟹に出会ったことで断ち切った」 「あの蟹さんに出会って?」 「ああ、桃子はあの蟹がどういう存在なのか理解出来たか?」 「何となくっすけど、人の思いと重みを持って行っちゃう…神様みたいなものっすか?」 「そうだな、あれはそういった力、人の思いを引き受け、断ち切る力を持った蟹だ」 「はあ」 「まあ、あの蟹については深く考えずに、そういうものだと思っておけばいいだろう。 それに、今はその力も失われている。問題は無い」 「失われているって、分かるんっすか?」 「ああ、後で見てみるといい。色や雰囲気が変わっているぞ」 ルルーシュはそこで蟹の話題をいったん打ち切り、憂の話に戻った。 「さて、少し話が逸れたが、 要するに憂は、この島に来てから心の中を占めていた思いが唐突に消えたことで急に心が楽になり、 それまでの反動で興奮している…ハイになっていると表現すれば分かりやすいか?」 「あー、そうっすね。」 「興奮が治まってくれば、桃子の言うマトモじゃない状態も改善するだろう。 食事を取っている間に、多少は落ち着いたんじゃないか?」 「だと、良いっすけど」 そうして話が一段落したところでルルーシュはブリッジへ向かって歩き出し、桃子は慌ててそれを止めた。 「ストップっす、ルルさん!出来ればもう一つの質問にも答えてほしいっす」 「なぜ俺が平然と憂の相手が出来たか、だったか?」 「はい」 「俺は、今まで色々な奴を相手に色々なやり取りをしてきた。時には命がけで、な。それだけのことだ」 「……い、命がけっすか。ルルさん、元の世界では何をしてたんっすか?」 命がけという言葉に若干ビビりながらも、桃子は疑問を口にする。 「それは、必要があればその内教えてやる。 さて、あんまり憂を待たせても悪い。ブリッジに戻るぞ」 「あ……」 ルルーシュは桃子の疑問には答えず、今度こそブリッジへと歩きだし、桃子は渋々後について行った。 「あ、ルルーシュさん」 「憂、食事は終わったか?」 「はい、ごちそうさまでした。とても美味しかったです」 「そうか、それは良かった」 ブリッジの中で待っていた憂と、ブリッジへ入ったルルーシュはごく当たり前のあいさつ、当たり前の会話を交わした。 (う~、誰々をブチ殺すとか言ってた人となんでこんなに平然と会話できるんっすか? 私には真似できないっす) そんな事を考える桃子を余所に、ルルーシュと憂はしばらく、料理は得意だのといった他愛の無い会話を交わしていた。 「それで、これからの事なんだが、しばらく俺達三人は行動を共にする。それはいいな?」 「はい、良いですけど…三人って?」 「ああ、桃子!」 どうやら、憂には桃子が見えていないようだ。 ルルーシュは後ろを振り向くと、出入り口のドアに寄り掛かっていた桃子の名を呼んだ。 「は、はいっす」 「ああ、あなたは、さっきの」 「東横桃子っす」 名前を呼ばれ、仕方なく姿を現した桃子は憂に軽く会釈すると、ルルーシュの側に寄って行った。 「ルルさん、やっぱり私も話に加わらないと駄目っすか?」 「当り前だろう」 「はぁ。…でも、今ルルさんには私が見えてたみたいっすね。ゴスロリさんには見えてなかったのに」 「ああ、少し慣れてきたかな」 「あのー」 そんなことを話している二人に対して、憂が少し不満げに声をかけた。 「それで、これからどうするんですか?」 「ああ、その前に憂、それに桃子も、これを持っておけ」 ルルーシュはデイバッグの中から先ほどの収穫、通信機を取り出して二人に手渡した。 「これは?」 「何っすか?」 「通信機だ。もしまたはぐれたら、これを使って連絡を取り合う。 通信範囲は、この島くらいなら端から端までカバーできるはずだ」 「あ、はい、わかりました」 「了解っす」 そして、ルルーシュは簡単に通信機の使い方をレクチャーした後、今後の話に移った。 「さて、今後の行動についてだが、まずは二人の意見も聞いておこう。何かあるか?」 「いえ、私はルルさんにお任せするっす」 桃子は即答だった。 「そうか、憂はどうだ?」 視線を向けられた憂は、一呼吸間をおいてからそれに答えた。 「私は、早く阿良々木さんをブチ殺してギターを取り返したいです」 「…………!」 「フム、そうだったな。詳しく話してみろ」 そんな桃子の言葉に絶句する桃子と、当然のように応えるルルーシュ。 その反応は対照的だった。 (ダメだ。やっぱりこの二人にはついていけないっす) そうして、憂がルルーシュに阿良々木暦と出会ったときの事を話し終えるまで、 桃子は二人の会話を聞き流す事にした。 「阿良々木暦と戦ったのが二時頃、場所はC-6か。」 「はい」 そんな桃子にはお構いなしに、憂とルルーシュの会話は進んでいく。 「五時間以上経っているな。流石にこれでは行き先を絞り込むことはできない。 五時間あればこの島のどこへだって行ける」 「けど、お姉ちゃんを見つけたら戻ってくるって書置きが残ってましたし、 一度、様子を見に戻ってみたいなって思います」 「なるほど、分かった。しかし、その書置きだと憂の姉が見つかるまでは戻らないとも取れるな」 「あ、確かにそうですね」 「可能性の問題だが、その阿良々木という奴が憂の姉…唯といったか? 唯を見つけてその場所に戻ってくるとなると、今度は五時間では短い。そう急いで戻ることも無いだろう」 阿良々木暦と平沢唯が、少なくとも一時間ほど前の時点では出会っていない事を知っているルルーシュだったが、 流石にその事は口にせず、可能性は低いと言うだけに留めた。 「う~ん」 「そんな顔をするな、行かないとは言っていない。近くまで行ったら立ち寄ってみよう」 「んーはい、分かりました。それでいいです。 それで、ルルーシュさんはこれからどうしようと思っているんですか?」 憂は完全には納得できていないようだが、とりあえずルルーシュの考えも聞こうと一旦引いた。 「そうだな、とにかくこの地図にある施設を調査しようと思っている。 憂は見ただろうが、この船も元はF-6の展示場に隠されていたものだ」 「はい」 「他の施設にも、同様に何かが隠されている可能性は高い。 それに、地図にこうやって地図に記載されているんだ。 他の参加者、例えば唯や阿良々木もこういった施設を目指すんじゃないか?」 「あ、そうですね」 唯と阿良々木の名前が出ると、憂もなるほどと頷いた。 「それで、どこから調べるんですか?施設といってもいっぱいありますよ?」 「ああ、施設の重要度を予測して優先順位を付けることは出来るが、それは所詮予測でしかない。 実際のところ、手近な場所から順番に潰して行くしかないだろう」 「そうですか、近いところというと展示場、は、ルルーシュさんが調べたんでしたよね」 「そうだが、少し確かめたい事ができた。まずは展示場に向かう」 「え、何ですか?確かめたい事って」 「世界について、だな」 「世界?」 「桃子」 「は、はい」 今まで、全く会話に参加していなかった桃子が突然名前を呼ばれ、肩をビクッとさせた。 「あ、居たんですか」 憂には、また桃子が見えていなかったようだ 「お前は名前を呼ぶたびに驚いているな。 まあいい、さっきお前と話した世界の事について、憂に教えてやってくれ」 「わ、私がっすか?」 「俺はこれから船を動かす。そっちは任せたぞ」 そう言うと、ルルーシュは船を操作するために席を立ち、桃子と憂の二人に背を向けた。 船を動かすといっても、同じブリッジ内で操作するのだから会話は可能なはずだが、説明は桃子に任せたという態度だ。 「何ですか?世界についてって」 「えっと、どうもルルさんと私とでは住んでる世界が違うみたいなんっすよ」 仕方なく、説明を始める桃子だったが。 「確かに、ルルーシュさんって独特の雰囲気ですよね。なんか、私達とは住む世界が違うっていうか」 「あ、いや、そう言う事じゃなくて…いや、それも言えてるっすけど、え~と、ルルさ~ん」 結局、桃子はひとりではうまく伝えることが出来ず、何度かルルーシュにフォローしてもらいながら、 どうにか憂に“別の世界”の事を教えたのだった。 「よし着いた。下りるぞ、二人とも」 「はい」 「了解っす」 そうこうしている内に、船は展示場の近くに接岸し、ルルーシュは二人を促しながら船を下り、 憂と桃子もそれに続いた。 「で、その蟹さんも連れて行くんっすか?」 桃子と憂が少し遅れて船を下りると、そこにはあのおもし蟹を連れたルルーシュが立っていた。 「ああ、この手綱で操れるのは分かったが、どの程度動けるのか知りたいからな。 手持ちのスペックは把握しておくべきだろう。…憂」 「はい」 「お前が乗れ。元々、こいつに手綱を付けたのは憂だからな」 「あ、はい。分かりました」 そうして、三人と一匹(?)は展示場へ向かったのだが、その途中もルルーシュは憂との会話を桃子に任せ、自分は黙々と前を歩いて行った。 「へぇ、東横さんって大人っぽく見えるけど、私と同い年だったんだね。 桃子ちゃんって呼んでいい?」 「モモでも桃子でも、お好きなように呼ぶといいっす」 「うん、桃子ちゃん」 おもし蟹に立ち乗りしている憂の顔は、地面から約2メートルの位置にある。 桃子はそんな上から降ってくる声に答えながら、横の蟹を見て思った。 (うぅ、消えていたいっす) 展示場の中には、様々な宇宙に関わる物の模型が解説付きで展示されていた。 アポロやH-Ⅱといったロケットや人工衛星、スペースシャトルに宇宙ステーション、 更には、軌道エレベーターやスペースコロニーといった物まである。 少し毛色の違った物では、ヨロイと呼ばれる機動兵器を衛星軌道上の倉庫に打ち上げるため奮闘した者達の事例が紹介されていたりもした。 そんな展示を見ながら、ルルーシュが二人に向かって口を開いた。 「これらはどれも、俺の世界には無かった物だ。お前たちの世界ではどうだ?どれか知っている物はあるか」 ロケットとは、言わば高度に計算された火薬の塊だ。 サクラダイトを利用した超電導技術が進歩し、ナイトメアフレームのような人型機動兵器が存在する一方で、 火薬類に関してはあまり発達していないルルーシュの世界において、ここにあるようなロケットは存在していなかった。 憂や桃子と出会う前にここを訪れた時、ルルーシュはこれらの展示にあるような物が実現しているとはとても思えなかったが、 異なる世界が存在するの可能性を知ったことで、もしやと思ったのだ。 「はい、アポロとかH-Ⅱとかは聞いたことあります」 ルルーシュの問いに、まず答えたのは憂だった。 「こっちの、人工衛星や宇宙ステーション、それにスペースシャトルもニュースとかで見たことあります。桃子ちゃんは?」 「私も同じっす」 「そうか、もしかしたら憂と桃子は同じ世界の出身なのかも知れないな。 こっちの軌道エレベーターやスペースコロニーはどうだ?」 「そっちは知らないです。桃子ちゃんは?」 「私も知らないっす。それに、西暦2297年なんて、もし同じ世界でもずーっと未来の話っす」 「だよね。こっちのアフターコロニーっていう年号は聞いた事も無いし。そっちのヨロイとかも見たこと無いです」 二人は、展示の説明文にあった年号などを見て、口々に言った。 「なるほどな、そういえば今は何年だ?自分の感覚でいい」 「200*年っす」 「200*年です」 桃子と憂の声がほぼハモった。 「年号は、西暦か?」 「「はい」」 続けて聞いたルルーシュに、今度は二人の声が完全にハモった。 「えっと、ルルさんは自分の感覚だと何年なんっすか?」 少しの間、恥ずかしそうに憂と顔を見合わせていた桃子が照れ隠しのようにルルーシュに尋ねた。 「俺の感覚だと、今は皇歴2018年だな」 「皇歴?」 「2018年、ですか」 「ああ、聞いたことは…無いようだな。俺の世界ではよく使われている年号なんだが」 「嘘…じゃないですよね。ルルーシュさんって、本当に別の世界の人なんですね」 「ああ、これでハッキリした。主催者は別世界への移動、または別世界からの召喚が可能。 そしてこちらは未確認だが、タイムスリップもできるのかもしれない」 その後、三人はトイレなどの休憩のついでに、少々雑談をした。 「そういえば、ルルーシュさんって外国の人ですよね?日本語お上手ですね」 「ここの展示なんかの説明も全部日本語で書いてありますけど、読めてるみたいっすね」 「ああ、もう九年以上日本で暮らしているからな。日本語は問題ない」 「ルルーシュさんの世界にも日本ってあったんですよね?」 「ああ、その辺りはあまり変わらない。 世界が違うというよりは歴史が違うと言った方が正しいのかも知れないな」 そんな雑談を交えつつ、三人はこれからの行動を確認した。 「さて、この後だが…俺はこの近くの施設だとD-5の政庁が気になっている。 しかし、そこでの成果によるが、その先は陸路を行く事になるかもしれないから、 まずは先に船で回れる南側のホールやタワーの探索を済ませておこうと思う。 その後は、政庁とその周辺の施設を調査し、C-6、憂の言っていた民家へ向かう。それでいいか?」 「はい」 「いいっすよ」 地図を広げて説明するルルーシュに、二人とも納得したようだ。 「よし、では船に戻るか」 「「はい」」 再び、憂と桃子がハモった。 「ルルーシュさーん、桃子ちゃーん、早く早くー」 憂を乗せたおもし蟹は颯爽と駆け、あっという間に船にたどりついてしまった。 憂はおもし蟹を操るのにだいぶ慣れてきたようだ。 「はぁ、あの蟹さん、見た目より速いっすね」 「どうやら、憂ともだいぶうち解けたようだな、桃子」 「え、まあ普通に話してる分には、その、普通の子っすね」 「早くー、早く阿良々木さん見つけて殺すんですからー」 「……ああいうところは普通じゃないっすけど」 「フッ、だがもうそれほど怖くは無いだろう?」 ルルーシュの言う通り、最初は憂を怖がっていた桃子だったが、何度か声をハモらせているうちにその恐怖心はだいぶ和らいでいた。 「まさかルルさん、それを狙ってここに立ち寄ったんっすか?私とゴスロリさんがうち解けるように」 「さあな」 「はぐらかさないで欲しいっす」 「…いくら徒党を組んでも、烏合の衆では意味が無い」 「やっぱりキザな人っすね。言い方が」 「だから放っておけ……。む!」 「どうしたっすか?」 ルルーシュは突然黙り込むと、耳に手を当て、ゼロスイッチ(仮)とCDプレイヤーを取り出した。 「あ、クチビルさんの方、何かあったっすか!?」 桃子は知っている。 ルルーシュの耳には盗聴器が拾った音を伝えるイヤホンが入っており、CDプレイヤーは船井達の車に仕掛けた発信機の情報が表示され、 そしてスイッチは、車に仕掛けられた爆弾の起爆スイッチだという事を。 「静かに!」 だから、そう言われたら素直に黙る。 「……どうやら、車に仕掛けた爆弾は無駄になりそうだ」 しばらくしてルルーシュは顔を上げ、そう言った。 「それって?」 「車は乗り捨てられた。それと一つ情報だ」 「何っすか?」 「名簿に名前のあった荒耶宗蓮。こいつは魔術師で、このゲームの主催者側の人間らしい」 「ええ!?」 「今さらそんなに驚く事じゃない。 参加者の中に魔術師がいるのも、主催者サイドの人間が紛れ込んでいるのも想定済みだ」 「そ、そうっすか」 「浮かない顔だな。何を考えている?」 「その、ルルさんは違うっすよね?」 「主催者サイドではないかという意味か?…違うと言えば信用するか?」 「それは……」 「では、もう俺は信用できないか?」 「……いいえ、そんなことはないっす!」 「ほう」 「今、私を不安がらせると、一番危険なのはルルさんっす。私、銃も持ってますから。 もしルルさんが主催者側だったら、わざわざそんな危ないことはしないっす。 ルルさんは多分、盗聴器で聞いた情報を正直に教えてくれんだと思うっす」 「フッ、わかっているじゃないか。説明する手間が省けたぞ」 「でも、聞くだけ聞いて黙っててもよかったのに、どうしてわざわざ教えてくれたっすか?」 「決まっている」 「?」 「俺たちは仲間だろう?」 「なっ」 意地の悪い笑みを浮かべてそう言ったルルーシュに対して、桃子は二の句が継げなかった。 【F-5/海上/一日目/午前】 【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス反逆のルルーシュR2】 [状態]:健康 [服装]:アッシュフォード学園男子制服@コードギアス反逆のルルーシュR2 [装備]:ゼロスイッチ(仮)@コードギアス反逆のルルーシュR2、CDプレイヤー型受信端末、リモコン、イヤホン@現地制作、 [道具]:基本支給品一式、ゼロの剣@コードギアス反逆のルルーシュR2、ミニミ軽機関銃(183/200)@現実 、 ゼロのマント@コードギアス 反逆のルルーシュR2、“狐”“泥眼”“夜叉”の面@現実、 サクラダイト爆弾(小)×9、サクラダイト爆弾(灯油のポリタンク)×2@コードギアス反逆のルルーシュR2、 盗聴機、発信機×9@現地制作、単三電池×大量@現実、通信機×5@コードギアス 反逆のルルーシュ [思考] 基本思考:枢木スザクは何としても生還させる 1:東横桃子、平沢憂と行動を共にする。 2:殺しも厭わない。東横桃子、平沢憂、スザク、C.C.、ユフィ以外は敵=駒。利用できる物は利用する。 3:スザク、C.C.、ユフィと合流したい。 4:南側の施設(ホール、タワー)を調査した後、政庁に向かう。 5:偽ゼロの放送を利用して、混乱を起こし戦いを助長させる。 6:“金で魔法を買った”というキーワードが気になる。 7:首輪の解除方法の調査、施設群Xを調査する? [備考] ※R2の25話、スザクに刺されて台から落ちてきてナナリーと言葉を交わした直後からの参戦です。 死の直前に主催者に助けられ、治療を受けたうえでゲームに参加しています。 ※参加者が異なる時間平面、平行世界から集められている可能性を考察しています。 ※モモから咲の世界の情報を得ました。主要メンバーの打ち筋、スタイルなどを把握しました。 ※自分のギアスも含めて能力者には制限が掛っていると考えています。 ※おもい蟹が怪異たる力を全てルルーシュに預けました。どんな力を使うかは後の人にお任せします。 ※モデルガン@現実、手紙×2、遺書、カギ爪@ガン×ソード、皇帝ルルーシュの衣装@コードギアス反逆のルルーシュR2、 シティサイクル(自転車)、ジャージ(上下黒)、鏡×大量、キャンプ用の折り畳み椅子、消化器、ロープ、カセットコンロ、 混ぜるな危険と書かれた風呂用洗剤×大量、ダイバーセット、その他医薬品・食料品・雑貨など多数@ALL現実 揚陸艇のミサイル発射管2発×2機、ミサイル×4発@コードギアス反逆のルルーシュ 現在支給品バッグに入れています。 ※揚陸艇の燃料…残り23キロ分 ※荒耶宗蓮が主催者側の魔術師である事を知りました。 【東横桃子@咲-Saki-】 [状態]:健康、ステルス解除 [服装]:鶴賀学園女子制服(冬服) [装備]:FN ブローニング・ハイパワー(自動拳銃/弾数15/15/予備45発)@現実 [道具]:デイパック、基本支給品(-水1本)、FENDER JAPAN JB62/LH/3TS Jazz Bass@けいおん!、通信機@コードギアス反逆のルルーシュ 遠坂凛の魔力入り宝石@Fate/stay night×10個 [思考] 基本:加治木ゆみを蘇生させる。 1:ルルーシュを利用し(利用され)、この場での生き残りを考える。 2:覚悟完了。ステルスを使う時は麻雀で対局相手の当り牌を切る時の感覚を大事にする。 3:ルルさん、キザっすね。ゴスロリさんは、少し怖くなくなったっす。 [備考] ※登場時期は最終話終了後。 ※カギ爪の男からレイに宛てて書かれた手紙は中身を確認せずに破り捨てました。 ※荒耶宗蓮が主催者側の魔術師である事を知りました。 【平沢憂@けいおん!】 [状態]:健康、拳に傷、重みを消失、ふわふわタイム(少し落ち着いてきた)、満腹 [服装]:ゴスロリ@現実 [装備]:ギミックヨーヨー@ガンソード、騎英の手綱@Fate/stay night、拳の包帯、おもし蟹@化物語、 [道具]:基本支給品一式、日記(羽ペン付き)@現実、桜が丘高校女子制服、カメオ@ガン×ソード、 COLT M16A1/M203(突撃銃・グレネードランチャー/(20/20)(1/1/)発/予備40・10発)@現実、 果物ナイフ@現実(現地調達)、阿良々木暦のMTB@化物語、包帯と消毒液@逆境無頼カイジ Ultimate Survivor 通信機@コードギアス反逆のルルーシュ [思考] 基本:ルルーシュとバンドを組みたい。皆を殺す。 1:ルルーシュさんの作戦、言う事は聞く。お姉ちゃんは無理には殺さない。 2:モモさんはルルーシュさんが仲間だと言っているので殺さない。 3:阿良々木さんに会ったらブチ殺して、お姉ちゃんのギー太を返して貰う。 [備考] ※ルルーシュの「俺を裏切るなよ」というギアスをかけられました。 ※中野梓についていた「おもし蟹」と行き遭いました。姉である平沢唯に対する『思い』を失っています。 【通信機@コードギアス反逆のルルーシュ】 黒の騎士団が使っていた、耳に引っ掛けるタイプの通信機。 時系列順で読む Back ガンダムVSガンダム Next 協議の果てに迷える戦士達 投下順で読む Back 闇に潜むキーワード見つけ出そう Next いざや開かん、冥底の門 136 ぶっ生き返す/ふわふわタイム(後編) 平沢憂 163 徒物語~ももこファントム~(上) 136 ぶっ生き返す/ふわふわタイム(後編) ルルーシュ・ランペルージ 163 徒物語~ももこファントム~(上) 136 ぶっ生き返す/ふわふわタイム(後編) 東横桃子 163 徒物語~ももこファントム~(上)