約 1,869,270 件
https://w.atwiki.jp/kuroeu/pages/5711.html
乱塵招聘 解説 レラージェを招聘し、剣戟の乱舞で攻撃する。 雑感・考察 作品 分類・ランク 属性 種別 範囲・射程 効果 習得者・備考 珊海 - - 攻撃 範囲内敵味方全部隊 効果値120~600 アリツ、ソーニャ、アニエス、ラファエラ、アルヴィド、ボルハ 「レラージェを招聘」の間違い? - 名無しさん (2024-08-12 01 27 59) 名前
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/9208.html
前ページ次ページるろうに使い魔 チェレンヌ邸襲撃からその後、さらに時間が経過した。 刃衛達による強襲が再度やってこないか剣心達は警戒していたが、結果的にはそういうこともなく無事に事なきを得る運びとなった。 朝日が昇る頃になって、もう厳重警護を解いても良さそうだと判断したアニエスは、そのまま剣心とタバサ、そしてシルフィードを連れ、一度王宮へと戻る事となった。 「ここで待機してくれ」 王宮の応接室の一部屋へ案内された剣心達は、アニエスにそう言われ、そこで待つことになった。剣心は目を閉じて座して待ち、タバサは本を読んで暇を潰す中、それを見かねたシルフィードはきゅいきゅい喚いた。 「ねえ、折角お近づきになれたんだし、もっと話に花を咲かせてもいいんじゃないのね?」 どうやら、全然会話しない二人を見て業を煮やしたらしい。前々から剣心の事は気にかけていたシルフィードにとって、これは二人を近づける絶好の機会だと思ったのだ。 (あんなミイラ男なんかより、こっちのおちびの方がずっとお姉さまを任せられるのね) それなら、と剣心はタバサではなくシルフィードを見て言った。 「そう言えばイルククゥ殿。お主とはどうにも最初に会った気がしないのでござるが、どこかでお会いしなかったでござるか?」 ギクッ、とシルフィードは体を仰け反らせる。 「べ、べべつにそそそんな事はははないのねね。気のせいなのね」 「それにシルフィードはどうしたでござる? てっきりイルククゥ殿と一緒に来るものだと思ったでござるが…」 またまたギクッ、とシルフィードは仰け反らせた。ふと無意識にタバサの方を見るが、彼女は我関せずといった風で本を読んでいる。 そんなわけで、この回答にはシルフィード本人が答えるしかない。 「えっと、シルフィードは今忙しいのね。重大な使命を思い出したって、この前言ってたのね」 「見苦しくねえか、その言い訳」 今度はデルフが口を挟む。暫く奇妙な空気が流れた。 どう言い繕うか、う~~ん…と頭を悩ませるシルフィードに、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。そしてその次には、扉が開かれた。 扉を開けたのはアニエスだった。そしてアニエスを従えるように、アンリエッタが部屋に入ってきた。 第四十四幕 『都合と理由』 「お久しぶりですわ。ルイズの使い魔さん」 アンリエッタはまず初めにそう言って、優雅に会釈した。 「此度の活躍の報、アニエスから聞いております。貴方には本当にお世話になりっぱなしですわね」 優しい笑みを浮かべて、アンリエッタは今度はタバサ達の方を向いた。 「貴方は…確かあの時の、ルイズのお友達の方ですわね。貴方にも重ね重ね、お礼の方を申し上げます」 一国の女王陛下が、わざわざお礼を言いに来る。それはこの国の貴族から見ればなんとも羨ましい光景であろう。 「あの…所で、貴方は何者なのでしょうか? その制服から留学生とお見受けいたしますが、この国の人ではありませんよね? ガリアから来た人ですか?」 アンリエッタが不思議そうに尋ねてきたが、タバサは本を閉じ、そしてアニエスの方を向いて言った。 「…事情は聞かないはず」 「そうですが…せめて充分なお礼をしたいのです。ご家族の方にも、大変名誉なことをしたのだとわたくしから申し上げたいのですが…」 「そんな人はいない」 タバサは冷淡にそう告げる。その目には一切の色が消え失せていた。 尋常じゃない雰囲気に一瞬呑まれかけたアンリエッタは、何か事情があるのだろうと思い、追求をやめた。 「分かりました。では貴方には約束通り報酬の方を支払いましょう」 目を伏せてアンリエッタはそう言った。本当はもっと色々とお礼をしたかったのではあるが、 この国の人間ではない上に明確な家柄も分からぬ以上、ここまでがしてあげられる限界でもあった。 悲しそうな顔をしたアンリエッタは、今度は剣心の方へと向き直った。 「貴方にも、出来れば充分なお礼を差し上げたいのですが…やはり受け取っては下さらないのですか?」 「拙者も、特に必要ないでござる」 剣心はニッコリ微笑んでそう言った。アンリエッタは小さくため息をついた。 「本当ならば、貴方にはこの国の貴族になる資格だってあるのですよ。昨今の上流階級の人達に比べれば、貴方の成し遂げた成果には、それだけの価値があるのです」 しかし、それでも剣心は首を横に振った。 「拙者は只の流浪人で使い魔。それ以上のものなど望まぬ。望むとすれば、早くこの国にも本当の平和が訪れて欲しい、それだけでござるよ」 「……耳が痛いお言葉ですわ」 アンリエッタは、剣心のその顔に眩しさを覚えた。今、剣心のように本当にこの国のことを考えている人はどのくらいいるのだろう。そう思うとやり切れなくなるのだ。 そういった感情から振り切るように、アンリエッタは話題を変えた。 「分かりました…そう言えばルイズはどうしています? 無茶な頼みだとは分かってはいますが、今はあの子や貴方達位しか頼れる人がいないから…」 剣心はそれを聞いて少し言葉を詰まらせた。まさか全財産すって働いているなんてとても言えない。 「あの子から報告の手紙など受け取るのですが、何分せっかちなところがあるから心配で…」 「ま、まあ大丈夫でござるよ」 取り敢えず、剣心はそう言うしか無かった。それでも少しは安心したのか、アンリエッタは胸を撫で下ろした。 「貴方がそう仰るのなら、きっと大丈夫なのでしょうね」 するとここでアニエスが、そろそろ本題の方を…とアンリエッタに促した。 「そうね」と、それに頷いたアンリエッタは、今度は厳粛な表情で、剣心達に向き直った。 「それでは、貴方達をお呼びした理由に移りましょう。此度の件で起こったこと、その敵の正体のこと、詳しくお聞かせくださいまし」 剣心は話した。黒笠の正体、心の一方について。そしてこれまでの経緯、そのあらましを。 心の一方の能力を聞いたアンリエッタは、俄かには信じがたいような表情をした。 「目だけで相手の動きを止める? でもそんな魔法が…」 「確かにそのお気持ちは分かりますが、私も一度喰らいその身に体験いたしました。ですのでこの話は本当です」 アニエスが剣心の話を、体験談を交えてそう補足する。アンリエッタはため息をついた。 「それでは、いくらメイジを投入しても勝てないはずですわ」 「けど、見た感じ刃衛の他にも協力者はいる。それだけは確かでござる」 剣心はさらにそう付け加える。よくよく考えれば幾ら強いとは言え、全くの異国の地で、正体不明を隠し通す事は刃衛にだって不可能に近い。 恐らく、暗殺を補助する協力者や、事前に情報を与える内通者がいて、それで初めて成り立つはずなのだ。 協力者は、最後にやって来たあの男…がそれにあたるだろう。あの男が内通者も兼ねているのか、それと他にも別の人間がいるのか…。そこまでが剣心の推理だった。 内通者…と聞いて、アンリエッタは少し心当たりがありそうな表情をした。 「分かりました。貴重な情報どうもありがとうございます。今の今までこういった話すら出てこなかったものですから」 アンリエッタは再度会釈すると、今度は自分たち以外誰も見てないか辺りを見回し、確認すると、改めて剣心とタバサの顔を見合わせた。 「つきましてはお願いが…。厚かましいことは分かってはおりますが、出来れば引き続き依頼の続行をお願いしてもよろしいでしょうか? 今は身内でさえ頼れる人が余りいないもので…」 そう言って、タバサの目を見て尋ねた。タバサはアンリエッタの懇願の目を前にしても、相変わらずの無表情で通していたが、やがてポツリとこう呟いた。 「…この事件に関することであれば、わたしは別に」 それを聞いたアンリエッタは、嬉しそうに頬を緩ませた。 「ありがとう。わたくしにはもう、貴方達以外に魔法を使う者が信用できませんの…」 寂しそうな表情をして、アンリエッタはそう呟いた。 それをまた振り切るかのように、アンリエッタは表を上げると、今度はタバサ達にこう言った。 「お疲れでしょう? 今夜は忙しかったですから、もうお休みになって下さいな。聞きたいことがあれば、アニエスが相手を致しますので」 「きゅい、わたしも疲れたのね。早く帰って一眠りしたいのね…」 シルフィードが、眠そうに目をゴシゴシとこすってそう言った。タバサも小さく欠伸をすると、フラフラと立ち上がって部屋を出た。 無理もない。幾ら強いとは言えまだ子供だ。丸一日起きているのは精神的にもかなり辛かったはずだろう。 タバサとシルフィードが、アニエスに連れられて退室するのを見届けると、剣心は改めてアンリエッタの方を向いた。 「姫殿…じゃなくて陛下殿でござるか。実はここで話しておきたいことがあるでござるが…」 「アンリエッタで大丈夫ですわ。何なら縮めて『アン』とお呼びしてもよろしいですわ」 努めてニッコリと微笑みながら、アンリエッタはそう言った。彼女もこの時間まで起きているのは、心身ともに辛いのはわかる。 本当はこんな時間に話すことではないのかもしれない。 けど、話さなくてはいけない。これを逃したら、また何時話せる機会があるか…少なくとも、この国の上に立つアンリエッタには、ちゃんと話しておかなければならない。 そうこうする内、タバサ達を見送ってきたアニエスが帰ってきた。アンリエッタは剣心の表情を見て、小さくため息をこぼしながらソファに腰掛けた。 「まだ何か、お話することが?」 「あの時は、色々あって話せなかったでござるが…この国の未来に関わる重要な事ゆえ、話しておきたいでござるよ」 アンリエッタは、それを聞いて小さく目を瞑った。 「分かりました。詳しくお聞かせください…」 「それと、この話をするにあたって、少し信じられないような話も含まれているでござるが、それでも信じて聞いてくれるでござるか?」 「異世界とかのことですか? でしたらオールド・オスマンに少しお聞き致しましたし、それにもう、ここまで来て滅多なことでは驚いたりしませんわ。どうぞ、お話ください」 それを聞いて、剣心はゆっくりと口を開いた。 「シシオ・マコト……」 数十分後、話を聞いたアンリエッタはそう呟いた。 「その人が、此度の戦いの元凶だと……?」 剣心は、コクリと頷いた。その目には昔の情景の炎が宿っていた。 志々雄真実。 かつて幕末の頃、剣心がまだ人斬り抜刀斎であった頃…。影の人斬りを受け継いだもう一人の暗殺者。 そして最終的に、己の剣と信念を死の淵ギリギリまで交え合った男だった。 何故奴が生きてこの世界にいるのかは分からないが、あの時見せつけられた野望と信念は今でも変わってはいなかった。恐らく奴はまだ自分との決着を望んでいるのだろう。 そして、これがアンリエッタにとって重要なことであるが…奴はいずれこの国を乗っ取りに来ること、それだけの力があることをアンリエッタに伝えた。 「しかし、今のアルビオンの皇帝はオリヴァー・クロムウェルでは?」 「恐らく奴の配下の一人でござろう。今のアルビオンを本当に指揮っているのは、まず間違いなく志々雄真実でござる」 あの男が、大人しくこのままでいるとは思えない。恐らくカモフラージュのつもりなのだろう。 決起する時まで姿を見せず、名を隠し、のらりくらりとしながらも力を貯め、一斉蜂起した時に一気にその名を世界に轟かす。あの男ならそれくらいはやりかねない。 だからこそ、今の内に手は打たなければならない。そう思って、剣心はアンリエッタに話したのだった。 「……そうですか」 話を聞き終えたアンリエッタは、一旦顔を伏せた。その声は少し震えている。 それは間違いなく、怒りからくる震えであった。 (その人が…彼を…アルビオンを…あまつさえあんな事まで…) 「…陛下殿?」 何かを感じた剣心が、アンリエッタの表情を伺う。しかしその前にアンリエッタは席を立った。 「どうも貴重なお話ありがとう。貴方もお疲れでしょう? 今日はゆっくり休んでくださいな」 「…済まないでござる」 暗に一人にして欲しい、そう取った剣心は、何も言わずに部屋を出ることにした。 アニエスと二人になったアンリエッタは、朝日が昇る窓を見つめながら尋ねた。 「例の案件、どうなりました?」 「ここに、全て記しております」 そう言ってアニエスは懐から数枚の紙を取り出し、アンリエッタに渡した。 あの夜…死体になったウェールズを操り、アンリエッタを拐かそうとした事件の時、誰が手引きをしていたのかその詳細が書かれていた。 暫くその調査表と睨めっこしていたアンリエッタだったが、やがてそれらから目を離すと、少し項垂れた様子で椅子に座った。 「おおよそ七万エキュー…これは彼一人の手で賄える金額ではありませんね」 「他にも、このようなものがあります」 そう言ってアニエスは、別の紙をアンリエッタに手渡す。それを見て疑問符を浮かべる。 「…これは?」 「アカデミーの被害届です。何でも幾つかの貯蔵品を盗まれたとか…。時期が丁度、事件が頻発に起こり始めたのと重なりましたので、関連性は高いかと」 『アカデミー』の名前を聞いて、アンリエッタは尚更首をかしげた。魔法を別のベクトルで見、独自の実験を進めることで有名な機関であるが、 そこでの発明品は正直一般大衆から見たらガラクタ同然で見向きもされないものばかりだ。 リストの一番下、ヴァレリーという水のスクウェアメイジが作ったという『魔力を強化する秘薬』にこそ目がいったが、そこに書かれているリスク… 『魔力と同時に精神に異常を来す』を見て、結局は使えない失敗作だとわかると、アンリエッタは見るのを止めた。 「レコン・キスタは国境を越えた貴族の連盟と聞き及びます…が」 「随分と泥棒染みたことを、今の雲の上の人たちはするのね。まあ、上に立つのがそもそも貴族ではないらしいですから、何とも皮肉な連盟ですね」 取り敢えず、これで剣心の言っていた内通者の尻尾が掴めたのだ。 「金でしょう。彼は黄金が好きな男…そのお金で祖国を…わたくしを売ろうとしているのです」 未だに信じたくないという思いがあるが、もうそれを言っている状況でも無かった。 モット伯を始め、数多の貴族を殺してきた『人斬り』。その幇助をしていたのなら、法的にも裁かなければいけない。 例え親しかった身内といえども…。 「計画の方はどうなさいます? 未だ向こうが人斬りというカードを抱えている状況では、少し…いや、かなり危険だと思われますが…」 「時間がもうありませんの。このまま泳がせておいたら逃げられる可能性が高い。当初の予定通り、明日計画に移しましょう」 「御意」 それを聞いたアニエスは、深く一礼をして退室した。一人残されたアンリエッタは、顔を俯かせながら震える声で呟いた。 「わたくしは、あの夜起こったこと全てを許しませぬ。国も、人も、全てです。ええ、決して」 アンリエッタは思い返していた。最愛の人の事を…更に無理矢理に蘇らせて、自分の恋心を弄ばれたことを…。 アンリエッタは、剣心から聞いた男の名…一生忘れぬだろう怨敵の名を呟いた。 「……シシオ・マコト…ッ!!」 朝日が完全に顔を出す、その光を受けながら剣心は王宮を出た。 「あっ、おちび。こっちなのね~~!」 見ると、もうとっくに帰ったと思ったタバサとシルフィードが、手を振って待っていた。 「あれ、帰ったのではなかったでござるか?」 「場所が分からない」 「……学院の?」 えっ…? と聞き返す剣心に、シルフィードが「違う!」と補足する。 「ほら、『魅力の酒場』だっけ? あそこにきゅるきゅる置いてきたからって、お姉さまそこに泊まるつもりなのね!!」 成程、だから待っていたのか…。剣心は、そんな律儀なタバサを見て少し微笑んだ。 「こっちでござるよ」 人混みが溢れ始める中、剣心とタバサ、そしてシルフィードは歩き始めた。 さて、『魅惑の妖精』亭では…。 客もぼちぼちと店を出る中、一人机に突っ伏して飲んでいる客がいた。キュルケである。 「タバサぁ~~あんた今何処にいるのよぉ…」 普段魅力的な彼女とは程遠い姿がそこにはあった。すっかりへべれけになってしまったのか、身体はぐったりしていて悪酔いの表情が出ていた。 これはこれでそそられるものがあったが、人も少なくなった今の状態では、彼女に絡んでくる輩も出てこなかった。 「あんたさぁ…一体いつまで泊まるわけ?」 呆れ顔で顔を出したのは、給仕をしているルイズだった。 あれからいつもそうだ。タバサがいなくなったあの晩から、何かにつけてキュルケはタバサを探しに行った。そして見つからないとなるとこうやって夜遅くまでやけ酒をするのだ。 普段のキュルケなら、信頼しているタバサにそこまでしないだろう。けど軍が動き出すかもしれない緊迫した状況に、事の発端が自分とあれば、流石に放ってはおけないようであった。 「全部ツケとか言わないでよ。ていうかあんたに奢る金なんてこれっぽっちも…」 「タバサぁ~~~」 はぁ…とルイズはため息をつく。それと同時に少し感心もした。キュルケでもこんな一面があるんだなーと。余程タバサを大事にしているのだろう。 そんな彼女を見ていると、どうしても自分まで悲しくなってしまう。 (ケンシン…) 今何処にいるんだろう? このまま帰ってこないなんてないよね? 今やそんな想いがグルグルと渦巻いていた。 確かに…剣心は強い。そして優しいし、困った事があれば全力で相談に乗ってくれる。 でも、彼は輪を作りながらも、そこに決して踏み込んではこない。まるでいつ自分が消えてもいいように…。 「でも…どうしてこんな気持ちになるんだろ…?」 最近、彼を見るとすごい胸がドキドキするようになった。最初はそんなことはなかったのに、アルビオンで旅を経てからはその想いは芽生え、一緒に暮らすことで徐々に大きくなっていった。 だからこそ、彼が何も言わず、そして何も告げずにいなくなることが、ルイズにとってこれ以上ない不安にもなった。 もし自分がキュルケの立場だったら、恐らく自分もこうやってやけ酒を煽っていたかもしれない。そう思うと今のキュルケを笑えなかった。 「けど、毎日これは止めてほしいわね。もうそろそろ上がりたいのに…」 そう言って一旦背伸びして、ルイズは改めて辺りを見回した…その時だった。 コンコン、と裏口を叩く音が聞こえてくる。その音にハッとルイズは振り向いた。 慌ててパタパタと走り去るルイズの音に、キュルケも虚ろな目を開けた。 「何、どうしたの?」 キュルケもまた、ルイズの後を追っていった。それを気にすることなく、ルイズは裏口のドアを開ける。 ガチャリ。という音と共に扉は開かれて、そこにいたのは…。 「……ケンシン」 「おお、ルイズ殿!」 若干懐かしむような声で、剣心は言った。考えてみれば剣心と働く時間帯が変わってから、こうやってまともに会話をするのは久しぶりだった。 何だか、急に学院で暮らしていたあの頃に戻ったようで、ルイズは思わず俯いてしまう。 「あ、ダーリン! 帰ってきたの……――」 その後ろから現れたキュルケが、剣心を見てそう言いかけたが、その隣からひょっこり現れた少女の姿に、思わず目を見開いた。 「タバサ!! もう探したのよ!!」 そう言うなや否や、いきなりキュルケはタバサに抱きついた。タバサもまた、特に抵抗せずにそれを受け入れる。 「ずーっと色んなとこ回ってさ…何かあったんじゃないかと思うとさ…本当にもう、心配したんだから…」 「…御免なさい」 抱きつきながらキュルケはポロポロと涙を零す。いつも快活な彼女がこんな風に泣きじゃくる姿を見ると、急に愛おしさがタバサの中にこみ上げてきた。 そんな二人を微笑ましげに見つめていた剣心は、ふと俯いたままのルイズを見て、困ったように頬をかいた。 (やっぱり、怒ってるんでござろうなあ…) こうやって会話するのも久方ぶりなのだ。余り危険なことに巻き込みたくなかったから遠ざけてしまったが、ルイズの性分からすれば怒り狂っていてもおかしくなかった。 「あの…ルイズ…殿…?」 「……………」 しかしルイズは俯いたまま、何も答えようとはしなかった。怒っているのか、そんなに怒っているのか? 何とも気まずそうな空気が場に流れた後、不意にルイズは剣心の顔を上げた。 「……おかえり」 「―――おろ!!?」 この言葉を聞いて誰よりも驚いたのは剣心だった。あんなに放っていたのに…最悪『爆発』の一つでも喰らう覚悟でいたからこそ、この対応に凄く疑問を覚えた。 「お、怒ってないでござるか…」 「そりゃあ、怒ってるわよ。何で私を放ってどっか行っちゃうのとかさ、何でタバサをそんな気にするのとかさ…色々言いたいことはあるわよ……でもさ…」 ここでルイズが…今まで見せたことのないような汐らしい表情をして剣心に言った。 「あんたの顔見たら…なんか…そんなことが凄くどうでも良く感じちゃったのよ。何ていうか…帰ってきてくれたんだな…って」 ルイズも、最初は剣心に会った時には出会い頭に『爆発』の一発でも入れてやろうかと考えていたのだが、結局剣心の笑顔を見た瞬間、怒りとかの前に嬉しさがこみ上げてきたのだ。 こうやって、また自分に向かって笑ってくれる剣心を見ると、他のことが凄くどうでも良くなる。我ながら甘いとは思うけど…でもそれは理屈じゃないのかもしれない。 「どうせ今回のことも話したくないんでしょ? 百歩…いや二百歩譲ってそこは妥協するわよ。でもね…」 ここでルイズが、いつもの調子を見せながら剣心に向かって指を突き立てた。 「私の許可無しに、勝手にいなくなるのだけは許さないんだからね! 分かった?」 それを受けて、剣心はやれやれといった表情をした。でも少し、朗らかな顔も見せていた。 「了解でござるよ」 「……よし」 今日は、久々に剣心とルイズは一緒の時間に寝た。当たり前のことだったのに、別に隣で寝ているわけでもないのに、それがとてつもなく嬉しくて、ルイズは幸せそうな表情で眠りについていた。 前ページ次ページるろうに使い魔
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/6587.html
前ページ次ページゼロの花嫁 彼方に響く、剣撃の音。 ちゃんちゃんばらばらと賑やかな早朝、最近はそこに歌まで加わり大層騒々しい訓練となっている。 早朝のランニングにて山奥まで駆け、巨岩が転がる水辺にて訓練開始。 燦の英雄の詩を聞いているルイズさんの表情も、ようやく硬さが取れ、単に精神が異常高揚するだけとなっていた。 その被害でか、そこらの巨岩は半分以上粉々に砕かれていたりするのだが。 朝の訓練が一通り済んだルイズは、汗だくでべたーっとだらしなく地面に寝そべっている。 「……ちょっと、今日は無理しすぎたかも」 同じく、衣服が肌に張り付いてしまう程の汗をかきながら、近くのちょうどよい岩に座る燦。 「ルイズちゃん、新しい剣もらってから毎日それ言うてる」 「歌止めてもしばらく余波で気分盛り上がっちゃってるんだもの。やっぱその歌凶悪だわ」 しみじみと述懐するのは、岩に立てかけてあるデルフリンガーだ。 「ルイズも随分と人間離れしちまったなあ。お前さん何処までぶっちぎるつもりだよ、下手すりゃブリミルにだって負けないだろそれ」 荒い息でありながら、ルイズは表情を引き締める。 「冗談、英雄の詩に頼ってるようじゃ真の強さとは言えないわ。最強への道のりは遠く険しいのよ」 「……さいでございやすか」 今では恐くて娘っこ何てとても言えないデルフリンガーは、つっこむのも面倒なのかそれ以上何も言わない。 「何でだろうな、すんげえむかーーーーーーーーしに前の使い手と色んな所旅して回った時を思い出したよ。連中もやたらトラブルに見舞われてたっけな」 デルフの自分語りが珍しいのか、燦が興味深げに話を促すと、デルフはぽつぽつと語り出す。 「前のガンダールブが俺っちを使ってた時の話さ。今みたいに色んな事が纏まってやしない頃、騒々しいが、賑やかな時代だったな……ってそうだ! 忘れてた!」 「ん? どうしたん?」 「俺随分前に、ヘボ剣士に使われるのが嫌で体中錆だらけにしたんだっけか! そうだよ! 相棒が氷の魔法打ち返した時、何か変だなーって思ってたんだが、良く考えたら俺魔法吸収出来んじゃん!」 聞き逃せない話にルイズが口を挟む。 「前のガンダールブ? それって始祖ブリミルの使い魔の話じゃないの?」 「そうだよ。言ってなかったっけか」 「……アンタどんだけ長生きなのよ」 更なるルイズのつっこみと脅しにより、デルフは本来の輝く姿を取り戻す。 始祖ブリミルの勇姿にも興味があったルイズであったが、デルフはその頃の事をほとんど覚えていなかった。 「はっはっは、数千年分の記憶とかお前覚えてられるか?」 ふざけるなと怒りかけたルイズであったが、デルフのこの言葉には納得するしかない。 何時もの事ながら節々がびっきびきに痛むのを無視してルイズは立ち上がる。 そろそろ戻らないと授業に遅れてしまうからとそうしたのだが、立ち上がり少し遠間が見えるようになったルイズの視界に、一頭の馬の姿が映る。 「あら……あれは、シエスタ? いや、丈の長いスカートで馬に乗るのは止めた方がいいと思うんだけど……」 うまい事鞍との間で挟んでいる前側はさておき、後ろ側はスカートの裾がわっさわっさと派手にたなびいている。 そんな様子からも見て取れるように、とても焦った様子でシエスタはルイズ達の下へと辿り着く。 「申し訳ありませんでした!」 馬から飛び降りるなり、開口一番頭を下げる。 ルイズ達が学院に戻るより、随分と遅れての帰還を詫びているのだ。 主人より遅れるなどメイドのありようとして、あまり褒められたものでもないが、そもそも予定より早く戻って来たルイズが悪いといえば悪い。 母相手の大立ち回りで、ちょびっと実家に居ずらくなったせいなのは、キュルケ達にすら秘密なのである。 そのキュルケも必要な物が揃うなりとっとと戻って来てしまっているしで、シエスタもメイドとして立場が無い。 ルイズは恐縮するシエスタを笑って許しつつ、ちょうどいいからと馬に乗ってペースメイカーをやるよう命じる。 後にシエスタは語る。 「あれは生き地獄と同義です。悪意は無いのでしょうけど、お仕えする者としてこんな心苦しい話はありません」 シエスタが馬に乗り、ルイズと燦がその後を走る。 汗をだっくだくに流し、必死の形相で主が走っているのに、従者たるシエスタは楽々と馬を走らせているだけなのだ。 例えルイズがぶっ倒れようとも、決して走る速度を変えてはならない。 そんな冷酷無比な命令を受け、半泣きになりながらシエスタは馬に跨る。 そして同じく従者たる使い魔燦が又鬼なのだ。 「ペース落ちてるで! もっと膝を上げて! 腕の振りが足りん! 限界の一つや二つ、笑いながら越えたらんかい!」 サンも熱くなると、すぐこうだから…… いっそ代われと言ってくれた方が楽です。あっと言う間に倒れるだろうけど。 走りながら、言われる通り無理矢理笑顔を作るルイズ様は、もう、何というか見てられません。 私は誓いました。もう二度とルイズ様の訓練には関わるまいと。 学院に戻った所で、前後もわからぬ程に疲れ臥すルイズ様をさておき、私はサンと少しお話をしました。 実家にあった石碑に刻まれた文字をサンに見せると、サンは、ああこれはな、と事も無げに読んでしまいました。 やはり私の考えは正しかったのです。 違う世界からやって来たと言っていた曾おじいさんの話をすると、サンは驚き、あろう事か「実は私もそうなんよ」とあっさりと言ってくれます。 「あーっと、これ内緒じゃった。ごめんシエスタちゃん、内緒って事にしといて」 そんな大層な秘密をあっさりさっくり使用人に漏らさないで下さい。私にも立場ってものがですね。 「……いや、内緒にしといてじゃないでしょ。サン、貴女まさかその調子で他の事もべらべら話して無いわよね」 これが一番びっくりしました。 声も出せない程に疲労し、医者を呼ぼうとまで思っていた(サンが何時もの事と言うので諦めた)ルイズ様が、まだ息は荒いままですが、何時の間にか回復して側に立っていました。 「あ、あはは。大丈夫じゃて、私口は堅い方じゃから」 硬いとかぬかす口は、一体どの口でしょう。 ルイズ様もサンのそんな様子には慣れっこなのか、軽く嘆息すると私に問いかけます。 「その曾おじいさんの話、少し詳しく聞かせてちょうだい。もしかしたら、サンを元の世界に戻してあげるヒントがあるかもしれないわ」 問われるままに答えると、ルイズ様の目が鋭さを増しました。ちょっと、というか、凄く、恐い、かも、です。 今日は授業は休み、と一方的に宣言し、ミスタ・コルベールとキュルケ様、タバサ様を呼びに行くよう申し付けられました。 わ、私何か大きな失敗でもしたのでしょうか……。 え? 皆様の呼び方が変わっている理由ですか? これは私のケジメみたいなものです。 私の忠義は家名にではなくあの方々個人に対するもの。だから、そう断って以後はお名前で呼ばせていただいております。 例え如何なる事があろうとも、ルイズ様、キュルケ様、タバサ様に生涯お仕えする、そう心に決めた証でございます。 何時もの四人にシエスタ、コルベールを交えた話し合いは続く。 結論として、シエスタの曽祖父が口にしていた数々の話は、燦の居た国の過去の話であり、時間差を計算してもほぼ歴史は一致する。 曽祖父は結局元の世界には戻れずじまいであったが、召喚のゲート以外でこちらに来たという話は調査の価値がある、とコルベールは言う。 竜の羽衣の外見にしても、おそらく燦の世界にあった飛行機と呼ばれるものであろうという所まで話は進んだが、これ以上は現地での調査を要するとなる。 早速行こうと言うルイズ達であったが、これを止めたのはコルベールだ。 「君達、幾らなんでも授業出なさすぎだ。自主学習分で進度が遅れているとは言わないが、これ以上学生たる本分を蔑ろにしてはいかん」 全員一言も無いわけで。 それでもコルベールは燦の件に関し、召喚の儀での責任者であったという事を気にしてか、以降は私が調査しようと言ってきた。 流石にそこまでは、と言って断るルイズであったが、コルベールは自信満々で、私に任せたまえと言って強引に引き受ける。 オールドオスマンから問題児達の担当を外すと言われた事が、この件に影響してるか否かは当のコルベール自身にしかわからぬであろう。 常に無く自己主張するコルベールに、ならばとルイズはシエスタを預け、調査行を依頼する事にした。 ルイズは最後に、シエスタの両肩に手を置く。 「私はどうしてもサンを元の世界に帰してあげなきゃならないの。どうか、貴女の力を貸してちょうだいシエスタ」 シエスタは、例え地獄の業火に焼き尽くされようと、使命果たして御覧に入れます。と決意を口にした。 横からキュルケが笑って言った。 「地獄の業火がどんなものか知らないけど、火に燃やされるって洒落にならないぐらいキツイから止めといた方がいいわよ」 何処ぞのグリフォン隊隊長殿も、心から頷くであろう言葉であった。 「師匠! 師匠と呼ばせてくだせえ!」 賭場を出た後、鍛冶屋の男はタバサに土下座して前非を詫びる。 学生ごときに博打の何たるかがわかるもんかい、そう馬鹿にしていたのだが、いざ賭場に出てみると男の負け分を吸収しきって尚浮きがあるほどの大勝利をタバサはやって見せた。 「あれは壷振りが手加減してた」 最後まで良くわからないといった顔をしていたキュルケがタバサに聞き返す。 「手加減?」 「平民を守った英雄、そんなキュルケの連れである私に壷振りが配慮してた。最初に言ってた通り、英雄から金は取れないって事だと思う」 「……それって壷振ってる人が出目を操れるって事?」 「それが出来なきゃ壷振りはやれない。その上で壷振りは客の張りを予想して目を出す。その読みをいかに外すかが本来のサイコロ賭博」 はー、そーなんだー、的な顔をしているキュルケ。 モット伯晒し者事件の影響はこんな所にも出ていた。 モット伯が人を集めているという情報を確認する為鍛冶屋の男を頼ったのだが、なら付き合えと賭場まで付き合わされたのだ。 妙に乗り気なタバサと共に賭場に入ると、目ざとい人間がキュルケの顔を見て件のメイジだと気付いた。 おかげで賭場の責任者がわざわざ頭を下げに来るぐらい丁重に扱われたキュルケは、平民の遊びも悪くないわね、とちょっと良い気分であった。 タバサの勝ちと男の負けでトータルすると、大体豪勢な夕食を楽しめる程度に勝っている。 金額まできっちりコントロール出来るなんて、ちょっと見ない程に見事な腕だったと、壷振りを賞賛するタバサ。 一行は男の馴染みの店で祝杯を挙げる。 男は大き目のジョッキに、並々注いだ酒を一息にあおる。 「まあ事情はわかった。んでもさっき見てわかる通りだ、トリスタニアで今ルイズ様やキュルケ様にケンカ売るような罰当たりはちょっと想像つかねえな」 外れか、と落胆する二人であったが、男は続ける。 「だがまあ、何処の街でもどうしようもねえ悪党ってな居るもんでな。流石の俺様もそういった仁義もクソもねえ連中との付き合いはごめん被るって話で、つまり、そいつらの話となると俺にも解らねえ訳よ」 結局の所、実のある話を聞く事は出来なかった。 だが、男は最後に笑って言った。 「今のトリスタニアで無法行為なんぞ出来る訳ぁねえんだよ。それがわかってねえ馬鹿共がまだ居るらしいが、遠からずそいつらもみんなまとめてお縄だろうさ」 タバサが怪訝そうな顔をしている事に気付いた男が告げる。 「ワルド様率いる鬼みてえな捜査部が睨みきかせてんだ。トリスタニアの主だった連中はみんなとっくの昔に抑えられてる。今平民の間で、特に法を犯してる連中にゃ最も恐れられてるお方さ」 ただ悪党を潰すのではなく、その後の利益移動や物流、人の流れまでを考えて動く捜査部のやり方は、強引すぎる手法でありながら、平民達からは広く受け入れられていた。 「他のどんな貴族でも出来なかった事をさらっとやってのけちまうんだ。天才だぜ、ワルド様は。ははっ、トリステインの未来は明るいぜ、全くよお」 帰り道、タバサの使い魔シルフィードに二人で乗りながら、素直にルイズ経由でワルド子爵を頼ろうという事で話は纏まった。 そして残った時間はというと…… 「ようやく話せるようになったのね! キュルケはきっとおしゃべり大好きだから、話すの楽しみにしてたの!」 きゅいきゅい騒ぐシルフィードの相手で全てを費やしてしまう。 タバサからシルフィードは実は風韻竜であると打ち明けられた。 超貴重な種であり、騒ぎになるのが嫌だったからと秘密にしていたのだが、これ以上欠片も秘密を持ちたくないというタバサの意向により、キュルケ、ルイズ、燦はこれを知る事となった。 「……相当我慢してたみたいね」 「……うん」 何を言おうと全然聞く耳持たず、いつまでも騒ぎ続けるシルフィードに閉口しながらも、二人は風情のある夜空の散歩を楽しんでいた。 ルイズからもたらされた情報が決定打であった。 ワルドはモット伯周辺の動きを探らせると、あっと言う間にならず者達の流れを捉える事に成功した。 あれだけの騒ぎの後だ、モット伯も大人しくしているかと思いきや、こんな思い切った手を打ってくるのは捜査部の人間にも予想外であった。 ヴァリエール公によるモット伯包囲網により、既に幾つかの利権を手放すハメになっていたモット伯は、捨て身で財産を放出し、ルイズ達に恨みの一撃をくれてやらんと狙っていたのだ。 ワルドは人の悪そうな笑みでアニエスに問う。 「ツテはヴァリエール公により封じられた。ならば金のみで動かせるものを全て活用しようという腹だろうな」 アニエスは、一目見ただけで二度とアニエスには逆らうまいと人に思わせる程の、冷酷無慈悲な表情で答える。 「金のみで動く。トリスタニアで明快にそれが為せる相手が動く、そういう事ですね」 「現場を押さえる。この件は君が特に志願していた件だ、君に任せようと思うがどうかね」 深々と頭を下げるアニエス。 「ご配慮痛み入ります。我が身を捨ててでも高等法院への切り込み、成し遂げて御覧に入れましょう」 「アニエス」 「はっ」 ワルドは悪夢から飛び出してきたような、鬼気迫るアニエスの表情にも怯む様子は無い。 「この程度の件で君を失うなどあってはならない損失だ。リッシュモンを追い詰め、なおかつ当然のごとく無傷で戻って来たまえ。君になら出来るはずだ」 君になら、君達になら出来るというのはワルドの殺し文句である。 ワルドがこれを口にする時は、同時に物凄い無理難題を押し付ける時でもあるので、捜査部ではある意味禁断の魔法並の扱いを受けている言葉だ。 しかし、アニエスは更に深く頭を下げ、心からの感謝の意を述べ退室していった。 半月後、謁見の間にて高等法院長リッシュモンの進退が取り沙汰される。 数多の味方を持つはずの彼の弁護をしてくれるものは、誰一人として居なかった。 特に女王アンリエッタの失望は甚だしく、長年仕えて来た功により爵位剥奪こそ無かったものの、公職追放という重い罰を科される事となった。 これは良い機会とばかりにマザリーニの仕掛けた策略により、財産の全てをも没収された彼は、失意のまま都を落ちていく。 彼が蓄財した全てをかき集めると、何とトリステインの国家予算一年分にも相当する額であり、王家は高等法院長の失脚という重大事を埋めて余りある利益を得ていた。 この件で大きな利益を得たマザリーニ、ワルド、そして後任の高等法院長は、裁決が下った夜、自室で同時に祝杯を挙げる。 トリステインの権力図を塗り替える、これが最初の一撃であった。 トリスタニアを離れる馬車がある。 夕暮れ時の茜色に染まった空と、がらがらと揺れる下級貴族の使うような古ぼけた馬車が、栄枯盛衰の儚さをリッシュモンに思い知らせてくる。 共の者も御者と小姓が一人づつのみ。 引き止める者も見送る者もおらず、無念さに涙しながら都を落ちる。 「止まれ」 フードを目深に被った者が道に立ち塞がり、すらりと剣を抜くと御者と小姓は我先にと逃げ出していく。 馬車の窓からその様子を見たリッシュモンも悲鳴をあげながら馬車から飛び降りるが、運動に慣れていない体は言う事を聞かず。 転倒し、地面をしこたま嘗めるハメになった。 「司法取引だ。タングルテールの虐殺での生き残りを探している。知っている限りの情報を教えろ」 女の声、しかし地面に倒れるリッシュモンは、そんな事より己の浅慮を大きく悔やむ。 転倒していたせいで、懐の杖を取り出す間も無く剣を突きつけられてしまったのだ。 人数が一人とわかっていれば、馬車の中からの魔法で蹴散らせたかもしれなかった。 「司法だと? 貴様官憲の類か? そ、それに取引材料も出さぬ取引なぞ成立するものか」 「この先に待ち構えて居るだろう、お前に恨みを持つ者達からその身を守り、無事に領地まで送り届けてやる。不服か?」 リッシュモンは虚勢を張って言い返す。 「ふん、平民の助けなど借りずとも我が魔法で……」 「では好きにしろ。何処に何が待ち構えているかも知らず、追撃を逃れる抜け道も知らぬお前がどうこの窮地を切り抜けるのか、お手並み拝見だ」 フード女は剣を引き、身を翻す。 慌てて追いすがるリッシュモン。 「ま、待て! お前捜査部の人間だな! な、ならば部下も何処かに隠れているのだろう!? 私に恨みを持つ者が居るのか!? そんな情報を得たのだな!」 「取引だ」 「な、ならば私を無事に送り届けた後……」 「お前がそうしてくれるなら我々は効率良く作業を進められる、それだけだ。お前が居なくともいずれ同じ成果は挙げられよう」 二、三人付け、抜け道を潜って領地までに辿り着く間のみの労務で済むのなら、調査に関する手間をかけるよりは効率的だろう。 それ以上を望む、もしくは時間を大切だと考えぬというのであれば、そんな手間のかかる情報は不要だ。 勝手に何処でなりとのたれ死ねというフード女の言葉に、リッシュモンは項垂れる。 「我々は情報を得、貴様は命を得る。信用が必要ならば貴様も随分見慣れただろう身分証を幾らでも見せてやろう」 そう言って捜査部所属である事を示す、紋章入りの指輪をリッシュモンに見せると、彼はようやく折れた。 それが重要な情報でなければ、見捨てられるやもしれぬ。 そんな不安がリッシュモンを掻き立てる。 自身がいかに重要なポジションでタングルテールの件を処理したか、立案から実行に至るまでの経緯を事細かに説明する。 尤もらしくロマリアとの友好云々と言っている部分は、まあリップサービスのようなものだ。 ここで動いた金云々と言った所で誰も得はすまい。 以上、部下からの報告からも生存者が居る可能性はゼロであるとリッシュモンは結論づける。 それこそ特務部隊の精鋭である隊員達が裏切りでもせぬ限り、生存の可能性などありえぬと言い切った。 フードの女は、目深に被っていたフードを掻き上げる。 思っていた以上に若い。 鋭い視線が、まるで敵を見るようである。 「……いいや、生存者は居た」 「だからありえぬと言っている。あのジャンという若い隊長は一欠けらの躊躇も無く全てを焼き払ったと他の隊員全てから報告が上がっているんだ」 女は、泣いていた。 「私が……唯一の生存者だ!」 いきなり斬りつけられた。 全身をなますのようにめった斬りにされる中、私は、どうやら選択を誤ったらしい事に漸く気付けた。 何の事はない、こいつが、捜査部に所属しているこいつこそが、私に恨みを持つ賊であったのだ。 「……う、うそつきいぃ……」 子供の様なそんな言葉が、私の今生最後の呟きであった。 既に退院したワルドは、執務室で任務の報告を受ける。 憔悴しきった顔でワルドに報告事項を告げるアニエス。 一通りの捜査資料を整理し終えたと伝えた後、思い出したようにリッシュモンが賊に殺された旨を付け加える。 「……おそらく、彼に恨みを持つ何者かの犯行かと」 リッシュモンの末路にはさして興味も無いのか、ワルドは特に返事もせず書類を見渡し判を押す。 「復讐か……誰がやったかは知らんしどうでもいい事だが、殺して終わり、では意味が無いと私は思う」 内心、心臓が飛び出しそうになっているアニエスを他所に、ワルドはぺらっと紙をめくる。 「誰かを殺したい程に憎む、そんな気持ちも理解出来ないでもないが、怒りも悲しみも、力に変えられぬようではどの道そいつに先は無いさ」 誰に語るというのでもないだろう。独り言のように呟く。 「全ての想いを、自らの信念を支える糧とし突き進む。そう出来てこそ、自身を想い倒れていった者の無念は晴らされる。私は、そう思っているよ……」 判を押し終えると、ワルドが最近良くやる苦笑を見せる。 「っと、済まない。どうもここの所愚痴っぽくていけないよ。ご苦労様アニエス、君は期待以上の働きをしてくれた。皆もそれを認めているだろう。良くやってくれた」 陰鬱な表情を貼り付けたまま、アニエスは頭を下げ退室した。 何時もは反応がとても素直なアニエスらしからぬ行動に、ワルドは顎鬚を撫でながら考える。 「流石に無理をさせ過ぎたか。疲れも溜まっているようだし、休暇でも与えてゆっくりさせてやらんとマズイ……か」 激務が常になってきている捜査部においても、アニエスのここ最近の働きは目を見張るようであった。 それだけに無理を重ねて来たのだろう。素晴らしい功績を挙げた事でもあるし、他の連中もアニエスならば納得するだろう。 休む暇など与えない事で有名になりつつあったワルドは、必要書類を書き上げアニエスに二日間の特別休暇を与えた。 ちょっとアニエス優遇しすぎかな、などと考えていたワルドの思考は捜査部外からの反応がかき消してくれた。 事情を聞いたグリフォン隊の副長は、しみじみとワルドに語ったものだ。 「……隊長、捜査部あれ働かせすぎですって。あれだけの勲功挙げた子に休み二日だけとか、鬼ですか貴方は」 「そ、そうか……いやしかしだな」 「しかしも何もありませんって。幾らなんでも他所との差がありすぎです、労務管理部良くあれで文句言ってきませんね。少しは自重して下さい」 文句言ってくるような奴はそもそも捜査部に入れてないのだから当然の結果であるが、他所と比べて労働時間が倍近くあると言われてはさしものワルドも抗弁しずらい。 気になって調べてみた所、実労働時間は人によっては三倍近くになってる人間まで居て、ワルドは慌てて全職員に休暇を取るよう命じた。 こんな仕事の仕方をさせていたら遠からず、当人はともかく、職員の一族や近しい者達から抗議が殺到するのは目に見えている。 しかし、命じるは命じたが、嫌な予感がして抜き打ちで調べると、誰一人、そうアニエスですら休暇を取っていない事が判明する。 捜査部を立ち上げて以来、一番背筋が冷えた瞬間だ、と後にワルドは述懐する。 本気で怒鳴りつけ、ようやく連中休暇を取ってくれたが、昼休みなどに何となく聞き耳を立ててみた所、誰もが家に書類を持ち帰ってやっぱり仕事してたらしい。 「モチベーションが高すぎるのも考え物だな……」 結局、当分の間ワルドは、他所の部署では考えられぬ贅沢な悩みに悩まされる事になる。 ワルドよりの使者から聞くべき事を聞いたラ・ヴァリエール公爵は、手勢にアジトへの強襲を指示する。 大貴族らしい典雅なやり方を好む公爵であったが、武力を行使すべきタイミングは決して外さない。 それが必要と判断したのなら、僅かな躊躇も無く配下の軍を動かす。 圧倒的な数で包囲し、一部の漏れも許さず徹底的に殲滅する。 公が王都の屋敷で処理すべき幾つかの案件を同時に見ていた所、執務室に首謀者たるモット伯が引きずられて来た。 伯はそこら中痣だらけにしながら、ぐったりと項垂れていた。 手勢の隊長を任せていた男が報告する。 「集まったならず者達全員の死亡を確認しました。こちらの被害は四名、いずれも平民です」 「遺体の処理は?」 「万事滞り無く。戦闘の音に気付き近寄ってきた者達も、全て我等が張った検問で追い返しております」 「ご苦労」 公は書類から目を上げ、モット伯を見る。 重要度の低い案件をとりあえずで処理するような口調で、ヴァリエール公爵は言った。 「ヴァリエール家に逆らうという事がどういう事か。理解したかね?」 隠れ家から執務室に引きずられてくる間にどんな事があったのか、モット伯は貴族の矜持も失って地面に這い蹲る。 「は、はいっ! 二度と! 二度とこのような愚かな真似はいたしませぬ!」 小さく嘆息する公。 「何だ、まだ理解しておらんか」 「い、いえっ! 存分に思い知りましてございます! 以後はヴァリエール家に絶対の忠誠と協力を誓わせていただきます!」 「二度とだの、以後だの、そんなものはありえぬ。そこを理解しておらぬと言ったのだ。連れていけ」 必死に哀願する伯は兵に引きずられて執務室を後にする。 公は無情な人間ではない。そんな様を哀れに思う心も持ち合わせている。 しかし、下した命令を撤回するような事も無かった。 「運の無い男だ。……まあ、今まで皆が認めていた事を突然許さぬと言われ、乱暴狼藉を働かれた挙句、大恥をかかされ、その上犯人はお咎めなしでは腹が立つも道理だがな」 使い魔に毒を盛るぐらいならば見逃してやらん事も無かったが、ルイズを殺すと兵まで集められては、こちらも相応の対処をするしか無い。 「法に乗っ取っていようと、理屈が正しかろうと、そんなものは我がヴァリエールの一族を傷つけて良い理由になぞならぬというのに。若すぎたなモット伯よ」 処刑完了の報告を、やはり先程と同じどうでもいい事のように聞き流し、ヴァリエール公はすぐにこの件を忘れた。 こうしてそれぞれの日々を過ごす彼等に、多大な影響を与える事件が遠きアルビオンの地で起こっていた。 アルビオン皇太子ウェールズ・テューダーは、残った親衛隊をかき集め、包囲網の突破を図る。 貴族派を名乗る反乱軍との二度の大きな戦、その全てが突然の配下の裏切りにより敗北を喫している。 王家への忠誠心篤き勇士であったはずの諸侯が次々と裏切って行く様、そしてそれが原因で勝てる戦を悉く逃している悔しさは筆舌に尽くしがたい。 それでも残った者達への猜疑心を表に出さぬウェールズの器の大きさは、王たるに相応しい物であったろう。 現に、老齢により身動き取れぬ王の代わりとなり前線に出るウェールズ指揮の下、細かな勝利は幾度と無く積み重ねて来ているのだ。 そんな勝利達も、二度の大会戦での敗北で全て帳消しとなった。 満を持し、これが最後と挑んだこの戦においても、やはり裏切り者は居た。 敵陣深くまで何度も斬り込み、ウェールズの窮地を救って来たその貴族は、勇ましさをそのままにウェールズへと杖を向けたのだ。 三度目の敗北。 万全の布陣で臨もうと、裏切りすら考慮に入れた策を練ろうと、有能で忠実な者から寝返っていく現状で、どうやって勝利せよというのか。 最早兵も尽き、反撃の余力も残っていない。 それでも、ウェールズは最後の瞬間までアルビオンを諦めてなるものかと皆を叱咤激励する。 抗する術など何一つ残っていないのに、王家の矜持を胸に秘め、ただひたすらに勝利の道を探し続ける。 それが指揮をするものの責務であり、例えこの身が朽ち果てようと、この信念だけは、決して折られてなるものかと。 前ページ次ページゼロの花嫁
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/4517.html
*オリジナル設定一覧* なんかスレで要望があったので。あと文中でフォローしないダメ書き手な自分orz *人物* フェリス アニエスの部下。銃士隊の中の部隊(これまたオリジナル)『長銃隊』の隊長。 銃の腕前は一級品だが、剣のほうはからっきしという設定。 姿を借りるためだけに才人に化けたアニエスに襲われた。 金髪ツインテの強気ロリっ娘という、ものすごくアレな外見をしている。 見た目はどう見ても十代前半だが、実は才人より二つ上の十八歳。 登場話 『オーダー!アニエスのばあい』7-255 タニア ウエストウッド村に住む子供達の中で、ティファニアを除いては一番年上の、ブルネットの女の子。 しっかり者で、ティファニアの家事を手伝ったり、子供達の面倒を見たりしている。 才人に淡い恋心を抱いていたが、巨乳エルフに惨敗、婚期を逃しかけていた所に金持ちのぼんぼんを捕まえ、宿屋の女将になるという人生を送る。 登場話 『食後のデザート』6-267 『黒い誘惑』9-122 『危ない桃りんご』11-150 『聖女の日〜ティファニアの場合』12-164 『ある吟遊詩人の手記』12-88 マナ・ヒラガ(・ヴァリエール) ショウ・ヒラガ(・ヴァリエール) 将来編にて出てくる、才人とルイズの子供達。 姉がマナで弟がショウ。 二人とも栗色の髪の毛をしていて、マナはルイズ似、ショウは才人似。 貴族ルートでは二人とも虚無の担い手で様々な虚無の魔法を使う。もちろん貴族。 平民ルートではマナは剣士、ショウは拳士である。 マナはしっかり者で優しい性格、ショウはいたずら好きでやんちゃ坊主。 元ネタは…多分知らない人だらけなのでヒントだけ。『GF』 登場話 『時をかける少女』3-33 『最終日のつづき』A3-602 『きっとこんな未来』X00-03 ハヤト 将来編に出てくるシエスタと才人の息子。 貴族ルートでも平民ルートでも、マナとショウの兄貴分をしている。 マナよりさらにしっかり者で、家事一般全てこなす。 才人によく似ていて棒術を使う。また、魔法を破却させる魔法を使う。他の魔法は使えない。 この棒術はシエスタが物干し竿で才人をしばくのを見て覚えたとかいう裏設定があるがそんなものはどうでもいい。 登場話 『きっとこんな未来』X00-03 フローラ・ヒラガ・オルレアン フィオナ・ヒラガ・オルレアン マリーウェザー・ヒラガ・オルレアン 将来編に出てくるタバサと才人の三つ子の娘。 全員がトライアングルメイジで、『ガリアの姫巫女』と呼ばれる。 元ネタは眠りの森の美女に出てくる三人の魔法使い。詳しくはググって。 実は一番下に見えるマリーウェザーが最も魔法の素養があるのはあまりにもお約束。 登場話 『きっとこんな未来』X00-03 漆黒のフェルディナンド 将来編に出てくるティファニアと才人の息子。 珍しい黒髪のエルフで、謎の系統『空』の使い手。 『空』の系統は、分かりやすく言うとテレポートやクレアボヤンスに特化した特殊系統。 帰還の術式とか千里眼の術式とかそんなカンジ。 性格は飄々としていて掴みどころがない。基本的に策士。他人をからかって喜ぶタイプ。性格悪いな。 登場話 『きっとこんな未来』X00-03 シモン・ベルナルド・リ・トリステイン 将来編に出てくるアンリエッタと才人の息子。 『疾風の魔法騎士』の二つ名のとおり、風の魔法を使う剣士である。 彼に剣の基礎を教えたのは才人だが、鍛えたのはアニエスとコルベールである。 母に似た顔立ちのお陰で美形なのだが、極度のマザコンが玉に瑕。 あの後の座右の銘はもちろん『俺がトリステインをぶっつぶす!』 『討っていいのは(以下略』冗談でスよもちろん? 登場話 『きっとこんな未来』X00-03 *アイテム編* 数が多いので登場話へのリンクはカット。がんばって捜してね…。 処女の涙【催淫薬】 『サイト最終日』にて、ルイズがコトの前に服用した薬。 破瓜の痛みを快感によって和らげるための薬。飲んですぐには効果が出ず、十分から一時間程度の間が必要。 魔力吸収の儀式【魔法】 男の精を吸い取って魔力に変換する儀式魔法。大きな魔法陣が必要。 なお、魔力が倍になるほどに歳を取っていくため、吸収できる魔力には限度がある。 吸収された魔力は半日程度で消え去り、姿も元に戻る。 虹の術式【魔法】 『虹のむこうに』にてタバサが母の誕生日に虹を見せるために使った術式。 本来ならばトライアングルメイジ三人分の魔力が必要だったが、魔力吸収の儀式によって三倍の魔力を得たタバサは、この術式を成功させる。 姿写しの指輪【マジックアイテム】 『君の名は』にて、アンリエッタがルイズを自分に化けさせるのに使ったマジックアイテム。 相手の全身を思い浮かべられる程度に知っていなくてはならず、そのため使用できる人間が限定される。 オーガの血【魔法薬】 『FA〜タバサのばあい』にて、タバサがキュルケから『薬』として受け取った真紅の秘薬。 男性が飲めば男性器が肥大化し絶倫になり、女性が飲めば強力な媚薬として作用する。 ちなみに貴族の間で流行しており、マジックアイテムを扱う店では品切れが続いている。 誘惑の肌着【マジックアイテム】 魔法の白スク水。胸ゼッケンに自分の名前と魅了対象の名前を書き込むことで、お互いに魅了の魔法がかかり、スムーズにことが運べるというトンデモグッズ。 ちなみに使用中はスク水のくせにスケスケになるというエロエロな設定がある。 そして、魔力を失うと通常カラー(紺)に戻り、胸の文字がひらがなになるという超ご都合アイテム。 水鏡の秘薬【魔法薬】 対象の髪の毛を溶かし込む事で対象に化ける事ができる秘薬。 ただし効果時間が短い(約三十分)のが欠点。 『オーダー!〜アニエスのばあい』にてアニエスが買い求め、化けていろいろいたずらをした。 イーヴァルディの花嫁【書籍】 イーヴァルディを題材にした官能小説。とってもエロいらしい。 どこでもお湯沸かし器【機械】 コルベールの作った、蒸気機関で水をくみ上げ、燃やした薪でお湯を沸かすという機械。 操りの真珠【マジックアイテム】 黒い真珠を握ると、対になった白い真珠をコントロールできるマジックアイテム。 本当は大道芸なんかに使うものらしいのだが…。 姿見の悪魔【媚薬】 素直じゃないほど効果を発揮する媚薬。 しかし相手が自分を好きじゃないと効果がないという中途半端な薬。 使用対象は勿論…。 泥のスキルニル【マジックアイテム】 劣化版のスキルニル。使用回数が一度だけな上に、対象の髪の毛を埋め込む必要がある。 そのほかのスペックはスキルニルと大差ない。 ただ、使用前の見た目がどう見ても泥人形。 素直になれない女主人【書籍】 ハルケギニアで流行している(一部の間で)物語。エピソードは既に何巻も出ている模様。 自分の執事に恋をした女主人が、あの手この手で執事の気を引こうとするが、結局失敗してナンダカナァ、なお話。 絶対に『好き』と言わない、がコンセプトらしい。 タバサの恋愛のテキストとなっている書籍。つづきもののタバサはコレを自分に当てはめていろいろ妄想しちゃうアホの子になっている。だめじゃん。 注:『ハ○テのごとく!』ではありません。たぶん。 成長の術式、縮小の術式、拡大の術式【魔法】 全く同じ呪文の構成で、魔法陣だけを換えて行う儀式魔法。 かなり特殊な魔法らしく、魔法学院の図書室にある書籍にそのやり方が乗っている。 タバサは魔法陣をシルフィードに描かせてこの術式でエラい目にあう。 モンモン特製ローション【魔法薬】 自己増殖型のスライムと『オーガの血』を使ったモンモン特製ローション。 使用時は局部に少量塗りこんで使う。そうすることでローションが増量し、摩擦を減らしてくれる上に快感を増大させるというスグレモノ。 使用上の注意:飲むなよ、絶対。 ガンダールヴのアレ【秘薬】 滋養強壮の効果があり、飲むと元気になるらしい。 …何研究してんすかエレオノールさん。 レッサー・ドラゴン【生物】 亜竜と呼ばれる、竜の一種。 ブレスを吐く能力はないが知性が低く凶暴、その上成体はとんでもなく大きく強い。 サキュバスのドレス【マジックアイテム】 『魅惑の妖精のビスチェ』にそっくりな、黒いビスチェ。 着ると魅了対象の好みの形に変形する上に、着た者も魅了対象に対して魅了される、ある意味呪いのアイテム。 ティファニアが着てエロいことになった。 聖女の日【イベント】 女の子が好きな相手に匿名で贈り物をして、贈られた相手がその贈り主を当てられたらその二人は真実の愛によって結ばれる、というバレンタインデーもどきの日。
https://w.atwiki.jp/prima/pages/2920.html
Blogs on アニエス・メロン #bf レパートリー 作曲家名(全角フルネーム)に置き換えてください [部分編集] 作曲家名(全角フルネーム)に置き換えてください 作品名(全角)に置き換えてください役名(全角)に置き換えてください Last Update 2012/02/27 22 33ページ先頭へ
https://w.atwiki.jp/familiar/pages/4554.html
*自分が書く際にイメージソングとして聞いている曲です。素直にキャラソン聞けや、って突っ込みは却下で(ぁ ルイズ メインテーマ 「Resolution」(機動新世紀ガンダムXop by ROMANTIC MODE) 「First Kiss」(ゼロの使い魔op by ICHIKO) シエスタ メインテーマ 「乙女はDo my BESTでしょ?」(舞-乙HiMEed by 菊池美香&小清水亜美) 「just be with you」(angel breath op by佐倉紗織) タバサ メインテーマ 「Crystal Energy」(舞-乙HiMEop by 栗林みな実) 「true my heart」(NurseryRhyme op by 佐倉紗織) ティファニア メインテーマ 「HONEY」(こいいろChu!Lips op by佐倉紗織) アンリエッタ メインテーマ 「スクランブル」(スクールランブルop by 堀江由衣withUNSCANDAL) アニエス メインテーマ 「夢想歌」(うたわれるもの op by Suara) 暴走用 「がちゃがちゃきゅ〜と・ふぃぎゅ@メイト」(byMOSAIC.WAV) せんたいさんに相談も無く勝手に更新!! 需要有るかなっ?て…… ルイズ メインテーマ 「Resolution」(機動新世紀ガンダムXop by ROMANTIC MODE) 「First Kiss」(ゼロの使い魔op by ICHIKO) シエスタ メインテーマ 「乙女はDo my BESTでしょ?」(舞-乙HiMEed by 菊池美香&小清水亜美) 「just be with you」(angel breath op by佐倉紗織) タバサ メインテーマ 「Crystal Energy」(舞-乙HiMEop by 栗林みな実) 「true my heart」(NurseryRhyme op by 佐倉紗織) ティファニア メインテーマ 「HONEY」(こいいろChu!Lips op by佐倉紗織) アンリエッタ メインテーマ 「スクランブル」(スクールランブルop by 堀江由衣withUNSCANDAL) アニエス メインテーマ 「夢想歌」(うたわれるもの op by Suara) 暴走用 「がちゃがちゃきゅ〜と・ふぃぎゅ@メイト」(byMOSAIC.WAV) http //www.nicovideo.jp/watch/sm350550 -- 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5207.html
前ページ割れぬなら…… ~これまでのあらすじ~ ついに激突するチームガリアとトリステイン銃士隊。 しかし、勝負の方法は野球だった。 ダイジェストで試合内容をお送りいたします。 ~1回・表~ 銃『0』 ガ『0』 「プレイボール!!」 バッターボックスに歩み出る1番打者・ワルド。 マウンドにて球の感触を確かめていたタバサは、重苦しい面持ちでそれを見つめていた。 「タバサ君……と言ったね? 君とはあまり親しい訳ではないが、いつもルイズと仲良くしてもらって、嬉しく思っているよ。 しかし今日だけは敵同士だ、手加減はしない。 血の滲むような猛特訓の末に編み出した閃光打法の恐ろしさ、その眼で確かめると良い」 そう言うと、ワルドはバットを構えてニヤリと笑った。 彼を良く観察してみると、全身のいたる所に比較的新しい生傷が見えた。 おそらく、彼の言う猛特訓の過程でできた名誉の負傷というやつだろう。 そんなワルドの底知れぬ恐ろしさを感じながら、賈言羽はピッチャーにサインを送った。 タバサが大きく全身を躍動させる……第一球! ビュッ!! バスン! 「ボール!」 ビュッ!! バスン! 「ボール!」 ビュッ!! バスン! 「ボール!」 ビュッ!! バスン! 「フォアボール! ランナー1塁へ」 「あの時僕が流した血と汗と涙は何だったと言うんだ……」 滝のような涙を流し、ワルドがトボトボと1塁へと進んでいった。 ちなみに、賈言羽が出したサインは敬遠ではない。 続いて2番打者・コルベールがネクストサークルから歩み出る。 「研究時間と睡眠時間を極限まで削って編み出した秘術、炎蛇打法をお目にかけよう」 ビュッ!! バスン! 「ボール!」 ビュッ!! バスン! 「ボール!」 ビュッ!! バスン! 「ボール!」 ビュッ!! バスン! 「フォアボール!」 「私の研究時間を返してくれ……」 滝のような涙を流し、コルベールがトボトボと1塁へと進んでいった。 もちろん、賈言羽が出したサインは敬遠ではない。 「ピッチャー交代!!」 賈言羽が叫んだ。 「チームガリア、選手の交代をお知らせいたします」 1・タバサ(投) 1・タバサ(中) 2・イルククゥ(中) 2・イルククゥ(投) 3・野球仮面2号(二) 3・野球仮面2号(二) 4・野球仮面1号(遊) 4・野球仮面1号(遊) 5・賈言羽(捕) →5・賈言羽(捕) 6・近所の暇な人A(一) 6・近所の暇な人A(一) 7・近所の暇な人B(三) 7・近所の暇な人B(三) 8・近所の暇な人C(右) 8・近所の暇な人C(右) 9・近所の暇な人D(左) 9・近所の暇な人D(左) ~2回・裏~ 銃『6』 ガ『0』 カッッキイイイィィィン!!! ドラマかアニメでしか聞けないような、気持ちの良い位にホームランの音だった。 まるでお手本のような美しいフォルムのスイングによって、白球は青空へと吸い込まれていった。 「はっはっはっはっ、どうだこの特大アーチは。 明日から俺の事は『ホームラン王』と呼ぶが良い」 野球仮面1号が聞いていてムカツク笑い声を響かせながら、悠々とホームベースまで戻ってくる。 1回裏の攻撃でチームガリアは当然のように3者凡退し、2回裏の攻撃では野球仮面1号が最初にバッターボックスに立つ事となった。 それ故にこのホームランでは1点しか入らなかったのだが、その1点が銃士隊のピッチャー・ギーシュの闘争本能に火をつけた。 「ふっ……どうやら君達の事を甘く見ていたようだね。 手加減をしていたとは言え、このギーシュ・ド・グラモンを討ち取った事に敬意を表して、 この僕が2週間の女断ちの末に編み出した、ワルキューレ投法を見せてあげよう」 さっきから似たような台詞ばかり聞くが、流行っているのだろうか…… と、バッターボックスで賈言羽は他人事のように想いを馳せた。 「喰らえぃっ!! 魔球・天空破邪魑魅魍魎!!」 どんな魔球だよっ!! と、賈言羽が突っ込むよりも早く、ボールは恐ろしいまでの勢いで肉薄する。 「……がふっ」 おびただしい量の鮮血が、バッターボックスを紅く染め上げた。 一瞬の静寂……そして大地に身を横たえた男は、ピクリとも動かなくなった。 「銃士隊、選手の交代をお知らせいたします」 1・ワルド(遊) 1・ワルド(遊) 2・コルベール(二) 2・コルベール(二) 3・レイナール(捕) 3・ワルド(捕) 4・曹操(三) 4・曹操(三) 5・アニエス(中) →5・アニエス(中) 6・キュルケ(一) 6・キュルケ(一) 7・ギーシュ(投) 7・ギーシュ(投) 8・マルコリヌ(左) 8・マルコリヌ(左) 9・アンリエッタ(右) 9・アンリエッタ(右) たぶん、長くて難しい漢字を使いたかっただけなのだろうな…… と、バッターボックスで賈言羽は他人事のように想いを馳せた。 実際、他人事だった。 ~4回・表~ 銃『14』 ガ『1』 1アウト、2・3塁。 5番打者・アニエスがボールを大きく打ち上げた。 チームガリアの面々は瞬時に落下地点を予測し、疾走する。 外野からタバサが、2塁から野球仮面2号が、ノーバウンドでキャッチするため、 そして1瞬でも早くボールを本塁へと送り返すべく、全力で追いすがった。 「ダイビングキャアアァァァッッチィ!!」 2号が叫んだ、喉をも枯らさん勢いで叫んだ。 彼女の瞳は、青空を背に浮かぶ白球のみを捉えていた。 彼女の瞳には、1メイル先で捕球態勢に入ったタバサは写っていなかった。 ゴチンッ!! 「チームガリア、選手の交代をお知らせいたします」 1・タバサ(中) 1・近所の暇な人E(中) 2・イルククゥ(投) 2・イルククゥ(投) 3・野球仮面2号(二) 3・近所の暇な人F(二) 4・野球仮面1号(遊) 4・野球仮面1号(遊) 5・賈言羽(捕) →5・賈言羽(捕) 6・近所の暇な人A(一) 6・近所の暇な人A(一) 7・近所の暇な人B(三) 7・近所の暇な人B(三) 8・近所の暇な人C(右) 8・近所の暇な人C(右) 9・近所の暇な人D(左) 9・近所の暇な人D(左) ~5回・表~ 銃『17』 ガ『2』 トリステインの女王アンリエッタに、本日何回目かの打順が巡ってきた。 元々運動が苦手だった彼女は、この試合中一度もヒットを打てていなかった。 「天下見聞の旅に出ているルイズの為にも、ここで負ける訳にはいきませんわ」 そんな不退転の決意を胸に、アンリエッタがバットを構えた。 「その意気や良し! なのね! 受けて立つわ!」 さっきからバカスカ打たれている人(?)が、それに釣られてテンションを上げる。 「やっと見つけましたぞ陛下!!」 ……が、テンションをぶつけるべき相手との間に、鳥の骨のような男が割って入る。 通称、マザリーニ枢機卿である。 「陛下は女王という立場を何と心得ておるのですか!! 陛下がこんな所で遊び呆けている間に、我々がどのような想いで貴方を捜索していたか! さあ、戻りますよ。 こうしている間にも刻一刻と国王としての責務は山積みになっておるのですからな!」 「あっ、ちょっと……私には責任ある9番打者としての立場が……」 「そんなものはどうでもよろしい!!」 極めて一方通行な押し問答を繰り広げながら、アンリエッタは引きずられていった。 そして…… 「びええええぇぇぇぇんっ!!」 赤子の泣き声である。 今までおとなしく試合を見ていた曹昴が、マザリーニの金切り声に怯えて泣き出したのだ。 当然・彼の母親であるキュルケはそれを放っておく事はできない。 「ごめんなさいダーリン。ちょっとスバルをあやしてくるわ」 「銃士隊、選手の交代をお知らせいたします」 1・ワルド(遊) 1・ワルド(遊) 2・コルベール(二) 2・コルベール(二) 3・ワルド(捕) 3・ワルド(捕) 4・曹操(三) 4・曹操(三) 5・アニエス(中) →5・アニエス(中) 6・キュルケ(一) 6・ワルド(一) 7・ギーシュ(投) 7・ギーシュ(投) 8・マルコリヌ(左) 8・マルコリヌ(左) 9・アンリエッタ(右) 9・ワルド(右) ~6回・裏~ 銃『17』 ガ『2』 「さて、1発でかいのを狙うとするか」 すでに2度のホームランを放ち、ますます自信過剰になっている野球仮面1号がバッターボックスに入る。 無論、狙うは3度目のホームランである。 そんな時だった。 「陛下、大変です! すぐにグラン・トロワまでお戻りください!!」 「わっ、馬鹿! 俺の事は野球仮面1号と呼べ、シャルロットに正体がバレたらどうする」 ちなみに、当のタバサは先ほど医務室に運ばれている。 「も、申し訳ありません。しかし一大事が起こったのです」 切羽詰まった表情で飛び込んできたのは、グラン・トロワに勤務している衛兵の1人であった。 野球仮面1号が『空気読めよコイツ……』とでも言いたげな視線を彼に送るが、男は有無を言わせぬ必死さで説明を始める。 「モリエール夫人と最後に顔を合わせたのはいつでございますか? へい……いえ、野球仮面1号様」 「ああ、居たなそんなの。 最近は野球の練習が忙しくてすっかり忘れていたが」 「そのモリエール夫人が、今朝から延々と空の鍋をかき混ぜておるのです…… 時折、この世の物とは思えないような奇声も聞こえておりまして、城の者は皆恐慌状態となっております。 このまま放っていおいては、鮮血の結末ルートが確定してしまいます。 野球仮面1号様、どうかお戻りを!」 「……むぅ」 「チームガリア、選手の交代をお知らせいたします」 1・近所の暇な人E(中) 1・近所の暇な人E(中) 2・イルククゥ(投) 2・イルククゥ(投) 3・近所の暇な人F(二) 3・近所の暇な人F(二) 4・野球仮面1号(遊) 4・近所の暇な人G(遊) 5・賈言羽(捕) →5・賈言羽(捕) 6・近所の暇な人A(一) 6・近所の暇な人A(一) 7・近所の暇な人B(三) 7・近所の暇な人B(三) 8・近所の暇な人C(右) 8・近所の暇な人C(右) 9・近所の暇な人D(左) 9・近所の暇な人D(左) ~7回・裏~ 銃『19』 ガ『2』 「ギーシュ! 大変だ! モンランシーが空の鍋をかき混ぜているんだ!!」 「何だって!?」 「銃士隊、選手の交代をお知らせいたします」 1・ワルド(遊) 1・ワルド(遊) 2・コルベール(二) 2・コルベール(二) 3・ワルド(捕) 3・ワルド(捕) 4・曹操(三) 4・曹操(三) 5・アニエス(中) →5・アニエス(中) 6・ワルド(一) 6・ワルド(一) 7・ギーシュ(投) 7・ワルド(投) 8・マルコリヌ(左) 8・マルコリヌ(左) 9・ワルド(右) 9・ワルド(右) ~9回・裏~ 銃『21』 ガ『2』 「ゲームセット!!」 最後の打者、近所の暇な人Cが3振に終わり、この長く苦しくグダグダな戦いは終わりを迎えた。 9人中7人が近所の暇な人となったチームガリアは、当然のように敗北したのだ。 同時に、賈言羽は燃え尽きたかのように倒れ伏した。 走馬灯のように今までの苦労が浮かんでは消えていった。 彼は既に、打ち上げに出席する気力も、この話にオチをつける気力も失っていたのであった。 作戦成功 賈言羽は『野球監督』の称号を得た。 タバサとの関係が『用心』から『バッテリー』に変わった。 獲得称号一覧 『ミョズニトニルン』 『呉学人』 『下着ドロ』 『野球監督』 ジョゼフは『牛丼王』『柔道王』『ホームラン王』『ヤンデレの夫人に死ぬほど愛されて眠れない王』の称号を得た。 タバサとの関係が『仇敵』から『険悪』に変わった。 獲得称号一覧 『無能王』 『ロマンティック王』 『空腹王』 『牛丼王』 『柔道王』 『ホームラン王』 『ヤンデレの夫人に死ぬほど愛されて眠れない王』 前ページ割れぬなら……
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7126.html
前ページ次ページゼロの黒魔道士 ルイズおねえちゃんは、正直に言ってしまうと、口を開ければ小言が多いし、 余計な意地を張っちゃって、あんまり良いことが無いなぁって、思うことが数えきれないぐらいある。 「きみは、上流階級の子じゃないか?」 ……だから、ルイズおねえちゃんの『ずっと黙っている接客』は大正解だと思うんだ。 ルイズおねえちゃんは、貴族の子達の中でも、礼儀作法とかは1番ぐらいに厳しいから、 黙って一礼するだけ、とか、ちょっと後ろに下がるだけ、とかでハッとするほど綺麗に見える。 「とある貴族のお屋敷にご奉仕していたとか?そこで行儀作法を仕込まれたんだろ?」 お客の男の人は、黙ってるルイズおねえちゃんを見て、あれこれ想像してるみたいだ。 ルイズおねえちゃんは、ただただ、にこやかに笑って黙っているだけ…… うん、そうやって黙っていると、ルイズおねえちゃんが本当は持ってるはずの優しさとかが出てきて、 お客さんにもウケがとってもいいみたいだ。 「君みたいな可愛くておとなしい子が奉公していたら、ただじゃすまんだろ。 行儀作法だけでなく、あんなことや、こんなことまで……。 仕込まれそうになったりしたんじゃないのかね?」 ……どうでもいいかもしれないけど、このお客さん、流石に想像力がありすぎ、じゃないかなぁ? もしかしたら、お芝居の台本を書くお仕事してる人かもしれない。 何か、自分の言っていることに興奮してくるところとか……すっごく“芸術家”っぽいと思うんだ。 「く!ひどい話だね!きみみたいな可愛い子に……。 でも、どうして奉公していたきみがこんな店で……、そうだ!分かったぞ! あんなことやこんなことを仕込もうとする無体な旦那に嫌気が差してお屋敷を飛び出したんだな? でも、両親が残した借金が残ってる。それを返すために必死で働いてる。そんなとこだろ!」 ……なんか、ボクまでルイズおねえちゃんが可哀想に思えてきた…… すごいお話作るんだなぁ、このお客さん…… 「なんて可愛そうな子なんだ。ふむ、じゃあこれをその借金の返済にあてなさい。 ところで、その、あんなことやこんなことって、どんなことだね?話してみなさい。いいね?」 ……でも、そのお客さんのお話はそこで終わりだった。 ルイズおねえちゃん、チップだけもらったら、一目散に逃げてきちゃった…… 流石に、それって接客としてどうなのかなぁ……? 「……ハァ、ハァ」 緊張してたのか、急に走って疲れたのか、ルイズおねえちゃん、ものすごく息切れしてたんだ。 「やるじゃねぇか、娘っ子!黙ってりゃいい女、ってか?ケケッ!」 「ルイズおねえちゃん、お疲れさま……はい、お水」 最初っから終わりまで厨房で見てたから、疲れてるだろうなって思って、お水用意しといて良かったって思った。 「ありがとね……ふはぁ~! あ、あったりまえじゃない!チョロいわよ、チップなんてね!ふんっ!」 そうは言っても、ルイズおねえちゃん、とっても嬉しそうだった。 こんなにいっぱいチップをもらえるなんて初めて、だもんね。 さっきのお客さん、ホント気前がいいなぁって思うんだ。 あ、そういえばさっきのお客さんと言えば…… 「ルイズおねえちゃん?あの、ね……」 「ん?どうしたのよ、ビビ?」 「……『あんなことや、こんなこと』って……何?」 ……ペコッて持ってたコップではたかれちゃった…… どうしても意味が分からなかったから聞きたかったんだけどなぁ……? ……今度コルベール先生にでも聞いてみよっかなぁ……? ゼロの黒魔道士 ~第五十幕~ いかにして彼等はその地に立ったか 「ふ~ん。調子出てきたじゃないの、あなたの“お姉ちゃん”」 「あ、ジェシカおねえちゃん……はい、お水」 ルイズおねえちゃんが次のお客さんに取り掛かったすぐ後に、ジェシカおねえちゃんが厨房に顔を出してきたんだ。 「ん!気が利いていてよろしい! っふぅ~!生き返るわ~……」 今日は、暑いから、みんなお水ですっごく喜んでくれるのが嬉しいなって思うんだ。 「最後にみんな追い上げてきちゃったし、こりゃお姉さんもうかうかしてらんないねぇ! あ、これ3番さんね?よし、丁度いいわ!もうちょっと頑張ってくるわね~!」 「いってらっしゃ~い……」 それにしても、ジェシカおねえちゃんって、すごいなぁって思うんだ。 テクニックとか、色々と…… 「おいおいなんだジェシカ。機嫌が悪いじゃないか!」 「さっき誰と話してたの?」 例えば、今行った3番テーブルのお客さん、ちょっと他の店員さんと話していたのをきっちり見つけて、 ちょっと力をこめてテーブルに料理を叩くように置く。 すごい演技力だなって、思うんだ。 まるで……ホントにヤキモチを妬いているみたいに見えてしまうんだ。 ボクも、最初に見たときは騙されそうになった。 (そのときに「あの人のことが好きなの?」って聞いたら、思いっきり笑われちゃったんだ……) 「な、なんだよ……機嫌直せよ」 「別に……、あの子のことが好きなんでしょ」 「ばか!一番好きなのはお前――」 ……これで、このお客さんは、ジェシカおねえちゃんの機嫌を直そうとチップを多目に出してしまうんだろうなぁ。 ジェシカおねえちゃん、役者さんも十分できそうだなって思うんだ。 ……ルイズおねえちゃん、勝てるのかなぁ?こんなスゴい人相手に…… ・ ・ ・ 「これはこれは、チュレンヌさま。ようこそ『魅惑の妖精』亭へ……」 騒がしかったお店が、急に静まりかえる。 お店に入ってきたのは、沢山の男の人達…… 「ふむ。おっほん!店は流行っているようだな?店長」 そして、その先頭に立っていたのは、ヘッジホッグパイみたいにでっぷりと太ってて、 髪の毛が海藻みたいにベットリと頭に張りついている貴族の人だった。 ……なんか、顔つきがニヤニヤとしてて感じがすっごく悪い。 「いえいえ、とんでもない!今日はたまたまと申すもので。いつもは閑古鳥が鳴くばかり――」 「……店長さん、どうしちゃったんだろう?」 いつも豪快な店長さんが、ペコペコと頭を下げてばっかりだ。 「ぁ~ん?いかにも俗物ってぇ声だなぁ。どーせ木端役人の類だろーぜ?」 ……お役人さんって、そんなに偉いのかなぁ……? 「なに、今日は仕事ではない。客で参ったのだ」 「お言葉ですが、チュレンヌさま、本日はほれこのように満席となって――」 「私には、そのようには見えないが?」 どうも、その役人さんの後ろにいる人達も貴族の人みたいだった。 お役人さんがチラッと目配せをしたら、一斉にギラギラと趣味の悪いぐらい光る杖を引き抜いて、周りのお客さんを威圧したんだ。 ……他のお客さん、その迫力に圧倒されちゃったのか、みんな逃げちゃった…… 料理やお酒、まだ残ってるのに……もったいないなぁ…… 「どうやら、閑古鳥と言うのは本当のようだな。ふぉふぉふぉ!!」 頭の上に乗っかっている藻と同じぐらい、ベットリとした声で笑うお役人さん。 うーん……これは、流石に、“なんとなく”、なんてもんじゃなくて…… 「……すっごく感じ、悪いね……」 「ほんっと、感じ悪いわよね」 ボクの意見に、いつの間にか厨房まで逃げてきていたジェシカおねえちゃんが同意した。 「あ、ジェシカおねえちゃん……あの人、誰?」 「このへんの徴税官をつとめているチュレンヌって豚よ。 ああやって管轄区域のお店にやってきては、わたしたちにたかるの。いやなやつ! 銅貨一枚だって払ったことないんだから!」 ……ちょーぜいかん……ちょっと、どういうお役人さんかはよく分からないけど、 とにかく、自分の担当している地域で悪いことをしているお役人さんってのはよく分かった。 「俗物どころか金の豚ってなとこか、なるほどなぁ」 「貴族だからっていばっちゃって! あいつの機嫌損ねたら、とんでもない税金かけられてお店が潰れちゃうから、みんな言うこと聞いてるの」 お店が潰れちゃうんだ……嫌な奴だけど、それだと言うことを聞かなきゃいけないんだろうなって思った。 こんなに活気があって、みんなが楽しくお仕事をしているお店が潰れるなんて、もっと嫌だしね…… 「おや!だいぶこの店は儲かっているようだな!このワインはゴーニュの古酒じゃないかね? そこの娘が着ている服は、ガリアの仕立てだ!どうやら今年の課税率を見直さねばならないようだな!」 ……でも、これはやりすぎ、だと思う。 何より、貴族の人らしい、ルイズおねえちゃんにあるような上品さの欠片も無かった。 「ほらほら!女王陛下の徴税官に酌をする娘はおらんのか!この店はそれが売りなんじゃないのかね!」 「触るだけ触ってチップ一枚よこさないあんたに、誰が酌なんか――」 チュレンヌの言葉に、ジェシカおねえちゃんが苦々しくつぶやいた。 「――しそうな娘っ子、1人だけ心当たりあるぜ?」 「あ」 ……デルフの言うとおり、確かに、1人だけ、そんなチュレンヌにお酌をしそうな人がいたんだ…… 「なんだ?お前は?」 「お客様は……、素敵ですわね」 ……ルイズおねえちゃんって、ときどきスゴいって思うんだ。 教科書とかマニュアルとかをきっちり暗記したりするのもスゴいんだけど、 それをどんなときでも、そのとおりに言ったりやったりしてしまうことがスゴいって思う。 ……何も、こういうときに限ってきっちりやらなくてもいいとは思うけど…… 「なんだ!この店は子供を使っているのか!」 ルイズおねえちゃんは、黙ってニコニコしてた。 ……スゴい。1週間前のルイズおねえちゃんとはまるで別人だった。 1週間前だったら、“子供”って言われただけで、そこら辺のワイン瓶で殴りかかってたと思う。 「ほら、いったいった!子供に用はない。去ね!」 ……そして、殴りかかってなくて良かったって思う。 嫌な奴だけど、お店が潰されるのは困ってしまうし…… 「なんだ、よく見ると子供ではないな……ただの胸の小さい娘か」 ……なんで、このチュレンヌってお役人は、こうルイズおねえちゃんにクリティカル攻撃してしまうんだろうなって思うんだ。 ボムが自爆する前にプクッて膨らむみたいに、ルイズおねえちゃんの気迫をむわって感じた。 「どれ、このチュレンヌさまが大きさを確かめてやろうじゃ――」 チュレンヌの手がわきわきと、まるで虫の足みたいに嫌な動きでルイズおねえちゃんに触れようとした瞬間、 ドンッと大きな音がして、真ん中のテーブルに料理の乗ったお皿がおかれた。 あんまりにも大きな音で、チュレンヌも周りの軍人さんもビクッとするぐらいに。 ……ボクも、ほんのちょっぴり、ビクッてした。 「――料理、お持ちした」 その料理を運んで来たのは、メガネの店員さん……ルイズおねえちゃんのちょっと前にお店に入ってきたらしい、あの新人さんだ。 無口で、あんまり愛想が無くて、チップがあんまりもらえていない、あの新人さんだった。 ……初めて声聞いたけど、なんか聞き覚えがあるような……? 「き、君なぁ、私が今から楽しもうと言うときに――ははぁん、そうか!君もお楽しみの輪にくわわりたいと、そういうことか!」 「……」 「ふむふむ、黙っているとみると、肯定かな?ふふふ、メガネの下はどんな美人かなぁ?こっちの洗濯板よりよっぽど楽しめそ――」 「……洗濯板はないんじゃないの?」 ボムの、自爆。 ……昔は、アレほど怖いものは無いやって思ってたけど、 そんなの、まだまだ全然だなぁって、この時思ったんだ。 お店のテーブル、料理、椅子、壁…… 色んな物が消し飛ぶ大爆発。それも続けざまに、沢山。 ……ルイズおねえちゃん、『エクスプロージョン』って魔法、詠唱するのがすっごく速くなったんだなぁ…… 「ひ!ひぃいいいい!」 ルイズおねえちゃんにクリティカルな攻撃を続けていたチュレンヌが、一番怖がっていた。 「なんでそこまで言われなくちゃならないの?この私がお酌してあげたのに、洗濯板はあんまりじゃないの?覚悟しなさいよね!」 なおも、爆発が続くという宣言をして、杖をチュレンヌに差し向ける。 さっきまでチュレンヌと一緒になって驚いていた軍人さん達も、 冷静になったのかルイズおねえちゃんに向けてギラギラ光る杖を何本も向けようとしている。 「……デルフ!」 「おうよ!久方ぶりの俺様大活躍ぅっ!」 流石に、もう黙って見ているわけには、いかなかったんだ。 ルイズおねえちゃんが、このまま暴れるのも良くないし、 かといって、ルイズおねえちゃんが傷つくのは絶対に見たくない。 とりあえず、この場を止めなくちゃいけない。 ……止めた後、『お店は潰さないでください』って謝って、なんとかしてもらおうって、思ったんだ。 そう思って、デルフを片手に厨房から飛び出した直後に…… 「え、えぇぇい!何をボサッとしておる!そ、そこの娘をただちにひっとら……え?……て……お前達ぃいいいい!?」 「あれ?」 「おん?」 それは、あっという間の光景だったんだ。 軍人さんが、空に舞い散ったと思ったら、その真ん中にいたのは、メガネの新人店員さん…… 「……税の過剰徴収並びに私有化、兵の私有化、徒党を組んでの弱者迫害、並びに女性に対する不届き千番……」 低く、呪文を唱えるように、新人さんはチュレンヌの悪行を言っていく…… バタバタと、まるで本棚の上のホコリを払ったときのように、軍人さん達が落ちていくその真ん中で、 新人店員さんが静かにメガネを外した。 あれ、この顔って…… 「え?ちょ、あ、あの、え、私は、女王陛下のちょちょちょ徴税官であるぞ!」 「女王陛下直下の銃士隊、アニエス・シュバリエ・ド・ミランが許さぬ!!」 長い金髪のカツラを外して、どこに隠していたのか、紋章入りの銃をチュレンヌに突きつける新人店員さん、いや…… 「じゅ、銃士隊っ!?女王陛下直下!?」 「あ、アニエス先生!?」 店員さんがアニエス先生で新人さんで妖精さんで?な、なんか混乱してきちゃった…… ・ ・ ・ 「――なんで、こんなところに?」 チュレンヌや、それ以外の軍人さん達を縄で縛りながら、ルイズおねえちゃんがアニエス先生に聞いたんだ。 「……それは、こちらのセリフだ。何故お前らがこんなところにいる?」 アニエス先生は、いつもの鎧とマント姿じゃなくて、 ルイズおねえちゃんと同じ服の、色違いのスミレ色のものを着ていた。 なんか、ちょっと新鮮に見える。 「え、えっとー……ボク達は……」 「よりによって!なんでこんなところにいるのだ!」 ……なんでだろう、さっきからアニエス先生がすっごく焦ってるように見える…… 「え?え?」 「貴族であることを良いことに、悪さをしているという腐った輩を捕まえる任務と聞いて志願すれば? よりにもよって恥ずかしい服装で客に色気だの愛想だのをふりまかなくてはならない潜入任務? 変装をしたとはいえ知り合いが来て露見するのを恐怖に怯えていたら?何でお前達が同じ店に?何故だっ!?」 ……何故だ、って聞かれても、ちょっと答えに困るし、 流石に「お姫さまからの任務用にもらったお金を使い果たしちゃったから」っていうのは言いにくいし…… アニエス先生はすごい剣幕で怒ってるから何も言えないし…… 「え、えっと、あのー……」 「せめて目指す獲物が来なければ、バレない内に店を変えて待ち伏せしなおすつもりでいたら? なんでよりによってこの屑はこの店に来てしまうというのだ!?あぁ、もうっ!!」 アニエス先生、なんでそんなにイライラしてるんだろう……? 服、似合ってるんだけどなぁ……? 「――偶然って、恐ろしいもんだぁな」 ルイズおねえちゃんと、デルフは同情したように、アニエス先生の言葉にうなずいている。 ……ボクだけ、アニエス先生の気持ちが分かってあげられないのは、ちょっと悲しかった。 「――ルイズっ!!」 「は、はひ!?」 アニエス先生がものすごい剣幕のまま、ルイズおねえちゃんをにらんだ。 ……ものすごく、怖い。 「……お互い、この店にいたというのは、その……秘密にしないか?」 「――大賛成、ね」 「――交渉成立だな」 目と目で、分かりあって、ルイズおねえちゃんとアニエス先生がガシッと握手した。 ……言葉が無くても分かりあえるって、良いなぁって思うんだ。 ボクも、もっとアニエス先生やルイズおねえちゃんのことを分かろうって、そう思った。 「――……あれ?おい、ちょっと?おれっちの活躍の場は!?」 ……デルフの気持ちは、なんとなく分からないでも無いんだけど、ね。 ピコン ATE ~青竜は荒野を越えて~ 「きゅいきゅいっ!!」 翼が、もぎ取れそうだった。 「きゅいぃぃ!!」 風の刃が、身を貫くように、刺さる。 「きゅい、きゅいぃっ!!」 それでも、彼女は、懸命に、疾く飛んだ。 タバサが地に伏した直後、あのエルフに真っ先に食らいついた。 後先を考えず、ただ、怒りに身を任せて。 結果など、分かっていたはずだった。それでも、戦わずにはいられなかった。 「魂まで蛮人に売り渡したか、韻竜よ。使い魔とは、哀しい存在だな」 違う。それは決して哀しいことなんかではない。 主を助け、主を守り、主と共に歩むこと。それこそが使い魔なのだ。 シルフィードは、エルフに片手で制されながら、そう思った。 思った直後に……頭に衝撃を受け、昏倒した。 エルフの前では、韻竜も赤子にしかすぎないというのであろうか? 目を覚ますと、エルフの姿も、お姉さまの姿も、影も形も存在しなかった。 「きゅぃいいいい!!!」 叫んだ。哀しい、叫びだった。 消えた主の手掛かりを求めるように、風に叫んだ。 ……そして、意外なことに、手掛かりはすぐに見つかった。 地に落ちた、血の痕。 それと、風に乗って香る、ハシバミ草やムラサキヨモギの香り。 それは、間違いなく、彼女の主の痕跡だった。 シルフィードは、飛んだ。 そのワザとらしいタバサの足跡を、罠と知りながらも、 彼女は、疾く飛んだ。 全ては、彼女が使い魔であるために。 何時間飛んだか分からない。 太陽が傾いて、沈み、また昇った。 夏の日差しが彼女の体力をさらに奪い取ろうと真上に来たときに、彼女は見つけた。 それは、砂に囲まれた、要塞。 それは、彼女の主を封じ込めた、悪魔の城。 そこから香るは、タバサの血と、彼女の好む香草の香り。 シルフィードは、考えた。最善手を。 本能は、今すぐにでも城に乗り込みたかった。 だが、ここには、あのエルフがいる。 彼女を赤子のように軽く片づけた、この地で最も恐ろしき存在が。 そして、彼女が考えた最善手は…… 「きゅいきゅいっ!!」 翼が、もぎ取れそうだった。 「きゅいぃぃ!!」 風の刃が、身を貫くように、刺さる。 「きゅい、きゅいぃっ!!」 それでも、彼女は、懸命に、疾く飛んだ。 彼女が考えた最善手、それは。 「きゅぃっ――ビビちゃんっ!お願いっ!!」 死の淵から帰ってきた、奇跡のスーパー精霊さん。 心優しき、彼女のお友達。 彼に頼ること、それが彼女の考えうる、最善手だった。 体力も限界で、涙も涸れ、向かい風に目が乾く。 それでも、青竜は荒野を越え、トリステインを一直線に目指した。 全ては、彼女の主を助けるために。 全ては、彼女の友を助けるために。 前ページ次ページゼロの黒魔道士
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/29257.html
登録日:2014/07/22 (火) 19 30 04 更新日:2020/05/28 Thu 20 44 43 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 ういんどみる アバディーン オートマタ サスケェ シスコン ヘタレ ラスボス ロリコン 技師 杉山紀彰 祝福のカンパネラ 紀之 苦労人 (*1) 「神殿騎士にアニエス、そして有能な冒険者か」 アバディーン(Aberdeen)とはういんどみるOasis制作のエロゲー、祝福のカンパネラに登場するサブキャラクターの1人。 CV 紀之(PC版)杉山紀彰(PSP版、アニメ) 身長 177cm 血液型 ? 第1章のラストにアヴリルと共に姿を現す青年。 ヒロインの1人、アニエスの兄弟子に当たる存在で彼女からはアバ兄と呼ばれている。 黒いマントに身を包んでいる他、大凡人間とは思えないくらいに白い肌をしている。 更に無機質なその瞳からは何を犠牲にすることも躊躇わない冷酷さも感じられるとのこと。 それもその筈、彼は純粋な人ではなくその身をオートマタに改造している。 加えて体中に古代の希少なアイテムであるアーティファクトを埋め込んでいるため、戦闘能力も非常に高い。 クランOasisの中でも手練れであるニックの目で見ても相当にヤバいと語っている。 ただ、兄弟子の間柄であるアニエスとの会話から決して冷酷無情な人間というわけでもなさそうで 病弱な妹を助けるために行動しており、その為にミネットのコアである魂白珠(アニマペルラ)を狙っているらしい。 退けない事情があるとはいえ、主人公レスターやクランOasis一行と対立する明確な敵意を持ったキャラクターとして暗躍するのだが…… 以下、ネタバレ諸々含む。 フルネームはアバディーン・ローランド。 彼の助けたがっている病弱な妹というのはミネットの親友であるミリアムのことである。 クリア後に解放される章末キャラクターストーリーなどを見ても妹やアヴリルのことを本当に大切に思っているようで 彼女たちに無理な苦労や犠牲を強いたくないと心を痛めている。 また、オートマタ化した彼のコアに使われているのは魂紫珠(アニマアメティスタ)と呼ばれるもので ミネットのコアである魂白珠(アニマペルラ)に匹敵する力を秘めている。 が、同時にこれには古代において災厄をもたらそうとした"逆さ人形"と呼ばれる者の意志が封じ込められており 油断をしているとそれに意識を乗っ取られてしまうという大きなリスクも含んでいる。 とまあ、諸々の大まかな解説はこんな感じなのだが、このアバディーンというキャラ 何というか本編中での行動に空回りが多いというか間の悪さが多いというか…… つーかぶっちゃけるとヘタレ扱いされてしまうことも多いという悲しい男だったりする。 妹を救うためには手段を選ばないという覚悟をしているのは確かなのだが、それ以上に妹に悲しい思いをさせたくないという気持ちが重なり 非情な手段に打って出るのは飽くまでも最終手段であるといった認識が強かったりする。 ところが、その悪く言えばどっちつかずな態度の所為で結局失敗してしまうという感じになってしまったりもする。 大切な家族であるミリアムやアヴリルを傷つけたくないという気持ちによる部分も大きいため、仕方ないという見方も十分に可能ではあるが。 ミネットルートでは他に手段が見つからずミネットのコアを使うしか選択肢が残されておらず 親友のミリアムの為にその身を犠牲にしようとするミネットの覚悟を汲み、断腸の思いでミリアムを蘇らせるも 親友という犠牲を強いてまで生き残りたくないというミリアムの不意打ちを受けて事態は振出しに戻ってしまう。 後に引けなくなった上でレスターに一騎打ちを申し込み本気で戦うもこれにも敗北。 直後にミネットを襲おうと飛びかかったアヴリルの攻撃を敢えてその身で受ける。 その気になれば一騎打ちなんてせずに無理やりにでも奪えば良かった筈だが、自分も妹と同じようにミネットに惹かれていたことを悟り 後のことをレスターたちに託して機能停止した。 カリーナルートではベルリッティ家の地下に眠る"海籠の楔"を狙って襲来。 探索をアヴリルに任せて自身は正面から派手に立ち回り陽動を担当する。 この際も守衛の兵士たちを一切傷つけることなく侵入してくるなど、彼の根底にある心優しさが窺える。 最終的にアヴリルが無理やりに楔のある空間をこじ開けようとして機能停止してしまったことで一時休戦。 後日、全てがミリアムに露見してしまった際にクランOasisにアヴリルの修復を依頼しに来た時は 隠し事をしていた負い目があるとはいえ、完全に妹の尻に敷かれているという情けない一面を見せていた。 チェルシールートでも同じく"海籠の楔"を探して行動しており、その時にレスター、チェルシーと相対。 自身の高い戦闘力で圧倒するも、神剣としての自身を解放したチェルシーとそれを駆るレスターの一撃によって大ダメージを受ける。 それによって一時撤退するが、そのダメージの所為で魂紫珠(アニマアメティスタ)に眠る"逆さ人形"の意志を抑えられなくなり 近くにいたアヴリルを乗っ取られて復活を許してしまう。しかもその後は活躍無し。ぶっちゃけ一番扱いが悪いルート。 アニエスルートでは"天蓋の水車"を目指して行動していたレスター一行に合流して協力。 目的地までの近道を示したり、押し寄せてくる敵の大群に対して時間稼ぎを担ったりと大活躍。 自身の師匠でもあるアルトワーズとの戦いが終わった後はレスターと共に水車の修復作業に協力。 長い時間をかけて水車の一時的な修復を成し遂げることに成功する。 ◆以下、余談。 ファンブックの裏話によれば当初は本当に「ころしてでもうばいとる」といった行動も辞さない冷酷キャラにする予定だったらしいが 色々あって変更していった結果、現在のロリコンお兄さんキャラになったとのこと。 他、ファンブックラストのカバー横や祝祭のカンパネラのカウントダウン動画によれば自分がロリコンであることを気にしているらしい。 アヴリルにはその通りだとスッパリ言われてしまっているが。 追記・修正お願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] アンソロ4コマ1巻表紙でもネタにされてるしなんだかんだで好かれてるよねw -- 名無しさん (2014-07-22 21 38 05) コイツがアヴリルに対してヘタレなければ本編での敵対はなかったんじゃないかとFDやってから思った。 -- 名無しさん (2014-07-22 21 56 33) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/firaball/pages/47.html
2011.7.2 SOM Block MOCS 『Seba Con』 2011.10.1 POYCS Constructed Standard Event 『Seba Green』