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前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence― 一方その頃……、造船所の離れに備え付けられた赤レンガの空軍発令所にて、共の者を下がらせたクロムウェルはとある貴族と談笑をしていた。 発令所の一室から『レキシントン』号の雄大な姿を眺めながら、これからの計画について話し合っている。 「……と、いうわけだ、きみには期待をしているよ、艦隊司令長官」 「ハッ! お任せ下さい閣下! このジョンストン、閣下の理想のため、微力を尽くさせていただきます!」 トリステイン侵攻軍総司令官に任命されたばかりのサー・ジョンストンは感激した面持ちを浮かべた。 貴族議会議員でもある彼は、クロムウェルの信任厚い人物である。 クロムウェルはそんな彼を見つめ、にっこりとほほ笑むと、肩を叩き、窓の外の『レキシントン』号を指さした。 「見たまえ、最新鋭の大砲を積んだ最大最強のフネだ。それを筆頭としたハルケギニア最強の空軍艦隊を指揮するのだ、まったく、余から見てもうらやましいことだな」 「わ、我が身にあまる光栄でございます閣下」 クロムウェルは満足そうな笑みを浮かべ、大きく頷く。 「議員、明日は演習だ、きみにも『レキシントン』号に乗り込んでもらいたい、戦場の空気に慣れてもらうためにもな」 「心得ております、いやはや、私ごときがあのような立派なフネに乗りこめるなど……光栄の極みですな」 「そう思ってしまうのも無理はない、実を言うと余もあのフネには圧倒されっぱなしなのだ」 クロムウェルとジョンストンは『レキシントン』号を眺めながら、満面の笑みを浮かべた。 その時だった。 整備を終え、造船所に停泊している『レキシントン』号の舷門の一つが突如として光を放った。 瞬間、ロサイス全体を揺るがす轟音と共に、耳をつんざくような爆発音が発令所全体に響き渡った。 「な! な! な! なぁ!?」 「な、何が起こった?! なにが!」 もはや発令所は大混乱である。 クロムウェルとジョンストン議員は天地がひっくり返ったかの如くパニックに陥り、何が何だか分からないと言った様子で窓の外を見つめる。 そうこうしているうちに、『レキシントン』号の舷門が轟音と共に次々火を噴いていった。 「なるほど、流石は新兵器、大した威力だな」 『レキシントン』号の砲列甲板、一枚の羊皮紙を広げながら、エツィオは呟いた。 足元には警備の為に艦内を警邏していた衛兵達が、皆一様に鋭利な刃物で首を切り裂かれ、或いは急所を貫かれた無残な死体となって転がっている。 ボーウッドを解放した後、まんまと『レキシントン』号の内部に潜入したエツィオは、警備の衛兵を皆殺しにした後、 新兵器の大砲の設計図を奪取し、全ての砲門に大砲を装填し、最初の一発をぶっ放したのであった。 そんなエツィオに腰に差したデルフリンガーがカチカチと音を立てて尋ねる。 「で、今のはどこ狙ったんだ?」 「製鉄所だ、さて次は……」 エツィオはいたずらを仕掛ける子供の様な笑みを浮かべると、あらかじめ狙いをつけていた次の大砲に火を入れる。 ぼこんっ! と船内に轟音が響く、同時に造船所をぐるりと囲んでいた立派な赤レンガの壁が豪快に吹き飛び、一瞬でがれきの山と化す。 最新鋭の大砲から発射された砲弾は、赤レンガの壁をぶち抜くだけにとどまらず、とある建物に突き刺さった。 同じく赤レンガでできたその建物は、豪快に消し飛び、中にいたであろう人間の怒号と悲鳴がきこえてきた。 「今のは?」 「衛兵駐屯地」 エツィオは淡々と答えながら次の大砲に火を入れる。すると今度は、隣の港に停泊する一隻の軍艦に突き刺さった。 どうやら火薬庫に着弾したのだろう、『レキシントン』には遠く及ばないが、それでも立派な造りの軍艦は盛大な炎を吹き上げると爆沈していった。 それをみたエツィオは、しめたとばかりに軍港方面に面した大砲に次々火を入れてゆく。 ぼこんっ! ぼこんっ! ぼこんっ! と腹の底に響くような大砲の炸裂音が連続で鳴り響く。 『レキシントン』号から放たれた砲弾は空中で散弾となり、雨あられと化しロサイスの軍港に降り注ぐ。 多くの戦列艦が停泊していた軍港は一瞬で炎上し、まさに地獄絵図と言っても過言ではない様相を呈していた。 「……すごい威力と射程だ……既存の大砲とは比べ物にならないな……」 あらかた大砲を打ち尽くしたエツィオは、そのあまりの威力に苦い表情で呟くと、手にした羊皮紙を見る。 どうかこれ一枚であってほしい……、エツィオはそう祈りながら、照明用の松明に羊皮紙を投げつける。 「すまないな、ミス・シェフィールド」 口元に皮肉な笑みを浮かべながら、エツィオが呟く。 炎はあっという間に燃え上がり、アルビオンが誇る最新兵器の設計図を灰へと変えた。 「おい! 貴様! そこでなにを――がっ……!」 「あ、お、おま――かっ……」 『レキシントン』号の異常に、おっとり刀で駆け付けた衛兵達が、エツィオのいる砲列甲板へと踏み込む。 その瞬間、二人の首に、深々と投げナイフが突き刺さる。 どさり、と二人の衛兵はまるで糸の切れた操り人形のように、甲板に横たわる死体の仲間入りを果たす。 「そろそろ頃合いだな」 エツィオは、衛兵達が集まりつつあることを悟ると、 階段を下り、『レキシントン』号の心臓部……、風石が満載された機関部へと降りて行った。 一方その頃、『レキシントン』号の甲板では、砲撃を免れ、なんとか生き残った衛兵達が、船内に突入すべく集ってきていた。 「生き残りはこれだけか?」 「はっ、現在戦闘可能な人員はこれだけであります、他は負傷者の搬送や消火作業で手がふさがっている状況です」 「くっ……なんということだ……、中で何が起こっている……!」 衛兵隊長が、甲板に集った衛兵達を見つめて、苦い顔で呟いた。その数は僅かに十数名。 駐屯地や詰所、それらを砲撃され、ロサイスに駐屯していた兵は、まさに全滅と言ってもよい程の被害をこうむっていた。 「くそっ! 総員突入準備! 侵入者を生かして帰すな!」 衛兵隊長が命令を告げた、その時だった。 甲板と船内を繋ぐ、唯一の入口である両開きの扉が、ぎぃっ……と、軋むような音を立てて開いた。 そこから現われた人物をみて、衛兵達は一瞬、言葉を失った。 開かれた扉から現われたのは、白のローブに身を包んだ、フードを目深に被った若い男だった。 左肩には、もとは鮮やかな紫色だったのだろう、血で赤黒く変色したアルビオン王家のマントを纏っている。 その男は、甲板に集まった衛兵たちなど、最初から眼中にないとばかりにゆっくりと歩を進めてゆく。 左右に分かれた衛兵達の間を悠然と歩いてゆくその姿は、まるでモーゼが別った紅海を進んでゆくようだ。 しばし呆然とその男を見つめていた衛兵達であったが、やがて我に返った一人の衛兵が叫んだ。 「アサシンだ!」 その言葉に他の者達もようやく我を取り戻したのであろう。 メイジであるものは杖を引き抜き、そうでないものは、槍や剣を構え、アサシンを取り囲んだ。 円を描くよう周囲を取り囲まれたアサシンは、やがてゆっくりと足をとめた。 「この騒ぎの首謀者は貴様か! アサシン! ただで済むと思うな!」 衛兵隊長が杖を突きつけながら、アサシンを睨みつける。 目深に被ったフードから覗くアサシンの口元に、僅かに笑みが浮かぶ、その時だった。 アサシンの右手が、すっと差し出される、そしてその手に持っているものをみて、衛兵達は目を丸くした。 手にすっぽりと収まる大きさの球体。 「ば、爆弾だ!」 衛兵のうちの誰かが叫んだ、衛兵隊達がひるみ上がる、その瞬間、アサシンがその球体を力いっぱい地面に叩きつけた。 「――ッ!? なっ!」 ボンッ! という破裂音と共に球体から勢いよく煙が立ち昇る。 アサシンがもっていた物は、爆弾ではなく煙幕弾であった。辺り一面が真っ白な煙が包み込む。 それを吸い込んだ衛兵達は思わず咳き込んでしまう。 一人の『風』のメイジが、なんとか呪文を唱え、風を巻き起こす。煙が吹き飛ばされ、辺りを包んでいた煙が晴れた。 ようやく視界が確保された衛兵達はアサシンがいた場所を睨みつける。 しかし、そこに立っていたアサシンは、やはりというべきか忽然と姿を消していた。 「いない! ど、どこに!」 「ぐっ……や、奴はどこだ!」 「くそっ! どこに消えた!」 「まだ遠くに入っていない筈だ!探し出せ!」 まるで小馬鹿にするようなアサシンの手口に、衛兵達は怒りに顔を真っ赤に紅潮させながら周囲を見渡す。 そして一人の衛兵が、『レキシントン』号の船首に立つアサシンを見つけた。 「いたぞ! 船首だ!」 船首の先端に立ち、こちらを見下ろすアサシンを再び取り囲む。 アサシンの背後は地面が待ち受けている、『レキシントン』級の大きさともなると、その高さは優に数十メイルにも及ぶ。 メイジでもない限り、落ちたらまず命はないだろう。 「残念だったな、逆にお前は袋のネズミになったわけだ」 下を覗き込んでいるアサシンに、油断なく杖を突きつけながら衛兵隊長は言った。 「さてアサシン、お前が選ぶべき道は三つだ、ここで我々の魔法の矢に貫かれるか、吊るし首になるか……」 隊長がそう言った時だった、アサシンはぷいと顔をそむけ、遥か遠くの空軍発令所を見つめた。 それから何か小さく呟いたと思うと、今度はくるりとこちらを向いた。 「ここから飛び降りるか……か?」 するとアサシンは、にやっと笑うと聖人のように両手を大きく広げた。 「ま、待て! 何をする気だ!」 「何を? 決まっている、飛び降りるのさ」 嫌な予感がした隊長は、すぐさま呪文を放とうとアサシンに向け振おうとする。 だが、それよりも早くアサシンは一歩後ろへ足を踏み出した。 「Adieu!」 耳慣れぬ異国の言葉と共に、アサシンの姿が眼前から消えた、その時だった。 『レキシントン』号に凄まじい激震が轟音と共に襲いかかった。 瞬間、内部で巻きあがった巨大な爆風が甲板を突き破り、衛兵達を吹き飛ばした。 その爆発を皮きりに『レキシントン』号の内部から次々と同じような爆発が巻き起こる。 機関部に仕掛けられた大量の爆薬に火が付き、一際巨大な爆発がフネ全体を嘗めてゆく。 巨大なマストは根元からへし折れ、甲板や舷側には大きな穴が開いた。 一瞬でロサイスの軍港を地獄に塗り替えた『レキシントン』号が、自ら吐きだした炎に焼かれてゆく。 明日の演習に備え、船倉で待機していた竜達が、為すすべもなく爆発に巻き込まれ、或いは崩れ落ちる瓦礫に押しつぶされ死んでゆく。 やがて一際大きな爆発が巻き起こる、瞬間、最後の断末魔を上げるように『レキシントン』号は、船体の真ん中から真っ二つにへし折れ……。 造船所に炎をまき散らしながら、轟沈していった。 「安らかに眠れ、『王権(ロイヤル・ソヴリン)』……生まれてきた地獄に帰るがいい」 『レキシントン』号と共に爆発、炎上する造船所を背に、アサシン……エツィオが弔う様に呟いた。 「あ……あ……へぁ……」 気の抜けた声でぺたりと空軍発令所の床にへたりこんだのは神聖アルビオン帝国初代皇帝、クロムウェルその人であった。 からん、と乾いた音を立てながら、手にしていた遠眼鏡が床を転がってゆく。 目の前で爆発炎上する『レキシントン』号を目の当たりにしたせいもある、 だが、最も彼の心胆を寒からしめたものは、その轟沈する直前『レキシントン』号の船首に立っていた白衣の『アサシン』であった。 あのアサシンは、飛び降りる直前、確かにこちらを向いた、そして奴の口は、こう動いていた。 ――『次は、お前だ』 クロムウェルは、自分の身体が震えていることに気がついた。 それは恐怖から来る震えであることにすぐに気がついた。 ワルド子爵のみならず、政府高官たちを次々闇に葬っている謎のアサシンが、遂に自分を捉えたのだ。 間違いない、奴は自分の命を狙っている。ようやくその実感がわいた途端、恐怖で歯の根が合わなくなった、ガチガチと歯が音を立てる。 「ひ、ひぁああっ!」 情けない悲鳴を上げながら、たまらず机の下にもぐりこみ、頭を抱える。 ガタガタガタとクロムウェルは恐怖に打ち震えた。そこにいるのは、虚無の担い手でも、ましてや神聖アルビオン共和国初代皇帝でもない……。 ただの、無力な男の姿であった。 翌日……。 ロサイスが壊滅的被害を被ったとの報せを受け、貴族議会の緊急招集が、深夜にも関わらず唯一無事だった施設、空軍発令所にて行われていた。 本来はロンディニウムのホワイトホールで行われるものであるが、クロムウェルが指令室にこもり一歩も外に出ようとしない有様であったため、 仕方なくここ、空軍発令所で行われていたのであった。 無論、議員達には、ロサイスにはまだアサシンが潜んでいる可能性があり、皇帝の御身第一という説明がなされていた。 発令所の指令室では、ホワイトホールの椅子に比べると遥かに座り心地の悪い木の椅子に腰かけ、 これまた使い古された長方形の木のテーブルを囲みながら、神聖アルビオン共和国の閣僚や将軍達が激論を戦わせていた。 本来戦時中に用いる指令室であるためか、灯りは必要最低限のものしかなく、テーブルの上の燭台だけが、辺りを僅かに照らしていた。 「……以上が、ロサイスの被害状況です」 「ふ、ふざけるな! 警備は一体何をしていたのだ!」 報告を聞いた年若い将軍は、力強くテーブルを叩いた。 ロサイスの被害は甚大だった、旗艦『レキシントン』号を筆頭に空軍の一艦隊を丸ごと叩きつぶされた揚句、衛兵駐屯地、果ては製鉄所まで、 あのアサシンはありとあらゆる軍の主要施設を完膚なきまでに破壊して行ったのだ。 「何故捕らえられない! たった一人だぞ! たった一人のアサシンによって、なぜ我らがこうまで混乱せねばならないのだ!」 「全てはあのアサシンの仕業だ! 奴のお陰で我が軍は大損害だ! 『レキシントン』号だけでも、搭載されていた新兵器に、貴重な竜が三十騎! 駐屯していた兵達は一網打尽にされ、街は瓦礫の山! もはや損害は計りしれん!」 「それだけではない、見ろ! 我らの中にも犠牲者が出ているのだぞ! ワルド子爵を始め、もう三人も我ら貴族議会の同志が奴の手にかかってしまった!」 議員がテーブルを見渡す、最初に議会を開催した時には十五人程人数がいたはずだが……、その人数は彼の言うとおり十二人に数を減らしていた。 一人の肥えた将軍が、怯えるような声で呟いた。 「奴は本当に人か? 兵たちの間にも不安が広がっている、中には奴は『死神』だと噂をする者も……。 不遜にも始祖の末裔たる王家を滅ぼした我々に対し、お怒りになった神が遣わした死の天使だと……」 「なんだと! そんな筈があるものか! 閣下こそが始祖に使わされし『虚無』の担い手であることを忘れたか!」 興奮と怒りに目を血走らせた年若い将軍がどん! と再び力強くテーブルを叩いて立ち上がり、肥えた将軍を非難する。 「あくまで兵達の噂を言ったまでだ! 私の発言ではない!」 「そしてそれを鵜呑みにしているというのか? 冗談ではないぞ! 始祖の加護は我らにある!」 年若い将軍は、熱っぽい目で上座に座るクロムウェルを見た。 クロムウェルは内心恐怖に震えながらも、精いっぱいの威厳を保つために、必死で笑顔を作った。 「……だがそれでも、奴の為に受けた損害は計り知れぬ、奴を止めようとしたが、既に多くの命が失われてしまった……。 一個小隊がたった一人に全滅させられるなど、誰が信じる! 我等『レコン・キスタ』の旗はもはや、あのアサシンにとっては狩るべき獲物の目印でしかないのだぞ!」 「なんとしても奴を止めなければ……このままでは軍団の再編もままなりませぬ」 「ではどうする? 一人の敵に軍勢でも派遣するかね?」 「ぐっ……!?」 「じょ、冗談ではないぞ! たった一人のアサシンを倒すために軍団が動かせるか! それに、奴の居場所も、行動も、素性も! どこに属しているのかすらもわからん! しかもこれからトリステインに攻め込もうとしているというのだぞ!」 「トリステインへの侵攻はどうなる! 予定では一ヶ月後だが、軍団の再編は間にあうのか? 期を逃したら厄介なことになるぞ!」 「資金も人手も足りません! 艦隊の再編が急務かと、資金はどうなっているのですか?」 「我々に融資をしていた銀行家の内何人かは、先日奴に消されたよ……、お陰で、他の銀行家連中は奴を恐れ、我々に融資の打ち切りを申し出てきおった! 税を引き上げようにも、これ以上国民の反感を買うわけにはいかん! どうやってこの損害の穴埋めを行おうというのだ!」 「再編を行ったとしてだ、現存の艦隊だけで、トリステインを制圧できるのか?」 「閣下の『虚無』がある!」 白熱してゆく議論の中、議員の内の誰かがそう叫んだ、全員がクロムウェルを見つめる。 クロムウェルははっと顔を上げると、こほん、と気まずそうに咳をした。 「い、いやなに、諸君らも知っての通り、強力な呪文はそう何度も使えるものではない。 余が与えられる命には限りがある故……そうアテにされても困るのだ」 クロムウェルがそう言うと、どこからともなくため息が漏れた。 さすがにクロムウェルはまずいと思ったのか、立ち上がると、取りつくろう様に言った。 「と、とにかくだ、余も『虚無』の全てを理解しているとは言い難い、余は暫し『虚無』について考えたいと思う。 安心したまえ、『虚無』の担い手たる余が宣言しよう、始祖は必ず、我らをあの薄汚いアサシンから必ずや守ってくださるだろう。 今日のところはこれで閉会としよう。諸君らはいつも通り軍務に励みたまえ」 将軍や閣僚達は、起立すると、クロムウェルに向け一斉に敬礼した。 だが、一人だけ席を立たない人物がいた。 クロムウェルの丁度真向かいの席に座っていた、議論の場で最も興奮していた、年若い将軍であった。 「きみ、どうかしたのかね?」 クロムウェルが、その将軍を見て首を傾げる。 そう言えば、彼は先ほどから急に口を噤み、ずっと俯いてしまっていた。 なにやら身体が小刻みに震えている、何かあったのだろうか? 他の閣僚や将軍達もそれに気がついたのだろう、皆がその年若い将軍を一斉に見つめる。 「……なぜ立ち上がらない?」 誰かがそう呟いた、その時だった。 年若い将軍は、テーブルに両手をつくと、ゆっくりと立ち上がり、俯いていた顔を上げる。 その時だった。 「……ぁ――」 中腰の体勢まで立ち上がった途端、年若い将軍は、ぐるん、と白目をむく。 そのまま糸が切れるように、ばたりとテーブルに倒れ伏した。 彼の背中には、一本の短剣が柄の部分まで深々と突き刺さっていた。 「アサシン!」 議員の誰かが叫んだ。 その瞬間、指令室は大混乱に陥った。 「どっ……どこだっ! どこに……っ!」 「ひっ、ひぃいいいい……!」 「しっ……死神だ……奴はやはり死神だったのだ! あぁ……し、始祖ブリミルよ! お、お許しください! 罪に塗れし我らをどうかっ……!」 悲鳴と嗚咽が混じる中、ある者は杖を引き抜き、ある者は神に助けを乞う。 そんな中、ようやく内部の異常に気がついたのか、外で警備をしていた衛兵が飛び込んできた。 「な、なにが――あ!」 中に飛び込んだ見張りは、テーブルの上に倒れ伏した将軍の死体に言葉を失った。 議員達のほとんどはパニックに陥り、指令室はまさに混乱と恐怖に支配されていた。 とにかく落ち着かせよう、そう考えた衛兵は、杖を振り回り狂乱状態に陥っている一人の議員に近づいた。 「ど、どうか落ち着いてください! 我々が付いています! ここは安全です!」 「安全? 安全と言ったか! この無能め! 現にここで一人殺されたのだぞ! それもたった今! 我々の目の前でだ!」 衛兵に諌められ、激昂した議員……、トリステイン侵攻軍総司令官、サー・ジョンストンは喚きながら衛兵に掴みかかった。 「どうか冷静に! ここでパニックを起こしては奴の思う壺です!」 「冗談ではないぞ! すぐにここから出せ!」 「ま、まだ危険です! ここにいてください! あとは我々がアサシンを追いかけます!」 その言葉に、ジョンストンは益々激昂したのだろう、振り回していた杖を衛兵に突きつける。 「もしや貴様があのアサシンを手引きしたのか! そうなのだな!」 「っ! 一体何を言っているのです! なぜ私がそのような真似を!」 「ええい黙れ! そこをどけ!」 「な、何を――! ぐぁあっ!」 ジョンストンの杖から魔法の矢が放たれる。 至近距離でそれを受けた衛兵は、胸板から血を垂れ流し、ばたりと倒れ伏す。 半狂乱になったジョンストンは、そのまま指令室を飛びだすと、一目散に走り出した。 「ど、どこへ行かれるのです!」 「決まっておろう! 逃げるのだ! この中にアサシンがいるのだぞ!」 ジョンストンが向かった先は、発令所の外に設けられた馬留めだった、 馬に跨ったまま、再び衛兵たちともみ合っている。 「お待ちを! 危険です! ここは我々と共に行動してください!」 「黙れ! 貴様もアサシンか! ならばここで成敗してくれるわ!」 馬に跨ったまま杖を振い、魔法の矢で衛兵の胸を貫く。 倒れ伏した衛兵をみて、邪魔がいなくなったジョンストンは、馬に鞭を入れ、馬首を上げると、 空軍発令所から夜の闇へ向け、一目散に駆けだした。 「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」 どれくらい馬を走らせただろうか、一心不乱に馬を駆りロサイスから脱出したジョンストンは、ちらを周囲を見た。 周囲はひらけた街道である。深夜だからか、あたりには人の気配はなく、聞こえるのは自分の呼気と馬の蹄の音だけだ。 頭上に輝く二つの月だけが、明るくジョンストンを照らしている。 「た、助かった……」 ジョンストンは安堵のため息をつくと、馬の首にもたれかかった。その時だった。 自分の背後、はるか遠くから、馬の蹄の音が聞こえてくる。 心配した衛兵が追ってきたのだろうか? 丁度いい、その者にロンディニウムまで護衛してもらおう。 幾分か冷静さを取り戻した頭でそう考えながら、後ろを振り返る、そして、驚愕した。 その人物は、衛兵の制服を着てはいなかった、代わりに白のローブを身にまとい、同じく白のフードを目深に被っていた。 その左肩には、今は亡き王家の紋章が刺繍された赤黒いマントが風に翻っている。 二つの月を背にこちらへ馬を走らせてくるその姿は、まさに冥府から来たりし『死神』を連想させた。 「ひィッ! ひぃいいいいい!!!」 その姿をみたジョンストンは、再び恐怖に半狂乱になり、馬に拍車を入れ、再び街道を掛けた。 杖を引き抜き、背後から迫る死神に向け魔法を放つ。 だがそのどれもが当たらない、死神は絶妙な馬さばきで魔法をかわし、徐々に距離を詰めてくる。 「あ、あぁ……か、神よ! 神よ! どうか! どうか助けて! 助けて! 助けてぇ!!」 迫りくる死の恐怖に、顔を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにしながら、必死に馬を駆る。 だが死神はジョンストンの恐怖を煽る様にゆっくりと距離を近付け……、そして遂に並走を始めた。 死神は馬上で立ち上がると、まるで軽業師のように、並走するジョンストンの馬に飛び移る。 そのままジョンストンの跨る馬に飛び乗り、ジョンストンの肩を掴むと、無防備になった頸椎目がけ、アサシンブレードを叩きこんだ。 「去れ! 悪魔め!」 「……死神には敬意を払ったらどうだ?」 「頼む! 助けてくれ! し、死にたくない!」 「いや、ダメだ」 死に瀕したジョンストンは涙を流しながらエツィオに懇願する。 だがエツィオは、彼を見下ろしたまま、冷たく言い放った。 「汝が死は無為には非ず――眠れ、安らかに」 エツィオは死体となったジョンストンの頸椎からアサシンブレードを引き抜くと、無遠慮にジョンストンの死体を馬上から街道に放り投げる。 そのままジョンストンが乗っていた馬に跨ると、エツィオは一陣の風のように街道を駆け抜けていった。 今までの追跡劇がまるで嘘だったかのように、真夜中の街道に静寂が戻る。 無残に打ち捨てられたジョンストンの死体を、二つの月が優しく照らしていた。 前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence―
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アサシンギルド第一回総選挙 アサシンギルド第一回総選挙総選挙とは 第一回総選挙の内容 スケジュール 投票方法について 注意点 賞金一覧 結果発表 総選挙とは 管理者より出題されるお題に最も相応しいメンバーを一人選び各人による投票にて順位を決めます。 最も投票数の多い方には賞品として2015年12月3日予定の撮影会にてセンターポジションと3000円分のコードをプレゼント 第一回総選挙の内容 今回の総選挙のお題はズバリ「アサシンギルド色んな意味で最強なあの人」です。自分に投票してもよし、純粋に総合高い人でもよし、最強の課金王でもよし、最強と思う基準はお任せ致します! スケジュール 開催日時 開催内容 2014/12/28 13 00 投票受付開始 2015/1/1 13 00 ホームページにて中間発表 2015/1/3 17 00 投票受付終了 2015/1/3 19 00 ホームページ及びゲーム内グループチャットにて最終結果発表 投票方法について 投票は管理者宛のメールにて受付致します。 2014/12/28 13 00よりこのページ最下部に投票ボタンを設置致します。 メールには 件名 アサシンギルド 総選挙 「自分のゲーム内キャラ名」 内容 アサシンギルド色んな意味で最強なあの人 メンバーの名前 投票理由(任意) をご記載の上お送りください。 沢山の方のご参加お待ちしております! 注意点 有効な投票権はお一人様一度限りとなります。メール内の「ゲーム内キャラ名」が無記載及び重複する場合無効とさせていただきますのでご了承ください。 ホームページの表示がスマホ版の場合、正常にアドレスが表示されない可能性があります。PC版表示にしてお試しください。 賞金一覧 賞金名 説明 報酬内容 ベストオブアサシン賞 投票数が最も多かった方に渡される賞 撮影会にてたーさんに代わりセンターポジションで撮影される。iTunesもしくはGoogleカード3000円最優秀投票理由決定権 キング賞 投票数が最も多かった男性キャラに渡される賞 iTunesもしくはGoogleカード3000円 クイーン賞 投票数が最も多かった女性キャラに渡される賞 iTunesもしくはGoogleカード3000円 最優秀投票理由賞 投票理由が最も素晴らしかった方に渡される賞最優秀投票理由の決定は総選挙1位の方が決定する。 iTunesもしくはGoogleカード1500円 結果発表 たー 4票 ベストオブアサシン賞 キング賞 ギンタ 4票 ベストオブアサシン賞 キング賞 FeLys 2票 クイーン賞 ★カポネ★ 1票 なし 石のスープ 1票 なし 海 1票 なし チョコボ 1票 なし 紫蘭 投票理由最優秀賞
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【アニムス内】レオナルド・ダ・ヴィンチ (CV:森川智之) ロレンツォ・デ・メディチ (CV:浅沼慎太郎) ニコロ・マキャヴェリ (CV:白熊寛嗣) バルトロメオ・ダルヴィアーノ パオラ (CV:岡本麻弥) 狐 アントニオ (CV 小杉十郎太) ローザ (CV 小林ゆう) カテリーナ・スフォルツァ (CV 名塚佳織) 【現代】ルーシー・スティルマン (CV:園崎未恵) ショーン・ヘイスティングス (CV:飛田展男) レベッカ・クレイン (CV:渡辺明乃) 被験体16号 被験体17号 被験体18号 【アニムス内】 レオナルド・ダ・ヴィンチ (CV:森川智之) 歴史上の人物。類まれなる才能を持った天才で、卓越した画家であり技術者でもあった。 マリア・アウディトゥーレに見出され、以降エツィオとも知己となった。 主に写本の解読と、それに記されたアサシンブレードの強化という形でエツィオをサポートする。 序盤ではフィレンツェに居を構えているが、物語の展開に合わせてヴェネツィアへ移住する。 ロレンツォ・デ・メディチ (CV:浅沼慎太郎) フィレンツェ共和国の実質的な支配者。 優れた政治手腕を持ち、文学芸術を愛し多くの文学者・芸術家を援助したことから 「華麗なるロレンツォ(ロレンツォ・イル・マニーフィコ)」の異名を持つ。 ちなみに唯一の欠点は顔面。つまり醜男だったのだ。 http //upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/3/36/401_Lorenzo_de_Medici_03.JPG しかし、女性にはもてたらしく愛を賛美する詩が多数残されている。 ゲーム内では、フィレンツェの覇権を奪いたいパッツィ家・テンプル騎士団から 目の敵にされており、度々暗殺の危機に陥る苦労人。綺麗なマントをくれる。 ニコロ・マキャヴェリ (CV:白熊寛嗣) イタリア、ルネサンス期の政治思想家。 理想主義的な思想の強いルネサンス期に、政治を宗教・道徳から切り離して現実主義的な政治理論を創始した。 ゲーム内ではアサシン達をまとめる参謀役然として登場するが、本来の見せ場を飛ばされたために出番がほとんど無くなったかわいそうな人。 DLCでその見せ場が配信されることが決定しているので、期待して待つべし。 バルトロメオ・ダルヴィアーノ 嫁はビアンカ派。 パオラ (CV:岡本麻弥) アウディトーレ家の使用人アニタの姉で、娼館ラ・ローザ・コルタの女主人。 謀略により追われる立場となったアウディトーレ一家を匿い、モンテリジョーニへの脱出を手伝う。 エツィオに群衆に紛れる術とスリのテクを教えてくれる。 異国風の衣裳に包まれた彼女の腕にはひどい拷問の跡がある。危険を顧みず助力を惜しまぬ彼女に疑問を抱いたエツィオに対し、彼女はその傷跡をみせただ「私もあなたと同じだから」と答えた。 パオラ・アニタ姉妹の台詞およびショーンのまとめたデータベース情報からの推測ではあるが、何らかの事件で闇に葬られかけていたところをアサシンとしてのジョヴァンニに命を救われ数年間ヴィラ・アウディトーレにかくまわれていたふしがある。 狐 フィレンツェの影に潜む伝説の盗賊。いわゆる”民間伝承”より生まれた義賊。 ゲーム中ではレオナルドのヒントと父ジョヴァンニと親交の深かった盗賊の手引きでエツィオと出会い、フィレンツェの利権ととテンプル騎士団との繋がりを教えるとともにアサシンとしての使命に目覚めつつあったエツィオにアドバイスを与えた。 アントニオ (CV 小杉十郎太) ヴェネツィア盗賊ギルドのリーダー。 貴族たち上流社会に強い反感を持ち、平民達の自由を勝ち取るべく日々活動を続けている。 ヴェネツィアでは基本的に彼と協力しながら任務を進めていくことになる。 ローザ (CV 小林ゆう) ヴェネツィアの女盗賊。勝気ではすっぱな性格だがなかなかの美人。 エツィオにダブルジャンプを教える。 カテリーナ・スフォルツァ (CV 名塚佳織) フォルリ伯爵夫人。夫の死後は実質的なフォルリの支配者となる女傑。 本編中ではエツィオのヴェネツィア行きに少し手を貸す程度のわずかな出番しか無いが 見せ場となるオルシ兄弟との因縁の戦いが、2010年1月28日に配信されたDLCによって描かれた。 「子供なんかいくらでも作れる」と啖呵をきる名シーンも再現され、イタリア史マニアをニヤリとさせた。 あとパンツも見せてくれた。ありがとうございます 【現代】 ルーシー・スティルマン (CV:園崎未恵) アサシンの末裔。1から続けての登場。 デズモンドと共にアヴスターゴ社から脱出し隠れ家に導く。 ブロンドの巨乳ちゃん。凄くカワイイ! 前作終了直後から始まるはずなのに胸がでかくなるわ、美形になるわ、生い立ちや経歴も変わるわでとても同一人物とは思えないが、豊胸と顔のリファインはクリエイティヴ・ディレクターのパトリス・ディシレッツ氏が大ファンでありルーシーのモデルと声を担当しているハリウッド女優クリステン・ベルの要望によるもの。 http //image.excite.co.jp/feed/news/Kotaku/Kotaku_200910_assa_cre_ii.jpg ショーン・ヘイスティングス (CV:飛田展男) アサシンたちのバックアップを担当するサポート役。 アニムスで得た情報の補完、及びデータベース化を担当する。 元は一般人であり、アブスターゴ社の背景を知らないながらも、その不祥事をネット上で追及していたためにアブスターゴ社に目をつけられてしまう。 見かねたレベッカに助けられたものの、彼にはもはやアサシン一派として生きる道しか残されていなかった。 皮肉屋でトゲのある言動をするため印象はあまり良くないが、仕事の腕に手抜かりは無い。 レベッカ・クレイン (CV:渡辺明乃) 担当はアニムスの管理。こちらもいい女である。 巨大企業アブスターゴ社を相手に「自分の方がもっと上手くアニムスを扱える」と豪語する。 限られた設備でアニムス2.0を問題なく稼動させる腕前を見る限り、その言葉に誇張は無いのかもしれない。 被験体16号 デズモンドの前にアブスターゴ社に捕らわれていた、アサシンの末裔たちの一人。故人。 既に死んでいるため詳細は不明であるものの、作中で大きい存在感を示す謎多き人物である。 アニムスに長時間接続し続けた副作用で精神崩壊を招いたが、それと引き換えに得た重大な秘密をシンボルという形でアニムス内に隠蔽した。 前作のアニムス実験室にあるヴィドックおよびアブスターゴ社重役の端末に記録されているルーシーからのメールによれば、不完全なアブスターゴ社製アニムスによる度重なるDNA情報吸い出しの副作用で精神崩壊を招き、「遺棄処分(アブスターゴ側の表現)」された。なお、ルーシーの端末によれば16号の救出に潜入させていたと思わしき女性(レベッカ)も自殺の名目で殺害された模様。 被験体17号 言わずとしれた現代編主人公、そしてアルタイル/エツィオの血脈に連なるデズモンド・マイルズのこと。 本来の予定であればもっと早くにエデンの果実の記憶を吸い出され処分されているはずであったが、アニムスの不調に見せかけたルーシーの妨害工作でアブスターゴ(テンプル騎士団)の通信衛星偽装打ち上げ準備の限界まで生き長らえ、「鷹の目」の習得を得るに至る。 「俺の名はデズモンド・マイルズ。これは、俺の物語だ。」 被験体18号 ルーシーの妨害によりデズモンドからのアーティファクト情報引き出し期日に余裕のなくなったヴィドックが用意した「17号処分後の被験体」。ヴィドックおよびアブスターゴ社重役室の各端末にその存在がしるされている。 ただしデズモンドからの情報吸い出しに成功した後では用済みである事から、その身が案じられる(1と2では聖遺物とその数に関する設定に違いがあるため、デズモンド脱走後18号としてより強力な記憶吸い出しが行われている危険性も否定できない)。
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Basically, you can t use keyframe with MayaManCustomShader. Instead, you have to use Expression. //Maya expression ColorMapNum = frame; And this is a part of Renderman shader. If texture path is C \project\textureA.0001.tif You can code like this. TextureName = format("%s.%04d.%s", TextureName, TextureNum, TextureExt); Color=color texture(TextureName, X, Y, "blur" ,Blur ,"fill" , -1, "alpha", Alpha); TextureName = "C \project\textureA" TextureNum will come from Maya s expression TextureExt = "tif" I defined texture offset as attribute, and coded like TextureNum += TextureOffset; But this one couldn t work at frame 1. I couldn t solve this issue. So I added offset value in Maya s expression instead.
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前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence― 1478年 フィレンツェ共和国 「あそこだ! 追え! 捕まえるんだ!」 兵士たちの怒号が鳴り響く中、夜のフィレンツェを一つの影が駆け抜ける。 目深に被ったフードに、白のローブ、左肩に質素なマントを纏った青年は、 慄く群衆をかき分け、道に積まれた酒樽を足場にし、壁から突き出た木の棒に飛び移る、 壁を伝い、窓に手をかけ、一気に屋根の上まで駆け上がる。 登り終えた青年がちらと下を覗き込む、追ってきていた兵士たちが必死に壁を伝いよじ登ってくるのが見えた。 このまま逃げれば余裕をもって彼らをまくことができる、そう考え踵を返そうとした、その時、彼の足もとに深々と矢が刺さる。 はっと顔をあげると、屋根の上を警邏していた番兵が、弓を構え彼に狙いを定めていた。 青年は小さく舌打ちすると、急ぎ踵を返し屋根の上を駆けた。 「追い詰めたぞアサシンめ! これで貴様も終わりだな!」 やがて、街の中でもひときわ高い屋根の上まで彼を追い詰めた番兵たちは、剣を抜き放ち、にじり寄る。 アサシンと呼ばれた青年は、フードの中で薄く笑うと、彼もまた腰に差した剣を抜き放つ。 それが合図となったのか、取り囲んでいた番兵たちが、青年に襲い掛かった。 くぐもった断末魔とともに、一人の番兵が糸が切れた人形のように力なく崩れ落ちる。 これで何人目だろうか? 剣についた血を振り払い、周囲を確認する、向こうは士気は下がってきているとはいえ、まだまだいる。 「まったく……男にモテたってうれしくないんだけどな……」 苦笑しながらそう呟いていると、今まで怯んでいた兵士の一人が持っていた戦鎚を振りかぶり、雄たけびとともに突っ込んできた。 不意を突かれた彼は、かろうじて剣で受け流したものの、威力負けし、剣をとりこぼしてしまった。 屋根の上を転げ落ち、地面へと剣が落下していく。 だが、彼はすぐさま空いた左手を突き出し、兵士の首をつかむ。 手甲に収納された刺突用の特殊なブレードが勢いよく飛び出し、兵士の喉元を深々と貫いた。 アサシンブレード、彼らアサシンの切り札にして、象徴とも呼べる武器である。 そのまま払いのけるように死体を投げ捨てる、剣を無くした分、さらに不利になった。 「さて、どうしたものかな」 小さくつぶやきながら、アサシンブレードを構え、策を考える。 ……どこからか讃美歌が聴こえる。 こんな時に……どこからだ? そう考えあたりを見回し、気づく。 何のことはない、それは自分の足もとから聴こえてくるのだ。 そして彼は、今自分がどこにいるのか理解した。 「……どうやら俺は散々バチあたりなことをやってたらしいな」 彼が追い詰められた場所はフィレンツェ最古の大聖堂、サンタ・マリア・ノヴェッラの屋根の上だったのだ。 自分たちの足下では、今、聖歌隊が神に讃美歌をささげているのであろう。 その上で殺し合いとはなんとも皮肉な話である。 「なぁに、心配しなくても、すぐにお前も神様の元へ送ってやるぜ! もっとも行先は地獄かもしれんがな!」 その言葉を聞いた兵士の一人が、笑いながら剣を突き付ける。 青年は観念したのか、構えを解きアサシンブレードを手甲の中に納めた。 「なんだ? いまさら命乞いか? いいだろういいだろう、俺様は優しいからな、今なら絞首刑か斬首刑か、好きなほうを選ばせてやるぞ」 それをみた兵士が、笑いながら顎で彼を取り囲むように指示を出す、 だが青年は、ニヤリと笑うと、急に踵を返し一気に走りだした。 そして、正面のファサードまでたどり着くとあっという間に上まで登り詰めてしまった。 「き、貴様! 何をする気だ! 降りて来い!」 「悪いが、今のところそんな予定はないな、神様がまだ死ぬなって言うもんでね」 ファサードの頂上に立った彼は、真下の兵士たちににこやかに語りかけると、聖人のように手を大きく広げる……。 「Adios!」 青年は最後にそう言い残すと、そのまま宙へ身を放り投げた。 屋根の上の兵士たちは、急ぎ彼が飛び降りた地面を見下ろす。 そこには既に追っていたはずの青年の姿はなく、兵士たちの目に映るのは道行く人々の群れと、荷車に積まれた藁山だけだった。 . SERVANT S CREED 0 ―Lost sequence― 「あんた誰?」 その声に青年は目を覚ます、どうやら無理な着地のせいで気を失っていたようだ。 目の前には、桃色がかかったブロンドの少女が彼の顔を覗き込んでいる。 ズキズキと痛む頭を押さえ、大きく息を吸う。どうやら仰向けに倒れこんでいるらしい。 大聖堂から藁山にダイブした時の記憶がどうにもあやふやだ。 顔を上げあたりを見回す、そして唖然とした、ここはどこだ? 今まで自分はフィレンツェにいた、イタリア有数の大都市だ。 しかし周りには今さっきまでいたフィレンツェとは違い、豊かな草原がどこまでも広がっているではないか。 遠くには宮殿だろうか? 巨大な石造りの城が見える、だがその形は、かつて訪れたロマーニャやトスカーナでも見たことがない。 「……ここは……?」 見慣れぬ景色に首をかしげ小さく呟く。 あたりには自分を取り囲むように、黒いマントをつけた少年少女たちが、物珍しげに自分のことを見ていた。 一瞬身構えようとしたが、敵意は感じない、どうやらテンプル騎士団ではないようだ。 今向けられているのは疑惑でも、敵意でもない、純粋な好奇の目だった。 「ちょっと聞いてるの? あんた誰よ? っていうかいい加減フード取りなさい、顔が見えないわ、貴族に対し失礼だと思わないの?」 「おっと、これは失礼」 目の前の少女の声に、青年は立ち上がり、フードを取る、その下の端正な顔が露わになった。 彼はすぐに方膝をつくと胸に手を当て名乗った。 「初めまして、俺はアウディトーレ、エツィオ・アウディトーレと申します、以後お見知りおきを。 ……よろしければお名前をお聞かせ願えますか? 可愛らしいお嬢さん?」 流石は元貴族、女性の扱いには慣れているのか、エツィオはニコリとほほ笑みかけ、実に流暢な自己紹介をする。 その洗練された物腰に面食らったのか、少女は少し顔を赤らめながら答えた。 「え、えと、私は、ル、ルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、で、です」 「ルイズ・フランソワーズ……か、君のように気品あふれる名前だ」 エツィオが促すと、少々上ずった声で少女はご丁寧にフルネームで名乗ってくれた。 改めてルイズと名乗った少女を見る、年は自分よりも2~3下、といったところだろうか? 桃色がかったブロンドの髪、透き通るような白い肌をした可愛らしい少女である。 彼女もまた周囲を取り囲んでいる人間と同じような、黒いマントに制服を身につけていた。 「人間だ……」 「お、おい、ルイズが貴族を召喚したらしいぞ……」 「本当だ……でも杖を持ってないよな?」 「ねぇねぇ! 彼結構いい男じゃない?」 「ミスタ・アウディトーレ、かぁ……素敵」 人垣の中からそんな声が聞こえてくる。 召喚? 称賛の声はともかく意味がわからない。 とりあえず、ここがどこかだけ聞かなくては、そう思いルイズに声をかけようとする、 すると今までエツィオをじろじろと見ていたルイズは、それより先に恐る恐るといた感じで尋ねてきた。 「えと、あの、もしかして貴族……?」 「いや、元……かな、今はワケあってちょっと、な」 その問いにエツィオは肩をすくめ少々複雑な表情で答える。 彼の家、アウディトーレ家はテンプル騎士団の陰謀により反逆の濡れ衣を着せられ、貴族の地位をはく奪された。 その時に捕えられた父と兄、そして幼い弟が処刑されたのだ。 いまやメディチ家を除くフィレンツェ貴族達の間では、アウディトーレ家は存在しない扱いとなっていた。 「あっ、そ、そう、なら傭兵かなにか? どこから来たの?」 その答えに安堵したのか、ルイズは大きく息を吐くと、先ほどの口調にもどった。 エツィオはその質問の答えに困った。まさかアサシンです、なんて素直に答えるわけにもいかない。 「傭兵……まぁ、そんなところかな……それより、ルイズお嬢さん、 そのことでちょっと聞きたいことがあるんだ、ここは……フィレンツェじゃないのか? 俺はいままでそこにいたんだ」 ルイズの質問を適当にはぐらかし質問する。ここがどこだかは知らないが、フィレンツェに戻らねば、まだ消さねばならない相手はたくさんいる。 そんな焦燥感があるが、下手に刺激して騒ぎを起こすわけにはいかない。 だが、彼女の口から出た言葉はエツィオの予想を大きく上回っていた。 「フィレンツェ? 聞いたことがないわね、どこの田舎? ここはトリステイン王国、そしてここはかの有名なトリステイン魔法学院よ」 「なんだって? フィレンツェを知らない? おいおい、冗談はやめてくれ、フィレンツェを知らないなんてさ、 それにトリステイン王国? 俺が知る限り、そんな国聞いたことない」 エツィオは笑いながら肩をすくめる、彼は幼少時から銀行家として勉強をしてきたため(と言っても、勉強熱心ではなかったが……)、近隣諸国やその情勢は知っている。 しかし今までトリステイン王国、という国名は今まで一度も聞いたことがなかった。最近建国した、という話も聞かない。したとすれば街の先触れ達が騒ぎ立てるはずだ。 「しかも魔法だって? だとしたら君らは魔女見習いかい? ローマが黙ってないぞ、奴らは本当に冗談が通じないからな、このご時世に勇気のあるお嬢さんだ」 ……それに、"魔法学院"という言葉まで出てきた、学院、ということは、魔法を学ぶための学校、ということになる。 魔法、それを使う魔女。最近ローマ教皇国がその弾圧に動いているという噂を何度か耳にした。 そんなご時世に魔法使いの学校とは、冗談にもほどがある。 だが、エツィオがそう言うと、ざわついていた広場は一転して爆笑に包まれた。 「ははははは! 傑作だ! メイジの貴族かと思ったら平民出か! しかも元、だ!」 「国名すら知らないとか、どこの田舎者を召喚したんだよゼロ!」 「ゼロはやっぱりゼロね! ルイズ!」 「そんなぁ……ミスタ・アウディトーレ……メイジじゃないの……?」 何が起こったのか全く事情が呑み込めない、何かまずいことでも言ってしまったのだろうか? 戸惑いながら見回していたエツィオは再びルイズへと視線を落とす。 見れば、怒りでわなわなと肩を震わせている、そして勢いよく地面を踏みならすと、顔を真っ赤にして一気にまくしたてた。 「さっきから聞いてれば! あんた本当にどこの田舎者よ! それに私たちは魔女なんかじゃないわ! メイジよ! メイジの貴族! しかもトリステインも魔法学院も知らないなんて! あんた本当に元貴族なの!? 実は平民じゃないの!?」 「なっ、なにを怒ってるんだ一体? わ、わかったわかった、君はメイジだ、それでいいだろ? だから落ち着けって、きれいな顔が台無しだ」 怒り出したルイズを必死になだめる、何なんだ? もしかして本気で言っていたのか? 周囲の反応もそうだ、まるで自分がなにも知らない者のような扱いだ。 「ミスタ・コルベール!」 耐えかねたようにルイズが怒鳴る。すると人垣が割れ、中年の男が現れた。 彼もまた大きな杖を持ち、黒のローブに身を包んでいる。 ようやく話のわかりそうな人物が出てきた、そう考え、その男に話しかけようとする。 「やぁ、どうも、シニョーレ――」 「あんたはいいの! ちょっと黙ってて!」 ところが、それよりも早くルイズがエツィオを押しのけ、コルベールと呼ばれた男に食ってかかって行った。 仕方ないとばかりに肩をすくめ、成り行きを見守ることにする。下手に動いて、騒ぎになるよりはマシだ。 聞きたいことは山ほどあるが……あとであの男にでも聞けばいい。 「なんだね? ミス・ヴァリエール」 「あの! もう一回召喚させてください!」 「それはダメだ、ミス・ヴァリエール」 「どうしてですか!」 「決まりだよ。二年生に進級する際、君達は『使い魔』を召喚する。今、やっている通りだ それにより現れた『使い魔』で、今後の属性を固定し、それにより専門課程へと進むんだ。 一度呼び出した『使い魔』は変更する事は出来ない。何故なら、春の使い魔召喚は神聖な儀式だからだ。 好むと好まざるに関わらず、彼を使い魔とするしかない」 「でも! 元貴族とは言えこんな……いえ! こんな胡散臭い平民を使い魔にするなんて聞いたことがありません!」 「おいおい、そうはっきり言われるとグサっとくるね」 「あんたは黙ってて!」 エツィオはおどけるように胸に手を当てる、すると再び周りがどっと笑う。 ルイズはエツィオと人垣を睨みつける、それでも笑いは止まらない。 「これは伝統なんだ、ミス・ヴァリエール、例外は認められない、彼はその……ただの平民かもしれないが、 呼び出された以上、君の『使い魔』だ、古今東西、人を使い魔にした例はないが、儀式のルールは万事に優先される。 彼には君の使い魔になってもらわなくては、さぁ、早く契約を済ませてしまいなさい」 「そんな……えーと……彼とですか?」 ルイズは至極残念そうな表情でもう一度エツィオを見る。 「そうだ。早くしなさい。次の授業が始まってしまうじゃないか。君は召喚にどれだけ時間をかけたと思っているんだね。 何回も何回も失敗して、ようやく呼び出せたんだ。早く契約しなさい」 「失礼、シニョーレ、契約とはなんだ?」 「使い魔契約です、すぐに済みますよ」 不穏な空気にエツィオが一歩前に出てコルベールに訪ねるも、その一言だけで済まされてしまう。 なんだか訳のわからないことに巻き込まれてしまった。魔法? メイジ? トリステイン? 使い魔? 契約? 話が理解の範疇を大きく超えている、どうにも嫌な予感がする。 この場から逃げるべきか? そう考えたが、ここはだだっ広い草原のど真ん中。広すぎる、身を隠す場所がない。 ならば強行突破……とも考えたが、即座に却下する、罪なき者を殺めることはできない、絶対にだ。 今はそれこそ成り行きを見守るしか手立てはないようだ。エツィオは諦めたように肩をすくめた。 彼らがテンプル騎士団やその手の者ではないことが唯一の救いである。 「ねえ」 そんなことを考えていると、不意にルイズが話しかけてきた。 「やぁ、ようやく話しかけてくれたな、こんな可愛いレディに無視され続けるなんて、胸が張り裂けそうだったよ」 わざとらしく肩をすくめ、ルイズの顎に手を添える。 だがルイズはすぐさまその手を払いのける、気の強い女の子だ。 「やれやれ、これは手厳しい」 「気安く触らないで! もうっ……! 本当なんなのこいつ……こんなのが使い魔だなんて……」 なんてふざけた男だ、何も知らない田舎貴族……いや、平民出の元貴族のくせに……。 小さくつぶやきながら、エツィオを再び睨みつける。 「あんた、感謝しなさいよね。あんたみたいな田舎貴族が、こんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」 「こんなことって? 一体何をしてくれるんだ? お近づきの印にキスでもしてくれるのかな?」 「……っ!! あんたっ……これ以上しゃべったら本っ気で殴るわよ……」 怒りと羞恥でわなわなと肩を振るわせながらルイズが拳を堅く握りしめる。 これ以上言ったら本当に殴られそうだ。そう感じたエツィオはあわてて口をつぐんだ。 ルイズは、湧き上がる殺意を鎮めるために何度も深呼吸をして……手に持った小さな杖をエツィオの目の前で振った。 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 朗々と、呪文らしき言葉を唱え始めた、すっと、杖をエツィオの額に置いた。 そしてゆっくりと唇を近付けてくる。エツィオは少々驚いたはしたものの、まぁ、こういうのもいいかな、と静かに目をつむった。 「んっ……」 「……」 柔らかい唇の感触、二人の唇が重ねられた。初々しい、ぎこちなさの残るキスだった。 ルイズの唇が離れる、もう少しその感触を楽しんでいたかったが……エツィオはゆっくりと目を開ける。 見るとルイズの顔は真っ赤だ、どうやら照れているらしい。 初めてだったのかな? だとしたら無理はないか、と思う。 「まさか本当にキスをしてくれるなんてな、驚いたよ、だけどまだぎこちないな、キスの仕方なら、今度ゆっくりと……あだっ!!」 エツィオが言い終わるより先にルイズの拳が彼の顔面にめり込む。……どうやら余計な一言だったようだ。 昔から母上によく注意されていた、あなたは余計な一言を言ってしまうことが多い、と。 「はぁっ……はぁっ……! お、終わりました」 「『サモン・サーヴァント』は何回も失敗したが、『コントラクト・サーヴァント』はきちんと出来たね、その後の行動はともかく……」 コルベールが、エツィオの顔を心配そうにのぞきこみながらも、生徒の成功を祝うように言った。 「相手がただの平民だから『契約』できたんだよ」 「そいつが高位の幻獣だったら、『契約』なんかできないって」 何人かの生徒が笑いながら言った。 どうやら今のキスが彼らの言う『契約』の仕方らしい。 可愛い女の子と出来ただけ僥倖というものだろうか。 これで男だったら間違いなくアサシンブレードが喉元を貫いていただろう。 「バカにしないで! わたしだって、たまにはうまくいくわよ!」 「ほんとにたまによね。ゼロのルイズ」 見事な巻き髪とそばかすを持った女の子が、ルイズをあざ笑った。 「ミスタ・コルベール! 『洪水』のモンモランシーがわたしを侮辱しました!」 「誰が『洪水』ですって! わたしは『香水』のモンモランシーよ!」 「あんた子供の頃、洪水みたいなおねしょしてたって話じゃない。『洪水』の方がお似合いよ!」 「よくも言ってくれたわね! ゼロのルイズ! ゼロのくせになによ!」 「こらこら、貴族はお互いを尊重しあうものだ」 諍いを始めた二人をコルベールが諌めた。 「いってててて……冗談だったてのに……まったく、勝気なお嬢さんだ……」 エツィオが鼻っ柱を擦りながらつぶやく、妹のクラウディアよりお転婆だ。 それにしても『契約』か、一体なんの『契約』だろうか? 彼らは『使い魔』との契約だと言っていたが……。 だとしたら俺は使い魔で、彼女はご主人様か? とはいえ、現在の位置を確認したら、もうここには用は無い、馬を盗むなりしてさっさと逃げ出せばいいか。 そう楽観的に考えていた時だった、エツィオの体が妙に熱くなった。 「ぐぁっ……! なんだっ!?」 左手がまるで烙印を押されているかのように熱い、思わず地面に膝をつく。 「なっ、何をっ……?」 ルイズが苛立たしそうな声で言った。 「すぐ終わるわよ、待ってなさいよ『使い魔のルーン』が刻まれているだけよ」 「『使い魔のルーン』!? これが魔法だってのかっ!?」 「あのね?」 「っ……!?」 「あんたはもうわたしの使い魔よ、元貴族だったって言うから今まで寛大にしてたけど、ご主人様にそんな口利いていいと思ってるの?」 あの鉄拳が寛大だったとは恐れ入る、内心苦笑しながら左手を押える、だが熱いのはすぐに収まった。 体はすぐに平静を取り戻した。 「やっと終わったか……」 荒い息をつきながら膝をつくエツィオに、コルベールが近寄ってきて、押えていた左手の甲を確かめる。 それにつられ自分の左手へと視線を落とす、そして目を丸くした、そこにはいつの間にか見慣れない文字が刻まれていたのだ。 「ちょっと失礼しますよ」 「シニョーレ、これは一体……」 戸惑いながらコルベールに尋ねる、まさか本当に……、エツィオの胸に不安が募る。 「『使い魔のルーン』ですよ、ミスタ、彼女、ミス・ヴァリエールとの契約の証です、ふむ……しかしこれは珍しいルーンだ、私も見たことがない」 「『使い魔のルーン』……」 「えぇ、そうです、その説明は彼女がしてくれるでしょう」 思わずオウム返ししたエツィオに、コルベールはそう答えると、刻まれたルーンを簡単にスケッチし始めた。 「おや? これは……あなたの家の家紋かなにかですかな?」 スケッチを終えたコルベールがエツィオの左腕の籠手に刻まれた紋章を見て尋ねた。 腹当にも同じ紋章が刻まれていることに気がついたようだ。 「えぇ、父上の……形見です」 「っと、これは申し訳ない、ならば大事になさってください」 「いえ、お気になさらず」 コルベールは二コリと笑い小さく頷くと、踵を返し手を打ち鳴らす。 「では皆、教室に戻るぞ」 周囲の生徒にそう呼びかけると、ふわりと宙に浮いた。 口をあんぐりとあけ、エツィオはその様子をみつめた。 「ウソだろ?」 飛んだ、人が宙に浮いた、ありえない。 他の生徒たちも一斉に宙に浮いた。 魔法なんてこれっぽっちも信じていないエツィオだったが、その様子を見て本気で腰を抜かしそうになった。 浮かんだ全員はすぅっと、城のような石造りの建物に向かって飛んでいく。 「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」 「あいつ、フライはおろか、レビテーションさえまともにできないんだぜ」 「その平民、あんたの使い魔にはお似合いよ!」 口々にそう言って笑いながら、飛んでいく生徒たち。 やがて草原にはルイズとエツィオの二人だけになってしまった。 ルイズは大きくため息をつくと、エツィオの方向を振り向き、大声で怒鳴った。 「あんた、なんなのよ!」 だがエツィオはその言葉が耳に入っていないのか、全員が飛び去った方向を見つめ呆然としている。 まるで初めて魔法を見た人間の顔だ、もしかして、本気で魔法を知らないのだろうか? だとしたらとんでもない変わり者を召喚してしまったことになる。 ルイズは頭を抱えた。 「あれは……一体……どうやって……まさか本当に?」 「ちょっと聞いてるの!?」 なおも呆然と呟くエツィオをルイズが怒鳴りつける、その言葉に我に返ったのか、驚いたようにエツィオが振り向いた。 「あ、あぁ」 「ったく、あんた本当一体なんなのよ!」 「それはこっちのセリフだ! 人が空を飛んだんだぞ! まさかっ、君らは本当に……魔法使いなのか?」 「だからそうって言ってるじゃない! メイジが空を飛べるのは当たり前でしょ?」 「なんてことだ……本当に存在するのか、魔法が……もし奴らが……どうすれば」 「信じられない……あんた本当にどっから来たのよ、とんでもない田舎者じゃない……」 ルイズが思いっきり肩を落とし心底落胆した様子でつぶやく。 だが呼び出してしまったものは仕方がない、やがて諦めたようにため息をつくと、彼に声をかけた。 「さてと、そろそろ戻るわよ、えぇと……アウディトーレ?」 「……エツィオでいいよ」 「そう、じゃ、エツィオ、混乱しているところ悪いけど、学院にもどるわ、説明ならあとでしてあげる、さっさとついてきなさい」 「あぁ、わかったよ」 肩をすくめ、ルイズとともに石造りの建物に向け歩いて行く、魔法、使い魔、契約、トリステイン、まるでわからないことだらけだ。 とにかく、この場から逃げ出すよりも、まずは魔法についての情報を集めたほうがいい、そう考え彼女について行くことにする。 魔法という不可思議な力、もしこの力をテンプル騎士団が使うとしたら? ……いや、彼らとて神に仕える身、自らが異端とする力に手を染めることなどないと思われるが、それでも可能性がないとも言い切れない。 目的のためなら手段を選ばない、彼らはそういう連中だ、そう考えての結論だった。 「とにかく、まずは知ることだな……」 フードを被り、空を見上げる、一羽の大鷲が悠然と翼を広げ学院の方角へと飛んで行った。 前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence―
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シナジー効果Coup De Grace (クーデター) アサシンに属する駒一覧 シナジー効果 Coup De Grace (クーデター) 少なくとも(N)人の異なる種類のアサシンが戦場にいるときに有効になります。 (3)アサシン:全ての味方のアサシンは15%の確率で3.5倍のダメージを与える。 (6)アサシン:全ての味方のアサシンは15%の確率で4.5倍のダメージを与える。 アサシンに属する駒一覧 Bounty Hunter Morphling Queen of Pain Slark Phantom Assassin Sand King Viper Riki Templar Assassin
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Chess 2 The Sequelの解説 <Menu Select(メニュー選択)> 1:Correspondence(通信チェス) 2:Play(ゲーム開始) 1:Online(オンライン対戦) 2:Training Dummy(トレーニング対戦) 3:Correspondence(通信チェス) 3:Study(ゲーム解説) 1:Rules(ゲームのルール) 2:Challenges(近日公開) 4:About(ゲーム制作者) 5:Quit(ゲーム終了) 1:Correspondence(通信チェス)・・・通信チェスで対戦します。 2:Play(ゲーム開始)・・・対戦を開始します。 1:Online(オンライン対戦)・・・オンラインで対人対戦します。 2:Training Dummy(トレーニング対戦)・・・AIと対戦します。 3:Correspondence(通信チェス)・・・通信チェスで対戦します。 3:Study(ゲーム解説)・・・「Chess 2 The Sequel」について学べます。 1:Rules(ゲームのルール)・・・ルールを学べるチュートリアルです。 2:Challenges(近日公開)・・・まだ開発中のようです。 4:About(ゲーム制作者)・・・ゲーム制作者の紹介です。 5:Quit(ゲーム終了)・・・「Chess 2 The Sequel」を終了します。
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http //www.sequelrocks.com/ member Greg Georgeson vocal, guitar Todd Jensen bass David Wall guitar Grant Roholt drums Back Back 2007年 1. All Right All Right / 2. Cherry Wine / 3. The Good Stuff / 4. Rock N Roll Girl / 5. The Best I Can / 6. You Don t See Me / 7. What s Wrong With You ? / 8. Lie To Me / 9. Heart On The Line / 10. Hard Love
https://w.atwiki.jp/acbh/pages/21.html
【アニムス内】レオナルド・ダ・ヴィンチ (CV 森川智之) ニッコロ・マキャヴェリ (CV 白熊寛嗣) <狐> (CV ) バルトロメオ・ダルヴィアーノ (CV ) パンタシレア・ダルヴィアーノ (CV ) カテリーナ・スフォルツァ (CV 名塚佳織) 【現代】ルーシー・スティルマン (CV 園崎未恵) ショーン・ヘイスティングス (CV 飛田展男) レベッカ・クレイン (CV 渡辺明乃) 被検体16号 【アニムス内】 レオナルド・ダ・ヴィンチ (CV 森川智之) 建築家、科学者、発明家、技師であり、ついでに画家などの肩書きも持つルネサンスを代表する天才であり、それ故に万能人《ウォモ・ウニヴェルサーレ》と呼ばれた。 直接暗殺などをするわけではないがエツィオに武器など発明品を渡し、協力する。エツィオとは25年来の親友。 今作ではボルジア家に協力させられていたりする。いろいろなことをしている割には暇そうである。 ちょうど2-BH間に『最後の晩餐』や『モナリザ』を描いていた。 ニッコロ・マキャヴェリ (CV 白熊寛嗣) アサシン教団に属するアサシン。とはいっても暗殺はせずに事務や偵察、情報提供をする。 チェーザレの近くにいて情報収集などを行っているため、狐やバルトロメオにいい感情を持たれていない。 エツィオが前作最後でロドリゴを殺害しなかったことに憤慨。事あるごとにロドリゴとチェーザレの暗殺を急かす。 <狐> (CV ) 義賊。今回はローマで盗賊ギルドを率いる。 バルトロメオ・ダルヴィアーノ (CV ) アサシン一派で傭兵隊長。今回はローマに拠点を置くが、チェーザレ率いる教皇軍と、ヴァチカンと親密なフランス軍との挟み撃ちにあい苦戦している。 自分の愛剣にビアンカと名付ける。この為に独身かと思われたが、パンタシレアという美人の妻がいた。またこれが二度目の結婚でもあった。 パンタシレア・ダルヴィアーノ (CV ) バルトロメオの嫁。力押ししか知らない夫を、軍師として様々な知識で支える才女。 カテリーナ・スフォルツァ (CV 名塚佳織) フォルリの女領主。前作でボルジアの軍勢に襲われた際、エツィオに助けられたことから親密になる。 モンテリジョーニに出向き、エツィオへフォルリへの援軍を要請。その後、エツィオと一夜を過ごすもチェーザレ率いるボルジア軍の襲撃にあい、捕らえられてしまう。 【現代】 ルーシー・スティルマン (CV 園崎未恵) 現代のアサシン教団に属するアサシン。1ではアブスターゴ社に研究員として潜入しており、2でデズモンドを助けた。デズモンドはなにかとお世話になっているが・・・ ショーン・ヘイスティングス (CV 飛田展男) 元は一般人だがアブスターゴ社に目をつけられてしまい、レベッカに救われる。結婚歴有り。その後は一般人としての生活が出来るはずも無く、アサシン一派として活動していくこととなる。 レベッカ・クレイン (CV 渡辺明乃) アニムスの管理や整備など、アニムス関連の事柄を担当。 被検体16号 アブスターゴ社に捕らわれたアサシンの末裔達の中の一人。 アニムスに長時間接続し続けた副作用で精神崩壊を招いたが、それと引き換えに得た重大な秘密をシンボルという形でアニムス内に隠蔽した。 故人のはずだが、作中に生存を仄めかす様な部分が存在する。
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