約 1,869,070 件
https://w.atwiki.jp/ameba_pigg/pages/3626.html
BAPE・CAMOビキニ okinawa_bikini_ape_swimwear_w_*_1007.swf bl, gn, pk 原宿 BAPE STORE® パソコン モバイル 女子限定 ファッション トップス 150アメG http //ameblo.jp/pigg-staff/entry-10595866635.html
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8518.html
前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略) どこまでも抜けるような青空の中、二機の『竜の羽衣』と鋼の乙女が飛ぶ。 飛行高度は二千メイル。今までとは違い、トリステイン空軍にも、 陸軍にも、何ら遠慮することはない。 高度を上げないのは、ルイズが乗っているからだ。専門の訓練を受け、 日常的に鍛えている少女たちとは違い、また鋼の乙女ふがくに抱かれて 飛んだときとも違い、高度差による気温の低下と大気圧の低下は、ルイズには あまり良いものではなかった。それに加えて触っても動作しないようには されていても後付けの操縦桿とフットペダルなどがある後席の圧迫感は、 慣れないルイズにはあまり居心地の良いものではない。 「それにしても、マミの髪型は前の方が絶対良かったよ」 『それがね、本来銃士隊に入隊したら髪を切らないといけないの。 ただ例外があって、上官の許可を得ればこうやってお下げにしたり 三つ編みにすることで伸ばすことができるの』 「アニエス姉さんらしいなぁ……。ふふっ。アニエス姉さんも、髪を 伸ばしたらいいのに。 でも、『許可』って、そう簡単に取れるものなの?」 『ああ、それ?訓練弾装填済みのマスケット銃を十挺ほど用意させて もらって、うちのエミリー小隊長と一対一の勝負して勝ったわよ。 そういう条件だったから』 「あはは……マミらしいや。昔っから銃の扱いうまかったしね。 『魔弾の舞踏』っとか」 『ちょ、ちょっとシエスタ!そんなこと今思い出さなくてもいいじゃない!』 「あはは」 二機の『竜の羽衣』、複座零戦と震電を操るシエスタとマミの会話が弾む。 ルイズはシエスタがここまで楽しそうに会話をしているところを見たことがない。 レシーバーを通じてルイズにも二人の会話は聞こえているが、それが突然 聞いたこともないものに変わる。 『……ところでシエスタ』 「……何?突然」 マミがトリステイン訛りの『日本語』で話しかけてきたのに、シエスタは 合わせる。 『あなた、キョウコやサヤカがまだ生きていた頃、夢の中で白い変な 生き物が出てくるってよく言っていたわね。その夢、今でも見る?』 「ああ、それ?うーん……そう言われてみれば今は見なくなったかな? わたしも大人になった、ってことかな?あはは」 シエスタのやや困惑した答えを聞いて、マミは安堵する。 『そう。それならいいの。ごめんなさいね。変なこと聞いて』 「二人とも何話しているのよ!?」 意味の分からない言葉のやりとりに業を煮やしたルイズが割り込んでくる。 そこにふがくも入ってきた。 『何って、日本語で話していただけじゃない。ちょっと訛ってるけど』 「『あ』」 ふがくのその言葉に、シエスタとマミは同時に、しまった、という声を出す。 任されているのか管制の気配がないあかぎだけでなく、このふがくも 大日本帝国の鋼の乙女。当然日本語は理解できるということを二人は 失念していた。 それを聞いて、ルイズは疎外感を禁じ得ない。自分だけが理解できない 世界というものが、これほど寂しいものだとは思わなかった。 (ふがくが召喚されたばかりの時って、こんな感じだったのかな……) ルイズはその言葉を飲み込んだ。二人はもう日本語で話すことはなく、 聞き慣れたハルケギニア公用語のガリア語で話している。それが自分への 配慮だということは聞くまでもなかった。 ルイズがそんな感情を抱くよりしばし時をさかのぼり――あかぎは タルブの村の墓場の森にいた。 「さあ、出ていらっしゃい」 両腕の飛行甲板を広げ、戦闘態勢を取るあかぎ。相手に影響を与えない 程度に展開した電探の網が、そこに隠れる誰かを捉える。いや、あかぎには その『誰か』の一人は分かっていた。しかし、そこにいる理由を考慮すると、 それを否定したかったのはあかぎ自身だったのかもしれない。 「きゅ、きゅいぃ~」 歴戦の軍人の放つ容赦のない気配に気圧された相手の一人が、堪えきれずに 声を出す。それで諦めたのか、離れた場所の茂みに隠れていた影が二つ、 あかぎの前に姿を現した。 「あなたは……タバサちゃんだったわね。そっちの子は初めて見る顔……かしら?」 そう静かに言うあかぎ。その視線はタバサを捉えて離さない。笑顔の 下に隠された、押しつぶされそうな重圧感に、タバサは耐える。 「どういうことか説明してもらえるかしら?」 「…………」 あかぎの言葉にタバサは無言で返す。そして、杖を構えた。その態度に、 あかぎは小さく溜息をつく。 「……そう。それが答え、ね。残念だわ。それなら、ちょぉっとお灸を 据えてから改めて聞くことにしましょうか」 そう言ったあかぎの飛行甲板の昇降機が激しく動き出し、艦載機―― 濃緑色の翼をきらめかせる戦闘機の精霊が次々と発艦する。それを見た シルフィードが悲鳴に近い声を上げた。 「きゅいっ!?お姉さま!み、見たこともない精霊なのね! それも、かなりの強さなのね!」 (『お姉さま』?確かに、タバサちゃんと似たところもあるけれど…… この感じは……?) シルフィードが韻竜だと知らないあかぎはその言葉に敏感に反応した。 そのわずかな隙を逃さずタバサは呪文を唱える。 「ラグーズ・ウォータル・イス・イーサ・ウィンデ」 瞬く間に何十もの氷の矢が出現し、あかぎに向かって放たれる。 タバサの二つ名『雪風』を象徴するトライアングル・スペル『氷の矢』(ウィンディ・アイシクル)。 今まで幾度となく死の淵からタバサを生還に導いた必殺の一撃は、 狙い過たずあかぎに迫る。 「くっ!」 あかぎは左腕を一振りし、飛行甲板に装備された連装機銃群で迎撃する。 高角砲までは使わなかったが、ハルケギニアの常識の埒外の弾幕は 氷の矢をすべて破壊するだけでなく、タバサとシルフィードの脇をすり抜け 後ろの木々をなぎ倒す。二人に一発も当たらなかったのは幸運と 言うほかない。一歩も動けなかったタバサの腋を冷たいものが、そして 太ももを嫌な感触の生ぬるいものが伝った。 「きゅ……きゅいぃぃ……」 (動けなかった……。いや、違う。『動かなかった』から、助かった……?) あまりのことに脳がオーバーヒートして硬直していたシルフィードが へたり込み、タバサは唇を噛む。情けをかけられたと思ったからだ。 実際、戦闘が始まってから、あかぎは一歩も動いていない。 それがタバサのプライドをいたく刺激する。 「ふう。危ない危ない。空母の対空砲火を抜くには、もうちょっと 足りなかったわね。 もう一度聞くわ。どうしてあなたたちがまだここにいるのか、それを 教えて」 「……あなたにこんなに簡単に見つかったのは予想外。どうしてかは 分からないけれど。でも、わたしも、果たさなければならない使命が あるから」 「そう。なら仕方ないわね。……みんな、お願いね」 あかぎのその言葉に応えるように、先程発艦した攻撃隊が舞い降りて 掃射を開始する。下草が爆ぜ、木々の幹がえぐられる中、タバサと シルフィードは避け、伏せ、転がって攻撃を必至に躱した。途中で タバサの眼鏡がどこかに吹き飛んだが、そんなことに構っている余裕など、 二人にはなかった。 (呪文を唱える隙が……ない) 這いつくばり、爆ぜる下草の青臭いにおいが鼻をつく中、タバサは 己の失策を悟った。あかぎの両腕の巨大な盾から精霊が飛び出した時点で、 もう自分たちの敗北は決定的だったのだと。あれを飛び立たせては いけなかった。森の中という地の利すら無視した全方位からの攻撃に さらされ、よしんば攻撃魔法が完成したとして、あの両腕の盾に並ぶ 放列の弾幕は脅威という言葉すら生ぬるい。事実、自分たちはあかぎを 一歩も動かすことができずにいる。しかも、まだ左脚の脚甲に装備された 六門の砲は戦闘開始から沈黙したまま。全力を出していない相手に 翻弄される自分が情けなく、口惜しかった。 (これが、鋼の乙女の実力……) タバサはニューカッスルで起こったことを知らない。 もし知っていたならば、鋼の乙女との戦闘は全力で避けただろう。 無様に地面を転がって、このまま死んでしまうのか――そう思ったとき、 シルフィードの悲鳴が上がった。 「きゅいぃぃぃ!」 あかぎの艦載機に腕を撃ち抜かれ、吹き飛ばされるように樹にぶつかる シルフィード。あかぎが本当に全力で殺す気だったなら、その程度どころか 今頃吹き飛ばされてなくなっていたはずの右腕は、まだつながったまま 鮮血を吹き出す。そのはずみで彼女の姿を欺いていた『変化』の魔法が解ける。 気を失い、竜の姿に戻ったシルフィードを見て、あかぎは目を丸くした。 「あらあら~。さっきの子は、あなただったの~?」 驚くあかぎ。だが、攻撃の手は休めない。攻撃隊の掃射は続き、 やがて地面を転がるタバサは何か硬いものにぶつかった。 「…………!」 タバサは上を見た。眼鏡なしでもぎりぎり焦点が合うその視線の先、 そこには……笑顔のまま左腕の飛行甲板を自分に向けるあかぎの姿。 目の前に突きつけられた、鉄と木で構成された飛行甲板に描かれた直線を 組み合わせた模様と甲板最後部の着艦標識である赤白のストライプ模様、 そして自分に向けられた両舷合わせて六基の連装高角砲の鈍い輝きが、 タバサの心をわしづかみにする。 「チェックメイト、ね」 「…………どうして…………」 「気づかなかった?あのまま避け続けたら私のところに転がり込むように 誘導していたのよ。 あなたはずいぶんと戦いに慣れているようだけど、こういう防戦一方、 っていう戦いの経験はなかったみたいね」 冗談じゃない、とタバサは内心思った。防戦一方どころではない。 まるで難攻不落の要塞に一人で突っ込めと命じられたようなものだ。 こんな、魔法一つ唱える暇すら与えられない全方位からの攻撃など、 よほどの間抜けが不用心に敵の罠のど真ん中にでも入り込まない限り あるわけない。しかも、その先にはこれだ。どうにか避けられていたのは そこに向かうように道を空けられていただけで、自分はまんまと罠に 嵌められ、絡め取られた。 ここまでの戦闘が繰り広げられているのに銃士隊が現れないのも、 あかぎがあらかじめ手を回していたのは間違いない。 その事実が、とにかく悔しく、情けなかった。 「さて、もう一度聞くわね。さっき使命って言ったわね。どういうことか 説明してもらえるかしら?」 高角砲を向けたまま、あかぎはタバサを見下ろす。その顔には柔和な笑み。 だが、タバサには彼女が纏う雰囲気がまるで裁きの女神のように思えた。 このまま理由を話したら……間違いなく、あかぎは自分を銃士隊に 引き渡すだろう。それか、このまま引き金を引かれるか。それ以前に 理由を話せるわけもない。シルフィードは気を失ったままで、自分は 杖こそ手放していないが地面に転がったまま起き上がることもできず、 ふがくの機関短銃以上の威力を持つ武器を向けられている。あかぎの 言うとおり、チェックメイトそのものの状況だが、それでもまだ諦める 気にはなれなかった。 杖を持つ手に力を込める。小さく、素早く唱える呪文――それは 『エア・ニードル』の魔法。タバサが不利な体勢から鋭く固めた空気を 纏った杖を振り上げるのと、あかぎがそれに反応して高角砲を撃つのは ほぼ同時だった。 重い砲声が轟く――ただし、空に向かって。これには想像した以上に 大きくなってきた騒ぎに森の外で待機していた銃士隊も突入しようとしたが、 アニエスとエミリーに制止された。 「待て、ペリーヌ!総員現状のまま待機だ!」 「今のはあかぎさんの高角砲だよ。さっきから聞こえてたあかぎさんの 艦載機の銃撃音といい、これって……?」 「わからん。だが、本当に大丈夫なのか?」 アニエスがエミリーに問いかける。この距離でかろうじて中の音まで 聞き分けられるのは、重戦車型鋼の乙女であるエミリーだけだ。 あかぎが電探を使用している可能性もあり、不用意に近づくと死者が 出かねないと言うことで、アニエスも対応に苦慮していた。 「いったい、中で何が起こっているんですの?わたくしも、あの方には 子供の頃によくお世話してもらったことがありますけれど……こんなのって!?」 銃士隊第四小隊長であるペリーヌも、困惑を隠しきれない。そもそも アンリエッタ姫の命令で部隊をまとめて王都トリスタニアへ移動するための 準備を進めるはずが、墓場の森で木が倒れるどころか外からでも分かるくらいの 激しい銃撃音が聞こえる有様では、そんなものは吹き飛んでしまっていた。 「さあな。だが、あの人が全力を出したら、普通の人間は近づくことも できなくなる。お前だって、良くて失明、下手すれば焼き人間、には なりたくないだろう?」 「う……それは、そうですけれど……」 アニエスにそう言われると、ペリーヌも黙るしかない。 「いざとなったら私が行く。だから、もう少し様子を見ようよ」 エミリーがそう言うと、アニエスも、彼女が鋼の乙女だとは知らない ペリーヌも、引き下がらざるを得なかった。 タバサの杖はあかぎに届かず、あかぎの左腕は上に跳ね上げられていた。 二人の間に割って入った影――それは、白い士官用海軍シャツに茶色い 航空袴姿の武雄だった。 「…………!?」 「……武雄さん?」 かがんだ姿勢でタバサの杖を右手で握り、あかぎの左腕を左肘で 跳ね上げる武雄。現世に存在してはならないその身であるからこそ、 二人の間に割って入ることができた。武雄はやれやれ、という顔をすると、 唇を尖らせる。 「ったく。おちおち寝てもいられねぇ。 人が寝てる側で派手にやらかしやがって。何やってるんだよ、あかぎ」 「だ、だぁってぇ~」 「だってもヘチマもねぇよ。ったく。子供相手に向きになってどうする」 武雄に叱られ視線を泳がすあかぎ。一方で子供扱いされたタバサも 不満をあらわにした。 「……子供じゃない」 「あ?子供じゃなきゃ阿呆だ。相手の実力も推し量れないで突っ込むなんざ、 阿呆のするこった。 いいか、あかぎが本気だったらな、そもそもお前さんら相手するくらいじゃ 弾の一発撃つ必要なんざないんだ。電探の出力を上げるだけで、二人とも 今頃こんがりほどよく焼けたローストチキンなんだよ。 そればかりじゃねえ。お前さんの相棒が喰らった一撃な、あかぎが本気で 殺す気だったら今頃腕に穴が開くどころか、良くて腕一本、下手すりゃ 全身血煙になって吹き飛んでるはずだったんだぞ。 死なないようにわざわざ相手してくれただけでも助かったと思え。このバカ」 杖を握りしめたままタバサにそう言った武雄の視線は冗談を言って いるものではなかった。だが、その言葉がタバサのプライドをさらに 傷つけた。 (じゃあ何?こっちが杖を向けた瞬間に焼き殺せるだけの手段があったのに、 わざわざ力の差を見せつけた?おまけにこっちが死なない程度に手を抜いて? それに『デュェンタン』?何?その聞いたこともない代物は? 第一、何?人のことを阿呆とかバカとか、おまけにロースト『チキン』って。 わたしが臆病者だって言いたいわけ?このじいさまは……) 言い返せないだけに心に澱がたまるタバサ。杖から『エア・ニードル』の 魔法も解け、それを見た武雄がようやく杖から手を離した。 タバサが戦闘の意志を見せなくなったことで、武雄は立ち上がり あかぎの横に並ぶ。それを受けて、あかぎはタバサと視線を合わせるように かがみ込んだ。 「さて、お話ししてくれるかな?」 「…………」 タバサはあかぎと視線を合わせない。その視線の先には――未だ目覚めない シルフィードがいる。 タバサはゆっくりと立ち上がると、泥と草にまみれた服と髪を払って シルフィードの元に歩み寄る。気を失っているだけだと確かめて、 ようやく安堵の溜息を一つついた。 「……治してやったらどうだ?」 「それはあの子の真意を確かめてからね。シエスタちゃんやふがくちゃんに とって悪いことをしているなら……」 その様子を見ていた武雄がぼそりと言うと、あかぎは目を閉じたまま そう返す。それを聞いて、武雄は「おお怖」と肩をすくませた。 「って言いたいところだけど、お話しするにはちょっと場所を変えた方が 良さそうね……今回はサービスよ」 電探で森の入り口に銃士隊が集結していることを知っていたあかぎは 唇に人差し指を寄せると『癒しの抱擁』を発動させる。 タバサやシルフィード、そして森の外で様子をうかがっている銃士隊や 村人まで緑の輝きに包み込んだ後で、あかぎはくるりときびすを返した。 タバサにとっては二度目の輝き。今度は敵として戦ったのに、傷どころか 人に見られたら恥ずかしい衣服のシミや汚れまで消したあかぎの背中を、 タバサはぼやけた視線で見つめる。 「……きゅ……きゅぃ……」 「あなた、もう一度人間の姿になっておいてね。それができたら 私についてきて」 背を向けたままシルフィードに言うあかぎ。事情が飲み込めないが、 先程までの戦闘で恐怖心を植え付けられたシルフィードは、こくこくと 頷くと『変化』の先住魔法を使い再び人の姿を纏った。 森から人影が現れたとき、その場には緊張が走った。 あかぎは突入体勢のまま待機していたアニエスたちの前まで来ると、 にっこりと微笑んでみせる。 「ごめんなさいね。ちょっと派手にやり過ぎちゃった」 「いや……あれは……派手と言うには……」 あかぎにそう言われて困惑するアニエス。 だが、森からタバサとシルフィードが現れると、目の色が変わる。 「あなたは……ミス・タバサ?それにそちらは?」 「ああ。あの子たち、忘れ物を取りに戻ってきたところを、私が暴れたのに 巻き込んじゃったのよ。お詫びも兼ねて、少しうちで休んでいってもらうわね」 「い、いや……しかし……」 「私がそう言っているの、信用できないのかしら~?」 あかぎは笑っている。しかし、その雰囲気はその笑みとは対照的だ。 思わず一歩後ずさったアニエス。それを肯定と受け取ったあかぎは、 タバサとシルフィードを連れて自分の家に向かった。 「……どうして何も言わなかったのですか?」 「笑いたければ笑え。だがなペリーヌ。わたしは……いくらなんでも 五千七百万リーブルを超える鋼の海の女王にたてつく蛮勇は もはや持ち合わせていない」 そう言うアニエスの顔には苦渋の色がありありと見える。思い出したく ないことを思い出したかのようなその顔に、ペリーヌは思わず声を上げた。 「はぁ!?」 「私は隊長を支持するよ。誰だって死にたくはないよね」 「どういう意味ですのそれ……」 何のことか分からないペリーヌの横で、うんうんとアニエスの言葉に 賛同するエミリー。それを見て、ますますペリーヌは混乱したのだった。 「さあ、どうぞ」 シエスタの家に案内されたタバサとシルフィード。食堂のテーブルを 囲むのは、あかぎ。だが、シエスタの母は、湯気の立つ『アメユー』を 四つ、テーブルに置いた。 「ありがとう、まどかちゃん」 「あかぎおばあちゃん、わたしももう大きな子供がいる年ですから……」 シエスタの母はそう言うが、あかぎは静かに微笑む。 「あら。あなたも、環(たまき)ちゃんも、乃理(のり)ちゃんも、ほむらちゃんも、 み~んな私にとっては大切な孫よ~。たとえ血はつながっていなくてもね」 「……」 タバサはその光景に懐かしさとうらやましさがない交ぜになった。 祖父母が生きていた頃――それはまだ両親がまだいつまでも一緒にいてくれると 思えていた幸せな時間。幼い頃、優しくなでてくれた祖父母の手のぬくもりは 今でも覚えている。そして……それはもう還らない時間で、それを思い出したとき、 胸の奥がちくりと痛んだ。 「……あらあら。どうしたのかしら~?」 いつの間にかあかぎが自分に向き合っていた。シエスタの母はすでに この場におらず、シルフィードは熱い『アメユー』に四苦八苦していた。 「……変わった名前。不思議な響きがする」 タバサはとっさに話題を変えた。あかぎもそれを理解しながら話に乗る。 「そうね~。まどかちゃんたちまでは、武雄さんと私が名前をつけたの。 でも、シエスタちゃんが生まれたとき、もういいだろうって、武雄さんが 言ったから、それからは若い人たちに任せちゃっているわね。 ね、武雄さん」 あかぎがそう言って視線を隣に移すと、そこにはさっき森で出会ったままの 格好の武雄が座っていた。いつの間に――とタバサは目を見開く。 そんなタバサの前に、武雄は布にくるんだ何かを置く。 それは――タバサがあかぎとの戦闘中にどこかに飛ばした眼鏡だった。 「とりあえず歪んではなさそうだったが、念の為あとで職人に見て もらった方がいいな」 「……ありがとう……」 タバサは眼鏡を受け取り、かけてみる。いつもの視界が戻ってくる。 それを見て、武雄はひとつ頷いて見せた。 だが……テーブルの『アメユー』を一口含んだとき、武雄の表情が曇る。 「……才人の野郎、俺がいねぇとすぐ原料ケチりやがって。ルーリーも 何やってたんだ」 「今年は大麦が不良だったんですって。これでも一番良いものを出して もらったわよ」 あかぎがそう言ってシエスタの祖父を擁護する。だが、武雄の怒りは 収まらない。 「ダメだ。こんなもの、うちの沽券に関わる」 「……おいしいのに、ダメなの?」 それを聞いてタバサも『アメユー』を一口飲んで、素直な感想を口にした。 そのタバサに、武雄は頭を下げる。 「すまない。ダメなんだ。これじゃ水飴に深みがない。 次は本物を出せるよう、俺からもきつく言い聞かせておく」 「……次?」 思わずタバサは聞き返す。その顔に、武雄がにかりと笑って見せた。 「……最初からそのつもりだったんだろう?あかぎ」 「そ~ね~。事情がありそうだけど、私には悪い子には見えないから~」 そう言って笑い合う二人。二人が振りまく温かい空気と、温かい 『アメユー』が、凍ったタバサの心を溶かしていく。 「話してもらえないかしら?どうしてこういうことをしたのか。 そうそう。安心して。私たち以外の誰もあなたの話を盗み聞きして いるなんてことはないわ。それは保証するから」 「それも『デュェンタン』の力?」 「ええ。信用できないかしら?」 タバサは首を横に振る。そうして、ぽつりぽつりと語り始めた。 「……わたしの本当の名前はタバサじゃない。 本当の名前は、シャルロット・エレーヌ・オルレアン」 「オルレアンって……まさか、あなた」 記憶の中にある家名に、あかぎが目を丸くする。その言葉に、タバサは 頷いた。 「父はガリア王ジョゼフ一世の王弟、オルレアン公シャルル。 でも、父は伯父に暗殺され、母も、伯父が開いた宴でわたしの代わりに エルフの毒をあおって心を狂わされた。家名は不名誉と傷つけられ、 そして、わたしは従姉の配下の騎士となって、いつ死んでもおかしくない 任務をこなし続けてきた。いつかきっと、父の無念を晴らし、母を元に 戻せる日が来ると信じて」 「なんてこった……こんな子供に」 武雄がテーブルを叩く。その行動に一番驚いたのはタバサ本人だ。 「……どうして?あなたには何も関係がないことなのに」 「ああ。確かによそ様の家の話だ。だがな、子を持つ親なら今の話を 聞いて頭に来ないわけがないんだよ」 「こう言うと親の傲慢に聞こえるかもしれないけれど、子供ってね、 親の貯金箱だと思うの。いっぱいいっぱい愛情を溜め込んで、少しくらい 振られてもびくともしないくらいにしてあげたいの。 それに、あなたのお母様があなたに代わって毒をあおった理由も よく分かるわ。 親ってね、結局はそういうものなのよ。我が身がどうなろうとも、子供だけは 守りたいって。 おかしな話よね。私は子供が産めないのに、育てさせてもらっただけなのにね」 「…………」 タバサには目の前の二人の話がまるで別世界のように聞こえた。 赤の他人のことなのに、まるで自分のことのように怒り、悲しめる二人が 信じられなかった。彼らの国では、それが普通のことなのだろうか、と。 だから、話せたのかもしれない。 「……私の使命は二つ。 一つはこの村に潜入調査に入って行方不明になった騎士を捜すこと。 そして、もう一つは、この村で開発されている新型銃を奪取し、可能ならば その製造施設を破壊すること」 「きゅいっ!?お姉さま、そこまで言ってもいいの!?」 タバサの言葉にシルフィードが目を丸くした。だが…… 「実に順当な命令だ。貴様は死ね、ってな」 「一つ目はもう達成したわね。だけど……」 武雄が腕を組んで得心したように頷き、あかぎも目を閉じてタバサに 答えを促す。電探で探知されていたとは知らないタバサはやっぱり 見られていたのか、とあきらめにも似た気持ちになった。 「二つ目の使命は失敗。あなたが本気だったら、今頃わたしたちは ぼろ屑のようになって森に屍をさらしているところ」 「あら~?私が本気だったらぼろ屑なんて。欠片一つも残す気はないわよ~。 血煙くらいは許してあげるけど~」 目を閉じたまま、あかぎは『アメユー』を一口飲む。その、どこぞの 悪魔の双子ですかと言いたくなるような楽しげに物騒な言葉に シルフィードが縮み上がった。それを見て、武雄が呆れたように言った。 「おいおい。あんまり子供をいじめるなよ」 「あら。失礼ね。教育しているだけじゃない。まぁ、本当なら実戦で 使用されたって情報すら流したくないし。冗談半分本気半分、ってところ かしらね」 「…………。わたしは新型銃について、何も見なかった」 タバサは『アメユー』を一息で飲んで、あかぎと真っ正面から向き合った。 状況から言ってタバサを監視している者がいるはずで、そこから情報が 流れるだろうが、あかぎも武雄もそれについては言及しないでおいた。 「そうしてもらえるとこっちも助かるわね。 何かお礼がしたいところだけど……残念ながら先代のルイ一三世陛下の 頃ならまだお話しできたんだけれど、今のジョゼフ一世陛下とは直接の おつきあいがないの。 ネフテスのテュリーク様に事情を話せばそっちの方から手を回して もらえるかもしれないけれど、問題はガリア王国の通行査証を出して もらえるか、ね」 あかぎがそう言って溜息を一つつく。いきなりとんでもないことを 言い出したあかぎにタバサは言葉も出ない。だが、武雄はゆっくりと 頭を振った。 「このご時世だ。期待はできないだろうな。俺はもうこの村から動くことが できないし、ルーリーももういい年だ。 国境警備も厳しくなっているだろうし昔みたいに川伝いってのも難しいだろうな」 「この村から動けない……?」 怪訝に思ったタバサが素直に問うと、武雄はまるで風景に溶け込むように その姿を薄め――また元に戻った。 「ま、こういうことだ。シエスタやアニエスから聞いただろ? 俺はもう五年前に死んでるよ。日本人はヴァルハラに迎えられないみたいでな」 「幽霊(ファントーム)……」 タバサはそうつぶやくと、その場に固まった。その様子にシルフィードが わたわたと慌て出す。 「お、お姉さま、気をしっかり持つのねー!」 「なあ、ひょっとして……」 その様子に、武雄はあかぎと向き合った。 「ダメだったみたいね~。今日はうちに泊まっていってもらいましょうか~」 そう言って、あかぎは楽しそうに微笑んだ。 前ページ次ページ萌え萌えゼロ大戦(略)
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7411.html
前ページ次ページゼロのロリカード 「何も読めんな・・・・・・」 ジョゼフはやや落胆したような声で呟いた。 土のルビーをその指に、始祖の祈祷書をその手に。 何度か祈祷書をパラパラとめくるものの、文字が光り浮かび上がる気配は一向に無い。 「俺にとってまだ必要な時ではない、と言うことか・・・・・・」 尤もジョゼフとしては読めないなら読めないで、それも構わなかった。 今覚えている呪文だけでも、充分過ぎる。新たな魔法を覚えなくても特に不都合はない。 「これで四の指輪と四の秘宝の内、五つが我が手にある・・・・・・か」 指輪が二つ、秘宝が三つ。と言っても、集めたからどうだというものでもない。 少しだけ興味が湧いたから、なんとなく収集している程度に過ぎない。 ジョゼフは、人質である少女達に目を向ける。後ろ手に縛られ、身動きが取れない二人の少女。 「・・・・・・全く。片方はおよそ闘争に向く性格ではなく、もう片方は杖を落として持っていないとはな」 自分を含めて虚無同士戦わせ、戦おうと思っていた。 しかし虚無を使えないのではと、最早興味は半ば失せていた。 「正直ギリギリだったからね」 ウォルターは、悪びれる様子もなく言い訳をする。 ルイズを攫ってきた経緯は、既に報告済みであった。 タバサの裏切りから、虚無魔法により強化された剣でヨルムンガントを破壊された事まで。 ――――――しかし、杖を落としたという報告は嘘であった。 ルイズは一度拾った杖を、混戦の中でも絶対に手放さなかった。 杖のないメイジが、どれほど無力で役立たずであるかをわかっているから。 例え片手を犠牲にしようと、両足を犠牲にしようと、杖だけは手放さない。 ルイズにはそれくらいの覚悟があった。 実際には、杖は落としたのではなく――――――ウォルターに奪われただけであった。 「まあよい、まだロマリアが残っているしな。どの道、あのような小娘共に最初から期待はしておらん。 それよりも・・・・・・ヨルムンガントの改良が必要だな。虚無で壊れているようでは、話にならんぞ?」 「わかっている。事が終わって戻り次第、早急に改良を進めよう」 ルイズは考える。 杖を奪ったのは――――――最初は、呪文を唱えさせない為・・・・・・だと思っていた。 自分を捕えているガーゴイルを魔法で破壊されない為に、ウォルターが杖を奪うのは当然のこと。 しかし・・・・・・今も杖を持っているウォルターが、それを報告しないのがいまいち解せない。 ジョゼフは虚無の担い手と戦いたがっている。杖を渡してくれれば、自分はジョゼフと戦える。 そのジョゼフの意思を無視し、ウォルターが杖を渡さない理由・・・・・・導き出される帰結。 つまり・・・・・・アーカードに零号開放をさせる為なのだ。 私という人質がなくなれば、アーカードは零号開放する必要はなくなる。 自慢の不死性で持久戦に持ち込み、ゆっくりと全てを殺していけばいいのだ。 だからこそウォルターは杖を奪い、私とガリア王ジョゼフと戦わせないようにした。 ジョゼフの強さはわからない・・・・・・が、私が死ぬにしてもジョゼフが死ぬにしても。 ウォルターにとって面白くない、望ましくない状況に陥るから杖を渡さないのだろう。 故にルイズは杖のことを言わない。少なくとも、今はまだその時ではない。 まだ・・・・・・付け入る隙があるかも知れない。置かれた状況が絶望的となるまでは行動は起こさない。 ジョゼフと対決するのは――――――最後の手段だ。 とりあえず、ウォルターからは敵意を感じない。 杖を奪われた時も、「悪いようにはしない」と言われた。 あの夜の会話からも、ウォルターはアーカードと心底闘いたいだけなのだと感じ入った。 だから・・・・・・今はまだ、ウォルターの言葉を信用しておこうと思う。 † ウォルターは考える。 ――――――自分は今、ルイズの杖を奪い、持っている。 しかしそれをジョゼフに報告はしないし、勿論渡すこともしない。 もし渡してしまえばジョゼフは虚無同士で戦いたがり、ルイズに杖を返すだろう。 ルイズの気性からしても・・・・・・もう一人の担い手とは違い、十中八九勝負を受けるに違いない。 そうなれば勝つのは間違いなくジョゼフ。それだけジョゼフの虚無は強力だ。 ルイズに勝ち目はない。そして負ければ怪我は免れない、最悪死ぬことも有り得る。 そうなれば己の目的遂行に於いて、非常に困る事態となりかねない。 ルイズに危害が及べば、アーカードの気まぐれなど簡単に吹き飛ぶだろう。 なんとか零号開放させても、アーカードが自分とタイマンしてくれなければ意味がない。 死の河が敵を飲み込むその間に、適当にはぐらかされ、逃げられたらどうしようもない。 ルイズを完全な人質として扱い、闘わなければ殺すと言うこともやれないことはない。 だがそのようにして、強制的にアーカードと対決するのは・・・・・・最後の手段だ。 それにアーカードが、ルイズを助ける為ならば自分の命を懸けることすら辞さない心持ちなのかもわからない。 そして・・・・・・少女ながらもアーカードの主人であるルイズに、少なからず畏敬の念を感じる。 インテグラと似ていて、それでいて別の・・・・・・人間としての強さ、その魅力を感じる。 あの夜の会話で、真剣に話を聞き、答えてくれたルイズに、多少なりと好意を感じている。 (・・・・・・悪いようにはしたくない) とは言え、そんな真意までペラペラと喋る程、自分はお人好しでもない。 情報が少ない中、疑問に思うことが数あろうに。 それでもルイズが杖のことを言わないところを見るに、なかなか聡明な少女だ。 己の置かれた状況を的確に認識し、決して取り乱さず、冷静に判断をしている。 先の闘争でもそうだった。・・・・・・もう一人の怯えてるだけのとは大違い。 (ホント・・・・・・アーカードがムキになるのもわかる気がする) ウォルターは胸中で呟く。 鉄の女として完成されたインテグラとは違い、まだ発展途上。 だがインテグラと同じように、大成するだろうその器。 アーカードでなくとも・・・・・・、その将来に楽しみを覚えるというものだった。 だから・・・・・・今はまだ、結果としてルイズに危害が加わるような真似はしない。 「・・・・・・そういえば、元素の兄弟はいないの?」 ウォルターはふと気付いて訊ねた。 ガリア首都リュティスのヴェルサルテイル宮殿には、いくつもの花壇が存在する。 同時にガリアの騎士団は、それぞれ花壇の名にちなんだ名称を持つのである。 しかし・・・・・・北側には花壇が存在せず、表向きは存在しないという騎士団があった。 タバサも所属していた裏の仕事を一手に担う連中、『北花壇警護騎士団』。 殆どが所属している者同士の顔も名前も知らず、様々な厄介事・面倒事を請け負う実力派の騎士達。 その中でも珍しく、四人組の兄弟で仕事をこなす者達がいた。 「虚無の担い手の所在を、長期間調べさせていたからな。いい加減休みが欲しいそうだ」 ダミアン、ジャック、ドゥドゥー、ジャネットの四兄弟。 ウォルターの強さに比べれば、大多数のメイジはまるで相手になりはしない。 が、彼らは卓越した北花壇騎士団の面々の中でも、さらに随一の実力を持っていた。 四人組としても、個人としても。ハルケギニアでは数少ない、戦力として頼りに出来る連中。 元素の兄弟がいたのなら、色々と役に立つのだが・・・・・・いないのであれば仕方がない。 「ヨルムンガントは?」 「一体だけだが既に手配はしてある。そう時間は掛からずに届けられる筈だ」 ウォルターの質問に、ビダーシャルが答える。 トリステインから戻る途中に予め連絡を入れていた。 零号開放させるのに、今のところ集結しているガリア兵だけでは心許ない。 打てる手は全て打っておいた方がいい、当然ながらヨルムンガントがあって越したことはなかった。 「また破壊されたりせんだろうな」 ヨルムンガントは目下生産中。 一体破壊された今、現在稼動可能なのは今から届けられる一体のみであった。 それまで破壊されるのはあまり面白くない。 「虚無はこっちにあるし、大丈夫だと思うけど――――――」 † (ヨルムンガントが・・・・・・もう一体!?) ルイズの胸中が驚愕に染まる。 ウォルター、ジョゼフ、そしてエルフのビダーシャルは、対アーカードの打ち合わせをし始める。 もはや自分達は眼中に無いのか。お構い無しに話をし続けている。 ルイズは耳を澄まして、会話の内容を聞く。 ――――――なるほど、要するにアーカードに零号開放させることを目的としているわけだ。 ウォルターがそうしたいのは、予想ついていた。 アーカードを倒す為に、拘束制御術式の零号開放は必須事項であるからだ。 が、ガリア王ジョゼフまで――――死の河を――――この世の地獄を見たがっているとは。 (・・・・・・エルフ) ルイズは心の中で呟いた。ハルケギニアの人間にとって、最も恐るべき敵。 テファと違ってハーフエルフではない、純粋なエルフ。 会話を見聞きするに、エルフはあまり乗り気ではない様子であった。 が、それにしても人間と組むエルフなんて・・・・・・。通常考えられる事態ではない。 ルイズはエルフを見つめる。ルイズの体が俄かに震えた。 実際に、戦ったわけでもない。その強力な先住魔法を、目の当たりにしたわけでもない。 それでも・・・・・・わかる。肌が敏感に感じ取る。心が理解する。 仇敵の秘めたる力に、メイジとして、虚無の担い手として、畏怖を覚える。 そんなエルフにヨルムンガント、そしてウォルターの実力は言わずもがな。 さらに虚無の担い手であるジョゼフも・・・・・・恐らく戦力に数えられるだろう。 運ばれる途中で、空から見たアーハンブラ城とその周辺を思い出す。 ガリア艦隊は無いようだったが、布陣されている兵の数は、外にいただけでも相当数。 間違いなく・・・・・・アーカードが零号を解放せざるを得ない環境が作り出されている。 敵方が圧倒的物量を有し、同様に物量をぶつけねば効率の悪い状況。 且つ、私と言う人質がいる所為で悠長に殲滅する暇もない、時間的に差し迫った状況。 (アーカードが・・・・・・死ぬ?) 命を全て吐き出した状態のアーカードは、心臓を貫かれれば死ぬ。 そしてウォルターは、その殺せる状態のアーカードと闘うことを望んでいる。 虚無がなければ、反射の掛かったヨルムンガントを破壊する方法は無い。 もしウォルターとヨルムンガントとの波状攻撃を受ければ・・・・・・。 アーカードはきっと退かない。私を助ける為に。 退却しようとしたとしても、私に危害を加えると脅されたら・・・・・・アーカードは――――――。 (いえ・・・・・・アーカードなら、・・・・・・大丈夫) 信じるしかない。アーカードなら勝つ。 私が信じる私の使い魔なら、アーカードなら。 自分を助けてくれる。こんな奴らに負けるわけがない。 (でも・・・・・・出来るなら・・・・・・) 私を助けに来なくても構わない。 アーカードが死ぬ可能性を考えるなら・・・・・・。 ・・・・・・それに、ガリアとの戦争にもなりかねないのだ。 アーカードが助けに来るのは、様々な要素を鑑みるに好ましくない。 そう、助けに来なくてもいい。 (それならそれで、自力で何とかして見せるから・・・・・・) ルイズはギュッと唇を結び、拳を強く・・・・・・血が滲みそうなほどに握り締めた。 ◇ シルフィードを飛ばして学院へと戻る。 アーカード、タバサ、アニエスはそれぞれ軽やかに中庭へと降り立った。 「タバサッ!!アーカードッ!!」 すると待ち構えてたように走ってきた、燃える様な赤髪の女。 キュルケと、さらにコルベールが走って来た。 「ルイズが攫われたんですってね」 「・・・・・・オスマンから聞いたのか」 学院内で起こった事件。 ヨルムンガントの残骸の後始末も含め、責任者であるオスマンには王宮へ行く前に報告していた。 キュルケはコルベールと共にオスマンに問い質し、そしてこうして待っていたのだった。 「そっちの人は?」 キュルケの言葉にアニエスはフードを取る。 普段日差しがある時は、アニエスはフードを被っていた。 まだ他者の血を飲んでいない、真の意味で吸血鬼となっていないアニエスにとって、日差しは体を蝕むもの。 それ故に日中に出歩く時は、フードを被るのが常であった。 「アニエスくん・・・・・・」 「・・・・・・変に気遣われても煩わしい、普通にしていろ」 顔を見て気付いたコルベールの対応に、アニエスはそう言うとフードを被り直す。 既に復讐の件については決着がついている。今更あーだこーだ言及するつもりもない。 「あ・・・あぁ・・・・・・」 コルベールは申し訳無さそうに頷いた。 「・・・・・・助けに行くんでしょ?」 キュルケの言葉に、誰も答えない。その態度をキュルケは無言の肯定と察する。 「私も行くわ」 「・・・・・・足手纏いはいらん」 はっきりとアーカードは告げた。 「言ってくれるわね。お言葉ですけど、私とタバサのコンビネーションは身を以て知ってる筈よ? それにルイズは友達よ、助けに行かない理由はないわ。それにタバサのお母様だって助けなくちゃいけないでしょ」 キュルケの言葉に、アーカードはタバサへと視線を向ける。 タバサは己の母親のことは何一つ言っていなかった。 自分の中だけで決着をつけるべきことであり、わざわざ言う必要はない・・・・・・ということか。 視線に気付いたタバサは、小さく答える。 「母もアーハンブラ城にいる、だから問題ない」 「そうか。それならばついでに救出できるの」 母がアーハンブラ城へ連れて行かれたこと。 その旨が書かれた手紙が、トリスタニアに行く前にタバサのもとに届けられていた。 ルイズを助けに行くと同時に、母親も助け出せる。 都合が良いのか悪いのか、その安否がわからない以上は何とも言えないが。 アーカードは再度キュルケへと目を向け、理由を指し示す。 「確かにコンビネーションは素晴らしいが・・・・・・キュルケ、お前の実力はタバサにすら遥かに劣る」 「そうね、否定しないわ。でも連携するんだし問題ない、むしろ補って余りあると思うけど?」 キュルケの主張に対し、アーカードはかぶりを振って否定する。 「言い方が悪かったな、連携がどうこうと言うわけでない」 「じゃあ・・・・・・どういうことよ」 「仲間思いは結構なことだがな。聞くがキュルケ、お前はいざという時にタバサを見捨てられるか?」 「・・・・・・そんなこと、できるわけないでしょ」 キュルケは質問の真意が分からないまま、眉を顰めつつ否定した。 「だろうな、それはタバサも同じだ。故にお前の存在が足枷になる」 アーカードは淡々と通告する。 タバサも反駁することなく、静かにそれを聞いていた。 「短期決戦での連携は買うがな、長期戦にならんとも限らない。魔力の切れた足手纏い二人を同時には守れん。 となれば、自分の始末は自分でつけられる吸血鬼のアニエスを除けば、当然連れて行けるのは一人だけだ。 まだアニエスは他者を守る程の余裕はない。そしてタバサよりも経験不足で弱いお前を守るのは、負担が大きくなる。 シルフィードで向かうこと、戦力としてのカウント、そしてタバサ自身の因縁と・・・・・・その為すべきこと」 アーカードは一拍置いて、射抜くようにキュルケを見つめた。 「その、いずれも・・・・・・お前に勝る」 キュルケは反論しようと思うが、口篭る。・・・・・・確かに、タバサと比べれば私は弱い。 戦闘経験は言うに及ばず、同じトライアングルメイジでもその魔法の威力も精度も段違い。 そして・・・・・・時に、友愛が足を引っ張ることになりかねないことも認識した。 キュルケは一度だけ嘆息をつくと、観念したように口を開く。 燃ゆる強き瞳で、アーカードの紅瞳を見据える。 「・・・・・・わかったわ。そのかわり――――――」 「んむ、必ず皆で帰って来る」 アーカードの言葉に、キュルケは安堵の息を漏らす。 変に意固地になられても困るし、はっきり言わないと納得しないだろうと、半ば取り繕った言葉だった。 実際にはルイズやタバサの母の安否は知れないし、誰一人帰って来れない可能性も0ではない。 とは言え・・・・・・その言葉を、決して嘘にはしない気負いはある。 ――――――その時だった。 空気が一変し、凍りつく。 急激に周囲の気温が下がるような錯覚に、誰もが囚われた。 ・ ・ ・ ・ アーカードは――――その人物が歩いてくる方向へと――――振り向く。 そしてその人物と同様に、アーカードは嬉々として殺意を剥き出しにした。 本来いる筈のない・・・・・・その人物が放つそれと、アーカードが放つそれ。 二つが衝突し、混ざり合い、空間を埋め尽くす程の圧迫感となる。 体中に鋭い針を・・・・・・何千本何万本も突き刺される、そんなような感覚に襲われる。 アーカードは、思わぬ宿敵との再会に――――――酷く凶暴な笑みを・・・・・・浮かべていた。 前ページ次ページゼロのロリカード
https://w.atwiki.jp/tb_mobage/pages/17.html
N(ノーマル) R(レア) HR(ハイレア) SR(Sレア) SSR(SSレア) LE(レジェンド) イベント用スキルについてはこちらのページを参照 R以上で入手方法が空欄のものは基本的にガシャでゲットすることが出来ます N(ノーマル) ヒーロー名 バディpt 戦闘力 救助力 ヒーロースキル MAX戦闘力 MAX救助力 入手方法 [ルーキーの実力]バーナビー・ブルックス Jr. 6 850 500 - 2110 1270 [ヒーロー登場]バーナビー・ブルックス Jr. 5 680 460 - 1710 1140 エリア9-3,10-1,11-2,11-4,12-3,12-5,14-5,16-2 [マスクの中の微笑]バーナビー・ブルックス Jr. 2 300 180 - 750 450 エリア1-3,2-1,2-4,3-3,4-4,5-4,8-1 [ヒーローの素顔]バーナビー・ブルックス Jr. 6 570 780 - 1440 1940 エリア15-5,16-4 [ヒーロー登場]ファイヤーエンブレム 3 440 260 - 1090 660 エリア2-5,3-2,3-4,4-3,4-5,5-5,6-5 [異色のヒーロー]ファイヤーエンブレム 7 940 620 - 2350 1560 [ヒーローの素顔]ネイサン・シーモア 4 350 570 - 863 1438 エリア11-5,12-2,13-1,13-2,14-2,14-4,15-3,16-1 [的確な意見]ネイサン・シーモア 6 680 680 - 1690 1690 [万年最下位]折紙サイクロン 6 640 710 - 1600 1780 エリア13-3,14-1,15-2,15-4,16-3,16-5 [ヒーロー登場]折紙サイクロン 6 550 800 - 1360 2020 [見切れ命]折紙サイクロン 5 460 680 - 1140 1710 エリア3-5,4-2,5-1,5-2,6-2,6-3,7-3,8-4,9-4,11-1,13-4 [ヒーローの素顔]イワン・カレリン 7 780 780 - 1950 1960 [視聴率至上主義]アニエス・ジュベール 2 190 290 - 480 720 エリア1-1,2-2,2-3,4-1,7-1 [打ち解ける心]トニー 4 480 440 - 1208 1093 エリア7-5,8-2,9-1,9-2,10-2,10-4,11-3,12-1,13-5,15-1 [よき理解者]ベン・ジャクソン 3 350 350 - 870 880 エリア1-2,1-5,3-1,6-3,10-3 [マリーゴールドの帽子]サム 6 680 690 - [怪盗団リーダー]ポーリー(ダイアモンドマン) 6 770 580 - 1930 1450 [熱い実況]マリオ(実況) 3 280 420 - 700 1050 エリア5-3,6-1,7-2,7-4,8-3,8-5,9-5,10-5,12-4,14-3 [メカニック]斎藤 999 100 100 - - - ミッション中ボーナスステージ・各プライズ2回目コンプ・ランキング報酬等 [本音と建て前]バーナビー・ブルックス Jr. 6 820 740 - 2050 1860 [余裕]ファイヤーエンブレム 6 620 940 - [堂々最下位]折紙サイクロン 6 550 810 - 1400 1980 [ウーマンパワー]アニエス・ジュベール 6 540 810 - 1350 2030 [筋肉美]ファイヤーエンブレム 7 620 940 - 1560 2350 [キャリアウーマン]アニエス・ジュベール 6 820 540 - 2030 1350 [縁の下の力持ち]ベン・ジャクソン 6 550 810 - [母は強し]鏑木安寿 6 680 680 - [ひと睨み]経理のおばちゃん 6 550 810 - [心は女子]ネイサン・シーモア 6 820 550 - 2030 1350 [視聴率命]アニエス・ジュベール 6 550 820 - 1360 2020 [女傑]アニエス・ジュベール 6 680 680 - [転機]イワン・カレリン 6 820 550 - [アカデミー校長]ティモ・マッシーニ 6 540 810 - [アカデミー在学中]イワン・カレリン 7 630 930 - [ハイテンション]マリオ(実況) 6 550 820 - [カリーナの友達]エミリー 6 550 820 - [ヒーローの信念]バーナビー・ブルックスJr. 6 550 820 - 1350 2030 [緻密な計算]バーナビー・ブルックスJr. 6 550 820 - 1350 2030 [成長途中]イワン・カレリン 6 820 550 - 2030 1360 [頼れるオネエ]ネイサン・シーモア 6 550 820 - 1360 2030 R(レア) ヒーロー名 バディpt 戦闘力 救助力 ヒーロースキル MAX戦闘力 MAX救助力 入手方法 [母校での特別講義]バーナビー・ブルックスJr./折紙サイクロン 8 900 900 《秘密の素顔》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 小アップ 2200 2220 キャラホビ2012配布シリアルコード [女子力]ファイヤーエンブレム/ブルーローズ 13 1560 2120 《素顔の魅力》ブレイブタイプの救助力 小アップ 3910 5290 [求める真実]バーナビー・ブルックス Jr./ルナティック 14 2460 1480 《真実への手掛かり》ブレイブタイプの戦闘力 小アップ 6150 3700 [導き]折紙サイクロン/スカイハイ 13 2120 1560 《未来への光》ブレイブタイプの戦闘力 小アップ 5290 3910 [いつか咲く華]ドラゴンキッド/ファイヤーエンブレム 14 1670 2270 《女子力アップ》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 小アップ 4190 5660 [ポイントGET]バーナビー・ブルックスJr./スカイハイ 15 2200 2000 《犯人追跡中》ブレイブタイプの救助力 小アップ 5500 5000 メカニック斎藤/ベン・ジャクソン 999 200 200 - - - プライズ3回目コンプ・イベント報酬等 [アプローチ]ファイヤーエンブレム/ワイルドタイガー 15 2100 2100 《過剰なスキンシップ》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 小アップ 5250 5250 [連携の賜物]バーナビー・ブルックス Jr./ワイルドタイガー 15 2420 1780 《意外なコンビネーション》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 小アップ 6040 4460 [前途多難]バーナビー・ブルックス Jr./ワイルドタイガー 8 700 1100 《はじめが肝心》ブレイブタイプの救助力 小アップ 1770 2650 特番『ヒーローステーション』放送中QRコードより入手 [むぎゅっ]ファイヤーエンブレム/ロックバイソン 15 1680 2520 《愛情表現》ブレイブタイプの救助力 小アップ 4200 6300 [冷静沈着]バーナビー・ブルックスJr./ワイルドタイガー 15 2520 1680 《猪突猛進》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 小アップ 6300 4200 [ギリギリセーフ]バーナビー・ブルックスJr./ブルーローズ 15 2420 1780 《間一髪》ブレイブタイプの戦闘力 小アップ 6040 4460 メカニック斎藤/アレキサンダー・ロイズ 999 200 200 《超高濃度酸素カプセル》ブレイブタイプの戦闘力 小アップ - - イベント報酬・ランキング報酬等 [恋のアドバイス]ネイサン・シーモア/キース・グッドマン 15 2420 1780 《笑顔が大事》ブレイブタイプの戦闘力 小アップ 6040 4460 [逆らえない]ネイサン・シーモア/アニエス・ジュベール 15 2560 1640 《プレッシャー》ブレイブタイプの戦闘力 小アップ 6400 4100 [思慕]エミリー・ブルックス/バーナビー・ブルックス 15 2100 2100 《心の支え》ブレイブタイプの戦闘力 小アップ 5250 5250 [隔たり]イワン・カレリン/エドワード 15 2620 1580 《踏み出す勇気》ブレイブタイプの戦闘力 小アップ 6560 3940 [相容れない]バーナビー・ブルックスJr./ワイルドタイガー 15 2520 1680 《見下す》ブレイブタイプの戦闘力 小アップ [意見の相違]バーナビー・ブルックスJr./ワイルドタイガー 15 2100 2100 《屁理屈》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 小アップ [困惑]バーナビー・ブルックスJr./カリーナ・ライル 15 2100 2100 《右往左往》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 小アップ [手掛かり]バーナビー・ブルックスJr./ワイルドタイガー 15 2420 1780 《一縷の希望》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 小アップ 6040 4460 [市長の依頼]バーナビー・ブルックスJr./鏑木・T・虎徹 15 2420 1780 《任務外》ブレイブタイプの戦闘力・救助力小アップ [糾弾]バーナビー・ブルックスJr./ルナティック 15 2620 1580 《こみ上げる激情》ブレイブタイプの戦闘力 小アップ [子守り]ネイサン・シーモア/バーナビー・ブルックスJr. 15 2100 2100 《見当違い》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 小アップ HR(ハイレア) ヒーロー名 バディpt 戦闘力 救助力 ヒーロースキル MAX戦闘力 MAX救助力 入手方法 [見切れだけでは終わらない]折紙サイクロン 10 1360 2050 《人命救助大成功》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 中アップ 5290 3910 モバ友招待第1弾1人招待報酬 [追い続けた闇]バーナビー・ブルックス Jr. 17 2940 2650 《踏み込むアクセル》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 7330 6640 [容赦ない攻撃]ファイヤーエンブレム 17 3350 2240 《狙い撃ち》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 8380 5590 [ニューヒーロー誕生]バーナビー・ブルックス Jr. 9 1600 1500 《ハンサムスマイル》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 中アップ 4050 3730 ステージ2プライズ:シンボルのタワーオブジェ 1回目コンプ [思い出のおもちゃ]バーナビー・ブルックス Jr. 16 2940 2650 《親愛の証》ブレイブタイプの救助力 中アップ 8260 4960 [犯人の目的]ファイヤーエンブレム 15 2870 2120 《かけられた濡れ衣》ブレイブタイプの救助力 中アップ 7170 5300 [人の車に何してくれてんだ]ネイサン・シーモア 10 1880 1540 《女のたしなみ》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 4700 3850 ステージ5プライズ:ガトリング薬きょう1回目コンプ [見切れ絶好調]折紙サイクロン 17 2240 3350 《アピール能力》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 5590 8380 [決別の理由]イワン・カレリン 15 1870 3120 《成長する心》ブレイブタイプの救助力 中アップ 4670 7800 [フォートレスタワーで事件発生]アニエス・ジュベール 16 2250 3040 《視聴率至上主義》ブレイブタイプの救助力 中アップ 5620 7600 [決戦の朝の味噌スープ]ジェイク・マルチネス 16 2780 2510 《ダシが命》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 中アップ 6940 6280 [連続攻撃] バーナビー・ブルックス Jr. 17 3210 2380 《脅威の脚力》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 8030 5940 [求めた真実]バーナビー・ブルックス Jr. 17 3210 2380 《正面突破》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 8030 5940 [ヒーローの休日]イワン・カレリン 10 2030 1500 《手裏剣の手入れ》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 5070 3740 もバ友招待第2弾5人招待報酬 [背中で語る]折紙サイクロン 17 2230 3350 《見切れの極意》ブレイブタイプの救助力 中アップ 5590 8280 [乙女心]ファイヤーエンブレム 17 3330 2250 《妖艶な振る舞い》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 8340 5630 [ドキュメンタリー]アニエス・ジュベール 17 3210 2370 《視聴率の追求》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 中アップ 8030 5940 [発明家]メカニック斎藤 999 300 300 《メカニックルーム》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ - - イベント報酬・ランキング報酬等 [ヒーローの休日]ネイサン・シーモア 10 1420 2100 《ボディケア》ブレイブタイプの救助力 中アップ 3560 5250 モバ友招待第3弾5人招待報酬 [予測不能]バーナビー・ブルックスJr. 17 3330 2250 《スタイリッシュ》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 8340 5630 [思い出]エミリー・ブルックス 17 2240 3360 《母の慈愛》ブレイブタイプの救助力 中アップ 5590 8380 [俺たちの理想]ジェイク・マルチネス 11 2340 1410 《見抜く》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ モバ友招待第4弾5人招待報酬 [友情]イワン・カレリン 17 3380 2200 《決意》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 8470 5500 [相談]イワン・カレリン 9 1560 1560 《心を許す相手》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 中アップ ステージ7プライズ:追憶の砂時計1回目コンプ [密着取材]バーナビー・ブルックスJr. 17 2790 2790 《人気もの》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 中アップ 6990 6980 [お披露目]バーナビー・ブルックスJr. 17 3360 2240 《サービス精神》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 8390 5580 [事態の急変]折紙サイクロン 11 1500 2250 《作戦変更》ブレイブタイプの救助力 中アップ モバ友招待第6弾3人招待報酬 [逸る気持ち]バーナビー・ブルックスJr. 17 3380 2200 《追求》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 8470 5500 [さすがはヒーロー]折紙サイクロン 17 2800 2780 《躍進》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 中アップ [背負った覚悟]バーナビー・ブルックスJr. 17 3380 2200 《烈火のごとく》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 8470 5500 [重圧]バーナビー・ブルックスJr. 17 3220 2360 《目的のために》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 8040 5930 [敵は目前]バーナビー・ブルックスJr. 17 3360 2220 《怒りの猛追》ブレイブタイプの戦闘力 中アップ 8390 5580 [反発]バーナビー・ブルックスJr. 10 2760 2750 《生意気》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 中アップ 4410 4400 スペシャルログインボーナス第1弾にて入手 [明かされる過去]バーナビー・ブルックスJr. 17 2800 2800 《唯一の記憶》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 中アップ 「バレンタイン」絆Lv報酬 [思い出]バーナビー・ブルックスJr. 17 2240 3360 《忘れない温もり》ブレイブタイプの救助力 中アップ 8470 5500 SR(Sレア) ヒーロー名 バディpt 戦闘力 救助力 ヒーロースキル MAX戦闘力 MAX救助力 入手方法 [ウサギのワンポイント]バーナビー・ブルックスJr. 18 3900 2600 《バースデーサプライズ》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 大アップ 9750 6500 [ハンサム手料理]バーナビー・ブルックスJr. 10 1510 2270 《思いやりパスタ》味方全体の戦闘力・救助力 大アップ 3780 5670 PSPソフト「TIGER BUNNY オンエアジャック!」初回封入シリアルコードから入手 [消えた手がかり]バーナビー・ブルックスJr. 12 2760 1840 《執念の追跡》ブレイブタイプの戦闘力 大アップ 6900 4600 モバ友招待第3弾10人招待報酬 [怒りの反撃]バーナビー・ブルックス Jr. 18 4060 2440 《希望を繋ぐ力》ブレイブタイプの戦闘力 大アップ 10160 6090 [灼熱の炎]ファイヤーエンブレム 12 2300 2300 《ファイヤーボール》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 大アップ 5750 5750 モバ友招待第2弾10人招待報酬 [忍びの心得]折紙サイクロン 18 3740 2760 《喝》ブレイブタイプの戦闘力 大アップ 9350 6900 [復讐の灯]バーナビー・ブルックスJr. 19 4100 2730 《強い意志》ブレイブタイプの戦闘力 大アップ 10240 6820 ヒーローランキングアワード個人ランキング上位報酬 [強盗犯]ロビン・バクスター 10 4910 4540 《所在転換》の味方全体の戦闘力・救助力 大アップ 4910 4540 ナムコ・ナンジャタウンタイアップキャンペーンにて入手 [BTB]バーナビー・ブルックスJr. 18 3900 2600 《決めポーズ》ブレイブタイプの戦闘力 大アップ 9750 6500 [グラビア撮影]バーナビー・ブルックスJr. 18 2600 3900 《カメラ目線》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 大アップ 6500 9750 [パウンドケーキ]バーナビー・ブルックスJr. 19 3420 3420 《無邪気なほほえみ》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 大アップ 8530 8530 「BBJ☆HBP」中間ランキング上位報酬 [紅蓮の炎]ファイヤーエンブレム 18 3410 3090 《完全包囲》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 大アップ [太刀さばき]折紙サイクロン 18 3740 2770 《一閃》ブレイブタイプの戦闘力・救助力大アップ 9350 6910 [クリスマスの思い出]バーナビー・ブルックスJr. 19 3420 3420 《追憶》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 大アップ 8530 8530 [追い続けた敵]バーナビー・ブルックスJr. 19 4100 2730 《沸き立つ怒り》ブレイブタイプの戦闘力 大アップ 10240 6820 [マッスルビューティ]ファイヤーエンブレム 19 3590 3250 《魅惑のボディライン》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 大アップ [様式美]折紙サイクロン 19 4270 2560 《粋》ブレイブタイプの戦闘力 大アップ [胡蝶の夢]折紙サイクロン 19 4100 2730 《なびく閃光》ブレイブタイプの戦闘力 大アップ SSR(SSレア) ヒーロー名 バディpt 戦闘力 救助力 ヒーロースキル MAX戦闘力 MAX救助力 入手方法 [スーパールーキー]バーナビー・ブルックスJr. 20 3100 4660 《最高のパートナー》ブレイブタイプの戦闘力 特大アップ 9100 11120 [見切れ職人]折紙サイクロン 15 2840 3140 《スポンサーアピール》ブレイブタイプの救助力 特大アップ 7100 7860 モバ友招待第1弾20人招待 [Happy Birthday]バーナビー・ブルックスJr. 21 4060 4060 《祝福》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 特大アップ 10150 10140 「BBJ☆HBP」総合ランキング上位報酬 [パワー放出]バーナビー・ブルックスJr. 16 3670 2450 《悲願達成》ブレイブタイプの戦闘力特大アップ 9160 6110 モバ友招待第弾20人招待報酬 [和の文化]イワン・カレリン 22 3400 5090 《愛好家》ブレイブタイプの救助力 特大アップ 8480 12710 「激闘!羽根つきバトル」総合ランキング上位報酬 [スタイリッシュにお仕事]バーナビー・ブルックスJr. 22 4240 4240 《余裕の撮影》ブレイブタイプの戦闘力特大アップ 「バレンタイン」中間ランキング上位報酬 [ブルジョワ直火焼き]ファイヤーエンブレム 22 5080 3400 《豪華絢爛》ブレイブタイプの戦闘力 特大アップ 「エッグハント」総合ランキング上位報酬 LE(レジェンド) ヒーロー名 バディpt 戦闘力 救助力 ヒーロースキル MAX戦闘力 MAX救助力 入手方法 [パートナーシップ]バーナビー・ブルックスJr./ワイルドタイガー 24 5100 4600 《パートナーシップ》味方全体の戦闘力・救助力 極大アップ 12700 11500 [つかの間の安息]鏑木・T・虎徹/バーナビー・ブルックスJr. 25 5030 5030 《勝利の美酒》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 極大アップ 12570 12560 「BBJ☆HBP」総合ランキング上位報酬 [雪化粧]バーナビー・ブルックスJr./イワン・カレリン 25 5030 5030 《冬支度》ブレイブタイプの戦闘力・救助力 極大アップ 12560 12570 [乙女☆クラブ]ネイサン・シーモア/カリーナ・ライル/ホァン・パオリン 25 4280 5780 《ファイヤーいい声》ブレイブタイプの救助力 極大アップ ヒーローランキングアワード上位報酬
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2207.html
「……妙だな」 「は? 如何なされましたか?」 副官の問いにも答えず、老士官は眼下の戦況に思いを巡らせる。 大砲を迂回し側面から奇襲しようとした鉄砲隊は敵の妨害を受け、これと交戦中。 敵の規模から見るに、用心の為に配した部隊ではないだろう。 そもそも数で劣っているトリステイン軍が戦力を割く筈がない。 なら、こちらの動きが分かっているとしか考えられない。 しかしアルビオン軍が誇る竜騎士を相手にして、 竜やグリフォンを偵察に回す余裕が彼等にあるとは思えない。 それに艦船にしてもトリステイン艦隊は壊滅状態だ。 他の所から船を引っ張ってくる時間も無い。 だが、起こり得ない事も起きるのが戦争の常だと彼は知っていた。 「念の為、竜騎士隊を周辺の空域の捜索に当たらせろ」 「はっ!」 老士官の指示を受け、副官が靴を鳴らして敬礼を取る。 それを眺めながら、やはり堅苦しい挨拶は慣れないものだなと彼は苦笑いを浮かべた。 「怯むな! 進め!」 塹壕に隠れたモット伯が上げる勇ましい声も砲声に掻き消される。 トリステイン側の砲が沈黙すると、今度はアルビオン軍が一斉に反攻に打って出た。 塹壕諸共に兵士を吹き飛ばす砲撃と、その生き残りを狩りたてる鉄砲隊の突撃は、 見る間に拮抗していた戦況を覆し、その天秤をアルビオン側へと傾けていく。 否、そもそもがこれが本来の戦力差なのだ。 いかに魔法が精神力で発動する力だとしても、 人の意思が傷付いた肉体を奮い立たせようとも、 実際の物量差を埋めるには至らない。 アニエスは悔しげに唇を噛み締めながら剣を抜いた。 銃も大砲も使えないのなら、これで戦うより他にない。 果たして傷付いた脚でどれだけ戦えるのか、 それでも指揮官が戦って見せねば兵士は動かないだろう。 「突撃ィィーー!!」 雄叫びを上げて敵陣に斬りかかるアニエスに、兵士達も剣を手にし後に続く。 一直線に突撃してくる敵軍を前に、アルビオン軍に僅かな動揺が生まれる。 しかし、それは容易く嘲笑に取って代わられた。 まるで鴨撃ちも同然。向こうから出てきてくれるなら好都合。 そう言わんばかりにアニエス達へと銃口が向けられる。 その刹那。砲声が鳴り響く戦場に、犬の遠吠えが響き渡った。 心臓を鷲掴みされたような恐怖がアルビオンの兵士達の間を駆け抜ける。 狙いを定めようとした手は雪山に放り出されたかの如く震え、 眩暈にも似た感覚が彼等の視界を著しく乱す。 平常を失ったまま放たれた弾丸は、アニエス達を避けるかのように彼方に消えた。 慌てて弾を込めなおそうとするも火薬や弾を取りこぼす有様。 戦意は瞬く間に潰え、その悉くがアニエス達の剣の露となって散り逝く。 彼等はアニエス達に負けたのではない、心の奥底に眠る“バオー”の恐怖に負けたのだ。 敵の銃と弾薬を奪い、アニエスは更に攻勢を続ける。 既に彼女は気付いていた。これは彼の声ではない。 ただ命じられるがままに吼えるだけの鳴き声。 そこには胸を締め付けるような悲しみも怒りも感じられない。 恐らく被害が出なければ敵も気付き始めるだろう。 ……その前に可能な限り敵を叩く。 あるかどうかも分からない活路だが彼女はそれに賭けたのだ。 アルビオン軍の地上部隊に混乱が広がっていく。 さながら小石を投げ入れた水面に浮かぶ波紋にも似た光景。 “ニューカッスル城の怪物”が現れたのだと、 口々に悲鳴にも似た声を上げて兵士達の統制は崩壊した。 その場から逃げ出す者、蹲る者、僅かな物音にさえ恐怖を感じる者。 反応こそ様々だが、そこにあるのは純粋な“バオー”への恐怖。 もはやこうなってしまえば歴戦の指揮官だろうと収拾は付けられない。 楔の如く左翼に打ち込まれたアルビオン軍の先鋒が、 亀裂が走ったかのように次々と打ち砕かれていく。 「ワルド子爵! ワルド子爵はどこに居られるか!?」 慌てた様子で船員が『レキシントン』艦内を駆けずり回る。 こんな時だけは異常とも言えるこの艦の図体の大きさが癇に障る。 まだアルビオン軍が優勢にあるとはいえ、余裕ぶっていられる状況ではない。 嘘か誠か“ニューカッスル城の怪物”は一匹で一軍に匹敵するとも言われている。 話半分だとしても、それが脅威である事に違いはない。 そこに兵士たちの恐慌が加わればアルビオン軍とて壊滅しかねない。 だからこそ一刻も早くワルド子爵を探し出し、 “ニューカッスル城の怪物”を仕留めてもらわねば……。 ワルド子爵の姿を彼が見つけたのは『レキシントン』の甲板上だった。 自身の風竜に背を預け、未だに飛び立つ気配さえ見せぬ彼に船員は苛立ちを隠せない。 先程のは臆病風に吹かれたのを誤魔化す為の虚言か。 当の怪物が出たというのに平然としている彼の態度に船員は落胆した。 所詮はトリステインの裏切り者。信用に足るような人物ではなかったという事か。 ギシリと歯を噛み鳴らしながら、彼はワルド子爵に手を伸ばそうとした。 「おい、さっさと出撃しろと……」 見れば、突き出した腕はワルド子爵ではなく地面へと向かっていた。 体勢が崩れるのにも似た違和感に気付いた時には、 彼の半身は肩口から滑り落ちて血溜まりを形成していた。 「黙っていろと言ったはずだがな」 聞き遂げる者もない言葉を口にしながらワルドは再び戦場に意識を傾ける。 この咆哮は決して奴の物ではない。 世界を揺るがせるような奴の恐怖を微塵も感じ取れない。 ならば、これはアルビオン軍を混乱させるだけの偽り。 だが何故そのような手段を取る? 実際に奴を戦線に投入すれば済む話だ。 それとも此処に奴がいないとでも言うのか? 有り得ないとワルドは頭を振った。 あれだけの戦力をトリステインが手放す筈がない。 負けられぬ一戦ならばこそ確実に使ってくる。 ……それに、ここにはルイズがいる。 奴は必ずルイズを守る。 たとえ自分の命がどれほどの危機に晒されようとも、 自身の命を捨てる事さえも厭わない。 その光景を嫌というほど、この目に焼き付けた。 だからこそ奴は必ずここにいると確信できる。 ルイズと奴は忌々しいほどに繋がっている。 それは断ち切れぬ運命にも等しい。 だが、それをここで終焉とする為に彼はここにいる。 自らの手で“バオー”を討ち取る事で…。 高らかに吼え続ける数頭の犬。 その隣を伝令達が吉報を手に駆け抜けていく。 「上手くいきましたな」 「ですが二度、三度とはいかないでしょう」 齎された情報に耳を傾けながらマザリーニとアンリエッタは言葉を交わす。 やはり“彼”の残した爪痕は今もアルビオン兵達の胸に深々と刻まれていた。 ただの犬の鳴き声は数百の砲門に匹敵する戦果を上げていた。 浮き足立つアルビオン軍を叩くのなら今をおいて他にない。 それが分かっている筈なのに右翼の主力は動く気配を見せない。 敵の侵攻を左翼が防ぎ、右翼がその側面を突けばアルビオン地上軍を駆逐できるだろう。 だが彼等は王女の護衛を最優先とし、その場を離れようとはしない。 それが自己弁護じみた物だと理解して、アンリエッタは苛立たしげに呟いた。 「これでは何の為に義勇兵は戦っているのですか! 彼等を見殺しにして…それで勝利だと言い張るのですか!?」 「人は誰かの思うように動かせる物ではありません。 それは王家の威光がどれほどの物であろうと、それは変わりません」 まるで彼等を肯定するかのような言い草に、アンリエッタがキッと視線を向ける。 睨みつけるかのような眼差しを受けてもマザリーニは動じない。 彼女とて子供ではない。人は奇麗事だけでは生きていけない。 アンリエッタの意向を汲み取ったとしても、わざわざ危険に飛び込もうとはしない。 ……何故だろう? 私とルイズ、どこにそれほどの違いがあるのだろうか。 一度として私は王女として生まれた事を恵まれていると感じた事はない。 窮屈で形式にばかり拘り、愛する者に想いを告げる事さえ許されず、 信じられる者など宮廷のどこにも存在しなかった。 誰かが私を讃えようとも心が満たされる事もない。 それに比べてルイズはどれほど恵まれている事か。 魔法が使えない? その程度の事がどうしたというのか。 彼女には命を懸けて戦ってくれる使い魔が、親友達がいる。 命令されたのではなく自分の意思で彼女を守ろうとしてくれる。 時には盾に、時には暖かい温もりとなって彼女を包む。 周りを冷たい城壁に覆われた私には眩しく映る光景。 分かってる。私は……ルイズに嫉妬している。 王女の座なんて欲しくなかった。 私はただ一人の少女として幸せになりたかっただけ。 友人に囲まれて、平凡な日々を当たり前のように過ごしたかった。 そんな些細な願いさえも始祖は聞き届けてはくれなかったのだ。 「どうしたんだ? 連中、急に手を休めて……ティータイムって訳じゃなさそうですがね」 「見当は付くけどね。今の内に脱出しないと次はない」 不思議そうに首を傾げるニコラに、ギーシュが深刻そうな面持ちで答える。 今のは犬の鳴き声だったけど彼のじゃない。 そもそも彼はコルベール先生の所で眠り続けている。 恐らくは姫殿下が用意した策なのだろう。 だが、この混乱もしばらくすれば収まってしまう。 彼がいないと気付かれれば同じ手は二度と通用しない。 弾痕だらけの木に凭れ掛かっていた背を起こし、 ギーシュは錬金した鏡で敵の様子を窺う。 見れば相手の数は五人程度。 不意を打てば勝てない数ではないが、 相手は自分達の位置を完全に把握している。 言うなれば完全にギーシュ達は追い込まれていた。 奇襲にこそ成功したものの一発撃てば三倍の弾丸が返ってくる戦力差に、 落とした皿が割れるかのようにギーシュの率いる別働隊は分断された。 気付けばニコラと二人、本隊から引き離され森の木々を盾にしながら戦っていた。 「囮としてワルキューレを二体出す。 それに銃撃が集中したら続けて僕達も飛び出す。 再装填が終わる前に、連中を片付けるんだ」 「……ヤバイ橋を渡る事になりますぜ」 「橋があるだけまだマシさ」 ギーシュが造花の杖を振るう。 舞い落ちた花弁が地面に吸い込まれ、その場に二体の青銅の戦乙女が出現した。 再びギーシュが杖を振るうとワルキューレは敵の前へと躍り出た。 アルビオン兵の口から漏れた小さな悲鳴を銃声が塗り潰していく。 雨粒のように降り注いだ弾丸が青銅の身体を次々と穿つ。 続いてギーシュ達も遮蔽物から飛び出す。 だが、そこに待っていたのは側面から迫り来る、別のアルビオン兵達だった。 正面にばかり気を配っていたせいか、反応が遅れたギーシュ達に向けられる銃口。 豪雨にも似た弾丸が押し寄せてくる様を想像し、不意にギーシュは瞳を閉じた。 願わくば痛みを感じる間もなく終わってくれる事を願いながら、彼はその瞬間を待った。 しかし、銃声の代わりに響き渡ったのは兵士達の断末魔だった。 咄嗟に目を見開いた彼の前でアルビオン兵達が倒されていく。 彼等に襲い掛かっているのは、手に剣や槍などの雑多な武器を持った平民だった。 その統一性のない服装は、それだけで彼等が軍人ではない事を伝える。 銃を持った兵達も平民達の数の前に容易く押し潰され、次々と槍に貫かれていく。 何が起きたのか分からないまま呆然とする彼等の上を、一隻の船が通り抜けた。 「船影を確認! 現在、船籍の確認中です!」 「バカな! トリステイン艦隊は壊滅した筈だぞ!」 慌てて駆け込む伝令にジョンストンは困惑の声を上げた。 艦隊司令が取り乱すなどあってはならないが、 それも致し方ない事なのかも知れないとボーウッドは思う。 自分達の手で確実に潰した筈の敵が出てきたのだ。 生き残りがいたとは思えないが余所から来たとも思えない。 同時に左翼で敵の増援が出現したという情報が艦橋を揺るがす。 まさかゲルマニア…いや、ガリアやロマリアという可能性も否定できない。 ボーウッドが固唾を呑んで戦況を見守る中、伝令が艦橋に新たな情報を齎した。 「船籍確認できました! トリステイン王国所属……交易船『マリー・ガラント』号です!」 突如、真上に現れた船影にトリステイン軍全体に動揺が走った。 よもや交易船が戦争に参加するなどと判る筈も無い。 あれは一体何処の所属の船だ?と騒ぎ立てる最中、『マリー・ガラント』は旗を掲げた。 だが、それはトリステイン王国の旗ではない。 「伯爵! 敵船が頭上に!」 「落ち着け。あれは確かにアルビオンの旗だが敵ではない」 詰め寄る兵に、モット伯は落ち着いた様子で答えた。 掲げられた紋章は赤地に横たわる三匹の竜。 それが示すのは『神聖アルビオン共和国』ではない。 既に失われた『アルビオン王国』の国旗。 「彼等は……友軍だ」 船に掲げられた旗の意味を余す所なく理解してモット伯は告げた。 「……どうしても行くんですか?」 「ええ。私には最期まで見届ける義務がありますから」 シエスタの問い変えに振り返りもせずコルベールは答えた。 彼が去ってしばらく後、コルベールは再び立ち上がった。 ……成すべき事は判っている。 この世界を愛した彼だからこそ破滅の引き金を引かせる訳にはいかない。 彼の行動を見届け、そして自分の手で幕を引こう。 犯した罪は決して償われる事はない。 人々を焼殺した呪わしい力も失われない。 ……その全てを含めて今の自分なのだ。 だからこそ背負っていこう。 彼がその身に宿した“力”と同じ様に。 過去に縛られるのではなく受け入れていこう。 そして踏み出そう、あの時から止まってしまった時間をもう一度。 「でもここからタルブなんて…」 「いえ、問題ありません」 コルベールが小屋の扉に手を掛けて両側に開く。 それを目にした瞬間、シエスタの両目が大きく見開かれた。 そこにあったのは彼女の実家で眠っていた『竜の羽衣』。 長い時を経て、戦場を駆け抜けた“竜”が目覚めようとしていた…。
https://w.atwiki.jp/brave_ship/pages/16.html
第11回~第20回←前 情報求む! 次→第31回~第40回 第21回魔王討伐船ブレイブ号 2024/4/15 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 4/15 ブレイブ号が1日に2回も出航することがあるんですね~ あーる。 モチベは下げても下げられるな(船長/牧師) さく 4/15北極への帰還 虚無 がああ マメシバ 1日2戦じゃ満足できません!2024-04-15 白米 まぉ 突然北極に誘拐されました。 ネタバレ 第22回魔王討伐船ブレイブ号 2024/4/16 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 4/16 本日もお集まりいただきありがとうございますッ! 虚無 ぱんくん 平十こうじ マックのタツタが食いたい あーる。 キャラコンはしてもされるな(/) だーす 荘園にいたはずが気が付いたら北極にロングワープしてた ヘム 2024.4.16 稲生アニエス ネタバレ 第23回魔王討伐船ブレイブ号 2024/4/17 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 4/17 魔王と敵対するんじゃなく仲良く手を組みたいですね れれい シャープアイズ 4/17 海兵/医師 あーる。 主催になってもなられるな(航海士/技師) トスタポンテ 役職:牧師/船長 勇者ユウダイさん主催ドレハンに参加します! バケゆか ドレハ 船長→なんか! 星屑ゆぅみ おふねのじかん!4/10 冬星ひまり 今日も今日とてがんばるぞ~! zisock 4/17 お突発お船ですわよぉ!!!!! ネタバレ 第24回魔王討伐船ブレイブ号 2024/4/22 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 4/22 深夜にこっそりとお船が出ますよ🚢 虚無 あーる。 鍵は抜いても抜かれるな(船長/料理人) 猫之宮みー太郎 4/23 たまには暴れたい! トスタポンテ 役職:料理人/航海士 勇者ユウダイさん主催ドレハンに参加します! ヘム 2024.4.23 稲生アニエス たまには深夜便 2024/4/23 さく 4/23配信と北極への帰還 ネタバレ + ... 第25回魔王討伐船ブレイブ号 2024/5/5 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 5/5 北極はいつだって僕らを待っているんだ! 虚無 ぱぷぁ。 プレイヤー久々だ zisock 5/5 こどもの日っていつになってもテンション上がるんる 黒光の亀 ウキウキで遊ぶたいドレハン らい 5/5 魔王討伐船ブレイブ号 いがこ オーバーチャージ ぺんたぐらむ 夕方ブレイブ号!!! ネタバレ 第26回魔王討伐船ブレイブ号 2024/5/5 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 5/5 パーティー組んで!みんなで魔王を倒しに行こう! 虚無 マメシバ 端午の節句!2024-05-05 れれい ただ後ろから撃てばいい 5/5 海兵 稲生アニエス 『信頼』はするけど『信用』はしない 2024/5/5 桜海紅羽 初めてのお船で震える子猫 いがこ 植物学の知識 にっちゃん ネタバレ 第27回魔王討伐船ブレイブ号 2024/5/8 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 5/8 ニトロロマン砲!発射ッ!! 虚無 05/08 何があっても灯台に行く ぱぷぁ。 エンジョイジョイおふね zisock 5/8 フルーツ饅頭って初めて食べたけどおいしかったあ ヘム 2024.5.8 らい 5/8 魔王討伐船ブレイブ 桜海紅羽 最近この船で飼われはじめた子猫視点 がああ 猫之宮みー太郎 5/8 急遽おふねいくぞ~~! ネタバレ + ... 第28回魔王討伐船ブレイブ号 2024/5/10 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 5/10 丁寧に確実に!最終的に勝てるプランを! 虚無 05/10 おはようございます いがこ ずっと一緒だ マメシバ 代打だいだでもドレハンしたい! 平十こうじ 深夜船始まります ぱぷぁ。 究極の足早マン!ver.2 5/10 zisock 5/9 こーいしちゃったんだ、君に気付いてなーいでしょおおおおお れれい 続・ニトロポケット 5/10 海兵 さく 5/10今日もメンバー重めでは? ネタバレ 第29回魔王討伐船ブレイブ号 2024/5/11 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 5/11 れれいさん!今日は全クルーでおねがいします! 虚無 05/11 クマやるぞー!! 黒光の亀 猫之宮みー太郎 5/11 深夜船だ!のりこめ!!! さく 5/11深夜船、ありがとう 平十こうじ 魔王と勇者は絶対に手を組むな 桜海紅羽 傀儡怖いでしょう れれい 霧の加護 5/11 船長 ネタバレ 第30回魔王討伐船ブレイブ号 2024/5/14 Map情報 乗船者 参加者 視点アーカイブ 勇者ユウダイ 5/14 この世は弱肉強食!狩るか、狩られるかだ! 虚無 05/14 一周回ってニトロにこだわらない ぱぷぁ。 papua`s kitchen 5/14 料理人➡航海士 zisock 5/13 解毒たくさん解毒たくさん毒たくさん トスタポンテ 役職:牧師/船長 勇者ユウダイさん主催ドレハンに参加します! さく 5/14この時間は乗船できてしまうのです れれい 悪食 5/14 船長 ぱんくん ネタバレ 第11回~第20回←前 情報求む! 次→第31回~第40回
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6663.html
前ページ次ページゼロの黒魔道士 雲が後ろに走っていく。木々のざわめきが一際大きい。 「相棒、相棒ぉ~!めずらしく勇ましく積極的じゃねぇの?」 左手に握ったデルフがカラカラと笑うように言う。 「戦争は……嫌だから!」 チョコボから落ちないように、手綱を握る右手に、より一層力がこもった。 「ま、それにゃ同意だな。決闘ならともかく、戦争にゃ美学が少なすぎらぁ」 「……それは、なんか違うと思うけど?」 美学とか、そういう問題じゃないと思う。 なんか、うまく言えないけど……嫌なんだ。誰かが死ぬのを、黙って見てるなんて。 「ま、いいじゃねぇの!相棒がやる気なら全力サポートすっぜ?で、どうする?」 「……どうしよう」 大砲の音とともにトリステインの飛空挺が沈んでいく。 空は爆音と煙であふれていた。どうすれば、これを止められるんだろう…… 「いや早ぇな!?」 チョコボの背に捕まりながら、ザワザワする心をそのままに、考えていた。 どうすれば、守れるのかを。 ゼロの黒魔道士 ~第三十九幕~ 闘う者達 「――ビビ君、一番大きな船が見えるか?」 並走するギーシュが真っ直ぐ前を見たまま話しかける。 「……え?あぁ、アレのこと?」 一番大きな船は、進行方向真っ直ぐの上空で、悠然と居坐っていた。 近寄るトリステインの船を、小蝿をおっぱらうような簡単に大砲で潰している。 いかにも、ボスっていうたたずまいだった。 「いいか、ビビ君、戦の基本は頭と手を潰すこと、だよ」 「……頭と、手?」 ギーシュは、まっすぐ、前を見据えている。 「――ビビ君、頭は、君に任せていいか?」 真剣な、目。覚悟を決めたって感じの目をしていた。 「え、ちょ、ちょっと待ってよ?それじゃ、ギーシュは?」 頭『は』っていうことは、自ずとギーシュはボクと別行動で…… 「何隻か、着陸態勢に入っている」 ギーシュが指さす先。 そっちには、『頭』よりも大分小さい飛空挺が2、3隻、岩場の隙間をぬってゆっくりと降下しているところだった。 「ラ・ロシェールやタルブを占領する腹づもりだろう。――僕は、『手』を潰す」 震える唇で、無理矢理笑顔を作るのが分かる。自分の言ったことに少しだけ怯えているんだろうか。 ……思わず、『大丈夫?』って聞いちゃいそうだった。 でも、ボクは知っている。ギーシュは、強い。 最近、特に強くなってきているっていうことは、いつもの特訓で知っている。 それに、何て言ったらいいんだろう。心が、強い。 ここぞっていうときに、何とかしてしまえる、そんな安心感がある。 そういった意味では、ジタンとどこか似ている感じもする。 ……だから、ボクが言ったのは、『大丈夫?』じゃなくて…… 「……うん、分かった!無事でね!」 「あたりまえさ!」 「おっしゃいっちょサクッとズバッと俺様大活躍ぅっ!」 木々の間を抜けて、二手に分かれた。 『頭』と『手』、同時に打つために。 やるべきことは、決まった。 それぞれなすべきことが、決まった。 なら、それをやるしかない。 手綱を握る右手をもう1度ギュッと強くにぎりしめた。 ・ ・ ・ 「……ま、真下から見るとさらに大きいね……」 見渡す地面に全部影を作って、その飛空挺は空にあった。 首が痛くなりそうなぐらい、高いところにあって、ちょっとした島ぐらい、大きく見える。 「狙いは寄ってきた敵の排除ってとこか。近づくだけで殺られんぞ」 デルフがカチャカチャと警告する。 「……『メテオ』で落とせるかな……」 『頭』を潰すって考えたときに、真っ先に考えたけど…… ちょっと距離がある。うまい具合に狙いをつけないと、飛空挺に落ちそうにない。 でも、周りは平地。飛べないチョコボであの高さまで行くのは難しそうだ。 かといって、『サンダガ』や『コメット』でも似たようなものだ。 距離が遠すぎると、どうしようもない。 「どっちにしろ、今落としたら相棒ヤバくね?」 デルフの言うとおり、今落としたらボクの真上に残骸が落ちてくることになる。 ……ちょっと、厳しそうな状況だった。 「……うーん……」 ボコに乗ったまま、周囲をグルっと偵察する。 早くなんとかしないとって焦る気持ちがザワつくけど、無茶はできない。 今、ここ、この場所にいるのはボクぐらい。だから、ボクがなんとかしなくっちゃ…… 「貴様、ここで何をしている!?」 「……え!?」 おっきな飛空挺と影が重なって気付かなかったんだ。 「何だ?民間人のガキか?」 小さめのドラゴンに乗った兵士。状況からどう考えても、アルビオンの…… 「え、あ、あの……」 「おい、どうした?――なんだ、ガキじゃないか」 返事に困っていたら、さらにもう一体、ドラゴンに乗った兵士が寄ってくる。 ……よく見れば、『頭』を守るように、何体ものドラゴンがグルグルと偵察をしている。 「いえ、しかし、怪しい動きを!」 「ほう?どうする、上からは、疑わしきは――」 「は!罰せとの指示です!」 どうやら、怪しい動きをしていただけで捕まえられてしまうらしい。 ……どうしよう、って思った、その先だった。 突拍子もない、っていうより、トンデモない考えが浮かんだ。浮かんでしまったんだ。 「なら手早くしろ。見張りも暇じゃないんだ」 「ハッ!」 「相棒、どうする?」 「……あのさ、デルフ、こういうのって、できると思う?」 ボソボソっとデルフに相談する。流石に、あり得ない作戦かなって思ったからだ。 「んぁ?なになに――あー?いやさ、できなくはねぇと思うけどよ?相棒、最近はっちゃけてねぇ?」 「……そうかなぁ?」 デルフにまでそう言われるってことは、よっぽどなんだなと思う。 ……でも、反対はされてない。 やるべきことのために、他にいい方法も無さそうだ。やるしかない。 「そこっ!何をゴチャゴチャと独り言を!」 「青き海に意識薄れ、沈みゆく闇 深き静寂に意識閉ざす… スリプル!」 「いいか、俺だって子供に手をかけるような真ねは――した――ないねん~……」 兵士の人だけに眠ってもらう。これで、もう、後には引けない。 「ボコ、行くよっ!」 「クェッ」 ボコの首をポンッと叩いて、速度を上げる。 そして、手綱をギュッと引っ張って、ボコが思いっきり…… 「ん?どうした、ダット?小僧は始末――なっ!?」 「時を知る精霊よ、因果司る神の手から 我を隠したまえ… ストップ!」 眠った兵士の乗っているドラゴンを足場に、さらに高く、ボコは跳びあがる。 ドラゴンの、目線の、さらに上まで。 ……竜騎士のジャンプって、こんな気分なのかなぁ? チョコボは、飛べない鳥。 でも、チョコボは、跳べる鳥。それも、ものすごく高くまで。 ということは、足場さえ用意できれば、どこまでも跳べる……うーん、トンデモないなぁ…… 「!?」 『ストップ』で空中に張りついたように止まったドラゴンに足場を移す。 まだ、飛空挺ははるか上。足場は全然足りない。 ……今は、まだ。 「様子がおかしいぞっ!?」 「えぇい、火龍隊っ!集結っ!」 「い、いっぱいきたぁ~!?」 予想どおり、とはいえ、こんなにワラワラ寄ってこられるると流石にきつい。 「ケケケ、上行く足場がいっぱいでてきて良かったじゃねぇのっ!」 「や、やっぱりこの作戦は失敗だったかなぁ……」 「相棒、もう遅ぇぜっ!始まっちまったらなぁ、『できるか』じゃねぇんだよ、『やる』1択しかねぇっての!腹くくれや!」 デルフに言われてしまうと、仕方ないなって気分になる。 うん、もうやるしかないんだ。 「う、うんっ!」 「よっしゃ、そんじゃ船の上、目指すぞぉ~!」 「クェーッ!」 はるか上の飛空挺を目指して、両手をグッと構えた。 ピコン ATE ~ビッグブリッヂの死闘~ ラ・ロシェールは岩場に作られた要塞都市。 ゆえに、入る道は限られる。 大軍を擁した船が着陸できるタルブ平原からの街道であれば、1つの道しかあり得ない。 よって、その道程を確保できるかどうか、それがラ・ロシェールの攻防の全てと言っても過言では無い。 「ぐわっ!?」 その道程の一部、ラ・ロシェール近くの滝から注ぐ河川によって削られた谷、 そこにかかる太鼓橋、通称“ビッグブリッジ”において、戦の命運を賭けた戦闘が、行われていた。 「――ちっ、数が多いな」 剣士アニエスはそう呟いた。 艦隊戦にトリステイン軍の意識を集中させ、さらに通常の世界樹からの下船ではなく、 タルブ平原側からの歩兵による襲撃、敵ながらよく考えられた作戦ではある。 それを看過できたのは、剣士としての勘と、ほとんどは運否天賊によるものだ。 アニエスは自らの幸運に感謝した。 とはいえ、ここでの人数差、おおよそ1人に対して300の敵。 これを倒したところで、第二、第三の陣が出てくるだろう。 その点にまで運が作用しないのは、天を恨んでもお門違いではあろうが、恨まずにはいれなかった。 「――ゲヘヘ、姉ちゃん、剣なんておろしてさぁ、仕事終わったら遊ぼうぜ?」 橋を挟んで反対側、一際大きな歩兵が下卑た笑い声を上げる。 かろうじて、橋という地形に救われている。 1度に相手するのは多くても2、3人だ。 しかし、それが長く続くと、流石に息切れもしてくる。 既に橋の欄干に何体もの戦の証が転がっている。 「下郎が。どの口でほざくか」 荒れる呼吸をそのままに、せいぜい強がって見せる。 それしかできないのだ。たった1人、耐えねばなるまい。 貴族同士の潰しあいなら看過できようが、貴族の勝手で平民の命を潰そうとしているのだ。 それを見過ごすなど、炎の記憶を抱いた彼女にできようはずがなかった。 握る剣を、中段に構えなおす。 死んだら、屍で橋を塞いでやる。アニエスは死を覚悟した。 「イキのいい姉ちゃんは好きだぜ~?だが、こっちも300人はいるんだ、大人しくしてた方が――」 一際大きな歩兵が、また粋がった挑発をしようとした、そのときだった。 「――突撃ショコボキック!」 「クェーッ!!」 黄色い影が、下衆の巨体をなぎ倒し、砲弾のごとき勢いで飛んでくる。 「ぐはっ!?」 「な、なんだなんだ!?」 歩兵共が慌てているところを見ると、敵の攻撃では無いようだ。 ――しかし、この間抜けな声に聞き覚えがあるのはどうしてだろうか。 「ア~ンドっ!ギーシュ・ダイナミック・ローリングクラ~ッシュ!!」 「おがっ!?」 「ぐぇっ!?」 黄色い影から、1体の影が分離し、橋のこちら側に着地した。 それは、金髪の、マントを着た間抜け面だった。 「ぎ、ギーシュ・ド・グラモン!ただいま参上っ!!」 「青瓢箪!?」 魔法学院の貧層な体つきの貴族のボンボン、それが影の正体と分かり、アニエスは驚かざるをえなかった。 何故、こんなところにこの嘴黄色い青二才が―― 「おい、メイジだぜ」 「ひるむんじゃねぇ、メイジっつっても鼻たれのガキじゃねぇか」 歩兵共が陣容を整える。糞、とアニエスは小さく呟いた。 折角、相手の背後にいたのだから、もう少し奇襲らしくすればいいものを。 こうも貴族というものは無駄なことしかしないものか。 「何しに来たのだ、貴様は」 苦々しい毒気のこもった声が出る。 「いてて――あぁ、『命を惜しむな、名を惜しめ』というのが家訓でしてね」 なるほど、功を焦った若気の至りか。 無能な働き者は邪魔でしかない。厳しいが、戦場ではそれが現実だ。 「ふん、そんな理由で死にに来たのか?」 子供とはいえ、憎い貴族だ。いざとなれば見捨てる。そういう冷たい目で見る。 「いえ――錬っ金っ!」 薔薇に包まれた。そうアニエスの目には見えた。 花吹雪が消え去ると、そこには、先ほどまでの青瓢箪とは違う姿。 まるで――魔法のようだった。 「ライバルや、愛する人が待ってるんです!生きて帰りますよ!何より――」 中身は、やはり声の震えたヘタレのボンボン。 しかし、鎧甲冑に包まれた顔には、確かに戦士たる誇りがうかがえる。 「何より?」 「世界の女性のために、カッコよくなりたいんですよ、単純にね! だから、守りたいんです、カッコいいから!!」 大馬鹿野郎だ。そうアニエスは判断した。 カッコをつけたいためだけに、ここで戦って、生きて帰ろうとしている。 2対300、圧倒的に不利な状況で、だ。見もせぬ民を守るために。 あぁ、本当に大馬鹿野郎だ。 だが、気持ちいい。貴族にあって、この大馬鹿っぷりは清々しいほど気持ちいい。 「――ふんっ、見上げたバカっぷりだな、ヒヨッ子が」 少しだけ、笑みがこぼれる。 「う、酷くないですか、アニエス先生?」 不平を言う大馬鹿野郎。 あぁ、でも救われた。アニエスは素直にそう思う。 「まぁ良い。師と仰がれたのだ、教えておこう」 2対300、相変わらず不利だが、何とかなる気がしてくる。 「何を、ですか?」 「男なら、誰かのために強くなれ」 深く呼吸をし、眼前の敵を見据える。 「へ?」 「歯を食いしばって、思いっきり守り抜け」 この大馬鹿野郎なら、貴族だが守ってやってもいい。 「倒れても、何度でも立ち上がれ」 これは、自分に言い聞かせる。全く、ちょっとでも諦めそうになったのはどこのどいつだ? 「それだけできれば――カッコ良い英雄のできあがりだ」 貴族も、そう捨てた奴らだけでは無いのかもしれない。アニエスは小さくそう思った。 「――了解ですっ!」 「よし、守るぞ、ラ・ロシェール!」 「はいっ!」 体に、精神に、喝を入れる。死闘は、ここからだ。 「かかれ野郎共っ!」 「クェーッ!」 「おぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉ!!」 怒号響くビッグブリッジ、およそ302人と1羽は、 闘いの奔流に飲み込まれていった。 上に上に行くに従って、ドラゴンに乗った人達の攻撃は激しくなってきた。 「相棒、後ろっ!」 「うわっ!?」 「クェーッ!」 「ヌァッ!?」 ボコが後ろの兵士を蹴り降ろして、そのままさらに高く跳びあがる。 「ボコ、すごいっ!?」 「相棒、前前前っ!?あぁもう、まどろっこしい!ちょい体借りるぜっ!」 「え!?うわっ!?」 「グビェッ!?」 体が、左腕にひっぱられるように動き、前の敵をなぎ切った。 まるで、デルフが勝手にボクの体を動かしたような…… 「魔力吸い取った分、所有者の体を動かせるんだよ、おれっち!」 そんな機能があるんだ。ちょっと便利かもしれない。 とはいえ…… 「……そういうの、もっと早く言ってよ……」 「いや、悪ぃ。最近思い出してよ――だぁ、今度は上っ!」 今度はボクが反応する。 「闇に生まれし精霊の吐息の 凍てつく風の刃に散れ! ブリザド!」 「ドァッ!?」 氷にひるんだドラゴンを足場に、蹴って上に上がれば、そこは飛空挺の翼の上。 後は、この上から攻撃をすれば…… 「うし、あとちょっとぉ!」 「し、下は見ない、下は見ない……」 下を見ると、震えそうなぐらい高いところまで来てしまった。 もう、あと戻りはできない。 「――久しいな、“神の盾”」 上から、声がした。 「クェ?」 「なっ!?」 「おでれーたなこいつは」 左腕が、金属の光沢に変わっていたけど、間違いなく、その姿と声は…… 「――そして、感謝しよう。私に武勲が与えられる機会を与えてくれて」 「わ、ワルドっ!?」 「そしてお恨み申し上げよう。この間の借りをな――」 ギリリと歪む笑顔が醜い迫力で、ボクの目線の高さにまで下がってくる。 「借りはまとめて返してやるよっ!貴様の死でなっ!!!」 ワルドの咆哮が、地面から遠く離れたこの場所で轟いた。 ピコン ATE ~マザリーニ回顧録より~ ――幻想は、いずれ終焉を迎える。 それは幼児ならともかく、我ら大人ならば理解せねばならぬことである。 しかし、我々は幻想に頼っていた。 恒久なる平和を、甘い幻想を信じて疑っていなかった。 その驕りが、我々自身を苦しめていた。 「偵察の飛竜より、連絡途絶えました!」 「残存船、1つ!それも落ちかけです!」 「ラ・ラメー伯を救助!しかし大怪我をおっておられるようで――」 「ド・ポワチエ大将とは連絡がつかんのかーっ!」 「が、ガリア方面からも船見ゆとの報告が――」 「それは誤報だ!それよりもゲルマニアへの急使は――」 「応戦は外交問題に――」 会議場にもたらされる情報は混乱模様をきわめ、真偽を確かめる暇すら無かった。 一方の卓を囲む顔ぶれは、所謂、宗教屋あがりである私から見ても、政治家とは思えぬ体たらくであった。 いわゆる『楽観派』であった大臣達は自らの責任の所在を他者へ押しつけようと周囲を見渡すばかり、 『悲観派』であった数少ない将軍連中も、情報の取捨に手を割かれている状況であった。 あるいは、かつてこの国を治めた前王がおられれば、かような事態にならずとも済んだやもしれない。 しかしながら、それはかなわぬ幻想に過ぎぬことであると、覚悟しなければならなかった。 「――マザリーニ」 「――何でございましょう、アンリエッタ様」 ゲルマニアとの婚姻は、アルビオン新政府に対する政治的意味合いが強かったこととはいえ、 それを逆手に取られた今、叱責を受くるべきは私であった。 全ての責はこのマザリーニが負うべき、その覚悟が無くば政治屋などできるものではない。 「動ける竜兵は?」 「――ラ・ロシェール近辺の情報は混迷しております。今しばらく把握にお時間を――」 「違います!今、このトリスタニアより動ける竜兵です!」 「それならば、常に十機は待機させておりますが?」 政治屋となった時点から、私もまた幻想に囚われていたというのだろうか。 『政治とは理念ではなく、合理性を尊ぶべき』という幻想に。 であったとしても、私は仕えるべきアンリエッタ・ド・トリステインに教えられたのである。 「ならば!直ちに準備をさせなさい!私、自らが参ります!」 「な!?」 婚姻前の姫君が戦場へ。姫自らのその発言が、混乱の中にあった会議室に一石を投じた。 それは常識という名の幻想に浸かっていた政治屋共の肝を見事に冷やすこととなった。 「な、なりませぬ!!婚姻前の大事な御体ですぞ!?」 「民が運命に飲まれていると言いますのに、会議室で騒ぐだけの体のどこが大切なのですか!!」 その語気は、未だ幼い女性のものであったと記憶している。 しかしながら、私は見たのだ。その瞳に、前王のごとき為政者の輝きが宿るのを。 「あの方は、勇気をもって私に『生きていてくれ』とおっしゃった! しかし、このまま卑怯者達の好き勝手にさせて、どう生きていけというのでしょうか!」 彼女の弁は語彙も足りず、未だ人の上に立つに値するほどではないものではあったが、 熱を感じたのである。我々政治屋の合理的に凝り固まった頭脳を溶かす熱を。 「会議室の皆様に問います!このまま会議室で慌てふためくだけの無能として記憶に残るか、 護国と民のために戦う運命を取るか!!」 それは、幻想の終焉であった。 政治家とは、机上の書類を前に議論を交わすだけという、ぬるま湯の幻想の終焉であった。 我々は、姫の青臭くも熱のこもった弁に乗り、直ちにタルブへの派兵を決めた。 しかしながら、これが終演の幕開けであることを、 私を含め、この場にいた全ての者が知ることは無かったのである。 マザリーニ回顧録 第五集『幻想の終焉』 第一章 『終演の幕開け』より抜粋・編集 前ページ次ページゼロの黒魔道士
https://w.atwiki.jp/ameba_pigg/pages/991.html
真夏のモテカワフリルビキニ okinawa_bikini_mote_*_0908.swf aq, pr, bl, pk 沖縄 海 浜辺 女子限定 ファッション トップス 280アメG
https://w.atwiki.jp/filinion/pages/116.html
第三章 組織・人物録 法王庁内部機関・・・法王庁内部組織の追加・詳細設定 3-1.1 遺失技術管理室 3-1.2 法王庁託院 3-1.3.1 異端審議局十三課 3-1.3.2 十三課課長 ユルゲン・フィッシャー 3-1.4 設定:法王庁派閥闘争 独立組織・・・法王庁と協力・友好・中立関係にある組織 3-2.1.1 錬金術師協会 3-2.1.2 錬金術の歴史 3-2.1.3 ‘時越えの錬金術師 アニエス’ 3-2.2 クリューガー光術協会 敵対組織 3-3.1 ドーヴァリン商会 3-3.2 天国の扉 異端結社・・・PCの敵となる異端組織 3-4.1 パナケアの矢 3-4.2 精霊派交信会 3-4.3 銀の瞳団 3-4.4 青銅の盾
https://w.atwiki.jp/metatronnote/pages/31.html
ケープ発→リスボン行† 曜日 発時刻 着時刻 料金 船名 備考 月~金 09 50 13 50 19 00 23 00 10 20 14 20 19 30 23 30 196,000 サンタ・マリナ号 土・日 09 50 13 50 18 00 22 00 10 20 14 20 18 30 22 30 ↑ ケープ発→カリカット行† 曜日 発時刻 着時刻 料金 船名 備考 月~金 09 50 13 50 19 00 23 00 10 10 14 10 19 20 23 20 175,000 サンタ・カタリナ号 土・日 09 50 13 50 18 00 22 00 10 10 14 10 18 20 22 20 ケープ発→ジャカルタ行† 曜日 発時刻 着時刻 料金 船名 備考 月~金 09 50 13 50 19 00 23 00 10 20 14 20 19 30 23 30 231,000 サンタ・アニエス号 土・日 09 50 13 50 18 00 22 00 10 20 14 20 18 30 22 30