約 2,109,925 件
https://w.atwiki.jp/mahousyouzyoapple/pages/65.html
――キィン―― 金属と金属がぶつかり合う音が、暗闇に響く。超戦闘魔法少女アップルは、岩壁に寄り添っていた。彼女の片腕は熱を帯び、白熱灯のごとく輝いている。真っ赤なドレスの脇腹部分が破れ、肌が露出している。一筋の切り傷から血がつうと流れ出ていた。アップルは親指で血を拭い、それを舐めとってから、唾と一緒に吐き出す。 「毒のたぐいは喰らってなさそうだね」 彼女が今立っているのは、牌ヶ原中学の真下、地下数キロメートルの場所らしい。もっとも、それを確かめる術は彼女にはない。 アップルはそっと岩壁に触れる。かすかな振動が皮膚から伝わってくる。次第に大きくなってくるそれに、アップルは呼吸を合わせる。そして、振動が最大になった瞬間、後ろに飛び退く。 岩壁を破って巨大な影が現れた。アップルはすぐさま発熱した拳を振り下ろす。しかし、手応えがない。 「ハハッ!」 笑い声を上げてアップルの攻撃を避けた影は、地面を鋭利な爪で抉り、石礫を飛ばしてくる。アップルは両腕を盾にしてそれを凌ぐ。アップルが腕をどけると、すでに影はどこかへ消えてしまっていた。 「また逃げやがったか!」 アップルの苛立った声が暗闇に響き渡る。不意に、背後の地面が盛り上がる。アップルは右腕に炎を灯しながら、すぐさま振り返る。 「タイムタイム、僕だよ林檎ちゃん、攻撃しないで」 軽薄で気の抜けるような声が聞こえて、アップルは慌てて攻撃を中止する。 「先輩でしたか……」 アップルは炎を消して溜息をつく。 そこにいたのはアップル、椎名橋林檎の先輩、飛南瓜光次郎だった。だが、いつもの姿とは違う。細身の、それでいて筋肉質な身体には鴉のような漆黒のマントが巻き付いている。背からは蝙蝠のそれによく似た羽が生えている。そして、腕である。彼の左手には、巨大なドリルがくっついていて、鈍い色で輝いていた。表面には一線の堀溝が螺旋を描いている。 「自分の腕にドリルが付いているってのは、子供の頃は憧れたものだけど、でも実際に付いてみると実に不愉快なものだね。重みと振動で肩は痛いし、自分の身体に当たりそうで怖い。なにより女の子にモテそうにない」 飛南瓜は溜息をつくと、ドリルになってない左手で、マントから土を払う。 「さすがに、付け焼刃のドリルでは限界があるね。アイツの速度には全然敵わないよ。どうだい、林檎ちゃんの方は?」 「だいぶ慣れてきたけど、まだ体が重いね。それに、ただでさえ空気が薄いってのに、炎をずっと出しながら戦うってのは厳しいかな」 アップルは感じたことをそのまま言う。地下に来た時から、ずいぶんと体がだるいと感じていた。生まれて一度も風邪すら引いたことのない(致死性の毒を食らったことはあるが)彼女にとって、その感覚は実に不愉快なものだった。近くに近いせいもあるだろうが、やはり酸素が薄いことが一番の原因だろう。 「大変だね。僕は反対に結構調子がいいんだ。どうも地下世界ってのは闇エネルギーが多いところらしい。一日中夜みたいなものだからかな? もっとも、こんなものをつけて戦うのには慣れたくないものだけどね」 飛南瓜はドリルを回して遊んでみるアップルは飛南瓜の腕についたドリルをじっと見た。金属の円錐はアップルの放つ光が反射している。 「ドリルってのもなかなかカッコいいと思うぞ? 男のロマンって感じで」 「え?」 「なんでもない……」 「なんだい、つれないなあ」 飛南瓜はニヤニヤと笑う。アップルは少し顔を赤らめ、そっぽを向いて土壁に触った。その瞬間、彼女の表情が一変した。目付きが鋭くなる。 「どうしたんだい?」 飛南瓜が尋ねると、アップルは返答の代わりに人差し指を立てた。飛南瓜はうなずき、すぐにアップルと背中を合わせて身構える。アップルは土壁に手を当てたまま、神経を研ぎ澄ませる。 「来る! 上だ!」 アップルは叫んで上方に拳を向ける。途端、天井が崩れ、大量の土塊が大量に降り注ぐ。 「超戦闘魔法・富士!」 アップルは片腕から熱線を天井にできた大穴めがけて放出しながら跳躍し、その場から退く。飛南瓜は一歩も動かないまま、ドリルで次々と岩石や土の塊を砕いていった。 ドリルの回転音と、土塊の中で上がった悲鳴が混じり合う。飛南瓜はドリルを上方から悲鳴のした方に向ける。アップルはもう一度熱光線を撃ちこむ。 「そんなに何度も当たらないヨッ! ハハッ!」 甲高い声がアップルの耳を突く。アップルは声の方に視線と腕を向ける。アップルの腕から放たれた光が、スナックンの姿をはっきりと捉えた。 恐らく、地下世界で視覚に頼らず聴覚だけで生活するためだろう、頭部にはやたらと目立つ円形の巨大な耳が付いている。顔にはまるで目を隠すように、黒線が一本通っている。そして、奇妙なことにどう見ても燕尾服にしか見えない衣服を身に纏っている。 その姿を見て、アップルは気を引き締める。服を着たスナックン、彼女はこれまでにも何度かそういう敵と戦ったことがある。彼らは例外なく強敵であった。服を着ているということは、知能や地位の高さを表している。そして、知能が高ければ高いほど複雑な魔法を使えるため、戦闘能力も高くなるのだ。 アップルはすぐに火炎弾を一発打ち込むが、その瞬間、地面に落ちていた大きな岩が浮き上がって、火炎弾を遮ってしまった。 「ハハッ! ムダだよ! この地下世界でこのボク、ダンディマウスに出会うなんて、キミタチはホントに運がないネ! ハハッ!」 「おしゃべりな鼠だね。キャロル!」 飛南瓜が後ろからエネルギー弾を放つが、ダンディマウスと名乗ったスナックンはそれをやすやすと避ける。 「光のない世界で育ったボクに、後ろからの攻撃なんてムダだって! ハハッ!」 そしてダンディマウスは鋭利な爪のついた両手を振り上げる。周囲に散らばっていた石ころが浮遊し、彼の手に吸い寄せられていく。そして、あっという間にダンディマウスの手を、まるで巨大な手袋のように、覆ってしまった。 「ハハッ! 行くよ!」 ダンディマウスは笑うと、その岩石の拳を林檎めがけて飛ばしてきた。アップルはとっさに腕でそれを防ぐが、岩の拳はぶつかった瞬間にはじけ飛び、アップルの全身を石礫が雨霰のように襲う。 「この程度の攻撃……」 一瞬の隙をついてダンディマウスは距離を詰めていた。そして、発射していないもう片方の岩の手でアップルの腹に強力な一撃をお見舞いする。 「ハハッ! これで終わりだよ!」 「舐めるな!」 アップルは浅黒くゴツゴツした腕を突き出し、ダンディマウスの巨大な耳をむんずと掴む。肉の焼ける匂いが、周囲に漂った。熱さに悲鳴をあげながら、ダンディマウスは岩石の拳でアップルの顔を殴る。鼻から血が流れ、アップルの彫りの深い顔を汚す。しかし、アップルは手を離さない。片耳が焼きちぎれる。 「痛いナ! ヒドイことするナ! ハハッ!」 アップルの背中に怖気が走る。こいつは、なぜ自分の耳がちぎれたというのに笑っていられるのだろうか。しかしアップルはひるまずに、ダンディマウスの顔に拳を撃ちこむ。鈍い音がして、拳が頭蓋骨を貫通する。これで終わった。そう思ってアップルが腕を抜いた瞬間―― 「ハハッ! 痛い痛い!」 ダンディマウスはまだ笑っている。さすがのアップルもぎょっとする。アップルに一瞬の隙ができたのを見逃さず、ダンディマウスはちぎれた耳を拾うと、アップルの懐から離れる。 そして、耳を傷跡にくっつけると、指をグルグルと回し、少量の土を浮遊させて、継ぎ目にくっつける。大穴がふさがり、円形の耳もくっついて、頭の形が元に戻る。 「ハハッ! これでもう大丈夫!」 「プラナリアかよ……」 「君、さっきから僕のこと無視しすぎだよ」 ダンディマウスの真横の壁が崩れ、飛南瓜が飛び出す。そして、彼のドリルが、頭部を木っ端微塵に砕いてしまう。 「だからムダだって! ハハッ!」 「しぶといなあ」 頭を砕かれてもなお、ダンディマウスは動きを止めない。岩石の腕で飛南瓜を殴ろうとするが、飛び南瓜もそれを避けて、アップルの隣に飛び退く。 「ハハッ! このままじゃ埒があかないね! それに、二対一はズルイな! ちょっと逃げさせてもらうヨ!」 ダンディマウスは首なしのまま、また地面を掘り始める。 「させるか!」 アップルは石ころを拾ってそれを火焔弾にして投げつける。そして、ダンディマウスの足に当たる。足首から先が切れ、ぼとりと落ちる。しかし、やはりダンディマウスは笑い声をあげたまま、すっかり地面に隠れてしまった。 「とんだ化物だね」 「先輩、追わないんですか?」 「いや、作戦を立てなおそう。今のままじゃ、アイツの言うとおり、埒があかない。イタチごっこさ。それに、そろそろ君の体力も限界に近いだろう? 林檎ちゃん、炎出しすぎだもの。僕もだいぶ息苦しくなってきたしね」 「……」 林檎は親指から炎を出してみる。いつもよりずいぶん弱々しい。酸素がかなり減っているのだ。 「わかりました、一旦地上に戻りましょう」 そして二人は今まで通ってきた地下道を、逆方向に歩き出した。途中であの不死身のスナックンがまた襲ってくるかとも思ったが、本当に一時退却してしまったようで、相まみえることはなかった。三十分ほど歩いて、巨大なエレベーターにたどり着く。この地下世界まで林檎と飛南瓜を運んできたものだ。二人はそれに乗り込んで、地上へと向かった。地上へ向かうエレベーターの中、林檎は超戦闘魔法少女ドリルアーム化計画について考える。 超戦闘魔法少女ドリルアーム化計画。 現在、日本国内に超戦闘魔法少女は七人存在する。そのうち、空中戦闘能力を持つ魔法少女はわずかに一人。そして、地下戦闘能力を持つものは皆無である。しかし、政府は超戦闘魔法少女の空中戦闘能力開発は研究者たちに命じたが、地下戦闘能力開発には乗り出さなかった。 そして、それに反発する研究者が数名いた。彼らは独自に超戦闘魔法少女達に地下戦闘能力を持たせようと研究と開発を始めた。それが超戦闘魔法少女ドリルアーム化計画の発端である。 超戦闘魔法少女ドリルアーム化計画研究書の第一ページには次のように書かれている。 「我らは巨大な翼で大空に羽ばたく少女たちよりも、ただ金属製のドリルが回転する様に浪漫を覚える――それがこの研究の唯一にして最大の動機である」 時はアップルと飛南瓜が地下での戦闘を開始する二日前、林檎と京子が保健室を訪れた時まで遡る。 「どういうつもりですか、先生。一般生徒に超戦闘魔法少女計画について話すなんて」 口を細めて、マグカップから昇る湯気に息を吹きかけている笹岡に、京子は歩み寄る。林檎の方は動揺からかその場に固まったまま、飛南瓜と笹岡を交互に見ている。 「まあ落ち着きなさい、無礼門くん。君もコーヒー飲むかい? インスタントだけどね」 笹岡の方はいつもの調子を変えようともしない。 「結構です」 「ああそう。でも、二人共とりあえず座りなさい。真面目な話はゆっくりしたいものだからね」 京子は目を細めて笹岡を一瞥した後、露骨にため息を付いて見せてから、パイプ椅子に座った。林檎は首を振って、私は立っていますと言った。普通のパイプ椅子は林檎にとって小さすぎるからだ。 いったいコレはどういう状況なのだ。林檎と京子は同時に同じことを考える。笹岡は十中八九、飛南瓜の秘密を知っている。そのことはどうやら間違いないようだ。数日前の事件、学校中の女子生徒からパンツが盗まれるという怪事件において提示された機械のことが頭をよぎる。スナックンが糧とする闇エネルギーを探査する機械。あれさえあれば、飛南瓜の秘密に感づくことは十分可能だ。そのことはすでにわかっていたし、飛南瓜にも注意を促しておいた。だが、それにしてもこの状況はおかしい。 どうして笹岡が飛南瓜に接触を図るのだろうか? 笹岡の専門は科学技術の研究及び開発だ。「政府」が笹岡にスナックンの血が流れていると把握したとして、笹岡に飛南瓜との接触任務を与えるだろうか? 戦闘能力も、交渉能力も皆無な笹岡に? どう考えてもありえないことだ。ならば、考えられることは一つである。笹岡は完全に独断で動いている。恐らく、上層部には闇エネルギー探知機が完成したことすら報告せずに、勝手に飛南瓜と接触を図っている。笹岡ならやりかねない、と二人は思った。ならばそんなことをする意図はなんだろうか。 「何難しい顔してるんだい、二人とも」 笹岡が首筋をボリボリと掻きながら言って、コーヒーを一気に飲み干した。そして机の上の瓶を手にとり、インスタントコーヒーの粉末をスプーンも使わないでマグカップに入れた。そして、足元に置かれた魔法瓶をひょいと持ち上げ、マグカップにお湯を注ぐ。 「さて、どこから話したものかね」 言いながら、笹岡は菓子皿に立て掛けるかたちで置かれた銀色のスプーンに手を伸ばした。そして、スプーンでカップの中身をゆっくりかき混ぜる。 「二人は知ってたかい? 飛南瓜君、人間じゃないってこと」 周囲の空気が凍りつく。林檎も京子も眉根一つ動かさず、目の前の胡散臭い中年に視線を送る。笹岡の方は一切気にする様子なく、マグカップに口を付けている。飛び南瓜もそれに合わせるようにコーヒーを啜る。京子は静かに口を開く。 「……笹岡先生はどこまで知ってるんですか?」 「それをこれから話そうと言ってるのに、せっかちだねえ、無礼門くんは」 無精髭を撫でながら、笹岡は笑う。すると、飛南瓜が溜息をつくように大きく息を吐いて、マグカップを机に置いた。 「失敬ですねえ、先生。僕は人間ですよ、少なくとも半分はね」 いつもと変わらない、紙風船みたいに軽薄な声だった。少なくとも、京子はそう感じた。しかし、林檎だけはその声がいつもと比べて、僅かに曇っていることに気がついた。 「先輩……」 林檎が唸るように声を出す。 「あー、いいよいいよ、二人共、隠そうとしないでも大丈夫。僕は生まれついての正直者なんだ。女の子に嘘を吐かせてまで自分の身を守ろうだなんて思わないよ」 「でも……」 「続けてください、笹岡先生、いや、笹岡博士と呼んだほうが?」 「博士、いい響きだねえ、でもまあ、好きに呼び給えよ。それに、そんなことは今はどうでもいいさ。とっとと話を進めよう。そうだね、僕は飛南瓜君が“普通の”人間じゃないってことに気づいている。何しろ彼は、闇エネルギーの塊だ。御存知の通り僕は闇エネルギーを探知する機械を開発中でね、そいつのおかげで簡単にわかったよ。ああ、大丈夫、上層部の連中はまだこのことを知らないよ。彼らは僕の研究になんて微塵も興味ないんだ。彼らが興味を持ってるのは結果だけさ。もっとも、僕も彼らに興味なんて全く持ってないわけだから、おあいこだけどね。話が逸れたね。とにかく、飛南瓜君については今のところ僕しか知らないわけだ。ところで、最近例の機械、闇エネルギー探知機が完成してね、給料をもらっている身としては上層部への報告義務ができたってわけさ。研究費用も落としてもらわなきゃいけないしね」 「要するに、僕を脅しているわけですね」 飛南瓜の言葉に笹岡は唇を釣り上げる。 「平たく言うとね」 飛南瓜と笹岡の視線が交差した瞬間、二人の眼の色が劇的に変化したのが、林檎と京子にもはっきりと分かった。 「僕が闇エネルギー探知機の完成を報告すれば、すぐにでも「政府」は超戦闘魔法少女計画の前線に投入することだろうね。仮にそうでなくとも、とりあえず、試用ぐらいはしてくれるだろうさ。そうなれば、君の生活は確実に崩壊するね。研究所のスナックン専門のヤツらに回されるか、そこの可愛い二人に討伐依頼が課されるか、まあそんなとこだろうね」 徐々に笹岡の口調が芝居がかってくる。 「そこで相談だ。僕は今、ある仕事を任されていてね、それを手伝ってくれるというなら、もしかしたら、君の存在をお偉いさんたちが知ることはないかもしれないね。どこかのうっかりした研究員が報告を怠るかもしれないから」 飛南瓜と笹岡は見つめ合う。僅かなときが流れた後、こんなに長い時間男と目を合わせるなんて不愉快だと言わんばかりに、飛南瓜はため息を突きながら視線を逸らした。 「いいんですか? 闇エネルギー探知機なんて便利そうなもの、早く導入したほうがあなた達の計画もスムーズに進むでしょうに」 「そのくらいは僕も考えているよ、もちろんね。闇エネルギー探知機の発明については、そのうちちゃんと報告して、ボーナスまでしっかりもらうつもりさ。そこでこいつの登場だ」 笹岡はそう言って、白衣のポケットから黒いペンダントのようなものを取り出した。 「それは?」 「このペンダントをつけると、あら不思議、君は闇エネルギー探知機に引っかからなくなる。要はチャフのようなものさ」 「チャフ?」 「電波を乱反射させて、レーダーなんかからの探知を妨害する、情報兵器の一種よ」 首を傾げる林檎に京子が説明する。 「その通り、正確に言うとチャフともだいぶ原理は違うんだが……まあ、そこら辺は長くなるから省くとして、簡単に言えばこいつがあれば、闇エネルギー探知機に引っかからなくなるって代物さ」 自分の発明に自分で対抗策を用意しているとは、と林檎は呆れる。 「なるほど、つまり僕が協力すればそれを貸してくれるというわけですか」 「その通り」 笹岡は満足気に頷く。 「僕がその気になれば今ここで、あなたを殺してでも奪いとることが出来る、そうは考えないのですか?」 「さあ、どうだろうね考えたかな、考えてないかな。でも、少なくとも今それは無理だろうね、すぐ近くに可愛らしい護衛が二人も付いているんだから」 笹岡が林檎と京子に目配せする。全ては笹岡の掌の上だと二人は同時に思った。 「わかりました、引き受けますよ。それで、僕は具体的に何をすればいいんですか?」 飛南瓜が首を振りながらため息混じりにそう言うと、笹岡は満足そうに頷いた。 「ちょっと腕にドリルをつけてくれ」 『改造手術によって腕にドリルをつけるのには無理がある。それでは超戦闘魔法少女たちの生活に支障が出てしまう。彼女たちは本当に兵器として生きることを余儀なくされ、それは超戦闘魔法少女計画の本流からも反してしまう。そこで僕が提案するのは魔法エネルギーによるドリルの具現化である。もちろん、これは誰しもが思いつく方法であろうが、しかし、それでもこれが最もリスクの低い方法であることは明白である。ただし、魔法エンジンに直接ドリルの情報をインプットすることも問題がある。物質具現化による情報キャパシティの消費は著しい。ただでさえ限界に近い超戦闘魔法少女の魔法エンジンにこれ以上の負荷をかけるのは好ましくない。そこで、外部的に魔法エンジンを取り付ける必要がある。そのエンジンに必要なときだけ魔法エネルギーを送るようにするのだ。ただし、この方法でも問題はまだ残る。いかにして外部へ純度の高い魔法エネルギーを送るかである。スナックンのような、生まれつき魔法エネルギーを操作する仕組みがあればもちろんこれは可能であろうが』――「超戦闘魔法少女ドリルアーム化計画研究書」より抜粋 つづく 次回予告 地上に戻ってきた林檎と飛南瓜。しかし、そこではレモンとダンディマウスの死闘が繰り広げられていた! 不死身のダンディマウスを倒す手段はあるのだろうか? そして飛南瓜の腕は元に戻るのだろうか!? 次回超戦闘魔法少女アップル第六話「乙女、大地に立つ!」乞うご期待!! (作・恋人が南十字星)
https://w.atwiki.jp/eb_archives/pages/185.html
キラーアップル 名称 Lv GUTS アビリティ キラーアップル 16 240 種の弾丸 遠 プラスワン, ドレイン20, 30ダメージ スカルブレイカー 近 必中, 【防御封じ】, ?ダメージ, ?ダメージ, ?ダメージ
https://w.atwiki.jp/konkatu346/pages/139.html
米崎町樋の口から小友町雲南までの4.2キロ間がアップルロードとして開通しました。 道路の車幅は、約9メートルで直線的なルートになっています。総工費は約48億円との事。一キロの工費は約11億2千万余りと言う計算になるかな? 名称 :アップルロード 場所 :米崎町樋の口⇔小友町雲南 距離 :約4.2キロ 車道幅員:約9メートル 道路 :片側一車線 小友町雲南付近 終始点 小友町雲南地区から米崎方面を望む 米崎町樋の口付近 終始点 copyright © 2009-2010 陸前高田市探訪 all rights reserved.
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/2501.html
アップルシード 登場人物 コメント 士郎正宗のメジャーデビュー作となったSF漫画。雑誌連載を経ずに単行本の形でリリースされている。物語は未完であるが作者が凍結宣言している。 タイトルはアメリカの開拓時代のリンゴ農園民話『ジョニー・アップルシード物語』より。キャラクターや設定の各所にギリシア神話由来の名前が使われている。 OVA版が1988年4月21日に発売され、映画版が2004年4月17日劇場公開された。 2011年6月より、全13話からなる新シリーズ「アップルシード XIII」がスタート。ブルーレイ、DVD発売される他、配信が決定している。劇場リミックス版が2011年6月13日より公開される。 登場人物 色違いブースター♀:デュナン・ナッツ 髪型カラー。 ハッサム♂orゲノセクト:ブリアレオス・ヘカトンケイレス 後者はサイボーグ繋がり。 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る 草案 登場人物 ランクルス♀:ヒトミ(人美) メタグロス:宮本義経 ギギギアル:ドクトル・マシュー -- (ユリス) 2015-06-15 19 58 21
https://w.atwiki.jp/mahousyouzyoapple/pages/56.html
円く、紅いセロハンを景色に重ねたふうに見える、熱量の塊。 綺麗だ、と安楽音は思う。 その熱源の中央で、アップルは不敵に笑っていた。 間合いに踏み込んだものは灰と化し、怖気付いた敵が距離を取ろうとしても尚、攻撃から回避へ転じる瞬間に必殺の一撃を打ち込むことは容易である——アップルは、そう考えていた。 ふいに、アップルを悪寒が襲った。 それは、昨日の朝礼で味わったあの感覚。 それは、つい先ほど感じたもの。 その正体を、アップルはようやく理解した。 “視られている”ということ。それは、大蛇に見据えられて身が竦むような、“視線”という脅威だった。 視られている。視ている。どこから? アップルの脳裏から先刻の考えのすべてが吹き飛んだ。それらは、今となっては浅はかすぎる思惑。アップルはただ、視線を感じる方、邪視の根源へと鉾先を向けた。アップルを囲んでいた灼熱が右の拳へ集中し、恐ろしいほどの熱風を放つ。アップルは、その拳を無我夢中で打ち下ろした。 拳を振り抜くのと怪人が眼前に実体化を始めたのは、ほぼ同時であったとアップルは記憶している。だが、それを確かめる前に強烈な光がアップルを襲った。 閃光。そして僅かな空白のあと、アップルの視野に色が戻る。 「テメェェェ!! どんな鍛え方してやがんダァ! どてっ腹に大穴が空いちまったじゃねえかヨォ!!」 手負いの獣のような、駄々を捏ねる子供のような、下卑た声が轟いた。アップルの目の前で実体を取り戻した怪人。その腹部には、まるで空間ごと削り取ったように見える拳大の穴が穿たれ、ぽっかりと向こう側の風景を覗かせていた。だが、その空洞は見る見るうちに元通りの姿へと再生してしまう。 「お前の動き、『誰にも捉えることはできない』んじゃなかったのかい」 敢えて気丈に、アップルが言う。 「クヒャヒャヒャッ! そんな格好で強がっても無駄だゼェ!」 怪人が突き出した鉤爪の先。淡いベージュ色をした、数千度の熱にも耐えると言われる“超戦闘魔法少女アップル専用・超耐火ショーツ”がひらひらと揺れていた。 「なん……だと……?」 しばし、アップルは茫然としながら、様々な推論を駆け巡らせた。先程より、片時も地表から両足を離すことはなかった。なのに、下着が奴の手に渡っている。その事実から考えられるのは——。 物質転送。 催眠。 時空間歪曲。 因果律反転。 超次元的干渉。 笹岡が使うような、しち面倒臭い表現を当てはめるならこんな所だろう。アップルには、そのどれもが真に迫っているようにも思え、そのどれもが正鵠を射ていないようにも思えた。 思考の牢獄に陥ったアップルがふと横を見ると、少し離れた場所に、背後を凝視したきり複雑な表情で固まっている安楽音がいた。 後ろから、誰かの駆けてくる足音。 「林檎ちゃん、新しいパンツだよっ!!」 掛け声とともに、真新しい純白の下着が力一杯放り投げられた。 宙に投げ出された下着はやがて空気抵抗を受け、緩い放物線を描いて、ふわり、アップルの手元へ着地する。 「先輩……」「先輩……」 呆れ顔のアップルと安楽音、その視線の先にあるのは、購買部で余りまくっている校章入りパンツを両手に抱えた飛南瓜の姿だった。 「予備はいくらでもある、だから安心して戦ってくれたまえ!」 一点の曇りもない飛南瓜の声は、空に吸い込まれた。 その残響が消えぬ内、ほどよく弛緩していた空気と対照的な、凍えるほどの冷気が通り抜けていく。茶番に気を散らしていた怪人の足下が氷で覆い尽くされるのに時間はかからなかった。次いで、幾本もの円錐形をした氷柱が怪人の体躯目掛けて飛来し、大小の氷柱がその体を次々に切り裂き、貫く。背後には、北校舎の壁面を悠然と歩く人影。その肢体を躍らせて、翔んだ。 「あなたには後悔する時間も与えない」 空中へ踊り出たレモンは、狂おしいほどの怒りを潜めて、冷ややかにそう言った。 高く上げられた細い腕、その先に、北大西洋から氷山の一角を持ってきたような大きさの氷の塊が現れる。 「今すぐパンツを返して死ぬか、死んでからパンツを返すか、二つに一つよ」 レモンは躊躇なく、背中を思いきり反らして氷塊を怪人へ放った。 怪人は背後から迫りくる氷塊に一瞥もくれぬまま、翼をはためかせ身体を宙へ浮かせた。誰も認識できぬ速度で両足は氷の束縛から離れ、氷柱で貫かれた痕跡は跡形もなく消えていた。 氷塊との激突の間際、怪人の身体が、また二重三重の揺らぎを見せた、次の瞬間——その場に居た全員は、怪人が巨大な氷の塊を「すり抜けた」ようにしか思えなかった。氷塊が全身を押しつぶしたと思ったときには既に、怪人は氷の反対側から上空へ向かって飛び出していたのだ。 「トンネル効果ってやつダァ。よく覚えときな嬢ちゃん」 レモンの上を取った怪人が両腕を振り下ろす。不意を突かれ、防御が間に合わなかったレモンは、氷の砕け散る地面へ向かって叩き落とされた。 「危ない!」 すんでのところで飛南瓜がレモンを抱きかかえる。 体勢を戻しながらレモンが空を見上げると、怪人の姿は消失していた。何かが体を通り過ぎたような感覚だけを頼りに振り向くと、薄ぼんやりとした形で実体を成しつつある怪人の後ろ姿があった。 誰一人として息つく時間もない間に、アップルだけが敵を十全に捉えていた。 滑空した姿勢で地面すれすれを飛ぶ怪人の頭を、渾身の力でアップルは地面に叩き付けた。地表はえぐれ、赤土の焼ける匂いが立ち篭める。 アップルの一撃で怪人の肩口から上は微塵も残らず吹き飛んでいた。 「こいつが姿を消している間……厳密に言えばこいつの『気配』は存在していない。ただ粘り着くような『視線』だけが位置を知る手掛かりよ。そして実体化の瞬間、そこが最大の弱点。その瞬間に攻撃を合わせれば、こいつにも打撃を通すことが可能になる」 大きく息を切らせてアップルが説明する。今の攻撃で随分と消耗しているようだ。 「殺った……のか?」 飛南瓜が、信じられないという様子で訊く。 「バカ言わないで。頭を潰されて生きているなんてプラナリアかサナダムシくらいのものだわ」 人指し指をぴんと立て、たしなめるような口振りでレモンが言った。 その、上を向いて尖った端正な鼻先を何かが翳める。落下してきた物はそのまま、レモンの指にすとんと引っ掛かった。木綿の柔らかな布地の上にファンシーなクマの顔がプリントされたそれは、いかにも女子児童受けしそうな下着にしか見えない。 「なっ……なっ……なっ……何でっ」 絶句して、耳まで顔を紅く染めるレモン。 あたふたしている内にも連続して空中から落下物が現れ、レモンの頭や両肩には、ウサギ、パンダ、ヤンバルクイナなどの図柄も華やかな下着がたちまち降り積もってしまった。 逆上したレモンは、氷結させたそれらの下着をストンピングの連打で粉砕する。 「ふぅ、みっともねぇナ……たとえ証拠を隠滅したって『可能性』は常に重なり合い、存在し続けるんだゼ」 声がした。地に臥していたはずの屍体は、とうに影へ溶け込んでいた。 「この声……! なんてこった、奴は不死身なのかよ!」 飛南瓜が落胆を隠せずにかぶりを振った。 「不死身? いいや、さっきまでの俺はそこでちゃんと“死んでる”、もっとも——お前らにゃそれを認識する手段がないだろうがナ」 アップルは、一向に姿を見せない怪人の言葉に耳をそばだてながら思った。この声は果たして、今まで戦っていた怪人と同じものだろうか。確かに、傲岸不遜な喋り方や声色は一致している。しかし、以前の粗野で下品な口調は影を潜め、代わりに知性が加わったような、そんな印象だ。 「——例えば、この俺を殺したいならすぐにでも可能だゼ。そこのデカい女が言っていた方法でナ。だが、俺を殺すと同時に、世界には『殺された俺』と『殺されなかった俺』の存在が重なり合う。お前は、たまたま『俺を殺すことのできたお前』であるだけで、依然『俺を殺せなかったお前』という確率を消せはしない。そうして宇宙は、あらゆる可能性を孕み、無限に膨張していくのサ」 「へえ、その世界の重なり合いとやらが、あんたには視えるとでも言うのかい」 アップルが問う。 「クククッ、随分物分かりがいいネェ。勿論サ。おっと、自己紹介がまだだったナ——俺の名は、パンツヌスムゼ!! 多世界を認識し支配できる唯一にして無二の存在、それがこの俺様なのサァ!!」 目も眩む稲光が走った。強烈な光に照らされ生じた影から、パンツヌスムゼの黒々とした体が現出した、全身に電光を纏ったその姿は、これまでとは明らかに異なる、見るものを無条件に威圧する威容を備えていた。 「俺はさっき殺られちまった個体とは随分遠い可能性の存在なんでナァ、『パンツヌスムゼ′』とでも呼んでいいんだゼ」 「ダッシュ? じゃあその次は′TURBOか? スーパーか? それとも、レインボーかな?」 いつの間にか、笹岡が居た。眼鏡をくいくい上下させて稲光を漏らさず受け止めている。 「ひとつ言わせてくれ、我々にとって君と戦うメリットなど存在しない! というか、そもそも君みたいなのと戦っていたらキリがない! 多世界だと? 多世界解釈なら私も知っているがね。君が多世界を『認識』できると言ったのはなぜだ? 多世界解釈に則れば、分岐した世界を相互に観測することは不可能だ、なぜなら世界が枝分かれした時点で異なる状態ベクトル間の干渉性は喪失してしまうのだからね。ヒルベルト空間において直交する状態ベクトルの時間発展が記述される限り、我々は時間や、純粋状態から混合状態への遷移に対して常に不可逆的な存在でしかあり得ない。そこでもし可逆的な存在として振る舞えるとすれば、それはこの宇宙における、より高次な存在ということになるだろう。そもそも、人の『観測』によって波束の収縮が生じると定義したコペンハーゲン解釈に対し、観測者である人間もまた量子的存在であると主張したのが多世界解釈だ。無論、多世界解釈でも人が複数の可能性の内、どの世界を観測するかを任意に選ぶことなどできないし、全ての人間は自分が『たまたま』観測した世界を歩いているんだ、君が重なり合う多世界を認識できると言うのなら、君は量子的存在を超えた——高次の存在でない限りは辻褄が合わない、しかし君は私の『観測』からすると非常に量子的な存在に見えるね。どうなんだい、この辺? 腑に落ちないんで質問に答えちゃくれないかね?」 笹岡の長台詞を聞き流してアップルは、クロッカスとクロックスは似ている、なんてことを思っていた。 「クックック、お前の垂れた講釈こそ、この俺が高次元の存在である証明そのものだゼ。この俺は宇宙の頂点に立つ存在! あらゆる分岐点を認識し、分岐によって生まれたあらゆる多世界を認識し、あらゆる場所に偏く存在できる者! この世界での存在確率を限りなくゼロにして移動することも、量子状態を自在に操ってトンネル効果を起こすことも、ダメージを多世界の自分と置き換え自己再生することも、この眼で視た物質を自由な空間上に移動させることも、なんだってできる! こんな風にナァ!」 パンツヌスムゼが両手を広げると、爪の先にフラミンゴ柄の下着が現れた。 「あ゛あ゛っ」 レモンが目をひん剥く。 「さ、さ、笹岡先生! こいつの言ってることは本当ですよ! さっきだって私のパッ、パッ、パッ、パンツを」 なりふり構わずにレモンが喚き散らした。 「うーん、私にはまだ納得が行かないのだがね。まあ、闇エネルギーの未知の特性ということにでもしておこうか」 笹岡が、パンツをしげしげと眺めながら言う。 「くそっ! 貴様……これだけの能力を持ちながら、やってることはパンツを盗むだけだと!? 才能の無駄遣いにも程があるぞ!!」 朝からパンツ消失事件に腹を立てていた飛南瓜が食ってかかった。 「無駄遣いだト? 違うネ。これこそが俺の力を存分に活かした崇高な行為! 『パンツを盗むだけ』ではない、俺は全ての可能性を見通し、パンツを剥ぎ取ることでその人間の本質を露にするのサ。その女もそうだったろう? 少女趣味の下着を白日の下に曝されたときの動揺、醜態。まさに人間の本性ダ。仮面を被ったままのうのうと生きている人間どもは、自らの醜悪さに気付かない。そんな人類を目覚めさせ、世界全体をあるべき姿へ導く、それが俺の偉業であり覇業というわけダ! 全ての人類はパンツを脱げ! 俺がこの目で内側を覗いて覗いて覗いて! ねぶってねぶってねぶって! 睨め回し尽くして新たな楽園へ連れていってやるゼ!!!!」 飛南瓜は狼狽した顔で目を伏せた。だめだこいつ、早く何とかしないと。 「ふーん。あなたの言ってること、あたしは肯定できないな——」 口を挟んだのは、安楽音だった。 「なんだト? 黙ってナ、小娘!」 「——あのね、あなたの言う本質ってやつのこと」 安楽音は引き下がらない。 「だって、人の本質や可能性って言ってみればブラックボックスじゃない? そんなに簡単に分かるもんじゃないよ。あたしができるのはそんなブラックボックスに『こうだったらいいな』とか『こうかもしれない』っていう解釈を当てはめるだけ。逆に言えば、解釈の数だけ本質、可能性は存在するんだ。間違ってるかもしれない。正しくなくたっていい。でも、そうやって少しずつ、自分や他人を理解していくしかないんじゃないかって、あたしは思う」 目を逸らさずに放たれる安楽音の言葉。その瞳はパンツヌスムゼと並ぶか、あるいは凌駕するほどのどや感を携えている。拮抗するどや感とどや感の競演、その調べは誰も聴いたことのない交響曲を奏でていた。 「チッ。蒙昧な野郎どもに話しても無駄だったようだナ。おいメガネ! お前は俺と戦うメリットがないとか言ってたが、それはこっちの台詞ダ! この俺にとってお前らは無数にある多世界の中の塵芥なんだヨォ! いちいち相手してたら覇業の達成が遅れちまうゼ! アバヨ!」 パンツヌスムゼが大きく翼を開き、飛び上がった。 「あっ、奴が逃げるぞ」 飛南瓜が叫んだ。 アップル達が追いすがり、空を見上げた矢先、頭上から大量のレンガや石畳のブロックがばらばらと降り注いだ。アップルとレモンは落下するそれらを素早く打ち砕く。粉々になった破片が充満する中で、一同はパンツヌスムゼの姿を追った。 「ゲホッゲホッ。畜生、目眩ましだ。これじゃあ奴の姿が見えないじゃないか」 咳き込みながら飛南瓜が周囲を確認する。その時、ばちばちと何かがショートするような音と共に閃光が瞬いた。 「まさか……! おい……まずいぞ……!!」 飛南瓜の声と同時に電光が走った。 「チッ、こっちが本命だったってわけ!?」 太く束になったビーム砲の如き電流が迫っている。レモンは吐き捨てるように呟くと、電撃を目視するより早く、身の丈の倍ほどある大きさの氷の壁を展開した。 「長くはもたない……今の内に遠くへ!」 必死に電撃を食い止めるレモンを一人残し、アップル達は粉塵の外へ転げ出る。直後、氷の壁が消えた。そしてアップル達の真上に横倒しになった氷の壁が出現した。 「こんな物の位置まで動かせるってのかい!?」 アップルは両手を氷に当て、一気に蒸発させた。レモンが二個目の氷の壁を生成しようとする。が、迅雷となって迫る電撃の前に動作が追いつかない。 「ぐぅっ!!」 雷に匹敵する電流を受け、レモンの身体は強かに痙攣を繰り返し、地面にくずおれた。アップルが思わず駆け寄ろうとするが、笹岡が制止する。 「だ、大丈夫よ……超戦闘魔法少女はそんなに柔じゃないんだから」 レモンは膝をつきながらもサムズアップし、そう言って軽く笑ってみせた。笹岡も一瞬、表情を緩ませるが、すぐに周りの状況に気付いた。 「待て、奴の姿は?」 気配は、とうに消えていた。あの厭らしい視線も今は感じない。 「出たり消えたり、本当に面倒な相手だわ」 「こちらには一般生徒もいた、被害が最小限で済んだのはレモン君に感謝しなければな。しかし……奴の存在は既に何処かへと拡散してしまったようだ」 「拡散……? そうだ……先生! あの端末は!?」 飛南瓜が思い出したように言った。 「……なるほど、奴の波動関数が拡散したというのなら、再び闇エネルギー探知機で確率分布を捉えることができる。だが、ぬか喜びはするなよ。先程のように存在確率が分かったとしてもすぐに奴を目視できるとは限らんからな」 そう言いながら、笹岡は嬉しそうな手つきで懐から出した携帯端末を操作する。猛スピードのタッチを続けたあと、笹岡が顔を上げ、微笑を浮かべた。 「——出たぞ。ここから一番近い地点を示そう」 全員が固唾を飲んで耳を傾ける。 「場所は、北校舎の屋上だ」 Bパートに続く (作・見る目なし)
https://w.atwiki.jp/hammerfairy/pages/110.html
パワーアップル 食べるとたくましくなれます。 攻撃力上昇+3 ほぉら、やっぱり果物……え、駄洒落がひどい……。 凄いテンション下がる、何パワーアップルって。 攻撃力上がるどころか下がりそうなんだけど私。 ところで、この果物なんだけど、味はまぁまぁ。 舌を満足させる甘みがないのに、 酸味がちょっと強いかな。 おやつに出る分はいいが、店で出てきたら不満なレベル。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/29228.html
登録日:2014/7/20 (日) 00 01 26 更新日:2024/08/31 Sat 07 21 06NEW! 所要時間:約 2 分で読めます ▽タグ一覧 MOTHER MOTHER2 アップルキッド キャラ口調解説 ツーソン ネズミ リンゴ 天才 有能 発明家 発明家としての才能はある 皮肉 空腹 掃除してないから散らかってて汚いけど…… お風呂入ってないからちょっと汚いけど…… 僕は『MOTHER2 ギーグの逆襲』に登場するアップルキッドです。 えっ。今日は僕の項目を見に来てくれたんですか?うれしいなぁ。 普段はオレンジキッド君の話題でもちきりだったもので…… 僕はオレンジキッド君と同じくツーソンに住んでいます。彼とは家が隣同士なのですが……町の皆さん特に女の子は僕よりもオレンジキッド君に夢中みたいですね。この前も住民の皆さんに食べ物をくれないかとお願いしたのですが、断られてしまいました。 僕の役に立つのかどうか分からない発明品よりも、彼のゆで卵を生卵に戻す研究の方が受けがいいのかなぁ。 え? 僕の発明品とその成果が知りたいんですか? 興味を持ってくれるだけでうれしいですよ。 ●受信電話(*1) その名の通り受信専用の電話です。冒険中に発明品が完成したらこの電話に連絡(*2)します。他のマシンに比べたらインパクトが薄いですかね。ですが未開の地魔境にも通じる優れものです。 ●タコけしマシン(*3)(*4) 徹夜続きで完成させたマシンです。これはタコの形をしたものを一瞬のうちに消してしまう恐ろしいマシンです。ハッピーハッピーむらに続く道と、ドコドコ砂漠のサルの洞窟で道、低予算ダンジョンの前の道をふさぐタコの形をした鉄の塊に効果があります。誰がこんなの作ったんでしょうね。たこ焼き屋さんの近所では使わないで下さいね。 ●ゾンビホイホイ(*5) これをテントのような場所の真ん中に置けば、ゾンビが面白いように集まって捕獲できます。ツーソンの隣町スリークでのゾンビ退治に貢献しました。実は僕はゾンビを見たことが無く、理論上の発明でしたが……無事に効果が出てよかったです。 ●ぐるめとうふマシン(*6) 様々な味の豆腐を作ることが可能なマシンです。ですが冒険中では「いちごとうふ」(*7)しか作ることができません。フォーサイドのモノトリービルに勤務するメイドのエツコさんがこれを必要としていて、持って行ってしまいます。「いちごとうふ」は都会では人気のデザートみたいです。ちなみにこの道具は戦闘中に使うことができます。ジェフさんが使用すると中から「いちごとうふ」が飛び出し、敵にダメージを与えます。大きなダメージは与えられないので、あまり期待はしないでくださいね。 ●こけしけしマシン(*8) 今度はこけしを一瞬にして消すマシンです。完成してすぐに連絡しようとしたんですが、!!!!!…という具合に誘拐されてしまって。ストーンヘンジで道をふさぐこけしに効果があります。誰かの忘れ物ですかね。それにしてもギーグの手下に誘拐されるなんて、いい経験ができました。 ●スペーストンネル この前の誘拐事件で知り合ったアンドーナッツ博士とどせいさん達との共同発明です。これは時空間瞬間移動装置なんです。ただこのマシンは生命体をワープさせることができません。それでも頭脳プログラムをロボットに移植して戦いに向かったネスさん達からは勇気を教えてもらいました。 どうでしょうか。少しは面白い発明もあったと思うんですが…… ふわぁ…。眠くてご飯も食べていないので、もう限界です。後はそこにいる助手のマウスに話を聞いてください。 吾輩はマウスである。名前はまだない。 主人はこのように謙遜気味だが、その役割は大きい。 これらの発明品はピンポイントで冒険の役に立っただろう。主人の活躍が無ければ平和を取り戻すことはできなかった。 主人に投資してくださったネス御一行には本当に感謝している。 また機会があれば是非我々のもとを訪ねて欲しい。 では、また会おう。 ちなみに元ネタは企業の「Apple」そしてオレンジキッドはもちろんライバルの「Microsoft」である。 …あ、吾輩がここにいたら追記・修正ができないな。ササッ! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] オレンジキッドが自分の実力の無さを自覚してアップルキッドに弟子入りするってラストにしてもよかったんじゃないかな -- 名無しさん (2014-07-20 02 33 03) ↑まぁ結果的にアップルキッドの方が役に立ったとはいえ彼も彼でタコを消したりの、コケシを消したりの、ヤマカンだけでゾンビを捕まえる罠を作ったりの人によっては用途不明、もしくは信憑性のない発明を作っているしね。 -- 名無しさん (2014-07-20 12 22 00) 鉄のタコは低予算ダンジョンの前もある。あとぐるめどうふマシンも作ってるね。 -- 名無しさん (2014-07-20 13 23 35) タコ消しマシンってタコの形してればクトゥルーでもやっちまえるんだろうか -- 名無しさん (2014-07-21 10 40 40) 何だかんだで味方側のキャラでは作中屈指のトリックスターだよね。 -- クッパの騎士 (2014-07-21 11 38 52) 彼のおかげで大助かりだったのでスターマンに現れたときはマジであせった。どうせならあの腐れみかんを始末してくれれば・・・・。ねずみさんはいいお友達だね。 -- 名無しさん (2014-07-29 22 57 47) 「欲しいな」と思うものを作ってくれるので本当に感謝している。でも何でわかったんだろう? -- 名無しさん (2014-07-29 23 10 42) ↑4ためしに「マル・デ・タコ」に使ってみたが消えなかったので、道をふさぐたこ専門なのかも。 -- 名無しさん (2014-07-29 23 52 45) アップル君は「受信電話」も作っているよ。発明品に入れてあげて。 -- 名無しさん (2014-07-29 23 53 31) ↑3 攻略本「ひみつのたからばこ」の袋とじに「ポーラがテレパシーで伝えた説」と「アップル自身が直観的に無性にそういう発明をする人説」という二つの説があがっていた。 -- 名無しさん (2014-07-29 23 57 11) ↑つまりアップル君は優れた人物なんだ!!すごい。 -- 名無しさん (2014-07-29 23 58 32) このマウス君は1:助手2:友達どっちなんだろうか?言葉もしゃべれるし1かな? -- 名無しさん (2014-08-01 21 16 45) ゾンビホイホイは別の項目でも書いたがバイオハザードの世界でなら高く売れるぞ、ただで使っても「救世主」扱いを主人公達にされるかもいれん。アップル君は本当に天才中の天才だな! -- 名無しさん (2014-09-24 21 54 05) 作ってる物は微妙なのばっかだけど作れる技術力は評価していいと思う -- 名無しさん (2015-03-12 15 43 52) ぶっちゃけこれを応用できたネスのほうがすごい -- 名無しさん (2015-07-24 18 49 35) ↑2ゾンビホイホイとか理論だけで見たこともない物を捕獲できる代物だしね -- 名無しさん (2016-01-30 16 49 30) ↑9 アップルキッドの発言が冗談でなければ、本物のタコも消えると思われる。「マル・デ・タコ」はタコっぽい程度なんだろう -- 名無しさん (2016-06-08 20 01 34) ↑タコの足は8本ですな(マル・デ・タコは4本)ってネタが4コマにあったのを思い出した -- 名無しさん (2016-06-08 20 28 24) しかしそれではタコ・ソ・ノ・モノが消せない理由が謎。 -- 名無しさん (2017-06-21 22 42 55) グルメとうふマシン戦闘中に使えたのか・・・ -- 名無しさん (2017-11-10 15 35 03) じゅしんでんわは携帯じゃいけなかったのかな?いつでもセーブやホームシック克服などが出来るとかで -- 名無しさん (2018-07-19 23 35 41) オレンジキッドは外面のいいだけの中身のない人間でアップルキッドはその逆……とゲームをしている当時は感じたけど、こう見るとアップルキッドの発明も(ニーズに応えた結果だが)使いどころが限られる上に便利さとは縁が無いな。スペーストンネルもスゴいけど生物は送れないし。 -- 名無しさん (2019-06-27 12 58 00) 現実では「アップル」が今やオレンジキッドにしか見えないなぁ。Lightningケーブルとか。 -- 名無しさん (2020-02-03 12 14 04) ↑3 当時でも業務用の車載機とかリュックみたいに背負ったり肩にかけるやつならあったらしいが、PHSすらなかった時代だぞ。mother2の発売は94年8月、PHSのサービス開始(東京・北海道のみ)が95年7月。つかどこでも電話できたら、いろんな意味で雰囲気が台無し。ホームシックの演出そのものが無意味になる。 -- 名無しさん (2021-04-01 03 29 18) エニックスの4コマ漫画では”ドンピシャで攻略に欲しいものを送ってくれるのはポーラのテレパス説” -- 名無しさん (2021-10-25 11 26 20) ぶっちゃけたまたまネス達の役に立ったってだけで発明品の意味不明さはオレンジとどっこいどっこいなんだよな -- 名無しさん (2022-04-19 02 18 38) 絶対物語の黒幕か何かだと思ってた。本当に状況に合致したものが偶然出来ただけとは。 -- 名無しさん (2022-07-14 18 49 43) ボクらのアップルキッドは誰かのオレンジキッドかもしれない。逆も然り -- 名無しさん (2023-01-21 17 20 14) ↑2、読むまで考えもしなかったけど、ギーグの予言マシンか何かが「ちえのりんご」って名前じゃなかったっけ? -- 名無しさん (2023-01-29 22 50 51) 海外版「いちごとうふ」のTrout yogurtだけど、トラウトは鱈じゃなくて鱒や鮭じゃない?鱈はcodだし -- 名無しさん (2023-09-27 07 20 40) ↑ ぶっちゃけると検索で引っかったのをそのまま紹介した。正確な出所まではよくわからん。 -- 名無しさん (2023-09-27 19 49 00) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/pleiad_tw1if/pages/794.html
キラーアップル 概要 分類:モンスター 傾向:心重視 サイズ:大型(3~6m) 説明文(公式) 巨大なリンゴから木の手足が生えた、奇妙な姿のモンスターです。 木の葉で出来たとんがり帽子と木の杖を持つその格好通り、魔術を巧みに操ります。 キラーアップルはジワジワと相手を苦しめる邪悪な魔法を好み、魔術に囚われた相手がなす術なく死に至るその時、リンゴに浮かんだ卑屈な笑みは一層深まるといいます。 特徴(プレイヤー視点)
https://w.atwiki.jp/idressi3/pages/272.html
高原アップル(たかはらあっぷる) 【画像:未作成】 【文章:未作成】
https://w.atwiki.jp/mahousyouzyoapple/pages/55.html
笹岡万五郎の背後から差し込む陽光が、きらきらと乱反射し、その無機質な顔の輪郭を縁取っている。 ——視線の先には林檎、飛南瓜、京子。 薬品の鼻を衝く臭いが、林檎の顔をしかめさせた。昼休み、林檎は例の“集団パンツ消失事件”についてスナックンとの関連を笹岡へ報告すべきか思案していた。すると、そこへ向こうから呼び出しがかかった形だ。 それは好都合でもあったが、こうして、何を考えているのか分からない笹岡の——本当に内面があるのかとさえ思う——貼り付いたような薄笑いを見ていると不安になる部分もあった。 「あの……用件があるなら早く言ってもらえませんか?」 いつまでもこちらを睨め回すだけの笹岡に業を煮やしたらしい京子が口を開く。 「ふむ、それは確かに妥当な意見だ。——では、君たちが当然、ある予測に辿り着いているという前提の下で話そう」 笹岡はひどく勿体つけて、鼻にかかった口調で喋り始めた。 「昨日の——高確率でスナックンの干渉によると予測される“おにゃのこのおぱんちゅ消えちゃったよ事件”だが、どうも面倒なことになっていてね」 「笹岡先生、そのネーミングは限りなく妥当じゃないと思います」 京子が冷たく突っ込む。笹岡は無視する。 「——面倒と言うのは、だ。公安警察が介入の機会を伺っているようなんだよ。何故なら、昨日の事例はスナックンの姿が一度も観測されていない、つまり政府側も超戦闘魔法少女の案件としてゴリ押しが出来ないってわけさ。この機に乗じて手柄を奪われでもすれば、スナックン対策予算や諸々の利権、それらすべてが警察関係組織へと流れ込むことになる——かもしれない。その場合、超魔法少女計画そのものが消滅って可能性もあるね」 ぶちぶちと引き抜いた無精髭を指先で弄びつつ笹岡は話し続けた。 「障害となるのはスナックンだけじゃないということね。でも、何らかの協力体制を敷くことはできないのかしら?」 「いや、むしろ警察が解決してくれるならその方がよくね——」 林檎、飛南瓜が口々に意見を飛ばす。途端、見計らったように笹岡の口角が上がった。 「協力体制ねぇ。政府から圧力をかけさせれば可能かもしれない。しかし、問題は盗まれたパンティだ。警察が回収した場合、もしかしたら下着を証拠物件として鑑識に回すかも分からんなぁ。闇エネルギーの重要研究資料としてな。いや、持主に返すとしてもビニールシートにパンティを広げた上、牌ヶ原TVで放映……」 「絶対に先を越されるんじゃないわよ! 京子!」 「ええ! 勿論だわ!」 笹岡の言葉を聞き終わらぬ内に、二人はすぐさま部屋を出ようとした。だが笹岡の必死の静止が聞こえると、しぶしぶ部屋の中央へ戻る。 笹岡は溜息を一つ吐いたあと、座っているキャスター付きの椅子を反転させると机の抽斗から小さな機械のようなものを取り出した。 「これを渡しておこう——こんなこともあろうかと、君達のために開発しておいたスペシャルアイテムだ」 眼鏡を怪しく発光させながら掲げたその物体は、奇妙なデコレーションが施されているだけで、よく見ればどこにでもあるスマートフォンタイプの携帯端末だ。 画面を笹岡が二、三回、自慰行為のような手付きでさすると何かのアプリが立ち上がった。 「ベースは市販のスマートフォンと同じだが、中身はほとんど入れ替えてある。使えるアプリもこの一種類だけだ。流石にメールや電話くらいはできるがね。」 見なさい、と差し出された端末に林檎が視線を注ぐ。 「この装置は“闇エネルギー存在確率探知機”とでも呼ぶのが適当かな。独自開発のアプリとセンサーを使い、周辺に闇エネルギーが存在している確率の分布をGPS上に表示する。基本構造は、闇エネルギーの量子的特性に着目し、空間内から初期座標を予測、そしてシュレディンガー方程式の応用で波動関数の時間発展を導き——まあ、実際に見てもらった方が早いだろう」 思うさま爆睡しかかっている三人に気付いた笹岡は、慌てて画面を校舎の見取り図へ切り替える。 タッチに合わせて画面上のタブがころころと切り替わり、やがて地図に重なるようにして、紫色の濃淡で描かれた靄のようなものが表示された。 「これが闇エネルギー存在確率の分布だ。色が濃いところほど奴らの存在確率が高い。そして分布の形を見てくれ。この紫色のもやもや——便宜上“確率の雲”と呼んでいるが——斑になりながらも、学校全体を覆うように表れている。今朝からずっとだ。こんな反応を見せたのは初めてだよ」 見ると、確かに地図上の校内全域に斑模様をかたちづくった紫色の雲が覆い被さっている。林檎には“存在確率の分布”という表現がなんだか腑に落ちなかったが、「そこに行けばスナックンと遭遇する可能性が高いのだろう」という認識で了解した。 「この中で最も濃度の高い場所から調べるんだ。上手くいけばコトの原因となった奴を捕捉できるだろう」 その他、細かい機能の説明を終えて恵比須顔の笹岡は三人へ端末を配った。 では失礼します——そう言って今度こそ保健室を出ようとした林檎達に向かい、笹岡が何かを思い出したように付け加える。 「——ああ、そうそう。あの安楽音美々という生徒にも注意を払ってくれ」 「……え?」 林檎に動揺の色が浮かんだ。 たった数時間前に会った彼女の名を何故、この男が口にするのだろう。 「何故……ですか」 「数日前、この端末のテストをしていたところ、安楽音美々の周辺に微弱な闇エネルギー反応が起こった。何故——かは分からないし、ただの誤作動かもしれない。それだけだ、もう行っていい」 ぽつりぽつりと、警告めいた口調で話し終えた笹岡は、机に突っ伏し頭を掻いている。林檎には釈然としない気持ちだけが広がっていくのが分かった。 ——捜索を始めてから十数分ほど経つが、成果はまだ見えていない。 林檎は屋外の探索をしらみ潰しに行なっていた。だが、これだけ広域に渡っていると、すべてを確認するのは骨が折れる。連絡がないところからして、校舎内を調べている飛南瓜や、部室棟へ向かった京子も同じことだろう。異常な数値を示す液晶画面の校内図とは裏腹に、視界に映る景色はうららかで、あちこちから生徒の笑い声が木霊していた。 昼休み終了を告げる予鈴までは、残り半分を切っている。 あらためて放課後に捜索を再開するべきか、林檎が悩みながら端末に眼を向けた、その時だった。 今まで存在していなかった高い濃度の存在分布、それが限りなく黒色に近い「点」として画面の北校舎付近に現れている。 林檎は、端末を耳にあて、京子達に状況を伝えながら矢のように駆けた。 北校舎棟へ続く並木道を進むほど、噎せ返るように密度を増す異臭が敵の存在を知らせている。木々の間から北校舎棟の玄関が見え始めた。目標まであと数十メートル。 「グシャー!!」 その時、もはや聞き慣れたその咆哮とともに、ついに異形の姿を眼差しの向こうへ捉えた。 「超戦闘魔法・アップルトランスフォーム・変身!!」 巻き上がる炎の光芒を突き抜け、アップルが一息に間合いを詰める。 ドリアンヌの鼓動が数千分の一拍も打ち終えぬ迅さで、アップルは神速の連撃を叩き込み、次々と息の根を止めていく。空中に吹き飛ばされた五、六体のドリアンヌは爆散し、肉片も残さぬ黒煙となって降り注いだ。 異形の咆哮が止んだあと、吹き抜けた風に煙が幾筋もの尾を曳いてかき消えようとしている。アップルが周囲を見渡すと、北校舎入口の横、植え込みの近くで座り込むようにして身をすくめている少女が、そこにいた。 少女が顔を上げる。 「君……今朝あたしをかばってくれた子……その……格好は……?」 少女——安楽音が、震える唇でアップルに問うた。 「安楽音さん!」 安楽音は腕にできた傷を押さえながら、少し怯えた眼でアップルを見ている。 「グシャー!!」 まだ残っていた一体のドリアンヌが爪を振りかざして安楽音へ飛びかかった。 「超戦闘魔法・旭!!」 全身をバネにして距離を縮めたアップルによる、右フックと同時に繰り出された熱球が、零距離からドリアンヌを打ち抜き焦熱の肉塊へと変える。地面には弾け飛んだドリアンヌの焦げ跡だけが残された。 対象の殲滅を見届けたアップルは、安楽音を包み込むように抱きしめると一言「——安心して」と言う。 「私はアップル。あなたを、必ず守るから」 それだけを告げた。 安楽音が、未だ震えのおさまらない体をアップルに預けたまま眼を細める。 「ありがとう」 そう言って、安楽音は優しげに微笑んだ。 ——そして、二人が安堵しかけたその刹那、アップルの躰を昨日感じたものと同じ気配が駆け巡り、視界の隅に小さな影が躍った。 「これは……!!」 瞬間的にアップルが気配の方向へ身構える。 安楽音も不穏な空気を感じたらしく、じっと前方を見据えている。 虚空に、無数の絡まりあった——多重の像が——揺らめいたかと思うと、徐々に怪異が平面から立体へ、透明から不透明へと、その形を成していく。その後、空間に染みわたるような禍々しい嘲い声が反響した。 「グヒャヒャヒャヒャヒャ!! そこの小娘ェ!! 貴様、本当に人間カァ!? この俺サマが二度もスカートの内側へ“侵入”できなかったのは初めてだゼェ!!」 それは、巨大な翼と鉤爪を持つ、鳥と蛇の融合体だった。悪魔にも等しいその全身を暗黒色に塗り込めた、異形の化物の大きく裂けた口が忌々しげに動く。 「とうとう姿を現したようだね。吐き気がするようなお前の気配、よーく覚えてるよ!」 「なんだァ? テメェもパンツを盗られたいのカァ?」 怪人が翼を大きく羽撃かせながら言った。 「安楽音さん、危ないから少し離れていてね!」 アップルは根を下ろしたように地面へ両脚を付け、どんな攻撃にも寸時に反撃可能な構えを完成させた。 「無駄だァ! 俺サマの動きを誰も捉えることはできねェ! クァクァクァッ!!」 ばさり、怪人が輪をかけて強く羽撃くと、その勢いのままに滑空を始める。怪人の姿は幾重ものぼやけた影となり、直後、気配だけを残して完全に消失した。 0.000001秒の反射を持ってあらゆる外敵を排除するアップルの構え。両の脚は地面から僅かにも離れることはない。それは、再戦の好機を手にしたアップルが取り得る最良の選択。 「来い! 焼き鳥にしてやるよ! 超戦闘魔法・紅玉!!」 アップルを中心に広がる半径二メートルのすべてが、赤熱する火球と化した。 空気の焼ける音だけが辺りに響く。 「これでお前がどこから来ようとも、黒焦げになるだけさ」 次回予告 ついにパンツヌスムゼとの激戦の火蓋が切って落とされた! 集結する超戦闘魔法少女達!! 果たしてパンツヌスムゼの持つ超時空的能力に抗うすべはあるのか! そして今、少女の隠された力が目覚める!! 次回、「超戦闘魔法少女アップル本編 第四話「乙女の敵は乙女が倒す(後編)」乞うご期待!! (作・見る目なし)