約 194,394 件
https://w.atwiki.jp/thshinkour/pages/228.html
名称 対応キャラ 効果 リモート可否※ マイロードゆかれいむ 霊夢×紫 防御力アップ ○ ※○:問題なく成立し効果発動 △:成立はするが一部効果は使えない ×:成立するが効果は使えない -:成立しない 霊夢と紫?で発動する絆。 防御力がレベル9以下では10+レベル、10以上では20+(レベル×2)アップする。
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1553.html
ゆンストレル・れいむ 20KB 愛護 悲劇 越冬 ツガイ 群れ れいぱー 捕食種 希少種 自然界 人間なし 独自設定 うんしー ぺにまむ 初投稿の駄文です。 初投稿です。 虐待ほとんどありません。善良で厨スペックなゆっくりだらけです。 ゆっくりが喋りすぎです。主にゲロ袋。 おうたネタで考えていたのにどうしてこんなことになってしまったんだ。 れいむは旅をする。 ゆっくりおうたをうたうために。 れいむは旅をする。 ゆっくりおうたをつくるために。 「ゆゆーん!きのこさんがこんなにあつまったよ!」 「おさ、このきのこさんはたべられる?」 「いいえ、それはどくきのこよ。でもまざらないようにあつめてちょうだい」 「ゆっくりりかいしたよ!」 晩秋。 冬篭りを前に、巣穴を整備し、食料を集める。ゆっくりが最もゆっくりしていない時期。 このゆっくりの群れは、優秀なぱちゅりーを長とし、既に十分な量の備蓄を備えていたが、 今年の冬は長引きそうなことと、越冬に失敗した他の群れを受け入れる体制を整えるため、 普通の群れであれば2年は食いつなぐことができるほどの食料を集めていた。 れいむがやってきたのは、そんな群れである。 「ゆっ?みなれないれいむがいるのぜ?」 れいむに声をかけたのは、おぼうしに山のように茸を積んだまりさであった。 力が強いのだろう。自分の体積以上の茸を抱えながら、動きが鈍る様子もない。 「あら、すっごくとかいはなれいむね」 好色そうな声を上げたのはありす。れいむを美ゆっくりと見るやたちまちこうだ。 そのありす自身もゆっくりの基準からすれば相当な美ゆっくりである。 「ゆっくりしていってね!」 れいむが声をかけると、たちまち群れのゆっくりが集まってきた。 「うわあ……すごくゆっくりしたれいむだよぉ……」 子ゆっくりはおろか、つがいがいるであろう成体ゆっくりすられいむに見とれている。 真っ白でもちもちとした肌、キューティクルのかかったすべらかな髪、 燃えるような赤と純白のコントラストが美しいおりぼん。 飼いゆっくりですらここまでの美ゆっくりはそうはいない、まさに完璧なれいむだった。 「むきゅ、ようこそれいむ。わたしたちはあなたをかんげいするわ」 温和そうな長ぱちゅりーが、れいむを出迎えた。 しかし、れいむはこの群れの態度に不思議そうな顔をする。 これほどに統率の取れた群れにしては警戒心が薄すぎる。 見ず知らずのゆっくりに対し、これほど無防備な群れをれいむは知らない。 「どうして?ってかおをしているわね」 そんなれいむの胸中を見透かしたかのように長ぱちゅりーが言った。 「ごめんなさいれいむ。あなたがくることはきのうからしっていたのよ」 ぱちゅりーが言うには、この群れは非常に遠くまで哨戒を置くことで外敵に備えているらしい。 彼ら独自の手旗信号のようなものを使い、情報を素早く伝達する。 これにより、ゆっくりの足でなら1日もかかるような距離まで警戒域を広めているのだそうだ。 れいむは、そのネットワークにより、悪意の無いゆっくりであると認識されていた。 「もうすぐふゆさんがくるよ。そのあいだ、れいむをここでゆっくりさせてほしいよ」 「むきゅ、それはかまわないわ。でも……」 「はたらかざるものくうべからずなのぜ」 厳しい口調で言うのは補佐役のまりさ。長の口から言いづらい、辛辣な意見を言う役目を担っている。 「かりはどうなのぜ?そのきれいなあんよではしりまわれるのかだぜ?」 「かりはとくいじゃないよ。ここまでくるのもたいへんだったよ」 「なら、やくそうのちしきはある?たびをしてきたんでしょう?」 「ちしきはあるけど、ぱちゅりーほどじゃないよ」 「これだけのびゆっくりならありすのおよめさんになってもいいわよ」 「すっきりーはできないよ。ほら」 れいむが少し顎を上げると、そこには何もなかった。ぺにぺにも、まむまむも。あにゃるも。 古い種の中には、そういったゆっくりが稀にいる。 「あにゃるがないのぜ?これじゃうんうんができないのぜ!」 「うんうんはしないよ。ごはんもたべないよ」 れいむは古代種の中でも、特に起源に近いゆっくりのようだ。 生物としての苦しみと無縁な一方、赤ちゃんやむーしゃむーしゃしあわせーといった 生きているからこその幸福からも遠い。とてもゆっくりしていて、ゆっくりしていないゆっくり。 「めずらしいわね。ぱちぇもはなしにはきいていたけど、みるのははじめてだわ」 「ごはんをたべなくても、はたらかないわけにはいかないのぜ、みんなにしめしがつかないのぜ。 れいむはなにができるのぜ?」 「おうたを」 「ゆ?」 「れいむはおうたをうたうことができるよ」 補佐まりさは失笑した。 歌であればたしかにれいむ種が得意とするところであるが、所詮歌は歌にすぎない。 おちびちゃんたちをゆっくりさせる役には立つかもしれないが、 そもそも子供を生まない古代種に子守ができるとも思えない。 幸いにも食事をせずとも良いそうだし、春になったら群れから追い出すしかないか…… そんなことを考えているうちに、れいむのおうたが始まった。 一時間ほどたっただろうか。 補佐まりさは泣いていた。 群れを守るために戦った勇敢なまりさ。 しんぐるまざーでありながら立派に子供を育てきったれいむ。 生まれながらにれいぱーの疑いをかけられた悲劇のありす。 らんしゃまとの大恋愛を成就させたちぇん。 仲間の敵を取るために剣鬼と化したみょん。 智謀の限りを尽くし群れを育てたぱちゅりー。 歌に乗せてれいむの口から紡がれる数々の物語が、場にいるゆっくりをすっかり虜にしていた。 「ゆぐっ……ゆぐっ…………とっても、とってもとかいはなおうただわあああああ」 もとより感情豊かなありすは、大声を上げて泣いている。 子ゆっくり達は、涙の他にちーちーを漏らした形跡もある。 群れが襲われるシーンは、幼いゆっくりには刺激が強すぎたようだ。 長として、いつだって冷静なぱちゅりーも、体を震わせて涙をこらえている。 「そうだったわ……ふゆごもりは、たいくつだったのよ」 ややあって口を開いたぱちゅりーは、かつての冬篭りを思い出したかのように言った。 「くらいおうちのなかで、いつなくなるかわからないごはんをたべて…… でも、ことしのふゆさんは、そうじゃないみたい。ね?まりさ」 「ゆぐっ……すごくゆっくりしたおうただったよ…… これならふゆのあいだじゅうきいていたいぐらいだよ……」 「ありがとうまりさ。これでなんのもんだいもないわね。では……」 改めて、長ぱちゅりーは、群れの皆に聞こえるほどの大声で。 「ようこそれいむ。わたしたちはあなたをかんげいするわ」 れいむを受け入れた。 れいむが群れに来てから数日がたった。 餡子のどこにそれほどの記憶を蓄えているのだろう。 れいむは夜ごとに新しいおうたを歌い、それを聴くゆっくり達は 様々な世界、様々なゆっくりに思いを馳せて眠りにつくのが習慣になっていた。 もっとも、生物ゆっくりの記憶力では、三日ごとに同じおうたを歌っても気づかなかっただろうが。 事件が起こったのはそんな時である。 哨戒にあたっていたゆっくりから、れみりゃの大群が群れに向かっているという報告があった。 遅くとも、明日には群れまでたどり着くだろう。 群れは騒然となった。 しかしそこは統率の取れた群れ。決して恐慌状態とはならず、ただちに対策会議が開かれた。 れみりゃ達の移動速度、こちらの群れの規模からして、群れを破棄して全てのゆっくりが逃げることは不可能。 下された決断は、あまりに悲痛なものだった。 子ゆっくりや、にんっしんっ!しているゆっくりは今夜のうちから群れを離れ、 れみりゃとは別方向に逃げ、身を隠す。 残ったゆっくりは、そちらへれみりゃが向かわないよう、誘導しながら迎え撃つ。 戦えるゆっくりは、襲い来るれみりゃに対して約二倍。 各個撃破を心がけたとしても、戦況は絶望的であった。 哨戒のために散っているゆっくり達を急いで召集しても、間に合うのはわずかだろう。 「おさ!ゆっくりいそいでかえってきたみょん!」 そう言って巣に飛び込んできたのは、手旗の中継をしていたみょん。 れみりゃ襲撃の報を伝えた後、急いで戻ってきたのだ。 「むきゅ……おつかれさま。みょん。……ちぇんは……?」 長ぱちゅりーが聞いているのは、れみりゃの第一発見者となったちぇんのことだ。 「さいごのれんらくは……いちびょうでもれみりゃをくいとめる、だったみょん…… それと、『らんしゃま、だいすきだよ』とつたえてほしいって……」 「ちぇん……ちぇえええん……」 泣き崩れるのは、ちぇんのつがいだったらん。 「ないているひまはないわ。らんもおちびちゃんたちといっしょににげるのよ」 「……ちぇんのかたきをとる。わたしのちからなられみりゃにもひけをとらない」 れみりゃ以上の希少種であるらんなら、確かに実力はれみりゃを超えているだろう。 しかしそれは一対一での話である。 「だめよ。らんのおなかにはちぇんのこどもがいるわ。そのいのちをまもることこそがらんのつとめよ」 らんを欠いては更に戦況が不利になるのは分かっている。しかし、ぱちゅりーにはこれが最善だと思えた。 「れいむ。あなたもおにげなさい。きゃくじんをまきこむわけにはいかないわ」 「れいむには、みとどけるぎむがあるよ。それにれいむはしなないから」 一体どれほどの死を見届けてきたのか。古代種の小憎らしい表情からは窺うことができない。 「そう……なら、つたえてほしいわ。わたしたちが、ゆうかんにたたかったことを。 れみりゃとたたかった、すごくゆっくりしたむれだったことを」 「わかったよ。ずっとずっとうたいつづけるよ。 れいむだけじゃなく、おちびちゃんたちもかたりつづけるよ」 「ふふ。まいにちおなじはなしをきいていると、うんざりしてしまいそうだわ」 どっと場が沸く。 死を目前に控えているとは思えない、明るいゆっくり達。 ゆっくりとは本来明るい気質であるはずなのだ。 悲劇が日常と化し、辛い現実にいつしかゆっくりを忘れてしまっていた彼らに、 ここ数日間でそれを思い出させたのは、他ならぬれいむであった。 想像とは、生きるための活力を与える糧たりうるのだ。 翌日。 れみりゃとの前面戦争を前にして、広場に皆を集めたぱちゅりー。 「みなのもの、ただのひとりもかけることなく、よくぞつどってくれtゆぴぃ!」 舌を噛んだぱちゅりーに、笑ったのは若いまりさたち。 「ゆふふ、なれないことばをつかわなくても、いつもどおりにしゃべってくれればいいよ」 「むきゅ……こほん。みんな、よくあつまってくれたわ。たいへんなことになったわね。 あいてはとてもおそろしいれみりゃ。たたかったら、ぶじにはすまないわ。 れみりゃのはねは、ゆっくりできないはやさでとんでくるためにあるし、 するどいきばは、ゆっくりのかわなんてかんたんにつきやぶってしまう。 つかまったがさいご。あんこをぜんぶすいとられてころされてしまうわ」 淡々と述べられる恐ろしい言葉は、誇張ではない確かな現実。 「でも、わたしはしっている。れみりゃだってけっしてむてきではないことを。 はねをもがれ、ぶざまにちをはうれみりゃのすがたを、わたしはしっている。 ゆうかんなゆっくりのただのいちげきで、ないてかえったれみりゃもいる。 かてるとはいわない。けれど、たたかうことはできる。 かくれているこどもたち、まだうまれてもいないおちびちゃんたち。 あのこたちをまもることが、あなたたちにかせられたしめいであるのなら」 一息。 「さいごまでたたかいぬくことが、ゆっくりできるゆいいつのほうほうだとしりなさい! しんだゆっくりは、そこにいるれいむが、えいゆうとしてずっとかたりつぐわ! しぬことはこわいことじゃない。えいえんにゆっくりすることなのよ!」 「「「ゆっくり!!ゆっくり!!ゆっくりしていってね!!!」」」 「よろしい!それでこそゆっくりよ!ゆっくりのためならしすらいとわない、 ほんとうにゆっくりしたゆっくりにあなたたちはなれたのよ! あなたたちはしぬわ。でもゆっくりはえいえんだわ。つまり――あなたたちもえいえんなのよ!」 「こほん――こほん」 慣れない大演説のためか、すこし青ざめたぱちゅりーが、木の洞を利用した天然の櫓の上で咳き込んでいる。 「ぱちゅりーはむれのだいじなずのうだよ。みんながいなくなったら、おちびちゃんだけになってしまう。 こどもたちをみちびくために、いっしょににげたほうがよかったとおもうよ」 れいむはそう言うが、ぱちゅりーはかぶりを振る。 「れいむ。さっき、ぱちぇがしたをかんだとき、わらったゆっくりがいたわね」 「まだおとなになったばかりのまりさたちだね。のんきなものだよ」 「かれらは、まっさきにれみりゃにとびかかるやくなのよ」 「それじゃあ……」 「ええ。かくじつにしぬわ。まんがいちすらない。かくじつにしぬためだけのやくわり。 きのう、このことをきいたとき、きっとかれらはくるしんだとおもうわ。 ぱちぇをうらんだかもしれない。まりさじゃなくて、わたしのくちからつたえたから。 ほんとうにつらいことをいうときにはまりさにはたよらない。おさであるぱちぇがいわなければならない。 でも、きょう、ここにきたとき、かれらはわらっていたわ。 しをうけいれたのよ。 さっきもいったとおり、おちびちゃんはとてもとてもだいじ。 でも、ゆっくりのあしたのためにたたかうせんしも、おなじようにかけがえのないたからなの。 そんなたからにしねというとんでもないげすゆっくりのぱちぇが――おめおめといきていていいわけがないわ」 いつもの温和なぱちゅりーではない。瞳には決意の炎が燃えている。 「ぱちぇはいくわ。れいむはここでみていて。あますことなく、すべてを、そのめで、みていて」 「れみりゃだあああああああああああ!!!!」 決戦の幕は切って落とされた。 若く、まだ体が十分に大きくないゆっくりがまずれみりゃに飛びかかる。 もちろん敵うわけもなく、あっさりと渾身の体当たりを止められ、その身に牙を突き立てられる。 「ゆぎゃあああああ!!!」 「ゆぎぎぎぎぎ……」 「ゆっゆっゆっゆっ……」 急激に中身を吸われ、たちまちしぼんでいく年若いゆっくり達。 だが、捕食活動を行っている時こそれみりゃに隙が生まれる。 間髪入れず、力の強いゆっくりがれみりゃの羽に取り縋る。 バランスを崩したれみりゃは地面へと落ち、体当たりの集中砲火を受けて潰される。 無論これは運の良い場合。 ゆっくりを捕まえたまま飛び上がり、石や死骸を落として攻撃してくるれみりゃもいる。 空からの攻撃に無力なゆっくり達は、たちまちその数を減らしていく。 「やめてえええ!!」 「ばでぃざのあんよがああああ!」 「つぶれるうううううう!!」 予想通り、戦況は極めて不利であった。 「んほおおおおお!!」 本能により肉体の持つポテンシャルを全て解放し、いきり立ったぺにぺにを武器として戦うありす達。 幾本ものぺにぺにを無造作に突き立てられ絶命するれみりゃ。 しかし、れいぱーとしての力を解放したありす種であっても、捕食種相手では分が悪い。 たとえ攻撃力が同等であっても、機動力の差はやはり致命的だ。 「う~☆ぷっでぃんみたいでおいしいんだどぉ~♪」 カスタードを中身に持つありす種は、れみりゃにとっては好物だったのだろうか。 優先的に狙われたありす種の部隊は、れいむに求婚したありすを除いて全滅していた。 「そろそろねんぐのおさめどきかしらね」 一撃でれみりゃの中枢餡を貫いた自慢のぺにぺにを引き抜きながら、ありすは呟いた。 眼前には三匹のれみりゃ。 「う~☆たべちゃうぞ~♪」 「んほおおおお!」 正面の一匹の突進に合わせ、ありすも走る。 互いの速度を利用して、今まさに噛み付かんとするれみりゃの口内に、一気にぺにぺにを突き刺す。 ぺにぺには見事中枢餡を破壊し、れみりゃは動かなくなった。 だが、その代償として、牙を突き立てられ、ずたずたになったぺにぺに。 もう中枢餡に届くほどの剛直は望むべくもない。 あと、二匹。 「あまあまぁ~♪」 れみりゃがありすに齧り付いた。カスタードを吸い上げられるありす。 だがありすは怯まない。噛み付かれたそのままの体勢で、ありすはれみりゃの眼球にぺにぺにを突き立てる。 「う゛ぁぁぁ~!でびりゃのきゅーとなおめめがあああ!!!」 やはり先ほどの威力はない。これではれみりゃを殺すには至らない。 それでもありすは不敵に笑った。 「すっとろいことしてんじゃないわよ、このいなかものがああああ!!!」 信じられないことにありすは、カスタードを吸われながら、さらに精子餡を吹き上げた。 自身が喰えるだけの容量を超えたカスタードの流入に、れみりゃの体は耐え切れず四散した。 大量の中身を放出し、ほどんど皮だけの饅頭になったありす。 しかし、まだ生きている。死ぬわけにはいかない。 あと、一匹。 残ったれみりゃはまだ子れみりゃであった。 それがれみりゃにとっては不幸であり、ありすにとっては幸運だった。 たった今目の前で四散したのは母。衝撃的な光景が、子れみりゃの動きを一瞬だけ止めた。 それゆえ、即座にありすにとどめを刺すことができなかった。 それが命取りだった。 「んほおおおおお!!!!」 這うような動きであったが、ありすはれみりゃに覆いかぶさることができた。 ほとんど中身が無いとはいえ、皮もそれなりの重量物。 子れみりゃではそう簡単に振りほどくことはできない。 ありすは、残されたカスタードの全てを使って、小刻みに振動を始めた。 もう考えるだけのカスタードも残されてはいない。最期の最期、本能に刻み込まれた行為。 レイプ。 最早見る影もないほど細く、傷だらけのぺにぺに。 けれども、そこにはありすの残ったカスタードが全て詰まっている。 ありすが全てそこにいる。 「まぁんまぁ~!!こあいどぉぉ~!!!」 子れみりゃのまむまむに、ありすのぺにぺにが出入りする。 れみりゃの肌が黒ずんでいく。 びくん、とありすの体が跳ねる。 「う゛ぁぁぁー!!」 ありすの最期の生命の灯を受け取ったれみりゃが、痛々しいまでの悲鳴を上げる。 後には、皮だけのありすと、枯れた茎を生やした黒い塊が残っていた。 みょんも勇敢に戦っていた。 木の枝を振り回し、空中のれみりゃのあんよを傷つけていく。 だが深手にはならない。その上れみりゃ達以上にこちらは疲弊していく。 仲間は次々と倒れ、みょん自身も投石により傷を負う。 (らん、ごめんだみょん。ちぇんのかたきはとれそうにないみょん) 抵抗できないことを確認したのか、一匹のれみりゃがみょんに近づく。 これまでか――みょんが覚悟を決めたそのとき。 「うあっ!?」 れみりゃの体が大きく吹き飛ばされ、木の幹に激突した。そのまま中身を吐き出し、動かなくなる。 これほどに力のあるゆっくりに、みょんは一匹だけ心当たりがあった。 「まりささまがきたからには、もうだいじょうぶなのぜ」 長の補佐役も務める、群れで一番の力持ちのまりさであった。 れみりゃを吹き飛ばすほどの力を脅威と捉えたのか、れみりゃ達はまりさを囲んで円陣を組む。 「みょんもさいごまでたたかうみょん……」 「けがにんのみょんはそこでみているのぜ。まりささまのつよさをおもいしるがいいのぜ」 そう言って、まりさは自身を取り囲むれみりゃに突撃する。 直線的なまりさの攻撃は、れみりゃが少し飛び上がれば回避されてしまう。 「かかったのぜ!」 しかしれみりゃが攻撃を回避した瞬間、まりさは垂直に跳んだ。 真下からの強烈なヘッドバット。れみりゃは体勢を崩したまま上空へと打ち上げられる。 そして落ちる直前に先ほどの体当たり。吹き飛ばされたれみりゃは木の枝に突き刺さり、そのまま絶命した。 れみりゃ達とてただ黙ってやられているわけではない。 距離をとることが不利になると判断し、一気にまりさに襲いかかる。 まりさの皮膚に、何匹ものれみりゃが牙を突き立てる。 このまま餡子を吸い出せば、一瞬で絶命させることが可能だろう。 れみりゃ達は己の勝利を確信した。 「まりさ!」 次々とまりさに群がるれみりゃの群れ。 れみりゃに囲まれ、まりさの姿は見えない。 きっと中では、生命の源たる餡子を吸い出され、無残な姿になっているのだろう。 みょん自身も傷口から餡子を流しながら、せめて一矢報いようと木の枝をとってれみりゃの塊に歩み寄る。 そのとき、みょんはある違和感に気づいた。 長すぎる。 れみりゃの吸餡力は強力で、これほどのれみりゃに囲まれればとっくにまりさの餡子は吸い尽くされているはずだ。 しかし、れみりゃは依然としてまりさにまとわりついたまま。しかも、れみりゃの塊は少しずつ動いている。 みょんは目をこらした。そして見た。 変わらぬ姿で、れみりゃの塊の中心にいるまりさを。 「うー!うー!」 すさまじい筋餡の力で、れみりゃに吸引を許さないどころか、牙を抜くことすら禁じているその姿を。 れみりゃの塊は、いや、まりさはずーりずーりしながら少しずつ移動している。 れみりゃはそれになすすべもなく引きずられているのだ。 向かう先は――川。 「やめるみょん!まりさがしんでしまうみょん!」 みょんは泣きながら、まりさにまとわりつくれみりゃを打ち据え、貫く。 それでもまりさは歩みを止めない。 「うごくんじゃないのぜ。それいじょううごいたらみょんのあんこさんがぜんぶでてしまうのぜ」 「やめるわけにはいかないみょん!」 「しつこいのぜ!けがにんはおとなしくしてろといったはずなのぜ!」 一喝。そして。 「みょんはあのれいむといっしょにまりささまのかつやくをちびどもにつたえるのぜ……」 れみりゃを抱えたまま、まりさは跳躍し、川へと飛び込んでいった。 「…………また……またみょんがいきのこってしまったみょん……」 みょんの悲痛な声は、川の音にかき消されていった。 熾烈な戦いを生き残ったれみりゃ達は、最も大きい巣へと集まっていた。 美味な子ゆっくりや赤ゆっくりが隠れていると踏んでのことである。 「あまあまをだすんだどぉ~♪かくれてもむだだどぉ~♪」 巣の前に敷かれたバリケードを容易に破壊し、巣の奥へと続くれみりゃ達。 そうするうちに、少し広い場所に出た。 群れが会議を行う際に使う場所で、昨日の会議もここで行われた。 そこに、長ぱちゅりーはいた。 「あまあまをかくすとためにならないんだどぉ~♪」 れみりゃの中でもリーダー格と思われる、一回り大きいれみりゃが脅しをかける。 「むきゃきゃ。どうためにならないというのかしら?」 「うー☆たべちゃうぞー♪」 ぱちゅりーの挑発に、少ない語彙ながら明確な殺意をもって応えるれみりゃ。 「ていのうなれみりゃごときが、もりのけんじゃであるぱちぇをたべようというの? あにゃるがおちゃをわかすわ。やれるものならやってごらんなさい。 ほら。みんなひとくちずつ。えんりょはいらないわ。みんなでおわけなさい」 口の減らないぱちゅりーに、業を煮やしたれみりゃがその牙を突き立てた。 その瞬間れみりゃの口内に広がる極上の甘味。 「なんだかんだいって、れみりゃのことがこわかったんだどぅ~☆」 苦痛を味わったゆっくりは甘味を増す。 「こいつもいってたんだどぅ~☆みんなでたべてしまうんだどぅ~☆」 だが、それは決してれみりゃに対する恐怖ではない。 「むーしゃ!むーしゃ!」 ぱちゅりーを極上の甘味たらしめていたもの、それは―――― 「うっ!なんだかくるしいんだど!?」 「これどくはいってりゅぶふっ!?」 「くるしいどぉ~!たすけるんだどぉ~!!」 毒キノコ。 ぱちゅりーは、集めていた毒キノコを、全て食らっていたのだ。 ひとかけらであっても致命的な毒。 身を焼く苦しみの中、クリームを吐くことすらせず、れみりゃと対峙した長ぱちゅりー。 確かにその身は甘くなっていた。猛毒を孕む地獄の甘味に。 「どうしてもいくのか?むれをたてなおすのをてつだってほしいところだが……」 「きめたみょん。みょんはれいむといっしょにちぇんとまりさのことをつたえるみょん」 大きな傷跡をもつみょんは、らんに出立の挨拶をしていた。 春。 れみりゃの襲撃の後、子供を産んだらんは、ぱちゅりーの後をついで群れの長となった。 かつては血気にはやるところもあったが、冬の間じゅう長となるための勉強をし、 今ではぱちゅりーに勝るとも劣らない知恵を身に付けている。 「ちぇんももうあのおうたをおぼえちゃったんだねーわかるよー」 子ちぇん。ちぇんとらんの愛の結晶は、冬を超えて立派な子ゆっくりにまで成長していた。 「まいにちまいにちおなじおうたでうんざりなんだねー」 「まりさはなんどきいてもあきないのぜ。おやじはさいこうにゆっくりしていたのぜ」 だぜ口調の子まりさは、補佐まりさの子。 力は強いし、頭も回る。将来は親同様優秀な補佐役になるだろう。 「おばさんがれいぱーとしてなをのこすのはふくざつなきぶんよね」 求婚ありすには子供こそいなかったが、その遺伝餡は継承されているようだ。 冬篭りの間、れいむは毎日同じおうたを歌っていた。 勇敢だったゆっくり達の戦いの歌を。 残されたゆっくり達の、命の歌を。 子ゆっくり達が、その餡子に刻み込んでしまうほどに。 すっかり雪の融けた山の景色。 悲しいこともあったけれど、命のリレーは確かに繋がっていく。 新たな命が生まれ、新たなおうたが生まれた。 「それでは、れいむはゆっくりしゅっぱつするよ。 みょんなみちづれができたけれど、きっとゆっくりできるよ。 じゃあね、みんなゆっくりしていってね」 「「「ゆっくりしていってね!」」」 れいむは旅をする。 ゆっくりおうたをうたうために。 れいむは旅をする。 ゆっくりおうたをつくるために。 挿絵 by全裸あき 挿絵 by SS作者本人 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る つまらん -- 2018-11-13 13 50 40 つまらん -- 2018-11-13 13 50 29 悪くねぇ・・ -- 2018-07-27 13 50 42 ↓BLEA○Hのセリフ取られてたww 久々にカッコいいレイパーに出会えたww 良いSSだったよ。 -- 2018-01-05 01 59 38 なん....だと......!! -- 2014-12-20 00 00 32 こういうのもいいね…目から餡子が出たよ…(´・ω・`) -- 2014-11-05 19 39 43 なん…だと…ゆっくりに対して涙が出た… -- 2014-01-02 00 18 05 みんなこんなゆっくりだったらいいのに -- 2013-06-11 17 40 18 詩人(作者)乙 これは命の詩とでも言うべきか 推奨BGM:メヌエット -- 2012-09-25 21 09 41 すっげえ・・・絵も文も感動 そしてアリスwww -- 2012-04-18 16 55 00 挿し絵のれいむ、ケンシロウみたいだZ! -- 2012-01-04 03 21 56 れいぱーを初めて好きになった そしてみょんがさらに好きになった -- 2011-10-07 21 08 23 一番上の絵のれみりゃ以外かっこいな -- 2011-09-20 11 11 27 下の人はツンデレなの? -- 2011-07-29 22 15 10 つまんないけど凄くたまにはこういうのもいいかもね、びっくりするくらいつまんないけど -- 2011-07-15 06 19 40 饅頭がかっこいいだと…… いい話だった -- 2011-06-04 13 53 05 あれ・・・カッコイイ・・・だと・・・ 感動した -- 2011-02-19 07 12 26 みょんのイラストの気合入りっぷりがw -- 2010-12-09 18 26 54 うむ -- 2010-11-07 05 57 32 ゆっくり達が格好良い… これは名作だ… 乙! -- 2010-10-31 10 20 25
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/121.html
あるお山に元気なれいむがおりました。 れいむはこの群一番のお洒落さん。 とかいはなありすよりもお洒落が大好き。 まりさ、まりさ、そこのまりさ! ゆゆゆ?!なんなのぜ? れいむはとってもおしゃれなれいむなんだよ! だからまりさは、れいむにおぼうしちょうだいね! ゆん?なにいってるのぜ?まりさのだいじなおぼうし、あげるわけないのぜ! いじわるなまりさだね!げすなまりさはせいさいするよ! ゆがぁぁぁぁ!なにをするのぜ! ゆふふ!すてきなおぼうしがてにはいったよ! れいむはとっても上機嫌です。 れいむはとってもゆっくりしているね! れいむはこの群一番の食いしん坊。 ゆゆこよりもご飯を沢山むーしゃむしゃ。 ありす、ありす、そこのありす! なにかしら? れいむはとってもおなかがすいているんだよ! だからありすは、れいむのごはんさんになってね! なにいってるの?とかいはじゃないれいむね! いじわるなありすだね!げすなありすはせいさいするよ! ゆぎゃぁぁぁぁ!ありすをたべないでぇぇぇぇ!! れいむはとっても満腹です。 れいむはとってもゆっくりしているよ! れいむは群一番のすっきり好き。 れいぱーありすよりもすっきりが好き。 ぱちゅりー、ぱちゅりー、そこのぱちゅりー! むきゅ?なにかしら? れいむはきゅうにすっきりしたくなったよ! だからぱちゅりーは、すっきりされていってね! むきゅ…なにをいっているのかしら?…すっきりはおことわりよ! おさそいをことわるぱちゅりーはげすだね!げすなけんじゃをせいさいするよ! むぎょぉぉぉ?!ぱちゅりーはいまはけんじゃもーどなのよぉぉぉ!すっきりしたくないぃぃぃ!! れいむはすっきりして、気分爽快です。 れいむはとってもゆっくりできたよ! れいむはとっても子育てが上手。 他のゆっくりの子供でも面倒を見るのが大好き。 まりちゃ、れーみゅ、そこのまりちゃとれーみゅ! ゆゆ?なんなのじぇ? ゆん?なんにゃの? いだいなれいむが、むのうなおまえたちのめんどうをみるよ! だからおまえたちは、れいむにいっぱいかんしゃしてね! ゆぷぷ!ばかなのじぇ? おお、おりょか、おりょか! れいむをばかにするおまえたちはげすだね!げすのこどもはいまのうちにつぶすよ! ゆびゅちゅ!もっちょ…ゆっくり… ゆびゃちょ!ゆ…ぎぎ…ぎ…… れいむはゲスの子供を潰して大満足です。 れいむはとってもゆっくりできているね! れいむはとっても結界を張るのが好き。 ゆっくりの巣を見つけると親切に結界を張ってあげます。 ちぇん、ちぇん、そこのちぇん! なにかようー? ちぇんのおうちはきたないね!れいむが、すてきなけっかいさんをはってあげるよ! なにいってるのー?ちぇんのおうちに、けっかいさんはいらないよー!わかってねー! れいむのしんせつをことわるちぇんはげすだね!げすなちぇんはせいさいするよ! やめてぇぇぇぇぇ!わからないよぉぉぉぉぉぉ!! れいむはちぇんの体で結界を作ってあげました。 れいむはとってもゆっくりできるんだよ! れいむはとってもお歌が好き。 鳥さん達よりも、虫さん達よりも綺麗に歌うよ。 むれのくずども!さっさとあつまってね! きょうはくずどもに、うつくしいれいむのおうたをきかせてあげるよ! だからたくさんごはんをちょうだいね! なにいってるんだぜ!やめるんだぜ!ひどいうたなんだぜ! なんなのこのおとは?!とかいはじゃないわね! むぎゅう!えれえれえれえれ… わがらないよぉぉぉぉぉぉ!! このむれはげすばかりだね!こんなむれにはいれないよ!れいむはにんげんをどれいにしてくらすよ!! れいむはお顔は真っ赤にして怒りました。 れいむはこんなにゆっくりしているのに!! れいむは人間さんのいる町にやってきました。 れいむはとってもお花が好き。 いつもお花を見つけては、全部綺麗に食べてあげます。 おはなさん、おはなさん、たくさんのおはなさん! このおはなさんは、れいむのために、はえてきたんだね!ぜんぶたべてあげるよ!ゆっくりかんしゃしてね! こら!そこのれいむ!ゆうかがそだてたおはなさんをたべたわね! おはなさんは、れいむのために、はえてきたんだよ!ばかなゆうかはせいさいするよ! ゆぎゃぁぁぁ!やめてぇぇぇぇ!いだいぃぃぃぃ!! ゆうかに噛み付かれて、れいむは逃げていきました。 れいむはゆっくりしてただけなのに! れいむはとってもお昼寝が好き、群一番の怠け者のれいむ。 めーりんよりも、お昼寝が大好き。 めーりん!めーりん!そこのめーりん! じゃおぉぉ……じゃおぉぉぉぉ……?!……じゃ、じゃおお? ここはれいむのゆっくりぷれいすだよ!ここでおひるねしていいのは、れいむだけだよ! じゃおぉぉん! くずのめーりんのくせになまいきだよ!せいさいしてあげるよ! じゃおぉぉぉん!……… れいむ、れいむ、そこのれいむ! ゆげ…ゆぎぎ…ごごご…げげ… お前か、ゆうかの花壇を荒らして、めーりんを苛めたれいむは?! れいむはゆっくりしてるんだよ!どぼじでごんなごどずるの?!くずどもはれいむをゆっくりさせろ!! このれいむはゲスだな!でいぶだな!でいぶは制裁してやるよ!! れいむはとってもゆっくりしていたのに……… れいむはずーっとゆっくりしてしまいました。 ………れいむ、れいむ……れいむ、起きなさい! …だれなの…うるさいよ… 私はえいき…ゆっくりを裁く者です… …ゆん…うるさいよ!…れいむはえいえんにゆっくりしたんだよ!ゆっくりりかいしてね! どうして貴方は永遠にゆっくりしてしまったのか解りますか? みんながいじわるだったからだよ! みんながわがままだったからだよ! みんながゆっくりしてないからだよ! ちがいますよ… 貴方が意地悪だったからですよ。 貴方が我侭だったからですよ。 貴方がゆっくりしてないからですよ。 なにいってるの?れいむはゆっくりしているよ!せかいでいちばんゆっくりしたゆっくりだよ! だからえいえんにゆっくりしたんだよ!りかいできる? なるほど…そういう考え方もありますね… ゲスは死ななきゃ治らない、死んでもえいきの邪魔になるなんてよく言ったものですね… れいむはげすじゃないよ!れいむをげすよばわりするえいきのほうが、よっぽどげすだよ! そうですね…私はゲスかもしれません…自分の判断でゆっくりを裁いているのですから… ゆふふ!りかいがはやくてたすかるよ!りかいしたのなら、れいむにあまあまをもってきてね!たくさんでいいよ! 残念ですがここにあまあまはありません。 ゆふん!つかえないやつだね!めざわりだよ!どこかにきえてね! そうですね…えいきは使えないですね…貴方にふさわしい罰が思い浮かびませんから… なにをやってもあなたは反省してくれませんから… ですから、何度もれいむに生まれ変わらせています。 でも貴方は一向に変わってくれません。 ゆゆ?なにをいってるの?えいきはばかなの?しぬの? 私はもう疲れました… 最後に、今まで貴方がしてきた事をあなた自身で味わってみて下さい。 ?! れいむのおりぼんとらないでぇぇ! れいむをたべないでぇぇ! すっきりはいやだよ! せいさいはいやだよ! れいむをいじめないで!! れいむをゆっくりさせないのはだれ? れいむにいじわるするのは……… れいむ? うそだよ!いやだよ! ゆわぁぁぁぁぁぁ!! なんだかこわいゆめをみたよ…… とってもゆっくりできないれいむだったよ… 茎に実った赤ちゃんれいむは目を開けて辺りを見回しました。 そしてもう一度怖い夢を思い出してブルッと震えるとまた眠りにつきました。 れいむは…ゆっくりしたゆっくりになるよ……… むかしむかし。 とてもわがままなれいむがおりました。 れいむは死んだ後にえいき様に裁かれましたが、一向に反省しませんでした。 何度罰を与えて生まれ変わらせても結果は同じです。 そこでえいき様は一生懸命考えました。 れいむ、ゆっくりしたゆっくりになって下さいね… 誰かにそんな事を言われた気がします。 えいき様はやっと、わがままれいむに相応しい仕事を与える事が出来ました。 わがままれいむは悪いお手本。 ゆっくり出来ないゆっくりの見本として、ゆっくり達の夢の中に現れます。 それはれいむに与えられた罰でもあります。 わがままに生きた代償として、ゆっくり出来ずに死んで生きます。 もういやだよ!れいむはまたしにたくないよ! でもこれは、れいむが望んだ生き方そのものです。 その結果がこれなのです。 わがままれいむは今日も何処かのゆっくりの夢の中で、わがままに生きています。 そして、罰を受けて死んでいきます。 完
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/3383.html
『れいむと俺』 4KB 愛で 変態 飼いゆ 現代 ぺにまむ 初投稿です。HENTAIです。いじめないです。ごめんなさい。 一匹の子れいむを拾った。 公園で他のゆっくりにいじめられていた所をヒャッハーしながら助けたのだ。 その子れいむはお飾りも綺麗で肌ももちもち、ゆっくりでいうところの美ゆっくり…のはずだが。 そんな事もあり、気になったので連れ帰った訳だ。 気を失っているのでオレンジジュースをかけ、目を覚まさせる。 「ゆっ……ゆ?!ここどきょ?…!!…に、にんげんしゃん……」 「ゆっくりしていってね」 「ゆっ!!ゆっくりしちぇいっちぇね!!!」 とりあえず挨拶を済ませた。 「あの…れいみゅは……どうちてここにいるにょ?」 「俺が連れてきたんだ」 「ゆゆ?れいみゅなんかを……?」 「いじめられていたようだが、何があったんだ?」 「ゆ……」 そういうと俯いてしまった。 俺は恐怖心を与えぬようそっとれいむの頭を撫でた。 「もうお前をいじめるやつはいないぞ。大丈夫だ」 「ゆん………れいみゅは…れいぱーのこだったにょ……。だきゃらゆっくちしてにゃいって……」 「ふむ。親はどうしたんだ?」 「みゃみゃは…れいみゅが出来たからしんじゃっちゃの……。れいみゅだけしにゃずにのこっちゃの……。ぴゃぴゃ(れいぱー)はせいっさいされちゃよ」 「ほう、腐らずに生まれ落ちたのか」 「ゆっ…ゆぐっ……れいみゅは…うまれちぇ…ゆぐっ……こにゃければ…ゆっ…ゆぐっ…」 なんという善良なゆっくり。 こいつなら飼ってもいいかな。 「なぁれいむ。俺の飼いゆっくりにならないか?」 「ゆっ?!れいみゅが…?れいみゅでいいにょ…?」 「あぁ、これからよろしくな」 「…っ…ゆっ……ゆえええええええん!!ありがちょう!おにーしゃんありがちょうううう!!」 そうして俺とれいむの生活が始まった。 時が経つほどれいむは賢く、良い子になっていった。 そしてつい最近金バッジを取得した。元野良とは思えないほどの自慢のゆっくりだ。 俺はそんなれいむがとても可愛かった。 そしてれいむも俺に存分甘えてきた。 …そしてとある日曜日… 「おおおおおおおおおにいさああああん!!!」 朝早くかられいむがバタバタと俺の部屋にやってきた。 「おにいさん!!おきてね!!れいむに…れいむに…!!」 ゆさゆさとお兄さんの体を揺らしながら訴えるれいむ。 「う…やめ……どうした?れいむ…」 「れいむにどうさんがはえてきたんだよ!!」 「は?!」 俺は飛び起きてれいむの姿を確認する。 そこには、胴付きれいむが居た。…………………………すっぱだかで。 「なんで服着て無いんだ?」 「しらべたんだよ!からだを!」 ちろりと全身を見ていると俺は股間に違和感を感じた。 …………朝勃ちしとるがな…。 「あー…あとで見てやるからちょっとあっちへ行っててくれ…」 「ゆ?どうしたの?おにいさん。ぐあいわるいの?」 「いや、なんでもないんだ。ただ…」 「ゆゆ?」 れいむは俺の膝に乗っかってきた。 その位置やヴぁい。 「ゆっ…なにかあたってるよ?」 「…っ…れいむ、あっちへ行っててくれ…」 「ゆっ!せっかくどうつきさんになれたからおにいさんにいっぱいすーりすーりするんだもん!!」 そう言いながら俺の背中に手を回し、腰を動かした。 「すーりすーり♪すーりすーり…すーり…すー…り…ゆふん」 れいむは顔を紅潮させた。全身すりすりにより発情したのだ。 「おにいさん…れいむね、おにいさんのことだいすき…だから…」 「れいむ…まりさじゃなくていいのか?」 「ゆんっまりさはすきじゃないよ!!れいむがすきなのはおにいさんだけ!!」 「そうか…」 そろそろ我慢の限界の俺は、れいむのまむまむに手を伸ばした。 ぬるっ びしょびしょと言っていい程ぬるぬるだった。 「お…おにいさぁ…ゆぁっ」 右手中指でぐちゅぐちゅとかき混ぜた。 ぐちゅぐちゅと音がなる度ぽたぽたと粘液が落ちていった。 程よくほぐれてきたところで俺は自分のモノを取り出した。 「ゆわぁ…おにいさんのおっきい…」 「本当にいいんだな?れいむ」 「ゆん…おにいさんだいすき…」 れいむの入り口はとても狭かった。 めりめりと聞こえてきそうな程…。少しずつ少しずつ俺のを咥えていった。 れいむのナカはあんこがうねっており、キツキツの締め付けでとても具合が良かった。 ゆっくりと時間をかけ全てを挿入した。 「れいむ、ゆっくり動くからな」 「ゆふっ…ゆんっ!おにいさんの…すきにしていいよっ…!」 俺はゆっくりと動いた。引き抜いたモノにはねっとりと粘液がついていた。 それをゆっくりと…次第に早く出し入れした。 「ゆっっゆあっ!ゆふっ!おにいっっさっ!ゆぁっ!だぃす…っ…きっぃっ!」 「俺も好きだよっれいむっ」 じゅぷっじゅっぐぷっじゅぷっ お互い徐々に高まっていく。 「ゆぁっ!ゆっゆふっ!おっ…おにいさっ…!れいむ…すっきぃっしちゃっ…ゅあっ!」 「出すぞっ!れいむのナカにっ!出すぞっ!!…っ…でるっ!!!」 「すっきりぃぃぃーーーーー!!!」 れいむのナカから引き抜くと後を追って白い液体がどろりと溢れてきた。 「ゆふっ…ゆふ…ゆふ…」 「れいむ、大丈夫か?」 「ゆんっ…ゆふ…だいじょうぶだよっ!」 「またやろうか」 「おにいさんのえっちっ!」 そうして俺とれいむの新しい生活が始まった。 あとがき ごめんなさい。 えっちぃのが書きたかっただけなんです。
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/132.html
・れいむが死にません。 ・エロくありません。 ・最近れいむいじめがひどかったんで、れいむ愛でモード突入中。 ・仕事の都合もあって製作ペースが戻らないので、まだまだリハビリが必要な感じです。 『飼いゆっくりれいむ』 D.O 我が家は、築100年を軽く超える古風な木造家屋である。 爺さんの若かった頃は農業をしていたとのことなので、蔵もあれば庭もあり、 さらにその周囲は生垣をはさんで小さな林まで広がっている。 外から見れば、歴史の重み、どころか幽霊屋敷の雰囲気漂わせていることだろう。 現在の主である私が手入れを怠っているので、庭はコケと背の高い雑草が生い茂り、生垣も所々穴が開いているからなのだが。 私が子供の頃は、周囲にまだ多くの農家も残っていたが、 十年ほど前に、ゆっくりの大規模な襲撃が起こり、すっかり疲弊してしまったようである。 もう少し山に近い田舎に立ち上がった、のうかりんを使った実験農場計画が始まった頃に多くの農地は売却され、 実験農場が順調な現状を考えると、このあたりも数年後にはのうかりん印の農場になりそうだ。 現在では町、というには空き家が多すぎる、少々寂しい地域となってしまっている。 そんなある日、仕事から帰ってみると、 庭にサッカーボールサイズと、テニスボールサイズの饅頭が一つづつ落ちていた。 日が暮れているので良く見えないが、赤白リボンの奴はたしかれ・・・れ?ゆっくりだ。 「ゆゆっ!おにーさん、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇっちぇにぇっ!」 「・・・・・・。」 家の電灯に照らされてみれば、薄汚れていて何ともゆっくりしていない奴等である。 少なくとも、見ているこちらとしてはゆっくりできない。 親子なのは間違いなさそうだが、親の方は全身余すところ無く、 マジックで唐草模様が描き込まれているあたり、町からやってきたのは間違いないだろう。 「にんげんさん、れいむはしんぐるまざーなんだよ!」 「へぇ・・・。で?」 「かわいそうなれいむたちを、ゆっくりかっていってね!」 「きゃわいくってごめんにぇっ!」 「・・・はぁ。」 なんだか、やり遂げた表情でこちらを見ている。 刈って、狩って、・・・いや、飼っていってね、か? どうやら、こんなにゆっくりしたおちびちゃんなんだから、人間さんも飼ってくれるに違いない、ということらしい。 とりあえずサンダルの裏を、その自信満々の顔面に押し当てて、塀の方に転がしてやることにした。 「ゆべしっ!」 「ゆぴぃぃいい!」 「・・・ペッ!」 噛んでいたガムが母れいむのリボンにジャストミートする。 「・・・・・・飯作ろ。」 別にゆっくりとやらに大した関心はない。 単に、コソコソ隠れているなら可愛げもあるが、ずうずうしさが気に入らなかっただけである。 これまでも野良猫やらなんやら、しょっちゅう仮の宿に使われていたので、 今更ゆっくりが庭に舞い込んだところで気にしない。 糞をばら撒かれないだけ、犬猫よりはありがたいくらいだ。 庭に住みたきゃ勝手に住めばいい。 こちらには当然世話する義務なんぞ無いのだから。 「ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛・・・・」 「ゆっくりー!」 痛みから回復したれいむ親子の方は、感動に打ち震えていた。 なにせ気がついたら、母れいむのリボンにペタリとついているのは、あの憧れの飼いゆっくりバッジ。 れいむも遠くで見ていたときは気づかなかったが、バッヂがまさか人間さんが口から吐き出されたものだったとは。 まあ、自分達もナワバリ(無意味極まるが)にしーしーでマーキングすることは多いのだから、そういうものなのだろう。 ・・・などと考えながら、リボンにへばりついたガムを、嬉し涙に潤んだ目で眺めていた。 そう、れいむはついに、ゆっくりの中でも最もゆっくりできると言われる、 あの飼いゆっくりにしてもらえたのであった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 翌朝。 便所から出て縁側を歩いていると、庭の隅に放置していた木箱から、れいむ親子が飛び出してきた。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 「ん?まだいたか。」 朝からうるさい奴らだ。やはり猫の方がましだな。 「ゆーん。おにーさん、れいむたちにあさごはんちょーだいね!」 「ちょーらいにぇっ!」 昨日のゆっくり共が、これから仕事に行くという時に、なんだかずうずうしくゆぅゆぅ鳴いている。 「・・・・・・庭の草でも花でも、自分で適当に食え。」 「ゆゆっ!?おはなしゃん、たべちぇいいにょ?やっちゃー!」 「ゆーん、ごはんさんいっぱいだよ~。」 勝手に住むのはかまわんが、ゆっくりフードたら言うものまで買ってやる気など無い。 というか、ペットでもないのにいちいち飯などやらん。 「むーしゃ、むーしゃ。しあわせー。」 「むーちゃ、むーちゃ。ゆ・・ゆぇーん。」 「どうしたの、おちびちゃん。」 「れいみゅ、こんにゃにむーちゃむーちゃちたの、はじめちぇ。」 れいむ達は、飼い主であるおにーさんの愛情を全身で味わっていた。 なにせ、適当に食え、と言って指差した庭には、 柔らかそうなゆっくりした草、 タンポポやシロツメクサの類の雑草寄りの花、 背の低い木には実や柔らかい葉っぱ、 それに、今は何も成っていないが柿やビワの木も生えており、季節が来たら食卓を飾ってくれることだろう。 当然昆虫やミミズも、その気になれば取り放題だ。 ここは、森の中にあったとしたら、数十匹のゆっくりを余裕をもって支えることができる最上級の狩場であった。 それらが全て、この2匹だけのためのごはんだと言うのである。 「おにぃさぁん、ありがとぉぉぉおおおぉぉ。」 そんなある日、夕食の生ゴミを袋に入れて、裏庭のポリバケツに入れようとしたところ、 ゆっくり共が、よだれを滝の様にたらしながらこちらを見ていた。 ・・・・・・そういえば、今都会では『ゆっくりコンポスト』なるものがはやっていると聞く。 正直言って生ゴミを貯めこむのは嫌だし、こいつらでも使ってみるか。 「・・・食え。」 翌朝、袋の中身がきれいさっぱりなくなっていた。 袋に何かが入っていた形跡すら無い。よだれらしきものでベタベタではあるが。 「ゆっくちちたおやさいしゃんだったにぇっ!」 「おにーさんにありがとうってするんだよ。」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ。」 「なるほど。こいつは便利だ。」 それからというもの、あの親子は毎日ポリバケツに放り込むはずだった生ゴミを、おやつだと大喜びで食べている。 生ゴミを放置しすぎて増えていたりぐるとかも減った。 生ゴミがなくなったからか、りぐるも食べているのか・・・ しばらくすると、いちいちこいつ等が『おうち』とやらにしている、庭の隅の木箱まで生ゴミを持っていくのもめんどくさくなってきた。 まずは縁側の下に少し穴を掘り、用済みとなったポリバケツを横倒しにしてはめ込む。 ポリバケツの内側に土をいくらか入れ、周囲の穴との隙間にも土を詰める。正面から見るとパッと見トンネルのような感じだ。 あとはあのゆっくり親子を中に放り込んで、自家製コンポストは完成。 「ゆわーい。きょきょはれいみゅたちのおうちなんだにぇ。」 「ゆっくりー!おにーさん、ありがとう!」 なんかぽいんぽいんと跳ねて喜んでいるが、台所からも食卓からも近いここが、 生ゴミを放り込むのに適していただけだ。 「ん、で、あと何が必要だ?」 「「ゆぅ?」」 なんといっても、使い道ができた以上、もはや野良猫と同等ではない。 金をかけてやるつもりはないが、それなりのメンテナンスはしてやろう。 コンポストとしてある程度長持ちしてくれなければ困るからだ。 「ゆ、ゆぅーん!れいむはみずあびができたらうれしいよ。きたないとゆっくりできないよ。それと・・・」 「それと?」 「おちびちゃんにも、ばっじさんがほしいよ!おちびちゃんもかいゆっくりのばっじさんがほしいよ。」 水浴びか。なるほど、こいつ等が饅頭のくせにカビないのは不思議だったが、やはり不潔にしておくのはよろしくないといったところか。 こっちとしても軒下にサッカーボール大のカビ饅頭があるのは気分が悪い。自分たちで清潔にしてもらおうか。 あとは・・・ん?おちびちゃん・・・にも? ・・・・・・妙に馴れ馴れしいのも合点がいった。まさか飼われているつもりだったとは。 まあ、使い道がある今となっては都合がよくもあったが。 「水は、そうだな。このタライに水を入れといてやる。勝手に使え。」 「ゆっくりー!」 「それと・・・バッジねぇ。ああ、あれでいいか。」 持ってきたのは、私が中学生時代に学生服につけていた、襟章だった。 鈍く銀色に光る襟章、どうせこいつ等がバッジとやらを活用する日は来ないのだから、これで十分だ。 リボンに乱暴にネジ式の襟章を突き刺して固定すると、赤色の中に鈍く光る銀色は、思いのほかしっくりときた。 「ゆわーい!ゆっくちちたばっじしゃんだー!」 「ゆぅぅ、よがっだねぇ、よがっだねぇぇえ、おぢびじゃぁぁああん。」 喜んでもらって何よりである。この調子で雑草むしりと生ゴミ処理を頑張ってもらいたいものだ。 翌日には、縁側下のコンポストの近くに「おといれ」と称してうんうん用の穴も掘っていた。 生活の場に排泄物を置いておくのはやはり嫌なのか。だが、これはこちらとしても都合がよかった。 このうんうんという排泄物については、定期的に土と雑草に混ぜて花壇の肥料にしている。 なかなか良質なようで、しかも採集の手間も要らないしありがたいものだ。 「ゆーん、おにーさん。おといれのおそうじしてくれてありがとう。」 「うんうんがなくなっちぇ、ゆっくちできりゅよ。」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− こうしてれいむ親子がコンポストとなった数日後、家の庭に最近ご無沙汰だった来客が来た。 「ねこさんだぁぁあああ!ゆっくりできないぃぃぃ!!」 「ゆぴぃぃ、おきゃあしゃんこわいよぉぉ!」 「ん、ああ、トラか。久しぶり。」 生垣の穴から庭に入ってきたのは、近所で気ままな野良生活を送っている猫だ。 こいつに限らず、我が家を通り道にする猫は多い。 「ゆぁぁぁぁ、おにーさぁぁん。ねこさんこわいよぉぉぉぉ。」 「ゆっくちさせちぇぇぇぇ。」 「・・・嫌なら自分でなんとかしろ。」 「「ゆぅぅぅ、ゆっくりできないよぉ。」」 別にサッカーボールサイズの良くわからん物体にじゃれつく様な、酔狂な猫達でもないが、 町生活でトラウマでもあるのか、度重なる猫の襲撃に、れいむ親子は自分達で何とかすることにしたようだ。 数日後から、徐々にだが、目に見えて生垣の穴がふさがり始めた。 「ゆーえす!ゆーえす!」 「おきゃーしゃん、はっぱしゃんもってきちゃよ。」 「じゃあおちびちゃん、このすきまにはっぱさんをおしこんでね。」 「ゆっくちりきゃいしちゃよ。」 生垣や塀の隙間に、小石を詰め、小枝を刺し、上から土を盛って、また葉っぱや枝を詰める。 近くで見るとやはり幼稚園児の工作の域を出るものではないが、遠目には生垣に溶け込んで見えなくも無い。 何重にもゴミを積み上げているので、強度のほうはちょっと蹴りを入れたくらいでは吹っ飛ばないくらいになっていた。 「これでねこさんはいってこれないね!」 「ゆっくちー。」 「にゅぁ~ん・・・ぐるるる。」 ・・・・・・。 「「どぼぢでねござんはいっでるのぉぉぉおお!?」」 「・・・塀の上からだろ。」 まあ一応は通りにくくなったので、特に頻繁にここに来る数匹以外は入ってくることも無くなり、 多少は平穏になったようだ。 それにしても、なんだか最近庭がきれいになってきた気がする。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 生垣の穴がれいむによってあらかた埋まった数日後、 久しぶりに友人が家まで遊びに来た。 「ゆゆっ!?おにーさんのおともだち?ゆっくりしていってね!」 「ゆっくちしちぇっちぇにぇ。」 「おー、間知由。お前ゆっくり飼ってたんだな。エラい装飾過剰だけど。」 「いや、飼ってないし、あの唐草模様は来たときからだ。俺の趣味じゃない。」 「ふーん。つってもバッジついてんじゃん。」 「ありゃガムだ。」 「え゛・・・。」 「ああ、みかんの皮は庭のポリバケツに放り込んどいてくれ。」 「え?これってこいつらのおうちだろ?」 「いや。コンポスト。」 「んー。・・・え゛ぇ?」 「ゆわーい、おやつだにぇ!ゆっくちありがちょー。」 「むーしゃ、むーしゃ。しあわせー。」 ついでに、夕食の魚の骨も放り込んでおいた。 「ぽりっ、ぽりぽりぽり・・・ゆっくりー!」 「・・・・・ふーむ。」 「どうした?」 「いや。ゆっくりって、案外飼いやすい生き物なのだろうかと思ってな。」 「ただの饅頭だろ。・・・・・・何だよ、その目は。」 「まったく。世の中にはどんだけ愛情注いでも懐かれない奴もいるってのに。」 「そんなもんかね。」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− そして、庭が放置しっぱなしの幽霊屋敷状態から、見違えるようにきれいになった頃、 れいむ達の平穏な毎日に、突然不幸が舞い降りてきた。 「Zzzzzz・・・。」 「すーや、すーや。」 今日は日曜日。おにーさんも日当たりの良い縁側で昼寝中。 れいむ親子も庭に生えた木の木陰でゆっくりと惰眠をむさぼっていた。 そのとき庭に、普段と違う空気が漂う。 「うー。」 「ゆぅ?・・・すーや、すーや。」 「あまあまー。」 「ゆ・・・すーや、すーや。・・・・・・れみりゃだぁぁぁああああ!!!」 庭に突然飛来したのは、本来夜行性のれみりゃ(胴無し)。 庭のすぐ奥にある林は、昼でも薄暗く、たまに昼でも活動するれみりゃが現れたりする。 しかも、このあたりは農家だったこともあり、害ゆ対策として、れみりゃを大量飼育していた時期もあったので、 最近森の奥でしか見なくなったれみりゃ種もチラホラいたりするのだ。 「おちびちゃん、ゆっくりにげるよ!」 「ゆあーん。れみりゃはゆっくちしちぇにぇ。」 ぽよん、ぽよん、と大急ぎでおうちに飛び込むれいむ親子。 れみりゃは追ってこなかった。どうやら助かったようである。 しかし、一つだけ気がかりがあった。 「ゆぅぅぅ、おきゃーしゃん、れみりゃはゆっくちできにゃいよぉ。」 「ゆ!おちびちゃん。ここはおにーさんがつくってくれたおうちだから、れみりゃなんてはいってこれないよ!」 「ゆっくちー。でみょ・・・。」 「おちびちゃん?」 「おにーしゃん、すーやすーやしてたよ?れみりゃにゆっくちひどいことされてにゃい?」 「ゆゆっ!?」 「そろーり!そろーり!」 おにーさんの無事を確かめるべくおうちから慎重に這い出るれいむ。 見つかったら命はないだけに、そろーりそろーりにも力が入る。 そして、れいむは驚愕の姿を目撃した。 「うー!うー!」 「Zzzzzz・・・・、じゃま・・・」 ・・・・・・れみりゃがおにーさんにじゃれていた。 「ゆぁぁぁああああ!おにーさんがたべられるぅぅぅううう!!!」 「うー?」 「やめてねっ!おにーさんをたべないでねっ!れみりゃはゆっくりどっかいってね!!」 ゆっくりしたおにーさんを助けるべく、れいむはれみりゃに立ち向かう。 しかし、口にくわえた木の枝をどれほど振り回しても、空を舞うれみりゃ相手には届かなかった。 「ゆぅ、ゆぅぅ、どうしてとどかないのぉぉ。」 「うー!あまあまー。がぶり。」 「ゆひぃぃぃぃ、れいむのあんこさんすわないでぇぇぇぇ・・・。」 「おきゃあしゃぁぁあん、ゆっくち、れみりゃはゆっくちしちぇぇぇぇ!」 「お、肉まん。」ぱさり。 「うー!うー!」 といったところで目が覚めたおにーさん。 玉網を使ってあっさりとれみりゃを捕獲したのであった。 それにしても、生ゴミを処理して肥料を作り、 庭の管理までやってくれた挙句、夕食のおかずをおびき寄せてくれるとは、 つくづく使いでのあるコンポストだ。 つい今さっきまでたっぷり飯を食っていたこの肉まん、中身がが詰まっていてうまそうだな。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」 「おきゃーしゃん、ゆっくちしちぇぇぇぇ。」 ザックザックザック 薄っぺらくなった方のれいむには、中身を詰めなおしてやることにする。 掘り出したのは、「おといれ」とやらになみなみと貯められた餡子。 こいつを、中身の減ったれいむの口からねじ込んでやることにした。 「ゆ゛っ、ゆぼぉっ!おにーざん、やべでぇ、ゆっぐぢでぎなっ!ゆぼっ!」 「おにーしゃん、やめてあげちぇにぇ!おきゃーしゃんがいやがっちぇるよ。」 無視。餡子は餡子だ。多少土が混ざっているが、中に詰めなおしてやれば問題ないだろう。 「ゆ゛っ、ゆっぐぢしていってね。ゆげぇ。」 「やっちゃー!おきゃーしゃん、げんきになっちゃよ。」 「ゆ、ゆぅぅ・・・おにーさん、ありがとぉ・・・。」 「しゅーり、しゅーり、ちあわちぇー!」 ふむ、消耗してはいるが、まだ当分は使えそうだ。 そして、その夜は多すぎて食べきれなかった肉まんの残りを、コンポストに放り込んでやった。 やはり一人暮らしにあのサイズは無茶な話だな。 「ゆわーい。きょうはごちそうだにぇ!」 「ゆーん。きっといっしょにれみりゃをやっつけたから、ごほうびなんだよ。」 「ゆっくち!ゆっくち!」 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− そんな生活が、しばらく続いたが、 子れいむが成体にまで大きくなった頃、親れいむの方が死んだ。 あとで調べたが、町の野良の寿命は平均一年かどうかと、大分短いらしい。 我が家に来た時には中古のポンコツだったということか。 「お・・・おにーさん。おちびちゃんを、・・・これからもゆっくりさせてあげてね。」 「特になにも変らんよ。」 「おちびちゃん、・・・ゆっくりしていってね・・・・・・」 「おかーしゃん、おきゃあしゃぁぁぁあああん!!!すーりすーりしてね、ぺーろぺーろしてねぇぇえええ!!!」 リボンは子れいむの方が欲しがったのでくれてやり、死体のほうはぐちゃぐちゃにすり潰して肥料にした。 花壇の花も元気に育つことだろう。 「おかーさん。おはなさんになったんだね。」 「まあそうとも言えるな。」 「ゆっくりしていってね。おかーさん。」 まあ、そんなことはどうでも良かったのだが、少し問題が生じてきた。 コンポストの、生ごみ処理能力が落ちてしまったのだ。 「ゆぅぅ~。さびしいよぉ。」 「おちびちゃんがほしいよぉ。」 「すーりすーりしたいよぉ。」 どうも孤独な生活と発情期が重なって、ノイローゼ状態になったらしい。 頭数が減ったうえ、どうにも食欲が無い。庭の雑草もまた伸び始めてきた。 これは、新しいゆっくりを取ってくる必要がありそうだな。 その日、夕食の生ゴミをコンポストに放り込みながら、 れいむにつがいを探してやる、と言った時のれいむの喜びようは大変なものだった。 体が溶ける寸前まで水浴びをして、リボンのしわ一つ一つまで丹念にあんよでつぶして伸ばしていく。 コンポスト内の清掃も丹念に行い、 さらに子供が出来た後のために、花やイモ虫、果物の皮などのごちそうから保存食の干し草まで貯めこむ。 にんっしん中のベッドまで葉っぱと草を使って作り終えて、準備万端でその日を迎えた。 約束の日、私はれいむを連れて街を歩き、れいむ的に「すっごくゆっくりしてる」まりさを手に入れた。 この白黒饅頭、帽子にアイロンをかけた形跡もわずかにあり、恐らくバッジを引きちぎったのであろう傷痕も見られる。 飼われていたというなら、それなりの躾もされているのだろう。好都合だ。 「ゆふん!そんなにまりさをかいたかったら、かわせてやってもいいのぜ。」 「ゆっくり!まりさ、ずっとゆっくりしようね!」 「ゆん!なかなかゆっくりしたれいむだから、とくべつにすっきりしてやってもいいのぜ。」 本人も乗り気のようだから都合よい。つがいにしてやることにして、家に連れていった。 「ゆぅ~ん、まりさ。すーり、すーり。」 「ゆへぇぇ!いいからとっととまむまむをむけるのぜぇ!『ぼよぉぉおん!』」 「『ごろんっ』ゆぅ!?もっとゆっくりしてぇ!」 「しったこっちゃないのぜ!まりさのぺにぺにをおみまいしてやるのぜぇ!!」 ずぼぉっ!ずっぽずっぽずっぽずっぽ・・・ 「ゆぁーん、いだいぃぃぃい!らんぼうすぎるよぉ。もっと、ゆっぐりぃ!」 「ゆっふっ!ゆっゆっゆっゆっゆっゆっすっきりぃぃぃいいい!」 「ずっぎりぃぃ。」 とりあえずれいむの腹が膨れてきたので、予定どおりにいったようだ。 「ひどいよまりさ・・・」 「ゆふぅ。ひとしごとおわっておなかがすいたのぜ。にんげんさん、とっととごはんをもってくるんだぜ!」 「その辺のを適当に食え。」 「ゆゆ!?なにいってるのぜ。ゆっくりふーどさんなんて、どこにもないのぜ。」 「草があるだろ。」 「な・・・なにいってるのぜぇぇ!くささんはごはんじゃないのぜ! ふーどさんがないならけーきさんでもいいのぜ!はやくもってくるのぜ、くそじじぃ!」 「ゆぅ。なにいってるの?おにーさんにあやまってね。くささんはおいしいよ。むーしゃむーしゃ。」 「ゆぎぃぃぃいい!もういいのぜ!はやくおうちにいれるのぜ!べっどですーやすーやするのぜ!」 「そこに家ならあるだろ。」 「な・・・なにいってるのぜぇ!これはごみばこさんなのぜ!くさくてきたないのぜ!」 「ひ、ひどいよまりさ!おにーさんがれいむにくれた、ゆっくりできるおうちだよ! それに、れいむがいっしょうけんめいおそうじしたんだよ!ゆっくりあやまってね!」 「・・・いいよ別に。文句があるなら勝手に出ていけば。」 「ゆふん!まったく、ばかなじじぃとゆっくりしてないごみれいむのほうが、このおうちからでていくのぜ! ゆっくりしたまりささまが、とくべつにこのおうちをつかってやるのぜ!」 「ふーん・・・。れいむ、どうやら一緒に暮らすのは無理そうだが。」 「ゆぅぅぅぅ・・・ゆっくりできないまりさだよぉ。」 とりあえず、私が家から追い出されるのは嫌なので、ゆっくりしたまりささまとやらは、門から丁重に出て行ってもらった。 あれだけ態度がでかいと、野良をやっていくのも大変だろうに、大したものだ。 しかし、ゆっくりと言っても、コンポスト向きのとそうでないのがいるのかもしれない。 黒帽子がダメなのか、飼われていたのがダメなのか、まあ、どうでもいいことだ。 れいむの腹にいるちび共の中に黒帽子がいたら、それもはっきりするだろう。 つがいこそいなくなったものの、孤独を埋めるという当初の目的は達成されたようである。 それから数匹分の食欲を発揮し始めたれいむは、3週間後、無事れいむ種一匹とまりさ種一匹を出産した。 赤ゆっくりが腹から射出される勢いには驚いたが、庭は柔らかい芝生であったのが幸いしたのか、 せっかくれいむが作っていた草のクッションから1m以上離れて着地したものの、つぶれることはなかった。 「「ゆっくちしちぇっちぇにぇ!!!」」 「ゆっくりしていってね!ゆぅーん、ぺーろぺーろ、おちびちゃんたちかわいいよぉ。」 これで、コンポストの方は今後も安泰そうだ。 母れいむがチビ共にもバッジが欲しいとか言ってきたので、画鋲のカサの部分をセメダインでくっつけておく。金バッジだ。 これで満足して生ゴミを処理してくれるのだから、安上がりなものだ。 ちなみに、ゆっくりしたまりささまに出て行ってもらってから二日後、門の前にみすぼらしく、 帽子もかぶっていないまりさ種が一匹転がっていた。 「やっばりがっでぐだざぃぃ・・・おねがいじばずぅ。」 とか言っていたが、ゆっくりを飼う趣味などないので、無視しておいた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− それからしばらくは、コンポストとしても庭の芝生管理としても特に問題はなかった。 ピンポン玉サイズの子供たちでは、成体一匹分の処理能力を補えるかと、多少不安ではあったが、 どうやら、成長中のチビ共の方が食欲は旺盛らしく、生ゴミは毎日順調に処理され、肥料になっていった。 黒帽子の方も特に文句を言わず、生ゴミをムシャムシャ食らい、庭をぽよんぽよんと跳ねまわっている。 やはりあの態度は、育ちが問題だったようだ。 だが、赤ゆっくり達が産まれてから一月ほどたち、そろそろ冬の近づきを肌で感じ始めた頃、 またしてもコンポストの性能が低下してきた。 朝、コンポストの中をのぞいてみると、まだ昨日の生ゴミが残っている。 さらにその奥では、歯をガチガチと鳴らしながら、目の下にクマをつくったれいむ一家がいた。 「お、おおお、おにーさん、おうちがさむいよぉぉぉ・・。ねむれないよぉぉ・・。」 「しゃむくてゆっくちできにゃいぃぃぃ。」 「ごはんしゃんつめちゃいよ。むーちゃ、むーちゃ、しょれなりー。」 コンポストはれいむ達なりにきっちり入口を塞いでいるが、やはり所詮はポリバケツ。 まだ昼間は温かいが、壁一枚隔てた向こうの、夜の寒気を完全に防ぐことはできないようだ。 この時期でこれでは、冬の間はコンポストの機能が完全に停止しかねない。 家に入れるという選択肢はもちろんないが、 本格的にコンポストの改造を行う必要がありそうだ。 その日の昼、れいむ一家に『たからもの』とか言う小石や押し花や、ガムの付いたリボンらしきゴミをコンポストから出させると、 大規模な改装に取り掛かった。 まずは、ポリバケツを掘り出して、横倒しにすると天井になる、壁の一部を四角く切り抜く。 それに、ちょうつがいと留め金をつけて、外から開けるようにした。 ゆっくりは、冬には巣の入り口を密閉するらしいので、生ゴミの投入口をつけてやったわけだ。 次にバケツの入口、つまりゆっくりの出入り口だが、せいぜい直径30cm程度のゆっくりに対しては大きすぎる。 壊れたすのこを材料にして、ドーナツ状の板をつくり、バケツの口に取り付けてやった。 これでゆっくりの出入り口は、必要最低限の大きさになり、 木の枝などで塞ぐ手間も、寒気の吹き込む隙間もぐっと減るはずだ。 あとは、再び縁側の下にポリバケツを埋めなおし、これまではむき出しだった側面にまで土をこんもりと盛っておく。 外から見ると、生ゴミの投入口と、ゆっくりの出入り口だけ穴のあいた、砂場の砂山のような外観となる。 縁側の下なので、雨風で盛り上げた土が崩れる心配は無い。 地下は冬でも暖かいというので、これで断熱は十分だろう。 数十分の作業中、庭で遊ばせていたれいむ一家を呼び寄せた時の反応は、 以前コンポストを、はじめてつくった時以上のものであった。 「ゆ、ゆ、ゆ、ゆわぁぁぁぁああい!すっごくゆっくりしたおうちだよぉぉおおお!」 「ゆっくち!ゆっくちー!れいみゅたち、こんなゆっくちしたおうちにしゅんでいいにょ!?」 「ゆわーい!なかもあっちゃかいよー!ゆっくちー!」 「ふーい、疲れた。あとはこいつでも中に敷いとけ。」 「ゆぅぅぅぅうう!しゅごーい!ゆっくちちたおふとんしゃんだー!」 「おにぃさん、ありがと、う、ゆぇぇぇええん!」 「おきゃーしゃん、ないちぇるにょ?どっかいちゃいにょ?ゆっくちしちぇにぇ。」 「おちびちゃぁぁあん!れいむはうれしくってないてるんだよぉ。ゆっくりー、ゆっくりー!」 近所の農家から頂いてきた干し藁をひと束くれてやっただけだが。 とりあえず、この反応からして、今後はまたコンポストとして元気にやってくれそうだ。 こちらはやることやったので、あとのメンテはこいつ等がかってにやってくれればいい。 かつて母れいむと一緒に野良生活を送っていた頃、れいむには夢があった。 温かくて、雨の心配も、風の恐怖も感じないですむおうち。 毎日お腹いっぱい食べられるだけのごはん。 しかも、そのごはんを手に入れるために、命の危険など感じずにすむゆっくりプレイス。 外敵の心配もないそのゆっくりプレイスで、 ゆっくりしたおちびちゃん達とすーりすーりしたり、のーびのーびしたり、 おうたをうたったり、水浴びですっきりーしながら、毎日ひたすらゆっくりする。 夜になったら、ゆっくりしたおうちに帰り、ふかふかのおふとんの中で、 家族で肌を寄せ合ってすーやすーやする。 たまにはあまあまが食べられたら言うことはない。 これが、れいむのかつて夢見たすべてであった。 そして、今、この場所には、れいむが望んだもの全てがあった。 全てのゆっくりが追い求め、そして見つけることの出来なかった場所、ゆっくりプレイス。 だが、れいむにとってのそれは、人間さんがコンポスト、と呼ぶこの場所に、確かに存在していたのだった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「ゆっくりー!」 「すーり、すーり、しあわせー。」 「すーり、すーり、・・・ゆっ、ゆっ、ゆっ」 「ゆふぅん、だめだよまりさぁ。ゆふぅ、ゆふぅーん!」 れいむ親子が初めて我が家のコンポストとなって2年。 結局外部から新たなゆっくりを連れてくる必要はなくなった。 こいつらは、家族以外のゆっくりがいないとなると、姉妹同士でつがいを作り続け、今はすでに4世代目である。 今はこれまた姉妹である、れいむとまりさのつがいがコンポストとして活躍している。 それと、最近は花壇の世話もめんどくさくなったので、街でゲッソリしていたゆうか種も一匹拾って庭に住まわせている。 最初はコンポストの連中が花を勝手に食う、食わないでもめた時期もあったが、 群れでもない以上大した量を食われることもなく、しかも花の肥料がコンポスト産だということもあり、 それなりの折り合いをつけることで落ち着いている。 「「すっきりー!」」 などと思っているところで、また増えるつもりのようだ。 れいむの頭ににょきにょきと生えたツタには赤れいむが3に赤まりさが2。 まあ、構わない。どうせ代替わりが激しいゆっくりである。 うっかり病死などしないうちに子供を作ってもらわなければ余計な手間だ。 それに増えすぎるようなら何個か潰して肥料にするだけ。 庭もすっかり華やかになって、もう幽霊屋敷の頃の面影は残っていない。 「おはよーございます。」 「ああ、農場の。おはよう。」 最近ついにこの辺も、のうかりん農場化が進み始めた。 生垣の向こうから挨拶してきたのうかりんも、そこの従業員である。 「とってもゆっくりした庭ですね。きれい。」 「まあ、ゆうかが一匹でやってるんだがね。」 「うふふ。それは失礼しました。でも、それ以上に・・・あなたの飼われているゆっくり達。」 「?」 「とってもゆっくりしてますね。今までたくさん飼いゆっくりを見ましたけど、一番ゆっくりしてますよ。」 「ふーん。そんなもんかね。」 同じゆっくりである、あののうかりんが言っているなら正しいのだろう。 よくわからんが、この2年間で一つだけ確信したことがある。 こいつらには、コンポストという仕事が向いている、ということだ。 リクのあったゴミ処理場ネタは今度また書きます。 それにしても自分のSS製作ペースがそれほど落ちたわけではないのに、 いつの間にか餡小話のそうとう下に追いやられてたり。 SS増加ペース早っ。 とりあえず、シリーズものについてはそろそろなんか書きます。 町れいむ、レイパー、計画中のペットショップシリーズ リクの消化もまだおわってないなぁ。 挿絵 by街中あき 挿絵 by??? 餡小話掲載作品 ふたば系ゆっくりいじめ 132 俺の嫁ゆっくり ふたば系ゆっくりいじめ 148 ここはみんなのおうち宣言 ふたば系ゆっくりいじめ 157 ぱちゅりおばさんの事件簿 ふたば系ゆっくりいじめ 249 Yの閃光 ふたば系ゆっくりいじめ 305 ゆっくりちるのの生態 ふたば系ゆっくりいじめ 333 銘菓湯栗饅頭 プラス本作品 『町れいむ一家の四季』シリーズ(ストーリー展開順・おまけについては何とも言えないけど) 春-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 161 春の恵みさんでゆっくりするよ 春-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 154 竜巻さんでゆっくりしようね 春-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 165 お姉さんのまりさ飼育日記(おまけ) 春-2-3. ふたば系ゆっくりいじめ 178 お姉さんとまりさのはじめてのおつかい(おまけのおまけ) 春-2-4. ふたば系ゆっくりいじめ 167 ちぇんの素晴らしきゆん生(おまけ) 春-2-5. ふたば系ゆっくりいじめ 206 町の赤ゆの生きる道 夏-1-1. ふたば系ゆっくりいじめ 137 真夏はゆっくりできるね 夏-1-2. ふたば系ゆっくりいじめ 139 ゆっくりのみるゆめ(おまけ) 夏-1-3. ふたば系ゆっくりいじめ 174 ぱちぇと学ぼう!ゆっくりライフ(おまけのおまけ) 夏-1-4. ふたば系ゆっくりいじめ 235 てんこのインモラルスタディ(おまけのおまけのおまけ) 夏-1-5. ふたば系ゆっくりいじめ 142 ゆうかりんのご奉仕授業(おまけ) 夏-2-1. ふたば系ゆっくりいじめ 146 雨さんはゆっくりしてるね 夏-2-2. ふたば系ゆっくりいじめ 205 末っ子れいむの帰還 秋-1. ふたば系ゆっくりいじめ 186 台風さんでゆっくりしたいよ 秋-2. ふたば系ゆっくりいじめ 271 都会の雨さんもゆっくりしてるね 翌年 ふたば系ゆっくりいじめ 224 レイパーズブレイド前篇(おまけ)
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1151.html
ドン [(スペイン) don] 首領。親分。実力者。 ※ ※ ※ ※ ※ ドン れいむ ※ ※ ※ ※ ※ ここは森の外れにあるゆっくりの群。 人里から離れていることもあって人との諍いは遠く、守護者が見守っているお陰で捕食 種や山犬等の獣たちからの被害も極力抑えられていた。 守護者――つまりは、『ドス』という尊称を頭に着けることを許されたゆっくり。 緩やかにウェーブのかかった長い金髪に片方の頬にかかる三つ編み。頭に乗せた飾りは 白いリボンをあしらった鴉の羽根より黒い鍔広のとんがり帽子。その姿は見上げるほど大 きくなったとは言っても、『まりさ』と称するゆっくりの一種だった。 穏やかなほほえみで駆け回る子供のゆっくりたちを見守るその姿は、ゆっくりでなくと も実に『ゆっくりとしている』ように見える。そして、そのドスまりさの姿を見る群のゆ っくりたちもまたゆっくりした気分で日々を過ごしていた。 ただ、一匹のゆっくりを除いては…… ※ 「ふこーへーだよ!」 おうちにしている木の根の穴蔵に入ってくるなり開口一番飛び出した台詞がこれであった。 もっとも、それを聞いたこのおうちの家主であるぱちゅりーは、またか……、としか思 わなかった。 ぱちゅりーのおうちに転がり込んで早々にがなりだしたのは、しばらく前から不平不満 を垂れ流して群でも疎まれているれいむだ。ドスや賢い大人たちの指示で群では相手にさ れなくなってきたために、数日前から篭もってばかりで逃げ場のないぱちゅりーのおうち に押し掛けるようになったのであった。 非常に残念なことに、群の相談役という立場上ぱちゅりーまでもが無視するわけにはい かなかった。 「まりさばっかりひいきだよっ! れいむだってみんなにめーれーしたいんだよっ! ぱちゅりーはれいむをえらくしてねっ!!」 「むきゅ、なら河原でりーだーのお勉強をやってるわ。れいむもそこでお勉強したらどう かしら?」 確かにれいむの言うとおり、群ではまりさたちが先頭に立って他のゆっくりたちを指導 することが多い。だがそれは先達からきっちりと生き抜くための術を教育されたからでき ることである。生活に必要不可欠のことすら学ばず、のんべんだらりと過ごしてきたれい むでは役立たずも甚だしい。 だというのに、れいむはぱちゅりーの苦言を一笑に付した。 「おべんきょーなんてひつようないよっ! れいむはかしこいんだよっ!!」 「……3たす2は幾つかしら?」 「ゆ? なにわけのわからないこといってるの? ばかなの?」 「むきゅ~……」 延々とこの調子である。 れいむが連日言い続けてきたことを要約すれば、偉くなりたい、命令したい、ちやほや されたい、けど面倒なことはしたくない。そんな都合のいい話があるものか、とぱちゅり ーは思うがそれを直接言えば癇癪を起こすのが目に見えている。 とはいえ、それもこれもここ数日間、朝から晩まである。さすがに辟易してきたぱちゅ りーからぽろりと本音がこぼれ落ちてしまった。 「狩りもお勉強もしないでえらくなれるわけないでしょ、このおばか……む、むきゅ!?」 あ、と思ったときには本音をしっかりと口にしていた。 暴れられる。 このれいむは狩りにも参加しない、見回りにも協力しない、食っちゃ寝ばかりのぐーた らゆっくりではあるが、親の過保護のお陰で元来虚弱で小柄なぱちゅりーとは比較になら ないほど体格が良い。上にのしかかられて、一度でもピョンと跳ねればひ弱なぱちゅりー など潰されてしまうに違いない。 しかし、退路はない。おうちはお饅頭サイズのぱちゅりーなら何匹か自由に遊び回れる くらいの広さがあるとは言っても、その奥に座っている以上ここは袋小路に相違ない。 ゆっくりらしからぬ思考回路で進退窮まったことを理解したぱちゅりーは、せめて一思 いに永遠のゆっくりへ旅立てるようにと願いながら目を閉じた。 「ゆふっ、ゆっふっふふ……」 「……むきゅ?」 ところが予想した衝撃はいつまで経っても襲ってこない。それどころか、怒り狂ってる とばかり思っていたれいむからとても楽しげな笑い声まで聞こえてきた。 不思議そうにそぅっと目を開けて見ると、そこにはとってもご機嫌な、そしてあからさ まにこちらに見下した眼を向けるれいむの姿があった。 れいむに見下されるのはとってもゆっくりできないことではあったが、今は命があるだ けでも儲けものだった。 ぱちゅりーがこっそり安堵のため息をついていることには気づかず、れいむはにやにや 笑いながらぱちゅりーを嘲る。 「かんがえてみたらかんたんなことだったよっ! むれのけんじゃ、なんていってるのに ぱちゅりーはおばかだね! えらくなるのにべんきょうもれんしゅうもひつようなんてな いんだよっ!」 訝しげな表情を浮かべたぱちゅりーが口を開くより早く、れいむは『えらくなるほうほ う』を高らかに宣言した。 「おっきくなれば、みんながちやほやしてくれるりっぱなりーだーになれるんだよっ!!」 『ドス』という存在の見てくれのみを見てきたれいむの辿り着いた結論。 ぱちゅりーは、ただただ深くため息を吐いた。 ※ お饅頭サイズのぱちゅりーの前で、鏡餅(下段)サイズのれいむが「ゆっへん」と反り 返る。ゆっくりに張る胸がないから仕方ない。 「おっきくなれば、れいむだって『ドス』になれるよっ!」 大きさと強さや偉さがイコールで考えられているゆっくりとはいえ、単純に大きくなれ ばドスに成れると思っているゆっくりは――実のところ少なくなかったりする。それでも このぱちゅりーには、それが荒唐無稽な話だと理解していた。 一瞬前まで小馬鹿にしていた瞳を希望で満たしたれいむに、呆れた表情を浮かべたぱち ゅりーは簡潔に応えた。 「……れいむ、ドスになれるのはまりさだけよ」 「ゆがーん!?」 ぱちゅりーたちは脆弱なゆっくりの中でも極めて貧弱な部類に入る。 力は弱く、体力は乏しく、お肌の張りは成長しても他種のあかちゃんに匹敵する柔さで ある。そんな欠点だらけのぱちゅりーたちであるが、それらを補うのがゆっくりの中でも 群を抜く知識である。ごほんを読み、様々な話を聞いて多種多様な知識を仕入れることを 好み、忘れっぽいゆっくりでありながら記憶力も悪くない。ただし、その知識を知恵にで きるぱちゅりーは極めて希少ではある。 このぱちゅりーは、そんな数少ない知恵者の一匹だった。 「ぱちぇはこの群にくる旅のゆっくりから色んなお話を聞くけど、まりさ以外のゆっくり がドスになったお話なんて聞いたこと無いわ」 ドスまりさに似た存在ならばクイーンありすだろうか。何にしても巨体となったれいむ の存在は一度も耳にした覚えはない。いや、一つあったか。 「れ、れいむはいっぱいむーしゃむーしゃしていっぱいすーやすーやしてるよ!? おと ーさんもおかーさんもそうすればおおきくなれるっていってたよっ!? それにむれでれ いむよりおっきなゆっくりはドスしかいないよ?」 「それはおデブさんになっただけよ」 「ゆがーん!?」 一度死を覚悟したためか、ぱちゅりーの切り返しには迷いがない。『でいぶ』という 蔑称を使わなかったのがせめてもの優しさだった。 態度の割に繊細なれいむはショックの余り数分間放心してしまった。そして目覚めると 持ち前の忘却力を駆使して気を取り直し、再度ぱちゅりーに訊ねた。 「それじゃあぱちゅりー、れいむがえらくなるほうほうをおしえてねっ!」 「むきゅ~、そこに戻るのね……」 そんなれいむの態度にぱちゅりーは溜息しかでない。 幸いにも命を落とす事態にはならなかったが、事実を突きつけても忘却してしまっては 意味がない。結局は堂々巡りが続くのだろうか。そう考えるとぱちゅりーはゆっくりでき ない気分に陥った。 そんな時、不意にぱちゅりーは以前旅のゆっくりから聞いた噂話を思い出した。 「そういえばあまりにもありえないから忘れてたけど……」 「ゆ? れいむがえらくなるほうほう? しってるならゆっくりしないでおしえてねっ!」 即座に食いついてきたれいむにちょっと引きながら、それでも言うか言うまいかぱちゅ りーは悩んだ。しかし、じりじりと近寄ってくるれいむの圧力に負け、しぶしぶ口を開いた。 「むきゅぅ……れいむ、『ドン』って知ってるかしら?」 「どん? ドスじゃないの?」 「むきゅ、違うわね」 「ならしらないよ! ぱちゅりーはゆっくりせつめいしてねっ!」 「ゆっくり説明するから少し下がってちょうだい……潰されそうでゆっくりできないわ」 ずずいと近寄るれいむを牽制し、ぱちゅりーは餡子に記憶した噂話を思い返した。 「ドンというのはたくさんのゆっくりたちの頂点に立つ、ドスよりもクイーンよりもゆっ くりとした、すべてのゆっくりを従えるゆっくりなのよ。そしてドンはれいむたちの中か らしか選ばれないって、旅のみょんが教えてくれたわ」 「ゆゆっ!! ドスやクイーンよりもえらいのっ!?」 「むっきゅん。そう聞いたわよ」 「れいむがえらばれたゆっくりなのっ!?」 「むきゅ、それはわからな……れいむ、お願いだから下がって、こっちこなむぎゃーっ!!」 「ゆーっ♪ れいむはすごいよっ! れいむはドンれいむだよぉっ!!」 にじり寄る巨体に押し潰されそうになったぱちゅりーの悲痛な叫びも耳に届かず、れい むは自分勝手な妄想で歓喜に打ち震える。 ところがふと、肝心なことを聞いてないことに気付いた。 「ゆ? それでどうすればれいむはドンになれるの? もうドンなの?」 「お……おじえるがら……どいで……むぎゅぅ……」 幸いなことに、ぱちゅりーが壁とれいむに圧殺される寸前であった。 ※ 群のあるゆっくりぷれいすからお日様が昇る方へひたすら真っ直ぐ進んだ先にある森。 その森の奥に、まるでお月様を半分に割ったような綺麗な『椅子』がある。 その椅子に座った者は、総てのゆっくりから尊敬される至高のゆっくり、『ドン』にな ることができる。 しかしその椅子に座ることが許されるのは唯一、れいむだけであるという。 息も絶え絶えなぱちゅりーから漸く聞き出した情報を元に、れいむは旅に出た。 ありったけの食料だけを持ち、泣いて追いすがるおとーさんと悲痛な声で呼び止めるお かーさんを振り切り、悲しみと寂しさをグッと堪えて、れいむは初めて群の外へと飛び出 した。 一度だけ振り返ったゆっくりゆっくりぷれいす。ぱちゅりーだけが満面の笑みで見送っ てくれていた。 れいむはゆっくり旅をする。 あさひさんが昇って暖かくなってから目を覚まし、ご飯をしっかり食べてゆっくり食休 みをとって跳ね出した。 疲れたらお昼の時間。食べ終わったら草むらの上ですーやすーやお昼寝。起きたらゆう ひさんになっていた。 背の高い草を寄せて捻っててんとさんの完成。おうちほどゆっくりはできないけれど、 とりあえずはこれでがまん。こんなてんとさんの作り方しか知らないなんて、まったくぱ ちゅりーはゆっくりしてない。 ご飯を食べたらてんとさんに入って、明日に備えてゆっくり寝ることにした。 れいむはゆっくり旅をする。 旅のみょんは二回ゆうひさんを見るくらいで着いたとぱちゅりーは言っていたけど、れ いむが森に辿り着くまでにたくさんたくさんゆうひさんを見た。きっと、旅のみょんは大 げさにぱちゅりーに教えたんだろう。 そうしてれいむは森の奥へと辿り着いた。 森と言うには木々は疎らで、見上げれば空もよく見える。その代わり、生えている一本 一本の木がとても巨大だった。巨体のドスでも後ろに隠れることができそうな木など、れ いむはこれまで見たこともなかった。 そんな巨木の森を進んだ先に、果たして噂に聞いた『ドンの椅子』はあった。 「ゆ~……やっと……やっとみつけたよ……っ!!」 苦難の果てに踏破したドンへの道。 なめらかな白い光沢を湛えた、まるでお月さまの上半分を切り取ったような半円の『ド ンの椅子』。巨木の根本にそっと据え置かれたその姿は、ぱちゅりーから聞いた姿と一致 する。なにより、その縁には書いてあるのだ。 『どん れいむ』と。 「れいむがっ! れいむがドンだよぉおおおおおおおおっ!!」 まったく疲れても傷付いてもいないあんよに鞭打ち、れいむは飛び上がった。 そして何事も無くドンの椅子へと着地した。 椅子の内側は丸くくぼんでいて、れいむの躯をすっぽりと包み込んだ。その座り心地、 安定感はゆっくりしていると言わざるを得ない。このジャストフィットしている感覚は、 この椅子がれいむのために用意された物だと思わせるに十分だった。 「ゆっふぅ~ん♪」 目を閉じてドンの座の座り心地に酔いしれるれいむ。 これでれいむはゆっくりの中で、最高にゆっくりした、一番偉いゆっくりになれたのだ! この姿を群のみんなに、おばかなぱちゅりーに、偉ぶってばっかりのドスに見せつけて やろう。なんと言ってもドスなんかより、このれいむの方がゆっくりしているのだから。 この姿を見れば、涙を流して喜びながられいむをゆっくりさせるに違いない―― 陶酔するれいむの餡子には、そんなバラ色の未来予想図が描き出されていた。 輝ける妄想とドンの座の座り心地を時間をかけて存分に堪能すると、カッと眼を見開い て大音声で宣言した。 「れいむはドンれいむだよっ!! ゆっくりしていってねぇええええええええっ!!」 「…………」 すると、れいむの大音声で目を覚ましたゆっくりとバッチリ目が合った。 巨木の蔭に隠れて見えなかったが、ドンの椅子から見上げると真っ正面にそのゆっくり の顔があった。 「……ゆ? ゆゆっ!?」 直視していたのは真っ赤な双眸。視線を上げてゆけば緩やかにウェーブのかかった桜色 の髪があり、その上には三角形の白い布の付いた水色の帽子があった。 「ゆっゆっゆっ……っ!」 そして視点を引いて全体を見れば、巨木でなければ隠れようのない巨体。 そのゆっくりはにっこりと邪気のない笑みを浮かべると、友好的に挨拶をしてきた。 「こぼね~♪」 「ゆゆこだぁあああああああああああああああああああああっっ!?」 れいむは絶叫で返した。 まあ、捕食種を目の前にしたゆっくりとしての反応としては当然ではあった。ところが その時、れいむの餡はぱちゅりーの言葉を思い出した。 『ドンというのはたくさんのゆっくりたちの頂点に立つ、ドスよりもクイーンよりもゆっ くりとした、すべてのゆっくりを従えるゆっくりなのよ……』 「れ、れれれいむはドンだよっ! ドンなんだよっ! ドンれいむだよっ!! ゆっくり ならドンのめーれーをきいてねっ! ゆゆこはちかづかないでねっ! くちをひらかない でねっ? すいこまないでねっ? れいむをたべたりしないでねっ? ゆゆこはゆっくり できないからどっかいってねぇええええええええええええええええええええっ!!」 総てのゆっくりはドンの言葉を聞けとばかりに、深い森を震わせる大号令を発す。 ドンは総てのゆっくりを従えるゆっくり。ならば、たとえゆゆこであろうともドンには 逆らえるはずがない。 恐怖の涙が溢れる眼を見開いて、れいむはゆゆこに命じた。 その言葉を聞き、ゆゆこはれいむに近寄り、口を開き、深呼吸でもするようにれいむを 吸い込み、ゆっくりと咀嚼した。 「こ~ぼね♪」 そうして空になった『ドンの椅子』だけを吐き出すと、舐めて綺麗にしてから元の位置 へと置いた。ゆゆこもまた元居た位置へと戻り、食休みに入った。 からんころんと回るドンの椅子。 縁には文字が書かれているのが見て取れた。 縁に沿うように全部で三カ所、同じ文字が繰り返し書かれていた。
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/1458.html
「いくのぜ? いくのぜ? れいむううううううう!! んほおおおおおおおっ!!」 「やべでえええええ!! れいぶ、すっぎりじだぐ……すすす! すっきりいいいいいい!!」 絶叫が響いた。 女はその部屋に続く扉を開いたまま、硬直している。 目の前の光景が信じられないのだ。 ――れいむ……何があったの? 考えるまでもなかった。 床の上では、どこの誰とも知れぬまりさにのしかかられたれいむ――女の飼いゆっくり――が全身をぬらぬらと光らせ、体を紅潮させて恍惚としているのだ。 この状態のゆっくりを直接見たことはなかったが、知識としては知っていた。間違えようもない。 何より女は聞いてしまったのだ――先ほどのれいむの言葉を。 「ゆっへっへ。れいむのまむまむ、さいこうだったのぜえ?」 「ゆえええ……れいむのばーじんさんがあ……。れいむ、けがされちゃったよう……」 もう聞いていられなかった。 「何してるの?」 れいむの手前、動揺と怒りを押し殺して女が言うと、二匹のゆっくりはビクッと体を跳ねさせて振り返った。 「ゆっ!? ……ゆへへ、おねえさんはれいむのかいぬしさんなのかぜ?」 へらへらと笑うまりさを無視して部屋に入り、れいむを優しく撫でてやる。 「ごめん。ごめんね、れいむ。大丈夫――じゃないよね。ごめんね」 「お、おねえさあああん!! れいむ、れいむっ……ゆんやああああ!!」 女の顔を見て泣き出してしまうれいむだが、再び体を跳ねさせたかと思うと、ピタリと泣き止んだ。 その理由は、たった今れいむの額に発生した異物を見れば一目瞭然だ。 女は思わずそれから目を逸らした。 「あ……あ……れいむ、にんっしんっしちゃったよおおおお!!」 言われなくともわかっていた。 そこには真っすぐな茎が伸び、三つの実ゆっくりを実らせていたからだ。 体の中身が餡子だろうとクリームだろうと、ゆっくりだって生きている。 食事もすれば排泄もするし――もちろん妊娠だってする。 きれいな所だけを見ているわけにはいかないのだ。 女にだってそれくらいの覚悟はあった。覚悟がなければペットを、とりわけゆっくりを飼うことなどできない。 しかし。 ――こんなことって。 女は納得がいかなかった。 道をはさんだ向かいの店まで、ちょっと買い物に出ていただけだ。 少しだから……と戸締まりを怠ったのは確かに自分の不注意であったが、まさかこんなことになろうとは。 自分には覚悟が足りなかったのだ。悔しいがそう結論づけるしかなかった。 それでも目の前のまりさだけは―― 「ゆへへ。おねえさん、はなしがあるのぜ!」 まりさが女に話しかける。 癇にさわる面構えが売りである――なぜかそこが受けている――ゆっくりの中にあって、とりわけ相手を不快にさせる顔。 その言動からして、このまりさは間違いなく『ゲス』だ。 女はそう確信したと同時に、すぐにでも潰してやりたくなった。 しかしそうはしない。理由は、このまま衝動的に潰してしまっては“もったいない”からだ。 高めに高めた怒りでもって、どうせなら徹底的に殺してやろう。女はそう思った。 「ゆっ! おねえさん、まりさのはなしをきくのぜ!」 「れいむ、ちょっと待っててくれる? ……聞いてるわ。なに、まりさ」 何か言いたいのなら聞いてやる。 これも女の怒りを高めるための『儀式』だ。 「ゆ! ゆへへ……。おねえさん、そのれいむといっしょにまりさをかってくれなのぜ!」 自信たっぷりにまりさが言った。 ――やはりそうくるのね。 それは女が予想していた通りの言葉だった。 このまりさのように、飼いゆっくりを無理矢理妊娠させた上で、強引にその飼い主に取り入ろうという狡賢い野良ゆっくりは多い。 自分達の赤ちゃんのかわいさに、愚かな飼い主は気を許すだろう――そう考える餡子脳の中の餡子脳が、日々飼い主たちに制裁され続けている。 それでもこの手の被害が後を断たないのは、同じ手段で見事に飼い主と家、食事を手に入れた野良ゆっくりの存在が、彼女らゆっくりの間でまことしやかに囁かれているからに他ならない。 それならば自分も、と夢見る野良ゆっくりの何と多いことか。 しかし、それはあまりにも現実味がなさ過ぎる話だ。その飼い主とやらはよほどのお人好しか、頭のよくない人間のどちらかだだろう――女を含めた世間の飼い主たちは、これをゆっくりたちの都市伝説と考えていた。 「まりさとれいむのあかちゃんには、おとうさんがひつようなのぜ? だからまりさもれいむといっしょにくらすのぜ! おねえさんのせわになってあげるのぜ!」 「……それだけ? 他には?」 ないならそろそろ潰すけど、いいの? ――言外に女はそう言っていた。 「ゆっ!? あと、まりさがかいゆっくりになったおいわいにあまあまをもってくるのぜ! たくさんでいいのぜ!」 すでに飼われている――いや、飼われてやっているつもりらしい。 勝ち誇った表情のまりさから目をそらし、れいむを見る。 「ゆうう~」 れいむは惚けたように額の実ゆっくりを見ていた。 やはり気になるらしい。 「れいむ、つらいの?」 れいむのような植物型妊娠の場合、母体の栄養は茎を通して絶えず実ゆっくりに供給され続けることになる。 そのため、まだ十分に成長していないゆっくりが妊娠した場合など、最悪、茎が生えると同時に母体が死んでしまうことさえある。体の栄養、ひいては生命力を、かわいい子ども達に瞬時に吸い尽くされてしまうからだ。 いまだ成長途中にあるれいむだが、不幸中の幸いか、少なくとも死だけは免れたようだ。 それでも体に悪いことに変わりはないが。 「それ、すぐに取ってあげるからね」 「ゆっ!? な、なにをするんだぜ、おねえさん!?」 まりさが慌てたが関係ない。女が心配なのはれいむの体だけだ。 「れいむからもおねえさんにたのんでくれなのぜ! ゆっくりいってやってくれなのぜ!」 あくまで無視して茎に手を伸ばす女に向かって、 「ゆっ! れいむゆっくりしたあかちゃんをうむよ、おねえさん!」 れいむが嬉しそうに言った。 れいむは、 「ゆゆ~ん。あかちゃんたち、とってもゆっくりしてるよお~!」 陶然と実ゆっくりを眺めている。 そんなれいむと女を見比べ、まりさの下卑た笑みはますます深くなった。 女はそんなまりさの様子にも気づかず、ただ呆然とれいむを見ていた。 ――あろうことか、れいむは妊娠したことを好意的に受け止めているようだ。 信じがたいことに――と言ってしまっては嘘になる。実は女にもその予感はあった。 と言うのも、野良ゆっくりによる強制すっきりによってこういう症状に陥る飼いゆっくりは、決して少なくないからだ。 それが初めての妊娠だった場合などは、特に“ハマり”やすい。育ちが良く、俗に言う『箱入り』の飼いゆっくりならばなおさらだ。 それらは女のれいむに当てはまってしまっている。 女は「それでも、私のれいむなら……」と根拠のない思い込みに縋ってみたが、すぐに諦めた。 例えれいむが金バッジを取得するほど賢かったとしても、この事態を避けられたとは言いがたかったからだ。 逆のケースになるが、自ら進んで野良ゆっくりとすっきりした金バッジの話を、女は知っていた。 もしかしたらこれは育ちや教育の問題ではなく、持って産まれた資質の問題なのかも知れなかった。 「あかちゃん、ゆっくりうまれてきてね~。ゆゆゆ~」 「ゆっへっへ。おねえさん、みるのぜ? まりさににてかしこそうなあかちゃんなのぜ?」 女をはさんで会話する、れいむとまりさ。 「……れいむ」 居たたまれなくなって、とりあえずれいむの名を呼んでみた。 「ゆ? なに、おねえさん」 「あなた、産む気なの? それ……」 答えはわかっているが聞いてみる。 「あたりまえだよ! れいむのかわいいあかちゃん、おねえさんにみせてあげてもいいよ!」 「ちがうのぜれいむ。“まりさとれいむの”あかちゃんなのぜ!」 まりさが会話に入ってきた。 「ゆゆう~、てれるよお、まりさ~」 「ゆっへっへ、いまさらなにをてれることがあるのぜ?」 れいむは揉み上げを使って顔を隠すようにしながら、イヤイヤをするように体を揺すった。 まりさは相変わらずへらへらして――嘲るように女を見ているのは気のせいではあるまい。 「……」 女はもう一度れいむに呼びかけようとしたが、何を言ったらいいのかわからなくなり、やめた。 代わりに、再びれいむの額の茎に手を伸ばし、掴んだ。 「おねえさん! れいむのあかちゃんたちになにをするの? やめてね? やめてね?」 「なにをしているんだぜ!? きたないてであかちゃんにさわるなだぜ!」 途端に騒ぐ二匹。 「ごめんね、れいむ。かわいそうだけど――」 女は茎を引っ張る手に力を込めた。 すると 「やめてねええええ!? ゆっくりできないおねえさん……ばばあ! あかちゃんにさわったらゆるさないよ!!」 ――ばばあ? 反射的に茎から手を離す。 れいむの言葉づかいが信じられなかったのだ。 「……れいむ。そんな口のきき方をしちゃダメでしょ?」 「ゆっ! ばばあなんていってごめんね! でも、れいむのいうことをきいてくれないおねえさんなんてばばあでじゅうぶんだよ!」 「れいむ!」 女はつい怒鳴ってしまったが、れいむは悪びれない。 「かいぬしだからっていつまでもいばらないでね、このばばあ! ぷんぷん!」 れいむは野良ゆっくりだった。数カ月前、女が保護したのだ。 車に轢かれて死んだらしい、体の半分が潰れた親ゆっくりに縋って、道端で泣いていた。 最初は興味本位でれいむを飼い始めた女だったが、次第に情が移っていった。ゆっくりに限らず、ペットを飼う時なんて、誰しもそんなものなのかも知れない。 れいむはとても素直なゆっくりだった。 女の言いつけはきちんと守った。もちろん悪いことをする時もあったが、女が叱ればすぐにやめてくれた。 境遇こそ恵まれていなかったが、将来は優秀なゆっくりの証であるバッジの取得も――金は無理でも銀くらいは――夢ではないだろう。女はそう思っていた。 女と一緒にいるれいむは幸せそうに見えた。幸せだったはずだ。 それがどうだ。 「まりさ、おなかがすいたらおねえさんにいってね! すぐにごはんをよういしてくれるよ!」 「わかったのぜ、れいむ! おい、かいぬし! まりさにすぐごはんをもってくるのぜ! べーこんごはんさんでいいのぜ!」 「ゆっ! おねえさん、まりさにべーこんごはんさんをよういしてあげてね!」 出会ったばかりのまりさに影響を受けたのか、それとも妊娠したことで精神が不安定になっているのか。 徐々に女の知っているれいむとはかけ離れていくではないか。 こんなれいむを見ていると、女との今までの関係にも疑問が出てきてしまう。 素直なれいむ――そう思っていたが、ただ愚直なだけではないのか? 単に自分で考える頭が無いだけではないのか? それだけならまだいい。 もしかしたら素直に従ったふりをしているだけで、ていよく自分を利用していただけではないのか? 心の中では舌を出していたのではないか? 考えるほどに女の心は揺らいだ。 ただ、もう今までのように飼い続けることはできない。それだけは実感できたし、決意もできた。 結局、自分には覚悟が足りなかったのだ。 「おい、かいぬしいいい! きこえないのかぜ!? そのみみはかざりなのかぜ!?」 「ゆっ! おねえさん、まりさのいうことをきかないとれいむもおこるよ! またばばあってよぶよ!」 二匹の声は聞こえているが、女はそれどころではなかった。今後のことを考えていたのだ。 飼いゆっくりを処分したい場合、〈加工所〉に持ち込むのがセオリーになっている。 誰にも迷惑をかけないし、気持ち程度だが謝礼も貰える。 しかし多くの、特にマナーのなっていない飼い主はそうはしない。 路上に、山野に、ゆっくりを捨ててしまうのだ。 飼い主に見捨てられたゆっくりは『野良ゆっくり』として第二のゆん生を歩み始めることになる。 不法侵入や畑荒らし、そして飼いゆっくり襲撃など、野良ゆっくりによる被害が社会問題化して久しい。同じ野良でも、犬や猫による被害とは比べるべくもない。 過酷な野良生活に耐えられず、すぐに死んでしまう野良も多い。しかし死んでしまえばそれでいいというものでもない。ゆっくりの死体は――もちろん生きていてもだが――その土地の景観を大きく損ねるからだ。 これら捨てゆっくりの問題には国も頭を悩ませていた。急遽決まった「ゆっくりの不法投棄の禁止」というお触れも、これもあってないようなものである。ゆっくりを捨てる飼い主は、一向に減る気配を見せない。 中には『ゆっくりゴミの日』に、かわいがっていたはずのゆっくりを出してしまう飼い主もいるが――地域への影響はともかく、人間としてのモラルには疑問が残るところだ。 ともあれ、ゆっくりを飼った者として、最期までその面倒を見ることは大事なのである。 では女の場合、れいむとまりさの場合はどうするのか。 「れいむのかいぬしは、まったくつかえないのぜえ! こんなぐずがまりさのかいぬしになるのかとおもうと、はきけがするのぜ!」 騒いでいるまりさをちらりと見る。こいつの処分方法は最初から決まっていた。 もう一つの飼いゆっくりの処分方法――殺すのだ。 考えるまでもないことだった。もし頭を巡らせるとするなら、「いかに残酷に殺すか」、その一点だけだ。 しかしれいむは―― 「なにをしているの、おねえさん? ばかなの? しぬの? こんなぐずなかいぬしじゃれいむははずかしいよ!」 れいむが何を言っても、もう女は悲しくはなかった。怒りもあまりこみ上げてこない。 むしろ何だか楽しい。妙にハイな気分だ。 これが吹っ切れるということなのだろうか――そう、女は思った。 準備を終えた女は部屋に戻った。その両手はダンボール箱で塞がっている。 「おまたせ、まりさ」 「ゆっ! まちくたびれたのぜ! ばばあ!」 まりさがテーブルの上で怒鳴った。 今、この部屋にいるのは女とまりさだけだ。 「まりさと二人で話があるから」と、れいむには寝室に移ってもらった。今頃は食事をしているはずだ。 この部屋を出る時、れいむは「まりさ、まりさ」とうるさかった。少しの時間でも離ればなれになるのが嫌らしい。女の声は、その半分も届いていないようだった。 「それであまあまはどこなのぜ?」 まりさには「れいむには内緒で、あなただけ特別にあまあまを上げる」と言ってある。これはもちろん女の嘘だ。 「用意するからもう少し待っててね」 そう言って女は、ダンボール箱に入った品々をテーブルの上に並べ始めた。 まず、ステンレス製のキッチンバット。 次に水が少し入った円筒形のガラス容器。上に蓋と、横には大きな取っ手が一つ付いている。 同じように水の入ったペットボトル。 出刃包丁と刺身包丁、まな板。 スイッチの付いた円柱形の機械。 そしてオレンジジュースのパックだ。 「ゆゆ? あまあまがないのぜ? どういうことなのぜ、ばばあ!」 「言ったでしょう? これから用意するのよ」 言いながら女は、オレンジジュースのパックを開け、中身をキッチンバットに注いだ。 途端にまりさの目の色が変わる。 「ゆっ! おれんじじゅーすさん! まりさ、ぺーろぺーろするのぜ!」 「こーら、待ちなさい。まだ駄目でしょ」 まりさを制しながらパックをテーブルに置く。 女は次に刺身包丁を手に取った。 「ゆっ? ばばあ、それはなんだかゆっくりできないかんじがするのぜ?」 餡子脳なりに不穏な空気を感じとったらしいまりさだが、もう遅い。 「はい、まりさ。お帽子は取っちゃおうね」 「まりさのおぼうしさん! かえすんだぜえええ!!」 女はまりさの帽子を取り上げる。作業の邪魔だ。 次にまりさ本体を持ち上げてまな板の上に仰向けに寝かせ、左手でしっかり――ただし口は塞がないように――固定した。 女の細腕ではあるが、相手はそれに輪をかけて脆弱なゆっくりだ。もう身動きはとれない。 「なにするんだぜ、このばばあ!! まりさをはなすんだぜえ!!」 さかんに尻を振りながら怒鳴るまりさ。そこしか自由にならないとは言え、見た目にかなり滑稽だ。 思わず女も微笑む。 ――れいむなら、揉み上げもピコピコさせるのだろうか。 そんな事を考えながら、女は右手に持った刺身包丁を、まりさの体――しーしーの穴あたりに突き刺した。 賑やかに動いていた尻が止まる。 「ゆっぎゃああああああっ!! いだいいいいいいい!! ゆぎゅいいいいいいい!! なにずるんだぜえええええ!?」 動こうとしても、女の手と刺身包丁、二つの支えによってどうすることもできない。わずかに体がよじれる程度で、しかしそれがさらに痛みを増すようだ。 「いだいよおおおおおお!! はやくとるのぜえええええ!! これまりざがらぬいでええええええ!!」 部屋に響きわたる絶叫に、女は満足げに口元をゆがめる。この声を聞くためにまりさの口を塞がないでおいたのだ。 「いだいいいいいい!! ……おねえざん! おねえざんっ!! まりざ、ほんどにいだいんだぜっ!! ……むじずるなああああ!!」 女は刺身包丁から離した右手を左手と入れ替え、まりさの頭を押さえる。さらに入れ替えた左手でまりさの髪を掴んだ。 「いだいいだいいい! まりさのじまんのきんぱつさん、ひっぱらないでええ!! ぬけちゃゃうんだぜえええ!!」 髪を抜くつもりなどない。女は髪と頭を持った両手を引っ張る。 すると体に突き刺さったままの刺身包丁を支点として、まりさの体が長く伸びた。 刺身包丁の刃は寝かせてある。縦に引っ張っても、まりさの体を引き裂くことはない。 「ゆんぎいいい!? まりざ、のーびのーびじだぐないのぜえええええ!? やべろおおおおお!!」 まりさの悲鳴の素晴らしさに、思わずこのまま引きちぎってしまおうとも思ったが、女はその魅力的な衝動に耐えた。 それでは『これ』を持ってきた意味がなくなるではないか――女は右手に出刃包丁を取った。 まりさが目を剥く。 「やべで!! やべるのぜ!! ゆぎぎぎぎっ!! それはゆっくりできないのぜ!!」 「これは包丁さん、って言うのよ。覚えておいてね」 家庭教師のお姉さん、という風情の優しい口調で言いながら、ほどよく伸びて細くなったまりさの体に出刃包丁をあてがった。 「ゆぐうっ? な、なにをするきなのぜ? やべるんだぜ? やべでねえ!?」 左手に掴んだ髪を引っ張り、体を起こしてやる。これでよく自分の状態が見えるだろう。 「ほら、見える? まりさ」 「やべで! やべるのぜおねえざん!! いだいのはもういやなのぜ!! がいぬじはゆっぐりをゆっぐりざぜないどいげないんだぜええ!!」 「……うーん?」 女は小首を傾げ、困ったように笑った。 それを見たまりさは何を勘違いしたのかまくし立てる。 「……ゆへっ! ゆへヘへ! おねえざんはまりざをかったこどをわすれでいたのぜ? ならしかたないのぜ! いまならあまあまで――」 「あのね、まりさ。お姉さんは、まりさの飼い主になった覚えはないよ?」 言ってから、女は出刃包丁をまりさの体に落とし――そのまま一気に手前に引いた。 出刃包丁に赤黒い餡子をこびり付かせながら、まりさの体は横一文字に両断された。 「ゆぎゅうっ!! ゆぎゃぎゃああああああっ!! あああああああああ!! ぎゃああああああああっ!!」 「ふふっ。ほら、まりさ、もっとよく見て?」 女は髪を持ち上げてやる。まりさの上半分がまな板から浮いた。 「ゆぎゃああああああっ! ばりざのがらだがあああああああっ!! いだいいいいいいい!! いだいんだぜええええええ!!」 女はまりさから手を離し、しばらくその様子を見つめる。 「いだあああああいいいいっ!! ばりざのあんよおおおおお!! ゆっぐりじないでもどにもどっでええええええっ!?」 離れ離れになったまりさの上半分と下半分が、それぞれ激しくのた打ち回っている。 上半分には、さすがに目と口が付いているだけはある。涙に涎、絶叫と、賑やかさには事欠かない。 反面、刺身包丁に繋ぎとめられたままの下半分は、そういう意味ではとても静かだ。しかしその静けさが、逆に女の琴線に触れた。 「ふふふ、ちょっとかわいい」 無言でブルンブルンと不気味に動く下半分を見て、口元を綻ばせる。 ゆっくりの中身は全て餡子だ。 しかし俗に『餡子脳』というが、どこからどこまでの餡子が『脳ミソ』なのだろうか。 ひょっとしたら、この下半分にも『脳ミソ』と呼べる餡子が入っているのかもしれない。 口を付けてあげたら悲鳴を上げるのかな? ――そんなことを考えて、女はますます可笑しくなった。 下半分を、つんと指でつついてみる。 「このばばあああああああああ!! わらっでないでばりざをだずげるんだぜえええええええ!!」 「あら。ばばあなんて言われたら、助けてあげたくなくなっちゃうなあ」 もとよりまだ殺すつもりはないが、いたずらっ気を出したくなった。 出刃包丁をまりさの目に突きつけながら言う。 「お・ね・え・さ・ん、でしょ?」 「おでえざん!! おでえざんでず!! だがらだずげでえええええ!! ほうぢょうざんはやべでねえええええ!!」 「はい、よくできました。『包丁さん』も覚えてくれたんだね。ちょっと嬉しいかな」 女は満足して、まりさから出刃包丁を離した。 つい遊んでしまったが、あまりのんびりもしていられない。 何せ、目の前のまりさは真っ二つになっている。脆いわりにしぶとくできているゆっくりとは言え、これはさすがに致命傷に近いだろう。 のんびりしていてまりさに死なれでもしたらおもしろくない。 女は次の段階に進む事にした。 まりさを持ち上げて、用意しておいたバットに入れてやる。 「じみるうううううう!!」 傷口――と言うには派手すぎる体の断面に、オレンジジュースが染みるらしい。 しかしこの橙色の液体は、ゆっくりにしてみれば治療薬でもあるのだ。 「少しおとなしくしてね――どう? 痛みが引いてこない?」 「ゆぐううう……。すこし……らくになった、きがするのぜ……」 傷の痛みはあっさり落ち着いたらしい。つくづくデタラメな体だ。 「そう、よかった――でもね、まりさ。ずっとそのままにしていたら、いずれ餡子は流れ出しちゃうし、体も溶けちゃうわよ?」 「ゆゆっ!? なんとかしてくれなのぜ、おねえさん!!」 「ふふ、脅かしてごめんなさい。でも大丈夫よ。そんなに時間をかけるつもりはないから」 「ゆっ? どういういみなのぜ?」 女はそれに答えず、円筒形のガラス容器を手前に引き寄せた。容器の中の水が波打つ。 それから突き刺さったままの刺身包丁を引き抜いて、まりさの下半分を解き放ってやった。 その瞬間、また刺されるとでも思ったのか、まりさの上半分が大きく身を震わせた。 女はいまだ激しく蠢く下半分を指でつまみ、それをさりげなくまりさに見せ付けて、 「ゆゆっ! まりさのあんよ! かえすんだぜえ!!」 「だーめ」 ガラスの容器の蓋を取り、その中に放り込んだ。 ぽちゃん、と着水するまりさの下半分。 もしそれに目が付いていたなら――水の底に光る、金属製の刃を見つけただろうか。 「ゆうっ! まりさのあんよが!! おみずさんはゆっくりできないのぜええ!!」 女はバットの上の上半分に微笑みかけ、蓋を閉めてから、ガラス容器を持ち上げた。 そしてそれを円柱形の機械の上に乗せると、カチリと音がしてはまった。容器はこの機械の部品の一つだった これで準備は完了だ。 「はい、まりさ。もうすぐあまあまができるからね」 「ゆっ! あまあま? まちかねたのぜ! はやくよこすのぜ!」 さんざん痛い目にあい、死の淵をさまよいながらも「待ちかねた」とは――本当にわけがわからない。 こんな生き物の仲間を飼っていた自分を薄ら寒く思いつつ、女はその機械、ブレンダー――俗に言うジューサーミキサー――のスイッチを入れた。 騒がしい回転音。 内容量が多すぎたかもしれない――女は蓋を押さえた。 まりさの下半分を巻き込んで、細かく切り刻んで、ガラスの中の水が激しく回転する。 「ゆっ? まりさのあんよは? なにをしてるんだぜ、おねえさん」 水が濁ったことでガラス容器の中が見えなくなったからだろう、まりさが不安げに尋ねた。 その中で何が起こっているのかまでは、想像が及ばないらしい。 程なくして、ブレンダーの回転が止まった。 「はい、おまたせ。きっと美味しいよ。」 容器を台座から外し、蓋を開けて中身をよく見せてやると、さすがの餡子脳にも理解できたようだ。 「まりさのあんよがとけちゃったんだぜええええええ!?」 「粉々になってから溶けた、ってのが正解ね」 優しく訂正しながら、左手をまりさの口に突っ込み、無理やりこじ開ける。そのまま腕の力を使って、オレンジジュースの海に仰向けに押し倒した。 「ぎゅがががっ!? あぎおぐるんあぜ?」 女の右手にはガラス容器。その中身は、まりさの下半分を材料に作られた、言ってみれば餡子ジュースだ。 それをまりさの口に近づける。 「ぎぎゃがあああああ! がべええええええ!」 何をされるか悟ったらしいまりさが暴れるが、相変わらず女はお構いなしだ。 まりさの口に、まりさから作られたジュースを流し込んだ。 「ぎゃぼぎゃぼぎゃっ! ぎょぎゃぎょおっ!」 「吐いちゃ駄目だよー。しっかり飲んでねー」 女に口を開かされているので、吐き出そうにも吐き出せないのだろう。 まりさは涙を流しながら、原材料自分の液体を飲んでいた。 対して女は笑顔だ。楽しくて仕方がない。 「ぎぇぼぼぼぎゃっぎょべごごごっ!」 「んー? なに言ってるのかわかんなーい……はい、おしまい。ごちそうさまでした」 女がまりさから手を離した。右手のガラス容器の中には――ジュースは無い。全部まりさの口に注ぎ込んでしまった。 「どう、念願のあまあまは美味しかった? しあわせー、は?」 「……ど」 「ん? ゆっくりできた?」 「どぼじでごんなごどずるんだぜええええええ!?」 まりさがそう叫ぶと、口の中に残っていた餡が飛び散り、テーブルを、女の服を汚した。 もっとも、すでにそこら中が餡子まみれだ。さっきまでまりさの口に突っ込んでいた女の左手など特にひどい。 今さら女は気にしなかった。こんなに楽しいのに、そんなこと気にしている場合じゃない。 「あんよがないとおおおおお!! ぴょんぴょんもずーりずーりもできないんだぜええええ!?」 あんよどころの騒ぎではない。ぺにぺにもあにゃるも失ってしまっているではないか。 なんで気付かないのかな、と女は吹き出した。 「――ああ、まりさから作ったあまあまだから怒ってるのね? 確かに、それじゃ食べた気にならないかも知れないかも。単に体に戻ってきただけだものね」 「ちがうんだぜえええ! ばばあ――」 「じゃあこうしましょうか!」 女は胸の前で手を叩いた。わざとらしいくらいの「いいこと思いついちゃった!」という仕草だ。 「同じジュースを作って、れいむに飲ませてあげたらどうかな?」 「ゆゆっ!?」 「あの子がしあわせーになれたら、まりさも嬉しくなって――“ゆっくりできる”でしょ?」 「ばばあはなにをいってるんだぜえええええ!?」 ではさっそく、とばかりに女は機材をセットしはじめた。 ペットボトルから水を注ぎ足したガラス容器を、台座の上に乗せる。 それを見たまりさは、 「いやだ! いやだあああああああ!! まりざまだじにだぐないいいいいい!! おうぢがえるうううう!!」 バットの上でもがくが、しかし上半分だけでは逃げるどころか満足に動くこともできない。オレンジジュースが軽く波立っただけだ。 「そんなに動いたら溶けるのが早くなっちゃうよ」 女は泣き叫ぶまりさを摘み上げた。溶けて柔らかくなった表皮と餡子が少しこぼれた。 「ゆっ! おぞらっ! おぞらぼおおおおおおお!?」 恐怖が本能に勝ったらしい。まりさはお約束のセリフすら言う事ができない。 「お空を飛んでいるみたい?」 言いながら、女はまりさをガラス容器に入れた。 まりさは一瞬水に沈んで、すぐに浮かび上がる。 「ぶばばばっ! ばばあ……おねえざんっ! やべで! がぼぼっ! やべるんだぜええええ!!」 少し水を飲んでしまったらしい。いや、今も口の中に水は入り続けている。 大口を開けてこれだけ叫んでいれば当然だ。 「おねえざんんんんっ! ばりざをだずげでぐだざいっ!! あやばりばずがらああああっ!!」 命乞いをするまりさだが、もちろん女に助けるつもりなどない。 それはこのまりさを初めて見た時から決まっていたことだった。 「ばりざはまだじにだぐないんでずっ!! もっどゆっぐりじだいんでずっ!!」 それも無理な話だ。 まりさの餡子は水に流れ続けている。どのみち死は時間の問題だった。 「ばりざじにだぐないいいいっ!! やべでっ!! だずげでええええええっ!!」 まりさは命乞いを続けていたが――もういいだろう、と女は思った。元気が無くなってから殺すのもつまらない。 「ねえ、まりさ」 「だずげでぐだざいいいいい!! だずげるんだぜえええええええっ!!」 「最期に言いたいことはある?」 「さいごっでいばないでええええええ!? ばりざばもっどゆっぐりじだいいいいいいっ!!」 ――れいむの名を出すつもりはないらしい。 所詮、れいむはこの家に入り込むためのダシだったのだ。何とも思っていなかったのだろう。最初から最後まで。 「そう――じゃあね、まりさ。楽しかったわ」 女はスイッチを押した。 「だずげ……ゆぎゅぼぎゃぎゃぎゃ――」 先ほどよりも騒がしい回転音がして――やがて止まった。 「ゆっくりおおきくなっていってね!」 寝室では床の上に陣取ったれいむが、額の実ゆっくりに話しかけていた。 いつもならもう寝ている時間なのだが、今日は興奮していて寝付けないのだろうか。 女に気付いたれいむが、 「ゆっ! れいむのまりさはどうしたの?」 と聞いてきた。 ――また「まりさ」か。 女は思った。仲のよろしいことで。 「どこかに行ったわ。家に帰って準備でもして、すぐに戻ってくるんじゃないかな」 でまかせを言いながら「何の準備なのよ」と自分にツッコミをいれるが、 「ゆっ! さびしいけどゆっくりわかったよ!」 れいむは納得してくれたらしい。餡子脳様さまさまだ。 ハッと思い出したようにれいむが言った。 「ごはんがぜんぜんたりないよ! あかちゃんもいるんだからもっといっぱいちょうだいね!」 「……」 れいむの食器を見ると、なめたようにきれいになっていた。 妊娠したれいむには、いつもと同じ量では足りなかったらしい。 「ぐずぐずしないではやくちょうだいね! おんこうなれいむでもゆっくりおこるよ! またばばあってよんでもいいの? ぷくうううう!」 「……」 女がれいむの『ぷくー』を見たのは、これが初めてだった。そもそも外敵を威嚇するための行為で、間違っても飼い主に見せる姿ではないだろう。 自分の考えと行動に間違いがいなかったことを悟った女は、右足のつま先で、れいむの体の端を軽く踏んだ。 「いだいっ! ゆっ! なにするの!?」 「あっ、ごめん。足が滑っちゃって――あ、また。ごめんね」 言いながら、もう一度踏みつける。さっきよりも強く。 「いだいっていってるでしょおおおお! このばばあ!!」 「ほんとにごめんね? ――あ、今度は手が滑っちゃったあ」 女はかがんで、れいむの頬をつねった。柔らかい弾力が指に気持ちいい。 「いじゃいいいいいっ! やめでねええええっ!」 しばらく苦痛に歪むれいむの顔を堪能し――不思議と笑顔よりもかわいく見えた――手を離した。 「あはは。ごめんね、れいむ。お姉さんちょっと疲れてるみたい」 「ゆふうっ! れいむはにんっしんっしてるんだよ! なにかあったらどうするの!!」 涙目で怒鳴るれいむに謝る代わりに、女は濁ったジュースを差し出した。 「はい、これ。お詫びのあまあまだよ」 「ゆっ! あまあま?」 食器にジュースを注いでやると、れいむは一目散に飛びついた。 「ぺーろ、ぺーろ! ゆゆっ!? しししあわせえええっ!」 気に入ってくれたらしい。女はニコニコとその様子を見ていた。 「このあまあま、とってもおいしいよ!!」 「そう。全部飲んでいいからね」 「ぺーろ、ぺーろ! じゅーる、じゅーる! しあわせえええええ!」 れいむは無我夢中になめ続け、すぐに食器は空になった。 「ゆっくりごちそうさま!!」 「はい、お粗末さまでした」 「このあまあま、まりさにもたべさせてあげたかったよ!!」 女は、そう思うなら残しておいてあげればいいのに、と思いながらも、 「そうね。でも、アレはさっき食べたからいいのよ」 と言った。 するとれいむは、 「ゆっ!? れいむにないしょでまりさにあまあまたべさせたの? それでもれいむのかいぬしなの!?」 一転、怒りだした。自分の知らない所でまりさにあまあまを食べさせたことについてだ。まりさが「アレ」呼ばわりされたことには気付いていないらしい。 ――本当に面倒くさい生き物。よく今まで飼ってこれたものだと思う。 「ゆっ!? きいてるの、このばばあ!」 もう一度つねってやろうかと女が思ったその時。 玄関から、涼やかなチャイムの音が聞こえた。 「あっ、もう来たみたいね。さすがに早いなあ」 「ゆゆっ! まりさがゆっくりかえってきたの?」 まりさがチャイムを鳴らすはずがない。そもそも、そのまりさはもう永遠にゆっくりしてしまったのだ。 「そうじゃなくて。回収屋さんよ」 回収屋――『ゆっくり訪問回収サービス』の通称だ。年中無休、24時間電話対応。自宅にいながらにして〈加工所〉にゆっくりを持ち込むことができる。 〈加工所〉がはじめたこのサービスはすぐに人気を博し、近隣に〈加工所〉が無い地域を中心に、普段〈加工所〉に行く時間の取れない社会人や自営業、あるいは子どもや老人などに特に愛用されている。例えば深夜や明け方などは回収料が発生――謝礼から小額引かれる――のだが、それでも依頼してくる客は多いらしい。連日連夜休む暇のない重労働なのだ。 そこに、女が先ほど電話しておいたのだ。 「かこ……かこうじょおおおおお!?」 女が説明してやると、れいむが悲鳴を上げた。 回収屋についての説明を理解できたかはわからない。いや、おそらくは理解できていないのだろうが、〈加工所〉の単語に反応したのだ。 れいむはブルブルと震え、目には涙も滲ませている。 ゆっくりにとっての〈加工所〉の怖さは以前教えてあった。覚えていたらしい。 「なんでおうちにかこうじょがくるのおおおおお!?」 「だからあ――」 女はれいむの頬に人差し指を当て 「れいむをぉ、〈加工所〉にぃ、連れて行ってもらうのっ!」 優しく微笑みながら言った。 れいむの悲鳴が大きくなる。涙は滝のようだ。 「どぼじでえええええ!? れいぶかこうじょいぎだぐないいいいい!!」 「こーら、わがまま言っちゃだめでしょ?」 女はれいむを持ち上げた。 「いやじゃああああああっ!! かこうじょいやああああああっ!!」 「これは邪魔だから取っちゃいましょうね」 女はれいむの額から、実ゆっくりの下がった茎をもぎ取った。本当に、心底邪魔だと思っていた。 栄養源を断たれて、一瞬で黒ずむ実ゆっくりたち。 「れいぶのあがぢゃんがああああああ!!」 れいむの絶叫を聞いてから、女は茎をゴミ箱に放り投げた。 再び、チャイムの音がした。 「さ、れいむ。お客さんを待たせちゃいけないよ?」 「いやじゃああああああっ!! れいぶまだじにだぐないいいいいいっ!!」 「ふふ、大丈夫よ。すぐに殺されたりはしないってば」 調査やら何やらで、しばらくは生きていられるはずだ――多分。よく知らないが。 「ばりざああああああっ!! れいぶをだずげでねえええええええっ!!」 もうこの世にはいない愛しのまりさに助けを求めるれいむ。 それを聞きながら、女はまりさの悲鳴を思い出していた。 このれいむも、まりさも、実に素晴らしい悲鳴をあげる。彼女らの悲鳴を聞いていると心が躍るようだ。 ――そうだ。 ゆっくりを飼うことは自分に向いていなかったが。悔しいけれど、それは確かだ。 しかし、別のアプローチで可愛がることはできるのではないか。それはとても楽しいことで―― またチャイムが鳴った。 「はーい!」 これが片付いたら、ペットショップに行ってみるのもいいかもしれない。れいむやまりさのような可愛い子を見繕って―― 玄関に向かう女の足取りは軽かった。 (了) 以前書いたもの…… ふたば系ゆっくりいじめ 525 犬 ふたば系ゆっくりいじめ 532 川原の一家 ふたば系ゆっくりいじめ 554 ゴキブリ(前編) ふたば系ゆっくりいじめ 555 ゴキブリ(後編)
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1455.html
哲学派れいむ 「ゆっくりおもうゆえにゆっくりあり!!!」 実力派れいむ 「ゆーきゃんえすけー!!ふ、いえあ、はいぱーっぼっ!!!」 知能派れいむ 「はんにんはあなたです!!!まりさがひとばんでやってくれました!!!」 野性派れいむ 「れいむのほんのうがさけぶのさ!!!おまえをゆっくりさせろとぉ!!!」 都会派れいむ 「フッフッフ!!とちのばいばいならおまかせ!!!」 別の人のレスから 哲学派れいむ 「豆は死んだ。我々の中に詰め込まれたのだ」 実力派れいむ 「貴様の中身には糖度が足りん!!!」 野生派れいむはバルバトスww -- ちょ (2010-01-23 18 22 38) 哲学派れいむ「あぁん!?最近だらしねえな」 -- 名無しさん (2011-04-28 14 02 04) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/339.html
・28回目 ・小ネタです。 ・変なゆっくりが出ます。 ・れいむです。 ・虐めません。 ・ふたばスレの勢いに便乗して書いてみました。 ・ていうかSSじゃない。 ・ヨロシクオネガイシマス 数時間前に、 「念願の胴付れいむ買ってきたぜ!」 と狂喜乱舞している友人に、無理やり連れられて彼の家に来た。 初めは、そんな何千万もするゆっくりをこいつが手に入れる訳がないと思い、まがい物を買わされたのだろうと思っていた。 実際、まがい物であることは確かだ。 ただ、珍しさではきっと胴付きを上回っている。 「かんぬしさんのおともだちさん! ゆっくりしていってね!!!」 ぱっと見は、少し面長な至って普通のれいむ。 れいむは、心ここにあらずの俺の膝にちょこんと座る。 座る。 座るという行動には足が必要だろう。 たしかに胴付きとして友人に買われたのだ。 足もあるし手もあるだろう。 ただ、私にはこのれいむが胴付きだとは思えない。 だって。 胴がない。 生首のようなゆっくりに胴がないのは当たり前だが、正確に言うと。 このれいむには、胴に必要な胸も腰もないのだ。 生首饅頭の顔の延長で身体が長く、錘の形をした手足がちょこんと生えている。 さながら、田舎にあるような豚の形をした蚊取り線香の入れ物のようだ。 「まったりのひー♪ ゆっくりのひー♪ すっきりのひー♪」 俺の膝の上で、何故かご機嫌に歌うれいむ。 歌を聴く限りは、ゆっくりれいむが常日頃歌うおうたを小さくした程度の、調子っぱずれなもので、やっぱりこれはれいむなんだろう。 だが、俺が今まで見てきたゆっくり達の中で、人間の膝の上で、あまつさえ体操座りしながら歌うれいむなど見たことない。 「おともだちさん! ゆっくりできてないよ? おかおをにぱーってすればゆっくりできるよ! ほら、にぱー」 笑顔で、顔だけをこちらに向けるれいむ。 腰? らしき部分がねじれているけど大丈夫なのだろうか。 本人は、苦しそうではないから大丈夫なのだろうが・・・。 引きつっているのが自分でも分かる愛想笑いを返していると、友人がお菓子やビールを持って戻ってきた。 「おう、お前ら僕差し置いて何じゃれあってんだよー。ほら、れいむこっちおいでこっち」 「わぁ、あまあまだぁー!」 俺の膝から降り、とてとてと友人の方へ歩いていくれいむ。 友人から、グルグルキャンディーを手渡されて短い両手で器用に掴んで、ぺろぺろ舐めながらテレビを見始める。 ・・・やはり、何かがおかしい。 なんともいえない気持ちで、れいむを見ていると友人が、ニヤニヤしながら隣へ座ってきた。 「ああ、やっぱり胴付きって可愛いなぁ・・・。買ってよかったよかった。お前もそうおもうだろ?」 「なぁ・・・ものすごく言いにくいんだが、あのれいむは胴付きじゃないぞ・・・」 「え? 何言ってんのさー。ちゃんと手と足もあるだろ?」 手と足があれば胴付きなら、タコもイカも胴付きだ。 「胴付きっていうのはだな・・・。人間の少女に限りなく姿形が近いゆっくりのことで、それこそ保護される権利もあるし売買だって条約が厳しい。値段はいくらだった?」 「3万」 「そんな3万で買えるような代物じゃない」 「まじで!?」 「詐欺られたな」 「まじで!?」 「お前何処で買ったんだ?」 「駅前のペットショップ」 全国にチェーン展開する、ペットショップ『フラジール』のことだろう。 「大方、奇形ゆっくりの処分に困ってた店員にでも一杯食わされたんだろう」 ただ、元から生命力が少ない奇形ゆっくりだ。こんな風に普通に活動できるのはある意味すごいことだが。 「まじでかー・・・ちくしょう。おかしいと思ったんだあの、ぶっとい髪した店員!」 「だから、飼いゆっくり選びは慎重にとあれほど・・・」 「で、でもさ! 可愛いよな! 可愛いよな!?」 「・・・まあ、それで君が幸せならば」 「かんぬしさんどうしたの? ゆっくりしていってね!!!」 涙目の友人に、唾液でベトベトなグルグルキャンディーを差し出すれいむ。 見た目はともかく、人に優しくできる善良なゆっくりなのだろう。 「・・・3万でこれなら良い買い物かもな」 友人のリアルラックの高さに、感心しつつ二人のやりとりを見て、何故だか暖かい気持ちになった。 きっと、二人は良い関係を持って生活できるだろう。 オマケ ある日、朝食を取りながらテレビを見ていると、 「今、巷で話題の四股付きゆっくり! その人気に迫りたいと思います!」 朝から、牛乳を噴出すとは思いもよらなかった。 あわてて、噴出した牛乳を拭いながら、しばらく見ていると、あの友人のれいむに似た、豚蚊取り線香の形の様々なゆっくり達が紹介されている。 「えー、ここで社長さんにお話を伺いたいと思います」 一通り落ち着いたので、牛乳を飲もうとすると カメラがアップしたのは、他ならぬ友人だった。 またも牛乳を噴出してしまう。 「このような、きもげふんげふん・・・ゆるキャラなゆっくりを作ろうと思ったのは何故ですか?」 マイクを向けられると、高級そうなスーツを着た友人は。 「全ては、れいむとの出会いが始まりでした(中略)私が今、ここにいるのはれいむのおかげなんです」 「かんぬしさんはれいむのだいじなだいじなおっとだよ!」 エプロンをかけたれいむが、友人に擦り寄っている。 「はい、ということで、フラジール社長さんと社長夫人れいむちゃんでしたー。スタジオにお返しします」 開いた口が塞がらなかった。 横で、飼っているやまめが多分何も分かってない笑顔で、真似をして口を開けている。 後日、四股付きゆっくり達は第二次飼いゆっくりブームを巻き起こした。 普通のゆっくり達は、その四股ゆっくりの見た目やら存在感やらに恐怖したという。 アトガキ 儚いあきさんの四股付きれいむがぬるりと来たので書きました。 こう、SSの内容と関係ないですけど、相撲を取りそうだったので四股ふみれいむに。 あれは、飼ってみたいです。うん。可愛い。 ご読了ありがとうございました。 やまめあき(仮) 【妄想で書いたもの】 かり ・ト● ・くちばしにチェリー ・デスクトップガジェット ・ゆっくりつくーる ・夢想天生 ・スペクタクルスパイダーウーマン ・つるべおとし ・ゆっくりのおもちゃ ・いまじん ・スポイラー ・ラブドール ・益虫? 害虫? ・スィークリング ・てゐ! ・ゆっくりは生首饅頭の夢を見るか? ・箱、無音、窓辺にて ・世はまこと遊技である ・かえるのこはかえる ・川辺の海賊 ・水橋姫 ・トス ・ちょっとの時間にゆっくり虐め ・げんそうきょーのみこ ・狼は良い獣 ・四股ふみれいむ どろわ ・つんつんつんつくつんつくつんつん ぬえ ・山女って可愛いよね ・女はつらいよ
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/68.html
私、博麗 霊夢はゆっくりを飼っている。自分と似た姿をしているゆっくりれいむだ。 ゆっくりれいむ(以下れいむ)と出会った当初は自分と似た饅頭が動くとあって 気味が悪く見えたものだが、今ではうまくやっている。 以前れいむとゆっくりポイントについてもめたことがあった。ゆっくりが気を許した相手と安心してゆっくりできる場所ゆっくりポイント。 抱っこした私の膝の上をれいむのゆっくりポイントにすると私は言ったのに、他のゆっくりにも使わせてしまった。 それで嫉妬したれいむと喧嘩してしまったのである。 あの時は私にも軽率な行動があったと反省している。あの一軒以来私の膝の上はれいむのゆっくりポイントとなっている。 膝の上にのせて抱っこして一緒におやつを食べ、髪の毛をブラッシングしてあげる。するとれいむはとろけたような表情になる。 そのうちゆっくりしすぎて溶けてしまうのではないかと不安にすらなってくる。 そんな日々がある程度続いたが、最近れいむの様子がおかしい。例えばこんなことがあった。私が庭で掃除をしているとき、 れいむが家にある文々。新聞を口でくわえて縁側に持ってくる。口を使って器用に新聞紙を広げる。 次に新聞紙の上にハチミツをたらす。満遍なく、広く。 そして最後にれいむ自らころころと新聞紙の上を転がり、体中を蜂蜜まみれにするのである。 「べたべた♪ あまあま♪」 れいむはどこかうれしそうだ。頬をほんのり赤く染めて、うきうきとしている。そして私のほうに目を向けると 「さぁ、おたべなさい!!」 れいむはそうやって私に呼びかける。なぜか自信満々にふんぞり返っている。なんのいたずらだと思い、 私はそんなれいむを無視して掃除を続行する。れいむはふんぞり返って動かないままだ。 しばらくすると甘いにおいにおびき寄せられたのか、蟻の大群がれいむに群がってくる。 「ゆぅぅっ!ありさんやめてね!!いたい!いたいよ!」 まったくあのおバカ。私はありを引っぺがし、れいむを風呂に入れる。 たんなるいたずらにしては度が過ぎている。けれどもこういったことはこれが初めてではない。 これに懲りて学習するように願っているのだが、れいむはこのような行為を止めようとはしなかった。 しかも、だんだんエスカレートしてくる。 あるときは氷水の中に入って 「ひやしまんじゅうだよ!つめたくておいしいよ!」 などとのたまっていながら、 「がぼっ!ゆっぐ・・ごぼげぼっっ!」 溺れてしまって危うく死に掛けたり、 あるときは火の中に入って 「やきまんじゅうだよ!ゆっくりまんじゅうほっかほかだよ!」 などと言っておきながら、数秒後には 「あっついよ!ゆっくりあっついよ!」 と、辛そうな声を出すものだからすぐに砂をかぶせて火を消してあげた。幸いなことに命に別状はない様で、火傷のあとは残らなかった。 何でこんなことになったのだろう。このところのれいむはゆっくりすることよりも自らの身体を傷つけることに意識がむいている。 これが本当に何も考えずにしていることならともかく、痛みなどに対しては辛そうにしているからわけがわからない。 私は途方に暮れていた。 「れ~む!れ~む!」 ふと足元を見るとれいむがほっぺたをすりすりと摺り寄せてくる。焼きたての大きな饅頭のような感触だ。なついてくれてうれしい反面、 この季節では少し暑苦しい。ちなみにゆっくりれいむは自分のことは【れいむ】、霊夢のことは【れ~む】と呼ぶ。ややこしい。 「れいむのほっぺたすこしかじる?おいしいよ!」 と、自らを食べることを促してくる。ふざけないでほしい。れいむは家畜ではなく家族である。 家族を食べるような趣味は持っていない。なんでこんなことになってしまったのだろう。この子はいったいどうしちゃったのかな。 私は気が気でなかった。 れいむに何であのようなことをするのかと聞いても、いつも 「れ~むにおいしくたべてほしいの!」 としか言わない。あの子が何を考えているのか本気でわからない。私はただれいむとゆっくりのんびり幸せに生きたいだけなのに。 「なるほどね。つまりゆっくりが自分のことを食べるように迫って来て困っているわけね」 「そうなのよ。しかもこっちの言うことは聞かないし、そのうち取り返しのつかないことになるんじゃないかって思って・・・」 そこで私は知人に相談をすることにした。その名は八雲 紫。妖怪である。金色の髪に紫色のワンピース、そして人外の美貌。 妖怪の賢者と言われる彼女なら何か知っているのではないかと思ったためである。 「食べてあげればいいじゃない。きっとおいしいわよ。なんならいい調理法を教えてあげましょうか」 「冗談じゃないわ。そうしないためにあんたを呼んだのよ。」 そう。冗談ではない。せっかくできた家族を最悪の形で失いたくない。なにがなんでもあのような自殺行為を辞めさせなくてはならないが、 私だけで対応して取り返しのつかないことになるのが怖い。妖怪相手の知恵を借りるなんてとも思ったが、そう言っていられない。 一刻も早く対策を立てないと。 「そうねぇ、ひとついいことを思いついたんだけどやってみるわね。」 いいこととはなんだろう。なんか今とてつもなく胡散臭い顔をしたぞ。こういうとき紫はろくなことを考えていない。 「おねぇちゃんいらっしゃい!ゆっくりしていってね!」 そこへちょうど問題のゆっくりれいむが友達ゆっくりと遊びに行ったところから帰ってきた。 「ゆっ、ゆっ」と掛け声を出してぴょんぴょん飛び跳ねてくる。その顔には何の警戒心もない。 「どういたしまして。ゆっくりしていくわね。それよりも・・・・・えいっ!」 紫が手を振るとれいむの体を煙が包み込んだ。あっという間にれいむの姿が見えなくなる。 「ちょっと紫、うちの子に何してんのよっ。」 止める暇もなかった。本当にいきなりだったので、どうすることもできなかった。 数秒待ったがれいむが煙の中から出てこない。おかしい。あの飛び跳ねる速度だったらもうこちらについてもいいはずなのに。 私はいてもたってもいられなくなり、煙の中に突っ込んだ。何か体に影響が出るかもしれないけど、 今はそんなことを気にしているときではない。 「れ~む~、どこにいるの~、まえがみえない~」 れいむの声が聞こえてくる。よかった。無事なようだ。でも姿を見つけて抱きしめるまでは不安が消えないだろう。 この怪しい煙の効果がいったい何なのか気になる。早くれいむを私のゆっくりポイントに置いてゆっくりさせてあげたい。 「れいむ、ここよ。私は、霊夢はここにいるわ。速くゆっくりポイントにいらっしゃい!」 必死で呼びかける。すると向こうから反応があった。 「れ~む、そこにいるんだね!ゆっくりいそぐね!」 言葉に矛盾が生じているがそれどころではない。私のほうも声のするほうに走った。すると煙が段々晴れていく。 頭に思い描くは腕に抱えるほどの大きさの饅頭。」 自信満々の下膨れの顔。 触るとハリのあるあたたかいほっぺた、 毎日ブラッシングしてあげた成果の艶やかな髪。 しかし目の前にいたのは 私よりも頭ひとつ分ほど小さく、抱きしめれば折れてしまいそうな細い体躯 小ぶりな輪郭、長いまつげ、大きな瞳、整った鼻、薄い唇 面影があるのは柔らかそうなとしたほっぺたと艶やかな髪のみ。 誰かに似ていた。 いや、誰かどころではない。 そう、目の前にいるのは 「なんでよ・・・・・なんで小さい私いるのよっ!」 「れ~むどうしたの?ゆっくりおちついてね!」 その瞬間は私は理解した。 私のゆっくりれいむが人間になっている!!? 八雲 紫。妖怪の賢者と呼ばれている者。その能力は境界を操る程度の能力。物の概念を操り、どんなものでも好き勝手にできる能力。 この能力の恐ろしいところは汎用性が恐ろしく広いところにある。妖怪と人間の境界を弄くると妖怪を人間に、 人間を妖怪にすることくらいは造作もない。ましてや饅頭を人間にすることなど朝飯前であろう。 つまりその結果が、 「ゆっくりした結果がこれか」 「れ~む!れ~む!れいむにんげんになったよ!すごいよ!これでもっとれいむとゆっくりできるよ!」 そう。ゆっくりれいむは人間になった。見た目は頭ひとつ小さくなった私だ。 今もうれしそうに抱きついて私のほほにほっぺたをすりすりと擦り付けてくる。 感触は以前の焼きたての饅頭のような感触ではなく、人間のきめ細かいすべすべとした肌の感触だった。 れいむは饅頭だったころは私が抱いてあげないとほっぺたを擦り付けることができなかったので、 自分からほっぺたを擦り付けることができることがうれしいようであった。 「紫、あんた今度は何をたくらんでるの?」 「別に何もたくらんではいないわよ。私はこれが一番あなた達には必要なことだと思ってやっただけよ。 決して面白そうだからいたずらしてあげようかしらとは思っていないわ。」 紫は悪びれもせずそのようなことを言う。絶対嘘だ。今もニヤニヤと笑っている。 れいむの姿が饅頭に手足をくっつけたようなものではなく、私に似せたのはせめてもの良心だろう。 暑苦しいのでれいむを引っぺがし、紫に詰め寄る。けれども紫はその反応をを予想していたように先手を打ってきた。 「この子が人間になったら自分を食べさせようとは思わないんじゃないの。もう饅頭じゃないんだし。いいわねぇ、 まるで姉妹みたいよ。とりあえず数日一緒に暮らしてみたら?きっと楽しいわよ。」 そういわれると、人間になったられいむが自分を食べさせようとはしなくなるかもしれない。なんかうまく丸め込まれた気がする。 「すりすり♪ゆぅ~♪」 れいむがまた擦り寄ってくる。よほどうれしいのだろう。できたばかりの腕を生かしてしがみつき、離れようとはしない。 その顔は無邪気に笑っていた。顔は子供のころの私だが、たぶん私は一度もこのような表情をしたことはないだろう。 しかし私はこれからの生活のことを考えると不安になってきた。喋り方もこの見た目の女の子達の間では幼すぎる。 本当に大丈夫なのだろうか。 まず、れいむは以前より早く動けるようになった。歩くことはもちろん、走ることもできる。 今まで足というものがなかったのにうまいものだ。紫が言うには、生き物は肉体と精神が健全な状態なら、 自らを移動させる動作は早く習得するものであるらしい。あらゆる行動の基本のためだ。 そのため、起き上がる、立つ、歩く、走る。全てすぐにできるようになった。少々安定性に問題はあるが・・・ 「あんまり速く動くと転ぶわよ。もっとゆっくりしなさい。」 と注意しても 「れ~むといっしょにもっととおくにおさんぽできるよ!こんどいっしょにあそびにいこうよ!」 そういったそばから転んだ。れいむは気が散るとすぐに転ぶ。だけどまた立ち上がると、 ご機嫌で庭を走り回っている。この子は本当にゆっくりしていないなぁ。 しかし、箸を持つこと、道具を使うことに関してはからきしだった。五体満足で生まれた人間が走ることは不自由しなくても、 まったく教えてもらいもせずに箸を扱えることはないためであろう。道具を使うことは後天的な教養が必要になる。 「いい、お箸の持ち方はこう。違うわよ。人差し指と中指の間に持つのよ。」 「ゆぅぅぅぅ・・・。れいむめんどくさいよ・・・・・。おててでつかんでたべたいよ・・・・・・。」 これは難航していた。子供にきちんとした箸のもち方を教えるのは一苦労であった。少し目を離したら手づかみや犬食いをしようとする。 こういったことはきちんと躾けないとこの子があとで困ることになる。 「れ~む・・・・・。いつもみたいにれいむのおひざにのせてたべさせてよ・・・・・」 「駄目よ。あんたはもう自分の手があるんだから自分で食べなさい。」 「ゆっぐ・・・・・。おまんじゅうのころのほうがよかったよ・・・・・・」 れいむは泣き出してしまった。胸が痛んだが、ここで甘やかすとこの子は駄目になる。自分でできることは自分でやらせないと。 「ほら、一緒に頑張ろう。これができるようになったらゆっくりお風呂に入れてあげるから、ねっ。」 「ゅ・・・ぅ・・・・・れいむ・・・・・がんばるよ・・・・。」 そういうとれいむは泣くのをやめて頑張った。その顔は真剣そのものだった。れいむは饅頭なので、 あまり風呂の中でゆっくりしすぎるとふやけてしまう。いつもは軽く桶でごしごし洗ってあげる程度だ。 私と一緒にお風呂に入りたかったのであろう。確かにお風呂の中はなかなかゆっくりできる場所だ。 それから根気よく箸のもち方を教えて、3時間かけてやっと箸で物をさして食べることができるくらいにはなった。 その後私達はゆっくり時間をかけてお風呂に入った。れいむは終始はしゃいでいた。 「おふろでゆっくりできるなんてうれしいよ!ゆめみたいだよ!にんげんでよかったよ!」 現金なものである。さっきまで饅頭に戻りたいとか言っていたくせに。 れいむは湯船でゆっくりしすぎたので、湯で饅頭になってしまいそうだと言っていた。そんなものが実在するかは知らないが。 眠るときに気がついたが、私の家は布団が一組しかない。ふだんれいむは座布団を敷いてその上に眠らせる。 さすがに今はそのようなことをさせるわけにはいかないので、一緒の布団で眠った。以前喧嘩したとき以来だった。 れいむは体中を密着させてくる。饅頭だったころの癖が抜けず、体全体でぶつかろうとしているのだろう。 暑苦しかったのですぐに布団の外に押しのけた。 それから数日がたった。 「霊夢遊びに来たわよ~。お茶とお菓子を用意してね~。」 紫が再び尋ねてきた。相変わらず図々しいことを言っている。 「ゆっくりしていってね!!おねぇちゃん、このまえはありがとうね!」 れいむが出迎える。その喋り方は結局変わらなかったが、自分を人間の姿にしてくれた紫をとても歓迎している。 小さい私が笑顔で紫をまるで恩人のように出迎えているこの光景、私の知人が見たら何の異変だろうと思うに違いない。 「あら、霊夢ってばずいぶんとやつれたじゃない。目にも隈ができているわよ。」 「ここのところ大変でね。ゆっくりできなかったのよ・・・・・・。」 そう、本当に大変だった。れいむへの躾、神社の仕事、異変の解決、そして以前にもまして擦り寄ってくるれいむ。 体力の限界だった。特に最後がきつかった。 「けど、悪くないわね。こういうのも。れいむ~お茶もってきて~。」 「うん!ゆっくりまっててね!」 れいむは楽しそうだった。自分が私の役に立てるのがうれしくて仕方がないのであろう。 「ほほえましいわね。」 けれども紫の顔はそう見えなかった。まるで自分が考えた筋書き通りに事が進んでいないかのようであった。 「おねぇちゃん、おちゃだよ・・ゆぅぅぅうぅ!?」 れいむはお茶とお菓子を持ってきたが、転んでしまった。まだこういったことには慣れていないのだろう。 慌てて駆け寄る。れいむはやくにたてなくてゆっくりごめんなさいと何回も謝っていた。 結局、紫は少しの間話をしてから私がいると邪魔なようだからと、ゆっくりせずに帰ってしまった。 どうしたのだろう。何が不満なのかわからなかった。 その日の晩。 私が夜寝ていたとき、もよおしてしまった。暑かったから水を飲みすぎてしまったのかもしれない。目を覚ますと、 隣のれいむがいなかった。どうしたのだろう。疑問がわいたが、とりあえず用を足すのを優先した。そして厠からの帰り、 台所でれいむはいた。 裸だった。 窓の外からの月明かりに照らされるその体はこの暑さの中でもかかわらす雪を連想させるほどの白さだった。 髪を掻き揚げ、一本の瓶を両手で持ち、それを頭の上まで抱えると、何のためらいもなく体中にたらした。 てろり、てろりと粘着性をもった何かがれいむの体に塗りたくられている。 あれは、ハチミツだ。 私は以前れいむが饅頭だったころ体中にハチミツを塗りたくっていたことを思い出す。 みしっ 動揺してしまった私は廊下の板を鳴らしてしまった。れいむはこちらに気がついたようだ。何かがまずい。 れいむが近づいてくる。自信満々の笑顔だ。この光景には既視感があった。 これはまさか 「さぁ、お「やめんかこの馬鹿饅頭がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」」 このとき紫がなぜれいむを人間にしたのかわかった。よ~くわかった。あいつは本当にたちの悪いいたずらを考え付く。 れいむがいくら私と性格が似ていないとはいえ、私の姿でこのようなことをさせるのは悪趣味極まりない。 いまごろ紫はどこかでほくそ笑んでいるだろう。 「紫ぃ、あんたがもう二度と復活できないくらいまで退治し続けてあげようか・・・・」 「ごっ・・・・・ごめ・なさ・・・・・あ・・・・だめやっぱり・・・・堪えられない・・・・」 翌日紫を締め上げると、何も悪びれることもなく爆笑していた。よほどおかしかったのだろう。本気で退治してやろうか。 「とにかく、れいむを元に戻しなさい。自分を食べさせようとすることが変わらないんじゃお手上げだわ。 まして、人間の姿になった分饅頭のころよりもたちが悪いわ。」 このままでは本当にれいむを食べることになってしまう。人間同士のため、より状況は悪化していた。 「ごめんごめん・・・・あまりにおかしかったからついね・・・。で、れいむちゃんはどうしたいの?すぐに人間に戻りたい?」 「れいむまんじゅうじゃないととだめ?れいむもっとにんげんでいたいよ・・・」 上目遣いでこちらを見て懇願しているが、こればっかりは仕方がない。私はれいむを饅頭に戻すことに決めていた。 この子はやはり饅頭の体が一番の自然体なのであろう。紫はここですぐにある提案をする。またあの胡散臭い笑顔だ。 「それじゃぁ、せっかくだし最後にれいむちゃんに霊夢のお手伝いをさせてあげましょうよ。 人間の姿じゃないとできないことってあるんだし。そうだ、里にお使いに行ってもらうってどう?」 こいつは相変わらず無茶なことを言う。何でそうなる。さらに紫は追い討ちをかける 「饅頭に戻っちゃったら霊夢のお手伝いはできないわよ。それでもいいのかしら。早く決めないとなかったことにしようかしら。」 「やる!れいむはおつかいにいくよ!れ~むのおてつだいしたいよ!」 何を馬鹿なことを、私はあわてて止める。 「れいむやめなさい。あなたにはまだ早いわ。お手伝いなんてしなくていいのよ」 「やるったらやるの!れ~むはおうちでゆっくりまっててね!」 頑として私の言うことを聞かなかった。なんで最近のれいむはここまで頑固なのであろう。 私は紫に対して、おつかいの間れいむの後ろからついていくことを止めないことを条件にれいむをお使いに行かせることになった。 もちろんれいむには内緒だ。こうでもしないとあまりにも不安だった。 後ろからこそこそとついていく。れいむは里と神社をつなぐ細い道を通っていた。回りには木々が茂っている。 今のところ大丈夫だった。女の子一人で買い物に行かせようなんて紫は何を考えているのだろう。 悪い男や妖怪に襲われたらどうするのだ。けど、なんであの子はそれでもお使いに行ったのだろう。 外が危ないことぐらいわかるはずなのに。 れいむはまっすぐ里のほうを目指していた。余計な寄り道はしていない。もっとゆっくりすればいいのに。 そう思っていると、道の向こう側から人影が見えた。小さくて、金色の髪をした女の子だ。 なんだ、女の子かと私はほっとしたが、すぐにそれが間違いだったと思い直す。 あの顔は知っている。 ルーミアだった。 妖怪の中でも特に食いしん坊。その華奢な見た目に反して腕力は成人男性を簡単にひねりつぶすほどある。 その好物は 人肉 「あ、人間だ~。こんにちは。」 「こんにちは!ゆっくりしていってね!」 れいむは挨拶を返す。その様子から、目の前の相手の危険性がわかっていないようだった。 けれどもルーミアの次に発する一言はそんなれいむにも警戒心を抱かせた。 「あなたって巫女に似てるね~。あなたって食べてもいい人類?」 「ゆ!たべちゃいけないよ!あなたとはゆっくりできないよ!ゆっくりきえてね!」 れいむはようやく自分の置かれている状況がわかったようだ。このままではまずい。 ルーミアは会話でうまく丸め込まないと襲ってくる。 ぼやぼやしているとれいむが食べられてしまう。私は早く助けに行こうとするが、 体が動かない。 その原因は紫のスキマだった。スキマから両手が伸びていて私の足を押さえている。口元も抑えられているため声が出ない。 あいついったい何のつもりだろう。目の前がくらくらとしてきた。 「ちょっとだけでいいんだよ。全部は食べないから安心して。そのほっぺたってすごくおいしそうだな~」 「ゆっくりやめてね!ゆっくりはなしてね!」 ルーミアはれいむを押さえつけて羽交い絞めにしていた。その口からはよだれが出ている。 れいむはじたばたと手足を振って逃げようとするが、腕力が違いすぎる。 私は速く動こうと必死に紫の両手を叩く。打つ。刺す。蹴る。だが、体に力が入らない。 「じゃあいっただきまーす♪」 ルーミアが大口を開ける。今にもかぶりつきそうだ。 はやく、はやく動かなければ!紫の手をちぎってでも先に進もうとする。そのとき、 「やめてよ!れいむをたべていいのはれ~むだけだよ!!!」 れいむが叫んだ。この瞬間私の両足を押さえていた紫の手は外れた。口元を押さえている何かも外れた。 ルーミアの口がれいむのほっぺたに触れようとしたその刹那、私はルーミアのところに飛んでれいむから引き剥がし、 その額に特性の御札を貼り付ける。ルーミアは爆風とともに飛んで行った。 「れ~む!れ~むぅ!こわがったよ!ごわかっだよぉ!ゆ゛っぐりでぎながったよぉ・・・」 「よしよし。もうゆっくりしても大丈夫だからね。早く助けてあげられなくてごめんね。」 れいむはおお泣きしていた。私はれいむの元に駆け寄る。ここのところ最近は暑かったので擦り寄っても離してきたが、 このときばかりはそんなことを気にしてはいなかった。私は饅頭だったらつぶれてしまうほどの力でれいむを抱きしめた。 霊夢達は知るよしもなかったが、そんな二人から離れたところ、吹き飛んだルーミアのところに紫はいた。 紫は少しだけ申し訳なさそうな顔をしてルーミアと話していた。その両腕を痛そうにさすっている。 「わざわざ頼みごとを聞いてくれてありがとうね。あなたのおかげよ。」 「いきなりひどかったな~。もうあの巫女には関わりたくないな~」 「無茶な注文でごめんね。はい、お礼のお肉詰め合わせよ。早いうちに食べてね。」 「やったぁ♪ありがとう紫。また何かあったら呼んでね♪」 現金なものである。ある意味ゆっくりとは似た者同士なのかもしれない。 その3時間後紫が私の家を尋ねてきた。私はれいむに膝枕をして縁側で座っていた。 れいむはぐっすり眠っている。あんなことがあったのだ。ちょっとやそっとのことでは起きないであろう。 むしろそれが幸いともいえた。 「説明してもらいましょうか。どういうつもりだったのよ。」 私は紫に詰め寄る。いたずらで済ませられる話ではない。 紫からの回答によっては、今この場で楽園の巫女と楽園の管理者の殺し合いが始まることさえ覚悟していた。 しかし紫からの回答は拍子抜けするほど簡単であっけない理由だった。 「いや、霊夢が以前れいむちゃんが自分を食べさせようとして困っているって言ったじゃない。 その理由を教えてあげようかなって思ったのよ。」 「どういうことよ。あんたの度が過ぎたいたずらがなんでその話に結びつくのよ」 「まぁ、慌てない慌てない。ゆっくりしましょうよ。その前に、あなたにひとつ聞きたいんだけど、 饅頭だったころのれいむちゃんって何か役に立ってた?」 「私の枕になってくれたり、お留守番してくれたり、いろいろ頑張ってくれたわよ。」 「でも正直、ほとんど役にも立っていないでしょう。ゆっくりって主人の手伝いをしたくても、 あんな体だから、受けた恩を返したくても返せない。それはしょうがないことなのよ。」 私はれいむが役立たずだという一言を否定しようとするが、そこで紫は一気にまくし立てる。 「何かしたくてもできないのよ。人間でも、妖怪でも、妖精でもいいわ。 他の種族で物好きな何者かが自分達をゆっくりさせてくれる。ただ一緒にいてくれるだけでいいと言う。 けれどもあなたがゆっくりならどうする?何かしてあげたくならない?けど、動く饅頭に何ができるの?」 私には何も思いつかなかった。自分がゆっくりになったらたぶん何もできない。けど、ひとつだけ思い当たることがあった。 それは 「食べて・・・もらうこと・・・・・」 「そう、そんなゆっくり達にできる最大限の恩返しが食べてもらうことなのよ。それくらいしかできることがないんだもの。 だから最初に言ったじゃない、食べてあげなさいって。」 そうだった。紫は最初に答えを言っていた。精神的に参っていた私はその忠告を聞き入れていなかった。 あのときのれいむは単なる悪ふざけにしては私の話を聞いていなかった。 でも今思えば、あの子があそこまで意固地になったのも理解できる。 「でも・・・・、でも・・・、食べられるのって怖くないの?」 「それはやっぱり怖いに決まっているでしょう。私は妖怪だから人間を食べるわ。けど、食べられることを怖がらない人間、いや生き物 なんて殆どいないわ。」 「だったら何であんなにうれしそうなのよ!自分の体にハチミツでもぬりたくってさ!」 「少しでもおいしくなりたいんじゃないの。人間が化粧をするようなものよ。もっとも、饅頭にハチミツなんてごめんだけどね。」 私はどうすればいいかわからなかった。食べることが恩返しになる。それがあの子のためだと言っても、 あの子を食べてしまって大丈夫なのだろうか。痛くないだろうか。傷は塞がるのだろうか。怖がったりしないだろうか。 紫は優しい声で諭す。 「あの子は本当に霊夢のことが好きみたいだしね。あなただけよ。あの子が食べて欲しい人って。 人間の姿になっていても食べられたがっていたじゃない・・・」 こいつやっぱり覗いていたのか。危うく流されるところだった。しかし紫は続ける。 「あの子が人間としてもっと暮らしたら、誰かに食べてもらおうという気持ちはなくなるかもしれない。けど、もしあの子が ゆっくりとして生きる道を選ぶのなら食べてあげて。何も全部残さず食べろといっているわけじゃないのよ。 ほんの少しだけでいいの。軽くかじるくらいのことはしてあげなさい。ゆっくりは再生力が強いから、それくらいならすぐに治るわ。 それなら、少しくらいあの子の気持ちを汲んであげて」 紫が帰った後、真夜中にれいむは目を覚ました。目を覚ますときは不安そうに周りを見渡していたが、 私がいることがわかると、安心したように笑った。 私はこれまでの事情を話した。 れいむがそこまで思いつめていたことを知らなかったこと。 ゆっくりにとっての恩返しがどれほど大事か知らなかったこと。 食べられることに覚悟がいることを知らなかったこと 知らない事だらけだった。私は謝ることしかできなかった。 れいむは 「だいじょうぶだよ!れ~むがむりしてたべなくていいよ!これからもいっしょにゆっくりしようよ!」 そうは言ったが、れいむはどこか寂しそうだった。 私は紫から最後に言われたことを告げる。 人間から饅頭に戻るか、人間のまま暮らすか選ばせてもらえること。 しかし一方しか選べない。このまま人として生きるか、饅頭として生きるか。選ぶしかなかった。 紫は「私ってこういうところで意地悪だから」と言っていた。 「れいむ、どうするの?あなたが望むのなら、ゆっくりに戻っても、 人間として生きていってもいいのよ。正直に話して。無理をしなくていいのよ。」 「・・・・・・・れ~む、ゆっくりかんがえさせてね・・・。」 れいむは今までで一番真剣な表情をしていた。 その翌日、朝日が昇る中、私、紫、れいむは神社の境内にいた。 選択の日が来たのである。 れいむはゆっくりに戻ることを選んだ。 れいむはこう考えていた。 人間としてれ~むと一緒に生きていくこともよかった。お手伝いをして、一緒にお風呂に入ったり同じお布団で寝たかった。 だけど、ゆっくりに戻ればそれはもう叶わない。これは今までで一番救いようのないワガママ。 それでもれいむは知りたかった。れ~むといっしょにゆっくりすることで自分の餡子がどんな味になっているのか。 そしてそれをれ~むに味わって欲しかった。れ~むにおいしいと言って欲しい。おなかいっぱいになって欲しい。 それだけがれいむの望みだった。 「それじゃあれいむちゃんを元に戻すけど、いいわね?」 紫が念を押す。れいむに人間か、ゆっくりかの選択させたのはこいつなのに、なぜこんなにも念を押すのだろう。 「えぇ、お願い・・・。」 私はうなづいて隣のれいむを見る。れいむは震えていた。 「ちなみにゆっくりは接し方、育て方によって味が変わるそうよ。たっぷり愛情を注ぐとありえないくらい甘くなるの 。皮肉な話だけどね。れいむちゃん、霊夢がおいしくないって感じるかもしれないのよ。それでもいいの?」 れいむは震えながら答えた。自分が一晩考えた結論を。 「うん。おねがい。おねぇちゃん・・・。れいむどうしてもれ~むにたべてほしいの・・・・・・。」 「わかったわ。そこまで言うのなら止めないわ。自分の選択に責任を持ってね・・・・・・・・」 紫はどこか寂しそうだった。ひょっとしたら、れいむが人間になることを望んで、あのような後戻りできない 二択をさせたのかもしれない。けれども、これがあの子が望んだことだった。 れいむの体を煙が包み込む。10秒、20秒、ゆっくりと時が過ぎていく。 そして煙は晴れた。 その体はもう人間のものではない。ゆっくり本来の、頭のみのシルエット。 霊夢を抱きしめた腕も、お箸を持つことに苦労した手も、 霊夢に駆け寄った足ももうない。 もう二度と戻らない。 れいむは泣いていた。 声を殺して泣いていた。 だが、まだするべき事は残っている。今度はこっちがけじめをつける番だ。もう逃げない。逃げるわけにはいかない。 私はそっとれいむに近づく。 「れいむ、今までごめんね。私あなたの気持ちをぜんぜん考えていなかった。」 「れいむこそごめんね・・・。れ~むはれいむとゆっくりしたかったんだよね・・・・・。 でも、れいむはそれでもれ~むにたべてほしいの・・・。わがままでごめんね・・・・・・・・・。」 私はれいむの言葉にうなづく。覚悟はすでにできている。 「れいむ、お願いがあるの。れいむの餡子を一口食べさせて。」 「うん・・・・いいよ・・・・・ゆっくりたべてね・・・・・・・」 ふるえるれいむのほっぺたに口をつけて、齧る。 外側の皮は衝撃を和らげるためか、もちのような食感をしていた。 さらに一口齧る。 中身が見えてきた。 れいむは今にも泣きそうだ。 けど、口を閉じて目を瞑り、痛みに耐えている。 私を不安がらせないためであろう。 「れいむ、いくね・・・・」 そして三口目で餡子に到達した。ゆっくりの餡子は育て方、直前の感情によって味が大きく変わるという。 私のれいむはどのような味なのか。れいむはぴくりと震えた。 甘い。 甘すぎた。 例えるなら餡子の中に同じくらいの砂糖をぶち込み、その上に大量の蜂蜜をたらしたらこのような味になるのかもしれない。 もう一口食べることはできないだろう。 でも、 なぜかこんな味なのに不味いとは思わなかった。 この味がおいしいと思った。私の味覚はどうなったのか・・・・・ それだけじゃない、餡子を食べたのはたった一口なのに おなかがいっぱいになった。 いや、いっぱいになったのはおなかなのか。 もっと別の何かなのかもしれない。 私にはわからなかった。 なぜか私の顎から雫が落ちた。 これが私だけのれいむの味。 「れ~む、おいしい・・・・・?」 れいむが不安げにこちらを上目遣いで見てくる。その目は不安でいっぱいだった。当たり前だ。 一生を左右する選択の結果だからだ。私は心から感想を言う。正直な感想を。 「甘くておいしかったわよ。ありがとう。れいむ」 れいむは泣いていた。泣きながら笑っていた。私に擦り寄る。今までで最も強く 「れいむぅ!ごめんね!ごめんね!ほんとうはもっとおてつだいできたのに!にんげんになったらずっといっしょにいれたのに! ほんとうにごめんね!!」 わたしはれいむを抱きしめて、膝の上に乗せる。両手はやさしく包み込むように。れいむの食べたほっぺたに手を当てる。 「手伝おうとしてくれるだけうれしいわよ。うちの神社に宴会に来るやつらはみんな手伝えるのに手伝おうともしないし。それに」 そう、それに 「それに、ここがあなたのゆっくりポイントでしょ。私のひざの上、両手で抱きしめられるここが。」 ーーーーーいつまでもゆっくりしていってね・・・・・ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「そういえば紫、あんたこの間ルーミアの件で私を押さえつけたとき、両腕が塞がっていたのに、どうやって口を押さえたの?」 私はれいむを抱きしめながら聞いた。紫はこれまでで一番罰の悪そうな顔をして 「ああ、あれね、あれはそう、藍、藍よ。うちの式神の。それがどうかしたの」 「いや、口元を押さえられた瞬間力が入らなくなったから、変な術でもかけられたのかなって」 紫は大慌てで帰ろうとする。挙動不審である。もっとゆっくりしていけばいいのに 「最近藍が変な術にはまっているのよ。結構強力でしょ。あ、私これから昼寝しなければいけないからかえるわね。それじゃあね。 ごゆっくり~~」 逃げるように帰ってしまった。変なの 私はれいむと一緒にもう少しここでゆっくりすることにした。 ちなみに霊夢の口元を押さえたのは紛れもなく紫だった。かっこつけて両脚を手でつかんだはいいが、口を塞がないとれいむの後を霊夢 がつけていることがばれてしまう。そこで自らの体の柔軟性を最大限に生かして霊夢を押さえつけた。 自らの両足で、霊夢の口元を 本当にゆっくりできる話でした。後、ここで他の作品の感想をいうのは不適切かも知れませんがどうしても言いたかったので。まさかれみりゃのssで泣く日がくるなんて思いませんでした。本当感謝です。 -- 名無しさん (2008-08-16 22 21 42) さいこうにゆっくりできるハナシダー(つ∀`) 最後のシメがなんともww -- 名無しさん (2008-12-09 14 25 53) 時間を忘れるくらいゆっくりできました。ゆっくりれいむがどうなるのかドキドキしました。 -- 名無しさん (2009-06-01 10 06 07) けっこんしw -- マコピー (2009-07-23 15 10 13) イイハナシダナー -- 名無しさん (2010-01-22 12 12 34) 泣ける話ですね -- 曽良 (2010-07-19 19 38 56) ゆっくりできました。良い話ですな。 -- 名無しさん (2010-11-27 18 04 31) イイハナシダナー -- 名無しさん (2012-07-25 20 10 15) 俺にも霊夢さんのゆっくりポイントに顔をうず(ピチューン -- 名無しさん (2013-06-26 13 03 26) 名前 コメント