約 2,193,257 件
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/1591.html
「MUGENを格ゲーだと思っている人は見ないほうがいいです」 解説 総勢64名のラスボス(+中ボス+その他)によるトーナメント。 ラスボスなので超火力、ハメ、一撃、リザレクション、分身、変身などなんでもござれ。 たまにラスボスじゃないのも混じってるけど、MUGENでは良くあることなので気にしてはいけない。 出場キャラ + ... ベガ ギース クラウザー ルガール パイロン 天草 170cm兄弟 ゲーニッツ CCO オロチ ミズチ 影DIO マグニートー ゼロ オリジナルゼロ イグニス テスタメント ジャスティス レオパルドン ソル ディズィー イノ ジャッジメント プリンセス・シシー ホワイト 壬無月斬紅郎 羅将神ミヅキ ネオギガス NEO-DIO ゼウス 真ヴァルドール オンスロート ヨハn(この名前は表示できません) かがみん 黄龍 グラント ズィルバー ローウェ フェルナンデス ワーロック Unknown 神奈 信長 ギル ジェダ グッドマン ドラキュラ(CV若本) です☆あだ ナインボール=セラフ 最終防衛システム 先生 白レン 西瓜 絶壁 謙虚なナイト サタン(アクトレイザー) ムカイさん マガキさん ボスハルク プリキュア Mr.G マカマカ キングベヒんもス + ... さらに… 番外編 本戦からあぶれてしまったラスボスの皆さん(構成はさらにフリーダム) サガット カイン クリザリッド 牛 フィオナ ボビー フェルデン・クライス アポカリプス 本気カラテ 兇國日輪守我旺 レッドアリーマー CCO 大地神(ガーディアンヒーローズ) ラオウ ブレイド ボーナスくん お梅 リョウ・サカザキ サノス ジャズゥ ワラキー シャオカーン ゴンザレス セフィロス トリガー Dr.Doom ジョンス・リー クッパ 骸 ジャイアント秋葉 バルバトス・ゲーティア メカ豪鬼 関連大会 真の最強ラスボスタッグはどれだ!トーナメント コメント あんなに人気のトナメだったのに今まで項目がなかったことに驚いた。編集乙 -- 名無しさん (2008-12-05 17 28 59) 考えてみればそうだな -- 名無しさん (2008-12-05 18 15 14) あれ?豪鬼だけいないなあ…。 -- 名無しさん (2008-12-05 19 03 10) Mr.G・・・、いったい何者なんだ? -- 名無しさん (2008-12-05 20 35 55) そりゃジェn…おや誰か来たようだ -- 名無しさん (2008-12-05 21 56 40) 新作ktkr しかしこのうp主は何と呼べばいいのだろうか。個人的にはプリキュアの人なんだがw -- 名無しさん (2009-01-06 21 42 28) プリキュアの人でいいよ。呼びやすいし。 -- 名無しさん (2009-01-06 21 48 49) 今更思うと、ヨハンの通行人ネタの始まりってこの動画からだよね。 あとなぜブロントさんがいたのだろうか…? -- 名無しさん (2014-07-16 13 26 43) 名前 コメント マイリスト 【ニコニコ動画】MUGEN動画
https://w.atwiki.jp/140905580/pages/129.html
タグ一覧 このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart201~205)です。 SSまとめスレはこちら part1~10はこちら part11~20はこちら part21~30はこちら part31~40はこちら part41~45はこちら part46~50はこちら part51~55はこちら part56~60はこちら part61~65はこちら part66~70はこちら part71~75はこちら part76~80はこちら part81~85はこちら part86~90はこちら part91~95はこちら part96~100はこちら part101~105はこちら part106~110はこちら part111~115はこちら part116~120はこちら part121~125はこちら part126~130はこちら part131~135はこちら part136~140はこちら part141~145はこちら part146~150はこちら part151~155はこちら part156~160はこちら part161~165はこちら part165~170はこちら part171~175はこちら アダルトコンテンツは乗っけると最悪wiki削除なのでやばそうだなとおもったらリンクかスレ位置を置いておいてください(主にルドトレ) リンク例は編集画面にてコメントアウトしています。 目次 目次おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part201【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part202【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part203【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part204【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part205【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part201【TSトレ】 ≫25二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 17 52 04 フクトレ『今日のゲェストハァ〜↑(若本の真似)』 スズトレ「2点」 マクトレ「辛辣だぁ!」 スズトレ「安心してください。9点満点です」 フクトレ『おや高得点。まあいいやゲストはマヤトレです』 マヤトレ『お二人とも、どうぞよろしくお願いします』 マクトレ「あれ何でマヤトレ天の声側?こっち来いよ〜」 スズトレ「そうですよ。一緒にゲームしましょう?」 マヤトレ『ゲストは真ん中に座るという都合上死ぬ未来が見えるので天にいったぜ。代わりにそれを置いておくぜ。まあさておき今日やるゲームはエースコン○ット7だ』 マルスズ「「おお〜ホラーじゃない」」(歓喜) マヤトレ『お義父さんから空戦のやり方は叩き込まれてるから適宜アドバイスしていくぞ』 マルトレ「お父さん?」 スズトレ「嘘でしょ……マヤトレのお父さん何者なの?」 ≫50二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 18 03 16 「ビキニ…ビキニか…いやトレセンでビキニってどうなんだ…」 「フクトレも巻き込まれてるな…っていうか全員か!また何かの作為を感じる!」 「でもまあ、スぺちゃんあたりも水着で歩いてたから大丈夫じゃなーい?」 「まあそれはそうですけども…納得しきれませんわ」 「しかもどうして牛柄…」 「わからん…わかりたいか?」 「わかりたくないなー…」 「私たちはそこまで大きくないですが、大きい人だとちょっと拙そうですわねえ」 ≫52二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 18 04 46 ひとり酒 オグトレ 俺は突然ウマ娘になった。何がどうして、こうなったかはわからない。周りのトレーナーがウマ娘になって精神的にも女になってしまった者もいる。身近な奴だと併走トレーニングで付き合いの多いシンボリルドルフのトレーナー。彼があんなに可愛らしい者になろうとは想定外だ。以前の彼と今の彼女は全くの別人だ。俺もああなってしまうのだろうかと少しの不安を抱いたが、そうはならなさそうだった。このあたりはトレーナーとその担当ウマ娘が、トレーナーのウマ娘化によりそのトレーナーの担当ウマ娘がどうするか、が大きいように感じた。ウマ娘になり、以前よりずっと短い手足、長い髪、下半身に偏ったスタイル、力加減と、料理をする際に不便に思うところもあったが慣れてきたようだ。ついでにこの女物の服と下着も。 ───トレーナーはウマ娘になっても変わらないな 2日目か3日目くらいに安心したような顔でオグリに言われたことば。おそらくルドルフのトレーナーを見ていたから心配していたのだろう。彼女のように精神的な女性化をしてしまうトレーナーもいるが、そうでない者もいる。見た目が変わっても俺は変わろうとは思わなかった。姿形が変わろうと俺は俺で在り続けていたい。元の身体に戻るまでこの身体に適用しつつ、オグリとは変わらずの関係でありたい。アイツは俺にとって大事な家族のような存在だ。冷した徳利に純米大吟醸の日本酒を注ぎ、作ったつまみを用意し、月明かりの照らす窓際に置く。お猪口に日本酒を注ぎ、口にする。身体が変わっても舌が変わらないことは有り難い。オグリに作ってやる料理も前と変わらずの味でできるのだから。 「オグリが今までと変わらない距離で接してくれているのは有り難いな…」 しかし、この容姿だと事情を知らない者には親族に見られそうだな。学園内歩いていると時々間違えられる程度には似ているようだ。遠目に見ると確かに似た風貌ではある。 「おれ…いや私か。私以降もどんどんトレーナー達がウマ娘になってしまうなんてな」 増え続けるウマ娘になってしまうトレーナー達は戻る事を許されるのだろうか。戻れない者もいるだろう、その選択の余地はあるのだろうか。ある意味お祭り騒ぎのようになっている現状は受け入れよう。踊る阿呆に見る阿呆、踊らにゃ損損。俺は『俺』を忘れないままこのお祭り騒ぎを楽しませてもらう事にするがね。 ≫57二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 18 10 04 マヤトレ『さあカウントダウン始まりましたね。アーセナル◯ード撃墜まで3.2.1.ゼロ!』 マヤマルスズ「「『いっけー!』」」バフンっ マルトレ「ん?」(牛柄ビキニ) スズトレ「え?」(牛柄ビキニ) フクトレ『おん?』(牛柄ビキニ) マヤトレ『おわぁ!!フクトレなんだその格好!?』 フクトレ『何じゃこりゃぁぁぉ!?』 マルトレ「……なんか羽織るもんなかったっけ?」 スズトレ「嘘でしょ……何でそんな冷静なの……?」(涙目座布団でガード) マヤトレ「二人とも大丈夫か!!」(毛布を持って駆け込んできて二人にかけてあげる) マルトレ「あー、悪いありがとう」 スズトレ「マヤトレ…….ありがとう……!」 マヤトレ「いい、それよりも早く」ボフン(牛柄ビキニ) マヤトレ「Nooooooooo!!!!」 ≫60二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 18 13 46 「…………なあボノトレ」 「何マヤトレ…うわぁ……。…うわぁ」 「何も言わずに羽織るものを貸してくれ」 「…まあボクも同じ格好というかどうも今日は皆牛柄ビキニ化してるみたいだからあんまり文句は言えないけどさ、やっぱ男がやると普通にセクハラで訴えられそうだねその恰好」 「俺が…俺が…何したって言うんだ…。マヤノには泣かれるし…。あとお前も男じゃろがい…」 「まあ流石に可哀想だし今日くらいは指導変わってあげるから存分に休みなよセクハラロリコン変態野郎」 「ふふ、今日ばかりはなんかボノトレの毒舌も心地いいわ…」 「…重症だねこれ」 「聞いてくれよ…こうなった時な、俺マルトレスズトレとゲーム配信中だったんだ。いきなり二人が牛柄ビキニになってな、嘘だろやべえって毛布持って駆け込んだらな…はは」 「…………いやもう何も言えない。こんなことある?」 「聞いてくれてありがとう。もう…なんかいいや…。…ところでカレトレは?」 「カレトレならカレンチャンからカワイイ指導食らってたからしばらくカワイイカレンチャンしか言えない体にされてると思うよ」 「なんだいつも通りか…。というか本当に何なんだこの事態…」 「さあ…分からない…。いや本当に何も…分からない…」 「…前向きに考えよう、担当バが牛柄ビキニになるよりはましだって」 「マヤトレに関しては完全に巻き込まれ事故以外の何物でもない気がするけどまあそれはそうかもね…、牛柄ビキニを着たアケボノは…やばい」 「…………牛柄ビキニを着たマヤノ」 「もしもしマヤノのパパさん?」 この後無事呼び出されたパパノトップガンがしばらくフリーズした後いいだろトムクルーズだぜしてくれましたとさ マヤトレは色んな意味で泣いた うまぴょいうまぴょい ≫69二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 18 21 29 「トレーナー、入るわ…ぁあ!?」 「あーベガ。おはよー」 「いやちょっと!?なんで牛柄ビキニなのよ!?」 「朝こっち来て気が付いたらこうなった!」 「そ、外に出たらだめよ!」 「なんで?」 「私とほぼ同じ顔じゃないの、誤解されかねないわ!」 「…あー!そうだったわね!」 「ところでアルは?」 「恥ずかしがって引っ込んでる」 「……もうちょっと恥じらいを持ちなさいよトレーナー」 「でもマクトレも普通に外出してたわよ」 「……マックイーンはあれでいいのかしら…」 ≫76婚活プリトレ登場!21/10/10(日) 18 23 58 「はあ……また男性の方とうまく話せなかったわ……」 キリっとしたスーツをきっちり着こなし、姿勢正しくきびきびと歩きながらも、その口からこぼれるのはため息。 男性からはキャリアウーマン、鋼鉄の女、って思われながら、女性やウマ娘からは親しまれ、中にはお姉さま、なんて呼ぶウマ娘がいる。 そんなウマ娘のトレーナー一筋20年、三十台になってもまだ男性の方とお付き合いできていない。 だけど本当はわたしだって、私だって…… 「お姫様になりたいのに……」 空に空虚なため息がこぼれる中、その声は聞こえた。 「どっせえええええい!!王子様は、自分の手でつかみ取ってみせますわ!!」 その気合の入った声がグラウンドから響き渡る。 その声に引かれて見に行くとそこには一人のウマ娘が走りこんでいた。 どこまでも一直線に勢いのままに走りこむ姿。 彼女のは知っていく向こう側には、何故だろう、王子様の姿が見えるようであった。 「あなた、良い走りよ。確かカワカミプリンセス、だったかしら?」 「あら?あなたはトレーナーさんですわね。もしかして私の走りを見に来たのですか?」 「ええ、あなたの走り、勢いがあってとても気持ちのいい走りだったわ、一つ、教えてくれるかしら」 「そう言ってくださるとうれしいですわ。教えてほしいこと、なんですの?」 「あなたの走りへの想いは?」 「もちろん、王子様と手を取り、共に戦うお姫様になるためですわ」 「!!共に戦うお姫様に……」 「ええ、私、理想の王子様と一緒になりたいですわ。でも待っているだけでは来ませんわ。だから私自身も王子様に相応しいプリンセスになって、自らの力で掴みとってみせるのですわ!」 77婚活プリトレ登場!21/10/10(日) 18 24 54 その姿は、どこまでも一直線で、キラキラと輝いていた。 ああ、だから彼女の走る先には王子様の姿が見えたのね。 そんな彼女を見ていると、私も久しく忘れていた理想への想いがふつふつとわいてきます。 彼女と共になら、どんな障害だってぶち破っていける、彼女の進む道、彼女が王子様を捕まえるのを見てみたい、と 「ふふ、ふふふ……あっはっはっはっはっは!」 「な、なんですの、突然笑いだして、可笑しかったの?」 「いいえ、可笑しいのではないわ、あなたの気持ち、すごく分かるもの。私も、理想の王子様と一緒になりたいって思っているから」 「あ、そうだったのですわね。なら一緒に戦いましょう!一人でダメなら二人でぶつかればきっと見つかりますわ!」 「ええ、私も同じことを思っていたわ、一緒に見つけましょう」 そうして彼女のトレーナーとなったのでした。 それからしばらくは彼女と王子様に語ったり、レースに向けて一緒にトレーニングをしていました。 彼女に触発されて私もトレーニングを始めましたが、如何せん彼女のような力はありません。そこは人間とウマ娘のさ、というものですね。 そんなふうに日常を過ごしているとある日…… 目を覚ますと私はウマ娘になっていました。 最近起きているウマ娘化現象なのはすぐにわかりました。私は元々女性ですが、やはりウマ娘の身体は慣れず、身だしなみのために髪を梳こうとしたら櫛がすぐに折れてしまいました。 「トレーナーさん!ウマ娘になったというのは本当ですの!」 連絡をしたカワカミプリンセスがすぐに駆け付けてくれました。 こういう時にすぐに駆け付けてくれる彼女がすごく頼りになります。 78婚活プリトレ登場!21/10/10(日) 18 25 09 「ふ、ふふ……ええ、私もウマ娘になってしまったわ」 「心配いりませんわ、一人でダメなら二人で、私がついていますから、安心するのですわ」 「あなたの一直線なまでの元気、すごく頼りになります。ええ、どんな障害があろうとも、二人の力なら」 「ええ、大丈夫ですわ!」 彼女の元気に後押しされ、また今までの経緯もあってすぐに対応が行われたことで、問題なくことは進んでいった。 だが、一番の悩みは自分自身の力の制御でもあった。 強く握り過ぎてすぐに壊してしまいがちなのだ。 元々私は不器用で、料理も上手くいかず、力加減なども苦手な部類であった。 そのせいか、ウマ娘になった後も力加減がなかなかうまくいかなかった。 ですが、カワカミプリンセスは…… 「その力なら、きっと王子様を一緒にとっ捕まえることができますわ!」 そう言ってくれたのです。 そう、今まで私は確かに力がなかった。男性にアタックする勇気も、いつか現れると思って待ち続けているところも でもそれでは王子様は現れない、カワカミプリンセスのように私だって 「ええ、その通りよ、カワカミ!こんなところでいじいじしてはいけないわね」 「それでこそ私のトレーナーですわ!さあ、行きましょう、理想の王子様の元へ」 「一人でダメなら二人で、根性と力で切り開いて見せるわ!」 そして二人は駆けだす、理想の未来へ向かって なお、ウマ娘化しても男性には緊張するのは変わらなかったとのこと。 ≫84二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 18 30 48 「ルドルフ、はいこれ。読み終わったら貸すよって言ってた奴」 「そこに置いといてくれないか。この書類を片付けたら読もう」 「はーい」 よくある生徒会室での日常。この二人に関しては本の貸し借りについて深く考えてはいけない。因みに内容はある独裁国家の虚構とその成立過程について記されたものである。因みに新書だ。 「……あ、コーヒー淹れるね?」 等と話していると…… ボフン 「ぴゃぁ!?」 突如ルドトレの服が牛柄ビキニに変わる。 突然の事態にルドルフも思わずトレーナーを凝視する。不純なことは考えてないよ、ほんとだよ。 「……トレーナー君。火傷はしてないか?」 「あ、うん、そこは大丈夫だけど……」 「ならよかったが……私のジャージを取ってこよう。コーヒーを飲みながら待っていてくれ」 「……はーい」 そうして部屋にはトレーナーだけが残される。 「……いいこと考えちゃった」 ────15分後 「トレーナー君。今戻っ──なっ」 「ルドルフ、あそぼ?」 ルドルフが部屋に戻ってくるとそこには、牛柄ビキニの下の紐に手を伸ばし、セクシーポーズを取るトレーナーがいた。 沈黙、そしてルドルフがトレーナーに近づく。 「ぴっ」 手を出すよりもデコピンが飛ぶ。 「な、なんで……」 「風邪を引いたらどうする……ジャージは取ってきた、羽織ってくれ」 「……はーい……」 ────その夜、ルドトレはぐちゃぐちゃにされた。主に上半身を責められた。 ≫85二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 18 37 28 ではどうぞ 恐怖と向き合い、未来を創る覚悟 あの日、僕がウマ娘になってからずっと見続ける夢 僕とみんなで笑いあう姿をただひたすらに横から眺めるだけのもの そして決まって声が聞こえる、問うてくる。 ———君は何者なのかな、君に覚悟はある?君のようなやつに。 そして僕は何も返せない、返すことが出来ない。 そして目が覚める。いつものように。 ジリリリリリリリ!!! 目覚ましに起こされ、浮かない気分のままに支度を始める。 いつもならダイヤが世話しに来るが、所用ができたことで数日間いない。 ダイヤからの心配で飛んできたであろうメールに返信しつつ、朝食をとる (・・・味気ないな) 食べ終えるといつまでもなれない女物の服を着る。ダイヤが用意してくれたそれは 見た目に反して快適なものだった。 支度も済ませ、外に出る。特に予定もなく学園を歩く 朝早くで人影もまばらな敷地を眺めていると、聞きなれた声がした。 「あっサトトレさん!おはようございます!」 「キタちゃんか、おはよう」 友人の担当でありダイヤの親友でもあるキタサンブラックちゃんだった。 「サトトレさん、さっきまで歩いてたの?」 「うん、そうかな。ダイヤもいないからすることもあまりなくて」 「そっか、私もダイヤちゃんがいなくて寂しいかな」 二人で歩く、何をするわけでもない時間が過ぎていく。 「ねえサトトレさん、なんで浮かない顔してるの?」 「それは・・・」言葉に詰まる。思わず目を伏せる。 「最近のサトトレさん、元気なさそうだったから」 「だからサトトレさん走りましょう!」 86二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 18 37 45 そうして早朝のターフに来た。 キタちゃん曰く早朝は利用者が少ないので使いやすいらしい。 「さあサトトレさん、準備できましたか!」 服を軽く整えると返事を返す。 「うん、できたよ。」 「なら行きましょう!」 そう言って彼女は走り出す。僕も置いてかれまいと続く。 ターフの上を人では決して出せない速度で走っていく。風が心地よい。 「楽しいですかサトトレさん!」 「・・・うん。楽しいよ」 「余裕そうですね!ならもっと早く走りましょう!」 更に加速していく彼女に負けじとついていく。 心にかかっていた重みが外れていく。どんどん体が軽くなっていくような気がする。 (気持ちいいな、走ることって。) 更にある程度走ったところで僕がつらくなってきたので止めた 息を落ち着け、かいた汗を軽くふき取る。キタちゃんが話しかけてきた。 「サトトレさん、すっきりしましたか?」「ああ、うん」 「ならよかったです。せっかくなので私からひとついいですか」 うなずいて返す。彼女は笑いながら言った。 「毎日を楽しんでいきましょう!どんな時でもです!」 「・・・あはは、そうだね。」 そう返すと満足げに彼女はうなずいた。 「そろそろ時間だからいきますね!」「うん、いってらっしゃい」 立ち去っていく彼女を眺めながら、言われた事を思い返す。 (楽しく生きる。か・・・) ———楽しんで過ごすこと。 25% ≫143二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 19 13 30 「トレーナーさん、確かに女物着るように勧めてたけどそれはどうかとセイちゃん思いまーす」 「これは違うから!わかってるよなスカイ!?」 「にゃははっ、でもトレーナーさん。厚底脱いだ方が良くない?」 「靴は変わらないだろうし良いんじゃないか、ああ本当にどうしよう。微妙に下のサイズ小さいし」 「その服でトレーニング行く気なんです?転けやすい靴のまま」 「…靴脱いでも転けそうだしこのままで!何か羽織れば問題ないから」 「はいはーい、でも今日はプールトレーニングですよ。案外大丈夫じゃないです?」 「大丈夫じゃないから!下がコレとか見られたくないからな!?」 「えー、水とか掛けちゃ駄目?」 「駄目!」 練習後セイトレはセイウンスカイに水をかけられた。 ──セイトレは転けた。 ≫155二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 19 21 57 こんにちは!言うっちまうスレの慈愛の女神!パラシンちゃんです! 今日は特に何もないですけど!先輩方のところに行きます!けして担当が居なくてヒマだからと言う訳ではありません!断じて! コンコン!パリン!先輩!遊びに来ましたよ!持て成してください! 「帰れ」バタン 追い返されちゃいました...暇なので扉の前で捨てられた彼女ごっこをしているとマヤトレさんが声をかけてくれました。 「そんな所でなn」ポフン 牛柄ビキニになるマヤトレ ビキニの股関部がドアップで目の前に.... ちっさ ─────── マヤトレは3日ほど寝込んだ おしり ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part202【TSトレ】 ≫34二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 19 47 06 (聞こえますか…聞こえますか…三女神〔うまぴょい〕です…今あなたの夢の中で語りかけています…) (今日は大変な一日でしたね…ところでこの呪もとい祝福は明日も続かせます…) (でも振り回してばかりは流石にトム○ルーズされるのであなたたちにも選択肢を与えましょう…) (牛柄マイクロビキニとマイクロビキニバニー、どちらが良いですか…?) ≫45二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 19 51 54 フクトレ『本日プレイ中のゲェームはぁ〜最恐と名高いあのゲェームぅ……(若本の真似)』 スズトレ「……」 フクトレ『採点がなぁい、マルトレの叫びでマイクがやられたかぁ?(若本続行)』 フクトレ『違う……、き、気絶してる……』 マルトレ「あっ……あっ……」 フクトレ『こっちも気絶してる……』 フクトレ『テイトレ〜大丈夫か〜?』 テイトレ「ひっ……!ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!助けて、助けてよテイオー!いやあ!」 フクトレ『やばいこれ放送事故だ!』 ≫106ケツ、服を買う 1/521/10/10(日) 20 15 27 「トレーナーさん、服を買いに行きましょう」 その一言で今日が最悪の日になるのが確定した。 「いや…いいですよ、服ぐらいあります」 「嘘つかないでください…ずっとその地味な服ですよね」 バレてる…ウマ娘になってはや2週間、適当に3つ買ったこの服をずっと着回していた。いやそりゃバレるか…。 「ほら…行きますよ」 そう言って手を引っ張られる。当然だが彼女の方が力が強いので抵抗はできない。どうせウマ娘になったならもう少し筋力欲しかったな…っていうかウマ娘になってからカフェに引き回されることが多くなってないか? などどうでもいいことを考えながらついて行くのであった。 トレセン学園最寄りの駅の近くにあるデカい服屋。 今まではなんか雰囲気が怖くて来なかったが、抗えるはずなどない可哀想な俺は入店してしまう。 「うわ…まぶし」 思わず呟く。キラキラと輝く店内の服、そして如何にも陽キャですよって感じの客たち…あれ?ここ本当に俺が居ていい場所か? とりあえず頭の中で策を練ってみる。色々な服を適当に見て時間を潰し、結局買うものが決まらなかった…よし、これでいこう これで何とか乗りきれるハズ… 「じゃあトレーナーさん、服持ってきますね」 …どうやら前々から目星をつけていたらしい、対ありでした。 108ケツ、服を買う 2/521/10/10(日) 20 16 25 「…着ましたよ、カフェ」 「どれどれ…おぉ、いい感じですね。」 良かった、思ったよりはマトモ…というより俺が着れる範囲のモノだった。ファッションは詳しくないが、中性的かつ地味でも派手でもない。これなら俺でも大丈夫だ。…ってか俺イケてないか?あれ?俺イケてる? っとマズいマズい、このままだとカフェの思うがままだな。とりあえずここは… 「えぇ!僕も気に入りましたよ!じゃあこれを買って今回は…」 「それは良かったです、じゃあ次のを持ってきますね」 …っすよね〜、知ってましたよええ。 110ケツ、服を買う 3/521/10/10(日) 20 17 34 「トレーナーさん…まだですか?」 「はい…今見せます…」 「おぉ…少し似合うか心配でしたが問題ないですね。良かったです」 さいですか、俺の心情はヤバいですけどね。 この身体になっても保ってた男の尊厳がモロモロと崩れていってるのがわかってしまう。なんですかこのリボンは、女の子が付けるやつじゃないですか…俺女だわ今。 それに…それに人生初のスカートが心もとなさすぎる。公共の場で空気が足に触れるの本当頭おかしくなるぐらい恥ずかしいんですけど。 もちろん見えパンなんてものは無いので、めくれたら一巻の終わりである。 「あの…カフェ…?流石にこれは…?」 「…嫌でしたか?」 そんな目で俺を見ないでくれ…断りにくい… 「…買います」 あーあ、言っちゃったよ俺、どうすんだよ俺。 「そうですか、心配しました…じゃあ次のを持ってきますね」 まだあるの…?ウソでしょ…? 111ケツ、服を買う 4/521/10/10(日) 20 18 40 「……いい加減着ましたか?」 「……」シャッ 「やっと着てくれましたか…あんなに嫌がらなくても…」 あー…どっからツッコみゃいいんだ? まずなんでこんなもの売ってるの?ブルマって…なんでブルマ…?足の露出がさっきよりも激しいんですけど…あ、ヤバ…涙出てきた。 あとカフェさん俺で遊んでますよね…? 「泣いて喜んでくれてるんですか?」 天然なのかわざと言ってるのかわからん… 「…じゃあこれも買いましょう」 「買いません!!!!!」 俺の声は店内に響いた。 112ケツ、服を買う 5/521/10/10(日) 20 19 10 ────結局3時間も店内で過ごしてた…あの後も色々着せられて疲れたし金も無くなった、もやし生活も視野に入れなくては… 「トレーナーさん、今日は楽しかったですか?」 …カフェが笑ってる、どうやら今日はよっぽど楽しかったらしい。 散々に着せ替え人形にさせられたが、正直俺も楽しんでいなかった訳では無い…少しだけ。 それにカフェが喜んでくれたなら… 「えぇ!楽しかったですよ!」 「ふふ…また一緒に出かけましょうね」 「もちろんです!」 俺は嘘偽りのない笑顔で答えた。 〜1週間後〜 「トレーナーさん、水着を買いに行きましょう」 「…え?」 ──終わり ≫142ガンギマリ頭スズトレ21/10/10(日) 20 36 38 生徒会主催ダンスパーティ。くじ引きによって決められたペアでダンスを披露する不定期(ほぼ月イチ)開催になってる行事。 私が参加しだしてから多分3回目のそれが今日開かれていた。 「3…となると…」 「私だよスズトレちゃん!」 勢いよくルドトレが手を上げる。その手には私と同じ3と書かれたくじ。 「あ、ホントだ。こういうのでルドトレとペアになるのって結構久しぶりじゃない?」 「そうだね〜。少なくともウマ娘になってからは初めてだと思う。」 やったね!とルドトレが元気に言う。そういうとこだよ?ってツッコミたいが絶対分からないだろうから心の奥底へ。 少なくとも今日、ルドルフは別件でいない。途中で連れ去られて私がぼっちになることはないだろう。 「これから抽選進めばドンドンドレスルーム混むだろうしさっさと行く?」 「そうだね〜」 「分かった、じゃあパパっと終わらせるかぁ。」 そんな緩いやり取りをしながらドレスルームに入って扉を閉める。 「いつ見ても信じられないくらい種類あるね…」 「そりゃそうだよ〜学園で企業の方集めてパーティ開くことだってあるんだし。」 「あーそれもそっか。持ってない人に貸し出す必要もあるもんね。」 有名なウマ娘やそのトレーナーならパーティに招かれることも少なくはないし、そういうものは状況によって求められる衣服の感じが変わったりもする。それを各自用意すれとはいかないんだろう。 「…さて、スズトレから選んでくれるかな?私はそれに合わせるから。」 一段階ほど声を低くしたルドトレが促す。 その顔にはさっきまでの傾国美女かという魔性っぷり完全に消え、代わりに凛々しさが宿っている。 「…久しぶりに見た、その顔。」 「まあ、結構頑張る必要があるからね。こういう場くらいしか無理なんだよ。」 そう言いながらルドトレが苦笑いする。ダンス系はいつもこうして変わらずルドルフの事をエスコートしてるんだろう。これならルドルフも掛からないだろうし。 143ガンギマリ頭スズトレ21/10/10(日) 20 37 04 …ただ、今日はルドルフいない。 「はい、これルドトレの。だいぶオシャレセンス磨かれたから似合うと思うけどとりあえず試着してみて。」 「…いや、これは完全に女性側の…」 「どうせルドルフ相手以外でもずっとそれでリードしてきてあげたんでしょ?」 驚いたように黙る。うん、図星のようだ。 「身長は私の方が上。体つきも私の方が男より。ルドルフは見てない。────なら、今回くらい俺がやってもいいだろ。」 「…スズトレもできたの?」 「いや、初めて。ぶっちゃけ違和感がえげつない。ホントに男の頃俺この口調だったよな?ってレベルで違和感あるが。」 正直今までで1番精神まで変化していることを実感してる。まあだがあくまで違和感がヤバいだけだ、全然通せる。 「まず戻れるかも分かんないが、1回くらいはウマ娘…てか女性じゃないとできない側体験しといてもいいだろ。せっかく同期でペアなったんだしな。」 「…なら、スズトレに甘えよっかな!」 弾けるような笑顔と共にルドトレの声のトーンが戻る。 そして、数分後。2人で扉の前に立つ。 「しっかりリードしてよ?わざわざ男役譲ったんだから〜。」 「当たり前だろ。俺だってルドトレほどじゃないが踊る機会はあったからな。 …じゃ。お手を拝借。」 「喜んで。」 中から微かに聞こえるアナウンスと共に、扉が開く。 ────さあ、主役達の登場だ。パーティを盛り上げるとしよう。 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part203【TSトレ】 ≫22二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 21 25 04 恐怖と向き合い、未来を創る覚悟 2 頭の中に響いてくる訳の分からないもの また聞こえてくる、誰なのかわからぬ声 ———まだ潰れないか、そろそろかと思うがね 僕は振り払うように叫んだ 「お前は・・・誰なんだーーー!」 ジリリリリリリリ!!! はっとなりあたりを見回す。誰もいない屋上だった。 空は雲一つない青い青い空、心地よいそよ風が吹いている。 少し疲れた気がして、思わず手すりにもたれかかる キタちゃんから言われた事を考えている、いつもと違った感覚で (なんでこんなに引っかかるんだろう・・・?) ふと立ち上がり、屋上から降りようとしたとき プルルルルル! 思わず飛び上がりそうになった。すぐに取り出して確認する。 そこにはダイヤの名前が上がっていた。 電話を取り、久しぶり———といっても半日ぶりくらいに声を聴いた。 『もしもし、トレーナーさん』 「ああ、ダイヤか。どうかしたの?」 『いいえ、なんとなく心配になったので。寂しいですか?』 「・・・うん、少し寂しいかな。」 『そうですか・・・安心してください。明日には帰れますから』 「そっか、それは嬉しいな」 『ん・・・大丈夫みたいですね。それでは・・・』 23二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 21 25 29 その時、ふとよぎったそれを思わず言ってしまった。 「待ってダイヤ。聞きたいことがあるんだ」 『何ですか?』 「その・・・なんで僕に文句の一つも言わないんだ」 『・・・』 「こんなのになった僕を気遣って言ってないのか・・?」 『・・・トレーナーさん、なら言わせてもらいますね』 身構える、何を言われてもおかしくなかった。 『そんなに私が信じられないんですか・・・?』 「違う!そんなことはない!」 ダイヤの言葉に思わず叫んでしまう。 「僕のためにずっといてくれたんだ!信じられない訳ない・・」 『冗談ですよ、私に迷惑をかけてないかという事ですよね。』 「・・・うん」 『迷惑になんて思う訳ないです。むしろ嬉しいんですよ』 『トレーナーさんのことを支えられるんですから。だから・・・』 『これからも支えあいたいです。・・・良いですか?』 「悪いわけないよ、ありがとう。でもなんでずっと・・・」 『忘れましたか?私の意志はダイヤのように堅いんですよ?』 『折れない意志の強さは私の取柄ですからね』 「そうだったね・・」 『はい。ではまた明日に』 電話が切れる。切れた画面を見ながらダイヤの言葉を噛み締める。 「折れない意志か・・・」 ———折れぬ意志 50% ≫47ロブトレヒロイン概念21/10/10(日) 21 36 55 ロブトレ牛柄ビキニSS 「トレーナーさん、今日の牧場、とても楽しかったですね」 「ええ、私も楽しかったですよ。それにロブロイは牛に好かれやすいのですね、沢山甘えられていましたね」 「ふふ、はい、昔からなぜか牛さんに好かれやすくて……私の好きな英雄譚であるロブ・ロイも元々は牧畜で働いていて、牛にとても好かれていたといわれています。ロブ・ロイと同じように牛に好かれやすいのは私の中で自慢できることなんですよ」 牧場からの帰り道、ロブロイと二人で今日の牧場でのことを話し合う。 ロブロイとは時折牧場に一緒に出掛けることがある。昔から牛に好かれやすい体質とのことで、牛とのふれあいが彼女の中で癒しにもなっているのである。 そのおかげか、今日の彼女はとても調子がよく、絶好調ともいえた。 そんなふうに二人で語りながらトレーナー室へと向かっていくと……。 ボンッ 「きゃっ!」 「む、こ、これは……」 突然煙が出たと思ったら、なぜか肌寒く感じます。 風邪をひいた、というよりもまるで肌に直接夜風が当たっているような、服がなくなってしまったかのような…… そう思い、自分の身体を見る。するとそこには…… 「え……あ、ああ!」 「え、と、トレーナーさんの服が……」 先程まで来ていた服は消え去り、代わりに牛柄の水着、それも肌面積の小さなビキニ、チリンチリンとなるカウベルのついたチョーカー、そして牛の角の生えた姿になっていました。 どうしてこんなことに、誰が、三女神?いや、それよりも、それよりも…… 「!!!~~~~~~~~」 「と、トレーナーさん!」 「う、うう……こ、こんな場所で、こんな姿に……」 49ロブトレヒロイン概念21/10/10(日) 21 37 23 思わずその場にうずくまってしまう。 確かにビキニとかは着たりしますが、それは海水浴やプールに限った話。 夜とはいえ、人の往来のある場所で、それも肌面積の小さなビキニなんて…… 恥ずかしくて、自分の体を小さくしてしまいます。 「と、トレーナーさん、大丈夫、です。これを……」 ふぁさっ…… 私の体にコートがかけられる。これは、彼女の着ていたコート…… そして私の手をつかむと 「トレーナーさんの家はもうすぐそこです!走れば、きっと、大丈夫です」 「え、は、はい……」 ロブロイに手を引かれて全速力で駆け出す。 チリンチリン、と音を鳴らしながらすぐに駆け込み…… 「はあ、はあ……これで、大丈夫、です」 「あ、ありがとう、ロブロイ……助かりました……」 トレーナーの自宅、トレーナー寮に到着する。どうにか誰にも見られずにすんだようです 「い、いえ、そんな……そ、その、トレーナーさんも大丈夫ですか?」 「ええ、ここなら人の眼もありませんので、少し、落ち着きました」 「よかったです、トレーナーさん……それに、他の人に見られなくて、よかったです……」 二人で一息をつく。本当に夜中でまだ誰もいなくてよかった。 こんな姿を誰かに見られたらすべて終わっていました。 50ロブトレヒロイン概念21/10/10(日) 21 37 43 「ええ、本当に……こんな姿、他の方に見られたらどう思われていたことか……ではすぐに着替えますね……これは……」 「と、トレーナーさん、どうしましたか?」 すぐに三女神によるビキニ服から着替えようとすると、クローゼットの中には服はなく、代わりに一枚の手紙だけが落ちていました。 「いえ、服がなくなっているのです、代わりに手紙が……」 「え、それって、盗まれた、ということですか?」 「いえ、違いますね、恐らく三女神によるものです、手紙にも明日には返してくれる、とのことでしたので」 手紙を開くと、どうやら三女神からの物であった。 時折こうしてウマ娘化したトレーナーたちを弄んでいるが、どういう意図でこんなことをしているのやら…… 「あ、三女神……なのですね。何だか三女神へのイメージが崩れていきます……」 「それは私も同感ですね。とりあえず、今日はこのままでいるしかないですね……」 「でも、それだと風邪をひいてしまいますよね……と、とりあえず、今お風呂入れますね。トレーナーさんは待っていてくださいね」 「あ、ロブロイ……」 そのままお風呂にお湯をために行ってしまう。 最近は私の家に来ることも時々ありますが、もう自分の家のように分かっているようです。 それが少しうれしくも感じられます。 「ですが、牛柄のビキニ、ですか……」 今は自宅であり、このままお風呂に入って布団に入ればそれで終わる。 それで、明日には元通りになっている、そのはずだが……。 51ロブトレヒロイン概念21/10/10(日) 21 38 20 チリンチリン…… 三女神の影響でしょうか、ロブロイを見ていると……鼓動が、激しくなる……。 こんなことを思ってはいけない、彼女はまだ中学生、それなのに、こんな、こと……。 ヒタ、ヒタ…… 四つん這いでロブロイのいる浴室へと歩んでいく。 立って歩けるのに、わざわざ四つん這いで歩いていく。 歩くのと一緒にカウベルがチリンチリン、と軽やかになっている。 その音が余計に自分を堕としていく。 ダメなのに、こんなことしてはいけないのに……。 ガチャ 「トレーナーさん、お湯が沸きましたよ……え、と、トレーナー、さん?」 浴室の目の前まで来ると、ちょうどロブロイが出てくる。 ああ、ダメだ、これ以上は、これ以上は……。 理性が制止しようとするが止まらない、止められない。 今の、私は…… すりすり 「も、もぉ~」 「え……」 ロブロイの足に甘えるように頬ずりする。まるで、牧場にいた牛のように 52ロブトレヒロイン概念21/10/10(日) 21 38 33 「と、トレーナー……さん?」 「そ、その……今日の牧場の、牛の真似、でしょうか……これを着てから、おかしく、て……あ……」 チリンチリン カウベルを鳴らしながらロブロイがのどの下をなでる。撫でられると思わず甘えた声が出てしまう。 ロブロイの顔が、見えない……見ることが、できません…… 「トレーナーさん、今のトレーナーさんは、う、『牛さん』、で……私は『ロブ・ロイ』ということ、ですよね……」 「え……」 「そ、その、それなら、私が、私がトレーナーさんのお世話をします!」 そう言うと私の顔をクイッ、と上げさせる。 真っすぐにロブロイの顔が映る。その顔は耳まで真っ赤にして、まるでかかっているかのようで ああ、でもきっと……私も今、同じ顔をしているのだろう。 「はい、どうか、お願いします……も、もぉ~」 その後無茶苦茶お世話された。 53ロブトレヒロイン概念21/10/10(日) 21 39 03 翌朝 「う、き、昨日は……!!ロ、ロブロイ!!」 「ううん……トレーナー……さん、ですか?おはようございます……!!あ……」 「その、ロブロイ、昨日は、すみませんでした、あ、あんなこと、してしまって……」 「い、いえ、私こそ……そ、それに、少し、嬉しかった、です……」 「え?嬉しかった、ですか?」 「はい、昨日は三女神によるものではありましたが、その、トレーナーさんが私にあんなにも甘えてくれて、嬉しかった、です」 「そ、それは……その……」 「また、何時でも『ロブ・ロイ』になりますからね」 「……その、『ロブ・ロイ』であるのは、少しいや、ですね」 「え……あ、す、すみません……やっぱり、いや、でしたよね……」 「いえ、そうではありません。『ロブ・ロイ』ではなく、『ゼンノロブロイ』に甘えたい、ので……」 「!!と、トレーナー、さん」 「わ、ロ、ロブロイ……フフ……」 「トレーナーさん、はい、『ロブ・ロイ』ではなく、『ゼンノロブロイ』、私自身に甘えてくださいね」 「ええ……お願いします、ロブロイ」 後日、三女神によるものではなく、自らの意志でカウベル付きのチョーカーを買ったとか買わなかったとか ≫70二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 21 52 04 牛柄ビキニ。 確かにわかるよ、俺も好きだし。 わかるよ、わかるんだけどさ、 「なんで俺がそのビキニを履いているんだ?」 「まて、落ち着け…何故こうなったかよく思い出すんだ…」 俺は欲しかった資料を探す為に 資料室に来ていた、んでなかなか見つからなくて そのまま寝てしまったんだ。 そして朝起きたら… 「いやなんねーだろ…あれか?神様の悪戯的なあれか?だとしても元男にそれをするのはどうなんだよ…おかしいだろ三女神さんよぉ…」 だが、いつまでもここにいる訳にもいかない。 早くここを抜け出してどうにかしないと… こんなところもしマーチに見られでもしたら… 「トレーナーいつまで寝て…って」 「あっ…」 その日俺は大切な何かを無くした気がした。 ≫84二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 21 59 19 冬のある日。ルドトレ宅の炬燵に二人でみかんを頬張りながら駄弁っていた日のこと。 「……ルドルフ」 「……何かあったのか、トレーナー君」 「んー、そういえば久し振りに実家に帰ろうかなー、って。ほら、ネイトレちゃん実家に返したのに、私が帰らないってのもアレだし……」 「当機立断、思い立ったのなら帰るべきだろう。尤も私は学園に……いや、羽翼已成、エアグルーヴやブライアンに任せても……」 「……ルドルフも、私の実家に来る?」 少しの静寂が部屋を包む。が、ルドトレがスマホを手に取る。 「あー、お母さん?お久し振り……って、やっぱり声が変わってて慣れない?まあ仕方ないよね……あ、今年は実家に帰れそうだけど担当の子連れてきてもいいかな?え、義姉さんルドルフのファンなの?なら連れてくるかな……」 そうしてスマホを少し離してからこう言う。 「……どうする?ファンサービス、大事じゃない?」 「君にしては雑な手だが……わかった。君の帰省に同行しよう」 やったー、と軽く喜んだあと、即座に電話に戻る。 「と、いうことでルドルフを連れて帰るから。兄さんと弟、あと義姉さんによろしくね」 ────数日後。ルドトレ運転の軽自動車に乗り、二人は千葉県北部の沿岸部からかなり離れた場所に来ていた。 「うわー、懐かしい……」 「……衣錦之栄というべきだろうが、案外変わりない、のか?」 「まあ、ルドルフと出会ってからは一度も戻ってなかったから……」 「……全く、君というものは……」 「まあでも、そろそろ着くから……」 そう言いながら車はとある家に入っていく。 85二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 21 59 41 その家は最近立て替えたばかりといった佇まいの、庭付きの一軒家である。 「着いたよ!」 そう言いながらルドトレが車を降りると同時に、アラサーといった風体のスーツに眼鏡の男性が家から出てくる。 「久し振りだな。……いざ見ると本当に変わったな、お前」 「……確かに。でも兄さんはそんな変わらないよね」 「まあ、な。……とりあえずさっさと荷物持って入れ。目立たんとは思うが……」 「はーい、入ろうかルドルフ」 「お初にお目にかかります。彼の担当ウマ娘であるシンボリルドルフです」 「これはご丁寧にどうも。噂はかねがね聞いていますとも。ああ、私は彼……今は彼女か、の兄の○○です」 そう、簡素な自己紹介も済ませ家に入る。 そうすると、小さな男の子が駆けてくる。 「……ルドルフ!ルドルフおる!」 「あーほら、やめなさい。ルドルフさんも車に乗ってて疲れてるんだから……あ、これは私の息子で」 「○☆!四歳!」 「そうか。○☆君か。私はシンボリルドルフ。数日間この家に泊まらせてもらう」 「……え、ルドルフ泊まるん?」 「泊まるぞ、よかったな」 「やったー!」 にわかに騒ぎだす子供を見て、とてとてと一人の黒鹿毛のウマ娘も来る。 「……あ、本物?」 「失礼なこと言うんじゃない……というか、玄関で立ち話もまずいだろ。あ、母さんと弟は買い出しに出てるからいない」 「はーい、じゃあ行こっかルドルフ」 「ああ。……お邪魔します」 ────そうして、居間に行くとしかめっ面の60近い男性が新聞を見ていた……がよく見ると新聞紙が逆さまである。 「お父さん、ただいま」 「……変わったな、お前。その子についても何も知らんから、今から二人で話して聞かせろ」 と、言いながらも長机の上には表紙にルドルフが大きく乗った雑誌が置かれている。そして、栞が挟まれているのはルドルフのページだと二人は一瞬でわかった。 86二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 22 00 09 「……照れ隠しでしょ、それ」 「……ちっ」 「だいたい、嘘つくにしてももう少し何かあったでしょ、お父さん」 「……まあ、そうだが……とにかく座れ。ってか、ああ。俺がコレの親父だ。女関係には癖の多い息子だがまあ、これからもよくしてやってくれ」 まあ、今は同性異性問わず誑かしてるな、と思いながらも兄夫婦含め六人で、弟たちが帰ってくるまで団欒するのであった。 ≫103寮長sトレのSS21/10/10(日) 22 17 15 ──コンコン 「あ、あの……肉じゃが作りすぎちゃったんですけど」 「待ってたよ。ヒシトレ」 フジトレ先生が迎えてくれる。なお、肉じゃがは持ってきていない。持ってきたのは料理の材料のみである。 「俺のことが分かるんですか!?」 「来る前に電話してくれたでしょー、それに君がウマ娘になってすぐ会ったじゃない」 確かに、昨日「君もウマ娘になったんだね」と会話した。 フジトレ先生とは互いにウマ娘たちの寮長を担当している縁で仲良くなった。トレーナーになったばかりの俺は彼から心構えやトレーニング方法と色々なことを教わった。だから、心の中で勝手に先生と呼ばせてもらっている。そんな優しい先生に会えてはしゃいでしまうのはどうか許して欲しい。 先生がウマ娘になって病弱体質が治ったようで、気軽に料理を持っていけるようになったのが最近嬉しかったことだ。 「ウマ娘になってから困ったことはあるかい?」 「その点は大丈夫、見た目が変わるのは少し怖かったけどヒシアマゾンに色々とお世話になって」 「それは良かった。担当の子とも良い関係を築けているようだね」 「おかげさまで」 「それで、今日は料理の味見をして欲しいって言ってたけど」 「はい!ヒシアマゾンとの料理対決に出そうと思ってて。ウマ娘になって、より彼女たち向けのものが作れるんじゃないかって。それで俺だけじゃなくて他の人の意見も聴きたいなって……。キッチン借りても良い?」 こうしてテーブルに『チーズたっぷりキャロットグラタン、はちみつがけ』を置く。しかし、先生に振る舞うものとしてはジャンク過ぎないか? 「美味しい……」 この笑顔は脳裏に刻み込まれることだろう。 これならヒシアマゾンに勝てるはず…… ≫110二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 22 24 32 ASMR概念 ライトレ 「お姉さま、これは何?」 「これはマイクだよ、いつものより少し用途が異なるものでね…百聞は一見に如かず、僕と使ってみようか」 「いいの?」 「構わないよ、でも理事長からお借りしているものだから丁寧に扱うんだよ」 「うん」 「さぁ、僕が左側にライスは右側に」 「ここでいい?」 「そうだね、もう少し…この耳の形に顔を近付けて、これから録るからお話するときは囁くように静かに」 「こう…?」 「そう、あまり大きな声を出したら聴いてる人がびっくりしてしまうからね」 「なんだか、面白いね」 「ふふっ…そうだね、さて今日はせっかくライスも一緒だから、ふたりでできることをしたいね」 「お姉さまとできること?」 「なにがいいだろうか…」 「ライス、お姉さまのすきなところ言いたい」 「…っ、そ、そうか、それもいいね。言い合おうか(あああああ僕は何を言っているんだ)」 「ライスね、お姉さまの優しいところがすき」 「ぼ、僕はライスの一生懸命なところが好きだ(耐えろ。大きな声を出すなとライスに言った手前、僕がここで狂喜乱舞するわけにはいかない)」 20分後 「いっぱい言えたよ、お姉さま…あ、少し違うけどいい?」 「なんだい、ライス…」(満身創痍) 「ライスはお姉さまがライスのトレーナーになってくれてすごく嬉しかった…」 後日編集され、動画として投稿された。ふたりの声は癒し効果があると少し話題になった。 ≫118ドベトレSSその121/10/10(日) 22 36 07 謎のノートを発見したその日の夜。 いつもの仲間と 俺は今日も飲み明かす。 私、ルドトレ、テイトレ、ネイトレ、 ブラトレ、フジトレなどなど、 やはり大勢で飲む酒はいい。 「酒!飲まずには、いられませんわ!!!」 「明日休みだからって、飛ばしすぎですよ!!」 「フジトレさん〜、後始末頼み……zzz」 「テイトレさん!?」 「今日も大変だね、これは。」 私の中に違和感こそあれど、 それは「何となく」の範疇を出ない。 別に、いつもの通り、 私はトレーナーとしての仕事に全力を 尽くしているし、 お酒が好きで飲み会を開く習慣も変わらない。 「ストゼロ!ストゼロをもってこおおおい!! ですわあああ!!」 「あわわ!!口調が荒くなってきました!!」 「お酒追加!!誰かお願い!!!!」 「あ〜私もビール〜。お願いね〜」 『いつも』の如く、酒の追加を催促する。 『いつも』の変わらず、『あいつ』に頼る。 119ドベトレSSその221/10/10(日) 22 36 38 「あえ?遅いねえ、いつも速いのに。」 「どこ迷ってんだろね〜。」 「酒持ってこ……、いえ、そもそも 『誰が』買いにいったんですの?」 一同が周囲を見渡す。 しかし、『みんな』いるのだ。 誰一人として『欠けて』いないのだ。 「なんで誰も買いにいってないんだ?」 「いや、いつも私買いに行けないし〜。」 「うーん、いっつも誰に任せてたんだっけ?」 誰も答えられない。 これだけの人数分がいて、だ。 「何か変だよ。毎週のように これだけの人数が集まってるのに。」 違和感が広がる。 酔いを冷ますほどの混乱。 「シャカトレさん!これって……!?」 「いるはずの存在がいない。 存在と認識のパラドックス……。 僕も正確には言いきれないけど、」 「『誰か』が消えてる。」 120ドベトレSSその321/10/10(日) 22 37 10 飲み会から2週間が過ぎた。 あの日からシャカトレを中心に、 『誰か』を探すべく活動が行われた。 メジロのデータベースを使う者。 過去の論文を漁る者。 日記の内容を振り返る者。 とにかく聞き込みを続ける者。 しかし、唯一集まった情報はと言うと、 「『兄を名乗るメジロの白髪トレーナー』か。」 これだけだった。 唯一、情報を持っていたドーベルがいたが、 正確な情報として扱えるのは、 『指輪』と『手紙』と『ノート』 この3つだけだった。 「2週間探してコレって、本当にいるの? その人は。」 ネイトレが質問する。 「……正直、情報があまりにも少ない。 これじゃ、仮説すら成り立たない。」 とシャカトレ。 「……いえ、絶対にいますわ! 絶対絶対に、消えた『誰か』がいますの!!」 121ドベトレSSその421/10/10(日) 22 37 42 「トレーナーさん……?最近、お疲れでは……?」 「いえ、大丈夫ですよマックイーン。 まあ、レースも近いですし、 なんてことはありませんから。」 マクトレは探し続けていた。 睡眠時間を削ってまで、 必死で『誰か』を追い求めた。 なのに、分からない。 手がかりすら、掴めない。 まるで、暖簾に腕を押すかのような、 無意味とさえ思える行為。 「でもさ、マクトレさん。 最近少し変だよ。見るからにゲッソリしてる。」 肉体にも出ていたか。 確かに、最近生活習慣が乱れっぱなしでは あるかもしれない。 飯も睡眠も、もっと他の事に使っていたかった。 122ドベトレSSその521/10/10(日) 22 38 09 「本当に大丈夫だから! 心配しないで、さっ! トレーニング再開しますわよ!」 作った笑顔を見せる。 頭は痛むが、そんなのはどうだっていい。 俺がここにいる理由を考えれば、 なんてことな─────── 「「いいから休んで!!!!」」 とてつもない剣幕。 相手も引き下がるつもりはないらしい。 ……ならば、しょうがない。 「……メニューはタブレットに乗ってますわ。 私は少し休んできますわね。 ……決して、無理はしないように。」 「「はい!!」」 まったく、彼女らには敵わない。 俺も甘くなってしまったのだろうか。 123ドベトレSSその621/10/10(日) 22 38 35 一度、トレーナー室へ戻ろうとする。 「部屋の明かり……、つけっぱでしたか。」 扉を開く。 するとそこには、 『備品、補充しておきました♪ あと、マクトレさん宛に荷物が届いてます♪』 「たづなさんですか。……驚きましたわ……。」 たづなさんのメモ書きと 複数の箱がおいてあった。 「しかし、私宛の荷物って……、 頼んだ覚えはないのですが……。」 最近は本当に何も買った覚えがない。 最近は違和感続きで頭がクラクラしてくる。 「まあ開けてみないことには分かりませんね。」 カッターを取り出し、 包装を取り除いていく。そして、 「……ッ!これって……!」 124ドベトレSSその721/10/10(日) 22 39 06 中に入っていたのは、日本酒の瓶だった。 以前、飲んだ時に連れが好きだと 言っていたような、 純米吟醸の、『侘助』という日本酒だった。 すべてが、つながった。 125ドベトレSSその821/10/10(日) 22 39 34 「なんでっ!!なんでなんでなんで!!!」 記憶が濁流のように押し寄せる。 脳が焼けるかのような痛み。 そんなものは気合いでかき消す。 『誕生日おめでと、兄貴。 酒分かんねえから オレが好きなの入れといたわ』 自身の誕生日。 二人しか知らない酒。 そして、よく馴染む『兄貴』の文字。 「また一人で……お前は……!!」 126ドベトレSSその921/10/10(日) 22 40 25 暗闇をさまよう一つの意識があった。 それと同じ形をした「ナニカ」が現れる。 「魂が消えても、残留思念として残ってる。 まるで「地縛霊」のようね。」 「ああ。」 あの時の夢と同じ、偽物の「オレ」。 一体、なぜ死んだオレにまで構うのか。 127ドベトレSSその1021/10/10(日) 22 40 52 その偽物が言うには、 オレの存在は抹消されたらしい。 死者の蘇生という、 一種の禁忌を犯した存在を 知られない必要があったらしい。 しかしなぜか、納得がいった。 「でも、一つだけ感謝しておくよ。」 「オレを生き長らえさせてくれて、 ありがとな。」 驚く偽物。 「存在を抹消した相手に感謝するなんて、 よっぽど頭のおかしい人なんですね。」 「頭おかしくないと、 こちとらやってらんないんでね。」 128ドベトレSSその1121/10/10(日) 22 41 21 ある古い言い伝えがある。 愛と喜びと試練の3つ この3つはそれぞれ別の存在が 司っているらしい。 その3つのどれかが欠けてしまえば、 たちまち人は退化するだろう。 「アンタが与えた試練。 オレは果たせなかったみたいだ。」 「その結果が今の状況ですからね。」 オレは試練を果たせなかった。 ドーベルのトレーナーとしての責務さえ、 果たせなかった。だが、 「お前には言わなきゃいけねえことがある。」 形のないはずの意識が、 目の前の「偽物」の、首を掴んだ。 129ドベトレSSその1221/10/10(日) 22 41 51 「試練ってのは 乗り越えられるものでなくちゃならねえ。 試練を与えられた者は 努力で報われなきゃならねえ。 だがな、お前は一度与えた試練に手を加えた。 死んだ魂をお前の都合で蘇らせた。 試練は人を強くする。 越えられなかった悲しみは 次の試練へ活かされる。 だからって、 不必要に曇らせる必要がどこにある。 殺して、蘇らせて、また殺す。 その行為に意味があるのか。 お前が言う試練ってのは お前の汚ねえ欲望の塊なんだよ。」 首をさらに強く締める。 「お前は神じゃない。 お前は『偽物』だ。 民を導く者じゃない。 欲にまみれた、簒奪者にすぎない。」 130ドベトレSSその1321/10/10(日) 22 42 16 「……私が消えれば、 恐ろしいことになりますよ。」 偽物は表情を変えずにささやく。 「だから。」 「オレが成り代わる。」 「オレが試練を与える側になる。」 「オレがみんなを守る。 誰も曇ったままになんか、させない。」 オレは覚悟を決める。 あの時と同じ、 ドス黒い視線が『偽物』を貫く。 「それが、あなたの『答え』ですか。」 そうしてオレは『偽物』を○した。 131ドベトレSSその1421/10/10(日) 22 43 13 存在を隠していた『偽物』が消えたことで、 隠されていた存在が、少しずつ表面化しだす。 しかし、まだ足りない。 ピースは集まっても、絵は未完成のまま。 完全には、思い出せない。 違和感は確信へと変わった。 少しではあるが、ぼんやりと記憶が蘇り始める。 「みなさん!! 今の内にこのノートに情報を 書き連ねてくださいまし!!」 「記憶が消されない内に、 なるべく速くみなさんに回してください!!」 そのノートは ドーベルのトレーニングノートだった。 マクトレは次に何が起こりうるかを 今までの経験から推測した。 『もう一度、確実に消しにくる。』と。 その前に、消えなかった ドベトレの所有物であるこの『ノート』に、 できる限りの情報を残す。 マクトレはそう判断した。 「間に合ってくださいまし……!!」 第九章「ドール〜偶像〜」了 ≫135ドベトレSSその1521/10/10(日) 22 46 44 今日もドーベルは バイクを走らせる。 寂しい時は走るに限る。 悲しい時、辛い時、苦しい時。 そんな時は『兄』に頼った。 このバイクに乗っている時だけは 『兄』に抱きしめられているような、 そんな急がしたから。 「〜〜〜♪……ん?」 海沿いを走るドーベルが、突如止まる。 テトラポットの上に白髪のウマ娘が佇んでいる。 「ちょっと!!危ないわよ!!」 大声でそこを離れるよう諭す。 しかし、その女はこちらを向いて、 「ずっと守る。」 「もうすぐ戻る。」 二言だけ言って、 だんだんと景色に溶けていく。 「待って!……待ってよ!置いてかないでよ!」 女は微笑むだけ。 「やだ、やだよ……、行かないでよお、 『兄さん』……!」 136ドベトレSSその1621/10/10(日) 22 47 12 神になったはいいが、神は信仰あってのもの。 誰からも認知されなければ 再び闇へと沈むだけだ。 このままでは今までと何も変わらない。 焦る。焦る。ひたすらに焦燥に駆られる。 オレは学園の中を彷徨い続ける。 偶然立ち寄ったのは、 毎日使っていた、トレーナー用の職員室だった。 「やっぱ、ここに戻って来ちまうよなあ。」 呆れてものも言えない。 元々使っていた、今は別人が使うデスクに 座り、昔を懐かしむ。 すると、トレーニングが終わったのか、 見知った顔のトレーナー達が 戻ってくる。 「変わらねえな、みんな。」 137ドベトレSSその1721/10/10(日) 22 47 50 この数ヶ月の間でかなりの情報が集まった。 記憶は記録として、 文字として、データとして、 多くの情報が『誰か』を形作っていく。 だが、「姿が、分からない……。」 写真と映像はついぞ見つからなかった。 それと同時に『誰か』がいた記憶はあるのだが、 脳がその存在を否定する。 特殊な状況が起こっていた。 「最近はこのネタで持ち切りですね。」 とスズトレ。 トレーナー会議のネタになるのは、 もう何度目か。 同僚の失踪と言うことで心配する声が多い。 「みなさん、今までの御協力、 誠に感謝致しますわ。」 マクトレが頭を下げる。 「いやいや、同僚の失踪事件ですよ? こっちも心配してるんです。」 ルドトレがフォローする。 「数ヶ月もの間、 みなさんを振り回してしまった。 自分の都合にみなさんを巻き込んでしまった。」 「……いつも振り回してるような……。」 「(フクトレさん!シーッ!)」 「だからこそ、今日をもって 捜索活動は私一人で行います。 みなさん、本当にありがとうございました。」 138ドベトレSSその1821/10/10(日) 22 48 28 動揺が広がる。 彼女の発言に全員が耳を疑う。 「あなた、これを全部一人でやろうなんて、 正気じゃないです。」 「ファイトレさん。お気持ちは嬉しいですが、 もう決めたことなんですの。」 マクトレは苦笑いを浮かべる。 「……ッ!そんなことしてたら、 見つかるものも見つからなくなりますよ!」 少しの間、職員室が静寂に包まれる、そして、 マクトレを見ると、 ───────涙が滲んでいた。 「分かってますの!! そんなことっ!! ……分かってるに決まってますわよっ!!」 声を荒らげるマクトレ。 「もう戻って来ないかもしれないことなんて 分かってますの……。でも、諦めきれない……!」 「だったら……。」 「みなさんを巻き込んだら! 周囲の苦痛を一番嫌うアイツが、 一番苦しむのが、私は耐えられない……!」 「「「「……………………。」」」」 沈黙。誰も口を開けない。 「このままだと、マクトレさん、 壊れちゃうよ……。 だからさ、早く帰ってきてよ……!!」 139ドベトレSSその1921/10/10(日) 22 48 54 瞬間、視界が白く塗りつぶされる。 否、マクトレが光に隠されたのだ。 「マクトレ!!!」 目を焼くほどの光量。そして、 「無茶しすぎなんだよ、『バカ兄貴』。」 140ドベトレSSその2021/10/10(日) 22 49 21 光が収まる。 その中から現れたのは、 「みんな、ただいま。」 知らないウマ娘が、 見知った笑顔を振り撒く姿だった。 「わ、わわっ……侘助さああああん!!!」 ネイトレが懐にすっ飛んでいく。 「ぐほあっ!!??」 「ごめえええんねええ!!わたし、グスッ 忘れてたああああ!!」 「……すまねえ、ネイトレ。 遅くなった。」 オレはネイトレの頭を撫でる。 「でも、突然……なんで……!? というか、マクトレは!?」 皆が疑問と混乱と驚愕と、 コロコロと表情を変える姿を見て、 ドベトレは事のあらましを説明する。 141ドベトレSSその2121/10/10(日) 22 49 54 「じゃあ、 今ドベトレは『憑依』してるってコト!?」 「そゆこと。だから〜」 オレは肉体の所有権をマクトレに渡す。 「んなっ!?なんですのこれはああ!!??」 マクトレの意識が戻る。 「こんのバカ助!! 今までどこほっつき歩いてたんですの!!? って、ちょっ、ああっ!?」 再び意識を入れ替える。 「こんな感じだな。 まあ、肉体作って貰うまでの辛抱だけどな。」 魂だけで宙ぶらりんのドベトレは 肉体がないと、話せないらしい。 「酒飲んでうるさくなったら、 呼んでくれ。確定でスタンとれるから。」 マクトレの姿をしたドベトレは話す。 「……でも、どっちだか分かんなくない?」 テイトレが疑問を提示する。 「そん時は『瞳』を見てくれ。」 そうしてドベトレは瞼を広げる。 「ウワーッ!!ドス黒い!!」 「オレの時はドス黒い瞳。 兄貴のときは薄紫色の瞳、ってな感じ。 まあ、覚えなくていいぞ! 新しい肉体が出来れば憑依しないし。」 全員がドン引きしまくっている。 「まあ、明日から同じように頼むわ!!」 「「「「できるかっ!!!!!」」」」 142ドベトレSSその2221/10/10(日) 22 50 22 深い深い夜の闇 暗い暗い夢の中 確かな絆で繋がれた 二つの心が邂逅する 「……一番最初に言うことは。」 「ごめん」 「違う」 「……じゃあ、ありがとう?」 「それも違う」 ドーベルは怒ると怖い。 まあ、そこが可愛いらしいのだが。 「……ただいま。」 「おかえり。『兄さん』。」 ドーベルがなかなか見せない 優しい笑顔。 目頭が熱くなる。 「また勝手にどっか行っちまったよ。へへ。」 「まったく、じっとしていられないの?」 数ヶ月ぶりの なんてことのない会話。 それでも、オレ達にとっては かけがえのないモノ。 「これからもオレはドーベルと進む。 どんな試練があっても、な。」 「うん。だから、 『もう二度と離さないようにするね。』」 「うん?」 143ドベトレSSその2321/10/10(日) 22 50 50 ドーベルがおもむろに服を脱ぎ出す。 「ちょちょちょっ!?何してんだよ!?」 「また消えちゃう前に、 兄さんをアタシの身体に刻むの。悪い?」 「いや悪いのはオレだけどさ!ねえ!?」 「兄さんは魂だけだし、それに、 ココは夢の中でしょ?だから……」 『どれだけシても、問題ないよね?』 「あっ、ちょっ、やめて!脱がさないで! あっ、ああっ、ああああ!!!!!?????」 何度自身を失っても 何度世界に迷っても 越えられない壁なんてない。 たどり着けない明日なんてない。 ───────第十章「ドーベル〜守人〜」了 ≫159二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 23 05 31 こんにちは!新人トレーナーです! 今日も今日とて頑張りますよ!諦めたらそこでスカウト終了ですからね! そして芝コースで練習している青毛のウマ娘を発見しました (おぉ…しっかりとしたフォーム…今日は馬場状態が悪いのにしっかりと自分の走りができてるって感じがする…)…って…ん!?あそこで応援してるウマ娘はアグネスデジタル!?!?なんで?? …なんだろうなんとなく察しちゃった気はするけど…うん、まだ決まった訳ではありません。話しかけてみる価値はあるはずです。 よし、行こう! 「走って疲れてる所すみません…!はじめまして!」 「こちらこそはじめまして、アタシに何か用?」 「あっはいそのー私ウマ娘のスカウt「トレーナーさーん!!いいタイムでしたよ〜!あら、こちらのお方は?」 も、もはや本人からの返事ですらない部分で話が終わってる…どうして……また雑談しようかな… 160二次元好きの匿名さん21/10/10(日) 23 06 50 「えーと実は私こういう者でして…(名刺渡し)」 「ひょええ新人トレーナーさん!?うう…顔を把握できていなかったとはこのアグネスデジタル一生の不覚…しかしむふふ…いいですねぇ…」 「デジタル、一旦そこら辺までにしとこ」 「あっすみません私ばっかり喋っちゃって…」 「あ、はい、うん、大丈夫です」 これが変t…勇者アグネスデジタル…噂に違わぬ個性派だぁ…それに比べてチラッ トレーナーさんはまだ今までの人に比べたら普通の人…?いやまぁ間違いなく模擬レースに向けた走りをしてる時点で凄いんだけど…そういえば 「デジタルさんがウマ娘大好きってのは聞いた事があるんですけどウマ娘化したトレーナーさんもやっぱり好きだったりするんですか?」 「はい、勿論です!!」 「デジタル!?」 うわぁ屈託がない笑顔…トレーナーさんは顔真っ赤にしちゃってるしこれは無自覚でやってるなぁ…恐ろしい子だ…… 「ア、アタシもデジタルが好きだよ…!」 告白では?? 「はい!ありがとうございます!」 そういう意味だと気付いてないのでは?? こちらを見て苦笑いするトレーナーさん…なるほど…察する物がある… 「じゃあ私はこれで…また機会があればよろしくお願いします」 「また会いましょー!」 「じゃあなー!」 …うん、今日は比較的平和だったね スカウトは失敗してる?知らない知らない うどんでも食べて忘れよ…… 明日は…明日こそは成功させてみせる! ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part204【TSトレ】 ≫20シチトレ幻覚マン21/10/10(日) 23 40 21 駄文失礼します。 「たっだいまー!」「おかえり。」珍しくシチーが私を出迎える。 「今日は大変だったよ、練習に会議に・・・・」「だろうね。」 帰ってきた家からは、どこからか薔薇の匂いがしていた。 「久々に、アロマ焚いたの?」「まぁ、ね。」シチーが目をそらす。どうしたのだろう・・・・ 「とりあえず、お風呂入ってきなよ。」「うん、そうするね。」 私は、汗で汚れた身体を流すため、シャワーへ行った。 「ちょっと、シチー・・。これって・・・・。」 脱衣所に置かれていたのは、いわゆる、その、紐みたいな水着だった。 “それ着て、こっちに来て。”彼女の声が寝室から聞こえる。 私は、期待と不安、あとちょっぴりの興奮を抱えて寝室に赴いた。 「最近、疲れてるみたいだからオイルマッサージでもと思ってね。」 「驚いた。シチーがそんなことまで覚えているなんて・・・・」 寝室の中では薔薇のアロマが焚かれ、むせかえる程の匂いを漂わせていた。 「これつけて。」彼女から、アイマスクを手渡された。 「何これ・・・・。」「目隠ししたほうが、没頭できるでしょ?」 少し、アブナイ気もするが・・・・。「ほら、始めるからそこのベットに寝て。」「・・・・うん。」 その頃には、今までの期待と不安は、乱れた興奮へと変わっていた。 https //bbs.animanch.com/board/94667/?res=22 ≫https //bbs.animanch.com/board/94667/?res=60 ≫86二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 00 06 24 前回までのあらすじ・トレーナーさんが持つ温泉旅行券は『4枚』あったッ! 「……………………」 ……これあれかな。新幹線乗るときに乗車券と特急券の2つが必要になる──みたいな?2枚で一名様分のチケットとか?うんうんそりゃそうだよね!だってほら、トレーナーさんの机においてある封筒にも『温泉旅行券 4名様分 ガンバ!」って書いてあるし!うん! 「いや残り二人だれっっ!!!???」 「きゃあぁっっ!!??」 かわいい悲鳴を上げながらトレーナーさんがようやく旅行券から顔を上げた。 「……やっほネイチャ」 「おいっす。ずっと傍にいたけどね。……その旅行券がブラトレさんが言ってたやつ?」 「う、えーと、そうだね」 「そっかー。それでいつ?どこ行く感じ?」 もはやドキドキ誘い文句を待つ気分ではなくなった。近くの椅子を借りて逆向きに座る。 「正月明けに、私の地元の方にある結構大きなとこだよ。だから前回のとことはちょっと勝手が違うかも「そっか。で、誰と行く?」」 「……えっっっとぉーー……」 ……この反応は間違いない。「え?残り二枚は他の人たちにあげるんだよ?」という流れには絶対なんない。こちとら何年トレーナーさん見てると思ってんだ。 ……あたしとトレーナーさんとの温泉旅行セカンドに水差すやつがくる。そんなのはもうなんとかして、こう……こう…………なんとかする!! 「あたしと、トレーナーさんと、誰と、誰?」 「…………しん」「……しん?」 「自分の両親です……」 あたしは自分の頭の上に数えきれないはてなマークが浮かぶのを感じた。 87二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 00 06 41 ……説明を聞いてしまうとなんてことない。トレーナーさんが両親に自分の現状──ウマ娘になったことを電話もせず、ただメッセージだけで済ませてそのまま放置していたということが発端らしい。うん、そんなことある??? 「周りが知ったらそりゃ焚きつけられるよ……あたしだって顔合わせなよっていうよそんなの」 「いやもうほんと……自分的に報告はできていたかなーって。なんなら電話もしてた気分だったんだけどね……」 多分今までにやってきた中でも最大級の「ポン」なんだろう。トレーナーさんがカラッカラの乾いた笑いをしている。 ……ただこれに関してはあたしはあまり強く言えない。さすがにこれは家族間の問題ってやつで、ネイチャさんがちょっかいかけれる話じゃない。 「でも、それで親は納得してくれてるんだよね?正直それもすごいけど」 「うん。でも『いつまでも両親と距離置くな。全部用意するから旅行いってこい』って感じで言われてね」 「ねえ。……ひょっとしなくても今回あたしの方がお邪魔じゃない?」 「………………………………」 「黙らないでほしいんですけどー?おーい聞いてるー?」 「……いや。やっぱり一緒に来て」 重苦しい決意っぽい何かのもと、同行を頼まれてしまった。……いくよ。もういっちゃうよ。惚れた弱みだしょうがない。 「じゃあ当日までやっぱり電話しないで、チャットだけで温泉にも誘うの?」 「うん。もう毒を食らわば皿までって感じかな……」 「そっか……でもトレーナーさんさ、ダストレさんとのインタビュー企画に出るんだよね」 「んー?うん。明後日に予定してるのがある」 「あれって確か生配信企画だよね。先に顔見られちゃうんじゃないの?」 トレーナーさんの表情がピシって音を立てて固まる。そして静かに顔を上げて、両手を自分の頬に当てて、口を大きく開けて……わーお。世界的名画。 「……ムンクの叫びやるんなら耳抑えなきゃだめだよ?」 「いいの。これホームア○ーンのポスターだから……」 「あーなるほど、名画じゃなくて映画なのねー。……もしかして余裕?」 「超余裕ない」 「ですよねー」 その夜、本当に急遽、トレーナーさんの部屋でTV電話をすることになった。すごいぞL○NE。 88二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 00 07 01 「それじゃかけるよ」 「……分かった」 チャットで指定してた時間にTV電話を始める。 『……』 「……ご無沙汰してます」 「こ、こんばんはー」 困ったような表情の女の人が映った。 濃い茶髪のショート、おっとりとしてるけど、どこかこちらを無遠慮に見つめている感じ。 もう一人、ぶすっとした表情の男の人がいた。 こちらはやや小太り、髪は白髪交じりのロマンスグレーを七三分け、でっかい四角いレンズで薄い金縁眼鏡……なんかTVで見た気がする、ウェリントン型ってやつだ。 ……薬剤師のお母さんと大学の講師のお父さん。これがトレーナーさんの両親なんだ。 『……声は変わっとらんねぇ』 推定おふくろさんが嬉しそうに応じる。 『でもこういうときはアレやらんとね』 「「……?」」 揃って首をかしげる。ておい、トレーナーさんもわからないの? 『さんはい、むっかしーむっかしーうーらしーまはー♪』 『「あそーれ!」』 『はい。うちの子やったわお父さん』 『どうもそうやね……』 ……この十秒で何が起きたのかわからないネイチャさんはバカなのかな。ご両親はすっかり納得していて、一緒にノッていたトレーナーさんはタブレットの前で突っ伏していた。 『これねぇ、うちの子が子供の頃からずーっと好きな歌なんよ』 「やめてぇ……教え子の前なのぉ……」 ……ここに至ってやっとわかった。これ絶対楽しいやつだ。付き添い申し出てよかった! 89二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 00 07 19 そこからは早かった。トレーナーさんの小さい頃の情報を滅茶苦茶暴露してくれるおふくろさんと基本的にしゃべらないけどちゃんと話についてきてくれてる親父さん。話を遮ろうとするトレーナーさんを羽交い絞めにしながら、すっかり丁々発止のやり取りができるようになっていた。 『ねーこんなネイちゃんと一緒に温泉いけるなんて嬉しいわー♪』 ウッキウキのルンルン感を遠慮なくおふくろさんが伝えてくる。 「いやー親子水入らずのとこ失礼しちゃいますー」 『いーえー!うちのに対する好き!って気持ちが、もー見てて分かるもん』 「うえぇ!!!!?そんな、いやでも、確かに、あの……」 「お母さん……ちょっとそれは」 トレーナーさんともども照れてしまう。……確かに大好きって言ったり、そのときにちょっと、色々あったけど。うんだめだ、思い出したらまた赤くなっちゃう……! 『待て』 今まで静かにしていた親父さんがいきなり制した。 『……お前。その子に何した』 トレーナーさんから拘束を抜け出ようともがく力がすっと抜けた。 ……いつのまにか表情から照れも消えて、旅行券を前にしていた時のような真剣な表情になっていた。 トレーナーさんは何も答えない。 『……お前!!!まさか教え子に手ぇ出したんか!!!!!!!!!』 突然のとんでもない剣幕に思わず呼吸が止まる。 トレーナーさんは身じろぎ一つせず、何も答えない。 90二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 00 07 34 『他人様から預かった子供に手ぇ出したんか!!!!!』 トレーナーさんは何も答えない。 ……大丈夫だと思う。トレーナーさんの手に自分の手を乗せる。 ──なにかが聞こえた気がした。 親父さんの怒号は聞こえるのに、それが遠くに感じられて。止まっていた思考回路が静かに動き出す。 おかしい。トレーナーさんはずっとあたしを守ろうとしてくれていた。手を出すなんて、むしろ出されたいぐらいだったのに。 ──小さな声が聞こえた気がした。 トレーナーさんの言葉を待つべきなのは分かっている。でも、黙ってちゃダメだと、言わなきゃダメだと警鐘が聞こえる。でもこの親父さんを止められるような何かを言える気がしない。でも。 ……惚れた弱みは惚れた責任。 ──どこかからがんばれって声が聞こえた気がした。 92二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 00 07 50 「あたしです」 『……』 「あたしです!あたしが好きになりました!」 『ネイちゃん、ちょっと落ち着いて』 「……あたしがずっと好きでした!!」 止まれっていう声が内側からも聞こえる。でも言えって声の方がずっと大きい。 がんばれって声の方が誰よりも大きい。 「ずっとダメだって思ってたあたしにあなたならできるって言ってくれたんです!私がどう頑張っても自信を見つけれなかったときでもネイチャならできるって……!1番キラキラした自分に、なりたかった自分にしてくれて、誰よりも喜んでくれてっ!もう、ずっと、最初から好きっ、なんです!」 涙が出てくる。トレーナーさんとの思い出がそれこそ走馬灯のように浮かんでくる。あたし死ぬのかな。でも、今死にたくない。 「やたら美人になって!周りからキャーキャー言われるようになって!そのくせ泣き虫になって!……いつだってあたしがちょっかいかける方で!でも大事に大事にしてくれるのも伝わってきて!そんなのも全部、もう、全部好きなんです!!」 だってがんばれって声が聞こえる。 「一緒にカフェでパフェ食べたときも!ダンスパーティで踊ったときも!どうしようもなく辛いときにあたしを呼んでくれたときも!ずっと、好きだったんです!これからも、ずっと!、、、好きです!!」 惚れた弱みは惚れた責任。 「……絶対幸せにします!一緒に幸せになります!」 ……この責任を取らなきゃ! 「だから親父さん、おふくろさん!」 女がすたる!! 「トレーナーさんを、、、あたしにください!!!!!」 十中八九タブレットの画角に収まってない。それでも深々と頭を下げた。 (続) ≫150二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 06 26 14 おk なら上げるね 恐怖と向き合い 未来を創る覚悟 3 また聞こえてくる、今度は嘲笑うように どこか狂ってるように感じる声がする ーーーお前はいつか壊れるだろう 声にならぬ叫びをあげると、そいつが返事したような気がした ーーーお前はいつ気づくのかな、楽しみだ ジリリリリリリリ!!! 「こんなところで眠ってどうしたのかしら?」 目の前に彼女…キタトレの顔がうつる。 「ごめん、少し眠くてね。それよりもどうしたのかな」 「サトトレ、ちょっと賭けをしようかしら」「えっ?」 「簡単なものよ、勝った方がひとつなんでもきかせられる。…常識的な範囲でね」 「いきなりだね…まあうけるけど。で、何をしてきめるの?」 「そうね…レースでもしましょうか。」 151二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 06 27 12 珍しく人の殆どいないターフの上で僕は服装を整えていた。 お互いに条件を揃えるために、ジャージ姿になるとスタートの場所へ 「今回は芝2000m右回りよ…いいのかしら、このレースを受けて」 「…うん、いいんだ」 実際、お互いにウマ娘化トレーナーだが、彼女は並走も模擬レースもかかさずにやっているのに対し、僕はトレーニングに付き合っているが不調気味だ。 (おそらく勝てないはずだ) 自分でも勝つ見込みはあまりないのは分かっていたが、それでも受けた。自分でもわからぬままに。 タイマーをセットした彼女がくる 「さて、30秒後に始めるわよ」 一秒ごとに音をならすそれを聞きながらスタートの用意をする。 目を閉じて、パドックをイメージしながら待つ。 ピッ ピッ ピピピ! 瞬間二人は飛び出していった。 (彼女は…やはり逃げか) 担当のキタちゃんと同じ脚質、スタミナの暴力ですり潰すスタイル。その胡散臭い外見と裏腹に堅実なタイプだ。 (僕の脚質は差し追い込み。だけど…) やはり思ったように動かない。常に違和感を覚える。 まるで僕以外の誰かが体を動かしているように (くそ…ついてくのが精一杯だ) 幸いにして距離こそ離れていないもののこのままでは追いつけないのは明白だった コーナーを曲がり直線へ、僕の前をずっと彼女は走り続けている。 ここで賭けにでる 僕のステイヤー故のスタミナでロングスパートをかける。 直線から最終コーナーへ、じりじりと彼女との距離をつめていく。 (いけないか…?) その時、前にいた彼女は更に速度をあげる (あのペースで飛ばしてまだスタミナがあるのか!…読み違えたのは僕だったか) 彼女はキタと並走や模擬レースもしているが長距離、特に3000m以上が多い。故にスタミナが切れない。 詰めたはずの距離が再び開きじめる。ほんの少しずつ遠ざかっていく。 152二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 06 27 58 (う…あ…届かな…い) ーーー声がする お前のような未熟者と彼女の違いが分かるか?自分の体も満足に扱えやしないお前に 分かってないようだな。折角だから助言してやろう ウマソウルは抑えるものではない (抑えるものではない…?そもそもどういうことなんだ?) 疑問が駆け巡る。だがそれに気を取られたのが原因に僕はバランスを崩しかけた。 慌てて取り直して前を向く、走ってる時の姿を思い出す。 ダイヤもキタちゃんも彼女も気迫を感じる。本能的な恐怖も… (…本能?) ふと気づく、何故僕は常に理性にこだわっていたのか、それでは駄目なのだ。 勝ちたい、走りたいという欲求こそが原動力足りえる。 (だったら…!) 自分の感情を解き放つように 「僕は…勝ちたいんだ………!」 瞬間ピースがハマる。違和感がきえる。 この体になってから一度も辿り着かなかった領域へ加速する。 距離がつまっていく、最終直線で更にあげていく それは全てを… 彼女の背を捉える、少し驚いたような横顔が見える。全部置き去りにしてゴールを越えた。 153二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 06 28 39 「私の負けね、私が思ってたよりも貴方は走れるのね」 そういって用意していたであろうドリンクを渡してくる彼女 飲み干しながら今回のレースを振り返る。最後の感覚がこの違和感の鍵になる気がした 「さて、負けたしひとつ何か聞くわ」 スッキリした気分のままに思ったことを言う 「いや、賭けはなしでいいよ」「あら、そうかしら」 そういった彼女に畳み掛ける。 「ただ…お願いがあるんだ」 「…どうしたのかしら?」 色んな気分を抑えて 「その…ちょっとだけ、膝を貸してくれないかな。疲れたんだ」 「…ようやく甘えてくれるようになったわね」「えっ?」 「もちろん良いわよ、おいで」 引き寄せられるように彼女に近づいていく 膝枕をされながら、甘えれたことが嬉しく思えた ーーー誰かに甘えること 75% ≫https //bbs.animanch.com/board/94667/?res=193 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part205【TSトレ】 ≫https //bbs.animanch.com/board/94977/?res=43 ≫44二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 08 26 23 ────そうして、兄一家と父親、ルドトレ、ルドルフの六人が談笑していると、玄関がまた開く。(お茶は兄が持ってきて兄嫁が子供の世話をしてた、平和だ) 「ただいまー、って、誰か来てるん?駐車場に外車止まってるけど」 そう言いながらこちらに向かってくる足音。 「お、戻ってきたか。母さんは?」 「近所の人と駄弁ってるよ」 「りょーかい、買ってきたもの冷蔵庫に入れるから兄貴も手伝……」 その人影がひょっこり、と見たのは立ち上がる兄と甥をあやす兄嫁、いつも見せない朗らかな笑顔で、謎のウマ娘二人と喋る自らの父親であった。 「……誰だよ、このウマ娘」 「え、お前母さんから聞いてなかったのか?」 「いや、聞いてないってなんだよ」 そうすると、ルドトレがくるりと向きを変え一言。 「あ、お久しぶり!元気してた?」 「……あ、いや、その……」 「……何しとんよ、さっさと生物冷蔵庫に入れてこい」 「「はいはい」」 結局、父の一喝には勝てぬ子供である。 それを越え、話は弟に戻る。 「……髪、金に染めてるんだ」 「ああ。止めはしたんだが、どうしても染める言ってな。なんでも好きなウマ娘が金だからなんて言い出して困っとる。確か……ゴールドシチーって言ってたな、モデルもしてるそうだ」 「……普通に知ってる顔だな」 「だね。前トレーナー同士飲んだこともあるよ」 「なんだ、知ってたか……って、そういやお前皇帝様の担当だったな。そら知ってるか」 「……なんで身内含めて私がトレーナーだってこと、時々忘れるの?」 「十中八九君が悪いな」 「ルドルフ君の言うとおりだろ、お前まーた変な女誑かしてないよな?」 「まあまあ、久し振りの再開なのにそこまで言わなくても……」 「……まあ、担当の名誉に傷つけるんじゃないぞ」 兄嫁の仲裁を飲み、大人しく矛を引く父親に、なんとなく丸くなったなと思うルドトレ。まあ既に名誉もへったくれもない惨状になってるのは彼等にはわからぬところではあるが…… ≫47二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 08 30 32 ぬいぐるみ グルトレ トレーナー室をノックし、入る。 「え、ぁっ…ぐ、グルーヴ」 私を見るなり、何かを背に隠した。耳や尾で動揺しているのがよくわかる。ソファーにかけている彼女に歩み寄る。 「グルーヴ、どうした?」 「どうした?はこちらの言葉だ。何を隠した?」 なんも隠してないよ〜とあからさま過ぎる反応をするので、私は彼女の背を見る。そこには─ 「私と貴様のぬいぐるみか?」 「えと…その、これは………」 諦めたのか、何故か顔を赤らめながらぬいぐるみを前に出したので、私も彼女の隣りにかけた。私のぬいぐるみはゲームセンター等で商品化されている。制服と勝負服、表情差分ありでいくつかあったが、彼女のまであるのか。 「貴様の方のぬいぐるみを見たい」 「わ、私の?」 「何か問題があるのか?」 「ううん、ないよ…はい」 彼女からぬいぐるみを受け取り、見る。誰かしらの手作りとも思えなかった。商品レベルの出来だ。よくできているな、と言うと、もしかしたら、 商業展開するかもって頂いた試供品的なものだと応えた。ぬいぐるみとはいえ、彼女が他の誰かの手に?ならない。あっては、ならない。絶対にあっては。 「グルーヴ…?」 彼女が私の顔を不安そうに覗く。少し顔に出てしまっていたようだ。 48二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 08 31 01 「……商業展開の話が来たら断れ」 「どうして?」 言える訳がない。ぬいぐるみであろうと貴様は私だけのものだ、と。 「グルーヴは本物の私だけじゃ足りない?」 首に彼女の腕が回り、手にしていた彼女のぬいぐるみが私と彼女の胸の間に挟まりかけるが落ち、私のぬいぐるみに重なる。 「私はぬいぐるみよりもずっと柔らかくて、あたたかくて、グルーヴの事がだいすきなのに?」 「そういう訳では……」 「グルーヴ、教えて?」 そういう事をしている時の眼で私を見据える。私を逃がす気がない時の眼だ。ぞくりと、胸の奥が疼く。顔に熱が集まっていくのが嫌でも感じる。 「……っ、貴様は」 「うん、私は?」 「ぬいぐるみで、あろうと私だけのものだ…」 そう言葉を振り絞ると、彼女はふふん、といつものように満足気に笑った。 「やっぱり、グルーヴは私を束縛してくれる」 「う、うるさいっ……きゃっ」 急に体重をかけてきた彼女に押し負け、押し倒される。 https //bbs.animanch.com/board/94977/?res=49 ≫56二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 08 55 49 「実家ですか」 「ええ」 メジロマックイーンとマクトレは、金曜のトレーニングを終え雑談をしていた。その中で明日からの週末何をするか、という話になった。 「この姿になってから数ヶ月。さすがにそろそろ顔を出さないといけないなと」 「連絡は?」 「ラインでちょっとだけ。友達より全然連絡してないですわね」 「それは親不孝というものではなくて…?」 「反論ができませんわね」 マクトレは真面目だったが、直接会っていない時の連絡が極めて疎かになるタイプの人間だった。無論仕事の連絡などには目を通すが、それは全てメールで行っておりLINEは放置してお前それはよくないぞと言われることが多々あった。実際牡蠣が加熱用だと知らされたにもかかわらずその連絡を見ずお腹を壊したこともあった。 「だから明日明後日で帰ろうと思いまして。あ、呼ばれさえすればすっ飛んでいきますわよ?電車で行くつもりですけど実家にはバイクもありますから」 「ええ、もし何かあればお願いいたします」 「ふふふ。そんなマックイーンは何か予定は?」 「いえ、わたくしは特に」 「そうですか」 ふーん、と頬杖をつき、マクトレは空に目を向ける。 「…来ます?」 「へ?」 「メジロのパーティーに呼んで頂いたのです。こちらも実家に一度は招待すべきではないかと思いまして」 「なるほど…そうですわね、一度トレーナーさんがどのような場所で育ったかも見てみたいですわ」 「それはよかった。では親にも連絡しておきますわ」 マクトレは懐からスマホを取り出し、メッセージを打ち込み始めた。 そして数十秒後。 「…ウマ娘化の事自体も伝え忘れてましたわ」 「親不孝にも限度がありますわトレーナーさん…」 57二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 08 56 05 次の日。 「ここだ」 「へえ…」 マクトレが降りた駅は、都会にはありがちな住宅地の駅だった。それ以外特徴がない。 「ふっつーの駅だろ?急行は止まらないからあんま栄えてないし」 「ご自分の実家に言う言葉なのですか?それ」 「だからいいんだ。俺の知る限り、この駅より静かで過ごしやすい駅はこの路線にはどこにもない」 「…あと。トレーナーさん、口調が前に戻っていますわね」 「なんでだろう?気合いも入れてないのに。この辺の空気を吸ってるからかな」 「この辺りの大気にはそのような効果が」 「大気じゃなくて雰囲気だろうなあ」 マクトレは久々の故郷、と言っても府中から十何キロの場所だがその空気を、マックイーンは初めてくる場所の雰囲気を楽しみながら改札を出る。緑が残る住宅地、マックイーンの抱いた印象はそれだった。 「今から歩いて行く道はよく猫がいるんだ」 「あら、楽しみですわ」 そういって横断歩道のない場所を二人は渡る。普段のマクトレはなかなかやらない。実家の近く、慣れた道であることが、マックイーンによく伝わった。 そのまま田圃や樹園に囲まれた道を進んでいくと、ヤギがいた。 「へっ!?!?」 「えっ!?!?」 マクトレも初めて見たようで二人揃って驚いていた。 58二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 08 56 25 その後、猫を数匹確認しそのまま歩いてくと、ようやく二人は住宅街へと突入。坂を上り、ある角を右に、少し古めの家の前でマクトレは言った。 「マックイーン、提案がある」 「なんですの?」 「俺マックイーンのフリして家入ってみる」 その顔はマクトレが時々見せる、同僚の隣や入れ替わりの時にも見せた、悪戯心の湧き出た笑いになっていた。 「とりあえずマックイーン、わたくしとあなたで電話を繋げますわ」 「え、ええ」 マックイーンは電話と取り出す。すると目の前のマクトレから電話がかかってきていた。 「とりあえずスピーカーモードにして持っておいてくださいまし。来て、と合図を送りますわ」 「わかりましたけど…わたくしの第一印象どうなりますの?」 「大丈夫、わたくしの家族これくらいの悪ふざけ気にしませんわ。では少し行ってきますわね〜」 そう言うとマクトレは目の前家の門を入った。マックイーンはとりあえず、木の下に隠れる。 マックイーンは少し思った。以前よりマクトレはアクティブと言うか、子供のような面を見せるようになった気がする。しかしそれに負の感情を抱くことはなかった。それはあくまで「見せるようになった」だけのこと。大人の形を持つものとして封じていた少年のような感性を、少女の姿となってから少し曝け出すようになっただけ。一心同体、信じる彼女にはそれがわかっていた。だからこそ、そんなトレーナーのノリに付き合うのが少し楽しかった。ついでに言えば節度は弁えているので暴走はしないことがわかっているのも重要だった。 59二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 08 56 39 電話を耳に添えながらマックイーンは合図を待つ。 音質の悪いガチャリと言う音が聞こえた。 『はーいすいま…え?』 『お初にお目にかかります。わたくしメジロマックイーンと申しますわ』 実家が目の前で素モードのはずだが、マクトレは完璧なマックイーンエミュを開始した。相手は若い女性、おそらく姉か妹のようだった 『はあー、そう言えば兄の担当メジロマックイーンさんだって…兄は?』 『少しやりたいことがあるから先に行ってくれと言われましたわ』 『あいつ…とりあえず上がってください、こんなところで話すのもアレなんで』 『ありがとうございます』 『あんまり広くない家で申し訳…えっなんで二階に』 『わたくしの部屋は二階ではありませんか』 『…?』 少しの間声のない時間が入り、そして。 『マックイーン。カモン』 「あっここでですのね!?」 60二次元好きの匿名さん21/10/11(月) 08 56 56 「と言うわけでこんなことになってるわけだ」 リビングにて。 マクトレは妹にマシンガンのように情報を与えた。 今トレセンで何が起きているか、その結果どのような影響が出ているか。トレセンでは混乱を防ぐため情報統制がまあまあ厳しく敷かれており、「何かが起きてるっぽい」以上の情報は外にほとんど出回らない。 結果、妹はいつまでも情報が完結しない時の顔になっていた。 「何か質問はあるか?」 そんなことを聞いても何も返ってこないでしょうとマックイーンは思った。今のトレーナー、無遠慮さが凄まじい。仲の良い同僚相手以上に扱いが雑。意外な一面に素直に驚いていた。 とりあえずこの無量空処状態をなんとかしないと話が進まないな、とマックイーンは思うのであった。 続くかもしれない ≫87シチトレ幻覚マン21/10/11(月) 09 29 07 「ねぇ、シチー。これどうしよ…」 不安そうな面持ちのアイツが、こちらに寄ってくる。Tシャツは濡れていて、何かあったことがよく分かる。 「…どうしたの?」「…お乳が…」 予想外の一言に、私の頭の中は吹き飛んだ。 「ええっ!!」私が、今の現状を伝えると、彼女は酷く驚いた。 もちろん、異性との性交渉はしていない。そんなことはハッキリしているのだが、何故?何故、私の胸から出てくるようになったのだろう。 頭を捻ってもいくら答えは浮かばない。現実離れし過ぎている。今更とは思うが。そんな空気を変えようと私は、彼女に向かって冗談を言った。 「良かったら、飲む?」 彼女は、黙って首肯した。 …マジか、シチー、やるつもりなのか。止まるつもりのないシチーの動きは、私のTシャツを、片方だけはだけさせた。 …こうなったらやるしかないか…… まあ、垂れ流すだけも勿体ないとも言えるが、 これは流石にどうなんだろうか。 https //bbs.animanch.com/board/94977/?res=88 https //bbs.animanch.com/board/94977/?res=89 ページトップ part○○~○○はこちら ページトップ
https://w.atwiki.jp/earthmukamuka/pages/188.html
ゲームセンターCX/第4シーズン(全10回) 2007-09-08 第1回 - #21 帰ってきたョ「ウルトラマン」-2005年10月19日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm463498 第2回 - #22 最後の闘い!?「ファイナルファイト」-2005年11月02日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm556385 http //www.nicovideo.jp/watch/sm556428 http //www.nicovideo.jp/watch/sm556201 http //www.nicovideo.jp/watch/sm556229 http //www.nicovideo.jp/watch/sm556467 http //www.nicovideo.jp/watch/sm556497 第3回 - #23 激ムズ!?「高橋名人の冒険島」上陸-2005年11月16日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm481519 第4回 - #24 有野神様~!「アクトレイザー」-2005年11月30日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm231411 http //www.nicovideo.jp/watch/sm231478 http //www.nicovideo.jp/watch/sm231530 http //www.nicovideo.jp/watch/sm231602 http //www.nicovideo.jp/watch/sm231739 第5回 - #25 課長の希望・・・「殿様の野望」-2005年12月14日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm457396 第6回 - #26 感動巨編!?「ドラえもん」-2006年1月11日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm378108 第7回 - #27 因縁対決!「スーパーマリオ64」-2006年1月25日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm583914 第8回 - #28 完全決着!「スーパーマリオ64」 ★-2006年2月8日 第9回 - #29 助太刀あり!「忍者龍剣伝」-2006年2月22日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm657893 第10回 - #30 「光神話 パルテナの鏡」アイル・ビー・バック-2006年3月8日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm463916 戻る
https://w.atwiki.jp/earthruinfes/pages/97.html
ゲームセンターCX/第4シーズン(全10回) 2008-01-28 第1回 - #21 帰ってきたョ「ウルトラマン」-2005年10月19日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm463498 第2回 - #22 最後の闘い!?「ファイナルファイト」-2005年11月02日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm556385 http //www.nicovideo.jp/watch/sm556428 http //www.nicovideo.jp/watch/sm556201 http //www.nicovideo.jp/watch/sm556229 http //www.nicovideo.jp/watch/sm556467 http //www.nicovideo.jp/watch/sm556497 第3回 - #23 激ムズ!?「高橋名人の冒険島」上陸-2005年11月16日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm481519 第4回 - #24 有野神様~!「アクトレイザー」-2005年11月30日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm231411 http //www.nicovideo.jp/watch/sm231478 http //www.nicovideo.jp/watch/sm231530 http //www.nicovideo.jp/watch/sm231602 http //www.nicovideo.jp/watch/sm231739 第5回 - #25 課長の希望・・・「殿様の野望」-2005年12月14日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm457396 第6回 - #26 感動巨編!?「ドラえもん」-2006年1月11日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm378108 第7回 - #27 因縁対決!「スーパーマリオ64」-2006年1月25日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm583914 第8回 - #28 完全決着!「スーパーマリオ64」 ★-2006年2月8日 第9回 - #29 助太刀あり!「忍者龍剣伝」-2006年2月22日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm657893 第10回 - #30 「光神話 パルテナの鏡」アイル・ビー・バック-2006年3月8日 http //www.nicovideo.jp/watch/sm463916 ◇◆戻る
https://w.atwiki.jp/gamemusicbest100/pages/9436.html
SUPER Famicom 音源設計:久夛良木健 開発元:任天堂 発売元:任天堂 発売年:1990 概要 任天堂が発売したファミリーコンピュータの後継となる家庭用ゲーム機。 略称は表記では「SFC」、呼称では「スーファミ」が一般的。 本体開発時にファミコンとの互換性を模索した影響で、採用したCPUが16ビットとしてはクロック周波数が低く処理速度が遅いものとなってしまった。 このため開発ノウハウが蓄積される中期以降までは処理落ちが目立つゲームが多く、開発者からも「RPG専用機」などと揶揄されたが、音源性能にも遅さを助長する一因がある(後述)。 内蔵音源はSONY製サウンドチップ「SPC700(*1)」によるPCM8ch。 この当時PCMのみの採用は非常に画期的であったが、コスト面の折り合いからサウンドメモリはわずか64KBである。 PCMはサンプリングした音を鳴らすことで様々な音色を再現できるが、64KBでは約5秒分程度しかサンプリングできず、この5秒の音の中からその場面での効果音とBGMの音色を全て賄うための技術的工夫が必要であった。 またサウンドメモリの速度も遅かったためサンプリング音の読み込みに時間がかかり、これがゲーム起動時や場面切り替えの際に(ROMカートリッジでありながら)ロードで待たされる要因のひとつとなった。 上記の制約からSFCの音色は制作者によるクオリティの差が大きい。 作曲者が良い曲を作ってもサウンドプログラマーの腕が悪いと、音がくぐもっていたり、パペパプー(*2)と揶揄されるようなものになったりする。 しかし表現力がそれまでの家庭用ゲーム機の内蔵音源から格段に向上したのは事実であり、またサウンドドライバの改良や開発ノウハウの蓄積も背景にして、様々な名曲も生まれている。 ゲーム音楽と技術力が不可分な関係にあった最後の世代の家庭用ゲーム機と言える。 参考 アクトレイザー(独自開発したサウンドドライバにより、SFC初期に音源の潜在能力の高さを実証) 餓狼伝説SPECIAL(SFC初のドルビーサラウンド採用(*3)) ダウン・ザ・ワールド(SFCの内蔵音源で初めて女性ボーカルによる主題歌を実現) テイルズオブファンタジア(SFCの内蔵音源で、より複雑な歌詞による歌を実現)
https://w.atwiki.jp/140905580/pages/156.html
タグ一覧 このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart91~95)です。 SSまとめスレはこちら part1~10はこちら part11~20はこちら part21~30はこちら part31~40はこちら part41~45はこちら part46~50はこちら part51~55はこちら part56~60はこちら part61~65はこちら part66~70はこちら part71~75はこちら part76~80はこちら part81~85はこちら part86~90はこちら part91~95はこちら part96~100はこちら part101~105はこちら part106~110はこちら part111~115はこちら part116~120はこちら part121~125はこちら part126~130はこちら part131~135はこちら part136~140はこちら part141~145はこちら part146~150はこちら part151~155はこちら part156~160はこちら part161~165はこちら part166~170はこちら part171~175はこちら part176~180はこちら part181~185はこちら part186~190はこちら part191~195はこちら part196~200はこちら part201~205はこちら part206~210はこちら part211~215はこちら part216~220はこちら part221~225はこちら part226~230はこちら part231~235はこちら part236~240はこちら part240~245はこちら part246~250はこちら part251~255はこちら part256~260はこちら part261~265はこちら part266~270はこちら part271~275はこちら part276~280はこちら part281~285はこちら part286~290はこちら part291~295はこちら part296~300はこちら part301~305はこちら part306~310はこちら part311~315はこちら part316~320はこちら part321~325はこちら part326~330はこちら part331~335はこちら part336~340はこちら part341~345はこちら part346~350はこちら part351~355はこちら part356~360はこちら part361~365はこちら part366~370はこちら part371~375はこちら part376~380はこちら part381~385はこちら part386~390はこちら part391~395はこちら part396~400はこちら part401~405はこちら part406~410はこちら part411~415はこちら part416~420はこちら part421~425はこちら part426~430はこちら part431~435はこちら part436~440はこちら part441~445はこちら part446~450はこちら part451~455はこちら part456~460はこちら part461~465はこちら part466~470はこちら part471~475はこちら part476~480はこちら part481~485はこちら part486~490はこちら part491~495はこちら part496~500はこちら part501~505はこちら part506~510はこちら part511~515はこちら part516~520はこちら part521~525はこちら part526~530はこちら アダルトコンテンツは乗っけると最悪wiki削除なのでやばそうだなとおもったらリンクかスレ位置を置いておいてください(主にルドトレ) リンク例は編集画面にてコメントアウトしています。 目次 目次おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part276【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part277【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part278【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part279【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part280【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part276【TSトレ】 ≫82二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 17 46 52 黒色と楽園 「これが勝負服ね…」 スーツのようなそれを身にまとったキタトレーーー私は呟いた。 サトトレのサトノジャッジとしてのデビューで作ったのだが、いつの間にか私のもあった。 「僕のと合わせて作ったみたいだね。」 そう言うのは、白いワンピースの勝負服に身を包むサトトレだ。 耳飾りの黄金の天秤が輝いて見える。 「随分と似合うじゃないかしら?貴方のイメージ通りよ。」 「そうかな、なら嬉しいや。」 はにかむように笑う彼女がとても可愛い。 最近は振り切れてるとはいえ、今までそうやって笑う姿の少なかったサトトレのそれは良いものだった (抱き締めてあげたくなるわね…仮に男性の姿だったとしても気持ちは変わらないけど。) 「…キタトレの勝負服もいいと思う。」 先程までじっと私を眺めてきた彼女からそんな言葉が飛んできた。 「そうかしら?そこまで変哲のないスーツだけど。」 「うん、だからだよ。キタトレはこっちの方がいいと思うんだ。それにこの帯もあるしね」 「赤色のこれでしょう。…走ったら広がるらしいけど」 「それとこの手袋もね。」 手渡してくるのは黒と白の手袋。サトトレから受け取ったそれを手に付けて感触を確かめる。 暗く纏う私にあの曲が今なら似合いそうだ。 「目立つね、その左手。僕と同じ白色。」 唯一明るいそれを彼女は指摘してくる。 「それは貴方のチョーカーもでしょう。…付けて上げるわ」 そういって赤色のチョーカーを取り出し、彼女の首に巻きつける。私が彼女を染め上げるかのようなそれ。 (ダイヤちゃんが染めていくのもわからなくはないわね…) 「不思議な感覚だね」 良く分かっているのか怪しい彼女が返してくる 「そうね…折角だし走りましょうか。」 「うん、そうしよっか」 ーーーその後、ターフにて白い羽根と赤色の羽根を見たと噂になったのだった。 ≫107二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 18 00 51 変わらず天狼星 リウトレ 朝日を浴び、瞼を開ける。いつもより、身体に違和感がある。 「な、なによ…これ……!」 低くなった背、大きくなった胸と尻、白くなった髪に頭上にある耳、下半身にある尾。どうやらあたしはウマ娘になってしまったようだ。最近よく聞くトレーナーのウマ娘現象。またいじられそうだな、あたしはため息をつき、スマホで担当ウマ娘であるシリウスシンボリへ連絡を取った。 「ハハッ、そりゃあいい。見に行ってやるよ、アンタがどう変わったのか」 「もう何でもいいから、早く来て……」 あたしは頭を抱えた。アンバランスなこの体格は些か生活に問題がある。とりあえず着替え等を済ませることにした。慣れない歩幅に躓きかけたりした。尾のために服を新調する必要がありそうだ。あとは胸も大きくなったから下着も。今は支障のなさそうなワンピースを着用した。 「この眼も…笑いそう…」 鏡に映った自分はあまりにも変わり果てていた。赤い眼と黒目が青く見える眼が並ぶ。横髪だけ伸びたショートヘア、短く太い眉、口元の黒子。胴体以外変わってしまったようだ。 「入るぞ」 「ノックをしてって言ってるでしょ!」 「別に良いだろ、アンタと私の仲だ。にしても、随分と変わったな」 ノックもせずに部屋に入ったシリウスは変わったあたしの身体をまじまじと見つめ、にやりと不敵な笑みを浮かべた。 「ああ、悪くない。アンバランスではあるが、中身まで変わってねぇなら許容範囲だ」 「許容範囲って…」 「まさか、こんなちんちくりんになるとはな。兎みたいになっちまって」 「うっさい!気にしてんの」 彼女に突っかかろうとしてあたしはバランスを崩した。 「わ…」 「おっと…当面は私が抱えてやろうか?」 バランスを崩し転びそうになったあたしを抱えて嬉しそうに彼女は言った。 「慣れるまでだけよ!」 「ああ、いいぜ。アンタは私のトレーナーだからな。この身体でも可愛がってやる」 「もう…そういうのは良いから、ウマ娘用の服売ってるところに案内して頂戴!」 元々波乱の多い彼女との日々にまた大きく波がきた。顔に熱を感じながら、あたしはそんな気がした。 ≫160二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 18 27 05 「──それで、マックイーンの一日のスイーツの上限を引き上げたのです」 「ま、いいんじゃねーの?走ればいいんだし」 「むしろ今までよく我慢したなマックイーンも」 「ええ、本当に。時折増やして欲しいと言われてましたが……わたくし少し厳しすぎたでしょうか……」 「それはマクトレの考えるべきことだよ。私はテイオーに言われたらすぐ許しちゃいそうだけど」 「……」 「……」 「……」 「え、どうしたの?」 「やばいな」 「やべえな」 「やばいですわね」 「えっほんとに何?」 「わたしって」 「あっ……」 「うん」 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part277【TSトレ】 ≫30 1721/10/20(水) 18 45 48 『来ました! 来ました! 1着「───────」今ゴールイン! 2着の「──────────」を置き去りにした! 強い! まさに世界の「───────」! 今このドバイという舞台で……』 TVから流れる中継を聞きながら、ふと思う。私は、なぜ「間違えて」しまったのか。 それとも、今は「間違い」ではないのだろうか。 いまや誰もが世界一「────」と認める「姉(私)」、そして今、世界の舞台でレースを制してみせた「妹」。私達姉妹を誰もが羨むだろう。 『お姉ちゃん見てるー! 私、世界に勝ったよ!』 「はは、それはまだ言い過ぎ……でもないのかな……」 大切な「妹」の晴れ舞台。当然現地で応援するのが普通で。 でも私はその日にどうしても外せない予定があって、海外まで同行するのは難しい。 ──そういうことに、してしまった。 その予定なんて、いくらでも変えられたはずなのに。 「どうしても変えられないから」なんて、私には理由にならないのに。 ……無理なんて、これまでいくらでもしてきたはずなのに。 『おめでとうございます「───────」さん! 今この気持ちを伝えるとしたら誰でしょうか?』 『勿論お姉ちゃん! お姉ちゃん、いっぱい褒めてくれるかな♪』 『お姉ちゃん……ああ、カレンチャンさんのことですね!』 『はい♪ まずは家族に、それからこれまで支えてくれたみんなに、そして今私を見ているすべての人に、この「カワイイ」を届けたいです!』 勝者へのインタビュー。本来喜ばしいはずのそれを聞いても、私の心はむしろ沈んでいくばかりだ。 インタビューが進んでいく。そして話が姉妹の仲に進んだ時、私は耐えきれずTVの電源を落とした。内容は当然録画してあるから問題無い。でも……これから直ぐに、嬉しそうに報告してくるだろう。「お姉ちゃん見ててくれた♪」って。 だからそれまでに、私は涙を落としきらなければならない。私の「────」は当然、誰かを笑顔にするためのものなのだから。 ずっとそうしてきたように、「────」笑顔でよく頑張ったねって、お兄ちゃんを抱きしめてあげるんだ。これまでも、これからも。 うまぴょいうまジリリリリリリ! ≫https //bbs.animanch.com/board/112467/?res=52 https //bbs.animanch.com/board/112467/?res=53 ≫124二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 19 31 33 マルトレ「ルドトレに聞いてきたんだが、マルゼンスキーみたいに征服欲を満たしたいなら抵抗するといいらしい。なので今日は抵抗するが別に嫌なわけじゃないからそこんところよろしく」 マルゼンスキー「私が学生の時の設定でお願いしたいわ」 マルトレ「了解」 マルトレ「ダメだマルゼンスキーッ!こんな……俺たち担当とトレーナーの関係で……こんなことしちゃダメだってぇっ……っぁ!」 マルゼンスキー「」 マルゼンスキーがハッスルしすぎてマルトレは腰痛で学園を休んだ 127二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 19 33 32 その後 マルゼンスキー「ごめんねトレーナーちゃん……昨日ハッスルしすぎちゃって……」 マルトレ「あれくらいの方が愛されてる実感あるから別にいいっていうかもっとして」 ≫136二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 19 40 57 「ねえお母さーん」 「うーいなんだい娘二号?」 「なんでママはお母さんをネイチャって名前で呼ぶのに、お母さんはママを名前で呼ばないのー?」 「……それはねー。なんか名前で呼んでもしっくりこなかったからなんだよ?」 「なんでー?」 「それはねー。トレーナーさんって呼ぶのが一番好きって気持ちが伝わるからだよ?」 「どうしてー?」 「それはねー……」 ………… …… ≫163二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 19 55 59 「トレーナー。昔学生の頃さ、あんた、アタシなら引く手数多だって、割とデリカシーないこと言ってたよね」 「ああ、言ってたな」 「アタシはさ、アンタがいい」 「……今の俺はウマ娘だぞ? タイシンには他の選択肢だって」 「二度も言わせるな、クソボケ」 「悪かった」 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part278【TSトレ】 ≫50二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 20 30 02 「トレーナー君。状況は?」 「ウマ娘側はエアグルーヴとフジキセキを副官に状況を鎮静化させるべきだと思う。トレーナーとなるとグラトレさんも頼りになりそう」 「わかった。エアグルーヴ、動けるトレーナーとウマ娘の実働部隊指揮を委任する。フジキセキは寮の方で確認を」 「わかりました会長」 「了解、すぐに行動するよ」 (*1) ≫109ガンギマリ頭スズトレ21/10/20(水) 20 50 59 「スズトレさん、今日って夜時間あったりは?」 「ん、あるけどどうかした?」 「いやー、ちと相談に乗ってもらいたくて…」 合同練習中にブラトレがそう持ちかけてくる。 「…私に?珍しいね、いつもはフクトレとかマクトレとかなのに。」 「そのフクトレの推薦だったりもするぞ。スズトレさんが一番気持ち分かるだろうって。」 「マジで?」 フクトレがわざわざ私の名前を出すってことはホントにそういう事なんだろう。内容は想像つかないけど。 まあブラトレには数え切れないくらいお世話になってる。ブラックヴォルフの練習にスズカや私を参加させてもらったり、ブライアンと並走させてもらったり、料理教えてもらったり。 「分かった、どこにする?」 「助かりますわ。」 断る理由はなかった。 ということで少し時が過ぎ、ブラトレの家にて。 「ルドトレとグルトレが…」 初手から私は頭を抱えた。それも物理的に。 「…オーケー、多分全てを理解したけど念の為続けて。」 「わかった。いや、俺ってほら、こう…18系の話苦手じゃないすか。」 「うん、ちょっと心配なるくらい耐性ないよねブラトレ。」 「それでさぁ!!ルドトレがさぁ!!もう遠慮なしに惚けまくるし言いまくるの!!!!」 「分かるよ…ルドトレ気の許せる相手だとただでさえ緩い口が更にユルッユルになるからね…」 「そうなんだよ…勘弁して…でさ、グルトレは抑えてくれてるのよ、ある程度。 …でもさ…ルドトレにガッツリ削られた後にされると十分すぎるくらいキツいっていうか…最近普通にブレーキ緩くなってきてるっていうか…」 「あー…寝込んだ後からグルーヴへの想いが更に溢れ出てるのはあるなぁ…多分あの時になんかあったんだろうね…」 「無事に帰ってきてくれてよかったわ。でも、やっぱりキツい…仕事がままならない…助けてスズトレさぁん…」 111ガンギマリ頭スズトレ21/10/20(水) 20 51 18 机に突っ伏し、弱々しくブラトレが言う。哀れ、あまりに哀れ。 特にそういうのに苦手意識のない私でも全力でお断りしたい空間に耐性マイナスを放り込まれた末路がそこにはあった。 「…正直に言っていい?リモートとかで近寄らないのが正解だと思うなぁ…」 「なん…だと…?」 「だって二人とも無自覚要素が少なからずあるから意識しても絶対漏れ出すし…あとはマクトレかカレトレ辺りから──耐えた。教わるとか…?」 「あれ覚えられるもんなの…?」 「…さあ…?」 沈黙が部屋に満ちる。 「…スズトレさんでも打つ手なしってことでよろしい?」 「申し訳ないけどこればっかしはお手上げ、降参!!だって打つ手あったら28歳組の集まりの度に監禁されるルドトレはいないからね!!」 「そっか!!!!」 そして一転、大笑い。簡単に言うとハイってやつだ。 そうしてひとしきり笑いきってから。 「…定期的に相談乗るよ。気持ちは痛いほど理解できるから。」 「助かりまぁす…」 そんな約束をして、ヤケクソ気味にお酒…は二人とも弱いため、麦茶を飲むのだった。 ≫120二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 20 58 08 「……ルドルフ?」 「……トレーナー君?」 ふと、トレーナー君が呼び掛けてくる。 「……んー、今日さ、夜スるつもりだったじゃん。監禁調教プレイ」 「……するつもりだったな」 「……なんか、スる気が……」 「……奇遇だな、私もだ」 そうして、二人揃ってこう言う。 「…今日は、添い寝だけでいいな」「よね」 こうして、まったりしようとした二人が掛かった面々の鎮圧にてんやわんやするのはあと数分後の話…… ────翌日、慰労も兼ねてルドトレは監禁された。 ≫138ロブトレヒロイン概念21/10/20(水) 21 04 52 ロブトレ同窓会 「皆さん、お久しぶりです」 「「「いや、お前、誰だよ!」」」 「?先にLINEで伝えたと思いますが……」 「いや、伝わっているけどさ。それでもお前誰だよってなるよ!」「うおちっさ、うおでっか」 「あのイケメンがこんな姿になるとは……女性陣から阿鼻叫喚の声が聞こえるな」 「それで、本当にお前、ロブトレでいいんだよな?」 「ええ、なら大学時代の皆さんの武勇伝を話してあげましょうか?」 「「「いや、やめてくれ、お前の言う武勇伝は武勇伝ではない」」」 「ふふ、私からすると十分武勇伝のように感じていましたが、皆さん、これで分かっていただけたでしょうか?」 「ああ、分かったよ、お前は紛れもなくロブトレだ」 「とりあえず、いつも通り飲め、お前、昔は俺たちとくらいしか飲めていなかっただろ?」 「いえ、ですが、それで何時も皆さんに迷惑を……」 「良いんだって!お前のことはよくわかっているからさ、だから存分に飲め!」 「で、では……少しだけ、いただきますね」 ~数十分後~ 「ヒック……うう……ごめんなさい……ごめんなさい……」 「酔っぱらっている時くらいしか、お前はゆっくりできなかったもんな、お前は」 「周りからの期待に縛られてさ……俺たちと一緒にいる時くらいは沢山泣いて、いろんな想いを流しちまえ」 「久しぶりに会って正直驚いたよ。よくつるんでいたからこそわかるけど、こいつ、だいぶ自然体になっていたな」 「ああ、柔らかな口調は変わらなくても、気を張っているわけではないのが伝わるからな」 「うう……ロブロイ……大好き……」 「俺、ずっと心配だったんだよな。こいつ、担当を持ったらそいつのためにずっと気を張り続けるんじゃないかって」 「そうならないために、よく俺たちでこいつの想いを吐き出させていたんだろ」 「でも、担当を持ってからのこいつ、本当に幸せそうだからな。いい担当に出会えたんだな」 「今まで我慢してきた分、十分幸せになれよ、ロブトレ」 「それはそれとして、今の状況、やばくない?」 「お前……こいつに欲情しているのか?」「そうなら俺たちの友情はここまでだな……」 「そうじゃなくてさ……酔いつぶれたロリ巨乳のウマ娘と、成人男性3人で飲み会している図……通報されないか?」 「……早めに切り上げて、ロブトレの送りを誰かにお願いするか」「だな……」 ≫150二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 21 12 49 やっと、あなたと一緒に カフェトレ(タバコ)テイトレ 「…寒い」 「…寒いなぁ」 半月と星が照らす夜の海岸で二人の芦毛が釣り糸を垂らしていた。 「…マルトレは?」 「車で寝てる。朝になったらタマトレ達が青物とか狙うために投げ釣り用の荷物持って来るらしいからそれまで待つんじゃないかな」 「…まぁこんな真夜中から釣りなんてしなくてもいいし」 「…それはそうだけどさぁ」 くしゃくしゃと髪を掻く彼を見て、コンビニで買ったホットコーヒーをくいと口に含む。 「そういえばなんでカフェトレは参加してくれたんだ?」 「ん…そうだな。確かに私はあんまりこんな経験はないけど」 キャップのついた缶コーヒーを灰皿にして短くなったタバコをそこに捨てる。わずかに残したコーヒーに火が浸かり、じゅぅと音を立てて消える。 「夢を見たんだ。闇を切り裂いて暖かな光に飛び込む夢を…それで、なんとなく」 「そっか。それは良い夢だ」 「うん…本当に、良い夢だったから。気分が良くなってな」 表情はいつも通りに、それでも微かに微笑んでカフェトレは新しくタバコを取り出して咥える。そうして火を取り出そうとして、テイトレが伸ばした手に目を向ける。 「ん。おめでとう…ってのもなんか変だけど」 テイトレが差し出したZIPPOの揺れる炎を見て、彼は笑う。そうしてタバコに火をつけ、ゆっくりと息を吸う。煙が口腔を通り、気道を通って肺に満ちる。 「ふふ…ありがとう…も変だな、どうぞ」 「どうも…ははっ、なんだこれ」 お返しにとカフェトレが火を差し出して同じようにテイトレも紫煙を燻らせる。 星が瞬く、肌寒い波風が吹く夜の海岸。二人の芦毛が咥える蛍のような赤い光。 一際強い風が吹く。波音しか聞こえないその凪間でこう聞こえた気がした。 おめでとう、と。 「テイトレ、そういえば竿引いてるけどいいのか」 「うぇ!?もっと早く言ってよ!いじわる!」 ≫171二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 21 29 16 釣り? をするゴルトレとムントレ 「ウェーイ☆ゴルシちゃん見てるぅ〜? 今、俺はゴルシちゃんにナイショで津軽海峡に来ちゃってま〜す☆」 「ウェイ☆着いてきたムントレだよ、タンホイザ見ているかい?」 「それじゃあコレから喫茶店でお出しする本マグロを釣っちゃいま〜す! 包丁を研いで待っとけよ☆」 「……!! それよりゴルトレ君!あの魚影を見たまえ!!」 「なっ! おいおいおい、キリ……ムントレ! ありゃあ俺の婆さんが言ってた大間の伝説のカジキマグロじゃねぇか!!」 「やはりそうか!! ふっ……釣り上げたらタンホイザも喜ぶだろう!!」 「当ったりめーだ、シュタ……ムントレ!! だけど、ちくしょう! アイツが喰らい付きそうな餌が無ぇ……!!」 「……ゴルトレ君、コレを使えないだろうか?」 「なっ……こりゃあ、リア……ムントレが作った味がしっかり染み込んだ大根!! ……いける、いけるぜ! この大根なら、あの伝説のカジキマグロも喰らい付く!!」 「やはり大根は全てに通ずるか……よし、船の操縦は任せてくれゴルトレ君!!」 「応! 任せたぜ、ヴォーダイムントレ!! ……つけ麺屋の親父……アンタの悲願、俺が叶える!!」 「コチラの準備は万端だ、ゴルトレ君!!」 「……よし、気合い入れっぞ! 良い言葉は有るか!?」 「愚問だな!!」 「「いくぞ!! えい、えい、むん!!!!」」 その後、メイド喫茶にてカジキマグロの解体ショーが有った事は誰もが知る所である。 完!! ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part279【TSトレ】 ≫19二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 21 46 08 『導く者たち』 「いやーごめんねブラトレちゃん、ヒシトレちゃん。料理任せっぱなしになっちゃってさ」 「気にせんでくださいよ、俺たちは料理好きですから。まあ飲むのも好きですけど!」 「ブラトレは飲みすぎたら暴走するらしいからほどほどにしてよぉ?」 「はっははー覚えてないなー、覚えてるけど。ま、そんなことより手を動かせ動かせ」 今日は夕方からブラトレの家で、生徒会、寮長トレーナーたちの飲み会が開催される予定だ。 ブラトレとヒシトレ両名は飲み会で提供するおつまみの準備に勤しんでいた。 「5人分のおつまみってなかなか量が要るねえ。」 「別にお酒で全部押し流すってなら量はいらないんですけどね、今日はゆったり話しながらなんでしょ?」 「それならこちらを充実させておいたほうが満足感出るでしょうから」 「それはありがたいねぇ。もう少ししたら二人も来るだろうし、テーブルのほうの準備を進めておくよ」 「あ、フジトレさんなんか食べたいものあります?作っておきますよ」 「じゃあ唐揚げでも予約しておこうかな?」 「かしこまりー」 フジトレはテーブルの準備へと赴き、こちらキッチンでは二人の料理が進んでいる。 「うーん、このペースなら10品程度いけるかな…?」 「5人で飲むからまあそれなりの量は欲しいよなぁ。野菜と魚関係任せても?」 「おっけい、肉系と揚げ焼き系はヒシトレやってくれ」 「よーし、チャチャっと作って俺たちの飲む時間を確保しよう」 かくして二人の料理人によるおつまみ大作戦は始まった。 「あー、オクラいい……たまに食べたくなる」 「おっと、つまみ食いとは感心しないなー?」「味見と言ってくれ味見と。ほれおいしいぞ」 「あーうまー。これで共犯者じゃないかぁ」「へっへへー問題なかろうぜぇ、生産者特権よ」 「よし、唐揚げは大丈夫。あとは煮つけかな?」「なめろうおっけー。大体できたんじゃないか?」 「あっ味見味見。うまー」「うまぁい……背徳的だぜ」 ちょこちょこと味見という名のつまみ食いをしつつも、時計の長針が半分回るころに料理は終了した。 20二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 21 46 29 「しゅーりょー。まあ、十分でしょ」 彼らの目の前には、相当量の料理の品々がそろっていた。 さすがに全部を一度にもっていくわけにはいかないので、一部は冷蔵庫の中で保存しておく。 「5人で食べる分だしこれくらいなら行ける行ける」 「……まあウマ基準だからあっという間だろうな」 「だろうねえ……みんな食べるしねえ」 「まぁ足りなかったら作ればいいや。そろそろ来るでしょ二人も」 そうキッチンで話していると、チャイムが部屋に鳴り響く。 フジトレもキッチンに向かってきて、二人を呼んだ。 「来たみたいだよ。迎えに行こう」 「了解でーす」 二人はキッチンを後にして、友人を部屋に招き入れに行った。 「ごめん遅くなっちゃった!」 「緊急の仕事がちょっと溜まってたみたいでね、グルトレちゃんの分を手伝ってたんだ」 玄関の外ではルドトレとグルトレの二人が待っていた。仕事終わりでスーツのままである。 「あーしゃーない、なんか今日も増えたとか言ってなかったっけ……」 「えーっと……たしかスマートファルコンさんのトレーナーが」 「増えたねえホントに……ブラトレちゃん、今何人だっけ」 「40あたりから数えるの放棄してデータベース頼りですよ俺」 「難しく考えたら爆散しそうだわ」 「まあそんな訳なので。仕事の話はここで終わり、今日はルドトレやみんなと一緒に飲む!」「飲むよー!」 仕事から解放された二人は存分に今日の飲み会を楽しむつもりである。 「ほいほい、今日はお酒は抑え目だけどおつまみは多めに用意したから楽しんでくれよー」 「「わーい!」」 迎え入れられた二人は靴をきっちりと揃えて脱ぎ、ぱたぱたと部屋へ入っていく。 「……いまさらながら僕たちって全員男だったんだよね?」 後のほうにウマになったフジトレが呟く。彼女たちの動き方はもはや女性のそれと何ら変わりないのだ。 「言わんでください……生徒会メンバーの俺が一番わかってたはずなのにわかっていなかったから……」 ブラトレはブラトレでなんやかんやの末最初期の変化メンバーになってしまったので、溜息交じりに呟いた。男の自覚が失われたわけではないが、何とも言えない気分であった。 21二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 21 47 02 休日前とはいえ、やはりハイペースに飲むのはよくない……という感じでブラトレとルドトレがペースを抑えながら飲んでいたため、本日の飲み会は大変緩い進行となっていた。 「あー、このなんだろ、魚おいしい」 「なめろうだねー、うまいうまい」 「ちょっと寒くなり始めたからあったかいものが食べたいー」 「じゃあ唐揚げとってくるかぁ」 「あ、行くならついでに芋焼酎とってきてブラトレちゃん」 「ほーい」 ブラトレが料理を取りに行ったタイミングで、グルトレが思い返したかのように口を開く。 「そういえばここにいるメンバーって大体担当に愛をささやいたりささやかれたりしてない?」 「……うそぉ」 爆弾が放り投げられたとヒシトレは確信した。多分ブラトレがいなくなったタイミングを見計らったのはこれだろう。 「そうだねー、僕はそこまで進んでるわけじゃないけどフジといろいろと楽しんでるよ」 「まあ私は言うまでもなくルドルフと」 「私もグルーヴと」 「……えっこれ俺も言うの?」 「だってブラトレちゃんはこの手の話に強くないじゃない?」 「何ならブラトレってもうすでにブライアンと家族枠というかなんというか……」 「あー、僕もちょっとわかるかも。落ち着いた相方っていうか熟年夫婦みたいな感じだよねえ」 「それなら新進気鋭のヒシトレちゃんに聞いたほうがほら、楽しそうじゃん」 ヒシトレの顔から冷汗がだらだらと噴き出る。ヒシトレは逃げたくなってきた。 「うおおおお、俺も逃げてえ……!」 「駄目だよー、軽くでいいから話してちょうだいよー」 「簡単でいいから言ってみてよー!」 「お、俺は……ヒシアマゾンに……いやそんな事はやってない!普通に一緒に過ごしてるだけだって!」 「なんだー、てっきりもっと進んでるかと思ったけどそんなことはなかったんだねえ」 「俺のことなんだと思ってるんです!……っていうか生徒会のメンバーお二方が一番やらかしてるのでは?」 「……いやそんなことはないはず……前よりは変な理由で監禁されなくなってきたし……」 「いや私も抑えてるはず……たぶん」 監禁というワードが出る時点でだいぶおかしいのだが、全く気が付いていないようだ。 22二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 21 47 22 「うぉーい唐揚げと芋焼酎とその他もろもろ持ってきたぞぉー」 「わーい!」「ブラトレありがとー!」 見計らったタイミングのようにブラトレが戻ってきたため、この話題は中止となった。 「まあ、人の関係はそれぞれ違って当たり前ってことでしょうねえ」 「そういうことにしといてください……」 「ん?何の話してたんだ?」 「いや別に何か特別な話はしてないよ」「ブライアンとブラトレって仲いいよねーっていう話?」 フジトレとグルトレは誤魔化しつつ料理皿を受け取った。 「まあ最高の相棒だからなー。うちの子一番って言い始めたら収集つかないからやめとくけど」 「それが賢明だねえ。それを言い始めたら僕だってフジが一番!って言い始めちゃうからね!」 「俺だってヒシアマゾンがナンバーワンだ……ってそういうところですよねー」 「負けず嫌いばかりだからねえ、暗黙の停戦協定よねー」 それだけ皆、様々な形で担当ウマ娘と関わり合い、ともに走り続けているのだ。 時には喧嘩もしたことだろうし、笑いあったり、涙を超えて行ったこともあるだろう。 ウマ娘たちを導く人であり、共に歩む人。そして同じ夢を目指して共に支えあい、走るもの。それがトレーナーなのだ。 「でも何もなしってもつまらないしなー、自分の相棒の良いところを一人一つだけでも挙げるか?」 「お、それなら良さそう」 「じゃあ誰からするー?」 「ここは年齢順でやっちゃうか!おじさんからやるよ!」 「フジキセキさんの良い所教えてー!」 宴もたけなわ宵の席、一人一つの良いとこ探し。 あの子は優しい、あの子は智的、自分の眼で見た全てのことから、これぞというもの一つを挙げて。 自分の愛バの自慢話は、酒の最高の肴だろう。 ≫31チヨノオートレSS21/10/20(水) 21 55 41 私、サクラチヨノオーはトレーナー室で拍子抜けしていた というのも、先日自分のトレーナーさんがウマ娘になったと聞かされていたからだ さぞや混乱しているだろうなと心配していたのだが 「という訳でウマ娘になってしまいましたが、これからもよろしくお願いします」 ウマ娘化して初めての顔合わせでの第一声がこれである 確かにトレーナーのウマ娘化事例は増えてきている トレーナーさんも同じウマ娘になった他の方々に話を聞いてもいるらしい 何というか、反応が淡白というか もうちょっと困惑したりしても良いのではないだろうか? 何時までも後ろを向いてはいられないというのが本人の弁だが、それ以上の含みがあるように聞こえるのだ それをトレーナーに問うと、今後試せることが増えると理由を話してくれた 「私がウマ娘であれば、チヨノオーさんのトレーニングを同じ目線で考えられるんです」 曰く、人とウマ娘は別個の生き物であり、どうしても認識のずれは生まれてしまうのだという しかし、同じウマ娘ならば、データだけではなく疲労など言葉にしずらい感覚も理解できる すなわち、自分のデータを参考にトレーニングを組み立てられるのだ――― そう嬉しそうに話す彼(彼女?)を見ていると、一抹の不安がよぎるのだ 以前から、トレーナーさんは担当ウマ娘のことを重視する一方、自分の事はおざなりにしている傾向がある ウマ娘や他の人間には病的なまでに無茶をすることを止めるのにだ 今回もデータ収集と称して自分の体を酷使してぶっ倒れはしないかとひやひやしている それに、今だって――― 32チヨノオートレSS21/10/20(水) 21 56 28 「…何ですかその服装は」 「何って、ジャージですが…」 身の丈に合わないダボダボのジャージを着て私の前に姿をさらしている 以前から服装に関して意識が向いていないと思っていたがこれほどとは… 「トレーナーさん、今度お洋服を買いに行きましょう!私もつきあうので」 「でも、トレーニングが」 「でももだってもないです!!」 「アッハイ」 この調子だと先も思いやられるな 私は思わずため息をついた 33チヨノオートレSS21/10/20(水) 21 57 01 後日、ショッピングは困難を極めた 「別にスポブラでも…」 「駄目です。調子が悪くなりますよ」 「じゃああのマネキン一式を」 「チョイスが適当すぎますっ!」 「私は化粧とかは…」 「女性の基本なので覚えてもらわないと!」 お店を回って数時間後 フロアに設置されたベンチに倒れこむ。なんだかいつもの三倍ぐらい疲れた気がする 傍には紙袋を持ったトレーナーがいた 今は私が選んだブラウスとパンツを履いて貰っている 本人はこんな素敵な服は私なんかに似合わないとか言っていたが、実際着てみればベストマッチである 「ここまで買い込む必要があったのでしょうか…」 「女の人は繊細なのでこのぐらい必要なんです」 若干今回の買い物に乗り気でないトレーナー やはり、トレーナーさんは自分について無頓着だ 自分が美少女ウマ娘である自覚がないというか… 女性としての自覚がないというか… 自分のことをおろそかにしがちというか… 34チヨノオートレSS21/10/20(水) 21 57 14 そのうち変に男性を刺激してえらい目に合いそうな危うさがある うん、駄目だこの人…暫くは私がサポートしてあげないと そう決意した昼下がりだった ≫https //bbs.animanch.com/board/112898/?res=42 ≫73二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 22 17 29 『ウシ娘~ロングホーンダービー~』 「今日のてぇぇぇまはぁぁぁぁ~ウシ娘ぇぇぇぇぇぇぇい」 んな変な言葉が夢の終わりのあたりで響いてた気がした。またなんか俺の夢に侵入してやがるゥ。 朝起きて鏡を見れば、俺の頭には見事なまでの角が生えていた。 「嘘ぉン」 角ってなんだよ。俺今ウマ娘でしょ。ウマに牛の角付けたらもうキマイラでしょ。 ギガブラトレって名前になっちゃうよ。いやバッファ〇ーマンか? 「ご丁寧に服の柄まで変えやがって…!」 寝ているときに着ていた寝巻は見事なまでに牛柄。俺の愛用していた寝巻ジャージを返せ。 あとなぜ首にカウベルがついている。引き剥がせねえ。呪われている装備だ。 「あーどうしよう……今日は休みだけども……うん?電話?」 ピリリとなる電話を取る。 画面に表示された名前はつい最近までアメリカでバッファローを乗りこなしていたと噂のゴルトレ。 『おーっすブラトレー、ゴルトレちゃんだぞ?』 「どうしたゴルトレ、朝から宣戦布告か?」 『よく解ってるじゃねえか…ついにオレたちの雌雄が決する時が来たのだ』 「で、どこ集合?駅前?」 『本屋でよろしくー』 ピッと電話が切れる。スイッチが入る。 「さーて、出かけるかぁ…この頭どうしよ……」 この後ゴルトレとロングホーントレインの練習をした。翌日には角と牛柄はきれいさっぱり消えていた。 その時、ふと閃いた!このアイディアは、ブラックヴォルフのチームメンバーとのトレーニングに活かせるかもしれない! メンバー全員は迫る影のヒントを得た!(冗談です) ≫88二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 22 26 24 リウトレさんは耐えたい リウトレ ウマ娘化してしまったあたしは担当であるシリウスシンボリに連れられ、ウマ娘向けの服を扱う店へと向かっているのだが。 「恥ずかしいから下ろして!!」 「別に問題ねぇだろ、誰にも迷惑かけてねぇんだから」 シリウスに横抱きされていた。当然赤の他人の視線は向けられており、あたしの羞恥心は限界だった。ブラがないので胸は包帯とタオルでしっかりと抑え、靴は幸いもともと持っていたもので足りたので歩けなくはない。 「歩けるわよ」 「さっき突っかかろうとして、転びそうになったクセによく言う」 図星だ。だからと言って引き下がるあたしではない。そう、慣れないからといってこのまま文字通りおんぶにだっこではいつまで経っても慣れないのだ。正直彼女に抱きかかえられ、パーソナルスペースを侵食されるのは羞恥心を加速させている。恐ろしい程に顔がいい、それをわかっているのかそういう事をあたしによく言う。以前はパーソナルスペースに入らず、さらりと言ってくるだけだった。だったのだが。 「そんなに私の顔を見て、ようやく乗り気になったか?」 「違うわよ、下ろして」 あたしがこの身体に慣れないことを良いことに簡単にパーソナルスペースへ侵入してくる。 「ワガママなお姫サマだ」 「トレーナーよ」 ようやく横抱きから解放されたあたしは、ゆっくり地へと足をつける。身長とバランスの悪すぎる胸で脚元が見えない。平均台を歩く時のような感覚で一歩、また一歩と足を動かす。 「そんなチンタラ歩いてたら日が暮れちまうぞ」 「うっさい!……きゃぁっ」 急かされたあたしはバランスを崩し、彼女にまた抱き支えられた。本日2度目である。早く慣れたい。心臓が足りない。 「ほらな」 「っ……!」 「ハッ、可愛いモンだ」 顔に熱を感じる。彼女はあたしの手を取り、笑みを浮かべた。あたしは彼女に手を引かれながら歩くことを選んだ。 90二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 22 26 37 「これとかいいな、アンタによく似合う」 「なんでシリウスがあたしの下着選ぶのよ」 ショッピングモールに着き、下着から購入しているのだが、なぜか彼女が先導して選んでいる。そのせいか緑、白、赤が多い。 「そんな事聞くのか?」 「そりゃ聞くでしょ、わざわざ選ぶなんて」 「へぇ…いいぜ、教えてやるよ」 彼女は私の耳の根本へと唇を近付ける。吐息が触れ、肩が震える。 「アンタの事脱がしたいからだよ」 「っ~~!!」 トレーナーに吐く言葉じゃないことを囁かれ、あたしの羞恥心はどうにかなりそうだ。彼女はあたしの反応に満足したのか、下着選びを続けた。あたしの買おうとしたものは全部却下され、購入したものは全部彼女が選んだものとなった。女性トイレで慌ててブラをつける。ホックの段が多いので少し苦戦したがこれで堂々と歩ける。 「ちゃんと着けれたか?」 「できたわよ」 ドア越しに彼女が煽る。貧相な胸だったことを知っているからである。引き続き、洋服売り場、これも同じ理由か彼女が選んだ服だけ買った。 「今日は付き合ってくれて、ありがとね」 「アンタと居られるならいくらでも付き合ってやる」 帰路、たくさんの紙袋を抱えタクシーの中だ。紙袋が多すぎること、彼女とあたしの両手がふさがり、どうにもできないからである。 「明日からモーニングコールにアンタん家に行ってやるよ、じゃないと学園にも来れねぇだろ」 あたしは今日も何とか耐える。あくまであたしはトレーナーなのだ。 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part280【TSトレ】 ≫21二次元好きの匿名さん21/10/20(水) 23 41 58 「というわけで最近母乳がトレーナーの乳から出てくるのは知ってますわよね?」 「噂程度には……でもなぜわたくしに?」 「わたくしにもそろそろなにか来そうだな……と。なのでもし私からも出てきたら、少しお時間を頂くことがあるかもしれません。トレーニング中に離席することもあるかもしれませんがよろしいでしょうか?」 「ええ、トレーナーさんも集中できないとしっかりとしたトレーニングは出来ませんし」 「ありがとうございますマックイーン。……というか、なんで子供がいる訳でもないのに出るんでしょうね?」 「ウマ娘になった時点でそのようなこと考えても無駄な気がしますわ」 「それはそうですわね」 「出ましたわ」 「早いですわね……さっきの話から1時間たってませんのに」 「胸が張るなーと思って洗面所で絞ってきました。頻度次第ではもう少し対策を考える必要がありそうですわね……」 「わたくしも何か浮かんだら提案させていただきますわね」 「ありがとうございますマックイーン、それでこそわたくしと一心同体」 「ふふふ、もちろんですとも」 「てか他のやつから聞きましたけど普通乳ってこんなに生産されるものでもないはずなのですが」 「なんでそんなこと知ってますの?」 「昔読んだ漫画に母乳処理のシーンがあって少し調べたんですの」 「そんな漫画あるのですね……」 「めちゃくちゃ有名で映画にもアニメにもなってますわよ?」 「えっ」 「ちはやふる」 「ライアンが持ってますわ……」 ≫332人の『怪物』1/421/10/20(水) 23 53 37 陽光が燦々と照り付ける芝の上に、白と黒の影2つ。 日本トレーニングセンター学園が所有している模擬レース用の芝コースは今、物珍し気な目線と目の前の話題について話し合う喧騒に包まれていた。 「しかし、親父さんが模擬レースに誘うなんて珍しいですね。俺はてっきりそういったことに興味がないのかと思ってましたけど」 口火を切ったのは青みがかった芦毛をしたウマ娘。流れるような髪を今はポニーテールにした彼女はナリタブライアンのトレーナー。若干23歳にして三冠ウマ娘を育て上げチーム『ブラックヴォルフ』を管理している才媛であり、今も不定期に行われているトレーナーたちの対抗レースの第1回を熾烈な競り合いの末に制した無銘の怪物。 トレーナーとしても、そして競技者としても間違いなく強者である彼は今学園指定のジャージに身を包み柔軟運動をしていた。 「相棒や息子にも言われたことだが、そんなにやる気なさげなのかね俺は。以前に比べれば走っていると思うんだが」 ナリタブライアンのトレーナーの声に反応を返すのは黒みがかった鹿毛をしたウマ娘。肩にかからぬ程度に髪を切り、彼の言葉に異論を唱えるのはギムレット。府中最強の伝説を打ちたてたウオッカのトレーナー……の中にいつの間にか住み着いていた正体不明、経歴不詳のウマ娘。自らの担当であるウオッカを「息子」と呼んでいる彼だが走る実力は本物で、第2回のトレーナーたちの対抗レースを迫る影のような静かな走りで制した無明の怪物。 トレーナーとしての実力は不明だが、競技者としては超一流である彼もまたナリタブライアンのトレーナーと同様に学園指定のジャージに身を包んでストレッチをしていた。 ヒト・ウマ娘の如何を問わず今このコースの近くにいる人間の興味は今間違いなく彼ら2人に注がれている。速さの話題には事欠かないトレセン学園において、ウマ娘となったトレーナーたちの中でも上位の実力者である彼らがマッチレースを行うという話題は耳目を集めるには十分なだけの効力を有していた。 「ところでこの活況はなんだブライアンの。ウマ娘が2人模擬レースで走るってだけなのにそんなに騒ぐことがあるのか?」 342人の『怪物』2/421/10/20(水) 23 54 15 「俺と親父さんがサシで戦うからでしょうね。『トレーナー対抗レースの第1回王者と第2回王者が芝2400m左回りのダービーの設定でマッチレースをする』って学園の中じゃ今はその話題で持ちきりですよ」 「今相棒からも言われたがそういうことか。誘った時は気づかなかったが、これはある意味頂上決戦というヤツなのかな」 観客席やレールの外から向けられる視線を全く意に介さず会話を続ける2人。会場に満ちる期待を無視し続けることができるというのは彼らがよっぽどの鈍感であるか、この程度の視線の群れで動揺することのない傑物であるかのどちらかあるいは両方か。少なくとも、この状況に彼らが焦りを感じることは無いということだけは確かだった。 「ところで、どうして模擬レースの相手を俺に依頼したんですか。……もしかしてトゥインクルシリーズに挑戦するからとか?」 ウマ娘となったトレーナーによるトゥインクルシリーズへの出走。 それが正式に受理されて以降、既に幾人かのトレーナーが挑戦を表明している。 ブライアンのトレーナーは目の前のウマ娘が自分に模擬レースを挑んできた理由にある程度のアタリを付けていた。 恐らく、ギムレットはトゥインクルシリーズに挑戦するつもりだ。 彼が昼間に行っていることは既に自分も聞き及んでいる。メジロライアンの担当やもう一人のウオッカの担当と組んで彼はスパルタトレーニングを自分に課しており、一目見ただけでその強度はトゥインクルシリーズに挑戦するウマ娘と同等かそれ以上だと理解できた。 第2回のトレーナー対抗レースを走るまでそういった素振りを一切見せなかった彼が、今では強度の高いトレーニングを行い、こうして自分に模擬レースを挑んできた。 彼はシリーズへと向け、自分と戦い実戦の経験を積むつもりなのではないか。ブライアンのトレーナーはそう考えていた。 352人の『怪物』3/421/10/20(水) 23 55 23 「いいや、俺はトゥインクルシリーズには挑戦しない。相手にお前を選んだのは強い相手はいないかと相棒に相談したらお前の名前が挙がったからさ。それになブライアンの ────俺が挑戦したら2回目になってしまう。それは道理が通らないってものだろう?」 「2回目、ですか」 「……口が滑ったな。まぁいいさ、忘れてくれ。今はレースのことを考えよう。長話をしていると時間を使い切ってしまう」 自分は2回目だ。 どこか悲しそうな、寂しいような感情を隠すように、苦笑しながら手を振って先程自分のした発言を煙に巻くギムレット。いつもは泰然とし、体を共にする相棒に煽られてようやく激情を露にする彼が見せたその表情は、今まで誰にも見せたことが無かったものだった。 彼の表情を見てブライアンのトレーナーはふと思う。 自分は彼のことをどれだけ知っているのだろうか。 彼と共に酒を呑んで言葉を交わしたこともある。もう少し自分の為に楽しんだって良いと彼に忠告したこともある。トレーナー対抗レースでの走る彼の姿を見て、忍び寄る影のような走りに感嘆の声を漏らしたこともある。 だが、自分は彼を知らない。生前の彼がどうやって生きてきたのかを1つも知らない。 「親父さん」 「どうした。何か聞きたいことでもあるのか?」 「俺がこのレースで勝ったら、親父さん自身のことを教えてくれませんか。あなたがどんな風に生きて、何のために走って来たかを知りたいんです」 だからこそブライアンのトレーナーは今日のレースを勝ちたいと思った。 自分のことを何一つ話したがらない目の前の彼を知るために、彼が1人で抱え込んでいる何かを知るために。そして1人のウマ娘として眼前の好敵手に勝たなければならないと彼は感じている。もとより勝つために自分はこの場に立っているのだ。勝つことに対しての躊躇いは微塵も無かった。 「……こんな若ぶっているジジイの過去なんて聞いても全く面白くないぞ?」 「良いですよ。親父さんの過去ならきっと面白いと思いますし」 「これも若さってヤツなのかね。昔、そういって誰かに過去話をねだった記憶がある」 「話してくれたらそれもわかりますよ。あ、それも含めて教えてくださいね。約束ですよ?」 「答えも聞かずに約束を結ぶんじゃない。だが、それでやる気になってくれるというのなら文句はないさ。お前が勝ったなら俺の過去を全て話してやるよ」 362人の『怪物』4/421/10/20(水) 23 55 59 観念したかのように苦笑しながらブライアンのトレーナーの提案を呑むギムレット。後は勝つだけだと彼が意気込んでいると。 「だがな」 弛緩していた空気が張り詰める。 火薬庫から伸びる導線に火が付いたかのようなこの感覚を、ブライアンのトレーナーはよく知っている。知っていなくたって解る。いや、粟立つ体と本能が瞬時に解らせてしまう。 「走る前に勝った後の予定を話すのは感心しないな。まるで今から俺がお前に負けるみたいじゃないか」 輝く金の眼光。ナリタブライアンのように暴力的ではなく、刀剣のように極限にまで鍛え上げられた闘志が自分を射貫く。 それはGⅠを幾つも勝つような時代を代表する傑物のみが発し得るある種の圧。普段はレース場で彼の担当ウマ娘に向けられ、自分がウマ娘となった後はブライアン相手の併走ぐらいでしか間近に感じることのなかった強者の中の強者が持つオーラとも言うべき風格。 背筋がゾクゾクする。脳は間違いなく警鐘を鳴らしているというのに、武者震いが止まらない。眼前のウマ娘は今、有り余る闘志を隠すことなく自分1人にぶつけてきている。 「いつだって俺は勝つ気しかありませんよ親父さん。それより──楽しいレースにしましょう」 吊り上がる口角は自分が今何を感じているかを脳が認識するよりも先に教えてくれた。 ──楽しい。 何を呑気なことをと自分に言う者が居るのかもしれない。だがハッキリと宣言しよう、自分は今この状況を楽しんでいる。体の細胞が、脳を走る電流が、奥底に眠る魂のそれら全てが今こうして歓喜を叫んでいる。 ならば勝つだけだ。滾る闘志は衰えを知らず、猛る魂は自由に駆け抜けることを渇望し続けている。 「ああ。──思う存分戦りあおうじゃないか」 熱を持った視線を一瞬交わし、その後は互いを見ることなくゲートへと歩いて向かう。 無銘と無明、二人の怪物による対決。会場に満ちる熱気は今トゥインクルシリーズのレースにすら劣ることが無い程に高まっていっていた。 だが、彼らにとってそんなものがどうだっていい。 言葉は十分すぎるほどに話し尽くした。後はレースで語るだけだ。 2人の間に渦巻く闘気は、爆発する瞬間を今か今かと待ち続けている。 彼らの走りが決着する瞬間は──もうすぐそこに迫っていた。 ≫https //bbs.animanch.com/board/113180/?res=47 64二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 00 18 35 テイトレ「検閲済み」 テイオー「検閲済み」 テイトレ「検閲済み」 検閲済み テイトレ「検閲済み」 検閲済み検閲済み テイトレ「検閲済み」 検 閲 済 み ───── 検閲済み ≫106二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 00 38 23 「きゃああぁぁぁ!!」 「…テイトレが女の子みたいな悲鳴上げてる」 「行きたくないですわ」 「関わりたくねぇ…はぁ…どうしたー」 「パーラパラパラ!テイトレさんのショーツは頂きましたよ!」 「バ鹿!アホ!返せ!俺ズボンなのにどうやって抜き取ったんだ!」 「えぇ…こわ…近寄らんとこ…」 「シンプルながらちゃんとした下着…いやこれUNIQLOかなんかですね?ちゃんとした下着店で買って下さい!」 「見んなぁ!バ鹿!バー鹿!」 「可哀想過ぎますわ…」 「おやおや先輩方…貴方達も深夜テンションの私の餌食になって下さい!パーラパラパラ!」 「うおっ来ないで下さいまし!フクトレガード!」 「マクトレてめっ…うあっ!?」 「スーツだからと気を抜いてたんじゃないですかぁ?というかなんで男性物のパンツ…」 「いろいろ事情があるんだよアホ!返せ!」 「あげません!次はブラトレさんです!」 「…俺の尊厳の為だ!許せテイトレ!」 「えっばっ…きゃああぁぁ!!?」 「うわぁ…ブラジャーまで剥ぎ取られましたわ…」 「パーラパラ…いや結構おっきいですね!でも色気がないのでもっとレースのついたやつとか…テイトレさん?」 「うゔぅ…ひっく…ばかぁ…パラシンちゃんのばがぁ…」 「あーあなーかしたなーかした」 「先生に言ってやろー」 「大先生にも言ってやる。一回怒られてこいお前」 「返します!謝ります!だからウラトレさんとヘリトレさんだけは…あっもう駄目みたいですね」 107二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 00 39 23 マクトレ「ブラ選びの時間ですわ!」パリン タマトレ「敵襲か!?」シュタッ テイトレ「動くな!お前は完全に包囲されている!」 ウオトレ「失礼しますよ」ヒョイ タマトレ「離せ!何をする気だ!恨みを買う様なことは...多少心当たりが有る!」 タマ「うちが頼んだんや」 タマトレ「タマ!?...嘘だろ...一体どういうつもりだ...」 タマ「トレーナーが悪いんやで?うちが何度言ってもブラを着けないトレーナーが...だから強行手段で行かせてもらうで」 マクトレ「そういうわけですわ、行きますわよ」 ≫157二次元好きの匿名さん21/10/21(木) 05 37 32 「……ネイチャ。アレ見える?」 「うん……三女神像の顔にへばり付いてるやつだよね?ぬいぐるみかな」 「だよね。私がネイチャにプレゼントしたやつだよね」 「トレーナーさんから貰ったのはちゃんと部屋にいるよ。今日もオハヨーって言ってたし……だから別の子だと思う」 「……リニューアルした三女神像がこちらになります?」 「いやー誰かのイタズラでしょーさすがに」 「そういうことなら……」 「なんで靴脱いで、ってもしかしてアレ取るの?結構高いとこにあるよ?」 「三女神像は学園の備品だし、それにあれが悪戯に使われるのはちょっとイヤだし」 「(……またドッキリ検証とかじゃないのかな)って待ってトレーナーさん!ツボの辺りとか危ないから!あたしも手伝う!」 ≫173ロブトレヒロイン概念21/10/21(木) 06 56 09 なら投げますね 過去回想:ロブロイとの出会い第二話:始まりの物語 あの時の熱を忘れられず、ロブロイと図書室で交流することが日課になりました。 一緒に物語について話したり、ロブロイにトレーニングに役に立つ本を紹介してもらったりと、図書委員の仕事を手伝ったりと放課後を一緒に過ごすようになりました。 そして、彼女が選抜レースに参加する日が近づいてきたある日のこと…… 「あ、あの……今日も手伝ってくださり、ありがとうございました」 「いえいえ、ロブロイにはいろんな本を紹介してもらっていますから。それにロブロイも模擬レースが近づいていますからね。少しでも良い状態で走ってもらいたいですので」 「は、はい……トレーナーさんも、知っていたんですね」 「私もトレーナーですので、選抜レースは欠かさず調べているのですよ」 「……あ、あの、トレーナーさん……選抜レース、見に来て、くれませんか?」 ロブロイは引っ込み思案な子であるのは見ていて分かっていました。そんな子が自分の模擬レースを見に来てほしい、と言ってくれるとは…… 恐る恐る言っているのを見ると、きっと彼女はとても勇気をもって言ってくれたのだろう。その想いがすごくうれしく感じられる。 「ええ、見に行きますよ。あなたの走り、ぜひ見てみたかったですので」 「!!は、はい!私、頑張りますね!」 模擬レースを見に行く約束をしてから彼女と別れる。 あれだけの熱意を持った子の走る姿、どんな走りを見せてくれるのか、とても楽しみでした。 「……あのトレーナーさんが見てくれる……もっと、もっと頑張らないと……」 174ロブトレヒロイン概念21/10/21(木) 06 57 00 選抜レース当日 ロブロイが参加するレースは1800mのレース。選抜レースの中では中距離に適性のあるウマ娘が走る距離である。本来の中距離は2000mであるが、それよりも短いのはまだレースに出ていないウマ娘であるからだろう。 「ロブロイ、今日も私の魔法を見せてあげるわ!」 「は、はい、スイープさん……その、よ、よろしくお願いします」 どうやらロブロイだけではなくスイープトウショウも参加するようだ。 「あ、ロブトレさん、お疲れさまです。ロブトレさんも今日の選抜レース見に来たのですね」 「クリトレさん、ええ、そうですね。気になっている子がこの選抜レースに参加されるので……」 隣に来たのは私の同期であるクリトレさん。同期ということもあり、よく一緒に話して情報共有をしたり、親しくしている。 一緒に話しながらロブロイを見つめる。 ……なんだろう……昨日図書館で見たときと違う。 疲労がたまっているような、顔色が悪く見える。ベストコンディションとは言えない。大丈夫だろうか……。 「ロブトレさん、ロブロイが気になっているのですね」 「ええ、図書館で見かけまして、実際に走る姿は今回が初めて見るのですが……」 「やめておいた方がいいぞ、ロブトレ」 「……○○トレさん、それはどういうことですか」 「まあ、見ていればわかるさ」 先輩であるそのトレーナーの言葉を聞いていると、レースの幕が上がった。 ガコンッ ロブロイの参加する選抜レースが始まる。 ロブロイはどうやら先行策のようで、最初から前の方について走っている。 走り始めると安定したフォームで走っており、まさに王道ともいえる走り方をしている。 この安定感は一つの強みに感じられる。そのように思えていたが…… 175ロブトレヒロイン概念21/10/21(木) 06 57 27 「あ……っ……」 他のウマ娘に抜かれ始める。段々とロブロイが後方に垂れ始める。 「ロブロイはな、本格化が来ていないうえに身体が弱かったそうだ。正直、まだ出来上がっていないんだよ」 「……ですが、彼女は明確にトレセン学園に入学したウマ娘です。既に覚悟のうえでは?」 「実際そうだがな、中学から入ってくる子には夢を見て入る子が多い。そしてそれで体を壊してしまう子もな……今まで何人も見てきたんだ。出来れば、ロブロイも身体が出来上がった高校生くらいになってから入ってほしかったものだな」 「っ……」 「あの、まだ分かりませんし、今はしっかり見ましょうよ」 「……ええ、そうですね」 「っ!!……私だって……」 垂れ始めている、だけど、それでも彼女はまっすぐ前を……その瞳には、確かな熱。あの時見た、あの熱が見える。 だが、その後も彼女は上がってくることはなく、スイープトウショウが1着、ロブロイは10着であった。 「あのスイープは既に本格化が始まっているな。ただ気性難だからな。上手く導けば強くなるだろうな」 「ううん、僕はもう少し他の子も見てみようと思います。ロブトレは……」 「……」 確かに彼女は敗北した。 それでも、走っている際の彼女の瞳に夢中になっていた。 誰よりも強い想いが、確かに……。 「無理して止めようとは思わないが、体の弱い子とかは入りたてのトレーナーがつくべきものじゃないぞ。お前があのトレーナーの子供だろうと、ここでは血筋だけで何とかなるものじゃないからな」 「ええ、分かっています……それでも、私は……」 模擬レースを終えたウマ娘にトレーナーたちはスカウトに向かう。 そんな中、ロブロイだけは既にグラウンドからいなくなっていた。 恐らく彼女は何時もの場所にいるに違いない、そう思い、私はその場をあとにした。 176ロブトレヒロイン概念21/10/21(木) 06 58 04 「グス……私だって、物語の、主役のように……」 図書室に向かうとそこには何時もの場所にロブロイが座っていた。 その手には一冊の本、何度も彼女にお勧めされた本、『ロブ・ロイ』の小説がある。 そんな彼女にそっと歩み寄る。何時ものように、毎日続けていたことのように 「今日のレース、お疲れさまでした。ロブロイ」 「ひゃっ……あ、と、トレーナー、さん……すみません……今日のレース、良いところ、見せられなかった、ですよね……」 「いいえ、そんなことはありません。あなたの走り、確かに見させてもらいました。その上で言わせてください、あなたをスカウトしたい」 「え……」 その言葉に俯いていた顔を上げる。 涙をためたその瞳をまっすぐ見つめるが、それでも彼女は再び俯く。 「……あのレースを、見ていたのでしたら……その、失望、するものじゃないんですか……」 「そんなことはありません!」 「その……私、物語の英雄のように、走れませんでした……それに、トレーナーさんも聞いていますよね、私が、体が弱かったこと……」 「ええ、確かに聞いています。そしてあのレースでは確かに敗北しました。それは確かな事実です」 「そう、ですよね……なら……」 「しかし、あなたの熱は変わらず、いえより強く感じました」 「え……熱、ですか?」 不思議そうに首をかしげる。 私自身、上手く表現できているとは思っていない。それでも、私が感じたことを彼女に伝えるんだ。 「ええ、あなたの物語の英雄のようになりたい、その理想、その夢へと向かう熱がとても感じられました」 「あなたはレース中、確かに落ちてしまっていました。それでも、貴方は諦めようとしていなかった。その瞳に、私は理想を追い求める熱を感じたのです」 「理想を……追い求める……熱……」 「ええ、それにあなたはそれだけ英雄への思いが強いということは、自分自身の走りの理想の姿を思い描いている。それはこれから走っていくうえでこの上なく強い武器となります」 「……ほ、本当に、そう、思ってくれるん、ですか……」 177ロブトレヒロイン概念21/10/21(木) 06 58 19 ロブロイの顔がはっきりと私と目を合わせる。 そんなロブロイに目線を合わせるように背をかがめ、そっと、瞳から流れる涙をふき取る。 「ええ、もちろん。そんな強い想いを持ったあなたを支えたいのです……いえ、違いますね」 「え……違う、のですか……」 ふと、頭の中で浮かんだ言葉。 彼女と共に過ごし、一人一人のウマ娘の人生とは、それぞれの物語における主役のようだと…… 「『ウマ娘の人生は一編の物語のようなもの』、あなたとともに過ごすうちにそのように感じました」 「!!……『ウマ娘の人生は一編の物語』……それは素敵な発想ですね」 「その物語を、あなたの物語を一緒に紡がせてくれませんか?」 「え……私の物語を、一緒に……」 再び、彼女の瞳に涙があふれ出す。 でもその瞳はきっと、先程までの悔しさからではなく…… 「私、そんなふうに言われたの、初めてです……あ、あの……トレーナーさん……」 「その……これから、よろしくお願いします」 図書室に夕日が差し込む。 夕陽に照らされた彼女の顔は、とてもきれいで、愛らしかった。 そして、それが私とロブロイの物語は始まりました。 ページトップ part○○~○○はこちら ページトップ
https://w.atwiki.jp/livetube/pages/276.html
#ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 基本情報 配信者名 pinkdark ジャンル MTG、ゲーム 年齢・性別 35・男の娘 マイク 有 配信者ページ こちら 避難所 奇妙なBBS Twitter 配信告知など SkypeID favnir skype_status(favnir) ピンクダークさんにメッセージを送ろう! 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 CHU!CHU! 8 (30%) 2 なんでそっちいくの 4 (15%) 3 はよアクトレイザー 4 (15%) 4 ぴぴんぴんぴん、ぴんくだーく! 4 (15%) 5 ひいずるはいしんももくろ 3 (11%) 6 安価ならファミコンジャンプ 2 (7%) 7 そんなことよりおなかがすいたよ 1 (4%) 8 ピンクなのかダークなのかはっきりしろ 1 (4%) 9 がんばってください 0 (0%) 10 アパカッ 0 (0%) その他 投票総数 27 特徴 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 口が悪い。 だが愛される。 自他共に認める糞コテ(自称らいつべのゴミ箱)。積極的に鏡をして他配信者の支援をすることも多い。でもやっぱり糞コテ。 だが愛される。 kickerとはライバル関係。 だが愛し合っている。 少年、桃闇、桃黒、ぬらりひょん、北陸妖怪と数多くの異名を持つ配信者。 コメ欄では「何があっても僕は少年の味方だお( ^ω^)」 どうでもいいが、何を言っても説得力が無い。信憑性も無い・・・無い無い尽くしのピンク。 スルーを覚えたらしい(笑) お母さんが好きとか言ってたよ、よ。 kurofuneも好きとか言ってたよ、よ。 格闘ゲーム(主にスト4)なららいつべの首位。(自己評価) 「めんどくさい」で解決させることに関してはらいつべの首位。(リスナー評価) 過去に"実家にミュータント無職 ニートルズ"と言う糞スレを立てたが5レスも付かないうちにdat落ち。 童顔。 リスナーを説明書、攻略本だと考えている。 つくづく調子に乗りやすい男である。 他所のコメ欄にはたまにpinkpantyというコテで現れる。 5thをファイスと読むおちゃめっぷり 一配信で二つは迷言を残すが、コピペになった瞬間に謝る エロい!可愛い! 朝倉ゆうとしたい 総師範配信でマゴと対戦しようとするもpinkdark00の名前の上で何度も更新・キャンセルされる 横乳にしゃぶりついちゃうくらい横乳がすき。 「1000とった黒コテと結婚します」 2011/03/04 23 36 09、らいつべに新たな夫婦が生まれた 1000 kinoka 3/4 23 36 09 こい! 実況作品名など 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 ハード 作品名 備考 PC MTG 最近、頻度少ない SFC ファイナルファンタジーIV クリア FC ギミック! ノーマルエンド オラッ!はよ真エンド オラッ! FC ファミコンジャンプ 英雄列伝 積み中 PS ロックマンX4 ゼロでのみ短時間でクリア FC ワイワイワールド2 SOS!!パセリ城 クリア SFC バハムートラグーン SFC 熱血大陸バーニングヒーローズ GBA ファイアーエムブレム 封印の剣 FEリレーに参加、12章外伝のみ Win/Xbox ストリートファイターIV SFC がんばれゴエモン3 獅子重禄兵衛のからくり卍固め 2009 4/13 配信にて真エンド達成 SFC サンドラの大冒険 4/26 配信にて打開 PSP 女神異聞録ペルソナ 積み中 Win ロックマンX8 2009/8/2/15時頃~2009/8/3/1時頃 アクセル、ゼロのコンビにて難易度ハード、ライフアップ、ライフタンク無しでクリア SFC アクトレイザー クリア済み SFC アクトレイザー(f) なんと24時間配信でがっつりプレイしたぞ!すげえ!よくわかんねーけど超すげえ! アイトスACT1まで 未クリア FC ワギャンランド ますたぁ(笑) SFC ルドラの秘宝 購入禁止縛りでクリア、二周目もウラルドラでクリア。 さらに拷問配信を繰り返し言霊縛りを見事クリア!ほんとルドラ好きだな!gomo-chang!!/sodo-chang!!/jiji-i!!/micchang!!/matome!! PS 悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲 アルカード編クリア SFC タクティクスオウガ 普通にクリア みんなもTOやろうぜ!だってよ! PS 聖剣伝説Legend of Mana 積み中 Xbox INFINITE UNDISCOVERY ゲーム紹介配信 Xbox トラスティベル~ショパンの夢~ クリア ごめんなさいね♪ Wii ディシプリン*帝国の誕生 疲弊しつつもクリア 棒状のモノをいじるスキルが上達した つかさ配信TIPS 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 【アクションゲームをするために持って生まれた才能(あくしょんげえむをするためにもってうまれたさいのう)】 なんだかよく分からないもの。なくても生きるのに支障はない。 【実家にミュータント無職 ニートルズ(じっかにみゅうたんとむしょく にいとるず)】 レスはつかない。 【さすがの俺もあのゴキブリじゃ抜けない(さすがのおれもあのごきぶりじゃぬけない)】 ○LANNADを批判するときによく用いられる。 【世の中には天使っているんだな(よのなかにはてんしっているんだな)】 持ちネタらしい。正直これをリアルで言うのはどうかと思う。 ロックマンX4を1時間でクリアしたらしい 調子に乗るなカス 【でも俺結構天使っぽい顔つき…(でもおれけっこうてんしっぽいかおつき)】 鏡みようぜ! 【痛いよう痛いよう胃潰瘍(いたいよういたいよういかいよう)】 ノイズその1 【俺の夜の使い魔(おれのよるのつかいま)】 ノイズその2 【大惨事!大惨事!…スーパーロボット大戦!(だいさんじだいさんじすーぱーろぼっとたいせん)】 ナウなヤングにバカ受け 【いやーこのBGMマジで良い抜ける!(いやーこのびいじいえむまじでいいぬける)】 そっかぁ 【こいつのフランクフルトは食いたくないわ(こいつのふらんくふるとはくいたくないわ)】 直後にリスナーが減った 【ドラキュラの後に神様操作すんなって言われてるからなーおじさんに(どらきゅらのあとにかみさまそうさすんなっていわれてるからなーおじさんに)】 甘え 【新宿は現代のスラムって言われてるからな、第二の庭だぜ(しんじゅくはげんだいのすらむっていわれてるからなだいにのにわだぜ)】 "新宿は現代のスラム"との一致はありません。 【可愛いキャラが俺の身体をまさぐってると思うと胸が熱くなるなー(かわいいきゃらがおれのからだをまさぐってるとおもうとむねがあつくなるなー)】 リスナーは冷ややかな目で見てたけどね! 【おつんつんつん、おつんだーく(おつんつんつんおつんだーく)】 語感がいいのでよくつかわれる。でもこれ普通にお疲れって言えばよくn 【君ボクとUSB接続しない?(きみぼくとゆうえすびいせつぞくしない)】 かける言葉もないわ 【俺にいま近づくと火傷しますよ?w(おれにいまちかづくとやけどしますよ)】 かれは いま とても しあわせ 【音的にマイナスイオンが出ている(おとてきにまいなすいおんがでている)】 あまり面白い発言ではない 【亀の甲がなんだってんだよ!亀の甲じゃ人殺せねーだろ!こっちは年の功で人殺せんだよ!(かめのこうがなんだってんだよかめのこうじゃひところせねーだろこっちはとしのこうでひところせんだよ)】 わかりましたからおちついてください 【†堕天使桃黒にゃん†(だがーだてんしももくろにゃんだがー)】 堕天使と桃と黒が合わさりだがーが弾けて混ざれ 【赤でーす…青でーす…二人揃って…3D眼鏡でーす…(あかでーすあおでーすふたりそろってすりぃでぃめがねでーす)】 モルダーあなた疲れてるのよ 【何回水飲んでんだよ!お腹たぷんたぷんになるわ!おなかたぷんたぷんたぷんたぷん!(なんかいみずのんでんだよおなかたぷんたぷんになるわおなかたぷんたぷんたぷんたぷん)】 睡魔の弊害 【あるまじきアルマジロ(あるまじきあるまじろ)】 ももくろくんはわるないよ 【広い俺の心をこの16:9(フィールド)で表現しました(ひろいおれのこころをこのふぃーるどでひょうげんしました)】 それと配信サイズは関係ないと思うよ 【一般的にサガミオリジナルですけど、僕はツクダオリジナルです(いっぱんてきにさがみおりじなるですけど、ぼくはつくだおりじなるです)】 ヴェルタースオリジナルの方がまだよかったかも 【面白すぎるってのもダメですね(おもしろすぎるってのもだめですね)】 大丈夫、ももくろくんはそこまでじゃないから 【僕、Evil司です(ぼく、いーびるつかさです)】 似てる人がいても君はカッコ悪いよ 他配信での素晴らしいコメント 対応するregion、endregionプラグインが不足しています。対になるようプラグインを配置してください。 どっちかってっとピンクティンコ カッターをつカッター、痛カッター すいませんし 999 pinkdark 5/5 11 53 1000なら休み 200 pinkdark 5/9 19 39 よるなのに ぼくがみるのは あおいそら 310 pinkdark 5/16 11 56 馬鹿じゃないpinkdarkなんて都市伝説だろ 385 pinkdark 2/6 23 05 49 やべくんやべて やべだけにwwww 867 pinkdark 8/4 21 23 19 きのりん後でホテルへ 192 pinkdark 10/20 23 21 06 僕は子作りがしたいです 正確に言うと子作りをする行為がしたいだけで避妊はします 193 道産娘 10/20 23 21 36 貸そうか? 194 pinkdark 10/20 23 21 47 穴がきたぞーーー 748 pinkdark 11/24 21 26 13 まぁイケメンかどうかで言ったらイケメンかなって・・・ 91 pinkdark 10/16 11 17 57 昔浮気相手になったことがあるんですけど Hしたいと思うぐらいには好き って言われました 145 pinkdark 10/16 11 43 34 なんかあっちも一目惚れみたいなもんだったらしいです カウンタ 人数 累計 - 今日 - 昨日 -
https://w.atwiki.jp/140905580/pages/186.html
タグ一覧 このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart401~405)です。 SSまとめスレはこちら part1~10はこちら part11~20はこちら part21~30はこちら part31~40はこちら part41~45はこちら part46~50はこちら part51~55はこちら part56~60はこちら part61~65はこちら part66~70はこちら part71~75はこちら part76~80はこちら part81~85はこちら part86~90はこちら part91~95はこちら part96~100はこちら part101~105はこちら part106~110はこちら part111~115はこちら part116~120はこちら part121~125はこちら part126~130はこちら part131~135はこちら part136~140はこちら part141~145はこちら part146~150はこちら part151~155はこちら part156~160はこちら part161~165はこちら part166~170はこちら part171~175はこちら part176~180はこちら part181~185はこちら part186~190はこちら part191~195はこちら part196~200はこちら part201~205はこちら part206~210はこちら part211~215はこちら part216~220はこちら part221~225はこちら part226~230はこちら part231~235はこちら part236~240はこちら part240~245はこちら part246~250はこちら part251~255はこちら part256~260はこちら part261~265はこちら part266~270はこちら part271~275はこちら part276~280はこちら part281~285はこちら part286~290はこちら part291~295はこちら part296~300はこちら part301~305はこちら part306~310はこちら part311~315はこちら part316~320はこちら part321~325はこちら part326~330はこちら part331~335はこちら part336~340はこちら part341~345はこちら part346~350はこちら part351~355はこちら part356~360はこちら part361~365はこちら part366~370はこちら part371~375はこちら part376~380はこちら part381~385はこちら part386~390はこちら part391~395はこちら part396~400はこちら part401~405はこちら part406~410はこちら part411~415はこちら part416~420はこちら part421~425はこちら part426~430はこちら part431~435はこちら part436~440はこちら part441~445はこちら part446~450はこちら part451~455はこちら part456~460はこちら part461~465はこちら part466~470はこちら part471~475はこちら part476~480はこちら part481~485はこちら part486~490はこちら part491~495はこちら part496~500はこちら part501~505はこちら part506~510はこちら part511~515はこちら part516~520はこちら part521~525はこちら part526~530はこちら アダルトコンテンツは乗っけると最悪wiki削除なのでやばそうだなとおもったらリンクかスレ位置を置いておいてください(主にルドトレ) リンク例は編集画面にてコメントアウトしています。 目次 目次おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part401【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part402【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part403【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part404【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part405【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part401【TSトレ】 ≫31二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 18 22 39 さぁ、週末のトレセンに案内しよう…… 見よ、宴会は解き放たれた トレーナーの理は、唐突に乱れ、ほつれていく…… 秩序に用いられてきた生徒会もまた、暴走して獣を生んだ…… ≫105二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 19 02 15 「おいフクキタル・ドリーム。さっさと方角を教えろ」 「はいぃわかりましたぁ!ムムッっ出ました!!!」 「うし行くぞ」 「むふふ、敵さんもかわいそうですねぇ!凶の方角が耳の裏なんてわかりにくいところとは!!!あ。」 「おい」 ≫189司バ遼太郎21/11/07(日) 19 45 52 文字で作者の区別がつくか。これは難しい問題である。余談であるが背後が爆発を起こした際の文章を書く作家風に書いてみるという試みがあり、それぞれの作者の個性が出ていたことから文章的特徴がしっかりとしていれば見分ける事は可能であるというのが筆者の考えである。閑話休題。 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part402【TSトレ】 ≫75二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 20 18 39 『マベトレのマベマベマーベラス☆-生命の誕生の確率-』 トレセンTVを見ているみんなー今日もマーベラス☆ 今日は私の担当マーベラスサンデーのとある文中のマーベラスについて解説していくんだよー☆ ではさっそく参考VTRにいってみよー☆ マーベラスサンデーSRサポカイベント世界マーベラス計画☆より 『そこから地球に生命が生まれる可能性は10の4万乗分の1!もう奇跡としか言いようがないよね!?』 マベが、ネイチャに語ってるシーンだねー☆ここでは、生命が誕生する確率に注目してみよー☆ この10のなんとか乗は、10の後ろに何個「0」がつくかを表しているんだー、例えば10の2乗なら100、3乗なら1000っていう具合にね☆ この数字だけ見ているととてつもなく大きな数字であることだけがわかるよねー☆ じゃあこの根拠はって言うと「フレッド・ホイル」っていう天文学者が1981年に書いた本「生命は宇宙から来た」に由来するんだー え、私達は宇宙からきたの!?私もあなたも宇宙人!?それってすっごいマーベラス☆ なんとフレットさんは生命は自然に誕生したのではなく宇宙から来たって主張したのさー☆ その際に計算されたのが、この10の4万乗分の1なのこんなマーベラスな計算結果から自然に誕生したのはありえないって考えたんだー わかりやすくするなら、プールの中に飛行機の部品を入れて適当に混ぜたら飛行機が完成したってなかんじ でも、実際私達がいまこの地球上いる以上、宇宙からやってきたとしてもとぉっても奇跡的な確率を乗り越えたと思うんだーどっちみちマーベラスだよねー そんなマーベラスに感謝をしないとねー☆ ちなみにフレットさんは「ビッグバン」の命名者でもあるんだー☆これもまたありえないって意味で言ったら逆に大きく使われちゃったんだー☆ いかがだったかなー次は、実際にどれだけ宇宙に生命が満ちているかの計算ドレイクの方程式についてマーベラスにせつめいしていくよー☆ プレゼントキーワードはこちら「マーベラスを言った回数」じゃあみんなまたねーマーベラス☆ ≫100二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 20 35 30 「くっ...殺せ」 「アカンで?トレーナー、男なら約束は護らんとなぁ?」 「くっ...」 「そうですよ、タマトレさん。まだ着るべき衣装が残ってますからね?」 「助けてくれ、マクトレ!ルドトレ!」 「自業自得ですわ」 「ブラはした方がいいと思うぞ」 「いやぁァァァ!」 ≫105二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 20 37 24 フジトレ「どうフジ。鍛えてみたんだけど割れてる?」 フジ「うっすら……かな?」 フジトレ「そっかー。生まれてこの方ガリガリだったからちょっと割ってみたかったんだけどなあ」 フジ「大丈夫だよ、トレーナーさん。無理なくゆっくりやればいいさ」 フジトレ「そっか」 フジ「それに、どんな体型であれトレーナーさんが綺麗なのもかわいらしいのも変わりないからね」 フジトレ「そーいうのはいいの」 フジ「ふふ。ごめんごめん」 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part403【TSトレ】 ≫32ムカデがマスコットになってきた21/11/07(日) 21 16 52 ムカデ「カチカチカチカチカチカチ」 フジトレ「カムちゃん、メッ」 ムカデ「ショーン」 フジトレ「よしよーし。我慢出来てエライエライ」 ≫46二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 21 22 14 こっちへ行きませんか? うん →やだ こっちへ行きませんか? うん →やだ こっちへいきませんか? うん →やだ こっちへへへへへへへへ うん →やだ おいでおいでおいでおいでおいでおいで やだ やだ ≫72フジトレの人21/11/07(日) 21 32 25 ネイチャ「ありがたやありがたや」 カムちゃん「シャァ」 ネイトレ「なんでネイチャは平気なの……」 ネイチャ「いやこう……商店街で商売繁盛のシンボルでしょっちゅう見かけるからさー」 ネイトレ「そ、そう……」 フジトレ「いい子なのよカムちゃん」 ネイトレ「ママはなんで平気なの……」 フジトレ「だって可愛くない?アトママジャナイッテ」 ネイトレ「ええ……」 ネイチャ「わかる」 ネイトレ「ネイチャ!?」 ≫79二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 21 34 21 「あらカムですわ」シャー 「おーカムちゃんだ…おやつ食べるか?」 「人のペットに勝手に食わせていいのか?」 「そもそもムカデって何食うんだ…」 「…マヤトレ、後ろ」 「なんだよボノトレ…うおっカム!なんの用だ…って俺のハンカチ?拾ってくれたのか、ありがとうな」シャー 「いい子だねぇカム」 「…こうしてみるとカワイイ?うーん…SNSではあれかなぁ」 ≫91こんな世界線もあったり21/11/07(日) 21 36 45 「あのね、50cmの百足だよ? ……二回ぐらいはビビらせてよ! こんなのゲームとかじゃないと見ないやつじゃん!」 「そうだネイチャー! もっと言ってやれー!」 「まあ三回目からは慣れたけど」 「うそだネイチャー!? 私まだ無理ー!」 「フジトレさんが躾けてるって話なんだからさ、そこは信じてあげなよ。かわいいよカムちゃん」 「ムリ……ワタシムリ……」フルフル ≫95二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 21 37 49 「進むぞー」 「暗いですわね……口にいきなり無視とか飛んでこないか不安ですわ」 「肝試しを怖がれよ」 「そうだよ……まあ俺はなんとも」 「ばあ」 「きゃああああ!?」 「ひう!?」 「ひゃう!」 「うお!」 〜〜〜〜〜 「ここに悲鳴の録音があります」 「やめて」 ≫127二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 21 57 57 某日、トレセン学園にて ーーーターフの上で、私はキタと並んで身構えていた。私はキタに話しかける。 「…ねえ、キタ。勿論だけど全力で走ってちょうだい。遠慮なんかしなくてもいいわ。」 「もっちろんだよ、トレーナーさん!」 そうやって返してくれるキタに微笑んで返すと、私は思い返した。 ーーー最近またスカウトした子との初めてのトレーニング。慣れてもらうために今日は軽くしたのだが… 『トレーナーさんって知る人ぞ知る強豪ステイヤーなんですよね?』 どこかで知ったのだろう。そう言ってきた子は目を輝かせ私を見つめ、他の子も興味深そうな反応を返してきた。 (まあそれが知られてるのはいいのだけど…いや、折角の機会ね。見せてあげましょう。) 『…ねえ、貴方達。この世界の高みを目に焼き付けたいかしら?』 ーーーということですることになったのがキタとの模擬レースであった。勝負服に着替え、私達はスタンバイしているだった。 「さあキタ、2000mよ。遠慮なんかいらないわ。…思い切り走りましょう!」 「…もちろんだよ!」 用意していたタイマーが鳴り響く。私達は寸分違わずに飛び出していった。 私は走りながら隣で競い合うキタと目を合わせる。キタもまた私を見透かそうと見つめてくる。 「「…ふふ!」」 二人して笑い合うと尚速度を上げて飛ばしていく。風を切り、黒い2つの影となって駆け抜けていく。 (流石ねキタ…!けど私もそう負けてられないわ… !) 私の中に眠るあの感覚を引き出していく。圧倒的かつ暴力的な奔流を抑えきり、もっと高みへと登っていく。 キタも合わせて登ってくる中で、私は言いしれない高揚感を感じながら駆けていくのだった。 …キタと二人してゴールラインを超えた後、当てられたのか、魅入られたのか、放心してるかのような彼女達に声をかける。 「これがその高みよ。貴方達がいつか届くかもしれない憧れの世界。…どうかしら?」 …彼女達はそれは綺麗で情熱的な目をみせてくれる。その姿を見た私とキタは二人で笑うのだった。 全員のやる気が絶好調になった! ≫145二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22 13 05 「……なぜ人は恐怖したとき、大声で悲鳴を上げるのか? 一説には『戦うため』と言われています」 「そうなの? 『ウオー!がんばるぞーっ!』ってこと?」 「ふふ、その通りですよウララ。緊張しすぎた身体をほぐして、緊張を逃して、動かしやすい状態にするための……雄叫びに近いものなんです」 「じゃあじゃあ! ずっと大声で歌ってたら怖くない?」 「怖くないかは分かりませんが……声を出しやすいようにしておくと次の行動に移りやすいですね」 「すごーい! だからわたしちゃんとしっかり動けたんだ! じゃあさトレーナー!」 「はい、なんですか?」 「トレーナーが今動けないのは悲鳴を上げなかったから?」 「……ええ。ビックリしたのに声を出さないでいると、いわゆる『腰が抜けた』状態になるんですね。十分な悲鳴をあげていれば本来身体は動かせるものなんです」 「えーっとー。わたしがおんぶしよっか?」 「ありがとう。ごめんねウララ……」 「ううん。トレーナーと一緒だもん! こんな肝試しなんてパーってクリアしちゃうから!」 (スピードアタックするものじゃないんですけどね、肝試しって……) 了 ≫176二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 22 43 12 スペトレ「……この二人はどうしたのかな?」 キントレ「部屋を暗くしてホラー映画を観ていたらこんな感じに……」 セイトレ「暗いの怖い……」プルプル グラトレ「お化け怖い……」プルプル スペトレ「セイトレが暗いの怖いのは兎も角、グラトレ幽霊ダメなの?」 エルトレ「物理が効く妖怪なら大丈夫らしいよ?」 スペトレ「脳筋……!」 スペトレ「……で、俺等は?」 キントレ「設定が……」 エルトレ「無い」 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part404【TSトレ】 ≫99二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 23 38 39 「わたくしはあなたを許さない」 アークワン 「変身」 「俺に……もう心なんて存在しない!そんなもの足と一緒に捨てた!」 ポォイズンヌ…… 「ロジカルに考えてくださいよ。何か出来る訳ないじゃないですか」 オーバーザレボリューション! ≫103二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 23 40 28 タマトレ「タマ……お前が、やれって言うことは」 タマトレ「お前が、ホントにやりたかった事なんだろ」 タマトレ「……行くよ!!」タマ!!オグリ!!クリーク!! タマグリーコンボってとこか ≫110二次元好きの匿名さん21/11/07(日) 23 47 48 まだわかってないようだな いいか?消滅した侘助もお前も、ウマ娘になった時点でもう人間じゃないんだよ だから、お前は『兵器を壊した』に過ぎない それに……戦争になった今、遅かれ早かれ味わうことだ それとも?本気で誰も傷つけないとでも思ってたのか? だとしたら、能天気にも程がある お前が代表戦に出ないのは勝手だ けど、そうなった場合、誰が代わりに出ると思う? テイトレだ テイトレは今回の件でお前に負い目を感じてるはずだ だからお前がやらなきゃ、自分から手を挙げるだろう けど、今のあいつじゃ頭サイゲには勝てない そうなれば、トレセンの連中は寄ってたかってテイトレを責める…… お前が戦うしかないんだよ! お前にもわかってるはずだ! だから何かを期待してここに来たんだろう! ≫153二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 00 12 56 限界化というだけで配役を決めたよ ライトレ「ごめんねライス……約束破る」 セルトレ『ボトルキーン!グリスブリザード!』 ベルト『Are you ready?』 ライトレ「できてるよ……!」 セルトレ『激凍心火!グリスブリザード!ガキガキガキガキガッキーン!』 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part405【TSトレ】 ≫18ケツフク夜間巡回雑談1/421/11/08(月) 00 47 20 「百足ってモロに害虫なのに怪談とか都市伝説とかにあんまり出てきませんよね」 「どうした急……でもないな……」 夜。霊が見えるのみならず、対処が可能な俺たちは、学園の夜間巡回に今日も今日とて駆り出されていた。 ぶっちゃけ今日は大分疲れていたがそうも言ってられない。男子三日会わざれば刮目して見よ。怪異や幽霊も一日経って急に狂暴化することもある。大体は誰かが知らないうちにトリガーを踏んでたり日にちに法則性があったりするものだが。 俺たちが何となくゲッソリしている理由、それは昼に50cmとかいうもう巨大と言っても差支えの無いムカデが学園内に出現したからだ。勿論学園中大混乱。パニックホラーでも超巨大超危険な一個体よりもちょうどいい感じに脅威の複数個体の方が厄介なことが多い、ということを身をもって知らされた。 まあ騒動もそこそこに治まってはくれたがその間にフジトレさんが1匹手懐けていたのは正直ドン引いた。しかも相当お気に入りなようでたまーに首に巻いていらっしゃる。 「いやあ……殴れば大体何とかなる幽霊とかと違って実害のある害虫ですからね……毒もあれば咬みますしそもそも攻撃性だって強いんですから」 「まあビビるとかじゃなく普通に危ないもんな。死にゃしないとはいえアナフィラキシーの事例もあるし。けど刺激しなけりゃ咬まれないんだぞ?あのデカさだと何が刺激になるかも分からんが」 「え?そうなんですか……そんで冒頭の話ですけど」 「ああ、そういう話に出てこないって?……考えられる理由としては2つだな」 「へえ?」 20ケツフク夜間巡回雑談2/421/11/08(月) 00 47 45 「まず1つ。昔は『ありがたい存在だった』というのがある」 「あー。縁起がいいって言いますもんね」 「足が多いから客足も多くなる。それにおあし、漢字で書けばお銭に繋がる。それに後退しないってことから武将にも好まれたな」 「ああ、グラトレさんがよく言う不退転ってやつですか」 「そしてこの理由で一番デカかったのがおそらく『毘沙門天の使いとして扱われた』ことだろう」 「あれ?毘沙門天の使いって虎とかネズミじゃなかったですっけ?某弾幕STGにもありましたし」 「そうだな。虎は聖徳太子の伝説、ネズミは方位にまつわる使い。一方百足は由来についてよくわかってないが本来の使いだとも言われてるんだ。一戦いと財宝の神だからさっき言った縁起とつながった、という説もあるが。ともかく毘沙門天信仰の総本山、信貴山でも百足は吉虫だから出ても殺すな、という伝えがあるそうだ。」 「なるほど……多方面でありがたがられてたから悪役にされることもあまりなかった……と」 「そうだな。中には見た目が坑道に似てるってことで鉱山の守り神として祀っていたり蚕の天敵のネズミを遠ざけるという言い伝えから養蚕の守り神になっていたりする地域もあるらしい」 21ケツフク夜間巡回雑談3/421/11/08(月) 00 48 03 「で、今まで話した理由とは逆にもう1つ理由が考えられる。『そもそも恐ろしい虫だったから怪談にするまでも無かった』という理由だ」 「あー。ちょっと怖くしたぐらいでは現実を超えられないってことですか」 「現に百足の伝承と言ったら大体俵藤太の大百足討伐ぐらいだ。ほかにも栃木の戦場ヶ原の伝承にも大百足が出てくるがつまるところ大きな、それこそ神に近い存在として描かれてる。アジアや他の国にもたまにあるらしいが大抵が大百足だそうだ」 「でっかくすれば敵として成り立つっていうのは元から怖い動物の特権ですからね。熊しかり猪しかり」 「その辺のラインナップ、あとは鮫なんかは妖怪として出る事例が少ない。やっぱり元々怖い奴らは半端な味付けでは現実でいいじゃんとなるんだろう。国内、海外問わずお化け○○って銘打たれて伝説級ではないにしろ巨大なやつが恐ろし気に語られたりもするがそれは怪異や心霊なんかじゃくて普通の脅威だからな」 「うーん。蜘蛛とか蝶とかの方が結局得体の知れなさやバリエーションから改造が効いて色んな話に出られるってことですか」 「まあそういうこったな。……これを見れば実感もできるがな」 22ケツフク夜間巡回雑談4/421/11/08(月) 00 48 23 フクトレさんが見た先。学園に青白く光る蝶が大勢飛んでいて。学園を跨ぐほどの大百足がそれを次々と捕食していた。 蝶は魂の具象化とよく言われる。ついこの間にハロウィンをやったから、その渡りで流れてきたのだろう。そしてそれにつられてあの大百足がやってきて、現実には結構大きめの百足の群れとして顕れてしまったんだろう。 「…あの蝶。やっぱりあんまり良くなさそうですね」 「まあこんだけ遅れて大群でやってくるやつが迷い魂なわけがないからな」 「あの百足はこっちに危害は無さそうですね。……いや、昼間のあれは十分被害か……」 「単純に餌場として来たんだろうな。商店街にいるやつとは違ってあれも流れだな」 「ある意味自然って感じですね。……益虫害虫も結局僕たちが勝手に言ってるだけですもんね」 「あの蝶は明確に害虫だしまあこっちにとっては総合的には益虫でいいだろ。神性クラスな気もするからちょっと烏滸がましい気もするが。まあこの場合勝手に拝まれても向こうも迷惑だろうしあの勢いなら朝にはどっちもいなくなってるだろ」 「そうですね。仮に僕たちが何とかしなきゃいけないと言われてもあの量と高さで飛んでるやつらの相手をするのは骨が折れそうですしねぇ……」 「じゃあさっさと行くか」 「ええ。今回も特に異常なし、ですね」 ≫31チヨノオートレSS21/11/08(月) 00 58 11 あの一件から、トレーナーは私とどこか距離を置いている 心の中で迷いが生じているのは確かだ しかし、トレーナーはそれを打ち明けてはくれない ダストレさんに相談にいった トレーナーと友人である彼女なら、引き出せるかもしれない そう思っての事だった 「はぁ…やっぱりね」 私から事のあらましを聞いたダストレさんは顔をしかめた どうやら既にトレーナーの異変に気付いていたようだ そして暫くの沈黙の後、ダストレさんは立ち上がった 「チヨトレさんを説得しに行く。手伝ってくれるか?」 「はい!」 その目には覚悟のようなものが感じられた 断るという選択肢はなかった 目指すはトレーナー室で一人で作業をしているトレーナーだ その途中、ダストレさんはスマホを使い何かしていた 一体なにをしていたのだろう ~~~~~~~~~~~ 「チヨトレさん、ちょっといいか?」 「なんでしょうか?」 32チヨノオートレSS21/11/08(月) 00 58 51 ダストレさんは単刀直入に話を切り出した 話が進むにつれ顔をこわばらせるトレーナー 私を見るその目には、どうして話したんだという感情が見て取れた でも、こうでもしないと彼女は話さない 打ち明けてはくれないのだろう 「怖いんです…」 観念したのか、トレーナーはポツリと言葉を紡ぎ始めた 要約するとこうだ 自分に憑りついているモノは良くないものだ それこそ、私達に話していたトラウマとはわけが違う 2人を傷つけてしまうかもしれない 「だから…そうなる位なら私が一人で…」 一通りの主張を聞き終えたダストレさんは、やれやれとばかりに首をすくめた 私が感じたのは、静かな怒りだ それは呆れからくるものなのかは分からないが 直後、彼女は場の空気を変える一言を放ったのだ 「そうか、よくわかったよ。君が俺達を舐めてるってことが」 「―――ッ!!?そんなことは…!」 「だってそうだろう?俺達がそんなものに負けると思わなきゃ出ない言葉だ」 「私のこれは、皆を傷つけるんですよ!!?」 33チヨノオートレSS21/11/08(月) 00 59 32 会話が一気に熱を帯びた言い争いに変わる いや、これでいい 多分今出ているのは二人の本心だ しばしの言い合いの末、ダストレさんは私に目線を合わせる 「チヨノオーちゃん。君も言いたい事があるんじゃないか?」 さりげなく私に話を振ったダストレさん これはダストレさんが私にくれたチャンスだ ならば、私の思いをトレーナーに伝えるのみ 「トレーナーさん。貴女は私に沢山のことを教えてくれました!」 レースに関する知識を、私に戦うための武器をくれた 日本ダービーを勝たせてくれた その恩は、もはやそう易々と返せる程度のものではなくなった 「だから私に頼ってください!!私に助けさせてください!!」 私は貴女を支えたいのだと、精いっぱいの声で主張する これは最後の一押しだ トレーナーの心を動かすための だから、ここに気持ちの全てを込めた それを聞いたダストレさんは満足そうに頷いた 「君の担当はこう言ってる。俺も同じ気持ちだ。キンチェムの件で君がそうしたように、俺も君を支える。」 34チヨノオートレSS21/11/08(月) 01 00 09 「チヨノオーさん…ダストレさん…どうして?」 どうしてそこまでしてくれるのかと問うトレーナー そんなの決まっている 「大切な人だからに決まってます!」 「俺達友達だろう?当然じゃないか」 「――――――」 目から零れ落ちる大粒の涙 私達の思いが通じたのか、トレーナーは声にならない嗚咽をこぼしていた ~~~~~~~~~~ トレーナーさんが泣き止んだ後、私はダストレさんに話しかけた 「でも、どうするんですか?トレーナーの靄の晴らし方が分からないままなのに」 ああ啖呵を切ったはいいが、肝心の解決策が不透明だ あの黒い靄は常識からは外れた代物であることは間違いない そう簡単に消せるとは思えなかった 「大丈夫。それについては助っ人を読んである」 助っ人? 首を傾げていると、トレーナー室のドアが開いた 35チヨノオートレSS21/11/08(月) 01 00 51 「お待たせしました」 入ってきたのは黒髪ボブヘアーのウマ娘 マンハッタンカフェさんのトレーナーさん 最初にトレーナーにアドバイスをくれた人であり その霊感とホラー関連の知識には定評のある人物だ 「それだけじゃないぜ」 カフェトレさんの後から更に入ってくる人影があった 「チヨトレさんの一大事と聞きまして」 「やっほーチヨトレ!困り事のようだね」 「二人とも、よく来てくれたな」 「ロブトレさん…スズトレさん…」 彼女らもまたトレーナーの知り合いだと記憶している 成程、得心が言った ダストレさんは、助けてくれそうな知り合いに声をかけていたのだ 1人でも多いのはありがたい 「ここにいるみんなで、チヨトレさんを助ける!」 ダストレさんの声に呼応して拳を突き上げるトレーナーさん達 こんな時だというのに、とても心強く感じた ≫53深夜の没SS供養21/11/08(月) 02 24 05 「…………なあボノトレ、カレトレ」 「なにマヤトレ。はーいカムちゃんおやつだよー?」シャー? 「駄目だよボノトレお兄ちゃん。もうおやつ食べさせちゃ駄目だってフジトレお兄ちゃんが言ってたでしょ?」 「むぅ……。仕方ないか、ごめんねカムちゃん」シャー 「あ、大丈夫って言ってくれてるよ♪ よかったねボノトレお兄ちゃん☆」 「いや待って二人とも。順応早くない? あとカレトレはお前絶対適当に言ってるだけだろ。そもそも食うのそのドーナツ」 「でもマヤトレ、マヤちゃんもカレンちゃんも勿論ボーノも直ぐに受け入れたよ?」 「流石に映えは難しいかなって思ってたんだけど、お姉ちゃんと一緒に写真撮ったら『カワイイカムチャン……!』って直ぐ人気になったみたいだよ? ねー」シャー 「カムちゃん洗脳能力とか認識改変能力持ってたりする? ていうかそもそもこの鳴き声(?)何。ムカデからこんな音出るの?」 「酷くないマヤトレお兄ちゃん……。こんなにカワイイ子に向かってなんてこと言うの……」シャー 「最低だねマヤトレ。早く謝ったら?」 「ふふっ、なんか挟まれたりしてるこれ?」シャー? 「でも実際この大きさのムカデって絶対普通の存在じゃないってお兄ちゃん達。あ、やっぱり三女神様の……え、断固として違うしなんか勝手に居付いただけ? そんなに否定しなくても……いや伝えただけって誰から?」 「なんかぶつぶつ呟き始めたカレトレは置いとくとして。意外と大人しいし愛嬌のある子だってのは分かったからね……。ま、結局ただ大きいだけのムカデでボクらが勝手に色々感じてるだけかもだけど」シャー 「そうかなぁ……まあ愛嬌があるのはちょっと分からんでもないが……?」 「それにムカデって昔から縁起物だしね。『最後の神頼み』まで繋ぐのが仕事なボクらからしたら、こうして拝んどいても良いんじゃない。なんかご利益あるかもよ?」 「そうだよマヤトレお兄ちゃん。この子がどういう存在で何を考えているかわからないなら、私達にとってはどう見えて感じるかの方が大事。ふふ、私達って勝手な存在だね?」シャー? 「そんなもんかね……。じゃあまあ、俺がしっかり支えていくから、マヤノのことも見守っててください、……なんてな」シャー その後、誰かが見守ってくれてた……ような気もしたし別に全く一切そんなことも無かった気がするマヤトレでしたとさ うまぴょいうまぴょい ≫55二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 02 50 24 学名、オクルスアルブス・ノオグラドゥスサウルス 和名、メジロサウルス・ナイダン メジロサウルス・ナイダン(以下、M・ナイダン)は現在も生きる恐竜として学会に強い衝撃と共に発表された存在で、これまで存在が知覚されなかった原因はメジロ国の地下空間、通称メジロ大空洞と呼ばれる巨大な洞窟に棲息していた為てある。 環境変動から逃れる為にメジロ大空洞に逃げ込んだ竜脚類が祖先に当たると考えられており、洞窟に適応する為に様々な進化を遂げたと考えられている。 広大な大空洞とはいえ狭い場所も有る洞窟なので身体は竜脚類とは思えない程に小型化しており細身である、また尻尾を道具として扱う為にか極めて器用に動かす事が出来る様になっており腕としての運用も可能としている。 他にも光の無い洞窟に棲息している為に身体の色素が薄く、目も閉じられている。 食性は草食と考えられており、空想樹ナイダンまたはナイダン山葵を食べているのでは無いかと考えられている。 しかし分かっていない事も多く、恐竜として有り得ない程の尻尾の器用さや、閉じられている目から常に涙を流す理由、哺乳類に似た頭部、そしてマクトレを襲う理由、等の事柄を今も研究が進められている。 1番分からないのはコレを書いた俺である。 ≫56二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 02 52 13 欲望から作られたメダルを集め 完全なる復活を果たそうとする怪人頭サイゲ 彼らと戦うのはオーズに変身するタマトレと頭サイゲの一人でありながらなぜか右腕のみ復活したタマモクロス ギブアンドテイクで戦いを続ける二人 メダル争奪戦の渦はさらに激しくなっていた 【カウント ザ メダルズ】 現在仮面ライダーオーズが使用できるメダル タマモ・コア クリーク・コア オグリ・コア ナイダン・コア カマドラ・コア メカカマドラ・コア パラシン・コア カムちゃん・コア ギガンティックブルー•コア 🐴・コア ≫83二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 07 47 53 トレセン学園の一角にて 弓道着を着た一人の影が弓を引き絞る。 ギリギリギリィ…ヒュン! 「…」 弓を放ち、姿勢を崩さずに下がるのはファイトレ。そしてそれを見守るのはグラトレ(独占力)と二人の担当だった。 一連の流れを見たファインは、下がってきたトレーナーに 「わあ…かっこいいですトレーナーさん!」 「ふふ、そっか。」 目を輝かせながら見てくるファインをそばに、グラトレは声をかけた。 「素晴らしい体幹、そしてブレのない動きですね。」 「なんてことはない集中だよ。昔銃を握ってたときの感覚と同じだからね。」 「流石ですね…」 そう言いながらも彼女はふと胸を見る。 「しかし弓道では大きな胸は邪魔って言うのもよく分かるかな。」 「そうですね〜つっかえてしまいますから。」 「私でもこうなのだからこれより大きい人達は厳しいかもね。」 グラトレは会話している中で闘争心が湧き上がってくるのを感じた。 「…ファイトレさん、もう一本してみせんか?今度は私と競ってみましょう。」 「分かった、用意しよっか。」 84二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 07 48 32 目を閉じて二人は立つ。まずグラトレは前に歩み出ると弓に矢をつがえる。 (精神統一…) 目を見開き的だけを見る。狩人のように鋭い目つきで撃ち抜くと意識する。 雑念を振り払い引き絞る。弦が張られる音が響く。 ギリギリギリィ… (…今!) ヒュッ! 放たれた矢は的の真ん中あたりに突き刺さる。 丁寧な礼儀を行いながらグラトレは下がった。 入れ替わるようにして前に出るのはファイトレ。音もなく動くと、同じように弓を構える。 (風はない、偏差は掴んだ。後は…) 片眼だけで的を見据える。スナイパーをしていた時の感覚で他のことをシャットアウトする。 ギリギリギリィ… 手ブレを抑え、震えのタイミングに合わせて… ヒュン! 放たれた矢は同じように的の中央付近に刺さった。礼儀作法を行い、下がっていく。 「…私の負けかな。」 そうファイトレはつぶやく。二人は向かい合って礼をした。 終わったのを見て二人の担当が寄ってくる。 「かっこよかったです!トレーナーさん!」 「素晴らしいです、トレーナーさん。」 二人のトレーナーは担当に対して微笑んだ後、 「今度も勝負しましょうね〜」 「…もちろんだよ。次は私が勝たせてもらう」 ーーー再戦を誓ったのだった。 短文失礼しました 弓道勝負をするグラトレ(独占力)とファイトレです。書いててよく似合うと思いました。 お互いにそこらへんのメンタル面は強そうなのでこんな感じで武道はしてるかもしれません。 弓道においての胸はよく分かりませんが頭サイゲ勢はきついと思います。 ≫98二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 08 08 14 月明かりと街灯が僅かに私達を照らす公園。卒業式の後ということもあり、私達の間には"どう攻めるか"といった空気が漂っていた。 「……ルドルフ……いや、ルナ?」 「……どうした?」 「……もし、ルナさえよければ……その、毎日目が覚めた瞬間におはよう、って言って欲しいし、毎日朝と……出来れば昼か夜も二人で食べたいし、毎日二人で寝たい……だから……」 暗がりの中でもわかるくらいに照れた顔、そして捻り出された言葉からそれだとわかる。 「「結婚してください」だろう?」 「……わかってたなら、そっちから言ってよ……」 ぷすり、と音が出そうなくらいに赤い顔の彼女が若干むくれる。それもまた愛おしい。 「すまない。だが……指輪を用意しているのはそっちだろう?」 「あっ……いや、うん、だけど……あー!ちょっと待って!仕切り直させてルナ!」 「はいはい……わかった、やり直すことを許そう」 「……それじゃ……」コホン 「"ルナ。これまでありがとう。君がいなければ僕はここまで来れなかったし、君もまた道半ばで絶望することがあっただろう。故に、僕達は太陽と月のように在り続けないか?"」 「……喜んで……フフッ」 そうして受け入れてから、おかしさからか笑ってしまう。気がつけば彼女も笑っている。 ────そうして、二人でずっと笑ってから"二人の"家に戻ることとなった。 ≫129二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 08 55 31 明日でいいから グルトレ 最近、指輪を渡してからグルーヴが私の家に泊まる頻度が高くなった。と言っても、一緒に晩御飯の準備をして、それを一緒に食べたり、食べさせ合ったり。お風呂を一緒に入って身体を洗い合ったりしている。身体を重ね、愛を確かめ合う日もあれば、同衾するだけで終わる日もある。次の日の予定次第である。そのため、新しく用意した彼女の歯ブラシや食器が私の家に置かれている。私はそれが嬉しくて、増えていく彼女の日用品がもっと増えればいいな、なんて頬を緩ませた。また少しだけ、同棲生活が始まった時のイメージが鮮明になった気がした。 「どうした?」 「なんだか、眠れなくて」 シーツの海で身体を密着させて彼女の手に指を絡めて漂うだけ。同じシャンプーとトリートメント、ボディーソープなのに少しだけ違う彼女の香りが鼻腔をくすぐる。今彼女の左手の薬指にある指輪は普段はネックレスチェーンに通して制服の中へ隠しているものだ。トレーナー室で私とふたりきりの時だけ、制服の外へ出されるそれは本来あるべき左手の薬指にある。ベッドライトのやわらかな光にあてられ輝く指輪を絡めている指でなぞる。愛おしくてたまらなかった。 「今日も疲れただろう、明日も忙しくなる」 「そうなんだけど」 トレーナー業務、生徒会業務の手伝い、花壇の手入れ、そして生活のこと。目まぐるしく流れる世界を歩む。疲れているはずなのに、すっ、と眠りに付けずにいた。絡めていた指から彼女の手が離れると、私を抱き締めた。ふんわりと顔が彼女の胸へと埋まる。胸に埋まる顔をあげて、彼女を見ると優しく頭を撫でられる。とても落ち着く。 130二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 08 55 46 「今はゆっくり休め」 「休むから、少しだけお話しよ?」 「なんだ?」 「見たい夢とか?」 「夢を見ている時の眠りは浅いんだぞ」 「そうだけど、見たい夢聞きたい」 「聞いてどうする?」 「一緒の夢見たいなぁって寝るの」 そう言うと、ベッドライトに照らされた彼女の頬が気持ち赤くなったような気がした。私を抱き締める腕が少しだけ強くなって、尾が私の尾へと絡められる。 「教えてくれないの?」 「わかっている癖に聞くのか?」 「グルーヴの声と言葉で聞きたいから」 彼女は私の耳元へと唇を近付けて、見たい夢の内容を話した。言葉は違えど、私が見たいと思っている夢と同じものだった。それがすごく嬉しかった。嬉しくてつい笑ってしまうと彼女が照れ隠しに早く寝ろ、たわけがと頭を優しく小突いた。 「おやすみ、グルーヴ。明日も一緒、ね?」 「ああ、おやすみ。明日も、次も、ずっと一緒だ」 唇が触れるだけのキスをして目を瞑る。どんな目まぐるしく流れる世界も貴女とならカレイドスコープのように鮮やかに煌びやかに美しい世界になる。明日はどんな色になるだろうか。夢の世界へと飛び込みながら私は思った。 ≫168二次元好きの匿名さん21/11/08(月) 10 31 46 「……トレーナー君、試しに『可愛い振り付け』をしてみないか?」 「えっ?」 ────ルドトレはしっかり踊った。 ────ルドルフには破壊力が強すぎた。 ページトップ part○○~○○はこちら ページトップ
https://w.atwiki.jp/140905580/pages/165.html
タグ一覧 このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart336~340)です。 SSまとめスレはこちら part1~10はこちら part11~20はこちら part21~30はこちら part31~40はこちら part41~45はこちら part46~50はこちら part51~55はこちら part56~60はこちら part61~65はこちら part66~70はこちら part71~75はこちら part76~80はこちら part81~85はこちら part86~90はこちら part91~95はこちら part96~100はこちら part101~105はこちら part106~110はこちら part111~115はこちら part116~120はこちら part121~125はこちら part126~130はこちら part131~135はこちら part136~140はこちら part141~145はこちら part146~150はこちら part151~155はこちら part156~160はこちら part161~165はこちら part166~170はこちら part171~175はこちら part176~180はこちら part181~185はこちら part186~190はこちら part191~195はこちら part196~200はこちら part201~205はこちら part206~210はこちら part211~215はこちら part216~220はこちら part221~225はこちら part226~230はこちら part231~235はこちら part236~240はこちら part240~245はこちら part246~250はこちら part251~255はこちら part256~260はこちら part261~265はこちら part266~270はこちら part271~275はこちら part276~280はこちら part281~285はこちら part286~290はこちら part291~295はこちら part296~300はこちら part301~305はこちら part306~310はこちら part311~315はこちら part316~320はこちら part321~325はこちら part326~330はこちら part331~335はこちら part336~340はこちら part341~345はこちら part346~350はこちら part351~355はこちら part356~360はこちら part361~365はこちら part366~370はこちら part371~375はこちら part376~380はこちら part381~385はこちら part386~390はこちら part391~395はこちら part396~400はこちら part401~405はこちら part406~410はこちら part411~415はこちら part416~420はこちら part421~425はこちら part426~430はこちら part431~435はこちら part436~440はこちら part441~445はこちら part446~450はこちら part451~455はこちら part456~460はこちら part461~465はこちら part466~470はこちら part471~475はこちら part476~480はこちら part481~485はこちら part486~490はこちら part491~495はこちら part496~500はこちら part501~505はこちら part506~510はこちら part511~515はこちら part516~520はこちら part521~525はこちら part526~530はこちら アダルトコンテンツは乗っけると最悪wiki削除なのでやばそうだなとおもったらリンクかスレ位置を置いておいてください(主にルドトレ) リンク例は編集画面にてコメントアウトしています。 目次 目次おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part336【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part337【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part338【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part339【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part340【TSトレ】 おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part336【TSトレ】 ≫129IFキスブレイズ/マルトレ21/10/29(金) 11 20 02 サマードリームトロフィーリーグマイル部門東京芝1600m。今日は私が奇跡を願うレース。 トレーナーちゃんはキスブレイズちゃんになったまま元に戻ることはなく、私はドリームトロフィーリーグに移動した後、キスブレイズちゃんはトゥインクルシリーズに参戦。私の再来と呼ばれる程活躍した。足に不安を抱えるキスブレイズちゃんの、最初で最後になるかもしれないドリームトロフィーリーグ。 『さあ出走回避が相次ぎつながらも本日を迎えることができたサマードリームトロフィー芝マイル部門! 一番人気は当然この娘、"三冠ウマ娘にして怪物"マルゼンスキー。二番人気には"マルゼンスキーの再来"と呼ばれ本人との対決となりましたキスブレイズ、三番人気には"曲線王"サタデーフィバー、高速展開と予想されるレースに目を離さないようにしましょう』 「キスブレイズちゃん」 「あ、マルゼンスキー先輩。今日は楽しく走りましょうね!」 「……ええ、今日はよろぴくね!」 『さあ各ウマ娘ゲートインが完了して、今スタートしました! 早くも争いを制し先頭に躍り出たのはキスブレイズ! その後ろマルゼンスキーが追走! 後続との差をぐんぐん離していきます二人のエンジンは桁違いか? スーパーカー同士のマッチレースとなるのでしょうか!』 トレーナーちゃん、いえ、キスブレイズちゃんは私の鏡写し、でもそれはあくまでも昔の私。トレーナーちゃんが鍛え上げた今の私は昔の私にも負けはしない! 130IFキスブレイズ/マルトレ21/10/29(金) 11 20 41 『さあ遠く二人旅の様相!レースも半ばを超えてカーブに入る!』 「ははっ」 走ることが楽しい。後ろからマルゼンスキー先輩が追いかけてくる。その圧を感じながら正面から受ける風は心地がいい。ああ、でも前にいる誰かに追いつきたい。どんな顔で走っているのか、見てみたい! [蒼焔シフト/Nitro-BB] 『おっと最終直線キスブレイズ加速! マルゼンスキーを引き離しにかかる!』 息をいっぱいに吸い込めば、それが肺から心臓に火をつけて、足が軽くなる。壊れないように気をつけても逸る足。まだ誰かは先にいる。あそこへ向かって走るのが、楽しい。 ドスン ドスン ドスン 音が聞こえる。耳ではなく、走る足を通して振動が音として頭に届いていた。まるで火を纏う流星のように、マルゼンスキー先輩が私の横に並んだ。 [紅焔ギア/LP1211-M] 「見せてあげる。これが私の───フルスロットルよ!!」 紅蓮の炎を散らすように力強く大地を踏み締め、マルゼンスキー先輩がそのまま私を追い抜いた。私もついて行こうとするけれど、足からピキリと嫌な音がした。それでもついていきたかった。先へと離れていくマルゼンスキー先輩の背が、私の見ていた誰かと重なる。 ────ああ、本当に楽しそうに走るなぁ。マルゼンスキーの楽しそうに走る姿を、ずっとみていたいなぁ。だから"俺"はマルゼンスキーのトレーナーになったんだったなぁ。 「……マルゼ……ンスキー?」 『マルゼンスキー三バ身ほどキスブレイズを離して今ゴールイン! 自身の再来と呼ばれたキスブレイズをくだしドリームトロフィーマイル最強を証明しました!』 131IFキスブレイズ/マルトレ21/10/29(金) 11 20 54 大歓声が巻き起こる中、私はマルゼンスキーの元に向かう。 「おめでとうマルゼンスキー」 「……トレーナーちゃん?」 「私は……なんだろう。今の私は〇〇だけどちゃんとキスブレイズでもあるんだ」 マルゼンスキーの瞳から大粒の涙が溢れる。 「忘れるなんて酷いトレーナーもいたものだからさ、マルゼンスキーが呼びたいように呼んでくれよ」 「トレーナーちゃん……! トレーナーちゃんはずっとずっと、私のトレーナーちゃんよ!」 マルゼンスキーが私を抱きしめる。心配させてしまった。キスブレイズとしてはよくわからないマルゼンスキーの行動は、俺を想ってのことだった。 「マルゼンスキー。キスブレイズとして、トレーナーとして言いたいことがあるんだ」 マルゼンスキーが抱きしめるのをやめてこちらを見つめてくれる。 「マルゼンスキー、今日のレース、私とっても楽しかったよ! マルゼンスキーはどうだった?」 マルゼンスキーは涙を流しながらも太陽のような笑顔を見せた。 「ええ! 今日のレースはチョベリグ楽しかったわよ!」 もう一度私たちは抱きしめあった。レース場の拍手と歓声はまるで私たちを祝福しているかのようにいつまでも続いていた。 終わり ≫158二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 12 08 14 ドベトレ放浪記、グラトレ(独占力)編 「……ドベトレさん着きましたよ起きてください、家に上がっても良いのですから車の中で寝なくても大丈夫ですよ?」 「…………キュウ……」 完 159二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 12 08 24 「…………あ、ああ……着いたのか……無事……」 グラトレに起されて漸く、今日泊まらせて貰うグラトレの家に着いた事に気が付いた……スペトレ、お前の言っていた事ちゃんと聴いてたら良かったよ…… 「やはり家々を転々と周られているのでお疲れなのでしょうか、疲れが取れるか分かりませんがゆっくりくつろいでくださいね」 「いや、疲れてた訳じゃ無くて……うん、まあ、お邪魔します」 「はい、どうぞお上がりください」 「…………」 改めてグラトレの家を見てみるが……普通の平屋だな…… 「……ドベトレさん、どうかされましたか?」 「いや、思ってたより普通だなって」 「思っていたより?」 「料亭みたいなのを想像してたんだが」 「あらあら、それならお出迎えをしないといけませんでしたね」 「いや! 要らねーよ!?」 「ようこそお越し下さいました、ドベトレ様〜」 「だから、要らねぇって!?」 そんなこんなでグラトレの家に上がらせて貰い居間へと通された。 「では、夕食を作って来ますのでくつろいでお待ちくださいね~」 「泊めて貰うんだから俺も手伝うぜ?」 「いえ、頼まれたとはいえ客人は客人……寒くなって来ましたし、炬燵でゆっくりしていてください」 「グラトレは寒く無いのか?」 「雪山に比べたら全然ですよ~」 「比較が可怪しくないか!?」 「あっ、炬燵ですがコンセントを挿してくださいね? 私はたまに忘れるので~」 「お前なら、する気はしてたよ……」 160二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 12 08 48 きちんとコンセントを挿してから炬燵に入らせて貰い、部屋を見回す。 「……思ってたより和風で固まっている訳では無いんだな」 普段の言動とは違う、普通に和洋折衷な部屋にそんな感想を零す。 「まぁ、私の和風好きはグラスの影響も多分に有りますからね~」 「なるほど、そういう事か」 グラスワンダーの影響だという事に納得する。 「小物が妙に新しいなって思ったんだよ、グラスワンダーとコンビ組んでから買った奴ばかりか」 「ええ、そうですね〜……この部屋は殺風景過ぎますってグラスに言われまして……それからグラスと一緒に色々買ってるんですよ」 「だろうな、新しそうな小物が無かったら写真しか残らねぇ……その写真もグラスワンダーと……グラトレか?」 「飾っていた写真でしたら……私ですね、ウマ娘になる前の」 どうやらグラスワンダーと有馬記念の優勝レイを持つ、この男がウマ娘になる以前のグラトレらしいが…… 「…………1つ聞いて良いか?」 「なんでしょう?」 「グラトレって泣くの!?」 写真に写るウマ娘化前のグラトレは、勝利に感極まったのか俯いて泣いておりグラスワンダーに頭を撫でられて慰められている…… 「俺だって泣くよ!?」 「いや! グラトレが泣く姿が全然想像出来ないんだが!?」 「人前では泣かないけどさぁ!」 「なら、この写真は?」 「トレーナー室でグラスと二人で記念撮影した時に気が緩んで……」 「…………なんで変に可愛いのお前……」 「はい、この話はこれで終わりですよ〜」 「うわ、無理矢理話を切っ「ドベトレさん、主菜のお刺身は無しですか〜?」 「なんでも無いです……」 「宜しい、では夕食までもう少しお待ちくださいね~」 161二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 12 09 09 「お待たせしました、ご飯が出来ましたよ〜」 炬燵でテレビを見ながらくつろいでいると声が掛けられた。 「運ぶのくらいは手伝わせてくれ」 「そうですか、それならお願いしますね〜」 「……しかし、しっかりした食事だな? 毎日用意するのは大変じゃ無いか?」 「今日はお客様が居られるので腕によりをかけたんですよ〜?」 「そりゃすまねぇ……なら、いつもは?」 「保存が効く物を1度に多めに作って小分けに使用していますね〜、後はレトルトも使いますよ〜」 「レトルトも使うのか? 意外だな」 「便利ですからね〜、使えるモノは使うの精神ですよ~」 「なるほどなぁ」 「では、今日の献立はコチラです」 今晩の献立──旬の根菜と魚尽くし── 筑前煮(牛蒡、里芋、蓮根、蒟蒻、鶏肉) お味噌汁(大根、蕪、薩摩芋) 梭魚(カマス)の山椒焼 魬(ハマチ)のお刺身 漬物(野沢菜、白菜) 玄米入りご飯 柿と林檎 「……やたら健康に良さそうなラインナップだな?」 「この季節は旬の根菜が豊富ですからね〜、自ずとこの様な献立となりました……それより温かい内に食べましょう」 「おう!」 「それでは~……」 「「いただきます」」 162二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 12 09 31 「は〜、食った食った!」 「お粗末様でした」 「食器を運んで、洗おうか?」 「いえ、流しの方まで運んで頂いたら、お風呂が沸いていますので入ってください」 「いや、家主より先に入るのは……」 「気遣うのでしたら、私が食事の片付けや客間の布団の準備をしている内にお風呂に入って貰えると助かりますよ?」 「……分かったよ」 「では、ごゆっくり〜」 「……まあ、普通の風呂だよな……」 露天風呂や檜風呂だったらどうするかと思いながら入ったが……普通だったな。 そんな事を考えながら風呂から上がったが…… 「おーい、グラトレ上がったぞぉ?」 グラトレの姿が見えない。 「客間で布団を敷いてくれているのか?」 そう思い、先程教えられた客間へと向かう。 「グラトレここかぁ? 風呂空いたぞぉ?」 そう言いながら客間へと入ると、何故かグラトレは布団の上で正座していた。 「……不束者ですがどうぞ宜しくお願いします」 「止めい!!」 「ふふっ、冗談ですよ~」 「当ったり前だ! 言われた瞬間とんでもない量のデバフが掛かった気がするぞ!?」 「……デバフですか? トレーナーサーンメールデスヨ− ……おや、グラスからメールですね……」 グラス『明日、今晩のお話を詳しく聴かないといけない気がしましたが……トレーナーさん、何をなされてますか?』 「………………」 「……俺は知らねぇぞ?」 そう言って俺は冷や汗を流すグラトレを突き放すのだった…… 163二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 12 09 49 居間で反省文を書いているグラトレに俺が感じた疑問を聞いてみた。 「なあ、グラトレに聞きたい事が有るんだが?」 「グラスへの謝罪と反省の言葉は今考えてるので待って貰えますか?」 「それは身から出た錆だろ……そんな事より、よく俺が泊めてくれって頼んで速攻OK出したなって」 「泊めてくれって求められたから応えただけですよ?」 「なんつーか、もっと詮索とかするのかなって……」 「されたいなら言ってくださいな、詮索してあげますから」 「いや、大丈夫だ! しなくて良い!」 「そうでしょう? 泊めてくれって言える方が理由を話したいなら話すでしょうし、話したく無い事を聞く程私は無遠慮ではないのですよ?」 「……そっか、すまないな」 「まあ、悩みで眠れないなら言って貰えますでしょうか? 添い寝して子守唄を歌ってあげますよ~」 「要らんわ!?」 「ふふっ……」 ……本当に食えない奴は居る……そう思った夜だった…… ……翌日、礼を言おうとグラトレのトレーナー室へ行くと、グラスワンダーに添い寝して子守唄を歌っているグラトレを見つけてしまったが……見なかった事にした…… 了 ≫170二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 12 21 44 ────何かが欠けたような心持ちで、今日も浅い眠りから覚める。 夢に出るのは常に只一人で、その一人がこの世界から消えてかなり経つのを、その一人が失われた瞬間を今も鮮明に覚えている。 そうして身支度を整え、"同盟相手"と電話をする。 「シンボリルドルフ、今身支度を終えた。して、今日の予定は?」 「……シンボリルドルフ。睡眠時間が不足しているのでは?」 「……心配には及びません"樫本トレーナー"。私の体調に問題がないことは貴女も理解しているはずです」 「……それは、そうですが。私は貴方のトレーナーです」 「……トレーナー、ですか──── そろそろ朝食を取りたいので、それでは」 「まっ……」 ぶつり、とこちらから電話を切る。"同盟相手"が何か言おうとしたのを感じたが、それは気にするべきではないことだ。効率に関わる。 ────何時から私は効率を気にしだした? ……考えるべきではない。これからのことに支障が出る。考えるべきではないのだ。きっと彼は今の私を嫌うだろうから。 "同盟相手"はこれでいいのかと考えてしまったのだろう。それも、正しいのだろう。私は人の道を外れすぎた。 ────幸せな世界とは、私が求めていたものとは、何なのだろうか。答えてくれ、またあの声を聴かせてくれ。トレーナー君。 私の、今の私の全てを否定してくれ─── 鉄仮面の裏で雷帝は嘆き、悲しむ。 雷帝の駒は体制の駒の一つとなり、反発する者は権威と力に伏す。 終わらぬ、全てを呑み込む悪夢は続く。維持する何かが欠けるまで。 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part337【TSトレ】 ≫16別概念ファルトレ第2話1/421/10/29(金) 12 55 37 “attacca.内音と外音。” ファル子と走る。 そう提案した当の本人は、どこか複雑な面持ちで、それでもこちらを真っ直ぐ見つめていた。 その雰囲気に気圧されて、遅れて近づいてきたスズトレさんに意見をもらおうと目線を投げて。察したスズトレさんは少しの間考える仕草を見せて、ファル子の提案に賛同した。 曰く、トレーナーとして担当と走るのは様々なリスクを鑑みても大きなリターンがある。上手く行けば普段のトレーニングに活かせるかもしれないし、監督者がいる今のうちに1回走っておいた方が良いかもしれない、とのことだ。 確かに、ウマ娘化したトレーナーは殆どがその状況を強かに活用している。あまり走りが得意ではないしどこかそれに満足げなマルトレさんは例外として、今目の前にいるスズトレさんも、他に身近な例としてはブルトレさんも、担当との併走トレーニングを積極的に行っている。それに、ファル子の尽力によって活気が増したと言っても、トレセン学園でダートウマ娘の併せ相手を探すのが容易ではない、というのは残念ながら今でも否めない。現にこの時間にファルコがこのダートコースまるまるの使用許可を取れているという事実が物語っている。俺が一緒にファル子と併走できれば日々のトレーニングの質は確実に上がるだろう。 強く拒否する材料は、最早無かった。 17別概念ファルトレ第2話2/421/10/29(金) 12 55 56 スタート兼ゴール役のスズカさんが旗を上げる。 俺とファル子はそれぞれスタートに向けた姿勢をとる。隣の流れるような、洗練された所作に眩さを少し感じながら、それでも共に走れることに既に胸が躍っている。 はためきの音を立てながら、旗が振り下ろされる。 同時のスタート。自身でも出遅れもない絶好のスタートだという感覚はあった。しかしファル子は俺以上のスタートで走り出し、俺以上の加速でもって容易にハナに立つ。手加減はなし、というのが言葉以上に雄弁に走りで見せつけられる。競技者とトレーナー、埋められない差があることは巻き上がる砂からも歴然。けれど、なりふり構わずに追いかけたかった。今まで支えてきた背中が、捕まるまいと前を駆ける。不思議な高揚感があった。 向こう正面。おそらくファル子にとっては楽なペース。それでも俺にとっては気合を入れなければ追走も出来ないほど。俺は着実に消耗し、対してファル子は脚を溜めている。けれど、それでも追いつきたかった。時折後ろを確認するファル子の目線が俺を突き刺す度、味わったことのない感覚が身体を駆け巡る。どれだけ差があろうと、ここにいるのは2人のウマ娘。そして、俺は。 最終コーナーに差し掛かる。既に尽きかけている体力を振り絞り、懸命に追いすがる。それでも、差は広がっていく。バックストレッチでは散々浴びせられた砂も、今では被らなくなってしまっていた。またなのか? 最終直線。ファル子は、さらにスパートをかける。4バ身。5バ身。トレーナーとしての経験が、絶対的な差を認識させ、残酷な予測を叩きつけてくる。彼女は競技者、俺は被競技者。才能と、努力の差。輝きに向かって駆け抜けていく、彼女。 違う。 追いつきたい。追い抜きたい。逃げ切らせたくない。 またあの子に届かないなんて、いやだ。 私は。 18別概念ファルトレ第2話3/421/10/29(金) 12 56 23 スズトレは感知していた。スズカがホームストレッチでゴール位置に移動する間にバックストレッチで起きた兆候。ファルトレは少し無理なペースで走っている。試しのダート走りで感じた彼に宿る才は本物だ。けれど、彼はウマ娘に今日なったばかり。体の使い方も、レースでの立ち回りも、何度も見ていたトレーナーといえど自身に即座に反映させるのは困難だ。ウマ娘化したトレーナーの中には初めて走ったときに限界まで走ってしまって体に反動を受けた例もある。おそらく、彼のこれも。3・4角で止めに行こう。このままでは、何かが起こる。 しかし、走り出した足は止まってしまった。ホームストレッチに向けてスマートファルコンを追走するファルトレの顔。走り。その気迫に。何かに憑かれたようになってしまう、トレーナーが稀に襲われる侵蝕、そんな単純なものではない。もっと何か、いろいろと混濁したような。 そんな必死さをあざ笑うかのように差は残酷なまでに開いていく。スマートファルコンも、何かを感じ取っている。そうでなければたかだかトレーナーとの初めての併走で、ここまで。 スマートファルコンがスズカの前を通りすぎるその直前。スズトレは聞いた。奮起。慟哭。発露。それ以外にも様々な声。 到底総称できるものではない。ただ敢えて形容するならば。 “激情”と、呼ぶ他無かった。 19別概念ファルトレ第2話4/421/10/29(金) 12 57 00 「ファルトレ!大丈夫!?」 「ハァーッ、フーッ、……ヒューッ、ええ、大丈夫、です」 「(……?何か、違和感が)」 「トレーナーさん、水を持ってきます」 「あ、うんお願い」 「トレーナーさん!ごめんね!!ホントに本気で飛ばしちゃって!」 「ングッ……フー……。うん、もう大分落ち着いてきたから」 「よかったぁ……倒れちゃったりしたらどうしようって……」 「もう、本当に平気だって。でも、やっぱりすごかったわ」 「「───」」 「へ?どうしたの?二人とも」 「ト、トレーナーさん、その口調」 「口調?何かおかしいかしら?あれ?」 「……自分が誰かは、言えるよね?」 「え、ええ。私はファルトレで。あれ?私?いや、なんていうか……記憶もあるし、自己認識もしっかりしてますけど、喋り方が、うん?」 「……とりあえず、スズカが戻ってくるまで待とっか。その後は……念のため、保健室、かな」 ≫31二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 13 17 04 ハレーション・リモーション リウトレ ───手加減はしてくれないんだ。 この姿になる前からシリウスはそうだった。 ───あまり自分を追い詰めないようにね。 そんなつもりじゃなかった。 ───大事なのはリウトレさん自身が考えて自分自身の答えを出すことです。 あたしはどうしたいのだろう。 ───敢えて一部受け止めてやるのも手じゃないの?って話だ。 受け止めてしまったら歯止めが利かなくなるのがこわかった。 ───しっかりと向き合った上でお前にとって最良の答えを出せ。 向き合うのがこわかった。 ───たまには愚痴聞いてあげるから頑張って……。 あたし、頑張れているのかな……。 ───だから私はアドバイスとかはできないかな。 聞いてもらえるだけでも楽になれた気がしてた。 ───好きってコト! 最初からわかっていた。 ───じゃあ受け入れちゃえばいいんじゃない? あたしは彼女に相応しい人間じゃない。 33二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 13 17 16 彼女なら取れたはずの皐月の冠も、海外遠征も全部あたしのせいだ。あたしのせいで貴重な、一度きりしかない彼女の人生をめちゃくちゃにしてしまったんだ。そんなあたしが彼女に応えて良い訳がない。あたしは─── 「何ボーっとしてんだ?」 「あ、うん……なんでもないわよ…」 ソファーに座るあたしに彼女が隣りから声をかける。彼女を心配させてしまったようだ。本当にダメだな、あたし。ただでさえ、こんな身体になって彼女がいないと日常生活も危ういというのに。 「熱でもあんのか?」 彼女はあたしの前髪をあげ、額に額を重ねる。鼻と鼻も触れ、唇が重なりそうな近さに思考力を奪われる。言葉にならない声だけが口からこぼれていく。 「熱はなさそうだな…そんな顔して、別に無理矢理キスなんてしねぇよ」 「そんなこと、わかってるわよっ……」 いっそうのこと奪われたら楽になれたのだろうか。それは本当に向き合って出せた答え?悲しくなるくらいどうしようもない脳内会議。力のない声しか出ない。あたしらしくもない。どうしたらいいのだろうか。もう何も、わからなくなってきた。 「ねぇ、シリウス…」 「なんだ?」 「どうして、貴女の人生をめちゃくちゃにしたあたしのこと恨んでくれないの…?」 「何言ってんだ…」 「あたしのせいで、取れたものも───」 「そんな自惚れの仕方をするな!皐月賞も、海外のレースも私の判断だ」 「…あたしのせいだよ」 「いいか、アンタが自惚れて良いのはな。私のトレーナーであることと私に惚れられてることだけなんだ!」 また帰りに来る。そうぼそりと言い彼女は荒々しくトレーナー室を出た。ひとりになったトレーナー室の空気を感じ、あたしは目から零れ落ちるそれを止められずにいた。 「あたし、なんてことを言ってしまったの…」 ソファーの上で膝を抱える。本当に、最良の選択だったのだろうか。その場の勢いで言ってしまった言葉が最良の訳がない。彼女のあんな顔、海外のあの時ですらしていなかったのにあたし、彼女のこと傷つけたんだ。 「最低だ…うぁあっ……熱い…」 胸の奥が、長い尾が、耳が、焼けるように熱い。 「あつ、い……なにっ、これ……あぁっ」 脚が、手が、自由を利かない。罰があたったんだ。あたし、死ぬんだ。せめて謝りたかった。せめて、好きだったと伝えたかった。あたしは彼女の名前を言い、意識を手放した。 ≫56二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 14 51 05 フクトレ「いいかお前ら?よく聞け?」 テイトレ「?」 ブラトレ「?」 マクトレ「?」 フクトレ「こ こ を キ ャ ン プ 地 と す る」 58二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 15 06 23 「さむ…寒いぃ…」 「きゃあっ!?テイトレ!手を服の中に入れないで下さいまし!」 「うるせえよ…駄目だ怒る気力もない…」 「もっとくっつけくっつけ…大凶だ…笑ってんだろなこれ見て…」 …あの!絵面が尊すぎてギャグにできないのですが!アホな番組を見にきた奴らの脳が破壊されちゃうよ…後方理解者面が増えちゃうよ… 59二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 15 08 03 翌朝、レポーター風に喋るオグトレ。 さあ、出発だとエンジンがかかった車に近づいて、運転席のノブをガチャガチャ。開かない。 後部座席、後ろのトランク、助手席とドアノブを動かすが、どれも開かない。 オグトレ「それではご紹介しましょう」 「イン・キーマンのタマトレさんです!」 (字幕)私が犯人です そこには地面に膝をつけて額に土を付けんばかりに土下座するタマトレの姿が。 なんとタマトレはエンジンを掛けたまま鍵を閉めて車外に出てしまったのである。 誰も車に入れない……、つまり『イン・キー』をやらかしたのである。 クリトレ「おっさん、おっさん、何してんの?」 60二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 15 10 25 ブラトレ「スズカさん佐賀県入ったぞ」 テイトレ「えっ……う、嘘でしょ…… 佐賀は何が名物なんですか?佐賀は私より速い物はあるんですか?何とか言ってください!」 マクトレ「えっそうですわね有田焼が有名ですわ」 テイトレ「有田焼は私より速いですか?」 フクトレ「?」 マクトレ「?」 ブラトレ「?」 65二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 15 21 22 「島根って神在月なんでしょう」 「あーそうだな、俺も行ったことあるわ」 「へぇ〜、湯島さんってどんな感じなの?」 「めっちゃインテリ、けど時々怖い。ウラトレ先生みたいな」 「こえーな」 「罰当たりですわねこの話」 67二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 15 29 55 https //www.htb.co.jp/unite2013/doudemy/serif.html 水曜どうでしょう、名言で調べたら出てきたけどほとんど言いそうで笑っちゃった テイトレ「いい宿泊めろ バカやろう」 フクトレ「なんとかインチキできんのか」 ブラトレ「風呂入っただけだぞ 四国でオイ」 マクトレ「有田焼きは燃やしますか?」 71二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 15 38 46 一人きりでは できない事も タフな笑顔の 仲間となら乗りきれる たどり着いたら そこがスタート ゴールを決める 余裕なんて今はない 誰かを愛することが 何かを信じつづけることが なにより今 この体を 支えてくれるんだ DK4がこの歌詞バックにバカやるってマジ?エモすぎるだろ ≫78二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 15 54 12 「…テイトレ、今何を考えてる?」 「お前ら全員しねばいいって思ってる」 「せんせー!テイトレくんがしねって言いましたー!」 「そうですわ!私達は桃園の誓いを交わした兄弟じゃありませんでしたの!?」 「このメス落ち!」 「こっこの…!俺の感謝の気持ちを返せ!」 「はいみんな静かに、動かない…グラトレそちらはお願いしますね」 「はい先生…こちらは任せて下さいね」 「…なんでリャイトレとウオトレは抵抗しないんだ?」 「いいじゃないか着物!筋肉に映えるぞ!」 「いやー割と気になってたんすよね…グラトレお願いするっす」 「では向こうの部屋に行きましょうか…どんなのにします?」 「ああ待って…置いてかないで…」 「諦めろブラトレ…そもそも俺達が悪い…」 「俺関係ない…関係ないのにぃ…」 「テイトレはこちらを。淡いピンクに菱唐花文様があしらわれた小紋です…貴方の儚げさによく映えると思いますよ」 「わあい…ありがとうございます…」 「フクトレは…あまり女性的なのは嫌がるかと思ったので濃紺地に赤縞格子の紬を選びました。花と鳥の帯を合わせたらシックで落ち着いた雰囲気の貴方にピッタリです」 「…すいません先生、気を使わせてしまって」 「なんかあれだな…」 「ええ、普通ですわね…これならまぁなんとか」 「はいマクトレはこれです」 「…あの先生?肩がまろび出てますけど…というかこれ…」 「蒼い生地に色鮮やかなダリアや睡蓮が咲いて…真っ赤な帯が目を引く…花魁衣装です」 「あぁやっぱり…」 「嫌な予感がしてきたんすけど先生…」 「ブラトレは…ふふっ…こちら」 「丈短すぎじゃないですか!絶対コスプレ用ですよこれ!」 「まさかそんな…黒地に菊や牡丹や桜や椿…可愛いですよ?」 「生地が!テッカテカっすよ!」 80二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 15 54 42 「…はい、みんな着付けも化粧もヘアアレンジも終わりましたよ。お疲れ様でした」 「…フ、フクトレ格好いいな!旅館の人みたいで…髪の毛はそれ束ねて流してるのか?」 「「おい」」 「お…おう…テイトレも似合ってるな…あー…三つ編みも雰囲気変わって…その…」 「だ、だろ?…あの…えっと…」 「いいんだぞ笑っても」 「好きなだけ罵りなさいな」 「…いやその…似合ってるよ…」 「あー!あ゛ー!!慰められるのが一番辛い!」 「島田髷…だったか…凄いちゃんとした髪型だけど…その…服とニーソが…」 「コスプレ感増してるって言いたいんだろ!分かってるよ!うゔぅ…」 「私のは天神髷という名です。とくとご覧なさい」 「なんでマクトレはそんな堂々と…あっ!そのコンタクトレンズは…!」 「花魁…上弦…陸!分かりましたわね…私こそ最強ですわ!」 「ほら担当の子達が来ましたよ。行ってきなさい」 「トレーナー…凄く綺麗…あの、ボクと一緒にちょっと歩かない?」 「…うん、いいぞ…お茶でも飲みに行くか?」 「ほあぁ…トレーナーさん着物似合いますねぇ…」 「そうか?…でもまぁ縁起は良さそうだよなこの帯…お前何してんだ」 「え?開運幸運ステッカーを貼って…おごごごご!!」「これ先生の私物だアホ!」 「…おい」 「ブライアン頼む、何も言わないでくれ」 「…もう少し丈がある方がいいと思うぞ私は」 「ひぃん…」 「なんで、なんですのこのまろび出た乳!!」 「やめっ…やめて下さいまし…揉まないで…」 ≫83二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 16 01 13 マクトレ「なんですのこのボロい車」 テイトレ「ボロくないよこれはトレセンの全てを結集して生み出されたタケインパクトユタカタケ号だよ」 マクトレ「どう言うことですのそれ。あ、フクトレ」 フクトレ「お、タケインパクトユタカタケ号じゃん完成度たけーなおい」 マクトレ「フクトレ?これなんだから知ってますの?」 フクトレ「知らないのかマクトレ、これは日本で最強の伝説のトレーナーの魂が宿った霊験のある車なんだ。お前の担当も乗せると強くなるぞ」 マクトレ「マックイーンを乗せると強くなるっておい本当か? あっブラトレ」 ブラトレ「タケインパクトユタカタケ号じゃないか完成度たけーなおい」 マクトレ「ブラトレもご存知で?」 ブラトレ「ああ、これは24000メートルをたった数十秒で駆け抜けるとされたモンスターマシンだ。ロケットブースターが内蔵されあまりの速度に車と一心同体にならなければ操作もおぼつかないらしい」 マクトレ「全員言ってることがちがいますわ!!!」 ≫122二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 17 18 26 「闇堕ち衣装いいよね…」 「いい…でもレースの勝負服として縁起悪いのはなぁ…」 「そんなお前らに朗報だ。闇堕ち風の勝負応援服作って欲しいとさ」 「「え、なんで?」」 「知らん」 「まあいいや…よっしゃやるかー! 勿論闇堕ちといったら…」 「露出過多のエロいのだよな!」「露出控えめでカッコいいのだよな!」 「…………」 ≫148二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 17 46 10 「…久しぶり、キタトレ。」 「最近どうにも会えてなかったから、ビデオメッセージだよ。まあ僕が海外に行ったからなんだけどさ。」 「前から言ってた様に今はフランスで長期滞在してるんだ。サトノ家の仕事の関係でね。」 「ダイヤなら僕といるよ。というか、僕が付いてきたって言った方がいいのかな?」 「僕が辞めてからサトノ家に入った後、現在は海外で出張というか旅行というかだからね。」 「これはこれで、トレーナーしてた頃とはまた違う忙しさがあるから大変だよ。」 「流石に慣れたからもう大丈夫だけどね。」「この耳カバーが気になる?ほら、つけといた方がいいって最近言われてね。」 「折角だからダイヤとお揃いにしたんだ。後で写真は送るよ。」 「でもそろそろこうなってから十年が立つんだね。早いなぁ…」 「こうなってからサトノジャッジとして駆け抜けて、このフランスじゃ意外と有名なんだよ。」 「そのお陰かたまにファンの子が来たりもするんだ。僕に憧れてくるって少し擽ったい気分かな。」 「そういえば、キタトレの所の子が凱旋門賞に出走するんだよね。」 「もしかしたら、いつかの約束の通り勝ってくれるかな。その凱旋門賞を僕は直接見るよ。」 「ねぇキタトレ、今幸せ?僕は幸せだよ。」 「確かに僕の今までに、良いことなんて少なかったかもしれないけど、それはそれ、これはこれだよ。」 「それに決して苦しいだけではなかったから。だから僕は今、胸をはって幸せだと言い切れるんだ。」 「…こんな所かな、じゃあまた今度。出来ればあの門の下で。」 …私はつい先程届いたビデオメッセージを見終わると、端末を閉じて立ち上がる。 「…ええ、私もよ。さあ、今日の仕事を始めるとしましょう。」 駄文失礼しました 思わず先取りして書いた彼女に待つ未来です。 今がどれだけ苦しくても、最後は彼女は笑うことが出来るくらいに幸せですから。 日は沈み、昇る。これを繰り返すんです。いつまでもずっと。 ≫158二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 18 02 06 ハレーション・リモーションⅡ リウトレ ───起きて。 だれ…?あたしを呼ぶ声。瞼を開けると、右耳に耳飾りをした今のあたしと似た風貌のウマ娘、隣りに右耳に耳飾りをした鹿毛色のウマ娘、その隣りにはっきりとは見えないウマ娘と思わしきシルエットがあった。 ───私たちはあなたに謝らないといけないの。 ───私たちはウマ娘になった際にあなたの中に宿られた魂とでも言いましょうか。 ───本来であれば、そんなに多くの魂を抱えることもなかったはずでしょう、あなたの身体にかなりの負担をかけてしまった。 ───あなたがうまく歩けないのもあなたに入ってしまった私たちのせいなの。 ───あなたが元の姿に戻るまで今の身体と付き合ってもらう。 ふざけないで、この身体のせいであたしは……。 ───ごめんなさい。あなたに話しかけるための準備に時間がかかてしまった。 ───最悪のタイミングになったようだが。 ───これは最初で最後だから。私たちはあなたが覚醒したら消えてなくなるでしょう。 消えたらどうなるのよ。 ───あなたの一部になるとでも言えばいいのでしょうか。継承の方が伝わりが良いかもしれないですね。 ───あなたが心配しているようなことにはならない。 ───もしかしたら、あなたが『本格化』するかもしれないし、そうでないかもしれない。 ───すべてあなた次第。あなたの身体だもの、あなたが選ぶ、当然だわ。 「おい!しっかりしろ!」 シリウスの声だ。 ───さぁ、時間のようだ。あとはあなたが決めること。 ───大丈夫、きっと。うまくいくわ。 ───さよなら。 160二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 18 02 19 熱くて溶けるのではないか、そう思っていたくらいだったのに嘘みたいにいつもの体温へ戻っていた。瞼を開けると、今にも泣き出しそうな顔をしたシリウスがいた。 「驚かせ、やがって……」 時計を見る。ああ、そんな時間か。彼女が迎えに来たタイミングがさっきの声か。身体を起こす。痛みはないようだ。 「……ごめんなさい、シリウス…ごめん、なさい……」 大粒の涙を抑えられない。彼女に申し訳なくて、自分が情けなくて、こんな自分を見られたくなくて、彼女の身体へと腕を回すと彼女が優しく返してくれる。彼女のトレーナーになった時にこころの中で決めたこと。あたしはできていなかった。彼女のことを大事にすること、彼女に笑顔でいてもらうこと。自分のことでいっぱいになって、何もできていない。 「シリウス、わがまま言っていい…?」 「…なんだ?」 「こんなあたしでも、これからもトレーナーでいていい?」 「当然だ、私は何があってもアンタの隣りに居る。だからアンタも私の隣りに居るんだ」 「ありがとう、シリウス」 大丈夫。向き合っていこう。きっと最良の答えがわかるはずだから。 「試したいことがあるの」 あれが夢でないのであれば、あたしの身体は少しは自由が利くようになっているはずだ。歩くテストをしたいと、彼女に提案しトレーナー室のドアに居てもらう。今いるソファーからはそこまでの距離ではないにしろ、あたしがひとり歩くには気持ち長く感じるものだ。 「行くわよ」 「ああ」 一歩前へと踏み出す。軽かった。今まで重々しく、違和感があった脚にはそれがなく、この身体になる前のように、当たり前に歩ける。当たり前がこれほど嬉しいものなのだろうか。あたしは嬉しくてたまらなかった。彼女のもとへ着くと抱き締められる。 「歩けるようになったんだな」 「うん、なったみたい」 「アンタが普通に歩けるのを知っているのは私だけでいい」 「え?」 「今まで通り、アンタを抱える」 「普通に歩けるのに?」 「関係ない。アンタは私のだ」 「そ、そう…それなら好きにすれば」 歩けるようになったところで何も変わらない。どこか、安心を覚える自分が居た。すこしだけ、こころがすっと晴れたような、靄がなくなったような気がした。 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part338【TSトレ】 ≫19二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 18 31 20 『戦の後に宴あり』 「では僭越ながら最もこの会食に関係ない私が挨拶をさせてもらうよ!親父さんの勝利と、ブラトレの健闘を称えて、カンパーイ!」 「カンパーイ!」「イエーイ!」「ただ飯ィー!」 乾杯の大合唱が響く。グラスの打ち鳴らされる音が部屋を満たしていく。 親父殿、もといギムレットとブラトレの一騎打ち後、勝利者であるギムレットが提案した会食には、ブラトレと『ブラックヴォルフ』のメンバーの6人、ウオッカと彼女にかかわるトレーナーの4名(5名)、ついでになぜか御呼ばれしたベガとベガトレの2名(3名)の総計12人(14人)がトレセン内の多目的室に集っていた。 「酒はないけどジュースはいくらでもあるから遠慮なくのめー!」 「料理も大量に用意したから楽しめよー!」 「うおおおおおおおお!」 「メイフォ、うるさい!」 「あっぶどうジュースあります?あれならワインの気分で飲めるんで」 「おいこらタマシチ、まさか普段から酒飲んでんのか?」「冗談に決まってますってばぁ!」 「ふっ、俺はハードボイルドにこの白ワイン……に見せかけた白ぶどうジュースを飲むぜ」 「ブイトレ、あんた16の子供と同じこと言ってるけど何も気にしないのかい?」 「んがっ、い、良いだろ!憧れってのは子供も大人も大して変わんねえのよ!」 「そうだぜ、ブイトレ!このかっこいいエビフライでも食べて機嫌直してくれよ」 「ありがとうなウオッカ!」 「かっこいいエビフライって何なんだろうねえ?」 「おらおら次の料理だぞ!リボンカロルにも感謝しなさいよ!」 「「「カロルちゃんありがとー!」」」 「あわわ、ありがとうございますぅ!」 「照れてるぅー!」「可愛ぃー!」「み、みゃー!」「逃げた!」 騒ぎながら料理に手を伸ばし、舌鼓を打ち、周りと歓談しながら笑顔を浮かべる。 そんな中、少し静かなエリアで4人のウマ娘たちが食事を楽しんでいた。 「……ねえ、私これ本当に参加してよかったのかしら?トレーナーと違って完全に関わりないわよ」 「ベガか。気にするな、あいつとあいつを下したギムレットが言うことだ。問題ない」 隣り合って座るアドマイヤベガとナリタブライアンは静かにグラスを打ち合わせる。 「そうっすよ、何なら俺だって特に何かやったわけでもないのに食事に誘われたんすから」 「じゃあ、気にしないで良いわね。あ、この鴨肉おいしい……」 20二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 18 31 39 「しかしまぁ、2~3人程度手伝ってたみたいだけどよくもまあこの量の料理を用意したなブラトレは」 そう呟きながら料理に手を伸ばすのは本来のほうのウオトレ。今はギムレットは内面に引っ込んでいるようで、元気な少年のそれと同じような表情で眼前に用意された料理に期待の色を浮かばせている。 「まあ、あいつのことだ。いつの間にか料理のほうの弟子でも取っていたんだろう」 「だとするとオグトレさんの孫弟子ってことになるのか?料理の輪がどんどん広がるねぇ。このアジフライ美味いな…」 「私のトレーナーは、普通に料理できるくらいだから、ここまで宴会じみた料理の量を用意できるのは流石のブライアンのトレーナーと言ったところね……」 「ふっ」 「すごいドヤ顔っすね……」 そうしていると、いつの間にか調理の手伝いを終えたベガトレ……ではなく、アルがするりとベガの隣に座っていた。 「おねーちゃん!」 「あらアル。あっちはいいの?」 「うん、ブラトレさんがあっちで一緒に食べてていいってね」 「わかった。料理をよそってあげるわ」 「ありがと!」 普段は凛とした表情のベガも、妹がそばにいるときは優しい顔つきになる。 「しかし不思議なもんっすね、同じ体に二つの魂ってのも」 「明確に表に出るってのは俺が一番最初の実例なんだが。実際のところはフクトレも同じような感じだと思う」 「そうっすか?」 「あっちはかなり苦労してそうだが……俺といいベガトレといい、大した問題が発生してないのもなんだかなあ」 そう溜息をつくウオトレ。するとキィンと軽く音が鳴ったような音がして、目の色が金色に変わった。 「問題がないわけではないぞ、青いの。ただ、それが表面に出ないだけだ」 「おっと親父さん。もう休憩はいいっすか?」 「ああ、取り敢えずはブライアンのと食事をしてくる」 そう言って、ギムレットは立ち上がり去っていった。 21二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 18 31 53 「うーん……やっぱり、体を借りているというのが問題なんすかね……」 「わたしの場合は元からベガトレさんの中にいたので、また違うんですよねえ」 「そうなると、やっぱり完全に同じような境遇のウマになってしまったトレーナーはいないと考えるのもおかしくはないわね」 「難しいっすねー。難しいことは考えずに美味しいものを食べていたいっすよ」 「同感だ。どうしようもないものを考えることほど時間の無駄はない」 そういいながらブライアンは肉を中心に皿を盛り上げていく。もはや皿の9割が肉料理に溢れている。 「ちゃんと野菜も食べなさいよ、ブライアン……」 「むっ……まあ、あいつが調理した分だしな……」 そうつぶやくと、ちょこちょこっとニンジン以外の野菜をとって、残りはニンジンで胡麻化した。 「……まあ、以前よりは食べてるわよね」 ため息交じりに、成長自体は実感するベガであった。 「ブライアン先輩、となりいいですか!」 「ウオッカか。ああ」 そうこうしていると、ウオッカとブイトレの二人が入れ替わり気味にこちらの席にやってきた。 「どうした?」 「いや……こっちの鴨肉が気になって……」 「はっはっは。こいつそうやってごまかしてるだけでブライアンさんと一緒に食べたかっただけで……あだっ」 「言わんでいいだろ!だからハーフボイルドなんだよブイトレは!」 「おー言ってくれたなぁ!?じゃあこの真っ赤なフライドチキン、どっちが多く食えるか試してみようじゃねえか」 「ああいいぜ!やってやろうじゃんか!」 静かな空間はあっという間に騒がしい空間へと変わってしまった。 「一応言っておくけど、それかなり辛いから注意しなさいよ……」 「わたしあんまり辛いのにがてー」 「……まあ以前食べたヒリ辛よりはましだったな」 「ヒリ辛、アレはちょっとやばかったすね」 その後しばらく悶絶するかっこつけ二人が居た。 22二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 18 32 13 「あー疲れた……楽しいけどやっぱ疲れたぁ」 「お疲れ様です、トレーナーさん……私もちょっと大変でした」 「教えた分の道具の使い方とか調理の進め方は身についてるから、十分だよ」 ブラトレと調理を手伝っていたリボンカロルは、こちらも喧騒続く食事テーブルとはちょっと離れた位置でゆっくりと羽を伸ばしていた。 「私も料理できたほうがいろいろと便利かなーって思いましたし、ちょうどよかったです。まあ、10人分を超える料理を作る羽目になるとはとても思いませんでしたがね……!」 「俺だってここまで膨れ上がるとは思わなかった……」 「すまんな、ブライアンの、それにリボンカロルだったか。つい勢いで言ってしまったのを完璧に受け取った上、料理もきっちり用意してもらえるとは思わなかった」 そんな二人に近づいてきたギムレットが、若干申し訳なさそうに頭を掻きながら声をかけた。 レースで見せたようなあの威圧感あふれる金色の瞳は今はなく、父性ともいえるようなやさしさに満ち溢れた目つきとなっている。 「いえいえ、やっぱ大人数で食べる料理はいいもんですからね。カロルの料理レベルアップにもなりましたし」 「頑張りましたぁ」 「時にカロル、ニンジンはお前が調理したのか?」 「は、はい」 「美味かったぞ」 「あ、ありがとうございます!」 ギムレットの賞賛の言葉に、カロルは満面の笑みを浮かべる。 「ほんと親父さんニンジン好きですね…」 「魂に結び付いた好物とでも言っておこうか。ボウズはあんまり好きじゃないらしいがな」 そう言いながらブラトレの向かい側にギムレットは座り込む。手に持っていた皿には山のようにニンジンが乗っかっていた。 「さて、約束だったな。まあ、本来は俺に勝つことが条件だったが……美味い料理の返礼ということにしておこう」 「カッコいい男は、言い訳も一丁前ってことですか?」 「ハッ、かもしれんな」 そんな軽口をたたきあっていると、カロルがちょっと居心地悪そうにもぞもぞとしていた。 「あ、もしかしてお邪魔ですかね……?」 「いや、カロル。お前もここにいていい」 「あ、ありがとうございます」 「ふう。……さて、何から話そうか?」 その輝く金色の瞳には、彼の過去が映り始めていた。 23二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 18 32 37 タニノギムレット。 それは走るためにその生を願われ、そして産まれてきたもの。 ギムレットは何よりも勝利を求められていた。周囲やファンの期待は強く、出走したレースのほぼすべてで一番人気を獲得するほどであった。 ギムレットの特徴はその追込策における、驚異的な末脚。 走行中のぐらつきにより大きくコーナーをぶれてしまっても、その剛脚をもってして入着することもあったという。 その生涯において走ったレースはただの8回のみ、そしてG1レース唯一の勝利はあの日本ダービー。 皐月賞、NHKマイルカップを3着で終わり、そして迎えた東京優駿……日本ダービーにおいて、彼はついに栄光のダービーウマ娘としての冠を得た。 しかし、その後の調整段階で故障が発覚。これ以上競技者として走れないほどのダメージを負った左足を守るためにも、ギムレットは引退を余儀なくされた。 まさに光陰矢の如し。駆け抜けた1年間は、ほかのウマ娘たちのそれとは一線を画すほど劇的なものであった。 「……と、まあこんなもんだな。どうだ、大した話じゃあないだろう」 「ウソでしょ、この濃さで大した話じゃなかったらもう私たちなんか破片も同然じゃないですか」 「おいおいカロル、そんなこと言っちゃ駄目だぞ?下手すりゃ微塵どころじゃすまないウマ娘が量産されちまう」 ダービーウマ娘であるということだけはレース後にちらりと聞いていたが、ここまで閃光のような生き様を貫いたバ生であったというのは驚きであった。 「んなことはない。競技者としてレースに出場し、周囲のウマ娘たちと鍔迫り合いをやる。そしてその結果ただ一人のみが栄冠を手にする。そこに至るまでの経緯において、どのウマであれ、存在しないものとして扱われることはない」 ニンジンをかじりながら、ギムレットは戦ってきたライバルへと思いを馳せる。 「ま、そんな鍔迫り合いをやりあったやつらのほとんどは、こっちにはまだ来てないようだがな」 「うーん、ウマソウルねえ……正直よくわからないところが多すぎるから何ともかんとも」 力のある魂がどこからかこちらへと流れてくる、という通説。 もしかすれば、こちらの世界とはまた似たような経緯のあった別の世界もあるのだろう。そちらではまた別のウマ娘がいるだろうし、自身もまた違った歴史を歩んだことだろう。 24二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 18 32 54 「ま、気にしすぎるのもあれですね。今俺がここにいて、チームのみんながいて、友人のベガトレやウオトレ、ウオサブ、あと最近仲良くなったブイサブ、そしてベガやウオッカ、親父さん。そしてなによりブライアンがここにいる。それだけで十分ってことで……いやそれだけっていう量じゃないわこれ」 「多いな」 「羅列するだけでやたらとのどが渇いちゃいますね」 「いつの間にか交友関係も増えてしまったなあ……」 ふへぇと息を吐いていると、突然後ろから肩を叩かれる。 「おい、いつの間に面白そうな話を始めていたんだ」 「あっとブライアン。なんだ、結構楽しみにしてたのか?親父さんの過去話」 「まあな。強者の戦いの歴史は、心を震わせ闘志を燃やす力に満ちている」 「せっかくだから、皆聞きたそうにしてたわよ。二人して抜け駆けするなんて思わなかったけど」 「いやーほら、直接戦ったからさ。……カロル?たまたま隣にいただけだし……」 「言い訳はいい、俺も聞きてえ!話してくれよギムレット!」 「伝説のダービーウマ娘ってやつなんだろ?ハードボイルドを感じるぜ……」 「私も聞くー!」「私もー!」「カロルだけなんてずるいぞー!」「聞かせーい!」 「お、俺も聞きたいっすよ。こんな機会じゃなきゃ話してくれねえと思うっす」 「わたしも聞いてみたいです、ウオッカさんのお父さん!」 ゆったりとしていた空間は過去のものとなり、12人がぎちぎちになってギムレットとブラトレ、カロルを囲んでしまう。 「圧が……圧がすごいです……」 「おっとおっと……こういうバ群に囲まれた時はどうやればいいんだっけな、ブライアンの?」 「そりゃもう、あきらめてお酒の肴に……はできないんで、サイドメニューになるしかないでしょうなぁ」 「はっ、しょうがないな。何度も何度も話すような内容じゃあねえ、一回こっきり、しっかり聞いておけよお前ら」 金色の瞳の吟遊詩人が、己の経験、その生きざまを、言葉に乗せて綴り出す。 時に挫折を味わって、時に周囲に振り回されて、それでも彼は求められるだけの力を発揮した。 たった一年されど一年。剛脚でその須臾を生きてきた、刹那の勝負師ギムレット。 謎に満ち溢れた彼の話は、聞くものを驚かせ、興奮させ、そして感動を齎したのであった。 ≫75二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 19 06 55 午後、カーテンを閉めきられた薄闇の中、トレーナー室はテレビのみによって照らされていた。 テレビの横には積まれたDVD。俺たちはソファーに並んで座り、ホラー映画を見ていた。 数刻前。 「ホラー映画を見なくちゃいけない?」 「量のみんなからハロウィンの衣装作りを頼まれたのさ。資料のためとはいえ……。トレ公もアタシがホラー苦手なの知ってるだろ」 「幽霊だけはダメだもんな。 じゃあ、一緒に観る?」 「い、いいのかい?助かるよ、トレ公!」 こんなわけで、トレーナー室を暗くしホラー映画鑑賞を始めたのである。 「な、なぁトレ公……。幽霊のやつ、いつになったら出てくるんだい? ずっとびくびくさせられたまんまじゃ、アタシの更迭ハートだって保たないよ……!」 うおぉぉぉぉぉ!! 「出た!!」 「──うっひゃああぁぁっ!?」 ぐああぁぁっ……!! 「あぁ……、幽霊にやられちゃった……」 「だめだ……トレ公……! 幽霊が相手じゃあ、タイマンの張りようがないじゃないか!」 怖がっているヒシアマのためにできること…… 「うわぁ、どうしたんだい!?トレ公!?」 俺はヒシアマの腕にくっついた。 「こうすれば、少しは怖くなくなるんじゃないか?」 76二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 19 07 10 ホラー映画を最後まで鑑賞したのだが── 「ふ、ふふふ……!トレ公……!!」 すって~ん!ヒシアマが転んだ。 「ヒシアマ!?うわあっ!?」 突如尻尾が引っ張られ、ヒシアマに向かって倒れる。 「大丈夫か!?怪我してないか!?今、上から退くから!」 立ち上がろうとすると、再び尻尾が引っ張られる。 「──お化け!?」 慌てて尻尾を見ると……、ヒシアマの尻尾と絡まっていた。 「……どうしよ、ヒシアマ。尻尾がほどけない……」 ヒシアマは腰が抜けて動けない……。 「フジトレさん、頼んだら助けてくれるかな……」 救援が来るまで、尻尾は離れなかった。 後日。 「そういえば、ヒシアマ。ハロウィンの衣装なら、何も苦手な幽霊が出てくるやつじゃなくても良かったんじゃないか?」 結局、ミイラ男などの『物理攻撃が効く』相手が出てくる映画を2人で鑑賞し、ヒシアマゾンは衣装を完璧に作り上げた。 ≫90二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 19 11 28 決して切れぬその円環 決して終わらぬその旅路 其れは消せない罪のよう 其れは断てない過去のよう 幻視するは死の鎖 心を縛るは罪の枷 それでも歩みを止めぬ者 孤独を背負いて進む者 傷にまみれた彼は視る 其れは縛りしモノでなく 心を結ぶモノであると 永久に続く人の愛 繋いで結びし神の愛 罪過の枷を引きちぎり 過去の『○○』は開展し 『終の猟犬』へ開花する 『DOBEL』『LAMONE』 「鎖ではなく、結び、か」 『ALL END BEAM』『OO』 「『領域 』、解錠」 「結べ、『∞ MEVIUS』」 ○○○○○○○○『領域』『∞ MEVIUS』 ≫133二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 19 29 10 「でもさー、語尾になんかつけるってものすごく安直だよね」 「まあ、わかりやすさは上がるだろうがな……おい、マクトレにブラトレどうした」 「マーックックックック!これで完璧ですわ」 「ブラーッララララ!いやなんか違うな…」 「お前らだけ海賊船の上にでもいるのか?」 「テーイテイテイテイテイテイ!いや余計わかんないこれ!」 「……待て、俺もやれっていうのか?」 「やってみせなさいですわー!」 「フーックック……おいやめろ!悶絶しながら笑うんじゃないお前ら!」 「ふっ、まだまだテレがありますねフクトレさん!ローブロブロブ!」 「この程度で照れるとはDK4の名折れよ、ベーガベガベガ!」 「収集つかなくなるからやめろ!!!」 ≫135別概念ファルトレ第3話1/421/10/29(金) 19 30 14 “indeciso. 「わらわれた」進行台本。” ファル子と併走をした翌日。学園から発行された諸々の証明書と紹介状を手に、検査を受けるために指定の病院を訪れていた。自覚の無い急速な口調の変化、走行への一定条件下での異常ともいえる執着、そしてそれを実行できる変化直後とは思えない走力。学園側が私の容態に危惧の念を抱くには十分すぎる条件が揃っていた。 結果は、多分他の人にとっては拍子抜けするものだったんでしょう。記憶は完全。意識の混濁は現段階で認められず。ウマ娘化した身体への適応が異常に早かったのに対し、精神に重篤な影響は見られなかった。 ただし。“スマートファルコン担当トレーナー”としての認識ははっきりしているのに対し、性自認は曖昧そのもの。口調は指摘されなければ依然として気づかないし、元の口調に戻そうとすると尋常でない違和感がある。現に今は学園から支給されたスーツを着ているけれど、変化直後の発注の際にはレディーススーツにやや抵抗感があってメンズスーツに近いものを態々指定したのに、今ではそう固執した感覚も希薄。 結局。専門機関が出した結論としては、「主導権を握りながらも因子と非常に高度な同質化を果たしていると推測。ただし因子が表面化する可能性もあるかもしれない。また内面的な変化は薄いものの表面的変化によって外部との摩擦が生じるおそれもある」というもの。為された処置は、「要経過観察」。今一つ釈然としないものでもあるかもしれないが、むしろ未だ解決に至っていない「トレーナーのウマ娘化」という一大事件に、よくここまで研究が進んで仮の結論が出せるようになったものだと感心するばかり。 そんなこんなで、学園に提出するための検査結果をカバンに詰め、正門前のバス停に向かって歩いていると、シェルター下ベンチに座っていた小さい人影が私に気付いて手を振ってきた。 137別概念ファルトレ第3話2/421/10/29(金) 19 30 48 「良かったんです?呼び止めたのは私ですが、何も一緒に徒歩で帰らなくたってあそこでちょっとお話できればよかっただけなんですが……」 「ええ。折角お見舞いに来てくれたんですし。それにこうしていればゆっくり話せますから」 ミホノブルボン担当トレーナー。ファル子はよく彼の担当のミホノブルボンをウマドル活動に巻き込んでおり、そのままトレーナー同士と接する機会も多い。私の様子を心配して病院に来たのはいいものの中に入るわけにも行かないために外で待っていたらしい。 ブルトレさんもウマ娘化したトレーナーで、若干の髪型の違いはあれどブルボンをそのまま縮めたような姿になってしまった。厄介なことに機械を壊しやすいというブルボンの正直眉唾な性質さえ受け継いでしまったようで、そういう理由で私たちはバスを使わずに歩いて学園に戻っている。 「でも流石に病院にまで来てもらえるとは思いませんでした」 「スズトレさんから聞きまして。いつもブルボンがファル子さんとの活動の中で本当に楽しそうにしてますから」 「私としては少し振り回しすぎな気もして申し訳なさもあるんですけどね……」 「まあ、ちょっとくらい強引な方がブルボンも乗りやすいでしょうし」 「ありがとうございます。───それだけじゃ、ないですよね?」 少し歩く速度を緩める。学園からはまだ距離もあったけれど、リミットを気にして話せる内容でも無いだろう、という配慮。ブルトレさんも察して、歩幅を合わせてくれた。 「……口調が変わってしまう、というのは私も不安だったもので」 ブルトレさんは変化当初意識の侵蝕が激しく、日に日にブルボンに似た口調になっていっていた。やはり本人の意思ではどうしようも無かったらしく、いつか同一の存在になるのではないか、という不安も抱いていたらしい。ある日担当に説得され、そこからは落ち着いたそうで、今では振られればブルボンの真似もノリノリで行うぐらいには踏ん切りがついた。背丈の違いをいじられると機嫌を損ねてしまうけれど。 「聞いた限りでは内面にまでは及んでいないそうですが、それなら尚更じゃないですか?自分でもわかっているのにどうしようもない、というのは……。もしかしたら、見当違いかもしれませんが……」 139別概念ファルトレ第3話3/421/10/29(金) 19 31 14 「……実を言うと、恐怖はないんです」 「……そうなんですか?」 「はい。勿論、昨日のファル子との併走で無我夢中になって暴走してしまったのに気づいたときは少し困惑しました。けれど、あの時におそらく私の中の子が抱いた感情は、私も痛いほど共感できました」 「その時の、感情?」 「はい。“また負けたくない。”“また二着はいやだ。”切実で、諦めきれずに、悲願じみた、けれどもある種傲慢な。そんな、かつて私が抱いて、この場に至るまでに切り捨ててきた思い。」 ウマ娘たちの歌唱レッスンもできるトレーナー、という私の肩書は、私への経歴の好奇心を煽るには十分だった。学園側の人間やトレーナーの何人かには、私がかつて味わった挫折も話したことがある。……ファル子には、確か詳しく話したことがない。 「音楽と、レース。分野は違えど、私たちの根幹にあるのはきっと同じ感情だったんです。だからでしょうか。異質感、異物感は本当になくて。どこまでも心の奥底で溶けあえるような、そんな感覚がするんです」 「……けれど、今のファルトレさんは、トレーナーですよね?音楽に携わる場合でも、ウマ娘たちの歌唱指導教員としてですし」 「……そうですね。結局今悩んでいるのはそこなんです。この子とはそれこそウマが合うでしょう。けれど、その感情のやり場が今のままではないんです。この子が納得してくれているのか、ファル子を純粋に好きな気持ちというのも変わらずに持ち続けています。私はあの子のトレーナーでありたい。私の時間の全てをあの子の為に使いたい。あの子の夢を支えてあげたい。それでも、今は走りに、音楽に、焦がれているのも事実。……わからないんです。この後自分がどうすればいいのか」 「……そうですか……」 140別概念ファルトレ第3話4/421/10/29(金) 19 31 44 少し俯いた後、彼は口を開いた。 「それなら。やっぱり担当の子に。ファル子さんとちゃんと話をするのが一番だと思います。」 確信めいた声音の提案。私よりも一回りも二回りも小さな体躯には不釣り合いなほどの気丈さが溢れていた。黙って見つめることで彼に続きを促す。 「私は、私でなくなりそうだったときに、どうすればいいのか全然分かりませんでした。不安で、夜中に呼び起きて。……内緒ですけど、ちょっと泣いちゃった時もあるんですよ?」 思い起こされるのは、ブルトレさんの元気が無かった日々。隣のブルボンはいつものように顔にこそ出ないものの、心配の心情が見て取れた。 「けれど。ブルボンは“私を”信じてくれていました。私が見失いかけた私の道を、再び示し直してくれました。───担当というのは、私たちが思う以上に、私たちのことを見て、知ってくれています。私たちのように、個別で担当を持てる幸運なトレーナーなら尚更」 教え諭すように。小さな、けれど偉大な一人のウマ娘のトレーナーは続ける。 「前途に悩んだ彼女たちが私たちを頼るように。本当に困ったときには、彼女たちに私たちが頼る。きっと、それができるだけの年月を、ファルトレさんたちは既に一緒に歩んでいると、私は思います」 目を閉じる。彼女の困り事に共に悩み、解決しようとしたことは幾度とあれど、彼女に困り事を持ち出した経験は無かった。きっと、出会ったあの日に救われたから。遮二無二彼女の為に進むことができたから。けれど、おそらくもうそれだけではどうにもできない岐路に私は立っている。 目を開けて視線を下ろすと、どことなく満足げな顔のブルトレさんがいた。なんとなく撫でてあげた。怒られた。 「───わかりました。彼女に、思いの丈を告白してみようと思います」 きっと。ファン一号の特権を行使すべき時なのだろう。来るべき超豪華な人生相談に優越感と罪悪感を覚えながら、学園への帰路を再び元のペースでなぞり始めた。 141別概念ファルトレ第3話-/421/10/29(金) 19 32 11 おまけ ファルトレさんと別れたのち。 「……そういえばなんか一大告白みたいな感じで言ってたけど、本人はそんなつもりないんだろうなぁ……」 あの人のことだ。純粋な、偶像への好意が溢れすぎてあんな言い回しになってしまっているだけでその気は一切ないのだろう。過去を話すとかそういう重みの解釈もできるが、それにしたってあの言いぐさは。 きっと彼女の問題は解決する。なんたってトップウマドルが相手なのだから。ただ、そのトップウマドルが別の意味で煩悶する羽目になるのかなぁと少々不安なブルトレなのであった。 ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part339【TSトレ】 ≫99二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 20 43 41 『シュラウドレポート』 とある病院にて、海色をした短髪のウマ娘が診察を受けていた。 「じゃあ、そのレースのことについて聞かせてくれるかな。」 「わかりました。あれは先週の土曜日……」 ―― ―――― 芝・2400M・左回り・天気は雲ひとつない快晴・最高の良バ場 私の調子もほぼ最高のコンディションに仕上がり 一番人気に押されました 後は油断せずに自分の走りをするかどうかでした ゲートが開き私は鼻を切って進みましたその時逃げの作戦をするウマ娘は私しかいませんでした レース中盤で息を整えレース後半に差し掛かるここまではいつもの私の走りでした。あの時までは、 1/2 100二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 20 44 17 レース終盤リードを保ったまま私の私だけのゾーンに入るそしてリードを保ったまま引き剥がすそれが黄金の勝ち筋でした ですが、それと同時に辺り一面が薄暗くなりましたまるで薄雲がかかったように それからです……おかしくなり始めたは…… 集中力が途切れゾーンに入るのを失敗した私はふと後ろから威圧感を感じました 逃げウマなら誰もが感じる後ろから刺し迫る威圧感ですが、その時は違ってました 今まで感じたことのなかった威圧感、まるで私を喰べようとするものがそこにはありました 空が段々と暗くなっていく中、ふと、私は後ろを確認してしまいました そこで見たのは漆黒で塗られた月、そう形容するものがあった 一瞬で悟りましたアレに追いつかれるとすべてを失う 私は本能的に悟りました、そして必死に逃げました 逃げて 逃げて 逃げて 必死に逃げました 逃げる内に辺りは深夜のように暗くなりました 昼だった明るさはどこにもなく 見上げると月に食べられた太陽と星空がありました ―ああ、なんてきれいだ…… そうして私は黒き狼に喰べられ ――全てが暗闇に閉ざされました 『――マベラスエクリプス1着!後続はいない!!』 『あなた達の輝き-マーベラス-は私のもの♪もうわたさないんだからー★』 ―――――― ―――― 「先生、私は輝きはどうやったら戻りますか……」2/2 ≫141二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 21 04 15 いやでも外部の目に触れるならみんなちゃんと厳格な感じでムーブしそう 「今日はとりあえずこんな感じで行こう。暴れるなよ」 「公衆の面前で無様を晒すような真似をわたくしがしたことがあって?」 「無いな!俺もいつも通りトレーニングを見ていればいいだろ!」 「そうだね。厳かにかっこよく、来場者にクールなトレセンを見せてあげよう」 あっかっこいい♡ ページトップ おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part340【TSトレ】 ≫49二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 21 32 51 ごめんなさい、流れ関係ありませんが前スレ最後の方で頭に思い浮かんだのがあったので少しだけ上げさせてください… 小学生A「ねーねーお姉ちゃんなんでそんなコート来てるの?」 小学生B「暑くないのー?」 小学生C「動きにくいし目立つから脱いだほうがいいよー」 ドトトレ「え、あっ、ちょっと…みんなあまり引っ張らないで…」 (コートが脱げる音) ABC「ウオデッカ…」 書いててなんか少しエロいと思いました。ヤバかったです。 ≫82チヨトレマッサージ道(仮称)21/10/29(金) 21 45 26 ある時、カフェトレさんを追いかけていてふと気づいた 能動的に動いて逃げられるのであれば、受動的になれば良いのでは? 我ながらナイス閃きだと思った という訳で、得意のマッサージを活用するため出店を作る 勿論学園には許可をとってある これで学園関係者の皆さんにより健康的になって頂けるという寸法だ 記念すべき一日目、お客は意外にも早くやってきた 「すいません、マッサージやってますか?」 やってきたのはスーツを着た栗毛のウマ娘 この方は確か、ナリタタイシンさんのトレーナーさんだ トレセン学園で初めてウマ娘だと記憶している 来訪理由はシンプルで、ここの所激務で体の節々がこっているとのこと 気になる個所を聞き、施術ベットに横になってもらう よくよく見れば、低身長の割に大きな胸を持っていらっしゃる これだと肩こりもつらいだろう さっそくタイトレさんの体を手のひらで圧迫し始めるも、ここで思いもよらない反応が出た 「ひゃん!?」 ん?と思い手を止める どこか痛い所でもあったのか聞いてみたが 「いやその…気持ちよくて…」 83チヨトレマッサージ道(仮称)21/10/29(金) 21 45 56 試しに別の場所を刺激してみると 「んう…」 何か声が色っぽいというか、いけないことをしている感があるというか 男ではなくなったのに、妙にムラムラするというか(実はチヨトレはむっつりスケベである) 気が散ると思い、声を抑えられないか聞いてみるが 「その、自然に声が出ちゃうんだ」 その時、私の脳髄に電流走る もしかして、マッサージの間ずっとタイトレさんの色っぽい声を聴き続けることになるのでは? 今更になって目の前の患者の難易度を悟る これは中々に癖の強い方が来られたものだ 帰ってもらうか?否!断じて否!! まだ、私の学園健やか計画は始まったばかりだ ここまできてやめるなど言語道断 心頭滅却!!!煩悩退散!!!! 気合で耐えてみせると決意し、私はタイトレさんに手をかけた 84チヨトレマッサージ道(仮称)21/10/29(金) 21 46 34 ナリタタイシンは学園の片隅を歩いていた どうやら今日、この近くでマッサージ店が始まるらしい 友人の前では見栄を張ってしまったが、興味がないわけではなかった いまもこうして店の様子を見に来ている しばらく歩くと、プレハブ小屋が見えてきた 壁にはマッサージ店営業中との文字 ここが件のマッサージ 誰かいないかとドアに手をかけた瞬間 「やぁ…!そこはぁ…」 聞き覚えのある声がした それは間違いなく自分のトレーナーの声である筈で R-18的な雰囲気を醸し出している 「そこ、駄目ぇ…!!」 「でもほぐれてきたでしょう?」 「そうだけどぉ…おかしくなるぅ…」 扉の向こう側で何かが起こっているのは確かだ しかも声からしては自分のトレーナーがよからぬことをされている 一瞬あっけにとられるも、次の瞬間にはドアを力の限り開いていた 「何してんのアンタァ!!!!」 85チヨトレマッサージ道(仮称)21/10/29(金) 21 46 46 「「あっ」」 中にいる二人のウマ娘と目が合った 一方は想像通りトレーナーだったが、単に背中をマッサージされていただけであった 瞬時に自分の勘違いを悟る 「紛らわしい声出してんじゃないわよ!!!!」 その日、私の絶叫が学園に響いた ≫103ガンギマリ頭スズトレ21/10/29(金) 21 56 39 「…来ちゃった…」 執事カフェ、そう看板の付けられた体育館を前に呟く。 高身長執事カフェ、ウマ娘化現象に巻き込まれたトレーナーの中でも身長が高い人達を集め、執事カフェで生徒や外部の人達をもてなす、というもの。 私の…サイレンススズカのトレーナーであるトレーナーさんも、168cmの身長を持つことから抜擢され昨日から接客に励んでいる。 昨日行かなかったのは迷いがあったから。長蛇の列ができるほどの中で私まで行ったら余計な負担をかけてしまうのではないか、その疑問が頭から離れなかった。だけど… 『無理強いはしないけど、私はスズカが来てくれた方が嬉しいな。結構要領掴めてきたから。』 トレーナーさんの言葉を受けて、悩みに悩んだ上で、今日の朝、行くと決めた。 意を決して扉を開くと、カランカランと音が。来客が来たと分かりやすくするためだろうか? そしてそれを聞いて、トレーナーさんがやってくる。 「おかえりなさいま…スズカ?来てくれたんだ。」 「はい、特に予定もなかったので。忙しい中すみません。」 「いや、大丈夫。来てほしいって言ったのは私だからね。…コホン、それじゃあ席にご案内します。スズカお嬢様。」 その言葉と共に柔らかな笑顔を作ったトレーナーさんは私を席へと先導する。他の人はお嬢様だけだけれど、特別サービスなのかな、と疑問が浮かび。 「あとこれはささやかな豆知識ですが、名前がわかるならば呼ぶように、と言いつけられています。」 口に出す前に解消される。流石トレーナーさんだ。 「ご注文はお決まりでしょうか?」 「このケーキを1つお願いします。」 椅子に座り、問われたソレにすぐに返答する。予め決めておいてよかった。 「かしこまりました。少しだけお時間をいただきますね。」 穏やかに言い残し、トレーナーさんが厨房へ。 105ガンギマリ頭スズトレ21/10/29(金) 21 56 59 「おまたせしました。ご注文になられたケーキです。」 数分後、その言葉と共にトレーナーさんが机にケーキを置く。その所作はまるで本物の執事のようで、昨日の言葉を思い出す。 そんな風に回想に耽りながらも、とりあえず一口。 瞬間、口の中が濃厚な甘さで満たされる。 「…!美味しいです!」 「そうですか、それはよかった。」 飛び出た私の言葉に対し、トレーナーさんはそう嬉しそうに語る。 「何かあったら申し付けください。すぐさまに対応しますので。」 「あ、それなら1ついいですか?」 「はい、お好きに仰られてください。」 「…はむっ。世間話しませんか?敬語のトレーナーさんと話すの、滅多にない機会だと思うので。」 「…それなら喜んでお受けしますよ、スズカお嬢様。」 そこからはしばらく談笑が続いた。いつもするような話でも新鮮に感じる、とても楽しい時間。 ただそんな時間もケーキがなくなるまで。 最後に残ったイチゴを名残惜しく口に運ぶ。 「ご馳走様でした、とてもおいしかったです。」 「ありがとうございます。そう言ってもらえると厨房で働くものたちも喜びますから。」 食べ終わった以上、ここにいる理由はもうない。お客さんも他にたくさんいる。大人しく退席しよう。 そう腰をあげようとした時だった。 「…ところでスズカお嬢様、まだお腹は空かれてますでしょうか?」 「…はい、一応…」 「なら、こちらも。」 その言葉と共にに出されるのは二色のクッキー。その色は… 「これ、私とトレーナーさんの毛色…」 「はい。スズカお嬢様のためだけに作った、特別サービスというものです。 …これでもう少し、話が続けられますね。」 「…そうですね、話しましょう!まだまだ、いっぱい!!」 ──2人の逃亡者の、いつもと異なる会話はまだまだ終わらない。 ≫114二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 07 22 2話 止まる足 「やっぱり…俺は…」 マーチが中央で掴んだ初めての一勝、その次のレースも無事勝利する事が出来た。 そして、その流れに乗り、初の重賞に挑んだのだが… 『2連勝中フジマサマーチ!少しずつバ群に飲まれて行く!流石に厳しいか!?』 ハイペースで進んだレースにスタミナが続かず、最後は7着。マーチの初の重賞は苦い結果で終わってしまった。 「…いや、大丈夫だ。俺は出来る。マーチを信じて、自分も信じる、そう決めたじゃないか。 解決法もわかっている、もう失敗はしない。 こんな所で終われないし、終わらせない。」 そう言いながら資料をしらみ潰しに漁って行く。 ウマ娘になってから経験した初めての敗北。 それは自分で思っている以上に、俺を焦らせていた。 「やっと前に進めたんだ…俺は諦めないぞ…」 そんな事をして数日が経過した。 115二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 08 08 「────!────!」 誰かの声が聞こえる。大切な人の…声。 「───おい!しっかりしろ!トレーナー!」 不意に意識が戻る。 「へっ?マーチ?」 「よ、よかった…トレーナー、いま何をやっていたかわかるか?」 「何ってそれは…見ればわかるだろ?いつも通り情報をかき集めて…」 そう言って周りを見ると、 ギリギリまでレースの情報が書き込まれたノートが山積みにされていた。 「は?何だこれ。」 「…貴様はさっきまで気絶しながらずっとこれを書き続けていた。 一体何日そんな事を…いや今は違うな。一旦保健室に連れて行くぞ。」 …ただの夢と思っていたがあいつが言ってたチカラってこれか?…いや、そんなことよりも、 「待てマーチ。俺は調べないといけない事が沢山ある。まだここを離れる訳には…」 「貴様…またそんな事を言って、」 「大丈夫だ、俺を信じてくれ。次は絶対に勝つ。だから…」 そう言って立とうとした瞬間… 「へ?」 ぐにゃり。視界が歪む。 「!?トレーナー!」 俺はそのまま意識を手放した。 117二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 08 57 …脚が重い、前に進まない。 目の前にマーチが居るのに、支える事が出来ない。 …マーチが暗闇に向かって歩き始める。 まってくれ…俺はまだ…君に何も、 「──何も、してやれていない!」 「お、起きたか。」 すると目の前にはオグトレさんが居た。 「あ、あれ?ここは?」 「保健室だ。お前さん、資料室で倒れたんだよ。 マーチが血相変えて助けを呼びに来たからびっくりしたぞ。 あんまり担当に迷惑はかけるもんじゃない。」 「も、申し訳ない…えっと、それでマーチは?」 「…先に帰ったよ。」 「そうか…それなら良かった。」 「…一つ伝えなくてはならない事があるんだが…大丈夫か?」 「…オグトレさん?改まってどうしたんだ?」 「少し、難しい話でな…」 「いや、それは僕から伝えますよ、オグトレさん。」 その声の方に目を向けると、 「話すのは初めましてだね。君なら知っていると思うが…自己紹介は必要かな?」 「…いや、あんたの言う通り、知ってるから大丈夫だ。シャカトレさん。」 『三冠に最も近いウマ娘』エアシャカール。 ロジックによる絶対的な勝利を追い求めるウマ娘。そんな彼女と三冠獲得への完璧な答えを探し続けるトレーナー、それが彼だ。 「それならさっさと本題に行くとしましょうか。 マーチトレさんの身体に一体何が起こったのか、それを説明します。」 118二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 09 34 シャカトレさんが言うには、俺のウマ娘としての能力が弱まっているらしい。 一つ例をあげるなら、身体能力の低下。 低下と言っても人の時よりは高いわけだが、確かに少しだけ力が入りにくい気がする。 原因は…多分だが、夢であいつが言っていたチカラ。それの使い過ぎだろう。 「…状況の理解はなんとか出来た。それで、俺はどうすればいい?」 「飲み込みが早くて助かります。 今後マーチトレさんは、出来る限り身体へ負荷をかけないようしていれば、問題ありません。」 「簡単に言えば、無理をするなって話だ。」 「無理をするな……すまない。それはできない。」 「…その理由は?」 「今は少しでも情報が欲しい。出来る事は何でもしておきたいんだ。次のレースを…絶対に勝つ為に。」 「…別に強制はしませんが。最悪、トレーナーを続けることすら出来なくなりますよ?」 「…トレーナーを?」 「ウマ娘の身体能力だけを全てを失う…それで済めばいいです。 ですが、基本生活に支障が出るレベルまで失ってしまう可能性だって十分にあります。 何が起こるかは確かにわかりません。ですからこれは最悪の可能性ってだけです。 ですがその可能性はロジカルに考えれば確かに存在します。 そして、今、無理をすると言う事はその最悪の可能性を自ら手繰り寄せているのと同意義です。」 「それは…」 119二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 10 05 「ですのでとりあえず、今日から数日ほど、休みを取ってはいかがでしょうか? 調べてみた結果、一時的なもののようですし。」 「だな。マーチトレ、お前さん最近働き詰めで碌に休んでいないだろ。 いい機会だ、しっかり休んでこい。」 「…わかったよ。そうする。マーチのトレーナーが出来なくなるんじゃ元も子もないからな…」 「はい、それが一番いい選択だと思います。 もう動けはすると思うので、今日は家でゆっくり休んでいただければ。」 「わかった。シャカトレさん、オグトレさん、迷惑をかけた。助けてくれてありがとう。それじゃ。」 「ああ、またな。」「お気をつけて。」 俺は焦る気持ちを抑え、急に出来た休暇をどう使うか、考えながら家に帰った。 120二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 11 05 「…にしても、シャカトレ。 お前さんがただのウマ娘化したトレーナーをみるなんて、一体どういう風の吹き回しだ?」 「ただ単に気になっただけですよ。 これまで勝つ事が無かった地方ウマ娘が、トレーナーがウマ娘化した途端、いきなり勝つようになったんですから。調査すれば新たな発見があるかもって思いませんか?」 「それで、お前さんの言うロジックで何かわかったのかい?」 「いや、全く。身体はウマ娘になっていましたが、それだけ。確かに思考への影響も少しあるみたいですが、あの程度でレースをどうこう出来るとは到底思えません。」 「まぁ、そうだろうな。彼が勝てたのは単純に努力の成果だ。」 「おかげで今回は完全に無駄足でしたよ…ま、それでも良しとしときますが。」 「それはなぜか聞いても?」 「…ああやって、何かを必死に追いかけている人は、嫌いじゃないってだけです。」 ≫145二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 28 22 こんばんは!私、ナリタトリエステです。 私は今何をしているかというと… 「うう…暗いなぁ…」 ライトを片手に歩く私。寮の夜間巡回を手伝っているのです。 「そういえば幽霊騒ぎがあったとか…幽霊なんていないはず…多分…きっと…メイビィ…」 ドン! 「ヒィ!なんですか!」 物音が後ろからしたため、恐る恐る振り返る。 その先をライトで照らすと… …積み上げられたダンボールが崩れていた。 「…幽霊なんかじゃない、風で倒れただけ…」 そう言い聞かせるようにして恐怖を和らげる。もう一度前を向いて歩き出した途端、 ガタン!ドン! 「ピィ!」 もう一度振り返る。ダンボールは更にグチャグチャになり、一部は開いていた。 「もうやだよ…!帰りたいよぉ…!」 涙目のままで身体を縮こませる。はっきり言って怖い。 「幽霊さん…何もしないで…」 何かが近づいて来てる気がする。私に向かってきている。 ほら、私の横に… ペタッ (今、何かに触られて…それって、ゆうれい?) それを知覚した瞬間、私は 「きゅう…」 思わず気絶したのだった。 146二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 29 29 「…あれ、あの子なんで気絶してるんだ…?」 「…もしかして例の幽霊騒ぎか、ふむ…」 「とりあえず寮の管理室に連れていくか…」 ーーーその後、起きた時にはたまたま巡回担当のファイトレさんと何故かいるカフェ(ケツ)トレさんが横にいました。 駄文失礼しました 夜のナトリちゃんです。巡回の手伝いしてました。 例の騒ぎを起こしているのはつまりあの子… ≫157二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 36 34 『絶対に許さない』 血で書かれたような手紙がひとつ。 いちいち指を切って、 せっせせっせと書いたのだろうか。 「はぁ……物好きもいるもんだ」 そう言ってその紙を畳み、仕分けを再開する。 ウマ娘が人気になればなるほど アンチというものは増えていく。 先日のエリザベス女王杯二連覇 という偉業のせいか、 今やドーベルの人気はうなぎ登りだ。 ファンレターもずいぶんと増え、 それを見たドーベルも嬉しそうに笑う。 まあ、言ってしまえば トレーナーというのは担当を守るもので 悪質な手紙や贈り物などに対処しなくては ならないのだ。 正直、面倒なことこの上ないが 人気にならなければ何もないのだ。 「嬉しい悲鳴だよ、全く……」 結局、今日も十分に寝られなさそうだ。 そう思いながら、苦笑する。 オレは笑顔を守るため、働くのだ。 これぐらい、どうって事はない。 158二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 37 03 「くぅ〜っ、やっっっっと終わったあああ……」 時刻は夜10時。さすがにもう帰らねば。 「あとは、このゴミどもを片付けてっと、 ……ファンレターだから 無闇に捨てらんないんだよなあ……」 なんであろうとファンレターはファンレター。 捨てるとドーベルが怒るのだ。 「捨てるなんて信じらんない!!!」 あの時は、はちゃめちゃに怒られた。 半日も口を聞いてくれなかった。 「はぁ……、ありゃ」 カラカラと腕の中から滑り落ちる。 「メモリーカードだあ……?」 シールが剥がれたSDカード。 おそらく手紙の中に同封されていたのだろう。 題名のないカード。 その時、怖いもの見たさで パソコンに差し込んだのが、 全ての始まりだった。 159二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 37 38 ピロン ピロン ピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロンピロン 画面が一瞬で真っ赤に染まる。 「何だ!?」 気づいた時にはもう遅く、 自動的にファイルが展開されていく。 「ハッキングって、ウソだろ!?」 羅列する無数の数列。 何百行ものコードの数々。 「クソッ!!止まれ!!止まれって!!」 こちらも抵抗を試みるも、時既に遅し。 あっという間に乗っ取られていく。 「これで!!なんとか!!!」 思いきってLANコードを引き抜く。 もう、データの消失など頭になかった。 「……止まった……」 幸い、ハッキングツールは埋め込まれて おらず、パソコンはシャットダウンした。 しかし、 『みつけた』 一瞬だけ、画面が光った。 血の気がスーッと引くのを感じる。 直感的に、分かってしまった。 「…………特定出来ましたよ、ってか…………」 160二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 38 10 すぐさまオレは屋敷から離れた。 できるだけ遠く、遠く、より遠く。 ヤツはオレを追ってくるハズ。 オレを、殺しにくるハズ。 もはや冷静な思考はできなくなっていた。 「あん時の復讐……このタイミングで!!」 あのままの場合、 メジロの者達に被害が出ると考えたオレは とにかく逃げた。 確実にヤツはドーベルを知っている。 最悪の場合を想定し、吐きそうになる。 「クソックソッ!!これからって時なのに!!」 とにかく、 居場所を知られる訳にはいかなかった。 存在を知られる訳にはいかなかった。 そうしてオレは『嘘』を、ついた。 161二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 38 39 「離して……ください……」 「お前は、オレがここで殺す」 ギリギリと、万力のように首を締める。 オレはいい。罪に対する当然の罰だ。 だけど、 「ドーベルに手を出す前に、始末する」 罪のない彼女が狙われるのは違う。 またオレのせいで彼女が、曇ってしまうのは 最も耐え難いモノのように思えたから。 最も度し難い、悪だと感じたから。 「……よ、く………見て……ぁ……っ……」 震えた女の腕の先に 先程の画面が白く輝く。 「私……じゃ、な…………ぃ……」 乱雑に彼女のスマホを見る。 そこには、 知らないユーザーの投稿がひとつ。 『あのトレーナーの正体は殺人鬼だ』 『メジロドーベル トレーナー 殺人』 オレの昔の写真と共に投稿された 別人が書いた文章だった。 162二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 39 18 「ごめん……ごめんごめんごめん………!!」 「……ヒュ、ぐ、は……がっ、っ、はぁッ、はぁっ……はぁ……ぅ、」 すぐさま手を離す。 本気で締めたせいか、スペトレの口は ぱくぱくと酸素を求めるように喘ぐ。 「スペトレ……ごめ…………んなさい……」 何をやっているんだオレは。 コイツが、誰よりも出来た人間のコイツが そんな事する訳がないって、 どうして気づかなかった。 「はッ、ング……くはッ……謝らないで…………ッ ドベトレさん……」 苦悶の表情を浮かべながらも、 彼女はオレに笑いかける。 「……あ、ああ……」 「……本人がいる前で、はぁっ…… こんなことした……私も、悪い……ですから」 またオレは、 大事なモノを壊してしまいそうになる。 もう、ここには居られない。 と、その時 ピロリン、ピロピロリン♪ 「……一緒に、入りましょうか」 「そんな、オレは、もう……」 「入ってくれれば、全てを、話します」 スペトレの目がオレを射抜く。これは本気の目だ。 「……分かった。……ありがとう」 首を縦に振る。 そうして、オレ達二人は浴室へと、向かった。 163二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 39 48 「あなたと私は、同級生だったんですよ」 「………………」 スペトレの過去に耳を傾ける。 初めは、 オレにそっくりな誰かだと思っていた。 だが、話の最後にあった『無彩色の瞳の男』。 これが決め手となった。 「…………ああ、オレだ。オレが殺った」 今までの罪を白状する。 嘘をついてみんなの家に行ったこと。 一人暮らしは出来なくはないこと。 そして、 自身が過去を隠して生きてきたこと。 「…………軽蔑、しないんだな」 「……あなたのは冤罪だってこと、 その人柄を見れば分かりますよ」 「…………」 浴槽に、向かい合わせの形で入る。 ちょうどオレの視線の先に 首についた痛々しい痣が映る。 「この傷跡だと………… 明日は仕事休まなきゃなあ」 苦笑して、傷を撫でる。 その姿に、心が、痛む。 「…………本当に、なんて謝ったらいいか……」 罪悪感で押し潰されそうになる。 自己中心的な正義感が、 とてつもなく、恨めしくて。 164二次元好きの匿名さん21/10/29(金) 22 40 34 「……………あああっ!!もう!!!!」 スペトレが突然浴槽から立ち上がる。 「いい加減……!!向き合えって!!!!」 怒号。いつもの姿からは想像もつかない 本気の怒り。 「5年もたって、 冤罪だって分かりきってるのに、 どうしてそんなにウジウジしてんだよ!?」 口調が途端に悪くなる。 おそらく、これが本来の『彼』なのだろう。 「あの時、突然居なくなって!! 町のみんなが『死んだんじゃないか』って めちゃくちゃ心配してたんだぞ!!!」 「今更……合わせる顔なんて……」 「……ッ!相手は人質を殺そうとした! それをお前は守った!相手は拳銃!お前は素手! 『無罪』なんだよ!!とっくのとうに!!」 「オレは!!殺意をもって殺した!! 6人もだぞ!!許される訳ねえだろ!!」 堪えきれず、自身も対抗する。 言われっぱなしで無性に腹がたったのだ。 「全部全部、オレのせいなんだ、オレが、何もかも……」 「お前がいなきゃ、その時あの娘は 死んでた!!なんで分からないんだよ!! あの娘だって心配してたに決まってる!!」 スペトレは本気で怒ってくれている。 誰かのために泣いてまで叱ってくれる。 そんなコイツに、オレは─────── ページトップ part○○~○○はこちら ページトップ
https://w.atwiki.jp/breederyaruo/pages/130.html
基本情報 血統情報兄弟 産駒 基本情報 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [部分編集] 金殿堂【閃光のスプリンター】 /! /! ト、/ | / メ--- ...., _ ____,...〉 l / `≧ ..、 `''ー- ; イ ≧ .、 / \ / . | ヽ \ .ヽ / . . | ∨ . ヽ \.. /. / . / ! . /∨ ∨ Ⅵ . ヽ ハ ̄` . ./;イ/ . ;' | . / Ⅳ ∨ . ∨ . . '; .∧ ´ / / !. i !∨ ∨ l i . . '; ∧ / . /! | ! |. | ∨ ∨ ト; | . | ヽ . ハ. / . / | | ! | ! ´ ̄`ヾ、 ∨ . ! V! . | ..Ⅳ ! / / / | | ';. | ! ヽ!ヽ ∨ . _|xィ'' ´ ! | ヽ ! . /イ / /! ト、 ';. .|ハi 、_ ヽ∨ | Ⅵ .. ! ! | ) ,イ l . ! !リ l . |. x=≠ニミヽ ヽ'; ! リ∨ . ! | ! | ! ハ〈リ ∨ Ⅳ ! ヾ '; !ュ≠ミ! | | ! /l ヽヽ!∨!ヘl⊂⊃ ';! ! / ! ! l;' .! ! ! 、ヘ! / / /! | Ⅵ | ヽ / ;イ ! / ∨ !.. ! ト、 !\ ' /イ // .∨ | l / ヽ-'-- ヽ-- マ''ー--, ,イ // ∨ | --- 、 ._| ̄ ̄ ̄ ! ト、 `ー " ,..ィ" lハ | Ⅵ ``ヽ ゝ ' ! |AA:北郷一刀(恋姫†無双) 生産年 1999 毛色 栗毛 馬場適正 芝 スピード ■■■■□ パワー ■■■□ 距離適正 1100-2000 勝負根性 ■■■■ 瞬発力 ■■■■ 柔軟性 ■■■■ 精神力 ■■■■ 賢さ ■□□□ 健康 ■■■■ 脚質 差し 大跳び 気性 普通 成長型 早め 特性 主な勝ち鞍 大舞台海外遠征 NHKマイルCスプリンターズS×4アジア・マイル・チャレンジ完全制覇香港カップ他 備考 ステは父親譲り 血統情報 父ギャラクシーボーイ 母ブラックフェアリー 母父デインヒル プリンスリーギフト(リュティエ)×ダンジグ(ネヴァーベンド) 兄弟 ナレッジフェアリー 父サンドストーム ロストスモーカー 父デザートシャーク バンデットマスター 父ピンホールショット 産駒 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━