約 2,800,433 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3371.html
注意 自分設定があります。 赤ゆっくりがでてきます。 すっきりできないまま、終わるかもしれません。 「「「ゆっきゅりちていってね!」」」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 ここはとあるゆっくりの群れ。 たった今、生まれたばかりのゆっくりが目をキラキラを輝かせながら親たちに向かって、お決まりの挨拶をする。 親たちもまた、お決まりの挨拶を返し、その後は頬を擦り合わせて親愛の情を示すのだ。 平凡かもしれないが、とてもゆっくりした親子たちであった。 子供たちは初めて見る『おそと』に興味津々であった。 あるもの全てがとても綺麗なものとして感じられる。 木々の緑、風の流れ、太陽の暖かな光、どれもこれも当たり前のものだが、全て素晴らしいものとして感じている。 この時の感情をゆっくり風に言い表すならば、『とってもゆっくりしている』であろう。 大人になってからでは目を向けないものだが、生まれたてのゆっくりだからこそ分かるのだ。 やがて子供たちは自分を生んでくれた親の元へと集まり、家族であることを確認する。 彼らはとても、とてもゆっくりしていた。 「へぇ、いっぱいゆっくりがいるなぁ」 「ゆっ!?」 人間の、どこか呑気そうな声が聞こえてきた。 ゆっくりは慌てて周囲を確認する。ゆっくりにとって、人間とは『ゆっくりできないもの』として分類されているからだ。 すぐさま、一匹のゆっくりが茂みから顔だけ覗かせている人間を見つける。 それは若い男であった。大きなリュックを背負って、物珍しそうにゆっくりたちを眺めている。 いきなり襲って来ないことに安堵したのか、ゆっくりたちはその場に留まって人間を威嚇する。 「ゆうぅぅぅ! にんげんさんはあっちにいってね! ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ!」 ぷくぅ、とゆっくりれいむは頬を膨らませて、身体を大きく見せる。 この動作は他の動物に対しても威嚇の効果はあまり持たないが、ゆっくり的には真剣である。 本気で相手を驚かせられると思っているのだ。 勿論、人間相手ではまったく威嚇の効果は見込めないが。 「いやいや、ごめんごめん。ゆっくりできないことはしないから、安心してくれよ」 笑顔のまま、男は両手を挙げて敵意の無いことを示す。 それでも、ゆっくりたちの威嚇の構えが解けないので、背中のリュックからあるものを取り出した。 「それじゃ、お近づきのしるしということで、これをあげるね」 それは山の中で採っていたキノコであった。 ここで、ゆっくりに人間の食べ物を渡すほど、男は知識不足なわけでもない。 人間の食べ物に舌が慣れてしまったら、大抵はろくなことにならないからだ。 「ゆゆゆ!? きのこさんだね! みんなはちょっとまってね!」 集団の中心ゆっくりと思しきゆっくりれいむが、まずは毒見をしてみる。先ほどの頬を膨らませたゆっくりれいむである。 むーしゃむーしゃ、と食べてみても、おいしいだけで毒はないようだ。 「きのこさん、おいしいよ! もっとちょうだいね!」 「はい、どうぞ」 ゆっくりにも食べやすいように、ある程度ばらばらにして地面にばらまく。 親ゆっくりたちはわっ、とそのキノコに群がって食べ始める。 出産直後であったために、とてもお腹が空いていたのだ。 「うめぇ! まじうめぇ!」「まじぱねぇ!」 「むーしゃ、むーしゃ! しあわせー!」 凄まじい勢いでキノコを食べていくゆっくりたち。その様子を男は笑顔で眺めている。 一方、子供のゆっくりらはまだキノコのような固形物を食べることはできないため、食べ終わるまで待たされている。 子供であるため、食べ物という概念を完全には理解できていないが、おいしそうであることはなんとなく分かる。 いいなー、というような視線で親達を眺めている。 男はそれを不憫に思ったのか、そちらへと話しかけた。 「君たちは可愛い赤ゆっくりだね。お持ち帰りをしたいくらいだよ!」 突然、人間に話しかけられた子供たちは「ゆゆ!?」と驚いて親たちの背中に隠れる 親れいむの方もぶくーっと膨らんで、再度の威嚇行動を取る。 「れいむのかわいいあかちゃんをもっていかないでね! ぷんぷん!」 「おかーしゃーん、がんばれー!」 「本当に持って行くつもりはないよ? そのぐらい、赤ゆっくりが可愛いってことさ!」 男の言葉に少しは気を許したのか、親れいむはぷひゅるる~、と頬から空気を抜く。 勿論、それにつけこんだ催促も忘れない。 「ゆっ! いくられいむのあかちゃんにめろめろになったからって、へんなこといわないでね! あと、きのこさんをもっとちょうだいね!」 随分と偉そうではあるが、親れいむは他の者を相手にする時、『下手に出たら負け』と思っている。 常に堂々としていることで、相手を圧倒しようというわけだ。これは同じゆっくり相手には通じる場合もある方法である。 場合によっては野生動物にも効くかもしれない。声に驚くこともあるからだ。 勿論、人間にはまったく効果はないが、男には人語を解してる、と感じられてむしろ好意的にすら思っていた。 男は普通の『良い人』であり、極端な嗜好の持ち主ではない。 ゆっくりによってもたらされた被害に眉をひそめることはあっても、潰そうとは思わない性格であった。 はいはい、と頷くと、男は再びきのこをばらまく。 ゆっくりたちもこの人間は敵ではない、と判断したのか、きのこを食べながら思い思いにゆっくりし始めた。 しばらくの間、男は触れるでもなく、ただひたすらに子供のゆっくりを眺めているだけであった 「いや、ホントに可愛いな~赤ゆっくりは」 ニコニコと満面の笑みを浮かべながら、何度目かになるその台詞を言う。 そこで、ようやくゆっくりたちは疑問を持った。 「ゆ? あかゆっくりってなに? れいむのあかちゃんはれいむだよ!」 親れいむがややこしいことを言う。 ちなみに、ゆっくりに個体名というのは存在しない。あるのは『れいむ』や『まりさ』などといった種族名のみである。 それでは相手のことを呼び合えずに不便に思われるかもしれないが、ゆっくりは飾りによって相手を識別している。 どんなに美しいとされるゆっくりでも飾りがなければ、ゆっくりできないゆっくりと思われる。 家族であっても、飾りのないゆっくりは排斥しようとするのだ。 飾りは取れやすい、という欠点はあるが、相手を識別するのに最も必要なものである。 加えて、ゆっくりは親しい相手のことは微妙なニュアンスで呼び分けてもいるらしい。 余談ではあるが、人間がそれぞれ違う名前を持っている、というのはゆっくりにはよく理解できないことなのだ。 だから、人間を『にんげんさん』や『おにいさん』などといって一括りにしようとする。 もしかすると、人間には飾りがないのでゆっくりしていないと思っている可能性もある。 飾りがないゆっくりとは、人間で言えば名前のない人間と例えれば、少しは理解できるかもしれない。 「ああ、赤ゆっくりっていうのはね、赤ちゃんのゆっくりのことだよ。 可愛い赤ちゃんの赤を取って、赤ゆっくり」 男は親れいむを見ながら、丁寧に説明する。 その説明に親れいむも納得の表情を浮かべて頷く。 「ゆ! あかちゃんのことだったんだね! そうだよ! れいむのあかちゃんはかわいいもんね!」 元々、大きかった声をさらに張り上げて親れいむは胸、もとい顎を張る。 男は頬を綻ばせながら、ゆっくりの様子を見ている。 「皆が『れいむ』じゃ、ちょっと呼びにくいもんね。赤ちゃんのことぐらいはそう呼んでみたいんだよ」 男は人間なので、ゆっくりの区別は大きさの大小などでしか区別ができないため、一つそんな提案をしてみる。 親れいむはというと、その提案に乗り気であった。 「ゆゆゆ! おにいさん、あたまいいね! ゆっくりよんでいいよ!」 男は褒められはしたが、流石に苦笑いで返す。 しかし、許可は出たので思う存分、呼ぶこととした。 「それじゃ、赤ゆっくり可愛いな~。ウチでも飼いたいなぁ。でもなぁ……」 わずかに陰鬱な表情になりながらも、触れずに愛でる男。 猫好きなのに猫アレルギー持ちのような可愛がり方である。 親れいむはそんな男の様子を見ていて、なんとなくうずうずし始めていた。 先ほどから男の言葉が気になって仕方ないのだ。 赤ゆっくり。赤ちゃんを指し示す言葉である上に、ゆっくりという言葉が入っていれば気にならないわけがない。 つまるところ、自分も言ってみたいのだ。 「ゆっ、ゆっ! おにいさんだけにはあかちゃんをまかせておけないよ! れいむもよぶよ!」 すぐに我慢の限界が訪れ、よく分からない論理を展開しながらも親れいむが自分の子供に近寄る。 「ゆ~♪ れいむのあかゆっくり~♪ とってもかわいいんだよ~♪」 「「「ゆ~」」」 赤ちゃんゆっくりとは親れいむなりのアレンジだろうか。 子守唄のようなものを歌いながら、己の子供を頬ずりをする親れいむ。 頬ずりをされている赤ゆっくりはなんだか妙な表情をしている。親が重いのかもしれない。 そして、周囲にいたゆっくりもその光景を見て、ゆっくりしたくなってきた。 「ゆっ、ゆっ! まりさのあかゆっくりもゆっくりするよ!」 「あかゆっくりちゃんって、とってもとかいてきなかんじね!」 「ゆ! あかちゃんゆっくりかわいいな~♪」 などと、自分の子供とゆっくりし始めた。 各々がゆっくりしている状況を見て、男はゆっくりしているのを邪魔していけない、と感じた。 人間がゆっくりと関わっても、ゆっくり側に良いことはあまり起きないからだ。 そういう意味で男は少し関わりすぎた。 「それじゃ、僕はここで失礼するよ。後は皆でゆっくりしていってね!」 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 こうして、男とゆっくりたちは別れた。 できればもう一度会いたいな、などと考えながら、男は家路に着いたのであった。 男と出会ってから一週間程が過ぎた。 その間、親れいむたちは酷い目に会うこともなく、毎日を過ごしていた。 食べ物がちょっと少なかったり、木にぶつかったりなど、些細な不幸はある。 しかし、それを補って余りあるほど自分の赤ゆっくりは可愛いし、皆と一緒にいられるのもとても幸せである。 みんなゆっくりしている、はずであった。 なんだかあかちゃんゆっくりのようすがへんだ、と何となく親れいむは思っていた。 言葉ではうまく説明できないが、妙な違和感を親れいむは持っていた。 赤れいむに元気がないわけではない。むしろ、普通に甘えてきたりもする。 呼べば返事もちゃんとする。多少の偏食はあっても、さして重要視すべきことでもない。 だが、何か変だった。 「ゆ~? よくわからないよ? でも、ゆっくりできないからいいや!」 親れいむは考えることを放棄した。元来、ゆっくりとは考えることを常とするモノではない。 刹那的に日々を過ごしていく奇怪な動く饅頭である。 ともあれ、親れいむは先ほどまでの考えをすっかり忘れて、我が子に頬ずりをする。 「す~り、す~り♪ れいむのあかゆっくり、ゆっくりしていってね~♪」 「ゆっきゅり~♪」 赤ゆっくりもそれに応じて、頬ずりをする。とても仲が良い関係であった。 さらに幾日か過ぎた。 何度かの不幸はあったが、親れいむたちはゆっくりしている。 しかし、なんとなく違和感が残ったままであった。 「「ゆっくりしていってね!」」 仲間同士で言い合う中でも、何か釈然としないものがあった。 誰もがなんとはなしに分かっているはずなのに、分からない。 そんな状態が長く続き、親たちはどこかゆっくりできなかった。 そんな中でも赤ゆっくりたちはいつもどおりにゆっくりしていたが。 ある日、親れいむは仲の良いゆっくりまりさに思い切って相談してみることにした。 自分の考えすぎかもしれないが、ずっと心の底からゆっくりできていないのだ。 これではストレスが溜まって仕方ない。 親れいむは親まりさを人気ならぬゆっくり気のない場所に呼び出して、問いかけた 「ゆぅ……まりさはゆっくりできてる?」 「ゆっくり、できてるよ! どうしてそんなこときくの?」 「ゆっ……!」 まりさの言葉の間、『ゆっくり』の部分にわずかな躊躇いがあることを親れいむは見逃さなかった。 もしかするとまりさもゆっくりできていないのではないか、と親れいむは感じたのだ。 「まりさ、ほんとうにゆっくりできてる?」 「ゆ……ゆっくりできてるよ?」 「ほんとうに?」 「ゆ、ゆぅ……」 親れいむに何度も問いかけられることによって、まりさも徐々にゆっくりできなくなっていく。 心の中にあったわずかな疑念が段々と大きくなっていくのが分かる。 「……まりさも、すこしゆっくりできてないよ……」 注意して見れば、まりさの身体は葉っぱなどによってできた擦り傷がいくつかある。 親れいむにもあるが、自分の赤ゆっくりのために食べ物を取って来る時にできた傷である。 子育てとは大変なものである。 だが、ゆっくりできない問題とはまさしくそこにあった。 「まりさのあかゆっくりが、へんなんだよ……」 まりさが沈痛な面持ちで語りだす。 そこには隠し切れない苛立ちも含まれていた。 「もうずっと、ごはんをあげてるのにぜんぜんゆっくりしてないんだよ…… まりさががんばってるのに、ぜんぜんてつだってくれないし、もっと、ちゃんとしてほしいよ……」 まりさが愚痴を言うように呟き続ける。 親れいむにはまりさの辛い気持ちはよく伝わったが、何が起こっているのかはよく分かっていなかった。 出した結論は、 「やっぱり、まりさもゆっくりできてないんだね!」 だった。原因は未だ不明だが、その推測は当たっていた。 そして、このゆっくりできない状態は群れ全体へと波及していくのであった。 さらに数日。そこで繰り広げられている光景は酷いものであった。 「ゆっくりできないあかゆっくりは、どっかいってね!」 「「まま~! どおぢでそんにゃこどいうの~!?」」 「こんなあかゆっくりちゃんはとかいはじゃないわ!」 「「ときゃいはってな~に?」」 「あかちゃんゆっくりなんて、もういらないよ!」 「「おかーしゃーん!?」」 親であったはずのゆっくりたちが己の子を罵っている姿がそこにはあった。 その中には、あの親れいむの姿もある。 「どおして、れいむのあかゆっくりはおおきくならないのぉぉぉおお!?」 「「「おか~しゃん、おこらないでね!? おこらないでね!?」」」 親から受ける圧力に、赤ゆっくりはとてもゆっくりできていなかった。 どうして親たちが怒っているのかも理解できない。 しかし、言われも無い迫害を受けているとは言いがたい状態でもあった。 親れいむの言葉は真実である。 赤ゆっくりたちは男と会った時と比べても、ほとんど成長していないのだ。 いや、全く成長していないと言い切ってしまってもいいかもしれない。 「ほんとうに、れいむのあかゆっくりはじゃまだよ! ゆっくりできないよ!」 「「「どうちてしょんなこというのぉぉぉぉぉ!!??」」」 親れいむは可愛がっていたことも忘れて、赤ゆっくりを罵る。 赤ゆっくりが生まれてから、ずっと食べ物を与え続けているにも関わらず、まったく大きくならない。 それが、親れいむには不気味に映り、またゆっくりできないように思えたのだ。 赤ゆっくりは赤ん坊であるために食べ物を自力で食べられず、親が噛み砕いたものなどを食べる。 一般に言われている限りでは数週間もあれば、赤ゆっくりから子ゆっくりへと成長する。 子ゆっくりともなれば、親が噛み砕いたものを食べる必要はなく、それなりに固形物を食べられるようにもなる。 また、身体にも弾力性が出てきて、赤ゆっくりと比べてはるかに死ににくくなる。 赤ゆっくりを育てるというのは神経を使うものなのだ。 それが一向に成長しないともなれば、余計にイラつくのも無理はない。 「もうへんなあかゆっくりなんてそだてないよ! さっさときえてね!」 「「「おか~しゃ~~ん!!!」」」 親れいむの最後通牒によって、親子間に決定的な溝ができた。 かえってきて、と泣く子を無視して、れいむは自分の食べ物を探しに行く。 見れば、周囲の親ゆっくりたちも一様に我が子を見捨てて、思い思いに行動し始めている。 「ゆ~♪ これでようやくゆっくりできるよ! ゆ~♪ ゆ~♪」 れいむは意気揚々と跳ねていく。 その頭の中は己の願望で一杯であった。 「まずはあたらしいおうちをみつけないとね! れいむのかわいいかわいいあかゆっくりがいっぱいほしいよ! ちゃんとおおきくなるあかゆっくりがほしいね!」 この家族は何か特別なゆっくりではなかった。そこらに存在している一般的なゆっくりでしかない。 それは群れのゆっくりも同じである。では、何故今回のようなことが起こったのか。 それは、『あかゆっくり』という言葉によるものであった。 群れの子供たちは己の名前ではなく、明らかに『あかゆっくり』などと呼ばれることが多かった。 本来、ゆっくりは人間が気づき得ない微妙なニュアンスの差異で他の個体を呼び分けている。 それによって、己の自我を確立し、他の個体とはわずかに違った精神構造を持つ。 それが『あかゆっくり』と一括りにされることで乱れてしまったのだ。 最初に自我を確立させるべき相手から、名前を呼ばれないことで奇妙な変化が起こっていた。 子供たちは自分のことを『あかゆっくり』であると思い込み、そうであろうとする意思が働いていた。 『あかゆっくり』であるから、大きくならない 『あかゆっくり』であるから、固形物を食べられない。 『あかゆっくり』であるから、身体が柔らかい。 『あかゆっくり』であるから、うまく喋れない。 『あかゆっくり』であるから、ものが良く分からない。 『あかゆっくり』であるから、『あかゆっくり』でなくてはいけないのだ。 つまり、『あかゆっくり』と呼ばれ続けることで精神と身体が赤ゆっくりの状態で固定されているのだ。 餡子の遺伝によって、親が思う『あかゆっくりとはこうあるべき』という形が子にまで伝わっていたのだ。 この状態は自分の子供を『あかゆっくり』と呼び続ける限り、変わらないのだろう けれども、れいむたちは今後もそう呼び続ける。 「れいむのあかゆっくり」と括ることで、通常よりも「この子供は自分のモノである」と印象付けることが可能だからだ。 何に印象付けるのか。勿論、自分と周囲に対してである。 いわば、自分が如何にゆっくりしているのかを証明するアイテムが『あかゆっくり』となっているのだ。 恐らく、ゆっくりたちは何故自分たちが子供のことを『あかゆっくり』と呼びたいのかは理解してはいないだろう。 そう呼んだらゆっくりできる気がする、そんな程度の理由しか思っていないのかもしれない。 ゆっくりたちは、どの個体も皆ゆっくりしていたい。 自分がどれくらいゆっくりできているかの指標として、『あかゆっくり』が必要とされたのだ。 『自分はこんなにもゆっくりしているものを持っている。だから、自分はとてもゆっくりしているのだ』 要約すれば、こういう理屈になるはずであった。 しかし、現実に赤ゆっくりは生きている。 れいむはその弱々しい個体を生かし続けるのが苦痛となったために捨ててしまったのだ。 赤ゆっくりがいる家族は、見た目とは裏腹にゆっくりできることが少ないからだ。 れいむはこれからもさらなるゆっくりを得るために、『あかゆっくり』を産んでは捨てていくのだろう。 多分、死ぬまで。 「ゆっくりしていってね! れいむのあかゆっくり!」 「ゆっきゅりしていってね!」 書いた人 ゆっくりまんじゅうの人
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/84.html
長い間手入れを怠っていたため、畑はすっかり雑草で覆われていた。 倉庫から背負い式の散布機を取り出し、除草剤を散布する。 ひとしきり散布を終えたところへ、草の中から小さな影が飛び出した。 「ゆっゆっゆっ!!なんだかむずむずするよ!」 影の正体は、紅白のゆっくりだった。 農薬によって泡を吹いて朽ちている個体はよく見かけたが、生きているものは珍しかった。 爆発的な繁殖力を持つゆっくりは田畑を群れで襲撃することが多い。 時には花壇さえ食い散らかしていくのだから、害虫より余程たちが悪い。 「おじさんたすけて!むずむずするよ!」 「これじゃゆっくりできないよ!」 散々、人の畑に入り浸っておきながらゆっくりしたいとは図々しい奴だ。 良い機会なので直々に懲らしめることにする。 「どれ、おじさんが診てあげよう。口を開けてごらん」 そう言いながら、散布機のエンジンをかけ直す。 「あ~~ん、ゆぐっ!?ぐぃ!?ぐぃぃぃ!!」 大きな口を開けたゆっくりの中に、むずむずの原因をたっぷり吹き付けてやる。 じたばたと暴れるゆっくりを押さえ付け、最後の一滴まで注ぎ込んでやった。 「さあ、おくすりを飲ませてあげたからもう大丈夫だよ」 「ゆ゛っ……ゆ゛っ……?」 弱い除草剤では農薬ほどの毒性がないのは分かっているが むずむずするらしいので何か面白い効き目はあるに違いない。 「ゆっ!?あたまがもっとむずむずするよ!?」 ゆっくりに変化が現れ始めた。 じたばたと飛び跳ねる毎に、はらり、はらりと「頭髪」が抜け落ちていく。 「なにかおちてきたよ!」 自分の髪が抜けていることにも気付かないのか、ゆっくりは地面に落ちた髪を見て不思議そうな顔をする。 しばらくして、ついに赤い髪飾りが黒い尾を引いてぼとりと落ちた。 もはやゆっくりの頭部は色白の表皮が光沢を放つのみとなっていた。 「すっきりー!さっぱりー!」 「そうかい、それはよかったよ。気を付けてお帰り」 「おじさんいいひと!ゆっくりかえるよ!」 すっかり元気になったゆっくりは仲間の所へ帰って行った。 予想外に奇妙で興味深い結果が得られて満足したため、食後の農薬は勘弁してやった。 …… … 禿ゆっくりが森の木々の間を飛び跳ねながら進む。 妙に軽くなった体を嬉しく思いつつ、いつもの調子で大きな声で叫ぶ。 「ゆっくりかえったよ!」 するとどこに隠れていたのだろうか、たちまち10体の紅白や白黒のゆっくり達が現れ、声の主を探し始める。 「まりさー!こっちにいるよ!!」 しかし禿ゆっくりがいくら叫んでも、他のゆっくり達は戸惑うばかりだった。 「おーい!みあたらないよ!」 「れいむー!どこにいるの!」 禿ゆっくりには事態が飲み込めるはずもなかった。 「ゆっ!?れ、れいむだよ?!ここだよ!ゆっくりしようよ!」 「なんだこれ!へんなまんじゅう!」 「ほんとだ!おいしそう!」 髪を失ったゆっくりは――同属の目から見ても饅頭でしかなかった。 「ゆ、ゆっ!?ひどいよ!どうして!」 たちまち他のゆっくりの目の色が変わる。 「おーなかすいた♪」 「おーなかへった♪」 「たーべちゃーうぞー♪」 禿ゆっくりを包囲するように10体のゆっくり達が詰め寄って来た。 「ゆっ!?みんなやめてね!たべものじゃないよ!?」 どんなに叫んでも禿ゆっくりの声は届かなかった。 白黒のゆっくりが木の上からジャンプし、禿ゆっくりの真上に落ちる。 ブチュリ。 「ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛ーー!!?」 「ゆっくり しね!!」 下敷きになった禿ゆっくりから勢いよく飛び出した餡子が地面にぶち撒けられる。 「みんなでたべようね!」 「あまあま♪」「うまうま♪」 薄れていく意識の中で、禿ゆっくりはかつて仲間と一緒に食べたまんじゅうの味を思い出した。 しかし、まんじゅうの形だけはどうしても思い出すことが出来なかった。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1344.html
ここはゆっくり実験室。 月の頭脳、八意永琳のゆっくり実験が、今日もゆっくりと行われるのだ。 さて。 「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」 永琳の目の前に、四匹のゆっくりれいむがいた。 どこからどうみてもただのれいむで、実際その通りなのだが、ちょっとだけ違うところがある。 この四匹のゆっくりは、産まれた直後に親から引き取り、永琳が自ら管理・育成したものだ。 ちなみに親は子供達を取られることに激しく抵抗を示したが、ちゃんと育てると言ったらすぐ納得してくれた。 純粋なのか薄情なのか。それとも単に『子を取られる親』のポーズをしていただけなのか。 いずれにしろろくなものではない。今はどこかの部屋でゆっくりしていることだろう。 閑話休題。 この四匹のれいむは、産まれたときからずっと同じように育てられてきた。 同じ量の餌を与え、同じ量の運動をさせ、同じ時間に眠らせ、同じ時間に起こされた。 その甲斐あってか、四匹のゆっくりは全く同じ体型・重量を持つゆっくりとなった。 無論、永琳の目的はただ同じゆっくりを育てることにあったのではない。 これからこの四匹を使って、とある実験を行うのである。 まず、実験の前段階として、永琳はれいむ達に簡単なテストをしてみた。 「今日はみんなにこれをあげるわ」 と、永琳はれいむ達に、赤、青、黄、緑の色違いのリボンをつけてあげた。 「ゆゆ! れいむかわいいよ!」 「れいむもにあってるよ! おしゃれさんだね!」 「おねえさんありがとう! ゆっくりかんしゃするよ!」 「またなにかちょうだいね!」 最後に若干厚かましいことを言ってきたが、それを気にした様子もなく永琳は笑ってみせた。 「うふふ、でもずっとつけてると髪にクセがついちゃうかもしれないから、晩ご飯の前に一度外しましょうね」 「「「「ゆっくりそうするよ!!!!」」」」 四匹は唱和して、その日も(本人達は自由に遊んでいるつもりだが)永琳が用意した運動メニューに沿って過ごした。 晩ご飯を食べたあと、永琳は前もって予告していた通りにリボンを外した。 「もっとつけていたかったよ!」 「ごめんなさいね。また明日つけてあげるわ。そのかわり、ちょっとみんなで遊びましょうか」 と永琳は、三つの黒い箱を持ってきた。ちょうどれいむがぴったり収まるサイズだ。 「なにするの?」 「当てっこよ。今から、三人に箱をかぶせて、私が一つずつ箱をどかすから、残った一人がそれが誰か当てるの。いい?」 「「「「ゆ! おもしろそう! やるやる!」」」」 早速、永琳は四匹のうち三匹に箱をかぶせた。普通ならここで騒ぎ立てたりするのだろうが、新しい遊びということで好奇心が勝ったようだ。 「それじゃあ行くわよ。……はい!」 待ち構えていた一匹の目の前で、永琳は箱を外した。三十秒ぶりにゆっくり姉妹が対面する。 「これは誰かしら? さっき着けていたリボンの色で答えてね」 「ゆ! わかるよ! きいろのりぼんをつけてたれいむだよ!」 得意げに、青いりぼんをつけていたれいむは答えた。 「正解! よーし、それじゃあ次に行きましょうか──」 その後、残りの二匹についても、れいむは正解してみせた。 難易度を上げて、箱にいれた三匹のれいむをシャッフルしても結果は同じだ。 念のため残りの三匹についても同じことをしてみせたが、やはり全員全問正解だった。 もちろん、自分がつけていたリボンの色も覚えている。 永琳から見ても同じ顔にしか見えないゆっくりだが、どうやら個体識別はちゃんとできているらしい。 「すごいすごい! あなた達、ちゃんと姉妹の顔が分かるのね。判子絵師が描いた立ち絵みたいな均等品質のくせに」 「あたりまえだよ! れいむたちはかぞくだもん!」 「かぞくのかおをまちがえるわけないよ!」 「ねー!」 「ねー!」 何気にバカにしていた表現にも気づかず、気をよくするゆっくり達。 ……ところで、永琳からも見分けがつかないほど同じ顔をしたゆっくり達なのに、何故永琳はれいむの答えが正解だと分かったのか。 それは実に単純な話で、リボンを外したあとのれいむ一匹一匹の動きを、完全に記憶していただけのことである。 そんな天才薬師八意永琳は、いよいよ今日の実験の本番に取り掛かった。 「正解したみんなへのご褒美に、今日は特別な晩ご飯を用意したわ」 「ゆぅん! はやくもってきてね!」 「おなかすいたよ! ゆっくりはやくね!」 口々にご飯をせがむゆっくり達を、まぁまぁ、と永琳はなだめる。 「そう慌てないで。何しろ特別なご飯だもの。食べ方もちょっと特別なの。頭のいいあなた達ならわかるわよね」 「! うん! れいむたちあたまいいからね! ちゃんとわかってるよ!」 「ゆっくりまつよ! だからはやくね!」 永琳はにっこり笑うと、さっきと同じ黒い箱にれいむを四匹とも入れた。 ただし今回の箱は、れいむの正面と左側に、同じ大きさの穴が開いている。 「ゆ! せまいよ! なにもみれないよ!」 「ゆっくりだしてね! ごはんちょうだいね!」 みじろぎも出来ないほど狭い箱に押し込まれて、ゆっくり達が抗議の声を上げた。 「だから慌てないで。これからみんなをごはんのあるところに連れて行くの。 ちょっと準備が大変だけど、ちゃんとみんな食べられるから安心してね。 口のところにある穴からストローが差し込まれるから、それを吸えばご飯がでてくるわ」 「ゆ、そういうことならゆっくり待つよ!」 わくわくとした気配で、ゆっくり達はご飯が出てくるのを今か今かと待ち続けた。 「…………」 永琳は無言で、ゆっくり達の左側面の穴に、穴と同じぴったり太さの管を差し込んだ。 管は、箱の中のゆっくりの皮を貫いて、その先端を二センチほど体内にめりこませた。 「ゆぎっ!? な、なにかはいっでぎだよぉ?!」 構わず、永琳は残り三匹についても同様の処理を行う。 「ゆぎゃっ!」「ざざっでる! へんなものがざざっでるよぉ!」「ぬいでぇぇぇ!」 さっきまでとは打って変わって悲鳴が上がるが、永琳はそれを笑顔で封殺する。 「ごめんなさいね。しっかり固定しておかないと危険かもしれないの。 痛いけどゆっくり我慢してね。そうでないと、ずっとゆっくりできなくなるかもしれないわよ?」 「「「「ゆっ……ゆっぐりがまんずるよ!!!!」」」」 ゆっくりできない、という言葉が効いたのか、ゆっくり達は素直に痛みに耐えた。 「うん、あなた達は強いゆっくりだわ。それじゃあ今から、ご飯をあげるわね。口を開いていてね」 そして永琳は、四つの箱を正方形に並べた。 あるゆっくりの側面の管は、隣のゆっくりの正面の穴に宛がわれている。 そのゆっくりの側面の管は、やはりその隣のゆっくりの正面の穴へ── 全方向から同時に押し込めば、箱とゆっくりが四本の管で円状に連結されることになる。 (そう……これこそ『ムゲンゆっくリング』!!!) カッ!と心の中に稲妻を轟かせ、永琳は天才的なネーミングセンスによってこの実験に名を与えた。 天才とは凡人には理解できないものである。 永琳は鈴仙とてゐとついでに適当な兎に手伝わせ、四方向から箱を押し込む。 「「「「ゆっ!!!!」」」」 ゆっくり達の口の中に管が差し込まれる。 狭いところに押し込まれ、痛い思いをしてまでようやくありつけたご飯だ。ゆっくり達は、それぞれ思いっきり管を吸った。 そして口の中に甘みが広がり──同時に、自分の身に起きた異常を悟る。 「「「「!!??!?!!?!!?!?」」」」 自分の中身が、さっき痛みを感じた場所からどんどん流れ出ていく感触。 あんこの量が生死を左右することを、ゆっくりは本能的に知っている。だからこそ、自らに迫りつつある死の気配を、れいむ達は敏感に感じ取った。 そして同時に、自分が吸っているものの正体が何であるかも悟った。 抜け出すのと同じ量だけ入ってくる甘み。味わったことがないはずなのに、どこか懐かしさを感じさせる味。 それは、自分の姉妹の中身なのだと。 そして、自分の中身もまた別の姉妹に食われているのだと。 だが気づいたところでどうしようもなかった。一瞬でも動きを止めれば、その隙に自分の餡子が吸い出されてしまうのだ。 四匹のゆっくりは、最早相手が姉妹であることも忘れたように、ひたすら餡子を吸い続けた。 一匹でも力尽きれば、その瞬間に最終勝利者が決定するこの地獄のループ。 だが永琳の手によって、完全に均質に『調整』されたゆっくり達は、どれも同じ吸引力を持ち、どれも同じように疲労していった。 餡子を吸い、吸われ、吸い、吸われ── そして一時間と十五分と三十七秒が経過したとき、四匹のゆっくりは同時に力尽きた。 「……ゆっ?」 ゆっくりれいむは目を覚ました。きょろきょろと辺りを見回すと、自分以外も三匹も同時に目を覚ましていた。 「あら、起きたかしら?」 いつも聞いている声が降ってきた。 それは自分達に餌をくれる優しいお姉さんの声だった。 だが今日は、いつもと事情が違う。 「ひどいよ! れいむにれいむのあんこたべさせたね!」 「あんなひどいことするおねえさんとはもうゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできないおばさんはゆっくりしんでね!」 「しね! ゆっくりしね!」 四匹分の罵声が、永琳を攻め立てた。だが永琳はただ、いつもと同じ笑みを浮かべるだけ。 「はいはいゆっくりゆっくり。大丈夫よ、もうあんなことしないから。 でも、訊いてもいいかしら」 「……なに」 警戒心もあらわに、れいむ達は上目遣いで永琳を睨みつける。 永琳は笑みを深めた。 それは氷のように冷たい笑みだった。 「──ねぇ。 自分が何色のリボンをしていたか、覚えてる?」 そう訊かれ、れいむ達は思い出そうとして、──思い出そうとして、 「「「「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!?!?!?!?」」」」 四匹のれいむは、完全な恐慌状態に陥った。 「「「れ゛い゛む゛は゛だ゛れ゛な゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!????」」」」 「自らの存在を問う──哲学的ねぇ」 そこら中を転げまわるゆっくりの中で、永琳はしきりに頷いて見せた。 永琳は、ゆっくりの餡子がゆっくりの血であり肉であり、内臓器官であり、脳であることを、これまでの実験で理解していた。 通常の生物で考えれば『おかしい』作りではあるが、あえて人間の器官で表現すれば、ということだ。 また、多少の餡子が喪われても、他のゆっくりの餡子を詰め替えたり、或いは市販品の餡子を詰めてやれば、意識が回復することも分かっている。 およそ半分の餡子を喪うと死に至ることも同時に明らかになっているが、つまりそれは、餡子の量によって意識の主導権が変わるのではないかと永琳は踏んだ。 それを踏まえての今回の実験である。 一時間と十五分をかけて、ゆっくりの体内の餡子は均等に混ざり合った。体内の餡子の総量自体は全く変化させないままに。 その結果がこれである。 改めて、ゆっくりの自我の実在と、驚くべき生命力(人間で言えば脳味噌をかき混ぜられたようなものだ)が明らかになったわけだが…… (指摘されるまで気づかないなんて……これぞゆっくり脳ってことなのかしらねぇ) 全く以て飽きない実験材料だ。永琳はそう思いながら、絶叫の合唱をよそに、実験室を去った。 三日後。 鈴仙に適当に餌だけ投げ込んでおくよう指示していた永琳は、例のれいむ四姉妹の様子を見に行くことにした。 「「「「ゆっくりしていってね!!!!」」」」 れいむ達は、再び新たな自我を確立していた。無論、永琳のことも覚えていた。 色々聞いてみると、どうやら三日前の記憶は綺麗さっぱり消えてしまっているようだ。 だが、永琳があの四色のリボンを取り出すと、全員石像のように硬直してしまう辺り、完全に忘れたというわけではないようである。 『逃避』という高度な精神活動が行われたことに、永琳は素直に驚きつつ、次の実験のテーマを練り始めた。 (次は、ゆっくりの精神活動について、詳しく調べてみましょうか……) このゆっくり達は、後日、四匹の母親を加えてまた新たな実験が行われることになるのだが……それはまた、別の話である。 ここはゆっくり実験室。 月の頭脳、八意永琳のゆっくり実験が、明日もゆっくりと行われるだろう。 あとがき 前々から考えていたネタを、904.jpgを見た誰かに先を越される前に書いた。 反省はしていない。 あと、別に判子絵師(誰とは言わない)に恨みがあるわけではありません。むしろ好きです。イベ絵は綺麗ですし。 これ以上は年齢制限にグレイズかしら…… このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/373.html
森から山から大量のゆっくり達をトラックに積める。 「おじさん!!どこにいくの!?」 「ここはくらいよ!!あくるくしてよ!!」 「まりさたちをゆっくりだしてね!!!」 トラックからはゆっくりたちの声が耐えない。 本当、近所迷惑この上無い。 俺はゆっくりを無視しトラックを走らせた。 「お、来たか」 暫くしてゆっくりを乗せたトラックは馬鹿でかい、しかし人通りは無いホテルに到着した。 「随分と早かったじゃないか。3時間も前だぞ?」 その男は随分と驚いていたようだ。 「ええ、準備の時間等を考えるとこのくらいが良いかと・・・悪いことをしたでしょうか・・・」 「いやむしろ好都合だよ。礼としてとっておきたまえ」 俺は封筒を渡される。中には随分と入っているようだ。 「あの・・・申し訳ありませんが、これはお返しします」 「何?」 「その代わり、私もこのイベント、ご一緒してもいいでしょうか?」 男はくすりと笑い、 「構わんよ。しかしその服装ではなんだ、ちゃんとした服を用意してあげるから来なさい、ゆっくり達は部下に運ばせよう」 「あ・・・ありがとうございます!」 俺はトラックから自分の荷物を下ろすと男についていった。 「遅くなりました、着慣れない服だったので・・・」 「ん、大丈夫だ、まだ開催まで時間はある。ゆっくりしていくといい」 見ると舞台の準備は既に終わっているようだ。周りの席にはいかにも富豪な御方がワイン片手に悠々としている。 「しかし・・・いいんですか。俺みたいなのが特等席だなんて・・・」 男はふふっと笑い、 「いや、君みたいなのだからこそ、だ。君はこの方々とはきっと話が合わないだろう、私なりの配慮だ」 「はぁ・・・ありがとうございます」 男なりの配慮。 確かに富豪の人と俺の生活はかけ離れているだろうし、会話の内容もかみ合わないに決まってる。 俺は素直に男の配慮が嬉しかった。 「よし、ではそろそろ始めようか・・・」 そう言うと男は立ち上がり、マイクを手に取る。 「えー皆様、本日は貴重な時間を割いて本会場へ御来場いただき、誠にありがとうございます。」 周りの人々は軽く会釈する。どうやらこの男、相当上の立場の人間のようだ。その後も暫く男の挨拶は続く。 「では、これよりゆっくり競馬を始めます」 その宣言を合図に俺の下の階、1階ホールの上に設けられた大きい台の上にゆっくりが投下されていく。 「ゆゆ!!?やっとあかるくなったよ!!!」 「ゆ!!!?おじさん、おばさんたちだぁれ?ゆっくりできる?」 「ここひろーい!!ここをれいむたちのおうちにしようよ!!」 「そうするー!ここならゆっくりできるね!!」 一気に会場が騒がしくなる。俺は顔をしかめるが、他の人は平然としている。前々から行っているためもう平気なのだろうか。 「えー、まずは聞けゆっくり達。お前達には今から少しお遊びをしてもらう。」 男がそう言うとゆっくり達は更にさわがしくなる。 「ゆ!?いまからあそぶの?」 「ゆっくりあそぼうね!!」 男は騒々しいゆっくりたちの声を軽く流して説明に入った。 「いいかよく聞けゆっくり達よ。今からお前達に向こうの台まで渡ってもらう。奥のゴールまで辿り着けば美味しいお菓子をやろう」 ゆっくり達の前には板があった。板といってもそれなりの強度はあるようだが。 「ゆゆぅ!!?おかし!まりさおかしたべたい!」 「れいむたちもたべたい!おじさんゆっくりたべさせてね!」 「ゅー♪」 ゆっくり達はお菓子という単語を聞いた途端全員が満面の笑みでこちらを見てきた。 目の前にある恐怖を知りもせずに。 「ほう、元気なゆっくり達だな。この板は1匹ずつしか渡れないくらいしか幅が無い。慎重にいくことだな。」 「「おかしおかしー♪」」 中の二匹は威勢よく橋を渡っていく。 「ゆ!?ずるいよ!おかしをひとりじめしようとしてもだめだからね!!」 それに伴い4,5匹も橋を渡る。 更にそれに伴って全てのゆっくりが橋をわたりそうだが、その前に事は起こった。 「ゅ”っ!!?」 先頭のゆっくりまりさが板から転落する。 「ゆぅっ!!?まりさ・・・!?」 その板から下までは20m。人間が落ちても打ち所が悪ければ重傷を負う可能性もある高さだ。 当然、饅頭であるゆっくりが落ちた先に待っている運命は――― ベチョッ 「まりざぁああぁああ!!!」 潰れるしかない。人間のように「打ち所が良ければ助かる」なんてことはない。ゆっくりは全てが急所なのだ。 そして潰れたまりさを見て他のゆっくりも泣き喚く。 「まりざあぁぁああ”あ”あ”!!!しんぢゃいやあぁあああ!!」 「なんでおぢだのぉおおぉおおぉぉぉ!!!!」 しかしその中の一匹が違う言葉で泣き喚いた。 「あんな”ふう”になりだぐない!!ここからもどるよ!!!!」 板に乗ってしまっていたゆっくりだった。一度渡った板からさっきまでいた所に戻ると言い出したのだ。 「ゆゆっ!!そうだね!おちなきゃいいんだもんね!!!!」 他の板を渡ったゆっくりも賛同して引き返そうとする。 しかし、ゆっくりは人間のように二本足があるわけではない。 ゆっくりの方向転換は最低でも自分の体のもう一つ分くらいのスペースが横に無いと成し得ない。 それを考えずに方向転換しようとしたゆっくりは、 「ゅっ!!!」 落下。 1匹を残して板を渡った他のゆっくりは、全て落下してしまった。 「どおじでもどれn」 「どおじでおぢd」 悲鳴は途中でかき消される。全て言う前に落ちて潰れてしまった。 「うひゃー、すごいですねこれ。やっぱりゆっくりって馬鹿ですね」 俺はこれほど愉快なことは無かった。 前々からゆっくりは気に入らない所があったし。 「なぁに、こんなのは序の口。これから更に面白くなるさ。」 板に残ったのは1匹だけ。その1匹は地に着いたまま方向転換するのではなく、一回飛んで半回転するという技を成し得た。 「ゆ!!これでゆっくりもどれるね!!」 なかなか頭がいいのかもしれん。このゆっくり。 そしてそのゆっくりはゆっくりと元いた場所へと戻った。 「おじさん!!!そんなところでみてないでさっさとたすけてね!」」 「そーだそーだ!おうちかえる!!」 「はやくおかしちょうだいね!!!」 台に残ったゆっくりたちはさまざまな文句を浴びせてくる。 しかし男は笑っている。嘲笑という笑いを。 「おいおい・・・、何故渡らない?後ろの恐怖に気が付かないのか・・・?」 「ゆっ・・・?」 「おい、カーテンを開けろ」 男がそう言うと係員の黒服がゆっくりたちの後ろにあるカーテンを開く。 そこには柵で遮られたゆっくりゃの大群が涎を垂らして待っていた。 「うー♪たーべちゃーうぞー♪」 「うびゃあぁあぁあああぁぁあ!!!おがああぁああざぁあああん!!!」 「その柵が開くのは今から25分後!あちら側に辿り着けばお前らをゆっくりゃから隔離してやる。渡り着いた者はお菓子を食べられる。渡らない者はゆっくりゃに食べられる。」 そして最後に男は力強く言い放つ。 「放たれよっ・・・・・・・・・!勇ましいゆっくりたちの道・・・・・・・・・!Brave men roadへ・・・・!」 男の一言はほとんど届かなかった。 ほとんどのゆっくりは泣き喚いていて話を聞くどころではなかった。 一部「ざわ・・・ざわ・・・」などと意味の分からない言葉を放つゆっくりもいたが。 「いやぁあああ!!わたりたくない!!でもたべられだぐないぃいいいぃいい!!!!」 「それは無理だ。お前らに残された運命は渡って食べるか、渡って落ちるか、渡らず食べられるか、この3択しかない。」 「ならわだるぅ!!だべられだぐなぃいいぃい!!」 「いや"あ”ぁ”ぁ”あ”あ”!!!!!!」 ほとんどのゆっくりは泣く泣く板を渡っていく。 勿論そこからこぼれて落ちてしまったりバランスを崩して落ちてしまうゆっくりが少しずつ出てきた。 俺達側の人間はそれを肴にしワインを飲んでいた。 しかし、台の上に4匹ゆっくりが残っていた。 「おじさん」 その中の一匹が男に冷静な口調で話しかけてきた。 「・・・なんだ」 「このおあそび・・・そこのいたをのぼれとはいってないよね」 その発言に他の3匹も頷く。 何を言い出すんだ、このゆっくりたちは。 「・・・ああ。向こうの台まで辿り着きさえすればOKだ。問題ない」 ああっ・・・!!! なるほど、確かにそうだ・・・!!! さっきの説明でも男は『そこにある板を渡れ』とは言っていない・・・っ!!! そのゆっくりに負けた感じがして俺は猛烈に腹が立った。 しかし、周りに向こうまでたどり着けるような足場は無いように思えた。 しかし、その4匹はとんでもない足場を渡っていった・・・!!! ざわ・・・ざわざわ・・・ざわぁ・・・ざわ・・・ざわ・・・ 次回、『襲撃』・・・・・・・・・っ!!! _____________________________________________________ あとがき なんかもう色々とごめん お詫びのワンシーン 「おじさんたちとはゆっくりできないよ!ゆっくりしね!!!」 「おお、こわいこわい。しかし人間様に逆らうゆっくりには仕置きが必要だ・・・」 「ゆっ!!?なにするの!?ゆっくりはなしてね!」 「ふふふ・・・ゆっくりよ、これを見るがいい」 「これなぁに!!?とってもあつそうだよ!!さっさとれいむをはなしてね!!!」 「はなしてやるとも、そぉい」 「ゆ”っ!!?あついあつい!!ごごぢがうよ”ぉおぉおぉお!!!」 「さぁそこに顔をつけろ!!!そしてごめんなさいと10回言え!!!そうすれば助けてやる!!」 「ぎゅうぅううぅううぅぅぅうう!!!・・・!!!???--っ!!っー!!!!」 「まぁつけたらつけたで顔が焼け付いちゃって何も言えなくなるけどね」 さーせん このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1240.html
第二章 脱出口である光の元に辿りつくため、様々なルートを試行錯誤しながら、機械室の上部へ向かうゆっくりれいむ、ゆっ くりまりさ、ゆっくりみょん。 あっちこっち行くたびに、3匹の体力は確実に奪われていった。それでも、互いに励まし 合い希望を忘れない。 「ゆっくりいこうね!」 「ゆっくりがんばって!」 「ちーんぽっ!」 3匹は助け合いながら、ゆっくりだが、確実に外への穴に近づく。途中、ゆっくりが足場にするにはやや細いパイプの 上を進むことになった。やや危険だが、ここを通れば、出口へとぐっと近づく。 「ゆっくりすすんでね!」 「ゆっくりしていってね!」 ゆっくりれいむ、ゆっくりまりさは細いパイプの上を何とか、這うように前方へ向かう。 しかし、ゆっくりみょんの様子がおかしい。 「ゆっくりゆっくりちーんぽっ!ゆっくりゆっくりちーんぽっ!」 独特の鳴き声を、オマジナイのようにして発しながら歩くが、今にも落ちそうなほど、左右に大きく体をゆらしながら 進んでいる。理由は、カチューシャの飾りだろう。そのせいで、ゆっくりみょんは重心がややズレているのだ。 また、今のゆっくりみょんは、ここまで来るのに体力を消耗していることも原因だ。 「ゆっくりとぶよ!」 ゆっくりれいむとゆっくりまりさが、パイプから、安定した人間の作業員用の足場へ跳び移る。 「すこしゆっくりできるね!」 安堵するゆっくりれいむ、ゆっくりまりさ。 しかし、その後ろで、 つるんっ 「ちんぽーーーっ!!」 とうとうゆっくりみょんが落下した。パイプの上の水滴に体を滑らせてしまったのだ。 べしゃ そのまま床へと落下するゆっくりみょん 「ゆっくりだいじょうぶ!?」 心配するゆっくりれいむとまりさ。 「ゆっ…ゆっ…。」 よろよろと体を立てるゆっくりみょん。なんとか大丈夫そうだ。 元々ゆっくりはある程度の弾力があることもあり、今回程度の高さからの落下なら、傷は負っても死ぬことはないだろ う。 「すこしやすんでね!!」 「ゆっくりのぼってきてね!!」 落ちてしまったゆっくりみょんに気をつかう2匹。 「ゆっくりしてからいくよ!」 二匹の呼びかけに応じるゆっくりみょん。どうやら大きなダメージは負っていない。 しかし… チュウ……チュウ…。 ゆっくりみょんの耳に、機械室の機械音以外の“何か”が聞こえてきた。 チュウ!チュウ!チュウ!チュウ! その何かとは、…鼠だ。 本来、食品加工工場であるゆっくり加工所は、清潔さが保たれているはずだが、この機械室は掃除も難しいこともあり、 非常に不衛生な状態になっている。そのため、床下にはゆっくり加工所内のゆっくりを狙った鼠が住み着いてしまったの だ。 今になって鼠が集まってきたのには理由がある。無機質な鉄のニオイしかしない機械室のなかで、ゆっくりちぇん が破裂したため、甘い匂いが広がってしまったのだ。 鼠達がゆっくりみょんに雪崩のように襲いかかる。 「ゆゆゆゆゆっ!?」 体力を消耗したゆっくりみょんは逃げることもままならない。 チュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウ チュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウ チュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウチュウッ! あっというまにゆっくりみょんの表面を埋めつくす鼠の群れ。その数は、ゆっくりみょんに直接ひっついていないもの も含めるとざっと200はいるだろうか?そして、鼠達はゆっくりみょんにいっせいにカジりつく。 「ち、ちんぽーっ!!」 グチュグチュグチュグチュグチュグチュ 全身を襲う痛みに、ゆっくりみょんが声をあげる。 しかし、それが更なる地獄をゆっくりみょんに味あわせる。 なんと鼠達は、同時に食すことができる面積が広がったと言わんばかりにゆっくりみょんの口の中へと雪崩れ込む。 「ゆぐぎぎぎがばばば…っ!!」 痛い、苦しい。ゆっくりみょんはもはや、息をするのもままならない。 「ゆぐりぎがおごごげげがっ!!!」 外から、中から皮と餡子を食い破られていくゆっくりみょん。 体外、体内から激痛が襲う。 「はやくやめてね!!!」 「ゆっくりさせてね!!!」 上から、その地獄絵図を目の当たりにする二匹のゆっくり。 しかし、助けに行くことはできない。行けば自分達も同じ目に会うことは明らかだからだ。 ゆっくりみょんを中身とした、表面がうごめく球状の鼠の集合体がゴロン!ゴロン!とあちこちへ転がる。 「ぢんんんぼおおおおっ!!!」 ゆっくりみょんが、必死の抵抗をしているのだ。 「ゆっくりがんばってね!!!」 ゆっくり達のエール。 しかし、その鼠の集合体は少しずつ……少しずつ……小さくなっていく。 「ゆっぐりいいいいっ!!!」 泣き叫ぶゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 それが小さくなっていくことが何を意味するのか、知能の低いゆっくりでもわかるようだ。 やがて、その集合体は動くことすらなくなった。表面のみが、激しくうごめいたまま。 第三章 数分がたった。 あれほど激しく床でうごめいていた鼠の群れの鳴き声はもうなく。また機械の音だけが部屋に響く。 床には、そう、何も無くなっていた。 ねずみも、ゆっくりみょんも。 「ゆっぐ…」 そのはるか上の足場を、涙を流しながら進むゆっくりれいむとゆっくりまりさ。 あと少しで出口だ。しかし、どこか足取りは重い。この短時間で、二匹も“おともだち”を失ったのだから。 しかし、悲しみで立ち止まっているわけにはいかない。また鼠の大群が現れ、今度は上まで登ってくるかもしれない。 それに、モタモタしていれば人間達がこの機械室に入ってくるだろう。 「あとすこしでゆっくりできるよ!」 「はやくゆっくりしたいよ!」 そして、ゆっくりれいむとゆっくりまりさは、ここから跳べば、光が差し込む穴まで直接続く足場へと行けるところま で来ていた。 最後の足場までの距離…それは今のゆっくりれいむとゆっくりまりさの跳躍力で何とか届くかもしれない距離だ。ちょ うど、ゆっくりちぇんが死んだパイプまでの距離とほぼ同じだろう。 「こんどはゆっくりとべるかな?」 不安そうな顔をするゆっくりれいむ。もし落ちれば、もう一度ここまで登る気力は二匹には無い。 「ゆっくりとぶよ!」 後ろから強い口調で言葉を発するゆっくりまりさ。まるで、あの時のゆっくりちぇんのようだ。 「ゆっくりがんばって!」 応援するゆっくりれいむ、そしてゆっくりまりさが助走をつけるために後ろへ下がる。 かつてのゆっくりまりさなら、怖じけついていたかもしれない。しかし、今は違う。ゆっくりちぇんが前へ進む勇気を くれたのだ。 駆け出すゆっくりまりさ、そして。 ぴょん! ぷにん、と着地するゆっくりまりさ。見事、ゆっくりまりさは最後の足場へ到着した。 「ゆっくりーっ!」 歓喜の雄叫びをあげるゆっくりまりさ。 次はゆっくりれいむの番だ。意を決して助走するゆっくりれいむ。 ぴょん! 届く…かに見えた。 「ゆーーっ!!」 ほんの少し、届かない。無情にも、落下するゆっくりれいむ。 しかし、 ガクンっ! ゆっくりまりさがギリギリのところで、ゆっくりれいむの髪の毛を口で掴んだのだ。 「ゆっくりはなさないでね!!!」 叫ぶゆっくりれいむ。 重い…。疲れきったゆっくりまりさには、今のゆっくりれいむの体重は重すぎる。 「ゆゆゆゆっ…!」 しかし諦めない、鼠の群れに襲われながら、食われながらも抵抗したゆっくりみょんの姿が、ゆっくりまりさに諦めな い心を与えたのだ。 「ゆっく…りーーーーっ!!!」 まりさは渾身の力で、ゆっくりれいむを引き上げた。勢いで、後方に転がるゆっくりまりさとゆっくりれいむ。 ごろんごろん…。 「ゆっゆっゆ……ゆっくりーっ!!!」 二匹は、跳びはねて喜びを分かち合う。そう、2匹はついに光の下へ辿り着いたのだ。 「ゆっくりできるね!!!」 「おそとにでれるね!!!」 あとは、穴から外に出るだけだ。その穴の入口はゆっくりが入るには十分の直径だった。 まずは、ゆっくりれいむか ら光の穴へと入っていく、続いて、ゆっくりまりさが後へ続く。 二匹は、懐かしい外の景色を思い浮かべていた。これからの幸せに心を膨らませながら…。 しかし、ある程度進んだところで、2匹は異変に気づく。風が強い、それも、追い風だ。 「ゆっ?」 しかも、それは前に進むたびに強くなっていく。 そして、 「ゆうううううーーーーっ!!!」 急激に前へと引き寄せられる、ゆっくりれいむ。 そう、その穴は機械室の換気口だったのだ。追い風は、換気扇により中から外へ換気される空気によるものだった。換 気扇が高速で回転していたことと、太陽の光のまぶしさで、ゆっくりには非常に見づらかったのだ。 「ゆっくりとまってね!!!ゆっくりしていってね!!!」 前へと飛ばされるゆっくりれいむの後ろから、叫ぶゆっくりまりさ。 「ゆっ、ゆっ、ゆーーーー!!!」 絶叫するゆっくりれいむ、その瞳には、高速で回転する換気扇がはっきりと映っていた。 それはどんどん近づいてく る、いや、正確にはゆっくりれいむが近づいているのだが。 破滅は一瞬だった。 高速回転により換気扇のプロペラは、ゆっくりれいむの顔の部分の表面を皮と餡子ごと切り裂く。 「ゆっぐ!!!ゆっぐりだずげでええええ!!!」 顔の無いゆっくりれいむが泣き叫ぶ。 そのまま換気扇に巻き込まれ、あっというまにゆっくりれいむは餡子のミンチとなり、外へ吐き出された。 「れ゛い゛む゛う゛う゛う゛うううう!!!」 その光景を目の当たりにしたゆっくりまりさ。光の穴は、天国ではなく、地獄への扉だったのだ。 急いで、その穴か ら出るゆっくりまりさ。ゆっくりまりさのいる地点はまだゆっくりを引き寄せるだけの吸引力無かったのが不幸中の幸い だったか。 「ひっぐ!えっぐ!…ゆっぐり…でぎないよ!」 むせび泣くゆっくりまりさ。これからどうすればいいのか、もうわからない。 下に戻り、機械室から出て別の脱出ルートを探すのか?いや、それはあまりにも非現実的だ。機械室の外にはそれこそ、 作業員や警備員が徘徊している。 いや、それ以前に下へ戻る気力も起きない。 その時、換気口から音がした。 ブルン、ブルルン…プスプス……。 何事かと、ゆっくりまりさは穴を覗く。すると、何やら様子がおかしい、意を決し、再び中へ入る。今度は急に引き寄 せられることのないように慎重に、慎重に奥へ進む。しかし、わずかに追い風があるくらいで、一向に引き寄せられる気 配がない。ゆっくりまりさは更に進む、すると、換気扇が壊れて止まっているではないか、そのうえ、プロペラ部分は大 半がバラバラになり、残った部分もヒビ割れている。 「ゆっくり?」 換気扇へ近づくゆっくりまりさ。恐る恐る、換気扇にふれると、音を立てて崩れ落ちた。 そう、換気扇は、ゆっくりれいむを巻き込んだことで、故障し破損したのだ。 結果的にゆっくりれいむは、ゆっくりまりさのために道を開いたのである。 ゆっくりまりさは、呆然としながら、換気扇の向こうへ進む、光はすぐそこだ。 ついにゆっくりまりさは換気口の出口に立つ。空はすっかりと夕焼けに赤く染まっていた。 突然…ゆっくりまりさの頬を涙が伝う。それは止まることなく、流れ続ける。 その涙は、これまでの悲しみによる涙ではない。ゆっくりまりさが生まれて初めて流した、喜びの涙であった。 ゆっくり加工所の最上部に近いとこから望む草原と森の、かつてない光景を目にしゆっくりまりさは感激の涙を流した のである。 「……………。」 言葉にはならなかった、ゆっくりまりさは、かつてないほど、深く、深くゆっくりしたのである。 それは、時間にして30分くらいだろうか。 野生のゆっくりのごく一部には、高い所から飛び降りる術を知っている。正確には、壁を転がるのだ。 ゆっくりまりさは、目から歓喜の涙が枯れた後、換気口の出口から垂直の壁を転がった。そして、地面が近づくと、壁 を体の底で蹴り、衝撃を逃しながら今度は地面を転がった。 ゆっくりの球状に近い体型と、弾力性を利用した技である。猫は、7階の高さから飛び降りても無傷の場合があるとい う。が、このゆっくりの技はそれ以上のものだろう。 「ゆっくりしていってね!!!」 ぴょん!と体を起こしたそのゆっくりまりさは、住み慣れた森へと帰っていった。 終章 それから三日が経った。森の中に、主を無くした、ゆっくりまりさの帽子が落ちていた。 ほんの三日程前の夜、ゆっくりフランに襲われ、残虐の限りを尽くされ死んだゆっくりまりさの帽子だ。 そう、そのゆっくりまりさとは、あのゆっくり加工所から脱出したゆっくりまりさだ。 もし加工所から抜け出さず。檻の中にいたままなら、もう少し長生きできたかもしれない。 しかし、あのまま檻の中にいることは、ゆっくりまりさにとって、生きていることにはならなかった。 なぜなら、ゆっくりできなかったのだから。 あの、夕焼けの草原と森の光景の前に佇み、草原を駆け抜けてゆっくりしたゆっくりまりさは、最後の生を受けたので ある。最後に足掻くことで、ゆっくりまりさは生きることができたのである。 今日も、捕らえられた野生のゆっくり達がゆっくり加工所へ連れて行かれる。 おわり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/156.html
ゆっくり魔理沙はご満悦だった。 今までお友達のゆっくり霊夢たちと思う存分ゆっくりしていたからだ。 日があるうちはぽかぽかとしたお日様の下で草原を走り回り、蝶々を追いかけばったと一緒に飛び跳ねる。 お腹が空いたら蝶々やばったを食べたり花の蜜を吸ったりした。 夜はゆっくり霊夢たちの巣で、夜通しゆっくりとおしゃべりに興じたり、星を眺めて眠ったりした。 この数日間は、ゆっくり魔理沙にとって本当に幸せな日々だった。 もっとゆっくりできるといいなと思いながら、ゆっくり魔理沙は自分の巣に戻ることにした。 お友達のゆっくり霊夢たちは、もっとゆっくりしてほしそうだったが、たまには別のゆっくりをしたくなるのだ。 「ゆっくりしていってね!」 おおよそ四日ぶりに巣に戻るゆっくり魔理沙。 その巣は落雷で死んだ木の洞だ。 ゆっくり魔理沙一匹には広すぎるが、自分が気に入ったものを並べたりできるから、そこはまさに楽園だった。 巣の周りには緑鮮やかな木々が立ち並んでおり、草も豊富で色とりどりの花々が思い思いに咲き誇っている。 そばには川も流れていて、そこで暮らしている限りゆっくり出来ないことなどないと思える。 大勢でゆっくりするのもいいが、一人でゆっくりするのもまたいい。 ゆっくり魔理沙は久しぶりにするそれに、期待で目をぎらぎらさせながら飛び跳ねていた。 鼻息も荒く、興奮で頬ははちきれんばかりにふくらみ、いつも以上に赤らんでいる。 焼け焦げが目立つ折れた木が見えてきた。 そこには四匹のゆっくり魔理沙たちがいた。群れのようだ。みな微笑みながらゆっくりしている。じつに楽しそうだ。 同種のゆっくり同士には、基本的に縄張りの意識はない。 だから帰ってきたゆっくり魔理沙は元気よくその群れに飛び込み一声あげた。いつもどおりの鳴き声だ。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 次々と聞こえるそれはやまびこのようだった。 帰ってきたゆっくり魔理沙は手近なところにいた中くらいの、と言っても帰ってきたゆっくり魔理沙と同じくらいのゆっくり魔理沙にほお擦りをした。 「ゆぅ~」 「ゆゆゆ」 気持ちよさそうな声をあげて親愛の情を返す中ゆっくり魔理沙。 その様子を微笑ましそうに見ている群れの長だろう大ゆっくり魔理沙。これは帰ってきたゆっくり魔理沙よりも一回り大きい。 明らかに繁殖経験ゆっくりだ。きっと群れの仲間はこれの子供たちなのだろう。 しばらく五匹でゆっくりしていたが、小さな声が聞こえてきた。 「おかーさーん、ゆっくりしようね!」 「しよーしよー!」 「ゆーゆー!」 大きな木の洞から小さなゆっくり魔理沙が三匹でてきた。中ゆっくり魔理沙よりも一回り小さいそれらは、今まで眠っていたのか大きなあくびをしている。 「ゆゆっ!?」 帰ってきたゆっくり魔理沙は戸惑いの声をあげた。 今、小ゆっくり魔理沙たちが出てきた見覚えのある洞は、自分の巣ではないか? そんな疑問を抱いたゆっくり魔理沙をよそに、小ゆっくり魔理沙たちは大ゆっくり魔理沙に頬をこすられて気持ちよさそうにしている。 「ゆゆゆゆっ!?」 いぶかしげな顔をしながら、ゆっくりと巣に近づいて、中の様子を探るゆっくり魔理沙。 「ゆ゛っ!?」 中は酷い有様だった。ゆっくり魔理沙が集めた宝物の鳥の頭蓋骨は粉々に砕かれていてもはや白い残骸だ。 布団代わりに敷き詰めた草は半分以上がむさぼられていたし、後で食べようととっておいた桃はどこにもなく、代わりに食べかけのカボチャがでんと置かれていた。 なかでも一番嫌だったのが、巣の中から自分の臭いがまったくしないのに、それとは違うゆっくりの臭いがしていることだった。 急にゆっくり魔理沙の頭に餡子が上る。 その視線の先には飛び跳ねている小ゆっくり魔理沙の姿があった。 「ゆぅううーーーっ!」 跳躍し、小ゆっくり魔理沙の一匹に体当たりする。 「ゆぎゃっ!!」 吹っ飛ばされ転がる小ゆっくり魔理沙。 続いて他の小ゆっくり魔理沙を弾き飛ばそうとするが、それは出来なかった。中ゆっくり魔理沙が思い切り体当たりしてきたのだ。 「なにするのー!」 「ゆぐっ!」 家族を攻撃されて、こちらも頭に餡子が上った中ゆっくり魔理沙。威嚇なのか「ぷんぷん!」といいながら帽子のリボンをひときわ大きく広げている。 他の中ゆっくり魔理沙も無言でにじりよってくる。 弾かれた小ゆっくり魔理沙は、ほかの小ゆっくり魔理沙たちと一緒に、大ゆっくり魔理沙にすりよって慰められていた。 体勢を立て直したゆっくり魔理沙は、その場で勢いよく飛び跳ねて声高に訴える。 「ゆっゆっ!わるいのはそいつらだよっ!」 「わるくないよっ!まりさたちはいいものだよっ!!」 すぐさま言い返す中ゆっくり魔理沙。リボンはまだ大きい。 言い合いは続く。他の中ゆっくり魔理沙もそれに混じる。 「ゆぅ~、ここはまりさのおうちなのっ!ゆっくりしないでね!」 「なにいってるの?ここはまりさたちのおうちだよ!!!」 「ちーがーうーの~!まりさのおうちなの~~!いいからさっさとでてってね!!」 「いやだよ!ここはまりさたちがゆっくりするおうちだよ!!」 「ちがうもん!ちがうもん!!はやくでてけっ!」 地団太を踏むように小刻みに跳ね続け、顔を真っ赤に染めてゆっくりしないで叫ぶゆっくり魔理沙。 中ゆっくり魔理沙たちは、そんな様子を餡子が腐ったようなものを見る目でみつめている。 「ここはまりさたちがみつけたんだよ!」 「まりさたちのおうちだもん!ゆっくりしないでさっさとどっかいってね!!」 「はやくきえてね!まりさたちはゆっくりするから!」 「「「ばーかばーか!うそつきー!どっかいけ!!かえれー!!!」」」 ゆっくり魔理沙は三匹に立て続けに言われてとうとう怒ったのか思い切り飛び掛った。 「いいからさっさとでてくのーーー!」 体当たりされて転がる中ゆっくり魔理沙。それを見て勝ち誇るように鼻で笑うゆっくり魔理沙。 「なにするのーッ!!!」 「ゆ゛ッ」 同時に重い音とともに潰されるゆっくり魔理沙。大ゆっくり魔理沙が飛び乗ったのだ。 すぐさま中ゆっくり魔理沙のもとへと跳ねよる大ゆっくり魔理沙。だが中ゆっくり魔理沙は大丈夫だと言うように跳ねている。 そのままゆっくり魔理沙へと向かう。 「ゆ~~」 体を起こすと、ゆっくり魔理沙は中ゆっくり魔理沙に囲まれていた。いや中ゆっくり魔理沙だけではない、六匹の群れが全員でゆっくり魔理沙を取り囲んでいるのだ。 ゆっくり見渡したところ、逃げられるような余裕はなかった。とたんにきょろきょろと慌てるゆっくり魔理沙。 「ゆっゆっゆっ?」 なぜ囲まれているのかゆっくり魔理沙には理解できない。自分はただ、自分の巣でゆっくりしたかっただけなのだ。 「ゆー!」 べよん。 小ゆっくり魔理沙が体当たりする。少し痛かったが、すぐにしかえそうとするゆっくり魔理沙。 しかし逆側からも体当たりされる。 「ゆぅっ!!」 そちらを向く。 すると背中に衝撃が。 「ゆぐっ!?」 ほどなくゆっくりリンチが始まった。 大ゆっくり魔理沙がのっかり攻撃し思い切り飛び跳ねる。 まわりで中ゆっくり魔理沙は三方向から勢いよく体当たりをする。 その隙間からは小ゆっくり魔理沙が噛み付いているのが見える。 みんな思い思いの方法で、ゆっくり魔理沙に暴行を加えている。 ゆっくり魔理沙は最初こそ反抗的だったが、ものの数秒もしないうちに号泣し、命乞いの声をあげていた。 しかし群れの攻撃はやむどころか弱まる気配すらない。ぼこぼこぼこぼこといい音がしている。 それに混じる悲鳴や泣き声。なにかが飛び出る音。 「ゆっゆ゛っゆっゆ゛っゆっゆ゛っ!!!」 「いや゛っ!いや゛っ!よじでっ!びゅっ!」 「ぐるぢいよ!だぢでっ!やべでぇっ!!だぢでよおおお!!!」 「どお゛じでごん゛な゛ごどずる゛の゛ぉ゛お゛ぉ゛!?」 「い゛や゛ぁあ゛ぁぁぁ゛ぁ゛ぁあ゛ぁ゛ぁぁぁ」 「も゛う゛や゛め゛て゛ね゛っ゛!」 「い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」 「ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛ぅ」 「ゆ゛……っぐり゛……ざぜ……でぇ……ぜっぜっ」 「……ッ!……ぅっ!!…………っ」 ぴくぴくと動くゆっくり魔理沙のようなもの。 それは涙と鼻水、よだれや泥で汚れきっており、餡子まみれで帽子もこれ以上ないほどによれて、ところどころに噛み跡が見える。 もはや虫の息でゆっくりとしているゆっくり魔理沙。 「ゆっ!」 仕上げとばかりに大ゆっくり魔理沙はそれに思い切り体当たりをする。 餡子を撒き散らしながら声もなく転げていくそれを追いかける三匹の中ゆっくり魔理沙たち。 それは近くの川岸でゆっくりと止まった。 その様子に明らかに不満顔で膨れていく三匹。顔を見合わせると、何かを決めたように頷く。 「「「ゆぅ~う~うぅ~っ!!!」」」 声を合わせて、三匹は汚れたゆっくり魔理沙を川に投げ入れてやった。 「「「ゆっくりしんでね!」」」 汚れたゆっくり魔理沙が川をゆっくりと流れていく様子を、げらげらげらげらという笑い声が見送っていた。 ぶくぶくと泡をだしながらゆっくりと薄れていく意識の中でゆっくり魔理沙は思った。 こんなことならゆっくり霊夢たちの巣でもっとゆっくりしてればよかった……と。 おわり。 著:Hey!胡乱
https://w.atwiki.jp/ykansatu/pages/39.html
表示について 星の数はレア度を表す 最大で★5 ★1:N(通常種) ★2:PN(通常種~準希少種の間) ★3:R(準希少種) ★4:PR(希少種) ★5:SR(超希少種) 共通 〈通常時〉 ゆっくりしていってね!!! ゆっくり! ゆん! ゆん、ゆん、ゆん! にんげんさん、おはようございます!(善良種のみ) にんげんさん、こんにちは!(善良種のみ) にんげんさん、こんばんは!(善良種のみ) ねーねー、あそぼー、あそぼー?(愛で時、善良種のみ) もっとなでなでしてー(愛で時、善良種のみ) ゆっくりーのひー、まったりーのひー、らんらんらん! すーりすーりすーり(愛で時) こーろこーろ(旧バージョンのみ) ころころころー(旧バージョンのみ) ぜんそくぜんしーん!(ダッシュ移動中) わーい、まてまてまてー(ダッシュ移動中) わぁーい、ゆーっくりまってねぇ(ダッシュ移動中) わー、おそらをとんでるみたーい!(おそら) ぺーろぺーろ(他のゆっくりに対する慰め。食事時とは違い、イントネーションが観察日記におけるぺーろぺーろ) 〈おちび・家族関連〉 おちびちゃん、これからもずっといっしょだよ! いもうと、はやくおっきくなってね!(姉ゆ) おちびちゃーん! おかーちゃん! おとーちゃぁ〜! おねーちゃん! いもーとぉー! れいむぅー まりさぁー ありすぅー ぱちゅりー れみりゃー ふらぁーん ちるのぉー (みょん、さくや、ちぇんの名前呼びは未実装?) うまれるー、うまれるー!(出産時) 等 〈虐待時〉 やめてぇ!やめてね!やめてね! ゆんやー! ゆんやぁゆんやぁゆんやー! ぷっくー!(ぷくー時) かえしてぇー かえしてよぅ(おぼうし没収) ごめんなさい、ゆるしてください!(善良種のみ) どうしてこんなことするのぉ!(基本ゲスのみ、子ゆを攻撃して怒らせると善良種も言う) やーじゃやーじゃ、おうちかえるぅ!(ゲスのみ) ゆっくりにげるよ(ゲスのみ) さむいーさむいよーだれかたすけてー(さむい…時) あついーあついよー!たすけてー!(炎上・あつい…時) もえてる〜もえてるよぉ(炎上・炎接近・あつい…時) どうしてほのおさんここにいるのぉ?(炎接近時) ほのおさんは、ゆっくりできないんだよぉ(炎接近時) ゲホッゲホッゲホッゲホッ(瀕死からの回復後) 等 〈食事時〉 わーい、ごはんさんだー! わーいわーい! ぺーろぺーろ むーしゃむーしゃ もーぐもーぐ ごはんさん、ありがとう!(善良種のみ) うめぇ!ぱねっ!(ゲスのみ) これめっちゃうめ(ゲスのみ) はっぱさんは、たべたくないんだよー(葉っぱ) これ、にがーい!(葉っぱ) なにこれ、すごーくまずいよ!(葉っぱ、ゲス) げろまず〜(葉っぱ、ゲス) おいしくないけど、がまんしようね!(葉っぱ、善良種のみ) くさーい! うんうん、くっさいよー!(うんうん) くさいよー! うんうんさんあっちにいってね!(うんうん) 〈空腹時〉 おなか、ぺこぺこー ゆんやぁゆんやぁゆんやぁ…(悲しい時とは別の泣き方) 〈うんうん体操〉 うんうんでりゅう〜 ゆっち、ゆっち ゆん! ゆん、ゆん、ゆん! 〈降雨時〉 あめさんだよー、ゆっくりできないよー あめさん、はやくあっちにいってねー とけちゃうよー、からだがとけちゃうよー 〈非ゆっくり時〉 おうちにかーえろっと! わーい、おはなさんだぁ! ゆっくりーのひー、まったりーのひー、らんらんらん! 〈非ゆっくりなりかけの時〉 やだやだやだぁ〜 やじゃやじゃおうちかえるぅ… おかーちゃん おとーちゃん 準共通 2〜4種間で共通のセリフ。 〈れいむ まりさ ちるの〉 ばーかばーか!(ゲス) 〈れいむ ぱちゅりー ちるの〉 もーっと、きもちよくしろー!(愛で時、ゲス) 〈ぱちゅりー ちるの〉 ごはんさん、ありがとうね(食事時、善良) 〈れいむ ふらん〉 あそんで、あそんでー!(愛で時) 〈ありす ぱちゅりー みょん さくや〉 はやくあやまりなさい!(ぷくー時 ゲス化) がんばりなさい、いまいくわ(他ゆへの虐待時) これはけんこうにいいわ!(食事時、葉っぱ) ごはんさんはどこかしら(狩り時) 〈ありす ぱちゅりー さくや〉 とーってもたのしいわぁ! 〈ありす ぱちゅりー〉 あまあまをはやくよこしなさい!(ゲス) そんなんじゃ、ぜんぜんかんじないわ!(愛で時、ゲス) そんなことしちゃ、だめなのよ(ぷくー時、善良) とってもおいしいわ!(食事時、善良) かりさんにいくわ!(狩り時) おなかがすいたわ(空腹時) 〈ぱちゅりー みょん さくや〉 わたしに、かわいいあかちゃんができたわ!(妊娠時) 〈れみりゃ ふらん〉 うー☆ うー☆うー☆うー☆ はやくあまあまをよこすんだどー(ゲス) ぎゃおー たーべちゃうぞー(ゲス ぷくー時 ゲス化) もうおこったどー(ぷくー時) どうしたんだどー、だいじょうぶかどー?(他ゆへの虐待時) とってもおいしいどー!(食事時、善良) ごはんさんどこだどー?(狩り時) おなかがすいたどー(空腹時) すごいどー、あかちゃんができたんだどー(妊娠時) れいむ 画像左側の個体が胎生妊娠形、画像右側の個体が植物妊娠形 通常種 レア度:★x1 1~9円(ランクC) 200~3000円(ランクB以上) 最もよく見かけるゆっくり。特徴は赤いリボンと2つのもみあげ。中身は漉し餡。 オプションパーツ(ランダムに装備する、プレイヤーが着脱させられない小物)はお花。左もみあげに握っている。王冠を被せると魔法少女ステッキに変化。 もみあげは長毛型・短毛型・わさ型の3種類があり、現行版では左右で種類が異なる場合もあるため、もみあげの形状だけでも合計9種類のバリエーションが存在する。(性格に影響は無い) 胎生妊娠形のれいむは黒髪で、植物妊娠型のれいむは茶髪。 主なボイス 通常時(全て善良種のみ) ゆっくりしようね! れいむね、しあわせだよー! れいむね、おうたがじょうずなんだよ! いっしょにうたおうね! れいむのもみあげさんをゆっくりみてね、すごーくかわいいでしょー? れいむのもみあげさん、おかーさんにほめられたんだー、れいむのたからものさんだよ れいむはしょうらいね、りっぱなおかあさんになるんだよ!そして、ずーっとずーっと、みんなとゆっくりしつづけるんだよ~! わぁーい、きーもちぃー!(愛で時) 等 れいむ種の通常時ボイスは善良とゲスとで完全に独立しており、共通のものは無い。 虐待時 たすけてー、れいむをたすけてー!(ゲスのみ、善良は固有ボイスなし) ゲス種 ここをれいむのゆっくりプレイスにするよ! このうんこどれい れいむ、おこるとすっごくこわいんだよ? れいむ、あかちゃんがいっぱいほしいよ!そしたら、みーんな、ゆっくりできるのにねー 等 ゲス種(愛で時) ぜんぜんきもちよくないよ? れいむはね、みんなのアイドルなんだよ れいむ、かわいすぎてごめんねー ぷくー時 れいむまけないもん! れいむ、おこるとすっごくこわいんだよ? ごめんなさいしようね!(善良種のみ) 他ゆへの虐待時 どうしたの、だいじょうぶ? がんばれ、がんばれー! ゲス化すると れいむまけないもん! れいむ、おこるとすっごくこわいんだよ? 等(いずれもゲス種、ぷくー時と共通) 食事時 おいしい! 狩り時 かりさんにいくよ! ごはんさんどこなのー? 空腹時 れいむおなかすいたよー? 妊娠時 あかちゃんができたよ!れいむにあかちゃんができたよ! おそら れいむはちょうちょさんだよー! かつてのれいむはもみあげが現在より若干上にあった まりさ 画像左側の個体が胎生妊娠形、画像右側の個体が植物妊娠形 レア度:★x1 通常種 2~15円(ランクC) 200~3000円(ランクB以上) れいむ種と同じく見かける頻度が高いゆっくり。 特徴は黒いとんがり帽子と片方だけ編まれたおさげ。中身は粒餡。 オプションパーツは木の棒(えくすかりばー) おさげに握っている。王冠を被せるとおもちゃの剣に変化。 現行版では長毛型・通常型・短毛型・めさ型(0.5a5~0.5b9では未確認)の4種類のおさげがある模様。 どの個体も語尾は「のぜ」となっており、いわゆる「だよまりさ」は存在しない。 胎生妊娠形のまりさは髪が黄土色で、植物妊娠型のまりさは髪が茶色っぽい。 主なボイス 通常時 まりさはおまえをぜったいにまもるのぜ! まりさはぼうけんのたびにでるのぜ! まりさはしょうらい、さいきょうのどすになるのぜ!おとーさんがそういってたのぜ! がんばるのぜ、がんばるのぜー!(うんうん体操中) おちび、はやくおおきくなるのぜ!(おちび保有時) まりちゃのちゃちゃちゃ~、まりちゃのちゃちゃちゃ~、まりちゃまりちゃのちゃ・ちゃ・ちゃ〜(愛で時) 等 善良種 まりさといっしょにぼうけんのたびにでるのぜ! まりさはしあわせなのぜ~ ゆっくりするのぜ きもちいいのぜ〜、くせになるのぜ〜(愛で時) もっとツンツンしてほしいのぜ(愛で時) 虐待時 まりさをはやくたすけるのぜ~!(ゲスのみ、善良は固有ボイスなし) ゲス種 おまえはゆっくりできないのぜぇ〜 まりさこのまえ、ひとゆでありさんをたおしたのぜ! まりさは、つよいてきとたたかいたいのぜ!もうありさんはらくしょうなのぜ! まりさは、けんかでまけたことないのぜ! まーりさーはつよいー、いーちばーんつよいー まりさはつよいのぜ ま・り・さ・は・つっよい・の・ぜ~! 等 ゲス種(愛で時) ツンツンがぜんぜんたりないのぜ もっとツンツンするのぜ! まりちゃのきゅーとなひっぷで、みんな、めろめろなのぜ! 等 ぷくー時 まりさはつよいのぜ まりさはおまえを、ゆるさないのぜー! まりさとしょうぶなのぜ!まりさはぜったいにまけないのぜ! はやくごめんなさいするのぜぇ? 等 他ゆへの虐待時 どうしたのぜ? がんばるのぜ まりさはおまえをぜったいにまもるのぜ! ゲス化すると まりさとしょうぶなのぜ!まりさはぜったいにまけないのぜ! はやくごめんなさいするのぜぇ? 等(いずれもぷくー時と共通) 食事時 とってもおいしいのぜ! まりさはこれで、がまんするのぜ!(葉っぱ、善良種のみ) これ、すごーくまずいのぜ(葉っぱ、ゲス) あまあまがたべたいのぜ!(葉っぱ、ゲス) ケーキ投与時 すごいのぜ~、ケーキさんなのぜ~ ケーキさんっ、ケーキさんなのぜー 等 狩り時 ごはんさんどこなのぜ〜? かりさんにいくのぜ! 空腹時 おなかすいたのぜぇー 妊娠時 できたのぜ!まりさにあかちゃんができたのぜ! ありす 画像手前側の個体が胎生妊娠形、画像奥側の個体が植物妊娠形(この画像ではみょんを妊娠) レア度:★x1 通常種 5~40円(ランクC) 800~6000円(ランクB以上) れいむ種やまりさ種の次によく見るゆっくり。 特徴は赤いカチューシャと金髪。中身はカスタード。 オプションパーツはお花。カチューシャの装飾として頭に付ける。 前作においてはゲス個体のありすが他のゆっくりを捕まえて強制的にすっきりーを行う「れいぱー」という仕様が存在した。 今作でもCランクはれいぱーとして描写されているが、それらしいセリフを言うのみで実際にゲーム内の行動としてれいぽぅを行う事は無い。 植物妊娠型のありすは髪色が茶色ぽく、胎生妊娠形の髪色は黄土色。 主なボイス 通常時 とっかい!とっかい! とかいは! ありすはとかいはよ すてきなであいがしたいわ! 等 善良種 すっごく、いいきぶんよ あなたとかいはね ありすとってもしあわせよ わたしがこーでぃねーとをしてあげるわ! わ!とーってもおしゃれね! 等 ゲス種 わたしのあいを、うけとりなさーい! んほぉお〜 んっほ、んっほ、んほぉお~ そこのあなた! そこのあなた、いっしょにあいしあいましょう! いいわ〜!もっともっとついてちょうだい!(愛で時) 等 食事時 とかいはなごはんをありがとう 妊娠時 ありすにたからものができたわ!すてきなあかちゃんよ〜 ぱちゅりー 画像左側の個体が植物妊娠形(赤紫色)、画像右側の個体が胎生妊娠形(青紫色) レア度:★x2 通常種 15~50円(ランクC) 1000~9000円(ランクB以上) ありす種とちるの種の中間ほどの頻度で見るゆっくり。 特徴は桃色の帽子と紫色の髪。中身は生クリーム。 オプションパーツはまどうしょ。口の下あたりの位置に固定されている。 森や海では出現率が上昇する。ぱちゅりー種を多量に用意したい場合は森を探すと良い。 観察日記と同様、他種より寿命が短く設定されている。(v0.29fまで) 胎生妊娠形のぱちゅりーは、髪色が青紫色で、植物妊娠型は、髪色が赤紫色。 主なボイス 通常時 むっきゅっきゅー! むきゅ、むきゅ! むきゅーぅ まどうしょによるとね ふむふむ、なるほどぉ 等 善良種 わたしにわからないことは、なにもないわ! わたしはしあわせものね からだのちょうしがいいわ! なんでもきいてね! 等 ゲス種 あなたはおばかさんなのね ゲホッゲホッゲホッゲホッ 等 ちるの 画像左側の個体が胎生妊娠形、画像右側の個体が植物妊娠形 レア度:★x2 飛行種 15~80円(ランクC) 1000~15000円(ランクB以上) おかざりによる追加特性を除けば非捕食種では唯一の飛行種であるゆっくり。 特徴は青いリボンと氷のような6枚羽。中身はアイスクリーム。 オプションパーツはカエル。頭の上に乗っけている。 飛行種の性質について 飛行能力を持ち、マップ内を三次元的に移動できる。挙動としては浮上(空中ジャンプ)と滑空を繰り返す形を取っており、空中で停止するような動きはできない。 手動操作モードではジャンプボタン(旧Aボタン)で飛行できる。ゆっくりと一緒にプレイヤーも移動するため、通常では登れないような高所に降り立つこともできる。 左右の髪の房(れいむ種のもみあげに相当する、破壊可能な部位)を破壊すると同時に羽も千切れ、飛行能力は失われる。 元ネタでは希少種扱いされる事も多いが、出現頻度はそこまで低くもない。 ゆっくり同士の戦闘において、攻撃時に相手を冷やす効果がある。逆にちるのは全ての寒冷効果を無効にする。 旧バージョンではぱちゅりー種と同様の寿命となっている(v0.29fまでクリーム系ゆっくりは寿命死が多かった) 胎生妊娠形のちるのは髪色が青で、植物型妊娠のちるのは髪色が水色。 主なボイス 通常時 さーいきょ! さいきょ、さいきょ! あたいったらさいきょーね! 等 ゲス種 おいおまえ! あたいのこぶんにしてあげる! あまあまもってこい! あたいにさからうの? 等 ゲス化すると あたいにさからうの? 等 食事時 さいきょうにおいしい! 空腹時 おなかぺこぺこぉ!(他種とはイントネーションが異なる) ちぇん 画像左右側の個体が胎生妊娠形、画像左側の個体が植物妊娠形。 レア度:★x4 準希少種 40~180円(ランクC) 8000~75000円(ランクB以上) 0.5にて追加 観察日記には登場しない、今作で新規実装されたゆっくり。 特徴は緑の帽子と猫耳。 少し出現頻度が低い。「わかるよー」が口癖。中身はチョコレート。 体の強度が低く、人間の攻撃などで1発攻撃すると2発分ぐらい食らう。ライトセーバーだと一発攻撃だけですぐに非ゆっくり症になる。 耳と尻尾は引き抜いてもロードを挟むと再生するため、他のゆっくりと同じようにいわゆる「ハゲ饅頭」にする事はできない。 植物妊娠型のちぇんは瞳の色が濃く、胎生妊娠形のちぇんは瞳の色が薄い。(v0.5から胎生妊娠形のゆっくりは瞳の色が変わった) 主なボイス 通常時 わかるよー、とーってもわかるよー? そうなんだねー ゆっくりーのひー、まったりーのひー、わっかるんだよー! ちぇんはかけっこがとくいなんだねー!だれにもまけないんだねー!わかるよー! とーってもきもちいいんだねー、わかるよー!(愛で時) もっとなでなでするんだね、わかってねー!(愛で時) うんうんがでるよーわかってねー!(うんうん体操中) 等 善良種 こんにちはなんだねー、わかるよー! こんばんはなんだねー、わかるよー! ちぇんといっしょにかけっこするんだねー!わかるよー! ちぇんはしあわせなんだねー!わかるよー! ちぇんはうれしいんだねー!わかるよー!(愛で時) 虐待時 どうしてこんなことするの~、わからないんだよ~ わからない〜わからないんだよ〜! ごめんなさい!わかってほしいんだよぉ!(謝罪形式だがゲス種でも発言する) かえすんだね〜すぐにかえすんだね〜!(おぼうし没収) あつい〜あついよ〜わかってねぇ!(炎上・あつい…時) さむい〜さむいんだね〜だれかたすけてほしいんだね〜!(さむい…時) ちぇんはにげるんだねー!わかってねー!(ゲスのみ) 等 ゲス種 ここはちぇんのゆっくりプレイスなんだねー!わかるよー あまあまをもってくるんだねー!わかれよー? ちぇんはさいきょーなんだねー!わかれよー? わからないよー? わかれよー! ちぇんにはさーっぱりわからないよー? ちぇんがかわいすぎてしかたないんだねー!(愛で時) 等 ぷくー時 わかるよー? ちぇんはもうおこったんだねー! 他ゆへの虐待時 だいじょうぶなんだね~、ちぇんがまもってあげるんだね~ がんばるんだね~、ちぇんがいまいくんだね~ 等 食事時 ちぇんはいっぱいたべるんだねー うんうんさんあっちにいくんだよぉ、わからないよー!(うんうん) ケーキ投与時 ケーキさんっ、ケーキさんなんだねー! 等 狩り時 ごはんさんでてきてねー?わからないよー? はっぱさんのにおいがするんだね、わかるよー?(葉っぱ) 妊娠時 ちぇんにあかちゃんができたんだね、わかるよー! おちびちゃんは、ゆーっくりできるんだねー、わかるよー おそら ちぇんはおそらをとんでるね、わかるよー ちぇんはつばさをてにいれたんだね、わかるよー 非ゆっくり時 わかるよーにんげんさんはちぇんのことがすきなんだよーわかるよー どうしてこんなことするの~、わからないんだよ~ みょん(ようむ) 画像左側の個体が植物妊娠形、画像右側の個体が胎生妊娠形 レア度:★x4 準希少種 100~200円(ランクC) 15000~90000円(ランクB以上) v0.28kで追加 ありす種、ぱちゅりー種、ちるの種よりも出現頻度の低いゆっくり。(観察日記の頃よりも更に出現しなくなった?) 特徴は黒いカチューシャと銀髪。中身は白餡。 オプションパーツは木の棒(はくろーけん) 口に咥えている。 原点では通常種扱いだが、このゲームでは希少種扱いなのか売値も極めて高い。また淫語しか喋れない「淫語みょん」は登場しない。 基本的に語尾に「みょん」と付くが、一部のボイスはありすやぱちゅりーと同じ女言葉の汎用セリフになっている。 植物妊娠型のみょんは髪色が白色で、胎生妊娠形は髪色が灰色。 主なボイス 通常時 みょんみょんみょーん ゆっくりのーみょーん、まったりのーみょーん、みょんみょんみょーん みょんはともだちだみょん(善良種のみ) うんうんでるみょーん(うんうん体操中) 等 ゲス種 みょんにかてるとおもってるみょん? みょん、そこのおまえみょん! はやくあまあまもってくるみょん! 虐待時 ごめんなさいみょーん(善良種のみ) ぷくー時 みょんとたたかうみょん! みょんにかてるとおもってるみょん? 食事時 とーっても、おいしいみょん! これ、めっちゃうまいみょん!(ゲス) ごはんさん、ありがとうだみょん これはみょんのごはんだみょん(ゲス) 出産時 うまれるみょん、うまれるみょん さくや 画像左側の個体が胎生妊娠形、画像右側の個体が植物妊娠形 レア度:★x5 希少種 100~200円(ランクC) 25000~120000円(ランクB) 原点でも希少種とされているゆっくり。 特徴はプリムと銀色のおさげ。中身は(このゲームではそうは見えないが少なくとも原点では)プリン。 おさげは長短2種類あり、れいむ種同様に左右で長さが違う場合もある。 オプションパーツは歯ブラシ。口に咥えており、近くに汚れ状態のゆっくりがいると磨いて綺麗にする事がある。 今作ではみょんと同等以上に出現頻度が低くなっており、売値も最高クラスとなっている。 観察日記と同様、基本的にはゲス捕食種の捕食対象にならない。 植物妊娠型のさくやは髪色が白色で、胎生妊娠型は、髪色が灰色。(みょんと同様) 主なボイス 通常時 おじょーさま、おじょーさま おじょーさま! なにかごようですか あなたにちゅうせいをちかいます(善良種のみ) うんうんがでますぅ(うんうん体操中) 等 ゲス種 あなたはめしつかいね はやくおじょーさまにごはんをはこびなさい 等 食事時 とってもおいしいですね! すてきなおりょうりですね! これはわたしのごはんです(ゲス) 等 空腹時 はやくおりょうりしないと… 出産時 うまれますぅ、うまれますぅ れみりゃ(れみりあ) 画像左側の個体が胎生妊娠形、画像右側の個体が植物妊娠形 レア度:★x3 捕食種 60~150円(ランクC) 7000~50000円(ランクB以上) 廃墟でよく見かけるゆっくり。 特徴はこうもりのような羽と牙。中身は肉饅。 捕食種の性質について ランクC〜Bの捕食種は設定次第で他のゆっくりに対して、身体に噛み付いて引き摺り回し体力を吸収する「捕食」を行うようになる。羽の破壊やあんよ焼きなどで移動能力が損なわれている状態でも行う事ができ、与えるダメージ量は体格差によって変動する。 同じ捕食種であるふらん種も同様の性質を持ち、また捕食種同士は捕食の対象にならない。加えてさくや種も例外とされている。 設定についてはゆっくりにっきのステージ①の「タイトル画面」を参照 過去版では他のゆっくりと比べて移動速度・飛行速度が速かったが、現行版では個体ごとにランダムの模様。(他の種類のゆっくりも同様)また、0.5a~0.5a5では飛行できないバグがあった。 現行版では糸目型と丸目型の2種類のバリエーションがある模様。丸目の方が若干少ない。 胎生妊娠形のれみりゃは髪色が紫色で、植物妊娠形のれみりゃは髪色が赤紫色。 主なボイス 通常時 ゆっくりの~うー☆まったりの~うー☆れ・み・り・あ・うー☆ れみりあうー☆ もっとぷにぷにするんだどー(愛で時) 等 善良種 れみりゃといっしょにゆっくりするんだどー いっしょにあそぶんだどー れみりゃしあわせ〜(愛で時) とってもきもちぃーどー!(愛で時) 等 ゲス種 さくやぁ!さくやぁ! ぷにぷにがたりないどー(愛で時) 等 ふらん 画像左側の個体が胎生妊娠形、画像右側の個体が植物妊娠形 レア度:★x3 捕食種 60~150円(ランクC) 7000~60000円(ランクB以上) 廃墟でよく見かけるゆっくり。 特徴は枯れ枝に結晶が生えた様な羽と牙。中身は餡饅。 捕食種の為、設定次第でランクC〜Bは他のゆっくりを襲いはじめる。 れみりゃと共通するセリフは語尾に「どー(だどー)」とつく。 植物妊娠型のふらんは瞳の色が濃く、胎生妊娠形のふらんは瞳の色が薄い。髪の色も胎生妊娠型のふらんがべたっと塗ったような色をしており、植物妊娠型のふらんは胎生妊娠型に比べ、髪色が薄い。 主なボイス 通常時 おいかけっこしよ! いっしょにあそぼー!(善良種のみ) なにしてあそぶ?(善良種のみ) 等 ゲス種 わたしとあ・そ・べー! つまんない、つまんなーい! 等 過去版ではサイドテール有りの髪型がデフォルトだったが、現行版ではサイドテール無しがデフォルトとなっている。 コメント(編集できない場合やメモなどに) コメントログ 名前 性欲は同じランク内にも優劣があるらしく、性欲ゼロのパチュリーばっか集めて狭いとこ放り込んだら父役になるやつが出てきて、その個体を今度は性欲0れいむとツガイにさせると、やっぱり父役になったわ - 名無しさん (2024-05-17 03 00 21) 昨夜は☆3じゃない?普通にレミフラと同じ頻度で出てくるし。 - え (2024-04-30 22 36 37) まりちゃにリンゴのかぶりものはよくにあうのぜ - 名無しさん (2024-02-20 17 27 34) 可愛いらしいでしょうか -  (2024-01-14 14 02 38) おいかけっこしよ -  (2023-12-29 16 45 59) ↓ゆっくすで合ってます。前作からの変更点はれいぽぅをやらなくなっただけで普通のゆっくすはやります - れみどん (2023-12-25 18 04 24) ありすを2ゆんくっつけてたらBありすがAありすの後ろに回ってBありすが腰?をめっちゃ振ってました。そしたらそれが終わった時に、Aありすが妊娠してました。これってゆっくすですか? - フシギダネ (2023-12-25 17 09 49) なんかとてもいい -  (2023-12-17 16 44 31) 捕食種はつい愛でちゃうな - ソンス (2023-07-18 10 42 10) 糸目れみりゃが死ぬとき目を開くことがある - 酒 (2023-07-17 12 12 40)
https://w.atwiki.jp/simyukkuri/pages/16.html
ゆっくりの種類について
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/647.html
饅頭に人の顔が貼り付いてるだけの物体、ゆっくり。 この謎生物がここ、幻想郷に突然現れてから久しく経つ。 最初の頃こそ、「ゆっくりしていってね!」→「ちょうきめえ!」のコンボで駆除されるだけだったが、 徐々に研究が進み、人間にとって様々な形で役立つものだという認識が広まってきた。 ゆっくりが今では生活物資の中でも重要な位置づけになりつつある。 ゆっくりの一番よく知られた用途はやはり食用。 何せ饅頭なので、少し汚れを落とすだけでそのまま食べられる。 幻想郷は甘味料を精製できる作物があまりよく育たないため、 これは本当にありがたいものであった。 次に力仕事。 ゆっくりは個体差が激しく、中には牛や馬以上に大きく力強く育つ傾向を持つ種がいるのだ。 これらの系統を幼体の頃から調教することで、家畜同様の存在として利用。 知能も比較的高いため、農作業や運送業の負担は大きく軽減された。 そして愛玩用。 見た目はそれなりに愛嬌があり、人語を解することもあってペットとしてもよく飼育されている。 中には徹底的な教育を施し、ゆっくりに秘書のような役割を担わせている人もいるくらいだ。 しかし、これらの用途に充てられるゆっくりは一握りの良質なゆっくりでおおむね足りる。 残りの、箸にも棒にもかからないようなゆっくりたちにはどのような使い道があるのか。 それを今から見て行こうと思う。 _______________________________ 昼が一年で最も長い時期、 幻想郷の森の中は大勢の人間たちで珍しく賑わっていた。 誰もがかごを担いでおり、手には長い菜ばしが握られている。 見た目にはゴミ拾いか山菜取りに来たようにしか見えない。 しかし、今の彼らの目的はそんなものではなく、ゆっくりだ。 彼らは木の根元を主に探り、それらの居場所を見つけようとしていた。 「あ、いたいた 相変わらずきめぇ外見だなあ」 ゆっくりを生け捕りに来た一人である青年が、大木の根元に空いた穴を覗き込むなり、苦笑しながらつぶやく。 もし何も知らない現代人がこれを見たら卒倒しているだろう。 穴の中には人間の生首のような物体がいくつも鎮座していた。これがゆっくりだ。 ゆっくりたちはまだこちらに危険性に気づいてない様子だ。 ゆっくりしていってね、と無邪気にこちらへ話しかけてくる。 しかし青年はそれに答えることなく、菜ばしで手早くゆっくりたちを背中のかごへ詰めていく。 さすがにゆっくりたちも騒ぎ始めるが、力の差が有りすぎて抵抗らしいことは一切出来ない。 数分もしないうちに、かごの中はゆっくりで満たされた。 傍目からは、巨大な白キノコがかごにたくさん収まっているようにも見える。 うーん大漁大漁、と彼は満足げだ。かごの中からは声が幾重にも聞こえてくる。 ふと周囲を見回すと、青年の仲間達がやはりゆっくりたちを満載したかごを背負っていた。 もう充分かね、と皆に呼びかけると、肯定だけが返事として来る。 この日のゆっくり捕りはこれで完了だ。 人里へ戻った青年たちは、休むよりも先に、とある作業場を訪れた。 里の人々からは一般にかぎ屋、たま屋と呼ばれ親しまれているところだ。 やあおつかれさん、と作業場の入り口で番をしていた壮年の男性が、ねぎらいの言葉を彼らへかける。 準備はできてるから、と続けて言われ、会釈した青年たちは作業場の奥へと進む。 一分ほど歩くと、周囲に比べてひときわ大きな建物が見えてきた。 彼らはそこへ重い扉を開いて入る。内部は上にも横にも意外なほど広く、遮蔽物も特に見当たらない。 せいぜい作業用の小道具が散らばっている程度だ。ただ大広間があるだけ。大勢が作業するための構造。 あらよっと、と青年たちはかごの中身を床にぶちまける。そこでようやく一息つく者も多い。 広間に放り出されたゆっくりたちは人間達に悪口を浴びせる。 しかし彼らはその言葉に反応せず、ただゆっくりたちの様子を眺めているだけ。 今は特にこれ以上何もされないようだとわかると、この建物を自分達のゆっくりプレイスだと宣言し、 ゆっくりたちは広間を好きに跳ね回り始める。割りと楽しそうだ。 これがゆっくりたちにとって最後の自由時間。 10分ほどそんな光景が続いていたのだが、眺めていた青年がふと口を開く。 「こいつらの中で他に回せそうなのいないな。全部こっちで使うわ」 彼らはゆっくりたちを選別していたのだ。 ゆっくりたちに好きにさせ、どんな行動をとるかを見れば、 他の役に立つかどうかはだいたい判断がついてしまう。 青年たちの捕ってきたゆっくりたちは自らの心配をまるでせず、ただ目の前の状況を自分勝手に楽しむだけ。 どんな運命が待っているか考えようともしない。 家族間のつながりも弱いらしく、他のゆっくりを心配するとかそういったそぶりもなかった。 野生育ちだけあって皮は丈夫なようだが、それだけだ。おおよそ最低品質のゆっくり。 こうしてこのゆっくりたちの運命は決まった。 彼らが一斉に動く。 飛び跳ねていたゆっくりたちは再び捕まえられ、かごの中に詰めなおされる。 また悪口が飛んでくるが、蝉の鳴き声程度にしか青年たちは感じていない。 そして作業が始まった。 手に持ったゆっくりに対して、男たちが小刀を当てる。 ゆっくりたちもおびえ、ゆっくりやめてね、などと命乞いの言葉を投げかけるが、やはり反応はない。 よし、と彼らは軽く気合を入れると、ジャガイモ剥きの要領でゆっくりたちの頭髪を剃っていく。 皮には傷をつけないよう、慎重かつ素早く行う。一匹剃り終われば、次のゆっくりをつかみ出す。 髪を剃られているゆっくりたちの悲鳴は一際大きくなるが、それは人間には無視され、 かごの中のゆっくりたちをさらに怯えさせるだけで終わる。 30分も経たずに、ゆっくりたちは全て頭髪を失い、ただの人面饅頭と成り果てる。 床に整然と並べられたそれらはいよいよもって不気味だ。 逃げ出さないような処置がなされているわけではないが、 ショックが大きいらしくどれも白目を剥いた放心状態。そんなことはおきないだろう。 ここからが難しい局面となる。 青年たちはまず手のひらサイズのゆっくりから取り掛かることにした。 ゆっくりを床に押し当て、静かに転がす。 その場で何度も回しているうちに、人面饅頭の形状が真球に近くなっていく。 何度も顔面を床へ押し付けられ、ゆっくりたちはまたくぐもった悲鳴をあげる。 彼らはお互いに手元のゆっくりの形状を確認しあい、できるだけ真球の精度を高めていった。 だいたい満足のいく程度に形状が整ったところで、催眠ガスを人面ボールに吹きつけ、仮死状態にする。 そうしてゆっくりたちはまた別の木箱に詰めなおされていく。 こうして一定の処理をなされたゆっくりたちとは別に、建物の一角ではもう一つ、別の工程が進んでいた。 こちらもゆっくりたちを用いることには変わらないが、扱いがだいぶ手荒い。 ゆっくりの中身である餡子を手で取り除き、集めているのだ。 餡子を全て失えばゆっくりたちは絶命する。やめてえ、などと悲鳴が常に絶えない。 からっぽの皮は、床へ無造作に捨てられ、頃合を見計らってゴミとして片付けられる。 まさにゆっくりたちの処刑場だ。 集められた餡子は黒色火薬などの様々な薬品と配合される。 混合された餡子は一般に和剤と呼ばれ、この作業場で製造されている製品、花火玉の部材となるのだ。 さらに混合餡子、和剤は花火玉の炸裂に用いる割薬用と爆発炎の色合いを調節する「星」用へ分けられ、 それぞれ水や糊とさらに混ぜ合わせた上で、鉄釜の中に用意されたモミ殻や砂粒へまぶされていく。 それらは少しずつまとまった形となっていき、次第に丸みを帯びる。 最終的には、火薬でできた親指サイズの玉がいくつも釜の中に鎮座することになった。 花火の核となる「星」だ。これが爆発することで夜空に花が咲く。 野生のゆっくりの多くは食べられなくはないが、無機物さえ食べる雑食のため、不純物が餡子に多く含まれており、あまり美味しくない。 一部の豊かな餌場を持つゆっくりや養殖されているものだけが食用になっている。 しかし、食用以外の用途においても、ゆっくりたちの餡子は大変便利な性質を持つ。 野生で暮らすうちにゆっくりの体内へ蓄積される様々な不純物は、集めれば化学薬品として使える濃度にまで達しているのだ。 餡子そのものも変質しているらしく、それらの薬品を安定させる基材として働いている。 幻想郷で火薬の原材料というと、厠で得られる焔硝くらいしかまとまった量が取れなかったものだが、 野生のゆっくりの餡子に含まれる薬品を使って「星」を作れば、バリエーションに富む爆発炎を持つ花火が作れるのだ。 薬品以外の不純物も、爆発炎の色に個性を与えてくれる。 そのため、安全に作業を行うという意味でも、基材である餡子ごと配合してしまうのが今の主流だ。 基材を何重にも用いて安定させているとはいえ火薬。 慎重に箱へ詰められ、作業場の庭で天日干しされる。 前述の、真球状に整えられた仮死状態のゆっくりたちも白目を剥いたまま並べられている。 正直、かなり不気味だ。 「星」は一度乾燥させれば完成というわけではない。 予定される爆発炎の大きさに合わせ、何度も和剤を塗りつけて大きさを増す必要がある。 塗りつける度に乾燥させる必要が有り、とても手間がかかるが、この手間を惜しめばあのきれいな花火は見られないのだ。 今回はあらかじめ作っておいた「星」で花火玉の製作を行うので、 真球状のゆっくりたちの乾燥を待てばいい。 このゆっくりたちは「星」を包み込む玉皮として集められたのだ。 野生のゆっくりの中でも、そこそこの強度の皮を持つ種類がこの工程に回される。 少し手を加えただけで理想的な玉皮として働いてくれるあたり、無駄が少ない物体だ。 乾燥し、皮がだいたい固まったゆっくりたちは、作業場の中へ再び戻される。 まな板の上へ無造作にあけられると、仮死状態だったゆっくりたちが意識を取り戻す。 意識を取り戻さないほうが幸せなのだが。 皮が固まっているため、ゆっくりたちはあまり口を動かせず、 それらの出す声はくぐもっていてよく理解できない。文句でも言っているのか。 青年たちが包丁を取り出すと、ゆっくりたちの玉が微動する。逃げようとしているのだろう。 だが皮が固まり動けない今、そんなことは出来るわけもない。 そして人間で言う耳のラインで、ゆっくりたちは縦へ一気に両断される。 ゆ゛ぎっ゛などと小さく悲鳴があがり、ゆっくりたちの一部はここで絶命してしまう。 野生のゆっくりは生命力が強く、餡子が完全に失われない限り、落命することはあまりないと一般に言われるが、 短時間で大量の餡子を失えばやはり死ぬ確率は高い。 仮死状態から覚めたばかりで、皮も固まり感覚が鈍っていても、この激痛は堪える。 残りの多くも口から軽く泡を吹いてだいたい気絶した。 半分に割られたゆっくりたちは、中の餡子を掻き出されていく。 そうするとゆっくりは意識を取り戻し、ゆ゛っゆ゛っと不安定な声が漏れる。 「星」が中に詰められる程度まで餡子を減らしても、大半のゆっくりたちは息があるようだ。 そして後頭部の方には、花火玉の起爆において、導火線の役割を果たす「親導」という棒が差し込まれる。 これが発射の際に外皮から引火し、中心部まで到達すれば爆発するのだ。 餡子を接着剤代わりにして、ゆっくりの中に「星」が隙間なく埋められていく。 中心部にはさらに割薬が詰め込まれる。これを和紙で固定すれば中身は大体完成だ。 こうして、二つに割られたゆっくりは再び貼り合わされ、外からも和紙が丁寧に貼られる。 顔の部分だけは和紙を貼らずに露出させたままにしておく。 生首のミイラのような物体が、無数に作成され、ゆっくり花火玉の製作はこれで一段落。 あとは出荷を待つのみだ。息のあるゆっくりたちは泣き言らしき声を延々と垂れ流している。 餡子が残ってさえいれば、何も食べなくてもゆっくりはしばらく生きていられるのだ。 今回製作された分は再び仮死状態にされ、翌週には納入されていった。 花火大会の夜。 人里の傍らを流れる大きな川の中州に、打ち上げ用の大筒がいくつも立てられていた。 周囲には打ち上げの職人達が大勢で待機し、世間話に花が咲く。 やがて箱詰めされた花火玉が到着すると、彼らは打ち上げ作業に取り掛かる。 箱の蓋を開けると、中にはゆっくり花火玉たちが、顔をこちらに向ける形で収まっていた。まだ生きている。 ゆっくりたちは仮死状態から覚め、こちらに気づくと、ゆっくりしていってね、と言葉を放つ。 今日の花火玉は元気がいいな、と打ち上げ職人達も感心した様子だ。 「今年のゆっくり花火玉はイキがいいやつばかりですからね。皆さんにはとびきりの悲鳴を聞かせられそうですよ」 花火職人である青年たちは、自信ありげに答えた。 花火玉のうちの一つを慎重に掴む。 自由にしてもらえると思ったのか、掴まれたゆっくりの顔の表情が明るいものになる。 だがそんなゆっくりを無視して彼らは大筒の中にそれを装填した。 大筒の奥からゆっくりの不思議がるような声が聞こえる。 職人達はきちんと玉が収まっているか確認し、さて、とつぶやいた後、大声を出した。 「発射いくぞーーーー!」 点火。 「ゆゆ!?」 ゆっくりたちも異変に気づく。 炒られた豆が弾けるような音が大筒の引火した導火線から聞こえてくる。 ゆっくり出してね!とゆっくりも逃げ出そうとするが、どうにもならない。 射出。 「ゆぴゅっ!?……あじゅいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……」 高速で打ち出されたゆっくり花火玉は、太い白色の尾を引いて上昇。一般に昇銀竜と呼ばれる花火玉だ。 「ゆっ!?すごい!おそらがちかいよ!」 打ち出されたゆっくりは、数瞬後の自分の運命も知らず、のんきに最後の思考を行う。 発射された際に親導へ引火した火が、ゆっくり花火玉の中心部に到達した。 ゆっくりの目や口を押しのけて爆圧が開放される。 「っぶぇ!」 炸裂。 ゆっくりは爆炎の中に消えた。 夜空に一輪の花が咲く。 無数の金の火塵が尾を引いて散華し、その過程で様々に変色していった。 菊先と言われる、定番の花火だ。 おお、と川岸の観客たちから歓声があがる。その中には花火玉の製作を行った青年達もいた。 花火の出来に満足げだ。 だがゆっくりたちはそれどころではない。 仲間が打ち上げられ爆発するところを間近で見て、恐慌状態に陥っている。 発射場の周辺に漂う、爆発煙の匂いもそれを煽った。 ゆっくり花火玉の入った箱が軽く振動しはじめる。 ゆっくりたちが泣き喚いたり、逃げ出そうと体をよじっているからだ。 さすがにこれは危ないので、耐火服を着込んだ者が箱を押さえつける。 箱の中のゆっくりたちは一様に絶望の表情で染まり、悲鳴を上げ続けた。 だが、これこそ花火師たちの狙いだ。 次の花火の発射準備が進む。 いやだあ、などと掴み上げられたゆっくりたちが叫ぶが、誰も相手にしない。 そうして、次の花火が淡々と打ち上げられる。 「…………ひぎゃぁぁぁぁぁぁあああああああああ!?!」「っぷゅ!」 空にゆっくり花火玉たちの悲鳴が響き渡る。直後、爆炎が空に花開く。 夏の夜においては、これも風流の一つだ。 通常の花火玉でも、打ち上げられると独特の風切り音が聞こえるが、 ゆっくりの悲鳴はその何倍も大きい。発射場からだいぶ離れた博麗神社でも聞こえるくらいだ。 恐怖の悲鳴と、華麗な爆炎の併せ技。耳と目で楽しむ、これがゆっくり花火玉の醍醐味だ。 「おがぁざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああん!」「あがっ!」 「もういやだぁああ!……ぱびゃぁぁぁぁぁぁああああああっ!」「ぱじゅっ!」 「……わきゃらなぃょぉぉぉぉぉぉおおお?!」「わぎゅっ!?」 「……ちぃんぽぽぽぽっぽぽぽほっ!」「ぽりゅっぷ!」 ゆっくりたちの悲鳴が爆炎に消えるたび、たまや、かぎやなどと明るい歓声が立ち上がる。 花火大会は滞りなく進み、ゆっくり花火玉の残りもほとんどなくなった。 そこへ、大会主催者、と書かれた札を胸につけた人物が現れる。 「あ!これはこれは 鬼意山ではないですか」 鬼意山、と呼ばれた彼は、打ち上げ職人達にに軽く会釈すると、 そろそろ時間なのでラストにふさわしいやつお願いしますよ、と不敵に笑う。 「ゆぶぶ……」 鬼意山のリクエストを受け、打ち上げ職人達がリヤカーに乗せて持ち出したのは、 ドスゆっくりを原材料にした、特大の花火玉だ。 現代日本の花火玉の規格で言うと、30号の花火玉のさらに数倍はある。 当のドスゆっくりは子供のゆっくりたちが目の前で次々と星になったため、すっかり生気を失っていた。 巨大なドスゆっくり花火玉を打ち上げるには、 それに用いる筒も巨大なものとなる。もはや戦争で使われる大砲にしか見えない。 ドスゆっくりは十数人がかりで荷揚げされ、縄や台車を使われて筒のの中に収まる。 ゆっくりしね、と周囲の人間に当り散らすが、返事は一切返ってこない。 もう彼らにとっては、ゆっくりの言うことは動物の鳴き声程度にしか思えないのだ。 カエルや蝉の鳴き声に耳をすますことはあっても、返事をすることなどない。 悲鳴などあげてやるものか。それがドスゆっくりの最後の意地だった。 だが、筒に収まると同時に、大筒の周囲から職人達が退避していく。 そして、数字を数える大声が響き始める。 今までの発射過程とは違う様子に、ドス花火玉も戸惑う。 やがて、大声が0を告げると、筒の下から爆炎と轟音が飛び出す。 「ゆがぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!?!!!!?」 他の花火玉とは比較にならない高速度で、大筒ごとドスゆっくりは飛翔。 決してあげるものかと誓った悲鳴も夜空にあっさり響き渡る。 爆発の恐怖と、ゆっくりの許容限度を超えた超高速に、ドスゆっくりの精神は崩壊寸前だ。 発射煙を引きながら上昇する大筒。 やがて、大筒に封入された燃料が尽き、夜空の頂点に届いたところで、 ドスゆっくりの中心部の爆薬に火が達した。 一秒を百分割しても足りない刹那の中で、 内部からの膨大な爆圧に、ドスゆっくりの真球状の体は醜く歪み、膨張する。 その両目や歯、舌がまず吹き飛び、ほぼ同時に餡子が玉皮を突き破り飛び出す。 「げぶっ!」 その醜く歪んだ姿も、一瞬でまばゆい光の中に消えた。 花火大会最後の大花火は、昼と見まごう程の輝きと轟音を放ち、消えていく。 あまりの大音響に、窓硝子にヒビが入る家屋も出た。 だがそのことに不満を持つ者はいない。 これが今の幻想郷で生きる普通の人間達にできる、最大最強の芸術作品なのだ。 花火大会が終わり、帰路に着く人々の顔は一様に明るい表情。 その様子を眺める鬼意山と職人達も実に満足そうだ。 ゆっくりたちの破片が散らばる発射場で、 次はもっと残虐にやりたいですね!と、彼らは早くも次回大会に意欲を見せていた。 超重量の物体を打ち上げるには、通常の爆薬では無理! そう考えた職人達は、妖怪たちと協力して新しい打ち上げ方法と専用爆薬を開発した。 これは現代世界の歴史においても、ロケット打ち上げ用に使われたことがあるものだ。 そして打ち上げの必要量を用意するのに、数千、数万のゆっくりが潰されたという。 これだけの手間暇をかけてこそ、花火というものは人の心を打つひとときを提供してくれる。 クソの役にも立たないゆっくりたちであっても、このように工業製品の原材料として活躍してくれるのだ。 人間がゆっくりを真の意味で使いこなすのも、そう遠くは無いだろう。 ゆっくり花火 おしまい あとがき ここまで読んでくれた方ありがとうございます。 物語風の文章を書くのは小学生以来なので、 「へー、俺こんな文章書くんだ……」と妙に客観的な視点からの作業になりました。 もっとゆっくりをじっくり痛めつけたかったのですが、 花火が一瞬で散るものである上、花火玉の製作過程へゆっくりをどうやって組み込むかに夢中で、 そこまでなかなか気が回らないという結果に。 もっとゆっくり同士のやりとりがあったほうが、虐待にも熱が入って印象的なものになるので、 もし次があればそこを重視した話を作ってみたいです。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/284.html
「ユックリシテイッテネ!!!」 夕飯の買い物から途中、そんな声を上げる物体を見かけた。 普通のゆっくりによく似ているが、体が赤くて通常のゆっくりと比べると随分早口で甲高い声だ。 「ユックリシテイッテネユックリシテイッテネ!!!」 またとんでもない早口で喋ると、こちらに向かって飛んできた。ギリギリで避けられたが、物凄い速さだ。 「な、何だお前?く、食い物が欲しいのか?」 「ユックリチョウダイ!!!ユックリタベサセテネ!!!」 何だか気味が悪いので大根の葉を少しちぎって投げてみる。 普通のゆっくりなら地面に落ちた後で「食べていいの!?」などと喚きながら食べるだろう。 だが、こいつは地面に落ちるどころか手を離すとほぼ同時に飛び上がって食いついてきた。 何て意地汚い奴だ。目にも留まらぬとはこの事か。 何だかちょっと面白くなってきたので試しにキャベツを一枚剥がして投げてみる。 また飛び上がって食いつく。今度は流石に一口では食いきれないようだが、これまた尋常じゃない速さで食い尽くす。 「何なんだぁお前は?随分ゆっくりしてないゆっくりだが」 「レイムハレイムダヨ!!ツウジョウノサンバイユックリシテルサンバイレイムダヨ!!」 「早口で喋るのはやめてくれ聞き取りづらい。そうか三倍れいむか……そんなのもいるんだな」 「オジサンユックリデキルヒトダネ!!オウチニツレテイッテヨ!!」 「あ?やだよ。お前大食いっぽいんだもん」 「ダイジョウブダヨ!!レイムジブンデゴハントッテコレルヨ!!ツレテイッテヨ!!!」 「…ならいいが。言っておくが家の中を少しでも荒らしたりしたら潰して食うからな」 「ワカッタヨ!!ユックリシテイクヨ!!ユックリツレテイッテネ!!!」 「お前に言われると物凄く説得力が無いんだけどな。まあいいや付いて来い」 「ユックリー!ユックリシテイッテネー!!」 上機嫌そうに付いてくる三倍れいむ。自分でエサを取るなんて、珍しい事を言うゆっくりだな。 それに赤いし、早口だし、全然ゆっくりしてないし。時々普通に歩いてる俺を追い越して待ってる事まである。 「ハヤクハヤク!!ユックリカケアシシテネ!!!」 「無茶言うな。何だってお前はそんなにすばしっこいんだ」 とにかく変わったゆっくりだ。こいつを増やせば高く売れるかもしれんな…… そんな思惑と共に帰宅。 「そら着いた。ここが俺の家だ。言っておくが、お前の家じゃないぞ」 「ワカッテルヨ!!オジサンノオウチダヨ!!セマクテウスギタナクテクサイケドイイトコロダネ!!ユックリシテイクヨ!!!」 「死にたいか?」 「ゴベンダザイ!ヒログデギレエデイイニオイガジマズゥ!!ユッグリザゼデグダサイ!!」 まだ何もしてないのに泣き叫ぶ三倍。変わった奴だな本当に。 「まあいいがな。しかしお前なんだって俺の家に来たがったんだ?エサは自分で取るとか言うし、メリット無いだろ」 「サビシイノハイヤナンダヨ!!ダレカトユックリシタインダヨ!!!ユックリサセテネ!!!」 「寂しいってお前、友達とか居ないのか?」 「レイムトモダチイナイノ!!ミンナレイムノコトイヤガルノ!!オジサンモレイムキライナノ!!?」 「いや別に。まだ何もしてないからなお前は。……ふうん。お前変な奴だからなぁ。それで嫌われてんのか」 狼等の動物も怪我や病気等で他とは違うような奴は爪弾きにされるという。ゆっくりもそうだったのか。 「ま、どうでもいいや。さっきも言ったが、自分でエサを取って、家の中を荒らしたりしないなら家に置いてやる」 「ヤクソクスルヨ!!ゴハンハジブンデトッテコレルヨ!!オウチノナカモコワシタリシナイヨ!!オジサンアリガトウ!!ユックリシテイッテネ!!」 凄く嬉しそうにその場で跳ねまくる。あまりに素早いので表情がよく見えない。声もステレオで面白い。 さて、そうして三倍ゆっくりれいむとの奇妙な同居生活が始まった訳だが。 確かにエサは自分で取ってくるし、家の中でもなるべく大人しくしようとしている。 一ヶ月経ってもその様子に変化は無く、ゆっくりの割に約束事を守れる非常に珍しいゆっくりだ。 あまりに早口なので集中しないと言葉を聞き取れないのが難点だが、それは何度言っても直らなかった。 まあ、それが原因で他のゆっくりから迫害されたのだからもう矯正は無理なんだろうな。 下手に弄って普通のゆっくりと同じになられてもそれはそれで困るし。実害が出てしまう。 そういえば、試しに眠っている隙にこっそり千切って食ったら辛かった。味まで変わってるとは。 その後飛び起きて「ユックリアヤマッテネ!!ユックリアヤマッテネ!!」と泣き叫ぶ三倍を宥めるのに苦労した。 結局傷口を塞いで抱いて寝てやったらとても喜んでいた。普通のゆっくりと違って手間も少ないし、可愛いかもしれない。 そんなある日、そろそろ季節が変わろうかという頃。 普通のゆっくりれいむとゆっくりまりさのつがいが家の庭に這入り込んでいた。 「おじさんだあれ!?」 「ここはまりさたちがみつけたおうちだよ!!!ゆっくりでていって!!」 見つけたも何も、俺は始めから家の中に居たんだが。と、その声を聞きつけたのか三倍が猛スピードでやってきた。 「ユックリデテイッテネ!!!ココハレイムトオジサンノオウチダヨ!!!サキニミツケタノハオジサンダヨ!!」 「ゆっく!?へんなひとがいるよ!!」 「ぴょんぴょんはねてぜんぜんゆっくりできてない!!」 三倍を見てゲラゲラと笑い出した二匹。なるほどこんな感じで迫害されてたのか。 見れば三倍は跳ねるのをやめ、プルプルと震えている。物凄い勢いで。顔がブレて表情が見えん。 「ウルサイウルサイウルサイ!!!ユックリデテイッテネ!!ユックリデテイッテネ!!」 「うるさいうるさい、だってさ」 「おお、こわいこわい」 そう言って再びゲラゲラ笑い出すゆっくり二匹。うーむ。やっぱり普通のゆっくりの方が腹立つな。 三倍なら何を言ってるのかいまいち聞き取りづらいし、動きも異様に速いから逆に笑えるんだが。 「ゆっくりできないひとたちはれいむたちのおうちからでていってね!!!」 「ゆっくりでていってね!!ゆっくりしんでね!!!」 一通り笑ってから飛び掛ってくるノーマルゆっくり二匹。手で弾こうと思った瞬間、二匹とも凄い勢いで横に飛んでいった。 「オジサンニナニスルノ!!ユックリデテイッテネ!!」 どうやら三倍が突き飛ばしたらしい。三倍どころかこいつらの十倍以上の速度はあったと思う。 突き飛ばされた二匹は何が起こったのか分からないような顔をしていた。 「ユックリデテイッテネ!!ユックリデテイッテネ!!」 威嚇しつつ叫ぶ三倍を見て漸く自分達がこいつに突き飛ばされたのだと理解したのか、 顔を真っ赤にして焼いた餅の様に全身を膨らませて三倍に向かっていく。 だが、異常なまでのスピードで跳ね回る三倍には手も足も出ず、一方的に四方八方から突き飛ばされて転がるだけだった。 「ユックリシネ!ユックリシネ!!レイムヲユックリサセナイヒトハユックリシネ!!」 「や゛べでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 「どう゛じでゆ゛っぐり゛ざぜでぐれ゛な゛い゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 はいパターン入った。この台詞が出る頃には大抵戦意などどこかへ行ってしまっているのだ。 それでも攻撃の手を緩めない三倍。今日のように迫害された日々の記憶でも甦ったのだろうか。 「ユックリシネ!!ユックリシネ!!…ウメェ!!メガッサウメェ!!ハフハフ!!」 「ぎゅっ!!い゛だい゛!!や゛べで!れ゛い゛む゛をだべだい゛で!!」 「ま゛り゛ざはお゛い゛じぐだい゛よ゛!!れ゛い゛む゛だげだべでよ゛お゛お゛!!」 飛び跳ね、突き飛ばしながら少しずつ皮を食いちぎっていく三倍。見る見るうちに餡子が露出していく。 「びゅぐっ……ゆ゛っゆ゛っ……ゆ゛っぐ、り゛……じだい゛……」 「びくびくっ……ぼっど……ゆ゛っぐり゛……じだ……が……」 「ユックリウメェ!!タマンネェ!!ハム!ハフハフ、ハフ!!」 完全に二匹とも動かなくなった後もぐるぐる周囲を回って餡子を食い続ける三倍。結局十分程度で二匹とも食い尽くしてしまった。 「お前、同類でも構わないで食っちまうゆっくりなんだな」 「アンナノナカマジャナイヨ!!ユックリサセテクレナイモン!!」 「ふうん。じゃあお前一人ぼっちなんじゃないのか?」 「ヒトリジャナイヨ!!レイムハヒトリジャナイヨ!!オジサンガイテクレルモン!!ユックリデキテルヨ!!」 ゆっくりの割に殊勝な所もある三倍ゆっくり。あのスピードにこの性格。 ひょっとしたら加工場に持っていけば対ゆっくり用ゆっくりとして高く売れるかも知れない。 それにはまずこいつの数を増やさないとな。可愛いくて忠実なだけじゃ生き残れないんだぜ三倍。 翌日、早速三倍ゆっくりを連れて加工場へ向かう。幸いこいつは加工場がどういう所か知らないらしく、散歩だと言えば喜んで着いてきた。 受付で事情を話すと、奥の部屋へ連れて行かれた。手に持っている三倍がウズウズしているのが分かる。 「中に入ったら大人しくしていろ」という言いつけを守ってくれるのは正直ありがたい。普通のゆっくりは絶対に聞かないからな。 「お待たせいたしました。それが三倍ゆっくりですか?」 部屋で少しの間待つと、この工場の偉い人が来た。何でも繁殖・飼育全般の責任者兼副工場長なのだとか。 「ええそうです。普通のゆっくりと違って赤いでしょう?それに早口で、動きも素早いです」 「ふぅむ…ちょっと部屋の中を走らせてもらっていいですか?」 「はい。おい三倍。この部屋の中を一周だけ走ってみろ。絶対に物を壊したりするなよ」 「ワカッタヨオジサン!!ユックリハシルヨ!!」 ゆっくり、と言いつつその速度は全然ゆっくりしてない。 いつもの超スピードで部屋を一周すると、凄い勢いで膝の上に戻ってくる。タマちゃんが痛い。 「ど、どうですか。こんなに速く動くゆっくりなんて珍しいでしょう」 「そうですねえ。ゆっくりフランの飛行速度よりも随分と速いようです。 番ゆっくり、でしたか。貴方の言う事もよく聞いてるようだし、確かにいけるかも知れないですね」 「そうですか。それでは繁殖の件は……」 「試してみる価値はありそうですね。ただ、失敗すればこの子が死ぬかも知れないですが本当によろしいのですね?」 「ええ、構いません。どうせ拾い物ですし」 「そうですか。それでは早速用意しましょう。着いて来て下さい」 「ユックリデキル!?ユックリデキルヨネオジサン!!」 「ああゆっくりさせてやるよ。だから安心しろ」 不安がってこちらを見て震える三倍。だからブレて表情が見えないってば。怖がってるのは分かるけどさ。 案内された部屋には、数匹の発情したゆっくりれいむが居た。 「ゆっくりれいむは受けになる事が多いですから。では三倍も発情させましょう」 ゆっくり業師とかいう人に三倍を手渡す。業師は慣れた手つきで三倍の体を撫で回し、揺すった。 「ユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユックリシテイッテネェェ」 目がとろんとして動きが少しだけ緩慢になった三倍。ちゃんと表情を見れたのなんて久しぶりだ。 すかさず発情れいむが入っている檻に入れられる三倍。 自身と同じく発情した相手を見つけるやいなや猛スピードですり寄って行く。速すぎて気持ち悪い。 「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっくりいぃぃぃぃん!!」 「ユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユックリイッテネ!!ユックリイッテネ!!」 凄まじい勢いで発情れいむに擦り寄りまくる三倍。見る見るうちに発情れいむの息が荒くなっていく。 「ゆっく……ゆっくりいくよ!!ゆっくりいくよ!!ゆぅん……んほおおおおおおおおっ!!」 「ユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユユックリシテイッテネ!!!!!」 例の雄叫びを上げ、ぶるりと大きく震えて動きを止める二匹。しばらくすると三倍の方は元気良く動き回る。 「スッキリー!!」 一方ノーマルれいむの頭からは赤い蔓が伸びている。やがて蔓には三倍と同じ赤い実がいくつも実り、目を覚まして騒ぎ出した。 「ユックイチテイッテネ!!!」「ユックリオハヨウ!!!」「オジサンタチユックイデキユヒト!!?」 「どうやら上手くいったようですね。貴方も三倍も、本当にありがとうございます」 「いえいえ、私は何も。では私はこれで。三倍、帰るぞ」 「ユックリシテイクヨ!!!レイムハココデユックリスルヨ!!!」 「何言ってるんだ。お前の家は……」 「レイムノアカチャンガイルモン!!レイムガソダテルヨ!!オジサンダケカエッテネ!!!」 「…せっかくだからこいつも引き取ってもらえますか?」 「ええ、喜んで。では後でお礼をお渡ししますので先程の部屋でお待ち下さい」 その後、わざわざ工場長までやって来て、普通のゆっくりよりも随分沢山の代金を受け取った。 せっかくなので赤ん坊の三倍を売って貰えないだろうか、と尋ねると無料で一匹貰えた。 これから番ゆっくりが商品化すれば、売り上げ次第でまた配当がもらえるらしい。ラッキーだ。 今はすやすやと高速で寝息を立てているちび三倍を持って家に帰ると、そこには普通のゆっくりが我が物顔で居座っていた。 早速餌が手に入ってありがたい事だ。 大金を貰って機嫌のいい俺は大声で呼びかける。 「おおいゆっくり達。美味しいお菓子があるからおいで!!」 「ゆっ!おかし!!おかし!!おじさんはやくたべさせてね!!」 「さっさとちょうだいね!!くれないならかえってね!!」 上機嫌な俺にそんな口撃は通用しない。さらばゆっくり。 足元に群がってきたゆっくりを一匹残らず踏み潰す。 「ゆ゛びゅぷっ!!」「ぐぇあ」「びゅぷるぷっ!!」「ぱっびっぶっぺっぽおっ!」「い゛だい゛よ゛ぶっぷ!!」 悲鳴でちび三倍が目を覚ます。体は小さいがスピードは成体と変わらないようで、素早く地面に飛び降りて残骸を食い始める。 「ハァハァ、ウッメ!!オジサンオイシイヨコレ!!オジサンモタベレバイイヨ!!ユックリタベヨウネ!!ハム!ハフハフ、ハフ!!」 「俺はいらん。好きなだけ食べな」 こいつも普通のゆっくりとは性格が少し違うようだ。ちゃんと躾ければ番ゆっくりとして役に立つかもしれない。 YUKKURI THE RED COMET END 作:ミコスリ=ハン