約 194,390 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/803.html
直接的な虐待はありません 愛でられたゆっくりについてはまったく知りません ドスまりさが出ます ちょろっとあにゃる ここは加工所にあるゆっくり養殖場、ここでは名の通りゆっくりを養殖しそれを実験等に使っている。 ここで生まれてくるゆっくりは四種、れいむ、まりさ、ぱちゅにありす。どれも植物型にんっしんで生まれてくる 食用にされる事は無く、ドスのいる群れゆっくりとしてなるべく野生に近く育てられる。 必要に応じ赤ゆっくり、子ゆっくり、時には成体ゆっくりを繁殖飼育させていた。 そんなある日いつものようにゆっくり収穫作業をしていた加工所の職員は思った。 (ここで育つゆっくりや野性ゆっくりはほとんどがゆっくり出来ずに死んでいく。愛でられた飼いゆっくりは人の手でゆっくりさせられたものだし、野生に近い状態で最後の最後までゆっくりさせ続けたらどうなるのか?) 思い立ったが吉日、職員は上司に掛け合いまだ実の状態の赤れいむをそれはそれはゆっくりと育てる事にした。 「ゆっきゅりちていってね!」 「「ゆー!!この赤ちゃんれいむはとってもきれいおかざりをしてるよ!」」 この赤れいむは生まれた瞬間からとてもゆっくりしていた。 ここでは固体識別のため、実の状態からそれぞれの飾りにタグが付けられている。職員がれいむのそれを特別綺麗なものにしたので 大好きな母れいむと父まりさがこの特別なれいむの誕生を一番喜んでくれたのだ。 れいむは五匹姉妹の真ん中、姉も妹もとっても褒めてくれた。 赤れいむはとてもゆっくりしていた。 おかーさんは初めてのご飯のときれいむにだけ口移しでくれた。 おとーさんはれいむに一番長くすーりすーりしてくれた。 皆と一緒にドスにあいさつしに行ったときドスと補佐役のぱちゅりーは群れで生まれた赤ちゃんの中で一番気に入ってくれた。 この赤れいむが子れいむになるときにはとてもゆっくり出来る友達が出来た。 狩りが得意なまりさ、れいむもびっくりするほど綺麗で上品なありす、おとーさんおかーさんより物知りなぱちゅりー。 いっつも四匹で遊んでいた、時々群れの広場から離れて冒険したときは必ずあまあまさんを見つけた。 れいむに嫉妬しいじめるゆっくりは何故か次の日になると居なくなっていた。 れいむが成体近くになる頃、まりさとぱちゅは次のドスと補佐役と言われるほどになった。 友達がそれ程になるのはれいむにとっても嬉しかったし自慢になったけれど とっても綺麗で皆に優しいありすにけっこんしましょうと言われた事がれいむにとって一番だった。 おとーさんおかーさんが居なくなった時、群れの子供や赤ちゃんが突然消えたとき、ドスやぱちゅが引退すると言ったとき とても悲しかったけど、その都度ありすやドスとなったまりさ、たくさんの言葉で慰めてくれたぱちゅやありすと育てた子供達がいたおかげで立ち直れた。 それかられいむはとてもとてもゆっくりと過ごした・・・ そしてれいむにとって最後の日 その日は群れ総出でれいむの最後を見守った。 「ゆぅ…れいむはもうたくさんゆっくりできたよ…みんなのおかげだよ」 「でいぶうううう!ありずをおいてかないでええええ!!」 「おがーざあああんゆっぐりじでよおおおおお!!!」 「むきゅ…ありすにこどもたち、かなしんじゃだめ。れいむをみて、いまとってもゆっくりしているわ、これはゆー往生といってとくべつなものなのよ」 「ゆー往生?ぱちゅ!ドスにそれをおしえてね!」 「とてもゆっくりしたゆっくりだけがたどりつけるさいごのことよ、れいむもみんなもゆっくりできるの」 「でもれいむはゆっくりしてないよ!れいむ!ゆっくりして!」 「ゆ…こどもたち…ゆっくりしたおとなになってね。まりさにぱちゅ、これからも皆をゆっくりさせてね」 「ありす、れいむひとりになるのがこわいよ・・・さみしい・・・よ」 「「「「ゆううううう!!!れいむうううううう!!!!」」」 「ご、こどもだぢ!おがあざんにずーりずーりじまじょうね!!」 「おがあざん!ずーりずーり!だいずぎだよおおおお!!!」 ゆー往生って何だ、それより何も起きないのかとモニタ越しに見ていた職員が思ったその瞬間 「ありずはでいぶとずっといっいっいっんほおおおおおお!」 突然発情したかと思えばありすの目、口、あにゃるからカスタードがゆっくり目で見て致死量だと分かるほど漏れ出す。 「ゆ、ゆぎゃああああおどおざああああゆっぐ、ぐるじ・・・ゆっゆっあぶっゆ゙っ!」 ありすの異変に駆け寄ろうとした子供達はなんと爆裂してしまった 「ぱちゅ!こ、これはいったいどういうこと!?ありすとこどもたちががしんじゃったよ!」 「むきゅうううううん!わからないわ!なんでごっ!!ぶっ・・・ぶぎゅう!」 続いてぱちゅりーも、そしてまわりで見ていたゆっくりたちも 「ゆー!どうなっでぐっぐぅ・・・」 「おかーしゃんどうちたの?ゆっ!ゆううううう・・・」 「ゆうう・・・こわいのけどなんだかすっきっきっきゆ゙っゆ゙っ」 「ま、まりさはとにかくにげゆばっっ!!」 「ごんなのどがいばじゃなびっ!!」 「むきゅっきゅっゆっゆっゆっ」 「みっみんなゆっくりしてね!ぱちゅはおへんじしてね!ドスどうすればいいかわかんないよ!」 どういうことだ、ありすの死を皮切りにほとんどのゆっくりが死んでいく。 ゆー往生、今わの際にゆっくりが餡の底からゆっくり出来たと思って初めて起こる・・・だっけか。 うーん、恐らくそれを見てゆっくりしたら中身を漏らして昇天、ゆっくりできなかったら爆発。 多少取り乱したが常々冷静にと言われていたドスと無関心だったゆっくりだけ免れたのか こいつらはとことんゆっくりできない運命にあるんだな・・・ 地獄を見た後さっさと帰ってしまったゆっくり、オロオロしているドス、男の心配を他所に れいむはとてもとてもゆっくりしていた。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3048.html
anko3000 anko3000をお知らせします 【小ネタ】 anko3002 食材ゆっくり料理専門店「ゆぎゃあ」 【いじめ】 anko3003 長まりさをやってみた 3話 【観察】 anko3004 取り返すために 【虐待】【挿絵】 anko3005 ドススパークがドスしか使えない訳 【制裁】 anko3006 繰り返し繰り返し繰り返し 【いじめ】 anko3007 飼いゆっくりすっきり死事件 anko3008 一寸まりちゃ 【いじめ】 anko3009 雪の日の出来事 【観察】 anko3010 あるれいむの一生 いつまでもその笑顔を 【虐待】【挿絵】 anko3011 夢見るれいむ 【いじめ】 anko3012 ここはれいむのおうちだよっ!にんげんさんはゆっくりしていってね! 【虐待】 anko3013 れいむの幸せなゆん生 【制裁】 anko3014 親バカれいむのスパルタ教育(前編) 【制裁】 anko3015 鳥籠 【観察】 anko3016 僕とみょんの春(心変わり編) 【愛で】 anko3017 長まりさをやってみた 4話 【観察】 anko3018 始まりの意味(前編) 【愛で】 anko3019 始まりの意味(後編) 【愛で】 anko3021 ちゅっちゅっ! 【制裁】 anko3022 まりさはとても頑張った 【虐待】 anko3023 台風殺ゆ事件(解決編) anko3024 ある騒がしい午後 【いじめ】 anko3025 ゆっくりおトイレ調教 【いじめ】【挿絵】 anko3026 何もかも、何もかもが 【制裁】 anko3027 休日日課 【いじめ】 anko3028 ゆっくりを袋に詰めて思う存分ボコるよ!! 下の2 【虐待】 anko3029 しろくろつけるよ! ゆっくりえいき 【観察】 anko3030 人生リセット!最高のゆん生を 【愛で】 anko3031 少年とゆっくり 【虐待】 anko3032 ゆうかとバレンタイン大作戦の計 【愛で】 anko3033 バHENTAIンデー 【愛で】 anko3034 みんなみんなでゆっくりしよう 【いじめ】 anko3035 ゆっくりを袋に詰めて思う存分ボコるよ!! 下の3(完結) 【虐待】 anko3036 お水をよこせ 【いじめ】 anko3037 かわいいれいみゅ 【愛で】 anko3038 長まりさをやってみた 5話 【観察】 anko3039 ドスは相当かっかするそうです。 【ギャグ】【挿絵】 anko3040 幸せなら 【小ネタ】 anko3041 さかり場 【いじめ】 anko3042 れいむとおちびちゃんとミステリー 【愛で】 anko3043 甘味処のゆうかと中華料理人のお兄さん 【愛で】 anko3044 可愛いあの子は… 【小ネタ】 anko3045 れいみゅには何もない 【挿絵】 anko3046 ゆっぴぃ☆ばーすでぃ! 【いじめ】 anko3047 ぶろてん おまけ 【愛で】 anko3048 ゆっくりこいしとラブラブちゅっちゅ 【愛で】 anko3049 賢いのは…… anko3050 きゃんどる 【ギャグ】 anko3051 まりさの誕生日 【愛で】 anko3052 ゆっくり駆除業者のお仕事風景 【挿絵】 anko3053 ゆっくり駆除業者のお仕事風景2 前編 【ギャグ】 anko3054 ゆっくり駆除業者のお仕事風景2 後編 【考証】 anko3055 涙 【いじめ】 anko3056 れいむは話を聞かない 【小ネタ】 anko3057 つむりやドスじゃ物足りない! 【パロディ】 anko3058 実験01 クッキーボタン 【観察】 anko3059 ゆっくり駆除 anko3060 ゆっくり駆除業者のお仕事風景3 【愛で】 anko3061 隻眼のまりさ プロローグ anko3062 希少種だって、ゆっくりじゃないか 【制裁】 anko3063 まりさは何も知らない 【挿絵】 anko3064 お兄さんとゆうかにゃんとパンケーキ 【小ネタ】 anko3065 まりさのお家 【小ネタ】【挿絵】 anko3066 その目 【虐待】 anko3067 わけあり おまけ 【愛で】 anko3068 つむりとでいぶ 【いじめ】【挿絵】 anko3069 死んで花実が咲くものか 【小ネタ】 anko3070 長まりさをやってみた 6話 【制裁】 anko3071 償い anko3072 にんっしんと赤ゆのそれぞれ・植物型 【いじめ】 anko3073 にんっしんと赤ゆのそれぞれ・動物型 【いじめ】 anko3074 にんっしんと赤ゆのそれぞれ・卵生型 【いじめ】 anko3075 隻眼のまりさ 第一話 anko3076 足りてるゆっくり anko3077 うたうたい 【愛で】 anko3078 げすまりさ 【虐待】 anko3079 カリスマを求めて 【愛で】 anko3080 くそにんげんに挑んだ結果 前編 【いじめ】 anko3081 くそにんげんに挑んだ結果 後編 【いじめ】 anko3082 ゆっくりすれだよ全員集合 【観察】 anko3083 境界線 後編その2 【制裁】 anko3084 ゆっくり駆除業者のお仕事風景 幕間 【愛で】 anko3085 馬鹿は死んでも治らない 【制裁】 anko3086 ありすはもう戻れない anko3087 野良ゆを駆除する一日 【制裁】 anko3088 まりさのおぼうし 【いじめ】 anko3089 欲張ってしまったゆっくりの末路 【虐待】【挿絵】 anko3090 てのりれいむ 【愛で】 anko3091 隻眼のまりさ 第二話 anko3092 田舎に帰ってゲスと戯れてみた 前編 【制裁】 anko3093 ゆっくりハンマー 【いじめ】 anko3094 学校:冬(前編) 【虐待】 anko3095 ぱちゅりーはもうゲスじゃない 【小ネタ】 anko3096 雨 【小ネタ】 anko3097 悲劇的ビフォーアフター 【ギャグ】 anko3098 対ゆ販売会 【小ネタ】 anko3099 今も未来もきっとずっと飼い続ける 【愛で】
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3384.html
直接的な虐待はありません 愛でられたゆっくりについてはまったく知りません ドスまりさが出ます ちょろっとあにゃる ここは加工所にあるゆっくり養殖場、ここでは名の通りゆっくりを養殖しそれを実験等に使っている。 ここで生まれてくるゆっくりは四種、れいむ、まりさ、ぱちゅにありす。どれも植物型にんっしんで生まれてくる 食用にされる事は無く、ドスのいる群れゆっくりとしてなるべく野生に近く育てられる。 必要に応じ赤ゆっくり、子ゆっくり、時には成体ゆっくりを繁殖飼育させていた。 そんなある日いつものようにゆっくり収穫作業をしていた加工所の職員は思った。 (ここで育つゆっくりや野性ゆっくりはほとんどがゆっくり出来ずに死んでいく。愛でられた飼いゆっくりは人の手でゆっくりさせられたものだし、野生に近い状態で最後の最後までゆっくりさせ続けたらどうなるのか?) 思い立ったが吉日、職員は上司に掛け合いまだ実の状態の赤れいむをそれはそれはゆっくりと育てる事にした。 「ゆっきゅりちていってね!」 「「ゆー!!この赤ちゃんれいむはとってもきれいおかざりをしてるよ!」」 この赤れいむは生まれた瞬間からとてもゆっくりしていた。 ここでは固体識別のため、実の状態からそれぞれの飾りにタグが付けられている。職員がれいむのそれを特別綺麗なものにしたので 大好きな母れいむと父まりさがこの特別なれいむの誕生を一番喜んでくれたのだ。 れいむは五匹姉妹の真ん中、姉も妹もとっても褒めてくれた。 赤れいむはとてもゆっくりしていた。 おかーさんは初めてのご飯のときれいむにだけ口移しでくれた。 おとーさんはれいむに一番長くすーりすーりしてくれた。 皆と一緒にドスにあいさつしに行ったときドスと補佐役のぱちゅりーは群れで生まれた赤ちゃんの中で一番気に入ってくれた。 この赤れいむが子れいむになるときにはとてもゆっくり出来る友達が出来た。 狩りが得意なまりさ、れいむもびっくりするほど綺麗で上品なありす、おとーさんおかーさんより物知りなぱちゅりー。 いっつも四匹で遊んでいた、時々群れの広場から離れて冒険したときは必ずあまあまさんを見つけた。 れいむに嫉妬しいじめるゆっくりは何故か次の日になると居なくなっていた。 れいむが成体近くになる頃、まりさとぱちゅは次のドスと補佐役と言われるほどになった。 友達がそれ程になるのはれいむにとっても嬉しかったし自慢になったけれど とっても綺麗で皆に優しいありすにけっこんしましょうと言われた事がれいむにとって一番だった。 おとーさんおかーさんが居なくなった時、群れの子供や赤ちゃんが突然消えたとき、ドスやぱちゅが引退すると言ったとき とても悲しかったけど、その都度ありすやドスとなったまりさ、たくさんの言葉で慰めてくれたぱちゅやありすと育てた子供達がいたおかげで立ち直れた。 それかられいむはとてもとてもゆっくりと過ごした・・・ そしてれいむにとって最後の日 その日は群れ総出でれいむの最後を見守った。 「ゆぅ…れいむはもうたくさんゆっくりできたよ…みんなのおかげだよ」 「でいぶうううう!ありずをおいてかないでええええ!!」 「おがーざあああんゆっぐりじでよおおおおお!!!」 「むきゅ…ありすにこどもたち、かなしんじゃだめ。れいむをみて、いまとってもゆっくりしているわ、これはゆー往生といってとくべつなものなのよ」 「ゆー往生?ぱちゅ!ドスにそれをおしえてね!」 「とてもゆっくりしたゆっくりだけがたどりつけるさいごのことよ、れいむもみんなもゆっくりできるの」 「でもれいむはゆっくりしてないよ!れいむ!ゆっくりして!」 「ゆ…こどもたち…ゆっくりしたおとなになってね。まりさにぱちゅ、これからも皆をゆっくりさせてね」 「ありす、れいむひとりになるのがこわいよ・・・さみしい・・・よ」 「「「「ゆううううう!!!れいむうううううう!!!!」」」 「ご、こどもだぢ!おがあざんにずーりずーりじまじょうね!!」 「おがあざん!ずーりずーり!だいずぎだよおおおお!!!」 ゆー往生って何だ、それより何も起きないのかとモニタ越しに見ていた職員が思ったその瞬間 「ありずはでいぶとずっといっいっいっんほおおおおおお!」 突然発情したかと思えばありすの目、口、あにゃるからカスタードがゆっくり目で見て致死量だと分かるほど漏れ出す。 「ゆ、ゆぎゃああああおどおざああああゆっぐ、ぐるじ・・・ゆっゆっあぶっゆ゙っ!」 ありすの異変に駆け寄ろうとした子供達はなんと爆裂してしまった 「ぱちゅ!こ、これはいったいどういうこと!?ありすとこどもたちががしんじゃったよ!」 「むきゅうううううん!わからないわ!なんでごっ!!ぶっ・・・ぶぎゅう!」 続いてぱちゅりーも、そしてまわりで見ていたゆっくりたちも 「ゆー!どうなっでぐっぐぅ・・・」 「おかーしゃんどうちたの?ゆっ!ゆううううう・・・」 「ゆうう・・・こわいのけどなんだかすっきっきっきゆ゙っゆ゙っ」 「ま、まりさはとにかくにげゆばっっ!!」 「ごんなのどがいばじゃなびっ!!」 「むきゅっきゅっゆっゆっゆっ」 「みっみんなゆっくりしてね!ぱちゅはおへんじしてね!ドスどうすればいいかわかんないよ!」 どういうことだ、ありすの死を皮切りにほとんどのゆっくりが死んでいく。 ゆー往生、今わの際にゆっくりが餡の底からゆっくり出来たと思って初めて起こる・・・だっけか。 うーん、恐らくそれを見てゆっくりしたら中身を漏らして昇天、ゆっくりできなかったら爆発。 多少取り乱したが常々冷静にと言われていたドスと無関心だったゆっくりだけ免れたのか こいつらはとことんゆっくりできない運命にあるんだな・・・ 地獄を見た後さっさと帰ってしまったゆっくり、オロオロしているドス、男の心配を他所に れいむはとてもとてもゆっくりしていた。
https://w.atwiki.jp/mtg2384/pages/1176.html
autolink 硬鎧の群れ/Scute Mob (緑) クリーチャー ― 昆虫(Insect) あなたのアップキープの開始時に、あなたが土地を5つ以上コントロールしている場合、硬鎧の群れの上に+1/+1カウンターを4個置く。 1/1 《硬鎧の群れ/Scute Mob》をGathererで確認 《硬鎧の群れ/Scute Mob》をGoogleで検索 《硬鎧の群れ/Scute Mob》が使用された大会 取得中です。 カードテキスト転載元:Wisdom Guild様 2011 / 10 / 30
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3297.html
『れいむに募金してまりさに募金しない話』 6KB 小ネタ 自業自得 誤解 飾り 日常模様 現代 25作目ましてこんにちは、キャンセルあきです ※特定団体を貶す意図はありません。貶したいのはゆっくりだけです。 れいむに募金してまりさに募金しない話 キャンセルあき 「お、おにいさん、れいむはれいむだよ、ゆっくりしていってね!」 お兄さんが道を歩いていると、足下に成体のれいむがすり寄ってきた。 いかにも野良らしく、青カビが生えるに任せたままの肌は油汚れに塗れ、ほつれた髪にはガムの包み紙が 付着しているが、栄養状態の悪い野良らしからぬ肥満体だ。 まりさ種の黒い三角帽子を口に咥えて引きずっている。 「はい、お兄さんはお兄さんです。ゆっくりしていって下さいね。 ところで、れいむがゆっくりできるゆっくりなら、私に向って"のーびのーび"を――」 「――ゆっくりしたおにいさん、れいむにゆっくり『ぼきん』をしてね!」 お兄さんの台詞を言わせなかったれいむは、物乞いであるらしい。 「れいむに……募金? 本当にそれで良いのですか?」 「ゆ……! それでいいんだよ! おにいさんはゆっくりしたおにいさんだね!」 「死臭の付いていないお帽子を何処から持って来たのかは、あえて聞かないことにしますが。 このお帽子を使って、れいむに対して、私が募金をすれば良いのでしょうか?」 「ゆん! そうだよ、ゆっくりしないで、きゃっしゅさんをたくさん『ぼきん』してね!」 物好きな愛で派がれいむにほだされたか、相手するのを煩わしく感じた人が小銭を入れたか、 あるいはれいむがドブをさらって拾い集めたか、或いは他ゆんから奪ったか。 恐らくはその全てと、れいむの話し相手に虐待鬼威惨が居なかった幸運は、 数百円程度の硬貨となって、黒く萎びた三角帽子に輝いている。 「一応聞いておきますが、人間に募金をしてもらう意味は、ちゃんと分かって言ってますよね? もしもそのあたりをはき違えていたら、残念ですがれいむは――」 お兄さんは、道の向こうのゴミ集積所を指さした。 「――あそこに入って貰わなければなりませんよ?」 指先は、野良ゆっくり用のゴミ箱を差して止まる。 多くの同胞が人間の手で放り込まれたのを知っているのか、れいむがびくりと体を震わせる。 「ゆ!? れいむ、とうぜん『ぼきん』のいみぐらいゆっくりりかいしてるよ、おにいさん! れいむは、ゆっくりしたにんげんさんと、はこをもったにんげんさんをみたんだよ!」 駅前でれいむは、ゆっくりした人間が、『困っている人間達のため』と言って、 箱の中にお金を入れているという、衝撃の光景を目撃したのだ。 「れいむは、だーりんのまりさがえいえんにゆっくりしちゃったんだよ! しんぐるまざーで、とーってもこまってるんだよ! だからおにいさんにぼきんしてほしいんだよ!」 「私がれいむに募金したら、れいむは必ず協力してくれるのですか?」 「しつこいよ、れいむはおにいさんに『ぼきん』をしてほしいんだよおおおぉぉぉ! もちろん、れいむはきょうりょくするにきまってるでしょおおおぉぉぉ!? あ、れいむいがいには、ぜったいにぼきんしちゃだめだよ、ゆっくりりかいしてね!」 「分かりました――」お兄さんは、一円玉と五円玉ばかりのお帽子を拾い上げ、 「――では、これにお金を入れて下さい? 良いですね、れいむ?」 と、れいむに三角帽子を向けた。 「――ゆ?」 「ゆ? ではありません。 私はれいむに募金しているので、れいむ、早く、これにキャッシュさんを入れて下さい」 「ゆ? ゆや? ゆゆ~? おっかしいよ、おにいさんが、と~ってもへんなことをいっているよ。 なんだか、ゆっくりしてないよ~?」 頭上に沢山のクエスチョン・マークを浮かべて、れいむは、お兄さんが大量のきゃっしゅさんを、 まりさのお帽子に入れ、れいむに手渡してくれるのを待っている。 叶わぬ願いを待っている。 「何もおかしな事は言っていませんよ。 このお帽子を使って、れいむ"だけ"に、募金を行って欲しかったのですよね?」 「募金とは――」お兄さんは、手にした帽子の中の小銭を見せて、れいむに言った。 「――"金(かね)を募(つのる)"と書くのです。"お金を集める"という意味なのです。 他人から誰かのためにお金……きゃっしゅさんを貰いたい時は、"募金して下さい"ではなく、 "寄付して下さい"と、言うのです」 「…………ゆ?」 「と、言うわけで、れいむ、私が貴方に"募金"するので、れいむは私に"寄付”して下さい」 「ゆ、うそだよ、れいむそんなこといっていないよ」 「私が募金をしたらなば、絶対に協力してくれるのですよね?」 「おにいさんがきゃっしゅさんをくれるんでしょ、"ぼきん"って、そういうゆっくりしたものでしょ?」 「ちなみに、れいむが協力してくれないのでしたら、先程聞いた通り――」 お兄さんは、ゴミ集積所のゆっくりゴミ箱を見た。 「――あそこに入って貰いますよ?」 「ゆ…………ゆわあああああぁあぁぁぁぁぁぁぁ!」 五分後、洗濯機のように荒れるゆっくりゴミ箱の蓋をそっと閉じたお兄さんは、その場で手の埃を払った。 「お、おにいさん、まりさはまりさなのぜ。ちょっとゆっくりきいてほしいのぜ?」 と、ゴミ袋の影から、アルミ鍋を被ったまりさが、お兄さんの手にしたお帽子を見上げている。 「む、むりはいわないのぜ? でも、そのまりさのおぼうしはとってもゆっくりしてるのぜ。 できれば――ほんとうにむりはいわないのぜ、できれば、まりさ、そのおぼうしをほしいなって……」 「お兄さんはお兄さんです、ゆっくりしていって下さいね。 ところでまりさがゆっくりできるゆっくりなら、私に向ってのーびのーびを、してくれますか?」 「ゆ? まりさはゆっくりしてるゆっくりだよ! のーびのーび――ゆ?」 お兄さんの胸元まで伸び上がったまりさの頭に、萎びた黒帽子が乗せられる。 アルミ鍋は、代わりにお兄さんの手の中だ。 「個人的には、アルミ鍋の方が役に立つと思いますよ?」 「ゆ、ゆ~ゆ~! まりさのおぼうし、ゆっくり、ゆっくりしてるよおおおお!」 「鍋と、お帽子の中のきゃっしゅさんは私が貰いますね。やっぱり、寄付より物々交換の方が好みです」 そう言って、お兄さんは喜ぶまりさを背に歩み去った。 歩いた調子で駅前にさしかかると、真っ白な募金箱を持ち、旗を掲げた数人の集団が、 助け合い運動と題した募金活動を行っている。 その集団のリーダー格らしき人物に向って、お兄さんは数枚の硬貨を握りしめたまま近づき、 募金箱の前で止まって口を開いた。 「貴方、ここらへんでは見ない顔ですね。○○の会という名前も聞いた事が無い。 この駅前広場は、利用するのに町役場の許可が必要だったはずですが、許可証はあるんですか? 集めた義援金は、何処の収納機関に納めて、何に使われ、報告は何処で見ることができるんでしょうか?」 ――募金集団は逃げ出した。 手持ちぶさたになったお兄さんは、近くの自販機で飲み物を買い、 「ゆ! そこのじじい! かわいいまりささまにそのあまあまを"きふ"するのぜ! "きふ"はとってもゆっくりできるのぜ!」 「ええ、どうぞ」 飛び出してきたまりさに、手の中の『"クソ苦い" コーヒー』をふりかけた。 「こ、こりぇどくはいっちぇりゅううううううううぅぅぅぅうぅぅぅぅぅぅぅ!」 おわり。 キャンセルあきの過去作品はwikiに収録されています http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/869.html 感想はこちらにどうぞ http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1280375526/l50
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/261.html
れいむのお腹の中の消しゴム 8KB 愛で いじめ 飼いゆ 希少種 独自設定 きもけーね ハートフル注意 二行作 男が便所から戻ってくると、ちゃぶ台の上に丸いものが乗っていた。彼が飼っているれいむである。 卓上にあるものは、広げられたノートに布製の筆箱。ペンも数本散乱しているが、あるものが無いことに飼い主は気付く。 妙にうな垂れているド饅頭に、男は優しく語りかける。 「なあ、れいむ。そこにあった消しゴム知らないか?」 「ゆゆゆ? しろくてそれなりーなけしごむさんなんて、しらないよ」 「もうちょっと隠す努力をしろ!」 「ゆべっ!」 嘘がド下手な飼いゆをソフトに、それでいて厳しく蹴り飛ばす。 れいむは台の上から激しく転がり落ち、面白いように前転しながら壁にぶち当たった。さらにその反動による後転で元いた場所へと戻ってくる。 男はあぐらをかくと無駄に勢いのある球体を見極め、チョップで止めた。 「ゆべらっ!」 「お前な、あれほど何でもかんでも口に入れるなって言ったろ!」 「ごご、ごめんなさい、おにーさん。まっしろでおいしそーだったから、つい」 飼い主にも責任はある。頭の中に餡子しか入ってないナマモノのことである。誤飲すること犬の比ですらない。 しかし、ことゆっくりに関して内省する者は希少種より希少だ。哀れなものである。 「ということで、お前には消しゴムの代わりになってもらう」 「どおして、そうなるのぉぉぉ?」 「では早速、このはみ出した線に向かってごーしごーし」 「れいむの、よみせのわたがしのようにふんわりとした、ほっぺたさんがぁああ!」 「おお、意外と消える! いける、いけるぞ!」 「ゆ? なんだかすーりすーりがきもちよくなって、ゆ・ゆ・ゆ」 「うわ、きったね」 摩擦の刺激でぬらって来たれいむを、飼い主が思わず放り投げる。 「おそらを、たわばっ!」 「ぬらぬらすんな、キモい」 「なにがそんなにきもいっていうのぉお?」 「この世の全てと、れいむがキモい」 「おにーさんに、あいというものはないのぉぉぉおお?」 キモい。そんな自分の一言から、男はある閃きを得る。 彼は目の前で騒いでいる楽しいお饅頭を担ぐと、近所にある友人の家へと向かった。 「というわけで、けーね。れいむの中から俺の消しゴムを取ってくれ」 「よろしく、ねっ」 「断る!」 ゆっくり道楽な友人のご自慢。それが1人と1匹の前にいる、きもけーねであった。 けーね科のきもけーね種。鮮やかな蛍火の髪と、雄々しい2本の角がたくましい希少種だ。左の角には可愛らしいリボンも付いている。 けーね種の中には、特定の時だけきもけーねと化すものもいるらしいが、ここにいるのは産まれた時からきもりっぱなしの個体だ。 「なんでけーねが、れいむのお医者さんみたいなことしなきゃいけないんだ。 ゆっくり医院かえーりんのところにでも行けばいいじゃないか」 「いや、医者行くほどのことじゃないし、えーりんのところは遠いし、消しゴムは惜しいしなあ」 「消しゴムなんてしかるべき店にいって、100円玉1枚出せば済む話だろう」 人間に対して対等な言葉遣いにビキィと来る向きもあろうが、これがけーね種の特徴でもあった。 この説教口調を止めるということは、例えばれいむやまりさが、 『はあ、きょうもかいぬしさまにおかれましては、おひがらもよく』 などと喋り始めるということだ。いや、それはそれで面白いが。 「このままだと、れいむのおなかのなかに、けしごむがはいりっぱなしなんだよ」 「いいじゃないか。ゴムが入ってれば、それだけ食費が浮く」 「そういう考えもアリだな」 「ゆんやー」 「まあ、それは今後の課題とすることにして、今日だけはれいむを見てやってくれんか? けーねといえば、ぱちゅりー数百個分の知能があるんだろう?」 「ぱちぇをレモンみたいに言うな」 「その頭脳を見込んで、ホレ、この通り」 ゆっくりに頭を下げる人間を見て、きもけーねは息を吐く。 けーねは考え事をしているのか、辺りをちょっと歩き回った。歩む度に、サク、サクと音がする。 以前、きもけーねの飼い主が男に語ったところによると、けーねの中身はミルフィーユなんだという。 けーねは歴史を編むゆっくりと呼ばれている。 そのため、編む→編み物→層に見える→層になっている甘味と来てミルフィーユなんだそうだ。 単なるホラ話かも知れない。 「何故、それほどこだわる。そうまでして、けーねに頼む理由を言ってくれ、正直に」 「暇潰し!」 親指を立て、白い歯をきらめかせながら即答する男。 「やったー、かっこいー!」 「かっこよくない! そんなことなら帰ってくれ! けーねはこれから、時代小説を読む時間なんだ」 「きょうは、なんのごほんをよむの?」 「きたかたけんぞーさんの、三国志だ」 「きたかたさんってしってるよ。とにかく、そーぷにいけっていうひとでしょ?」 「れいむ、お兄さんに何を吹き込まれた」 「……どうしても駄目か」 「ダメだ。この話も、お兄さんの教育方針も」 「そうか、残念だ。 もし引き受けてくれたら、この懸賞で当たったブルーレイディスクを譲ってもいいのだが」 きもけーねの角が、ピクリと揺れる。 男は懐から、紙袋に包まれたパッケージをゴソゴソと取り出す。 れいむはただボーッとしていた。 「…ちなみに、タイトルは?」 「ゆっくりもこたん☆3D 南の島でINしたお!」 「やるであります!」 いつのまにか客人の肩に飛び乗り、顔を異常接近させるきもけーね。 何故か口調が変わっていることといい、鼻も無いのに荒い鼻息といい、やる気満々のようだ。 「さすが持つべきものは、けーね先生だ。 何だったら、『マグロゆっくりてるよ・魅惑の熟睡プレイ』も付けるが」 「そんなものはどうだっていい! 早く、一刻も早く、れいむのお腹の中の消しゴムを取り出すぞ!」 「張り切るのはいいが、その角であにゃるを掘り出すとか、そういうのは止めてくれよ」 「ゆびぃぃぃい!」 「けーねのcaved!!(掘り行為)は親愛の証だ。れいむをそれほど愛してはいない」 「ゆぇぇぇん……」 完全に弄られキャラと化した紅饅頭に、キモいミルフィーユが接近する。 舐め回すように観察し、時には肌で触れ合って触診のようなこともやっている。 その度に、ゆひっとかゆふっとか声が漏れるれいむを、飼い主はとてもウザいなと感じていた。 「よし、ちょっと荒療治になるが」 「おいおい、潰さないでくれよ。そんなのでも、一応俺の飼いゆなんだからな」 「そうだよ、れいむはおにーさんの、べすとふれんどなんだよっ!」 「あ、痛くするのは一向に構わんから」 「ゆゆぅぅぅう? いたいのはやだよ! ゆっくりかんべんしてね!」 「大丈夫だ。ちゃんと麻酔をしてやるから、痛くはない」 「ほんとう? さすが、けーねせんせーだね」 そう言ったれいむの皮がそっと青ざめる。 きもけーねが大きく身を反らし、陽気な餡子脳でも分かってしまうくらい不吉な力の込め方をしていた。 そして大きく振りかぶったけーねの額が風を切り、まともに紅饅頭のおでこへ決まってしまった。 梵鐘のような澄み切った音が響き渡り、れいむの表皮には激突点を中心とした美しい波紋が広がっていく。 「いたくはないけど……とってもいたいよ……」 世迷い言を口にしながら、よろめきながられいむは倒れ伏した。 さらに追い打ちをかけるように、きもけーねの2本角が気絶饅頭の体を挟み込む。 そのまま、ハンマー投げの要領で回す、回す、回す。 「そおおりゃぁああああ!」 気合いの雄叫びと共に角が開き、れいむは上空高く投げ飛ばされていった。 お饅頭が天井スレスレのところから重力に縛られて落ちてくる。その落下点目掛けて、牛型ゆっくりが突っ込んでいく。 「はりけーね・みきさぁぁぁああ!」 けーねの角が激突すると同時に、紅饅頭の体が再び虚空へ放り出された。 しかも先ほどとは違い、上昇に強いキリモミ回転が加わっている。まるで打ち上げられたロケットドリルのようだ。そんなものこの世にないが。 ドリルとの違いが明白になろうとしていた。下降するれいむが横に激しく回りつつ床に衝突する。しかし、地に穴は開かなかったのだ。 代わりに饅頭のあにゃるから、もりゅんと消しゴムが排泄される。 「やった、消しゴムは無事だ!」 「キリモミ回転で体内にある消しゴムの姿勢を正し、衝突時のインパクトでそれを吐き出させる。うん、計算通りだ」 「流石かっけーね! ぱちゅりー一千個分の頭脳は伊達じゃない」 れいむが、ムクリと起き出す。 そして、そのまま動かない。男がその表情を見ると、真っ白なままの目が見開かれ静止していた。 「立ったまま、死んでる……」 「れいむ、こんな形で出会いたくはなかったぞ」 ワザとらしく悲しんで見せる加害者一同。 「ゆぴー…ゆぴー…」 「なんだ、寝てるだけか」 「タフな奴だ」 ちょっとがっかりしたような表情の1人と1匹。 それから何事もなく翌日。 「2ばいゆっくりすることにより、100まんたす100まんの200まんゆっくり! いつもより、2ばいたてにのーびのーびすることにより、200まんかける2の、400まんゆっくり!! そしていつもより、3ばいよこにのーびのーびしたならば400まんかける3の、 だれよりもゆっくりできる、1200まんゆっくりだーっ!!!」 などとホザきつつ、だらしなく伸びて畳みを占領する飼いれいむ。 それを横目で見ていた飼い主は、寝そべりつつゴロゴロと転がって饅頭の上を通過する。 「加工所のロォーラァー」 「ゆべべべべべべぶっ!」 「あー、ウザかった」 「なにがそんなにうざいっていうのぉお?」 「この世の全てと、れいむがウザい」 「おにーさんに、やすらぎというものはないのぉぉぉおお?」 「さーて、飯にするかー」 「ゆゆっ! れいむ、のりたまごはんさんがいいよ!」 「お前は安上がりでいいなあ」 男はスーパーの惣菜をレンジで温めながら、茶碗に白飯を盛った。 それにふりかけを落とすと、碗を振りながら黄色くなった飯を丸くしていく。 単純作業をしながら、飼いゆっくりというものを、ふと思う。 友人はきもけーねやえーりんのような、賢く気品もある希少種を飼っている それに引き替え自分は、安物のウザれいむだ。それなのに、随分長く飼ってしまった。 すっかりボール状になったふりかけ飯。それをド饅頭の元へ持っていき、男は呼びかける。 「そうら、れいむ。これでも食らえ!」 茶碗から丸い飯が飛ぶ。それを、丸いナマモノが追う。 ゆっ、ゆっと鳴きながら大口を上げて、れいむは舌の上で受け止めてみせた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」 希少種だの虐待だのは、他の誰かに任せよう。俺は、これでいい。これがいい。 あまり行儀のよくない光景を眺めつつ、男はそんなことを考えていた。 (終) 感想板:http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1274852937/ 過去作:http //www26.atwiki.jp/ankoss/pages/392.html
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4409.html
ゲスゆ有 「ゆっくりしていってね!」 日課である朝の散歩中に突然足元から甲高い声が上ってきた。 なんだろうと思いながら……まぁ既に予想はついてるが……足元を見下ろしてみると、やはりというか なんというか、やたらとぷにぷにしてそうな生首がこっちを見上げてきていた。 「やっぱりゆっくりか」 「れいむはれいむだよ! ゆっくりしていってね!」 そう言ってれいむは誇らしげに胸を張る。 「はいはい、ゆっくりしていってねっと」 俺はいかにも気だるそうな感じを滲ませながらそう言って、せかせかとれいむの前を立ち去ろうとする。 が、そんな俺の様子を見てれいむは慌て、ゆっくりにあるまじきゆっくりしてなさを発揮して俺の前に 立ちはだかり、こう言った。 「まってね! にんげんさんはれいむにあまあまをおいていってね!」 それを聞いて俺はファッキューメーンと思った。いや別にゆっくりは男じゃないけれども、素直で可愛い ゆっくりが好きである俺をがっかりさせる言葉の一つだったからだ。 無視してやってもよかったのだが、ついてこられても迷惑だ。 なんとか口でやりこめて乗り切ろうと思い、下を向いてこう言った。 「何でさ」 「ゆ? わからないの?」 俺の言葉を受けたれいむは心底不思議そうに頭の上に疑問符を浮かべて小首を傾げる。 あまあま……要するに人間のお菓子の要求をする野良ゆっくりは多い。 ほぼ全てのゆっくりは甘い物が大好きである。加えてゆっくりは何事も自分の都合のいいように解釈する 悪癖があり、飼いゆっくりの飼い主がゆっくりにご飯をやっているのを見ただけで頭と性格の悪い野良などは 人間はゆっくりの奴隷であると勘違いするなどよくある話だ。 そうでなくても、『ゆっくりはゆっくりしていればみんなをゆっくりさせられる』という意味不明の信念を 持っていたりもするので、『ゆっくりした自分ならお菓子をくれるはずだ』という理屈から人間にあまあまを 要求する事などはざらにあるのだ。 俺を苛立たせない理由ならいい。ゆっくりにお菓子をやる物好きな爺さんがその辺にいて、人間はお菓子を くれるものだと思い込んでしまったとか、そういう俺にも納得しうる理由ならまぁいいや。俺はそう思い ながら、れいむの言葉を待った。 が、しかし。このれいむが語った『理由』は―― 「じゃあおしえてあげるね! れいむはしんぐるまざーなんだよ! すごくかわいそうなんだよ! だから やさしくしてあげないとだめなんだよ!」 俺の神経を卸し金で容赦なく削り取るような、吐き気を催すクソのようなものだった。 「お前のような奴がいるから戦争が無くならないんだ!(?)」 反射的に右の拳が足元のれいむに伸び、そのもち肌に突き刺さった。悲鳴を上げる暇すらなく、れいむは バウンドして空に舞い上がる。 おそらをとんでるみたい。シェイクされた頭でそんな事を考えているのであろうれいむの脳天を、追撃の ネリチャギが襲う。倒れている相手に頭の側から発動すればザコ即死がつく便利な技だ。 「ゆぶぇ?!」 衝撃で右の眼球を破裂させながら、れいむが叫び声を上げて地面に叩きつけられた。俺の足が頭の上に 乗っているので、今度はバウンドしない。 俺はそいつの頭から足をどけると、靴を脱いでそこにこびりついた餡子をそのへんの壁に擦り付けた。 餡子のついた靴でその辺を歩いたら虐待趣味の変態だと思われてしまうからだ。 と、そんな事をしている内に、既にずたぼろになっているれいむが起き上がる元気を取り戻していた。 もう相手にしないぞ、こんな薄汚いボロクズ。俺はそう心に決め、 「どぼじでごんなごどずるのぉぉぉ?! でいぶはじんぐるまざーなんだよぉ?! だがらゆっぐりざぜで あげないどだめなんだよぉぉぉぉぉ?!」 僅か二秒で決心した事実を闇に葬り去り、れいむの頭に鋭いチョップを浴びせた。 「ゆびぇ?! いだいぃぃぃぃぃ!! どぼじでごんなごぞずるのぉぉぉぉ?! がわいぞうなでいぶは ゆっぐりざぜであげなぎゃだめなんだよぉぉぉぉぉぉ?!」 悲鳴と共に、無くなった右目から涙と混じった液状の餡子がリズミカルに溢れ出す。 俺はそのれいむを掴みあげ、横っ面を思いっきり引っぱたいた。 左頬を打つ。頬からばしんと音が響く。 「ゆぎぇ?!」 「お前みたいな!」 右頬を打つ。右目からごぽりと泡立つ音が響く。 「ゆがぁ?!」 「自分ばっかりゆっくりしたいとか!」 左頬を打つ。頬からばしんと音が響く。 「ゆぐぅ?!」 「そんな考えのゲスがいるから!」 右頬を打つ。右目からごぽりと泡立つ音が響く。 「ゆげぇ?!」 「他の可愛いゆっくりまで!」 左頬を打つ。頬からばしんと音が響く。 「ゆごぉ?!」 「害獣呼ばわりっ!」 右頬を打つ。右目からごぽりと泡立つ音が響く。 「ゆぎゃぁ?!」 「されちまうんだ!」 左頬を打つ。頬からびしゃりと音が響く。 「ゆっぐ、えぐ……ゆんやぁぁぁぁぁぁ! もぉやだぁぁぁぁ! おうぢがえるぅぅぅぅぅぅ!!!」 「わかってんのか……よぉ! このゲスが!!」 そして、泣き喚くれいむを力いっぱい地面に叩きつけると、それっきりれいむは音を立てなくなった。 俺は餡子で汚れた右手をごしごしと手近な壁に擦り付けると、いそいそとその場を後にした。 おわり あとがき お題が終わらないのでつい 凄い手抜きだ byゆっくりのあねきィィ!の人 おまけ(むしろ本編?) ずりずりと、ずりずりと。まるで芋虫のようにゆっくりと。しかし必死に、れいむは這っていた。 身じろぎする度に全身に激痛が走る。風が頬を撫でるたびに激痛が走る。身体を虫が這う度に激痛が走る。 朝露が肌を濡らす度に激痛が走る。木の枝が肌に掠る度に激痛が走る。 狂ってしまいそうな痛みの中で、それでもれいむははっきりと意識を保ちながらずりずりと這っていた。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 早く行かなきゃ。 頭の中は、それでいっぱいだった。 れいむが男に暴行を受けた場所からここまで、たったの20メートル。そして、ここかられいむが向かおうと している場所までは、およそ30メートルほど。 普段なら鼻歌など歌いながらすぐに行ける道と距離でも、多量の餡子を失い、身体の所々が裂けてしまった 今のれいむにとっては苛烈な決死行であった。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 早く行かなきゃ。 れいむは足を速める。無理をすれば死期が近付くのは、頭ではわからなくとも感覚でわかっているはずだ。 死にたくない。 死にたくない。 でも早くしなきゃ。 早く行かなきゃ。 それでもやめない。やめられない。 れいむはゆっくりしたゆっくりだから。 しんぐるまざーのれいむはかわいそう。だから、ゆっくりしなきゃいけないんだから。 れいむは必死に這い続ける。 死にたくない。 そんな事より早くしなきゃ。 もっともっと急がなきゃ。 早く行かなきゃ。 既に半分以上の餡子を失い、意識は朦朧としている。にも関わらず、れいむの足は絶えず動き続けていた。 ただ一つの思いの為に。 ただ一つの信念の為に。 ただ一つのゆっくりの為に。 その、執念にも似た思いが通じたのかは定かではないが。 れいむはとうとう、目指していたその場所に辿りついた。 そこは、気の根っこの間にある大きな穴だった。丁度、成体のゆっくりよりも一回りだけ大きいくらいの。 「れ む ね」 傷だらけのれいむの小さく掠れた声が響く。本来ならば伝わらないであろうほどの、微かな声。しかし、 洞窟の中で反響した為か、その声はちゃんと、その穴の主へと届ける事が出来た。 ぼよん、ぼよんと何かが跳ねてくる音が響く。 そして、その主はどすんと音を立て、傷だらけのれいむの前に姿を現した。 「やっとかえってきたのこのうすのろれいむ! さっさとあまあまをだしてね! だしたらうすのろは ゆっくりしないでしんでね!」 「よこちぇー!」 「きゅじゅー!」 そこにいたのは。 れいむが言っていた、『かわいそうなしんぐるまざー』のれいむと、その子供達だった。 そう、れいむは全て、このしんぐるまざーのれいむ達の為にとあまあまを探しに出かけていたのだ。自分が ゆっくりするためではなく、可哀想なれいむをゆっくりさせてあげるために。必死に。必死で。れいむが 欲しがっているあまあまを人間に貰いにいっていたのだ。 しんぐるまざーれいむは、傷だらけのれいむの姿を見つけると、仰天し、涙を流して声を上げた。 「どぼじであまあまもっでないのぉぉぉ?! にんげんがらうばっでごいっでいっだでしょぉぉぉぉ?! ぞんなごどもでぎないのぉぉ?! まざがでいぶをゆっぐりざぜるぎがないのぉぉぉごのぐずぅぅぅ!!」 しかし、驚き、そして涙を流した理由は、傷だらけのれいむが、あまあまを持っていない事に対しての 物であった。 「ちが れ むは がんば ごめ ゆっ ちりょう ね」 掠れた声でしんぐるまざーれいむへの謝罪と、自己の治療を頼む傷だらけのれいむ。 しかし、しんぐるまざーれいむ達は。 「うるさいよ! やくたたずはゆっくりしんでね! しんだあとでおわびのあまあまをもってきてね!」 「ちにぇ! ちにぇ!」 「きょんにゃきゅじゅはころちちゃえびゃいいりょ!」 傷だらけのれいむへの怒りを露にして、殺してしまえ、とまで言った。 「ゆっ! それもそうだね! れいむのおちびちゃんはかしこいね! きっとおっきくなったらこんな ぐずとはちがうりっぱなれいむにそだつよ!」 「「ゆっへん! しょれほどでみょにゃいよ!」」 「じゃあさっさところすね! おちびちゃん! おかーさんのかっこいいところゆっくりみててね!」 「「ゆっきゅちみりゅよ!」」 傷だらけのれいむは、堂々と自分を殺す算段をつけている親子の会話を聞いていても全く動じなかった。 先刻から、身体の痛みも、聞こえる音も。どこか遠くの出来事のように感じてくるようになっていたから だった。 痛みが消えたわけじゃない。言葉が聞こえないわけじゃない。 ただ、それを理解する機能が失われかけているのだ。 ゆっせーのっ! ゆっ!! ゆゆ~ん! おきゃーしゃんのじゃんぴゅしゅっごくゆっきゅちちちぇるにぇ~! 仲の良さそうな親子の声が耳に滑り込んでくる。 しんぐるまざーれいむのあんよを、たった一つになってしまった目で見上げながら、れいむは思う。 あぁ、ゆっくりしてもらえなかった。 たよりなくてごめんなさい。 もっとゆっくりさせてあげたかったのに。 れいむは、しんぐるまざーだから。 かわいそうだから。 やさしくしてあげないとだめなんだよ。 かわいそうなれいむ。 やくにたてなくてごめんね。 れいむはもうしんじゃうけど。 れいむはきっと。 かわいいこどもたちといっしょに。 わらいあって、それでげんきに。 ゆっくりしていっ ぐしゃり、と。 しんぐるまざーれいむの足が、傷だらけのれいむの頭を踏み潰し、完全にれいむは息絶えた。 しんぐるまざーれいむは、子供達の前で誇らしげに胸を張る。が、次の瞬間。 「ゆ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?! でいぶのぶりでぃなあんよがいだいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?!」 顔色を変えて飛びあがり、家の中をごろごろと転がりまわった。 原因は、傷だらけのれいむの歯である。人間の打撃は、れいむの目と表皮をずたずたにし、上側の歯の ほとんどをへし折ったが、下顎にある歯は一本たりとも欠けさせることはなかったのだ。ゲスゆっくりを 嫌っていた人間の執念が、しんぐるまざーれいむに牙を剥いたのだろうか。 しんぐるまざーれいむは子供達にあんよを舐めさせながら涙を流した。 れいむは思う。 それもこれも、全部役立たずのれいむのせいだ! 役立たずに見つけさせたこの家も、ゆっくりした自分には狭すぎてちっとも相応しくない! そして、れいむは未だにずきずきと痛むあんよでふらふらと立ち上がりながら、大声で叫んだ。 「ごんなゆっぐりでぎないどごろにいられないよ! でいぶはもっどゆっぐりでぎるおうぢをざがずよ!」 その言葉が死亡フラグだからか。 あるいは、因果応報という奴か。 常識的に考えれば、こんな所で大声を上げたせいかもしれない。 「「「「「「「「「「「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」」」」」」 「「「「「「「「「「「うー! ゆっくりしね!!!!」」」」」」」」」」 突然、巣に大量のれいぱーありすとふらんが雪崩込んできたのだ。 れいむ一家はこの後、意気投合し結託したありすとふらんに犯され、子供を産まされ、子供を食べられ。 ちっともゆっくりできない数ヶ月を送った後に、朽ち果てて死んだ。 あとがき2 ゲスじゃないゆっくりにしんぐるまざー云々言わせてみる事を思いついたのでやってみた ゲスの始末は本題じゃないのであえて適当に このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2492.html
ゲスゆ有 「ゆっくりしていってね!」 日課である朝の散歩中に突然足元から甲高い声が上ってきた。 なんだろうと思いながら……まぁ既に予想はついてるが……足元を見下ろしてみると、やはりというか なんというか、やたらとぷにぷにしてそうな生首がこっちを見上げてきていた。 「やっぱりゆっくりか」 「れいむはれいむだよ! ゆっくりしていってね!」 そう言ってれいむは誇らしげに胸を張る。 「はいはい、ゆっくりしていってねっと」 俺はいかにも気だるそうな感じを滲ませながらそう言って、せかせかとれいむの前を立ち去ろうとする。 が、そんな俺の様子を見てれいむは慌て、ゆっくりにあるまじきゆっくりしてなさを発揮して俺の前に 立ちはだかり、こう言った。 「まってね! にんげんさんはれいむにあまあまをおいていってね!」 それを聞いて俺はファッキューメーンと思った。いや別にゆっくりは男じゃないけれども、素直で可愛い ゆっくりが好きである俺をがっかりさせる言葉の一つだったからだ。 無視してやってもよかったのだが、ついてこられても迷惑だ。 なんとか口でやりこめて乗り切ろうと思い、下を向いてこう言った。 「何でさ」 「ゆ? わからないの?」 俺の言葉を受けたれいむは心底不思議そうに頭の上に疑問符を浮かべて小首を傾げる。 あまあま……要するに人間のお菓子の要求をする野良ゆっくりは多い。 ほぼ全てのゆっくりは甘い物が大好きである。加えてゆっくりは何事も自分の都合のいいように解釈する 悪癖があり、飼いゆっくりの飼い主がゆっくりにご飯をやっているのを見ただけで頭と性格の悪い野良などは 人間はゆっくりの奴隷であると勘違いするなどよくある話だ。 そうでなくても、『ゆっくりはゆっくりしていればみんなをゆっくりさせられる』という意味不明の信念を 持っていたりもするので、『ゆっくりした自分ならお菓子をくれるはずだ』という理屈から人間にあまあまを 要求する事などはざらにあるのだ。 俺を苛立たせない理由ならいい。ゆっくりにお菓子をやる物好きな爺さんがその辺にいて、人間はお菓子を くれるものだと思い込んでしまったとか、そういう俺にも納得しうる理由ならまぁいいや。俺はそう思い ながら、れいむの言葉を待った。 が、しかし。このれいむが語った『理由』は―― 「じゃあおしえてあげるね! れいむはしんぐるまざーなんだよ! すごくかわいそうなんだよ! だから やさしくしてあげないとだめなんだよ!」 俺の神経を卸し金で容赦なく削り取るような、吐き気を催すクソのようなものだった。 「お前のような奴がいるから戦争が無くならないんだ!(?)」 反射的に右の拳が足元のれいむに伸び、そのもち肌に突き刺さった。悲鳴を上げる暇すらなく、れいむは バウンドして空に舞い上がる。 おそらをとんでるみたい。シェイクされた頭でそんな事を考えているのであろうれいむの脳天を、追撃の ネリチャギが襲う。倒れている相手に頭の側から発動すればザコ即死がつく便利な技だ。 「ゆぶぇ?!」 衝撃で右の眼球を破裂させながら、れいむが叫び声を上げて地面に叩きつけられた。俺の足が頭の上に 乗っているので、今度はバウンドしない。 俺はそいつの頭から足をどけると、靴を脱いでそこにこびりついた餡子をそのへんの壁に擦り付けた。 餡子のついた靴でその辺を歩いたら虐待趣味の変態だと思われてしまうからだ。 と、そんな事をしている内に、既にずたぼろになっているれいむが起き上がる元気を取り戻していた。 もう相手にしないぞ、こんな薄汚いボロクズ。俺はそう心に決め、 「どぼじでごんなごどずるのぉぉぉ?! でいぶはじんぐるまざーなんだよぉ?! だがらゆっぐりざぜで あげないどだめなんだよぉぉぉぉぉ?!」 僅か二秒で決心した事実を闇に葬り去り、れいむの頭に鋭いチョップを浴びせた。 「ゆびぇ?! いだいぃぃぃぃぃ!! どぼじでごんなごぞずるのぉぉぉぉ?! がわいぞうなでいぶは ゆっぐりざぜであげなぎゃだめなんだよぉぉぉぉぉぉ?!」 悲鳴と共に、無くなった右目から涙と混じった液状の餡子がリズミカルに溢れ出す。 俺はそのれいむを掴みあげ、横っ面を思いっきり引っぱたいた。 左頬を打つ。頬からばしんと音が響く。 「ゆぎぇ?!」 「お前みたいな!」 右頬を打つ。右目からごぽりと泡立つ音が響く。 「ゆがぁ?!」 「自分ばっかりゆっくりしたいとか!」 左頬を打つ。頬からばしんと音が響く。 「ゆぐぅ?!」 「そんな考えのゲスがいるから!」 右頬を打つ。右目からごぽりと泡立つ音が響く。 「ゆげぇ?!」 「他の可愛いゆっくりまで!」 左頬を打つ。頬からばしんと音が響く。 「ゆごぉ?!」 「害獣呼ばわりっ!」 右頬を打つ。右目からごぽりと泡立つ音が響く。 「ゆぎゃぁ?!」 「されちまうんだ!」 左頬を打つ。頬からびしゃりと音が響く。 「ゆっぐ、えぐ……ゆんやぁぁぁぁぁぁ! もぉやだぁぁぁぁ! おうぢがえるぅぅぅぅぅぅ!!!」 「わかってんのか……よぉ! このゲスが!!」 そして、泣き喚くれいむを力いっぱい地面に叩きつけると、それっきりれいむは音を立てなくなった。 俺は餡子で汚れた右手をごしごしと手近な壁に擦り付けると、いそいそとその場を後にした。 おわり あとがき お題が終わらないのでつい 凄い手抜きだ byゆっくりのあねきィィ!の人? おまけ(むしろ本編?) ずりずりと、ずりずりと。まるで芋虫のようにゆっくりと。しかし必死に、れいむは這っていた。 身じろぎする度に全身に激痛が走る。風が頬を撫でるたびに激痛が走る。身体を虫が這う度に激痛が走る。 朝露が肌を濡らす度に激痛が走る。木の枝が肌に掠る度に激痛が走る。 狂ってしまいそうな痛みの中で、それでもれいむははっきりと意識を保ちながらずりずりと這っていた。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 早く行かなきゃ。 頭の中は、それでいっぱいだった。 れいむが男に暴行を受けた場所からここまで、たったの20メートル。そして、ここかられいむが向かおうと している場所までは、およそ30メートルほど。 普段なら鼻歌など歌いながらすぐに行ける道と距離でも、多量の餡子を失い、身体の所々が裂けてしまった 今のれいむにとっては苛烈な決死行であった。 死にたくない。 死にたくない。 死にたくない。 早く行かなきゃ。 れいむは足を速める。無理をすれば死期が近付くのは、頭ではわからなくとも感覚でわかっているはずだ。 死にたくない。 死にたくない。 でも早くしなきゃ。 早く行かなきゃ。 それでもやめない。やめられない。 れいむはゆっくりしたゆっくりだから。 しんぐるまざーのれいむはかわいそう。だから、ゆっくりしなきゃいけないんだから。 れいむは必死に這い続ける。 死にたくない。 そんな事より早くしなきゃ。 もっともっと急がなきゃ。 早く行かなきゃ。 既に半分以上の餡子を失い、意識は朦朧としている。にも関わらず、れいむの足は絶えず動き続けていた。 ただ一つの思いの為に。 ただ一つの信念の為に。 ただ一つのゆっくりの為に。 その、執念にも似た思いが通じたのかは定かではないが。 れいむはとうとう、目指していたその場所に辿りついた。 そこは、気の根っこの間にある大きな穴だった。丁度、成体のゆっくりよりも一回りだけ大きいくらいの。 「れ む ね」 傷だらけのれいむの小さく掠れた声が響く。本来ならば伝わらないであろうほどの、微かな声。しかし、 洞窟の中で反響した為か、その声はちゃんと、その穴の主へと届ける事が出来た。 ぼよん、ぼよんと何かが跳ねてくる音が響く。 そして、その主はどすんと音を立て、傷だらけのれいむの前に姿を現した。 「やっとかえってきたのこのうすのろれいむ! さっさとあまあまをだしてね! だしたらうすのろは ゆっくりしないでしんでね!」 「よこちぇー!」 「きゅじゅー!」 そこにいたのは。 れいむが言っていた、『かわいそうなしんぐるまざー』のれいむと、その子供達だった。 そう、れいむは全て、このしんぐるまざーのれいむ達の為にとあまあまを探しに出かけていたのだ。自分が ゆっくりするためではなく、可哀想なれいむをゆっくりさせてあげるために。必死に。必死で。れいむが 欲しがっているあまあまを人間に貰いにいっていたのだ。 しんぐるまざーれいむは、傷だらけのれいむの姿を見つけると、仰天し、涙を流して声を上げた。 「どぼじであまあまもっでないのぉぉぉ?! にんげんがらうばっでごいっでいっだでしょぉぉぉぉ?! ぞんなごどもでぎないのぉぉ?! まざがでいぶをゆっぐりざぜるぎがないのぉぉぉごのぐずぅぅぅ!!」 しかし、驚き、そして涙を流した理由は、傷だらけのれいむが、あまあまを持っていない事に対しての 物であった。 「ちが れ むは がんば ごめ ゆっ ちりょう ね」 掠れた声でしんぐるまざーれいむへの謝罪と、自己の治療を頼む傷だらけのれいむ。 しかし、しんぐるまざーれいむ達は。 「うるさいよ! やくたたずはゆっくりしんでね! しんだあとでおわびのあまあまをもってきてね!」 「ちにぇ! ちにぇ!」 「きょんにゃきゅじゅはころちちゃえびゃいいりょ!」 傷だらけのれいむへの怒りを露にして、殺してしまえ、とまで言った。 「ゆっ! それもそうだね! れいむのおちびちゃんはかしこいね! きっとおっきくなったらこんな ぐずとはちがうりっぱなれいむにそだつよ!」 「「ゆっへん! しょれほどでみょにゃいよ!」」 「じゃあさっさところすね! おちびちゃん! おかーさんのかっこいいところゆっくりみててね!」 「「ゆっきゅちみりゅよ!」」 傷だらけのれいむは、堂々と自分を殺す算段をつけている親子の会話を聞いていても全く動じなかった。 先刻から、身体の痛みも、聞こえる音も。どこか遠くの出来事のように感じてくるようになっていたから だった。 痛みが消えたわけじゃない。言葉が聞こえないわけじゃない。 ただ、それを理解する機能が失われかけているのだ。 ゆっせーのっ! ゆっ!! ゆゆ~ん! おきゃーしゃんのじゃんぴゅしゅっごくゆっきゅちちちぇるにぇ~! 仲の良さそうな親子の声が耳に滑り込んでくる。 しんぐるまざーれいむのあんよを、たった一つになってしまった目で見上げながら、れいむは思う。 あぁ、ゆっくりしてもらえなかった。 たよりなくてごめんなさい。 もっとゆっくりさせてあげたかったのに。 れいむは、しんぐるまざーだから。 かわいそうだから。 やさしくしてあげないとだめなんだよ。 かわいそうなれいむ。 やくにたてなくてごめんね。 れいむはもうしんじゃうけど。 れいむはきっと。 かわいいこどもたちといっしょに。 わらいあって、それでげんきに。 ゆっくりしていっ ぐしゃり、と。 しんぐるまざーれいむの足が、傷だらけのれいむの頭を踏み潰し、完全にれいむは息絶えた。 しんぐるまざーれいむは、子供達の前で誇らしげに胸を張る。が、次の瞬間。 「ゆ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?! でいぶのぶりでぃなあんよがいだいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ?!」 顔色を変えて飛びあがり、家の中をごろごろと転がりまわった。 原因は、傷だらけのれいむの歯である。人間の打撃は、れいむの目と表皮をずたずたにし、上側の歯の ほとんどをへし折ったが、下顎にある歯は一本たりとも欠けさせることはなかったのだ。ゲスゆっくりを 嫌っていた人間の執念が、しんぐるまざーれいむに牙を剥いたのだろうか。 しんぐるまざーれいむは子供達にあんよを舐めさせながら涙を流した。 れいむは思う。 それもこれも、全部役立たずのれいむのせいだ! 役立たずに見つけさせたこの家も、ゆっくりした自分には狭すぎてちっとも相応しくない! そして、れいむは未だにずきずきと痛むあんよでふらふらと立ち上がりながら、大声で叫んだ。 「ごんなゆっぐりでぎないどごろにいられないよ! でいぶはもっどゆっぐりでぎるおうぢをざがずよ!」 その言葉が死亡フラグだからか。 あるいは、因果応報という奴か。 常識的に考えれば、こんな所で大声を上げたせいかもしれない。 「「「「「「「「「「「んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」」」」」」」 「「「「「「「「「「「うー! ゆっくりしね!!!!」」」」」」」」」」 突然、巣に大量のれいぱーありすとふらんが雪崩込んできたのだ。 れいむ一家はこの後、意気投合し結託したありすとふらんに犯され、子供を産まされ、子供を食べられ。 ちっともゆっくりできない数ヶ月を送った後に、朽ち果てて死んだ。 あとがき2 ゲスじゃないゆっくりにしんぐるまざー云々言わせてみる事を思いついたのでやってみた ゲスの始末は本題じゃないのであえて適当に このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4913.html
ゆっくりしないでね!3 テストようやく終わりました;w; 駄文でよければ見てください。;w; 男は唖然としてた。あのゆっくり一家全員に地獄をみせるつもりだった。しかし地獄を見せる前にれいむと実ゆっくりは逃げてしまった。 自分の家は木々が生い茂る山に接しており、あのゆっくりは恐らくこの山に逃げただろう。 木々の生い茂る場所に逃げたゆっくりを探すことはとても大変だ。 すぐにカツオ(犬)を使い追跡しようと考えた たまらなく悔しかった。ゆっくりごときに踊らされたことが。自分のエゴをゆっくりごときに通せなかったことが。 あの逃げれたゆっくり一家はこれからどこかでゆっくりし、無駄な生を謳歌すると思うとくやしさで気が触れそうだった。 足をみるとまりさが脛のあたりを必死に残った歯で噛みついていた。 かなり痛い。噛まれた部分は見えないが血が滲んでいるだろう 「糞饅頭・・・・・お前には・・・・生きてきたことを後悔させてやるからな・・絶対に」 男は忌々しそうに呟くと噛みつかれながら部屋の隅においてある蠅叩きを手に取る そしてそれを全力で振るう パァン!!! 「ゆびゃあ!!!!」 まりさはゆん生の中で一度も感じたことのない異質な痛みにたまらず悲鳴を上げる その拍子に男の脛から口を放してしまう 「ゆびゃあああああああああ!!!いだいいいいいいいいいいいいいい!!!」 まりさは男の周りでのたうち回っていた。まりさの肌は脂汗を分泌し始め、徐々にとヌメりを帯びてくる。 ゆっくりの肌は人間の肌よりも痛みに対して敏感だという報告もある。 激しく痛がるまりさを見ても一切の慈悲を見せずに、男は何度も蠅叩きでまりさを叩く。 パァン!!「ゆびゃあ!!!」パァン!!「いじゃい!!!」パァン!!「やめじぇ!!!」パァン!!「ぐぎゅ!!?」 まりさの肌に蠅叩きの網目が無数に付き、全身が赤く腫れあがるころにはまりさ餡子をブクブクと吐き出しながら痙攣していた。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ「パァン!!」ゆ゛っ!!?」 痙攣していてもなお叩く男。その手は止まらない。まりさの反応はだんだんと小さくなってゆく。 日が高く昇りかけた頃になり、叩くだけ叩いて疲れたのか男は手を止める。 「ハァ・・ハァ・・・糞・・肩と腕がいてえ・・・わかってると思うんだ・・・」 ちらりとまりさをみると、ヌメりきった全身に網目模様が付き餡子の色が滲んでいる。所々小さくではあるがまりさの肌は破け液状餡子が流れ痛々しい。 痙攣し、気絶してるまりさを見てめんどくさそうな顔をした後 男は小麦粉を水で溶き、それをハケでまりさの全身を塗りたくり、傷の補修をする。 「このまま死んだら楽だからな。お前らはもっと生き地獄を味わうべきだ ・・・・・・・・わかってると思うんだ(ボソッ)」 満身創痍のまりさを先ほどまで入れていた透明のケースに放り投げるように入れ、蓋を閉める。 「くそ・・・あの逃げた赤饅頭を追わないとゆっくりしちまう・・・・」 そう、男はまりさを叩くことに夢中になりすぎてれいむを追うことを忘れてしまった。そのことを後悔する男。 「クソッ!・・・・・・明日は仕事なかったら今からでも探しに行けるんだが・・・・・・・・」 男は明日から10日ほど連続で仕事をする予定になっている。仕事内容は農家の土地に出没するゆっくり駆除などである。 れいむを追って地獄を見せたいところだが明日の仕事を休むわけにはいかない。 それに農家のゆっくり駆除はそれなりに肉体労働であるため明日に疲れを残すわけにはいかないと考えていた。 「くっそ・・・絶対見つけ出して地獄を見せてやるからな・・・」 れいむは運がよかった。逃げている間に捕食者やゆっくりに仇なす動物などに出くわさなかったのである。 さらに幸運なことに倒れるまで逃げ続けた結果、その付近の群れの一員に倒れているところを発見され群れによって保護されていた。 れいむが男のところから逃げ出してから丁度3日。 れいむは保護された先で、夢を見ていた。 れいむの寝ている場所には藁や羽毛が敷き詰められており、とても気持ちよさそうであったがれいむはひどくうなされている。 夢の中、れいむは朽ちた木の洞に作ったおうちの中で、子ゆっくりに成りかけの我が子と最愛の夫であるまりさを探す。 「ゆぅ・・・れいむのかわいいおちびちゃん・・・ゆっくりしていってね・・・どこにいるかおしえてね」 れいむは意識していないが、現実世界で無いそこは雑音が一切入ってこない、まさに無音の世界であった。 「ゆぅ・・どこにいるの!おかーさん怒るよ?ゆっくりしないで出てきてね」 何の返事も返ってこない事にれいむの表情は焦燥の色がでてくる。 「ゆぅ・・・スーー(息を吸う音) ゆっくりしていってね!!!!」 全力でゆっくりしていってねを言う。しかし返事はどこからも聞こえない。 れいむの顔は泣きそうであった。 洞の中を探すのはやめて外へ出ようとした時、洞の中から何やら気配を感じた。振り返ると子れいむ2匹と子まりさ2匹が洞の中で座っていた 「「「「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!」」」」 元気よくゆっくりしていってねをする子ゆっくり達 「ゆっ!ゆっくりしていってね!!どこにってたのおちびちゃん?あまり心配させないでね!ぷんぷん!!」 子ゆっくりたちはそう言う母れいむの顔を見ると、笑顔でれいむの側までやってきてす〜りす〜りした。 「おきゃーさんだーいしゅきー」「ゆっゆ〜♪」「おきゃーしゃんのほっぺゆっくちゆっくち」「しゅりしゅり〜」 子ゆっくりたちは一斉に甘えだす。れいむは「ゆっ くすぐったいよおちびちゃん♪すーりすーり」 れいむの顔は先ほどと違ってとても幸せそうな顔をしている。 「とってもゆっくりできるおちびちゃんたちだね!ゆっくりし「「「「ゆぎゃあああああああああああああああ あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」ゆゆ!!!びっくりしたよ!!」 子ゆっくりたちは一斉に苦しみ始めた。餡子を吐き出し、その丸い身体をグネグネと捩りながら苦しみ出す。 「「いじゃいよ゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙ぎゃあ゙あ゙じゃあ゙あ゙あ゙あ゙ん゙!!!たじゅげじぇええ」」 子ゆっくり達の身体が分泌された脂汗にぬらぬらとてかり、髪の毛が一斉に抜け始め、まむまむに相当する場所が黒く炭化し始めてきた。 「おちびちゃんだぢどぼじだの゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙お゙!!!?まりざあ!!?まりざあ!助けてよ!!おちびちゃんたちが!!」 悲鳴を上げた後れいむは最愛の夫であるまりさに助けを求めるがまりさはどこにも現れない。 子ゆっくりたちは全身が薄く焦げ、変わり果てた姿となり、プルプルと震えているだけの丸い物体となっている。 「まりざああああ!!!おちびちゃんたぢがああああああああああ!!!!ゆっ!!」 れいむは洞に差し込む光が急に少なくなったことに驚き、洞の内側から外をみるとそこには 笑う人間さんと・・・見るからに強そうな犬さんが・・そして生気の抜け、目の焦点が合っていない最愛のまりさが・・・洞の前に差し込む光をさえぎる形で立っていた。 絶望感がれいむを襲う。 「おちびちゃんにげてえええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」 れいむは夢から覚めた。全身に寝汗がびっしょりとついていた。未だ気分が悪い。 仰向けのままあたりを見回す。どうやら土に掘ってある洞の中らしい。ゆっくりにしては大きい洞でとても住みやすそうであった。 「気づいたのねれいむ。外傷らしいところは無さそうだし、ただの疲労でしょう。安心していいわよ、むきゅ。」 洞の奥から発せられた声。仰向けに寝かされていた身体をグネグネと捩りながら起こし声の主を探す。 そこにはぱちゅりーが居た。れいむよりも二回りほど大きい。おそらく長生きした個体なのであろう。 そして地面を見てみるとれいむの下にはおふとんさんがひいてあった。 それはれいむの尋常ではない量の寝汗により湿り気を帯び縮みきっている。 「ゆぅ・・ここは・・」 「ここはドスが率いる群れの巣の一つよ。あなたは群れの近くで倒れてたのを発見されてここまでもってきたのよ、むきゅ。」 「ゆぅ・・・介抱してくれてどうもありがとうね・・・」 「どういたしまして。むきゅん。でもお礼ならドスと運んできてくれたゆっくりに言ってね、むきゅん。」 れいむは何かを思い出したようにハッする仕草をしたあと、周りをキョロキョロと見始めた。 「ねえぱちゅりー。おちびちゃんたち見なかった?」 「あの飾りのない子たちの事ね?あの子たちなら今は群れのれいむが世話をしてるわ。安心してね。今連れてくるわね。むきゅん。 待っている間にこれ食べておいてね。子持ちなんだから遠慮しないでね、むきゅん。」 そういうとぱちゅりーはバインバインと跳ねながら洞の外へいってしまった。 ぱちゅりーの子持ちという言葉にはっとするれいむ。上を向いてみると茎があり、それにはたった一つ、実ゆっくり(れいむ種)が付いていた。 れいむは他の実ゆっくりが人間さんにゆっくり出来ないことをされて潰れたのを「ゆ゙ぅ゙」と言って思い出す。 寝ている間あまり食べてなかったせいで実ゆっくりは頬がコケて、かなり痩せ細っていた。 その表情は実ゆっくり特優のうっすら笑顔を浮かべている寝顔ではなく、何かに苦しんでいるようなそんな表情であった。 「ゆゔ?!おちびちゃん!!ゆっくりしていってね!?今ごはんむーしゃむーしゃするからねっ!」 れいむはぱちゅりーが食べてといった食べ物を急いで口にする。 「むーしゃむーしゃ・・・・・し・・し・・しあわせーーーー!!!?」 長い間食べ物を口にしていない、空腹による美味しかったというだけではない。どれもれいむにとってそれ自体がごちそうであった。 干し野イチゴや干しイチジク、木の実さんに芋虫や虫さんや野菜さん。どれもとてもゆっくりできた。 バクバクバクと普段ならばれいむ一匹ではとても食べ切れない量をすぐに完食してしまった。 「ゆふー とってもおいしかったよ!」 実れいむを見上げてみると先ほどまでの苦しそうな寝顔は無くなり、とても安らかな顔つきになっている。 そしてゆっくりではあるが、目に見える速度でゆっくりと膨らんでゆく。栄養(餡子)行き渡っているのだろう。それを見てれいむはゆっくりできた。 「待たせたわねれいむ」 ぱちゅりーがれいむのところに戻ってきた。その後ろにはれいむが二匹おり、 その二匹は大きな葉っぱを口を使って担架のようにし、子ゆっくり(作者には判別不能であるがその内訳はれいむ種1まりさ種1)二匹を運んできた。 二匹の子ゆっくりは、未だ寝たきりであり、黒く炭化したまむまむと髪の毛の状態(ハゲ)はそのままであった。 しかし、全身焼けただれ、黒っぽくなっていた肌は少しだがゆっくり本来の肌色を取り戻していた。 「ゆうっ!おちびちゃんたち!!ゆっくりしていってね!!!」 といい、れいむは二匹の子ゆっくりにすーりすーりをする。 とするとどうだろう。子ゆっくりたちの肌はまだカサついてはいるが、元のフニっとし、すべすべな肌を若干ではあるが取り戻していた。 「おきゃーしゃん!ゆっくちしていっちぇにぇ!!まりしゃはもうだいじょうぶだよ!ここの群れはとってもゆっくちしてりゅよ!」 あれだけの怪我を負い、元気が無くしていたまりさが元気を取り戻したことに驚くれいむ。 「れいみゅのごはんも用意してくれてとってもゆっくちできたよ。しあわせ〜だったよ。ゆんゆん。」 「むきゅん 子ゆっくりたちの状態が酷かったから秘伝のお薬をつかったのよ 大分よくなったみたいね。むきゅん。 まだ完治はしてないけど栄養のあるものを食べさせていればもっとよくなるわ。」 「この辺りはドスの管理もあって、とっても食料が豊富で、えいよーのあるものがたくさんあるからゆっくりできるよ」 と運んできたれいむが言う。 母れいむは子ゆっくりたちを見ると若干前よりも大きくなり、そしてぷっくりとしていると感じた。全身火傷で失った肌の艶も少しではあるが出てきている。 完治も夢じゃないかもしれない。えいよーのあるゆっくりしたものを食べさせてもらったんだなあと思う。 どうやらこの群れは見ず知らずのれいむたちにとてもとても手厚い介抱をしてくれたようだとれいむは理解した。 人間にあれだけ酷いことをされ、傷つき落ち込んでいた心に親切にされたという事実が浸みわたりれいむは涙が自然と出てきた。 「ゆゅゅ・・・ありがとおぉぉ・・ほんとにありがとね・・れいむ うれしいよ とってもゆっくりできるよ・・・」 この暖かい気持ち 「ゆっくり」だ。それを感じながられいむは「ゆんゆん」と泣き始めた。 「むきゅん。別に当たり前の事をしただけよ。困った時はお互いさまでしょう?」 照れながら言うぱちゅりー。 そんなぱちゅりーを見ながられいむは子ゆっくりに聞こえないようにそっとある質問をする。 「ねえぱちゅりー・・・髪と・・・その・・まむまむは治るかな・・」 「むきゅう・・・髪は時間がかかるでしょうが治ると思うわ。むきゅん。 でも・・まむまむはむきゅん、正直に言うわ。 治らないわ・・・肌と違って、秘伝のお薬を使っても、まむまむは手の施しようがなかったのよ。ごめんなさいね・・・むきゅう・・」 ぱちゅりーはそう言って少し残念そうにうつむいた。 「そっか・・・ごべんでぇ・・おちびちゃん・・・・・守ってあげられなくて・・・ゆ・・ゆぅ・・・・ゆえええええええん」 またれいむは泣き始めた。もうおちびちゃんたちは胎生出産をすることができなくなってしまった。まだ蔦を使ってでの出産は可能ではあるが、 我が子の不憫さにどうしても涙が出てきてしまう。 「お取り込み中のところちょっといいかな?」 ゆぅゆぅ泣いているところに、の太い声が聞こえた。 どうやら洞の外から発せられた声のようだ。声の主を確認するためにれいむは洞から顔を出す。 そこには洞には到底入りきらないようなサイズのまりさ・・・ドスがいた。3メートル近くはあるだろうか。羆もびっくりなサイズである。 穏やかな顔とは裏腹に身体中には歴戦のものと思われる傷跡が無数にあった。 「ゆぅ!ドスだね れいむたちを助けてくれてありがとね とても感謝してるよ! ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね、れいむ。ここは人間さんから貸してもらったドスたちのゆっくりぷれいすだよ。群れのみんなから聞いたけど大変な目に遭ったんだってね。 れいむさえよければ子供たちの傷が治るまで居ていいからね。」 れいむの顔がパァっと明るくなる。ここはなんてゆっくりしたところだろうかとれいむは思う。 「ありがとうドス。子どもたちもとってもゆっくりできてるよ。ドスのおかげだよ」 「どういたしましてだよ、れいむ。ところであの子ゆっくりたちの傷って、やったの人間さんでしょ?」 突然今回の悲劇の核心を突く言葉に顔を硬直させるれいむ。 「でい゙ぶだぢばな゙に゙も゙じでな゙い゙の゙に゙・・・・・・い゙ぎな゙り゙人間ざん゙が・・・ゆ゙ぅぅぅ・・・酷い゙ごどを゙・・・ゆぅぅぅぅ・・」 いきなり泣き出し、嗚咽を漏らすれいむ。 「やっぱりそうなんだね。でも安心してね。ここは人間さんとの協定があるからゆっくりできるよ。ゆっくりしていってね!」 この群れは人間と協定を結んでいた。ドスはそれをれいむに説明した。 おおまかな協定内容はこうだ。 1 ゆっくりたちはマツタケやイワタケなど人間にとって高価な山の幸を広範囲にわたって探し、人間がやるように綺麗に収穫し、それを人間に献上する。 または、ゆっくりが狩れない高価な食材の位置を人間に伝えたり、綺麗な石(宝石の類)なども見つけたらそれも献上する。 2 献上する際、ドスは人間たちに群れの繁殖状況等を報告する。 3 人間は献上されている限りゆっくりを殺さない。そして人間は集落で捕まえた虫や出来そこないの野菜や野菜くず、普段食べないような木の実などを適当に渡す。 4 一つの番が子供を産むのは生涯をかけて3匹まで。それを守れないゆっくりは群れによって永遠にゆっくりさせられるか追放である。 ただし何かしらの理由で成ゆっくりになれなかった場合や災害で群れの総数が著しく減った場合にはそれは適用されない。 5 人間側が増えすぎだと判断した場合、群れでそのゆっくりを処理するか、この村の人間の縄張りの外まで連れていくか人間に渡すかのどちらかを選んでもらう。 6 人間と争いは絶対に起こしてはならない。それはこの村の人間に限ったことではない。 7 この辺りの土地は人間さんのものである。よって、ゆっくりは人間さんの慈悲でこの土地に住まわせてもらっているだけであって、 ゆっくりはこの土地がゆっくりのものであるということをいかなる場合においても主張することはできない。 8 条約が守られない場合ゆっくりはこの土地から出ていくか、永遠にゆっくりすることを選んでもらう。 などと、ゆん口調節までさせられているかなり不平等な協定内容ではあったが、守っている限りここのゆっくり達の生活は安寧としたものであった。 そして追加情報は、この付近の人間さんはここ以外の人間さんよりも気性が荒くなく、ゆっくりできるらしい。 そして、冬籠りの際の食糧援助などもしてもらえるらしい。 「ゆう?・・そうなんだ・・じゃあ、ゆっくりドスの気持ちに甘えさせてもらうね」 「ゆ!そうしてね。この群れにはまだまだ余裕があるからゆっくりしていってね。」 そう言い残しドスは自分の巣へ帰って行ってしまった。 「むきゅ れいむは今日から子供達が治るまでここに住めばいいと思うわ。丁度だれも住んでなかったから」 「ゆ!ありがとうぱちゅりー。そうさせてもらうね。」 「それじゃあわたしは自分のおうちにかえるわね。ゆっくりしていってねれいむ。おちびちゃんたち。」 「「「ゆっくりしていってね(ゆっきゅりしていっちぇにぇ)」」」 ぱちゅりーが出て行って、れいむと子ゆっくり二匹になったれいむ一家。 「おきゃーしゃん ゆっくちゆっくち」 子ゆっくりたちが母れいむに甘えてくる。れいむはそれをすりすりで返した。 (れいむたちはこれからゆっくりできる。でも・・でも・・まりさが心配だよ。きっとまだ生きてるよね!れいむ心配だよ。 おちびちゃんたちがもう少し大きくなったら探しに行くよ!だからまりさ・・絶対生きててね!) 頭に生えている実ゆっくりを見つめる。もうすぐ生まれるだろうと本能的にれいむは感じ取った。 「ゆぅ・・れいむのおちびちゃん・・安心してゆっくり生まれてね・・絶対れいむが守ってあげるからね・・・」 れいむはそう心に誓う。 それからのれいむ一家の生活はとてもゆっくりしたものであった。 子ゆっくりたちは成長し、野球ボールサイズからソフトボールサイズとなり、赤ちゃん言葉が抜け、そして肌は昔のように柔らかさとハリを取り戻していた。 子ゆっくりたちは寝た切りの状態から赤ゆっくりと同じくらいの運動量をこなせるくらい回復していた。 頭からはまばらではあるが、うっすらと髪の毛が生え始め、その色の違いによりれいむかまりさかを見分けることができる。 そして新たに生まれた赤ちゃんゆっくり。蔦に成っていた実ゆっくりの最後の生き残りである赤れいむは元気に生まれ、今は帽子のない姉たちと元気に遊んでいる。 その赤れいむはいまや家族のアイドル的存在である。れいむは赤れいむを見るたびにこのおちびちゃんをまりさに見せてあげたいと思うのであった。 「おちびちゃんゆっくりしていってね!」 「おねーちゃんゆっくちゆっくち」 「おちびちゃんたち!ゆっくりしてるね!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくり(ち)していってね(にぇ)!」 子供たちは赤ゆっくりと鬼ごっこをしたり、ゆっくりごっこをしたりでとても生き生きとしていた。 「ふわあああああ〜〜〜むにゃむにゃ・・・れーみゅもうちゅかれちゃよ・・・ゆっきゅりおひるねしちゃいよ」 「ゆっ!そうだねおちびちゃん。おねーちゃんたちと一緒にお昼寝しようね!」 そういって昼寝を始める子供達。母れいむはそれを見ながらゆっくりした気分に包まれていた。 今の家族はすべてこの赤れいむが中心に回っていると言っても過言ではない。赤れいむは一家にとってはとっても愛らしく、可愛く、まるで天使のようであった。 それから子供達を起こさないようにそっと巣(仮)を出て、昼寝から覚めた後のおやつとなるものを探しに回る。 まりさのことは心配だ。しかし、今は子供達を自分の力で生きられるようにすることが先だろう。まずはえいよーのあるものをしっかり食べて成長することが第一。 れいむはそれがまりさの願いでもあると考える。 「ゆふふふふ・・おちびちゃんたち喜んでくれるかな・・」 れいむはやわらかい花を口にくわえ巣へ戻る。 巣では子ゆっくり達と赤れいむが仲良く寄り添い、ゆーゆーと言いながら寝ていた。 「ゆっくりしたおちびちゃんたちだね!れいむうれしいよ。」 れいむは子供達が起きないように静かに巣に入ったが、赤れいむはその気配に気づき目が覚めた。 「ゆぅ〜おきゃーしゃん ゆっくちおはよう!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!おちびちゃんたち!おやつもってきたよ!」 「ゆわーい」 「おやつおやつー」 「ゆっくち、ゆっくち」 子ゆっくりは花にかぶりつく。うっすらと甘い味、フローラルな香りがとてもゆっくりさせてくれる 「「むーしゃむーしゃ ゆゆ〜しあわせ〜」」 赤れいむには母れいむが噛みほぐしたものを口うつしで与えてやる。 「ゆー しあわしぇー!」 親ゆっくりも子ゆっくりも赤れいむもそこでの生活は何もかもがゆっくりできた。ずっとここにいたい。ここには「ゆっくり」がある。 だがそんなゆっくりした生活はもう終わる。 なぜなら人間が連日の仕事を終え、一家を探し始めたからである。 「ちっ、この付近にはあの糞饅頭いないっぽいな」 男は忌々しげに舌うちをし、足元に転がっている成体のゆっくりまりさを蹴り飛ばす。 ズン!!「ゆげぇ!!」 蹴られたまりさは10メートルほど先に落下した。 「まりさああああああああ!!!」 「おとおおおしゃああああああん!!」 それを見ていたれいむと子ゆっくりたちは声を上げる。 男はあのまりさの妻であるれいむとその子供達を探しに森まできていた。 その際ゆっくりを見つけては禿げた子ゆっくり二匹を連れたれいむは知らないかと聞きまわった。 知らないと答えたゆっくりはみな適度に重傷を負わされ、まむまむを割かれ、目を潰され、舌を引き抜かれた。男は子供も大人も区別なく平等にそれを行った。 今この男によって新たに捕えられた一家が男の尋問を受けている。 一家がおさんぽ(笑)中に歌を歌いながら歩いていたのを男に発見されたのだ。 一家の構成は親れいむ、親まりさ、子れいむ×3 子まりさ×2であった。 ゆっくり一家は一切拘束は受けていないが、逃げたら犬に食い殺されることを知っている。 なぜなら、この一家の親達は子供だけでも逃がそうとした。その際一番早く逃げようとした子まりさに向かって、ゆっくりでは一生かかっても出せない 速度でカツオが飛びかかり、食い殺したのであった。次にその妹であるれいむを食い殺した。 まだ子供は3匹残ってはいるが、犬による圧力で、一家全員金縛りにかかりそこから動くことができない。 「なあれいむ・・お前は知らないのか?正直に答えてくれたら助けてやるぞ。その苦しみから解放させてやる」 「ゆ・・・ゆゆゆゆゆ・・・しらないよ・・・・ほんとうに知らないよ・・・おちびちゃんだけでも逃がしてほしいよ・・・・」 泣きながらガタガタと震えれいむは男に懇願する。 「そうか知らないのか。ならこんな舌はいらないよね。こんなまむまむはいらないよね。こんな目はいらないよね」 そう言うと男は子れいむを持ち上げる 「ゆっくりやめてね!おちびちゃんを放してね!」 男はそれを無視し、子れいむに手を伸ばす。 恐怖を感じた子れいむは親に助けを求める。必死に。 「おぎゃーしゃーんたすけてえええええええええ「ブスリ」ぴぎゃああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!?」 人差し指を子れいむのまむまむに深く突き立てる。子れいむの全身から謎の液体が大量に分泌されぬるぬるぬめぬめしてくる。 「だいじょうぶだって!こんなのすぐ終わるんだから」 突き立てた指をぐりぐりと回し、その穴を広げ、その広がったスペースに中指も入れる。その際子れいむのまむまむは裂けた。 「いぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 指を引き抜き、手をチョキの形にし、両目に指を突き立てる。 「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」 「やめてええええええええええええええええええええええ!!!!?おちびちゃああああああああああああああああん!!!??しっかりしてえええええ!!!?」 「れいむおねえちゃああああああああああああああん!!!?」 指を抜いても未だ悲鳴を上げ、大きな口をあけている子れいむ。男はその大きく開けられた口に、手を無理やりその口に入りきれない手を突っ込む。 その際、口の端がぶちぶちと音を立てて裂ける。 「ゆぐぐぐっぐぐっぐうぐぐ!!!??」 たまらずさらに悲鳴を上げる子れいむ。男はその悲鳴を無視し、ぬるぬるした舌を全力で掴み一気に引き抜いた。 ブツッ!!! 「!!!!!!!????????????!!!!!!!!?????」 悲鳴は消えた。代わりに物凄い形相をしてしーしーとうんうんを撒き散らしながら、ビッタンビッタンと跳ねまわる子れいむが居た。 子れいむの周りには無理やり手を突っ込まれた事により折れたり抜けたりした歯がいくつも転がっていた。 「おちびちゃああああああああああああああああん!!!?」 今度は子まりさに同じことをしようと手を伸ばした瞬間 「やめてね!!!!!」 先ほど蹴り飛ばした親まりさが叫んだ。 「まりさ達は知らないけど、この森をあの山に向かってずっと行ったところにドスのいる群れがあるよ・・・そこなら誰かそのれいむの居場所知ってるかもしれないよ・・・ まりさ達はしらないよ・・・お願いだよ人間さん・・もう酷いことしないで・・・まりさ達を見逃してほしいよ・・・・・」 まるい身体をクニって曲げている。本人は土下座のつもりだ。 (ふむ・・・どうやらこの一家は何も知らないみたいだな・・・このままこいつらを尋問を続けるのは時間の無駄か。 ドスの群れまで行って適当に捕まえた奴を尋問したほうがいいかもしれないな) 「わかった。尋問はもうやめてやる。俺も忙しいしな。情報を提供してくれた礼だ。楽に死なせてやる・・」 「ゆへ?」 男はまりさのところまで全力で助走をつけ、渾身の力を込めて蹴りあげた。 ドグシャッ!!「ゆべっ」 まりさは鈍い音を立てて、餡子を飛び散らせながら勢いよく木に激突し爆ぜた。 「ゆ・・・・?まりさ・・・?」 「おとうさん・・・?」 「ゆっくり・・・ゆっくり返事してね・・・?」 現状を把握しきれていないゆっくり一家。 「カツオ。食ってもいいぞ」 把握する間もなく死なせてあげようとするのは男の情報をくれたゆっくりに対する僅かな慈悲でもあった。 カツオがその言葉が発せられた途端、爆発するような速度で親れいむとの間を縮め、食らいつき、右側頭部を食い千切る。 「ゆぎゅ!!?」 側頭部の皮を飲み込んだ後、餡子をひたすらガフッガフッと音を立てながら貪るカツオ。 「ゆぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!まりざあああああああああたずげでええええええええ!!!?」 「おきゃあああああああしゃああああああん!!!?」 「ゆっくりしてええええええ!!!」 恐怖と痛みにより甘みを増した餡子を美味しそうに貪るカツオ。れいむの反応が段々と小さくなり 「ゆゆゆゆ・・・ああああああああああああ・・・ああ・・・お・・・・ち・・・・・・・に・・・・・げ・・・」 餡子を食い漁られまともに言葉を発することができないれいむ。 そのれいむが最後に見たものは、 愛する「おちびちゃん」が一匹残らず脳天から男の足に踏み抜かれ、 目やあにゃる、ゆっくりの身体の所々から命の素である餡子を盛大に噴出し、 そのあまりにも短い生涯を終える光景であった。 次
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/4220.html
『だいりしゅっさん 前編』 66KB 制裁 不運 誤解 妊娠 同族殺し 群れ ゲス 希少種 自然界 人間なし ナナシ作 *この物語はフィクションであり、登場する団体・人物などの名称はすべて架空のものです。 *人間は出ません。 *まだ前編なんでスッキリしたい人は見ないほうがいいかもしれません。 やっぱまだ前編なんでイライラします。 その広場は異常なまでの興奮に包まれていた。 怒り、憤り、腹立ち、敵意、そういった不の感情が周囲に渦巻いている。 そしてそれらの感情は全て広場の中央にいる二匹のゆっくりの番いに対して向けられていた。 広場を覆いつくさんほどの大量のゆっくりたちが囲むようにしてその番の周りに集り、口々に罵りの声を上げているのだ。 「せいっさいしろ!げすをせいっさいしろ!」 「そうだ!そうだ!おちびちゃんをもてあそぶようなくずはせいっさいしろ!」 「ゆっくりとしてのそんげんをふみにじる、とんでもない、いなかもののこういだわ!」 「かけがえいのない、おちびちゃんのいのちを、なんだとおもってるの!」 「これは、ゆんっけん(ゆん権)むしも、はなはだしいこういだよ!はじをしってね!」 「ゆっくりのくずが!」 周囲に集まっているゆっくりたちはみな自分たちは絶対的正義の使者であり、中央のゆっくりを糾弾することがその証明だとばかりに声を張り上げている。 その勢いたるや、今にも中央にいるゆっくりに襲い掛からんばかりである。 だがしかし、いくら罵声がヒートアップしても実際にそれを行動に移すものはいない。 まだその時ではないからだ。 判決が出るまでは、いかな罪深いゆっくりといえ制裁されることはない。 正義の使者(だと思い込んでいる)である自分たちゆっくりは、罪が確定するまでは罵声にとどめるだけの分別をもっているのだ。 そう、自分たちは、今中央で不安げな顔をしている番のようなゲスなゆっくりとは違う。 「静粛に!静粛に!いつまでも騒いでいるようなゆっくりはこの場からつまみ出しますよ!」 と、ここでなおも続く罵声の嵐を切り裂くように、厳かでよく通る声が広場に響き渡った。 その声の主は、広場の中でも全体が見渡せる場所にある、一段高い切り株の上に鎮座している一匹のゆっくりであった。 それは見慣れないゆっくりだった。 緑色の髪の毛、派手な装飾のお飾り、この騒ぎの中にいてまるで動じない超然とした態度。 そこらの野良ゆっくり野生ゆっくりとは明らかに格が違う、何か特別な雰囲気を漂わせている。 そしてそれを象徴するように、そのゆっくりの一声により、徐々に静けさを取り戻していく広場のゆっくりたち。 このことからも、今この場を支配しているゆっくりが彼女であることは明らかだった。 もとよりこのゆっくりがいるからこそ、今この場はかろうじて一定の秩序が保たれているのだ。 「それではこれよりゆっくり裁判をはじめます。 被告ゆんは前へ!」 切り株の上のゆっくりが静かに言い放つ。 それを聞いて今まで中央で責められていた番のうち一匹が、やや震えながらもゆっくりと前に進み出る。 「私はゆっくりが言ったことを白黒はっきりつけることができます。 つまり嘘は無意味だということです。 くれぐれも虚偽の証言をすることがないように。 わかりましたね」 やってきたゆっくりに対し切り株の上のゆっくりはそう忠告する。 その忠告に対し無言でうなずくゆっくり。 「いいでしょう。 でははじめから話してください。 なぜこんなことになったのかを」 「ゆっ!まりさは、まりさはね……」 促されポツポツと話し始める一匹のゆっくり。 ことの発端は今から一月ほど前のことだった……。 あるところに一組の若いゆっくりの番がいた。それはまりさとありすの番である。 まりさは群れ一番の狩の名手で、毎日沢山の食料を集めることができた。 その上勇敢で頼りがいがあり、みなが集団で行動するとき、その中心にはいつもまりさの姿があった。 このまりさには自然とゆっくりを引き付ける、リーダーとしての器が備わってたのだ。 今群れの長をしている老ぱちゅりーも次期長にはこのまりさを、と目しているほどである。 そして、その番であるありすは群れ一番の美ゆっくりで、その美貌は道を歩けばみなが振り返るほどだった。 しかし本人はそのことを全く鼻にかけず、どんなゆっくりにも優しく平等に接したため、 彼女を嫌うゆっくりは群れには誰もいなかった。 この誰もがうらやむような二匹の番はとても仲がよく、この先の将来も何の問題もないかと思われていた。 が、しかし世の中そう上手くはいかないもの。二匹が番になってからしばらくして大問題が発生した。 なんと、この二匹はおちびちゃんをつくることができなかったのである。 多産なことで有名な(といっても生物界全体として見ればそれ程でもない)ゆっくりは、スッキリという行為をすれば、 すぐさま頭から茎が生えてきて多数の赤ゆっくりを宿すはずである。 しかし、このまりさとありすの番はどれだけスッキリしても、一向にその気配がなかった。 何度すっきりしても、どちらが母体となってもだめなのである。 それならばと、今度は植物妊娠ではなく、胎生にんっしんでも試してみた。 しかし結果は同じことであった。 やはり何度試してみても、どちらが母体になっても、一向ににおちびちゃんができる様子はない。 原因はまったく不明であり、二匹は幸せな生活から一転、失意のどん底におちいったという。 ゆっくりにとって、というかほとんどの生物にとって、生きるための目的とは自らの子孫を残すことである。 何故そうなのか?という問いに答えられるものは今のところいない。 とにかく生まれつきそういう風になっているとしか現時点では言いようがないし、多分これから先も明確な答えが示されることはないだろう。 ただ確実なことは、世界の生物群はこの次世代の子孫を残すためにありとあらゆる工夫を凝らしているということだ。 もちろんゆっくりもその例にもれない。 ゆっくりは基本的におちびちゃんを作ると、この上ないゆっくりを感じると言われている。 だがそれはこの子孫を残すという生物学的使命を全うするための工夫の一つであり、だからこそしきりにおちびちゃんを欲しがるというわけだ。 だがこう考えると、ゆっくりがおちびちゃんを作りたがるのは、新たなる生命のためではなく、ただ単に自分がゆっくりしたいだけなのでは? という問いが発生する。 おちびちゃんができたからゆっくりできるのか、ゆっくりできるからおちびちゃんを作るのかという問題である。 それにまつわる悲劇(喜劇?)的話も数多いが、それはまた別の話である。 つまり今何が言いたいのかというと、おちびちゃんを作れないということは、ゆっくりにとってはとにかく最高にゆっくりできないということだ。 それこそ生きる意味を失うほどに。 さて、こうしたわけで、どうやってもおちびちゃんができないという、ゆっくりとしては最大級の不幸に見舞われたまりさとありす。 この不可解な現象に対しては、もはや自力での解決は不可能と見て、二匹は森一番の知恵者であり、この群れの長でもあるぱちゅりーに相談に行くことにしたのだ。 そして、二匹は長ぱちゅりーから衝撃の事実を聞かされることになる。 「むっきゅー!そんなにすっきりしてもおちびちゃんができないということは、 これはどちらか、あるいはりょうほうが、ふのうゆっくりということね」 「「ふっ、ふのうゆっくり?」」 長ぱちゅりーから発せられた、不能ゆっくりという聞きなれないが、何ともゆっくりできなそうな単語に思わず顔を見合わせるまりさとありす。 「むきゅ!そうよ! ごくまれにだけれど、どんなにすっきりしても、ぜったいにおちびちゃんができないようなゆっくりがいることがあるの! それがふのうゆっくりよ!まあ、うまれつきのびょうきのようなものね! あなたたちのどちらかが、そのふのうゆっくりであるかのうせいがたかいわ!」 「「ゆっ、ゆええええええ!そっ、そんなあああああああああ!」」 余り衝撃に仰天するまりさとありす。 「……そういえば、ありす、 あなたのりょうしんのどちらかは、もとかいゆっくりだったわね!」 「ゆえ!そっ、そうだけど……。 それがいったい……」 ショックの抜けきらないありすに、長ぱちゅりーが意図のわからない質問をする。 「むきゅー!もしかしたら、げんいんはそれかもしれないわね! かいゆっくりは、きょせい、というほうほうで、 じんこうてきに、ふのうゆっくりにされてしまうことがあると、きいたことがあるわ!」 「なっ、なんですってえええええええええええ!」 「ゆあああああああ!なんでええええええええええ!」 再びもたらされた驚愕の事実に、またも大声を上げるまりさとありす。 「そんな!そんなのうそよ!だって、ありすはそんなきょせいなんて、されたきおくぜんぜんないわよ! というかそもそも、ありすがうまれたのは、ありすのりょうしんが、かいゆっくりをやめてからなのよ! だからそんな、ふのうゆっくりになってなってるはずないわ!」 いやいやするように、首を振り、必死に長ぱちゅりーの言葉を否定するありす。 「むきゅー!たしかにありすがうまれたのは、りょうしんが、のらになってかららしいけど、 じっさいにりょうしんがにんっしんしたのは、かいゆっくりじだいのときのはずよ! あなたのおやがこのむれにやってきたときには、すでにあたまに、みゆっくりである、ありすがなっていたからね! にんげんさんはね、ゆっくりがうまれるまえにきょせいすることもできるらしいの! おそらくありすは、まだちいさい、みゆっくりだったころに、じぶんでもきづかないうちにきょせいされてしまったのよ!」 「んなっ!そんな!そんなひどいことが……」 ガックリとうなだれるありす。 「ゆぐぐぐぐ!ひどい!にんげんはなんてひどいことをするんだよおおおおおおおお!」 そして人間のあまりの所業に怒りをあらわにするまりさ。 何の罪もないゆっくりを、生まれてくる前の実ゆっくりの段階できょせいをし、おちびちゃんを作れなくしてしまう。 なんて恐ろしくもおぞましい行為なのだろう! 人間たちはゆっくりを奴隷にするだけでは飽き足らず、ゆっくり最大の幸福であるおちびちゃんを作るということさえも奪い取ってしまうのだ。 それはつまりゆっくりを完全に『モノ』にするということだ。 神をも恐れぬ生命に対する冒涜! 許せない!絶対に許せない! 今、まりさの中ではゆん生最大の怒りが燃え上がっていた。 「…………むきゅう!」 ギリギリと歯を食いしばり憤りをあらわにするまりさを傍目に、長ぱちゅりーはやや複雑な表情をしていた。 ついうっかりこの話をしてしまったのは失敗だったかもしれない。 そんな感情が長ぱちゅりーの表情には表れていた。 長ぱちゅりーはありすが悲しむ理由もまりさが怒る理由もよく分かっていたが、だからといってそれらに同調して悲しんだり怒ったりする気にはなれない。 それとは別に長ぱちゅりーはありすの両親がこの群れにやってきたときのことを思い出していた。 あえて長ぱちゅりーは言わなかったが、ありすの親にあたる親ありすと親まりさはこの群れにやってきたときは二匹ともボロボロであり、 親ありすの頭に茎にはかろうじて一匹だけの実ゆっくりだったありすがが成っている状況で、さらにその親ありすのお飾りには何かを強引に引き剥がしたような傷が残っていた。 親ありすは長ぱちゅりーに対して、自分は元飼いゆっくりで、飼い主のところから逃げてきたのだと主張したが、ここまでお膳立てがそろっていれば、 少し賢いゆっくりなら一体何があったかなど容易に想像がつく。 恐らく飼いゆっくりであった親ありすが、野良だったまりさと勝手にすっきりして子供を作り、それが飼い主の逆鱗に触れ捨てられたのだろう。 もし本当に親ありすの言った通り自力で逃げてきたのなら、バッジが剥がされたような跡が残っているのは不自然だし、 飼い主の勝手な都合で捨てられたケースのゆっくりならば、はじめから素直にそう言うはずだ。 嘘をつくということは、そこに何か後ろめたい理由があるからだろう。 こんなケースは至極ありがちな話しだし、都会にやや近い場所にあるこの場所には同じような境遇のゆっくりが群れの迷い込んでくることはたまにある。 その後ありすを出産した親ありすは、なれない野生生活によりあっという間に死亡。 さらにまたしばらくして親まりさも後を追うように死亡。 現在にいたるというわけだ。 まだ生まれていない実ありすに、去勢処理が施されていたのは元飼い主の悪意の置き土産げといったところだろうか。 そんなわけで長ぱちゅりーは、別にありすに何の罪もないことはわかっている。それは間違いない。 でもだからといって人間が完全に悪かと言えばそれは少し違う。 恐らく先に人間との約束を破ったのは飼いゆっくりだった親ありすだからだ。 では親ありすが全ての原因なのかと言えば、それまた違う。 親ありすは好きで飼いゆっくりという立場になったわけではないかもしれないし、 それこそ人間の勝手な都合で、その地位にはめ込まれていただけかもしれないのだ。 そもそも飼いゆっくりという行為自体に問題があるという話だってある。 じゃあやっぱり人間が悪いのかというと、やはりそう単純にもいかず、そもそもゆっくりと人間とでは力関係が……。 ……と、まあこんな風に人間とゆっくりの関係は一概に善悪で片付けられない複雑な事情や要素が絡み合っている。 単純にゆっくりが悪い、人間が悪いと二元論的に片付けられる話ではないのだ。 人間によって引き起こされたありすとまりさの番に対してこの仕打ちは間違いなく悲劇ではあるが、これが元で一方的に人間に敵意をもたれても長ぱちゅりーは困ると考えていた。 何故ならその感情は群れを滅ぼす要因になりかねないからだ。 ゆっくりの感情は伝染しやすい。 それは根本的に理性の部分が未熟だからである。 人間で言うところの赤子がしゃべっているようなものだ。 腐ったみかんではないが、群れ内に一匹酷いゲスがいると、それに引っ張られ群れ全体がゲス化してしまうことも珍しくない。 それと同じように、群れ内に非常に強く人間を憎む固体がいると、みなそれに同調し群れ全体が人間を憎み敵対感情を持つようになってしまう可能性がある。 人間の所為で去勢され、おちびちゃんがつくれなくなった、などというもっともらしい大義名分があればなおのことである。 そんなことにでもなれば、人間の生活圏にやや近い場所にあるこの群れはちょっと困ったことになる。 人間を制裁しろ!などとバカなことを言い出す輩が出てこないとも限らない。 もちろんこの群れにはあらかじめ人間の生活圏侵入してはならない、人間に接触してはならないという掟はちゃんとあるが、 いったんそういったムードが出来上がってしまうと、いかな長とはいえその流れを止めることは絶対にできないであろう。 群れの長として、それだけは絶対に避けなければならないことだった。 「ゆがあああああ!ゆるせない!ゆるせないよおおおおおおおおおおおお!ほろぼしてやる! げすなにんげんは、せいっさいだああああああああああああ!」 「むきゅ!まりさ!おちついて!」 なおも怒り心頭のまりさをなだめる長ぱちゅりー。 やはりというか、当然というか、まりさは人間への敵意を隠そうともしない。 だがここは落ち着いてもらわないと困るのだ。 「くやしいだろうけど、ここはこらえてちょうだい! まりさがここでおこっても、なんにもならないのよ!」 「ゆぎぎぎぎ!でも!でも……」 「きもちはわかるわ! でもこれはどうにもならないことなのよ! あきらめるほかないわ!」 「ゆぐぐぐぐぐぐ!」 「…………」 納得できない表情でギリギリと歯軋りをするまりさ。 先ほどからうつむいたまま一言も発しないありす。 今二匹の体内では、やり場のない怒りが矛先を求めてのた打ち回っていることだろう。 理不尽に与えられた、苦しみを吐き出すその先を。 そしてそんな状態の二匹に長ぱちゅりーが何を言ったところで恐らく聞きはしないだろう。 というかむしろ逆効果だ。 それくらい長ぱちゅりーにだってわかっている。 だから長ぱちゅりーは別方面から攻めることにした。 「むきゅ!それとこれはじゅうようなはなしなんだけど、ありすがふのうゆっくりだということは、むれのみんなにはくれぐれもないみつにね!」 「……ゆえ?」 今までうつむいていたありすが、怪訝そうな目を長ぱちゅりーに向ける。 「ふのうゆっくりはね、ほかのゆっくりにでんせんする、といううわさがあるのよ! 「「!?」」 「しんぱいしないで!もちろんこれはただのうわさで、なんのこんきょもないし、じっさいにふのうゆっくりがうつることもないわ! でもね!いくらうわさとはいえ、そういうはなしがあるいじょう、このことはかくしていたほうがいいわ! ありすをみる、むれのみんなのめがかわってしまうかもしれないからね! ぱちぇはね、これいじょうありすたちにふこうになってほしくないの!これはあなたたちのためなのよ!」 このことは群れのみんなには内緒にしておけと、そう力説する長ぱちゅりー。 不能ゆっくりが伝染するという噂。 もちろんこれは長ぱちゅりーが今適当にでっち上げた嘘だ。 そんな噂は実際にはない。 いや、もしかしたらあるのかもしれないが、少なくともこの群れではそんな話はない。 では何故こんなことを言うのかというと、それは群れ内に反人間感情を蔓延させないためである。 人間によって去勢されてしまったありす。 そんなありすに対して、人間を恨んではいけないと説くのもナンセンスな話だろう。 何を言ったところでその胸に芽生えた怒りは決して消せない。 それだったらその芽が表に出ないようにすればいいのだ。 まりさとありすが、心の中でずっと人間を恨み続ける分には問題はない。 それを表に出しさえしなければ。 だから長ぱちゅりーはこのことを言いたくても、言えない状況を作り出したのだ。 「……ゆうわかったよ」 「……ゆっくりりかいしたわ」 長ぱちゅりーの話に力なく頷くまりさとありす。 こうして長ぱちゅりーは、ありすが不能ゆっくりであること、そしてそれが人間の手によって引き起こされたということを固く口止めすることに成功したのである。 しかしこのことは後に事態をややこしくする一因となるのだが、今の段階でそのことを長ぱちゅりーはそれを知るよしもなかったのであった……。 それからしばらくの月日が流れた……。 あの長ぱちゅりーからの相談後のまりさとありすの二匹の生活は酷いものだった。 前に述べた通り、ゆっくりにとっておちびちゃんを作ることはゆん生の目的なのだ。 それができないとなれば一体何のために生きているというのか分からない。 自身の進むべき、ゆっくりへの道を見失った二匹の生活は荒れた。 まずまりさは、今までの活動的な生活が嘘のように物事に対して消極的になった。 自ら中心となり、集団での狩の指揮を取っていたのはもう過去のこと。 今では、覇気もなく、一匹ひょこよこと寂しくどこにでも生えているような草や木の実をみすぼらしく集める程度の狩しかしない。 不審に思った他のゆっくりが、まりさを集団での狩に誘ってもまりさは、「もうまりさには、そんなにたくさんのしょくりょうはいらないんだよ……」 と、寂しく笑い断られてしまう。 この変貌振りには皆顔をみあわせて不審がった。 あの群れ一番の狩上手のまりさがなぜ?と。 ありすの場合はもっと酷かった。 自分が原因でおちびちゃんが作れないと知ったありすは失意のどん底にあった。 そして、今までしていた一切の活動をやめてしまったのだ。 まりさは、まだ狩など生きるための最低限の活動をしているのに対して、ありすは自身を取り巻く環境に対して全くの無気力となったのだ。 日がな一日何をするでもなく、ずーっとただただ虚空を見つめて過ごしている。 それはよくあるゆっくりが、おうちで何もせずにゆっくりしているという行為とは根本的に違う。 本当に『何も』していないのだ。『ゆっくりする』という行為すらしていないのだ。 一応まりさが話しかければ反応するし、採ってきた食事を差し出せばそれを食べることはする。 しかしそれだけだ。 まりさが狩などをしておうちにいないときなどは、だたひたすらおうちにこもり、無になっている。 何も事情を知らないものがこのありすを一目見れば、このありすは死んでいると思うことは間違いないだろう。 そんなわけで、今まで小奇麗に手入れされていたおうちは荒れ果て、身だしなみに関心を払わなくなったありすの肌は荒れ、 髪の毛はぼさぼさになり、栄養状態が悪いために、体系も健康的な丸型から徐々に不健康で見栄えの悪い瓢箪型に推移していった。 群れ一番の美ゆっくりだったのが、今では見る影もない。 やはり直接の原因をしらない群れのゆっくりたちは、何故こんなことに、と困惑するばかりであった。 そして群れのゆっくりの中には心配のあまり、長ぱちゅりーのところにまりさとありすの二匹の様子がおかしいが大丈夫か? と、相談に行ったゆっくりも何匹かいたのだが、長ぱちゅりーは「あのにひきは、いまちょっとちょうしがわるいだけよ!しばらくすればまたげんきになるわ!」と、口を濁すにとどまった。 当事者である二匹のほかに唯一事情を知っている長ぱちゅりーではあったが、本当のことを群れのゆっくりたちに教えるわけにはいかない。 長ぱちゅりーとしても、今のまりさたちの状態は気の毒だと思ったし、真実をみんなに話せば、群れのみんなはまりさたちに同情したり、励ましたりして、 事態が多少なりともよくなる可能性はあった。 だがそれはできない相談だった。 まりさたちに向けられるその同情心が、何かの拍子に人間に対する敵対心や憎しみに昇華されてしまっても困るのだ。 やはりまりさたちは、自らの手でこの現状から這い上がるしか手はなかった。 「……ゆふぅ」 まりさは、疲れた溜息を吐いた。 まりさが現在いる場所は、森の狩場にある中間地にあたる。 ここは狩場の中では比較的浅い階層で、この辺にある獲物はろくなものがない。 以前のまりさならばこんな場所で狩などせず、もっと奥のほうへ大物狙いで進んでいったものだったが、 今のまりさにはそんな気力はまったくと言っていいほど湧き上がってこない。 ただまりさは漫然と考えていた。 どうしたらこの最悪にゆっくりできない状況を打破できるのかを。 やはりこうなった原因である人間に復讐をし、この理不尽を押し付けるのがゆっくりできる道なのだろうか? いやいや、それは意味のない行為だろう。 以前に長ぱちゅりーから、ありすが不能ゆっくりになったのは人間の所為だと聞かされたときは、 怒りと興奮で目の前が真っ暗になり、人間を制裁することしか考えられなかった。 だがあらためて冷静になって考えてみると、それがいかに浅はかな考えだったかがわかる。 いや、もちろん今でも人間たちのことは憎いのだ。その気持ちにはいささかの変化もない。 だがそれと復讐を実行するかということは別問題ということだ。 第一いったいどの人間が、ありすの元飼い主なのかまりさたちには判別する術がないし、 そもそも力だけは強い人間に、自分が勝てるかどうかもわからない。 ほかのゆっくりの力をかりようにも、不能ゆっくりは伝染するという噂がある以上、事情を群れの他のゆっくりに説明することができないし、 それに、仮に人間を倒せたとしても、それでありすがおちびちゃんをつくれるようになるわではないのだ。 それはではまったくの徒労であり、危険を冒す意味のない行為だ。 まりさにとって、最優先すべきはクソ人間を制裁することではなく、ありすと自分の未来のことのなのだ。 人間は死すべき邪悪な存在だが、今はそれにかまっている場合ではない。 「ふう!おちびちゃんさえいればなぁ……」 そう毒づくまりさ。 こう呟くのもう何度目になるだろうか? やはり何度考えても結論は同じ。今のこの袋小路を脱出するにはおちびちゃんをつくるしかないのだ。 おちびちゃんさえいれば、ありすは元気を取り戻すだろうし、まりさもしあわせーになるし、何もかもが上手く回り出すに決まっているのだ。 しかしそのおちびちゃんをつくるということが最大の問題なのだ。 何せありすは一生おちびちゃんを作ることができない体なのである。 解決策は分かっているのに、そのための手段が完全に閉ざされているもどかしさ。 ゴールは見えているのに、そこにいたるまでの道筋が断絶されているというどうにもならない悔しさがまりさを蝕む。 「ゆぐぐぐぐぐぐ!」 頭の中がゆっくりできない思考で埋め尽くされ、苦しげな唸り声をあげるまりさ。 ちきしょう!おちびちゃんさえいればこんなに辛い思いをしなくてすむのに! どうしてまりさのところには、おちびちゃんはいないんだ! もう、こうなったら贅沢は言わない! おちびちゃんだったらなんでもいい! そうだ!いっそのこと他のゆっくのおちびちゃんを盗んでくれば! 「……ゆはっ!」 ふと正気にもどるまりさ。 いけないいけない、あまりのゆっくりできなさに、危険な考えに囚われてしまっていたようだ。 いくらなんでも、誘拐は駄目だ。 群れ内でそんなことをすれば、一発でばれるに決まってる。 そしてことが露見すれば当然制裁をくらうだろう。 試す価値もない愚作である。 ……しかし。 だがしかし、今の着想そのものはよかったのかもしれない。 この際必ずしも、おちびちゃんが自分とありすとのおちびちゃんでなくてもよいのではないか?という考えは割りと盲点だった。 ありすはもう永遠におちびちゃんを作れない体だ。 これはもう動かしようのない事実であり、努力ではどうにもならないことだ。 しかし自分はどうだ? 自分は恐らく、ちゃんとおちびちゃんを作れる体のはずだ。 だったら……。 「ゆむむむむ!」 まりさの頭の中では、ある一つの考えが形になりつつあった。 それは群れでは今までまったく前例がない行為であった。 しかし、群れの掟でそれをしてはいけないなどという戒めはない。 「これは!いけるかもしれないよ! でも、これはまりさだけのはんだんじゃきめられないね! ありすにそうだんしないと!」 そう呟くと狩場を後にするまりさ。 その確かな足取りは、今までのような無気力なものではなく、ある希望に満ちていた。 数日後。 「ゆふぅ!きょうもゆっくりしてないねぇ!」 ここは群れのとある場所。 狭いおうち内で一匹佇み、不満げな溜息を吐いているゆっくりがいる。 それは群れ一番の怠け者で有名なれいむであった。 「ああ、つまらない!まったくおもしろくないまいにちだよ!」 れいむは不満だった。今の自分の現状がである。 ゆっくりしようにも、自らが食すための食料がまるでない。 食料がないとゆっくりできない。 そして食料を手に入れるためには狩にいかなければならない。 しかし狩に行くのはとんでもなくゆっくりできない。 だが、狩に行かないと、食料がないのでもっとゆっくりできない。 ああ憂鬱だ。 こんな生活にはいいかげんうんざりだ。 両親が生きている間はよかった、自分は何もしなくても自動的に食料が手に入ったから。 しかし、不幸な事故(野生生活ではよくあること)によって両親が永遠にゆっくりてしまってからは、れいむ生活は一変してしまった。 今まで両親にやらせていたことを全て自分でやらなければならなくなってしまったのだ。 これには困った、本当に困った。 本来なら両親が死んでからもしばらくは何不自由なく暮らせるほどの食料の貯蓄がおうちにはあったのだが、 最高にゆっくりしたゆっくりであるれいむにかかれば、そんなものは数日でペロリと平らげられてしまうのは当然のことなのだ。 おかげで最高にゆっくりできない毎日がすぐに到来してしまうはめになってしまった。 不幸すぎる。 れいむはとにかく動きたくなかった。 狩なんて面倒くさい行為などもってのほかだ。 そんなわけでれいむは、一時期自分の代わりに狩に行ってくれる番を群れ中探し回ったりもしたのだが、その全ては徒労に終わっていた。 れいむにとっては不幸なことに、あからさまなでいぶの気配を滲ませたゆっくりと番になるようなマヌケはこの群れにはいなかったというわけだ。 よってれいむはこの群れ内では珍しく、いまだ成体になっても独り身のゆっくりだ。 今日も今日とて一匹おうちの中でぐちぐちと益体のない独り言を繰り返し、日が傾いた頃になってようやくのっそりと狩に出かける。 本人は気づいていないが、周囲に餌が豊富にあるこの恵まれすぎた環境の群れでなければとっくに死んでいただろうことは間違いない。 れいむとはそんなゆっくりだった。 「ゆはぁ!ゆっくりできなけど、そろそろかりにいこうかなぁ! あーあ!だれかれいむにごはんさんをもってきてくれないかなぁ!」 今日もいつものように太陽が西に傾きかけた頃、ようやく狩に出かけようと思い立つれいむ。 気だるい体をひきずり、自分のおうちから外に出る。 これが平時ならば、やれやれ今日も最高にゆっくりできない時間の始まりだと憂鬱になるところだが、今日はいつもと少し状況がちがっていた。 何故ならおうちから出たれいむの目の前に、一匹のゆっくりの姿があったからだ。 それは、群れ一番の狩上手と噂されているまりさであった。 「ゆおっと!いたいた!やっとみつけたよ! どこのかりばをさがしてもいないからおかしいとおもったてたら、おうちにいたんだね! どうりでみつからないはずだよ!」 おうちから出てきたれいむを見つけるやいなや、親しげに話しかけてくるまりさ。 喋った内容から察するに、どうやらまりさはたまたまこの場を通りかかった、というわけではなく、 明確にれいむに用があるらしい。 「ゆっ!ゆゆ?まりさ!なんなの? れいむになにかようなの!」 自分を訪ねてきたらしいまりさに対して、やや突っ慳貪な態度をとるれいむ。 というのもれいむはこのまりさにあまりいい印象を持っていないからだ。 れいむとまりさは初対面ではなく面識があった。 何を隠そう両親が死んで途方にくれているれいむが番を探している時期に、一番に誘いに行ったのがこのまりさなのである。 無論まりさを番に選んだ理由は、群れ一番の狩上手という評判に釣られたからだ。 番が自分に貢ぐ食料の量は大いにこしたことはない。 いやむしろ自分というとんでもなくゆっくりしたゆっくりが番になってやるのだから、相手もそれぐらでなければ釣り合わないだろう。 と、まあそんな浅ましい考えのでまりさに告白をしたれいむ。 結果は勿論玉砕。 にべもなく断られてしまった。 この結果は誰が見ても至極当然のことだったのだが、当のれいむ自身にとっては想像だにしないほど意外なことであった。 何故これほどまでにゆっくりしているしているはずのれいむのプロポーズを断るのか?本気で理解できない。 思えばこれからだったのだ、れいむの本当の転落人生の始まりは。 これがれいむのゆん生初の失敗、挫折だったのだ。 今までの完璧にゆっくしていたゆん生に初めてケチがついた瞬間である。 この出来事のおかげで光り輝くれいむというブランドに、傷が付いてしまったのだ。 おかげで今じゃこのゆっくりできない有様だ。 まったくふざけてる。 その原因であるまりさが、いったい今更何の用だと言うのだ! 「ゆゆ!じつはね、まりさはれいむにおりいってたのみ……というかそうだんごとがあるんだよ!」 れいむの内心の思惑を知ってから知らずか、話を切り出すまりさ。 頼み?相談?自分にあれだけの仕打ちをしておいて、今更相談ごとなど冗談じゃない! 「ふざけないでね!れいむはいそがしんだよ! これからかりにいくんだから、じゃましないでね! さあどいたどいた!」 聞く耳持たないといった様子でおうちの入り口前で立っているまりさを強引に押し退け、狩場へ向かおうとするれいむ。 そんなれいむの背中に向けて困惑気味にまりさが言う。 「ゆゆ!れいむ、どうしたの?なんだかゆっくりしてないよ! そんなこといわないで、はなしだけでもきいてみてよ! これはれいむにとってもわるはなしじゃないとおもうよ! それに、はなしをきいてくれたら、きょうのぶんのごはんさんぐらいはまりさがふたんするよ!」 「ゆ!ほんと!ごはんさん!」 ごはんという言葉に反応し、ピクリと動きを止めるれいむ。 そしてそのままグルリと180度回転しまりさに詰め寄る。 「ゆゆゆ!ごはんさんくれるの!じゃあはなしはべつだよ!さっさとおうちにはいってね!はやくしてね!」 そう早口に言うと、さっさと自分のおうちに入るれいむ。 「ゆっ、ゆう……」 その変わ身の速さには、ややあっけに取られるまりさだったが、気を取り直して自らもれいむに続いておうちへと入っていく。 れいむにしてみれば、このまりさは確かに気に喰わない相手だ。 だがそれでも食料をもらえることにより、狩という最大限にゆっくりできない行為をしなくてすむというのなら対して気にはならない。 ようするにゆっくりの比較の問題だ。 れいむはそういうゆっくりだった。 「はやくしてね!はやくしてね!さっさとしょくりょうをだすんだよ!」 れいむは続いておうちの中へと入ってきたまりさを見るや、さっそく催促し始める。 これにはまりさも苦笑いで、「ほら」と帽子の中に入っていた食料をばら撒いた。 「ゆほほおお!ごはんさんだよおおおおお!たくさんあるよおおおおおお! ぜんぶれいむのものだよおおおおおお!」 目の前に散らばった食料の数々に目の色を変えるれいむ。 珍しい植物、捕まえるのが難しい昆虫類、本来なら手を出せないはずの高いところになる木の実など、 ここ最近はまずい草しか食べていないれいむにとって、それはらは涎がでるほどのご馳走だった。 「れいむ、それじゃまりさのはなしをきいてほしんだけど……」 「ゆん!なんなのはなしって!いっとくけどこのしょくりょうはもうれいむのものだよ! だれにもわたさないよ!」 「わかってるよ。それはもうれいむのものだよ! でもこれからまりさがはなすおねがいをきいてくれた、もっともっとたくさんのしょくりょうをあげるよ? まりさのはなしをきいてくれるかな?」 「ゆゆ!もっともっとたくさんんんんん!」 ピクリと体を震わすれいむ。 「ゆっ……ゆふん!しょうがないねぇ! まりさがどーしてもというのなら、はなしをきいてあげてもいいよ! はやくしてね!」 内心の動揺を悟られないように精一杯の威厳を込めてれいむが言う。 まりさはそんなれいむをみてやや呆れ顔だったが、いちいち指摘する気もないのかやがて口を開いた。 「まりさはね、おちびちゃんがほしいんだよ!」 「ゆん?」 まりさの相談の内容に大して、理解できないといった風な怪訝な表情をするれいむ。 れいむの記憶では、まりさは確かありすと番になっていたはずだ。 おちびちゃんが作りたいのならいくらでもスッキリして作ればいいではないか? 「なにいってるの?おちびちゃんがつくりたければ、かってにつくればいいでしょ!」 れいむは心の中で思っている疑問をそのまま口にする。 「ゆーむむむ……」 その率直な問いに対してまりさは苦々しい表情で呻る。 なんと言っていいか、どう説明したらいいかを思案しているような顔だった。 「えーっとねえ!はなすとながくなるんだけれど、つまりはこういうことなんだよ!」 まりさしばらく黙った後に、滔々と語り出した。 そのまりさの話を要約すると、つまりこういうことになる。 どうやらまりさの番であるありすは不幸な事故により大きな怪我を負い、それが原因でおちびちゃんが作れなくなってしまったらしい。 それからというもの、ありすは生きる希望をなくしたように無気力になり、自分も張り合いのない無意味な日々を送っている。 その状況を打破するためにはなんとしてもおちびちゃんが欲しいのだ。 そしてこの際、おちびちゃんは、必ずしも自分とありすの子でなくてもかまわないというのだ。 とにかくおちびちゃんが欲しい。ただそれだけが望みなのだと。 成るほど、話は分かった。 しかし……。 「それで、そのはなしとれいむといったいなんのかんけいがあるの?」 れいむは首を傾げる。 ありすとまりさがが大変にな目にあっているのは分かった。 それでおちびちゃんが欲しいという理由もよく分かる。 だが、その話のいったいどこに自分が関わってくるというのだ? れいむはそこが疑問だった。 「ゆゆ!まわりくどいことをいって、あとでもんくをいわれてもこまるからいまはっきりいうよ! れいむには、ありすのかわりに、まりさのおちびちゃんをうんでほしいんだよ!」 「……ゆへ?」 れいむはキョトンとする。 そしてしばらくの沈黙の後、大声を上げた。 「ゆええええええええええええ!それどういういみいいいいいいいいいいいいいいいいい!」 「そのままのいみだよ!ありすはもうおちびちゃんをつくれないんだ!だかられいむにかわりになってほしんだよ!」 まりさは、れいむの目を真っ直ぐ見て言い放った。 まりさの思い付きとは、生殖能力のないありすに変わってほかのゆっくりにおちびちゃんを生んでもらおうというものだったのである。 要するに代理出産だ。 「もちろんただでとはいわないよ! れいむが、にんっしんしてるあいだのしょくりょうのせわは、すべてまりさがせきにんをもつよ! そしておちびちゃんがうまれたあとは、そのおれいとして、たっくさんのしょくりょうをわたすことをやくそくするよ!」 「ゆむむむむ!」 まりさはれいむに対し、おちびちゃんを生んでもらう際の詳細な契約条件を説明した。 ゆっくりの口調でそれを語ると非常にまどろっこしいのでその内容を要約すると以下のようになる。 条件1 れいむはまりさとすっきりして、にんっしんする。このときの出産方法は胎生妊娠にすること。 条件2 にんっしん中のれいむの食料事情については、その全責任をまりさが負う。 条件3 生まれた全てのおちびちゃんの所有権は、まりさとありすの番が有する。 条件4 まりさは生まれてきたおちびちゃん一匹と引き換えに、報酬としてれいむに一月分の食料を支払う。 条件5 これらの取引の内容は主産前出産後に関わらず、一切他の群れのゆっくりにばらさないこと。 まりさが提示した取引の条件は以上の五つである。 無論これらの内容はすでにありすも了解済みのことである。 というかこの条件はありすと相談して決めたことだったのだ。 まりさはこのだいりしゅっさんを思いついた後に、一番にこのことをありすに提案したのだ。 ありすは自分以外のおちびちゃんを?と一瞬怪訝がったが、自分には絶対に出産不可能な現状と、半分はまりさの餡子が引き継がれているということで納得した。 なによりもありす自身、おちびちゃんの存在を渇望していたのだ。 こうして代理出産の方法をとることはあっさり決まった。 次はそれを実行するにあたっての具体的なプランである。 始めは誰か適当にスッキリしてくれる相手を探し、まりさが母体になり、おちびちゃんを生むという計画だった。 だが二匹で吟味した結果、その案は却下ということになった。 その理由として、まず第一にまりさが母体なった場合、その間の食料集めはどうするかという問題だ。 にんっしん期間中は動けない上に大量に食料がいる、さらに出産直後の母体は体力を消費しつくしているためしばらくは狩りに出れない、生まれたおちびちゃんの分の食料だってある。 それらの食料を、今の弱っているありすが一匹で用意することは絶対に不可能だった。 だったら事前に、食料を集めてから実行すればよいではないかと思うかもしれないが、まりさとありすの二匹はその案は眼中になかった。 二匹は一刻もはやくおちびちゃんが欲しいのだ。 事前にゆっくり準備してからなどとても待てない。 こうしてまりさが母体になるという案は却下された。 となれば、他に母体になってくれるゆっくりを探すほかない。 これは厄介な問題だった。 何せ母体になってくれる前提条件のゆっくりとして、成体かつ独身のゆっくりである必要があるのだ。 だが群れの生体ゆっくりのほとんどは、もう番を持っている。 独身ゆは数えるほどしかいないわけで、その中から選ばなければならないのだ。 しかも、出産するというのは一大作業だ。 まりさが母体になるパターンとちがって、ちょっとスッキリしてくれればあとはこっちで全部やるというのとはわけが違う。 妊娠することにより自身の自由が狭まれることを嫌うゆっくりは多いだろうし、それなりの見返りや報酬を用意しなければないだろう。 これらの条件をクリアできるゆっくりがはたして存在しているのか? まりさとありすは、吟味に吟味を重ねた。 そしてついにあるゆっくりに白羽の矢が立った。 それがこのれいむだったのだ。 まずれいむは成体であり独身ゆだった。 これで前提条件はクリア。 さらに群れ一番の怠け者であり、食料事情は決してよくはない。 そのくせ大の食いしん坊であり、常に大量の食料を求めているというのも好条件だ。 これは大量の食料で釣れば、多少の不自由は承知で話に乗ってくる可能性は高いということを意味する。 そして以前まりさに番になってほしいとプロポーズしにきたことがあるという事実。 これはまりさに好意を持っているといことだ。スッキリにそう抵抗もないだろう。 以上の要素により、このれいむに母体の依頼をするということが決定された。 さらに次に上がった問題として、おちびちゃんを生んでもらったお礼として、いったいどのくらいの食料を渡すか?ということがある。 この代理出産という行為は、当然ながら群れでは初めての行いである。 ゆえに前例がなく、当然渡す食料の量の相場など存在しない。 いったいどれくらいの量が適切なのか判断することは不可能で、それはまりさたちとれいむの交渉次第ということになる。 まりさとありすは相談の結果、渡す食料の量をおちびちゃん一匹につき食料一月分と定めた。 ハッキリ言ってこの量はゆっくりが何かを食料で取引する際の量としては法外なものである。 ゆっくりは基本的に越冬時以外は貯蓄という概念が薄いナマモノだ。 もちろん優秀なゆっくりは常時貯蓄は行っているが(その意味でれいむの両親は子育て以外は優秀なゆっくりだった)、 基本的なには狩りでとってきたものはその日のうちにすべて食してしまうのが当たり前だ。 ゆえに食料を人間でいうところの貨幣の変わりとして、何かと交換する習慣はあるにはあるのだが、あまり一般的ではない。 やったとしてもその量は一日か二日分の取引がせいぜいだ(無論群れの形態や文化、あるいは特殊なゆっくりの台頭によっての例外はいくつもあるが)。 そんな中での食料一月分の量とは、いかに法外というのがよくわかるだろう。 正直言ってこれほどの量を報酬としてれいむに渡す必要はまったくない。 多く見積もってもおちびちゃん一匹につき二週間分。 さらに食料事情が困難でだあるれいむの状況を考慮し、足元をみてうまく交渉することができれば、おちびちゃん一匹につき一週間分の食料でも十分取引が可能であろう。 だがそれはありすとまりさそういった打算的な思考は嫌だったのだ。 れいむに渡すことになる食料の量を値切るというのは、生まれてくるおちびちゃんの価値を値切るということになる。 それは、それだけおちびちゃんの存在を軽視している、しょせん値切れるだけのものということの証明となってしまう。 そんなことはできない。 まりさたちにとっておちびちゃんは、何物にも代えがたい特別な存在なのだ。 ゆえに一匹につき食料一月分という法外な価値を付加した。 これはまりさたちの覚悟の証なのだ。 さて、これですべての条件は整ったかに見えたが、実は最後にもう一つ考えておかなければならない問題があった。 それは俗にいうモラルに関する問題だった。 具体的には、正式な番になっていないのに、おちびちゃんを作ることが許されるのか?ということである。 正直言ってこのことにはあまり良い印象ががない。 なぜ?と言われれば答えにつまるが、あんまりゆっくりできない感じがしなくもない。 とにかくあまりほめられた行為ではないことだけは確実だった。 だが、まりさとありすはこのことについてはあまり深く考えるのをやめた。 これしかおちびちゃんを手に入れる方法がない以上、考えても仕方のないことだからだ。 それに何より、群れの掟には代理出産により、おちびちゃんを得てはならないという決まりはないのだ。 まあ、念のためこの取引内容は秘密にするよう、れいむとの条件に盛り込んでおけばそれでよいだろうという判断にとどめることにしたのだった。 数々の問題をクリアし、今ここでれいむとの交渉に望んでいるまりさ。 れいむに条件はすべて提示してある。 はたしてれいむの返答は? 「ゆゆ!いいよ! れいむ、まりさのおちびちゃんをうんであげるよ!」 れいむは大して考えることもなく、あっさりうなずいた。 「ゆへ!ほんと!え?ほんとうにいいの!」 あまりにもあっさりとした返答に、逆に拍子抜けするまりさ。 まりさとしては、れいむが答えを出すまでは数日は悩むと踏んでいたのだ。 それが話をした直後のOKとくれば、それは驚きもする。 「べつにいいよ!れいむべつにおちびちゃんなんかにきょうみはないしね! そんなことよりも! にんっしんちゅうの、しょくりょうのせわと、おちびちゃんをうんだら、いっぴきにつきひとつきぶんのしょくりょうがもらえるっていうのは、 ほんとうなんだろうね!」 「もちろん!もちろんだよぉ!」 念を押すように言うれいむに、こくこくと何度も頷くまりさ。 もとより条件はまりさ側が提示したものなのだ。 文句があろうはずもない。 「よーし!それじゃあ、さっそくすっきりするよおおおおおおおおおおおおおおおお!」 「ゆえええええ!もう!」 条件を受けるやいなや、さっそくスッキリする気満々のれいむに驚くまりさ。 何をするにもれいむの決断は実に早かった。考えなしともいう。 「あたりまえでしょ!しょくりょうがもらえるのは、にんっしんしてからなんだから、はやくすっきりしてにんっしんしたほうがだんぜんおとくでしょおおおおお!」 「ゆうううう、そっ、そうなのかなぁ」 勢い込んで力説するれいむ。 早く妊娠しようが遅く妊娠しようが妊娠期間は変わらないので、その間まりさからもらえる食料の総量は変化はないはずである。 なので別段得をするということはないはずなのだが、そこはゆっくり特有の思考回路、れいむの中ではさっさと行動したほうがもらえる食料は増えるらしい。 「ゆゆ!わかったよ!そのほうがまりさもはやくおちびちゃんにあえるしね!」 れいむの決断の早さに若干気押され気味だったまりだが、気を取り直し今この場でスッキリする覚悟を決める。 考えてみればまりさにとっても、さっさとスッキリするのは利点があることだ。 一刻も早くおちびちゃんに会いたいからこそ、自分が母体になるという選択肢を捨てたのではないか。 何を怯むことがあろうというのだ。 さっさと食料を貰いたいれいむと、はやくおちびちゃんに会いたいまりさ。 今ここにれいむとまりさの利害は完全に一致した。 「よーし!それじゃいくよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!すっきりいいいいいいいいいいいいい!」 「すっ、すっきりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」 ………。 ……。 …。 こうしてこの夜、れいむは無事にんっしんした。 さて、れいむとのスッキリの後、まりさは毎日馬馬車のように働いた。 何せ自分たちの食料の分に加えて、にんっしんしているれいむの分と、さらにおちびちゃんと引き換えの報酬として大量の食料がいるのだ。 それだけの量の食料を集めることなど、通常のゆっくりにはできはしない。 これは群れ一番の狩の名手であるまりさであるからこそ可能なことなのである。 休んでいる暇などありはしない。 それこそ寝る間も惜しんで餌集めに奔走した。 また、希望ができたことにより体調が回復してきたありすも、途中から餌集めに参加した。 全てはおちびちゃんのために。 そのためだけに必死になって二匹は食料集めを続けたのだ。 その鬼気迫る様子に、他の群れのゆっくりたちは再び不思議がった。 何せつい最近まで二匹とも無気力状態だったのにもかかわらず、今ではその様子は180°転換し、ゆっくりする暇もなく狩りに精を出しているのだ。 ある時、何匹かのゆっくりがまりさに訊ねた「なぜえっとうまえでもないのにそんなにしょくりょうをあつめているのか?」と。 それに対してのまりさの答えは「まりさには、たいりょうのしょくりょうがひつようなんだよ」と答えるのみだった。 相変わらず意味が分からない。 が、とはいえ以前のように、無気力状態よりはずっとましということで次第にだれも気にしなくなっていった。 そんなこんなで、またしばらくの月日が流れた。 「ゆふふふふん!」 れいむはおうちの中ででごきげんに鼻歌を歌っていた。 その体は以前の二倍近く膨れ上がっており、ゆっくりの胎生妊娠特有の下膨れ体系になっている。 この大きさから推測するに中に入っている子ゆっくりはおそらく一、二匹だろうか? スッキリをした時期から逆算すると出産はもうまもなくのはずである。 「ゆふー!ゆっくりしてるねぇ!やっぱりれいむみたいな、いっきゅうゆっくりのせいかつはこうでなくちゃいけないねぇ!」 しみじみと呟き、満足げに体をゆするれいむ。 れいむはこの今の現状に概ね満足していた。 自ら狩に行かなくても、まりさが美味しい食料を大量に持ってきてくれる毎日。 以前両親が生きていた時だって、これほどの量を食すことはできなかった、これでゆっくりできないはずがない。 その代償として、にっしんの影響により体が大きくなり移動が困難になったという点はあるが、元々動くことが嫌いなれいむにとって、それは対した苦にならない。 そんなことよりも、この先おちびちゃんが生まれれば、一匹につき一月分の食料を手に入れることができるのだ。 今の状態でも十分ゆっくりできているのに、更に大量の食料を一度に食すことができる。 その瞬間を想像し、れいむは自然と頬を緩ませた。 「ゆふふふ!おちびちゃん!そろそろかなぁ!ゆふふふふ!」 れいむはこれから生まれてくるであろうおちびちゃんに対して、別段特別な感情を抱いていなかった。 所詮れいむにとって自分の身体から出てくるおちびちゃんなど、大量の食料に対しての引換券以上の価値はない。 そしてその認識は極めて正しいものだった。 何故ならばそれがまりさたちとの契約であるからだ。 おちびちゃんが生まれたら、れいむはそれを黙ってまりさたちに引き渡せばよい。 その代わりにれいむは大量の食料を手にする。 そのことに何か別の特別な意味を見出してはならないのだ。 そして……。 ドクン! 「ゆぎぃいい!?」 突然れいむが苦悶の声を上げる。 身体の奥底で何かがビリリと避けるような苦痛がれいむ襲ったのだ。 異物が体内でうごめく感覚がれいむの全身を支配する。 「なっ、なでぃごれでええええええええ! おっ、おおおおおおおおぐううううううううう!いっ、いだいいいいいいいいいいいいいいいい!」 メリメリと自動的に下半身のある部分が動作している。 れいむは誰に教えられたわけでもなく、本能的に全身の力を入れ精一杯にいきんだ。 「うっ、うばれるううううう!おちびちゃんがうばれるよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 顔を真っ赤にし、全身をプルプルと震わせながら渾身の力を込めていきむれいむ。 その姿はぶっちゃけきもかった。 多分幼い子供が見たら泣き出すだろう。 しかし当の本人は至って真剣そのものである。 やがて……。 すぽん!すぽーん! れいむの歪んだ必死の形相からとはまるでかけ離れた軽快な音を立て、下半身の産道から丸い物体が空中へと打ち出される。 そしてそれは放物線を描きながら、どさ!どさっ!っと草で編まれた柔らかい簡易ベッド(あらかじめありすが編んで、まりさがれいむのおうちに運んでおいたもの) に見事に着地した。 無事出産成功である。 そしてすぐ次の瞬間、おちびちゃんは高らかに誕生の産声を上げた。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 それはこの世の穢れをしらないような、それでいて喜びに満ちた、とてもゆっくりした第一声だった。 その声を聞き、自らが生み出したおちびちゃんを一目見たその瞬間、れいむはわが目を疑った。 「ゆっ、ゆああああああああああああああ!!! ゆっくり!ゆっくりしていってねええええええええええええええええ!!!」 れいむの口からは思わず喜びの言葉がこぼれ出る。 自然と目から涙が溢れ出る。 なんだこれは! なんて!なんてかわいいらしく愛らしいおちびちゃんなんだろう! れいむに!れいむに似たおちびちゃん! 他のゆっくなんかとまるで比較にならない。 最高だ!最高のゆっくりだ! おちびちゃんは世界一ゆっくりしているゆっくりだよおおおおおおおおおおお! 自らが産み落としたおちびびゃんのあまりの可愛さに、れいむは我を失い、感動に打ち震えた。 今まで何とも思っていなかったおちびちゃんが、実はこんなにも素晴らしいものだったなんて。 こんなにもゆっくりできる、至高の存在がこの世にあったなんて。 こんな素晴らしいおちびちゃんをまりさに渡すことなんて、絶対にできるはずもない! そんなこと考えられない。 そうだ!まりさは、れいむをだましたのだ! おちびちゃんがこんなに素晴らしいものだと知っていれば、おちびちゃんと食料を交換するなんて、こんなバカげた約束を交わすはずもなかった。 よってこんな約束は無効だ! これはれいむのおちびちゃんだよ!れいむが生んだ、れいむだけのおちびちゃんなんだよ! 渡さない!どんな手を使っても絶対にまりさなんかに渡さない! 「あっ、ああああああああああああああ! おかあさんだよおおおおおおおおおおおおおおお!れいむがおかあさんなんだよおおおおおおお! これからはずっといっしょだよおおおおおおおおおおおお! いっしょにゆっくりしようねええええええええええええええ!」 「ゆゆ?おかあしゃん?」 れいむは涙を流しながら、自らが産み落としたおちびちゃんである子れいむに擦り寄ったのであった。 「ゆゆ!きょうはちょっとおそくなっちゃったね!」 ぽよん!ぽよん!と軽快に跳ねながら、まりさはれいむのおうちへと続く道を移動していた。 帽子の中には例のごとくれいむに渡す分の食料が詰まっている。 今日は食料集めについ夢中になるあまり、遠くの方まで遠征してしまい、帰るのが遅くなってしまったのだ。 れいむがおなかをすかせ、体内にいるおちびちゃんが不自由しなければいいが……。 そんなことを思いながら移動していると、やがてれいむのおうちが見えてきた。 「れいむー!きょうのぶんのしょくりょうをもってきたよー!」 おうち入り口前で自身の訪問を知らせるよう大声をだすまりさ。 しかしおうちからはまるで返事がない。 「ゆん?」 まりさは怪訝に思った。 いつもなら「おそいよ!れいむをうえじにさせるきなの!」とか「さっさとしてね!すぐでいいよ!」みたいに、 何らかの苦情やら悪態の言葉が飛んでくるのに、今日に限って何も反応がないというのはどういうことだ? ましてや今回は本当に時間に遅れてしまっているのだ、それなのにあのれいむがなにも不満を言ってこないなんて、どうにも信じられなかった。 「れいむどうしたの?いないの?はいるよ?」 このまま外に突っ立っていても仕方ないので、おうちのなかにはることにしたまりさ。 入口をくぐる際にに一瞬、何か甘い匂いがしたような気がしのだが、それを疑問に思う間もなくまりさはれいむの姿をおうち内で見つけ、そして戸惑った。 「なっ、なにしてるのれいむ……」 果たしておうち内にれいむはいた。 だがそこにいるれいむは、いつもとはまるで違う状況にあるということをまりさは瞬時に悟った。 だって、まず体型が違うのだ。 いつものれいむは妊娠特有の下膨れ体型で、でっぷりと構え、のん気に鼻歌なんて歌ってる場合がほとんどだ。 だがいまのれいむの姿は、確かに太ってはいるものの、それは口に何かをむりやり詰め込んでさらに空気を頬に溜め膨らましてるような風船体型。 明らかに妊娠時のそれとは異なる体型だ。 それに、様子もおかしい。 目は血走り、体中からは脂汗が流れ、まりさを見据えてブンブンと首を振っている。 明らかな拒絶の反応。 それはまるでまりさに対して「入って来るな」とでも言いたげな様子である。 「どうしたのれいむ!いったいなにが……」 困惑しつつ訊ねるまりさ。 しかし訊ねながらも、まりさの中ではある一つの仮説が浮上していた。 このれいむは何かを自分から隠そうとしている。 だから必死に首を振って自らの侵入を拒絶しているのだ。 では一体何を隠してる? 決まっている! それはおちびちゃんだ! れいむは明らかに口に何かを詰め込んでさらに空気を入れ体を膨らまし、まるで自分がまだ妊娠しているかのように装っている。 実際は妊娠していないのに、妊娠しているように振る舞っている、つまり実際はもうおちびちゃんは生まれているのだ。 では何故れいむはおちびちゃんを隠そうとしている? それも決まっている。 そのほうが得だからだ。 れいむにとってはおちびちゃんの出産が遅ければ遅いほど利益を得られる。 出産後におちびちゃんと交換する食料とは別に、妊娠中はずっとまりさたちに食料の面倒を見てもらえるのだ。 とすれば、実際におちびちゃんが生まれていても、れいむが食料欲しさにそれを秘匿する可能性は十分にあり得る。 これは事前にまりさが予想していた事態の一つだった。 「れいむ!ちょっとそこをどいてね!」 強めの口調でれいむに迫るまりさ。 まりさの推理が正しければ、既におちびちゃんは産まれているはず。 となればこの狭いおうち内で隠れられる場所は限られている。 つまり今死角なっている、体を膨らましているれいむの後ろだ。 「……ん…んんん!」 しかし黙ったままブンブンと首を振るばかりのれいむ。 「ゆう!どうしたのれいむ!どくきがないなら、ちからずくでどかすよ!」 首を振るばかりのれいむにイラつき、まりさが実力行使に出ようとしたその瞬間。 「ゆゆ!だれきゃきちゃの!」 「ゆなっ!」 突然れいむの後ろの影から出てきたモノにまりさの目線は釘付けになった。 「あっ、ああああああああああああああああああ! おちびちゃん!おちびちゃんだああああああああああああああああああああ!」 そこには一匹の子れいむがいた。 おちびちゃん!おちびちゃんだ! やっぱり生まれていたんだ! 間違いない!あれは自分のおちびちゃんだ! 産まれたのが子まりさではなくて子れいむだったのは若干残念だが、この際かまうものか! 夢にまで見たおちびちゃんだ! これでやっと、しあわせー!になれるよおおおおおおおお! 「ゆああああああああああああ!おちびちゃあああああああああああん! まりさだよおおおおおおおおお!まりさがむかえにきたよおおおおおおおお!」 「まって!まってねええええええええええええ!」 我を忘れて子れいむに向かって飛び出すまりさに対して、ようやくごくりと何かを飲みこみ(やはり口の中に何かを入れていたようだ)喋れるようになったれいむが立ちふさがる。 「なんなの!どいてね!やくそくがちがうよ!」 せっかく愛しのおちびちゃんに、すーりすーりしようとしたのに、突然に前に立ちふさがったれいむに苛立ちの声を張り上げるまりさ。 「やくそくがちがうのはそっちでしょ! おちびちゃんはしょくりょうと、こうかんのはずでしょ! そのしょくりょうはどこ! それがわたされないかぎり、おちびちゃんにはゆびいっぽんふれさせないよ!」 れいむはこれでもかと鼻息を荒くしながら、一歩も譲らずまくしたてる。 「ゆぐっ!だって、でも!」 言葉に詰まるまりさ。 れいむの言っていることは一理あった。 おちびちゃんを手に入れるのは食料と交換の後。 これが契約の内容だ。 まりさはまだれいむに一月分の食料を渡していない、よってこのおちびちゃんはまだまりさのものではないのだ。 しかしである、目の前には待望のおちびちゃんがいるといのに、それに対してすーりすーりもできないなんて!それはひどい生殺しだ。 「ゆううううう! れいむだって、おちびちゃんがうまれたことをかくそうとしてたでしょおおおおお! ちょっとだけ!ちょっとだけ、すーり!すーり!するだけだよおおおおおお! それくらいいいでしょおおおおおおおおおおおおお!」 まりさがれいむを非難しつつ、おちびちゃんを触らしてくれるよう要求する。 多少の契約違反はお互いさまというわけだ。 「だめだよ! さっきもいったとおり、やくそくどおりのしょくりょうをもってくるまでおちびちゃんにはゆびいっぽんふれさせないよ! だいたいなんなの!おちびちゃんをかくそうとしたってのは! れいむはただ、ごはんさんを、むしゃむしゃしてただけだよ! とつぜんまりさがはいってきたからびっくりしてのどにつまっちゃんたんだよ! ゆっくりりかいした?りかいしたなら、さっさとしょくりょをもってきてね!」 「ゆぐぐぐぐぐぐ!」 しれっと語るれいむに対し、歯をくいしばるまりさ。 ちょっとごはんを食べていたぐらいであんなに口内が膨らむはずもなかろうに。 あれは絶対おちびちゃんを隠そうとしていたにちがいないんだ。 と、まあいろいろ言いたいことはあったが、証拠はない。 ゆえにまりさは今は自分の旗色が悪いと判断した。 「わかった!わかったよ!すぐしょくりょうをもってくるからね!おとなしくまっててね!」 それだけ言い捨てると、まりさは一目散におうちを出て行った。 結局ここで触らせろ触らせないの水掛け論をれいむとするよりも、一刻も早くれいむに食料を渡しおちびちゃんを自分のものにする道を選んだのだ。 一般的にいって合理的な判断である。 だが後にまりさは後悔するのだ。 この時点でれいむの瞳の奥底にあった邪悪なものに気付けなかったことに。 そしてここでまりさがれいむから目を離してしまうのは命取りになる行為であったということに……。 そして……。 その後れいむのおうちを出たまりさは、一目散に自分のおうちへ帰っていった。 自分のおうちへとたどり着いたまりさは、息つく暇もなく奥の貯蔵庫にある食料を必死になって自分の帽子に詰め込む。 入らない分は、森で拾ったスーパーのビニール袋に押し込んでいく。 れいむのおうちにいた子ゆっくりはまりさが見た子れいむ一匹だけ、つまり渡す分の食料は一月分。 最大で三匹まで子供が生まれることを想定して準備してきたまりさたちにとってこれは余裕で足りる分量だ。 ちなみにおうちににはありすの姿はいなかった、多分まだ狩をしているのだろう。 つがいであるありすには、おちびちゃんが生まれたことを一刻も早く伝えたかったのだが、いないのなら仕方がない。 今最優先されることは、おちびちゃんと食料の交換である。 まりさは準備を整えると、勢いよくおうちを飛び出したのであった。 「いそげ!いそげ!」 群れ内を疾走するまりさ。 帽子にはパンパンに詰め込まれた食料。 さらに口には同じく食料が詰まったスーパーのビニール袋をくわえている。 それらをひきずりながら全力疾走するのはゆっくりにとってはかなりの重労働のはずだが、今のまりさには全く苦にならなかった。 今のまりさのにとっての最優先事項は、とにかくはやくおちびちゃんを食料と交換し、家族となること。 それは全てのことに優先される。 だから群れを疾走中のまりさが思わず立ち止まってしまったのは通常ならばありえないことで、しかしそれはある意味で当然のことだったともいえる。 「……え?」 まりさは思わず呟いた。 目的のために全力疾走している自分が、本来なら立ち止まるなどということはあってはならない。 だが立ち止まらずにはいられなかった。 そこに信じられないものを見たからだ。 その場所は群れ内にある中央広場。 ゆっくりたちの憩いの場。 その広場のど真ん中に、あのれいむがいた。 しかもおちびちゃんである子れいむを連れてである。 一体何故こんなところに、れいむとおちびちゃんがいるのだろうか? まりさは呆然としながられいむたちを見つめる。 そして、その視線を感じてか、れいむもまたまりさの存在に気がついたようだ。 互いに目と目が合うれいむとまりさ。 そのときのほんの一瞬、れいむがニヤリといやらしく口の端を上げて笑ったのをまりさは確かに見た。 そしてその笑みの意味をまりさが考える間もなく、れいむの特大の大声が広場に響き渡った。 「みんなきいてえええええええええええええ!れいむたちをたすけてえええええええええええええ!」 今日一日に狩りを終え、みな広場で思い思いにすごしているところに突然のれいむの絶叫。 なんだなんだと広場にたむろしているゆっくりたちの注目は、いやがおうにもれいむとその隣にいる子れいむに集中する。 「れいむは!れいむはあああああああああああああああああ! いま、おどされてるんだよおおおおおおおおおおおおおお! おねがいだよおおおおおおおおおお!たすけてよおおおおおおおおおおおおおお!」 ざわ…ざわ…。 れいむの告白にざわめく広場。 首をかしげるゆっくりたち。 だが今この場でもっとも困惑しているのは誰であろうまりさであった。 まりさは今起こっていることが理解できなかった。 脅されている?助けて? わけがわからない。 いったいあのれいむは何を言っているんだ?いったい何が起ころうとしているんだ? だがまりさの混乱をよそに、れいむの告白は続く。 「れいむのおおおおおおおおおおお!れいむのかけがいのないおちびちゃんおおおおおお! むりやり、うばおうとしているやつがいるんだよおおおおおおおおおお!」 「ゆなっ!」 信じられない言葉を耳にし、呆然とするまりさ。 ドサリと口にくわえていたビニール袋が地面に落ち、食料が散らばる。 どういうことだ!これはいったいどういうことなんだ! 「そいつは、れいむをれいぷして、むりやりおちびちゃんをつくらせたあげく、そのおちびちゃんさえ、れいむからむりやりうばおうとしているんだよおおおお! でもれいむは、ぼうりょくには、くっしなかったよ!おちびちゃんは、わたさなかった!りふじんからおちびちゃんをまもったんだよ! そしたらこんどは、おちびちゃんをしょくりょうとこうかんしろってせまったんだよ! おちびちゃんをしょくりょうで、うれとせまってきたんだよおおおおおおおおお!」 ざわ…ざわ…。 れいむの必死の訴えに、ざわめきを大きしていく広場のゆっくりたち。 特に「おちびちゃんを食料で売れ」のあたりでの反応は顕著だった。 おちびちゃんを売る……。 それはかけがいのない一生命であるおちびちゃんをまるで物のように扱うかの下劣な行為。 まるっきり奴隷売買ではないか! そんなゆっくりできない行為をするゲスがこの群れにいるなんて許せない、というわけだ。 「れいむは!れいむはあああああああ……」 「ゆあああああああああああああ!なにいってるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 なおも訴えを続けようとするれいむに対し、こらえきれなくなったまりさは叫び声を上げながられいむへ向かって走り出す。 はたしてこのれいむが、いったいどういうつもりでこんなことをしているのかまりさにはわからない。 だがしかし、とにかくこのままではまずい。 放置しておくわけにはいかない。 ゆっくりできなくなる。 衝撃の連続で冷静さを欠いていたまりさの体は、れいむを制止する行動を無意識にうちに取ってしまっていた。 だがそれは罠だった。 れいむは待っていたのだ。 まりさが自分から向かってくるのを。 「あいつだあああああああああ!あのまりさだよおおおおおおおお! あのまりさが、れいむのおちびちゃんをうばおうとしているやつだよおおおおおおおおおおおおお!」 「「「「ゆゆゆ!」」」」 向かってくるまりさを名指しするれいむ。 そしてれいむの声に反応し、今までれいむに注目していたゆっくりたちが一斉に振り返りまりさを見据える。 「ゆっ、ゆわわわわわ!」 急に広場中のゆっくりの視線にさらされることになり、慌てふためくまりさ。 そしてまりさが怯んだこのスキをれいむは見逃さなかった。 ここぞとばかりに甲高い声でまりさを挑発する。 「あっちいけ!このげすが!なんどきたってむだなんだよおおおおおおおお! わたさないよおおおおおおおっ!れいむのおちびちゃんは、げすのまりさなんかにぜったいわたさないよおおおおおおおおっ! ぷっくうううううううううううううううううううううう!」 れいむは子れいむを庇うように前にでると、口いっぱいに空気を吸い込み、両頬を大きく膨らませた。 ゆっくり特有の威嚇行である通称「ぷくー」の構えををまりさに対して行ったのだ。 このぷくーを同族であるゆっくりにするということは、そのゆっくりに対する完全なる宣戦布告、敵対行為を意味すると同時に、最大限の侮辱行為でもある。 れいむはそれを公衆の前でまりさ行ったのだ。 「ゆぎいいい!いいかげんにしてねええええええええええええ!」 れいむの予定にない意味不明の行動、いわれのない暴言の数々、それに加えてぷくーまでかまされ、ついにまりさはキレた。 「れいむうううううううううううううううう!ゆるさないよおおおおおおおおおおおおおおおお!」 広場中のゆっくりに注目されていることも忘れ、怒りをあらわにしてれいむに襲いかかろうと距離をつめるまりさ。 「いやあああああああああ!ちかづかないでええええええええええ! またれいぷするきなんでしょう!えろどうじんみたいにいいいいいいいいいいいい!」 「ゆっ、ゆう?おかあしゃん?」 すると今度はいやいやをしながら、子れいむを連れまりさから距離を取るれいむ。 「にげるなあああああああああああああああ!までえええええええええええええええええええええええええ!」 それを追うまりさ。 当然まりさのほうが移動スピードは速く、あと一飛びでれいむに体当たりをくらわせられるという距離まで迫ったその瞬間。 「ちょっとまったみょん!」 一匹のゆっくりが両者の間に割り込んだ。 それはたまたまこの広場に居合わせていたこの群れの幹部みょんだった。 「どいてね!みょん! みょんには、かんけいないはなしだよ!」 いきり立っているまりさはやや攻撃的な口調でにみょんにつっかかる。 だが幹部みょんは冷静だった。 「たしかにれいむとまりさのことについて、みょんはちょくせつかかわりあいがないみょん! でもみんながゆっくりするばしょであるこのむれのひろばで、ぼうりょくざたをみのがすわけにはいかないみょん! それにいま、れいむはききづてならないこといったみょん!れいぷされたとか、まりさにおちびちゃんをうるとかなんとか……。 そのことについて、まりさにききたいことがあるみょん!」 「ゆぐっ!いや、それはちがうんだよ! これは、その、はじめからそういうやくそくで……。 れいむだってちゃんとなっとくずみのことで……」 幹部みょんの的確な指摘に対してさっきまでの怒りはどこへやら、ややしろもどろになりながら小さい声でごみょごみょと言い訳がましくしゃべるまりさ。 「うそだよ!そのげすまりさのいっていることはぜんぶうそだよ! まりさはれいむをむりやりれいぷして、さらにおちびちゃんをうばおうとしてるんだよ! ほんとだよ!そうだよね、おちびちゃん!」 「ゆっ……ゆゆ?」 まりさがみょんに問いつめられているこの状況を好機と見たか、さらに畳み掛けるように言うれいむ。 自分の隣にいる子れいむも同意を求め、優位を決定付けようというのだ。 が、肝心の子れいむは不思議そうにするばかりでれいむの言葉を否定も肯定もしない。 それは無理もないことだ。 子れいむはついさっき生まれたばかりなのだ。 その体こそ、胎生妊娠のおかげで赤ゆっくりよりも大きいが、知識はまるで白紙の状態。 そもそも子れいむは、なぜ自分がこんなところにいるかさえ、わかっていないだろう。 「ゆゆ!どうしたのおちびちゃん! はやくあのまりさはうそつきだって、みんなのまえでいうんだよ! おかあさんのいうことがきけないの!これはおちびちゃんのためなんだよ!」 「ゆぎいいいい!だまれええええええ!うそつきはそっちだろおおおおおお! まりさのおちびちゃんに、へんなことふきこむなあああああああああ! いったいどういうつもりなのおおおおおおおおおおおお!」 よりにもよって自分のおちびちゃんである子れいむ盾にし、事態を自分の優位に運ぼうとしているれいむを見て、再び怒りを加熱させるまりさ。 だがその怒りはまたもや別のゆっくりによって遮られることになる。 「わかるよー! じゃあこのたいりょうのしょくりょうはどうせつめいするのー!」 「ゆゆ!?」 まりさの後ろから声がかけられる。 そこにいたのはこの群れの幹部ちぇんだった。 幹部ちぇんもまた、幹部みょんと同じようにこ広場に居合わせており、騒ぎを鎮静化させるために介入してきたのだ。 そして幹部ちぇんの横にはさっきまでまりさがくわえていたビニール袋が置かれている。 「これはさっきまでまりさがもっていたふくろさんだよー! なかにはたっくさんのしょくりょうがはいってるねー! そしてさっきから、まりさのおぼうしからも、ぽろぽろとしょくりょうがこぼれてるみたいだねー! どうやらそのおぼうしにも、たっくさんのしょくりょうがつめこまれてるみたいだねー! とてもきょういちにちでとれるりょうじゃないんだよー! まりさはそんなにたくさんのしょくりょうをもって、どこへいくつもりだったのかなー!」 「ゆぐっ!いや……それは……」 ざわ…ざわ…。 広場のゆっくりたちのざわめきがまた大きくなった。 れいむはあるゆっくりにおちびちゃんを食料で売れと脅されている。 そしてまりさはこの場に不釣り合いな大量の食料を持っていた。 この二つの符合が意味するものは一つ……! 「ちがっ!ちがうんだよ!みんなごかいだよ! これはあらかじめやくそくしたことで、さっきもいったけど、れいむもきちんとりょうかいしてるはなしなんだよ! ほんとなんだよ!」 まりさはこのまままではまずいと思ったのか、慌てて訴えるように言う。 だがその訴えは逆効果だった。 「わかるよー!それはつまり、ことのしだいはどうあれ、おちびちゃんを、しょくりょうでばいばいしようとしたことはみとめるんだねー!」 「みょん!こいつ、とうとうはくじょうしたみょん!みょんははじめからまりさがあやしいとおもってたみょん!」 「いや!それは……だから……」 言葉に詰まるまりさ。 れいむが先ほど広場で訴えた内容であるまりさがれいむをレイプしただの、おちびちゃんを無理やり奪おうとしてるなどの主張に対してはいろいろと嘘や誤解があり、 それに対してはまりさはハッキリと否と言える。 だが食料とおちびちゃんを交換しようとしていることに関してのみは、まぎれもない真実なのだ。 まりさは基本的に善良で嘘をつくことを良しとしないタイプのゆっくりだ。 ゆえに言葉に詰まった。 堂々とれいむのいっていることは全て大嘘だと主張することができなかった。 それに対してれいむは、自分がゆっくりするためにはうそをつくことなどなんとも思わないタイプのゆっくりだ。 ぶっちゃけゲスだ。 だからまりさを不利にするために、あることないこと主張しまくった。 嘘をつけるゆっくりと嘘をつけないゆっくり。 今、この場での勝敗の行方はこの差が分けた。 「みんなああああああああああああああああああああ!これでどっちがうそつきかわかったでしょおおおおおおおおおおおおおおおおおお! れいむが、ただしいんだよおおおおおおおおおおおおお!あのまりさが、げすなんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! おちびちゃんは、れいむのものだああああああああああああああああああああああああああ!」 今までで一番の、特大の大声でれいむが宣言する。 そしてこの宣言により、今までどちらに味方するでもなかった広場のゆっくりたちの方向性は定まった。 すなわち『叩く』相手がどちらなのかが決定づけられたのだ。 「ゆゆ!たしかにあのまりさのことは、さいきんなんだかへんだとおもってたんだよ!」 「きゅうにかりにいかなくなったとおもったら、こんどはぎゃくにとつぜんくるったようにかりをしだしたりして、なんだかみょうだったよね」 「おお!こわいこわい!」 「あたまがおかしいんだよ!ゆっくりできてないね!」 「なんだかつがいのありすもげんきがなかったよね!きっとまりさがへんになっちゃったえいきょうでゆっくりできなくなったんじゃないの!」 「そうだよ!」 ひそひそと噂話を始めるゆっくりたち。 ここ最近のまりさの妙な行動が、ここにきて完全に裏目に出ていた。 これらの不審な動きが、ゲス行為への前兆だったとして群れのゆっくりたちに理解され、処理されていく。 「あっ、ああああああ!まって!みんなちがうんだよ! これにはわけがあるんだよ!きいてね!きいてね!」 慌てて周りのゆっくりたちに訴えかけるまりさ。 しかし、一度こうなってしまってはもう遅い。 「だまれ!このげす!」 「おちびちゃんを、ものあつかいするようなくずは、ゆっくりしんでね!」 「こんなことして、ゆるされるとおもってるの!」 「とんだいなかものね!」 「れいむがかわいそうだわ!」 「くっそみじめなゆっくり!はずかしくないの?」 まりさに向かって暴言が矢のごとく飛んでいく。 もはや決定的だった。 理屈ではない。 まりさは叩いてもいいゆっくりという烙印を押された。 それがすべてだった。 「ほら!こっちへくるみょん!」 「ゆぎぃ!」 まりさは後ろから幹部みょんによって乱暴に髪を引っ張られる。 「まってねええええ!はなしを!はなしをきいてねええええええええええ!」 「はなしなら、むれのどくぼうできいてやるみょん! ごちゃごちゃいってないでさっさとついてくるみょん!」 ドガ! 「ゆばはっ!」 苛立たしげな言動とともに、まりさに体当たりをする幹部みょん。 その扱いはもはや完全に犯罪者のそれだった。 「わかるよー!このしょくりょうは、ぼっしゅうだよー!」 さらに、にやにやしながら幹部ちぇんが、ビニール袋とまりさのぼうしから散らばった大量の食料を回収しながら言う。 「ゆええ!そんな!どじで!」 「あたりまえだよー!これはじゅうようなしょうこだからねー! ついでにまりさのおうちもしらべて、ほかのしょくりょうがないかしらべるよー!」 「なんで!なんでそんな!」 「ごちゃごちゃうるさいみょん!さっさとあるくみょん!」 バキ! 「ゆがぁ!」 幹部ちぇんの行いにまりさが抗議しようとしたところを、幹部みょんによってふたたび体当たりされるまりさ。 「いいぞ!もっとやれ!」 「さっすが、このむれのかんぶはたよりになるね!」 「じごうじとくだわ!」 「ざまぁないね!」 「うわぁ……これはもうげすかくていですね!」 まりさが幹部みょんと幹部ちぇんに弄られる様を見て、喝采を送る周りのゆっくりたち。 「ゆふふふふ!いいきみだよ!」 そしてそんな様子を広場の一段高いところから見下ろすれいむ。 (ゆふん!れいむをだました罪はこんなもんじゃすまされないよ! もっともっといたいめにあわせて、それからりようしてやるよ!れいむと、そしておちびちゃんのためにね!) そう、れいむの悪魔のような企みはまだまだこれからだったのだ。 つづく ナナシ作