約 5,341,786 件
https://w.atwiki.jp/sousakurobo/pages/663.html
―――同日深夜。……いや、零時過ぎてるから正しくは翌日か。 オレとシュタムファータァは、日中に下調べしていた工場に木粉鉄粉を頂戴にしに来ていた。 「しかし……いいんでしょうかヤスっちさん。これ、私たち完全な泥棒ですよ?」 「揺籃の危機なんだ。そこら辺は気にしないでいこうぜ。それに、言い始めたら廃墟群に立ち入るのも不法侵入だし建物壊してるのも器物破損になるしな」 「それもそうでしたね」 シュタムファータァは苦笑しながらその身を光と共に白銀の巨人に包ませる。そして同時にオレもコックピットの中に入る。 動かせないとは分かっているのだが自然と手足はレバーとペダルに伸びる。外観が同じなのだ。わかっていたとしても癖でやってしまう。 『それではヤスっちさん、サポートお願いしますね』 「っても、あんまやることないけどな」 そして全長3mの白銀の巨人が壁を飛び越え、音を立てずにふわっと着地する。 「……そんな体で、随分とまぁ器用な真似するな」 『戦闘は苦手な方ですけど、こういうしょうもないのは得意なんですよ、私』 「お前もう作業用でいいじゃねぇか」 『今からやることがまさしく作業用がやることですけどね……物資運搬なんて鉄板じゃないですか』 誇ったと思ったら再び落ち込み始めるシュタムファータァ。まぁ、本気で落ち込んでるわけじゃない。冗談だ。 イェーガー戦を前に冗談を言えるほどの精神が落ち着いてるのは良い傾向だ。それほどシュタムファータァの中で意志は固まったということだろう。 『……ヤスっちさん。私、肝心の粉を保管している場所がわかりませんでした』 「勿論それも調べてある。っても、衛星写真とサイトの外観の写真からこれじゃないのか、ってくらいの自信しかないけどな」 それらしき建物の場所まで行き、倉庫のシャッターを強引に取り外す。幸運なことに、中には期待通りの代物が入っていた。 粉袋を一つずつシュタムファータァは手の平に載せていく。しかし、リーゼ状態のシュタムファータァが一袋ずつ手の平に載せていく光景は激しくシュールだ。 『ヤスっちさん、必死に笑い堪えてるの、今の私でもわかりますからね」 「っく、悪いな……。あまりにもロボットらしからぬというか、なんというか」 『そりゃ見た目はロボットでも挙動は人なんですし、仕方ないじゃないですかぁ……』 シュタムファータァが肩を軽く落とす。勿論ロボットの外見で。 「ははっ、マジ面白ぇ」 『絶対、ぜーったい後でヤスっちさんに仕返ししてやりますから』 「期待しないで待ってるわ……」 そんな会話をしながら作業は進み、気がつけばシュタムファータァの手には袋が山積みにされていた。 何段もピラミッド状に積まれている粉の袋。よくもまぁこんなことができるものだ。こちらからすれば落としそうで非常に怖い。 「お、おい。それ落とすなよ」 『落としませんって。さっきも言った通り私こういう細かい作業得意なんですから』 「頼むぜ。お前のこの作業に揺籃の命運がかかってるんだからさ」 『大丈夫ですって。やりとげてみせますよ。それに本番は全て準備が終わってからなんですから』 そうだ。だからこんなとこで絶対に躓くわけにはいかない。というかここで躓いたら馬鹿らしすぎる。 「おう。そういやさっきから疑問に思ってたことが一つあるんだが」 「なんでしょうか?」 「いや、こんだけ大々的にやっておいて工場内の警備装置はなんで反応なしなんだろうか……とな」 普通に警報の一つや二つは鳴らされていてもおかしくはない。なにせシャッターを強引に外すという暴挙に出ているのだから。 『言われてみればそうですね……。でも、まぁ反応してないんだからいいじゃないですか。理由なんてどうでも』 「まぁ、たしかにどうでもいいことではあるんだが……少し気になってな」 こんなずさんな警備態勢でいいのか、揺籃。 まぁイェーガーにバレるという最悪のパターンは今のところないみたいだし、順調に事は進んでいる。 そんな些細なことに疑問を持っている暇があったら、戦略の一つでも考えた方が無難だろう。 そうして非常に危なげな量の粉袋を積んだまま、シュタムファータァは無事に廃墟群までたどり着くことができた。 『この袋、どこに入れるんですか?』 「……今さらで言いづらいんだが、粉塵爆発ってのは実際にそこまでの威力は出ないんだ」 建物の破壊等や数々の事件はある。だが、そのどれもが極めて特殊な条件下のみでの爆発だ。 その特殊な条件下を作りだすことさえ難しいというのに、戦闘中にその条件を満たすのは至難の技だろう。 『えぇ!? だ、駄目じゃないですかっ! 今さらどうするんですかぁっ』 「仕方ないだろ、発案したときの知識じゃそこまでわからんかったんだから。ほら、粉塵爆発って名前的に威力ありそうじゃないか?」 まぁ、それでもこの粉塵爆発を使うという戦法をやろうと思ったのには、ちゃんとした理由がある。 今のシュタムファータァなら、おそらくできるはず。……できると信じたいというのが本音だが。 『ええぇ……、じゃあこの粉、無駄になっちゃったじゃないですか』 「いや、粉塵爆発は起こす。粉塵爆発だけじゃたしかにイェーガーは倒せない。でも、お前がいる」 リーゼンゲシュレヒト・シュタムファータァ。ある意味、こいつじゃなければできないことをやる。 「いいか、作戦はだな…………」 シュタムファータァにオレが考えだした作戦を聞かせる。誰でもわかる、非常に単純な作戦を。 『……そんな、上手くいくでしょうか?』 「上手くいくかいかないかじゃない、いかせるしかないんだ。これが、最後のチャンスなんだから」 『最後のチャンスに、こんな単純な作戦で戦わせないでくださいよ……』 「シンプルイズベスト。思いつきにしては結構悪くない戦法だとは思うんだけどな」 オレにはそこまで何重の罠を仕込んだり、裏の裏の裏をかくような戦法や作戦は思いつきそうにない。 『わかりました……。私が必ず成功させてみます』 「頼んだぜ、シュタムファータァ」 そうして実際に爆発を起こせそうな場所を選んでいく。学校跡の体育館が結構綺麗なままで残っていたのでそこを使わせてもらうことにした。 「これ、校庭で戦えたらいいんじゃないか?」 『そうですね。ここならば私の剣も多分引っ掛からないと思います』 おそらく半径150mくらいだろう。リーゼンゲシュレヒト同士の戦闘であれは充分すぎる広さだった。 「よし。これで正真正銘戦う準備が揃ったな」 『あとは、本番だけ……ですね』 シュタムファータァがそう言い、白銀の光と共にリーゼンゲシュレヒトからヒトの姿に戻る。そしてポケットから携帯を取り出し、イェーガーに対してこちらの位置を知らせるメールを送る。 お互い無言になり、じっとイェーガーが到着するのを待つ。無意識に握った自分の手の平は、汗に濡れていた。 「(やっぱ、怖ぇよ)」 揺籃を守るだなんて言っておきながら、本質はファンタジーのような世界に憧れを抱いて首を突っ込んだ自分。そして自分が傷ついて初めてそれが愚かだったと気づいた自分。 今だって本当はファンタジーのような世界に憧れてないわけじゃない。でも、今はそれだけじゃない。 「(自分の命が危険になって、初めて死にたくないなんて思えたな)」 だから、自分の命を守るために、オレはシュタムファータァを利用させてもらう。 ……まぁ、男として女の子一人に戦わせるのはどうなのか、という気持ちがなくもないのだが。 「うーし、よく逃げなかったじゃねぇか」 突如後ろから大きな声がし、振り返るとそこにはいつの間に居たのか。イェーガーが校舎の入り口、校門を出たところにに立っていた。 「逃げたってどうせ追っかけてくるだろうが、イェーガー」 「そりゃあ、仕事だしな」 イェーガーがこちらに向かい歩き出す。コツコツと革靴が地面を叩く音が反響して学校全体を包んだ。 「シュタムファータァ、気合い入れろよ」 「わかってます。私に、任せて下さい」 その声は若干震えていた。だが、凜とした瞳はイェーガーを真っ直ぐ見抜いている。 「ま、期待を裏切らないでくれよな。……『我は獲物を捉える紅の牙。赤銅色の狩人、イェーガーッ!』」 相変わらずの圧倒感を持った赤銅色の巨人が顕現する。思わず後ずさりしそうになるが、そうするわけにはいかない。 「『現界せよ我が体。罪深き始祖、シュタムファータァ!』」 白銀の光がオレ諸共周囲を包み込み、6枚のプレートを背部に展開した白銀の巨人が現れる。そしてオレは、動かすことはできないコックピットの中へ。 レバーを握り締める手に力が籠もる。動悸が止まらない。緊張で頭がおかしくなりそうだ。 『ヤスっちさん、これが私の……固有兵装です!』 シュタムファータァが両手を前に構えると、手の平に白銀の光を放つ粒子のような物が集まって、やがて実体が形作られる。 現れたのは、流れるような曲線を描いた二振りの白銀の長刀。流麗な白銀の刀身は長さによる錯覚か。端から見れば折れてしまいそうな儚さと、芸術品のように綺麗であった。 『ほう……二刀流か、シュタムファータァ』 『行きますよ、イェーガー』 シュタムファータァがそう言うと同時に、白銀の巨体が持つ刃は狩人に目掛け振り下ろされていた。 『うぉっ……!』 イェーガーが思わず呻き声を漏らす。振り下ろされた刃は鈍く光る手甲によって受け止められていた。 だが、まだシュタムファータァの猛攻は止まることはなかった。 狩人の脇腹を切り裂くように横薙ぎに迫る斬撃。それをイェーガーは肘と膝で白刃取りという化け物地味た技で受け止める。 「嘘だろっ!?」 『遅ぇっ!』 もう片方による斬撃が来る前に肘打ちでシュタムファータァを弾き飛ばす。だが剣を支えにしすぐ立ち直し、再びイェーガー目掛け突貫する。 流れるような銀色の曲線を描いてイェーガーに襲いかかる二本の斬撃。だが、刀身の横を弾くことで回避するイェーガー。そして、再びカウンターの肘打ちが放たれる。 だが、シュタムファータァはそれを短く後ろにステップすることで回避した。今まで避けたことがなかった攻撃を……避けた。 『ほぉ……ッ!』 自分自身も予想外だったのか、肘打ちを回避されたイェーガーに僅かな一瞬の隙。そこにシュタムファータァの突きが放たれる。 肩部の装甲を貫く白銀の太刀。そして追撃に振り下ろされたもう一本の斬撃は刀の鍔の部分を押さえられ止められた。 『罪深き始祖……てめぇ、その剣術はなんだ?見たことがねぇ』 『私流80%漫画流20%ってところでしょうか』 肩に突き刺さっていた太刀を引き抜き、一度イェーガーと距離を取る。いくらイェーガーが強力な白兵戦能力を持っていたところで、リーチはこちらの方が上だ。 「しかし、お前そんな戦えるなら初めからやれよな」 『私にもわからないんです。なんか、実際に刀を持って戦うと次に何をどうすればいいか自然にわかるんですよ』 シュタムファータァの声色は先程までと違い自信に満ちた明るい声色だった。たしかに、この前まで手も足も出なかった相手に戦えるようになれば嬉しいだろう。しかし……。 「(双刀がシュタムファータァにとって"合っていた"武器だとしても、戦えなかった相手にいきなり戦えるようになるのはおかしいんじゃないか……?)」 イェーガーが手を抜いているのか、それとも他の何かなのか……。今のオレにはそれを判断出来る情報は持ち得ていなかった。 『やるじゃねぇか、やるじゃねぇか罪深き始祖……!この間とは大違いだ。楽しくて仕方ねぇっ!』 今度はイェーガーから距離を詰めてくる。ライフルの弾丸の様に放たれる拳。それは、人間の動体視力で捉えられる速度を越えていた攻撃だった。だが。 だが、それを軽やかに、銀の軌跡を残し体を捻り回避するシュタムファータァ。カウンターとばかりにイェーガーに迫る斬撃。 『今の私なら、貴方にすら勝てる』 『戦えるようになったからって、あんま上から目線で語ってくれんなよぉ!』 イェーガーが急に体を倒れるように横にし、斬撃は空を切る。そのまま地面に手を着き蹴りがシュタムファータァの体に直撃する。 そのまま体を反転させ、シュタムファータァに突撃するイェーガー。 『このっ!』 『たしかに前とは段違いだったよ、お前』 突撃してくるイェーガーを挟み込むように襲いかかる二本の長刀。だが、鍔を拳で受け止め、跳躍して顔面に放たれる回し蹴りが直撃した。 『だが悪いなぁ。さすがにオレも素人に負けるわけにはいかねぇんだわ』 『私だって、負けるわけにはいきません!』 追い打ちとばかりにこちらに弾丸のように迫り来る拳に対して、カウンターで刀を上から振り下ろす。 金属と金属がぶつかり合う甲高い音と共に、ぶつかり合った刀身と手甲で鍔迫り合う形になる。 『ははははっ、マジでお前どうしたんだ!?前回とは別人すぎるじゃねぇかよ!』 『ヤスっちさんの死が私を強くした』 「いや、死んでねぇから」 前回で腹に穴空けられて死にそうにはなったが。 時間にして僅か数秒ばかりの鍔迫り合い。ほぼ同時のタイミングで互いに後ろに跳躍し距離を取る。 こうして第三者の目からしてもはっきりとわかる。シュタムファータァの力の上昇ははっきり言って異常だ。 だが、それでも実力はイェーガーの方が上である。分かりやすく言えば動きの"キレ"が違う。 長年の戦闘から培われた動きは粗がなく、洗練されているのだ。 『なぁ、坊主』 ふとイェーガーがオレに対して呼び掛けてくる。こちらの声を届かせるためにATTのVC(ボイスチャット)の範囲を全体に変更する。 「(これで出来るか不安だな……。リーゼンゲシュレヒトのこのコックピットの再現率なら出来るとは思うんだが)」 モニターに変更を知らすマーカーが表示されたのを確認し、通話をONにする。 「あーあー、なんだよいきなり。戦闘中だろうが」 『いやぁ何。そういやお前の答えを聞いてなかったと思ってよ。……お前、本気になったのか?』 「さすがにあんな目にあって、好奇心だけでここに居るほど無神経でもねぇよ。今はただお前を倒す、それだけだ」 『倒す……ねぇ。そんなんじゃなくてだな。結局お前の気持ちはなんなんだってことを聞いてるんだが』 「……オレが今ここいる理由は非日常に憧れたから。それと、自分の住んでる島を消されたくないからだ。 漫画の中のような世界が実在して、それに自分が関わっている。人間なら誰もが憧れる舞台に、今オレは立っている。 そんな夢のような世界を、終わらせたくないに決まってるだろうが!男ってのは、命をかけてもそういうのに憧れんだよ!」 初めてこんなに自分の想いを曝け出した。常に熱くなっている連中を一歩引いた目で斜に見ていた自分。 だが、それを楽しめなかったのは自分のせいだ。常に何かに縛られ、囚われ、純粋に物事を楽しもうとしなかった。 「それにな、イェーガー。抗う術があるのに、やらないなんて選択肢、オレにはない」 『ヤスっちさん……』 ……でも、やはりこんなことを言うのはとても恥ずかしい。この場の雰囲気がなければ絶対言わないであろう台詞だ。特に、オレは。 『……まぁ、昨日と違って好奇心からを認めただけ上場、か。つまりこの戦いに参加できるのが楽しいからいるってことか。 たしかに、ここでオレに殺されたらお前の世界は終わっちまうもんなぁ』 「ああ。こんなのもう二度と体験できないだろ?なら、早く終わらせるのは勿体ないってもんだろ」 『そうだな!そうだよなぁ、楽しいよなぁ!勿体ねぇよなぁ!いいじゃねぇかその台詞が聞きたかったってんだよオレは! 世界を守りたい?世の中冷めた目で見てんじゃねぇよ。世界を守ってるオレ格好良いって浸ってんだろ?なら、その気持ちに素直になれや!」 「ああ。だからさイェーガー。もっと楽しもうじゃねぇか。どうだ?マンガみたいにこの一撃で決着つけるぞみたいなの、やってみないか?」 『……あぁ?どういうことだ』 突如イェーガーの声色が怪訝なものに変わる。オレの額に冷や汗が流れるが、一度言い出したことを止めるわけにはいかない。 「あるだろ?互いに向かい合って真っ向からぶつかり合うってヤツだよ。いいと思わねぇか?」 『オレに真っ正面からのカウンターは通じねぇってのにその誘いかよ。罪深き始祖、お前はいいのかよ?』 『私は、ヤスっちさんの希望通りに戦うだけです。それに言ったでしょうイェーガー。今の私なら、貴方にすら勝てる、と』 シュタムファータァが刀を一本消失させ、一つの刀を両手で持ち真っ正面に構える。 『遥かに力が増してもその実力はオレよか下だ。それがわかってていってんだろうな?』 『ええ、だから策を用意してあります。思いっきり引っかかって負けてください』 シュタムファータァが隠すこともなく堂々と策がある、と言ってのける。そんなシュタムファータァの言葉にイェーガーは笑いをこらえきれなかった。 『だははははっ!なるほどなるほど!この坊主の誘いは策にハメるためのもので、お前がいきなり一刀流にしたのもその策の一つってわけか! さすがにオレとしても、そんな堂々と宣言されたんじゃあ逃げるわけにはいかねぇわな!』 「お前がそういう性格で、助かったよイェーガー」 『なに、気にすんな。お前らみたいな素人の策でやられたらオレはそこまでの存在ってわけよ。ま、オレは負ける気はさらさらないがな』 その言葉には力が籠もっていた。幾度もの戦場を潜りぬけた実力から来る、圧倒的な自信の表れだろう。 だが、ここで勝つのはオレたちだ。この立ち位置、この展開に持って行けた時点で僥倖なんだ。負けるわけにいかない。 『では、始めましょうかイェーガー』 『おうよ。……行くぜッ!!」 イェーガーが手に固有兵装のトンファーを装備し、こちらに突進してくる。対するシュタムファータァは、腰を低く落とし、刀を腰だめに構えるだけ。 『居合切りでカウンターってか!?やってみろぉ!」 そしてイェーガーがある程度の距離まで近づいてきた瞬間に、シュタムファータァは脛を地面に付くくらいという低さまで腰を落とし、 着地を考えない低さまで腰を落とした状態でイェーガーに突進した。刀の高さは、イェーガーの脛に合わせられていた。 『足がなければ貴方とて、自由にできませんよねっ!?』 『ハッ!舐めんな!』 イェーガーは全速力で突進しているという不安定な体制にも関わらず、それを跳躍で回避してみせる。だが、着地したときのスピードを殺せるわけがない。 車や飛行機、乗り物。人間や生き物は、急には止まることはできない。ましてや、全速力であるならば余計に。 『終わりですイェーガー。焼けてくださいね?』 シュタムファータァの先ほど立っていた場所は体育館の前であった。今や立ち位置は真逆になった。イェーガーは、体育館の前に。 速度を殺せるはずもなく。そのまま体育館の壁を突き破って堅牢な装甲を持つ巨人は突っ込むことになった。 体育館の壁は鉄筋コンクリート。そこに鋼の巨人が高速で突っ込んだのだ。火花が起きないはずがない。 イェーガーは突っ込んだときにおびただしく舞い散る大量の粉に驚く隙もなく。 凄まじい爆音と共に、赤銅色の巨人は爆炎に包まれた。 「シュタムファータァッ!!!」 『いっけえええええええええええっっ!!!!!』 そして、その爆炎の中に目掛け、白銀の巨人は刀を槍のように構え、力の限り投擲する。 凄まじい炎と煙の中だ。シュタムファータァが刀を投げたことなどにイェーガーは気づけるはずがなかった。 だが、それを防ぎきるのが歴戦のリーゼンゲシュレヒトの力だった。 突如の予想し得ない爆炎。さらに炎と破片による激痛が体を襲おうとも集中力は失われることはなかった。 振り払われた両手に握られたトンファーは、迫りくる二つの物体を弾いていた。そう、二つの物体を。 『あくまで爆炎は目くらまし。その爆炎によって生まれた隙に投擲された刀を当てる。……そこまでは、防げたんだがなぁ……』 イェーガーの背中から生えている白銀の刀身。それは紛れもない、シュタムファータァの刀。 『まさか、刀と一緒に飛ばしたのがバインダーだったなんて、さすがに炎の中じゃわかんねぇわ』 『知ってました?私のバインダー、ある程度の簡単な動作なら動かせるんですよ。……もっとも、私にとっては弾けるだけ恐ろしいですが』 シュタムファータァはその手に握られた刀でイェーガーを直接突き刺していた。心臓部分に深々と刺さる、白銀の長刀。 「炎を目くらましにして、投げられる刀は囮。本命はそれを弾いた一瞬の隙だ、イェーガー。誰でも攻略したと思った瞬間が一番の隙なんだってよ」 『まさか炎の中突っ込んでくるなんてなぁ。……あーあ、格下の相手に負けるなんて、だから狩りは楽しいん……だよ、なぁ……』 シュタムファータァが刀を引き抜く。それと同時に、イェーガーの体が人間の状態に戻る。それを手のひらで優しく抱え、炎と煙の中から脱出した。 充分な場所まで後退し、シュタムファータァも人間の状態に戻る。少女の顔は心底疲れ切ったものであった。 「シュタムファータァ、イェーガー、これ、死んでるのか?」 「……いいえ、リーゼンゲシュレヒトは頭を飛ばされない限りは即死しません。存在を維持するためのセカイが集まる中心部である心臓部を貫いただけですから」 「つまり、エネルギー切れで気絶してるだけってことか」 「そう、なります」 イェーガーの顔は死んでるようにも、寝ているようにも見える。それほど安らかな表情だった。 「……殺すんですか?」 「ああ、殺すしかないだろ」 そう言ったオレの言葉は震えていた。先ほどまで戦っていたとはいえイェーガーも一人の人間だ。それを、自分の手で奪う。 たしかに命と命をかけた戦いではあった。だが、いざ勝ってみるとこのままイェーガーを見逃してしまいたいという気持ちが強くなってくる。 「(くそ、いざ殺すって言ってもどうすりゃいいんだよ)」 「いいんですよ、ヤスっちさん。元々ヤスっちさんは悩む必要はないんですから」 そう言ってシュタムファータァはポケットから折り畳みのナイフを取り出し、イェーガーの額に手を当てる。 「お、おい、シュタムファータァ?」 「こうして完全に無防備に、しかもセカイがほとんど残っていないリーゼンゲシュレヒトならば普通の人間より、遥かに死にやすいんです」 「そんなこと聞いてねぇって、おい、シュタムファータァ!」 「こうして人を殺すのは、私たち化け物の仕事ですよ」 そう言ってシュタムファータァがナイフを突き刺そうとした瞬間、彼女はナイフを捨てオレに向かって突進してきた。 「っ痛ッ!……いきなりなんなんだっての、シュタ…ム、ファータァ?」 オレは、驚きのあまりにきちんとした言葉を発することができなかった。シュタムファータァがオレの胸に飛び込んできた理由が、目の前にあったのだから。 先ほどまでシュタムファータァがいた場所に突き刺さる、漆黒の長剣。そして、それを両手で持っている漆黒の巨人。 外観は背中から大きくなびくマントに腰の両脇から長く垂れさがるコートのようなもの。夜の暗さのような黒色をしていなければ、騎士を彷彿とさせるその外観。 何よりも驚きなのがそのリーゼンゲシュレヒトが、イェーガーを庇うかのように出現していたことだった。 『やはり裏切ったんだな。シュタムファータァ』 そのリーゼンゲシュレヒトから発せられる若い青年の男の声は、シュタムファータァに向けられていた。 「"漆黒の夜"、ナハト……!まさか、貴方自身がここに来るとは予想外でしたよ……!」 『あそこまで議論で対立し、さらにはイェーガーが貴様相手に何日も掛けたのだ。不審に思ってもおかしくないだろ? それに予想外なのは、イェーガーが貴様に敗れたことだ』 「単刀直入に聞きます、ナハト。貴方は、ここに何をしに来たのですか?」 シュタムファータァがそう言うと、漆黒のリーゼンゲシュレヒト……ナハトは剣を引き抜き、腰の鞘に華麗に収める。 『お前を消しに来た……というのが私の本心だが。生憎イェーガーの回収と貴様に対する意思確認だけだ。と言っても、意志確認などする必要はなさそうだがな 「ええ、ディスに伝えてください。私は揺籃に手を出さない限りは、貴方たちには関与しないと」 『……シュタムファータァ。覚えておけ。そこまで世界も、セカイの意志も甘くはないぞ』 そう言ってナカトはイェーガーを手に持ち、廃墟の街を出て行った。その姿が見えなくなるまでオレとシュタムファータァは、身動き一つ取ることができずにいた。 「……シュタムファータァ、アイツ、何者だ……?」 「漆黒の夜、ナハト。セカイの意志の革命派の一人で、ディスの右腕です。はっきり言って、今の私とイェーガーが共に挑んでも勝てない相手でしょう」 「おいおいおい、イェーガーでさえあんな化け物だったんだぜ?ならナハトってのはなんなんだよ……、チートじゃねぇか……」 「それが本来の"エクスツェントリシュ"と呼ばれるリーゼンゲシュレヒトの力です。伊達に"希少種"だなんて呼ばれていないんですよ」 非常に頭の痛くなる話だった。今回は引いてくれたが次回はどうなるかわからない。イェーガーよりも強い敵の存在なんて、考えたくもなかった。 「まぁ、でも、イェーガーの件は……これで、解決なの……か?」 「少なくとも戦線復帰には3、4ヵ月はかかるダメージは与えましたし、後続のリーゼンゲシュレヒトが来るにも手続きを考えたら、少なくとも1ヵ月は安心でしょう」 それでも……1ヶ月か。もしかしたらこれからずっと続くのかもしれない。撃退して撃退して撃退して……。いつか必ず、限界が来るだろう。 「大丈夫ですよ、ヤスっちさん」 シュタムファータァがオレの心中の不安を読んだかのように、オレの手に自分の手の平を重ねる。 「私が、なんとかしますから。だから……大丈夫です」 ……まったく。今回だってオレの発案した作戦がなければヤバかったくせに、人を気遣うのだけは一流なんだな。 「……言ってろ」 「はい、言ってます!それでは、いい加減私たちも帰りましょう! もう、時間も時間ですから」 そう言ってシュタムファータァがオレの前を歩きだす。オレはゆっくりとその後を付いていく。 ふと、見上げた空。いつもと変わらずやってくる綺麗な朝焼け。 いつもと変わらぬ日々が、今日も訪れてくれたのだというささやかな喜び、達成感。 そんな気持ちに身を任せながら、長いようで短かった戦いは正真正銘に幕を終えたのだった。 ―――セカイの意志、革命派の支部の一つであるビルの最上階にある一室に、一人の男性が立っていた。壁一面に広がる巨大な窓に手を当て、どこか遠くを見るような視線を眼下の街々に向ける。 そこの窓からは、都会の街々が一望出来た。そして、彼の目線の先にあるのは僅かに視認できる海の向こうの、一つの島。 その島の名は、新興都市"揺籃"。戦後国から多額の援助を受け、発展を続けている島でもある。 「……ナハト、戻ったか」 「はい、先ほど。イェーガーの体は本部の医療施設に搬送しました」 その男性の後ろに立つ一人の青年。革命派のリーダー、『冥王の心臓』"ディス"の右腕的存在である、『漆黒の夜』ナハト。 「そうか。……ナハト、何故わざわざお前に頼んだのか……気になっているだろう」 「いえ、私は貴方の命に従うだけ。疑問を持つことなどありませんよ、ディス」 ディスと呼ばれた男性が、ゆっくりと振り向きナハトと向かい合う形になる。 「疑問に思ったことがあったなら言ってくれていいよ、ナハト」 「……貴方が、そう命じるのならば従いましょう」 ナハトの真っ正直な忠誠心に思わず心の中で苦笑してしまうが、勿論表情には出さなかった。彼なりの誠意を無為にしたくはない。 「……シュタムファータァは私にとって希望なんだ。適当なリーゼンゲシュレヒトに、様子を見に行かせるのは些か不安でね」 「希望ならば、何故イェーガーを向かわせたのですか? まさか、シュタムファータァが勝つと読んでいた、と?」 「違うよナハト。その程度の障害で消えてしまうような存在では希望ではない。つまり、私はただ彼女に期待していたのさ。そして、彼女は期待通りに格上だったイェーガーを打ち破った」 「……あの固有兵装の力、ですか。本来固有兵装はただの武器。リーゼンゲシュレヒト自体の能力を上昇させるなんて有り得ない。 固有兵装に備わったあの異質な能力がなければ、最初と同じくイェーガーに葬られていたでしょう。ディス、貴方はあれに心当たりが?」 ナハトの疑問は最もだ。あの少年が立てた作戦は、"イェーガーと勝負になる"という前提でこそのもの。だからあの少年はその確率は非常に低いだろうと思っていた。 だが、実際はどうだ。イェーガーと勝負にすらならなかったのが、固有兵装を手に入れるだけで勝負になった。これを異常と言わずなんと言おうか。 「……ナハト、たしか今ヴィオツィーレンは海外に飛んでいたね?」 「え、ええ。2日程前にイタリアに新たなエクスツェントリシュの発見報告があったので、捕獲任務を任されています」 「(すまないね、ナハト)」 今はまだナハトにすら話す時期ではない。まだ、私の……彼女の計画は始まったばかりなのだから。 「ヴィオツィーレンがいないのならば好都合だ。イェーガーの後釜に"月面ウサギ"の双子を回せ」 「…… ヴァイスとシュヴァルツを、ですか。わかりました。手配しておきます、……イェーガーより格下ですが、よろしいので?」 「構わないよ。頼むぞ、ナハト」 「了解しました」 軽く一礼をするとナハトは部屋を出ていった。……しかし、人一人いなくなるだけで、部屋の雰囲気は結構変わるものだ。 再び視点を窓の向こうにある、揺籃に向ける。あそこに今、シュタムファータァがいるのだ。その事実が私の心を踊らせる。 「今回も私の期待通りに動いてくれ。……シュタムファータァ」 そう呟いた窓に移った私の顔は、とても、満ち溢れた……歪んだ、笑顔だった。
https://w.atwiki.jp/magicman/pages/5073.html
アサシン・ダーツ C 闇文明 (3) 呪文 ■S・トリガー ■相手は、自身のタップされているクリーチャーを1体破壊する。 作者:赤烏 フレーバーテキスト DMWZ-01 「ベーシック・オリカセット」「あれ? さっきまで一緒にいたんだけど…」 ――サイバーロードの軍団 収録 DMWZ-01 「ベーシック・オリカセット」110/210 評価 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/6212.html
autolink() FZ/S17-093 カード名:群にして個 アサシン カテゴリ:キャラクター 色:青 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:2500 ソウル:1 特徴:《サーヴァント》?・《仮面》? 【起】[あなたの《マスター》?のキャラを2枚レストする]そのターン中、このカードはサイドアタックしてもソウルが減少しない。 我ら影の英霊は今度こそ、…本物の影になる― レアリティ:C illust.
https://w.atwiki.jp/asakuri/pages/28.html
ランクMAX 剣のダメージ増加、投げナイフ所持数増加 ロベール・ド・サブレ - エルサレム 中流地区 任務 内容 補足 盗聴 スリ 添付地図あり 尋問 最初に入る細い路地あたりが安全 情報提供 ターゲットを5分以内に5人暗殺する。 参考動画 http //jp.youtube.com/watch?v=9zb748NP8UE 情報提供 ターゲットを3分以内に2人暗殺する。 スリ 添付地図あり 教団支部 ロベール・ド・サブレの暗殺許可をもらう。 暗殺 ロベール・ド・サブレ?を暗殺する。 先に高所にいる二人の弓手を倒しておくと戦闘に集中しやすい。そのまま高所に居座って、登ってきた敵を斬り続けるもよし。墓地の入口にある背の高いゲートの上は敵が登ってこれないので体力回復に利用できる。 ビューポイント 計7箇所 市民救出 計6箇所 暗殺 走って街の外へ出てキングダム方面へ。地図を見るとアルスーフが増えてるのでそっちへ向かう。避けられない集団戦数回。一番奥で一騎討ちへ。 難易度は高いが、体力の多い敵もアサシンブレードで一撃で殺せる。 現代 ルーシーの会話を聞いて部屋へ戻る(条件を満たしていればここで話術師の実績解除) ↓ 部屋を出てルーシーと博士のPCをチェックすると 会議室のパスワードを書いたメールが来ているので 読むと会議室に入れる様になる。 中にあるPCのメールを読む事ができる(※必須ではない) ↓ 部屋で寝る ↓ アニムスに寝る 足りないところ、間違ってるところ等の情報提供お願いします。 テスト -- 名無しさん (2007-12-02 22 06 36) 獅子心王あの野郎、一騎打ちとか言っておきながら全然一騎打ちじゃねえじゃねーか! -- 名無しさん (2009-02-15 22 12 35) アルスーフへ行くとき エレサレム→アッカ→キングダム→アルスーフが一番近い -- 名無しさん (2009-04-18 22 10 05) ↑↑全くだ・・・騎士道精神も何もありゃしねぇな -- 名無しさん (2009-06-21 12 16 28) 情報提供で暗殺するときは敵兵が居ないところが一番楽です -- どこかのアサシン (2009-09-13 15 13 55) 一騎打ちでもなんでもないw -- どこかのアサシン (2009-09-15 08 42 23) 一騎打ちは誤訳らしいですw -- 名無しさん (2009-09-24 20 52 32) 墓地の入口にある背の高いゲートの上から投げナイフで雑魚を狙撃する手もある -- 名無しさん (2010-02-02 01 34 46) まあ雑魚の後に一騎打ちっぽいからいいじゃん -- 名無しさん (2010-03-03 16 33 25) 一騎打ち前戦闘で10回死んだからリチャードてめえこのやろう絶対にゆるさない -- 名無しさん (2014-07-05 20 42 37) 全く持って、一騎打ちじゃないわ。ほぼリンチじゃん 数十回試してなんとか、カウンターで撃破しましたわ -- ななしー (2014-09-14 01 35 36) ふぅ・・・ -- 名無しさん (2014-11-18 00 26 41) リチャードの野郎。一騎打ちっていったじゃねぇか! -- 名無しさん (2018-09-08 14 23 42) 兜をかぶってる強い敵は強攻撃2回で倒せる -- 名無しさん (2021-02-08 23 01 29) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/fw-wiki/pages/147.html
Last up date 2011-05-27 21 21 59 (Fri) 基本 編集 クラス ウォーリア / アサシン / ガーディアン / メイジ / プリースト / バード / ガンナー / ダークネス 編集 サブクラス 植物学者 / 錬金術師 / 料理人 / 猟師 / 社交家 / 鉱物学者 / 工芸師 / 探検家 / ルーンマスター / 魔獣使い / 商人 / エンチャンター / 武器職人 / 防具職人 編集 タレント 編集 スキル>クラス別>アサシン +データの編集について @wikiのプラグインはソート対応ではないためデータとデータの間に新規のデータを入れる場合、現状では直接編集しか出来ません。 お手数ですがデータの直接編集をされる方はコチラより編集してください。 直接編集の方法がわかりにくい方はそのままデータを追加していくかコメントにデータを残してくださると助かります。 画像 スキル名 Lv 種類 タイプ 習得Lv 消費MP 消費魂力 発動時間(秒) ク|ルダウン(秒) 発動距離(M) 説明 備考 編集 ブレイヒット 1 単体 基礎 1 - - 瞬発 1 近距離 普通攻撃、100%基礎攻撃ダメージ生成使用後、自動連続普通攻撃 編集 アサシンネイト 1 単体 物理ダメージ 1 21 - 1 2 近距離 基礎スキル、基礎攻撃ダメージ100%生成攻撃力291付加 編集 ペインスラスト 1 単体 暗黒ダメージ 1 25 - 1 3 近距離 基礎攻撃ダメージ100%生成攻撃力307付加「痛」1点獲得、持続20秒、「痛」最大4点「痛」自身攻撃力アップ1点:6アップ2点:12アップ3点:18アップ4点:24アップ 編集 編集 編集 編集 編集 編集 編集 編集 編集 編集 編集 編集 編集 編集 編集 編集 ▲ 過去のコメントはコチラ 名前
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/43.html
速水ヒロ・アサシン ◆w7FNZrLzJw この想いだけを胸にしまって、俺は高みへと登っていく。 ####### 「聖杯、ねぇ。眉唾物で正直信頼に値するものじゃなかったけれど、まさか本当だったとはね」 少年は、甘いルックスを武器に元の世界ではアイドルとして大いに活躍していた。 人気絶頂、道歩く女子は全員が振り返る、新人気鋭ながらもアイドル界を席巻する所まで辿り着いている“天才”。 速水ヒロ。 エリートプリズムスターを多数排出している要請アカデミーである“エーデルローズ”出身のプリズムボーイだ。 温厚で理知的な美青年でデビュー前から人気を集めていた彼は、傍から見れば満ち足りた生活を送っていたはずだ。 「……ともかく、これで予選は突破っていう訳か」 けれど、内面では鬱屈した感情で暴発寸前にまで追い込まれていた。 親友――神浜コウジとの決裂の時から彼はずっと歪んだ思いに焦がれ続けていたのだから。 お前が欲しい。何故、俺を信じようとしない。俺の為に曲を作ってくれ。俺にはコウジしかいないんだ。お前だけが俺の全てだったというのに。 絡み合った感情は既に“願い”へと昇華していた。 「ま、いいさ。ここからが本番、気を引き締めていかないとね」 そんな時、とある木の欠片に思いを捧げることで、願いが叶う与太話みたいな噂を聞いたのだ。 ヒロ自身、最初はほんの戯れ染みたお遊びのようなものだと考えていた。 幾ら何でも、ファンタジーにも程がある。所謂、今どき女の子らしい噂話だ。 そう思っていたにも関わらず、心の何処かで信じたいと縋ってしまったのだろう、気づいていたら木彫のネックレスを購入していた。 「どんな手を使ってでも、生き残ってみせる。…………他の参加者を蹴落とすことになったとしても――俺は取り戻したい、コウジを」 願え、届け、コウジへの想い。 馬鹿げたモラルなんてとっくにかなぐり捨てていた。 恥も外聞もなく、ヒロは木片を強く握りしめ請う。 自分の思いが本物ならば、連れて行け。願いの叶う場所へと。 そして、ムーンセルはヒロのプリズムの煌きに魅せられたのかその願いを聞き届けた。 無事に、予選へと到達したヒロは一通りの学園生活を満喫した後、記憶を取り戻し、今に至る。 「という感じなんだけど、どう? 君の期待には応えられたかな?」 視線の先にはリーゼントを整えた大男が静かに佇んでいる。 身に纏った鎧と合わさってその姿は威風堂々たるものだ。 男は何も言わず、ただ渋い顔をして頷くだけだ。 「……まあ、覚悟の決まった目つきではあるな。背中を預けるにはギリギリ合格点をくれてやってもいい」 ただ理解してるか? 他者を犠牲に願いを叶えるってことはそれ相応の対価があるってことを」 「勿論。俺の中にある本物は“コウジ”だけだ。あいつの作った曲でアイドルとして輝くしか道はない」 男の問いに、ヒロは表情一つ変えず淡々と答えを返す。 溢れ出る闘気に冷や汗を流しながらも揺らがない、目を逸らさない。 ここで選択肢を間違えたら何もかもが泡沫となって消えてしまう。 それだけは避けたかった。 「だから、その本物を再び俺のモノにする為なら何だってするさ。その結果、孤独になっても、報いを受けても構わない。 高みへ登るってそういうことだろ? 誰も手が届かない場所こそが、俺がいるべき世界だ。 貴方には汚れ仕事を請け負わせるかもしれない。けれど、引き金を引くのは俺だ。その覚悟だけは違えていないよ」 「それだけわかっていたら、俺からは言うことはないな。正しさだけで世界は変わらないってのは同意見だ。 全員が幸せな世界なんざありえねぇ、誰かが泣く代わりに誰かが笑う。それが世界の真実なんだからよ」 男の言葉に強く頷き、ヒロは左手を伸ばす。 信頼と未来への一歩として、彼の手を無理矢理に掴む。 「そんな世界を変えるのが貴方の願い。喪った世界を取り戻すのが俺の願いだ。 力を貸してくれないか、アサシン? いや、ブラート」 「上等。そんだけ肝っ玉があるんなら、背中を預けるには相応しいな」 ヒロの願いは――決裂した“友情”の復元。 ブラートの願いは――不当な“支配”からの解放。 「じゃあ、行こうか。願いという炎を燃やしに」 「何処までも、貫いてやろうぜ。マスター」 絶やさぬ願いを糧に前へと進む様は、まるで――革命家のようだった。 【クラス】 アサシン 【真名】 ブラート@アカメが斬る! 【パラメーター】 筋力B- 耐久C 敏捷A 魔力E- 幸運D 宝具A 【属性】 混沌・善 【クラススキル】 気配遮断:B+ サーヴァントの気配を絶つ。魔力とその漏洩を極限まで抑える能力。 宝具と合わさると、能力はさらに高まる。 【保有スキル】 変身:A+ 宝具を使うことで変身する。身体能力向上といった恩恵が受けられる。 そして、何と言っても変身は漢のロマンらしい。 殺気感知:A 殺気に関しては、視界の届かぬ範囲であろうと感知することが可能。 暗殺業の賜物である。 【宝具】 『悪鬼纏身インクルシオ』 ランク:A 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大補足:1人 原作では鎧の帝具として使われていた。身に付けると、身体能力は上昇する。 凶暴な危険種タイラントを素材として作られ、高い防御力に加え、どんな環境にも対応可能。 素材となった竜の強靭な生命力により、装着者に合わせて進化するので未知数な点も多々あるので発動後ステータスは一定しない。 奥の手として、一定時間の透明化。透明化時間が切れると再装着の必要があり、また透明化していても気配まで消すことはできない。 【weapon】 悪鬼纏身インクルシオ。 普段は剣の形をしているが、起動させると副武装である槍――ノインテーターを主な武器として扱う。 【人物背景】 筋肉質の大男。原作主人公であるタツミからは「兄貴」と呼ばれていた。 豪快な性格で面倒見がいいが、暗殺業に対してはシビアな感性を持っている。 タツミに対しては、お風呂に一緒に入ったり、近寄ると頬を染めたり、ボディタッチが多かったりとLikeではなくLove疑惑。 リーゼントヘアーが特徴的だが、髪を下ろすと、思わず惚れてしまいそうなイケメンである。 元は帝国の有能な軍人だったが、帝都の腐敗を知って革命軍に仲間入りした経緯を経ている。 【サーヴァントとしての願い】 腐敗した帝国を叩きのめす。 【基本戦術】 アサシンらしく、一撃必殺を主な戦術としているが、直接的な戦闘も得手としている。 かといって、強敵が多い聖杯戦争では油断は禁物。 宝具の特性を活かして、スピーディーにアサシンらしく殺していこう。 【マスター】 速水ヒロ@プリティーリズム・レインボーライブ 【参加方法】 ゴフェルの木片のネックレスに強く願いを込めた。 【マスターとしての願い】 神浜コウジとの関係をやり直す。 【weapon】 なし。強いて言えば、靴に仕込まれたスケートの刃? 【能力・技能】 身体能力はアイドルだけあってそれなりに高い。 また、芸能界で成功しているだけあってポーカーフェイスといった腹芸は得手。 【人物背景】 神浜コウジの元親友。幼少期から育児放棄気味な母の下で育ってきたので、愛情に飢えている節が見受けられる。 高校生ながらも、大人顔負けの丁寧な態度を取っているが、あくまでそれは営業スマイル的なもの。 目的を遂げる(主にコウジ関連)ならば平然と汚い手段をも使う。例えば、コウジが作った曲を盗作して自身のデビュー曲にするなど。 しかし、ヒロ自身はコウジのことを全く嫌ってない所か、歪んだ好意を示している。LikeではなくLove疑惑。 ちなみに、情が全くない冷酷な男と言う訳でもなく、後輩の女の子達に対して気遣ったり、魔の手が降りかかった時は庇ったりと人並みの優しさも持っている。 【方針】 搦め手を使って、勝ち残る。その為ならば、他者との協力も厭わない。 アサシンであるブラートと共通していることを追記すると、弱者や共感を覚える人物に出会うと、情にほだされる可能性がある。 彼らは冷酷であれど、情も持ち合わせている。それ故にどうなるかは周りの参加者次第である。
https://w.atwiki.jp/revelations/pages/72.html
項目数:70 プラチナ:1 ゴールド:1 シルバー:16+1+3+3 ブロンズ:32+3+3+7 合計トロフィーポイント:327 グレード タイトル 詳細情報 プラチナ 覇者 トロフィーをすべて獲得する シルバー センスあり 一般市民ボーナスを獲得する(マルチプレイ) ブロンズ テンプル騎士団の道具 アブスターゴストアで最初のアビリティを購入する(マルチプレイ) ブロンズ 大手柄 チャレンジを完了する(マルチプレイ) シルバー 本物のテンプル騎士団 レベル20に到達する(マルチプレイ) ブロンズ 容姿端麗 ペルソナをカスタマイズする(マルチプレイ) ブロンズ 1人はみんなのために チームモードのセッションで勝利する(マルチプレイ) シルバー 話題独占 13種類の表彰を獲得する(マルチプレイ) ブロンズ 我が道を行く テンプル騎士団プロフィールを編集し、称号、紋章、パトロンを変える(マルチプレイ) シルバー 探検家 全ゲームモードのセッションをプレイする(マルチプレイ) シルバー 戦術家 セッションで2505ポイント以上を獲得する(マルチプレイ) ブロンズ 幼き日々 追憶の旅シークエンス1を完了する シルバー 冷たいものは冷たいうちに DNAシークエンス1を完了する ブロンズ 自分の意思にあらず 追憶の旅シークエンス2を完了する シルバー イスタンブールとコンスタンティノープル DNAシークエンス2を完了する ブロンズ ニューヨークへの逃走 追憶の旅シークエンス3を完了する シルバー 取引成立 DNAシークエンス3を完了する シルバー 皇子 DNAシークエンス4を完了する シルバー 深まる陰謀 DNAシークエンス5を完了する シルバー 成功と失敗 DNAシークエンス6を完了する ブロンズ 腐ったリンゴ 追憶の旅シークエンス4を完了する シルバー 新たな主、かつての主 DNAシークエンス7を完了する シルバー 優先事項 DNAシークエンス8を完了する ブロンズ 汝、デズモンド・マイルズなりや? 追憶の旅シークエンス5を完了する ゴールド 復活 DNAシークエンス9を完了する シルバー 深遠なる記憶 すべてのシークエンスでフル・シンクロを達成する シルバー 聖なる英知 アヤソフィアの秘密を探る ブロンズ 仕上げ アニムスデータの断片をすべて集める ブロンズ 千の言葉に値せり イシャク・パシャの回顧録の失われたページをすべて集める ブロンズ 炎の男 爆弾ミッションをすべて完了する ブロンズ 安楽イス将軍 地中海防衛で、ロードスを除くすべての都市を同時に支配する ブロンズ 鉄のカーテン 大砲を使わずにアジトを完全に守る ブロンズ クモ男 地面から尖塔まで、25秒以内にアヤソフィアを登りきる ブロンズ 真の友 いずれかの勢力のチャレンジをすべて完了する ブロンズ 税金逃れ テンプル騎士団の使者から金を奪う シルバー 大導師 7人の弟子を「マスターアサシン」まで鍛え上げる ブロンズ 電撃戦 アサシンブレードのみを使い、5人の番兵を5秒以内に倒す ブロンズ 大量殺人 アサシンブレードで番兵を50人暗殺する ブロンズ 大技 パラシュートでワイヤーに降りる ブロンズ 賢人 書物をすべて集める ブロンズ 指利き 倒した番兵50人を盗賊に物色させる ブロンズ 地獄絵図 番兵10人を同時に毒でおかす ブロンズ ネズミ取り まきびし爆弾で動きを封じた後、足場を利用して番兵5人を倒す ブロンズ 爆弾マニア 爆弾を30個作る ブロンズ 愛弟子 弟子の1人を「マスターアサシン」まで鍛え上げる ブロンズ 鳥人 ガラータの塔の頂上から金角湾へ直接パラシュートで降りる ブロンズ 静かなる死 投げナイフだけを使って3人の番兵を同時に倒す ブロンズ 俺には見える 煙幕爆弾の煙の中で番兵5人を倒す ブロンズ 狂気の舞 毒におかされた番兵を使って3人の一般市民を半殺しにする ブロンズ 弱い物いじめ ドゥーチョを見つけて痛めつける マルチプレイ用キャラクターパック ブロンズ 死んだも同然 「秘宝強奪」で「海賊」を使用して、ピストルで3回倒す(マルチプレイ) ブロンズ 冷酷無比 「マンハント」で「山賊」を使用して、5回グランドフィニッシュボーナスを獲得する(マルチプレイ) シルバー 腰抜け船長 「船長」を使用して、追手に対してボティガードを使う(マルチプレイ) ブロンズ 不可抗力 「剣闘士」を使用して、突進で3回倒す(マルチプレイ) マルチプレイ用マップパック ブロンズ カーニヴァル 「シエナ」で「ウォンテッド」を開始して、3分間紛れる(マルチプレイ) シルバー 激怒 「エルサレム」で開始して、死なずに3回気絶攻撃をする(マルチプレイ) ブロンズ 名脇役 「ダイアーズ」でチームモードを開始して、5回アシストキル・ボーナスを獲得する(マルチプレイ) シルバー 干し草のベッド 「サン・ドナート」で開始して、わら山から2回倒す(マルチプレイ) シルバー 人生のスパイス 「フィレンツェ」で開始して、バラエティ・ボーナスを2回獲得する(マルチプレイ) ブロンズ 行ったり来たり 「帝国直轄地区」で「アサシネーション」を開始して、5回イーグルダイブする(マルチプレイ) 失われた記憶 ブロンズ 掟の一つ イーグルダイブをする ブロンズ これがジャンプ アニムス・メモにたどり着く ブロンズ アニムス アニムス・シミュレーションを行う ブロンズ 創造主 メモリー5を完了する シルバー ループ状態 ループをする シルバー 収集完了 記憶の断片をすべて集める シルバー ループ脱出 ループを突破し、脱出する ブロンズ 着地成功 25メートル以上落下した後、ブロックの上に着地する ブロンズ 博士は感動した! 失敗せずにアニムスのテスト・シークエンスを完了する ブロンズ 向こう岸へ 失敗せずに三途の川を渡り切る PS3 トロフィー まとめwikiより転載
https://w.atwiki.jp/elsnotenbin/pages/126.html
覚える魔法 1 キュア 1 キュアリス 14 フィスト 24 サイコマ 32 プロテマ 変化魔法 血…キュア→クリア 月…キュアリス→クリア 黒…フィスト→フィストⅡ 金…サイコマ→サイキック 追加魔法 ① 36 闘拳烈波 ② 36 冥界誘導波 ③ 40 ダークレイン ④ 63 魔界の闇鑓 魔法耐性 火…0 水…+1 光…-2 闇…+2 猛毒…A 電撃…B+ 封印…D+ 地震…D+ 射抜…C+ 砲銃…E+ 呪殺…B+ レア度…A 成長速度…普通(11) 能力成長…早熟 入手方法 アサシンを宝玉合成する No.151~200に戻る 主人公、モンスターに戻る
https://w.atwiki.jp/eshife/pages/65.html
味方軍 アサシン キルケ ブラム 中立軍 アサシン ジャーレ ローグ フォルス 敵軍 アサシン キィチ(旧キャラシ) メルヴィ
https://w.atwiki.jp/tokyograil/pages/122.html
岸波白野&アサシン ◆3SNKkWKBjc サーヴァントを選んで下さい。 セイバー アーチャー ランサー ライダー キャスター アサシン バーサーカー ???? ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ 意識が浮かぶ。 広大なデータの海の中、徐々に周囲の様子が把握できた。 そして、薄れかかった記憶も取り戻しつつある。 やはり聖杯に触れる事は叶わなかったのだ。 不正なデータとして扱われた自分はこうしてデータの海に沈み続けている。 覚醒するまで、一体どれほど沈んでしまったのか。 一筋の光すら望めない深淵ばかりが広がり、左右どころか上下の平衡感覚すら掴めない。 深い闇の底。 果たして何が待ち受けている事か…… いや、待って欲しい。 どうして意識がある? どうして視界が見える? どうして体がある? ―――終わっていない。まだ、まだここにいる。 理屈はサッパリだが、聖杯によって完全に解体された訳ではないらしい。 データの海で彷徨い続けているのだ。 「――誰か、いるのか?」 !? 漠然とした輪郭しか捉えられないが、確かに自分以外の『誰か』がそこにいた。 こうして会話を交わせるだけで、不思議と安堵を覚える。 ……だが、誰なのか? ここはデータの墓場のような場所。そこにいる存在とは―― 「くくく、なるほど。お前もオレと同じようなものか」 同じ……? そうか……意思を持ったNPC。もしくは不正と認識されたデータ。 驚きはしない。 むしろ、自分のような存在がいる時点で『ありえない類』ではないと受け入れられた。 「残念だな。オレと同じ、辛うじて存在しているようだが意味はない」 サーヴァントもいない。 もう、聖杯戦争は終わりを告げた。 辛うじてここにいる。もしかしたら、あと数秒で消えてしまうかもしれない。 諦めない 諦める 諦めない。諦めたくない。 たとえ、何があったとしても確かに存在している。 聖杯戦争で散った人、聖杯戦争であった事、自分の想い全てを無駄にさせない。 「随分と強情だな。だが、何ができる?」 確かに何もない。 残された手札なんて一つもない。何も始められなかった。 抗おうにも、その手段が一切ないのだから。 果たして何ができる? この状況でどうしろと? それでも諦めない やっぱり諦める やはり諦められない。何かできるはずだ。 ……!? ドクンと体に熱が籠る。 久しぶりの感覚だが……忘れた事はない。まさか…… 令呪。 正しくは『前回の聖杯戦争』で使い残した令呪。 最後まで使うことのなかった一画の令呪が深淵の闇の中、一筋の光となって輝いている。 もしかしたら…… 「それは……?」 そこにいる相手に手を差し伸べる。 一緒に行こう。ここから抜け出せるかもしれない。力を貸して欲しい。 向こうは沈黙を数秒だけ広げた。 「オレたちのような出来底ないが抗って何がある? 第一、見ず知らずの相手に協力を求めるのもどうかしているぞ」 尤もな意見だ。 完全に信用できる相手かも理解していないのに。 ただ一つ。 この巡り合わせは『運命』のはずだ。『運命』を信じよう。 「オレを助けた事を後悔させてやろう」 ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆ 再び意識を取り戻した時、舞台に到着されていた。 『東京』 正しくは『聖杯によって再現された東京』 即ち、再び聖杯戦争へ参加することとなったのだ。 一度は聖杯によって消去されたが、これといった不具合を感じる事はない。 令呪を確認するとしっかり浮かびあがっている。 ただし、一画のまま。 本来ならば三画刻まれるそれは、最初から一画の状態だった。 漠然とした気持ちで令呪を眺める。 状況の理解が追いつかないのもあるのだが…… 恐らく、イレギュラーとして聖杯戦争に参加してしまった……その可能性を感じていた。 複雑な感情を渦巻きながら座り込んでいると―― 「ようやく起きたか。数秒後には臓物を取り出していたところだ」 急に物騒な事を言われてたので、慌てて立ち上がった。 そこには共に『東京』へ至った……… ……? 美しいドレスを纏った女性がいる。 違う、そうじゃない。 今まで言葉を交わし合っていた声は『男』だったはず……? 「改めて問う。お前がオレのマスターか?」 と、『女性』が『男の声』で尋ねた。 男声の女……ではなく、正真正銘の男である。 つまり女装している男――がサーヴァントらしい。 そうだ 人違いです そんな格好で恥ずかしくないんですか? 「さっきからの腑抜けた表情……オレの姿に対するものなのか?」 むしろ気にしない人間はいない。 黙っていれば女らしい。 そう、黙っていればの話だが。 「これは警察(ヤード)の目を欺く為だ。男が女を無差別に殺すならば道理にかなっているが 女が女を無差別に殺す印象は世間体の意識としては低い。分かるだろう?」 一概に間違ってはいないのかもしれない。 それはそうと――物騒な発言からして彼は猟奇的な面が垣間見える。 何の英霊なのか? 女を無差別に殺すなど『切り裂きジャック』を連想させるが、似通った英霊に心当たりはない。 「なんだ、オレを知っているじゃないか。いかにもオレは『切り裂きジャック』 アサシンの座とし召喚された『切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)』だ」 『切り裂きジャック』……!? それは――英霊よりかは恐怖の概念だ。 童話の概念が英霊化したように、恐怖の概念が英霊化したような。 俄かに信じがたい。 ……その『切り裂きジャック』が何故『あそこ』にいたのだろう。 「……とは言え、オレはお前と同じ『ゲーム上のキャラクター』だったのさ。 本物の『切り裂きジャック』ではないが『切り裂きジャック』としての立場があった」 ゲームに登場した『切り裂きジャック』 それが本物と誤認され、サーヴァントとして召喚された? 全てが異常極まりない。 異常の始まりは――恐らく岸波白野だ。 異常まみれの主従が『東京』の聖杯に導かれた。 ならば『東京』の聖杯も……異常なのか? 「ところで――お前は聖杯が欲しいのか」 欲しい 欲しくない まだ分からない 『東京』の聖杯はムーンセルの聖杯とは違う。これだけは断言できた。 もしかしたら聖杯に触れる事が叶うかもしれない。 それ以上に『東京』の聖杯は異常の塊かもしれない。 正常な願望機かも――分からない。 だが、前回の聖杯戦争を無意味にしない。諦めない。 それだけは譲れない。 「急に表情が変わったな。今更、オレを助け後悔したか」 これからよろしく。アサシン 「……」 気使ったつもりだが、アサシンは前触れもなく霊体化してしまった。 機嫌が悪くさせてしまったらしい。 まだ彼のことを知らない。うまくやっていきたいものだが…… 新たな月で聖杯戦争が幕を上げた。 【マスター】岸波白野(男) @Fate/EXTRA 【参加方法】 異常な手段をもって聖杯戦争へ導かれた 【マスターとしての願い】 明確には不明。聖杯を見極める? 【weapon】 なし 【能力・技能】 魔術師としての才能は平凡。 【人物背景】 Fate/EXTRAの主人公(性別はプレイ開始時に選択可能)。 ムーンセルに解体されたはずだが、辛うじて完全に消える事はなかった。 相変わらずの往生際の悪さを発揮させ、アサシンと共に聖杯戦争へ参加することにより完全なる抹消を逃れられた。 前回の聖杯戦争の令呪を引き継いでおり、令呪を凛・ラニ戦にて二回使用した令呪一画の状態。 【クラス】アサシン 【真名】ジャック・ザ・リッパー@名探偵コナン ベイカー街の亡霊 【属性】混沌・悪 【パラメーター】 筋力:D 耐久:D 敏捷:A 魔力:D 幸運:A 宝具:E 【クラススキル】 気配遮断:C サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 陣地作成:A 魔力を消費し、周囲に霧を展開させる。 作成に時間を必要とせず、瞬時に発動可能。 道具作成:E 魔力を帯びた器具の作成。 アサシンの場合はナイフや爆弾など近代的な凶器に特化している。 【保有スキル】 犯罪の美学:A 急所を狙う方法、逃走経路を瞬時に計画。 どのように爆弾を設置すれば効率的か。 犯罪に関する知識の豊富さを示す。同ランクの『直感』スキルを発揮する。 女装:D- 一種の変装。女装し、なおかつ男性であると判明されるまで ステータスの隠蔽が施され、NPCと同等の気配しか与えない。 声だけは隠蔽できない。 仕切り直し:C 戦闘から離脱する。戦闘中でも即座に離脱行動に移る事が可能。 二重召喚:C アサシンとキャスター、両方のクラス別スキルを獲得して限界する。 【宝具】 『ベイカー街の亡霊(オールド・タイム・ロンドン)』 ランク:E 種別:対人 レンジ:1~10 最大補足:1人 陣地に侵入した対象一人に発動可能。戦闘開始時一回しか発動しない。 いかなる宝具・スキルも妨害し、必ず先手で攻撃を仕掛けることができる。 【人物背景】 浮浪孤児になっていたところをジェームズ・モリアーティーに拾われる。 彼から犯罪者としての英才教育を施され『切り裂きジャック』として名を轟かせる殺人鬼となった。 当初は母親を殺す為だけを目的としていたが、母親に似た女を殺し続け歯止めが効かなくなる。 最終的に彼が望んだのは『切り裂きジャック』の血を現代へ残す事。 とある人工知能が作り出した『切り裂きジャック』のキャラクター。 最終的に人工知能は自らを消去し、その際ゲームそのものも抹消した ……が『切り裂きジャック』は残り続け、岸波白野と接触した。 本来『切り裂きジャック』は誰でもあって誰でもない存在。 しかし、この『切り裂きジャック』は独自の世界観の中だけとはいえ明確な正体を持つ。 ロリショタ集合体の『切り裂きジャック』ではなく 姿形が不定形な『切り裂きジャック』でもない 唯一個体を持つイレギュラーな『切り裂きジャック』である。 【サーヴァントとしての願い】 とくにない ゲームキャラクターであることを受け入れており、自身の野望も無意味だと理解している。